TOPIC No.2−31R 中国 四川省大地震


01. 四川大地震 byフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
02. 中国・四川省大地震 YAHOO!ニュ−ス
03. トピックス:四川大地震 byMSN産経新聞
04. 特集 四川省大地震 by読売新聞
05. 中国・四川大地震 by共同通信ニュ−ス特集
06. 四川省大地震 by中国国際放送局
07. 四川大地震(2008年5月)by中国情報局
08. 四川大地震に関する情報を得るための中国サイトリンク集 byINTERNET Watch
08. 中国・四川省でM7.9の地震、死傷者も(05/12)【第10報】RESCUE NOW

■募金受付

【日本赤十字社】

救援金名称:「中国大地震救援金」

募集期間:5月14日(水)〜6月10日(火)

救援金受付口座(郵便振替口座)

・口座番号:「00110−2−5606」

・加入者名:日本赤十字社

・通信欄に「中国大地震」と明記して下さい。

 ※受領証の発行を希望の場合は、その旨を通信欄に記載して下さい。

※郵便局窓口での取扱いの場合、振替手数料は免除されます。

【CODE海外災害援助市民センター】

・郵便振替:00930-0-330579

・加入者名:CODE

・通信欄に「中国四川省地震支援」とお書き下さい。

※なお、支援金のうち15%を運営資金とさせていただきます。

【@nifty Web募金】
http://www.nifty.com/tokusetsu/


四川地震の間接被害は8兆円

2008/06/25  中国新聞ニュ−ス

 中国・四川大地震の被災地を訪れ、経済被害と復興状況の調査をしていた広島修道大(広島市安佐南区)経済科学部の豊田利久教授(67)は、設備、労働力の損失に伴う売上高減少や、交通網寸断による輸送困難などでこうむる「間接被害額」を最大で約8兆円と試算した。

 計量経済学を専門とする豊田教授は14日、神戸大の都市安全研究センター(神戸市)の教授ら7人と成都市入り。現地の研究者との情報交換や報道内容の分析、企業視察などを進め、概算で間接被害額を算出した。企業の工場や設備が壊れる「直接被害」に加え、2次的な間接被害額を出す目的について豊田教授は「正確な被害の把握が、効果的な再建策や復興計画づくりにつながる」と強調している。

 間接被害額の約8兆円は、阪神・淡路大震災の約6割。豊田教授は「四川の被災地は内陸部で産業集積が低いからだろう。しかし郊外の復興が長引けば、被害額が膨らむ可能性がある」と指摘する。

日本の総合支援受け入れへ 四川大地震復興で中国

2008年06月23日  中国新聞ニュ−ス

 【北京23日共同】中国の武大偉外務次官は23日、遠藤乙彦衆院議員ら超党派の「日中新世紀会」メンバーと北京で会談し、四川大地震をめぐり産業振興、農地回復など幅広い分野で日本が協力する総合的な復興支援策を積極的に受け入れる考えを伝えた。日本政府の方針を次官に説明した遠藤氏らが会談後の記者会見で明らかにした。

 中国は建物の耐震性強化の問題や被災者の移住、雇用問題などに直面しており、胡錦濤指導部の対日関係強化の方針を背景に、日本の経験や技術を早急に導入したい考えとみられる。

 また次官は、2016年の東京五輪招致計画について「成功を祈っている」と理解を示した。

 次官は中国の震災対応について、3年間で1000億ドル(約10兆8000億円)に達する復興計画を進めていると述べたほか、「日本は復興対策のノウハウが豊富。日中協力の枠組みづくりをお願いしたい」として、日本の協力を踏まえた同計画の推進に期待感を示した。

中国・四川大地震から1カ月 弱者保護が緊急課題

2008/06/14 FujiSankei Business i.

死者・行方不明者が8万6000人を超す大惨事となった中国・四川大地震の発生から1カ月が経った。被災地では、仮設住宅の建設が急ピッチで進み、一部の商店が営業を再開するなど徐々に活気が戻りつつある。しかし、地震による土砂崩れで川がせき止められてできた土砂ダムはなお決壊の恐れがある。大きな余震も続き、下流域の20万人以上が不安な避難生活を強いられている。北京五輪開幕まで2カ月を切った。胡錦濤政権は待ったなしの復興対策を迫られている。

 「衆志成城(みんなが心を合わせれば、どんな困難でも克服できる)」。世界遺産に登録されている紀元前建設の水利施設「都江堰(ととこうえん)」がある中国四川省の観光都市、都江堰市では、大地震で多くの建物が倒壊、町の至る所に再建に向けた団結を呼び掛けるスローガンが掲げられている。

 安徽省や山西省などの企業も参加して仮設住宅の建設が行われているが、被災者が多くて供給が追いつかず、なお多数がテント生活を余儀なくされている。

 2000人以上の被災者が暮らすテント村では悲劇も起きた。脳出血で寝たきりとなっていた82歳の男性が連日30度を超す暑さのため体調を崩し、テントの中で息を引き取った。

 両親が死亡したか行方不明になっている震災孤児は四川省だけで1019人に。社会的弱者の保護が緊急課題に浮上している。

 四川省当局は、約8年かけて被災地の復興を図る方針を示している。商店が営業を再開するなど日常を徐々に取り戻しつつある都江堰市だが、倒壊した自宅の再建となると「夢のまた夢」だ。

 同市郊外の麗江村に住む施昌偉さん(47)は、大学やマンションの建設のために農地を強制収用された「失地農民」。約10万元(約150万円)の補償金のほか、友人や親戚からの借金約8万元を投じて建てた2階建ての家は地震で亀裂が入り、住めなくなった。

 建材費の高騰で再建には30万元が必要だが、借金返済も終わっていない。村政府は「自力で再建せよ」と冷淡。村には同様の境遇に置かれ不満を募らせる農民が100人以上おり、抗議デモなどに発展しかねない情勢だ。手抜き工事が原因とみられる校舎倒壊で子供を失った親らが学校などを相手に損害賠償請求訴訟を起こす動きがある同市の聚源中学校は「管制区域」となった。親や記者を近づかせないよう武装警察が見張っている。

 中国政府は8日、被災者のケアの方針を定めた震災復興条例を発表。社会不安の拡大防止に本格的に乗り出したが、四川省成都市のある市民は「全国に被災地支援を呼び掛ける一方で、犠牲者の親を黙らせようとするのは大きな矛盾だ」と指摘した。(都江堰 共同)

                ◇

 ■竜門山断層帯、数億年前から活動

 中国・四川大地震を起こしたとされる竜門山断層帯は、恐竜が生息していた数億年前から活動を続けてきた古い断層だ。太古に比べると最近数百万年の活動度は低いが、少なくとも数万年前に動いた痕跡のある明確な活断層という。

 東京大の池田安隆准教授(変動地形学)によると、地形や地質構造の特徴から、竜門山断層帯の活動が最も盛んだったのは2億数千万年前から6500万年前ごろの中生代と考えられる。

 同断層帯の活動は、現在のチベット高原側を押し上げて高山をつくり、四川側を押し下げて、そこに堆積(たいせき)物をため、これが四川盆地の原型となった。「現在よりずっと活発に動いていた」(池田准教授)という。

 その後、いったん活動は停止したが、約4500万年前に南からインド大陸が衝突、ヒマラヤやチベット高原が形成される活動が始まり、その影響で竜門山断層帯は1000万年前以降に活動を再開したとみられる。

 同断層帯によるものか明確ではないが、付近で発生した地震が歴史書などに記録され、数万年前の地層をずらした痕跡も見つかっている。竜門山断層帯と直交する方向に通る康定断層帯など、全体で1000キロに及ぶ横ずれ断層も活発に動いているという。

 地震直後に現地調査した林愛明静岡大教授(地震地質学)によると、今回動いたのを確認したのは、竜門山断層帯を構成する灌口−安県断層と北川−映秀断層。全長500キロの断層帯のうち250〜300キロが動き、最大で高さ5メートルの段差をつくった。

 池田准教授は「活動度が低くめったに動かないが、いったん動くと大きな地震を起こす。防災という点では極めて対応しにくい断層だ」と話している。

                   ◇

 ■「継続的な支援が必要」 在日中国人は復興後見据え活動

 中国・四川大地震の発生から1カ月がたち、在日中国人たちが「復興後」を見据えた支援活動に取り組み始めている。募金を集めるだけではなく、学校の再建や被災児童への奨学金を検討。「これからは継続的な支援が重要」と訴える。地震を機に草の根レベルで日中の交流も進んでいる。

 「被災した子供たちの将来が大切」。日本新華僑華人会(東京)の許革事務局長は強調する。華人会はこれまでに3000万円以上の募金を集め、中国大使館などを通じて被災地に寄付。現在は被災地の小学校の再建に取り組んでいる。四川省出身者が中心になって約680万円を集め、会の代表が現地に赴き、再建する学校の場所などを検討する予定だ。「将来的には教科書などの寄付や奨学金にも取り組みたい」と許事務局長は話す。

 日本の防災関係の資料を翻訳して、中国に送る団体もある。全日本中国留学生学友会(東京)は2次災害の防止や震災ボランティアへの注意事項など、数百ページもの資料を中国に送った。

 李光哲会長は「日本の災害への経験は中国でも注目されている。驚くほど日本に支援してもらい『日中は互いに協力し合える関係』と感じた」という。

                ◇

 ■緊密な対日連携を演出 胡政権基盤強化の思惑

 中国の胡錦濤国家主席は、四川大地震で日本の国際緊急援助隊を他国に先駆けて受け入れるなど、日中の緊密な連携ぶりを演出してみせた。「(5月上旬の胡主席訪日時に打ち出した)日中の『戦略的互恵関係』の強化方針が実を結び始めている」(劉江永・清華大教授)ことを内外にアピールし、デリケートな対日政策をめぐる指導力を高めることで、政権基盤強化につなげたい思惑があるとみられる。

 中国は、日本の援助隊が生存者を発見できなかったにもかかわらず、国内メディアを通じ「懸命な救出活動を展開した日本隊」の姿を大々的に報道。生存者救出に成功したロシア隊に関する報道を上回る量で、反日系ウェブサイトにも「今回ばかりは日本に感謝する」といった書き込みが相次いだ。

 日中関係筋の一人は「日本隊の活躍を国民に知らせることで反日感情を緩和する意図が胡指導部にあったのは間違いない」と分析する。

 同筋によると、日中両政府は今後の震災復興計画についても協力の在り方を模索中。中国側には阪神大震災の経験を取り入れた地域再建に期待する声も出ており、災害支援を通じて国際社会での存在感を高めたい日本側との“震災協力”が加速する可能性もある。

 しかし、テントなどの支援物資輸送では当初浮上した自衛隊機派遣をめぐり、自衛隊を「旧日本軍」と重ね合わせた中国世論が感情的に反発し、立ち消えに。胡主席の対日重視姿勢を踏まえて、支援要請を決めたとされる国防省幹部が軍内部で批判されているとの見方もあり、胡主席の対日重視路線は「前のめり」(外交筋)との指摘も出ている。(北京 共同)

土砂ダムの決壊懸念強まる 温首相、ヘリで視察

2008年06月05日  中国新聞ニュ−ス

 【北京5日共同】中国・四川大地震で土砂崩れにより川がせき止められてできた四川省綿陽市北川県の「唐家山・土砂ダム」について災害対策当局は5日、決壊する懸念が強まったとして、下流域の住民の安全確保を徹底するよう指示した。

 新華社電によると、温家宝首相も同日午後、ヘリコプターで同ダムを視察し「今、最も重要な時期にあり、死傷者を出さないことが最重要課題だ」と強調した。

 中国中央テレビなどによると、同ダムは5日午後2時(日本時間同3時)現在、満水まで1メートルを切り、6日午前2−4時ごろ、排水路を通じた水の流出が始まると予想されている。

 しかし専門家によると、余震や降雨などの影響で「決壊の可能性が増加」している。このため災害対策当局は下流60キロにあり、既に避難命令が出ている綿陽市九嶺に残っている住民がいないか徹底捜索を指示した。

テント800張り、四川の被災地へ…政府が無償提供

2008年06月04日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 中国・四川大地震の被災者支援のため、内閣府の国際平和協力本部事務局と自衛隊が無償提供したテント計800張りを載せた日本航空のチャーター機が4日朝、成田空港から成都へ向けて出発した。

 テントは同事務局が700張り、自衛隊が100張りを提供。「日本国」などの表示が取り付けられている。

 被災者用テントはこれまでに、兵庫、愛知両県が無償提供した計400張りが2日、関西空港からチャーター機で空輸されている。

賠償阻止、北京五輪に不安 法治国家へ遠い道のり

2008年06月03日  中国新聞ニュ−ス

 【都江堰(中国四川省)3日共同】中国・四川大地震で校舎倒壊の犠牲になった生徒の親らによる損害賠償請求の提訴を当局が3日、事実上阻止し、取材記者も拘束した。自然災害による混乱という要素を差し引いてもなお、中国の法治国家への道のりが遠いことを示し、約2カ月後に迫った北京五輪に向け不安を残す結果となった。

 中国政府は、3月のチベット暴動でチベット民族側の死者数や暴動制圧時の軍関与について明確にせず、国際社会から「情報隠し」と厳しく批判されたことを踏まえ、地震後は当初、外国メディアに広く取材記者証を発行し「透明性」を強調。

 各国からの支援も積極的に受け入れて「国際協調」姿勢を示し、「開かれた中国」を大きくアピールする思惑だった。

 だが、地震で多数の学校が倒壊、父母らが「手抜き工事が原因」として当局を批判する姿勢を強めたことに態度を硬化。

 今回の提訴を1つ許せば、当局の責任を追及する訴訟が各地で頻発、社会不安につながる恐れはあった。だが胡錦濤政権が掲げる国民重視の「親民政治」の看板に傷が付いた印象は否めない。

テント400張りを成都へ 四川大地震、追加支援の第1陣

2008年06月02日  中国新聞ニュ−ス

 中国・四川大地震の被災者救援のため、日本政府がチャーターし愛知、兵庫両県が無償で提供したテント計400張りを積んだ日航機が2日、四川省成都に向け関西空港から出発した。2日深夜、到着する予定。政府は当初、自衛隊機による空輸を検討したが中国側の慎重論から断念、最大5億円相当の追加支援を決定した。中国側の要望の強いテントを計1200張り送ることを決めており、今回はその第1陣。

 残りのテント800張りの内訳は、内閣府国際平和協力本部事務局の700張り、防衛省・自衛隊の100張りで、政府はできるだけ早期に被災地に輸送する。テント以外の医薬品などの救援物資についても自治体、企業からの申し出などを受け、順次提供していく方針。

 政府は既に、緊急無償資金協力と物資援助として総額5億円相当の支援を実施。追加分を合わせると支援総額は最大10億円相当になる。

 町村信孝官房長官は記者会見で「兵庫、愛知県の皆さんの厚意に感謝する」と謝意を述べた。テントは両県が各200張りずつを提供し、輸送費は約2500万円。

友好感情発展に寄与 日本の医療チーム帰国

2008年06月02日  中国新聞ニュ−ス

 中国・四川大地震の被災者治療のため、四川省成都市で活動してきた日本の国際緊急援助隊医療チームが2日夜、北京から日航機で帰国した。北京で田尻和宏団長は記者団に「われわれの活動が日中国民の友好感情の発展にも寄与できたと思う」と成果を総括した。

 田尻団長は、活動した四川大学華西病院内に設置した医療チームのテントに大勢の中国人が訪れ、日本側に謝意を示したことを明らかにした。

 チームは成都入りした5月20日当初、被災地に近い現場での活動を希望。チームの1人は「中国側はわれわれの安全も考慮した。また負傷者の病院への搬送が予想以上に早く、病院での治療活動にニーズがあった」と振り返り、同病院での活動が結果的には良かったとの認識を示した。

地震支援は6300億円 中国、テント不足続く

2008年06月02日  中国新聞ニュ−ス

 【北京2日共同】中国国務院(政府)は2日、四川大地震での内外からの支援金、支援物資が417億4200万元(約6300億円)に上ったことを明らかにした。

 被災地で不足しているテントは2日までに約71万張りが配給された。ただ、テントは四川省だけで330万張りが必要とされ、不足状態の解消には程遠い状況だ。

 2日付の中国紙、新京報によると、これまで1万人を超す負傷者がチャーター機や列車などで北京など被災地外の病院に運ばれた。陳竺衛生相は「戦争を除けば過去最大の負傷者移送作業だった」と述べた。

 同地震の死者は2日、6万9019人、負傷者は37万3573人、行方不明者は1万8627人となった。

四川大地震被害数兆円か 死者6万8000人超

2008年05月28日  中国新聞ニュ−ス

 【北京28日共同】中国国家発展改革委員会の穆虹・副主任は28日の会見で、四川大地震の経済的損失は、約538億元(約8100億円)の被害を出した年初の雪害の少なくとも倍以上との見方を示した。四川省当局者は同省の被害だけで2000億元としており、被害額は数兆円に上る見通しが強まった。

 ただ副主任は、四川省の中国経済全体に占める国内総生産(GDP)の割合は4%にすぎないとして、全国的な影響は限定的との見方を示した。

 中国政府は28日、地震の死者は6万8109人、負傷者36万4552人、行方不明は1万9851人と発表した。

 一方、中央テレビによると、地震で同省綿陽市北川県の川の上流にできた「唐家山・土砂ダム」では重機などを使った土砂堤の除去作業が続き、28日昼までに計3万2000立方メートルの土砂を除去。北京晩報によると、下流の15万8000人が同日までに避難した。

 新華社は、陝西省でも地震のため65の一般のダムが損傷を受け、6カ所については危険性が高いと伝えた。

自衛隊機で支援物資空輸 四川大地震で政府方針

2008/05/28  中国新聞ニュ−ス

 政府は二十八日、中国政府から支援要請があった四川大地震被災者向けのテントや毛布などの救援物資を自衛隊機で中国まで空輸する方針を固めた。複数の政府筋が明らかにした。

 外務、防衛両省が派遣時期や規模の調整を急いでいるが、航空自衛隊C130輸送機の使用が有力視される。実現すれば自衛隊機が中国に派遣される初のケースとなる。

 町村信孝官房長官は二十八日午後の記者会見で、自衛隊機派遣について「現地で活動する意味合いではなく、テントや毛布などを中国の空港まで運んでもらいたいという趣旨と理解している」とし、日本から中国までの輸送に限定した支援になるとの認識を示した。

 追加支援要請に関しては「被害の大きさに中国政府は、足らざるものは外国に頼らざるを得ないと判断したと推測する」と語った。

 複数の政府筋によると、日本側は地震発生当初から、自衛隊による支援も可能と中国側に説明。中国側は二十七日、在北京日本大使館を通じて自衛隊機による輸送を含む物資支援を正式に要請してきたという。

 これを受け防衛省の徳地秀士運用企画局長らが二十八日午後、官邸で町村長官と対応を協議した。自衛隊の海外での国際緊急援助活動は二〇〇六年のジャワ島地震の被災者支援以来となる。

土砂ダムの安全管理に全力 死者6万7千人に

2008/05/27  中国新聞ニュ−ス

 【北京27日共同】新華社電によると、中国水利省などは二十七日、四川大地震で四川省内にできた三十四の土砂ダムと、地震で破損した千を超す一般ダムの安全確保に全力を挙げた。同省綿陽めんよう市北川ほくせん県の川の上流にできた「唐家山・土砂ダム」は二十七日も約一・八メートル水位が上昇。地元当局は同ダムの三分の一が決壊した場合に備え、下流の十五万人を避難させると決め、同日午後までに約七万人が退避した。二十八日午前零時(日本時間同一時)までに全員が避難を終えるとしている。

 中国国務院(政府)は二十七日、地震の死者は六万七千百八十三人、負傷者三十六万一千八百二十二人、行方不明二万七百九十人と発表した。

 水利省は四川省各地に計千二百人の救助要員を派遣。七カ所の土砂ダムで排水作業を行うなど危険除去に努めた。唐家山では排水路を掘るなど本格的な排水実施に向けて作業が続いた。

 水利省は地震で損壊、同省などが出動し補修などを行ったダムは四川省内に四百九十六カ所と発表。うち百七十五カ所で危険は取り除かれ、残りも基本的に差し迫った危険な状態にはないとした。

 一方、新華社によると、二十七日午後四時すぎ、四川省広元こうげん市青川せいせん県でマグニチュード(M)5・4、同四時半すぎに陝西省漢中かんちゅう市寧強ねいきょうでM5・7の余震がそれぞれあった。

 衛生省当局者は同日の記者会見で、被災地では大規模な感染症は起きていないと発表。これまで被災地に約九万一千人の医療、衛生要員を投入し、八億二千三百万平方メートルを消毒したと述べた。

がれきの下に放射性物質15個、中国当局が会見

2008年05月23日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【北京=佐伯聡士】中国の環境保護省当局者は23日、北京で記者会見し、四川大地震の被災地で22日正午までに、危険性のある放射性物質が50個発見され、このうち35個を回収したことを明らかにした。残りの15個については位置を特定できたが、建物のがれきの下に埋まるなどしており、現在回収不能という。当局者は「放射能漏れ事故は起きていない」としたが、放射性物質の種類や扱っていた施設の場所などについて、今回の発表でも一切明らかにしなかった。

 これまで新華社通信は「がれきの下に埋もれた放射性物質32個のうち30個を回収した」と報じていた。

 また、当局者は、工場倒壊により、四川省什(ジュウ)ホウ市でアンモニアが漏れたり、綿竹市の工場でリンが燃焼したりする化学物質漏洩(ろうえい)絡みの事故が4件発生していたことを明らかにした。(ホウは「方」におおざと)

 ただ、「周辺の水質や大気に悪影響はない」としている。什ホウ市では、化学肥料を生産する工場が被災、周辺住民が一時避難していた。

 環境保護省は、今後、環境汚染事故が起きる可能性のある30か所余りを追跡調査し、事故を未然に防ぐよう四川省当局に命じた。省当局が化学企業など1万社以上の企業を徹底調査した結果、省内の76%の企業が操業停止状態に陥っていることがわかったという。

 一方、中国政府は23日、四川大地震の死者が前日より約4600人増えて計5万5740人に、負傷者が29万2481人に達したと発表。行方不明者は2万4960人。

四川大地震 中国の生損保、補償は絶望的 制度未整備、復興遅れも

2008/05/23 FujiSankei Business i.

 【香港=佐藤健二】中国の主要メディアによると、四川大地震による被害が、民間の生損保の保険ではほとんどカバーできない絶望的な状況にあることがわかった。地震などの大規模自然災害に対する保険制度が普及していないことに加え、被害の深刻な四川省の農村部では保険加入率が極めて低いためだ。生活インフラだけでなく、経済面の復興にも一段の遅れが出る懸念が強まっている。

 ≪カバー「5%」≫

 中国の保険当局による20日段階のまとめでは、四川大地震に関連して寄せられた請求に対する保険金支払いはわずか182万元(約2730万円)だった。200億ドル(約2兆800億円)以上とみられる被害額のうち、最終的に保険でカバーされるのは5%に過ぎないとみられている。

 損壊した住宅が保険でカバーされない場合、被災者の生活が脅かされるだけでなく、住宅ローンを融資している金融機関の不良債権増加などを通し、経済分野にも打撃を与えるとの見方が広がっている。武漢大学は、震災被害が年間国内総生産(GDP)の5%を上回った場合、物価や経済開発への影響が顕著になると試算しており、保険金による復興が期待できないのは大きな痛手だ。

 ≪加入率わずか≫

 中国では農村部で保険の普及率が低く、民間保険会社のまとめでは四川省の一人当たり保険料支払額は中国平均の431元に対し275元にとどまっている。なかでも四川大地震の震源地、●川県の保険料支払額のシェアは四川省全体のわずか0・17%、生命保険契約に至っては皆無という。

 さらに、損害保険に加入していても、日本と同様、震災に対する補償を受けるには大規模自然災害保険への加入が必要だが、中国政府がこうした保険に対する支援を行ってこなかったことも災いし、補償対象となる被災者はごく一握りだ。

 報道によると、中国の保険当局者は「四川大地震を機に大規模自然災害保険の整備が急務になった」と語り、被災地の救援活動終了後、ただちに制度の普及に着手する考えを示した。優遇税制で地震保険の加入を促す政策が検討されるとみられる。 

●=さんずいに文

四川大地震 豚肉主産地被害 食品高騰に警戒強まる 中国政府が影響注視

2008/05/23 FujiSankei Business i.

 四川大地震を受け、中国国内で食品価格の上昇に警戒感が強まっている。大規模な被害が出た震源地の四川省は、国民の食卓になじみが深い豚肉の主産地。昨年来の食品価格急騰の引き金となった上、大地震で関係企業にも被害が出ており、政府は生産、流通への影響を注視している。

 中国政府によると、中国の豚肉生産量は世界の約半分を占め、昨年の生産量約4290万トンのうち、地域別では四川省が最大の400万トン余りで10%近くに上る。省南部のほか、大きな被害が出た綿陽、徳陽、成都各市も主産地という。

 農業省当局者は新華社に対し、四川省と、隣接する甘粛、陝西、重慶の3省1市で地震のため死んだ家畜(家禽(かきん)を含む)の数が1523万となり、うち豚は100万匹に上ったことを明らかにした。

 中国各紙によると、飼料、食肉メーカー大手の新希望集団(成都)は地震で多くの工場が生産を停止し、損失が最大5000万元(約7億5000万円)に上る見通し。他の大手メーカーでも被害が続出した上、「震災と大規模な救援活動に伴う輸送の混乱」(中国人エコノミスト)も流通に影響を与える可能性がある。

 中国政府の物価調査では12日の地震以降、目立った値上げの動きは出ていない。しかし、国家統計局が今月発表した四月の消費者物価は豚肉が前年同月比68%上昇したのを中心に、食品価格は22%値上がりしており、国家統計局当局者は中国紙に対し「今後の物価動向に注目する必要がある」と語った。

 四川省は豚肉以外の農産物生産量も多く、北京のイトーヨーカ堂では「豚肉は山東省などから仕入れているが、四川省産の一部果物が入荷しなくなった」としている。(北京 共同)

仮設住宅500戸分完成し入居スタート 四川大地震

2008/05/23  中国新聞ニュ−ス

 【都江堰(中国四川省)23日共同】中国・四川大地震で大きな被害が出た四川省都江堰とこうえん市に仮設住宅が完成、二十三日から本格的に被災住民の入居が始まった。復興へ向けた大きな第一歩。「テントより快適」と好評だ。

 仮設住宅が建設されているのは都江堰市の幸福路沿いの総面積約六万平方メートルの空き地。うち一万平方メートル分の約五百部屋が完成し、一部で入居が始まった。人口約六十三万人の都江堰市では同様の仮設住宅を十数カ所に造り、約七万八千人が入れるようにする計画だ。

 一部屋はベッドが三つ置ける程度のスペースで、電源も設置。敷地内には共同食堂のほか、警察、病院、コンビニ、職業紹介所、法律相談所を完備。それぞれ同じ地区の住民が固まるように入居している。

 都江堰市の王慶おう・けい・副市長は「都江堰は(省都の)成都からも近く、物資を運ぶ道路も通っていたので復興のスピードはほかの被災地に比べ早い。これだけ大規模な仮設住宅は中国では初めてだと思うので、住民が規則正しく生活できるように努めたい」と話した。

 家が全壊し一家三人で入居した薛蘭せつ・らんさん(33)は「政府に本当に感謝している」。仮設住宅に入った多くの人がほっとした様子を見せるが、父母とめいを地震で亡くした彭暁蓮ほう・ぎょうれんさん(36)は「テント暮らしが続いたかと思ったら、また仮設住宅に引っ越し。もう疲れた」とぐったりしていた。

 被災住民の中でも仮設住宅に入居できた人はまだごく一部。都江堰市に住みながら戸籍が同市にない人は二十二日にようやくテントに入れたばかりで、厳しい避難生活が続いている。

四川大地震:経済被害が深刻化…物価上昇に拍車

2008年05月22日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE

 【北京・大塚卓也】四川大地震の発生から21日で10日が経過し、現地の壊滅的な被害が中国経済に及ぼす影響が懸念され始めた。四川省は養豚生産では中国全土の1割強のシェアを占めるほか、コメなど穀物の一大生産基地でもあるだけに、社会問題化している物価上昇に拍車をかけるのは必至だ。

 ◇損失7兆円超

 地震による被害は、震源地の四川省だけでなく周辺の甘粛、陝西両省、重慶市の電力・通信網、給水や天然ガスのパイプラインなどインフラ全体に及んでいる。中国政府系の香港紙「文匯報」は20日、直接的な経済損失は5252億元(約7兆8700億円)に上るとしたうえで、現地の工業生産や消費の一時的な落ち込みにより、中国の08年の経済成長率を最大0.7%押し下げるという専門家の見方を伝えた。

 ◇食卓を直撃

 経済面で最も影響が深刻なのが農業だ。四川省は、中国の食卓の必需品とされるブタの出荷量が年6000万頭以上で、全国1位の出荷量。農業省の危朝安次官は地震によって、省内でニワトリなどの家禽類を含めて1250万以上の家畜(かきん)が死んだと説明。全国でも有数の食肉メーカー、新希望集団(本社・成都市)の損失は最大5000万元(約7億5000万円)に上る見通しだ。危次官は、水田や野菜畑、農業機械なども壊滅的な被害を受け、「残った水田も農業用水の確保難から別の作物への転作が必要になる」と述べた。

 中国では昨年春から食料品を中心に物価上昇が顕在化、4月の物価指数(CPI)は前年同月比で豚肉が68.3%、大豆を原料とする食用油が46.6%、穀物が7.4%となった。今回は物価を押し上げた2月の雪害を上回る影響が指摘されており、政府は21日、トウモロコシやコメなどの食料備蓄3485トンの緊急放出を決めた。

 ◇インフレ警戒

 新中国成立後で最大とされる今回の災害は、「過熱抑止」に重点を置いてきた金融当局の政策に変更を迫る可能性も出てきた。

 中国人民銀行と銀行監督管理委員会は19日夜、国内の銀行に緊急通達を出し、四川大地震の被災地で今後進む復興事業向け資金を最優先に位置づけるよう指示した。

 人民銀は、国内のカネ余りで食品を中心とするインフレが他の製品にも波及しかねないと警戒、金融機関に今年の新規貸出増加額を昨年と同額に抑え、伸び率を0%とする異例の措置を続けているだけに、中国に拠点を置く企業には「国営銀行の一つから、復興資金を確保するため、予定していた融資ができなくなったと言われた」(日系電機メーカー幹部)といった影響も広がっている。

 金融界では「人民銀が貸出総量規制の緩和を検討している」(外資系銀幹部)との観測も出ているが、21日付経済紙「21世紀経済報道」は巨額の復興事業で投資が加速することを念頭に、「直面する問題は資金の供給不足ではなく、インフレだ」として、緊縮政策を維持するよう求める論文を掲載した。

 ◇レアメタル供給に不安…日本企業

 震源地付近は、マンガンや金属シリコンなどの希少金属(レアメタル)の産地として知られ、今後の供給を危ぶむ見方が出ている。アバチベット族チャン族自治州は、半導体や太陽電池に使われる金属シリコンの生産が集中。自動車鋼板に使われるシリコンマンガン、特殊鋼や二次電池の材料の電解マンガンも四川省が主要産地。日本はシリコンマンガンの使用量の約80%を中国からの輸入に依存、電解マンガンの中国依存度は90%を超える。

 双日によると、電解マンガンの市況は地震後に一時、約18%、金属シリコンは約8%上昇した。供給難を先取りした思惑による価格変動との見方が根強いが、「被害の長期化を想定した日本の鉄鋼メーカーが、将来の必要分を確保する動きもある」(三井物産)。レアメタル生産は大量の電力が必要で「電力の復旧が遅れれば、生産が先細る可能性もある」(同)という。

 新日本製鉄は、マンガンや自動車用鋼板に使う亜鉛を中国から調達している。「今のところ具体的な影響はない」というが、レアメタルの国際価格が上昇しており、「どういう形か分からないが、今後、何らかの影響が出てくるのではないか」(嶋宏副社長)とみている。鉄鋼各社の在庫はほぼ2カ月程度。「道路などの復旧が遅れれば影響は避けられない」との見方もある。

 一方、レアメタルの輸入大手、アルコニックスは、タングステンの約5割、モリブデンの約3割を中国に依存しているが、「中国の政策にどんな変化があるか読めず、今後の影響は予想できない」と心配している。【田畑悦郎、森有正】

 ◇レアメタル

 世界的に埋蔵量が限られる31種類の希少金属のこと。携帯電話や液晶などのハイテク製品や自動車などの生産に欠かせない。産出量が特定の国に集中していることが多く、タングステンやレアアースは9割以上が中国で産出。白金は8割が南アフリカ、モリブデンは3割が米国で産出されている。日本は、レアメタルの備蓄目標を国内消費量の60日分と掲げ、官民共同で備蓄を強化している。

四川大地震:死者5万人超に 日本の医療チームが治療開始

2008年05月22日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE

 【成都(中国四川省)西岡省二】中国政府は22日、四川大地震の死者が5万1151人に上ったと発表した。負傷者は28万8431人、行方不明者は2万9328人。日本政府が派遣した国際緊急援助隊の医療チーム(田尻和宏団長、23人)はこの日午後、四川大学華西病院(成都市)の緊急外来などで実際の医療活動を開始、治療にも当たった。

 医療チームは病院敷地内に待機・連絡場所のテントを設営、▽緊急外来▽集中治療室(ICU)▽透析−−の3部門にスタッフを配置した。日勤帯で勤務する。日本政府が緊急援助として中国側に供与した人工透析機7台も配備された。

 スタッフは同病院の白衣を着用し、肩などに日の丸のワッペンをつけた。緊急外来では救急車両が到着すると、中国人看護師らとともに患者を収容。重傷患者の中年男性の足の裏を触り、神経の状態を確認するなど、治療にも携わった。

 一方、中国外務省の秦剛副報道局長は22日、外交ルートを通じた海外からの資金援助が約4億9200万元(約73億円)、それ以外の資金援助が約6億1500万元(約92億円)に達したと公表した。だが、被災者用のテントは必要な330万張りのうち40万張りしかなく、「テントと仮設住宅が緊急に必要だ」と訴えた。

 北京五輪組織委員会はこの日、被災地・四川省での聖火リレーを、6月15〜18日から8月3〜5日に延期すると発表した。

死者・行方不明8万人超 四川大地震、負傷も28万人

2008/05/22 中国新聞ニュ−ス

 【北京22日共同】中国政府は二十二日、四川大地震の死者が五万一千百五十一人に上り、行方不明者は二万九千三百二十八人になったと発表した。死者・不明者の合計は八万四百七十九人となり、前日の発表より六千人以上増加。負傷者も二十八万八千四百三十一人おり、被災地の捜索が進むにつれ、死傷者はまだ大幅に増える見通しだ。

 中国政府は負傷者の手当てや被災地住民の生活支援に引き続き全力を挙げており、新華社によると、政府の災害対策本部長を務める温家宝首相は二十二日午後、特別機で四川省綿陽市に入り、再び被災地で陣頭指揮を執った。

 民政省によると既に四十万張りのテントが被災地に運ばれたが、家屋倒壊などで帰る家のない人は四川省だけで五百万人以上おり、外務省の秦剛副報道局長は二十二日の定例会見で三百三十万張り以上のテントが必要と指摘。あらためてテントの提供を国際社会に呼び掛けた。

 財政省によると、被災者対策のための政府や地方当局による財政資金の拠出は百四十億元(約二千億円)近くに達した。

学校倒壊現場に涙と怒り 手抜き工事と父母たち

2008/05/22 中国新聞ニュ−ス

 「ちゃんと説明しろ」。中国・四川大地震で校舎が倒壊し、約九百人が生き埋めになった四川省都江堰市の聚源中学校。二十二日午前、子どもを亡くした親たちが視察に訪れた地元の教育担当者の服につかみかかり、もみ合いになった。跡形もなくがれきの山と化した校舎。「建築の素人だけど、見れば手抜き工事だって誰でも分かる」。十六歳の娘の黄蓮さんを亡くした母、張麗さん(35)は涙を流しながら怒りをぶちまけた。

 張さんは、視察に来た人を引率していた校長に突然殴りかかった。校舎の倒壊原因について何の説明もしようとしない態度が許せないと思ったからだ。周囲の人に引き離された張さんは、娘の写真を大事そうに手のひらに載せ「きれい好きで、九歳の時から料理がつくれた…」と絶句した。

 「一九八六年か八七年に建てて以来、階をどんどん積み増しているが、地中の基礎は全く手を入れていない」「通常、一学級は四十―五十人なのに、この学校は最大で七十六人。狭い教室にたくさんの生徒を押し込め、防災意識のかけらもない」

 十五歳の娘を失った父、周思強さん(37)は手抜き工事や学校側の不手際の証拠を挙げた。

 中国当局は被災地の学校校舎が倒壊した事態を重視し、調査に乗り出している。でも周さんは当局の対応を待っているだけでは気が済まない。地元政府に対して原因追及を求める遺族ら約二百人の署名を手にし「状況次第では法的手段も考えたい」と話す。

 現場には地震後、怒りの矛先を探す父母たちが連日集まる。騒動が一段落すると、中国メディアの記者が米紙記者に近づき「書き方に注意した方がいい。あまり遺族の過激な(政府)批判を載せると、苦しむのは遺族のほうだ」と「忠告」。騒動が大きくなるのを警戒してか、武装警察約十人が遠巻きに見守っていた。(都江堰、共同)

日本のNGOが本格支援 四川大地震、10日目

2008年05月21日 中国新聞ニュ−ス

 【都江堰、漢旺(中国四川省)21日共同】中国・四川大地震の被災地で、阪神大震災でボランティア活動をした日本の非政府組織(NGO)が21日までに本格的な活動を開始。被災者の不安や不満を聞き取って回るなど、震災の経験を生かしながら支援・復興に尽力している。

 一方、日本の国際緊急援助隊の医療チームは21日、四川省成都に入ったが、活動場所をめぐって中国側と調整が付かず足踏み状態となった。

 中国政府によると、死者は21日までに4万1353人、行方不明は3万2666人。国務院常務会議は同日、700億元(約1兆500億円)の復興基金を設ける方針を決めた。

 大地震は発生から10日目。四川省綿竹市漢旺では、阪神大震災を機にNGOなどが集まって発足させた「海外災害援助市民センター」(神戸市)の先遣隊4人が被災者のニーズを探るため聞き取り調査を実施していた。

 パキスタンやインドネシア・ジャワ島の地震でも現地入りした吉椿雅道さん(40)が中心となり、農村部で聞き取りすると「雨期を控えてテントが必要だ」などの声が出た。

日本の医療隊、本格活動を開始できず…中国側と調整難航

2008年05月21日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【成都(中国四川省)=加藤隆則】中国・四川省成都市を訪れている日本の国際緊急援助隊医療チーム(田尻和宏団長)は、現地入りして2日目の21日、中国側との調整が付かず、同市内の総合病院を視察しただけで、本格的な医療活動を開始できなかった。

 大病院での医療活動を求める中国側と、緊急性の高い地域での活動を希望する日本側で、意見がかみ合わないことが原因とみられる。

 同日午前、「成都市第一人民病院」の正面玄関で医療チームを出迎えた顧興平院長は、「現在、二十数人の骨折患者が手術を待っており、手伝ってほしい」と要請。田尻団長は、その言葉を複雑な表情で聞いた。

 医療チームが現地に持ち込んだのは、透析用の機材や超音波による画像診断装置、簡易手術装置など。「一般の診療所は超えるが、高度医療まではいかない」(田尻団長)レベルの救急医療を、設備の整っていない地域で施すことが目的だった。

 ところが、中国側は「被災地には、日本側の助けを必要とする患者はもういない」と説明。重篤な患者はすでに成都市などに移送され、大病院で医師や看護師が不足する可能性があるとして、日本の医療チームに大病院での支援を要請した。田尻団長は「様々な要因を検討して早く対応を決めたい」としている。

 国際協力機構(JICA)によると、国際緊急援助は、受け入れ国の要請に従うのが原則だが、「日本チームの特性を考えると、成都市の大病院で活動しても効率は上がらない」としている。

ダム決壊警戒し町を封鎖、被災地で感染症発生

2008年05月21日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【北京=佐伯聡士】中国の四川大地震で甚大な被害が出た四川省北川チャン族自治県中心部の町で、伝染病発生や周辺の「土砂崩れダム」(堰(せき)止め湖)決壊への警戒から、当局は20日、同町を封鎖し、救援要員も退去させた。

 21日付北京紙「新京報」が伝えた。

 地震発生後、被災した町全体の封鎖が伝えられたのは初めて。

 同紙によると、当局者は同県で伝染病は未発生としながらも、救援要員の使用済み防護服を焼却し、新たに5000着を緊急調達すると述べた。

 また、中国紙「21世紀経済報道」は21日、当局者の話として、被災地で、水痘(水ぼうそう)、A型肝炎、手足口病などの感染症が発生していると伝えた。新華社電などによると、李克強・筆頭副首相が21日、綿竹市で防疫対策を陣頭指揮し、衛生省などが派遣した防疫担当者も計5250人余りになったという。

 政府は21日、四川省内に土砂崩れダムが33か所あり、そのうち3か所で危険な状態を脱したと明らかにした。残りの30か所はなお決壊の可能性があるとみられる。地震局は「余震は1か月以上続く」との見通しを示している。

 一方、政府は21日、地震の死者が四川省や甘粛省などすべての被災地で、前日の発表より約1280人増えて4万1353人に、負傷者が27万4683人に達したと発表した。孤児も4000人以上になるという。

チベット亡命政府が地震に弔意、対中抗議行動の一時停止指示

2008年05月21日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ニューデリー=永田和男】インド北部ダラムサラのチベット亡命政府は21日、世界各地の在外チベット人向け声明を発表し、中国の四川大地震の犠牲者に弔意を表すため、3月の中国チベット自治区などでの暴動発生以来世界各地で続いている対中抗議行動を一時停止し、被災者支援活動を始めるよう呼びかけた。

 亡命政府「内閣」名の声明は、世界各国の中国大使館前での抗議行動は「少なくとも5月末まで」停止し、直ちに中国系住民と共同で救援募金運動を始め、運動を通じて「中国チベット友好協会」設立を図るよう指示。

 共同募金運動は、チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世が4月の訪米中、暴動の被害者救済を念頭に提唱していたという。

四川大地震で核施設も倒壊…中国・環境保護相が明かす

2008年05月21日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【北京=河田卓司、佐伯聡士】新華社電によると、中国の周生賢・環境保護相は20日、四川大地震の被災地視察のため訪れた四川省成都で、「32個の放射性物質ががれきの下に埋もれたが、うち30個は回収した」と語った。

 残る2個については、位置を特定し、周囲を立ち入り禁止にして回収作業を進めており、近く安全な場所に搬出するという。中国政府高官が核施設の倒壊を明らかにしたのは初めて。

 核施設の詳細や場所、放射性物質の種類などは明らかにしなかった。環境相は「四川省内にある民用の核施設はすべて安全な状態にある」と強調した。地震による核施設への影響に関しては、人民解放軍総参謀部幹部が18日の会見で、「すべて安全だ」と述べていた。被災地では放射能漏れなどを懸念する声があるため、環境相も核施設の安全を改めて強調したと見られる。

 一方、四川大地震から9日目の20日、中国政府は、地震の死者が四川省や甘粛省などすべての被災地で前日の発表より約6000人増えて4万75人に、負傷者が24万7645人に達したと発表した。

 被災地での余震は、20日午後までに計6500回を超えた。華僑向け通信社「中国新聞社」(電子版)は20日、マグニチュード(M)5・0の余震が同日未明に起きた四川省平武県で、山崩れにより家屋が損壊するなど大きな被害が出たと伝えた。19日に復旧したばかりの道路10キロもすべて寸断された。具体的な死傷者の状況は不明という。

日本救助隊の犠牲者への黙とう、中国で絶賛

2008年05月21日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【北京=杉山祐之】四川大地震被災地での活動を終え、21日に帰国する日本の国際緊急援助隊救助チームが、中国で絶賛されている。

 生存者救出こそならなかったが、整列して犠牲者に黙とうをささげた1枚の写真が、中国人の心を激しく揺さぶったためだ。

 この写真は、援助隊が17日、四川省青川県で母子の遺体を発見した時のもので、国営新華社通信が配信、全国のネットに転載された。

 「ありがとう、日本」「感動した」「かっこいいぞ」……インターネット掲示板に賛辞があふれた。犠牲者数万人、遺体は直ちに埋葬という絶望的状況に圧倒されていた中国の人々は、外国、しかも、過去の「歴史」から多くが嫌悪感を抱く日本の救援隊が、二つの同胞の命にささげた敬意に打たれた。

 「大事にしてくれた」ことへの感謝と同時に、失われた命もおろそかにしない姿勢は、「我々も犠牲者に最後の尊厳を与えるよう努力すべきだ」(新京報紙の論文)という、中国人としての自省にもつながった。

 ネット掲示板は元来、「反日」の温床だが、日本隊の黙とうで、「対日観が大きく変わった」との声も寄せられている。強硬派らしい人物は「日本と戦わなくてはならない時は全力で戦う」と記した後、「だが、日本人が助けを必要としている時には必ず行く」と続けた。「とっとと出て行け!」という反日的な声には即座に非難が集中した。

四川大地震、9日ぶり女性救出 死者、不明7万4000人

2008年05月21日 中国新聞ニュ−ス

 【北京21日共同】新華社電によると、中国四川省徳陽市什☆(じゅうほう)で21日、四川大地震のため水力発電所の取水トンネルの中に閉じ込められていた女性が9日ぶりに救出された。女性は腰などを骨折しているが、生命の危険は脱したという。

 中国国務院(政府)は21日、四川大地震の死者は同日までに4万1353人、行方不明3万2666人、負傷者27万4683人になったと発表した。

 また、中国の国有資産監督管理委員会当局者は、地震による中央政府管理の国有企業の損失だけで300億元(約4500億円)以上と表明。国務院によると、内外からの支援金や支援物資の合計は160億900万元相当に達した。

 新華社によると、被害の激しかった四川省綿陽市などから248人の負傷者が21日、列車で陝西省西安に運ばれた。中国民用航空総局は同日、6機のチャーター機を借り上げ、成都などから広東省広州などへ負傷者を移送した。

(注)☆は方ヘンに郊のツクリ

死者4万人を超える 日本など4カ国の医療チーム受け入れ、四川大地震

2008.05.20 MSN産経新聞

 【北京=川越一】中国国務院(政府)新聞弁公室は20日、中国・四川大地震による死者が4万75人に達したと発表した。四川省で3万9577人、その他6省1市で498人の死亡が確認された。発生から9日目を迎え、救援活動の重点は生存者の捜索・救出から、被災者の生活支援や感染症防止に移りつつある。被災全域に救援隊が到着したほか、20日夜までに日本の医療チームなどが四川省に入る。日本の国際緊急援助隊は同日夜、任務を終えて帰国する。

 中国国営新華社通信によると、同日未明、震源地の同省アバ・チベット族チャン族自治州●(=さんずいに文)川(ぶんせん)県の廃虚の中から31歳の男性が救出された。民政省が同日発表した集計によると、倒壊家屋は536万戸、損壊家屋も2142万戸に上る。がれきの下の約5000人の生存は厳しい状況で、中国政府は身元確認のためのDNAデータベース作成を進める方針だ。

 こうした中、中国政府は感染症防止に全力を挙げている。感染症防止の心得を記載した冊子500万部を印刷。同日、2万冊が被災者らに配られた。また、衛生・防疫専門家を1日500人規模で増派するという。

 24万人超の負傷者の治療も重要課題だ。病院には5万人が収容されており、医者や医療機器、医薬品の不足は深刻だ。中国紙、新京報によると、●(=さんずいに文)川県に隣接する茂県では1人の医師が48時間で76回手術を行った後、昏倒(こんとう)した。

 「医療支援は時間との戦い」(李克強副首相)になっており、中国外務省の秦剛副報道局長は記者会見で、日本、ロシアに加え、ドイツ、イタリアからも医療チームを受け入れることを明らかにした。ロシア隊は20日午前、日本隊に先駆けて成都に到着した。

 一方、周生賢環境保護相は同日、放射性物質を保管した建物が倒壊したことを初めて認めた。32個の放射性物質がピルの下敷きになったが、30個はすでに回収、残る2個も安全が確保されたという。周環境保護相は否定したものの、被災者の一部には放射能漏れのうわさが広がっている。

倒壊・損壊2678万戸 中国・四川大地震

2008/05/20 中国新聞ニュ−ス

 【北京20日共同=渡辺陽介】中国民政省当局者は二十日、四川大地震で倒壊した家屋は五百三十六万戸、損壊家屋は二千百四十二万戸に上ると発表した。中国国務院(政府)によると、死者は同日までに三万四千七十四人、行方不明三万二千三百六十一人、負傷者二十四万五千九百六十三人。また地震への支援募金、支援物資などが計百三十九億二千五百万元(約二千八十八億円)に達したという。

 一方、中国の通信社、中国新聞社電によると、二十日午前一時五十二分(日本時間同二時五十二分)ごろ、四川省綿陽市平武県をマグニチュード(M)5・2の余震が襲い、家屋損壊などの被害が発生。死傷者が出たもようだ。

 中国外務省は日本以外にドイツ、イタリアなどの医療チーム受け入れを表明。三十七人から成る台湾の医療チームも二十日被災地に入った。中国国営通信、新華社によると、被災地への救援物資は鉄道による輸送だけでも二十日までに薬品四百八十八トン、飲料水三百六十八万箱に達した。

 衛生省は二十日、防疫意識を高めるパンフレット五百三十万部を印刷、被災地で配り始めた。被災地では十九日までに関係当局が遺体八千四百五十体を防疫処理した。

 筆頭副首相の李克強・共産党政治局常務委員は二十日、震源地の四川省アバ・チベット族チャン族自治州〓川県に入り、救援活動を指揮した。

【お断り】〓は「さんずい」に「文」です。JISコードにないため表示できません。

子供、老人に月9千円補助 四川大地震で中国政府

2008.05.19 MSN産経新聞

 中国政府は19日、四川大地震で家族が死亡し、身寄りがなくなった子供と老人、障害者に対し、月600元(約9000円)の生活補助金を支給すると発表した。

 政府は被災地で生活が困難な住民には1日1人10元の補助金と500グラムの食糧を支給する方針だが、身寄りのない子供らへの補助を厚くし、生活支援に力を入れる考え。また、今後も救助活動を続けるとともに、被災者らに対する防疫にも重点を置く方針を確認した。(共同)

139時間ぶりに男性救出 四川大地震から7日

2008/05/18 中国新聞ニュ−ス

 【北京18日共同】中国・四川大地震は十八日、発生から七日目を迎え、被災地で解放軍兵士ら十四万八千人が救援活動を展開、震源地に近い四川省綿陽めんよう市北川ほくせん県に入った日本のほかロシア、韓国など三カ国からの国際緊急援助隊も救助活動を続けた。新華社によると、北川ほくせん県の病院倒壊現場から十八日午前、生き埋めとなっていた男性が百三十九時間ぶりに救出された。

 中国紙、新京報によると、四川省内には現在十八カ所の「せき止め湖」があり、水利省はこのうち特に八カ所について重点観測を継続。北川県では十七日、湖が決壊する恐れがあるとして住民二千人が一時パニックとなり避難したが、その後水位が下がるなどして落ち着きを取り戻している。

 被災地入りしている胡錦濤国家主席は十七日夜開いた対策会議で、人命救助を最優先するとともに感染症予防に向けた衛生確保と被災住民の生活支援、さらに「社会の安定」維持に万全を期すよう指示。また、国際緊急援助隊など外国の支援に感謝を表明した。

 新華社は十八日、各地の核施設を関係部門が調査した結果、安全が確認されたと伝えた。綿陽市には核兵器研究施設があることで知られる。

 商務省は十七日までに被災地に二百十六万箱の飲料水、二十九万箱のカップめんを提供、衛生省は山東省から消毒粉八十トンを現地に輸送。鉄道省も物資の輸送にフル稼働し、政府挙げての被災対策が続いた。

 一方、四川省だけでも四百八十万人以上が家屋損壊などで帰る家がなく被災住民への住居提供も大きな課題。各地で衛生当局が消毒作業を強化、これまでのところ被災地で大規模な感染症は発生していない。

 米地質調査所(USGS)によると綿陽市から北東約九十七キロの地点で十八日午前一時(日本時間同二時)すぎ、マグニチュード(M)6・0の余震を観測、現地では断続的な余震が続いている。

 中国政府は十七日までに、二万八千八百八十一人の死亡を確認、今後五万人を超えるとの見通しを示している。

震源地近くで9遺体収容 日本の国際緊急援助隊

2008/05/18 中国新聞ニュ−ス

 【北川(中国四川省)18日共同】中国・四川大地震で、日本政府の国際緊急援助隊が十八日、震源地に近い四川省・北川ほくせん県曲山鎮の北川第一中学校と中心街での捜索活動を本格化させ、午前中の捜索で九人の遺体を発見、収容した。

 小泉崇こいずみ・たかし団長は同中学校では生存者が見つかる可能性は事実上ないとして、十八日中に捜索を打ち切り、今後は全部隊で街の捜索を行う方針を明らかにした。

 同中学校は生徒数が千五百人で、うち七百人が負傷。これまでに約七十人の生徒が救出されている。校舎は五階建てで、一、二階部分が押しつぶされた状態。援助隊は生徒たちの家族らが見守る中、崩れかけた建物のすき間から人命探査装置などで捜索、中国の消防隊と協力しながら次々と遺体を搬出した。

 一人息子が下敷きになっている陳年壊さん(41)は「中国当局は余震による二次災害を警戒して捜索を遅らせた。熱心に捜索してくれている日本部隊に心から感謝している」と話した。

 中心街では、倒壊したビルなど二カ所を救助犬と人命探査装置を使って調査した。

 小泉団長は北川県のダム決壊の恐れがあるとの情報について、中国側が「デマだったようだ」と伝えてきたと明らかにした。また、生存者救出につながっていないことについて「(もっと)早く来られていればとの思いはある」と語った。

 曲山鎮の人口は約三万人で、今回の地震による死者は約千人。

1千万人、厳しい避難生活 四川大地震1週間

2008/05/18 中国新聞ニュ−ス

 マグニチュード(M)7・8を記録、死者約五万人と推計される中国・四川大地震の発生から十九日で一週間。被災者は一千万人を超え、被災地では支援物資も十分に行き渡らず、住民らは厳しい避難生活を強いられている。相次ぐ試練に胡錦濤こ・きんとう指導部は正念場を迎えているが、未曾有の自然災害でチベット問題は影を潜め、国民の一体感も高まり、北京五輪関係者からは「神の助け」との声も聞こえてくる。日本政府は各国に先駆け国際緊急援助隊を派遣、日中信頼関係確立への期待が高まっている。

 ▽政権強化へ正念場 胡主席、試練相次ぐ

 中国の胡錦濤国家主席は十二日の四川大地震発生後、直ちに温家宝首相を四川省に派遣、十六日からは自ら被災地入りして救援活動の陣頭指揮を執っている。今年三月に二期目の「胡―温体制」が本格的にスタートして以来、チベット暴動に続く厳しい試練で、政権掌握力の強化に向けて正念場となりそうだ。

 「苦しく悲しい思いはみんなと一緒。全力を尽くし救出活動に当たります」。胡主席は被災地入りの直後、地震で特に大きな被害が出た四川省綿陽市北川県を視察、国営の中国中央テレビは住民の手を握り懸命に励ます様子を繰り返し報じた。

 視察途中、道路がふさがれていたため、胡主席は歩いて移動。中国紙は「徒歩で被災状況を視察、住民を見舞う」(人民日報)とアピールした。温首相の視察時と比べ、軍兵士への激励場面が多いのも特徴だ。

 胡主席と温首相の二人が視察先で顔を合わせ打ち合わせするのは異例で、胡指導部が今回の震災対策を極めて重視していることを示している。

 しかし、インターネット上では「胡主席が現場に行くのが遅すぎる」「地震後の反応が鈍い。救助隊の規模も小さい」などと一部に批判もある。北川県では胡主席視察のため救助活動が一時ストップ、住民が不満を言う場面も目撃された。

 一期目の胡―温体制発足後の二〇〇三年、新型肺炎(SARS)が国内で猛威を振るい、国際社会から「情報隠ぺい」と批判を受けた際は、温首相との二人三脚で難局を乗り切り、政権基盤固めにつなげた。

 北京五輪という大イベントを控えた胡主席にとって、震災対策は「党内の求心力を高める上で大きな試金石」(北京の外交筋)となっている。(北京、共同=加藤靖志)

 ▽チベットの影薄まる 「神の助け」と五輪関係者

 中国・四川大地震が発生した十二日夜、北京五輪のリスク評価担当チームの関係者は「言い方は悪いが、これは神の助けかもしれない」とつぶやいた。五輪関係者の間では、大地震がチベット問題の影を薄め、国際社会との溝を埋める役割を果たすとの期待が出ている。

 発生翌日の十三日朝、福建省竜岩で予定通り聖火リレーが実施されると、国内のインターネット上で「われわれ中国人に良心はないのか」といった非難が続出。その後はリレーと並行して募金活動などが行われるようになり、今や聖火リレーは「被災者との連帯」がテーマだ。

 人権やチベット問題への批判から「反中国」の象徴となった聖火リレー。中国では国際社会の非難に対する反発から「団結」の声が強まり、それに比例して排外感情が高まった。しかし、大地震による中国人の「一体感」にはそうした危険要素はない。

 一九九五年一月の阪神大震災では、二カ月後に被災地兵庫県西宮市の甲子園球場で選抜高校野球大会が開かれた。一時は開催すら危ぶまれたが、外野フェンスに「復興・勇気・希望」の文字を書き開会式を行った。

 北京五輪でも「批判集中」から「メッセージ発信」という「攻守交代」が起きるかもしれない。もちろん、チベット問題には依然として国際社会が大きな関心を払い続けている。中国側に政治的意図が見えすぎると、新たな批判につながりかねない。(北京、共同=松村圭)

緊急救援活動を開始 四川大地震の青川県

2008年05月16日 中国新聞ニュ−ス

 【青川(中国四川省)16日共同】中国・四川大地震で、被災地に向かった日本政府の国際緊急援助隊第1陣31人は16日朝、被害が深刻な四川省の青川県関荘鎮に入ったが、その後、救出活動場所を同県青川に変更、午後4時40分(日本時間同5時40分)ごろ、ビル倒壊現場で捜索を開始した。同援助隊は今回の地震で中国が受け入れる外国の援助隊の第1号。

 新華社通信によると、現場は病院の宿舎で、12人が下敷きとなり既に9人の遺体を搬出、出産休暇中だった女性と乳児ら3人が依然閉じ込められている。指揮官の説明を受けた隊員らが、がれきに上り、手探りで慎重に探った。

 団長の外務省国際緊急援助室の小泉崇室長によると、当初活動を予定していた関荘鎮の現場は、土砂崩れにより深さ10−80メートル埋もれており、ビル倒壊など都市型の現場を専門とする日本の援助隊とはミスマッチだったという。

 このため、中国側と協議の上、16日昼に複数のビルの崩壊現場がある青川に救出場所を変更した。

2万1500人の死亡確認 大地震で四川省内

2008年05月16日 中国新聞ニュ−ス

 【北京16日共同】中国・四川大地震で、四川省の李成雲副省長は16日、省内の死者が2万1500人、負傷者は15万9000人を超え、1万4000人余りがなお生き埋めになっていると発表した。胡錦濤国家主席は同日、被害の深刻な同省綿陽市北川県に入り、政府を挙げて救援活動を展開した。

 新華社によると、倒壊した北川県の病院から女性看護師(23)が96時間ぶりに助け出されたほか、中学生ら被災者の救出も相次いだが、地震発生から5日目を迎え、生存者の捜索は厳しさを増している。

 一方、四川省では6898棟の学校施設が倒壊または損壊、多数の生徒が犠牲になったため、住宅都市農村建設省当局者は16日、「校舎に何らかの問題があったとすれば責任者を厳しく追及する」と強調、被害拡大の責任を追及する動きも出ている。

 李副省長によると、14万人以上の人民解放軍兵士や警察官らが救出活動を展開、同日までに2万7560人をがれきの中から救出、480万人余りを避難場所に収容した。

遅れる救援 支援届かず 四川大地震

2008.05.14 MSN産経新聞

 大地震の発生から3日目を迎えた被災地では、予想を超える被害の大きさに救出活動が間に合わず、被災者らは不安な時を過ごしている。救援物資は徐々に届き始めたが、被災者数が多いため、飲料水や食料の不足が深刻化。一向に支援が進まないことに、現地では不満の声があがり始めている。(都江堰市=中国四川省 野口東秀、北京 福島香織)

 「1人1本しかミネラルウオーターをもらえなかった。山に入って水をくんで運んでるんだ」

 無傷の建物はないほどの都江堰市。街中が、被災者らが野宿するテントなどで覆われ尽くされている。各地からの救援物資が被災地に届き始めたが、水や食料、医薬品は被災者の手元には行き渡っていない。

 「水の確保が一番困っている。野菜や調味料は家から持ち出したが、もう尽きたよ。米だけはあるから、明日はおかゆだけかもしれないな」

 住んでいたマンションに亀裂が入り、余震で家に戻れない男性(36)は、路上で家族と一緒にテント暮らしだ。レンガを土台に薪で米を炊いていた。

 同市内を含め、給水車や食料配布トラックなどが巡回している。学校の校庭では1日3回、食料を配布していた。市内のはずれには各地の企業や個人が寄付した水やラーメンなどの救援物資が大量に積み上げられている。「救援地震は非情だがわれわれには情がある」。こう書かれた横断幕を張った車が続々とその一角に物資を運んでいた。

 しかし、それが路上生活の住民に十分に行き渡っている様子ではない。「毛布が欲しい。野菜、薬が欲しい」。被災者は口々に話した。

 一方、北京から12日夜、成都に214人のレスキュー隊が入ったというが、あちらこちらの倒壊現場で、最新の探知装置を備えた彼らの姿を見ることはほとんどない。目にするのは、スコップで、がれきを取り除く兵士の姿やショベルカーだ。

 都江堰市内の倒壊した複数のマンション現場では14日、住民が「今日、ようやく兵士が来た」と話した。

 倒壊しがれきの山となった病院前。門は数十人の兵士が封鎖している。「父が入院していたんだ。もう3日目だぞ!」。梁勇さん(37)はこう叫んで他の家族らと一緒になって、兵士に食ってかかった。進まない救助に家族らの怒りとあせりはつのる。

 震源地のアバ・チベット族チャン族自治区●(=さんずいに文)川県の救援活動は14日朝、ようやく本格化した。人民解放軍兵士と武装警察部隊の救援隊が3カ所から徒歩で向かい、13日深夜、ようやく到達した。隣の理県には軍と救急隊が32キロを6時間かけて到着した。都江堰と●(=さんずいに文)川をつなぐ道路は70%が破壊され軍用車両が使えなかった。降り続く雨、山岳地域特有の気流の悪さで軍用ヘリも近づけなかった。

 救援の遅れには、中央の初動体制に問題があったことも指摘されている。14日付の中国紙「21世紀経済報道」によると、地震直後、当局は国家2級災害救援応急体制を発動し、その8時間後にやっと1級へと引き上げた。判断を誤ったのは、国家防災主任の回良玉副首相が外遊中で不在だったためという。党中央政治局常務委員会が開かれ、温家宝首相をトップとする救援態勢が整ったのは12日深夜だった。

 王振耀・民政省救災救済局長は13日の記者会見で、救援が遅れている理由について、「被災人数が多すぎる。一つの村の被災規模が年間の被災規模に相当し、物資の調達も困難だ」と訴えた。

死者1万5000人に迫る 4万人が生き埋め、不明

2008/05/14  中国新聞ニュ−ス

 ▽四川大地震、救援隊ようやく震源地入り

 【都江堰(中国四川省)14日共同】中国国営通信新華社によると、四川大地震の死者は十四日、一万四千八百六十六人に達した。四川省ではなお約四万人が行方不明か生き埋めになっており、中国政府は人民解放軍などの救援部隊を投入、救助を急いでいる。地震で交通が遮断され陸の孤島となっていた震源地の同省アバ・チベット族チャン族自治州〓川ぶんせん県には同日、軍兵士約千人と武装警察部隊が入り、空輸による物資輸送も始まるなど救援活動が本格化した。

 新華社によると、同州幹部は人口一万人余りの〓川県映秀えいしゅうだけで死者が七千七百人に達する可能性を示唆した。同州に隣接する綿陽めんようなど三市でも被害は拡大しており、死者は二万人を超える可能性がある。

 〓川県は人口約十万六千人。周辺は地形が険しく、救援部隊は十三日深夜にようやく到着した。多数の家屋が倒壊、三万人が避難生活をしているが、ほかの住民の安否は不明。十四日までに五百人の死亡が確認された。

 被災地は地震発生から三日目を迎えたが、電気や水道が止まり、飲料水や食料も不足。被災者からは救援の遅さに不満の声も漏れ始めた。

 前線指揮を執る温家宝おん・かほう首相は軍、警察部隊など計十万人が現地で救援活動に従事していると強調した。解放軍は七十の医療チームを現地に送り込んだが、被害の拡大に救援が追いつかない状態が続いている。

 インフラの復旧も進んでおらず、〓川県の紫坪埔しへいほダムでは亀裂が見つかり、ダム決壊の懸念も指摘されている。

 新華社によると、死者は四川省で一万四千四百六十三人と集中している。行方不明者は一万四千五十一人に上り、二万五千七百八十八人が生き埋めになっている。負傷者は六万四千七百四十六人。被災地は雨模様が続いて救出は難航、生存者救出は時間との闘いとなっている。

 綿陽市当局者は十四日、同市の死者が五千四百三十人になったと発表。ほか一万八千四百八十六人ががれきに埋まり、千三百九十六人が行方不明とした。中国の通信社、中国新聞社によると、徳陽とくよう市の当局者は同市の死者は六千四十九人、生き埋めは六千二百人余りと述べた。地元のニュースサイトによると、広元こうげん市では死者が千百五人、負傷者が九千八百三十七人に達した。

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素手でがれき除く住民 校舎の下から「助けて」

2008/05/14  中国新聞ニュ−ス

 【都江堰(中国四川省)14日共同=渡辺和昭】倒壊した校舎のがれきの中から「助けて」と子どもたちの泣き声が聞こえる。素手で必死にがれきを取り除く住民たち。四川大地震の震源地で、陸の孤島と化していた四川省アバ・チベット族チャン族自治州〓川県の町、映秀えいしゅうは、救援隊員の予想を超える大きな被害が出ていた。

 新華社が十四日伝えた映秀の状況。被害を調べるため徒歩で町に入った州幹部は「想像以上にひどい状況だ」と語った。一万人余りの住人のうち生存が確認されたのは二千三百人のみ。うち千人以上が重傷を負ったままだ。

 〓川県までの道は橋が落ち、寸断され、救援隊の現地入りを阻む。救助に使う機器の搬入もできない。地震発生から三日目となった十四日も周囲の山からは頻繁に岩が転げ落ちてくる。州幹部らも険しい道を歩き危うく死にそうな目に遭いながら、たどり着いた。

 州幹部らは現地から「住民らは医療支援、食料や飲料水を何よりも必要としている」と訴えた。

 中国政府は地震発生直後から、人民解放軍と武装警察による救援部隊を震源地の〓川県に投入しようと、あらゆる手を尽くし、約三十時間後にようやく同県の中心、威州いしゅうに部隊が到着した。

 部隊は当初、道路をふさぐ落石を大型重機でどけようとしたが歯が立たず、ヘリコプターで空から救援隊を派遣する計画も、雨天のため飛び立てず断念した。

 十三日深夜、約二百人の部隊が〓川県近くのダムを船で渡り、徒歩で山道を二十一時間かけて初めて現地入り。県中心部で約五百人の死者を確認した。部隊は手持ちの飲料水や食料をけが人や子どもに配った。十四日には救援物資を積んだ三機のヘリが現地入り、救援活動が始まった。

 同県ではほとんどの家屋が倒壊し、約三万人が避難生活を送っているが、救援部隊は中心部の威州に入ったばかり。威州から約六十キロ離れた映秀などへは、まだ救援の手は届いていない。特に農村部の被害が深刻とみられ、パンダ保護区で知られる臥竜がりゅうなどは役所とも電話がつながらず、六万人の安否が不明だ。

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都江堰市上流のダムに亀裂 安全確保で緊急放流を開始

2008/05/14  中国新聞ニュ−ス

 【北京14日共同】新華社などによると、中国の四川大地震で、震源地の四川省アバ・チベット族チャン族自治州〓川県にある紫坪埔しへいほダムの堤頂部に亀裂が見つかり、「極めて危険な状況」(地元幹部)となったため、水利省は十四日、ダムの安全確保のために緊急放流を開始した。

 同ダムは二〇〇六年に完成した発電や洪水調節用の多目的ダムで、総貯水量は日本最大の徳山ダム(岐阜県)の二倍弱に当たる十一億一千二百万立方メートル。水利省は、仮にダムが決壊すれば、約九キロ下流にある人口約六十万人の都江堰とこうえん市が、完全に水没する大災害になるとして対策を急いでいる。

 紫坪埔ダムでは同日、水利省次官や専門家がダムを検査し、通常の放流量を大幅に超える毎秒七百立方メートルの放流を行うことを決定。また万一に備えて、既に約二千人の兵士が現場に急行しているとの情報もある。

 中国の通信社、中国新聞社によると、重慶市内でも十七のダムに亀裂が入るなどして修理が進められている。水利省は、さらに被害が大きかった雲南、甘粛、陝西などの各省に専門家を派遣し、ほかにも危険なダムがないかどうか検査を行っている。

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四川大地震、断層のズレ250キロ、破壊力「阪神」の30倍

2008年05月14日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 中国・四川省の地震を引き起こした断層について、長さ約250キロにわたる断層が2段階にわけて動いたとする分析結果を筑波大の八木勇治准教授らが13日まとめた。

 大きな断層のずれが相次いだことで、広い範囲に記録的な揺れを引き起こしたとみられている。

 今回の地震は、四川省を北東―南西方向に走る断層帯(竜門山断層)の一部が動いて起きたとみられている。八木准教授の分析では、まず長さ約100キロ、幅約30キロの断層が最大で約7メートルずれ、続いて、その北東側で長さ約150キロ、幅約30キロの断層が4メートルずれた。阪神大震災を起こした断層は長さ約40キロで、今回はその6倍強になる。

 地震開始から約50秒かけて最初の断層が動き、10秒後に2番目の断層が約60秒かけて動き、揺れは約2分間続いた可能性がある。

 地表近くで最も大きくずれたため、被害の拡大につながった可能性があるという。震源近くでは地表に約7メートルの段差が現れているとみられる。地震の規模を示すマグニチュードは7・9で、その破壊力は、阪神大震災の30倍にもなるという。

 米地質調査所は、地震を引き起こした断層の規模を長さ約200キロ、幅約20キロと見積もっている。ずれが進行した時間は約2分とみており、八木准教授の見解とも一致する。また、断層の中に「特にずれが大きい場所が2か所ある」としている。

1万8千人なお生き埋め 余震と雨で救助難航

2008年05月13日 中国新聞ニュ−ス

 【綿陽(中国四川省)13日共同】中国国営通信新華社によると、四川大地震の死者は13日までに1万2000人を超え、負傷者は2万6206人に達し、さらに1万8645人が生き埋めになった。中国政府は約5万人の軍兵士や武装警察部隊を動員したが、被災地への道路は寸断され、相次ぐ余震と降り続く雨で救助活動は難航している。

 地震発生から丸1日がたち、救助部隊はようやく震源地の四川省アバ・チベット族チャン族自治州☆川県に入ったが、被害の全容は依然つかめていない。

 ☆川県近くの被災地で陣頭指揮を執っている温家宝首相は食料品や医薬品、テントなどの確保を急ぐよう指示した。死者が出ているのは四川省など8省と重慶市で、倒壊家屋は50万戸余り。

 新華社は、四川省・綿竹市だけで死者が少なくとも2000人、負傷者は1万人以上に上り、さらに4800人ががれきに埋まっていると伝えた。

(注)☆はサンズイに文

中国に5億円相当を援助 邦人160人は無事確認

2008年05月13日 中国新聞ニュ−ス

 政府は13日、四川大地震で中国側の支援要請を受け、緊急無償資金協力と、毛布など物資援助として総額5億円相当の支援を実施することを決めた。具体的な内訳は中国側と調整するが、資金は国際赤十字(IRC)など国際機関を通じても提供される。高村正彦外相が同日夜、記者団に明らかにした。

 また、町村信孝官房長官は同日午後の記者会見で、四川省に長期滞在している日本人約300人のうち約160人の無事を確認したほか、日系企業関係者を含め被害の報告は出ていないと発表。政府は中国・重慶の日本総領事館を中心に、さらに旅行者などの安否確認作業を進めている。

 藪中三十二外務事務次官は同日、外務省に中国の崔天凱駐日大使を招き、「地震被害に最大限支援する用意がある」と表明した。

 緊急無償資金協力は供与までの手続きを簡素化できるため、緊急性を要する災害や民主化支援などで実施される。政府は今月9日に大型サイクロンで被災したミャンマーに1000万ドル(約10億4000万円)の拠出を決めた。

死者約1万2000人に拡大 中国・四川大地震

2008/05/13 中国新聞ニュ−ス

 ▽兵士数万人投入、救助急ぐ

 【綿陽(中国四川省)13日共同=塩沢英一】中国民政省の王振耀おう・しんよう・救援局長は十三日の記者会見で、四川大地震の死者が同日までに一万一千九百二十一人に達したことを明らかにした。新華社は、四川省・綿竹市だけで死者が少なくとも二千人、負傷者は一万人以上と伝えた。中国政府は被災地に数万人の軍兵士や武装警察部隊を投入、震源地の四川省アバ・チベット族チャン族自治州〓川ぶんせん県など被災地で救助活動に全力を挙げた。

 各地で犠牲者数が増加しており、〓川県近くの被災地で陣頭指揮を執っている温家宝おん・かほう首相は食料品や医薬品、テントなどの確保を急ぐよう指示した。

 死者が出ているのは四川省など八省と重慶市で、倒壊家屋は五十万戸余りに上った。

 中国中央テレビによると、十三日午後には〓川県付近で再びマグニチュード(M)6・1の余震があり、四川省の省都の成都市内でも強い揺れを感じた。

 中国外務省の秦剛しん・ごう副報道局長は十三日の会見で、各国からの支援申し入れに「感謝と歓迎の意を表明する」と表明したが、民政省の王局長は会見で、交通状態が悪いため被災地入りが「非常に困難」として、海外からの救援要員の受け入れは難しいとし、支援金と支援物資について受け入れたいとの考えを示した。

 新華社電によると、十三日昼までに武装警察部隊約二万人が救助活動に動員された。人民解放軍は、空軍を含む計三万四千人以上の兵士が救助活動のため移動し、同日朝までに一万一千人以上が被災地に到着。〓川県には、空軍などの兵士約千三百人が入ったが、当初予定していた落下傘部隊の投入は雨のため中止となり、救助活動は難航しているもようだ。

 中国財政省は十三日、被災対策のため八億六千万元(約百三十億円)の財政資金を拠出すると発表。うち七億元は四川省の被災対策に充てるとしている。

 【お断り】〓は「さんずい」に「文」を書きますが、JISコードにないため表示できません。

四川大地震の可能性予告 中国の地震専門家、02年に

2008/05/13 中国新聞ニュ−ス

 【北京13日共同】十三日の中国英字紙チャイナ・デーリーは、中国の地震専門家が二〇〇二年に出版した学術論文の中で、四川省でマグニチュード(M)7を超す地震が起きる可能性を指摘していたと報じた。

 地震の可能性を予告していたのは地震局地球物理研究所の陳学忠・研究員。陳氏は一八〇〇年以来、四川省では十六年に一度、一九〇〇年以降は平均十一年周期で大規模な地震が起きていたことに注目。その上で一九七六年以降、M7以上の地震がないため、論文では「数年以内にM7以上の地震があることは確実」と強調した。

 しかし「学術論文だったため大きな注目を集めなかった」と陳氏は説明した。

 一方、同紙によると、地震が起きる二日前の十日、震源の四川省アバ・チベット族チャン族自治州〓川ぶんせん県から約六十キロ離れた町でカエルが大量に街路に現れる現象があった。江蘇省でも九日、カエル数千匹が街頭に現れた。専門家は地震の前に動物の異常行動が観察されることがあると指摘している。

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死者100人超、900人埋まる 中国四川省でM7・8

2008年05月12日 中国新聞ニュ−ス

 【北京12日共同】中国地震局などによると、12日午後2時半(日本時間同3時半)ごろ、四川省成都の北西約90キロの同省アバ・チベット族チャン族自治州☆川県を震源に、広い範囲でマグニチュード(M)7・8の強い地震があり、新華社などによると、四川、甘粛、雲南各省と重慶市などで107人が死亡した。四川省内の中学校では生徒900人近くが生き埋めとなった。

 新華社などによると重慶市で2つの小学校校舎が倒壊し、児童4人が死亡。四川省で600人を超す負傷者も出ており、死傷者は今後増える可能性が高い。

 胡錦濤国家主席は迅速な救援活動を指示し、温家宝首相は活動の指揮を執るため成都に到着。新華社電によると、温首相は、首相をトップとする「地震災害対策本部」を設置した。また人民解放軍と武装警察隊の計5000人余りが被災地に向かい、軍ヘリコプターなどが現地に入った。

 米地質調査所(USGS)によると、震源の深さは約10キロ。

(注)☆はサンズイに文

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