TOPIC No.2-31L 近代化する中国軍

01中国人民解放軍 YAHHO! NEWS
02米国防総省年次報告書『中国の軍事力2007』概要<上> by朝雲ニュース
03米国防総省年次報告書『中国の軍事力2007』概要<下> -原潜は第2世代に最新戦力 大半を台湾対岸に配備- by朝雲ニュース
04 衛星攻撃兵器(ASAT) byフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
05中国の宇宙開発と軍事利用 その1・・衛星攻撃兵器(ASAT)by短く斬れ
06中国軍がチベットの巡礼者を無差別に撃ち殺す映像(非グロ/日本語字幕付)(October 19, 2006)
07中国人民解放軍 byフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
08軍組織と軍事力 by中国情報局
09データーで見る中国のミリタリーパワー(2005/02/25) by Metal Bee
10「中国の軍事」を語ることをタブー視するな〜日本の安全保障上“最大の脅威”が迫る〜(古森 義久)by SAFETY JAPAN 2005
11「中国の台頭」に対する危機とリスク(上)行政院大陸委員会 2005年10月 by台湾週報
12中国の軍事力(2005/09/03)The Hokkaido Shimbun Press
13米国防総省報告書 中国軍事力「脅威」と明記(平成14年07月25日号)国民新聞
14中国が軍事力を使用するとき  〜差し迫った日本の危機〜 (2005年07月21日) byアジアの真実
15中国の軍事力と日本のODA
16【主張】気がかりな中国の軍拡路線(1995/03/08)産経新聞朝刊 by日本財団 図書館
17TOPIC No.139 中台海峡
18TOPIC No.6-07 中国/有人宇宙飛行計画
19TOPIC No.2-31L1 中国 空母建造計画


中国の対艦弾道ミサイル、米国防長官が強く警戒

2011年01月09日20時44分 読売新聞

 【米国防長官専用機中=小川聡】ゲーツ米国防長官は8日夕(日本時間9日朝)、北京へ向かう専用機中で記者会見し、中国が開発中で米空母への攻撃が可能な対艦弾道ミサイル(ASBM)について強い警戒感を示した。

 長官は「就任以来、ずっと関心を払っている。初期運用能力があるかどうかはわからないが、かなり進展している」と述べた。

 中国が開発中のASBMは射程約1500キロ・メートル。中国本土から発射し、衛星などを通じた精密誘導で海上の米空母をピンポイントで攻撃できるとされる。対地攻撃にも使えるため、在日米軍基地も標的になりうる。開発に成功すれば、東アジアでの軍事紛争に米軍を介入させないという中国の「接近拒否戦略」の切り札になるとみられている。

中国ステルス戦闘機…中国外交部は明言を避け、「軍に聞け」

2011/01/09(日) 12:40 Searchina

 中国人民解放軍の次世代ステルス戦闘機「殲−20」とされる写真が報道されたことについて、中国外交部の洪磊挙報道官は定例記者会見で明言を避けた。環球時報が報じた。

 中国外交部のスポークスマン洪磊挙報道官は、6日、インターネット上で数多く掲載されている「殲−20」戦闘機の画像と情報について関する回答した。記者から「殲−20戦闘機の画像と情報は、中国が開発した新世代戦闘機であると認めるか」との質問に対し、洪報道官は、「具体的には人民解放軍に問い合わせてほしい」と述べ、はぐらかした。

 続けて洪磊挙報道官は「わが国は平和発展路線を維持し、防衛による国防政策を実施すると同時に、いかなる国家にも脅威を与えないことは強調しておきたい。中国は常に世界の平和の大きな力を維持し続ける」と述べた。

 中国の「殲−20」は米国のF−22に匹敵する能力を備えているとされる。台湾や米国でも大きな注目が集まっており、台湾の国防部は「写真には問題がある。現在の中国には(世界的にみて)最新鋭の戦闘機を製造する能力はなく、テスト飛行はなおさら不可能だ」と述べた。一方、米国海軍情報部のドーセット部長は「中国は多くの兵器分野で進歩しており、殲−20の出現は驚くべきものではないものの、その開発スピードは予想以上だった」と語った。(編集担当:畠山栄)

「殲20」テスト飛行延期か 中国の次世代ステルス戦闘

2011/01/08 22:25 47News【共同通信】

 中国四川省成都の飛行場で滑走試験を行った次世代ステルス戦闘機「殲20」の試作機=7日午前(共同)

 【成都共同】中国の次世代ステルス戦闘機「殲(せん)20」の試作機は6、7日、四川省成都の飛行場で滑走試験を行った。だが予定していたとみられるテスト飛行はなく、8日は滑走も行われなかった。テスト飛行中止の理由として天候不順のほか、技術トラブルを指摘する声も出ている。

 一方、8日付の香港紙、星島日報は、試作機は既にテスト飛行を数回行ったとの情報があると報じた。真偽は不明。

 成都の航空機メーカー「成都飛機(航空機)工業」には7日、軍幹部らとみられる数十人がジェット機や大型バスで乗り付け、滑走路脇に式典会場が設置された。だが試作機は1回滑走しただけで、来賓は同日夕に引きあげた。

中国の次世代戦闘機か、ネットに画像が流出

2011.01.06 Thu posted at: 12:13 JST CNN.co.jp

(CNN) 中国が開発中の次世代ステルス戦闘機「殲(せん)20」とみられる画像がインターネットに出回っている。米国防総省はこれについて、中国空軍が米国に匹敵する軍事力を持つに至ったことを示すものではないと強調した。

 殲20が実用化されるのは2017年以降になる見通しだが、中国の空軍司令官は09年に同国のテレビで、飛行実験はもっと早く開始すると語っていた。

 ネットに掲載された画像は、同国南西部にある飛行場の滑走路で同機を写したものとみられる。出所は分かっていない。

 米国防総省の報道官は5日、「同国の第5世代戦闘機の開発計画については知っている」「このほど公開された画像は地上走行実験のものと思われる」と述べた。

 ゲーツ国防長官は9日から中国を訪問し、米中の軍事交流について話し合う予定。今月下旬には胡錦濤国家主席が米首都ワシントンを訪れてオバマ米大統領と会談する。

 中国に詳しい専門家は、画像が検閲をすり抜けてネットに出回ったのは、これが殲20であることを裏付けるものであり、これを誇示したい中国の意向がはたらいたものだと解説している。

中国の軍事開発、ステルス機よりサイバー・宇宙分野を懸念 米軍高官

2011年01月06日 17:25 発信地:ワシントンD.C./米国 FRPBB News

中国・北京(Beijing)で行われた国慶節のパレードに登場した中国のミサイル(2009年10月1日撮影、資料写真)。(c)AFP/FREDERIC J. BROWN

スライドショーを見る【1月6日 AFP】中国初のステルス戦闘機「殲20(J20)」の試作機とされる写真が前週から出回っていることについて、米海軍のデービッド・ドーセット(David Dorsett)情報部長は5日、「現時点では大きな脅威ではない」との見方を示しつつ、中国の軍事開発の急速なペースに米国が驚いていることを認めた。

 ロバート・ゲーツ(Robert Gates)米国防長官の訪中を前に出回った「殲20」の試作機とされる写真は、中国南西部の飛行場で飛行試験後に撮影されたものと伝えられている。

 これについてドーセット部長は、米軍のステルス戦闘機F22ラプター(Raptor)のライバルとなる戦闘機を中国が開発していたことに驚きはなかったと語る一方、「試作機の開発から戦闘環境への統合までには、それなりの時間がかかる」として、中国がステルス戦闘機を実戦配備するのは何年も先になるとの見通しを示した。

 軍事アナリストの間では、中国は他にも、自国の領海をはるかに越えて米海軍艦艇の防御を突破できる弾道ミサイル「東風21(Dongfeng 21)」の新型の開発を進めているとみられている。

 ドーセット部長は記者団に対し、「この種の兵器を開発する中国の能力をわれわれは過小評価していた」と述べた。その上で、中国が単体の兵器システムを開発できることは分かったが、新しい軍事技術を最新の戦闘環境のなかで展開できるようになる時期は不透明だと指摘。むしろ、中国に関してはサイバー戦争と宇宙軍事技術の開発の方を懸念していると述べた。(c)AFP

「中国の次世代ステルス機、米F−22にはるか及ばず」

2011.01.06 10:05:41 中央日報/中央日報日本語版

中国がレーダーに探知されにくい次世代ステルス戦闘機「殲20」の試作機開発を完了した。

日本の朝日新聞は5日、カナダの民間軍事シンクタンク代表の話を引用し、中国が「殲20」試作機の開発を完了したと報じた。同紙によると、中国軍の関係者は「今月中にも試験飛行を始め、早ければ2017年に実戦配備する計画」と話したという。中国海軍が大洋に向かう中、中国の空軍もステルス機の開発で世界レベルに進んでいるということだ。

この戦闘機は殲滅するという意味で「殲20」という名前が付けられた。大型ミサイルの搭載が可能で、空中給油をする場合、中国本土から米国領グアムまで飛行できるという。

しかし中国ステルス戦闘機の性能と航続距離は、米国の最新鋭戦闘爆撃機F−22ラプターにはるかに及ばないと、朝日は伝えた。中国のステルス戦闘機技術が米国レベルに追いつくには10−15年かかると分析された。

産経新聞も、カナダに本部がある民間軍事研究機関「漢和情報センター」が昨年末からインターネット上に登場している中国の次世代ステルス戦闘機の写真を分析し、中国がすでに試作機を完成したことを確認した、と伝えた。

同紙は「写真は四川省成都で撮影されたもので、米国の第5世代ステルス戦闘爆撃機F−22と似たデザイン。飛行場の滑走路を移動する写真が中国軍事関連サイトに掲載された」と伝えた。

戦時危機下で核先制使用も 中国軍、軍事理論に明記

2011/01/05 中国新聞ニュ−ス

 中国人民解放軍の戦略核ミサイル部隊「第2砲兵部隊」が内部文書で、核兵器保有国との戦争によって危機的状況に置かれ、有効な防衛策がない場合、核先制使用も検討するとの軍事理論を部隊内に周知していることが5日、分かった。

 中国政府はこれまで「いかなる状況下でも核の先制使用はしない」(胡錦濤こ・きんとう国家主席)と公言。この原則を変えたわけではないとみられるが、部隊内部では最悪のシナリオを想定した教育が行われているもようで、中国の核戦力に対する米国や日本など周辺国の警戒感が強まりそうだ。

 中国軍の核政策は不透明さが指摘されており、その一端が明らかになるのは珍しい。

 「核威嚇のハードルを下げる」と呼ばれる理論は「核ミサイル保有国が絶対的に優勢な通常兵器で、わが国の重要戦略目標に連続空爆を行った場合」に「核による威嚇政策を調整する」と明記。核威嚇を強める具体的戦況として(1)敵国が原子力発電所や水力発電所、首都を含む重要都市を攻撃すると威嚇(2)戦局が極めて不利となり、国家存続の危機に直面―などを列挙している。

 まず、テレビやインターネットを通じて敵国に核攻撃を警告したり、具体的攻撃目標を通告するなどの威嚇宣伝を実施。それでも、敵の攻撃抑止に「失敗」した場合、核兵器の先制使用を「慎重に検討しなければならない」としている。

 一方で「ミサイル部隊は最高統帥部(中央軍事委員会)の指令を厳守しなければならず、勝手に調整してはならない」と強調し、核兵器使用に当たっては、国際社会の広範な支持を得て「戦略的主導権」を確保しなければならないとしている。

 米国の軍事研究者の間では2007年ごろから、中国の核先制不使用政策に変化の兆しがあるとの議論が出ていた。(共同)

中国の次世代ステルス戦闘機、試作機完成か

2011年01月04日19時26分 読売新聞

 【香港=槙野健】中国の軍事動向に詳しい民間軍事研究所「漢和情報センター」(本部・カナダ)は4日、航空産業筋の話として、中国軍の次世代ステルス戦闘機「J(殲)20」の試作機がすでに完成していると明らかにした。

 高度なセンサー能力やレーダーに探知されにくいステルス性を備えた「第5世代戦闘機」に数えられる。第5世代機としては、米空軍のF22のほか、米英などが共同開発中のF35が代表的だが、J20はF22と似た外観で、国産のエンジンを搭載しているという。

 米露の最新鋭戦闘機に比べて巡航速度やステルス性が劣るとみられ、同センターの平可夫代表は、「今後、改良やテストを重ねる必要があり、配備には10年から15年はかかる」と分析している。


中国原潜、第1列島線突破 日米警戒網の穴を突く 宮古−与那国間を通過か

2010.12.31 01:33 MSN産経新聞

 中国海軍の原子力潜水艦が昨年2月ごろ、九州−台湾−フィリピンを結ぶ第1列島線を突破していたことが分かった。複数の政府筋が30日までに明らかにした。沖縄県の宮古島、与那国島間を通過したとみられる。警戒網の穴を突かれたことに日米両政府は強い衝撃を受け、中国潜水艦の監視網を強化。「防衛計画の大綱」で潜水艦増隻や島嶼(とうしょ)防衛強化に踏み切る転機にもなった。

 第1列島線を突破した原潜は、平成16年にグアム島からの帰路に日本領海を侵犯した際と同型の「漢(ハン)級」だった可能性が高い。16年は出港時から米国衛星などが探知し、米原潜や海上自衛隊のP3Cが継続して監視しており、ノーマークで突破されたのは初めて。

 東シナ海での中国の潜水艦探知・追尾のオペレーションで、海自は複数の艦艇を配置。加えてP3C哨戒機を飛行させ、周辺海域を隙間なく監視できる態勢をとる。ところが、昨年2月ごろは原油高騰の影響もあり、海自はP3Cの飛行回数を抑え、監視ポイントも減らしていた。

 中国側は偵察活動により艦艇とP3Cの監視位置を把握した上で監視網の穴を見つけ、原潜に第1列島線を突破させたとみられる。

 原潜は中国・青島(チンタオ)から出港したとみられるが、グアム島近傍に進出するまで探知されなかった。宮古−与那国島間の海域は遠浅で大型原潜の潜航には適さないことから、今回の突破により、中国海軍が海洋調査により海底地形を熟知していることが裏付けられた。静粛性を高めるなど能力を向上させた可能性も大きい。

 第1列島線の突破を知り、海自は即座にP3Cの監視を増強。米側も原潜のスクリュー音などを収集するため音響測定艦「インペッカブル」を投入した。

 ところが、昨年3月にはインペッカブルが海南島沖で中国船舶に包囲される事件が起きた。海南島沖では中国海軍が潜水艦の地下格納施設建設を進めており、インペッカブルのソナーを外そうとするなど激しく妨害、米中間の緊張が一気に高まった。

 第1列島線は中国海軍が有事の対米防衛ラインとして設定した。2010年までに第1列島線内の制海権を確保し、2020年までに伊豆諸島−グアム、サイパンを結ぶ第2列島線までの防衛ライン拡大を狙う。中国は沖縄本島〜宮古島間の海域を押さえ、宮古島以西の日本領土分断を狙うとの指摘もある。

中国国防相「平和は天から降るものでない、戦争を忘れるな」

2010/12/31(金) 18:23 Searchina

 中国国防部の梁光烈部長は、中国の国防と軍隊建設などの問題について、「平和は天から降るものでない」と語った。中国網日本語版(チャイナネット)が報じた。以下は梁光烈部長の話より。

 新中国成立後の61年間は全体的に平和な状態だったが、平和は天から降ってくるものではない。現在の世界情勢を見ると、世界的な戦争になることはないが、一部地域で突発的な事件が起きたり、偶発的な事故が軍事争いに発展することも排除できない。中国には「天下安しといえども、戦を忘れば必ず危うし」という言葉がある。私たちは平和な時代に生きているが、戦争を忘れてはいけない。

 中国軍はこの5年間、各戦略に向けた軍事闘争の準備を進め、情報化の条件下の防衛作戦能力を大幅に向上させた。まず、戦闘精神の育成を強化し、士官・兵士の意志と行動を鍛え上げた。2つ目に、機械化の条件下の軍事訓練から情報化の条件下の軍事訓練への転換を全面的に推進した。3つ目に、新装備の制度確立を積極的に進め、新装備の効果を大いに発揮した。4つ目に、戦場基地と各種の関連設備の建設を絶えず強化した。最後に、現代の国防動員体制の確立を加速化した。

 中国軍は機械化・情報化の複合的発展を急速に進め、現代化を大幅に向上させた。以下の点で比較的大きな変化が見られる。

 1.部隊編成が合理化。現在の軍隊人員の中で、海軍、空軍、二砲部隊(戦略ミサイル部隊)が占める割合は増加し、陸軍の割合は減少している。軍全体を見ると、技術兵の割合が比較的大きく、一般兵は以前より大幅に減った。

 2.士官・兵士の素養が向上。1998年、本科以上の学歴を持つ軍幹部はわずか25.8%だったが、今では80%に達し、10年前の3倍以上になっている。博士号や修士号を持つ軍師もいる。

 3.武器・装備が急速に発展。多くの新型武器・装備が次々に導入され、戦闘機「殲−10」、早期警戒管制機「kj−2000」、地上発射巡航ミサイル「長剣10」、99式戦車など中国が自主開発した先進的な武器・装備は国民の志気を奮い立たせ、国と軍の威力を高めた。

 4.後方支援のレベルが大幅に向上。

 中国軍は一部の重要分野における改革に力を入れてきた。例えば、世界の新たな軍事変革や発展に合わせ、軍の体制や編成を調整し、部隊編成を合理化した。また、作戦要求に応じ、作戦の指揮体制を整備したなどだ。同時に、予備力の調整を強化し、全国の基幹民兵の数を1000万人から800万人に減らし、予備役の数を60万人から51万人に減らした。

 今後は、2020年までに機械化をほぼ実現し情報化の建設で重大な進展をはかるという目標に向かって、部隊の軍事力を向上させ、情報化の条件下の局所戦争に勝ち、軍事使命を多様化させ、新たな段階で歴史的使命を果たせるよう努めていく。(編集担当:米原裕子)

中国がヘリ搭載型救助船を建造へ 遠洋の態勢強化

2010/12/19 22:19 47News【共同通信】

【北京共同】19日の新華社電によると、中国交通運輸省はヘリコプターを搭載できる大型遠洋救助船2隻を建造する。2年後の使用開始を目指し同日、広東省広州の造船会社と契約を結んだ。

 海洋権益拡大に伴い、遠洋での救助態勢の強化を図る狙い。

 同省によると、遠洋救助船は今回のヘリ搭載型を柱として、2015年までに現在の13隻から25隻に増やし、世界トップクラスの態勢にする計画。今回の2隻はいずれも全長約116メートル、最大航続距離1万カイリ(約1万8500キロ)で、最大200人を救助する能力を備えるという。

海南島に新型攻撃原潜を配備 中国が海洋戦力を強化

2010.10.20 10:28 MSN産経新聞

中国南部・海南島の三亜市亜竜湾に停泊している「商」級攻撃型原子力潜水艦(中央)。右側にも同型とみられる潜水艦の一部が見える=9月2日(共同)

 中国南部の海南島三亜市にある中国海軍基地に新型の「商」級攻撃型原子力潜水艦が少なくとも1隻停泊していることが20日、共同通信が入手した写真により確認された。商級原潜は2006年末に配備されたと中国内で伝えられていたが、香港在住の軍事評論家、平可夫氏によると、現場写真で確認されたのは初めて。

 中国海軍は海洋権益確保を重視し、太平洋への出口となる尖閣諸島付近を含む東シナ海や、南シナ海への影響力拡大を図っている。同氏は「中国海軍のインド洋、南シナ海進出や将来の空母艦隊編成へ向けた戦力強化が配備の狙い」と分析している。

 08年には同じ基地に核ミサイルの搭載が可能な「晋」級の戦略原潜1隻が配備されたことも確認されており、相次ぐ原潜増強には中国と領土問題を抱える東南アジア諸国やインドが警戒感を強めそうだ。(共同)

金融危機後、自信増す中国 英戦略研が年次報告

2010/09/07 47News【共同通信】

 【ロンドン共同】英国の国際戦略研究所(IISS)は7日、過去1年間の国際情勢を分析した年次報告「戦略概観2010」を発表。2008年の金融危機後、経済への悪影響が他国に比べ小さく回復も早かった中国が、国際的に自信を増し、自国の立場を押し通す姿勢を強めていると分析した。

 報告は「世界的な問題を解決する上で中国が果たす役割への各国の期待は高まっている」とし、その期待に応えることと国益優先のバランスをいかに取るかが、中国政府にとってますます難しい課題となると指摘した。

 各国が中国に建設的な役割を果たすよう求める分野は、世界経済の不均衡の是正や地球温暖化、核不拡散などの問題に及ぶが、現時点では中国政府は依然、これらの問題の解決に実質的に貢献することには乗り気ではないとした。

 軍事面では、特に海軍の活動海域の拡大に言及。南シナ海や東シナ海での活動の活発化で、日本を含む周辺国で中国の軍事力増強への警戒感が高まっているとした。一方、ソマリア沖アデン湾の海賊対策での中国艦船の派遣は国際的に歓迎されていると評価した。

中国、東シナ海で作戦能力拡大へ 米国防総省が年次報告

2010/08/17 47News【共同通信】

 中国海軍のキロ級潜水艦=4月(防衛省提供)

 【ワシントン共同】米国防総省は16日、中国軍事動向に関する年次報告書を公表、中国軍が東シナ海や南シナ海で抱える近隣諸国との領有権問題などの懸案に対処するため、作戦行動範囲を拡大する新たな能力の獲得を目指していると指摘し、中国初の国産空母も今年中に建造が始まる可能性を明記した。

 中国軍がインド洋や、伊豆諸島から北マリアナ諸島、パプアニューギニアをつなぐ「第2列島線」を越える西太平洋までも行動範囲にしようとしている可能性を指摘。中国海軍が台湾海峡や沿岸の防衛から、遠洋でも作戦を行えるよう装備を近代化している実態に強い警戒感を示した。

 中国が最南部の海南島に建設している弾道ミサイル搭載可能な原子力潜水艦の新基地について「重要部分は完成した」と分析。地下施設もあり、南シナ海に潜水艦がひそかに出航できると指摘した。

 2009年の中国の実際の国防関連費が1500億ドル(約12兆8千億円)以上に上ると推計していることも明らかにした。中国は同年度の国防費予算案を約4728億元(当時のレートで約6兆9千億円)と発表しており、依然として透明性が欠如していると批判した。

中国軍事報告書のポイント

2010/08/17 47News【共同通信】

 【ワシントン共同】米国防総省が公表した中国軍事動向に関する年次報告書のポイントは次の通り。

 一、中国軍は東シナ海や南シナ海の懸案に対処するため、作戦行動範囲を拡大する新たな能力の獲得を目指している。

 一、中国軍は、インド洋や第2列島線を越える西太平洋までも作戦行動範囲内にしようとしている可能性がある。

 一、中国の造船会社は初の国産空母の建造に今年中に着手する可能性がある。中国は今後10年以内に複数の空母と支援艦を建造する意欲がある。

 一、中国の2009年の実際の国防関連費は1500億ドル(約12兆8千億円)以上に上ると推計している。透明性の欠如により、実際の支出の推計は難しい。

 一、中台関係の改善にもかかわらず、中国の台湾に向けた軍事力は減っていない。

 一、軍の近代化により、中国は軍事力を使って外交的に優位に立つ選択肢が増えた。

中国にステルス技術提供か 米、元技術者に有罪評決

2010.08.10 12:39 MSN産経新聞

 米ハワイ州ホノルルの連邦裁判所の陪審は9日、旧米防衛大手ノースロップ社(現ノースロップ・グラマン社)に勤務し、戦略爆撃機B2の推進エンジン開発にかかわった経験を持つ元技術者が米国の軍事情報を中国政府に提供したとして、有罪の評決を言い渡した。AP通信が報じた。

 この元技術者はインド出身で米国籍を持つノシル・ゴワディア被告(67)で、軍事技術の輸出規制違反や資金洗浄の罪に問われた。2003年から05年にかけて中国政府に対し、巡航ミサイルがレーダーに探知されにくくなるステルス能力に関する技術を提供した見返りに約11万ドル(約940万円)を受け取ったとされた。11月に量刑が言い渡される予定。(共同)

第1列島線突破を断言 中国軍、海上摩擦増加も

2010.08.07 18:17 MSN産経新聞

 中国国防大学の戦略研究所所長を務める楊毅少将は7日までに、中国メディアに対し「中国の海洋進出は必然で、どんな包囲網も海軍の歩みを阻止できない」と述べ、沖縄、台湾、フィリピンを結ぶ「第1列島線」に沿った米軍による海上包囲網を突破する考えを明確にした。

 第1列島線について軍の内部文書では最近「国益拡張にとり最大の障害」と反発が強まっているが、軍幹部が公言するのは珍しい。沖縄近海の東シナ海や太平洋で今後、海上摩擦が頻発しそうだ。

 楊少将は中国紙、国際先駆導報に語った。軍のシンクタンク、軍事科学院の研究員を務める羅援少将も同紙に「第1列島線を中国台頭の障害にさせない」と強調し、「中国の国家利益が及ぶ海域はどこでも海軍が保護するべきだ」との認識を示した。(共同)

中国が広東省にミサイル基地 南シナ海射程、香港紙報道

2010/08/07 47News【共同通信】

 【香港共同】中国人民解放軍が中国南部の広東省韶関市にミサイル基地を新設し、戦略核ミサイル部隊「第2砲兵」が数週間前に配属されていたことが分かった。7日付の香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストが韶関の地元紙などを基に伝えた。

 2千キロ以上離れた目標物を破壊できる弾道ミサイルなどが配備される可能性があるとの見方が出ており、その場合、中国がフィリピンやベトナムなどと領有権を争っている南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)、西沙(同パラセル)両諸島の大半が射程範囲となる。

 サウス紙によると、韶関市の南にある広東省清遠市にも昨年6月に同様の基地が建設済みと伝えられているほか、中国最南部・海南島にも近くミサイル基地が建設されるとの情報もある。

 中国は南シナ海での海洋権益拡大を目指して活動を活発化させており、クリントン米国務長官は先月「領有権を主張するいかなる国や地域も、武力を使用したり威嚇したりすることに反対する」と述べて中国をけん制している。

中国の対米サイバー攻撃拠点は海南島の人民解放軍 米機関が断定

2010.07.10 19:36 MSN産経新聞

 【ワシントン=古森義久】昨年から今年にかけて米国の政府・軍機関や民間企業に対して頻発したサイバー攻撃の発信源は中国人民解放軍の海南島基地だと断定する報告が米国の民間研究機関から発表された。中国政府はかねてから自国は無関係と主張してきたが、米国やカナダの政府機関などの情報も基にした報告は、中国南端の海南島に施設をおく中国軍こそが諸外国のコンピューター・システムに侵入した「犯人」だとしている。

 安全保障関連の課題を専門に調査、研究する米国の民間機関「メディアス・リサーチ」は6日、「中国・サイバー・スパイと米国の国家安全保障」と題する報告を発表した。

 米国とカナダの政府や民間機関が得た情報を基に「メディアス・リサーチ」独自の情報や分析を加えて作成された報告は、「米国やその他の諸国の各種機関にここ数カ月、行われたサイバー攻撃のうち単一で最大の発信源は海南島に拠点をおく中国人民解放軍の陸水信号部隊(隊員合計約1100人)であることが判明した」と結論づけた。

 米国各機関へのサイバー攻撃は官民のコンピューター、インターネットへの侵入で秘密情報を獲得することを目的としており、米側の軍事情報だけでなく民間企業の秘密情報や技術を不正に入手する手段とされている。米検索大手グーグルは中国側からサイバー攻撃をかけられたとして公式に抗議した。

 米国議会上院ではすでにテッド・カウフマン議員(民主党)が中国政府に自国内からのサイバー攻撃についての調査を早急に実施し、その結果を米国に伝えることを求める決議案を提出した。

 報告はさらに、発信源は具体的には「海南テレコム」と認定された例が多いが、「海南テレコム」は事実上、陸水信号部隊と同一であり、攻撃の標的は米国や台湾の軍事関連施設、チベット、ウイグルの関連施設など、中国政府にとって関心の高い組織がほとんどだったと指摘した。

 また、海南島には潜水艦の地下基地や空軍基地など大規模な軍事施設が存在することが以前から知られており、陸水信号部隊は人民解放軍総参謀部第三部の指揮下で秘密裏に育成され、サイバー戦争用の部隊ともされているとの分析も披露した。

中国海軍、沖縄近海を通過 計2隻、太平洋向け航行

2010.07.04 MSN産経新聞

 沖縄本島と宮古島の間を、太平洋側に向けて航行していた中国海軍のミサイル駆逐艦(上)とフリゲート艦=3日午後(防衛省提供)

 防衛省統合幕僚監部は4日、中国海軍のミサイル駆逐艦とフリゲート艦それぞれ1隻が3日午後、沖縄本島と宮古島の間の公海上を太平洋に向けて航行したのを、海上自衛隊の護衛艦が確認したと発表した。

 幕僚監部によると、この海域で中国軍艦艇の航行が確認されたのは今年4月、潜水艦2隻とミサイル駆逐艦など計10隻が確認されて以来。中国海軍は遠洋での活動を活発化させており、防衛省が動向を注視している。

 香港メディアなどは、中国海軍が6月末から7月上旬まで、東シナ海で大規模演習実施と伝えているが、今回確認された2隻との関係は不明。演習は、米韓両軍が今月、韓国西部の黄海で予定する合同演習をけん制する狙いがあるとされる。

南シナ海は「核心的利益」と中国 米高官に初表明

2010/07/03 47News【共同通信】

 【ワシントン共同】中国政府が今年3月、北東アジアとインド洋を結ぶ軍事・通商上の要衝で、アジア各国による係争地域を抱える南シナ海について、中国の領土保全などにかかわる「核心的利益」に属するとの新方針を米政府高官に初めて正式に表明していたことが3日、分かった。関係筋が明らかにした。

 中国はこれまで台湾や独立運動が続くチベット、新疆ウイグル両自治区などを「核心的利益」と位置付け、領土保全を図る上で死活的に重要な地域とみなし、他国に対する一切の妥協を拒んできた。新たに南シナ海を加えたことで、この海域の海洋権益獲得を強硬に推し進める国家意思を明確に示した。

 中国は南シナ海に連なる東シナ海でも、日中双方が領有権を主張する尖閣諸島(中国名・釣魚島)海域周辺での活動を活発化させており、海洋権益をめぐり日本との摩擦が激化する恐れもある。

 関係筋によると、中国側は3月上旬、訪中したスタインバーグ国務副長官とベーダー国家安全保障会議アジア上級部長に対し、この新方針を伝達した。両氏は北京で、戴秉国国務委員や楊潔チ外相、崔天凱外務次官らと会談しており、外交実務を統括する立場にある戴氏が米側に伝えたとみられる。

中国軍事費、2年連続で世界2位 15%増え9兆円超に

2010.06.02 09:16 MSN産経新聞

 スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)は2日、2010年版年鑑を発表、09年の中国の軍事費を前年比で実質15%増の1千億ドル(約9兆1千億円)と推定し、米国の6610億ドル(前年比7.7%増)に次いで2年連続で世界2位となったことを明らかにした。

 世界全体の09年の推定軍事費は前年比実質5.9%増の約1兆5310億ドル。年鑑は08年以降の世界的な経済危機も各国の軍事費の抑制にはほとんどつながらなかったと指摘した。

 中国の軍事費は過去10年で3.17倍になったという。09年の増加の理由について中国政府は、兵員の待遇向上や情報技術(IT)を使った軍のハイテク化を進めているためだと説明したと述べた。

 SIPRI推定の中国の軍事費は、中国当局の公表額の約1.45倍。(共同)

中国、18年にも新型戦闘機配備か 米F22に匹敵も

2010.05.21 13:56 MSN産経新聞

 ロイター通信は20日、中国が米国の最新鋭ステルス戦闘機F22に匹敵する可能性のある新型戦闘機を、2018年にも配備すると米情報機関が予測していると報じた。

 中国の新型戦闘機は「第5世代」と呼ばれる最新鋭機に分類される。ゲーツ国防長官は昨年、中国が20年までは第5世代の戦闘機を保有することはないとの見方を示していた。中国がこれまでの米国の分析を上回る早さで軍事的に台頭している可能性がある。

 台湾は中国に対抗するため、米国にF16戦闘機の新型モデルのような最新装備を要求。オバマ政権は今年1月、台湾への武器輸出方針を決定した際にF16について見送っており、台湾による米国への働き掛けが強まりそうだ。(共同)

中国、戦闘機ビジネス本格化…米機より「割安」

2010年04月28日 読売新聞 YOMIURI On-Line

中国駐在武官団に公開された中国の国産新鋭戦闘機J10(4月13日、佐伯聡士撮影)

 【北京=佐伯聡士】中国が、新型国産戦闘機など多様な航空兵器を中東やアフリカ、アジアなどに売り込む兵器ビジネスを本格化させている。

 国防省は4月中旬、天津に中国駐在の47か国武官団と一部外国報道陣を招いて新鋭戦闘機「J(殲)10」を公開し、将来的な大規模輸出も念頭に性能をPRした。

 北京と天津を結ぶ高速道路の沿線の農村地帯に駐屯する空軍航空兵第24師団。首都一円だけでなく、華北・東北地方の防空任務を担う。

 約50人の武官らが見守る中、4機のJ10が編隊を組み、16分間にわたるアクロバット飛行を繰り広げた。

 この後武官団と会見した厳鋒師団長は、「私は軍人であって、商人ではない」と語って輸出計画の詳細は明らかにしなかった。だが、1機当たりの価格が1億9000万元(約26億円)であることを公表した上、「機動性、敏捷(びんしょう)性に優れている」としっかり性能をPRする一幕もあった。

 J10は、最大速度マッハ1・8で、米戦闘機F16にも匹敵する性能を持つとされる。それでF16の約3分の2以下の価格となれば、購入を希望する各国には大きな魅力だ。

 人民解放軍系紙「中国国防報」は3月下旬、「中国の戦闘機輸出が米国を不快にさせている」との見出しで、「中国の戦闘機の国際的な影響力がますます大きくなり、米国はその覇権的な地位が脅かされると考えている」などと報じた。こうした報道は、新型兵器に対する自信を示すものだ。

 同紙が海外メディアも引用して伝えたところによると、中国の訓練機K8が6機ベネズエラ空軍に売却された。さらにK8よりも上級の訓練機L15と、中国とパキスタンの共同開発による新型軽戦闘機「梟竜(きょうりゅう)」には5〜6か国が関心を示しており、売却交渉が進行している。

 近い将来には、J10の輸出も実施されるという。パキスタンへの売却話も伝えられている。中国国防報は、「中国の航空兵器はすでに、多用途戦闘機から大型攻撃機、訓練機に至るまで、幅広い機種が輸出対象になっている」と指摘している。

「先進国並み」レーダー整備完了…解放軍報

2010年04月27日 読売新聞 YOMIURI On-Line

 【北京=大木聖馬】26日付の中国人民解放軍機関紙「解放軍報」は、レーダー専門家のインタビュー記事を掲載。中国が開発した国産レーダーが先進国並みの精度を備え、F15など現在各国で主力となっている第4世代戦闘機に対する防空警戒システムが、ほぼ完璧(かんぺき)に整備されたと報じた。

 今後は宇宙空間でのレーダーシステムも整備していく方針だという。

 同紙が紹介した空軍装備研究院の劉永堅大佐によると、中国が独自開発し昨年10月の軍事パレードで公開された「空警(KJ)2000」などの空中警戒管制機は、索敵範囲が数百キロ・メートルで、同時に数百の空中、海面上の目標を捕捉し、高速移動する数十個の目標も同時に追跡できる。地上配備型レーダーも移動性が高い3次元レーダーで、数百キロ・メートルの範囲で高度数万メートルの目標も捕捉可能だ。

 中国は、台湾有事での米軍の空母戦闘群の接近を大きな脅威と見ており、制空権確保のためレーダー整備を重視している。


中国軍、先進国並み情報化推進 「攻防兼備」急ぐ

2010/04/27 47News【共同通信】

 【北京共同】中国人民解放軍は将来の情報戦に備えて敵のインターネット攻撃などを含む情報技術を2020年までに先進国の15年の水準に高めることを中期目標としていることが27日、分かった。中国の軍事筋が明らかにした。基本思想は「攻防兼備」で、総参謀部内に「軍事情報ネットワーク指導機関」を特設した。

 中国軍は近代化の一環として「情報化」を急いでいるが、具体的な目標は明らかにしていない。

 欧米政府機関や米インターネット検索大手グーグルなどへのハッカー攻撃では、中国軍の関与が疑われているが、軍が有事に備えてコンピューター侵入能力を高めているのは確実だ。

 同筋によると、情報化の柱は(1)情報統括力(2)情報ネットワークへの攻撃と防御力(3)敵の海外基地などに対する情報探知力(4)即応力―など六つの能力の強化。第1段階として年内に先進国の00年の水準へ引き上げる目標。

艦隊外洋訓練 中国軍ヘリの危険な異常接近(4月24日付・読売社説)

2010年04月24日 読売新聞 YOMIURI On-Line

 訓練中の中国海軍の艦載ヘリコプターが、監視中の海上自衛隊の艦船に異常接近する異例の行動を繰り返した。

 日本政府が、「公海上とはいえ、極めて危険な事態だ」として外交ルートを通じて抗議したのは当然のことだ。

 今月10日、潜水艦2隻を含む計10隻の中国軍艦隊が沖縄本島と宮古島の間の公海を南下した。

 それに先立つ8日には、東シナ海で訓練中の艦載ヘリが、監視活動中の海自の護衛艦に約90メートルまで接近した。

 これ1度だけではない。21日にも、やはり艦載ヘリが、沖縄本島の南方約500キロの太平洋上で、海自艦の上空を旋回し、高さ約50メートルの距離まで近づいたという。

 これだけの接近飛行は、偶発的な事故を起こしかねない。

 中国政府は、日本の抗議に対し「日本の監視活動に対する必要な防衛措置」と反論している。

 だが、今回の示威的な行動は、近年の中国海軍の拡張ぶりを内外に誇示する狙いがあるのではないか。外洋訓練には中国メディアの関係者も同行しているという。

 訓練期間中の13日、ワシントンで開かれた日中首脳会談で、中国の胡錦濤国家主席は、「東シナ海を平和友好協力の海にしていきたい」と語った。

 艦載ヘリの行動は「平和の海」に逆行するものだ。首脳会談では、肝心の、東シナ海のガス田共同開発をめぐる条約交渉開始問題は全く進展しなかった。

 それにしても、日本政府の対応は緩慢に過ぎる。外務省が中国側に事実確認と説明を求めたのは12日で、その日ようやく岡田外相に報告されている。外務省が中国側に抗議をしたのは21日だ。

 中国海軍が、沖縄などの南西諸島と台湾、フィリピンを結ぶ「第1列島線」を越えて、小笠原諸島とグアムを結ぶ「第2列島線」にまで活動領域を広げていることは、外交・防衛当局者なら百も承知のはずだろう。

 中国艦隊の動きについて、政府内には、台湾海峡有事の際に米空母などの展開を阻む戦略の一環との見方もある。

 米国の4年ごとの国防計画見直し(QDR)は、中国の急速な軍拡に深刻な懸念を示している。鳩山政権の認識は甘すぎないか。

 今後、海洋権益確保の動きを強める中国海軍の動向には、格段の注意が要る。政府は、中長期的にどんな対策をとるかを検討し、今年の防衛大綱の改定作業に反映させることが必要だ。

人民解放軍の兵器レベル、すでに日本と同等−防衛省防衛研究所

2010/04/23(金) Serchina

 中国国際放送局は22日、「日本の防衛省防衛研究所が緊急プロジェクトを立ち上げ、中国の軍事支出および中国政府による戦略の変化について従来以上に詳細な研究を行っている」と報じた。

 報道によると、緊急プロジェクトは中国人民解放軍の艦隊が8日、通常動力のキロ級潜水艦2隻を含む10隻で、沖縄本島と宮古島の間の公海上を南に向けて通過したことを受けてスタートしたものだという。

 中国紙「南華早報」が防衛省防衛研究所の増田雅之氏に行ったインタビューによると、「日本は中国の国防費を正確に知ることはできないが、中国政府が発表している金額はすでに日本の防衛予算を上回っている」と述べている。

 また増田氏は、日本政府はオーストラリアや韓国をはじめとする国家と防衛関係で関係を強化するべきと提案し、中国政府と外交関係を強化することで、できるだけ正確な中国の防衛費を把握するべきであるとした。

 さらに増田氏は、「日本の人びとは、中国の人民解放軍の武器・兵器は量は多いが質は悪く、米国や日本と同レベルには達していないと思っているようだが、戦闘機やミサイルは日本とほぼ同水準にまでレベルが向上してきている」と指摘した。(編集担当:畠山栄)

中国軍ヘリ、警戒の護衛艦に接近 沖縄の南方海域

2010/04/21 47News 【共同通信】

 防衛省は21日、中国海軍のヘリコプターが沖縄本島の南方約500キロの海域で、警戒中の海上自衛隊の護衛艦「あさゆき」に接近、周囲を2周したと発表した。

 政府は同日、外交ルートを通じて中国側に抗議した。

 中国海軍のヘリは今月上旬にも東シナ海で警戒監視中の護衛艦に接近。防衛省は「船の安全航行に影響を及ぼす」として、外交ルートを通じ事実関係の確認などを中国側に申し入れていた。

 防衛省によると、中国ヘリは21日午後3時37分から40分ごろまで護衛艦の近くを飛行。護衛艦から水平距離で約90メートル、高度約50メートルまで接近したといい、同省が詳しい状況を調べている。

死者1484人に 中国青海省地震

2010/04/18 47News 【共同通信】

 【玉樹共同】中国青海省地震で被災した青海省玉樹チベット族自治州玉樹県の震災対策本部は17日、地震による死者が1484人になったことを明らかにした。中国メディアが伝えた。行方不明者は312人で、死者・不明者の合計は1796人となり、前日よりさらに230人以上増えた。

 遺体は玉樹県内の寺院などに安置され、17日には千体近くが一斉に火葬された。

 負傷者も1万2088人に増加し、うち重傷者は1394人。既に1558人の負傷者が省都西寧や四川省成都、甘粛省蘭州などに運ばれた。被災地では17日朝、がれきの下に閉じ込められた負傷者の生存率が著しく下がる「発生72時間」が経過。同日には発生から約85時間後の救出劇もあったが、犠牲者はさらに増える見通しだ。

 人民解放軍当局者によると、救助活動のため動員された軍部隊と武装警察は1万2355人で、うち1万1300人余りが被災地入りした。

 対策本部によると、被災地で損壊した家屋は約21万戸に上り、木造やれんが造りの家屋が特に大きな被害を受けたという。

広大な国土を持つ中国と狭い島国日本との発想の違い

2010/04/14(水) Searchina

日本経営管理教育協会が見る中国 第94回−水野隆張(日本経営管理教育協会営業部長)  

日本のリーダーから中国古典の素養が失われている

 私が尊敬する中国文学者守屋洋氏は「日本のリーダーたちから、中国古典の教養がずいぶん失われている」と嘆いておられます。政治家の中でも、多少でも素養を持っていたのは福田、大平、宮沢さんくらいまでで、今の若手の政治家はほとんどゼロに近いと言うものです。日本のリーダーのレベルがここまで落ちたのは、中国古典を読まなくなったからではないかと思われます。

島国 対 広大な国土

 中国と日本との大きな違いは、日本が狭い島国であるのに対して、中国は何はなくともたっぷりとしたスペースの広さがあることです。この違いは、両国の人間性の違いを根本で大きく形作っていると言えるでしょう。あの広い大陸を纏め上げてきた歴史上のリーダーたちをみると、次の二つの共通点が伺われます。

1.心を攻める

 「攻心為上、攻城為下」(心を攻めるを上と為し、城を攻めるを下と為す:出典「三国志」)という言葉があります。力だけでは頂点には立てない、相手の心を攻め、支持をとりつけることこそが最上のやり方である、ということです。

 近年の例を挙げれば、毛沢東と蒋介石です。国民党の蒋介石の軍隊が国民を武力で抑えつけようとしたのに対して毛沢東率いる人民解放軍が見事な規律をもって現れたため、人々はいっぺんに毛沢東支持に回ってしまったのです。いったん人々の支持を得ると、何にも増して応援し協力してくれるようになります。

 今の日本の政治家をみると、金と選挙の票を得るのには熱心でも人々の心を掌握する術を知らないように思われます。しかし、権力は魔物です。権力を獲得するまでは一生懸命人々の心を攻めるやり方をしますが、いったんそれが果たされると、とたんに忘れてしまうことが多いようです。

2.撤退を重視する

 中国の歴史上のリーダーたちは、前へ進むのと同じくらいのウェイトを置いて、撤退する事を考えます。攻撃するだけのリーダーは、必ず途中でつぶされます。敵とぶっつかってみて相手のほうが戦力が上だとわかったら、早めに撤退して戦力を温存せよ、情勢は必ず変化するからチャンスを待て、という発想です。

 日本は困難にぶっつかったとき、一か八か当たって砕けろ、という発想になりがちです。この旺盛な敢闘精神は長所でもありますが、いかんせん撤退が下手なのです。バブル倒産などは、撤退の時期を誤ったからでしよう。

 ある程度の損切は仕方のないことで、それを覚悟で撤退し次のチャンスを待つという発想は、今後の日本の企業にも大いに求められるものだと思われます。

中国古典で心のよりどころを

 このように、中国古典には大陸で長年培われてきた生き方の智恵、特にリーダーの条件について多く書かれています。心のよりどころが見失われている今の時代、悩みが生じたときに解決のヒントを与えてくれ、心の支えになってくれるのが、中国古典に記されている言葉なのです。

 写真は広大な黄河。(執筆者:水野隆張・日本経営管理教育協会営業部長 編集担当:水野陽子)

中国軍将官から次々飛び出す大胆発言 軍の存在感アピールか

2010.03.15 19:38 MSN産経新聞

 【北京=矢板明夫】中国人民解放軍の将官は最近、メディアに頻繁に登場し、外交・安全保障政策について積極的に発言しており、国内外の注目を集めている。政府の立場より一歩踏み込み、対外強硬姿勢を示すことがほとんどで、愛国主義教育を受けた若者から支持を受けている。これまでは沈黙することが多かった“制服組”が、同じ時期に一斉に政策に口を出すことは異例だ。今年の国防費予算の伸び率が22年ぶりに一けたに抑えられたことを受け、軍備増強の必要性を強調し、軍の存在感をアピールする狙いがあるとみられる。

 2010年の国防費が発表される前日の3日、政府の諮問機関、全国政治協商会議の委員を務める羅援少将は、北京紙、新京報などの取材に応じ「今年の国防費の伸び率は例年と比べ抑えられる」と言明。「台湾、チベットなどの独立問題を抱え、国家分裂の危険に直面している中国には、国防を増強しなければならない理由はいくらでもある」と述べた。

 この発言は、国防費の伸び率が09年の約14%から、今年は7・5%に抑えられたことに対する「軍の不満を表している」と解釈する香港記者もいる。

 これに先立ち、国防大学の朱成虎少将は、2月に発売された週刊誌「瞭望」で、米国による台湾への武器売却問題について「米国に『台湾関係法』などが存在していることが問題の本質だ」と指摘。外交交渉を通じ米国に、中国の国益に損害を与える法律を改めさせるべきだと主張した。

 この発言は、中国外務省の対米政策を「弱腰」と批判するネットユーザーの熱烈な支持を受けた。朱少将は05年夏、「米政府が台湾海峡での武力紛争に介入した場合、(中国は)核攻撃も辞さない」と発言したことで注目された。

中国の台湾攻撃力に警告 米研究機関

2010.03.03 21:42 MSN差案系新聞

 【ワシントン=古森義久】中国の軍事態勢を研究している米国民間の研究機関「国際評価戦略センター」は、台湾に対する中国の軍事攻撃能力強化についての報告書を発表し、中国軍の増強がこのまま続くと台湾との軍事均衡が完全に失われるだけでなく、台湾有事への介入の可能性を保とうとする米軍の抑止力も無効になるだろうとの見通しを明らかにした。

 同センターのリチャード・フィッシャー主任研究員が中心となって作成した報告書は「台湾海峡の空軍力バランス」と題され、まず中国と台湾との空軍力比較について、「中国は2000年には合計100機未満だったロシア製の第4世代の戦闘機群を10年には400機ほどに増し、さらに中国製の同第4世代の多目的戦闘・攻撃機280機を保有するにいたり、現状でも台湾の空軍力を圧倒するようになった」と述べている。

 また、「中国側の台湾への空軍力は地上に配備した短距離弾道ミサイル、中距離弾道ミサイル合計1500基以上によって威力をさらに補強されることになる」と警告し、最近は中国の人民解放軍幹部たちが自国製の最新の第5世代戦闘機を17年から19年にかけて実戦配備を開始すると言明するようになった点を強調した。

 中国側の第5世代戦闘機は台湾側が保有するすべての戦闘機の性能をはるかに超え、19年ごろまでには合計300機が配備される見通しで、そうなると中国の台湾攻略能力は圧倒的に高くなり、台湾側に軍事的抵抗を当初からあきらめさせて政治的併合を可能にする効力を発揮するようになるという。この第5世代戦闘機が、中国の成都にある航空機製造企業で生産されるとしている。

 中台有事のシナリオでは決定的な役割を果たす米軍の介入能力とその結果としての抑止力については、「これまでは米軍のF15戦闘機の中国側に対する優位性が顕著だったが、数年後には中国軍は現在の第4世代のJ11、J10という戦闘機でも機数の増加と新鋭ミサイルの装備などにより米側と同じレベルに達する見通しが強い」とする警告を発した。

 さらに、「オバマ政権が09年に新鋭のF22戦闘機の生産を187機に制限したため、中国側の第5世代戦闘機の増産により台湾海峡周辺の制空権を失う可能性も高い」とも述べている。

 台湾有事では、中国が東アジアでの空軍力の優位を保つ場合、米軍の台湾支援のための有事介入を難しくし、米軍が実際に中国の台湾への軍事行動を阻止する前に台湾を完全に屈服させることになるという懸念を表明した。

中国「軍事強国」へ着々、航空・宇宙戦力に注力

2010年03月05日 読売新聞 YOMIURI On-Line

 【北京=佐伯聡士】中国政府が4日発表した2010年国防予算で、軍拡路線の継続が確認された。膨張の背景には、強大な外洋型海軍に欠かせない空母戦闘群の配備に加え、制空権と、宇宙を制する「制天権」を合わせて強化する「空天一体」戦略の下に航空戦力と弾道ミサイル迎撃システムの整備を急ぐ実態がある。今年中に国内総生産(GDP)で日本を抜いて世界第2位となる経済力を支えに、ロシアを追い抜き米国を急追し、「軍事強国」を目指す胡錦濤政権の思惑がうかがえる。

 全国人民代表大会(国会)の李肇星報道官は4日の記者会見で、「ここ数年と比べ、国防費の伸びは低下した」と強調した。だが、中国軍は現在、外国製兵器輸入より自主開発に重点を置いているとみられ、莫大(ばくだい)な研究開発費が国防費に計上されていない可能性もある。不透明な状況が変わらない中、軍備拡大の伸びが鈍化したとみるのは早計だ。

 「防衛力増強の面で我が国は外国に比べ、まだまだ弱い。もっと国防費を増やすべきだ」。開会中の人民政治協商会議(政協)に出席している陸軍少将は、本紙の取材に対し、国防費増加は当然との見方を示した。

 「中国国防報」は最近、軍事専門家の分析として、中国軍が今後、拡充する分野について、〈1〉精密攻撃能力強化に必要な情報化〈2〉遠方投入能力〈3〉海空軍のハイテク兵器〈4〉ミサイル迎撃システム――の四つを挙げた。外交筋は「こうした分野に資金が大量投入されることになる」と断言する。

 なかでも、ミサイル迎撃システムの整備は急務となっており、中国軍が昨年11月に新たに打ち出した「空天一体」戦略の要を担う。

 中国は今年1月、地上配備型の弾道ミサイル迎撃システムの技術実験を行ったと発表。英国の国際戦略研究所は最近、「中国は米露と並んで迎撃能力を持つ国々の仲間入りを果たした」などと分析する報告を公表した。ただ、「中国は迎撃システムに不可欠な宇宙空間での監視能力を欠く」とも指摘しており、本格配備までに課題も少なくない。中国筋によると、中国軍は今後、ミサイル早期警戒衛星の整備を急ぐ方針という。

 また、航空戦力でも、米国のF16に匹敵する性能を持つとされる国産軽戦闘機「J(殲)10」に続く「第5世代」戦闘機の開発を急ピッチで進めている。超音速巡航能力と、レーダーに捕捉されにくいステルス性を備える次世代機だ。

 外洋型海軍の建設については、新型原潜の海南島基地などへの配備を進めるほか、空母戦闘群の建造も決定している。今後、空母本体の建造準備や護衛艦の建造、艦載機調達などが本格化する見通し。通常動力型の中型空母(約6万トン級)2隻を核とする2個戦闘群を保有する方針で、総額約200億ドルとの試算もある。

中国国防費7・5%増、2けた伸び21年止まり

2010年03月04日 読売新聞 YOMIURI On-Line

 【北京=関泰晴】中国の全国人民代表大会(全人代=国会)の李肇星報道官は4日、北京の人民大会堂で記者会見し、2010年の国防予算が前年実績比7・5%増の5321億1500万元(約6兆9000億円)になると明らかにした。

 中国国防費は1989年から21年連続2けたの伸び率を記録していたが、今年は22年ぶりで1けたにとどまる。

 ただ、昨年3月に発表された09年当初比との比較では、10・7%の増加となる。中国の国防費は、新型兵器の研究開発費などを入れた実質額は公表された額の2〜3倍と言われるなど不透明な面もあり、国際社会の懸念は今後も続きそうだ。

 国防費の伸びが緩やかになった背景には、ミサイル駆逐艦や潜水艦、地対空ミサイルなどのロシアからの購入が一段落したことが考えられる。露戦闘機のライセンス生産もほぼ終了したとの見方もある。

 現在は自主開発に重点が置かれているとみられ、莫大(ばくだい)な研究開発費が国防費に計上されていない可能性もある。弾道ミサイルの迎撃システム整備も宇宙開発費の方に含まれているとの見方もある。こうしたことから、軍備拡大の伸びが鈍化したとの声は少ない。

 中国は空母建造なども視野に入れた海空軍のハイテク化を全面的に推進しており、今後も、実質的には、米国をにらんだ軍備増強を続けていくことは確実だ。

中国人民解放軍、万博に向けて上海上空の警備を強化か

2010/03/03(水) Searchina

 5月に開幕する上海万博を控え、中国の軍隊である人民解放軍が上海上空の警備を強化しているとの海外メディアの情報を、中国新聞網が伝えた。

 中国新聞網が引用しているのは、カナダで発行されている軍事系雑誌『漢和ディフェンスレビュー』の2月号。同誌によれば、解放軍は従来の防空システムに加えて新しいシステムを配備し始めており、万博開催に向けて現在全力で上海地区の防空体制を強化しているという。その規模は2008年の北京オリンピックに匹敵するレベルになる可能性があるとみられる。

 北京五輪の際も厳重な警戒体制を敷いた中国であるが、上海万博ではその経験を生かす一方で北京とは異なる難点があるという。香港の『太陽報』は、上海が海に近いことから、テロ組織の小型飛行機が海上から低空飛行して万博会場に攻撃を仕掛けてくる可能性があることを指摘。同紙によれば「地上防空部隊は準備時間が足りない可能性があり、防空の難度は北京五輪より高い」とのことだ。

 そこで既存の遠距離射程装置S−300PMU1に加え、射程距離が長いS−300PMU2を新しく配備することにより、地上からの防空圏は東シナ海沿岸200kmの空域となり、海上上空から長江デルタに向けた攻撃が困難になるという。『漢和ディフェンスレビュー』は「これによって従来の「要所の防空」から「広域の防空」となり、中国南東部沿岸の経済発展地域の守りが固められる」と論じた。

 中国新聞網は記事の末尾で「万博のような国内の防衛任務については武装警察が担当するのが一般的とされているが、武装警察が防空能力を持たないために解放軍が空の安全を担う」とし、さらに「防空以外にも南京軍区の特殊部隊など、万博の安全確保に人民解放軍が介入する可能性が高い」との予測を示した。(編集担当:柳川俊之)

宇宙へ向かう中国軍〜日本をカバーする衛星ナビは2012年

2010/02/26 Searchina

  2010年1月17日に、中国は「長征3号」ロケットを使って1基の人工衛星を打ち上げた。これは、中国が独自に整備を進めている衛星ナビゲーションシステムである「北斗」を構成する人工衛星である。

 近年、中国人民解放軍は「情報化条件下の局部戦争」での勝利を目指して、軍の情報化の推進に邁進している。個別兵器の能力を強化するだけではなく、高度な情報通信技術に依拠した指揮・通信システムや偵察能力、兵器誘導能力などを強化しなければ、現代の戦争に勝利することは難しいからである。

 軍隊の情報化を進めるにあたってきわめて重要な分野のひとつが、宇宙空間の軍事的活用である。米軍の高い戦闘能力が、情報通信衛星や偵察衛星、早期警戒衛星などによって支えられていることはつとに知られている。軍の情報化を目指す中国にとっても、宇宙への進出は喫緊の課題である。昨年11月に行われた空軍創立60周年を記念した行事で挨拶した許其亮空軍司令員は、中国空軍の新たな戦略として「空天一体」を提起した。すなわち空軍の建設や運用に際しては、航空(空)と宇宙(天)の一体化を前提とするということであり、空軍を中心に人民解放軍が宇宙における軍備拡張を進める意向を明確化したのである。

 「北斗」の構築は、空天一体化を目指す中国軍にとって最重要のプロジェクトである。現在、衛星ナビゲーションシステムとしては米国のGPS、ロシアのGLONASS、EUのGalileoの三つがあるが、中国は「北斗」の構築によってこれらに肩を並べることを目標にしている。「北斗」は自国領域を中心とした範囲をカバーする第1段階の構築をすでに終えており、現在は2012年の完成を目指して、アジア太平洋地域全域をカバーする第2段階の整備を進めている。最終的には、全地球をカバーするシステムを2020年までに完成させる予定である。

 中国側の報道によれば、「北斗」システムでは地上で四つ以上の衛星から同時に信号を受信して正確な位置を計算することが可能であり、さらにショートメッセージの送受信機能も提供されるという。「北斗」は民生分野での活用も想定されているが、国防分野では統合作戦の指揮、戦場の状況把握、精密攻撃、情報偵察などの面で重要な役割を発揮することが期待されている。第1段階の「北斗」システムはすでに6年余り運用されているが、国境防衛や作戦指揮、訓練・演習、兵站活動、災害救援などの軍事活動に活用されているという。

 09年10月の軍事パレードにおいて中国は、射程が2000キロを越えるとも言われる巡航ミサイルの長剣10を登場させた。巡航ミサイルは遠距離における目標に精密攻撃を加えるための代表的な兵器であるが、その命中精度は衛星ナビゲーションシステムを中心とした誘導技術に大きく左右される。中国がアジア太平洋地域をカバーする「北斗」を完成させれば、有事にGPSなど他の衛星ナビゲーションシステムの使用が制限されたとしても、中国は長剣10の安定的な運用が可能となる。2012年、日本はこの「北斗」システムのカバーの下に置かれることになる。(執筆者:飯田将史 防衛省防衛研究所  編集担当:サーチナ・メディア事業部)

軍事施設と隣り合わせのリゾート開発、中国海南島

2010.02.26 17:32 MSN産経新聞

中国政府のリゾート開発“加速指令”で建設ラッシュにわく海南島三亜の市中心部(右)と高級ホテルなど5棟の高層ビル建設が進む湾内の鳳凰島(左)(河崎真澄撮影)

 【三亜(中国海南省)=河崎真澄】中国南端の海南島で、マンション販売価格が1カ月で2倍に値上がりするなど、不動産バブルの兆候がある。「中国のハワイ」とも呼ばれる九州ほどの大きさのこの島を、中国政府が1月に「今後10年で世界一流のリゾート地にする」と“宣言”し、投機資金が集中したためだ。海南島には、領有権未確定の南シナ海をにらむ軍事拠点としての顔もある。このためリゾート開発の“加速指令”の狙いは、軍事施設の補給線を兼ねるインフラ整備だとの見方がある。

 春節(旧正月)連休が明けた海南島では、リゾート地に似つかわしくない男性ばかりのグループが、レジャー客と入れ替わりに闊歩(かつぽ)している。不動産物件や利権を求めて中国各地から集まった業者や投資家だ。

 中国国家統計局が発表した1月の全国70都市の住宅やオフィスの販売価格統計では、海南省海口市が前年同月比で31・8%とトップに、同省三亜市が同29・2%で2位となった。不動産業者によれば、年初から50%値上がりした物件はざらで、2倍になった人気物件もある。ドバイへの不動産投資で注目された浙江省温州の資産家らが買いあさっているとの情報もある。

 だが海南島は過去に、不動産バブルの崩壊で手痛い失敗の経験がある。島全体が省として広東省から独立した1988年、全島が経済特区に指定され、90年代に経済開発への期待から地価が急騰。その後、需給バランスが崩れ、不動産購入資金を甘い審査基準で融資していた海南発展銀行が、大量の不良債権を抱えて中国の銀行として初めて経営破(は)綻(たん)した。買い手が付かなくなった建設中のマンションなどは爆破処理された。

 そうした経緯があるにもかかわらず、不動産バブルを再燃させかねないリゾート開発の加速を中国政府が指示した背景には、「軍事施設への補給線として欠かせない空港や鉄道、港湾を急ピッチで整備するための国際社会に対する目くらまし戦略ではないか」(日中関係筋)との分析がある。

 海南島東部の文昌では昨年、中国沿岸部で初めてのロケット発射基地の建設が始まった。既存の海口、三亜両空港に加え、東部のボアオなど、島内で同時に3カ所の新空港を建設する計画もある。軍民両用とみられる。北西部の洋浦湾では原油の戦略備蓄基地の建設も計画され、港湾建設が進む。

 さらに、海南島と広東省湛江を結ぶ大型橋梁(きようりよう)も、2020年までの完成をめざし来年にも着工する見通しで、鉄道と道路が本土と直結する。こうした矢継ぎ早のインフラ整備を、リゾート開発のためだけに行うのは、経済効率からみても不自然だ。

 ベトナムやフィリピンなど周辺4カ国および台湾との間で、中国が領有権を争うスプラトリー(南沙)諸島を含む南シナ海は、天然ガスなど未開発の海底資源の宝庫とされる。南シナ海での制空権や制海権の確立を狙い、海南島の軍事施設の拡大と関連インフラ整備を、国際社会との摩擦を最小限に抑え進めるためには、リゾート開発を旗印に掲げるのが最適だと胡錦濤指導部が判断した可能性があるという。

 南シナ海をめぐっては01年4月、中国軍の戦闘機と空中接触した米海軍の電子偵察機が海南島の空港に緊急着陸した事件や、昨年3月に米軍事委員会で、米海軍の音響測定艦の活動が中国船から妨害を受けた問題が指摘されるなど、米中間で“情報戦”が繰り広げられている。政府主導のリゾート開発熱に踊らされる投資家の陰に、南シナ海をにらんだ中国の冷徹な軍事戦略も見え隠れしている。

火箱陸上幕僚長が訪中、両国の防衛面での交流図る

2010/02/24 Searchina

 北京の八一大楼で24日午後、陸上自衛隊の火箱芳文陸上幕僚長(写真左)と人民解放軍総参謀部の侯樹森副総参謀長が会見。両国の防衛面での交流が図られた。

 八一大楼で火箱陸上幕僚長は、現在、両国が抱える外交上の懸念などを明確化しながらも、両国相互発展に向け、防衛面での交流を目指すことを誓い合った。

 このあと火箱陸上幕僚長ら一行は、人民解放軍陸軍の軍事演習などを見学する。

 同陸上幕僚長の訪中は今回が初で、この訪問が、両国の防衛面にどのように影響していくか注目される。(編集担当:中村卓朗)


米海洋観測船、青島沖で中国艦船と摩擦

2009/05/10 朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 香港=李恒洙(イ・ハンス)特派員

 米軍海上輸送司令部所属の海洋観測船と中国の艦船が今月1日、西海(黄海)上で摩擦を起こしていたことが6日までに分かった。両国艦船は今年3月8日に南シナ海でも摩擦を起こしている。今回も米国は「公海上での観測妨害行為だ」と中国側を非難。これに対し、中国は「排他的経済水域(EEZ)内での違法な観測活動を中止しろ」と反論した。

 米CNNテレビによると、米国防総省の関係者は、中国の艦船2隻が今月1日、西海で「通常業務」を遂行していた米海洋観測船「ビクトリアス」(3384トン)に危険なほど接近したことを明らかにしたという。AP通信によると、国防総省は「ビクトリアスは当時、中国と韓国の間の公海上にいたが、中国艦船が約30ヤード(27.4メートル)まで接近した。警報装置を稼働させ、消防ホースで水をまいて接近を防いだ」と説明したとのことだ。

 米国側は「2隻のうち漁業監視船は何度も強い照明をビクトリアス側に当ててきた」としている。米海洋観測船の船員は民間人の身分だが、主に水中の音波探査を行い、国防総省に報告している。

 中国政府は「米観測船は当時、中国のEEZ内で違法な観測活動を行っていた」と指摘した。米国側が主張する「中国沿岸から193キロの海上」は公海上ではなく、国際海洋法が認める中国の排他的経済水域(200カイリ)内に含まれるとの主張だ。香港紙サウスチャイナ・モーニングポストも「今回の摩擦は米国が国際法に違反し、事前に中国の許可を得ずに観測活動をしたことが原因だ」と指摘した。香港紙・明報は「中国と米国が海上で対峙(たいじ)したのは最近では5件目だ」と報じた。

 米中両国は今年3月8日にも中国南部の海南島沖120キロの海上で摩擦を起こした。その際にも、南シナ海で海洋観測活動を行っていた観測船「インペッカブル」に中国の偵察艦1隻を含む5隻が8メートルの距離まで接近し、米軍側はホースで水をまき接近を阻んだ。中国外務省の馬朝旭報道官は当時、「米国船舶が中国当局の許可も受けずに中国の経済水域で活動したことは、国際海洋法と中国の法律に違反するものだ」と米国を非難した。

 中国は今年3月、梁光烈国防相が空母建造計画を公式に表明。4月23日には大規模な海上観艦式を行うなど、制海権拡大をもくろんでいる。これに対し、ベトナムもロシアから潜水艦6隻の導入を進めているほか、オーストラリアも海軍力強化を盛り込んだ白書を発表するなど、周辺国の動きも目立っている。

【コラム】済州海軍基地の重要性(上)

2009/05/10 朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 ユ・ヨンウォン記者

 最近、中国海軍の創設60周年を記念する大規模な国際観艦式が山東省青島沖で行われた。胡錦濤国家主席と29カ国の代表らが乗ったミサイル駆逐艦「石家荘」の前を、中国の原子力潜水艦、従来型潜水艦、最新型水上艇などが順にパレードした。

 石家荘艦は実戦配備から2年しかたっていない最新鋭の艦船で、韓国の「世宗大王」艦よりもやや小さい7000トン級。射程距離90キロの対空ミサイル垂直発射器48基、C‐803対艦ミサイル、ヘリなどを装備している。

 海上分列式の先頭には、同日初公開され、国際的な関心を集めた弾道ミサイル搭載型原子力潜水艦が登場した。1998年に配備された夏級(092型)潜水艦の「長征6号」だ。最新鋭の晋級(094型)は現れなかったが、長征6号は8000キロ離れた目標を攻撃する弾道ミサイル「巨浪2号(JL‐2)」12基を備えた中国軍最高の戦略兵力だ。

 原子力潜水艦の陰に隠れてさほど注目を浴びなかったものの、25隻の中国軍水上艇の中には配備されてから2−5年の最新鋭艦艇が少なくなかった。水上艇の隊列は石家荘艦と同クラスの「瀋陽」が率い、中国版のイージス艦「蘭州」が後に続いた。7000トン級の蘭州艦は、射程距離120キロの対空ミサイル垂直発射器48基やC‐602対艦ミサイルなどを備えている。中国は昨年末、蘭州と同クラスのイージス艦2番艦「海口」をソマリアの海賊取り締まりに派遣した。

【コラム】済州海軍基地の重要性(下)

2009/05/10 朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 ユ・ヨンウォン記者

 その後に続いた「広州」「ハルビン(哈爾浜)」「大連」も3600−7000トン級の大型艦で、さまざまなミサイルを搭載している。アジア最大級の韓国軍揚陸艦「独島」よりやや小さい1万8000トン級の大型揚陸艦「崑崙」、022型ステルスミサイル高速艇も初公開された。

 その4日後の先月27日、大連港でも中国の海軍力において注目すべき出来事があった。1998年にウクライナから廃船として導入され、2002年から同港に停泊していた旧ソ連の空母「ワリャーグ」(6万7000トン)が港湾内の大型専用ドックに移されたのだ。外電各社は、中国軍がワリャーグを大連港で訓練用空母として改修する作業を進めており、通信機器などを整備した上で就役させる見通しだと報じた。中国海軍の念願だった空母保有が視野に入った。

 中国がワリャーグを移動させたその日、ソウルの政府中央庁舎では、国防部長官、国土海洋部長官、済州道知事などが出席し、「済州海軍基地建設に関する基本協約書」が結ばれた。同基地は2014年までに建設され、イージス艦など艦船約20隻が同時接岸できる戦略基地だ。中国が領有権を主張する離於島(中国名・蘇岩礁)で紛争が起きた際の出動時間を比較すると、釜山から21時間半、中国・舟山諸島の童島から11時間15分、日本の鳥島(長崎県五島市)からは12時間40分かかるのに対し、済州基地からは7時間しかかからない。

 中国による最近の海軍力増強と海洋紛争の可能性、済州南方海域の海底資源保護などを考慮すると、済州海軍基地の戦略的な重要性はさらに高まると見られる。

中国海軍、初の国際観艦式 創設60年、原潜も披露

2009/04/23 47News【共同通信】

 【北京23日共同】中国海軍は23日、北海艦隊司令部がある山東省青島市沖で海軍創設60周年を記念し、中国海軍初となる国際観艦式を実施した。

 中国メディアによると、胡錦濤国家主席が観閲官となり、米国、ロシアなど29カ国の代表団とともに中国のミサイル駆逐艦「石家荘」に乗艦。国内外の艦艇計46隻などを観閲した。普段は隠密行動を取り機密事項も多い攻撃型原子力潜水艦「漢」級、戦略原潜「夏」級の計2隻も初披露された。

 観艦式で国力増大をアピールすると同時に、オープンな姿勢を強調。初の国産空母建造の意思を示し、近海防衛型から外洋型への転換を進める中国海軍に対する懸念を解消する狙いがある。

 中国側は北海艦隊の艦艇が中心でミサイル駆逐艦「大連」や潜水艦を含め計25隻などが参加。艦艇や武器装備はすべて国産だという。

 一方、外国艦艇は米国のイージス駆逐艦「フィッツジェラルド」、ロシアの巡洋艦「ワリャーグ」、韓国の大型揚陸艦「独島」など14カ国の計21隻が参加。

中国国防費14・9%増 21年連続で2けたの伸び

2009年03月04日 中国新聞ニュ−ス
 

 【北京4日共同】中国の全国人民代表大会(全人代=国会)の李肇星スポークスマンは4日記者会見し、国務院(政府)が全人代に提案する2009年度予算案の国防費が、前年度実績比14・9%増の約4806億元(約6兆9000億円)に上ることを明らかにした。2けたの伸び率は1989年から21年連続。

 中国は今年1月、2年ぶりに国防白書を発表、軍の透明度向上をアピールしているが、今年は初の航空母艦建造に着手する構えをみせており、国防費が大きく伸び続けることで「中国脅威論」は一段と高まりそうだ。

 国防白書では、国防費の増加理由について(1)軍人の待遇改善(2)食料や燃料価格の高騰による軍人の食費や生活必需品購入経費の上昇、辺境部隊などの生活条件の改善(3)情報戦における防衛能力向上のための装備強化―などを挙げた。

 中国は、今年が建国60周年にあたり、10月の国慶節(建国記念日)に大規模な軍事パレードも行う予定にしている。

中国 ソマリア沖海賊対策に海軍派遣 「遠洋展開型」へ転換 世界に脅威

2009/02/20 Fuji Sankei Business i

ロシア黒海艦隊の空母アドミラル・クズネツォフ。中国は中国国内に係留されている同空母と同型の未成艦ワリャーグを完成させ配備するとの観測が出ている(ロシア国防省提供)

 中国人民解放軍が海軍力増強を急いでいる。過去数週間にわたり、海賊が頻繁に出没するソマリア沖に艦船を派遣。昨年11月には、国防省外事弁公室の主任(少将)が英メディアとのインタビューで「中国も空母を保有する権利がある」と語り、外洋での作戦能力拡大を目指す考えを示した。中国の海軍力強化は世界の戦略バランスを変えることになる。

 【分析】

 中国は昨年12月、ソマリア沖のアデン湾に海賊対策として海軍艦隊派遣を発表し、世界有数の海洋大国を目指す野心をあらわにした。また、中国軍当局者は、海軍が近く、空母を保有する決定を下す可能性を明らかにした。外洋型海軍の構築は、海洋主権の確保、シーレーン防衛とともに、米海軍が西太平洋に容易に近づけなくすることを狙ったものだ。

 ◆有効な実験場

 中国の最新鋭の駆逐艦2隻と補給艦1隻は、ヘリコプターと海軍特殊部隊を乗せて東アフリカに出航した。これは、中国海軍が近海防衛型から遠洋展開型への転換を図る重要な第一歩だ。中国海軍は過去10年の間に世界中の寄港地に軍艦を派遣するようになってきたが、アデン湾への軍艦派遣は初の遠距離作戦任務だ。

 今回の艦船派遣は、中国海軍が外洋航行能力構築にこれまで以上に多くの資源を投入できるようになったことを示す絶好の機会だ。中国海軍政策立案者たちは、アフリカ大陸東部の「アフリカの角(つの)」沖に、長期間とどまる準備を整えているようだ。最初の艦隊の派遣期間は3カ月だが、国営新華社の報道によれば、「適切な時期に艦隊を交代させるため」増派が行われるという。

 東アフリカへの艦船派遣は、通常の海軍が相手ではなく、軽武装の海賊対策であるため、有効な実験場となる。今回の作戦では、外洋型海軍に不可欠な、防空能力や対潜能力を中国海軍が持たない欠点が露呈することはない。この欠点克服は、いまや中国海軍参謀の最優先課題だ。中国が空母保有を急ぐ理由もここにある。

 過去数年間、中国海軍と防衛産業は空母調達を積極的に働きかけてきたものの、空母は建造に莫大(ばくだい)な費用がかかり、敵からの攻撃には脆弱(ぜいじゃく)な艦種であるため、海軍以外の政府関係部門は長い間、建造に反対してきた。

 ただ、昨年11月、国防省外事弁公室の銭利華主任(海軍少将)は英紙フィナンシャル・タイムズとのインタビューで、中国の造船産業は空母建造に向けた研究開発を積極的に行っていることを明らかにし、2010年までに空母建造に取りかかる可能性を示唆した。

 中国が保有する空母が排水量2万〜3万トンの新鋭軽空母になるのか、6万〜7万トンの大型空母になるのか、さまざまな憶測が出ている。6万5000トン級の旧ソ連空母ワリャーグを改造する選択肢もある。同空母はアドミラル・クズネツォフ(現ロシア黒海艦隊所属空母)級2番艦として着工したものの、未完成のままウクライナに譲渡され、その後中国企業が娯楽施設として購入。02年から中国北東部の大連の造船所に係留されている。

 また、中国は艦上戦闘機スホイSu33を14機調達すべくロシアと交渉中であり、艦載機パイロットと支援要員の訓練に力を入れていると報じられた。

 空母を獲得すれば、中国海軍の性格は台湾との紛争を想定した近海型から大きく転換することになるだろう。台湾で国民党が政権に復帰し、台湾海峡の政治的・軍事的緊張緩和が続けば、外洋型海軍への転換は加速するだろう。

 ◆米軍を牽制

 今年の中国国防白書は、海軍の作戦戦略を、陸海空軍の相互運用性を改善する「統合沖合作戦」と、米国を確実に抑止できる「戦略的抑止と戦略的反撃」を実行する能力の開発と説明している。さらに、「外洋で共同行動を行い、非伝統的な安全保障上の脅威に対抗する能力を漸次開発する」必要性にも言及している。これは、空母やその他の戦力展開装備を含む長距離作戦能力開発に、軍事教義上の正当性を与えるものだ。

 当面、中国海軍近代化の中心課題は、米国とその同盟国の海軍が、中国が「裏庭」とみなす海域に侵入できなくする能力を獲得することにある。この戦略目的を実行に移す鍵は潜水艦部隊の整備だ。現在、中国海軍は、核弾頭ミサイルを配備した原子力潜水艦から、対潜攻撃能力を備えた通常型潜水艦まで5種類の潜水艦を保有している。

 過去5年間に、20隻以上の通常型と原子力潜水艦が配備され、いまや中国の全潜水艦隊の規模は55隻に上る。短期間にこのような先進的能力を急激に拡大したことで、中国潜水艦部隊に深刻なひずみが生じている可能性が高い。中国海軍の伝統的な作戦領域を越えて、グアム沖や沖縄近海で捕捉された場合、効果的な作戦運用に支障を来すだろう。

 【結論】

 中国の経済的、戦略的権益が地球規模に拡大するにつれ、それらの権益を保護できる海軍力を構築することが中国にとっての課題になっている。中国海軍はその目的に向け、より多くの資源を投入するよう、軍の先頭に立っている。こうした動きは、中国海軍が長年待ち望んだ近海防衛型艦隊から遠洋型海軍への変革が実現しつつあることを示している。

中国軍、ミサイルの訓練基地建設 新型に増強加速か

2009年02月12日 中国新聞ニュ−ス

 【北京12日共同】香港に拠点を置く軍事専門誌「漢和防務評論」2月号によると、中国人民解放軍の戦略ミサイル部隊がこのほど内陸部の青海省西寧に巨大な訓練基地を建設したことが衛星写真で確認された。

 ミサイル部隊では、山西省五寨にも大型訓練基地の建設が同誌により確認されている。訓練基地の拡充は新型の中・長距離弾道ミサイルの装備増強が加速していることを示唆しているとみられる。

 衛星写真には、ミサイル搭載車両が運転訓練をするための8の字や円形などの走行路が多数写っていた。訓練基地のほか、西寧市中心部では司令部や倉庫の拡張工事も確認された。

 中国軍は2002年ごろから、実戦配備の中距離弾道ミサイルは「東風3A」から「東風21」に、大陸間弾道ミサイル(ICBM)は「東風5A」から「東風31」に、段階的に更新を進めている。同誌は、西寧の基地は中距離弾道ミサイル、五寨の基地はICBMの部隊の操作や運転訓練施設と分析した。

 ミサイル部隊の靖志遠司令官らは共産党理論誌「求是」最新号に発表した論文で、同部隊による戦略的な「威嚇力」の重要性を強調。装備面で固定式から移動式へ、中距離から長距離へ戦力強化を図っていると述べている。

航空ショーの焦点・殲−10(1)中国の主力戦闘機

2008/11/06(木) 09:18 Searchina

 5日付中国新聞社電によると、広東省珠海市で4日に始まった「第7回中国国際航空航天博覧会(珠海航空ショー)」で、中国の戦闘機「殲−10(J−10)」が注目を集めている。

 中国新聞社電よると、同機の最大水平時速は1350キロメートル(約マッハ1.1)だが、軍事専門誌などによると高空ではマッハ2.2以上とされている。最大行動半径は1600キロメートル。現在は中国の主力戦闘機で、攻撃能力は米国のF−16を上回り、運動性能はロシアのSu−27(スホーイ27)に匹敵するとされている。(編集担当:如月隼人)

航空ショーの焦点・殲−10(2)F−16以上の攻撃力

2008/11/06(木) 10:28 Searchina

 5日付中国新聞社電によると、広東省珠海市で4日に始まった「第7回中国国際航空航天博覧会(珠海航空ショー)」で、中国の戦闘機「殲−10(J−10)」が注目を集めている。写真は飛行実演の様子。

 中国新聞社電よると、同機の最大水平時速は1350キロメートル(約マッハ1.1)だが、軍事専門誌などによると高空ではマッハ2.2以上とされている。最大行動半径は1600キロメートル。現在は中国の主力戦闘機で、強力な制空力と正確な地上攻撃能力などは米国のF−16を上回り、運動性能はロシアのSu−27(スホーイ27)に匹敵するとされている。(編集担当:如月隼人)

中国の戦闘機「殲−10」、航空ショーで飛行実演(1)

2008/11/05(水) 12:02 Searchina

 5日付中国新聞社電によると、広東省珠海市で4日に始まった「第7回中国国際航空航天博覧会(珠海航空ショー)」で、中国が開発した全天候型戦闘機「殲−10(J−10)」が飛行実演を行なった。写真は地上で誘導される殲−10。

 中国は1980年代後半に殲−10の開発に着手。油圧などに頼らないフライ・バイ・ワイヤと呼ばれる電子式の操縦システムなどを導入するため、技術面でイスラエルと提携したとされる。その後、ロシア製エンジンを導入することが決定。中国はさらに、同エンジンをベースに殲−10のために国産エンジンを開発した。

  殲−10は2004年に解放軍空軍への配備が始まったとされるが、中国が完成を正式発表したのは2007年1月だった。パキスタンは06年に殲−10の購入を決定した。

 中国新聞社電によると、同機の最大水平時速は1350キロメートル(約マッハ1.1)だが、軍事専門誌などによると高空ではマッハ2.2以上が可能とされている。最大離陸重量は1万8600キログラム。空対空・空対地ミサイルなど各種兵装を11カ所に取り付けることができる。(編集担当:如月隼人)

中国の戦闘機「殲−10」、航空ショーで飛行実演(2)

2008/11/05(水) 14:33 Searchina

 5日付中国新聞社電によると、広東省珠海市で4日に始まった「第7回中国国際航空航天博覧会(珠海航空ショー)」で、中国が開発した全天候型戦闘機「殲−10(J−10)」が飛行実演を行なった。写真は飛行中の殲−10。

 中国は1980年代後半に殲−10の開発に着手。油圧などに頼らないフライ・バイ・ワイヤと呼ばれる電子式の操縦システムなどを導入するため、技術面でイスラエルと提携したとされる。その後、ロシア製エンジンを導入することが決定。中国はさらに、同エンジンをベースに殲−10のために国産エンジンを開発した。

 殲−10は2004年に解放軍空軍への配備が始まったとされるが、中国が完成を正式発表したのは2007年1月だった。パキスタンは06年に殲−10の購入を決定した。

 中国新聞社電によると、同機の最大水平時速は1350キロメートル(約マッハ1.1)だが、軍事専門誌などによると高空ではマッハ2.2以上とされている。最大離陸重量は1万8600キログラム。空対空・空対地ミサイルなど各種兵装を11カ所に取り付けることができる。(編集担当:如月隼人)

米、太平洋の覇権巡り潜水艦増強…中国の原潜配備に対抗

2008年06月04日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ワシントン=黒瀬悦成】米政府は、中国が太平洋で海軍力の増強を進めている動きに対抗し、潜水艦の戦力拡充に乗り出した。

 中国が、東南アジアの重要な海上交通路(シーレーン)をにらむ南シナ海・海南島にミサイル原子力潜水艦基地を建設していたことが発覚したことなどが背景にあり、太平洋の覇権をめぐる米中の角逐が激化する恐れが一層強まっている。

 米下院軍事委員会は5月14日、最新鋭のバージニア級攻撃型原潜の建造に向け、7億2200万ドル(約750億8800万円)を2009年度予算に追加計上することを承認した。バージニア級原潜は、現在の主力であるロサンゼルス級の後継艦種で、04年以降、4隻が就役済み。10、11年にも各1隻を建造予定だったが、今回の予算追加で、建造数は年2隻に倍増した形だ。

 米国が重視するのは、太平洋で増大する中国潜水艦の脅威への対応だ。

 4月には、中国の海洋核戦略を担う新型「晋」級ミサイル原潜1隻が、海南島・楡林(ゆりん)海軍基地に配備されたことが明らかになった。米国の民間研究機関「全米科学者連盟」が、米デジタルグローブ社によって今年2月に撮影された衛星写真を基に公表した。

 晋級は、核弾頭を搭載可能な射程8000キロの潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)「巨浪2」10〜12基を搭載可能。米国防総省は3月発表の2008年版の「中国の軍事力に関する年次報告書」で、中国が「10年までに5隻を就役させる」との見通しを示していたが、実際に配備が確認されたのは初めてだ。

 それだけではない。問題の衛星写真では、海岸沿いに潜水艦を収容可能な幅16メートルの横穴や、地下施設へ通じると見られる複数のトンネル入り口も確認できた。専門家の間では、海南島が戦略原潜の「秘密基地」と化しつつある−−との見方が強まっている。

 海南島の原潜配備は、中国の海軍力が「対台湾」のレベルを超え、南沙(スプラトリー)諸島領有権問題が横たわる南シナ海での覇権確立、さらにマラッカ海峡やインド洋での影響力行使をにらんだ「外洋型海軍」への脱皮を本格化させていることを鮮明にした。

 中国が将来、海南島を戦略原潜艦隊の基地として整備完了した場合、米国が、中国の脅威封じ込めのため、周辺海域にさらに多数の攻撃型原潜を配置する必要に迫られる事態も現実味を帯びてきている。

中国、黄海で弾道ミサイル発射実験か 南方拠点の原潜搭載へ

2008.06.04 MSN産経新聞

 中国海軍が5月下旬、最新鋭潜水艦に搭載予定の弾道ミサイル(SLBM)の発射実験を朝鮮半島西方の黄海で行った可能性が高いことが3日、防衛省や在日米軍の情報分析で明らかになった。発射されたSLBMは開発中の「巨浪2(JL2)」とみられる。防衛省情報本部などは細部について、調査・分析を始めた。

 防衛省によると、発射実験は5月29日に実施され、SLBMを発射したのは、巨浪2の開発用に改造されたゴルフ級弾道ミサイル潜水艦だった。

 巨浪2は飛行距離が8000キロと米国本土の一部も射程に入れられるミサイルで、中国海軍最新鋭の原子力弾道ミサイル潜水艦「094型(「晋」級)」に搭載される予定という。

 「晋」級原潜は2004年に1番艦が進水。中国南部の海南島の軍港を拠点に実戦配備に向けた各種航行試験を行っており、巨浪2が12基搭載できるという。

 防衛省は各種情報の分析から、今回の実験で水中から発射されたSLBMは、水面からの上昇高度が低く、飛行距離も短かったとみている。

 また、米軍が、北朝鮮による弾道ミサイル発射の兆候があった場合などに展開するミサイル追跡艦「オブザべーション・アイランド」の投入など警戒態勢を強化した形跡もなかった。

 このため、防衛省では(1)模擬弾頭装着のダミー弾だった(2)弾頭がないミサイル胴体だけを水中から発射する実験だった(3)実験は失敗だった−などの観点から分析を進めている。

 防衛省は、「5月20日前後に中国軍が弾道ミサイルの発射実験を行う可能性がある」との米軍情報を受け警戒監視を強化していた。

 また同月30日には、北朝鮮が同じ黄海で艦対艦短距離ミサイル3発を発射しており、関連性についても情報収集している。

太平洋戦略 日米再検討も

 四川大地震の救援活動が続く最中、中国が新型SLBMの発射実験に踏み切ったとみられることは、日米や台湾、インドなど周辺諸国に大きな波紋を広げそうだ。

 巨浪2が搭載される最新鋭原潜「094型」を中国が南海艦隊の主要基地、海南島に回航したことは、南方重視の姿勢を改めて浮かび上がらせている。

 北海艦隊の原潜や東海艦隊の通常型潜水艦は、太平洋に出るには日米が警戒する南西諸島を通過するため行動が筒抜けだった。

 だが、海南島からは、比較的警戒が緩く水深が深い台湾とフィリピン間のバシー海峡を抜けることが容易で、領有権争いが続く南沙諸島にも近い。海南島はインド洋からマラッカ海峡を経て中国本土に向かうシーレーン防衛にも欠かせない戦略拠点だ。

 その海南島に巨浪2を搭載した094型が実戦配備されれば、米本土の一部のほか、インド本土も射程内に収めることになる。インドの「海南島への『晋』級原潜の実戦配備」への警戒感は相当強い。

 英軍事専門誌「ジェーンズ・インテリジェンス・レビュー」などは、中国海軍が海南島南部の三亜市の海岸の山にトンネルを掘った大規模な地下潜水艦基地を建設中であると伝えている。

 潜水艦は出港帰港時は浮上しており、軍事衛星での探知が可能だが、地下基地は衛星も探知できない。このため、太平洋への中国海軍の進出を警戒する米海軍と海上自衛隊は、太平洋戦略の再検討を迫られることにもなりそうだ。(大塚智彦)

中国製コピー兵器の侮れない実力(上)

2008/05/04 朝鮮日報/朝鮮日報JNS ユ・ヨンウォン記者

 米海兵隊の幹部将校が中国の最新鋭艦艇に搭載された口径30ミリの近距離防空システム(CIWS)の砲身に触れながら大笑いしている写真がこのほど、インターネット上に公開されて話題を集めた。この将校が笑った理由は明らかにされていないが、中国のコピー兵器を目の当たりにしたからだという見方が有力だ。

 この将校と共に写っていたのは中国海軍の730型近距離防空システム。30ミリの機関砲弾を撃ち、接近する対艦ミサイルや航空機を撃墜する防御兵器だ。当初はオランダが「ゴールキーパー」という名で世界に輸出したものだが、中国はこれを密かにまねて類似した兵器を開発したのだ。

 「ゴールキーパー」は在韓米軍も保有するA-10地上攻撃機に搭載されたGAU-8ガトリング砲を活用し、口径30mmの砲弾を毎分4200発以上発射できる能力を持つ。韓国海軍初のイージス艦世宗(セジョン)大王と5000トン級の韓国型駆逐艦などにも「ゴールキーパー」が搭載されている。中国は730型近距離防空システムを中国版イージス艦など最新鋭艦に搭載している。

 中国のコピー兵器はこれにとどまらない。最近報道された軍用車「ハンビー」の中国版をはじめ、小銃、拳銃、軽装甲車両、装輪式自走砲、迷彩戦闘服、空気浮揚方式の高速揚陸艇、ステルス無人航空機(UAV)、対空ミサイルなど大小さまざまだ。

 中国が独自開発し、1981年に初めて実戦配置した無人偵察機WZ-5(無偵5型)は、米国の無人機「ファイアービー」のコピーだ。1960年代に米国の無人機が中国上空で秘密裏に偵察作戦を展開した際、中国軍は何機かを撃墜した。そのうち状態が良いものを分解し、逆設計して作られたのがWZ-5 だ。2000年に上海航空ショーで初めて模型が公開されたWZ-2000最新鋭ステルス無人機も米国の長距離高高度無人偵察機「RQ-4グローバルホーク」と外観が似ており、コピー疑惑が浮上している。

中国製コピー兵器の侮れない実力(下)

2008/05/04 朝鮮日報/朝鮮日報JNS ユ・ヨンウォン記者

 中国のインターネットに昨年初めて写真が登場した高速揚陸艇も米軍のエアクッション型揚陸艇(LCAC)のコピーとされる。LCACは戦車1台など60− 75トンの人員、貨物、兵器などを高速で敵海岸に上陸させることができる。中国の高速揚陸艇は新型の071型上陸艦に搭載されるとみられている。

 中国地上軍はコピー版の装甲車を数種類保有しているとされる。 VN-3軽装甲偵察車はフランスのVBL装甲車を、QL-550装輪装甲車はイタリアのピューマ装輪装甲車をそれぞれまねたものだという。口径155ミリのSH-1装輪式自走砲もフランスの自走砲がモデルとの見方が有力だ。拳銃にも米コルト社の「M1911A1」と似たものが存在している。

 中国が野心を持って開発しているステルス戦闘機をめぐっても、専門家らは世界最強の戦闘機に数えられるF-22ラプターに似た機種が登場するとみている。戦闘機ではないが、中国は1980年代にボーイング707をまねたY-10(運10)旅客機を生産した前歴がある。

 とはいえ、中国の兵器が全てコピーというわけではない。フランス、イタリア、スイスなどに金銭を支払い、正規に導入した技術で生産したヘリコプター、ミサイル、対空砲なども保有している。

 中国のコピー武器に対する評価はさまざまだ。中国の後進性、不道徳性を示すものだという否定的な見解のほか、日々発展する中国の軍事科学技術を証明するものだとの見解がある。いずれにせよ、後発国が先進国に追いつく上での出発点は模倣生産だったことから、専門家は中国の努力と潜在力を軽視すべきではないとの見方で一致している。

中国海南島の原潜基地、英紙に衛星写真

2008/05/03 朝鮮日報/朝鮮日報JNS 全炳根(チョン・ビョングン)記者

 中国南部のリゾート地、海南島三亜市の亜竜湾に建設が進められている大規模は原子力潜水艦基地の工事現場の鮮明な衛星写真が、2日付英紙デーリー・テレグラフに掲載された。

 写真は米国の民間衛星写真会社デジタル・グローブが2005年8月5日から08年2月28日までの間に撮影したもので、英軍事専門誌のジェーン・インテリジェンス・レビューが入手した写真を転載したものだ。

 同施設は中国海軍の主要基地となり、原子力潜水艦数十隻と空母が停泊可能とみられる。斜面を掘って建設されているトンネルの入り口は高さが20 メートルにもなり、トンネル内の施設とつながっている。専門家は中国が敵のスパイ衛星による監視を避けるため、最大20隻の原子力潜水艦を隠すことが可能と推定している。

 デーリー・テレグラフは「基地周辺は水深5000メートルを超える深海で、原子力潜水艦に対する敵の追跡を容易に逃れることができる」と伝えた。

中国が新型戦略原潜を配備 米、海上核戦力増強と注視

2008年04月30日 中国新聞ニュ−ス

 【ワシントン30日共同】米シンクタンク、全米科学者連盟(FAS)は30日までに、中国の海洋核戦力の新たな柱とされる「晋」級の戦略原子力潜水艦1隻が南シナ海・海南島の中国軍基地に配備されたことを明らかにした。民間の地球観測衛星が撮影した同原潜の写真を入手した。

 「晋」級原潜については昨年、遼寧省の造船所から進水したとみられていたが、配備情報が公表されたのは初めて。同原潜は射程8000キロの潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)「巨浪2」を10−12基搭載できるとされ、海上における中国の核戦力増強の試みとして注目される。

 「晋」級原潜は今年2月末、海南島の基地近くの埠頭に停泊しているところを撮影された。FASは昨年7月と10月、遼寧省で停泊中や進水後とみられる同原潜の衛星写真を公開したが、形状などが今回撮影された原潜と酷似していた。

東北アジア:平和を語りながら戦争に備える

2008/04/21 IPSJapan

北東アジアの米・露・中・日・韓国・北朝鮮の軍事予算は世界合計の65%を占め、日本以外の国々の軍事予算はこの5年間で5割以上伸びている。これは、事実上の軍拡競争が起きていることを意味し、それ自体が人類にとっての脅威だ。気候変動や経済格差の拡大への対処などに要する資金を減らしてしまうからだ。

 【ワシントンIPS=ジョン・フェファー、4月14日】 外から見るとそうでもないが、北東アジアでは実際には軍拡競争が起きている。6ヶ国協議に参加している米・露・中・日・韓国・北朝鮮の軍事予算は、世界の合計の65%を占めるのである。また、この6ヶ国のうち、日本を除いたすべての国々の軍事予算がこの5年間で5割以上伸びている。

 韓国では、金大中政権と盧武鉉政権が北朝鮮に対する「太陽政策」を推し進めたが、実際には、1999年から2006年までの間に軍事予算が70%以上も伸びている。さらに、2007年には初のイージス艦が就役し、2020年までにはさらに3隻が建造される予定だ。新しい李明博大統領の下で、2020年までの間、年率10%で軍事予算が増えるとの予測もある。

 他方、北朝鮮は、GDPの4分の1から3分の1を軍事予算に費やしながら、韓国に追いつくことは一向にできていない。何しろ、韓国の軍事予算は北朝鮮の GDPよりも大きいのである。また、北朝鮮経済の衰退によって通常戦力強化が難しくなり、それが北朝鮮を核開発に走らせるひとつの背景をなしている。

 世界の軍事予算の約半分を占める米国が東アジアおよび世界における軍拡競争の元凶であることはいうまでもない。2001年以降のブッシュ政権の下で軍事予算は74%も伸びた。しかし、現在行われている大統領選挙の有力候補のうち誰一人として、軍事予算の水準固定あるいは削減を主張する者はいない。

 中国は、毎年500億ドルを軍事に費やしている。米国政府の推計が正しければ、実際の額は1200億ドルに近づく。中国は、原子力攻撃潜水艦5隻や中型空母1隻などの大規模な軍備拡張を進める計画だ。他にも、戦闘機・空中給油機・輸送機などの近代化も進められているが、しょせん米国に並ぶだけの軍備を整備できようもない。

 しかし、米国は、こうした中国の軍拡に対抗するために、日本を「普通の」軍隊を持てる国に変えようとしている。

 他方、ロシアの軍事予算も21世紀に入って急拡大している。2000年から2006年までの間で4倍も伸びた[ここでの伸び率はルーブルを基準にして計算したもの。各国の軍事予算については、ストックホルム国際平和研究所のまとめを参照:IPSJ注]。

 こうした軍拡競争は、それ自体が人類にとっての脅威である。なぜなら、気候変動や経済格差の拡大など、その他の問題に振り向けることのできる資金を減らしてしまうからである。翻訳/サマリー=山口響/武原真一(IPS Japan )

防研「東アジア戦略概観08」「宇宙開発」など中国に焦点 

2008/04/10 朝雲ニュース

軍近代化さらに進展 空母建造計画など 海軍力の強化も指摘

 防衛研究所は3月26日、昨年1年間に東アジアで起きた安全保障上重要な事象や中長期的な課題などを研究者の立場から分析した年次報告「東アジア戦略概観2008」を発表した。平成8年いらい12回目の刊行。

 08年版では、中長期的な課題として、とくに国力増進の著しい中国の宇宙開発問題を取り上げて分析する一方、国・地域別の章では、北朝鮮の核兵器、核計画の放棄をめぐる6者会合の推移、胡錦涛体制の確立によって活発化する中国外交と建軍80周年の人民解放軍、ASEAN憲章を採択した東南アジア諸国の動向、経済成長に支えられる形で軍の再建を進めるロシアなどを取り上げている。日本については在日米軍再編合意後の政策課題、豪や印との安全保障協力の展開、自衛隊の国際平和協力活動の課題などを論じている。

 焦点の中国の宇宙開発に関する分析では、2003年10月に有人宇宙船「神舟」の打ち上げに成功し、3番目の有人宇宙活動国になって以来の動向に注目。「07年1月に弾道ミサイルで自国の衛星を破壊する実験に成功、同10月には月面探査衛星を打ち上げ、さらに宇宙ステーション計画をたてるなど、次々と新しい宇宙開発分野に乗り出しつつある。宇宙開発技術を国防のための重要な分野と位置づけている」と指摘。

 その一方で、宇宙への兵器配備の禁止を一貫して主張して最大の宇宙軍事活動国の米国をけん制しているとし、「米国への軍事的対抗手段であると同時に、自国軍のC4ISR(指揮・統制・通信・コンピューター・情報・監視・偵察)の構築や国内発展の重要な手段、国威発揚の一手段」と、中国の宇宙開発の動向を分析している。

 国別の分析でも中国について、昨年10月の第17回党大会で胡錦涛色を強めた「科学的発展観」が党規約に書き込まれ胡体制が一層強化されたと指摘。軍事面で「情報化条件下の局部戦争」を戦うための統合の模索や空母建造計画が示唆する海軍の強化など、人民解放軍の近代化がさらに進展しているとしている。

 ロシアについては、軍の装備の更新や演習が確実に実施され、極東では新たな原子力潜水艦基地の建設を計画するなど、「軍事力の回復を志向している」点に注目。「国防産業を強化するための武器輸出が拡大されており、特に中東諸国、東南アジア諸国に対する動きが活発」と指摘している。

 日本の章では、次期戦闘機の選定に触れ、「決め手は、防空域の広大さに鑑み、戦闘機の巡航速度、一部の周辺国が展開する可能性が高いAWACSを無力化できる能力を備えていること」などとしている。

 豪、印との安全保障協力の拡大・深化については、米国を中心とする2国間同盟の組み合わせやASEANフォーラムのような多国間枠組みを補完する形で、「アジア太平洋地域の複雑な安全保障問題に対応する能力を高めることになろう」とみている。

20年潜伏していた中国のスパイ

2008/04/05 朝鮮日報/朝鮮日報JNS ワシントン=李河遠(イ・ハウォン)特派員

 1970年代に中国政府からスパイ教育を受け、85年に米国市民権を取得した後、「平凡な」生活を送り、90年代に米国の身元照会をパス、2005年スパイ容疑で逮捕…。

 米国の軍事機密を盗み出すために20年以上も「善良な米国市民」として暮らし、数年前になって活動を開始した中国系スパイの摘発事件に、米国社会は驚きを隠せない。

 米連邦裁判所は、米海軍の軍事機密を中国に流出させていた中国系米国人チ・マク被告(67)に対し、実刑24年6カ月を言い渡した。エンジニアのチ・マク被告は、米海軍の戦艦・潜水艦・武器などに関する重要軍事機密を中国に渡した疑いで起訴されていた。

 今回の事件が注目されているのは、チ・マク被告が本格的なスパイ活動のため米国市民権を取得した1985年前後の20数年間、完全に「冬眠していた」ということだ。チ・マク被告は70年代に香港で中国政府からスパイの訓練を受けた。そして米国市民権を得た後は、ロサンゼルス郊外にある米海軍関連会社で働き、夜遅くまで残業もするという模範的な「帰化米国人」として生活していた。チ・マク被告は96年に米政府の厳しい身元照会にパスし、米海軍の最重要機密に接近することもできた。

 チ・マク被告はこの時から妻のレベッカ被告と共に米海軍の機密をコピーし、中国政府に流した。中国系スパイ組織を追跡していた米連邦捜査局(FBI)は2003年からチ・マク被告を捜査対象としてマーク、05年10月にロサンゼルス空港から出国しようとしていた同被告を逮捕した。

 この1年間に米国で摘発された中国のスパイ事件は12件。件数は増加する一方だ。米捜査当局は「チ・マク事件同様、長期間“冬眠”しながら米国の学界や核ミサイル・潜水艦推進技術・夜間透視技術・戦闘機パイロット訓練などの専門分野に入り込んだスパイによる事件も増えている」と話している。

中国の国産軍用車、「米国製に酷似」と皮肉の声

2008/04/04 朝鮮日報/朝鮮日報JNS 香港=宋義達(ソン・ウィダル)特派員

 中国の東風汽車はこのほど、国産軍用車「猛士」の大量生産に入り、年間3000台を生産する計画を明らかにした。しかし、設計が米国の軍用車「ハンビー」に酷似しているため、インターネット上で「パクり」との非難を浴びている。3日付香港紙・蘋果日報が伝えた。

 「猛士」は最先端の複合素材を使用しており、ドアは12.7ミリ重機関銃でも撃ち抜くことができない防弾設計だ。搭載能力、エンジン、安全性など10項目でハンビーよりも優れているというのが東風汽車の説明だ。

 東風汽車は「原型は米ハンビーを参考にしたが、完成車の部品の大半は中国製を使用している」と「国産」を強調した。しかし、中国の市民はインターネット上で多くの違法コピー商品を生産してきた「前科」を挙げ、「ハンビーの低品質海賊版」だと皮肉っている。猛士の販売価格は1台50万元(約729万円)で、米ハンビーの15万ドル(約1534万円)に比べ半分以下だ。

 ハンビーは「M998四輪駆動軽汎用車」を指す通称で、第1次湾岸戦争ではヘリコプターによる空輸が可能で、60度のこう配を登ることができ、タイヤがすべてパンクしても時速40キロで32キロ走れる性能が人気を集めた。

中国国防予算17・6%増 20年連続2けた伸び率

2008/03/04 中国新聞ニュース

 【北京4日共同=芹田晋一郎】中国の全国人民代表大会(全人代=国会)の姜恩柱きょう・おんちゅうスポークスマンは四日記者会見し、国務院(政府)が全人代に提案する二〇〇八年度予算案の国防費が、前年度実績比17・6%増の約四千百七十七億六千九百万元(約六兆六百億円)に上ることを明らかにした。二けた伸び率は一九八九年から二十年連続。

 国防費の大幅な伸び率が続いていることで、国際社会の「中国脅威論」が一段と強まるのは必至。日本の〇八年度予算の政府案では、防衛関係費は〇七年度比0・5%減の約四兆七千七百九十六億円。中国の国防予算は昨年初めて日本を上回っており、日中の差がさらに広がることになる。

 姜スポークスマンは国防費の増加理由について(1)軍人の待遇改善(2)物価高騰による兵士の食費や石油買い入れ価格の上昇(3)部隊の教育訓練の改善(4)情報戦における防衛作戦能力向上のための装備強化―を挙げた。

 公表される国防費には、宇宙技術や兵器の開発費などは含まれないため、実際の国防費は公表額の二、三倍とされ、香港の軍事専門家、平可夫氏は「実質的には米国に次ぐ世界二位」と分析。「透明性は冷戦時代の旧ソ連以下で、戦車や潜水艦の数すら公表していない」と述べ、大国にふさわしく透明性を高めるべきだと批判した。

 また姜スポークスマンは、台湾の陳水扁総統が進める台湾名での国連加盟運動について「台湾海峡地域の平和と安定を深刻に脅かす」と批判。「断固として(台湾)独立を阻止する準備が必要だ」と述べ、台湾当局をけん制した。

ロシア製主力戦闘機 中国、一貫生産に成功

2008/02/23 FujiSankei Business i.

ロシア警戒、第三国へ輸出の可能性

 ロシアのメディアは22日までに、中国がロシアから購入した一線級戦闘機「スホイ−27」の複製製造に成功し、今後、同機を量産して第三国に輸出する可能性が出てきたと報じた。ロシアは、旧式装備を中心としていた中国の武器輸出が一線機にまで拡大すれば、エネルギーなどと並びロシアの輸出を支える防衛産業の基盤が脅かされかねないと警戒を強めている。

 露ノーボスチ通信などによると、中国は1992年にスホイ−27を76機購入。95年には、同機を小幅改造した単座機「殲撃−11」を中心に200機のライセンス製造で合意したが、搭載する電子機器やエンジンの技術移転は認められず、ロシアから直接購入していた。今回、エンジン製造などを含めた一貫生産に成功したという。

 ≪違反確認は困難≫

 中国は2004年に「空軍の要求に合わない」としてエンジンなどの部品購入を中止。これに続いてロシア製と技術、性能がほぼ同一の国産エンジンを開発しスホイ−27に搭載すると発表した。中国製エンジンがライセンス契約に違反していないか確認を取るのは困難とみられている。

 世界の防衛産業の動向を調査しているストックホルム国際平和研究所(SIPRI)の07年版年鑑によると、中国の06年の通常兵器の輸入額は95%を占めるロシア製を中心に世界最大の32億6100万ドルを記録した。

 これに対し輸出は5億6400万ドル。戦闘機では半世紀以上前に開発されたロシア製旧式機「ミグ−21」を小幅改造した「殲撃−7」をパキスタンやアフリカ諸国に輸出しているだけだった。スホイ−27の量産が始まれば輸出額は大きく膨らむ。

 ≪部品内製率9割≫

 報道によると、露国営武器輸出公社ロスオボロンエクスポルトの幹部は「中国がエンジン製造で技術的な壁を突破したことにより、部品の内製比率は現在の7割から9割に上昇する」と話す。

 他の関係者も、中国がスホイ−27複製機の一貫製造に踏み切れば、第三国市場でロシアのシェアを奪うのは容易と指摘。06年までの4年間でそれぞれ世界市場の3割のシェアを握る米露両国を脅かす可能性がある。

 とくに、ロシアは武器輸出代金を新たな軍事技術の開発に当てている。輸出の減少は米国との技術開発競争で後れを取る結果につながり、武器の提供を外交の道具として積極活用しているロシアには痛手になる。

【用語解説】スホイ−27

 旧ソ連時代に開発された機体で、「第4世代機」と呼ばれる新鋭機には及ばないものの、強力な格闘性能や航続力を備え、日本が導入しているF−15に匹敵するともいわれる。輸出先の各国空軍でも第一線に配備。中国空軍では、国産の「殲撃−10」やステルス多目的戦闘機と並ぶ近代戦闘機の主力。派生タイプとして発展型の「スホイ−30」や艦載型の「スホイ−33」がある。西側による呼び名は「フランカー」。

中国も早期警戒管制機生産、韓半島が監視範囲内に

2008/02/22 朝鮮日報/朝鮮日報JNS 北京=朴勝俊(パク・スンジュン)特派員

 中国が早期警戒管制機(AWACS)の量産態勢に入った。専門誌の中国航空報によると、同国は1994年から早期警戒管制機のモデル開発を進めてきたが、このほど試験飛行に成功した。モデル名はKJ‐2000(空警2000)だ。胡錦濤国家主席、呉邦国・全国人民代表大会常務委員長、賈慶林・全国人民政治協商会議主席ら党、政府、軍の最高首脳はこのほど、開発に成功した中国航空工業第一集団(一航)へ祝賀に訪れた。

 欧米の軍情報当局が把握している情報によれば、中国が量産態勢に入ったKJ‐2000の性能について、胴体はロシア製爆撃機IL‐76を原型とし、レーダーはイスラエル・エルタ社のファルコン位相配列レーダー(PAR)を搭載している。

 米軍の早期警戒管制機は胴体上部にあるレーダードームが回転して目標物を追跡するが、KJ‐2000のレーダードームは固定式で電子スキャン技術で全方位を監視する。KJ‐2000は上空5000−1万キロを飛行し、半径400キロ以内の目標物60−100個を同時に追跡できるという。山東省の空軍基地から発進した場合、1機で韓半島(朝鮮半島)の大半の地域を監視することが可能だ。

 中国は1994年にロシア、イスラエルと早期警戒管制機用のレーダーシステムの開発に向け10億ドル(約1070億ドル)規模の契約を締結したのに続き、96年に2億5000万ドル(約268億円)の追加契約を結んだ。しかし、98年以降は米防衛大手レイシオン社とエルタ社が共同開発、生産したファルコンレーダーの技術が中国に供与されることに対し、クリントン政権が強硬に反対。2000年7月にはイスラエル側との契約が破棄された。

 中国はKJ‐2000に搭載されたレーダーを独自開発したと主張しているが、西側の軍情報当局は技術の土台はイスラエル製のファルコンレーダーだとみている。中国はKJ‐200(空警200)と呼ばれるプロペラ型小型早期警戒機も開発している。

中国の潜水艦、米海軍の非常警戒網を突破=英紙

2007/11/12 朝鮮日報/朝鮮日報JNS キム・ソンイル記者

 米国の海軍艦隊が最近、太平洋で演習していたところ、中国籍の潜水艦が演習海域のほぼ中心に配置されていた空母「キティホーク」の近くに急浮上し、米軍が驚いた、とイギリスの日刊紙「デーリー・メール」が11日、報じた。

 同事件は最近、米国海軍がキティホークを含む艦隊を動員し、日本の南部と台湾の間の海域で演習を行っていた際に発生した。米海軍は、空母が演習に参加する場合、少なくとも約10隻の戦艦と2隻の潜水艦を周囲に配置し、警戒態勢を敷いている。しかし、中国が独自開発した全長49メートルの攻撃用潜水艦1隻が、これらの監視網をくぐり抜けたというのだ。約80機の戦闘機と4500人の兵士を乗せたキティホークは、同潜水艦が搭載している魚雷の射程圏内にあった、と同紙は伝えた。

 北大西洋条約機構(NATO)のある関係者は「米国は今回のことでスプートニク(1957年に旧ソ連が打ち上げた世界初の人工衛星)打ち上げと同等の衝撃を受けた」と話した。米国は、中国の潜水艦がこうした高度な技術を持ち合わせているということを認識していなかったというのだ。

 米国がこの事件に対する釈明を要求したところ、中国は「偶然にすぎない」との反応を示したという。しかし、一部の専門家は、中国が自国の軍事技術の水準を米国や西側諸国に誇示したものとみている。イギリス海軍の元将校で対潜水艦専門家のスティーブン・サンダース氏は「自分たちの裏庭である台湾に関して、米国が干渉したり影響を及ぼそうとしたりする場合、ただではおかないとの意志を示したもの」とみている。

軍事ホットライン設置で合意 米中

2007年11月05日 中国新聞ニュース

 【北京5日共同】中国を初訪問したゲーツ米国防長官は5日、曹剛川国防相と北京の国防省内で会談、緊急時に両国の不測の衝突を避けるための軍事ホットラインを設置することで合意した。両氏が会談後の共同記者会見で明らかにした。

 ゲーツ長官は中国の1月の人工衛星破壊実験や、軍事費の大幅な伸びに懸念を示し、軍事情報の透明性を高めるよう求めたが、中国側から具体的な回答は得られず、平行線に終わった。

 米中間の軍事ホットラインは、2001年4月に起きた米中軍用機接触事故の際、米国防総省から中国国防省への連絡が取れず、長期間の関係冷却化につながったとの反省から04年に米側が設置を提案。米側の説明によると中国側の「技術的な理由」で設置が遅れていたという。

中国、ステルス戦闘機「殲11B」の開発完了

2007/09/14 朝鮮日報/朝鮮日報JNS 北京=李明振(イ・ミョンジン)特派員

 中国が敵のレーダーに感知されにくいステルス技術を部分的に採用して独自開発した戦闘機「殲11B」の開発を完了し、近く対外的に公開する方針であることが分かった。

 13日の中国メディアによると、殲11Bは中国が1996年から遼寧省瀋陽市で組み立て生産してきたロシア製戦闘機スホイ27をモデルとして、 10年間にわたり研究開発を進めてきたものだ。胴体の形などはスホイ27をほとんどコピーしているが、各種性能は独自技術で向上させた。

 スホイ27は胴体の表面面積のうち15平方メートルがレーダーに捕捉される可能性があるのに比べ、殲11Bは3平方メートルほどしかレーダーで感知できない。殲11Bに装備されるレーダーは20個の目標を同時に探知することができ、このうち6個の目標を同時に攻撃できる。スホイ27は2個の目標物を同時攻撃できる水準にとどまっていた。新素材を使い、機体重量もスホイ27より700キログラム減らした。ミサイルはロシア製のR77を改良した PL‐12ミサイルを搭載する。専門家は殲11Bの戦闘能力が米F16戦闘機に匹敵し、昨年独自開発した「殲10」とともに中国空軍の主力機としての地位を占めると予想している。中国は完全なステルス機能を備えた「殲13」「殲14」も2009年を目標に開発中だ。

中国、太平洋の東西分割提案か 米軍は拒否

2007/08/20 Sankei Shimbun

 17日付の米紙ワシントン・タイムズは、キーティング米太平洋軍司令官が最近訪中して中国軍事当局者と会談した際、中国側が、太平洋を東西に分割し東側を米国、西側を中国が管理することを提案したと報じた。米側は拒否したという。提案の詳細には触れていない。

 米太平洋空軍のへスター司令官は「空間を誰にも譲らないのが、われわれの方針だ」と記者団に述べ、西太平洋地域を米軍の影響下に置く必要性を強調した。

 米政府内の親中派の間では提案に前向きな受け止めもあったが、国防当局は西太平洋の覇権を中国に譲り渡す「大きな過ち」だと主張。日本などアジアの同盟国との関係を台無しにしかねないとして断ったという。(共同)

上海協力機構が初の軍事演習 中国と5カ国に温度差も

2007年08月09日 中国新聞ニュース

 【北京9日共同】中国、ロシアなど上海協力機構(SCO)加盟国6カ国による対テロ合同軍事演習「平和の使命2007」が9日、中国西部の新疆ウイグル自治区ウルムチなどで本格的に始まった。SCO6カ国の合同演習は初めて。

 この地域の安全保障面での結束を示した形だが、中国が演習を大々的にアピールする一方、ウズベキスタンは部隊の派遣を見送るなど参加国間で温度差がうかがえる。

 演習には、中国約1600人、ロシア約2000人、カザフスタンとタジキスタンがそれぞれ約100人、キルギス約30人が参加、総兵力は約4000人とみられる。中国軍は新型戦闘機、輸送機などを投入する。

中国人民解放軍創設80周年…新型兵器の開発に拍車(下)

2007/07/30 朝鮮日報/朝鮮日報JNS 北京=李明振(イ・ミョンジン)特派員

 2006年の中国国防白書によると、中国軍は02年から昨年まで米国、英国、ロシアなど11カ国と16回にわたる合同軍事演習を実施し、今年もロシア、インドなどと演習を予定している。

 中国軍の活発な対外活動にはいくつかの戦略的布石の意味が込められている。中国軍関係者は「軍事大国への浮上を対外的に宣伝し、兵器輸出の促進と不足する実戦経験を補完するのが狙いだ」と分析する。中国は昨年末、最新鋭戦闘機「殲10」の開発事実を大々的に宣伝し、現在パキスタンなどアジア各国との輸出交渉を続けているとされる。

◆中国軍の実力は?

 中国軍の実力は果たしてどの程度なのか。軍事専門家らは中国の軍事技術について、米国など先進国より少なくとも15−20年遅れていると指摘する。大型航空機の生産技術がない中国は、空中給油機や大型輸送機を造れないため、大規模な兵力移動が必要な遠距離作戦能力が不足しており、ミサイルの精密照準攻撃能力でも後れを取っている。北京駐在の外交関係者によれば、キーティング米太平洋艦隊司令官は最近、「中国は米国の潜在的脅威にはなるかもしれないが、現存する脅威ではない」と述べたという。

 しかし、別の消息筋は「中国は軍備現代化を通じ、(東北部の)瀋陽軍区を機械化部隊として全面改編した。中国の軍事力強化は韓国など周辺国に対しては潜在的脅威ではなく現存する脅威だ」と語った。

「中国のスパイ活動は米国にとって脅威」、FBI長官が警告

2007年07月27日 AFP BB News

【7月27日 AFP】米連邦捜査局(FBI)のロバート・モラー(Robert Mueller)長官は26日、下院司法委員会(House of Representatives Judiciary Committee)の公聴会で、中国の諜報活動は「相当な懸念」であり、政府はその脅威に対抗する新しい手段を講じるべきだと話した。

 モラー長官は米国内における中国政府の諜報活動について質問を受け、機密扱いされていないごく少ない情報のみ報告できるとし、中国は軍事技術力・経済力増強のため米国の機密情報を盗んでおり、この脅威に対策が必要だとの見方を示した。

 今年3月、米国家情報長官(Director of National Intelligence、DNI)の下部機関である国家情報長官官房(Office of the National Counterintelligence Executive)のJoel Brenner長官が、「米国に対する中国の諜報活動は、世界で最も活発であり、米機密情報入手に関し『非常に積極的に』活動している」と警告していた。

 中国は米国に対する諜報活動を、繰り返し否定している。(c)AFP

新中国建国いらいの中国軍兵器の総覧

2007年07月18日 「チャイナネット」人民日報社

中国人民解放軍創設80周年を記念するため、「新中国の建国いらいの国防および軍隊の建設成果展」が16日から、北京の中国人民革命軍事博物館で開幕した。

中国共産党中央宣伝部の劉雲山部長は開幕式で挨拶を述べ、「中国人民解放軍は中華民族の独立、人民の解放を実現するために偉大な功績を打ち立ってきた。新中国の建国いらい、中国人民解放軍はすぐれた伝統を受け継ぎ、革命的精神を大いに発揚し、国の独立、主権と尊厳を守り、国の建設事業をサポートし、中国の社会主義現代化建設、「改革・開放」事業の発展に多大な貢献をした」と語った。

展覧会では、写真970点、展示品や実物が1750点にのぼり、兵器の模型、兵站装備が展示されている。

中国軍、タイ軍と初の合同軍事訓練

2007年07月17日 「人民網日本語版」人民日報社

中国とタイは広州で16日、陸軍特殊部隊の合同訓練を開始した。中国軍が外国の軍隊と合同訓練を実施するのは初めてだ。「中国新聞網」が伝えた。

合同訓練のコード名は「突撃2007」。両国の陸軍特殊部隊が混合部隊を編成し、3段階構成で実施される。テロの脅威への対応を想定し、テロに対する特殊部隊の基礎戦術と応用訓練に重点が置かれる。訓練は29日までで、両国の視察団も参加する。

今回の合同訓練は中国軍の歴史上初めてのことで、外国軍との交流の新分野の開拓、実務協力の深化にとって積極的な意義を持ち、さらに開放され、透明で、協力的な中国軍の姿を示すものだ。中タイ両国の戦略的協力関係を強化し、防衛分野の交流と協力を拡大し、安全保障上の非従来型の脅威に共同で対処し、地域の平和と安定を守ることにつながる。(編集NA)

中国が海軍力を大幅増強、緊張高まる日米

2007/07/17 朝鮮日報/朝鮮日報JNS イ・ヨンス記者

 16日付米ウォールストリート・ジャーナルは、中国が潜水艦開発を掲げ、長い間放置されてきた海軍装備の更新を急いでいると報じた。中国政府は急速な経済発展に合わせ、海外依存度が高まった原油や原材料の安全な輸送ルートを確保するための措置と説明しているが、米国や日本などは中国が制海権確保に動いていることに緊張を隠せずにいる。

 現在中国は潜水艦を60隻近く保有している。近年ロシア製のキロ級ディーゼル潜水艦8隻を導入したのに続き、自力で原子力潜水艦2隻を建造中だ。米科学者連盟(FAS)は今月5日、中国が新たに開発した「晋級」とみられる長さ133メートルの原子力潜水艦が中国大連に停泊しているところを衛星撮影することに成功したと発表した。この潜水艦は実戦配備された夏級潜水艦より大きく、騒音が小さいとされる。

 中国はロシアからソブレメンヌイ級駆逐艦(8480トン)2隻の引き渡しを受けるなど、ロシア製レーダーや対空兵器を搭載した艦船の導入と開発に力を入れている。中国国防科学工業技術委員会の張雲川主任は今年3月、中国が空母の開発を進めていることを公表した。その後、2009−10年にも中国初の空母が建造されるとの報道が相次いでいる。

 海軍力増強は、当面は台湾との紛争に備えたものだが、長期的には三つの大洋艦隊を育成し、▲韓国と日本の周辺巡視▲西太平洋進出▲マラッカ海峡とインド洋の輸送路確保をそれぞれ担わせる構想ではないか、とウォールストリート・ジャーナルは報じている。

 中国はまた、パキスタンの港湾開発に技術陣派遣と資金支援を行い、ミャンマー南部には情報収集拠点を置いている。米国は中国が今後、アラビア海やペルシャ湾にも影響力を拡大しようとしているとみている。

中国軍最新ヘリが墜落

2007年07月15日 スポニチ

 香港の人権団体、中国人権民主化運動ニュースセンターは15日、中国人民解放軍が開発中の最新攻撃ヘリコプターが11日、試験飛行中に江西省景徳鎮付近の農地に墜落、5人が負傷したと伝えた。

 墜落したのは「武直10」の試作第5号機。米軍攻撃ヘリ「アパッチ」に近い性能を持ち、世界最新型の技術と装備を有しているという。事故原因は調査中としている。 (共同)

中国に“サイバー人民解放軍”、米国防総省が報告 (1/2)

2007年06月07日 ITmedia news

中国のハッカーは熟達しており、20分でシステムに入り込んで情報を取得し、離脱することが可能だと専門家は言う。

 中国軍は敵のコンピュータやネットワークを攻撃するウイルスを開発する情報戦争部隊を設け、電子戦争に備えている。米国防総省が連邦議会に提出した年次報告書で明らかになった。

 同省によると、このPLA(人民解放軍)は、自国および友好国のコンピュータシステムとネットワークを保護する戦術も確立したという。2005年以来、この部隊は、「主に敵ネットワークに対する先制攻撃における」ネットワーク攻撃を訓練に取り入れているという。

 中国軍は、紛争の早い段階でいわゆる「電磁的優位」を確立することを考えている。具体的には、戦場で敵の情報システムに電子戦を仕掛けると国防総省は言う。

 コンピュータウイルスのほかにも、このPLA部隊は電子デコイや赤外線デコイ、アングルリフレクター、偽の標的を作る技術などの電子的な対抗手段に投資している。

 中国外務省の広報官ジアン・イー氏はこの報告書を非難し、国防総省は「思惑から」中国軍の強さと資金を誇張していると主張した。

 「平和を愛する一国家として、中国は断固として平和的発展の道を進み、防御を本質とする国家防衛方針を取っている」(イー氏)

 「各統治国家には、国家安全と領土保全のために必要な国防力を整備する権利と義務がある。米国の報告書が、いわゆる『中国の脅威』を誇張するのは全くの誤りであり不適切だ」

 国防総省は、台湾と台湾海峡を軍事衝突の可能性が最も高い場所と見ており、中国がこの地域に注目しているのは、最近の軍事計画近代化のためだとしている。

 「中国は短期的には台湾海峡における軍事的有事――米国介入の可能性も含め――への準備に重点を置いており、それは近代化計画の重要な推進要因のようだ」と同省の報告書には記されている。

 この見方に対し、イー氏は、台湾は「中国の不可分な領土の一部」だと述べた。

 「中国はいかなる国家のいかなる表明による内政干渉にも断固反対する。われわれは『台湾独立』あるいはあらゆる手段をもって台湾を中国から分離しようとするいかなる試みも決して認めない」(同氏)

 ともあれ、中国のサイバー諜報活動は以前から行われている。「Zen and the Art of Information Security」の著者で元NSA(米国家安全保障局)アナリスト、そして元NCSA(米国コンピュータセキュリティ協会)テクノロジーディレクターで現在はInternet Security Advisors Groupの会長を務めるイラ・ウィンクラー氏は、ロシアには数十年前からサイバーセキュリティ特殊班があり、中国は少なくとも10年前からこの種の活動に取り組んでいると取材に応えて語った。北朝鮮もこの種の行動を取ってきた。

 「軍事的に敵対し得る相手について言えば、中国は明らかに能力の点でロシアに次いで2位に位置している。われわれには世界中に多数の小さな敵がいるが、ロシア以上の戦略的脅威はない」(ウィンクラー氏)

 中国には、米国に対する諜報全般の点でも、軍備の点でも、惜しみなく注げるリソースがあると同氏は言う。

中国に“サイバー人民解放軍”、米国防総省が報告 (2/2)

2007年06月07日 ITmedia news

 「中国ではこれに同時に数百人が取り組んでいる。人数で言えば、同国はサイバー局、諜報局など世界で最大の機関を有している」(ウィンクラー氏)

 Titan Rainは、中国が進めているコンピュータ諜報プログラムの一例だ。Titan Rainとは、中国によるものとされる米国コンピュータシステムへの一連の組織的攻撃の以前のコードネーム(現在のコードネームは非公開)で、2003年に最初に実行されたと考えられている(Titan Rainに関してはTimeに詳しい記事が掲載されている)。

 中国のハッカーはその間、Lockheed Martin、サンディア米国立研究所、NASA(米航空宇宙局)などの米国のコンピュータネットワークに侵入した。ウィンクラー氏は、中国は24時間体制でこのプロジェクトにハッカー10〜12人を投じており、同国のサイバーPLA部隊は「あらゆる方法で、あらゆる形で」重要な情報を格納しているかもしれないシステムを見つけようとしていると語る。

 「彼らは組織的にシステムにアクセスし、できるだけ迅速に情報を吸い上げる。彼らは熟達しており、20分でシステムに入り込んで情報を取得し、離脱することが可能だ。何年も前からそれが行われている。おそらく彼らは数万のシステムに侵入して情報をさらってきた」(同氏)

 これらハッカーがサンディア研究所、米軍のシステム、そのほか軍事関係の請負業者のシステムに侵入したのは、彼らが優秀だったからではないとウィンクラー氏は指摘する。むしろ、このようなサイバー諜報活動は、中国のハッカーが極めて系統立ったやり方をしているから可能なのだ。

 成功の要因は「被害者側の信じられないほどお粗末なセキュリティ」にもあったと同氏は言う。「ほとんどのコンピュータ攻撃は、攻撃者の才能よりもセキュリティの不備を基にしている」

 電子戦争の一環としてマルウェアをばらまくことに関して言えば、中国のPLA部隊が情報収集の能力を高めるために、侵入したシステムにトラッキングソフトを植え付けるのは理にかなっている。もっともウイルスの拡散に関しては、ウィンクラー氏は心配するようなことはないと話す。

 「一般的なウイルスは、率直に言って、当てにしたいものではないし、当てにするのは危険だろう。ウイルスをばらまいたら、後でそれが自分の身に降りかかってくるかもしれない。裏目に出たウイルス事件はたくさんあった。人を助けようとして、逆効果になったものもあった」(同氏)

 技術的に米国よりも後れている中国は、米国ほどインターネットに依存していないかもしれない。だが、インターネットをダウンさせることは理にかなわないし、ネットが示してきた弾力性を考えると、有効ではないだろう。

 「毎日インターネットでは障害が起きているが、われわれはそれを切り抜けている。もしも中国がサイバー諜報活動で全労力を浪費していたり、(電子戦争への備えに)依存しているのなら、われわれにとってはうれしいことだ。もっと損害の大きい戦術を考えるのとは反対のことだからだ」(ウィンクラー氏)

 「率直に言って、彼らは弾道兵器や非常に多くの武器を持っている。わたしとしては、核兵器1基が使われる方が心配だ。それに(インターネットを)破壊するよりも、重要な会話を傍受する方がずっと価値があるのではないだろうか。その方が長期的に戦略的に有利になる」

化学兵器の「闇市場」 中国人主導、米が注視

2007/06/02 中国新聞ニュース

 一九九○年代以降、化学兵器に使う関連物資や機器をイランに供給してきた中国人主導の「闇市場」が存在するとして、ブッシュ米政権が動向を注視していることが二日、米政府関係者の証言や米情報機関の報告書で分かった。中国人の名前は「Q・C・チェン」。最近まで米政府の不拡散政策を担当した元高官は、核の闇市場を構築した「パキスタンのA・Q・カーン博士の化学兵器版だ」としている。

 チェン氏のネットワークによる具体的な活動は未公表だが、北朝鮮との関連を疑う関係者もおり、日本政府も情報収集を進めている。米政府はこの問題を中国政府に提起しており、中国を拠点とするチェン氏の活動が米中、日中間の摩擦要因となる可能性もある。

 国防総省の情報機関、国防情報局が今年一月に議会に提出した報告書によると、チェン氏は「過去数年間、さまざまな供給組織」を使って化学兵器の関連物資を拡散した。兵器の原料となる「前駆物質」や技術の移転を指すとみられるが、具体例は機密扱いのままだ。

 ただ、同元高官は「チェン氏は化学兵器拡散の常習犯。イランの兵器開発に直結する技術を中国から移転している」と言明。国務省当局者は「チェン氏は依然、米国の監視下にある」と語った。

 また、ブッシュ政権一期目に大量破壊兵器の不拡散政策を担当したボルトン前国連大使は、中国の軍関連企業などが会社名を変えて拡散行為を続ける一方、「拡散の常習犯で問題の核心」であるチェン氏の名前は常に浮上したと説明。化学兵器を保有している可能性が高い北朝鮮がチェン氏と関係していても「驚かない」と述べた。

 米議会調査局の最近の報告書によると、チェン氏は九七年以降、六回にわたり「イラン不拡散法」などに基づき米国の制裁対象となったが、米国とのチェン氏の経済的な関係は薄いため、制裁の実効性は上がっていない。(共同=太田昌克)

中国軍、東シナ海で戦闘機による海上攻撃演習実施

2007/05/29 The Sankei Simbun WEB-site

 28日付の中国軍機関紙、解放軍報によると、海軍の東海艦隊航空部隊はこのほど東シナ海で戦闘機や爆撃機による軍事演習を行った。具体的な海域は明らかにしていない。

 新型の模擬ミサイルを搭載した戦闘機などが高高度から海上の目標物を見つけだし、低空飛行で攻撃する演習という。

 東海艦隊は浙江省寧波に司令部があり、台湾海峡や東シナ海などを担当域としている。(共同)

米国防総省、サイバー戦争に備えた中国の情報軍拡に警鐘

2007年05月29日 COMPUTERWORLD.jp
敵国のコンピュータを攻撃するウイルスを開発中?

 米国国防総省(DOD)は5月25日、中国の人民解放軍(People's Liberation Army:PLA)が独自の情報戦争戦略の下でサイバー戦争部隊を組織し、敵国のコンピュータ・システムを攻撃するウイルスの開発を続けていると非難する報告書を発表した。

 DODの同年次報告書は、中国軍部の動きについて、「PLAは、敵側のコンピュータおよびネットワークを攻撃するウイルスを開発する情報戦部隊を立ち上げている」と、警告を発した。また、昨年の報告書の内容を補強するかたちで、中国軍部がみずからのシステムを敵の攻撃から守る手段を講じていることにも言及している。

 こうした武装化は、現在中国政府が進めている軍部の近代化計画の一環として行われている。同国は近年、情報戦に従事する兵士を増員したり、十数基の弾道ミサイルを追配備したりするなど、軍拡を進めてきた。もっとも、敵国のコンピュータ・システムに対する攻撃態勢を整えているのは、中国だけではない。現在では、米国をはじめとする複数の国家が、同様の能力を持つようになっている。

 中国が情報戦争への準備を着々と進める中で、PLAによるウイルス開発は数年前から実施されてきた。DODは2000年の時点で、「中国は米国内の脆弱なコンピュータ・システムに侵入する技術を保有しており、コンピュータ・ネットワーク攻撃(Computer Network Attack:CNA)の手法を用いて、米国の特定の民間および軍施設を攻撃する態勢を整えつつある」と、警告していた。

 PLAは、2005年に大規模な軍事演習を行うなど、ここ数年の間にコンピュータ攻撃を想定した訓練を本格化させている。

 中国軍の近代化計画では、同国が離反した省であると認識している台湾が主なターゲットになっている。中国と台湾が分離したのは、共産党軍と国民党軍の内戦後、国民党が台湾へ逃れた1949年のことだ。中国はかねてから、台湾が独立を宣言した場合は攻撃を仕掛けると牽制しており、軍事力の増強も、その大部分が台湾攻撃を見越してのものである。

 DODの報告書には、「中国は、台湾の政治的・軍事的・経済的基盤になっているコンピュータ・ネットワークへの攻撃を含む軍事行動を展開することで、台湾人民の国家に対する信頼を揺るがせようとしている」と記されている。

 また、中国の台湾攻撃に介入する意志を表している米国も中国のターゲットとなりうると、同報告書は指摘している。

国防総省年次報告書、中国の軍事力拡大を懸念

2007年05月26日 AFP BB News

【5月26日 AFP】国防総省は25日、年次報告書を公表した。議会に提出される同報告書は中国の国防予算が不透明だと指摘し、同国の軍事力拡大に対する懸念を表明。

 2007年版の中国軍事力に関する年次報告書では、「中国の兵器戦略の追求は、これまでの陸・海・空戦域から、宇宙およびサイバースペースへと広がっている」と報告された。

 また、「中国軍の軍事能力拡大は東南アジアにおける軍事バランスの変化の主因だが、同国の戦略能力の向上はアジア・太平洋地域をはるかに越えて影響を及ぼす」とも述べられている。

 中国政府は2007年の国防予算を450億ドル(約5.5兆円)と公式発表しているが、米国防情報局(Defense Intelligence Agency、DIA)によると、中国の2007年の軍事関連総支出額は1250億ドル(約15兆円)に上ると推測されている。

 同報告書ではさらに、米国をも射程圏内とする核弾道ミサイル配備への懸念、また射程約8000キロメートルの核弾道ミサイルの搭載可能な新型「晋」級潜水艦の開発についても言及されている。(c)AFP

中国の衛星破壊実験把握 米、中止要求見送りと報道

2007年04月23日 中国新聞ニュース

 【ニューヨーク23日共同】中国が1月に実施した人工衛星破壊実験について、23日付の米紙ニューヨーク・タイムズは、米情報機関が準備段階で把握していながら、米政府内で対応を協議した末、中止要求の申し入れを見送っていたと報じた。

 米側は実験後、自国の人工衛星に対する脅威が増したと懸念を表明していた。同紙は、中国に実験を思いとどまらせる機会を逸したのではないかとの指摘が、実験から3カ月以上を経た現在、専門家から出ており、論議を呼んでいると伝えた。

 中国は1月12日、四川省西昌上空の宇宙空間で、老朽化した人工衛星を弾道ミサイルに搭載した弾頭で破壊する実験を実施。同紙によると、米情報機関は昨年12月と今年1月初め、移動式の同ミサイル発射装置の動きを何度もつかみ、1月中に実験が行われる可能性を指摘した。

「日・印衛星も破壊目標」、米専門家が中国の戦略分析

2007年04月02日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ワシントン=貞広貴志】今年1月に人工衛星破壊実験を行った中国が、日本を含む外国の衛星について、「自国領土上を飛ぶものについては、すべて破壊できる能力の構築」を目標とする戦略を進めていることが、米専門家の分析で明らかになった。

 国防総省の中国問題顧問であるマイケル・ピルスバリー氏が、3月30日に開かれた米議会の諮問機関「米中経済・安全保障見直し委員会」に報告した。

 ピルスバリー氏によると、中国軍は2010〜20年をメドに、中国上空の宇宙空間にある人工衛星を破壊する能力の確立を目指しており、標的には「米国の衛星だけでなく、日本とインドが含まれている」という。破壊の手段としては、ミサイルによる破壊に加え、電波妨害やレーザー照射による衛星の無力化、地上の基地局に対するサイバー攻撃などが検討されているという。

 同氏の分析は、中国人民解放軍で宇宙問題を担当する佐官級の専門家3人がまとめた資料に基づく。

 中国政府は、衛星破壊実験を「いかなる国に向けたものでもない」(温家宝首相)と説明しているが、分析が事実とすれば、日米などの通信システム分断を明確に意図していることになる。

国防費、数値も出して「透明度高まっていく」と中国外務次官

2007/03/12 The Sankei Simbun

 中国の武大偉外務次官は11日、訪中した浅野勝人外務副大臣と会談し、急増する中国の国防費に関し「かつては軍事費の数字さえ発表しなかった。少しずつ透明度は高まっていく」と述べ、日本側の理解を求めた。

 武次官はまた、国際的批判を浴びた衛星破壊実験について「中国は宇宙の軍事競争に参加する気はない」と強調。浅野副大臣は会談後、記者団に対し「再度の実験はないとの印象を受けた」と語った。(共同)

中国国防予算17・8%増 19年連続2けた伸び率

2007/03/04 中国新聞ニュース

 【北京4日共同】中国で五日開幕する全国人民代表大会(全人代=国会)のスポークスマンは四日記者会見し、国務院(政府)が全人代に提出する二○○七年度予算案の国防費が前年度実績比17・8%増の約三千五百九億元(約五兆三千三百億円)に上ることを明らかにした。二けた伸び率は、一九八九年から十九年連続。

 中国は近年、急速な経済成長に伴い軍の近代化を推進。一方で、国防費の内訳は装備面などで透明性を欠くと指摘されており、大幅な伸びが続くことで、日米両国などから警戒の声が一層強まりそうだ。

 スポークスマンは国防予算の増加について (1)軍人の給与増額 (2)兵士の訓練や生活条件改善 (3)情報戦における作戦能力を高めるための装備強化―を理由として指摘した。

【軍事報告】中国が空母機動艦隊を保有する日 野口裕之

2007/03/03 Iza!

 中国の海軍戦略は何処(いずこ)に舵を切るのか−。中国はマラッカ海峡からペルシャ湾に至るシーレーンの米国支配の現実と、それ故のエネルギー補給における自国の弱点を自覚した。弱点を、中国指導部は「マラッカ・ジレンマ」と呼ぶが、「ジレンマ」は空母機動艦隊を編成、完璧(かんぺき)に運用して「制海」のメドが立つまで続く。ところが当面、日米両国は、中国の空母ではなく、潜水艦の脅威と向き合うことになる。もっとも、それは空母導入への序曲でもある。

 空母は潜水艦を探知すると、当該海域に進入しない。攻撃され、航行や艦載機の離着艦に支障が出れば戦術上は無論、戦略上も打撃を受けるからだ。巡洋艦や原子力潜水艦からなる打撃群が空母を厳重に守護するのは、攻撃のためだけではないのだ。

 中国にしてみれば、現下の最大正面・台湾有事で台湾海峡に迫る米海軍空母機動艦隊の行く手に潜水艦を潜ませ、海峡到着を遅滞させる戦術が有効ということ。しかも、空母に関する中国海軍の開発・生産能力はまだ緒に就いたばかりだし、ロシア製を輸入しても完璧な運用には疑問符が付く。近年、潜水艦の配備・運用に異様なまでの執念で取り組んでいるのは、こうした事情の裏返しでもある。

 ■最新型潜水艦保有

 つまり、台湾有事を喫緊の課題とする中国海軍は「制海戦略」を理想としながらも一定期間、敵の行動を阻止するための、より現実的な「海洋拒否」戦力強化を目指しているのだ。「海洋拒否」に関し米専門家は議会で、2008年までに沿岸から約740キロの海域では短期間の、10年までには数週間の、作戦を継続できるようになると証言。28隻の最新型潜水艦保有を指摘したうえで「太平洋における米海軍の対潜水艦作戦を非常に困難にする」と警告した。

 警告は7カ月後に的中した。昨年10月、米空母が中国海軍の潜水艦に約9キロまで接近されても気付かなかったのだ。中国海軍の練度向上は否定しないが、米海軍は冷戦中、西太平洋での対潜作戦を海上自衛隊に頼る余り、担当者育成を怠ってきた。

 事件はそのツケでもある。昨年6月、中国海軍のインド洋での膨張に神経をとがらせるインド海軍艦隊が、地中海をスエズ運河に向け航行中のキロ級潜水艦3隻を積んだ輸送艦を視認した。3隻は02年に中国がロシアから購入した8隻のうちの最終シリーズだが、静粛性に優れ、最新の巡航ミサイルも搭載可能で、米海軍には一定の脅威となる。冷戦時、ソ連の太平洋艦隊と四つに渡り合った海自の対潜・機雷能力と練度を深く信頼する米海軍は今後ますます、海自の協力を期待するだろう。

 ■世界最大の造船国へ

 一方で中国がなお、稼働空母保有に執念を燃やしている現実を忘れてはならない。06年版の「中国の軍事力に関する年次報告書」では「15年ごろ」とみている一部専門家の分析を併記。昨年3月の米議会公聴会でも、専門家が建設中である世界最大の造船所を指摘し「約5年で、中国は世界最大の造船国になろうとしている」と予測している。

 興味深いのは昨年11月、中国航空ショーに出席したロシア代表団長の発言である。団長は「購入交渉は予備段階」としたものの、「中国はロシア製艦載機を購入する意向。求められれば、空母設計を援助する」と言い切ったのだ。

 「いつ」かは別として、中国海軍・空母機動艦隊はいずれ誕生する。それは、インド洋における中国海軍の常駐的プレゼンス構築が始まる日。漢民族にとり海洋覇権という活劇の、日本民族には悲劇への、開幕日に成る。日本のエネルギー輸入航路という生殺与奪の権を握れば、「靖国参拝」問題とは比較にならない外交・安全保障とエネルギー上の、次なる難題を突きつけてくるだろうからだ。

米副大統領 中国の軍拡に警告、18年連続2ケタ増 衛星破壊兵器も

2007/02/25 Iza

 【ワシントン=山本秀也】オーストラリアを訪れたチェイニー米副大統領は23日、中国の衛星破壊兵器(ASAT)実射実験を挙げて「平和的台頭という目標に合致しない」として、北京の急速な軍備拡張に警告した。

 中国は来月開催の全国人民代表大会(全人代=国会に相当)で今年の国防費を示すが、ゲーツ米国防長官も同日、公表分だけでも昨年まで18年連続の2ケタ増を続けた国防費に懸念を述べるなど、米側は中国の軍事動向を厳しく監視する構えだ。

 日豪を歴訪したチェイニー副大統領は、シドニー市内での米豪リーダーシップ対話での発言で中国問題に言及。北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議での中国の役割を評価する一方、衛星破壊兵器の実験に言及し、「中国は早いペースで軍事拡張を続けている。これは建設的でもなければ、平和的台頭という国家目標にも合致しない」と述べた。中国の国民が自由と繁栄を楽しみ、同国政府が地域の安定と平和に貢献することが、米豪にとり望ましい中国像だと指摘した。

 6カ国協議での共同文書取りまとめを受けて、米政府はこのところブッシュ大統領を含めた高官発言で、中国政府の貢献に対する積極的な評価を強調していた。副大統領の発言はこれと矛盾する内容ではないものの、中国が東アジアの安全保障で重大な懸念対象であることを明確に指摘した。

 一方、ゲーツ国防長官は同日、中国の国防費について「国家予算に反映される以上のものを軍事につぎ込んでいる」として、中国の軍拡に強い懸念を表明した。  中国の国防費については、他の費目に分散された装備調達費などを加えた実質分が、公表額の2〜3倍に達するとの見方が国際的な定説となっている。

【軍事報告】中国の軍事における革命 野口裕之

2007/02/24 Iza!

 エネルギー不足に大きな危機感を抱く中国が、アフリカ・中東→マラッカ海峡→台湾海峡へと続く沿岸国に、海軍拠点を着々と築いている「真珠の数珠つなぎ」戦略を紹介してきた。幸い、日本のエネルギー輸入航路において、中国海軍に常駐的プレゼンスを維持する能力は現時点ではない。しかし、中国海軍が空母機動艦隊を編成し、完璧(かんぺき)に運用できれば、航路の勢力図は激変する。

 もっとも、米国防省の「中国の軍事力に関する年次報告書」(2006年版)では、「中国がマラッカ海峡からインド洋へのプレゼンス拡大に関心を示している」としながらも「戦略が台湾とその周辺に限定されている」と指摘。稼働空母保有を「20年か、それ以降」とみている。

 その根拠として、(1)空母、強力な深海対潜水艦能力、本格的戦域対空能力の開発▽多数の攻撃型原子力潜水艦取得▽指揮・統制・通信・コンピューター・情報・捜索・偵察を一体化した「C4ISR」の開発▽公海での訓練増大−などが顕著ではない点を強調している。

■空母の実戦配備

 空母の単艦での運用は、まともな海軍なら有り得ないからだ。艦載機保有とその陸上基地整備に始まり、▽対空・対艦・対潜という空母を立体的に護衛する戦闘群の編成・運用▽敵潜水艦に対応する味方潜水艦や補給艦の配備・運用▽通信網や各種教育・訓練施設の充実・運用−などの課題をクリアし、初めて実戦配備に至る。中国海軍はその域には達していないと、米国防省は見ているのだ。国防省の分析は「取得可能性を研究・議論しているが、計画は無期延期したもよう」(報告書03年版)、「台湾とその周辺以遠に戦略転換したとは見えない」(05年版)などと一貫している。

 確かに、中国の戦略的関心の第一義は台湾正面である。だが、台湾が独立宣言しようとすれば、中国は武威により牽制(けんせい)、それでも独立を敢行せんとすれば武力をもって阻むはずだ。その時、米海軍空母機動艦隊が台湾海峡に急派される可能性があるが、中国海軍は艦隊を遅滞させる戦術を採る。場合により、攻撃という選択肢も完全に否定はできない。そうであればなおのこと、空母が必要ではないのか−。

■海軍の戦略転換

 答えを得るには、中国軍内に起きている中国版「軍事における革命(RMA)」を理解する必要がある。湾岸、イラク戦争で、米軍はRMAを背景に、陸海空と海兵隊の4軍種を越えた、情報収集→索敵→意思決定→精密誘導兵器よるピンポイント攻撃という戦闘形態を採用。イラク軍が一方的に敗れた現実に、中国軍内の改革派は瞠目(どうもく)した。そればかりか、空母の精密誘導兵器や潜水艦、機雷に対する脆弱(ぜいじゃく)性を学び取り、空母を「浮かぶ棺おけ」とさえ指摘し始めた。台湾有事では、空母より、むしろこの種の兵器が有用だとする分析が中国軍内では主流になり始めたのだ。最新巡航ミサイル搭載可能なキロ級潜水艦、米海軍も確実な防御手段がない超音速対艦ミサイルを装備するソブレメンヌイ級駆逐艦の重視=共にロシア製▽原潜の日本領海侵犯や米空母機動艦隊への潜水艦による異常接近−などは、中国海軍の戦略転換の裏付けと見なすこともできる。

 だが、中国の思考回路は単純ではない。中国はマラッカ海峡からペルシャ湾に至るシーレーンの米国支配の現実と、それ故のエネルギー補給における自国の弱点を自覚した。この弱点を、中国指導部は「マラッカ・ジレンマ」と呼ぶが、空母機動艦隊を編成、完璧に運用しない限りそれは続く。空母保有への執念の炎は、台湾情勢次第で再び燃え上がるということだ。

【軍事報告】中印海戦の火種・領土紛争 野口裕之

200702/17 Iza

 良好な経済関係に隠れ、インドの中国への憎悪は表立たない。だが、インド洋を舞台に海洋覇権を争う中印両国の背後に横たわる国境紛争(注)という流血と憎悪の歴史は「中印海戦」の導火線になりかねない。

 1962年、インド軍は国境紛争で一説に10万人といわれる中国軍に侵攻され、数千もの犠牲者を出し、一方的に敗退。2年後には中国の核実験に直面した。インドは戦力差を痛感、対等な平和交渉に向け、74年に初の核実験を成功させた。すると中国は、インドと度々戦火を交えたパキスタンを核技術支援した。98年にインドが再核実験を行うと、パキスタンも核実験を成功させた。

■対中憎悪の根深さ

 再核実験後、インドのバジパイ首相が主要国首脳に送った書簡に憎悪の深さが見てとれる。核実験の理由として、(1)核保有国に国境を接し、その国はインドに侵攻(2)この国とは国境問題で不信が続くが、もう一つの隣国への秘密裏の核兵器開発支援で不信が増幅−など3項目を記している。言うまでもなく、「その国」「この国」は中国、「隣国」はパキスタンを指す。(3)はパキスタンへの懸念だったが、理由の3つのうち2つが「中国の核脅威」だったのだ。

 特にインドは、インド全土に届く中距離弾道ミサイルの▽重点配備▽射程延伸▽弾頭の多弾頭・小型化▽液体燃料の固形化−など、中国の核能力強化に危機感を抱く。標的が、短距離弾道ミサイルで攻撃できる台湾だとは信じられないから昨年7月、ベンガル湾から長距離弾道ミサイル発射実験を断行。成功目前で失敗したものの、配備後は中国北部まで脅かす。

 インドの対中恐怖は、これに止まらない。中国は、米ソが戦わば核使用を含む世界戦争となるとみて「世界戦争戦略」をとり、備えてきた。ところが、冷戦終結で「国内地域戦争=台湾有事と国外地域戦争に勝つ戦略」に転換。インドは「国外地域戦争」に、対印侵攻が含まれるとして憂慮を深めている。

 相互不信や海軍の低練度などに起因する小競り合いが「中印海戦」へとエスカレートすれば、国境紛争より悲劇性を増すだろう。国境にはヒマラヤ山脈が連なり、大会戦に成り難かったが、海上戦闘は陸上の軍事目標攻撃へと発展する可能性がある。しかも、敗者が失う海洋権益は2週にわたり論じたように、あまりに巨大なのだ。

■海軍国家兼ねるとき

 ところで、大英帝国絶頂期の19世紀末、米海軍のアルフレッド・セイヤー・マハン少将は「海洋国家は大陸国家を兼ねられない」と断じた。証明されずに「仮説の域」を出ないが、論破されてもいない。陸上兵力世界第1位の中国と2位のインドは紛れもない大陸=陸軍国家。その2大陸軍国家が海洋=海軍国家を兼ねるとき、理論は破られる。流血と憎悪の歴史で塗り固められた、陸続きの“海軍国家”による、インド洋を舞台とした覇権争いはエネルギー輸送航路を危うくする。マハン理論が破られる日、世界も経済パニックに向かい、歩き始める。資源の多くを海外に依存する日本は、その先頭を歩かされるに違いない。

               ◇

【用語解説】中印国境紛争

 1959年9月から62年11月まで断続的に続いた。カシミール地方とその東部、ブータン東側で激戦となったが、中国が圧勝。その結果、インドは中国に突き出た形の同地方東部を削り取られ、中国はチベットへと通じる幹線道路を含む地域を得て、実効支配を継続中だ。インドの消沈を知ったパキスタンは同地方に再介入。65年の第2次印パ戦争に発展した。

 第二次大戦後の47年に独立したインドが、それ以前に英国とチベットが中国抜きで秘密合意した「マクマホン・ライン」を国境としたのに対し、49年に誕生の中国は同ラインを否定。「チベット動乱」を中国軍が鎮圧すると、チベット仏教指導者で、中国による併合を嫌ったダライ・ラマが59年にインドへ亡命、中印関係は悪化した。国境では小規模衝突が頻発し62年10月、中国軍がインド主張の国境線を越え、攻撃を開始した。中ソ対立から、ソ連がインドを支援。印パ戦争では中国がパキスタンを支援するなど、大国の対立も複雑に絡んでいた。

中国人民日報 大国の責任「軍事力含む力必要」

2007/02/16 Iza

 【北京=野口東秀】15日付中国共産党機関紙「人民日報」(海外版)は「国防力と国家の責任」と題し「中国が大国の責任を果たすには軍事力を含む相当の力量が必要だ」とする論評を掲載した。1月に実施した衛星攻撃兵器(ASAT)実験にも間接的に触れ、軍事費の不透明さや増強などに対する「中国脅威論」に反論した。

 筆者は中国誌「世界軍事」の陳虎編集長。論評は国際社会で中国に対し「責任ある大国としての役割を求める声」が強まっており、テロや災害などグローバルな問題で「中国の積極的な影響力の発揮が必要とされている」と指摘。「責任が大きくなればなるほど大きな力量が必要」と述べた。

 衛星攻撃実験に対する日米欧からの批判を念頭に、中国の技術は国際社会の水準と比べるとまだまだ遅れており、「すでにある国では数十年前に有しているのに大げさに反応している」と反論した。

 国防費の不透明さや急速な軍拡に対する批判について「国防に関する情報をすべて公開できる国はない」と主張。「ある国の軍事費はその他の国の合計に匹敵する。バランスの取れた状態と言えるのか」と指摘し、米国への対抗意識をむき出しにした。中国が新世代の主力戦闘機「殲(せん)10」を配備したことに対する西側の反応にも「大げさな反応の裏にどんな意図が隠されているか考えるべきだ」と総括している。

「中国、領土紛争に備え海軍力を大幅増強」

2007/02/10 NEWSIS/朝鮮日報JNS

 将来の台湾海峡での軍事衝突や周辺国との領有権紛争に備え、中国が海軍力を大幅に増強している、と産経新聞が9日報じた。

 同紙によれば、中国海軍研究の権威として知られる米国防大学のバーナード・コール教授が、ウッドロー・ウィルソン国際学術研究センターの特別報告書最新号に掲載した「中国の膨張する海軍力」という論文を通じ、冒頭のように指摘したという。

 コール教授は、中国当局は目覚ましい経済成長の成果を軍事力増強に投入しており、人民解放軍全体でも海軍力の強化が最も顕著だと指摘した。また、中国が海軍力を大幅に増強する目的については、台湾海峡での紛争に備えるのはもちろん、東シナ海での釣魚島(尖閣諸島)などをめぐる日本との領有権争いにも軍事的に対処しようとする布石であると分析している。

 具体的には、台湾が独立の動きを見せた場合に武力で台湾を制圧し、米軍の介入を阻止し得る能力を保有し、エネルギー資源を安全に輸送するための海上輸送路(シーレーン)を確保する能力を備えようとしている、とコール教授は説明している。

 また論文では、中国がとりわけ潜水艦戦力の拡充を優先しており、既にロシアからディーゼル潜水艦としては世界最高の性能を持つキロ級12隻を導入し、国産の宋級10隻も配備を完了したと紹介している。これだけでなく、中国は2004年夏には最新型の元級潜水艦の開発に成功し、原子力潜水艦も従来の漢級5隻に加え、少なくとも2隻の「093」級の実戦配備を終えたと伝えている。

 さらにコール教授は、中国海軍が長距離弾道ミサイルの発射能力を備えた夏級潜水艦をいまだ配備していない状態でありながらも、ロシアの技術支援を受け、弾道ミサイルの発射が可能な「094」級戦略原子力潜水艦の建造に着手した事実が注目される、と論文で伝えている。

 一方、論文ではこのほかにも、中国海軍が海上艦艇や海軍航空部隊、水陸両用戦闘部隊などを増強している実態を紹介している。

中国 海軍力の大幅増強 狙いは日本…領有権争いに布石

2007/02/09 The Sankei Shimbun WEB-site

 【ワシントン=古森義久】中国海軍の研究では米国でも有数の権威とされる米国防大学のバーナード・コール教授は「中国の膨張する海軍パワー」と題する論文をこのほど発表し、中国の海軍力の大幅増強の目的は台湾海峡での紛争に備えることとともに、東シナ海での尖閣諸島などをめぐる日本との領有権争いに軍事的に対処することだという見解を明らかにした。

 同論文は国立ウッドローウィルソン国際学術研究センターの特別報告書最新号で公表された。

 コール教授は同論文でまず、中国当局が目覚ましい経済成長の成果を軍事増強に投入するなかで、人民解放軍全体では海軍の強化が最も顕著だとしている。

 同論文によると、海軍のなかでも潜水艦の増強が最優先され、すでにロシアから購入したディーゼル機動では世界でも最高性能とされるキロ級が12隻、国産の「宋」級10隻がすでに配備されたほか、2004年夏には新鋭の「元」級潜水艦が開発された。原子力潜水艦では従来の「漢」級5隻に加えて「093」級が少なくとも2隻、配備された。

 さらに注目されるのは、中国海軍がこれまで長距離弾道ミサイル発射能力を持つ潜水艦の「夏」級の実戦配備に成功していなかったのに対し、いまやロシアの支援を得て「094」級の弾道ミサイル原潜の建造を始めたことだという。

 コール論文はこのほか中国海軍が海上艦艇や海軍航空部隊、海陸両用戦闘部隊などを増強する実態を報告している。

 同論文はさらに中国軍がなぜこの種の海軍力の大幅増強を図るのか、その目的や動機について(1)台湾が独立への動きをとった場合、武力で台湾を制圧し、米軍の介入を阻むための能力を保持すること(2)東シナ海での尖閣諸島などに対する中国主権の主張への日本側の動きに軍事的に対処する能力を保持すること(3)中国自身に不可欠なエネルギー資源を輸入するための海上輸送路の安全を確保する能力を保持すること−などを主要点としてあげている。

 同論文は以上を「中国海軍の近代化」という大幅な増強の主要な理由だと述べ、なかでも日本への対応は中国にとって「ほぼ台湾有事への対処と変わりのない重要性を持つ戦略的な海上案件への懸念」と位置づけている。東シナ海で実際に中国が日本と軍事紛争を起こす場合のシナリオについて同論文は、「日本側は日米安保条約に基づき米軍の支援を求めるだろうから、中国側は台湾有事への対応と同様に米海軍の介入を抑止し、阻止し、場合によっては戦闘をも辞さない態勢をとらねばならない」と述べている。

 しかし同論文は、その種の日中軍事衝突で中国側が米軍の介入を阻むことは台湾有事の際よりもずっと困難だろうとして、「米軍基地が日本の国内や至近の位置にあり、日米安保条約での明白な共同防衛規定に加え、米側の日本防衛への責務感が台湾に対するよりもはるかに強い」などという諸点を理由としてあげている。

【軍事報告】中印「目に見えない海戦」 野口裕之

2007/02/09 Iza

 インド洋で今、砲火を交えぬだけの、静かだが激烈な“中印海戦”が繰り広げられている。“戦端”を開いたのは中国。急速な経済発展と巨大人口を抱える中国はエネルギー確保に向け、アフリカ・中東からマラッカ海峡を経て台湾海峡に至るシーレーンの沿岸国に、海軍拠点を着々と開設する「真珠の数珠つなぎ」戦略を敢行している。その戦略・戦術は先週紹介したが、「インド洋」はまだ「中国洋」にはなっていない。インドもまた、猛烈な反攻に転じているからだ。

■海洋大国目指すインド

 インド海軍は昨年8月、「海洋大国になる。いかなる国も阻止できない」と宣言。(1)10年以内に技術上戦闘に適した海軍を目指す(2)アフリカ東岸からマラッカ海峡までの海洋権益は直接関心事(3)海洋での戦略や軍備増強は死活的国益と軍事的脅威を考慮−などと補足し、「パキスタンや中国を主目標とせず、それを超した海軍を目指す」とまで言い切った。昨年12月には「海洋における中印抗争が高まりつつある。海洋からの中国の脅威に対抗措置をとらねばならない」と警告し、対中脅威認識を具体的形で強めている。

 インド海軍の現有主要戦闘艦39隻にロシア製空母を追加配備(2009年)する一方、現有英国製空母を国産と交代(12年)、15年までに空母2隻を含む46隻態勢に。国産建造率45%も3分の2まで高めるという。こうした方針を踏まえ、最新の造船所を東岸と西岸に1カ所ずつ建設する計画もスタートした。

■中国軍膨張を意識

 中国のインド洋沿岸国へのテコ入れにも対抗し、「海軍対外協力局」を新設、領海空警備能力強化に向けた装備・訓練支援に踏み切った。実際に、アンダマン海などでタイ、インドネシア、マレーシア、シンガポール海軍と演習を行ってもいる。

 インドのインド洋制海権確保への執念は、尋常ならざる規模と速さで具現化されている。それは、マラッカ海峡をふさぐ形で走るインド領アンダマン、ニコバル両諸島を基地化するインドにとり、全くの夢想でもない。基地網が12年に完成すれば、4カ所の空軍基地や東南アジアに達する電子戦システム、潜水艦バースなどを包含し、アジア最大だった米海軍スービック基地を規模で上回る。基地開設は1995年、秘密首脳会談で米大統領が基地創設を要請したほどの要衝なのだ。ただ、インドからの1200キロに比べ、ミャンマーが貸与したココ諸島の中国軍基地とはわずか45キロ。この海域での中国軍膨張はインドにとり極めて敏感な問題で、インド本土から1000人の部隊を輸送する秘密演習が実施されている。

■建艦部門でも対抗

 このほか、カルワルに05年開設した初の海軍専用基地は将来、空母など42隻を収容でき、アジア最大になる。東部艦隊司令部があるビシャカパトナム南方にも東岸2カ所目の基地建設を計画、空母2隻と支援艦収容を目指している。完成後は、中国海軍監視とともに、インド−東南アジア貿易航路を守る拠点になる。

 ところで、中国軍の機関紙は昨年11月、素材や形状からレーダーに捕捉され難い「ステルス技術」を初導入した長距離任務遂行可能な中国製駆逐艦が、演習に旗艦として参加したことを伝え、「建艦部門における突破口」と位置付けた。そのわずか12日後、今度はインド海軍がステルス・タイプのフリゲート3隻と駆逐艦を建造していることを明らかにし、「インド海軍の設計史に分水嶺(ぶんすいれい)を画する艦」と自賛した。中印両国の「目に見えない海戦」は、その不気味さを増し始めている。

[軍事報告】中国海軍操る「マハンの亡霊」 野口裕之

2007/02/03 Iza!

 中国の海洋戦略を操っているのは米海軍のアルフレッド・セイヤー・マハン少将の亡霊なのか、そう思うことがある。ジョニー・デップ主演の米映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」では、悪霊につかれた海賊が財宝をめぐり争うが、アジアの各海域で海洋資源を狙い、またエネルギー輸送拠点を異常な規模と速度で築きまくっている中国海軍の背後にも、マハンの亡霊を感じるのだ。

 大英帝国絶頂期の19世紀末、マハンが唱えた「シーパワー(海上権力)」なる概念は「海軍の優勢により、海洋ないしはその一部分を支配する力」「軍事力のみならず、国家に富をもたらす通商・海運や海外領土・市場を利用する特権などの総合力」だと認識されている。「軍事的考慮は、より大きな経済・商業的関心の単なる装飾品になり、それに従属している」と記したように、国家繁栄=経済を視野に入れた海軍戦略を樹立せんとしたのだった。

 膨張する中国海軍

 中国海軍は近年、すさまじい勢いで膨張している。その背景には、中国が抱える2つの海軍戦略が透けてみえる。台湾が独立宣言し有事前夜となるケースでは、牽制(けんせい)あるいは戦闘目的で台湾海峡に急派される米海軍空母機動艦隊を、中国は阻止または遅滞させねばならない。台湾独立阻止が、海軍膨張の究極的狙いであることは紛れもない。

 だがもう1つ、海軍力の活用法に目覚めた。「中国海軍によるエネルギー確保のための輸送航路確保」である。中国は2003年以降、石油消費量で世界第2位、輸入量で第3位となり、04年には石油備蓄計画も始まった。44%という依存度は25年には80%に達する。特に、石油輸入量の8割はマラッカ海峡経由。アフリカ・中東→同海峡→南シナ海→台湾海峡を経るシーレーンは生命線なのだ。

 ところが、中国は同海峡からペルシャ湾に至るシーレーンの米国支配の現実と、それ故のエネルギー補給における自国の弱点を自覚した。この弱点を、中国指導部は「マラッカ・ジレンマ」と呼ぶ。マハンは、海洋支配者は敵を経済的に窒息させることで戦勝する−との趣旨を説いたが、必ずしも米国から厚遇されなかったマハンの亡霊は、中国に「米国に窒息させられるな」とささやいているかのようだ。事実、弱点克服に向け、中国は自国からペルシャ湾に至る1万キロ以上のシーレーン沿いに戦略拠点を確保する、極めて攻勢的な「真珠の数珠つなぎ」戦略を着々と実現している。

 インド洋の戦略拠点

 例えば、インドの宿敵パキスタンのグワダルで海軍基地・商業用港湾の大規模拡充を支援している。思えば、これが「最初の真珠」であった。イラン国境から72キロ、アラビア海とペルシャ湾をつなぐホルムズ海峡まで400キロ。中国は、ここに電子盗聴施設を建設、艦船をモニターしている。北大西洋条約機構(NATO)軍にとってのジブラルタル海峡というべき戦略拠点だ。中国海軍艦艇の母港と化せば、中国はインド洋北西海域において海軍力維持の橋頭堡(きようとうほ)を得る。

 パキスタンにもグワダルは、対印戦略上枢要な位置を占める。パキスタンの海運の9割を担うカラチ港はインドに近過ぎ、1971年の印パ戦争で印海軍により海上封鎖、99年にも封鎖危機に直面した。この点、グワダルの活用は兵站・経済上の縦深性を強化できる。このほかパキスタンには、フリゲート艦4隻の建造やカラチの造船所強化などを支援している。 

 「海上権力」論

 さらに、ミャンマーのダウェーでも港湾施設を建設。中国がミャンマーに貸与させた大・小ココ島の偵察・電子情報施設などとともに、マラッカ海峡近くの印領アンダマン、ニコバル両諸島所在の印軍基地・艦艇の動向をにらむ戦略拠点を得た。そればかりか、ミャンマーの7海軍基地を、同国現有艦艇よりはるかに大型艦艇が入港できるよう改造している。

 一方、ミャンマーの首都ヤンゴンからエーヤワディ川をさかのぼり中国・昆明までを航・陸路でつなぐ大工事に着手。一部の道路は建設済みだ。「ジレンマ」回避のバイパスというわけで、同川河口付近が中国の主要兵站(へいたん)基地化されつつある。中国軍はまた、数年前からミャンマー軍と合同情報作戦を両諸島付近で実施し、情報士官の訓練も施している。ミャンマーは数十億ドルの軍事援助を受ける「中国の事実上の同盟国」(中国軍関係筋)と化したのだ。

 このほか、バングラデシュ・チッタゴン港改造▼カンボジアと訓練・装備供与の軍事協定調印▼タイ・クラ地峡にマラッカ海峡をバイパスできる運河開削検討▼マレーシアと訓練・情報交換目的の防衛協力覚書調印▼南シナ海の島々でも滑走路強化など、海空軍投入可能施設を構築。タンカー防衛や他国艦船の航行拒否戦術を目指している。

 マハンの「海上権力」論に戻る。「海洋ないしはその一部分」を「インド洋など、中東から中国へのエネルギー輸送航路」と置き換え、「経済・商業的関心」に「エネルギー確保への関心」を加えてみてほしい。中国が「海洋と海上貿易の支配が海軍の主要任務」と疑わなかった“マハンの遺言”の忠実なる具現者だと、見て取れないだろうか。

 マハンは「シーパワーの商業上の側面が総体として平和思考」だと信じた。だが、大日本帝國海軍もマハンの亡霊に傾倒し「大艦巨砲主義」に走った。“内水”である「インド洋」が「中国洋」と化すことを、インドが黙認するだろうか。来週は、インドの反攻を紹介する。

■アルフレッド・セイヤー・マハン(1840〜1914) 世界の強国になるための条件として「制海権獲得」を説き、「戦力の集中とそれによる決戦」を唱えた米海軍少将。米海軍兵学校を2番で卒業。艦長などを経て海軍大学校長や第1回ハーグ平和会議米国代表団顧問、米国歴史学会長などを歴任した。著書に「海上権力史論」「仏国革命時代海上権力史論」。日本でも天皇陛下や皇太子殿下に献上され、勅命により陸海軍の各種学校や中学、高校、師範学校にも配布された。

武器の対中禁輸継続を 欧州議会が報告承認 人権面で解禁論を牽制

2007/02/02 FujiSankei Business i.

 欧州議会は1日までに、欧州連合(EU)が1989年の天安門事件を受けて実施している対中国武器輸出禁止措置について、「人権および社会的・政治的な自由をめぐる状況に明確かつ持続的な改善が見られない限り解除すべきではない」とする報告を圧倒的多数の賛成で承認した。

 発動後17年たち、一部加盟国からは解除を求める声も強まっているが、人権問題を重視する欧州議会としては、そうした動きを牽制(けんせい)する狙いがある。

 報告は、EUの武器輸出管理全般の厳格化を勧告する内容で、対中禁輸解除への反対も盛り込まれている。

 EUは2004年末の首脳会議で「解除に向け作業を進める」ことで合意しているが、米国や日本の働き掛けもあり、現時点では解除に慎重。このほどブリュッセルを訪問した安倍晋三首相との会談後、バローゾ欧州委員会委員長も、解除に向けては「さらなる技術的な作業が必要」と述べた。

 中国が先に宇宙での衛星破壊実験を行ったことで、早期解除論には歯止めが掛かる可能性もある。

 しかし、昨年9月に訪中したプローディ・イタリア首相は、イタリアは「対中武器禁輸解除に傾いている。この問題はできる限り早急に解決すべきだ」などと発言。フランス外務省スポークスマンも最近、「時代遅れの対中武器禁輸は解除すべきだ」と語ったとされる。

 EUは「禁輸リスト」に基づいて対中武器輸出を管理しているわけではなく、対象品目は各国の判断に委ねられている。実際、英国やフランスなど一部加盟国は「大量殺人兵器」でなければ輸出可能と解釈し、禁輸発動後も航空機用レーダーやヘリコプターなどの輸出を承認している。

 欧州議会のカール・フォンウォーガウ議員(ドイツ)は、「対中武器禁輸に関しては27(EU加盟国数)の解釈に加え、米国の解釈もある」と指摘。抜け道をつくらないよう共通の立場を構築する必要があると呼び掛けた。(ブリュッセル 時事)

中国の軍事費14兆円超す 06年、英戦略研が分析

2007年01月31日 中国新聞ニュース

 【ロンドン31日共同】英国の有力シンクタンク国際戦略研究所(IISS)は31日、各国の軍事力や地域情勢を分析した報告書「ミリタリー・バランス2007」を発表し、2006年の中国の軍事費が前年比18・4%増の推定約1220億ドル(約14兆7900億円)に達したと指摘した。

 中国が昨年の国防白書で発表した06年の国防支出額(見通し)は約2838億元(約4兆4400億円)。IISSの推定額はその3倍以上で、日本の防衛費(約411億ドル)をはるかに上回った。急速な軍事費増大に日本など周辺国の懸念が高まるとともに、軍事情報の透明性向上を求める声も強まりそうだ。

 IISSは公式の国防予算に加え、通常は軍事費に含まれるものの中国では国防予算から除外されている研究開発費や海外からの武器調達費などを算入。より適正な国際比較のため、一部については人民元の公式為替レートを採用せず、購買力平価で独自の換算を行った。

中国軍幹部「宇宙の超大国一つではない」

2007/01/28 The Sankei Shimbun WEB-site

 スイス・ダボスでの世界経済フォーラムに出席している中国軍事科学院世界軍事研究部第2研究室の姚雲竹主任(上級大佐)は25日、中国が衛星攻撃兵器(ASAT)の実射実験に成功したことを踏まえ、「われわれの時代に宇宙空間は軍事化されると予測している」とコメントした。

 中国軍の現役幹部が実験に公式言及したのはこれが初めて。姚主任は「宇宙での超大国は一つではない」と暗に米国を牽制(けんせい)した。(ダボス AP)

最新戦闘機「殲10」大量配備 中国、台湾優位狙う

2007/01/22 The Sankei Shimbun WEB-site

 【北京=野口東秀】厚いベールに覆われてきた中国の最新の主力戦闘機「殲(せん)10」が大量に実戦配備された。機動性重視の欧米の主流戦闘機と「同等の戦闘能力」と中国側が誇る殲10を配備することで台湾海峡やインドをにらみ戦力バランスに変更を加えようとの意図が見える。レーダーに探知されにくい次世代の最新鋭機開発の原型ともなる。衛星攻撃兵器(ASAT)の開発・使用が指摘されたばかりの中国による軍事力増強の現実が浮き彫りになった。

 殲10の実戦配備について軍系航空機メーカー、中国航空工業第1集団の耿汝光・副総経理は今月5日の記者会見で「先進諸国との距離は縮まった」と自信をのぞかせた。共産党機関紙「人民日報」は1面で取り上げ、「中国は戦闘機と高性能の航空機エンジン、空対空ミサイルを開発できる世界で4番目の国」と自主開発能力を強調。同紙は連日、特集記事を1面で掲載してきた。

 中国メディアは殲10の離陸やミサイル発射、編隊飛行の映像も伝えた。空中給油能力を備え、レーダー探知性能も優れているという。欧米の主流戦闘機にも引けをとらないとメディアは「歴史的飛躍」と絶賛した。

 殲10は初期型が数年前に実戦配備されたとみられているが、実態はナゾに包まれている。今回、大々的に発表した背景には、国内向けには愛国主義高揚の効果を考え、対外的には航空戦力向上の自信と意思を誇示したと解釈される。台湾などに配備されている米国製の主流戦闘機F16や仏製ミラージュ2000に比べ「殲10は同等か優れている部分もある」と西側軍事専門家らに印象付けることで、台湾海峡で軍事的に優位に立とうとする思惑もうかがえる。

 今回の配備数、配備先は明らかにされていないが、北京の西側軍事筋によると、対台湾作戦を主に担う南京軍区や済南軍区などに配備されているとみられる。生産計画は改良型を含め1000から千数百機を見込んでいると推測されるが、300機程度の実戦配備を目標としているようだ。「中国軍が新たな作戦能力を有することになる。各方面で戦力バランスに大きな影響を与える」(西側軍事筋)という。

 殲10はロシア製戦闘機スホイ27のエンジンを改良し、近・遠距離からの対地、対艦攻撃能力など幅広い作戦能力を持たせたとされる「多用途戦闘機」。イスラエルが米国の技術支援を受けつつ開発したが最終的に米国の圧力で断念した「ラビ」戦闘機の技術も含まれているとも指摘されている。中国は今後、レーダーに探知されにくいステルス性を備え、自衛隊の次期主力戦闘機ともいわれる米軍の次世代戦闘機F22に対抗できるステルス戦闘機「殲14」の開発を目指すとみられる。

宇宙軍縮問題で波乱も ジュネーブ軍縮会議が開幕

2007年01月22日 中国新聞ニュース

 【ジュネーブ22日共同】ジュネーブ軍縮会議の2007年第1会期が22日、開幕した。中国が人工衛星の破壊実験に成功したことが明らかになり、日米両国が懸念を表明したことから「宇宙軍縮」を議題の1つとしている軍縮会議も波乱が予想される。

 軍縮会議は過去数年、宇宙軍縮と兵器用核分裂物質生産禁止(カットオフ)条約問題、包括的核軍縮、消極的安全保障(非核保有国に対する核攻撃、威嚇の禁止)の4つを主要議題としている。

 米ミサイル防衛構想を警戒する中国は、ロシアとともに宇宙軍縮問題を積極的に取り上げてきた。それだけに中国が衛星破壊実験を実施した影響は計り知れず、実験が結果的に宇宙軍縮協議の加速につながるのか、中国の行為を宇宙「軍拡」だと各国が非難して紛糾する展開となるのかは、軍縮外交筋も見極めがつかないとしている。

中国の衛星破壊「米経済に破滅的影響」 兵器制限へ誘導目的?

2007/01/21 The Sankei Shimbun WEB-site

 【ワシントン=山本秀也】中国が中距離弾道ミサイルを使った衛星攻撃兵器(ASAT)の実験に成功したことで、超党派で作る米議会の政策諮問機関「米中経済安保調査委員会」は19日、中国が米国の衛星を攻撃・破壊すれば、米軍だけでなく米国の経済活動にも「破滅的な影響」を与える可能性を警告した。

 また、実験の戦略的な意図について、米国のミサイル防衛(MD)封じ込めを視野におくASAT制限交渉に米国を引き込む目的だった可能性が浮上。米国が交渉を拒んだ場合でも、中国の衛星攻撃能力が今後10〜20年で米国の重大な脅威になる懸念が指摘された。

 米中経済安保調査委員会の警告は、国防総省顧問で中国軍事に詳しいピルズベリー博士が実験を踏まえてまとめた緊急報告書に盛り込まれた。中国軍の大佐級幹部が、ASATの開発と運用について、中国国内で示した30項目の提言をもとに分析した結果だ。

 報告書は、中国が米国の衛星を破壊する場合、警告のない奇襲攻撃となることを指摘。偵察、航法、通信を担当する米国の衛星50基に対する攻撃について、「攻撃が小規模であっても、米軍のほか米国の民間経済に破滅的な影響を与える」との見解を示した。

 分析のたたき台となった中国軍幹部の提言は、米軍のほか民間の自動車や船舶にも広く利用されているGPS(衛星利用測位システム)を破壊することなども強調。報告書はGPSや通信衛星に依存した市場や物流など経済活動の混乱を警告したかたちだ。

 今回の実験を受けて、「憂慮する科学者連盟」(UCS)など米国内のリベラル派から、中国が2002年に提案したASAT制限の国際的な枠組み締結を米政府に求める声が出始めた。

 これに関連して、報告書は中国の制限提案が、米国のMDを押さえ込む目的だった可能性を指摘。米側が制限交渉への参加を拒んだ場合には、将来的に潜水艦搭載まで見込む中国のASATが、米国のMDに新たな脅威となるとしている。

 ホワイトハウスのペリーノ副報道官は19日、北京とワシントンの外交ルートで中国側に実験への懸念を伝える一方、詳しい説明を求めていると指摘。「現在のところ中国側の回答は得られていない」と述べるとともに、日本、オーストラリアなど同盟国との共同歩調を重視する構えを示した。

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 ■口閉ざす中国

 【北京=野口東秀】衛星攻撃兵器(ASAT)実験について、中国政府は20日現在も事実関係を明らかにしていない。米科学者団体「憂慮する科学者連盟」は19日、破壊された気象衛星の破片が大小合わせて数百万個に達し、他の人工衛星に損傷を与える恐れがあると警告したが、にもかかわらず、口をつぐむ中国の姿勢に対し、国際社会の批判が高まりそうだ。

 中国外務省の劉建超報道官は19日夜、「中国は宇宙兵器拡大競争にも加わらない。脅威と感じる必要はない」と述べ、事実関係を確認しないまま「中国脅威論」の払拭に努めた。

 中国は「今世紀半ばまでの情報化された軍建設の完成」(06年国防白書)を目指し、軍が主導し野心的な宇宙開発を進めている。今年は3回目となる有人宇宙飛行船を打ち上げ、初の船外活動を行う予定だ。

 今回の実験は、米国を牽制するとともに、宇宙開発競争でも、米国と並ぶ大国としての認知を取り付ける狙いがある。実験の成功で、技術的にも「(中国にとり)かなりのハードルを越え、相当な技術力を得た」(専門家)とみられている。

 一方、憂慮する科学者連盟は、ホームページ上に声明を出し、中国にASATテストの中止を勧告するとともに、米国に宇宙利用に関する国際的な話し合いに加わるよう求めた。

中核に宇宙技術開発 軍近代化進める中国軍

2007/01/19 The Sankei Shimbun WEB-site

 中国は人民解放軍の総人員を減らして部隊の精鋭化を図る一方、情報ハイテク化や戦略ミサイル部隊の増強を推進している。さらに、これまで2度の有人宇宙船や数十回に及ぶ国産ロケットの打ち上げに成功、軍近代化の核として宇宙技術開発に力を入れている。

 弾道ミサイルを使った今回の気象衛星の破壊について中国は情報公開しておらず、成功が事実なら軍の最高機密と位置付けている可能性が高い。

 中国政府は昨年末公表した国防白書で、今世紀中ごろまでに情報化された軍隊の完成を目指すと強調。海、空軍と戦略ミサイル部隊「第二砲兵部隊」の拡充に努めていることを明らかにした。

 中国が保有するミサイルは大陸間弾道ミサイル(ICBM)46基、中距離弾道ミサイル35基、短距離弾道ミサイル725基などとされる。

 一方、宇宙兵器開発で圧倒的優位に立つ米国への対抗上、軍事技術獲得につながる有人宇宙飛行計画を積極的に推進。2003年と05年には有人宇宙船の打ち上げにそれぞれ成功したが、こうした開発にかかる資金は国防費として計上されていない。(共同)

中国、衛星破壊実験に成功 弾道ミサイル使用

2007/01/19 The Sankei Shimbun

 中国が高度約850キロの宇宙空間で、弾道ミサイルに搭載した弾頭で老朽化した自国の人工衛星を破壊する実験に成功し、米情報当局が詳細を確認中だと米航空専門誌が18日伝えた。スノー大統領報道官は同日の記者会見で、中国に既に懸念を伝えたと述べ、実験情報を事実上確認した。

 中国による衛星破壊実験が表面化したのは初めて。実験の成功が事実なら、有人宇宙飛行に成功するなど「宇宙大国」化を目指す中国が、米国などの軍事衛星に対する直接攻撃能力を獲得したことを意味し、宇宙空間をめぐる米中間の緊張が新局面に入ることは避けられない。

 米政府当局者によると、米国のほかオーストラリア、カナダも中国に懸念を伝え、日本、英国、韓国も懸念伝達を準備している。国際社会の警戒感が一気に高まるのは必至だ。

 同専門誌エビエーション・ウィーク・アンド・スペース・テクノロジー(電子版)によると、実験は米東部時間の今月11日午後5時28分(日本時間同12日午前7時28分)に行われた。中国の衛星発射センターがある四川省西昌の上空付近の宇宙空間で、弾道ミサイルを直撃し破壊する「キネティック弾頭」により、1999年に打ち上げた気象衛星「風雲1号C」を破壊した。

 同誌は、残骸(ざんがい)が「宇宙のごみ」として、他の衛星などに悪影響を及ぼす可能性も指摘。CNNテレビは、今回の実験前、中国が計3回の失敗を繰り返していたと伝えた。

 米国は85年を最後に衛星を標的にした同種の実験を実施していない。

 米中は、米航空宇宙局(NASA)のマイケル・グリフィン局長が昨年秋に訪中するなど、宇宙科学分野での交流を強化しているが、今回の実験による影響は避けられないとみられる。(共同)

中国・最新型戦闘機「殲-10」:どこからスパイした!

2007/01/10 京都政経調査会

中国国防白書、北の核警戒 日米同盟強化に憂慮

2006/12/30 The Sankei Shimbun

 【北京=野口東秀】中国政府は29日、「2006年国防白書」を発表した。白書は北朝鮮のミサイル連射と核実験により「朝鮮半島と東北アジアの情勢はさらに複雑で深刻さを増している」と指摘したほか、米国の軍事力増強と日米同盟強化に憂慮を示した。また、今世紀中ごろまでに「情報戦争に勝てる戦略目標を実現する」と強調した。

 白書はアジア・太平洋地域の安全保障情勢について「米国が同地域で軍事能力を増強している」とした上で、「日米は軍事同盟を強化、軍事一体化を推進している。日本は憲法改正と集団的自衛権行使を追求しており、軍事力の対外的展開の動向は明白だ」と強い警戒感を示した。

 また、「少数の国が軍事同盟を強化し、武力行使や威嚇を行っている」と暗に米国を批判したほか、台湾独立勢力の動きを「深刻」と指摘した。

 白書は「中国脅威論」をかわすことと「軍の近代化建設」への邁進(まいしん)が柱となっている。

 06年の国防費の見通しについて2838億元(約4兆3000億円)と明示したが、米国防総省の担当者はかねて実際の国防費は公表額の3倍と指摘している。急増の理由について給料や福祉など軍人の待遇改善、人材育成費用など人件費が増加したことを説明しただけで、透明性を求める国際社会の声に応えるものにはなっていない。

 中国軍の規模は03年から20万人減少し、現在の人民解放軍の人員は230万人とした。海、空軍と戦略ミサイル部隊は増加し、武装警察部隊も現在、66万人としている。特に東シナ海ガス田問題などを念頭に近海防衛戦略を強化することを挙げ、原子力潜水艦によるとみられる核反撃能力を高めるとして日米を強く牽制(けんせい)した。「武器装備の自主開発能力の強化」を図ることも強調している。中国の国防白書は2年ぶり5回目。

北朝鮮核実験に警戒感 中国国防白書、対日懸念も

2006/12/29 中国新聞ニュース

 【北京29日共同=渡辺陽介】中国政府は二十九日、国防白書「二○○六年 中国の国防」を発表、北朝鮮の「ミサイル試射」と核実験により「朝鮮半島と北東アジア情勢は複雑さ、深刻さを増している」と警戒感を表明した。中国の国防白書発表は二年ぶり。

 白書は、日本と米国の「軍事的一体化」が進む一方、日本は「憲法改正と集団的自衛権行使」を追求し「軍事力の対外的展開の動向は明白」と強く懸念。現在の人民解放軍の人員を二百三十万人としたが、各軍種の具体的な装備の内容などは明らかにせず、日本、欧米などから上がっている軍事情報の透明性向上要求には応えていない。

 また、今世紀中ごろまでに情報化された軍隊の完成を目指すと強調。東シナ海ガス田問題などを念頭に近海の海上作戦能力を高め、原子力潜水艦による「核反撃能力」の強化を図るとした。○三年から軍の総人員を二十万人減らす中で海、空軍と戦略ミサイル部隊は増加した。暴動鎮圧などを担当する武装警察部隊は現在六十六万人とした。

 白書は大量破壊兵器の拡散は深刻と指摘。「少数の国は軍事同盟を強化し武力行使や威嚇を行っている」と米国を暗に批判、台湾独立勢力の動きは「深刻」と警戒感を表明した。○六年の国防支出は二千八百三十八億元(約四兆三千億円)の見通し。○五年は二千四百七十四億元で日本の67%相当にすぎないと強調した。

米紙「中国、米B2ステルス爆撃機の機密入手」

2006/11/25 NEWSIS/朝鮮日報JNS

 「中国は米国ハワイに拠点がある海外スパイ網を通じ、米B2ステルス爆撃機のエンジンの機密を入手した」と米ワシントン・タイムズ紙が23日、報道した。

 同紙は検察の起訴状を引用、「米国防省と契約し、B2ステルス爆撃機開発に携わったインド系米国人技術者ノシル・ゴワディア被告(ハワイ・マウイ島在住)が、B2機のエンジン排気システムや赤外線観測を逃れられる機密技術を中国に売り渡した」と伝えている。

 ゴワディア被告は捜査当局に逮捕されている。同紙によると、ゴワディア被告はレーダー探知を困難にする巡航ミサイルエンジンの排気システムに関する技術を中国に渡し、巡航ミサイル開発に関する多くの技術も流出させたとのことだ。

 同紙はこの前日、「中国はアメリカ空母を狙った新型ミサイルと海上武器を開発している」と報じていた。

 また、これより先に同紙は、「中国の潜水艦は先月末、沖縄の海域で米空母キティホークを密かに追跡していたところを摘発された」と報道していた。

「現場は公海」米空母追跡で中国 合法性強調か

2006/11/18 The Sankei Shimbun

 【ワシントン=山本秀也】沖縄近海を航行中の米空母「キティホーク」が中国海軍の潜水艦に追跡された問題で、中国訪問中のラフェッド米太平洋艦隊司令官は17日、中国軍当局者から潜水艦の活動は公海上であり、領海侵犯などには当たらないとの説明を受けたことを明らかにした。

 AP通信が伝えたもので、問題となった潜水艦の活動を中国側が確認したのはこれが初めて。中国外務省の報道官は、事態を最初に伝えた米紙ワシントン・タイムズについて「報道は正確ではない」と指摘していた。

 説明に当たった中国軍当局者は明らかにされていない。中国側の発表によれば、ラフェッド司令官は同日、中国軍の葛振峰副総参謀長と北京で会談していた。

 同紙の伝えた洋上での事態は、中国のソン(宋)級潜水艦が航行中の米空母を約8キロの魚雷射程圏内まで追跡するという挑発行動に出たというもので、公海上かどうかは問題となっていなかった。このため、軍当局者の説明の真意や、報道のどの部分を不正確だとしているのかなど、中国側の意図は依然不明だ。

 中国海軍の潜水艦では、2004年にハン(漢)級原子力潜水艦が石垣島周辺の日本領海を侵犯し、日中間の外交問題となっていた。中国軍当局者は、この領海侵犯事件を念頭に活動海域の合法性を強調した可能性もあるようだ。

中国潜水艦が追跡 射程圏内も米空母気づかず

2006/11/15 The Sankei Shimbun

 【ワシントン=山本秀也】沖縄近海の太平洋上で10月末、米海軍空母「キティホーク」が中国海軍の通常型潜水艦の追跡を受け、魚雷などの射程圏内に接近されても探知できなかったことが14日までに分かった。米太平洋軍のファロン司令官が、米メディアの報道を確認した。中国海軍は軍備の拡充を急速に進めてきたが、米空母を狙った今回の挑発的な行動は、ガス田開発の進む東シナ海や台湾海峡など、日本周辺で不測の事態を招く懸念を浮き彫りにした。

 AP通信によると、クアラルンプール訪問中のファロン司令官は14日、沖縄近海を航行していたキティホーク戦闘群が中国潜水艦の接近を受けたことを確認。当時、同戦闘群は通常の訓練中だったといい、「中国の潜水艦が訓練水域の中にまで入っていれば、不測の事態にエスカレートすることもあった」と危険な状況だったことを認めた。

 13日付の米紙ワシントン・タイムズは、米国防総省当局者の話として、キティホークが先月26日、中国潜水艦の追跡を受けた末、哨戒機が後方約8キロの水上に浮上した潜水艦を発見するまで探知できなかったと伝えた。

 ソン(宋)級潜水艦はロシア製の誘導型魚雷のほか、対艦ミサイルを搭載。浮上した水域は、兵装の射程圏内だった。

中国、米偵察衛星にレーザー照射 米軍事紙が報道

2006/09/27 The Sankei Shimbun

 【ワシントン=山本秀也】米軍事専門紙ディフェンス・ニュース(25日付)によると、地球を回る軌道上にある米国の軍事偵察衛星が、中国領内に設置された対衛星兵器によるレーザー照射を受けた。照射は光学機器など衛星の「目」を狙って偵察能力を奪うことを目的としたもので、これまで数年にわたり複数回の照射が確認されたという。複数の消息筋の話として伝えた。照射による衛星への実害や、実際の運用に影響があったのかは明らかでない。この兵器は高密度レーザーを軌道上の衛星に向けて照射するものだが、中国の開発レベルでは当面、衛星の破壊よりも偵察活動を妨害する「目つぶし」を狙っているもようだ。

 米国防当局は、最近の国防報告で、偵察衛星の破壊や妨害を狙う中国の対衛星兵器の開発に警鐘を鳴らしてきた。米の偵察衛星には、精密な光学機器を使って高い解像度を誇る「キーホール」や、天候に左右されないレーダー装置を搭載した「ラクロス」などがあり、中国側のレーザー照射はこうした衛星を狙ったものとみられる。

最新レーダー試験 中国で6月墜落の軍用機

2006/09/09 The Sankei Shimbun

≪AWACS用、技術者16人搭乗≫

 【北京=野口東秀】中国安徽省で6月3日に軍用機が墜落し、搭乗者40人全員が死亡したが、香港の人権団体「中国人権民主化運動情報センター」によると、死亡した40人のうち16人が「中国電子集団」傘下の研究所や工業大学に所属する電子技術関係の専門家であることがわかった。これに関連し、北京の西側軍事筋は、同機では、中国が配備を進める早期警戒管制機(AWACS)に搭載する最新レーダーの試験が行われていた、との見方を明らかにした。

 墜落した機種をめぐっては6月の事故当時、香港紙などが、ロシア機を元に自主開発した最新型AWACS「KJ2000」の可能性が高いと伝えたが、西側軍事筋は、事故機は国産の「Y8」型輸送機か、同機をベースにしたY8型AWACSの可能性が高いと指摘した。

 Y8型AWACSの場合、同機に搭載されている早期警戒レーダーアンテナが、スウェーデン製のレーダーアンテナに似ていることがかねてより指摘されていたが、実際に中国が技術支援を受けていたかどうかは不明だった。これについて同筋は、今回搭載されていたのは中国が第3国経由で購入した同レーダーである可能性を指摘、さらに同レーダーに詳しい南西アジアの国の技術者が同乗していたとしている。

 7日の新華社電は、事故原因について、「任務中、氷が機体に固まりコントロールを喪失」と伝えたが、同筋は「搭載する電子機器の実地の測量テスト中に、飛行技術か機体のバランスに問題が起こったようだ」と分析した。

 この事故について、中国の中央軍事委員会は、南京軍区の江建曽副司令官兼空軍司令官に対し、「重大な過失があった」と記録する処分を行った。他に同軍区の副政治委員や空軍装備部副部長ら10人も監督責任を問われ、処分を受けた。

「米のイージス艦に対抗」中、超音速ミサイル艦を配置

2006.08.18 中央日報 チョン・ヨンファン記者

米国と日本のミサイル防衛(MD)体制共助強化に危機感を感じた中国が、最新兵器導入で対立している。北東アジアに目に見えない軍費競争がヒートアップしているのだ。

中国はMDの核心であるイージス艦に対抗するためにロシアからソブレメンヌイ級最新駆逐艦を続々と取り入れたのに続き、戦闘爆撃機で運用する超音速巡航ミサイル「鷹撃−83」を最新駆逐艦など実戦配置に入り、戦術応用幅を大きく広げている。

北京青年報が発行する週刊誌では16日、カナダで発行される軍事雑誌「漢和防務評論」を引用してこのように報道した。これによると中国海軍のMDに対する対応能力は最近になって大きく向上している。昨年末までソブレメンヌイ級ミサイル駆逐艦3隻を実戦配置した中国海軍は今年の内にまた1隻を配置する予定だ。近いうちにロシアからソブレメンヌイ級駆逐艦2隻を追加で発注するという観測もある。

1隻で6億ドル(約5400億ウォン)以上というソブレメンヌイ級駆逐艦には「イージス艦キラー」と呼ばれるSSN−22sunburnミサイルが搭載されている。この駆逐艦に射程距離が250キロである超音速鷹撃−83が追加装着されれば威力は倍になる。

鷹撃−83は発射された状態でも攻撃対象に関する情報を随時読込むことができるほか、超音速で飛ぶため撃墜するのは非常に難しいミサイルであると評価される。軍事専門家らは「鷹撃−83を艦上で発射すれば台湾全域が射程圏に入るだけでなく、射程距離が長く、米海軍の主力ミサイル打撃範囲外への攻撃が可能だ」と評価する。

週刊誌は「鷹撃−83を新型ミサイル高速艇に装着してほかの大型艦艇と合同作戦をすることができるようになった点も、中国海軍の作戦能力を倍増した」と評価した。

中国海軍副司令官、汚職などで解任…異例の公表

2006年06月29日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【北京=末続哲也】29日の新華社電によると、中国海軍の王守業・副司令官(62)=中将=が今年に入り、職権を乱用した収賄や、道徳的腐敗という規則違反を犯したとして、解任されていたことが明らかになった。

 王前副司令官の全国人民代表大会(全人代=国会)代表の資格も29日に取り消された。

 中国軍幹部の不正が公表されるのは珍しい。

 軍内の綱紀粛正のため、あえて公表した模様だ。軍幹部の汚職横行が問題化している可能性もある。新華社電によると、王前副司令官と「不適切な関係」にあった女性の告発で、今回の問題が発覚した。

 香港誌・争鳴5月号は、王前副司令官が軍総後勤部幹部だった1997年から2001年に、1憶6000万元(約23億円)の収賄や公金流用を行ったほか、5人の愛人を持つなどしたため、軍事法廷で今年4月に執行猶予付きの死刑判決を受けたと報じていた。

中国護衛艦沈没、13人不明か 香港貨物船と衝突

2006/06/26 The Sankei Shimbun

 香港政府などによると、中国広東省を流れる珠江の河口付近で22日、中国軍の護衛艦とみられる船が香港の民間貨物船(約2万トン)と衝突した。26日付の一部香港紙は、衝突で護衛艦とみられる船が沈没、乗員13人が行方不明になっていると報じた。

 広東省当局は貨物船に対する調査を26日も続けており、香港政府は貨物船の乗員にけががなかったかどうかなど事故の詳細について今後、広東省当局に問い合わせる。(共同)

戦略ミサイル部隊が胡主席を称賛 軍掌握を印象づける

2006/06/23 The Sankei Shimbun

 【北京=野口東秀】中国で大陸間弾道ミサイル(ICBM)などの戦略核兵器やミサイル兵器を専門に扱う第二砲兵(戦略ミサイル部隊)のトップ2人が連名で、党理論誌「求是」最新号に論文を発表し、同部隊が中国共産党の指導下にある点を何度も強調した。軍の主要幹部が胡錦濤国家主席(党中央軍事委員会主席)の名前を挙げて、称賛するのは異例で、胡主席が軍を完全掌握しつつあることをうかがわせている。

 論文は7月1日の第二砲兵創設40周年を記念したもので、「戦略部隊の歴史的使命を忠実に実行する」と題している。

 筆者は第二砲兵の彭小楓・政治委員と靖志遠・司令員の2指導者で、同部隊のトップ2人が連名で、このような論文を発表するのは珍しい。

 論文は、胡主席が同部隊の役割として強調した点について、「党中央、中央軍委が直接掌握し、胡錦濤主席の指揮下にある」として、第二砲兵は「中国の戦略的抑止力の革新的な力であり、特殊で重要な地位と作用がある」と位置づけている。

 中国では、軍はいまだに前任の江沢民・中央軍事委主席の影響下にあり、胡主席は依然として軍権を掌握していないとの見方があったが、この論文は、胡主席が軍権を掌握しつつあることを強調する狙いがあるようだ。

 一方、論文は今後の第二砲兵の任務として、「国家主権と領土保全」などを理由にした「軍事戦略能力」の向上を指摘したうえで、「中国に対して使用される核兵器に対する抑止が主な任務で、核による反撃と通常型ミサイルの正確な打撃が任務だ」と述べている。これは台湾有事の際の米軍の介入を前提としたものとみられる。

日系工場近くに中国軍用機、墜落 守衛1人死亡

2006/06/14 The Sankei Shimbun

 14日付香港各紙によると、中国福建省福州市の日系工場近くに12日、中国の国産戦闘機「殲(せん)7」とみられる飛行訓練中の軍用機が墜落し、工場の守衛1人が死亡、付近にいたバイクの男性が行方不明となった。パイロットはパラシュートで脱出し無事だった。

 報道を受けて調査を始めた広東省広州市の日本総領事館によると、墜落はあったとみられるが日系工場への被害は確認できないという。中国当局がかん口令を敷いているとみられる上、総領事館が把握していない進出企業もあり、正確な情報収集は難しい状況だ。

 中国では3日、安徽省で最新の空中警戒管制機(AWACS)とみられる国産軍用機が墜落、搭乗の40人が死亡した。(共同)

世界の軍事費128兆円 中国の兵器輸入、世界最大

2006/06/12 The Sankei Shimbun

 スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)が12日発表した2006年版の年鑑によると、05年の世界の軍事費は、米国の対テロ戦争に絡む軍事支出の伸びが影響し、推計で前年比実質3.4%増の1兆1180億ドル(約128兆円)に達した。

 米国だけで全体の半分弱を占め、5%前後で続く英国、フランスを大きく引き離し突出。4番目が日本、5番目が中国と続いた。中国の通常兵器輸入総額は01―05年の合計で133億4300万ドルと世界最大だった。同国の軍事費は「過去10年以上、多くの年で前年実質比10%を超す伸びを示した」と指摘、05年は443億ドルと推計した。

 米英などが、多額の費用のかかるイラクなどでの海外派兵を行っていることなどから、報告書は「少なくとも上位4カ国が今後も軍事費を増加させる可能性が高い」と指摘した。

 また過去数年、原油や天然ガスなどの国際価格の上昇に伴う利益を、中東などの資源国が武器購入などにつぎ込んでいる傾向があるという。(共同)

墜落軍用機は国産AWACSか 中国、開発計画見直しも

2006/06/07 The Sankei Shimbun

 中国安徽省で3日に軍用機が墜落した事故で、墜落したのは中国がロシア機を基に自主開発した最新の空中警戒管制機(AWACS)「KJ2000」だった可能性が高まっていると中国系香港紙、大公報などが6日までに伝えた。

 新華社は「輸送機」の墜落事故と伝えていた。軍事専門家も「事故処理状況などから墜落機がハイテク機だったことは明らか」(平可夫・漢和情報センター代表)と指摘。今後の新型機開発計画が見直しを迫られる可能性もありそうだ。

 同機に搭乗していて死亡した40人の大半は電子部門担当の一級の専門家だった可能性があるとされる。「建軍以来最悪の空軍事故」(大公報)との見方も出ている。

 国産AWACSについては、国防科学技術工業委員会の幹部が最近、各部隊に配備済みであることを公表し、高度な技術の獲得に強い自信を示していた。同機は南京軍区に2機配備され、飛行訓練を連日繰り返していたとみられる。

 事故後、共産党中央軍事委員会の郭伯雄副主席らが直ちに現地入りして調査を始めたほか、胡錦濤国家主席も遺族らに弔電を送り、関係者に原因の徹底究明を命じた。(共同)

周恩来からフルシチョフへ電報 中国が外交文書として公開

2006/06/05 The Sankei Shimbun

≪最新型の兵器や大量の武器など要求≫

 【北京=野口東秀】中国外務省は、中国人民解放軍が1958年8月、台湾に逃れた国民党軍支配下の金門島などへの大規模砲撃を行う直前、周恩来首相がソ連のフルシチョフ首相に送った2つの電報を外交文書として公開した。2つの電報では、いずれも最新型の兵器や大量の武器などを要求している。

 1つ目の電報は同年6月28日付。当時、フルシチョフ首相は「中ソ共同艦隊」の編成やソ連艦艇の中国寄航などを提案していた。

 しかし、周首相は電報で、「ソ連の援助でわが国の造船技術は艦艇を建造できる技術を得、海軍建設の基礎を建立した」と謝意を述べているもの、中国はあくまでも自主的な海軍建造にこだわる姿勢を示している。

 そのうえで、周首相は「新しい技術援助」を要求。具体的に「新型戦闘艦艇及び、携帯ロケットとミサイルを配備した艦艇の設計図、これらの艦艇を製造するための機械と部品・材料などの設計図と計算資料」を挙げた。さらに「年内にミサイル潜水艦、高速艦艇の設計資料」の提供も求めている。

 周首相は、これらのソ連の軍事援助による「中国の国防力の増強は両国の共同事業に有利である」と結論付けている。

 2つ目の電報は金門砲撃直前の2月11日付。

 周首相は「最近の(国民党軍との)空中戦では、ミグ17は米国製F−84への優越性を示した」と切り出したうえで、「台湾は米国にF−100型超音速戦闘機を要求し、米国は59年春からの提供に同意したとみられる」とフルシチョフ首相に注意を喚起。

 続けて、周首相は「わが国のミグ19II型の製造は59年5月以降にようやく成功する。準備、配備に迫られている」として、戦闘機の実戦配備に時間がかかることを説明したうえで、ソ連に対して、ミグ19C型戦闘機30機、ロケット弾3万2000発、砲弾45万発など大量の兵器類の提供を求めている。

スーダンに初のPKO部隊 中国軍、過去最大規模

2006/05/28 The Sankei Shimbun

 中国は28日までに、国連スーダン派遣団(UNMIS)の派遣を決めた昨年3月の国連安全保障理事会決議に基づき、スーダン南部での平和維持活動(PKO)に参加する人民解放軍兵士約430人を現地に派遣した。新華社などが同日までに伝えた。中国がスーダンにPKO部隊を派遣するのは今回が初めて。派遣規模も、ハイチ派遣などを上回り過去最大としている。

 中国各紙の報道によると、今回派遣されたのは済南軍区の部隊。国連関係者の警護や医療援助、住民支援などに当たるという。派遣期間は6年半。(共同)

兵力の1位は中国、北韓4位、韓国6位

2006-05-26 KBS WORLD

世界の軍隊で兵力が最も多いのは、中国、北韓は4位、韓国は6位であることが、イギリスの民間研究機関「国際戦略問題研究所」の集計で明らかになりました。

 それによりますと、中国は陸海空合わせて225万5000人の兵力を保有しており、続いて2位は、アメリカで154万6000人、3位はインドで132万5000人、4位は北韓で110万6000人、5位はロシアで102万7000人、韓国は6位で68万7000人です。

 国際戦略問題研究所は、全世界の現役の兵力は合わせて1995万5000人、国防予算は1兆971億1561万ドルにのぼるものと推定しています。

中国の国防予算、公表額の1・7倍…英研究所が試算

2006年05月24日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ロンドン=飯塚恵子】英国際戦略研究所(IISS)は24日、世界各国の軍事力や安全保障情勢を分析した報告書「ミリタリー・バランス2006年版」を発表した。

 この中で、不透明な中国の国防予算について特集を組み、03年度予算は約755億ドルで、中国政府による公表額の約1・7倍にあたる、とした独自の試算を公開した。

 中国が公表する国防予算について、報告書は 〈1〉外国からの武器購入費 〈2〉防衛産業への補助金 〈3〉人民解放軍による外国への武器輸出収入 〈4〉調査研究費 〈5〉人民武装警察予算 〈6〉地域の民兵支援費 ――など、通常西側諸国の国防予算に含まれる項目が除かれている、と指摘。

 特に、武器購入については「主たる武器供給国はロシア」だとし、大半の武器調達は軍部ではなく、中央政府(国務院)予算から充てられている、と指摘。大使館警備や要人警護を担当する人民武装警察予算も国務院財政省からの支出だとしている。そのうえで、これらを加えた全体の総額は約396億ドルで、中国の購買力平価で換算すると、約755億ドルに達するとした。

中国へ巡航ミサイル輸出図る 空軍の調達扱う台湾人

2006/05/18 The Sankei Shimbun

 【ワシントン=山本秀也】米司法省は17日、フロリダ州フォートローダーデールの連邦地裁で公判中の台湾人男性が、F16戦闘機のエンジンなど米国製装備を中国向けに不正輸出しようとしたことを認めたと発表した。男性は中国側の秘密エージェントだったことも認めている。対象となった装備には、核弾頭搭載可能な空中発射型巡航ミサイルも含まれていた。

 この男性は、台北で米航空機メーカー、ロッキード・マーティン社の代理会社を経営していた慕可舜被告(58)。不正輸出に絡む共謀罪などで米司法当局により今年2月に訴追され、同日の公判で起訴事実を認めた。

 起訴状などによると、台湾空軍の装備調達を扱っていた慕被告は2004年初めごろ、別のフランス人男性とともに米国製装備を中国に輸出することを画策。具体的には、F16戦闘機とブラックホーク軍用ヘリのエンジン▽AGM129型対地巡航ミサイル▽AIM120型空対空ミサイルの調達を図った。

 昨年8月になって、米税関当局のおとり捜査官にエンジンと巡航ミサイルの購入を働きかけ、保証金として390万ドルをスイスの銀行に送金していた。慕被告は昨年11月に米国内で逮捕されていた。

 米税関当局者は「被告は最近逮捕できた中国の武器密輸犯では最も重要なケース」としており、先端兵器や関連技術の保全を図る必要を強調している。

 ロイター通信は、F16戦闘機のエンジンの仕向け先が、中国の戦闘機工場がある瀋陽(遼寧省)の国際空港だったと伝えた。

 慕被告は逮捕後の契約解除まで約10年間、ロッキード社と代理契約を結んでいたとも伝えられる。訴追された一連の未遂事件以外の余罪や中国側機関に取り込まれた経緯などは不明だ。

 米国ではこれまでにも、中国の軍事スパイ事件が発覚。持ち出された技術には、核弾頭や弾道ミサイルの関連技術も含まれていた。慕被告には、最高で30年の収監と罰金200万ドルの判決が下される可能性がある。

米、グアムでの軍事演習に中国軍幹部招へい

2006/05/10 The Sankei Shimbun

 【北京=野口東秀】ファロン米太平洋軍司令官は15日、訪問先の中国・瀋陽で会見し、米軍がグアム島周辺海域で6月17日から19日にかけて実施する軍事演習「バリアント・シールド」に中国軍幹部をオブザーバーとして招請したことを明らかにした。グアムは、台湾有事などに備えた重要な戦略拠点で、米中両軍の信頼醸成のための措置であると同時に、東シナ海からグアムを結ぶ海域で活発な動きをみせる中国軍を牽制(けんせい)する意図もあるようだ。

よみがえる「孫子の兵法」、中国軍の訓練教材に採用

2006/05/10 The Sankei Shimbun

 「敵を知り己を知れば百戦危うからず」などの数々の名言で知られる「孫子の兵法」が中国人民解放軍の訓練教材として正式に採用されることになった。現代中国では文化大革命(1966―76年)を経て「封建的」といわれ、その理論の認知が遅れていたが、今回、解放軍の教材となったことで、ようやく再評価された格好だ。

 軍機関紙「解放軍報」によると、解放軍の最高研究機関のひとつ、軍事科学院が孫子の兵法を項目別に分けるなどの編纂作業を行い、教材として「孫子兵法軍官読本」と題し近く出版する。

 原文は全部で13章に分かれているが、教材では、それぞれの章に注釈や用語解説、要点などが付けられ、付録として孫子の名言や警句、国内外における孫子研究の書籍リストも加えられる。

 孫子の兵法は約2500年前の春秋時代の呉などで活躍した孫武が著したとされる。しかし時を経て散逸したり、他人の著作が混入するなど、原典が分からなくなった。現在伝えられている書は三国時代・魏の曹操(155―220年)が整理・分類したといわれる。

 この孫子の兵法が現代中国で再び注目されるようになったのは最近のこと。米陸軍士官学校ウエスト・ポイントの教材に採用されたほか、米ハーバード大学でもビジネススクールの教材に使われ、日本でも孫子の兵法をもとにした経営書が発行されるなど、海外で注目を浴びるようになったためといわれる。

 また、胡錦濤国家主席が4月下旬、訪米した際、ブッシュ大統領に、絹製で、世界で1冊しかない孫子の兵法の書を贈ったことでも、中国で同書が再評価されたことを印象付けた。

原潜、日本領海侵入 「中国、海底調査が目的」

2006/05/10 The Sankei Shimbun東京朝刊から

≪米専門家 事故説に疑問「意図的行動」≫

 【ワシントン=古森義久】米国海軍大学の中国潜水艦研究専門家らが8日、2004年11月に中国の原子力潜水艦が日本領海に侵入した事件について、中国側の海底調査などを目的とした意図的な侵犯だった可能性が高いとする論文を発表した。中国側は原潜による核兵器戦力の増強に力を注いでおり、その野心的な原潜強化の過程で起きた日本領海侵入だろうという。

 ワシントンの大手研究所「AEI」が8日に開いた「中国の水中戦争=戦略と能力」と題する中国海軍の潜水艦戦略についてのシンポジウムで、講師として発言した米国海軍大学のアンドリュー・エリックソン研究員とライル・ゴールドスタイン准教授は、中国海軍が長期戦略として原子力潜水艦と潜水艦発射の核ミサイルの増強に最大の力を注いでいると指摘した。2人とも中国海軍、とくに潜水艦研究が専門で、中国側の動きの例証として2004年11月に中国海軍の「漢」級攻撃型原潜が日本の領海に侵入した事件を分析した共同研究論文を提示した。

 同論文は「漢」級原潜が石垣島と宮古島の間の海域の日本領海に侵入した事件を詳しく紹介し、中国外務省は「技術的なミス」が原因の事故だと釈明し、「事故説」が定着したかのようにもみえるとしながらも、その後の中国原潜一般などの動きの調査により、「事故ではないという見解」が強くなったと述べている。

 同論文は当時の日本領海侵入が中国海軍による意図的な行動だった可能性が強くなったとして、その理由について

 (1)中国の潜水艦群のその後の動きから、石垣島と宮古島の間の狭い水域は中国原潜の一貫した海底調査の主対象であり、問題の「漢」級も日本の領海にどこから侵入するのが容易かを調べるために実際に侵入した可能性が高くなった

 (2)「漢」級が所在を探知された日本領海の地点は完全な公海からは120キロも離れた水域だったため、「技術的ミス」での誤侵入を裏づけることは難しい

 (3)日本側が追尾中に確認した「漢」級原潜の艇長の東シナ海での操縦技術の水準はきわめて高く、間違った水域に侵入する可能性は少ない

 (4)当時、胡錦濤国家主席はこの原潜の日本領海侵入を知らなかった形跡もあり、政治指導層と軍部との不和が侵入の原因だった可能性もある −ことなどを指摘した。

台湾の工作機械 中国が軍事転用

2006/04/12 The Sankei Shimbun

 【台北=長谷川周人】台湾製の超高精度な工作機械が中国で大量に軍事転用され、武装ヘリコプターの攻撃能力を高めるなど、中国軍による兵器近代化に利用されていることが11日分かった。中国が800基を超える短距離弾道ミサイルを台湾に向けて配備するなか、台湾企業の技術がその下支えをするという皮肉な実態が浮き彫りになった。

 台湾の国防当局関係者らによると、中国での軍事転用が確認されたのは、NC(数値制御)旋盤加工と呼ばれる1000分の1ミリ単位の超高精度で金属を加工する台湾製の特種工作機械。昨年の後半段階では、ミサイルの発射装置に使うステンレス部品の加工のため、少なくとも数十台がフル稼働していた。

 部品の形状などから攻撃ヘリに搭載する発射装置とみられるが、中国海軍主力の「直昇9C(Z−9C)」は対潜ヘリで、対戦車、対空ミサイルは搭載していない。

 このため台湾の国防当局では「問題の部品は軽量化が施された多連装式で、陸軍が中国初の本格的な攻撃ヘリとして、台湾上陸作戦も視野に入れて開発した『武直10(WZ10)』に搭載されると考えられる。超高精度加工は精度向上などが目的とみられる」と分析する。

独、中国人スパイの監視強化

2006/04/02 The Sankei Shimbun

 【ベルリン=黒沢潤】3日発売予定のドイツ誌フォークスは、独連邦憲法擁護庁(日本の公安調査庁に相当)が独国内で活動する中国人スパイの監視を強化する方針だと伝えた。在ベルリン中国大使館が現在、ドイツの軍事・経済分野の機密情報を積極的に収集していることへの措置とみられる。

 中国当局はまた、独在住の中国人反体制活動家の摘発も強めているという。

中国が新型誘導弾の実験成功 香港紙伝える

2006/03/27 The Sankei Shimbun

 27日付中国系香港紙、文匯報などによると、中国人民解放軍の北京軍区に属する空軍部隊が今月、新型の地対空誘導弾の発射実験を成功させた。文匯報は、中国が今回の実験成功により、米国のパトリオットと同様の機能を持つ地対空誘導弾の配備が可能になったとしている。

 中国空軍は既に、高度数千メートル以上に位置する敵側偵察機を攻撃することが可能な地対空誘導弾を配備するなど、防空能力を高めているという。(共同)

中国軍拡 米専門家分析 中台08−15年に危機

平成18(2006)年03月19日[日] The Sankei Shimbun

弾道ミサイル増/6万トン級空母?

 【ワシントン=山本秀也】米国の軍事・安保専門家らが、米議会の超党派諮問機関である「米中経済安保調査委員会」の公聴会(十六−十七日)で、中国の軍事動向についての分析を報告した。公表ベースで十八年連続の国防費二けた増という中国の軍拡の背景には、台湾への武力行使と日米の介入を排除する狙いがあり、台湾をめぐる緊張は、二〇〇八年から一五年の間に最も高まる−などという分析でほぼ一致した。 

 遠洋型海軍への転換や弾道・巡航ミサイルの大量配備といった中国の軍拡が、台湾統一に向けた戦略の柱であることは多くの専門家が指摘した。とりわけ、中国側が台湾に対して絶対的な優位にある射程三百−千七百キロを中心とした弾道ミサイルは、「年間七十五−百基のペース」で増加している状況に、ほぼ全員が懸念を示した。

 危機の訪れる時期について、米太平洋軍の統合情報本部で上級分析官を務めたコルテス・クーパー氏(ヒックス・アンド・アソシエーツ東アジア部長)は、「二〇〇八年から二〇一五年の間を心配すべきだ」と語る。中国の新型装備が〇八年ごろ配備を完了するのに対し、ミサイル防衛など米軍の新たな地域抑止力が整うのは一五年ごろと予想されるためだ。

 この間には日本の役割が相対的に高まる一方、米台だけでなく日本も潜在的な中国の攻撃目標に含まれるとの指摘が目立った。国防総省で台湾問題を担当したマーク・ストークス氏(米台エンタープライズ基金会長)は中国の移動式弾道ミサイルの脅威が沖縄をはじめ在日米軍施設に向けられる可能性を挙げた。

 長期戦略については、米軍のような地球規模での軍事展開能力の獲得を中国が当面想定していないとの見方が強かった。ただ、軍事力の強化を背景に、東南アジアや中央アジアを影響下に収めることは視野にあるとの指摘も示された。

 中国の実質国防費が公表分の「二−三倍」であることは、公聴会に出席したロッドマン米国防次官補も重ねて確認した。

 ロシアからの兵器調達額について、国際評価戦略センターのリチャード・フィッシャー副会長は、潜水艦や戦闘機の調達ラッシュとなった一九九五−二〇〇五年に「百五十億ドルに達した」と指摘。〇四年は一年間で二十八億四千万ドル相当のロシア製兵器が中国に輸出されたという。

 中国の兵器調達リストとしては、各種の新型ミサイルや潜水艦の拡充、早期空中警戒機や次世代戦闘機などが、専門家から具体的に指摘された。

 航空母艦も導入が確実との点で専門家の見方は一致。ただ、大連で改装中の旧ソ連製空母ワリヤーグが転用されるのか、ほぼ同型の国産空母を配備するかは、見解が分かれた。予想される中国海軍の空母戦闘群は (1)排水量四万五千−六万トンクラスの空母 (2)艦載機はスホイ30MKKなど三十−四十機 (3)随伴艦は二〇〇三年以降に建造された「広州」「武漢」など防空能力にすぐれた駆逐艦 −との輪郭でほぼ一致。空母の配備時期について、クーパー氏は「二〇一五年」を予想している。

 中国への新たな兵器供給源として、公聴会では対中武器禁輸の解禁を模索する欧州連合(EU)への強い懸念と不信感が示された。調査委員会のカロリン・バーソロミュー副委員長は、台湾海峡有事への米軍介入を念頭に「米軍兵士が欧州製兵器を手にした中国に直面することがあってはならない」と語った。

対中観 日米豪、微妙な差 対話の積み重ね不可欠

2006/03/19 The Sankei Shimbun

 【シドニー=笠原健】日米豪の外相による初の戦略対話は、米国を軸とした三カ国の外交、安全保障における協力関係を「より高いレベルに進める第一歩」(外務省幹部)だといえる。この戦略対話の中で重要テーマの一つに据えられたのが、「台頭する中国」だ。軍備拡張を続け、資源獲得に躍起の中国とどう向き合うのか−。日米豪の取り組みがようやく始まった。

 戦略対話を終え、麻生太郎外相は「中国が国際的なことに関与するステークホルダー(利益の保持者)になるのはいいことだ」と語った。これは、中国が国際社会の疑念の払拭(ふっしょく)に努めるべきだとの考えを強調したものだ。

 「ステークホルダー」とは、対中関係重視派とされるゼーリック米国務副長官が、中国を国際社会に誘い出し建設的な役割を果たすよう求める−との考え方を説明する際に使った言葉だ。麻生外相も、こうした認識には異存がないことを示した形である。戦略対話の共同声明もとりあえず、中国のアジア・太平洋地域での建設的な関与を歓迎するとの表現に落ち着いた。

 日米豪には、戦略的な関係を強化することで、東南アジア諸国連合(ASEAN)などとも連携した“対中包囲網”を形成する狙いがあるとみられる。だが、三カ国の対中観は、必ずしも一致しているわけではない。

 ともに中国の軍拡に強い警戒感を抱く日米両国だが、東シナ海の石油ガス田開発問題にみられるように、日本はより直接的な脅威に直面している。米国は歴史認識問題をめぐる日中間の対立を懸念し、日米中三カ国による歴史共同研究を呼びかけてもいる。一方、資源大国の豪州にとり、エネルギー資源の供給先を求める中国は“お得意さま”であり、自由貿易協定(FTA)の締結を急ぐ間柄でもある。

 今回の戦略対話によって、日米豪の協力関係が「一本の糸で結ばれるきっかけができた」(日米関係筋)とはいえ、対中国における微妙なスタンスの違いを内包しているだけに、「一本の糸」でしっかりと結ばれるまでには、さらなる対話の積み重ねが必要だろう。

中国の軍事費透明化要求 日米豪戦略対話

2006/03/18 The Sankei Shimbun

 シドニーで18日開かれた麻生太郎外相、ライス米国務長官、ダウナー・オーストラリア外相による「日米豪閣僚級戦略対話」は昼食を交えながら協議を続行、中国の軍事費について透明化が必要との認識で一致した。

 3氏はいずれも、中国に関し「何のために軍事費が急激に膨らまざるを得ないかの説明がないと、周りの国に不必要な疑心暗鬼を与える」などと懸念を表明した。

 イラク情勢については、新政府の早期樹立と国際社会の支援継続が重要との認識を共有した上で、日米豪が今後も緊密に連携して対応する方針を確認した。(共同)

中国国防費、最大12兆円 米次官補「今年も公表の3倍」

2006/03/17 The Sankei Shimbun【東京朝刊から】

 【ワシントン=山本秀也】米国防総省のロッドマン次官補(国際安全保障担当)は十六日、公表ベースで十八年連続での二ケタ増となった中国の国防費について、未公表分を含めた実質額が円換算で最大十二兆円規模に上るとの見方を示した。米議会の超党派諮問機関「米中経済安保調査委員会」の公聴会で語った。

 中国政府が公表した今年の国防費は、二千八百三十八億元(約四兆一千億円)だった。米側は、他の費目に分散された予算を含む中国の実質国防費が公表分の二−三倍に達するとみてきたが、同次官補は今年もこの判断に変わりがないことを挙げて、「今年の実質国防費は七百億ドル(約八兆二千億円)から千五十億ドル(約十二兆三千億円)と推計される」と証言した。

 同次官補は、米中の安保交流が拡大しつつあることを歓迎しながらも、中国が進める海空軍装備、弾道ミサイルの急激な強化に強い懸念を表明。台湾海峡での軍事紛争の危険を警告するとともに、東アジア地域での米国と同盟国に対する脅威となりつつあると指摘した。

 一方、同委員会のバーソロミュー副委員長は冒頭発言で、中国の軍拡について「台湾への武力統一を図る際に、米国と同盟国の部隊が介入することを排除、遅延させる狙い」と語った。

中国軍事力の透明性要求 米国務長官、豪外相と会談

2006/03/16 The Sankei Shimbun

 オーストラリア訪問中のライス米国務長官は16日、シドニーでオーストラリアのダウナー外相と会談した。長官は会談後の記者会見で、中国の軍備強化にあらためて懸念を表明、中国に対して軍事力増強に関する「透明性」を求めた。中国の経済成長については「規則に基づいた方法で行われるなら、非常に肯定的だ」と述べた。

 長官はイランの核開発問題について「イランは、交渉に復帰すべきだとの国際社会の要求に注意を払うべきだ」と指摘、核問題をめぐる欧州3カ国などとの交渉に復帰するよう求めた。

 イラク情勢については「連合国の支援により、今後数年間で安全で安定したイラクの基礎を築くことができる可能性は高い」と指摘した。

 両外相はイラク情勢やイランの核開発問題、軍事・経済力を強める中国、インドと米国との核開発協力などについて協議。ライス長官は18日には麻生太郎外相、ダウナー外相との初の閣僚級戦略対話に出席する。(共同)

06年度中国国防費、14.7%増 全人代で提案へ

2006/03/04 The Sankei Shimbun

 中国の全国人民代表大会(全人代=国会)スポークスマンは4日、国務院(政府)が提案する2006年度の国防費が前年度比14.7%増の2838億元(約4兆1000億円)となることを明らかにした。

 昨年に続き二けたの高い伸び率で、軍事面での中国に対する警戒感が強まりそうだ。

 スポークスマンは国防費増の理由として@兵士の給与引き上げA装備や人材の強化―などを挙げた。(共同)

独外相、対中武器禁輸の解除に慎重 都内で会見

2006/02/21 The Sankei Shimbun

 ドイツのシュタインマイヤー外相は21日、都内で記者会見し、経済成長著しい中国について、「ドイツにとって新たな挑戦であり、課題となっている」と述べ、貿易などでドイツの競争相手となっているとの認識を示した。外相は日本など東アジア3カ国を歴訪中で、22―23日に中国を訪問する予定。

 欧州連合(EU)の対中武器輸出禁止の解除問題については、ドイツには武器の輸出入に関し厳しい規定があり「ほかのEU諸国とともに検討する」と述べ、慎重な姿勢をみせた。

 外相はまた、ドイツ経済は企業の設備投資などを通じて景気に回復の兆しが出てきていると指摘。今後、回復を着実にするために税制改革や少子高齢化対策などを進める必要性を示した。(共同)

中国、日本の防空識別圏へ侵入急増 偵察活動を既成化

平成18(2006)年02月21日 The Sankei Shimbun

 東シナ海の「情報戦」が激化している。中国は自衛隊の活動監視などで東シナ海に航空機と監視船を頻繁に出動させたことを公表したが、防衛庁によると、日本の防空識別圏に侵入した中国機による電波収集活動はこの一年間、急増。中国側による公表は「偵察活動を既成事実化する戦略」(防衛庁幹部)とみられる。「情報戦」に有効な対抗措置が取れない日本の領空に近づく布石ともいえそうだ。(半沢尚久)

 中国国家海洋局は昨年の「中国海洋行政執法公報」を公表。その中で一昨年七月から昨年六月にかけ、海洋監視航空機を百四十六回、監視船も十八回、日本が排他的経済水域(EEZ)の境界線と主張する東シナ海の日中中間線周辺に出動させたと明らかにした。

 国家海洋局と中国空軍などの所属区分は明確ではないが、公報で挙げた海洋監視航空機には、本土防衛のため領空より広く設けられた日本の防空識別圏に侵入したとして、航空自衛隊の戦闘機が緊急発進(スクランブル)で対処したものが多数含まれるとみられる。

 防衛庁によると、中国機に対する空自のスクランブルは、平成十四年度はゼロ、十五年度は二回、十六年度には十三回だった。だが、今年度は上半期だけで三十回と急増し、下半期も増加傾向は続いている。

 中国の偵察機は東シナ海のガス田周辺を飛行し、自衛隊の航空機や基地が出すレーダーの周波数などの電子情報を収集している。この情報を分析し、戦闘機で攻撃する際、日本の防空レーダーを妨害電波で無力化する狙いがある。

 中国の偵察活動について、「自衛隊の対処を見極めながら、徐々に行動範囲を広げてくる」(制服組幹部)との分析がある。最も中国寄りに設定された日本の防空識別圏に入り、次に日中中間線を越えるという既成事実を積み重ねた上で、最後に日本領空に近づくというものだ。そのときには、自衛隊の電波はすっかり収集されている可能性も高く、「スクランブルだけでは偵察活動への抑止にならない」(政府筋)との危機感も強い。

 今回の中国国家海洋局の公表も、日中両国が対立しているガス田での中国側の権益のために、航空機や船舶を出動させたという“正当性”を強調する意味合いが強い。日本側が黙認すれば、中国側はこの主張を盾に、偵察活動をさらに活発化させてくるとみられる。

 また、日本政府が試掘権を与えた帝国石油がガス田で実際に試掘を始めれば、中国が航空機や艦艇で妨害に出てくる恐れもある。「日本政府として経済権益をどう守るか対処方針を示すべきで、自衛隊がEEZで活動するための法整備も不可欠」(同)だ。

 米政府は「四年ごとの国防計画見直し」(QDR)の中で、中国の軍事力の近代化について、電波・電子情報を収集する電子戦を例示し、「大規模な投資を継続する可能性が高い」との警戒感を示している。

中国スパイの容疑で台湾人ら起訴 米軍事部品の輸出図る

2006.02.11 CNN

 ワシントン(CNN) 米関税当局が10日発表したところによると、米連邦大陪審は、米軍の戦闘機エンジンなどを中国に不法輸出しようとした疑いなどで、台湾人とフランス人の2人組を起訴した。

 起訴状などによると、2人は過去2年間にわたり、米軍の戦闘機や武装ヘリのエンジン、巡航ミサイル、空対空ミサイルなどを中国本土に供給する計画を進めていた疑い。この間に台湾人男性は少なくとも2回米国を訪れ、戦闘機エンジンの代金12万ドルを運ぶなどしたとみられる。

 2人のうち、台湾人はすでにフロリダ州で拘束されている。いずれも有罪判決を受けた場合、計40年以上の刑を言い渡される可能性がある。

[米国防計画]「浮き出る中国軍事力への警戒」

2006年02月05日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 軍備拡大路線を歩む中国への警戒感が色濃く表れている。

 米国防総省が「4年ごとの国防計画見直し」(QDR)を発表した。今後20年の国防戦略の方向性を示した指針である。

 対テロ戦争の継続や、大量破壊兵器の拡散阻止などへの対応とともに、中国をはじめとする「戦略的岐路にある国々」への対処を、重要課題に挙げている。

 とくに、中国、ロシア、インドの3か国については、「その選択が21世紀の国際安全保障環境を決定づける」と重視する姿勢を見せた。

 唯一の超大国である米国も、一国だけで安全は確保できない。同盟国でない国々からも協調路線を取り付けることが安全へのカギとなる。それを目指しつつ、敵対する場合への備えも、同盟国と講じる、と硬軟両様の構えだ。

 QDR報告は、「米国にとって軍事的に最大の潜在的競争国」と、中国を名指しし、明示した。その軍事技術の潜在能力に関しては、「米国が対策を講じなければ、いずれ米国の軍事的優位性が失われる可能性もある」とし、今後の動向に強い危惧(きぐ)を示した。

 2001年の米同時テロ直後に発表された前回のQDRは、北東アジアから中東に至る地域で、敵対的な軍事力が台頭することへの懸念を表明していた。中国が念頭にあった、と受け止められたが、名指しは控えていた。

 今回、中国を強く牽制(けんせい)したのは、際だつ軍事費の膨張傾向が続き、核戦力などの増強を進める中国の、戦略的な意図に対する不信が根底にあるためだ。

 米国は、昨年7月、中国軍事力に関する国防総省の年次報告で、「急速な軍近代化が続けば、周辺地域の確実な脅威になる」と初めて「脅威」に言及した。その延長上に今回のQDRがある。

 軍事秘密のベールに包まれる中、中国は、核戦力を増強し、外洋進出を活発化させている。

 そのため、世界規模で進める米軍再編の一環として、世界に展開する空母を12隻から11隻に削減する中で、太平洋では現状の6隻は維持する、と言明した。潜水艦の6割を太平洋に配備することと併せ、迅速な対応が必要な地域として太平洋を重視しているのは明らかだ。

 報告は、日本、豪州、韓国との同盟関係の強化を打ち出している。

 一昨年、中国の原子力潜水艦が日本領海を侵犯した事件は、中国がグアム周辺まで偵察活動している実態を浮かび上がらせた。中国の軍事力への懸念を共有する日本にとって、中国への対応は、日米同盟の最優先すべき課題だろう。

米が国防計画見直し…中国は「最大の軍事的競争国」

2006年02月04日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ワシントン=貞広貴志】米国防総省は3日、今後20年間をにらみテロなどの不確実性に対処する指針をまとめた「4年ごとの国防計画見直し」(QDR)を発表した。

 QDRは、急速な軍拡を続ける中国を、「米国にとって軍事的に最大の潜在的競争国」と位置づけ、「将来、(中国などの)新興国が敵対する道を取る危険に対し、米国と同盟国は防御措置をとらねばならない」と警鐘を鳴らしている。

 前回のQDRでは中国を脅威として名指しするのを避けており、米政府が中国の急速な台頭に警戒感を募らせていることを明確にした。

 今回のQDRは、米同時テロ直後の2001年10月に公表された前回報告に続くもので、イラクとアフガニスタンでの戦争を反映した初の見直しとなった。

 QDRは、米軍がかかえる4つの重点課題として、<1>テロ・ネットワークの撃破<2>本土防衛<3>戦略的な岐路にある国への対処<4>大量破壊兵器の取得・使用阻止――を挙げた。

 <3>の岐路にある国のうちでも、「21世紀の国際安全保障環境を決定する国」として中国とインド、ロシアを挙げた。

 最大の紙数をさいた中国については、「軍備、ことに国境を越えて軍事力を行使する戦略兵器・能力に大きな投資を続けている」と断じた上で、「世界の国々は、中国の(軍拡の)動機や意思決定についてほとんど知らない」と、その「秘密体質」を批判した。

 また、中国が電子・サイバー攻撃など通常戦力とは異質の分野に力を入れていると指摘し、「伝統的な米軍の優位を帳消しにしかねない、混乱型の軍事技術」への強い危機感をのぞかせた。

 QDRの内容を記者説明したライアン・ヘンリー国防副次官は、「中国が持つべき軍事力は、純然たる国防に十分な能力」と述べ、東アジアや太平洋地域への影響力拡大をけん制した。

 事実上、中国を念頭に置いた対抗策として、次世代長距離爆撃機を約20年前倒しし、2018年に配備する計画を正式に盛り込んだ。空母については現在の12隻を11隻に削減する一方、このうちの6隻を太平洋に配備し、大西洋からの戦力シフトを打ち出した。また、潜水艦の6割も太平洋に配備する。

 一方、対テロ戦争については、「長い戦争」(ロング・ウォー)と位置づけ、特殊部隊の15%増や無人機の飛行隊創設、工作員による情報収集活動の強化などを通じて、テロを事前に封じ込める機動性の高い軍への変革をうたった。また、外国の言語や文化に通じる必要性を強調し、特にアラビア語、ペルシャ語、中国語要員を育成する方針を打ち出した。

 QDRは同盟・パートナー諸国の能力を高め、ともに危機に対処する必要性を強調。日本をオーストラリア、韓国とともに「太平洋における同盟」と評価した。

中国の軍事的潜在力を警戒 4年ぶりの米国防戦略

2006/02/04 中国新聞ニュース

 【ワシントン3日共同=米島雅孝】米国防総省は三日、安全保障政策の指針となる「四年ごとの国防戦略見直し(QDR)」を公表した。台頭する中国について「軍事的に米国と並ぶ最も大きな潜在力を持つ」と指摘し、将来的にライバルになる可能性があると警戒感を鮮明にした。六日に議会に提出される。

 今回のQDRは米中枢同時テロ直後の二○○一年九月以来で、四年半ぶりの改定。今後二十年間の米軍の兵力構成や国防政策の方向性を示す文書。三月決着を目指す在日米軍の再編問題や、東アジア情勢にも大きな影響を与えそうだ。

 QDRでは、中国をにらみ太平洋での米海軍の戦力を一層誇示し、潜水艦の六割、少なくとも空母六隻を配備する方針を示した。

 ブッシュ政権が進める「対テロ戦争」に関し「長い戦争」と規定、長期化するとの見通しを示した。また、テロリストへの大量破壊兵器の拡散阻止策の強化なども打ち出した。

米、国防計画見直し テロ・中国軍拡重点 特殊部隊拡充/太平洋の海軍力増強

2006/01/31 The Sankei Shimbun

 【ワシントン=有元隆志】米国防総省が二月初めにまとめる「四年ごとの国防計画見直し」(QDR)で、米本土防衛とともに、イスラム過激派によるテロ、中国の軍事力拡大、大量破壊兵器の拡散への対応に力点が置かれることが二十九日までに固まった。特にテロ対策のための特殊部隊の拡充や、中国の軍拡に対応した海軍力の太平洋重点配備が盛り込まれるという。

 QDRは米軍の中長期的な兵力構成の指針となるもので、二月六日に議会に提出される予定。

 国防総省関係者によると、今回のQDRは二〇〇一年米中枢同時テロ後の米軍を取り巻く環境の変化を踏まえ、米軍が直面する課題を四つに分類した。

 具体的には、(1)湾岸戦争のような通常兵器による「伝統的な敵」(2)イラクやアフガニスタンで米軍が武装勢力などから受けている「不規則な攻撃」(3)同時テロのような米本土に対する「破滅的な攻撃」(4)米軍の指揮系統などに打撃を与える「妨害型の攻撃」−に分けた。

 そのうえで、本土防衛の強化、テロ組織への迅速な対応、大量破壊兵器の拡散防止、中国やロシアなどへの対応に焦点をあてた。

 アジアでの脅威に対応するための海軍力増強は前回のQDRにも盛り込まれたが、二十三日付の米紙ディフェンス・ニュースによると、今回のQDRでも、少なくとも六つの空母戦闘群と、六割の潜水艦を太平洋に展開するなど、米海軍の重点を太平洋に置くという。

 軍関係者は、中国の海軍力強化や朝鮮半島情勢、台湾海峡、南シナ海に潜在する紛争に対処するためと指摘する。

 また、二十七日付の米紙ワシントン・タイムズによると、北朝鮮やイランなどから、テロ組織に核や化学兵器、生物兵器などの大量破壊兵器が拡散するのを防ぐための特殊部隊を創設する。

 さらに、陸海軍の特殊部隊の増強、無人飛行機部隊の創設なども打ち出されるという。

サンデー時評:中国の「脅威」を感じないのがヘンだ

2006年01月18日 Mainichi INTERACTIVE

 昨年来の、

〈脅威〉

 という言葉をめぐる論争は、さまざまなことを考えさせた。外交・安全保障政策の琴線に触れるだけでなく、日本人にとってナショナリズムとは何か、言葉感覚は正常か、といったテーマとも深くかかわっているからだ。

 論争に火をつけたのは、民主党の若い党首、前原誠司代表である。昨年の十二月八日(たまたま日米開戦の記念日になる)、ワシントン市内の戦略国際問題研究所で講演し、中国脅威論をぶち上げた。

「中国は連続して10%以上の軍事費の伸びを続けている。実際には中国政府が公表している二倍から三倍の軍事費が使われているのではないかとの指摘もある。この軍事力の増強と近代化は現実的脅威だ」

 と述べたのである。中国の軍事大国化路線を真正面から批判した日本の政党党首はこれがはじめてだろう。

 前原発言に対する内外の反応はまことに多彩かつ敏感だった。前原さんはその足で北京に飛んだのだが、胡錦濤国家主席には会談を断られた。中国脅威論は中国がいま一番嫌がっている言葉だそうで、それに〈現実的〉という形容詞までつけたのだから、キャンセルは当然だったかもしれない。

 中国外務省の高官は、このとき、

「言葉に気をつけてほしい」

 と前原さんに注意したという。しかし、不注意によって飛び出した言葉であるはずがない。帰国した前原さんは、

「言うべきことを言ったことに自信と誇りを持っている。口だけで『友好』『友好』と言ってきた親中派とは違う」

 と啖呵を切った。若いリーダーの気負いすぎという感じもあるが、まあ、この程度は率直でいいのではないか。

 さて、言葉の問題である。〈脅威〉というのは、脅迫と威圧が重なった単語で、要するに脅かされる状態のことだ。中国のただならない軍拡路線に日本人が平気でおれるはずはなく、脅かされた気分で、薄気味悪く見守っている。

 だから、暮れに発表された内閣府の世論調査では、〈日中関係は良好だと思わない〉と答えた人が前年比約10 増の七一・二%にものぼった。過去最悪の数字である。隣の国が軍拡を進めているのに、親しみを持て、と言われても、そうはいかない。

 ほとんど疑いなく、前原が言う現実的脅威に、日本と日本人はさらされているのだ。それをそのままストレートに表現するのがいいのか、オブラートに包むほうがいいのか、というのが論争の第一の問題点である。

 ◇丁々発止と渡り合わねばキズナは太くならない

 たとえば『朝日新聞』の社説(十二月十一日付)は、前原発言を批判して、〈外交センスを疑う〉と題をつけ、

〈小泉政権でさえ、無用の摩擦を避けようと、首相が「中国脅威論はとらない」と言い、麻生外相が「中国の台頭を歓迎したい」と語るのとは大違いだ。

 中国に対して弱腰と取られたくないのだろう。だが、肝心なのは威勢の良さではない。首相の靖国神社参拝でずたずたになってしまったアジア外交を、民主党ならこうしてみせるという、外交政策の対立軸を示すことである〉

 としている。しかし、この観念論には到底ついていけない。『朝日』は現実的脅威があるとみているのかどうかが、まずわからない。

 現実的脅威があるとして、前原のように「ある」と率直に主張するのと、小泉純一郎首相のように「脅威論はとらない」とかわすのと、どちらの外交センス(というより姿勢)が、国益を守るうえで正当なのか。『朝日』は小泉側に立っているような筆法だが、私は違うと思う。

 靖国参拝と軍拡脅威論を同次元に置くべきではない。靖国問題は当然、政治的工夫が必要で、首相の決断の問題だ。現実的脅威を批判するのは威勢のよさでも何でもなく、現実直視である。外交には押したり引いたりの駆け引きも大切だが、まず本音をぶつけ合う気迫がないと、相手になめられる。

 東シナ海のガス田開発も、中国側の国際ルールを無視した高圧的なやり方のうらには、軍事力がちらつく。現実的脅威の裏づけにほかならない。

 軍拡のレベルについて、民主党首脳の一人は、

「現実的でなく、潜在的脅威と言えばよかったんだ」

 と漏らし、専門家の間には、

「いまの段階では〈脅威〉ではなく、〈懸念〉と言うべきだろう」

 といった指摘もある。しかし、いずれも超大国・中国への気後れがうかがえて、釈然としない。

 麻生太郎外相もその後、中国の軍拡について軌道修正し、

「隣国で十億の民、原爆を持ち、軍事費が連続十七年二ケタ伸び、その内容も極めて不透明ということに関しては、かなり脅威になりつつある」(十二月二十二日の記者会見)

 と現実的脅威を認めた。これに中国側が扇動だと反発し、自民党の山崎拓前副総裁は、前原発言も含めて、

「言葉づかいを間違っている。〈脅威〉と言うと、わが国への侵略の意図があると言っていることになり、一層の緊張が生まれる。ナショナリズムの方向に国民を誘導するのは許されない」

 と異を唱えた。

 だが、脅威と侵略意図の間には大きな隔たりがあるのではなかろうか。軍拡の狙いがはっきりしないときに、言葉の過剰反応をすると、日中間の不信が逆に深まるのを恐れる。脅威でないのなら、それを説明するのは中国側であって、日本がへつらうことはないのだ。

 日本の嫌中ナショナリズムに政治家が媚びたり煽るのは厳に慎まなければならない。小泉さんが靖国参拝に固執する態度には、いくらかその懸念を感じる。

 しかし、中国の軍拡による脅威を嫌うナショナリズムは正常で、当然だ。嫌中、反日にならないような手立ては、お互い懸命に講じなければならないが、そのためにも、脅威ははっきり脅威と主張し、丁々発止と渡り合わなければ、日中のキズナは太くならない。

中国への武器輸出、露に透明性求める…額賀防衛長官

2006年01月13日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【モスクワ=今井隆】額賀防衛長官は13日午前(日本時間同日夕)、ロシアのセルゲイ・イワノフ国防相と国防省で会談し、ロシアから中国への武器輸出について「透明性を確保し、地域の安全保障バランスに配慮してほしい」と慎重に対応するよう要請した。

 国防相は「国益と国際法にのっとって実施している」と述べるにとどめた。

 額賀長官は、中国の軍事力の透明性が欠如しているとの認識を示した上で、中露が昨年8月に実施した大規模な合同軍事演習について、「演習内容の透明性を確保してほしい」とも伝えた。

中国「内部矛盾が深刻化」 武装警察トップ、異例の論文

2006/01/05 The Sankei Shimbun

 中国で暴動鎮圧など治安維持を主な任務とする中国人民武装警察部隊の呉双戦・司令官は5日までに、中国の経済、社会発展の不均衡による「人民内部の矛盾」が深刻化、各種抗議活動が急増し「規模も不断に拡大している」とする論文を発表した。

 治安部隊トップが治安問題の深刻さを認めるのは極めて異例で、胡錦濤指導部内の危機感を示すものとみられる。論文は中国共産党の政治理論誌「求是」1月号に隋明太・武装警察政治委員とともに執筆した。

 論文は、急速な経済発展が続く現在の中国の治安情勢について「刑事犯罪が頻発、矛盾が突出」とした。さらに「西側敵対勢力は中国を西洋化、分裂する政治的陰謀」を放棄せず「破壊、転覆活動を実施している」と決めつけ、特に台湾、チベット、新疆ウイグル自治区独立運動に強い警戒感を表明した。

 その上で、武装警察が「極めて戦闘力のある部隊として十分な役割を発揮する」必要性を強調。一般的な突発事件から大規模騒乱まで「直ちに即応できるようにすべきだ」と訴える一方、「法に基づく任務執行」を求め、現場部隊の行きすぎた行為を戒めた。

 中国紙によると、昨年12月に広東省汕尾市東洲坑で起きた住民と警察の衝突事件では、治安部隊側の現場指揮官が「不適切な対応」を理由に拘束されている。(共同)

中国、潜水艦戦力を増強 米議会報告書「米海軍の主要な脅威」

2005/12/25 YAHOO!ニュース(産経新聞)

 【ワシントン=古森義久】米国議会調査局は二十四日までに中国の海軍力増強の実態を詳述した報告書を作成した。議会の政策指針となる同報告書は米海軍が中国の海軍増強を脅威とみていることを明らかにし、特に中国が潜在敵の海軍艦艇を攻撃する各種ミサイルを大幅に強化する一方、潜水艦戦力では「世界でも最も野心的な拡張」を進めているとして議会に防衛政策面での対応措置の必要を訴えた。

 「中国の海軍近代化=米国の海軍力への意味」と題された約八十ページの同報告書は上下両院議員の法案審議の資料として作成された。報告書は国防予算を審議する同議会にとっても中国の軍拡は主要な懸念の対象になったと冒頭で明記、ジョン・ウォーナー上院軍事委員長が「米海軍にとって中国海軍はチャレンジ」と定義づけたうえ、米海軍のベルン・クラーク作戦部長が同軍事委員会に「米海軍にとっての主要な脅威は中国海軍であり、その動向には重大な懸念を抱いている」と報告したと記している。

 報告書は米国にとって最も意味の大きい中国海軍関連パワーの近代化としてまず、「台湾や日本の目標に照準を合わせて中国側に配備された合計七百三十基ものCSS6、CSS7などの中・短距離弾道ミサイルの多くが複数機動型個別誘導弾頭(MaRV)ミサイルへと改造されつつあり、将来は海上の艦艇をも攻撃できるようになる」と警告した。

 さらに中国が新配備あるいは開発している海軍関連攻撃兵器として (1)地上攻撃巡航ミサイル (2)対艦巡航ミサイル (3)地対空ミサイル (4)艦艇攻撃の航空戦力−などを指摘した。

 同報告書は中国の潜水艦戦力の増強が米側に深刻な懸念を生んでいるとして、中国がいま同時に少なくとも五種類の潜水艦を取得しようとしていることは「世界でも最も野心的な潜水艦拡張の努力」と判定し、特に最近の動きとして「中国は九〇年代に購入したロシア製のキロ級潜水艦四隻に加え、さらに同八隻を取得中」と述べている。そのほかに新規に開発中の潜水艦として (1)戦略弾道ミサイル原潜094型 (2)攻撃型原潜093型 (3)攻撃型通常潜水艦041型「元」級 (4)攻撃型通常潜水艦039型「宋」級−の四種があげられた。

 報告書はさらに既存の潜水艦として最近、日本領海に侵入した攻撃型原潜「漢」級や戦略弾道ミサイル原潜「夏」級、旧式の「明」級、ロメオ級などをあげ、中国は世界の「潜水艦大国」を目指し、このままだと二〇二〇年までに三十五隻の新潜水艦を取得して、合計五十隻以上の新鋭攻撃型潜水艦を配備、米海軍を圧倒すると予測した。

 報告書は中国海軍がロシア製のソブレメンヌイ級駆逐艦や敵艦の電子機能を破壊する電子爆弾の配備をも進めているとしてその軍拡の異常なまでの規模と速度を強調し、その狙いは「台湾攻撃の際の米軍介入の阻止」「アジア地域での軍事主導権の主張」「中国の海洋領土、経済、エネルギー権益の防衛」などだとしている。【ワシントン=古森義久】

中国の軍事力「かなり脅威」 麻生外相

2005年12月22日 asahi.com

 麻生外相は22日の記者会見で、中国について「隣国で10億の民を持ち、原爆を持ち、軍事費が連続17年間、毎年二ケタ伸び、内容も極めて不透明というのなら、どんなことになるか。かなり脅威になりつつある。そういう意識がある」という認識を示した。

 また、民主党の前原代表が中国の脅威に言及していることについて「(軍事費の)透明性の点で不信感をあおることになっている。前原氏が言っているのは確かだと思う」とも述べた。

 中国の軍事力増強について、これまで小泉首相は「透明性を高めることが極めて重要」、麻生外相も「軍事面での透明性に欠ける」などと述べてきたが、「脅威」とは明言してこなかった。

中国空軍、進む電子化 英サイト、機体写真を公開

2005/12/13 YAHOO!ニュース(産経新聞)

 中国空軍が新たに改良して実戦配備し、今年八月以降、複数回にわたり東シナ海の日中中間線付近や南西諸島方面での活動が航空自衛隊によって確認されている電子戦機「Y8EW」の機体写真がインターネット上のウェブサイトで初めて公開されていることが分かり、防衛庁で確認と分析を急いでいる。

 機体写真を公開したのは、英国に本拠を置く「サイノ・ディフェンス・コム」が運営するサイト「チャイナ・ディフェンス・トゥデー」。

 十二月四日に公開された写真では、機体の上部、下部などに複数の突起物状の電子機器が装備されている。同サイトは「電子情報収集やレーダー、交信を攪乱(かくらん)する装置を装備しているとみられる」と分析。さらに、装備されているハイテク機器について「二〇〇一年四月一日に南シナ海上空を偵察飛行中に中国軍機と空中接触し、中国の海南島に緊急着陸した米海軍電子偵察機EP3から流出した技術によるもの、との未確認情報もある」と指摘している。

 Y8EW電子戦機は、今年八月以降、南西諸島方面や日中中間線付近に複数回飛来、日本の防空識別圏(ADIZ)内に侵入を繰り返し、空自の要撃戦闘機が緊急発進(スクランブル)して対処している。空自もすでにY8EW機の機体写真をスクランブル機から撮影しているが、一切公表していない。防衛庁では公開された写真と空自撮影の写真との比較検討や分析などを始めている。

 中国軍機の東シナ海での活動は活発化しており、今年四月から九月までの半年間に中国軍機に対して空自が実施したスクランブルは三十回に上る。十月、十一月にも複数回スクランブルを実施しており、国別対象機の統計を取り始めた平成七年度以降、過去最高を記録している。

     ◇

 ■攻撃・防衛一体型へ

 中国空軍は、従来の「国土防衛型」から「攻撃・防衛一体型」への転換を目指し一九九五年から本格的な中長期の近代化に着手し、新鋭の第四世代戦闘機であるロシアのSU27のライセンス生産も九八年から開始、空軍力でも周辺国の脅威となると予測されてきた。

 防衛庁では近代化のペースは当初の予想よりやや遅れているものの、SU27に加えて開発中とされるJ10戦闘機、さらに早期警戒管制機や空中給油機なども整備され「戦闘機の機数、能力、パイロットの技量などではまだまだロシアに及ばないものの、中国空軍は着実に増強されており、近い将来に名実ともに近代空軍となる」との見方を示している。

 日本周辺では偵察機や情報収集機の活動が頻繁になっているものの、中央指揮システムやレーダーサイトなどの能力がまだ不十分なため戦闘機については、「外洋までの進出作戦を実施するまでには至っていない」(航空自衛隊幹部)と分析。

 航空自衛隊が実施する緊急発進(スクランブル)でも、これまでのところ中国軍の第四世代の戦闘機は確認されていない。

前原氏訪中 中国の軍拡「脅威」指摘 靖国・改憲でも強硬姿勢

平成17(2005)年12月13日 The Sankei Shimbun

 【北京=船津寛】中国を訪問中の民主党の前原誠司代表が、中国の軍拡路線に強い懸念を示すなど、これまでの同党の対中政策と一線を画す言動を続けている。十二日午前の北京市内での講演では、学生らを相手に中国の国防費の驚異的な伸びを指摘し、日中軍事交流の必要性を強調。靖国神社参拝問題では「日本人も戦争の犠牲者だ」と反論した。前原代表は「(中国と)けんかをしに来たのではない」と話すが、中国側は神経をとがらせている。 

 「空軍力、海軍力、そしてミサイル能力を中心として、(中国軍の)能力が飛躍的に向上していることに、私は率直に脅威を感じている」

 前原代表は中国の外交官養成大学である「外交学院」で講演した後、学生から「中国の軍事力が現実的脅威というのは民主党の立場か」と問われ、こう言い切った。前原代表は講演で、軍拡競争回避に向け日中間の軍事交流の重要性を強調。質疑でも「お互いが透明性を高めることが重要だ」と指摘した。

 この後、前原代表は、中国人民解放軍の熊光楷副総参謀長と会談。中国の軍事力の「現実的脅威」の具体例として、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の配備や原子力潜水艦による日本領海侵犯事案などを列挙し、「軍事力増強の中身を見ると、その意図に疑心暗鬼にならざるを得ない」と指摘した。これに対し、熊副総参謀長は「まだまだ(中国軍の)近代化は遅れている」などと反論した。

 前原代表は九日の米・ワシントンでの講演でも「中国脅威論」に言及。党内からは「『脅威』という言葉はインパクトが強すぎる」(中堅)との懸念も漏れるが、前原代表自身は「どの場においても同じことを言い続ける」とひるまぬ構え。

 小泉純一郎首相の靖国神社参拝問題に関しても独自の考えを披露。A級戦犯の合祀(ごうし)を理由に、首相、外相、官房長官らは参拝すべきでないとしたものの、学生の質問に対して「多くの(日本)国民に罪はない。むしろ戦争の犠牲者だ。私もその人たちに対しては、心から哀悼の気持ちをささげたい。靖国神社が自発的にA級戦犯を分祀(ぶんし)すれば、私も靖国神社におまいりしたい」と表明。同学院の呉建民院長が「靖国神社が唱えている軍国主義は中国人民だけでなく日本人にも災いをもたらした」と反論する場面もあった。

 憲法改正問題でも、「(戦力の不保持を明記した)憲法九条二項と現実が乖離(かいり)している状況が五十年以上も続いている。われわれは自衛隊の存在を認めている。その存在を認めるように(憲法を)変える」と断言した。

 こうした前原代表の“強硬路線”に、中国側は「かなりピリピリしている」(同行筋)といい、十三日に民主党側が要請していた胡錦濤国家主席との会談実現は、極めて困難な情勢だ。

英研究所 世界の軍事情勢報告 中国の軍拡懸念深まる

2005/10/26 The Sankei Shimbun【東京朝刊から】

 【ロンドン=蔭山実】英国際戦略研究所(IISS)は25日、世界の軍事情勢を分析した年次報告書「ミリタリー・バランス2005−06」を発表した。中国がロシアとの軍事協力を推進する一方、米本土にも達するミサイルの保持を目指して軍備拡張を続けていると指摘し、東アジアの安全保障への懸念が深まっているとの認識を示した。

 報告書は、東アジアの軍事情勢について、中国が今年6月に潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の実験に成功したことに触れ、ミサイルは推定射程8000キロで、中国周辺海域から米本土まで到達可能との見方を示した。

 中国が今年8月にロシアと初の合同軍事演習を実施したことには、「中国は地域の安全保障上のパートナーとしてロシアとの連携をますます強化している」と分析。一方で、昨年11月に中国の潜水艦が日本の領海を侵犯したことに言及、「日本の領海周辺での中国の軍事活動が活発になっている」と指摘した。

 北朝鮮の核開発では、同研究所のチップマン所長は同日、報告書発表の会見で、「国際原子力機関(IAEA)の査察官の復帰が重要。プルトニウム抽出とウラン濃縮の停止にも次回の6カ国協議で取り組まねばならない」と訴え、核開発放棄の合意も言葉だけでは意味がないと強調した。

 また、イランの核問題について、報告書は「英仏独による交渉では解決しない」としており、同所長も、地域の安全を懸念する周辺国も含めて圧力をかけることが重要だと主張。さらに11月のIAEA定例理事会でイランでの核弾頭搭載可能な新型ミサイルの開発証拠が提示されれば、国連安保理への付託に反対する中露とインドも、態度を変える可能性があるとの見方を示した。

米国防長官の訪中日程終了 軍拡路線牽制に足場

平成17(2005)年10月21日 The Sankei Shimbun

 【ワシントン=樫山幸夫】ラムズフェルド米国防長官は二十日、中国での日程を終え、韓国入りした。今回の同長官訪中を通じて米国は、中国の軍事路線拡大を牽制(けんせい)し、あわせて、東アジアの安定のために関係を強化するといういわば“二律背反”の命題を達成するという思惑をもっていた。両国の軍事交流拡大では合意したものの、中国は国防費の“隠し予算”を否定、軍拡問題での議論は実りなく終わった。米国の思惑通りにことが進んだとは簡単に言い切れないが、今後の中国牽制の素地を固めたという側面も否定できない。

 ラムズフェルド国防長官の訪中は、日本の小泉純一郎首相の靖国神社参拝直後、台湾の李登輝前総統の訪米の最中という極めてデリケートなタイミングで行われた。

 東アジアでは現在、米中に日本、韓国、ロシア各国による大きなパワー・ゲームが展開されている。北朝鮮の核問題をめぐる六カ国協議における日米Vs中韓の対立、かつての中ソ同盟を彷彿(ほうふつ)させる先の中露合同軍事演習、靖国をめぐる日中、日韓の対立、台湾問題、人権問題をめぐる慢性的な米中の緊張などがそれだ。

 こうした状況の中で、この地域の安定確保に腐心する米国にとって、とり得る選択は、各国の脅威となっている中国の軍拡路線への歯止めをかけ、その一方で、この地域の安定のカギをにぎる中国との関係、協力関係を維持、拡大することに尽きた。

 訪日をキャンセルし、日本が神経質になっていることにあえて目をつぶってまで、この時期に中国を訪問したのも、そうした重要かつ困難な目的を何としても実現したかったからだ。

 結果を見る限り、米国の目的が完全に達成されたというには程遠いが、それでも中国側は、大陸間弾道ミサイル(ICBM)を管理する北京の人民解放軍第二砲兵部隊に長官を招くなど、一定の柔軟さをみせた。さきの中国の有人宇宙船「神舟6号」打ち上げで、中国の宇宙の軍事利用に神経質になっていた米国にとって、その状況を“偵察”できたことは望外の成果だった。

 米国としても、軍拡路線で中国が容易に折れてくるとは想像していなかっただろうし、今後もこの問題で中国に対して強い態度をとり続ける足場を築いたという意味では、まずまずという評価も可能だ。

中国に空中給油機売却 ロシア

2005/09/08 The Sankei Shimbun

 インタファクス通信によると、ロシアのイワノフ国防相と中国の曹剛川国防相は8日、ロシア南部ソチで会談し、ロシア製空中給油機などを中国へ売却することで合意した。

 中ロ両国は今年8月、初の合同大規模軍事演習を実施するなど軍事面での協力関係を強化しているが、今後は中国への武器供給も一層拡大していくものとみられる。

 中国へ売却が決まったのは、空中給油機イリューシン78と軍用輸送機イリューシン76。

 8月の演習では、ロシア空軍の給油機から中国空軍の戦闘機への空中給油訓練を実施しており、訓練自体が中国への給油機売却を前提としたデモンストレーションだったともいえる。

 同日付のロシア紙コメルサントは売買契約総額は8億5000万ドル(約940億円)に上ると報じた。(共同)

中国 露の超音速爆撃機 購入・ライセンス生産も

2005/08/26 The Sankei Shimbun 東京朝刊から

露軍事評論家 ビクトル・リトフキン氏に聞く

 【モスクワ=内藤泰朗】国営ロシア通信の軍事評論家、ビクトル・リトフキン氏は24日、産経新聞のインタビューにこたえ、中露両国が核兵器も搭載可能なロシア製超音速爆撃機ツポレフ(Tu)22Mバックファイアーを中国でライセンス生産させる契約を結ぶ可能性があると述べた。中国側がさらに、軍事衛星など作戦に不可欠な近代的戦闘支援システムの売却を求めていることを明らかにした。

 中国側は、Tu22の10機程度の購入だけでなく、同機のライセンス生産を求め、ロシア側と交渉を行っている。

 同氏は「10機程度のTu22では、近代兵器を有する台湾や日本など周辺国を攻撃するような軍事力とはなり得ない。広大な国境の防衛と、侵略に対する抑止力の保有という意思を示す政治的な意味の方が強い」と述べ、地域の軍事バランスに大きな影響は与えないとの考えを示した。

 さらに、ライセンス生産に至っても、中国側がすでにロシア製戦闘機スホイ(Su)27のライセンス生産を行っている事実を例に、「ロシアはSu27でも生産へのコントロールは失っていない。ロシアの部品なしにスホイは飛べない。ツポレフも同じ。問題はその金額だ。しかも、生産までには10年単位の時間を要する」と強調した。

 1962年に初配備された同機の作戦半径は最大2200キロで、中国からモスクワには到達できない。

 また、ロシアのプーチン大統領が先日搭乗し、巡航ミサイルを発射した新型の大型戦略爆撃機Tu160ブラックジャックについては、作戦半径や巡航速度、到達高度などすべての面でTu22を上回っており、「売却はあり得ない」と述べた。

 ただ、中国側は、爆撃機のほかにも、軍事作戦の遂行に不可欠である軍事衛星やレーダーシステム、ロシア版空中警戒管制機(AWACS)A50などの戦闘支援兵器に強い関心を示し、売却を求めているという。

 また、ロシア国防省によると、中露両国の国防相が議長を務める中露軍事技術協力委員会が九月にロシア南部の黒海沿岸保養地のソチで開かれる。その際に中国への爆撃機の売却が決まる可能性もある。

 中国は、毎年10億−20億ドルものロシア製兵器を購入する最大の顧客であり、ロシア側も、中露関係進展や欧州連合(EU)の対中武器禁輸の解除に向けた動きをにらみながら輸出兵器の幅を広げている。

中国の軍事力/「増強」も度が過ぎないか

2005/08/22 神戸新聞

 これほど大規模に行う必要があるのだろうか。そんな懸念を抱かせる中国とロシアによる初の合同軍事演習が、極東ウラジオストクなどで続いている。

 両国の陸海空軍から総勢一万人の兵員と多くの軍用機、艦艇などが参加。演習場を山東半島の周辺海域まで広げた大がかりな訓練で、二十五日まで実施される。

 両国とも「反国際テロと信頼醸成が目的で、第三国向けではない」と説明している。しかし、その内容から、中国は「台湾有事」を、ロシアは「チェチェン有事」を想定しているという見方が有力だ。

 演習は、実施区域の選定から費用負担まで中国主導で進んでいるともいわれる。それほどまで中国がこだわるのは、最近の台湾情勢があるのではないか。

 実際、演習の筋書きは、山東半島を台湾に見立て、中ロの艦艇が海上から封鎖、海兵隊と空挺(くうてい)部隊が海と空から上陸するという実戦さながらの内容である。

 中国は、ロシアから購入した最新鋭の艦艇や軍用機、兵器などの能力を試したい。両国の連携と近代化した軍事力を誇示することで、台湾海峡をめぐる日米の動きを牽制(けんせい)する狙いもあるのだろう。

 台湾の外交部は「台湾海峡の安全と安定に悪影響を及ぼす」と非難した。こうした強い反発の背景には、近年、中国が着実に軍備を増強していることが指摘できる。

 中国の軍事力については、先日公表された米国防総省の報告書と日本の防衛白書が明らかにした。それによると、国防予算は今年度、前年比十数%増の約三百億ドルだが、武器購入費や研究開発費が含まれておらず、実際は二―三倍とみられる。

 10%を超える国防費の伸びは十七年連続で、それだけでも脅威である。米の報告通りならば、中国は米ロに次ぐ世界第三位の軍事大国であり、驚くほかない。台湾や日本を射程内にした短距離弾道ミサイルは、昨年の五百基から六百五十―七百三十基に増え、海峡をはさむ軍事バランスで台湾を超えたという指摘もある。

 加えて、中国はエネルギー資源の確保と合わせて、日本や朝鮮半島をも視野に入れた軍備拡張を進めているといわれる。将来の資源紛争に備えるためのようだが、度を超えているのではないか。

 軍備の大幅な拡大は地域の不安定要因になりかねず、中国が進むべき道とは思えない。それを忘れてはならない。

 アジアの安定を守り、周辺国の信頼を得るためにも、国防費を透明にするとともに、力の誇示ではなく対話を求めたい。

中露が初の大規模軍事演習 極東で兵員1万人参加

2005/08/18 The Sankei Shimbun

 中国とロシアによる初の大規模合同軍事演習「平和の使命2005」が18日、ロシア極東ウラジオストクで本格的に始まった。演習には兵員約1万人と多数の航空機、艦艇が参加。両国は国際テロとの戦いや安全保障面での双方の信頼醸成が目的としているが、「台湾有事」を想定したとみられ、台湾問題を安全保障上の共通戦略目標とする日米安保体制をけん制する狙いもありそうだ。

 また、国防費を増額し軍近代化を進める中国の軍事的脅威に対する、日本など周辺諸国・地域や米国の懸念もいっそう高まりそう。一方、ロシアは中国との軍事協力強化により、極東での存在感誇示を目指しているとみられる。

 演習は25日までの日程で、中国の山東半島や周辺海域でも順次行われる。

 ウラジオストクの演習合同司令部では18日、中国人民解放軍の梁光烈・総参謀長とロシア軍のバルエフスキー参謀総長が合同演習開始を宣言。

 演習は、山東半島に位置する仮想国家で民族対立が激化、国連の要請で事態の正常化に当たるとの想定で実施。両軍は合同司令部での机上演習の後、山東半島への海兵隊や空挺(くうてい)部隊による強襲上陸訓練などを実施する。

 中ロ両軍からは戦闘機など約100機のほか、駆逐艦や潜水艦など70隻以上が参加。ウラジオストクからはロシア太平洋艦隊の艦艇が、モスクワ近郊からはロシア空軍機が派遣された。(共同)

≪強襲上陸は中国が要請 対台湾で能力誇示か≫

 ロシアの軍事関係筋は18日までに、中国とロシアの初の大規模合同軍事演習について、空挺(くうてい)部隊などを活用した強襲上陸の筋書きは中国側の強い要請で実現したことを明らかにした。台湾上陸の軍事能力を誇示したい中国の思惑を反映しているとみられる。

 演習では、山東半島を多数のロシア、中国の艦艇が海上から封鎖。海兵隊と空挺部隊が海と空から上陸作戦を展開する。海岸線での戦闘で橋頭堡を確保、さらに内陸部に進攻する。

 同筋によると、この筋書きは、台湾有事の際、海上封鎖で米軍の干渉をけん制、電撃的に台湾中枢部まで進むことを想定しているという。

 演習は「国連の要請による紛争地の兵力引き離し」を表向きの目的としている。だが「1つの中国」を国是とする中国の強引な威信誇示に、ロシアが一役買った側面も指摘されている。

 背景には、対米関係で「中国カード」を強化したいプーチン政権の思惑と、「急速に強大化する隣国中国とは、従来以上に良好な関係を築く以外に選択肢はない」(ロシア外務省高官)との現実的な判断がある。(共同)

 【中露関係】 冷戦時代、イデオロギー論争や国境紛争で険悪化したが、旧ソ連のゴルバチョフ共産党書記長が1989年に訪中、歴史的対立に終止符を打った。97年には「戦略的パートナーシップ」をうたった共同宣言に調印、資源開発や貿易面で関係強化。2002年に新基本条約「中露善隣友好協力条約」が発効、04年には未解決だった国境問題の決着で両国首脳が合意し、05年6月の批准文書交換で領土問題が最終決着した。両国は台湾やロシア南部チェチェン共和国の独立を互いに認めないことで一致している。(共同)

対中武器輸出問題が決着か 米、イスラエルが声明

2005/08/17 The Sankei Shimbun

 米国とイスラエルは16日、声明を出し、軍同士の技術・安全保障関係に深刻な影響を与えた「過去の問題」を改善するための覚書に署名したと発表した。

 声明は「過去の問題」について詳細には触れていないが、米国はイスラエルから中国への無人偵察機用部品の輸出に強く反対しており、イスラエルがこの契約を白紙に戻すことで問題が決着したとみられる。(共同)

初の中露合同演習、連携誇示狙いが…中国だけ取材拒否

2005年08月13日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【モスクワ=古本朗】ロシア、中国両軍は18日から中国・山東半島周辺などで史上初の合同演習を予定しているが、準備段階で露メディアに対する「中国軍の閉鎖性」の問題が表面化し、露軍の演習指揮官が13日、中国側に改善を申し入れた。

 演習の目的の一つは、米国や日本に中露両軍の連携を誇示する点にあるが、開始前から思わぬ連携のほころびを見せた格好だ。

 インターファクス通信が13日、伝えたところによると、露側が演習参加の自軍部隊を中国メディアに全面公開しているのに対し、露メディアは中国軍部隊の訓練などの取材を許されていない。

18日から初の合同軍事演習 中国とロシア

2005/08/02 The Sankei Shimbun

 新華社電によると、中国国防省は2日、「ピースミッション−2005」と名付けた初のロシアとの大規模合同軍事演習を18日から25日まで行うと発表した。演習はロシアのウラジオストクと中国の山東半島および周辺海域で実施する。

 新華社電は、演習は第三国に向けたものではなく、中ロの相互信頼の強化などが目的としているが、国際テロや「分裂主義」に共同して対抗する能力を高めるとしており、台湾や米国をけん制する狙いがあるとの見方も出ている。

 新華社電は演習規模について中ロ双方で約1万人が参加するとしているが、インタファクス通信は7月初め、中国側から5000人、ロシア側から3000人の計8000人と報じている。ウズベキスタンなど上海協力機構加盟国も視察団を派遣する予定。(共同)

北京で退役軍人が抗議集会 社会保障への不満訴え

2005/08/02 The Sankei Shimbun

 2日付の香港英字紙、サウスチャイナ・モーニング・ポストによると、中国人民解放軍が建軍78周年を迎えた1日、同軍の退役軍人数100人が現在の社会保障への不満を訴え、北京にある同軍総政治部の建物前で抗議集会を開いた。

 集会は1日早朝に始まった直後に警官に解散させられたが、一時はやじ馬を含め数1000人に膨れ上がった。総政治部は閉鎖され、建物周辺は警察車両や武装警官らの警備が強化されたという。

 北京では今年4月にも、再就職難への不満などを訴える退役軍人約1000人が中南海近くで抗議集会を開いた。(共同)

米議会:「中国軍事力年次報告書」を審議

2005/07/30 大紀元

 【大紀元日本7月30日】米国務省の「中国軍事力年次報告書」がこのほど、米下院軍事委員会に提出され、審議が27日行われた。

 この報告書は、今年の3月に提出される予定だったが、政府関係部門の親中派の再三の修正要求を受け、今日までに延長された。

 「中国軍事力年次報告書」は、2000年から米議会の要求に応じ、国務省が毎年提出する中国軍事力の評価報告で、米国の軍事予算、軍備支出を決める際の重要な参考となっている。調査対象となっているのは、旧ソ連と中国だけである。

 45ページにわたる報告書は、事実の記述が中心で、要点は比較的に明確であるとメディアや評論家らは評価している。

 報告書は3つの部分から構成されている。

 1、中国軍事予算の近年の急増問題

 中国の軍事支出は非常に不透明で、実際の軍事予算増加率はGDPを超えている。中国政府が公表した299億人民元(日本円4200億円)の3倍で、事実上900億人民元(日本円1兆2600億円)になる、アメリカとロシアに続いて、世界3位である。

 2、中国軍備の近代化に大きな進展

 米議会審議会で、国務省前国務長官補佐クレーム氏(2000年度の報告書製作責任者)は、実例を挙げ、この問題を説明した。中国政府による台湾海峡での短距離弾道ミサイルの設置は、毎年100基増え、計700基に達している。特に台湾海域での潜水艦能力が強化された。例えば、空対空、空対地を攻撃する先端技術の第4世代戦闘機の配置、パソコンネットワークのコントロール能力が進化したなどなど。また中国政府は、核兵器の開発に力を注ぎ、アメリカ全土を含む広範囲が攻撃可能になっている。一方、核兵器を除いた通常兵器能力は、依然限定的であると指摘している。

 軍事技術の大半は、ロシアやイスラエル、アメリカも含めて、外国からの輸入に頼っている。米国務省は、2005年2月に半導体光ファイバーの設計技術が中国に漏洩された件で、中国は厳重に警戒すべき相手であることを認識している。

 3、中国は軍事戦略の十字路に立っている

 中国軍備の拡張は、当地区の他国軍事力の配置でも、脅威となっている。中国の軍事関係首脳らは、台湾を越える地域に目を向けはじめている。中国のある軍部高官・温中文氏(音読)の発言:「台湾には、国際軍事力がわが国に対する海上封鎖を打破できる重大な意義を持っている・・・・・・、この封鎖を打破した時点で、はじめて中国の飛躍が確認される」を引用している。

 ワシントン・タイムズ紙は、今回の報告書はこれまで以上に「強硬」路線を明確にしていると伝えている。

 *中国共産党の本性*

 審議過程で、ある議員は、中国に国際協定を締結させることで、彼らの軍備拡張を牽制できるのではないかと提議したが、ワシントンを拠点とするシンクタンク・国際戦略評価センター(IASC)のリチャード・フィッシャー氏は、「恐らく中国当局は国際協定には気軽に署名するが、しかしその後も依然として、協定を破り、好き勝手に行動するだろう。中国共産党の本性からみれば当然あり得る現実で、彼らは協定を守る事をまったく考えたことがない。反対に、協定の実行を口実に、戦略上の利益を要求してくるだろう」と鋭く暴いた。 

 *事実を語ろう*

 米国シンクタンク「ヘリテッジ財団」のベテラン研究員ジョン・ターシック氏は、政策アドバイスとして「事実を語ろう」と明記した。「アメリカ行政部門は、複雑な米中関係に直面していることを自国民に知らせなければならぬ、再三に核脅威発言を受けながらも、粉飾した言葉で、両国関係を飾るべきではない、これは明らかな事実である、このままいけば、中国はアジア太平洋地域国家の脅威になる」と警鐘をならした。

 ターシック氏は「第2次世界大戦が勃発する前夜、欧州の政治家ら多くは、ヒトラーに、『チェコを譲ったら、納得するか』と尋ねた。『もちろん、私は満足する』とヒトラーは答えた…。台湾は、チェコの二の舞になる可能性は十分にある」と歴史を挙げ説明した。

 多くの学者らは、今回の「中国軍事力年次報告書」は、米国民に警鐘を鳴らすものと認識している。(大紀元記者・蕭陽)

台湾の陳総統「中国の軍拡、世界の懸念要因」

2005/07/26 NIKKEI NET

 【台北=山田周平】台湾の陳水扁総統は26日、台北市の総統府と都内の日本外国特派員協会を結んだテレビ会見で、中国が最低でも706基の短距離弾道ミサイルを台湾対岸に配備し、「アジア太平洋や世界の安全、平和の懸念要因となっている」と批判した。一方で、中台の経済関係の発展には政権当局間の対話を再開する必要があると改めて訴えた。

 陳総統は「北朝鮮の核の脅威については6カ国協議が開かれるのに、欧州連合(EU)の一部の国は対中武器禁輸の解除に動いている」と指摘。「これは(軍拡に対する)ダブルスタンダードだ」と述べ、国際社会の台湾支持を呼びかけた。

 中国は親中派野党トップを相次ぎ招いて経済関係拡大で合意したが、陳総統は通関などの公権力を持つ台湾当局と対話しなければ実現しないと強調。11月に韓国・釜山で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に出席し、胡錦濤国家主席と会談したいと重ねて述べた。

中国、米国の「中国軍事力報告書」に厳重な申し入れ

2005年07月21日 「人民網日本語版」人民日報社

楊潔シ外交副部長は20日、在中米国大使館のセドニー臨時代理大使を呼び、米国防総省が19日に発表したいわゆる中国の軍事力に関する年次報告書について、中国政府を代表して厳重な申し入れを行った。楊副部長は次のように表明した。

同報告は何の根拠もなしに中国の国防近代化を攻撃し、中国の正常な国防建設と軍事計画に横槍を入れるものだ。同報告は何の根拠もなく、中国がすでに世界第3位の軍事大国になったとか、中国の軍事の急速な近代化がアジア太平洋地域における米国などの軍事力への脅威になるなどと、公言している。また、中国軍の近代化が台湾に対抗措置強化の必要性をもたらしていると吹聴し、これを口実に台湾に先進兵器を売却しようと企図している。同報告は事実を無視し、「中国脅威論」を精一杯撒き散らし、中国の内政に粗暴な干渉を行い、中国と他の国の関係を挑発している。国際関係の基本ルールと3件の中米共同コミュニケの原則に著しく違反する米国のこの行為に、中国は強烈な不満と断固たる反対を表明する。

中国は独立自主の平和外国政策を堅持し、防衛型の国防政策を実行している。近年来の経済発展に伴う国防費のある程度の増加は、主に将兵の生活条件の改善によるものだ。同時に、複雑で変化に富む国際情勢に対応し、国家の主権・安全・領土保全を守るため、中国軍は武器と装備の一部を新しくする必要がある。これは主権国家として中国が当然持つ権利である。実際、中国の国防費は他の大国と比べ、常に低い水準にある。昨年の中国の国防費は約255億7900万ドルだったが、米国の国防支出は4559億ドルに達した。これは中国の17.8倍だ。米国の1人当たりの国防支出は中国の77倍だ。米国に一体何の資格があって、中国の防衛型の国防政策・措置をとやかく批評し、むやみに論評するのか?同時に指摘しておくべき点として、中国と他国の正常な軍事交流・強力の実施は第三国を標的にしておらず、完全に正当なものだ。米国が立ち入って邪魔し、妨害するのは完全に間違っている。

台湾は中国領土の分割できない一部分だ。米国は実際の行動によって約束を履行し、「一つの中国」政策を堅持し、3件の中米共同コミュニケを順守し、「台湾独立」に反対し、台湾への武器売却と台湾との軍事連係を停止することによって、台湾海峡の平和安定と中米両国の共同利益を守るべきだ。白黒を逆にし、是非を混同し、台湾への武器売却を継続するために口実を設け、「台湾独立」分裂勢力に誤ったシグナルを送るべきではない。

米国は近年の中米関係の進展を大切にし、中米関係の健全で安定した発展にプラスとなる事を多く行うべきだ。両国関係に面倒を起こしてはならない。(編集NA)

楊潔シ副部長の「チ」は「遞」の「しんにょう」を除き「竹かんむり」を乗せた字

中国軍事力、長期的には周辺国の脅威に=米国防総省

2005年07月20日 AP/ライブドア・ニュース 城塚愛也記者

【ライブドア・ニュース 07月20日】− AP通信によると、米国防総省は19日、中国の軍事力に関する年次報告書を米議会に報告し、公表した。同報告書は、中国の軍事力の近代化が今後も続けば、長期的には米国や周辺諸国に対する脅威となりうると警告を発した。一方、短期的には、中国の軍事力は、独立を求める台湾との紛争を想定しているものの、現在の軍事力では、台湾を軍事的に制圧するのは難しいと見られるとした。

 また、同報告書は、中国が、台湾を越えて、アジアの様々な地域での空軍と海軍の作戦遂行能力も拡大させているほか、「米国を含め、世界各国を射程に入れた」ICBM(大陸間弾道ミサイル)を増強していると指摘した。 【了】

江沢民前主席、原潜「参観」 存在感アピール

2005/06/26 The Sankei Shimbun 東京朝刊から

 【北京=野口東秀】中国の江沢民・前中央軍事委主席が夏級原子力潜水艦を「参観した」とされる写真がインターネットに投稿、掲載されていることがわかった。

 投稿時期は胡錦濤政権が反日デモを押さえ込んだ直後であり、この原潜は今月16日に青島沖から新型の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の発射実験を実施したとみられる艦艇であることもあって、江前主席を中心とする軍の勢力が国内外に向けて存在感をアピールする狙いが垣間見えている。

 写真は夏級原潜(タイプ092型)の甲板上で、私服姿の江前主席が多数の軍人の中央で記念写真におさまっている。撮影時期、基地名は明記されていない。投稿されたのは4月22日。同月16日の上海デモ直後に当局がデモ規制に本腰を入れた後で、江前主席に近いとされる空軍幹部らが対日強硬論を推進するよう求めた直後にもあたっている。

軍事転用品 米、対中輸出に許可制 年末めど、規制強化へ

2005/06/25 The Sankei Shimbun

 【ワシントン=気仙英郎】米商務省は今年末をめどに中国に対する輸出品規制を見直す方針を固めた。軍事用に転換できる可能性がある民生品の輸出規制を厳しくするもので、必要要件を満たせば輸出ができる従来の方式を改め、原則輸出禁止としたうえで案件ごとの輸出許可制とする。米政府は、中国の軍事力増強に強い懸念を表明しており、欧州連合(EU)やイスラエルの対中武器輸出の動きを牽制(けんせい)してきた。今回の見直しで、軍事転用が可能なハイテク技術の中国移転に一段と監視の目を向ける考えだ。

 中国に対する軍事・民生両用品の輸出規制強化は、商務省のリッテンバウム次官代理が二十三日、米議会の諮問機関「米中経済安全保障調査委員会」で明らかにしたもので、新ルールはこれまで規制されていなかった軍事転用可能なハイテク製品すべてに網をかける。商務省、財務省、国土安全保障省、国防総省などの関係省庁と協議し、今年末をめどに規制の範囲を決めるという。同次官代理は、具体例として航空機関連部品などを挙げている。

 新ルールは、その規制品に関して原則輸出禁止とし、輸出業者からの申請にもとづいて審査した上で、輸出許可証を交付する方式にする。これまでは事前審査で要件さえ満たせば、軍事転用が可能な製品であっても輸出できた。同次官代理は同委員会での証言で、「この方式で軍事転用が可能な民生品は厳密に特定され、輸出ができなくなるだろう」と語った。

 ラムズフェルド米国防長官が今月四日、シンガポールで、「中国の軍事費は中国政府の公式見解よりも相当多い。世界第三位の規模でアジアで最大だ。中国はこの地域の軍事バランスを崩す恐れが強い」と強い懸念を表明。EUは米国の圧力で、一九八九年の天安門事件以来続けてきた対中武器禁輸を解除しない方針を決めた。また、イスラエルによる対中武器・軍事技術輸出に対しても、ライス米国務長官が「わが国が抱く懸念をイスラエルは十分理解しているはずだ」と強い懸念を表明。最新型のジェット戦闘機開発に関するイスラエルへの情報提供を中断した。

 中国は、米国にとってカナダ、メキシコに次ぐ第三位の貿易相手国で貿易額は昨年二千三百十四億ドルに達した。リッテンバウム次官代理は、「中国に対する軍事転用可能な製品の輸出規制を強化しても、米国にとって戦略的に重要なハイテク技術に該当しないコンピューターのハードウエアや半導体などの輸出は可能」と説明している。

ワシントン・タイムズ: 米情報機関、中国軍備増加の重大な見過ごし

2005/06/15 大紀元

 【大紀元日本6月15日】米国紙ワシントン・タイムズ6月9日付報道で、ある極秘報告書の存在を明かした、その報告書には、過去十年間、アメリカ情報機関が、中国の軍事進展状況について、若干の重大情報を探知出来なかったことを指摘した。

 報告書では、中国共産党が軍事情報を秘匿しすぎると批判。ある評論家は、情報部員らが責められるべきで、彼らは、中国軍事力を甘く見すぎたと意見を述べた。

 ラムズフェルド国防長官は、中国共産党が、戦の争脅威がないにもかかわらず、軍費投資を隠し、軍事力を拡張し続けていると牽制した。国務長官ライス氏も、今週の談話の中で、中国軍事力の拡張に懸念を示した。

 報告書では、中国の軍事拡張状況を以下にまとめている。

 ▽ 新型の長距離巡洋ミサイルを開発

 ▽ 米国のイージスの戦場管理技術を盗み取って、新型軍艦に装備する

 ▽ 新型の攻撃型潜水艦を配置する

 ▽ 高精度ミサイル開発、空対地ミサイルと新型高精度ロケット弾も含まれる

 ▽ 米国空母に設置している地対地ミサイルに対抗するため、関連軍事設備を開発している

 ▽ 先進的な武器を輸入している、ロシアの潜水艦、軍艦と戦闘機などが含まれる。

 報告の中には、「驚き」という言葉が、繰り返し使われ、アメリカ情報機関が、中国軍事発展状況の把握に厳重な過失を犯したことを強調した。

 報告書は、アメリカ情報部長John.D.Negroponte氏の部下で、首席情報分析官Thomas Fingar氏に交付されたという、彼はベテランの中国情報分析官である。

 報告書では、アメリカ情報機構における中国情報専門家の責任を、厳しく指摘した、彼らは中国共産党とよい関係を構築することに専念するあまり、中国共産党に対する警戒感を薄め、わずかな情報しか把握できてないことにまったく気づかず、中国共産党が、アメリカを敵に仕立ていることにもまったく認識していない、と批判した。

 アメリカは、中国に関する情報収集活動に、10年以上も翻弄された。

中国の工作活動が活発、米国の先端技術を狙う

2005/06/11 大紀元

 【大紀元日本6月11日】中央社の報道によると、経済の高成長を遂げた中国がアメリカの技術を必要としているため、その情報収集の工作はアメリカにとって大きな脅威になるかもしれない。しかし、アメリカにまだ十分な用意はないようだ。

 中国が既に通常の情報網以外の手段と数千人にも上る工作員を駆使して、軍用と民用の先端技術を獲得する構えであると、情報専門家は懸念している。しかし、ブッシュ政権はイラク戦争と反テロリズムの戦いの泥沼に陥ってしまったため、中国の情報攻撃に反応する余裕はない。

 ところが、アメリカの民間会社は経営上の考慮から、中国市場への進出を中国政府に許可してもらうことの見返りとして、重要な研究施設を中国に移している。かつて研究施設を中国に移したため、処罰を受けた会社は今、中国と不法に協定を結び、中国にミサイルの技術を提供している。

 アメリカ政府の報告によると、去年およそ百以上の国からのスパイが米国の核心となる技術を入手しようとしている。中に最も積極的に活動しているのは、中国、ロシア、フランス、イラン、北朝鮮とキューバである。

豪州情報機関、中国共産党によるスパイ活動を調査

2005/06/10 大紀元

 【大紀元日本6月10日】豪州法務長官フィリップ・ラドック氏は、豪州情報機関が、中国政府のスパイによる情報活動を、現在調査していることを明らかにした。

 豪紙「ザ・オーストラリアン」6月9日の報道によると、中国共産党官僚が二人亡命したことで、豪州における中国共産党のスパイが千人以上活動しているとされ、豪州政府は、前中国外交官・陳用林氏(37)と前国家安全局職員・カク鳳軍氏(32)が、提供した情報を精査している段階であると報じた。

 ラドック法務長官は8日夜、豪州ABC放送の番組「レイトライン」で、「これらの公開された情報を知らず行動も取ってないと、中国共産党が思っていたら、その考えはあますぎる。豪州の情報機関がこれら情報について、調査しないと理解することも、大間違いである」と表明した。

 カク氏と陳氏は現在、豪州政府に政治亡命の申請をしている最中である。彼らは、自分たちがもし帰国すれば、生命の保障がなく脅威を感じているという。

 カク氏は、中国国家安全局に勤務していたときの関連情報をMP3プレーヤに保存し、豪州移民局に提供した。

 ラドック法務長官は、両氏による政治避難の申請は、正常通りに処理されるはずであり、安全保護を申請することもできると述べた。

 労働党は8日夜、「政府は、反テロ工作に専念するあまり、このような反スパイ情報活動が、影響を受けたかどうかについて、調査すべきである」と牽制した。

 また、法務長官は、陳用林さんと一緒に、ある中国人男性と面会したことがあるという事実を明らかにした。その男性の息子さんは、1999年から2000年の間に、豪州に留学していたが、中国当局は、父親を中国に帰還させるために、息子さんを拉致し、脅迫したという。

 最後に、ラドック氏は、陳用林さんらの亡命申請を判断するひとつとして、情報の信憑性についての調査が行われると強調した。(記者・陳俊村)

「大規模救援訓練に成功」 中国、潜水艦火災を否定か

2005/06/01 The Sankei Shimbun

 華僑向け通信社、中国新聞社は1日、中国海軍が5月31日までに、中国として初の大規模な潜水艦救援訓練を実施、成功させたと報じた。

 今回の報道は、日本政府関係者らが指摘している「中国の通常型ディーゼル潜水艦が南シナ海で火災を起こした」との情報を否定する狙いがあるとみられる。

 中国新聞社は、救援訓練が行われた場所について「(軍事的に)敏感な海域」と表現した上で「中身が濃く、危険を伴う訓練だったが、十分成功した」と指摘。「火災」が模擬訓練の一環だったとも受け取れる説明をしている。また訓練に参加した艦船、潜水艦は5月31日夜、無事に帰港したとしている。

 潜水艦火災の情報について、中国外務省の孔泉報道局長は同日の記者会見で「海軍は緊急訓練の実施中だった」と述べたが、成否については明らかにしていなかった。(共同)

対中武器禁輸解除、EUが当面見送りへ…米紙報道

2005/03/22 読売新聞 yomiuri on-line

 【ワシントン=貞広貴志】22日付の米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は、欧州連合(EU)が中国に対する武器禁輸解除を当面、見送ることを決めたと報じた。

 米・欧の複数の高官が同紙に明らかにしたもので、今春にも予定された輸出解禁は来年以降に先送りする見通しになったという。

 同紙によると、EUが見送りを決めた理由としては、米政府の強硬な反対に加え、中国が台湾独立の阻止に向け「反国家分裂法」を採択したことがあるという。

ウクライナがミサイル不正輸出…中国、イランへ18基

2005/03/18 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【キエフ=五十嵐弘一】ウクライナのスビャトスラフ・ピシュクン検事総長は18日、クチマ前政権時代にウクライナから核弾頭搭載可能なミサイルが中国とイランへ不正輸出されていたことを認める声明を発表した。

 在ウクライナ日本大使館に対しても同様の連絡があり、日本側は、このミサイルが中国から北朝鮮の手に渡れば深刻な脅威となるとしてウクライナ当局の捜査に強い関心を示している。

 問題のミサイルは、ウクライナ製の「X55」で、欧米では「AS15」または「Kh55」として知られる。射程は約3000キロで、200キロ・トンの核弾頭を搭載できる。仮に北朝鮮が保有すれば、ほぼ日本全土が射程距離内に収まることになる。また、イランが保有するスホーイ(SU)24攻撃機から発射すればイスラエルにも到達可能という。このため、キエフの米外交筋も、強い懸念を示している。

 同検事総長の日本側への説明によると、2001年に、同型ミサイル6基が、ロシア経由で中国へ、これとは別に12基がイランに輸出されたという。

 地元紙報道などによると、ウクライナとロシアの武器商人が、ロシア国防省向けと偽って輸出許可を取得していた。

 ウクライナ当局は昨年、ウクライナ人武器輸出関係者1人を逮捕し、起訴。また、事件を首謀したとみられるロシア人2人を指名手配、うち1人は昨年、プラハで逮捕され、近くウクライナ側に引き渡される見通しという。

 この18基のほかにも、輸出先の不確かなミサイルがあるとみられており、ユシチェンコ政権が引き続き追及している。

中国は大量破壊兵器供給源 米高官が批判

2005/03/11 The Sankei Shimbun

 ラドメーカー米国務次官補(軍備管理担当)とロドマン米国防次官補(国際安全保障担当)は10日、中国に関する議会の公聴会で証言。中国が、イランとパキスタンの核、ミサイル開発に関与を続けるなど「大量破壊兵器関連技術の主要な供給源になっている」と強く批判した。

 ロドマン次官補は、中国が1997年に、イランとの核分野での新たな協力は行わないと約束したにもかかわらず、事実上の国営企業「北方工業公司」などが「イランとの核関連取引を続けている」と強い懸念を表明。兵器転用可能な化学物質の輸出も続け、「イランの化学兵器開発計画を支援している」と批判した。

 ミサイルについても、中国はイランやパキスタン、リビア、北朝鮮に関連技術を供与したと指摘。米政府がこれまで、中国企業十数社に60回以上制裁を科したのに、中国政府は拡散防止への努力が足りないと強調した。

 ラドメーカー次官補は、大量破壊兵器拡散問題が米中両国関係の「重要な一部となっている」と指摘。中国政府に対し、真剣な取り組みを強く要請した。

 公聴会を開催したのは米議会の「米中経済安保見直し委員会」。同委員会は、米中間の経済、貿易関係の緊密化が米国の安全保障に及ぼす影響を調査する目的で2000年10月に設けられた。中国問題専門家12人で構成し、毎年発表する報告書などで中国に厳しい見方を示している。(共同)

中国とイランへミサイル密輸疑惑 ウクライナ、クチマ前政権時

2005/02/08 The Sankei Shimbun

 AP通信によると、ウクライナのクチマ前政権時に核弾頭搭載可能なミサイルをロシアに輸出したとの名目で、実際はイランと中国に不正輸出した疑惑が発覚、ユーシェンコ新政権は7日までに本格的な捜査に乗り出した。前政権とロシアが絡んだ大規模な不正の実態が明るみに出る可能性が強まった。

 疑惑はユシチェンコ大統領あての情報機関出身の国会議員の告発で判明。告発書簡によると、2000年に輸出先をロシア国防省と偽り、ウクライナ製の「Kh55」20基の輸出許可を取得。そのうちイランと中国にそれぞれ6基ずつが輸出され、残り8基の行方が分かっていないという。

 ミサイルは欧米では「AS15」と呼ばれ、射程は2975キロ。イランからはイスラエルが攻撃射程に入る。書簡によると、密輸での利益は210万ドル(約2億2000万円)に上るという。

 ロシア外務省などは関与を否定している。(共同)

「対中武器禁輸は必要」 ボルトン米国務次官

2005/02/07 The Sankei Shimbun

 来日中のボルトン米国務次官(軍備管理・国際安全保障担当)が7日、都内で講演、欧州連合(EU)が検討している中国向け武器禁輸措置の解除について「中国に誤ったメッセージを送ることになる」と述べ、今後も禁輸維持が必要だとの立場をあらためて示した。

 ライス国務長官は先週の欧州歴訪で各国と対中禁輸措置について協議、ストロー英外相との4日の会談では「欧州の人々はわれわれの懸念に耳を傾けている」と述べていた。こうした点を踏まえ、ボルトン次官は今後、日米、EUの三者で協議していきたいとの考えを示した。

 次官はまた、1期目のブッシュ政権がイランなどへの違法なミサイル輸出に関与していたとして中国人民解放軍系企業に発動した経済制裁が計62回に上ったと指摘。今後も中国政府に対し、違法なミサイル技術拡散などへの対策強化を求めていくと述べた。(共同)

対中武器輸出は時期尚早 米、欧との間に深い溝

2005/01/26 The Sankei Shimbun

 米国務省のバウチャー報道官は25日の記者会見で、欧州連合(EU)が検討している中国向け武器禁輸措置解除について「時期尚早」と強調、あらためて反対姿勢を示した。ライス次期国務長官とストロー英外相の24日の会談後、英政府当局者は禁輸解除に関し米側の一定の理解を得られたとしていたが、米欧間の溝が依然深いことが浮き彫りとなった。

 イラク戦争でぎくしゃくした関係の再構築を目指しブッシュ大統領が2月に予定している欧州訪問で、この問題が新たな対立の火種になる可能性も出てきた。

 武器禁輸措置は、戦車を動員して学生の民主化要求を弾圧した1989年の天安門事件に対する制裁としてEUや米国が発動した。報道官は中国の人権状況について「後退も見受けられる」と指摘、禁輸解除は「中国に誤ったシグナルを送ることになる」と強調した。

 一方で、EU側が方針を示している輸出条件を定めた「行動規範」の強化を注視する姿勢も示し、EUとの協議は続けると述べた。

 24日のホワイトハウスでの会談後、英政府当局者は「行動規範」の強化により「直ちに武器輸出増大につながらない」とする英側の説明にライス氏が一定の理解を示したとしていた。(共同)

軍事スパイ企業「華為技術」が北欧、米国にも進出 コックス報告をクリントン前政権は握りつぶしたが。「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」

平成17年(2005年)01月12日(水曜日)通巻 第1010号
     

 クリントン政権時代、中国は軍のダミー公司を巧妙に駆使して、買収やらスパイやらを米国内に夥しく派遣し、ミサイル、核弾頭のマーブ化などの技術を片っ端から盗み出した。

 下院のコックス議員を中心に編まれた「コックス報告」は、その実態を余すところなくえぐったが、クリントン政権は全文の公表を差し止め、被害の四割を隠した。 そのかわり、しずかに当該中国企業数社を制裁した。

 民間企業の鎧をまとって新しく登場は「華為技術」という会社。

 実態は軍が経営なのに、日本のマスコミは、その点を一切指摘しない(米国マスコミは華為を軍関連企業と明確に書いている)。

  中国ブランドといえば海爾(ハイエール)、TCL、レノボ(IBMのパソコン部門を買収した)、寧波などが有名となったが、華為も携帯電話ではトップの座を中国国内では占める。

 「海外売り上げが全体の二割以上あれば国際的企業だ」(フォーブス)という定義に従えば、華為技術は「北欧から北米に進出し、すでに27%の収益は海外」(フィナンシャル・タイムズ)、そのうえ、売り上げも2008年には100億ドルを目指す。

 華為技術は本格的に米国へ3Gの携帯電話で進出するが、「本業」のほうが何を狙うか、米国の情報筋は監視の目を強める様相である。

04年国防白書を発表 防御中心の政策を堅持へ

2004年12月27日「人民網日本語版」

国務院新聞弁公室は27日、白書「2004年の中国の国防」を発表した。1995年以来5度目の国防白書となる。同白書には、平和発展の道を歩み、防御的な国防政策を断固として実行していく中国の方針が記載されている。

中国の国家安全保障における基本的な目標と任務について、同白書は次の5点を指摘する。

(1)分裂の抑止、統一の促進、侵略への防備と抵抗、国家主権・領土保全・海洋権益の擁護を進める。

(2)国家の発展に関わる利益を保護し、全面的でバランスの取れた、持続可能な経済・社会の発展を促進し、総合的な国力を絶えず増強する。

(3)国防建設と経済建設のバランスの取れた発展という方針を堅持し、中国の国情や世界の軍事情勢に適応する現代的な国防を整え、情報化の中での防衛作戦能力を向上させる。

(4)一般市民の政治・経済・文化における権利を保障し、さまざまな犯罪活動を厳しく取り締まり、正常な社会秩序と社会の安定を維持する。

(5)独立自主の平和外交政策を実行し、相互信頼・互恵・平等・協力という新たな安全観を堅持し、長期にわたる良好な国際環境と周辺環境を目指す。

同白書の全文は約3万字。(1)安保情勢(2)国防政策(3)中国の特色ある軍事変革(4)国防の経費と資産(5)兵役制度(6)国防への動員と予備兵力の整備(7)国防をめぐる科学技術工業(8)軍隊と人民(9)安保における国際協力(10)軍備抑制・軍縮・拡散防止――の10部分で構成される。

同白書は、「中国の発展は自己の能力を根本としており、いかなる人にとっても妨げや脅威にならない。中国は自己の発展のために平和な国際環境を必要とし、また自己の発展による世界の平和・発展の促進に努力している。中国は平和・発展・協力の旗印を高く掲げ、独立自主による平和外交政策を堅持し、防御的な国防政策を堅持し、永遠に拡張を目指さず、永遠に覇をとなえない」とした。(編集SN)

中国が新型潜水艦を実験か 1、2年後に配備可能と米紙

2004/12/04 The Sankei Shimbun
 3日付の米保守系紙ワシントン・タイムズは、軍事当局者などの話として、海上核戦力の増強を図る中国が今年7月、新型の「094」型潜水艦の航行実験を行ったと報じた。海中発射可能な新型弾道ミサイル「DF31」を搭載しており、1、2年後に配備可能になるとしている。

 「094」型潜水艦の建造は中国の最優先軍事課題で、将来的には「名実ともに初めての(海上配備型)大陸間戦略核運搬システムになる」との当局者の話を伝えた。

 「2010年前後までに新型ミサイル潜水艦は配備されない」との米国防総省の予測を大幅に上回る技術革新で、米当局者や専門家は事態を深刻視している。ロシアが主に技術供与しているとみられている。(共同)

中国、新型国産兵器アピール…途上国に売り込みへ

2004/11/16 読売新聞 Yomiuri On-Line
 【北京=佐伯聡士】中国が途上国向けに新型国産ミサイルなどの売り込みに力を入れている。

 このほど開かれた広東省珠海での第5回国際航空宇宙博覧会でも、中国航天(宇宙)科工集団や中国航空工業第1集団など大手メーカーが最新の国産兵器をPRし、兵器ビジネスの存在感を誇示した。 

 中国青年報によると、航天科工集団は、地対地戦術ミサイルB611の車載型発射装置や携帯式対空ミサイルシステムFLV―1などの新型国産ミサイルを展示。B611は射程150キロの短距離ミサイル、FLVは低空から攻撃を仕掛けてくる武装ヘリや無人偵察機などを標的にしたもので、いずれも海外市場に照準を合わせた輸出用兵器という。

 途上国をにらんだ中国の兵器ビジネスは航空機分野でも活発化している。華僑向け通信社「中国新聞社」(電子版)によると、中国が独自開発した訓練用戦闘機「山鷹」(JL9)は、2006年にも量産体制に入り、輸出する計画だ。同機は平時は訓練用だが、有事には作戦行動に投入できる能力を備えているという。

 また、中国とパキスタンが共同開発した戦闘機「梟竜」(FC1)についても、米国製F16の3分の1にも及ばない低価格を最大の売り物に、アジアから中東、アフリカまで広範な途上国を市場とする輸出戦略を描いている。

 今回の珠海の博覧会には、中国、ロシアを筆頭に、32か国・地域の企業約500社が参加した。関係者によると、軍民合わせて計45億ドルに上る契約が交わされたが、ミサイルなど軍事分野での取引額など具体的な内容は明らかではない。

中国で航空ショー開幕 戦闘機やミサイルなど展示

2004/11/01 The Sankei Shimbun
 中国内外の最新戦闘機や民間機を展示する中国国際航空宇宙ショーが1日、中国広東省珠海市で始まった。米英やロシアなど32カ国の航空関連企業400社以上が参加し、7日まで行われる。

 1996年から隔年で開かれており、5回目となった今回はアラブ首長国連邦やインド、イランなど5カ国が初参加。中国の新型中距離地対空ミサイル「凱山1号」やロシア戦闘機スホイ27の改良型などが注目を集めそうだ。

 曲芸飛行や、中国初の有人宇宙船「神舟5号」の楊利偉飛行士の講演なども実施予定。展示物などに中国では過去最高の690億元(約9000億円)の保険が掛けられているという。(共同)

中国軍が河南省で実弾演習、16か国関係者が視察

2004/09/25 読売新聞 Yomiuri On-Line
 新華社電によると、中国人民解放軍の済南軍区は25日、河南省の確山訓練基地で機械化歩兵部隊による実弾演習を実施し、海外の軍関係者に公開した。

 視察したのは、東南アジア諸国連合(ASEAN)や上海協力機構の加盟国、インド、パキスタンなど16か国60人以上で過去最多。演習目的は機械化部隊の山間部での作戦能力検証だという。(中国総局)

中国:中央軍事委、近代化へ再編進む

2004/09/20 毎日新聞 東京朝刊 Mainichi INTERACTIVE
 【北京・大谷麻由美】19日閉幕した4中全会は、徐才厚・総政治部主任を中央軍事委副主席に昇格させた。また、陸軍で占められていた軍事委に新たに張定発・海軍司令官、喬清晨・空軍司令官、靖志遠・第2砲兵(戦略ミサイル部隊)司令官らを加える軍人事を採択した。これは、胡体制発足に合わせ世代交代を進めるとともに、中央軍事委を近代化された統合本部へと再編する動きの一環と考えられる。

 中国軍は現在、海、空軍を中心に軍近代化を進めている。江沢民氏は、故・トウ小平氏の打ち出した軍のハイテク化路線を引き継ぎ、「中国の特色ある軍事変革」を提唱、IT(情報技術)化戦略を重要な課題としてきた。江氏引退後もこの路線は踏襲される見込みだ。

 中国はイラク戦争で、米国の突出した軍事力を目の当たりにし、近代化の動きをさらに加速させている。中国軍は97年の兵員50万人削減に続いて、03年に20万人削減を決定。台湾海峡の有事をにらみ、最新鋭の艦艇や潜水艦、戦闘機を拡充し、ハイテク化、IT化に対応した人材育成のための教育機関も今年新たに設立している。

中国人民解放軍所属の4大学、月内に地方移管完了

2004/08/29 読売新聞 Yomiuri On-Line
 【北京=藤野彰】28日付の中国紙「中国青年報」などによると、中国人民解放軍は今月末までに、軍所属の主力大学4校を軍組織から切り離して地方移管する事業を完了する。

 人民解放軍が国防近代化の重要課題として取り組んでいる兵員削減の一環で最も大規模な軍大学移管事業となる。

 移管されるのは、軍総後勤部所属の軍需大学、第一軍医大学、第三軍医大学成都医学院、第四軍医大学吉林軍医学院の4校。軍需大学は教育省管理下で吉林大学と連合し、残り3校は広東、四川、吉林の各省にそれぞれ移管される。移管式典は今月24日から順次行われており、月内に終了する予定だ。

 人民解放軍の総兵力は約230万人に上り、「1つの国家」に匹敵するほどの膨大な部門・要員を抱えている。軍当局はハイテク戦争に備え、経費削減によって精鋭化を図る戦略を推進している。

人民解放軍の研修団が訪日 自衛隊基地など見学

2004年08月24日「人民網日本語版」

日本の笹川日中友好基金は23日夜、第4回中国人民解放軍佐官級訪日研修団の歓迎会を東京で開催した。

日本財団(笹川日中友好基金の出資者)の笹川陽平理事長は歓迎会の祝辞の中で、「日中両国は地理的に密接な関係のある近隣であり、中国人民解放軍と日本自衛隊による交流の強化は非常に重要だ」と話した。歓迎会に先立ち、日本防衛庁の石破茂長官が一行と会見している。

研修団の一行は22日に日本に到着した。訪日期間中、一行は日本の陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊の基地や防衛関連施設の一部を見学する。また、日本企業数社や民間団体への訪問も予定している。

笹川日中友好基金は、両国の防衛分野における交流強化を目指し、2001年から中国人民解放軍と日本自衛隊による佐官クラスの相互派遣研修を推進してきた。(編集YH)

中国、新型ミサイル実験に成功…射程3千キロか

2004/08/21 読売新聞 Yomiuri On-Line
 【北京=佐伯聡士】華僑向け通信社「中国新聞社」(電子版)によると、中国航天(宇宙)科工集団公司の研究員は16日、トウ小平氏の生誕100周年を記念して、科学技術省など7機関が北京で開いた座談会で、「数日前、中国が開発した新型ミサイルの飛行実験に成功した」ことを明らかにした。(トウは「登」にオオザト)

 ミサイルの名称や射程など具体的な情報は一切明らかにしていないが、外交筋は「巡航ミサイル『紅鳥』の新型」との見方を強めている。中国軍は、台湾海峡有事をにらんで短距離弾道ミサイルの配備を進めており、今回の実験成功により巡航ミサイルの配備にも拍車がかかる可能性がある。

 この研究者によると、ミサイルは極めて高い精度で目標に命中し、実験には曹剛川国防相が立ち会ったという。香港紙「明報」は、新型巡航ミサイルの射程は3000キロで、命中精度は5メートルの範囲としている。同紙によると、射程1500キロの紅鳥は1996年に配備されているという。

米−EU、対中武器輸出巡り神経戦

AUGUST 10, 2004東亜日報 by 金昇? (srkim@donga.com)

イラク戦以降、頻繁に対立してきた米国と欧州連合(EU)が、対中武器禁輸措置の解除をめぐって、再び神経戦を繰り広げている。韓国政府も10日「高句麗(コグリョ、B.C.37〜A.D.668)歴史をわい曲した問題で、韓国と歴史戦争を開始した中国が、先端兵器を買入れる場合、韓国としては負担にならざるを得ない」とし、神経を尖らせている。

▲中国、先端兵器で武装?〓対中武器禁輸措置は1989年の天安門事件当時に遡る。当時、米国とEUは「中国政府が画期的な人権改善の措置を取らなければ兵器を売ることができない」と宣言した。15年が過ぎた時点で、EUは輸出再開のカードを取り出した。世論作りに出たフランスのシラク大統領は、最近「(中国に対する)武器禁輸措置は、現実の国際秩序に符合しない」とし、輸出再開の意思を明確にした。

現在、中国の国防費(非公式のもの)は年間700億ドル(約8兆円)台にのぼり、世界第3位のレベルだ。だが「最先端」とはかけ離れているロシア製の兵器が主要戦力を成している。EU加盟諸国が軍事費を削減し、頭を悩ませていた欧州の軍需会社としては、魅力的な規模だ。しかし、パウエル米国務長官は「中国の人権事情が改善されたか」とし、時期尚早であることを明確にした。

EUと中国は今年12月8日、EU議長国、オランダのハーグで開かれる第7回定例首脳会談で、この問題を協議し、結論付ける予定だ。しかし、主要政策の決定は全会一致で採択するというEU憲法を考慮した場合、現在、少なくとも4カ国が禁輸措置の解除に反対する状況で、成功するかどうかは予測できない、との見方が出てきている。

韓国政府は、この懸案を、在韓米軍の再編との観点から注視している。在韓米軍が迅速対応軍に再編された後、地域の安定軍として役割を果すようになれば、中国・台湾間に対立がある際、在日米軍とともに投入されるはずであり、その場合、韓国軍が間接的に介入する余地があるからだ。

▲米国−EUの隔たり〓ブッシュ政府がスタートして以降、米国とEUは、冷戦時代とは異なり、頻繁に「不協和音」を作り出した。

米国は力を前面に掲げた外交政策を追求し、EUは米国の独歩体制に対抗する動きを見せてきた。米新保守主義者(ネオコン)の代表的な理論家、ケイガン元国務省副次官補は「米国と欧州が同じ声を出すだろうとの期待を捨てるように」と主張した。国際問題に介入できる能力を持っている米国は介入しており、国際社会の対立を解決できる能力を失った欧州は傍観だけしていた、という説明だ。

田奉根(チョン・ボングン)元統一部政策補佐官は、対中武器禁輸措置の解除をめぐる議論と関連し「米国は中国をけん制対象に考えているが、欧州は、中国と協力することで、国際社会の秩序維持が可能だ、との見解を持っており、経済実利主義も視野に入れている」と分析した。

中国軍によるハッキング介入の有無を洗い出すべき

2004/07/15 朝鮮日報/朝鮮日報JNS

 国防研究院と国防科学研究所など、韓国の国家安保の中枢的機関の情報ネットワークに侵入したハッカーが中国人民解放軍所属の外国語学校出身であることが明かになったという。複数のハッカーたちが使用したコンピューターはIP(コンピューターアドレス)が連続した番号につながっており、外部からのアクセスを遮断する閉鎖的なネットワークを構築していたという捜査結果だ。

 国家次元の組織的な支援なくしてこうしたことは起こり難いという点とハッカーたちが安保関連機関を主に狙ったという点を勘案すれば国家次元のサイバー戦の可能性も排除できない状況だ。

 現在としてはいかなる推測もむやみにできない状況である。当て推量で行動する場合、深刻な外交問題になる可能性もある。しかしこれまで露呈した状況だけでも中国に捜査協力を要求する根拠は十分だと考えられる。

 韓国と中国は2000年に犯罪者の所在及び身元確認、押収捜査の執行など捜査上の相互協力を内容とした啓二事犯協助条約を結んでいるだけに中国も「人民解放軍と無関係」なことをハッキリさせるためにも捜査に協力しなければならない。

 捜査関係者は、「流出した資料のタイトルだけを見ても保安上極めて重要なものが多い」と話している。数十億ドルを費やし構築した兵器体系や軍事運営情報が何の役にも立たなくなる状況に無防備にさらけ出されていたのだ。

 被害を負った国家機関は捜査機関の通報を受けるまでハッキングされていた事実さえ気付かなかったというが、IT先進国という誇りが色褪せる。これまで民間の専門家たちは国家レベルの機関の情報ネットワークに対する徹底した防御網構築とサイバーテロ対策作りを建議したが、過去をあばくことに熱中し、何も聞こえていないのではないか。

 今からでも国家機関であれ民間企業であれハッキング等の異常兆候が確認されれば体系的にまた最大限速やかにその事実を関連機関に知らせ対応するようにする国家レベルの早期警報体系を構築しなくてはならない。

 安保はもちろん、経済と社会の基盤施設まで情報通信インフラに全面的に依存している状況において、このシステムに穴が空いたり、システムが破壊された場合、収拾できないほどの社会的混乱がもたらされる恐れがある。

中国人民軍、北朝鮮へ圧力?国境の鴨緑江で渡河訓練

2004/08/08 読売新聞 Yomiuri On-Line
 北朝鮮の民主化を訴えるNGO「救え!北朝鮮の民衆/緊急行動ネットワーク」(RENK)は7日、中朝国境を流れる鴨緑江の中国・遼寧省側で7月中旬、中国人民解放軍が渡河訓練を行っていたことを明らかにした。

 中朝国境地帯での渡河訓練は初めてとみられる。李英和・RENK代表は「北朝鮮に核問題解決を促す圧力をかけているのではないか」と話している。

 李代表によると、訓練が行われたのは、遼寧省丹東から車で約30分の無人地域で、川幅は約500メートル。幅5―7メートル、長さ2、30メートルの浮橋を7―10基、川の中間地点を通る国境に向かって設置しているところを、脱北者がカメラ付き携帯電話で撮影した。訓練は約2週間続き、装甲車も浮橋上に置かれていた。天幕の数から兵士約1000人が参加したと推定されるという。

中国、軍事力大幅拡大か

2004/06/06 Jan Jan

 29日の読売新聞によると、米国防総省は中国の軍事力に対する年次報告書を発表した。それによると、中国が台湾に配備しているミサイルが500基以上に達し、昨年の報告書で指摘した450基より50基以上増強されている他、軍全体の大幅な底上げもなされているという。

 更に、報告書によると中国の年間の実質的な軍事費は公表国防費の2―3倍にあたる500-700億ドルにのぼっているという。(米国・ロシアに次いで世界第三番目の規模)

 イラクでアメリカが、パレスチナでイスラエルが、侵略行為を続けている間に、中国が大国主義的な視点を台湾に向けていることが判明した。恐らく中国は、更なる軍備を台湾に差し向け、台湾政府を飲み込もうとしているのだろう。

 そして、この流れは日本にとっても「脅威」である。私は「中国脅威論」を唱えることはないが、唱える人々の言葉に、強い説得力が生まれ、日本の軍事拡張と周辺諸国の緊張が現実のものとなってしまいかねないからだ。

 そもそも、国の三要素(国土・国民・政府)を満たしており、数十ヶ国との「国交」を結んでいる台湾を侵略しようということは、決して許されることではない。中国は周辺の民族(チベット・ウイグルなど)を力ずくで抑えてきた過去の歴史を反省し、真っ当な方向に方針を設定しなおす必要があるのではないだろうか。

 国際的なルール違反である国防費の隠蔽なども併せて是正しない限りは、周辺諸国の信頼とそれに続くアジア圏での緊密な経済・外交協力を得ることは難しくなってしまうだろう。(田中大也)

外交部、米の「中国軍事力レポート」に潜む企図について語る

2004年No.23(05月31日 -06月04日)北京週報

 劉建超外交部スポークスマンは6月1日、記者の質問について、米国国防省がこのほど発表した「2004年中国軍事力年度レポート」では、中国の軍事力と軍事費用が工夫して誇張されているが、これには言外の意図があると指摘した。同スポークスマンは、記者の質問に次のように答えた。

 ――米国国防省がこのほど発表した「中国軍事力年度レポート」を、中国側はどう評価するか。

 米国防省の同レポートには、冷戦時代の考えが充満している。これまでの「中国脅威論」を繰り返し、中国の軍事力や軍事費用の誇張に工夫を凝らしたもので、言外の意図が潜んでいる。

 中国の国民は平和を非常に愛する。中国はあくまで独立自主の平和外交政策を遂行し、防衛中心の国防政策を実行し、平和発展の道を歩む。中国が主権国として、国家の安全と領土保全を守るために国防建設を進めるのは、当然のことである。

 世界に中国は一つしかなく、台湾は中国の一部分である。中国政府は「平和的統一、一国二制度」の方針を堅持する。

 われわれは、最大の誠意と最大の努力で、祖国の平和的統一への展望を勝ち取りたい。

 しかし、「台湾独立」は決して容認せず、いかなる人がいかなる方式で台湾を中国から分割させることも決して許さない。

 「台湾独立」を目指す勢力による分裂活動は現在、台湾海峡の平和と安定にとって最大の脅威である。

 われわれは米国に、「一つの中国」の政策の堅持と、中米の3コミュニケの順守、「台湾独立」反対という約束を実際行動で果たし、いかなる口実による台湾への新型武器売却をも停止し、「台湾独立」を目指す勢力に誤ったシグナルを発しないよう促す。

<米国防総省>中国軍事力に関する報告、ミサイル450基を配備する

2003/07/06(毎日新聞)Alibaba.com Japan

 【ワシントン佐藤千矢子】米国防総省は30日、「中国の軍事力に関する年次報告書」を米議会に提出した。中国が、中台戦争の可能性に備えて、台湾や沖縄の在日米軍を射程に収めた短距離弾道ミサイル450基を配備するなど、軍事力増強を加速させていると指摘し、警戒感を強めている。

 報告書は、中国が短距離弾道ミサイル450基をすでに配備し、今後2、3年間に精密度を増した同ミサイルを年間75基の割合で追加配備すると分析。昨年の年次報告では350基を配備し、年間50基の割合で増やすと分析しており、予測を上回るペースで増強が進んでいるとの見方を示している。

 また中国の国防予算について、中国が昨年、発表した200億ドル(約2兆4000億円)を大幅に上回る年間450億ドル〜650億ドルと積算し、2020年までにはさらに3〜4倍に膨らむと分析している。

 また報告書は「中国は、台湾問題を平和裏に解決するのが望ましいと公言する一方、軍事的選択肢を追求している」と指摘。その主要目的は、中台戦争が勃発した場合に、米国の介入を阻止して、中国に有利な条件で台湾に交渉を強いることだとの見方を示している。

米検察、中国に軍事用カメラを密輸しようとした中国系米国人を起訴

2000年03月01日 ロイター

 [ロサンゼルス 29日 ロイター]ミサイル誘導システムに使用されるカメラを、中国に密輸しようとした疑いで逮捕されたロサンゼルス在住の中国系男性が、米国の輸出法違反で起訴された。

 容疑者は2月12日、ロス発中国・武漢行きの旅客機にカメラを持って搭乗する際に逮捕された。

 そのカメラは同容疑者が、おとり捜査中の連邦捜査局(FBI)の局員から、14万2000ドルで入手したもの。同容疑者は、そのカメラが中国のミサイルや偵察システムに使われると話していたという。

中国のミサイル発射に懸念

1999年08月04日 共同通信社

 野中広務官房長官は4日午前の記者会見で、中国の新型長距離ミサイルの発射実験について「国際社会の大量破壊兵器不拡散と、軍縮努力がされている中でのミサイル発射は歓迎することとは言えない。懸念を表明する」と述べた。

 外務省は同日中に駐日中国公使を呼び、懸念を伝える。

中性子爆弾技術を保有 中国発表『70−80年代に開発』

1999年07月15日 (朝日新聞) 東京反核医師の会

【北京15日=鈴木暁彦】中国政府は15日の記者会見で、中性子爆弾の設計技術をすでに保有していると発表した。

 米下院調査特別委員会(コックス委員長)は5月末、中国の核技術スパイ疑惑に関する報告書で、中国が20年以上にわたり、核弾頭や中性子爆弾などに関する米国の軍事技術を盗み出し、核ミサイル開発を飛躍的に早めた、と指摘した。中国政府は15日、これに対して反論する二度目の会見を開き、「中国は1970、80年代に核技術を開発し、中性子爆弾の設計技術と核兵器小型化の技術をもった」と主張した。

 会見は中国政府の対外宣伝部門である国務院新聞弁公室の趙啓正主任が主催。

 中国の核兵器開発に携わった朱祖良・中国工程物理研究院院長と長征型ロケットの専門家、張麗輝・中国航天科技集団公司開発研究部長が参加し、2万5千華字に及ぶ反論文書の概要を説明した後、内外記者の質問に答えた。

 趙主任は「コックス報告は、事実無根の指摘、データねつ造、わい曲に満ちたもので、いいががりである」と決めつけた。

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 日本外務省によれほ、中性子爆弾は核兵器にあたるため、核保有国の中国が開発、保有することは核不拡散条約(NPT)違反にはならない。他の核保有国も軒並み開発技術を取得済みとみられる。人道的側面から批判が強い中性子爆弾の使用は考えにくく、国威発揚の側面が強い。ただ日本政府は唯一の被爆国の立場から、開発に強い懸念と遺憾の意を示す方針という。

 中性子爆弾: 核爆発で放出される中性子の割合を増大させた核兵器の一種で、放射線強化弾頭ともよばれる。爆風や熱線などの効果は抑制されており、強力な放射線で戦車内などの兵士を殺害する。建造物の破壊や放射能汚染はわずかなため、攻撃1―2週間後には地上軍が入れるとされる。米、仏も技術を持っているが、現在は製造していない。

米国にとり中共が最大の敵  マスコミの世論調査が明示

1999年05月31日 台北『中央日報』

 コックス報告に見る中国(共)のスパイ行為は米国民の意識に相応の変化を及ぼしたようだ。米『タイム』誌とCNNが五月に共同でおこなった世論調査によれば、まず回答者の八一%がコックス報告が示す中国(共)の対米軍事スパイ行為のあったことを信じると答え、対中(共)嫌悪感の広まっていることを示した。さらに「米国にとって最大の敵はどこか」の問いに対し、ロシア二四%、イラク三四%であったのに対し、中国(共)と答えたのは四六%に達し、最も多かった。ただし、五五%が中国(共)との経済往来等の関係はつづけるべきだと答えた。しかし、四一%が規制すべきだとしている。

 また、六一%が中国(共)はすでに米大陸本土に直接核攻撃を加える能力を保持していると信じ、三〇%がそれに否定的であった。さらに五七%が中国(共)との外交関係が後退しようとも、人権外交を強力に推進すべきだと答えた。

中国スパイ報告書は誇張

1999年05月29日 共同通信社

 中国の核スパイ疑惑で米政界で反中感情が高まっているが『中国が米国と同等の核開発能力を得た』との米下院特別委員会の報告書に対し、キッシンジャー元国務長官や米国の中国専門家の間から『誇張に満ちている』との批判が上がっている。

 下院特別委員会メンバーのスプラット議員(民主党)は28日『委員会は2、3人の証言で核技術盗みだしの結論を出しており、専門家による裏付け調査もなかった。誤った記述もある』と説明した。

中共の核技術盗用、アジアに重大な影響 台湾への中性子爆弾使用の可能性も指摘

1999年05月26日 台北『中央日報』

 アジアの力の均衡に重大影響

 米下院調査特別委員会(クリストファー・コックス委員長)は五月二十五日、中共による米国からの核およびミサイルなどの軍事技術盗用に関する報告書(コックス報告)を公表するとともに記者会見をおこない、その内容を明らかにした。

 それによれば、中共が一九七〇年代末以来二十年計画で、核兵器のなかで最も高度とされている核融合兵器(水爆)の開発も推進し、そのために米国が現在配備中の五種類を含む計七種類の核融合弾頭および中性子爆弾の設計技術を盗用したことを明らかにした。

 さらに委員会は、「それらの技術が今年中に試射され二〇〇二年までに配備されると見られる、中共が次世代大陸弾道ミサイル(ICBM)としている移動式DF31に最初に活用され、今後十五年間で約百基の陸上および潜水艦配備のICBMが実戦配備されるだろう」と述べ、「これにより短期的には台湾をはじめ東アジア地域の力のバランスに重大な影響を及ぼし、長期的には太平洋の核戦力バランスにも変化が生じるだろう」と指摘した。

 中共が過去二十年間に米国から盗用した核およびミサイル技術のうち、すでに米国では配備されていない種類はW70(ランス短距離弾道ミサイル)とW56(ミニットマン2型ICBM)で、現在配備されているものは、トライデント2原子力潜水艦搭載のSLBM(弾道ミサイル)D5の最新鋭弾頭W88、トライデント1原潜搭載のSLBM・C4W76、移動式ICBMピースキーパーW87弾頭、ICBMミニットマン3W78およびW62弾頭の五種類である。報告書は「弾頭は小型化によって単一のICBMに最高十弾頭まで装填可能となり、補助機能を装備することでミサイル防衛システムを突破する性能を高めることができる」と指摘し、「中国(共)は今後十年間に小型核弾頭の連続的生産態勢に入るだろう」との予測を立てている。

 さらに同委員会は、中共は七〇年代末以来、二回にわたって米国の国立兵器研究所から中性子弾頭技術を盗用し、これによってすでに八八年には中性子爆弾の爆破実験をしていたことも明らかにした。中性子爆弾は高度核兵器の一種で、放射性効果を利用して戦車など敵兵器や建物を破壊せず、兵員だけを殺傷する新型兵器で、米国をはじめまだどの国も実戦配備していない。だが報告書は、「中国(共)は米国から盗用した中性子弾頭技術を移動式ICBMのほか中距離弾道ミサイルや短距離ミサイルにも活用しうる」としている。

 ●台湾に中性子爆弾使用の可能性

 同報告書のなかで特に注目すべきは、「短期的には中国(共)による盗用設計情報に基づく移動式熱核(核融合)兵器や中性子爆弾の配備は、地域の力の均衡に重大な影響を及ぼし、ことさら台湾との関係においては深刻となろう」としている点だ。さらに同報告書は「中国(共)が中性子爆弾を使用する可能性で最も早期に考えられたものは、中国領土内に侵入してきた旧ソ連軍に対するもので、中国(共)が自国領土内で核兵器を使用する可能性は否定できない。また、かれらは台湾も自国領土と見なしており、その目的は台湾を破壊することではなく、占領することにあるからだ」としている。

 中共は「核による先制攻撃はしない」としているが、大陸の学者たちは、「先に使用しないというのは外国に対してであり、台湾は決して外国ではない」と解釈しており、コックス報告と符合する点がある。中共のこうした可能性に対し、国防部は「現在、中共の核兵器の開発は中短距離地対地ミサイルにおいて顕著であり、これは国軍が防衛作戦において特に注意し、その防衛を強化しなければならない点である」と指摘している。

中国は、米核技術盗用のため酒や観光を利用=議会報告

1999年05月26日 ロイター

 [ワシントン 25日 ロイター] 中国による米核技術盗用を調査していた米議会特別委員会の報告書によると、中国は、米科学者らから情報を入手するため、酒を飲ませる、観光に連れ出し、ホテルの部屋に押し入って盗みを働くなど、様々な手段を用いた。

  同報告書は、中国は、「機密情報を入手するため、米科学者らを取り込むのに様々な手段を用いた」としている。

 報告書によると、中国は過去20年間にわたって、7種類の核弾頭と中性子爆弾に関する米情報を入手し、米国の核兵器の研究施設から機密を入手した。 コックス下院議員が、今回の報告書をまとめた特別委員会の委員長。

中国外交部スポークスマン、米側が発表した「コックス報告」はでたらめであると指摘

1999年05月26日「人民日報」

 中国外交部スポークスマン、論評を発表し、米側が発表した「コックス報告」はでたらめ極まるものであると指摘

 朱邦造・中国外交部スポークスマンは5月25日、記者の要求に応じてアメリカ側が発表した「コックス報告」を論評した際、「コックス報告」は中国側がアメリカの軍事技術に対する盗み出しを通じてアメリカの国家安全に危害を与えていると中傷し、こうしたセンセーショナルな非難はでたらめ極まるものであり、少しの根拠もなく、下心をもつものであると指摘し、次のように語った。

 指摘しなければならないのは、中国人民は自分たちの国の主権と安全を貴重視しているが、中国人民は自分たちの智恵と力に頼って国の安全を守る能力が十分にあり、これはすでに歴史に立証され、しかも引き続き立証されていくであろう。

 中国人民は平和を愛し、中国はずっと独立自主の平和的外交政策を実行し、いかなる国に脅威を与えたこともない上に、これからもあり得ない。

 アメリカ国内の一部の反中国勢力は歴史の流れに逆らい、まだ「冷戦思考」を引きずっている。その人たちは中国に対し敵視と偏見に満ちあふれ、「コックス報告」を捏造することで次々と反中国の茶番劇を上演し、八方手を尽くして「中国脅威論」を撒き散らし、中米両国人民の友好関係を破壊しようとしている。

 つい最近、アメリカをはじめとするNATOは中国駐ユーゴ連邦共和国大使館を襲撃し、中国政府と人民および国際社会の強烈な糾弾を受けた。「コックス報告」をこの時期に登場させたのは、反中国情緒を煽り立て、人々の視線を逸らすためである。これは、反中国の議員らの邪悪な下心と政治的陰謀をあますところなく暴露した。しかし、その人たちの使い慣れた卑劣な手口はきっと再び完全な失敗を喫するであろう。

「盗んだ技術で新型ICBM開発」 米議会が中国批判

May 17, 1999

 中国大使館の誤爆事件で謝罪に明け暮れた米政府とは裏腹に、米議会は中国批判の論陣を強めている。事件後も民主党への不正献金や核技術スパイ疑惑が上下院で次々に取り上げられ、一連の中国疑惑を調べた下院特別委員会のコックス委員長(共和党)は16日、「中国が米国から盗んだ技術で移動式核弾道ミサイルを開発しているのは明らかだ」と批判した。反米デモを中国が「黙認」したとの反感で、議会の空気は一層悪化した。6月の天安門事件10周年、最恵国待遇(MFN)延長問題に向けて、険悪ムードは容易に解けそうにない。

 コックス委員長は同日のテレビ番組で、「中国は1990年代初めに2基しか持っていなかった大陸間弾道ミサイルを今や20基も配備し、多くは米国に照準を向けている」と中国脅威論を強調。盗んだ技術で開発されたとする新型ミサイル東風31号は「年内にも発射実験が行われ、配備される」と語った。

 「中国たたき」が加速したのは、中国の群衆に囲まれた米公館がテレビで伝えられてからだ。「われわれは人質だ」と訴えたサッサー大使はベテラン上院議員だっただけに、同僚意識が働いた面も強い。「核スパイが発覚しても、米国は中国大使館への投石を奨励したりはしなかった」とイノウエ上院議員(民主党)は息巻いた。

 大統領の謝罪になかなか中国が応じなかったことへの不満も募り、11日の上院委員会でスペクター議員(共和党)は、米政府が近く中国に米国製通信衛星の打ち上げを認めるとの報告について、「大統領の電話にも出ないような相手に技術協力をする必要があるのか」とぶった。

中国、英国の核原潜機密を入手か

May 15, 1999

 15日付の英紙デーリー・テレグラフは、米国から軍事機密を盗んでいたとされる中国生まれの米国人科学者が、英国の核搭載原子力潜水艦の機密情報も入手、同情報が中国に渡っている可能性があると報じた。

 この科学者は、米英共同で進められていた潜水艦探知レーダー技術の開発に携わっていたピーター・リー氏。1991年にスコットランドに滞在しており、英海軍の科学者と一緒に、核搭載トライデント原子力潜水艦の最重要機密情報に接していた。

 10日付の米紙ニューヨーク・タイムズは、同氏が潜水艦探知レーダー技術の機密情報を中国に渡していたと報じている。(時事)

中国のスパイ容疑者の行為で、米国の核機密が解明された=NYT紙

1999年04月28日 ロイター

 米ニューヨーク・タイムズは、中国のスパイとされる科学者が大量の機密情報を漏洩したため、米国の事実上すべての核兵器の詳細が解明されていると報じた。

 同紙によると、米政府や研究所の当局者などの話として、同国の核弾頭の作動原理を記述した膨大な量のコンピューター・コードが、ニューメキシコ州ロスアラモス国立研究所のコンピューターからダウンロードされた。

 これらの当局者によると、台湾生まれの科学者がその後、そのファイルを同研究所にある一般ネットワークにファイル名を変えて保存した。

「中国の核技術スパイは事実」とCIAが報告

April 22, 1999

 中国による核技術のスパイ疑惑を捜査していた米中央情報局(CIA)は21日、中国がスパイを使って米国の核研究所などから核兵器に関する技術を盗んだのは事実との報告をまとめ、ホワイトハウスと議会に伝えた。CIAが議会の調査結果を公式に確認したことになる。中国は否定しているが、米議会・世論は中国への不信感を深めることになりそうだ。

 テネットCIA長官は同日、クリントン大統領と議会の情報委員会に調査結果を報告。これを受けて、クリントン大統領は声明を出し、核兵器を扱う各施設での機密保護を強化・再点検する方針を示した。

 報告は非公開だが、潜水艦発射弾道ミサイル・トライデント2の弾頭となるW88など、数種類の核兵器の基本的な設計情報を中国が獲得。中性子爆弾などの機密情報も入手したとしている。

米の巡航ミサイルも入手か

1999年03月22日 共同通信社

 22日発売の米誌ニューズウィークは、米国からスパイ活動により核弾頭小型化などの技術を盗み出していた疑いが強まっている中国が、アフガニスタンで米巡航ミサイル2基を入手していたと報じた。

 同誌によると、中国が入手したのは昨年8月に起きたケニアとタンザニアの米大使館同時爆破事件への報復攻撃として、米国が同月アフガニスタンを攻撃した際に使用した巡航ミサイルのうち不発となった2基。

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