TOPIC No.2-31j 2010年/2020年の中国


中国の長期国家戦略目標:「2053年の建国100周年目までにアメリカと軍事的、政治的、経済的に対峙できる大国になる。」



中国、原発拡大のスピード緩め安全優先に軸足を移す?

2010/03/05(金) Searchina

 中国が、原子力発電の拡大から安全の確保に軸足を移す動きを見せている。環境保護部の原子力安全管理部(核安全管理司)は2月5日、中国核工業集団公司、中国広東核電集団公司、中国電力投資集団公司、国家核電技術有限公司に対して、原子力発電所の建設段階での安全を強化することを目的とした通知を「国家核安全局」名で出した。

 「放射性汚染防止法」、「民用核施設安全監督管理条例」、「民用核安全設備監督管理条例」を根拠として、原子力発電所の建設段階での品質を高め、安全を確保するのがねらいだ。4社だけを対象にしているのは、この4社が原子力発電所の建設・運転にあたっての実質的な中心企業であるためだ。

 通知はまず4社に対して、原子力発電所の建設段階の品質と安全に関する責任を全面的に負うことを要求している。また、設計や調達、施工、調整試験を含む、原子炉部分の工事元請け契約をプラントメーカーと締結するとともに、契約の中で双方が建設段階における安全と品質の責任と義務を負うことをあらかじめ取り決める必要があるとした。

 そのうえで、元請け業者が原子炉部分の工事において直接責任を負い、取り決めにしたがい、それぞれの責任と義務を果たすことを求めている。通知では、元請け業者に対して、原子炉部分および安全設備の設計管理、調達、施工管理を単独でできる能力があることを条件として定めている。そして、4社は、こうした資質を持たない業者に仕事を任せてはならないと明確に規定した。

 元請け業者に対して要求している条件は、きわめて具体的だ。まず、元請け業者は、要員を最低でも1000名確保する必要があるとしたうえで、このうち設計管理要員100名、プロジェクト管理要員100名、調達要員200名、現場施工管理要員200名、調整・試験要員200名を確保しなければならないとしている。また、大学本科以上の学歴を持った人員が最低でも70%、各工程の人員の中で2年以上の経験を持った人員が最低でも50%を占める必要があるとした。

 原子力発電所の建設を同時に複数請け負う業者も当然でてくる。通知は、1件のプロジェクトに参加する人員は最低でも500名を確保するとしたうえで、設備の据付と調整・試験等、工事がピークに達する時点での専任要員については最低でも200名、このうち原子力発電所の建設経験を持った人員が全体の50%を上回ることが必要としている。このほか、品質保証専任の要員を最低でも30名確保することを要求している。

 さらに、元請け業者に求められる要件として、法人資格を有することや、民事用原子力安全設備設計許可証を保有すること、国務院の主管部門が発給する資格証書、たとえば「核工業行業設計甲級資質」、「核電工程諮詢甲級資質」、「特殊設備設計(圧力容器等)許可証」等を保有することなどをあげた。この10年内に、原子炉部分および安全設備の設計あるいは設計管理、施工管理、調整・試験で実績があることも要件としている。

 こうした条件をクリア―できる中国国内の原子力発電プラントメーカーは限られてくる。しかも、実力があっても、抱えている人員の数によって請け負うことができるプロジェクトの件数も決まってしまう。各プラントメーカーが何件の原子力発電プロジェクトを平行してできるかは、各プロジェクトの進捗具合によっても違ってくると思われるが、今回の通知は、当然、各プラントメーカーがどれだけの要員を抱えているかを承知したうえでのものであり、“入口規制”による安全の担保という見方もできる。

 今回の通知が、中国の原子力発電計画をスローダウンさせることにつながるかどうかについては判断できない。しかし、2010年に入り、中国の原子力界で安全確保が話題にのぼりだしたことは間違いない。

 中国核能行業(産業)協会の張華祝・理事長は2月、「中国能源報」の記者とのインタビューの中で、原子力安全は常におろそかにすることができない重要な問題であると語った。同理事長は、インタビューで興味深い発言をしている。2009年の中国原子力界の大きな動きを紹介する中で、原子力発電の国産化において大きな進展が見られたとする一方で、原子力発電所の安全と工事の品質が一気に重要視されるようになったという指摘だ。

 中国の原子力発電所の稼働率は世界的に見ても優れている。ただし、稼働中の原子力発電所は、秦山(国産化率70%)を除いて、ほとんどが輸入した原子力発電所だ。中国国内ではこれから、国産化率を高めた原子力発電所が続々と建設・運転に入る。

 中国で建設中の原子力発電所は昨年末時点で21基、合計設備容量では2348万キロワットとなった。運転中(908万キロワット)と合わせると32基、3256万キロワットに達する。昨年は新規に9基が着工した。今年も1月に入って福建省の寧徳・3号機が着工した。中国では、これから毎年、8基程度の原子力発電所が着工するとみられている。

 中国国家エネルギー局の張国宝・局長は、新華社とのインタビュー(3月2日)で、米国はかつてピーク時に61基、またフランスは40基の原子力発電所を同時に建設していたとする一方で、原子力発電の拡大も必要だが、原子力安全(の確保)はもっと重要との見解を示した。

 2009年あたりから、中国の原子力発電計画の拠り所となっている「原子力発電中長期発展規画(計画)」の改定が話題にのぼりはじめた。当初、09年内にも公表されるとの見方もあったが、まだ公表には至っていない。また、現行規画で4000万キロワットとなっていた2020年時点における稼働中の原子力発電目標を改定では7000万〜8000万キロワットに上方修正するとの関係者の発言が目立った。ところが、最近の報道では、2020年の目標は6000万キロワット程度になるのではないかとの関係者の発言が紹介されている。

 国家エネルギー局が中国初の「原子力安全規画(計画)」の策定に着手したというニュースもある(2月3日付「中国能源網」)。原子力安全については、「原子力発電中長期発展規画」や「原子力産業『第11次5カ年』発展規画」の中でも言及されているが、単独で原子力安全に関する国家計画の策定に着手した背景には、原子力安全を最重要視する中国政府の方針がある。

 同規画は、まだドラフト作成の初期段階にある。中国の原子力規制当局である「国家核安全局」の関係者は、作成作業に参加する意向を示している。原子力安全規画の作成が、国家エネルギー局によって行われているのは、いかにも中国的だが、環境保護部原子力安全管理部(核安全管理司)による今回の通知は、規制当局として現在できる最良の決定を下したと見るべきであろう。

 最後に「国家核安全局」について簡単に紹介しておこう。同局の局長を務める環境保護部の李干傑・副部長は、原子力規制当局の現状として、人材が不足していることに加えて技術手段が立ち遅れ、しかも予算が十分ではないなどの課題を抱えていると指摘している。

 原子力安全の監督・管理に従事するスタッフは300名程度という。これに対して、1件の新規プロジェクトに要する審査要員は年間50名、稼働中のユニットに要する審査要員は年間20名、また稼働中のユニットでは1基あたり3名の現地検査官が必要という。こうしたことから、現在の300名体制を1000人規模まで拡大する計画が浮上してきている。(執筆者:窪田秀雄 日本テピア・テピア総合研究所副所長 編集担当:サーチナ・メディア事業部)

中国のエネルギー体制改革が意味するもの〜EV加速も

2010/02/05(金) Searchina

 中国のエネルギー問題の最高意思決定機関となる「国家エネルギー委員会」(国家能源委員会)が1月22日、正式に発足した。「国家エネルギー委員会」は1980年にも設立(82年に廃止)されているが、中国を取り巻くエネルギーの状況は当時と比べて劇的に変わっている。

 新設の「国家エネルギー委員会」は、温家宝・国務院総理が主任、李克強・副総理が副主任を務めるほか、関係する部の部長(大臣)ら21名の委員で構成される。「エネルギー部」(能源部)へ移行するまでの過渡的なものと見る向きもあるが、第12次5カ年期(2011〜2015年)のスタートを控え、中国政府がエネルギー安全保障をいかに重要視しているかが一層鮮明になった。

 中国のエネルギー管理部門は、その時々の状況に応じて変遷を遂げてきた。その名称をあげるだけでも、当時の中国のエネルギー事情が分かる。中華人民共和国が建国された1949年の名称は「燃料工業部」だった。55年には同部が改組され、「石炭工業部」「石油工業部」「電力工業部」に分かれた。

 この体制は、80年に「国家エネルギー委員会」(旧)が設立されるまで、25年にわたって続いた。同委員会設立の背景には、文化大革命後、石炭、石油、電力が大幅に不足したため、国としてエネルギー分野の統率をはかる必要に迫られたという事情があった。委員会の主任は副総理の余秋里氏が、また副主任は、石炭、石油、電力の各部長が務めた。 その「国家エネルギー委員会」(旧)もわずか2年で廃止された。「国家計画委員会」(当時)との確執があったとの見方がある。水利部と電力部も併合され水利電力部となった。

 その後、88年には、国務院が提出した行政と企業権限の分離原則にしたがい、「石炭部」「水利電力部」「石油部」「核工業部」が廃止され「エネルギー部」(能源部)が設立された。そして、同部の下に行政機能を持つ国営企業(核工業総公司等)が設立された。

 「エネルギー部」は93年に廃止された。ここでもやはり、「国家計画委員会」の存在があった。各種エネルギープロジェクトの許認可権限が同委員会にあったことが、「エネルギー部」の存在意義を曖昧にした。同部の閉鎖にともない、「電力工業部」と「石炭工業部」が再び設立された。

 98年には、「電力工業部」と「石炭工業部」が廃止され、「国家経済貿易委員会」が管理する「国家石炭工業局」「国家石油化学工業局」「電力司」が設立されたものの、2001年には2つの局が廃止され、「国家経済貿易委員会」と「国家発展計画委員会」(計画委員会が98年に名称変更)等の関連部門がエネルギー業界を管理することになった。

 2002年には「国家電力監管委員会」が設立された。また03年には「国家発展計画委員会」が「国家発展改革委員会」に改組され、石炭や電力、石油、天然ガスといった業界の管理を担当することになった。

 05年には、エネルギー行政を強化し、迅速な意思決定を行うことを目的として、省庁横断的な「国家エネルギー指導チーム」(国家能源領導小組)が設立され、温家宝首相がトップを務めた。そして、08年3月には第11期全人代で、「国家エネルギー委員会」と「国家エネルギー局」の設立が決まった。「国家エネルギー局」は同年8月、「国家エネルギー委員会」に先立ち正式に発足した。

 新しい「国家エネルギー委員会」は、エネルギー発展戦略の策定のほか、エネルギーの安全と発展における重大な問題の審議、国内のエネルギー開発と国際的なエネルギー協力における重大な事項の総合調整を任務としており、実体的な組織ではない。具体的な作業は、これまで通り「国家エネルギー局」が担当する。

 「国家エネルギー局」のこれまでの活動に対して、副部(省)級に格上げされたものの、それまでの「国家発展改革委員会・エネルギー局」と大きく変わっていないとの指摘もある。「国家エネルギー委員会」との二人三脚で、そうした見方を払拭できるかが今後の焦点になろう。

 一方で、エネルギー体制が数年内に再度変わることも考えられる。しかし、そのこと自体に意味はない。「国家エネルギー委員会」の発足は、かつての体制改革がそうであったように、中国のエネルギー問題が大きな節目を迎えている証左にほかならない。

 当初、もっと早く公布されるとみられていた「エネルギー法」(能源法)や「新エネルギー産業振興規画」、「改訂原子力発電中長期発展規画」も、同委員会の正式発足によって間もなく公表されるに違いない。 もっとも、中国としては目指す方向は定まっている。石炭への過度な依存からの脱却と電化の推進が柱だ。具体的には、再生可能エネルギーの拡大とスマート・グリッド(智能電網)整備、原子力発電拡大、電気自動車の普及促進といったところか。

 このうち、再生可能エネルギーと原子力発電については、そう遠くない将来に世界のトップに躍り出ることは間違いない。現在の主要エネルギーである石炭の可採年数が41年(BP統計)しかないことを考えると、いかに石炭代替エネルギーを開発するかが、中国のエネルギー安全保障確保にとっての核心となろう。

 電気自動車でも中国が世界をリードする日が案外近いかもしれない。中国では現在、1億2000万台の(プラグイン)電動自転車が走っている。国務院の承認を得て、工業・情報化部が2009年3月に公表した「自動車産業調整振興規画」では、電気自動車やプラグイン・ハイブリッド車、ハイブリッド車の普及をはかる方針を打ち出したが、ハイブリッド車を飛び越えて、一気に電気自動車に移行する環境は整っている。(執筆者:窪田秀雄 日本テピア・テピア総合研究所副所長 編集担当:サーチナ・メディア事業部)

<原発>第3世代国産炉「CAP」にかける中国

2010/01/05(火) Searchina

 中国の炉型戦略の輪郭がはっきりしてきた。第3世代炉の国産化を担っている国家核電技術公司と中国の5大発電事業者の1つに数えられる中国華能集団公司は2009年12月17日、中国版第3世代炉と位置づけられている「CAP1400」(加圧水型炉=PWR、出力140万キロワット)の実証炉の建設・運転を担当する「国核示範(実証)電站有限責任公司」を共同で設立した。新会社の登記資本金は3億元。原子力発電事業の投資主体としての資格を持たない中国華能の出資比率は45%で、国家核電が55%を出資する。

 実証炉は、やはり中国華能が出資し、まもなく着工するとみられている高温ガス炉(HTGR)実証炉(出力20万キロワット)と同じ、山東省の栄成石島湾に建設される。2013年の着工、17年の運転開始が予定されている。

 「CAP1400」は、中国版(China)のAP型炉であり、その名前からも明らかなように、ウェスチングハウス社が開発した「AP1000」(出力125万キロワット)の技術移転に基づいて開発が進められている。出力は140万キロワットに拡大され、中国が自主知識財産権を所有する。すでに、上海核工程研究設計院による概念設計が終了し、実証プロジェクトの初期実行可能性研究報告が電力規画設計総院の審査を通過。現在は、実行可能性研究段階に入っている。新会社は、「CAP1400」の出力アップ版である「CAP1700」(出力170万キロワット)の建設・運転も担当する。

 中国国務院が2006年2月に公表した「国家中長期科学技術発展規画綱要(2006−2020年)」では、16件の重大科学技術特別プロジェクトの1つとして大型先進PWRの開発が盛り込まれた。この「大型先進PWR」が「CAP」炉だ。「CAP1400」の実証炉計画が正式にスタートしたことによって、同じく第3世代炉に位置づけられる「AP1000」と「EPR」の扱いが微妙になってきた。

 本欄で以前紹介したように、中国は第3世代炉に繋ぐ炉として、第2世代改良型炉を位置づけている。広東核電集団有限公司が中心となって開発した「CPR1000」は建設中の多数の炉で採用されることになっている。一方、中国核工業集団公司が中心となって開発した「CNP1000」は表舞台から姿を消した。両方の炉型とも、フランスの第2世代炉をベースに開発されたもので、このあとに続くのが「AP1000」と「EPR」だ。

 「AP1000」を採用する三門と海陽、また「EPR」を採用する台山は2009年に着工した。この2つの炉型を比べると、「AP1000」の優位は際立っている。筆者が調べたところによると、採用する炉型が公表されている発電所に限っても、「AP1000」が60基を超えているのに対して、「EPR」は広東核電が計画している全部で4基に過ぎない。その広東核電にしても、内陸部で建設する発電所では「AP1000」を採用せざるを得ない。

 いずれにしても、「CAP1400」の実証炉の運転開始は計画通りにいっても2017年であり、各発電事業者はその成果を踏まえて、採用の可否を判断することになる。つまり、それまでは「CPR1000」や「AP1000」にとって強敵が現れるということはない。もっとも、「CPR1000」や「AP1000」、「EPR」にしても、まだ初号機さえ運転に入っていない。

 中国にとって見れば、今のところ国内で製造する予定のない「EPR」は別にして、中国が自主知識財産権を持たない「CPR1000」と「AP1000」でも、国内で運転するのであれば、安くて安全という条件はつくものの、別にどの炉でも関係ない。出力的に見て「AP1000」に対応する「CAP1400」と、「EPR」に相当する「CAP1700」の開発を国の重大プロジェクトとして位置づけた背景には、国内での利用もあるが、「CAP」炉が輸出を見据えた炉型であると考えた方が分かりやすい。

 気候変動問題への関心が高まるなかで、温室効果ガスを排出しない現実的なオプションとしての原子力発電に対する期待は世界的に強まっており、そのうねりは“原子力ルネサンス”とさえ称されている。

 そうしたなかで2009年末、アラブ首長国連邦(UAE)が計画している同国初の原子力発電所の建設を、AREVAをリーダーとするフランスの企業連合やGEと日立のチームを押しのけて、韓国電力公社(KEPCO)が率いる企業連合が受注することが決まった。総額で400億ドル規模とされる大型の事業で、140万キロワット級の原子力発電所が4基建設される。初号機は2017年の運転開始が予定されており、2020年までに順次運転を開始する。

 UAEの現在の電力需要は1600万キロワット程度とみられているが、2020年までには4000万キロワットに増加すると予測されている。つまり電力需要の14%程度を原子力発電で賄うものだが、さらに原子力発電所を増設する計画もあるという。

 韓国の企業連合が最終的に選ばれた理由は、コスト・パフォーマンスの高さにある。韓国側が提示した炉は「APR1400」(140万キロワット)だ。韓国内でも、まだ初号機が建設段階にあるが、数年内には運転を開始する見込みとなっている。「APR1400」は、米コンバッション・エンジニアリング社(現ウェスチングハウス社)の「システム80プラス」をベースに開発された第3世代炉だ。

 韓国の原子力発電所の設備利用率は世界的に見てもきわめて高い水準にある。そんなことも選定にあたっての要因になったかもしれないが、KEPCOを筆頭に、韓国水力・原子力、サムスン、ヒュンダイ、ドゥーサンといった韓国を代表する企業がコンソーシアムに名前を連ねた、文字通り“オール韓国”での活動が功を奏したと言えるだろう。

 UAEの計画が順調に進むかどうか、現時点で判断を下すことはできないが、出力140万キロワットで2017年の運転開始は、奇しくも中国の「CAP1400」の実証炉と同じだ。

 ローテクからハイテクへの輸出転換をはかろうとする中国にとって、米・仏という企業連合を押しのけての韓国企業による大型案件の受注獲得は、中国が目指す方向が間違っていないことを再確認させたに違いない。(執筆者:窪田秀雄 日本テピア・テピア総合研究所副所長 編集担当:サーチナ・メディア事業部)

<原発>第3世代炉の安全問題と中国の炉型戦略(1)

2009/11/09(月) Searchina

 米国や中国、欧州で建設が計画されている多数の原子力発電所で採用が予定されている第3世代炉の前途は平坦ではなさそうだ。

 フランスの原子力安全局、英国の保健安全執行部・原子力局、フィンランドの放射線・原子力安全局は11月2日、フランスAREVA社の第3世代炉「EPR」(加圧水型炉=PWR)の計装制御システムに問題があるとした声明を共同で発表した。

 3カ国の規制当局が問題にしているのは、安全システムの適性と制御システムからの独立性が確保されるかどうかという点だ。仮に制御システムが機能不全に陥っても、安全システムによって防護措置がとられていれば、同時に機能不全に陥るようなことはない。しかし、「EPR」の設計は、こうした独立の原則に従っておらず、制御システムと安全システムがきわめて高い次元で相互に連結しているという。

 このため3カ国の規制当局は、設計者であるAREVAと認可取得者である電力会社に対して、当初の「EPR」の設計を改善するよう要請した。AREVAと電力会社は、要請に応じ設計変更を行うことになった。

 「EPR」の初号機として建設が進められているフィンランドのオルキルオト3号機では、現在のデジタル計装制御に加えて、別系統のアナログ方式のバックアップシステムが追加されるとみられている。この方法は、英当局がAREVAに対して提案していたもので、フランス国内で建設中のフラマンビル3号機でもオプションとして検討されている。

 英国では、実際に「EPR」が建設されている訳ではないが、将来、建設される候補炉型の一つとして保健安全執行部の原子力施設検査局(NII)によって検討が行われている。NIIは、「AP1000」の検討も行っており、両方の炉型について問題点を指摘している。それによると、二つの炉型に関してNIIが提起した質問事項は「AP1000」より「EPR」の方が倍以上も多かった。

 フロントエンドからバックエンドまで含めて核燃料サイクル全般を手がける世界最大の原子力複合企業であるAREVAにとって、世界中で展開する次世代炉「EPR」の設計変更は、一部とは言え由々しき問題と言えよう。3カ国の規制当局が共同で声明を公表するということも異例だ。フランス国内では、野党の社会党が議会での審議を求めており、AREVAとしても苦しい立場に立たされた。

 7基の「EPR」を建設する計画が持ち上がっている米国では、現在、原子力規制委員会(NRC)によって設計認証の審査が行われている段階にあるが、NRCは今のところ、3カ国の規制当局が指摘した問題点については沈黙を保っている。

 一方でNRCは10月15日、ウェスチングハウス社の「AP1000」(PWR)の安全問題を指摘した。問題を指摘されたのは、遮蔽建屋(shield building)と呼ばれるコンポーネントで、各種事象から一次格納容器を防護するだけでなく、通常運転時の放射線バリアや緊急時の冷却水タンクをサポートする役目を持っている。NRCは、遮蔽建屋が設計基準負荷に耐えられるかどうかの実証をウェスチングハウス社が行っていないことを問題視したが、「EPR」ほど深刻な問題ではなさそうだ。

 「AP1000」は2006年にNRCから設計認証を取得したが、2007年に認証された設計の改訂を申請した。改訂の内容は、大型航空機の衝突に対する追加の防護対策や計装制御系の改良、配管のレイアウトの詳細な詰めなどで、コストの削減が大きな目的だった。

 世界に先駆けて「AP1000」の建設をスタートするとともに、早ければ年内にも「EPR」に着工する中国にとって、どのような影響が出るか。全く問題がないということではないだろう。(続)(執筆者:窪田秀雄 日本テピア・テピア総合研究所副所長 編集担当:サーチナ・メディア事業部)

<原発>第3世代炉の安全問題と中国の炉型戦略(2)

2009/11/09(月) Searchina

 筆者の調べたところによると、中国では10月末現在、採用する炉型が公表されている発電所だけ見ても、60基を超える「AP1000」の建設が計画されている。内陸部に建設される原子力発電所では、「AP1000」を採用することが決まっていることから、同型炉がさらに増えるのは間違いない。

 すでに、09年4月19日には浙江省の三門で「AP1000」の初号機の建設が正式にスタートしたほか、山東省の海陽でも9月26日、原子炉基礎部分へのコンクリート注入作業が行われた(中国は同機の正式着工をまだ表明していない)。これに対して「EPR」は、今のところ広東核電集団有限公司が広東省の台山に計画している2基だけだ。

 「AP1000」が圧倒的に優位に立つきっかけとなった重要な会議が2006年9月下旬に開かれている。これは、第3世代炉として「AP1000」と「EPR」のどちらを選ぶかという専門家による会議で、24名が「AP1000」を支持したのに対して、10名が二つの炉型で進めるという路線を支持した。

 同年12月には、米国エネルギー省(DOE)のボドマン長官と中国国家発展・改革委員会の馬凱主任(いずれも当時)が、「AP1000」4基を中国に輸出するという了解覚書に署名した。

 一方、AREVA社は2007年11月、北京の人民大会堂で、サルコジ大統領と胡錦濤国家主席の同席のもと、フランスと密接な関係を持つ広東核電集団有限公司との間で、2基の「EPR」を供給する契約を締結した。「EPR」はこの2基だけだが、中国側としては、「EPR」ではなく、AREVAのフロントエンドとバックエンドに興味があったのではないかという、うがった見方もある。

 広東核電集団有限公司は、「EPR」だけでなく「AP1000」の採用も検討している。具体的には、湖北省の咸寧大販、広東省の韶関では「AP1000」を採用することを考えている。いずれにしても、初号機が着工したとは言え、第3世代炉の建設が本格化するのは、もう少し先だ。それまでは、「第2世代+(プラス)」と呼ばれる炉型が主流となる。

 中国では10月末現在、16基・1637万kWの原子力発電所が建設段階にある(海陽は含まない)。このうち、「第2世代+(プラス)」炉に分類されている100万kW級は、広東核電集団有限公司が採用する「CPR1000」が圧倒的に多く、合計で9基となっている。

 これ以外は、秦山2期・3、4号機に採用される「CNP600」(出力65万kW)と三門1号機に採用される「AP1000」だ。残りの、福清1期(100万kW級×2基)と秦山1期拡張(方家山、同)で採用される4基の炉型については、PWRであることに変わりはないが、「CPR1000」なのか、それとも中国核工業集団公司が開発を進めた「CNP1000」になるのか、はっきりしていない。福清と方家山の炉型については、国家核安全局から発表される資料等を見ても、「第2世代+(プラス)」炉としか明記されていない。

 広東核電集団有限公司は、大亜湾、嶺澳1期の両発電所で採用されているフランスの技術をベースに「CPR1000」を開発した。開発に着手したのは大亜湾が運転を開始した1994年で、同社は毎年1500万米ドルを研究開発に投入したと言われている。開発の中心的な役割を果たしたのは、中国核工業集団公司傘下の中国核動力研究設計院と核工業第2研究設計院。

 一方、中国核工業集団公司が開発を進めた「CNP1000」は、2003年9月に初期設計作業が正式にスタートしている。2004年9月には初期設計作業が終了し、同11月には同社内の専門家による審査をパスした。「CPR1000」を担当した二つの研究院と上海核工程研究設計院が設計を担当した。

 「CPR1000」と「CNP1000」設計諸元を見ると、最大の相違点は設計寿命だ。「CPR1000」が40年であるのに対して、「CNP1000」は60年となっている。また、「CNP1000」の運転サイクルは最初から18カ月となっているが、「CPR1000」のもとになっている大亜湾1号機では、1996年に長期サイクル運転の実行可能性研究がスタートし、2001年12月の国家核安全局による認可を得て、それまでの12カ月サイクル運転から18カ月サイクル運転に変更されている。

 中国核工業集団公司は当初、福清と方家山の両発電所に「CNP1000」を採用することを計画していたが、同型炉はまだ規制当局である国家核安全局の認可を取得していないと伝えられている。また、中国核工業集団公司は「CNP1000」の採用をあきらめていないとの見方がある一方で、「CNP1000」に関する情報が最近、途絶えてしまったことも事実だ。2007年に「CNP1000」の開発が中止されたという報道もある。

 ここで、興味深い報告書を紹介しておこう。中国核電工程公司がまとめた方家山発電所の設計段階における環境影響報告書だ。それによると、「100万kW級の第2世代改良型技術路線に照らして、嶺澳1期発電所を参考発電所として、また(「CPR1000」を採用する)嶺澳2期発電所も考慮して100万kW級の第2世代改良型を2基建設する」ことが述べられている。設計寿命は40年となっており、これを見ても「CNP1000」が復活する可能性はきわめて小さいのではないか。

 「CNP1000」と「CPR1000」を比較すると、同じ「第2世代+(プラス)」に位置付けられているものの、「CNP1000」の方が第3世代炉に近い。中国は、第3世代炉として「AP1000」と「EPR」の導入を決めたが、これによって「CNP1000」の立場が中途半端になってしまった感は否めない。

 中国国務院は、これから建設が本格化する内陸部の原子力発電所で採用する炉型を「AP1000」とすることを決めている。また、エネルギー政策全般を担当する国家エネルギー局の孫勤・副局長(当時、現在は中国核工業集団公司総経理)は、今後沿海部で新規に着工する原子力発電所で採用する炉型も「AP1000」が主流になるとの見解を表明しており、「AP1000」を標準型炉とする方針は固まったと言えよう。

 一方で、広東核電集団有限公司は、出資者である中国核工業集団公司によるコントロールから離脱することを考えていたとの報道もある。そんな憶測が出る背景には、両者の関係がぎくしゃくしていたのではないかという見方もできる。

 そうしたなかで、中国核工業集団公司の孫勤・総経理は9月2日、広東核電集団有限公司の銭智民・董事長と会談を行い、兄弟組織として協力・交流を強化し、共同で原子力発電の発展を強力に推進していくとの期待を表明。銭董事長もこれに同意した。

 「EPR」と「AP1000」の技術的な問題が浮上するなかで、「第2世代+(プラス)」炉の正式な統一は近いかもしれない。(了)(執筆者:窪田秀雄 日本テピア・テピア総合研究所副所長 編集担当:サーチナ・メディア事業部)

中国、原発など2050年にらんだエネルギー戦略策定へ

2009/10/06(火) Searchina

 エネルギーに関係した中国の長期計画としては、「国家中長期科学技術発展規画綱要」や「再生可能エネルギー中長期発展規画」、「省エネルギー中長期専門規画」、「原子力発電中長期発展規画」などがある。公表された時期は違うが、いずれの規画(計画)も2020年までを視野に入れている点では共通している。このうち、「原子力発電中長期発展規画」については、2020年の原子力発電開発目標を上方修正した改定版がまもなく公表される見通しとなっている。

 こうしたなかで、エネルギー問題については、さらに長いスパンでの考察が必要との認識から、2050年までをにらんだエネルギー発展ロードマップ作成の気運が高まってきた。

 2007年12月に設立された国家エネルギー専門家諮問委員会は9月19日、「中国2050エネルギー発展ロードマップ研究討論会」を開催し、同委員会メンバーをはじめ、政府部門や研究開発機関、エネルギー企業などから約50名の専門家が出席した。

 会合では、中国科学院が先ごろ公表した「中国2050年に至るエネルギー科学技術発展ロードマップ」と国家発展・改革委員会(発改委)エネルギー研究所がまとめた「中国2050年低炭素発展の道」に基づいて、中国として今後、どのようなエネルギー発展の方向をめざすかについて検討が加えられた。二つの報告に盛り込まれた研究成果は、中国のエネルギー国家計画の制定や政府の政策決定に活かされるとみられている。

 国務院参事で国家エネルギー専門家諮問委員会の主任(委員長)を務める徐錠明氏は、中国として資源の配置戦略を変えるとともにエネルギー科学技術発展戦略を策定し、これまでのやり方を改めて科学技術のイノベーションをはかる必要があるとの見解を表明した。また同氏は、低炭素エネルギーが低炭素社会を保証する基本だとしたうえで、科学技術のイノベーションがエネルギーの未来を決定、創造するとの見通しを示した。

 中国科学院のエネルギー領域戦略研究グループのリーダーを務める中国科学院広州分院の陳勇・院長は、将来のエネルギー発展に向けての重要技術の中には、化石燃料に頼らない高効率の路面交通技術、石炭の高効率クリーン利用技術、ロスが少ない大容量送電技術、再生可能エネルギーを用いた代替発電、代替石油技術、メタンハイドレートの探査・採掘技術、先進的な原子力発電技術と放射性廃棄物の処理技術が含まれると指摘した。

 国家エネルギー専門家諮問委員会の下には、石炭専門委員会、電力・原子力専門委員会、石油・天然ガス専門委員会、再生可能エネルギー専門委員会、省エネ専門委員会、エネルギー経済専門委員会の6つの専門委員会が設置されている。

 このうち電力・原子力専門家委員会はこのほど、「中国原子力発電発展戦略研究報告」をまとめ、中国の原子力発電開発が拡大に向けての足場を固めたとの認識を示した。具体的には、30万キロワットと60万キロワット、100万キロワット級の原子力発電所(PWR=加圧水型炉)を自主設計する能力を備えるとともに、多数のプロジェクトを同時に設計する能力を持つに至ったとしている。

 また、同報告によると、上海、ハルビン、四川の3大原子力発電設備製造基地が整備され、原子炉冷却材ポンプとデジタル制御システム等の少数の設備を除いて、100万キロワット級PWRの大部分の設備を設計・製造する能力が確立された。60万キロワット級PWRについては、国産化率が70%を超えた。

 中国では、長期を見据えた戦略の策定が浮上する一方で、2011年から始まる「第12次5カ年」期(2011−2015年)をにらんだエネルギー発展規画の策定作業が始まった。

 それによると、「第12次5カ年」期では、エネルギー構成の最適化、エネルギー産業配置の調整、エネルギー科学技術イノベーションの推進、エネルギーマクロ体系の健全化、一層のエネルギー体制改革、エネルギーの持続可能な発展政策基準体系の構築――が柱に据えられる。

 このうち、エネルギー構成の最適化では、水力発電や原子力発電、風力発電、太陽エネルギー等のクリーンエネルギーの割合を引き上げるとともに、熱電併給や都市天然ガス配管網の整備、再生可能エネルギーの合理的な利用が盛り込まれるとみられている。

 また、エネルギー科学技術のイノベーションの推進では、風力発電や太陽エネルギー、バイオマス、クリーン石炭の利用のほか、原子力発電やスマートグリッド(知能電網)、新エネルギー自動車、分散式エネルギー等の技術を積極的に開発し、中国としての特徴を持った新しいエネルギー経済を発展させるだけでなく、先進的なエネルギー技術や設備・製品を外国に着実に輸出するとの方針を示した。

 中国では、前述した「原子力発電中長期発展規画」の改定に加えて、「新エネルギー振興発展規画」や「エネルギー法」、「原子力発電条例」といったエネルギーに関係した法規・国家計画の公表が間近に控えている。

 方向性は決まっているとしても、2050年という、これまでよりさらに先を見据えた長期的な視点から、中国がどのようなエネルギー戦略を打ち出すか興味深いものがある。(執筆者:窪田秀雄 日本テピア・テピア総合研究所副所長 編集担当:サーチナ・メディア事業部)

<原発>中国が先進的な小型原子炉に高い関心

2009/08/07(金) Searchina

 米原子力規制委員会(NRC)は2011会計年度(2010年10月〜2011年9月)の早い時期に、小型原子炉の審査・承認申請が行われるとみている。こうした設計の原子炉は、隔離された地域向けに電力を供給するほか、工業用の高温のプロセス熱を供給するために利用される。

 具体的には、ウェスチングハウス社の「IRIS」や、NuScale Power社の「NuScale」、PBMR社の「PBMR」、東芝の「4S」、Hyperion Power Generation社の「Hyperion」、GE日立ニュークリア・エナジー社の「PRISM」、バブコック&ウィルコックス社の「mPower」などが候補にあがっている。

 このうち電力出力が一番大きいのは「IRIS」の33万5000kW。一方、電気出力が一番小さいのは東芝の「4S」で、わずか1万kW。「4S」は東芝と電力中央研究所が共同で開発したもので、1.受動的な安全特性、2.密封形原子炉容器、3.最長で30年間は燃料交換が不要、4.コンパクトで免震標準設計――といった特徴を持ったナトリウム冷却高速炉。アラスカ州のガリーナ市が導入を検討しており、NRCは「建設・運転一体認可」申請にあたっての東芝の潜在的なパートナーとして見ている。

 また、バブコック&ウィルコックス(B&W)社の「mPower」は、電気出力12万5000kWで、冷却材に軽水を使い、燃料も標準的な加圧水型炉(PWR)燃料を採用するが、燃料交換間隔は5年であり、通常のPWRよりかなり長い。地下の格納建屋に設置される原子炉容器に原子炉と蒸気発生器が一緒に収納される。約700万kW規模の原子力発電所を運転するテネシー峡谷開発公社(TVA)は、B&W社が「mPower」の設計認証をNRCから取得するにあたって協力することで合意している。

 現在、原子力は主に発電に利用されており、原子炉の出力は大型化に向かっている。まだ、運転を開始していないが、三菱重工業の「US−APWR」(170万kW級)やフランスAREVAの「EPR」(160万kW級)、GE・日立の「ESBWR」(150万kW級)などが代表的な大型炉である。

 こうしたなかで、小型炉がクローズアップされてきた背景には、先進的な小型炉が各種のニーズに応えられるまでに進歩してきたということがある。

 100万kW級のPWRが炉型戦略の柱になっている中国でも、電気出力が30万kW以下の先進的な小型炉に対する関心が高まってきている。中国の中西部地区は大部分が山間部で海抜も比較的高く、送電線の幹線からかなり離れている。このため架線費用が莫大となり、そうした地域では大型の発電所を建設する利点はない。

 中国原子能科学研究院の趙志祥・院長は、人里離れた山間部や島嶼地域、軍事施設などの電力供給にあたって先進的な小型原子力発電所が有力な手段になるとの見解を示している。また趙院長は、安全で信頼性が高く、経済的な小型炉の開発・製造に中国が成功すれば、国際市場においても有利な地位を占めることができると指摘している。

 同氏は、中国としても外国の小型原子炉の経験や技術を参考にするとともに、国際交流・協力を強化することによって、5〜7年内に中国の国情にあった第4世代の小型原子炉の開発・建設に成功することは十分に可能であるとの見通しを示した。

 そのうえで趙院長は、政府の関係部門が小型原子力発電所の発展計画を策定し、この中で開発方針や目標を明確に定めるとともに、実証炉の設計・建設を5〜10年内に完成するよう提案した。

 なお中国では、山東省に計画されている高温ガス炉実証炉である華能山東石島湾発電所(20万kW)がまもなく着工の予定となっている。(執筆者:窪田秀雄 日本テピア・テピア総合研究所副所長)

着々と進む中国の原子力発電設備の国産化

2009/07/06(月) Searchina

 中国の原子力規制当局である国家核安全局のトップを務める李干傑・局長によると、中国の原子力界は6つの困難に直面している。

 具体的には、1.人材不足、2.原子力研究開発・設計能力不足、ハイエンド技術の未掌握、3.設備製造・据付能力不足、4.不健全な管理体系、法規制定の停滞、廃棄物処理能力不足、5.原子力安全監督・管理の不備(人員・予算不足、技術手段の立ち後れ)、6.パブリック・アクセプタンス(PA)活動の遅れ(国民の一部に原子力発電の発展に対して懸念がある)――をあげた。

 そうしたなかで、原子力発電設備の国産化に向けての努力が徐々に実を結ぼうとしている。中国はこれまで、原子力発電所の炉心を収める原子炉圧力容器については、30万キロワット級と60万キロワット級のものしか製造できなかったが、このほど国産化第1号となる100万キロワット級の原子炉圧力容器が広州の東方電気重型機械有限公司で6月15日に完成し、広東省の嶺澳2期・2号機に据えつけられた。

 東方電気が製造した原子炉圧力容器は「国産化1号」と銘打たれているが、完全な国産化製品ではなさそうだ。中国有数の原子力発電事業者、広東核電集団有限公司は2006年12月30日、遼寧省の紅沿河1期・1号機(PWR、111万キロワット)の原子炉圧力容器を中国第一重型機械集団公司(中国一重)から供給を受ける契約を結んだ。嶺澳2期より遅れて着工した同発電所は、「国内企業(中国一重)によって完全に製造される原子炉圧力容器を採用する中国初の100万キロワット級原子力発電所」(国家原子能機構)となる。

 おそらく、嶺澳2期・2号機に据えつけられた原子炉圧力容器の部材は、輸入したものだろう。広東核電集団有限公司は、原子力発電設備の国産化率について、嶺澳1期では1号機、2号機とも30%、嶺澳2期では1号機50%、2号機70%、紅沿河では1、2号機とも70%以上になると予想している。ちなみに、紅沿河1期・2、3、4号機の原子炉圧力容器と一部の蒸気発生器、加圧器、安全注入設備、ホウ酸注入設備は東方電気集団が供給する。

 また中国一重は6月2日、浙江省の三門2号機で採用される米ウェスチングハウス社製の第3世代炉「AP1000型炉」(PWR、100万キロワット級)の原子炉圧力容器の製造に着手した。同社は2008年7月、陽江、寧徳両原子力発電所向けの6基の原子炉圧力容器供給契約も結んでいる。このほか、中国核工業集団公司との間では、方家山、福清両原子力発電所向けの原子炉圧力容器4台と蒸気発生器(SG)12台の鍛造品供給契約を5億元で結んでおり、これまでに契約した原子炉圧力容器は12基に達している。

 なお、三門発電所の1号機に加え、同機と同じく「AP1000型炉」を採用する海陽1号機の原子炉圧力容器は韓国の斗山重工業が供給することになっている。斗山重工業は両機向けに4台の蒸気発生器も供給する。同社は、蒸気発生器の組立にあたって、蒸気発生器用伝熱管(SG管)の供給を住友金属から受ける。

 現在、SG管の供給メーカーは、世界的に見ても住友金属のほか、スウェーデンのSandvik社、フランスのValinox社に限定されており、今後、3社の生産能力を超える需要が見込まれている

 いずれにしても、中国政府は大型鋳鍛造品の国内製造が原子力発電開発を左右するきわめて重要な要因と見ている。国産品は、外国の製品に比べて少なくても30〜50%も価格が低い。さらに、世界的に生産能力が限られていることから納品までに時間がかかる。

 また、紅沿河発電所の原子炉圧力容器の鍛造品を外国企業に注文した際に、その国の政府が輸出許可申請を却下したという苦い経験も国産化を推し進めている大きな理由だ。

 こうしたなかで、中国政府が「第11次5ヵ年」期(2006〜2010年)の「国家科技支援計画」の重点プロジェクトとして位置付けている「大型鋳鍛品製造関連技術設備研究製造」に関する年度工作会議が河北省・秦皇島市の燕山大学で6月に開催された。

 この会議は、中国機械工業連合会が主催したもので、国務院三峡弁公室のほか、中国重型機械研究院、沈陽鋳造所、北京科技大学、中国第一重型機械集団、中国第二重型機械集団、上海重型機械廠有限公司、鞍鋼重型機械廠有限公司等、国からテーマを与えられている機関・企業の関係者が参加した。

 このプロジェクトは、原子力発電だけでなく水力発電や火力発電、大型船舶のシャフト等の鋳鍛造品の需要が急増しているなかで、国をあげてボトルネックとなっている問題を解決することを目的としたもので、2007年からスタートしている。すでに多数の成果があがっており、実際の製造に適用されているものもあるという。

 中国を代表する企業の動きも紹介しておこう。中国第一重型機械集団は40億元を投資し、1万5000トンの水圧プレスなどを完成させた。同社の製造能力は、溶鉱生産規模が年産25万トンから50万トンへ、鍛造品は12万トンから24万トンへ、さらに鋳造品は3万トンから6万トンに引き上げられた。これによって、最大で500トンの鋳造品、400トンの鍛造品の供給が可能になった。

 上海電気集団公司傘下の上海重型機械廠有限公司が建設していた1万6500トンの油圧プレス設備が試験・生産段階に入った。6月30日付「中国機械資訊網」が伝えたもので、600トンのインゴットを任意に回転し鍛造できる。

 また、貴州航天新力鋳鍛有限責任公司と中国東方電気集団公司は「原子力発電中小型鍛造品国産化開発協力取決め」を結び、サポートおよび吊具等の中小型鍛造品を協力して開発していくことに合意した。6月5日付「江南航天網」が伝えた。

 中国東方電気集団は、中広核工程有限公司と中国第二重型機械集団との間でも2007年1月、原子力発電主要設備用の大型鍛造品の国産化を共同で進めることを内容とした「原子力発電設備用の大型鍛造品の開発協力取決め」を締結している。

 このほか、「第11次5ヵ年」期(2006〜2010年)の「国家科技支援計画」の重点プロジェクトとして位置付けられている「原子力発電用蒸気タービン溶接ロータの開発」の実行可能性を論証する会合が開かれ、国産化に向けて大きな進展が得られたことが確認された。第3世代炉の国産化を担当する国家核電技術公司が6月29日に明らかにした。

 一方、国務院が今年5月12日に公布した「設備製造業調整振興規画」では、今後の中国の主要炉型になると見られている「CPR1000型炉」と「AP1000型炉」の自主化を進め、圧力容器やSG、制御棒駆動機構、原子力ポンプ・バルブ、非常用ディーゼル発電機等の国内製造を重点的に実現するとの基本方針が示された。

 このうち制御棒駆動機構については、上海核工程研究設計院と江蘇宏宝集団有限公司が共同で開発を進めてきていた「原子力発電所の制御棒駆動機構用クロム・マルテンサイトステンレス継ぎ目なし管材試作」プロジェクトが6月4日、中国核能工業協会主催の評価をパスした。

 国産化の重要部品にあげられている原子力用バルブの国産化も着々と進められている。大連大高バルブ有限公司の主催による「第3世代原子力発電AP1000型炉の圧力逃がし弁国産化ハイレベル調整会合」が5月19日に開催され、進展状況についてレビューが行われた。

 国産化に向けての努力が実を結びつつあるとは言え、急速に拡大する原子力発電開発に対応できるようになるまではまだ時間がかかることも事実だ。また、国産化された設備が当初の性能を寿命期間にわたって発揮できるかどうかということも大きな課題だ。(執筆者:窪田秀雄 日本テピア・テピア総合研究所副所長)

人材が足りない−中国の原子力発電産業拡大の制約に

2009/06/03(水)  Searchina

 世界的に失業率が悪化するなかで、人材不足が懸念されている業界がある。一時の低迷から抜け出し、ルネサンスと称されるまでに復活した原子力産業界だ。

 1979年のスリーマイルアイランド(TMI)事故と86年のチェルノブイリ事故によって、世界の原子力界は冬の時代に入った。そうしたなかで、それまで脚光を浴びていた原子力工学科を閉鎖する大学も現れた。

 その後、米ブッシュ政権の登場(2001年)によって原発再評価の気運が世界的に高まり、原発拡大は世界的な潮流となった。こうした動きに加え、原子力産業における定年退職者の急増にともない、人材の確保が大きなテーマとなってきた。

 その最右翼にあげられるのは中国だろう。80年代以降、世界の原発開発が低迷するなかで、中国でも原発に対する関心が薄れ、原子力工学科を閉鎖する大学も現れ、90年代半ば以降、有能な人材が原子力以外の分野に流出した。

 しかし、政府による積極的な原子力開発の方針もあり、状況は一変した。運転中(11基・約907万キロワット)、建設中(13基・1326万キロワット)に加えて、筆者の調べたところによると5月末現在、出力と基数が判明しているだけでも176基・1億8877万キロワットの原子力発電所が計画されている。この中には、年内に着工するユニットから、立地点の選定がスタートしたばかりのユニットが含まれている。

 エネルギー政策を担当する国家エネルギー局の張国宝・局長は、中国の原子力発電所基数が20年後に104基に達することも可能との見方を示しており(5月26日)、必ずしも誇大な数字とは言えない。

 そうした野心的とも言える原発拡大の実現に際して一つの大きな障害になると見られているのが人材の確保だ。

 中国核能工業協会の張華祝・理事長は5月19日、設備製造能力、人材供給、核燃料の供給を中国の原子力発電拡大の3大制約要因としてあげた。同理事長によると、中国は原子力発電の拡大に備え、2005年から原子力工学教育の拡充に乗り出した。原子力関連学科を有する教育機関は20に達しているという。

 もちろん、人材の供給体制が整ったとは言え、大学を出たばかりの人間が即戦力になる訳ではない。このため張理事長は、人材不足が当分は続くと見ている。

 原子力発電だけでなく核燃料サイクル事業を手がける中国核工業集団公司の人的資源部の舒衛国・主任は5月26日、原子力専業の人材が非常に不足しているとの認識を示したうえで、同社が2008年に1627人の大学卒業生を採用したことを明らかにした。このうち、原子力工学の卒業生は381人で、これ以外にも放射線防護や電気・制御など原子力と関係する理工系学生が若干含まれているという。

 ウェスチングハウス社のAP1000型炉を代表とする第3世代炉の国産化の任務を負っている国家核電技術公司の人材採用も飛躍的に増加している。同社の2007年の採用者数は学部と大学院の卒業生を含めてわずか50人だったが、2008年には530人を採用した。また、2009年には1200人を採用する予定になっている。

 両社だけでなく、中国の原子力関連企業の需要は依然として旺盛だ。国家国防科技工業局によると、原子力工学の学部以上の卒業生に対する需要は2020年までに1万3000人に達すると予測されている。

 事業者と大学がタイアップした人材養成も行われている。中国核工業集団公司と清華大学は96年から、目的を定めた人材養成を進めており、2008年までに540人の卒業生を輩出している。このうち332人は中国核工業集団公司傘下の企業で採用されている。同社は、清華大学だけでなく、上海交通大学や西安交通大学、ハルビン工程大学とも共同で人材養成を行っている。

 なお教育部は2007年、9の大学での原子力関連学科新設を承認し、2008年から学生の募集がスタートした。この中には、ハルビン工業大学、南京航空航天大学、武漢大学、華南理工大学、電子科技大学、中国科技大学等が含まれている。

 また、南華大学の独立単科大学である船山学院でも教育部の承認を得て2008年から原子力工学科の学生の募集を開始した。このほか北京航空航天大学でも定員24人の核物理専攻を新設した。

 実は、中国の原子力人材確保の問題は、供給の量にある訳ではない。確かに、将来有望な学生を確保することも重要だが、熟練した技術者が今すぐに確保できるかどうかが最大の問題になっている。

 なぜかと言えば、中国はかつてどの国も経験したことがないようなスピードで原子力発電所を建設しようとしているからに他ならない。本欄でも以前紹介したように、中国の原子力規制当局のトップである国家核安全局の李干傑・局長は、「野放図の原子力発電拡大は、人材の確保や国産化戦略の推進、原子力安全管理といった点で深刻な矛盾を引き起こし、原子力発電所の建設における品質保証や運転面での安全確保にとって大きな脅威となる」との懸念を表明している。

 中国では人材の流動性がきわめて高いということも銘記する必要がある。新たに原子力発電事業参入を目論む中国華電集団公司は5月12日、原子力発電所での実務経験を有する人材募集を行った。

 それによると、10年以上の経験を有する原子力発電部の副主任1名、8年以上の経験を有する同部の処長クラス1名、同じく5年以上の経験を有する主管クラス1名のほか、福建省などで計画されている原子力発電所の上級管理部門や建設管理部門の要員として合計で14名を募集した。

 経験を積んだ人材を求めているのは国内事業者だけではない。フランスのAREVA社は5月14日、中国、ドイツ、北米、フランス、インド、中東といった、今後原子力発電の拡大が期待できる6カ国・地域で実務経験を積んだ1万2000人を雇用する計画を公表した。

 AREVAが求めている人材と電気事業者が求めている人材とは当然違うが、有能な人材を引き抜かれては、中国政府が進める原子力発電設備の国産化に影響が出かねない。しかも、6カ国・地域で単純に振り分けても、中国では2000人の熟練技術者を雇用する計算になる。

 AREVAの雇用計画は、単なる技術者の雇用と見るべきではない。有能な熟練技術者の囲い込みの先には、市場の制圧が透けて見える。(執筆者:窪田秀雄 日本テピア・テピア総合研究所副所長)

中国、原子力発電中長期計画の改定作業が大詰め

2009/04/08(水) Searchina

 中国の原子力発電開発の拠り所となっている「原子力発電中長期発展計画(2005〜2020年)」の改訂作業が大詰めを迎えている。国家エネルギー局の曹述棟・電力司副司長は3月28日、同計画の改訂案が完成し国務院に提出されたことを明らかにした。

 2007年11月2日に公表された同計画では当初、2020年までに稼働中の原子力発電所の設備容量を4000万キロワットに拡大するとともに、建設段階にある原子力発電所の設備容量を2020年時点で1800万キロワットにするとの具体的目標を掲げていた。

 しかし、中国の原子力推進の中心人物と目される張国宝・国家発展改革委員会副主任は、国家エネルギー局長に就任(2008年3月)後、事あるごとに「原子力発電中長期発展計画」の改訂を発言するようになった。

 張氏は、総発電設備容量の5%が新しい目標だとしており、具体的な発電設備容量を明言していない。一方で、曹述棟・電力司副司長は、新たな原子力発電目標が総発電設備容量の5%、また総発電電力量の8%だとしたうえで、最低でも2020年までに7500万キロワットの原子力発電所が稼働するとの見通しを示した。

 これは、当初の目標の倍近い数字だが、パーセンテージではわずか1ポイントだけ上がったに過ぎない。当初の計画では、2020年時点の総発電設備容量の4%を原子力発電にするとの目標をたてた。4000万キロワットという規模が算出されたのは、2020年時点の総発電設備容量を10億キロワット程度と見込んでいたためだ。中国の総発電設備容量は昨年末時点ですでに7億9253万キロワットに達しており、2020年には15億キロワットを達成することができるとの見通しが出てきたことから、新たな原子力発電目標として7500万キロワットが浮上してきた。

 そうしたなかで、米国ウェスチングハウス社が開発した第3世代加圧水型炉(PWR)の「AP1000型炉」を採用した浙江省の三門原子力発電所が、本国の米国も含め、世界にさきがけて4月10日に正式に着工する見通しとなった。

 中国政府は、内陸部に建設する原子力発電所で採用する炉型を「AP1000型炉」にすることを決めている。また、国家エネルギー局の孫勤・副局長は、今後、沿海部で新規に着工される原子力発電所についても同型炉が主流になるとの方針を明らかにしており、「AP1000型炉」が中国の中心的炉型になりそうだ。

 中国は、「AP1000型炉」の発展戦略について、外国との協力をベースとした三門と海陽の両原子力発電所を自主化の拠り所となるプロジェクトと位置付けている。次のステップで、中国を主体として第一陣となる内陸発電所を建設し、同型炉の技術の吸収と消化を全面的に完成させるとともに大量生産能力を構築することを目指している。

 最後のステップで、自主設計によるイノベーションを全面的に完成させ、中国が独自に知的所有権を持つ先進的な原子力発電技術とブランドを作り上げるというのが、中国の「3段階発展戦略」だ。

 「AP1000型炉」の知的所有権はウェスチングハウス社が持っているものの、中国国内に関しては制限を受けない。裏返せば、輸出はできないことになる。ただ、国家核電技術公司の王炳華・董事長によると、同型炉の技術をベースに消化・吸収・再革新を行い、しかも中国側が設計したものが135万キロワットを超えていれば、中国が独自の知的所有権を持ち輸出もできるという契約になっている。

 そこで出てきたのが“中国版のAP型炉”だ。中国(China)のCをとり、また出力も140万キロワットということで「CAP1400型炉」と名づけられた。王董事長は、「CAP1400型炉」の概念設計が今年3月、7名の院士(アカデミー会員)が参加した専門家グループの審査を通過したことを明らかにした。

 また王董事長は、「CAP1400型炉」を採用した原子力発電所が2017年には運転を開始できるとの見通しを示すとともに、受動的な安全システムを備えた、さらに大型の「CAP1700型炉」の研究開発を継続する意向を表明した。

 国家エネルギー局が「原子力発電管理条例」の最初のドラフトを完成したことも明らかになった。同条例は、原子力発電所の設計や建設、立地サイトの保護、科学技術研究開発、設備の製造、事業者の資質、原子力安全等に関して、明確かつ詳細に規定していると伝えられている。

 原子力発電開発が過熱しているとの国内関係者の指摘もあるなかで、中国が抱える多くの問題にどのような新しい方針を打ち出すのか、「原子力発電管理条例」の内容からも目が離せない。(執筆者:窪田秀雄 日本テピア・テピア総合研究所副所長)

中国:日本3社含め外国企業60社の原発市場参入を承認

2009/02/02(月) Searchina

 日本は日本製鋼所、三菱重工、三菱電機のわずか3社。これに対して、フランス(27社)、米国(9社)、ドイツ(9社)の3カ国で全体(10カ国・60社)の75%を占める。中国国家核安全局が1月23日までに中国での原子力事業登記申請を承認した外国企業の数だ。4カ国以外では、英国、韓国、オーストリアが各3社、カナダ、スウェーデン、イタリアが各1社となっている。ちなみに登記の有効期間は5年。

 原子力事業の登記とは何かをまず説明しておく必要があろう。その根拠になっているのは、国務院が2007年7月11日に公布した「民用核安全設備監督管理条例」と、同条例をもとに国家環境保護総局(現環境保護部)が同年12月28日に公布した「輸入民用核安全設備監督管理規定」だ。いずれも2008年1月1日から施行されている。

 「民用核安全設備監督管理条例」は、第5章「輸出入」の第32条で、「中国国内の民生用原子力施設に対して原子力安全設備の設計、製造、据付、非破壊検査活動を行う外国組織(企業)は、事前に原子力安全監督管理部門に対して登記手続をしなければならない」と規定している。また、「輸入民用核安全設備監督管理規定」は、第2章で外国組織の登記手続を詳細に定めている。

 登記が認められる条件は、やはりこれまでの実績ということになり、自国での実績があれば登記自体はとくに問題ということではない。今回の登記で注目されるのは、どのような企業が中国の原子力発電市場に関心を持っているかということであろう。

 1月23日現在、原子炉プラントメーカーでは、米ウェスチングハウス社、フランスAREVA社、ドイツAREVA社、そして日本の三菱重工が登記している。このうち三菱重工とドイツAREVAの2社については詳細な登記確認書が公表されている。それによると、三菱重工は「設計活動登記範囲」と「製造活動登記範囲」の中に原子炉圧力容器と遠心ポンプが明記されている。またドイツAREVAは、熱交換器や配管、ポンプ、バルブなどの設計と中性子測定器の製造などを登記されている。

 当然、登記が60社だけで終わるということではない。中国の原子力発電市場が外国企業にとって魅力的なのは、今後予想される建設規模だけではない。中央政府だけでなく省や市、県といった地方政府が原子力発電所の建設を強力に推進しており、こうした方針にまったくブレがないということだろう。

 その中国で最近、原子力開発の新たな方向性を示す動きがあった。中国で現在、運転中・建設中の原子力発電所はすべて沿海部に立地しているが、内陸部での建設が具体化に向けて大きく動き出した。

 これまで、内陸部での建設が遅れていたのは立地面で問題があったからではない。国務院は内陸部に建設する原子力発電所を最新の炉型であるウェスチングハウス社のAP1000型炉とすることを決定していたが、建設の前提となる内陸向けの標準化設計が完成していなかった。

 そうしたなかで昨年末、AP1000型炉を内陸部に建設する際の全体設計、中核系統ならびに設備の全体設計が終了した。同型炉をはじめとした第3世代炉の国産化を担当している国家核電技術公司は、今年末までにはAP1000型炉を採用した内陸原子力発電所の初期安全分析報告を完成させることを計画している。

 内陸初の原子力発電所の参考プラントになるとみられているのが江西省に建設が計画されている彭澤原子力発電所だ。同発電所では、125万キロワットのAP1000型炉が4基建設されることになっており、一期工事としてとりあえず2基が建設される。国家核電技術公司は、沿海部の原子力発電所にはない冷却塔の研究開発に関して国際協力を進める意向と伝えられている。

 中国では、昨年の大雪・寒波によって、石炭火力に過度に依存する体質の脆弱性が浮き彫りになったこともあり、原子力発電所に対するニーズはむしろ内陸部で強まってきている。筆者の調べによると、現在、内陸部では10ヵ所以上のサイトで原子力発電所の建設計画が浮上してきている。

これらがすべてAP1000型炉を採用するということになると、本国の米国よりも多数のAP1000型炉が中国で稼働することもあり得る。(執筆者:窪田秀雄 日本テピア・テピア総合研究所副所長)

中国、先進的核燃料サイクルに本腰

2009/01/07(水) Searchina

 国務院が2006年2月9日に公表した「国家中長期科学技術発展計画綱要(2006―2020年)」は、中国における科学技術政策の最上位に位置付けられる計画であり、イノベーションに主眼を置いたうえで、今後の科学技術の発展における指導方針と目標を定めている。

 同計画綱要に基づき、「第11次5カ年」計画期(2006〜2010年)の「863計画」では、「核燃料サイクルと原子力安全技術」を重点プロジェクトとして位置付けている。「863」計画は「国家ハイテク研究開発発展計画」の略称であり、1986年3月にスタートしたことからこう呼ばれている。

 中国科学技術部が2008年12月23日に公表した「核燃料サイクルと原子力安全技術」に関する重点プロジェクトの公募申請案内は、中国が目指す原子力開発の方向を明らかにしている。具体的には、大きな目標として4項目、課題として6件をあげ、それぞれ3―4年をかけて実施するとしている。

 まず、「先進的核燃料サイクル技術モデル研究」については、核燃料サイクル技術のモデル研究を推進し、中国が基本方針とする「PWR−高速炉」路線と整合性をはかる技術プランを提示するとともに、「分離−消滅処理」技術路線を確定することを目標として掲げている。実施期間は3―4年で、予算額は400万元(約6000万円)。

 2番目の目標は「先進的使用済み燃料再処理プロセスと分離設備の中核的技術の研究」で、2つの課題で構成されている。一つは、「高速炉使用済み燃料再処理の中核工程技術研究」で、高速炉使用済み燃料の溶解技術、PUREXプロセスのウラン、プルトニウム共除染技術の改良等が行われる。実施期間は3―4年で、予算額は1000万元(約1億5000万円)。

 もう一つの課題は、「高効率の廃液分離、処理プロセスと中核設備の技術研究」で、動力炉の高放射性廃液の分離、固化処理および原子力用遠心抽出器等の先進的な再処理中核プロセスや設備の技術研究を推進するとしている。実施期間は3―4年で予算額は1600万元(約2億4000万円)。

 3番目の目標として掲げられているのは「長寿命核種の消滅処理技術研究」で、「高速炉を利用した長寿命核種の消滅処理技術研究」と「熱中性子炉を利用した長寿命核種の消滅処理技術研究」が課題としてあげられている。実施期間はいずれも3―4年で、予算額はそれぞれ1400万元(約2億1000万円)と1000万元(約1億5000万円)となっている。

 最後の目標は「核燃料サイクルの安全技術研究」で、臨界事故分析と測定技術、放射線防護・モニタリング等の技術研究を推進し、核燃料サイクルの安全を確保するとしている。実施期間は3―4年で、予算額は600万元(約9000万円)が計上されている。いずれの課題についても申請締め切りは今年2月6日となっている。

 中国では昨年、寧徳(福建省)、福清(同)、陽江(広東省)、方家山(浙江省)の各原子力発電所が相次いで着工した。これ以外の計画も徐々に具体化してきており、中国政府部内では、2007年に公表された「原子力発電中長期発展計画」に掲げられた2020年の4000万kWという開発目標の改訂(上方修正)が進められている模様だ。

 中国政府は、こうした原子力発電拡大計画を見据え、原子力のポテンシャルを最大限活かす再処理・リサイクル路線の推進に本腰をすえている。また、中国政府が基本方針とする「PWR−高速炉」路線にまったくブレはなさそうだ。今回の研究課題の公募は、そのことを如実に物語っている。

広東省の陽江原子力発電所が正式着工

2008/12/17(水) Searchina

 広東省の陽江原子力発電所の建設が16日、正式にスタートした。着工式に参列した李克強・副首相は、中国の原子力発電開発が重要な発展の時期に入ったとの認識を示したうえで、政府としても原子力発電開発を積極的に推進する意向を改めて表明した。

 同原発には、中国がフランスの技術をベースに独自に設計した100万キロワット級のPWR(加圧水型炉)、「CPR1000型炉」が採用される。合計で6基が建設されることになっており、1号機の2013年を皮切りに、2017年までには全基が運転を開始する。総投資額は450億元(約6750億円)で、完成すれば年間450億キロワット時を発電する。また、同発電所の総合国産化率は83%に達すると見込まれている。

 中国政府は11月12日、国際的な金融危機に対応するための内需拡大・経済安定促進策の一環として、陽江と浙江省の方家山両原子力発電所を承認していた。なお、11月21日には福建省の福清原子力発電所が正式に着工している。

「アジアのウラン濃縮センター」構想が具現化へ−中国

2008/11/28(金) Searchina

 中国を筆頭に、今後、アジアでの原子力発電開発は飛躍的に拡大するとみられている。新たに原子力発電所を建設しようという動きはベトナムやインドネシアなどでも見られる。こうした国で原子力発電所が稼働するのはいつになるか分からないが、NSG(原子力供給国グループ)の承認によって外国からの原子力技術輸入が認められることになったインドでは、中国に匹敵するような規模の原子力発電所の建設が浮上してきている。

 そうしたなかで、アジアのウラン濃縮センター構想が中国国内で具体化してきた。中国の核燃料サイクル事業を担う中国核工業集団公司の邱建剛・副総経理はこのほど、国内の濃縮能力を飛躍的に拡大したうえで余剰能力を外国のユーザーに対して提供し、中国がアジアのウラン濃縮センターを目指すとの考えを明らかにした。同氏は、2010年から2020年にかけて新規の濃縮プラントを次々と建設・操業させる計画を示した。

 同社は、核燃料サイクル事業の国際競争力の向上を目指す方針を明らかにしており、すでに原子力発電所が稼働している国の濃縮需要も視野に入れていることは間違いないだろう。当然、この中には日本や韓国も含まれることは言うまでもない。もちろん、数年先にそこまでの段階に到達するとは中国側も考えてはいない。あくまで、国内の濃縮需要を賄ったうえで、余った能力を外国に提供するというのが前提だ。

 中国国家発展改革委員会は、2007年11月2日に公表した「原子力発電中長期発展計画」の中で、原子力発電設備容量を2020年までに4000万キロワットに拡大するとの目標を掲げた。同計画に基づくと、中国のウラン濃縮需要は2010年時点で2500トンSWU(分離作業単位)、2020年時点で7000トンSWU程度に達すると予測されている。

 しかし、同計画の公表から1年が過ぎ、計画自体の上方修正が具体化してきた。これまで中国の原子力発電開発計画は沿海部が中心だったが、製造業の内陸部進出に加え、2008年1月に南西部を襲った大雪・寒波を受け、内陸部の省・自治区・直轄市でも原子力発電に対する期待が強まってきた。

 中国国家エネルギー局の張国宝局長は、今年8月、原子力発電設備容量が2020年までに総発電設備容量の5パーセント以上に達するとの見通しを明らかにした。中国では、2020年時点の総発電設備容量が15億キロワット〜16億キロワットに拡大するとの予測があるため、単純に計算しても5%だと7500〜8000万キロワットに達する。同じく国家エネルギー局の省エネ・科技装備司の黄鵬・副司長は11月、2020年の原子力発電設備容量を当初目標の4000万キロワットから7000万キロワット超に引き上げると明言した。

 筆者が調べたところによると、中国では11月末現在、16の省・自治区・直轄市で153基、合計設備容量で約1億6000万キロワットの原子力発電所が計画されている。どの立地点も4〜6基のユニットで構成することが予定されており、1期工事として2基程度をとりあえず建設するというパターンが一般的になっている。つまり、最大で4〜6基が建設できる場所を確保し、最初は2基程度を建設し、あとは電力需要を見ながら増設を判断するというものだ。したがって、計画中の原子力発電所がすべて建設されるということではない。

 それでも、計画中の原子力発電所の半分が建設されたとしても8000万キロワットに達する。現在、運転中と建設中のユニットを加えれば1億キロワットを超す。国家エネルギー局関係者の発言も、根拠がないわけではない。

 見通しのように原子力発電所の建設が進めば、当然、濃縮需要も拡大する。現在、中国では1000トンSWU規模の濃縮プラントが稼働中のほか、ロシアの協力を得て、さらに500トンSWU規模のプラントの建設が計画されている。国内需要を賄うだけでも、濃縮プラントの建設を加速する必要があることは論をまたない。どの程度のスピードで濃縮能力を拡大するかは明らかにされていないが、外国の濃縮需要を賄うのはかなり先になる可能性が高い。(執筆者:窪田秀雄 日本テピア・テピア総合研究所副所長)

福建省の福清原子力発電所が正式着工

2008/11/26(水) Searchina

 福建省の福清原子力発電所が11月21日、正式に着工した。原子力安全規制当局である国家核安全局が同12日、同発電所の1期プロジェクト(PWR、100万キロワット級2基)に対して建設許可証を発給したのを受けたもの。同日、建設サイトで行われた着工式には、李克強・副首相が出席、同発電所の正式着工を宣言した。

 同発電所には、中国が第2世代改良型PWRと位置付ける「CPR1000型炉」が採用される。福清発電所には最終的に6基が建設されることになっており、総投資額は1000億元(約1兆5000億円)と推定されている。1号機は、2013年の運転開始が見込まれている。

 同発電所を建設・運転する実施主体、福建福清核電有限公司には、中国核工業集団公司、華電福建発電有限公司、福建投資開発総公司が出資している。

中国政府、内需拡大策の一環として2原発の建設を承認

2008/11/13(木) Searchina

 中国政府は12日、国際的な金融危機に対応するための内需拡大・経済安定促進策の一環として、広東省の陽江と浙江省の方家山両原子力発電プロジェクトを承認した。同日、温家宝首相が開いた国務院常務会議で決定した。両プロジェクトの投資額は合計で955億元(約1兆4325億円)と推定されている。

 また、国家発展・改革委員会(発改委)は同日、両原子力発電所に加えて、福建省の福清原子力発電所が年内に着工する見通しであることを明らかにした。

 3カ所の原子力発電所とも100万キロワット級のPWR(加圧水型炉)が採用されることになっており、陽江発電所では6基、方家山と福清発電所ではそれぞれ2基が建設されることになっている。

金融危機は中国の原子力発電計画に影響を与えるか

2008/11/04(火) Searchina

 アメリカ発の金融危機が世界を覆っている。金融市場にとって最大の問題とされる信用収縮が現実のものとなってきており、やはりアメリカ発の「原子力ルネサンス(復興)」に冷水を浴びせかねない事態も懸念されている。

 まもなく退場するブッシュ政権は、エネルギー安全保障強化に向けて原子力発電を強力に推進してきた。そうした努力は、「2005年エネルギー政策法」として結実し、すでに30基を超える原子力発電所の建設計画が持ち上がるまでに至った。

 各種要因によって30年間にもわたって停滞を余儀なくされたアメリカの原子力産業界は、ブッシュ政権の強力な肩入れもあり復興を成し遂げただけでなく、アメリカ発の原子力ルネサンスは世界中に伝播した。

 しかし、サブプライムローン問題などの影響でリーマン・ブラザーズが経営破綻した9月15日以降、原子力ルネサンスに否定的な論調が目立つようになった。アメリカのボドマン・エネルギー省(DOE)長官は10月1日、金融危機がエネルギー需要に大きな影響を及ぼす可能性があるとしたうえで、原子力発電所のような長期プロジェクトの資金調達が最も難しくなるとの考えを表明した。

 1億5000万キロワットを超える原子力発電所が計画されている中国はどうか。破竹の勢いを誇った中国経済にブレーキがかかりはじめた兆候が随所に見られるとの指摘もあるが、1兆8000億ドルを超える外貨準備高に加え、今年上半期の財政黒字が1兆元を上回るなど財源は十分にあり、いざという時の資金繰りが悪化することはないだろう。中国の場合、何と言っても、政府が原子力発電の積極的推進を打ち出している点が事業者にとっては心強い。

 中国では、原子力発電所の経営は、国務院が定めた「似核養核、滾動発展」(原子力発電所の運転で得られた資金で次の原子力発電所を建設する)という方針のもとで行われている。

 そうした方針を着実に実施しているのが、中国有数の原子力発電事業者、広東核電集団有限公司だ。総投資額が40億7000万ドルの大亜湾原子力発電所の返済期間は15年、元利合計は53億2000万ドルだが、運転開始(1994年)からわずか7年後の2001年には返済額が43億1000万ドルに達した。

 同社は、大亜湾原子力発電所の成功をベースに、同発電所で得た利益を次の原子力発電プロジェクトに再投資するというモデルを確立している。しかし、「似核養核、滾動発展」だけでは、中国全体で計画されている約150基・1億5000万キロワットの原子力発電所を建設することは不可能だろう。

 国防科学技術工業委員会(当時)が2006年8月に公表した「原子力産業『第11次5カ年』発展計画」では、投資主体の多元化を積極的に推進し、国による投資、銀行貸付、自己資金とエクイティファイナンスなどを相互に結合させた投融資制度を確立する方針を打ち出した。

 中国に次ぐ規模の原子力発電所の建設が計画されている米国では、1970年代から80年代にかけて建設された原子力発電所のコストが当初の計画を大幅に上回ってしまったという苦い経験から、ウォール街は当初、原子力発電所の投資には懐疑的だった。そこでブッシュ政権が打ち出したのが、政府による融資保証をはじめとした支援策であり、ウォール街の原子力発電に対する見方も変わろうとしていた矢先の金融危機だった。

 金融危機は、今のところ、中国の原子力発電計画には大きな影響を及ぼしそうな気配はない。原子力発電所の建設に多額の費用を要するということは地元に対する経済効果も大きいことを意味している。また、莫大な税収を地元にもたらす。さらに、中国産業の利潤率が平均で10%程度なのに対して、原子力発電産業の利潤率は30%を超えている。中国の原子力発電計画が、地元政府と事業者の二人三脚で行われていることも良く理解できる。(執筆者:窪田秀雄 日本テピア・テピア総合研究所副所長)

需要増に備え四川省の核燃料工場を400トン増設

2008/11/03(月) Searchina

 中国核工業集団公司は10月30日、四川省の宜賓にある中核建中核燃料元件有限公司が建設したPWR(加圧水型炉)用核燃料の生産ライン(年産400トンU)が操業を開始したことを明らかにした。16日に国家核安全局が原料投入の承認書を発布したのを受けたもの。

 年産200トンUの能力を持つ宜賓核燃料工場はこれまで、秦山1期と2期、大亜湾、嶺澳に加え、パキスタンのチャシュマ原子力発電所の核燃料を製造してきた。しかし、国内の需要が大幅に伸びる見込みから、2008−2010年までの需要を賄うことができない事態が予想されたため、2005年から生産ラインの拡張が進められていた。

 また、秦山3期(CANDU炉)向けの核燃料を製造している中核北方核燃料元件有限公司の包頭核燃料工場でも、新規にPWR用核燃料の生産ライン(年産400トンU)の建設が行われている。

中国、「気候変動対応政策と行動」白書を公表

2008/10/30(木) Searchina

 中国政府は10月29日、「気候変動対応政策と行動」と題する白書を公表した。それによると、中国は気候変動への対応を重視しているとしたうえで、先進国に対して率先して排出削減を求めるだけでなく、発展途上国に対して資金や技術の面で協力するよう求めた。

 また、温室効果ガスの排出抑制に関して、これまで通り各種の施策によって政府として省エネに取組んでいく意向を明らかにした。エネルギーの供給面では、再生可能エネルギーや原子力発電所の建設拡大に加えて、炭層ガスの開発・利用によって構造を最適化する考えを再確認した。

 具体的には、一次エネルギー消費に占める水力発電を含めた再生可能エネルギーの割合を2010年までに約10パーセントに引き上げるとともに、炭層ガスの採掘量を100億立方メートルに拡大するとの目標を掲げた。

 このうち風力発電については、風力発電設備の研究開発と製造能力を強化したうえで、100万キロワット級と1000万キロワット級の風力発電所の建設に努力を払うとした。

 2020年までに4000万キロワットを稼働させるという当初の目標を上方修正する動きが具体化してきている原子力発電については、人材育成に力を入れるとするとともに、発電所の運転・技術サービスシステムの確立を強化すると指摘。また、原子力発電の拡大を促進するため税収優遇政策と投資優遇政策を実施するとしたうえで、法律や規則の整備を加速する方針を示した。

原発事業者が南華大学と人材養成など協力で合意

2008/10/22(水) Searchina

 湖南桃花江核電有限公司は14日、地元の南華大学との間で協力枠組協定を締結。人材養成や科学研究、技術革新、経営管理といった分野で幅広く協力していくことで合意した。同社に出資する中国核工業集団公司が同21日に明らかにした。

 湖南省に建設が計画されている桃花江原子力発電所には、米ウェスチングハウス社が開発したAP1000型炉(PWR、100万キロワット級)が4基採用されることになっている。湖南桃花江核電有限公司は、同発電所の建設・運営を担当する実施主体として、中国核工業集団公司によって設立された。

 一方、1958年創立の南華大学は原子力工学教育に力を入れており、9の原子力専門学科、18の原子力関連学科がある。

広東省が「原発特区」構想、産業基盤の確立目指す

2008/08/01(金) Searchina

 中国最大の原子力発電設備を抱える広東省の原子力発電建設指導グループのグループ長を務める黄龍雲・常務副省長は、同省として「原子力発電特区」の設立を目指す意向を表明した。7月16、17の両日に開催された同グループと原子力発電建設専門委員会の合同会議の場で明らかにした。

 黄常務副省長は、発電だけでなく、これを支える原子力産業全体の確立に努力を傾注するとしたうえで、設備製造や設計、高付加価値サービス産業の構築をめざすとの方針を示した。

 広東省では現在、大亜湾に2基、嶺澳に2基、合計4基の100万キロワット級の加圧水型炉(PWR)が稼働している。また、嶺澳では2期工事として、2010年の運転開始をめざし、中国がフランスの技術をベースに独自に設計した100万キロワット級PWRであるCPR1000型炉を2基採用する原子力発電所の建設が行われている。

 このほか広東省では、陽江と陸豊に100万キロワット級PWRをそれぞれ6基ずつ、台山に175万キロワットのPWRを2基建設する計画も具体化しており、運転中、建設中、計画中を合計すると約2200万キロワットに達する。広東省は、これらを含め2020年までに原子力発電所の運転設備容量を2400万キロワットに拡大するとともに、この時点で建設中の設備容量を1000万キロワットにもっていくことを計画している。

 中国政府が07年11月に公表した「原子力発電中長期発展計画」では、2020年時点の運転中原子力発電所の設備容量を4000万キロワット、また同時点で建設中の設備容量を1800万キロワットにするとの目標を掲げた。こうした目標については、国内プロジェクトの進捗状況を踏まえ、見直し(上方修正)される可能性が強まってきている。広東省の計画だけを見ても、中国政府が当初に掲げた目標の修正は必至だ。

 中国政府は、石炭火力発電偏重の現在の電源構成を見直すため、原子力発電と再生可能エネルギーの拡大に力を入れている。その拠り所となっているのが、前述した「原子力発電中長期発展計画」と「再生可能エネルギー中長期発展計画」だ。いずれの計画も中国政府としての目標を掲げているが、事業者の開発スピードはこれを大幅に上回っている。

 再生可能エネルギーのなかでも有望視されている風力発電は当初、2010年に設備容量が1000万キロワットに達すると見込まれていたが、年内にも1000万キロワットを突破することがほぼ確実となった。

 中国ではこれまで、地方政府は環境保護よりも開発を優先してきた。しかし、中央政府が環境保護へ軸足を移したため、環境を無視して開発プロジェクトを進めることができなくなった。そうしたなかで中央政府がクリーンなエネルギー開発を強力に推し進めることを表明したのを受け、原子力発電と再生可能エネルギーは地方政府にとって環境保護と地域開発を同時に達成できる有力な手段となった。

 とくに、発電プロジェクトのなかでも唯一国務院の承認を必要とする原子力発電プロジェクトが地元に及ぼす経済効果は他の発電プロジェクトとは比べものにならない。広東省の原子力発電特区構想は、地方政府が原子力発電をどのように位置付けているかを如実に物語っている。(執筆者:窪田秀雄 日本テピア・テピア総合研究所副所長)

発展・改革委員会に国家エネルギー局が正式に始動

2008/07/30(水) Searchina

 国家発展・改革委員会(発改委)は29日、今年3月の国務院の機構改革によって設立が決まっていた同委員会直属の国家エネルギー局が正式に業務を開始したことを明らかにした。同局の職責や内部機構、人員編制などを国務院が承認したのを受けたもの。

 国家エネルギー局は、政策法規、発展計画、省エネ・科技装備、電力、石炭、石油・天然ガス、新エネルギー・再生可能エネルギー、国際協力など全部で九つの部局で構成されており職員総数は112名。英文正式名称はNational Energy Administration。発改委の張国宝副主任が局長を兼任する。

 国家エネルギー局の成立は、国務院改革の一つの重要な柱として位置付けられており、石炭や石油、天然ガス、電力(原子力発電を含む)、新エネルギー・再生可能エネルギー等の業界管理のほか、エネルギー業界基準の制定、エネルギー発展状況の監視、エネルギー生産・需給バランスの調整、農村部でのエネルギー発展に向けた作業のとりまとめを行う。

 具体的な任務としては、エネルギー発展戦略や計画・製作の立案、関連する体制改革の建議書の提出、石油や天然ガス、石炭、電力などのエネルギー管理の実施、国家石油備蓄の管理、新エネルギーとエネルギー業界の省エネ推進のための政策措置の提出、エネルギー国策協力の推進――があげられている。

 なおエネルギー(製品)価格については、国家エネルギー局が立案し、発改委と国務院の承認を経て正式に決定されることになった。

海南省の原子力発電プロジェクトが大きく前進

2008/07/25(金) Searchina

 原子力発電から核燃料サイクル事業までてがける中国核工業集団公司は24日、海南省に計画中の昌江原子力発電所(原発)の前期作業着手を国家発展・改革委員会(発改委)が18日に正式に認めたことを明らかにした。

 同社と海南省発展改革庁は今年5月20日、発改委に対して同プロジェクトの建議書を提出し承認を求めていた。発改委が前期作業の着手を認めたことにより、昌江原子力発電所プロジェクトは大きく動きだした。2011年の着工、2016年の運転開始をめざす。

 海南省には現在、258万キロワットの発電所が稼働しているが、このままいくと2015年に250万キロワット、2020年には560万キロワットの電力が不足すると予測されている。全体に占める火力発電の割合が約77%と高いことに加えて、水力発電開発の余地もほとんどないことから原子力発電所の建設計画が具体化した。

 今回、中国核工業集団公司が発改委から認められたプロジェクトは出力65万キロワットの加圧水型炉(PWR)を2基建設するというもの。

 なお海南省では、広東核電集団有限公司も原子力発電所の建設を計画しており、05年12月には同省政府との間で原子力発電プロジェクトの前期作業を共同で推進する枠組み協定に調印している。

上海サイエンスパークに原子力研究開発センター設立へ

2008/07/24(木) Searchina

 中国を代表する原子力発電事業者、広東核電集団有限公司は24日、同社傘下の上海中広核工程科技有限公司が5億5000万元(約83億円)を投じて、上海市の閔行区紫竹サイエンスパーク内に原子力発電技術産業研究開発センターを建設することを明らかにした。

 同研究開発センターは、事務棟や産業化センター、設備付帯・調達センター、地下補助設備などで構成され、原子力発電技術の研究開発を総合的に行える機能をすべて備える。広東核電集団有限公司は、人材育成だけでなく競争力の強化、原子力発電技術自主化を目的として、同センターを足がかりに華東地区の電力市場を開拓する意向を表明した。

 上海中広核工程科技有限公司は広東核電集団有限公司の全額出資子会社。原子力発電技術や設備の技術開発、技術移転、技術コンサルティング、技術サービス、工程管理サービスなどを手がけている。

四川省初の原子力発電所の耐震性に「問題ない」

2008/07/22(火) Searchina

 7月22日付け中国新聞網によると、5月12日に四川省で発生した地震によって計画の再考が浮上してきていた四川省初の蓬安(三堰)原子力発電所について耐震上問題ないとの結論が下された。中国核動力研究設計院の趙華院長は、同発電所立地点の初期実地調査を踏まえ、地質面から判断しても原子力発電所の建設に問題ないとの判断を示した。

 四川省発展改革委員会は国家発展・改革委員会(発改委)に対して同発電所プロジェクトの建議書を提出。2007年12月には同省共産党委員会と省政府が広東核電集団有限公司を投資主体とすることを決定した。現在、実行可能性研究が実施されており、まもなく国家発改会に提出される。同発電所の合計設備容量は、最終的に400万−600万キロワットに達する見通し。

中国と台湾が原子力分野で人材交流へ

2008/07/17(木) Searchina

 中国有数の原子力発電事業者である広東核電集団有限公司は7月15日、台湾の核能科技協進会との間で同11日、人材交流協力取決めに署名したことを明らかにした。同社は、人材交流を契機として、さらに協力分野を拡大する考えを表明した。

 広東核電集団有限公司の銭智民薫事長は、中国の原子力発電事業がかつてないほどの発展の機会に恵まれているとしたうえで、各分野での協力を強化し原子力発電事業の発展を共同で推進する意向を示した。

広東核電と電力設計院が2つの炉型で設計契約

2008/07/17(木) Searchina

 中国有数の原子力発電事業者である広東核電集団有限公司は7月15日、広東省電力設計研究院との間でCPR1000型炉とEPRの設計契約を結んだことを明らかにした。CPR1000型炉は、フランスの技術をベースに中国が独自に設計した加圧水型炉(PWR)。またEPRはフランスAREVA社の最新型PWR。

 今回の契約には、遼寧省紅沿河原子力発電所1期工事と福建省寧徳原子力発電所1期工事の2次系部分の施工図設計と技術サービス委託契約のほか、広東省に建設が予定されている台山原子力発電所1期工事の2次系の土建設計と技術サービス契約が含まれる。なお紅沿河と寧徳発電所にはCPR1000型炉が、また台山発電所にはEPRが採用されることになっている。


中国、空港建設ラッシュ…2020年まで97カ所で新設

2008/01/29 FujiSankei Business i.

「全国民用空港配置計画」地域ごとに路線拡充

 中国政府は航空インフラの整備強化を狙う「全国民用空港配置計画」をまとめた。地方を中心に97カ所の空港を新設。2020年までに全土に244空港を置き、人口の8割を最寄り空港から100キロ以内の範囲でカバーする計画だ。物価上昇などの変動要因を除いた概算で、空港整備費用として4500億元(約7兆2000億円)を投じる。当面は10年までに45前後の空港を建設、約190空港体制とする。(坂本一之)

 ≪北京などハブに≫

 計画を公布した中国民用航空総局によると、まず北京や上海、広州(広東省)をハブ(中核)空港と位置づけ、さらに武漢(湖北省)や瀋陽(遼寧省)のほか深セン(広東省)などを重点都市として、地方を結ぶ国内路線を拡充する。さらに97の空港新設では、北部や東部、南方など、地域グループごとに航空路線を強化、利便性を高める。97カ所の具体的な地名は明らかにされていない。

 新華社電によると、北京首都国際空港の年間利用者数は5300万人を超え、世界トップ10に入る規模になった。また杭州(浙江省)や西安(陜西省)、重慶などの利用者も拡大。年間利用者が1000万人を超える空港は10カ所に達し、旅客、貨物ともに大幅な需要拡大が予測される。

 ≪航空機も需要増≫

 こうした中で世界航空機メーカー大手の米ボーイングやエンジンメーカーの英ロールスロイスなどは、中国市場拡大を見越してすでに販売強化に着手。欧州のエアバスは官民外交によるセールス戦略を展開し、同国市場に攻勢をかけている。

 昨年11月のサルコジ仏大統領の訪中時にはエアバス160機の大型販売契約を結んだ。また、エアバスは、中国企業と合弁工場は天津に立ち上げ今年8月から中型機「A320」の最終組み立て事業を開始する計画。

 中国側も国内の航空機メーカー育成に力を入れており、独自開発による中国初のジェット旅客機で中型の「ARJ21−700」の試験飛行を近く行うほか、09年にも航空会社に引き渡しを始める。さらに、中国はより大型の旅客機メーカーを設立する計画も進めている。

 また既存の中国の航空大手では昨年、国際航空連合「スカイチーム」に中国南方航空が加盟したほか、中国国際航空と上海航空が「スターアライアンス」に加盟。航空国際化も始まっている。

2020年にGDPの50%以上目指す 流通、金融などサービス業振興

2007/05/03 FujiSankei Business i.

 中国が運輸、流通、金融などサービス産業の振興に本腰を入れている。エネルギー消費の多い重工業主体の成長から、雇用拡大効果が大きく、国民生活の多様化を促すサービスに軸足を移し、中国政府が掲げる「節約型社会」「和諧(調和)社会」の実現を目指す。対外開放もサービスを重点とする方針で、外資系企業の参入機会が増えそうだ。

 中国の2007年1〜3月期の国内総生産(GDP)は11・1%の増加。産業別の伸び率は、工業中心の第2次産業の13・2%に対し、サービス主体の第3次産業は9・9%にとどまった。

 GDPに占めるサービス産業の割合は、04年の40・7%から05年は39・9%に低下した。

 こうしたサービス産業の相対的な伸び悩みを背景に、国務院(中央政府)は2日までに、数値目標、具体的施策を盛り込んだ通知を公布。20年にはサービス産業のGDP比を50%強とし、成長率をGDP全体および第2次産業より高め、「基本的にサービスを主体とする経済構造に転換する」と規定した。

 ただ、本格的なサービス振興には地方指導者の意識改革が必要。中国国家発展改革委員会産業政策局の夏農・副局長は「地方政府は重工業を過度に重視し、サービス分野を発展させる政策を講じていない」と指摘した。

 このため通知でも、市場参入規制の緩和、登記・経営審査手続きの簡素化のほか、財政支出の優先配分、海外での資金調達の認可など、行政面での積極的な支援を要求した。(北京 時事)

2020年の人口14・5億人内に 政府が抑制計画策定

2007/04/30 FujiSankei Business i.

 29日の華僑向け通信社、中国新聞社電によると中国政府はこのほど、2020年までの人口計画を策定し、約13億1500万人(06年現在)の総人口を10年は13億6000万人以内、20年には14億5000万人以内に抑制する目標を掲げた。

 人口計画はこのほか、20年までに貧困人口を減少させるとともに、男児への偏りが深刻化している出生比率を正常に近づける方針なども示した。(北京 時事)

中国、旅客機など国産化へ 大型機開発計画を決定

2007/03/19 FujiSankei Business i.

 19日付の中国各紙によると、中国国務院は2月末、懸案になっていた大型航空機の開発計画を正式に決定した。これまで欧米のメーカーに依存していた旅客機などの国産化が本格的に動きだす。

 中国は過去に大型航空機の国産化に失敗しており、国内航空会社は米ボーイングや欧州のエアバスから輸入した航空機を主に使用している。国務院は決定で「過去50年の航空工業の発展で大型機技術を発展させる基礎は整った」としている。

 各紙が掲載した新華社電は、開発時期など計画の詳細には触れていないが、大型機国産化は昨年決定した第11次5カ年計画にも盛り込まれている。過去の報道では、2015年までに貨物100トン以上を運べる輸送機と座席数150以上の幹線用旅客機を開発、20年までに実用化を目指すとしている。(共同)

2010年の本土沿海港の貨物取扱量、50億トン突破へ

2005-11-04 HelloNavi BY: chinawave

 交通部の張春賢部長は1日に開かれた「第2回国際海運(中国)年会」にて、2010年の本土沿海港の貨物取扱量が50億トンを突破し、コンテナ取扱量が1億3000万TEUに達するとの予測を示した。

 統計によれば、現在本土には港湾が1430ヵ所あり、2004年の全国港湾の貨物取扱量は41億7000万トンに達した。その内、沿海港の貨物取扱量は25億3800万トン、コンテナ取扱量は6180万TEUとなり、十数年連続で25%の年間成長率を維持した。

 張部長は「中国海運業は今、重要な発展時期を迎えている。まず、国内経済の発展情勢について言えば、中国経済は今後引き続き安定的且つ急速な成長を維持する見通しである。
次に、世界経済のグローバル化という観点からみた場合、中国は世界の加工製造業の中心地になりつつあり、中国経済の世界経済への融合が一層進んでいる。
中国経済の発展は必ず巨大な海上輸送ニーズを生み出す。
2004年における中国の貿易額は1兆1500億米ドルとなり、外国貿易海運量は11億5000万トンに達した」と述べた。

中国、年7・5%成長目指す…次期5か年計画

2005年10月22日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【北京=東一真】21日付の中国共産党機関紙「人民日報」によると、国家発展改革委員会の馬凱主任は「(次期)5か年計画期間中は7・5%前後の成長率を達成すればいい」と述べ、第11次5か年計画(2006〜10年)で年率7・5%の国内総生産(GDP)伸び率を目標にする方針を初めて示した。

 今年のGDP伸び率の目標は8%。最近は、四半期ベースで9期連続して9%台の高い成長を達成しているが、それより低めの目標を設定した。景気過熱へ振れることを警戒したと見られる。


共産党:石炭ベースの五カ年エネルギー戦略を発表

2005/10/19(水) 中国情報局

 中国共産党中央は18日、「『第11次五カ年企画(2006−10年)』に関する意見」の中で、中国のエネルギー戦略について言及し、国内に立脚した、石炭を基礎とするエネルギー供給体系を構築することを明らかにした。19日付で新華社が伝えた。

 具体的には、大型石炭採掘拠点の建設、中小規模の炭鉱の整備、炭層ガスの開発・利用などを挙げた。

 発電に関しては、高効率の火力発電プラントの建設を柱に、自然保護を前提とした水力発電所の建設を進めると同時に、原子力発電の開発に注力することで、「西電東送」(西の電気を東に送る)プロジェクトの規模拡大を図る。

 また、石油および天然ガス開発に関して、海外企業との協力を強め、石油戦略備蓄の能力を高めることを挙げるとともに、石油の代替エネルギーの普及にも言及している。さらに、風力発電、太陽光発電、生物エネルギー発電など再生可能エネルギーの開発にも注力する方針も掲げた。

 工業企業に対しては、エネルギー資源の状況や環境を配慮して、企業構造の見直しや産業構造の再編を行うよう求めている。(編集担当:伊藤亜美・如月隼人)

今年は総額1200億ドル 中国とASEANの貿易

2005/10/18 The Sankei Shimbun

 中国商務省の当局者は18日、中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)の今年の貿易総額が1200億ドル(約13兆8000億円)に達するとの見通しを明らかにした。19日に南寧市で開幕する第2回中国ASEAN博覧会に関する記者会見で述べた。

 今年9月までの貿易総額は前年同期より25%上回ったという。

 中国とASEANの貿易総額は昨年、初めて1000億ドルを突破。今年7月にはモノの関税が大幅に引き下げられるなど自由貿易協定(FTA)実施に向けた取り組みが加速している。胡錦濤国家主席は今年4月、2010年までに貿易総額を2000億ドルに拡大する目標を明らかにしている。(共同)

中国共産党、5か年計画基本方針を採択…GDP倍増

2005年10月12日 読売新聞Yomiuri On-Line

 【北京=竹腰雅彦】北京で開かれていた中国共産党の第16期中央委員会第5回総会(5中総会)は11日、成長至上主義から「持続可能な発展」路線への転換を目指す「第11次5か年計画」(2006〜10年)の基本方針を採択して閉会した。

 具体的な目標では、10年の1人当たり国内総生産(GDP)を00年から倍増させるとした。また、GDPに対するエネルギー消費の割合を05年比20%縮減する方針を打ち出した。

 今回の会議は、胡錦濤氏が党、国家、軍のすべての最高ポストを掌握してから初の中央委総会。胡政権下での5か年計画策定も初めてとなる。

 中国中央テレビなどによると、総会は、全国民が改革の成果を享受できる「調和社会」の建設加速を強調した声明を発表した。貧富の格差是正、資源節約、環境保護などに重点を置く胡氏の新指導思想「科学的発展観」に基づく内容で、江沢民・前政権時代の成長至上主義を排した形だ。

 声明は特に、農民、失業者など発展から取り残され、広がる一方の所得格差に強い不満を抱く経済的弱者層への手当てを強調した。「あらゆる手段を講じて」、農民収入増、就業者増を図るとしたほか、都市に流入する労働者の社会保障問題を解決し、地域、個人間の所得格差緩和に努力するとした。

 背景には、中国の経済・社会状況が、「黄金の発展期であると同時に、矛盾が最も先鋭化する時期を迎える」(中国紙)との判断がある。農地の強制収用で土地を失った「失地農民」は4000万人以上。経済的、社会的に弱い立場の民工(出稼ぎ労働者)は約1億5000万人に上る。一方で、役人の腐敗は深刻化している。民衆暴動は、過去10年で7倍以上に激増、昨年は約7万4000件に達し、共産党の政権基盤が揺らぎかねない状況だ。

 声明はまた、リサイクル経済の発展、環境破壊への対応強化も明記し、「資源節約と、健康で文明的な消費モデル」の確立を目指すとした。資源枯渇に対する懸念を反映したものだ。

新5カ年計画を討議 中国共産党、5中総会開幕

2005/10/08 The Sankei Shimbun

 中国共産党の第16期中央委員会第5回総会(五中総会)が8日、北京で始まった。会期は4日間。深刻化する貧富の格差の解消対策などを討議、「調和の取れた社会」づくりに向け、2006年からスタートさせる国民経済の中期計画「第11次5カ年計画」の基本方針を最終日の11日に採択する。

 胡錦濤総書記(国家主席)にとって、今回は党、政府、軍の三権を昨年、掌握後初めての総会。

 5中総会を前に中国紙は「節約型社会の建設は重大な戦略的選択」(中国青年報)とする特集記事を掲載しており、経済成長一辺倒だった江沢民前総書記時代の路線を修正、環境保護や資源の浪費抑制を重視した「持続可能な安定成長」路線を打ち出すとみられる。

 総会では、胡総書記が昨年の第4回総会から約1年間の活動を報告。社会的不公平を是正するための高額所得者に対する課税強化など税制改革や省エネ、資源の利用効率向上の問題も討議。人事面では江氏の影響力が強い幹部や、胡氏に近い幹部の扱いが注目される。

 また貧富の格差解消の鍵を握る農村問題が深刻さを増しており、5カ年計画にどこまで具体的な農村対策が盛り込めるかも焦点となる。

 胡錦濤指導部は昨年、農民の大きな負担になっていた農業税の撤廃方針を決めた。ただ、04年の都市部住民の年間可処分所得が全国平均で9400元(約13万円)だったのに対し、農民の年間純収入(可処分所得に相当)は3000元を下回り、格差は3倍以上。格差はさらに広がると予測されている。

 農民の収入が向上しない背景には、地方政府の強制的な土地収用や不合理な費用徴収の横行などがあり、抜本的解決は容易ではない。(共同)

原子力発電:2035年に20%へ、新設30カ所

2005/10/06(木) The Sankei Shimbun

 国家発展・改革委員会(国家発改委)は、2020年までに、原子力による発電量を、全発電量のうち4%にまで引き上げる。2035年までには発電ユニットを新たに30カ所建設し、20%程度にまで増やす方針だ。5日付で中華工商時報が伝えた。

 中国ではエネルギー需給が逼迫した状態が続いている。将来的にも、2020年までにGDP(国内総生産)の倍増が実現すると、電力需要量は8−8.5億キロワットに達する見通しだが、発電機総容量は3.5億キロワットまで引き上げるのがやっとだという。

 国家発改委では、2020年には、原子力による発電量を3200万−4000万キロワットまで増やし、全発電量のうち4%まで引き上げる考えだ。なお、水力発電や天然ガスによる発電を最大限利用しても、3200万−4000万キロワットの不足になる計算。

 中国では、石炭による発電は現在、全発電量の74%を占めている。2020年までにGDP倍増が実現すれば、毎年16億トン以上の石炭が必要となり、二酸化硫黄は毎年、新たに500トン以上が排出される。しかし、中国工程院の潘自強氏は、「太陽光やバイオマスなどの再生可能エネルギーは技術とコストがボトルネックで、エネルギー供給の主力にはなり得ない」としている。(編集担当:菅原大輔・如月隼人)

深刻、水不足 北京の水、汚染の危機

2005年06月25日(産経新聞The Sankei shimbun)YAHOO! News

「南水北調」巨額水利プロジェクトは失敗?

 【北京=福島香織】中国の発展に影を落とす水不足問題を解決する切り札と期待されていた国家水利プロジェクト「南水北調」(長江の水を運河で華北に運ぶ)が「汚水北調」(汚水を華北に運ぶ)となる−。そんな懸念が今、表面化しはじめている。巨額の資金を投じ遠路運ばれた汚水は二〇一〇年には北京市で使用されはじめるが、汚水を高い費用で買わされる、との不安も市民の間に浮上、専門家の間では失敗説も流れている。

 二十二日の国営通信新華社電(電子版)によれば、南水北調プロジェクトの中央ルートの運河が水源地としている漢江(長江上流、陝西省、湖北省)が重大汚染地域であるという。流域には抗炎症剤や避妊薬などの原料に使われるサポニン製造工場が二百以上密集、それらがステロイドホルモンなどを大量に含む未処理排水を年間計六百万トン垂れ流しているという。

 現場を訪れた記者は「白い泡が堆積(たいせき)すると河水は黒くなり、においを発する。あたりは刺激臭に満ちていた」とし、地下水も地表水も汚染されていると報告。これ以外にも、南水北調の水源は生活汚水、化学工場排水、生活ゴミ、寄生虫による深刻な汚染が報告されている。

 この汚水は二〇一〇年には運河で首都北京に運ばれ、北京の水不足を補うため生活用水として使用されることが決まっている。今年、北京は水不足の影響で生活用水が一トン五元(一元は約十三円)に値上げされるが、南水北調の水は工事費が反映され一トン八元以上になると試算されている。

 つまり、このままでは運河が通る周辺地域や北京の水源に汚染が拡大される上、北京市は高い汚水の買い取りを迫られる、という最悪のシナリオが予想される。新華社は漢江の工場排水処理を訴えているが、たまりたまった河川の汚染は短時間では解決できるはずもなく、内部ではかなり深刻な問題となっているもようだ。

 水利省筋によれば「同省内部では華北の各都市がそれぞれ生活汚水や海水を再利用すれば、南水北調よりよっぽど低いコストで水不足は解消できる上、環境破壊や水質汚染拡大もない、との結論がでている」という。大まかな試算では、南水北調の水よりリサイクル水の方が一トンあたり三元は安い。

 この試算は、国家プロジェクト批判につながるため今のところ公開が控えられているが、「南水北調は失敗だった」との声が専門家らの間で広がっている。北京郊外のある市民は「このあたりの地下水はそのまま飲める。なのにそれが汚染され水代まで高くなってはたまらない」と不満を募らせる。

 河川の汚染の調査、研究なども行っている清華大学水利政策研究センターの常杪博士は「プロジェクトはもう始まっており、今は汚水が運ばれる過程で、汚染の拡大をどう防ぐかを考えなければ」と話すが、「利権につられて大規模工事ばかりに走ってきた水利政策はそろそろ見直されるべきだ」とも指摘する。

 中国では農村部を中心に少なくとも三億人が飲料水に困り、全国の三分の二にあたる四百都市が慢性的な水不足に悩む。水問題が今後も中国の最大のネックであり続けることは間違いなく、中国の水利政策は発想の転換に迫られているといえそうだ。

 

     ◇

 <南水北調> 比較的水資源が豊富な長江(揚子江)から水不足が深刻な北部へ、東ルート、中央ルート、西ルートの3本の運河で水を運ぶ壮大な国家プロジェクト。1950年代から構想が練られ、総工費1300億−1500億元と推定されている。着工済みの東、中央ルートはそれぞれ2007年、2010年に開通する予定。全体の完成は今世紀半ばとみられ、最終的には黄河の水量に匹敵する年間448億立方メートルの水を運ぶという。

【中国】中国の水不足深刻、2030年には最悪レベルに

2005年06月09日 (サーチナ・中国情報局)YAHOO! News

 建設部の仇保興・副部長は7日に行われた記者会見で、中国の水不足の現状を説明した。国連の関連組織の基準によれば、現在、中国の水不足の状況は「軽度」に分類されるが、2030年にはもっとも深刻化し、「中度」に分類されると予測されている。8日付で中国新聞社が伝えた。

 2004年、中国の1人あたりの水資源保有量は2220立方メートルで、世界的にみても少ない水準。これが2030年には人口の増加などにともない、1760立方メートルまで減少するものとみられる。

 仇・副部長は、中国の水資源の分布が不均衡であることを指摘。全国的にみれば人口の3分の1を占める華北地域の水保有率は、わずか6%にとどまり、チベット自治区などの西南地域と大きな隔たりがあることを挙げた。

 また、南部地域の水質汚染も深刻化。北京などでは地下水の過度なくみ上げによる地盤沈下も問題になっている。(編集担当:恩田有紀)

【中国】「南水北調」に過去最高488億円の銀行融資

2005年03月30日 (サーチナ・中国情報局)YAHOO! News

 北京にある人民大会堂で29日、中国北部の水不足を解消するための国家プロジェクト「南水北調」に関する融資合同調印式が行われた。融資総額は、これまで単一のプロジェクトに対するものとしては最大の488億元に上った。30日付で新浪網が伝えた。

 29日の調印式は、中国南部の水を北部に送る運河建設の三つのルートのうち、東ラインと中央ラインの主要部分建設に対するもの。中国国家開発銀行をはじめとする、中国の7つの銀行が融資する。

 融資額は、中国国家開発銀行が213億元、中国建設銀行が85億元、中国銀行、中国農業銀行、中国工商銀行がそれぞれ60億元、上海浦東発展銀行及び中信実業銀行がそれぞれ5億元となっている。

 調印式に出席した国務院南水北調プロジェクト建設委員会事務室の張基堯・主任は、「プロジェクトの主要部分に関する資金は、国債発行、『南水北調』プロジェクト基金、銀行融資にたよることになるが、このうち銀行融資は45%を占めている」と紹介した。(編集担当:如月隼人)

中国・上海が出産奨励策、超高齢化恐れ「第2子」容認

2005/03/28 読売新聞 Yomiuri On-Line

 約25年間にわたり「一人っ子政策」を進めてきた中国・上海で、一人っ子同士の夫婦の第2子出産を“奨励”する動きが加速している。

 超高齢化の「白髪都市」(中国紙)への恐れが生んだ重大な政策調整で、他都市へも波及する見通しだ。ところが、少子化の流れの中で、「二人っ子」定着の展望も開けない。

 「地域の担当者は、『2人目を妊娠したようだ』とのうわさを聞きつけたら、(中絶するよう諭すため)血相変えてその家に飛んでいったものだ」――上海の40代会社員が数年前を振り返る。

 産児制限実績は査定に響くため、地域当局者、職場の上司は必死だった。

 その上海市当局がいま、結婚・出産適齢期を迎えた一人っ子たちに、「2人目を生んで」とのメッセージを送っている。昨年、独自に定めた「出産間隔4年間」という第2子出産条件を撤廃。共働き子供なしの「ディンクス家庭」の奨励もやめた。

 上海では、中国最速のペースで少子高齢化が進む。東京都で2003年に初めて1・0を切った合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子供の数)は2000年時点で0・96、人口自然増加率は全国最低のマイナス1・35(全国平均6・01)だ。

 これに対し、平均寿命は最高の78・14歳で、65歳以上の高齢者人口は全体の約15%の200万人。このままのペースでいけば2030年に2人に1人が65歳以上になるという。労働力不足、社会保障制度破たんの懸念が強まる中、「二人っ子」政策への緩やかな転換は必然の流れと言える。

 ただ、かつて「小皇帝」と呼ばれた一人っ子集団は、当局の期待通りには動かない。中国紙によると、上海市徐匯区で、昨年4月の制限緩和後5か月で第2子出産を申請した夫婦は、前年並みの40組だった。

 2人目を望まない最大の理由は経済的不安だ。市は2人目を望む夫婦のために、家計収支計算サービスも始めた。だが、出産費用は3000〜5000元(1元=約13円)、幼稚園入園から大学卒業までに最低30万元かかるのに対し、平均月収は3650元。「どう考えても1人が精いっぱい」(30代既婚男性)は本音だ。

 現状では、「複数の子」は、外車や豪邸と同じく、私営企業家や外資企業で働く富裕層のステータスシンボルだ。4年前に第2子をもうけた40代の実業家は、「社会扶養費」という名の事実上の罰金約7万元を支払った。英語やバイオリンなどの家庭教師費用に、週に、出稼ぎ労働者の平均月収とほぼ同じ600〜700元はかけるという。(上海で 竹腰雅彦)

 ◆一人っ子政策=1979年に始まった中国の人口抑制政策。近年は少子高齢化や、3000万人の男性が結婚難に直面するとされる男女出生比率の不均衡(女児1対男児1.18)など弊害が顕在化。中国政府は人口を抑えるための産児制限は続ける一方、2002年、「共に一人っ子」など地方政府が定めた条件を満たす夫婦に対しては第2子出産を法的に認めた。

中国:2010年まで8%成長予測

2005年3月21日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE

 21日付の中国紙、第一財経日報によると、中国政府のシンクタンク、国務院発展研究センターは、来年から2010年までの第11次5カ年計画中の経済成長率を年平均8%前後と予測する報告をまとめた。

 8%成長は今年の成長目標と同水準。20年の国内総生産(GDP)を2000年の4倍とする中期計画では毎年7%の成長が必要だが、やや上方修正した形。11年以降は7%前後の成長を予測している。

 報告は、予測通りの成長と現在の為替相場維持を前提にすれば、10年の1人当たりGDPは1700ドル、20年には同3200ドルになるとしている。(北京・共同)

中国の先進国入りは2080年 米国と100年の「時差」

2005/02/19 The Sankei Shimbun

 中国は、総合的な経済発展水準で米国より約100年、日本より約50年遅れており、先進国入りは2080年ごろ−。19日付の中国各紙によると、中国科学院の研究チームは18日発表した「中国現代化報告2005」で厳しい予測を明らかにした。

 報告は、中国の1人当たり国内総生産(GDP)や農業労働力が総人口に占める比率など現代化の水準を国際比較。この結果、購買力平価で計算した中国の1人当たりGDPは01年に3580ドル(約37万8000円)と、英国や米国の19世紀後半の水準にすぎないなどと分析。

 01年時点で米国とは約100年、ドイツと約80年、日本と約50年の総合的な「時差」があるとし、過去20年の高成長を維持しても現在の高収入国家の水準に達するには約50年かかると指摘。そのためには労働生産性を33倍、農業の生産性を47倍に高める必要があると警告した。

 報告はこれらを踏まえ、楽観的にみても中国の総合的な経済水準が02年の米国の水準に達するのが50年ごろ、本格的な先進国になるのは80年ごろと予測した。(共同)

中国の人口13億人に 「6日までに」と予測

2005/01/02 The Sankei Shimbun

 2日の中国夕刊紙、北京晩報などによると、中国国家統計局は中国の総人口(香港、マカオ、台湾を除く)について、今月6日までに13億人に達するとの見通しを明らかにした。

 中国の人口が億の大台を更新するのは1995年2月に12億人を突破して以来。ほぼ10年で1億人増えた計算。

 中国の人口増加率は、11億人に到達した1989年から約6年で12億人に膨れ上がった以前のスピードに比べると鈍っている。

 中国政府の「1人っ子政策」の効果が表れてきたとの見方ができそうだ。北京晩報は、今回の見通しで人口増加率の低下が裏付けられたとした上で「(人口増による)経済社会、資源環境面での問題緩和に効果を発揮している」と論評した。(共同)

アルゼンチンに2兆円投資 中国が10年間で

2004/11/17 The Sankei Shimbun
 ブエノスアイレスからの報道によると、南米歴訪中の中国の胡錦涛国家主席は16日、アルゼンチンを訪問し、キルチネル大統領と会談した。

 会談後、両国の担当閣僚は、中国が今後10年間で197億ドル(約2兆1000億円)をアルゼンチンに投資することなどを盛り込んだ合意文書に調印した。

 アルゼンチンが2001年に対外債務の支払い停止に陥って以来、最大の外国からの投資となるとみられる。

 AP通信などによると、投資の内訳は、鉄道整備に80億ドル、インフラ整備に60億ドル、石油探査に50億ドルなど。(共同)

中国の貿易総額、日本抜き世界3位へ・中国商務省

2004/11/13 NIKKEI NET
 【北京=桃井裕理】中国商務省は12日、2004年の中国の貿易総額が前年比約30%増の1兆1000億ドルに達するとの報告を発表した。中国は日本を抜き、米国、ドイツに次ぐ世界第3位の貿易大国となる可能性が高いという。

 報告では世界の景気回復や加工貿易の伸びで中国の輸出が増え、貿易拡大に寄与する。昨年の中国の貿易額は約8500億ドルで世界4位だった。2005年は世界経済に不確定要素が多いほか、貿易摩擦も予想されるため、中国の貿易額は15%程度の伸びにとどまると予測している。

上海、冬は200万キロワットの不足 企業の電力使用制限へ

2004/11/11 The Sankei Shimbun
 上海紙、東方早報は11日、昨年夏から深刻化している中国上海市の電力不足がこの冬も続き、暖房需要のピーク時には200万キロワットが不足する見込みだと報じた。

 このため、12月15日から来年3月4日まで、ピーク時などに企業の電力使用を制限する措置が取られる予定。昨夏、今夏と同様に日系を含む外資企業も制限対象になるとみられる。

 上海の冬のピーク時の電力需要は1420万キロワットで、夏の1670万キロワットより下がるが、夏にフル稼働した電力設備の点検修理が行われるため、発電能力が低下し、電力は不足するという。

 同市は発電所建設など対策を急いでいるが、来年夏も電力需要が約1900万キロワットと大幅に増え、電力不足は約400万キロワットと深刻な状況が続く見込み。(共同)

北京市、2020年の人口1800万人見込む

2004年11月09日 CHINA HEADLINE
 北京市は6日「北京都市総合計画(2004〜2020年)」を発表、同市を世界的都市、文化的都市をとして建設していく方針を明らかにした。同計画に基づき、北京市は2008年までに近代化を基本的に実現、2020年までに全面的な近代化を実現していく。2020年には同市の人口は計1800万人に達し、このうち北京市戸籍の住民1350万人、北京市以外の戸籍の住民(半年以上居住)は450万人、都市部住民は1600万人に達するものとみられる。

 また2020年には北京市の建設用地を1650平方キロメートルに、1人あたりの建設用地を105平方メートルに抑えていく。同市は今後、現在の郊外区である通州、順義、亦庄を重点区域として建設していく方針。また新たな区域を建設する一方、市政府は旧市街区において伝統文化、観光産業を発展させていく。また2020年には全市の自動車保有台数は約500万台、1日あたりの移動者数は延べ5200万〜5500万人、これらの公共交通機関利用率50%以上(2000年は27%)としていく。【経済日報 2004年11月08日】

中国、2005年の原油輸出割当枠を04年の3分の1に削減

2004年11月09日 CHINA HEADLINE

 商務部関係者は4日、2005年の原油輸出割当枠は2004年の3分の1にとどめ、削減分は国内供給に回すことになる見通しであることを明らかにした。これにより来年の原油輸出量は100万バレル(1日あたり2万バレル)となる。中国国内の外国企業の石油輸出は制限を受けない。業界関係者は割当削減について高騰を続ける国際石油価格に対処するためのものとみている。

 2004年1〜6月の中国の原油輸入量は6102万トン。同期の輸入量増加率は39.3%であるのに対し、輸入額増加率は57.4%を記録、原油輸出増は石油企業のコスト増、国内での供給不足を招いている。このため石油企業の原油輸出を減らし、国内供給に回すことが求められている。【中国化工報 2004年11月08日】

中国の石油・化工製品、今後5年で大きく不足する見込み

2004年11月08日 CHINA HEADLINE
 石油・化工業界専門家の間では今後5年間、全国の石油・化工製品不足は深刻となるものの、石油・化工業界発展の将来性は大きいとの見方が強い。2003年全国のエチレン生産量は611万トン、消費量は1350万トンで輸入依存度は55%であったが、2004年全国のエチレン消費量は1780万トン、2005年は1960万トン、2010年は2400万トンと増加を続け、エチレンは不足するものと予測されている。

 中国はアジア最大の石油・化工製品消費市場であり、また日本、韓国、シンガポール、中東、台湾などの石油・化工製品の重要な輸出先でもある。中国の石油・化工製品の輸入量が消費量に占める割合は60%以上。4つの合弁の大規模エチレンプラントが稼働することで2005年〜2006年エチレン生産量は約300万トン増が見込まれるものの、2005年中国の石油・化工製品輸入量はエチレン1400万トンに相当する量に達する見込み。

 このほか、2005年までに全国の合成樹脂消費量は中国国内生産量の1800万トンを大きく上回る3700万トン(2003年は3409万トン)。今後5年間全国の5大合成樹脂需要は毎年8%のペースで拡大し、需要は2008年までに4000万トンに達し、1800万トンが不足するものと予測されている。【中国化工報 2004年11月05日】

中国政府、2020年までにロシアに120億ドル投資

2004/10/15 NIKKEI NET
 【北京=飯野克彦】中国政府は2020年までにロシアに120億ドル(約1兆3000億円)を投資する計画をまとめた。昨年の中国企業の対外投資(承認ベース)のうち対ロ投資は最大のシェアを占めたが、今後さらに規模を拡大させたい姿勢を明確にした。

 新華社電が同日、北京訪問中のプーチン・ロシア大統領と温家宝首相との会談の内容を報じる際に、明らかにした。投資の具体的内容は不明だが、エネルギーのほかにハイテクや通信、交通などの分野で優先的に協力を強化するとしている。

 中国商務省の統計によると、2003年の中国企業の対ロ投資は約3億3000万ドルで、対外投資全体(約20億6000万ドル)の16%を占めた。2003年までの累計では約5億4000万ドルで、全体の18%を占める。

 中国政府は人民元切り上げ圧力を緩和する狙いもあって中国企業に対外投資を促している。中国企業は日本や米国などでも企業買収や工場建設などの投資を拡大しつつあるが、資源が豊富で市場への参入も比較的容易とみられるうえ、政治的にも緊密なロシアへの関心が比較的大きい。

2020年をメドに、世界製造業強国を目指す

2004/11/04 新華通信ネットジャパン
  新華網情報上海11月4日発 中国政治協商会議副主席、中国工程院院長の徐匡迪氏は、2020年をメドに、世界製造業強国になり、中国を世界製造業中心の一つに育てるという目標を明らかにした。

 徐匡迪氏は、4日開幕した中国重大工事技術成果フォーラムで講演を行い、2020年をメドに、中国工業生産額の世界工業生産額に占める割合を2000年の5.72%から10%以上に増やし、完成品輸出の世界完成品輸出に占める割合を2000年の5.22%から10%以上に増やすという目標を明らかにし、その際、中国では大手製造業グループ、複数の特色あり、国際知名度を樹立する製造業集中地を育てるという。現在の長江デルタで、電子製品製造は一定の規模ができ、今後、そこを世界的製造業の集中する所に育てるという。

 この目標を遂げるために、中国は段階別発展企画を作成している。つまり、2010年をメドに、製造業のレベルを大いに高め、一部の産業を国際先端水準に入らせる。2020年をメドに、製造業全体とも国際先端水準に入る。

 世界製造業強国とは標準がある。まず、製造業の自主革新能力のたいへんな増強、次に製造科学技術水準が国際先端水準に達する。それから、重大装備がだいたい中国国内で製造でき、コーディネートの比率も大いに向上。第四、ハイテク産業の生産額が増加。最後に、企業を主とする技術革新システムの構築。(翻訳 金慧)

造船業:2015年までに世界のトップ目指す

2004/10/27(水) 中国情報局

 中国の造船業界の悲願だった「2015年までに世界1位へ」という目標の達成が、現実味を帯びてきた。政府首脳も大きな期待を寄せている。27日付で香港・経済通が伝えた。

 かつて、中国造船業界は、2005年に世界で「5強」、10年で「3強入り」、15年には、「世界のトップ」となることを目標とした「531計画」を掲げていた。

 2003年の時点で、造船竣工量は641万トンで、世界シェアは11.8%だった。これで中国は9年連続で世界第3位。目標よりも格段に速いスピードで発展を遂げたことになる。

 また、政府首脳の関心も高く、今年は多くの要人が造船所を視察している。中国船舶鉱業総公司の関係者も、「胡錦涛・国家主席、温家宝・首相、曾慶紅・副主席などが前後して3大造船業企業を視察している。これは極めて珍しいことだ」と語った。

  視察の際、胡・国家主席は、「中国を世界の造船強国に」と明言したという。温家宝・首相も、「胡・国家主席は、中国造船業の潜在能力に絶えず注目していた」と述べ、さらに、「(造船業は)外貨を獲得できる産業。軍・民用ともに利用が可能だ」と語ったという。(編集担当:黒川真吾)

電力需要:2020年には24億キロワット規模に

2004年10月19日 毎日新聞
 中国発展改革委員会の張国宝副主任は、2020年には中国では年間24億キロワットの電力が必要となる見込みで、電力不足を防止するため、さらに多くの大型発電所の建設が必要だと述べた。チャイナディリーが伝えた。

 同紙によると、中国では現在、144基の発電所が建設中だが、うち発電能力が60万キロワットを超える発電所はわずか41基で、多くの発電能力は13.5万キロワットに満たない。

 同紙は、中国の発電所が石炭を主な発電用エネルギーとして用いていることにも言及。政府は電力需要の急増に対応するため、2020年までに原子力発電所32基を建設する計画だという。1基あたりの発電能力は100万キロワットに及ぶ見込み。(XFN)

中国政府、2020年までにロシアに120億ドル投資

2004/10/15 NIKKEI NET
 【北京=飯野克彦】中国政府は2020年までにロシアに120億ドル(約1兆3000億円)を投資する計画をまとめた。昨年の中国企業の対外投資(承認ベース)のうち対ロ投資は最大のシェアを占めたが、今後さらに規模を拡大させたい姿勢を明確にした。

 新華社電が同日、北京訪問中のプーチン・ロシア大統領と温家宝首相との会談の内容を報じる際に、明らかにした。投資の具体的内容は不明だが、エネルギーのほかにハイテクや通信、交通などの分野で優先的に協力を強化するとしている。

 中国商務省の統計によると、2003年の中国企業の対ロ投資は約3億3000万ドルで、対外投資全体(約20億6000万ドル)の16%を占めた。2003年までの累計では約5億4000万ドルで、全体の18%を占める。

 中国政府は人民元切り上げ圧力を緩和する狙いもあって中国企業に対外投資を促している。中国企業は日本や米国などでも企業買収や工場建設などの投資を拡大しつつあるが、資源が豊富で市場への参入も比較的容易とみられるうえ、政治的にも緊密なロシアへの関心が比較的大きい。

情報産業部:2020年までに各家庭に固定電話

2004/10/05(火) 中国情報局
 情報産業部は、2020年までに電話普及率100%を達成できるとの見通しを明らかにした。4日付で東方網が伝えた。

 中国では、「電信普及服務基金」を設置し、「無電話村」をなくすことを目的とする「村村通」プロジェクトを強化している。すでに今年7月までに、行政単位としての村への電話普及率は90%を超えている。05年までには、これを95%以上に引き上げる見通しだ。

 そして、この「村村通」プロジェクトの成果を、各家庭への固定電話を普及させる「家家通」プロジェクトの基盤とする計画だ。

 現在、中国の家庭における固定電話の普及率は、東部地域で100戸あたり77台、中部地域では50台、西部地域では40台となっている。(編集担当:中村彩)

中国:「世界の造船強国」目指す、世界シェア15%

2004/09/24(金) 中国情報局

 2003年、中国における造船竣工量は641万トンで、世界シェアは11.8%だった。これまで中国は9年連続で世界第3位となっている。さらに今年は800万トンの大台を突破し、世界シェアも15%を上回るとみられている。23日付で中国新聞社が伝えた。

 中国は建国当初、造船企業わずか20数社、従業員も2万人に満たない弱小国家であったが、毛沢東国家主席の打ち出した海軍強化方針により、造船業は革新的な発展を遂げた。

 さらに1978年の改革開放を機に、中国船舶工業は国際市場に参入。1980年には年産20万トンで世界第17位だったが、95年には世界第3位となり、世界の造船業における確固とした地位を築き上げた。

 それと同時に、海外からの受注が相次ぎ船舶輸出量も急増。現在99の国と地域に輸出を行なっている。主要輸出地域はヨーロッパだ。

 また、ハイテク技術の進展にともない、中国は液化天然ガス船、大型オイルタンカー、大型コンテナ船などの高付加価値船舶の開発に成功、新興市場の開拓を目指している。造船工程の効率も大幅に上昇し、国際競争力の強化に注力している。

 胡錦涛・国家主席は「中国を世界の造船強国に」と提言。今後の中国造船業界の指針となりそうだ。(編集担当:田村まどか)

将来の石油輸入増に備え中国海運各社が輸送力を強化

2004年09月21日 CHINA HEADLINE
 中国の石油製品需要は2004年に1億4600万トンに達し、経済成長が進み2020年には2億5000万トンが不足すると業界では予測され、国内でまかなえる量にも限りがあることから2020年ごろには輸入量は約3億トンに達するとみられている。このため中国遠洋運輸総公司(中遠集団)、中国長江航運(集団)総公司(長江航運)、中国海運(集団)公司(中海集団)、招商局集団の石油輸送4大業者は輸送力を強化している。

 中遠集団は6月20日に15万トン級のタンカー「中遠湖号」が供用開始、現在の輸送力を200万トンに拡大、3年内に400万トンに拡大する計画である。また招商局集団の輸送力は現在340万トン。傘下企業を株式制へと改革し上場、資金調達を狙っている。中海集団は30万トン級のスーパータンカー「新金洋」を年内にも運航させる計画で、2010年までにさらに15隻のスーパータンカーを建造していく。このほか長江航運傘下の南京長江油運公司も5月に企業債を発行、調達した資金を遠洋タンカー購入に充て輸送力を強化している。【中国化工報 2004年09月17日】

2020年までに8億〜9億 中国の都市人口

2004年09月16日 中国通信社
 (中国通信=東京)北京15日発新華社電によると、2020年までに、中国の都市化率は58〜60%に達し、都市人口が8億〜9億に達する。都市計画の専門家が予測したもの。

 北京国際都市発展研究院の連玉明院長は15日、北京で開かれた中国都市フォーラム北京サミットで次のように予測した。町で2億〜3億の人口を消化することはできるが、残りの6億の人口を消化するには、人口300万以上の大都市が200カ所必要だ。

 連院長によると、中国の都市化率は02年末までに37・7%に達し、年平均1%向上している。これは毎年8000万人〜9000万人にのぼる農民が都市人口に変わっていることを意味する。

 同院長は次のように指摘した。中国は大都市の発展によって町の発展を引っ張る戦略を堅持すべきだ。大都市の建設に力を入れ、大都市によって中小都市を引っ張り、その後に町と農村の発展を牽引し、都市の発展によって農村の発展を引っ張る必要がある。

 世界の都市発展の法則によると、1人当たり国内総生産(GDP)が1000ドルを超えると、都市化は成長期を迎え、1人当たりGDPが3000ドルを超えると、その地域と都市の発展は高度成長を迎える。中国では03年までに1人当たりGDPが1000ドルを超えた。都市、特に大都市では1人当たりGDPが3000ドルを超えた。中国の都市が高度成長期を迎えたことを意味する。

 連院長は「中国の都市は高度成長期を迎えているが、都市の経済発展と社会発展、ハード投資とソフト投資のアンバランスの問題を適切に処理しなければ、経済繁栄の背後に潜む数々のリスクを誘発することになる」と警告した。

 また次のように指摘した。将来の中国の都市は産業構造をさらに合理化し、工業と農業から、社会サービス業に代表される第3次産業への転換を徐々に進めるべきだ。産業のグレードアップでは、サービス業、特に現代サービス業の発展を重点目標としなければならない。

 さらに次のように話した。産業を最適化するプロセスでは、産業群を十分に発展させるべきだ。産業の分業を進めることを前提に、専門化、ネットワーク化、一体化された産業のチェーンを強化する必要がある。産業のチェーンが長くなればなるほど、産業群の水準は高くなり、産業投資と再投資の余地が大きくなるからだ。

中国、原発を年3基新設・2020年能力を3600万キロワットに

2004/09/01 NIKKEI NET
 【北京=宮沢徹】中国は1日、2020年までに国内の原子力発電所の設備能力を2003年末比6倍弱の3600万キロワットへ拡大すると発表した。2020年時点の発電設備能力全体の見込みは9億キロワットで、原発が全発電能力の4%を占めることになる。今後、年間3基のペースで原発を新設する。中国では石炭を燃料にした火力発電所が主流。石炭火力発電は大気汚染の原因を作りやすいうえ石炭の不足も懸念されており、今後は原発など石炭以外の燃料を使う発電設備の新設を急ぐ。

中国のエチレン生産、2010年に日本抜き世界2位に

2004/09/01 NIKKEI NET
 【上海=川瀬憲司】米欧の石油化学品大手が相次ぎ中国で化学製品の基礎原料であるエチレンの生産を始める。化学品世界最大手の米ダウ・ケミカルが中国最大規模の工場新設を決め、独BASFなどの設備も来年半ばに稼働する。2010年の中国のエチレン生産能力は日本を抜き米国に次ぐ世界第2位となる。自動車、家電、素材分野で中国生産を加速させている日本企業にとって原材料の安定確保につながる半面、汎用樹脂では世界的な価格競争激化も予想される。

 ダウのジェームズ・マッキルベニー・大中華地区社長は「10年までにエチレン生産を始める」ことを明らかにした。生産能力は年100万トンで中国では最大規模。周辺のインフラ整備などを含めた総投資額は約30億ドル(約3300億円)に達する見通し。

専門家予測、中国が2010年までに直面する十大危機=人民網

2004年08月31日 「人民網日本語版」
 国家発展改革委員会は、第11次5カ年計画(2006−2010年)策定作業で、国務院の各部・委員会、重点科学研究期間・大学、主要な民間組織、海外の大学、在中国国際組織に所属する国内外の著名な専門家計98人にアンケートを実施した。いずれも異なる学問分野における指導的立場の専門家たちに、中国が同計画を実施する時期に中国の経済・社会の持続的発展に影響を及ぼす危機的要素、危機的分野、危機をもたらす脅威の程度について、科学的な予測と分析をしてもらった。

 (1)雇用問題:中国の労働力市場は、将来の相当長期にわたって供給が需要を上回る状態(=失業者増加の状態)に置かれる。

 (2)三農問題:過去10数年において、中国の国民経済は7%以上の急成長を遂げているにもかかわらず、農業はほとんど利益を得られない産業になってしまい、農民収入は基本的に停滞したままだ。農村を離れ、都市に来て職を探すのは、農民が苦境から脱する基本的選択だ。しかし彼らが都市に来ても彼らの社会的地位は変わらない。農村の余剰人口の増加で、農村労働力の移転は長期的課題となる。

 (3)金融問題:中国の貯蓄率は高く、資本形成は順調だ。しかし中国の資本市場と金融システムは長期にわたって整備されていない。金融システムに欠けているのは資金が生産分野へ順調に流れるよう導く推進機能と監視・管理能力だ。これが中国の経済発展における最大の欠陥で、中国の企業経営の環境を悪化させた根本的原因だ。国有企業の不良債権処理が足手まといとなり、銀行のシステム改革はなかなか進まず、総体的に金融リスクを増大させた。金融業の現状は中国経済の安全に最大の危機を及ぼす可能性がある。

 (4)貧富の格差:中国の貧富の格差は国際的に警告を受ける「レッドライン」をすでに越えており、その直接的結果は社会の安全、特に公共の安全を極めて大きく損なう恐れがある。この問題をわれわれは非常に重視しなければならない。

 (5)生態系と資源問題:中国は深刻な環境問題に直面している。水質汚染、大気汚染、土壌侵蝕、水資源不足は、すでに国民大衆の健康に深刻な影響を与えているとともに、経済成長を制限することになる。

 (6)台湾問題:1990年代半ば以来、台湾問題は一貫してわれわれの望まない方向へ進んでいる。台湾問題の今後の行方は台湾の民意を見極めなければならず、どのようにして台湾の人々の心をつかむかが中央政府による対台湾政策のカギとなる。

 (7)グローバル化の問題:世界貿易機関(WTO)加盟は、一部の主要な産業だけに影響をもたらすという、われわれの当初の予想が現れていない。WTOの影響はそのさまざまな規則を通して中国の経済と社会の発展に深い構造に影響していく。

 (8)国内統治の危機の問題:国内統治の危機は人々が比較的関心を持つ危機的要素である。この危機が内包する要素はとても多い。例えば、腐敗の問題、法制度確立の問題、政治体制改革の問題、中国共産党と一般大衆との関係の問題、政府の法的権威下落の問題など。

 (9)信用問題:中国の信用度の現状が先進国との隔たりを見せているのは主に、企業の信用度が低く、市民個人の信用度管理が基本的にまったくなく、商業銀行の信用危機が密かに深刻であることだ。信用不足が中国国民経済の深層に及ぼす影響は、消費を抑制し、投資を制約し、国内総生産(GDP)を直接大きく損ない、金融リスクを増大させ、市場経済秩序の混乱をもたらす。

 (10)エイズと公共衛生の問題:国連の専門家によると、中国における将来のエイズウィルス(HIV)感染者数は、中国が有効な措置を採らなければ、現在の予測の1000万人を超え、恐らく3000万人に達する可能性もあるという。もしそうなれば、中国は将来HIV感染者数が世界最多の国となる。(編集ZX)

中国、「2004〜2020年エネルギー中長期発展計画綱要」を発表

2004年07月12日 CHINA HEADLINE
「2004年〜2020年エネルギー中長期発展計画綱要」が先ごろ発表された。全国的なエネルギー不足を受け、予定よりも早く発表されている。中国は現在、経済急成長にともない石炭、電力、石油不足に陥っている。中国は1990年代中期にもエネルギー発展計画綱要を制定しているが、今回の新綱要は以下の点が目立っている。

1.省資源措置を厳格に実施していく。特に製造業に対しては省エネ製品生産を奨励する。

2.石炭、電力、天然ガス、石油、新エネルギーなど全面的エネルギー発展戦略を実施する。関係機関の統計によると、全国で探査された石炭埋蔵量は1900億トン(1人あたり145トン)、2003年の原炭生産量は17億3600万トンに達した。石油埋蔵量は33億トンであるが、2003年の原油生産量は1億7000万トン。天然ガスの埋蔵量は43兆立方メートル、2003年の生産量は350億立方メートルに達した。石炭埋蔵は豊富であるが価格は低い。エネルギー全体における石炭の割合はまだ高い水準を維持するが、今後はクリーンエネルギーの消費も拡大していくことが予測されている−。

3.水力、風力、太陽エネルギーの利用を奨励する。世界的には風力などの発電量の年間増加率は30%に達しており、中国でも石炭消費の減少を図っていく。

4.新綱要は現在のエネルギー消費量に基づき今後の石炭、電力、石油、天然ガスの消費量を予測しているが、2004年から2020年までどのエネルギーを発展させていくことが中国にふさわしいのかはまだはっきりとした答えはない。このためエネルギー業界専門家は「BP 2004年国際エネルギー統計報告」などを参考にして、各エネルギーの消費量目標を設定すべきと提案している。

5.エネルギー生産の安全に力を入れるとともに、エネルギー供給を多様化させる。

 

 さらに戦略的石油備蓄、エネルギー安全アラートシステムの建設も必要と指摘している。関係機関の予測によると、2020年には中国が必要とする石油の55%が外国から輸入され、天然ガスも25%〜40%が輸入されるとされ、2020年以降、国内のエネルギー不足はさらに深刻化するとされる。このため戦略的石油備蓄体制の建設は必要−としている。しかし新綱要では戦略的石油備蓄量が設定されていないため、関係者らは中国の実情に鑑みてこれを設定する必要があるとしている。【経済日報 2004年07月09日】

『 狙え中国 』 ― 原子炉ビジネス最前線 ― 【上】先行者フラマトム

2004年07月08日 電気新聞 4面に掲載

 

 2020年までに28基程度の原子力発電所を新設する中国は同時に世界の原子炉メーカーにとって魅力あふれる市場だ。早くから対中戦略を組んで原子炉を売り込んできた仏フラマトムに対し、新規参入を狙う米ウエスチングハウス(WH)・三菱重工業の企業連合が挑む形で、国際受注競争が熱を帯びてきた。(新保新吾)

 

   ― “死角なき牙城”崩せるか ―

 

■ 積極開発へ

 

 中国は深刻化する電力不足を解消するため東部沿岸部を中心に原子力発電所の新増設を積極的に進めている。新設地点として海陽(山東省)、三門(浙江省)、陽江(広東省)の3カ所、増設では田湾発電所(江蘇省)、秦山発電所(浙江省)、嶺澳発電所(広東省)の名前が挙がっている。

 

 02年6月に胡錦濤国家主席が出した通達「原子力開発は中国発電産業発展のためのただ1つの道である」を境に、中国政府は「(原子力の)緩やかな開発」から「積極開発」に大きくかじを切った。

 

 原子力を推進する背景には、石炭火力発電に過度に依存する発電燃料構成を改善すること、さらには核保有国としての地位を維持するのに必要な技術と人材を原子力発電によって維持しようとの思惑がある。

 

 現在、中国で稼働する原子炉9基(総出力=672万4000キロワット)のうち7基が加圧水型軽水炉(PWR)で、圧倒的シェアを誇る。このうちフラマトムが4基(大亜湾1、2号機、嶺澳1、2号機)を納入した。残る2基は炉型偏重を是正するため導入したCANDU炉だが、主力はPWRであることに変わりはない。

 

 中国は原子炉の完全国産化が目標。その点でも、既存炉でフランスからの技術移転が進んだPWRに対する評価は高い。一時期は沸騰水型軽水炉(BWR)への関心も高まったが、導入には至らなかった。

 

■ 「一騎打ち」

 

 新設する原子炉の国際競争入札は、実績あるフラマトムにWH・三菱連合が挑む形で進みそうだ。世界のPWR市場で双璧をなすメーカー同士の一騎打ちとなる。韓国やロシアも参入意欲を示しているものの、技術力で見劣りする感は否めない。

 

 「われわれは中国市場を戦略的に開拓した。(ほかのメーカーが)今ごろやってきてどうするのか。なぜ、昔からやってこなかったのか」。フラマトム関係者は自信ありげに、こう語る。

 

 両陣営の一騎打ちは中国が初めてではない。03年にフィンランドの発電会社TVOが実施したオルキルオト第5原子力発電所の国際入札。この時は欧州加圧水型炉(EPR)で応札したフラマトムがWH・三菱連合を破って受注した。

 

 EPRはフラマトムとシーメンスが共同開発した150万キロワット級の新型原子炉。既存のPWRに改良を加え、炉心損傷など深刻な事故を低減する安全システムや、60年の長寿命設計で経済性を高めたのが特徴だ。

 

 オルキルオトの実績を武器にフラマトムは中国でもEPRで応札、連勝を狙う構えだ。「オルキルオトでは相当たたかれた。採算ぎりぎりだ。しかし、厳しい競争の中で(受注を)獲得したことにわれわれは自信を持っている。EPRはフランス国内でも建設予定があり、(ライバルメーカーが提案する新型炉より)設計は具体化している」(先の関係者)

 

■ 巧みな外交

 

 すでに4基のPWRを納入したことも強みだ。現地での営業力、メンテナンス体制、政府高官との人脈など、どれをとっても、まだフラマトムにかなう企業は現れていない。

 

 フランス政府も巧みな外交でメーカー進出を支援する。原子炉を買ってくれる中国に対し、その資金を極めて有利な条件で融資するなど、囲い込みに近い外交を仕掛けている。そのあたりは政府もしたたかだ。

 

 果たして、死角なきフラマトムの牙城をライバルは切り崩せるのか。

『 狙え中国 』 ― 原子炉ビジネス最前線 ― 【下】初進出めざす日米

2004年07月09日 電気新聞 4面に掲載

 

 「中国政府がこのままフランス企業の独占を許すとは考えられない」。ある業界関係者はこう話す。であればウエスチングハウス(WH)・三菱重工業連合にもチャンスはめぐってくる。

 

 核工業集団公司は今年の国際競争入札で三門(100万キロワット×2基)と陽江(100万キロワット×2基)の計4基を調達する方針を示している。入札に参加する意思のあるメーカーには近く仕様の提示などがある見通しだ。

 

 ― AP1000で仏の独占に対抗 ―

 

■ 「魅力満点」

 

 フラマトムがEPR(欧州加圧水型炉)で応札するのに対し、WH連合はその好敵手といわれるAP1000で対抗する構えだ。AP1000は次世代のPWRと呼ばれ、安全性と経済性で現行炉を大きく上回る。静的安全システムを採用し、事故の際、原子炉へ自然に水が流れ込んで停止する仕組み。三菱重工も開発に大きく携わった。

 

 仮にWH・三菱連合が落札すれば、米国そして日本のメーカーが初めて原子炉本体で中国進出を果たすことになる。

 

 原子炉ビジネスは、実は炉を納めた後の事業も大きい。ウラン燃料の供給や炉のメンテナンス、将来の廃炉まで合わせると、巨大かつ息の長いビジネスが成立する。その意味でも、中国は米国や日本のメーカーにとって魅力満点の市場だ。

 

 WH関係者は「燃料供給を含めたら、中国は非常に大きな市場。フランス勢は強力だが、負けられない」と意気込む。

 

 WHと手を組む三菱重工は、かつて秦山原子力発電所に圧力容器を納めた実績がある。それに加え、原子力ではないが、20基以上の火力発電用蒸気タービン(60万キロワット級)を中国に供給しており、重電市場における知名度と存在感は日系企業の中では抜群に強い。WHと連合を組んでフラマトムに対抗するが、仮に負けても、脈がなくなるわけではない。

 

 フィンランドのオルキルオトでは原子炉本体をフラマトムのEPRに譲ったが、その主要機器である圧力容器については、三菱重工がフラマトムから受注した。フラマトム自身に大型圧力容器を造れる設備がないためだ。対して三菱重工にはEPR級の大型圧力容器にも対応する神戸造船所の製造ラインがある。

 

 競争と協業を使い分け、ライバルとも商談をまとめるしたたかさ。それも三菱重工の強みであり、中国でも同様のケースはあり得る。

 

 しかし、WH・三菱連合にも不利な点はある。AP1000はペーパーリアクター(図面上の原子炉)といわれ、実機はまだ世界に存在しない。それはEPRも同様だが、フラマトムはEPRを中国市場に投入する前にフィンランドへの実機納入により、実績を積むことができる。実績重視の中国がこのあたりをどう考えるか――。

 

■ 図面上の炉

 

 「入札では価格も大切な要素だが、応札する企業の実績や(中国への)技術移転に前向きかどうかが評価される」(商社)。これは業界関係者の一致した見方だ。

 

 一方で、そろそろ仏メーカーの独占を崩し、原子炉市場における競争を促したい中国政府の意向もある。

 

 巨大な中国市場をめぐる世界の原子炉メーカーの争奪戦はこれからますます熱くなる。(新保新吾)

エネルギー中長期発展計画綱要、国務院常務会議で可決=人民網

2004年07月01日 「人民網日本語版」
 国務院常務会議が30日に招集され、「エネルギー中長期発展計画綱要(2004-2020年)」(草案)が原則的に可決された。会議では、中国のエネルギー問題解決に向けて、次の8項目の貫徹が提起された。

 

 (1)エネルギー節約を引き続き最優先に位置づける。全面的で厳格な、エネルギー節約の制度と措置を実施し、エネルギー利用効率を大幅に向上させる。

 

 (2)エネルギー構造の調整と改良を強力に進める。石炭を主体、電力を中心とし、石油・天然ガスと新エネルギーの全面的な発展を目指す戦略を堅持する。

 

 (3)エネルギー発展の合理的配置を実現する。東部と中西部、都市と農村の経済・社会発展の需要の双方に配慮するとともに、エネルギーの生産・輸送・消費の合理的な構成を総合的に考慮し、エネルギーと交通の調和のとれた発展を促す。

 

 (4)国内外双方の資源と市場を十分に利用する。国内エネルギーの調査・開発・建設に立脚したうえで、国際的なエネルギー資源協力と開発にも積極的に参与する。

 

 (5)科学技術の進歩と革新に依拠する。エネルギーの開発・節約の双方で、科学技術の革新を重視し、先端技術を広範に採用し、旧式の設備と技術を淘汰し、科学的な管理を強化する。

 

 (6)環境保護を適切に強化する。資源的制約と環境許容能力を十分に考慮し、エネルギーの生産と消費が環境に与える影響の軽減に向けて努力する。

 

 (7)エネルギー安全保障を高度に重視する。エネルギー供給の多元化を実現し、石油の戦略的備蓄を加速し、緊急事態への対応システムを整備する。

 

 (8)エネルギーの発展を保障するための措置を制定する。エネルギー資源政策および資源開発政策を整備し、市場メカニズムを十分に発揮し、エネルギー投資を増加する。(編集NA)

【北京国際自動車会議】2020年には中国が世界最大の自動車生産国に?

2004/06/09 日経BP
 日経BP社,中国経済時報,中国汽車工業協会,中国汽車工程学会は2004年6月8日,中国大飯店(北京)でセミナー「2004北京国際自動車会議」を開催した。中国,欧州,日本の自動車メーカートップと,中国政府の要人が講演する中国では初めての大規模な自動車関連セミナーとなった。

 多くの講演者が話題にしたのが,今後の中国市場がどう成長するか。キーノートセッションで最初に講演した中国国務院発展研究センター副主任の魯志強氏は「中国は2003年に,世界第4位の自動車生産国,世界第3位の自動車市場になった。今後も高成長は続く」との見方を示した。魯氏によれば少なくとも2008年までは,中国における自動車生産は2桁成長が続き,今後20年は高成長が続くとの見方を示した。同氏によれば 2010年には保有台数が5700万台,生産台数が860万台に達し,さらに2020年には保有台数が1億3000万台,生産台数は1700万台に達するだろうという。もしこの予測が正しければ2020年までに中国は米国を抜き,世界最大の自動車生産国になる。 (鶴原 吉郎)

(5/13)中国、2020年までに原発30基新設――投資3−4兆円

2004/05/13 NIKKEI NET
 【北京=宮沢徹】中国は2020年までに原子力発電所を新たに30基建設し原発の合計発電能力を現在の5倍以上の3600万キロワットへ拡大する。現在は石炭火力が大半だが、地球環境問題に配慮しながら需要増に対応するねらいから沿岸部に原発を増やして発電能力を高める。原発設備メーカーの事業機会を拡大するとともに安全対策にも注目が集まりそうだ。

 現在、浙江省と広東省で9基の原発が稼働しており発電能力の合計は700万キロワット。江蘇省で2基建設中で、これらを含めて2020年までに沿岸部で出力が100万キロワット前後の発電施設を約30基建設する。設備投資額は合計で3兆―4兆円に上る可能性がある。

中国の電力不足が原発推進の引き金に

2004/01/09(金) 中国情報局

 広東省陽江市のように原子力発電所誘致に熱心な地方政府が多いのは、実のところ国家発展・改革委員会(国家発改委)が打ち出した将来の原子力発電計画に大いに起因している。

 同委員会の計画では、2020年までに中国は原発による発電量を3600万キロワットまで増大させる。これは04年以降毎年少なくとも100万ワット級の発電機2基を設置することを意味している。つまり今後16年間、中国のどこかで毎年、原子力発電施設が建設されるということだ。

 中国の原発の歴史が始まってすでに30年余りになるが、それでも今回のように全国規模での計画が設けられたことはなく、「単発、分散」がその特徴だった。しかし03年、この状況に変化が訪れた。

 電力不足状態が頻発するようになり、政府は03年初めに「第10期5カ年計画(01年から05年、「十五」)」の中の電力供給計画に変更を加え、これまで「適度に発展させる」としか述べられていなかった原発に関して初めて明確な数量目標を定めた。第16回中国共産党代表大会で提出された「2020年GDP倍増計画」による4兆ドルという経済規模を達成するためには、全国の発電機総容量を最終的に8億−9億キロワットまで拡大させる必要がある。今のところその数値は3億5000キロワットしかない。

 またエネルギー資源の面からしても中国にとって原発は必須の選択肢だ。国家発改委の原子力発電事務室の元上級エンジニアで同委員会の重大プロジェクト調査事務室に務める湯紫徳氏によると、もし上記の目標を石炭だけで達成しようとするならば、12億トン以上もの石炭が必要になるという。これはエネルギー資源の分配、採掘、運輸、環境保全のどの面をとっても大きな負担となる。こうして電力不足、並びに一元的な電力供給構造が引き金となって、中国は原発拡大にお墨付きのゴーサインを出したわけだ。

 「原発計画はこれまでの適度な発展というやり方から、急成長の段階に入った」と言うのは国家発改委の研究院エネルギー所の韓文科副所長だ。03年9月30日、国務院の黄菊、曾培炎両副首相の司会によって原子力発電発展計画に関するフォーラムが開催された。10月24日には今度は国務院原発指導チームのリーダーとして曾培炎副総理が再び杭州にて原発建設会議を開催、原発に関する戦略的計画を新たに明示した。

 政府が原発を通じてエネルギー供給に調整を加えようとする背景には、核技術を保持しようという意図も隠されている。中国は現在、ソ連型モデルの核技術を援用した軍民混在の技術を採用している。多くの国が原発を推進しようとするのは、それが自国にとって優秀な核技術チームを維持するのに必要なためだからとある中国の核技術者は述べている。「例えば日本は非核保有国だが、原子力爆弾や水素爆弾を開発しようと思えば、いとも簡単に実現することができる」と同氏は付け加えた。(編集担当:石井一三)

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