TOPIC No.2-31g 中国・東シナ海天然ガス開発/春暁ガス田群


01. 東シナ海ガス田問題 byYAHOO!ニュース
02. 東シナ海ガス田問題 byフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
03. 東シナ海のガス田開発問題(2005.08.05)DIRECTOR's Watching by21世紀中国総研
04. 中国、日中境界海域に施設 東シナ海 ガス採掘へ建設(2004/05/28) by2ちゃんねる
05. 尖閣・竹島・東シナ海ガス田問題  by日本政策研究センター


ガス田で首相、対抗措置を検討 単独試掘など複数案

2010/09/19 中国新聞ニュ−ス

 菅直人首相は18日、日中双方が権益を主張する東シナ海のガス田「白樺」(中国名・春暁)で中国が掘削作業に踏み切った場合の対抗措置の検討に着手した。中国側が白樺の洋上施設に掘削用とみられる機材を搬入したことを重視し、同日午後に前原誠司外相、仙谷由人官房長官らと公邸で協議した。政府部内では中国側の施設周辺で日本単独での試掘に踏み切ることも含めた「複数案」(政府関係者)が浮上している。

 協議には外務省の佐々江賢一郎事務次官、斎木昭隆アジア大洋州局長、細野哲弘資源エネルギー庁長官らも出席。中国側の動向を注視するとともに、外交ルートを通じて自制を求めていく方針を確認した。

 海上保安庁の巡視船と中国漁船の衝突事件で漁船船長を逮捕、送検したことをめぐっては「国内法にのっとり粛々と手続きを進める」(前原氏)ことでも一致したとみられる。白樺周辺では、海上自衛隊哨戒機P3Cによる警戒監視活動を強化する方針だ。

 日本政府は2005年7月に帝国石油に試掘権を許可。対抗措置としては、国際海洋法裁判所への提訴も選択肢となる可能性がある。

 ただ、日本単独での試掘については、中国側が現場海域に艦艇を派遣するなど行動をエスカレートさせることへの懸念も強い。また、提訴には中国側の同意が必要となり「結論が出るまで時間がかかる。その間に中国が生産を続けるのは間違いない」(政府関係者)との見方がある。

 「白樺」は日本が排他的経済水域(EEZ)の境界線と位置付ける日中中間線付近にあり、両国は08年6月に日本企業の出資参加で合意。しかし中国は衝突事件後の11日、出資参加に向けた第2回条約締結交渉の延期を通告、再開の見通しは立っていない。

日中神経戦激化 ガス田搬入問題で首相、中国に冷静な対応を求める方針確認

2010.09.18 MSN産経新聞

 菅直人首相は18日午後、首相公邸に前原誠司外相、仙谷由人官房長官らを呼び、日中両国が権益を主張している東シナ海のガス田共同開発にからみ、中国の作業船が「白(しら)樺(かば)」(中国名・春(しゅん)暁(ぎょう))の施設に機材を搬入した問題への対応を協議した。当面、海上保安庁や海上自衛隊が監視活動を行い動向を注視するとともに、中国側に冷静な対応を求めていく方針を確認した。

 ただ、前原氏は17日夜、中国側が掘削作業に踏み切れば対抗措置をとると明言しており、機材搬入を「完全に合理的で合法」(姜瑜・外務省報道官)とする中国側との間で神経戦を展開している。

 協議には外務省の斎木昭隆アジア大洋州局長やガス田開発を所管する資源エネルギー庁の細野哲弘長官も加わり、共同開発問題の「現状についていろいろな話をした」(同席した福山哲郎官房副長官)という。

 中国側は機材搬入の目的を施設修理のための作業と説明しているが、前原氏は17日夜の記者会見で「(掘削開始の)何らかの証拠が確認されたら、しかるべく措置をとっていくことになると思う」と述べた。

 共同開発に向け日中両政府が継続中の条約締結交渉は、中国側が掘削すれば暗礁に乗り上げる。日本政府もすでに帝国石油に試掘権を付与している。

 また、首相はニューヨークでの国連総会での演説や、23日に行われるオバマ米大統領との首脳会談に関する打ち合わせも行った。

前原外相 「掘削なら対抗措置」明言 中国の東シナ海ガス田機材搬入

2010.09.18 MSN産経新聞

記者会見する前原誠司外相=17日夜、首相官邸

 前原誠司外相は17日夜の記者会見で、日中両国が権益を主張している東シナ海のガス田「白(しら)樺(かば)」(中国名・春(しゅん)暁(ぎょう))にある中国側の施設に、掘削用のドリルとみられる機材が搬入されていた問題について、「(掘削開始の)何らかの証拠が確認されたら、しかるべく措置をとっていくことになると思う」と述べた。

 日本政府は平成17年7月、白樺に鉱業権を申請していた帝国石油に試掘権を付与しており、法律上は試掘できる状態にある。前原氏は試掘による対抗措置を示した格好で、中国が実際に試掘を始めれば、ガス田の共同開発に向けた条約締結交渉は暗礁に乗り上げることになりそうだ。

 前原氏は機材搬入を日本政府が確認していることを明らかにした上で、掘削開始には至っていないとの認識を示した。機材の搬入は今週初め、付近の監視活動を行っていた自衛隊機が確認。政府は機材の内容の分析を急いでいる。

 日本政府は中国側に対して複数にわたり、機材搬入の目的などを確認する申し入れを行った。中国側は「(施設の)修理のための作業を行っている」と説明したという。

 中国側が先行開発する白樺は、平成20年6月に日本企業が出資することで合意。今年7月に開発に向けた条約締結交渉が始まったが、今月16日に予定されていた2回目の交渉は、沖縄・尖閣諸島付近で起きた海上保安庁巡視船と中国漁船の衝突事件に反発する中国が一方的に延期した。今回の機材搬入も「衝突事件の対抗策ではないか」(政府関係者)とみられている。

     ◇

 【北京=矢板明夫】中国外務省の姜瑜報道官は17日、白樺で中国が掘削用とみられる機材を洋上施設に搬入したことについて認め、「中国側の春暁での活動は完全に合理的で合法だ」とする談話を発表した。

岡田外相が東シナ海ガス田機材搬入認める 「掘削なら約束違反」

2010.09.17 MSN産経新聞

 岡田克也外相は17日午前の記者会見で、日中両国が権益を主張している東シナ海のガス田「白(しら)樺(かば)」(中国名・春(しゅん)暁(ぎょう))にある中国側の洋上施設に掘削作業用のドリルとみられる機材が搬入されていたことについて、「過去になかった機材が搬入されたことは確認されている。機材の内容を確認中だが、掘削作業の開始は確認されていない」と述べた。

 日本政府は今週初めに機材搬入を確認し、その後、中国側に対して複数回、機材搬入の目的などを確認する申し入れを行った。中国側は「(洋上施設の)修理のための作業を行っている」と説明したという。岡田氏は「もし掘削作業を始めれば約束に反すると楊(よう)潔(けっ)●(ち)外相との会談で申し上げてきた。そうならないと期待している」と述べた。

 中国側が先行開発する白樺をめぐっては、平成20年6月に日本企業が出資することで両国が合意。今年7月に開発に向けた条約締結交渉の初会合が始まった。だが、今月16日に予定されていた2回目の交渉は、沖縄・尖閣諸島付近で起きた海上保安庁巡視船と中国漁船の衝突事件の日本側の対応に反発する中国側が一方的に延期を通告していた。

中国:ガス田「白樺」に掘削機 「合法活動」と談話発表

2010年9月17日 毎日新聞

 【北京・浦松丈二】中国外務省の姜瑜副報道局長は17日、談話を発表し、東シナ海のガス田「白樺」(中国名・春暁)に掘削機とみられる機材を運び込んだことについて「中国側は春暁ガス田に対して完全な主権と管轄権を有する。中国側の活動は完全に合理的かつ合法だ」と主張した。

ガス田開発:条約締結交渉の早期再開求める 丹羽大使

2010年09月15日 毎日新聞

中国国旗がはためくガス田「白樺(中国名・春暁)」の掘削施設=東シナ海で2010年6月8日、本社機から貝塚太一撮影 

【北京・成沢健一】丹羽宇一郎駐中国大使は14日夕、中国外務省を訪れ、東シナ海ガス田開発の条約締結交渉の早期再開を劉振民外務次官補に求めた。

 北京の日本大使館によると、会見は同日午後6時半から約1時間に及んだ。丹羽大使は「中国側は尖閣諸島領海内での衝突事件に関係しない複数の案件をあえて関連づけて一方的な行動を取っている。事態を悪化させないようしかるべき措置を取ってほしい」と要求。その上で、「東シナ海の資源開発については首脳間の合意に基づき、交渉の早期開催を求める」と申し入れた。劉次官補が事件に関する中国側の立場を説明したのに対し、丹羽大使は国内法に基づき対応する立場を改めて表明した。

ガス田の交渉延期めぐり、仙谷長官が中国に「問題の筋違う」と批判

2010.09.13 MSN産経新聞

 仙谷由人官房長官は13日午前の記者会見で、中国が東シナ海のガス田共同開発に関する条約締結交渉の延期を決めたことについて、「トップ同士の合意で協議を始めており、漁船の違法操業とは全然、問題の筋が違う話だ」と指摘し、尖閣諸島周辺での中国漁船と海上保安庁の巡視船衝突事件と絡めた中国側の対応を批判した。

 仙谷氏はまた、中国の戴秉国国務委員(副首相級)が12日未明に丹羽宇一郎駐中国大使を呼び出して抗議したことに対し、「こういう時間帯に大使を呼び出すのは日本政府からすると遺憾だ」と述べた。

中国漁船・尖閣領海内接触:中国、ガス田延期・調査中止要求 主眼は境界線交渉

2010年09月12日 毎日新聞 東京朝刊

 <分析>

 【北京・浦松丈二】沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島)付近で日本の海上保安庁巡視船と中国漁船が衝突し船長が逮捕・拘置された事件に絡み、中国が東シナ海ガス田開発に関する日中両政府の条約締結交渉を延期したが、これは単に船長逮捕への対抗措置ではなく、中国側に有利な条約を締結するための交渉戦術と考えられる。

 「日本側が暴挙を続ければ、自ら報いを受けることになる」。中国外務省の姜瑜副報道局長は11日未明の談話で日本政府をけん制した。しかし、10日に中国人船長の拘置が決定され、司法手続きが後戻りできなくなった直後に中国は一連の措置を打ち出した。

 さらに、中国国家海洋局の調査船「海監51」が11日朝、日本側が排他的経済水域(EEZ)の境界線として主張する中間線を越えた係争海域で5月に続き、海上保安庁の測量船に海洋調査の中止を要求した。

 日本政府関係者は中国側のこうした動きについて、「中国は偶発的な事件を利用して首脳合意に基づく協議を延期し、日本の主張する中間線を東に移動して、(尖閣諸島よりも東にある)中国主張の境界線に合わせようとしている」と分析する。中国外務省によるガス田条約交渉の延期発表と中国調査船による中止要求は歩調を合わせた行動とみられる。

 東シナ海ガス田開発は、中国側が単独で実施してきたが、日本側から交渉を重ねて08年6月に共同開発で原則合意した。しかし、中国側の反応は遅く、事務レベルの条約締結協議にこぎつけるまで2年以上かかっている。

 中国国内の反日世論は、04年に尖閣諸島に上陸した中国人活動家が逮捕された時ほど強くない。今回の中国側の強硬対応は、国内向けの世論対策というよりも東シナ海の海洋権益を巡る日本との交渉に主眼があるとみるのが妥当だろう。

 また、党代表選で揺れる民主党政権の反応を試す狙いもありそうだ。

 中国外務省は丹羽宇一郎駐中国大使を3度、同省に呼び、抗議した。丹羽大使は民主党が外務官僚の抵抗を押し切って任命した民間大使であり、厳しい外交交渉の経験がないことから、民主党政権への抗議ルートにしている模様だ。

早期にガス田条約交渉 日中首脳会談

2010/05/31 中国新聞ニュ−ス

 鳩山由紀夫首相は31日、中国の温家宝首相と首相官邸で会談し、東シナ海ガス田共同開発に向けた条約締結交渉の早期開始を目指す考えで一致した。両政府は6月にも外務省局長級レベルの初会合を開く方向で調整に入った。中国海軍の艦載ヘリコプター接近問題などあつれきが生じている東シナ海情勢を踏まえ、日中首脳間の「ホットライン」開設を目指すとともに、防衛当局間でも連絡体制を強化する方針で合意した。

 ガス田開発への対応をめぐり、温氏は共同開発を明記した2008年の日中合意に触れ「実現を目指したい」と強調。これまで難色を示していた条約締結交渉の開始に意欲を示し、鳩山氏がこれに応じた。

 共同開発の対象は、日本が排他的経済水域(EEZ)境界線と位置付け、従来共同開発を提案してきた北部海域で、ガス田「白樺」への日本企業の出資についても実現に向け調整を急ぐ。

 鳩山氏は東シナ海を含む日本近海で中国海軍が活動を活発化させているとして自重を求めた。

 韓国海軍哨戒艦沈没についても意見交換し、鳩山氏が韓国の国連安全保障理事会に向けた問題提起を強く支持する考えを表明。北朝鮮製魚雷攻撃が原因とした調査結果に言及し「北朝鮮は厳しく非難されるべきだ。二度と繰り返してはならない」と述べた。

 核問題に関する6カ国協議について鳩山氏は、現時点で開ける状況にないとの見方を示した。哨戒艦沈没をめぐる温氏の発言は、中国側の要請で明らかにされなかった。

 双方は会談後「食の安全」対策に関する合意文書に長妻昭厚生労働相と王勇・国家品質監督検査検疫総局長が署名した。

 鳩山氏は冒頭、日中両国の共通利益を追求する「戦略的互恵関係」の発展に期待感を表明した。

白樺ガス田 出資中国過半数超で調整へ 政府方針

2010.05.13 MSN産経新聞

 政府は12日、東シナ海のガス田共同開発問題で、日本側の出資で合意している「白(しら)樺(かば)」(中国名・春暁)ガス田について、出資比率の5割超を中国側に譲る方針を固めた。中国が先行開発してきた白樺で対等の権益を得るのは困難と判断したためだ。中国側により多くの権益を認めることで、開発内容を定める条約締結交渉の進展を図りたい考えだ。しかし、掘削施設を完成させた中国側の対応を是認することになりかねず、批判は避けられない。

 東シナ海のガス田開発をめぐっては、自民党政権下の平成20年6月、中国が単独開発を進めていた白樺で、中国の国内法に従い、開発に当たる中国企業に日本側が出資することで日中両政府が合意した。日本側は生産される天然ガスを出資額に応じ受け取る。

 ただ、5対5の対等条件での共同開発とした「翌檜(あすなろ)」(同・龍井)周辺海域とは異なり、白樺の出資比率では合意しなかった。「楠(くすのき)」(同・断橋)、「樫(かし)」(同・天外天)は継続協議となった。

 白樺は日中の境界線(日中中間線)の中国側にあるが、ガス田の地下構造が日本側までつながり、開発が始まれば日本の資源も吸い取られる可能性が高い。このため自民党政権下では「国家主権の問題であり、出資比率は五分五分で折半するのが筋だ」として、対等条件を目指すべきだとの声も多かった。

 これに対して鳩山政権では今年に入り、過去の交渉内容などを関係閣僚で精査。その結果「共同開発と出資は異なり、交渉経過からも権益の折半を主張するのは難しい」として、5割超の権益を中国側に認める方針を固めた。

 岡田克也外相は15日に韓国で開かれる日中韓外相会談にあわせ、中国の楊潔●外相と会談する。岡田外相は1月の楊外相との会談でも早期の条約締結交渉入りを要求したが、今回の会談でも新たな方針に基づき、ガス田問題で事態打開を目指したい考えだ。

 もっとも、中国側は白樺ガス田について「中国の主権の範囲内であり、共同開発とは関係ない」との立場を変えていない。

 日中両政府は今月4日に合意後初の局長級協議を北京で開いたが、中国側は条約締結交渉入りに応じなかった。

【主張】東シナ海ガス田 国益守れてこその友愛だ

2010.04.14 MSN産経新聞

 鳩山由紀夫首相は中国の胡錦濤国家主席とも会談した。

 麻薬密輸を中国で裁かれた日本人4人の死刑が執行されたことに一言もふれなかったのは問題だが、評価すべき発言もあった。日中間の目下の最大の懸案である東シナ海のガス田開発問題について、「早期の交渉開始のため、胡主席自ら関係部局に指示してほしい」と迫ったことだ。

 中国側のこれまでの取り組みに疑問を示し、かつてない強さで要望したのはよかった。しかし、胡主席は「日中間で接触を保持し、環境づくりを行うよう希望する」と受け流した。鳩山首相に、さらに一歩の踏み込みがなかったのが残念だ。

 東シナ海に点在するガス田は、日中両国の排他的経済水域(EEZ)にある。日本は権益の範囲を日本側の200カイリ内の海域にしているのに対し、中国は大陸棚の先端の沖縄トラフまでと主張して譲らない。

 対立状態を打開するため、日中両政府は2008年6月、2カ所のガス田では日本側の出資や日中共同開発などとした大枠で政治合意し、具体的には条約交渉を経て確定するとした。残りは継続協議のはずだった。

 にもかかわらず、エネルギー需要が膨張する一方の中国は一部で採掘・生産を開始したり、再開準備の構えを見せたりしている。「中国側海域での作業は固有の権利」というのが中国の主張だ。

 日本政府として条約交渉の早期開始を強く求めるためには、さらに周到な準備に基づく戦略が必要である。

 政府は07年、海洋権益を守るための海洋基本法と排他的経済水域内での作業の安全確保を図る関連法を施行した。だが、外国によって海洋権益が侵害されたときの対処については何も規定がない。国益を守る法整備が求められる。

 鳩山首相と胡主席は昨年9月のニューヨークでの初会談の際、東シナ海について「友愛の海にしたい」「平和友好協力の海にしたい」と言葉を交わした。

 だが、現実はどうか。今月10日、沖縄本島と宮古島の間の公海上を中国の潜水艦2隻を含む10隻の艦隊が通過したことが明らかになった。示威行動とも受け止められる中国海軍の動きである。

 「友愛」のかけ声だけでは国益は守れず、まして「平和友好」も望めない。


ガス田開発で協議加速 外相と中国次官が一致

2009年01月09日 中国新聞ニュ−ス

 中曽根弘文外相は9日夕、外務省内で中国の王光亜外務次官と会談し、東シナ海ガス田共同開発の条約締結交渉開始へ向け実務レベル協議を加速させることで一致した。

 中曽根氏は、日中両国が昨年6月に合意した日中中間線付近のガス田共同開発の具体化が重要と指摘。懸案の中国製ギョーザ中毒事件についても早期解明を求めた。

 これに先立ち、藪中三十二外務事務次官は王氏と「戦略対話」を開催。昨年の合意で継続協議となった中間線より中国側のガス田「樫」(中国名・天外天)に関し、中国が単独開発を続けていたことに藪中氏があらためて抗議した。

 北朝鮮核問題をめぐる6カ国協議の見通しでも意見交換。王氏はオバマ次期米大統領の就任により進展の可能性があるとの見方を示した。

中国がガス田の開発継続判明 「合意違反」と日本が抗議

2009年01月04日 中国新聞ニュ−ス

 【北京4日共同】東シナ海の天然ガス田開発問題をめぐり、日中両政府が昨年6月に開発を継続協議することで合意したガス田「樫」(中国名・天外天)について、中国側が合意後も掘削などの作業を継続していることが判明、日本政府が「合意違反」として昨年12月まで繰り返し抗議していたことが4日、分かった。複数の日中外交筋が明らかにした。

 中国外務省の秦剛副報道局長は同日「天外天が中国の海域であることは争いがなく、ガス田開発の作業を行うのは固有の権利の行使だ。天外天について日本との間に共同開発の問題は存在していない」とするコメントを発表、強く反発した。

 昨年6月に決着したはずだったガス田問題をめぐる対立が続いていることになり、戦略的互恵関係を掲げる日中間で再び、「火種」になる可能性が出てきた。

 両国政府は昨年6月、日本が境界と主張する日中中間線付近にあるガス田「翌檜」(中国名・龍井)周辺の共同開発で合意。さらに中国が既に開発に着手している「白樺」(同・春暁)に日本企業が出資し、「樫」と「楠」(同・断橋)の周辺海域は継続協議とすることを決めた。

共同開発で日中合意 東シナ海ガス田

2008年06月16日 中国新聞ニュ−ス

 日中両政府は15日までに、東シナ海の天然ガス田開発問題に関して、境界線問題は棚上げし共同開発することで最終合意した。(1)日本側が主張する排他的経済水域(EEZ)の境界線「日中中間線」の中国側海域も共同開発の対象とする(2)中国が既に単独開発している「白樺」(中国名・春暁)を含むガス田にも日本側が出資し一部権益を受ける(3)利益は出資比率で配分する−などの条件で折り合った。日中外交筋が明らかにした。

 両政府は週内にも正式発表する方針。最大の懸案だったガス田問題の決着で、5月の首脳会談で合意した「戦略的互恵関係の包括的推進」に弾みがつきそうだ。

 日中外交筋によると、共同開発で合意したのは、「楠」(中国名・断橋)、「翌檜」(同・龍井)などのガス田周辺海域。外交ルートを通じて具体的な共同開発区域を設定し、双方の民間会社に天然ガスの採掘を発注する。

「白樺」を共同開発の可能性 東シナ海ガス田問題

2008/05/08 中国新聞ニュ−ス

 日中両国最大の懸案である東シナ海ガス田問題で、中国側がこれまで難色を示していた天然ガス田「白樺」(中国名・春暁)の共同開発について、日本側に柔軟姿勢を伝えていたことが八日、分かった。政府は七月の主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)をにらみ、六月中に合意できるよう詰めの調整を急ぐ考えだ。複数の日中外交筋が明らかにした。

 これまで中国側は白樺は共同開発の対象外との立場を堅持していたが、「共同開発の対象とする可能性」を伝えてきたという。ただ、中国政府内では依然白樺共同開発への反発が根強く、日本政府は対日強硬派の動向も慎重に見極める構えだ。

 ガス田問題について、福田康夫首相は七日の日中首脳会談後の記者会見で「大きな進展があり、解決のめどが立った」と表明。胡錦濤国家主席も「問題解決の展望が見えてきた」と述べていた。

 共同開発の対象海域をめぐっては、日本が排他的経済水域(EEZ)の境界線(日中中間線)をまたぐ形を提案。中国側はこれに難色を示していたが、昨年十二月、それまで存在自体を認めていなかった日中中間線を基準に、白樺を除くガス田を共同開発の対象とする妥協案を提示した。

 これを受け、日中両政府は(1)中国が単独開発している白樺開発に日本も参加(2)日本が中間線を越え、中国側海域で白樺以外のガス田開発に加わる―の二案を軸に調整している。

 日本側は今後事務レベルで共同開発の出資割合や海域の特定、利益配分など詳細な条件についても協議する方針だ。

ガス田問題は合意断念 共同開発海域の溝埋まらず

2008年05月05日 中国新聞ニュ−ス

 日中両国最大の懸案である東シナ海ガス田の共同開発問題について、政府は7日の福田康夫首相と胡錦濤国家主席の首脳会談での合意を断念する見通しとなった。焦点の共同開発の対象海域をめぐる立場の違いが埋まらなかったためだ。複数の日中関係筋が4日、明らかにした。

 政府はガス田開発に関する基本合意が「首脳会談の最大の成果物になる」(外務省筋)として、ギリギリまで中国側と調整を続けていた。決着時期の目標設定などで合意する可能性は残っているが、度重なる解決先送りで一段と不透明感が高まるのは確実。首脳会談の評価にも影響しそうだ。

 共同開発の海域をめぐっては、日本が排他的経済水域(EEZ)の境界線(日中中間線)付近での共同開発を提案。これに対し中国は、これより日本寄りの尖閣諸島周辺など南北2海域での開発を主張し、天然ガス田「白樺」(中国名・春暁)の単独開発に着手したほか、天然ガス田「樫」(中国名・天外天)の生産開始も表明している。

東シナ海資源開発:中国に後れを取る韓国(上)

2008/03/23 朝鮮日報/朝鮮日報JNS 朴淳旭(パク・スンウク)記者

推定埋蔵量は韓国が1年間に輸入する量の211倍

中国、2000年代に入って原油やガスの本格的な採掘を開始

韓国の大陸棚と重なり、共同開発可能か 

 中国が2000年代に入ってから東シナ海で原油やガスの採掘を本格的に開始し、長さ1200キロの海上パイプラインを通じて上海にまで運び込んでいる。この海域の海底の推定原油埋蔵量は中国マスコミの推定で250億トン。問題は、この海域が韓国の排他的経済水域である大陸棚の南端と重なっているという点だ。そのため韓国の大陸棚専門家は、「中国政府との外交交渉でこの海域の資源を両国が共同で開発できるようにすべきだ」と主張している。日本はすでに3年以上前から中国と交渉を行っている。韓国政府だけが資源開発でここ数年手をこまねいているということだ。資源外交を強調する李明博(イ・ミョンバク)政府が、この問題にどのように取り組むのか今後の動きが注目されている。

◆推定埋蔵量、韓国の年間輸入量の211倍  

 中国が原油やガスを採掘している東シナ海は、平湖、春暁、天外天一帯の海域だ。平湖は1994年から、春暁と天外天は2005年、06年からそれぞれ生産に入った。この海域は緯度上では北緯28度から30度、東経124度から126度の間に集まっている。済州島からわずか450‐540キロの地点にあり、東シナ海盆地とも呼ばれている。

 この海域一帯の推定埋蔵量250億トンをバレルに換算すると、1833億バレル。昨年1年間に韓国が輸入した原油8億7000万バレルの211倍に当たる量だ。また、韓国が確保した採掘可能な埋蔵量22億5000万バレルの81倍を超える規模だ。推定埋蔵量はイラク全体の埋蔵量1150億バレルよりもはるかに多い。

◆大陸棚専門家「大陸棚の範囲を確定せよ」 

 東シナ海一帯は韓国の大陸棚南端よりも南に位置している。国際的にその国の排他的経済水域として認められている200カイリの大陸棚の外に位置していることから、韓国の排他的経済水域ではない。しかし国際海洋法裁判所の朴椿浩(パク・チュンホ)裁判官は、「現在中国が資源開発を行っている海域の多くは韓国の大陸棚の延長線上にあるため、国連に大陸棚拡張境界区画の確定文書を提出すれば、韓国の排他的経済水域として認められる可能性もある」と述べた。

 海洋法学者たちは「韓国の主張が国連に受け入れられた場合、現在200カイリとなっている大陸棚の境界は350カイリにまで拡張できる」と述べた。こうなれば中国側の東シナ海の一部が韓国の排他的経済水域となる。もちろん国連の審査は非常に厳格だ。同じような内容の文書を提出したロシアは国連の審査で棄却され、ブラジルは資料の一部が不十分との判定を受けた。しかしアイルランドのように審査を通過した事例もある。フランス、ニュージーランド、ノルウェーなどは現在審査が進められており、結果が注目されている。

東シナ海資源開発:中国に後れを取る韓国(下)

2008/03/23 朝鮮日報/朝鮮日報JNS 朴淳旭(パク・スンウク)記者

◆重い腰を上げた韓国 

 外務部は昨年11月に第2次官を委員長とする大陸棚文書提出対策委員会を組織した。現在中国が資源開発を行っている東シナ海一帯について、韓国政府が共同開発権を主張するためにはまずこの海域の一部が韓国の排他的経済水域に属するということを立証しなければならない。しかし多くの困難も予想される。まず利害当事国である中国と日本が反対の意見を提出する可能性が高い。外務部は「このような問題(中国と日本の反対)を解決するために、海洋地質や国際法の専門家で構成された民間の諮問会議を運営している」と述べた。

■大陸棚の自然延長  

 大陸棚は陸地の地質や構造的な特徴が海底にまで続く大陸の境界であり、国際海洋法上の大陸棚は200カイリまでと定められている。しかし陸地から海に突き出す地層構造が200カイリの地点で途切れずにさらに続いている場合、つまり200カイリの領域内の地層と外側の地層が同じ場合には、200カイリを超えた地域も広義の大陸棚として認められることもある。

 大陸棚が200カイリの外に続いている場合、最大で150カイリまで排他的経済水域を延長させることができる。大陸棚の境界から内側は当事国の排他的資源開発の権利が認められる。大陸棚の境界を設定するには、海底の地形や地質調査の資料を国連傘下の大陸棚確定委員会に提出し、承認を受けなければならない。しかし大陸棚の境界が具体的な効力を持つためには、周辺当事国との合意により決定しなければならない。

■東シナ海大陸棚 

 東シナ海とは一般的に上海から済州島および台湾の間に位置する海洋地域だ。今も黄河や揚子江が大量の土砂を運び込んでいる。海底には長い間積み上げられた厚い堆積物が存在し、ガスなどの海底資源開発が行われている。中国の場合、渤海湾盆地や南シナ海などすでに自国の大陸棚地域で大量のガスや原油を発見しており、そのため東シナ海地域を次世代の資源が存在する可能性の高い地域と考えている。この海域ではすでに平湖および春暁のガス田で天然ガスの採掘が行われていることが確認されている。

東シナ海資源開発:「中国と共同で大陸棚の境界確定を」

2008/03/23 朝鮮日報/朝鮮日報JNS 朴淳旭(パク・スンウク)記者

朴竜安(パク・ヨンアン)ソウル大名誉教授が主張

 「大陸棚境界付近の地層構造が途切れることなく自然につながっている場合には、広義の大陸棚として認められることもあります。国連海洋法の趣旨がそうなっています。国連大陸棚限界委員会(CLCS)の承認を得て、利害当事国がこれに反対しなければいいのです」

 朴竜安(パク・ヨンアン)ソウル大学名誉教授(海洋地質学専攻、国連CLCS委員)=写真=は、「国連の審議を通じて大陸棚の範囲を広げることができれば、領土の拡張という次元だけでなく、韓国が実用的な資源外交を展開できる空間がそれだけ広がることになる」と述べた。

 海洋地質学分野で世界的権威の朴教授は、国連大陸棚限界委員会委員でもある。同委員会は現在21人で構成されており、朴教授はアジア地域の副委員長を務めている。また、これまで数回にわたり外交通商部に対して「東シナ海資源開発」の重要性を説明し、そのために1日も早く大陸棚の境界を確定する文書を国連に提出しなければならないと訴えてきた。しかし大陸棚拡張文書は、国連での正式な審査を受ける前に3カ月間の公開が義務付けられている。従って利害当事国が強く反発すれば、審査が保留となる可能性もある。

 朴教授は「こうなることを心配して、この問題に精通した中国の学者に何度も会い、韓中両国が共同で大陸棚拡張文書を提出しようと提案してきた」と述べた。しかし、これまで行われてきた話し合いは学者同士のレベルに止まっており、中国政府の次元で検討が行われたことはない。

 朴教授は「利害当事国の反対をかわすことができるような文書を作成しなければならないが、文書の作成には通常1年以上はかかる。大陸棚拡張文書の締め切りは来年5月のため、あまり時間はない」と語った。

東シナ海ガス田開発 「期限設置、賢明でない」 中国外相、日本に譲歩迫る

2008/03/13 FujiSankei Business i.

 【北京=野口東秀】開催中の中国の全国人民代表大会(全人代=国会に相当)で楊潔●(けつち)外相=写真(AP)=が12日、北京の人民大会堂で対外政策について記者会見した。日中間で最大の問題となっている東シナ海ガス田開発について「非常に複雑だ。(解決までの)期限を設けるのは賢明でない」と述べ、胡錦濤国家主席(総書記)訪日までに解決させたい意向を持つ日本側に譲歩を迫った。

 東シナ海問題をめぐっては、日中間で早期解決で一致したものの、解決の道をつけられずにいる。海洋権益問題は軍部の考えが反映される分野で、早期に解決する方針が中国国内で統一されていない表れでもある。

 中国製ギョーザ中毒事件について、「真相究明のため調査を続ける」と表明。「中国側は高度に重視、関係部門はあらゆる必要措置を講じてきた」と強調した上で、これまで中国側が記者会見などで公表した結果はあくまで「初歩調査」であると表明。調査を続ける上で「特に両国の警察が協力を深め、冷静で公正で客観的で科学的な態度で調査、一刻も早く真相を解明することを希望する」と述べた。

 5月の連休明けにずれ込む見通しとなっている胡主席の訪日で、「両国人民は桜が満開の時になることを望んでいる」と述べ、東シナ海ガス田問題や中国製ギョーザ中毒事件に影響されることなく、早期の訪日を望む姿勢を強調した。

 北京五輪での大気汚染問題に関しては「大多数の選手は北京の空気の質に満足していると思う」と強調。気候変動問題では「中国人1人当たりの温暖化ガス排出は先進国の3分の1」と述べ、先進国の責任を強調した。

 楊外相は米国通として知られ、2001年に駐米大使、05年に外務次官、昨年4月に外相に就任した。●=簾の广を厂に、兼を虎に

ガス田開発、合意できず 日中次官の「戦略対話」

2008年02月23日 中国新聞ニュース

 【北京23日共同】藪中三十二外務事務次官は23日、北京のホテルで行われた王毅中国外務次官との「戦略対話」で東シナ海のガス田開発問題を集中的に協議したが、合意に至らなかった。

 4月に予定される胡錦濤国家主席の来日前に妥協点が見つかるかどうかが会談の焦点だったが、共同開発の対象海域などをめぐる溝は埋まらず、2日間の日程を終えた。

 王氏は協議で「胡主席来日時には、もっと大きな課題を議論したい」と述べ、福田康夫首相との首脳会談に影響を与えたくないとの考えを示したが、同時に「期限を区切って合意すべきではない」とも指摘。日中両政府が目指していた胡主席訪日前の解決に黄信号がともった形だ。

 日中関係筋は会談後、記者団に「どういう形で合意できるか見えてこない。進展はしており、論点も絞られてきたが、まだ整理が必要なものが多い」と述べ、交渉は進んでいるものの詰めの調整が難航していることを明らかにした。

中国 海洋資源確保で初戦略

2008/02/23 FujiSankei Business i.

 中国国家海洋局は22日までに、海洋資源の確保など総合的な海洋政策を定める国家海洋事業発展プランの概要をまとめた。海洋産業の発展に向けた初の国家戦略となる。

 同概要は、資源調査を通じ、2010年までに中・大型の油田、ガス田を1、2カ所発見することや、南極の内陸部に観測基地を建設することなどを目標に掲げている。中国は、国際的な資源獲得競争が激しくなる中、日本が海洋基本法を制定したことを意識。「海洋政策の国家戦略策定が急務」(外交筋)としていた。(北京 時事)

中国大使「ガス田問題に進展」 4月までの解決に自信

2008/01/19 FujiSankei Business i.

 中国の崔天凱駐日大使は18日、日本外国特派員協会で講演し、日中間の最大の懸案となっている東シナ海ガス田共同開発問題に関して「進展が見られる」とした上で、4月に予定される胡錦濤国家主席の訪日までの解決に自信を示した。

 崔大使は、日中の学者が共同研究を進める歴史認識問題については、「(1937年の南京事件は)事実であるということが重要。死者数を議論しても意味がない」と指摘。「共同研究の目的は過去の惨劇を繰り返さないことにあり、中国として未来に焦点を置いている」と述べ、「未来志向」の日中関係を構築する考えを強調した。

 また胡主席の訪日に向けた優先順位として「(両国の)基盤を強化させたい」として環境問題や人的交流などの協力を推進する方針を示した。「対日関係を楽観視している」とも語った。

 北朝鮮核問題をめぐる6カ国協議では「(北朝鮮の核申告問題で)プロセスが困難に直面しているが、乗り越えられる問題だ」とするとともに、「地域協力と安保体制の枠組みづくり」の重要性を訴えた。

首相訪中までにガス田解決目指す 日中外相会談で一致

2007/12/01 中国新聞ニュース

 【北京1日共同=吉浦寛仁】高村正彦外相は一日、北京市内で中国の楊外相と会談した。東シナ海のガス田開発問題では、年内にも予想される福田康夫首相の訪中までに解決を目指す方針で一致した。ただ双方の主張が隔たっている共同開発対象海域で実質的進展はなかった。高村氏は北朝鮮による拉致問題で協力を要請。楊氏は日朝間の話し合い解決を支持するとの認識を示した。

 会談後、高村氏は「突っ込んだやりとりをし、何が何でも解決しなければいけないとの意思は確認したが、前進があったとは言い難い」と記者団に述べた。日中両政府は今後、ガス田協議を加速化させていく構えだが難航は必至。日本は中国側に政治的決断を促すため局長級協議の格上げを検討している。

 北朝鮮核問題に関連し、高村氏は北朝鮮・寧辺にある核関連施設の無能力化作業が進んでいることに触れながら、六カ国協議の議長国・中国の役割を高く評価。両氏は無能力化作業を着実に終了させるため、日中の連携を図っていくことを確認した。また高村氏は「拉致問題と植民地支配など『過去の清算』を解決して日朝国交正常化が重要だ」と指摘した。

 高村氏は来春に予定している胡錦濤国家主席の訪日へ強い期待感を表明するとともに、楊氏の早期来日も招請。楊氏は来年の早い時期に訪日する意向を示した。

 楊氏は台湾独立問題について「中国にとって重大かつ敏感な問題だ」と懸念を表明。高村氏は「この問題で日本は日中共同声明以降いささかもぶれていない」と答えた。

東シナ海 ガス田試掘先送り 首相、対中関係を重視

2007.11.23 MSN産経新聞

 共同開発の対象海域などをめぐり日中の主張が対立する東シナ海のガス田開発で、試掘の前提となる漁業関係者との漁業補償交渉にただちに入ることにしていた安倍内閣の方針が福田内閣の発足に伴って先送りされていたことが22日、分かった。首相官邸の意向で方針が転換されたという。安倍内閣は今秋までに日中協議に進展がなかった場合、補償交渉に入ることを決めていた。

 関係省庁は補償交渉の準備を進めていたが、方針転換は、対中関係を重視する福田康夫首相の外交方針を改めて浮き彫りにしたといえる。

 ガス田の共同開発をめぐっては、安倍晋三前首相と中国の温家宝首相が4月の会談で、今年秋までに具体的方策を示すことで合意している。しかし、日中中間線付近での共同開発を求める日本側と、「係争海域は中間線と(中国が主張する境界線である)沖縄トラフの間だ」と主張する中国側の隔たりは埋まらず、ガス田開発を話し合う局長級協議も進展していない。

 このため安倍内閣は、今秋までに中国側に歩み寄りがみられない場合には、長崎県や沖縄県の漁業・水産業者など、試掘を開始した場合に影響を受ける関係者との「迷惑料」交渉を開始すると決定。試掘に向けた具体的な手順を踏むことで、日本側の強い意志を示し、対中交渉のテコとする考えだった。

 これに対して、福田内閣が、当面は補償交渉に入るべきではないと判断したのは参院選の自民党大敗で衆参「ねじれ国会」となったことで、新テロ対策特別措置法案の成否に見通しが立たないなど、国内政治に専念せざるを得なくなったことが背景にある。政府内からは「とても外交問題までは対応できず、中国とことを構える余裕はないのだろう」との指摘も出ている。

 また、中国側は局長級協議で日本が試掘した場合は「そうなれば(中国海軍は)軍艦を出す」と複数回発言していることも影を落としているとみられる。

 東シナ海では平成16年5月、中国がガス採掘施設「白樺」の建設を始めたことが発覚し、以後も中国は、中間線付近に計4つの試掘施設を建設している。これに対し、日本側は17年4月、中川昭一経済産業相(当時)が、中間線の東側海域に鉱業権を申請していた帝国石油に試掘権を付与。ところが、後任の二階俊博経産相(現自民党総務会長)が「私は試掘の道をとらない」とストップをかけ、その後動きが止まった経緯がある。

日本側は試掘示唆 中国側は「軍艦出す」 東シナ海ガス田開発

2007.11.16 MSN産経新聞

 東シナ海ガス田開発をめぐる日中共同開発案について、日本政府は、中国側が「白樺」(中国名・春暁)ガス田を含めた日中中間線にまたがる海域での共同開発に応じるのであれば、中間線の日本側の一部での共同開発を認めることを打診していたことが16日、分かった。14日の局長級で中国側に明言した。協議ではまた、日本側が協議の停滞を理由に試掘を示唆した際、中国側が「そうなれば(中国海軍は)軍艦を出す」と発言していたことも新たに判明した。

 これまで政府は、中間線から中国側にあるガス田での共同開発を求めており、中間線の日本側は日本の排他的経済水域(EEZ)のため共同開発を認めていなかった。

 協議で日本側は、中国が領有権を主張する尖閣諸島周辺と日韓大陸棚周辺は国家主権にかかわるとして開発対象から除外する方針も伝えた。

 政府が中間線の日本側での共同開発の一部容認にかじを切ったのは、中間線付近の海域で日本側が軟化姿勢を示すことで、中国から譲歩を引き出し「日中関係に強いとされる福田康夫首相の初訪中で具体的成果を確保する」(自民党筋)ねらいがある。

 こうした中、町村信孝官房長官は16日、中国の崔天凱駐日大使と首相官邸で会談。年末以降で調整中の首相訪中までに問題を決着させたいとの意向を表明。崔大使は「共に努力し、早期に妥当に解決する誠意と決心を有している」と述べた。

 温家宝首相が今年4月に訪日した際に発表した日中共同声明では、「今年秋までの共同開発の具体的方策の報告」が確認されている。

 共同開発海域で合意が得られれば、両国は一定期間同海域での境界線画定を棚上げし、(1)開発費を両国が半額ずつ負担する(2)産出される天然ガスなどの権利を双方で折半する−などの内容で2国間協定を結ぶ方向だ。ただ、中国側は「係争海域は日中中間線と(中国が主張する境界線の)沖縄トラフの間だ」との姿勢を崩していない。

ガス田の閣僚協議で一致 日中、合意には達せず

2007年11月14日  中国新聞ニュース

 日中両政府は14日午前、東シナ海のガス田開発問題に関する局長級協議を都内で開き、焦点の共同開発対象海域をめぐり話し合ったが、互いに主張を譲らず合意できなかった。必要に応じ外相など閣僚レベルに協議を格上げし、局長級協議も月内に再度実施することでは一致した。

 日本側は年内にも予想される福田康夫首相の訪中前に具体策取りまとめを目指し、中国側に「政治決断」を促す考えだ。

 佐々江賢一郎外務省アジア大洋州局長は午前の協議後、記者団に「突っ込んだ議論をしたが、現時点で合意に達したことはない」と説明した上で「公式、非公式で政治レベルの協議が必要。(取りまとめは)あきらめていない」と強調した。

 これまでの協議で共同開発海域に関し、日本側は既に中国が単独開発しているガス田「白樺」(中国名・春暁)を含めた日中中間線にまたがる海域を主張。一方、中国側は領有権で対立する尖閣諸島周辺など南北2海域にすべきだとしていた。

隔たり埋まらず平行線 日中、東シナ海ガス田協議

2007年06月26日 中国新聞ニュース

 東シナ海のガス田共同開発問題をめぐる日中政府間の局長級協議が26日、都内で開かれた。4月の日中首脳会談で合意した今秋までの具体策取りまとめに向け、対象海域などを協議したが、主張の隔たりは埋まらず議論は平行線だった。

 日本側はこれまで両国沿岸から等距離の中間線にまたがる幅広い水域を対象に共同開発する構想を提示。中国側は単独生産を目指しているガス田「白樺」(中国名・春暁)の周辺を共同開発の対象から外すよう主張し、両国の対立が続いているとみられる。

 日本外務省の佐々江賢一郎アジア大洋州局長は協議後、記者団に「基本的な点で意見の一致を見ていない。中国側は協議を加速させ解決したい意欲を持っているが、日中の考え方に差がある」と指摘した。

 共同開発をめぐっては、4月の日中首脳会談で公表された日中共同プレス発表に「双方が受け入れ可能な比較的広い海域で行う」と明記。

共同開発へ日中協定検討 東シナ海ガス田で政府

2007年04月07日 中国新聞ニュース

 政府は7日、中国との間で懸案となっている東シナ海のガス田問題の解決に向け、共同開発に関する2国間協定を締結する方針を確認した上で実際に開発する海域などを具体化させる交渉手法を、中国側に提案する方向で検討に入った。

 中国が協定締結交渉に入りやすいように、共同開発の海域画定の障害となっている海上の国境線問題を棚上げし、早期に海域を決めたい考え。11日から来日する中国の温家宝首相と安倍晋三首相との会談で、協定締結に向けた協議開始の合意を目指す。

 今回の交渉手法は、韓国との間で東シナ海での天然資源開発の細目を定めた「日韓大陸棚協定」を参考にしている。同協定は日韓間の大陸棚の画定問題を棚上げし、共同開発区域を定める一方で、50年間の時限措置とした。資源や開発コストの分担、紛争解決に関する取り決めも盛り込まれている。

海洋基本法案、衆院で可決 温首相の訪日前に

2007/04/03 The Sankei Shimbun WEB-site

 東シナ海での石油・ガス田開発作業などの安全確保を目的とした安全水域法案と各省庁横断で海洋政策に取り組むための海洋基本法案が3日の衆院本会議で自民、公明、民主などの賛成多数で可決した。11日の中国の温家宝首相訪日を前に衆院を通過させて海洋権益に対する日本側の強い姿勢を示し、東シナ海の石油・ガス田をめぐる日中協議で中国側から建設的な対応を引き出す狙いがあるとみられる。

 安全水域法は国連海洋法条約に基づくもので、国内外の船舶に対し、国土交通相が設定する安全水域に許可なく入ることを禁止する法案。中国や米国など各国が同様の法律を整備しているが、日本では未整備だった。

 海洋基本法案は、海洋政策を担当する省庁が、外務、国土交通、防衛など8府省庁に分かれている現状を改める法案。内閣官房に「総合海洋政策本部」を設置し、海洋政策担当相が各省庁の調整にあたることなどが盛り込まれており、包括的な海洋政策を進めることが可能となる。

 東シナ海の石油・ガス田開発問題は、中国が平成16年6月に日中中間線に近く、地下構造が中間線を挟んで日本側につながっているとみられる「春暁」(日本名・白樺)の本格開発を始めたことで表面化。対抗策として政府は17年7月に帝国石油に東シナ海での試掘権を与えたが、掘削時の安全を守る法案が整備されていなかったこともあり、今も試掘は行われていない。

安全水域法で自公民合意 東シナ海ガス田開発で

2007年03月14日 中国新聞ニュース

 自民、公明、民主各党は13日までに、日本と中国が対立している東シナ海のガス田開発問題を念頭に、この海域で日本が試掘作業を行う場合の安全確保を目的とする「海洋構築物の安全水域設定に関する法案」の内容で合意した。先に合意した海洋政策強化を目的とする「海洋基本法案」と併せて3党の議員立法で共同提出する方針。衆院国土交通委員会での審議も委員長提案の形で省略し、今月中にも成立を図る考えだ。複数の与野党関係者が明らかにした。

 中国はこれまで日本の意向を無視する形で、同海域の「白樺」(中国名・春暁)などでガス田開発を進めている。日中両国は問題解決を目指し、今月下旬にも局長級協議を再開させるほか、安倍晋三首相が4月に来日する温家宝首相と協議する予定。安倍首相はこれら交渉を控え、中国をけん制するため日本側も試掘実施に向け強い姿勢を示す必要があると判断し、自民党の中川昭一政調会長らに早期立法を指示していた。

中国、ガス生産確認避ける 「承知せず」と外務省

2007年02月01日 中国新聞ニュース

 【北京1日共同】中国外務省の姜瑜副報道局長は1日の定例記者会見で、東シナ海の日中中間線付近にあるガス田「白樺」(中国名・春暁)で中国側が天然ガスの生産、供給を開始したとする香港紙報道について「承知していない」と述べ、肯定も否定もしなかった。

 また、中国外務省から報道を否定する趣旨の回答があったとする日本側の発表についても「聞いていない」と事実確認を避け、中国側に「もう少しよく分かる回答にしてほしい」と求めた塩崎恭久官房長官の記者会見での発言についてもコメントを避けた。

 その上で、姜副報道局長は「中国が開発しているガス田は(日中間で)争いのない中国近海の大陸棚上で実施されている」と述べ、「白樺」開発の正当性を強調した。

シナ海ガス田「白樺」 「中国、既に供給」と香港紙

2007/02/01 The Sankei Shimbun WEB-site

 【北京=野口東秀】東シナ海の日中中間線付近にある天然ガス田「白樺」(中国名・春暁)について、中国系香港紙「大公報」は31日、同ガス田から浙江省に向け、供給が昨年9月から開始されていたと伝えた。報道が事実なら、中国側の開発が、供給段階にまで進んだ可能性がある。

 同紙によると、浙江省発展改革委員会が経済発展に関する報告書の中で明らかにした。昨年までに同省の寧波市から紹興市までのパイプラインが開通、「両都市などでは東シナ海のガスを使用し始めた」とされているという。同紙は、あいまいながらも初めて政府側が春暁の供給開始の情報を認めたと指摘している。

 白樺をめぐっては昨年夏、中国国家発展改革委員会の幹部が視察し、開発を担当する中国海洋石油(CNOOC)が、ウェブサイト上で「開発、生産段階に入った」と一時的に掲載した。しかし、情報は数日で削除され、二橋正弘官房副長官(当時)は、中国側が生産を開始したわけではないと回答してきたと述べていた。

 中国外務省の秦剛報道官は、昨年9月12日の定例会見で「中国の主権内部の事項。開発関連状況を日本に知らせる義務も必要もない」としていた

 同省の発展改革委員会は31日、産経新聞に対し「報告書はまだ公開できない。エネルギー問題など国家秘密の事項は聞くべきでない」と回答。中国海洋石油有限公司も「報告書は知らない」としている。

ガス田協議、年明け再開へ 日中「共同開発」で難航も

2006年12月23日 中国新聞ニュース

 日本、中国両政府が、懸案となっている東シナ海のガス田問題解決に向けた政府間の局長級協議を、年明けにも再開する見通しとなった。協議は7月上旬以降は開かれておらず、安倍晋三政権下では初めて。外交筋が23日、明らかにした。

 両国は、ガス田の共同開発により問題を早期解決する方針で一致しており、日本は日中中間線付近での開発を提案する考え。しかし、中国は異なる海域での開発を求める見込みで、協議は難航しそうだ。

 協議再開は、安倍首相と胡錦濤国家主席との2度にわたる会談での合意を踏まえたもので、来年1月半ば以降になる見通し。日本側は「場所は東京、北京のどちらでも構わない」(経済産業省幹部)としている。

【正論】中国軍事研究者・平松茂雄 抗議より独自開発の着手こそ重要

2006/09/16 Iza

 ■中国側の後手に回るガス田問題

 ≪関心なき間に既成事実化≫

 8月28日の記者会見で、安倍晋三官房長官は、中国が東シナ海の平湖石油ガス田で八角亭と命名された新しい石油掘削施設を建設していることに関して、わが国が権利を持っている海域であると中国政府に抗議した。

 これに対し、中国政府は直ちに、開発している海域は中国が権利を持っている海域であり、日本は新しいトラブルを起こそうとしていると反論した。安倍長官の発言は、残念ながら、東シナ海の石油資源開発のこれまでの経緯を知らないとしか思えないような内容である。

 この問題について筆者は何回もこの欄で書いてきたが、重要な問題であるから、もう一度書いておきたい。

 中国は今から20年以上も前の1970年代に、東シナ海の日中中間線の向こう側だが、日本が権利を持つ海域で石油資源の探査を行い、次いで、1980年代の10年間に、中間線にほぼ沿った中国側海域の約20カ所でボーリングを行った。

 そのなかで、最も有望な海域が、中間線の真ん中に近い「西湖海盆」と中国が命名した海域である。

 西湖は中国浙江省の省都杭州郊外にある湖だから、その海域の石油資源は中国浙江省に権利があるという意味である。そして最初に開発に着手したのが平湖である。

 筆者は、こうした事態の進展を放任しておくことはできないところから、いくつかのマスコミに働きかけたが、報道してくれたのは産経新聞だけであった。80年代終わりころから90年代にかけての時期である。

 当時、筆者と産経記者は、外務省や海上保安庁、防衛庁、自衛隊に問い合わせたが、どこも関心を示さなかったばかりか、中間線の向こう側の海域は中国が権利を持っている海域であるから、貴方は何を心配しているのですか、とたしなめられる始末であった。

 そして日本政府が何の関心も持たないうちに、日本が権利を持っている中間線の向こう側の中国の海域で石油資源の開発が進んでしまい、既成事実が出来上がってしまった。

 ≪交渉前に中間線引いた愚≫

 さらに、日本政府は96年6月20日、国連海洋法条約を批准し、7月20日に発効したが、その際、日本政府はわが国の周辺海域に排他的経済水域を設定し、東シナ海に中間線を引いてしまった。

 日中中間線は、両国がそれぞれ200カイリの線引きをすると重なるから、政治交渉をして真ん中で等分する考え方である。日中中間線は、食い違う海域の境界線を解決する政治交渉の落としどころであるのに、日本政府は政治交渉をする前に自分から引いてしまったのだ。

 日本政府がことの重要性を初めて知ったのは、それからさらに10年近くたった一昨年6月に、中国が中間線に近い春暁ガス田の開発に取り組んだときである。

 春暁の鉱区の一つが中間線に近く、日本側鉱区の石油資源が中国にくみ取られてしまう危険があることが分かってからである。これも筆者が報道して初めて大きな問題となったのである。

 この段階になってから、日本政府は中間線の向こう側の海域に対して日本は権利を持っているとして、中国の石油資源開発に対して日本の権利が侵犯されていると抗議し、あるいは日中中間線を挟んで共同開発を提案しているが、本末転倒もはなはだしい。

 中間線を引いてしまったからには、もはや、日本政府は中間線の向こう側の海域に対して権利を主張する立場にはない。

 ≪いずれ日本側への進出も≫

 日本政府がなすべきことは、日本側の海域で日本が開発を進めることである。

 何故ならば、中国は日中中間線の立場に立っておらず、わが国の南西諸島の西側、すなわち中国側に沿って存在する沖縄トラフまでが東シナ海の大陸棚であり、日本の南西諸島はその大陸棚の上に存在しないから、日本には一切権利はないとの立場に立っているからである。

 それ故、中国が日本側海域で開発に着手することは時間の問題である。そのような事態にならないように、日本側は独自に開発を進める必要がある。

 不測の事態には迅速に対応できるように備えておくことである。東シナ海は対立の海でなく、協調の海にしようとの小泉首相の発言にしろ、今回の安倍長官の発言にしても、東シナ海のこれまでの動向を知っての発言なのか。

 筆者にはとてもそのようには思えない。(ひらまつ しげお)

中国海軍が東シナ海10カ所に石碑 権益保護が目的

2006/09/14 The Sankei Shimbun

 中国人民解放軍機関紙「解放軍報」などによると、中国海軍は14日までに、中国が領有する東シナ海の島10カ所に測量隊を派遣し、領海を画定する上で基点となる石碑をそれぞれ建立した。

 重さ1.5トンの花こう岩でできた石碑には、中国の国章などが刻まれており、同紙は「わが国の海洋権益を守り、主権を明らかにする上で重要な標識だ」と強調。石碑を建てた場所は明らかにしていない。

 中国外務省の秦剛副報道局長は14日の記者会見で、石碑について「完全に中国主権の範囲内にあり、隣国との境界線画定問題に影響を及ぼすことはない」と述べた。(共同)

春暁ガス田開発問題について 外交部報道官

2006年09月13日 「人民網日本語版」

外交部の定例会見で12日、秦剛報道官が記者の質問に答えた。

――春暁ガス田の実際の開発・生産状況はどのようなものか。春暁ガス田の開発について、中国は日本側に通知したのか。中日双方が東中国海でのガス田の共同開発の意向を示しているが、中国は中間線より西の海域には係争は存在しないとしている。では、この海域での共同開発の可能性はあるのか。東中国海問題に関する次回の協議はいつ行われるのか。

中国の春暁ガス田開発は、日本と係争のない中国近海で行われているもので、主権を行使する正常な活動である。あなたの質問の本質は「中間線」を前提に共同開発を議論するかどうかということだ。いわゆる「中間線」は日本側が一方的に持ち出したものであり、中国はこれまでにこれを受け入れたことはないし、現在も受け入れていないし、今後も受け入れることはない。中国は「中間線」を前提とした共同開発の議論は受け入れない。中国が日本と係争のない中国近海でガス田開発を進めるのは、完全に中国の主権内の事柄である。われわれには、日本側に事前の通知、あるいは開発状況を通知する義務もないし、その必要もない。

東中国海に関する中日間の協議はすでに6回行われた。第6回協議で双方は、協議の継続で合意した。次回協議の開催時期については、双方がさらに意思疎通を図り、協議を進める必要がある。(編集NA)

日本への通報義務なし 白樺ガス田で中国

2006年09月12日 河北新報社

 【北京12日共同】中国外務省の秦剛副報道局長は12日の定例記者会見で、日本が中国に開発中止を求めている東シナ海の「白樺」(中国名・春暁)ガス田の生産開始時期について「日本側に通報する義務も必要性もない」と述べ、情報提供を拒否する考えを明らかにした。

 中国が生産開始時期を日本に通報しない姿勢を明らかにしたことで、情報公開を求めてきた日本政府が反発するのは確実だ。

 秦副局長は、白樺の開発に関するそのほかの情報についても提供する意思がないことを強調。同ガス田開発について「(日本との)争いのない中国近海で行われている開発だ」と述べ、日本側の開発中止要求をあらためて批判した。

【中国】外交部:東シナ海ガス田問題で反論「正当な開発だ」

2006/08/30 サーチナ・中国情報局

 東シナ海の日中中間線付近で中国が新たな採掘施設「八角亭」を建設していると報じられたことを受けて、外交部の秦剛・報道官は30日付で談話を発表した。

 秦報道官は談話の中で「中国は東シナ海にある自国の大陸棚でガス田開発を行っているに過ぎない。正当な開発であることは明白だ」「中国は日本が新たな問題を持ち出してくることに反対する」と主張。

 一方、秦報道官は「東シナ海の境界線に関して両国には意見の隔たりがあるが、日中双方は交渉を通して問題を解決すべきだ」と述べた。(編集担当:菅原大輔)

中国、東シナ海で新ガス田開発に着手 日本政府が抗議

2006年08月29日 asahi.comIza

 東シナ海のガス田開発問題で、中国が「八角亭」と呼ばれる新たなガス田開発に本格的に着手していることがわかった。8月に入り掘削やぐら(プラットホーム)の上に生産施設が立てられているのが見つかったため、日本政府は中国政府に抗議。八角亭は、日本が主張する中間線から離れた中国側の海域にあるが、日本の排他的経済水域(EEZ)内に含まれており、政府は開発の動きを注視していた。

 安倍官房長官は28日の会見で、「八角亭」開発の動きを念頭に「中国は日本が主張する中間線を認めない中、日本の200カイリ内の海域で開発作業による既成事実の積み重ねを行っている。強い関心と懸念を中国側に伝えた」と、中国に抗議したことを明らかにした。

 政府筋によると、同ガス田は、3月ごろプラットホーム建設が確認され、最近の数週間でプラットホーム上に本格的な生産設備が完成したという。日本政府は早い段階から繰り返し懸念を伝えていたという。

 八角亭ガス田は、中国が98年に生産を開始し、中間線より50キロ以上離れた「平湖」ガス田の北東約6キロ内にある。日本側が中国とのガス田開発協議で提案している共同開発海域には含まれていない。日本政府が「中間線の地下構造を通して日本側の天然資源が吸い取られる」と問題視している中国の春暁(日本名・白樺)ガス田からも50キロ以上離れている。

安倍氏 中国側に懸念伝える ガス田新施設建設で

2006/08/28 Iza

 安倍晋三官房長官は28日午前の記者会見で、中国が東シナ海の日中中間線付近で新たな採掘関連施設を建設していることについて、中国側に懸念を伝えていることを明らかにした。安倍氏は「中国側が開発作業による既成事実の積み重ねを行っていることに強い関心と懸念がある」と述べた上で、「わが国の主権的権利を確保すべく、対話を通じた迅速な解決を目指したい」と強調した。新たな施設は中間線の中国側の平湖石油ガス田付近にあり、「八角亭」と呼ばれている。

安倍長官、中国側にガス田開発の事実確認を要請

2006/08/07 The Sankei Shimbun

≪HP上での中国当局者の発言は削除≫

 安倍晋三官房長官は7日の記者会見で、中国石油大手の中国海洋石油(CNOOC)のホームページ上に、東シナ海の日中中間線付近にあるガス田「白樺」(中国名・春暁)の生産を開始したとする中国当局者の発言が一時掲載され、その後削除されたことを明らかにした。

 掲載されたのは、国家発展改革委員会の張国宝副主任による「生産段階に全面的に入った」との発言。これを受けて日本側は4日、北京の日本大使館などを通じて中国側に作業中止を求めるとともに、情報提供を求めたという。

 日本側は、7日になってホームページ上から発言が削除されていることを確認。安倍長官は「中国側からは至急、事実関係を確認するとの反応があった」と述べた。

「生産段階」当局者発言 中国石油大手のHPに一時掲載

2006/08/07 Iza

 安倍晋三官房長官は7日の記者会見で、中国石油大手の中国海洋石油(CNOOC)のホームページ上に、東シナ海の日中中間線付近にあるガス田「白樺」(中国名・春暁)の生産を開始したとする中国当局者の発言が一時掲載され、その後削除されたことを明らかにした。

 掲載されたのは、国家発展改革委員会の張国宝副主任による「生産段階に全面的に入った」との発言。これを受けて日本側は4日、北京の日本大使館などを通じて中国側に作業中止を求めるとともに、情報提供を求めたという。

 日本側は、7日になってホームページ上から発言が削除されていることを確認。安倍長官は「中国側からは至急、事実関係を確認するとの反応があった」と述べた。

白樺ガス田「全面的な生産段階に」

2006/08/04 The Sankei Shimbun

 【北京=野口東秀】中国石油大手、中国海洋石油は4日までに、同社のホームページで、東シナ海の日中中間線付近で開発を進めてきた「白樺」(中国名・春暁)ガス田について、国家発展改革委員会の張国宝副主任の発言として「すでに全面的な生産段階に入った」ことを改めて強調した。同ホームページによると、張副主任の発言は7月24日、同副主任が春暁ガス田を視察した際の発言としている。

【主張】東シナ海ガス田 中国の時間稼ぎを許すな

2006/07/11 Iza

 東シナ海ガス田開発をめぐる日中協議は、専門家会合設置などで合意したものの、肝心の共同開発について主張が隔たったまま、2日間の日程を終えた。中国に振り回されている感が否めない。

 日本は、中国が近く生産を開始すると表明している白樺ガス田の作業中止を強く求めた。これに対し、中国側は「そうした議論は受け入れられない」と拒否した。また、今月初め、中国の海洋調査船が尖閣諸島の魚釣島近くの日本の排他的経済水域(EEZ)内で事前通告なしに調査を行ったことに対し、中国は、今後は日中間の取り決めに従うとの考えを示した。

 無断調査の問題では、先に訪中した民主党の小沢一郎代表にも、唐家●国務委員(前外相)が「中国政府の許可を得ずに行った」と釈明した。この言葉をどこまで信用できるだろうか。中国はこれまでも、尖閣諸島や沖ノ鳥島周辺の日本のEEZ内で何度も事前通告なしに調査活動を行ってきた。

 中国は今回も、自国の共同開発案を固持した。それは、日本の領土である尖閣諸島周辺も共同開発の対象海域に含めたものだ。日本として、到底受け入れられない提案である。

 中国は1992年、国内法の領海法で尖閣諸島を一方的に自国領土と明記し、外国船を「排除する権利」行使も盛り込んだ。これに対し、日本は自国の海洋権益を守る国内法が十分に整備されていない。

 先の通常国会で、自民党は「海洋構築物に関する安全水域設置法案」を提出した。海底資源の試掘施設の半径500メートル以内を安全水域とし、不法侵入を罰する内容だ。民主党も、国の責任で海底資源開発を行う法案と、日本のEEZ内での外国人の資源探査を禁止する法案を提出した。だが、いずれも継続審議となった。

 その一方で、中国は白樺ガス田と浙江省寧波市を結ぶ海底パイプラインを完成させ、中間線より中国側にあるガス田付近でも新たな採掘施設を建設していることが、海上保安庁の調査で確認されている。

 これ以上、中国の時間稼ぎと既成事実化を許さないためには、日本も対抗措置をとりながら交渉に臨む必要がある。海洋権益法案の成立と試掘の準備を急がなければならない。●=王へんに旋

東シナ海ガス田 中国に生産自制求めるも拒否

2006/07/09 The Sankei Shimbun

 【北京9日共同】日中両国は9日、東シナ海ガス田開発に関する政府間協議を北京で前日に続き開催、日本側は「白樺」(中国名・春暁)ガス田の生産を自制するよう求めたが、中国側は拒否した。一方、日中間で不測の事態を回避するため、日本の海上保安庁と中国国家海洋局の連絡態勢を強化することでは一致した。

 協議に出席した外務省の佐々江賢一郎アジア大洋州局長は終了後、「(日中双方の)理解は深まったと思うが、依然として立場に差がある」と記者団に語った。

 日中双方は今後の協議促進のため「技術専門家会合」を新たに設置することで合意。資源エネルギー分野の専門的見地から合意点を探ることとした。

 日本側は、中国国家海洋局が近く生産を開始すると表明している白樺ガス田について「地下構造は日中中間線の日本側海底までつながっている可能性があり、日本側の資源まで奪われる恐れがある」との立場から生産自制を強く要求。しかし中国側は「そうした議論は受け入れられない」などと応じなかった。

 また日本側は、中国側が事前通報なしに日本の排他的経済水域(EEZ)内で海洋調査を実施したことについて「協議の環境に大変マイナス」と抗議。中国側は、今後は事前通報に関する日中間の取り決めに従うとの考えを示した。

 協議には日本側から佐々江局長と小平信因資源エネルギー庁長官、中国側から中国外務省の胡正躍アジア局長らが出席した。

中国、尖閣周辺の共同開発案を固持

2006/07/09 The Sankei Shimbun

 【北京=野口東秀】日中両国政府は8日、東シナ海のガス田開発をめぐる第6回局長級協議を北京で開催した。協議は9日も続くが、関係筋によると、8日の協議で双方はこれまで互いに提示した共同開発案を基に意見交換した。中国側は尖閣諸島(中国名・釣魚島)周辺の共同開発案を固持、新しい提案は示さなかった。

「白樺」ガス田にパイプライン完成、中国紙が報道

2006年06月24日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【北京=末続哲也】23日付の中国紙「中国海洋報」によると、日中中間線付近にある天然ガス田の「白樺」(中国名・春暁)で生産したガスを運び出すために使う全長約472キロの海底パイプラインが昨年末に完成し、今月上旬にパイプラインの最終点検が終了した。

 同紙は「春暁ガス田の天然ガス輸送は、操業開始の条件を整えた」と伝えた。

 日本政府は中国側に、白樺の開発中止を求めているが、パイプライン完成は、中国側が白樺の生産開始に向け、着々と作業を進めていることを示している。

 同紙によると、パイプラインは白樺と浙江省寧波を結び、設計やルート選定に4年、設置工事に2年近くを費やした。工事は、中国海洋石油渤海公司と韓国の現代重工が請け負った。

 中国の白樺開発に対する総投資額は約95億元(約1380億円)。白樺ガス田の操業開始後の年間ガス供給量は当面、中国大陸に近い「平湖」ガス田の約6倍の25億立方メートルを予定している。同紙は、白樺開発について「浙江や上海、長江デルタ地域の社会や経済の発展に大変重大な意義を持っている」としている。

日中「ガス田」協議、進展ないまま継続確認

2006/05/18 The Sankei Shimbun

 東シナ海の石油ガス田開発をめぐる第5回日中局長級協議が18日、都内で開かれた。しかし、双方の主張の隔たりは大きく、新たな提案もないまま、協議継続を確認するにとどまった。

 日本側は昨年、日中中間線付近の白樺(中国名・春暁)、樫(同・天外天)、楠木(同・断橋)、翌檜(同・龍井)を共同開発の対象とするよう提案。中国は今年3月、(1)尖閣諸島北側の日本の排他的経済水域(EEZ)内の海域(2)日韓大陸棚共同開発区域に隣接する翌檜の北方―の2カ所を、共同開発するとした。

 18日の協議で日本側は、中国側提案の具体的な海域について説明を求め、尖閣諸島の周辺海域での共同開発は受け入れられない、との立場を改めて表明。白樺などで中国側が一方的に進めている開発作業を中止するよう、重ねて求めた。中国側は、日本側の案に難色を示したもようだ。

中国がガス田拡張工事 「平湖」で掘削船活動

2006/05/05 The Sankei Shimbun

 東シナ海の日中中間線付近の中国側海域にある平湖石油ガス田の周辺海域で、中国の掘削船が活動していることが4日、明らかになった。平湖石油ガス田群は中国・上海などに資源を供給しているが、採掘規模の拡大を急いでいる。中国は平湖石油ガス田群の拡張工事を行う一方、白樺(中国名・春暁)石油ガス田群でも生産増強の態勢をとるものとみられる。

 複数の政府筋によると、中国の掘削船が活動しているのは、日中中間線から約70キロメートル中国側海域の平湖石油ガス田群の周辺海域。

 中国はこの周辺海域で、1980年代半ばに数十本の試掘井を掘っており、日本政府は「新たな油田の開発に乗り出している可能性がある」(外務省筋)として、今回の掘削船の活動が新たな試掘のためか、過去の試掘で埋蔵が確認された井戸を正式に採掘するためのもののいずれかではないかと分析している。

 平湖石油ガス田群は、放鶴亭、八角亭、中山亭の3つの石油・ガス田からなる。海底パイプラインで、採掘した石油や天然ガスを上海などに供給している。

 中国は3月1日に海事局のホームページで、平湖石油ガス田群の拡張工事のため、9月末まで中国の作業船を除く船舶に対し、平湖石油ガス田群付近の海域への立ち入りを禁止している。

 一方、中国は日中中間線付近の白樺石油ガス田群の開発も急ピッチで進めている。白樺石油ガス田群は白樺、樫(同・天外天)、楠(同・断橋)、残雪の4つの石油・ガス田からなり、樫は昨年九月に生産を開始。白樺もいつでも生産に着手できる状態にある。また、残る楠と残雪も2年後には採掘施設の備え付けなどが終わるとみられている。

東シナ海航行禁止 中国、正式通告せず 海洋法条約、抵触の恐れ

2006/04/16 The Sankei Shimbun東京版【東京朝刊から】

 中国政府が、東シナ海の石油ガス田開発にからみ、日本が主張する日中中間線をまたいだ海域で一般船舶の航行禁止を公示していた問題で、中国側は日本政府に約一カ月半にわたり正式に通告していないことが十六日、分かった。複数の政府筋が明らかにした。今回の中国側の措置は、公海自由の原則を定めた国連海洋法条約などに抵触する恐れもあり、政府は十七日にも中国政府に抗議する方向で調整している。

              ◇

 複数の政府筋によると、この情報が政府首脳周辺にもたらされたのは十五日。水産庁からの問い合わせがきっかけだった。首相官邸が外務、経済産業両省に照会したところ、「中国側から航行禁止の通告はない」と説明。他の関係省庁にも事実関係の確認を指示したところ、海上保安庁が、中国海事局のホームページ上で公示されているのを知り、中国側に照会したという。政府は外交ルートでも中国側に説明を求めているが、明確な回答はまだないという。

 海上保安庁は十四日に公示を知ったという情報もある。ただ、ホームページの真贋(しんがん)がはっきりしなかったこともあり、「不審情報」として、同日中に情報当局を経由し首相周辺に報告したという。

 中国海事局のホームページによると、同局は「平湖ガス田」の拡張工事のため三月一日から九月末まで、中国の作業船を除く船舶に同ガス田付近海域への立ち入り禁止を公示した。指定海域は日中中間線から日本側へまたいでおり、南北二百キロ、東西三・六キロに及んでいる。

 日中両政府は先月六、七の両日、ガス田開発をめぐる第四回協議を北京で開いたが、中国側はこのときすでに航行禁止を公示していたことになる。協議で中国側は、中間線に近接する「白樺」(中国名・春暁)の開発中止を拒否したうえ、新たに尖閣諸島と日韓共同大陸棚までの共同開発を提案した。しかし、航行禁止については一切説明がなかったという。

 中国側が、日本が排他的経済水域(EEZ)と主張する海域まで一方的に航行を禁止すると公示したうえ、正式なルートで日本政府に通告していないことは、東シナ海を航行する船舶の安全上も重大な瑕疵(かし)がある。

 また、先月一日の公示後、日本政府が公示の事実を把握できずにきたことも大きな“落ち度”だといえ、政府はこの間の経緯について、外務、経済産業、国土交通など関係省庁を中心に調査する方針だ。

 一方、自民党の武部勤幹事長は十六日、フジテレビの番組で、「事実とすれば遺憾に堪えない。抗議しなければならない」と述べた。

中国が中間線またぎ「作業海域」設定、航行も禁止

2006/04/16 The Sankei Shimbun【東京朝刊から】

 【北京=伊藤正】中国政府が、ガス田開発をめぐり日中間の摩擦が続いている東シナ海で、一般船舶の航行を禁じる海域を設定し、公示していたことが十五日分かった。対象海域は日本が排他的経済水域(EEZ)に基づき主張する中間線を越えている。日中関係筋によると、日本政府への事前通告はなく、日本側の反発は必至だ。

 公示は、三月一日の海事局ホームページに掲載された。それによると、中国側は「平湖ガス田」の拡張工事のため、三月一日から九月末まで中国の作業船を除く船舶に対し、同ガス田付近海域への立ち入りを禁止。指定海域は「中間線」をまたぎ、南北二百キロ、東西三・六キロに及ぶ。

 平湖ガス田は、白樺(中国名・春暁)や樫(同・天外天)と同じく中国海洋石油が開発中で、「中間線」に近く、尖閣諸島(同・釣魚島)の北側に位置する。

 日中両政府は三月六、七両日、北京で東シナ海のガス田開発協議を行い、日本側は中間線をはさんだ海域での共同開発を提案したが、中国側は拒否、不調に終わった。

 中国側が協議に先立ち設定した航行禁止海域は、日本の中間線主張を拒否する従来の立場を行動で示した形で、日本側を強く刺激、今後の協議を一層複雑にするとみられている。

中国が中間線越え調査 東シナ海、航空機で

2006/04/01 中国新聞ニュース

 【ワシントン1日共同=米島雅孝】日本と中国が対立している東シナ海のガス田開発に関連し、中国が今年に入り東シナ海の日中中間線を越えて複数回にわたり、目的を明かさないまま航空機を使った調査活動を行ったとして、日本政府が抗議していたことが一日、分かった。資源調査に向けた基礎的なデータ収集を行った可能性があるとみられている。日米関係筋が明らかにした。

 調査実施にあたり、中国は事前に通告した。日本は、調査の目的に関し情報提供を求めたが、そのまま調査を行った。日本は事態を放置すれば、自らの排他的経済水域(EEZ)内での中国の活動を黙認することになりかねないとして抗議に踏み切った。中国は回答していない。

 日中両国が主張するEEZは東シナ海で重なっているため、日本は中間線を境界にするよう求めている。一方、中国は中間線を越えて沖縄近海の「沖縄トラフ」までが海洋権益を主張できる自国の大陸棚としており、航空機による調査もこうした主張に沿った動きとみられる。

 小泉純一郎首相の靖国神社参拝やガス田開発などをめぐり日中関係が冷却する中、中間線を認めていない中国側が調査を強行、既成事実化を図るとともに、日本の対応を探ったとの見方もある。

 日中間には東シナ海で双方の海洋調査船が行う調査活動について事前通報制度があるが、航空機による活動は取り決めがない。日本は中国への対抗措置を含めて検討中。

 専門家によると、国連海洋法条約はEEZ内で他国の海洋調査には同意を与えるのが原則だが、資源探査に関しては拒否できるという。日本は「海洋調査か、それとも資源探査が目的か情報提供を求めたが回答が得られなかった」としている。

春暁ガス田:開発支援の会社が開業、浙江省に拠点

2006/03/23 中国情報局

  中国が東シナ海の日中中間線付近で開発しているガス田「春暁」(日本名:白樺)の支援業務を担当する企業「中海石油(舟山)基地物流有限公司」(中海舟山)が22日、開業した。23日付で香港メディアが伝えた。

  中海舟山は中海石油基地有限公司と舟山市港湾投資経営有限公司が共同出資して設立した。中海舟山はガス田開発を支援するために、物資の提供、荷物の積み下ろし、貯蔵などを行う予定。

  拠点は、浙江省・舟山市にある中海油舟山後勤基地。敷地面積は約1万2680平方メートルで、舟山港の老塘山地域にある設備をベースとする。1万トン級と5000トン級の雑貨埠頭がすでに完成している。(編集担当:菅原大輔・恩田有紀)

東シナ海ガス田 波紋呼ぶ対中配慮 二階氏、強硬・麻生氏を批判

2006/03/21 The Sankei Shimbun【東京朝刊から】

 東シナ海の石油ガス田開発問題に関する二階俊博経済産業相の発言が20日、政府・与党内に波紋を広げた。対抗措置として試掘をほのめかす麻生太郎外相を19日の民放番組で批判した二階氏は、協議継続を強く主張しているが、政府・与党内からは中国側に配慮し過ぎではないかとの声が上がっている。

 安倍晋三官房長官は20日の記者会見で、二階氏が麻生氏を批判したことについて「外務省と経済産業省でしっかりと協議を行い、交渉をしてきた。2人の大臣の声はある意味でハーモニーになっているので、よく中国側も受け止めてもらいたい」と述べた。

 二階氏は「指折りの親中派」(与党幹部)として知られ、今年2月の訪中で温家宝首相と会談し、昨年秋以降中断していたガス田開発に関する局長級協議の再開にこぎつけた。

 しかし、中国は今月6、7の両日に行われた協議で、わが国固有の領土である尖閣諸島付近や日中中間線より日本側にある日韓大陸棚共同開発区域での共同開発を逆提案した。「親中派として中国に乗り込んだはずの二階氏だったが、顔に泥を塗られた」(日中関係筋)という状況だ。

 政府内には「麻生氏が試掘に踏み切る可能性を唱え、二階氏がそれを打ち消すという役割分担ができればいい。中国への牽制(けんせい)になる」(政府関係者)と肯定的にとらえる声もある。

 ただ二階氏は、中国がガス田の共同開発を尖閣諸島の領有権問題にすり替えるかのような提案をしてきた後も対話優先を掲げていることから、外務省内には「二階氏は先の訪中で、試掘はしないととられかねない言質を中国に与えてしまったのではないか」(幹部)との疑念さえ出ている。

ガス田開発 日韓大陸棚も日本側 中国提案 「尖閣」は領海ぎわ

平成18(2006)年03月11日 The Sankei Shimbun

 東シナ海の石油ガス田開発をめぐり、中国が共同開発を提案した日韓大陸棚の対象海域も日中中間線より日本側だったことが十日、分かった。中国は日中中間線より中国側の海域については一切、共同開発する意思がないことを示したものといえる。

 複数の政府・外交筋によると、北京で六、七両日に開かれた第四回日中政府間協議では、中国側が協議の終盤、二カ所の共同開発対象海域を記した海図を配布した。対象海域はエリアではなく、小さな黒い丸で記されており、日中中間線は記されていなかったという。

 中国側は、黒い丸のつけられた海域の緯度や経度の詳細情報を知らせず、「わが国の案に関心があれば詳細を説明する用意がある」と説明したという。

 このため、協議後に日本側交渉団が精査したところ、一つは「翌檜(あすなろ)」(中国名・龍井)の北に位置し、日中中間線の日本側で、日韓大陸棚協定に基づく日韓共同開発区域内だった。もう一つは尖閣諸島の北で領海(同島から十二カイリ・約二二・二キロ)すれすれの日本の排他的経済水域(EEZ)内だったことが分かった。ところが、外務省の佐々江賢一郎アジア大洋州局長ら日本側交渉団は、すぐには首相官邸に詳細を報告せず、中国側が提示した対象海域についても公表しないように求めたとされる。

 佐々江氏は帰国後の八日、小泉純一郎首相と安倍晋三官房長官それぞれに、交渉内容を説明したが、安倍氏は「尖閣諸島も日韓共同大陸棚も全く問題外の提案だ。なぜその場で中国側に突き返さなかったのか」と強く叱責(しっせき)したという。

 政府高官は「中国が交渉の引き延ばしを狙ってくる可能性は十分にあり、それを予測して『共同開発に応じないならば日本独自で試掘を始める』と迫るべきだった」と交渉姿勢に不信感を隠していない。

 一方、自民党は十日、EEZ内で天然資源の探査などを行う際の安全確保を目指す「海洋構築物の安全水域の設定等に関する法案」を了承した。公明、民主両党などと共同で提出する方針。

 法案は、日本のEEZ内で天然資源の探査・開発や科学調査などを行う際、国土交通相が施設の周囲五百メートルを安全水域と設定し、許可なく入域することを禁止することが柱。政府は「帝国石油」に東シナ海での試掘権を与えているが、海洋掘削装置などの安全を守る法案が整備されていない。

                  ◇

【用語解説】日中中間線

 資源開発などの権利が認められる排他的経済水域(EEZ)をめぐり日本が主張する東シナ海での中国との境界線。日本は両国の海岸線から等距離地点を結んだ「中間線」を境界線としている。中国は大陸棚が続く「沖縄トラフ」までが自国のEEZと主張している。

                  ◇

 □中西輝政京大教授

 ■領土紛争拡大を意図か

 中国側の共同開発案は「話し合いをするつもりはない」との意思表示だ。そもそも日中中間線の日本寄りの海域しか共同開発しないというのは、共同開発の意味を取り違えている。まして尖閣諸島周辺の共同開発は、領土紛争を広げようという意図としか受け取れない。けんかを売ってきたようなものだ。

 中国は南沙諸島の領有権をめぐる南シナ海紛争の際も、ベトナムやフィリピンなどと協議している最中に軍艦を派遣し、経済開発を進め、実効支配した。西沙諸島の領有権問題でも、台湾やベトナムに協議を持ちかける一方で、軍部が実効支配を固めた。外務省と軍は役割分担をしており、中国の「話し合い」は、時間稼ぎと国際社会へのイメージ作りにすぎない。

 日本政府は、南シナ海紛争などから全く何も学んでいなかった。外務省は事態が表面化することをことごとく避け続けたが、こうした過去の日本の不作為が今回の事態を招いたといっていい。

 取るべき対応はただ一つ。日中中間線に近い日本側水域で試掘を開始することだ。領土・領海に対する国家の明確な意思を見せてこそ、外交ルートでの協議は成立する。首相は、協議機関を設置し、リーダーシップを発揮すべきだ。(談)

東シナ海ガス田の意味

2006/03/16 FujiSankei Business i. 佐藤優

 ■「領土問題化」狙う中国の策略

 日中関係が質的に、日本が不利になる方向に転換しようとしている。三月六、七日、北京で行われた東シナ海のガス田開発をめぐる日中政府間協議で中国側が共同開発提案を行ったことが明らかになった。この共同提案の地域には尖閣諸島が含まれている。当然のことながら、日本政府は「わが国の立場とは相いれない」(安倍晋三官房長官の三月八日記者会見)と提案を拒否した。

 中国は尖閣諸島を含む地域の共同開発を含む提案をしても日本が百パーセント拒否することはわかっている。わかった上でわざとやっているのだ。それでは中国は何を意図しているのだろうか?

 答えを先に言うと、尖閣諸島の帰属問題を領土問題として日本側に認知させることを狙っている。三月九日、中国外務省の定例記者会見で秦剛副報道官は「魚釣島(尖閣諸島の中国名)は中国固有の領土であり、日本の領土という前提で中国の提案を受け入れないのは理由がない」と述べた。これに対して日本のマスコミは、尖閣を巡る領土問題で東シナ海ガス田開発問題が一層紛糾することになったと報じている。中国当局はこれらの報道をチェックして「シメシメ」と舌を出して笑っていることと思う。

 最近、日本がロシアと北方領土問題、韓国と竹島問題、中国と尖閣問題という三つの領土問題を抱えているという報道が目立つ。実はこの報道は不正確だ。

 領土問題とは、日本固有の領土が外国に不法占拠されている状況を本来の状態に戻すことを意味する。従って、北方領土、竹島の二つだけが領土問題なのである。尖閣諸島に関しては日本が実効支配している。従って、領土問題は存在しないのである。中国が「魚釣島は中国固有の領土」などというのは難癖や因縁の類に過ぎないので一切取り合わず、直ちに却下することだ。これは何も対中強硬論でない。領土を実効支配している側の国が取る基本的対応なのである。

 一九七〇年代後半は旧ソ連の対日姿勢が最も硬化した時期だ。当時、ソ連は北方領土問題の存在すら認めなかった。当時のグロムイコ外務大臣はいつも苦虫を噛みつぶしたような顔で、他国の言うことに耳を貸さず、「ミスター・ニェット(ノー)」と言われていた。ソ連のかたくなな姿勢を崩すために日本政府は北方四島を今すぐ返せという「四島即時一括返還」をスローガンにした。当時は中ソ対立が激しい時期だったので、中国が日本の肩をもち、北方領土返還運動を反ソ連社会帝国主義闘争の一環で支持した。

 ところがゴルバチョフが登場し、中ソ関係が正常化し、ソ連崩壊後、中露経済関係が発展すると中国は北方領土問題について何も言わなくなった。しかし、中国は北方領土交渉については注意深くウオッチしている。筆者が現役外交官として仕事をしていたときも、北方領土問題で日露関係に少しでも動きがあると中国の外交官やジャーナリストが必ず話を聞きにきた。東京だけでなく、モスクワでも中国人は北方領土交渉に関する情報を精力的に収集していた。

 中国人はゴルバチョフが北方領土問題の存在を認めたことで、その先、日本人が攻勢をかけ、ロシアが譲歩せざるを得なくなった過程を熟知している。その方法を今回日本に対して適用しているのだ。ガス田共同開発にあえて尖閣諸島を含み、日本政府と世論を興奮させ、その過程で「中国との領土問題で日本は譲歩しない」という機運を作り出す。ここでの中国の狙いは尖閣問題を難癖から領土問題に格上げすることである。

 中国は「この問題について日中双方の立場は完全に対立していますが、お互いに衝突は避けたいですね。外交協議を始めましょう」と言ってくる。お人よしの日本人は交渉のテーブルについてしまう。こうなると外交の「ゲームのルール」では尖閣問題が日本が抱える「第三の領土問題」になる。中国のやり方は、悪徳なテキ屋が「庭場(縄張り)を全部くださいとは言いません。とりあえずイスを一つだけ置いて商売(シノギ)をさせてください」とすり寄ってくるのに似ている。「イス一つくらいはいいや」と気を許してしまうとあっという間に縄張りをすべて乗っ取られてしまう。

 尖閣諸島を巡る問題については一切中国と対話しないことだ。日中間に領土問題は存在しないという原則を徹底することが求められている。

ガス田問題 「尖閣は中国領」 共同開発新提案を正当化

2006/03/10 The Sankei Shimbun 【東京朝刊から】

 【北京=野口東秀】中国外務省の秦剛報道官は9日の定例記者会見で、東シナ海のガス田共同開発問題に関し、「釣魚島(日本名・尖閣諸島)は中国固有の領土であり、日本の領土であるとの前提で中国案を受け入れないとの言い分は成り立たない」と日本を非難した。尖閣諸島を共同開発の対象海域に含めた中国側の新提案を正当化したもので日本を揺さぶる狙いがうかがえる。

 秦報道官は中国が開発を進める「白樺」(中国名・春暁)ガス田などについて、「日本との争いのない中国近海で開発が行われており、中国の主権に基づく正常な活動だ」と述べ、共同開発で合意するまで開発を中止するよう求めた日本案を7日の協議で拒否したことを強調した。

 秦報道官は拒否の理由として、日本が双方の排他的経済水域(EEZ)の境界線として日中中間線を主張していることを挙げ、「一方的な日本側の主張であり、中国は今後も受け入れることはありえない。中間線を前提とする共同開発の協議は受け入れられない」と述べた。

 秦報道官は「中国案は東シナ海の実情を踏まえ、『係争を棚上げして共同で開発する』との原則を体現したものであり、合理的で建設的だ」とも指摘、「東シナ海を『平和の海』にする」(温家宝首相)との中国側の平和的姿勢をアピールした。また、「日本側が(首相の)靖国神社参拝問題から関心をそらし、東シナ海問題を誇張すれば、両国関係のみならず東シナ海問題でも有益でない」と、日本側を批判、靖国問題の解決を優先するよう牽制(けんせい)した。

 中国は、エネルギー資源確保の国家戦略に立ち、1980年代から東シナ海の開発を進め、すでに詳細な海洋データを入手。「白樺」はパイプライン敷設が完了、香港紙によると、早ければ今月中にも生産を開始するとみられている。

尖閣諸島の日本領有受け入れず 中国

2006/03/09 中国新聞ニュース

 【北京9日共同】中国外務省の秦剛副報道局長は九日の定例会見で、東シナ海の共同開発問題に関し、尖閣諸島(中国名・釣魚島)の日本領有を前提とした立場は受け入れられないと表明、中国側による同諸島近海の共同開発提案に反発している日本側をけん制した。

 副局長は日本が排他的経済水域(EEZ)の境界と主張する東シナ海の中間線についても、受け入れないとの見解をあらためて示し、日本が共同開発を提案している「白樺」(中国名・春暁)ガス田も「争いのない中国近海」での開発として、提案を拒否する考えを示唆した。

 また、麻生太郎外相が台湾を「国家」と発言したことに対し、強く抗議すると語った。

中国側がガス田共同開発で新提案

2006/03/07 The Sankei Shimbun

 北京で行われていた東シナ海の天然ガス田開発をめぐる日中政府間協議が7日終了し、日本側によると、中国政府は共同開発に向けて新たな提案を日本側に示した。具体的内容は不明だが、中国側は前日の協議で東シナ海の日中中間線より日本側の海域だけを共同開発の対象範囲とする従来の主張を繰り返しており、日本にとって厳しい提案である可能性が高い。日本側は同案を持ち帰って検討する考えを伝えた。

 次回協議は近く東京で開催することで基本合意したが、中国政府は中間線付近の中国側で開発を進めている「春暁」(日本名・白樺(しらかば))ガス田について、生産開始時期などに関する日本の情報提供要求に応じなかった。日本は開発中止をあらためて求めたが中国は反発、原則論の応酬となった。

 安倍晋三官房長官は7日午後の記者会見で、中国側の新提案について「具体的な内容を言うことはできないが、今後、政府内で検討していくことになる」と述べた。

 共同開発の進め方については、双方で(1)暫定的措置とし、排他的経済水域(EEZ)をめぐる境界線画定交渉に影響させない(2)日中両国にとって互恵的でなければならない―との基本的認識を確認した。

 協議に出席した佐々江賢一郎外務省アジア大洋州局長は「真剣で率直なやりとりが行われた」などと指摘した。

 今回の協議は6日に始まり、中国側は同日、共同開発について、従来通り中間線より日本側の海域だけを対象とすると主張。日本側は受け入れがたいと回答していた。(共同)

ガス田共同開発めぐり難航か 日中政府間協議

2006/03/06 The Sankei Shimbun

 東シナ海のガス田開発問題をめぐる日中政府間協議が6日、北京で2日間の日程で始まった。前回協議で日本が提案した共同開発に対し、中国が新たな提案を示す見通しだが、東シナ海の日中中間線付近で中国側が開発中の「春暁」(日本名・白樺)ガス田などは共同開発の対象外とする公算が大きく、今回の協議も難航しそうだ。

 日本側の佐々江賢一郎外務省アジア大洋州局長は協議冒頭、ガス田問題について「(今後の)日中間の協力の定義を決める試金石となる」と強調。中国側の胡正躍外務省アジア局長は「中日関係で、対話を通じて解決すべき最も喫緊の課題」と述べた。

 日本側によると、先に訪中した二階俊博経済産業相と温家宝首相ら中国側との会談では、ガス田問題を早急に対話で解決すべきだとの認識で双方が一致。日中関係筋によると、中国側は、政府首脳が今後協議を直接指揮する意向を日本側に伝えており、新提案が中国にとって「首脳レベルの意向を踏まえた、ぎりぎりの妥協案」(同筋)であることが予測される。

 しかし、中国側は春暁ガス田と中国本土を結ぶパイプラインをすでに完成させており、今月中にも生産を開始するとの報道もある。中間線のわずか中国側に位置する春暁ガス田について「日本との間で争いのない海域での開発」(秦剛外務省副報道局長)との立場を崩さない中国が日本に譲歩するとの見方は少ない。

 これに対し日本側は昨年7月、中国に対抗する形で、帝国石油に春暁ガス田付近での試掘権を付与。二階経産相は、中国の猛反発が予想される試掘作業の着手に慎重な姿勢を示しているが、中国の新提案が春暁などの共同開発を対象外とした場合、試掘を求める声が日本国内で高まる可能性は否定できない。(共同)

天然ガス田「春暁」月内にも生産開始か 中国系香港紙が報道

2006/03/02 The Sankei Shimbun

 2日の中国系香港紙、大公報は消息筋の話として、中国が東シナ海の日中中間線付近で開発を進めている天然ガス田「春暁」(日本名・白樺(しらかば))について、早ければ今月内にも生産を始めると報じた。

 東シナ海のガス田をめぐっては第4回日中政府間協議が今月6、7日に北京で開催される予定になっている。

 同紙によると、春暁は現在、生産開始に向けた試運転を実施中。同ガス田から送られる天然ガスを処理する浙江省寧波市の陸上基地も点火されるなど、生産に向けた主要工程はすべて整っているという。

 大公報によると、中国当局は最近、寧波市の陸上基地に近づき、中の様子をうかがおうとした人物を確認。この人物は現場の関係者に見つかった後、直ちに逃げたが、「日本側のスパイの可能性が高い」との見方が出ているという。(共同)

今月6、7日に北京で開催 東シナ海の日中ガス田協議

2006/03/01 The Sankei Shimbun

 二階俊博経済産業相は1日の衆院予算委員会の分科会で、東シナ海の天然ガス田開発をめぐる第4回日中政府間協議を「今月6日、7日に開催する」と述べた。

 ガス田の共同開発について中国が新たな提案を示す見通しで、新提案が協議の打開につながるかが焦点になる。

 日本はこれまで、中国に日中中間線をまたぐ海域での共同開発を提案。中国は中間線の中国側海域は共同開発の対象にしないと主張、協議は難航していた。

 2月に訪中した二階経産相は第4回の政府間協議を3月上旬に北京で開催することで中国側と合意していたが、具体的な日程は固まっていなかった。

 佐藤茂樹氏(公明)の質問に答えた。

「日中共同開発で合意可能」 ガス田問題で中国次官

2006/01/19 The Sankei Shimbun

 中国の武大偉外務次官は18日、塩崎恭久(しおざき・やすひさ)外務副大臣と北京で会談し、東シナ海ガス田開発問題の解決策として日中間で協議している共同開発について「時間はかかるが、合意は可能だ。協議を進めたい」と述べ、中国側が妥協点を探っていることを示唆した。塩崎副大臣が会談後、明らかにした。

 また武次官は、訪中した金正日(キム・ジョンイル)総書記が中国南部の企業を熱心に見て回ったことを強調。17カ所を視察したことを明らかにした上で「非常に元気な様子で帰って行った」と述べた。(共同)

中国、ガス田で新提案へ 共同開発、日本案に難色

2006/01/09 The Sankei Shimbun

 中国政府は9日の日中政府間非公式協議で、東シナ海の天然ガス田問題をめぐり日本側が昨年提案した共同開発について難色を示し、次回正式協議で新たに中国案を提示する考えを日本側に伝えた。

 日中双方は、ガス田開発に関する第4回政府間協議を1月末か2月上旬にも北京で開催する方針で合意したが、中国側は日本の提案について「いろいろ問題がある」と指摘しており、どの程度歩み寄れるかは不透明だ。

 日本側はまた、在上海総領事館職員の自殺問題に関し、背景に中国公安当局の「遺憾な行為」があったとの立場をあらためて強調、中国側に厳重抗議した。(共同)

東シナ海領空侵犯 武器使用の「任務」明記 防衛庁、戦闘機応戦を強化

平成18(2006)年01月04日 The Sankei Shimbun

 東シナ海で、中国軍機による日本の防空識別圏への侵入が急増していることを受け、防衛庁が領空侵犯対処を強化することが三日、分かった。現行では、戦闘機の武器使用は「正当防衛」などに限定され、しかもその判断はパイロットに委ねられている。こうした曖昧(あいまい)さを解消するため、交戦規則(ROE、部隊行動基準)に、武器使用を明確に「任務」と明記し、指揮官の命令などに基づき応戦できる状況や手順を規定。艦艇と連携した共同対処の検討にも着手する。

 軍用機などの国籍不明機が日本の防空識別圏に侵入すると、領空侵犯を防ぐため、航空自衛隊の戦闘機が緊急発進(スクランブル)する。そして、不明機に近づき針路変更を勧告し、相手がこれに従わず領空に入った場合、退去か、飛行場への強制着陸を警告する。

 この際、相手が抵抗し機関砲などを発射すれば、航空自衛隊の戦闘機は応戦できる。つまり「正当防衛」「緊急避難」に限定されているのであり、武器を使用するかどうかを判断するのは、パイロットだ。これまでは、パイロットが武器を使用し相手に危害を加えた場合、パイロットが刑法の処罰対象になる可能性があった。そのことは「パイロットが武器の使用をためらい、対処が遅れ撃墜される」(制服組幹部)という事態を招きかねず、武器の使用と応戦の問題は、長年にわたり懸案となってきた。

 防衛庁はこうした現状を解消するため、具体的には、自衛隊法九五条の「武器などの防護」を適用。戦闘機という「武器」を守るため、航空方面隊司令官などの指揮官が状況に応じて、パイロットに武器使用を命令できるようにする。すでに内閣法制局の審査を終えており、関連規則改正などの検討や、発射を命令できるケースの検証に着手した。

 こうした動きを促したのは、中国軍機の防空識別圏への侵入が急増していることだ。平成十七年度は、過去最多だった十年度の三十回をすでに超えており、とりわけ東シナ海にあるガス田周辺への電子戦機の侵入が著しい。自衛隊の警戒部隊が「定期便」と称しているほどだ。

 また、日本の「帝国石油」が試掘に入れば、中国海軍の艦艇が警告射撃などで妨害してくる事態も、政府は想定しており、海上保安庁の巡視船や海上自衛隊の護衛艦を派遣することも視野にある。中国軍機の動向を監視するには、海自の電子戦データ収集機や艦艇のレーダー情報も重要だ。スクランブルで出動した戦闘機が、海自の航空機を防御することも不可欠となる。

 だが、領空侵犯対処での武器使用は、自機や、これと「一体的に行動する戦闘機」に限られている。

 このため、空自の戦闘機が海自の艦艇などを守るために武器を使用できるよう、武器使用の適用範囲をさらに拡大することも検討課題だ。

                  ◇

【用語解説】交戦規則(ROE)

 Rule Of Engagementの略。武力行使の条件や限界を細かく規定した行動基準。過剰な軍事行動に歯止めをかけるなどの目的で、最高指揮官による開戦の指示、捕虜の扱い方、前線兵士の射撃の方法などが定められている。ROEは軍の常識。しかし、自衛隊はこれをもち合わせておらず現在、策定の過程にある。自衛隊では「交戦規則」とは言わず、「部隊行動基準」と称している。

大海に五星紅旗 東シナ海ガス田、中国の生産態勢整う

2006/01/01 The Sankei Shimbun

 東シナ海の日中中間線付近で中国が開発を進めている白樺(中国名・春暁)石油ガス田が、生産態勢を整えたもようだ。居住棟やヘリポートが新たに建設され、余剰ガス排出口の先端には、生産開始を示す炎(フレア)の代わりに、真っ赤な中国国旗がはためいていた。

 日本政府によると、中国側はすでに白樺から樫(中国名・天外天)石油ガス田を経由し、中国本土の寧波までパイプラインを敷設、樫では昨年9月中旬に生産が始まっている。

≪東シナ海ガス田共同開発 日本案 中国施設に資金提供≫

 東シナ海の日中中間線付近での石油ガス田開発をめぐり、日本政府が中国政府に提案した共同開発案の概要が31日、明らかになった。日本が、中国の構築した採掘施設に対して資金を提供し、生産した石油や天然ガスを日中双方で配分するほか、中国がすでに採掘した地下資源については、地下構造のデータをもとに日中双方の配分比率を決めて換算。中国が日本に配当するというのが主な柱となっている。

 日本が共同開発の対象区域に挙げているのは、地下構造が中間線にまたがっているか、その可能性が高い白樺ガス田(中国名・春暁)、樫ガス田(同・天外天)、楠ガス田(同・断橋)など四つ。中国は東シナ海の平湖ガス田(中国名のみ)で、すでに生産を始めているが、地下構造が日本側につながっていないことから、同ガス田は共同開発の対象から外した。

 日本の共同開発案は中国が白樺と樫の両ガス田で採掘施設を建設、樫ガス田で生産を始めた事態を受けたもの。中国は樫ガス田から平湖ガス田、平湖ガス田から上海に至る石油パイプラインを海底に敷設している。

 日本は中国に開発の即時中止と地下構造のデータ提供を求めているが、中国は長期間にわたって開発資金を投入してきたことなどを挙げて、要請を拒否している。

 このため、日本はすでに稼働している中国の採掘施設に資金を供与し、日中が共同で運営する形態をとることで、採掘される石油や天然ガスを日中双方で分配しようというもの。

 共同開発は、中国がもともと提案していたものだが、中国は中間線から日本側海域だけを対象とするように主張。このため、日本は平成17年秋に開かれたガス田開発をめぐる日中局長級協議で対象海域を東シナ海全域に広げるよう求める対案を提示した。

 中国は次回の局長級協議で日本の提案に対する回答を示すとみられていたが、協議再開のメドは立っておらず、日本側提案を拒否する可能性が高まっている。

 <東シナ海石油ガス田開発問題> 国連アジア極東経済委員会(ECAFE)が1968年、石油が尖閣諸島周辺に豊富に埋蔵されている可能性があるとの調査を発表。推定埋蔵量はイラク(1125億バレル)に匹敵するとの見方もある。中国は約30年前から東シナ海の資源開発に乗り出し、92年には領海法を制定、尖閣諸島は中国領だと主張した。日本は中国に開発中止と情報提供を求める一方、対抗措置として帝国石油に試掘権を付与した。中国は現場海域に軍艦を派遣するなどの示威行動を展開している。

ガス田開発の安全確保へ法案 自民特別委が了承

平成17(2005)年12月1日 The Sankei Shimbun

 自民党の海洋権益特別委員会(武見敬三委員長)は一日、東シナ海の石油ガス田開発などの安全確保を目的とした「海洋建築物の安全水域に関する法律案」をまとめ、了承した。東シナ海のガス田をめぐっては、日中中間線付近で中国がガス田開発を進めており、中国側を牽制(けんせい)する狙いもありそうだ。

 法案は、日本の排他的経済水域(EEZ)や大陸棚で、天然資源の探査と開発や風力発電などの経済活動のほか海洋の科学調査−などを行う際に、施設建設などの安全を確保することが目的。

「春暁」生産準備が完了 中国海洋石油幹部

2005/10/31 The Sankei Shimbun

 中国が東シナ海の日中中間線付近で開発を進めている「春暁」(日本名・白樺)ガス田について、石油大手、中国海洋石油幹部は31日、「既に生産準備は完了している」と明らかにした。生産開始時期などには触れなかったが、中国本土に向けたパイプラインが既に整った可能性がある。

 春暁ガス田をめぐっては、中国系香港紙、文匯報が9月、同ガス田からパイプラインを通じて送られる天然ガスの処理施設が浙江省寧波市に完成間近と伝えたほか、中川昭一経済産業相(当時)が10月、パイプを積んだ船が春暁ガス田に向かったのを確認したと明らかにしていた。

 春暁ガス田など東シナ海のガス田開発をめぐっては、日中政府が9月末から10月初旬の局長級会合に続く次回会合の日程を調整中。(共同)

中国海洋石油が原油探査 東シナ海で米社と共同で

2005/10/18 The Sankei Shimbun

 中国海洋石油(CNOOC)は18日、米国の資源探査会社テキサス・アメリカン・リソーシズ社と共同で東シナ海沖の原油探査に乗り出すと発表した。

 両社は、中国広東省の珠江の河口沖合約1万600平方キロメートル、水深50―100メートルで協力して探査。リソーシズが探査費用を全額出資し、原油が発見されればCNOOCが最大51%の利益を得る権利がある。両社は別の海域でも協力する可能性があるという。

 リソーシズ社は1990に設立され、主にテキサス州で原油や天然ガスの生産、探査を行っている。(共同)

中国のガス田開発、7割が中止求める…読売世論調査

2005年10月17日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 読売新聞社が15、16の両日に実施した全国世論調査(面接方式)で、東シナ海での天然ガス田開発問題について、国民の計70%が中国が一方的に進めている開発を中止するよう求めていることが明らかになった。

 また、中国がガス田開発を中止しない場合、日本も独自に開発すべきだという声が65%に上った。

 東シナ海の天然ガス開発問題は、日中両国の排他的経済水域(EEZ)の境界線が未画定な中で、両政府の主張が平行線をたどっているだけに、中国側が日本側の中止要請を無視して今後も開発を続行すれば、日本の国民レベルでの対中感情にも大きな影響をもたらしそうだ。

 一方、小泉内閣の支持率は59・4%で、前回調査(9月17、18日実施)より2・6ポイントの微減となった。不支持率は32・4%(前回調査比2・5ポイント増)。

 主な政党支持率は、自民党が42・0%で、前回調査比1・7ポイント減ながら依然、高水準を保っている。前原代表が就任して1か月たった民主党は、同1・5ポイント減の13・4%にとどまった。

日中局長協議:16日から中国で ガス田開発問題など協議

2005年10月16日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE

 外務省は15日、佐々江賢一郎アジア大洋州局長が16日から訪中し、中国外務省の武大偉次官、崔天凱アジア局長と会談すると発表した。23日ごろに予定している町村信孝外相の訪中へ向け、両国間の各種分野の交流を進める「日中共同作業計画」の策定や東シナ海のガス田開発問題などについて協議する。

ガス田協議 日本の共同開発案、中国が留保 試掘判断、瀬戸際に

2005/10/02 The Sankei Shimbun

 東シナ海の石油ガス田開発問題をめぐる日中の局長級協議が一日、外務省で開かれ、日本は中国が提案している共同開発について対案を提示、中国は持ち帰って検討するとの考えを表明した。次回協議は十月中に北京で開かれるが、中国は日本の開発中止要請を改めて拒否するなど二日間に及んだ協議は大きな進展がなかった。与党などからは日本も試掘に踏み切るべきだとの声が高まっており、政府は最終判断を迫られることになった。

 日本側は開発中止とともに地下構造のデータ提供を求めたが、中国は「共同開発の原則合意後に検討する」と表明。また、中国が九月から日中中間線付近にある樫ガス田(中国名・天外天)で生産を開始したことに懸念を示したが、「係争のない中国の近海で行っている」と反論した。

 さらに日本は試掘実施に踏み切るべきだという国内世論が高まっていることを説明したが、中国は激しく反発した。

 日本側は対案の内容を明らかにしていないが、(1)中国が既に建造した採掘施設も共同開発の対象(2)採掘によって得られる利益は両国で分け合う−などが骨格とみられる。

 協議後、中国の崔天凱外務省アジア局長は民主党の前原誠司代表と同党本部で会談し、「多年にわたり中国企業が資金を投入してきた。(日本が)係争問題にこだわれば地理的、法律的、民族感情面で複雑になる」と述べ、開発中止要請を拒否する考えを示した。

 日本政府は「現実的な落とし所は日中双方による共同開発だ」(外務省筋)として、対象海域は日中中間線をまたぐよう求めているが、与党内からは「協議を何度重ねても、立場の違いは埋まらない」との声も出ている。

 政府は帝国石油に対して日中中間線の日本海側海域で試掘権を与えているが、帝国石油は安全の確保などを理由に日中の政府間協議の行方を見守る考えを示している。このため、政府は試掘を帝国石油への委託事業とすることを検討している。

 外務省幹部は「中国との協議は進めるが、試掘に向けた手続きも整然と進める」としており、資源エネルギー庁幹部も「試掘という主権的行為を日本側の海域で行うのは法的に何ら問題はない。後は首相官邸の政治判断だ」としている。

             ◇

 <春暁→白樺 天外天→樫… 日本、和名表記で対抗>

 東シナ海の日中中間線付近の海底石油ガス資源をめぐっては、中国が一九九〇年代後半から日本に無断で資源探査を進め、中間線よりも日本側の海域でも中国名を付けていた。

 これに対抗して日本は今春、日本側に位置するエリアを「桔梗(ききょう)」(中国名=冷泉)と命名、日本側の探査で中間線をまたいで資源分布が判明したエリアを「白樺(しらかば)」(同=春暁(しゅんぎょう))、「楠」(同=断橋(だんきょう))と名付けた。

 さらに先月には、中間線よりやや中国側の天外天(てんがいてん)についても、地質構造が日本側と連続している可能性が強いとして「樫」と名付け、今後は呼称を日本名に切り替えることを決めた。

 樫に建設された中国の採掘施設では先月、生産開始に伴って放出される余剰ガスの炎が確認され、白樺の施設についても中国側は十月に採掘を始めると発表している。

東シナ海石油ガス田 日本が試掘に踏み切れば…、“武力衝突”の可能性も

2005/10/01 The Sankei Shimbun
妨害行動に手立てなく

 東シナ海の石油ガス田開発に関する日中協議が開かれる中、日本企業による試掘に向けた政府の安全確保対策は遅々として進んでいない。中国側と対等な立場で交渉するには「日本側が試掘に着手するのが前提」(民間企業幹部)にもかかわらず、中国側の示威的な軍事行動に対抗する法整備を先送りしてきたためだ。偶発的な“武力衝突”の可能性も否定できない中、日本側が試掘に踏み切った場合に中国側がどう出るか、シミュレーションしてみた。(杉本康士)

 <中国の圧力>

 日中中間線付近での日本側の調査に対し、中国側はこれまで、漁船を装った“工作船”が拡声器で大音量を流し、音波調査を繰り返し妨げていた。

 しかし、今年に入って妨害活動は民間船主体から、国の艦船によるものへとエスカレート。国家海洋局の調査船が、日本の調査船の前方を至近距離で横切る危険な航行で妨害したほか、九月にはミサイル駆逐艦一隻、フリゲート艦二隻、洋上補給艦、情報収集艦の計五隻が、中間線付近の中国側海域で活動しているのを海上自衛隊の対潜哨戒機P3Cが確認した。

 こうしたことから、政府から試掘権を得た帝国石油が試掘に踏み切った場合、漁船や調査船に加え、沿岸警備隊の船舶や海軍艦艇、軍用機が、(1)日本の調査船の周囲を航行して心理的な圧力をかける(2)進路を妨害したり、体当たりしたりする物理的な妨害(3)射撃による強制的な排除−といった行動に出ることが予想される。

 <偶発的衝突も>

 中国海軍は東シナ海を対象とした予備役の船艇大隊を編成したとされ、東シナ海には緊張が高まっている。中越両国が二〇〇〇年末に海上国境に関する協定を締結したトンキン湾では、今年に入って両国の漁船と治安当局の銃撃戦が発生した。

 拓殖大の茅原郁生教授(中国政治)は、トンキン湾では両国が海軍力を展開してにらみ合いながらも、中国側が直接排除行動には出ていないことを挙げ、「中国政府は東シナ海でも慎重姿勢をとる」とみる。ただ、「中国海軍の現場指揮官が緊張状態の中で独断専行し、交戦状態になることもありうる」とも述べており、“最悪のケース”も否定できない。

 中国軍艦による示威行動への対抗策をめぐっては、専門家の間でも意見が分かれている。

 中国軍事問題研究家の平松茂雄氏は「日本側は政治判断で自衛隊の船を出すことが必要だ」と指摘。これに対し、海洋政策研究財団の秋山昌広会長(元防衛事務次官)は、中国側の強圧的な姿勢を逆に際立たせる意味で、「中国による示威行動程度であれば、海上自衛隊が出ていく必要はない」との立場だ。

 <法整備が急務>

 中国は中間線の日本側海域も自国の排他的経済水域(EEZ)内との立場をとっており、試掘に向けた日本側の調査活動に対する妨害ばかりではなく、中間線の日本側海域で試掘を行う事態も想定される。

 秋山氏によると、中国船の体当たりなどで日本船が危険にさらされた場合、船舶往来妨害罪や器物損壊罪で取り締まることは可能だ。国連海洋法条約は、EEZ内で外国船舶を拿捕(だほ)する「追跡権」を認めている。

 しかし、日本の場合はあくまで領土・領海内での違法行為を取り締まる領海法しかなく、有効な手立てがないのが実情。九月二十二日の自民党海洋権益特別委員会では、石破茂元防衛庁長官が「自衛隊にはEEZ内で活動するための法律がなく、実際は何もできない」と法の未整備を指摘した。

 谷川秀善外務副大臣は九月二十九日の記者会見で、ガス田問題をめぐる政府の対応について、「こっちはちょっと弱腰みたいな点があった」と指摘し、これまで後手に回りすぎたとの認識を示した。秋山氏は「結果的に中国側が望む海域での共同開発に持ち込まれる危険性がある」と今後の推移を危惧(きぐ)している。

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 <中間線、当事国の合意で規定/日本の主張、世界の主流>

 一九九四(平成六)年に発効した国連海洋法条約は、海岸から二百カイリ(約三百七十キロ)の範囲を排他的経済水域(EEZ)と定めている。ただ、東シナ海での日本と中国のように双方からの二百カイリの範囲が重なる場合は、当事国の合意で定めると規定。EEZ内では石油や天然ガスの探査・開発、漁業などに主権的権利を持つ。

 中国は、中国大陸から沖縄トラフ(尖閣諸島と久米島間の海溝)の端まで大陸棚が続くとの自然延長論に立ち、この海域を自国のEEZと主張。これに対し、日本は両国が同じ大陸棚にあり、両国の二百カイリの中間線が境界になると主張してきた。

 八五年六月、リビアとマルタの大陸棚をめぐる争いで、国際司法裁判所は「大陸棚の自然延長論を適用することができない」との判決を下し、「中間線論を唱える日本の主張が世界の主流」(外務省筋)となっている。

 国連海洋法条約では、EEZが重なり合う場合でも二百カイリ以内に潜在的権利を認めているが、日本は潜在的権利に関する主張を封印、中国側に配慮を示してきた経緯がある。このため、東シナ海全域の共同開発を求める理由として、中国が日中中間線の中国側海域で開発している石油ガス田の地下構造が日本側海域に続いている可能性が高いことを挙げている。

「天外天」日本名は「樫」 主権明確化狙い命名

2005/09/27 The Sankei Shimbun

 中川昭一経済産業相は27日の閣議後の記者会見で、中国が開発中の東シナ海のガス田「天外天」に、「樫(かし)」という日本名を付けたことを明らかにした。

 名前を付けることで、一連のガス田問題をめぐり日本の主権を明確に示す狙いがある。

 中国は19日、天外天で生産に着手。中国の生産施設は、日中中間線より中国側に位置しているが、ガス田の構造が地下で日本側とつながっている可能性があると日本政府が指摘している。

 このため政府は「開発の中止とデータの提供」を要請している。今週末には東京で事務レベルの日中協議が開かれる予定で、日程の詰めを急いでいる。(共同)

東シナ海ガス田 帝石試掘に財政支援 政府、委託方式を検討

平成17(2005)年9月25日 The Sankei Shimbun

妨害対抗、海保派遣に根拠

 中国が東シナ海の日中中間線付近で石油ガス田開発を強行している問題で、政府は二十四日、日本側海域の試掘権を持つ帝国石油に試掘を委託する検討に入った。政府による試掘委託方式をとれば、財政支援がスムーズに行くだけでなく、中国が現場海域への艦艇派遣などの威嚇行為に出た場合、日本側も海上保安庁が巡視船派遣で対抗するなど帝国石油の作業を保護する根拠になると判断した。

 近く開かれる石油ガス田開発に関する日中局長級協議での中国側の出方を見極めたうえで、試掘委託の具体的な手続きなどを詰める考えだ。

 政府が今年七月に帝国石油に試掘権を与えたのは、日中中間線の日本側海域の三地点。帝国石油はいつでも試掘を始められることになっている。

 しかし、実際に石油ガス田を掘削する場合、「試掘井を一本掘るだけで二十億−三十億円はかかる」(資源エネルギー庁幹部)。このため帝国石油が費用を全額負担するのは無理ではないかとの指摘が出ていた。

 また、今月九日には春暁石油ガス田周辺で中国海軍のミサイル駆逐艦など五隻の航行が確認された。中国が試掘作業を妨害する行為に出た場合に、どう守るかは大きな課題。与党内では試掘の際の安全確保など日本の海洋権益保護に向けた法整備を特別国会で検討する動きも出ている。

 政府が帝国石油に試掘を委託するかたちにする案が浮上したのは、こうした状況を踏まえたものだ。試掘委託方式にして、財政支援を行う態勢を作れば、試掘作業は公的な性格を帯び、「巡視船の出動など政府の保護活動に根拠ができる」(政府関係者)からだ。

 東シナ海の石油ガス田をめぐっては、日中中間線付近の天外天石油ガス田で生産を開始。春暁、断橋でも石油ガス田開発を進めており、最近、中間線の中国側に存在する平湖の北方海域で新たな石油ガス田を開発している可能性があることも分かった。

 政府は中国に対して、再三、開発の中止や地下構造のデータを提供するよう求めている。これに対し中国側は日本の要求に応じる構えは見せず、逆に日本側海域の共同開発を提案。こうした中国の姿勢に、政府内には「中国は時間稼ぎをして既成事実を着々と積み上げている」(外務省筋)との声は高まるばかりだ。

 帝国石油は試掘に踏み切るかどうかは、日中の政府間協議の行方を見たうえで判断するとの姿勢を変えていない。

 しかし、天外天に続き春暁でも月内に生産が始まる可能性がある。春暁は断橋とともに、地下構造が日本側海域につながっており、中国によって日本の資源が吸い取られる可能性が高く、事態は切迫している。

東シナ海 中国が新ガス田 試掘やぐら?搬入

2005/09/23 The Sankei Shimbun 東京朝刊から

 日本政府が主張する東シナ海の日中中間線付近の中国側海域で、中国が新たな石油ガス田開発を進めている可能性が高いことが22日、明らかになった。防衛庁と海上保安庁が確認したもので、中国側が中間線付近でのガス田開発を着々と進めていることが改めて浮き彫りになった。政府は、来週後半にも再開する日中局長級協議でこれら海域の地下資源に関する情報提供を求めていく考えだ。

 中国が開発を進めているとみられるのは、中間線の中国側に存在する平湖石油ガス田の北方海域。海上自衛隊のP3C対潜哨戒機と海上保安庁の航空機が今夏、やぐらのようなものが輸送船で運び込まれているのを確認し、政府関係者の中では「試掘用のリグ(海上基地)ではないか」との見方が強まっている。

 政府が事実関係の公表を控えてきたのは、北朝鮮をめぐる6カ国協議が続いており、議長役の中国を刺激することで会議全体への影響を懸念したためとみられる。

 中間線付近の石油ガス田開発をめぐっては、天外天石油ガス田で中国政府系石油開発会社「中国海洋石油(CNOOC)」が本格的な生産を開始。春暁石油ガス田は今月中にも生産を開始する可能性が出ている。

 平湖石油ガス田は埋蔵量が少ないとみられることから、中国側はこれに代わるガス田開発に向け、周辺海域での資源探査を続けていた。

 今回、新たにやぐらの搬入が見つかった海域は、こうした資源探査によって天然ガス埋蔵が確認された場所とみられ、政府は他のガス田同様に本格生産に向けた試掘に乗り出す可能性があるとみて動向を監視していく方針だ。

 一方、今月9日には、超音速対艦ミサイルを搭載した中国海軍の駆逐艦など艦艇5隻が春暁石油ガス田付近を航行。8月にも中国軍機が東シナ海の日本の防空識別圏に侵入し、航空自衛隊の迎撃戦闘機が緊急発進するなど緊張が高まりつつある。

 中国側は一連の開発に対する日本側の抗議に対して、「企業行為」であるとし、「政治的意味を持つ軍艦の航行は重大問題である」(外務省)との抗議についても「通常の航行」と反論している。

東シナ海資源生産、中国に抗議 政府「一方的」

2005/09/21 The Sankei Shimbun

 日本と中国が対立する東シナ海の資源開発問題で、中国が開発するガス田「天外天」で石油か天然ガスの生産を始めたことについて外務省は21日、中国大使館に「一方的な開発は遺憾」と抗議したことを明らかにした。5月以来、中断している両国の局長級協議を今月中にも開く方向で調整しており、政府は中国に他のガス田も含めて開発・生産の中止と地質情報の提供をあらためて求める考えだ。

 政府は19日に天外天の掘削施設の煙突から炎が出ていることを確認。中国が石油か天然ガスの生産を始めた可能性が高いと判断していた。

 東シナ海の資源開発をめぐっては、中国海洋石油が天外天の南西にあるガス田「春暁」で今月中に生産を始めると表明している。

 日本の地質構造調査によると、春暁は、日本が主張する排他的経済水域(EEZ)の日中中間線をまたいで日本側に延びる構造になっており、中国の生産で日本側の資源が吸い取られる可能性がある。しかし、天外天の構造については、日本側につながっているかどうかは確認できていない。(共同)

中国、東シナ海ガス田で生産開始 天然ガスか石油

2005/09/20 The Sankei Shimbun

 中川昭一経済産業相は20日の閣議後の記者会見で、中国が東シナ海で開発中のガス田「天外天」で、天然ガスか石油の生産を開始したことを確認したと明らかにした。

 政府は天外天の生産施設から煙が排出されているのを把握した。天外天は日本側が主張する日中中間線付近の中国側に位置している。

 中川経産相は「至急、対応を協議したい」として、外交ルートを含めて中国に強く抗議、生産の中止を要請することを含めて各省庁との調整を急ぐ考えだ。

 東シナ海のガス田問題について日中は近く政府間協議を開き交渉を進める考えだが、具体的な日程調整のめどは立っていない。

 <東シナ海ガス田> ガス田開発をめぐる日本と中国の対立の背景には、両国の排他的経済水域(EEZ)についての見解の相違がある。日本は日中それぞれの海岸線から等距離の日中中間線をEEZの境界線と主張。一方の中国は自国から大陸棚が続くことを理由に、中間線より日本側にある沖縄トラフまでとしている。政府間協議は平行線で両国の溝は埋まっていない。(共同)

春暁の陸上基地、月内に完成の見通し

2005/09/11 The Sankei Shimbun

 11日付中国系香港紙、文匯報によると、中国が東シナ海の日中中間線付近で開発中の「春暁」ガス田に関し、同ガス田から送られる天然ガスを処理する浙江省寧波市の陸上基地が月内にも完成する見通しとなった。

 同ガス田をめぐっては中国海洋石油が今月中にも生産を始める計画を示している。

 同紙によると、春暁ガス田では既に天然ガスを産出しているが、現時点では量が少ない上、パイプラインの一部が未整備のため寧波市の基地に輸送できない。ただ、年内には輸送可能になる。

 陸上基地は同市北侖区にあり、地元の村は最近「春暁鎮」に名称も変更。基地建設のために中国海洋石油と中国石油化工が5億元(約68億円)を出資、カナダの設備などを輸入した。(共同)

春暁ガス田に中国艦隊、日本への示威行動か

2005年09月10日 読売新聞 Yomiuri On-LIne

 海底ガス田の開発を巡って日本と中国が対立している東シナ海の中国側のガス田海域で、海上自衛隊の哨戒機が9日、ガス田の周囲を航行している中国海軍の軍艦5隻を見つけた。このガス田の間近で中国の軍艦が確認されたのは初めて。

 海上自衛隊のP3C哨戒機(鹿屋航空基地所属)が、中国海軍のソブレメンヌイ級ミサイル駆逐艦(7940トン)など5隻を見つけたのは、9日午前9時ごろ。沖縄県・久米島の北西約290キロの東シナ海にある、中国が開発を進める春暁ガス田施設を、5隻のうち、駆逐艦1隻とジャンフーI級ミサイルフリゲート艦(1702トン)2隻が周回していた。

 日本が排他的経済水域(EEZ)を主張する日中中間線の日本側には入らなかったが、境界に迫っていたという。駆逐艦は最新鋭艦とされ、巡航ミサイルなどの搭載が可能で、今年1月にも久米島の北西約400キロの海域で2隻が確認されていた。

 また、海自がこれまで確認したことがなかった情報収集などをするミサイル観測支援艦や、洋上補給艦の2隻も付近を航行。5隻はいずれも現場海域を離れたとみられる。ガス田開発を巡って日中両政府が対立する中、中国側の示威行動との見方もある。

 春暁ガス田は、日中中間線に近い中国側にある。日本側の資源が吸い取られる可能性があるとして、経済産業省は7月、帝国石油に日本側の試掘権設定を許可したが、中国の石油会社は9月中にも生産開始が可能との見通しを示している。

 日本政府は「東シナ海で試掘権設定を許可した日本政府をけん制する狙いがあるのだろう」(政府筋)とみて、中国側の動きを注視している。

 政府は中国側の「けん制」に動じることなく、試掘準備を進める一方、ガス田問題の対立が先鋭化する事態を避けるため、中国政府に早期に実務者協議に応じるよう呼びかける方針だ。

「春暁」ガス田に中国軍艦5隻 海自、初めて確認

2005/09/09 The Sankei Shimbun

 9日午前9時ごろ、東シナ海の日中中間線付近で中国が手掛けるガス田「春暁(しゅんぎょう)」周辺を、中国海軍のソブレメンヌイ級ミサイル駆逐艦(7、940トン)1隻とジャンフーI級ミサイルフリゲート艦(1、702トン)2隻を含む5隻が航行しているのを海上自衛隊のP3C哨戒機が見つけた。

 中国の軍艦が「春暁」付近で確認されたのは初めて。海自は「航行目的などは分からない」としている。

 海自によると、現場は沖縄県・久米島の北西約290キロ。ミサイル駆逐艦、ミサイルフリゲート艦のほかは、洋上補給艦(23、000トン)、ミサイル観測支援艦(6、000トン)各1隻だったという。

 「春暁」をめぐっては、中国海洋石油幹部が9月中にも生産開始が可能との見通しを示したことなどで、日本と対立が続いている。(共同)

海洋油田、ガス田の生産量増でエネルギー不足改善

2005/09/06(火) 中国情報局

 国家海洋局によれば、今年1−6月、中国の海洋油田での原油生産量は前年同期比18.4%増の1576.8万トンだった。この伸び率は、中国全土での原油生産量全体の伸び率を12ポイント上回っていた。5日付で中国新聞社が伝えた。

 また、海洋ガス田での天然ガス生産量は前年同期比11.2%増の30.7億立方メートルだった。

 国家海洋局では、こうした海洋エネルギー資源の生産増が、中国の石油不足、ガス不足の状況改善に貢献したと分析している。(編集担当:恩田有紀)

外交部:東シナ海ガス田開発は「正当な権利行使」

2005/09/02(金) 中国情報局

 中国外交部の秦剛・報道官は1日の定例記者会見で、中国海洋石油が9月から、日中中間線付近にある「春暁」ガス田で生産を始めることを明らかにしたことについて、「日中間の争いのない、中国近海での開発であり、主権に基づいた正常な権利の行使だ」と主張した。

 また、「日中両国が、東シナ海の領海問題をめぐり争っているのは客観的な事実であり、中国政府は、協議を通じて妥当な解決方法を模索する」と述べたが、次回の協議についての詳細は交渉中としている。(編集担当:田村まどか・如月隼人)

東シナ海ガス田開発、自制を 外務省局長

2005/08/31 The Sankei Shimbun

 外務省の佐々江賢一郎アジア大洋州局長は31日、中国の程永華駐日公使を外務省に呼び、中国海洋石油が東シナ海の日中中間線付近の「春暁」ガス田で9月中にも生産開始するとの見通しを示したことに遺憾の意を伝え、「自制と責任ある対応」を求めた。

 これに対し程氏は「日中双方の係争のない区域での開発と考えている。東シナ海の問題を協議を通じて解決する考えに変わりはない」と述べ、同問題に関する日中局長級協議の次回日程を早急に調整するよう本国に伝えると約束した。

 北京の日本大使館も同日、中国外務省に対し同様の申し入れを行った。

 東シナ海ガス田開発をめぐっては、中国側の資源開発によって日本の権益が侵害されるとして、日本政府が開発作業の中止と情報提供を中国側に求めている。(共同)

中国海洋石油:目標年産量を1.6億バレルに

2005/08/30(火) 中国情報局

 中国海洋石油総公司の香港子会社である中国海洋石油有限公司[香港上場、中国海洋石油(CNOOC)、0883]は、2005年通年の原油および天然ガスの目標生産量をこれまでの予測値に据え置き、原油換算で1.6億−1.65億バレルとした。30日付で香港・財華網が伝えた。

 ただ、上半期(1−6月)の生産量は予測値を下回る結果に終わった。この件については、インドネシア油田の生産量が予想を下回ったことを要因に挙げている。

 そのほか、同社の傅成玉・董事長は、06年における原油価格を1バレル当たり平均55米ドルと予測。この原油高に伴い、同社が手がけるオイルサンド事業にも付加価値が付くと期待感を示している。また、下半期(7−12月)から操業を開始する予定のガス田は、06年より利益貢献が見込めるとした。

 また、米シェブロン社と事業提携を締結すると報道された件については、これを否定。現在、両社は協議を行っていないと明言した。オーストラリアGorgonでの天然ガスプロジェクトは、海外企業と共同で事業展開する意向を明らかにしている。(編集担当:黒川真吾)

春暁、9月中にも生産可能 中国海洋石油

2005/08/30 The Sankei Shimbun

 中国が東シナ海の日中中間線付近で開発を進めている「春暁」ガス田について、石油大手、中国海洋石油幹部は30日、9月中にも生産を始め、10月には浙江省寧波まで天然ガスを輸送することが可能だと明らかにした。同社の香港上場子会社の業績発表の場で語った。

 開発が順調に進んでいることをアピールする狙いとみられるが、生産開始は中国政府が最終的に決定するため、具体的日程などには触れなかった。

 同幹部は、春暁ガス田が中国の領海内にあり、「権益侵害の恐れがある」とする日本政府の主張には根拠がないとの立場をあらためて強調した。(共同)

中国・春暁ガス田 10月にも生産開始

2005/08/28 The Sankei Shimbun 東京朝刊から

 中国が東シナ海の日中中間線付近で、開発を進めている「春暁」「天外天」「平湖」の石油ガス田のうち、春暁が10月にも生産を開始する可能性が高いことが27日、政府筋の話で分かった。生産が開始されると中間線付近の石油ガス田の地質構造は日本側海域まで続いていることから、日本の海底資源が中国に吸い取られることになる。政府は作業中止を求めているが、中国は応じていない。日本の海洋権益が危機にひんしているといえ、日本が試掘に踏み切るなどの対応が急がれる。

 中国が春暁で、実用パイプを埋め込んだ掘削作業を行っていることは今月初めに確認されており、「このままのペースだと10月、遅くても11月には生産が始まる」(外務省幹部)という。政府は9日、外交ルートを通じて中国に作業中止と事実関係の確認を求めたが、中国からの明確な回答は得られなかった。

 24日の西田恒夫外務審議官と武大偉外務次官との会談では、今年5月以降、中断している石油ガス田開発に関する日中局長級協議の早期再開で一致した。しかし、「中国は6カ国協議への対応が忙しいとしており、再開のメドはまったく立っていない」という。「時間稼ぎをしている可能性もある」(日中関係筋)と既成事実を積み重ねる中国の対応への不信感も高まっている。

 政府は対抗措置として帝国石油に中間線付近の日本側海域の3地点の試掘権を許可している。同社は3日に登録免許税を納付し、法的にはいつでも試掘できる。

 ただ、試掘に踏み切った場合に中国海軍の艦艇などが現場海域に出動し、作業妨害する恐れもある。試掘には海上保安庁の巡視船などが現場で作業する日本企業の安全を確保できるような法整備が必要だとの指摘も与野党内から出ている。

 こうした状況から、同社は安全確保を理由に当面、日中の政府間協議の行方を見守る姿勢で、いつ試掘に取り掛かるか見通しは立っていない。

 中国の中間線付近での石油ガス田開発では、新たに「断橋」の開発も計画している。中国は日本に対して、共同開発を提案しているが、対象区域は中間線の日本側海域のみとしているのに対して、日本側は東シナ海全域とするように求めており、平行線が続いている。

中国がガス田の採掘準備か 政府、中止申し入れ

2005/08/10 The Sankei Shimbun

 中川昭一経済産業相は10日の閣議後の記者会見で、東シナ海のガス田開発をめぐって中国側が採掘体制を整えた可能性が高いことが判明し「昨日、外交ルートを通じて作業の中止を申し入れた」ことを明らかにした。

 東シナ海のガス田開発は日中の懸案となっており、中国が採掘への動きを強めたことで、一段と緊張感が高まった。

 中国側は、ガス田にパイプを埋め込み採掘体制を整えた可能性が高く、政府は9日、中国の日本大使館を通じて中国政府に、開発の中止とデータの提供を求めた。しかし中国側は「共同開発しましょう」との返答にとどまったという。

 中川経産相は、これまでの対応と変化がないとして「誠意ある回答はなかった」とした。ガス田開発をめぐる日中の政府間協議については「両国が納得できる話し合いを前提に、協議する用意がある」として再開に前向きな姿勢を示した。

 東シナ海のガス田は、日本が主張する排他的経済水域(EEZ)の境界線(日中中間線)にまたがる海底に埋蔵されており、日中が開発をめぐってつばぜり合いを繰り広げている。日本政府も先月、帝国石油から申請のあったガス田の試掘権を許可。ガス田開発の動きを本格化させている。(共同)

東シナ海ガス田試掘権の設定完了

2005/08/10 The Sankei Shimbun

 日中が対立している東シナ海のガス田に関して、九州経済産業局の松井哲夫局長は9日の会見で、試掘権を許可した帝国石油が登録免許税、約1000万円を納付し、試掘権の設定手続きがすべて完了したことを明らかにした。

 同局によると、8月3日付で帝国石油の試掘権は鉱業原簿に登録され、同局で閲覧できる。

 帝国石油は法律上は今後いつでも試掘作業を始められるが、同社は「作業の安全性が確保できる状態になってから試掘作業に入りたい」と話しており、日中両国の協議結果を見て判断する方針。

 経済産業省が7月14日、試掘権の許可を発表していた。(共同)

「白樺」「楠」「桔梗」 東シナ海ガス田に日本名

2005/07/15 The Sankei Shimbun

 経済産業省が帝国石油に試掘権を与えた東シナ海の3区域について、両者がそれぞれに「白樺(しらかば)」「楠(くすのき)」「桔梗(ききょう)」という日本名をつけて呼んでいたことが15日、分かった。埋蔵されている天然ガスや石油が、日本側の海域にある資源であることを明確にするためとみられる。

 白樺は、日本と中国の中間線をまたいで中国側の「春暁」と、楠は「断橋」と海底でそれぞれつながっている区域。桔梗は、これらの北側に位置している。(共同)

東シナ海ガス田の試掘権許可 経産省

2005/07/14 The Sankei Shimbun

 中川昭一経済産業相は14日午後、緊急記者会見し、帝国石油から申請のあった東シナ海のガス田の試掘権を許可することを正式に表明した。東シナ海でのエネルギー権益確保への意思を、日本政府として明確にする狙いがある。ただ、中国側が強く反発するのは必至で、エネルギー権益をめぐる日中の対立はさらに深まりそうだ。

 試掘権を許可しても、実際に試掘を実施するかどうかは明確ではなく、政府と帝国石油は、中国との関係などを考慮しながら慎重に判断する。

 東シナ海のガス田は、日本が主張する排他的経済水域(EEZ)の境界線(日中中間線)にまたがった海域の海底に埋蔵されており、これまで日中が政府間協議を進めてきたものの、境界線は確定していない。

 日中の対立が続く中、中国はガス田の開発を続けており、早ければ今夏にも生産が可能になる見通しだ。日本は開発の中止と埋蔵量などのデータの提出を求めているが、中国側は応じない姿勢だ。(共同)

東シナ海ガス田 週内にも試掘権許可

2005/07/13 The Sankei Shimbun

 経済産業省は13日、帝国石油から申請のあった東シナ海のガス田の試掘権を早ければ今週中に許可する方向で最終調整に入った。

 中国の大連で開かれている世界貿易機関(WTO)の非公式閣僚会議に出席している中川昭一経産相が14日に帰国するのを待って許可の日付を確定する方針だ。日本政府は、試掘権を許可し、権益確保を明確に示すのが狙い。

 試掘権許可の手続きに必要な自治体との協議では先週、鹿児島県と沖縄県が同意し、許可を出す条件が整っている。(共同)

月内にも帝国石油に試掘権を許可 南シナ海のガス田開発

2005/07/04 The Sankei Shimbun

 経済産業省が、帝国石油から申請のあった東シナ海のガス田開発での試掘権を、7月中にも正式に許可する見通しとなった。関係筋が4日明らかにした。

 東シナ海のガス田開発をめぐる日中の政府間協議が平行線をたどる中で、日本政府としては試掘権の許可によって権益確保の意思を明確にする狙いがある。ただ中国側が強く抗議するのは必至で、エネルギー権益をめぐる両国の駆け引きは一段と激しくなりそうだ。

 今回の試掘権は、手続き上は九州経産局長が許可する。同局長は、帝国石油が4月に提出した試掘権の設定願について関係地である鹿児島、沖縄両県知事と大詰めの協議を続けている。漁協などの利害団体が事実上存在しない公海上のため、今週中にも協議をまとめ、7月中には許可する見通しだ。

 東シナ海のガス田は、日本が主張する排他的経済水域(EEZ)の境界線(日中中間線)にまたがる海底に埋蔵されており、日中が開発をめぐってつばぜり合いを繰り広げている。境界線が確定しない中、中国が開発を先行、日本は開発の中止とデータの提出を求めたが、交渉は手詰まり状態となっている。

 中国に対抗するため日本政府は、4月に民間業者に試掘権を与える方針を示し、これに基づいて帝国石油が、同海域の3エリア計約400平方キロメートルについて試掘権の設定願を提出していた。

 帝国石油は、国連が発表した報告書などで東シナ海に石油資源が埋まっているとの調査などに基づき、1969年から試掘権申請に動いており、約35年越しで許可される見通しとなった。(共同)

データ提供などで難航も 東シナ海ガス田で日中協議

2005/05/30 The Sankei Shimbun

 日中対立が続く東シナ海の天然ガス田開発をめぐる両国政府間の2回目の局長級協議が30日、北京で2日間の日程で始まった。日本側の求める開発中止とデータ提供に中国側が応じる可能性は小さく、中国側が呼び掛けてきた共同開発でも双方の隔たりが大きいため、協議は難航しそうだ。

 話し合いが紛糾、決裂した場合、日本が対抗措置として独自開発に向けた作業を加速、これに反発する中国が対日批判を強め、実力阻止に動くという緊迫した事態を招くことも予想される。

 協議で日本側は、中国が東シナ海の中間線付近で開発中の「春暁」ガス田などの開発中止とデータ提供をあらためて要求。中国は「自国側海域での開発。応じる必要はない」との立場を強調するとみられる。

 外務省によると、中国が今月23日に呉儀副首相と小泉純一郎首相の会談を中止して以来、日中高官協議が行われるのは初めて。

 日本側は小平信因資源エネルギー庁長官と外務省の佐々江賢一郎アジア大洋州局長、中国側は崔天凱・外務省アジア局長らが出席。小平長官は協議前、記者団に対し、中国側が開発中止など日本の要求を受け入れなければ、共同開発の論議には応じられないと強調し、佐々江局長は「物事の重要性を中国政府が認識し、早急に決断するよう話を進めたい」と述べた。(共同)

≪開発中止が共同開発の前提≫

 東シナ海の天然ガス田開発をめぐる日中局長級協議に出席のため北京入りした小平信因資源エネルギー庁長官は30日、中国側に開発中止を要求する考えを強調し、中国側が応じなければ「『共同開発を進める』と言われても、信頼関係は成り立たない」と批判した。協議前に記者団に語った。

 中国の開発中止が共同開発の前提との立場を強調した発言だが、「中国の共同開発案をまず聞き、対応を決める」(幹部)とする外務省との微妙な温度差を示した形だ。

 小平長官は、中国海洋石油幹部が28日、今年10月に「春暁」ガス田の生産を開始する方針を明らかにしたことについても「それより早く開始するとの見方もある。生産は近い」と警戒感をあらわにした。

 一方、長官とともに北京入りした外務省の佐々江賢一郎アジア大洋州局長は「中国側の意見も聞き、できる限り一致点を見出したい」と表明。情勢次第では柔軟に対応する可能性を示唆した。(共同)

 東シナ海の天然ガス田開発をめぐる日中両国の主な動きは次の通り。

 2003年8月 中国と欧米の石油会社が「春暁」天然ガス田の共同開発契約を締結

 04年4月22日 海洋調査船活動に関する日中協議で、日本側は中国に国連海洋法条約順守を要求

 6月9日 中川昭一経済産業相、中国側に試掘データ提供を要求

 6月21日 李肇星外相、川口順子外相に共同開発を提案

 7月7日 日本側、日中中間線付近で独自調査を開始。中国外務省が抗議

 9月29日 欧米石油会社、開発撤退を発表

 10月25日 北京で初の日中局長級協議。中国側はデータ提供に応じず物別れ

 05年4月1日 経済産業省、春暁などの地質構造が日本側まで連続している、との調査結果を発表

 4月13日 日本政府、民間企業に対する試掘権付与の手続き開始。中国は「重大な挑発」と抗議、対抗措置の可能性を示唆

 4月28日 帝国石油、試掘権設定願を提出

 5月30日 北京で第2回局長級協議

 <日中中間線> 日中それぞれの海岸線などから等距離にある東シナ海上の線で、日本は中国との排他的経済水域(EEZ)の境界と主張してきた。中国が中間線付近の中国側で天然ガス田開発を続ける中、日本は経済権益が侵される恐れがあるとしてデータ提供と開発中止を要求。昨年10月、初の日中局長級協議が開催されたが物別れに終わった。日本側は今年4月、中国が開発中の天然ガス田の地質構造が日本側まで連続しているとの調査結果を発表。民間業者に試掘権を与える手続きを開始し、帝国石油が試掘権の設定願を提出した。(共同)

ガス田共同開発「中間線の両側で」中川経産相が見解

2005年05月29日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 中川経済産業相は29日、民放の報道番組に出演し、東シナ海の天然ガス田を巡る日本と中国の共同開発について、「中間線の両側ということで、初めてイコールフッティング(対等な条件)になる」と述べ、日本側の海域だけの共同開発は認めない考えを改めて示した。

 さらに、共同開発には、中間線をまたいでいるガス田「春暁」などのほか、中国側の海域で開発されている「平湖」も対象に含めるべきだとの見解を示した。

 「春暁」は今夏にも操業開始が見込まれており、政府は30、31日に北京で開かれるガス田問題の日中局長級協議で、開発の中止と情報提供を改めて求める。

 中国は、従来から共同開発の意向を示しているが、対象海域などは明確にしておらず、具体的な提案があるかどうかが注目される。

「春暁」ガス田、10月に生産開始 中国海洋石油幹部が表明

2005/05/28 The Sankei Shimbun

 中国の石油大手、中国海洋石油の趙利国(ちょう・りこく)法律部長は28日、都内で共同通信の取材に応じ、同社が東シナ海の日中中間線付近で開発を進めている「春暁」天然ガス田について、今年10月から生産を始める計画であることを明らかにした。

 同ガス田の開発をめぐって日本は「権益侵害の恐れがある」と主張、30日から北京で日中政府間の局長級協議を開く予定だが、趙部長は計画通り今年秋に生産に入る方針を強調した。

 日本は中国側に春暁ガス田のデータ提供と開発中止を要求しているが、「中国側海域での開発であり、応じる必要はない。国際的慣習にもそぐわない」と反論した。

 局長級協議については「争いを棚上げし、共同で(ガス田を)開発するとの中国側の一貫した主張に(日本側が)積極的に応じるよう期待する」と指摘。日本は中国の共同開発提案が具体的でないとして消極的だが、趙部長は「日中で特定区域に投資し開発する」と述べただけで、具体的な対象地域は示さなかった。

 日本政府が、中間線の日本側海域で民間企業に試掘権を付与する手続きを進めていることに対しては「問題を複雑化させるだけで、日中の対話に不利」と批判した。

 趙部長は28日、都内でのシンポジウムに出席した。(共同)

東シナ海ガス田に試掘願 帝国石油、3エリアで

2005/05/28 The Sankei Shimbun

 開発をめぐり日本と中国が対立している東シナ海のガス田問題で、帝国石油は28日、同海域の3エリア計約400平方キロメートルについて、試掘権の設定願を九州経済産業局に提出した。政府が試掘権を与える方針を決めて以降、民間業者の申請は初めてで、日本側の手続きが一歩前進する。

 帝国石油は「現時点では試掘に関する具体的な計画はなく、試掘できる環境にもない。将来対応するための準備」(社長室)と説明している。

 同社は1970年ごろ、同海域に約1万2000件(計約4万2000平方キロメートル)の試掘権を出願。今回は過去の自社探査の結果に加え、政府が昨年以降実施した三次元地震探査のデータなどを参考に有望エリアを絞り込んだ。

 3エリアは、いずれも日中中間線付近の日本側海域で、中国が開発を進めている春暁ガス田などのすぐ近くにある。

 経産省は今後、同社から基本的な試掘作業計画を盛り込んだ設備設計書の提出を受け、鹿児島・沖縄両県とも協議しながら審査を進める。早ければ2、3カ月で試掘権を付与する見通し。

 政府は、同社が実際の試掘作業にいつでも入れるように、安全確保策の検討も急ぐ。(共同)

中国側の変化なければ試掘権付与手続き…経産相が表明

2005/04/28 読売新聞 Yomiuri On-Line

 中川経済産業相は28日、読売新聞のインタビューに応じ、東シナ海の天然ガス田の開発について、「中国と共同開発しないということではないが、(日中が)対等な条件にならない限りは、日本のEEZ内を日本がやるのは当たり前だ」と述べ、中国側の対応が変化しない限り、民間業者に試掘権を与える手続きを進める考えを示した。

東シナ海ガス田に試掘願 帝国石油、3エリアで

2005/04/28 The Sankei Shimbun

 開発をめぐり日本と中国が対立している東シナ海のガス田問題で、帝国石油は28日、同海域の3エリア計約400平方キロメートルについて、試掘権の設定願を九州経済産業局に提出した。政府が試掘権を与える方針を決めて以降、民間業者の申請は初めてで、日本側の手続きが一歩前進する。

 帝国石油は「現時点では試掘に関する具体的な計画はなく、試掘できる環境にもない。将来対応するための準備」(社長室)と説明している。

 同社は1970年ごろ、同海域に約1万2000件(計約4万2000平方キロメートル)の試掘権を出願。今回は過去の自社探査の結果に加え、政府が昨年以降実施した三次元地震探査のデータなどを参考に有望エリアを絞り込んだ。

 3エリアは、いずれも日中中間線付近の日本側海域で、中国が開発を進めている春暁ガス田などのすぐ近くにある。

 経産省は今後、同社から基本的な試掘作業計画を盛り込んだ設備設計書の提出を受け、鹿児島・沖縄両県とも協議しながら審査を進める。早ければ2、3カ月で試掘権を付与する見通し。

 政府は、同社が実際の試掘作業にいつでも入れるように、安全確保策の検討も急ぐ。(共同)

ガス田の共同開発、中国提案に応じる方針

2005/04/22 読売新聞 Yomiuri On-Line

 政府は東シナ海の天然ガス田開発問題で、中国が提案する共同開発の協議に応じる方針を固めた。

 対象海域は東シナ海全体とすることを条件とする。これまでは、中国に一方的な開発を中止させることを優先させてきたが、中国側が応じず、こう着状態に陥っているため、事態を打開する狙いがある。

 22日にインドネシアで開かれる予定の小泉首相と胡錦濤国家主席の首脳会談で、この問題の話し合いによる解決を確認したうえで、5月に予定されるガス田に関する日中実務者協議で共同開発を議題にする。

 中国は東シナ海の日中中間線に近接する中国側でガス田開発を進める一方、2004年6月に東シナ海でのガス田の共同開発を提案した。日本政府はこれまで「中国が開発を進める中で、共同開発の議論に入ると、時間稼ぎされるだけだ」として、慎重な姿勢を取ってきた。

 しかし、今月17日の日中外相会談で、中国側は日本の求めに応じて、昨年10月以来中断しているガス田の日中実務者協議の再開に同意した。このため、政府としては「双方が突っ張り合うだけでは進展がない。中国側に譲歩を促すため、こちらも共同開発に正面から向き合うべきだ」(外務省幹部)と判断した。

 中国政府が反日デモの統制に乗り出したことから、ガス田問題で双方が歩み寄る環境が整いつつある、とみている。

 輸送コストなどを考慮すれば、日本が単独で開発するよりも、中国と共同開発し中国にパイプラインでガスを運ぶ方が効率的だ。日本政府内には、もともと最終的な解決策として共同開発を支持する意見があった。

 東シナ海では、中国側は自国の大陸棚が沖縄の西側の「沖縄トラフ(海底の溝)」まで延びていると主張し、日本が主張する日中中間線を認めていない。このため、日本政府としては、境界画定を棚上げして、暫定措置としてガス田共同開発の可能性を探る方針だ。

 ただ、具体的な海域をどこに設定するか、利益の分配比率をどう定めるかなど調整の難航も予想される。政府内には、中国側が想定する共同開発は、「中間線から沖縄トラフまでの日本側海域だけではないか」との警戒感も根強い。

 このため、中国との話し合いが決裂する恐れもあるため、日本側地点で民間開発業者に試掘権を与える手続きは予定通り進める方針だ。

ガス田開発問題、5月に日中実務協議

2005/04/18 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【北京=池辺英俊】町村外相と中国の李肇星外相は17日夜(日本時間同)、北京の釣魚台国賓館で開かれた夕食会で、東シナ海の天然ガス田開発問題に関する局長級の第2回日中実務者協議を5月に行うことで一致した。

 町村外相はガス田開発問題について、「協議をする際には、資源開発に関する具体的な情報や、中国側が主張する共同開発について、より具体的な話を聞きたい」と求めた。李外相は「この件は、日本側と緊密に連携を取りたい」と応じた。

 このほか、両外相は2008年の北京五輪までに対中円借款の新規供与を打ち切る方針も改めて確認した。北朝鮮の核問題に関する6か国協議の早期再開に向けて、協力していくことでも一致した。

ガス田開発問題など話し合う 日中局長級協議

2005/04/14 The Sankei Shimbun

 日中両政府は13日夜、北京で外務省局長級の非公式協議を開催し、東シナ海のガス田開発や歴史問題などについて話し合った。日本外務省担当者は協議後、町村信孝外相訪中に向けた準備は着々と進んでいるとし、協議で中国側が外相訪中時の警備に自信を示したことを明らかにした。

 先週末に北京、広州などで大規模な反日デモが起きて以降、両政府間の高官協議は初めて。17日に北京で行う予定の日中外相会談に向け、会談が関係改善への足場となるよう地ならしする狙いがある。

 協議では、東シナ海ガス田開発問題のほか、歴史教科書問題など諸懸案について意見交換した。担当者は、協議内容について具体的な言及は避けながらも「日中間で最近起きたことを念頭に話し合った」と述べた。反日デモの際に投石で被害を受けた日本大使館などの補償問題も話し合ったとみられる。

 日本側は今月下旬にインドネシアで開かれるアジア・アフリカ会議(バンドン会議)50周年記念首脳会議に合わせた日中首脳会談開催を働き掛けており、首脳会談も議題に上ったとみられる。

 非公式協議には、日本側から13日北京入りした佐々江賢一郎アジア大洋州局長、中国側からは崔天凱・外務省アジア局長らが出席、約3時間行われた。

 佐々江氏は、14日に行われる日中韓3カ国局長級協議にも出席。同協議では、5月に京都で開かれるアジア欧州会議(ASEM)外相会議の際に開催する予定の日中韓外相会談に向けた準備などを進める見通し。(共同)

試掘権は「重大な挑発」 中国、対抗措置を示唆

2005/04/14 中国新聞ニュース

 【北京14日共同=斎藤真】中国外務省の秦剛・副報道局長は十三日夜、東シナ海の天然ガス田開発をめぐり、日本政府が民間業者に試掘権を与える手続きに入ると決めたことについて「中国の権益と国際ルールに対する重大な挑発だ」と批判、既に日本側に抗議したことを明らかにした。状況によっては対抗措置を講じる可能性も強く示唆。日本の国連安全保障理事会常任理事国入りや教科書検定結果に反対する反日デモが中国各地で活発化する中、日中対立がさらに先鋭化する恐れが出てきた。

 日中両政府は北京で十三日夜、反日デモが起きて以降、初の高官協議となる外務省局長級の非公式協議を佐々江賢一郎アジア大洋州局長、崔天凱・中国外務省アジア局長らが出席して開催。日本外務省担当者によると、ガス田開発や歴史問題を協議し、中国側は十七日の町村信孝外相訪中時の警備に自信を示した。

 ただ、ガス田開発問題では、唐家〓国務委員(前外相)も十二日、日本政府が実際に民間業者に試掘を許せば「問題が根本的に変化する」と警告しており、今後、日中間の交渉が難航するのは必至の情勢だ。

 日本政府が試掘権付与手続きを始めたのは、東シナ海の日中中間線付近の日本側海域。しかし中国政府は、日本が「排他的経済水域(EEZ)の境界線」としている日中中間線自体を認めておらず、秦副局長は「日本の一方的主張にすぎない中間線を押し付けようとしている」と述べた。

 また、日本に対し「さらなる対応を取る権利を留保する」とも語った。

 日本政府は十三日、中国が中間線近くの中国側海域でガス田を開発していることへの対抗策として民間業者に試掘権を与える手続きを開始した。

 【お断り】〓は「王」へんに「旋」を書きますが、JISコードにないため表示できません。

 

独自に試掘手続き開始 東シナ海のガス田開発

2005/04/13 中国新聞ニュース

 政府は十三日、東シナ海の日本と中国との排他的経済水域(EEZ)の境界線(中間線)付近で中国が天然ガス田開発を進めている問題で、日本独自の対応として、民間業者に試掘権を与える手続きを開始したと発表した。ガス田が海底の地中で日本側とつながっており、中国が日本側の資源も吸い上げる可能性もあるため、日本の権益確保の意思を明確にするため、手続きを急ぐことにした。

 試掘権の設定には数カ月かかる見通しで、実際に試掘作業に入るかどうかは、中国側の反応も見極めながら慎重に判断していく方針。しかし、中国で反日デモが激化し、両国の関係が悪化する中、日本が独自の資源開発を進めることで、日中の摩擦が一段と深刻化するのは必至だ。

 経済産業省は同日、民間業者から出ている試掘の申請をできるだけ速やかに処理するよう、九州経産局長に指示した。

 中国は中間線付近で「春暁」などのガス田開発を先行。日本政府は繰り返し中国に開発中止とデータの提供を求めたが、中国は応じなかった。

 日本側の資源調査の結果、二つのガス田の構造が中国側から日本側につながっていることが分かり、開発の科学的な裏付けが得られた。

 自民、民主、公明の超党派国会議員団が九日、現場海域を上空から視察。国会からも、政府に対応を急ぐよう求める圧力が高まっていた。

 中川昭一経済産業相は十二日の会見で「(試掘権設定は)国内問題だから、粛々とやっていきたい」と述べていた。

 この海域では、一九六○年代から民間石油会社が試掘を申請していたが、政府は境界線が画定していないことなどから、保留していた。

 一方、中国の対日政策責任者である唐家〓国務委員は十二日、日本が民間業者に試掘を許さないよう強く警告していた。

 ※〓は王へんに「旋」と書きますが、JIS規格にないため表示できません。

東シナ海ガス田の試掘権設定「いつでも」…外務次官

2005/04/11 読売新聞 Yomiuri On-Line

 谷内正太郎外務次官は11日の記者会見で、中国が東シナ海で天然ガス田開発を進めている問題について、「(中国に)情報の提供と一方的な開発の停止を求めているが、回答がない。(日本政府は)いつでも試掘権の設定手続きに入る段階にある」と述べた。

東シナ海石油ガス田 議員団視察 試掘「国が責任を」 中国妨害…安全確保に課題

2005/04/10 The Sankei Shimbun

 東シナ海での海洋権益確保を目指し、与野党の国会議員が九日、排他的経済水域(EEZ)の日中中間線近くで中国が開発を進める春暁、天外天などの石油ガス田を海上保安庁の航空機で上空から視察した。議員が中国の海洋資源開発の実態を把握することで、中間線の日本側で試掘権設定の準備を進めるなど対抗策に本腰を入れ始めた政府を後押しするのが狙いだ。もっとも、試掘業者の安全確保など課題は多い中、政府内に足並みの乱れも指摘されるなど、不安視する関係者は多い。(加納宏幸)

 視察したのは、自民、民主、公明各党の国会議員で作る「新世紀の安全保障体制を確立する若手議員の会」(代表世話人・武見敬三自民党参院議員)のメンバー。武見氏のほか、民主党の鳩山由紀夫元代表、公明党の浜田昌良参院議員ら十四人が参加した。

 武見氏は視察後、東京・海上保安庁羽田航空基地内で記者会見し、天外天石油ガス田が完成間近であることなどを報告した。その上で、「中国のガス田開発が一方的に行われていることを深く憂慮する」と述べるとともに、「係争海域での試掘は国が責任を持つべきだ」とし、政府が民間業者の試掘を全面的に支援する必要があると強調した。

 政府は民間の石油資源開発などから申請されている試掘権設定について、月内にも許可に向けた手続きに入り、試掘開始は順調に進んでも数カ月後になるとみられる。だが、実際に、民間業者がすんなりと試掘に乗り出すわけにはいきそうにない。

 「中国海軍が試掘を妨害しようとして出てくる可能性は否定できない。政府を挙げて、事を構える意思があるのか」と政府関係者は懸念を示した。

 中川昭一経済産業相が試掘権設定に言及したのは四月一日だが、郵政改革に没頭する小泉純一郎首相が東シナ海の権益には「ほとんど関心を持っていない」(官邸筋)。司令塔となるべき首相官邸と危機感を強める経産省との間の温度差は大きいという。

 東京都内に本社を置く石油資源開発は試掘に前向きだが、「中国がどう出るかが不安だ。政府の支援や安全確保がなければ試掘の着手は難しい」としている。

 中国側は現在も中間線付近での日本の調査活動に対し拡声器で「探査を中止しろ」と英語で抗議し、音波探査を行う日本の調査活動を妨害。昨秋には中国船が日本の探査船に異常接近し、「水難事故寸前という事態も発生した」(関係者)。

 中国のなりふり構わぬ挑発的な行動の背景には、急激な経済成長がある。エネルギー供給が追いつかず、東シナ海のほか中央アジア、アフリカ各国でも採算性を度外視して資源の抱え込みに躍起となっているのだ。

 それだけに、日本の民間業者が試掘するには、海上保安庁の巡視船による安全の確保が不可欠だ。具体的には、巡視船による保護措置や巡視船による臨検、拿捕(だほ)などEEZ内における中国側の資源探査を取り締まる権限を法整備する必要がある。

 政府は現在、中国側の武力威嚇を防ぐため、米国船籍など外国の試掘船を借り上げる方法のほか、試掘費用の全面負担も検討中だ。

ガス田開発「日本は事態の複雑化回避を」 外交部

2005年04月08日「人民網日本語版」

 外交部の秦剛報道官は7日の記者会見で、東中国海の石油・天然ガス開発をめぐる中日両国の論争について、記者からの質問に答えた。

――東中国海問題で、日本政府は中国に石油ガス田の開発を直ちに中止するよう求めている。中国はこれにどのように応対するのか。中国はこの問題についていつ日本と協議するつもりか。

われわれは、対話と話し合いを通じて同問題の解決方法を模索することを主張する。中国は「論争を保留した共同開発」の主張を提起しており、中国の問題解決に対する誠意を表している。われわれは、これが双方の利益に合致する正確な選択だと考えている。われわれは日本側に、くれぐれも一方的な行動を取らず事態の複雑化を避けるよう求める。(編集SN)

外務省、中国に試掘権設定の可能性を伝達

2005/04/04 読売新聞 Yomiuri On-Line

 外務省の佐々江賢一郎アジア大洋州局長は4日、都内で程永華・駐日中国公使と会談し、中国が東シナ海で天然ガス田開発を進めている問題について「このままでは(日本の開発業者に)試掘権を設定せざるを得ない状況だ」と述べ、地下構造などのデータ提供と開発中止を改めて求めた。

 程公使は「話し合いで解決したい」と述べるにとどまった。

中国、プラットホーム建設着々 東シナ海、石油ガス田

2005/04/03 The Sankei Shimbun東京朝刊から

 日中中間線に近い東シナ海の春暁鉱区で中国が開発を進めている「天外天石油ガス田」で、プラットホームの建設が始まったことを2日、本社機が確認した。中国は3月に入って開発を本格再開したが、8日時点では土台しかできていなかった。今年8月の操業に向けて急ピッチで作業に取り組んでいることが浮き彫りになった。

 広東省湛江のドックで昨年暮れに完成した“純国産施設”の一部。今後、採掘用やぐらが立ち上がる。大きい土台には、精製処理施設やヘリポートなどの建設が予想される。1994年に同じ東シナ海で操業した「平湖石油ガス田」の施設は外国企業に発注されており、中国は急速に技術力を吸収している。

 東シナ海の石油ガス田をめぐっては、中間線をまたいで中国側と日本側の石油ガス田が地下でつながっている可能性の高いことが日本の調査で判明している。

ガス田共同開発なら「中国は掘削中止とデータ提供を」

2005/04/02 読売新聞 Yomiuri On-Line

 中川経済産業相は2日、東シナ海で中国が進めている天然ガス田が、日本の排他的経済水域(EEZ)の境界線(日中中間線)をまたいで日本側と地下で連続している問題で、日中の共同開発の可能性にふれ、「共同開発をするのなら、(中間線付近で進めている)作業をすぐにやめることと、データを提供することが条件になる」との考えを示した。

 大阪市で開かれたタウンミーティング後の記者会見で語った。

ガス田の試掘手続きへ 経産相、独自開発を表明

2005/04/01 The Sankei Shimbun

 中川昭一経済産業相は1日、東シナ海の日中中間線付近で中国が開発を進めている2つのガス田の構造が中国側から日本側に連続しているとする資源調査結果を発表した。これを受け、政府は中国側に通知した上で、早ければ今月中旬にも民間業者への試掘権付与など、鉱区設定の手続きに入る方針を明らかにした。

 日本は中国が日本側資源を吸い取る懸念があるとして、中国にデータの提供と開発中止を求めてきたが、応じないため独自の開発に着手する。

 中川経産相は「中国側から誠意ある回答がなければ、次の段階に進んでいかなければならない」と説明。中国側への通知から「1週間程度で鉱区設定を考えている」とし、中国側から反応があった場合は「その時点で考える」と説明した。

 また「最終的には日中が友好的な関係の中で、(東シナ海を)協調の海として互いが利益を得られるような作業を粛々とやりたい」と述べ、今後の中国側の出方も見極めながら作業を進める考えを示した。

 調査では、「春暁」と「断橋」の両ガス田にある複数の断層について、中国側と日本側を完全に遮るものではないと確認した。ただ、実際に石油や天然ガスが存在するかどうかは物理探査では確定できないという。

 試掘する場合は、国が民間業者に委託。試掘費用は「1本(の穴)で約30億円」(経産省)で、国が全額負担する方向だ。(共同)

東シナ海での試掘も検討 中国の対応次第と町村外相

2005/03/30 The Sankei Shimbun

 町村信孝外相は30日午前の衆院外務委員会で、東シナ海のガス田開発問題に関して、中国側の対応によっては、中国の開発地域近くの日本側排他的経済水域(EEZ)内に試掘権の設定を検討する考えを明らかにした。外相は「いつまでも先方のみが現実に作業する事態が続くなら、早晩わが方も一定の行為に出て行かざるを得ない」と述べた。開発業者への試掘権付与を念頭に置いた発言とみられる。

 中国側の対応については「いまだに(日本側が求めた)情報提供もなく、協議だけやろうと言っているのは理解に苦しむ。先方だけ開発行為が進むのはバランスを失した状態だ。いつごろまでにどういうデータを先方が示すか詰めていかないとならない」と批判した。

 民主党の大谷信盛氏への答弁。(共同)

8月末にも春暁ガス田生産 中国海洋石油

2005/03/29 The Sankei Shimbun

 東シナ海の日中中間線付近で中国が開発を進めている「春暁」ガス田について、中国の石油大手、中国海洋石油の傅成玉社長は29日、今年8月末−9月に生産を始めると述べた。同社の香港上場子会社の2004年業績発表の中で明らかにした。

 日本政府は「日本の海洋権益侵害の恐れがある」として、中国側に同ガス田のデータ提供などを求めているが、傅社長は「中国は日本が主張する中間線を認めていない上、ガス田は中間線の西側にあり(データ提供の)責任はない」と主張。さらに「(日中間に)領土、領海の争いは存在しない」と強調した。

 同社は別の中国石油大手、中国石油化工とともに春暁ガス田の開発を進め、2月には今年半ば以降に生産を開始するとの見通しを示していた。(共同)

ガス田開発、中国側は明言避ける…局長級協議

2005/03/28 読売新聞 Yomiuri On-Line

 日中両政府は28日、外務省で局長級協議を行い、東シナ海の排他的経済水域(EEZ)の日中中間線付近で中国が進めている天然ガス田開発などについて協議した。

 日本側はガス田周辺の地下構造のデータ提供や、開発の即時中止を改めて要求したが、中国側は「日本側の関心には留意する」と述べるにとどまり、応じなかった。

 一方、政府は、中国との関係改善を図るため、今後1年間の人的交流の拡大や経済協力推進などを盛り込んだ「日中共同作業計画」の策定を提案し、中国側も了承した。

 ガス田開発問題では、日本側が、中国側のガス田開発に対する日本国内の厳しい世論や反発を伝えた。日本側の開発を前提とした鉱区設定と試掘の実施を政府に求めた、自民党海洋権益特別委員会の緊急提言を紹介し、「迅速に対応してほしい」と述べた。これに対し、中国側は「協議を通じて解決したい。双方の立場を本国に持ち帰って考えたい」と明言を避けた。

 日中共同作業計画は、今後、1年間に日中が協力して対処していく共通目標を設定したもので、<1>日中間の対話・交流の促進<2>共通利益の拡大<3>個別の懸案の迅速な処理・解決――が三本柱。日中双方は次官級協議と外相会談を、4月に北京で開催する方向で調整に入ることで合意した。また、安全保障、治安当局間の協議も促進することで一致した。

 協議には、日本側から佐々江賢一郎・外務省アジア大洋州局長、中国側は崔天凱・外務省アジア局長らが出席した。

東シナ海ガス田開発、政府の対処方針が判明

2005/03/28 読売新聞 Yomiuri On-Line

 東シナ海の排他的経済水域(EEZ)の日中中間線付近で中国が進めている天然ガス田開発について、日本政府の対処方針が27日、明らかになった。

 日本側の資源が中間線をまたいで吸い取られる恐れがあるため、中国に地下構造などに関するデータ提供を改めて求め、これに応じない場合は、対抗措置として、「(日中中間線から)日本側での鉱区開発を前提に、開発会社に対する試掘権の設定を検討する」としている。28日に外務省で開く日中アジア局長協議で中国側に伝える方針だ。

 これに関連し、政府筋は27日、「中国側のデータ提供をいつまでも待っているわけにはいかない。提供する気がないなら、試掘権設定など、日本側も手順に沿って進めていくと通告せざるを得ない」と述べた。外務省幹部は「早期のデータ提供を求めることが主眼で、試掘権を設定するかどうかは、中国側の対応次第だ」と指摘した。

 中国は2003年8月、日中中間線に近接する中国側の地点で、「春暁ガス田」の開発に着手した。日中両政府は昨年10月、北京で初の実務者協議を開き、日本がデータ提供を求めたが、中国は応じなかった。

 一方、日本政府は昨年7月、中間線付近の日本側海域で探査船による調査を始め、今年2月、春暁ガス田が日本側につながっている可能性が高いとした中間報告を公表している。

 また、自民党の海洋権益特別委員会は今月25日、日中中間線の日本側に試掘権を設定して、試掘を行うよう求める提言をまとめている。

東シナ海ガス油田 中国“わがもの顔”開発

2005/03/09 The Sankei Shimbun 東京朝刊から

 中国が資源開発を進める日中中間線付近の海域で8日、資材を満載した船団の姿が本社機により確認された。一時中断していたガス油田の開発作業が本格再開されたようだ。この海域の資源は、中間線を越えて日本側に広がっている可能性が日本政府の調査で確認されている。

 春暁ガス油田群の一つである「天外天ガス油田」近くでは、タグボートが大量の油管を曳航(えいこう)していた。管の形状などからこれらは、「天外天」と、北約70キロにある「平湖ガス油田」を結ぶ油輸送管とみられる。「平湖」は1994年に完成して上海に石油やガスを送り出している。「春暁」の石油も「天外天」へ送られるため、パイプラインの連結は、日本側の資源が上海に直結することを意味する。

 これらの船団は、中国本土から今月6日ごろに、現場海域に到着したとみられ、タグボート7隻を含む10隻程度が確認されている。中国の開発会社は予定通り今年後半の操業開始を表明しており、工期計画に従った動きのようだ。

 中国側の洋上作業は、気象条件のよくなる春の訪れを待って、中国側がガス油田の操業準備に踏み出したことを示す。大量の油管が現場海域に搬送されたほか、大型クレーン船が待機していることから、リグの上部構造物の設営作業も近く始まることが確実だ。

 北京で6日行われた記者会見で、李肇星・中国外相は「日本との長期安定した善隣友好関係」を訴え、靖国問題や歴史認識で踏み込むことは避けていた。課題の山積する内政に集中するため、周辺諸国との関係を可能ならば改善したいとする外交指針の反映だが、国内の実需を背景とした海洋資源の確保は全般的な指針とは別次元とする発想が中国側には根強い。

 つまり、この水域での資源開発は当然の権利という意識であり、日本側の抗議をむしろ不当な横やりとする受け止め方は改まりそうもない。

中国パイプライン敷設への融資、国際協力銀総裁が陳謝

2005/02/25 読売新聞 Yomiuri On-Line

 国際協力銀行(JBIC)の篠沢恭助総裁は25日の会見で、1996年に旧日本輸出入銀行(現在のJBIC)が、中国による東シナ海の天然ガス・パイプライン敷設事業に融資していたことについて、経済産業省などとの連絡不足を認め、「重く受け止めている」と陳謝した。

日本の要求は受け入れられない ガス田開発で中国

2005/02/24 (2005年02月23日「人民網日本語版」) 中華人民共和国駐日本国大使館

 外交部の孔泉報道官は22日、東中国海における開発事業を停止するよう日本が中国に要求したとの報道について、「中国と日本はこれまで、東中国海の境界線を画定したことがなく、日本が一方的に主張する東中国海の境界線を中国が認めたこともない。日本側が提示した要求は、完全に中国の権益の範囲内にあり、受け入れることはできない」と述べた。

 報道によると、日本政府はこのほど、中国が東中国海で開発する天然ガス田の鉱脈が日本の鉱脈につながっている可能性が高いとし、中国側に開発の停止と関連資料の提示を求めた。

 孔報道官はまた、「われわれは、中日双方が関連の問題を話し合いを通して解決するべきであると一貫して主張する。また、双方が話し合いと対話を維持できるよう望む」と述べた。

東シナ海のガス田開発、正当と主張 中国

2005/02/22 The Sankei Shimbun

 中国外務省の孔泉報道局長は22日の定例記者会見で、日本政府が中国による海洋権益侵害の可能性を指摘している東シナ海のガス田開発問題について「日中間には(排他的経済水域を定めた)境界線は存在していないし、いわゆる(日中)中間線について中国は以前から認めていない」と述べ、中国による開発の正当性を主張した。

 日本政府は、中国が開発しているガス田について「日中中間線を越えて日本側まで連続している蓋然(がいぜん)性が高い」とする調査結果を明らかにしているが、孔局長の発言は、仮に日本政府の調査通りだったとしても開発の支障にはならないとの考えを示したものだ。

 孔局長は、同問題での日中協議は必要との認識を示したが、中間線の東側は自国の権益とする日本の主張については「受け入れられる要求ではない」と一蹴(いっしゅう)した。(共同)

ガス田盗掘されている状態…安倍氏が中国側の対応批判

2005/02/19 読売新聞 Yomiuri On-Line

 自民党の安倍晋三幹事長代理は19日、京都市内のホテルで講演し、中国との対立が続く東シナ海の天然ガス田に関する経済産業省の中間報告について、「中国が掘っているところは日本側につながっている。中国側に盗掘されていると言ってもいい状態になった」と述べ、中国側の対応を批判した。

日本側にガス田続く可能性 東シナ海の日中中間線

2005/02/18 The Sankei Shimbun

 政府は18日、東シナ海の日本側排他的経済水域(EEZ)の日中中間線付近で実施してきた物理探査の結果、中国が開発している天然ガス田などが「日本側まで連続している蓋然(がいぜん)性が高い」との中間報告を発表した。

 中国が中間線を挟んで中国側で実施しているガス資源開発について、日本政府は「海底地下でガス田などが日本側とつながっており、日本側の資源を中国側が吸い取る可能性がある」と主張していた。今回の調査結果は、日本の主張を補強する有力な材料になるとしている。

 記者会見した中川昭一経済産業相は中国政府に対し、資源状況に関する情報を日本に提供することや、問題が解決するまで開発を中断するよう引き続き申し入れていく方針を明らかにした。

 当面、さらに詳細なデータ分析を続けるが、経産相は「最終的には試掘しないと(資源が存在するかどうか)分からない」と説明。国内の資源開発会社に対する鉱区設定や試掘も視野に入れ、対応を検討する考えだ。

 経産相は、今後の中国側との協議については「次官級でやりたいと先方が言っているが、(中国側が)科学的なデータを持って来るのが次をやる意味だ」と、中国側に情報提供を強く促した。その上で、中国が提案する共同開発は「今の段階では選択肢はない」と拒否した。

 物理探査により、日本側までガス田が連続している可能性を示す「構造」を確認できたのは「春暁」と「断橋」で、「天外天」については確認できなかった。

 ただ、春暁と断橋では日本側で東西方向と南北方向に走る複数の断層が確認された。これが、中国側から日本側へのガスなどの移動を遮っている可能性も否定できないという。探査船での調査は来月に終える見通し。(共同)

帝石など2社、東シナ海ガス開発で試掘へ

2005/01/16 The Sankei Shimbun

 資源開発大手の石油資源開発と帝国石油の2社が、中国との資源開発をめぐる対立が続いている東シナ海の天然ガス田で、2005年度にも日中中間線の日本側海域での試掘を始める方向で政府と調整していることが16日分かった。

 東シナ海では排他的経済水域(EEZ)をめぐる日中の主張対立が続く中で、中国が中間線付近で先行してガス田開発に着手。ガス田は日本側の海域にまたがって広がっているとみられるが、中国側から埋蔵量などのデータ提供がないため、日本政府としては民間企業による試掘を認める方針に転換し、官民一体となって独自調査を一歩前進させることにした。

 ただ中国側の反発を招く恐れも強いため、政府は実際の試掘開始については中国側の出方も見極めた上で慎重に判断する構えだ。

 東シナ海の日中中間線付近では1970年前後に、2社のほか丸紅系の芙蓉石油開発(東京)、双日系のうるま資源開発(同)の計4社が、政府に鉱区設定の出願をしていた。政府は、日中境界線が未画定なため、認可を保留していたが、中国のガス田開発をめぐる動きを踏まえ、05年度中にも鉱区設定を認める方針だ。

 石油資源開発は昨年、芙蓉石油開発の株式を取得して子会社化しており、出願していた鉱区の統合を進めるとみられる。

 政府は05年度予算で、東シナ海での資源調査費として本年度の38億円を大幅に上回る129億円を計上。海底資源を立体的に把握できる探査船も建造し、独自調査に乗り出す準備を進めていた。

 <東シナ海の資源開発問題> 東シナ海の日中中間線にまたがる海底に埋蔵するとみられる豊富な天然ガス資源の開発をめぐり、日本と中国が対立している問題。資源開発が認められる排他的経済水域(EEZ)の問題が両国間で未決着であるにもかかわらず、中国側は既に資源の開発に乗り出している。東シナ海のEEZについては、日本は日中両国の海岸線から等距離地点を結んだ「中間線」を主張。一方、中国は大陸棚が続く「沖縄トラフ」までをEEZとしている。(共同)

中国“日本越境”12鉱区…東シナ海ガス田開発

2005/01/01 読売新聞 Yomiuri On-Line

 東シナ海で中国が進めようとしている天然ガス田開発計画の全容が31日、日本政府の内部資料で明らかになった。

 東シナ海では日本と中国が排他的経済水域(EEZ)の境界をめぐって対立しており、日本側は日中中間線を境界とするよう主張しているが、中国側は日本側に張り出した鉱区を12か所も設定していた。

 このうち3か所は、鉱区全体が日本側に完全に入っていた。

 政府は2004年秋までにこうした事実をつかみ、中国政府に抗議している。「政冷経熱」と言われる日中関係の中で、東シナ海の海洋権益をめぐる両国の対立は、今後一段と激化しそうだ。

 東シナ海は日本と中国の間の距離が短く、両国がEEZを設定できる海域が重なっている。日本は両国から等距離の「日中中間線を境界にすべきだ」と主張しているが、中国は日中中間線を認めず、沖縄のすぐ西側の海溝に至る大陸棚全域を自国のEEZと主張し、対立している。

 ガス田開発を担当しているのは、中国の国営石油開発会社「中国海洋石油総公司(CNOOC)」。

 鉱区の一部は同社ホームページ上でも公開されているが、日本政府は、CNOOCが米証券取引委員会(SEC)に提出した資料や、国際情報筋から独自に入手した情報をもとに、公開資料では伏せられていた鉱区を含めて詳細な開発計画を把握した。

 ただ、日本政府は中国との関係を考慮して公表を控えている。

 日本政府によると、CNOOCが伏せていた鉱区は、日中中間線にまたがる1鉱区と、中間線の日本側に完全に入っている3鉱区の計4鉱区。いずれも尖閣諸島の北東数十キロ・メートルに設定されていた。

 日本政府は2004年10月に北京で行われた日中政府間協議で、この情報を中国側に示して抗議した。

 これに対し、中国側は「この海域は中国が鉱区を設定する権利を持っている。ただ、実際の作業は自制している」と繰り返した。

 日本側は、中国側が言及した「実際の作業」が、鉱区設定を指すのか、具体的な開発作業まで含むのか、再三確認を求めたが、中国側は明確に答えなかった。このため、日本政府は、鉱区設定は現在も解消されていないと判断している。日中中間線の日本側に位置する3鉱区のうち、最も尖閣諸島に近い鉱区は、推定面積7379平方キロ・メートル。CNOOCが2001年7月9日に中国政府に登録、鉱業権は5年間となっている。

 石油、石炭、天然ガスなどの海洋資源を開発する場合、各国の開発会社はそれぞれの国から鉱業権を取得、その政府に鉱区を登録した上で、開発に着手する。

 日本政府関係者は、「鉱区の登録を認めることは、政府が企業に対し、その地域の開発にいつでも乗り出していいとお墨付きを与えることだ。中国政府の行為は、日本の主権に対する重大な侵害だ」としている。

 ◆排他的経済水域(EEZ)=海洋、海底の生物資源や海底資源の採取・管理に、沿岸国が主権的権利や義務を持つとされる海域。1982年に採択された国連海洋法条約で、沿岸国の領海の基線(湾口や河口)から200カイリ(約370キロ・メートル)までと定められた。

東シナ海ガス田 調査費3倍130億円 来年度予算 中国へ対抗、鮮明に

2004/12/14 The Sankei Shimbun
 政府は13日、東シナ海の海洋権益確保に関連し、平成17年度予算で海洋資源の試掘を含む調査費に約130億円を計上する方針を固めた。経済産業省・資源エネルギー庁が来年度概算要求で100億円を計上したのに対し、30億円上積みする。試掘時期はまだ決まっていないが、今年度予算で試掘を含む調査費が約38億円だったのを一気に3倍強に増やす。

 政府は来年度予算に海洋資源探査船の建造費の一部として100億円を盛り込むことも調整中。中国が日本の抗議を無視する形で東シナ海でのガス田開発を進めていることに対し、独自の調査態勢を整える意思を明確にするねらいだ。

 東シナ海の「日中中間線」付近における日本側でのガス田開発をめぐり、中国は日本側の再三の抗議を無視して採掘施設の建設を進めている。10月の日中局長級協議で日本側が中間線付近の開発計画の開示を求めたが、中国側は応じなかった。中国側は今後も協議を続けたいとの意思を示しているが、日本側は「具体的な情報開示があるとの見通しがあるまで協議には応じられない」としている。

 一方、資源探査船は設計・建造に総額200億−240億円かかるうち、来年度は100億円を計上する見込み。資源探査船は地震波を使って地質構造を立体的に把握する三次元探査を可能にする装備を持つ。現在、日本政府は保有していないため、今年7月から排他的経済水域(EEZ)の日本側海域で行われている海底地質調査にはノルウェーのチャーター船が使われている。【2004/12/14 東京朝刊から】

EEZ内海洋調査に続き…中国、ガス田開発も再開

2004/12/08 The Sankei Shimbun
 中国が中断していた東シナ海でのガス田開発作業を数日前から再開していることが8日、分かった。政府筋が明らかにした。

 7日には中国の海洋調査船が沖ノ鳥島周辺の日本の排他的経済水域(EEZ)内で活動したのが確認されている。11月に日中首脳会談が1年ぶりに実現し、ガス田開発で対話解決を目指すことで一致したにもかかわらず、「ルール違反」(政府筋)ともいえる刺激的な行動が相次いで判明、日中間のぎくしゃくした関係をあらためて浮き彫りにした格好だ。

 政府筋によると、「春暁」と並び中国が東シナ海で開発中の「天外天」と呼ばれるガス田に、数日前に船が着き、機材を運ぶなど作業を始めた。10月中旬から作業が中断されていたという。東シナ海のガス田は日本政府が主張する日中中間線付近のため、「日本のEEZを侵す可能性がある」と抗議している。

 一方、EEZ内の中国船の海洋調査活動をめぐっては、外務省の薮中三十二アジア大洋州局長が8日午後、程永華駐日中国公使を呼び「われわれのEEZ内でこういう事態が起きないように対処してほしい」と抗議。程公使は「本国にすみやかに伝える」と述べた。

 今年に入って、東シナ海で日本の事前同意を得ない中国の調査活動は4件、太平洋の日本のEEZでの中国の活動は今回を含め17件目で、外務省はその都度抗議してきた。ただ、これまでは課長や審議官レベルだったのに対し、今回は首脳会談直後ということも考慮、局長に格上げし日本側の強い姿勢を見せた。

 外務省首脳は「抗議をしても事実上、何の反応もない」と指摘、ガス田開発問題をめぐる局長級協議の次回会合で取り上げ、実効的な仕組みを検討したい考えだ。(共同)

「時間延ばし受け入れられぬ」 天然ガス田開発

2004/11/05 The Sankei Shimbun
 日中外交当局間協議が4日、都内の外務省麻布台別館で開かれ、中国による東シナ海の天然ガス田開発について日本側は「(先月の日中政府間協議で)具体的なデータが提供されなかったことは不満だ。今後、第2回会合があっても、時間延ばしは受け入れられない」と批判した。

ガス田開発で中国に不快感 中川経産相

2004/10/26 The Sankei Shimbun
 中川昭一経済産業相は二十六日の閣議後の記者会見で、東シナ海の天然ガス田開発問題をめぐる局長級会合で中国側から具体的な情報提供がなかったことについて「何のために(中国が協議開催を)提案したのか分からない」と不快感を表明、日本政府として資源探査などを「粛々とやっていく」考えを示した。

 日本が今後、試掘を行ったり、開発権を認可したりすることに関しては「決めていないが、否定しない」と語った。

 さらに、「先方は着々と作業を進めている。(中国の)時間稼ぎに協力するつもりは毛頭ない」と話し、情報提供がないままの協議継続に否定的な考えを強調した。

中国の情報提供不十分 天然ガス田協議で外相

2004/10/26 The Sankei Shimbun
 町村信孝外相は26日午前の記者会見で、25日に北京で行われた東シナ海の天然ガス田開発をめぐる日中局長級協議について「(中国の情報提供は)不十分と言わざるを得ない」と述べ、中国の対応に不満を示した。

 今後の対応について「今までと同じことをやっていていいのかという率直な思いはある。抗議や情報提供を求めるということはこれまでもやってきた」と述べたが、どのような対策を想定しているかは言及しなかった。

 北朝鮮への人道支援物資の配給状況を確認する監視団については「11月の早い時期になるのか、時期は必ずしもはっきりしないが、その辺のタイミングで派遣することになるだろう」と説明。北朝鮮に対する第2弾の食糧支援に関しては「国際機関の要請を受け止めながら話を進めていく」と述べるにとどまった。

東シナ海・ガス田開発、日中が初の実務者協議開催

2004/10/25 読売新聞 Yomiuri On-Line
 【北京=東一真】中国が東シナ海で進めるガス田開発に関する初の日中政府間の実務者協議が25日、北京市内のホテルで開かれた。

 日本側は、日本が主張する排他的経済水域(EEZ)の境界線(日中中間線)近くに位置する春暁ガス田群に関して、「施設が中間線の中国側でも、日本側の資源が吸い取られる可能性がある」として、地下構造に関するデータ提出を中国側に改めて求めた。

 また、日中中間線の日本側の海域で、中国が複数の鉱区を設定していると見られる問題で、事実であれば開発を見合わせるよう、中国側に要請した。

 さらに、中国が日本に事前通告なしに、日本が主張するEEZ内で海洋調査を実施している現状について、再発防止を中国側に申し入れた。

 日中間では、EEZの境界自体が確定しておらず、エネルギー資源の権益の摩擦解決はなお時間がかかりそうだ。

 協議には日本側から外務省の藪中三十二・アジア大洋州局長、小平信因・資源エネルギー庁長官らが出席、中国側からは外務省の崔天凱・アジア局長、国家発展改革委員会の徐錠明・エネルギー局長らが出席した。

中国に事実関係ただす ガス田開発で経産相と外相

2004/10/23 The Sankei Shimbun
 中川昭一経済産業相と町村信孝外相は22日の閣議後、日中両政府が25日に開く東シナ海ガス田開発をめぐる協議について話し合い、中国側に日本の排他的経済水域内での鉱区設定などの事実関係をただすとともに、中国が現在手掛けている開発に関し情報提供を求めることを確認した。

 中川経産相は記者会見で、日中協議では(1)中国の資源開発(2)中国の資源調査(3)東シナ海での日中の境界線画定−の3つがテーマになると説明。

 町村外相は「1回目(の協議)なので、よく帰趨(きすう)を見極めたい」と述べた。


ガス田開発問題の日中協議、25日に北京で開催

2004/10/19 The Sankei Shimbun
 
 経済産業省は19日、東シナ海の天然ガス田開発をめぐる日本と中国の政府間協議を25日に北京で開くと正式発表した。

 日本側は小平信因資源エネルギー庁長官、外務省の薮中三十二アジア大洋州局長、中国側は外務省の崔天凱アジア局長がそれぞれ出席する。

 協議で日本側は、中国が日本の排他的経済水域内にガス田開発の鉱区を設定したとの情報を確認し、事実なら撤回を求める。日本が主張する中間線に近い中国側海域の「春暁」ガス田についても、中国側に情報提供を求める方針だ。

日本側鉱区は中止要求へ 東シナ海ガス田開発問題

2004/10/18 The Sankei Shimbun
 外務省の竹内行夫事務次官は18日の記者会見で、中国が東シナ海の日本側排他的経済水域(EEZ)にガス田開発の鉱区を設定したとの情報について「情報があるのは事実」と認め、政府として確認できれば中国側に抗議し、取りやめを要求する方針を示した。経済産業省の杉山秀二事務次官も記者会見で「事実なら(鉱区を)削除するよう外交ルートを通じて求めていく」と述べた。

 一方、ガス田開発問題をめぐる日中実務者協議は18日までの調整で、北京で25日に開催されることが内定。日本側から薮中三十二外務省アジア大洋州局長と小平信因資源エネルギー庁長官が出席する。

 これに関連し、竹内次官は「日中間に横たわる海洋をめぐる問題点全体を視野に置く」とし、ガス田問題にとどまらずEEZの境界線問題も議題にする考えを表明した。

 この問題は18日午後、外務省で行われた町村信孝外相と王毅駐日中国大使との会談でも取り上げられ、外相は「意義のある会議にする必要がある」と強調。大使は「互いの主張はあるが、率直に話し合いたい」と応じた。

日本側水域でガス田開発か 中国、複数鉱区設定の情報

2004/10/17 中国新聞ニュース
 東シナ海の日本の排他的経済水域(EEZ)で、中国政府が新たなガス田開発の権利を中国企業に与えたとの情報を日本政府がつかんだことが十七日、明らかになった。東シナ海のガス田問題では、中国側が日本に実務者協議の開催を提案し、月内にも開催する方向で調整している。日本は同協議などで、中国に事実関係をただしていく方針だ。

 日本側水域での中国によるガス田開発の動きが明らかになったのは初めて。中国は現在、東シナ海の日中中間線付近の中国側水域でガス田開発を進め、日本と対立しているが、日本政府は、今回の情報が事実なら「中国が日本水域内で主権を行使することになる」と問題視しており、重大な外交問題に発展する可能性が出てきた。

 中川昭一経産相は同日、民放の報道番組で「日本のEEZの複数カ所で(中国による開発)鉱区設定の情報がある」と指摘し「EEZ無視は友好的でない」と強い不快感を示した。

 その上で「言うことを言わないと、どんどん押し込まれていく」と危機感を強調した。

 中国が中間線付近で開発中のガス田について日本政府は、ガス鉱脈が海底地下で日本側とつながっており、日本水域の資源も中国が吸い取る恐れがあるとして情報提供を要求。しかし、中国は中間線を認めず、東シナ海の大陸棚全域での経済的権利を主張する立場から、拒否している。

 日本は中国との実務者協議で、現在開発中のガス田に関する情報提供も引き続き求めていく考えで、中間線付近で七月から日本が独自に行っている資源探査も継続する方針だ。

日中外相会談 東シナ海のガス田開発、中国が政府間協議提案

2004/10/10 The Sankei Shimbun
 【ハノイ=赤地真志帆】町村信孝外相は九日、ハノイ市内のホテルで中国の李肇星外相と会談した。李外相は、東シナ海の「日中中間線」付近で中国が進める天然ガス田開発について「日中両政府間で実務的な協議を行い、双方が納得のいく解決を見いだしたい」と述べ、政府間協議の場を設けるよう提案、町村外相も「双方で協議することが共通利益となる」と応じた。李外相は小泉純一郎首相の靖国神社参拝問題に言及しなかったが、日中関係に関し「『政冷経熱』といわれるが、日中関係は重要だ」と指摘。町村外相も「『政熱経熱』の状況をつくるよう努力したい」と応じた。

 このほか、李外相は「中国も日本も世界の重要な国であり、国連改革で努力していくべきだ」と、日本の安全保障理事会常任理事国入りを含んだ国連改革問題で日本と協議する姿勢を示した。

「商業上の理由」で欧米2社が撤退発表 東シナ海のガス田開発

2004/09/30 The Sankei Shimbun
 国際石油資本のロイヤル・ダッチ・シェルと米石油大手ユノカルは29日、中国と共同で進めていた東シナ海の天然ガス田「春暁」開発プロジェクトから「商業上の理由」で撤退すると発表した。このプロジェクトを巡っては日本と中国が鋭く対立している。

 シェルとユノカルは昨年夏「春暁」を含む東シナ海の天然ガス開発計画について、中国海洋石油総公司、中国石油化工の中国側2社と共同開発契約を結び、シェルとユノカルがそれぞれ20%ずつ権益を保有していた。

 ユノカルのハンセン副社長は、同社のホームページで「過去一年にわたり調査と分析を進めたが、商業上の理由でこれ以上プロジェクトを進めないことになった」と述べたが、判断の根拠は示していない。

 「春暁」は、日本が主張する東シナ海の日中中間線から数キロ中国側にあり、日本政府は日本側の埋蔵資源に開発が及ぶ可能性があるとして、たびたび抗議してきた。

 中国紙が8月末に中国側がガス田と陸地を結ぶパイプラインの敷設工事を始めた、と伝えるなど工事は本格化しているとみられていた。(共同)

川口外相が北京到着、天然ガス田開発など意見交換へ

2004/09/11 読売新聞 Yomiuri On-Line
 【北京=東武雄】川口外相は11日夜(日本時間同)、世界経済に関する国際会議「中国ビジネスサミット」に出席するため北京に到着した。

 12日には中国の唐家セン(とう・かせん)・国務委員と会談し、中国による東シナ海での天然ガス田開発問題などについて意見交換する見通しだ。(センは「王」ヘンに旋)

 中国ビジネスサミットへの日本の外相の参加は初めて。川口外相は13日のワーキングランチで、東アジアの経済連携強化をテーマに講演する。このほか、脱北者29人による駆け込み事件が起きた北京の日本人学校を視察し、警備上の問題点などについて学校関係者から意見を聞く予定だ。

中国の拒否「極めて遺憾」房長官 東シナ海天然ガス田開発

2004/09/08 The Sankei Shimbun
 細田博之官房長官は8日午前の記者会見で、日中間で対立している東シナ海天然ガス田開発で、日本側が求めていたデータ提供を中国外務省が拒否する考えを示したことに対し「きょう外交ルートを通じ極めて遺憾と申し入れ、情報の提供を再度要請した」と述べた。

 中国のガス田開発に触れ「鉱区や地下構造の一部が日中両国の中間線をまたがっている可能性があり、重大な懸念を持って情報の提供を何度も求めている」と指摘した。

中国商務相に懸念表明=東シナ海ガス田問題−中川経産相

2004/09/05 時事通信社
 【ジャカルタ5日時事】中川昭一経済産業相は5日、ジャカルタで中国の薄煕来商務相と会談し、同国が東シナ海の日本の排他的経済水域(EEZ)の境界線(日中中間線)近くで天然ガス田の開発を進めている問題に関して、「中国側の対応は極めて不誠実であり、(この問題を)解決しないと大変なことになる。各国も関心を持っている」と申し入れ、強い懸念を表明した。 

「事実なら重大懸念」中国パイプライン報道で細田氏

2004/08/27 The Sankei Shimbun
 細田博之官房長官は27日午後の記者会見で、中国が東シナ海の天然ガス田開発に絡んで海底パイプラインの敷設工事を始めたとの中国側報道に関し「中国政府に事実関係を照会している。(事実であれば)あらためて重大な懸念を表明せざるを得ない」と指摘した。

 中国政府が今年6月の日中外相会談で提案した天然ガス田の共同開発案については「日中中間線で共同開発すると言うなら1つの考えだが、(具体的にどう考えているのか)照会しているところだ」と述べ、中国側の対応を慎重に見極める考えを示した。

中国、パイプライン敷設開始 東シナ海ガス田開発本格化

2004/08/26 The Sankei Shimbun
 中国南京市の夕刊紙、揚子晩報(電子版)は26日、日中間の対立が深刻化している東シナ海の天然ガス田「春暁」の問題で、中国側の開発が本格化し、ガス田と陸地をつなぐ長さ470キロの海底パイプラインの敷設工事が始まったと報じた。開発の本格化で日本側が反発を強めるのは必至で、日中の対立が激化する恐れがある。

 また同紙は、開発計画の概要を初めて伝えた。それによると、春暁は4つのガス田で構成され総面積は2万2000平方キロメートル。来年5月に第1期工事が完成する見通しで、パイプラインを通じて年間25億立方メートルの天然ガスを浙江省と上海市に供給する。

 開発は中国海洋石油総公司、国際石油資本ロイヤル・ダッチ・シェルなどの企業連合が進め、既に外国籍の作業船7隻と200人の外国人担当者が浙江省寧波市で中国入境手続きを済ませた。

 工事期間中、合計で27隻の作業船と800人の開発担当者が作業にあたるという。

 日本が主張する東シナ海の日中中間線から4、5キロ中国側にある春暁の開発をめぐっては、巨大な採掘施設の建造が判明するなど中国側が開発を進めてきた。日本政府は中国側にたびたび抗議、中川昭一経済産業相がガス田を上空から視察するなど、日中摩擦の焦点の1つになっている。(共同)

東シナ海 天然ガス田 境界線問題 採算性 事業化は多難

2004/08/25 読売新聞 Yomiuri On-Line

◆把握遅れる埋蔵量 読めぬ中国の反応

 東シナ海の日本の排他的経済水域の境界近くで、中国の石油開発会社などが天然ガス田の開発を進めている問題で、日本が現場海域の地質調査を始めてから、まもなく2か月になる。エネルギー資源が乏しい日本にとって、東シナ海の天然ガスや石油は貴重な資源だ。しかし、日中の境界線問題に加えて、採算性などの課題もあり、本格的な開発につながるかどうかは不透明だ。(中沢 謙介)

 ■調査、先月から

 中国や米英などの石油開発会社は2003年8月、日本が主張する排他的経済水域の境界線に近接する春暁ガス田群の開発契約を結び、来年には操業を開始する。このガス田は最も近いところで境界線から約5キロしか離れておらず、天然ガスは境界を挟んで地下で日本側につながっていて、中国側で採掘すると、日本側の資源も吸い上げられてしまう可能性が高い。資源エネルギー庁や外務省は昨年10月以来、中国側に対して、地下の地質構造などのデータを提供するよう求め続けているが、回答はない。

 このため同庁は7月に境界近くの日本側海域で、海底の地質調査を開始した。同庁は1972年―91年と、96年―2000年の2度にわたり東シナ海の地質調査を行った。特に今回からは海底の下の地層構造を立体的に把握する「3D探査」を行い、資源が境界線の両側にまたがっているかの判断材料のほか、試掘を視野に入れた詳細な地質データを得たい考えだ。

地質調査のため船体からケーブルをのばし巡航する日本の調査船(7月7日、東シナ海で本社機から)

 ■貴重な資源

 経産省が94年に行った試算によると、東シナ海の日本側海域全体で、石油や天然ガスが、原油換算で5億キロ・リットルも埋蔵されているという。日本の原油の国家備蓄量の10倍、消費量の2年分にも相当する量だ。

 国際エネルギー機関(IEA)によると、日本のエネルギー自給率は4%で、アメリカの66%や、ドイツの25%などと比べて極端に低い。東シナ海のエネルギー資源は日本にとって「極めて重要」(中川経済産業相)なのだ。

 現在は中国のエネルギー消費の急増や、イラクやロシアなど産油国の供給懸念で原油価格が高騰しており、自国でできるだけエネルギー資源を確保する努力が求められている。

 特に日本は原油輸入の約9割を国際政情で火種の絶えない中東に頼っており、東シナ海の石油・ガス資源は、中東依存度を低くし、資源確保の安定性を高める上でも貴重な存在だ。

 ■輸送コスト高く

 ただ、事業化に向けた課題は少なくない。まず、中国が日本の主張する排他的経済水域を認めず、境界の日本側も中国に開発の主権がある資源だと主張しているため、試掘さえ行われていない。このため、東シナ海の埋蔵量や、資源が主に天然ガスなのか、石油なのかも把握できず、現時点では開発して採算が取れるかどうかの判断が難しい。

 仮にまとまった量の埋蔵量があったとしても、輸送コストなどの課題がある。

 天然ガスの輸送手段はパイプラインだが、採掘場所と日本の本土の間には深い海溝があるうえ距離も遠く、日本にパイプラインで運ぶのでは採算が取れない可能性が高いという。

 中国がすでに敷設したパイプラインを使って中国向けに販売することも考えられるが、「物価の安い中国向けでは採算が取れない恐れもある」(業界関係者)との指摘もある。

 一方、石油が埋蔵されていれば採掘現場でタンカーに積めて、輸送しやすい。市場が整備されているため、天然ガスより買い手も見つけやすいとされる。

 ■限られた時間

 1960年代から石油資源開発、帝国石油など、国内の開発会社が試掘や開発を行うための鉱業権の取得を日本政府に申請している。しかし政府は、「試掘した場合、中国側がどういった対応に出るかは読み切れない。試掘には覚悟が必要になる」(政府筋)など、中国の猛反発を心配して、許可していない。

 今回、詳細な地質調査には踏み切り、中川経産相は試掘も辞さない構えを見せているが、交渉の行方は見えない。

 資源エネ庁の現場海域での調査は10月に終了するが、地質構造の分析にはさらに数か月かかり、その間にも中国の操業に向けた準備は進むとみられ、日本は限られた時間の中で、難しい対応を迫られそうだ。

大陸棚権益目指し、関係省庁初会合…証明データ国連へ

2004/08/07 読売新聞 Yomiuri On-Line
 政府は6日、首相官邸で次官・局長級の「大陸棚調査・海洋資源等に関する関係省庁連絡会議」(議長・二橋正弘官房副長官)の初会合を開き、鉱物資源などが埋蔵される大陸棚の権益を確保するため、大陸棚画定に向けた基本方針を決めた。

 2009年1月をめどに、日本周辺海域の大陸棚が日本の領土と地続きであることを証明するデータを国連に提出することを明記した。国連海洋法条約は2009年5月までに国連に証明データの提出を求めているためだ。

 データ収集のため2004年度から開始している海底地形調査や地殻構造探査を加速し、2007年末までに終了するという具体的日程も確定させた。

 会合では、東シナ海における日本の排他的経済水域(EEZ)の境界線(日中中間線)近くで中国が進めている天然ガス田開発などについても、関係省庁間で緊密に情報交換し、連携を図ることとした。

 

海底メタン、新潟沖にも 日本海側初、東大教授らが採取

2004/08/05 Yasahi.com
 石油に代わる次代の燃料として注目されるメタンハイドレートが、新潟県上越市沖の海底下に存在することを、東京大の松本良教授(地質学)らが確かめた。これまで太平洋側ではハイドレートの層が見つかっているが、日本海側は地形の条件などから探査はほとんど手つかずで、本州の日本海側でサンプル採取に成功したのは初めてという。調査が進んで埋蔵確認が増えれば、未来の国産エネルギーへの期待が膨らむ。

 メタンハイドレートはメタン分子を水の分子が取り囲んでシャーベット状に固まったもの。火をつけると燃えることから「燃える氷」とも呼ばれる。永久凍土や深海底の下など低温・高圧の場所で作られ、石油や石炭に匹敵する量があるとされる。

 松本教授らは東京海洋大の研究練習船・海鷹丸を使い、新潟県上越市の約30キロ沖合で、深さ約1000メートルの海底の様子を東西3キロ、南北5キロにわたって調べた。

 調査海域の約40カ所で大量のメタンが海底から直径約100メートルの範囲にわたって噴出している様子を魚群探知機などで確認できた。世界的にも珍しい現象だという。直径8センチのパイプを海底の15カ所に差し込み、うち1カ所でメタンハイドレートが採取できた。厚さは少なくとも3メートルあった。

 松本教授は「地下から膨大なメタンが上昇し、固まってメタンハイドレートになるいとまもなく、海中に噴き出しているようだ。メタンハイドレートを資源として利用するには、海底から200〜300メートルの地下に大量の埋蔵量が必要だ。今後埋蔵量などの調査を進めたい」と話す。

 メタンハイドレートがあるかどうかは、海底に音波をぶつけ、ハイドレート境界面の反射の様子から調べる。太平洋側では調査が進み、国内の天然ガス消費量の100年分に相当する量が埋蔵されているとされるが、日本海側では奥尻海嶺など一部でしか調べられていない

海洋大陸棚:資源確保に向け政府連絡協議会設置へ

2004年08月05日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE
 政府は5日、海洋大陸棚の資源確保に向け内閣官房と関係8省庁で構成する「大陸棚調査・海洋資源等に関する関係省庁連絡会議」(議長・二橋正弘内閣官房副長官)を設置すると発表した。東シナ海のガス田開発など海洋資源確保に乗り出した中国の動きを意識したもので、日中間の排他的経済水域(EEZ)境界線の画定や、大陸棚調査などの取り組みを政府一体で推進する狙いがある。6日に初会合を開く。

 連絡会議は外務省、防衛庁の局長級や海上保安庁長官、資源エネルギー庁長官らで構成。自民党からは閣僚会議設置を求める声も出ているため、格上げも今後検討する。

 細田博之官房長官は5日の記者会見で「海洋をめぐるさまざまな問題はわが国の国益に直結する課題。問題を特定せず協議する」と述べ、連絡会議が中国の動きに必ずしも対応したものでないと強調した。しかし中国が沖ノ鳥島を「島」ではなく「岩」だと主張するなど日中間でEEZ境界線が画定していない。中国は東シナ海での海洋調査などを進め、資源確保に向けた動きを進めており、政府関係者は「対中国への危機感が政府内でも高まっており、設置につながった。当面はガス田開発など中国との関係を中心とした議論が進む可能性が高い」と話している。【高山祐】

台湾、天然ガス田開発へ 高雄の西方100キロ

2004/07/25 The Sankei Shimbun
 25日付の台湾紙、自由時報は、台湾の中国石油公司が、台湾海峡の中台中間線から約40キロ台湾側の海域にある天然ガス田の開発に近く着手する予定と報じた。

 埋蔵量45億−100億立方メートルと見積もられているガス田は32年前に発見され、7年前に開発計画が提起されたが、コストの問題などから実行に移されなかった。

 中国石油は開発技術の進歩でコストが下がったため再度、開発を検討することにしたと説明しているが、中国が東シナ海の日中中間線付近の中国側海域で天然ガス田開発を始めたことに触発された面もありそうだ。

 同紙によると、台湾南部・高雄の西方100キロに位置するガス田の開発経費は100億台湾元(約320億円)。2010年末までに生産を始める計画で、成功すれば年間8億立方メートル規模の天然ガス供給が見込めるという。

 中国石油は、中国の中国海洋石油総公司と共同で、台湾海峡の海底油田探査事業も行っているが、今のところ採掘のめどは立っていない。(共同)

東シナ海上に見た 『国策』の差

2004/07/09 東京新聞
 東シナ海の日中中間線沿いに建設が進む中国の天然ガス採掘施設「春暁ガス田群」の全容が明らかになってきた。急ピッチで進む作業は、燃料資源に固執する中国の強い意志の表れと映る。来年五月の稼働開始が予定されているが、石油開発の専門家からは「施設そのものは年内に完成する」との指摘も出ている。  (社会部・半田滋、浜口武司)

 <すべては「政治判断」>

 七日午前、本社機で長崎空港を離陸してから一時間半、この日から資源探査を開始した日本側の調査船「ラムフォームビクトリー」が見えた。

 薄茶色のずんぐりした船体。船尾から十二本のワイヤを引いている。物理探査の一種で、エアガンから音波を発射し、海底の地層の境界面からはね返ってくる音波を拾って、資源が埋蔵されている地層を探り当てる。

 次は試掘となるのが順当だが、事前に会った経済産業省幹部の口は重かった。「試掘するか否か、するならいつか、すべて政治判断です」

 中国の反発をおそれ、日本の石油採掘企業四社から出されていた探査や試掘の許可願を三十年以上も放置したままの日本政府。一方、中国は同じ海域で調査を強行し、一九九五年には日本政府の抗議を無視して試掘まで行っている。

 中間線を越えて約四キロの中国側海域に、本紙が五月に初めて確認した「春暁」の黄色いやぐらが現れた。

 さらに北北東約二十一キロに春暁そっくりの「天外天」と、ガス田群の中核となる二十メートル×六十メートルの大型やぐら(プラットホーム)が海上に姿を見せている。

 プラットホームは中央処理施設になるとみられる。ここで天然ガスや油を海水から分離し、天然ガスはパイプラインで中国・寧波へ送り出す。地上で液化するコンデンセートと呼ばれる少量の炭化水素は北へ約百キロの平湖ガス田を経由し、上海に送られることになる。

 <共同開発「余地なし」>

 九九年に稼働開始した平湖ガス田は、掘削と精製をひとつのやぐら上で行う集合施設だが、春暁ガス田群は掘削用のやぐらと中央処理施設を別々に建設している。日本の石油開発専門家は「急いでいるためではないか」と分析する。

 「別々に造れば、処理施設の建設と掘削を同時進行できる。冬に海が荒れる前に完成させるつもりかもしれない」という。

 中国が原油と天然ガスの輸出国から輸入国に転落して十一年。経済発展を続けるにはエネルギー問題の解決が不可欠だ。石油備蓄量九十日を目指し、備蓄関連法の制定を進める中国の思惑が、急ピッチで建設が進む春暁ガス田群に現れている。

 上空からの取材で、春暁には掘削用パイプを固定するスロットと呼ばれる輪が十五個あり、天外天は十二個であることが判明した。輪の数は一般的に埋蔵量に比例し、春暁の方が天外天よりも埋蔵量が多いとみられる。

 中国が公表している春暁ガス田群全体の計画生産量は年間二十五億立方メートル。来年五月から生産開始し、二年以内に計画生産量に達する見通しだ。

 しかし、中国の海洋問題に詳しい杏林大学の平松茂雄教授は「予想以上に速いペースで建設が進んでいる。日本が対抗して資源探査を始めたが、中国の計画変更は考えられない」と指摘する。

 中国は日本に「ガス田の共同開発」を提案しているが、中国は昨年八月、春暁ガス田群、宝雲亭など東シナ海の鉱区五カ所で欧米企業と探査・開発契約を結んだ。

 平松教授は「中国が共同開発といっているのは中間線の日本側海域。春暁の開発に日本が入り込む余地がないのは明らか」と話している。

中国:日本の東シナ海調査開始に抗議デモ

2004年07月09日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE
 【北京・大谷麻由美】北京の日本大使館前で9日、東シナ海の排他的経済水域(EEZ)の日本側海域で、経済産業省が海洋資源調査を始めたことに対して、中国の活動家が抗議デモを行った。調査開始日の7日は、1937年の盧溝橋事件の記念日だったことから、活動家は「敏感な日に中国の領域を侵した」と抗議。「東シナ海への侵略を許さない」と書いた横断幕を掲げた。

中国の大型やぐら確認/ 東シナ海・春暁ガス田群

2004/07/08 中日新聞
 東シナ海の日中中間線ぎりぎりの中国側海域で、中国が建設を進めている「春暁ガス田群」の本拠地となる海上精製施設の大型やぐら(プラットホーム)が七日、本社航空機からの取材で確認された。天然ガスの採掘施設となるやぐらが既に二カ所建設されており、大規模なガス田群となるのが確実になった。

 大型やぐらは日中中間線から約九キロの洋上にあり、六十メートル×二十メートル。最初に建設された中間線から約四キロのところにある「春暁」の二十メートル四方のやぐらを横に三個つないだ形状をしている。

 大型やぐらに隣接して採掘施設「天外天」のやぐらが新たに建てられたほか、「残雪」「断橋」の建設が計画され、本拠地は四施設の中央になるとみられる。

 日本の石油採掘専門家によると、中央施設には四採掘施設から天然ガスや石油がパイプで送り込まれ、精製する処理設備が造られる。二十四時間稼働できるよう技師や作業員の宿舎を併設、緊急時の移動に必要なヘリポートも造られる見通し。

 来年五月には海底パイプを通じて天然ガスが中国・寧波へ送り込まれ、二年後には年間二十五億立方メートルの生産が見込まれている。

 日本政府は、日本側に埋蔵される資源がストローで吸い上げられるように中国側に採取されるおそれがあるとして再三、詳細なデータの提供を求めているが、中国側は応じていない。

中国政府、日本が東シナ海で開始した海底資源調査を非難

2004/07/08(ロイター)YAHOO! News
 [北京 8日 ロイター] 新華社によると、中国は、日本が東シナ海で開始した海底資源調査について、危険かつ挑発的として非難した。

 日本政府は7日、海底資源調査を開始したと発表。中国側が進める天然ガスの採掘プロジェクトから、日本の権益を守るため、と説明した。

 中国は最近になって、日本が排他的経済水域(EEZ)とみなしている領域から5キロの地点に天然ガスの採掘施設を設けた。日本側は、日本のEEZからガスが採掘されるのではないか、と懸念を強めている。

 新華社によると、中国の王毅外務次官は7日、阿南惟茂駐中国大使を外務省に呼び、中国は日本の動きを容認することはできない、と述べたうえ、「その危険かつ挑発的行為に強く反対する」との立場を伝えた。

日中間の新たな火種に 東シナ海のガス田開発

2004/07/08 下野新聞社
 【北京8日共同】日本政府が東シナ海の日中中間線付近で7日から地質の独自調査を開始したことに対し、中国政府は「日本の挑発的行為に反対する」と抗議し、反発を強めている。小泉純一郎首相の靖国神社参拝や尖閣諸島の領有権をめぐり対立する両国の新たな火種になるのは確実だ。

 首脳の相互訪問が約3年も実現していないなど関係の冷却化で、順調な経済関係にも影響を及ぼす恐れが出てきた。

 中国外務省の王毅次官は7日、阿南惟茂駐中国大使に、日本側の「一方的主張を押しつけるやり方は受け入れられない」と批判。章啓月副報道局長も8日の定例会見で「もう一段の対応を取る権利を留保する」と述べ、日本側をけん制した。

 中国は、日本が排他的経済水域(EEZ)の境界とする中間線を認めておらず、逆に東シナ海の大陸棚全域での経済的権利を主張。境界線画定作業は1998年から続けられているが「主張は平行線」(日中外交筋)で、急速に歩み寄る可能性は小さい。

東中国海の海底資源調査で日本に厳正な申し入れ

2004年07月08日「人民網日本語版」

日本は7日、東中国海で日本側が一方的に主張しているいわゆる「中間ライン」より東側の、中日両国が領有権をめぐって論争している海域で海底資源調査を始めた。これに対して、外交部の王毅副部長は同日、日本の阿南惟茂駐中大使を緊急に呼び、日本に厳正な申し入れをした。

王副部長は「東中国海はまだ境界線が定まっておらず、中日両国はこの問題をめぐって論争している。いわゆる『中間ライン』はただ日本側が一方的に主張しているだけで、中国がこれまで認めたことはなく、また認めることもできない。日本側のこうした自分の主張を他人に押し付けるようなやり方を、中国は決して受け入れられない。日本側のこうした挑発的行為は非常に危険であり、中国は断固として反対する」と指摘した。

さらに王副部長は「東中国海の境界線確定は、交渉による解決こそ唯一正しい選択だ。日本が国際法ルールを守り、両国の論争海域で中国側の主権と権益を侵害する行為を直ちに停止することを、中国は強く要求する」と強調した。(編集ZX)

東シナ海のガス田調査開始…埋蔵の可能性探る

2004/07/07 (読売新聞)YAHOO! NEWS
 東シナ海の日本の排他的経済水域の境界線(日中の中間線)近くで中国が天然ガス田(春暁ガス田群)の開発を進めている問題で、経済産業省・資源エネルギー庁は7日早朝、中間線から日本側の現場海域で、独自の地質調査を開始した。

 同日午前10時現在、調査船は数隻の船に先導されながら、沖縄本島から北西に370キロ、中国のガス田から南西に50キロほどの海域で調査を行っている。

 調査は調査船から海底に向けて音波を発し、反射音を基に海底の地質構造を探る方式だ。10月まで行われ、約30億円の費用がかかる。

 春暁ガス田は中間線から中国側に5キロ程度の場所にあり、中間線をまたいで資源が日本側に続いている可能性がある。日本側は中国に資源の埋蔵状況などのデータを求めているが、現時点では中国側からの回答はない。

 このままでは来年に採掘が始まり、日本の貴重な石油・ガス資源が中国側に採掘される恐れがあるため、独自調査に踏み切った。

東シナ海のガス田問題 慎重な行動を日本に要求 中国外務報道官

2004年07月02日(金) (産経新聞) Gooニュース
 【北京=野口東秀】中国外務省の章啓月報道官は一日の定例会見で、東シナ海の天然ガス開発問題に関し、「日本側はこの問題で慎重な行動をとるよう希望する。事態を緊張、複雑化させるいかなる言動もしてほしくない」と述べ、日本側独自の調査に反対する姿勢を示した。

 章報道官は、日中中間線そばでの天然ガス開発について、「日中間で争いのない中国の近海で行っている」と述べ、中国側による開発の正当性を強調する一方、中国側が認めていない「日中中間線」については「存在する争いは平和的協議を通じた解決を希望する」と述べた。

中国による東中国海資源開発は論争の海域ではない

2004年07月02日「人民網日本語版」
外交部の章啓月報道官は1日の記者会見で、中国が東中国海で進めている石油・天然ガス開発は、日本と領有権を争っている海域ではなく、中国の近海に位置しているとの認識を示した。記者との一問一答は次のとおり。

――中国と日本の東中国海における石油・天然ガス資源開発をめぐる論争について論評してほしい。中国は、中日両国の間で論争のある東中国海地域での石油・天然ガス資源開発について、どんな原則を取るのか。

中日両国は東中国海の境界確定問題で確かに論争している。中国側の立場は、両国は交渉を通じて関連する問題を解決すべきだということだ。日本側はこの問題を処理する上で両国関係を維持する大局に立ち、事態を複雑化させるいかなる言行も取らないよう希望する。

私の知る限り、中国が進めている東中国海の石油・天然ガス開発は、論争の海域ではなく、中国近海に位置している。東中国海の境界確定問題について、中日両国は交渉を通じて話し合いによって解決するべきだ。(編集ZX)

中国、東シナ海の海洋調査けん制 日本に厳重申し入れ

2004/06/30 The Sankei Shimbun
 中国外務省の章啓月副報道局長は30日、日本が中国に対抗し近く東シナ海の日中中間線付近の日本側海域へ調査船を派遣する方針を表明したことについて「外交ルートを通じ厳重な申し入れをした」との談話を発表、日本側をけん制した。

 談話は「事態を複雑化させるいかなる行動もとるべきでない」と指摘、同問題での日中間の摩擦がさらに拡大する可能性が強まってきた。

 副報道局長は日中間の話し合いによる解決を主張する一方、「中国の利益」を損なわないよう強く要求。北京の日本大使館によると、中国の沈国放外務次官補が同日、阿南惟茂大使に「強い関心」を表明したという。

 同大使館によると、阿南大使は「日中政府間の信頼関係が重要」とした上で、川口順子外相や中川昭一経済産業相らが要請している中国側の試掘データなどの情報を速やかに日本側に提供するようあらためて求めた。

 日中中間線付近の中国側海域では、中国の企業連合が天然ガスの採掘施設の建設を始めたことが分かり、日本政府が抗議。中川経産相が29日、試掘を視野に調査船を7月早々にも出す考えを明らかにしていた。(共同)

東シナ海資源開発を加速 尖閣周辺調査、日本に通報せず

2004/06/29 FujiSankei Business i.
 【北京=野口東秀】中国の温家宝首相は東シナ海の海底資源を念頭にした石油・天然ガス開発の加速を強く指示した。国営新華社通信の週刊誌「瞭望東方週刊」(最新号)など中国内メディアも相次いで「中国の海洋国土(海域)は半分(日本側海域など)がまだ調査が済んでいない」とする刺激的な特集記事を掲載している。東シナ海で日本と係争中の「中間線問題」について、中国は資源の探査・開発で一歩も譲らない姿勢だ。

 温首相は25日、石油・天然ガスの戦略資源研究会議を主催、「石油・天然ガスは重要な戦略資源だ。中国内の資源探査・開発を強化すべきである」と指示した。

 温首相の指示に呼応するように同日から27日にかけ、尖閣諸島・魚釣島周辺の日本の排他的経済水域(EEZ)内で、中国の海洋測量艦「東測226」が活動しているのを海上自衛隊が確認している。大陸棚の調査と同時に、自国の領土・領海に行くのに日本への通報は必要ないとの考えを行動で示したものだ。

 外交専門誌「世界知識」(最新号)は「釣魚島(尖閣諸島)周辺にはイラクの埋蔵量に匹敵する1095億トンの石油が眠っている。東シナ海の開発は必ず行うべきだ」との記事を掲載している。

 さらに、「瞭望東方週刊」の特集記事では、海洋調査をしてこなかった日本には中国と交渉する“資格”がないと指摘。「日本側は関係省庁間で意見統一されておらず、『鶏が先か、卵が先か』の論争をしている。日本外務省は両国の海洋境界を策定していない」とあざけるような論調だ。

 一方、中国側はこれまでの海底調査で20年間分の需要を賄う(コバルトなどの)鉱物資源を確認したとしている。

 日本と真っ向から意見が食い違う大陸棚の境界問題は、海底資源の採掘権利を得るために、地形や地質などから領土に続く大陸棚であることを2009年までに証明しなくてはならない。

 これに対し、「国連海洋法条約では2500メートルの深さが大陸棚の基準となるが、沖縄トラフは2940メートルある」(瞭望東方週刊)と主張。中国大陸から南西諸島西岸の沖縄トラフまでは1つの大陸棚で、中国は東シナ海大陸棚全海域に対する主導的権利をもつと主張している。

東シナ海ガス田、日本も7月から資源調査・経産相 2004/06/29 NIKKEI

 中川昭一経済産業相は29日の閣議後の記者会見で、中国が東シナ海の排他的経済水域(EEZ)の日中境界線(中間線)付近で天然ガス田の開発を進めている問題をめぐり、同省が中心となって7月上旬から中間線に沿った日本側の海域で試掘を視野に入れた海底資源調査を実施すると表明した。

 経産省によると、調査は7月7日から10月ごろまでを予定しており、北緯28度から30度の中間線に沿った幅約30キロの海域が対象となる。調査船から海底に地震波をあてて地下の鉱物の状況などを探る「三次元調査」と呼ばれる方法で行い、データ収集を進める。

 同省が石油天然ガス・金属鉱物資源機構に委託する形で実施する。経産省は試掘の前段階の調査と位置づけている。

 中川経産相は「関係自治体や漁業関係者の理解をいただいて調査したい」と表明。中国側が日中の共同開発を提案していることについては「現時点でまったく考えていない」と強調した。日本政府は同日までに外交ルートを通じて中国側に調査を実施する方針を伝えている。

日本が来月独自に調査

2004/06/29 東京新聞
東シナ海ガス田

 東シナ海における日本の排他的経済水域(EEZ)の付近で中国が天然ガス田の開発を進めている問題について、中川昭一経済産業相は二十九日の閣議後会見で、政府として七月から、EEZの日本側で石油・ガス田の独自調査に入ることを明らかにした。

 EEZの境界である日中中間線付近での中国の開発事業は、日本側に権利がある資源の採掘につながる恐れがあるため、政府は鉱脈など開発データの提供を中国に求めている。だが、中川経産相は「一カ月近くたって何も満足できる回答が来ない」と述べ、自力調査の実施が必要と判断したもようだ。七月七日から着手、十月までかかる見通し。

中国船が再び調査=排他的経済水域内−尖閣海域

2004/06/27 (時事通信)YAHOO! New
 27日午後1時ごろ、尖閣諸島・魚釣島の北北東約85キロの日本の排他的経済水域(EEZ)内で、中国のヤンライ級海洋測量艦「東測226」(排水量1040トン)が活動しているのを海上自衛隊第五航空群(那覇航空基地)のP3C哨戒機が確認した。

 海上幕僚監部によると、同艦は海洋調査とみられる活動をしていた。同艦は25日にも魚釣島の西南西37キロで確認され、防衛庁が外務省と海上保安庁に同艦のEEZ内での活動を通報していた。 (時事通信)

中国の東シナ海ガス田開発問題 「日本の資源か確認を」 中川経産相が現場視察

2004/06/24 The Nishinippon WEB 西日本新聞
 中川昭一経済産業相は二十三日、海上保安庁の航空機に乗り、中国の企業連合が東シナ海の日中中間線付近で進めている天然ガス田の開発現場を上空から視察した。閣僚では初めて。視察後、中川経産相は「日本の貴重な資源が採掘されていないか確認を取りたい」と述べ、鉱脈などの開発データの提供を中国側に求めていく考えをあらためて示した。

 天外天ガス田などを含む春暁ガス田群は、天然資源など国家の経済的主権が及ぶ排他的経済水域(EEZ)の境界である中間線から、中国側約五キロの位置にある。二〇〇五年に生産開始し、年間二・五億立方メートルのガスを中国に送る見込み。このため、「日本側の水域にある資源も中国側に取られてしまうのでは」との懸念が出ていた。

 約一時間視察した中川経産相は「天外天ガス田は(動きが)活発で、確認していた施設の隣に大きなプラットホームができ、大型運搬船が行き来していた」と語った。

 これまで中国側は中間線をEEZと認めず、データの提供も拒み続けているが、「われわれの貴重な資源である石油やガスが採掘されていないという確認を取りたい。日中双方が平和的に発展していくため、ぜひともやらなければならない確認作業だ」と強調した。

中川経産相:東シナ海ガス田を視察 対中国との交渉材料に

毎日新聞 2004年6月23日 MainichiINTERACTIVE

 中川昭一経済産業相は23日、東シナ海の排他的経済水域(EEZ)の境界線付近で中国が進めている天然ガス田開発現場を上空から視察した。閣僚の視察は初めて。ガス採掘施設建設の進ちょく状況などを確認し、今後の中国との交渉材料にする考えだ。

 経産相は海上保安庁の航空機で、EEZの日中中間線から約4キロ中国側に位置する「春暁ガス田」付近を視察した。建設工事は行われていなかったが、春暁近くで中国が開発中の別のガス田「天外天」では、組み上げたばかりの作業用プラットホームや大型クレーン、物資を輸送する多数の貨物船を確認した。

 経産相は視察後、同庁羽田航空基地内で会見し、「日中中間線から近いため、我々の貴重な石油やガスが採掘されていないか(中国からの提供データで)ぜひ確認をとりたい。日中双方が平和的に発展していくためにぜひともやらなければならない作業だ」と述べた。

 さらに、「(中国側からの)誠実な回答を期待しているが、それ以外に何ができるかについては慎重に検討している」と述べ、中国側の対応次第では、日本独自で海底資源を調査する可能性があることを示唆した。【須佐美玲子】

東シナ海の開発現場を視察

2004/06/23 京都新聞
経産相、中国への圧力狙い

 中川昭一経済産業相は23日午前、羽田空港から海上保安庁の航空機に乗り、東シナ海の日中中間線付近で中国の企業連合が進める天然ガス開発の現状視察に出発した。日本の閣僚が開発現場の周辺を視察するのは初めて。

 天然資源や漁業など国家の経済的主権が及ぶ排他的経済水域(EEZ)の境界である中間線を越えて、開発事業が行われていないか確認するのが目的。中間線をEEZと認めず、鉱脈など開発データの提供も拒み続ける中国側に圧力をかける狙いもあるとみられ、日中間の駆け引きが活発化しそうだ。

 開発現場は「春暁」と呼ばれるガス田付近。周辺には、既に生産を始めている「平湖」など複数のガス田があり、埋蔵量は推定分を含めて2000億立方メートルともいわれる。中国側はこれまで、日本側との共同開発をたびたび提案しているが、「尖閣諸島の領有権棚上げ」などを前提としていたため、日本側は「境界画定が先」と拒否している。(共同通信)

東シナ海 動き出した懸念

2004/06/23 Yomiuri On-Line
 奄美大島から西に約450キロの東シナ海。低くたれ込めた雲の切れ間から降下すると、巨大なクレーン船が視界に飛び込んできた。近くの洋上には、黄色いパイプを組み合わせた真新しいやぐらがあった。

 中国が、東シナ海で建設を始めた天然ガス採掘施設を本社機から見た。ヘリポートもあるクレーン船の甲板には、建設機械や資材が所狭しと置かれ、オレンジ色の作業服を着た10人余りが動き回る。

 「春暁ガス田群」と呼ばれる施設群は、日本の排他的経済水域(EEZ)の境界線(日中中間線)から中国側に約5―9キロの至近距離に位置。稼働すれば、日本側の海底に広がる天然ガスまで採掘される懸念があり、日中間の新たな懸案として浮上している。

 4つのガス田が確認されている同群のうち、「春暁」は来年には生産を開始、最大で年間25億立方メートルの天然ガスを中国本土に送る計画という。資源調査や試掘を着々と進めてきた中国に対し、権益を守るための効果的な手を打てずに来た日本。洋上に姿を見せた採掘施設は、その大きな代償にも見えた。(カメラとペン 竹田津 敦史)

経産相、東シナ海のガス田視察へ

2004/06/22 NIKKEI
 中川昭一経済産業相は22日の閣議後記者会見で、日本が主張する東シナ海の排他的経済水域の日中境界線付近で中国がガス田開発をしている問題で「明日、掘っている状況を視察する。中間線と、そこにどういう施設や船があるのかこの目で確認したい」と述べた。

 午前9時半に海上保安庁の飛行機で羽田空港を出発、現地を上空から1時間程度視察する。資源エネルギー庁の細野哲弘次長らが同行する。

 中国が昨日、川口順子外相との会談で提案した共同開発については「まずは中国側がデータを提供し、我々が主張する中間線のどちら側に(開発地点が)あるのか確認するのが先。現段階で共同開発は考えていない」と述べた。

日中外相会談の要旨

2004/06/18 (時事通信)YAHOO! News
 【青島(中国山東省)21日時事】川口順子外相と中国の李肇星外相の会談要旨は次の通り。

 〔東シナ海天然ガス採掘問題〕

 川口外相 中国側で開発しても(ガス田の)地下構造は日本側に延びているのではないか。日本の(海底資源の)権利が侵害されることを心配している。

 李外相 中間線画定には両国に相違があり交渉で解決したい。日本が主張する中間線を認めるものではないが、相違を棚上げした上で共同開発もあり得る。検討してほしい。

 川口外相 共同開発を言う前に情報を提供してほしい。まずそれを研究する。その上で外交ルートで話し合っていきたい。

 李外相 接触を続けていきたい。

 〔尖閣諸島〕

 李外相 尖閣諸島は中国固有の領土だが、歴史あってのことで、交渉を通じ解決したい。中国は自制している。

 川口外相 中国側が冷静に対応することを期待している。

 〔その他〕

 川口外相 秋にはアジア欧州会議(ASEM)、アジア太平洋経済協力会議(APEC)、東南アジア諸国連合と日中韓(ASEANプラス3)と首脳会議が続くが、それぞれの場で両国首脳の会談を成功させたい。唐国務委員の来日を前向きに検討してほしい。

 李外相 唐国務委員の訪日は真剣に検討する。(了)

中国外相と協議も=東シナ海の天然ガス採掘で−川口外相

2004/06/18 JIJI Press News
 川口順子外相は18日午前の閣議後の記者会見で、東シナ海の排他的経済水域(EEZ)の境界線として日本が主張する「日中中間線」に近い中国側海域で、中国が天然ガス採掘施設を建設している問題について、「中国側に情報を求めているが、訪中までに何ら回答がなければ、李肇星外相に言わないといけない」と述べ、22日の日中韓外相会談のため訪れる中国・青島で李肇星外相と直接協議することもあり得るとの見通しを示した。

東シナ海の日中境界で新たな施設 中国、天然ガス開発を増強

2004/06/18 The Sankei Shimbum
日本、独自の調査検討

 東シナ海上の排他的経済水域(EEZ)の境界として日本が主張する「日中中間線」から約九キロとみられる中国寄りの海域で、中国側が中間線付近では二つ目となる天然ガス採掘施設を着工したことが十七日、本紙とフジテレビの共同取材で確認された。日本政府は今月九日、最初の施設着工を受けて中国側に国連海洋法条約に違反するとの懸念を伝えているが中国側から回答が得られていない。このため日本政府は中間線近くの日本側海域で独自調査に乗り出すことも検討しており、日中両国の対立は今後、深まりそうだ。

 新たに確認された採掘施設は北緯二八度三一分、東経一二五度〇〇分の地点で建設が進んでいる。付近一帯には、「天外天」「春暁」「断橋」「残雪」の計四つのガス田で構成される春暁ガス田群があり、今回、中国側は「天外天」の採掘に乗り出したとみられる。

 最初に着工された「春暁」の施設は中間線から中国寄りに四キロほど、北緯二八度二一分、東経一二四度五六分に位置しており、新採掘施設はそのすぐ近く。中間線からやや離れているが、中国側が日本側の懸念をよそに、採掘推進の姿勢を崩さないことが裏付けられた形だ。

 天然ガスや石油など豊富な地下資源が存在する可能性が指摘される東シナ海上のEEZの境界をめぐっては、日本側が両国からの距離に応じた中間線を提案。中国側は自国の大陸棚が延びているとする「沖縄トラフ」(尖閣諸島から久米島の海溝)を主張し、決着していない。

 国連海洋法条約では、境界画定に合意するまでは「関係国は最終合意への到達を危うくし、妨げないために、あらゆる努力を払う」と定められている。日本政府は中国の採掘施設建設が同条約違反であり、「日本の権利を侵す」と判断。中川昭一経済産業相は今月九日、フィリピン・マニラで開かれた国際会議の際、中国国家発展改革委員会の張国宝副主任(産業・エネルギー担当)との会談で強い懸念を表明。春暁ガス田の詳細なデータの提供を求めた。

 だが、政府筋によると、中国側の正式な回答は十七日現在、日本側に届いていない。日本政府は近く「春暁」のデータに関する中国側の回答を催促する方針だ。

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≪排他的経済水域(EEZ)≫ 国連海洋法条約に基づき、沿岸国が漁業や天然資源の開発・利用に主権的な権利や義務を持つ海域。通常は海岸線から200カイリ(約370キロ)までの範囲だが、距離的に近い日本と中国の間は海域が重複している。日本は固有領土の尖閣諸島を含む海岸線から中間地点の「日中中間線」をEEZの境界として主張。中国は中間線より日本側の海域に大きく食い込む「沖縄トラフ(海溝)」までを境界としている。

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≪真新しいやぐら 作業船係留、巨大資材も≫

 東シナ海の排他的経済水域(EEZ)の日中中間線そばで、中国が着々と建設を進める新たな天然ガス採掘施設を十七日、本社機から撮影した。

 建設場所は、日本の領土である尖閣諸島の北北東約四百五十キロあたりで、日本側水域までは約五キロの地点だ。

 採掘施設は水深約九十−百十メートルの海域に約二十メートル四方の真新しいやぐらを設置。施設の海面から出ている部分は、目立つように黄色い塗装が施されている。施設では作業員十数人がせわしく作業を進めていた。やぐらのそばにはヘリポートと大型クレーンを備えた作業船が係留され、やぐら用の巨大なパイプ資材も置かれ、建設が着々と進んでいることをうかがわせた。また、近くには資材を運ぶ貨物船三隻が停泊していた。

東シナ海ガス田問題、日本も資源を掘るべし

2004/06/18 週刊ニュース 日本政策研究センター
 ここ十数年来、わが国周辺海域で資源探査活動を続けてきた中国が、東シナ海の日中中間線ぎりぎりの中国側海域(春暁ガス田群)で、天然ガスを採掘するための施設「春暁」の建設に着手した(→地図)。5月28日付の東京新聞がこのことを報道して以来、この問題への関心がようやく高まりつつあるようだが、本日18日付の産経新聞によると、日中中間線付近では二つ目となる採掘施設建設に着工したことが確認されたという。

 十数年来のこの問題について繰り返し警告を発してきた平松茂雄杏林大学教授は、去る5月27日、東京新聞の取材に同行し、上空から春暁ガス田群を視察。「いつかこの日が来ると政府に警告していたが、『日本側海域まで来れば対応する』と言うばかり。日本の腰が引けているうち、中国に既成事実を積み重ねられてしまった。もう手遅れかもしれない」――こうコメントしていたが、それからわずか二週間余りで、事態は一層深刻になりつつある。

 ちなみに、今回中国が建造を始めたのは日中中間線の「中国側海域」であるが、平松教授は日本政策研究センターの取材に対して、かつて次のように述べたことがある。

 「私はそう遠くない将来、中国が日本側海域で試掘、あるいはプラットフォームの建造をはじめると見ています。日本政府は予想もしていないと思いますが、十分にあり得る。採掘のプラットフォームはあらかじめ中国大陸で造って試運転したうえで持ってくるから、基本的な組み立ては二、三日で出来てしまう。実際、平湖の場合は一週間で組み立てています。だから、見つけた時にはもう遅いということも十分あり得る。しかも、一旦プラットフォームが建てられたら取り除くのは容易ではありません。どかして下さいと言ったところで聞かないでしょうし、実力で排除するにしても、その時に中国の軍艦が出てきたらどうするのか。中国は東海艦隊が東シナ海で軍事演習を繰り返しています。ですから、そのような事態が起こらないように、また起きたときにどう対処するのか、今から考えておく必要があります」(『明日への選択』平成13年8月号)

 中国の海洋覇権拡大の歴史を振り返ってみると、南シナ海では常に相手の出方を瀬踏みしながら中国は支配権を拡大してきた。当該国がしかるべき対応をとらないと見るや、中国側はどんどん進出して実効支配を進め、後から抗議しても相手にもしなかったのである。今回の春暁ガス田における中国側の着工を受けて、6月9日、わが国政府は、中国側に国連海洋法条約に違反するとの懸念を伝えたが、中国側からは回答が得られていない。どのような姿勢で「懸念」を伝えたのか詳細は分からないけれども、もし政府・外務省が従来と同様、「日中友好」を第一に中国との衝突を殊更に避けるような姿勢で臨んだのであれば、平松教授の警告は遠からず現実のものとなるであろう。

 また、ここまで事態が発展したのは、政府、マスコミ、国民がこの問題に関してほとんど関心を持たなかったからである。政府は平松教授の警告に対して「その時になればきちんと対処します。何を心配しているんですか、オオカミ少年みたいに」と「事なかれ主義」に終始して耳を貸さず、マスコミは産経、東京など一部を除いてはほとんど黙殺してきた。われわれ国民にしても、「排他的経済水域」や「大陸棚」という言葉が出てきただけで敬遠してしまう傾向がある。しかし、この問題は、日本の主権的権利(言うまでもなく、わが国は東シナ海の日本側大陸棚の資源開発・利用に関する権利を有する)を侵す国に対して、日本政府が国家としてきちんと権利を主張できるかどうかという重大な問題である。集団的自衛権の問題と同じく、権利は持っているのに行使できないというのでは意味がない。その意味で、われわれ国民はこの問題に関して無関心であってはならない。

 そして、中国がここまで出てきたからには、それに対抗するもっとも有効な手段は、わが国も掘るということだ。1968年に国連機関(ECAFE)が東シナ海大陸棚に石油資源が埋蔵される可能性があると公表した後、わが国の四つの企業は鉱区を設定し、試掘の権利である先願権を得た。が、わが国政府は中国との面倒な政治問題を避けようとしたのか、今に至るまでこれら四つの企業に許可を与えていない。そのため、日本側海域での試掘はもとより探査すら行われていないのが現状である。だが、このままでは中国側はわが国の懸念をよそに採掘を進めるであろう。このほど中川経産相は、「仮に、日本企業が試掘したいというとき、そのリスクから政府は当然、企業を守らなければいけない」との認識を示し、先願権を持っている企業に近く鉱業権を認めることも「検討している」と述べたが、政府は一刻も早く鉱業権を認め、これら企業に掘らせるべきだ。着々と既成事実化を進める中国に対抗するには、こちら側の既成事実を積み重ねるしか、もはや方法はあるまい。

※中国の海洋資源開発の実態と日本政府の「事なかれ主義」について、平松茂雄教授が『明日への選択』平成13年8月号「中国調査船問題・東シナ海を『中国の海』にさせるな」で詳しく明らかにされています。また、『明日への選択』最新号では、「中国のシーパワーに包囲される日本」と題して、中国の海洋戦略と最新の動向を平松教授に語っていただいております。ぜひご一読をお勧めします。

経産相、中国にデータ再要求

2004/06/17 東京新聞
ガス田問題

 東シナ海の日中境界水域で中国側が天然ガス採掘のため「春暁ガス田群」の施設建設に着手した問題で、中川昭一経済産業相は十六日、本紙のインタビューに応じ、中国側が提供を拒んでいる試掘データを一両日中にも求めることを明らかにした。中国側は一九九〇年代から日中中間線の両側で海洋調査を繰り返しており、天然資源の正確なデータを保有しているとみられる。 

 国際的な慣習では、海底の天然ガスが日本側に及んでいれば、埋蔵割合に応じて、配分を中国側に要求できる。しかし、日本側は固有のデータを持っておらず、抗議や配分を主張する上で「弱み」となっている。

 中川経産相は「中国側から(情報提供に対する)返事はあったが、満足できるものでなかった。すぐにでも、もう一度、外交ルートで要求したい」と話した。その上で「われわれにも取るべき選択肢があるのは、向こうも分かっているはず。返事がないからといって、いつまで待っているものでない」と述べ、日本独自に詳細な探査や試掘に乗り出す可能性を示した。

 また、日中境界線を画定するため、中国側に配慮し、これまで資源調査を自重してきた点に触れて「境界画定と資源調査のどちらが優先ということでない。政治判断が必要。仮に日本企業が試掘したいと言うときに、リスクがあるなら日本政府は当然守らなければいけない」と指摘。採掘の先願権を持つ四社に鉱業権を認めることも「検討している」と述べた。

尖閣など施政権強化を 自民ワーキングチームが提言

2004/06/11 The Sankei Shimbun
 自民党の海洋権益に関するワーキングチーム(武見敬三座長)は11日、排他的経済水域(EEZ)の日中境界線が定まっていない東シナ海や太平洋での海洋権益確保を図るため、尖閣諸島と沖ノ鳥島の施政権強化策などを盛り込んだ提言をまとめた。今月下旬にも小泉純一郎首相に提出する方針。

 提言では、中国と領有権争いが生じている尖閣諸島のヘリポート改修や灯台設置、海上保安庁による警備体制強化を打ち出し、武装集団の上陸などを念頭に、海上保安庁と自衛隊、警察の連携強化も明記した。

 中国が日本側のEEZ設定を認めていない沖ノ鳥島についても、日本固有の領土として積極活用するよう要求。同島周辺海域で中国海洋調査船に事前申請なしの無断調査をさせないよう対応マニュアルを作成し、「毅然(きぜん)とした対応」を掲げている。

 また、海洋権益確保に関する国家戦略を策定するため、首相をトップとした「海洋権益関係閣僚会議」を設置し、関係省庁局長級会議を開催することも盛り込んだ。

官房長官「東シナ海の中国のガス田開発を注視」

2004/06/08 NIKKEI NET
 細田博之官房長官は8日午後の記者会見で、東シナ海の中国側海域で、中国の企業連合が天然ガスの採掘施設を建設し始めたことに関して「日中中間線より中国側で行われており、直ちに影響を与えるものではないと認識している」とした上、「引き続き注視していく」と述べた。

 同海域に眠る地下資源の権利については、「国連海洋法条約に基づいて(中国側と)しっかりした共通の認識を持っていると思っている」と指摘。その上で「海底油田やガス田(の開発)は、事実上相手国の資源を取ってしまうことになりかねない」とも述べ、日本側の排他的経済水域における地下資源アクセス権を侵害しないよう中国をけん制した。

 この問題に関しては、中川昭一経済産業相が同日の閣議後記者会見で、日中の2国間協議で採り上げる意向を示した。尖閣諸島・魚釣島への中国側活動家上陸や、日本最南端の「沖ノ鳥島」を「岩」と称するなど、中国側の刺激的な活動が活発化しているが、ガス田開発との関連については「それは別」と述べた。

日中境界線問題 「資源」加わり混迷加速 中国、排他水域の既成化狙う

2004/06/08 The Sankei Shimbun
 東シナ海の日中中間線近くで中国が天然ガス資源開発に踏み切ったのは、「沖縄トラフ」までを自国の排他的経済水域(EEZ)とする主張を、既成事実化することが狙いとみられる。日本側海域での海洋調査船などの活動のほか、日本が実効支配している尖閣諸島の領有権を主張する姿勢とも連動しているのは確実だ。日本は懸念を伝えるものの、中国側が即座に開発を中止するとは考えにくい。境界線をめぐる問題は、国益に直結する資源の争奪戦も交え、より複雑化しそうだ。(村山雅弥、北京・野口東秀)

 中国は国内での石油の供給不足を補うため三年前に策定した「産業別第十次五カ年計画」で天然ガスのインフラ整備を急ぐ方針を掲げた。大気汚染の緩和にもつながるため、国内の石炭火力発電所をガスに転換するほかガス火力発電所を新設。東シナ海などでは探鉱開発に乗り出している。

 一九九八年には東シナ海で日中中間線から約七十キロの距離にある「平湖ガス田」の開発に成功し、大陸まで原油とガスをパイプラインで輸送している。

 関係筋によると、中国が新たに工事を始めた「春暁ガス田」の採掘施設は、水深約九十−百十メートルの海域にやぐらが設置され、約二十メートル四方の足場が海面上に見える。ヘリポート付きの巨大なクレーン船が横付けされ、周囲に作業船六隻が待機していたという。

 「春暁」の周辺には「天外天」「断橋」「残雪」の三つのガス田があり、これらで「春暁ガス田群」を構成。中国は「春暁」と「天外天」に続き、残りの二つの開発にも着手するとみられる。

 中国側は春暁ガス田群全体の天然ガス埋蔵量を、東シナ海全域の四分の一を占める五百四十億立方メートルと推定。「春暁」では年内にも年間約二十億立方メートルから二十五億立方メートルの規模で生産を始めるとされる。これは大阪ガスの家庭用ガス販売量の一年分程度にあたる。

 これに対し、日本は中間線より日本側の沖縄海域で地質構造を調査。資源が存在する可能性はつかんでいるものの、中間線をまたがる海底資源の分布は把握していない。資源の大半は中間線の日本側海底にあるとも予測されるため、専門家は「今後、中間線のすぐそばで中国の施設が続々と建設されるだろう」と警鐘を鳴らしている。

日本側資源独占される恐れ 平松茂雄・杏林大学教授

2004/06/08 The Sankei Shimbun
 中国は一九九〇年代末までに平湖ガス・油田の採掘施設の建設を進め、次にそこから百数十キロ南の春暁でボーリングを行った。それが今回の採掘施設の着工につながったわけだが、問題はその位置がわが国との中間線に近いことにある。

 平湖から春暁がある海底の地質構造は、中間線を越えて日本側海域へと延びているが、そこにはわが国の石油企業が鉱区を設定している。構造が複数の鉱区にまたがっている場合には、構造に応じて案分することになっている。ただ、そのためには構造についての詳細な調査が前提となるが、中国側の調査が日本政府の停止要請を無視し強行されたのに対して、日本側はほとんど調査が実施されていない。

 さらに厄介なことに、中国側は東シナ海の大陸棚は中国のものであり日本に権利はないと主張している。

 へたをすれば、日本側の鉱区の天然ガス・石油は春暁からストローで吸い上げられてしまう恐れがある。問題は、中国が開発を積極的に進めているのに対し、開発を申請している日本企業四社の立場を日本政府が考慮しなかったことにある。(談)

中国に経済水域侵害と抗議 日中境界海域のガス開発で政府

2004/06/08 The Sankei Shimbun
 東シナ海の日中中間線付近の中国側海域で、中国の企業連合が天然ガスの採掘施設を建設し始めたことが分かり、日本政府は8日までに、中国側に抗議したことを明らかにした。中川昭一経産相が同日の記者会見で「外交ルートを通じ、中国側に、日本の排他的経済水域(EEZ)を侵す可能性があると伝えた」と述べた。

 9日にマニラで開かれる東南アジア諸国連合(ASEAN)と日中韓のASEANプラス3のエネルギー閣僚会議の際、中国側にあらためて懸念を表明するとともに、試掘データの提供などを求める方針。

 中間線は、石油開発や漁業など国家の経済的主権が及ぶEEZの境界。日本側海域に石油や天然ガスが存在し、鉱脈が中国側海域とつながっていることが確認されれば、日本側に資源の配分を求める権利が生じる。

 ただ、中国側は、中間線をEEZと認めず、東シナ海の大陸棚全域での経済的権利を主張。試掘データの提供も拒んでいる。中間線付近の資源開発は、尖閣諸島の領有権などをめぐって対立する日中間の新たな火種になる可能性も出てきた。

 施設は、1970年代から20年余りの調査を経て中国側が発見したガス田群にある「春暁」の開発を請け負う中国海洋石油総公司や欧州系のロイヤル・ダッチ・シェルなどの企業連合が建設している。

日中境界海域の天然ガス採掘施設 日本政府、中国に懸念表明へ

2004/06/08 The Sankei Shimbun
「条約違反権利を侵害」

 東シナ海上の排他的経済水域(EEZ)の境界として日本が主張する「日中中間線」から三、四キロの中国側海域で、中国側が日本の意向を無視して天然ガス採掘施設の建設を始めたことが五月下旬までに確認され、日本政府は七日、国連海洋法条約に違反するとの懸念を中国政府に表明する方針を決めた。周辺の海底には豊富な天然ガスや石油資源が存在し、その多くが日本側にあるとされる。事態を放置すれば日本側の地下資源が中国側にのみ込まれかねない。政府の懸念表明は採掘に事実上のストップをかける狙いがある。

 日本政府は同日までに、北緯二八度二二分、東経一二四度五六分の「春暁ガス田」で、中国側が採掘用プラットホームの建設工事を進めていることを確認した。中国側は意図的に中間線ギリギリの地点を選んだとみられる。

 東シナ海上の境界をめぐっては、日本側が両国からの距離に応じた中間線を設定したのに対し、中国側は中間線を認めず、自国の大陸棚が延びているとする「沖縄トラフ」(尖閣諸島から久米島の海溝)の端を主張。平行線をたどっている。

 国連海洋法条約では、境界の画定が合意されるまで「関係国は最終合意への到達を危うくし、妨げないためにあらゆる努力を払う」とされている。日本政府は中国側の行為が同条約に違反し、「日本の権利を侵す懸念がある」と判断。中国に対し「あらゆるルートを通じて施設やガス田などに関する詳細な情報提供を求める」(政府筋)ことを決めた。

 九日にフィリピン・マニラで開かれる東南アジア諸国連合(ASEAN)プラス日中韓三カ国のエネルギー大臣会合の際、中国国家発展・改革委員会の張国宝副主任(産業・エネルギー担当)との個別会談が予定されており、日本側はこの場で佐野忠克経産審議官が懸念を伝える考え。

 中国は一九九五年、中間線付近で春暁ガス田群の試掘に成功、天然ガスの存在を確認したとみられる。中間線より日本寄りの海域での試掘も実施し、現在は中国企業のほか米英企業四社が採掘を担当している。同海域では日本の石油関係企業四社も日本政府に開発を申請しているが、まだ認可が下りていないという。

 春暁ガス田は早くて年内、遅くとも来年半ばまでに操業を始め、延長約三百五十キロの海底パイプラインで浙江省・寧波の陸上ターミナルまで輸送する計画とされている。

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 【日中中間線】日本と中国それぞれの海岸線から中間地点の距離で引いた東シナ海上の境界線。天然資源やエネルギーの開発・利用権を持つ排他的経済水域(EEZ)や大陸棚を区切る境目として、日本側が主張している。日本は固有領土の尖閣諸島を海岸線に含めているが、中国側は尖閣諸島から久米島にいたる「沖縄トラフ(海溝)」まで自国の大陸棚が続いていると主張。中間線より日本側に大きく食い込む沖縄トラフの端までをEEZとしている。

沖ノ鳥島で論文発表 日本の主張、中国が無視 調査船活動「通報義務ない」

2004/05/31 The Sankei Shimbun
 【北京=野口東秀】中国国務院(政府)国家海洋局に所属する研究者が日本最南端の領土である沖ノ鳥島を「島ではない」と断じ、同島を基点とした日本側の排他的経済水域(EEZ)設定は「不当」であり中国調査船の活動を「日本側に通報する義務はない」とする論文を発表した。中国側が詳細な見解を公表したのは初めてで、日本側の主張を完全に無視する姿勢を鮮明にした。海洋権益をめぐる日中間の摩擦がいっそう拡大するのは必至だ。

 論文は、国営新華社通信の「瞭望東方週刊」最新号に、国家海洋局海洋発展戦略研究所に所属する二人が執筆した。

 国家海洋局は一九六四年に海軍や中国科学院などを合併し創設され、海洋調査船の分析が軍で利用され、「その主張に軍の意図を否定することはできない」(軍事関係者)と指摘される。

 論文はまず同島は、「日本が三百億円をかけセメントで造った『人工島』」と指摘し、「人が居住したり経済活動を行う条件がなく、人為的に拡張された岩」であり、国連海洋法条約上の島には当たらず、日本側はEEZの設定はできないとの論理を展開している。

 主張は、南シナ海のスプラトリー(中国名・南沙)諸島の岩礁において、中国が「漁民の避難所」と称し掘っ立て小屋を建て、いまでは完全に軍事基地化している現実を脇に置き、「日本が線引きできるのはせいぜい最大十二カイリ(約二十二キロ)の範囲の領海であり、それ以外の海域での中国の海洋科学研究がなぜ不法なのか」としている。

 論文は「日本の主張は国際法などを顧みておらず、日本側が中国に調査船の活動を事前通報するよう要求する権利はなく、中国側も日本側に通報する義務はない」と明確に述べている。

 論文を公表した背景には、中国側の主張を明確にし、日本側の抗議は受け入れられず事前通報なしで調査を続行する姿勢を示すためとみられる。こうした強硬姿勢は、四月に開かれた日中協議で「沖ノ鳥島は岩礁」との中国側主張に日本側が一斉に反発したことへの「反論」の意味がある。

 沖ノ鳥島周辺での調査は、海洋資源の確保を狙う意図だけでなく、太平洋海域における日米の軍事戦略への牽制(けんせい)の視点もあるようだ。日本の軍事筋は、海洋調査船の活動が「軍事目的を兼ねているのは当たり前」で、「太平洋海域に潜水艦を展開させることで、グアム島からの部隊展開を重視する米軍への牽制になると中国軍はみているのではないか」と分析している。

境界海域の中国ガス採掘施設

2004/05/29 東京新聞
省庁、責任“なすり合い”

 東シナ海の日中境界海域で中国側による新たな天然ガス採掘施設の建設が明らかになった二十八日、東京・永田町の自民党本部で「海洋権益に関するワーキングチーム」(武見敬三座長)の会合が開かれ、政府に厳しい批判が集中した。海底に眠る膨大な天然資源をみすみす中国に奪われる可能性がありながら、有効な対策を持たない政府。官庁間で責任をなすり合う構図も見え隠れし、議員からは「権益を守る意識があるのか」と怒号が飛んだ。 (社会部・浜口武司)

 午前八時、非公開で始まった会合には衆参国会議員三十二人が集まった。説明のために呼ばれた内閣官房や外務、防衛、資源エネルギーなど各省庁の担当者に、議員から厳しい叱責(しっせき)が浴びせられた。

 「十年前から中国は調査しているのに、日本はなぜやらなかったのか」「中国に天然資源をすべて持っていかれていいのか」。興奮した声が、部屋の外まで聞こえてきた。

 今年三月、尖閣諸島(中国名・魚釣島)に中国人七人が上陸。島の領有権に危機感を抱いた自民党は、外交調査会に同ワーキングチームを設置、日本の排他的経済水域への侵犯を繰り返す中国の海洋調査船などへの対策を検討するため、週一回のペースで会合を開いてきた。

 政府批判の先頭に立ったのは、舛添要一参院議員。ガス田開発を伝える二十八日付の本紙報道を取り上げ、「海底資源が日中中間線の日本側にあっても、調査もしていなければ所有権を主張できない。中国が採掘を始めれば、資源を全部持って行かれる。どこの役所が最初に問題提起するのか」。

 しかし、各省庁の説明は責任のなすり合いとも取れる内容だ。「(外務省が)中間線を画定させないと、試掘はできない」(エネルギー庁)。「中国側に抗議しようにも、根拠となる(エネ庁の)資源データがない」(外務省)

 舛添議員は、「内閣官房も、外務省も自分から動こうとしない。まったく無責任だ」と憤慨する。

 元防衛庁長官の玉沢徳一郎衆院議員は「外務省は中国と話し合いをしているというが、全然進んでいない。わが国も独自に採掘するという判断をしないといけない」と強硬論を展開していた。

 平松茂雄・杏林大教授寄稿 予想超す速さで完成も

 本紙記者とともに航空機に乗り、春暁ガス田群を確認した杏林大学の平松茂雄教授(専門は現代中国の軍事・外交)に寄稿してもらった。

 春暁ガス田は一九九五年に自噴に成功して以来試掘が続けられ、九九年、本格的な石油採掘のための評価井のボーリングが実施された。春暁ガス田の北方約七十キロには平湖ガス田があり、天然ガスは上海浦東で使用されている。平湖での試掘は八〇年代を通じて行われ、九四年から具体的な準備が始まった。この先例から、春暁の採掘施設完成は二〇一〇年ごろまでであろうと私はみたのである。

 だが、現地を航空機から見ると、今年末には完成するとみられ、私の予想を大きく上回る速度で進展している。一帯は春暁を中心に、天外天、残雪、断橋のガス田群からなる。契約調印式に温家宝首相が出席したことが示すように、この海域の開発は国家次元での計画である。

 平湖から春暁ガス田群が所在する地質構造は、日中中間線を越えて日本側海域へと南方に延びており、中国はこの地質構造を「西湖盆地」と命名している。西湖は対岸の杭州にある名勝地。この由緒ある地名を付けたことは、この海域の地下資源は中国に権利があるとの意思表示である。

 現実に数年来日本側海域でわが国政府の停止要請を無視して中国は綿密に調査し、ある地点では試掘を実施して自噴を確認している。このままの状態が続くと、日本側海域の海底石油資源は中国の主導による国際共同開発に発展することになろう。

 最後に春暁開発に米国石油企業が参加していることに触れておきたい。南シナ海ベトナム沖海域での石油開発で、中国は米国企業が参加する先例をつくっている。これは石油開発をめぐって起きる紛争に備えての予防措置でもある。わが国には尖閣諸島をめぐる紛争で日米安保に期待する声があるが、安易にすぎる。

中国、日中境界海域に施設

2004/05/28 東京新聞

東シナ海 ガス採掘へ建設

 東シナ海で調査活動を続けてきた中国が、日中中間線ぎりぎりの中国側海域で、天然ガスを採掘するための施設建設に着手したことが二十七日、航空機からの本紙調査で確認された。資源が日本側にまたがれば埋蔵割合に応じて配分を中国側に求めることができるが、日本側に具体的な資料はなく、中国側が独占する可能性が大きい。採掘には米国と英国・オランダの石油企業が一社ずつ加わっており、日中間の新たな懸案に発展する恐れがある。 

資源独占の恐れ

 採掘施設は「春暁ガス田群」と呼ばれるガス田群のうちの「春暁」で、日中中間線から中国寄りに約五キロの距離にある。東シナ海に中国が一九九八年に初めて造った海上ガス田「平湖ガス田」は中間線から約七十キロの距離にあり、春暁ははるかに日本側に寄っている。

 春暁ガス田群は九五年、中国が中間線をはさんで中国側と日本側での試掘に成功し、豊富な天然ガスを確認した。日本側での試掘は無断で行われた。

 採掘施設は今月二十三日、巨大なやぐらが海底に設置され、二十メートル四方の足場が海面に姿を見せた。年内には完成し、海底パイプを通じて中国本土の寧波に年間二十五億立方メートルの天然ガスが送り込まれることになる。

 採掘を請け負っているのは、中国の「中国海洋石油総公司」「中国石化集団公司」のほか、米国の「ユノカル社」、英国・オランダの石油メジャー「ロイヤル・ダッチ・シェル社」の合計四社。

 春暁ガス田群には五カ所の鉱区が設定され、春暁に隣接した「宝雲亭」で第二の採掘施設の建設計画があるほか、平湖ガス田の南方五十キロでも試掘調査が進められており、日中中間線付近に大規模なガス田群が誕生するのは時間の問題となっている。

 東シナ海に眠る石油や天然ガスは黒海油田に相当する推定七十二億トンとされる。その大半が日中中間線の日本側にあるとみられている。石油や天然ガスなどの地下資源が複数国にまたがった場合、埋蔵資源の体積に応じて配分するのが国際常識とされる。

 だが、日本政府の調査は、地質構造を探る程度の基礎調査にとどまり、配分を求める根拠を持ち合わせていない。このため、専門家の間では、春暁ガス田群の建設によって東シナ海が事実上、「中国の内海」となる可能性が指摘されている。

<調査予定ない>

 経済産業省資源エネルギー庁の話 南西諸島西側海域は海底の地層を調べる二次元探査を過去に二回行った。これ以上の詳しい調査は、境界画定のため両国の合意をうたった国連海洋法条約の趣旨から慎重にならざるを得ず、現時点で詳細な調査を行う予定はない。中国が何をやっているか知る立場にない。

(メモ)日中中間線 東シナ海の日本と中国両国の領海基線(海岸線)の中間に引かれた線。日本側は尖閣諸島(中国名・魚釣島)を含む領海基線で線を引き、その東側を排他的経済水域(EEZ)として天然資源の開発・所有権を主張している。一方、中国側は中間線を認めず、中国大陸から中間線を越えて、南西諸島西側に広がる沖縄トラフ(舟状海盆)までの大陸棚全域がEEZと主張し、争っている。

検証 日本の排他的経済水域

2004/05/16 東京新聞
中国の“侵食”10年

 日本政府の度重なる抗議にもかかわらず、中国の海洋調査船による日本の排他的経済水域(EEZ)での活動はやむ気配を見せていない。十五日も石垣島東南東で調査船が確認された。最初に調査船が日本近海に現れたのは一九九〇年代半ばだ。多くの日本人が関心をもたないうちに、着々と既成事実を積み上げてきた中国海洋進出の十年を検証した。 (浅井正智)

 <増殖狙う実効支配圏>

 「中国の海洋調査活動は中日両国間で(領有権の)争いがある海域で行われており、日本のEEZには属していない。この海域での活動は完全に合法的だ」

 中国外務省の劉建超報道副局長は、十三日の定例会見でこう言い切った。三月七日に南大東島の東方海域で調査船が発見された後、日本政府の強い抗議もあって調査活動は二カ月間確認されていなかったが、今月七日以降、尖閣諸島の魚釣島周辺海域で調査船を数回にわたって発見。中国外務省の発言は、抗議を受けようとも調査を継続していく姿勢を鮮明にしたものだ。

 <海底油田が判明進出に乗り出す>

 もともと大陸国で、四九年の共産党政権成立後、国内整備に手いっぱいだった中国が海洋進出に乗り出したのは、六九年、東シナ海に海底油田があると分かったのがきっかけだった。

 七〇年代にパラセル(中国名・西沙)諸島、八〇年代にスプラトリー(同・南沙)諸島を実質的な支配下に収めてきた中国は、九〇年代に入ると東シナ海に目を向け始めた。

 拓殖大学の茅原郁生教授(中国軍事)は海洋進出の狙いとして、(1)海底資源の探査(2)国防上の必要性(3)シーレーン(海上交通路)の確保−を挙げる。

 <沿海部を狙った艦船の攻撃警戒>

 特に「国防上の必要性」については同教授は、「湾岸戦争でペルシャ湾に展開する米軍艦船から発射されたトマホーク巡航ミサイルがイラク国内の標的に正確に命中するのを目の当たりにした中国は、もし米軍に自国の沿海部を狙われたらお手上げになることを悟った。そこで米軍戦力を射程外に追い出すことが課題となった」と指摘する。湾岸戦争が中国の海洋進出に拍車をかけたというわけだ。

 九二年には「領海法」を制定し、尖閣諸島の領有権を明記。九〇年代半ばからは東シナ海で調査船の活動が本格化した。

 国連海洋法条約は他国のEEZや大陸棚で科学的調査を行う場合、六カ月前までに相手国に計画書を提出する義務を課しているが、東シナ海は日中の境界が未確定のため、同意なしの調査が横行した。このため二〇〇一年、日中二国間の申し合わせで、調査活動をする際は二カ月前までに事前通報する制度を導入した。しかしこれ以後も違反が絶えず、しかも活動範囲も太平洋に拡大してきている。

 「太平洋に進出しようとすると、その入り口に位置する日本は邪魔な存在になる。中国にしてみれば、考えられるすべての手段を使って太平洋での日本の影響圏を小さくし、自らの影響圏を広げようとする。調査船の活動はこうした戦略のもとに行われている」と防衛大学校の村井友秀教授(国際紛争論)は話す。

 <対米、太平洋に照準>

 東シナ海での調査が海底資源の探査を主目的としていたのに対し、太平洋での調査の重点は軍事目的とみられている。〇一年七月にヤンビン級情報収集艦「海冰723号」が短冊形に反復航行し調査活動した海域は海底が複雑な地形で、船は緯度、経度線上を六十キロごと停止して観測機器を海中に投下するなどして調査を行った。また、図の斜線部分の調査海域では碁盤の目のように細かく観測ポイントを設定していた。これらは海流や水温、水深など潜水艦作戦のデータを収集していた可能性が高い。

 中国側はあくまで「海洋の科学的調査」を名目としているが「海底の様子を科学的に調査したデータは潜水艦航行にも活用できる。海洋データに両用性があることは軍事の世界では常識」と杏林大学の平松茂雄教授(中国軍事)は言う。調査船が属する国家海洋局は国務院(内閣)直属の機関で、海軍とは密接な協力関係がある。

 <違法行為に対し平時は海保頼み>

 潜水艦を展開させる目的は何か。「将来、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)搭載可能な原子力潜水艦を太平洋に展開させ、米軍が中国による台湾の武力統一を阻止するため介入しようとすれば、米国東海岸を攻撃すると威嚇し、介入を思いとどまらせることにある」と平松教授はみる。昨年十一月には、日本近海で中国軍の攻撃型潜水艦が初めて確認された。このときは七〇年代の旧式潜水艦ではあったが、太平洋への潜水艦展開が現実のものとなりつつあることを見せつけた。

 村井教授によると、EEZでの海洋調査をめぐる二国間のトラブルは世界各地であるといい、違法行為に対しては国内法に基づいて相手国の船員を拘束したり、調査海域の付近で急遽(きゅうきょ)、軍事演習を行って調査を妨害するなどの対抗措置を取っているという。しかし日本では「平時における海上の治安維持はあくまでも海上保安庁の任務であり、自衛隊は法律上、船の追跡と海保への通報しかできない」(防衛庁)。

 EEZが“侵食”されていく現状に、平松教授は強い警告を発する。

 「中国に実効支配された西沙や南沙では、初めに海洋調査船が現れ、その後に軍艦が出現した。日本近海でも同じパターンが見られる。平時だといって厳しく取り締まらなければ、活動はますますエスカレートしていく」

中国海域の石油・天然ガス資源は400億トン以上

2004/02/26 人民日報社

国土資源部の寿嘉華副部長は25日、中国海域に埋蔵されている石油・天然ガス資源量が、石油エネルギー換算で400億トン以上に達する可能性があると明らかにした。現在進められる海底石油・天然ガスの戦略的資源探査で新たに発見された地域から油田候補地を選出し、過去の探査結果と合わせ概算数値を割り出した。特に南中国海の深海部に厚さ1万メートル以上の巨大な中生代地層が初めて発見されたことは、今後の深海部資源探査の方向性を定めるものになったという。

中国地質調査局によると、今回の海洋地質調査と過去の探査結果を総合すると、中国海域とその周辺には38の堆積盆地が存在し、埋蔵されている石油・天然ガス資源は、石油エネルギー換算で計351億〜404億トンに達すると見られる。うち近海部の堆積盆地11カ所の埋蔵量は同213億〜245億トン。

今回の調査では、重要な地球物理学的データが確認され、南中国海の北部に横たわる大陸斜面に大量の天然ガスハイドレート(NGH)が存在するという大きな証拠を得ることができた。これは中国の将来のエネルギー開発と持続可能な経済の発展にとって、大きな意味を持つことになるだろう。また、西蔵(チベット)北部の羌塘盆地の調査も行われている。羌塘盆地は資源探査が最も進んでいない盆地。青蔵高原はかつて「テチス海」と呼ばれる海だったため、海洋性の堆積層が広がっており、中でも羌塘盆地の一帯は石油・天然ガスの埋蔵が最も有望視される。(編集NA)


東シナ海の天然ガスなど共同開発

2003.08.20 Kyoto Shimbun News
 中国大手とシェルなど調印

 【北京19日共同】新華社電によると、中国海洋石油総公司(CNOOC)と中国石油化工集団(SINOPEC)は19日、英国・オランダ系ロイヤル・ダッチ・シェルなど外資2社と東シナ海の天然ガスや石油を共同開発する契約に調印した。

 新華社電は「海洋資源開発ではここ数年で最大規模の内外共同事業」としており、成長著しい中国石油大手とメジャー(国際石油資本)の連携が加速しそうだ。中国では、高度成長を維持するためエネルギー確保が重要課題となっている。

 共同開発するのは上海から東南500キロ沖の「春暁」と呼ばれる地区で、埋蔵量は天然ガス652億立方メートル、原油1000万−2000万バレルと推定されている。

 事業には中国側2社がそれぞれ30%、外資側2社がそれぞれ20%出資。シェルの初期投資は10億ドル程度になるという。

東海天然ガス田の調査・開発事業 中外4社が契約

2003年8月20日 「人民網日本語版」

中国海洋石油総公司、中国石油化工集団公司、英ロイヤル・ダッチ・シェル社と米ユノカル社は19日、東海(東中国海)大陸棚にある窪地・西湖海域での天然ガス5事業に関する契約書の調印式を行った。中国海洋石油の衛留成総経理は「中国経済で最も活力ある長江デルタ地域のクリーンエネルギーへの需要を満足させることができる」と語った。

 面積25万平方キロメートルに及ぶ東海大陸棚のうち、19日契約が取り交わされた5事業の対象海域は計2万2千平方キロメートル。同海域が位置するのは上海市の南東沖約500キロメートルにある大陸棚の窪地・西湖海域で、東海大陸棚の中でも天然ガス資源が最も豊富とされる。20年余りにわたる調査で、平湖、春暁など7カ所の天然ガス田が見つかるなど、豊富な天然ガス層が発見されており、確認埋蔵量と推定埋蔵量の合計は2千億立方メートルに達する。うち、平湖天然ガス田は1998年から生産を開始し、上海市に年4億5千万立方メートルの天然ガスを供給している。

今回契約された5事業のうち、3事業が調査事業、2事業が開発事業。出資比率は中国海洋石油と中国石油化工集団がそれぞれ30%、シェルとユノカルが20%ずつ。中国海洋石油が5事業の運営を担当する。契約によると、最初に着手する事業は浙江省寧波市三山沖約350キロメートルにある春暁天然ガス田群の開発(投資額90億元)。2005年上半期の生産開始を目指し、生産から2年後には年間24億9600万立方メートルの天然ガスを生産する予定。主に浙江省の銭塘江以南地域に工業用、民用として供給され、一部は上海市の予備天然ガス源とする。価格は「西気東輸」プロジェクト(中国西部地方の天然ガスを沿海地域に輸送するパイプライン建設事業)で供給される天然ガスより安くなる見込み。

 契約を行った4社は共同調査、開発の目標について「5〜10年の調査・開発で、同海域の確認埋蔵量と推定埋蔵量の合計をさらに倍増させ、年生産量40〜50億立方メートルを目指す」と発表している。

このほか、中国海洋石油の責任者は、上海市の天然ガスへの急激な需要の伸びに対応するために中国海洋石油、中国石油化工と上海市が共同開発を進めている平湖天然ガス田2期プロジェクトが9月に完工し、上海市への天然ガス供給量が年間7億5千万立方メートルに引き上げられることを明らかにした。(編集UM)


ペトロチャイナ(中国)、グローバルな株式公開で約30億ドルを調達へ

2000年03月14日[香港 14日 ロイター]

 中国石油天然ガス集団公司(CNPC)の子会社、ペトロチャイナは、175億8000万株のグローバルな株式公開を実施、約30億米ドルを調達する見込みだ。業界関係者が明らかにした。

 香港のH株市場での公開価格は、1.24〜1.51香港ドルになると予想されている。調達資金は、当初は50億米ドルを目標としていたが、30億米ドルに規模を縮小した。

 される株式の内訳は、158億株が新株、17億5000株が旧株となる。

 投資家を対象とした説明会は、13日から29日まで、シンガポール、香港、ロンドン、ニューヨークなどで行われる。価格決定は3月30日。  公募・売り出しは3月27日から3月30日まで行われ、香港では4月7日から、ニューヨーク市場では4月6日から取引が開始される。

中国最大の海洋油田6億トン

2000年02月01日【北京・共同】
1日の新華社電によると、中国の渤海で見つかった最大の海洋油田の埋蔵量が6億トンに上ることがこのほど確認された。内陸部を含む中国のすべての油田の中でも、最大の大慶油田に次ぐ第2の規模となる。「蓬莱(ほうらい)19―3」と名付けられたこの油田は、中国海洋石油公司と米フィリップス石油の共同探査事業で発見され・[900〜1400メートル、面積50平方キロ

米フィリップスと中国海洋石油総公司、中国の洋上油田での試験生産開始へ

2000年01月28日[シンガポール 28日 ロイター]

中国の石油業界関係者らによると、米フィリップス・ペトロリアムと中国海洋石油総公司(CNOOC)は今年、同国最大の洋上油田の試験生産を開始する。  この計画は、2001年9月までに同国北東沖渤海湾の油田で、年間150万トン(日量3万0800バレル)を生産するというもの。  あるCNOOCの幹部は、「まず、試験区域の開発を行い、これにより必要なデータを収集して、その後全面的な開発を実施する計画だ」と述べた。同データによって、PL−13区域の生産可能性が決定される見通し。

海底油田開発に46億元投資=中国海洋石油の今年の計画 中国

Thu Jan 20 ( 2000 ) by NNA

 19日付新華社電などによると、中国海洋石油総公司は、原油と天然ガス増産のため、今年、海底油田の開発に46億元を投じる計画だ。大慶油田に次ぐ規模の油田と期待されている渤海湾の「蓬来19-3」をはじめとする大型鉱床の開発をスタート。南シナ海と東シナ海での天然ガス探査にも力を入れる。2005年には、原油と天然ガス合わせて4千万トンの生産を達成するのが目標だ。

 同社の昨年の原油生産量は1617万トン、天然ガス生産量は43億9千万立方メートル。利益は27億5千万元だった。原油の生産コストは1バレル当たり10.68米ドルで、世界レベルをクリア。生産性も向上し、従業員1人当たり利益は13万元、同納税額は5万元に到達した。資産負債率は25%と競争力も高まっている。

 同社は生産能力の増強を目指し、今年、海底油田の開発に46億元を投じる計画。今後5年間で原油と天然ガスの生産量を年間20%増やし、2005年間には4千万トンまで引き上げるのが目標だ。

 衛留成総経理によると、最近では渤海湾の「蓬来19-3」、南シナ海の「番禺5-1」など有望な大型鉱床が相次いで確認された。このうち「蓬来19-3」の原油埋蔵量は3億トン以上と推定され、大慶油田に続く中国最大級の油田になると期待されている。同鉱床は今年下半期から開発段階に入る予定。2004年から生産を開始、年産規模は1500万トンと見込まれている。

 渤海湾では「綏中36-1」2期「秦皇島32-6」「文昌13-1/2」などの大型鉱床の開発もまもなくスタート。162の油井を設けて採掘するという。

また、天然ガスは、華南と華東の各海域での探査と開発に尽力。特に南シナ海と東シナ海での新発見を目指す。原油生産コストの低減も一層進め、1バレル当たり10米ドル以下に抑える考え。このほか、有望な鉱床での国際入札実施など外国企業との協力強化、人材育成、ハイテク化の推進などを今年の目標に掲げている。

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