TOPIC No.2-22 政府開発援助

(ODA-Official Development Assistance-)
01.ODA新聞 by国際協力プラザ
02.ODAインターネットTVby国際協力プラザ
03.対中ODAの7不思議 Japan On the Globe(146) 国際派日本人養成講座
04.日本政府の対中国政府開発援助(ODA)の素朴なギモンに答えます。by 上海領事館情報
05.焦げ付き体質浮き彫り、信達が異例の報告[金融](2006/01/09)NNA
06.ODAジャーナリストのつぶやき by国際協力機構(JICA:Japan International Cooperation Agency)
07.政府開発援助(ODA) by YAHOO! News
08.ODA(政府開発援助)
09.ODA白書、年次報告
10.ODA改革ネットワーク(ODA-NET)市民・NGOの力でODA政策を変える!
11.ODAとは何か? 1997年11月祭 by京大ユニセフクラブODA研究班
12.財団法人 日本国際協力センター(JICE:Japan International Cooperation Center)
 -人と人の繋がりを通して- 
13.円借款 by国際協力銀行(JBIC)
14.ODAメールマガジンバックナンバー

温暖化、アフリカ支援強化に力点 08年版ODA白書案

2009年01月29日 中国新聞ニュース

 外務省は29日、地球温暖化対策やアフリカ支援への取り組み強化に力点を置いた2008年版「政府開発援助(ODA)白書」案をまとめた。与党の了承を経て来月3日に閣議報告する。

 白書案では昨年7月の主要国首脳会議(洞爺湖サミット)で温暖化対策が主要テーマになったことを受けて、発展途上国の温室効果ガス排出削減に向けた支援へのODA活用を一段と重視する姿勢を示した。

 また「テロリズムやエネルギー安全保障といった地球規模の課題を解決するにはアフリカ支援を除外して考えることはできない」と強調。貧困対策が遅れているアフリカ諸国に対し、インフラ整備や食糧援助などの重要性を打ち出している。

 政府は07年の日本のODA実績が財政難に伴う予算減などに伴って前年の3位から5位に落ちたことを受け、低利融資に当たる円借款の活用などでODAの増額を目指す方針を示している。(初版:1月29日13時13分)

PCI前社長ら4人起訴 ベトナムODAの贈賄事件

2008/08/25 中国新聞ニュース

 ベトナム・ホーチミン市での政府開発援助(ODA)事業受注をめぐる贈賄事件で、東京地検特捜部は二十五日、総額約九千万円のわいろを贈ったとする不正競争防止法違反の罪で、大手建設コンサルタント「パシフィックコンサルタンツインターナショナル」(PCI)の前社長多賀正義たが・まさよし容疑者(62)=詐欺罪で起訴=ら四人と、法人としての同社を起訴した。

 一九九八年の不正競争防止法改正で新設された外国公務員への贈賄禁止規定適用は二例目で、略式手続きではなく公判請求するのは初めて。両罰規定による法人の立件も初となった。

 同法では収賄側を処罰できず、外務省は同国政府に対し、厳正な捜査を尽くすよう求めている。

 特捜部はPCIに絡む四事件で計九人を起訴し、一連の捜査を終えた。

 ほかに起訴されたのは、元常務高須邦雄たかす・くにお(65)、元役員坂下治男さかした・はるお(62)、元ハノイ事務所長坂野恒夫さかの・つねお(59)の三容疑者。

 起訴状などによると、PCIは二〇〇一年と〇三年、円借款で実施された高速道路建設工事のコンサルタント業務を計三十一億円で受注。便宜供与の謝礼などとして、高須被告らは〇三年十二月に六十万ドル(約六千四百万円)を、〇六年八月にも二十二万ドル(約二千六百万円)を、ホーチミン市人民委員会の東西ハイウエー・水環境業務管理局の局長に渡した。

 PCIは請負代金の10%程度のわいろ提供を局長に約束。計約三億円が支払われた疑いもあるが、特捜部は証拠上明確な約九千万円を立件した。

外務省、ODA予算13・6%増の概算要求方針

2008年08月22日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 外務省は21日、2009年度予算の概算要求で、政府開発援助(ODA)予算として5006億円を求める方針を固めた。

 今年度当初予算比で13・6%増となる。要求総額は同10%増の7471億円とする。

 政府は1月の世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で、途上国の温暖化対策を支援する100億ドル規模の資金支援(クールアース・パートナーシップ)を表明した。5月のアフリカ開発会議(TICAD)では、アフリカ向けODAを12年までに倍増すると約束した。外務省のODA予算は、2000年度から9年連続で減少しているが、同省は国際公約を実行するため、ODA予算の増額が必要と判断した。

 概算要求ではこのほか、中央アジアやアフリカなど6か国で大使館を新設する予算を求める。

ODA縮小は日本の外交力を削ぐ。 国益のために量と質の向上を

2008年 日本の論点PLUS(文芸春秋)/渡辺利夫 (拓殖大学学長)

日本のODAの額はいまやアメリカの半分

 衰えたりとはいえ、日本はなお世界有数の経済大国であり技術大国である。その一方で、日本は国際秩序形成に軍事力をもって臨むことにはきわめて抑制的である。自衛隊の「後方支援」や「復興支援」に道を開いたのは小泉政権の大きな貢献であったが、いずれも「特別措置」の域の中にあり、これを超えるには憲法改正という難関が控えている。集団的自衛権の発動さえまだ藪の中である。

 平和主義を標榜し、かつ経済大国、技術大国の日本にとって最も似つかわしい貢献はODA(政府開発援助)であり、事実、一九九〇年代において日本は世界最大のODA供与国としての地位を誇ってきた。しかし、一九九〇年代後半以降のODAの減少ぶりは目を覆うばかりである。

 一九九七年(平成九年)に一兆一六八七億円であった一般会計ODA予算は、二〇〇七年には七二九三億円まで減少した。この間の減少率は実に三八パーセントであり、八〇年代のレベルにまで後退してしまった。これと対照的にアメリカ、EU(欧州連合)諸国は米同時多発テロ事件以降、イスラム原理主義者のテロリズムの温床が彼らの住まう国々の極度の貧困にあるとみて、一挙にODA予算の拡大に転じた。日本のODA額はアメリカの半分となり、イギリスに抜かれ、ほどなくしてドイツ、フランスの後塵をも拝することになろう。

 ODA外交がいかに重要性をもつかは、今後一〇年ほどの間に生じるであろう日本の国際安全保障のことに少しでも想像力を働かせてみればすぐにでもわかろう。国際テロリズムとの闘いはほとんど恒常的なものとなり、中国やインドなどの石油エネルギー不足国の経済的膨張が、資源の国際的争奪戦を激化させることは目にみえている。

 海外での武力行使を禁じ、武器取引にも自らを厳しく律する一方、エネルギーや食糧を圧倒的に開発途上国に依存する日本が己の生存をまっとうするための手段は「外交力」以外にはない。日本のこれまでの外交力を辛くも支えてきたのがODAである。

「量」が減った分、「質」の向上が待ったなし

 このODAが無惨な減少を余儀なくされていることは慚愧に耐えない。実際、九八年から二〇〇五年までの間に、日本の無償援助を五〇パーセント以上削減された国の数は、ODA供与対象国一四二カ国中五九カ国を数える。国際機関に対する日本の拠出金も大きく減少した。その地位は、二〇〇〇年度と〇六年度を比較すると、国連開発計画(UNDP)では第一位から第六位へ、国連人口基金(UNFPA)では第一位から第五位へ、国連児童基金(UNICEF)では第五位から第七位へ、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)では第二位から第四位へ、といった次第である。国連安保理常任理事国入りを熱望しながら国連でのこの地位後退は何とも情ない。

 現下の厳しい財政状況のことを考えれば、ODA予算の多少の減少は致し方なしという気がしなくはない。しかし九七年からのODA予算の減少率三八パーセントは、公共事業関係費予算の減少率一九パーセントよりもはるかに大きく、予算項目中最大の減少率なのである。国民や政治家もこのことに多少なりとも胸の痛みを感じなければなるまい。ODAが政治の焦点にはなりにくく、選挙の票にも結びつきにくいテーマであることは確かであろう。しかし長期的な国益を見据えて、もう少し高い志でことに臨んでもらわねばなるまい。

 ODAの「量」がこうまで削減されたのであれば「質」の向上は待ったなしである。この点についての反省は過去一年余、ODA関係者においてとみに強く、実際、日本のODA史上最大規模のシステム変更が試みられてきた。日本のODA戦略の司令塔として、内閣総理大臣、内閣官房長官、外務大臣、財務大臣、経済産業大臣を恒常的メンバーとする「海外経済協力会議」が二〇〇六年四月に設置され、内閣総理大臣のリーダーシップの下でODA意思を一元的に決定できる組織が生まれた。この戦略にもとづいてODAを企画・立案する組織として外務省内に国際協力企画立案本部、その下に国際協力局などの関係部局が設置された。

 さらに従来、それぞれ個々の実施機関によって担われてきた技術協力、円借款、無償資金協力といった多様な日本のODAメニューが、新JICA(国際協力機構)内で統合されることになった。この統合により開発途上国のニーズに対応してODAメニューを適切に結合し、迅速にこれを展開することが可能となる。新JICAの発足は〇八年一〇月である。ODAの上流から中流を経て下流にいたる道筋が一本の線で結びつく組織的改変がなされたことは画期的である。組織と制度それ自体は完成した。これに魂を吹き込んで真に効率的なODAを生み出しうるか否かが重要なポイントとなる。

ODAが民間企業の進出を促す

 ところでODAだけでは開発途上国の発展を動かすことは難しい。この点に関して二つの論点を指摘しておきたい。

 第一は、民間企業の力を積極的に活用しなければ発展は期し難いという事実についてである。市場経済において開発をもたらす最も重要な主体は民間企業である。逆にODAそれ自体がもつ開発効果は、量的にも質的にもそれほど大きいものではない。開発途上国ヘの資金フローにおいて中心を占めるものは海外直接投資である。ODAが進出民間企業の活力と結びついて、初めてみるべき開発効果が生まれるのである。

 直接投資を通じて開発途上国に移転されるのは、資本や技術だけではない。むしろ資本や技術を効率的に組織化する企業経営の主体や能力の移転が重要である。外国民間企業は、直接投資を通じて資本、技術はもとより、企業者的職能をも含む、要するに企業経営能力の全体をいわば「パッケージ」として受け入れ国にもち込む。その開発効果はODAに比べて格段に大きい。グローバル・メガコンペティションの今日においては、先発国企業の海外直接投資が開発途上国の開発にとって死活的な重要性をもっているという認識がますますの重要性をもつ。

 すなわち、ODAは民間企業導入の「触媒効果」によって初めて強力な開発効果をもちうるのだと考えねばならない。私どもは、ともするとODAそれ自体の開発効果を論じる傾きがあるが、それでは議論が不完全である。ODAが民間企業の開発効果を発揚させるメカニズムに信頼を寄せて、ODAを展開しなければならない。

これからは物的インフラより知的インフラだ

 第二は、「知的インフラ」の重要性についてである。一国の経済発展には道路、鉄道、港湾、発電所などの物的インフラが重要であることはいうまでもない。この面では日本のODAはこれまで大きな貢献をしてきた。しかし「制度インフラ」の整備も重要である。

 ODAの触媒効果を高めるには、制度インフラを構築して市場経済の機能を強化することが必要である。経済成長には市場が必要であり、市場が成長するためには市場を効果的に展開させるための制度が必要である。この制度を優れたものにするには、制度を構築する政府の高い能力が不可欠である。制度構築を支援するには、ODAにおける「知的支援」の比重を高めなければならない。日本の知的支援は専門家派遣、研修生の受け入れなどの方法で行われてきた。例えば、(1)法制度、行政制度などを紹介し制度形成のための研修を行うこと、(2)市場経済の運営・行政管理の分野で研修生を受け入れること、(3)政策助言を行える専門家を派遣すること、(4)開発や政策開発研究について助言すること、などである。

 しかし、これまでの日本はこういう知的支援には物的インフラ整備ほどには熱心に取り組んではこなかった。知的支援が日本の今後のODAのフロンティアになっていくものと期待する。

ODA実績5位に転落へ 07年、日本の影響力低下も

2008/04/02 中国新聞ニュース

 日本の二〇〇七年の政府開発援助(ODA)実績(暫定値)が国別順位で世界五位になり、前年の三位から後退することが二日、分かった。経済協力開発機構(OECD)が四日に発表する。

 日本は財政難でODA予算の削減を続けている一方で、前年まで日本より下位にいたフランスやドイツが援助実績を伸ばしたとみられる。日本外交の影響力低下が懸念され、途上国の開発問題も議題となる七月の主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)の議論にも影響しそうだ。

 日本のODA実績は一九九〇年代に世界最大を誇っていた。しかし〇六年には約百十二億ドルで三位に転落し、〇七年は実績額がさらに減る見通しだ。OECDは一〇年の日本の順位が米国、ドイツ、英国、フランス、イタリアに次ぎ六位に後退するとの予想も出している。

 〇五年の英グレンイーグルズ・サミットでは、主要国がODAの強化で一致。日本は〇九年までの五年間に〇四年実績(八十九億ドル)に比べて百億ドル積み増す国際公約を掲げている。

 主要国は今月五日から東京で開く開発相会合で、途上国支援の着実な履行を確認する見通しで、日本に対する風当たりが強まる恐れもある

ラオスの投資環境整備にODA…制度改革支援で円借款5億円

2008/02/28 FujiSankei Business i.

 日本政府はラオスの経済政策や制度改革を支援する政府開発援助(ODA)として、同国向けに5億円の円借款を供与する。国際協力銀行(JBIC)が28日、貸し付け契約を調印する。新たな投資地域として注目を集めるラオスの投資環境整備を促す狙いがある。

 日本政府は、ラオスが進める歳出・歳入管理や国営企業のリストラ、民間企業の活性化などの成長・貧困撲滅への国家戦略で、マクロ経済の安定化やビジネス環境の改善を支援するとして、年利0・01%の超低金利による円借款を供与する。

 ラオスは日系企業が多く進出しているタイよりも人件費が安く、中国に一極集中した投資リスクの分散先となる「チャイナ・プラス・ワン」としても、ベトナムなどとともに注目されている。

 日系企業の投資も増加傾向で、ラオス計画投資省によると、2006年9月からの1年間で約40社の日系企業が進出。日本とラオス両国政府は07年12月、投資環境の改善に向けた官民合同対話を開催。今年1月には投資協定にも署名して、進出日系企業のビジネス環境の整備を進めている。

 日本や世界銀行などの支援を受けたラオス政府が進める制度改革によって、外国投資奨励法の改正で外資企業に認める事業権の期間を15年から50年に延長。投資手続きのを迅速化するなど具体的な対応が進んでいる。(坂本一之)

メコン流域4カ国に60億円 外相会議でODA供与表明

2007年01月12日 中国新聞ニュース

 政府は12日、インドシナ半島を横断する幹線道路整備などを目的に、ベトナムとカンボジア、ラオス、ミャンマーのメコン川流域の4カ国に、総額約60億円の政府開発援助(ODA)を供与する方針を固めた。16日に東京で開催の第1回日メコン外相会議で、高村正彦外相が提案する。

 財政難でODA削減が続く中、東南アジアでも開発が遅れている同地域に重点的に資金供与し、日本企業の進出拡大に向け経済基盤を整備する。

 対象は「インドシナ東西回廊」と呼ばれる2本の幹線道路で、ベトナム−ミャンマー、タイ間を結ぶ。今後3年間で約22億円を供与し、トラック貨物の積み替え基地整備や、税関職員の研修などに充てる方針だ。

ODA活用しCO2削減…CDM認可、途上国での展開加速

2007/12/26 FujiSankei Business i.

 政府開発援助(ODA)を利用した地熱発電事業などの3件が、温室効果ガスの排出削減に役立つ「クリーン開発メカニズム」(CDM)として相次いで認められる見通しとなったことが25日、分かった。民間資金で行うCDMは中国などの大国に偏りがちだが、ODAを利用すれば小国でもCDMを展開しやすくなる。政府は今後もODAを利用した発電事業などを展開し、京都議定書の温室効果ガス排出削減目標の達成につなげたい考えだ。

 ODAは当初、京都議定書の運用方法を決めた2002年1月のマラケシュ合意で、CDM事業には使えないとされた。「ODAがCDMに集中すれば、道路や橋などのインフラ整備に資金が回らなくなる」と途上国が反対したためだ。しかし、地熱発電などのように、二酸化炭素(CO2)などの削減とともに、インフラ整備につながる事業もある。

 一方で、民間資金頼みのCDM事業は、途上国でも先進的な国で行われがち。「民間資金だけだと、カントリーリスクなどの不安要素がある国は避ける傾向にある」(国際協力銀行)ためで、全世界で行われるCDMの半分以上は中国とインドで占められている。

 このため、CDM事業を承認する国連の理事会も方針を転換。6月には日本の円借款によって建設されたエジプトの風力発電事業が、世界で初めてODAによるCDMとして認められた。このほかにも、スリランカの木炭工場で排出されるメタンガスを回収、発電する事業や、インドネシアの地熱発電事業、インドの鉄道ブレーキ摩擦熱を利用した発電事業と、円借款に伴う3件の事業がCDMとして認められる見通しだ。

 ODAを利用したCDMから生まれる排出権は対象国の政府や企業に帰属し、対象国が自由に売却できる。ただ、エジプトの風力発電事業では年間約25万トンの排出権のうち、約16万トンは日本の電力会社などの出資企業、日本カーボンファイナンスが購入することを決定。インドネシアの地熱発電でも年間5万トン程度の排出権を同社が購入する。

 京都議定書によって、日本は2008〜12年度のCO2排出量を1990年度比で6%削減しなければならないが、目標達成には大量の排出権購入が必要となるため、政府は今後もODAを使ったCDM事業立ち上げを目指す。

アフリカ支援の拡充を 有識者会議ODA報告案

2007年12月21日 中国新聞ニュース

 高村正彦外相の諮問機関「国際協力に関する有識者会議」(議長・渡辺利夫拓殖大学長)は21日、政府開発援助(ODA)の在り方について中間報告案をまとめた。ODAの「戦略性」と「メッセージ性」の重要性を強調し、近年の大幅削減に「外交力発揮は困難」と懸念を表明。アフリカ支援などの拡充を訴えている。来年1月に中間報告を決定する。

 報告案はアフリカ支援の現状に関し「他のODA供与国と比べ、日本の現地の体制、人員は見劣りする」と指摘。「インフラ整備、人材育成、市場整備などをパッケージとした包括的な支援」の実施を促し、政府や民間企業、非政府組織(NGO)ら関係者による支援策の協議機関設置を提言した。

 温暖化対策では、資金不足で対応が難しい貧困国に、省エネ技術などを積極的に提供するよう要求。このほか重点策として(1)民間人の現地派遣など官民連携(2)効率化に向けた市場経済原理の導入(3)開発向け投融資の政府支援−なども挙げた。

[ベトナム株]来年の対越ODAは総額54億ドル

2007/12/13(木) 中国情報局

 ハノイ市で開かれていたベトナム支援国会合(CG会合)は7日、来年の対ベトナム政府開発援助(ODA)額を今年より約10億米ドル(約1100億円)多い54億2600万米ドル(約6000億円)とすることを決めて閉幕した。

 このうち、2国間援助の総額は26億2600万米ドル(約2900億円)で、日本が11億米ドル(約1200億円)の支援を表明して引き続き最大の支援国となった。国際機関による援助は、アジア開発銀行(ADB)の13億5000万米ドル(約1500億円)、世界銀行(WB)の11億米ドルを含め、総額25億5000万米ドル(約2800億円)に上る。非政府組織(NGO)による援助は総額2億5000万米ドル(約280億円)。(提供:「VIETJO ベトナムニュース」と「ベトナム株式情報」)

ODA、3年ぶり減少 06年実績、対中円借款減で

2007年11月07日 中国新聞ニュース

 外務省が7日発表した発展途上国に対する資金の流れの集計によると、2006年の日本の政府開発援助(ODA)実績(確定値)は前年比14・9%減の111億8700万ドル(約1兆3000億円)となり、03年以来、3年ぶりに減少に転じた。中国向けの円借款やイラクの債務救済などが減ったためで、4月発表の暫定値の116億800万ドルを下方修正した。

 国別順位は米国、英国に次いで3位に確定するとみられるが、07年はドイツやフランスに抜かれ、4−5位に転落する可能性がある。

 国民総所得(GNI)比は0・25%で、前年より0・03ポイント低下した。途上国への全体の支出額は、国際協力銀行のアジア向け貸し付け増加で12・8%増の262億3000万ドル(約3兆円)と伸びた。

対中援助は「環境」に 全体の3割、1兆円突破へ

2007/07/12 FujiSankei Business i.

 ■汚染直結、日本政府は円借款終了後を模索

 【成都(中国四川省)=坂本一之】日本が中国政府向けに1979年度から供与している政府開発援助(ODA)で、環境関連の円借款が承諾ベースで累積1兆円を突破する見通しとなった。日本は2008年度で対中円借款を打ち切る方針を決めているが、4月の温家宝首相の訪日時に“ポスト京都議定書”で新たな関係作りをめざす日中環境協力の共同声明を発表。中国の環境破壊は日本に波及する懸念もあるとして、「環境」をキーワードとした対中支援策拡大を模索している。

 中国に対する環境対策支援の円借款案件は、承諾額ベースで今年3月までに9802億円にのぼった。今年度に承諾を見込む数件の支援案件で1兆円を突破する見込みとなった。これまでの対中円借款は承諾ベース総額で3兆3134億円にのぼるため、環境関連の支援が全体の約30%を占める計算となっている。

 日本政府は90年代前半から中国に対し環境対策での円借款活用を働きかけ、第4次円借款(96〜00年度)から本格的な環境支援が始まった。01年に策定した「対中国経済協力計画」でも環境問題への協力を柱に掲げている。貴州省で「環境モデル都市事業」を手がけるなど内陸部での環境保全案件にも力を入れている。06年度承認の円借款案件では、内モンゴル自治区の大気環境改善事業に63億円、雲南省昆明市の水環境整備に104億円などが組み込まれている。

 しかし現状では、中国へのODAで返済義務のない無償資金協力や技術協力は今後も継続するものの、低利融資である円借款は北京五輪が開かれる08年度に終了することが決まっている。日中関係筋は、安倍晋三首相が今年5月に打ち出した気候変動に対する戦略「美しい星50」に盛り込まれた途上国支援の新しい資金メカニズムを、対中環境ODAに代わる財源として活用する検討が始まっていると明かした。

 その背景には、経済発展で環境問題が深刻化する中国の大気や水質の汚染が、日本への酸性雨や黄砂、日本海や東シナ海の水質汚染の原因になって被害が広がるとの懸念がある。日本の支援資金と技術で中国の環境保全態勢を構築すべきだとの声は日中双方にある。

 日中両国は4月の温首相訪日時に環境協力の共同声明を発表、日本の支援とともに13年以降の地球温暖化防止に向けた国際的な枠組み構築に、中国が参加することを表明した。外務省筋は、「世界が進める環境対策に中国をいかに引き込むかが重要」と話している。

 ODAの枠外であっても環境対策分野の支援が対中外交で日本の重要な切り札になる可能性がある。円借款が終了する08年以降の対中支援体制をめぐり、議論が活発化することになりそうだ。

日本、24年ぶり3位転落 06年のODA実績

2007年04月03日 中国新聞ニュース

 経済協力開発機構(OECD)が3日発表した2006年の政府開発援助(ODA)実績(暫定値)によると、日本は前年比11・7%減の116億ドル(約1兆3700億円)で、英国に抜かれ前年の2位から3位に転落した。米国と首位を争ってきた日本が3位以下になるのは1982年以来24年ぶり。

 政府が財政再建を進め、ODA予算の縮小が続いていることが響いた。ODAは日本にとって外交戦略の大きな柱だが、アフリカ支援を強化する欧州諸国や中国など新興援助国の増額が目立つ中、今後も減少が続けば国際社会での発言力低下は避けられない。

 OECDの開発援助委員会(DAC)が加盟22カ国の実績を集計した。首位は6年連続で米国で227億ドル、2位の英国は126億ドル。3位の日本にフランス、ドイツなど他の欧州勢が迫っている。加盟国の援助総額は、イラク向け債権放棄という特殊要因がなくなったため、2・7%減の1039億ドルだった。

ODA説明で記者に現金 ジャカルタの地下鉄計画

2007/02/14 中国新聞ニュース

 【ジャカルタ14日共同】日本の政府開発援助(ODA)で実施が決まったインドネシアの首都ジャカルタの地下鉄を含むMRT(大量高速交通システム)事業を説明するため、国際協力銀行(JBIC)などが十三日開いた記者会見で、出席した地元記者に現金入り封筒が配られていたことが十四日分かった。

 インドネシアでは高級紙を除き、記者が取材先から現金を受け取る慣行がはびこっているが、ユドヨノ政権は国際圧力を受けて不明朗な慣行や汚職の一掃に取り組んでおり、ODA事業の会見の場での現金配布に戸惑う声も出ている。

 記者会見はジャカルタのホテルで、巨額の円借款を投ずる同事業の円滑な実施を目指す有識者委員会の初会合の後に開かれた。関係者によると、準備を請け負った日系広告会社が記者用資料の中に二十万ルピア(約二千七百円)入りの封筒を入れて配った。地元記者は五十人以上が出席、大半が受け取ったとみられる。

 地元ジャーナリスト団体は、取材先からの現金授受を慎むよう呼び掛ける一方、記者の薄給が背景にあるとして最低三百五十万ルピアの月給を保証するよう経営側に要求している。

 十三日の有識者委員会は日本の大学教授やNHK解説委員らが出席。終了後、ハッタ運輸相らとともに記者会見した。

 JBICジャカルタ駐在員事務所は「過去に現金を配ったことはなく、今回は地元の慣行と聞いて従ったが、今後どうするか検討したい」と話している。

ODA予算4%削減へ 外交力強化は人員増などで

2006/12/17 The Sankei Shimbun

 財務省は16日、平成19年度の政府開発援助(ODA)予算を前年度比4.0%減の約7300億円とする方針を決めた。無償資金援助の円借款への切り替えなどで、削減額を上積みした。外務省から要望の強かった大使館の新設は6カ国で認める。ODA予算の削減は8年連続。ピーク時の9年度に比べると6割程度になる。

 ODAについて政府は、円借款を積極的に活用して必要な事業量を確保しつつ、無償資金援助を減らすことにしている。19年度予算でもこの方針が反映され、歳出・歳入一体改革で「2〜4%」としていた削減目標のうち最大の削減幅となった。

 一方、外交力強化の観点から、マリやボツワナ、リトアニアなど6カ国で大使館の新設を認めるほか、インドのバンガロールなど2カ所で駐在官事務所の新設を認める。また、外務省の人員を他省庁からの出向者も含めて51人増加させる。

ODAの日本、貧困解消貢献は最下位

2006/08/14 中国新聞ニュース

 【ワシントン13日共同】米外交専門誌「フォーリン・ポリシー」は十三日、途上国の貧困問題解消のために先進各国がどれだけ貢献しているかを総合評価する「開発関与指数(CDI)」ランキングを発表、日本は二十一カ国中、四年連続で最下位という低い評価を受けた。一位はオランダ、米国は十三位だった。

 日本はコメへの高関税をはじめ途上国の輸出品に対する障壁がいまだに高く「依然として外国のモノや人に対して閉ざされた社会」と指摘された。政府開発援助(ODA)の総額は多いものの、国民一人当たりの支援額が少ないことや、国連平和維持活動(PKO)に「あまり参加していない」ことも響いた。

 調査は途上国に対する援助や貿易、移民受け入れなど七項目から途上国への貢献度を指数化して評価した。

政府、17年度分の対中円借款供与の書簡交換

2006/06/23 The Sankei Shimbun

 政府は23日午前、凍結を解除した平成17年度分の対中円借款約748億円を供与するため、北京市内で中国政府と書簡を交換した。

 雲南省や黒龍江省などの下水処理施設整備、遼寧省や河北省での大学の施設整備などにあてられる。

 17年度分の供与額は前年度(約859億円)に比べて約13%減で、5年連続の削減となる。日中両政府は平成20年に供与を打ち切ることで合意している。

日本巡視船供与の署名式延期 インドネシア土壇場で疑義

2006/06/14 The Sankei Shimbun

 日本政府が武器輸出3原則の適用外としてインドネシアに供与する巡視船艇に関する書簡の署名式が14日、ジャカルタで行われる予定だったが、インドネシア側が土壇場で疑義を示し延期された。延期は異例だが、双方とも詳しい理由を明らかにしていない。

 巡視船艇供与は、テロ・海賊対策のため2003年の首脳会談で当時のメガワティ大統領が小泉純一郎首相に要請、日本が現地調査団を派遣し(1)用途をテロ・海賊対策に限定(2)事前同意なく第3者に移転しない―などの条件で合意した。

 インドネシア外務省3階の広間では14日、署名式の準備が整えられ、訪れた海老原紳大使は、疑義を示したアジア担当局長と約1時間協議したが、不調に終わった。

 海老原大使は「直前により詳細な説明を求められ話し合ったが、いったん延期することにした。早期の署名実現を期待している」と話した。

 巡視船艇供与は政府開発援助(ODA)による初の「武器供与」で、13日に閣議決定された。

 インドネシアでは国家主権重視の立場から、マラッカ海峡などの安全確保をめぐって日本や米国が関与することを警戒する声が強い。(共同)

対中円借款の凍結解除へ、05年度分は750億円前後

2006年06月05日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 政府は、2005年度中の決定を見送っていた同年度の対中円借款を6日の海外経済協力会議で決定する。

 5月にドーハで開かれたアジア協力対話(ACD)の際、約1年ぶりの外相会談に応じるなど、中国側に日本との関係改善に向けた動きが出てきたためだ。

 総額は、前年度比約100億円減の750億円前後となる見通しだ。

 円借款の供与は通常、年度末までに決定し、次年度以降に実施する。しかし、2005年度の対中円借款は、首脳会談に応じない中国の姿勢に自民党内から反発が強まったことから、年度内決定が見送られ、“凍結”されていた。

対中円借款、実施決定へ 政府「前向きの雰囲気」反映

2006年06月03日 asahi.com

 冷え込む日中関係を背景に3月末の閣議決定が見送られていた05年度分の対中円借款(実施は06年度)について、政府は近く実施を決定する方針を固めた。来週にも関係閣僚による海外経済協力会議を開いて正式に確認し、与党と調整を進める。東シナ海のガス田開発で高まった対中批判などに配慮して閣議決定を先送りしたが、先にカタールで開かれた日中外相会談などで「前向きの雰囲気が出てきた」(外務省幹部)と判断した。

 対中円借款は当該年度中に閣議決定され、翌年度に実施される。政府は05年度分を3月末までに閣議決定する方向で調整し、04年度より少ない800億円前後とする案などを用意していた。

 だが、3月にはガス田協議で中国側が尖閣諸島付近を共同開発地域に含める提案をしたことなどで、自民党内の反発が強まり、党側の了承を得られる雰囲気ではなくなった。このため、外務省は閣議決定を見送る方針を自民党に伝えていた。「対中世論が厳しいとのメッセージを中国側に送る」(外務省幹部)との意味合いも込めていた。

 日中両政府は北京五輪が開かれる08年に円借款の新規供与を終了させることでは合意している。ただ、外務省はそれ以前に終了させることは難しいとして、閣議決定の時期を探っていた。

 先月の日中外相会談で、中国側は靖国問題では従来の主張を繰り返したものの、様々な分野で対話を進めることで合意するなど関係改善の兆しが見えていた。同省では、再開のタイミングととらえる見方が強まっていた。今後、自民党側の了承を経て、閣議決定の時期を探る方針だ。

マラッカ海峡対策 ODAで「軍用」巡視船提供

2006年06月02日 asahi.com

 麻生外相は2日の衆院外務委員会で、政府の途上国援助(ODA)を使ってインドネシアに巡視船3隻を供与する方向で検討していることを明らかにした。マラッカ海峡でのテロ・海賊対策として防弾用に装甲を強化するため、「軍用船舶」とみなされ、武器や兵器の輸出を制限する武器輸出三原則の例外扱いとして無償供与する。ODAで「武器」を供与するのは今回が初めてのケース。

 麻生外相は「武器輸出三原則との関係もあり、与党の議論も踏まえ検討している」と述べた。

 経産省によると、外為法に基づく輸出貿易管理令では、戦闘対処などを意図して装甲を強化した船舶を「軍用船舶」と認定している。巡視船には機関銃などの武器は搭載しないものの、武器輸出三原則の対象になる。

 巡視船は設計段階で、政府は国外で建設することも視野に入れる。

太平洋・島サミット開幕…首相、450億支援表明へ

2006年05月26日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 日本と太平洋諸島フォーラム(PIF)の16か国・地域の首脳が協力のあり方について協議する「太平洋・島サミット」が26日午後、沖縄県名護市の万国津梁(しんりょう)館で開幕した。

 小泉首相は27日の首脳会議で、2006年度から3年間で約450億円の政府開発援助(ODA)を実施する考えを表明する。

 日本のシニアボランティアなどを活用し、行政官の人材育成に取り組む意向も示す方針だ。

 同サミットは1997年から3年ごとに開かれ、今回が4回目。27日には、日本とPIFの一層の連携強化のため、定期協議を行う事務レベルの合同委員会創設などを盛り込んだ首脳宣言を採択する。

 ODAについて、日本政府は、無償資金協力と技術協力で実施する予定だ。サンゴ礁の保護や廃棄物処理などの環境対策、情報通信基盤整備などに活用する方向で調整している。小泉首相は26日の開会式で「新たな協力の枠組み『沖縄パートナーシップ』を構築したい。協力の新たな礎となるものだ」と述べた。

仏の対中ODA、05年は5倍強に拡大

2006/05/11 NIKKEI NET

 【パリ=奥村茂三郎】フランスの政府開発援助(ODA)実行機関である仏開発庁(AFD)が11日発表した年次報告書によると、2005年の中国向けODAは前年に比べ5倍強に拡大、仏にとり最大のODA供与先となった。中国は日本に円借款の新規供与を凍結されているが、その弱みを突いて中国との政治・経済的なつながりを深める仏外交が浮き彫りとなった。

 対中ODAは1億8030万ユーロ(約255億円)で前年の3500万ユーロの5.2倍。内訳はすべて借款だった。04年にODA供与先首位のモロッコは1億4180万ユーロで2位になった。

 記者会見したスベリノ開発庁長官は「中国の経済成長をさらに後押ししようとしているわけではない」と弁明。「温暖化ガスの排出を削減するための環境対策が目的だ」と対中ODA拡大の意義を強調した。06年も「05年並みの水準を維持する」と説明した。

「南アジア部」新設へ 外務省、今夏にも機構改革

2006年05月10日 西日本新聞社

 外務省は今国会閉幕後の夏にも、アジア外交強化と政府開発援助(ODA)改革を目的に、東南アジア諸国連合(ASEAN)やインドなど南西アジア諸国を担当する「南アジア部」、ODAの企画・立案部門を一本化した「国際協力局」を新設する機構改革を行う。

 現在のアジア大洋州局は、中国、韓国、北朝鮮など東アジアから東南、南西アジア、オーストラリアや太平洋の島しょ国までを担当。近年は、北朝鮮の拉致、核問題、中国の東シナ海ガス田開発、竹島領有権問題など東アジアをめぐる外交課題が増加し「局長1人ではパンク状態」(外務省筋)と指摘されていた。

 このため今回、アジア大洋州局内に「局」に準ずる「南アジア部」を新設し、事実上独立させることになった。

タレ流し一掃なるか ODA戦略「司令塔」が初会合

2006/05/08 The Sankei Shimbun

 政府の「海外経済協力会議」(議長・小泉純一郎首相)の初会合が8日午前、首相官邸で開かれた。

 かねてから「タレ流し」と批判が強かった政府開発援助(ODA)を戦略・効率的に実施するのが狙い。初会合では、ODAの現状について報告を聞いたうえで、今後の会議の進め方などを話し合った。

 会議には、小泉首相、安倍晋三官房長官、麻生太郎外相、谷垣禎一財務相、二階俊博経済産業相が出席した。

 会議に先立ち、安倍氏は記者会見で「ODAについてどのように戦略的な対応をしていくか、世界の理想に向けて、わが国の果たすべき役割などを包括的に議論したい」と述べた。

 同会議は、ODAのあり方を検討していた政府の有識者会議「海外経済協力に関する検討会」(座長・原田明夫前検事総長)が今年2月にまとめた提言に基づき設置。いかに縦割り行政の弊害を廃し、ODAの戦略的活用に向けて「司令塔」の役割が果たせるかが焦点となる。また、閣議決定を見合わせている平成17年度分の中国への円借款供与も議題となる見通しだ。

平成18年度 ODA民間モニター大募集!

2006年05月04日 ODAインターネットTV

 ODA民間モニター事業とは一般から公募されたモニターが、政府開発援助(ODA)プロジェクトの現場を訪問し、日本国民の税金を原資とするODAが本当に役に立っているのか、現地の人たちに感謝されているのか、専門家ではなく国民の広い層の視点から忌憚のない意見を語っていただくものです。

 募集要項・参加申込書はhttp://www.apic.or.jp/monitor2006/index.htmlで入手できます。

 募集締切:平成18年5月24日(水) 当日必着

円借款、最貧国には「ゼロ金利」

2006/05/03 NIKKEI NET

 政府は、海外の発展途上国向けの政府開発援助(ODA)で、金利が0.01%の円借款を導入した。従来の最低基準金利である0.75%を大幅に下回る事実上の「ゼロ金利」で、アジア、アフリカの最貧国向けに順次適用する。これに伴い中進国向けは金利を引き上げており、経済の発展度合いに応じた金利設定を拡大する。

 ゼロ金利の対象となるのは、1人あたりの国民総所得が750ドル未満などの条件を満たした最貧国。対象はカンボジア、バングラデシュ、ミャンマー、タンザニア、セネガルなど数十カ国になる見通し。

小泉首相がアフリカ連合本部で演説 対アフリカ支援を表明

2006/05/01 The Sankei Shimbun

 【アディスアベバ=坂井広志】エチオピア訪問中の小泉純一郎首相は1日午前(日本時間同日夕)、アディスアベバ市内のアフリカ連合(AU)本部で、アフリカ政策に関する演説を行い、「世界最悪の人道危機」といわれるスーダン西部のダルフール紛争解決に向けた資金提供や感染症対策など包括的なアフリカ支援策を表明した。

 首相は演説で、対アフリカ外交の基本理念について「ODA(政府開発援助)を通じアフリカ諸国自らが問題を認識できる支援を重点的に行う」とアフリカ重視姿勢を打ち出したうえで「安保理でアフリカの代表性を向上させるためにも、国連安保理改革を早期に実現しなければならない」と強調した。

 アフリカ支援の具体策としては、ダルフール紛争に関して、AUが現地に派遣している部隊への資金協力や医療支援などなど計約1870万ドル(約21億円)をAUや国連機関に拠出する。感染症対策では、エイズウイルス(HIV)感染の予防啓発活動への支援として、年間100人規模での青年海外協力隊の派遣などを行う。

 日本の現役首相がAU本部を訪れるのは初めて。アフリカ支援策表明には、日本の常任理事国入りに向けたアフリカ諸国の支持拡大と、アフリカ支援を積極的に行い浸透を図る中国を牽制(けんせい)するねらいがある。昨年、日本とドイツ、インド、ブラジルの4カ国(G4)が提出した安保理理事国拡大の決議案が廃案となった背景にも、中国のアフリカへの強い働きかけがあった。

 演説に先立ち、首相はAUのコナレ委員長と会談して日本の国連安保理常任理事国入りの協力を要請、コナレ氏は日本を支持する考えを示した。

水が一番喜ばれる?首相 ODA施設を視察

2006年04月30日 西日本新聞社

 【アディスアベバ30日共同】小泉純一郎首相は30日午後(日本時間同日夜)、エチオピアのアディスアベバで各家庭に上水を供給するため、政府開発援助(ODA)による技術協力を行っている国際協力機構(JICA)の「水供給訓練センター」を視察した。

 首相は、完成したばかりの「農村給水システム」のモデル施設でテープカットを行い、自ら同システムを使って井戸から地下水をくみ上げた。

 首相は視察後、記者団に対し「水は一番生活に必要で一番喜ばれる。お金をたくさんかけなくても喜ばれている。良い協力だ」と強調。センターの活動について「訓練に当たっている日本人がたくさんいることも心強い」と述べた。

外務省、ODA企画立案本部の初会合開催

2006/04/28 NIKKEI NET

 外務省は28日、国際協力企画立案本部(本部長・麻生太郎外相)の初会合を開いた。同日の閣議で政府開発援助(ODA)の戦略的活用に向けた「海外経済協力会議」が内閣官房に設置されたのを受けたもので、外相は会合で「ODAは施しでやっているわけではない。結果として国益に資することを頭に置かなくてはいけない」と強調した。

アチェ亡命政府の帰還と日本のODA

2006/04/28 JanJan

 インドネシアのアチェ州と聞けば、たいがいの人はスマトラ沖大津波(04年末)を思い浮かべる。日常生活でお世話になっている都市ガスや電気の原料はアチェ州から運ばれてきている、ということを知っている人は少数派だろう。同州で産出する天然ガスの最大の買い手は、日本の電力会社とガス会社だ。

 ムハマド・マリク議長はじめとするアチェ亡命政府のメンバーが19日、亡命先のストックホルムから帰還した。30年ぶりに故郷の土を踏んだのである。海外各種メディアは伝えたが、日本の大新聞や放送局が報道することはなかった(筆者の見落としかもしれないが)。日本人の多くが、電気やガスの原料がアチェで採れていることを知らないことと符号してはいないだろうか。

エネルギー権益の非情

 同州は16世紀から20世紀初めまでアチェ王国として栄え、独自の歴史・文化を持つ。70年代に天然ガスが発見されると、人々は独立を求めるようになった。中央政府は武力で押さえ込んだ。独立派は「GAM(Gerakan Aceh Merdeka)=自由アチェ運動」を組織し、武装闘争を挑んだ。内戦が始まった(76年〜)。

 天然ガス採掘・精製工場は、同州アルン地区にある。車で端から端まで飛ばすと20分以上はかかる。実に広大だ。工場は日本のODAを利用して作られた。日本はインドネシアへのODA最大供与国だ。政府開発援助という名の巨額資金は、インドネシア―アチェの内戦に深く関わっていたのである。天然ガスの権益をめぐって内戦となったのだから。

 独立を宣言し内戦に突入した76年は、ベトナム戦争で民族独立を掲げた北ベトナムが勝利した翌年のことである。隣のインドシナ半島で起きた革命は、アチェの独立に多大な影響を与えたはずだ。筆者はストックホルムの亡命政府を訪ねた。

 「ベトナム戦争ではソ連や中国が北ベトナムを支援した。アチェの場合、支援どころか逆だ。日本も韓国も米国も、アチェがインドネシアの一部であるほうが好都合だったのだ」。マリク議長は天を仰いだ。

 韓国は日本に次ぐ天然ガスの買い手。米国のエクソンモビルはアチェに独自の採掘・精製工場を持つ。イラク戦争が示すようにエネルギー権益をめぐる国際関係は非情だ。

津波がうながした和平

 最高指導者のハッサン・ディ・ティロ氏は、軍事訓練のためGAM兵士を率いてリビアに渡ったこともある。カダフィ大佐が米国相手に吠えまくっていた頃である。だが火力で圧倒的に勝るインドネシア国軍に対して勝ち目はなかった。内戦の勝敗は初めから目に見えていたと言ってよい。ティロ氏はじめアチェ政府のメンバーは亡命を余儀なくされた。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のあっせんでスウェーデン政府が受け入れた。

 九州をひと回り大きくしたほどのアチェ州に兵力3万5000のインドネシア国軍が駐留し、独立武装勢力GAMを掃討するため山間部の村々を焼いた。米軍がベトナムで行ったように。GAM兵士はもとよりGAM兵士の疑いをかけられれば、拷問のあげく虫けらのように殺された(拷問の具体的内容についての記述は、今回は省く)。アチェの人々は息をひそめるようにして暮らしていた。

 04年末、アチェを津波が襲った。インドネシアの犠牲者16万人の大半は、アチェ州の人々だった。同州は壊滅的な打撃を受けた。中央政府にとっても亡命政府にとっても、内戦どころではなくなった。フィンランドやEUの仲介で和平が結ばれることになり、05年8月ヘルシンキで調印式が行われた。

特別自治州の行方占う試金石

 筆者は和平調印式を見届けた。マリク議長の顔はこわばり、蒼ざめていた。和平の条件として「独立」の旗印を降ろし、インドネシアの一部でよいとまで譲歩せざるを得なかったためだ。

 亡命政府のメンバーは和平調印から8ヶ月後に帰還したことになる。安全を見極めたかったからだ。国軍に対する恐怖、インドネシア中央政府への不信感の表れともいえる。最高指導者ティロ氏は体調不良のため帰国を2ヶ月遅らせるという。

 メンバーは長年の亡命生活でインドネシア国籍を失っている。ロイター通信によれば、政府はメンバーの帰国にあたって有料でビザを発給した。

 8月にはアチェ特別自治州議会の選挙が行われる予定だ。亡命政府メンバーの立候補が本当に認められるのか。特別自治州の行政府には、外交、軍事、金融以外の権限が確実に与えられるのか。新生アチェが自治州と呼べるに値するかを量る試金石となる。(田中龍作)

対中円借款 100億円減額の方向 政府調整 対立が背景、異論に配慮

2006/04/20 中日新聞

 二〇〇六年度の中国に対する円借款について、日本政府は当初予定の八百五十億円を約百億円減額して、七百五十億円程度とする方向で調整していることが分かった。最近の日中間の対立を背景に政府内の手続きが進んでおらず、資金供与の時期も遅れる見通し。減額と相まって、中国側の反発も予想される。

 対中円借款は年度末に次年度分を閣議決定するのが通例で、二〇〇五年度実施分は七案件、計八百五十九億円とする公文書を昨年三月二十九日に交わし、閣議決定している。ところが、〇六年度実施分は先月、〇五年度中の閣議決定を見送った。

 政府関係者によると、東シナ海のガス田開発や小泉純一郎首相の靖国神社参拝をめぐる日中間の対立などを背景に、政府・自民党内に、対中円借款についてさまざまな議論があり、調整に時間がかかるとの見方がある。自民党の外交関係合同部会の一部幹部が、慎重な対応を求めているという。

 対中円借款は、中国が放棄した戦争賠償請求の代償的な意味合いから一九八〇年度に始まった政府開発援助(ODA)の大半を占めてきた。二〇〇〇年度に二千百四十四億円に達した後、中国の経済発展を受けて減少しており、両国政府は昨年四月、北京五輪が開催される〇八年度で新規供与を終了することで合意している。

ODA 対中無償資金打ち切り インド重視 政府方針

2006/04/17 The Sankei Shimbun

 政府は十六日、中国に対する政府開発援助(ODA)について、返済が不要な無償資金協力を打ち切る方針を固めた。今年夏にも正式決定する。中国が経済発展に伴い、無償資金協力の対象国としてはすでに不適当だとの認識に加え、歴史認識、東シナ海の石油ガス田開発問題をめぐる中国の対応に対し、国内から強い批判が出ていることを踏まえ、判断した。政府は対中ODAの減額分をインドに振り向ける方針で、ODAの面でもインド重視の姿勢を鮮明にする。

 政府は対中ODAのうち、円借款の新規供与を平成二十年の北京五輪前までに打ち切ることを決めており、これに続いて無償資金協力も全面的にストップすることになる。停止年限を定め無償資金協力を一気に打ち切るか、あるいは供与額を漸減させていき最終的にゼロにするかは今後、検討する。ただ、省エネや環境対策などを中心とする技術協力は当面、継続する方針だ。

 平成十六年度の中国に対する無償資金協力は約四十一億円。政府は開発途上国に援助を行う目安として、世界銀行の融資指針を参考に、無償資金協力は対象国の国民一人当たり国内総生産(GDP)が千四百ドル以下、円借款などは三千ドル以下としている。

 これに対し、中国国家統計局は今年一月、国民一人当たりGDPが千七百ドル(約二十万円)になったと発表している。世界銀行は今年夏に融資指針を改定する予定で、政府はそれを参考にしながら、対中無償資金協力の打ち切りを決定する。

 一方、三月末の閣議決定を見送った平成十七年度分の対中円借款については、日中関係の推移をみつつ五月以降に閣議決定する方針で、十六年度に約八百五十九億円だった供与額を七百億円台に減らす方向で調整している。

 政府は、急速に軍備拡張を続ける中国を牽制(けんせい)するため、インドと安全保障、経済分野での関係を強化している。すでにインドは十五年度から中国を抜き、日本の円借款の最大の受け入れ国となっている。十七年度分は約千五百五十四億円で、今後数年をかけて二千億円台にまで伸ばす方針だ。

 今年三月末には、バンガロールの高速輸送システム建設計画(約四百四十七億円)をはじめ、上下水道や発電所などインフラ整備を中心に十案件を決定している。

対中国ODAは環境分野に 麻生氏「共益につながる」

2006年04月15日 西日本新聞社

 麻生太郎外相は15日、広島県呉市内で講演し、中国に対する円借款などの政府開発援助(ODA)供与について「環境問題に絞る」と述べ、今後は環境分野に特化させていく方針を示した。

 麻生氏は中国で公害が深刻になっていることを指摘し「環境問題を十分支援するだけの金を用意する気はあるし、技術指導も可能。向こうのニーズもあり、日中共益につながる」と強調した。

 中国側が中止を求めている首相の靖国神社参拝については「中国からワンワン言われたから行くのやめます、なんてできない」とあらためて表明した。

中国・大連にODAで“日本式”人材育成センター

2006/04/15 The Sankei Shimbun

 中国遼寧省大連市に、日本政府の無償資金協力で、日系企業で働く中国人などを対象にした人材育成センターが完成、15日に開所式を行った。

 国際協力機構(JICA)によると、日本の政府開発援助(ODA)による、ビジネスを主目的にした人材育成施設は中国で初めて。

 同センターは大連市中心部に建設され、鉄筋5階建て、延べ床面積4800平方メートル。建設費9億6800万円は日本が拠出した。大連市が管理運営する。

 日系企業や日本と取引の多い企業の社員らに対し、日本式の経営管理や情報技術(IT)、ビジネス日本語会話などを教える。大連交通大学など地元の大学が講師派遣などで協力、日本からも専門家を派遣する。(共同)

ODA改革:無償資金協力、JICA移管は6割

2006年02月25日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE

 政府開発援助(ODA)改革を協議している政府の「海外経済協力に関する検討会」(座長・原田明夫前検事総長)の最終報告書の全文が24日、明らかになった。国際協力機構(JICA)への実施機関の一元化を打ち出す一方で、無償資金協力については「機動的に実施すべきものは外務省が扱う」ことを明記。実際にJICAに移管される無償資金協力は05年度予算ベースで6割程度にとどまる見通しで、残り4割は一元化されてもこれまで通り外務省が担うことになる。

 検討会は28日、安倍晋三官房長官に提出する。

 報告書は、(1)無償資金協力(2)技術協力(3)円借款−−のODA3分野を「一元的に実施」するとした上で、外務省の所管だった無償資金協力は「JICAを実施主体と位置づけて必要な体制を整備」と明記。ただし、費目によっては外務省が引き続き扱うことも併記した。災害・紛争後の緊急支援や草の根無償などの費目とみられ、05年度予算ベースで換算すると無償資金協力1765億円の4割に当たる約700億円。

 円借款については「引き続き現在の各省協議・連携体制を維持」を盛り込んだ。実施機関の一元化にあたり、財務省が円借款部門を引き続き受け持つことを取り決めた同省と外務省の合意を反映した形だ。

 また、ODAの企画立案を統括する首相直轄組織を設け、(1)ODA大綱や中期政策(2)国際金融と円借款の連携(3)実施後の評価−−などを行う。国際協力銀行(JBIC)の国際金融部門は新政策金融に統合し、一定の独立性を持たせることも盛り込んでいる。【犬飼直幸、米村耕一】

ODA改革の再編案了承 座長、諮問会議に報告

2006/02/23 The Sankei Shimbun

 政府の「海外経済協力に関する検討会」の原田明夫座長は23日の経済財政諮問会議で、政府開発援助(ODA)改革に向け(1)首相主導の戦略本部の新設(2)円借款、技術協力、無償資金協力の実施を「新JICA(国際協力機構)」に一元化―を柱とする組織再編案を報告し、了承された。円借款と国際金融業務を担当している国際協力銀行(JBIC)は2つに分かれる。

 再編案は、首相の下に官房長官と外務、財務、経済産業ら関係閣僚で構成する戦略本部をつくり、ODAの企画、立案に当たる「司令塔」的役割を担う。

 ODAの実施体制について、原田座長は技術協力を行っているJICAにJBICの円借款を統合し、外務省の無償資金協力も新JICAに移すと説明。JBICの国際金融は、新たな政府系金融機関に統合する考え方を示した。

 また、配慮が必要なポイントとして新JICAの円借款業務と新政府系金融機関の国際金融業務の連携などを挙げた。

 小泉純一郎首相は「いろいろな議論がある中で方向性を出してもらい感謝する。海外経済協力は日本にとって極めて大事だ」と述べた。

 検討会は24日に詰めの協議を行い、28日に最終報告をまとめる予定。(共同)

JICA、中国の農村年金整備に協力 現地調査開始

2006/02/21 The Sankei Shimbun

 国際協力機構(JICA)はこのほど、急速に高齢化が進む中国の農村の年金制度整備に向け、中国の労働社会保障省と共同で調査事業を開始した。

 日本の政府開発援助(ODA)の技術協力であり、日本の農村福祉の経験を中国に伝える狙いもある。ことしから3年間、日本のコンサルタント11人が山東省、四川省、福建省などの農村8カ所で現地調査や人材育成に当たる。

 中国の65歳以上の人口は2004年末で全体の7.6%だが、40年には20%を超えるとみられている。特に農村では、青年層が都市部に出稼ぎで流出し、家庭での扶養能力が弱まっているが、農民対象の年金整備は進んでいない。

 中国は1992年に「農村養老保険制度」の枠組みを定めたものの、具体的な実施は地方政府任せで、全国平均の加入率は10%台と低水準。中央政府の補助はなく、北京市など一部の地方政府が補助しているのにとどまっている。

 労働社会保障省は、日本が高度成長期に農村から都市への大規模な人口移動を経験したことに注目して協力を要請、「財政支出を伴う全国的な制度への改善を模索している」(JICA)という。(共同)

ODA改革、円借款は3省共管に・従来の枠組み変わらず

2006/02/22 NIKKEI NET

 政府開発援助(ODA)改革を巡り、実施機関として一元化される国際協力機構(JICA)全体は外務省が担当するが、新たに組み入れる円借款部門は財務、経産、外務の3省の共管になることが22日、明らかになった。効率的なODA実施に向け、3省体制の見直しが改革の主眼だったが、従来の枠組みが事実上維持される。

 安倍晋三官房長官は記者会見で「関係省庁に実施機関をどういう形にするか詰めるよう指示している。それを受けて作業が進められているはずだ」と説明。政府関係者は「これまで通り何も変わらない」と述べ、新JICAでも3省体制が存続すると明言した。

ODA検討会、結論は先送り 国際協力銀の存廃で対立

2006/02/13 The Sankei Shimbun

 政府開発援助(ODA)の在り方をめぐる政府の「海外経済協力に関する検討会」(座長・原田明夫前検事総長)は13日午前、首相官邸で会合を開いた。国際協力銀行(JBIC)の円借款部門を分離し、技術協力を担当する国際協力機構(JICA)に統合すべきだとの意見と、あくまでもJBIC存続を求める見解が対立し、結論は先送りとなった。

 原田座長は記者会見で、17日の次回会合で引き続き協議する考えを明らかにした。

 会合では、JBICの"解体"を求める理由として、政府開発援助(ODA)の実施機能を一元化し、各国の同様の援助機関にも対抗できるよう機能強化を図るべきとの意見が示された。

 これに対し、JBICが円借款と国際金融業務を一体的に運用していることへの評価や、検討会が設立方針を固めている首相直属のODA政策を企画、立案する「関係閣僚会議」が設置されれば、実施機関の統合は必要ないとの反論が出た。

 JBICをめぐっては、自民党が円借款部門をJICAに統合する改革案を固めているが、経済界や財務省からはJBICの存続を求める声も上がっている。(共同)

ODA改革:無償資金協力部門もJICAに統合へ

2006年02月08日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE

 政府・自民党は8日、政府開発援助(ODA)の改革について、外務省が担当している無償資金協力部門を国際協力機構(JICA)に統合する方向で検討に入った。すでに国際協力銀行(JBIC)が担う円借款部門のJICAへの統合案が明らかになっており、企画立案と同様、実施機関もODA3機能を一元化し、連携強化と運営の効率化を図る考えだ。

 外務省が8日、自民党のODA改革に関する合同会議で(1)円借款がJBIC(2)技術協力がJICA(3)無償資金協力が外務省−−と分かれているODA3機能の実施機関について、JICAへの一元化を検討することを提示。JICAの緒方貞子理事長も「3機能の連携を一層強める方向で改革を進める必要がある」と述べ、党側の了承を得た。

 政府はすでに、ODAの企画立案を統括する首相直轄組織を創設する考えを示している。実施機関はJBICを分離・解体し、円借款部門をJICAに統合する案が浮上していた。今回、無償資金協力も含めた統合案が打ち出されたことで、企画立案と実施機関がそれぞれ一元化の方向となった。【米村耕一】

ODA一元化に向け閣僚会議新設へ 有識者会議が提言

2006/01/25 The Sankei Shimbun

 政府の有識者会議「海外経済協力に関する検討会」の原田明夫座長(前検事総長)は25日、政府開発援助(ODA)など経済協力政策実施に関する論点案を発表した。ODA一元化に向け首相や官房長官、外相ら閣僚レベルの会議や本部を設置、円借款の重要プロジェクトや年度別援助方針など基本方針を政治主導で決定するよう提言した。

 ODA見直しをめぐっては、麻生太郎外相も首相をトップに関係閣僚で構成する「対外経済協力会議」(仮称)構想を打ち出しており、首相の下に閣僚会議が新設される方向が固まった。

 具体的なODAの企画立案業務に関しては25日の会合で、外務省が「政府調整の中核」として財務、経済産業両省など関係省庁と連携を図る役割を持つべきだとの認識で一致した。

 このほか論点案では、国際協力銀行が担っている国際金融業務など他の経済協力政策についても「ODAとの連携や国策上必要な資源確保・国際競争力の観点」から、重要案件は閣僚レベルの会議で協議するとしている。(共同)

ODA改革:週明けから議論本格化 焦点は国際協力銀行

2006年01月21日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE

 三つに分かれている政府開発援助(ODA)の実施機関をどのように統合するかをめぐり、安倍晋三官房長官の下に置かれた「海外経済協力に関する検討会」(座長・原田明夫前検事総長)で、週明けから議論が本格化する。焦点は国際協力銀行(JBIC)の組織をどうするか。自民党内には分割して「ODA実施機関の一元化」を主張する声が強いが、財務省や経済界は「金融一元化」を持ち出し現状維持を求める。小泉純一郎首相の「一元化」というキーワードを奪い合う構図で、この2案を軸に綱引きが繰り広げられる。

 ODAは現在、企画立案は外務省など13府省庁、実施機関は無償資金協力が外務省、技術協力は国際協力機構(JICA)、円借款はJBICの三つに分かれている。企画立案は首相直轄の「対外経済協力会議」(仮称)を新設、実務は引き続き外務省を中心に担う改革案がすでに固まり、実施機関のあり方がODA改革の残る焦点だ。

 実施機関のうちJBICについては、昨年末の政府系8金融機関の統廃合論議で、一つだけ結論が先送りされた。

 自民党内には、円借款を国際金融から分割し、無償資金協力と一緒に外務省所管のJICAに統合させる「ODA一元化論」が強い。ODA改革論議の「火付け役」と見られている草野厚慶応大教授も同じ意見だ。

 3機能が連携しやすくなり、効果的な援助ができるようになるとの考え方だが、金融援助と技術協力は業務の性格が異なるため「実態に即さない」という異論もある。

 財務省や経済界の「金融一元化論」は、一本化される他の政府系金融機関にJBICも統合させるもの。

 こちらは円借款と国際金融の両業務が一体となっていることで国際社会での存在感が増し、対外交渉力が高まるとの考え方だが、実施機関が縦割りになっている現状がそのまま残り、財務省の既得権が守られるため、抜本改革にならないという批判が出ている。

 検討会は2月末までに結論を出す方針。外務省は企画立案の既得権さえ守れれば、実施機関の形態にはこだわらない立場だ。【米村耕一】

ODA庁創設案に賛否 政府検討会で外部有識者から意見聴取

2006/01/16 The Sankei Shimbun

 政府の有識者会議「海外経済協力に関する検討会」は18日、政府開発援助(ODA)などをめぐり、外部有識者から意見聴取した。

 渡辺利夫拓殖大学長はODAの企画立案業務一元化に向けて、外務省の下にODA庁創設を提言。実施業務も国際協力銀行(JBIC)の円借款部門、外務省の無償資金協力担当部局、技術協力を担う国際協力機構(JICA)を1機関に統合すべきだと指摘した。

 これに対し、吉野直行慶応大教授はODA庁創設は予算の硬直化をもたらすと反対を表明した。

 また、草野厚慶応大教授は援助政策の大枠を政治主導で決定するため、内閣官房に首相を議長とする「経済協力政策委員会」設置を主張。ODA実施機関としてJBICの円借款とJICAの統合を求めた。(共同)

麻生外相がODA改革案、外務省の“実権”は手放さず

2006年01月19日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 麻生外相は19日、日本記者クラブで講演し、政府開発援助(ODA)について「首相の下にODAの戦略を審議する仕組みをつくったらどうか」と述べ、ODAの支出先などを首相主導で決める改革案を提唱した。

 ODA行政の中心にある外務省が、自ら改革に貢献する姿勢を示した格好だが、「企画立案は、外務省設置法に基づいて外務省がやるのが一番いい」とも述べ、「実権」は手放さない考えだ。外相は、具体的な機関として、首相を議長とし、官房長官、外相、財務相、経済産業相で構成する会議の設置を提案した。

 安倍官房長官の私的懇談会「海外経済協力に関する検討会」(座長=原田明夫・前検事総長)は、13省庁がかかわる体制を改めるため、内閣府などに援助庁を設置することも検討しているが、外相は「大きなハコ物をつくる必要はない。主立った閣僚が集まる形式でいい」と、同検討会の議論をけん制した。

ODA「改革の余地ある」 外務事務次官、戦略会議を容認

2006/01/16 The Sankei Shimbun

 外務省の谷内正太郎事務次官は16日の記者会見で、政府系金融機関の統廃合に絡む政府開発援助(ODA)の企画・実施機関の見直しについて「これまでのやり方はすべて良かったと思っていない。さらに改革すべき余地はある」と述べ、政治主導の強化など一定の改革はやむを得ないとの認識を示した。

 政府、自民党が、ODAの総合戦略などを決める「対外経済協力戦略会議」(仮称)を内閣に新設する方針を固めたことに容認の姿勢を示した発言とみられる。

 統廃合の焦点となっている国際協力銀行(JBIC)の扱いについては「これまでの仕事は評価されるべきだ」と指摘。その上で「『こうすべきだ』など言うのは、余計な波紋を投げかける」と述べ、安倍晋三官房長官の下に設置された「海外経済協力に関する検討会」の議論を見守る考えも示した。(共同)

イラクでかんがい支援、円借款を再開へ

2006年01月08日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 政府は7日、陸上自衛隊が活動するイラク南部サマワでのかんがい事業を支援するため、1985年以来中断している同国への円借款供与を再開する方針を固めた。

 今春の事業着手を目指している。

 政府は、今年5月を軸に、サマワから陸上自衛隊を撤収することを検討している。陸自に代わる地元住民の雇用の受け皿を提供することで、撤収作業を円滑に進める狙いがある。

 イラクの農業は相次ぐ戦乱のため、耕地不足と水不足が深刻化しており、民生安定のためには農業基盤整備が急務となっている。事業規模などについては今後、イラク側と詰めるが、かんがい用の排水ポンプや重機の供与、かんがい設備の維持管理要員の育成などを想定している。

 イラク向け円借款については、2005年9月から12月にかけ、国際協力銀行(JBIC)の担当者がイラクの隣国ヨルダンを拠点に対象事業の事前調査を行った。結果を踏まえ、今年度中にはイラク側と具体的な支援事業について合意文書を取り交わす見通しだ。

 現在、サマワで活動している陸自部隊は、宿営地の警備や通訳、ゴミ処理などで現地住民を1日で最大1300人雇用している。政府はサマワでの雇用創出のため、かんがい事業のほかに、無償資金協力を活用した大型発電所の建設事業を、近く始める。陸自撤収後も、これらの事業を通じて現在の雇用水準を維持していく方針だ。

ODAに4つの戦略目標 対テロ戦や平和構築など

2006/01/07 The Sankei Shimbun

 外務省は7日までに、政府開発援助(ODA)の機動的実施を目指し(1)テロとの戦い(2)平和構築(3)東アジアでの影響力強化(4)アジアの経験のアフリカへの伝達―という4つの「戦略目標」を策定した。今後はこれに沿ってODAを戦略的に活用し外交効果を最大限に高めたい考えで、「不安定の弧」とされる東アジアから中央アジア、中東にかけた一帯とアフリカが供与先の中心となる。ODA業務の外務省からの分離、首相直属化を求める政府内の議論に対抗する狙いもありそうだ。

 政府は昨年2月、今後数年間のODAの基本方針である「新ODA中期政策」を発表。今回の戦略目標は中期政策を実行に移すための具体的指針と位置付けられる。ODAは年間計1兆円規模に上りながら、「戦略性欠如」を指摘されてきたため、目標を明確に打ち出すことにした。

 「テロとの戦い」では、米国との連携や主要国(G8)による協調などを通じ、イラク、アフガニスタンなどテロとの戦いの“最前線”への支援や、インド洋、マラッカ海峡を中心とする海賊対策など広域にわたる取り組みを想定している。

 「平和構築」では、紛争からの復興途上にある地域で地雷除去や職業訓練の支援を強化。スーダンをはじめとしたアフリカ各国や東ティモール、スリランカなどが主な供与先となる見込みだ。

 「東アジアでの影響力強化」はアジア各国との経済連携ネットワークの構築や、メコン川の流域開発に取り組む。「アジアの経験のアフリカへの伝達」では、中部アフリカを中心に生産性運動の普及や、貧困対策などの実施を計画している。(共同)

ODA改革:原田座長が今後の検討事項を提示

2005年12月26日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE

 政府の「海外経済協力に関する検討会」は26日、首相官邸で第2回会合を開き、座長の原田明夫前検事総長が政府開発援助(ODA)の改革に関する今後の検討事項を提示した。

 それによると、検討の基本的考え方として(1)援助先と日本国民の視点(2)国際社会の取り組みとの関係(3)対外政策における位置づけ−−をあげた。不透明性や非効率性などODAに対する批判が根強いことから、ODAをどう戦略的に活用するのかや、国益にどうつなげるべきかなどを協議したうえで、具体的な組織論に移行する考え。

 検討会は来年1月12日に3回目の会合を開き、2月末までに結論をまとめる方針。【米村耕一】

『ODA諮問会議』検討

2005年12月26日 東京新聞

首相直属、民間登用も

 政府開発援助(ODA)の体制について内閣府に議長を首相とする「ODA諮問会議」(仮称)を創設し、ODA実施体制は国際協力機構(JICA)に国際協力銀行(JBIC)の主業務である円借款部門を統合した「国際協力公社」(仮称)を設置する構想が検討されていることが二十六日、分かった。政府の援助機関関係者や経済財政諮問会議の一部の民間議員が政府系金融改革と並行し、案を練っていた。

 「ODA諮問会議」は、外務、財務、経済産業などの「関係省庁に分散している現在の援助業務を集約して首相直属としてはどうか」と指摘された内容を踏まえたもの。諮問会議のメンバーは、現職の外相、財務相、経産相ら関係閣僚のほか有識者らで構成。閣僚以外の候補としては、JICAの緒方貞子理事長や援助評価委員会の南直哉委員長(東京電力顧問)らの名前があがっており、「援助の一元化」に前向きな考えをもつ民間からのメンバーが期待される。

 経済財政諮問会議や自民党では、円借款業務の分離によるJBICの解体を示唆するなど踏み込んだ再編案が提言された。この中で、関係機関内で分散した海外経済協力事業は「集約して首相直属とする」のが原則として提示。政府は、官房長官が開催する「海外経済協力に関する検討会」で、ODAの戦略的活用や、対外経済戦略の効果的実施のための政策金融機能のあり方を議論し、三月末までにまとめる。

 関係者らによると、ODA諮問会議とは別の具体案としては、「国際援助庁」(仮称)を創設し、その傘下に国際機関部、資金協力部、技術協力部などを置く案も検討されている。外務省が主管の無償資金協力部門についても、一元化に向けて、援助庁の傘下に置く案を提示。資金協力部には、JBICの主力業務のひとつである円借款などの海外経済協力業務を移管する。円借款の機能は「民間金融では対応できない部分」としている。

援助効果の持続に課題 無償ODAの事後評価

2005年12月02日 The Sankei Shimbun

 外務省は2日、無駄遣いがあると指摘されている政府開発援助(ODA)の無償資金協力について事後評価結果を公表した。被援助国が援助を受けた後も効果を持続できるかの項目で「被援助国のさらなる努力が望まれる」が5割超に上り、課題が明らかになった。

 評価は完了後3―5年の10億円以上の事業113件のうち52件が対象。大使館員が視察や聞き取りで調査、同省との協議や有識者会議の意見も踏まえて決めた。

 効果の持続は、被援助国が十分な予算を確保することや施設などを適切に管理することで左右される。評価では、56%の案件で被援助国に対し一層の努力を求め、「被援助国の主体性を向上させるのが重要な問題」と指摘。具体例として、技術者の未熟さなどから管理が不十分な、ウガンダの「第1次地方給水計画」などを挙げた。

 一方、「案件が相手国のニーズから見て妥当か」「提供する施設・機材が適切か」との項目は、それぞれ94%、73%が4段階で一番上高い評価となった。

 ODAの事後評価は円借款や技術協力では、国際協力銀行など実施機関が取り組んできたが、無償協力では初めて。来年度は評価に外部のコンサルタントなども入れて客観性を向上させる。(共同)

国際協力銀を事実上解体 政府系金融改革で自民案

2005年11月28日 The Sankei Shimbun

 自民党は28日の政府系金融改革に関する合同部会で、8機関に分かれていた政策金融を民営化や統廃合により1機関化する改革案を決定した。焦点の国際協力銀行については、円借款業務を政策金融の外に出すと明記、国際金融業務も資源や国際競争力確保に必要な事業を除き大幅に民間移管するとして、国際協力銀行の事実上の解体を打ち出した。

 また、集約した政府系金融機関の財務内容を民間と同様に公表し、機能に応じた事業部制の導入を検討する方針を示した。金融危機や大災害などの非常時に、政治的な決断で迅速に対応できるよう弾力条項の制定と首相を議長とする緊急経済対応会議(仮称)の新設も盛り込んだ。29日の政府与党協議会で決着を目指す。

 自民党案によると、日本政策投資銀行は5年以内で完全民営化。当初案で国際協力機構(JICA)に統合するとしていた国際協力銀行の円借款業務は「統合も視野に別途検討する」と表現を弱めた。公明党や自民党内の慎重論に配慮した。

 商工組合中央金庫についても完全民営化を打ち出しているが、7年間の特例措置を設けた。

 1機関に統廃合する新組織は国民生活、中小企業、農林漁業、沖縄振興開発の4金融公庫と国際協力銀行の一部となる。このうち、在日米軍再編との絡みで注目された沖縄振興開発金融公庫は「政府の沖縄振興政策のシンボル」と位置付け、機能の存続を明記したが、沖縄県は組織の存続を強く求めており、29日の政府与党協議会までに小泉純一郎首相が政治判断する方向だ。(共同)

国際協力銀 ODA庁構想再び 官邸主導に外務省危機感

平成17(2005)年11月26日 The Sankei Shimbun

 政府系金融機関改革の焦点となっている国際協力銀行(JBIC)の取り扱いをめぐり、政府開発援助(ODA)部門を首相直属の機関に移す「ODA庁」構想が、政府・与党内で再浮上している。構想には政府系金融機関の一本化だけでなく、ODA戦略の主導権を外務省から首相官邸に移す効果もあるだけに、ODAを外交の柱に据えてきた外務省には危機感が強まっている。

 二十二日開かれた政府の経済財政諮問会議では、政府系金融機関改革に伴うJBICの取り扱いについて、(1)首相直属または国際協力機構(JICA)に統合(2)新機関として存続−の二案が示された。

 麻生太郎外相は存続を求めたが、小泉純一郎首相は「どうやって一つにまとめていくか議論を重ねることが必要だ」と存続機関の一本化を目指す姿勢を強調。竹中平蔵総務相も「行革の観点からすれば、少なければ少ないほどいい」と同調しており、JBICの存続は厳しさを増している。

 そうした中、自民党の中川秀直政調会長が「ODAは顔の見える外交という意味から、政府機関でやるべきだ」と語ったことで、ODA庁構想が再燃した。JICAとの統合であれば外務省の影響力が残るものの、内閣府の下に新たな庁が設置されれば官邸がODA戦略の主導権を握ることになる。

 ODA予算は約一兆四千七百億円(平成十七年度)にのぼり、財務、経済産業など多くの省庁が関与するだけに「不透明で、非効率的だ」との批判がある。過去にも「国際協力庁」「国際援助庁」など一元的に担当する機関の創設が検討されたが、「新組織をつくっても省庁間の協議が増えて逆に非効率だ。屋上屋を架すことになる」といった官僚の反対が強く、実現していない。

 今回も「外務省がODAをハンドリングすべきだ。その線を守るために死力を尽くす」(外務省幹部)と反発。塩崎恭久外務副大臣も二十四日の会見で、「ODAは首相の指揮の下で外相がまとめていくべきもので、ODAと外交は一体不可分だ。その基本を外さないで、どういう政府系金融の組織をつくっていくか。これからの勝負だ」と述べた。

 外務省には、ODAを担当する経済協力局の廃止につながるのではという組織防衛本能も働いており、政府系金融機関改革の「余波」に神経をとがらせている。

                  ◇

 <ODA庁構想> 外務省を中心に財務省、経済産業省などにまたがる政府開発援助(ODA)を一元的に扱う庁を創設し、ODA戦略の効率化、一貫性確保を目指す構想。英国では1997年、外務省から独立した国際開発庁を創設。逆に米国は1998年、独立していた国際開発庁が国務省の下に組み込まれた。日本では平成14年、ODA改革の一環として検討されたが、外務官僚の反発で消滅した。

経財諮問会議 政府系金融 一機関固める 円借款実施機関示さず

平成17(2005)年11月26日 The Sankei Shimbun

与党同時決着へ

 政府の経済財政諮問会議(議長・小泉純一郎首相)の民間議員は二十五日、八つの政府系金融機関の統廃合に向け、国際協力銀行を単独で存続させず、一機関に集約させる基本方針案を固めた。二十九日の次回会議で取りまとめ、与党との同時決着を目指す。財務省や外務省に反対意見が強いものの、小泉首相の「できれば一つで」との意向を踏まえ、融資残高を現在の九十兆円から二十兆円程度へ大幅に圧縮する「小さな政府」推進を最優先させる。

 八機関の統廃合については今月二十二日の諮問会議に、本間正明阪大大学院教授ら四人の民間議員が三つの「たたき台」を提示。一機関に集約するA案のほか、国際協力銀も存続させて二機関とするB案も残された。これを受け、与謝野馨金融・経済財政担当相は二十四日、谷垣禎一財務相ら関係閣僚に意見を聴取したほか、民間議員と調整を進めていた。

 A案では、政策金融で残す機能を(1)中小零細企業・個人の資金調達支援(2)国策上重要な海外での資源確保や国際競争力確保に不可欠な金融(3)円借款−に限定。国民生活(零細向け)、中小企業、農林漁業、沖縄振興開発の四金融公庫を一つに統合し、国際協力銀(融資残高二十兆円)の資源・エネルギー開発部門(同二兆円)も組み入れて新機関(同二十一兆円)を設立するほか、国際協力銀のうち貿易金融(同約七兆円)を撤退させる。

 ただ、基本方針案では円借款(同約十一兆円)の存続は明記する一方、具体的な実施機関は示さない。前回の骨子で「首相直属の新機関(ODA庁)または国際協力機構(JICA)と統合」としたところ、反対論が続出。外交は経済財政諮問会議の対象外でもあり、対応を官邸や与党に委ねることにした。

 すでに諮問会議は、日本政策投資銀行と商工組合中央金庫の民営化や公営企業金融公庫の廃止・地方移管、平成二十年度までに九十兆円の融資残高を国内総生産(GDP)比で半減し、官僚の天下りを禁止することなどで合意している。政投銀や商工中金を完全民営化するため、今後は現行の政府保証や出資を何年間でゼロにするかが最後の焦点となる。

 自民党も週明けの「政策金融機関改革に関する合同部会」(園田博之座長)で、同様の取りまとめを行うことにしている。

 しかし、公明党が国際協力銀の存続を求めており、政府・与党間の調整はぎりぎりまで続きそうだ。

ODAは「選択と集中」 外務省が改善で報告書

2005/11/24 The Sankei Shimbun

 外務省は24日、政府開発援助(ODA)の在り方について、学者など専門家らが話し合う「ODA総合戦略会議」の第25回会合を開催し、「ODAの点検と改善」と題した報告書を大筋で了承した。

 報告書は(1)国別の援助計画策定強化など「選択と集中」(2)無償資金協力でのコスト削減数値目標の設定、現地調達を積極的に利用するといった「効率性向上」(3)無償協力の事後評価の徹底など「チェック体制強化」−が柱。

 冒頭のあいさつで麻生太郎外相は「すべての国と等しくは付き合えない。国威とか国益を考えた上で、どの国を選ぶか選択と集中は避けて通れない」と述べた。(共同)

途上国の自主性、成長重視 2005年版ODA白書

2005/10/25 The Sankei Shimbun

 町村信孝外相は、25日の閣議に2005年版「政府開発援助(ODA)白書」を報告した。白書は、発展途上国を支援するため2015年までの達成を目指す国連の「ミレニアム開発目標」について、「途上国の自主性や経済成長を通じた貧困削減を重視する」とし、日本の取り組みをまとめている。

 国連が掲げるのは、極度の貧困と飢餓の撲滅、乳幼児死亡率の削減など8つの目標。日本は、タイの臨海地域の産業育成による貧困対策、インドネシアでの母子健康手帳を活用した乳幼児の保健対策などを具体的に紹介している。

 日本の04年ODA実績は前年比0.3%増の約89億ドルで、米国に次いで2位だった。今後5年間に事業量で100億ドルを積み増すことを国際公約しているが、白書は、効果的な活用のため、津波対応の防災協力など分野別援助政策の重要性を指摘している。(共同)

ODA:06年度の一般会計予算編成でせめぎ合い本格化

2005年10月22日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE

 06年度の一般会計予算編成で政府開発援助(ODA)を巡るせめぎ合いが本格化してきた。外務省は、小泉純一郎首相が7月の主要国首脳会議(グレンイーグルズ・サミット)で、ODA積み増しの方針を表明したのを追い風にODA増額を要求。一方、財務省は「聖域なき歳出削減」を掲げて削減を目指す。政府内の調整は年末まで難航しそうだ。【吉田慎一】

 ODA予算の扱いは、20日の財政制度等審議会(財務相の諮問機関)財政制度分科会(会長・西室泰三東京証券取引所会長)で議論された。ODAで実施する事業の入札価格が高止まりしていたり、供与された機材が使われていない例が示され、西室会長は「まずコスト削減や効果の検証を進めるべきだ」と指摘。同分科会は「昨年以上に厳しく抑制すべきだ」との認識で一致した。

 04年の日本のODAは一般会計と財政投融資などを合わせて161億4800万ドル(約1兆8570億円)。しかし、この中には過去の円借款の返済金を再活用して別の国や事業向けに貸したり、貸した債権を放棄した分が含まれる。国連は、こうした分を除く新たな資金の投入額をODAの規模と見なし、国民総生産(GNP)の0.7%以上になるよう求めている。ところが、アジア諸国の経済発展に伴い円借款の返済が増えているため、その再活用分を除く新たな投入資金は04年で88億5900万ドル(約1兆187億円)、GNP比は0.19%にとどまる。

 そこで、小泉首相がサミットでODAを今後5年間で100億ドル(約1兆1200億円)増やす方針を表明、無償資金協力中心のアフリカ向けを今後3年間で倍増させる考えも示した。そのため、00年度から減らしてきた一般会計のODA予算にも増額圧力が掛かり、06年度概算要求は05年度予算比11.7%増の8782億円に膨らんだ。

 しかし、ODAには、財投債(国債の一種)で集めた資金を活用する円借款も含まれるほか、今後行う一部の債権放棄も国連が認めるODAに含まれることから、財務省は「一般会計予算を増やす意味は薄い」と説明。ODA聖域化に抵抗している。

 ◇政府開発援助(ODA)

 先進国が、貧困に苦しんだり、産業や技術の遅れた発展途上国に資金提供するなどして支援することです。途上国に直接行う2国間援助と、国連などの国際機関を通じた多国間援助があります。

 2国間援助には返済を求めない無償資金協力、低利子で長期間貸し付ける有償資金協力、専門家派遣などの技術協力があります。有償資金協力は円で貸し付けるため円借款とも呼ばれます。援助を受けた国は医療や教育の水準を上げたり、ダムや橋を造ったりします。

 日本がODAを始めたのは1954年です。当時は戦後賠償の意味合いが強く、ビルマ(現ミャンマー)を皮切りにアジア諸国に拡大しました。経済発展とともに規模は膨らみ、89年には米国を抜いて世界1位になり、00年までその座を維持しました。日本が援助したのは180以上の国・地域に上っています。

 日本のODAが急拡大した背景には、軍事力に代わる国際貢献が必要だったほか、貿易黒字に対する米国の批判をかわしたり、日本企業が途上国に進出しやすくする狙いもあったと言われます。

 日本は有償資金協力が目立ちます。04年度はインド、中国など16カ国に計約7000億円の円借款を約束しました。返済義務を課して自助努力を促すことが、国の発展には重要という考えからです。日本も、有償援助を受けて新幹線や高速道路を造り、発展した歴史があります。【町田明久】

ODA実績は89億600万ドル、4年ぶり増加

2005年10月03日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 外務省は3日、経済協力開発機構(OECD)に提出した2004年の政府開発援助(ODA)の実績(確定値)を発表した。

 日本のODA総額は前年比0・3%増の89億600万ドルで、わずかながら4年ぶりに前年実績を上回った。

 イラクの復興支援など国際機関を通じた拠出が、同17・4%増の29億8800万ドルと伸びたことなどが要因だ。

ODAで外務省、アフリカ支援想定し12%増要求へ

2005年08月29日 読売新聞Yomiuri On-LIne

 外務省は29日、2006年度予算の概算要求を発表した。要求総額は前年度比12・5%増の7954億円で、このうち政府開発援助(ODA)は同11・9%増の5462億円となった。

 ODAは、7月の主要国首脳会議(グレンイーグルズ・サミット)で国際公約となったアフリカ支援を想定し、感染症対策(130億円)を充実させたほか、インドネシア・スマトラ沖地震を契機にした防災・災害復興支援(200億円)などを盛り込んだ。

 このほか、中国で大規模に発生した反日デモを教訓に、対日理解を促進するため、中国で日本の情報を発信するための広報予算を8割増の35億円とした。

無償資金協力に無駄遣い 財務相、ODAの改善要請

2005/06/28 The Sankei Shimbun

 財務省は28日、2005年度予算の政府開発援助(ODA、継続事業を含む)のうち、途上国に対する計1765億円の無償資金協力(機材供与)について、無線機や実験機材が使われていないなどの無駄遣いがあるとする予算執行調査を公表。谷垣禎一財務相がこの日の閣僚懇談会で、外務相などに改善を要請した。

 厳しい財政状況を背景に、ODAも例外とせずに歳出の総額抑制に結びつける狙いがある。

 国連安全保障理事会の常任理事国入りに向け、政府は「骨太の方針」第5弾でODA増額の方針を打ち出しており、7月末にも策定される06年度予算の概算要求基準(シーリング)の論議で波紋を呼びそうだ。

 今回の調査はベトナムやガーナ、エジプト、チリなど9カ国の計15事業が対象となった。

 個別の事業では、これらの国々に供与した機材が有効に活用されていない事例が多発。ガーナの電化事業では、無線機が故障したまま放置されていた。チリの環境センター整備事業でも、マイクロバスを別の目的で使うなど、無償資金協力の本来の目的を逸脱している事例が目立った。

 また、無償資金協力の機材供与では、国内のゼネコンや商社を対象とする競争入札の参加者が常に2、3社程度に限られていた。中には、1社しか参加していないケースもあり、財務省は「入札による経費削減効果がほとんど発揮されていない」と指摘。落札額も、事前に公表されている上限額とほぼ一致する例が多かった。

 予算執行調査は、予算の無駄遣いを点検するため02年度から実施。04年度予算では、前年度の調査をもとに問題のありそうな事業をチェックしたところ、事業全体で計492億円の歳出削減につながった。(共同)

ODAを縮減へ 財政審、「効率化」建議盛り込み

2005/05/23 The Sankei Shimbun

 財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は23日、国の2006年度一般会計予算について、政府開発援助(ODA)や公共事業費を引き続き抑制することを求める方針の素案を決めた。予算編成の基本的な考え方を示す「建議」にまとめ、来月6日に谷垣禎一財務相に提出する。

 国と地方の長期債務残高が05年度末に774兆円に達する危機的な財政状況を反映し、ODA予算についても例外とせず、緊縮型予算の継続を要請する内容。

 国連安全保障理事会の常任理事国入りに向け、ODAの増額を強く求められている政府は、財政再建とどう整合性を取るのか難しい判断を迫られることになる。

 一般会計のODA予算は6年連続で削減され、05年度には約7800億円まで落ち込んでいる。国連のアナン事務総長は先進国に対し、ODA予算を国民総生産(GNP)比で0・7%に引き上げるよう求めており、大きな開きがあるのが現状だ。

 だが素案は「ODAの効率性に対する国民の厳しい見方や深刻な財政状況」が予算編成の前提となると指摘。「援助対象国の一層の重点化を通じ、徹底した効率化を進めるべきだ」と強調。

 財政審の会合後に記者会見した西室泰三分科会長は、小泉純一郎首相はODA予算の増額方針を公式には表明していないとの認識を示した。(共同)

バローゾ欧州委委員長、日本のODA増額を促す

2005/04/28 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ブリュッセル=鶴原徹也】欧州連合(EU)欧州委員会のバローゾ委員長は28日、5月2日にルクセンブルクで行われる日・EU首脳協議を控え、邦人記者団と会見した。

 委員長は、国連が先進諸国に対し2015年までに政府開発援助(ODA)を国民総生産(GNP)比0・7%に引き上げるよう提案していることについて、EUが目標達成のため「2010年にGNP比0・56%」という中間目標値の設定を検討していることに触れ、「特に日本はそうだが、援助国がより強力に援助に貢献することを期待している」と、日本のODA増額を促した。

パキスタン向け円借款再開、8年ぶり164億円

2005/04/28 読売新聞 Yomiuri On^Line

 小泉首相とパキスタンのアジズ首相が30日のイスラマバードでの首脳会談後に発表する「日・パキスタン共同宣言」案が28日、明らかになった。

 日パ関係は「新たな段階に入った」とし、約163億6000万円に上る円借款の8年ぶりの再開や技術協力協定の締結など、日本がパキスタンの経済発展と民主化移行を後押しする姿勢を打ち出す。軍縮・核不拡散への協力も明記する。

 1952年の国交樹立以来、日パ両国首脳による共同文書の発表は初めて。

 日本はパキスタンが核実験を行った98年以降、円借款を停止していた。しかし、対テロ戦争の「前線国家」である同国の安定的な発展が重要との判断から再開に踏み切ることにした。当面は、〈1〉北東部パンジャブ州のチェナブ川の灌漑(かんがい)用水路の改修に約125億2000万円〈2〉首都イスラマバードの中央給電指令所などシステム近代化に約38億4000万円――の2事業を実施する。

日本、GNP比20位に後退 04年のODA実績

2005/04/11 中国新聞ニュース

 経済協力開発機構(OECD)が十一日発表した二○○四年の政府開発援助(ODA)実績によると、日本の実績は前年比0・2%減の八十八億五千九百万ドル(約九千五百七十七億円)で四年連続減少した。国民総生産(GNP)比では0・19%と先進国目標の0・7%を引き続き大きく下回り、前年の十九位から二十位に後退した。

 国連安全保障理事会の常任理事国入りに向け、ODA増額を強く求められている日本は、財政再建下でジレンマに置かれることになりそうだ。

 ODA実績はOECDの開発援助委員会(DAC)が加盟二十二カ国の暫定値としてまとめた。日本は額で米国に次ぐ二位を確保したが、首位米国(前年比16・4%増の百八十九億九千九百万ドル)の半分以下。三位フランス(16・8%増の八十四億七千五百万ドル)との差も急速に縮小した。

 先進国は軒並みODAを増額しており、二十二カ国の総額は前年比13・7%増の七百八十五億六千五百万ドルと過去最高。前年より減額は日本とベルギーだけだった。

 日本はイラクの復興支援関連での大幅増額があったが、全体的なODA予算縮小に加えて、アジアからの円借款返済の増加が要因となった。為替変動やインフレ要因を除いた実質では4・8%の減少。

 GNP比で日本は前年比0・01ポイント低下。米国は日本より低い0・16%。トップはノルウェーの0・87%で、デンマーク、オランダ、スウェーデンなど計五カ国が0・7%を超えた。二十二カ国平均は前年と同じ0・25%だった。

 OECDは実績値発表に際し、GNPと総額で同額の国民総所得(GNI)比で公表している。

日本アニメ、外交に一役 ODAで購入支援 外務省検討

2005年04月10日 asahi.com

 世界で評価の高い日本アニメを、外交に役立てようと外務省が検討を始めた。政府の途上国援助(ODA)を使い、各国のテレビ局が番組放映権を購入する資金を援助する。商業ベースでは世界を席巻している日本発のアニメだが、放映権を買えない国も少なくないためだ。

 日本のアニメは「ポケットモンスター」が約70カ国に進出するなど、海外で広く知られている。外務省は3月、各国での日本アニメの放映状況や影響を在外公館を通じて調査。その結果、「アニメをきっかけに日本語学習者が急増」「青少年に大きな影響力がある」といった報告が多数寄せられた、という。同省は「日本製アニメの普及で海外の若年層に『日本』を印象づけられる」と分析している。

 そこでODAのうち文化遺産の保存や教育に使う資機材の購入に充てる「文化無償協力」枠(05年度で約24億円)を使い、放映権購入を支援することにした。すでに、国際交流基金が約1億円の予算で同様の支援を行っているが、規模を大幅に拡大する方針だ。

 対象国は、中南米やアフリカを優先的に考えている。使用国が多い仏語やスペイン語圏をターゲットにすることで、吹き替えにかかる人件費を抑えるためだ。外務省の担当者は「民間では採算がとれずに見送っている地域や国に積極的に手を出したい」という。

 昨年12月に設置された小泉首相の私的諮問機関「文化外交の推進に関する懇談会」の座長を務める青木保・法政大大学院特任教授は「アニメを入り口にして、ほかの日本文化に興味が発展する可能性がある」と語る。

 課題は、制作会社が安く放映権を売ってくれるかどうか。制作会社の関係者によると、人気アニメの場合、相場は少なくとも1話あたり数百万円という。外務省は「知日派を増やし、日本の底力を上げるという観点から協力をお願いしたい」と理解を求めている。

 ■海外で放映された日本発のアニメの例

遊戯王デュエルモンスターズ     約70カ国

ポケットモンスター         約70カ国

デジモン(一連のシリーズ)     約60カ国

ドラゴンボール(同)        約45カ国

鉄腕アトム(同)         40カ国以上

ジャングル大帝(同)        約20カ国

       ※制作会社・テレビ局などによる

日本の防止対策、不十分と是正勧告 外国への贈賄でOECD

2005/04/05 The Sankei Shimbun

 経済協力開発機構(OECD)は4日までに、政府開発援助(ODA)などに関連した外国公務員への贈賄防止対策が不十分だとして、日本政府に是正を求める勧告を行った。

 OECDは昨年日本で行った現地調査に際し、警察庁が捜査手法に関する情報提供を拒むなど、日本政府が非協力的だったと批判。加盟30カ国のうちで初めて、来年1月に日本で異例の再調査を行うことを決めた。

 OECDは、1999年の「外国公務員贈賄防止条約」発効後、日本が1件も外国公務員への贈賄事件を立件していないことを重視している。

 勧告では(1)経済産業省や法務省、外務省などが外国公務員への贈賄に関連して緊密な情報交換を行う(2)贈賄疑惑のある支払いに関して捜査当局への報告を義務付ける(3)内部告発者の保護を強化する−などを求めた。(共同)

政府、ODA増額へ アフリカ諸国に重点配分

2005/04/03 The Sankei Shimbun

 政府は二日、国民総生産(GNP)比で0・2%にとどまっている政府開発援助(ODA)予算を平成十八年度から数年間かけて0・3%まで増額する方針を固めた。ODA予算は六年連続で削減されているが、ライス米国務長官が提唱した「戦略的な開発同盟」を受けてテロ対策の一環にODAを位置づけ、途上国支援でも日米の協調関係を強化する。「重債務貧困国」が集中するアフリカ諸国にODAを重点的に配分する考えだ。

 政府は、四月にインドネシアで開かれるアジア・アフリカ会議(バンドン会議)首脳会議や七月に英国で開かれる主要国首脳会議(グレンイーグルズ・サミット)などでこうした方針を表明する考えだ。

 十七年度のODA予算は七千八百六十二億円で、前年度比で3・8%の減少。十八年度以降のODA予算の増額について「財政事情が厳しく困難だ」(政府関係者)との見方が強かった。

 しかし国連のアナン事務総長が三月に出した安全保障理事会の改革案が、新たに常任理事国となる国の尺度としてODA予算のGNP比を0・7%としたことから、GNP比が0・2%の日本政府内に危機感が広がった。増額すれば十七年度を基準に見積もると一兆一千億円を超える。

 七月のサミットでは、債務削減、貧困、紛争処理、感染症対策などアフリカ支援問題がメーンテーマとなる。欧米諸国は米中枢同時テロ以降、テロの温床となっている貧困解消に力を入れるためアフリカ支援を戦略的に拡充しており、米国は十五年に四十六億四千三百万ドルをアフリカ向け支援に割り当てている。

 政府は、対中ODAについて平成二十年夏までに新規プロジェクトに対する円借款供与の打ち切りを決めていることから、中国に代わるODAの振り向け先としてアフリカ諸国に重点的な配分を行っていく考えだ。

インド向け04年度円借款1345億円 2年連続首位

2005/03/29 The Sankei Shimbun

 政府は29日、インドに対する2004年度の円借款について、前年度比約7・6%増の総額1344億6600万円を限度に供与すると発表した。

 国別供与額は2年連続トップ。04年度の上位はインド、インドネシア、トルコ、中国、ベトナムの順になる。インド向け円借款は、インフラ整備、環境対策、貧困解消が3大基本方針で、04年度分でもインドの発展を確実なものにするための支援を行う。

 具体的にはデリーの地下鉄建設、東部のジャルカンド州の火力発電所建設を始めとする社会基盤整備を引き続き推進。環境対策としては、南部のカルナタカ州やタミールナド州で、地域住民を直接雇用する植林事業を通じて森林の拡大を図り、地域の貧困層の所得向上にも役立てる。

 北部のウッタル・プラデシュ州では、仏跡観光の促進に向けた道路整備なども行う。(共同)

04年度は859億円 日中、円借款で書簡交換

2005/03/29 The Sankei Shimbun

 日中両政府は29日、2004年度(実施は05年度)の中国向け円借款の供与額を前年度比約11%減の約859億円とすることで合意、書簡を交換した。

 国別供与額としてはインド、インドネシア、トルコに次ぎ4番目。日本政府は、対中円借款の新規供与を08年の北京五輪前までに終了する方針を打ち出している。

 北京市内の迎賓館で行われた書簡交換の署名式には、日本側から阿南惟茂駐中国大使、中国側からは武大偉外務次官が出席。両氏は、両国関係に悪影響を与えないよう、円満な形で対中円借款終了を図る必要があるとの認識で一致した。(共同)

対中円借款 外相「五輪前に終了」 中国外相と協議で合意

2005/03/17 The Sankei Shimbun

 町村信孝外相は十七日午前、自民党本部で開かれた同党外交関係合同部会で、中国向け政府開発援助(ODA)の九割を占める円借款について、「平成二十年の北京五輪前までに新規案件を終了したい」と述べ、同年夏までに円借款の新規プロジェクトを打ち切る方針を正式に表明した。また、この打ち切り方針に基づいて、中国の李肇星外相と協議することで基本合意したことを明らかにした。同部会も、これを了承した。

 町村外相は今月十五日に李外相と電話会談、今後対中ODA問題を協議することで一致した。

 対中ODAは、中国の改革・開放路線支援名目で昭和五十四年十二月に訪中した当時の大平正芳首相が表明してスタート。平成十五年度までの累計で約三兆三千三百三十四億円に上る。十二年度には約二千二百七十三億円と単年度ではピークに達したが、その後は毎年減少し、十五年度は約千八十億円にとどまっている。

 政府は今後、円借款については新規事業を段階的に減らし、北京五輪前までに打ち切る方針。複数年にまたがる継続案件は、事業終了まで融資は続けるが、事業完了後は完全に融資を打ち切る。

 政府は返済が不要な無償資金協力についても数年後をめどに打ち切る方針で、今後は環境保護や人材育成などの分野に対する技術協力に限定し、継続していく考えだ。

 対中ODAをめぐっては、中国の軍備増強や経済成長などを受け、与野党から廃止を求める声が強まる中、小泉純一郎首相や町村外相が昨秋から廃止する考えを再三にわたって示唆。参院ODA調査団が現地調査を基に昨年まとめた報告書では「対中ODAを引き続き推進する理由は見当たらない」と指摘していた。

 ≪援助の使い道追跡を≫

 【視点】政府は十七日、新規の対中円借款を平成二十年の北京五輪をめどに打ち切ることを正式に表明、日本からの援助を受けながら、対日批判を続ける中国の姿勢に対する国民の疑問にようやくひとつの答えを出した。しかし、なおも、環境分野などで無償資金協力は続ける方針だけに、今後はこうした援助の効用をきちんとフォローしていく必要がありそうだ。

 対中援助をめぐっては、建設費の四分の一を日本が負担した北京国際空港が株式会社化されたのをはじめ、その後も上海国際空港、上海宝山製鉄所などの民営化が進められている。今後、日本の援助でつくられた施設の民営化や株式公開などという事例があれば、援助比率に応じた上場益を求めることもありえるだろう。

 中国は、過去十年以上、毎年二けたの経済成長を続け、すでに二〇〇四年の国内総生産(GDP)総額は約百七十兆円に上る。軍事費の増強には歯止めがかからず、わが国の排他的経済水域での調査活動も活発化している。そのうえ、二〇〇三年十月には米国、ロシアに次ぎ三番目の有人宇宙船の打ち上げに成功。さらに他の発展途上国への援助も行うなど、「発展途上国の社会資本整備のための低利・長期融資」であるはずの円借款の供与対象国とはいえない実態になっていた。

 今後、政府は七月をめどに残っている円借款事業三十案件の中から、「中国側から感謝の意が示され、将来の友好関係に資する」(外務省筋)案件を取りまとめ、中国側に提示、合意を目指す方針だ。しかし、政府部内にはなお、「年限を決めての停止ではなく、段階的減少がいい」といった意見もあり、すっきり、打ち切りというわけにはいきそうにない。(宮野弘之)

政府、対中円借款1割弱削減で最終調整

2005/03/15 読売新聞 Yomiuri On-Line

 政府は15日、2004年度の政府開発援助(ODA)で行う中国向け円借款について、前年度より1割弱削減し、880億円前後とする方向で最終調整に入った。

 対中円借款はピークだった00年度の4割程度の水準となる。北京五輪が開かれる08年をめどに対中円借款の新規供与を打ち切る政府方針とともに、17日の自民党の合同部会での了承を得て、月内に正式決定する。

中国が円借款トップ3転落、4年連続の減…04年度

2005/03/12 読売新聞 Yomiuri On-Line

 2004年度の政府開発援助(ODA)で行う円借款の国・地域別の供与先が12日、明らかになった。

 1999年度から2002年度まで首位だった中国は4年連続で減少し、ベスト3から転落する。

 北京五輪が開かれる2008年度にも対中円借款の新規供与をやめるのに備え、中国向けの案件を環境対策や技術者などの人材育成に絞り込んだためだ。供与先の首位は2年連続でインドとなり、円借款の「中国離れ、インド重視」が鮮明になった。

 2004年度の中国向けは800億円前後で、前年度の3位から、5位に転落する可能性が高い。インド向けは、ODA全体の予算が減るなかで、前年度と同水準の1250億円前後となる。2位はインドネシア(1148億円)、3位はトルコ(987億円)となる。

「年限切らず段階的終了を」 対中円借款で戦略会議

2005/03/07 The Sankei Shimbun

 外務省は7日、政府開発援助(ODA)の在り方について、学者や専門家が話し合う「ODA総合戦略会議」を開き、今後の中国向け援助について意見交換を行った。焦点の円借款終了については日中関係全体への配慮から「年限を切るのではなく、幅を持たせて段階的に終わらせることが望ましい」との意見が多く出た。

 日中両国は、中国向けODAの大半を占める円借款について終了に向け、既に協議を開始している。町村信孝外相はあいさつで「(中国側とは)いかに円借款を軟着陸させるかということで、かなり議論も煮詰まってきている」と述べた。

 会議では、現在の対中円借款のうち大気汚染対策など環境分野については「日本のODAのシンボルとして残しておくべきだ」との意見も出た。このほか、日中で協力して第3国への援助を行うなど、ODAの新たな活用方法の模索を求める声も出た。

 同会議では、今後の対中政策策定の参考となるように、今後とも対中ODAの在り方について専門家による議論を続けていくとしている。(共同)

対中ODA、数年内に「無償資金」打ち切りへ

2004/12/12 読売新聞 Yomiuri On-Line
 政府は、中国に対する政府開発援助(ODA)について、返済が不要な無償資金協力を数年以内に打ち切る方針を固めた。政府筋が11日、明らかにした。

 2006年以降は、新規の案件は認めず、継続中の複数年の事業が完了した時点で中止する案が浮上している。

 低利融資の円借款についても、当面は削減を続け、無償資金協力の終了後、一定期間を置いて打ち切り、対中国ODAを完全に中止することを視野に入れている。

 政府は今後、中国側と協議しながら削減額などを決める。ODAの段階的な削減は、中国側の反発を和らげる狙いがある。

 2003年度の中国に対する無償資金協力は約52億円で、世界で9番目。アジアに限ると、パキスタン、ベトナム、カンボジア、フィリピンに次ぐ額となっている。円借款は約967億円で、インド、インドネシアに次いで3番目に多い。

 中国は近年、めざましい経済成長とともに、軍備増強を進めており、日本国内では、「対中ODAは早期にやめるべきだ」との意見が強まっている。政府は、こうした世論を踏まえ、対中ODAを段階的に削減することにした。

 政府は、開発途上国に援助を行う目安として、世界銀行の融資指針を参考に、無償資金協力は対象国の1人当たり国内総生産(GDP)が約1400ドル以下、円借款などは同約3000ドル以下としている。

 昨年の統計によると、中国は約1090ドルで、数年以内に1400ドルを超えると見られている。2008年に北京五輪を開催する予定で、外務省幹部は「五輪開催は先進国の仲間入りの証しと言える。五輪の前後に、無償協力をやめるのが自然な姿だ」としている。

 円借款の今後の進め方としては、発展の遅れた中国内陸部を対象に、環境保全や災害防止、貧困対策などに分野を限定することにより、将来の打ち切りに向けて総額を抑制していく考えだ。

対立際立つ日中関係 中国国際問題研究所・晋林波氏に聞く

2004/12/11 The Sankei Shimbun
ODA卒業論は“脅し” 靖国参拝、反発は頂点

 日中間では首相の靖国神社参拝問題をはじめ、対中政府開発援助(ODA)をめぐる対立が際立ってきた。日本側で高まる中国への反発を中国の対日専門家はどう分析しているのか。中国外務省のシンクタンク、中国国際問題研究所アジア太平洋研究室の晋林波主任に聞いた。(北京 野口東秀)

 −−日本のODA「卒業論」に中国側はなぜ反発するのか

 「日本におけるODA削減論は数年前からあったが、中日関係の悪化を背景にして“卒業論”が出たことで問題がクローズアップされている。ODAの将来的な削減の方向性は中国も認識している。しかし中日関係の悪化のなかで浮上した卒業論は、まるで中国に罰を与えるような印象だ。日本の資金協力がなければ中国の経済発展が打撃を受けざるを得ないだろうといういわば“脅し”のようなニュアンスがあるとして中国側は反発している。中国が靖国を持ち出したので、対抗して日本が“ODAカード”を切ったのではないかと中国の目には映り、感情的な対立になっている。ここが問題の本質だ」

 −−ODAを一種の戦争賠償ととらえるのか

 「当時の政治家の判断もあろうが、中日関係の正常化など全体の雰囲気のなかで双方に賠償という意識はあったと考える。しかしそれを公にすれば、一九七二年の(日中)共同声明で放棄した賠償請求との絡みで法的問題が生じ処理しにくくなる。実際には賠償との関係はあっただろう」

 −−中国の経済発展や軍備増強でODAの必要性に疑問が強い

 「中国側の感情はこうだ。過去、列強から侵略されたのは中国が弱い国だったからで、それを繰り返させないためにも経済発展と軍備増強は当然のことだ。中国は近隣諸国への侵略の歴史はなく、軍事的にも日本のレベルになく自国の安全のためだ。侵略した側の日本からあれこれ言われるのは不愉快だというのが率直な感情だ」

 −−ではODAは今後も必要か

 「日本側は一方的な論理に従って主張するのでなく中日関係の特殊性への配慮が必要だ。第三国に中国が援助する側になっていると日本側は指摘するが、一九四九年の中国建国以来、中国は貧困の中でさまざまな形で第三国援助をしてきた。中国の内陸部は貧しく、日本とは“天と地”ほどの差がある。全体の経済力が上がっても一人当たりの収入は少なく発展途上国なのだ。今後もODAは必要だ」

 −−靖国問題で中国はなぜA級戦犯分祀(ぶんし)にこだわる

 「靖国神社内で分祀すればよいとの意見が日本であるが、完全に外部に移すべきだ。小泉政権で靖国問題が大きく浮上したのは、過去の政権に比べ公的参拝が強調されたほか強硬な参拝の方法でもあり、中国側の反発は頂点に達している。内閣総理大臣の肩書をはずし私的参拝という形をとっても中日関係の改善に貢献するとは思えない。小泉首相の政治的性格からして来年も参拝するとみている」

 −−問題の底流には日本独特の死生観がある

 「死亡すればだれもが神仏になれるというが、理屈が成り立たない。靖国神社は戦争で亡くなった人の場所であり、日本では(戦争以外のケースで)国のために死亡しても一般の墓地で埋葬されるではないか。つまり生前の行為と関係しているわけで“区別”している。死亡すれば平等になり恨みをもつべきではないというのは理解できない。A級戦犯は過去の戦争を発動した人間だ。東京裁判への批判もあるが、世界の大多数が裁判の正当性を認めておりそれを覆さない限りその結果に従うべきだ」

 −−一連の日中首脳級会談で、なぜ中国側は「靖国」だけを突出させたのか

 「最高首脳が言及すれば確かにその言葉は後戻りができない。双方が首脳往来再開への意欲がなければ、これまで通り漠然とした形で(教科書・慰安婦・遺棄化学兵器などを含めた)歴史問題の解決が重要、としていればよかったかもしれない。問題の核心をズバリ指摘した方が双方の関係の改善が処理しやすいという考えだからだろう」

                  ◇

 <晋林波(しん・りんは)博士> 1963年5月、中国陜西省生まれ。西北大歴史学部卒業後、外交学院修士課程。94年に名古屋大学法学研究科で博士号。慶応大、ハーバード大、京都大での客員研究員を経て97年に中国国際問題研究所研究員。02年から現職。日中関係の専門家。

ODAなど公表と実態に食い違い次々と…日中首相会談

2004/12/04 読売新聞 Yomiuri On-Line
 ラオスで11月30日に行われた小泉首相と中国の温家宝首相の会談について、両政府が当初、公表した内容と実際の会談内容が食い違っていることが次々に明らかになっている。

 双方とも国内世論に配慮したためと見られている。

 特に、食い違いが目立ったのは日本から中国に対する政府開発援助(ODA)をめぐるやりとりだ。日本政府が当初、記者団に説明したところによると、温首相は、「(ODAは)中国の経済建設に大きく貢献してきた。今後、適切な形で処理していくのがいい」とだけ述べ、対中ODAの役割を評価したことになっていた。

 ところが、実際は、小泉首相らが対中ODAの将来の打ち切りに言及していることについて「理解しがたい。ODAを中止すれば両国関係は、はじける」など、強い不快感を示していた。

 また、焦点の小泉首相の靖国神社参拝について、温首相は「中国のことわざには、『鈴をとくのは鈴を結んだ人しかできない』とある。適切に対応して欲しい」と発言していたが、当初の説明では、ことわざのくだりは削除されていた。

 自民党などには「外務省は、小泉首相を批判する発言を公表することにより、日本国内の対中感情が悪化し日中関係が難しくなるのを避けたかったのではないか」との見方がある。

 一方、中国政府は会談後、「小泉首相は温首相に対し、来年3月からの愛知万博の期間中の訪日を招請した」と紹介したが、実際は小泉首相は時期を明示していなかった。この点について、日本側には、「日本側が温首相の早期来日をお願いしてきた、という印象を中国国内向けに植え付けたかったのではないか」との指摘が出ている。

対中ODAの重要性は低下 温首相が日中首脳会談で

2004/12/03 The Sankei Shimbun
 外務省の薮中三十二アジア大洋州局長は3日の自民党の外交関係合同部会で、中国の温家宝首相が先月30日にラオスで行われた小泉純一郎首相との会談で日本の政府開発援助(ODA)について「新規の借款より、返済の方が大きくなっている。ODAは経済発展に役立ったが、重要性は総合的に低下している」と発言したと説明した。

 これに関連し、外務省の高島肇久外務報道官は同日午後の記者会見で「中国の経済発展は著しいという議論の中で、卒業に向けての考え方は示されたが、『もう要らない』とか『直ちにやめる』という話にはなっていない」と述べた。

 今後の中国向けODAの在り方について、高島氏は「今の中国の経済的発展ぶりから考えると、卒業に近づいていることは間違いない」と述べ、近い将来、中国がODA対象国から外れる可能性が高いとの認識を示した。(共同)

中国の対外援助、6年で4250億円 ODA見直しへ調査

2004/12/02 The Sankei Shimbun
 中国が1998−2003年の6年間に、アフリカ諸国や中米などに支出した対外援助額が計271億元(4250億円相当)に上ることが1日、分かった。日本は中国に24年間で計3兆3000億円の政府開発援助(ODA)を実施しており、巨額の被援助国が一方で活発なODA外交を展開している実態が浮かび上がった。外務省は対中ODAの抜本的見直しに向け、不透明な“中国版ODA”の本格調査に乗り出す方針だ。

 外務省などによると、中国政府公表の「中国統計年鑑」から、対外援助支出とみられる項目を合算した結果、対外援助が本格化した98年に約37億元(580億円相当)だった援助額は年々増加し、昨年は約1.4倍の52億元(815億円相当)に達した。

 だが、外務省は援助額の大半は小口の無償援助分で、「中国企業が受注する“ひも付き”の大型プロジェクトは含まれていない」(幹部)と分析、援助実態はさらに巨額に上るとみている。

 中国は、ODAの支出基準や目的などについて指針をまとめている経済協力開発機構(OECD)に加盟しておらず、対外援助の目的や有償、無償の援助細目などの内訳を公表していない。

 中国に毎年1000億円規模の資金供与を行っている日本政府は、不透明な中国の対外援助の実態について「中国が武器供与、政治的な思惑などで対外援助を行っている可能性を否定できない」(外務省幹部)と重視、中国側に対外援助額の細目を公表するよう働きかけを強めていく方針だ。

 中国は97年に台湾との外交関係を断絶して中国と国交樹立した中米セントルシアに2年前、総工費5000万ドルの国立スタジアムを完成。同年に国交樹立したナウルには1億3000万ドルを資金供与したとされ、親台国切り崩しの外交手段に対外援助を利用していた。

 日本は79年(昭和54年)から中国へのODAを実施。昨年度は約966億円の円借款と約51億円の無償資金協力を行った。

ODA廃止は中国と相談 細田官房長官

2004/11/29 The Sankei Shimbun
 細田博之官房長官は29日午前の記者会見で、ラオス訪問中の小泉純一郎首相が中国への政府開発援助(ODA)打ち切りを示唆したことについて「ODAは相手国からの要請に基づいて実施しており、(打ち切りの判断には)さまざまな要素がある。両国で相談しながら考えるべきことで、しゃくし定規に考える必要はない」と述べ、日中両政府の合意に基づいて廃止することが必要との認識を示した。(共同)

「ODA重視」日・ベトナム両首相が関係強化で一致

2004/10/10 読売新聞 Yomiuri On-Line
 【ハノイ=菊池隆】小泉首相は10日午前(日本時間同)、ハノイの首相府でベトナムのファン・バン・カイ首相と会談し、「日越関係を強化するため、ベトナム向けの政府開発援助(ODA)を重視したい。環境(対策)が重要だ」と表明した。

 これに対し、カイ首相は「日本のODAは各地で成果を挙げている」として環境保護やインフラ整備、医療の充実などへの期待を示し、「日越関係の強化に同意する。長期的なパートナーでありたい」と述べた。

 ベトナムは日本のODA供与先として第4位。中国などへのODA見直し論が高まる中で、小泉首相はベトナムの国内改革支援や、東南アジア諸国連合(ASEAN)での将来的な影響力の高まりを考慮し、日本企業の投資環境を整備する意味でも、ベトナム向けODAを重視する考えだ。

「復興のモデルケース」ODAでスタジアム補修

2004/10/04 The Sankei Shimbun
 防衛庁陸上幕僚監部は4日、陸上自衛隊が人道復興支援活動をしているイラク南部サマワの「オリンピックスタジアム」の観客席やゲートの補修を日本の政府開発援助(ODA)で行うため、小川正二外務省サマワ駐在事務所長とイラク側代表が同日、署名式を行ったと発表した。

 工期は約4カ月、施工費は約4000万円で、大きな雇用が期待されている。

 陸自は既に同スタジアムの芝生の補修工事を実施。陸幕は「日本のODAと自衛隊が一体となった復興のモデルケース」と話している。

ODA白書 成果ばかり強調 批判への“回答”なし 16年度版

2004/10/01 The Sankei Shimbun
 町村信孝外相は一日の閣議に、平成十六年度版の政府開発援助(ODA)白書を報告した。今年は、日本がODAを開始して五十周年の節目で、白書はこれまでの成果を特集している。外務省はODAに関する国内外の批判や財政難を受けて、見直しを続けているが、そうした経緯にはあまり触れず、成果が強調されたものになった。

 白書によると、日本は五十年間で百八十五カ国・地域に、総額で約二千二百十億ドルのODAを供与しており、「途上国の開発や福祉の向上に大きく貢献しており、被援助国から高く評価され、友好関係の強化に役立っている」とした。

 白書は昨年改定されたODA大綱が示す「国益重視」方針に基づく援助の必要性を指摘。援助の有効性や効率性を高めることや関係省庁の連携をさらに深めるべきだとしたうえで、(1)支援国別の実施戦略の構築(2)支援対象の国や分野の選別(3)非政府組織(NGO)との連携に努めることが重要だ−などと指摘した。

 ただ、ODAをめぐってはNGOなどから「被援助国の環境破壊につながっている」「軍事転用されている可能性がある」といった問題点が指摘されてきた。ODAが実際に被援助国の役に立っているのかという透明性が十分に確保されていないことが原因だが、今回の白書では詳細な言及がほとんどなかった。

 特に見直しにつながった中国向けODA供与では「中国政府首脳がさまざまな機会において謝意を表明していることなど、このような例には枚挙にいとまがありません」「中国の軍事支出の動向などを背景にした国内の厳しい意見をふまえ、対中ODA政策を大幅に見直しつつある」と繰り返すにとどまった。

 こうした白書に外務省は「五十周年ということで成果に焦点をあてたため。改めて振り返れば、ODAは成功だった。その成功をアピールするほうがいいと判断した」と説明している。

ODA予算、一般会計での概算要求は9198億円

2004/09/27 読売新聞 Yomiuri On-Line
 外務省は27日、政府全体の2005年度の政府開発援助(ODA)予算の概算要求額を発表した。

 一般会計予算の要求額は、今年度当初予算比12・6%増の9198億円となった。

 ODAに関係する13省庁のうち、外務省が15・3%増の5766億円、財務省が7・0%増の2352億円、文部科学省が3・5%増の458億円、経済産業省が29・1%増の433億円となっている。一方、内閣府、警察庁、厚生労働省の3省庁はマイナス、農林水産省は現状維持となっている。

コスタリカODA、日本企業が使途不明20万ドル

2004/09/25 読売新聞 Yomiuri On-Line
 中米コスタリカへの政府開発援助(ODA)事業で、同国政府機関への下請け委託料として日本の大手コンサルタント会社に支払われた23万ドル(約2500万円)のうち、20万ドル前後が政府機関の口座に入金されないまま使途不明になっていることが24日、国際協力機構(JICA)の調べで明らかになった。

 JICAは今月15日、政府機関への委託料の支払い経緯に問題があったとして、同社を2か月間の指名停止処分とした。コスタリカの司法当局も、同社からの資金の流れについて、捜査に乗り出した模様だ。

 このコンサルタント会社は、海外コンサルタント業務では国内最大手の「パシフィックコンサルタンツインターナショナル(PCI)」(東京都多摩市)。

 問題のODA事業は、コスタリカ北西部の農業開発計画を作成するもので、PCIが2000年10月、別の1社と共同企業体を組み、競争入札で受注。事業費4億2300万円は全額、日本のODAで賄われた。

 JICAによると、PCIは同事業のうち、測量や地形図の作成などの業務をコスタリカの政府機関である「国土地理院」に下請け発注した。JICAに提出された契約書では、委託料は「23万ドル」とされていたが、昨年春、国土地理院の上部機関にあたる「公共事業運輸省」が監査したところ、国土地理院の口座には、数万ドルしか入っていないことが判明した。

 同年五月、コスタリカ政府の指摘を受けてJICAが行った調査に対し、PCIは、「すべて現金や小切手などで、国土地理院の担当者に直接支払った」などと説明したが、それを裏付ける会計資料については、「廃棄してしまった」として、提出要請に応じなかったという。一方、JICAの調べでは、PCIと国土地理院は当初、委託料を「約15万ドル」とする合意書を作っていたことも判明。PCIが8万ドル分を水増し発注していた疑いもある。

 ODAに詳しいコンサルタント会社幹部は「ODAで、相手国の担当者に現金を渡すことは考えられない」と指摘。JICAも「公的資金を扱っているのだから、口座振り込みが常識」としている。

 JICAは、「粗雑業務」を理由にPCIを指名停止にしたが、コスタリカ政府からは「(日本の司法当局に当たる)公共事業省検察局が調べている」と知らされており、その結果次第で、追加処分も検討している。

 読売新聞社の取材に対し、PCIの渡辺行雄総務部長は、「処分は真摯(しんし)に受け止めているが、詳細は答えられない」と話している。

メキシコと連携、中米7か国を支援…政府方針

2004/09/12 読売新聞 Yomiuri On-Line
 政府は11日、エルサルバドル、コスタリカなど中米7か国の人材育成やインフラ整備についてメキシコと連携して支援に取り組む方針を固めた。

 小泉首相が現地時間の17日にメキシコでフォックス大統領と会談する際に合意する見通しだ。

 中米各国について日本は従来、2国間の政府開発援助(ODA)を中心に支援してきたが、中米とつながりの深いメキシコと連携して実施した方がより効率的な支援ができると判断した。

 人材育成策では、〈1〉メキシコの環境分野の研修・研究施設への中米諸国の研修生受け入れ〈2〉メキシコの農業、水産業、防災の専門家の中米への派遣――などの技術協力に日本が費用を負担する予定だ。

ODAの実態・効果を検証…参院、調査団派遣へ

2004/08/01 読売新聞 Yomiuri On-Line
 参院は8月中旬、政府開発援助(ODA)の供与国6か国に超党派の調査団を派遣する。

 ODAの実態や効果を検証し、参院改革の柱としている決算審査の充実につなげたい考えだ。

 調査団は自民、民主、公明、共産、社民各党の議員計19人で構成する。3班に分かれ、約10日間の日程で、〈1〉中国・フィリピン〈2〉タイ・インドネシア〈3〉メキシコ・ブラジル――の各2か国を訪問する。

 現地では、日本のODAによる地下鉄建設計画(中国)、首都圏植林事業(メキシコ)など数か所を視察し、相手国の政府関係者から事業の効果や問題点などについて説明を聞く予定。派遣費用は約2000万円。

 総務省が4月に実施した政策評価によると、外務省など13省庁が供与したODA303件のうち85件は「効果の持続性に課題がある」と指摘した。調査団はこうした結果を踏まえて、「無駄なODAがないかを検証したい」(参院与党幹部)としている。

 参院は昨年から、参院改革の目玉として、政府の歳出を審査する決算委員会の審議に力を入れ始めた。予算審議を重視する衆院との違いを明確にし、一部に根強い「参院不要論」を払しょくする狙いがある。

 ただ、資料収集や視察候補地の選定は事実上、参院事務局と外務省が主導する中、「調査結果も官僚のお手盛りにならないか」(関係者)との声も出ている。

ODAで高級車? 中国・青海省“貧困”県の幹部

2004/06/10 The Sankei Shimbun
中国紙報道20台購入…学校は「ぼろ家」

 【北京=伊藤正】政府開発援助(ODA)の無償援助の一つ「草の根支援」で、小学校の校舎を建設することが決まった中国青海省の貧困県で、幹部用などに高級乗用車二十数台を購入したことが分かり、北京の日本大使館や関係者を当惑させている。同省当局は草の根資金の流用を否定しているものの、今後、同省への支援継続が難しくなりそうだ。

 問題の県は、黄河南岸沿いにある青海省黄南チベット族自治州尖札県。約5万人の住民の大半はチベット人で、その7割を年収1万円以下の貧困農民が占める国定貧困県だ。同県の「車疑惑」を暴いたのは、中国青年報(5月28日付)。

 それによると、同県では昨年から今年4月までに、計27台を購入、公安局や事業単位のほか、県幹部に送ったという。県当局は、27台のうち15台は省政府などが資金を賄い、県の財政支出は12台に対する65万元(1元=約13円)余りの補助金にすぎないと釈明。

 同紙によると、地元住民は「県の指導者が先を競って豪華車を買った」ことに怒っているという。県財政局長は「車の価格は1台は32万元だが、他は16万元から27万元の間」と述べている。中国で最も普及している「サンタナ2000」は16万元以下。

 同紙の記事にはないが、同県は本年度初めて草の根支援の対象になった。同県アムドの民族師範大学で日本語を教えていた日本人元高校教師、阿部治平氏が、満足な校舎が1つもなく、ぼろ家を使っている惨状をみて、日本大使館に数件の校舎建設を申請、うち1件について約1000万円の無償援助支出が決まった。視察した大使館員は「いつ崩れるかというひどい校舎に息をのんだ」と話している。

 報道で問題を知った阿部氏は仰天、「援助を受けるには、不正はだめだよと県幹部にしつこく言っておいたのに」と嘆いた。一方、日本大使館は青海省外事弁公室に問い合わせたが、「報道は事実ではない。援助資金流用もしていない」と否定。阿部氏によると、自治州政府が現地調査に入ったという。

 阿部氏は同県内の小学校校舎建設への援助申請を継続する考えだったが、「高級乗用車を購入できる県に、草の根支援を受ける資格があるのかと悩んでいる」という。

円借款、中国抜いてインドが首位に2004/03/07読売新聞 Yomiuri On-Line
 
 政府は6日、2003年度の円借款事業の具体的な供与先を固めた。最大の供与先だった中国向けは約200億円減の1000億円程度に抑える一方、インド向けは前年度(1112億円)並みかそれ以上を確保する方向で最終調整している。

 借款規模はインドが中国を抜いて初めて最大となる見通しで、1950年代に始まった円借款も新たな局面に入った。

 円借款の年度ごとの供与額は、供与先の途上国の希望をもとに、各事業の費用対効果や、環境への影響などを精査して積み上げ、年度末までに決定する仕組みとなっている。中国向けの供与内容は、今週にも自民党の外交関係合同会議に示すほか、インド向けを含む各国別の供与額も3月末までに正式決定する。

 中国向け円借款は、1999年度以降は4年連続で供与先の首位を占めてきた。しかし、中国の急速な経済成長や、日本の政府開発援助(ODA)予算の削減などを背景に見直しを進めており、今回で3年連続の削減となる。ピークだった2000年度(2143億円)と比べると、2003年度はほぼ半分の水準となる。

 一方、インド向けは、核実験の実施を受けて99年度は供与を完全に停止したが、2000年度以降は増加が続いている。インドでは情報技術産業などが発展する一方、深刻な貧困問題の解決が急務となっており社会基盤整備の必要性も高いことから引き続き高水準の援助を行うことにした。

 円借款は、98年度はインドネシアが2304億円の供与を受けて最大だったが、99―2002年度は中国が首位だった。

土光杯に福さん 対中ODA停止を主張

2004年01月11日 The Sankei Shimbun
 「第20回土光杯全日本学生弁論大会」(フジサンケイグループ行革キャンペーン実行委員会主催、東京財団協賛、日本航空後援)が10日、東京・大手町の東京サンケイビル「サンケイプラザホール」で開かれた。最優秀賞の土光杯には、日本の安全と繁栄の観点から中国に対するODAの停止を主張した防衛大学校国際関係学科4年の福和歌子さん(24)が選ばれた。

 土光杯は元臨時行政調査会会長の故土光敏夫氏の「行革の実行には若い力が必要」との呼びかけで、昭和60年に創設。今大会には論文審査を通過した18人の学生が出場した。日下公人・東京財団会長や木村治美・共立女子大名誉教授ら7人による審査の結果、入賞者が次のように決まった。(敬称略)

ODA、5年連続減額へ イラク支援で他国向け圧縮

2003/11/03 中国新聞ニュース
 財務省は三日、二〇〇四年度予算編成で政府開発援助(ODA)予算を五年連続で減額する方針を固めた。イラク復興支援の資金拠出で本来膨張要因になるところを他国向けのODAを圧縮することにより、全体でも小幅ながら減額することにした。中でも中国への円借款は二割程度の大幅な削減となる見通しだ。

 厳しい財政事情を背景にODA見直し論が高まっているためだが、要求側の外務省などは日本の国際的影響力が低下するとして反発しそうだ。

 〇三年度の一般会計でODAは、外務省を中心に計十三省庁で前年度比5・8%減の八千五百七十七億円だった。ODA予算の減少傾向が始まる前の一九九七年度予算と比べると、三割近く減少している。

 政府はイラク復興支援として、〇四年に十五億ドル(千六百五十億円)を拠出する方針を表明。〇三年度と〇四年度のODA予算を中心に捻出(ねんしゅつ)する考えで、〇四年度予算からは数百億円を支出する必要がある。

 財務省は「イラク復興の資金もODA予算の枠内から拠出するのが原則」と主張。ODA対象事業の一部を〇五年度以降に先送りするなど、他国向けの予算を削減する。海外からの留学生や青年海外協力隊について、総数は減らさないが、渡航費用などを抑制することで予算削減を目指す。

 来春に事業内容が決まる対中国ODAは、柱となる円借款について、約二百億円減らして千億円程度を軸に調整する方向で検討する。対中ODAのマイナスは三年連続。

 アフリカ向けは、九月の「第三回アフリカ開発会議」で、今後五年間で総額十億ドルの無償資金協力を実施する方針を表明したことから、横ばいか微増の見込み。

対中ODAは慎重に検討 谷垣財務相

2003年10月21日 The Sankei Shimbun
 谷垣禎一財務相は21日の閣議後会見で、中国の有人宇宙船の打ち上げ成功をきっかけに、政府開発援助(ODA)の見直し論が高まっていることについて「厳しい見方が日本側にあるのも事実だ」と述べ、2004年度予算の対中ODA関係予算を慎重に検討する方針を示した。

 対中ODAは2000年度をピークに年々減少している。財務相は「(8月に閣議決定した)新しいODA大綱に基づいて精査していく」と強調した。

高水準のODAに謝意 ベトナム国家副主席

2003年06月04日 The Sankei Shimbun
 ベトナムのホア国家副主席は4日午後、川口順子外相と都内で会談し、日本の政府開発援助(ODA)について「経済が難しい中での高い水準のODAに深く感謝したい」と謝意を表明。「アジア地域の平和と繁栄、安定に果たしている日本の役割を高く評価したい」とも述べた。

 世界貿易機関(WTO)加盟に向けた支援も要請。4月に基本合意した両国の投資協定正式調印への協力と、川口外相のベトナム訪問も求めた。外相は「ODA予算には厳しいものがあるが、効率的に使ってほしい。ベトナムは機会を見つけて行きたい」と応じた。

途上国支援日本最下位 援助、投資など6分野の総合点

2003年04月29日 asahi.com
 日本は途上国支援にお金は出すが、不熱心――。ワシントンのシンクタンクが、援助の金額だけでは途上国への真の貢献度は測れないとして、先進21カ国を援助、貿易、直接投資、移民受け入れ、平和維持活動、環境政策の6分野でランク付けしたところ、日本は総合点で最下位になった。

 ランキングを作成したのは、ワシントンのシンクタンク「世界開発センター」と外交専門誌「フォーリン・ポリシー」。トップはオランダで、G7(主要7カ国)では唯一ドイツがベスト10入り。米国は20位と日本に次いで悪いランクだった。

 日本のODA(政府の途上国援助)は実額では世界第2位。だが、発注を自国企業に限定する「ひもつき」支援だと貢献度を割り引くといった修正を加え、GDP(国内総生産)比で算出したランキングでは20位。その他、農産物の関税が高い貿易面では19位、平和維持活動(PKO)での貢献度も19位など低位のランキングが続き、一番ましだとされた環境政策でも15位だった。

 「最下位」という評価に、日本の援助関係者の中には「日本のアジアへの技術移転などの貢献は評価されず、ランキングの作り方がおかしい。六つの分野の点を単純に平均して総合点としているのも疑問」と反発する声があがっている。

 一方で、途上国支援を単にODAの金額だけではなく、農産物の貿易自由化など総合的にとらえようとする試み自体は評価する向きもある。

 ランキングはフォーリン・ポリシー誌の5・6月号に掲載される。

 ■途上国支援の総合ランキング

1 オランダ,2 デンマーク,3 ポルトガル,4 ニュージーランド

5 スイス,6 ドイツ,6 スペイン,8 スウェーデン

9 オーストリア,10 ノルウェー,11 イギリス,12 ベルギー

13 ギリシャ,14 フランス,15 イタリア,15 アイルランド

17 フィンランド,18 カナダ,19 オーストラリア,20 米国

21 日本

対中国のODA、見直し示唆 塩川財務相

2002年11月02日(毎日新聞東京朝刊から) Mainichi INTERACTIVE
 塩川正十郎財務相は1日の経済財政諮問会議で、来年度のODA(政府開発援助)予算について「国内経済が低迷し、財政赤字が主要先進国で最悪となる中で依然、高水準」として、ODA予算を4年連続削減する方針を示した。外交、通商政策上の視点から疑念が指摘される中国向けを見直す必要性を指摘した。

 削減に歯止めをかけたい外務省は来年度、今年度比13.9%増の6139億円を要求、他省庁分も含めODA予算の要求総額は1兆112億円となっている。【三島健二】

恩恵なし 援助に「ノー」

2002.08.27 Kyoto Shimbun News
 日本のODA 反対運動、各地で噴出

 日本のODA(政府開発援助)で恩恵を約束されたはずのインドネシアの地元住民たちが、供与国日本に対し「援助はいらない」と声を上げ、九月五日に東京地裁に提訴する。ODAをめぐっては、対象国である発展途上国の住民の間で、補償の不履行や環境破壊などを原因とする反対運動が起こっている。援助の在り方など、ODAをめぐる論議が司法の場で始まる。

 今年五月に現地を訪れた「コトパンジャン・ダム被害住民を支援する会」事務局長の遠山勝博さん(50)によると、住民の生計を支えるゴム栽培園は道路周辺でしか見られず、飲料水用として作られたOECF(国際協力銀行の前身)の刻印のある井戸からは濁水しか出なかったという。「移転先で生計が立てられず、水没の危険を冒して元の村に戻る住民もいた」と話す。

 支援する会メンバーの細川弘明・京都精華大教授(47)は「住民たちはODAで今より良い生活が送れると信じていたが、結局失うものが多かった。今のODAはただ予算を消化するために実施され、計画のチェックが不十分。現地の実態を外務省は知らなかったのではないか」と指摘する。

 提訴の舞台となったインドネシアの「コトパンジャンダム」は、日本政府が一九八二年から十一億円かけて事前調査し、九〇年に対インドネシア援助国会議で融資を表明した。しかし、住民の立ち退き問題が未解決で、希少動物のスマトラゾウ生息地でもあることから、異例の再調査を実施した経緯がある。

 タイでは、火力発電所建設計画をめぐり環境悪化などを理由に地元住民たちが国際協力銀行に融資をしないよう要望書を提出。インドのダム計画では、十分な補償がなく住民生活を破壊するとの批判を受け、日本は九〇年に追加融資を凍結する事態となった。

 円借款によるODAを担当する外務省有償資金協力課は「提訴の動きは承知している。ODA供与に際して、環境への配慮や地元住民の生活保証は極めて重要と考えている。案件ごとに配慮し、プロジェクト後でも問題点があればすぐに対応している」という。

 国際協力銀行は「ダムは地域住民や産業に多大な貢献をしている」としたうえで、「住民の移転地の一部に課題が残っていることは承知している。日本からインドネシア政府への働きかけで、七月に州政府と住民代表が課題解決の具体的な行動計画について合意した。今後もインドネシア側の取り組みをチェックし必要な支援を続ける」としている。

 「大統領ファミリーに利権が集中していたと指摘されるスハルト政権を日本のODAが支えていた」と批判する学者もいる。住民たちが受け取るはずの補償金や、ゴム園植栽の費用はどこに消えたのか。ダム建設は本当に必要だったのか。法廷の中でODAをめぐる疑問が究明されようとしている。

外務省、ODAに抜き打ち検査など見直し策発表

2002/07/09 NIKKEI NET
 川口順子外相は9日、不透明な運用に批判が集まっている政府開発援助(ODA)の見直し策を発表した。外部監査の拡充や事後評価の徹底、非政府組織(NGO)との連携強化などを盛り込んだ。年度内にも順次実施する。

 外部監査の拡充では、現在ベトナムなど一部の国を対象に実施している円借款の監査を、他の大口供与国にも広げる。監査法人による「抜き打ち監査」も導入し、ODAに対する信頼回復を目指す。

対ビルマODA>50億円の使途不明金

2002年2月13日 メコン河開発メールサービス
 日本のODAのうち、返済しなくていいのが無償資金協力です。その15%程度を占めているのが、「債務救済無償資金協力」という聞きなれない援助。債務の多い貧困国に対して、かつて日本が貸した円借款を返済した場合、同額の無償援助を行なうというものです。日本は債務帳消しができないから、この協力で債務を救済しているというのが日本政府の答弁です。

 しかし、この「債務救済無償資金協力」は大きな問題を抱えています。モラルハザードを防ぐために、この援助は両国で合意した物品の購入に充てられ、何を購入したかなどを2年をめどに日本政府に報告しなければなりません。

 ところが7年たっても、この援助を受けた国の半分が使途報告書を提出していません。メコン・ウォッチでは、バングラデシュに次いで2番目に多い700億円もの「債務救済無償資金協力」を受けたビルマ(ミャンマー)について調査しました。

 95年〜98年までの4年間の債務救済援助の使途報告書を情報公開請求して入手分析をしたところ、わずか4年間で50億円もの使途不明金が見つかったのです。

 しかも、使途が明記されたものを見ても、2番目に多い26億円近くをミャンマー木材公社が伐採用重機などの購入に充てていることがわかりました。

 ワシントンDCの世界資源研究所(WRI)によりますと、この国では、伐採利益は、人権侵害で問題となっているビルマ軍の増強につながっています。つまり、日本の債務救済援助が結果的に軍の拡大につながっているのです。

 今回の調査結果につきましては、現在発売中の月刊現代3月号に「対ミャンマーODAで外務省の杜撰に驚愕われらの血税50億円が使途不明金に!」として掲載されています。是非ご一読下さい。

中国内陸部の井戸水ヒ素中毒、ODAで救援へ

2001.03.04(08:45)asahi.com
 井戸水を飲んで慢性ヒ素中毒にかかる例が中国の内陸部で数多く出ていることが分かった。日中両国の研究者が現地で調査した結果、安全な水に変えれば症状が回復することが裏付けられたため、政府は途上国援助(ODA)の「草の根無償資金」を投入、飲み水の改善事業を支援する。

 地域は、乾燥して水不足に悩む山西省汾陽市の村と内モンゴル自治区包頭市に属する村の計2カ所。それぞれ8万―9万ドルを供与し、ヒ素の含有量が低い水を周辺から引くことで、計4万人の農家の生活環境が改善するという。

 聖マリアンナ医科大の山内博・助教授(50)=予防医学=らが、中国医科大の孫貴範教授ら中国側の協力を得て1997年から約4年間、山西省と内モンゴルに入り調べた。無機ヒ素を含む岩盤を流れた地下水を生活用水として長年飲んでおり、1日平均約1ミリグラムを摂取。色素の沈着・脱色が起きたり、手のひらや足の裏が硬くなったりするヒ素角化症が認められた。皮膚がん患者もいた。

 ヒ素濃度が低い水を、試験として一部の患者に1年飲んでもらったところ、角化症や色素脱色・沈着が改善することが分かった。ヒ素は胎盤を自由に通過するので、妊婦がヒ素を摂取すると、胎児に移り、脳障害の危険性があるという。

 山内助教授によると、高濃度のヒ素にさらされている人は、中国全土(山西、内モンゴル、新疆ウイグル自治区、貴州省など)で推定200万人。インド、バングラデシュ地方は合わせて1000万人いるといわれる。

セブ島で邦人社員6人が襲われる 危機一髪でけがなし

2001.02.23(21:48)asahi.com
 フィリピン中部セブ島のセブ市郊外で22日午後8時(日本時間同9時)ごろ、東亜建設工業(本社・東京)の社員6人を乗せた車2台が数人の武装グループに銃撃された。うち1台はフロントガラスなどが大破したが、比人運転手がけがをしながらもそのまま車を走らせたため、邦人社員らにけがはなかった。

 地元警察などによると、同社は日本の途上国援助(ODA)で埋め立てや道路建設などを行っており、6人は現場から宿舎へ帰る途中だった。帰宅ルートを知っている者が強盗目的で待ち伏せし、襲った疑いがあるとみて調べている。

中国人の送還経費、ODAから差し引け 石原都知事

2001.02.23(21:45)asahi.com
 東京都の石原慎太郎知事は23日の記者会見で、不法入国して強制送還される中国人が増えていることについて「中国政府にも責任がある」としたうえで、中国への政府の途上国援助(ODA)から送還にかかった経費を差し引くべきだとの考えを示した。政府与党に提案するという。

 石原知事は「東京では外国人の犯罪が急増し、なかでも中国人による不法入国者の犯罪が組織的になりつつあり、マフィアのような形になりかねない。強制送還にかかる費用を、水爆をつくっている中国に渡しているODAから天引きするのはいい案なので、政府に近々建言する」と語った。

 警察庁によると、昨年1年間に全国で検挙された来日外国人のうち、中国人は全体の約半分を占める2814人。法務省によると、強制送還される中国人も急増しており、1999年には1万1000人を超えた。一方、中国へのODAは99年度までに2兆7000億円近くにのぼる。

日本のODA削減に一定の理解 中国の次官が来日前に

2001.02.04(20:23)asahi.com
 中国の竜永図・対外貿易経済協力次官は5日からの訪日を前に記者会見し、日本の途上国援助(ODA)額が来年度3%削減される見通しであることについて「日本の援助が国民の税金によっていることは分かっている。3%削減でも心配していない」と日本側の事情に理解を示した。そのうえで「援助の内容を向上させ、引き続き安定的な規模の額をいただきたい」と述べた。竜次官は日本政府の関係者とODA政策や中国の世界貿易機関(WTO)加盟問題などについて意見交換をする。

ODA「消極派」27% 内閣府世論調査

2001.01.21(01:12)asahi.com
 内閣府が20日発表した「外交に関する世論調査」で、政府の途上国援助(ODA)などの経済協力を、「なるべく少なくすべきだ」「やめるべきだ」と考える「消極派」が合わせて27.1%にのぼり、調査を始めた1977年以来、最高を記録した。国内の景気低迷を受け、他国を支援する「ゆとり」がなくなっていると感じる人が増えているようだ。

 調査対象は20歳以上の男女3000人で、有効回収率は70.2%。

 経済協力を「積極的に進めるべきだ」と考える人は23.0%で最低。昨年調査に比べ6.2ポイントも急落した。「現在程度でよい」とする回答も41.4%あった。

 消極的な人に複数回答で理由を聞いたところ「国内の経済状態が良くない」を挙げた人が7割を超え、最も多かった。「不透明だ」「成果をあげていない」もそれぞれ前回より数ポイント増えた。今後の経済協力の重点地域に「アジア」を挙げた人は約10ポイントも減った。中国へのODA批判が強まっていることが背景にあるとみられる。

 朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)への関心を初めて調査したが、「非常に関心がある」「ある程度関心がある」と答えた人は合わせて62.9%にのぼった。

 調査が行われたのは昨年10月で、南北首脳会談や日朝外相会談、日朝国交正常化交渉の再開など北朝鮮の積極外交が相次いだ時期にあたり、朝鮮半島の急速な緊張緩和が影響したようだ。

 北朝鮮についての「関心事項」には「日本人拉致」「ミサイル」「食糧支援」「南北」「核開発」の各問題が順に上位を占め、日朝の国交正常化に向けた課題が関心を呼んでいる。

日本のODA着服 グルジア元高官を逮捕

2001.01.10【モスクワ9日=高木桂一】The Sankei Shimbun
 グルジア最高検察庁は九日、日本から政府開発援助(ODA)としてグルジアに無償供与された農機器具などを不正に売却し、約百二万四千ドル(一億一千八百万円)相当の現金を着服した容疑で八日夜、農業・食糧省の元幹部二人を逮捕したと発表した。旧ソ連構成共和国からなる独立国家共同体(CIS)諸国で政府高官による日本のODAの不正流用が発覚したのは初めて。

 グルジア最高検によると、逮捕されたのは同省の元次官と元局長。

 二人は一九九七年、共謀のうえ、日本政府の農業技術支援名目で無償供与されたトラクターなどの農機器具を適正に処理せず、第三者に売り飛ばして、その代金を懐に入れていたという。

亀井氏もODA削減幅3%以内で了承

2000.12.15(15:15)asahi.com
 自民党の亀井静香政調会長は15日、来年度の政府の途上国援助(ODA)予算について、今年度当初予算(1兆466億円)比で、3%以内の削減幅にすることを了承した。外務省の衛藤征士郎総括政務次官が、自民党本部で亀井氏と会い、与党3党のプロジェクトチームの検討結果を伝え、亀井氏も「結論は尊重する」と語った。

 ODA予算をめぐっては、亀井氏が11月に「3割削減」を打ち出した。だが、すでに政府間で交換公文を結んだ援助や進行中のプロジェクトがあることに加え、「大幅な削減は途上国との関係を悪化させる」(外務省)などとして、政府・与党内からも大幅な削減に慎重意見が出ていた。

特別円借款410億円/インドネシア鉄道事業 アジア支援を再開

2000.12.12 The Sankei Shimbun
 政府はインドネシア政府の要請に応じて鉄道建設事業に対する四百十億円の特別円借款を実施する。アジア経済危機後、政府はこれまでプロジェクト関連の支援策からは遠ざかっていたが、今回の特別円借款の供与は、アジア支援再開の意味を持つ。

 鉄道事業はインドネシアの首都、ジャカルタの西約一七・四キロの区間にわたって電化したり、ディーゼルによる複々線化を行う。インドネシア政府は輸送力の強化に向けた通勤用電車の整備として、この事業を重視し、日本に対して繰り返し支援を求めていた。

 しかし一九九七年夏のタイ・バーツ危機を契機としたアジア経済危機で、「インドネシアは過去二年間にわたり最も影響を受けた」(通産省資金協力室)として、インフラ(社会基盤)整備を中心としたプロジェクト型の借款はストップした状態が続いていた。

 今年秋に、世界銀行主催のインドネシア支援国会合が東京で開催され、「インドネシア経済は、引き続きリスケジュール(債務返済の繰り延べ)は必要だが、歳入欠陥を埋めるための資金協力は不要なまでに回復している」と判断を下した。

 このため日本政府は懸案だった鉄道事業を対象にした特別円借款供与に踏み切ることにした。事業総額は四百八十三億円でこのうち八五%が特別円借款の対象となる。十一月にブルネイで開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)でも、日本とインドネシア両国首脳間でも確認された。

対中ODA減額の方向 外務省の私的懇談会が提言原案

2000.11.29(23:20)asahi.com
 中国に対する政府の途上国援助(ODA)のあり方を検討している外務省の私的懇談会(座長=宮崎勇・元経企庁長官)が29日、提言の原案をまとめた。2001年度以降の対中ODAについて、「我が国の厳しい財政事情を勘案し、個別具体的に審査し実施する」と明記しており、事実上、ODA減額の方向性を打ち出している。また、これまでの社会資本整備に重点を置いた経済協力から、環境保全や人材育成への質的変換を求めている。

 原案では、対中ODAをめぐる日本国内の状況について、(1)厳しい経済、財政事情から、ODAのあり方に厳しい議論がある(2)中国の国力増大を背景に様々な批判がある、と指摘。その上で、「対中援助が軍事力強化に結びつくことなど、ODA大綱の原則にそぐわないことがないように注意する」「従来の支援額を所与のものとせず、新たな支援需要に適切に対応する」などとしている。

 中国に対するODAは、1979年度から始まり、これまでに約2兆4500億円(交換公文ベース)を供与。この5年間では、年平均で2000億円前後が供与されている。だが、日本の財政事情の悪化や中国の軍事費増大などを背景に、自民党を中心に対中ODAの見直し論が強まっている。政府は来月下旬に出される懇談会提言や自民党の対外経済協力特別委員会の報告書を踏まえ、来年度以降の対中ODA計画をまとめる方針だ。

「ODA3割削減」は見送りを 自民党合同会議で一致

2000.11.14(19:56)asahi.com
 自民党は14日の外交関係合同会議で、同党の亀井静香政調会長が打ち出した政府の途上国援助(ODA)予算の「3割削減」案は見送るべきだとの意見で一致した。ODAの見直し自体は必要としながらも、来年度予算の概算要求は党総務会などで了承済みで、削減は予算編成に混乱を招きかねないとしている。

 出席議員からは「ODAを削減したら日本の外交カードは一体何が残るのか」「日本の国連安保理の常任理事国入りをサポートしてくれるのが、日本がODAを供与している国々だ」と削減に否定的な意見が出る一方、「明らかに無駄な事業が多い」と疑問視する声も上がった。

 「3割削減」は亀井氏が与党3党の政策責任者会議で提案し、大蔵省も見直しに積極的な姿勢を示したが、外務省は「重要な外交手段で、国際的な信用にもかかわる」と困惑。自民党外交部会の議員らに理解を求めていた。

与党のODA削減方針に外相、官房長官は否定的見解

2000.11.11(00:33)asahi.com
 与党3党が来年度予算の政府の途上国援助(ODA)を削減する方針を決めたことについて、河野洋平外相と福田康夫官房長官は10日、そろって削減に否定的な見解を示した。一方、宮沢喜一蔵相は見直しに前向きの姿勢を示すなど、与党側の唐突な提案に波紋が広がった。

 河野外相は閣議後の記者会見で、「ODAの重要性はますます増えこそすれ、減ることはない」と指摘、「国連でも貧困を具体的に減らす目標をたてて世界に呼びかけている。我々の果たす役割も理解していただかなければならない」と説明した。ただ、「重要性についての説明が十分でなかったところもあるのかな」との思いも示した。

 福田官房長官も会見で、「政府は、これまでも(ODAの)重点的かつ効率的な実施に努めており、今後とも透明化、効率性の向上に努めることが重要と認識している」としたうえで、「今のところは特に考えを変える気持ちはない」と述べた。

 一方、宮沢蔵相は「人並みの軍備を持たない国としての、我が国の大事な使命だ」とODAの意義を評価しつつ、「大口について、やや従来の惰性になっているところもあるかもしれない。大きな部分についての再検討を、外交当局が考えてくれる必要はあるかもしれない」との考えを示した。

<ODA>無償資金協力の144億円使途不明 会計検査院調べ

(毎日新聞)2000-11-10-20:10 Mainichi Interactive
 政府開発援助(ODA)の一貫として借金の返済に困っている国々に対し外務省が無償で資金を提供する「債務救済無償資金協力」で、資金提供を受けた国のうち14カ国から使途報告書の提出がないため、計144億円が使途不明となっていることが10日、会計検査院の調べで分かった。検査院は外務省に対し、資金使途の監視のための取り組みを強化する必要があると指摘した。

 ODAの検査は1988年度以降、検査院が毎年独自に行っているが、今回は初めて参院行政監視委員会の決議に基づき行われた。

 検査によると、外務省は重い借金に苦しむ国々に対し、棒引きを認めない替わりに、借金の返済が確認された後で同額の資金を無償提供する「債務救済無償資金協力」を行っている。対象国は事前に使途計画書を提出し、資金提供を受けた後で使途報告書を提出する。制度開始の78年度から昨年度まで計29カ国が対象となり、その資金は3732億円に上っている。

 このうち94〜97年度の4年間、20カ国に対する計1256億円の資金提供について検査したところ、バングラデシュやミャンマーなど6カ国は報告書を提出していたが、ネパールやパキスタン、タンザニア、ボツワナなど14カ国はまったく報告書を提出していなかった。14カ国に対する資金提供は計144億円で、全額が使途不明となっている。

 また、今回の検査では、日本の建設業者がインドネシアでのODA関連事業の受注工作として、同国首脳周辺にリベートを支払っていたとされる問題についても調べたが、相手国に対する検査権限がないため不正を確認できなかったという。【松下 英志】

亀井政調会長がODA3割削減提案 与党、見直しで一致

2000.11.09(22:58)asahi.com
 自民、公明、保守の与党3党は9日の政策責任者会議で、来年度の予算編成で政府の途上国援助(ODA)を削減することで一致した。会議では、自民党の亀井静香政調会長がODAの「3割削減」を提案。公明、保守両党も削減の方針自体は賛同しており、3党で具体的な検討を始める。大蔵省も見直しには積極的な姿勢を示している。

 亀井氏は会議後、党本部に大蔵省の林正和主計局長を呼び、与党の方針を伝えた。これを受け、同省の武藤敏郎事務次官も記者会見で「ODAについてはいろいろな議論があるが、それよりも優先すべき財政事情がある」と述べ、聖域扱いせずに見直す考えを示した。

 ただ、亀井氏が会議で提案した「3割」という割合については、出席者の1人は「軽く言っていたし、正式な提案とは受け止めていない」としている。今年度の予算に計上しているODAの中には、政府間の交換公文に基づいてすでに長期的なプロジェクトに入っているものもあり、「3割カットになれば新規プロジェクトを見直すだけでは足りない」(政府筋)という。

 日本のODAは実績ベースで9年連続の世界一。貿易黒字の還元や戦後補償の代替的な意味もあり、一貫して増加する傾向にあったが、財政赤字を背景に1998年度予算で10.4%カットされ、以後、横ばいが続いている。今年度の予算は1兆466億円。

日本、イラン向け投資に600億円の貿易保険を適用へ

2000.10.27(22:02)asahi.com
 外務省は27日、イランに対する経済支援の一環として、日本企業による同国への投資について、約600億円の貿易保険を適用する方向で調整していることを明らかにした。同国で開放・自由化を進めるハタミ大統領が31日から訪日するのに合わせ、両国間でむすぶ「行動計画」に盛り込む方針だ。イランは来年8月に大統領選挙を控えており、今回の経済支援は同大統領への国際的な支持をイラン国民にアピールするねらいがある。

 貿易保険は、イラン政府の第3次経済5カ年計画に盛り込まれた、石油化学プラントの建設事業など4件の事業を対象に約600億円の適用を検討している。いずれも日本の民間企業による受注か入札が決まっており、一層の投資を促進するねらいがある。

 日本は、湾岸戦争後、イランの封じ込め策をとった米国に同調し、貿易保険、円借款とも中断していた。しかし、ハタミ氏の大統領就任を受けて欧州企業が積極的に投資に乗り出したのを受け、日本も昨年、8年ぶりにイラン向けの貿易保険を再開した。ただ、イラン側が求めている鉄道建設事業への約250億円の借款については、「プロジェクトの全体像が不透明」として今回は確定しない方針だ。

 イランの元首級の訪日は42年ぶり。大統領選挙でハタミ大統領は、「保守派との対立で形勢が不利な状態にある」(外務省)という。

イラン、日朝関係改善へ仲介の用意

2000.10.24 【テヘラン24日=共同】The SankeiShimbun
 イランのハラジ外相は二十四日、テヘランで共同通信など日本の一部報道機関と会見し、イランが北朝鮮の友好国として「日本から申し出があれば(日朝間の)関係改善に向けた仲介の努力をしていく用意がある」と述べた。

 また三十一日から予定されているハタミ大統領の初の日本公式訪問について「日本は大切な経済パートナーであり、極めて重要な行事になる」と意義を強調した。

 経済問題をめぐっては「日本は欧州各国に比べてイラン市場をうまく活用できていない」と指摘した上で、「日本企業は石油・天然ガスなどエネルギー分野への対イラン直接投資を推進すべきだ」と呼び掛けた。

 また日本の新規円借款をめぐる交渉については「環境対策などでの協力も重要で、いかなる形の円借款も歓迎する」と語った。


三菱商事をODA入札から一時排除 計画無断変更で

2000.10.18(23:06)asahi.com
 外務省は18日、大手商社の三菱商事がエジプトに対する政府の途上国援助(ODA)の納入に絡んで計画を無断で変更していたとして、同社を2カ月間、新規のすべてのODA入札から排除する、と発表した。

 1991年度と92年度に援助が決まったコメの貯蔵センターの建設事業で、2億1000万円分の機材について、エジプト政府と相談して外務省には無断で変更していた。外務省は変更された機材について改めて審査を行い、承認できない額についてはエジプト政府に対して返還を求める方針だ。

 問題の事業は、エジプト精米公社が実施した4カ所のコメの貯蔵用施設の建設と関連機材の提供。日本政府は91年度に13億2800万円、92年度に13億4100万円の支出を決め、エジプト政府の口座を経由して同額が三菱商事に支払われた。このうち、トラックにコメを載せたままコメの重さを測る計測器が関連した別の機材に転用されるなど不正に変更されていた。

 外務省によると、変更前と変更後の機材の納入額に大きな差はなく、資金が個人的に流用された形跡はないという。ただ、正規の契約とは別の契約をエジプト政府とむすび、日本政府に虚偽の支払い請求書を提出した責任は重いとして処分を決めた。今年5月に、追加的支援の必要性を調査して問題が発覚した。

 三菱商事は18日、古川洽次副社長が記者会見を開き、「処分を受けることになったのは遺憾だ。再発防止を徹底していく」と話し、関係した社員を処分する方針を表明した。

インドネシアへ580億円援助 支援国会合で日本が表明

2000.10.18(20:21)asahi.com
 世界銀行の主催で日米欧の各国が参加して東京で開かれていた「インドネシア支援国会合」が18日閉幕し、日本は新たに580億円の有償援助を行うことを表明した。

 西ティモールで国連職員が殺害された事件をきっかけに、一時は会合の開催が危ぶまれるほど援助をめぐる情勢が悪化していたが、インドネシアが国連の調査団の受け入れを表明したことを背景に、各国が協力して支援に取り組むことで合意した。

 西ティモールの事件に関連して、インドネシアのリザル・ラムリ経済担当調整大臣は、容疑者を逮捕したことに改めて言及。民兵の武装解除など治安の確保に積極的に取り組んでいくことを表明した。支援国側は、国連による調査団を受け入れたことを歓迎するとともに、治安回復後に東ティモールからの難民の支援に取り組む意向を示した。

 580億円の新規円借款は、地方のインフラ整備やかんがい事業などにあてる中長期の融資。これとは別に約500億円の特別円借款の要請があり、日本政府は応じる方向で検討している。インドネシアは来年度に71億ドルの財政赤字が生じる見込みで、これを穴埋めするため、48億ドルを各国と機関が協調して融資し、日本はすでに表明した援助枠の中から15億ドルを負担することが決まった。

日本に1000億円の融資を要請 インドネシア

2000.10.17(03:01)asahi.com
 不安定な政情が続くインドネシアが日本に対して、約1000億円の新規融資を要請していることが16日、明らかになった。日本政府は17日から東京で始まる対インドネシア支援国会合で約580億円の円借款を約束し、残りは特別円借款の枠で実施する方向で検討している。ただ、9月に起きた西ティモールでの国連職員の殺害事件をめぐるインドネシア側の対応が遅れていることから、日本政府は現地の民兵の武装解除などを強く要請する。

 580億円は、5年未満の円借款で、地方のインフラ整備などに使われる見通し。経済的な混乱が一段落したことを背景に、これまでの緊急的な融資からプロジェクトを絡めた中長期的な融資に切り替える。これとは別に、アジア通貨危機の影響を受けた国を対象にする「特別円借款」の要請が約500億円あり、政府は応じる方向で検討している。

 インドネシアは来年の財政収支が71億ドル(約7700億円)の赤字見通しで、このうち49億ドルの支援を各国や国際機関に要請。日本は新規融資の約1000億円とは別に、すでに供与を約束した枠の中から15億ドルを負担する方針だ。

中国首相が穏健姿勢 歴史問題/公式路線と一線「日本国民を刺激すべきでない」

2000.10.09【北京8日=古森義久】
 中国の朱鎔基首相は十二日からの日本公式訪問を前に八日、北京駐在の日本人記者団と会見し、日中間の歴史問題について日本国民は対中戦争に対し当時も今も責任はなく、中国は日本国民を刺激すべきでないと述べ、従来の公式路線より穏健な姿勢を示した。朱首相は中国の海軍艦艇や海洋調査船の活動は自粛すると明言しながらも、今後も活動はありうると述べる一方、日本からの政府開発援助(ODA)については中国でのPRが不十分だったと認めた。

 朱首相は八日午後、北京・中南海での約一時間の会見で、歴史問題について「中国の一貫した態度は『歴史を鏡に未来に向かう』ことだが、日本軍国主義が対中戦争を引き起こした責任を、当時あるいは現在の日本国民が負うべきだとは毛頭、考えていない」と述べ、具体的な措置としては「中国側は歴史問題で日本国民を刺激するようなことをしないこと、日本側は(日中戦争の)歴史を忘れないことだ」と語った。

 朱首相は海洋調査船の活動については中国首脳部が活動自体を知らず、日本側の強い反発に驚いたと述べ、今後は事前通報のシステムづくりを進めるとしながらも、「日本側との排他的経済水域(EEZ)が画定できておらず、論議の対象となる海域での調査活動は日本国内で大問題となったため、今後、減らしてはいくが、活動自体は不適切ではない」と述べた。中国海軍艦艇の日本近海での活動についても「私は知らなかったが、日本に挑戦する気持ちでやってはいない。日本側が反発するならこれから減らしていく」と述べた。

 朱首相は日本の対中ODAについては「過去二十年、総額二百四十億ドルにのぼる日本の経済協力は中国の近代化に寄与した。この点を高く評価し、日本の政府と国民への感謝を述べたい。中国側ではこれまでODAの円借款に関するPRが不十分だったため、これから強化していく必要がある」と述べる一方、日本にとっての利益も強調し「もしODAがなければ日本も中国にとって第二の貿易パートナーになっていなかっただろう」と語った。

 朱首相はそのほか(1)日米安保は二国間の取り決めで、その範囲は二国間を超えるべきでない(2)日米戦域ミサイル防衛(TMD)計画は自衛の必要を超える動きとして断固、反対する(3)北京・上海間の高速鉄道建設は日本とフランスの車輪式(新幹線を含む)とドイツと日本のリニア式が候補だが、中国の具体的な状況や技術の成熟をみて決める−などと語った。

「北京でリニア実験はどう?」朱首相が記者会見で提案

2000.10.08(20:47)asahi.com
 訪日を12日に控えた中国の朱鎔基首相は8日、北京常駐の日本人記者団と会見し、北京―上海間の高速鉄道計画を巡って「日本も興味があれば(リニアモーターカーの)実験線を、例えば北京につくったらどうか」と提案した。日本と受注を争うドイツが、すでに上海にリニア実験線の建設を決めているためだ。今回の訪日で、山梨県のリニア実験線も視察し、「この目で確かめたい」と述べた。

 日本側は高速鉄道を「日中友好の象徴的な事業に」と位置づけ、官民あげて受注活動を展開している。首相は「リニアか、(新幹線のような)車輪にするか決まっていないうちは、受注競争への参加を歓迎する。中国は広く、高速鉄道は北京―チベット間でも必要だ」と語った。

 日本の中国向け途上国援助(ODA)については「円借款、無償資金協力、技術協力は20年間で240億ドル近くになっている。中国の近代化に大きな役割を果たした。高く評価するとともに、日本政府、国民に感謝する」と強調した。日本国内に「感謝が足りない」との批判があるためだが、首相は「これまでPRが不十分だったが、強化する」と、首脳として初めて改善を明言した。

 中国の海洋調査船が日本の排他的経済水域を航行している問題に関しては、「両国の意見に食い違いがある海域で調査しているが、不適当とは思っていないし悪意もない」と釈明した。その上で「日本では大問題になった。だから行く回数を適当に減らすか、行かなければならないなら相互事前通報制度を使う」と述べた。

 いずれの問題も日中関係に横たわるきしみとして、日本側から提起されていた問題だが、この日の会見で中国側は、具体的な解決案を示した形となった。

日本の円借款に感謝の式典 中国が野中幹事長らに

2000.10.08(19:29)asahi.com
 日本の円借款などの対中経済援助が20周年を迎えたことを記念する式典が8日、北京の人民大会堂で開かれた。中国訪問中の野中広務・自民党幹事長らが出席し、あいさつに立った呉儀国務委員は「日本の中国の経済建設への協力と支援に感謝する」と述べ、総額2兆4000億円に上った円借款の役割を評価し、謝意を表した。

 式典は中国政府の主催。このような式典を開いて日本への感謝が表明されたのは初めてだ。日本の一部で対中援助の見直し議論が出ていることで、これまで円借款に対し「高度の評価」との表現を使ってきた中国側にも「感謝」を示そうとの動きが出ている。また、12日からの朱鎔基首相の訪日を前に友好的な雰囲気を演出したいとの思惑もあったようだ。

 式典には日中関係者約300人が参加。呉氏はさらに「経済協力は両国に利益があり、政治関係の強化を促すことにも積極的な効果がある」。野中氏は「国民の支持と理解を形成するために両国のより一層の努力が必要だ」とこたえた。

日本政府、パレスチナ自治政府に50万ドル拠出

2000.10.06(01:44)asahi.com
 政府は5日、パレスチナ自治区でのパレスチナ人とイスラエル治安部隊の衝突事件を受けて、国連開発計画(UNDP)などの国際機関を通じてパレスチナ自治政府に対し、50万ドルを拠出することを決めた。現地で緊急に必要とされている麻酔用の薬や人工呼吸器など医療器材の調達にあてられる。

 パレスチナ自治政府保健庁は3日、「このまま衝突が10日から15日続くと、医薬品や医療関係器材が不足する」と緊急声明を出して、国際社会に人道支援を呼びかけていた。

「人間を重視した経済協力」の推進について

2000.09.21 by対外経済協力審議会

東南アへの特別円借款 タイ、受け入れ拒否/「ひもつき」の問題点露呈

2000.09.09【バンコク8日=宇都宮尚志】The Sankei Shimbun
 三年前のアジア経済危機で打撃を受けた東南アジア諸国を救済するため、日本政府が打ち出した特別円借款(総額六千億円)に対し、タイ政府は自国へのメリットがないとして受け入れを拒んでいることが分かった。特別円借款は日本企業のひもつきが条件となっており、タイはこの点に難色を示している。日本企業だけを利する特別円借款のあり方に、改めて疑義が提示されたものといえる。

 特別円借款は、一九九九年から三年間の時限措置で、故小渕恵三首相が一九九八年の東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議で提唱。当初、適用対象国はインドネシア、タイ、フィリピン、マレーシア、ベトナムとされた。

 しかし、日本政府と契約を結んだのは八日現在でフィリピン、マレーシア、ベトナムの三カ国(九案件)だけで、タイ、インドネシアは一件もなく、契約額も計約千五百億円にとどまっている。日本政府は、予算消化のためにも適用対象外であるはずの中国に特別円借款の拡大供与を決め、話題になったばかりだ。

 特別円借款は、援助額の五割を日本からの調達を義務づけた半タイドで、道路や発電所などのプロジェクトが対象となる。最近の円借款は、調達にいっさいの制限をつけない一般アンタイドが主流で全体の九割以上を占めており、日本企業からの調達実績は約二割にとどまっている。しかし、援助関係者によると、「アンタイドが進みすぎ、日本企業にメリットがないとして見直しを求める声が強まった」という。

 タイ大蔵省の公的債務管理局は、「特別円借款は日本企業だけが潤い、タイにはメリットがない。これに頼らなくても、他に安くて有利な調達方法はあり、今のところ契約する予定はない」と話す。そもそもタイの場合は、国内企業の育成が進んでおり、あえて日本から資材を調達する必要性は薄い。

 これに対して、日本側は「日本も苦しい時期に資金を出すのだから、協力してほしい」と、案件の提案を求めているもようだ。

 日本政府は一九九八年にアジア経済危機の救済のため支援策を打ち出し、その後、新宮沢構想(三百億ドル)、特別円借款(三年間で六千億円=五十億ドル)などを追加。これまでの支援表明総額は約八百億ドルにのぼる。

 本来、円借款の目的は「途上国が経済を自立するための自助努力を支援する」とされている。日本の援助政策が再び日本企業の利益を最優先するものにすりかわりつつあることをタイ側に指摘されたものといえ、日本としても再検討を迫られそうだ。

対中特別円借款、河野外相訪中後に是非を判断

2000.08.24(12:38)asahi.com
 自民党は24日の外交関係合同部会で、政府が予定している中国への総額172億円の特別円借款供与について、28日からの河野洋平外相の訪中終了後に是非を判断することを決めた。中国艦船が日本の排他的経済水域(EEZ)で航行を繰り返していることへの反発などから、供与に異論が続出。塩崎恭久外交部会長が24日中に河野外相に会い、こうした意見を伝える。

 これに関連して、中川秀直官房長官は同日の記者会見で「アジア経済危機の影響を受けた国々を支援するという特別円借款の趣旨に合致するもので、供与の方向で検討する。必要な手続きを踏んでいる段階で、外相の訪中結果も見つつ相談する」と述べた。

 部会では、この問題で10人以上が発言。供与の時期などで「政府の対応がはっきりしない」と批判が相次ぎ、中国艦船の動向に絡めて「日本の主権が問われている」といった意見も出た。河野外相の訪中時に日本国内の異論を伝えてもらい、中国側の対応を見て改めて部会で話し合うことにした。

 また、部会では森田一運輸相が訪中を断られた背景をただす意見が出た。外務省側は唐家セン外相の発言を引いて「靖国神社参拝とは無関係」と説明した。

「円借款は選択的に」 外務省の懇談会が報告書

2000.08.01(19:44)asahi.com
 円借款のあり方を検討していた外務省の「円借款制度に関する懇談会」(座長・石川滋一橋大学名誉教授)は1日、「円借款はより選択的に実施していくべきだ」とする報告書をまとめ、河野洋平外相に提出した。途上国に対する有償資金の債権放棄や、軍事費が増大している対中国への援助について「税金の無駄遣いだ」とする批判が高まっているのを受けて故小渕恵三前首相が検討を促し、今年1月から検討していた。

 報告書は、インドネシアや中国、タイなど14カ国に対する慣例化した資金の供与について、「既得権益化しないように配慮する必要がある」とし、部門によっては民間資金にバトンタッチすることや、事業が計画通りに進んでいない場合には、新たな供与はしないことなどを求めている。また、途上国が策定する貧困削減計画に積極的に関与するため、日本の大学院などに専門家を養成する機関を設けることも提案している。

対中ODA170億円追加/北京の鉄道建設など対象/見直しに逆行

2000.07.31【北京30日=古森義久】 The Sankei Shimbun
 日本政府は中国への政府開発援助(ODA)の見直しを宣言したが、その見直し作業が始まったばかりの段階で中国への新たな大型援助二件合計百七十億円以上の供与を内定したことが三十日、明らかとなった。この援助は経済危機にみまわれた東南アジア諸国支援のために設けられた特別円借款からの転用で、同危機を救う側に立つ中国への供与には疑義が提起されるほか、北京地区の鉄道建設などという援助の対象も日本政府が最近、公表した方針に逆行している。

 複数の日中関係筋が三十日までに明らかにしたところによると、日本政府は中国政府に対しすでに二千億円以上の供与が決まっている二〇〇〇年度分経済援助に新規に追加する形で(1)北京地区の都市鉄道建設に百四十一億円(2)西安地区の咸陽空港拡張に三十億円の有償援助(円借款)を与えることをこのほど内定し、その旨を中国側に通告した。この援助は有償とはいえ、贈与率のきわめて高いODAとなっている。

 日本政府ではこの五月に、河野洋平外相が唐家●外相に中国の軍事費の大幅な伸びや高度の経済成長を理由とする日本国内の対中援助批判の高まりを指摘して、対中ODAの基本的な見直しの方針を通告し、対中援助見直しの懇談会を発足させ、七月に会合をスタートさせたばかりだった。

 同日中関係筋によると、新規供与が内定した対中ODA百七十億余円は九八年十二月、小渕首相がアジア通貨危機に見舞われた東南アジア各国への経済支援策として新設を宣言した総額六千億円の「特別円借款」から支出される。

 「特別円借款」は受け手に援助額の五割を日本側からの調達を義務づけた“半タイド”(ひもつき)が特徴。東南アジア諸国の救済とともに日本企業支援の効果があるとされた。だが、アジア経済危機では中国はその影響を受けなかったことを誇った経緯がある。

 日本政府関係者は今回の中国への供与は「半ひもつき」の結果、日本企業を利すると説明しているが、その一方、首都の鉄道や都市の空港という援助プロジェクトが現在の対中ODA政策の基本とは「異質」だとも認めた。日本政府は九八年から今後の対中ODAは(1)環境保護(2)内陸部開発(3)農業支援−を柱とし、従来の沿岸大都市のインフラ建設は減らすと言明してきた。このため、沿岸部の北京の鉄道も大都市の西安の空港拡張もこの方針に明白に逆行する。

 日中関係筋は、この対中特別ODA供与の背後には自民党の有力政治家の強い働きかけもあったと述べた。

●=王へんに旋

平成12年度「ODA民間モニター」公募

 投稿者:高橋  投稿日:05月12日(金)21時41分19秒
 日本が海外で行なっている政府開発援助(ODA)事業の現場を、直接ご自分の目で視察していただける方を募集しています。

 各都道府県から男女1名ずつ(東京都、大阪府、神奈川県、愛知県、埼玉県は男女各2名ずつ)、合計104名の方を10チームに分け、それぞれのチームがフィリピン、インドネシア、中国、マレイシア、ベトナム、モンゴル、バングラデシュ、タイ、ネパー ル、ラオスのいずれかの国を約1週間ほど訪問します。

 共催: 財団法人国際協力推進協会(APIC)  国際協力事業団(JICA) 
 協力: 外務省  国際協力銀行(JBIC)

 応募〆切: 平成12年5月31日(水)消印有効

 詳細の情報は以下で紹介しております。
 財団法人国際協力推進協会(APIC), 外務省, 国際協力事業団 

東南アジアの電力政策立案を支援 JICAとJBIC

10:30a.m. JST May 07, 2000 asahi.com
 国際協力事業団(JICA)と国際協力銀行(JBIC)は今年度から、ベトナム、インドネシアなど主に東南アジアの発展途上国で電力政策の立案を手助けする「電力分野知的支援」を始める。発電所建設など個別案件への融資や技術支援だけでは相手国全体の電力事情を改善させるのに限界があるためで、法体系や制度に踏み込んだ提言に乗り出す。現地に送る調査団には日本の電力会社からも人材を集め、国内の設備投資が頭打ちとなった電力業界に海外での商機を見つけてもらう狙いもある。

 JICAとJBICは今月中に、東京電力、関西電力など電力各社の企画担当者や建設コンサルタント会社、弁護士ら約30人による「知的支援フォーラム」(仮称)を設ける。各国の電力事情について情報交換をするとともに、調査団を編成する際の母体ともする考えだ。

 東南アジアでは1997年の経済危機以降、電力事業の民営化が課題となっており、国営企業を対象にした日本政府による途上国援助(ODA)だけではなく、援助としての性格が薄く民間企業の進出を促す「その他の公的資金(OOF)」による支援の必要性が指摘されていた。

 ただ、日本を含む海外からの民間資金を呼び込むには透明性や公平性の高い制度づくりが不可欠で、今回はODAによってこうしたルールづくりを支援し、将来のOOFや市中銀行の融資を利用した企業進出につなげる考えだ。

 当面の対象としては、電力供給の2割の民間開放を打ち出しているベトナムと、経済危機で国営電力会社が打撃を受けたインドネシアが候補で、昨年秋には事前の現地調査を済ませた。今後、要請を受けて、送配電網の整備計画づくりなど具体的な提言をする方針だ。

特別円借款を供与 河野外相がインドネシア外相に表明

11:13p.m. JST April 29, 2000
 河野洋平外相は29日、インドネシアのワヒド大統領、シハブ外相と相次いで会談し、雇用や投資を増やすための事業に低利融資する特別円借款を早期に実施する方針を伝えた。宗教抗争の続くインドネシア東部のマルク諸島の難民に、国連の世界食糧計画(WFP)を通してコメなど100万ドル相当の食糧を支援する考えも表明した。政治・経済改革を進めるワヒド政権が安定するよう側面支援する狙いだ。

 特別円借款で日本政府は、ハビビ前政権との間で天然ガスのパイプライン設置や鉄道の複々線化の事業費にあてる方向で調整を進めてきた。調査団を派遣して対象事業などを調べる方針だ。

 両外相は、大規模な森林火災の被害を受けたインドネシアの国立公園で植林を進めるため、日本が約1億1000万円の無償資金協力をする合意文書も交わした。

債務帳消しで途上国救って! NGOが「人間の鎖」

5:55p.m. JST April 11, 2000
 最貧途上国の債務帳消しを求める非政府組織(NGO)の国際キャンペーン「ジュビリー2000」日本実行委員会のメンバーら約130人が11日、「7月の沖縄サミットまでに重債務最貧国の債務を全面的に帳消しに」と求めて東京・霞が関の外務省と大蔵省前で「人間の鎖」をつくった。政府は貿易保険など非ODA債権については100%削減を表明したが、アフリカから参加した牧師らは「日本の最大の債権はODA債権。その返済のために貧困や病気に追い込まれる人たちがいる」と訴えた。

 ジュビリーによれば、途上国側は1970年代末以降、巨額に膨らんだ対外債務に対し、国内の教育や福祉・保健予算を削って利子を払い続けてきた。既に元金の3倍もの資金が先進国に流れているという。

 ジュビリーのキャンペーンは96年に英国で始まり、債務帳消しを求めた署名には120カ国1700万人が応じている。外務省は「無条件の棒引きは借りた側のモラルハザード(倫理の荒廃)を招きかねない」としているが、この運動にはローマ法王やダライ・ラマ、アイルランドのロックバンド「U2」のボノなどのほか、日本では音楽家の坂本龍一さんも賛同している。

ウナギ養殖ODA詐欺、魚介類輸入会社元専務に逮捕状

0:29p.m. JST April 29, 2000
 中国でのウナギ養殖事業をめぐる政府の途上国援助(ODA)詐欺事件で、警視庁捜査2課は28日までに、魚介類養殖輸入会社「日盛産業」(1998年3月に破産宣告)元専務(58)に対し、詐欺容疑で逮捕状を取った。また東京地検は同日、同社元社長小嶺信子容疑者(53)を詐欺罪で東京地裁に起訴した。
 元専務は小嶺容疑者と共謀し、中国・広東省恵州市に合弁企業を設立。94年3月、現地に新しい養殖池を造るように装って海外経済協力基金(OECF、現国際協力銀行)から合弁企業名義の銀行口座に10億5000万円を振り込ませた疑いが持たれている。

 2人は、OECFからだまし取った金の大半を手形の決済にまわしていたとされる。元専務は行方が分からないという。

首相、7カ国歴訪に出発

2000年4月28日 16時24分
 森喜朗首相は28日午後、羽田空港から政府専用機で主要国首脳会議(沖縄サミット)参加7カ国歴訪のため、最初の訪問国ロシアに向け出発した。これに先立ち首相は、報道各社のインタビューに答え「新内閣の外交方針、基本的な考え方を各国にお話しすることが、私の内閣としての外交の第一歩。サミットの成功に向け、懸案の問題についていろいろ話し合いをしていきたい」と抱負を述べた。

ウナギ養殖めぐるODA詐欺、融資先の説明うのみ

03:19a.m. JST April 08, 2000
 中国でのウナギの養殖事業をめぐる詐欺事件で、10億円あまりを焦げ付かせた海外経済協力基金(OECF、現国際協力銀行)の融資は、摘発された日盛産業側の説明をうのみにした極めてずさんなものだったことが分かった。融資の絶対条件となる中国銀行の保証を取り付け損ねたうえ、再三行われた現地調査でも事業がまったく進んでいない実態を把握していなかった。税金を原資とする融資金は今も回収できていない。

 国際協力銀行によると、問題の10億5000万円の融資に際して、中国銀行の支払い保証を取り付けることが条件になっていた。事業が失敗して融資が焦げ付いた場合は、中国銀行が連帯して責任を持つという内容だ。

 しかし、融資を実行した業務担当部は「中国銀行が保証を確約している」とする日盛産業の説明をうのみにし、中国銀行の保証状を得ないまま1994年3月末、合弁企業が指定した都銀に金を振り込んだ。

 保証状は融資の3カ月後に取得したが、「中国銀行にある合弁企業名義の口座に全額入金されて初めて有効になる」との条件が付いていた。このため、保証は無効で、焦げ付いた融資の弁済を中国銀行に求めることはできないままだ。

 OECFは融資の前後に10回以上にわたって現地調査を行った。その結果を踏まえ、97年5月に国会で「養殖池は90%完成している」と答弁した。

 しかし実際には、現地で養殖事業の基礎となる養殖池をつくるための土木工事すらまったく行われていなかったという。調査した職員が「確認」した養殖池は、日盛産業が当時、ヤオハングループと進めていたまったく別事業の現場だった可能性があるという。

 国際協力銀行によると、現地調査には日盛産業の合弁先だった広東省恵州市の幹部も同席していたといい、職員も別事業の現場だとは思ってもみなかった、という。

 同行は「融資手続きにずさんな面があったことは否定できない。国会でも答弁してきたが、誠に申し訳ないと思っている。教訓を生かし、現在は内部のチェック態勢を強化するとともに融資申請書類の審査を厳しくしている」と話している

第4次対中国円借款の99年度分決定 環境保護など重点

6:49p.m. JST March 27, 2000
 日本政府の第4次対中円借款の1999年度分が正式に決まり、27日、北京で両国政府の文書調印式があった。中国側の19案件に総額1926億3700万円までを限度に供与するとの内容。96年度以来の第4次円借款の総額は7726億3700万円となる。

 中国外務省の楊文昌次官と谷野作太郎駐中国大使が署名した。今回は大気汚染や水質汚濁防止など環境保護分野と、今年から始まる西部大開発プロジェクトに関連し、民間資金が入りにくい内陸地域の案件が多数を占めるのが特色だ。
谷野大使は「日本の財政難が困難な中で、中国経済の持続的成長に必要な分野に重点配分した」と説明。楊次官は「開始から20年を経た円借款など経済協力を積極的に評価している」などと語った。

民営化には協議義務付けも

2000年3月24日 18時34分
外務省は24日、円借款の供与を受けた途上国政府が対象事業を民営化する事態に対応して、円借款の運用を見直す方針を固めた。円借款は政府開発援助(ODA)の柱として、相手国のインフラ整備など公益のために実施しているが、出来上がった施設などが民営化で結果的に特定企業に独占されかねないケースが出始めたためだ。

円借款供与の北京空港、日本に事前連絡なく株式公開

08:20a.m. JST March 04, 2000 asahi.com
 円借款で新ターミナルビルを建設した中国・北京の首都国際空港の株式が香港市場で公開され、35%が「外資」の手に渡ったにもかかわらず、事前に日本へ何の連絡もなかったことが分かった。円借款は相手国政府が対象で基本的に民間企業には貸し付けず、事業内容の大きな変更は、前もって日本と協議する契約になっている。中国財政省は「我々も株式上場を空港側から知らされていなかった。連絡できず、遺憾だ」と陳謝、日本に再発防止を約束した。

 株式を上場したのは「北京首都国際空港株式会社」で、2月1日付。会社は新ターミナル完成直後の昨年10月15日に設立され、発行済み株式約38億5000万株のうち9.99%は、フランスの空港管理会社「ADPマネジメント」社に割り当て、25.01%を一般投資家向けに放出した。残る65%は、親会社に当たる中国民用航空総局傘下の国有企業「北京首都空港グループ会社」が所有している。

 北京の日本大使館は1月、空港会社の株式上場を報道で知り、中国側に事実関係の確認を要求した。中国側の説明を受け、(1)株の65%は今も国の所有で、空港事業に大きな影響はない(2)円借款の返済も財政省がすべて義務を負っているとの点を再確認。財政省は「空港会社から上場に関する通知がなかった。以後、指導を徹底する」と中国側のチェック体制の甘さを認めた。日本国際協力銀行の内田富夫理事が2月下旬、中国の金立群財務次官に会い、改めて問題点を指摘し、改善を求めた。

ソフト援助への転換を強調 99年版ODA白書

10:50p.m. JST October 15, 1999
 外務省は15日、政府の途上国援助(ODA)について、従来型のインフラ整備優先から、貧困対策や社会開発、さらに人材育成や制度・政策面などソフト面での協力をより重視するとした1999年版ODA白書を発表した。きめ細かい支援のため、関係者の安全確保を図りながらも、非政府組織(NGO)との連携などによる「国民参加型援助」の拡充を訴えた。

ODAは1%増

1999年9月24日 18時11分 共同通信社
外務省が24日まとめた2000年度一般会計予算の政府開発援助(ODA)の概算要求総額は、経済新生特別枠を含めて1兆589億円で、本年度当初予算比1・0%増となった。特別枠を除いたODA要求総額は0・2%増と、ほぼ横ばいだった。

特別枠を含めた省庁別の要求額は、最も多い外務省が5666億円で1・5%増。

我が国の政府開発援助の実施状況(1998年度)に関する年次報告平成11年9月

98年度の円借款実行額、過去最大=アジア向けが急増−海外経済協力基金

99年4月30日 19時49分 時事通信社
 海外経済協力基金(OECF)が30日発表した1998年度業務実績によると、円借款の承諾額は前年度比8.1%増の1兆1116億円となった。また、年度中の融資実行額は同39.9%の9031億円と過去最高になった。これは、通貨危機で経済が混乱したアジア各国向け円借款額が急増したためだ。
 円借款承諾額を地域別シェアでみると、アジア向けが全体の90.7%を占め、前年度から7.1ポイント上昇。一方、アフリカが同0.8ポイント低下の3.5%、中南米が同5.9ポイント低下し3.1%などとなった。 

アゼルバイジャンに183億円の円借款

9:51p.m. JST May 03, 1999
 高村正彦外相は2日午後(日本時間同)、ギリシャからアゼルバイジャンに移り、3日午前(日本時間同午後)までにラシザデ首相らと相次いで会談した。高村外相は一連の会談で、来年1月にアゼルバイジャンに日本大使館を開設することを伝え、火力発電所計画に約183億円の円借款を実施する方針を表明。文化無償資金協力の交換公文に署名した。

外務省、ODAに民間モニターを今夏導入

10:24p.m. JST May 03, 1999
外務省は今夏から、政府の途上国援助(ODA)の現場を一般の人に見てもらい、評価を加えてもらう「民間モニター制度」を始める。ODAの透明性や効率性を高める必要があるとして、昨年11月に関係省庁が評価方法の充実などを申し合わせており、民間モニター導入もこの一環だ。外務省は「成果が見えにくく、役立っているのかという声もある。積極的な情報提供をして、質の向上につなげたい」としている。

 メンバーは公募で、各都道府県から1人。日本で合宿形式の勉強会をしたあと現地に赴き、1週間かけて道路や橋などの建設現場や教育支援事業を見て歩く。視察先は中国やフィリピン、ベトナムなどアジア6カ国が予定されており、参加者は6グループに分かれてこのうち1カ国を訪問。帰国後に報告書をまとめる。

 モニター制度導入を働きかけた「参院自民党ODA基本法検討プロジェクトチーム」の山本一太座長は「日本は援助大国となって久しいが、商店街のおじさん、おばさんのような人に現場を知ってもらわなければ、国際協力のすそ野は広がらない」と、意義をアピールしている。

 応募は6月30日まで。問い合わせは、同省経済協力局政策課(03―3581―3871)へ。

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