Yellow Hiro's TOPIC＃2-16a サリン事件裁判状況(オウム)

TOPIC No.２-１６a サリン事件裁判状況(オウム)

01.	オウム真理教問題 byYAHOO! News
02.	サリン事件の詳細な実態、および事件の謎 byオウム裁判対策協議会
03.	オウム＝サリン事件未解決問題再検証 by Postx Web Site
04.	★阿修羅♪オウム真理教＆坂本弁護士事件
05.	地下鉄サリン事件　by広報Keishicho

麻原被告の控訴棄却、死刑確定の公算

2006/03/27 The Sankei Shimbun

　オウム真理教の麻原彰晃被告（５１）＝本名・松本智津夫＝の控訴審手続きで、東京高裁（須田贒裁判長）は２７日、弁護団が期限内に控訴趣意書を提出しなかったことや、訴訟能力を欠いていないことを理由に、麻原被告の控訴棄却を決定した。弁護団は決定を不服として、高裁に異議申し立てなどの手続きを取る方針だが、決定に関する違法性の有無が審理されるにとどまるため、今回の決定が覆る可能性は低く、一審・東京地裁の死刑判決が確定する公算が大きくなった。

　麻原被告の裁判は、平成８年４月の初公判から１０年、１６年２月の死刑判決から２年余りが経過し、控訴審が１度も開かれていなかった。

　麻原被告の控訴審手続きをめぐって、弁護団は「被告との意思疎通が図れない」との理由から、高裁が定めた昨年８月末の期限までに趣意書を提出しなかった。

　これに対し須田裁判長は決定で、「死刑を宣告された被告から実質審理を受ける機会を奪う重大な結果を招くもので、弁護士がその職責を全うするという点からも問題がある」と弁護団の対応を厳しく非難。その上で「提出の遅れが刑事訴訟法規則で定められた『やむを得ない事情に基づくもの』と認められない」と判断した。

　さらに、弁護団が「被告に訴訟能力はない」と主張していた点についても、麻原被告が１審の死刑判決後、東京拘置所で「なぜなんだ、ちくしょう」と大声を発して判決を認識していたことなどを挙げ、「訴訟能力を欠いていない」と結論づけた。

　高裁は趣意書の提出期限後、精神科医の西山詮氏に麻原被告の精神鑑定を依頼。西山氏は２月２０日、「訴訟能力は失われていない」とする鑑定書を提出していた。

　これに対し、弁護団は「訴訟能力はない」とする６人の精神科医の意見書を高裁に提出。今月１５日には鑑定書への反論書を提出していたほか、趣意書を２８日に提出するとしていた。

　今回の決定に対し、弁護団は高裁への異議申し立てと、最高裁への特別抗告ができる。しかし、弁護団は再三にわたる高裁からの趣意書提出要求に応じなかっただけに、弁護団の主張が認められて審理が再開される可能性は低いとみられる。

オウム公判：松本被告に死刑求刑　東京地検「史上最も凶悪」

2003年04月24日［毎日新聞］Mainichi INTERACTIVE

　オウム真理教（アーレフに改称）の松本智津夫（麻原彰晃）被告（４８）に対し、東京地検は２４日、東京地裁（小川正持裁判長）で開かれた第２５４回公判で、死刑を求刑した。論告で検察側は「これほどの凶悪重大犯罪を繰り返し、悲惨な結果をもたらした者はなく、わが国の犯罪史上最も凶悪な犯罪者というしかない」と指摘した。オウム事件での死刑求刑は１３人目。１０月３０、３１日に弁護側が最終弁論を行って結審し、判決は来年初めにも言い渡される見通し。　

　松本被告が指示したとされる地下鉄サリンなど１３事件では、計２７人が死亡した。９０年代の日本を揺るがしたオウム真理教の「教祖」の裁判は、初公判からちょうど７年で大きな節目を迎えた。

　検察側は論告で、「松本被告は自分への帰依と絶対的服従を弟子に求め、衆院選敗北（９０年２月）を機に、社会全体を激しく憎悪し、無差別大量殺りくに突き進んだ」と、生物兵器や化学兵器の開発など、教団が進めた武装化の経過を詳述。さらに具体的な言葉を挙げて、各事件の実行を弟子たちに指示した首謀者と断定した。

　また、松本被告の情状について「今日に至るまで、自己の非を認めるどころか、弟子に責任転嫁するなど見苦しい態度を取り続け、全く反省、悔悟の情は認められない」と厳しく非難した。

　一連の事件の動機としては「異常なまでに強烈な権勢欲と支配欲を満足させるだけのために、各犯行の指示が出された」と指摘した。死者数が２７人に上ることにも触れ、「組織犯罪の中でも組織性、計画性は群を抜き、日本の治安を根幹から揺るがした責任は極めて重大だ」と述べた。

　個別事件では、地下鉄、松本両サリン事件について「わが国犯罪史上、例を見ない凶悪な無差別大量殺りくテロで、宗教性などみじんも認められない」と非難した。坂本堤弁護士一家殺害事件では「いたいけな幼児（長男龍彦ちゃん）を含め、家族もろとも殺害した冷酷非情、卑劣極まりない犯行だ」と指弾した。　【森本英彦】

　東京地検の笠間治雄・次席検事は論告を終え「未曽有の大事件だったが、被告はほとんど何も供述せず、弁護人は何ら争点を絞ることなく熾烈（しれつ）烈な公判活動を展開したため、検察としては、総力を挙げて迅速な裁判実現のため最大限の努力をした。近い将来、国民が納得しうる判決がなされると期待している」とのコメントを発表。上祐史浩・教団代表は「死刑求刑を重く受け止め、改めて償いの思いを深めたい。信者においては、判決を前に、一人一人が心を整理して、過去の清算に努め、二度と過ちを繰り返さないことを決意する一つのきっかけにしてほしいと思う」とのコメントを出した。

「死んでおわびを」　松本サリン事件民事訴訟で中川被告

2001.02.21(19:29)asahi.com

　松本サリン事件で死亡した７人のうち４人の遺族が、オウム真理教前代表・松本智津夫被告（４５）を相手に損害賠償を求めた訴訟の口頭弁論が２１日、東京地裁で開かれた。証人尋問で元教団幹部の中川智正被告（３８）は「死んでおわびします。申し訳ありませんでした」と遺族に述べた。また、遺族側が希望していた松本被告の本人尋問について一宮和夫裁判長は、「現段階では供述を得られない」として採用しないことを決定し、次回の口頭弁論で結審する意向を示した。

　中川被告は証人尋問で、教団のサリン製造目的について「人を殺生することになる」と認めたうえで、松本被告の指示を受けて事件にかかわった状況を述べた。「あのように多くの人が死ぬとは思わなかった」としたが、「人が死んでも構わないと思っていたのか」という原告側の問いには、「教義的な背景があり、その通りです」と答えた。

新実被告、松本被告の指示で田口さん殺害認める　オウム

2001.01.24(19:19)asahi.com

　元オウム真理教幹部で、１１の事件で殺人などの罪に問われた新実智光被告（３６）の公判が２４日、東京地裁（中谷雄二郎裁判長）であり、信徒だった田口修二さんリンチ殺害事件についての被告人質問が行われた。新実被告は弁護側の質問に対し、教団前代表・松本智津夫被告（４５）の指示を受け、教団から脱会しようとしていた田口さんの殺害に加わったことを認めた。初公判から起訴事実について黙秘してきた新実被告が、事件への関与について語ったのは初めて。

　新実被告は、教団が起こした最初の殺人事件とされる田口さん事件について、「１９８９年２月４日に起きた」と述べた。田口さん事件の実行日はこれまで特定されておらず、検察側は「２月上旬」としか主張していない。

オウム・土谷正実被告の公判再開　無罪を主張

2000.12.12(19:02)asahi.com

　地下鉄サリン事件で使われたサリンの製造に関与したなどとして、殺人罪などに問われた元オウム真理教幹部・土谷正実被告（３５）の公判が１２日、約８カ月ぶりに東京地裁（服部悟裁判長）で開かれた。土谷被告は今年４月、弁護人を解任したため審理が止まっていた。裁判官の交代に伴う更新手続きで、弁護側は地下鉄、松本両サリン、ＶＸを使った３つの殺人・殺人未遂事件について、無罪を主張した。被告側が起訴事実について認否したのは、１９９５年１１月から始まった公判で初めて。

　新しく選任された弁護人は従来の弁護側冒頭陳述を修正する形で冒頭陳述を行い、サリンやＶＸを製造したことは認めながら、共謀や殺意を改めて否認した。

「生涯かけて償いを」　オウムの石井久子元幹部が会見

2000.11.19(21:29)asahi.com

　１８日早朝に和歌山市の和歌山刑務所から出所したオウム真理教（アレフに改称）の石井久子元幹部（４０）は午後、東京都内で記者会見し、「教団に戻るつもりはない」と改めて表明。「大変な犯罪を起こしてしまった教団の幹部だった１人として、深くおわび申し上げたい。生涯をかけ、できる限りの償いをしたい」と述べた。

　石井元幹部は教団前代表・松本智津夫（麻原彰晃）被告（４５）を「麻原さん」と呼び、「逮捕され、教団が数々の事件を起こしたことを認識できるようになり、麻原さんに対する信仰心が全くなくなった」と脱会を決意した理由を説明。松本被告に対しては「事件を引き起こした首謀者として過ちを認め、被害者、世間におわびして欲しい」とした。

　今後の生活については、松本被告との間に生まれた３人の子供と一緒に「静かに暮らしたい」と希望を話した。また子供や、養育を頼んでいる自分の妹に対する教団からの援助が昨年末を最後に終わったことも明らかにした。

　一方、出所後の居住先に転入届を出そうとしたものの、行政側から「厳しい」と拒まれたことも話し、「まず就職先を探さなければならないが、相当厳しいと覚悟している」と述べた。

オウムの石井久子元幹部が出所　「教団には戻らない」

2000.11.18(10:05)asahi.com

　オウム真理教の元「大蔵省」トップで、死体損壊罪などで服役していた石井久子元幹部（４０）が刑期を満了し、１８日早朝、和歌山市の和歌山刑務所を出所した。石井元幹部は「教団に戻る意思は全くない」とする自筆の文書を配り、出迎えの弁護士らとともに空路で東京に移動した。

　石井元幹部は教団前代表・松本智津夫被告（４５）の「一番弟子」と言われ、教団内で最も高い宗教的ステージの「正大師」だった。

　修行中に死亡した信徒の遺体を焼却したとして死体損壊などの罪に問われ、無罪主張していたが、昨年２月、東京地裁が懲役３年８カ月の判決を言い渡した。「一刻も早く子供との普通の生活を取り戻したい」として控訴せず、刑が確定。服役していた。

オウム信徒の大内被告に懲役８年の判決　東京地裁

2000.11.06(11:55)asahi.com

　オウム真理教信徒だった田口修二さん（当時２１）のリンチ殺害と、修行中に死亡した越智直紀さん（同２５）の遺体焼却の２つの事件で殺人と死体損壊の罪に問われた教団元幹部・大内利裕（としやす）被告（４８）に対して東京地裁は６日、懲役８年（求刑懲役１０年）の判決を言い渡した。小倉正三裁判長は、いずれの事件でも教団前代表・松本智津夫被告（４５）の指示を認定したうえで、「教団の存続、組織の拡大のために手段を選ばない犯行で、教団幹部としての責任は重い」と述べた。弁護側は控訴する方針。

　小倉裁判長はまず、教団が起こした最初の殺人事件とされる１９８９年２月の田口さん殺害で、大内被告が、教団を脱会しようとした田口さんを殺害したコンテナの外で見張りをしていたことについて、「疑問や抵抗を感じながらも、自己の意思で殺害の謀議に加わり、見張り行為を担当した」と松本被告らとの共謀を認定。「松本被告の指示は絶対的で、従わざるを得なかった」とする被告側の無罪主張を退けた。

　そのうえで、田口さん殺害の動機について、事件前に修行中に死亡した別の信徒の遺体の焼却に田口さんがかかわっていたことにふれ、「表ざたになり、当時進めていた教団の宗教法人化などに打撃を受けることをおそれ、口封じのために殺害したもので、一般信徒の生命をないがしろにした身勝手な犯行だ」と断じた。

　教団最古参幹部の一人だった大内被告は９３年にロシアに渡り、９５年７月にロシアの警察当局に身柄拘束された。９８年３月にロシアから国外退去処分を受けてキプロスに渡り、同年４月に同国で身柄拘束され、警視庁に逮捕された。

都子基金に賛助会員続々　坂本堤弁護士事件から１１年

2000.11.03(23:41)asahi.com

　横浜の坂本堤弁護士（当時３３）、妻の都子（さとこ）さん（同２９）、長男龍彦ちゃん（同１つ）の一家３人が１９８９年１１月４日未明、オウム真理教幹部らに殺害されてから１１年。ボランティア活動に熱心だった都子さんの遺志を受け継ごうと、友人らが今夏作った「都子基金」の賛助会員が２００人以上集まった。４日、友人らは基金の設立を一家の墓前に報告する。

　基金の発起人は、都子さんの母校・立教大の同級生や先輩ら５人。都子さんの父親の大山友之さん（６９）が、教団の破産に伴う配当から１０００万円を寄付し、７月に基金ができた。非政府組織（ＮＧＯ）に２００万円を送り、今は、都子さんも訪れたインドの恵まれない子供のためにシェルター作りの資金を送ったり、教材を寄贈したりする準備を進めている。

　賛助会員も次々と集まった。同大の関係者や、自らも犯罪で家族を亡くした人、高校生から９０歳のお年寄りまで様々だ。年会費は１０００円だが、大きく上回る寄付をする人も多い。

　「事件が痛々しく、前から何かできればと思っていた」などと手紙を添える人も多い。代表の逸見登久恵さん（４１）は「都子さんは一人一人の生き方を大事にする人だったが、それを許さない事件だった。基金を通し、自分たちで声をあげられる社会を作りたい」と言う。

　事務局長の人見江一さん（４３）も「学生時代に問題と感じたことも、社会人になって考えなくなったが、都子さんが生きていたら『どう思う』と疑問を投げかけられていただろう。もう一度立ち止まり、やるべきことを考え、仲間と一緒に形にしたい」と話している。

　　　　◇

　坂本一家が眠る神奈川県鎌倉市の円覚寺では３日午前、堤さんの母親のさちよさん（６８）をはじめ、親族や仲間の弁護士ら約２０人がめい福を祈った。

オウム石井服役囚が「出所後、教団に戻らない」と証言

2000.10.19(02:43)asahi.com

　元オウム真理教幹部で、元信徒に対する死体損壊などの罪に問われて懲役３年８カ月の実刑が確定している石井久子服役囚（４０）が１８日、東京地裁（服部悟裁判長）で開かれた元教団幹部遠藤誠一被告（４０）の公判に証人として出廷し、「来月で刑が満了するが、出所しても教団に復帰するつもりはない」と証言した。

　石井服役囚は自らの公判で、教団から脱会して、戻るつもりもないと述べており、この意向を改めて主張した。

　遠藤被告の弁護人から「教団と関係なく生活できる環境が整っているのか」と問われた石井服役囚は、「そうするつもりです」と述べた。

元オウム土谷被告の公判再開へ　地裁、１２月に期日指定

2000.09.15(10:32)asahi.com

　地下鉄サリン事件で使われたサリンを製造したなどとして、殺人などの罪に問われた元オウム真理教幹部の土谷正実被告（３５）の公判で、東京地裁（服部悟裁判長）は１４日、１２月１２日に期日を指定した。土谷被告が４月に弁護人を解任してから公判の審理が止まっていたが、７月に新しい弁護人が選任されたことから、８カ月ぶりに再開されることになった。

　土谷被告は初公判以来、起訴事実に関することについては黙秘を続けてきた。弁護側は、昨年１２月に行った冒頭陳述で初めて「サリンなどは製造したが、殺意はなかった」という反証方針を示して立証を始めたが、解任により止まったままとなっている。

オウム・大内利裕被告公判が結審　判決は１１月６日

2000.08.21(21:47)asahi.com

　オウム真理教信徒だった田口修二さん（当時２１）のリンチ殺害と、修行中に死亡した越智直紀さん（同２５）の遺体焼却の２事件で殺人と死体損壊の罪に問われた、教団元幹部の大内利裕被告（４８）の公判が２１日、東京地裁（小倉正三裁判長）で結審した。弁護側は最終弁論で田口事件について「大内被告は実行行為をしていないうえ、共謀も成立しない」などと述べ、「無罪、またはほう助犯にとどまる」と主張した。検察側は懲役１０年を求刑しており、判決は１１月６日に言い渡される。

　大内被告が教団前代表・松本智津夫被告（４５）らと共謀して、教団を脱会しようとした田口さんを殺害したという検察側主張に対し、弁護側は、松本被告から田口さん殺害を指示されたことは認めたが、「松本被告の指示は絶対的で、従うか否かという判断に主体的な意思を働かせる余地はなかった」などと述べ、共謀の成立を否定。「見張り役をしていた」という主張に対しても、「現場の外にはいたが、見張りをしていたことは立証されていない」と反論した。

　大内被告は最後に、約２５分間にわたって陳述し、「田口さん、越智さんのごめい福をお祈りします。ご遺族へのおわびをしていかねばと考えています。本当に申し訳ありませんでした」などと述べた。

サリン事件被害者の９割以上が身体的、精神的異常訴える

2000.08.09(20:41)asahi.com

　地下鉄、松本両サリン事件の被害者の支援活動をしている民間の「サリン事件等共助基金」（運営委員長・阿部三郎弁護士）は９日記者会見し、３月から４月にかけて３６２人の被害者に実施した無料検診の結果、約９６％の人が何らかの身体的、精神的異常を訴えた、と発表した。阿部委員長らはこの結果を受けて同日、法務、自治、厚生の各大臣に対し、国がサリン事件の被害者に対する恒久的な治療態勢を確立することなどを要請した。

　同基金によると、検診を受けた人のうち、視力の低下など目の異常と、頭痛やめまい、立ちくらみなどの身体的異常を訴えた人がそれぞれ約６割、集中力や記憶力の低下など精神的症状がある人が約３割いたという。

　阿部委員長は検診結果について、「事件から５年たっても症状は消えておらず、治療のために長い時間をかけなければ、という実感を受けた。民間の基金では限界もあり、国の積極的な関与が必要だ」と述べた。

オウム５被告に相次ぎ死刑判決/全員が控訴手続き

2000.08.05The Sankei Shimbun

林泰男被告/端本悟被告/広瀬健一被告/早川紀代秀被告/豊田亨

　六月、七月と判決ラッシュとなったオウム真理教の元幹部らに対する裁判。この間、七被告に判決が宣告され、このうち五被告に求刑通りの死刑判決が下った。五被告は法廷で一様に罪を反省、死への覚悟を口にしていたが、五日までに全員が控訴手続きを取った。「死ぬ前にもっと証言したい」「覚悟していたが弁護士に説得され…」。死刑判決を前に、人間はどんな思いにとらわれるのだろうか。控訴に至る被告らの周辺を取材すると、それぞれの被告の思いを垣間見ることができる。(赤堀正卓)

●法定でもっと証言したい

　地下鉄事件で死刑判決を受けた林泰男被告(四二)(地下鉄サリン事件、サリン散布役)は、自ら拘置所で控訴手続きを取った。

　林被告は法廷では「大悪業の当然の報いとして自分の死を身近に感じている」と、死刑を覚悟する言葉を述べ、判決当日も「死刑を覚悟した表情だった」(弁護人)。供述と異なる態度(控訴)は、弁護人によると「判決前から被告自身が控訴する意志を示していた」という。判決の一週間後に面会した弁護人が、「何か思いがあるのなら控訴した上で、思いを文章にまとめ控訴趣意書に書くようにアドバイスした」ようだ。

　被告の控訴理由が何であったか。弁護人は「控訴審で明らかにすること」と口を閉ざすが、関係者からは「死ぬ前に公判を通じて証言しておきたいことが多くあるようだ。死刑を避けようとは思っていない」という話が伝わってくる。

●端本・豊田・広瀬被告

　弁護士から説得されて…

　残る四被告の控訴はすべて「立場上、死刑をおいそれとは受け入れられない」とする弁護人によって行われた。とはいえ、被告本人が控訴に積極的か、消極的かには色合いの違いがあったようだ。

　林被告と正反対の態度を取ったのが端本悟被告(三三)(坂本弁護士一家殺害事件・松本サリン事件、実行役)だ。「被害者に申し訳ない。死をもって償う」と頑として控訴に反対した。

　判決後の十日間、弁護人が連日のように接見し、「教団信者の脱会活動に協力するなど、死よりは生きて償えることがあるはずだ」と説得。「最後は説き伏せて控訴となった」(弁護人)という。

　豊田亨被告(三二)(地下鉄事件、サリン散布役)も死刑を受け入れるつもりだった。被害者への手紙に「私の行為を考えれば死刑でもなお甘すぎる」と書き、弁護人にも「死刑でも自らは控訴することはない」と伝えていた。しかし「われわれとしては死刑は見過ごせないし、判決では教義を信じ込んでしまうプロセスなどをもっと踏み込んで言及してもらいたかった不満がある」とする弁護人によって控訴手続きが取られた。

　控訴を知らされた豊田被告は「争うことは何もない。でも弁護士の先生のされたことですから」と、従う様子だったという。

　やはり控訴には消極的だったと伝えられる広瀬健一被告(三六)(地下鉄事件、サリン散布役)も、弁護人が同様の理由で控訴した。

●早川被告　判決前から方針固める

　判決前から控訴の方針を固めていたのが早川紀代秀被告(五一)(坂本弁護士一家殺害事件、実行役)。本人、弁護人ともに死刑判決を覚悟しており、判決前から弁護人が「死刑のときは控訴するから」と伝えていた。

　死刑宣告後の法廷で、高揚で顔を赤くした早川被告に弁護人が駆け寄り、「控訴するよ。やるからな」と伝えると、被告は二度三度と小刻みにうなずいた。弁護人はその場で、控訴状を書記官に提出した。弁護人は「遺族から見たら違う感情もあるだろうが、弁護団としては被告に『一日でも長く生きろ』といいたい」と話す。

　死刑を求刑された被告の中で唯一、無期判決が言い渡された井上嘉浩被告(三〇)(地下鉄事件、後方支援役)＝検察側が控訴＝は、死刑判決になった場合には、弁護人が「被告の意志とは関係なく弁護人控訴を行うつもりだった」ようだ。判決前に拘置所でそれを伝えた弁護人に被告は「よろしくお願いします」と、死刑だった場合の控訴を了解したという。

死刑判決「人倫のかけらもない」/早川被告、断罪にほお紅潮させ

2000.07.28 The Sankei Shimbun

「死刑に処する」－。主文の宣告に、オウム真理教の「黒幕」と呼ばれた教団元幹部、早川紀代秀被告(五一)の顔が高揚で赤くなった。二十八日、東京地裁で行われた早川被告の判決公判。裁判長は被告の犯行を「人倫のかけらもうかがわれない冷酷、無残」と厳しい言葉で指摘した。極刑の判決に、事件の遺族らは「被害者は戻ってこない」と、複雑な感想をもらした。

　午後零時十分、早川被告は大法廷の中央にある証言台前に背筋をまっすぐに伸ばした姿勢で死刑宣告を受けた。

　裁判長に向かって頭を下げた被告人のところに、弁護人が駆け寄って「すぐに控訴するから」と弁護人控訴の確認をする。早川被告は、二度三度とうなずきながら応じると、傍聴席に軽く一礼して法廷を後にした。

　上下グレーのスーツ姿の早川被告はこの日、午前十時過ぎに入廷。「冷酷無情」「唯我独善」「未曾有の凶悪さ」といった厳しい言葉が並んだ二時間に及ぶ判決言い渡しを、体を固くして聞いた。

　判決では坂本弁護士一家殺害事件に多くの時間が割かれた。裁判長はＴＢＳ(東京放送)が坂本さんとの取材ビデオを教団側に見せたことが事件のきっかけの一つと位置付け、早川被告が教団側の窓口としてビデオの放映中止を働きかけていたことなどを指摘。一家三人の命を奪った犯行を「あまりに短絡的、独善的」と非難した。

　早川被告は大阪府立大大学院を経て大手ゼネコンに入社。昭和六十一年にオウムに入信した。社会人としての経験も豊富で、教団では異色の存在だ。麻原被告の信頼も厚く、「教団武装化」に大きな役割を果たした。

　またロシアへ二十回以上も渡航。教団の資金力に物を言わせ、ロシア政界や軍幹部と親交を重ねて人脈を築き、自動小銃密造のための情報を入手するなどした。核兵器の開発計画にも関与し、オーストラリアでウラン鉱の採掘権を取得するなどした。

オウム中川被告「私が殺した可能性」　都子さん殺害で

2000.07.28(01:09)asahi.com

　坂本堤弁護士一家殺害事件など１１事件で殺人罪などに問われたオウム真理教元幹部の中川智正被告（３７）に対する公判が２７日、東京地裁（岡田雄一裁判長）であり、坂本事件について弁護側が冒頭陳述と被告人質問をした。被告・弁護側は、教団前代表の松本智津夫被告（４５）が坂本弁護士殺害の謀議をした場で、殺害を意味する宗教用語の「ポア」ではなく、「やる」などという直接的な言葉で指示したとほかの被告と異なる主張をした。さらに、妻の都子（さとこ）さんの殺害について「私が（首を）絞めている最中に奥さんが亡くなった可能性が高いと思う」と述べた。

　坂本事件の実行犯とされた５被告のうち、自らの行為が直接の死因になったことを認めたのは初めて。中川被告はこれまで、坂本事件について証言拒否を繰り返していた。

　この日の被告人質問で中川被告は、事件の２日前に実行犯らが松本被告の部屋に集められ、教団を批判する記事を掲載していた週刊誌「サンデー毎日」の当時の編集長だった牧太郎さん（５５）について、松本被告や故・村井秀夫幹部が話し合った結果、殺害する計画になったと供述。その際の松本被告の指示について「宗教的な言葉を使わず、『やる』とかそういう言葉を使った。殺すという意味は分かった」と述べた。

　しかし、「牧さんがなかなか家に帰らない」という話が出た際に、松本被告が突然「『坂本弁護士はどうだ』と言った」と述べ、殺害対象が坂本弁護士に変わったと主張した。

　坂本弁護士の名前が出た理由については「説明はなかった」と話し、「松本被告が『将来、教団にとって大きな障害となる』『ポアしなければならない』と述べた」という検察側や共犯被告らの主張とは異なる供述をした。

　犯行の状況については、村井幹部が都子さんの首を絞めていたのを見て、「けい動脈を押さえなければ」と自分から言い、村井幹部が「代わってくれ」と答えたため、柔道の絞め技を使って首を絞めたと供述。「私が絞めている間に奥さんが亡くなった可能性が高いと思う」と述べた。

　また、坂本弁護士宅に押し入ったところ、長男の龍彦ちゃんが泣き出したために口にタオルを当てたことも認めた。「『子供を何とかしろ』という声が聞こえた」といい、「現場でだれかが発声した声ではないのか」という弁護人の質問には「そうではなかった」と話し、「最初に神秘体験をしたときに聞いた声と一緒だった」と述べた。

坂本事件の元オウム信徒・端本悟被告、２５日に判決

2000.07.23(20:02)asahi.com

　坂本堤弁護士一家殺害、松本サリンなど３事件で殺人、殺人未遂などの罪に問われ、死刑を求刑されている元オウム真理教信徒・端本悟被告（３３）に対する判決公判が２５日午前１０時から東京地裁（永井敏雄裁判長）で開かれる。端本被告は大筋で起訴事実を認めているが、松本サリン事件については「サリンで死者が出るとは思わなかった」と述べ、弁護側も「殺意がなく、殺人罪は成立しない」と主張している。

　端本被告は坂本事件、松本事件の「実行役」を務めたとされるほか、教団がサリンの大量生産を目的に造ろうとしたプラントの建設にかかわったとして、殺人予備罪にも問われている。

　坂本事件ではこれまでに殺人罪に問われた６被告のうち岡崎一明被告（３９）に死刑が言い渡され、同被告側が控訴している。また、松本事件では殺人、殺人未遂罪に問われた７被告のうち富田隆被告（４２）に懲役１７年の判決＝検察側、被告側の双方が控訴＝が言い渡されている。

オウム密造の自動小銃に「殺傷能力あった」　公判で証言

2000.07.20(00:54)asahi.com

　オウム真理教前代表の松本智津夫被告（４５）の第１６５回公判が１９日、東京地裁（阿部文洋裁判長）であり、教団が自動小銃を密造しようとした武器等製造法違反事件の審理が行われた。山梨県上九一色村の教団施設から押収された自動小銃を鑑定した警視庁科学捜査研究所の研究員が証人として出廷、「発射された弾丸の速度は秒速約８５０メートルで、殺傷能力は十分あった」と証言した。

　この事件で教団は１０００丁の自動小銃を密造しようとして部品を製造し、実際に１丁組み立てたとされる。鑑定人は押収された教団製造の小銃について、旧ソ連製の「ＡＫ―７４」と比べ、口径が０．０５ミリ小さいものの、ほぼ同じ形状だと証言。ＡＫ―７４用の実包をヤスリで削って発射実験をしたところ、「３、４回目で発砲できた」という。

　ＡＫ―７４から発射された弾丸の速度は秒速約９００メートルという。

地下鉄サリン事件の２被告に死刑判決　東京地裁

2000.07.17(22:32)asahi.com

　１２人が死亡し、５０００人を超す負傷者が出た地下鉄サリン事件などをめぐり、サリン散布による殺人罪などに問われた元オウム真理教幹部の豊田亨（３２）、広瀬健一（３６）両被告に対し、東京地裁は１７日、求刑通り死刑を言い渡した。散布役を送迎したとして同じ罪などに問われた杉本繁郎被告（４１）に対しても、求刑通りの無期懲役とした。山崎学裁判長は豊田、広瀬両被告について、自らの意思で教団前代表の松本智津夫被告（４５）の指示に従い、犯行を実行したと指摘し、「独善的な教義を妄信して大量殺人に関与することを決意したもので、弁解の余地はない」などと死刑を選択した理由を述べた。

　一連の事件でこれまでに死刑判決を受けたのは、散布役の横山真人（３６）、林泰男（４２）の両被告、坂本堤弁護士一家殺害事件などの実行犯の岡崎一明被告（３９）＝いずれも控訴＝に続き計５人となった。地下鉄事件では、無期懲役が確定した林郁夫服役囚（５３）を含め、５人の散布役全員に判決が言い渡された。

　公判は午前１０時に始まり、山崎裁判長は判決理由から朗読した。午後３時過ぎに主文を告げた。

　山崎裁判長は、地下鉄事件について、松本被告を首謀者とした組織的で計画的犯行と認定。総指揮をとった故村井秀夫幹部が豊田、広瀬両被告らにサリン散布を命じ、両被告が「尊師（松本被告）の指示は絶対的で、救済につながる」と信じて犯行を決意したと指摘した。

　杉本被告についても、疑問を感じていたものの既に２人の信徒殺害に関与していたことなどから「今更逃げ出すこともできない」と考え、送迎役を務める決意をした、と述べた。

　一方、松本被告らとの共謀については、各被告の動機や謀議に参加したことを挙げ、「共謀は成立していない」という弁護側の主張を退けた。さらに、「犯行当時はマインドコントロール（心理操作）を受けていて、責任能力が減退していた」という主張についても「犯行の指示にちゅうちょを感じつつも、自己の意思で松本被告の指示に従っており、責任能力を問題視する事情はない」と否定した。

　最後に山崎裁判長は、豊田、広瀬両被告について「真しな反省と謝罪の気持ちには偽りがない」と述べたものの、「刑事責任はあまりに重大で、極刑をもって臨まざるを得ない」と結論づけた。

地下鉄サリン「散布役」豊田、広瀬被告ら１７日判決

2000.07.16(12:49)asahi.com

　１９９５年３月の地下鉄サリン事件で車内にサリンを散布したなどとして殺人罪などに問われ、死刑を求刑された元オウム真理教幹部の豊田亨（３２）、広瀬健一（３６）両被告と、散布役の林泰男被告（４２）＝一審死刑、控訴＝を送迎したとして殺人罪などに問われ、無期懲役を求刑された杉本繁郎被告（４１）に対する判決公判が１７日午前１０時から東京地裁（山崎学裁判長）で開かれる。

　地下鉄事件の５人の散布役に対してはこれまでに林泰男被告のほか、自首が認められた林郁夫服役囚（５３）に無期懲役判決＝確定＝、横山真人被告（３６）に死刑判決＝控訴＝が言い渡されており、これで一審判決が出そろうことになる。また、送迎役では北村浩一（３２）、外崎清隆（３６）両被告に無期懲役判決が言い渡され、ともに控訴している。

　３被告はいずれも起訴事実を認めているが、豊田、広瀬両被告の弁護側は地下鉄事件について「教団の修行や出家後の生活を通して善悪を判断できない状態になっていた」「教団前代表の松本智津夫被告の指示に反することが不可能だった」「ほかの実行犯との共謀は成立していない」などと主張し、死刑回避を求めている。また、杉本被告の弁護側も「送迎役は犯行に不可欠ではなく、ほう助犯にとどまる」などと主張している。

林泰男被告が控訴　地下鉄サリン事件

2000.07.13(21:39)asahi.com

　地下鉄サリン事件の散布役などとして殺人罪などに問われた元オウム真理教幹部の林泰男被告（４２）は１３日までに、東京地裁の死刑判決を不服として東京高裁に控訴した。林被告は地下鉄サリン事件のほか、松本サリン事件で使われた噴霧車の製作にかかわったとして殺人ほう助と殺人未遂ほう助の罪に、新宿青酸事件では殺人未遂罪に問われた。一審判決は林被告が反省していることなどを評価しながらも、「酌むべき事情を最大限に考慮しても、極刑をもって臨むしかない」と結論づけていた。

オウム・林泰男被告に死刑判決　東京地裁

2000.06.29(18:21)asahi.com

　１２人が死亡し、５０００人を超す負傷者が出た地下鉄サリン事件で、地下鉄車内にサリンを散布したなどとして計３事件で殺人などの罪に問われた元オウム真理教幹部・林泰男被告（４２）に対する判決公判が、２９日午前１０時から東京地裁で開かれ、木村烈裁判長は午後、求刑通り死刑を言い渡した。木村裁判長は、地下鉄事件での被告の行動について「教団の存続を目的とし、かつ自分の修行が進むことも考えて実行した」と指摘。「散布役の中でも積極的に関与し、８人を死亡させるという格別に重い結果を生じさせた」と述べた。

　　　　　　　　◇

　教団「科学技術省」の幹部だった林被告は１９９５年５月に地下鉄事件で指名手配されてから、９６年１２月に沖縄・石垣島で逮捕されるまで、約１年半にわたって逃走を続けた。地下鉄事件のほか、松本サリン事件で使われた噴霧車製作に関与したとして殺人ほう助、殺人未遂ほう助の罪と、新宿駅に青酸ガス発生装置を仕掛けたとする殺人未遂罪にも問われた。

　この日、木村裁判長は「先に理由から行いますので元の席に戻ってください」と述べ、主文の宣告を後回しにして判決理由の読み上げを始めた。正午前にいったん休憩に入る異例の措置をとり、午後１時１５分から再開した。

　木村裁判長は、地下鉄事件について、教団前代表・松本智津夫被告（４５）が首謀者だったとし、５人の散布役のうち、林被告がほかの散布役より１袋多い３袋のサリンを車内に持ち込み、ビニール傘で４回以上突き刺して、その路線だけで８人が死亡した事実を認定。「犯行を成功させようと積極的になしたと言わざるを得ない」と述べた。

　そのうえで「断ったら松本被告から疑われ、交際していた女性信徒との関係や松本被告への不信が発覚し、自らも殺されるおそれがあった」として積極的な参加を否定していた林被告側の主張について検討。「松本被告への不信と恐怖は公判で主張するほど深刻なものではなかった」と述べ、「当時、松本被告への帰依心を失っていたとは到底認められず、松本被告への恐怖心からやむを得ずその指示に従ったとはみることができない」とした。

　また、松本事件で使われた噴霧車の認識については、「サリンが毒ガス化学兵器であることを知っており、噴霧車が不特定多数者を殺害するために用いられることを未必的に認識していた」と指摘。「噴霧車の目的がサリンをまくことであることは知らず、ほう助犯にはあたらない」とする被告弁護側の無罪主張を退けた。

オウム・井上嘉浩被告に無期懲役判決　東京地裁

2000.06.06(23:54)asahi.com

　１２人が死亡し、５０００人を超える負傷者を出した地下鉄サリン事件など１０事件で殺人などの罪に問われ、死刑を求刑された元オウム真理教幹部の井上嘉浩被告（３０）に対し、東京地裁は６日午後、無期懲役の判決を言い渡した。井上弘通裁判長は、地下鉄サリン事件での被告の役割について、検察側が主張する「現場指揮役」とは認めなかったものの、「犯行の遂行にあたって他の者では果たせない重要な役割を果たしていた」と指摘した。しかし、「反省悔悟はしんしで顕著」「地下鉄サリン事件では自ら実行行為を行っていない」などと述べ、「極刑を選択するにはいくぶんかのちゅうちょを感じる」と結論付けた。検察側は控訴する方針。

　井上被告は、教団「諜報（ちょうほう）省」トップで教団前代表・松本智津夫被告（４５）の「側近中の側近」と言われた。この日の判決は他の被告の公判にも影響を与えそうだ。

　この日午前１０時に開廷し、井上裁判長は主文の宣告に先だって３時間以上にわたって判決理由を朗読した。

　井上裁判長は、地下鉄サリン事件について、教団への強制捜査を恐れ、松本被告らが順次共謀して計画したと認定。井上被告の役割を、「現場指揮役としての独自の決定や指示は見あたらない」としたものの、実行役が集結するアジトを提供▽犯行に使う車を調達▽散布役と送迎役に故・村井秀夫幹部の指示を伝えた――などを挙げ、「諜報省長官としての能力がなければ短時間に犯行準備はできなかった」と指摘した。

　また、松本被告や井上被告らが計画を決めたとされた東京から山梨県上九一色村に向かう車中の「リムジン謀議」については「井上被告に現場指揮などの指示はなかった」として、共謀を否定した。一方で「井上被告がサリンをまくことを言いだしたことが契機となった」とし、本来の犯行メンバーでないのに犯行に加担していった井上被告の行動などを挙げて共謀共同正犯の成立を認めたものの「責任は非常に重いが、実行役と同一視するまでは言えない」と述べた。

　さらに、当時の井上被告の心理状態について、採用した西田公昭・静岡県立大講師の心理鑑定について検討。「修行を通してマインドコントロールを受け、松本被告の命令に反することができなかった」との鑑定結果に対し、「松本被告によって思考や行動をかなり制約される状況にあったが、自己決定を否定され、絶対服従する状態にまでは至っていない」と判断。「有利な情状の一つとして評価できる」とした。

　また、目黒公証役場事務長の監禁事件では「死亡と監禁行為に因果関係はなく逮捕監禁罪にとどまる」とし、検察側主張の逮捕監禁致死罪の成立を否定した。

「自分の意思ない状態」

2000年5月16日 17時57分共同

　地下鉄、松本両サリン事件など計九事件で殺人罪などに問われた元オウム真理教幹部遠藤誠一被告(39)の公判が16日、東京地裁（服部悟裁判長）で開かれ、弁護側が冒頭陳述を行い「松本智津夫被告(45)＝教祖名麻原彰晃＝のマインドコントロール下で、自分の意思で考えられない状態にされていた｣と述べた。

オウム真理教の土谷被告が弁護人を解任

2:48p.m. JST April 25, 2000

　オウム真理教の元幹部でサリンを製造したなどとして、殺人罪などに問われている土谷正実被告（３５）の公判が２５日、東京地裁（服部悟裁判長）であり、土谷被告が２４日付で、ただ１人の弁護人を解任したことが明らかになった。これにより、同被告の審理は、当分進まない見通しとなった。

　土谷被告は解任の理由について、「これまで主に弁護人と手紙でやりとりをしてきたが、弁護人が忙しく、十分打ち合わせができなかった。新しい弁護人には、主に拘置所に来てもらいたい」と説明。新しい弁護人については「尊師（教団前代表・松本智津夫被告）の弁護士とまず、お話ししたい」と述べ、複数の私選弁護人を考えている、とした。服部裁判長は、同被告に早急に選任するよう求めた。

　土谷被告は初公判以来、罪状について黙秘を続けてきた。弁護側は、昨年１２月に行った冒頭陳述で初めて「サリンなどは製造したが、殺意はなかった」という反証方針を示して、立証を始めていた。

サリン被害者を無料検診

2000年3月18日 17時46分

　地下鉄サリン事件の被害者を対象に、民間の「サリン事件等共助基金」が呼び掛けた無料検診が18日、東京都足立区役所で実施された。同基金はオウム真理教（アレフに改称）の破産管財人阿部三郎弁護士らが運営、国の被害者への補償が進まないため、独自に検診に乗り出した。

地下鉄サリン事件の被害者支援を考えるシンポジウム

8:48p.m. JST March 04, 2000

　２０日で発生から５年がたつ地下鉄サリン事件の被害者支援を考えるシンポジウムが４日、東京都内で開かれた。被害者の検診などに取り組む民間の「サリン事件等共助基金」が主催。基金運営委員長の阿部三郎弁護士は「国などによる支援の仕組みができあがるのは、何年先になるか分からない。まず基金の検診に協力してくれる医療機関や自治体に援助を求めたい」と述べた。

　被害者の多くが頭痛やめまい、心的外傷後ストレス障害（ＰＴＳＤ）などの症状に今も悩まされている現状が取り上げられ、パネルディスカッションでは、被害者が「早く事件のことを忘れたほうがいい」と声をかけられたことでさらに傷ついた例なども紹介された。国による検診や治療が実施されていないことに対する批判も相次いだ。

　聴衆の中には被害者もおり、「いまだに頭の痛みが取れないが、運動などをして気をまぎらしている」「加害者に対する国によるきぜんとした制裁がない限り被害者はいやされない」などの意見が出た。

「サリン原料は井上被告に」オウム中川被告の弁護側陳述

2:04p.m. JST February 28, 2000

　地下鉄、松本両サリンや目黒公証役場事務長仮谷清志さん監禁致死など１１事件で殺人罪などに問われたオウム真理教元幹部・中川智正被告（３７）の公判が２８日、東京地裁（岡田雄一裁判長）であり、地下鉄事件と仮谷さん事件について弁護側が反証の方針を示す冒頭陳述をした。地下鉄事件で、事件に使われたサリンの製造について、同被告が保管していたサリン中間生成物の「メチルホスホン酸ジフロライド（ジフロ）」が使われたとする検察側の構図に対し、弁護側は、ジフロは元幹部の井上嘉浩被告（３０）が保管していたと反論した。

　残りの事件については今後の公判で冒頭陳述をする。中川被告はこれまで地下鉄事件の詳細について「いずれ明らかにする」と証言や供述を拒否してきた。弁護側はこの日、サリン製造にかかわったことは認めたが、「事件に使われることは知らなかった」と主張した。井上被告は、ジフロを保管していたことを、これまでの公判で一貫して否認している。

　検察側は教団前代表の松本智津夫被告（４４）が１９９５年１月、中川被告らに教団が保管していたサリンを処分するよう命じた際に、中川被告がジフロ約１．４キロを処分するのが惜しくなって、施設内に隠して保管し、これを使って地下鉄にまいたサリンが製造された、と主張している。

　これに対して弁護側はこの日、中川被告が処分を終えた後、ジフロ約１リットルが発見されたため、井上被告に渡した、と反論。その後、中川被告は地下鉄事件直前に故村井秀夫幹部からサリンを作るためとしてジフロを渡されたが、これは井上被告が拠点としていた東京都内の住宅で保管されていたものと同じだった、と述べた。

　ジフロの保管を巡っては、松本被告の公判で「地下鉄事件は松本被告の指示で起こされた」と主張している井上被告について、弁護団がその証言の信用性を否定する問題として注目し、たびたび取りあげてきた経緯がある。

信者リンチ殺害審理入り

2000年2月9日 17時53分共同通信社

　オウム真理教（アレフに改称）の松本智津夫被告(44)＝教祖名麻原彰晃＝の第145回公判が９日､東京地裁で開かれ、信者富田俊男さん＝当時(27)＝リンチ殺害事件の審理が始まった。

　この日は、実行犯とされる元幹部杉本繁郎被告(40)が検察側証人として出廷。｢松本被告も共犯者」と指摘し、富田さんが松本被告から｢水に毒を入れた」と疑われ､自白させようとした状況を証言した｡

サリン被害者に無料検診

2000年1月25日 17時56分共同通信社

　オウム真理教（アレフに改称）による事件の被害者支援を続けている「サリン事件等共助基金」代表の阿部三郎弁護士らは25日、地下鉄、松本両サリン事件の全被害者を対象に３月から４月にかけて東京、埼玉で無料検診を実施することを明らかにした。両事件の重軽症者は計5000人を超えるとみられ、今も不眠などの後遺症や自覚症状に悩む被害者は多いという。

地下鉄サリン事件の民事訴訟が結審

2:08p.m. JST January 13, 2000

　地下鉄サリン事件の遺族や被害者ら４１人が、事件にかかわったとされる教団元幹部の井上嘉浩被告（３０）ら７人を相手取り、総額６億６８００万円余の損害賠償を求めている訴訟が１３日、東京地裁（西岡清一郎裁判長）で結審した。１９９５年１０月の第１次提訴以来、４年余りぶりで、判決は３月９日に言い渡される予定。当初は、教団や前代表・松本智津夫被告を含む計１６被告が対象となったが、途中で一部の被告が欠席判決を受けたり認諾したりしたことにより、７被告が残った形となっている。

　原告の１人で、事件で夫を失った高橋シズヱさんは法廷後の記者会見で「民事裁判はかかわった被告たちに直接謝罪をしてもらう場所だと考えていたが、刑事裁判の場も含めて、かかわった被告たちの半数ぐらいからしか、謝罪の言葉が聞けていない。教団がいまだに存続して騒がれていることがむなしいし、存続のための策を練っているというのに憤りを感じる」と話した。

オウムの井上被告に死刑を求刑　地下鉄サリン事件などで

4:49p.m. JST December 24, 1999

　地下鉄サリン事件や猛毒の化学剤ＶＸを用いた殺人事件、都庁爆弾事件など９事件にかかわったとして殺人や殺人未遂罪、爆発物取締罰則違反などに問われているオウム真理教元幹部・井上嘉浩被告（２９）に対する論告求刑公判が２４日午前１０時すぎから、東京地裁（井上弘通裁判長）で始まり、午後まで続いた論告のあと、検察側は死刑を求刑した。検察側は論告で、井上被告の地下鉄サリン事件での役割を「現場指揮者」と位置づけるなど、被告が教団の数多くの違法行為に深くかかわってきたと指摘した。

　井上被告はほかに、目黒公証役場事務長監禁致死や元信徒落田耕太郎さんリンチ殺害などにもかかわったとして起訴されている。論告で検察側は、教団の「諜報省」トップだった被告がかかわってきた違法行為を列挙。地下鉄サリン事件については「実行犯たちに犯行の詳細を指示するなど終始積極的に活動している」などと主張した。

オウムの豊田、広瀬被告に死刑を求刑　地下鉄サリン事件

10:14p.m. JST December 07, 1999

　１２人の死者と５０００人を超える負傷者を出した１９９５年３月の地下鉄サリン事件などで、殺人や殺人未遂の罪などに問われたオウム真理教元幹部の豊田亨（３１）、広瀬健一（３５）、杉本繁郎（４０）の３被告に対する論告求刑公判が７日、東京地裁（山崎学裁判長）であった。論告で検察側はサリンを散布したとされる豊田、広瀬両被告について「謀議や準備行為に深く関与したうえ、サリン散布という中核部分を担った刑事責任は余りにも重大で、極刑をもって臨むほかない」と述べ、死刑を求刑。散布役を送迎したとされる杉本被告には無期懲役を求刑した。最終弁論は来年３月２日の予定。

　検察側は、杉本被告についても「運転手として計画通り犯行を遂行させた責任は誠に重大だ」としたものの、「豊田、広瀬両被告の役割と比べて、おのずから差異があり、量刑上考慮せざるを得ない」と、無期懲役を求めた理由を述べた。

　この事件では、教団前代表の松本智津夫被告（４４）ら１４人が殺人と殺人未遂罪で起訴された。検察側は散布役には死刑、送迎役には無期懲役という求刑の基準で臨んでおり、これに沿った形となった。散布役では、横山真人被告（３６）に死刑判決＝控訴中＝が言い渡されているほか、林郁夫服役囚（５２）は自首が認められ、無期懲役が確定している。

　３被告側は、いずれも起訴事実を大筋で認めながら、松本被告らとの共謀を否認し、巧妙な心理操作により自己判断ができなくなる「マインドコントロール」下にあった、と主張している。これに対し検察側は、この日の論告で共謀の成立を指摘したうえで、被告らが現場を下見したり、変装用衣服を購入したりしたことなどを挙げ、「３被告は教団幹部として、松本被告から評価されたいとの自己の欲求を満たすため、積極的かつ能動的に一連の犯行を敢行した」と述べた。

井上被告に24日求刑

1999年12月6日 19時41分共同通信社

　地下鉄サリンをはじめ信者殺害､ＶＸ殺人、目黒公証役場事務長監禁致死など計10事件で殺人、殺人未遂罪などに問われたオウム真理教元幹部井上嘉浩被告(29)の公判が６日、東京地裁（井上弘通裁判長）で開かれ、証拠調べが終了した。24日に論告求刑が行われる｡

　井上被告はこの日、裁判官の質問に答え「まず人としてどうあるべきかを考えることが大切なのだと気づいた。」と述べた。

「リムジン謀議は４人」と検察が説明　地下鉄サリン事件

3:31p.m. JST December 06, 1999

　オウム真理教元幹部の井上嘉浩被告（２９）の公判が６日、東京地裁（井上弘通裁判長）であり、検察側が、地下鉄サリン事件の共謀が成立する過程について説明した。事件２日前の１９９５年３月１８日にリムジン車内で幹部らが乗り合わせた際、教団前代表の松本智津夫被告（４４）、故村井秀夫幹部、遠藤誠一被告（３９）、井上被告の４人の間に共謀が成立し、同乗していた青山吉伸被告（３９）と、教団法皇官房の実質的トップの男性（３０）については共謀が成立しない、との認識を示した。弁護側の求釈明に答えた。

　同事件をめぐっては、この車中での謀議が松本被告の指示、命令を裏付ける重要な場面として検察側が位置づけている。これまで、乗り合わせた全員について共謀が成立するのか否か注目されていたが、検察側が法廷で具体的に２人の共謀が成立しないことを明らかにしたのは初めて。青山被告と元幹部の男性は、同事件では起訴されていない。

オウム・林泰男被告の証拠調べ終了

　１２月１０日に論告 03:09a.m. JST October 23, 1999

　地下鉄、松本両サリンと新宿青酸ガスの３事件で殺人や殺人未遂などの罪に問われているオウム真理教元幹部・林泰男被告（４１）に対する第２５回公判が２２日、東京地裁（木村烈裁判長）であり、１９９７年６月２６日の初公判以来続いてきた証拠調べが終わった。論告求刑公判は１２月１０日に開かれる予定。検察側はこれまで、地下鉄の車内でサリンを散布した他被告に対する求刑の中で「特段の事情がない限り極刑で臨むしかない」との方針を示しており、林被告に対しても厳しい求刑が予想される。

　林被告は、３路線５列車で計１２人の死者が出た９５年３月２０日の地下鉄サリン事件で、５人の散布役の１人として日比谷線の車内でサリン入りのナイロン袋を傘の先で突き刺してサリンを散布し、８人の死者を出したとされる。また、東京・新宿の地下街のトイレに青酸ガス発生装置が仕掛けられた同年５月の事件で犯行の計画立案や事前の下見を担当したほか、９４年６月の松本サリン事件ではサリン噴霧車を製作したとされている。林被告は公判で、大筋で起訴事実を認めている。

　地下鉄サリン事件の散布役５人のうち、林郁夫服役囚（５２）には、自首による「特段の事情」を認めて求刑通り無期懲役とする判決が確定している。一方で、検察側は横山真人被告（３６）には死刑を求刑し、９月に求刑通りの判決が出て、被告側が控訴している。

　残る散布役のうち、豊田亨被告（３１）には年内にも論告求刑が行われる見通しだが、広瀬健一被告（３５）については体調がすぐれないため公判期日が無期限で延期された状態になっている。

オウム教団元幹部の検事調書を初めて採用　松本被告公判

03:03a.m. JST October 22, 1999

　オウム真理教前代表・松本智津夫被告（４４）に対する２１日の公判で、東京地裁（阿部文洋裁判長）は教団元幹部の検事調書２通を証拠として採用した。元幹部の検事調書の採用は、同公判では初めて。阿部裁判長は、刑事訴訟法で採用の条件として示されている「公判での供述がそれより前の供述（調書）と異なり、前の供述の方を信用する特別な事情があるとき」にあたると判断した。

　採用されたのは、端本悟被告（３２）の松本サリン事件での実行行為についての調書と、松本被告が同事件を起こした動機とされる長野地裁松本支部での民事訴訟について供述した青山吉伸被告（３９）の調書。

　端本被告は松本被告の公判で「調書は検事の作文だ」と話した。また、青山被告も「民事訴訟は同事件の動機ではない」と述べており、弁護団は「公判の内容の方が信用できる」と主張していた。

オウム手配者に懸賞金

1999年10月19日 19時23分共同通信社

　逃亡中のオウム真理教特別手配容疑者３人の情報提供を呼び掛けるため警視庁のＯＢ団体が19日､「有力な情報には１人200万円､総額600万円の懸賞金を出す」と発表した。オウム手配者への懸賞金は初めて。

　対象は平田信(34)、高橋克也(41)、菊地直子(27)の３容疑者。

オウム横山被告が控訴　地下鉄サリンで死刑判決

6:58p.m. JST October 12, 1999

　地下鉄サリン事件でサリンを散布したとして殺人、殺人未遂罪などに問われたオウム真理教元幹部・横山真人被告（３５）の弁護人は１２日、死刑を言い渡した９月３０日の東京地裁判決を不服として、東京高裁に控訴した。理由について「殺意を認めた点で事実誤認があり、同じ散布役で無期懲役刑が確定した林郁夫服役囚に比べて量刑も不当だ」などとしている。

　弁護団によると横山被告は判決直後、「自分は本当のことを言っているのに、うそをついていると言われた」と判決に不満を漏らす一方で、「被害者のことを考えると、死刑になった方が少しでも納得してもらえるのかな」とも話していたという。

地下鉄サリン事件の広瀬被告、公判の期日延期

03:06a.m. JST October 09, 1999

　地下鉄サリン事件でサリンを散布した一人として殺人、殺人未遂の罪などに問われているオウム真理教元幹部・広瀬健一被告（３５）が、精神的に不安定な状態が続いているため、東京地裁刑事６部（山崎学裁判長）は８日、予定していた公判期日を取り消し、延期することを決めた。次回期日は未定。年内にも論告求刑が行われる見通しだったが、大幅に遅れそうだ。

　弁護団によると、広瀬被告は５月下旬ごろから調子を崩し、６月下旬には言葉が出なくなった。９月下旬からは弁護団との接見もないという。

　同被告は公判で罪を認め、謝罪してきた。弁護団は「公判の終盤で被害者の証言を聴いたことなどが影響したのではないか」と話し、地裁に対して「訴訟当事者としての能力を欠いている」として刑事訴訟法に基づく公判手続きの停止を求めた。

オウム・松本被告「私は無罪」　弟子公判で初の証言

9:25p.m. JST September 22, 1999

　地下鉄サリン事件に関与したとして殺人と殺人未遂などの罪に問われているオウム真理教元幹部の豊田亨（３１）、杉本繁郎（４０）両被告に対する公判が２２日、東京地裁（山崎学裁判長）で開かれ、弁護側証人として出廷した教団前代表・松本智津夫（麻原彰晃）被告（４４）が、弟子の公判で初めて証言した。松本被告は「私は無罪だ」と地下鉄サリン事件への関与を否定した。松本被告が法廷で事件の内容について語ったのは、１９９７年４月に自らの公判の意見陳述で、一連の事件の起訴事実を否認して以来約２年半ぶりとなった。

　松本被告はこの日、自筆で宣誓文を書き、証言を始めた。弁護側の尋問は約３時間に及び、松本被告は事件の謀議や、事件後に実行犯たちから報告を受けたとされる事実関係について否定する証言を繰り返した。

　松本被告はこれまでに４回、教団元幹部の公判に証人として出廷したが、いずれも宣誓を拒んで退廷を命じられていた。豊田被告らの公判でも昨年１２月に１度出廷し、あいまいな発言を小声で続けたために「宣誓拒絶」と見なされた。弁護側は、裁判長の判断が早すぎたと反発し、再度証人尋問をするよう求めていた。

８度目の保釈請求 /オウム真理教

1999年7月28日 13時41分共同通信社

　オウム真理教の松本智津夫被告(44)＝教祖名麻原彰晃＝の主任弁護人で、強制執行妨害罪に問われ公判中の安田好弘被告(51)について､弁護側は28日､東京地裁に保釈を請求した。安田被告の保釈請求は８度目。

オウム富永被告に懲役１８年の判決　東京地裁

1:56p.m. JST July 22, 1999

　オウム真理教が起こしたとされる東京・新宿青酸ガス、都庁爆弾、滝本太郎弁護士サリン襲撃の３事件で、殺人未遂と爆発物取締罰則違反の罪に問われた元信徒の富永昌宏被告（３０）に対し、東京地裁は２２日、懲役１８年（求刑懲役２０年）の判決を言い渡した。３事件で実行犯とされた被告に対する判決は初めて。中山隆夫裁判長は「殺傷力の高い手段を用いた極めて凶悪な組織犯罪で、実行に加担した被告の刑事責任は極めて重大だ」と指摘した。

　また、判決は滝本弁護士事件について、教団前代表・松本智津夫（麻原彰晃）被告（４４）が犯行を命じたことを認定。松本被告は１７事件で起訴されているが、この日の判決により、すべての事件で犯行指示が認定されたことになった。

　判決は、富永被告が教団に強制捜査が入った後の１９９５年５月、地下鉄新宿駅で青酸ガスの発生装置を置く公衆便所を下見するなどしたほか、都庁職員に左手の指を切断した爆弾をポストに入れる役を担ったことを認めた。そのうえで、事件について「ただやみくもに松本被告の逮捕の回避と教団の存続を図ったもので、数々の違法行為が露見しかかって追い込まれた末の卑劣極まるテロ行為にほかならない」と指摘した。

　９４年５月に教団の被害対策弁護団に加わっていた滝本弁護士の車にサリンを流し込んだ事件については、「目ざわりな人物がいればその生命を奪うことも許されるという教団の唯我独尊的な思考態度の現れだ」と述べた。

　弁護側は、それぞれの事件への富永被告の関与を「主体的、積極的なものではない」と述べたうえで、松本被告のマインドコントロールの影響下にあったと刑を軽くするよう求めていた。中山裁判長は「基本的には上層部の命令に従って行動した従属的な立場だったと認められる」としたが、「違法性は十分認識しつつも、教義や教祖の意思を優先させてあえて犯行を実行した」と主張を退けた。

松本被告に、また退廷命令

1999年7月19日 15時37分共同通信社

　地下鉄サリン事件の殺人罪などに問われたオウム真理教元幹部井上嘉浩被告(29)の公判が19日、東京地裁で開かれ、松本智津夫被告(44)が証人として出廷した。しかし松本被告は、書記官が代筆した宣誓書への指印を拒否、井上裁判長は30分余りで退廷を命じた｡

　松本被告はこれまでに、他被告の公判の宣誓拒否で計３回、また自分の公判でも不規則発言などで度々、退廷を命じられている。

オウム主任弁護人の保釈取り消し確定　最高裁が棄却

6:43p.m. JST June 23, 1999

　オウム真理教前代表・松本智津夫被告（４４）の主任弁護人を務める安田好弘被告（５１）が、顧問先の不動産会社に絡む強制執行妨害罪で起訴された事件で、最高裁第１小法廷（藤井正雄裁判長）は２３日までに、保釈を認めるよう安田弁護士が申し立てていた特別抗告を棄却する決定をした。これで、保釈請求を却下した東京高裁の決定が確定し、昨年１２月６日に逮捕されて以降の拘置状態が続くことになった。

　安田弁護士の保釈請求をめぐっては、東京地裁が今月１１日に保釈を認める決定をしたが、「証拠隠滅の恐れがある」として検察側が抗告。東京高裁は同日中に、保釈決定を取り消し、安田弁護士の保釈請求を改めて却下していた。

松本被告が殺害指示と認定

1999年6月22日 15時57分共同通信社

　オウム真理教被害対策弁護団の滝本太郎弁護士（42）＝横浜弁護士会所属＝がサリンやＶＸで襲撃された事件で、滝本弁護士が松本智津夫被告（44）＝教祖名麻原彰晃＝ら８人に計2000万円の損害賠償を求めた訴訟のうち、中川智正被告（36）ら元教団幹部６人についての判決が22日、横浜地裁であった。

　南敏文裁判長は、松本被告が滝本弁護士殺害を企て、一連の襲撃を６人に指示したと認定。

オウム・松本智津夫被告らの拘置所での所持金を差し押え

11:34p.m. JST June 22, 1999

　横浜弁護士会の滝本太郎弁護士（４２）と弁護団は２２日、オウム真理教の当時の幹部に総額２０００万円の支払いを命じた横浜地裁判決を受けて記者会見し、すでに賠償命令の判決が出ている教団前代表松本智津夫（４４）、元幹部新実智光（３５）の両被告の拘置所での所持金それぞれ４５万円、５万円を５月中旬に差し押さえたことを明らかにした。

　所持金は拘置所内で自由に使えるお金で、信徒からの差し入れと見られる。弁護団は、地下鉄サリン事件などの被害者救済にあてていくという。

地下鉄サリン事件実行犯、横山被告に死刑求刑

9:34p.m. JST May 31, 1999

　１２人の死者と５０００人を超える負傷者を出した１９９５年３月の地下鉄サリン事件で、散布役を務めたとして殺人や殺人未遂などの罪に問われたオウム真理教元幹部横山真人被告（３５）の公判が３１日、東京地裁（山崎学裁判長）であり、検察側は死刑を求刑した。論告で「教団への強制捜査を阻止するための自己中心的な無差別大量殺りくテロ」と事件を位置付け、「テロの中核を担って悲惨な結果を招いたのに、反省、悔悟が希薄で、死刑の選択を避けるべき特段の事情はない」と述べた。この事件では、教団前代表・松本智津夫（麻原彰晃）被告（４４）を含む１４人が殺人と殺人未遂の共犯の罪で起訴されたが、死刑求刑は初めて。６月２９日に弁護側の最終弁論が行われる。

　検察側は、散布役５人のうち、林郁夫服役囚（５２）＝無期懲役判決が確定＝については、「自首」によって全容解明に寄与した「特段の事情」を考慮して無期懲役を求刑したが、この日の求刑は林服役囚が「例外」であることを改めて示した。ほかの散布役の豊田亨（３１）、広瀬健一（３４）、林泰男（４１）の３被告に対する求刑基準になりそうだ。

松本被告の判決まで「あと４―７年」　法務省幹部が示す

8:48p.m. JST May 12, 1999

　法務省の但木敬一官房長は１２日、自民党の深谷隆司総務会長に対して、初公判からすでに３年を経過しているオウム真理教の松本智津夫被告の裁判について、「このままいけば、判決まであと４―７年かかる」との見通しを示した。１１日の自民党総務会で、オウム真理教の最近の活動に対する懸念や裁判の長期化に対する批判が相次いだことから、オウム真理教関連事件の裁判の進ちょく状況などを説明した。自民党内でとくに審理の促進を求める意見が強いが、法務省側は「現行法上、有効な対応策はない」と説明した。

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TOPIC No.２-１６a サリン事件裁判状況(オウム)

麻原被告の控訴棄却、死刑確定の公算

オウム公判：松本被告に死刑求刑 東京地検「史上最も凶悪」

「死んでおわびを」 松本サリン事件民事訴訟で中川被告

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