TOPIC No.2-158 ブラジル高速鉄道計画

01. 高速鉄道 byフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
02. 新幹線売り込みのためブラジル出張 by気ままにコラム No.232(2008.07.18)



22兆ウォンのブラジル高速鉄道事業、受注なるか

JANUARY 04, 2011 03:13 東亜日報

 ブラジル初の女性大統領のジルマ・ルセフ氏が、ブラジル高速鉄道事業者の有力候補として韓国を取り上げ、韓国がブラジル高速鉄道事業権を獲得できるか、関心が注がれている。

 ルセフ大統領は1日(当時時間)、首都ブラジリアにある大統領宮で、金滉植(キム・ファンシク)首相と会い、4月に予定されているブラジル高速鉄道事業入札と関連し、「昨年、主要20ヵ国(G20)ソウル首脳会議開催の成功や韓国の民間企業、新技術に感銘を受けた」とし、「韓国企業が『ワン・オブ・ベスト(One of Best)』の入札参加者」と話した。

 ブラジル高速鉄道プロジェクトは、総事業費331億レアル(約22兆4600億ウォン)をかけ、リオデジャネイロ〜サンパウロ〜カンピナスを繋ぐ511キロ区間に高速鉄道を建設する大型事業だ。現在、韓国をはじめ、日本、中国、フランス、ドイツなどが関心を示している。当初、昨年11月に入札が計画されていたが、今年4月に入札が見送られ、7月ごろ優先交渉対象者が決まる予定だ。

 韓国が事業を受注すれば、鉄道開通107年ぶりの初の海外輸出。04年KTX開通後7年で、技術輸出という二重の慶事となる。また、経済的潜在力が計り知れないブラジル市場進出に確実な橋頭堡を確保することになる。ブラジルの全土を繋ぐ次期高速鉄道事業で有利な位置を占めるだけでなく、油田、原子力、科学技術などの分野でも協力を強化することができるものと見られる。

 これまでの受注争いでは、韓国が最も有利と評価されている。民官共同で06年以後、休まず受注準備作業に取り組み、現代(ヒョンデ)重工業、三星(サムスン)SDS、LG、CNS、LS産電、ロッテ建設、韓国鉄道公社(コレイル)、現代ロテムなど、装備・技術・建設会社の15ヵ所でコンソーシアムを構成した。受注戦に飛び込んだ国で、初めてブラジル建設会社のEGESAなど地元会社ともグランドコンソーシアムを締結した。ブラジル政府が施工を自国会社中心に任せることにしているため、ブラジル業者とのコンソーシアム構成は必須だ。

 日本、フランス、中国などライバル国は、準備期間不足などでまだ積極的な動きを見せていない状態だ。三井物産、三菱重工業など日本企業は、建設後40年間高速鉄運営の責任を負う条件では、利益を出し難いと判断している。TGVのアルストムなどが参加しているフランスコンソーシアムも事業推進が遅れている。

 しかし、まだ受注を安心できる段階ではない。昨年12月、アルストムが中国鉄道部と米国・ブラジル・アルゼンチンの高速鉄道受注に共助する内容の提携を結ぶなど、一歩遅れて始動した。

 専門家らは最後まで韓国の強みを積極的に説明し、中国と日本の攻勢に立ち向かえる備え、策を講じることを強調している。駐ブラジル大使を務めたキム・グァンドン斗山(トゥサン)重工業常任顧問は、「ブラジルが最も必要とする技術移転と施工期間の面で、我々の強みを目立たせ、中国や日本と違い、相互補完的な関係であるという点も強調しなければならない。中国が破格的な資金支援などを提示するかも知れないので、警戒を緩めてはならない」と話した。

ブラジル、高速鉄道入札を来年4月に延期

2010.11.27 09:06 MSN産経新聞

 【ニューヨーク=松尾理也】ブラジルのリオデジャネイロとサンパウロ郊外を結ぶ高速鉄道建設計画で、ブラジル政府は26日、今月29日に予定していた入札実施を来年4月11日に延期すると発表した。同計画は世界の高速鉄道建設プロジェクトの中でも有数の大型案件で、日本を含む世界各国からの応札が期待されていたが、ブラジル側が提示した条件をめぐって採算性などに疑問が投げかけられ、撤退の動きが相次いで伝えられていた。

 入札の延期で、ブラジル政府は各国の応札への復帰を期待している。現時点では、三井物産など4社が企業連合を組む日本勢やフランス勢は軒並み撤退が伝えられ、入札に参加するのは政府支援を受けた韓国勢だけとみられていた。

 計画では建設費331億レアル(約1兆6000億円)を投じ、リオデジャネイロ州とサンパウロ州の間の約510キロを結ぶ鉄道を建設する。落札事業体は40年間の事業運営を受け持つ。落札者の決定は4月29日の予定。

ブラジル 高速鉄道入札を延期

2010年11月27日 読売新聞

 【サンパウロ=浜砂雅一】ブラジル政府は26日、今月29日に予定していた高速鉄道計画の国際入札を、来年4月11日に延期すると発表した。

 同計画では、建設、運営の両面でブラジル政府の関与が少なく、日本やフランスの企業連合はリスクが過大との懸念から応札を見送る方針を固め、韓国の企業連合だけが応札する見通しだった。地元メディアによると、ブラジル政府は「競争になるようにしたい」(陸運庁幹部)とし、延期によって複数の応札を確保したい考えとみられる。

日本企業連合、条件変更要請へ ブラジル高速鉄道の入札延期で

2010.11.27 19:02 MSN産経新聞

 高速鉄道計画の入札延期を受け、三井物産などの日本企業連合は、高い事業リスクを考慮に入れて入札条件を変えるよう改めてブラジル側に求める方針だ。だが、ブラジルに応じる気配はなく、韓国優位の情勢を覆せるめどは立たない。日本は官民一体で鉄道や原子力発電所などのインフラ輸出に力を入れているが、採算性を確保しつつ海外勢に対抗するのは容易ではない。

 計画はリオデジャネイロ州とサンパウロ州の間の約510キロを結ぶもので、2012年初めに着工、建設費は331億レアル(約1兆6千億円)にのぼる。落札した業者が40年間の事業運営を行うなど、受注業者の負担が重い計画でもある。

 日本勢はこれまでの交渉で「乗客の需要見通しが甘く、用地買収などの遅れに伴う工事延期で追加負担が出る恐れもある。リスクが多く、収益は見込めない」(関係者)などと分析し、応札を見送る方向だった。フランスの企業連合も同様の方針だった。

 ブラジル政府は今回の入札延期について「政治的な判断」としている。建設推進派のジルマ・ルセフ次期大統領就任が来年1月に控える中、応札企業が韓国だけでは公正な競争入札を国内外にアピールできないと判断したためとみられる。

 今後の焦点は、現時点でブラジル側が否定する入札条件の変更を実現できるかどうか。日本側は、旅客需要が予測を下回った場合の最低限の収入を担保させたり、ブラジルの鉄道会社を参加させたりするよう求める方向だが、ブラジル側にすれば新たな財政負担につながりかねず、強硬姿勢を貫く可能性もある。

ブラジル高速鉄道事業、韓国が受注か、日本とフランスは入札を断念―韓国

2010/11/26(金) 11:49 Searchina

 ブラジルの高速鉄道事業への参入を図る韓国の企業連合と、ブラジルの関連企業連合は24日(現地時間)、ブラジルのサンパウロで「韓国・ブラジル グランドコンソーシアム」の協約式を行った。同日の協約式には韓国鉄道公社(KORAIL)、現代重工業、現代ロテム、三星SDS、LGCNS、ロッテ建設などの韓国企業とブラジルの投資会社、建設会社などが参加した。

 ブラジルの高速鉄道は、リオデジャネイロ〜サンパウロ〜カンピーナスを結ぶ511キロメートルの区間に設置され、総事業費は総事業費331億レアル(約1兆6000億円)に上る。ブラジル政府は、2016年にリオデジャネイロで開催される夏季五輪までに高速鉄道を完成させる方針。ブラジルの高速鉄道事業には、これまで韓国に加え、フランス、ドイツ、日本、スペイン、中国などの企業連合が関心を示してきた。

 一方、韓国の高速鉄道システムKTXは、1990年に事業計画と路線が確定し、1992年に着工。1993年に車両の入札を実施し、フランスのTGVを基本とした車両に決定。1994年仏アルストム社と車両供給契約および技術移転契約を締結。その後、建設が進められ、2004年から営業運転が開始された。

 韓国メディアは、23兆ウォン(約1.7兆円)のブラジルの高速鉄道プロジェクトは、韓国が受注する可能性が極めて高くなったと報じている。

 受注合戦に参加した国のうち、現地企業との契約が締結段階までに至ったのは、韓国が初めてであり、最大のライバル国である日本とフランスが入札を見合わせた。そのため、韓国の大企業が総出動した韓国企業連合が、アラブ首長国連邦(UAE)の原発受注に続き、今回も大規模な事業を受注する可能性が高まったとの見方を示している。

 ブラジル高速鉄道の受注に成功すると、韓国の高速鉄道システムKTXは日本の新幹線、フランスのTGV、ドイツのICEを抜いて、106年前に韓国に鉄道が開通して以来、初めてその技術を海外へ輸出することになると報じられている。

  韓国とブラジルの企業連合は、近いうちに正式契約を締結し、事業提案書をブラジル政府に提出する計画。ブラジル政府は29日までに、各国の企業連合の事業提案書を受理した後、来月16日に事業者を選定する。来年2月に最終的な事業者を確定するとみられる。(編集担当:李信恵・山口幸治)

日本、ブラジル高速鉄道事業の入札を見送り…韓国が有力

2010.11.26 09:39:20 中央日報/中央日報日本語版

日本企業が29日に予定されているブラジル初の高速鉄道事業の入札に参加しない方針を固めたと、日本経済新聞が25日報じた。日本企業は建設後40年間にわたり高速鉄道運営責任を負う条件では利益を出すのが難しいと判断したという。これに伴い、韓国企業が有利な立場になった。

三井物産・三菱重工業など日本企業は共同で受注を目指してきたが、ブラジル企業を対象にした出資会社の募集にも困難を経験してきた。このため、日本企業はすでにブラジル政府に対し「入札期間などの変更がなければ応札しない」と通知したと伝えられた。日本企業の関係者は「民間で負担しにくいリスクが予想され、条件が変更されなければ応札できない」と述べたと、同紙は伝えた。

また同紙は、アルストムなどフランス企業も応札しない方針であるため、韓国勢の受注が最も有力だと予想した。フランスは24日、ブラジル駐在大使の名義でブラジル政府に対し、「関心はあるが、現在の条件では応札は難しい」という内容の書簡を送ったという。

ブラジル高速鉄道、日本企業連合は応札見送りへ

2010年11月25日23時29分 読売新聞

 ブラジルの高速鉄道計画を巡り、日本の新幹線方式で受注を目指していた三井物産や三菱重工業などの日本企業連合が25日、ブラジル政府が29日に実施する国際入札への応札を見送ることがわかった。

 ブラジル側が示す条件では、建設費用の回収などが不透明で、事業の収益性が見込めないと判断した。またフランスの企業連合も応札しない公算で、応札に前向きな韓国勢の受注が濃厚になった。

 ブラジルの高速鉄道計画は総事業費が約331億レアル(約1兆6000億円)で、南東部の大都市リオデジャネイロからサンパウロ経由でカンピーナスまでの約550キロ・メートルを約2時間で結ぶ予定だ。日本勢は三井物産を主幹事に三菱重工、日立製作所、東芝の4社共同で受注を目指してきたが、仏、韓、中国などの企業連合も意欲を示していた。

 ただ受注した企業連合は完成後40年間、鉄道を運営しなければならず、ブラジル側の示す運賃の上限が低過ぎると指摘されていた。利用者が需要予想を下回った場合に政府側が補償する仕組みも導入の予定がなかった。三井物産は「民間企業が取り組む事業としてはリスクが大きすぎる」(首脳)として、ブラジル政府に負担軽減を求めてきたが、25日時点で十分な回答が得られなかった。

 日本勢は応札は見送るが、引き続き交渉を続ける考えだ。大幅な条件変更などがあれば、計画案を示す可能性があるという。

ブラジル三井物産:高速鉄道計画にリスク、連携望む−副社長(訂正)

2010/08/19 07:41 JST Bloomberg.co.jp

(最終段落の社名を三菱重工業に訂正します)

 8月18日(ブルームバーグ):ブラジルの高速鉄道事業の受注を目指す日本の企業連合の幹事を務める三井物産は、同プロジェクトには地質と需要面でリスクがあるとして、入札の延期が「理想的」だとみている。

 ブラジル三井物産の鈴木雅雄副社長は16日、サンパウロからの電話インタビューで「このリスクを軽減するための詳細な地層調査を短期的に実施できる可能性はないだろう」と述べた。入札は12月16日に予定されている。

 鈴木副社長は企業連合は同プロジェクトの「さまざまなリスク」をブラジル政府や現地企業と共有したい考えだとし、「もし最終的に参加しないとすれば、それはわれわれの単独判断ではなく、ブラジル企業を含むグループの総意となるだろう」と語った。

 同国のパソス運輸相は7月、韓国や中国、ドイツ、イタリア、フランス、スペインも入札に関心を示していると説明していた。

 鈴木副社長によると、最も深刻なリスクは需要。三井物産率いる企業連合が実施した調査によると、高速鉄道の年間乗客数はブラジル政府が見込む3300万人を大きく下回る。同調査の詳細は明らかにしなかった。

 首都ブラジリアにある日本大使館の経済班書記官、中谷誠志氏によると、同企業連合には三菱重工業や東芝、日立製作所が含まれている。

翻訳記事に関する翻訳者への問い合わせ先:東京 望月千晶 Chiaki Mochizuki cmochizuki@bloomberg.net Editor:KeikoKambara 記事に関する記者への問い合わせ先:Carla Simoes in Brasilia csimoes1@bloomberg.net

ブラジル高速鉄道計画 地デジに続き 官民一体で日本勝利の再現なるか

2010.07.31 18:43 MSN産経新聞

 【ニューヨーク=松尾理也】世界の高速鉄道建設プロジェクトの中でも有数の大型案件となるブラジル高速鉄道の事業者が、入札を通じて12月に決定する。ブラジルといえば、地上波デジタルテレビ放送(地デジ)の導入で日本がいち早く売り込みに成功、その後の南米進出の糸口となった国でもある。環境問題の高まりから今後世界各地で活発化するとみられる高速鉄道の分野で、日本がもう一度「官民一体」で存在感を示せるか、注目される。

 入札は7月13日に公示された。日本の三井物産、三菱重工業、東芝、日立製作所の企業連合が落札を狙うほか、フランス、スペイン、中国、韓国などが入札に参加する見通しとなっている。

 日本の強みは、いうまでもなく世界に誇る日本の新幹線の技術力。速度、運行の正確さ、これまで死者を1人も出していない安全性など、どれをとっても負けていないが、実は今回ブラジル政府が発表した入札方式では、その優位を生かし切れない可能性がある。

 入札は想定運賃が安い方が勝つという非常にシンプルな方式で争われる。技術評価は、入札への参加を認めた段階ですでにハードルをクリアしたとみなされるという。同一価格が提示されれば日本の優位は変わらないものの、コスト競争になれば、日本など各国の技術を寄せ集めて開発したとされる中国など後発組の優位が大きくなる。

 こうした入札方式が採用されたことについて、現地関係者は「もともとコスト面などで高速鉄道計画そのものに対する批判が国民の間で根強く、政府側もわかりやすい方式を採用せざるをえなかったのではないか」と分析。「日本にとっては技術の優位をどこまで生かせるか、難しい勝負となる」とみる。

 日本は地デジ日本方式を官民一体で売り込みをかけた際、現地事情に合わせた「日伯方式」を合同開発し、その後の南米各国への進出につなげた経緯がある。今回も「計画が浮上した約2年前から官民一体で現地で説明会開催などを行い、日本の技術採用に向けての下地作りを進めてきた」(関係者)という。

 当初欧州方式の優位が常識だった地デジ売り込みで、日本がブラジルへの食い込みをきっかけに軒並み南米を席巻したように、地域大国であるブラジルでの勝利は、南米全体への波及効果が見込まれる。それだけに、中国はこのほどブラジルの隣国アルゼンチンとの間で鉄道近代化や技術供与などでの協力で合意するなど、各国は売り込みに躍起となっている。

 競争は熾烈(しれつ)を極めているが、一方約150万人の日系人社会の存在などの点で、日本はブラジルで特別の強みを持つ。関係者は「ブラジルに新幹線を走らせたいという日系人の思いは熱い。なんとか入札に勝利し、日系人と感激を分かち合いたい」と話している。

【用語解説】ブラジル高速鉄道計画

 リオデジャネイロからサンパウロ経由で工業都市カンピナスまで約510キロを2時間弱で結ぶ。建設費は331億レアル(約1兆7千億円)。開通予定時期は当初からずれこみ2017年となっているが、ブラジル政府は16年のリオデジャネイロ五輪前の完成を期待するとしている。

新幹線輸出はオール日本態勢で

2010/07/22 07:37 IZA!

【正論】

 環境問題の高まりを受け拡大する世界の高速鉄道商戦で「鉄道王国・日本」の新幹線が苦戦している。日本の技術は確かに素晴らしい。しかし高速鉄道のような国家プロジェクトの売り込みは価格や品質より時に政治力が優先する。とりわけ途上国への売り込みは「国対国」の交渉がポイント。官が支援し政が先頭に立つオール日本態勢の確立こそ急務である。

 昨年春、ハンセン病制圧活動で訪れたインドの会合で日本のODA(政府開発援助)支援を受け2006年に開業した地下鉄デリー・メトロが話題となり、居合わせた政府高官は「インドでは例を見ない正確な運行もさることながら、愚直なほどまじめな日本の技術者の姿から約束通り納期に間に合わせることの重要性を学んだ」「労働を美徳とし、約束を守る日本文化こそ最大のプレゼントだった」と語った。

 大型のインフラ輸出では、事業を通じ輸出国の顔が相手国に見える。私はそんな思いでかつて「日中鉄道友好推進協議会」を立ち上げ、中国の大地に新幹線を走らせることを夢見た。目に見えないODAより日本の新幹線をそのまま走らせることで日本理解を促進したい、との思いだった。

 竹下登元首相、平岩外四元経団連会長に出馬を願い大型使節団を結成して中国を訪問、江沢民国家主席(当時)が訪日した際は小渕恵三首相(同)から「新幹線を日中友好のシンボルとしたい」とする親書を手渡してもらった。しかし大勢が新幹線導入に傾いた最終段階で多くの日本企業が中国に押し掛け、ネット上の反日感情が高まり“日の丸新幹線”は不発に終わった。

 急速に普及する中国の高速鉄道は基本的に新幹線技術を転用しているが、中国国民は「独自技術」とする政府の説明を信じ、今や中国は高速鉄道輸出国、日本のライバルとなりつつある。

 ≪単身無装備で土俵に上がる≫

 先行する仏独両国は計画当初から相手国に食い込み、資金調達からインフラ整備、車両、運行、営業戦略まで幅広く自国企業に有利な鉄道企画を働き掛けるコンサルタント会社を持つ。仏は2500人、独は3600人と規模も巨大、国を挙げたトップセールスも盛んだ。入札段階から参加する日本の商法は、競争相手が作った土俵に単身無装備で上がるに等しく、これでは苦戦する。

 そんな日本にも昨年夏、国土交通省に「鉄道国際戦略室」が設けられ、合同でコンサルタント会社を立ち上げ国際商戦に臨もうとする動きが民間に広がってきた。JR7社にメーカー、商社、金融機関などが参加して法人を立ち上げ、国土交通、外務、経済産業の3省が支援、官邸のトップセールスにも道を開く構想だ。

 高速鉄道は現在、17カ国で建設プロジェクトが検討され10年後の市場規模は22兆円と試算される。オバマ政権がグリーン・ニューディール政策で13地域計1万3700キロの高速鉄道建設を打ち出した米国も、こと高速鉄道に関しては後進国であり、総合的なコンサルタント会社の助けを必要とする。輸出国にとっても当該国の交通システムや市場、ニーズに関する情報は欠かせない。

 新幹線が専用線を走り独自に超電導リニアの開発を進めるJR東海と、専用線と在来線が混在するJR東日本では売り込み戦略にも温度差がある。しかしコンサルタント会社を立ち上げ、事前の棲み分け・調整ができれば、足の引っ張り合い、戦力の分散は防げ、行政や官邸も前向きに対応できる。

 今年5月には原発建設などに限られていた国際協力銀行(JBIC)の先進国向け事業融資を鉄道事業にも使えるよう政令が改正された。途上国向けにはODAの円借款を使う手もあり、政治の主導性も発揮しやすくなる。

 ≪首相もセールスの先頭に≫

 中国への新幹線売り込みの渦中、唐家●外相(当時)は「朱鎔基首相が訪欧した際、シラク仏大統領は“高速鉄道と原発はフランスで”と要請した」と打ち明け、トップセールスの重要性を指摘した。昨年12月、中東・アラブ首長国連邦(UAE)への原発売り込みで日米連合、仏アルバ一騎打ちの予想を翻して韓国電力公社が落札した背景には李明博大統領の熱心なセールスがあった。日本の首相にもぜひ、国際セールスの先頭に立ってほしいと願う。

 新幹線は安全性、正確な運行を含め「日本文化の粋」であり、同様に国際市場が拡大する原発とともに技術立国日本が誇る二枚看板である。輸出が拡大すれば景気浮揚だけでなく日本理解の促進にもつながる。

 米国・シカゴで6月、関係3省と運輸政策研究機構など4団体が主催する高速鉄道関連セミナーが開催され、前原誠司国交相は終了後、コンサルタント会社の立ち上げについて「2、3年先では遅い。すぐやりましょう」と意欲を語った。機は十分、熟している。一日も早い日本型ビジネスモデルの確立を期待して止まない。(日本財団会長・笹川陽平)●=王へんに旋

ブラジル高速鉄道入札公示 日本は三井物産連合が応札 12月中旬に事業者決定へ

2010.07.14 10:02 MSN産経新聞

ブラジル高速鉄道建設の入札公示の式典に出席したルラ大統領(右)とパソス運輸相=13日、ブラジリア(ブラジル大統領府提供・共同)

 ブラジル政府は13日、リオデジャネイロ州とサンパウロ州を結ぶ同国初の高速鉄道建設の入札手続きを公示、12月16日に事業者を決定すると発表した。民間委託による開発・運営事業としては同国最大級のインフラ整備プロジェクトという。

 日本からは三井物産を幹事役とする企業連合が新幹線システムで応札する意向とされ、2007年開業の台湾に続く、米州大陸初の新幹線輸出を目指す。高速鉄道技術で定評がある欧州勢のほか、韓国や中国なども積極的で、激しい争いが予想される。

 リオからサンパウロ経由で工業都市カンピナスまで約510キロを2時間弱で結び、建設費は331億レアル(約1兆7千億円)。11月29日まで入札を受け付ける。来年3月に契約調印し、工事期間は最長6年を想定している。(共同)

ブラジルの高速鉄道、入札公示へ 日本も新幹線システムで応札検討

2010.07.02 12:21 MSN産経新聞

 ブラジル・サンパウロ州とリオデジャネイロ州を結ぶ高速鉄道建設計画をめぐり、ブラジルのパソス運輸相は1日、来週にも入札手続きを公示し、11月末に入札を実施する方針を明らかにした。国営ブラジル通信が報じた。

 日本からは三井物産を幹事役とする企業連合が新幹線システムで応札する意向とされ、米州大陸初の新幹線輸出を目指すが、欧州や韓国、中国の企業の入札も予想される。

 連邦会計検査院が6月30日、建設費を当初の約346億レアル(約1兆7千億円)から約331億レアルに削減するよう提言した上で、入札の手続き開始を承認した。

 運輸相によると、来年末までに着工し、当初予定の5年間で工事は完了する予定。2016年にリオで開催される南米初の夏季五輪に間に合わせる意向とみられる。(共同)

ブラジル高速鉄道、入札公示へ 日本も応札検討

2010/07/02 11:07 47News【共同通信】

 【リオデジャネイロ共同】ブラジル・サンパウロ州とリオデジャネイロ州を結ぶ高速鉄道建設計画をめぐり、ブラジルのパソス運輸相は1日、来週にも入札手続きを公示し、11月末に入札を実施する方針を明らかにした。国営ブラジル通信が報じた。

 日本からは三井物産を幹事役とする企業連合が新幹線システムで応札する意向とされ、米州大陸初の新幹線輸出を目指すが、欧州や韓国、中国の企業の入札も予想される。

 連邦会計検査院が6月30日、建設費を当初の約346億レアル(約1兆7千億円)から約331億レアルに削減するよう提言した上で、入札の手続き開始を承認した。

 運輸相によると、来年末までに着工し、当初予定の5年間で工事は完了する予定。2016年にリオで開催される南米初の夏季五輪に間に合わせる意向とみられる。

 計画では、リオからサンパウロ経由で工業都市カンピナスまで約510キロを2時間弱で結ぶ。

新幹線は海を渡るか? 「鉄ちゃん」も気になる商談の舞台裏

2010.05.23 18:00 MSN産経新聞

東海道新幹線の主力車種「N700系」(JR東海提供)

 新幹線と超電導リニアモーターカー。日本が誇る高速鉄道技術を売り込む絶好の機会が訪れた。今月来日したラフード米運輸長官が相次ぎ、両方の車両に乗り込んだのだ。大型連休中には前原誠司国土交通相が訪米し、日本の高速鉄道技術を売り込んだが、そのスピードを実体験したラフード長官の胸にはどう響いたのだろうか。

 「高速鉄道への投資でアメリカの旅を変える」。オバマ米大統領が意気込むグリーンニューディール政策は、米国内に11路線、約1万4千キロの高速鉄道網を整備すること。その投資額は5年間で130億ドル(約1兆1700億円)に達する。「高速鉄道ができるのかって? もちろんだ。それがアメリカだ」。昨年4月、オバマ大統領がこの政策を発表したとき、ラフード長官は自身の公式ブログにはこう書いた。

 オバマ政権の高速鉄道計画のうち、JR東海はフロリダ州タンパ〜オーランド〜マイアミ間、JR東日本もカリフォルニア州に新幹線方式の高速鉄道システムを売り込む。このうち、JR東海がフロリダ州で走らせようとしている新幹線車両は、N700系の海外仕様「N700iバレット」という新型車両だ。

 東海道新幹線は開業から46年、運転による死傷事故はゼロ。JR東海はダイヤの正確さや環境性能をアピールするビデオもつくった。昨年11月に実施した海外関係者による試乗会では、営業運転の最高速度時速270キロを大きく上回る同332キロを達成した。

 「Excellent.Very nice ride.Very Good(すばらしい。いい乗り心地だった。よかったよ)」。11日午前、東海道新幹線で名古屋駅に降り立ったラフード長官は満足そうな表情を見せた。

 さらにJR東海が超電導リニアの最初の輸出先として狙うのが、メリーランド州ボルチモアとワシントンDCとを結ぶ路線。約65キロの道のりをわずか18分で結ぶという。超電導リニアはJR東海が旧国鉄時代から培ってきた独自技術。氷点下200度以下の超電導磁石に電気を流すことで車体を浮かせて高速走行する。

 12日午後、ラフード米運輸長官は山梨リニア実験線(山梨県都留市)に姿を見せ、最高時速500キロの世界を体験した。

 試乗後、ラフード長官は「とても速い。世界中の鉄道メーカーがアメリカに来てその可能性を見つけてほしい。米国の施設を使って、雇用を生み出してほしい」と、米の国益をちらっとのぞかせた。

 少子高齢化で国内輸送需要の頭打ちが確実なこと、さらに鉄道は産業としての裾野が広く、多くの部品メーカーや素材メーカーがかかわるため、受注後の経済へのインパクトも大きい。しかも世界中で高速鉄道の建設計画が相次ぎ、経済産業省によると、世界のインフラ(社会資本)整備の投資額は、2030年までに41兆ドル(約3690兆円)に達するという。日本が海外受注の獲得に躍起になる理由はそこにある。

 米国の高速鉄道計画では、日本のほか、フランスが「TGV」を売り込む。さらに「ICE」という高速鉄道システムを持つドイツ、そのドイツの技術をもとに高速鉄道システムを開発した中国も大きなライバルだ。

 JR東海は専用線による高速鉄道建設、さらに車両や運行ノウハウなどを含めての一括受注を狙っている。ただ建設費がかかるのが欠点。一方、JR東海のライバルとなるTGVやICE、さらにJR東日本も新幹線と在来線との車両の相互乗り入れが可能だ。

 JR東海の山田佳臣社長は19日に名古屋市中村区の本社での記者会見で、ラフード長官のリニア試乗について、「関心を持ってもらった。(米国内への導入に向けた)意欲を高めてもらえたら」と期待を込めた。だが、ラフード長官は帰国後に公式ブログで「日本の高速列車が(そのまま)アメリカに来るのかと聞かれるが、答えは『ノー』だ」と記した。技術だけがほしいという米国の本音も垣間見える。

 「米国の高速鉄道の受注に日本も本腰を入れて、オールジャパンで取り組む」。前原国交相も強い決意を示した。日本政府も、国際協力銀行が先進国の高速鉄道に融資ができるよう政令を改正するなど、受注に向けた環境整備を急ぐが、海外と比べて出遅れ感は否めない。

 受注が失敗した場合、国やJRは大きな損害を受ける。サルコジ仏大統領自らがトップセールスを進めるフランスなど強力なライバルに勝つには、国の全面的なバックアップが不可欠だ。高速鉄道は技術力だけでなく、官民挙げた総合力が問われる。

中国、何を頼りに世界高速鉄道市場を獲得したのか(1)

2010-04-22 11:39 Japanese.CHINA.ORG.CN「中国網日本語版(チャイナネット)」

2008年8月1日に開通した中国初の高速鉄道「京津都市間鉄道」

 4月16日、中国の胡錦涛国家主席がブラジルを訪問し、ルーラ大統領と会談した後、ルーラ大統領は「中国は鉄道建設でブラジルを支援する」と明かした。その前にも、「中国はブラジルのリオデジャネイロ、サンパウロ、カンピーナスをつなぐ高速鉄道の建設プロジェクトを請け負うことになる」と報じられた。

 中国の高速鉄道の営業距離数は世界一を誇り、その技術も世界トップレベルで、米国、ロシア、トルコなどから注目されている。一部の国は高速鉄道の共同建設について中国と話し合いを進めている。

 中国の高速鉄道が各国で注目され、世界に導入されるチャンスを得ているのはなぜだろうか。中国工程院会員、高速鉄道分野の専門家である王夢恕氏が語った。

 総合技術は日独仏を超える

 最高時速350キロの京津(北京−天津)都市間鉄道が2008年8月1日に運転を開始したのに続き、武広旅客専用線(武漢−広州)と鄭西客運専用線(鄭州−西安)も昨年末と今年2月上旬にそれぞれ運転を開始した。また、全長1300キロメートルを超える北京・上海間高速鉄道(京滬旅客専用線)も2011年に開通する。

 中国の高速鉄道技術の進歩は世界に驚きを与えている。一部の国は共同建設に関心を寄せるようになった。中国はトルコとベネズエラで高速鉄道の建設を開始したほか、ブラジルやサウジアラビア、ロシアなど7カ国と交渉を進めている。提携方式は技術提供や工事請負いなどがある。そのほか、米カリフォルニア州も中国に高速鉄道建設の支援を要請する意向を示している。報道によると、カリフォルニア州のアーノルド・シュワルツェネッガー知事は、今年末に中国を訪問し、高速鉄道の建設について協議することを検討しているという。

 王夢恕氏は次のように話す。「中国の高速鉄道が世界で注目を集める理由は2つある。一つは価格が安いこと、もう一つは建設が速いことだ。上海から北京までの1300キロメートルを中国はわずか5年で完成させることができる。同様にどの国でも可能だ。価格面では、中国には他国と比較できないほどの優位性がある。中国の高速鉄道のコストは1キロメートル当たり約1億5000万元で、コストが安ければ国外でも市場を開拓することができる」

 中国鉄道部の幹部はメディアに対し、中国の鉄道の総合技術はすでに開発元の日本、ドイツ、フランスを超えたと話している。

 王夢恕氏によると、中国が握る高速鉄道の車両技術とレール技術はすでに世界トップレベルに達している。多くの国は国土面積が狭いため、継ぎ目のないレールの研究をせず、温度差による伸縮の調整も行っていない。しかし中国の国土面積は広いため、継ぎ目のないレールの研究が進んでおり、温度差による伸縮にも対応している。また、路床の沈下量の調整についても、中国の技術は進んでいる。国土面積が広く、地形が複雑な国での高速鉄道建設ではこれらの技術が必要であるからだ。

 国土面積が広いため、中国の高速鉄道は異なる地質条件に対応しなければならない。京滬旅客専用線を例に挙げてみると、南京から上海までの区間の地質は軟らかいため、15ミリ以上の沈下に対する調整を行う必要がある。ここでは青蔵鉄道建設の経験が生かされた。青蔵鉄道(青海チベット鉄道)の建設の際、凍結と融解が繰り返し起こった。凍結すれば膨張し、融解すれば沈下し、沈下量は1.5メートルにも達する。研究を進め、凍結と融解で沈下しないよう、作業員は「道の代わりに橋を架ける」という対策を採り、問題を解決した。この方法は京滬旅客専用線にも用いられた。

ブラジル高速鉄道受注、韓国が有利か(上)

2010/03/25 朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 キム・ミンチョル記者

韓中日が三つどもえ

高速鉄道は「第2の原発」

 6月ごろにはブラジルから、アラブ首長国連合(UAE)での原発受注と同じような「初の高速鉄道受注」というニュースが飛び込んでくるのだろうか。

 世界で高速鉄道建設の大きな流れが形成されている中、韓国政府と企業連合も、23兆ウォン(約1兆8500億円)規模のブラジル高速鉄道をめぐる受注競争に名乗りを上げた。この事業を受注した場合、将来的に米国、ベトナム、サウジアラビアなどで計画されている高速鉄道プロジェクトでも、有利な立場を占めることができる。

 ブラジルでは、リオデジャネイロとサンパウロを結ぶ510キロ区間に200億ドル(約1兆8500億円)を投じ、高速鉄道を建設する事業者を、今年上半期中に選定する予定だ。米国も、今年1月にフロリダやカリフォルニアなど13路線、1万3760キロの区間に高速鉄道を建設する計画を発表した。中でもフロリダ路線は、早ければ今年末ごろ、事業者が決まる可能性もある。

 また、ベトナムがホーチミンとハノイを結ぶ1560キロの高速鉄道建設を計画しているほか、インド(デリー−ムンバイなど4路線)、サウジアラビア(メッカ−メジナ)、英国(ロンドン−スコットランド)なども、高速鉄道建設計画を発表した。中国は東西4路線、南北4路線という形での鉄道網を構築し、全国土を高速鉄道で連結するという構想を持っている。

■高速鉄道を第2の原発に

 高速鉄道が未来の交通手段として注目を集めるのは、低炭素でエコな交通手段という認識が広まっている上に、高速鉄道を建設した場合の景気刺激効果も大きいからだ。専門家は世界の高速鉄道市場の規模を、今後10年で1兆ドル(約92兆円)以上と見込んでいる。フィナンシャル・タイムズ(FT)紙は、現在1万キロほどの世界の高速鉄道総延長は、2025年までの15年間に4万キロまで拡張すると試算している。ソウル産業大学鉄道専門大学院の朴鎔杰(パク・ヨンゴル)教授は、「高速鉄道は原発に比べ10倍以上も需要が多い。まさに莫大(ばくだい)な市場だ」と述べた。そのため、一つの工事で数十兆ウォン(10兆ウォン=約8200億円)以上が見込まれる超大型市場を勝ち取るため、各国間の受注競争は激しさを増している。

ブラジル高速鉄道受注、韓国が有利か(中)

2010/03/25 朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 キム・ミンチョル記者

 世界で5番目に高速鉄道を建設し、技術力を高めた韓国は、政府と現代ロテム(高速鉄道車両メーカー)、韓国鉄道公社(KORAIL)、鉄道施設公団、鉄道技術研究院、現代重工業、建設各社など民間が共同して、現地での受注合戦を展開している。昨年末にUAEで原発を受注したのに続き、高速鉄道を「第2の原発」にしようという意気込みだ。

 高速鉄道事業は、▲環境にやさしいグリーン産業の代表として注目を集めている▲韓国は外国の資本と技術移転によりスタートしたが、すでに技術面で自立している▲事業規模が1件で最低数十兆ウォンに上るほど大規模な上に、事業期間も長い▲技術的・経済的な波及効果も大きい−などの点でも、原発と共通している。

 現在、韓国、日本、中国のアジア3カ国がブラジルでの事業受注をめぐり激しく争っているが、フランス、ドイツ、スペインなど高速鉄道強国も受注競争に名乗りを上げている。ブルームバーグ通信は今月8日、ブラジル陸上交通局(ANTT)当局者の発言を引用し、「入札の意向を示している6カ国の中で、韓国のコンソーシアムが技術的に最も近く、契約条件も良い」と述べた。

 ブラジルは韓国のコンソーシアムが提示するKTX2の技術移転に大きな関心を示しており、さらに工事期間の短縮や費用の面でも、競争力を持っていると考えていると、事業団の関係者が明らかにした。

 鉄道技術研究院のオ・ジテク研究員は、「韓国は4年前からブラジルでの事業提案書を準備してきたこともあり、“韓国以外に発注先はない”といわれるほど可能性は高まっている」と述べた。ブラジル高速鉄道韓国事業団の団長を務める漢陽大学交通工学科のソ・ソンドク教授は、最近行われたマスコミとのインタビューで、「ブラジルで高速鉄道建設を受注した場合、原発受注にも劣らないほどの快挙になるだろう。韓国型高速鉄道の車両と運行システムの輸出、韓国建設企業の進出拡大など、さまざまな効果が期待できる」と述べた。

 しかし一方で、日本政府も高速鉄道の輸出に向け借款の提供を検討するなど総力を挙げているほか、中国も低価格戦略などで激しい受注活動を繰り広げている。そのため、韓国が受注する可能性は今のところ楽観視できない。

ブラジル高速鉄道受注、韓国が有利か(下)

2010/03/25 朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 キム・ミンチョル記者

■官民合同のパッケージ・ディールがカギ

 高速鉄道事業の受注は原発と同じように、政府と企業による官民の協力がうまく機能しなければならない。

 サムスン経済研究所は最近提出した報告書で、「(高速鉄道のような)インフラ事業の受注は一つの企業の力だけでは難しい。そのため、政府との協力を通じた総合的な“パッケージ・ディール”方式が受注獲得に非常に効果的となる」と述べた。政府による借款の提供、公的な支援といった資金面での支援とインフラ受注を連携させる戦略が必要ということだ。

 ソウル産業大学の朴鎔杰教授も、「高速鉄道の輸出は鉄道車両、建設、信号、メンテナンスなどが一つのシステムとなっているため、政府が国と国との外交問題として考え、外交的な支援を行う必要がある」と述べた。

 韓国鉄道大学の崔然惠(チェ・ヨンヘ)総長は、「ブラジルなどの開発途上国は高速鉄道の技術移転に高い関心を持っているため、韓国の技術確保における自立経験をアピールしていけばさらに有利になるだろう」と述べた。韓国の圧縮された経済成長や、高速鉄道などのインフラ整備プロセスでの成功経験などを商品化できるということだ。

 崔総長はまた、「UAEでの原発受注で、韓国型原発の中核技術を保有する米ウェスティングハウスなどと提携したように、韓国型高速鉄道の核心技術の一部を保有するフランスとの戦略的提携も重要なカードになると考えられる」とも述べた。

高速鉄道:「技術力高い韓国、十分に戦える」

2010/03/25 朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 キム・ミンチョル記者

独自の高速鉄道開発、優れたIT技術も強み

 韓国高速鉄道の技術はすでに、ドイツやフランス、日本といった高速鉄道先進国と肩を並べる水準にある。

 韓国は世界で5番目に高速鉄道の運営を始め、世界で4番目に独自の生産技術を確保した。先進国から技術移転を受け、独自に高速鉄道を開発したのは、韓国が初めての成功事例だ。

 韓国型高速鉄道KTX2は時速350キロレベルで、今年2月から運行を始めており、現在は世界最高水準の次世代高速鉄道システムを時速400キロレベルで開発中だ。フランスのTGV、ドイツのICE、日本の新幹線といった高速鉄道の速度はすべて300キロ前後のため、速度では引けを取らない。

 また、既存の線路をそのまま利用し、電車だけを新たに作る時速180キロの準高速鉄道も研究開発を終え、試験運行を重ねている段階だ。交通研究院のキム・ヨンギュ鉄道産業先進化センター長は、「韓国がKTXを導入し、グレードアップさせる過程で、十分に外国と競争できる技術水準にまで到達した」と話した。

 特に、韓国は信号・運営システムなど電子・通信分野に優れている。サムスン経済研究所は最近の報告書で、「韓国は独自の技術で高速鉄道を開発し、情報技術(IT)を組み入れた統合運営に強みを持っている」と説明した。

 ただし、高速鉄道を海外に輸出した経験がなく、運営実績が少ないという点が弱点だが、ブラジルにKTX2の技術移転を提示するなど、契約条件が良いため、外交的な後押しさえあれば十分に戦える、と専門家らは分析している。

ブラジル高速鉄道事業で韓日中が受注争い、現地紙

2010/03/21 10:19 KST YONHAP NEWS japanese@yna.co.kr

【サンパウロ20日聯合ニュース】ブラジルの高速鉄道建設事業をめぐり、韓国と中国、日本のアジア3カ国が激しい受注競争を繰り広げていると、現地日刊紙のフォーリャ・デ・サンパウロが報じた。

 19日付同紙は、高速鉄道の事業者を選定する国際入札が迫るなか、韓日中が最も積極的に参加意志を示しており、争いは事実上、この3カ国に絞られていると伝えた。ブラジル企業としては、Grupo Bertinがサムスン・現代を中心とする韓国の企業連合と、Andrade Gutierrezは日本の企業連合と、それぞれ協力関係を築くとみている。また、中国はブラジル最大手の建設会社Odebrechtと協力、または単独で入札に参加する可能性があると予想した。

 ブラジル政府が事業提案要請書を確定すれば、5月末か遅くとも6月中旬には事業者が最終選定される予定だ。

 ブラジル高速鉄道韓国事業団の徐ソン徳(ソ・ソンドク)団長は9日に聯合ニュースとのインタビューで、結果についてはまだ断言できないとしながらも、ブラジル政府内で韓国に対する友好的な雰囲気が生まれていると述べた。

日本新幹線、韓国・欧州勢と競う ブラジル高速鉄道で受注合戦白熱

2009.09.11 23:23 MSN産経新聞

 ブラジルが2014年の開業を目指す高速鉄道計画で日本、韓国、欧州勢による受注合戦が白熱している。4大新興国「BRICs」の一角として存在感を増すブラジルにとって高度成長への起爆剤ともいえる建設費1兆7千億円の大型インフラ。各国がルラ大統領とのトップ外交で積極的な売り込みを図る中、日本も新幹線の受注に官民の総力を挙げている。(サンパウロ 渡辺浩生)

 9月3日、サンパウロで開かれた高速鉄道計画のセミナー。ブラジル政府が事業計画の詳細や公的資金による資金調達案などを発表。入札を予定する日本、韓国、スペイン、フランス、ドイツがそれぞれの技術の特徴をアピールした。

 高速鉄道はリオデジャネイロ、サンパウロ、カンピーナスの主要3都市の約510キロを最高速度時速300キロ、2時間弱で結ぶ。

 建設費は346億レアル(約1兆7千億円)。来月にもブラジルから入札条件が提示された後、年明けにも入札が実施される見通し。サッカーのブラジルワールドカップ(W杯)が開催される2014年の一部開業を目指す。

 豊富な資源や食糧の生産輸出で急成長を遂げ、経済危機の影響も軽微だったブラジルだが、広大な国土を結ぶ輸送インフラの整備の遅れは持続的な成長の大きなネック。高速鉄道は、ルラ政権が掲げる「成長加速計画(PAC)」の最大の目玉のひとつだ。

 日本は三井物産、三菱重工業、川崎重工業、東芝などが共同入札する見通し。高速鉄道の区間は標高の差があり、トンネルも必要になることから、日本側には台湾での高速鉄道でも実証された新幹線技術が最適という自負がある。

 一方、ブラジルは150万人の日系人が暮らす親日国家。麻生太郎首相が7月のラクイラ・サミットでルラ大統領に直接アピールするなど、米大陸初の新幹線輸出を目指して官民一体で売り込みを続けている。

 ただし、「落札の行方は予断を許さない状況」と現地の日本企業関係者。

 韓国政府は昨年11月、李明博大統領が民間企業の経営者団を引き連れて訪問、ルラ大統領と会談した。フランスも熱心で、サルコジ大統領が昨年12月に続いて今月7日に訪問し、16年夏季五輪の開催地に立候補しているリオデジャネイロを「全面支援する」とリップサービスしたほどだ。

 ブラジルにとって高速鉄道の開業は、同じ時期に開始するリオデジャネイロ沖合の大規模な海底油田の本格生産と並んで、「途上国からの脱皮に向けた重大な転換点」(サンパウロ工業連盟のカヴァルカンティ理事)でもある。

 落札国からの資金調達や技術移転を進めたいという思惑もある。ルラ大統領の意気込みは強く、選定の決定権を事実上握っている。日本側にも、次期首相となる民主党の鳩山由紀夫代表によるトップセールスを期待する声が上がっている。

ブラジル初の高速鉄道、遅れる準備 W杯前の完成、地形と地価が壁

2009/07/07 FujiSankei Business i

旅客と貨物で過密状態になっている現在のサンパウロ駅。高速鉄道の開通までに新駅の建設が必要となる=2007年11月(ブルームバーグ)

 ブラジル政府は現在、サンパウロ〜リオデジャネイロ間の400キロメートルを結ぶ同国初の高速鉄道の建設について、英国のコンサルタント会社ハルクロウが提出したプロジェクト案を精査している。プロジェクトの入札は来年早々にも行われ、7カ国(仏・独・日・韓・伊・中・スペイン)の企業体が参加する見通しだ。この高速鉄道はカンピーナス市と同市郊外のビラッコッポス空港付近まで約100キロメートル延長される予定だ。

 【分析】

 ハルクロウ側の情報として、ブラジル政府はサッカーのワールドカップ(W杯)を主催する2014年までの開通を強く求めていると報じられているが、リオデジャネイロを出発してまもなく高低差800メートルに及ぶ急斜面を上らなければならないといった地形による工事の難しさもあり、実現は難しそうだ。当初の計画ではハルクロウのプロジェクト案は1年前に政府に提出され、入札もすでに終わっているはずだった。こうした遅れもあって、線路を建設して高速鉄道が運行を開始するには5年かかるだろう。

 ハルクロウによると、プロジェクトの総費用は110億〜200億ドル(約1兆500億〜1兆9100億円)に達する。リオデジャネイロ〜サンパウロ間の当初の利用者は、年間800万〜1000万人が見込まれている。両ターミナル駅に近接する大きな都市にも停車駅ができる予定で、そうした駅を利用する乗客も多いと見込まれる。リオデジャネイロは、ビジネスはもちろん観光客にも人気の都市だ。

 ◆ライバルは航空機

 現時点では、リオデジャネイロ市とサンパウロ市の住民のうち、およそ70%はもう一方の都市を訪れたことがないといい、高速鉄道の利用者は数年のうちに年間2000万人まで増えることが期待されている。

 ただ、リオデジャネイロ〜サンパウロ間にはすでに空路が整備されており、両都市とも市の中心部に空港を備えているため、航空機は高速鉄道にとって手ごわい競争相手になりそうだ。08年の実績では、両都市の住民約330万人がシャトル便で行き来している。シャトル便を利用した場合の所要時間は約50分。一方、高速鉄道の最高速度は時速300〜350キロメートルで、所要時間90〜120分を目指している。

 また、この区間には長距離バスも運行している。約6時間もかかるが運賃は格安で、新鉄道が想定している運賃60ドルのおよそ半額だ。

 鉄道建設プロジェクトの総費用の75〜80%は、鉄道の敷設そのものに費やされる見通しだ。前述の急斜面に加え、建設費用がかかるトンネル区間と高架区間は計200キロメートルに及ぶ。

 また、現在のサンパウロ駅はすでに旅客と貨物の運行で過密状態にあり、新規に駅を建設する必要がある。貨物列車が市の中心部を走行しないで済むように、トンネルあるいはバイパス路線の建設が提案されている。入札企業は、適当な代替案があれば提案することが可能だ。

 車両のほとんどは輸入する予定で、これに必要な費用は全体の10%未満にとどまる見込みだ。電化設備に必要な費用も同じ程度だろう。また、同国では線路を製造していないため、これも輸入しなければならない。

 ◆受注狙う各国企業

 入札する企業のなかで最有力候補のひとつは、フランスの重電大手アルストムだ。同社はサンパウロの地下鉄向けに、車両の建造や信号システムの構築を担当した実績がある。

 韓国の企業体は、14年までの開通が可能だと示唆。中国も近年スピーディーな鉄道建設を進めた実績がある。

 日本では、三井物産を中心とした企業連合が入札準備に取り組み、途中駅の開発などを含めたすべての関連事業の受注を目指している。ショッピングセンターや会議施設などの建設も視野に入れており、そこから得る収益によって鉄道建設費を軽減する計画だ。

 ブラジルでは20年前まで速度は遅いが非常に安価な旅客列車を、年間1億人が利用していた。しかし鉄道会社が民営化されたことで、こうした列車はすべて廃止された。現在運行している鉄道は、鉱山会社ヴァーレが運営する2路線だけだ。

 ただ、ブラジルでは高速鉄道建設の候補となる主要都市のほとんどが、互いに500キロメートルは離れているため、第2、第3の鉄道建設プロジェクトが生まれるかどうかは疑問だ。

 アナリストらは、プロジェクトの進捗(しんちょく)を妨げる要因として、アジア諸国とは比較にならないほど重視されるブラジル環境省との交渉に加え、鉄道敷設に欠かせない用地取得の難しさを挙げている。

 サンパウロ〜リオデジャネイロ間の路線は、ほぼ全区間を2つの山脈に挟まれ、そのうち3分の1は大河に沿うことになる。また、少なくとも区間の半分は耐久消費財の製造工場がひしめく地域になる。このため地価が高く、敷設用地の取得は容易ではなさそうだ。

 【結論】

 リオデジャネイロとサンパウロを結ぶ高速鉄道の建設プロジェクトは、ブラジル政府だけでなく、各国の企業体が熱心に入札準備を進めている。だが、いずれ完成にこぎ着けるにせよ、計画にはすでに遅れが生じており、ブラジルでサッカーW杯が開催される14年までに高速鉄道が運行を開始できる可能性は、極めて小さいとみられる。

ブラジルの高速鉄道計画、日本勢が売り込み

2009/06/18 00:37 The Sekai Nippo

2014年W杯開通を目指す

 【サンパウロ17日綾村悟】ブラジル政府が計画を進めているリオデジャネイロ−サンパウロ間の高速鉄道計画において、官民を挙げて日本の新幹線技術の売り込みを図っている日本勢の代表団が16日、ブラジルの首都ブラジリアで政府関係者らを相手に説明会を開催した。

 日本からは国土交通省や日本企業連合の代表としてブラジル三井物産(本社サンパウロ)の関係者らが参加した。

 ブラジル政府は、2014年のサッカー・ブラジル・ワールドカップ開催に向けて各地で会場や交通網の整備を急いでいる。ジルマ・ロウセフ文官長(官房長官に相当)は今月3日、リオデジェネイロ−サンパウロ間の高速鉄道を2014年のW杯までに最低でも一部開通させるとして発表したばかり。

 ロウセフ官房長官は、応札の条件として「能率的で高速、そして一定の技術移転を望める相手が望ましい」としている。

 高速鉄道で結ばれる予定のサンパウロとリオデジェネイロは、それぞれサッカー競技場として世界的にも知名度の高いマラカナン、モルンビー競技場を抱えており、2014年W杯で開催都市の中心になる。世界最大規模のサッカー競技場として知られるマラカナンスタジアム(リオデジェネイロ)は同W杯での決勝選会場となる予定だ。

 国際サッカー連盟は、ブラジルW杯の開催に関して交通網などのインフラ整備充実を求めている。

 同区間の高速鉄道入札はこれからだが、ヨーロッパ勢に加えて韓国などのアジア勢が応札してくる可能性もあるという。

KTXをブラジルへ輸出、国土海洋部が売り込み

2009/05/13 09:59 KST YONHAP News

【サンパウロ12日聯合ニュース】国土海洋部の鄭鍾煥(チョン・ジョンファン)長官はブラジル・サンパウロで12日、現地メディアとの会見や建設・鉄道産業協会をはじめとする関係機関との接触を行うなど、韓国高速鉄道(KTX)の輸出に向けたセールス外交を展開した。

 ブラジルでは、リオデジャネイロ〜サンパウロ〜カンピーナスを結ぶ510キロメートルの区間で高速鉄道建設事業が進められている。約200億ドル(1兆9238億円余り)が投じられ、2014年の完工を計画している。来月中には事業計画がまとまり入札が実施され、早ければ年内、遅くとも来年初めには工事が始まる予定だ。

 鄭長官は、現地メディアとの会見で「韓国は外国から技術移転を受け、国内技術開発を通じ、高速鉄道の建設・運営に成功した」と強調。韓国にブラジル高速鉄道事業参入の機会が与えられるならば、最高の鉄道を建設する自信があるとアピールした。ブラジル高速鉄道建設区間と韓国KTXのソウル〜釜山区間にはさまざまな面で類似性があると主張し、「ブラジルが望めば、韓国が持つ技術をすべて移転し、現地化の成功に向け支援する」と述べるとともに、韓国の経験はブラジルにもすばらしいモデルになるだろうと自信を示した。

 また、民間建設業者とコレール(韓国鉄道公社)が参加する企業連合をすでに構成しており、韓国政府もブラジル高速鉄道事業に積極的な支援を惜しまないと強調した。

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