TOPIC No.2-155 パナソニック(Panasonic)

01. パナソニック(Panasonic)
02. パナソニック(Panasonic) byフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
02. パナソニック、2009年度のテレビ出荷は1,550万台に (2009年05月15日)AV watch


【関西経済2010】韓国の猛攻…薄型TVも電池も苦戦の電機業界

2010.12.26 07:00 Sankei Biz

6〜7月に開かれた太陽電池の展示会「PVJapam2010」では、国内外のメーカーが技術を競った=横浜市【拡大】

 今年の電機業界は、平成20年秋のリーマン・ショック以降、落ち込んだ業績の回復が一段と鮮明になった。だが、韓国サムスン電子など海外勢との熾烈な競争が続く状況は変わらず、日本勢が優位を保っていた太陽電池などの環境関連事業でも追い上げられる一方だ。業界の危機感はむしろ高まっている。(牛島要平)

サムスンにたじろぐ日本メーカー

 7月29日、パナソニックは50%超の株式を握っていた三洋電機とパナソニック電工を、23年4月をめどに完全子会社化すると発表した。パナソニックの大坪文雄社長は会見で、「真に一体になったパナソニックグループを構築する」と強い決意を語った。

 薄型テレビでは各メーカーが相次いで3D(3次元)テレビを発売した。パナソニックは3月に米国、4月に日本でも3Dテレビを発売し、価格下落の著しい薄型テレビの収益向上を図る思惑だった。

 ところが、米国ではサムスンの圧倒的な価格攻勢に苦戦を強いられた。「サムスンのウサギのようなスピードに比べれば、われわれはカメだ」。大坪社長の言葉に焦燥感がにじんだ。

環境事業に望み

 シャープが堺市に建設した大型液晶パネル工場に続き、4月には兵庫県姫路市でパナソニックの液晶工場が稼働し、大阪湾岸は“パネルベイ”と呼ばれる。だが、その地位も危うい。パネルの標準化が進み、韓国や台湾の製品が価格競争力をつけているためだ。「米国を中心に大型テレビの需要が増している。大型パネルの堺工場の強みが出てくる」。シャープの片山幹雄社長はこう望みをつなぐ。

 こうした中で、家電各社が薄型テレビに続く将来の成長事業と位置づけるのが、温室効果ガス削減で脚光を浴びる太陽電池や、エコカー向け電池などの環境関連事業だ。関西でも設備投資が集中した。

 太陽電池ではシャープが3月に堺工場での生産を始め、三洋も二色の浜工場(大阪府貝塚市)などを増強。京セラは滋賀県野洲市の新工場を稼働させた。

脅かされる優位

 電気自動車(EV)などの動力源となるリチウムイオン電池では、パナソニックの住之江工場(大阪市住之江区)、三洋の加西工場(兵庫県加西市)が完成し、GSユアサの栗東工場(滋賀県栗東市)も10月に着工した。

 エコカー市場が拡大すればリチウムイオン電池の需要は一段と増える。しかし、三洋の技術を取り込んだはずのパナソニックの優位は、すでに脅かされている。2010年のリチウムイオン電池の世界シェアは、サムスングループのサムスンSDIが20.1%を占め、三洋電機は19.9%で初めて首位から陥落する見通しとなった。

 パナソニック幹部は「電池で液晶の二の舞いを演じるわけにはいかない」と厳しい表情で語った。競争力維持のために、さらなる投資が必要な来年こそが正念場となる。

 デフレが止まらず、急速な円高で疲弊した日本経済。厳しい経営環境が続く中で、日本企業は生き残り策を模索したが、経営改革はまだ道半ばだ。日本経済の縮図でもある関西経済の「今年」を3回にわたって振り返った。

パナ、太陽電池事業に本格参入 三洋製を7月発売

2010年05月31日 中国新聞ニュ−ス

 パナソニックが発売する「HIT太陽電池」を使った住宅向けシステム=31日午後、東京都港区

 パナソニックは31日、昨年末に子会社化した三洋電機独自の「HIT太陽電池」を使った住宅向けシステムを7月1日から販売すると発表した。子会社化後、「初のコラボレーション商品」と位置付け、グループを挙げて太陽電池事業に本格参入する。

 「HIT」はエネルギー変換効率に優れた太陽電池。販売は住宅用建材を手掛けるグループ会社のパナソニック電工が中心となるほか、パナソニックの家電ルートも活用して拡販する。希望小売価格(工事費別)は「HIT215シリーズ」が1枚15万6450円。

 調査会社の資源総合システムによると、2009年の太陽電池製造シェアはシャープが約4割を占め1位、京セラが26・5%で続き、パナソニックはわずかだ。

 パナソニックは13年3月期の太陽電池の販売容量をグループで900メガワット、業界トップとなる国内シェア35%以上を目指す方針で、三洋と次世代太陽電池も共同開発する。

 また同日、三洋の地域販売店でパナソニックのテレビやブルーレイディスク(BD)レコーダーを7月から販売する計画も明らかにした。

新興国需要増で全社黒字へ 電機大手の11年3月期予想

2010/05/14 中国新聞ニュ−ス

 電機大手8社の2011年3月期の連結決算見通しが13日、出そろった。中国をはじめとした新興国の需要拡大などによる事業環境の改善で、日立製作所やソニーなど全社が純損益の黒字を見込んでおり、業績の回復傾向が一段と鮮明になった。

 10年3月期もエコポイント制度の追い風やリストラ効果などで、富士通など4社が黒字となったほか、ソニーなど4社が赤字幅を縮小。各社の純損益は09年3月期と比べて改善した。

 ただドルやユーロに対する円高傾向や原材料費の高騰など懸念材料も表面化しており、自動車と並ぶ基幹産業の電機大手が日本経済をけん引できるかどうかは不透明な面もありそうだ。

 この日、11年3月期の連結決算見通しを明らかにしたソニーは純利益を500億円と予想。3年ぶりに黒字化する。大根田伸行おおねだ・のぶゆき副社長は「ゲームやテレビ、携帯電話の事業もすべて黒字転換する」と業績回復に自信をみせた。

 中国やインドといった経済成長が著しい新興国主導で需要の増加が期待されており、電機各社は事業環境が上向くとのシナリオを想定。日立製作所は自動車機器などの持ち直しを支えに、11年3月期は純利益1300億円と5年ぶりの黒字を見込んでいる。

 家電の販売増などでパナソニックも500億円と3年ぶりの黒字を予想しているほか、東芝も半導体市況の回復などを背景に3年ぶりに700億円の黒字となる見通し。富士通やNEC、三菱電機、シャープも利益の上乗せを見込んでいる。

 10年3月期決算では、経営の合理化によるコスト削減などで、全社が本業のもうけを示す営業損益で黒字を確保。売上高は世界的な景気停滞による同期前半の販売不振が響き、全社が09年3月期を下回った。

新興国照準で売上高10兆円 パナソニック、中期経営計画

2010.05.08 SankeiBiz

 パナソニックの大坪文雄社長は7日、大阪市内で記者会見し、連結売上高に占める海外比率を現在の約48%から55%に高めることなどを盛り込んだ2013年3月期までの中期経営計画を発表した。価格を大幅に抑えた家電製品などを投入し、新興国で急増するボリュームゾーン(普及価格帯)向け需要を取り込む。三洋電機との白物家電などの重複事業見直しにも乗り出す一方、成長事業と位置づける環境・エネルギー事業での連携を強化。これらにより13年3月期に10兆円の売上高を目指す。

 ≪海外比率60%に≫

 「国内中心から徹底的なグローバル志向への転換を図る」

 大坪社長は会見でこう述べ、中国、インドなど新興国を中心に海外市場の開拓を急ぐ方針を強調した。

 新興国戦略では、現地の生活スタイルに合わせた製品開発を行うため、調査・研究機能を強化する。人口減などで需要の先細りが予想される国内市場への依存度を下げ、ボリュームゾーン商品で13年3月期に1兆円規模の販売を目指す考えだ。将来的には新興国を中心に海外売上高比率を60%以上に7高める。

 成長事業の太陽電池事業では、兵庫県尼崎市にある自社の薄型テレビ用パネル工場の敷地を活用し、三洋の新工場建設を検討。また、パナソニックも7月から三洋製太陽電池の販売も始め、同事業で13年3月期に国内トップを目指す。

 三洋との重複事業について大坪社長は、「白物家電ではパナソニックと三洋電機で開発、生産を一元化する」と述べ、重複解消に向けた作業に本格的に着手する。具体的内容への言及は避けたが、滋賀県(パナソニック)と鳥取県(三洋)に分散している白物家電の製造拠点統合にも乗り出すとみられ、グループで3000億円規模の事業から撤退する。

 ≪最終赤字1034億円≫

 一方、同日発表した10年3月期連結決算は、最終損益が1034億円の赤字(前期は3789億円の赤字)と、2年連続の赤字だった。当初の想定を約1100億円上回る経費削減の効果で、営業利益は2.6倍の1904億円と増益を確保したが、生産拠点の廃止や早期退職実施に伴う費用など事業構造改革費が膨らみ、最終赤字からの脱却はならなかった。

 売上高は前期比4.5%減の7兆4179億円。昨年12月に子会社化した三洋の業績(1〜3月期分)が初めて連結対象に加わり、3999億円の増収効果があったが、上期の販売不振をカバーできなかった。エコポイント制度の恩恵を受けた薄型テレビは、販売台数が58%増の1584万台と大幅に伸びた。

 11年3月期は売上高が前期比18.6%増の8兆8000億円、最終損益は500億円の黒字と、3年ぶりの最終黒字を見込む。薄型テレビの販売台数予想は32%増の2100万台。3D(3次元)対応の薄型テレビで需要を喚起したい考えだ。(佐藤克史)

パナソニック 環境分野、世界へ足場…三洋と相乗効果図る 電池事業、収益の柱に

2010年01月01日 読売新聞 Yomiuri On-Line

約5000枚の太陽電池パネルが張られた三洋電機の大規模太陽光発電施設「ソーラーアーク」。三洋は、パナソニックが持たなかった太陽電池などに強みがある(岐阜県安八町で)=三洋電機提供

 2015年度に「環境エネルギー」事業を主力のデジタル家電を上回る事業規模に育てるパナソニックの成長戦略には、より高い技術力を求められる次世代事業に急速に軸足を移すことで、ライバル企業の追撃を振り切り、世界の勝者を目指す狙いがある。デジタル家電は韓国勢などが台頭し、世界各地で価格競争にさらされている。一方、太陽電池や充電池でも、欧州や中国に強豪メーカーが現れているが、これらを規模や総合力で圧倒したい考えだ。(栗原公徳、中川賢)

 パナソニックは、具体的な増収策について、09年末に三洋電機との間でスタートさせた「コラボレーション委員会」などを通じて詳細を詰める。子会社の三洋やパナソニック電工などとの協力をより緊密にする方針で「三洋を子会社化した効果は見込んだ以上に大きく、当社は環境エネルギー事業を軸に大きく変わる」(首脳)と強調している。

 パナソニックのデジタル家電事業は、09年3月期の連結売上高が3兆4920億円で、全体の45%を占めている。今後も薄型テレビの世界シェア(市場占有率)を現在の10%から15%以上に高める目標を掲げるなど、当面の先導役であることに変わりはない。

 ただ、収益面は厳しい。薄型テレビは、10年3月期で2年連続の営業赤字を見込む。日本や欧米など主力市場を中心に価格下落が続くためで、デジタル家電事業は営業利益の3%、32億円を確保したに過ぎない。

 現状は日本国内で強い冷蔵庫などの白物家電、子会社であるパナソニック電工やパナホームが、グループの営業利益の約70%を稼いでいる。三洋電機の子会社化にも「従来のグループは国内中心で、新たなけん引役となる事業が多くなかった」(大坪文雄社長)との危機感が反映されていた。

 三洋はリチウムイオン電池で世界首位となる約30%のシェアがあり、太陽電池でも大手だ。太陽電池で世界最高水準の変換効率を誇るなど他社に先行する技術があり、パナソニック幹部は「値崩れが激しい家電に比べて大きな収益を期待できる」という。

 パナソニックは太陽電池や燃料電池で電気をつくり、家庭用充電池で蓄え、省エネ性能が高い家電で使う――という「家まるごと」戦略を掲げる。三洋の子会社化により、自社だけで提供できる体制が整った。

 ただ、環境エネルギー分野には異業種からも参入が相次ぎ、事業拡大の道筋をつけるのは容易ではない。

 リチウムイオン電池では、韓国のサムスングループが世界3位、中国のBYDが5位のシェアを押さえている。太陽電池も中国やドイツのメーカーが台頭し、かつては生産量で世界4位だった三洋のシェアが11位に下がっている。

 それだけに、三洋を子会社化したパナソニックのリードも十分に大きいとは言えず、グループ内の相乗効果をどう高めていくかに気を配る必要がある。

パナ転換 TVは低価格 新興国需要に対応 攻勢

2009/06/20 Fuji Sankei Business-i

 パナソニックは19日、中国など新興国向けに低価格の薄型テレビを拡充する方針を明らかにした。新興国では薄型テレビの売れ筋が、低価格製品であるためだ。すでに薄型テレビ大手の韓国サムスン電子やシャープも、中国で低価格製品を売り出す方針を打ち出すなど、戦略の見直しを進めており、世界の主要大手がそろって舵を切る格好だ。高機能の高価格帯製品を中心に据える考え方に対しては、同日、経産省が発表した「2009年版通商白書」でも「景気の影響をうけやすい」と弊害を指摘。高性能・高品質を売りものにしてきた日本企業は路線の見直しを迫られる可能性もある。

 ≪中間所得層に照準≫

 パナソニックは2008年度まで、BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)を中心とした新興国では、最大4シリーズの薄型テレビを販売してきた。うち3シリーズがフルハイビジョン、1シリーズが通常のハイビジョンと高価格製品に特化した品ぞろえだった。

 しかし、薄型テレビ市場が急成長する中国では、販売のボリュームゾーンが中価格から低価格帯と、パナソニックが展開する分野以外で際だって伸長している。また、中国政府が農村部への家電の普及を狙いに、テレビなどの購入に補助金を出す「家電下郷」の対象は基本的に低価格製品。このことも大きく影響し、低価格品中心の商品構成をする中国の現地メーカーが好調にシェアを伸ばし、ブランド力で勝負してきたパナソニックなどの世界的メーカーは、拡大する薄型テレビ需要を取り込めないでいるのが実情。

 このためパナソニックは中国を含めた新興国向け薄型テレビを最大8シリーズのフルライン構成にする。追加するシリーズは、機能を絞り込むなどでコストを抑えた中価格帯から低価格帯の製品が中心。大坪文雄社長は、買い求めやすい商品を充実させることで「新興国で『ネクストリッチ』と呼ばれる中間所得層を顧客に取り込みたい」と強調する。

 パナソニックの08年度薄型テレビ販売台数は前期比35%増の1005万台とプラスを確保したものの、デジタル家電部門の営業損益は185億円の赤字。世界的に販売価格が下落するなか、商品構成がこれにマッチせず「安値放出」を強いられたことをうかがわせる。市場のニーズに合わせ的確な品ぞろえをする戦略への転換は、薄型テレビを中心にしたデジタル家電の収益力を立て直す狙いもある。

 ≪ブランド力低下懸念≫

 一方で低価格製品を充実させて安売り戦線に加わることは、ブランド力を低下させて、高級品の販売にマイナスに作用する懸念もある。だが、そうせざるを得ないほどに世界の薄型テレビ市場は、構造的に変化しているとの判断だ。

 09年版通商白書も、金融危機で日本経済が深刻な打撃を被ったのは、欧米向け輸出を柱とした高付加価値製品への偏りのためと分析。今後は成長が期待されるアジア・新興国の中間層を開拓する必要があると指摘した。パナソニックやシャープは市場の変化に適応しつつ、どう持ち味を出すのか、新たな課題を突きつけられた格好でもある。(堀口葉子、田辺裕晶)

パナ、来年も純損失1950億円 生産拠点40カ所閉鎖

2009年05月15日 中国新聞ニュ−ス

 パナソニックが15日発表した2009年3月期連結決算は、薄型テレビなど不振事業のリストラ費用がかさみ、純損益が3789億円の赤字(前期は2818億円の黒字)に転落した。10年3月期も1950億円の純損失を予想しており、2年続けて巨額赤字の見通しだ。

 09年3月期に国内外で不採算の生産拠点を既に20カ所閉鎖し、10年3月期も20カ所閉じる。昨秋以降の急激な景気後退は、高成長を続けてきたパナソニックの経営も大きく揺さぶった。

 都内で記者会見した大坪文雄社長は、世界不況や新型インフルエンザなど10年3月期の懸念材料を挙げ「一部に明るい兆しも見えるが、力強い回復はあり得ない。四半期ごとに世界のマーケットを見て、着実に経営していく」と話した。

 3789億円の赤字幅は、情報技術(IT)バブル崩壊直後の02年3月期の4277億円に次ぐ。09年3月期の大手電機各社との比較でも日立製作所に続く規模だ。パナソニックの赤字は03年3月期以来6年ぶり。

 09年3月期の売上高は前期比14・4%減の7兆7655億円。世界的な景気後退でカーナビなど自動車関連製品や電子部品の販売が振るわず、主力の薄型テレビやデジタルカメラも低迷した。為替相場の円高も響いた。

 パナソニックは閉鎖拠点の具体名は明らかにしていない。09年3月期のリストラ費用は3674億円(うち主力のテレビ事業は2300億円)で、10年3月期も880億円を見込んでいる。大坪社長は「足を引っ張る事業は切っていく」と厳しい口調で話した。

 10年3月期の薄型テレビ事業は、価格下落と円高で、09年3月期に続き赤字の見通し。ただ販売台数の目標は前期比約1・5倍の1550万台を掲げた。

 10年3月期の売上高は前期比9・9%減の7兆円を予想。本業のもうけを示す営業利益は750億円を見込んでいる。

パナソニック:最終損益3789億円の赤字 3月期決算

2009年05月15日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE

 パナソニックが15日発表した09年3月期連結決算は、売上高が前期比14.4%減の7兆7655億円、最終(当期)損益は3789億円の赤字(前期は2818億円の黒字)だった。営業利益は86.0%減の728億円。10年3月期は、売上高が9.9%減の7兆円、営業利益が2.9%増の750億円を見込むが、構造改革費用の計上などで、最終損益が1950億円の赤字となる見通し。【坂井隆之】

大手電機9社:三菱電機を除く8社が赤字決算

2009年05月15日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE

 大手電機9社の09年3月期決算が15日出そろった。世界不況や円高で家電最大手、パナソニックが3789億円の最終(当期)赤字となるなど、三菱電機を除く8社が赤字決算となった。10年3月期もパナソニックがリストラ費用の計上などで1950億円の最終赤字を見込むなど、5社が連続赤字を予想している。ただ、中国での薄型テレビ販売拡大などでパナソニックとシャープが不況脱出を図る一方、総合電機の日立や東芝はリストラ最優先の姿勢で、経営状況には違いが見える。【高橋昌紀、和田憲二】

 デジタル家電の販売不振と円高、リストラ費用の膨張で、パナソニックはIT(情報技術)バブル崩壊直後の02年3月期(4277億円)に次ぐ大幅な最終赤字に落ち込んだ。最終赤字は6期ぶり。しかし、大坪文雄社長は15日の決算発表の席で、4月以降、デジタル家電の需要が回復していることを挙げて、「明るい兆しも出てきている」と、経営が最悪期から脱しつつあるとの認識を示した。

 さらに収益回復のカギを握る薄型テレビ事業では、今期の世界販売を前期比5割以上増加の1550万台に設定。「価格下落は厳しいが、市場は順調に拡大する。シェア(市場占有率)拡大で収益の道も見えてくる」と自信を見せた。

 自信の背景にあるのは、「家電下郷(農村に家電を)」と呼ばれる政府の補助策も追い風に、中国で薄型テレビなどデジタル家電や冷蔵庫など白物家電の需要が大幅に伸びるなど、市場の縮小に歯止めが掛かりつつあることだ。

 また、国内市場も「エコポイント」制度など政府の環境家電への買い替え奨励策で販売台数が伸びると予測。価格下落は続くものの、原価が高止まりしていた旧モデルから新製品への切り替えを進め、販売台数を拡大する。テレビ事業の採算を改善し、収益確保への道筋をつけるシナリオを描く。

 シャープも「09年度は日中の薄型テレビの販売が2ケタで伸びる」(浜野稔重副社長)と算段。3800億円を投じて堺市に建設中の液晶パネル新工場の稼働を今年10月に前倒しし、採算の良い40型以上のパネルやテレビを量産して収益改善を図る。

 ◇総合電機 設備、雇用なお過剰

 半導体や産業用機器、原子力機器事業などの比率が高い総合電機は、過剰設備や過剰雇用が重くのしかかり、明るさは見いだせない。工場閉鎖や非正規社員の大量削減などを実施したが、一段のリストラなしには回復の青写真が描けない状況で、日立、東芝、三菱の3社は10年3月期も最終赤字を見込んでいる。

 各社は「総合電機の看板にこだわらない」(日立の川村隆社長兼会長)として、事業の集中と選択を進めつつある。日立と三菱、NECは来春をメドに子会社で展開する半導体事業を統合。不振のデジタル家電事業や自動車用機器事業では、日立が分社化を決めるなどスリム化に懸命だ。

 NECの矢野薫社長は決算発表で「今期(10年3月期)は2700億円の固定費削減で減収を乗り越え、最終黒字100億円を必ず達成したい」と決意を表明した。だが各社とも、事業からの完全撤退は大規模な人員削減や売上高減少につながるため、「容易には決断できない」(総合電機大手幹部)。

 さらに09年3月期の大幅赤字で財務面が大きく傷付いたのも痛い。同3月末の自己資本比率(総資産に対する株主資本などの割合)は日立が11・2%、東芝が8・2%と、一般に経営安定の目安とされる20%を大きく下回った。40%前後のパナソニックやシャープとは対照的で、「(増資しなければ)構造改革の体力も乏しくなる」(東芝の村岡富美雄専務)ため、新たな成長シナリオ作りもままならない。

パナソニック電工:初の最終赤字に…業績予想を下方修正

2009年04月18日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE

 パナソニック電工は17日、09年3月期の連結業績予想を下方修正し、最終(当期)損益が従来予想の50億円の黒字から140億円の赤字(前期は454億円の黒字)になると発表した。創業以来初の赤字となる。コスト削減を図るため08年度に国内外6工場を閉鎖したのに続き、09年度も4カ所以上を閉鎖する。また今年4月から半年間、1日の就業時間を20分増やし、その分の残業手当を減らす賃金削減に着手した。

 赤字となるのは、競争力の低い電子材料工場の製造設備の減損処理など構造改革費用200億円を追加したため。6カ所の閉鎖費用など50億円に積み増した。

 07年度比で最大25%減としていた08年度の役員と管理職の報酬カットは、09年度も継続実施する。20分延長で1日8時間となる従業員の就業時間は、市況が改善しなければ延長することで労使が合意しているという。休日出勤、残業などの各種手当も削減する。こうした取り組みによるコスト削減効果は180億円に上る。会見した彦惣正義副社長は「役員や従業員が一定の痛みを分かち合い、難局を乗り切っていく」と強調した。【新宮達】

エコナビ2008:パナソニック、電池に狙い 三洋電機、買収方針 成長分野補強へ

2008年11月02日 毎日新聞東京朝刊 Mainichi INTERACTIVE

 ◇金融危機、優先株取得に道

 パナソニックが三洋電機を買収する方針を固めたのは、三洋が得意とする電池事業を取り込み、成長を加速する狙いがある。株式の過半数を取得して子会社化することで年内の基本合意を目指す。09年度までに売上高を10兆円とする目標を達成する上でも大きな弾みとなるが、この時期に買収交渉が浮上したのは、金融危機の逆風の中、金融機関が保有する三洋の優先株の処理を急いだ事情もある。一方、三洋側には経営の独立性を失うことに抵抗感があり、今後の交渉でいかに落としどころを探るかが焦点になる。【上田宏明、宮崎泰宏】

 パナソニックは薄型テレビなどのAV(音響・映像)製品から白物家電(冷蔵庫や洗濯機など)、電子部品まで幅広い事業領域を持つが、太陽電池は00年ごろ大幅に事業を縮小し、事実上撤退。太陽電池は地球温暖化問題で世界的に市場が急拡大しており、パナソニックにとっては国内3位の三洋を買収することで再び参入を果たせるメリットがある。

 また、携帯電話などに使われるリチウムイオン電池で三洋は世界首位。パナソニックも大阪市に新工場を計画するなど投資を加速しているが、買収が実現すれば一気に世界シェア5割近くを握る。

 一方、三洋の優先株を1株70円で取得した米ゴールドマン・サックス、三井住友銀行、大和証券SMBCの金融3社にとっても、世界的な金融危機の中、売却で利益を出せる。三洋の経営再建は08年3月期連結決算で4期ぶりの最終黒字に転換するなど順調だったが、株価急落による“待ったなし”の状況下、早期の売却交渉に傾いたとみられる。

 資金力のない企業が相手では三洋の事業を一括で売却するのは難しく、事業の切り売りから企業解体につながる懸念もあるが、その点、パナソニックなら手元資金が約1兆円と潤沢で「理想的な売却先」(業界関係者)といえる。

 ◇三洋側には抵抗感

 課題は白物家電や半導体など、重複事業の多さ。中村邦夫前社長(現会長)時代から大改革を進めてきたパナソニックとしては、将来的には完全子会社化して確実に経営権を握り、非効率な重複事業の統廃合に着手したい意向とみられる。

 しかし、三洋の佐野精一郎社長は「優先株は自社株買いで消却するのがベスト」と強調。全株を自社で買い入れるのは困難だとしても、なるべく他社に売却される株式の割合を少なくし、経営の独立性を保ちたいとの思いをにじませていた。

 今後の交渉では株式の売却価格や割合などのほか、三洋側の抵抗感を和らげながら非効率事業の整理を進めるかなどが焦点。三洋ブランドの存続、従業員の雇用確保なども大きな要素となりそうだ。

 ◇業界再編加速も

 買収が実現すれば、大手電機メーカー同士が丸ごと合併や買収で再編される初のケースになる。

 国内の電機業界では、10月に日本ビクターとケンウッドが経営統合したほか、薄型テレビや携帯電話など事業分野ごとの再編が進行。今回の買収話が、世界的な競争激化に対応した動きを加速させる可能性もある。

 国内電機メーカーの多くは長年「総花的経営」を続け、同じような製品を横並びで作る過当競争に陥ってきた。少子高齢化で国内市場が飽和状態になる一方、世界市場でも韓国サムスン電子などにシェアを奪われ、携帯電話や半導体での苦戦が目立つ。国内メーカーも重い腰を上げ、ここ数年は事業ごとの再編が活発化。10月の社名変更で勢いに乗るパナソニックと技術力に定評がある三洋との「統合メリットは大きい」(金融関係者)との声もあり「電機大手の更なる再編を促す可能性がある」(業界関係者)との見方も強まっている。【秋本裕子】

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 ■ことば

 ◇優先株

 株主総会での議決権がない代わりに、配当利回りや解散時の財産配分などで優先される株式。高配当のため投資家に買ってもらいやすく、自己資本充実のための有効な手段となる。

パナソニックと三洋電機、三洋の子会社化で大筋合意

2008年11月02日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 パナソニックと三洋電機が、三洋のパナソニック子会社化で大筋合意したことが1日、明らかになった。パナソニックは子会社化に向け、週明けにも三洋の大株主である米証券大手ゴールドマン・サックス(GS)グループなど金融3社との間で、3社が保有する優先株の買収交渉を本格化させるが、それに先立ち、三洋本体の了解を取り付けたことになる。大株主の三井住友銀行も賛同しており、三洋が2009年4月をめどにパナソニックの子会社となることが、ほぼ確実となった。

 関係者によると、既に両社首脳が数度にわたって直接会談。10月下旬までにパナソニック側は、三洋電機の社名、ブランド名を現在のまま使うことや、経営体制や社員の雇用の維持などの条件を受け入れ、三洋側も大筋で了承したという。

 パナソニックは07年、当時、子会社だった日本ビクターの株式を売却した際、ビクターの経営陣や社員らの反発を受け、交渉が迷走した経緯がある。こうした反省から、今回は金融3社との交渉に先立ち、三洋との合意を優先させた。

 パナソニックは今後、金融3社から優先交渉権を得て資産査定を実施し、年内にも買収の基本合意を目指したい考えだ。これを踏まえ、パナソニックは年明けにも、TOB(株式公開買い付け)を実施し、全株を取得して三洋の完全子会社化を目指す。

灯油価格に左右されず…エアコン需要増 パナソニック「体感」で販促

2008/11/01 Fujisankei business-i

 通年使用でき、灯油価格に左右されない暖房機として、燃焼暖房からエアコン暖房に切り替える消費者の動きが顕著だ。日本ガス石油機器工業会によると、2007年度の石油ファンヒーターなど石油暖房機器の販売額は前年度比17%減の574億円で、08年度も微減を予想している。一方、07年度のエアコンの販売額は、同8.2%増と好調だ(GfKマーケティングサービスジャパン調べ)。今冬を「エアコン普及拡大の年」と位置づける電機メーカーは、暖房性能を高めて需要を喚起し、年末商戦に投入する。

 エアコン需要増は業績にも影響。08年9月中間連結決算を10月28日に発表したパナソニックの大坪文雄社長は、23年ぶりの最高益の要因の1つに白物家電をあげ、なかでもエアコンの好調ぶりを強調した。その勢いを年末商戦につなげようと同社は販促を強化。従来、夏場が過ぎると縮小していた家電量販店のエアコン売り場に「体感コーナー」を設置し、他社に先駆けて10月21日、「Xシリーズ」11機種(店頭価格は20万円前後から)を投入した。消費者が抱く「暖まらない」「肌が乾燥しそう」といったマイナス材料を払拭(ふっしょく)しようと懸命だ。

 新製品は、立ち上がり時間を従来機の約半分に縮め、すぐに温風が足元へ届くハイパワーを実現。さらに、水に包まれた微細なイオン「ナノイー」を部屋に拡散することで、肌水分の蒸散を抑えるという。

 「エアコン市場の伸びとあわせ、高性能製品を店頭で体感してもらいながら、買い替え需要を創出したい」と筧淳石(かけひ・あつし)空質商品チーム参事は力説する。

 うるおい性能では元祖、ダイキン工業も21日に「うるるとさらら(Rシリーズ)」9機種(18万8000円前後から)を発売する。外気湿度を測り室外の水分を取り込む加湿機能「うるる加湿」に新センサーを搭載。効率化と省エネを実現した。

 三菱電機も暖房性能の強化を進める。10月31日発売した「霧ヶ峰ムーブアイ」(19万8000円から)は、床温度や人の居場所、扉の開け閉めといった部屋の温度変化を認識するセンサー「ムーブアイFit」の機能がウリ。冷たい足元などを確認し、約60度と高い温風を勢いよく送るなど「それぞれの生活シーンに合った気流を自在にコントロールする」(広報部)ことで、快適な室内環境を実現する。

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【予報図】

 ■高価格でも多機能、売れ筋に

 市場調査会社のGfKマーケティングサービスジャパンによると、08年度上期(4〜9月期)の総合家電の販売額は前年同期比2.7%増と微増のなか、突出した伸びを見せたのがエアコンだ。7月の猛暑を受け、11.3%増と前年同期を2けた上回った。原油高騰によって石油ストーブの需要が落ち込む一方、エアコンは昨年度からシェアを伸ばしている。特に高価格商品が売れ、気流コントロールなど多機能、高機能な商品が売れているという。その傾向は08年度下期もさらに顕著になるとみられる。

 GfKは、08年度はエアコン暖房の普及拡大の年、と位置づけており年末商戦に期待できるカテゴリーの1つという。(堀口葉子)

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