TOPIC No.2-14b アラビア石油

01. 炎のアラビア 一発必中 油をあてろ byプロジェクトX
021. アラビア石油株式会社
03. AOCホールディングス株式会社  by東京証券取引所
04. アラビア石油、カフジ撤退 (2008年01月05日) by化学業界の話題
05. アラビア石油が後退。ドロ沼の暗闘劇の裏!(2008-06-02) by日刊 鼠小僧
06. アラビア石油 byフリー百科事典『ウィキペディ ア(Wikipedia)』
07. アラビア石油破綻事件の深層『財界 にっぽん』 2001.04月号

日本の油田利権20年延長へ アブダビ、追加鉱区も

2009/01/21 47News 【共同通信】

 【アブダビ21日共同】アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ首長国で日本の開発会社「アブダビ石油」が持つ海上油田「ムバラス油田」の開発利権が20年間延長される見通しになった。アブダビ国営石油のユーセフ・オメール最高経営責任者(CEO)が共同通信などに21日語った。

 ムバラス油田の利権は2012年が期限で、延長は日本の資源戦略にとり朗報。日本はアラビア石油が中東のカフジ油田の利権を失って以来、自主開発油田の利権延長への懸念が広がっていた。

 ムバラス油田は現在、原油を日量1万8000バレル生産しているが、UAE側が新たな開発鉱区も認め日量2万5000バレルへ増産する方向で日本・UAE間で最終調整している。

 ユーセフ・オメールCEOは、昨年開いたアブダビの石油政策に関する最高意思決定機関、アブダビ最高石油評議会で利権延長を決定したことを明らかにした上で「日本との協力関係は非常に重要であり、今後も緊密にしたい」と強調した。

アラビア石油イラク開発計画に参画も

2008.10.04 MSN産経新聞

 AOCホールディングス傘下のアラビア石油(東京都品川区)は3日、イラクで計画されている外資系石油会社による油田と天然ガス田の開発事業に参画する方針を明らかにした。イラクは北部の主要油田キルクークなど8カ所の油田とガス田を対象に外資導入を進めており、外資41社を対象に、来年3月末までに入札を実施する。アラ石は年内にも予定される追加応札資格募集に申請し、事業参画を目指す。

 アラ石は1月にクウェートと結んでいた「カフジ油田」の技術サービス契約が終了し、日本初の自主開発油田として50年近く携わった同油田の操業から撤退した。現在は中国とノルウェーで油田の権益を持つほか、ノルウェーとエジプトで新たな開発事業に参画することを決めている。ただ将来の原油生産量確保には、世界最大の産油国であるサウジアラビアを上回る原油埋蔵量が期待されるイラクの油田開発事業の参画が不可欠と判断した。

アラビア石油、スエズ湾で油田開発へ

2008年08月21日 Response

 アラビア石油は、エジプト・スエズ湾のノースウェスト・オクトーバー鉱区での石油・ガス開発に関してエジプト政府石油省から油田の開発について正式承認を得たと発表した。

 同社はこれを受けてプロジェクトに着手するに当たっての最終判断を行うため、生産施設の基本設計などの検討作業を開始した。作業は年末までに完了の見込みで。原油生産開始時期は、2010年度前半を目指している。

 同社は2005年7月にエジプト政府、エジプト石油公社と生産分与契約を締結し、2006年9月に掘削した試掘1号井で原油の産出を確認した後、開発計画の策定な、開発移行のためのエジプト石油公社と協議してきた。

 開発への移行では、今後の他の案件の可能性を念頭におき、資金の効率的活用の観点から、同社は他のパートナーと必要資金を分担し、共同でプロジェクトを進めるため、鉱区の権益の一部を他社に譲渡する。

 石油開発コンサルタントである英国ステラ・エナジー社を起用して譲渡先の選定を進めた結果、エジプトに本拠を置くPico International Petroleum社を譲渡先に選定、50%の権益譲渡契約を締結した。引続きアラビア石油がオペレーターとしてプロジェクトを推進する。《編集部》

アラビア石油が後退。ドロ沼の暗闘劇の裏!

2008-06-02 日刊 鼠小僧

 ガソリンの値上がりが深刻な問題をなげかけている折も折、石油開発会社のアラビア石油のトップ人事が衝撃を与えている。

 業界、市場筋が仰天したのは9人の役員のうち神克彦社長以下、日本人役員7人が一斉に退陣(6月2日)したのだ。後任の社長には穂谷一敏・経営管理部長が就任した。異例の抜擢人事だが、さらにAOCホールディングスの関屋文雄社長等6人が新たにアラビア石油の役員に就任した。アラ石の経営陣が全員いなくなったことになる。  AOCはアラビア石油、富士石油の共同持株会社(東京・品川)である。

 AOCの関屋社長は会見でこう言っている。 「中東のカフジ油田の操業が終了したことで一区切りがついた。経営陣の若返りを行い、人心を一新して新たな発展をめざしたい」  しかし、それは表向きの事で裏側では凄まじいばかりの人事の葛藤が繰り広げられていたのだという。

 同じAOC傘下にあってもアラ石の厳しい経営に対して富士石油は石油の精製・販売が好調で両者の力関係は完全に崩れかけているという。  関屋社長はアラ石出身だが富士の社長も兼務している。神社長もアラ石の生え抜きだが、両者の間に確執の噂が絶えなかったという。  業界の事情通によればAOCの内紛が尾を引いているのだという。 「関屋さんの荒業には誰しも驚いています。AOCでは2年前に旧通産省OBの社長がいきなり辞任している。今年の3月には専務が突然辞めた。不可解なことが次々と起こっている。

 アラ石といえば昔から旧通産省が次官クラスを送り込んできた重要な天下り先でした。それが中東のカフジの権益失敗で『天下り組は何をやっている。役立たずだ」とプロパー勢力が巻き返しに出た。そこで通産OB社長は双方の摩擦をさけようと当事、副社長だった関屋氏を後継者に指名したんです。  ところが今回は身内であるアラ石でも大ナタを振るってきた。いわば通産の天下り先を断ったともとれます。市場では面子を潰された経済産業省が、いずれシッペ返しに出るだろうと見ていますがね」

 AOCは石油開発・元売り会社で石油精製・販売は富士石油に依存している。  一時期、アラビア石油が主導権を握っていたが、カフジからの撤退でAOC内のパワーバランスが崩れてきた。アラ石の生え抜きであり富士の社長兼務でAOCを率いる関屋氏に怖いものなし。思い切った粛清人事を断行したということだろうか。

 だが「次々と繰り出す荒業が今後、どう出るか。もともと内紛体質がある会社だけに簡単にはケリはつかんでしょう」と業界通は言っている。

アラビア石油、カフジ油田の操業から撤退

2007年12月27日 REUTIER

 [東京 27日 ロイター] AOCホールディングス(5017.T: 株価, ニュース, レポート)は27日、子会社のアラビア石油(東京都品川区)がクウェートと結んでいた技術サービス契約を2008年1月4日に終了すると発表した。アラビア石油は、日本初の自主開発油田として半世紀近くにわたり携わったカフジ油田の操業から撤退する。

 同契約の終了に伴う営業利益押し下げ効果は年間約14億円、08年3月期は約3億4000万円を見込む。AOCの08年3月期の営業利益予想は165億円で、この見通しには今回の利益押し下げ効果は織り込まれていない。07年3月期の同実績は256億円だった。

 アラビア石油は、今後もクウェート国内で事業が続けられるよう同国政府と協議を継続する方針。原油の引き取り契約は継続するため、日本への原油供給には影響が出ないとしている。

 カフジ油田は、サウジアラビアとクウェートの中間地帯に位置する。アラ石が1957年以降、サウジとクウェートからそれぞれ権益を獲得し、1960年に油田を掘り当てた。1日当たり約30万バレルを産出し、日本の石油消費量の約5─8%を占めた時期もあった。

 しかし、2000年にサウジと、03年にクウェートとの権益更新に失敗。権益失効後もクウェートと技術者派遣契約を結んで操業に携わってきたが期限切れを迎え、条件が折り合わず契約を更新できなかった。

アラビア石油、エジプトの海上鉱区開発権を取得

2005/02/26 読売新聞 Yomiuri On-Line

 アラビア石油は、エジプト・スエズ湾にある石油と天然ガスの海上鉱区「ノースウエスト・オクトーバー」の開発権を取得したと発表した。

 アラ石単独で年内に探鉱作業を始め、2007年の生産開始を目指す。生産量は最大で日量1万2000バレルを見込む。

 投資額は当初3年間で30―40億円の予定。原油の販売でアラ石が投下資金を回収した後は、原油をエジプト政府と分配する計画だ。

アラビア石油、エジプトの海上鉱区開発権を取得

2005/02/26 読売新聞 Yomiuri On-Line

 アラビア石油は、エジプト・スエズ湾にある石油と天然ガスの海上鉱区「ノースウエスト・オクトーバー」の開発権を取得したと発表した。

 アラ石単独で年内に探鉱作業を始め、2007年の生産開始を目指す。生産量は最大で日量1万2000バレルを見込む。

 投資額は当初3年間で30―40億円の予定。原油の販売でアラ石が投下資金を回収した後は、原油をエジプト政府と分配する計画だ。


アラビア石油:クウェート沖の権益が新協定で操業継続へ

2003年01月04日 毎日新聞
 アラビア石油のクウェート沖カフジ油田の操業権益が4日失効し、5日からクウェート政府との新協定に基づく操業が始まる。今後はアラ石がクウェート石油公社の“下請け”として掘削、輸送などを代行し、その対価に原油を手にする。

 自主開発油田の草分けとして61年に原油の生産を開始したカフジ油田は、サウジアラビア沖とクウェート沖にまたがり、00年2月末にサウジアラビア沖の権益が失効。サウジとの権益延長交渉は、サウジ側が巨費がかかる鉄道建設などを求めたため失敗し、原油生産量はかつての半分の日量約15万バレルに減少した。

 サウジとの交渉を教訓に、アラ石はクウェートとの交渉を早くから進め、02年3月に新方式の操業継続で基本合意した。 【川口雅浩】

クウェートに「ガス田」提案 アラビア石油

2001年09月10日 フラッシュニュース TV東京
 アラビア石油 カフジ油田操業継続で決着

アラビア石油は今日、2003年に契約が切れるカフジ油田の採掘権問題で、クウェート石油省と期限後の操業について合意したと発表しました。具体的な内容についてはクウェートの議会後に正式決定するため明らかにしていませんが、クウェート政府から操業を請け負う形に変更されたものと見られます。この合意でアラビア石油は会社の存続に一定の目処がつきました。

クウェートに「ガス田」提案 アラビア石油

2001.02.25 asahi.com
 アラビア石油(本社・東京)は、2003年1月に期限を迎えるクウェートでの原油採掘権が更新できた場合、鉱区内にある天然ガス田を同国内向けに開発する考えを盛り込んだ操業計画を同国政府に提案した。小長啓一社長が23日、決算発表の席で明らかにした。また、サウジアラビアでの権益失効に伴って昨年春から1年更新の嘱託扱いとしていた日本人従業員170人を4月から正社員に戻し「クウェートでの権益更新に総力を挙げる」考えも示した。

 クウェート、サウジ両国が権益を持つペルシャ湾のドラガス田を開発する計画で、小長社長がクウェートを訪ねて20日に提出した。交渉態勢に入っていないクウェート政府に同社の積極姿勢を示して交渉を促す狙いがあり、経済産業省とも協議してまとめた。

 嘱託から正規採用への切り替えは「モラール向上を図り、優秀な社員が去っていくのを避ける」(小長社長)のが狙い。昨春、約330人いた日本人社員のほぼ全員が退職し、約200人を改めて嘱託採用したが、その後も転職が相次いでいた。

 2000年12月期決算は、サウジによる資産接収などで180億円の特別損失を計上し、172億円の当期赤字となった。2001年12月期には11億円の当期黒字に回復するとみている。

アラビア石油破綻事件の深層

『財界 にっぽん』 2001.04月号 石油開発コンサルタント 藤原肇/アラビア石油・元幹部 福沢油吉

アラビア石油株、開発への憶測加わり乱高下

2000.11.28(20:04)asahi.com
 今年2月末にサウジアラビアでの原油採掘権を失ったアラビア石油の東京証券取引所での株価が28日、1916円のストップ高まで上昇してから1316円のストップ安に急落した。同社株は3月から額面(500円)割れが続いていたが、原油高にイランでの石油開発に同社が加わるのではないかという憶測も加わって値上がりし、この1カ月で6倍に上昇していた。市場関係者は「明確な買い材料がないままの値動きが投機的な売買を誘ったのではないか」とみている。

 同社にはまだ、クウェートでの原油採掘権が残っているが、その権益期限が2003年1月で切れる。このため、契約更新のための交渉を準備しているが、現段階ではそれ以降の事業のめどはついていない。このため、株価は10月末に過去最安値の318円をつけていた。

 だが、別の石油開発会社がイランでの油田採掘の優先交渉権を確保することがわかったのを受けて、同じ業界のアラ石に買いが入った。

 その後も株価は上昇。28日には、サウジ分の権益が切れる前の1月に記録した今年最高値を更新したが、そこで一転して利益確保の動きが出て、急降下した。終値は前日比296円安の1320円だった。

アラ石の権益継続「検討中」 クウェート石油相

2000.11.18(23:45)asahi.com
 サウジアラビアのリヤドで開催中の「国際エネルギーフォーラム」に出席している坂本剛二通産総括政務次官は17日、クウェートのサウド石油相と会談した。アラビア石油(本社・東京)が持つクウェートでの原油生産の権益について、坂本次官が「2003年1月以降も継続を期待している」と伝えたのに対し、サウド石油相は「アラビア石油の事業が両国の懸け橋であることは認識している。対応は現在、政府部内で検討中だ」と答えた。

 アラビア石油は、カフジ油田のサウジアラビア側の権益を今年2月の期限切れで失い、残るクウェート側の権益も2003年1月で期限が来る。

アラ石、特別損失180億円計上 サウジとの権益失効で

2000.08.25(21:13)asahi.com
 サウジアラビアから得ていた石油採掘権を失ったアラビア石油は25日、2000年12月期の中間決算を発表し、油田施設の一部を同国に引き渡したことなどから180億円の特別損失を計上し、今期全体でも当期赤字になる見通しとなった。また、今後の最大の焦点となっているクウェートとの契約更新について、会見した小長啓一社長は「現地に行って話し合いを進めている」と事実上、交渉を始めていることを明らかにした。

 同社はサウジアラビアとの契約が切れたため、現地の資産の半分の権利も失い、今回、170億円の損失を計上した。また、リストラ策として日本人社員330人がいったん退職する形をとったため退職金の増加分10億円を特別損失とした。

 一方、残り半分の権益を持つクウェートとは2003年1月に期限切れを迎える。小長氏は今春以降、すでに数度、現地に出向いて政府高官と話し合っており「(クウェートは)日本との関係を重要視しており、アラビア石油の役割も評価をしてくれている」と今後、本格化する交渉に意欲的な姿勢を見せた。

アラビア石油、サウジ留学生の支援を中止

00:48a.m. JST April 08, 2000
 アラビア石油は7日、27年前から続けてきたサウジアラビア人留学生の支援事業を中止したことを明らかにした。サウジでの原油採掘権の失効に伴う大リストラの一環。現在も70人余りが首都圏の大学などに留学し、授業料や生活費など年間約1億5000万円を同社が負担していたが、今後はサウジの国営石油会社が引き継ぐという。

 これまでにアラ石の支援でサウジ、クウェート両国から来日した留学生は計約160人。このうち9割以上がサウジ人だった。採掘権が3年後まで残っているクウェートからの留学生支援は続ける。

 また、東京の本社組織を3室7部の180人体制から、17日付で嘱託社員を中心に3部で80人とすることも発表した。留学生支援の中止と合わせ、本社経費を年間約30億円縮小できるとみている。

希望退職に全員応募

2000年3月29日 19時07分
 サウジアラビアの油田採掘権益の喪失で揺れるアラビア石油は29日、150人の希望退職募集に対して約330人の日本人社員全員が応募したと発表した。背景には権益喪失の経営責任をめぐって、役員や社員の間から小長啓一社長の辞任を求める声が高まるなど社内が混乱していることもありそうだ。

 同社は全員に退職金を払って退職を認めた上で,約200人は1年契約の社員として再雇用する方針。

アラ石孫会社が米メキシコ湾でガス田発見

10:24p.m. JST March 13, 2000
 アラビア石油は13日、孫会社にあたるAEDC・USA(本社・テキサス州)が、米メキシコ湾で採掘している天然ガス田の近くで新たなガス田を見つけた、と発表した。サウジアラビアから得ていた原油採掘権を失い、社員を半減させる大リストラ中のアラビア石油には久々の朗報だ。しかし、権益失効で連結決算でも5割近い売り上げを失うのに対し、新ガス田による売り上げへのプラスはわずか1%程度にとどまりそうだ。

 新ガス田の可採埋蔵量は原油換算で500万バレル、生産は4月から日量2500―3000バレルを予定している。連結決算の売上高は1999年12月期で2000億円弱とみられるのに対し、新ガス田は売上高で年に13億円、当期利益で4億―5億円の貢献を見込んでいる。

アラ石、サウジとクウェートとの中立地帯で折半出資の合弁事業に参加へ

2000年3月6日 20時17分[ニコシア 6日 ロイター]
 中東経済専門誌のミドル・イースト・エコノミック・サーベイ(MEES)によると、日本のアラビア石油(AOC)は、サウジアラビアとクウェートとの間にある中立地帯で、折半出資の合弁事業に参加する。

 アラ石は2月27日、40年にわたって握っていたサウジアラビアでの原油採掘権を失った。 サウジアラビアの国営石油会社、サウジ・アラムコの子会社、アラムコ・フォー・ガルフ・オペレーションズ(AGO)が、この採掘権を引き継いでいる。

  アラ石は、2003年1月に失効する予定の、中立地帯のクウェート側での採掘権に全面的に依存することになる。

 MEESは、「この事業は、AGOとアラ石との折半出資による共同事業協定に基づいて実施されると認識している。AGOはサウジアラビア側、アラ石はクウェート側の利益を代表し、それぞれ50%ずつ出資する」としている。

アラビア石油、社員・役員をほぼ半減 賃金カットも

08:13a.m. JST March 04, 2000
 サウジアラビアでの石油採掘権益を失ったアラビア石油は3日、約10日間の期限付きで近く150人の希望退職者を募って、約330人にのぼる日本人社員を半分近くまで減らすリストラ案をまとめた。12人の日本人役員もほぼ半分に削減し、役員は3割、社員は最大で2割強の賃金カットを実施する計画だ。突然の希望退職の募集に加え、退職金も6カ月分の給与の上乗せにとどまる見通しで、社員からの反発は必至だ。6日にも発表する。

 同社は、クウェート側に2003年1月まで残る半分の権益をもとに事業を継続する意向だが、1800億円の売上高が半分に減るため、大幅な合理化が避けられなくなった。今月半ばには退職者を確定して4月から今のほぼ半分の新体制に移る方針だ。サウジの首都リヤドなどにある事務所も3月末で閉鎖する。

既存権益の維持を重視

2000年2月28日 19時31分
 
 アラビア石油(東京)がサウジアラビアに約40年間保有し続けた油田権益が失効したことで、政府はエネルギー安全保障の観点から進めてきた油田の自主開発路線の見直しを一層迫られることになった。深谷隆司通産相は28日午後の衆院予算委員会分科会で、新たな油田開発に加えて既存権益の維持も重視し、そのために公的支援を与える仕組みの必要性を示唆した。

アラビア石油採掘権益失効 「残念な結果」と首相

1:14p.m. JST February 28, 2000
 小渕恵三首相は28日昼、アラビア石油(本社・東京)がサウジアラビアで持つ石油の採掘権益が失効したことについて「非常に残念な結果ではあるが、今後とも良好な日サ関係に変わりはない。なおアラビア石油は残りのクウェート分の権益により引き続きカフジでの操業を続けることになると聞いている」と述べた。首相官邸で記者団の質問に答えた。

アラビア石油、サウジアラビアでの採掘権益失効へ

9:58p.m. JST February 27, 2000
 アラビア石油(本社・東京)がサウジアラビアで持つ石油の採掘権益の失効が、28日午前6時に確定する。サウジを訪れていた同社の小長啓一社長は27日、更新交渉を断念した。同社の権益は残り半分がクウェート国内にあり、2003年1月まで期限が残っているが、日本は最大級の自主開発油田の半分を失う。会社としても今後、大幅な規模縮小が避けられない見通しだ。

 深谷隆司通産相は27日午後、地元経済界との懇談などのため訪れた大阪市で記者会見した際、「アラビア石油の問題がどういう結果であれ、日本とサウジとの友好関係は変わらないと確信している」と述べた。また、国内に入ってくるサウジ原油についても「供給については格別の心配はないだろう」と語った。

 失効はサウジ時間の28日午前零時。それ以降、アラ石が持っていた権益や施設は、サウジの国営石油会社であるサウジアラムコが接収する予定で、現地にいる約1200人のアラ石のサウジ人従業員も、サウジアラムコの子会社が受け入れる方針だ。ただ、アラ石の権益の半分は2003年まではクウェート側に残っているため、カフジ油田などの操業は当面は、アラ石がサウジ側と共同で行う見通しだ。

 サウジでの権益がなくなることで、アラ石の売上高や資産は半減し、東京などにいる約300人を含め、社員の大幅削減は避けられない。経営体制の抜本的な見直しが必要で、経営陣の責任問題に発展しそうだ。

 同社の権益更新交渉は、昨年春から、政府主導で進められてきた。サウジ側が「見返り」として、日本側がサウジ国内に総工費2000億円を超える鉄道を建設することを求めたためで、日本政府は「採算が取れず、国民の税金は投じられない」と拒否してきた。

 1月半ばには、深谷通産相がサウジを訪問して、政府系金融機関などを通じて今後10年間で、総額6000億円にのぼる投資促進策を用意したうえで、サウジ側が鉄道を建設する場合は日本の政府系金融機関が1400億円あまりの融資を行うことも提案した。しかし、サウジ政府は、鉄道事業はあくまでも日本側の責任で進めることにこだわり、両政府の交渉は物別れに終わっていた。

 アラ石の小長社長は今月に入ってからも3回にわたってサウジを訪問し、会社独自で鉄道建設を進める案も提示した模様だが、日本政府の直接的な関与を求めるサウジからの歩み寄りはなかった。

油田権益失効が確実に

2000年2月27日 15時38分
 深谷隆司通産相は27日、富山市内で記者団に対し、油田権益更新の最後の交渉のためサウジアラビア入りしていたアラビア石油の小長啓一社長が帰途に就いたことを明らかにした。現地時間28日午前零時(日本時間同日午前6時)の権益期限切れを目前に、交渉は決裂したもようで、アラ石の油田採掘権失効が確実になった。

アラ石社長、期限切れ待たず帰国 サウジとの交渉不調か

1:20p.m. JST February 27, 2000
 アラビア石油(本社東京)がサウジアラビアに持つ油田採掘権益の延長交渉のため同国の首都リヤドを訪れていた小長啓一社長は、日本時間28日午前6時の権益の期限切れを待たず、同27日朝までに帰国の途に就いた。深谷隆司通産相が同日朝明らかにした。サウジ側から前向きな回答が得られなかったためと見られ、権益失効の可能性が一段と強まった。

 深谷通産相はフジテレビの報道番組で「交渉が中断したのか終わったのか分からないが、小長社長は日本に向かっている」と言明。交渉結果については「いいも悪いも出ていない」とし、「(同社長から)27日夜にも報告があるだろう」と語った。

 26日にリヤド入りした小長氏は石油鉱物資源省のアブドルアジズ次官と最後の交渉に臨む予定だった。同次官との会談が実現したかどうかは分かっていないが、アラ石側は焦点の鉱山鉄道建設について新たな提案は行っておらず、サウジ側から延長を認める回答は得られなかった公算が大きい。(時事)

アラ石採掘権、明朝失効へ

2000年2月26日 16時25分
 アラビア石油の持つサウジアラビアの油田採掘権益が27日、契約期限を迎える。小長啓一社長はサウジを訪れて最後の交渉に臨んでいるが、焦点の鉄道建設問題に打開の糸口は見えず、このまま現地時間の28日午前零時(日本時間28日午前6時)を迎えると権益は失効する。

権益延長目指し最終交渉へ=アラ石社長がサウジに出発

00年2月25日 19時22分[時事通信社]
 アラビア石油の小長啓一社長は25日夕、サウジアラビアに持つ油田採掘権の延長を目指し、サウジの首都リヤドに出発した。期限切れが27日(現地時間)に迫り、厳しい局面を打開するため最終交渉に臨む。

 サウジ政府は採掘権の延長の見返りに鉄道建設要求。アラ石の一部負担と日本政府の低利融資という提案に難色を示し、交渉は土壇場までもつれ込んでいる。このため、権益延長の可能性は極めて低いとの見方が政府・通産省内に広がっている。 

アラ石社長サウジ再訪へ

2000年2月23日 17時17分
 アラビア石油の小長啓一社長は23日、深谷隆司通産相に面会し、サウジアラビアの油田権益更新交渉について報告した。小長社長は会談前、記者団に対し、近くサウジを再訪する意向を明らかにした。一方、青木幹雄官房長官は23日午後の定例記者会見で、この問題について「誠意をもって(交渉を)やったうえでの決裂であればやむを得ない」と述べ、交渉決裂の可能性が高いことを認めた。

歩み寄りなく最終会談へ

2000年2月12日 15時15分 共同通信社
 深谷隆司通産相は16日、エネルギー団体の招きで来日する、サウジアラビアのヌアイミ石油鉱物資源相と非公式に会談する。27日に迫ったアラビア石油(東京)の油田権益期限切れを前に、打開の糸口を探る最後の機会となるが、両国間に歩み寄りの兆しは見えていない。1月のサウジでの閣僚交渉でサウジ側は日本の全額負担による鉱物運搬用鉄道の建設・運営の要求を譲らず、物別れに終わった。

妥協見えず、接収に現実味

2000年1月26日 16時16分 共同通信社
 アラビア石油(東京)がサウジアラビアに持つ油田の権益期限が切れる2月27日まで1カ月。深谷隆司通産相がサウジに乗り込んだ政府間交渉が物別れに終わった後も両国間に歩み寄りの兆しはなく、期限切れによる権益の喪失、サウジの接収といった事態も次第に現実味を帯びている。

アラ石の孤立化深まる

2000年1月21日 18時56分 共同通信社
 アラビア石油の油田権益更新問題は、サウジアラビア側の追加支援要求に対し日本政府が21日にあらためて拒否の方針を示したことで、2月27日の期限切れまでの決着は一段と難しくなった。

 仲間内ともいえる石油業界は、通産省の姿勢支持を表明し、アラ石は孤立化の様相を深めている。さらにアラ石による自主開発油田の確保が「本当に国益に値するのか」との疑問の声も強まり始めた。

現時点では白紙の状態=アラ石採掘権問題で深谷通産相

00年1月18日 16時30分[東京 18日 ロイター]
 
 深谷通産相は、アラビア石油の原油採掘権の更新を巡る日本とサウジアラビア政府との閣僚交渉の今後の行方について、現時点では、白紙の状態だ、と述べた。閣議後の記者会見で述べたもの。  深谷通産相は、交渉の経緯について、「サウジアラビア政府側から要求のあった2000億円の鉄道建設コストは、国民の理解が得られないと考え、承認しなかった」とし、「日本としては、最大限のものを提示したつもりであり、現時点では、新たな対応策を考えていない。全くの白紙状態だ」と語った。  深谷通産相はけさ、小渕首相に交渉の経緯を報告したが、きょうの時点では、新たな指示はなかったという。

アラビア石油権益交渉、合意に至らず 決裂の可能性も

01:34a.m. JST January 17, 2000
 サウジアラビアを訪問中の深谷隆司通産相は16日午後(日本時間16日夜)、アラビア石油(本社・東京)の権益更新に絡む日本政府の経済支援策について、ヌアイミ石油鉱物資源相らとの交渉を再開したが、サウジ側は日本が提示した支援策を「受け入れられない」と拒否し、合意に至らなかった。交渉では更新の条件としてサウジ側が求めている鉱山鉄道計画について両国の考え方が大きく食い違い、互いに譲らなかった。日本側は権利が切れる2月27日までに再交渉する意向だが、今交渉が「最大限の提案だった」(深谷通産相)としており、交渉は決裂する可能性が出てきた。

 最大の焦点となった鉱山鉄道は内陸部から海岸部まで鉱物資源を運ぶ計画で、サウジ側は交渉で国内経済に対する重要性を強調し、日本の政府・企業による建設を強く求めた。一方、深谷通産相はあくまでサウジによる建設を主張し、約2000億円とされる建設資金の大半を融資し、利子補給に応じる意向を伝えたが、議論は平行線をたどった。

 また、鉱山鉄道の問題を乗り切るため、深谷通産相は他の経済支援について規模を拡大する新たな追加提案をした。しかし、サウジ側は日本側の負担による鉱山鉄道の建設を求める姿勢を変えず、妥結にはいたらなかった。会談後、深谷通産相は「今後の交渉予定はわからない。鉄道の供与は国民の理解は得られない。ともかくひとまず帰国する」と述べた。

 アラビア石油の採掘権はサウジとクウェートの両政府から期限付きで与えられているが、サウジ分の権利が今年2月下旬で切れる。アラビア石油が支払うロイヤルティー(権利料)の交渉などとは別に、政府間で権益更新の条件として、日本の経済支援について交渉をしてきた。政府交渉が決裂した場合、アラビア石油は採掘権の残るクウェート分に事業を縮小せざるを得ず、経営上の影響は避けられない。

経済協力問題で再会談

2000年1月16日 16時21分【リヤド共同】
 サウジアラビアを訪問中の深谷隆司通産相は16日午後、ヌアイミ石油鉱物資源相と再会談、アラビア石油のカフジ油田権益更新問題をめぐる両国の経済協力協議について大詰めの折衝を行う。これに先立って通産相は15日夜、アブドラ皇太子を表敬訪問した。通産相は経済協力に関する日本側の再提案に理解を求めたが、皇太子は鉄道建設への一段の日本側の協力を求めた。

アラビア石油の採掘権交渉、溝埋まらず16日に再び

02:07a.m. JST January 16, 2000
 サウジアラビアを訪問中の深谷隆司通産相は15日、2月下旬に期限切れを迎えるアラビア石油(本社・東京)の石油採掘権の延長にからむ日本政府の経済支援策について、ヌアイミ石油鉱物資源相らと交渉に入った。深谷通産相は公的資金を使った支援策について、規模の拡大を新たに提案したが、サウジでの鉱山鉄道計画については依然、両国の考え方が大きく食い違った。両氏は16日に改めて交渉の場を持つことになった。

 日本政府はこれまで、国際協力銀行などによる融資や投資で4000億円の公的資金を用意し、今後の10年間で6000億円分の投資実績を上げることをサウジ側に提案してきたが、今回、公的資金をさらに上積みすることを伝えた。また、天然ガスの利用拡大などについても、日本政府がより積極的に関与していくことを伝えた。

 深谷通産相は会談で「思い切った支援策をとった。(今回の訪問の間に)まとめたいと希望している」と述べた。だが、日本の新たな提案に対する評価はなく、15日中に事務レベルで詳細を聞き、再度、大臣会談を持つことで終わった。

 一方、サウジ側は内陸部から海岸部まで鉱物資源を運ぶ鉱山鉄道計画について、国内経済に対する重要性を改めて表明。同鉄道を日本政府・企業が建設することを求めているサウジが、この問題を最も重要視していることが鮮明となった。これに対し、日本政府は建設費約2000億円分の融資と利子補給の意向を伝えたが、溝は埋まらなかった。

 その後、深谷通産相は15日夜(日本時間16日未明)、実質的に国政をとりまとめているアブドラ皇太子らと会談する予定となった。

 アラビア石油の権益は2月下旬で期限切れを迎え、交渉が決裂した場合、同社はこれまで通り業務を続けることはできず、採掘権の残るクウェート分に事業を縮小せざるを得なくなる。

アラビア石油の権益更新問題で深谷通産相がサウジ入り

11:52a.m. JST January 15, 2000
 日本の自主開発油田の象徴、アラビア石油(本社・東京)の権益更新を目的とした経済支援交渉に臨むためサウジアラビアに向かっていた深谷隆司通産相は14日夜(日本時間15日午前)、リヤドに到着した。15日午前10時半(同日午後4時半)からヌアイミ石油鉱物資源相らと交渉することが決まり、難航していたサウジとの交渉は最終的な局面を迎えた。

 1957年に締結したアラビア石油とサウジアラビアの石油採掘権は、今年2月下旬で切れるため、政府は権益更新の「見返り」として国際協力銀行による融資など公的資金4000億円を使った経済支援策を提示している。だが、サウジ側が強く求めた鉱山鉄道の建設を拒否しており、昨春から本格化した交渉は難航している。

 深谷氏は期限切れが間近に迫っているため、ヌアイミ氏との会談の冒頭、今回の訪問が最終的な交渉になることを明言すると見られる。深谷氏はまた、実質的に国政をとり仕切っているアブドラ皇太子との会談も求めている。

アラビア石採掘権延長、交渉は平行線

1999/12/29 by朝日新聞
 アラビア石油(本社・東京)が持つ石油採掘権が来年2月に期限切れを迎えるため、権利更新を求めて現地入りしていた荒井寿光通産審議官とサウジアラビア側との交渉は平行線をたどり、妥協点を見いだせずに終わったこが分かった。29日に記者会見した深谷隆司通産相が明らかにした。深谷通産相は1月中旬に同国を訪問する予定で「責任者同士の話し合いで決着をつけたい」と語った。

 荒井審議官は更新の「見返り」となる日本政府の経済協力について話し合い、サウジ側から「鉄道計画とガス事業の2点に議論を絞りたい」との意向が示された。1400キロ規模の鉄道計画では、日本が建設して提供することを求めているが、通産省は採算性の点などから、「国民の税金を使う事業ではない」と拒否、こう着状態になっている。深谷通産相は資金の融資や技術協力の形で妥協点を探る方針だ。ガス事業では日本企業が主体となるが、サウジ側は「日本政府の明確な関与」を求めている。

 深谷通産相は「政府の責任者として交渉するからにはイエスかノーの答えを出す。国民が受け入れられない条件であれば最悪の状況もあり得る」と更新断念の可能性も示唆した。また、アラビア石油との交渉も残っているが「政府間交渉と同時進行することで意見は一致している」という。

荒井審議官を26日にもサウジアラビアに派遣=通産相

99年12月22日 18時20分[東京 22日 ロイター]
 
 深谷通産相は、アラビア石油がサウジアラビア沖のカフジ油田に持つ石油採掘権益の更新交渉に関連して、荒井審議官を26日にもサウジアラビアに派遣することを明らかにした。  来年度予算の復活予算折衝後の臨時会見で述べたもの。  サウジアラビアの石油相から通産相あてに招きがあったものの、年内は時間調整がつかなかったたため、荒井審議官を派遣することになったという。通産相は、「日曜日(26日)に行かないと間に合わない。何とか前進できるように期待している」と述べた。

通産相が1月サウジ訪問へ

1999年12月21日 18時54分 共同通信社
 サウジアラビアとクウェートの旧中立地帯で操業し2000年2月末に期限が迫っているアラビア石油(東京)の油田権益更新問題で、通産省は21日、サウジ政府との経済協力協議の最終決着に向け、深谷隆司通産相が来年1月にサウジを訪問する方向で具体的な日程調整に入った。深谷通産相の訪問が実現すればサウジ側からの呼び掛けに応じる形となり、協議はこう着状態を脱して決着へ大きく前進する。

サウジ、アラビア石油の権益更新交渉で不満表す書簡

03:07a.m. JST September 19, 1999
 サウジアラビアとクウェートの間にある旧中立地帯で油田を操業しているアラビア石油(本社・東京)の権益更新交渉を後押しするため、通産省がサウジ側に提示した投資促進策などに対し、サウジ側が不満を表した書簡を寄せた。通産省の提案を「権益更新の条件に合わない」として、再考を求めている。来年2月の権益切れを控え、議論は平行線をたどっている。

 書簡は7月中旬と8月中旬に、いずれも与謝野馨通産相にあてて寄せられた。

 通産省は6月末に幹部をサウジに派遣し、公的資金4000億円を使った投資促進のほか、サウジ原油の輸入拡大や世界貿易機関(WTO)加盟支援などを盛り込んだ包括的な交渉支援策を提案している。7月の書簡はその返答で、「利権更新の条件はすでに示している通りで、通産省の提案は残念だ」としている。

 サウジ側はこれまで総延長1400キロの鉱物資源用の鉄道計画への投資を強く求めてきたが、通産省は6月の提案の中で、事実上拒否している。サウジ側は書簡の中で直接触れてはいないものの、暗に鉄道計画の実現を求めているものとみられる。

 これに対し、通産省は8月に入って、サウジ側に返答を送った。権益交渉の当事者は民間企業であるアラビア石油だ、と政府としては交渉そのものから一線を画す従来の姿勢を強調しつつ、すでに提案した包括的な協力内容については再度協議に応じる姿勢を示している。だが、サウジ側が望む新たな提案は特に提示しなかったため、サウジ側は「日本提案の見直しが権益更新に不可欠だ」とする書簡を再度寄せたという。

 通産省内では「政府としてできることには限度がある。6月の提案以上のものは、そう簡単には出せない」(幹部)との考えが支配的だ。ただ、サウジとの良好な関係の維持は重視する構えで、今秋中にも幹部を再度サウジへ派遣する。

石油自主開発の必要性アピール 小長石油鉱業連盟会長

8:30p.m. JST August 20, 1999
 「日本の国民は第1次石油危機の実感が薄れている。我々が語り部になって、事前の予防策を考えなくてはいけない」。石油鉱業連盟の小長啓一会長(アラビア石油社長)は20日の記者会見で、石油の自主開発の必要性を力説した。自主開発については昨年、石油公団の多額損失の実態が発覚し、不要論も飛び出した。日本の自主開発原油の草分けであるアラ石の権益更新の交渉が大詰めを迎えるなか、アラ石の存在意義を改めて対外的にアピールする狙いもあるようだ。

 小長会長は、アラ石の利権延長交渉とは「関係ない」と否定しつつも、湾岸戦争の時はアラ石がサウジアラビアの国営石油会社からの支援で供給途絶の危機を乗り切った体験談を披露し、「自らの手による自主開発をもつことが、石油の安定供給の有力な手段になる。我々の立場を理解してもらいたい」と訴えた。

 アラ石の採掘権は来年2月に期限が切れる。通産省はサウジアラビア政府に対して、大規模な経済支援を提示するなど、権益延長に向けた取り組みを続けている。

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