TOPIC No.2-140 米国産牛肉 輸入再開

01.BSE(牛海綿状脳症)by Yomiuri On-Line
02.米国産牛肉輸入強要の屈辱/日本民族は家畜ではない(2005年02月22日付) by長周新聞
03.米国産牛肉関連 by USA大使館

BSE安全基準で緩和案 国際獣疫事務局「月齢制限なし」に

2006/02/07 The Sankei Shimbun

 動物衛生の国際機関である国際獣疫事務局(OIE)が、牛海綿状脳症(BSE)の安全基準を緩和する改正案を日本など加盟国に提示したことが7日、分かった。現行では「生後30カ月以下」などの条件付きで骨なし牛肉の自由貿易を認めているが、改正案では全月齢に拡大する。

 加盟国は科学的な根拠を示せば、OIEより厳しい基準を採用することができ、日本は現在、米国とカナダに対し「生後20カ月以下」などの独自の輸入条件を設けている。改正案は5月のOIE総会で議論、日本は基準緩和に反対する方針だが、改正案が認められた場合、米などから条件緩和を求める声が強まりそうだ。

 米国産牛肉に特定危険部位の脊柱(せきちゅう)が混入していたため、日本は今年1月20日、米国産牛肉の輸入を再び停止。米国は「生後20カ月以下」としている月齢条件を「30カ月未満」に拡大するよう求めてきた。(共同)

BSE危険部位除去「適切か確認できず」 米行政監視機関が指摘

2006/02/03 The Sankei Shimbun

 米農務省内の行政監視機関である監察官事務所は2日、牛海綿状脳症(BSE)対策で義務付けられている特定危険部位の除去が、食肉処理施設で適切に行われているか確認できないとする報告書を公表した。第三者的立場で行政をチェックしている監察官事務所がずさんさを指摘したことで、農務省は安全管理態勢の抜本的な見直しを迫られる。

 報告書は事態を放置してきた行政上の不備も指摘、全施設での対策徹底などを求めている。米メディアは「食の安全」に一斉に疑問を投げ掛け、議会からも対策の欠陥を指摘する声が上がった。特定危険部位の混入問題で再停止した対日輸出の再開時期が遠のく可能性もありそうだ。

 米国では、BSEの原因物質が蓄積するとされる特定危険部位の除去は生後30カ月以上の牛で義務付けられている。

 報告書は、監査対象となった全米12施設のうち9施設で「記録が不足しているため、危険部位の(除去)手続きが適切に実施されているか確認できない」と明記した上で、こうした状況を政府が「いつも把握しているわけではない」と指摘。出生日の登録などが義務付けられていないため月齢の確認が業者側の判断に委ねられていることにも言及、監督に限界があるとの見方を示唆した。

 このため「すべての処理施設を対象に特定危険部位の管理計画の適切さを検証する」などの改善策を実施するよう農務省の食品安全検査部門などに要請。同部門は既に、指摘された事実や改善策に基本的に同意する方針を書面で表明しているという。(共同)

対日輸出条件徹底を 食肉業界に米農務長官

2006/01/25 The Sankei Shimbun【大阪夕刊から】

 【ワシントン=気仙英郎】ジョハンズ米農務長官は二十四日、食肉業界との会合で講演し、米国から日本に輸出された牛肉にBSE(牛海綿状脳症、狂牛病)の原因物質がたまりやすい特定危険部位の脊柱(せきちゅう)が混入していた問題について、日本との間で合意した輸出条件順守の徹底を要請した。

 また、長官は日本の要求に応えるため、混入に関し、「原因を調査し、報告書にまとめて日本に提出することを最優先としたい」と語った。

 長官は講演後、記者団に対して、「今回出荷されたのは安全な若い牛の肉であって、商品自体の安全性に問題はない」と強調した。

ブッシュ大統領、米国産牛肉の安全性を強調 「公平な扱いを」

2006/01/24 The Sankei Shimbun

 ブッシュ米大統領は23日、カンザス州で演説し、日本が米国産牛肉の輸入を再停止した問題について「わが国の牛肉の安全性を積極的に説明する必要がある」と述べ、輸出再開へ向けて安全性を強調し、日本の理解を得たいとの考えを表明した。

 20日に米国産牛肉に特定危険部位が混入したことが発覚して以来、大統領がこの問題に言及したのは初めて。

 大統領はまた、「われわれが公平に扱われていることを確かめたい」と発言。米国が、日本での牛海綿状脳症(BSE)発生を理由に禁止していた日本産牛肉の輸入を昨年末に解禁したことなどを念頭に、日本にも輸入停止を早期に解除するよう促したと受け止められている。

 大統領は日本の輸入再停止を「短期的な問題」と呼び、米政府として問題を長期化させたくない意向をにじませた。

 今回の問題発生に当たり米政府は「生後20カ月以下」「危険部位の除去」など日本による輸入再開条件を「果たせなかった」(ジョハンズ農務長官)として遺憾の意を表明。出荷検査の強化方針を打ち出す一方で、米国産牛肉は「安全」と重ねて強調している。(共同)

牛肉問題で原因究明を 外相、米国務副長官に要請

2006/01/23 中国新聞ニュース

 米国から輸入された牛肉に牛海綿状脳症(BSE)の病原体のたまりやすい特定危険部位である背骨=脊柱(せきちゅう)が混入していた問題で、麻生太郎外相と安倍晋三官房長官が二十三日、来日中のゼーリック米国務副長官と相次いで会談し、早急な原因究明や再発防止の徹底を求めた。

 ゼーリック副長官は会談で「今回の失敗に深甚なる遺憾の意を申し上げたい」と述べるとともに、「受け入れがたいミスであり、米国には日本との取り決めを果たす義務がある」と語り、再発防止に取り組む姿勢を示した。

 安倍官房長官は会談で「しっかりとした再発防止策をまとめてほしい。懸念が払拭(ふっしょく)されないと日本の消費者が米国産牛肉を買うことにはならない」と申し入れた。

 麻生外相は会談後に記者団に対し「(副長官は)最初からすぱっと謝罪した。明らかに米国側の間違いですから。適切に早急に処置されることを期待している」と語った。

 また安倍官房長官は同日記者会見し、昨年十二月以降国内に輸入された米国産牛肉について「牛の背骨など(特定危険部位)の混入がないかどうか、日本の輸入業者が自主的に調査し報告するよう、関係省庁に指示した」と述べた。

 米国側は検査態勢に深刻な不備があったことを認めた上で、検査官の増員など安全管理強化による再発防止策を検討しているが、今回の混入の事例は一部の施設のミスだとして早期に輸出を再開したい意向だ。

 一方、日本側は、米国の安全管理の実態をあらためて調査する必要があると判断。納得できる再発防止策が取られるまで輸入再開を急ぐべきではないとの見解で一致していることから、輸入停止の長期化が予想されている。

農相、国務副長官に再発防止徹底求める BSE危険部位混入

2006/01/22 The Sankei Shimbun

 輸入された米国産牛肉に牛海綿状脳症(BSE)の特定危険部位が混入していた問題で、中川昭一農相は22日、来日中のゼーリック米国務副長官と東京都内の米大使館で会談し、再発防止と原因究明の徹底を求めた。副長官は「真摯(しんし)に対応する」と、安全管理態勢の強化などを急ぐ考えを示した。

 麻生太郎外相と安倍晋三官房長官も23日、相次いでゼーリック副長官と会談し、原因究明などを強く求める。米農務省のペン次官も同日来日するなど、安全対策の再構築などに向けた日米の協議が本格化する。

 しかし政府内では米国のずさんな管理態勢に対し不安と不信が広がっており、20日に決めた輸入停止措置は長期化する可能性が高まっている。

 22日の会談で中川農相は、輸入再開後、わずか1カ月で重大な違反が見つかったことに遺憾の意を表明。「きちっとしたものを出してほしい」と伝え、原因究明や検査態勢の強化に全力を挙げるよう求めた。

 これに対しゼーリック副長官は、ジョハンズ米農務長官が混入の原因調査を進めていると説明し、長官と協力して信頼回復に努める意向を示した。

 一方、米国の食肉業界や議会関係者からは、すべての食肉処理施設からの輸入停止という日本の厳しい措置に不満も出ている。米国が再発防止策などを決めた後、早期再開を求める圧力が高まる可能性は高く、輸入再開時期をめぐる日米の綱引きが激しさを増しそうだ。(共同)

日本の輸入停止 食肉団体「深刻な事態」

平成18(2006)年01月21日 The Sankei Shimbun

 【ワシントン=気仙英郎】肉牛生産農家でつくる全米肉牛生産者団体(NCBA)や米国食肉協会(AMI)、米国食肉輸出連合会(USMEF)は二十日、米国産牛肉のBSE(牛海綿状脳症、狂牛病)危険部位混入問題について、相次いで遺憾の意を示した。

 NCBAは声明で、「事態を深刻に受け止めている」と指摘し、AMIのボイル理事長は会見で「日本の当局と協力するとともに、米農務省と協力して対応していく」と表明。USMEFも声明で、「問題解決に向けて米農務省と協力し、日米間の貿易に貢献するつもりだ」と強調した。

米検査官、日本向け基準認識せず…農務長官が謝罪

2006年01月21日 読売新聞 Yomiuri On-Line
BSE(牛海綿状脳症)

 BSE(牛海綿状脳症)対策で除去が義務付けられている牛の脊柱(せきちゅう)(背骨)が米国産牛肉から見つかった問題で、マイク・ジョハンズ米農務長官は20日、緊急記者会見し、混入は米国の検査官が、日本向けの輸出基準をよく知らなかったのが原因と認め、謝罪した。

 米政府は日本の禁輸(輸入停止)の解除に向け、再発防止策を急ぐ方針だが、検査官が基準を知らないお粗末さに対する批判が高まりそうだ。

 ジョハンズ農務長官は、米業者が対日輸出の禁止部位を出荷したことについて「農務省の担当検査官が違反に気付くべきだった」と検査の不備を認めた。

 問題の牛の月齢は4か月半。日本は月齢20か月以下の牛について、脊柱などの特定危険部位を除いた上で輸入を認めていたが、「月齢30か月未満は安全」とする米国の基準では危険部位を取り除く必要はない。業者の従業員と検査官は、日米の基準の違いを十分認識していなかったと見られる。

 同長官は、全米の食肉処理施設に配置された農務省検査官の再研修や、すべての輸出向け牛肉処理施設の追加検査などを行うと発表した。できる限り早期に日本政府に、調査結果や対策の実施状況を報告する方針だ。今回違反が見つかった業者の輸出許可は、すでに取り消したとしている。

 昨年まで強硬に日本に輸入再開を迫っていた米側が全面的にミスを認め、再発防止に乗り出したのは、日本の消費者を刺激せず、再度の輸入停止を短期間にとどめたいためと見られる。

 全米最大の食肉業界団体、米国食肉協会(AMI)のパトリック・ボイル会長は20日の記者会見で「問題の牛肉は米国内では食用が認められている」と強調し、「1施設による1回だけの出荷だけで、日本政府が米国産牛肉を全面的に輸入禁止とするのは支持できない」と述べている。

 米農務省は、長官の会見に先立って出した声明で、輸出向け食肉施設に対する抜き打ち検査などの対応をとるとしている。しかし、米側の再発防止策が十分かどうかの見極めは難しい。日本の禁輸が長期化すれば、日米の摩擦が再燃する可能性もある。(ワシントン=広瀬英治) TR>

吉野家、牛丼復活延期 対応追われる食品関係者

2006/01/21 The Sankei Shimbun

 吉野家ディー・アンド・シーは21日、政府の米国産牛肉の輸入停止決定を受け、2月中旬に再開予定だった牛丼販売を当面、延期する方針を決定したことを明らかにした。

 同社は輸入が再開された米国産牛肉を使用して、期間限定で牛丼の復活をする準備を進めてきたが、米国政府が検査態勢の不備を認めたことなどから、延期はやむをえないと判断した。吉野家は「大変に遺憾なことだ」としている。

 一方、米国産牛肉を扱っていた食品大手関係者は「あきれている。日米両政府も信用できない。これで消費者の信頼を失った」と怒りをぶちまけた。

 大手スーパーは「安全が確認されても消費者の不信感はぬぐい切れない」として、米国産牛肉の取り扱いが一層困難になるとみている。(共同)

米産牛肉輸入再停止 米久、販売見送りを示唆

2006/01/21 静岡新聞

 成田空港へ到着した米国産牛肉に特定危険部位が混入している疑いで、政府が輸入を全面禁止する方針を決めたことを受け、米国産牛肉の販売再開に向けて準備を進めていた米久(沼津市)は20日、「現段階では推移を見守っている」(広報室)としながらも、「(全面禁止となれば)当然、既に輸入している分も市場に出すことはない」と、販売見送りを示唆した。

 同社は、今年に入って提携先の米国食肉加工品メーカーから販売用牛肉の輸入を開始し、第1便が横浜港へ18日に到着したばかり。来週中にも市場供給を開始する予定だった。広報室は「米久の提携先には全く問題がないことを確認している」と強調。一方で、「今後は国の指示に従っていくことになる」と話した。

 昨年末に輸入再開が決まってから、わずか1カ月で再び輸入禁止となる事態に、社員からは「販売再開へ向けてやっと光が見えてきたのに…」との声も漏れた。

米産牛肉再禁輸 危険部位除去認識せず 検査態勢 長官が不備認める

2006/01/21 The Hokkaido Shimbun Press

 【ワシントン20日西村卓也】日本に輸入された米国産牛に特定危険部位である脊柱(せきちゅう)の混入が見つかった問題で、米国のジョハンズ農務長官は二十日、記者会見し、担当の検査官らが「除去する必要性を認識していなかった」と述べ、処理・検査態勢に不備があったことを認めた。輸出した食肉処理業者アトランティック・ビール・アンド・ラム社(ニューヨーク州)も「輸出条件について誤解があった」と釈明、貿易再開に当たり日米間で定めたルールを米側が官民とも守っていない実態が明らかになった。

 米国産牛肉に対する日本の消費者の不信は一層強まり、再停止された貿易の再開には長期間を要する可能性が出てきた。

 農務長官は、同社を即日、輸出許可業者のリストから外したことを明らかにした上で、ミスを犯した担当者の省内処分に踏み切る意向を表明した。検査の不備について、長官は「書類を見れば脊柱が混入していると分かるのに、除去が必要という事実を認識していなかった」と述べ、チェック機能が働かなかったことに不快感を示した。

 一方、アトランティック社は、ピアレス社長名で「心から遺憾に思う」とする声明を発表した。

 混入が見つかった肉は生後四カ月半以下の牛で、「牛海綿状脳症(BSE)にかかっていない若い子牛の肉を使っている」として肉自体の安全性を強調。「輸出条件の誤解とミスによって、少量の混入物がこれほどの問題になった」と説明したが、輸出条件の誤解について説明を避けた。

 特定危険部位の完全除去は業者に法律で義務付けられ、食肉検査場で農務省の検査官が確認することになっているが、昨年八月に一年四カ月間に千三十六件の違反が発覚し信頼性に疑問が残されていた。

米国産牛肉輸入を停止 BSE危険部位が混入

2006/01/21 The Sankei Shimbun

 政府は20日、米国から輸入された牛肉に牛海綿状脳症(BSE)の病原体がたまりやすい特定危険部位の脊柱(せきちゅう)が混入しているのが確認されたため、米国産牛肉の輸入を再び全面停止することを決め、米政府に対して当面、停止措置を続けると伝えた。

 政府の昨年12月16日の輸入再開からわずか1カ月で安全確保のための前提条件が大きく揺らいだことになり、政府が対米関係に配慮して再開に踏み切った判断は、「見切り発車」との指摘もあったことから、拙速と厳しく批判されるのは必至だ。

 外務省の石川薫経済局長は20日夜、米国のズムワルト駐日米国公使(経済担当)と会談、米政府に混入の原因の報告を求め、報告があるまで輸入を停止すると伝えた。同公使は「こういうことを繰り返さないよう万全の措置を取る」と述べた。

 農水、厚生労働の両省によると、危険部位が混入していたのは、東京の商社が見本として空輸した牛肉。米アトランティック社(ニューヨーク市)が処理した牛肉で、計41箱約390キロのうち、3箱約55キロのブロック肉に、脊柱(背骨)が除去されないまま残っているのが、成田の農水省動物検疫所が行った目視検査で分かった。この米処理施設は両省の査察をまだ受けていなかった。同社の牛肉は全量焼却処分する。

 小泉純一郎首相は20日夜、中川昭一農相から輸入全面停止の報告を受けたことを記者団に明らかにした。小泉首相は「国民の食に対する安全・安心を確保するのは極めて重要。米国にしっかりとした対応を求めると報告があった」と語った。

 米国産牛肉の輸入は、脳などの頭部や脊髄(せきずい)、脊柱、回腸といった特定危険部位の除去や生後20カ月以下の牛への限定を条件に昨年12月に再開され、これまで見本を中心に約1500トンが輸入されていた。

 米国産牛肉の輸入再開をめぐっては、内閣府の食品安全委員会が科学的な見地から安全性を審査。昨年12月に、同委員会が国産牛肉との「リスク(危険性)の差は非常に小さい」として、輸入再開を容認する内容の答申をまとめ、これを受けて政府が再開を決めた。

 しかし消費者団体などからは「輸入再開を前提に議論が進められた」との批判の声が出ていた。(共同)

米国産牛肉、危険部位混入の疑い 成田で発覚

2006/01/20 The Sankei Shimbun

 中川昭一農相は20日の記者会見で、成田空港に到着した米国産牛肉に、牛海綿状脳症(BSE)の病原体がたまりやすい特定危険部位の脊柱(せきちゅう)が混入している疑いがあると発表した。農相は「重大な問題と考えている」と懸念を表明。混入の事実が確認されれば、12月に再開したばかりの米国産牛肉の輸入を、該当する食肉処理施設について再び停止する意向を示した。

 米国産牛肉の対日輸出は、BSE問題の発生に伴い2003年12月に停止。05年12月に、脳や脊髄(せきずい)などの特定危険部位の除去や生後20カ月以下の牛に限ることを条件に、再開されたばかりだった。

 <牛海綿状脳症(BSE)> 異常プリオンタンパク質が原因で牛の脳がスポンジ状に変化する病気。数年の潜伏期間を経て発症後2週間から半年で死に至る。日本では2001年9月以降、相次いで確認されたため、全頭検査などの仕組みが導入された。BSEにかかった牛の頭部や脊髄(せきずい)などを食べると人に感染する可能性があるとされるため世界的に問題になっている。(共同)

米国産牛肉の販売再開 米久、来週中にも10トン

2006/01/19 静岡新聞

 米久は米国産牛肉の販売を来週中にも再開する。業務提携先の米国プレミアム・プロテイン・プロダクツ社(PPP社)から、販売用の第1便となる10トンが19日までに日本へ到着し、市場へ出せる見通しとなった。第2便も今月末までに、ほぼ同規模を輸入する予定。今後、市場の反応を見ながら、輸入量の拡大などを検討していく。

 北米産牛肉はBSE(牛海綿状脳症)の発生で2003年から輸入禁止が続いてきたが、政府は昨年末、生後20カ月以下で脊髄(せきずい)などの特定危険部位を除去した牛肉に限って輸入再開を決定した。米久はPPP社と03年に提携を結び、生産履歴管理システムの確立や日本向けのカット指導、日本の装置を使った特定危険部位の除去など、輸入再開を念頭に置いた準備を共同で進めてきた。

 米久は昨年末、サンプルとして4トンを輸入し、品質検査などを実施。「安全性が確認できた」(広報室)として輸入・販売の再開を決めた。初回輸入分は居酒屋経営のチムニーや御殿場高原ビールなど関連会社への販売が主体となるという。

 販売開始に合わせ、米久とPPP社の生産履歴管理システムを連動させ、米久のホームページから個体別に牛の出生地や誕生月を検索できる仕組みを稼働させる。また、新たにPPP社に社員1人を派遣し、PPP社が契約する現地農家の指導などに当たる。

 現状では、北米産牛肉に対する一般消費者の不安が根強いことから、今後の輸入量は市場動向を注視しながら決めるが、「食品スーパー向けの販売なども順次進めたい」(同)としている。

シンガポールも米産牛肉の輸入再開へ

2006/01/19 NIKKEI NET

 【ワシントン=吉田透】ジョハンズ米農務長官は19日、BSE(牛海綿状脳症)を理由に米国産牛肉の輸入を禁じてきたシンガポール政府と、輸入再開について最終合意したと発表した。シンガポールは月齢30カ月未満の牛の肉について輸入を認める。

 日本が昨年暮れに米牛肉の輸入を再開した後、香港、韓国も輸入再開を決めていた。

米国産牛肉、デパ地下総菜にも登場 スーパーも販売

2006/01/18 The Sankei Shimbun

 百貨店地下などで総菜を販売する「アール・エフ・ワン」を展開するロック・フィールド(神戸市)は18日、輸入が再開された米国産牛肉を使った総菜の販売を一部店舗で始めた。全国各地の中堅スーパーでも米国産牛肉の販売を再開する動きがあるほか、吉野家ディー・アンド・シーは2月中旬から期間・時間限定で牛丼を復活させる方針など、米国産牛肉の販売再開が広がってきた。

 アール・エフ・ワンの三越銀座店(東京)では、18日午後1時から「米国産」と書いたローストビーフと有機野菜を使ったサラダ(120グラム当たり609円)を販売。この日は約960グラムしか店頭に並べなかったが、興味深そうに購入する客が途切れず、約2時間半で売り切れた。

 ほかに販売を始めたのは千葉、神奈川、大阪、岡山、福岡、鹿児島の各府県にある百貨店内の7店舗。ロック社は「牛肉の量が確保できれば販売店舗を拡大していく」と話している。

 中堅・中小スーパーの共同仕入れ組織「シジシージャパン」(東京)は、船便で届いた米国産牛肉約13トンを加盟する25社に提供し始めた。18日は栃木、千葉両県にあるスーパーの一部が販売開始。来週以降、北海道や愛知県などのスーパーも売り出す。シジシーは「渡米して安全確認した。消費者の選択肢を広げたい」としている。(共同)

米国産牛肉の輸入 韓国、再開へ

2006-01-18 民団新聞

 農林部は13日、韓米両政府の実務者協議を通じて米国産牛肉の輸入解禁で合意したと発表した。牛海綿状脳症(BSE、狂牛病)の発生で03年から輸入停止していたが、早ければ3月末から輸入再開できる見通し。

 対象は生後30カ月未満の筋肉部分(精肉)に限るもので、BSEの原因物質が蓄積しやすい骨付きカルビや内臓は除かれる。

 一方、畜産団体や農民ら約3000人は同日、ソウル・汝矣島の国会前で米国産牛肉輸入反対の糾弾集会を行った。

シンガポールが米国産牛肉の輸入禁止措置を解除

2006年01月18日ShinNichi Businnes News

【シンガポール/貿易】 ヘン・チーハウ国家開発担当国務相は17日の国会で、2年前に実施した米国産牛肉の輸入禁止措置を解除したと発表した。

 シンガポール農産品・家畜監督庁(AVA)は、米国当局との間で、輸入牛肉の安全検査証明書に関する詳細について1カ月以内にまとめることになる。生後30カ月未満の骨を除去した牛肉の輸入が2月中にも開始となる見通しだ。

 レストラン関係者は、空輸なら1カ月後にもシンガポールに入ってくるだろうが、船便となるとさらに1カ月は必要と言っており、米産ビーフがレストランやスーパーに出るのは3月後半あたりになると見られる。

 シンガポールは、狂牛病の見つかったあと2003年クリスマスイブから米国産牛肉の輸入を禁止した。当地に輸入されていた米国ビーフ量は、年間1009トンというシンガポール国内のビーフ供給量全体の5%しか占めていない。

鹿沼のスーパーで米国産牛肉を販売 県内初

2006/01/18 下野新聞

 八百半フードセンター(鹿沼市上田町、片柳伸一社長)は十八日、昨年十二月に輸入が再開された米国産牛肉の販売を始めた。同社は「解禁後にスーパーで販売するのは県内で初めて」としている。

 全国の中堅スーパーなどで構成する業界団体が、提携先の米国食肉加工会社から輸入した牛肉。生後二十カ月以下に限るなどとする条件を満たした製品で、鹿沼、今市市にある同社の計八店舗で扱っている。

 同社は昨年十二月、業界団体の輸入牛肉プロジェクトメンバーとして現地調査に参加。加工会社「ナショナルビーフ社」を視察するなどした。

 鹿沼市上田町の同社北部店では、安全表示のプレートとともに品ぞろえ。午前中に買い物に訪れた七十歳台の女性は「牛丼が好きなので家で作って食べてみたい」。一方、三十歳台の女性は「安いけど安全性の面でちょっとためらう」と、反応はさまざまだった。

吉野家の牛丼、2年ぶり復活・まず来月11―13日

2006/01/17 NIKKEI NET

 吉野家ディー・アンド・シーは2月11日、牛丼を2年ぶりに復活させる。昨年12月、輸入が再開された米国産牛肉の安定調達に、ある程度めどが立ったため。BSE(牛海綿状脳症)に対し、一部の消費者になお不安が残るなか、期間や数量を限定して人気メニューを投入し、顧客を呼び戻す。

 確保できる牛肉の量が月間300―400トンと限られるため、2月は11―13日の3日間のみ全1000店舗で取り扱う。価格は並盛りで300円台後半となる見通し。1店舗当たり1日1000―1500食ほどを提供可能で、売り切れ次第販売を終了する。3月以降も期間を限定しての販売となりそうだ。

輸入条件の緩和は時期尚早/米国産牛肉で農相

2006/01/14 Shikoku News 四国新聞

 【ワシントン13日共同】訪米中の中川昭一農相は13日、米国産牛肉の輸入条件を緩和するよう米側が求めていることについて「現時点で議論を始めることは日本の消費者、米国の生産者にプラスとならない」と述べ、時期尚早との認識を示した。ジョハンズ米農務長官との会談後、共同会見で語った。

 同席したジョハンズ長官は「国際基準に従うよう日本を促していく」と強調。昨年12月に貿易が再開された「生後20カ月以下」の牛肉に加え、「30カ月以下」まで輸入対象を広げるよう働き掛けていく考えを重ねて示した。

米農務長官、日本に米産牛肉輸入の規制緩和求める

2006/01/13 Nikkei Net

 【ワシントン=吉田透】ジョハンズ米農務長官は13日、訪米中の中川昭一農相との共同記者会見で、日本が米国産牛肉の輸入を生後20カ月以下の牛に限って認めている問題について「国際的な牛肉の安全基準に従うよう日本にも促す」と述べ、生後30カ月以下の牛の肉まで輸入を認めるよう求めた。

 これに対し中川農相は、輸入規制緩和は時期尚早だと反論した。農相は「日本の消費者は米国産牛肉が再び食べられるようになったことに、まだ戸惑いを感じている状況だ」と指摘。こうした中で日米両政府が規制緩和の交渉を始めれば日本の消費者の反発を招き、「米国の牛肉生産者にとってもプラスにならない」と強調した。

 ジョハンズ長官は昨年暮れ、日本が部分的ながら米国牛肉の輸入再開に踏み切った点を歓迎。「日本の消費者も米牛肉を受け入れ始めたことに勇気づけられている」と語った。また、日本の厳しい輸入規制について、「米関連業界は適応しつつある」と指摘。日本向け牛肉輸出の回復に強い期待を示した。

輸入量は禁輸前の30分の1 米国産牛肉、745トン

2006年01月13日 金曜日河北新報社

 昨年12月に輸入が再開された米国産牛肉の1カ月の輸入量は745トンで、禁輸前の約30分の1にとどまっていることが13日、厚生労働省の調べで分かった。一部の外食産業でメニュー化しているものの、消費者の不安が依然根強く、大手スーパーが様子見をしていることが影響しているとみられる。

 北米産牛肉は牛海綿状脳症(BSE)の発生で、カナダ産は2003年5月、米国産は同年12月から輸入を停止したが、政府は昨年12月12日、脳や脊髄(せきずい)などの特定危険部位を除去し、生後20カ月以下の証明を得た牛肉に限って輸入再開を決めた。

 厚労省などによると、禁輸前の米国からの年間輸入量は25万トン前後で、1カ月では2万トン余りだった。輸入再開後は、生後20カ月以下に限定し、米国政府が認定した施設での食肉処理を義務付けたことなどから供給量が大幅に減り、月5000トン前後になると予想されていた。

韓国、3月末にも米国産牛肉の輸入を再開=農林省高官

2006年01月13日 金曜日[ソウル 13日 ロイター]

 韓国は、3月末にも米国産牛肉の輸入を再開する。牛海綿状脳症(BSE)への懸念から、これまで2年間にわたって輸入を停止してきた。ただし、輸入再開後も一定の規制は設けるという。農林省の高官が13日に明らかにした。

 同高官がロイターに述べたところでは、認めるのは月齢30カ月未満。韓国が指定する危険部位を出荷前に取り除くことを義務付ける。

 韓国はかつて、米国産牛肉の世界第3位の輸入国だった

食品スーパー共同仕入れ機構、米産牛肉を本格販売へ

2006/01/07 Nikkei Net

 全国の食品スーパーが加盟する共同仕入れ機構のシジシージャパン(CGC、東京・新宿)は16日から、輸入解禁された米国産牛肉を本格販売する。まず全国25の食品スーパーで取り扱い、供給先を順次拡大していく。解禁後、米国産牛肉を試験販売するスーパーは一部あったが、常時販売するのは初めて。

 米ナショナルビーフ社と契約し、週1回の割合で約13トンの牛肉を輸入する。現地の加工場にCGCの担当者が出向き、加工過程の安全性などを確認した。

米国産牛肉の輸入再開に向けた交渉、今月9日ごろスタート

JANUARY 03, 2006 東亜日報

 米国産牛肉の輸入を再開するための韓米間の第1回交渉が、早ければ今月9、10日に開かれる予定だ。

 農林部と農業協同組合中央会(農協中央会)などが2日伝えたところによると、米農務省と米通商代表部(USTR)などが参加する高位実務級代表団が、9、10日ごろ韓国入りし、牛肉交渉を開始する見込みだ。

 政府関係者は「政府は今月中旬に、初の交渉を行う計画だったが、米政府が交渉の繰り上げを提案し、日程が少し変更された」と説明した。米政府は今回の交渉で、生後30ヵ月以下の牛の精肉と韓国で人気の「LAカルビ」などの輸入再開を求めるものとされる。

 一方、米国産牛肉の輸入が再開されることに備えて、韓国農家らがあらかじめ牛を出荷したため、牛肉価格が下落している。

 農協中央会によると、農協・ソウル畜産物共同売場の出荷頭数は、昨年10月の1日平均267頭から、11月310頭、12月440頭へと大幅に増えた。

 供給が増えるにつれ、韓牛1頭の価格(雄牛500キロを基準)は昨年10月平均446万ウォンから11月平均413万ウォン、12月下旬には370万ウォン台へと急落した。

米国産牛肉の輸入再開とWTO・SPS協定上の争点

2006/1/10 RIETIファカルティフェロー/平 覚

 <新たな攻防戦のシナリオ>

 厚生労働省および農林水産省は、昨年12月8日の食品安全委員会の答申を踏まえ、同月12日に米国産およびカナダ産牛肉の輸入再開を決定した。米国産牛肉については、2003年12月26日に米国内でBSEの発症例が確認されて以来発動されてきた輸入禁止措置を2年ぶりに解除するものである(この経緯については、拙稿「BSE」法学教室301号(2005年10月)参照)。食品安全委員会の答申によれば、1)全月齢からの脳、脊髄等の特定危険部位の除去、2)20カ月齢以下と証明される牛由来の牛肉とすることなどの輸入条件が遵守されれば、国産牛肉と米国産およびカナダ産牛肉とのBSEリスクの差は非常に小さいとされ、両省はこれらの輸入条件について米国およびカナダと合意した。

 しかしながら、全面的な輸入禁止が解除されたことでWTO協定の1つであるSPS協定(衛生植物検疫措置の適用に関する協定)上の争点が払拭されたというわけではない。そのことは米国側の次のような態度に表れている。すなわち、日本側の決定を受けて12日に記者会見を行ったジョハンズ農務長官は、「20カ月齢以下」という輸入条件は出発点であり、今後30カ月齢以下という国際基準の採用に向けて交渉を継続すると発言し、また、シーファー駐日米大使も、「世界の基準は生後30カ月以下であり、ゆくゆくは世界の基準に合わせていただきたい」と発言したと報道されている。これらの発言は、今後日本側が国際基準よりも厳しい輸入条件を維持しようとすればSPS協定上の正当化が必要となることを示唆している。このような状況に鑑み、本稿ではSPS協定上の争点をめぐる新たな攻防戦のシナリオを考えてみよう。

 <国際基準よりも厳格な措置を導入するWTO加盟国の権利>

 SPS 協定3.1条は、WTO加盟国間のSPS措置の国際的調和を目指して国際基準の採用を奨励し、とくに3.2条は、国際基準に適合するSPS措置についてSPS協定およびGATT1994との適合性を推定することを規定している。しかし、3.3条は、科学的に正当な理由がある場合または5条の関連規定に従い適切な危険性評価により自国の適切な保護水準を決定する場合に、国際基準よりもより厳格なSPS措置を導入する加盟国の権利を承認している。とりわけ5.1条は科学的証拠に基づく危険性評価を要求し、WTOの判例によれば、3.3条の下での加盟国の権利も同様の要件に服すると解されている(ECホルモン牛肉事件上級委員会報告para. 177)。

 BSEに関するSPS措置の国際基準としては、国際獣疫事務局(OIE)作成の陸生動物衛生規約が存在するが、同2005年版は、30カ月齢以下の牛由来の一定の骨なし牛肉を、いかなる輸入条件も課すべきではない無条件物品と規定しており、米国の主張する国際基準はこれを指すものと推定される。日本の20カ月齢以下という輸入条件は、21カ月齢と23カ月齢の若齢牛でBSE発症例が発見されたことを根拠としているとされるが、米国からはこれらの2症例が国際的な科学者間でいまだBSEと確定されていないと指摘されている。仮に米国がWTOの紛争解決手続に訴えた場合に、日本がこの輸入条件は上述の3.3条の下での正当化要件を充足するものであることを立証できるかが問題となるであろう。とりわけ科学的証拠については客観的な証明力が要求されることが、火傷病の防疫措置が問題とされた日本りんご事件の勧告実施審査パネルによって指摘された点にも留意する必要がある(同審査パネル報告書para. 8.146)。

 <予防措置の援用要件> 他方で、日本が上述の2症例については検証途上にあり、20カ月齢以下の基準について十分な科学的証拠を提出できない場合でも、SPS協定はそのような基準を暫定的に予防措置として正当化する余地を残している。いわゆる予防原則を具体化するものとして知られるSPS協定5.7条は、「関連する科学的証拠が不十分な場合に」SPS措置を暫定的措置として発動することを許容している。ただし、「関連する科学的証拠が不十分な場合」とは、入手可能な科学的証拠が上述の 5.1条の下で要求されるような適切な危険性評価の実施を量的にも質的にも許容しない場合と解釈されている(日本りんご事件上級委員会報告para. 178)。5.7条はさらに、危険性評価に必要な追加情報の収集努力と適当な期間内の措置の再検討を追加的な援用要件としており、この規定の援用要件を充足することは必ずしも容易ではない。

 <終わりに>

 昨年末の12月29日、香港は30カ月齢未満の米国産牛肉の輸入再開を認めた。韓国も近々輸入再開について米国との交渉を行うと報道されている。仮に日本以外の多くの輸入国が国際基準に従い米国産牛肉の輸入再開を認めるとすると日本に対する政治的圧力はより一層高まるであろう。他方で、日本国内での「食の安全」に対する関心もまた高まっている。日本政府として内外の相反する圧力に耐えうる唯一の方策は、SPS協定が要求するように、科学的証拠に基づき内外に向けて十分な説明責任を果たすことであろう。

香港、米国産牛肉の輸入再開を許可 30カ月未満

2005.12.30 CNN/AP

 香港――香港の特別行政区政府は29日、牛海綿状脳症(BSE)感染牛の発見に伴い、2年前に禁止していた米国産牛肉の輸入の再開を部分的に認める、と発表した。

 米国のBSE対策の現状を評価した、と指摘。ただ、当面の輸入対象は、生後30カ月未満の骨なし肉で、米政府指定の農場からの製品としている。

米国産牛肉、日本へ来年は10万t…禁輸前の3分の1

2005年12月27日 読売新聞 Yomiuri On-Line
BSE(牛海綿状脳症)

 米国産牛肉の販売促進活動を行っている米国食肉輸出連合会のフィリップ・セング会長兼最高経営責任者(CEO)は27日、都内で記者会見し、来年の米国産牛肉の対日輸出について「年間約10万トンを目指したい」と述べ、禁輸前の約3分の1の水準にとどまるとの見通しを示した。

 同連合会は、対日輸出が禁輸前の水準まで戻るには、少なくとも3年かかるとしている。

 セング会長は、日本が輸入条件にしている「生後20か月以下」を確認できる牛は、「年間処理頭数の15〜20%にとどまり、輸出可能な頭数が限定される」と説明した。

マルナカ、米国産牛肉の販売を再開・3日間限定

2005/12/22 NIKKEI NET

 香川県を地盤とするスーパーのマルナカ(高松市、中山芳彦社長)は21日、輸入解禁が決まった米国産牛肉を26―28日に限り販売すると発表した。約6トンを空輸し、四国4県の113店舗に並べる。輸入解禁後に関西国際空港に到着する最初の米国産牛肉を扱うという。2003年12月以来、2年ぶりの店頭販売となる。

 販売するのは肩ローススライス(100グラム約230円)とサーロインステーキ(同約400円)の2種類。いずれも輸入禁止前に比べ3割程度高くなる。

 米国産牛肉の扱いに慎重なスーパーは多いが、安全性は「日本政府の査察などで証明されている」(食品部)と判断した。年内の販売は3日間の予定。来年1月以降の販売は仕入れ状況などを見極めてから決定する。

米国産牛肉を販売へ

2005/12/21 西日本放送
 

 2年ぶりに輸入が解禁されたアメリカ産牛肉が、香川県でも来週月曜日からスーパーの店頭で販売される見通しになりました。

 アメリカ産牛肉の販売再開を決めたのは、高松市に本社がある大手スーパーマルナカです。

 きょう午後関西国際空港にアメリカから輸入されたおよそ150頭分6トン前後の牛肉を、今月26日から3日間、四国4県の113店舗すべてで販売する予定です。

 全ての店舗で扱う商品は肩ローススライスとサーロインステーキで、それぞれ輸入禁止措置がとられる前より3割ほど高い値段となっています。

 今月12日に政府がアメリカ産牛肉の輸入解禁を決めて以降大手スーパーが取り扱うのは全国でも珍しいということで、マルナカでは日米両政府の監視体制が守られ安全も証明されていると判断したと話しています。

焼き肉の「でん」、米国産牛肉の販売再開──チェーンで先陣

2005年12月20日 NIKKEI NET関西版

 焼き肉店「でん」を展開するゼンショク(大阪府茨木市、大石重己社長)は19日夕方、米国産牛肉の販売を再開した。輸入解禁後で米国産牛肉を使用した焼き肉チェーンは初めてと見られる。

 商品はロース、カルビ、ハラミ、バラに限定し、当面は内臓やタンの販売はしない方針。メニューに米国産と明記し、顧客が選べるように配慮した。価格は390―550円と輸入停止前に比べ1―2割高くなるという。

米国産輸入再開記念の牛肉、成田に

2005/12/18 京都新聞

 焼き肉店用の荷も続々

 米国産牛肉の輸入再開を記念し、米国の牛肉生産・加工・輸出業者の団体「米国食肉輸出連合会」が出荷した約130キロの牛肉が18日、成田空港に到着した。連合会が、日本の食肉業界関係者向けに開く昼食会で振る舞われるという。

 到着した牛肉は、農林水産、厚生労働両省の検疫所の検査を通過。その後、連合会のフィリップ・セング会長が空港内でお披露目し「日米両国の業界が2年間待っていたこの日が来て非常にうれしい。日本向けの輸出ルールに沿うようあらゆる努力をする」と話した。

 この日は、焼き肉レストランチェーンを経営するゼンショク(大阪府茨木市)が輸入した約2トンも成田に到着。19日から、特設メニューとして販売するという。(共同通信)

米産牛肉、輸入再開を正式決定…年内にも店頭に

2005年12月12日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 政府は12日、牛海綿状脳症(BSE)の発生で2003年12月から禁止していた米国・カナダ産牛肉の輸入の再開を正式決定した。農林水産省が同日午前、BSE対策本部を開き、厚生労働省も同様の手続きをとって決めた。

 厚労省は同日付で全国の検疫所に通達し、禁輸措置を解除した。

 輸入は、<1>脳、脊髄(せきずい)などの特定危険部位を取り除く<2>生後20か月以下の牛肉と内臓に限る――との条件で再開される。取り扱いは米国、カナダ両政府が認定した業者に限る。

 米国では約40の加工業者が米政府の認定を受け、対日輸出の再開準備を進めている。週内にも空輸による輸入が始まり、年内にも米国産牛肉が2年ぶりに小売店の店頭に並ぶ。本格的な流通は年明けからになる見通しだ。

 北米産牛肉の輸入再開を巡っては、内閣府の食品安全委員会が8日、再開を事実上容認する内容の答申を行っている。12日までに、米・カナダ両政府から、日本側の輸入再開条件を受け入れる回答が来たため、政府は再開を決定した。

 農水・厚労両省は13日に米国とカナダへ調査団を派遣し、現地の加工業者が輸入再開の条件を守っているかどうか確認する。日本国内では15日から、全国9都市で一般消費者向けの説明会を開き、輸入再開に踏み切った理由や安全性の確保策などを説明する。

 また、農水省は12日、北米産牛肉の輸入量が02、03年度の平均に達するまでは、関税率引き上げによる緊急輸入制限(セーフガード)を発動しない特例措置も決定した。

 農水省は、日本国内での口蹄疫(こうていえき)発生を理由に2000年から禁止されていた国産牛肉についても、米国、カナダ向け輸出が米国時間の12日までに再開されると発表した。

米牛肉、年内に輸入再開へ 食品安全委の調査会が結論

2005/10/31 中国新聞ニュース

 内閣府食品安全委員会のプリオン専門調査会が三十一日開かれ、牛海綿状脳症(BSE)感染の危険性について、北米産牛肉と国産牛肉を同じ基準で比較評価することは「科学的に困難」としながらも、「北米産牛肉の輸入再開条件が、日本政府の責任の下に順守されれば、リスクの差は非常に小さい」とする、答申案の結論をまとめた。

 厚生労働省と農水省が輸入条件の順守に責任を持つという前提条件をあらためて強調した上で、輸入再開を容認する内容となっており、政府は、食品安全委員会の答申を待って十二月にも輸入解禁に踏み切る方針だ。

 米国産牛肉の輸入が再開されれば、BSE発生により禁輸となった二○○三年十二月以来、約二年ぶり。ブッシュ米大統領の十一月半ばの訪日を前に、日米間の懸案となっていた牛肉問題が解決に向かうことになる。

 調査会の結論は、北米という国外の状況に関して文書を主体に評価せざるを得ず不明な点が多かったとして限界を強調しながらも、輸入対象を生後二十カ月以下とし、脳、脊髄(せきずい)などの特定危険部位を取り除くという輸入条件がきちんと守られると仮定すれば、危険性の差は非常に小さいとする評価を下した。

 また答申案は、結論の付帯意見として、北米でのBSE対策に関し、特定危険部位の除去の実効性への疑問の声や、牛以外の家畜の飼料にも特定危険部位の利用を禁止すべきだとする意見、食肉処理の前の検査に十分な検査官を配備する必要があるとの指摘などがあったことを併記している。調査会の吉川泰弘座長(東大教授)は記者会見で「前提が守られなければリスクの差が小さいという結論は崩れることになり、守ってもらうのは国の責任だ」と語った。

 調査会が答申案をまとめたことを受けて、今後約四週間の意見募集などを経て、食品安全委員会が正式に政府に答申し、政府が輸入再開を決めることになる。

BSEリスク差は小さい 日米牛肉で調査委原案

2005/10/24 中国新聞ニュース

 北米産牛肉の輸入再開問題を審議している内閣府食品安全委員会プリオン専門調査会が近くまとめる答申原案に、北米産牛肉と国産牛肉の牛海綿状脳症(BSE)汚染について「リスクの差は極めて小さい」との表現を盛り込んだことが二十四日、分かった。早ければ年内にも輸入が再開される見通しだ。

 牛肉の輸入が再開されれば、高値で推移している牛肉価格が安定に向かうことが期待される。二年近くに及ぶ牛肉貿易の停止でいらだちを強めている米政府との摩擦も解消に向かいそうだ。

肉骨粉の使用、全家畜に禁止 米、BSE対策

2005/10/05 The Sankei Shimbun【大阪夕刊から】

 【ワシントン=気仙英郎】米政府は4日、BSE対策強化を目的として、牛の脳や脊髄(せきずい)などのBSE感染の可能性のある危険部位を含む肉骨粉について、牛だけでなく豚や家禽(かきん)類などすべての家畜のエサに使用することを禁止すると発表した。今後、75日間、広く一般から意見を聞いたうえで、来年から導入する。

 米国は一昨年12月に米国初のBSE感染牛が発見された後、感染源の恐れのある特定危険部位に関するエサの規制強化を検討してきた。

 これまでは牛にだけ供与が禁止されてきたが、今年6月に2例目のBSE感染牛が見つかったことなどを受けて、全面的な使用禁止を決断した。

 ただ、全米牛肉生産者協会(NCBA)などの生産者団体は、牛以外の家畜のエサとして特定危険部位も販売していた牛農家の減収につながるとして規制強化に反対しており、今後、生産者らの反発も予想される。

新たに67頭をBSE検査 全頭が「シロ」と判明

2005/07/11 The Sankei Shimbun

 米農務省が、米国産としては初の牛海綿状脳症(BSE)感染牛と同じ群れで飼育されていた67頭のBSE検査を新たに実施、結果は全頭が「シロ」だったことが10日分かった。AP通信などが伝えた。

 感染牛はテキサス州の農場で生まれ昨年11月に死亡するまで同じ農場で育った。約12歳と高齢だったため感染牛の子や孫、また一緒に飼育されてきた牛などに感染が広がっていないか同省が調べていた。

 同省は感染の原因やルートを突き止めるため、このテキサスの農場でどのような飼料を与えてきたかについても調査を進めている。1997年からの規制前に、感染原因となる肉骨粉の混ざった飼料を与えていたことが原因とみているためだ。

 米国産で初の感染牛は昨年11月の同省の検査でいったん「シロ」とされたが、今年6月の英国での検査で「クロ」に覆った。米国内で見つかった感染牛としては2例目で、1例目はカナダ産の輸入牛だった。(共同)

BSE牛はテキサス産 初の米国牛、12歳の高齢

2005/06/30 中国新聞ニュース

 米農務省は二十九日、米国内で二例目となる牛海綿状脳症(BSE)感染が確認された牛が米テキサス州産で、昨年十一月の処分時点で約十二歳だったと発表した。二○○三年十二月に感染が確認された一例目はカナダ産で、米国産牛の感染確認は初めて。

 対日輸出の対象とならない高齢の牛だったとはいえ、これまで米側が安全性を強調してきた米国産牛への感染が確認されたことで、日米の貿易再開時期に影響が出る可能性がある。

 記者会見した同省のクリフォード主任獣医師は、米政府が飼料規制を導入した一九九七年以前に肉骨粉を含んだ餌から感染した可能性が「最もありそうだ」と指摘。飼料規制の前からこの牛と同じ群れにいたすべての牛や子孫を隔離、全頭を検査する方針を明らかにした。

 農務省によると、問題の牛はテキサス州で生まれ、飼育されていた。昨年十一月にペットフード工場で処理されたが、正常に歩行できない「へたり牛」だったことなどから、ペットフードとしても利用されなかったという。同省は「食品としては流通しなかった」と重ねて強調、米国産牛の安全性は確保されていると繰り返した。

 同省は、感染の事実を公表した二十四日の会見では出生地や感染経路については確認できないとし、検体のDNA鑑定などを進めていた。

 二例目の牛は昨年十一月の簡易検査で疑い牛とされたが、直後に米国が採用する免疫組織化学法(IHC)で調べたところ「シロ」とされた。しかし、英専門機関に委託し、別の方法で行った最終検査の結果、一転して感染が確認された。

台湾、米国産牛肉の輸入を再禁止

2005年06月25日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【台北=石井利尚】米農務省が2頭目となるBSE(牛海綿状脳症)感染牛を確認したのを受け、台湾当局は25日、いったん解禁した米国産牛肉の輸入を同日から当面、禁止する緊急措置を発表した。

 台湾当局は2003年12月に輸入を禁止したが、2005年4月16日、生後30か月以下で、脳や脊髄(せきずい)などの危険部位が除去された牛肉の輸入を再開していた。

 台湾・行政院(内閣に相当)は、4月以降に輸入した米国産牛肉は「専門的な検査を経ており、安全面での心配はいらない」と、冷静に対応するよう住民に呼びかけた。台湾は、世界第6位の米国産牛肉の消費市場。台湾の消費者団体などは、日本に先立ち輸入再開を決めた当局を批判していた。

 吉野家の現地法人・台湾吉野家は6月1日から、牛丼販売を約1年3か月ぶりに再開しており、「販売は続ける予定」としつつも、「今後の情勢を見て判断していく」と述べている。

米機関のBSE検査精度に疑問符、日欧方式と食い違い

2005年06月25日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ワシントン=笹沢教一】昨年11月に米農務省の機関が行った確認検査で一度「シロ」と判定されていた今回のBSE(牛海綿状脳症)感染牛については、英ウェーブリッジの検査機関で実施した同じ「免疫組織化学的検査(IHC)」で逆に陽性の判定が出ており、米国の検査精度自体に疑問を投げかけることとなった。

 農務省は24日の声明で、この食い違いについて、「感染牛の感染の程度が弱かったか、病原体のプリオンの分布に偏りがあった」と苦しい釈明をしている。だが、英機関が実施した同じ検査や別の方法では陽性の結果が出ていたことから見て、米国の検査には、試料採取の仕方などの分析方法に問題があった可能性もある。

 農務省は、これまでに行った現場での簡易検査で疑陽性の判定が出た3頭を、確認検査した。米国内で行われてきたIHCと違う「ウエスタンブロット法」でやり直し、今月10日、今回の牛の検体から陽性反応が出たと発表した。

 ところが農務省は、10日の時点では、「英機関での確認が終わっていない」として感染牛として扱わなかった。日本や欧州はすでにこれら2つを確認検査に導入しているが、1種類の方法で陽性と出れば、かりに他の方法でシロであっても、通常は感染牛と判断している。日本などで有効性が高く評価されているウエスタンブロット法で陽性と出た段階で「感染牛」としなかった点でも、農務省の対応は遅かったといえる。

 全頭検査を実施している日本では、これまでに450万頭以上を検査し、20頭の感染牛が確認されている。米国は昨年6月からの検査強化で約38万頭を調べ、疑陽性が3頭、感染牛はわずか1頭しか見つかっていない。「日本に比べ、米国内の感染牛の割合がこんなに低いのは不思議」と疑問を投げかける専門家は多い。

米で2例目のBSE 再検査で「シロ」判定覆る

2005/06/25 The Sankei Shimbun

 米農務省は24日、牛海綿状脳症(BSE)感染の疑いで再検査していた牛1頭が、英国の国立研究所の検査で最終的にBSEと確定診断されたと発表した。米国内での感染牛は2例目。昨年11月の同省による検査でいったん「シロ」と判定した牛を対象に厳密に検査し直したところ、結論が覆った。

 1例目の牛はカナダ産だったが、今回は「輸入牛の証拠はない」(農務省)とされ、確認されれば米国産牛として初の感染例。米国の検査体制の信頼性にも疑念が生じかねない異例の展開を経て2例目が確認されたことで、早ければ夏ごろとされていた日本への輸入再開時期が遅れる可能性もある。

 記者会見したジョハンズ農務長官は今回の牛が生後8年以上の高齢の牛だとして、対日輸出の再開問題に「影響すべきではない」と強調した。

 米国で最初のBSEが見つかった2003年12月から日本は米国産牛肉の輸入を禁止しているが、両国政府は生後20カ月以下の若い牛に限って貿易再開を目指している。

 同省は今回の牛の発見場所を公表しなかったほか、出生地や感染経路については現時点では確認できないとし、問題の牛と同じ群れにいた牛の追跡調査を進める方針。個体識別(ID)制度が完備していない食肉管理システムの不備を裏付けた形だ。

 ジョハンズ長官は、今回の牛が正常に歩行できない「へたり牛」で、食品としては流通していないと重ねて指摘、「米国産牛の安全性に引き続き自信がある」と語った。 農務省の検査をめぐっては、非公式検査で異常の兆候が出ていたにもかかわらず放置されていたことも判明。長官は、今後疑い牛が見つかった場合、従来の免疫組織化学法に加え、より感度が高いとされ、日本などが採用している「ウエスタンブロット法」も実施することを明らかにした。(共同)

≪「交通事故より確率低い」≫

 ジョハンズ米農務長官は24日、米国で2例目となる牛海綿状脳症(BSE)の牛が確認されたことを明らかにした記者会見の席上で「食料品店に行く途中で交通事故に遭う確率の方が、店頭で買った牛肉で被害を受けるよりも高い」と発言、不穏当ともとれる言い回しで米国産牛肉の安全性を強調した。

 長官は、昨年6月から対象を拡大した検査でこれまでに38万8000頭を調べてきたが、「クロ」は今回のケースだけだったと重ねて指摘。「国民に対する脅威は微々たるものだ」と語った。(共同)

BSE:牛肉輸入禁止 米国の被害は32億〜47億ドル

2005年05月01日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE

 【ロサンゼルス國枝すみれ】全米牛肉の4分の1を生産するカンザス州のアンドリュー・ポランスキー農務長官は30日、毎日新聞の取材に対し、「米の牛肉は安全だが、日本の消費者が値段が高くなっても検査された牛肉の購入を望むなら、自主的に全頭検査を導入する選択肢は残されるべきだ」と述べた。BSE(牛海綿状脳症)の感染をチェックする全頭検査を「カネの無駄」として導入に反対する連邦政府と異なる立場を示したもので、長期化する日米交渉に対する生産州のいらだちを反映している。

 同州の農務省は28日、各国の牛肉禁輸のために米食肉産業が昨年1年間で被った経済損失は約32億〜47億ドル(約3300億〜4900億円)と概算、「検査コストを差し引いても、自主的にBSE検査を導入したほうが得」と結論づけた。

北米3カ国が統一BSE策 国際ルール化で日本に影響

2005/04/02 The Sankei Shimbun

 米国、カナダ、メキシコは1日、食肉からの脳や眼球など特定危険部位の除去や、感染源となり得る肉骨粉飼料の禁止など、9項目の最低基準を満たせば牛の月齢にかかわらず域内の牛肉貿易を認めるとする3カ国統一の牛海綿状脳症(BSE)対策を発表した。今後、国際機関を通じて日本などもこの基準に従うよう働き掛ける。

 BSE安全対策などの国際機関である国際獣疫事務局(OIE、本部パリ)は5月下旬に総会を開く予定で、3カ国は今回の対策内容を国際統一ルールとするようOIEへ提案する。

 この対策が国際基準に採用されれば、生後20カ月以下の若い牛から米国産牛肉の輸入を再開しようとしている日本の対応は「ルール違反」となる見通し。対策は危険度が高まる30カ月超の牛でも特定危険部位が除かれていれば輸出可能としており、日本が牛の月齢に関係なく全面的に輸入再開を迫られる可能性がある。

 日本政府は生後20カ月以下の牛をBSE検査から除外する手続きを進めているが、検査自体は安全対策の柱として位置付け、維持する姿勢。「食肉処理時に特定危険部位がほかの部位に付着する恐れがある」(厚生労働省)ためだ。

 厚労省と農水省は8日に開く家畜伝染病や食品衛生の専門家による会合での意見を基に、日本側の反論をまとめる方針。

 3カ国による最低基準のほかの項目は、歩行できない病的な「へたり牛」の食用禁止や牛の個体識別(ID)制度の導入など。輸入制限については「輸出地域の相対的な(BSE)リスクに基づくべきだ」と指摘。具体名こそ挙げていないものの、基準を満たす米国やカナダに対する日本の禁輸措置を認めない内容になっている。(共同)

牛肉輸出再開が最優先 05年版米貿易障壁報告

2005/03/31 The Sankei Shimbun

 米通商代表部(USTR)は30日、2005年版の貿易障壁報告書を発表し、米国産牛肉の対日輸出再開を貿易問題の最優先課題と位置付けた上で「あらゆるレベルで日本に圧力をかけ続ける」と早期決着に全力を挙げる方針を表明した。

 米国での牛海綿状脳症(BSE)対策をめぐる日本側の要求や懸念に対し、米政府は万全の対応策を講じてきたと強調。年間約17億ドル(約1800億円)に上った禁輸前の輸出水準を速やかに回復するよう求めた。

 ただ、対日経済制裁措置の発動や世界貿易機関(WTO)提訴など議会が求める強硬措置についての言及はなかった。

 報告書は、郵政民営化に関連した簡易保険事業の見直しをめぐり、民間保険会社との競争条件が対等になるまでは新商品の販売を認めるべきでないと重ねて強調。米業界が得意とするがん保険など「第三分野」への簡保進出にくぎを刺した。

 国・地域別で最も言及が多かった中国については(1)知的財産の保護(2)サービス(3)農業(4)産業政策−などを「深刻な問題が生じている分野」として明示。最大の貿易赤字を計上する国へのいら立ちを示した。(共同)

輸入再開時期の明示要請 米議員、牛肉で駐米大使に

2005/03/12 The Sankei Shimbun

 米国産牛肉の輸入を日本が禁止している問題で、米上下両院の超党派議員13人が11日、加藤良三駐米大使を議会に呼び「禁輸が長引き、米国畜産業界への打撃は深刻だ」として、早期決着に向け輸入再開時期を示すよう要請した。大使は国内対策の現状を説明するにとどめ、再開時期には言及しなかった。

 牛肉輸入の解禁をめぐっては、内閣府の食品安全委員会が同日、牛海綿状脳症(BSE)対策の緩和でほぼ合意した。しかし、大使との会談後に各議員が「時期が示されず失望した」と語るなど、米側のいら立ちは収まっていない。

 会談に出席したのは上院農林委員会のシャンブリス委員長(共和党)や、今月3日に下院へ対日制裁決議案を提出したモラン下院議員(同)ら。

 各議員は米国産牛肉の安全性を強調する一方、食品安全委の審議が長引き、期限も設定されていないことに不満を表明。対日制裁の可能性にも言及した。会談を呼び掛けた共和党のアラード上院議員は、小泉純一郎首相に訪米を求める書簡を大使に手渡した。

 加藤大使は「消費者の理解を得るのが重要。十分な審議が必要だ」と述べた上で、日米関係を悪化させないよう日本政府も早期解決を望んでいると強調した。(共同)

米産牛肉禁輸で懸念や批判 政府、財界から相次ぐ

2005/03/08 The Sankei Shimbun

 牛海綿状脳症(BSE)発生に伴う米国産牛肉の禁輸をめぐり7日、政府、財界から米国の対日強硬論の高まりへの懸念や、食品安全委員会(内閣府)の運営の在り方に対する批判の声が相次いだ。一方、食品安全委員会は同日、BSEについて審議しているプリオン専門調査会を11日に開くと発表した。

 日本経団連の奥田碩会長は会見で「こんなに(禁輸を)長く延ばして、その結果、国際摩擦になるのは非常にまずい」と懸念を表明。さらに「(食品安全)委員会がもっと(審議を)頻繁に開いて、日本が放置しているのではなく積極的にやっているという姿勢を示すべきだ」と指摘した上で、経団連としても早期解禁に前向きに取り組む姿勢を強調した。

 外務省首脳も「内容のいかんにかかわらず、いつ結論が出るのか予測できないのは最悪だ。なぜ3週間に1度しか(BSEの審議が)開けないのか、ちゃんとした返事もない。米国にも説明のしようがない」と食品安全委員会の運営を批判。

 その上で「(審議終結まで)少なくともあと2回はかかると言われている。(答申は)連休明けになる。(輸入解禁は)来年の春、へたをすれば夏までかかってしまう」などと述べ、いら立ちをあらわにした。(共同)

肉質や骨格で月齢判定へ 米産牛肉の協議実質決着

2005/02/08 The Sankei Shimbun 東京朝刊より

 米国産牛肉の輸入を解禁する場合に焦点となる生後何カ月の牛かという月齢判定方法について、厚生労働省と農水省の「月齢判別に関する検討会」(座長・沖谷明紘日本獣医畜産大教授)が8日、都内で最終会合を開き、米国が主張している肉質や骨格で月齢を推定する方法について「基準として採用することは可能」という評価を下した。

 これにより、月齢判定方法をめぐる日米協議は実質的に決着、米国産牛肉の輸入解禁に向けて前進する。ただ解禁の期日は、内閣府の食品安全委員会の答申や全頭検査の緩和実施が前提になっているため、依然としてはっきりしない。食品安全委員会が月内にBSE対策の見直しについて答申すれば、夏ごろに部分的に輸入再開する方向だ。

 解禁は、牧場の出生記録など書類による月齢確認に加えて、食肉処理場で枝肉を格付けする際に生後17カ月に相当すると認定される枝肉も対象になる。

 米側は、食肉処理場で「A40」という等級に格付けされる枝肉は、生後12−17カ月に相当すると主張、米国でサンプル調査した報告書を同検討会に提出。解剖学や統計学の専門家で構成する同検討会が精査していた。  ただ「サンプルの集め方が偏っている疑いがある」など疑問が残り、肉質、骨格形成と月齢の相関関係について「追加的な検証や(輸入再開後の)フォローアップが必要である」という条件が付いた。(共同)

 <牛の月齢> 牛が生後何カ月かを示す成長の基準。政府は、若い牛は病原体の蓄積が少なく牛海綿状脳症(BSE)検査で検出が困難として、全頭検査から生後20カ月以下の牛を除外する方針を打ち出しており、検査なしで流通させるためには月齢判別が必要になる。日本では牛肉のトレーサビリティー(生産履歴)が確立され、生年月日まで把握できる。米国にはこのような全国規模のシステムがなく、米国産牛肉をどのような方法で月齢判別するかが、貿易再開の焦点になっている。(共同)

 ≪「具体的な前進」と歓迎 ベーカー駐日大使≫

 米国のベーカー駐日大使は8日、厚生労働省と農水省の検討会が米国の主張する牛の月齢判定方法を採用可能と評価したことについて、米国産牛肉の対日輸出再開に向けた「具体的な前進」と歓迎する声明を発表した。

 大使は、輸入再開問題をめぐり「技術面の大きな部分で最終決定が下された」と評価。日本政府に対し、「米国と協力し、(輸入再開に向けた)残る実施過程を速やかに進める」よう求めた。(共同)

初夏にも3割輸入再開へ BSE問題の日米協議

2005/01/19 中国新聞ニュース

 牛海綿状脳症(BSE)の発生で輸入が停止している米国産牛肉について、政府筋は十九日、日米政府協議を来月にも開き、牛肉貿易の再開に必要な具体的な手続きに入る方針を明らかにした。

 焦点の月齢判定方法については十九日の「月齢判別に関する検討会」の後に沖谷明紘座長が、実質的に生後十七カ月以下の牛の対日輸出につながる米側判定方法を「前向きに受け止めている」と言明。二十日に開く実務者による日米会合で細部を詰め、来月に局長級協議で貿易再開の合意を目指すことになった。

 一連の手続きが順調に進めば、国内でBSE対策として実施している全頭検査を緩和し、早ければ初夏ごろに禁輸前の三割程度の米国産牛肉の輸入再開が可能になる。

 月齢判別に関する検討会で米側は、十二〜十七カ月以下の牛に相当する「A40」と格付けされた肉の対日輸出を認めるよう提案。三カ月程度の誤差を含めても、日本側が要求する日本へ輸出する牛を「生後二十カ月以下」に絞り込むという条件を満たすとされ、沖谷座長も容認する方向となった。

 日米両政府は、出生証明など書類による月齢確認方法についても詰め、食肉処理場で生後二十カ月以下の肉だけを選別する対日輸出専用の特別プログラムを作成、早ければ二月中に局長級協議を開いて合意を目指す。

 ただ、全頭検査の緩和や米国産牛肉の安全確保策については、内閣府の食品安全委員会の判断も必要で、具体的な解禁時期は不透明。部分解禁のため牛丼の本格的な復活までには、さらに時間がかかる見通しだ。

 日米両政府は昨年十月、BSEの感染確認が難しい生後二十カ月以下の牛に限定して牛肉貿易を再開する枠組みを確認したが、月齢の確認方法などで対立が残り具体的な解禁条件の整備が遅れていた。

米シアトルでBSEに似た症状の女性死亡

2004/08/21 読売新聞 Yomiuri On-Line
 【ワシントン=笹沢教一】BSE(牛海綿状脳症=狂牛病)に似た脳組織の異常と痴呆症状を引き起こし、米ワシントン州シアトルの病院で治療を受けていた女性が最近死亡していたことが20日、明らかになった。シアトル・タイムズ紙が報じた。

 同紙によると、女性は60歳未満で州外在住。家族の要望でほかの詳しい情報は明らかにされていない。

 病院の簡易検査では、BSE感染牛を食べた人が発病する新型クロイツフェルト・ヤコブ病ではないとの結果が出たが、BSEに似た発病の仕組みを持つ別の脳疾患の疑いがある。院内では完全な判定ができないため、州保健当局では女性の脳組織をオハイオ州の国立検査機関に送って確定検査を実施する方針だという。

 BSEやヤコブ病はプリオンという病原体の感染で発病し、女性の症状は病名は特定できないものの、何らかのプリオン病である可能性が高いと見られている。ワシントン州では昨年12月に全米一例目のBSE感染牛が発見された。

ヤコブ病多発はBSEと無関係・米衛生当局が結論

2004/05/09 NIKKEI NET
 【ワシントン=吉田透】米ニュージャージー州で脳に異常なたんぱく質が蓄積して障害が生じるクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)の患者が多発していた問題で、米疾病対策センター(CDC)は7日、同病の集団発生とBSE(牛海綿状脳症、狂牛病)との間には関連はないとする調査リポートを発表した。

 CDCは1990年代以降にニュージャージー州やその近隣州で発生した17人のCJD患者(現在までに全員死亡)のデータを詳細に分析。このうち11人はBSEとは関係のないタイプのCJDで、3人は実際にはCJDではなかった。残り3人については調査を継続している。

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