TOPIC No.2-139 中台海峡(台中問題)

01. 台湾 YAHOO! NEWS
02. 湾海峡防衛のために海軍兵力の近代化
03. 軍事情報17台湾アーカイブ
04. 謎深まるフリゲート艦事件
05. 中華週報
06.台湾の将来(2005年10月26日)岡崎久彦 The Taiwan-U.S.-Japan Trilateral Strategic Dialogueにて byNPO法人岡崎研究所
07.陳総統が台中で「反特攻」「反空挺隊」作戦の軍事演習を視察 (2005年07月27日) by台湾週報
08.中国の軍事拡張と台湾の防衛戦略A「二〇〇四年国防報告書」概要(2004年12月14日)by台湾週報
09.密かに進む中国の統一戦線工作-「中国軍事力報告」に見る作戦の数々-(2004年08月31日)台北『自由時報』
10.日本は台湾にどう対応すべきなのか(1/3) たかじん YOUTUBE
11.日本は台湾にどう対応すべきなのか(2/3) たかじん YOUTUBE
12.日本は台湾にどう対応すべきなのか(3/3) たかじん YOUTUBE

台湾、ミサイル演習公開…中国ステルス機対抗か

2011年01月18日21時53分 読売新聞

 【台北=源一秀】台湾国防部は18日、南部の屏東県にある九鵬基地で、陸海空3軍合同によるミサイル演習を公開実施した。

 馬英九総統も視察した。

 地元報道によると、演習は、台湾空域に中国軍のスホイ27、30など複数の戦闘機が侵入したことを想定したもの。台湾が自主開発した天弓2型、米国から購入したホークなどの地対空ミサイル、空対空ミサイルなど19基が発射され、うち13基が目標に命中した。演習にはミラージュ2000や経国号、F16など戦闘機26機も投入され、兵員576人が参加した。

 ミサイル演習の公開は異例。中国が11日、次世代ステルス戦闘機「J(殲)20」の試作機を試験飛行させたことへの対抗措置と見られる。胡錦濤・中国国家主席の訪米出発の日に行われたこともあり、台湾防衛への断固とした姿勢を内外に誇示する狙いもありそうだ。


中台経済協力協定締結 台湾、与野党抗争激化へ 独立派封じ正念場

2010.06.29 MSN産経新聞

中台の「経済協力枠組み協定」調印後に握手する、中国側、海峡両岸関係協会の陳雲林会長(中央右)と台湾側、海峡交流基金会の江丙坤理事長(同左)=29日午後、中国重慶市(共同)

 【台北=山本勲】台湾の馬英九政権はほぼ当初のもくろみ通り中国と経済協力枠組み協定(ECFA)を締結したが、正念場はこれからだ。これを機に公約通り諸外国との自由貿易協定(FTA)を結べるか。ECFAによる経済浮揚効果がどの程度になるか。ECFAをめぐる台湾の世論は真っ二つに割れているだけに、十分な成果が上がらなければ野党を勢いづけ、2012年の総統再選にも黄信号がともりかねない。

 ECFAは遅くとも8月中に立法院(国会)の審議を経て、来年1月発効の見通しだ。野党第一党の民主進歩党(民進党)はECFAに強く反対しているが、与党の中国国民党が立法院議席の3分の2を占めており大きな障害にならない。

 野党第二党の台湾団結連盟は、先月に続いて再びECFAの可否を問う住民投票実施を行政院(政府)に求める構えだ。しかし住民投票審議委員会の委員は与党系が多数を占めているから、実現はかなり難しい。

 それだけにECFAの反対運動は街頭デモなどの直接行動となりやすい。民進党など独立派は26日、台北市で数万人規模の大規模デモを行った。

 これには87歳と高齢の李登輝元総統も参加、「棄馬保台(馬政権を棄て台湾を護ろう)」などと呼びかけて大喝采(かつさい)を浴びた。李元総統と、蔡英文主席率いる民進党との関係緊密化は、馬政権にとって大きな脅威となりつつある。

 馬総統の試練は、諸外国とのFTA締結の成否にある。馬総統はECFAを「諸外国とのFTA締結の突破口」と唱えてきた。ECFAを結べば、中国が台湾のFTA交渉を妨害しないとの判断からだ。

 しかし中国が今後も台湾と日米などのFTA締結に反対し続ければ、台湾の対中経済依存度ばかりが上昇して中国に併呑(へいどん)されかねない。

 中台双方は協定発効から半年以内に、他の物品関税やサービス産業の自由化交渉を始めることを取り決めているが、今後の交渉での中国の出方は不透明だ。

 中国が経済利益の見返りとして統一に向けた政治交渉を求めてくる可能性もある。対中交渉の前途はそう楽観できない。

中台経済協力協定調印 中国、重ねた譲歩 政治交渉に軸足

2010.06.29 MSN産経新聞

中台の「経済協力枠組み協定」の最終合意に向けての会談を前に握手する中国側、海峡両岸関係協会の陳雲林会長(右)と台湾の対中国交流窓口機関、海峡交流基金会の江丙坤理事長=29日午前、中国重慶市(共同)

 【重慶=矢板明夫】「多くの(中国)大陸の人は、台湾と政治分野での交渉開始を期待している。理事長はどう考えるのか」。29日、重慶市内のホテルで行われた経済協力枠組み協定(ECFA)調印後の記者会見で、台湾の海峡交流基金会の江丙坤理事長は中国人記者の質問に対し、一瞬戸惑った表情を見せてから、「経済分野の問題はまだたくさん残っており、政治問題に関する交渉を開始する予定は今のところない」と、言葉を選びながら答えた。

 中国との関係重視を強調する台湾の馬英九政権が2008年5月に発足して以来、中台双方は5回の民間窓口のトップ会談を重ね、今回のECFA調印をはじめ、経済分野の融合に向けて大きく前進した。しかし敏感な政治問題は棚上げされたままで、中台間の政府間交流は陳水扁前総統時代からほとんど進んでいない。

 今回のECFAの交渉において、中国側は馬政権との関係重視を優先するため、国内の不満を抑えつつ、大きく譲歩したと指摘される。台湾から輸入する農産物や工業製品に対し関税を免除する一方、台湾に対し農産物の市場開放を強くは求めず、労働力輸出もしないことを約束するなど、片務的な部分は多くある。台湾からの大量の輸入品のため福建省など周辺の農業・漁業従事者の生活に影響が出ることも指摘され、「(アヘン戦争での)南京条約以来の不平等条約だ」とECFAをやゆする中国人記者もいる。

 中国側の思惑は、ECFAの調印を一つの区切りにして、これからは政治分野における交渉を開始させ、胡錦濤政権の任期が続く13年春までに中台統一への道筋をつけることにある。

 中台関係筋によると、清朝を倒した辛亥革命100周年に当たる11年10月に、中国は革命の武装蜂起が起きた武漢市で盛大な記念活動の開催を計画しており、その際、台湾の馬総統を招待し、胡国家主席との会談を実現させる構想をもっているという。

 今回のECFAの調印で、解決しやすい経済問題はほぼクリアされたと指摘されており、これからは残された難しい問題に着手しなければならない。今後の交渉の中で、中台双方の立場と思惑の違いは、対立点として浮上する可能性があり、「中台の蜜月時代はECFAの調印がその頂点かもしれない」(中台関係筋)ともみられている。

中台自由貿易協定調印 経済一体化へ、東アジア安保にも影響か

2010.06.29 MSN産経新聞

中台の「経済協力枠組み協定」調印式に臨む中国側、海峡両岸関係協会の陳雲林会長(右)と台湾側、海峡交流基金会の江丙坤理事長=29日午後、中国重慶市(共同)

 台湾の対中国交流窓口機関、海峡交流基金会の江丙坤理事長と中国側、海峡両岸関係協会の陳雲林会長は29日、中国重慶市で、中台の自由貿易協定(FTA)に当たる「経済協力枠組み協定(ECFA)」に調印した。

 ECFAにより中台経済の一体化は加速。1996年3月には台湾初の総統直接選挙を混乱させるため中国軍がミサイル演習まで実施し、鋭く対立した中台関係が「新たな時代」(台湾各紙)に入る歴史的協定で、東アジアの安全保障環境にも影響を与えそうだ。中国市場で台湾とライバル関係にある日本、韓国と、中国とのFTA締結の動きを刺激することは必至だ。

 中国側はECFAを「中華民族の国際競争力を高める戦略的意義を備えた重大措置」(陳会長)と位置付けており、中台統一戦略とも密接に関連。台湾との敵対状態を終結し、政治的協力枠組みとなる「平和協定」締結に向けた協議入りへ糸口を探る構えを見せている。(共同)

台湾:故宮博物院、中国からの観光客がトップに 「日本人頼み」を転換

2009年04月29日 毎日新聞 東京朝刊

 【台北・大谷麻由美】台湾の故宮博物院の参観者のうち、台湾人を除き長年最多を誇ってきた日本人が先月、初めて中国人に抜かれた。中国人の台湾観光が昨年7月、台湾の馬英九政権が進める中台緩和政策の一環で解禁されて9カ月。「日本人頼み」と言われた台湾観光も、中国へと大きくかじを切り始めた。

 台北故宮の参観者数は、今年2月に日本人3万4953人、中国人2万1087人だったが、3月は日本人3万8360人に対し、中国が前月比3倍の6万4789人と急増し、逆転した。

 台湾交通部(交通省)観光局によると、今年1〜3月に台湾を訪れた中国人は17万3245人、前年同期比の2・6倍。中国政府は3月から台湾観光の許可地域をこれまでの13省・市から21省・市に拡大。台湾観光は割引料金が設定されているほか、中国地方政府による「台湾海峡を渡ろう」キャンペーンも効果を上げた。

 中国・南京で26日行われた中国と台湾の窓口機関トップによる会談で、中台直行チャーター便の定期便化と増便が決まり、中国人観光客の増加は今後も拡大が予想される。中国は台湾を経済的に取り込んで将来の統一の布石としたい考えとみられている。

 対中政策を主管する台湾行政院(内閣)大陸委員会は「中国人観光客の台湾での1日の消費は平均295ドル(約2万9000円)」と経済効果を強調する。

台湾、米から武器購入継続を宣言 F35など検討

2009年03月16日 中国新聞ニュース

 【台北16日共同】台湾の馬英九政権は16日、今後の安全保障政策の指針である「4年ごとの国防戦略見直し(QDR)」を公表、中国の軍事増強は「われわれに対する安全保障上の挑戦」として、米国からの最新鋭武器購入などで国防力強化に努める姿勢を示した。

 昨年5月の発足後、対中関係改善を進める馬政権による初の防衛指針で、安全保障面で米国との関係を強化する考えを明確に打ち出した。購入検討中の武器は次世代戦闘機F35や、最新鋭戦闘機F22などを想定しているもようで、今後の中台、中米関係に微妙な影響を与えそうだ。

 指針はさらに2014年末までに現行の総兵力27万5000人を6万人削減し、徴兵制を撤廃すると表明。翌15年からは志願制に移行し計21万5000人態勢とする計画だ。

 台湾は昨年7月、米国防総省のQDRを参考に防衛戦略作成を義務付ける法律を制定。国防部が4年に1度、指針を立法院(国会)に提出する。

中国軍将官から次々飛び出す大胆発言 軍の存在感アピールか

2010.03.15 19:38 MSN産経新聞

 【北京=矢板明夫】中国人民解放軍の将官は最近、メディアに頻繁に登場し、外交・安全保障政策について積極的に発言しており、国内外の注目を集めている。政府の立場より一歩踏み込み、対外強硬姿勢を示すことがほとんどで、愛国主義教育を受けた若者から支持を受けている。これまでは沈黙することが多かった“制服組”が、同じ時期に一斉に政策に口を出すことは異例だ。今年の国防費予算の伸び率が22年ぶりに一けたに抑えられたことを受け、軍備増強の必要性を強調し、軍の存在感をアピールする狙いがあるとみられる。

 2010年の国防費が発表される前日の3日、政府の諮問機関、全国政治協商会議の委員を務める羅援少将は、北京紙、新京報などの取材に応じ「今年の国防費の伸び率は例年と比べ抑えられる」と言明。「台湾、チベットなどの独立問題を抱え、国家分裂の危険に直面している中国には、国防を増強しなければならない理由はいくらでもある」と述べた。

 この発言は、国防費の伸び率が09年の約14%から、今年は7・5%に抑えられたことに対する「軍の不満を表している」と解釈する香港記者もいる。

 これに先立ち、国防大学の朱成虎少将は、2月に発売された週刊誌「瞭望」で、米国による台湾への武器売却問題について「米国に『台湾関係法』などが存在していることが問題の本質だ」と指摘。外交交渉を通じ米国に、中国の国益に損害を与える法律を改めさせるべきだと主張した。

 この発言は、中国外務省の対米政策を「弱腰」と批判するネットユーザーの熱烈な支持を受けた。朱少将は05年夏、「米政府が台湾海峡での武力紛争に介入した場合、(中国は)核攻撃も辞さない」と発言したことで注目された。

中国の台湾攻撃力に警告 米研究機関

2010.03.03 21:42 MSN差案系新聞

 【ワシントン=古森義久】中国の軍事態勢を研究している米国民間の研究機関「国際評価戦略センター」は、台湾に対する中国の軍事攻撃能力強化についての報告書を発表し、中国軍の増強がこのまま続くと台湾との軍事均衡が完全に失われるだけでなく、台湾有事への介入の可能性を保とうとする米軍の抑止力も無効になるだろうとの見通しを明らかにした。

 同センターのリチャード・フィッシャー主任研究員が中心となって作成した報告書は「台湾海峡の空軍力バランス」と題され、まず中国と台湾との空軍力比較について、「中国は2000年には合計100機未満だったロシア製の第4世代の戦闘機群を10年には400機ほどに増し、さらに中国製の同第4世代の多目的戦闘・攻撃機280機を保有するにいたり、現状でも台湾の空軍力を圧倒するようになった」と述べている。

 また、「中国側の台湾への空軍力は地上に配備した短距離弾道ミサイル、中距離弾道ミサイル合計1500基以上によって威力をさらに補強されることになる」と警告し、最近は中国の人民解放軍幹部たちが自国製の最新の第5世代戦闘機を17年から19年にかけて実戦配備を開始すると言明するようになった点を強調した。

 中国側の第5世代戦闘機は台湾側が保有するすべての戦闘機の性能をはるかに超え、19年ごろまでには合計300機が配備される見通しで、そうなると中国の台湾攻略能力は圧倒的に高くなり、台湾側に軍事的抵抗を当初からあきらめさせて政治的併合を可能にする効力を発揮するようになるという。この第5世代戦闘機が、中国の成都にある航空機製造企業で生産されるとしている。

 中台有事のシナリオでは決定的な役割を果たす米軍の介入能力とその結果としての抑止力については、「これまでは米軍のF15戦闘機の中国側に対する優位性が顕著だったが、数年後には中国軍は現在の第4世代のJ11、J10という戦闘機でも機数の増加と新鋭ミサイルの装備などにより米側と同じレベルに達する見通しが強い」とする警告を発した。

 さらに、「オバマ政権が09年に新鋭のF22戦闘機の生産を187機に制限したため、中国側の第5世代戦闘機の増産により台湾海峡周辺の制空権を失う可能性も高い」とも述べている。

 台湾有事では、中国が東アジアでの空軍力の優位を保つ場合、米軍の台湾支援のための有事介入を難しくし、米軍が実際に中国の台湾への軍事行動を阻止する前に台湾を完全に屈服させることになるという懸念を表明した。

「台湾向け兵器売却の停止を」中国、国防協議で米に求める

2009年02月28日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【北京=佐伯聡士】米国のセドニー国防次官補代理(東アジア担当)らと中国国防省の銭利華・外事弁公室主任らによる米中国防協議が27日、北京で始まった。

 新華社電によると、銭主任は「両軍関係の発展にはなおも多くの障害があり、米国は排除すべきだ」と、台湾向けの兵器売却を停止するよう求めた。これに対し、セドニー次官補代理は、「両軍には相違点もあるが、さらに幅広い共通利益を有している」と語り、オバマ政権として軍事交流を推進する考えを強調した。

 協議は2日間の日程で、今後の軍事交流の具体的な進め方や地域安全保障問題を巡って意見交換する。

 米中の軍事交流は、昨年秋にブッシュ政権が台湾向け兵器売却計画を議会に通告したことに中国が反発し、中断していた。今回の協議再開はクリントン米国務長官の訪中に合わせて発表され、オバマ政権発足後、初の実施となった。

陳前総統、数日間入院へ ハンストで激しい脱水

2008.11.17 MSN産経新聞

 台湾総統府の機密費不正流用事件をめぐって逮捕され、抗議のハンガーストライキで体調が悪化し、16日に緊急入院した陳水扁前総統(57)について、病院当局は17日午前、脱水症状がなおも激しいことなどから、さらに数日間の入院措置を取ることを決めた。

 これに伴い、陳前総統は同日午前、セキュリティー対策などの理由から、拘置所近くの病院から県立病院に移送された。同病院前では大勢の記者らが見守る中、陳前総統は点滴を打ったままストレッチャーで搬送された。命に別条はないという。(共同)

台湾側との交流拡大に意欲 帰国の海峡両岸関係協会の陳雲林会長

2008.11.07 MSN産経新聞

 中国の対台湾交流窓口機関、海峡両岸関係協会の陳雲林会長は7日、5日間の台湾訪問を終え、北京に戻った。新華社電によると、陳会長は北京国際空港に到着後、「いくつかの妨害があったが、話し合いの成果を積み上げていけば、より多くの台湾同胞がわれわれを支持し、理解してくれるだろう」と述べ、今後も台湾側との交流拡大に意欲を示した。

 陳会長は、今回の訪台で台湾側の交流窓口機関トップと会談し「三通」(通信、通商、通航の直接開放)の事実上の実現で合意、馬英九総統とも初めて会談した。北京で陳会長を出迎えた中国政府の王毅台湾事務弁公室主任は「両岸(中台)関係に新たな歴史を記し『開拓、協力、平和の旅』となった」と総括した。(共同)

台湾、パンダ受け入れで中国と合意 台湾はお返しにシカを

2008.11.06 MSN産経新聞

 中国の対台湾交流窓口機関、海峡両岸関係協会と台湾側、海峡交流基金会は6日、台湾側が中国側からつがいのパンダを受け入れることで正式合意した。台湾側も希少なシカなどを中国側に贈る。陳水扁前政権は受け入れを拒否。対中融和姿勢の馬英九政権の発足で実現した。

 パンダはオスの「団団」(トアントアン)とメスの「円円」(ユエンユエン)。台北市立動物園で受け入れることが決まっており、すでに展示施設などもほぼ完成している。台湾メディアによると、来年1月にも一般公開される予定。(共同)

中国の対台湾民間交流会長の陳雲林氏が台湾到着

2008.11.03 MSN産経新聞

 【台北=長谷川周人】中国の対台湾民間交流窓口機関・海峡両岸関係協会の陳雲林会長が3日、1949年の中台分断後、最高位の中国要人として初訪台した。7日までの滞在期間中、中台民間トップ会談に臨み、海運直行便や貨物チャーター航空便の開設などを決め、中台は経済を軸に関係の緊密化を図る。馬英九総統との会談も6日に予定されているが、馬政権の急速な対中接近に反発する野党は抗議行動を展開、台湾世論も分裂している。

 陳会長は3日、チャーター直行便で桃園国際空港に到着。故蒋介石総統の宋美齢夫人の提唱で建てられ、蒋家が迎賓館として使った台北市内を見下ろすホテル、円山大飯店に入った。

 陳会長はホテル到着後、出迎えた台湾の対中国民間交流窓口機関・海峡交流基金会の江丙坤理事長とともに談話を発表し、台北で初開催される中台民間トップ会談について「両岸(中台)関係が重要な歴史の第一歩を踏み出したことをしるす」と意義を強調した。

 その一方で、「われわれの任務は明確かつ単純で、話し合うすべては両岸同胞に有利なことであり、両岸の政治問題や(台湾)島内のいかなる政治問題にもかかわらない」と述べ、中国による「統一工作」の強化を警戒する一部世論への配慮をにじませた。江理事長は「台湾は多元的な民主社会であり、さまざまな声があるのは当然だが、多くの人々が今回の協議を支持していると信じる」と指摘した。

 4日のトップ会談では、6月のトップ会談(北京)で合意した週末チャーター旅客直行便を平日運航へと拡大。飛行ルートの短縮や、空路と海路の貨物便の直行、郵便の直接往来も可能とする。中国の有害物質メラミンの問題を受け、食品検査体制の強化も主要議題となる。パンダの寄贈問題でも双方は今回の協議で決着を図り、早ければ今月下旬にもパンダの受け渡しを実現する方向という。

 これに対し野党・民主進歩党は3日、馬政権の対中傾斜と陳会長の来台に抗議し、立法院(国会)前で24時間の座り込みに入った。台北市内では住民が抗議集会を開き、警官隊との小競り合いが散発している。同党は5日夜に大規模集会を開くほか、6日は馬総統との会談が行われる会場周辺をデモ行進する計画だ。警察当局は警官7000人を動員して陳会長の安全確保にあたっている。

台北で初の中台対話へ 中国側トップが3日訪台

2008年10月27日 中国新聞ニュース

 【台北27日共同】中央通信社によると、台湾の対中国交流窓口機関、海峡交流基金会の高孔廉副理事長は27日、中国の対台湾交流窓口機関、海峡両岸関係協会トップの陳雲林会長が11月3日に訪台、台北で初の中台対話が行われることが正式に決まったことを明らかにした。

 中国側の同機関トップが台湾を訪れるのは初めてで、1949年の中台分裂後、中国からの最高レベルの要人訪台となる。7日まで滞在の予定で、馬英九総統との会談も予定されている。中台対話はこれまで中国で開かれており、今年2回目となる。

 6月に続く今回の対話では貨物や郵便物の直接輸送に加え、食品の安全管理などを話し合う予定。中国国務院(政府)台湾事務弁公室の王毅主任は27日付の台湾紙とのインタビューで、今回の対話で「中台が長年努力してきた『3通』(通信、通商、通航の直接開放)が事実上実現する」と述べた。

中台で油田共同開発、本格検討か 東シナ海油田などで馬政権

2008年10月26日 中国新聞ニュース

 【台北26日共同】台湾の馬英九政権が東シナ海や南シナ海での油田開発について、中国との共同開発を本格的に検討していると与党国民党系紙、中国時報が26日報じた。総統諮問機関、国家安全会議メンバー蔡宏明氏の話として伝えた。

 台湾の石油大手「台湾中油」と中国の石油大手「中国海洋石油」が、南シナ海の一部区域を共同開発する案などが検討されているという。

 来月初めに予定される中台対話で共同開発が議題となるかは不明だが、馬政権は、中国との信頼醸成に共同開発は有益との考えで、水面下での協議が活発化しているとみられる。共同開発が実現すれば東アジアの安全保障に大きな影響を与えるが、台湾社会の反発も予想され道のりは険しそうだ。

 9月の日本メディアとの会見では、東シナ海ガス田共同開発に関する日中合意を称賛し、尖閣諸島(中国名・釣魚島)海域での日本との共同開発への意欲も示した。

台北で60万人が反中デモ 汚染ミルクや馬政権に抗議

2008年10月25日 中国新聞ニュース

 【台北25日共同】中国の対台湾交流窓口機関トップ、陳雲林氏による初の訪台を前に、台湾の野党民主進歩党(民進党)などが25日、中国産の汚染粉ミルク事件や、中国に急接近する馬英九政権の政策に抗議するデモを台北市内の中心部で行い、約60万人(主催者発表)が参加した。治安当局は約20万人としている。

 総統府前でも抗議集会が開かれ、馬政権が今年5月に発足して以来、最大の抗議デモとなった。

 同党の蔡英文主席は「馬政権は台湾の主権を矮小化し、中国になびいている」と批判。来月3日に予定されている陳氏の訪台は「中台統一の第一歩だ」と指摘し、抗議活動を強めていく姿勢だ。

 デモ隊は市内の数カ所から、党のシンボルカラーである緑色の旗などを振って、総統府前に向かって行進。「中国の毒入り製品はいらない」「中国は賠償しろ」などと訴え、練り歩いた。

中国が米に軍事交流の延期を通告、台湾向け武器売却に報復

2008年10月07日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ワシントン=黒瀬悦成】米国防総省のスチュアート・アプトン報道官は6日、本紙に対し、中国政府が今年11月末までに予定されていた両国軍高官による交流や、米中両軍による人道支援・災害復興関連の活動の延期または中止を通告してきたことを明らかにした。

 米政府が3日、台湾への総額60億ドル規模の兵器輸出計画を発表したことへの報復措置で、今後、両国関係の冷却化につながる恐れが高い。

 米国防総省は中止・延期された活動の具体的内容を明らかにしていないが、AP通信によると、中国人民解放軍高官による訪米や中国海軍艦船の米国への寄港、核不拡散について話し合う米中実務者協議などが延期されたという。

 アプトン報道官は、台湾への兵器輸出は、「米国が台湾の防衛力維持に必要な兵器を提供することを取り決めた台湾関係法を忠実に履行したものだ」と強調し、中国側の措置を「(米中軍事交流の)機会を失うことになり、残念だ」と批判した。

台湾と断交条件に国債購入 中国、コスタリカに

2008/09/15 中国新聞ニュース

 【台北14日共同】中米コスタリカが昨年六月、約六十年間にわたる台湾との外交関係を破棄し、中国と国交樹立した背景に、台湾断交を条件に中国がコスタリカの国債三億ドル(約三百二十三億円)分を購入する覚書が交わされていたことが十四日までに分かった。台湾外交部(外務省)は、約一兆八千億ドルの外貨準備高を誇る中国の「金銭外交」の一端が明らかになったと警戒を強めている。

 コスタリカがこのほど覚書の内容を公表、台湾の中央通信社などが伝えた。中台は長年、お互いが外交関係を持つ国々を奪い合う外交合戦を展開。対中関係改善を掲げ今年五月に就任した馬英九ば・えいきゅう政権は「休戦」を呼び掛けており、中国がどう応えるかに注目が集まっている。

 報道によると、中国とコスタリカの外相が昨年六月一日付で交わした覚書は、台湾との断交を条件に、中国がコスタリカの三億ドルの国債を購入し、一億三千万ドル相当の支援を行うとの内容。両国は同日、国交を樹立。中国はコスタリカに覚書などを公表しないよう求めたという。

 中国は覚書に基づいて今年一月、一億五千万ドルの国債を償還期限十二年で購入。来年一月にも残りの一億五千万ドルを購入する予定とされる。

週末直行便 きょう就航 中台開放緩やかに 経済への効果、期待薄?

2008/07/04 FujiSankei Business i.

 香港など第三地を経由せず中国と台湾をノンストップで結ぶ週末直行チャーター便が4日、就航する。18日からは一般の中国人旅客への台湾観光が1日3000人まで認められ、中台間の人的往来は今後、飛躍的に拡大しそうだ。台湾当局は同時に金融面での対中開放策として(1)全土で人民元と台湾元の両替(2)外国ファンド経由で中国からの台湾株投資−の解禁にまで“そろり”と踏み込んだ。5月20日に誕生した馬英九政権の対中経済接近策が相次いで形になったが、台湾内部には警戒感もくすぶる。(河崎真澄)

 2003年から台湾ビジネスマンと家族を対象に春節(旧正月)期間など年数回、運航されてきた中台直行チャーター便。馬政権誕生で6月に10年ぶりに行われた中台窓口機関のトップ対話で、これを毎週末に拡大することで双方が合意した。さらに今回から台湾人だけでなく、中国人や外国人も搭乗可能となった。

 4日から始まる中台週末直行チャーター便では、中国側が北京、上海、江蘇省南京、福建省アモイ、広東省広州の5カ所、台湾側は台北市内の松山と郊外の桃園、高雄、台中、花蓮、澎湖、金門、台東の8カ所の空港を開放する。双方の航空会社が毎週金曜日から月曜日に18往復ずつ、チャーター便を運航する。

 ■日本人の需要も

 4日に桃園に到着する中国からの第1便は、広州発の中国南方航空機で午前8時10分(日本時間同9時10分)の予定。中国側は今後さらに、四川省成都、遼寧省大連、広東省深センなどを順次開放。中台は今後、増便や貨物便、定期便の就航に向けた協議を進める。

 台北−上海間の旅程はこれまで通常、香港やマカオなど経由で約5時間かかっていたが、今後の週末チャーター便では約2時間半と大幅に短縮される。中台ビジネスマンのほか日本人などの需要も増えそうだ。

 馬政権は中台直行チャーター便を年内に平日に拡大するほか、来年4月には本格的な定期便に“昇格”させる構想も練っている。これにより「三通(通信、通商、通行の中台間の直接開放)」で最後まで残されていた空と海の中台間直行が解禁されることになる。

 ■治安悪化を懸念

 しかしチャーター便は乗客が集まらなければ運休となる可能性もある。中台双方の関係者が中心だった4日の便も、予約が少なかった区間の便は急遽(きゅうきょ)キャンセルされ、ほとんどの便が台北−上海間に集中。一般の中国人旅客がまだ搭乗できない就航2週目の11日にはチャーター便就航数が大幅に減るとの見方もある。

 観光業など馬政権が宣伝する経済効果について、中国人観光客が台湾の域内総生産(GDP)にもたらす貢献度は0・2%程度との予測もあり、あまり過大な期待はできそうもない。1949年に分断された中台の人的交流が深まることは確実だが、同時に不法滞在者の増加や治安の悪化、台湾側の安全保障上の問題などを懸念する声がある。

 ■両替は個人向け

 一方、台湾の行政院(内閣)が一方的措置として6月30日に解禁した人民元と台湾元の両替では、1回に2万人民元(約30万円)が上限。中国人の個人旅客への便宜を図るのが主眼であり、企業が求める人民元需要には対応していない。

 さらに行政院金融監督管理委員会は、中国の機関投資家が外国投資ファンドや上場投資信託(ETF)を通じて台湾株に投資することを認めた。台湾側はこれまで域内企業保護などのため中国からの株式投資を拒絶してきたが、制限付きとはいえ今後は中国からの投資資金が台湾に流入することになる。台湾は直行チャーター便の週末就航にタイミングを合わせ、金融解禁も“そろり”と進めた。

台湾、中国記者の駐在再開

2008/07/04 FujiSankei Business i.

 台湾で対中政策を主管する行政院(内閣)大陸委員会は3日までに、中国国営通信、新華社と共産党機関紙、人民日報の記者の台湾駐在を再び認めることを決めた。

 馬英九政権が掲げる対中関係改善策の一環。2社の記者は早ければ中台間の週末チャーター直行便が就航する4日に訪台し、駐在を始めるという。

 大陸委は中国中央テレビ、中央人民放送、さらに華僑向け通信社、中国新聞社のほか、中国の地方メディアの滞在を認めることも決定した。

 新華社と人民日報の記者の台湾駐在は、中国が2005年3月、台湾への武力行使に法的根拠を与える反国家分裂法を制定したため、陳水扁前政権が対抗措置として無期限停止。2社はその後、取材ごとに申請を出して訪台していた。(台北 共同)

台湾海峡への警戒なお必要 米国防総省次官補、日本を重視

2008/06/27 FujiSankei Business i.

 米国防総省のシン次官補(アジア・太平洋安全保障問題担当)は25日の下院軍事委員会で、台湾に対中融和路線の馬英九政権が誕生したことで中台関係の緊張緩和が進んでいると指摘する一方、中国の軍事増強により「バランスは大陸側に傾いている」として、台湾海峡への警戒が依然必要との見方を示した。

 その上で「中国に間違った判断をさせないために日本は極めて重要な役割を持っている」と日本を重視。日米が連携して中国を国際社会に一層取り込んでいくべきだとの考えを強調した。

 委員会に同席した統合参謀本部のブリードラブ空軍少将も、空軍を中心とする中国軍の近代化は、台湾海峡を「軍事的により課題の多い地域にしている」と懸念を表明した。(ワシントン 共同)

中国:台湾照準ミサイル「増やさない」 台湾・国民党に通告

2008年06月03日 毎日新聞 東京朝刊 Mainichi INTERACTIVE

 【台北支局】台湾紙「中国時報」は2日、中国指導部が台湾与党・国民党に対し、台湾を照準に定めたミサイルをこれ以上増やさない意向を示したと報じた。将来はミサイルを段階的に削減する可能性も示唆したが、時期や削減数は明言していないという。

 同紙によると、国民党の呉伯雄主席は5月28日、北京で胡錦濤国家主席らと会談した際、台湾の馬英九総統が「中国側のミサイル撤去」に関心を寄せていると伝えたという。

【山本勲の観察中国】(14)加速する台湾の中国傾斜

2008/06/03 FujiSankei Business i.
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 ■民族意識を土台に経済優先

 馬英九・国民党政権の発足を機に台湾の中国傾斜が加速している。5月28日には呉伯雄・国民党主席をはじめとする同党訪中団が北京で、胡錦濤・国家主席兼党総書記らと国共両党のトップ会談を行った。11日からは中台の交流団体協議が、9年ぶりに北京で再開の予定だ。馬英九総統が公約した中台の海と空の直行便の定期化を柱とした交流が急ピッチで拡大しそうだ。

 陳水扁・前政権時代の一触即発の中台緊張が様変わりに緩和する一方、「この調子でいけば台湾は中国に呑(の)み込まれる」(民進党筋)との懸念の声も聞かれる。

 中台の政権与党トップが会談するのは、1949年の中台分断以来初めて。台湾紙「聯合報」によると、双方は四川大地震への見舞いと援助への感謝から話を始めたが、「中華民族」という言葉が10回以上も飛び交ったとされる。

 半世紀を超える闘いと確執を埋めるため、お互いが中華民族意識を共通の土台とした点が注目される。これは李登輝、陳水扁の本省人(日本の統治時代以前から台湾に居住する漢族とその子孫)両政権ではなかったことだ。

 新政権は馬英九総統をはじめ、劉兆玄・行政院長(首相)、蘇起・国家安全会議秘書長ら、外省人(戦後、中国大陸から台湾に渡来した漢族と子孫)が要職を占める。一般的に本省人は台湾人意識や独立志向が強い。対して外省人は中華民族意識が濃厚で独立反対派が多い。

 馬総統の就任演説も「両岸(中台)は共に中華民族に属し」、「中華民族の知恵の高さで平和共存すべき」と唱えていた。未曾有(みぞう)の天災と故蒋経国総統以来の外省人総統の登場で、中台の和解と交流に弾みがついた形だ。

 それだけにトップ会談はなごやかに進んだ。双方は(1)主権をめぐる政治対立を「棚上げ」し(2)「1992年の中台合意」を土台に(3)お互いが勝者となるウインウインの関係を築くため、まず経済交流を話し合い、政治問題を後回しする−−ことで合意した。

 (2)は双方の交流団体(海峡両岸関係協会=中国、海峡交流基金会=台湾)が92年に香港で到達したとされる合意で、「中国は一つ」であることを認めるが、その中身(中華人民共和国か中華民国か)については、お互いの解釈に委ねるとの“玉虫色”の妥協だった。

 独立派の陳水扁前政権は李登輝政権時代のこの合意の存在を否定していた。馬政権が合意を再び認めたことは独立否定を意味し、中台の交流団体協議が久々に復活することになった。

 台湾の江丙坤・海峡交流基金会理事長によると、11日から9年ぶりの協議を再開し、(1)中台の週末直行チャーター便の開設(7月予定)(2)中国人観光客の台湾受け入れ−−などの交流拡大策をまとめた合意書に調印する見通しだ。すでに国共両党は3月の馬総統当選前後からこれらの協議を水面下で進めており、早期妥結に問題はない。

 国民党筋によると、「年末には中台直行チャーター便は毎日に増やし、来年7月から正規の直行便に格上げする」計画だ。馬政権は直行便で1日3000人(年間110万人)の中国人の観光客を受け入れ、約600億元(約2000億円)の観光収入を見込んでいる。年内には中国人観光客向けの人民元兌換(だかん)も解禁の予定だ。

 海と空の直行便はかねて中国側が呼びかけていた。台湾独立を否定する対中融和派の馬英九政権を後押しすることは、中国の望むところだ。台湾選挙民は「中台交流の拡大を通じた経済浮揚」を公約した馬総統を支持した。議会でも与党、国民党はほぼ4分3議席を占めているから、一連の交流拡大策はとんとん拍子で進む可能性が大きい。

 国共会談で、胡錦濤主席は台湾の世界保健機関(WHO)加盟について「双方の努力で解決方法を見つけられると信じる」と前向きの姿勢を示した。台湾のWHO加盟は中国の反対で実現できなかっただけに、大きな変化だ。

 野に下った民主進歩党は昨年末の立法委員(国会議員)選挙と3月の総統選で大敗、解党的出直しを迫られている。それだけに独立派は今のところなすすべがない状態だ。「いったん開いたら元には戻れない。いずれ中国に併呑される」−−筆者の友人のある独立派ジャーナリストは拠点を米国西海岸に移す準備を始めたそうだが、果たしてどうなるか。(産経新聞編集委員兼論説委員)

台湾の国民党主席、26日に訪中…胡錦濤主席と会談へ

2008年05月17日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【台北=石井利尚】台湾の国民党は17日、呉伯雄主席が26日から31日まで中国を訪問し、中国共産党の胡錦濤総書記と北京で会談すると発表した。

 20日に国民党の馬英九氏が総統に就任することになっており、台湾の政権与党トップの訪中は初めてとなる。中台関係は、民進党の陳水ヘン政権下で停滞したが、国民党政権発足直後から関係改善に向けた話し合いが進みそうだ。(「ヘン」は、「編」のつくり)

 中国国営新華社通信は17日、胡総書記が呉主席の訪中を歓迎すると配信。これを受けて、呉主席は「両岸の平和と安定、台湾の安全を保障するため招請を受ける」と応じた。国民党の呉敦義・秘書長は「国民党は政権復帰し、立法院(国会)で安定多数の議席を持つ。与党の指導者同士が両岸(中台)関係発展で意見交換する意義は大変大きい」と述べた。

 双方は、馬新政権が目指す7月の中台間のチャーター便の週末飛行や中国人の台湾観光解禁実現に向けた地ならしを行う。呉主席には副主席2人も同行、国民党創設者の孫文の陵墓(中山陵)がある南京も訪れる。

 国民党は野党時代の2005年4月、連戦主席(当時)が訪中し、胡総書記と60年ぶりの国共トップ会談を行い、歴史的な和解を果たした。

米、台湾新政権への武器売却を継続へ 中国の軍拡を懸念

2008.5.16 MSN産経新聞

 【ワシントン=山本秀也】ブッシュ米政権は15日、台湾の馬英九・新総統の就任宣誓を20日に控え、米台関係に関する政策方針を表明した。台湾を狙う弾道ミサイルの大量配備など、中国の飛躍的な軍備拡張を「不必要で非生産的」と非難する一方、台湾海峡の軍事バランスを保つため、中国が米政府に停止を迫っていた台湾への武器売却を国民党政権のもとで継続する方針を確認した。

 この政策方針は、米外交ナンバー2のネグロポンテ国務副長官が、中国問題に関する上院外交委員会の公聴会で提示した。陳水扁政権(民主進歩党)の8年間、米台、中台関係が混乱したことを米政府は嫌気しており、馬氏を擁する国民党の政権復帰を受けた台湾政策が注目を集めていた。

 政策の原則に関して、ネグロポンテ副長官は「ひとつの中国」政策を確認し、台湾独立への「不支持」を重ねて表明。同時に、「台湾関係法」に基づく米側の安保関与を掲げ、中台関係の平和的処理を求めた。副長官は「和平プロセスを求める米側の立場を絶対に疑うべきではない」との表現で、中国側の軍事的な野心を牽制(けんせい)した。

 中国の軍拡については、「ミサイル配備数の増大が逆に台湾独立志向を促している」との皮肉な見方を交え、米政府の懸念を述べた。さらに、台湾を国際的孤立に追い込むことを狙った中国の外交圧力も「非生産的」と非難し、当面、世界保健機関(WHO)への台湾のオブザーバー参加を支援する米政府の方針も表明した。

中国、台湾対岸にミサイル1300基・台湾が国防報告書

2008/05/12 NIKKEI NeT

 【台北=新居耕治】台湾の国防部(国防省)は12日、2008年版の「国防報告書(白書)」を発表し、中国は台湾の対岸にあたる南京軍区と広州軍区に合計1300基超の短距離弾道ミサイルと巡航ミサイルを配備していると指摘した。中国軍は迅速に台湾をミサイル攻撃できる態勢にあるとして警戒を呼びかけた。

 報告書によると、中国は改良型ミサイルの量産に入っており、短距離弾道ミサイルは衛星を使った誘導システムの導入で命中精度が大幅に上がっているという。

 報告書は中国軍の活動が活発化していることにも触れ、07年に中国軍機が台湾海峡の中心線を越えて台湾側に飛来した回数は1600回に達したことを明らかにした。06年に比べ23%増加しており、過去10年間で最も多かった05年の1700回に次ぐ水準になった。

 台湾海域や西太平洋、フィリピン、日本近海での調査活動も積極化しており、直近3年間に中国の調査船が台湾近海に現れた回数は平均で年20回を超えたとした。

中台の週末直行便は7月4日から

2008/04/17 FujiSankei Business i.

 台湾の馬英九次期政権で、対中国交流窓口団体である海峡交流基金会の理事長就任が内定した江丙坤・国民党副主席が主宰する党会議が開かれ、馬氏が総統選の公約に掲げた中台の週末直行チャーター便を7月4日から運航する方針を決めた。台湾紙、聯合報などが伝えた。週末直行便は毎週金曜から月曜まで運航し、発着地は台湾が台北、高雄の2カ所で、中国が北京、上海、広州、アモイの4カ所。その後、発着地を拡大し、年末までに毎日の運航を目指す。正式決定には中国との協議が必要となる。(台北 時事)

中台交流は「歴史的好機」 胡錦濤、蕭万長両氏が会談

2008年04月12日 中国新聞ニュース

 【博鰲(中国海南省)12日共同】中国の胡錦濤国家主席は12日、台湾の蕭万長次期副総統と中国海南省のリゾート、博鰲で会談した。中台間では実質的に近年最高レベルの政治交流。中国のウェブサイト「新浪網」によると、胡主席は「中台の経済交流は歴史的な好機にあり(関係改善に向け)共に努力する必要がある」と表明。会談後に会見した蕭氏は「(対話は)率直かつ誠実で成果があった」と評価した。

 中国との関係改善を掲げ3月の総統選で当選した台湾の馬英九次期総統の就任を5月に控え、会談は中台関係改善の大きな契機となった。

 蕭次期副総統は会談で、中台関係の現状について「(経済交流は活発だが政治的関係は冷え込んでいる)政冷経熱の状態は不健全だ」と表明、(1)中台対話の早期再開(2)中国本土からの台湾観光解禁(3)週末チャーター直行便の実施(4)経済貿易関係の正常化−の4つを要求。

米軍、空母3隻を台湾海峡周辺に展開(上)

2008/04/11 朝鮮日報/朝鮮日報JNS 香港=宋義達(ソン・ウィダル)特派員

 チベット情勢で緊張が高まる中、米軍が、空母3隻を台湾海峡一帯に相次いで展開している。米海軍は先月22日の台湾総統選挙を前に、台湾海峡付近に空母キティホーク、空母ニミッツを配置したが、これに加え原子力空母リンカーンも当面、台湾海峡付近にとどまる予定だという。

 中国外務省の姜瑜報道官は今月1日、キティホークが今月下旬に香港に一時停泊するための入港申請を受け取り、検討中であることを明らかにした。これに先立ち、ニミッツも中国政府の許可を受け、3日に香港に入港した。これに関連し、香港紙明報は、ペルシャ湾を管轄する第5艦隊所属の空母リンカーンが台湾海峡付近を航行しており、5月20日の台湾総統就任式以降も台湾海峡に留まる見通しだ、と報じた。

 台湾軍関係者によると、台湾総統選挙の当日、空母キティホークは日本の宮古島付近、空母ニミッツは台湾南東沖に待機し、それ以外に原子力潜水艦4隻が一帯を巡航していたという。

 明報は「台湾海峡に米空母3隻が一度に集結するのは初めて。キティホークとニミッツは2カ月以上台湾海峡にとどまっており、これにリンカーンが加わるのは前例がない」と報じた。

米軍、空母3隻を台湾海峡周辺に展開(下)

2008/04/11 朝鮮日報/朝鮮日報JNS 香港=宋義達(ソン・ウィダル)特派員

 1996年に中国が台湾沖を狙ってミサイル演習を行ったことで起きた台湾海峡危機でも、米国は空母2隻を派遣しただけだった。また、2000年と04年の台湾総統選挙で派遣されたのはそれぞれ空母1隻だった。

 香港の米国総領事館は「米軍兵力の移動と配置についてはコメントできない」と取材を拒否した。

 香港の政治・軍事専門家らは、「チベットでの暴動が長期化し、台湾では政権交代期を迎え、中台間の緊急事態のようなリスクが高まっている複雑な情勢と関係があるとみられる」と指摘した。台湾軍は中台間での緊急事態に備え、米軍と緊密に連携している。台湾の蔡明憲国防部長(国防相)は、「米軍が今年3〜5月を不安定な時期とみて、毎日台湾軍と連絡を取っており、空母の移動や配置に関する事前通報を受けている」と述べた。

 しかし、今回の空母配置が米中間の軍事的緊張を高めたり、両国関係の悪化につながる可能性は低いとの観測が出ている。香港の中国問題専門家、デービッド・チャン氏は「米空母の配置は台湾海峡の情勢把握と台湾の内部情勢によるものとみられる」と語った。

「チベット弾圧なら五輪不参加も」・台湾総統候補の馬英九氏

2008/03/20 NIKKEI NeT

 【台北=新居耕治】対中融和志向である野党国民党の台湾総統候補、馬英九・前主席は18日、「中国共産党当局がチベットでの弾圧を続けるなら、自分が当選した場合、北京五輪への参加停止を排除しない」との声明を発表した。中国の台湾政策にも「台湾人民の民意を無視している」などと、今までにない強い調子で抗議した。

 総統選挙を22日に控え、独立志向の与党民進党候補、謝長廷・元行政院長(首相)がチベット問題に焦点を当てて馬氏を追い上げていることに対抗する狙いがあるとみられる。

台湾で22日に総統選挙、経済問題と中国との関係が焦点に

2008年03月19日 ロイター

 [台北 19日 ロイター] 台湾では22日に総統選挙が行われる。世論調査によると、野党・中国国民党(国民党)の馬英九氏が、与党・民主進歩党(民進党)の謝長廷氏を6─32%ポイント、リードしているが、台湾では世論調査の信頼性が低く、予断を許さない。

 選挙では経済と中国との関係が焦点。中国への姿勢としては、国民党がより中国寄りだが、どちらが勝利するにしても、中国との通商関係は今後、さらに強まると見られている。複数の統計によると、台湾の企業は過去20年間、中国で最大1000億ドルを投資してきた。

 米デビッドソン大で東アジア政治を専門とするシェリー・リッガー氏は「謝長廷氏が予想以上に健闘するのではないか」と話している。

 馬英九氏はクリーンなイメージが売り物で、選挙戦では経済問題を重視した。インフレと賃金停滞に見舞われている台湾経済を支えるため、中国との共同市場創設やその他の経済関係強化を提唱している。

 一方の謝長廷氏は、これまでは中国との政治的な関係などに焦点をあてることが多かったが、今回は経済問題についても発言している。ただここ数日は、チベット騒乱について中国への批判を強めている。

中国政府、特恵政策によって、台湾との貿易を促進

2008/03/19 ChinaPress

 昨今の、中国政府の特恵政策実施によって、中国大陸部(福建省)と台湾貿易は順調に発展し、特に台湾からの輸入量が順調に増加しているとのこと。

 税関統計によると、2008年1月―2月の、福建省―台湾省間の貿易総額が11億6000万ドル(約82億1396万元)に達し、2007年より41.9%増加した。

 そのうち、台湾からの輸入額は10億2000万ドル(約72億2262万元)、前年同期比52%増加した。

 また、台湾への輸出額は1億4000万ドル(約9億9134万元)と、貿易赤字が拡大しているという。

 政府の特恵政策は、主に中国大陸部と台湾の貿易制限条件を緩和し、20種類以上の台湾商品に関税免除をするなど、福建省と台湾の貿易拡大を奨励している。また、中国大陸部と台湾の経済特区を設立し、台湾の農産品に対しても、一部免税されるという。

 政府が引続き小額貿易政策の規制緩和を実施するに伴って、台湾との小額貿易の発展が好調とのこと。

 2008年1月―2月の福建省と台湾の小額貿易輸出入総額は854億ドル(約6047億1740万元)、前年同期比38.2%増加した。

台湾農製品、中国と香港が最大の輸出市場 日本2位に

2008/03/18 NEWSCHINA,jp

 台湾の関税総局がこのほど公表した輸出入に関するデータによると、2007年は日本に替わって中国および香港が台湾の農製品の最大の輸出市場になったという。このデータによると、2007年に台湾が中国および香港に向けて輸出した農製品の金額は、輸出農製品の総金額の25.65%を占めて第1位、日本への輸出額は同24.69%で第2位であった。

 中国市場において台湾の農製品の販売を強化することは、台湾の農民の生計に相当大きな手助けとなっており、また、あるデータによると、台湾が中国および香港から輸入する農製品の総額は輸入農産物全体の5〜6%を維持しているに過ぎないという。

 また商務省の担当官は「中国国内における台湾の農製品の消費を促進する一連の政策によって、両地区間の農製品の貿易は著しく成長し、貿易額は40.3%増の8億ドル近くに達した。また2007年の両地区間の貿易額は前年比15.4%増の1244億8000万ドルで、そのうち中国から台湾への輸出が同 13.1%増の234億6000万ドル、台湾から中国への輸出が同16%増の1010億2000万ドルとなっている」と両地区間の貿易の状況を紹介した。(編集AH)

「馬氏の忠誠心は疑問」台湾総裁選で謝氏が追い上げに必死

2008.03.18 MSN産経新聞

 22日の台湾総統選の与党、民主進歩党(民進党)候補、謝長廷氏(61)は最終盤の選挙運動で、中国のチベット暴動鎮圧を批判することにより、優位に立つ中国寄りの最大野党、国民党候補、馬英九氏(57)を強くけん制している。

 馬氏は18日「中国がチベット住民(の抗議行動)鎮圧を続ければ、当選後、北京五輪への代表団派遣をやめることも排除しない」との声明を発表。中国の民主化の遅れへの厳しい姿勢を強調し、支持票離れを食い止めようと躍起だ。

 対中独立志向の民進党側は馬氏のグリーンカード(米永住権)についても「今も有効で、台湾への忠誠心は疑問」との批判をさらに強め、追い上げに必死だ。(共同)

台湾総統選 政治の成熟を見守ろう

2008年03月18日 信濃毎日新聞

 22日に行われる台湾の総統選挙まで、残り1週間を切った。2期8年間に及んだ民主進歩党(民進党)、陳水扁総統の政権運営に対して、人々の審判が下される。

 今度の選挙は台湾政治の民主化をさらに進め、成熟させる意味も大きい。中台関係にも影響するだろう。関心を持って見守りたい。

 総統は台湾の最高指導者だ。直接投票で選ばれ、任期は4年。3選は禁止されている。

 陳総統の任期切れに伴う選挙である。民進党の謝長廷氏と野党国民党の馬英九氏が、一騎打ちでぶつかる構図になっている。

 総統はかつては、憲法改正を審議する政治機関、国民大会で選ばれていた。1980年代に国民党の蒋経国総統(当時)が民主化を進め、総統も直接選挙で選ぶやり方に変えた。2000年3月、当時は野党だった民進党の陳氏が当選、“万年与党”の国民党から政権が移り、民主化の進展を印象づけた。

 民進党は中国に対し台湾の独立性を志向する政策、国民党は中国との関係を重視する政策を掲げている。これまでのところ、国民党の馬候補がリードの情勢だ。

 陳総統の8年の間、中国との関係がぎくしゃくしたために台湾経済は足を引っ張られた−。人々はそう受け止めているようだ。「中国」と「経済」が選挙の行方を決めそうな流れになっている。

 馬候補はそこに狙いを合わせ、▽中国との経済協定の締結▽対中投資制限の撤廃▽中台直行便の速やかな拡大−などを訴えてきた。

 1月の立法院(国会に相当)選挙では国民党が圧勝している。総統選挙で馬氏が勝てば、国民党の立場は一段と強化される。

 馬氏に弱みがあるとすれば、中国に接近しすぎると見られかねないことだろう。各種の世論調査では、台湾は中国から独立せず、中国と統一もしないで、現状を維持することを求める声が多い。

 中国から渡ってきたばかりの国民党が台湾の人々を弾圧した二・二八事件(1947年)など、台湾の歴史には大陸出身者との摩擦の記憶が刻み込まれている。馬氏と中国との“距離感”は、選挙結果を左右する要素の一つになりそうだ。

 台湾で初めて直接投票の総統選が行われた1996年、中国は台湾海峡で軍のミサイル演習を行い、台湾をけん制した。今回は表だった干渉は控えている。

 夏に北京五輪を控えた大事な場面だ。中国にはそうでなくても、チベット問題で厳しい目が注がれている。総統選の流れを静かに受け止めることが中国自身のためにもなる。

チベット暴動:台湾総統選にも影響

2008/03/17 朝鮮日報/朝鮮日報JNS 香港=宋義達(ソン・ウィダル)特派員

候補者ら、中国の武力鎮圧を非難

 チベットに吹き荒れた突風が、台湾政界にも影響を及ぼしている。

 台湾総統選(今月22日)のわずか1週間前に起こった今回のチベット暴動は、終盤戦で票の行方を占う重大な要素として急浮上した。現在、世論調査で支持率トップとなっている野党・国民党の馬英九候補と、追い上げる与党・民進党の謝長廷候補は共に、中国の武力鎮圧を非難している。だが、これまで中国に対する友好的な姿勢を見せてきた馬候補は、今回の事態で守勢に回った、と台湾メディアは報じた。両候補の支持率の差は、先月には30%を超えていたが、今月に入り10%にまで縮まっていた。

 謝候補は、馬候補の対中協調政策を批判し、「台湾のチベット化」の可能性があると警告するとともに、台湾独立路線を強化していくべきだ、と訴えた。謝候補は「チベットでの事態は、中国が多くの漢民族をチベットに移住させ、人権侵害や民族間の衝突、治安の悪化などを招いたことが根本的な原因だ。台湾を“第2のチベット”にしないためには、馬候補が掲げる“両岸(中台)共同市場化”を阻止し、“一つの中国”政策に反対していかねばならない」と主張した。また、陳水扁総統も「中国がこうしてチベット人たちを抑圧しているというのに、台湾での自由と民主主義の追求は黙認するだろうか。台湾人たちはよく考えなければならない」と援護射撃した。

 これに対し馬候補は「中国はチベット人たちに対し自治権を与えるべきで、チベット固有の風俗や宗教は必ず尊重しなければならない」と述べ、中国政府と距離を置く姿勢を見せ始めた。その上で馬候補は「中国との統一も、独立も、武力衝突もあってはならないという“3不政策”がわたしの一貫した姿勢だ」と重ねて強調した。

米空母、中国軍艦と対峙か 台湾海峡で、と報道

2008年01月15日 中国新聞ニュース

 【台北15日共同】15日付の台湾紙、中国時報は、昨年11月に米空母キティホークが中国政府に香港寄港を一時拒否された後、台湾海峡を通過した際、中国海軍の宋級潜水艦とミサイル駆逐艦「深☆」に尾行され、米中双方は同海峡内で約28時間にわたって対峙した、と伝えた。米国から台湾に提供された軍事情報としている。

 同紙は、中国が11月22日、キティホークの香港寄港を拒否するなど米中関係が緊張したことが対峙の原因と分析している。

 中国時報によると、キティホークを中心とした計8隻の空母戦闘群は23日、南から台湾海峡に入り、中台中間線より台湾側を北上。その際、宋級潜水艦と深☆ が中間線より中国側を尾行した。キティホークが停船すると中国側も停船してにらみ合い、キティホークは通常の2倍の時間をかけて翌24日に台湾海峡を出た。その後拠点とする米海軍横須賀基地へ向かった。(注)☆は土ヘンに川

空母いつでも台湾海峡通過 自由航行権と米司令官

2008年01月15日 中国新聞ニュース

 【北京15日共同】米太平洋軍のキーティング司令官は15日、北京の米国大使館で記者会見し、昨年11月の米空母キティホークによる台湾海峡通過について「国際海域の自由航行権の行使」と述べ「必要があればいつでも海峡を通過する」と強調した。

 この問題では中国側が「重大な関心」を米国に伝達、慎重な対応を求めていた。

 司令官は14日の中国軍幹部らとの会談で、キティホークなど米艦船が昨年、香港寄港を相次いで拒否されたことについて「不満」の意向を表明、今後の米艦船寄港に関しては中国側が「前向きな対応を取る」と答えたことを明らかにした。

 司令官はまた、中国軍による長距離弾道ミサイルと巡航ミサイル増強、衛星破壊技術について「懸念を持っている」と表明。潜水艦の増強についても「目を見張る内容」と述べ、中国が軍装備強化の意図などについて透明性を高めるよう求めた。台湾問題については情勢を注視するとした。

中国脅威、安全保障強化を 台湾は「独立国」と謝氏

2007年12月18日 中国新聞ニュース

 台湾の与党、民主進歩党(民進党)の総統選候補、謝長廷・元行政院長(61)は18日、都内の日本外国特派員協会で日本語で講演し、台頭する中国の軍事的脅威が強まる中、台湾は「事実上の独立国」として「安全保障と台湾アイデンティティーを強化する必要がある」と主張した。

 持論の「共生哲学」については「わたしは平和主義だが、共生の前提は自らの生存だ」と述べ、中国が台湾の存在を尊重することこそが、台湾海峡の平和につながると訴えた。

 安全保障の面では(1)防衛予算を国内総生産(GDP)の3%以上に増やす(2)日米両国などの国際支援の強化(3)「台湾は主権独立国家」とする台湾人意識の強化−の3点を柱として列挙した。

 来年3月の総統選では「安全保障や(台湾か中国かの)国家アイデンティティー、経済政策を争点に(最大野党)国民党の馬英九氏と対決する」と述べ、民進党の自立路線と国民党の親中国路線の争いになると分析。(共同)

仏大統領、台湾投票に反対 中国、3兆円超す商談合意

2007年11月26日 中国新聞ニュース

 【北京26日共同】中国の胡錦濤国家主席とフランスのサルコジ大統領は26日、北京で首脳会談後に共同記者会見し、サルコジ大統領は国連加盟への賛否を問う台湾の住民投票に反対する姿勢を強調するなど「1つの中国」政策の堅持を表明。両政府は地球温暖化防止での協力を明記した共同声明など20余りの文書に調印し「新たな段階に入った協力関係」(胡主席)をうたい上げた。

 また中国側はエアバス社の航空機160機の購入やアレバ社の原子炉2基の購入などに同意、大統領によると合計で約200億ユーロ(約3兆2000億円)の商談が成立したといい、中仏経済関係の緊密化を印象付けた。

 胡主席はサルコジ大統領の台湾独立反対の姿勢に謝意を表明。来年の北京五輪に大統領を招待し、大統領側も快諾した。

台湾海峡の安定化に意欲 馬英九氏、同志社大で講演

2007年11月21日 中国新聞ニュース

 台湾の最大野党、国民党の総統選候補、馬英九・前党主席(57)は21日、京都市の同志社大で「東アジアの平和と繁栄のためのビジョン」と題した演説を行い、台湾海峡情勢の安定化や、対日関係の強化に強い意欲を示した。

 馬氏は同日、台北から関西国際空港着の定期便で来日。23日までの滞在中、与野党首脳らと交流し総統候補としての存在をアピールする。

 馬氏は講演で「統一せず、独立せず、武力行使せずで台湾海峡の平和を追求する」として中台関係の現状維持を目指す基本政策を強調。「1つの中国」に関する1992年の中台合意に基づき(1)航空直行便の定期化(2)中国人の台湾観光解禁(3)平和協定締結−などについて中国と積極的に協議する方針を示した。

中国広東省のGDP、台湾上回る規模に

2007/11/17 朝鮮日報/朝鮮日報JNS 北京=李明振(イ・ミョンジン)特派員

 中国・広東省の今年の国内総生産(GDP)が台湾を上回る見通しとなった。黄華華・広東省長は15日、同省の1−10月期のGDPが前年同期比14.7%の伸びを示し、通年のGDPは3900億ドルを超え、台湾(約3800億ドル)を追い越すとの見通しを示した。広東省の経済規模は昨年時点でGDP世界17位のベルギー(約3700億ドル)を上回っていた。広東省政府高官は、この勢いで行けば、2015年ごろ韓国(約8800億ドル)に追い付くとの見方を示した。

台湾、インドの支援で核開発の可能性=香港誌

2007/11/12 朝鮮日報/朝鮮日報JNS 香港=宋義達(ソン・ウィダル)特派員

 香港の時事週刊誌『亜洲週刊』最新号は、台湾がインドの支援を受け、秘密裏に核兵器を開発している可能性が高いと報じた。

 同誌によると、インドのフェルナンデス元国防相が2004年以降、数回にわたり台湾を秘密訪問し、台湾は同相の仲介で核開発支援を受けてきたという。フェルナンデス氏は1998年5月にインドが核実験に成功した際の国防相で、インドの核開発計画や技術資源に通じている現職国会議員だ。核実験成功後のテレビインタビューで「中国はインドにとって最大の仮想敵国だ」と名指しするなど、対中強硬姿勢でも知られる。

 インドが開発した核弾頭搭載可能な弾道ミサイル「アグニ2」は、中国の北京と上海を射程圏に収めている。フェルナンデス元国防相は04年11月、インド平等党のジャイトリー党首と台湾を初訪問した際に陳水扁総統に会い、その後も数回台湾を訪れたという。同誌は「台湾訪問は一貫して秘密裏に行われ、台湾総統直属の国家安全会議が丁重にもてなした」と報じた。

 これについて、台湾の張俊雄行政院長(首相に相当)は9日、「台湾に核兵器はなく、核開発計画もない」と報道を否定した。

台湾、米の圧力で公開せず 上海射程の巡航ミサイル

2007年10月10日 中国新聞ニュース

 【台北10日共同】台湾の陳水扁政権は10日の双十節(中華民国の建国記念日)の軍事パレードで、中国の上海を射程に置くとされる独自開発の巡航ミサイル、雄風2E型の初公開を予定していたが、急きょ見送った。

 9日付の台湾紙、中国時報によると、台湾海峡情勢が緊張することを懸念し、同ミサイルの開発自体に反対する米国の「懸念と圧力」が背景にあったことを李天羽国防部長(国防相)が認めた。

 雄風2Eの射程は1000キロ、弾頭は400キロとされ、米政府は「中台の軍事バランスを変える戦術兵器」として開発中止を求めてきた。

 陳総統が来年3月の総統選と同時実施を目指す「台湾名の国連加盟への賛否を問う住民投票」に米政府が強く反対し、米台関係は悪化。台湾が米国に求める戦闘機F16の新型モデルの購入交渉も凍結状態。今回の圧力により、台湾内にくすぶる反米感情がさらに強まる恐れもある。

台湾双十節で新兵器公開 16年ぶり軍事パレード

2007/10/10 中国新聞ニュース

 【台北10日共同】台湾の双十節(中華民国の建国記念日)の十日、台北の総統府前で祝賀大会が開かれ、独自開発の新型ミサイルを初公開するなど、最新兵器や部隊を披露する一九九一年以来十六年ぶりの軍事パレードが行われる。

 来年五月に二期の任期満了で退任する陳水扁総統にとって最後の双十節。軍事パレードで台湾防衛の決意を内外に示し、軍事力増強を続ける中国をけん制する狙い。

 来年三月の総統選に向け、対中危機感と台湾人意識をあおり、独立志向の与党、民主進歩党(民進党)の政権維持を後押しする思惑もみてとれる。

 昨年までの双十節は総統府の建物に「中華民国建国を慶祝する」と掲げたが、今年は「台湾は国連に加盟」と陳総統が進める台湾名の国連加盟運動のスローガンを大きく掲げた。

 独自開発の新兵器としては、改良型パトリオット(PAC2)に近い性能を備え、ミサイル迎撃が可能な対空ミサイル天弓3型、台湾海軍初の超音速の対艦ミサイルで成功級フリゲート艦に搭載する雄風3型などを公開。

自主開発の巡航ミサイルを初公開へ…台湾軍、上海を射程に

2007/10/02 FujiSankei Business i.

 【台北=長谷川周人】台湾立法院(国会)の王金平院長(国民党)は1日、台北市内の立法院で産経新聞など一部邦人記者と会見し、今月10日に総統府前で開催する双十節(「中華民国」の実質的な「建国記念日」)記念式典で、台湾軍は上海を射程に入れる自主開発の巡航ミサイル「雄風2E型」を初公開すると明言した。

 2E型は、台湾の中山科学研究院が艦対艦ミサイル「雄風2型」の改良型として開発し、弾頭重量400キロで射程は1000キロ。中国沿岸部のミサイル基地や東海艦隊(司令部・浙江省寧波)の本拠地、上海なども射程に入れ、量産化されれば、中国を攻撃する戦術兵器として、中台軍事バランスを変える潜在力を持つ。

 台湾メディアによると、台湾軍は今年3月に2E型の試射を行ったほか、支配下にある中台軍事最前線の馬祖島(福建省連江県)で、巡航ミサイル部隊の配置を計画中という。国防当局は否定したが、中国の国務院台湾事務弁公室は9月末、「台湾軍は福建や上海に脅威を与える計画を進め、長距離ミサイルの生産も計画中だが、火遊びは自分自身を燃やすことになる」と強い調子で警告していた。

 式典を主催する王院長によると、パレードは計36分間続き、F15戦闘機など空軍作戦機による展示飛行のほか、陸軍地上部隊が「2E型」を火砲などと並ぶ最新兵器の一つとして公開する。

 王院長は初公開に踏み切る意図について明言を避けたが、対外的には、地域安保の安定を理由に台湾の軍備強化に圧力をかける米中両国を揺さぶり、対内的には、次期総統選を控えて自主防衛力を誇示し、陳水扁政権の支持拡大を図る狙いとみられる。

台湾与党、「独立」強調の決議文…総統選へ立場明確化

2007年09月30日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【台北=石井利尚】台湾の与党・民進党は30日、台北市内で党大会を開き、台湾名での国連加盟や、住民投票を実施して「台湾が主権独立国家」であることを示すとの目標を明記した基本文書「正常国家決議文」を採択した。

 対中独立色が鮮明な文書の採択は、来年3月の総統選での政権維持に向けて、党の基本的な立場を明確にし、支持基盤を固めるのが狙いだ。

 決議文は「『中華民国』の『国号』はもはや国際社会での使用が困難になった」と認定。〈1〉台湾名での国連や世界保健機関(WHO)などの国際組織加盟申請〈2〉台湾の正名(中華や中国の名称を台湾に正す)〈3〉新憲法制定――を目指し、「適当な時期に住民投票を実施し、台湾が主権独立国家であることを示す」と記した。

 民進党は1991年、「台湾共和国建設を目指す」とした党綱領を採択したが、99年、総統選対策のため独立色を穏健にした「台湾前途決議文」を採択して事実上修正。今回の決議文は、「台湾は中国とは違う」との台湾人意識の高まりを受け、再び、「独立色」を打ち出す形となった。

 決議文案をめぐっては、党主席辞任を表明した游錫こん(しゃくこん)氏派が「台湾の国名変更」を強く主張したのに対して、中台関係安定を求める中間層の支持を狙う党総統選候補の謝長廷・元行政院長(首相)が、米国などに配慮して穏当な表現を求めていた。(こんは「土」の上に「方」が二つ)

台湾軍、金門島などで地雷10万個除去へ

2007/09/29 NEWSIS/朝鮮日報JNS

 台湾軍当局は、中国大陸に近い最前線の金門島と馬祖諸島に埋設された地雷10万個余りを2013年までにすべて除去する計画だ、と28日付香港紙・明報が台湾紙を引用して報じた。

 台湾軍当局は27日、報道各社の記者を金門島に招き、地雷除去作業を見学させた。当局は大隊級の専門部隊を編成したほか、専門業者にも委託して地雷除去作業を進める方針だ。

 地雷は中国軍の上陸を阻止する軍事戦略上の必要から大量に埋設されたが、数十年が経過し地形や情勢が変化したため、地雷地帯の戦略的効果は失われた状態だという。

 台湾当局は昨年6月、「殺傷性地雷規制条例」を公布し、7年後までに全ての地雷を除去することを決めた。現在、金門島と馬祖諸島にある地雷地帯の面積は約388万平方メートルに及ぶ。

 地雷除去大隊は今年、2回にわたり外国の専門家を招き訓練を受け、国際公認資格を取得した。同大隊は昨年4月に編成され、今月26日までに約8万平方メートルに埋設された2000個の地雷と3000発の不発弾を処理した。

台湾、最前線に巡航ミサイル部隊を配置へ

2007/09/28 朝鮮日報/朝鮮日報JNS 北京=朴勝俊(パク・スンジュン)特派員

 台湾が中国大陸に近い最前線に位置する馬祖諸島に巡航ミサイル中隊を配置する計画を推進していることが明らかになり、中国政府は26日、強い警告メッセージを発した。

 馬祖諸島は中国大陸の沿岸に位置する島々で、台湾が実効支配しており、軍事的に極めて敏感な場所だ。中国大陸を狙った巡航ミサイル中隊配置計画は、台湾当局が「台湾」名義による国連加盟に向けた住民投票を推進するなど、台湾海峡をはさんだ中台間の対立が深まる中で明らかになったため、緊張がさらに高まっている。

 中国国務院台湾事務弁公室の李維一報道官は同日の記者会見で、「台湾軍が馬祖諸島にミサイル中隊を配置し、福建省や上海などに脅威を与えようとする計画を進めており、長距離地対地ミサイルの生産も計画している。台湾当局は火遊びをやめるべきだ。火遊びは自分自身を燃やすことになる」と警告した。

 李報道官はまた、「来月開かれる中国共産党第17回党大会で台湾に対する新たな指導思想を確定する」と述べ、胡錦濤国家主席を中心とする中国の国家指導部が台湾問題に対する根本的な対応策を検討していることを示唆した。中国は台湾が来年の北京五輪開催を狙って、分離独立の動きを強めると予想しており、最近の台湾側の動きは限度を超えたと判断しているもようだ。

 香港の中国政府系各紙は27日、李報道官の警告発言を一斉に伝え、台湾国防部のミサイル指揮部が2008年予算に馬祖諸島にミサイル中隊を配置するための費用を計上したと報じた。

 文匯報などは、台湾が独自開発した「雄風2号E」型巡航ミサイルを澎湖諸島と東引島に配備する計画だと報じた。

台湾侵攻の能力誇示か 中国3軍が合同演習

2007/09/05 The Sankei Shimbun WEB-site

 中国軍は3日から6日までの予定で、山東省膠州湾付近で、渡海、上陸作戦などを含む陸海空三軍合同の大規模な軍事演習を始めた。台湾の国防部(国防省)は「台湾侵攻能力」を誇示する狙いもあるとみて注視している。

 中国は、陳水扁総統が進める台湾名での国連加盟運動について「独立への動き」と反発しており、演習は「台湾向け警告」との見方が台湾では優勢だ。台湾牽制(けんせい)が狙いとみられる軍事演習は2005年8月の中露合同演習以来2年ぶり。

 中国の華僑向け通信社、中国新聞社などによると「聯合12007」と名付けられた演習は、済南軍区管内の合同訓練区で集団軍長の総指揮で実施。電磁妨害を受ける中、大規模兵力を遠距離移動させ、渡海、輸送や島への上陸攻撃を行う想定だ。

 5日付の台湾紙、中国時報によると、中国中央テレビは、大量の兵員が軍用車や鉄道で進軍する様子や、ロシア製戦闘機スホイ27や輸送機、ヘリ、各種の艦船が出動した映像を放送した。

 台北駐在の外国軍事筋は中国官製メディアの積極的な報道ぶりから「台湾向けの政治的な意味があるに違いない。中国の三軍統合演習の練度や装備水準は年々向上してきている」と分析した。

 台湾国防部のスポークスマンは「演習の動きを密接に注視している」と語った。(共同)

中国は台湾問題でも責任大国の立場を貫けるか

2007/09/25 中国情報局

中国を読み解く視点(50)−高井潔司(北海道大学教授・サーチナ総合研究所客員研究員)

 9月はじめ、北京で開催された日中関係のあるセミナーの座談会にパネリストの一人として出席した。そのとき会場から、「日中関係は、昨年秋の安倍首相の中国訪問以来一定の改善が見られるが、今後この状況を維持、発展させる上で何が大切か。逆に障害が出るとしたらどんな問題になると考えられるか」という質問が投げかけられた。

◆日中間の懸案として「台湾」を持ち出す中国側

 筆者は最近、「日中間や米中間で中国製品の安全問題が大きな摩擦の原因になっているが、このように、中国が国際社会の中で大国としての責任を果たせるのかどうかということがクローズアップされるのではないか。外交や国内の人権問題などで、国際社会の中で指導的な立場を担おうとする中国が、それにふさわしい行動や責務を果たせるがどうかを国際社会は注目しているし、もしそこで問題が生じると国際社会から批判を浴びることになり、逆にそれに対して開き直ったり、国民大衆の愛国心を煽って対応しようとすると、ますます問題を紛糾させてしまうことになるのではないか」と答えた。

 しかし、中国側のパネリストの答えは違っていた。日本通のパネリストだが、彼は「台湾問題」を挙げた。中台関係が今後緊張の度合いを深める可能性もあり、そんななかで日本側が対応を誤れば、日中関係にも風波が立つというのである。彼のような日本通でもそこまで台湾問題に敏感なのかと筆者は思わず耳をうたがったが、当時は台湾にも太いパイプを持ち、台湾に同情を寄せる安倍首相が続投を宣言していた時期だったから、中国はそこまで懸念しているのかと納得もした。福田新首相が誕生する運びとなり、中国側の懸念もかなり軽減されたことだろう。

◆陳総統の「住民投票」宣言は選挙戦術?

 だが、来年3月の台湾総統選挙を控えて、台湾問題が中台間や東アジア地域の“安定”を揺るがす懸念材料になることは疑いない。目下台湾では、陳水扁総統が総統選挙に合わせて、台湾が国際連合に「台湾」として加盟申請をすることの是否を問う住民投票の実施を表明して内外に大きな波紋を投じている。台湾統一を国家の一大目標としている中国は当然住民投票に反対し、「中国は一つ」という立場の再確認を国際社会に求めている。

 この問題をめぐる国際社会の反応は従来と変わりなく、中国の立場を支持する声が圧倒的である。先にシドニーで開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)の際の米中首脳会談の席上、ブッシュ米大統領も胡錦濤国家主席の住民投票反対の立場に同意した。また、台湾の国連加盟申請を国連総会の議題にすべきかどうかを審議する国連一般委員会でも今月19日、反対24、賛成3で否決された。毎日新聞によると、「陳総統の加盟申請に対し、潘基文(パン・ギムン)国連事務総長は7月、「台湾は中華人民共和国の一部」との見解を示した」というから、陳総統の住民投票案は国際社会においては、“四面楚歌”の状態にあり、犬の遠吠えの感がある。

 振り返ってみると、陳総統は8年前の総統選出馬の際も住民投票の実施を主張したり、大陸からの独立の意向を強くにじませる発言を行った。そうした言動は大陸を刺激したが、一方では台湾住民の民進党支持を高めてきた。しかし選挙が終わると、実際には独立への動きはトーンダウンするのである。こうして見ると陳総統は、選挙が近づくと大陸に対する強い立場を表明し、対大陸政策が与党民進党ほど明確でない野党国民党との違いを強調し、圧倒的多数を占める台湾の本省人からの支持拡大を狙っているようである。いわば、大陸との緊張を高める政策の表明は選挙の戦術として採用しているともいえよう。実際、住民投票で国連加盟を決議しても、その先の見通しも次のプロセスも示されていない。小泉首相時代の“郵政選挙”は、争点を「改革か否か」と単純化して自民党の大勝利に導いたが、台湾でも同様に、「国連加盟は是か否か」と問題を単純化して住民に問うのである。

 これに対して、やはり中国は神経を尖らせている。北京の座談会で筆者が述べた趣旨に沿っていえば、大国としての中国は、こうした選挙戦術に惑わされることなく冷静に対応すべきだ。だが、商業化した中国のマスコミの中には、連日こうした台湾の動きや要人の発言を取り上げ、大衆の愛国心を煽る報道が目立っている。もっとも中国政府の方は、1996年の総統選挙の際、台湾近海でミサイル発射訓練を行って国際社会の大きな非難を招いた教訓もあり、比較的冷静に対応しているようでもある。

 さて最後に、座談会で中国側パネリストが懸念した日本の立場である。

 日本政府が住民投票を論評するようなこともなく、この問題で日中間に摩擦が起きるとは考えにくいが、筆者にとって解せないのは毎日新聞のウェブサイト版(新聞紙上では9月22日付掲載)の記事の最後に出ていた以下のくだりである。

 ――日本政府は8月、潘事務総長の見解に対し、国連日本代表部を通じ「誤った解釈」と申し入れた。日本政府は「台湾が中国の一部」という中国の主張を日本は「理解し尊重する」が同意はしていないとしている。

 毎日の記事では、なぜ日本政府が申し入れたのか必ずしも明確ではないが、事務総長は国連としての、あるいは事務総長としての立場を表明したのであり、それに対してわざわざ申し入れをして日本の立場を表明する必要があったのかどうか、意見の分かれるところであろう。もし事務総長が日本政府の立場も「台湾が中国の一部」と言ったのであれば別だが、毎日の報道から見ても、そういう発言をしたとは思えない。ましてや「中国の主張を理解し、尊重している」のであれば、わざわざ「誤った解釈」などと抗議まがいの申し入れをする必要はないだろう。そんな申し入れが、まだ責任大国としての思考に慣れていない中国の、とりわけ商業メディアの余計な疑念を招くことになるのではないか。

■関連サイト < サーチナ総合研究所客員研究員 >

■関連トピックス < 高井潔司 >

【執筆者】 高井 潔司(たかい きよし)

北海道大学大学院国際広報メディア研究科教授、日中コミュニケーション研究会理事長、サーチナ総合研究所客員研究員。1972年東京外国語大学中国語学科卒業。読売新聞社入社、上海特派員、北京支局長、論説委員など歴任。天安門事件、トウ小平逝去などを現地で取材。2000年より現職。中国メディアの研究を中心に、日中関係、現代中国政治などが専門。

中国艦隊、沖縄本島と宮古島の間を航行 4、5月の2回

2007/08/29 中国新聞ニュース

 【台北29日共同】台湾の李天羽国防部長(国防相)は二十八日、中国のミサイル駆逐艦など海軍艦隊が今年四、五月の二回、沖縄本島と宮古島の間を抜けて太平洋に展開、台湾東岸沖を航行したことを確認済みだと語った。

 二十九日付の台湾紙、自由時報によると、李部長は中国軍の狙いとして(1)軍事能力の誇示(2)海洋情報の収集(2)台湾の反応の偵察―の三点を挙げ「台湾、日本、米国の軍部は中国艦隊の全行動を完全に掌握している」と語った。

 台湾の外国軍事筋は「中国艦隊が台湾東岸沖を航行することはよくあり、中国の「内海化」への既成事実づくり」とした上で、来年の総統選に向け対中強硬姿勢を鮮明にしてきた台湾の陳水扁総統への「警告」の意味もあるとの見方を示した。

台湾、米イージス艦6-8隻導入へ=台湾紙

2007/08/07 NEWSIS/朝鮮日報JNS

 台湾は、米国のイージス艦6−8隻を導入するため、陳水扁総統の側近である国防部の柯承亨副部長と海軍の陳永康参謀長を今月中に訪米させる方針だ、と台湾紙・聯合報が6日報じた。

 同紙は消息筋の話を引用し、台湾海軍はまず6隻のイージス艦を米国から入手した後、状況を見てさらに2隻を導入する計画だ、と伝えた。

 イージス駆逐艦の1隻当たりの価格は、搭載武器や装備、台湾での建造価格などによって異なるが、大体約6億−8億ドルに達するものとみられ、総規模は1500億台湾ドル(約4兆8000億ウォン=6179億円)以上になるだろう、と同紙は指摘した。

 また、イージス戦略システムとこれに適合するミサイル体系の場合、技術を独占している米国から購入しなければならないが、これを搭載する軍艦本体の場合、米国のバーク級駆逐艦とスペインのF‐100 巡洋艦のどちらかを選択して購入することが可能だ、と紹介した。

 一方、日本側でもこんごう型イージス艦の設計を米国を通じて台湾に販売しようという試みがある、と同紙は報じた。

 台湾海軍当局は、米国が直接バーク級駆逐艦を台湾に引き渡すことについては、中国の激しい反発が予想されるため、6000−9000トン級の軍艦を提供することもあり得る、とみている。

資格試験開放など台湾優遇 中国、陳政権をけん制

2007年04月29日 中国新聞ニュース

 【北京29日共同】中国政府は29日、台湾最大野党の国民党と中国共産党が北京で共催した経済貿易フォーラムで、中国で会計士や不動産鑑定士、薬剤師などの専門資格試験の受験を認めるなどの台湾優遇政策を発表した。台湾野党と連携し、中国との対決志向を強める陳水扁政権をけん制した形。

 人事省、公安省などの次官らが発表した新政策は(1)15種の専門技術者資格試験の開放(2)中国入境手続きができる都市の拡大(3)中台間の直行便を運航する航空会社の中国の離着陸地での事務所開設−など。

 優遇策は昨年の同フォーラムでも発表。中国は中台間の政府間対話を避け、野党との交流の場で、台湾経済界などが期待する政策を次々と打ち出すことで、陳政権の孤立化を狙っている。

 フォーラムではまた、(1)春節(旧正月)などに運航している中台間チャーター直行便の一層の拡大や定期便化(2)中国側の一般住民の台湾旅行実現−などを提案。「台湾独立勢力に反対し、台湾海峡の平和と安定を維持」するよう呼び掛けた。

台湾・澎湖島と中国の相互往来、4月1日から解禁

2007年03月31日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【台北=石井利尚】台湾の陳水扁総統は31日、台湾海峡にある澎湖島の島民と、中国大陸の観光客の相互往来を解禁すると発表した。

 4月1日から実施される。中国と澎湖島の直航は今回も認められないが、中国人客は、台湾当局が実効支配する金門島か馬祖島を経由するチャーターの航空便か船便で澎湖島を観光することができるようになる。澎湖島民も金門島か馬祖島を経由して大陸に行き来することが可能となる。

 中台間では2001年から、金門、馬祖両島と、対岸の中国との船による往来が行われている。澎湖島は、島の経済活性化のため、中国大陸との直航を台湾当局に求めてきたが、同島が台湾本島防衛上の戦略拠点であることから、直航解禁は先送りされた。

中台の空軍力、中国の殲10大量配備で逆転か

2007/01/24 NEWSIS/朝鮮日報JNS

 台湾紙の中国時報は24日、中国が独自開発による最新鋭戦闘爆撃機「殲10」を65機生産し、河北・浙江・雲南省に実戦配備したことを報じた。

 同紙は、台湾国防省の発表を引用、「中国の“殲10”が大量配備されれば、中国軍の空軍力は、これまで優勢を保ってきた台湾をしのぎ、逆転するだろう」と警告している。

 「殲10」は台湾の主力戦闘機F−16に匹敵する性能を持つものとみられている。

 台湾空軍の厳明・空軍司令は「現在、中台の空軍戦力は均衡を保っているが、今年から来年にかけ、次第に中国の空軍力のほうが台湾のそれを上回るようになるだろう」と述べ、懸念を表明した。

 中国は「殲10」を計120機生産する予定。「殲10」が配備された浙江省は、その距離からみて、台湾との戦争が勃発した場合、作戦範囲内に位置している。

 台湾は米国からF−16 戦闘機66機を購入する予定だが、武器購入予算が国民党をはじめ野党から反対されており、立法院で保留されたままとなっている。

台湾、ミサイル基地増設へ 中国の軍事力脅威で

2007/01/23 The Sankei Shimbun

 【台北=長谷川周人】台湾の国防部(国防省)は23日、米国からの地対空誘導弾パトリオット(PAC3)調達後、中南部で6つのミサイル発射基地を新設する方針を発表した。国防部によると、中国は台湾に向けて現在、戦術弾道ミサイル880基と最新鋭の国産巡航ミサイル「東海10」100基以上を配備。 PAC3など軍備強化が実現しなければ、2020年から15年で中台の戦力比は2.8対1に広がるとし、ミサイル防衛力の強化を図る必要性を強調した。

中国、新型戦闘機「殲10」を65機配備・台湾国防部公表

2007/01/22 NIKKEI News

 【台北=山田周平】台湾の国防部(国防省)は23日、中国が自主開発した最新型戦闘機「殲(ジェン)10」をすでに65機配備しているとの情報を公表した。性能は台湾が持つ米国製戦闘機「F16A/B」に並ぶとしており、台湾全域のほか日本の一部を作戦範囲に収めているもようだ。中国が台湾対岸に配備したミサイルは980基以上まで増えたとしている。

 65機の殲10は5カ所の基地に配備され、このうち浙江省の基地の16機は日本の九州全域と中四国の一部を作戦範囲とするもよう。生産機数は合計で120機前後と予想した。性能は「F16A/Bと同等だが、改良型であるF16C/Dには劣る」と評価した。

 殲10は中国の航空機メーカーが5日、開発に成功したと発表していたが、配備状況や性能はベールに包まれていた。

 台湾対岸に配備した「東風11型」など短距離弾道ミサイルは880基以上、2006年に配備を始めた「東海10号」などの巡航ミサイルも百基以上に達したと指摘。年間75―100基のペースで増え続けるとみている。

中台貿易、初の1000億ドル突破

2007/01/19 FujiSankei Business i.

 中国国務院(中央政府)台湾事務弁公室の楊毅報道官は18日までに、中国と台湾の間接貿易額が昨年、初めて1000億ドルの大台を突破し、前年比18・2%増の1078億4000万ドルに上ったことを明らかにした。同報道官は「昨年は両岸(中台)経済・貿易関係で重要な進展を得た1年だった」と総括。独立志向の強い陳水扁政権との政治関係が途絶える中、対中交流拡大を望む台湾財界との関係が強化されていることを強調した。

 楊報道官はこのほか、「今年は『台湾独立』反対、台湾海峡の平和維持でカギとなるときだ」と表明。来年の次期台湾総統選を控え、陳総統を強く牽制(けんせい)した。

 中国の台湾向け輸出は前年比25・3%増の約207億4000万ドル、輸入は同16・6%増の約871億1000万ドル。中国大陸を訪れた台湾住民が昨年、延べ440万人を突破したとの推計も明らかにした。(北京 時事)

胡主席

:世界の中国系市民に「台湾独立」反対呼び掛ける2007年01月02日毎日新聞 Mainichi interactive

 中国の胡錦涛国家主席は一日、全国政治協商会議の新年茶話会で演説し、「台湾独立を目指す分裂勢力に断固として反対し、台湾海峡の平和と安定を維持しよう」と強調した。

 胡主席は「平和統一に向けた努力は放棄しない」と述べる一方で、世界各国の中国系市民に対し「台湾独立勢力」に反対するよう呼び掛けた。(共同)

台湾企業の“香港シフト”加速 中台経済一体化が背景

2006/11/21 FujiSankei Business i.

 台湾企業が香港市場での株式上場を加速させている。台湾紙、経済日報によると来年は新たに8社が香港で株式を公開する計画で、資金調達額は合計100億香港ドル(約1514億円)を上回って過去最高となる見通し。株価指数が最高値更新を続け、香港への流入資金量が増大している上、対中ビジネスの重要拠点で経営基盤を確立する狙いもある。一方、台湾市場では上場企業数が減少傾向にある。台湾企業は“香港市場シフト”を急ぐ可能性もある。(河崎真澄)

 同紙が台湾の兆豊証券と香港証券取引所からの情報として伝えたところによると、2007年に香港上場を予定しているのは、台湾の食品大手でセブン−イレブンなど小売り流通も幅広く手がける統一企業など8社。統一の調達額は20億香港ドルを上回る見通しで、台湾系企業の香港での上場で過去最大規模となる。

 統一のほかプリント基板(PCB)やパソコン関連、携帯電話関連などIT(情報技術)メーカー、小売業や電線、製紙など7社が香港上場を予定している。8社の資金調達合計額は100億香港ドルに達し、過去最高だった05年の74億香港ドルを大きく上回る。これにより香港で上場する台湾系企業数の合計は53社になる見込みだ。06年は7社が上場したが調達額は20億香港ドルに止まった。

 しかし一方で、台湾証券交易所の上場企業数は減少する傾向にある。

 04年に697社だった上場企業数は05年に691社となり、今年は687社に減る見込みだ。上場企業同士の合併や経営破綻(はたん)などを理由に上場廃止となったり、自主的に上場を取りやめた企業の数が、新規上場企業数を上回っているためだ。こうした傾向に歯止めをかけようと、同交易所では今後3年間で90社の新規上場をめざすなど、テコ入れ策も打ち出した。

 ただ、台湾企業が地場市場より香港をめざしているのは、中台ビジネスの事実上の一体化が進んでいることが背景にありそうだ。昨年の台湾の海外投資のうち、投資額の70%までが香港やマカオを除く中国大陸で占められ、台湾の製造業の大半は中国に何らかの拠点をかかえている。香港には中国からの資金や情報も数多く集まるため、香港で資金調達の基盤を作ることが次の展開につながると判断したようだ。

 また、香港市場では中国の国有商業銀行の大型上場が相次ぎ、代表的なハンセン指数が最高値更新を続けて“チャイナマネー”で潤っている事情もある。磁石のような香港市場の吸引力は、台湾企業の経営にも強い磁力を与え始めたようだ。

台湾企業、再び進出熱

2006/09/08 FujiSankei Business i.

 中国に進出している台湾企業の6割近くが「対中投資を拡大したい」と回答していることが業界団体の台湾電機電子工業同業公会の調査で分かった。一方で「台湾に戻って再投資したい」との回答が2%を切るなど、中国への依存度を高めているようすも浮き彫りになった。2003年をピークに対中投資に一服感のあった台湾企業だが、中国の消費拡大を背景に再び拡大路線に転じた。

 エレクトロニクス関連企業を中心とした同団体が、対中進出済みの台湾企業2137社から回答を得て、「中国の投資環境とリスク調査(2006年版)」としてまとめた。業種別では電子機器関連が27・1%と最も多く、機械が11・4%と続き、金属が8・4%など製造業が中心だった。

 それによると「対中投資を拡大したい」との回答は全体の57・5%に達しており、昨年の同じ調査の36・0%に比べ21ポイントも上昇した。一方で「台湾に戻って投資する」との回答は、2%をわずかに切る1・97%。この数字は04年の4・1%、昨年2・7%から、下降の一途をたどっている。

 また、「台湾の親会社での生産を継続する」との回答が、04年の調査時の52・5%から、昨年は40・8%に下がり、今回はさらに35・3%へと急カーブを描いて下降している。台湾の製造業が主要な生産拠点を、中国に急速にシフトしているようすをうかがわせた。

 また中国における有望な投資地域として、いずれも上海市に近い蘇州や無錫、寧波、杭州を挙げる企業が多く、青島も人気があった。これに対し台湾企業が過去に、集中進出した広東省東莞地区へは「投資しない」との回答が多く、台湾企業が香港に近い広東省から上海に近い華東地区に、今後の投資の重点を置く考えも明らかになった。

 これまで欧米や日本向けに輸出するIT(情報技術)製品などのローコスト生産拠点として中国に注目してきた台湾企業だが、上海を中心に個人消費が急速に伸びつつあるなかで、中国市場をまず念頭に置いた投資拡大戦略に転じたようだ。

 台湾経済省が今年1〜7月に承認した台湾企業の対中投資総額は39億4324万米ドルで、前年同期よりも31・4%多かった。同投資総額は03年に過去最高の76億9878万ドルを記録したが、中台政治関係の悪化などから下降に転じ、05年には60億695万ドルまで落ち込んでいた。今年はピークの02年に迫るペースで対中投資が増えている。(河崎真澄)

中台初の直行貨物便運航 台北から上海へ

2006/07/20 The Sankei Shimbun

 【台北=長谷川周人】中台初の直行チャーター貨物便が19日深夜、台北国際空港から上海に向かった。直行便の運航拡大で合意した6月中旬の中台双方の決定を受けたもので、第1便は半導体最大手の委託を受けた中華航空機となった。陳水扁政権は対中強硬路線で自らの存在を誇示するが、これを企業ニーズが押し切る形で中台経済の緊密化が進んでいる。

 同機は離陸後、香港の航空管制空域を経由し、20日午前1時(日本時間同2時)に上海浦東国際空港に到着する予定。最短ルートなら2時間弱の距離だが、台湾は「完全直航」を認めていないため、「第三地」を経由する必要があり、飛行時間は約3時間となる。

 台湾各紙によると、同機の荷主は上海で事業展開する半導体最大手で、積載貨物は半導体製造にともなう高性能設備。直行便なら時間とコストが軽減できるうえ、離着陸時の振動で部品が破損するリスクの減少も可能で、企業にとって直行貨物便のメリットは大きい。

 対外投資で中国が占める割合が7割を超え、台湾企業はハイテク部品を台湾で製造し、組み立てを中国で行う分業制が主流だ。部品や生産設備の輸送ルート確保は、対中投資の成否を左右するカギとなっている。

中国の上陸想定、台湾で史上最大規模の軍事演習

2006/07/20 The Sankei Shimbun

 【宜蘭県(台湾北東部)=長谷川周人】台湾の国防部(国防省)は20日、中国による台湾上陸作戦を想定し、史上最大規模の定期軍事演習を行った。地対空ミサイル・パトリオット(PAC2)の発射を初めて一般公開するなど保有近代兵器を全面投入。だが、軍拡を続ける中国に対して台湾の軍備刷新は足踏み状態にあり、演習は軍事均衡の崩壊が招く「海峡危機」に警鐘を鳴らす形となった。

 「漢光22号」と呼ばれる陸海空軍の統合演習には約1万3000人が参加した。中国軍に見立てた「敵軍」が空港制圧を目指して海岸から上陸作戦を展開するのに対し、台湾空軍は陸海軍の援護を受けて制空権を確保。F16戦闘機やAH−1攻撃ヘリなどを投入、反撃に転じた。

 地上戦を想定した第2ステージでは、実際の宜蘭県議会を使い、議会庁舎に降下した「敵」の空挺(くうてい)部隊と台湾軍が"交戦"。地元警察や民間人も動員され、「議会占拠」という実際の「台湾危機」をも想像させる異例の演習となった。

 空軍が発射した対空ミサイルが、陳水扁総統らが着席する来賓席前に着弾するハプニングもあったが、パトリオットのほか自力開発の対艦ミサイル「雄風2型」の発射が初公開され、「近代化と国産兵器の精度向上を内外に証明した」(黄昭堂・台湾独立建国連盟主席)といえそうだ。

 しかし、米国製兵器購入は野党の反対で立法院(国会)では審議入りすらできていない。陳総統は観閲後の訓示で「台湾は防衛能力を強化する責任と義務があり、立法院での兵器購入予算案の成立を希望する」と述べた。

中国、国交見返りに大劇場建設 台湾と断交のセネガルに

2006/06/28 The Sankei Shimbun

 昨年10月、台湾と断交して中国と国交を結んだセネガルに対し、中国政府が見返りとして西アフリカ最大の劇場などの建設を支援することが28日までに分かった。ロイター通信が伝えた。これまで中国政府はアフリカ諸国の各首都に巨大なサッカースタジアムを建設して、中国の援助と存在をアピールすることが通例で、劇場の建設は珍しいという。

 劇場の総建設費は約3500万ドル(約40億7000万円)。3階建てで約1万8000席あり、約3000台が駐車できる駐車場も兼備。セネガルのアテパ大統領顧問は「古典と現代の建築を組み合わせ、西アフリカで最も美しい劇場になる」などと宣伝している。(共同)

台湾海峡でミサイル増強、米国防総省が中国軍事力報告

2006年05月24日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ワシントン=五十嵐文】米国防総省は23日、2006年版の「中国の軍事力に関する年次報告書」を米議会に提出、公表した。

 報告書は、「中国の軍事力拡大は、すでに地域の軍事バランスを変えるほどになっている」と指摘し、強い警戒感を表明した。

 具体的には、台湾海峡に配備している短距離弾道ミサイルが「710〜790」基に達すると明記。昨年の報告書で指摘した「650〜730」を大幅に上方修正した。報告書は、中国の軍拡が短期的には台湾海峡有事に照準をおいたものながら、「資源や領土紛争など、他の地域紛争にも適用可能な能力」を獲得しつつあるとも分析し、懸念を表明した。中国政府は2006年の国防予算を2838億元(約350億ドル)と公表しているが、報告書は、実際には公表額の2〜3倍に達すると推計した。

台湾、止まらぬ「簡体字」浸透 中国の“文化侵攻”に危機感も

2006/05/13 The Sankei Shimbun

 【台北=長谷川周人】中台の経済的な結びつきが強まるなか、漢字表記では「正体字(繁体字)」を貫いてきた台湾で、中国で使われる「簡体字」がじわじわと浸透している。中国からの輸入図書は年内に200万冊を突破する勢いで、大手書店には簡体字図書の専門コーナーも登場。「台湾の主体性」を政策の軸とする陳水扁政権としては、経済に次ぐ中国の“文化侵攻”に危機感を抱き始めたようだ。

≪書籍輸入200万部目前、ジャンル問わず売上げ急増≫

 中台両岸の政治対立の中で、台湾は長く簡体字の使用を禁じてきた。しかし、3年前に台北市内の学生街で簡体字の専門書店が出現。これがきっかけとなって、学術的観点から中国図書を見直す機運が高まり、行政院(内閣)新聞局は2003年7月、簡体字図書の規制緩和に踏み切った。

 同局によると、翌年に輸入された簡体字図書は約12万7000種、60万5000冊。特に怒涛(どとう)の勢いで出版される翻訳書が人気で、割安感も手伝い、ジャンルを問わず売り上げが急増、05年は38万5000種、166万冊となった。

 ブームの火付け役となったのは、総売り場面積600平方メートルという簡体字書籍専門店の「上海書店」だ。これに米タイム誌(アジア版)がアジアの書店ナンバーワンに選んだ「誠品書店」が追随。今年1月に正式開業した主力店には広さ約500平方メートルの専門コーナーが設置され、政治、哲学、文学、医学など各分野を合わせるとずらり1万種、3万冊が並ぶ。

 だが、中国図書がもてはやされる一方で、やはり拒否反応もある。台湾紙・中国時報が4月に行った世論調査では、77%の台湾人が簡体字の使用拡大に「ノー」と答えた。選挙を控えて与野党の攻防が激しさを増す立法院(国会)でも、簡体字問題では党を超えて「拡大反対」で一致しているようだ。

陳水扁総統「統一は中国の民主化が大前提」

2006/04/27 The Sankei Shimbun

≪米国と価値観を共有できるのは、日本と台湾≫

 【台北=鳥海美朗】中国の胡錦濤国家主席の訪米による米中首脳会談後、その動向が注目されていた台湾の陳水扁総統が27日、産経新聞の千野境子論説委員長との単独会見に応じ、対中関係を中心とする自らの政治戦略について1時間半にわたり語った。陳総統は米国を「自由・民主のシンボル」として、日本や台湾がその価値観を共有すると強調。中台の統一については、「中国共産党が一党独裁を放棄し、自由と民主を実践しない限りありえない」と改めて言明した。

 陳総統は、ワシントンでのブッシュ大統領と胡主席の首脳会談について「中国が東に目を向けると、米国が視野に入る前に(民主化した自由な)台湾と日本が目に入る。こういう角度でみると、首脳会談は成功だった」と暗喩的に表現し、中台の現状に言及した。

 そのうえで、ブッシュ大統領から「台湾独立反対」の言葉を引き出そうとした胡主席の狙いがはずれ、大統領が「独立を支持しない」との表現にとどめたことに感謝すると述べた。

 陳総統や与党・民進党の支持率が低下する中、台湾の野党・中国国民党は先月、次期総統選候補の馬英九主席が訪米し、さらにブッシュ−胡会談の直前には連戦名誉主席が訪中している。これについて陳総統は「台湾の国益を尊重するうえでの国民党と(中国の)共産党の対話には反対しない。しかし、台湾の矮小(わいしょう)化につながるような政党外交は認めない」との厳しい見解を示した。

再び「国共合作」演出 胡錦濤主席、連戦氏と会談

2006/04/16 The Sankei Shimbun

 中国の胡錦濤国家主席(共産党総書記)は16日午前、訪中している台湾の最大野党、国民党の連戦名誉主席と北京の人民大会堂で会談した。2人の会談は昨年4月以来、約1年ぶりで、中国側は「国共合作」を再び演出、中台関係の強化をアピールした。

 両者は昨年同様、記者団の前で握手、胡主席は「中台の経済貿易関係の将来を話し合った経済貿易フォーラムの成功を祝いたい」と述べ、連氏は「この1年で中台の経済関係発展の基礎を築けた」と答えた。

 中国は独立志向が強い台湾の陳水扁総統を孤立させる戦略を取っており、今回の会談でも、台湾住民に融和姿勢を示すとともに陳氏に圧力をかける狙いがある。

 連氏は北京で14日から2日間開催された中台間の経済貿易フォーラムに出席。中国側は15日の同フォーラム閉会式で、台湾産野菜の一部にゼロ関税を適用するなど台湾に対する15項目の新たな優遇策を発表した(共同)

台湾・国民党 連戦名誉主席が訪中

2006/04/14 The Sankei Shimbun東京朝刊から

≪中国、経済強化で陳総統包囲網構築へ≫

 【北京=野口東秀】台湾の最大野党、中国国民党の連戦名誉主席(前主席)が十三日、中国共産党との共催で開かれる「第一回両岸(中台)経済貿易フォーラム」に出席するため訪中した。連戦氏と胡錦濤共産党総書記(国家主席)との会談も予定されている。フォーラムには双方の党や企業の関係者、専門家ら約三百人が参加することになっており、中国は台湾野党勢力との連携を進める一方、台湾経済界との結び付きを強化し、陳水扁政権への圧力を強める方針だ。

 同フォーラムの開催は、昨年四月に行われた連戦主席(当時)と胡総書記による国共トップ会談で合意した。

 連戦氏には国民党の江丙坤副主席らも同行。北京国際空港では、中国共産党台湾工作弁公室の陳雲林主任が出迎えた。

 連戦氏は空港であいさつし、「今日、両岸の同胞はいずれも、互いに助け合うことを必要としている」と述べ、中台関係の強化を訴えた。

 中国は今回のフォーラムを通じて、台湾との経済関係を一段と促進したい意向だが、その背景には、経済的に台湾を取り込めば、「台湾世論を引き寄せられる」(専門家)との思惑がある。中国は国民党との連携だけでなく与党・民進党にも対話を呼びかけている。同党内の対中穏健派に働きかけることで陳総統の孤立化を進める狙いだ。

中国の統一攻勢に反対 台湾与党が17万人デモ

2006/03/18 The Sankei Shimbun

 中国が昨年3月14日に台湾への武力行使に法的根拠を与える反国家分裂法を制定して1年となったのを受け、独立志向の台湾与党、民主進歩党(民進党)などは18日、台北市内で、中国の統一攻勢に反対する17万人規模(民進党発表)のデモと集会を行った。

 「民主主義を守り、(中国による)併呑に反対する」と題したデモには、主催した民進党が台湾全土から支持者を大量動員し、総統府前での集会には陳水扁総統、蘇貞昌行政院長(首相)ら指導者が顔をそろえた。

 陳総統はデモにより、独立派勢力の存在を内外に誇示する一方、台湾の実態に合わせた大幅な憲法改正など政治体制の台湾化(自立化)路線推進と、2008年総統選での政権維持に向け、支持層の士気を高めることを狙っている。

 この日の台北市は気温が30度近くまで上昇。デモの参加者たちは汗をふきながら「台湾は中国の一部ではない」「中国のミサイル配備に反対する」などとスローガンを叫びながら行進した。

 陳総統は集会での演説で、中台統一を前提とした国家統一委員会などを事実上廃止したことに触れ、「台湾の将来を決める権利はわれわれの手にある。わたしは皆さんとともに台湾自らの道を進む」と訴えた。

 民進党の游錫●主席は来年以降も毎年3月に反中デモを行う方針を明らかにした。2年後は総統選と重なり、民進党候補の選挙運動の中で最大のイベントになりそうだ。(共同)●=方を横に2つ並べ、下に土

 <反国家分裂法> 中国が昨年3月14日、全国人民代表大会(全人代=国会)で制定した台湾の独立阻止を目的とする法律。 (1)台湾独立勢力による台湾の中国からの分裂 (2)台湾分裂を招く重大事変の発生 (3)平和統一の可能性が完全に失われた ―などの場合に「非平和的方法」を取るとの表現で、武力行使に法的根拠を与えた。 台湾問題は中国内部の問題で、外国勢力の干渉は受けないと明記。 経済交流や「三通」(通信、通商、通航の直接開放)促進を通じ中台関係を発展、平和統一を目指すとも規定しているが、日米は同法が台湾海峡の安定に有益でないと懸念を表明した。(共同)

温家宝首相、統一委廃止で台湾非難

2006/03/14 The Sankei Shimbun

 中国の温家宝首相は14日午前、全国人民代表大会(全人代=国会)閉幕後に北京の人民大会堂で記者会見し、台湾当局が中台統一を前提とした諮問機関、国家統一委員会などを事実上廃止したことについて「中台情勢に緊張をもたらした」と非難、台湾の今後の状況を注視し「いかなる結果に対しても準備を怠らない」として、台湾に対する武力行使を放棄しない姿勢を示した。

 中国は台湾の最大野党、国民党との連携を進める一方、陳水扁総統の対話呼び掛けを拒否しているが、首相は、与党民主進歩党(民進党)が台湾独立綱領を放棄すれば、対話に応ずる考えを示した。

 また、今回の全人代で採択した2010年までの国民経済の新中期計画「第11次5カ年計画」では農村対策が最重点課題となったが、首相は農業問題は中国現代化のための「根本的問題」と述べ、農村振興を通じて内需と消費を拡大する方針を強調した。(共同)

中台タオル摩擦 安い中国製品流入→台湾、WTOで対話狙う

2006/03/12 The Sankei Shimbun【東京朝刊から】

 中台間にくすぶるタオルをめぐる貿易摩擦が、「国際問題」に発展する可能性が出てきた。台湾はなだれ込む安価な中国産タオルに対し、セーフガード(緊急輸入制限措置)発動に向けた調査を開始。世界貿易機関(WTO)という国際機関での「中台直接対話」を模索しており、実現すれば中断した政治対話にも風穴があく。問題の国際化を避けたい中国が外交圧力を強めるのは必至だが、次期総統選挙に向けて動き出す台湾の対中攻勢が注目される。(台北 長谷川周人)

 中台の経済が相互依存関係を深める中、安い中国製品の流入が台湾の地場産業を圧迫。中台両岸のWTO加盟(2002年1月)による貿易自由化で、この傾向はさらに加速している。

 台湾の税関当局によると、タオル製品の輸入総量は、02年の1767トンに対し、05年は3949トンにまで膨らんだ。金額ベースでも2倍に迫る勢いで増え続けており、台湾各紙は「中国産タオルの市場占有率は最大70%に達した」と伝えている。

 台湾のタオル業界は中小・零細企業が大部分を占める。輸入急増による重圧から操業停止や失業に直面する業界は昨年末、台湾当局に対するセーフガードの発動要請に踏み切った。

 台湾当局はWTO加盟後、中台の貿易不均衡の是正を求めて、中国に協議に応じるよう求めてきた。しかし中国側がこれを拒絶し続けているため、台湾当局は今月1日、WTO加盟後初めて、セーフガード発動に向けたアンチダンピング(不当廉売)調査に入ると発表した。

 2日には中国商務省の担当者7人を台北に招き、公聴会を開催。両者の主張は平行線をたどったが、台湾経済部(経産省)は早ければ今週中にも損害認定に踏み込む方針だ。6月にはセーフガード発動の可否を判断し、最終的には中台がWTOのメンバーとして「政府対政府の談判に入りたい」(●幸媛立法委員=国会議員)という。

 中断した中台の直接対話は、中国が「ひとつの中国」を対話再開の前提条件とするのに対し、台湾はこれを認めず、膠着(こうちゃく)状態にある。選挙大敗で陳政権に逆風が吹くなか、中国は当面、対中接近を強める最大野党・中国国民党の懐柔を進め、対話のタイミングを見極めようとしている。これに対し「中国傾斜」に危機感を抱く台湾の独立派は、貿易摩擦の実態を国際社会に訴え、政治対話実現への突破口を開くことを狙っている。

 中国の商務省は8日、「話し合いを通じて解決すべきだ。貿易摩擦関連措置は慎重に考慮するよう望む」との見解を示し、問題の国際化を狙う台湾側を牽制(けんせい)。WTOにおける台湾の立場をめぐっても、台湾代表団が持つ資格の縮小をWTOに求めている。

 対話実現には紆余(うよ)曲折がありそうだが、政策立案に携わった関係者は「タオル戦争の次は農産物交渉に(段階を)進め、国際社会の場で中台経済対話を促したい。これは『国家統一委員会』の実質廃止を補足する新たな対中攻略にもなる」と強調している。●=癩のやまいだれを除いたもの

中国、台湾の統一委廃止を非難 対抗措置には言及せず

2006/03/01 The Sankei Shimbun

 中国の胡錦濤国家主席は28日、台湾の陳水扁総統が中台統一を前提とした諮問機関、国家統一委員会と国家統一綱領の事実上の廃止を決定したことについて、台湾独立に向けた「危険な動き」と強く非難した。スイスのシュミド国防相との会談で述べた。

 陳総統の決定後、中国指導部による公式反応は初めて。胡主席は台湾側の決定について「一つの中国」の原則や、中台両岸の平和と安定に対する深刻な挑発だと批判、台湾独立の動きに断固として反対する姿勢をあらためて強調した。

 共産党中央台湾工作弁公室と国務院(政府)台湾事務弁公室も同日、台湾側の決定を非難する声明を国営新華社通信を通じて発表したが、具体的な対抗措置については言及しなかった。4月に予定される胡主席の訪米をにらみ、米中関係に影響を及ぼす中台の緊迫化を避けた形となった。

 声明は、陳総統が、統一委と統一綱領の扱いについて「廃止」から「運用終了」と表現を弱めたことについても「台湾の民衆と国際世論を欺こうとする言葉遊びにすぎない」と明言。「独立を狙う(陳氏の)意図は明らかだ」とした。

 一方、今後の台湾政策については「(中台)両岸の人的、経済、文化交流を一層促進する」とあらためて指摘、引き続き融和的な台湾政策を目指す考えを示唆した。

 また中国外務省の劉建超副報道局長は、米台関係に関連し「台湾分裂(独立)勢力に誤ったシグナルを発信しないよう米国に求める」と述べ、米国が今回の決定に賛同しないよう求めた。(共同)

台湾の統一委廃止 米「政策変わらず」

平成18(2006)年02月28日 The Sankei Shimbun

 【ワシントン=山本秀也】台湾の陳水扁総統が国家統一委員会などを廃止したことで、米国務省のエレリ副報道官は二十七日、定例会見で、「中台関係に関して政策に変更はない」とする米政府の立場を表明した。

 副報道官は「一つの中国」政策など既存の外交政策を維持する方針を重ねて表明。さらに「(台湾海峡の)現状を一方的に変更することに反対する」との考えを改めて強調した。

 台湾当局の決定については、「台湾独立は支持しない」とくぎをさす一方、廃止決定に関する談話で陳総統が台湾海峡の現状変更に踏み込まない考えを表明したことを米政府として歓迎した。

 同時に、中国側に対しては、選挙によって選出された台湾指導部との対話を再開するよう促した。

 同様の米政府の立場は、ホワイトハウスのマクレラン報道官も同日、表明した。

陳総統、中台統一委と綱領を事実上廃止

2006/02/27 The Sankei Shimbun

 台湾の陳水扁総統は27日、国家安全会議を招集、中台統一を前提とした対中関係の諮問機関、国家統一委員会と、同委が採択した国家統一綱領について「運用を終える」と述べ、事実上の廃止を決定した。陳総統は2000年5月の就任演説で「五つのノー」として統一委などを廃止しないと公約しており、約5年9カ月ぶりの対中基本方針の変更。中国は「独立への動き」と非難しており、中台関係の一段の悪化は必至だ。

 廃止決定は、陳政権との対話を拒否したまま台湾の最大野党、国民党との連携を強めてきた中国側に揺さぶりをかけるのが狙い。内政面では、昨年12月の統一地方選で与党、民主進歩党(民進党)が大敗したのを受け、政権死守に向けて対中強硬姿勢を鮮明にし、「統一志向」の国民党との路線対決に出た形だ。

 陳総統は一方で、「台湾海峡(中台関係)の現状を変える考えはない」と強調し、独立宣言などは考えていないことを示唆。中国に対し「関係改善に向けた政府間対話」を呼び掛けた。

 統一委などの廃止の理由について、陳総統は「民主主義の原則に基づき、台湾人民が自らの将来を自由に選択する権利を守る」「中国が反国家分裂法など非平和的な手段で台湾海峡の現状を変えようとしている」ためだなどと説明した。

 また、台湾の実情に合わせた憲法改正を推進するが「主権問題は扱わない」と述べ、「中華民国」の名称変更などは行わない考えも示唆した。

 統一委は国民党政権時代の1990年に設置、91年、統一に向けた3段階の道筋を示した綱領を採択したが、独立志向の陳政権誕生後は形骸(けいがい)化していた。(共同)

「中台関係の破壊者」 中国、陳総統を非難

2006/02/08 The Sankei Shimbun

 中国国務院(政府)台湾事務弁公室の李維一報道官は8日の記者会見で、台湾の陳水扁総統が中台統一に関する総統府内の諮問機関、国家統一委員会の廃止を検討すると表明したことについて「(陳総統が)中台関係や地域の平和と安定の破壊者であることを示した」と述べ、激しく非難した。

 中国は陳総統が2008年の総統選に向けて憲法改正など独立の動きを強めることを警戒。陳総統への圧力を強める一方、民間交流の促進など融和策を進めることで、台湾住民の大陸への親近感を高める狙いがある。

 李報道官は、陳総統が2000年と04年の就任演説で「五つのノー」として同委員会などを廃止しないと公約していたことを指摘し「約束をほごにした」と批判、中国の台湾政策について「独立反対の姿勢に揺るぎはない」と強調した。

 一方で「平和的統一に向けて最大の努力を尽くし、中台関係を一層発展させていく」と述べ、中台直行チャーター便の拡大やパンダ贈呈などで台湾側への働き掛けを強める考えを示した。(共同)

軍事バランス、中国に傾斜 台湾国防部が分析

2006/02/07 The Sankei Shimbun

 中央通信によると、台湾の国防部(国防省)は7日、中国が保有する戦略・戦術ミサイルは2010年に1800基を超え、中台の軍事バランスは中国側に大きく傾くとの分析結果を発表し、米国から先進兵器購入を急ぐ必要性を強調した。

 英国際戦略研究所のミリタリー・バランスによると、中国の現有ミサイルは約800基。

 台湾の陳水扁政権は(1)ディーゼル潜水艦8隻(2)最新鋭地対空誘導弾パトリオット(PAC3)発射装置6台(3)P3C対潜哨戒機12機―などの先進兵器購入を目指しているが、国民党など野党側の反対で実現していない。

 国防部の分析によると、このままでは軍事バランスは今年から中国に傾き、2020年―35年には中国の軍事力は台湾の2・8倍に達するが、3項目の先進兵器を購入すれば1・67倍に抑えられるという。(共同)

『中国軍が2020年台湾併合想定』

2006/01/12 東京新聞

陳政権直属機関が見解

 【台北=佐々木理臣】台湾の有力紙・自由時報は十一日、陳水扁総統の直属機関「国家安全会議」の邱義仁・秘書長が十日の記者会見で、膨張を続ける中国軍が二〇二〇年に台湾を併合することを想定して動いていると述べた、と報じた。

 陳総統は元旦の重要演説で、中国が台湾武力侵攻を想定し、三段階で軍事力増強をはかっていると指摘。関係筋は、中国が特殊部隊による戦闘での勝利から台湾本島の全面的占領までを想定した作戦を立てているとみている。

 報道によると、邱秘書長は、中国が二〇年に「台湾を解決する」意図を持っていると指摘。中国語の「解決」は「敵を片づける」意味に受け取れ、関係筋は「時間を区切り武力行使を含む手段で台湾を完全に併合する中国の強硬姿勢が明確になった」と分析している。

贈呈パンダで最終選考 中国、台湾へ融和攻勢

2006/01/03 The Sankei Shimbun

 3日付中国各紙によると、中国四川省にある臥竜自然保護区のパンダ保護研究センターはこのほど、台湾に贈呈するパンダ1つがいの最終選考に入った。結果は今月6日に発表する予定という。

 中央テレビによると、同センターは候補に挙がっていた計11頭の中から“最終候補”としてオス3頭、メス2頭を選抜。関係者が選考基準のうち最も重視しているのは「性格の良さ」だという。5頭はいずれも2004年生まれ。

 中国は、台湾の最大野党、国民党の連戦前主席が昨年4月に訪中した際、パンダを1つがい贈ると発表していた。

 各紙はパンダ贈呈で台湾への融和攻勢を強めたい中国政府の意向を反映し、パンダの選考過程を詳細に報道、ムードを盛り上げている。(共同)

台湾総統、対中軍備増強訴え 08年度防衛予算 GDP比3%に拡大

2005/12/18 (産経新聞)YAHOO! NEWS

 【基隆(台湾北部)=河崎真澄】台湾の陳水扁総統は十七日、北部の基隆港で、米国から調達したキッド級駆逐艦二隻の就役式に出席、域内総生産(GDP)に対する防衛予算の比率を二〇〇八年度に3%まで引き上げる意向を示した。

 今年度は約2・4%。さらなる米国製兵器調達の特別予算案に反対している国民党など野党側も、通常年度予算への振り分けには同意する見通しで、難航した潜水艦や対潜哨戒機などの調達問題に解決の糸口が見えてきた。

 陳総統は演説で、中国が台湾に照準を合わせて配置したミサイルが七百六基に増加し、中国海軍では七十隻以上の艦艇と八十隻の潜水艦が稼働しているとの情報を明らかにした上で、「台湾海峡の制海権に衝撃的な影響を与えており、軍事バランスは中国に傾斜している」との危機感も示した。

 キッド艦に加え、ブッシュ政権が四年前に台湾への売却を承認している通常型潜水艦八隻、対潜哨戒機十二機などの調達のための特別予算案は、立法院での審議入りが野党側の反対で四十一回も拒否されている。

 この問題について陳総統は、防衛予算枠をGDP比で3%まで拡大することで、当初は六千百八億台湾元(約二兆二千億円)にのぼった特別予算案を、年度予算に割り振る方法で野党の協力を求めた。

 一方、同日の中央通信によると、野党の国民党と親民党は、防衛予算枠の3%までの拡大と通常予算枠内での米国製兵器調達には反対しない意向を示している。  演説の後、陳総統は呂秀蓮副総統や謝長廷・行政院長(首相)などと停泊中のキッド艦に乗り込み、装備を視察した。

日本軍国主義が台湾独立運動に…中国共産党が批判

2005年10月25日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【北京=末続哲也】中国共産党は25日、日本による台湾植民統治終了の60周年を祝う「台湾光復60周年記念大会」を北京の人民大会堂で開いた。

 賈慶林・共産党政治局常務委員(人民政治協商会議主席)が大会で演説し、「台湾独立」派を批判したうえで、「少数の日本軍国主義分子が陰謀をめぐらし、『台湾独立』(の運動)をつくった」と非難。さらに、「祖国平和統一」への努力を呼びかけた。

 中国が「台湾独立」派と「日本軍国主義」を結びつけ批判するのは異例。「抗日」を強調することで、最近協力を強める野党・国民党との連携をアピールし、独立色の強い陳水扁政権をけん制する狙いと見られる。

武器禁輸の扱い焦点 中国・EU首脳、北京で会談

2005/09/05 The Sankei Shimbun

 中国を訪問中の欧州連合(EU)議長国のブレア英首相とバローゾ欧州委員長らEU代表団は5日、北京で胡錦濤国家主席と会談した。温家宝首相とも引き続き会談。民主化運動を弾圧した1989年の天安門事件以降続いているEUによる対中武器禁輸措置の解除の扱いが焦点になるとみられる。

 日米との安全保障分野での関係を重視するブレア首相は、禁輸解除に反対する日米の意向に配慮しており、訪中直前の中国各紙の書面インタビューで「どのような結論を出すにせよ、EUや関係各国間でさらに意見調整を進める必要がある」と述べ、禁輸解除に慎重な考えを表明した。

 武器禁輸を「政治的差別」と批判する中国側は、EU側に早期解除をあらためて求める見通しだが、EU側の同意を得るのは現時点では困難とみられる。

 また世界貿易機関(WTO)協定上の「市場経済国」の認定を得ていない中国は「中国製品へのダンピング(不当廉売)調査などで不利な扱いを受けている」として、早期認定をEU側に促すとみられるが、この問題でもEUは慎重姿勢を堅持するとの見方が強い。

 ただ、双方は経済、環境分野での関係強化を目指す方向では一致しており、技術支援や地球温暖化対策などに関する協定を締結する見通しだ。

 <対中武器禁輸措置> 1989年6月の中国の天安門事件に対する制裁的措置として欧米各国は中国に対し武器輸出禁止措置をとった。2004年12月、欧州連合(EU)は中国との首脳会議で「解除に向けた検討を継続する」とし、05年6月をめどに解除に向けた努力をすることを示唆。しかし、日米は「台湾海峡の緊張を高める」と反対を表明。中国がことし3月に対台湾武力行使に法的根拠を与える「反国家分裂法」を制定したことなどからEUも慎重になり、6月のEU首脳会議で禁輸解除先送りを決めた。(共同)

上海に台湾人学校開校 中国で3校目

2005/09/01 The Sankei Shimbun

 新華社電によると、中国上海市で1日、同市在住の台湾ビジネスマンの子弟らを対象とした「上海台胞子女学校」が開校、115人が入学した。

 中国では2000年、広東省東莞市と江蘇省昆山市に台湾人向けの学校が開校しており、上海は3校目となる。

 同電によると、上海市とその周辺には約50万人の台湾人が居住し、上海の現地校で就学する児童や学生は5000人以上に達する。

 現在は幼稚園と小学校だけだが、将来は中学、高校も開設する。数学など主要教科は台湾から招いた教師12人が担当し、体育、美術、音楽などは17人の中国人教師が担当する。(共同)

「台湾は国」で賠償請求 上海の教授、訴状提出

2005/09/01 The Sankei Shimbun

 国際的監査法人デロイトトウシュトーマツのウェブサイトで、台湾を国として扱ったのは中国の「反国家分裂法」違反として、上海の復旦大経済学院の教授が同社に謝罪や賠償を求める訴状を地元裁判所に提出した。1日付香港紙、太陽報が報じた。

 台湾独立阻止を狙い、3月に成立した同法に基づく訴状提出は初めてとみられるが、訴訟自体が成立するかどうか疑う声も出ている。教授は台湾が国として扱われ「精神的ダメージを受けた」と主張しているといい、裁判所は近く訴状を受理するかどうか決める。

 同紙によると、デロイト側はサイト上の「国」という表現を、今後は「国・地域」に書き換えるとの声明を発表している。(共同)

中国台頭は平和的、民主的に

2005年07月28日 Livedoor's News

台湾総統がテレビ会見で強調

【ライブドア・ニュース 07月28日】− 「中国の台頭は、平和的で、民主制の始まりでなくてはならない」。26日に台北の総統府と都内の日本外国特派員協会を結んだテレビ会見で、台湾の陳水扁総統は強調した。

 記者から「もし中国が破たんしたとしたら、どのような影響があるか」と質問された陳総統は、「台湾は中国に多額の投資をしているし、よいシナリオではないが、中国政府が透明性や民主性に欠け、社会的に巨大な不安定さを抱えていることが破たんの予測につながっている」と見解を示した上で、「中国当局が国民の目をそらすために、国家主義を使ったり、台湾侵攻に出ることを心配している」と述べた。その上で、「中国の指導層は台湾に敵対的だが、13億人の国民は同じことを考えているのか」と疑念を表し、中国経済への台湾の企業人の貢献度を評価すべきだと訴えた。

 また、陳総統は台湾の自由、民主主義は中国にとって模範となりうるとし、「13億人いる中国人の大半が台湾に対して敵対的だとは思っていない。願わくば、中国の国民が、胡錦涛主席その他の指導者に影響力を行使してほしい。われわれは胡錦涛主席や少数のエリートは、13億人いる中国の代表ではないと思っている」と強調した。

 最後に陳総統は日本人へ「中国を恐れない方が、中国から尊重される」とメッセージを送った。【了】

陳総統、中国の軍拡を批判

2005年07月26日 Livedoor's News

東京と台北、ネット回線で結び会見 日本外国特派員協会

【ライブドア・ニュース 07月26日】− 台湾の陳水扁総統は26日、台北と東京都千代田区の日本外国特派員協会をインターネット回線で結び、テレビ会見を行った。陳総統は「中国は対外的脅威がないにもかかわらず、軍拡を行っている。民主、平和を愛する国家としては、当局の真意を測りかねている」と述べ、中国政府を批判した。

 陳総統は、中国のミサイルが台湾に向けて大量に配備されていることや、誘導ミサイルがインドやロシア、米国、ニュージーランドまで広くカバーしていることなどを挙げ、「非平和的な形での中国の台頭は、アジア・太平洋地域の平和や安全保障、民主化の推進に脅威になる」と指摘。「中国が台頭するとしても、全地球的な民主社会の中で存在を生かすためには平和的な台頭である必要があり、民主化の兆しが伴っていなければならない」との見解を示した。

 その上で、陳総統は「中国政府が既に発表した北京五輪のテーマは『一つの世界 一つの夢』。いずれ中国が国際民主社会の一員となり、我々とともに平和の世界を、自由の夢を追求する日を待ち望んでいる」と語り、そのための支援をする用意があると表明した。【了】

台湾の陳総統「中国の軍拡、世界の懸念要因」

2005/07/26 NIKKEI NET

 【台北=山田周平】台湾の陳水扁総統は26日、台北市の総統府と都内の日本外国特派員協会を結んだテレビ会見で、中国が最低でも706基の短距離弾道ミサイルを台湾対岸に配備し、「アジア太平洋や世界の安全、平和の懸念要因となっている」と批判した。一方で、中台の経済関係の発展には政権当局間の対話を再開する必要があると改めて訴えた。

 陳総統は「北朝鮮の核の脅威については6カ国協議が開かれるのに、欧州連合(EU)の一部の国は対中武器禁輸の解除に動いている」と指摘。「これは(軍拡に対する)ダブルスタンダードだ」と述べ、国際社会の台湾支持を呼びかけた。

 中国は親中派野党トップを相次ぎ招いて経済関係拡大で合意したが、陳総統は通関などの公権力を持つ台湾当局と対話しなければ実現しないと強調。11月に韓国・釜山で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に出席し、胡錦濤国家主席と会談したいと重ねて述べた。

台湾海峡の兵力増強 米国防総省・対中年次報告

2005/07/20 The Sankei Shimbun

短距離ミサイル配備 年100基のペース

 【ワシントン=有元隆志】米国防総省は十九日、中国の軍事力に関する年次報告書を発表し、この中で、中国軍の近代化が周辺地域の軍事バランスを危険にさらし始めていると警告するとともに、軍拡がこのまま進めば、長期的には確実に中国は地域の脅威になるとの見通しを示した。

 報告書によると、中国軍は台湾の対岸に六百五十−七百三十基の短距離ミサイルを配備。配備は年百基の割合で進んでおり、射程が延び、精度も向上しているという。このため、報告書は台湾海峡をはさむ中台軍事バランスが中国寄りに傾きつつあると分析している。

 さらに五十五隻の攻撃型潜水艦や二隻のロシア製ソブレメンヌイ級駆逐艦を配備していることなどを列挙、中国が制空権、制海権の確保に力を入れていることに対し警戒感を示した。

 急激な経済成長に伴いエネルギーの海外依存を強めていることが中国の戦略に影響を与えているとし、こうした背景から、ロシアや中央アジア、スーダンやアンゴラ、ベネズエラとの関係を深めていると分析した。

 中国の軍事費は、公表されている予算に外国からの兵器購入や軍事関連技術の研究費などが含まれておらず実際には公表額の二−三倍になっており、二〇〇五年は最大九百億ドルに達して米国、ロシアに次ぎ世界第三位になっているとしている。

中国は周辺諸国の脅威 各種軍事作戦可能に 米国防総省

2005/07/20 The Sankei Shimbun

 米国防総省は19日、中国の軍事動向に関する年次報告書を米議会に提出、公表した。昨年11月の中国原子力潜水艦による日本の領海侵犯を例に、国境を越えた活動を活発化させていると指摘。台湾を越えてアジアでさまざまな軍事作戦を遂行する能力を持つようになると強調した上で、中国の軍事力拡大や近代化が続けば、長期的には日本を含めた周辺諸国にとって確実に脅威となると警告した。

 国防費については、中国政府が3月に公表した約300億ドル(約3兆3600億円)に対し、実際はその2―3倍と推定。東シナ海での資源をめぐる日中両国の緊張や、地域紛争の恐れに懸念を示した。

 年次報告書は、急速な経済発展を続け大国として台頭する中国に対し、米議会を中心に高まる脅威論を反映。戦略的な資源確保を目指した中南米や中東諸国への接近にも警戒感を示した内容で、中国側の反発が予想される。

 報告書は、台湾や日本の一部が射程内に入る中国の短距離弾道ミサイルが昨年報告時の500基から650―730基に増強されたと指摘。大陸間弾道ミサイル(ICBM)などの能力向上も図っているとした。

 中国の将来については、経済発展から領土紛争まで複数のシナリオを提示。資源をめぐる紛争の発生や、中国指導部が武力行使に訴える可能性にも言及した。

 また中国の軍拡が周辺地域の軍事的バランスを危険にさらしており、対台湾では既に中国が優位に立っているようだと指摘。一方で周辺地域を超えた軍事的な影響力に関しては、限定的なものにとどまるとしている。(共同)

中国は長期的な脅威 国防予算は公表の2―3倍

2005/07/20 The Sankei Shimbun

 米国防総省は19日、中国の軍事動向をまとめた年次報告を発表、国防予算が公表されている額の2―3倍と推定されると指摘、急速な軍近代化が継続すれば長期的には周辺地域の確実な脅威となると警告した。

 報告書は、急激な成長を続け地域大国として台頭しつつある中国に関し、議会などを中心に高まる軍拡への警戒感を反映した内容となっている。

 報告書は、中国がエネルギー資源確保に向けて中南米や中東、ロシアへの急速な接近を図っていると指摘。エネルギー資源の確保問題が中国の戦略決定上の大きな要素となっていると述べている。

 さらに中国の軍拡が周辺地域の軍事バランスを危険にさらし始めていると警告した。(共同)

台湾、WHO参加条件に合わぬ 中国当局者

2005/05/02 The Sankei Shimbun

 2日付中国系香港紙、文匯報は、台湾が希望している世界保健機関(WHO)へのオブザーバー参加について「台湾は(参加の)条件に合わない」と指摘する中国衛生当局者の話を伝えた。

 一方、同当局者は、台湾が香港やマカオと同様「中国衛生当局の調整の下」でWHOに加盟することを支持すると表明。「中国のWHOとの唯一の連絡部門は中国衛生省だ」と強調した。

 4月29日の国共トップ会談では、台湾のWHO参加問題について「優先的に討議」することで双方が一致したが、衛生当局者の話は「一つの中国」原則を掲げ、台湾のオブザーバー参加を認めない中国の従来の立場が変わらないことを示した。(共同)

対中武器輸出に反対表明 首相、EUと首脳会談

2005/05/02 The Sankei Shimbun

 小泉純一郎首相は2日午前(日本時間同日夕)、ルクセンブルクで欧州連合(EU)議長国のユンケル首相、欧州委員会のバローゾ委員長との定期首脳協議を行った。双方は会談後、共同声明を発表し、中国の「責任ある建設的なグローバル・パートナー」としての重要性を確認。日本側はEUが検討している対中国武器輸出禁止措置の解除は、中国の軍事力増強につながりかねないとして反対を表明した。

 声明は、北朝鮮の核問題など冷戦構造の残る東アジアの安全保障環境に関して戦略対話を強化する必要性でも一致したが、EU側は対中武器禁輸に対する立場に言及しなかった。

 声明はまた、北朝鮮の核問題について平和的な解決を目指す双方の方針を明示した上で、核開発をめぐる6カ国協議への無条件復帰と核計画の全面廃棄を要求。EU側は拉致問題の解決に向けた努力を強く支持すると確認した。イランの核開発計画放棄に向け交渉を進めている英国、フランス、ドイツの努力に支持を表明し、ウラン濃縮活動を完全に放棄した場合の世界貿易機関(WTO)加盟申請の受け入れに前向きな姿勢を示した。

 1991年から始まった日本とEU(93年までは前身の欧州共同体)の定期首脳協議は94年を除き毎年開催され、今回が14回目。小泉首相はこれに先立ちユンケル首相と個別会談した。(共同)

連戦主席への「プレゼント」 中国、台湾の一部農産物免税か

2005/05/01 The Sankei Shimbun

 1日付の香港紙、明報は、中国が台湾の対中国輸出農産物の一部に対する免税措置を近く発表すると報じた。中国の胡錦涛国家主席と4月29日に会談した台湾の連戦・国民党主席への「プレゼント」として、連氏が3日に台湾へ戻る前に発表するとしている。

 会談で国民党側が台湾農産物への市場開放や免税を求めたという。

 同紙はまた、特定品の関税撤廃を盛り込んだ中国と香港、マカオ間の「経済協力協定(CEPA)」を参考に、中国が台湾との間でも市場拡大を検討していると伝えた。

 台湾の陳水扁総統は、中国とのCEPA締結は「台湾を中国の特別行政区へ矮小(わいしょう)化するものだ」と拒否する構えを見せている。(共同)

「台湾分裂の戦略」 李登輝前総統、連戦主席を批判

2005/05/01 The Sankei Shimbun

 台湾の中央通信によると、李登輝前総統は4月30日、国民党の連戦主席と中国共産党の胡錦涛総書記(国家主席)による29日の会談について「台湾を分裂させるための戦略だ」などと批判した。

 また呂秀蓮副総統も「(会談は)何ら具体的な中身がない。連氏は台湾人民を分裂させ国家主権を矮小(わいしょう)化した」などと語った。(共同)

中国と民主・平和・対等の対話を 陳総統

2005/05/02 The Sankei Shimbun

 台湾の中央通信によると、陳水扁総統は2日、訪問中のマーシャル諸島で、中台関係について「民主、平和、対等の3原則の下でなら、正式な対話の扉は常に開かれている」と述べ、中国との対話に意欲を示した。

 中国が3月に制定した反国家分裂法については「他国を武力で侵略する戦争授権法」とあらためて批判する一方、中台関係の緊張緩和のため、早期に軍事的な信頼醸成メカニズムをつくる必要性を強調した。(共同)

国民党主席、北京入り 中国国家主席とトップ会談へ

2005/04/28 The Sankei Shimbun

 中国を訪問中の台湾・国民党の連戦主席は28日、特別機で南京から首都、北京に到着した。

 連主席は空港であいさつし、中台関係について「和解と対話を通じ、平和と共栄の未来をつくりあげることは、われわれの歴史的な責任だ」と述べた。

 空港では中国国務院(政府)台湾事務弁公室の陳雲林主任や北京市幹部らが出迎えたほか、約100人の子どもたちが花束を振りながら「熱烈歓迎」と叫び、1949年の中台分裂後初の国民党主席の北京入りを盛り上げた。

 連主席は29日、中国共産党の胡錦涛総書記(国家主席)と60年ぶりの国共トップ会談に臨み、中台の緊張緩和などについて話し合う。(共同)

「早期の対中武器禁輸解除はない」、欧州委員長会見

2005年04月29日 asahi.com

 欧州連合(EU)欧州委員会のバローゾ委員長は28日、小泉首相と5月2日にルクセンブルクで会談するのを前に、ブリュッセルで日本メディアと会見した。日本が懸念を示しているEUの対中武器禁輸解除について、「EU加盟国間で合意に至っていない。決定は近くない」との考えを示した。

 また日本とEUが誘致を競う国際熱核融合実験炉(ITER)については、中山文部科学相とポトチュニク欧州委員(科学・研究担当)が「7月初めの主要国首脳会議までに政治決着する」と合意したことを挙げ、「楽観的な見通しを持っている。(交渉にかかわる日本とEU、米国、中国、韓国、ロシアの)6者が貢献できる形で合意できるだろう」と述べた。

連戦主席、孫文の墓を参拝 数千人の市民が歓迎

2005/04/27 The Sankei Shimbun

 中国を訪問している台湾最大の野党、国民党の連戦主席は27日午前、同党創設者で中華民国(台湾)建国の父、孫文(1866−1925年)が眠る南京の中山陵を参拝、数千人の市民が沿道を埋め尽くし歓迎した。

 歓迎の人波の中には統一推進派のほか、一般市民も多く、浙江省杭州から家族と来たという会社員(36)は「両岸(中台)が緊張しているので、庶民は安定を望み、連主席を歓迎している」と語った。「中華民国の復興」を訴え、横断幕を張った男性が拘束される場面もあった。

 連主席は参拝後、声明を発表し、「革命の先達」である孫文を見習って、「(中台が)ともに努力し、この21世紀に意気盛んな中華民族となろう」と呼び掛けた。

 27日午後には、かつて孫文が執務した南京市内の「総統府」も訪問。28日に空路北京に向かう。(共同)

国民党主席、中国へ出発 「台湾売り渡し」と抗議も

2005/04/26 The Sankei Shimbun

 台湾の最大野党、国民党の連戦主席は26日午前、同党主席として1949年の中台分裂後初の中国訪問のため台北を出発した。連主席は香港経由で同日午後、中国江蘇省南京に到着する。

 主席は訪中を「平和の旅」と位置付け、中台の共存共栄の道を探るが、独立派は「共産党と連携して台湾を売り渡す行為」と激しく批判。空港では李登輝前総統が率いる独立派政党、台湾団結連盟(台連)などが1000人規模の抗議行動を繰り広げ、連主席支持者ともみ合いとなった。

 連主席は出発前に空港であいさつし、中国共産党の胡錦涛総書記(国家主席)との会談について「平和問題や経済貿易、文化交流などについて広く意見を交換したい」と意欲を示した。

 台湾紙、中国時報の世論調査によると、連主席訪中に「賛成」が44%に上り、「反対」の27%を大きく上回った。こうした世論の背景には、2000年に民主進歩党(民進党)の陳水扁氏が総統に就任した後、中国側が陳総統を「独立派」と批判し、中台間の本格的な対話が止まっていることへの懸念がある。

 李前総統は連主席訪中を容認した陳総統に対しても「弱腰」と批判を強めており、台連と民進党の与党連合解消の危機もささやかれている。連主席訪中の結果によっては、陳政権はさらに苦しい立場に立たされそうだ。(共同)

「平和共存」模索へ、台湾の連戦氏26日に訪中

2005/04/25 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【台北=石井利尚】台湾の最大野党・国民党の連戦主席が26日、中国を訪問する。

 1949年の中台分断後初の国民党主席訪中となる今回、連氏は中国共産党の胡錦濤総書記(国家主席)と、60年ぶりの「国共トップ会談」を行い、中台関係改善を目指す。訪中日程は8日間で、南京、北京、西安、上海を訪れる。

 連氏は25日、台北で記者会見し、「対話と和解が主要なテーマになる。現実を重視し、(中台)双方が未来と平和を共に作り出し、互いの利益になる局面につながれば」と期待を語った。連氏は、中台が「分かれて統治されている(分治)」現実や「台湾独立反対」などを中国側と確認し、台湾住民の大多数が求める「現状維持」と「平和共存」の道を探る見通しだ。

台湾企業の対中投資が半減 「反国家分裂法」制定で

2005/04/24 The Sankei Shimbun 東京朝刊から

 台湾企業による中国への投資件数(認可ベース)が、今年1−3月期に前年同期比で47.8%少ない289件と、ほぼ半減したことが、行政院経済部(経済産業省)投資審議委員会が23日までにまとめた報告書で明らかになった。

 中国による3月の「反国家分裂法」制定によるリスク増大で、台湾企業の対中進出マインドを冷え込ませた、と同委では話している。また、対中投資認可額も12億716万米ドルと同6.6%マイナスになった。(台北 河崎真澄)

国民党主席、26日初訪中 胡錦濤総書記と会談へ

2005/04/20 中国新聞ニュース

 【台北20日共同】台湾の最大野党、国民党の林豊正秘書長は二十日、同党の連戦主席が二十六日から五月三日まで訪中し、二十九日に北京で中国共産党の胡錦濤総書記と会談すると発表した。

 国民党主席の訪中は一九四九年の中台分裂後、初めてで、国共トップ会談は六十年ぶり。連主席は胡総書記と「中台の平和について建設的な対話を行う」(林秘書長)としており、中国の反国家分裂法制定で悪化した中台関係の改善を図る。

 林秘書長は、トップ会談は「台湾海峡の平和づくりに大いに有益」と述べたが、具体的な協議内容は明らかにしなかった。連主席は「平和の旅にしたい」と意欲を見せており、「平和共存」や「台湾独立反対」などを共産党と確認するもよう。

 台湾の与党、民主進歩党は頭越しの「国共合作」について「台湾の主権を矮小(わいしょう)化し、政府の地位を弱め、台湾内部の分裂を図るものだ」(蘇貞昌主席)と反発しており、野党党首の訪中成果が速やかに政策に反映されるかどうかは不透明だ。

 中国側は、独立志向の強い民進党けん制を狙って連主席訪中を盛り上げるとみられ、連主席は北京大学で講演するなど「元首並み」の待遇を受ける。主席は北京のほか南京、西安、上海を訪問する。

対中武器禁輸解除 米、EUと高官協議へ 国務次官、一層の慎重姿勢促す

2005/04/16 The Sankei Shimbun

 【ワシントン=樫山幸夫】欧州連合(EU)の対中武器禁輸措置解除の問題をめぐり、米政府高官は十四日、解禁反対を改めて鮮明にし、この問題で近く、EU側と高官協議を行うことを明らかにした。米国はこの席で、一部のEU加盟国が決めている中国への最新軍事技術供与についても協議したい意向だ。米高官発言は、解禁延期も検討中のEUの姿勢に米側がなお懸念を抱き、厳しい姿勢を維持していることを示している。

 米・EU高官協議は、十四日に開かれた米下院外交、情報特別の両委員会の合同公聴会で、バーンズ国務次官(政治担当)が明らかにした。それによると、協議はアジア太平洋の安全保障をテーマとして、対中武器禁輸解除を主要議題にする。

 将来の完全な対中武器輸出解禁の問題に加え、フランス、ドイツなどが過去に決めている火器管制レーダー、航空機エンジン、潜水艦に関する技術、海洋レーダーなどの対中供与についても米国は慎重姿勢を促す。

 国務省によると、米政府からは、バーンズ次官自身が首席代表として出席する。EU側のメンバーや具体的な日程、開催場所はなお調整中という。

 この公聴会での証言でロドマン国防次官補(国際安全保障問題担当)は、EUの解禁延期検討を念頭に、「解禁に向けた動きは沈静化しているようにみえ、すぐに実現する可能性は少ない。しかし、この問題は、EUとの関係において(未解決のまま)残っており、われわれの考え方も従来と変わらない」と述べ、EUがなお解禁の時期を探っていることを指摘、反対姿勢を強調した。

 バーンズ次官も「EUが直ちに解禁に踏み切ることはないと思うが、われわれは今後も、この問題を対EU関係の最優先課題に据える」と、今後ともEUに強く再考を迫っていく方針を示した。

 バーンズ次官はEUが解禁へと動く背景について、対中ビジネス拡大が動機だとしつつも、EU加盟国には中国が軍事大国化し世界が多極化することで米国の力が相対的に低下するのを望む勢力があるとも説明。EUからの武器供与が中国による台湾侵攻の懸念を高めることになると警告した。

 また、この問題で、今後も日本と緊密な協議を続ける考えを示した。

対中武器禁輸解除 EU高官「直ちに輸出はせず」

2005/04/16 The Sankei Shimbun

 中国に対する武器禁輸措置の解除を目指す欧州連合(EU)の高官は十五日、東京都内のEU代表部で記者説明を行い、「EUには武器輸出に関する管理体制があり、解禁したからといって直ちに武器を輸出するわけではない」と述べ、EUの立場に理解を求めた。

 同高官らは、EU側の考え方を日本政府に説明するため、来日した。

 同高官は、EUが天安門事件以来取ってきた対中武器禁輸の解除へと動いている理由として、「定期的に中国の人権状況を評価しており、地方選挙、少年の刑事裁判制度の点などである一定の改善がみられた」と人権状況の改善を挙げた。さらに、EUが六月末の議長国交代までに、武器禁輸解除の透明性を確保するための新たな管理措置の策定を進めている点を指摘し、「この条件が整わない限り、中国への武器禁輸解除は行わない」と保証した。

 イラン、北朝鮮に対しては禁輸措置を取っていないにもかかわらず武器輸出を行っていないことなどを例に引き、「中国への禁輸措置を解除したからといって、実際にすぐに武器輸出を行うものではない」と述べた。EUの代表団は今回、オーストラリア、韓国も訪れる予定。(杉浦美香)

                ◇

 逢沢一郎外務副大臣は十五日午後、対中武器禁輸解除について説明するため訪日した欧州連合(EU)代表団と外務省で会い、「今後、武器禁輸の解除により、アジアの情勢が変わるかもしれない」と懸念を示して、反対を伝えた。

 逢沢氏は中国が台湾の独立阻止を狙った反国家分裂法が制定されたことなどを指摘したが、代表団は「厳格な輸出管理体制が存在し、解除しても実際の武器輸出につながるわけではない」と、従来の見解を説明するにとどまった。(時事)

台湾、新華社と人民日報の取材禁止「民意ねじ曲げた」

2005/04/10 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【台北=石井利尚】台湾の対中国政策を担当する行政院大陸委員会の呉燮(ご・しょうしょう)主任委員(閣僚)は10日、中国の国営新華社通信と中国共産党機関紙「人民日報」の2社の台湾での取材を当面禁止する方針を明らかにした。

 禁止理由について、大陸委員会は、台湾への武力行使の法的根拠となる中国の反国家分裂法を「2社が、法律に反対する台湾の民意を無視し、ねじ曲げて報道した」ためで、事実上の報復措置と見られる。

 台湾当局は2000年、中国メディアの記者の駐在取材を認め、中国中央テレビなど5社が活動している。中国も台湾メディアの中国駐在取材を認めている。

 2社が禁止対象となったのは、中国の新聞やテレビ、インターネット報道では、政治的に敏感なニュースは2社の記事に準拠する必要があり、中国での影響力が突出しているためだ。

 さらに、大陸委員会は、中国政府が台湾のインターネットサイトを閲覧できないよう規制しているため、「中国人が台湾社会を理解できなくなっている」(呉主任委員)と非難した。

 台湾当局は、陳水扁政権に反対する一部野党勢力の声を取り上げながら台湾世論が反国家分裂法を支持しているかに伝える、中国の官製報道に不満を募らせている。

中国、沿岸防衛強化へ 台湾有事など想定か

2005/04/05 The Sankei Shimbun

 中国政府は沿岸防衛の専門家らで構成する新機構を発足させ、ハイテク化を柱とした本格的な沿岸防衛システムの整備に着手した。4日の新華社電が伝えた。

 同電によると、発足したのは関連重要拠点の建設を指導する新機構。しかし、新機構の名称やメンバーは不明。

 新中国成立後の沿岸防衛強化策としては最大規模の取り組みという。台湾有事などを想定した対応とみられる。(共同)

中国が統一攻勢強める、台湾第2野党主席の訪中も招請

2005/04/03 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【台北=石井利尚】台湾のTVBSテレビによると、中国の陳雲林・共産党中央台湾工作弁公室(国務院台湾事務弁公室)主任は1日、同テレビの取材に対し、台湾の最大野党・国民党の連戦主席に加え、第2野党・親民党の宋楚瑜主席の訪中も招請する考えを示した。

 陳主任は「親民党の訪問団を歓迎する。同時に、都合の良い時期に宋楚瑜氏が党主席として大陸に来ることも歓迎する」と述べた。

 これに対して、親民党幹部は2日、「今は時期尚早」との見解を示した。早ければ5月下旬に実現する連戦主席訪中に向けた動きを見守る考えと見られる。宋主席は2月、陳水扁総統と「独立宣言しない」など対中関係改善のための10項目の政策合意をした。中国は、陳総統に対する「発言力」がある宋主席に働きかけることで陳政権への圧力となることを期待し、統一攻勢に出ているものとみられる。

 もともと、主席訪中を含め対中改善に積極的だったのは親民党。そのため、陳総統の与党連合は、国民党と親民党が、対中改善の「功績」争いに走り、中国の「統一ペース」に乗せられることを強く懸念している。

中国首脳が連戦・国民党主席の訪中を招請

2005/03/31 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【北京=佐伯聡士】1949年の中台分断後初めて公式訪中した台湾の最大野党・国民党の代表団(団長=江丙坤・党副主席)は31日北京で、胡錦濤政権ナンバー4の賈慶林・人民政治協商会議主席、唐家セン国務委員と相次いで会談した。(センは王へんに「旋」)

 新華社電などによると、賈主席は「国民党などの団体が(中台の)経済文化交流の推進につとめてくれたことを称賛する」と語った上で、連戦・国民党主席の訪中を招請した。中国には大陸生まれの国民党との関係を重視する姿勢を示し、協調を最大限演出することで、「一つの中国」原則を受け入れず、「本土化」(自立化)路線を進める陳水扁政権への圧力を強める狙いがあるものと見られる。

 江副主席らは31日、会談に先立って北京郊外の香山の寺院にある孫文記念堂を訪問。30日朝にも、蒋介石の国民党政権が首都を置いた江蘇省南京にある孫文の陵墓「中山陵」を参拝し、連戦主席と全党員を代表して献花を行った。江副主席は記者団に対し、「両岸(中台)人民は孫文氏を師として、ともに利益を得られる局面を造り出すべきだ」と語り、交流強化の必要性を訴えた。

 一方、江副主席らは30日、陳雲林・党中央台湾工作弁公室(国務院台湾事務弁公室)主任と、経済面での協力拡大をめぐって協議。中台間の直行チャーター便を祝日ごとに運航させるとともに、定期化の早期実現を目指すことなどで合意した。台湾農産物の中国での販売拡大や市・県レベルの交流促進、金融・保険サービスの協力推進などが含まれている。

 中国は3月中旬、「台湾独立」阻止を目的とする「反国家分裂法」を施行した後は、逆にソフトイメージを前面に打ち出している。

 特に、大陸との経済関係強化を切望する経済界に対して“経済カード”を切り、陳水扁政権と離間させる戦術に力を入れており、今回の合意はまさにそうした方針を具体化するものだ。

台湾立法院長、中台相互訪問実施の希望を表明

2005/03/30 読売新聞 Yomiuri On-Line

 台湾の王金平・立法院長(国会議長に相当)は29日、呉邦国・中国全国人民代表大会(国会)常務委員長と中台相互訪問を実施したい意向を表明した。

 対中改善を目的にする「両岸(中台)事務対策チーム」を立法院に設置し、与野党で大陸訪問団を組織して、自身が参加するというものだ。

 王院長は、「(中国が制定した)反国家分裂法に台湾住民が失望している今だからこそ、台湾に有利になる要素を見つけて、話し合おう」と訴えた。

 王院長は、野党・国民党の副主席で、次期主席候補の一人。野党が過半数を占める立法院で対中改善を主導することで、国民党や、自身の政治実績作りにつなげる狙いがありそうだ。(台北支局)

台湾国民党、分断後初めて訪中団を派遣

2005/03/28 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【台北=石井利尚】台湾の最大野党・国民党の訪中代表団(団長=江丙坤・党副主席)が28日、広州に到着した。同党が単独で代表団を中国に派遣したのは、1949年の中台分断後初めて。

 代表団は、大陸で生まれた国民党の歴史をアピールしながら、経済界や国際社会が望む中台関係改善の実績作りを狙う。同党は、今回の代表団派遣を土台に、夏前には連戦主席訪中も実現させたい考えだ。

 訪中団は、李登輝前政権で経済部長(経済産業相に相当)などを歴任した経済通の江氏のほか、立法委員(国会議員)や企業家など34人で構成している。訪中名目は、「中国革命の父」・孫文の死去80周年を機に、江蘇省南京にある孫文の墓などを訪れることだ。

 5日間の訪中日程では、孫文が拠点とした広州から、蒋介石の国民党政権が首都を置いた南京を回り、30日に北京に入る。

 北京では31日に中国共産党要人との会見を予定。相手は、統一戦線問題を担当する賈慶林・人民政治協商会議主席(党政治局常務委員)が有力視されている。

 このルート設定は、「『中華民国』建国の先達を追想」(江氏)した上で、国共両党の改善を図ろうとするものだ。独立志向が強い与党・民進党にはできない演出と言える。

 江氏は27日、台北で記者団に、中国との経済貿易交流強化の必要性も強調。貨物チャーター便など中台間の直行問題を中国高官と協議したいと語った。また、100万人ともされる在中国台湾人ビジネスマンの要望を伝える考えも示した。

 与党連合の一部は、中国の反国家分裂法制定を機に、台湾企業の対中投資など経済交流を抑制すべきだと主張し始めている。

 陳水扁政権に対抗する国民党にとって、中国との協調、中台関係改善は、党勢拡大戦略の要だ。訪中の成果が台湾で歓迎されれば、今年12月の県長・市長選挙、さらには2008年の次期総統選にも光明が差す。

 政治問題では、連主席は台湾の住民感情にも配慮して、「(台湾が)独立を求めない代わり、中国も武力威嚇をやめる」との「不独不武」が重要と強調している。訪中団も中国側にこの姿勢を伝えると見られる。

 一方、「一つの中国」を堅持する中国にとって、国民党が自ら大陸生まれの政党であることを強調することは大いに歓迎できる。

 また、反国家分裂法制定で台湾や国際社会の対中世論が悪化しており、平和的な対話を重視する姿勢を内外に示すチャンスともなる。もちろん陳政権をじわりと追い込む狙いもある。

台湾の抗議デモ、中国新華社が批判

2005/03/27 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【北京=佐伯聡士】新華社通信は26日夜、中国の「反国家分裂法」に対する台北での抗議デモについて、「両岸(中台)対立を引き起こし、新たな緊張をつくり出そうとするものだ」と批判する論評記事を配信した。

台湾で100万人デモ、中国「反国家分裂法」に抗議

2005/03/26 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【台北=石井利尚】中国が台湾独立阻止を目的に制定した「反国家分裂法」に抗議する大規模デモが26日、台北市内で行われ、陳水扁総統ら主催者発表で約100万人が参加した。

 同法は台湾への武力行使の法的根拠となるもので、参加者は「武力による威嚇や併合に反対。台湾の民主主義と平和を守ろう」などと訴えた。

 ただ、「反中派」の一部住民が中国国旗を燃やすなどしたものの、主催した与党・民進党は全体的に「反中色」を抑え、「平和を求める台湾」を前面に打ち出した。陳総統も演説を行わず、台湾海峡の緊張を望まない米国など国際社会や、対中関係改善を求める野党支持者に配慮した。

 陳政権は、同法の賛否を問う住民投票などの対抗措置は見送る方針。「平和的で理性的なデモ」(当局)を通して、台湾住民が同法を受け入れる意思がないことをアピールする一方、民主主義の価値観を共有する日米欧の支持を得て、欧州連合(EU)が検討中の対中武器禁輸解除の動きをけん制する狙いがあると見られる。

 今回のデモは台北でのものとしては史上最大規模。ただ、治安当局者は参加者を約50万人としている。

 参加者は10グループに分かれて台北郊外を出発。「ミサイル反対」「民主擁護」などのプラカードを掲げ、約2時間かけて総統府前に集結した。デモには、李登輝前総統や謝長廷・行政院長(首相に相当)ら与党連合の幹部も多数参加。陳総統は、昨年3月の銃撃事件の影響で数百人の警備陣に包囲されての参加となった。

 台湾北西部の新竹から来たIT(情報技術)企業勤務の男性(32)は、「台湾は中国の武力威嚇に平和的手段で対処するしかないので参加した。両岸(中台)関係の改善を願っている」と話していた。

台湾・奇美実業グループの許氏、「1つの中国」を支持

2005/03/26 NIKKEI NET

 【台北=山田周平】26日付の台湾紙、経済日報によると、化学品や液晶パネルを手掛ける奇美実業グループの創業者、許文龍氏が中国の主張する「1つの中国」原則への支持を表明した。台湾の大物経営者である許氏は2000年の総統選挙で中国が「独立派」と見なす陳水扁候補(現総統)を支持し、名指しで批判されていた。

 中国側が許可に難色を示しているとされる奇美グループの中国ビジネスを円滑に進めるための「転向」とみる向きが多い。

 許氏は同紙に寄せた声明文で「台湾と大陸は1つの中国に属し、両岸の人民は同胞だ」と主張。奇美の中国投資には「経済格差を縮めて両岸の人民、つまり中国人を豊かにする」狙いがあり、反国家分裂法の制定で「心が落ち着いた」とした。

陳総統もデモ参加へ 反国家分裂法に抗議

2005/03/24 The Sankei Shimbun

 台湾の陳水扁総統は24日、中国が台湾独立阻止を狙って制定した反国家分裂法に抗議するため26日に台北市内で行われる100万人規模のデモ行進に家族とともに参加すると発表した。

 デモは与党、民主進歩党(民進党)主催。当初は50万人規模の予定だったが、陳氏が12日、100万人規模に拡大するよう呼び掛けていた。

 台湾紙によると、陳政権は当初、反併合法制定など法的対抗措置も検討したが、中台対立が深まることを懸念する日米などに配慮し、平和的なデモ行進にとどめることにしたという。

 陳氏がデモ参加を決めたのも、日米の支持が得られると判断したためとみられる。ただ、当日は、中国を刺激することを避けるため演説はしないという。(共同)

訪中旅客の報告義務付けか 台湾当局、業者は反発

2005/03/19 The Sankei Shimbun

 19日付台湾各紙によると、台湾の内政部(内政省)はこのほど、航空会社や旅行会社に対し、中国を訪問する台湾人旅客の個人データの報告を義務付ける意向を示した。

 訪中した旅客の正確な人数把握や、中国で新型肺炎(SARS)や鳥インフルエンザなどの疫病が発生した際の予防態勢強化が目的で、中台交流に関する条例の規定に沿った措置としているが、業者側は「プライバシー侵害」と反発している。

 反国家分裂法制定を受け、中国当局が台湾取り込み攻勢を強めることを警戒する台湾の対中政策当局は退役軍人らを対象にした訪中制限政策の実効性を高める必要もあると指摘、報告を拒んだ業者への罰金も検討されている。

 台湾に乗り入れている外国の航空会社は「本国政府は旅客のプライバシーを犯す政策に応じることに同意しない。最悪の場合、運航停止の可能性も排除できない」と述べた。(共同)

社説:反国家分裂法 台湾への北風は日中も冷やす

2005年3月15日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE

 中国が全国人民代表大会(全人代)で反国家分裂法を制定した。

 台湾が独立に動けば非平和的手段、すなわち武力を行使するという内容である。台湾進攻に国内法的根拠を与えるものだ。目的が台湾独立勢力への政治的恫喝(どうかつ)だとしても、結果的には台湾海峡の軍事的緊張を確実に高めた。

 日本にとっても反国家分裂法は人ごとではない。なぜなら、中国の立場では、尖閣諸島(中国名は釣魚島)は中国の不可分の領土である台湾省の一部であるからである。中国の世論には民族主義の高まりが見られる。万が一にも反国家分裂法の矛先が尖閣諸島問題に向かうことのないようにしてもらいたい。

 この全人代で胡錦濤国家主席は国家軍事委員会主席の座を江沢民氏から引き継いだが、胡氏は、すでに昨年、党中央軍事委員会主席に就任している。中国軍は、国家の軍ではなく共産党に直属する軍なので、実質的な統帥権は胡氏に移った。

 胡氏への軍権移譲と同時に中国軍には大きな変化が起きている。ほぼ陸軍一色だった党中央軍事委員会と総参謀部に、海軍、空軍、戦略ミサイル軍の出身者が組み込まれ、4軍の統合的な運用を目指し始めたことだ。

 具体的には海軍、空軍、ミサイル軍の各司令官がそろって軍事委員に昇格した。副総参謀長も増員され、陸軍のほかに海軍、空軍の中将が任命された。

 海空重視の兵器近代化は江沢民時代に急速に進んだ。胡錦濤時代になってもこの傾向は変わらない。大陸国である中国が海空軍力を充実させる目的は、海峡を隔てた台湾以外には考えにくい。新しく中国軍の中核となった海軍、空軍、ミサイル軍出身の高官たちは、ほとんど1996年の台湾海峡危機を現場で体験した台湾作戦の専門家だ。

 台湾海峡危機では、中国が海峡の南北に演習用ミサイルを発射した。これに対抗して米国の空母機動部隊が海峡に接近し威嚇した。

 米空母の行動は、当時の中国の戦闘機の飛行距離が短かったから可能だった。いまでは中国新鋭戦闘機の作戦可能な空域は台湾本島まで広がった。潜水艦隊の増強も急いでいる。もし台湾海峡危機が再発しても、米空母はもう海峡に近づけないと言われている。

 兵器の増強が緊張を高めるのか、緊張が高まるから兵器が増強されるのか、ニワトリとタマゴのような関係だ。

 中国の本来の目的は統一にあるが、台湾には民意によって選ばれた総統も議会もある。台湾総統が独立を宣言しても承認する国はないだろうが、「統一法」を提案し議会で可決すれば、即座に台湾統一は実現する。それが夢物語なのは、台湾の人々が中国との統一を望んでいないからだ。武器を突きつけて統一を迫る中国指導者をどうして同胞として信用できるだろうか。北風を吹かせても凍った民心は解かせない。日中関係にもマイナスだ。

反国家分裂法を採択 中国全人代が閉幕

2005/03/14 The Sankei Shimbun

 北京で開かれていた中国の第10期全国人民代表大会(全人代=国会)第3回会議が14日、台湾独立阻止を狙った反国家分裂法案や政府活動報告、2005年度予算案などを採択、閉幕した。

 反国家分裂法は「非平和的方法」で台湾問題を解決できると明記し、武力行使に法的根拠を与えた。中国は同法制定により、独立勢力抑え込みを図るとともに、胡錦涛指導部の統一への強い決意を国際社会にアピール。一方、今後も台湾との経済や民間交流の強化を図るなど硬軟両様の政策を展開していく構えだ。

 これに対し、台湾与党は100万人規模のデモを計画するなど反発。米国も見直しを求めるなど波紋が広がっている。中断したまま再開のめどが立たない中台間の政治対話への対応も含め、胡指導部の今後の対台湾政策が注目される。

 中国筋によると、反国家分裂法案は、当初の11条を10条とするなど若干修正されたが、大きな変更はなかった。新華社電によると、表決結果は総数2901のうち賛成2896、反対ゼロ、棄権・無効5だった。

 全人代はまた、今年の経済成長率目標を昨年実績の9.5%を下回る「8%前後」として安定成長を重視、貧富の格差を抑えるなど「調和の取れた社会」づくりを目指す方針を示した温家宝首相の政府活動報告を採択。

 今回の全人代では江沢民前国家主席が最後の指導者ポスト、国家中央軍事委員会主席を辞任し、胡錦涛国家主席が13日、後任に選出された。(共同)

台湾与党50万人デモへ 反国家分裂法批判強める

2005/03/10 The Sankei Shimbun

 台湾の与党、民主進歩党(民進党)の蘇貞昌主席は10日、中国が台湾独立阻止に向けて採択を目指している反国家分裂法に抗議するため、26日に台北市で50万人規模のデモ行進を行うと発表。陳水扁総統は10日「台湾海峡問題の平和的解決」を盛り込んだ日米の共通戦略目標に反していると批判するなど、台湾は同法への批判を強めている。

 中央通信によると、陳総統は「中国は対台湾武力行使方針を放棄せず、706基の戦術ミサイルを配備しており、台湾海峡の現状維持、アジア太平洋地域の安定と平和にとって大きな脅威だ」と指摘、「台湾問題を非平和的方法で解決しようとしている」と非難した。

 さらに欧州連合(EU)が検討している対中武器禁輸解禁について「非平和的国家が民主的な台湾に対し、武力を使うことを支持するのに等しい」と反対する態度を示した。

 蘇主席は反国家分裂法は「両岸(中台)の現状を破壊し(軍部に)戦争の権限を授ける法案」と非難、デモにより「主権を守り、自由と平和を追求しようという台湾住民の熱意と固い意志を全世界に伝える」と強調した。野党や民間団体にも参加を呼び掛けるという。(共同)

中国は対台湾法案再考を 緊張緩和に「無益」と米報道官

2005/03/09 The Sankei Shimbun

 マクレラン米大統領報道官は8日の記者会見で、対台湾武力行使に初めて法的根拠を与える中国の反国家分裂法案について、中台緊張緩和への流れに冷水を浴びせる「無益なものだ」と指摘し「法案を成立させることを見直すよう求める」と表明した。

 また、米太平洋軍のファロン司令官(海軍大将)は8日の上院軍事委員会で証言し、中国がロシアから潜水艦や航空機を購入するなどして軍備拡大を続けている点に言及、同法案が中国の軍事力増強を一層、加速させる要因になりかねないと強い憂慮を示した。

 報道官は、同法案が「台湾への懲罰的手段」を認める内容となっていると指摘。「われわれは平和的手段ではない方法で台湾の将来を決めるいかなる企てにも反対する」と述べた。

 また、台湾の独立は支持せず「一つの中国」原則を堅持する一方、台湾の防衛支援をうたった米国内法「台湾関係法」に基づく武器売却は継続する政策をあらためて表明。中台双方に対話の促進を求めた。(共同)

中国軍上陸を想定、台湾が4月に軍事演習実施

2005/03/08 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【台北=石井利尚】台湾国防部(国防省に相当)は8日、中国人民解放軍の台湾攻撃に備える軍事演習を4月中旬に実施すると発表した。

 毎年恒例の演習だが、今年は台湾海峡に面した台湾島西部への中国軍上陸を想定した市街戦訓練などを重点に行う。中国の反国家分裂法案とは「無関係」(国防部報道官)としているが、武力行使を放棄しない中国に対して台湾防衛の意志と能力を示す狙いがあると見られる。

 国防部幹部は「市街戦が起こる可能性は大きく、西部の海岸地域はすべてが市街戦の現場になる可能性がある」と述べた。

台湾、中国の「反国家分裂法案」に非難声明

2005/03/08 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【台北=石井利尚】台湾の対中国政策を担当する行政院(内閣)大陸委員会は8日、中国の「反国家分裂法案」について、「武力で台湾を併合する企てを暴露するもので、人民解放軍に武力行使のための白紙の小切手を切った」と非難する声明を発表した。

 声明は「東アジアの平和と台湾海峡の安定を破壊し、台湾住民の自由な選択を侵害する粗暴な手段に対し、強烈に抗議する。両岸(中台)関係を改善しようとする台湾の努力を否定するものだ」と批判した。

 一方、台湾国防部(国防省)の劉志堅報道官は8日の記者会見で、中国の「反国家分裂法案」が規定する「非平和的方法」について、「人民武装警察などでなく軍事委員会に決定権を委ねたことから、中国の最終的な狙いは軍事行動を取ることと判断できる」と述べた。

反分裂法反対で5万人デモ 台湾の独立派政党

2005/03/06 The Sankei Shimbun

 台湾の独立派政党、台湾団結連盟(台連)は6日、台湾南部の高雄市で、中国が台湾独立阻止に向け採択を目指している反国家分裂法に反対するデモ行進を行った。中央通信によると、推計で5万人以上が参加した。

 台連の精神的リーダーである李登輝前総統は「反国家分裂法の制定は、対台湾武力行使と台湾併呑(へいどん)に法的根拠を与えるのが目的」と批判し、「台湾は中国に属さない独立国家であり、(中国が)反国家分裂法で台湾に制裁を加える理由は全くない」と強調した。

 与党、民主進歩党も同日、台北市内で反国家分裂法に反対する決起大会を開き、謝長廷・行政院長(首相)は「台湾は中国を挑発しない。台湾海峡の緊張状態が生まれた場合、中国の指導者が責任を負わなければならない」と中国側をけん制した。(共同)

中国全人代が開幕 台湾独立阻止に固い決意

2005/03/05 The Sankei Shimbun

 中国の通常国会に当たる第10期全国人民代表大会(全人代)第3回会議が5日午前、北京の人民大会堂で開幕した。温家宝首相は政府活動報告で、台湾の独立阻止のため今会議で採択を目指す反国家分裂法について「独立勢力の分裂活動を決して許さない固い決意を示すもの」と意義を強調した。政治体制の「台湾化」を進める陳水扁政権への強い警戒感から、統一問題では妥協しない姿勢を内外に示す狙い。

 内政面では、貧富の格差など社会矛盾の拡大を抑えて「調和の取れた社会」づくりを目指す方針を示すなど国民本位の「親民路線」をアピール。今年の経済成長率目標として昨年実績の9.5%を下回る「8%前後」を掲げ、安定成長を重視する立場を鮮明にした。

 首相は台湾問題で(1)中台住民の相互往来(2)経済や文化の交流(3)中台間の三通(通商、通航、通信の直接開放)−を積極的に推進していくとして「一つの中国」の原則を前提としながらも「対等な立場での対話再開」を呼び掛け。武力行使を示唆する威嚇的な文言は避け、台湾住民や国際社会の懸念にも配慮した。

 国際的な切り上げ圧力が強い人民元については「着実に相場形成メカニズムの改革を進める」と述べるにとどめた。

 農業対策では、農業税を来年までに完全に撤廃すると述べ、農民の収入増や農村経済の構造改革への努力を表明した。

 今年の経済運営の重点として、マクロ経済政策の強化、省エネルギーなど経済の構造調整の加速、立ち遅れた西部、東北地方の協調的な発展などを挙げた。

 建設国債の発行額は昨年の1100億元(約1兆4000億円)から800億元に削減し、大量の建設国債発行による投資重視の財政から「穏健財政」への移行を明確にした。

 国防面では、兵力20万人の削減を実現し、防衛能力の近代化と情報化を図ると報告した。(共同)

中国国防費は16%増 防衛力を強化

2005/03/05 The Sankei Shimbun

 中国政府は5日、全国人民代表大会(全人代)に提案した2005年度政府予算案で、国防費として前年度当初予算比16%(実績比12・6%)増の2446億5600万元(約3兆1100億円)を計上した。

 予算案では、国防費増加の理由について「ハイテク条件下での緊急事態に対応し、祖国の主権と領土を守るため防衛能力を向上させる目的」とした。

 同年度の国防費について、全人代の姜恩柱・報道官は4日の記者会見で「約2477億元」と発表していた。(共同)

反国家分裂法の制定再考を 台湾立法院が決議

2005/03/04 The Sankei Shimbun

 台湾立法院(国会)は4日、中国が台湾独立阻止を狙った反国家分裂法の制定を進めていることに対し、「台湾人民の権益に反する内容であれば、台湾人民は必ず強烈に反対する」として、再考を促す決議文を採択した。

 決議文は「中華民国は建国以来、主権独立国家で、この現状を一方的に変えたり、わが国の主権を矮小(わいしょう)化する行為は、台湾人民と国際社会の共通の意志に反する」と制定の動きをけん制。

 その上で、春節(旧正月)休暇に合わせた中台直行チャーター便運航実現による良好な雰囲気を大切にし、対等な立場で協議を行うよう中国側に呼び掛けている。(共同)

「一つの中国」原則確認 中国・人民政治協商会議で国家主席

2005/03/04 The Sankei Shimbun

 新華社電によると、中国の胡錦涛国家主席は4日、人民政治協商会議(政協)の会合で演説し、台湾問題について「祖国分裂は決して許さない」と述べ「一つの中国」の原則を堅持する決意をあらためて表明した。

 一方で「武力行使」を示唆する威嚇的発言はなく、「平和統一に最大の努力を払う」と繰り返し表明。5日開幕の全国人民代表大会(全人代=国会)で採択される反国家分裂法案をめぐる台湾住民や日米など国際社会の懸念を払しょくしたい狙いがあるとみられる。

 胡主席は、中台の現状は厳しいとした上で、春節(旧正月)の中台間の直行チャーター便運航に触れ「分裂活動を押しとどめる動きも出てきた」と分析した。(共同)

中国、国防費17%増 台湾にらみ装備充実

2005/03/04 The Sankei Shimbun

 中国全国人民代表大会(全人代=国会)の姜恩柱・報道官は4日の記者会見で、国務院(政府)が2005年度の国防費として前年度当初予算比17%(実績比12.6%)増の約2477億元(約3兆1530億円)を提案することを明らかにした。

 昨年度の国防費が同14.2%だったのに比べて高い伸び率で、台湾をにらんだ軍装備の充実などが背景にあるとみられる。日米両国をはじめ中国への警戒感が強まりそうだ。

 報道官は、国防費増の理由として(1)経済発展に伴う兵士の給与引き上げ(2)退役軍人の社会保障(3)装備の近代化−などを挙げ「他の大国と比べれば相当低い水準」と強調した。だが、中国は研究開発予算を国防費以外の経費として計上しており、米国などの軍事専門家の間では、実際の国防費は発表額の倍以上との見方が支配的だ。

 国防費を含む予算案は5日、全人代に提案される。開幕前に国防費が明らかされたのは異例。

 中国の国防費の伸び率は03年度、当初予算比9.4%増と15年ぶり1けた台となった。しかし再び上昇しており、17%台は02年度以来。

 北京の西側軍事筋は「経済成長率を大きく上回る伸びで"中国脅威論"の一つの要因になる」と指摘した。

 中国の国防費の伸びは、予算ベースで1けた台となった03年度も、昨年12月に発表された中国の国防白書によると実績ベースでは11.7%増と2けただった。(共同)

反国家分裂法制定に抗議、100万人署名始める 台連

2005/03/01 The Sankei Shimbun 東京朝刊から

 【台北=河崎真澄】前総統の李登輝氏を精神的リーダーとする与党系政党、台湾団結連盟(台連)は28日、中国が台湾独立阻止を狙う「反国家分裂法」制定に抗議する「百万人署名」運動を始めた。この日は国民党軍による台湾民衆の弾圧事件「二・二八事件」(1947年)の記念日にあたり、「大陸政権による併呑(へいどん)から台湾を守る」との主張が前面に掲げられた。

 中国が3月5日からの全国人民代表大会(国会)で制定を狙う「反国家分裂法」について、台連が「反併呑法」案を立法院(国会)に提出する動きをみせるなど、台湾本土派は対中警戒を強めている。総統選挙を控えた昨年のこの日には、台湾海峡に向けた中国の弾道ミサイル配置に反対する200万人以上が手をつなぐ運動が行われていた。

 台北市内の「二・二八和平公園」で28日に行われた慰霊式典には、陳水扁総統や馬英九・台北市長などが参列し、数万人とされる犠牲者に午後2時28分から1分間の黙祷(もくとう)をささげた。

 陳総統は式典で、外省人(中国大陸籍)と本省人(台湾籍)などが抱える民族対立の和解と台湾人としての団結、さらに中台和平をめざすとの考えを改めて強調した。また国民党副主席を兼務する外省系の馬市長は、本省人の言語である台湾語を使って、「二・二八事件は決して忘れてはならない」などと演説した。

 一方で、陳総統が24日に第2野党、親民党の宋楚瑜主席と主権問題や対中政策などで10項目の合意に達したことに反発している李氏は27日、「李登輝なくして昨年3月の総統選で陳水扁の再選などなかった」と、陳総統の野党への政策譲歩への不満を重ねて表明。昨年2月28日の運動が陳氏再選の原動力だったと話すなど、李氏と陳氏の“温度差”は広がっている。

台湾の「軍艦外交」が始まる。

2005/02/22

 3隻の台湾海軍の軍艦が、初めて世界巡航を始める。

 フランス製のラファエット級のフリゲート艦、米国製のペリー級のフリゲート艦、水陸両用揚陸艦が来月、台湾を出港する。3隻は台湾と外交関係のある、セネガル、ガンビア、セントビンセント、グレナディン、パナマ、マーシャル諸島、キリバス、パラオに寄港し、外交関係を強化する予定である。同艦隊は、台湾と外交関係を有しない国々にも寄港するだろうが、詳細は明らかでない。

 陳水扁総統も同じころマーシャル諸島、キリバス、ツバルを訪問し、島国で十分な宿泊施設がない場合、数日を軍艦の中で過ごすだろう。

 事前に航路が明らかになれば、北京政府が寄港を妨害する恐れがあることから、具体的な航路は明らかにされていない。過去数ヶ月の間に、バヌアツとグレナダは台湾から中国へと外交関係を切り替えた。

台湾海峡の平和重視を歓迎 台湾行政院長

2005/02/20 The Sankei Shimbun

 台湾の謝長廷・行政院長(首相)は20日、日米安全保障協議委員会(2プラス2)共同声明に「共通の戦略目標」として、台湾海峡問題の平和的解決が盛り込まれたことについて「国際社会が台湾海峡の平和を重視していることに歓迎の意を表する」とのコメントを発表した。

 謝氏は「台湾海峡の平和(確立)は、両岸(中台)の安全と安定に役立ち、台湾も国際地球村の一員として責任を負う」とした上で「中国のミサイル配備という脅威の下で、陳水扁総統は何度も両岸の平和追求の決意を示している」と指摘、平和に向けた台湾側の努力をアピールした。(共同)

中台直行チャーター便終了 搭乗率50%、赤字運航

2005/02/20 The Sankei Shimbun

 春節(旧正月)休暇に合わせ、中国在住台湾ビジネスマンの帰省の便宜を図るため実現した中台直行チャーター便の運航が20日終了した。

 20日付台湾紙、経済日報によると、延べ利用客は推計1万人−1万1000人で平均搭乗率は約50%。中国側チャーター便の平均搭乗率は50%を切っているとされ、大半の航空会社が赤字となったもようだ。中台各6航空会社によるチャーター便は先月29日から今月20日まで中台間を計48往復した。

 台湾の陳水扁総統は今後、中台直行貨物便の運航に向けた協議を進める意向を示しているが、実現のめどは立っていない。(共同)

欧米メディア、台湾有事へ日本が関与拡大決意と報じる

2005/02/20 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ワシントン=伊藤俊行】19日に行われた日米安保協議委員会(2プラス2)について、米欧の主要メディアは一斉に、日本が台湾海峡有事の際に、軍事的役割を含めた関与拡大への決意を示す場となったとの論調を展開した。

 日米共同声明では、中国、台湾の問題について、「台湾海峡をめぐる問題の対話を通じた平和的解決を促す」と表現した。

 米ワシントン・ポスト紙は一面の東京発の記事で、日米共同声明について、「台湾海峡に関する相互の安全保障上の懸念」を確認したものだと位置づけ、「日本は中国の急速な力の伸長に対決姿勢を強めることを表明した」と断定した。

 英フィナンシャル・タイムズ紙は、「1996年の日米安全保障共同宣言を書き直し、日本は台湾(海峡を巡る問題)が安全保障上の懸念であるという米国の立場に初めて加わる」との記事を一面に掲載した。

 米CNNテレビは、「大きなニュースは台湾海峡への日本の関与で、平和的国家から変化しようとしている」などと伝えた。

          ◇

 これに関連し、訪米中の町村外相は19日、「私たちとしては、目新しいことを(共同声明に)書いたつもりはない。なぜ、(海外の報道が)ああいう書き方になるのかわからない」と記者団に述べ、台湾海峡問題に関する日本政府の方針は従来通りだとの認識を示した。

日米の共通戦略目標を非難 中国、台湾問題で

2005/02/20 The Sankei Shimbun

 中国外務省の孔泉報道局長は20日、日米政府が日米安全保障協議委員会(2プラス2)で合意した「共通の戦略目標」に台湾海峡問題を盛り込んだことについて「中国の主権に触れている。断固反対する」と不満を表明した。

 報道局長は「日米軍事同盟は2国関係の枠を超えてはいけない」と指摘し、日米が「(アジア)地域の他国の利益も考慮して、この地域の平和と安定に寄与するよう希望する」と述べた。

 また、同目標が「中国が軍事分野での透明性を高めるよう促す」としたことについて「中国が領土保全のために進めている国防政策に対する口出しは通用しない」と非難した。(共同)

中国機、分断後初めて台湾へ…北京は祝賀式、台湾冷静2005/01/29 読売新聞 Yomiuri On-Line

 春節(旧正月=2月9日)で帰省する台湾人ビジネスマンらを乗せた中国のチャーター機が29日午前、台湾に乗り入れた。1949年の中台分断後、ハイジャック事件以外で中国旅客機が台湾に着陸したのは初めて。直行便を「1つの中国」の宣伝材料にしたい中国側の意気込みはすさまじい。台湾側では、「あくまでもビジネス」とのとらえ方が強い。(北京 竹腰雅彦、台北 石井利尚)

 午前6時40分(日本時間同7時40分)、台湾人客専門の案内係が数メートルおきに立つ北京空港で祝賀セレモニーが行われ、正月気分を盛り上げる獅子舞が披露された。40代の会社員は、「(直行便は)初めてで感慨深い」と話した。

 同8時、中国国際航空の台北行き第1便が離陸。通常、機体に描かれている中国国旗は消されていた。

 中台間の旅客機乗り入れが初めて実現した2003年春節時には、台湾機だけが香港経由で飛んだ。今回は中台各6社が運航、2月20日まで、北京、上海、広州と、台北、高雄間を計48便が往来する。

 中国側は、各社とも「5つ星級」サービスを宣言。台湾到着1番機(広州―台北便)の栄誉を担った中国南方航空は、最新鋭のボーイング777B型機を副社長兼パイロット長が操縦。客室乗務員は約1200人から容姿や台湾語に秀でた20人を選抜した。台湾語の機内放送のほか、正月飾りで「空中の家」気分を演出している。

 もちろん、各社とも機内食は台湾料理。東方航空はコックが台湾料理店シェフの指導を受け、台湾式の鳥料理や焼きビーフンなど20種以上の特別メニューを用意した。西安の彩陶や雲南省の香料袋など各地の特産品をプレゼントする社もある。各社とも、採算を度外視した至れり尽くせりのサービスを提供する。

 マスコミもお祭り騒ぎ。中国中央テレビは、北京、上海、広州と、台北の空港から、直行便離陸の様子を生中継した。

 統一戦略の中で中台経済の一体化を進める中国は、その重要なヒ破口と見なしてきた直行便の実現を祝っているのだ。

 中台間の往来は通常、香港などで乗り継ぐ。直行便だと、北京―台北間は4時間20分。約2時間短縮できる。料金も2割安い。中国で働く台湾人ビジネスマンと家族は推定で約100万人おり、台湾経済界は、貨物便や、春節以外の直行便も望んでいる。だが、統一を拒否する台湾当局は、直行便の急速な拡大には慎重だ。

台中直行便、台湾人留学生の搭乗を禁止

2005/01/22 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【台北=石井利尚】台湾当局は、春節(旧正月)休暇前後の運航が決まった中国と台湾の直行チャーター便に、中国の大学で学ぶ台湾人留学生の搭乗を禁止した。

 中国への人材流出を恐れて、台湾人の留学を奨励していないことが背景にあるとみられるが、中国に渡る台湾人学生は増えており、搭乗規制の撤廃を求める声が高まっている。

 29日から運航する直行便に当局が搭乗を認めているのは、台湾人ビジネスマンとその家族だけだ。直行便は、香港やマカオで別便に乗り換える通常の場合より、北京―台北間の往復運賃が約2割(約4000台湾ドル=約1万3000円)も節約できる。

 行政院(内閣)大陸委員会の邱太三・副主任委員は、立法院(国会に相当)での答弁で「留学生の搭乗は、大陸委員会が徐々に検討していく問題だ」と、規制解除に慎重な姿勢を示した。

 中国は、台湾との経済・文化交流を通した「統一攻勢」をかけており、学生の受け入れにも積極的だ。これに対して、台湾当局は、中国人留学生の受け入れを拒否する一方、中国の大学の学位や学歴を公式に認めていない。政治的理由だけでなく、優秀な人材が中国に流出し、台湾の競争力低下につながることを恐れているためだ。

 このため台湾当局は、直行便の搭乗を認めると、留学の「奨励」と受け取られかねないと見ているようだ。

 だが、こうした当局の思惑をよそに中国留学支援組織によると、中国で学ぶ台湾人学生は約5000人に達した。中国での人脈が将来のビジネスチャンスにつながると考えているためで、増加傾向が続いている。

「武力侵犯を合法化する目的」 陳総統が反国家分裂法批判

2005/01/21 The Sankei Shimbun

 台湾の陳水扁総統は21日、南部の屏東県の陸軍基地を視察した際、中国が台湾独立阻止を狙った「反国家分裂法」制定準備を進めていることについて「対台湾武力侵犯を合法化するのが目的で、台湾海峡の現状を一方的に破壊しようとしている」と批判した。

 陳氏は「アジア太平洋地域の各国は中共(中国)の軍備増強を懸念している」と指摘した上で「(中台)両岸の対話再開と関係正常化のチャンスを積極的に追求する一方で、中共の軍事行動に対抗できるよう防衛力を強化しなければならない」と述べた。(共同)

艦艇に台湾の地名を 立法院が決議案採択と現地紙

2005/01/21 The Sankei Shimbun

 21日付の台湾紙、自由時報によると、台湾の立法院(国会)は20日、国防部(国防省)に対し、新規購入する艦艇や潜水艦に台湾と関連がある地名や人名を付けるよう求める決議案を採択した。

 決議は「台湾の軍艦はこれまで中国の地名や人名を艦名として使用、中国の軍艦と艦名が同じものもあり、敵味方を混同させる」と名称変更の必要性を強調した。

 一方、立法院で多数を占める野党側が提案した「在外代表部に中華民国以外の名称を付ける場合、立法院外交委員会の同意が必要」との決議案も採択され、在外代表部の名称をすべて「台湾代表処」に変えるという陳水扁総統の政策目標は制約を受ける形となった。(共同)

台湾住民の大陸離れ警戒 中国、圧力と融和使い分け

2005/01/16 中国新聞NewsPack
 【北京16日共同】中国が春節(旧正月)休暇期間中の直行チャーター便運航で台湾と合意した背景には、台湾住民の「大陸離れ」に対する危機感がある。独立志向の強い陳水扁政権への圧力をかけ続ける一方で、融和姿勢も打ち出すことにより、台湾の反独立勢力を後押しする狙いがある。

 「和やかな雰囲気で、スムーズに合意に達した」。15日にマカオで行われた実務協議に出席した中国側代表は、合意直後の記者会見で満足そうな笑みを浮かべた。協議の冒頭撮影で台湾側代表と握手する場面を台湾メディアにも公開するなど「ソフトな中国」をアピールした。

 その一方で中国側は、台湾側が求めた対中政策担当者の同席を拒否し、民間航空当局間の交流という形式にこだわった。陳氏が「一つの中国」の原則を認めない限り、中台間の本格的な対話再開がないことを台湾側に突きつけたものだ。

台北市長に香港ビザ下りず 反国家分裂法批判が原因か

2005/01/04 The Sankei Shimbun

 香港大などが台湾の馬英九・台北市長(野党、国民党)を香港に招こうとしたところ、香港政府がビザを発給せず、11−13日に予定していた訪問が4月に延期された。馬氏の講演会を計画した同大などが4日、明らかにした。

 馬氏は、台湾独立阻止を狙う中国が3月の全国人民代表大会(国会)で成立を目指す反国家分裂法案について、昨年末「(中台の)緊張をエスカレートさせる」と批判。このため中国側が香港政府にビザ発給見送りを指示したとみられる。

 香港政府は「個別事案にコメントできない」として理由を明らかにしていないが、「将来の訪問を歓迎する」とも表明。中央通信によると馬氏は「遺憾だ。(中台の)両岸関係の発展に好ましくない」と語った。

 馬氏は香港生まれの外省人(中国大陸出身者)2世。2001年2月の香港訪問では、董建華行政長官と会談した。(共同)

春節に台湾直航便 2年ぶり、中国が認可

2005/01/03 The Sankei Shimbun

 3日付の中国各紙によると、中国国務院(政府)台湾事務弁公室の報道官は2日、春節(旧正月)休暇期間中、2年ぶりに中台間で直航チャーター航空便の運航を認める方針を明らかにした。台湾側は以前から実現に前向きな意向を示している。

 中台の直航チャーター便は2003年の春節に大陸在住の台湾企業関係者の帰省便として初めて実現したが、04年は実施が見送られた。最近までは「台湾当局の分裂活動」を理由に、ことしも見送る姿勢を示していた。

 中国は先月29日、台湾の独立阻止を狙う「反国家分裂法」案を全国人民代表大会(国会)常務委員会で採択し、対台強硬姿勢を示したため、台湾企業などから要望の強い直航チャーター便を認めることで台湾市民への融和姿勢もアピールすることにしたとみられる。

 新華社電によると、03年のチャーター便は香港・マカオ経由で中国では上海発着だけだったが、同弁公室の報道官は、ことしは完全な直航形式で、上海以外の中国各地にも往復便を飛ばせるようにしたいとしている。(共同)

台湾の対中国交流窓口トップ、辜振甫氏死去 87歳

2005/01/03 The Sankei Shimbun

 台湾の対中国交流窓口機関のトップに当たる海峡交流基金会理事長で、台湾財界の重鎮として日本の政財界とも関係が深い知日派の辜振甫(こ・しんほ)氏が3日午前、腎機能不全のため台北市内の病院で死去した。87歳だった。同氏の秘書が明らかにした。腎臓がんで入院生活を送っていた。

 中国側の汪道涵・海峡両岸関係協会会長と2回会談し、江沢民・前中国国家主席とも対話するなど中国と太いパイプを持つ辜氏の死去は「独立志向」の強い陳水扁政権下でこう着状態にある中台関係の行方にも影響を与えそうだ。

 台北市生まれ。台北帝大卒業後、東京帝大留学。父の辜顕栄氏は旧日本軍の台北入城に協力した「功労者」として植民地時代に大地主となった。自身は1953年、セメント会社の大株主になったのを足掛かりに中華証券(現中国信託商業銀行)などを設立した。

 李登輝前総統の信任が厚く、91年に海峡交流基金会理事長就任。汪氏と93年4月にシンガポールで、98年10月に上海で会談。同月、北京で江沢民氏とも会った。

 95年から3年連続でアジア太平洋経済協力会議(APEC)の台湾代表。森喜朗前首相らとの関係も深かった。71年に勲一等瑞宝章を受け、昭和天皇の大喪の礼や小渕恵三元首相の葬儀に参列。2003年4月には早大名誉博士号を授与された。陳水扁総統の資政(上級顧問)も務めた。

 幼少時に習った京劇は玄人はだしで京劇団も結成。98年11月の東京公演では、自ら三国志の諸葛孔明役を熱演した。(共同)

台湾の意志「軽視するな」 陳総統、中国に呼び掛け

2005/01/01 The Sankei Shimbun
 台湾の陳水扁総統は1日の新年演説で、中国に対し「中華民国の国家主権や尊厳を守ろうという台湾人民の固い意志を決して軽視してはならない」と呼び掛けた。

 また、中国が「台湾への武力侵攻に向け独り善がりの『法理の基礎』を編み出した」と述べ、台湾独立阻止を狙う中国の「反国家分裂法」案を強く批判。一方、台湾は中国側の行為に「落ち着いた態度」で臨み、両岸の平和と安定に向けた枠組みづくりに積極的に取り組むと強調した。(共同)

日本の軍事活動拡大を警戒 中国が国防白書

2004/12/27 The Sankei Shimbun
 中国政府は27日、国防白書「2004年 中国の国防」を発表し、「日本の対外軍事活動は明確に増加している」と強い警戒感を表明した。

 白書は、日本が憲法改正に向けた動きを加速し「軍事・安全保障政策を修正しながら、将来の配備に向けミサイル防衛システムの開発を行っている」と指摘した。中国が白書を発表するのは1995年以来、5回目。

 白書はまた、台湾独立阻止のためには「中国人民と軍隊は一切の代償を惜しまない」と述べ、台湾独立阻止への決意を強調した。(共同)

≪中国国防白書の要旨≫

 中国政府が27日発表した「2004年 中国の国防」の要旨は次の通り。

 一、日本の対外軍事活動は明確に増加。

 一、日本は憲法改正の動きを加速、軍事・安全保障面の政策を修正し、将来の配備に向けミサイル防衛システムの開発を行っている。

 一、アジア太平洋地域では安全保障面で複雑な要素が増大し、米国が軍事プレゼンスを高め、軍事同盟関係を強化している。

 一、台湾海峡情勢は厳しい。陳水扁政権は台湾独立活動をエスカレートさせ「台湾独立事変」を起こそうとしている。アジア太平洋の最大の現実的脅威だ。

 一、米国は台湾への武器売却を質量ともに増大させ台湾当局に誤ったシグナルを送っている。

 一、05年以前に兵員を20万人削減、総兵員数を230万人とする。海空軍、ミサイル部隊を強化する。

 一、中国の国防費は日本の約57%。日本は遺棄化学兵器の早急な処理をすべきだ。(共同)

「反分裂法」案を採択 中国、台湾へ圧力強化

2004/12/29 中国新聞ニュース
 【北京29日共同=松岡誠】中国の全国人民代表大会(全人代=国会)常務委員会は二十九日、台湾の独立阻止を狙った「反国家分裂法」案を採択した。来年三月の第十期全人代第三回会議での審議を経て正式に成立する。

 対台湾武力行使に初めて法的裏付けを与えるもので、独立志向を強める台湾の陳水扁政権にとって大きな圧力となるのは確実。中国は二○○八年に北京夏季五輪を控えているが、台湾問題では一切妥協しない強い姿勢を国内外にアピールする狙いがある。

 新華社電によると、呉邦国・全人代常務委員長(国会議長)は同委員会で、台湾問題の解決は「党と国が抱える重要な歴史的任務の一つ」と強調。「独立勢力が平和的統一の最大の障害」と非難し、中国の主権と領土の保全のために同法案は「絶対に必要だ」と訴えた。

 法案は武力行使の条件として(1)台湾当局が独立を宣言(2)台湾で動乱発生(3)外国勢力による武力介入―を挙げ、統一に向けた具体的な進め方も明記しているもようだ。

 台湾では陳総統の民主進歩党(民進党)を中心とする与党連合が十一日の立法委員(国会議員)選挙で敗北したが、陳総統は任期中の○八年までに新憲法制定を目指す方針を堅持し、台湾では自立傾向が強まっている。

 一方、中国政府は二十七日発表した国防白書で、陳政権を「アジア太平洋の最大の現実的脅威」と非難、独立阻止のために「中国人民と軍隊は一切の代償を惜しまない」と強調。軍を中心に台湾に対する強硬論が強まっている。

中国が国防白書、16年連続で国防費2ケタ増

2004/12/27 asahi.com
 中国政府は27日、04年版の国防白書を発表した。白書の発表は2年ぶりで、国防費の伸び率は16年連続で2ケタを記録している。台湾の独立を阻止する決意を示すと同時に、海洋権益の保護を強調。さらに、日米が進めているミサイル防衛計画や、日本の憲法改正などへの警戒感も示した。

 白書によると、02、03両年度の国防費はそれぞれ1707.78億元(2兆2200億円)、1907.87億元(2兆4800億円)。04年度国防予算は2117.01億元(2兆7500億円)となっている。

 03年度の国防費の伸び率は11.7%増(実績比)と前年の18.4%増(同)を下回ったが、04年度予算は昨春発表された03年度予算より14.2%増と、再び高まる傾向が出ている。

 装備面では、海空軍と第二砲兵(戦略ミサイル部隊)を充実し、制海・制空権を奪う能力を強める方針を示しており、台湾海峡の緊張をにらむ軍事政策を反映している。

 国防費増加の主な理由については「軍人の待遇と社会保険制度の改善、人材育成や装備経費」などと説明。予算の内訳は人件費、訓練などの活動維持費、装備費でほぼ3等分され、03年度の装備費は646.77億元(8400億円)だった。

中国「反国家分裂法」を検討、台湾独立の動きけん制

2004/12/18 読売新聞 Yomiuri On-Line
 【北京=佐伯聡士】中国中央テレビなどによると、全国人民代表大会(全人代=国会)は17日、「台湾独立」の動きに反対する「反国家分裂法」の草案を25日から開かれる全人代常務委員会で審議することを決めた。

 国内法を根拠に、台湾の陳水扁政権が進める新憲法制定などの動きを「違法」とし、陳総統の自立化(台湾化)路線を封じ込める狙いがある。

 草案内容は不明だが、同常務委責任者は、新華社通信に対して、「同法の適用範囲には、香港、マカオは含まれない」と明言、「台湾独立」勢力が主な対象となることを強く示唆した。

陳総統、在外機関を「台湾代表処」に

2004/12/05 The Sankei Shimbun
 台湾の陳水扁総統は5日の記者会見で、東京に置いている「台北駐日経済文化代表処」など外交関係のない国にある台湾代表部の名称をすべて「台湾代表処」に変更、中国石油、中国造船などの台湾公営企業の名称からも「中国」を削除して「台湾」を付ける意向を初めて表明した。

 中国と一線を画し、台湾の存在感を世界にアピールする政策で、「台湾人意識」を高揚させて11日の立法委員(国会議員)選挙での与党の過半数獲得につなげる戦略とみられる。

 中国当局が「台湾独立の動き」とみて反発し、代表部の名称変更に応じないよう各国に圧力をかける可能性がある。

 陳氏は、「中華民国」という「国名」については「コンセンサスがないまま軽率に変更すれば、国家の団結に影響する」として維持する考えを強調した。

 その一方で「国際社会に中国と台湾の違いを認識してもらうための努力目標」として(1)「台湾」名で国際社会に参加(2)在外代表部の名称変更(3)2年で公営企業名変更−の3点を提起。ただ代表部の名称変更のスケジュールは示さなかった。

 与党連合を組む李登輝前総統の台湾団結連盟(台連)が提唱した「正名(名前を正す)」の主張を一定程度取り入れて結束を強めると同時に「中国国民党」を名乗る野党に「中国寄り」とのレッテルを張り、追い落としを図る狙いもありそうだ。(共同)

台湾が憲法改正なら…中国、軍事力行使も 米専門家が見通し

2004/12/02 The Sankei Shimbun
 【ワシントン=古森義久】中国は人民解放軍の戦力を着実に強化し、とくに台湾攻略の能力を高めており、2006年に台湾側が憲法の改正を始めれば、軍事力行使に踏み切る可能性が高いという見通しがブッシュ政権の中国軍事問題担当だった専門家らから11月30日、明らかにされた。中国の共産党中央軍事委員会の主席が代わっても台湾への軍事力行使の基本方針は変わらないという。

 米陸軍大学や研究所AEIが共催で開いた「中国軍の将来」というセミナーで、ブッシュ政権の国防総省中国部長を11月まで務めたダニエル・ブルーメンソール氏は「党中央軍事委員会の主席が江沢民氏から胡錦濤氏に代わっても台湾を軍事力で攻略する基本戦略は変わらない」と述べ、中国が軍事力行使に踏み切る危険は06年の台湾憲法の改正の際に高まるだろうと警告した。同氏はこのタイミングについて、台湾の陳水扁総統が同年に台湾の憲法改正に取り組む方針を発表し、中国からみて憲法改正は独立の間接的な宣言に等しくなり、軍事手段への依存が一気に強くなるだろう、と説明した。

 同セミナーでは、中国軍の戦略研究の専門家として知られるジェームズ・マルベノン氏(情報調査分析センター次長)も、「台湾の憲法改正は中国にとって事実上、独立を宣言されたに等しく、06年に台湾海峡での中国軍の軍事行動開始の危機が高くなる」という予測を明らかにした。

 中国軍の台湾攻略作戦についてブルーメンソール氏は(1)党中央軍事委では江沢民氏の「台湾への武力行使を放棄しない」という基本方針はコンセンサスとして揺らいでおらず、胡錦濤氏もその路線を一貫して引き継いでいる(2)中国の対台湾政策の前提では台湾側が平和裏に中国と統一されることを望んでおらず、残された方途は中国の軍事力行使となる(3)中国は米国が軍事介入できないうちに台湾を降伏させる電撃作戦を考えており、爆撃用航空機、弾道・巡航両ミサイルによる攻撃、潜水艦と駆逐艦による海上封鎖、電子戦争などを断行する(4)米軍の介入を防ぐには米艦艇への抑止的な攻撃のほか、日本国内の米軍基地へのミサイル攻撃能力を高めておく−ことなどを指摘した。

与党、過半数獲得に自信 台湾立法委員選が告示

2004/11/30 The Sankei Shimbun
 台湾の立法委員(国会議員、定数225)選挙が30日告示された。12月11日の投開票に向け、1日から正式な選挙戦に突入する。

 民主進歩党(民進党)、台湾団結連盟(台連)の与党連合が、多数派の国民、親民両党の野党連合を破り、過半数を獲得できるかどうかが最大の焦点。民進党は過半数獲得に自信を見せている。

 台湾独自の新憲法制定や中国に対抗するための米国製武器購入の必要性を訴えて「台湾ナショナリズム」を高揚させ、議席増を狙う陳水扁総統の戦略が、事実上終盤に入った選挙戦で効果を上げているもようだ。

 陳氏は最近、中国大陸を領土に含める現行の「中華民国憲法」を「中国憲法」と批判、2008年に「台湾新憲法」を施行するとしたほか「中華民国国章」を変える意向も示した。「中華民国」体制維持を掲げる国民党に「中国寄り」とのレッテルを張り、追い落としを図る作戦だ。

 民進党は11月29日、世論調査に基づき、民進党97、台連16と与党連合が過半数の113議席を獲得、野党連合は98議席に減少するとの予想を発表、陳氏の戦略が成功しているとした。12月4、5の両日には大規模デモで「独立派」を含む支持者の結束を強化する。

 これに対し、多数派維持を目指す野党連合は陳氏の切り崩し攻勢に対抗し「陳氏の独立路線は台湾を中国との戦争の脅威にさらす」と強調、安定重視の中間層取り込みに躍起になっている。(共同)

「国章」変更に言及 台湾の陳水扁総統

2004/11/29 The Sankei Shimbun
 29日の台湾各紙によると、台湾の陳水扁総統は28日の演説で、12月の立法委員(国会議員)選挙で与党が過半数を得た場合、「国章法」を改正し、青地の円の中に白抜きの太陽をあしらった現行の「中華民国国章」を変えるとの考えを示した。

 陳氏を「独立派」と批判している中国当局を刺激しそうだ。

 陳氏は先に、一党支配体制を長年敷いた国民党が下野した後も「国章」に似た党章を使用しているのは「党イコール国という封建思想の名残で不当」として変更を求めたが、国民党側は拒否。

 これに対し、陳氏は28日「国民党に変える気がない以上、与党が過半数を取って国章法を改正し、国章を捨ててしまおう」と述べた。(共同)

台湾、月初めから中国原潜を追跡

2004/11/21 東京新聞

 【台北=佐々木理臣】台湾の有力紙・中国時報は二十日、日本の領海を侵犯した中国の原子力潜水艦について、台湾軍事関係者の話として、原潜は台湾海軍の対潜哨戒機「S−2T」が十一月初めに発見し、追跡を続けていたと報じた。

 この問題では陳水扁総統が十九日、原潜による領海侵犯の情報は、台湾が最初に日米に提供したと示唆したが、日本側の侵犯確認は十日朝とされ、原潜が相当長期間、日台の周辺で秘密裏に航行していた可能性が高まってきた。

 同紙によると台湾は今月初め、台湾東部海域で中国の潜水艦が航行しているのを対潜哨戒機「S−2T」が発見し監視を開始。巡視艦も現場海域に急派し追尾した。

 潜水艦が潜行を続けるため、一度は強制浮上させる準備に取りかかったが潜水艦は離脱し、台湾北東方向の与那国島と宮古列島付近の日本の領海へ入り込んだ、という。

 台湾当局はその直後に日本側に情報提供し、原潜の監視が自衛隊に引き継がれたとしている。

 台湾国防省は発見から通報までの経緯に関し正式な説明を避けている。

 台湾の軍事関係者によると、中国の潜水艦が台湾北東海域に出没するケースが最近、増加傾向にある。十二カイリ領海線ギリギリの海域での航行もあり、発見のたびに海軍が艦艇を繰り出し追跡しながら監視している。台湾の防衛能力を試す挑発行動との見方もある。

中国原潜侵犯を日米に事前通報 台湾総統

2004/11/20 The Sankei Shimbun
 台湾の陳水扁総統は19日、中国の原子力潜水艦の日本領海侵犯事件について「事前に日本と米国に関連情報を提供することができ、最終的に(中国原潜と)確認され、発見されたことを光栄に思う」と述べ、台湾当局が最初に原潜の動向を確認したことを初めて示唆した。

 総統府で日本の対台湾交流機関、交流協会の服部礼次郎会長と会談した際に語った。

 陳氏は、どのような情報を提供したかなど詳しいことは明らかにしなかった。中国の軍事情報収集や東アジア地域での安全保障面での台湾の重要性を強調することで、情報交換など日米との軍事関係強化につなげる意図がありそうだ。

 陳氏は「原潜の侵犯事件によって(日米ともに)中国の脅威を感じたはずだ」とした上で「アジア太平洋地域の平和と安定維持が日米台の共通の利益だ」と述べた。

 また先に小泉純一郎首相が来年の日本国際博覧会(愛知万博)への外国人観光客数を増やす一環として、台湾からの観光客の査証(ビザ)免除を検討するよう閣僚に指示したことについて「感謝している」と表明、ビザ免除措置恒久化への希望を表明した。(共同)

「1つの中国」認めた場合のみ対話と中国側 台湾総統に圧力

2004/11/15 The Sankei Shimbun
 15日付の中国各紙によると、中国の対台湾交流窓口機関の海峡両岸関係協会当局者は、台湾の陳水扁総統が「独立」活動を放棄し、「一つの中国」原則を認めた場合にのみ対話に応じるとの考えを表明した。

 中国は1992年10月の香港での中台会談で「『一つの中国』原則の堅持で両者が合意した」としている。台湾の立法委員(国会議員)選挙を12月11日に控え、陳総統の民主進歩党を中心とする台湾与党連合に圧力をかける狙いがあるとみられる。

 香港会談について台湾側は「『一つの中国』の解釈は(中台)各自に委ねるとの共通認識を得ただけ」と反論してきたが、陳総統は今月13日、「(中台会談の)共通認識を認めることは中国に対する投降を意味する」と会談の合意自体を否定、中国を刺激する発言をした。

 海峡両岸関係協会当局者は「香港での中台会談で、双方が『一つの中国』の堅持を共通認識としたことは歴史的事実だ」と強調。陳総統がこれを認めないのは「対話を望む中台同胞と国際社会の期待に背くことだ」と非難した。

 ロイター通信によると、国務院(政府)台湾事務弁公室の王在希副主任は「台湾当局が挑発を続けており、武力衝突の圧力が高まっている」と警告した。(共同)

中国2009年優位に 台湾、ミサイル防衛急務 軍事バランス政府分析

2004/11/14 The Sankei Shimbun
 台湾海峡をはさむ中国と台湾の軍事力比較について、日本政府部内で「二〇〇九年になれば軍事バランスは逆転する」との極秘分析が行われていたことが分かった。政府関係者が十三日に明らかにした。中国海軍の原子力潜水艦が日本領海を侵犯するなど、日本近海でも中国軍の動きが活発になっている中、中国が近い将来、質的にも台湾より優位に立つとの分析は日本での安全保障論議にも影響を与えそうだ。

 政府関係者によると、分析は防衛庁で行われ、このほど首相官邸にも報告された。分析は中国が台湾独立を阻止するため台湾に武力行使した場合を想定したもので、中国が保有する核戦力の使用は考慮に入れていない。

 平成十六年版防衛白書は「中国の軍事力の近代化は急速に進んでおり、近い将来にも台湾の質的優位に大きな変化を生じさせる可能性もある」と予測する一方、海、空軍力については「中国が量的には圧倒しているが、質では台湾が優位」と評価した。このため分析は中国がいつ制空権、制海権の優位性を確保するかに焦点を絞っている。

 制空権については、台湾は仏製ミラージュ、米国製F16の計約二百機を保有、中国はロシア戦闘機スホイ27、スホイ30の導入を進めた結果、二百機程度に達し台湾に近い華南地方に集中配備しているとし、「〇九年ごろには中国は航空優勢を確保する」とみている。

 制海権の分野では、中国は超音速対艦ミサイルを運用可能な杭州(ソブレメンヌイ)級ミサイル駆逐艦二隻と静粛性に優れるキロ級四隻をそれぞれロシアから導入、潜水艦六十九隻(台湾は四隻)を保有しており、「台湾が米国からイージス艦を導入しても〇七年には中国が台湾より有利になる」と分析している。

 陸軍兵力では、中国が約百七十万人と約二十万人の台湾を圧倒するものの、中国は上陸作戦能力に限界があり、弾道ミサイルの充実で、台湾への威圧を増すことを狙う。東風15や東風11などを五百基以上台湾対岸に配備し、さらに今後数年で増加するとされている。

 台湾は、地対空誘導弾パトリオット(PAC3)の配備で対抗しているが、分析は「今度はイージス艦の配備がないとミサイル防衛を効果的にできない」と指摘、シミュレーション結果に基づいて「中国は五波約十時間に及ぶミサイル攻撃で台湾に壊滅的な打撃を与える」と判断している。

 台湾でも「スホイ戦闘機には対処できても弾道ミサイルで空港などが破壊されては太刀打ちできない」(軍関係者)とされ、ミサイル防衛の強化が急務となっており、米国からのPAC3購入問題は、十二月の立法委員(国会議員に相当)選の争点ともなっている。

 装備の急拡充を進める中国の動きは日本政府の警戒感も強めそうだ。

陳総統、対中「太陽政策」を提起 関係改善に意欲

2004/11/10 The Sankei Shimbun
 台湾の陳水扁総統は10日、台北市内の総統府で開いた安全保障に関する政権幹部会議後、政府各部門は中国との対話再開や緊張緩和に向けた「太陽政策」を策定すべきだ、と述べた。

 12月の立法委員(国会議員)選挙を前に中国との関係改善への意欲を示し、対中投資している企業家ら中間層の支持拡大につなげる狙いがありそうだ。

 陳氏は中国に対し、中台間の貨物・旅客チャーター便運航をめぐる協議に応じるよう呼び掛けるとともに、軍事衝突回避に向け、非武装地帯設置や安全保障に関する協議のメカニズム構築を提案、大量破壊兵器の開発・使用禁止を訴えた。台湾軍兵力を10万人削減する意向も示した。

 一方、「台湾と米国は、アジア太平洋地域の平和と安定維持のため積極的に協力すべきだ」と話し、2期目のブッシュ政権との関係強化に意欲を見せた。(共同)

台湾は「主権独立国家」 陳総統、米国務長官に反発

2004/10/27 The Sankei Shimbun
 台湾の陳水扁総統は26日、台北市内の総統府で韓国の金泳三元大統領と会談した際、「台湾が中国に隷属していない主権独立国家だということはまぎれもない事実だ」と強調した。パウエル米国務長官が前日、香港のテレビとのインタビューで「(台湾は)国家としての主権を享受していない」と表明したことに反発した発言とみられる。

 また、台湾の陳唐山外交部長(外相)は、国務長官が25日のCNNテレビとのインタビューで中国と台湾の目指すべき方向として「再統一」との表現を使ったことなどに関して「(台湾に対する)米国のこれまでで最も厳しい言葉だ」と述べた。26日の立法院(国会)での発言として中央通信が伝えた。

 同通信によると、外交部の高英茂政務次長は同日、国務長官発言について外交部が米側に遺憾の意を伝えたことを明らかにした。(共同)

「統一」を「解決」に修正 台湾総統反発で米

2004/10/27 The Sankei Shimbun
 米国の台湾代表部に当たる米国在台協会台北事務所のダグラス・パール所長は27日、台湾の陳唐山外交部長(外相)と会談し、パウエル国務長官が香港のテレビのインタビューで、中国と台湾の目指すべき方向として「平和統一」との表現を使ったことに関し「国務省は既に(発言内容を)『平和解決』と修正した」と述べた。

 陳部長が会談後、明らかにした。

 陳水扁総統は26日、パウエル氏の発言に反発し「台湾が中国に隷属していない主権独立国家だということは紛れもない事実だ」と強調した。このため米側にはパウエル氏の“失言”として騒ぎを収めたい意図があるようだ。(共同)

艦名から中国の地名外せ 台湾の立法委員が要求

2004/10/25 The Sankei Shimbun
 25日付の台湾紙、聯合報によると、台湾の与党、民主進歩党の立法委員(国会議員)は同日までに、台湾海軍のフリゲート艦6隻が「西寧」「昆明」「武昌」など中国の地名を艦名としているのはおかしいとして、近く国防部(国防省)に艦名変更を求める考えを明らかにした。

 「台湾独立派」の立法委員は「中共(中国)の軍艦と同じ名前のフリゲート艦もあり、敵味方を混同させる」と批判。国防部も名称変更の検討を始めており、米国製武器購入のための特別予算を積極的に支持した立法委員の名前を艦に付け、貢献をたたえるとのアイデアも出ているという。

 また同紙によると、軍機関の電話オペレーターは、機密保持のため機関名の代わりに「江蘇1号」など中国の地名から取った別称を名乗っているが、国防部は年末までにこの別称を全面廃止する予定という。(共同)

パトリオット初公開 台湾、防衛強化アピール 陳政権、2兆円の特別予算案

2004/10/23 The Sankei Shimbun
 【台北=河崎真澄】台湾の国防部(国防省に相当)は二十二日、台北郊外のミサイル司令部万里基地で、米国製地対空ミサイル「パトリオット」(PAC2改良型)を産経新聞など一部の外国報道機関に初めて公開した。台湾海峡周辺で中国側の弾道ミサイル増強が進む中、陳水扁政権は弾道ミサイル迎撃能力のより高い新型パトリオット(PAC3)など六千百八億台湾元(約二兆円)に上る武器調達の特別予算案承認を立法院(国会に相当)に求めており、公開は「台湾防衛の強化」を国際世論にアピールする狙いがありそうだ。

 公開された万里基地には、一九九一年の湾岸戦争時に使われたことで知られる「改良型パトリオット」が八基、弾道ミサイルを探知するレーダーとともに九六年から配備されている。ミサイル司令部の谷風泰少将によると、首都機能が集中する台北市と周辺への弾道ミサイル攻撃を防衛するのが目的。万里基地のほか、台北周辺でさらに二カ所にパトリオットが配備されている。

 陳水扁総統は先月、台湾海峡に向けた中国の弾道ミサイル配備は六百十基になったとの機密情報を明らかにし、昨年十一月段階の四百九十六基から百十四基も軍備増強されたと指摘している。

 特別予算案にはPAC3の十八基分にあたる千四百五十億台湾元(約四千六百四十億円)をはじめ、ディーゼル推進型潜水艦の調達経費が計上されている。この特別予算案には、立法院で過半数の議席を占めている国民党など野党陣営が、「調達費用が高すぎる」などとして強硬に反発しており、十二月に行われる立法委員(国会議員に相当)選の争点の一つにもなっている。

 パトリオット公開のあとの記者会見で、国防部当局者は、この特別予算案が立法院を通過せず、ミサイル防衛能力が現状にとどまれば、二〇二〇年には台湾を一とした中国との軍事バランスが「一対二・八」と、中国の対台湾武力行使が容易になるとされる格差「三」に近づくと指摘した。

 最新鋭のPAC3の防御面積は四百平方キロに及ぶ。弾道ミサイルを正確に撃破することで、破片落下などによる地上での二次被害は現状の想定より軽減されるという。

中国軍トップが来週訪米 北朝鮮問題で連携確認へ

2004/10/21 The Sankei Shimbun
 中国人民解放軍の梁光烈・総参謀長(中央軍事委員)が25日から5日間の日程で訪米することが21日、分かった。米国防総省当局者が明らかにした。梁総参謀長の訪米は初めて。

 マイヤーズ米統合参謀本部議長らとの会談では、北朝鮮への対応などアジア太平洋での安全保障上の懸案で連携する方針を確認する見通し。また中台関係の緊張緩和や、中国側が厳しくけん制している米政府の台湾への武器売却問題も協議される。

 米中軍事交流は2001年の米中軍用機接触事故で控えられていたが、02年の首脳会談で再開を合意。今年1月にマイヤーズ統参議長が訪中し、米中両軍の関係強化を確認した。ただ米政府内には武器売却などをめぐる中国側の対応に不満が強く、軍トップの訪米に慎重論が出ていた。

 国防総省当局者は武器売却問題で「米側は台湾関係法に基づいた武器供与をする方針を伝えるだけだ」としており、平行線で終わる可能性が強い。

 梁総参謀長はワシントンで国防総省を訪れるほか、複数の米軍基地を視察する方向で日程を調整しているという。(共同)

「頭固い」と中国批判 対話拒否で台湾当局

2004/10/13 The Sankei Shimbun
 中央通信によると、台湾行政院(内閣)の陳其邁スポークスマンは13日、中国当局が陳水扁総統の対話呼び掛けに応じない考えを示したことについて「固い頭では問題を正しく認識できず、強硬な態度は対立を解く助けにならない」と批判した。

 陳スポークスマンは、陳総統が中台対話の基礎とする考えを示した1992年の香港会談に関し「(一つの中国をめぐる)争いを棚上げし、実務的協議を行ったことに意義があった」と指摘。

 その上で、中台間の旅客、貨物チャーター便運航問題について「中台双方の航空機が香港など第三地点に着陸せずに直接相互往来」との中国側要求を原則的に受け入れる考えを示し、実現に向けた協議を行うよう呼び掛けた。(共同)

台湾の対話呼び掛け拒否 中国、陳総統を非難

2004/10/13 The Sankei Shimbun
 台湾の陳水扁総統が10日に行った中国との対話に意欲を示した演説について、中国国務院(政府)台湾事務弁公室の張銘清報道官は13日の定例会見で「(陳氏は)頑固に『一辺一国(中台は別々の国)』の立場を堅持しており、緊張緩和の物言いはうそだ」と非難、対話呼び掛けに応じる考えがないことを表明した。

 中国は陳政権に圧力をかけ続け、年末の立法院(国会)選挙で民主進歩党(民進党)など与党候補の追い落としに全力を挙げる構えを明確にした。

 張氏は、陳氏が演説で「『中華民国』は台湾」と述べたことを「赤裸々に台湾独立を表明しており、台湾海峡の平和と安定に対する重大な挑発」と断定。「独立」を前提にした対話には「何の意味もない」とし、「台湾民衆と国際世論に対する欺まんだ」と批判した。

 「一つの中国」の原則について、1992年の香港での中台協議で双方が確認したと主張。台湾当局がこれを認めた場合にのみ、対話再開が可能になるとの考えを示した。

 張氏は陳政権の「独立」活動は「台湾に安定と繁栄の前途をもたらさない」と指摘、台湾住民に対し「共に『独立』に反対し、台湾海峡の平和を維持しよう」と呼び掛けた。(共同)

台湾総統、対話再開に意欲

2004/10/10 The Sankei Shimbun
 台湾の陳水扁総統は10日、台北市の総統府前で行われた1911年の辛亥(しんがい)革命を記念する「双十節(建国記念日に相当)」の式典で演説、「一つの中国」の定義について、中国と台湾が各自解釈することで合意したとされる92年の香港での協議を基に、中国との対話を進める考えを初めて示した。

 「一つの中国」原則の受け入れを求める中国当局に歩み寄るポーズを示し、中断している対話再開への糸口をつかむ狙いがあるようだ。中国側は陳氏が提起した新憲法制定計画を「独立の動き」とみて警戒しており、ただちに対話に応じる可能性は低いとみられる。

 陳氏は、香港での協議を今後の対話の基礎とし「完全ではないが、受け入れられる方策」を追求するとの妥協姿勢を示すかたわら「『中華民国』は台湾だ」と述べ、現時点で「一つの中国」原則を受け入れる考えがないことを明確にした。

 江沢民氏引退で軍権を握った中国の胡錦涛指導部に対し(1)敵対状態の終結と軍事面での相互信頼醸成メカニズム構築(2)台湾海峡の恒久的平和を保障するための行動規則策定−などを提案した。

 中台間の「三通」(通商、通航、通信の直接開放)解禁に向け、まず双方の旅客、貨物チャーター便運航に関する協議を行いたいとも述べた。中台関係改善のため、立法委員(国会議員)選挙後、野党リーダーを招いて両岸平和発展委員会を組織する考えも示した。(共同)

台湾、外交文書に「Taiwan」の呼称を初使用

2004/10/09 読売新聞 Yomiuri On-Line
 【台北=石井利尚】台湾の中央通信によると、台湾外交部(外務省)は9日、台北を訪問したチャドのヤマスム外相と締結した共同声明で、台湾当局が正式の「国号」とする「中華民国」に代わり、「中華民国(台湾)」という呼称を初めて使った。

 陳唐山・外交部長(外相)は記者団に、「(国際社会で中国と混同される)トラブルを避けるため、今後の外交文書では『中華民国(台湾)』を使うことで、行政院(内閣)内部の見解は一致している」と述べた。

 台湾が外交関係を持つ国は、中南米やアフリカなど26か国。チャドとの声明は、中国語とフランス語で作成され、フランス語は「Republique de Chine(Taiwan)」と表記された。台湾外交部は昨年9月、表紙に「TAIWAN」と新たに付記した旅券「パスポート」を発行したが、「中華民国」の表記は変えていない。中国が、「独立への動き」と強く反発することが予想される。

陳水扁総統、台湾の国連復帰承認求めネット演説

2004/09/16 The Sankei Shimbun
 台湾の陳水扁総統は15日夜、台北市の総統府から、ニューヨークのホテルでの記者会見に向けインターネット中継で演説、台湾の国連復帰を承認するよう国際社会に求めた。

 陳氏は「台湾は台湾であり、中国の(国連での)代表権を脅かそうとしているわけではない」と述べ、台湾が「独立主権国家」として国連復帰しようとしていることを理解するよう中国当局に求めた。

 さらに、国連記者会の主催で、中国の胡錦涛国家主席と台湾の国連復帰問題をめぐる公開討論会を行いたいと述べた。

 台湾側は当初、国連本部内で記者会見する予定だったが、中国の圧力で実現しなかったという。(共同)

台湾が軍事演習中止 中国に呼応、「善意」示す

2004/08/31 The Sankei Shimbun
 31日付の台湾各紙などによると、台湾の陳水扁総統は同日未明、中米歴訪に向かう専用機内で、9月9日に台湾南部の屏東県で予定されていた毎年恒例の実弾軍事演習「漢光20号」の中止を決定したことを明らかにした。

 中国人民解放軍が台湾の制空権確保を想定し福建省南東部の東山島で予定していた大規模軍事演習を中止したもようだとする台湾国防部(国防省)の分析を受け、中国に「善意」を示すことにしたという。

 陳氏は「両岸(中台)が『平和原則』の下で協力と発展に向かうことを希望する」と述べた。

 中国が大規模演習を中止したのかどうかは公式に確認されていないが、陳氏側には台湾海峡の緊張を懸念する米国などに配慮し、平和構築に向けた積極姿勢をアピールするのが得策との計算があるようだ。

 中国メディアは7月に東山島で大規模演習が行われたと伝えたが、台湾国防部は否定的見方を示している。(共同)

中国、恒例の軍事演習中止か 福建省駐留の兵士3千人が撤退

2004/08/30 The Sankei Shimbun
 中央通信によると、台湾の国防部(国防省)当局者は30日、毎年恒例の軍事演習のため、中国福建省南東部の東山島に駐留していた中国人民解放軍の兵士約3000人が撤退したと述べた。

 同日付の台湾紙、中国時報は「演習は中止されたはず」とする国防部内の見方を紹介、考えられる原因として天候上の問題や中国内部の権力闘争のあおり、中台関係の緊張を危ぐする米国への配慮などを挙げた。

 中国メディアは、台湾の制空権確保を想定した人民解放軍の大規模演習が7月、東山島で行われたと伝えたが、台湾の国防部は「形跡はなかった」としている。(共同)

中国、新型ミサイル実験に成功…射程3千キロか

2004/08/21 読売新聞 Yomiuri On-Line
 【北京=佐伯聡士】華僑向け通信社「中国新聞社」(電子版)によると、中国航天(宇宙)科工集団公司の研究員は16日、トウ小平氏の生誕100周年を記念して、科学技術省など7機関が北京で開いた座談会で、「数日前、中国が開発した新型ミサイルの飛行実験に成功した」ことを明らかにした。(トウは「登」にオオザト)

 ミサイルの名称や射程など具体的な情報は一切明らかにしていないが、外交筋は「巡航ミサイル『紅鳥』の新型」との見方を強めている。中国軍は、台湾海峡有事をにらんで短距離弾道ミサイルの配備を進めており、今回の実験成功により巡航ミサイルの配備にも拍車がかかる可能性がある。

 この研究者によると、ミサイルは極めて高い精度で目標に命中し、実験には曹剛川国防相が立ち会ったという。香港紙「明報」は、新型巡航ミサイルの射程は3000キロで、命中精度は5メートルの範囲としている。同紙によると、射程1500キロの紅鳥は1996年に配備されているという。

陳総統が「国内路線」扱いを拒否 中台の直航便解禁問題

2004/08/18 The Sankei Shimbun
 台湾の陳水扁総統は17日、台北市内の総統府で台湾の商工団体メンバーと会談した際、中国当局が「一つの中国」原則に基づき、中台間の直航路線を「国内路線」扱いにしようと主張していることについて「受け入れられない」と拒否する考えを示した。

 中国当局は最近、中台間の「3通」(通商、通航、通信の直接開放)のうち未解決となっている航空便の直航解禁問題について、中台双方が「国内路線」とみなすことが協議の前提との立場を提示。陳氏はこれに対し「(中台が)『国際路線』でも『国内路線』でもない『両岸路線』とすることで合意すれば、多くの問題が解決する」と指摘した。(共同)

ニアミス:中国空軍機と米軍偵察機 南シナ海上空で

2004年8月2日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE
 【北京・大谷麻由美】中国のインターネットサイトが2日、米紙報道を引用する形で、中国の空軍機「殲(せん)8」が先週、南シナ海上空で米軍偵察機EP−3とニアミスし、一時は152メートルまで接近したと報じた。中国メディアが引用の形とはいえ、軍事情報を報道することはまれで、当局の了解がある可能性が高い。

 中国福建省東山島では現在、中国人民解放軍の陸海空軍による大規模演習が行われており、報道によると、米軍機は演習やミサイル発射実験の偵察のため、飛行していたとみられている。中国空軍機は緊急発進して米軍偵察機を監視していた模様だが、挑発的な行動は起こさなかったという。

 米中間では01年4月に海南島沖上空で、米軍偵察機EP−3が中国空軍軍と接触事故を起こして緊急着陸し、米軍兵士の身柄引き渡しなどをめぐって大きな外交問題に発展したことがある。

台湾民主主義支援を 日米台シンポ 日米の貢献訴え

2004/08/01 The Sankei Shimbun
 「日米同盟と台湾海峡両岸問題」をテーマにした日米台協力シンポジウム(日華文化協会主催、産経新聞後援)が31日、都内のホテルで開かれた。パネリストのヘリテージ財団デービス国際問題研究所のラリー・ウォーツェル副所長は「日米は外交・軍事路線を一にして、台湾の民主主義を支援すべきだ」と述べ、日米が両岸問題への関与で東アジアの安全に貢献する必要性を訴えた。

 ウォーツェル氏は台湾による過度な対米期待を牽制(けんせい)する一方、両岸問題に対し日本が軍事面でも積極貢献するよう期待感を表明した。元駐タイ大使の岡崎久彦氏も中国の軍事的脅威が高まる中、日本は早急に集団的自衛権を認めるべきだと主張した。

 台湾の「国家安全会議」の張旭成副秘書長は、総統府国策顧問の黄昭堂氏による原稿の代読を通じ、「台湾の民主主義は国際的資産だ」と訴え、外交評論家の加瀬英明氏は「台湾の安全は米国だけに委ねてはなるまい」と指摘した。総統府国策顧問の陳博志氏は経済の観点から、「中国が東アジア経済を主導すれば、世界の平和と安全が脅かされる」と警告した。

                  ◇

【パネリスト主な発言】

 ラリー・ウォーツェル氏 米国は台湾を死守するだろうという期待が台湾に蔓延している。これを喜ぶ米国の指導者はいない。両岸問題の解決の原則は、あくまで両岸の人々の自由意思だ。日本が台湾支援に加えて米軍による自国領土利用を認めるなら、地域の平和と安定に大きく貢献する。

 岡崎久彦氏 台湾に中国との統一を志向する政権は永久にできない。愛国主義運動をあおって外交が硬直化した中国は、チャンスを失ったといえる。中国は今後、独立を阻止する台湾政策を進めよう。そこで問題となるのは集団的自衛権を認めない日本だ。これを認めれば東アジアの軍事バランスは一変する。

 張旭成氏 台湾は包括的安全保障戦略を練り、対潜水艦戦、防空、ミサイル防衛を核に軍の近代化を推進すべきだ。だが台湾の民主主義は国際的資産であり、海峡の安全は軍事に限らず外交、社会の強さ、国際的安保環境などで決まる。

 加瀬英明氏 ファシスト国家となった中国は台湾の民主主義が怖い。だから台湾は中国の覇権主義をビンに封じ込め、そのフタの役割を果たせる。ただ独立を鮮明化すれば緊張を招く。性急に「一つの中国」を捨てるのは避けるべきだ。

 陳博志氏 中国は今や世界の生産基地。だが、彼らは巨大市場を盾に権威主義を振り回し、アンフェアな政策を押しつける。これを日米が放任すれば、多くの国々は中国を地域のリーダーに選ぶしかなく、世界の安定と平和が脅かされる。

[中台軍事演習]「台湾海峡の緊張激化を避けよ」

2004/07/26 読売新聞 Yomiuri On-Line
 <7月26日付・読売社説(2)>

 台湾海峡を挟んで、中国と台湾が、大規模な軍事演習を展開している。ともに、「通常の定期演習」としているが、「台湾独立」問題をめぐる神経戦の様相を強めている。

 中国の陸海空三軍の合同訓練は、台湾対岸の福建省東山島が舞台だ。中国は中台関係が緊張した一九九六年以降、毎年この島で上陸訓練などを行ってきた。

 中国の報道によると、作戦能力の向上や練度確認に加え、今回は、台湾海峡の制空権獲得を初めて主要な目的に設定した。演習規模も過去最大級だ。攻撃力の誇示を狙った演習であり、独立阻止のため武力行使も辞さないとする中国の姿勢を、改めて見せつける狙いがある。

 長期演習を実施中の台湾も、空軍基地が破壊されたとの想定で、高速道路を滑走路代わりに戦闘機を緊急発着させる訓練を、二十六年ぶりに行った。

 陳水扁総統が辛勝した三月の台湾総統選挙以後、中国は台湾への強硬姿勢を鮮明にしつつある。過去二回の総統選挙の際、中国は「台湾独立派」とみなす李登輝前総統、陳水扁総統の当選を阻むために軍事演習などで圧力をかけたが、逆に「独立派」勢力を伸長させた。

 これに懲りた中国は、今回「圧力」を控えたが、結果は陳総統再選だった。中国指導部内では、手詰まり感から対台湾強硬論が急速に台頭しているという。

 その反映か、中国は「力の外交」へと傾斜しつつある。

 中国の軍事予算は八九年以来、毎年10%以上増加している。米軍によるイラク攻撃などを教訓に、ハイテク・情報戦への対応を急ピッチで進め、台湾を狙う短距離弾道ミサイルはこの一年だけで五十基増え、五百基に達した。今後も追加配備が続くのは確実だ。

 中国政府は先月、「『台湾独立』を支持する一方、大陸で経済利益を得る者は絶対に許さない」とも表明した。急膨張する経済を圧力の手段とする前例のない動きに、波紋が広がっている。

 台湾は、米国から地対空誘導ミサイルなどの兵器を購入する計画だ。陳水扁政権は、「独立色」をいっそう強める新憲法制定のための住民投票を二年後に行う計画も撤回していない。中台双方に、緊張激化の材料が山積している。

 中国の胡錦濤政権は発足以来「地域協力の強化」外交を唱え、一定の評価を得てきた。この路線と相いれない「力の外交」は、東アジア全体の安全保障と経済活動に重大な影響を及ぼしかねない。

 日本近海での資源探査や軍の海底調査といった活動も、日本にとって懸念すべき問題だ。自制ある対応を求めたい。

中国、台湾海峡の制空権確保想定した演習実施へ

2004/07/23 The Sankei Shimbun
 23日付中国系香港紙、文匯報は、中国福建省南東部の東山島に展開していた中国人民解放軍が近く、台湾海峡の制空権確保を想定した陸、海、空軍合同の軍事演習を始めると報じた。中央軍事委員会の幹部も福建入りするという。

 演習については上海紙、外灘画報が、今月中旬に始まったと伝えているが、正確な情報は確認されていない。

 文匯報によると、1996年に始まった福建省での恒例の演習で、台湾海峡の制空権確保を想定するのは初めて。合同演習に先立ち地元の福建軍区が現場周辺で22日、地元予備役らと補給訓練などを実施、1万人以上が参加したという。(共同)

台湾が戦闘機発着訓練 中国攻撃想定、高速道路で

2004/07/21 中国新聞ニュース

 【台北21日共同】台湾の国防部(国防省)は二十一日早朝、中国の攻撃で空軍基地が破壊された場合を想定し、高速道路を滑走路代わりにミラージュ戦闘機二機を緊急発着させる訓練を実施した。高速道路を滑走路として使った訓練は一九七八年十月以来。

 中国人民解放軍が台湾の制空権確保を想定し、台湾に近い福建省南東部の東山島で始めたとされる軍事演習に対抗する意図があるとみられる。

 訓練は、台湾の南北を結ぶ高速道路のうち、南部の台南県仁徳― 高雄県路竹間の二・七キロの区間を使って実施。緊急着陸したミラージュ戦闘機二機が、給油やミサイル装着を終えた後、再度、離陸するという内容。

 二十日付台湾夕刊紙、聯合晩報によると、二十一日には台湾近海で潜水艦や哨戒機を動員して、中国の潜水艦に対抗するための演習も行われる。

 国防部は今回の訓練について中国の軍事演習とは無関係と強調、中国側を刺激しないよう配慮を示している。

 ただ、台湾は今後十五年間で米国から最新鋭地対空誘導弾パトリオット(PAC3)発射装置六台、ディーゼル潜水艦八隻、P3C対潜哨戒機十二機を購入する予定で、六千百八億台湾元(約二兆円)の特別予算を組む方針を決めており、中台の軍事的緊張の高まりを懸念する声もある。

 国防部は八月末にも実弾を使った毎年恒例の演習を予定している。

台湾の特務機関、清掃員雇い周氏暗殺計画

2004/07/21 The Sankei Shimbun
 20日付の台湾紙、聯合報は、台湾の特務機関が1955年4月、インドネシア・バンドンでのアジア・アフリカ(AA)会議に向かう中国の周恩来首相(故人)暗殺を狙い、香港の空港の清掃員を使って周氏が搭乗すると予測した航空機に時限爆弾を仕掛けた、と報じた。

 このほど機密解除された中国の外交文書に記載されていたという。

 周氏が別の航空機に乗ったため周氏暗殺は失敗に終わった。この計画が台湾の特務機関の手によるものだったということは、中国側関係者の回想文などで判明しているが、中国当局が詳細な内容を公表したのは初めてとみられる。

 同紙によると、台湾の特務機関は清掃員を60万香港ドル(現在のレートで約840万円)で買収し訓練した後、中国がチャーターした航空機内に米国製時限爆弾を仕掛けさせた。

 この航空機は4月11日、インドネシアに向け香港を飛び立ったが、海上で空中爆発し中国代表団メンバーら11人が死亡。周氏はミャンマーでの準備会議に出るため、別のチャーター便を使用し難を逃れた。清掃員は5月に台北に逃亡した。

 中国の情報当局は事前に、台湾の特務機関が香港で爆弾を仕掛けるという情報を得ていたという。(共同)

中国の空爆想定し軍事演習 台湾で25年ぶり発着訓練へ

2004/07/14 The Sankei Shimbun
 中国が今月、台湾の制空権確保を想定した大規模演習を計画しているのを受け、台湾国防部(国防省)は14日までに、中国の空爆を想定した演習を21日に行うことを決めた。

 演習では、中国の攻撃で空軍基地が破壊された場合を想定して高速道路を滑走路代わりに戦闘機を発着させる訓練が1978年10月以来、25年ぶりに行われるなど、軍事圧力を強めている中国人民解放軍に対抗する姿勢をみせている。

 国防部は2006年以降、中国が限定的な軍事行動を起こす可能性があると分析しており、台湾海峡を挟んで双方が今後、軍事色を前面に出した対抗姿勢を強める恐れがある。

 中国は台湾の制空権確保を念頭に今月、人民解放軍の陸海空三軍合同の大規模軍事演習を計画。具体的な日程は不明だが、福建省南東部の東山島での演習を予定している。同島は台湾・澎湖諸島に近く、地形的にも台湾西岸と似て上陸作戦訓練に適しているとされる。

 米国防総省は5月末、中国の台湾向けミサイルが昨年より50基増え、500基になったとの報告書を発表、中国の軍事的脅威を強調した。

 一方、台湾は今後15年間で米国製最新鋭地対空誘導弾パトリオット(PAC3)発射装置6台、ディーゼル潜水艦8隻、P3C対潜哨戒機12機を購入する予定で、計6108億台湾元(約2兆円)の特別予算を組む方針を決めた。

 蔡明憲・国防副部長(副大臣)は、陳水扁総統の「独立志向」を警戒する中国が06年以降、軍事威嚇行動に踏み切る恐れがあるとする一方、米国が台湾に巡航ミサイルなど攻撃用武器を供与する可能性もあると指摘した。(共同)

 <中国3軍合同演習> 中国人民解放軍の陸、海、空軍合同の大規模軍事演習で、毎年実施される。今回は7月中に福建省南東部の東山島での演習を予定。同島は台湾・澎湖諸島に近く、台湾西岸と似た地形で上陸作戦に適しているといわれ、中国軍は1996年から8回の大規模演習を行った。今回は台湾の制空権確保という「積極的な攻撃」を想定した内容とされる。(共同)

中台、海峡はさみ演習実施へ 中国、弾道ミサイル実験も

2004年07月09日(金) (産経新聞社)GOOニュース
 【台北=河崎真澄】台湾海峡をはさんで中台双方がこの夏、相次いで大規模な軍事演習を繰り広げる。中国側は今月中に台湾海峡に面した福建省東山島で、大規模な陸海空三軍合同演習を制空権の確保に重点を置いて行うと伝えられ、対する台湾側も今月から来月にかけて上陸阻止を想定した演習を実施する。台湾側の演習は例年の定期的なものだが、中国側の演習は五月に二期目に入った台湾の陳水扁総統に対する“威嚇”目的が濃厚となっている。

 台湾国防部(国防省に相当)によると、「漢光二十号」と名付けられた軍事演習で、今月末に台南地区の高速道路で一般通行を止め、戦闘機の緊急離着陸訓練が行われる予定だ。台南空軍基地や台中清泉崗基地など戦闘機の駐機基地が、中国からの弾道ミサイルなどで攻撃を受けて滑走路が使用できなくなる事態を想定しているという。

 八日付の台湾各紙は、この着陸訓練を前に戦闘機が七日早朝に、台南の高速道路に沿って低空で飛び、離着陸の模擬訓練を行ったと報じた。

 続く来月には、台湾の陸海空軍が参加する火力演習が「漢光」演習のハイライトとして実施される。同演習の一環としては先月、弾道ミサイル攻撃を想定した机上演習を、米のオブザーバーも参加して実施していた。

 一方、台湾海峡に臨む福建省東山島での今回の中国の軍事演習は、「中国青年報」など中国メディアが事前に計画を報じる異例の扱いで今月の実施が明らかにされた。十万人規模ともいう演習には、ミサイル部隊や戦車部隊、海軍陸戦隊(海兵隊に相当)、潜水艦のほか、中国軍のほぼすべての先進兵器が投入され、台湾侵攻を想定したシナリオで行われる。ロシア製戦闘機「スホイ27」に加え、海軍用の新鋭戦闘機の「スホイ30MK」も登場する可能性が指摘されている。

 中国側では、初の直接総統選挙が行われた九六年三月にも、弾道ミサイルの台湾近海実射ほか、上陸演習を実施し米空母が台湾海峡に派遣されるなど緊張を招いていた。

 モスクワからの報道によると、中国がロシア国防省に対し、新型の移動式大陸間弾道ミサイル(ICBM)「東風31号」など大型ミサイルの発射実験を三回実施すると通告してきた。台湾より米国への牽制(けんせい)と受け止められ、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)「巨浪2号」や中距離弾道ミサイル「東風21号」の発射実験も今月に予定されているという。

 台湾国防筋は、「二〇〇五年には中台軍事バランスは中国側に有利となり、(陳総統が新憲法の制定を計画している)〇六年にも、中国が台湾に武力攻撃してくる懸念がある」と話している。

中台海峡異変あり!!

2004/06/26 行政調査新聞社
 ――極東アジア大戦乱の前触れか――
2年後に支那が台湾侵攻開始!

 最近、支那北京政府の動向が不気味さを増している。

 タリバーン政権崩壊後のアフガンに戦略的圧力を加えるいっぽう、アフガンに入り込んだ支那北京政府の工作員が露骨なイスラム勢力掃討戦を展開しているのだ。アフガンに隣接している新疆ウイグル自治区の独立運動を牽制する目的もあると考えられる。しかし6月10日には、アフガン北部で北京系建設企業が進めていた道路工事現場が武装勢力に襲撃され、支那人技師11人が死亡するという事件も起きている。アフガン側からの支那北京政府に対する牽制という意味あいのある事件だった。

 アフガン、新疆ウイグル自治区に近いパキスタン南部では治安部隊と武装集団との戦闘が続き20人以上が死亡した。こうした事件は北京政府にとって頭の痛い話だが、その遠因は北京政府の強硬な対外姿勢と分析できる。

 4月末に北朝鮮の龍川駅付近で起きた大規模な列車爆発事件は、当初、北朝鮮の金正日を狙ったテロだったとか、米CIAが起こした事件だったと噂されたが、ここにきて支那北京政府の関与が明らかになりつつある。

 こうした状況の下、支那が台湾攻撃のための総合戦力をさらに増強し、台湾海峡近くの弾道ミサイル配備を進めて、その合計は五百五十基にも達したことが、米国防総省高官により明らかにされた。

 米上院外交委員会、東アジア太平洋問題小委員会(サム・ブラウンバック委員長)の公聴会でリチャード・ローレス国防次官補代理(Richard Lawless, Deputy Assistant Secretary of Defense)が支那の軍事力の現状について証言した。国防総省が毎年、議会に報告している「中国の軍事力」の概要を事前に明らかにしたもので、「支那は短距離弾道ミサイルの質量両面の強化を続け、台湾海峡に面した(福建省などの)地域に配備した短距離ミサイルの数はすでに五百から五百五十基に達した」と述べているのだ。

 さらにローレス国防次官補代理は、「2006年〜2008年に北京政府が台湾に武力行使する可能性が高まっている」との分析結果を台湾政府当局に伝えている。

支那に報復攻撃を行う!

 台湾海峡が緊張している最中の5月31日の香港紙『大公報』(北京政府系新聞)は、支那北京政府筋の話として、人民解放軍が今年の6月、7月にかけて、福建省南端の東山島で「台湾海峡の制空権掌握を目的とした、解放軍初の陸・海・空三軍合同の統合大演習を行う」と報じている。

 これに対し台湾国防部は「支那人民解放軍の一切の動向を掌握している」と、慌てる姿勢も見せず平然とした態度を取りつづけている。

 台湾はこの数日前(5月21日)に、初めて軍事偵察機能を保持した人工衛星『中華衛星2号』の打ち上げに成功している。つまり支那人民解放軍陸海空三軍の統合大演習を独自の画像で分析できるので備えは万全だと言っているのだ。さらに6月10日の台湾紙『自由時報』は、台湾国防部の蔡明憲副部長が「支那軍から攻撃を受けた場合、1時間以内に支那大陸の軍事基地への報復攻撃が可能な態勢にある」と立法院国防委員会で答弁したことを伝えている。蔡副部長によると、支那軍に対する反撃としては、戦闘機による空爆の他、射程数百キロの弾道ミサイルも可能だという。

 台湾国防部の発表は、明らかに米上院外交委員会の東アジア太平洋問題小委員会でのローレス国防次官補代理の発言を受けて行われたもので、台湾側が決死の防衛決意を持っていることを内外に明らかにしたと考えて良い。

民間資本への圧力

 しかし支那北京政府の台湾への圧力は、軍事的恫喝だけに留まっていない。

 5月24日、まったく唐突に北京政府当局は公式報道を行い、「中国大陸で商売をしている『台商』は台湾独立を支持しているが、これは歓迎できない」と発表した。そして1週間後の5月31日、台湾の大手樹脂メーカーである奇美実業の許文龍総裁を名指しで批判したのだ。「『緑色台商』である許文龍は『独派大老』だ」というのである。

 「緑色」とは台湾独立派の民進党のシンボルカラーで、「独派」とは独立派の意味。そして北京当局は、大陸にある奇美実業の工場に新たな銀行貸出を認めないと通告。奇美実業の工場閉鎖への追い込みとも思える制裁措置を発表したのだ(6月6日)。支那北京政府は政府として、台湾独立派の企業を大陸から排除するとの具体的措置に出ることを明示したのである。

 奇美実業の許文龍は、支那北京政府や台湾の野党・国民党などからの圧力を和らげるために会長職を辞任し、名誉職である総裁となっていた(5月12日)が、ついに6月15日には奇美実業本体から完全に引退することになった。彼は今では、美術館を経営する基金財団や病院経営に携わる身となっている。余談になるが許文龍が経営することになった病院とは、狙撃された陳水扁が入院した病院である。

 台湾企業が安易な気持ちで支那大陸に投資することは極めて危険である。投資した財産を人質に取られるのが目に見えている――という事実を今回の事件が明らかにしている。確かに支那大陸の人件費は安い。かつて李登輝(前台湾総統)は「政治リスクを考えない大陸への投資は危険だ」と口を酸っぱくして訴えていたが、その懸念が現実になったのだ。

 この懸念は何も台湾だけに限ったものではない。日本にとってもまったく同じなのだ。とくに最先端技術を駆使した生産工場を支那大陸に移転させている企業は、その技術までそっくり支那にコピーさせている現実があり、それが支那人民解放軍の質的向上に貢献している現実を重々反省する必要に迫られている。

支那が日本領域内の資源を盗掘!

 東支那海の排他的経済水域(EEZ)の境界線付近で、わが国が「日中中間線」と主張しているラインから僅か3〜4キロの支那側海域で、北京政府は天然ガス採掘施設の建設を開始している。この周辺海域には豊富な天然ガス資源、石油資源が存在すると考えられており、しかもその多くは日本側海域にあると推定される。この海域での開発を申請している日本企業は多数存在しているが、政府が認可を躊躇っており、その間隙を縫って支那側が先行している形になっている。

 支那はすでに十年以上も前に、中間線から70キロ支那側の海域で「平湖ガス油田」を開発。パイプラインで上海方面に輸送している。今回は平湖から南へ百数十キロほど離れた「春暁プラットホーム」と呼ばれる採掘施設で、ヘリポート付きのものだという。春暁の周辺には支那側が「天外天」「断橋」「残雪」と名付けた油田があり、間もなくこれらにも着手する見通しである。

 ちなみに今回建設が開始された春暁プラットホームは、中国海洋石油総公司とロイヤル・ダッチ・シェル石油の合弁会社が建設しているのだが、パイプライン鋼管の40%は住友金属工業が受注(直接受注は住友商事=約19億円)している。その鋼管の量は6万6000トン。パイプラインの長さは3500キロということになる。これが意味することは、日本側鉱区の天然ガスをストローで吸い上げ、そっくり盗掘してしまうということである。

 支那がエネルギー需要の拡大を睨み、天然資源を独自に開発すべく積極的に外に出ているのに対し、日本が独自開発に消極的であることが、こうした事態を誘発したと考えて良いだろう。そして北京政府はその戦略的判断から「沖縄トラフ」までが支那のEEZ(排他的経済水域)だと主張しはじめ、その正当性を高めるために尖閣諸島の領有権を主張するようになっている。日本政府が戦略的意義を理解しない限り、資源盗掘はさらに拡大する恐れがある。

大陸騒乱の刻、いよいよ迫る!

 20世紀中に支那北京政府は領海の全調査を終え、21世紀に入った平成13年(2001年)7月と11月に、わが国の屋久島南東から小笠原諸島西方にいたる広範囲な海域で海軍情報収拾艦ハイビンが海洋調査を実施した。

 まっすぐ直線的に南下したハイビンは、やがて直角に東方に向かい、そしてまた直角に転じて北方に直進するといった軌跡を描いて、60キロ毎に2時間の停船を行い、海中成分や温度その他を分析して回ったのだ。これは潜水艦の航行状況や潜水艦戦作戦の情報分析が主目的だったと考えられる。この海域には九州パラオ海嶺、大東海盆があり、海底地形も複雑で水中音波の伝播が安定していない海域である。

 ハイビンの調査に続いて平成13年12月以降、じつに緻密な海洋調査が継続され、現在もその調査が行われている。当初は国連海洋法条約に基づいてわが国に事前の許可を得るようにしていたが、今年(平成16年)に入ってからは一切の事前申請もなく、勝手に調査を行っている。わが国固有の領土である最南端の沖ノ鳥島の周辺海域での調査行動に対して日本政府が抗議をしたところ、沖ノ鳥島が日本の領土であることを認めながらも「日本が排他的経済水域を主張する権限はない」として調査を続行している。

 支那北京政府が大陸から数千キロも離れた海域で調査を行う目的は何か?

 それは、近い将来必ず行われる「台湾武力統一行動」に備えてのものである。

 台湾有事の際、横須賀から出航する米空母、あるいはグアム(沖ノ鳥島東南約1000キロ)の米原潜基地から出航する原子力潜水艦の展開をこの海域で阻止することが目的である。

 では、台湾有事は本当にあるのか?

 残念ながら、かなり高い確率でそれは起こり得る。

 イラクの暫定政権誕生がほぼ間違いないものとなり、また米ブッシュ政権がネオコンと距離を置くようになり、拡大EUとの軋轢が僅かながら解消に向かっている現在、かねて懸念されていた中東大騒乱の刻は遠ざかったように見える。もちろん、第二の「9・11」が勃発するような事態が生じれば、またも一気に中東大戦争の危険が出てくるが。

 だが、中東騒乱の刻が遠ざかったと同時に、全ユーラシアが危険な兆候を見せはじめている。

 6月のサミットで、小泉純一郎はこう発言した。

「イラクに安定した社会を作るのは米国ではない」。

 日本の首相がこれほど思い切った発言をしたことは、かつてなかった。小泉のこの発言は日本の存在感を印象づけ、地位向上を内外に明らかにした。小泉はこの後、こう続けた。「国連でもない。G8でもない。イラク人だけだ」。

 この小泉発言を、わが国の大衆も自らの言葉として発言する必要がある。

 「日本の安全を守り国益を護るのは米国や国連ではない。日本人自身である」!

中国国防費、公表の2―3倍規模…米報告

2004/05/29 読売新聞 Yomiuri On-Line
 【ワシントン支局】米国防総省は中国の軍事力に関する年次報告書を、米議会に提出し、28日公表した。

 それによると、中国が台湾対岸に配備している短距離弾道ミサイルが500基以上に達し、昨年の報告書で指摘した450基より50基以上増強されているほか、軍全体の大幅な底上げも進められている。

 報告書によると、中国の短距離弾道ミサイルは年間75基のペースで増強され、衛星誘導システムの改良などで性能が向上、地下施設の建設も進められている。中国の年間の実質的な軍事費は、公表国防費の2―3倍程度にあたる500億―700億ドル(約5兆5000億―7兆7000億円)にのぼり、米国、ロシアに次ぐ世界第3位の規模。

 報告書はまた、中国がイラク戦争から学んだ教訓として、台湾との衝突を想定した作戦では、長距離精密誘導兵器の役割を再評価していると分析。米軍の「衝撃と恐怖」作戦のような、敵の指導部や通信網を狙った空爆や地上の急襲攻撃と心理作戦の一元化を検討していると指摘した。

台湾歌手への抗議呼び掛け 中国のネット愛好家

2004/06/17 The Sankei Shimbun
 16日付の台湾紙、聯合報は、台湾の人気女性歌手、張恵妹(A−MEI)さんを「台湾独立派」とみなす中国のインターネット愛好家が15日、7月31日に北京で予定されている張さんのコンサートで抗議活動を行うようネット上で呼び掛けた、と報じた。約100人が賛意を示したという。

 張さんは12日、浙江省杭州で音楽イベント出演を予定していたが、一部市民から「独立派」と批判され、トラブルを避けるため急きょ出演を取りやめたばかり。

 一方、新華社電によると、中国政府の台湾事務弁公室報道官は16日、台湾の歌手が中国での出演を妨害された問題を「調査中」とし、中台間の文化交流を「これまで通り奨励、推進していく」とする談話を出した。

 張さんは2000年5月、陳水扁総統の就任式で台湾の「国歌」を歌い、約1年間、中国での芸能活動を禁じられたことがある。(共同)

台湾のWHO総会参加を支持 米大統領、法案に署名

2004/06/16 The Sankei Shimbun
 ブッシュ米大統領は14日、世界保健機関(WHO)総会への台湾のオブザーバー参加を支持し、参加を実現させるための法案に署名した。

 大統領は同日発表した声明で「米国はオブザーバーの地位を含め台湾がWHOの活動に参加することを全面的に支持する」と指摘。同時に「1つの中国政策は不変」とし、米政府の対中政策に変更はないと表明した。

 WHOは5月08日、ジュネーブで開いた総会で台湾の総会へのオブザーバー参加問題を議題としないことを決め、オブザーバー参加を認めなかった。これまでにもブッシュ政権閣僚は台湾のオブザーバー参加を支持する立場を表明しているが、中国政府は台湾の参加に強く反対している。(共同)

中国:中国系香港紙、ミサイル撤去問題を異例の報道

毎日新聞 2004年06月07日 Mainichi INTERACTIVE
 【香港・成沢健一】7日付の中国系香港紙「文匯報」は、北京の消息筋の話として、米国が台湾に対する最新鋭兵器の売却を中止すれば、中国が台湾海峡沿岸などに配備したミサイルの撤去を検討する可能性があると報じた。中国系紙がミサイルの撤去問題に踏み込んで報道するのは異例で、米国の兵器売却をけん制する一方、台湾側の出方を探る狙いもあるとみられる。

 この消息筋は、米国防総省が5月28日に議会に提出した中国の軍事力に関する年次報告書が、中国沿岸部に500基以上のミサイルが配備されていると指摘したことなどについて、「中国の軍事力や軍事費を誇張している」と批判した。

 その上で、「ミサイル配備は国家の統一と安全を守るためであり、米国が台湾に売却する最新鋭兵器に対応するものだ。米国が台湾への兵器売却をやめれば、我々もミサイルの撤去を考慮することができるだろう」と指摘した。

 同紙は、最新鋭兵器として、弾道ミサイルを探知できる長距離早期警戒レーダーシステムやP3C対潜哨戒機、地対空誘導弾パトリオットなどを挙げている。

中国、軍事力大幅拡大か

2004/06/06 Jan Jan

 29日の読売新聞によると、米国防総省は中国の軍事力に対する年次報告書を発表した。それによると、中国が台湾に配備しているミサイルが500基以上に達し、昨年の報告書で指摘した450基より50基以上増強されている他、軍全体の大幅な底上げもなされているという。

 更に、報告書によると中国の年間の実質的な軍事費は公表国防費の2―3倍にあたる500-700億ドルにのぼっているという。(米国・ロシアに次いで世界第三番目の規模)

 イラクでアメリカが、パレスチナでイスラエルが、侵略行為を続けている間に、中国が大国主義的な視点を台湾に向けていることが判明した。恐らく中国は、更なる軍備を台湾に差し向け、台湾政府を飲み込もうとしているのだろう。

 そして、この流れは日本にとっても「脅威」である。私は「中国脅威論」を唱えることはないが、唱える人々の言葉に、強い説得力が生まれ、日本の軍事拡張と周辺諸国の緊張が現実のものとなってしまいかねないからだ。

 そもそも、国の三要素(国土・国民・政府)を満たしており、数十ヶ国との「国交」を結んでいる台湾を侵略しようということは、決して許されることではない。中国は周辺の民族(チベット・ウイグルなど)を力ずくで抑えてきた過去の歴史を反省し、真っ当な方向に方針を設定しなおす必要があるのではないだろうか。

 国際的なルール違反である国防費の隠蔽なども併せて是正しない限りは、周辺諸国の信頼とそれに続くアジア圏での緊密な経済・外交協力を得ることは難しくなってしまうだろう。(田中大也)

中国の靴工場で労働者1000人以上が暴動 残業減らしに反発

2004/06/06 The Sankei Shimbun
 6日付の台湾夕刊紙、聯合晩報によると、中国広東省東莞にある台湾資本の靴工場で5月、残業時間を削減され収入が減ったことに反発する労働者1000人以上が暴動を起こし、主犯格の女性労働者4人が逮捕され、いずれも懲役15年の実刑判決を受けた。

 労働者は車に火を付けたり、コンピューターを破壊したほか、台湾人幹部に負傷させた。500人以上の武装警察官が鎮圧に当たった。

 中国当局は最近、労働環境改善に向け、週当たり労働時間が48時間を超えてはいけないとの管理規定を施行。この工場は規定を守った結果、労働者の暴動を招いたという。工場側が給与をカットしたためとの見方もある。

 広東省深●(●=土へんに川)でも先月、残業減らしに不満を持った別の工場の労働者6000人以上が街頭抗議デモを行ったという。(共同)

人民解放軍が大規模演習か 香港紙報道

2004/05/31 The Sankei Shimbun
 31日付の中国系香港紙、大公報は消息筋の話として、人民解放軍が今年6、7月、福建省南東部の東山島で、台湾海峡の制空権掌握を目指した陸、海、空3軍の大規模軍事演習を行うと報じた。

 同紙によると、演習は南京軍区の黄江中将が指揮し、兵士約1万8000人が参加する予定。参加部隊は既に5月中旬、同島に展開しており、島内では海岸に戦車が整列したり兵士が訓練したりする様子が現地の人に目撃されているという。(共同)

外交部、米の「中国軍事力レポート」に潜む企図について語る

2004年No.23(05月31日 -06月04日)北京週報

 劉建超外交部スポークスマンは6月1日、記者の質問について、米国国防省がこのほど発表した「2004年中国軍事力年度レポート」では、中国の軍事力と軍事費用が工夫して誇張されているが、これには言外の意図があると指摘した。同スポークスマンは、記者の質問に次のように答えた。

 ――米国国防省がこのほど発表した「中国軍事力年度レポート」を、中国側はどう評価するか。

 米国防省の同レポートには、冷戦時代の考えが充満している。これまでの「中国脅威論」を繰り返し、中国の軍事力や軍事費用の誇張に工夫を凝らしたもので、言外の意図が潜んでいる。

 中国の国民は平和を非常に愛する。中国はあくまで独立自主の平和外交政策を遂行し、防衛中心の国防政策を実行し、平和発展の道を歩む。中国が主権国として、国家の安全と領土保全を守るために国防建設を進めるのは、当然のことである。

 世界に中国は一つしかなく、台湾は中国の一部分である。中国政府は「平和的統一、一国二制度」の方針を堅持する。

 われわれは、最大の誠意と最大の努力で、祖国の平和的統一への展望を勝ち取りたい。

 しかし、「台湾独立」は決して容認せず、いかなる人がいかなる方式で台湾を中国から分割させることも決して許さない。

 「台湾独立」を目指す勢力による分裂活動は現在、台湾海峡の平和と安定にとって最大の脅威である。

 われわれは米国に、「一つの中国」の政策の堅持と、中米の3コミュニケの順守、「台湾独立」反対という約束を実際行動で果たし、いかなる口実による台湾への新型武器売却をも停止し、「台湾独立」を目指す勢力に誤ったシグナルを発しないよう促す。

台湾海峡ミサイル、中国が50基以上増強…米報告

2004/05/29 読売新聞 Yomiuri On-Line
 【ワシントン支局】米国防総省は中国の軍事力に関する年次報告書を、米議会に提出し、28日公表した。それによると、中国が台湾対岸に配備している短距離弾道ミサイルが500基以上に達し、昨年の報告書で指摘した450基より50基以上増強されているほか、軍全体の大幅な底上げも進められている。

 報告書によると、中国の短距離弾道ミサイルは年間75基のペースで増強され、衛星誘導システムの改良などで性能が向上、地下施設の建設も進められている。中国の年間の実質的な軍事費は、公表国防費の2―3倍程度にあたる500億―700億ドル(約5兆5000億―7兆7000億円)にのぼり、米国、ロシアに次ぐ世界第3位の規模。

 報告書はまた、中国がイラク戦争から学んだ教訓として、台湾との衝突を想定した作戦では、長距離精密誘導兵器の役割を再評価していると分析。米軍の「衝撃と恐怖」作戦のような、敵の指導部や通信網を狙った空爆や地上の急襲攻撃と心理作戦の一元化を検討していると指摘した。

台湾、観測衛星打上げ 偵察画像を自前で収集 中国圧力に防衛能力向上

2004/05/29(産経新聞)YAHOO! News
 【台北=河崎真澄】台湾初の地球観測衛星である「中華衛星2号」を載せた「トーラスXL」型ロケットが、日本時間の二十一日、米カリフォルニア州バンダーバーグ空軍基地から打ち上げられ、同衛星は地球周回軌道に乗った。前日に二期目の就任式を終えたばかりの陳水扁総統は、「台湾人民二千三百万人の光栄と誇りだ」とたたえた。同衛星は地表を解像度二メートルで撮影する能力を備え、軍事圧力を強める中国側を前に、自前の偵察画像を収集する態勢に踏み込むものとなった。

 中央通信によると、「中華衛星2号」は台湾上空を通過し、新竹スペース計画センターに台湾の衛星画像を送ることに成功した。

 地上約八百九十一キロの上空を周回し、台湾上空を一日に二回、通過する。  農林計画や環境監視など多目的の地球観測衛星で、画像の民間利用による収益も見込む。打ち上げ費用は約四千三百万米ドル。  台湾当局は衛星の軍事利用について公式にコメントしていないが、中国大陸の地表画像

も撮影可能な自前のシステム成功で、情報収集能力の大幅向上を期待していることは間違いない。陳総統は昨年十一月、米軍事衛星などからの機密情報を基に、中国の四百九十六基の弾道ミサイル配備状況を詳細に公表した経緯がある。

 「画像解像度二メートルでは十分な軍事情報を得られるとはいえず、一メートル以内の高精度な監視衛星が必要」(関係筋)との見方はあるが、弾道ミサイルで圧迫を加えるのが中国側の戦略だけに、衛星を「眼」に自前の偵察技術で中国側の動静を探ることは台湾の防衛にとり重要課題となっていた。

 台湾は五年前に、電離層観測衛星の「中華衛星1号」の打ち上げに成功している。1号が米国の技術に頼ったのに対し、2号は台湾独自の衛星技術で開発した。

 行政院(内閣に相当)科学委員会が一九九一年に策定した十五年間にわたる「宇宙技術発展長期計画」に基づくプロジェクトで、さらに気象衛星として、より精度の高い3号を米国と共同で二〇〇五年に打ち上げる計画だ。

 旧ソ連、米国に次いで三番目の有人宇宙船の打ち上げに成功した中国との宇宙技術格差はまだ残るが、台湾は米との共同プロジェクトに安全保障の意義を託している。

台湾副総統に米入国許可

2004/05/26 The Sankei Shimbun
 バウチャー米国務省報道官は25日、近く中米諸国を訪問する台湾の呂秀蓮副総統に対し、米政府が一時入国を認めたことを明らかにした。

 呂副総統は28日にラスベガスに立ち寄り、30日まで米国に滞在。さらに中米歴訪からの帰途、来月6日から9日までサンフランシスコに滞在する予定。

 報道官は「副総統の訪米は個人的かつ非公式なもの」とした上で、入国許可は渡航上の便宜にすぎないと強調した。(共同)

台湾新幹線車両が高雄到着 9月から試運転

2004/05/25 The Sankei Shimbun
 台湾で2005年10月に開業予定の台湾高速鉄道(新幹線)向けに、川崎重工業などが製造した車両を貨物船から降ろす作業が25日、台湾南部の高雄港で始まった。

 日本の新幹線型車両が海外に輸出されたのは初めて。新幹線は台北−高雄間(345キロ)を最高時速300キロ、約1時間半で結ぶ計画で、9月に高雄−台南間で試運転が行われる見通し。

 貨物船は19日に神戸港を出港、24日に高雄港に到着した。1編成12両の車両は、白の側面に黒とオレンジの線が入った流線形で定員は989人。

 輸出された車両は東海道・山陽新幹線「のぞみ」の「700系」をベースに川崎重工業と日立製作所、日本車両製造が製造。3社は台湾向けに計30編成、360両を手掛けるという。(共同)

「台湾独立を放棄せず」中国、総統就任演説を批判

2004/05/24 The Sankei Shimbun
 中国政府台湾事務弁公室の張銘清報道官は24日記者会見し、陳水扁台湾総統の20日の就任演説について「大陸と台湾が1つの中国であることを認めず、台湾独立の立場を放棄していない」と指摘、『1つの中国』の原則を受け入れない限り台湾当局との話し合いには応じない考えを示唆した。

 同弁公室が陳氏の就任演説を論評したのは初めて。報道官は「両岸関係で最も重要なのは『1つの中国』の原則を受け入れるかどうかだ」と強調し「(中台)両岸関係を改善したいという誠意もない」と就任演説を批判した。(共同)

陳水扁氏、第11代台湾総統に就任

2004/05/20 The Sankei Shimbun
 3月の台湾総統選で再選を果たした民主進歩党の陳水扁氏(53)の就任式が20日午前9時(日本時間同10時)から、台北市の総統府で行われ、陳氏は第11代総統に就任した。支持者ら20万人を前に就任演説で2期目4年間の施政方針を表明、中国との関係改善に向け「三通」(通商、通航、通信の直接開放)実現を含め、新たな協議の枠組みづくりを呼び掛けた。一方で、憲政改造委員会をつくり、任期中の2008年までに新憲法を制定すると言明した。

 中台関係のこう着状態を打開し、和解のきっかけをつかめるかどうかが政権2期目の当面の課題となるが、陳氏が演説で新憲法制定について具体的に言及したことで、中国は反発を強めそうだ。

 総統選前日の銃撃事件で負傷した陳氏には同情票が集まり、野党統一候補の連戦・国民党主席を小差で破った。連氏は当選無効訴訟を起こし票再集計が行われたが、結果公表には至っておらず、連氏はこの日、同市内の国父記念館で集会を開き、陳氏就任に抗議した。

 陳氏は演説で、中国が「中華民国」の存在を認めるよう強調。「三通」実現を含め、中国と平和で安定した関係を構築するため、中国指導者に対し、新思考を用いるよう促した。

 陳氏は憲政改革について、行政効率向上などを目的とした民主改革で「統一か独立か」といった主権問題とは無関係との考えを示し、中国当局の疑念払しょくを図った。

 「『台湾独立』を宣言せず、『国名』を変えない」などの5つのノーの原則については、継続する考えを間接的に表明。中国を刺激しないよう「一辺一国(中台は別々の国)」との表現は避けた。

 中国の胡錦涛政権が各国と友好関係を築きながら国際社会での地位向上を目指す「平和的な台頭」戦略を掲げていることに応じる形で、平和で安定した中台交流の枠組みづくりを訴える演説内容となった。(共同)

≪陳総統の就任演説要旨≫

 台湾の陳水扁総統が20日行った就任演説の要旨は次の通り。

 一、現在の憲法は実情にあっておらず、2008年までの任期中に新憲法を制定する。主権問題には抵触しない。

 一、中国指導者に対し、中台問題の解決のため新思考を用いるよう呼び掛ける。

 一、両岸が善意に基づき共同で平和発展する環境をつくることができれば、両岸はいかなる関係でも発展可能だ。

 一、両岸対話を促進する。

 一、両岸の現状を維持する。

 一、台湾海峡の平和とアジア太平洋地区の平和を守る。

 一、2000年に提起した(「5つのノー」の)約束は変わらない。

 一、「両岸発展平和委員会」と「両岸平和発展綱領」をつくる。  (共同)

 <陳 水扁氏(ちん・すいへん)> 1951年2月18日、台湾・台南県生まれ。台湾大在学中に司法試験に合格し弁護士に。79年高雄市で民主派勢力と当局が衝突した美麗島事件で、逮捕された被告を弁護。86年、主宰していた雑誌が名誉棄損に問われ、8カ月間入獄。立法委員(国会議員)を経て94年台北市長に当選。2000年3月の総統選に民主進歩党から出馬して当選、02年7月から同党主席。04年3月19日、銃撃され負傷。翌20日、総統に再選された(共同)

 <呂 秀蓮氏(りょ・しゅうれん)> 1944年6月7日、台湾桃園県生まれ。米イリノイ大、ハーバード大修士課程修了。79年に雑誌「美麗島」副社長となり民主化の論陣を張ったが、民主派勢力が治安部隊と衝突した同年の美麗島事件で投獄された。85年仮釈放され、93年立法委員(国会議員)に当選。97年桃園県長。2000年3月の総統選で陳水扁氏と組み副総統に当選、04年3月19日、陳氏とともに銃撃され負傷。翌20日、副総統に再選された。民主進歩党に所属。(共同)

 <台湾総統> 「中華民国」を名乗る台湾当局の最高指導者。3軍の統帥、法律の公布などを職務とし、国家元首に相当。1949年12月に国民党政権が台湾に移って以来、戒厳令体制下で、蒋介石が死亡する75年まで終身総統だった。現在の任期は最長2期8年。李登輝前総統が憲法改正で総統直接選挙制を導入し、96年3月、自らが民主的選挙による初の総統に選ばれた。陳水扁氏は2000年に初当選、今年3月再選。5月20日、第11代総統に就任。台湾では同一人物が総統を2期務めると「2代」と数えるため「第11代」となる。陳氏は国民党政権が台湾に移ってから4人目の総統。(共同)

 <台湾の新憲法> 1946年に制定された現在の台湾の「中華民国憲法」に代わる新憲法。陳水扁総統が2003年9月に制定の意向を表明した。中国を領土範囲に含めるなど「虚構」が残る現行憲法は調整が必要とし、住民投票方式で06年に制定、08年に施行したいとしている。陳氏は新憲法制定について「独立とは無関係」としているが、中国側は「台湾独立の動き」と批判している。(共同)

 <5つのノー> 台湾の陳水扁氏が2000年5月、初めて総統に就任した際に演説で表明した原則。中国に武力行使の意図がない限り、任期中は(1)「台湾独立」を宣言しない(2)(中華民国という)「国名」は変えない(3)(李登輝前総統が提起した)「二国論」を憲法に盛り込まない(4)「統一か独立か」を問う住民投票は行わない(5)(統一の道筋を定めた)国家統一綱領を廃止しない−との内容。(共同)

総統選の票再集計作業終了 台湾

2004/05/19 The Sankei Shimbun
 中央通信によると、3月の台湾総統選で陳水扁総統に約3万票差で敗れた野党統一候補、連戦・国民党主席による当選無効訴訟を受けた票の再集計作業が18日、終了した。

 今後、訴訟を指揮している台湾高等法院(高裁)で有効か無効か争いがある疑問票の判定を実施。判定は7月以降、判決は9月末までに言い渡される見通しで、再集計結果は判決の際に公表される。

 裁判官や陳、連両陣営の弁護士らが10日から台湾各地で、有効、無効票を含めた計約1325万票の投票用紙などを点検した結果、3万票以上の疑問票が出た。

 陳氏側は、再集計で選挙結果が覆ることはないとしている。(共同)

「台湾のWHO参加を」 自民友好議連が総会

2004/05/12 The Sankei Shimbun
 自民党の「日本・台湾友好議員連盟」(会長・小林興起衆院議員)は12日午前、党本部で総会を開き、台湾の世界保健機関(WHO)へのオブザーバー参加要求について、政府として明確に支持を打ち出すように求めていく方針を決めた。

 総会では「アジアでは新型肺炎(SARS)などもあり、健康上の問題なので参加を認めるべきだ」などの意見が出た。台湾の李登輝前総統が訪日し、「奥の細道」の散策を希望していることに対して、支援していくことも確認した。

石原都知事が台湾訪問へ 陳総統の就任式に出席

2004/05/11 The Sankei Shimbun
 東京都は11日、石原慎太郎知事が18日から21日まで台湾を訪問すると発表した。台湾の総統府からの招きで、20日に台北市で開かれる陳水扁総統の就任式に出席する。このほか、台湾政界の要人との会談などを検討している。石原氏の台湾訪問は知事就任後3回目となる。

台湾総統選の票再集計開始 結果判明は就任式後に

2004/05/10 The Sankei Shimbun
 3月20日の台湾総統選で陳水扁総統に約3万票差で敗れた野党統一候補、連戦・国民党主席による当選無効訴訟を受けた票再集計作業が10日午前、台北市選挙委員会庁舎など台湾全域で始まった。

 有効か無効か争いがある疑問票を洗い出し、訴訟を指揮している台湾高等法院(高裁)であらためて判定する。疑問票選別を含む投票用紙の検査作業は、総統就任式前日の今月19日までに終わる見通しだが再集計結果は直ちには出ず、高等法院が判決の際に公表する見通しだという。

 裁判官や陳、連両陣営の弁護士らが有効、無効票を含めた計約1325万票の投票用紙などを検査。疑問票は高等法院に送られ、今後の審理の中で判定を行う。

 連氏は、無効票が前回総統選の3倍弱に当たる約33万票も出たのは「開票に不正操作があったため」として再集計を要求。当時の判定作業の問題点を探し出し、選挙結果を覆すことを狙っているが、陳総統側は結果は変わらないとみており、20日に予定通り就任式を行う。(共同)

<米国防総省>中国軍事力に関する報告、ミサイル450基を配備する

2003/07/06(毎日新聞)Alibaba.com Japan

 【ワシントン佐藤千矢子】米国防総省は30日、「中国の軍事力に関する年次報告書」を米議会に提出した。中国が、中台戦争の可能性に備えて、台湾や沖縄の在日米軍を射程に収めた短距離弾道ミサイル450基を配備するなど、軍事力増強を加速させていると指摘し、警戒感を強めている。

 報告書は、中国が短距離弾道ミサイル450基をすでに配備し、今後2、3年間に精密度を増した同ミサイルを年間75基の割合で追加配備すると分析。昨年の年次報告では350基を配備し、年間50基の割合で増やすと分析しており、予測を上回るペースで増強が進んでいるとの見方を示している。

 また中国の国防予算について、中国が昨年、発表した200億ドル(約2兆4000億円)を大幅に上回る年間450億ドル〜650億ドルと積算し、2020年までにはさらに3〜4倍に膨らむと分析している。

 また報告書は「中国は、台湾問題を平和裏に解決するのが望ましいと公言する一方、軍事的選択肢を追求している」と指摘。その主要目的は、中台戦争が勃発した場合に、米国の介入を阻止して、中国に有利な条件で台湾に交渉を強いることだとの見方を示している。

徴兵制の中止検討で軍、人材確保に懸命 台湾

2002/02/25 東京新聞

 「海軍に入ろう、海が君を呼んでいる」−。台湾海軍の遠洋訓練部隊がこのほど、台湾の六港を巡回し、一般市民に艦内を公開した。

 毎年恒例の行事で、住民の海軍に対する理解を深めることが目的だが、今年はリクルート(新兵募集)というもう一つの目的も目立った。

 北部の基隆港では雨にもかかわらず、見学希望の市民が長い行列をつくった。

 艦内に、一般公開にあわせた展示室があり、目を引いたのは待遇の説明パネル。それによると、海軍の幹部養成学校を卒業すると少尉、その初任給は四万千六百二十四元(一元=約四円)なり。

 これはインターネット関連企業の大卒男子の初任給の平均、三万九千九百五十元よりも高い。

 また、少尉をスタートに六年間勤めた退職金(二十八歳計算)が五十八万五千三百六十元、二十年間(四十二歳計算)では、三百六十四万九千八百元。そのほか、退職時には他の公務員への転職制度があることなどが説明され、海軍将校が安定した職場であることが強調されていた。

 台湾は現在は徴兵制だが、陳水扁政権は志願制を検討しているとされ、世論調査では65%が志願制に賛成の意を示している。

 このため、軍にとって人材の確保は重要な問題になっているようだ。

中国 台湾海峡沿いミサイル新配備を継続

2001.02.26【ワシントン25日=古森義久】 The Sankei Shimbun

自粛要請を無視 米、台湾に武器売却拡大も

 米中関係の新たな展開が注視されているなかで、ブッシュ新政権が中国に対し政権発足から台湾への武器売却を決めるまでの四カ月間は台湾海峡近くの地域へのミサイルの新たな配備を抑制するよう非公式に求めたのに対し、中国側は依然、新配備を続けていると米側は認識していることが二十五日までに明らかにされた。この結果、米国の台湾への武器売却はかなり前向きになる見通しが強くなったという。

 米国当局の発表では中国は台湾海峡に面した福建省地域にここ二、三年、台湾攻略の準備とみられる兵力を集結させ、とくに短距離弾道ミサイルの「東風11」(射程百三十キロ)、「東風15」(同六百キロ)を集中的に配備してきた。昨年末のこの地域の同短距離ミサイルは合計約二百基を数え、なお毎月二基以上のペースで新配備が続き、二〇〇五年には合計七百基にも達する見通しだとされてきた。

 米国のブッシュ政権は中国軍のこうした動向を考慮しながら今年四月には台湾へのイージス艦を含めた武器売却の内容を決めることとなっている。

 米国政府関係筋が二十五日までに明らかにしたところによると、ブッシュ政権では中国の台湾海峡周辺地域でのミサイル配備がこれまでのような急ピッチで続く限り、台湾への武器売却も大規模となり、中台間の緊迫が強まることを懸念して、中国側に福建省地域への短距離ミサイルの新配備を自粛するよう要請する意向を非公式に伝えることとした。

 この意向はブッシュ政権が正式に発足する前の一月前半、訪中した共和党系の元政府高官により中国の銭其●(●=王へんに深のつくり)副首相(外交担当)に直接、伝えられ、「台湾海峡に面した地域へのミサイルの新配備は台湾への武器売却にも大きな影響を及ぼすため、少なくとも政権発足の一月から四月までの四カ月間は停止してほしい」という趣旨の内容だったという。

 しかし同筋によると、中国人民解放軍はその後も福建省地域での短距離ミサイルの新配備を続け、二月末の現時点では米側の自粛要請は無視された形となっているという。米側では政府や軍の情報収集機関が得た情報により中国軍のこうしたミサイル配備継続の動きを確認したとしている。

 米国から台湾への武器売却はクリントン政権が大幅に抑制してきた結果、ブッシュ政権では規模の拡大が予測され、とくに台湾側が年来、要請している強力な防空用レーダーと防空ミサイルを備えたイージス・システム搭載の駆逐艦四隻の売却をどうするかが注目されている。こうした状況での中国側のミサイル新配備の継続はブッシュ政権の台湾傾斜を強める大きな要因ともなりかねない。

米が台湾軍艦の寄港拒否

2001.02.16【台北16日=共同】The Sankei Shimbun

 十六日の中央通信などによると、米政府はこのほど南太平洋のマーシャル諸島共和国に対し、台湾海軍の軍艦が五月に同国を友好訪問する計画を認めないと通告した。

 米国は一九八六年、マーシャル諸島と防衛と安全保障を米に委任する自由連合協定を締結。通告は協定の防衛条項に基づく判断とされるが、台湾やマーシャル側は「中国の圧力を受け入れた内政干渉」と反発している。

 台湾は九八年にマーシャルと外交関係を樹立。今回は三隻の軍艦に三百八十人の海軍将官、海軍学校の学生が分乗、カリブ海や中南米諸国を訪問後、マーシャルを初訪問する予定。

台湾統一へ柔軟姿勢 中国副首相、演説で「対等」強調

2001.01.23(09:48)asahi.com

 中国の銭其シン副首相は22日、「大陸と台湾はともに一つの中国に属する」と述べ、中国と台湾の対等な関係を強調した。台湾の陳水扁総統に対し、「統一の過程でも後でも台湾同胞の意思を十分に尊重する」とし、台湾統一に向けての柔軟姿勢を示した。江沢民国家主席の台湾統一に向けた8項目提案から6周年を記念する座談会で演説した。

 台湾問題の責任者である銭副首相は昨年の5周年座談会では「『台湾独立』は戦争しか意味しない」といった強い表現を使い、台湾側をけん制した。今年はこうした刺激的な表現は使わず、「我々が一つの国家に属することさえ認めれば、どんな問題でも話し合える」とし、平和統一は「両岸の双方にとって利がある」と説いた。

 もともと「台湾独立派」と警戒する陳総統に対し、国際世論にも配慮して穏健な姿勢を示した形だが、銭副首相は台湾が中国の一部であることを意味する「ひとつの中国」の原則を陳総統が早く認めることも改めて強く促した。

 また、台湾との「三通」(直接の通航、通商、通信)については「一つの国家の内部事務とするなら、民間同士の協議で実現できる」と述べた。台湾は今年から離島と大陸との限定的な直接通航などを解禁したが、銭副首相は両岸の貿易促進を目指す立場から全面的な「三通」解禁を改めて求めた。

上海副市長が台湾を非公式訪問

2001.01.09 asahi.com

 中国・上海市の馮国勤副市長らが9日、台湾を非公式に訪問した。野党・国民党の招きによる民間団体の肩書きでの訪問。台北市の馬英九市長(国民党)とも会談する予定で、馬市長の訪中問題も話し合われる見込み。陳水扁総統の対中姿勢に懐疑的な中国は、最近は国民党など台湾の野党勢力との交流を通じ、陳政権への揺さぶりを強めている。

「中台の五輪共同開催可能」 中国、新手の統一攻勢

2000.12.01(00:15) asahi.com

 中国国務院台湾事務弁公室の張銘清・報道局長は30日、北京で記者会見を開き、2008年の五輪開催地に北京が決まれば、「台湾との共同開催が可能だ」との見方を示した。国際的な五輪誘致競争で優位に立とうという狙いとともに、台湾の陳水扁政権に対して、「一つの中国」を認めるように迫る新手の揺さぶり策とみられる。

 張局長は、共催の可能性を問う質問に対し、「規定によれば、一つの国家はその都市が五輪招致に成功すれば、領土の範囲内のどこでも競技を行うことが出来る」と述べた。台湾が中国の一部であるとする「一つの中国」の原則の下で、台湾との共同開催は可能だと内外にアピールした。

 中国当局は、陳政権の野党に回った国民党など台湾各界との交流を強めている。台湾紙も最近、北京市の五輪誘致委員会関係者の、「大陸のほかの都市で競技ができるのに、なぜ台北でできないのか」という発言を伝え、中国側が五輪の共同開催呼びかけを検討していると報じた。

 共同開催への言及は、「中台統一」に向けた動きを加速させる狙いのほか、大阪、パリなど5都市に絞り込まれた候補地の選考で、「北京開催が中台の平和統一に役立つ」とのメッセージを、国際社会に送る目的もあるようだ。

 ◆日本オリンピック委員会の八木祐四郎会長の話

 びっくりした。台湾はこれまで独立した五輪委員会のもとで五輪に出場し、満足のいく形で活動してきたはずだ。中国が五輪招致を有利にするためにそんな話が出てきたのだろうか。シドニー五輪での韓国と朝鮮民主主義人民共和国との合同行進とは異質な感じがする。もし、将来的に一つの国になる方向が出てくるようだと、大阪は苦しくなる。

中国の江主席、台湾問題へ早期解決の意思 香港紙

2000.10.18 asahi.com

 香港紙・星島日報は18日、中国の江沢民主席(共産党総書記)が最近開かれた党内の会議で、「台湾問題は党の老幹部が健在の間に解決すべきだ。難題を次世代に残してはならない」と話し、早期統一の意思を示した、と報じた。北京の消息筋の話という。

 江主席は「台湾問題は流れに逆らう舟のようなもの。進まなければ後退してしまう」などと話したという。

陳水扁総統の「統一」疑問視発言は「危険だ」と中国

2000.09.05 asahi.com

 中国国務院(政府)の台湾事務弁公室は5日、北京で台湾、香港の記者を集めた記者会見を開き、台湾の陳水扁総統の「(中台)統一」を疑問視する発言に対し、「実質上、『台湾独立』の分裂の主張を堅持するものであり、とても危険なものである。必ずや台湾同胞を含む全中国人民の警戒を呼ぶ」と非難した。一方で、同弁公室スポークスマンは「大陸と台湾はいずれも『一つの中国』に属している」と述べ、海峡間の対話再開と交流促進を呼びかけた。

 また、外務省の孫玉璽・副報道局長も5日の定例記者会見で、陳総統を名指しした上で、台湾事務弁公室の談話と同じ発言を繰り返した。

中国広東省の台湾人学校で開校式 双方の要人続々

2000.09.03 asahi.com

 中国で台湾企業が最も多く集中する広東省東莞市に、台湾の教材を使う初の「台商子弟学校」ができ、2日、開校した。緊密な経済交流を背景に政治的なきしみを乗り越え、中台双方から同時に教育機関としての認可を取得。北京、台北から要人も駆け付け、門出を祝った。

 東莞には約4万の台湾人が常駐する。式典には父母や子供たちのほか、学校設立の母体となった東莞の台商投資企業協会の幹部が出席。大陸当局は国務院台湾事務弁公室の王富卿・副主任、東莞市の李近維・共産党書記ら。台湾からは故蒋経国総統の息子・章孝厳氏、楊朝祥・元教育部長らが顔を見せた。

 設立準備は約5年前から始まり、校舎建設(1期工事約10億円)に約10カ月かかった。台商協会の張漢文会長は「子女の教育問題は大きな悩みで、(教育内容が違うので)家族を連れてくることは難しかった。学校ができ、感激している」とあいさつした。

 授業は5日からで、幼稚園から中学3年まで701人が寄宿舎で生活。上海、青島、武漢や広東省の他の市から来た子供もいる。教壇に立つのは台湾の教員32人と大陸籍の12人。

 中台間では、統一か独立か現状維持か、を巡る駆け引きが続いている。校内では国旗の掲揚や国歌の斉唱はしないことで中台双方が合意。校歌は「共に大中華の新世紀の栄光を築こう」と歌う。

 式典では中国当局も配慮し、「統一」の言葉は一度も出なかった。東莞の張順彩・副市長は「投資環境がよくなり、(中台)両岸の交流と協力関係が進むだろう」と語った。

中台都市間交流お預け 台湾「手続きに時間必要」

2000.07.14 asahi.com

 台湾の謝長廷・高雄市長によると、都市間交流を進めている中国アモイ市の朱亜衍市長から「18日から高雄市を訪問したい」と要請があった。しかし、台湾行政院(内閣)の対中政策担当者、蔡英文・大陸委員会主任は14日、「訪問は原則として歓迎するが、現行法規では2カ月前の申請が必要なため、18日からの訪問は手続きの上から不可能」との見解を示した。

 両市の交流は、謝市長が先にアモイ訪問を希望したが、同委員会は「申請された訪中日程が都市交流の域を超えている」ことを理由に不許可としていた。このため、今度はアモイ側が台湾訪問を打診したが、法手続きに例外を認めない台湾当局の方針で当面はお預けとなった。

中国副首相、台湾の新党代表団と会談

2000.07.12 asahi.com

 中国の銭其シン副首相は12日、訪中している台湾の政党で統一促進の立場を取る「新党」の代表団と会談した。新華社電によると、銭副首相は「『1つの中国』の原則に賛成するなら、だれとでも対話できる。対話と協議の中で双方が受け入れられる解決方法を探すことができる」と述べた。台湾の陳水扁総統に対し「1つの中国」の表明を求め、台湾の統一派との連携強化を示したものだ。

中国当局者、香港財界人に台湾独立支持の企業と取引しないよう警告

2000年06月01日 [香港 1日 ロイター]

 香港の新聞によると、中国の海峡両岸関係協会(海協会)の唐樹備副会長は、香港の地元財界人に対し、台湾独立を支持する企業とは取引しないよう警告した。 同会長は、31日の香港の中国商工会議所で、こうした取引を行ったものは「リスクを負うことになる」と述べたという。 iMail紙によると、こうした発言はここ2カ月以内で2回目で、前回は、新華社出身の人物が、台湾問題をめぐって香港で警告を発している。

米国防総省、台湾へのイージス艦4隻の売却延期へ=米紙

2000年04月17日[ワシントン 17日 ロイター]

 米国防総省は、台湾へのイージス艦4隻の売却は当面行わない、との方針を示したものの、中国からのミサイル攻撃を探知できる長距離レーダーの売却は認める意向。

 17日付の米ワシントン・ポスト紙が、この件に詳しい同省関係筋の発言として報じたところによると、米国防総省は、台湾が希望していた幾つかの新兵器の売却を延期する決定を下した。

 それらには、イージス艦4隻のほか、潜水艦や、対潜水艦戦闘機「P−3オリオン」、陸・海・空で100以上の目標を同時に追跡できるレーダーおよびコンピューター・システムなどが含まれる。

 国防総省のスポークスマンからのコメントは得られていない。

中国当局、台湾の人気歌手の活動を禁止

2000年05月24日[北京 24日 ロイター]

 中国当局は、同国で人気の高い台湾人女性歌手、張恵妹さんの中国内での活動を禁止した。

 関係者によると、20日に行われた陳水扁・台湾総統の就任式で、張さんが台湾の国歌を歌ったことを受けた措置とみられる。

 このため、米清涼飲料大手コカ・コーラ社は、中国国内で、張さんが出演する同社のテレビCMなどの広告キャンペーンの中止に追い込まれている。

中国が米に仲介要請と報道

2000年05月14日【ワシントン・共同】

 ワシントン・ポスト紙は13日、台湾問題への介入を拒んできた中国側が「初めて」米国に対し、中台間の対話・緊張緩和に向けた「仲裁の外交努力を払うよう」求めたと報じた。

 これに対し米国家安全保障会議(NSC)報道官は同日、米国はこれまで通り中台の対話を期待するとし「仲介役を担うことはない」とコメントした。

「次期台湾総統の言動注視」と唐外相 森首相と会談

May 11, 2000 asahi.com

 森喜朗首相は11日午前、中国の唐家セン外相と首相官邸で約50分会談した。台湾問題について唐外相は「(総統に)当選したのが民進党とはいえ、独立を放棄し、それを行動で示し、一つの中国を認めれば、両岸問題の解決に向けて平等に話し合うことができる。発言と行動を静観している」と述べ、今月20日に新総統に就任する陳水扁氏の言動を注視する姿勢を示した。

 これに対し、首相は日中共同声明などを踏まえ、「一つの中国」を支持する日本政府の立場を改めて表明するとともに、台湾問題が「平和的に解決することを望む」と述べた。

 また、唐外相は「歴史にかかわる問題について自分たちは積極的だ。『歴史を鏡として未来に目を向ける』とする江沢民主席の言葉に尽きる」などと述べたが、首相は1995年に当時の村山富市首相が「侵略」と認めた談話なども含め、特に言及しなかった。

就任演説だけでは判断せず

2000年05月09日【台北・共同】

 中国の対台湾交流機関、海峡両岸関係協会の唐樹備・副会長は9日、福建省アモイで講演、陳水扁・台湾次期総統の就任演説について「1回の演説で50年にわたる双方の相違を解決することはできない」と述べ、同演説の内容だけで台湾に具体的な行動を起こす考えはないとの柔軟姿勢を示した。陳次期総統の20日の就任演説は、中台関係の将来をめぐり注目されている。

東シナ海に潜水艦部隊集結

2000年05月01日【香港・共同】

 1日付の香港紙、太陽報は北京の消息筋の話として、中国人民解放軍が4月に実施した軍事演習は、鉄道を使ったミサイル部隊の移動や、東シナ海に集結した潜水艦部隊による敵艦攻撃など大規模な演習だった、と報じた。

 台湾国防部(国防省)当局者は4月25日、中国による軍事演習の実施を確認していた。

 同紙によると、演習は4月19日から23日まで。

中国が李遠哲氏招待も

2000年04月25日13時53分【台北・共同】

 台湾のインターネット新聞「明日報」は25日北京発で、中台交流窓口の海峡両岸関係協会の汪道涵会長に近い筋が、台湾の陳水扁・次期政権との接点を求め、ノーベル賞学者の李遠哲・中央研究院院長を、5月20日の総統就任式前に中国に招待することを検討していると伝えた。

 李院長は、こう着状態の中台関係の打開に向け、自ら交渉役を務める意向を表明している。

陳氏支持の台湾企業を拒否

2000年04月17日【上海・共同】

 上海市台湾事務弁公室の当局者は17日、長栄グループなど陳水扁次期総統を支持する台湾の大企業が上海市に新たな支店開設を申請した場合、当面は許可しないと言明した。

 理由について当局者は、台湾の大企業が独立を支持する一方で、中国で金もうけをしようとするのは受け入れられないと述べた。

陳氏支持財界人に嫌がらせ

2000年04月10日【台北・共同】

 台湾の陳水扁・次期総統支持を鮮明にした台湾財界人に対し、中国側が訪中の中止や事務所設置の延期など「嫌がらせ」に出ている。

 10日付の台湾紙、経済日報によると、これら財界人は、半導体のトップメーカー「エイサー」の施振栄会長、大手海運会社、長栄グループの張栄発総裁らで、総統選中に陳氏支持を発表、陳勝利の起爆力となった。

中国、台湾の次期副総統を「救いようない」と批判

April 08, 2000

 中国当局は8日、台湾の呂秀蓮次期副総統をいっせいに批判した。呂氏が香港のテレビ局の取材に答えた発言を受けたもので、「極端な救いようのない台独(台湾独立)分子」と断じている。総統選挙後、台湾の次期指導者に対して中国側が名指しの批判をするのは初めて。しかし陳水扁・次期総統への直接批判は相変わらず避けており、側面からの批判を強めた形だ。

  同日付の主要各紙が共産党・政府の台湾担当部門、台湾との交流窓口である海峡両岸関係協会のスポークスマン発言をいっせいに伝え、新華社も批判評論を配信した。中国の報道によれば、呂氏は中台関係を「遠い親せきであり、近隣」と表現。「一つの中国」の受け入れを迫る中国の姿勢は台湾への「威嚇」だとし、認めるのは大陸への「屈服」と位置づけたという。

 中国側は「悪らつな言葉を使って台湾同胞の祖国大陸の同胞に対する憎しみをかきたて、対立の感情をけしかけようとたくらんでいる」と批判している。

湯氏が国防部長就任を固辞

2000年04月08日【台北・共同】

 中央通信によると、陳水扁次期総統の政権下で国防部長就任が有力視されていた湯曜明・参謀総長は8日「軍内の安定と両岸状況を掌握する観点から、国防部長には適していない」と、就任を固辞。行政院長に内定の唐飛・国防部長は、後任に湯氏を推薦していた。湯氏は「政権交代で軍の司令系統に変動が生じれば、社会に影響を与えかねない」として参謀総長に留任の意向を示した。

中国副首相、台湾次期総統に「一つの中国」回答求める

April 07, 2000

 中国の銭其シン副首相は6日、台湾問題に関する共産党、政府、軍の会議で台湾情勢について報告した。副首相は台湾の陳水扁・次期総統に対し、「まず初めに『一つの中国』の原則を認めなければならない。我々はこの問題に対する総括的な回答が見たいのであって、個別問題の回答が見たいわけではない。総合的な回答が非常に重要であり、その他はすべて枝葉末節の問題だ」と呼びかけた。中台対話を再開する前提として、陳氏に対して、「一つの中国」を認めるかどうかの二者択一を迫ったものといえる。

名称変えイージス艦供与か

2000年04月03日【台北・共同】

 台湾紙、聯合報は3日、台湾軍筋の情報として、今月末ワシントンで開かれる米台武器輸出交渉で、米国側が戦域ミサイル防衛(TMD)の中核となるイージス艦を、名称を変更して台湾に供与する可能性があると伝えた。

 イージス艦は、衛星が探知したミサイル発射情報を受けて、海上からの迎撃ミサイルで撃ち落とす能力を持つ。

「辞任後の外国訪問にも反対」 李登輝批判続ける中国

March 28, 2000

 国民党主席を辞任した台湾・李登輝総統への批判を、中国当局やメディアが断続的に展開している。外務省の孫玉璽副報道局長は28日、今後も李氏の外国訪問に反対する姿勢を明らかにした。表舞台を降りる李氏への執ような批判には、「李登輝路線の真の継承者ではないか」とにらむ陳水扁・次期総統をけん制する狙いもあるが、中台対話を途絶えさせ、中国側が内心では頼りにしていた国民党を分裂に導いた李氏への恨みも込められている。

 孫副局長は記者会見で、李氏の辞任について「分裂を企てる者に良い末路がないことを証明した」と述べた。李氏が「長い間、中国と他国の友好関係を絶えず破壊し、国際的に『二つの中国』をつくる活動をしてきた」として、今後も「国外での祖国分裂活動」に反対する姿勢を示した。

「独立派に良い末路はない」李登輝氏辞任で中国が論評

March 25, 2000

 中国政府の新聞弁公室スポークスマンは、台湾の李登輝総統が国民党主席を辞任したことについて「独立支持者が良い末路を迎えないことを証明した」と語った。25日付の英字紙チャイナ・デーリーが伝えた。また同日付の人民日報など主要各紙は、李氏辞任に関する新華社の評論をいっせいに掲載。「『一つの中国』の原則を否定し、台湾を中国から分裂させようとするものは、李登輝をもって戒めとすべきだ」と論じ、名指しを避けつつ、陳水扁・次期総統をけん制した。

 新華社評論は、李氏の主席時代を振り返って「一つの中国を堅持し、台独(台湾独立)に反対してきた国民党の路線をわい曲し、党分裂と台独の危険な道へと進めた」と批判。党から統一派を追い出し、党内で統一を主張する声を弱めたとして、党を除名された宋楚瑜氏に連なる外省人グループへの対応を暗に非難した。

中国紙「台湾地区新指導者」と論評抜きで報道統一

March 19, 2000

 中国共産党中央機関紙・人民日報、人民解放軍機関紙・解放軍報など中国の主要日刊紙は19日、台湾総統選挙について党と政府の台湾弁公室が発表した声明全文と、当選した陳水扁氏ら主な3候補の最終得票率を「台湾地区指導者選挙結果」として簡単に報じた。

 各紙とも新華社配信の論評抜きの記事を使い、扱いも1面の右下隅で統一している。マスコミ管理部門である党中央宣伝部の指示に従ったものだ。台湾独立派として非難した陳氏の当選に中国内部には戸惑いもあり、当面は主要紙では独自報道を制限するなど管理を強める方針と見られる。

台湾独立は即戦争の意 中国軍が威圧強める

March 06, 2000

 6日付の中国人民解放軍機関紙「解放軍報」は、「台湾独立は即、戦争を意味する」と題した評論を掲載した。軍制服組のトップである張万年・中央軍事委員会副主席も5日、同様の発言をしており、台湾総統選挙の投票を18日に控えて、中国軍が台湾威圧の動きを強めている。一部の地方軍区は万一の事態に備えた警戒態勢に入っている模様だ。

 解放軍報の評論は、平和統一を追求する中国政府の姿勢は変わらないとしたうえで、「憲法」改正や台湾基本法制定などによる事実上の独立をけん制。「中国人民にとって祖国分裂は最大の悪だ」と論じ、「台湾独立勢力や分裂勢力に対して、解放軍の百万精鋭たちは寸分のすきもない構えで高度に警戒し、いかなる分裂の動きも決して座視しない」と警告した。

 中国政府は、武力的な威圧をちらつかせる一方で、朱鎔基首相が5日に台湾当局との早期対話を呼びかけるなど、硬軟両様の構えで対話再開を探っている。これに対して、張副主席の発言や解放軍報の評論は、軍内部の強硬論を代弁したものといえる。

 軍が警戒するのは、総統選挙の混乱、政権移行期を狙った李登輝総統の新たな「挑発」、新総統が独立の動きを見せることだ。いずれも今のところ可能性は低いが、軍はすでにこうした事態に備えている。

 北京の軍事筋によると、対台湾戦を担う南京軍区や広州軍区が昨秋から「3級戦備」体制に入っている。最高1級から3級まである警戒態勢のうち、将兵の休暇を取り消し、24時間以内に出勤できる態勢を整えるというものだ。最近になって、武器系統や戦略物資を即応体制に保つ「2級戦備」に格上げされたとの観測もある。

中国の江主席「台湾白書は一貫した立場」、総統選けん制

March 05, 2000

 新華社通信によると、中国の江沢民国家主席は4日、開会中の全国政治協商会議の出席者らとの会談で、中国政府が公表した「台湾白書」が「無期限の交渉拒否」を武力行使の条件としたことについて、「我々の一貫した立場だ」と強調、「台湾同胞が正しい選択をすると信じている」と述べた。いずれも、18日投票の台湾総統選を強くけん制したものだ。江主席が白書について公に言及したのは初めて。

台湾が最新の兵器を要請

2000年03月01日【ニューヨーク共同】

 1日付の米紙ニューヨーク・タイムズは、中国と台湾、米国間の緊張が高まる中、台湾が中国の威嚇に対抗して米国政府に最新式兵器の売却を要請していると報じた。台湾側の要請には、最新式のレーダーと対ミサイルシステムを装備した1隻15億ドル(約1640億円)以上の駆逐艦4隻が含まれているという。

武力使えば3〜5年で統一

2000年02月27日【香港27日共同】

 27日付の中国系香港紙、大公報によると、中国社会科学院台湾研究所の李家泉・研究員はこのほど、中国が武力を行使すれば、3〜5年で台湾を統一できるとの見方を示した。

 李氏は武力に頼らない場合でも「問題解決に必要な時間は、15〜20年を超えない」との見通しを示し、「条件が整えば(中国側が)統一のタイムスケジュールを設定する可能性を排除しない」と述べた。

重大な関心 中国の台湾問題白書で米政府、懸念表明

February 23, 2000

 中国政府が台湾の統一問題に絡んで武力行使に踏み切る可能性の新条件を提示したことについて、米ホワイトハウスのロックハート報道官は22日、「いかなる武力行使も脅しも拒否する。これまでも我々は行動と言葉の両面で、台湾への脅威は重大な関心を持って注視すると繰り返してきた」と述べた。米政府は、少なくとも中国が「新たな公式」(ルービン国務省報道官)を対台湾政策に加えたことは間違いないと判断。中国側に同日、外交ルートで正式な懸念を伝えた。

 「一つの中国の原則と台湾問題」と題する白書の新条件について、ルービン報道官は「逆効果で、無益」「問題を起こす提示だ」と強調。「中台関係は平和的に解決すべき問題であり、双方の対話を困難にする行動や発言は慎むよう双方に求めている」と述べた。

 国防総省報道官は、白書を「言葉による脅威」だとして懸念を示したが、この問題でただちに東アジアの米軍活動を変化させることはない、としている。ただしロックハート氏は、1996年の台湾危機の際、米軍が2隻の空母部隊を急派した経緯を挙げ、「あのとき我々は脅威に対し適切な対応をとった。それを振り返れば、我々が(台湾海峡の)事態をどれほど注視しているか分かるはずだ」と述べた。

中国・台湾統一の期限は2007年? 香港紙が報道

February 22, 2000

 中国政府が台湾問題での武力行使について「台湾側による統一交渉の無期限拒否」を新たな条件に掲げたことについて、香港紙「サウス・チャイナ・モーニング・ポスト」は22日、中国当局は今後「統一の期限を台湾側に迫ってくる」との分析を伝えた。北京の台湾政策部門の情報とし、「期限」の候補としては2007年や2010年が浮かんでいるという。

 最近開催された共産党の台湾問題会議では「2007年までに統一が実現しない場合、武力行使が正当化できることを国際的に表明しよう」という意見まで出たという。同紙はまた、「台湾独立」という原則をなお重視する野党・民主進歩党の陳水扁候補が新総統に選出された場合も含め、総統選直後からの政治対話開始を求めるメッセージが「新条件」にはこめられた、との観測も報じた。

「台湾が無期限に統一交渉拒めば武力行使」中国が新条件

February 21, 2000

 中国政府は21日、「一つの中国の原則と台湾問題」と題する白書を発表し、「もし台湾当局が、交渉を通じた統一問題の平和的解決を無期限に拒絶すれば、武力行使を含むあらゆる可能な措置をとらざるをえなくなる」と強調した。武力行使の可能性について(1)台湾が中国から独立しようとした場合(2)外国が台湾を占領した場合、としてきた従来の立場に、新たなケースを想定したものだ。多数の住民が中台関係の「現状維持」を望むという世論を背景に、各候補が早期統一への具体的道筋を示していない台湾の総統選挙(3月18日投票)を前に、統一交渉への「時間稼ぎ」は許さないという姿勢を鮮明にして台湾側に圧力をかけたといえる。

 白書は国務院(政府)台湾事務弁公室と新聞弁公室の連名で出された。白書は「どのような方式で台湾問題を解決するかは中国の内政であり、武力使用の放棄を約束する義務はない」と論じた。「『平和統一、一国二制度』の方針と江沢民国家主席が1995年1月に発表した平和統一に関する8項目提案を堅持する」と改めて主張し、武力使用は「最後のやむを得ない選択」としたうえで、武力を用いるケースとして、これまでの2つの条件に新たに「無期限の交渉拒否」を挙げた。

 また台湾の野党・民主進歩党(民進党)などが検討している台湾の住民投票で統一か独立かを決める方式についても明確に拒否し、「台湾人民に必ず災難をもたらす」と警告した。またかつての東西ドイツのような「二つのドイツ方式」についても、「ドイツの問題は完全に外部の要因による。台湾問題は中国内戦が残した問題であり、内政問題だ」として受け付けない姿勢を明確にした。

 さらに「大陸の民主化が統一の前提」とする台湾側の主張に対しても、「統一を阻害する口実だ」と批判し、一国二制度による統一が可能だと主張している。

陳氏当選なら戦争が4割

2000年02月21日【台北・共同】

 3月の台湾総統選挙で、野党の民主進歩党の陳水扁候補(前台北市長)が当選した場合、「中台間で戦争が発生する可能性がある」と考える有権者が4割に達することが、20日発表された、民間の世論調査で明らかになった。21日付の台湾各紙によると、「戦争発生の可能性」については、国民党の連戦候補(副総統)は3%、無所属の宋楚瑜候補は8%と低い。

中国駆逐艦が台湾海峡通過

2000年02月12日【台北・共同】

 中央通信によると、台湾国防部は中国がロシアから購入したソブリメンヌイ級ミサイル駆逐艦「杭州」が11日午前10時(日本時間同11時)、台湾海峡を約3時間かけて通過し、東海艦隊司令部のある浙江省寧波に向かったと明らかにした。当初は台湾側の情報収集を避けるため、11日深夜に通過するのではないかとみられていた。「杭州」には護衛艦2隻と潜水艦1隻が随伴。

台湾安保強化法で議会批判

2000年02月03日【ワシントン共同】

 バーガー米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は2日、ワシントン市内での講演で、米下院が1日可決した台湾安保強化法案について「安保強化法どころか不安定強化法だ」と強く批判した。補佐官は、米政府が台湾海峡をめぐって長年にわたり築いてきた「絶妙なバランス@案は台なしにすると指摘縺A法案を審議する上院に「否決するよう働きかける」と述べた

中国、2月末に台湾対岸で防空演習計画

January 31, 2000

 31日の香港紙・星島日報によれば、台湾総統選を控えた2月末に中国人民解放軍が台湾の対岸にある福建省で大規模な防空演習の実施を計画している。台湾によるミサイル攻撃や空襲に備えることを目的とし、防衛ミサイル部隊や戦闘機などはすでに福建入りを始めたという。「防衛目的」と強調するのは、米国などの干渉を防ぐため。同紙は、台湾側が統一論議を「無期限に引き延ばす」ことを認めないという中国当局の姿勢を誇示することも軍事演習の大きな目的としている。

「党の軍隊」を文民統制へ

2000年01月15日【台北・共同】

 台湾立法院(国会)は15日、「国民党の軍隊」の性格を強く残していた台湾軍を文民統制(シビリアンコントロール)下の組織に改編するため、国防法と国防組織法の修正案を可決、成立させた。この結果、軍組織から総政治作戦部が3年以内に消えることになった。

台湾IDFの生産完了

2000年01月14日【台北共同】

 台湾が自主生産した戦闘機IDF(経国)130機がすべて完成、14日生産に当たった工場で、唐飛・国防部長らが立ち会い、引き渡し式が行われた。

 IDFは故蒋経国総統の指示で1980年から自主開発、同総統が死去した88年に1号機が完成し「経国tけられた。当初250機生産予定だったが、米国のF16とフランスのミラージュ機の導入が決まったため30機に圧縮された。

イージス台湾供与に同意か

2000年01月09日【台北・共同】

 9日付の台湾各紙によると、台湾総統府国家安全会議の陳必照・諮問委員は8日、台北でのシンポジウムで、米国は台湾が防空能力を高めるため導入を希望しているイージス・システム4基の供与に同意したと語った。

 唐飛・国防部長は9日、報道について「立法院(国会)が予算に同意するよう希望している」と表明、米国側が供与に同意したことを示唆した。

中国の江沢民主席が台湾との対話再開を呼びかけ

January 02, 2000

 中国の江沢民国家主席は1日、全国政治協商会議(国政の助言機関)の新年会に出席し、恒例の年頭演説を行った。江主席は台湾問題について、「条件が熟した時、『一つの中国』の原則を基礎とした上で、海峡両岸の対話と交渉を行うよう再度呼びかける」と述べ、台湾側に対話再開を呼びかけた。中台関係を「特殊な国と国」と位置づけた李登輝総統の「二国論」を非難しつつ、二国論撤回が対話再開の前提とする従来の主張には触れず、「台湾人民の利益は十分考慮される」と述べるなど、柔軟に対応する姿勢を強調した。

 演説は、「一国二制度による平和的統一」という中国の原則的な姿勢を変えていないものの、「武力行使を放棄しない」としてきた点にも直接は言及していない。「我々は台湾当局に希望を託しているが、台湾人民により期待している」と述べるなど、3月に迫った台湾総統選挙を意識して、昨年までの台湾批判を和らげ、対話再開の環境整備を進める狙いと見られる。

 江主席は二国論について「内外のすべての愛国的同胞の非難を受け、国際的にも支持を得られなかった」と切り捨てた。「5年前に提起した8項目の主張は変わっていない」と述べ、1995年の8項目提案を基礎に交渉を進める姿勢を示した。また「台湾と香港、マカオとの違いを十分に重視しており、一国二制度による台湾問題の解決は、香港、マカオより緩やかでよい」と語った

1988年の台湾核実験疑惑、元軍参謀総長が会見で否定

January 07, 2000

 台湾のカク柏村・元台湾軍参謀総長は7日、著書「八年参謀総長日記」の出版発表会で、1988年に米国から指摘された「台湾核実験」疑惑について、「実験を行った事実はない」と重ねて全面否定した。

 同氏は、「台湾が核攻撃を受けた場合、米国は核の傘で守ると保障したので、我々は核兵器を開発しない合意書に署名した」「資料を基にコンピューター実験をしたことは事実だが、仮に製造しようとしても我々には原料がなかった」と、独自の核開発に至らなかった背景を説明した。

 同書では、台湾軍参謀総長だった同年1月、レーガン米大統領(当時)の使者から、台湾軍の研究機関で小規模な核実験が行われたと指摘され、同氏が疑惑を否定した「いきさつ」が記述されている。

台湾で米ミサイル実射訓練

2000年01月02日【台北・共同】

 2日付の台湾各紙は、台湾陸軍総司令部高官の話として、台湾は米国から導入した迎撃ミサイル「パトリオット」の実射訓練を来年、台湾本島で行うと伝えた。米本土以外で、実射訓練を行うのは初めて。中国が台湾向けの中短距離ミサイルの配備を増強していることを、米側も重視している表れとみられる。

「歴史の潮流に背くな」江主席、台湾に呼びかけ

December 21, 1999

 中国の江沢民国家主席は20日夜、北京で開かれたマカオ祖国復帰慶祝大会で演説した。江主席は台湾当局に対して、「歴史の潮流に再び背くことなく、(台湾海峡)両岸関係の発展に再び障害を置くことなく、台湾同胞とすべての中華民族の根本利益を再び損なわないよう望む」と語り、「1国2制度」による統一を受け入れるよう改めて呼びかけた。

 主席は1国2制度が「台湾問題を解決する最良の方式」とし、「中国政府と人民は忠僕を分裂させようとするいかなるたくらみも、座視したり容認したりすることはない」と強調。「我々は早期に台湾問題を解決する決心も、完全な能力も持っている」と語った。

米大統領の台湾WHO加盟支持に中国が抗議

December 11, 1999

 中国外務省の楊次官は10日、米国のマーチン駐中国臨時代理大使を外務省に呼び、クリントン大統領が台湾の世界保健機関(WHO)加盟を支持したとして、「中国の主権の重大な侵害であり、中国内政に対する乱暴な干渉だ」と抗議した。全国人民代表大会の外事委員会も11日、同様の談話を発表した。中国側は特に、大統領が昨年の訪中時に表明した「3つのノー」に反する点を重視している。

 新華社電によると、クリントン大統領は最近、上下両院が可決した台湾のWHO加盟を支持する決議案などに相次いで署名した。中国政府は、WHOは主権国家が参加する国際組織であり、台湾には参加資格がないと主張している。

 クリントン大統領は訪中の際、主権国家が参加する国際組織への台湾の参加を支持しないなどとした「3つのノー」を表明。米政府は台湾の李登輝総統が「二国論」を発表した後も、「3つのノー」の方針に変わりがないと繰り返していた。

中国が拿捕の台湾船返還

1999年12月02日【台北・共同】

 ことし7月31日馬祖海域で中国税関に拿捕(だほ)された台湾輸送船「新華輪」の船長ら2人を除く8人の乗組員と船体が2日、約4カ月ぶりに台湾側に引き渡され、馬祖に到着したDは、台湾軍がチャーターした輸送船で、李登輝総統が7月に提起した「二国論」で中台関係が緊張した時期だったため、中国側が拿捕で、馬祖海域の「主権」を誇示したとの観測もあった

台湾版TMD、2005年に配備目指す 台湾紙報道

November 16, 1999

 16日付の台湾紙、自由時報は、台湾・中央科学院が独自に研究開発している、中国のミサイルを迎え撃つ「台湾版戦域ミサイル防衛(TMD)」の第1段階試験が成功、2005年を目標に配備し、中国ミサイルの脅威に有効に対応できる見通しだと報じた。

 報道によると、9月に行ったミサイルの迎撃試験で基本的な能力が確認できた。命中精度を高めるポイントとなる技術は、来年末までに開発の予定とされる。

 台湾は米国のTMDへの参加を希望する一方、独自に低層ミサイル防衛システムと早期警戒レーダー網の構築を目指している。

「米日台軍事同盟を願う」 台湾国防部長が報告書提出

November 04, 1999

 台湾の唐飛・国防部長は4日、「中共(中国)の台湾武力侵攻を防ぐため、米国、日本と軍事同盟を締結すべきだ」とする報告書を立法院に提出した。唐部長は「あくまで願望」と述べているが、台湾紙によると、国防部が公的な文書のなかで「軍事同盟締結」という明確な表現を使うのは初めて。

 報道によると、「米国の台湾安全保障強化法案が台湾安保と両岸(中台)の軍備に与える影響」と題した報告書は、米下院外交委員会が可決した同法案が米大統領選の争点になるとし、「可決、否決を問わず、中共の強い反発を招くことは避けられない」と指摘。さらに「日米安保新ガイドラインは台湾海峡情勢を安定化させる作用を持つ」としたうえで、「台湾の安全防衛こそ中共の覇権を抑え込む最良の策であることを、米国と日本にわからせるべきだ」と述べている。

 報告書は、中国の軍事力が台湾軍を上回る時期とされる2005年について、「あと6年足らずであり、戦備は時間との競争の段階に入った」との認識を示した。

国防費のGDP3%要求

1999年11月01日【台北・共同通信社】

 台湾の唐飛・国防部長は1日、立法院に今年の国防報告を提出、中国の軍備拡張によって中台間の軍事バランスに格差が生じていると指摘、域内総生産(GDP)の3%を切った国防予算を、3%の水準まで増額するよう求めた。李登輝総統が提起した「二国論」に伴う台湾海峡の緊張や、中国のミサイルの増強に危機感を募らせており、中台間の軍拡競争が再燃する恐れも出てきた

中国、東シナ海と南シナ海で大規模軍事演習

September 10, 1999

 中国国営新華社通信は10日、人民解放軍が今月上旬、東シナ海と南シナ海で上陸作戦の合同軍事演習を行ったと伝えた。台湾の李登輝総統が中台関係を「国と国」と位置づける「二国論」を表明して以来、新華社が大規模な軍事演習の実施を伝えるのは初めて。台湾への軍事的威嚇をこれまで以上に強めるとともに、11日に予定される米中首脳会談に向けて、台湾問題では譲歩しないという中国の意思を米国に伝える狙いがあるものと見られる。

 新華社によると、演習は浙江省沖の東シナ海と広東省沖の南シナ海で行われ、それぞれ南京、広州両戦区の陸海空3軍、戦略ミサイル部隊である第2砲兵などから数万人が参加した。演習の模様は10日夜の中央テレビでも詳細に報道された。

 指揮を執った中央軍事委員会の張万年副主席は演習後、「李登輝は『一つの中国』の根本原則に公然と背き、台湾を中国領土から分裂させる狂気じみた野心を余すところなく暴露した」と述べ、李総統を非難。「1国2制度による平和統一」という基本方針は堅持しつつも「武力使用の放棄は絶対に約束しない」と改めて強調した。さらに「解放軍は国家主権と領土保全の決意、自信、能力、方法を持っている。事態の発展を注視しており、祖国分裂の罪悪行為をいつでも粉砕する準備ができている」と警告した。

中国は、いかなる代償を払っても台湾を再統合する=人民日報

1999年09月07日[北京 7日 ロイター]

 人民日報は、中国は、いかなる代償を払っても最終的に台湾を再統合する、と伝えた。 同紙は、「いかに状況が厳しく、いかに道が険しくとも、中国政府と中国人民は、あらゆる困難を乗り越えて、祖国の再統合という偉大なる大義を最終的に完成させる」と報じた。 台中関係は、台湾の李総統が7月、双方の関係は「特別な国と国」というベースに基づくべきだ、と発言して以来、悪化していた。 中国政府は、「1国2制度」形式の下で、台湾との平和的再統合を目指す政策に変わりはない、としている。

台湾が軍事衛星を検討か

1999年09月06日【台北・共同通信社】

 6日付の国民党機関紙、中央日報は唐飛・台湾国防部長(国防相)の話として、台湾が陸上、海上発射のミサイル防衛システムに加え、中国のミサイル発射を早期に探知するため、長距離レーダー網の確立と軍事衛星打ち上げの可能性を検討していると伝えた。

中国が国防会議開催か

1999年09月06日【香港・共同通信社】

 6日付の香港紙鄭北京の消息筋の話として、李登輝・台湾総統の「二国論」で中台関係の緊張が続く中・蒼幕T、北京で「戦争準備国防会議」を開催すると報じた

江主席が「2国論」批判

1999年09月04日【バンコク共同通信社 】

 タイ公式訪問中の中国の江沢民国家主席は4日oンコクで開かれた昼食会で、台湾の李登輝総統の遭_A台湾海峡の安定を損ねると警告、中国の分裂に向けた「極めて危険な一歩だ」と批判した。

台湾を「懲罰」すると中国

1999年08月22日【ワシントン共同通信社】

 中国政府に深い関係を持つチャス・フリーマン元米国防次官補は22日までに共同通信と会見し、中国政府当局者が李登輝総統の「二国論」に対してある段階で軍事力行使による「台湾への懲罰」を行うとの意向を伝えてきていることを明らかにした。

F16墜落で米国に賠償も

1999年08月20日【台北・共同通信社】

 台湾空軍総司令部は20日、最新鋭戦闘機F16の墜落事故の原因特定を急ぐ一方、機体の構造に問題があれば契約に基づき、米側に賠償請求する考えを明らかにした。台湾はF16を主力戦闘機として150機導入ーz備を開始しているが、18日に嘉義空軍基地で起きた事故を含め、昨年から計4件の墜落事故を起こしている。

米「今後の説明待ちたい」 台湾総統のTMD発言

August 19, 1999

 台湾の李登輝総統が戦域ミサイル防衛(TMD)導入を前向きに検討するよう行政院(内閣)に指示したことについて、ルービン米国務省報道官は18日、「導入に向けて前進するとの公式決定は伝えられていない。台湾が(TMDについて)もし新たな考え方を持ったのであれば、今後の協議の中での説明を待ちたい」と述べた。

 報道官は、TMD問題については従来、米国と台湾の国防関係者間の定期的な会合の場で協議が続けられていることを強調し、「もし新たな見解があるならば次回に聞くことになるが、協議中の課題であるという点で、特段の目新しさはない」と語った。

台湾戦闘機がまた墜落事故

1999年08月18日【台北・共同通信社】
台湾空軍の最新鋭主力戦闘機F16が18日、昨年3月以来4度目の墜落事故を起こした。李登輝総統の「二国論」発言で中台関係が緊張し、中国軍戦闘機が台湾海峡の中間線まで飛行していることが確認されている時期だけに、事態を重視した空軍は専門チームを作り原因調査に乗り出した。

香港の人民解放軍も警戒態勢に 中台情勢緊迫化で

August 15, 1999

 15日付の香港紙サウス・チャイナ・モーニング・ポストは消息筋の話として、香港に駐留する中国の人民解放軍部隊(約1000人)が中台情勢の緊迫化を受け、部隊員の休暇などを取り消して警戒態勢を取る「3級戦争準備態勢」に入ったと伝えた。

 中国の戦争準備態勢には3段階あり、共産党機関紙・人民日報の発行する週刊紙・環球時報によると、対台湾最前線の福建省では、いつでも作戦出動できる「1級」の臨戦態勢に入っているとされる。(時事)

総統府顧問の香港入り拒否

1999年08月11日【香港・共同通信社】

 中国と台湾を、「特殊な国と国との関係」とした李登輝・台湾総統の「二国論」を受け、中台間の緊張が高まる中、対中問題を扱う台湾行政院大陸委員会の前主任委員で現在、総統府国策顧問を務める張京育氏の香港入境申請が却下されていたことが11日、関係者の話で分かった。香港は返還後初めて、中台関係緊張の余波に本格的にさらされた形となっている。

中国潜水艦が台湾海峡に集結 香港紙が報道

August 09, 1999

 9日付の香港紙・文匯報は軍事専門家の話として、中国海軍の一部の潜水艦が台湾海峡付近の海域に集結している可能性があると報じた。

 李登輝台湾総統が中台「2国」論を唱えて以降、同海峡では中台両軍の戦闘機が盛んに飛行しているが、この情報は海軍の動きも緊迫化してきたことを示唆するものだ。

 潜水艦は実戦演習を行い、現在、命令を待っている状態ではないかと同専門家は指摘している。(時事)

二国論が中台貿易に影響も

1999年08月06日 共同通信社 【北京・共同】

 6日付の中国英字紙、チャイナ・デーリーによると、中国の石広生・対外貿易経済協力相は5日、台湾の李登輝総統が「二国論」を撤回しない場合、中台間の貿易、投資にも悪影響が出るとの認識を示し、台湾側に警告した。石協力相は北京での対外貿易経済協力省の会合で「(台湾が)『一つの中国』の原則を放棄するなら中台間の貿易、経済交流は根本的に損なわれる」と述べた

台湾海峡の警戒強化

1999年08月05日 共同通信社【台北・共同】

 台湾空軍総司令部スポークスマンは5日、中国空軍の台湾海峡での飛行回数が増えていることを認めた上で、「今のところ異常な動きはないが、十分な兵力で警戒を強化し、海峡の防空を確保する」と語った。

「二国論」米支持と認識か

1999年08月05日 共同通信社【香港・共同】

 5日付の香港紙澱として中国共産党中央政治局会議がこのほど河北省の避暑地、北戴河で開かれ專o輝・台湾総統が中国と台湾は「特殊な国と国との関係」とした「二国論」を米国がひそかに支持しているとの認識で一致した、と報じた。

米軍用機の香港着陸を拒否

1999年08月04日 共同通信社【香港・共同】

 香港の米総領事館スポークスマンは4日、中国当局がこのほど、米軍用機の香港着陸を拒否したことを明らかにした。着陸を禁止された軍用機の種類や着陸予定日など詳しいことを明らかにしていないが、李登輝・台湾総統のQ国論A福建省などで警戒態勢を敷いているとされる中国側は、米軍の動きに警戒感を解いていないとみられる。

中国、米軍機の香港着陸要請を拒否

1999年08月04日[香港 4日 ロイター]

 在香港米国総領事館の広報担当者によると、中国は、米軍機の定期的な香港着陸に関する米国当局の要請を拒否した。 中国は、ベオグラードの中国大使館誤爆事件後、米軍機の香港着陸を禁止していたが、これを数日前に解除し、米軍輸送機1機の香港着陸を認めていた。 同広報担当者によると、中国は、2機目の米軍機の香港着陸申請を拒否した理由について説明していない。

新鋭艦が台湾海峡で演習

1999年08月02日 共同通信社【上海・共同】

 上海にこのほど届いた広州の夕刊紙、羊城晩報(7月29日付)によると、中国海軍の新鋭訓練艦「世昌」が同月28日、福建省アモイ沖の台湾海峡で軍事演習を行った。「世昌」は、8000カイリ(約1万4800キロ)を航行可能。ヘリコプタ12機を搭載し、中国ではまだ建造されていない航空母艦の“ひな型“とされている

武力行使の可能性も 対台湾で中国国防相

1999.08.01 産経新聞【北京31日=山本秀也】

 中国の遅浩田国防相は三十一日、北京での人民解放軍の創設記念演説で台湾問題に言及し、「いかなる祖国分裂のたくらみも、断固粉砕する」と改めて台湾への武力行使の可能性を示した。

 遅国防相は中台を「国と国との関係」とした台湾の李登輝総統発言に対し、これまで中国軍首脳として初めて武力行使に言及していた。同日の演説でも李総統と台湾当局に軍の決意を軽視しないよう警告した。

「分裂すれば戦乱と衝突」 台湾問題で中国外相

July 26, 1999

 中国の唐家セン外相は26日、シンガポールで開幕した東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラムで、台湾問題について「もし台湾独立派と外国勢力が祖国分裂をはかる状況が現れれば、中国政府と人民は絶対に座視できない。繁栄と発展は統一とともにあり、戦乱と衝突は分裂とともにある」と語り、台湾独立の動きに強く警告した。

 外相は「台湾問題は中国の内政問題」とする立場を改めて強調。国際会議の場であえて自らこの問題を持ち出すことで、台湾の李登輝総統が打ち出した中台関係を「国と国」とする新定義に対し、参加各国がくみしないようクギを刺した。

中国海軍、台湾近海で近く演習 「2国」論けん制へ

July 25, 1999

 25日付の中国系香港紙・文匯報によると、中国海軍は近く、台湾に近い大陸東南部の沿海で演習を行う。台湾近海での軍事演習には、李登輝台湾総統の中台「2国」論をけん制するため、軍事的圧力を強化する狙いがあるとみられる。

 李総統の「2国」論発言後、中国側では既に、15日に南京軍区が民間船100隻以上を動員した訓練を実施しているが、同紙によれば、最近、南京、広州、済南の各軍区で特殊部隊や空てい部隊などが参加した演習も行われた。

 海軍が近く実施する演習の規模など詳細についてはまだ決まっていないという。(時事)

米国が台湾に4原則説明

1999年07月24日 共同通信社【台北・共同】

 ワシントン発の中央通信によると、米国務省当局者は23日、台湾訪問中のブッシュ米在台協会理事長が李登輝総統ら台湾首脳との会談で、米国の対中政策としてクリントン大統領が表明した「一つの中国」政策などの3原則に加え、台湾への防衛的兵器の輸出をうたった苻p関係法」の順守を含めた4原則を説明したことを明らかにした。

李総統発言に人民日報が非難の社説、国民党革命委も声明

July 21, 1999

 台湾の李登輝総統の発言に対し、中国共産党中央機関紙・人民日報は、「一つの中国という原則は平和統一の基礎だ」とする評論員論文を21日に掲載した。「祖国統一は、あらゆるものに優先し、何よりも大事だ。統一の大事業完成は中華民族の根本的利益である」としている。

 北京にある中国国民党革命委員会は20日、「李登輝は公然と祖国分裂に踏み出し、台湾海峡両岸人民の敵となった」と非難する声明を発表した。「両岸関係の発展と平和統一の基礎をひどく破壊するもので、絶対に容認できない。孫中山(孫文)先生は『統一賛成はわが友、統一反対はわが敵』と述べている」と指摘している。

台湾の李登輝発言を厳しく非難 江主席

July 19, 1999

 中国の国営新華社通信は19日未明、江沢民国家主席がクリントン米大統領との電話会談で、先の李登輝台湾総統の発言について「国家分裂の道にきわめて危険な一歩を踏み出したもの」と批判したと伝えた。江主席の李登輝発言についての論評が報じられたのはこれが初めて。

 新華社電によると、米中首脳の電話会談はクリントン大統領が「1つの中国」政策を改めて中国側に伝達するため、米側の求めで実現したという。

 江主席は「(李主席は)中国領土と主権を分裂させる下心と、台湾を中国本土から切り離そうとする分裂の企ての本質を暴露した」と厳しい調子で非難。さらに「我々の台湾問題解決の基本方針は依然として『平和統一、1国2制度』で、政治談判を進めたい」としたが、同時に「武力行使の放棄はしない」と強調した。その理由は台湾島内と国際社会に「台湾を独立させようとする勢力があるからだ」と指摘した。

 また江主席は「我々はすでに台湾当局に対し、重大な結果を招かないよう分裂活動を直ちにやめるよう警告した」と述べ、「統一に干渉しようとする動きがあれば、決して座視しない」と決意を表明した。

輸送船の「戦時動員演習」実施 中国・福建海域

July 17, 1999

 台湾海峡に臨む中国福建省泉州市の海域で、一般船舶100隻余りが参加した「戦時動員演習」が実施されたことが17日明らかになった。中国人民解放軍南京軍区幹部が観閲しており、火砲などを使わないものの、中台を「2国家」とした台湾の李登輝総統の発言に反発した中国当局による台湾への威嚇の姿勢が鮮明になっている。

 香港の親中国系紙・文匯報や当地の中国筋によると、演習は15日午前9時半から約12時間実施された。参加したのは、非軍用船舶で、台湾侵攻の場合に物資などを輸送する役割を果たす貨物船。泉州市など地元政府の船舶も含まれている模様だ。

 演習は「戦時の迅速な動員」が目標とされ、決められた地点への集結の速度やグループ別の航行、停泊の状況を、南京軍区の副参謀長、動員部長のほか、福建省副省長らが海上で観閲した。「順調に終わった」と総括されている。

 中台関係は1995年の李総統訪米を機に緊張し、中国は同年から翌年にかけ、ミサイル発射演習や陸海空3軍統合演習を実施して台湾を威嚇した。今回の李総統発言により、同様の展開を観測する見方が香港では増えており、輸送船の演習はその小手調べといえるもの。こうした動きを通じ、中国は台湾当局の反応をうかがっているとみられる。

台湾国防部、中国軍対応の特別チームを発足

1999年07月17日 朝日新聞

 17日の台湾夕刊各紙によると、台湾・国防部は13日に中国軍の動向を把握、危機管理に当たる特別チームを発足させた。国防部作戦次長室の程士瑜・少将が17日に明らかにした。「まだ中国軍側に異常な部隊集結などの状況は見られず、我々も戦備を高めていない」と語った。1995年に中国軍が台湾海峡近くでミサイル演習を行って台湾を威嚇した際にも、同様の対応チームが結成された。

中台問題「静観」決め込む 李総統発言に慎重姿勢

July 21, 1999

 台湾の李登輝総統が中国と台湾について「国と国との特殊な関係」と表明し、中国が反発を強めている問題で、日本政府は中台関係が緊張しかねないことから懸念を強めている。中台関係は、新しい日米防衛協力のための指針(ガイドライン)関連法をめぐって、まさに日中関係の焦点の問題。今月9日の日中首脳会談でも、小渕恵三首相が中国との関係を重要な国益のひとつと位置づけ、なんとか理解を得た形になっている。それだけに政府は李総統発言問題が日中関係に影響を与えることを恐れており、「台湾が領土の不可分の一部とする中国の立場を理解、尊重する」とした1972年の日中共同声明を堅持する原則を繰り返し、「静観」を決め込む構えだ。

 高村正彦外相は21日の記者会見で、中台関係について「事態を注意深く見つめている。日中共同声明の立場は当然ながら堅持する」と述べた。しかし、いまのところ、米政府のように中国などに直接的な要請をすることは考えていない。

 日本政府の慎重な対応の背景には「李総統の発言が来春の総統選挙のことを考えたものなのか、中台関係の主導権を握りたいのか分からない」(外務省幹部)と台湾側の真意を測りかねている面もある。

米が74年まで台湾に核兵器

1999年05月14日 共同通信社

 米国は1974年まで台湾に核兵器を配備していたが、中国との関係正常化を目指して撤去したことが、当時のキッシンジャー国務長官がフォード大統領に提出した報告書で明らかになった。報告書は米民間シンクタンク国家安全保障文書館を通じて13日までに公表された。    

 台湾には、57年に米国が、戦術核兵器の搭載可能な地対地ミサイル、マタドールを配備したが、核兵器が実際に配備されていたことが確認されたのは初めて。

米国、台湾に中国監視用の早期警戒レーダーシステム供与へ=NYT紙

1999年04月30日 ロイター

 米ニューヨーク・タイムズ紙は、米国が台湾に対し、中国の弾道ミサイル発射および爆撃機の飛来を監視するための早期警戒レーダーシステムを供与することを検討していると報じた。 同紙によると、台湾を”反抗的な”省とみている中国政府は既に、こうした動きに反発している。またクリントン政権の一部当局者の間にも、既に不安定な米中関係を一段と悪化させかねないとする反対意見もあるという。 同紙によると、同政権は、中国が台湾海峡の沿岸に短距離ミサイルを配備し、台湾の軍事的脅威となっていることから、同システムの供与を承認した。

中国代表団、台湾問題でAPEC会議から退出

1999年04月28日 ロイター

 ニュージーランドのメディアによると、クライストチャーチで行われているアジア太平洋経済協力会議(APEC)の閣僚会議から中国の代表団が退出した。ただ、同行した財界人らは、専門会合には出席しているという。 同国では今年、APEC首脳会議のほかに、中小企業の会合が行われている。 ニュージーランド・ヘラルド紙は、中国の国家経済貿易委員会副主任の Zheng Silin氏率いる代表団7人は、台湾問題が原因で、席につくことなく退出した、と報じた。ただ、中国の財界人らは、フォーラムに残ったという。 同紙によると、ブラッドフォード事業・商務・国防相は、「退出したのは、長年にわたる台湾との不和に関係があった」と述べた。

●APEC(アジア太平洋経済協力会議)Asia Pacific Economic Cooperation Conference

 1989年、豪首相提唱により発足。アジア太平洋地域の経済発展のため、貿易・投資の自由化と経済協力、人材養成、技術協力などを目指している。加盟国は18カ国。事務局はシンガポール。

中国大使、ガイドラインに台湾含めぬよう菅氏に要請

April 19, 1999

 民主党の菅直人代表は19日、29日からの訪中を前に、中国大使館に陳健駐日大使を表敬訪問した。この中で陳氏は、新しい日米防衛協力のための指針(ガイドライン)関連法案に絡めて「日本が東アジア地域での軍事的役割を拡大しつつあるのではないか」との警戒心を示すとともに、「周辺事態」の対象に台湾を含めないよう求めた。

 菅氏は回答を留保したうえで「日中関係をより一層発展させていくために、今回の訪中で、日中間の歴史問題を克服する道筋を見つけたい」などと語った。

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