TOPIC No.2-137 日朝交渉/日朝関係


Index
1. 2002年度, 2. 2003年度, 3. 2004年度, 4. 2005年度, 5. 2006/7年度
01.日朝首脳会談 YAHOO!ニュース
02.日朝国交正常化交渉に関する関係閣僚会議
03.北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)(Democratic People's Republic of Korea)
04.北朝鮮 YAHOO!ニュース
05.思想新聞
06.日朝交渉 by日韓ネット
07.TOPIC No.2-132 北朝鮮日本人拉致問題
08.TOPIC No.2-135 北朝鮮住民亡命問題
09.TOPIC No.7-1-5 不審船事件

TOPIC No.2-137-5 2006/7年度

日本の姿勢は「建設的」 北朝鮮の宋日昊大使が会見

2007年09月08日 中国新聞ニュース

 【ウランバートル8日共同】モンゴルの首都ウランバートル市で行われた6カ国協議の日朝作業部会を終えた北朝鮮の宋日昊・朝日国交正常化交渉担当大使は8日、同市内で共同通信と単独会見し、今回の協議で植民地支配の過去清算と拉致問題を並行協議しようとした日本の姿勢を「建設的」と評価した。

 また「6カ国協議の進展や対米(米朝)関係が肯定的に流れている動向に合わせ、悪化している朝日関係を緩和する協議が必要との見解の一致があって協議が開けた」と指摘。3月のハノイでの作業部会で事実上決裂状態となった日朝対話を仕切り直せたとの認識を表明した。

 さらに、作業部会を重ねることで「国交正常化までのロードマップ(行程表)をつくることができるのではないか」との期待感も示した。

拉致問題は進展なし 日朝作業部会が閉幕

2007年09月06日 中国新聞ニュース

 【ウランバートル6日共同】北朝鮮核問題をめぐる6カ国協議の日朝国交正常化作業部会は6日、日本が最優先する日本人拉致問題を中心に議論したが、進展のないまま2日間の日程を終えて閉幕した。国交正常化に向けた協議の継続では一致した。北朝鮮代表団の金哲虎外務省アジア局副局長は作業部会後の記者会見で、拉致問題に関して「これまでと同じく、すべて解決したとのわれわれの立場を表明した」と述べ、従来の見解に変更がないことを強調した。

 日本側は今回の協議で拉致問題をめぐる北朝鮮の姿勢変化を注視していた。6カ国協議で北朝鮮の核問題が進展しつつある中、北朝鮮がこれまでと同様の認識を示したことで、日本がさらに孤立化しかねないとの懸念が強まりそうだ。

過去の清算を集中協議 日朝部会、半年ぶり再開

2007/09/05 中国新聞ニュース

 【ウランバートル5日共同=木下英臣】六カ国協議の日朝国交正常化作業部会は五日、ウランバートル市内のモンゴル政府迎賓館で約半年ぶりに再開された。二日間の日程で、初日の五日は、日本の植民地支配など「過去の清算」をめぐる協議を集中的に行った。双方のやりとりはまだ明らかにされていないが、北朝鮮側は補償額など本格的な協議入りを求めたとみられる。

 北朝鮮は「過去の清算」の解決を最重要視しており、協議結果は六日に話し合われる予定の拉致問題に影響を与える。日本側は具体的な補償や経済協力の在り方を検討する交渉の枠組みなどに関しても意見交換したい構えだ。

 「過去の清算」については、二○○二年九月の日朝平壌宣言で両政府は、対韓国と同じ無償資金協力や低金利の長期融資、国際機関を通じた人道支援などによる経済協力方式により行うことで合意している。

 三月の前回作業部会で日本側は経済協力により一括解決する方式が現実的だと主張したが、北朝鮮側は在日朝鮮人の法的地位問題や文化財返還問題を取り上げ、議論は平行線に終わった。

 日本政府代表の美根慶樹日朝国交正常化交渉担当大使は作業部会の冒頭で「拉致、核・ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して国交正常化交渉を実現するとの基本方針の下、誠実に対応したい」と強調。北朝鮮の宋日昊(ソンイルホ)朝日国交正常化交渉担当大使は「これからの成果に期待する」と述べた。

初日は過去の清算で議論 日朝作業部会半年ぶり再開

2007/09/05 中国新聞ニュース

 【ウランバートル5日共同=木下英臣】六カ国協議の日朝国交正常化作業部会は五日午前、ウランバートル市内のモンゴル政府迎賓館で約半年ぶりに再開された。二日間の日程で、五日は日本の植民地支配など「過去の清算」をめぐって議論。六日は拉致問題がテーマとなる。日本側は拉致問題などで実質的な協議に入ることを目指す。

 日本政府代表の美根慶樹日朝国交正常化交渉担当大使は冒頭で「拉致、核・ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して国交正常化を実現するとの基本方針の下、誠実に対応したい」と発言。北朝鮮の宋日昊(ソンイルホ)朝日国交正常化交渉担当大使は「美根大使と面識を深めることができてうれしい。重大な任に就かれたことで、これからの成果を期待する」と協議進展への期待感を表明した。

 作業部会に先立ち、美根大使は記者団に「拉致問題の解決なくして日朝国交正常化はあり得ない。具体的な行動を取るよう求めていく」と強調した。

 三月にハノイで行われた前回協議では、拉致問題をめぐって日朝が激しく対立、議論が全くかみ合わなかった。日本側は拉致問題について(1)すべての拉致被害者の即時帰国(2)真相究明(3)容疑者の引き渡し―を求めていく方針は変えていない。ただ、今回は協議継続を優先し、北朝鮮側が重視する「過去の清算」に関しても積極的に議論していく構えだ。

 今月二日に終了した米朝作業部会は年内の「核無能力化」で合意するなど前進がみられた。こうした流れを受けて、日本政府内には「北朝鮮に柔軟対応の兆しが見える」(外務省筋)として、協議の進展に期待する声もある。

北朝鮮向け放送に貸与へ NHK使用の短波送信所

2007年03月13日 中国新聞ニュース

 NHKが短波ラジオ国際放送のために使っているKDDI八俣送信所(茨城県古河市)の一部施設が、北朝鮮向け短波放送「しおかぜ」を運営している特定失踪者問題調査会に貸与されることが13日までに決まった。総務省も調査会に無線局の免許を与える方向で調整している。

 免許や周波数が決まれば、現在より大きな出力による放送が可能になる。NHKが使っている送信所が民間団体に貸されるケースは極めて珍しい。

 NHKによると、調査会とNHK、KDDIが9日に送信所貸与の覚書を交わした。貸与されるのは3月26日から10月28日。NHKのアジア大陸向け放送で空いた時間帯を利用するため、毎日午前5時半から30分間の時間帯が有力視されている。

拉致で再調査など要求へ 7日に日朝作業部会

2007/03/06 中国新聞ニュース

 【ハノイ6日共同=山根士郎】日本と北朝鮮の国交正常化に関する作業部会の初会合が七日午前(日本時間同)、ハノイ市内で二日間の日程で始まる。作業部会に先立ち、ハノイの日本大使館で六日開いた準備会合では、日本側が七日に日本人拉致事件、八日に日本の植民地支配など「過去の清算」を含む国交正常化問題を協議するよう提案、北朝鮮が受け入れた。両日とも午前は日本大使館、午後は北朝鮮大使館で協議を行う。

 日本側は拉致被害者の再調査実施など具体的な対応を迫る方針で、北朝鮮側が拉致問題が未解決であると認めるか否かが焦点だ。

 作業部会は北朝鮮の核問題をめぐる六カ国協議での合意を受けて開催。日朝国交正常化交渉は昨年二月以来、一年一カ月ぶりとなる。日本側は原口幸市・日朝国交正常化交渉担当大使、北朝鮮側は宋日昊・朝日国交正常化交渉担当大使がそれぞれ代表を務める。

 原口氏は準備会合前に「拉致問題に十分時間をかけて議論したい。北朝鮮側は過去の清算に大きな関心を表明しているので、バランス良く議論することが重要だ」と記者団に表明。準備会合では分科会を設置し拉致、過去の清算を並行協議するよう提案したが、宋氏は北朝鮮側が少人数であることなどを理由に「態勢的に無理だ」と拒否した。

 七日の協議で、日本側は拉致解決が国交正常化の前提であることを強調。政府認定の拉致被害者十七人のうち、帰国した五人を除く十二人に関して(1)再調査と生存者の帰国(2)真相究明(3)拉致実行犯の引き渡し―に加え、拉致の疑いが指摘される特定失踪者の調査も求める。

 北朝鮮側はこれまで拉致問題を「解決済み」とし、横田めぐみさんのものとして提出した「遺骨」を日本側がDNA鑑定で別人と発表したことにも反発を繰り返している。このため、作業部会は冒頭から対立が再燃し協議が難航する展開も予想される。

朝鮮総連の集会に数千人 警視庁が厳戒態勢

2007年03月03日 中国新聞ニュース

 在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)は3日、東京都千代田区の日比谷公園・野外大音楽堂で日本政府への抗議集会を開き、数千人が参加した。会場周辺には右翼団体の街宣車などが集結し、警視庁は、警察官約1500人を動員し厳戒態勢を敷いた。

 集会は、壇上に北朝鮮国旗や故金日成国家主席と金正日総書記の肖像画が掲げられ、主に朝鮮語で進行。「日本政府の北朝鮮敵視政策がもとで在日朝鮮人が迫害されている」として、人権侵害をやめるよう求めた。

 集会をめぐっては、東京都が、いったん認めた会場使用許可の取り消しを決定。東京高裁が朝鮮総連側の訴えを認め、集会実施が決まった。

進展なければ制裁解除せず 日朝作業部会で外相

2007/03/03 中国新聞ニュース

 麻生太郎外相は三日、福岡市で講演し、七日からの日朝国交正常化に関する作業部会について、拉致問題の進展がない限り、北朝鮮への経済・エネルギー支援や、北朝鮮の貨客船「万景峰92」の入港禁止など日本独自の制裁措置解除はあり得ないとの考えを重ねて強調した。

 麻生氏は「拉致が進まない限り、金は一円も払うつもりはない。これだけはメッセージとして伝える」と強調。拉致問題解決を最優先する日本が孤立しかねないとの懸念に対しては「孤立はあり得ない。米国と中国が日本を追い込むことはしない」と述べた。

「美しい国」論を非難 北朝鮮、日本と軍事衝突も

2006年10月30日 中国新聞ニュース

 【北京30日共同】北朝鮮の国営朝鮮中央通信は30日、安倍晋三首相が提唱する国家論「美しい日本」について、「日本の新内閣が本当に美しい国をつくろうとするなら、(対米追従の)悪い癖を直すべきだ」と論評した。

 朝鮮労働党機関紙も同日の論評で「植民地支配の罪悪を清算しないで、美しい国をうんぬんするのは無意味」と非難。日本が米国の対北朝鮮敵視政策に「便乗」しているため、日朝間では「軍事的衝突が起こり得る険悪な情勢が生まれている」と指摘した。

 北朝鮮メディアが、安倍首相の国家論を本格的に批判するのは初めて。

 同通信の論評はまた、日本政府の拉致問題対策本部が16日の初会合で、北朝鮮への追加制裁検討の方針を取りまとめたことにも反発。拉致問題は「既にすべて解決した」とした上で、「拉致問題を騒ぎ執権に成功した日本の当局者たちは、政権維持や保守勢力の結集、米国との同盟関係強化も、同じ手法で実現しようとしている」と批判した。

北核実験は日朝平壌宣言違反 政府答弁書

2006/10/20 The Sankei Shimbun

 政府は20日の閣議で、北朝鮮による核実験について、平成14年9月に小泉純一郎前首相と金正日総書記が署名した日朝平壌宣言に違反するものの、無効にはなっていないとする答弁書を決定した。

 答弁書は、同宣言が核問題の包括的解決のための国際的合意、国際法の順守などを明記していることを踏まえ、「北朝鮮による核実験は日朝平壌宣言に違反するものであり、同宣言を順守しているものとは考えられない」としている。その一方で、引き続き北朝鮮に宣言を「順守するように求めていく」として「無効説」を否定した。白眞勲参院議員(民主)の質問主意書に答えた。

 また、北朝鮮の核開発能力については「すでに核兵器計画が相当に進んでいる可能性を排除することはできない」との認識を示した。

 鈴木宗男衆院議員(新党大地)の質問主意書に答えた。

資産凍結の対象拡大検討 財務省、北朝鮮制裁で

2006/10/15 中国新聞ニュース

 財務省は16日、国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁決議採択を受け、改正外為法による金融制裁強化の具体的な検討に着手した。国内の金融機関に設けた口座からの送金や、資金引き出しを事実上凍結する措置の対象を、現在の15団体・1個人から拡大することを検討。金融機関を通じた監視体制も強化する。

 ただ、日本単独の金融制裁は効果に限りがあり、中国や韓国などとの連携が鍵になる。財務省は、安保理理事国で設置する「制裁監視委員会」などと歩調を合わせて制裁対象の拡大を決定。日米豪の3カ国にとどまっている制裁発動国が増えるよう国際金融協議などでの働き掛けを強める。

 今回の安保理決議は、北朝鮮の核、その他の大量破壊兵器や弾道ミサイルなどに違法な手段を含め関与、資金提供する団体や個人の金融資産凍結を求めた。具体的な対象は制裁監視委が認定するが、通貨偽造や麻薬取引といった違法手段と関連する資産も制裁対象になる可能性がある。

 財務省の藤井秀人事務次官は同日の記者会見で「対象は不断の見直しが必要で、制裁委員会で新たな対象が指定されれば日本も追加する」と語った。

 また、財務省は「銀行などでのチェックが重要」(幹部)として、金融機関に海外送金の確認義務徹底を要請するなど監視体制を強化する方針。金融取引の全面停止という強硬策については、「選択肢から完全に外すことは出来ないが、現実的に実施するのはかなり難しい」(同)と極めて慎重な姿勢を見せている。

 政府は9月19日、北朝鮮のミサイル発射を受けた安保理決議に基づいて金融制裁を発動。これまでに北朝鮮の政府系金融機関が日本国内で開設していた預金口座1件を発見し、凍結している。

 核実験発表を受け、政府が10月13日に決めた輸入禁止の独自制裁では、財務省としては金融機関が北朝鮮からの輸入代金決済をしていないかを厳格に点検する。

麻生外相「臨検の後方支援は可能」 対北朝鮮制裁

2006/10/15 中国新聞地域ニュース

 麻生太郎外相は十五日、国連安全保障理事会が国連憲章七章に基づく対北朝鮮制裁決議を採択したことを受け、周辺事態法を適用した上で、北朝鮮に出入りする船舶などの貨物検査(臨検)を行う米軍への給油を含めた後方支援を実施することは可能だとの認識を表明した。NHK、フジテレビの番組や都内で記者団に語った。

 外相発言も踏まえ、政府は北朝鮮への国際的な圧力を強めるため、周辺事態認定に向けた具体的な検討に着手する。ただ政府、与党内では決議採択だけで周辺事態と認定するのは「無理がある」(防衛庁幹部)との見方も根強く、擦り合わせ作業が必要となる。

 麻生氏は貨物検査に関し「(加盟国が)要請される形になっているので協力するのは当然だ」と強調。日本の平和と安全に脅威を与える「周辺事態」と認定する六類型のうち、今回は「国連安保理決議に基づく経済制裁の対象となるような場合」が適用されるとの認識を示した。麻生氏は、十八日から来日するライス米国務長官と日米の連携強化を確認し、具体的な協力策を話し合う。

 現行の周辺事態法では米軍以外の支援ができないほか、関連法の船舶検査活動法による日本の船舶検査には強制力が伴わない。このため、麻生氏は当面、周辺事態法による米軍への燃料補給などの支援を実施した上で、他国への支援や日本独自に強制力のある検査が行えるよう特別措置法を制定する「二段階論」にも言及した。

 ただ、防衛庁幹部は「新法は与野党の一致した協力が必要で、現状では難しいのではないか」とも指摘している。

「周辺事態」前に対処 対北朝鮮臨検で政府方針

2006/10/14 中国新聞地域ニュース

 北朝鮮の核実験実施発表に伴う国連安全保障理事会の制裁決議採択後の米軍の「臨検」に備え政府が検討している対処方針案が13日、判明した。日米防衛協力新指針(ガイドライン)に基づく周辺事態法の適用を視野に入れ、まず第1段階として「周辺事態」の認定前からテロ対策として米軍の主要基地を警護するほか、米艦船に佐世保港(長崎県)や舞鶴港(京都府)、大湊港(青森県)などの自衛隊施設を提供する内容。認定後は米軍への燃料補給など後方支援を本格化させる。

 ただ、臨検への支援には異論もあり、決議採択後の北朝鮮の対応を見極めて最終判断する。

 対処方針案は、日本周辺地域で日本の平和と安全に重要な影響を与える武力紛争などの周辺事態が発生した際、米軍への自衛隊の支援を定めた周辺事態法と、関連の船舶検査活動法の適用を軸に防衛庁・自衛隊を中心に作成。周辺事態の認定が不要で米国以外の艦船への補給も可能な特別措置法については「時間がかかる」(外務省首脳)として、現段階では具体的に検討していない。

 対米協力について周辺事態の認定に至る前後で分類。認定前に想定し得る分野として (1)日米地位協定に基づく自衛隊港湾施設・飛行場の提供 (2)不測の事態に備え、米軍三沢、横田、横須賀など各主要基地を自衛隊員計1000人規模で警護−を検討。日米物品役務相互提供協定(ACSA)や自衛隊法などを根拠とする燃料補給の可能性も探るが、臨検に当たる米軍への協力を前提としていないため政府内には否定的な見方が強い。

北朝鮮元山との「友好」解消

2006/10/14 中国新聞地域ニュース

 北朝鮮の元山市と友好都市提携を結んでいる境港市の中村勝治市長は13日、北朝鮮の核実験実施発表で交流継続が困難になったとして、提携破棄を表明した。

来週中に同市へ書簡を送る。境港と元山は終戦まで定期航路で結ばれ、人・物の交流が盛んだった。

戦後も国交のないまま貿易が続き、両市は1992年に友好都市提携を締結。

日本と北朝鮮の間で唯一の友好都市提携だった。元山市には万景峰号の母港がある。

北朝鮮へ積み荷満載で出港

2006/10/14 中国新聞地域ニュース

 北朝鮮籍船舶の日本入港禁止措置の発効(14日)を前に、境港と下関港では13日、停泊していた同国船が慌ただしく出港した。 両港には、駆け込み出荷するため中古自転車や家電製品を満載したトラックが次々と出入りし、船への積み込みが直前まで続いた。 下関港へ北九州市内から来たという輸出業者の男性は制裁措置を「当然」としながらも、「あすから売り上げ全体の4割がもがれる」と戸惑っていた。

北朝鮮「追加制裁には対抗措置」  日朝交渉大使強調

2006/10/12 中国新聞ニュース

 【平壌12日共同=磐村和哉】北朝鮮の宋日昊(ソンイルホ)日朝国交正常化交渉担当大使は十二日までに、平壌で共同通信と会見し、核実験発表を受け日本政府が追加制裁に踏み切れば「必ず対抗措置を講じることになる」と述べた。発足間もない安倍晋三政権に対しては「首相の言動を注意深く見ている」と話し、対北朝鮮政策について今後の出方を注視する構えを示した。

 北朝鮮の対日担当高官が安倍政権について言及したのは初めて。追加制裁には厳しい反応を示したものの、安倍政権の評価では非難を抑制、日朝関係の再構築に取り組む意欲をにじませた。

 拉致問題について宋大使は「解決済み」との立場をあらためて表明。さらに安倍首相が、政府に拉致問題対策本部を設置、担当相や首相補佐官を配置したことを挙げながら、(1)日本が別人と鑑定した横田めぐみさんの「遺骨」の所在や保管状態の通告(2)原状のままでの「遺骨」返還(3)日本の鑑定はでっち上げとして真相解明(4)拉致問題で日本に行った説明の全体像を日本国民に紹介すること−の四点を要求した。

 追加制裁について宋大使は、「日本は(植民地支配の)過去の清算を行っておらず、他の国がわが国に対し行う制裁への対応に比べると厳しくなる」とした上で、「具体的な措置はいずれ分かる。空言は言わない」と述べ、何らかの対抗措置を行う構えをみせた。日本政府は十一日夜の安全保障会議で追加制裁措置を決定したが、会見は同日午後、決定に先立ち行われた。

 六カ国協議については「(核実験発表を受けた)国連安全保障理事会決議の問題とも関連してくる」と話し、決議次第では協議再開の見通しがさらに厳しくなる可能性を示唆した。

北朝鮮との取引を全面停止 日産自動車

2006/10/11 The Sankei Shimbun

 日産自動車は11日、自動車輸出など北朝鮮との取引を全面停止することを明らかにした。北朝鮮がミサイル発射実験を行った7月から既にワゴン車の輸出を停止しているが、核開発など対する批判が高まり、当面その他の取引も含めて、やめることにした。

 北朝鮮へは民生用と確認した上で、商社が数社介在する形でワゴン車を輸出していた。6月には10台を輸出。7月に輸出停止を決めたが、その後は北朝鮮からの商談もないという。

 また、いすゞ自動車は11日、北朝鮮関連の取引を今後停止する社内通達を出した。これまで輸出実績はなかったが、今回の事態を受け、社内に周知徹底を図るのが狙い。トヨタ自動車はこれまで北朝鮮と取引がなく、特別な措置を取る予定はないとしている。

北朝鮮船の入港全面禁止へ 政府、追加制裁の方針決定

2006年10月11日 中国新聞ニュース

 政府は十一日、北朝鮮の核実験実施が確認できないままでも、北朝鮮籍船舶の日本入港全面禁止や、アサリ、マツタケなど北朝鮮産品の輸入制限など独自の追加制裁措置を講じる方針を決めた。同日夜に安全保障会議を開いた上、十三日に閣議決定する。

 安倍晋三首相は、核実験を実施したとの北朝鮮の発表自体が、国際社会への挑戦と重視。具体的な確証が得られない場合でも「総合的な判断」で制裁強化に踏み切る。

 政府の追加制裁案はこのほか、現在日本に停泊中の北朝鮮籍船舶への退去命令なども盛り込まれる見通し。

北朝鮮からの全面禁輸検討 政府の独自追加制裁案

2006年10月10日 中国新聞ニュース

 北朝鮮の核実験実施発表を受け、政府が検討に入った独自の追加制裁案の概要が10日、明らかになった。具体的には(1)北朝鮮産品の全面的輸入禁止(2)北朝鮮国籍保有者すべての新規入国禁止(3)貨客船「万景峰92」に限定している入港禁止船舶の対象拡大(4)現在日本に停泊中の北朝鮮籍船舶への退去命令−などが柱だ。

 政府は国連安全保障理事会における制裁決議案の協議状況や北朝鮮の出方を見ながら、制裁案を取りまとめる。制裁の内容については米国など関係国との調整が不可欠で、流動的要素もある。

 追加制裁案ではこのほか、北朝鮮のミサイル、大量破壊兵器開発に関係する団体・個人への資金凍結、送金停止措置の強化・拡充なども検討されている。

 輸入禁止は改正外為法に基づき政府が品目を指定すれば可能だ。2005年の北朝鮮からの輸入額は144億円で、経済産業省によると、カニやアサリなど魚介類が3割弱を占めており、これらの輸入禁止だけでも「北朝鮮には大きな打撃になる」(同省筋)という。ただ農水産物の禁輸に踏み切れば水産卸業者など中小企業への影響は避けられない見通し。

 入国禁止措置は現在北朝鮮当局者に限定されており、これを一般の北朝鮮国民にも広げる。船舶の入港禁止で、1000トン以上大型船舶を対象とする案が挙がっている。北朝鮮に寄港したすべての船舶を対象とする案も検討課題となっているが、難色を示す国もあるとみられ、国土交通省幹部は「実現性は少ない」と指摘としている。

北朝鮮産無煙炭の輸入停止 新日鉄、制裁に同調

2006年10月08日 The Sankei Shimbun

 新日本製鉄が、鉄鋼の生産で燃料に使う無煙炭の北朝鮮からの輸入を停止していたことが8日、分かった。核開発やミサイル発射実験を進める北朝鮮に対し、金融制裁などで圧力を強める政府に同調した。

 北朝鮮による石炭の日本への輸出額は年間約20億円で、そのほぼすべてが新日鉄向けだった。輸出額はカニ、アサリなど魚介類に次ぐ規模で、輸入停止は、北朝鮮の経済にとって打撃となりそうだ。

 無煙炭は燃やした際に煙が出にくい石炭で、高炉の装置への負担が減る利点がある。新日鉄は主に中国やベトナムなどから輸入しているが、コストが安い北朝鮮産も輸入していたという。

 しかし、7月の北朝鮮のミサイル発射実験を受けて日本政府が金融制裁の準備に入ったことから、輸入停止を決めた。

 財務省の貿易統計によると、8月の日本の北朝鮮からの輸入額は、前年同月に比べ約4割減っている。

北「挑発行為」 金融制裁で日本非難

2006/09/24 The Sankei Shimbun

 【ソウル=久保田るり子】北朝鮮の朝鮮中央通信は23日、日本が19日に金融制裁を発動したことについて「日朝関係をさらに対決局面に導く無謀で挑発的な行為」と非難した。韓国の通信社、聯合ニュースが伝えた。

 同通信は論評で金融制裁は日朝平壌宣言に違反するとし「必要な措置を引き続き強化する」と述べたが、「措置」の内容については触れていない。さらに、日本の金融制裁は「米国の(対北)敵視政策に追随して機嫌を取ろうとしており、政治的に醜悪」と批判した。

アリラン中止、日本の対北制裁効果 入港禁止措置で観客動員困難に

2006/08/01 The Sankei Shimbun

 北朝鮮が8月に予定していた国際的芸術公演「アリラン」を中止したのは、7月の大雨被害のためではなく、日本政府による北朝鮮貨客船「万景峰92」の入港禁止措置により、観客動員などが困難になったためだったことが31日、分かった。複数の政府関係者が明らかにした。北朝鮮は公演で約350万ドル(約4億円)の外貨獲得を見込んでいたとされ、日本の制裁措置が効果をあげている証左といえる。

 「アリラン」は8月14日から10月中旬まで予定され、平壌市内で連日、大規模なマスゲームなどが行われることになっていた。昨年は海外の観光客を呼び込み約350万ドル(約4億円)の外貨を獲得しており、今年の収益も同額程度とみていたという。

 ところが、北朝鮮系ウェブサイト「民族通信」などによると、北朝鮮の国連代表部は28日、在米北朝鮮系団体「在米同胞全国連合会」のユン・キルサン会長に公演の中止を通達。その理由を「7月の豪雨による水害のため」と説明し、来年春に改めて開催する計画を伝えた。

 北朝鮮では7月中旬、平安道、黄海道、江原道地域など中部を中心に記録的な集中豪雨に見舞われ、数百人―数千人が行方不明となり、住居や農産物の被害も深刻だとされる。

 しかし、複数の日本政府関係者によると、開催地の平壌などでは「アリラン」を中止するほどの被害はなかったことが判明。中止の背景には、万景峰の入港禁止により、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)などからの資金、物資の支援が困難になり、北朝鮮側が見込んだ日本からの祭典参加者や観光客ら約1万2000人の移動も難しくなったことがある。

 政府は、北朝鮮が今後も弾道ミサイル発射など日朝平壌宣言に対する違反違反を続ければ、改正外為法に基づく金融制裁などの追加措置に踏み切る方針で、そうなればさらに高い制裁効果が見込まれる。

安倍氏「入国拒否問題ない」 対北制裁措置に該当

2006/07/25 The Sankei Shimbun

 安倍晋三官房長官は25日午後の記者会見で、強制連行された朝鮮半島出身者の遺骨の早期返還などを求めて来日予定だった北朝鮮の遺族ら計5人に法務省が入国拒否を通告したことに関し「北朝鮮のミサイル発射に伴い決定した9項目(の制裁措置)に該当する。人道上も人権上も問題はない」と強調した。

 在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)などが入国拒否に反発していることには「人権、人道上の問題を言うのであれば、北朝鮮に言ってほしい」と反論。これに関連し政府筋は同日午後、「5人の中には対日工作に深くかかわる者がいるという情報を得ている」と指摘した。

 政府は北朝鮮のミサイル発射を受け、同国からの入国を厳格に審査することを決定している。

北朝鮮貨物船、民間で拒否広がる 荷役業者が取り扱わず

2006/07/11 The Sankei Shimbun

 北朝鮮が5日に7発のミサイルを発射した問題の影響で、政府の入港禁止措置の対象となっていない北朝鮮貨物船の取り扱いを民間が拒否、事実上入港できない動きが出ていることが11日、分かった。

 政府が入港を禁止したのは貨客船万景峰マンギョンボン92だけで、そのほかの北朝鮮船舶については乗員の上陸は原則認めないものの、入港は容認している。民間ベースの拒否が拡大すれば、両国の貿易にも影響が出そうだ。

 名古屋港(名古屋市)では、7日に入港予定だった北朝鮮船籍の貨物船「ジソン3」について、荷役会社が作業を拒否。同船は4日たった11日も、愛知県知多市沖に停泊したままだ。

 舞鶴港(京都府)で北朝鮮貨物船の荷役作業を引き受ける日本通運も「7日に取り扱いを中止することを決めた」と説明、入港できない状態が続いている。

 一方、日本側船舶にも影響が。北朝鮮に中古トラックなどを運ぶ船を運航する新大同海運(神戸市)は5日に神戸港からの貨物船出港を取りやめ、横浜港(横浜市)での貨物積み込みもキャンセルした。

 同社は「北朝鮮での乗員の安全が確保できない」としており、当面運航を見合わせるという。

北朝鮮人権法案、今国会で成立へ きょう衆院通過

2006/06/13 The Sankei Shimbun

 衆院拉致問題特別委員会(平沢勝栄委員長)は12日、北朝鮮による拉致問題に関し政府に経済制裁などを促す「北朝鮮人権法案」を委員長提案することを自民、民主、公明各党の賛成多数で可決した。共産、社民両党は反対した。これにより同法案は審議を省略して13日の衆院本会議で可決、参院送付される運びで、今国会中に成立する見通しだ。

 同法案は、与党と民主党がそれぞれ提出していた「北朝鮮人権法案」を一本化。与党案をベースに民主党案の「脱北者」支援などの条項を加えた。政府が(1)拉致問題改善が図られていないと判断した場合の経済制裁発動(2)北朝鮮を脱出した「脱北者」の支援―を行うと規定。同時に「国際的動向などを総合的に勘案」するとして政府に発動判断の裁量を与えている。

朝鮮総連施設への課税 千葉市、今年度から徴収

2006/04/30 The Sankei Shimbun

 千葉市内の在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)関連施設「千葉朝鮮会館」の土地・建物について、千葉市は昨年度まで全額免除していた固定資産税と都市計画税を今年度は徴収する方向となった。総連側が今年度は減免を申請しなかったため。総連側の真意は不明だが、総連関連施設の税免除に批判が高まり、総務省も厳正な処理を各自治体に指示したことが背景にありそうだ。

 総連側は同会館について平成4年度から毎年、市税の減免を申請。市は公益性のある「公民館類似施設」として税免除措置を続けていた。

 しかし、今年2月、福岡高裁が熊本市による熊本朝鮮会館に対する減免措置を取り消す判決を出したため、千葉市は施設の活動実態を把握するための基準を設けるなど、税免除見直しに前向きな姿勢を打ち出していた。

 総務省によると、17年度に朝鮮総連の本部や地方本部、支部がある139自治体のうち、千葉、札幌、大津など64自治体が固定資産税を全額免除。総務省は四月、該当施設の公益性の有無などを厳正に判断するよう各自治体に通知していた。

 千葉市内の総連関連3施設のうち、残る2施設については、総連側が今年度も減免を申請している。これについて朝鮮総連は「産経新聞の報道姿勢に疑問を感じるため、答えない」としている。

強制労働などは別途補償を 朝鮮労働党幹部、前議員に

2006/04/04 中国新聞

 朝鮮労働党中央委員会の幹部が先月26日、北朝鮮を訪れた日本の前衆院議員に対し、日朝平壌宣言で合意した経済協力方式による「過去の清算」のほかに、植民地時代に「840万人の強制労働、100万人の虐殺、20万人の従軍慰安婦(徴用)」があったとして、これらへの補償は今後の日朝政府間協議で別途求めていく方針を伝えていたことが4日、分かった。

 同幹部は同委員会国際部副部長で朝日友好親善協会会長も兼務する金泰鍾氏で、昨年9月の衆院選で落選した川上義博前衆院議員と平壌市内で会談。川上氏によると、金氏は経済協力の対象を「植民地支配、資源と文化の略奪など」に限定し、そのほかの「反人民的犯罪」は別途補償すべきだと主張した。

朝鮮総連施設の固定資産税減免見直し通達

2006/03/29 The Sankei Shimbun

 総務省は29日、各都道府県に対し、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)関連施設の固定資産税の減免措置を見直すよう通達することを決めた。見直しの対象は、朝鮮総連中央本部、都道府県と各市町村にある関連施設。林省吾事務次官名で、各知事に対し4月1日付で行う。

 固定資産税の減免をめぐっては、福岡高裁が2月に、熊本市が行っている「熊本朝鮮会館」への減免措置を違法とする判決を下しており、通達は福岡高裁の判決を踏まえて対応するよう求めている。

 自民党拉致対策本部の逢沢一郎本部長は先週、安倍晋三官房長官に、減免の見直しに向け総務省による指導を一層強化するよう要請。安倍氏はこれに前向きな姿勢を示していた。

安倍官房長官「問題外」と拒否 北朝鮮、NGO4人の引き渡し要求

2006/03/28 The Sankei Shimbun

 安倍晋三官房長官は28日午後の記者会見で、脱北者を支援する日本のNGO(非政府組織)の活動家4人について、27日に北朝鮮から「国内法の誘拐罪などに該当する」として引き渡し要求があったことを確認した。

 安倍長官は「もちろん、このような要求は問題外であり、受け入れられない」と拒否する考えを表明するとともに「こうした要求を行うこと自体、拉致問題の解決に向けた北朝鮮側の誠意を疑わせるものだ」と厳しく批判した。

北朝鮮が脱北支援でNGO幹部ら4人に逮捕状

2006/03/27 The Sankei Shimbun

 朝鮮中央通信によると、北朝鮮の警察に相当する人民保安省の報道官は27日、日本人妻の帰国や北朝鮮脱出住民の支援を行い「国の尊厳や公民の安全を侵害した」として、日本の非政府組織(NGO)などの幹部ら4人に、北朝鮮の刑法などに基づき逮捕状を出したと明らかにした。

 日本政府筋も、北朝鮮から同日、4人に逮捕状を出したとの連絡と、身柄引き渡し要求があったことを確認した。

 4人は「北朝鮮難民救援基金」の加藤博事務局長、野口孝行さん、「北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会」の山田文明代表、「救え!北朝鮮の民衆/緊急行動ネットワーク」(RENK)の李英和代表。(共同)

首相が金総書記に伝言 日朝協議、北朝鮮代表に託す

2006年02月15日 asahi.com

 小泉首相が北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記に対し、日朝平壌宣言に基づき国交正常化に向けての問題解決を促す内容のメッセージを送っていたことがわかった。4〜8日に北京で開かれた日朝包括並行協議の際、日本政府代表を務めた原口幸市・日朝国交正常化交渉担当大使が、北朝鮮代表の宋日昊(ソン・イルホ)大使に口頭で伝えた。

 首相は昨年5月、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の結成50周年パーティーに自民党総裁としてメッセージを送ったが、自民党総裁任期を9月に控え、金総書記に直接伝わる形で、あらためて正常化に向け拉致問題などの解決を求める狙いがあった。

 関係者によると、メッセージは、02年9月の小泉首相の初訪朝時に金総書記との間で署名した日朝平壌宣言に言及。国交正常化の前提となる諸問題の解決を目指し、努力するよう呼びかける内容とされる。日朝平壌宣言では「日朝間の不幸な過去を清算し、懸案事項を解決」「国交正常化を早期に実現させるため、あらゆる努力を傾注」などと明記されている。

日朝協議 「強制連行840万人、従軍慰安婦20万人」 宣言無視、北が補償要求

平成18(2006)年02月12日[日] The Sankei Shimbun

 四日から八日まで北京で行われた日本と北朝鮮の並行協議で、北朝鮮がいわゆる「強制連行」と「従軍慰安婦」の被害者数をそれぞれ八百四十万人、二十万人と挙げ、経済協力とは別に日本に補償を求めていたことが十一日、明らかになった。日朝首脳が平成十四年九月に署名した平壌宣言は、国交正常化にあたって双方が財産権と請求権を放棄することを確認しており、北朝鮮は同宣言を無視して日本側に揺さぶりをかけた格好だ。

 複数の交渉筋によると、日本の原口幸市日朝国交正常化交渉政府代表が六日の国交正常化交渉で、北朝鮮が強く求める日本の朝鮮半島統治時代の「過去の清算」について、経済協力方式による一括解決を提案した。

 これに対して、北朝鮮の宋日昊日朝国交正常化交渉担当大使は「強制連行」で八百四十万人、「従軍慰安婦」で二十万人がそれぞれ被害を受けており、経済協力とは別途に補償すべきだとの考えを示した。

 政府内には、北朝鮮が根拠のない被害者数を挙げ「強制連行」「従軍慰安婦」の補償を求めてきたことについて「経済協力に関する協議を有利に進めるためにわれわれを牽制(けんせい)しているのではないか」(外務省筋)との見方もある。

 韓国政府は昨年八月に日韓国交正常化交渉に関する外交文書を公開した際、当時の正常化交渉の過程で除外された「従軍慰安婦問題」について日本に法的な責任があるとの考えを表明した。北朝鮮が先の並行協議で、経済協力による一括解決を拒否したのは、日本に対する個人請求権・賠償の問題が残っているとする韓国の世論に同調した動きとの指摘も出ている。

 日本側交渉筋は、北朝鮮が示した被害者数について、まったく根拠がないと反論。被害の立証責任は北朝鮮側にあり、北朝鮮が「強制連行」と「従軍慰安婦」にこだわり続ければ、国交正常化交渉は不可能になるとしている。

 日本側は小泉純一郎首相と金正日総書記が合意した平壌宣言を日本人拉致事件、国交正常化交渉、核・ミサイルなどの安全保障問題を協議する上で重要な政治文書と判断して、北朝鮮との並行協議に臨んだ。

 しかし、北朝鮮は平壌宣言に明記されたミサイル発射のモラトリアム(凍結)を破棄する考えを表明したことも明らかになっており、日本側が交渉のよりどころとしてきた平壌宣言を事実上、無効にすることを狙っているとの見方が強まっている。

日朝協議、6カ国と連動させず継続 宋大使「立場の差大きい」

2006/02/11 The Sankei Shimbun

 北京で行われた日朝政府間協議の北朝鮮代表、宋日昊(ソン・イルホ)・日朝国交正常化交渉担当大使は11日、次回協議の見通しについて「日朝関係は日朝関係。日本との立場の差は相当に大きいが、今後どうやってこの差を狭めるか検討したい」と述べ、6カ国協議とは連動させず日朝協議を続ける考えを示した。平壌への帰途、北京国際空港で記者団に語った。

 元工作員、辛光洙(シン・グァンス)容疑者の拉致事件への関与を証言した関係者に会いたいと8日の会見で発言したことについて、宋大使は「特定の人を指したのではない。日本で多くのうその証言が出ている。一方的な証言で問題が提起されれば対立だけを引き起こす」と語った。

 また、今回の協議を受け、日本で圧力強化の声が高まっていることについて「われわれは対話にも圧力にも準備できている」と話した。(共同)

北朝鮮代表「圧力に十分な備えある」 日本側を牽制

2006年02月11日 asahi.com

 北京での日朝包括平行協議に出席した北朝鮮代表の宋日昊(ソン・イルホ)大使は11日、平壌への帰途、北京空港で記者団の質問に答え、日本国内に北朝鮮への圧力を強めるべきだとの声があることについて、「そうした圧力は両国を遠ざける」と牽制(けんせい)した。

 「私たちは対話に十分な備えがある。圧力にも十分な備えがある」と語り、「圧力への備え」については「協議で(日本側に)表明した」とも話したが、具体的な説明は避けた。

 一方、今回の協議を振り返って「日朝関係は日朝関係」と語り、日朝協議を再開のめどが立っていない6者協議とは連動させずに日朝協議を継続していく立場を強調した。

北朝鮮への圧力、具体的に検討 麻生外相「案は出ている」

2006/02/10 The Sankei Shimbun

 麻生太郎外相は10日午前の記者会見で、北朝鮮に対する経済制裁などの「圧力」に関し「役所の中で、これとかあれとか案が出ているのは確かだ」と述べ、外務省内で具体的な検討に入ったことを明らかにした。先の日朝政府間協議が拉致問題などに関し進展がなかったことを受けた発言。

 今回の日朝協議については「新しいものは何も出てこなかったのは確か」と表明。その上で「いろいろな意見を率直に言い合え、次も話し合いを続ける兆しが感じられる」として、対話継続の道筋がついた点は評価できるとの認識を示した。(共同)

日朝協議、並行方式継続を確認 日本、経済制裁も示唆

2006/02/08 The Sankei Shimbun

 日本と北朝鮮は8日、政府間協議の全体会合を開催、今後も国交正常化交渉と拉致、核・ミサイルなどの安全保障問題の並行方式による協議を継続することを確認し、5日間の協議を終えた。次回協議の日程については今後調整するとして具体的には確定できなかった。

 日本の原口幸市日朝国交正常化交渉政府代表(大使)は、協議終了後の記者会見で「(北朝鮮に対し)『拉致問題で進展が得られなければ、情勢は厳しくなる』と伝えた。日本の考え方は対話と圧力だ。圧力はどのようなタイミング、方法で実施すれば最も大きな効果が得られるかがポイントだ」と強調。経済制裁の可能性も示唆しながら今回協議の北朝鮮の対応を批判した。

 北朝鮮の宋日昊(ソンイルホ)日朝国交正常化交渉担当大使は「双方の間には距離もある。お互いの意見の差を狭め、朝日関係を少しでも進展させようとするならこれからもこのような交渉が必要ではないか」と記者団に述べた。

 日本は4日からの協議で拉致問題について、生存者帰国や真相究明、容疑者引き渡しなどを要求。国交正常化については日本が提起した経済協力による一括解決方式への理解を要請。核問題をめぐる6カ国協議への早期、無条件復帰も訴えた。

 これに対し、北朝鮮は植民地支配など「過去の清算」に関し、経済協力とは別に朝鮮人の“強制連行”や従軍慰安婦問題などに対する補償も行うよう主張。拉致問題では「解決済み」との基本姿勢を崩さず、日本の脱北支援者の引き渡しを重ねて要求した。(共同)

 

国交正常化交渉始まる 日朝、3年ぶり

2006/02/06 中国新聞ニュース

▽「過去の清算」を議論

 【北京6日共同=内田恭司】日本と北朝鮮は政府間協議三日目の六日午前、北京市内のホテルで、北朝鮮が強く求める植民地支配など「過去の清算」を含む国交正常化交渉をスタートさせた。日朝国交正常化交渉は二〇〇二年十月にクアラルンプールで開かれた第十二回交渉以来、約三年三カ月ぶり。

 日本の原口幸市日朝国交正常化交渉政府代表(大使)は、交渉開始前に「日朝平壌宣言に提示されている一括解決(のための)経済協力方式について双方の共通認識確認に努めたい。国交正常化そのものは拉致問題などの解決がなければ難しいと伝える」と記者団に対し強調した。

 北朝鮮代表の宋日昊同交渉担当大使も「日本側が歴史的に残された問題を清算する意思があるのかないのか確認してみようと思う。日本の経済協力問題、在日朝鮮人の(法的)地位問題、文化財返還問題が基本事項として議論されると思う」と述べた。

 日本側は「拉致、核・ミサイル問題の解決がなければ国交正常化はない」との基本姿勢を堅持した上で、〇二年九月の日朝平壌宣言で合意した経済協力方式による「過去の清算」について日本の方針を説明する意向だ。

 これに対し北朝鮮は、過去の清算を最優先すべきだとの立場を主張。平壌宣言で示された無償資金協力や円借款などの経済協力について、具体的規模や内容に関する実質的な協議を迫るとみられる。

「拉致問題解決に全力」 日朝政府間協議始まる

2006/02/04 The Sankei Shimbun

 日本と北朝鮮の政府間協議が4日午後、北京市内のホテルで始まった。全体会合で日本側は拉致問題解決へ向けた前向きな対応を要求。北朝鮮側は拉致をめぐる日本の主張に反論し、植民地支配など「過去の清算」を最優先する意向を示した。5日以降は拉致問題協議、国交正常化交渉、核・ミサイルなどの安全保障問題協議を1日ずつ行う日程で合意。今回は、これら3分野を並行して協議する初の方式となる。

 全体会合で、日本の原口幸市日朝国交正常化交渉政府代表は「日本にとって拉致問題の解決は極めて重要だ。この問題が解決されないと国交正常化は難しい」と強調した。

 これに対し、北朝鮮の宋日昊(ソンイルホ)同交渉担当大使は「自分たちにも重視する問題がある。(拉致問題で)いろいろ言いたいことがあるが、きょうは詳細は話さない」と表明。宋氏は北京空港に到着後、記者団に「互いの懸案が真摯(しんし)に協議されると思う」とも述べた。

 2002年9月の日朝平壌宣言を基に、成果が出るよう双方が努力することを確認。それぞれ協議に臨む基本的立場を主張し合った上で、2日目以降の各協議の進め方を調整した。ただ事前の事務レベル折衝で、北朝鮮側は「拉致問題は解決済み」としており、協議は難航しそうだ。

 国交正常化交渉は、02年10月にクアラルンプールで開かれて以来、3年3カ月ぶり。日朝平壌宣言で合意した経済協力方式による植民地支配など「過去の清算」を協議する。

 拉致問題協議で、日本は(1)安否不明の拉致被害者の再調査と生存者の帰国(2)真相究明(3)実行犯の引き渡し―を引き続き要求。安保協議ではミサイル開発、配備の自制などを求める構えだ。(共同)

北朝鮮、「拉致優先」の日本側を牽制「得るもの何もない」

2006/02/03 The Sankei Shimbun

 北朝鮮の朝鮮中央通信は3日、北京で4日から始まる日朝政府間協議で拉致問題解決を最優先とする日本の姿勢に反発、「拉致問題を持ち出して日本が得るものは何もない」とけん制する論評を出した。

 論評は、「拉致問題解決なくして国交正常化はあり得ない」との原則を強調する安倍晋三官房長官や麻生太郎外相の国会などでの発言は「政治的な人気を得るためで、政治的、歴史的事実を無視した近視眼的なものだ」と主張。「日本の保守勢力は問題解決のための肯定的な環境を覆し、会談の破たんをもたらそうとしている」と非難した。

 しかし「拉致問題は解決済み」とする従来の主張には触れなかった。(共同)

政府、食糧支援凍結を継続 北朝鮮への12万5000トン

2006/01/29 The Sankei Shimbun

 政府は29日までに、北朝鮮との国交正常化交渉などの並行協議開始決定を受けても、北朝鮮に対する12万5000トンの食糧支援凍結を当面継続する方針を固めた。

 政府は、2月4日から北京で開かれる並行協議に「拉致問題の解決がなければ国交正常化はない」との基本方針で臨む姿勢を明確にしており、拉致問題の進展がないままでの食糧支援再開は国民の理解が得られないと判断した。

 北朝鮮への食糧支援については、小泉純一郎首相の2004年5月の再訪朝の際に25万トンの拠出で合意。同8月、うち半分の12万5000トンについて世界食糧計画(WFP)を通じた実施を決定した。しかし、残り12万5000トンについては、北朝鮮が拉致被害者横田めぐみさんのものとして提出した「遺骨」が日本のDNA鑑定で別人と判明したことで同12月、凍結を決めた。

 一方、北朝鮮は国内の食糧事情好転を背景に昨年12月、WFPに対し支援の打ち切りを要請。これを受けWFPが新たな開発型支援プログラムの検討に入っていることも政府の食糧支援凍結の判断に影響している。

 政府は、北朝鮮が今後も拉致問題で「誠意ある対応」を見せなければ、WFPからの新たな枠組みでの支援要請にも応じない構え。ただ「食糧支援自体が交渉カードとしての効果が薄れている」(自民党幹部)との見方も出ている。(共同)

日朝協議、4日から北京で 拉致など基本方針堅持

2006/01/27 The Sankei Shimbun

 麻生太郎外相は27日の記者会見で、北朝鮮との(1)国交正常化交渉(2)拉致問題などの懸案(3)核・ミサイル問題などの安全保障―の3分野をめぐる初めての並行協議を2月4日から北京で行うと正式発表した。期間は5日間程度となる見通し。

 国交正常化交渉は、2002年10月のマレーシアでの第12回交渉以来、約3年3カ月ぶり。日本側は、初日と最終日に全体会合を開き、その間に拉致問題協議から始めて1日ずつ各協議を開くことを想定している。

 政府は、拉致問題解決を最優先する立場から政府認定拉致被害者16人のうち安否不明の11人について(1)生存者の早期帰国(2)真相究明(3)実行犯の引き渡し―を強く求めていく構え。このほか拉致された疑いがある「特定失踪(しっそう)者」についても引き続き情報提供を求める。ただ北朝鮮は「解決済み」との姿勢を変えておらず協議は難航必至だ。

 正常化交渉の担当者は、原口幸市、宋日昊(ソンイルホ)両日朝国交正常化交渉担当大使。拉致問題協議は、日朝両外務省の梅田邦夫アジア大洋州局参事官、金哲虎(キムチョルホ)アジア局副局長が当たる。核・ミサイル問題協議は、山本忠通北朝鮮核問題担当大使、鄭泰洋(チョンテヤン)外務省米州局副局長が担当に決まった。

 日本は「拉致、核、ミサイル問題などの諸懸案が解決しなければ国交正常化はない」の基本方針を堅持する方針。これに関連し、麻生氏は記者会見で「北朝鮮側の最大の関心事は国交正常化交渉だが、最終合意には双方嫌なところもきちんとやらないと妥結はない」と述べ、北朝鮮に対し拉致問題などに前向きに対応するよう重ねて求めた。(共同)

日朝並行協議、2月5日の週で基本合意

2006/01/21 The Sankei Shimbun

 日本、北朝鮮両政府は、日朝国交正常化交渉と拉致、核・ミサイル問題の並行協議を2月5日からの週に1週間程度、北京で行うことで基本合意した。日朝交渉筋が21日、明らかにした。

 並行協議は、初日に全体会合を開いた後、翌日から3分野の協議を1日ごとに行った上、最終日に総括のため再び全体会合を行う流れを想定。ただ核問題をめぐる6カ国協議が金融制裁をめぐる米朝対立で再開のめどが立たないことの影響で、日程には流動的な面も残っている。

 正常化交渉の日朝双方の担当者は、原口幸市日朝国交正常化交渉担当大使と宋日昊(ソン・イルホ)外務省アジア局副局長。拉致問題協議は、日朝外務省の梅田邦夫アジア大洋州局参事官と金哲虎(キム・チョルホ)アジア局日本課長。核・ミサイル問題協議は、日本からは山本忠通北朝鮮核問題担当特命全権公使が当たるが、北朝鮮側担当者はまだ明らかになっていない。

 政府は並行協議で、政府認定の拉致被害者16人のうち横田めぐみさんら安否不明の11人の再調査や生存者の早期帰国、元工作員、辛光洙(シン・グァンス)容疑者ら拉致実行犯の身柄引き渡し―などを重ねて求める方針だ。(共同)

HOME政治・経済・社会