TOPIC No.2-132 北朝鮮による日本人拉致事件


1. 1999-2001年度, 2. 2002年(-09月), 3. 2002年(9−10月),  4. 2002年(10-12月), 5. 2003年度, 6. 2004年度, 7. 2005年度, 8. 2006年度
01.救う会全国協議会
02.R-NET - 蒼いことばの絆 - 拉致問題は「誘拐」、人道問題です。
03.北朝鮮日本人拉致事件 by -boro's space- 無限回廊 endless loop
04.北朝鮮日本人拉致事件 YAHOO!ニュース
05.拉致問題 読売新聞 YOMIURI On-Line
06.19年の空白 有本恵子さん拉致問題 by 神戸新聞web news
07.北朝鮮による日本人拉致問題 byフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
08.北朝鮮による拉致容疑事案について 警視庁
09.日朝国交正常化交渉 外務省


韓国ラジオで情報伝達 政府検討、有事に拉致被害者へ

2010/12/26 中国新聞ニュ−ス

 政府は25日までに、朝鮮半島有事の際、日本人拉致被害者への連絡手段として、対北朝鮮放送を行っている韓国の民間ラジオ局への協力を要請する方向で検討に入った。緊急事態発生時の対応策や、脱出用の港など集合場所の周知を図る。

 有事の際には、どこでも聴取できるラジオが情報伝達に最も有効と判断した。政府の拉致問題対策本部が日本から放送している北朝鮮向け短波ラジオ番組「ふるさとの風」の活用も検討。特定失踪者問題調査会が日本で運営する北朝鮮向け短波放送「しおかぜ」を非常時には緊急放送に切り替えることも要請する考えだ。

 韓国は、対北朝鮮放送が聴けるようラジオを大型風船に付け北朝鮮に散布することを検討。拉致被害者がラジオを所有していない可能性もあるため、ラジオが北朝鮮に少しでも多く広がるよう韓国政府との連携も模索する。

 政府の拉致問題対策本部は緊急時の対応について「詳細は控えるが、ありとあらゆる事態を想定した検討を進めている」と話している。

 政府は11月、北朝鮮に対し拉致被害者に関する再調査を強く要求することや、追加制裁を視野に入れた新たな対抗措置の検討など計8項目の対処方針を決定。菅直人首相は今月、朝鮮半島有事に備え、拉致被害者を含む同半島の日本人救出計画の策定準備に入る意向を表明している。


拉致問題解決へ2つの提言(上)

2008/06/11 FujiSankei Business i.

立場の違い認め「愚行権」を尊重

 北朝鮮による拉致問題は、日本人の人権と日本国家の主権が侵害された事案である。人権と国権を保全することができないような国家は、国家として存在する資格がない。拉致問題の解決は日本国家が、国家として存続するために不可欠なのである。拉致問題の解決ということで、日本のほぼすべての人々の見解は一致しているはずだ。それにもかかわらず、オールジャパンでの取り組みができていない。もはや有効性を喪失している左右の「バカの壁」がいまだ、論壇に存在しており、それを突破することができていないからである。

 この「バカの壁」を突破する可能性のある勇気をもった2つの提言が、現在、左右双方からなされている。発表された時系列順に並べる。

 第1の提言は、『諸君!』(文芸春秋)7月号に掲載された荒木和博氏(特定失踪(しっそう)者問題調査会代表・拓殖大学教授)による「拉致救出活動は政府と一体化すべきではない」である。

 第2の提言は、『世界』(岩波書店)7月号に掲載された和田春樹東京大学名誉教授、高崎宗司津田塾大学教授、山口二郎北海道大学教授ら12人の連名による「共同提言 対北政策の転換を」である。

 普段、『諸君!』を講読している人々は、『世界』を読むことは、まずないであろう。また『世界』の愛読者は『諸君!』など手に取るのも嫌だというのが率直な感情だと思う。ただし、今回の7月号だけは、普段読まない相手方の雑誌をぜひ手にとって、2つの提言を熟読してほしいと思う。途中、不愉快に思う内容があっても、ぜひ、最後まで読んでほしい。双方の提言の筆者が、自らの信念に従って、誠実な発言をしているということをまず認め合おう。

 筆者は、荒木氏とは中国問題に関する鼎談(ていだん)で一度お会いしたことがあるだけだ。荒木氏の論考、著作は以前から読んでいるが、お会いして、人間として誠実で、また感情と論理をきちんと区別して公共圏での議論をする気構えがある人であるという印象をもった。

 和田春樹氏はロシア専門家で、筆者とも20年近いお付き合いがある。当初、緊張した関係であったが、1987年以降、北方領土交渉が進捗(しんちょく)する中で誤解もとけ、和田氏の助言を外務省は尊重した。2002年に筆者が逮捕された後も、和田氏は筆者の行動に理解を示す論考を発表した数少ない有識者である。筆者も山口二郎氏も「フォーラム神保町」という任意団体の世話人で、一緒に講演活動や勉強会を行っている。筆者の自己意識は、右翼、国家主義者なのであるが、和田氏や山口氏とは、波長が合う。もっとも対北朝鮮外交や対中国外交、靖国問題などでは、和田氏、山口氏から筆者の国家主義的姿勢が批判されることがよくある。しかし、和田氏や山口氏が日本を愛し、よりよい社会を作っていこうとする有識者であり、そのためにリスクを負う人物であるということに筆者は疑念をもっていない。

 あらかじめ述べておくが、左右の対話で重要なことは、双方が自らの信念を曲げて、何か中間的な内容で妥協することではない。お互いの立場の違いがどこから生じるのか。データが異なるからか、それとも同じデータであるが、その評価が異なるからかなどを誠実に議論する。その上で、お互いに信念を曲げないで、一致できる部分があるかどうかを探求する。一致できる部分があれば、それをどうやって進めるか、共同行動をとるか、あるいは別個に進むかについて検討する。一致できる部分が全くなくても、相手の展開をたたきつぶすような「戦争」をする必要性があるかどうかについて、よく考える。そして、相互にできるだけ「愚行権」を尊重するようにする。相手の見解が、こちらから見れば愚かな内容に見えても、こちらに危害を加えてこない限り、放っておくというのが愚行権の基本である。カトリックとプロテスタントの戦争の結果、どちらも勝利できないという状況で生まれた寛容の精神は愚行権と表裏一体の関係にある。

 さて、荒木氏の提言の優れているところは、国家と社会の機能を明確に区分していることだ。荒木氏は〈私自身はこの問題については、運動をしている側の人間であり、それ故に客観的にものが見られない部分がある〉と自らの見解に偏見があり得ることを率直に認めていることだ。人間として誠実だ。

拉致問題解決へ2つの提言(中)

2008/06/18 FujiSankei Business i.

左右の対話の基礎は整っている

 荒木和博氏(特定失踪(しっそう)者問題調査会代表・拓殖大学教授)は、なぜ拉致救出活動と政府は一体化すべきでないと主張するのであろうか。政府は抽象的存在ではなく、官僚と与党政治家によって運営されている。外交交渉を始めると、政府は「交渉をまとめたい」という欲望に取りつかれる。そのために国民の利益に照らして、不必要な過剰な譲歩をする可能性がある。

 荒木氏は〈拉致問題は官僚には絶対に解決できない。もちろん、拉致問題を本気で解決しようとしている人は何人もいるが、官僚機構自体には根本的な方向性、真理とか道理というものがほとんど存在しない。省庁、あるいは官僚機構全体の中での整合性を維持しようとする動きがあるだけである。逆に言えば政治が明確な決断をすれば、官僚機構はそれに従って動くのである/その政治を動かすのは世論であり、運動体の目的はその世論を形成していくことにある〉(『諸君!』7月号)と述べる。筆者も荒木氏の認識が正しいと考える。

 特に最近、日朝交渉が再び動き始めている状況で、世論形成の問題は死活的に重要だ。〈政府は13日、北京で11、12の両日行われた日朝の外務省実務者公式協議で、北朝鮮側が日本人拉致問題の再調査を約束し、日航機「よど号」ハイジャック事件関係者の日本への引き渡しに向けて調整することで合意したと発表した。日本側は見返りとして制裁を一部緩和し、人的交流やチャーター便の往来などを認める〉(6月13日asahi.com)。

 日本政府が北朝鮮との本格的交渉に踏み切ろうとしていることは、間違いない。外務省は、このような状況において、世論の反応を注意深く観察する。その上で、どの程度の妥協が可能であるかの胸算用をするのだ。〈政府との間では建設的緊張関係を維持し、何よりその基本方針を「北朝鮮自身が拉致問題の解決に向けて具体的な行動を取るように求めていく」から「日本国政府の責務として拉致被害者を救出する」へと変えさせねばならない〉という荒木氏の戦略は正しい。繰り返しになるが、拉致問題は日本人の人権と日本国家の国権が侵害された事案で、これを解決できないようでは日本国家が存在する意味がない。

 さて、『世界』7月号の「共同提言 対北対策の転換を」は、荒木氏の提言とは別の方向で、拉致問題の解決を図ろうとする。この「共同提言」を行った和田春樹東京大学名誉教授、高崎宗司津田塾大学教授、山口二郎北海道大学教授らは、北朝鮮に対して融和的で、拉致問題解決に不熱心であるという印象を右翼や保守陣営の一部から持たれているが、これは誤解である。「共同提案」では、拉致問題が北朝鮮による〈許されない事態〉であるという認識を明確にしている。

 〈拉致問題などの犯罪 敵対と緊張の関係の中では不正常な、許されない事態が生じた。北朝鮮は日本の領海に工作船を送り込み、工作員を日本に侵入させ、情報収集をおこなった。工作船は正規のルートでは購入も販売もできない物資を調達し、持ち込むのにも使われた。そして1970年代の後半から80年代初めにかけては、韓国民主化運動の中に工作員をおくりこむために、必要な日本語教師の獲得、日本人名義のパスポートの取得、北朝鮮長期定住外国人のための伴侶(はんりょ)の獲得などの目的で、北朝鮮は日本で日本市民の拉致を行った。このような不祥事は停止され、謝罪がなされ、回復できる損害はすべて回復されなければならない。2002年北朝鮮の指導者は首脳会談の席上、日本の総理に対して、拉致と工作船の派遣の事実を認め、謝罪した。日朝平壌宣言には、「朝鮮民主主義人民共和国側は、日朝が不正常な関係にある中で生じたこのような遺憾な問題が今後再び生じることがないよう適切な措置をとることを確認した」と述べられた。5人の原状回復が実現し、北朝鮮で生まれた家族も渡日した。拉致問題のなおのこる未解決な部分の解決が求められている〉(『世界』7月号)

 過去のしがらみを超え、〈拉致問題のなおのこる未解決な部分の解決〉に向けてオールジャパンでの取り組みをすることが重要と思う。

 「共同提言」では、〈2002年9月の平壌首脳会談で北朝鮮の指導者がおこない、13人を拉致し、うち8人が死亡し、5人が生存していると伝えた。さらに北朝鮮側は死亡したとされる8人については、2度の調査を行い、報告を日本側に提出した。しかし、この報告に対して日本側は多くの疑問を提起し、満足できる回答をえていない〉としつつも〈拉致問題の解決のために北朝鮮側はすでに基本的な認識、謝罪、将来への誓約をおこなっていることを認めなければならない〉という認識を示している。この認識には当然異論もあるだろう。それでも北朝鮮問題、拉致問題について左右の対話の基礎は十分整っていると筆者は考える。

クローズアップ2008:日朝公式協議 共通認識は「拉致進展」

2008年06月13日 毎日新聞 東京朝刊 Mainichi INTERACTIVE

 北朝鮮による日本人拉致問題が動きだす可能性が出てきた。12日夕、北京で2日間の日朝協議を終えた外務省の斎木昭隆アジア大洋州局長は「建設的で、生産的なやり取りがあった」と明言。「拉致問題は解決済み」と突っぱねてきた北朝鮮の方針転換を示唆した。拉致問題を米国によるテロ支援国家指定解除への障害にしたくない北朝鮮は、何らかの提案をしたと見られる。【北京・須藤孝、西岡省二】

 ◇消えた「解決済み」

 「単に会合したということではない。双方とも生産的だった」。斎木局長は12日の協議終了後、緊張気味に記者団に語った。さらに「突っ込んだやり取りだった」と7回も繰り返した。

 日朝協議は9カ月ぶり。焦点は拉致問題に絞られている。

 「日本の懸案事項から協議したい」。11日の協議冒頭、斎木局長が切り出した。北朝鮮の宋日昊(ソンイルホ)国交正常化交渉担当大使は、特に反発もせず了承。協議時間の7、8割は拉致問題での日本の主張に費やされた。北朝鮮側は不愉快そうな表情は見せながらも「しっかり耳を傾けメモを取っていた」(斎木局長)という。

 斎木局長が会談場所の北朝鮮大使館を出る際、宋大使は時折笑みも浮かべ、何度か握手をして送り出した。

 日本政府が認定している拉致被害者は計17人。北朝鮮側は「8人死亡、5人生存、4人は入国していない」と回答し、生存を認めた5人とその子供たち5人は日本に帰国した。

 日本側は「死亡・不明」の12人や、失跡者も含め、その後も「生存」を前提に全員の帰国と真相究明を求めているが、北朝鮮側は「拉致問題は解決済み」と拒絶、協議は中断を繰り返してきた。今回「解決済み」との主張を引っ込めたことで、何らかの進展が期待される。

 ただ、どんな事態を拉致問題の「解決」「進展」とみなすかは、当初、政府内でも、擦り合わせができていなかった。

 このため政府は、昨年3月の参院予算委員会などで、安倍晋三首相(当時)や、塩崎恭久官房長官(拉致問題担当相兼任、同)が答弁し、「解決」の要件を、(1)被害者と家族全員の安全確保と早期帰国(2)真相究明(3)拉致実行犯の引き渡し−−と定義した。

 「進展」は、「拉致問題を解決するという日朝双方の共通認識があり、その前提で北朝鮮が具体的な行動を取ること」とした。

 今回、首相を含め、政府が「進展・解決」につながるかどうかを含めて政治判断するということは、こうした定義を満たす内容であると推測される。

 事前の観測では、北朝鮮の「新提案」は、(1)被害者や遺骨の両国合同調査団(2)「よど号」乗っ取り事件のメンバー引き渡し−−などが取りざたされたが、この程度の内容を「進展・解決」と見なせば、逆に、福田政権が批判を受ける可能性がある。

 朝鮮総連機関紙「朝鮮新報」(電子版)は12日、「(北)朝鮮側も公式会談に真摯(しんし)な姿勢で臨んでいる。対話をするからには実を結ぶことが正しいという観点で会談の準備も整えたという」と伝えた。

 斎木局長が日朝協議が終わるとすぐ、6カ国協議議長国の中国・武大偉外務次官と会談したことも、協議内容の重要性をうかがわせた。

 ◇陰の力、テロ指定解除

 北朝鮮が今回、「拉致問題は解決済み」と主張しなかったのは、米国によるテロ支援国家の指定解除が視野に入ったことが背景にある。

 北朝鮮が日朝協議に柔軟姿勢を示しはじめたのは、4月の米朝協議がきっかけだった。シンガポールで開かれた同協議で、核問題の詰めの作業を進めたヒル米国務次官補は、北朝鮮の金桂冠(キムゲグァン)外務次官に、指定解除の前提として日朝関係進展を挙げた。

 北朝鮮は、指定解除により、国際社会への復帰や、各国からの経済・エネルギー支援の獲得を目指す。当初は、6カ国協議から日本の排除を狙っていたが、「日朝関係の進展がなければ、米国はテロ指定を解除しない」(北京の外交関係者)という問題に直面した。

 4月の米朝協議後、北朝鮮は5月に1万8000ページに及ぶ核施設の運転記録を米国に提出、今月には経済・エネルギー協力作業部会(板門店)、米朝実務者協議(平壌)に相次いで応じるなど、条件整備を急いだ。

 米国のバーンズ国務次官は、日朝協議前日の10日、「北朝鮮には拉致問題に対応することの重要性を何度も強調してきた。公式協議で具体的成果が生まれるよう強く期待している」と日朝双方に打開を促した。

 一方、6カ国協議の議長国である中国は、日朝対立を背景に、日本が経済・エネルギー支援に参加しない可能性に危機感を抱いていた。「ポスト胡錦濤の最有力候補」とされる習近平・国家副主席が17日から訪朝し、金正日(キムジョンイル)総書記と会談すると見られる。習副主席は日朝関係の動向が6カ国協議全体の流れを決定づける点を説明し、拉致問題解決に向けた譲歩を促す可能性がある。

 ◇「突っ込んだやり取り」−−斎木・アジア大洋州局長説明

 斎木昭隆外務省アジア大洋州局長が12日、記者団に説明した要点は次の通り。

 斎木氏 総じて非常に真剣かつ建設的な雰囲気で非常に突っ込んだやり取りだった。明日東京に戻り、福田康夫首相、高村正彦外相、町村信孝官房長官に報告して判断、評価、指示を仰ぎたい。この場で内容は話せない。

 −−北朝鮮側から提案があったのか。

 斎木氏 拉致問題も含めて非常に重要な問題で突っ込んだやり取りをした。その内容を含めて報告する。

 −−拉致で進展は。

 斎木氏 繰り返しになるが、非常に突っ込んだ真剣なやり取りで、雰囲気としては建設的な雰囲気は終始あった。帰国して報告後、皆さんにお話しする。

 −−「よど号」問題も話したのか。

 斎木氏 懸案はすべて話をした。

 −−想定を超える提案があったのか。

 斎木氏 今回、双方共、6カ国の中での日朝関係、平壌宣言という基本的な文書に基づいての日朝関係の進め方、こういった基本認識を一致させた上で、今後取り組んでいく。議論は大変突っ込んだ生産的なことだった。

 −−会合するだけではだめだと言っていたが、前進したか。

 斎木氏 単に会合したとは思っていない。

 −−北朝鮮は「拉致は解決済み」とは言わなかったのか。

 斎木氏 そういう発言はなかった。

==============

 ◆拉致問題をめぐる近年の主な動き◆

02年 9月 小泉純一郎首相初訪朝。「日朝平壌宣言」に署名。金正日総書記が拉致を認め「遺憾で率直におわびしたい」と謝罪

   10月 拉致被害者5人が帰国

03年 4月 国連人権委員会の強制的失踪(しっそう)作業部会に北朝鮮が「拉致問題は日朝2国間で解決済み」と回答

    8月 6カ国協議開始

04年 2月 経済制裁へ改正外為法成立

    5月 小泉首相が再訪朝、拉致被害者の子ども5人が帰国

    7月 曽我ひとみさんの夫のジェンキンスさんと子供2人が来日・帰国

   11月 日朝実務者協議で政府代表団が横田めぐみさんの「遺骨」を持ち帰る

   12月 「遺骨」は別人と判明。北朝鮮の労働新聞は「原状のまま返還を要求」

06年10月 北朝鮮が地下核実験実施

07年 3月 第1回日朝国交正常化作業部会(ハノイ)。北朝鮮代表の宋日昊・日朝国交正常化担当大使は「拉致問題は我々の誠実な努力で解決済み」と主張

    9月 第2回日朝国交正常化作業部会(ウランバートル)。「過去の清算」と「拉致問題」を協議

08年 6月 北京で日朝公式実務者協議

北の日本語アナウンサー、「拉致濃厚」男性と声が酷似

2007/08/21 The Sankei Shimbun WEB-site

 拉致被害者を調べている「特定失踪(しっそう)者問題調査会」(荒木和博代表)は21日、昭和63年に日本海で行方不明になった鳥取県米子市の矢倉富康さん=失跡当時(36)=と酷似する北朝鮮の放送局の日本語アナウンサーの声が、矢倉さんの父と似ているとする音声鑑定の結果を発表した。

 矢倉さんは元エンジニアで、日本海へ1人で漁に出たまま消息を絶った。調査会が「拉致濃厚」とする一人。調査会は先月、矢倉さんに似た朝鮮中央放送委員会に所属する日本語アナウンサー「慎範(シンボム)」と名乗る男性の写真を公表。

 ラジオ放送で流された「慎範」氏の肉声の鑑定を、東京大学先端科学技術研究センターの村岡輝雄客員研究員(音響工学)に依頼していた。

 鑑定では矢倉さんの父の声と比較し、「共通の甲高い部分があり、似ている」(村岡研究員)との結果が得られた。

 村岡研究員によると、発声器官は遺伝的特徴を持つため、声帯で出た音を比較することで、親族関係を推定できるといい、同じ手法で平成17年には、別の拉致被害者親族の音声鑑定も実施している。

 一方、写真についても、東京歯科大の橋本正次教授(法人類学)によって「(写真の男性は)矢倉さんと同一人物である可能性が高い」との鑑定結果が出されている。荒木代表は「音声鑑定の結果が写真鑑定を否定するものではなかったことは重要な意味を持つ」としている。

 また、政府も、これとは別に写真と音声の鑑定を独自に行っている。

別人女性の旅券取得 子ども拉致の工作員

2007年04月09日 中国新聞ニュース

 1973年に渡辺秀子さん=当時(32)=と子ども2人が失跡した事件で、子ども拉致のリーダー格だったとされる女工作員(59)が犯行後、別の日本人女性に成り済まして旅券を取得していたことが9日、警察当局の調べで分かった。

 在日コリアンとして日本で生まれた女工作員は、不審がられず自由に出入国して工作活動ができるよう日本人女性に成り済ましていたとみられ、警察当局は旅券入手の経緯を詳しく調べている。

 調べや関係者によると、女工作員は対日工作活動の拠点だった貿易会社「ユニバース・トレイディング」(東京、既に解散)に所属。北朝鮮の指示や教育訓練を受けるため、日本と北朝鮮を行き来していたという。

 子ども拉致が起きたとみられる74年ごろには、日本海側に到着した工作船を利用したこともあったが、工作船では摘発の恐れもあり、他人の旅券を取得したらしい。

北朝鮮、子ども拉致の疑い 警視庁など捜査本部設置へ

2007/04/04 中国新聞ニュース

 一九七三年に東京都内で失跡した北海道出身で埼玉県上福岡市(現ふじみ野市)の主婦渡辺秀子さん=当時(32)=の子ども二人が北朝鮮へ拉致された疑いが強いとして、警視庁と兵庫県警は四日、近く国外移送目的略取容疑などで共同捜査本部を設置する方針を固めた。

 調べなどによると、渡辺さんは七三年十二月ごろ、都内の貿易会社に勤務し所在不明となった在日朝鮮人の夫を捜していて、目黒区内で長女の高敬美ちゃん=当時(6)と剛ちゃん=同(3)とともに行方がわからなくなった。

 夫が勤務していた東京都品川区の貿易会社「ユニバース・トレイディング」は在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)幹部が設立に関与、北朝鮮の対日工作拠点の一つだったとみられている。

 渡辺さんの親族は二○○三年一月、殺人と国外移送目的略取の疑いで、氏名不詳の数人を容疑者とする告訴状を警視庁に提出。工作員とみられる社員数人が、北海道から上京した渡辺さんを目黒区内のマンションに監禁し殺害、子供二人を拉致したなどとしている。

中国外相、拉致問題で協力 河野議長らと会談

2007年02月15日 中国新聞ニュース

 来日した中国の李肇星外相は15日午後、河野洋平衆院議長と都内の議長公邸で会談し、先の北朝鮮核問題をめぐる6カ国協議での共同文書採択を踏まえ、拉致問題を念頭に「日本が北朝鮮に対して抱いている関心事は中国も理解している。今後とも協力する考えだ」と述べ、同問題解決を目指す日本側に協力していく意向を示した。

 河野氏は中国の人工衛星破壊実験について「残念だ」と懸念を表明。李氏は「中国は宇宙の平和利用政策を堅持する。宇宙平和のために貢献する考えを理解してほしい」と述べた。

 東シナ海のガス田開発問題では河野氏が「具体的に開発方式を示すのが日中双方にとって大事だ」と指摘。これに対し李氏は「日中で異なる見解もあるが、共通点は多い。平和と協力の海になる方向で中国も生産的な努力をしたい」とした上で、「冷静に協議し、積極的な結果が出ることを期待する」と強調した。

 李氏は公明党の太田昭宏代表とも会談した。

松本京子さんを拉致認定へ 77年に鳥取県内で失跡

2006/11/11 中国新聞ニュース

 一九七七年十月に失跡した米子市の元縫製工場従業員松本京子さん=当時(29)=について、警察庁が北朝鮮による拉致被害者と認定する方向で最終調整に入ったことが十日、分かった。政府筋は「数日中に決まる」としている。

 警察当局が捜査を進めた結果、これまで連絡が取れなかった親族から最近になって事情を聴くことができ、松本さんに失跡の動機がないことやトラブルに巻き込まれた可能性のないことが裏付けられたという。

 政府の関係省庁連絡会議を経て正式認定されれば、昨年認定された神戸市の元ラーメン店店員田中実さん=同(28)=以来で、十七人目。事件としては十二件目となる。

 関係者によると、松本さんは七七年十月二十一日午後八時ごろ、母親に「編み物教室に行く」と言い残して自宅を出たまま行方不明になった。

 家を出た直後、近所の雑木林で松本さんとみられる女性が不審な男二人と話しているところを目撃した知人が「何をしているんだ」と声を掛けると、男が殴りかかり、女性と一緒に海岸の方向へ逃げたという。現場には松本さんのサンダルが片方残されていた。

 特定失踪(しっそう)者問題調査会は松本さんを「拉致された疑いが濃厚」と判断。その後、北朝鮮から脱出した男性が「松本さんによく似た女性を北朝鮮国内で見た」と証言し、家族らは二○○四年一月、被疑者不詳のまま国外移送目的略取容疑で鳥取県警に告発していた。

 拉致認定には(1)北朝鮮の国家的意思が推認される(2)本人の意思に反する(3)北朝鮮に連れて行かれた−の三要件すべてを満たすことが必要。

 ○二年十月にマレーシアで行われた北朝鮮との国交正常化交渉で、日本側は松本さんら三人について、拉致された可能性が高いとして安否確認を要求。北朝鮮は拉致を否定している。

拉致家族会が会見「国連の動き高まる」

2006/11/04 The Sankei Shimbun

 【ニューヨーク=住井亨介】10月末にニューヨーク入りし、北朝鮮による外国人拉致事件の解決を訴えてきた拉致被害者の「家族会」と支援組織「救う会」の一行4人は3日午後(日本時間4日朝)、日本の国連代表部で記者会見。家族会副代表で、田口八重子さん=拉致当時(22)=の兄、飯塚繁雄さん(68)は「被害者の家族の声を、国連の各国担当者に直に伝えられ、国連内での拉致への対応の動きが高まった」と述べ、成果を強調した。

 一行は滞在中、ボルトン米国連大使をはじめ13カ国の代表部幹部や国連事務次長らと面会して拉致事件の実情を訴えるとともに、拉致被害が指摘される国々に情報を提供。解決への連携を呼びかけた。

 同行した家族会事務局長で、増元るみ子さん=同(24)=の弟、照明(51)さんは「各国大使らに会ったことに、インパクトがあった。拉致の被害国と連携を取りながら、さらに情報提供したい」と述べた。

 一行は4日午前(日本時間4日深夜)、日本への帰路につく。

北の拉致で家族会が緊急声明 制裁決議を支持

2006/10/15 The Sankei Shimbun 東京朝刊から

 北朝鮮が核実験実施を表明したことをめぐり、国連安全保障理事会が北朝鮮への制裁を決議したことを受け、拉致被害者の「家族会」と「救う会」は15日、安保理の制裁決議と日本の独自制裁を支持する緊急声明を発表した。

 声明は、「人道に対する国際社会の懸念に北朝鮮が対応する重要性を強調する」との文言が取り入れられた安保理決議について、拉致問題を念頭に置いたもの、と強い支持を表明。「関係者の努力に感謝したい」としている。

 また、総務省がNHKに対し、短波ラジオ国際放送での拉致問題に関する重点放送の命令を検討していることについて、「北朝鮮幹部の中でNHKをひそかに聴いている者がかなりいる」として、放送の実現を強く求めた。

北朝鮮、職種を絞り拉致か 印刷10人・医療18人・通信7人…

2006/10/08 IZA <産経新聞>

 印刷工、医療従事者、通信技術者…。北朝鮮に拉致された可能性を排除できない行方不明者を調べている「特定失踪(しっそう)者問題調査会」(荒木和博代表)が、失踪者の職業や経歴などを分野ごとに整理した「マッピングリスト」を作成した結果、特定の職業に就いていた失踪者が多いことが浮き彫りになった。彼らが北朝鮮に拉致されたとすれば、北朝鮮は狙いをつけて対象を絞り込んでいたという仮説も成り立つ。失踪者を分野別に見てみると…。

                   ◇

 オフセット技術者や印刷工、脱硫技術研究者、写真印刷技術者など印刷関係の特殊な技術や印刷会社に勤務していた不明者は10人に上る。大半が昭和40年代に失踪した。

 北朝鮮は国家として偽札製造に関与してきた。北朝鮮製の偽札は50〜60年代から流通し始めており、その前に多くの印刷関係者が消息を絶っていることは見逃せない。北朝鮮は日本人の技術力に目をつけていたのは確実だからだ。「偽札鑑定機を日本から共和国に輸出した」と証言する在日商工人もいる。

 看護師など医療関係者も多い。医師や薬剤師などを含め18人。大半が女性だ。「工作員養成機関に、日本語教官として拉致被害者がいた」という亡命工作員の証言があり、こうした機関には付属の病院が必ず付設されている。

 訓練中の負傷や病気にかかった工作員の治療は重要で、病院で使われていた医療機器の多くは日本から輸入されたものとされる。マニュアルが日本語で書かれているため、使い方に熟知した人間が必要だったとの指摘もある。

 電話関係者も7人が失踪している。40〜50年代は平壌の通信設備の管理を強化した時代だったとされるが、専門知識が必要だったのか。ただ、電話工事や保守・点検といった専門知識をもつ失踪者は少なく、多くは電話交換手や当時の電電公社職員たちだった。

 政府認定の拉致被害者との共通性もある。

 帰国した蓮池薫さん、祐木子さん夫妻と、地村保志さん、富貴恵さん夫妻、いまだに安否不明の市川修一さんと増元るみ子さんらのように、アベックや夫婦で失踪したケースだ。

 帰国した拉致被害者によると、アベックは拉致された後、蓮池薫さんと地村保志さん、蓮池祐木子さんと増元るみ子さんといったように、それぞれ男性同士、女性同士で招待所に入れられた。

 ところが、市川さんとペアになったのがだれだったかは判明しておらず“謎”のまま。アベックがほかにも拉致されているとすれば、男性がペアになっていた可能性もあるが、調査会がまとめたリストには、市川さんらが拉致されたのと同じ53年に失踪した不明者はいなかった。ただ、48年に石川県と青森県で2組の失踪があるなど調査会はアベック失踪も注視している。

 このほか、曽我ひとみさんが看護学校生だったことや、市川さんが電電公社職員だったことなど職業的な共通項もみられた。

 リストは、特定失踪者が拉致被害者であることを裏付けるものではないが、失踪者のデータの整理分類によって、新たな疑問や疑惑を浮かび上がらせている。

                   ◇

【用語解説】特定失踪者

 平成14年9月の日朝首脳会談で、金正日総書記が日本人拉致を認めたことから、拉致被害者の支援組織「救う会」に、行方不明者情報が多数寄せられた。救う会は調査部門を独立させ、「特定失踪者問題調査会」を設立、調査を進めている。現在までに調査会に寄せられた失踪者情報は約460人(うち約200人は非公開)に上る。このうち34人が「拉致濃厚」。国内で消息が確認された人は18人(うち1人は死亡確認)。

闘い続く 9・17から4年】DNA鑑定 北の“決定打”封じ込める

2006/09/17 The Sankei Shimbun 東京朝刊から

 北朝鮮の金正日総書記が日本人拉致を認め謝罪した日朝首脳会談から、きょうで4年を迎える。あの日は、横田めぐみさん=拉致当時(13)=ら8人を「死亡」とし、被害者家族らを慟哭(どうこく)させた日であり、北朝鮮が拉致問題を終息させるため大いなる謀略を仕掛け始めた日でもあった。

 首脳会談の11日後の平成14年9月28日。日本政府調査団は、めぐみさんら8人が「死亡した」という客観的な証拠を求めるため、平壌を訪れた。北朝鮮側は8人のうち6人の「墓」は洪水などで流され、「遺骨」は残っていないと説明。だが、松木薫さん=同(26)=については、「本人のものと思われる骨」を提示した。めぐみさんについても「病院を通じて探している」と含みをもたせた。

 北朝鮮側は当初から、拉致被害者の象徴的な存在であるめぐみさんに焦点を絞っていた。めぐみさんの問題が終息すれば、対北批判で盛りあがる日本世論を沈静化させることができると踏んだからだ。

 北朝鮮側が松木さんの「遺骨」だけを調査団に渡してきたのも、めぐみさん問題につながっていたことが今になって浮かびあがる。

                    ■□■

 「遺骨」は「死亡」を裏付ける客観的な証拠だ。別人のものなら死亡の根拠は無くなるが、本人のものならもちろん、「判定不可能」でも北朝鮮側の説明を覆すことにはならない。

 松木さんの「遺骨」は2度にわたって焼かれ、さらにハンマーのようなもので粉々に割られていた。「DNA鑑定は困難」とされたが、あごの骨の一部が残っており、歯根の長さから「60歳代の女性」のものと確認された。骨の部位が明確だったことがポイントだった。政府は骨格鑑定による結果を公表、北朝鮮側は反応することなく沈黙を続けた。

 「松木さんの偽遺骨は、めぐみさんの遺骨問題の予行演習だったのかもな」。最近になって、政府関係者はこんな言葉を口にした。

 松木さんの偽遺骨をはじめ、北朝鮮側の「死亡」とする説明と、帰国した拉致被害者らの証言などが大きく食い違っていたことから、日本の世論はさらに沸騰した。そのたびに説明を二転三転させた北朝鮮側の対応に被害者家族らは「生存」の確信を深めていった。

                    ■□■

 こうした日本国内の反応に、北朝鮮側が動き始めた。16年11月、「探している」としていた、めぐみさんの「遺骨」について、元夫で韓国人被害者の金英男さん(48)が「骨つぼ」に保管していたとし、日本側に提供してきたのだ。

 粉々になっていた上、松木さんのケースと同様にDNA鑑定を難しくさせるためか、通常の火葬時よりかなり高温の1200度の火で焼かれていた。今度はあごの骨の破片も残っていなかった。

 だが、政府は約1カ月をかけてDNA鑑定を実施した。その結果、「別人2人の骨を混ぜたもの」と明確に確認した。

 「松木さんのとき、政府が公表したのは骨格鑑定の結果だけだった。でも実際はDNA鑑定も実施され、松木さんとは別の複数の骨が混ざっていたことを確認していたんだよ」

 ある公安関係者はそう打ち明ける。だが、北朝鮮側にはこの事実は伝えなかったのだ。北朝鮮側がいずれ他の被害者の「遺骨」を提示してくることを想定し、DNA鑑定のことを伏せていたとの見方もある。

 この関係者は「向こう(北朝鮮側)は、日本の能力ではDNA鑑定ができないと判断したのかもしれない。だから万を持して、めぐみさんの偽遺骨を出してきたんじゃないか」と分析する。

 「危なかった。あのとき『判定不可能』とされたら、めぐみちゃんが『死亡した』というイメージが広がっていたと思う」。めぐみさんの母、早紀江さん(70)はそう振り返る。

 “決定打”を失った北朝鮮側は「日本の鑑定結果は信じられない」とし、「拉致は解決済み」と交渉の扉を1年半にわたり閉ざしている。

                   ◇

 ■救出活動「前進していない」 横田夫妻が講演 政府の対応批判

 横田めぐみさんの父で拉致被害者家族会代表の横田滋さん(73)と妻の早紀江さんが16日、群馬県渋川市で講演した。滋さんは、北朝鮮が拉致を認め謝罪した平成14年9月の日朝首脳会談から17日で4年を迎えるのを前に、死亡したとされる被害者8人の救出活動が「一歩も前進していない」と述べ、政府の対応を批判した。

 ただ、大量破壊兵器の開発との関係が疑われる団体・個人に対し、政府が金融制裁を実施する方針を固めたことを、「北朝鮮は恐れているようで、いい方向に向かっている」と評価した。

 早紀江さんは、自民党総裁選に触れ、「拉致問題を解決しようという魂を持った人が次の首相になってほしい」と、当選が有力視されている安倍晋三官房長官への期待感を示した。

「めぐみさん遺体の火葬場」は99年に建設 韓国誌

2006/07/18 The Sankei Shimbun

≪複数の脱北者が証言≫

 韓国の月刊誌「月刊朝鮮」8月号は、横田めぐみさんの遺体を1997年に火葬したと北朝鮮側が説明している火葬場が、金正日総書記の指示で99年に建設されたものだと複数の北朝鮮脱出住民(脱北者)が証言したと伝えた。

 この火葬場は北朝鮮が平壌で唯一のものと説明する「オボンサン火葬場」。今月5日に共同通信社などに公開された際、幹部は95年以降の火葬記録は平壌市人民委員会で管理しているとした。めぐみさんの夫だった韓国人拉致被害者の金英男さんは6日の会見で、めぐみさんは94年4月13日に自殺し、97年春ごろに火葬したと説明した。

 月刊朝鮮によると、対南工作を担当した複数の脱北者らは、餓死者が続出した時期にオボンサンという山が土葬の墓で埋め尽くされ、これを見た金総書記が「穀物を作る土地も足りないのに、山全体が墓所になっていていいのか」と話し、火葬場建設を命じたと証言。99年に建設されたのは確実と話したという。(共同)

めぐみさん「94年に自殺」 金英男さんが会見

2006/06/29 中国新聞ニュース

 【ソウル29日共同=粟倉義勝】横田めぐみさんの夫で韓国人拉致被害者の金英男(キムヨンナム)さん(44)は二十九日午後、北朝鮮の金剛山で記者会見し、めぐみさんについて「うつ病になり一九九四年四月に病院で自殺した」と述べ「幼い時の事故で脳に損傷を受けた記憶がある、とめぐみが話していた」と説明した。

 自らが北朝鮮に渡った経緯については「海で北の船に救助され、北に渡った」と述べ、北朝鮮による拉致を否定。北朝鮮では「特殊部門、具体的には統一部門の仕事をしている」と明らかにした。

 英男さんの発言はほぼ、これまでの北朝鮮の主張に沿った内容で、北朝鮮として拉致問題で韓国世論を巻き込み、幕引きを図る狙いがあるとみられる。

 また、めぐみさんの娘キム・ヘギョンさんの名前について「ウンギョンだ。幼名がヘギョン」と言明し、ヘギョンという名前を使った理由について「私生活への影響を考えて」と述べた。

 また、ヘギョンさんを「日本に送りたくない。(本人も)行かないと言っている」と述べた。

 さらに、日本政府がめぐみさんの「遺骨」を偽物としていることについて「私とめぐみに対する侮辱であり人権じゅうりんだ」と批判した。

 会見には母の崔桂月さん(78)、姉の金英子さん(48)が同席、ヘギョンさんや再婚した妻子は出席しなかった。英男さんは同日午前、ホテルの部屋で母姉と個別に対面した。

拉致問題解決で協力要請 政府、主要国の駐日大使らに

2006/06/06 The Sankei Shimbun

 政府は6日、米国のシーファー大使をはじめ18カ国と欧州連合(EU)の駐日大使らを首相官邸に招き、北朝鮮による拉致問題解決に向けた協力を要請した。北朝鮮に対する圧力の強化を狙ったもので、出席した大使らはおおむね日本を支持する立場を示した。7月中旬にロシアで開催される主要国首脳会議(サンクトペテルブルク・サミット)に向け、政府は拉致問題が主要議題になるよう国際世論を高めていく方針だ。

 政府が招いたのは米英独仏露など主要8カ国(G8)のメンバーのほか、中国、韓国、タイ、スウェーデンなどの駐日代表者。中韓両国は大使でなく公使らが代理出席した。

 安倍晋三官房長官は席上、「拉致は人権上、人道上、許されない。解決には諸外国の力強い世論の盛り上がりが不可欠だ」と国際社会の協力を要請。出席者からは「拉致問題は政治的信条や立場を超えた問題であり、怒りを共有する」「国際社会全体として取り組むべきだ」などの意向が表明された。

韓国人拉致被害者489人、生存確認は103人

2006年06月05日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ソウル=中村勇一郎】韓国の情報機関・国家情報院が、北朝鮮による韓国人拉致被害者を489人と認定し、うち103人の生存を確認していることが5日、明らかになった。

 野党ハンナラ党の北朝鮮の実情に関する情報公開請求に対して、回答した。

 ハンナラ党が公開した回答書によると、国情院は脱北者やこれまでに逮捕した北朝鮮スパイの供述などから、北朝鮮による拉致被害者数を統一省の統計よりも4人多い489人と認定。被害者の詳細については非公開としたが、南北離散家族の再会事業や北朝鮮の宣伝映像などを通して、103人の生存は確認されているという。

 回答書は、北朝鮮の政治犯収容所の実態についても詳述。現在、収容所は6か所あり、約15万人が収容されているとしている。

 収容者は1食あたり、100〜200グラムの食事を与えられ、脱出を図った場合は公開処刑されるという。収容されているのは、脱北者の家族や労働党に反発した政治犯のほか、金日成主席から金正日総書記への後継体制に反対し、収容された人も多いという。

拉致解決、日本と協調せず 韓国統一省関係者

2006/05/27 The Sankei Shimbun

 韓国紙、東亜日報は27日、韓国統一省関係者が北朝鮮による拉致問題で強硬策をちらつかせる日本政府とは「立場の違いがある」と述べ、韓国政府として協調しない方針を示していることが分かった、と報じた。

 韓国政府のDNA鑑定でも、韓国人拉致被害者の金英男さんが横田めぐみさんの夫の可能性が高いとの結果が出たが、北朝鮮に対して融和政策を進める韓国政府は北朝鮮側の立場に配慮、日本政府との協調は難しいと判断したとみられる。

 先のカタールでの潘基文外交通商相と麻生太郎外相との会談で、拉致問題解決へ向けた協力強化で一致した直後だけに、今後、日韓の協力の在り方をめぐって波紋を広げそうだ。

 統一省関係者は「(DNA鑑定の)結果を伝えたこと」が外相会談で一致した協力に当たるとの見解を示した。

 同省は26日、DNA鑑定で金英男さんの母、崔桂月さんと、めぐみさんの娘、キム・ヘギョンさんの間に血縁関係がある確率は98.6%との結果が出たと発表した。(共同)

米政府 北朝鮮の拉致問題重視 大統領報道官

2006/05/03 The Sankei Shimbun

 【ワシントン=有元隆志】マクレラン米大統領報道官は1日の記者会見で、ブッシュ大統領と北朝鮮による拉致被害者、横田めぐみさん=拉致当時(13)=の母、早紀江さん(70)との先月28日の面会について、「非常によい話し合いができた。大統領は北朝鮮から逃れた人たちとも会ったが、心を動かされた会合だった」と語った。

 そのうえで、「大統領は北朝鮮の現政権下で、苦難を味わっている人たちに国際社会が関心を向けるべきだと信じている。この問題は大統領にとって、重要な優先事項だ」と述べ、拉致をはじめとする北朝鮮の人権問題の解決の必要性を強調した。

 ライス国務長官も1日、国務省で開かれた日米の外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)で、「大統領が拉致被害者家族に面会したことは、米国がいかにこの問題を重視しているかを示すものだ。引き続き関心を持っていきたい」と述べた。

米大統領、横田さんと面会 「拉致解決、働き掛け強めたい」

平成18(2006)年04月29日 The Sankei Shimbun東京版朝刊

 【ワシントン=中村将】訪米中の拉致被害者、横田めぐみさん=拉致当時(13)=の母、早紀江さん(70)と弟、拓也さん(37)が二十八日午前十一時(日本時間二十九日午前零時)から、ブッシュ大統領と面会した。面会で大統領は、「国の指導者が拉致を奨励するのは心がない」と北朝鮮の金正日総書記を批判。そのうえで、「(拉致問題解決への)働き掛けを強めたい」と述べた。

 面会は三十分間で、加藤良三日本大使が仲介役として同席した。早紀江さんらは北朝鮮側が提供してきた、拉致された直後とみられるめぐみさんの写真や他の拉致被害者の写真、早紀江さんら家族が英文でメッセージをかいた手紙、拉致被害者救出の象徴である「ブルーリボンバッジ」などを大統領に手渡し拉致問題解決への協力を訴えた。

 ブッシュ大統領は神妙な表情で早紀江さんの訴えを聞き、早紀江さんもブッシュ大統領の話をひざの上で手を組んで真剣に耳を傾けた。拓也さんは大統領の方に身を傾けて、一言も聞き漏らさないような表情だった。

 面会で大統領は、「最も心を動かされた面会の一つだ。お母さん(早紀江さん)がほしいのは再会だけだ。信じがたいのは、国家として拉致を許したことだ。指導者が拉致を奨励することは心がない」と指摘。

 さらに、被害者家族たちが拉致問題解決に向けさまざまな運動を展開していることに、「人権を尊重しない人に発言するのは勇気のいることだ。お母さんたちの行動を誇りに思う。人権を尊重することを私たちは守る」と語った。

 また、マクレラン米大統領報道官は、早紀江さんらと大統領の面会について「大統領は北朝鮮の人権状況に関心を持っている」と述べた。

 面会に先立って、早紀江さんはホテルのロビーで、「今年中にはたくさんの拉致被害者、苦しんでいる人が自由になれるようお力添えいただきたいと訴えたい」と語った。拓也さんも「他の被害者の気持ちも含めて、心を通してブッシュ大統領にお伝えしたい」と話した。

 一方、公聴会を主催した国際人権小委員会のスミス委員長(共和党)は、拉致問題を七月にロシアのサンクトペテルブルクで開かれる主要国首脳会議(サミット)の主要議題として提起するよう、ブッシュ大統領に働きかけていく意向を表明した。

米大統領と面会へ 拉致家族会・救う会

平成18(2006)年04月27日 The Sankei Shimbun

 【ワシントン=中村将】訪米中の拉致被害者の「家族会」と支援組織「救う会」のメンバーらがブッシュ大統領と面会する方向で調整が進められていることが二十六日、関係者の話で明らかになった。家族会などの意向を受けた関係機関が米政府首脳との面会を模索しており、ブッシュ大統領が面会を検討しているという。

 家族らは今回の訪米で、イングランド国防副長官やローレス国防副次官、クラウチ国家安全保障担当次席補佐官、レフコウィッツ人権担当特使らと面会。二十八日(現地時間)もホワイトハウス近くの広場で行われる大規模集会でボルトン国連大使と面会する予定だ。

 二十七日午前(日本時間同日夜)には、今回の訪米最大のヤマ場となる下院の公聴会に、横田めぐみさん=拉致当時(13)=の母、早紀江さん(70)と、救う会の島田洋一副会長が出席して証言することになっている。ブッシュ大統領との面会が実現し、直接、拉致問題解決に向けて協力を要請することができれば、訪米の成果はさらに大きなものになる。

                   ◇

 ≪解決へ「何でもやらねば≫

 訪米中の拉致被害者の「家族会」と支援組織「救う会」のメンバーらは二十六日(日本時間二十七日)、在ワシントン日本商工会議所の昼食会に出席、約百人の参加者に“家族の思い”を訴えた。この後、ホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)の要人らと面会、協力を要請した。現地での家族らの精力的な活動は確実に浸透しており、二十七日には横田めぐみさん=拉致当時(13)=の母、早紀江さん(70)が下院公聴会で拉致問題について証言する。

 「拉致されたのは、もう三十年も前。人生の一番大切なところを剥奪(はくだつ)され、拘束されている」。日本商工会議所の昼食会で、田口八重子さん=拉致当時(22)=の兄、飯塚繁雄さん(67)がこう訴えると、悲しさのあまり目をつぶる参加者もいた。

 早紀江さんは「(面会する高官らは)本当に真剣に私たちの話を聞いてくれる。話をする前から、その気持ちが伝わるのか、涙が自然と出てきます。正義とか愛なんですかね」。家族会の協力要請に米国の高官らは親身になって考えてくれ、「心強い」という。

 増元るみ子さん=同(24)=の弟、照明さん(50)は訪米して、「米国は六カ国協議の再開を望みながらも、偽札やマネーロンダリングに関しては北朝鮮に制裁を科している。日本はなぜ拉致で制裁ができないのか」と改めて思った。

 「日本政府はなぜこの問題に真剣に取り組まないのか」。ブッシュ大統領は側近に、こう聞くことがあるという。この日訪れたNSCの要人が家族にそう語った。日本政府の取り組みが大統領には伝わっていないことの表れともいえる。

 クラウチ国家安全保障担当次席補佐官は「わが国と北朝鮮に外交関係はない。テロ支援国家にも指定している。北朝鮮については麻薬や偽札、そして核という重要な問題を抱えている。しかし、拉致問題についても忘れないで(解決に協力するという)原則を守る」と家族らに約束した。家族会が今回の訪米で得た大きな成果のひとつだ。(ワシントン 中村将)

拉致問題解決訴え、米でコンサート集会 日韓の家族が連帯

2006/04/23 The Sankei Shimbun

 北朝鮮による日本と韓国の拉致被害者家族らが22日、ワシントンのホワイトハウス前で「拉致救済コンサート集会」を開いた。27日には横田めぐみさんの母、早紀江さんらが下院公聴会で拉致問題について証言する予定。日韓の被害者家族は一連の活動で、拉致問題の存在と早期解決への支援を米政府、国民に連帯して訴える。

 集会では、昭和53年に鹿児島県で拉致された市川修一さんの兄、健一さんが「日本の世論は盛り上がってきた。もう少しの辛抱だ。米国の皆さん、一緒に闘って」と呼び掛けた。59年に消息を絶った山本美保さんの妹、森本美砂さん=甲府市=は「会えるまで声を出し続けます」と姉への心情を切々と語った。

 韓国からは拉致被害者家族会の崔成竜代表らが参加。めぐみさんの夫である可能性が高まった金英男氏の母、崔桂月さんが手紙を託し「死ぬ前に一度でいいから息子の顔が見たい。ブッシュ大統領、この老いた母の願いをかなえてください」と訴えた。

 約50人の参加者は「拉致被害者を救え」と英語で唱和しながらホワイトハウス前を行進。新潟県の佐渡島で失踪(しっそう)した大沢孝司さんの兄、昭一さんは「韓国の人たちとも連帯でき、弟を取り返すまで何が何でも運動を続ける気持ちになった」と決意を新たにしていた。(共同)

南北閣僚級で拉致協議 韓国、見返り支援提案も

2006/04/17 中国新聞ニュース

 【ソウル17日共同】韓国の李鍾〓統一相は十七日、国会の統一外交通商委員会で、二十一日から平壌で開かれる第十八回南北閣僚級会談で、北朝鮮による韓国人拉致問題を協議し、問題解決の見返りとして「経済支援を提案する」と表明した。韓国内で拉致問題解決を求める声が高まり、政府として対応を強化する方針を打ち出したといえるが、北朝鮮が反発する可能性もある。

 李統一相はしかし、日本のDNA鑑定で横田めぐみさんの夫の可能性が高まった拉致被害者の金英男さんに関しては、今回、個別に取り上げることに慎重な姿勢を示した。

 韓国政府は会談で、拉致被害者のほか、朝鮮戦争時に捕虜になった元韓国軍兵士らを含め、生死確認などを提起する方針とみられる。

 李統一相は、金英男さんを拉致被害者として把握しているとし、「日本の資料をもとに独自に事実関係を確認中」と説明した。韓国政府は、日本人拉致問題で日朝が対立する中、日本政府の鑑定結果をもとに金英男さんの問題を指摘すれば北朝鮮の反発を招く恐れがあるため、独自のDNA鑑定を優先する方針だ。

 韓国政府は二〇〇〇年六月の南北首脳会談以降、主に南北赤十字会談の場で拉致被害者や元韓国軍兵士の問題解決を北朝鮮側に求めてきたが、北朝鮮側が拒否し、生死確認もできていない。

 南北は三月の軍事会談が決裂し、閣僚級会談も米韓合同軍事訓練に対する北朝鮮の反発で延期された。このため韓国側は、今回の閣僚級会談で南北関係の修復を図りたい意向で、拉致問題について踏み込んだ要求を行うのは難しい情勢だ。

 ※お断り 『〓』は「爽」という字の「メ」が縦に2つ並ぶ部分が「百」になっている字ですが、JISコードにないために表示できません。

「日本は見すてない」――拉致問題でポスター20万枚

2006年04月17日 読売新聞 Yomiuri On-Line
北朝鮮

 「【拉致】日本は見すてない」――。北朝鮮による日本人拉致問題の早期解決、真相解明への強い思いを表した政府のポスターが17日、完成した。

 拉致問題で政府がポスターを作製したのは初めて。4月下旬から、約20万枚を全国の地方自治体や交通機関、学校、空港などに張り出す。

 ポスターは、海岸に続く道路に子どもの運動靴が片方だけ落ちている構図。約30年前の拉致現場の雰囲気を再現した。全体がセピア色の中、靴のみをカラーとし、今も問題が継続していることを訴えている。

 事前にポスターを見た小泉首相は「非常に端的な言葉で日本政府の決意を見せている。いいじゃないか」と語った。ポスターの評判が良ければ第2弾の作製も検討するという。

拉致解決目指す、地方議員が全国組織設立へ

2006年04月17日 読売新聞 Yomiuri On-Line
北朝鮮

 北朝鮮による拉致問題の早期解決を目指して活動している地方議会の議員連盟が18日、「拉致問題地方議会全国協議会」を結成し、東京・平河町の都道府県会館で設立会議を開く。

 協議会として、北朝鮮に対する経済制裁の発動や、貨客船「万景峰(マンギョンボン)92」号の入港差し止めなどを決議し、安倍官房長官に要請する。

 拉致問題に取り組む地方議員の議連は18道府県で結成されている。設立会議には北海道、宮城、群馬、埼玉、千葉、神奈川、新潟、富山、福井、京都、兵庫、山口、香川、愛媛、熊本の15道府県が参加。残る和歌山、徳島、鹿児島の3県も遅れて加わる予定という。

 会長には、1978年に拉致された田口八重子さん(当時22歳)の地元から、深井明・埼玉県議が就く。

 協議会は今後、議連のない都府県の地方議会に設置を求めるほか、署名運動を全国展開していく方針だ。

「めぐみさん夫」金英男さん 母「孫は娘にそっくり」

平成18(2006)年04月12日 大阪版夕刊 The Sankei Shimbun

 【ソウル=久保田るり子】DNA鑑定で、北朝鮮に拉致された横田めぐみさんの夫である可能性が高まった韓国の金英男(キムヨンナム)さん=失踪(しっそう)当時十六歳=の母親、崔桂月さん(78)と姉、金英子さん(48)は十二日午前、ソウルで記者会見し「孫(とされるキム・ヘギョンさん)は娘にそっくりだ。息子に早く会って、好きだったイワシの油いためと目玉焼きを食べさせてやりたい」と心境を語った。

 会見で、崔さんは「どんなに北朝鮮で苦労したか。会ったら『ヨンナマー(英男や)』と抱きしめてやりたい」と話し、二十八年前、行方不明になった当時は卵を十分に食べさせてやれなかったことを思いだして「目玉焼き、いまなら、いくらでも作ってやれる」とまぶたをぬぐった。

 姉の英子さんは「(メディアに)顔を出すには決心が必要だった。でもこうして顔をだせば、弟が見てくれるかもしれない。弟に会わせてほしい」と訴えた。

めぐみさんの夫は韓国人男性の可能性 政府が発表

2006/04/11 中国新聞ニュース

 政府は十一日、北朝鮮による拉致被害者横田めぐみさん=失跡当時(13)=の夫が北朝鮮に拉致されたとみられる韓国人男性の可能性が高いとした日本政府のDNA鑑定結果について、安倍官房長官は十一日午後の記者会見で、北朝鮮による拉致被害者横田めぐみさんの夫は、DNA鑑定の結果、北朝鮮に拉致されたとみられる韓国人男性の可能性が高いと発表した。

 発表に先立ち、政府はめぐみさんの両親の横田滋さん夫妻に説明するほか、学術会議出席のため来日中の韓国、北朝鮮両政府関係者に通知した。

 DNA鑑定は、めぐみさんの娘キム・ヘギョンさんと男性の肉親のDNA情報を照合、親子関係が推定された。韓国の拉致被害者関係者によると、この男性は一九七八年に韓国・全羅北道で失跡した金英男さんとみられる。政府は、北朝鮮側が「夫」として日本政府代表団に面会させた「キム・チョルジュン」氏と同一人物かどうかについて、さらに調査を進める。

 日本の家族会は今後、韓国の被害者家族団体「拉北者家族会」と連携を強め、早急な被害者救出を日韓両政府に訴える。日本側の発表を受けて韓国政府も独自に鑑定する意向を固めている。

 北朝鮮の説明では、チョルジュン氏とめぐみさんは八六年に結婚し、翌八七年にヘギョンさんが誕生したという。二○○四年十一月に訪朝した日本政府代表団がチョルジュン氏にDNA試料の提供を求めたが拒否された。

 鑑定結果の説明を受けた横田滋さん(73)は拉致問題の解決に向け「日韓両国が手を携えて動いていきたい」と話した。

めぐみさん「元夫」で韓国もDNA鑑定へ

2006/04/05 中国新聞ニュース

 【ソウル5日共同】北朝鮮による拉致被害者、横田めぐみさんの「元夫」とされる「キム・チョルジュン」氏が韓国人の拉致被害者だとの情報があることについて、韓国政府も独自にDNA鑑定を通じた身元確認作業を行う方針を固めたことが五日分かった。韓国の拉致被害者家族の関係者が明らかにした。

 日本政府は既に韓国の被害者家族のDNA鑑定作業を進めている。韓国政府は、日本政府が持つめぐみさんの娘キム・ヘギョンさんのDNA情報の提供を受け、被害者家族のDNAと照合する方針とみられる。

 めぐみさんの元夫の可能性があると指摘されているのは、一九七七〜七八年に北朝鮮に拉致されたとみられる五人(いずれも当時十代)。日本政府は二月にソウル近郊や中部の全州市などに暮らす五人の親族から血液など生体試料の提供を受け、鑑定作業を進めている。

法厳格化など2分科会新設 政府の拉致問題特命チーム

2006/03/06 The Sankei Shimbun

 政府の拉致問題特命チーム(議長・鈴木政二官房副長官)は北朝鮮による拉致問題解決に向け、現行法の適用厳格化と情報収集に関する2つの分科会をチーム内に新設することを決めた。政府関係者が6日明らかにした。北朝鮮への圧力強化の姿勢を打ち出し、今後の日朝協議の進展を促す狙い。13日に首相官邸で開く会合で正式に決める。

 現行法の適用厳格化に関する分科会は警察庁と法務省、財務省、経済産業省、海上保安庁、金融庁の6省庁の局長級メンバーで構成。北朝鮮向けの密輸や出入国管理、外国為替、税関業務に関連する現行法を厳しく適用するための体制づくりを話し合う。北朝鮮のマネーロンダリング(資金洗浄)の疑いがある取引をはじめ、麻薬や偽札の取り締まり強化策も協議する。

 一方、情報収集分科会は外務省や警察庁、公安調査庁などの局長級で構成。拉致事件の捜査や拉致被害者の救出に関する情報を交換。警察庁が国際手配した元工作員辛光洙(シン・グァンス)容疑者ら一連の拉致実行犯についても一層の情報収集を進める。

辛容疑者ら2人国際手配 地村、蓮池さん夫妻拉致

2006/03/04 The Sankei Shimbun

 北朝鮮による地村保志(ちむら・やすし)さん(50)、蓮池薫(はすいけ・かおる)さん(48)両夫妻の拉致事件で、福井、新潟両県警が国外移送目的略取、国外移送容疑で逮捕状を取った元工作員、辛光洙(シン・グァンス)(76)、工作員、チェ・スンチョル両容疑者について、警察庁は3日、国際刑事警察機構(ICPO)を通じ国際手配した。

 日本人拉致に絡む国際手配は6事件、4容疑者となったが、帰国した拉致被害者の事件では初めて。両容疑者は北朝鮮にいるとみられ、政府は既に北朝鮮に身柄引き渡しを要求している。

 調べでは、辛容疑者は1978年7月7日、福井県小浜市の公園から地村さん夫妻を、チェ容疑者は同月31日、新潟県柏崎市の海岸から蓮池さん夫妻を、それぞれ北朝鮮に連れ去った疑い。

 チェ容疑者の国際手配には、15年間にわたり小住健蔵(こすみ・けんぞう)さん(北海道出身、61年ごろ失跡)らに成り済ましてスパイ活動をした「西新井事件」で、不正に小住さんの旅券の発給を受けた旅券法違反などの容疑(警視庁が逮捕状を再取得)も含まれている。

 辛容疑者が横田(よこた)めぐみさん=失跡当時(13)=の拉致に関与した疑いがあるほか、辛、チェ両容疑者の協力者と田口八重子(たぐち・やえこ)さん=同(22)=の接点も浮上。警察当局は両容疑者が一連の拉致の核心を知る人物とみて解明を進める。

 チェ容疑者は現在70―75歳で、2004年5月まで北朝鮮にいたことが確認されている。これまで「朴」と名乗っていたことが分かっている。

「めぐみさんの夫」の拉致韓国人、家族が生体資料提出

2006年02月14日 読売新聞 Yomiuri On-Line
北朝鮮

 【ソウル=中村勇一郎】1977年11月に拉致された横田めぐみさんの夫について、同じ拉致被害者の蓮池薫さん(48)らが「韓国人だった」と証言している問題で、日本政府の担当者は14日午後、ソウル近郊の韓国人拉致被害者の家族を訪れ、生体資料の提出を受けた。

 日本政府は77、78年に拉致された5人を対象に調査を進めており、順次、訪問して資料提出を要請する。

 政府はめぐみさんの夫について、78年8月に拉致されたキム・ヨンナムさん(当時16歳)が夫である可能性があると見ており、週内にもキムさんの家族から資料提供を受け、めぐみさんの娘ヘギョンさんとの親子鑑定を実施する方針だ。

日本人拉致「金正日総書記が直接指示」辛容疑者が供述

2006年02月04日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ソウル=中村勇一郎】1980年の原敕晁(ただあき)さん(当時43歳)拉致事件で国際手配されている北朝鮮工作員、辛光洙(シン・グァンス)容疑者(76)が、85年に韓国で逮捕された際、朝鮮労働党書記の地位にいた金正日総書記を名指しして、「日本人を拉致して(本人に)成りすますよう直接指示された」と供述していたことが、韓国の当時の情報機関「国家安全企画部」(現・国家情報院)の資料で明らかになった。

 原さん拉致に成功した辛容疑者が2年後、金総書記と面会した時には、「拉致は国際問題になるので秘密を固守せよ」と命じられたという。

 辛容疑者は85年2月、原さん名義の旅券で韓国に入ったところを逮捕された。

 安全企画部が同年6月、この時の供述をまとめた資料によると、辛容疑者は73年7月、工作船で石川県内の海岸から密入国して在日朝鮮人らを協力者に取り込む活動を続け、76年8月、富山県内の海岸から工作船で北朝鮮に帰国した。

 その後、平壌市内で工作員教育を受けていた辛容疑者は80年2月、「3号庁舎」と呼ばれる朝鮮労働党の庁舎で、党書記として金日成主席の後継指名を受けた金正日総書記と面会し、「独身の日本人を拉致して成りすまし、日本で対南工作を遂行せよ」と指示されたという。

 辛容疑者は同年4月、工作船で宮崎県の海岸から密入国し、同6月、大阪市内の飲食店員だった原さんを同県内の海岸から工作船で拉致し、北朝鮮西部の南浦港で工作員に引き渡した。さらに原さんの個人情報を覚えて再び工作船で日本に入り、原さんに成りすましていた。

 原さん名義の旅券を取得したのは81年9月で、82年3月にはこの旅券を使ってモスクワ経由で北朝鮮に帰国。翌4月には金日成主席の生誕70周年祝賀行事に出席し、その場で当時の金書記から、〈1〉東南アジアに拠点を作れ〈2〉日本人拉致が明らかになれば国際問題になるので秘密を固守せよ――などの指令を受けたという。

 同5月には同じ旅券で日本に戻り、韓国に渡航した在日韓国人らと接触、米韓合同軍事演習の情報などを収集したほか、84年に、北朝鮮の工作機関の課長や副課長が貿易代表団に偽装するなどして来日した際は、活動の結果も報告していた。

 辛容疑者が金総書記から直接、拉致の指示を受けていたことについて、安全企画部の資料は「他のスパイとは違う特異な点で、重要な使命を受けた幹部スパイ」と強調している。

 辛容疑者は85年11月、ソウル地裁で死刑判決を受けたが、99年12月に恩赦で釈放。2000年9月に北朝鮮に送還された後、行事に「英雄」として登場する姿が報じられている。

めぐみさん拉致の映画公開 米ユタ州

2006/01/23 The Sankei Shimbun

 北朝鮮による横田めぐみさん拉致事件を主題にしたドキュメンタリー映画「アブダクション」(拉致)が22日、米ユタ州パークシティで開かれている「スラムダンス映画祭」で公開された。

 クリス・シェリダン、パティ・キム両監督による約80分間の映画は、事件の経緯や事件後の家族の苦難などを克明に紹介。めぐみさんが死亡したと北朝鮮が発表したと家族が知る場面などでは、約150人の観客の間からすすり泣きが聞こえ、終了と同時に大きな拍手が起きた。

 拉致被害者家族会の事務局長、増元照明(ますもと・てるあき)さんも出席し「盛大な拍手を頂きうれしかった。会としては国際的にこの問題を広め、北朝鮮に圧力をかけたい」と話した。

 北朝鮮の核開発疑惑には高い関心がある米国だが、拉致事件の認知度は低く、シェリダン監督は「映画の目的は日本人以外にも事件を知ってもらうこと」とコメント。

 カナダのトロントから来た女性(27)は「事件は政治問題であると同時に生身の人間、家族を巻き込んだ問題であることが分かった」と話していた。

 同映画祭は主に独立系の短編映画を紹介するため毎年開かれている。(共同)

西村真悟議員、辞職せず 拉致問題解決へ活動継続

2006/01/16 中国新聞ニュース

 弁護士の名義を貸し、違法な報酬を受け取ったとして大阪地検特捜部に逮捕、起訴された衆院議員、西村真悟被告=民主党除籍=が、議員辞職しない意向を関係者に伝えていたことが十六日、分かった。

 支持者らと協議し最終的に決定した上で、十七日にも正式発表する。

 西村被告は超党派の国会議員でつくる拉致議連の中心メンバーとして積極的に活動しており、逮捕前「(北朝鮮による)拉致被害者の救出運動が最大のヤマ場を迎えている。国会議員の責務を果たすことに専念したい」などと辞職を否定。しかし昨年末に起訴、保釈されて以後は明言を避けており、進退が注目されていた。

 関係者によると、拉致問題の解決のため、議員として活動を続けることが必要と判断したとみられる。

 西村被告は十一月末、事務所に出入りしていた鈴木浩治被告=弁護士法違反罪などで起訴=が交通事故の示談交渉などの非弁活動(無資格での弁護士活動)をする際に名義を貸したとして、同法違反(非弁護士との提携)容疑で逮捕された。さらに、示談交渉による報酬の一部を、違法と知りながら受領したとして組織犯罪処罰法違反(犯罪収益の収受)容疑でも立件された。

 民主党は逮捕翌日の十一月二十九日に西村被告を除籍処分とし、議員辞職を勧告していた。

 西村被告は大阪府堺市出身。一九八五年に弁護士登録し、九三年の衆院選で初当選。五期目。

麻生外相「拉致、断固として対応」

2006/01/09 The Sankei Shimbun【東京朝刊から】

 麻生太郎外相は8日、福岡県直方市で開かれた集会であいさつし、北朝鮮による日本人拉致事件について、「ふざけた話だ。人さまの国に入ってきて、国民を人質にかっぱらっていく話がまかり通ると思うのがそもそも間違っている」と厳しく批判した。

 その上で、「断固として対応する」と述べ、今月末にも行われる日朝国交正常化交渉と拉致、核問題の並行協議で、北朝鮮側に対して拉致事件解決に向けた具体的進展を強く求める姿勢を示した。

 また、安倍晋三官房長官は8日、テレビ朝日の報道番組で、日本人拉致事件で国際手配されている元工作員、辛光洙容疑者の身柄引き渡しについて、「(日朝の)対話の場で誠実に対応しないのであれば圧力を強めるのは当然だ」と述べ、北朝鮮を牽制(けんせい)した。

応じなければ圧力強める 安倍氏、拉致容疑者身柄引き渡しを

2006/01/08 The Sankei Shimbun

 安倍晋三官房長官は8日のテレビ朝日番組で、中華料理店店員の原敕晁さん拉致事件に絡み、北朝鮮が元工作員、辛光洙(シン・グァンス)容疑者の身柄引き渡しに応じない場合、「対話の場で誠実な対応をしないなら圧力を強めるのは当然だ」と述べ、北朝鮮側をけん制した。辛容疑者については警視庁が国際手配している。

 安倍氏は辛容疑者に関し「日本での拉致のオペレーションで重要な役割を果たしていたのは間違いない。日朝交渉で(身柄の)引き渡しを強く要求したい」と述べた。(共同)

辛容疑者の「引き渡し要求を」 拉致被害者家族会

2006/01/06 The Sankei Shimbun

 拉致被害者の横田(よこた)めぐみさん=失跡当時(13)=の母、早紀江(さきえ)さん(69)らが6日、東京都内で記者会見し、元北朝鮮工作員、辛光洙(シン・グァンス)容疑者(76)=国際手配中=がめぐみさんや地村保志(ちむら・やすし)さん(50)夫妻の拉致に関与した疑いが浮上したのを受け、同容疑者の身柄引き渡しや真相究明などを、1月末に予定される日朝並行協議で北朝鮮側に強く迫るよう政府に求めた。

 早紀江さんは、2004年11月下旬に曽我(そが)ひとみさん(46)から「北朝鮮で辛容疑者に『めぐみさんを連れて行ったのは自分だ』と言われた」と聞いたことを明らかにし、「わたしたち家族が知らないことがまだたくさんある。何が本当なのかも分からない。国はもっと力強く北朝鮮にただしてほしい」と憤った。

 めぐみさんの弟、拓也(たくや)さん(37)は「北朝鮮は『拉致は解決済み』と言い続けるが、被害者本人が実行犯の名前を挙げたことで、何ら解決していないことが分かった。真相解明の大きなステップだ」と評価。「帰国した被害者がいつどのように(警察)当局に話したのか明らかにしてほしい」と話した。

 拉致被害者家族会の事務局長、増元照明(ますもと・てるあき)さん(50)も「辛容疑者ばかりクローズアップされるのは不思議だが(北朝鮮が)実行犯の引き渡しに応じなければ拉致問題の解決にならないし、国交正常化もない」と語った。(共同)

「めぐみさん拉致犯は辛容疑者」 曽我ひとみさん証言

2006/01/05 The Sankei Shimbun

 北朝鮮による拉致被害者の曽我(そが)ひとみさん(46)が、横田(よこた)めぐみさん=失跡当時(13)=を拉致した実行犯として、別の拉致事件に関連して国際手配中の元工作員辛光洙(シングァンス)容疑者(76)の名前を挙げていることが5日、関係者の話で分かった。

 新潟県警など警察当局も同様の情報を把握しており、国外移送目的略取容疑で捜査する方針。

 辛容疑者は地村保志(ちむら・やすし)さん(50)、富貴恵(ふきえ)さん(50)夫妻の拉致事件でも、警察当局が実行犯として国外移送目的略取容疑で逮捕状を請求、国際手配する方向で捜査を進めている。

 めぐみさんは中学1年だった1977年11月、バドミントン部の活動を終えて下校途中に、新潟市内で北朝鮮に拉致された。めぐみさんと曽我さんは拉致された直後、平壌の招待所で一緒に生活し、辛容疑者が2人の教育係だったことが既に分かっている。

 関係者によると、曽我さんは辛容疑者から直接、めぐみさんを拉致したことを聞いたと証言したという。

 辛容疑者は、80年に宮崎県で起きた大阪市の中華料理店員原敕晁(はら・ただあき)さん=同(43)=拉致の中心人物とされ、警視庁は、辛容疑者が原さんになりすまし旅券を不正取得したとして、旅券法違反容疑などで逮捕状を取り、国際手配している。

 辛容疑者は韓国潜入後の85年、韓国当局にスパイ容疑で逮捕され、死刑判決を受けたものの、99年に恩赦で釈放され、2000年に北朝鮮に送還された。送還前に日本の警察当局が事情聴取を要請したが本人が拒否し、実現しなかった。

 04年11月の日朝実務者協議で、北朝鮮側はめぐみさんの「遺骨」として骨を日本側に引き渡したが、日本側はDNA鑑定の結果、別人の骨と発表。北朝鮮側は「鑑定結果はでっち上げ」と反発し、日朝協議が中断した。(共同)

 <横田(よこた)めぐみさんの母・早紀江(さきえ)さんの話> 辛光洙(シン・グァンス)容疑者が、めぐみも含めた数々の日本人拉致の実行犯と分かった以上、政府には本気で取り組んでほしい。韓国で捕まり死刑判決を受けた辛容疑者が恩赦で北朝鮮に送還されないようお願いしたが、日本の外務省や韓国は聞いてくれなかった。警察があの時しっかり捜査していればもっと早く分かったのに、と残念でならない。(共同)

HOME政治・経済・社会