TOPIC No.2-132-7 2005年度 北朝鮮による日本人拉致事件

経済制裁と拉致認定求める 救う会と家族会が集会

2005/11/13 The Sankei Shimbun

 拉致被害者家族会と支援団体「救う会」が13日、北朝鮮への経済制裁と、石川県出身の寺越昭二(てらこし・しょうじ)さんらの拉致認定を求める集会を同県野々市町で開いた。被害者救出を訴え、年内に全国12カ所で予定している集会の第1弾で、約1100人が参加した。

 家族会代表の横田滋(よこた・しげる)さん(72)は「北朝鮮が、今後も拉致問題は解決済みという態度を取り続けるなら、経済制裁で解決するしかない」と強調。事務局長の増元照明(ますもと・てるあき)さん(50)は、タイ国籍の女性が北朝鮮に拉致された疑いがあるとされる問題について報告し、「国交があるタイの国民を拉致して返さないのだから、国交正常化で問題は解決しない」と述べた。

 1963年に日本海で失跡し、北朝鮮で死亡したとされる寺越昭二さん=失跡当時(36)=の長男の昭男(あきお)さん(55)は「国交正常化の障害になるからといって、(昭二さんらの)拉致認定をしない政府の姿勢を許してはならない」と訴えた。

 北朝鮮側はこれまで、昭二さんについて、おいの武志(たけし)さん(56)=平壌在住=らとともに救助したと主張。昭男さんは、北朝鮮工作員が昭二さんを漁船上で射殺したとして、石川県警に告訴している。(共同)

「日本人らしい男性いた」 平壌郊外の招待所、蓮池さんが証言

2005/11/02 The Sankei Shimbun

 北朝鮮に拉致された蓮池薫(はすいけ・かおる)さん(48)夫妻や田口八重子(たぐち・やえこ)さん=失跡当時(22)=ら日本人6人が一時生活したとされる平壌郊外の招待所(収容施設)の集落について、蓮池さんが「ほかに日本人らしい中年男性がいた。背は低く、小太りだった」と証言していたことが2日、分かった。

 田口さんの兄飯塚繁雄(いいづか・しげお)さん(67)が5月、新潟県柏崎市で蓮池さん夫妻と面会した際に聞いたという。蓮池さんが男性を実際に目撃したのかどうかまでは確認しておらず、名前など詳しいことは分からない。

 この集落は忠龍里(チュンリョンリ)と呼ばれていた。横田(よこた)めぐみさん=同(13)=と地村保志(ちむら・やすし)さん(50)夫妻を含む6人が1980年から84年にかけて順次集められ、北朝鮮の工作員に日本語を教えたとされる。85年には隣接する別の集落に移され、86年には全員が平壌に移動したという。(共同)

対北非難決議案を国連総会提出 EU・日米など

2005/11/03 The Sankei Shimbun

≪拉致「組織的な人権侵害」≫

 欧州連合(EU)と日米などは2日、北朝鮮による日本人を含む外国人拉致について「組織的な人権侵害」として非難する決議案を国連総会第3委員会(人権)に提出した。欧州の国連外交筋によると30カ国以上による共同提案で、外国人拉致問題で北朝鮮を名指しして非難する決議案が総会に提出されたのは初めて。

 日本は共同提案国に名を連ねることで、3日の北京での日朝政府間協議再開に合わせ、拉致問題解決への決意をあらためて示した。総会決議は法的拘束力こそないものの、国連加盟191カ国の意思表示としての政治的重みがあり、採択されれば拉致問題解決に向けた国際世論の広がりに寄与しそうだ。

 決議案はEU議長国の英国が中心となって策定、日米韓などとの調整を経て提出された。第3委員会の会期終了の23日までに採決を求め、採択されれば総会本会議に送られ正式採択される。

 決議案は、北朝鮮の「組織的で広範囲かつ深刻な人権侵害」を批判した上で、その具体例として(1)強制的失踪(しっそう)という形の外国人拉致に関する未解決の諸問題(2)政治犯らを収容する多数の強制収容所の存在(3)国外から送還された脱出住民への虐待―などを挙げて「深刻な懸念」を表明した。

 また北朝鮮が国連などによる人道支援事業受け入れを年内でやめる方針を示していることに関し、世界食糧計画(WFP)などの国連機関の「完全で自由かつ円滑な」活動を認めるよう要請した。(共同)

拉致事件解決に「心強い」 安倍氏入閣に被害者家族ら 2005/10/31 The Sankei Shimbun

 31日発足の第3次小泉改造内閣の官房長官に、日本人拉致被害者の帰国に官房副長官として尽力した安倍晋三氏が就任した。経済制裁の必要性を訴えるなど北朝鮮に対して強い姿勢を示しており、被害者家族や支援団体関係者は「心強い」と歓迎している。

 「われわれの声に耳を傾けてくれ、信頼できる数少ない政治家」。安倍氏をそう評するのは、増元(ますもと)るみ子さん=失跡当時(24)=の弟で家族会事務局長の照明(てるあき)さん(50)。「首相を間近で支える立場で、発言が慎重になるのはやむを得ないが、信念だけは曲げずにやってくれると信じている」と期待感を隠さない。

 有本恵子(ありもと・けいこ)さん=同(23)=の母、嘉代子(かよこ)さん(79)も「安倍さんのような人がこれから首相官邸にいるかと思うと本当に心強い。11月3日からの日朝政府間協議を前に、小泉さんがよく決断したなと驚いた」。

 「救う会」の西岡力(にしおか・つとむ)副会長は「米政界にパイプを持ち、外交・安全保障問題にも詳しい」と安倍氏を評価。「北朝鮮外交が大きく動こうとしているいま、安倍氏が中心となって日本政府が強い姿勢を示し、被害者救出を実現してくれると期待したい」と話した。(共同)

人権問題担当部署が必要 拉致被害者家族ら帰国 2005/10/31 The Sankei Shimbun

 北朝鮮による拉致問題解決を米政府、議会関係者などに訴えるため訪米していた拉致被害者家族会と救う会のメンバーが30日、成田空港着の全日空機で帰国した。

 空港で会見した横田(よこた)めぐみさんの弟、拓也(たくや)さんは「(北朝鮮人権問題を担当する)レフコウィッツ米大統領特使に相当する専門部署や特使が日本にも必要という意見が米政府内に多い」と報告。近く家族会、救う会が日本政府に要請する予定という。

 家族会事務局長の増元照明(ますもと・てるあき)さんは「北朝鮮に対する米国の(厳しい)姿勢は一貫していることが確認できた」と訪米を評価。11月3日に開かれる日朝協議については「日本側の立場、強い姿勢を伝えてほしい」と述べた。

 増元さんらは24日に日本を出発、米議会のハイド下院外交委員長(共和党)やレフコウィッツ特使などと会談した。(共同)

拉致問題で全面協力を約束 米人権特使、訪日へ 2005/10/29 The Sankei Shimbun

 北朝鮮による拉致被害者家族会の増元照明(ますもと・てるあき)事務局長(50)らは28日、米ワシントンの国務省で、北朝鮮人権問題を担当するレフコウィッツ大統領特使と初めて会談、特使は拉致問題解決のため「可能なことはすべてやる」と述べ、全面協力を約束した。

 昨年成立した北朝鮮人権法に基づいて今年8月に任命されたばかりの特使に対し、増元さんらは早期訪日を招請。特使も「是非行きたい」と応じ、近い将来の訪日が決まった。

 特使はまた、経済制裁を含め北朝鮮への圧力強化の必要性を訴えた増元さんらに同意。「圧力を伴う対話が必要だということを関係国に話していきたい」と語った。

 増元さんは横田(よこた)めぐみさんの弟拓也(たくや)さん(37)、救う会副会長の島田洋一(しまだ・よういち)さん(48)とともに24日から訪米。米政府要人や議員らとの一連の会談を終え29日、帰国の途に就く。(共同)

めぐみさんら安否回答を 国連総会で拉致初討議 2005/10/28 The Sankei Shimbun

 国連人権委員会のビチット・マンターポーン特別報告者(タイ・チュラロンコン大教授)は27日、国連総会第3委員会(人権)に出席し、日本が横田めぐみさんら多くの拉致被害者が生存しているとして、早期の帰国を北朝鮮に求めていることについて、「迅速かつ効果的」に回答するよう北朝鮮側に要求した。

 国連加盟191カ国で構成される総会の場で日本人拉致問題が本格的に討議されたのは初めて。マンターポーン氏は来週から韓国を訪れ韓国人拉致問題も調査、報告する意向で、拉致問題への国際社会の関心を高めるのに寄与しそうだ。

 同氏は昨年7月に人権委員会の初代北朝鮮問題担当特別報告者に就任。今年2―3月の訪日調査に基づく報告書を国連総会に提出、活動状況を報告した。

 マンターポーン氏は、日本人拉致問題について口頭で「深刻な懸念」を表明。配布した書面で、横田さんの「遺骨」として北朝鮮が提供した骨がDNA鑑定で別人のものと判明した問題などを念頭に、北朝鮮に「さまざまな矛盾点をただすべきだ」と求めた。(共同)

拉致被害者家族らが渡米 問題解決を要人に訴え

2005/10/24 The Sankei Shimbun

 北朝鮮による拉致問題の解決を米政府要人に訴えるため、家族会事務局長の増元照明さん(50)と横田めぐみさんの弟、拓也さん(37)、救う会副会長の島田洋一さん(48)が24日、成田空港からワシントンに向かった。

 空港で増元さんは「東南アジア、欧州からも多くの被害者がいるという事実を国際社会にアピールして、北朝鮮への圧力を強めていく」と述べた。北朝鮮人権問題を担当するレフコウィッツ米大統領特使との面会などを予定している。

 家族会と救う会は同日、細田博之官房長官が昨年12月24日に「北朝鮮への経済制裁発動もあり得る」との考えを示唆してから10カ月の節目として、経済制裁発動を求める声明を発表した。(共同)

日朝政府間協議再開へ 11月上旬、北京で最終調整

2005/10/24 The Sankei Shimbun

 日本と北朝鮮両政府は24日、拉致、核、ミサイル問題などをめぐる政府間協議を11月上旬に北京で行う方向で最終調整に入った。日朝関係筋が明らかにした。実現すれば、日朝政府間の本格的協議は、昨年11月の拉致問題をめぐる実務者協議以来約1年ぶりの再開となる。

 日本は拉致問題を中心議題とする構えだが、北朝鮮側は日本の植民地支配など「過去の清算」を求めるとみられ、再開後も協議の実質的進展には困難が予想される。

 日本は協議で、拉致問題について(1)生存者の早期帰国(2)真相の解明(3)拉致容疑者の引き渡し―を求める方針。北朝鮮側は「過去の清算は拉致問題の存在の有無にかかわらず最初に解決されるべき問題」(宋日昊・外務省アジア局副局長)との姿勢を崩していない。

 日朝政府間協議の再開については、9月の第4回6カ国協議の場で行われた日朝会談で近く再開で合意。11月上旬予定の第5回6カ国協議前に開催する方向で日程、場所を調整していた。

 北朝鮮は昨年11月の実務者協議で、拉致被害者横田めぐみさんのものとする「遺骨」を提出。日本は、これが後にDNA鑑定で別人と判明したことから抗議。北朝鮮側が「鑑定はでっち上げ」と反論し、日朝政府間協議は暗礁に乗り上げた。この「遺骨」について日本は今回、北朝鮮側に経緯の説明を求める方針。(共同)

次回協議に無条件参加 「遺骨」話し合う用意と北

2005/10/21 The Sankei Shimbun

 北朝鮮を訪問した米ニューメキシコ州のリチャードソン知事(民主党)は21日、東京都内で記者会見し、北朝鮮が11月上旬に予定される第5回6カ国協議に無条件で参加する意思を示したことを明らかにした。北朝鮮はまた、拉致問題について「日朝対話のチャンネルは再開された。DNA鑑定結果について話し合う用意がある」と言明、横田めぐみさんの「遺骨」問題について協議する用意があるとの姿勢をあらためて示した。

 北朝鮮側はさらに、軽水炉建設問題について「(建設後の)運用の全過程で米国の参加を歓迎する」とし、柔軟な姿勢を示したという。国際原子力機関(IAEA)のエルバラダイ事務局長を招請、核管理について協議する可能性に言及したが、ウラン濃縮施設の存在については認めなかった。

 同知事は滞在中、寧辺を訪れ、実験用黒鉛減速炉(5000キロワット)が稼働していることを確認。あくまで関係者との意見交換で得た個人的な感触とした上で「(核兵器を)2個程度持っているのではないか」との見方を示した。

 知事は17日から20日まで訪朝。ナンバー2の金永南(キム・ヨンナム)・最高人民会議常任委員長や姜錫柱(カン・ソクチュ)第一外務次官、6カ国協議首席代表の金桂冠(キム・ゲグァン)外務次官と会談した。

 <めぐみさんの「遺骨」問題> 昨年11月の第3回日朝実務者協議で北朝鮮側は、拉致被害者横田めぐみさんの「遺骨」とする骨を日本側に引き渡し、埋葬された約2年半後にめぐみさんの夫が火葬、骨つぼに保管していたと説明した。しかし帝京大法医学研究室の鑑定結果では、骨からは2人の人物のものと判断されるDNAが検出されたが、いずれもめぐみさんのDNAとは一致せず、日本政府は「偽物」と発表。北朝鮮側は「鑑定結果はでっち上げ」と反発、「遺骨」返還を要求し、日朝協議が中断するきっかけとなった。(共同)

北朝鮮系病院を捜索 関連会社の薬事法違反容疑

2005/10/14 The Sankei Shimbun

警視庁聴取 「藤田さん拉致関与」病院関係者が説明

 北朝鮮系の総合病院「西新井病院」(東京都足立区)が関係する会社が無許可で医薬品を販売していた疑いが強まり、警視庁公安部は十四日、薬事法違反容疑で病院内にある財団法人「金万有科学振興会」や兵庫県伊丹市の製薬会社など関係先計十一カ所を家宅捜索した。病院関係者が、特定失踪(しっそう)者問題調査会(荒木和博代表)が「拉致濃厚」としている藤田進さん=当時(19)=について「拉致に関与した」などと公安部の任意の事情聴取に説明しており、藤田さん失跡についても慎重に捜査を進める。

 ほかに捜索を受けたのは、財団法人「在日本朝鮮人科学技術協会」(文京区)など。

 調べでは、西新井病院が関係する会社は昨年五月から今年四月にかけ、厚労相の許可を受けないまま医薬品を販売。さらにがんやエイズを撃退すると効能をうたった広告を、インターネットに無許可で掲載した疑い。

 同病院は昭和五十八年に平壌に、総合病院を北朝鮮側と合弁で建設したことで知られ、病院長は在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の中枢とも関係が深いとされる。

 一九八七年の大韓航空機事件で服毒自殺した北の工作員「蜂谷真一」こと金勝一=当時(69)=の偽造旅券に使われた旅券情報を入手したとして、公安部が行方を追っていた在日韓国人の李京雨工作員が昭和六十年、肝臓がんで一時、同病院に入院していた。李工作員はその後、北に帰国して病死したとされる。

 藤田さんは東京学芸大一年生だった五十一年二月七日、「警備員のアルバイトで新宿に行く」と埼玉県川口市の自宅を出たまま失跡した。

 特定失踪者問題調査会が昨年八月、北朝鮮による拉致の可能性を否定できないとして、藤田さんを「拉致濃厚」と発表。家族が国外移送目的略取罪で刑事告発していた。公安部は政府による拉致認定を視野に捜査を進めている。

≪物証なく、慎重に捜査≫

 「藤田さんの拉致に関与した」−。警視庁公安部の任意の事情聴取に、衝撃の“告白”をした西新井病院関係者の発言の真偽は「物証が何もなく不明」(警察幹部)。だが、同じ人物とみられる男は、特定失踪者問題調査会に平成十五年一月、匿名で電話をし、同様の証言をしたうえ「名字は『チョウ』で貿易業を営んでいる。日本人です」と話したとされる。

 昨年十二月には、調査会側と面談。「西新井病院関連の千葉の保養所に一時監禁されていた藤田さんを車で新潟に連れていき、(北朝鮮の工作員の)男に引き渡した」と具体的に証言している。犯行に加担した理由については「脅された」と説明、反省の言葉を繰り返したほか、病院の内情について話した。

 男は日本のパスポートを提示したが身元は確認できなかったという。

 公安当局者は「病院関連の車の運転手をしていた人物」と指摘する。

 だが、十四日の家宅捜索には、男の証言の中にあった保養所などは含まれず、警視庁幹部は「あくまで薬事法違反の捜査」と強調。別の捜査関係者も、「男の供述に関心はあるが、何も具体的な証拠が示されておらず、内容を精査する必要がある」と慎重な姿勢を崩していない。

手記を拉致解決の一助に 手記出版のジェンキンスさんが会見

2005/10/12 The Sankei Shimbun

 拉致被害者、曽我ひとみさん(46)の夫、ジェンキンスさん(65)が12日、東京都内で記者会見し、7日に角川書店から手記「告白」が出版されたことを「著者としてうれしく誇りに思う。北朝鮮で見聞きしたことはすべて書いており、拉致問題の解決の一助になれば」と感想を語った。

 拉致問題への日本政府の対応については「全力を尽くしていると思うが、解決には時間がかかるものだ」と述べた。

 グレーのスーツ姿のジェンキンスさんは少し緊張した面持ち。佐渡での暮らしぶりや2人の娘の近況を話す場面では、時折笑顔も出たが、曽我さんと一緒に失跡した母ミヨシさん=失跡当時(46)=のことを聞かれると「とてもつらい質問だ」と言葉を詰まらせ「いつもそばにいて妻をサポートしたい」と、曽我さんを気遣った。

 故郷の米国については「今も心から愛しているが、移住する考えはない」と語った。

 会見には、ジェンキンスさんに約2カ月間インタビューした共同執筆者のジム・フレデリック・タイム誌東京支局長も同席。「日記も付けてないのに日付や曜日まで正確に覚えていたジェンキンスさんの集中力、記憶力には目を見張るものがあった」と振り返った。(共同)

北朝鮮は外国人女性も拉致 曽我さんが家族会に証言

2005/10/07 The Sankei Shimbun

 拉致被害者の曽我ひとみさん(46)が7日までに、タイ人とルーマニア人、レバノン人の女性が北朝鮮に拉致され、脱走した米兵の妻として平壌市内で暮らしていたと証言した。拉致被害者家族会の増元照明(ますもと・てるあき)事務局長(50)らが東京都内で記者会見し明らかにした。

 証言内容は日本政府も把握し、外交ルートで関係国に伝えたという。

 曽我さんはまた、拉致から約2カ月後、平壌市内で、増元(ますもと)るみ子さん=失跡当時(24)=とみられる日本人女性を目撃したと説明した。

 証言によると、曽我さん一家は結婚4年後の1984年から、平壌市内にある4世帯アパートで生活。夫ジェンキンスさん(65)より前に北朝鮮へ脱走した米兵3人の家族も住んでいた。

 3人の妻は「アノチャ」という名前のタイ人、「ドイナ」というルーマニア人、「シハーム」というレバノン人。いずれも78年7月、日本での仕事に誘われてだまされ、アノチャさんはマカオから、ドイナさんはイタリアから、シハームさんはレバノンから北朝鮮に連れて来られた。

 アノチャさんは89年に消息不明となり、ドイナさんは97年に病死。「家族に会いたい」「帰りたい」と曽我さんに話していたという。

 一方、るみ子さんとみられる女性について曽我さんは、「社会見学」のため平壌市の革命烈士廟(びょう)に1978年10月ごろ連れて行かれた際、女性指導員と一緒に前方を歩いていたと証言。

 女性と会話はしなかったが、大きな声で笑ったのが印象に残っており、日本に帰国後、写真を見て「増元さんだった」と気付いたとしている。(共同)

「対北制裁、一刻も早く」 参院予算委で経産相

2005/10/05 The Sankei Shimbun

 中川昭一経済産業相は5日午前の参院予算委員会で、北朝鮮に対する経済制裁について「拉致問題の一日も早い解決のために(改正外為法が)機能するならば、一刻も早く発動すべきではないか」と述べた。

 北朝鮮側と再開で合意した日朝実務者協議との関連については「『対話と圧力』が基本姿勢だが、対話があるから圧力を待つという性格のものでは、必ずしもない。対話と圧力が両方あっていい」と指摘した。

 自民党の山谷えり子氏の質問に対する答弁。(共同)

北の「拉致濃厚」、新たに国井えり子さん 失踪者調査会発表

2005/10/01 The Sankei Shimbun東京朝刊から

 北朝鮮に拉致された可能性が排除できない行方不明者を調べている「特定失踪(しっそう)者問題調査会」は30日、昭和43年12月に北海道網走市で不明となった国井えり子さん=当時(17)=について、「拉致濃厚」と発表した。調査会が「拉致濃厚」とした不明者は34人目。

 国井さんは「試験があるのでいつもより早く学校へ行く」と家を出たまま消息を絶った。調査会が今年6月に入手した、脱北者が所持していた写真の女性が国井さんと似ているという。国井さんの家族は同日、被疑者不詳のまま国外移送目的略取誘拐の容疑で北海道警に告発した。

 調査会はこのほか、「拉致の可能性を否定できない」として新たに6人の名前を公開。「拉致濃厚」を含め現時点の公開者は248人となった。

「機熟さず」と官房副長官 経済制裁で家族会に回答

2005/09/29 The Sankei Shimbun

 杉浦正健官房副長官は29日夕、首相官邸で拉致被害者の家族らと面会し、北朝鮮への経済制裁発動を求めて家族会が8月に提出した質問状に対し「タイミングや方法は考えているが、機が熟していない」と回答、理解を求めた。

 家族会代表の横田滋さん(72)、妻の早紀江さん(69)、副代表の飯塚繁雄さん(67)ら6家族10人が参加。杉浦副長官は、6カ国協議で日朝両国が政府間協議の再開を合意した経緯を説明し「制裁はあくまで手段で、目的であってはならない。いかに救出するかはタイミングが大事だ」と述べたという。

 家族からは「なぜ今まで制裁しなかったか説明してほしい」「日朝協議がまた不調に終わったら必ず制裁するのか」との声が上がり、杉浦副長官は「お気持ちは首相に伝える」と答えた。

 面会後、横田滋さんは「質問すべてに答えてもらえたわけではないので残念です」と話した。(共同)

国連、北に横田さん「死亡」根拠要求 総会で審議へ

2005/09/28 The Sankei Shimbun

 国連は27日、北朝鮮の人権状況に関する最新の報告書を発表し、北朝鮮側が生存している拉致被害者の帰国を求める日本の主張に迅速に回答するとともに、「死亡」としている横田めぐみさんら安否不明者について「信頼できる客観的根拠」を示すよう勧告した。報告書は、開会中の第60回国連総会に提出されており、10月3日から始まる総会第三委員会(人権)で初めて本格的に審議される。

 報告書は、国連人権委員会のビチット・マンターポーン特別報告者(タイ)がまとめたもので、人権をめぐる北朝鮮の姿勢は「言語道断」と非難。第三委員会の審議で、北朝鮮非難決議案の策定要求など同国に対する批判が高まれば北朝鮮側が反発するのは必至で、国連との関係悪化が懸念される。

 報告書は北朝鮮の人権状況について(1)大幅な食料不足や子供の栄養不良率の高さ(2)政治・思想犯やその家族に対する迫害(3)犯罪者収容施設などでの女性への暴行(4)厳しい移動の自由の制限―などが認められると批判。状況改善のため、北朝鮮が加盟する4つの人権条約順守など15項目を勧告した。

 その上で、マンターポーン氏が今年2月から3月に日本を訪れた際の調査を踏まえ、横田さんの「遺骨」として北朝鮮側から提供された骨がDNA鑑定で別人のものと判明した問題などを念頭に、安否不明者に関する「あいまいさや矛盾点」を明確に説明するよう北朝鮮側に要求した。

 同氏は昨年7月に初代北朝鮮問題担当特別報告者に就任し、今回が2回目の報告。北朝鮮が調査協力を拒否しているため、北朝鮮との関係が深い国の政府や非政府組織(NGO)の情報などに基づいてまとめた。

 <北朝鮮の人権状況と国連> 北朝鮮は「子どもの権利条約」など4つの人権条約に加盟しているが、履行上の問題点が指摘されており、国連人権委員会(ジュネーブ)は2004年、タイ・チュラロンコン大のビチット・マンターポーン教授(国際法)を初代の北朝鮮問題担当特別報告者に任命することを決議。マンターポーン氏は同年の国連総会で最初の口頭報告を行った。05年に入って最初の報告書をまとめ、訪日調査などを踏まえて今回、日本人拉致問題などに関する勧告を盛り込んだ2回目の報告書をまとめた。国連人権委は03年以降、3年連続で北朝鮮非難決議を採択している。(共同)

 国連が27日発表した北朝鮮の人権状況に関する報告書の要旨は次の通り。

 一、生存している拉致被害者の帰国を求める日本の主張に効果的かつ迅速に回答するよう要求。

 一、北朝鮮が拉致し、同国が「死亡」したと主張する(横田めぐみさんら)日本人の安否不明者に関し、信頼できる客観的根拠を示すよう勧告。

 一、迅速かつ効果的なプロセスを通じ、外国人拉致などの罪の償いを行うよう勧告。

 一、建設的な進展も一部に見られるが(日本人安否不明者などに関する主張には)あいまいさや矛盾点がある。それらの幾つかは言語道断と呼べるたぐいのものだ。

 一、北朝鮮国内の食料は大幅に不足し子供の栄養不良率は依然高い。政治・思想犯として処罰されると「連座の罪」で家族も迫害される。犯罪者収容施設や家庭では女性への暴行が見られ、移動の自由は厳しく制限されている。

 一、北朝鮮は「子どもの権利条約」など4つの人権条約に加盟、これらの取り決めに沿ってさまざまな報告書を提出するなど国連機関との協力を行い、近年は法改正にも取り組んでいる。

≪人権で対立深まる 北朝鮮と国際社会≫

 国連が27日、北朝鮮の人権をめぐる姿勢について「言語道断」と非難するマンターポーン国連人権委員会特別報告者の最新報告を発表したことで、人権をめぐる北朝鮮と国際社会の対立がさらに深まる見込みとなった。

 国連緊急援助調整官室(OCHA)のエグランド室長によると、北朝鮮は今月上旬、農業生産が向上、食糧事情が改善されたなどとして、国連や外国の非政府組織(NGO)による「人道支援事業」を年内で打ち切るよう通告してきた。

 しかし、北朝鮮の崔守憲(チェ・スホン)外務次官によると、打ち切りを求める大きな理由は人権問題。次官はブッシュ米政権が人権状況の改善を食糧支援の条件とすることもあり得ると示唆している点を念頭に「米国は人道支援を政治的に利用しようとしている」と非難した。

 次官は、国連加盟国が先に「人権理事会」を新設する方向で合意したことについても、人権保護という名目で他国に干渉しようとする一握りの国の行動を正当化することになるなら「今後の議論は全く意味がない」と批判。人権をめぐる隔たりの大きさを浮き彫りにした。(共同)

 27日発表された北朝鮮の人権状況に関する国連報告書は、北朝鮮からの脱出住民(脱北者)をめぐり「保護を求めている人々を危険地域に送り返してはならない」と述べ、脱北者を強制送還しているとされる中国を間接的に批判した。

 報告書は脱出の主な理由について、政治的迫害や食料不足から逃れるためだとした上で、強制送還しないことが難民保護の基本原則と強調。脱出先となっている一部の国が「こうした原則を順守していない」と指摘した。

 中国政府は「脱北住民は不法入国者であり、難民ではない」としており、双方の主張は平行線をたどっている。(共同)

北朝鮮「拉致は完全解決」 来月対話受け入れも

2005/09/24 The Sankei Shimbun

 北朝鮮の鄭泰和(チョンテファ)・前日朝国交正常化交渉担当大使(朝日交流協会常任顧問)は23日、平壌市内で共同通信などと会見し、日本人拉致問題について2回にわたる日朝首脳会談で「完全に解決した」との認識を示し、横田めぐみさんの「遺骨」返還問題を除き、今後は調査や証拠提供に一切応じないと言明した。日朝政府間協議の時期は「10月でもよい」と述べ、日本側が求める10月開催を受け入れる意向を示した。

 日朝両国が合意した政府間協議再開を前に、拉致問題での北朝鮮側の原則的立場を強調し、日本側を牽制(けんせい)する狙いとみられる。

 鄭氏は、日朝間の懸案は拉致問題でなく、植民地支配に伴う日本の「過去清算だ」と主張。政府間協議に応じたのは「われわれの方が解決する問題が多いからだ」と述べ、政府間協議で過去清算を強く求める方針を明らかにした。

 拉致問題については「拉致被害者でない(曽我ひとみさんの夫)ジェンキンス(さん)やその子供たちまで日本に送った」と強調。昨年、3回にわたり行われた日朝実務者協議に触れ「国交がない日本の要求を認め、政府代表団を受け入れ、彼らの要求する調査に関するすべての事項を聞いてやった」と述べ、関係者との面会や資料提供など必要なことはすべて終わったとの認識を示した。(共同)

日朝政府間対話を再開 「拉致」「核」など対象

2005/09/20 The Sankei Shimbun

 町村信孝外相は20日夕、外務省で記者会見し、日本と北朝鮮が政府間対話を再開することで合意したと発表した。拉致問題をはじめ、核、ミサイル問題など日朝間の諸懸案全般を協議対象とし、日程、場所、交渉担当者などは今後調整する。

 町村氏は「国交正常化交渉という位置付けではないが、それへの道を開くためのステップだ」と強調した。

 両国の本格的な政府間協議は、昨年11月に平壌で行われた拉致問題をめぐる審議官級の実務者協議後、北朝鮮が提出した拉致被害者の横田めぐみさんのものとする「遺骨」のDNA鑑定結果をめぐる対立で途絶えている。(共同)

拉致被害家族、期待と不信感 6カ国協議合意

2005/09/19 The Sankei Shimbun

 6カ国協議が19日、北朝鮮の核放棄などを盛り込んだ共同声明にようやくたどり着いた。声明は日朝関係にも触れ、拉致問題を含む「懸案事項の解決」をうたったが、拉致被害者家族は期待とともに「今後の対応を見ないと。ぬか喜びはできない」と不信感をぬぐえなかった。

 拉致被害者家族会副代表の飯塚繁雄(いいづか・しげお)さん(67)は「何か決めてもすぐやめてしまうのが今までの北朝鮮。核を簡単に手放すだろうか。拉致問題の解決も含め、実際に形になるまでは信用できない」と不信感をあらわに。事務局長の増元照明(ますもと・てるあき)さん(49)も「北朝鮮の出方を見極める必要がある」とくぎを刺した。

 代表の横田滋(よこた・しげる)さん(72)は「核問題が落ち着けば、拉致問題も何らかの動きが出るのでは」と期待。安否不明の有本恵子(ありもと・けいこ)さんの母、嘉代子(かよこ)さん(79)は「これで小泉さんが国交正常化をどんどん進めてしまうんじゃないか不安。まず拉致問題をきちんと解決してほしい」と強く訴えた。(共同)

拉致問題の協議再開、北朝鮮高官が前向き発言

2005年09月18日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【北京=池辺英俊】北朝鮮の金桂寛外務次官は18日、北京の釣魚台国賓館で佐々江賢一郎外務省アジア大洋州局長と会談し、日本人拉致問題について「日本の立場はよく理解している。北朝鮮としても対話の再開へ向けた努力をさらに行いたい」と述べ、日朝実務協議の再開に前向きな姿勢を示した。

 ただ、日本側が先に要求した拉致問題の真相解明などに関する回答はなかった。

 佐々江氏は、「北朝鮮の速やかで、建設的な対応を求める」と実務協議の再開などを重ねて求めた。

 日朝の2国間会談は、6か国協議再開後3回目で、約40分間行われた。6か国協議の共同文書についても意見交換した。

 日本側によると、北朝鮮代表団は会談後、日本側代表団全員と握手したうえで見送るなど、終始、友好的な姿勢を示したという。

「拉致被害者救出を」 平壌宣言3年、秋田で集会

2005/09/16 The Sankei Shimbun

 日朝平壌宣言から三年を迎えた十七日、拉致被害者の救出を求める市民集会が秋田県男鹿市で開かれ、約三百五十人の参加者を前に、拉致被害者家族会事務局長の増元照明(ますもと・てるあき)さん(49)が「小泉首相は『対話と圧力』と言うが、圧力を全くかけていない。毅然(きぜん)とした対応をしてほしい」と述べ、政府の姿勢を批判した。

 横田(よこた)めぐみさん=失跡当時(13)=の母早紀江(さきえ)さん(69)が「なぜ国会議員全員が(北朝鮮に)いいかげんにしろと言わないのか」と訴えた。

 集会後の記者会見で、めぐみさんの父滋(しげる)さん(72)は「郵政ばかりでなく拉致問題を早く解決してほしい。経済制裁ができない理由ももっと説明を」と首相に要望。

 増元さんは「九月十七日は私たちにとって何の意味もない。特別なのは家族が帰ってきた日だ」と強調した。(共同)

「政府はもっと怒るべき」 横田夫妻、労組大会で講演

2005/09/14 The Sankei Shimbun

 拉致被害者家族会代表の横田滋さん(72)と妻、早紀江さん(69)は14日、新潟市内で開かれたUIゼンセン同盟の定期大会で講演し「北朝鮮には救出を待っている被害者がたくさんいる。政府はもっと北朝鮮に怒るべきだ」と訴えた。

 滋さんは「やっと6カ国協議が再開した。拉致問題は持ち出すタイミングがあるとは思うが…。(娘の)めぐみはもう40歳になる。皆さんに関心を持って見守ってほしい。それが最大の助けになる」と呼び掛けた。

 早紀江さんは「救出の活動を始めて9年。拉致問題はいつの間にか脇に押しやられてしまう。めぐみやほかの被害者は『わたしはここにいるのよ』と今も家族や国の助けを待っている」と話した。

 UIゼンセン同盟は定期大会で拉致被害者救出のために世論喚起を進めるアピールを採択し、約700万円のカンパを家族会に贈った。(共同)

「経済制裁なぜ発動せぬ」 拉致家族会が首相に質問状

2005/08/24 The Sankei Shimbun

 拉致被害者家族会は24日、政府の拉致問題連絡・調整室を訪れ、なぜ北朝鮮に経済制裁を発動しないのかなど6項目の質問状を小泉純一郎首相あてに提出した。

 細田博之官房長官は昨年12月24日に「北朝鮮が迅速かつ誠意ある対応をしなければ、厳しく対応せざるを得ない」と表明しており、横田めぐみさん=失跡当時(13)=の父、滋さん(72)は「発動のチャンスは今まで何度もあったのに、いまだに何もしないのはおかしい」と迫った。江村興治室長は「官邸に伝え、できるだけ早く回答する」と答えた。

 質問状ではほかに(1)政府は方針を変更したのか(2)北朝鮮の対応が変わるのをいつまで待つのか―などについても回答を求めている。(共同)

日朝高官が北京で会談 拉致問題解決を要求か

2005/08/07 The Sankei Shimbun

 外務省の佐々江賢一郎アジア大洋州局長は7日昼、北京の釣魚台迎賓館で、北朝鮮の金桂冠外務次官と20分間会談した。日本人拉致問題の解決を申し入れたとみられる。会談は、北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議が休会を正式決定した直後に行われた。

 日朝両政府の高官による協議は、昨年11月に平壌で開かれた拉致問題の実務者協議以来、約9カ月ぶり。

 佐々江、金両氏は6カ国協議の日朝両国首席代表。佐々江氏は、同協議期間中に金氏と接触を重ねていたが、立ち話程度にとどまっていた。北朝鮮側は、6カ国協議期間中の拉致問題の議論を拒否していたが、同協議が休会に入ったことで、応じる姿勢に転じたとみられる。

 日朝間では、昨年12月に拉致被害者、横田めぐみさんのものとされた「遺骨」が日本側のDNA鑑定で別人と判明。これに対し、北朝鮮側は「捏造(ねつぞう)」と激しく非難し、両国関係は暗礁に乗り上げた。(共同)

横田さんが拉致問題を報告 国際議員連盟とNGOが合同会議

2005/08/01 The Sankei Shimbun

 日米韓などの国会議員らでつくる「北朝鮮難民と人権に関する国際議員連盟」と各国の非政府組織(NGO)が、北朝鮮をめぐる人権問題について議論する合同会議が1日、都内のホテルで開かれ、参加した拉致被害者横田めぐみさん=失跡当時(13)=の父親で家族会代表の横田滋さん(72)が現状などを報告した。

 横田さんは、北朝鮮が「めぐみさんの遺骨」として昨年、日本政府に提供した骨が別人のものと鑑定された経緯を説明。

 「六カ国協議で『日本は相手にしない』と主張するなど、いまだに誠意ある対応をしない北朝鮮に対しては国際世論の高まりこそ大きな力になる。家族との1日も早い対面を皆さんの力で実現させてほしい」と訴えた。

 合同会議に続き、来日中のデニス・ハスタート米下院議長や中野寛成衆院副議長ら約50人が出席して国際議員連盟の総会を開催。強制収容所や拉致など北朝鮮の人道問題解決を六カ国協議で議題に取り上げることなどを要求する共同宣言を採択した。(共同)

「目撃、生存情報は15人」 元工作員、衆院で初陳述

2005/07/27 The Sankei Shimbun

 日本人拉致問題をめぐり、元北朝鮮工作員の安明進氏(36)が28日、衆院拉致問題特別委員会に参考人として出席し「わたしが北朝鮮で目撃したり、生きているとの直接的な情報を持っている日本人は15人。これが(拉致被害者の)全部ではなく、30人余りになると聞いた」と述べた。

 北朝鮮の元工作員による国会での意見陳述は初めて。安氏は北朝鮮政策にも言及し「最も強力な手段は経済制裁。経済制裁を加えられた時、日本に対して真摯(しんし)な姿勢になる」と指摘した。

 安氏は以前から目撃証言をしており、これを踏襲。15人のうち横田めぐみさん=失跡当時(13)=や市川修一さん=同(23)、増元るみ子さん=同(24)、田中実さん=同(28)=ら9人の名前を挙げた。このうち日本政府が拉致被害者と認定しているのは6人。

 陳述は通訳を入れて朝鮮語で行われた。安氏は金正日総書記について「人類共同の敵であり悪魔」と表現。「拉致を直接命令していたと思う」と述べた。

 1987年から工作員訓練を受けた平壌の金正日政治軍事大学などで目撃したり、直接的な生存情報を持っていたりする日本人は15人とし、名前を挙げた9人のほかに「男性教官2人」「女性教官2人」「北海道から拉致された男性」「放送局爆破訓練場で目撃した女性」の計6人の存在に触れた。

 北朝鮮が79年に死亡したと説明した市川さんについて「91年まで直接話をし、たばこも分け合った」とし、81年に死亡したとしている増元さんについても「90年ごろまで目撃した」と証言。北朝鮮側の説明を「うそ」と断言した。

 安氏が目撃した日本人の1人で既に帰国した蓮池薫さん(47)にも触れ「彼は多くの人びとの情報を持っているはずで、北朝鮮を怖がらず日本国民のために証言してほしい」と呼び掛けた。

 安氏は93年に韓国に亡命。委員会出席のため27日に来日した。28日の意見陳述は、めぐみさんの母、早紀江(さきえ)さん(69)ら被害者家族も傍聴した。(共同)

 衆院拉致問題特別委員会で28日、元北朝鮮工作員安明進氏が陳述した内容の要旨は次の通り。

 わが民族と人類共同の敵であり悪魔である金正日(総書記)の反人倫的蛮行を告発、証言できる機会を与えてくれたことに感謝する。私が1988年10月から91年初旬まで、当時の朝鮮労働党中央委員会直属政治学校、今の金正日政治軍事大学などで目撃した日本人について証言する。

 当時、学校にいた日本人は、横田めぐみさん、市川修一さん、増元るみ子さん、蓮池薫さん、田中実さん、朝鮮語が下手だった独特の容ぼうを持つ北海道から拉致された男性、加藤久美子さん、男性教官2人、女性教官2人の計11人。工作員らの専門病院で目撃した古川了子さん、寺越武志さん、放送局爆弾訓練場で見たもう1人の日本人女性と田口八重子さんも91まで確実に生きていたという情報を持っており(目撃したり生存情報を持っているのは)全部で15人だ。

 金正日政治軍事大学では日本人拉致は工作員たちの自慢の種になっている。拉致された日本人たちを秘密にするため、子供は両親と遠く離れた地域の学校に通わせるなどしている。

 金正日(総書記)が貫き通しているうその1つは、91年まで私が直接話をし、たばこまで分け合った市川修一さんが79年に死亡したという内容と、私が90年ごろまで目撃した増元さんが81年に死亡したとしていることだ。

 これらの日本人たちの名前は1つも知らなかったが、顔と特徴などははっきり記憶している。私が目撃した日本人が拉致された日本人の全部ではないことは学校の教官、先輩たちを通じて知ることができ、その数は三十余名にもなると聞いた。

 北朝鮮政府は、対日工作機関である清津連絡所を完全に解体せず、続けて日本工作をするために新しい工作船を運営しようとしており、新しい工作船基地を構築している。日本の経済制裁は金正日政権の脅威になる。金政権が1日も早く終わることを希望している北朝鮮2300万住民の大きな望みでもある。

めぐみさん漫画、単行本に 双葉社から発売

2005/07/20 The Sankei Shimbun

 13歳で北朝鮮に拉致された横田めぐみさんや、父、滋さん(72)と母、早紀江さん(69)の救出運動を描いたドキュメンタリー漫画「めぐみ」の単行本前、後編2冊が21日、双葉社(東京)から発売される。各1000円。

 「めぐみ」は双葉社の「漫画アクション」に昨年12月から14回にわたって連載。今月19日号で最終回を迎え、急きょ単行本化された。

 原作・監修した横田夫妻は20日、川崎市の自宅近くで、作画担当の本(もと)そういちさんと一緒に記者会見。滋さんは「拉致は解決すべき問題と読者に理解してもらえればありがたい」と語った。

 本を手にした早紀江さんは「当時住んでいた新潟市の家や現場の風景が忠実に再現された作品を見て、懐かしいようなたまらないような気持ち。暗い、嫌な事件だが、明るくまじめなめぐみを描いてくれました」と感想を述べた。(共同)

曽我さん・めぐみさんの教育係は辛容疑者

2005/07/13 The Sankei Shimbun

≪拉致実行犯が直接指導≫

 拉致被害者の曽我ひとみさん(46)と横田めぐみさん=失跡当時(13)=が北朝鮮の同じ招待所で生活していた際、原敕晁さん=同(43)=を拉致した主犯とされる元北朝鮮工作員、辛光洙(シン・ガンス)容疑者(76)=旅券法違反容疑などで国際手配=が2人の朝鮮語などの教育係を務めていたことが13日、関係者の話で分かった。

 めぐみさんは1977年11月、新潟市内で拉致された。曽我さんは78年8月に新潟県・佐渡島から拉致され、直後の約2年間をめぐみさんと同じ平壌市内の招待所で暮らしたとされる。

 関係者によると、2人はこの間に辛容疑者から教育を受けたという。帰国後、辛容疑者の映像を報道で見た曽我さんが証言したとされる。

 辛容疑者は85年に韓国でスパイ容疑で逮捕され、死刑判決を受けたが、その後恩赦で釈放され北朝鮮に送還された。

 警察庁は2002年9月、80年に失跡した原さんの旅券や運転免許証を不正に取得、出入国を繰り返したとして旅券法違反容疑などで辛容疑者を国際手配した。

 日朝交渉の席などで、北朝鮮は「原さんは辛(容疑者)との利害関係一致により自発的に(北朝鮮に)来た」と主張。辛容疑者の日本への身柄引き渡しを拒否している。(共同)

拉致問題で日朝協議要請 官房長官が意向表明

2005/07/11 The Sankei Shimbun

 細田博之官房長官は11日の記者会見で、7月下旬開催で合意した北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議に関連して、同協議で拉致問題を取り上げるとともに、日朝協議を行うよう北朝鮮側に働き掛ける意向を表明した。政府は、安否不明の拉致被害者の消息について直接ただしたい考えだ。

 拉致問題に関する日朝実務者協議が途絶えている中、「あらゆる機会をとらえて問題解決のために役立ち得ることは何でもやりたい」(谷内正太郎外務事務次官)との判断だが、6カ国協議の場で言及すれば北朝鮮の反発は必至。日朝協議に応じる気配は今のところない。

 小泉純一郎首相は11日夕、官邸で記者団に「『拉致問題は日本の問題だ』という各国の状況(認識)なので、なかなか難しい問題だ」と進展の難しさを指摘し、「緊密に米国や韓国と協議していかなければならない」と強調した。

 細田氏は6カ国協議開催に先立ち、日米韓3カ国協議で対処方針を調整すると指摘。12日のライス米国務長官と小泉首相、町村信孝外相との会談では「拉致問題の重要性を再確認したい」と強調した。(共同)

ジェンキンスさん除隊完了 佐渡市に外国人登録へ

2005/07/01 The Sankei Shimbun

 新潟県佐渡市は1日、拉致被害者曽我ひとみさん(46)の夫、ジェンキンスさん(65)の米軍除隊手続きが、6月21日付で完了していた、と発表した。

 同市によると、ジェンキンスさんに6月末、米軍から文書が届いたという。ジェンキンスさんは曽我さんの地元、佐渡市に永住する意向で、近く佐渡市役所で外国人登録する。

 ジェンキンスさんは在韓米軍の軍曹だった1965年、北朝鮮へ脱走したとして訴追された。2004年7月、娘2人とともにジャカルタを訪れ、1人で帰国していた曽我さんと1年9カ月ぶりに再会。家族と来日したが、ジェンキンスさんは9月に在日米陸軍のキャンプ座間に出頭。司法取引が成立し、同年11月3日の軍法会議で禁固30日、不名誉除隊の判決が言い渡された。

 当初は判決後1週間で除隊が完了する予定だったが、米軍側の都合で遅れていた。(共同)

新たに3人拉致の疑い、特定失踪者問題調査会が公開

2005年06月27日 読売新聞Yomiuri On-Line

 北朝鮮による拉致の疑いを否定できない行方不明者について調べている「特定失踪(しっそう)者問題調査会」は27日、新たに3人の不明者を公開した。

 同会が新たに公開したのは以下の通り(氏名、失踪時の年齢、当時の住所、失踪年。敬称略)。

 松岡伸矢、4、茨城県、1989年▽佐々木弘、21、神奈川県、81年▽関谷俊子、17、千葉県、74年

拉致被害者家族らの座り込み終了…延べ2500人参加

2005年06月27日 読売新聞Yomiuri On-Line

 北朝鮮への経済制裁発動を求めた拉致被害者家族連絡会と支援組織「救う会」による国会前の座り込み行動が26日、終わった。座り込みを行った3日間はすべて真夏日となったが、参加者は延べ2500人(救う会発表)に上った。

 両会は2000年にも座り込みを2度行っているが、拉致被害者、横田めぐみさんの母、早紀江さん(69)はこの日、「今回ははるかに大勢の方に参加していただき、ようやく国民運動になったと実感できた。小泉総理はこの声を受け止めて制裁発動していただきたい」と語った。

 座り込みの後、東京・永田町で行われた集会には約400人が参加した。

         ◇

 自民党の安倍晋三幹事長代理は26日、金沢市で講演し、座り込みについて「炎天下で(被害者家族らが)そうしなければいけない状況に追い込まれたことは、政治家として本当に申し訳ないと思っている。どうすれば結果を出せるのか、正しい判断を政府とともにしていきたい」と語った。

「申し訳ない」と陳謝 家族会座り込みに安倍氏

2005/06/26 The Sankei Shimbun

 自民党の安倍晋三幹事長代理は26日午後、金沢市内で講演し、北朝鮮による拉致被害者家族会や支援団体が首相官邸近くで経済制裁発動を求めて座り込みを行ったことに対し「炎天下でそうしなければいけない状況に(家族らが)追い込まれていることは政治家として申し訳ない」と述べ、拉致問題の解決が遅れていることを陳謝した。

 同時に「こうすれば(拉致問題解決の)結果を出せるという正しい判断を政府とともにしていきたい」と述べ、政府側に制裁発動の働き掛けを強めていく考えを示した。(共同)

「一日も早く経済制裁を」 拉致家族会の座り込み終了

2005/06/26 The Sankei Shimbun

 北朝鮮に対する経済制裁発動の決断を小泉純一郎首相に迫るため、拉致被害者家族会や支援団体「救う会」が24日から、東京・永田町の首相官邸近くで続けていた座り込みが26日、終わった。

 救う会によると、3日間の参加者は延べ約2500人。家族会代表で、横田(よこた)めぐみさん=失跡当時(13)=の父、横田滋(よこた・しげる)さん(72)は「皆さんの熱意が伝わってきた。首相はこれをくみ取って、制裁を1日も早く実行してほしい」と訴えた。

 26日は日曜日で、人や車の通行もまばらだったが、一般の人も含めて約700人が参加。60―70代が大半の家族会のメンバーは、タオルで汗をぬぐいながら「小泉さーん、休日の観劇もいいけど、わずかな時間、われわれと会って話して」とマイクで呼び掛け、「闘うぞ」とシュプレヒコールを繰り返した。(共同)

「一切の援助停止を」 北朝鮮の援助米横流し映像で家族会

2005/06/21 The Sankei Shimbun

 日本が北朝鮮に支援したコメが横流しされているとする映像が公開されたことを受け、拉致被害者家族会(横田滋代表)と救う会は21日、「日本の善意が北朝鮮の特権階級のために使われていることが明らかになった」とし、北朝鮮への経済制裁をあらためて政府に求める声明を出した。

 声明では「食糧援助は(拉致の)被害者救出になんら寄与せず、問題解決を遅らせてきた。被害者を帰すまで一切の援助をしないという毅然(きぜん)とした態度を示すべきだ」としている。(共同)

ジェンキンス氏に旅券届く 6月中にも渡米

2005/05/31 The Sankei Shimbun

 拉致被害者の曽我ひとみさん(46)=新潟県佐渡市=の夫ジェンキンスさん(65)に31日、米国旅券が届けられた。一家は6月中にも渡米する方針。

 関係者によると、16日に米大使館(東京都港区)で旅券を受け取った代理人が、佐渡市を訪れて手渡した。

 ジェンキンスさんは米ノースカロライナ州に住む母親ら肉親との再会を希望しており、今年3月に旅券を申請した。(共同)

拉致問題で全面的支持 安倍氏との会談で米国務長官

2005/05/03 The Sankei Shimbun

 自民党の安倍晋三幹事長代理は2日午後(日本時間3日未明)、ワシントンの米国務省でライス国務長官と会談した。安倍氏が北朝鮮による拉致問題の解決に全力で取り組む考えを伝えたの対し、国務長官は「日本の立場を全面的に支持し続ける」と表明した。

 北朝鮮の核開発問題をめぐる次回6カ国協議について、安倍氏は6月が開催期限になるとの認識を示した上で「(北朝鮮が応じなければ)別の手段を考えなくてはならない。国連安全保障理事会で(経済制裁を)協議することも真剣に考えなくてはいけない」と指摘。国務長官は安保理での協議には言及しなかったが、問題の早期解決へ「別の手段」を検討する必要性には理解を示した。

 国務長官は日米関係について「世界のいろいろな問題で日米両国がしっかり同盟関係を強化し、常に協議していくことが大切だ」と述べた。

 この後、安倍氏は国家安全保障問題担当のハドリー大統領補佐官とも会談し、北朝鮮によるミサイル発射実験について「注目を集めて(外交上の)影響力を持とうとの意図だ」との見解で一致した。(共同)

米の関心高さに手応え 拉致被害者家族会の事務局長ら帰国

2005/05/02 The Sankei Shimbun

 北朝鮮による拉致問題解決への協力を米政府関係者らに要請するため4月25日から訪米していた拉致被害者家族会の増元照明事務局長が2日、ワシントンからの全日空機で帰国した。

 増元氏は成田空港で記者会見し「米国人は拉致問題をよく理解しており、優先的に考えなければならない問題であるとはっきり言っていた」と手応えを語った。

 同行した「救う会」の島田洋一副会長は、拉致問題への関心の高さを示す一例として、ヘンリー・ハイド下院外交委員長から、日本人・韓国人拉致問題を非難する下院決議を早急につくりたいとの発言があったことを紹介した。

 会見に同席した「救う会」の西岡力副会長は、4月28日にサム・ブラウンバック上院議員から「日本人拉致被害者の家族を上院の公聴会に呼びたい」と打診を受けたことを明らかにした。時期は未定だが、応じる方針という。(共同)

田中さんを拉致被害者認定

2005/04/27 The Sankei Shimbun

 政府の「拉致被害者の認定に関する関係省庁連絡会議」(議長・杉浦正健官房副長官)が27日、首相官邸で開かれ、1978年に消息を絶った神戸市の元ラーメン店店員、田中実さん=失跡当時(28)=を、北朝鮮による拉致被害者として新たに認定することを決めた。小泉純一郎首相も同日夜に了承し、政府の正式認定となった。

 拉致被害者の認定は2002年10月の曽我ひとみさんと母、ミヨシさんら以来で16人目(うち5人が帰国)。事件としては1一件目。

 記者会見した杉浦副長官は「複数の知人の証言で、北朝鮮の指示によって田中さんがだまされて北朝鮮に連れて行かれたことが明らかになった」と認定理由を説明した。

 認定は拉致被害者支援法に基づくもの。田中さんは、同法による支援の対象となるほか、日本政府と北朝鮮側との交渉の中で拉致被害者として正式に取り上げることになる。

 政府は02年10月末にマレーシアで開かれた日朝国交正常化交渉などで、安否不明の拉致被害者に加え、田中さんを含む3人も拉致の可能性が濃厚として消息確認を求めたが、北朝鮮側は「入国を確認できなかった」と回答、拉致を否定している。(共同)

北朝鮮への制裁発動求める 家族会が官房長官に決議文

2005/04/26 The Sankei Shimbun

 北朝鮮による拉致被害者家族会の飯塚繁雄副代表は26日、首相官邸で細田博之官房長官に会い、約6000人を集めて開かれた国民集会で採択された「北朝鮮への経済制裁の発動を強く求める」などとする決議文を手渡した。

 飯塚氏は細田長官に「『北朝鮮に誠実な対応がなければ、厳しい対応をせざるを得ない』とする官房長官談話が出されてから4カ月がたち、われわれはしびれを切らしている」と指摘。

 細田長官は「早くしたい気持ちはあるが、思うようにいかないのが現実だ。核問題をめぐる6カ国協議に拉致問題を絡めて、各国の協力を得ていきたい」と述べ、解決に向け引き続き努力する考えを強調した。(共同)

拉致認定を北朝鮮に伝達へ 田中さんの被害で外務省

2005/04/26 The Sankei Shimbun

 町村信孝外相は26日午前の記者会見で、警察庁が田中実さん=失跡当時(28)=を北朝鮮による拉致被害者と断定したことについて、27日に北京の大使館ルートで北朝鮮側に伝達する考えを示した。

 今後の拉致問題への対応については「今、表立った日朝間のやりとりは事実上、中断した形になっているが、6カ国協議再開に向けた動きの中で、しかるべきタイミングで北朝鮮と交渉を行っていきたい」と述べた。(共同)

田中さんは北朝鮮が拉致 警察庁が16人目断定

2005/04/25 The Sankei Shimbun

 北朝鮮による日本人拉致事件で、警察庁は25日、1978年に消息を絶った神戸市の元ラーメン店店員田中実さん=失跡当時(28)=を新たに拉致被害者と断定した。近く、政府として正式に認定する。

 拉致被害者の認定は2002年10月の曽我ひとみさん(45)、母、ミヨシさん=失跡当時(46)=以来で、16人目。事件としては11件目となる。被害者のうち、曽我ひとみさんら5人は家族と既に帰国している。

 田中さんは78年6月、成田空港から出国後に消息を絶った。北朝鮮の元工作員とされる男性(故人)が97年、月刊誌に「北朝鮮工作員のラーメン店店主に誘い出され、ウィーン経由で連れて行かれた」と告白し、拉致疑惑が表面化した。

 「北朝鮮に拉致された日本人を救出する会・兵庫県協議会」はこれまでに、国外移送目的誘拐容疑で元ラーメン店店主と元工作員とされる男性を兵庫県警に告発。兵庫県警は、男性らから事情を聴くなどして捜査を進めている。

 政府は02年10月末にマレーシアで開かれた日朝国交正常化交渉などで、安否不明の拉致被害者に加え、田中さんを含む3人も拉致の可能性が濃厚として消息確認を求めたが、北朝鮮側は「入国を確認できなかった」と回答し、拉致を否定している。(共同)

拉致問題集会に4000人 北朝鮮の経済制裁求める

2005/04/24 中国新聞ニュース

 拉致問題をめぐる北朝鮮の対応に抗議し、経済制裁を求める国民集会が二十四日、東京都内で開かれ、市民ら約四千人が参加した。被害者家族や拉致議連のメンバーらが、小泉純一郎首相はただちに制裁発動に踏み切るよう訴えた。

 北朝鮮側が横田めぐみさん=失跡当時(13)=のものとした「遺骨」が日本側の鑑定で偽物と分かったことなどをめぐり、「北朝鮮に誠実な対応がなければ、厳しい対応をせざるを得ない」とする官房長官談話が出されてから四カ月経過したのを受け、被害者家族会と救う会などが主催した。

 集会の冒頭、めぐみさんの父親で家族会代表の横田滋さん(72)が「対話と圧力と言うが、今は対話も圧力も行われていない。小泉首相が(集会に集まった)これだけの人たちの気持ちをくんで制裁に踏み切ることを期待したい」とあいさつ。

 既に帰国した拉致被害者の蓮池薫さん(47)夫妻、地村保志さん (49)夫妻、曽我ひとみさん(45)が、安否が分かっていない拉致被害者の家族を気遣い、拉致問題解決のため協力したいとするメッセージを寄せ、披露された。

「遺骨」返還応じない 細田長官、北朝鮮の要求拒否

2005/04/14 The Sankei Shimbun

 細田博之官房長官は14日午前の記者会見で、横田めぐみさんのものではないと鑑定された「遺骨」の返還を北朝鮮側が求めていることに関し、政府として返還に応じない方針を示した。

 同時に、北朝鮮側のこれまでの対応について「進展のないことは極めて遺憾だ」と誠実な対応を要求。安否不明の拉致被害者10人について、北朝鮮側に引き続き正確な資料の提供を求めていく考えを強調した。(共同)

北朝鮮、遺骨返還を再要求 でっち上げ主張崩さず

2005/04/13 The Sankei Shimbun

 北京の日本大使館関係者によると、北京の北朝鮮大使館は13日、拉致被害者、横田めぐみさんのものではないと鑑定された「遺骨」の返還と、鑑定を「でっち上げ」た責任者の処罰などをあらためて求める通知文を日本側に伝達した。朝鮮中央通信も同日、通知内容を報道した。

 通知文は日本の鑑定結果が「でっち上げ」との主張を崩しておらず、早期の事態打開は厳しそうだ。(共同)

拉致被害者早期帰国を、日本・EUが北非難案提出

2005/04/11 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ジュネーブ=長谷川由紀】日本と欧州連合(EU)は11日、ジュネーブで開催中の国連人権委員会に、北朝鮮の人権状況を非難する決議案を提出した。

 決議案は、昨年任命された特別報告者のウィティット・マントラポーン氏(タイ・チュラロンコン大教授)が北朝鮮での調査実施を再三、要請したにもかかわらず、北朝鮮側が協力を拒んでいることに強い懸念を表明。

 特別報告者の任期を1年延長するとともに、北朝鮮側の対応に改善が見られない場合、国連総会で北朝鮮の人権状況を巡る問題を取り上げることを求め、国際社会による圧力の必要性を強調している。拉致問題についても、前回決議に盛り込まれた「早期解決」に加え、「拉致被害者の早期帰国」など北朝鮮に対する要求を強めている。

5万6000人の署名提出 地村保さん、拉致解決求め

2005/04/11 The Sankei Shimbun

 福井県小浜市の拉致被害者、地村保志さん(49)の父、保さん(78)が11日、政府の拉致問題連絡・調整室を訪れ、全国で集めた約5万6000人分の署名を提出し、拉致問題解決への尽力を求めた。

 署名は、保志さんと妻、富貴恵さん(49)らが帰国した後の2002年12月から現在まで、保さんらが支援者とともに街頭などで集めた。

 保さんは「本来なら(拉致被害者)5人が表に出てやるべきだが、いろいろと事情があってできない。保志夫婦に代わり、拉致問題の全面解決のために続けたい」と小熊博室長に署名を手渡し、小熊室長は「署名には国民の思いがこもっており、関係各方面に伝えたい」と応じた。

 保さんは署名提出後「(安否不明の拉致被害者)10人と特定失踪(しっそう)者について何ら進展がなく、政府がもっと強い態度で北朝鮮との交渉に当たるよう要望した」と話した。(共同)

人権擁護法案で反対集会 拉致議連関係者や市民ら

2005/04/04 The Sankei Shimbun

 人権侵害の定義や救済実務を担う人権擁護委員の選任方法などをめぐり、自民党内で調整が難航している人権擁護法案について、北朝鮮による拉致被害者の救出に取り組む国会議員や市民らが4日、東京都内で反対集会を開いた。

 拉致救出議員連盟会長を務める平沼赳夫前経産相は「法案の一番の問題点は(人権擁護委員への外国人就任を制限する)国籍条項がないことだ」と主張。

 「拉致問題解決のため、北朝鮮の不当さを問題にしようと議員連盟が行動を起こした場合、北朝鮮籍を持つ人々が人権侵害として、集団で議員の正当な議論を封殺する恐れがある」と述べた。(共同)

「拉致被害者、生きている可能性も」 前外務省担当官

2005年04月03日 asahi.com

 日朝政府間交渉の実務を担当し、3月末に外務省を退官した原田武夫・前北東アジア課課長補佐(33)が2日、朝日新聞記者の取材に応じた。「死亡・未入国」とされた拉致被害者をめぐり昨年11月に北朝鮮で開かれた第3回日朝実務者協議で、日本側は拉致被害者が死亡した際の解剖調書の開示や解剖担当医師との面会を求めたが、北朝鮮側が応じなかったと明かし「死亡の客観的証拠が出せない以上、拉致被害者は生きている可能性があると思った」と語った。

 原田さんは03年1月から退職まで、北東アジア課の北朝鮮班で日朝交渉を担当し、昨年11月の日朝協議では代表団の一人として訪朝した。

 北朝鮮側は横田めぐみさん(不明当時13)の「死亡場所」とされる「49号予防院」で、代表団に「横田めぐみさんが首つりに使った」とされる松の木を見せた。だが「幹の直径が10センチほどしかなく、人が首をつるにはあまりに細い木だった」という。

 「めぐみさんの墓があった」とされる場所にも行った。担当医師は斜面に盛り土がいくつも並んだ墓地で盛り土の一つを指さし「ここに埋葬されていた。後に夫が掘り返しに来た」と語ったという。原田さんは「10年も前に掘り返され、目印が何もないのに、なぜその場所が墓だったと言えるのか不思議だった」と感じたという。

北朝鮮産アサリ輸入 10分の1以下に激減 不買運動が効果?

2005/04/02 The Sankei Shimbun 東京朝刊から

 拉致問題に対し不誠実な対応を繰り返す北朝鮮への民間制裁として、拉致被害者の支援組織「救う会」が1月から不買運動を実施した北朝鮮産アサリをめぐり、異変が起きている。財務省貿易統計によると、2月の北朝鮮産アサリの輸入量は1月に比べ10分の1以下に激減。実施からわずかの期間ながら、早くも制裁効果は出ているようだ。

 アサリは、北朝鮮にとって対日輸出品の中で主力を占める商品。昨年、「北」からの輸入総額約177億4000万円のうち、アサリは約2割にあたる約39億5000万円に上った。

 その“ドル箱”商品であるアサリは例年、冬から春にかけて大量に日本に入ってきた。昨年2月は約2600トン、一昨年2月は約2200トン。今年に入っても、1月には約2700トンが日本の各港に水揚げされたばかり。ところが、2月に入ると約230トンと、一気に10分の1以下まで激減した。

 救う会は「拉致問題を解決しようとしない北朝鮮に怒っている国民が具体的に参加できる運動」として、1月19日からアサリの不買運動を実施し、賛同を呼びかけてきた。開始からわずかの期間でアサリが減少したことについて、同会の西岡力副会長は「国民の拉致に対する怒りが強く、それが運動の成果となって表れた」とみる。同会では引き続き不買を呼びかけるとともに、アサリの産出国の表示適正化についても国に求めていく方針という。

北朝鮮に拉致問題解決要求 国連人権委で特別報告者

2005/03/29 The Sankei Shimbun

 ジュネーブで開会中の国連人権委員会で、北朝鮮担当の特別報告者、ビチット・マンターポーン氏(タイ・チュラロンコン大教授)は29日、日本人拉致問題など「外国人誘拐を含む違法行為」の「速やかな解決」を北朝鮮に強く求めた。

 同氏は日本人拉致問題に関し、北朝鮮が横田めぐみさんのものと主張した「遺骨」が日本側のDNA鑑定により別人のものと判明したことなどに具体的に言及、「北朝鮮は国家による誘拐行為を緊急に解決しなければならない」と述べた。

 また、北朝鮮政府に人権状況の改善を求めるとともに、食料など人道支援物資が必要としている人々に確実に届くよう、国際機関による監視を受け入れ、透明性を高めるよう求めた。

 国際社会に対しては、北朝鮮を脱出した人々の保護を求めた。

 マンターポーン氏は北朝鮮に入国できず、今年2月末以降、日本とモンゴルを訪問、拉致被害者家族などから聞き取り調査した。同氏はこれを踏まえ、人権状況の実地調査を受け入れるよう北朝鮮に強く促した。

 これに対し、北朝鮮側は「わが国を圧殺しようとする敵対勢力のねつ造のプロパガンダと同様の内容であり、断固拒否する」と反論した。(共同)

日本人拉致の補償、北朝鮮に求める 国連人権委報告者

2005年03月29日 asahi.com

 国連人権委員会が任命した北朝鮮に関する特別報告者、ウィティット・ムンタボーン氏は29日、ジュネーブで開かれている同委員会で、日本人拉致問題の早期解決と被害者への補償などを求める報告を行った。しかし、北朝鮮は同報告の受け入れを拒否した。

 報告は日本にいる拉致被害者家族らからの聞き取り調査をもとに、北朝鮮に残る拉致被害者をただちに帰国させることや、拉致の犯行責任者を裁判にかけることなどを北朝鮮に求めた。また、拉致被害者が死亡したという主張を客観的に証明することも求めた。

めぐみさん「93年から別居」蓮池さん夫妻が新証言

2005/03/27 読売新聞 yomiuri On-Line

 北朝鮮による拉致被害者、蓮池薫さん(47)、祐木子さん(48)夫妻が、横田めぐみさんについて「夫婦仲が悪く、93年から別居していた」と関係者に話していたことが27日、分かった。

 北朝鮮は横田めぐみさんについて、「94年4月に死亡し、夫が遺体を火葬して遺骨を自宅で保管していた」と説明し、昨年11月、めぐみさんのものと称する遺骨を日本政府に提供したが、鑑定の結果、別人のものと判明している。

 拉致被害者家族連絡会の支援組織、「救う会」の西岡力副会長は、「不仲で別居していたのに、遺骨を保管していたという北朝鮮の説明は不自然で、日本の鑑定結果を裏付ける証言だ」と話している。

拉致支援室を組織変更 政府

2005/03/25 The Sankei Shimbun 東京朝刊から

 政府は25日、北朝鮮による拉致被害者を支援している内閣官房の「拉致被害者・家族支援室」について関係省庁の連携を強化し、北朝鮮への対処方針を調整する「拉致問題連絡・調整室」に組織変更する方針を決めた。

 組織変更された「調整室」は、関係省庁による日朝国交正常化に関する関係閣僚会議専門幹事会(議長・杉浦正健官房副長官)の事務局の業務も担う。

 政府は蓮池薫さんら拉致被害者の家族が日本永住の意思を表明するなど、家族支援に一定の区切りがついたことで、首相官邸中心に拉致事件全般に対応する組織が必要と判断した。与野党内からも「内閣官房に拉致事件の情報集約や北朝鮮への対応を考える対策本部が必要だ」との意見が強まっていた。(共同)

家族会と救う会、座り込みを検討 経済制裁要求に回答なし

2005/03/24 The Sankei Shimbun 東京朝刊から

 拉致被害者家族会と救う会は24日、東京都内で記者会見し、北朝鮮に対する経済制裁などについて「政府が前向きな姿勢を明言しないのは不満だ」とし、座り込み運動を検討していることを明らかにした。

 両会は会見に先立ち、内閣府の拉致被害者・家族支援室を訪れ、経済制裁の即時実施や小泉純一郎首相との面会を求めた10日の申し入れ書への回答を要求。応対した小熊博室長は首相官邸からの回答として「初めに経済制裁ありきでなく、タイミングや方法などを検討している。家族の思いを背に解決に取り組む」などとする文書を読み上げただけで、首相との面会は確約しなかったという。

 会見で家族会副代表の飯塚繁雄さん(66)は「政府がどうしたいかが全く見えてこない」と批判した。(共同)

中央大の救う会が衣替え 蓮池薫さん帰国、復学で

2005/03/23 The Sankei Shimbun 東京朝刊から

 拉致被害者、蓮池薫さん(47)の母校、中央大の学生やOBでつくる「北朝鮮に拉致された中大生を救う会」が23日、解散し、「復学した中大生蓮池薫さんを支える会」に“衣替え”して新たな活動を始めた。

 蓮池さん夫妻と子供が全員帰国し、蓮池さんが中央大に復学、一家が日本永住を表明したことから「当初の目的を達成した」と判断した。しかし「拉致事件は完全に解決していない。一家が日本で普通の生活を築く上で多くのハードルが待ち受けている」として支援の継続を決めた。

 蓮池さんは中央大3年の時に拉致され、救う会は1998年5月に発足。学内での活動のほか、拉致は人権問題だとして法務省や日弁連への働き掛けを続けてきた。

 蓮池さんは「終始一貫して私たちの立場に立って後押しし、支えてくれた彼らの活動はいつまでも忘れることができない」との談話を出し、感謝の気持ちを表した。(共同)

蓮池さんら永住意思表明 拉致被害者給付金を支給へ

2005/03/18 The Sankei Shimbun

 北朝鮮による拉致被害者の蓮池、地村両夫妻と曽我ひとみさん(45)の3家族全員が18日、日本永住の意思を表明し、拉致被害者支援法に基づき国に拉致被害者等給付金の支給を申請、受理された。4月からは5年間、これまで支給されていた滞在援助金に替わり、給付金が支給される。

 内閣府の拉致被害者・家族支援室によると、蓮池さん夫妻、地村さん夫妻にはこれまで滞在援助金として毎月24万円が、曽我さんには17万円が支給されていた。

 4月からの給付金は、4人家族の蓮池さんと曽我さんの一家には30万円ずつ、5人の地村さん一家には33万円となる。4月には一時金の意味を込め、それぞれ4倍の金額が支給される。

 3家族は18日、「被害者本人は全員就業を果たし、家族も就学や就職が決まり、今後の生活の見通しがつくようになった」とするコメントを発表した。(共同)

経済制裁、首相面会求める 拉致問題などで家族会など

2005/03/11 The Sankei Shimbun

 拉致被害者家族会(横田滋代表)と救う会(佐藤勝巳会長)は10日、北朝鮮に対する経済制裁の即時実施や小泉純一郎首相との面会などを求めた首相あての申し入れ書を内閣府の拉致被害者・家族支援室に提出した。

 申し入れ書は、昨年11月の第3回日朝実務者協議の精査結果を受け政府が「迅速で誠意ある対応がないときは厳しい対応をとる」と発表したのに、北朝鮮は誠意ある対応をしていないと指摘。経済制裁を求める切羽詰まった家族の心情を知ってもらうため、小泉首相に面会を要望している。

 また、政府が北朝鮮側に安否確認を求めながら、拉致被害者と認定していない神戸市の田中実さん=失跡当時(28)=らの認定を求め、政府の「人権教育・啓発に関する基本計画」に拉致問題を課題として明記することも要望している。

 横田さんは申し入れ後「(誠意ある対応を求めた)官房長官の発言からもうすぐ3カ月。政府は速やかに経済制裁に踏み切ってほしい」と話した。(共同)

北朝鮮への経済制裁迫る…家族会など活動方針

2005/03/06 読売新聞 Yomiuri On-Line

 北朝鮮による拉致被害者の家族連絡会と支援組織「救う会」は6日、東京都内で合同会議を開き、今後の活動方針を決めた。

 今月24日を目途に小泉首相に北朝鮮に対する経済制裁の発動を迫るほか、4月24日には東京・日比谷公会堂で「国民大集会」を開催する。

 救う会の西岡力副会長は会議後の記者会見で、「政府が制裁を発動しなければ、『横田めぐみさんのものとする遺骨が別人だった』とする日本側の分析が誤りであったかのような間違ったメッセージを、国際社会に与えることになる」と説明した。

自国民守れと中山元参与 日朝交渉で妥協せぬよう求める

2005/03/04 The Sankei Shimbun

 北朝鮮による拉致被害者と日本政府のパイプ役を務めた中山恭子元内閣官房参与が4日、奈良市で講演、今後の日朝交渉について「なし得るすべてのことをして自国民を守らなければ、国際社会で信頼を得られない」と述べ、政府に北朝鮮政策で妥協しないよう求めた。

 中山元参与は、昨年7月に拉致被害者曽我ひとみさんの夫ジェンキンスさんと娘二人が来日するまでの経緯などを説明。

 「ジェンキンスさんは北朝鮮の監視の目がなくなったことに気付いて初めて『実は家族と一緒に日本に行きたいと思っている』と話してくれた」と振り返った。

 また「北朝鮮は拉致被害者らをしっかり管理している。ガス中毒や海水浴で死ぬことはありえない」とも述べ、安否不明者を「死亡」と発表した北朝鮮側の対応を疑問視した。(共同)

北朝鮮制裁・国内経済の補償、救う会が大会宣言

2005/02/27 読売新聞 Yomiuri On-Line

 北朝鮮にる拉致被害者や家族の支援組織「救う会」は27日、鳥取県境港市で大会を開き、「北朝鮮に対する経済制裁の発動と、それに伴う国内経済への影響を補償する対策」を政府に求める大会宣言を採択した。

 船主責任保険に未加入の船舶の入港を制限する改正船舶油濁損害賠償保障法が3月1日に施行されるが、佐藤勝巳・同協議会長は「国内法改正では、北朝鮮との輸入実績がある地域に影響が出ても補償されない。国の責任で経済制裁を発動し、地元への影響を補償するのが筋だ」と説明した。

 大会には、拉致被害者家族連絡会の横田滋さん(72)、早紀江さん(69)夫妻も参加。滋さんは、めぐみさんの「遺骨」問題以降、拉致問題解決への動きが止まったことを憂慮し、「無視して黙っていると、北朝鮮は『日本が黙認した』と勝手に考えてしまう。今こそ経済制裁を発動するよう皆さんの協力を」と訴えた。

「拉致可能性」新たに18人 調査会が名前など公表

2005/02/25 The Sankei Shimbun

 北朝鮮による拉致問題に取り組む「特定失踪(しっそう)者問題調査会」(荒木和博代表)は25日、「拉致の可能性を否定できない」として、新たに行方不明者18人の名前や経緯などを公表した。

 調査会が拉致の可能性を否定できないとしているのは計198人になった。これとは別に33人は「拉致の疑いが濃厚」としている。

 調査会によると、18人は1948年から2003年にかけ、北海道や兵庫県、京都市などで行方不明になった当時18−56歳の男性14人と女性4人。

 このうち平本和丸さん=失跡当時(20)=と敏昭さん=同(21)=の兄弟は朝鮮半島からの引き揚げ者。和丸さんは48年、大分県中津市の友人宅に滞在した後に失跡し、和丸さんを捜していた敏昭さんも50年、この友人の家に滞在後、消息を絶った。友人の所在は確認できていない。

 また調査会は、既にリストアップしている愛媛県出身の大政由美さん=同(23)=と新潟県出身の中村三奈子さん=同(18)=が韓国で行方不明になっていることから、韓国の新聞に広告を出すなどして情報提供を呼び掛けることを決めた。(共同)

国会で経済制裁の決議を 拉致議連が各党に働き掛け

2005/02/09 The Sankei Shimbun

 超党派の拉致救出議員連盟(会長・平沼赳夫前経産相)は8日午後、都内で総会を開き、衆参両院の本会議で北朝鮮への経済制裁実施を求める決議をするよう、自民、民主両党などに働き掛けていくことで一致した。

 両党がそれぞれ検討している、北朝鮮からの脱出住民に対する支援などを柱とした北朝鮮人権法案について、法案の一本化に向け議連として後押ししていく方針も決めた。

 一方、拉致被害者家族会や拉致議連など関係団体は同日午後、拉致問題の早期解決と経済制裁の実施などを求める約500万人分の署名を首相官邸で細田博之官房長官に提出した。平沼氏は「署名の主題を経済制裁に変えたことで500万を超えた」と強調。細田氏は「政府としてしっかり取り組んでいく。人権法案についても、国会と連携を取りながら対応したい」と述べた。(共同)

拉致被害者早期救出を、家族会が500万人分署名提出

2005/02/08 読売新聞 Yomiuri On-Line

 北朝鮮による拉致被害者家族連絡会と支援組織「救う会」は8日、首相官邸で細田官房長官と面会し、拉致被害者の早期救出と、北朝鮮への経済制裁を発動するよう政府に求める計500万人分の署名を提出した。

 北朝鮮が「横田めぐみさんのもの」として提出した遺骨が別人とする日本側の鑑定結果を北朝鮮が批判するなど、拉致問題はこう着状態を見せており、首相官邸を訪れた家族連絡会のメンバー4人は、硬い表情。

 同会代表の横田滋さん(72)が署名の目録を細田官房長官に手渡し、「国民の思いをくみ取っていただきたい」と要望した。

 面会後、報道陣の取材に応じた横田さんによると、細田官房長官は「北朝鮮の対応は不満であり、皆さんの怒りはもっともだ。お気持ちは首相に伝えます」と話したという。

布施さん失踪で告発状受理 拉致問題で山形県警

2005/02/04 The Sankei Shimbun

 山形県警は7日、1977年から行方不明になっている同県朝日町出身の布施範行さん=当時(23)=が北朝鮮に拉致された疑いがあるとして、家族らから提出されていた国外移送目的略取容疑の告発状を受理した。

 告発状によると、布施さんは名古屋市内でアルバイトをしていたが、1977年3月ごろから布施さんの預金通帳や写真が入ったスーツケースのほか、沖縄県行きを伝える手紙が家族に送られてくるようになり、その後行方が分からなくなった。

 北朝鮮の拉致問題を調査する特定失踪(しっそう)者問題調査会に2003年、北朝鮮での目撃情報が計6回寄せられたことなどから、同調査会が拉致の疑いが強いと判断。家族らが1月31日、同県警に被疑者不詳のまま告発状を提出していた。(共同)

「子供は順調」地村さんが中山元参与と面談

2005/01/25 The Sankei Shimbun

 福井県小浜市の拉致被害者、地村保志さん(49)、富貴恵さん(49)夫妻が25日、福井市内で中山恭子元内閣官房参与と面談した。

 夫妻が中山元参与と会うのは昨年5月、地村さんの子供が北朝鮮から帰国して以来。面談後、保志さんは「子供たちが順調に日本の社会に溶け込んでいることを知り、心から喜んでいただいた」と話した。

 また、北朝鮮が横田めぐみさんの「遺骨」鑑定結果について、「ねつ造」と反論していることに関し保志さんは「相手が難しいので解決はうまくいかないという話が(元参与から)あった」と述べた。

 拉致被害者と政府のパイプ役を務めた中山元参与が同日、福井新聞政経懇話会で講演するのに先立ち、夫妻が訪ねた。(共同)

「工作員になっても帰国」 田口八重子さん、拉致直後に話す

2005/01/24 The Sankei Shimbun

 北朝鮮による拉致被害者、田口八重子さん=失跡当時(22)=が拉致された直後、「工作員になってでも日本に帰りたい」と地村富貴恵さん(49)に話していたことが24日、分かった。田口さんの兄、飯塚繁雄さん(66)が、地村さんの証言として明らかにした。

 飯塚さんによると、地村さんは1978年7月に拉致された直後から1年余り、同年6月に拉致された田口さんと同じ招待所で生活。地村さんはこの時期に、田口さんからこうした心情を打ち明けられたという。

 地村さんの証言によると、田口さんは80年代半ば、日本語を教えていた北朝鮮工作員に対し、自分が工作員になれる可能性について尋ねたところ、「絶対に無理だ」と言われたなどと話したという。

 飯塚さんは「(田口さんは)どんなことをしてでも日本に帰りたいという気持ちだったのだろう」と話している。

 警察庁などによると、田口さんは大韓航空機爆破事件の実行犯、金賢姫元工作員の日本語教育係を務めたとされる。(共同)

北朝鮮、めぐみさん遺骨鑑定に反論

2005/01/24 The Sankei Shimbun

 北朝鮮政府は24日、拉致被害者横田めぐみさんの「遺骨」鑑定結果は「ねつ造」だと反論、日本側に「遺骨を原状のまま返還」し、事態の「真相究明と責任者の処罰」を求める備忘録を朝鮮中央通信を通じて発表した。

 安否不明の拉致被害者再調査で、日本政府が北朝鮮側に対し抗議と真相解明要求を行ってから25日で1カ月となるのに合わせたとみられる。備忘録は日本が日朝関係を「最悪の対決状態に追い込んだ」と非難、北朝鮮が対日関係で強硬な対応で臨む立場を鮮明にしており、緊張が長期化するのは避けられない見通しとなった。

 備忘録は、日本の「遺骨」鑑定の検査方法などに4点の疑問があるとして列挙。さらに昨年11月の第3回日朝実務者協議で、めぐみさんの夫と名乗る男性から「遺骨」提供を受けた薮中三十二・外務省アジア大洋州局長(当時)が「遺骨をめぐみさんの両親に直接渡すことを約束し、公表はしないという内容の書面を作成、署名までした」と指摘した。

 また「遺骨鑑定をねつ造しただけでなく、(めぐみさんの)夫と娘の父娘関係まで否定した」と批判した。(共同)

拉致と間違われ顔写真公開、脱北者が謝罪求める声明

2005/01/22 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ソウル=浅野好春】拉致被害者の可能性が指摘される日本人と間違われ、日本で顔写真が公開された韓国在住の脱北者の男性が22日、ソウルで声明を出し、「人権と肖像権が侵害され、(北朝鮮在住の)家族の安全にも危険が及んでいる」として、公開した特定失踪者問題調査会や、写真を入手したTBSに対し、真相究明と謝罪などを求めた。

 男性の支援者が会見で声明を代読し、他の日本のマスコミに対しても男性の写真、情報を今後公表しないよう求めた。

 支援者によると、男性が北朝鮮を脱出した際に家族を残してきたが、家族は男性が死亡したことにして、韓国に亡命したことは隠している。しかし今回、日本で顔写真が公開されたことで、北朝鮮当局が家族に危害を加える可能性が強まったという。

脱北者所持の写真は別人 「日本人ではない」と男女 調査会発表

2005/01/19 The Sankei Shimbun

 北朝鮮による拉致被害者の究明に取り組む特定失踪(しっそう)者問題調査会とTBSは19日、写真鑑定で斉藤裕さん=失踪当時(18)=と松本京子さん=同(29)=の可能性が高いとされていた写真の男女が、同日までにTBSの取材に応じ「自分たちは韓国在住の脱北者であり、日本人ではない」と明らかにした、と発表した。

 TBSによると、最初に写真鑑定を行った橋本正次東京歯科大助教授に男女の新たなVTR映像を見せた結果、女性は写真では隠れていた耳の形状などから松本さんでないことがほぼ確認された。男性が斉藤さんかどうかについてはまだ確認できていないという。TBSではすでに男性から毛髪の提供を受けており、近くDNA鑑定する予定。

 TBSは昨年11月に別の脱北者の男性に金を払って問題の写真を入手。写真鑑定の結果、今月16日に写真の人物が斉藤さんらの可能性が高いと報道。調査会もTBSの情報提供で同様の発表をした。

 しかし、放送後に「男女は拉致被害者でない」との情報提供があったためTBSは韓国国内で写真の男女と、写真提供者に面会。写真提供者は「金欲しさのため、提供した写真の中に偽物を交ぜた。松本さんとされた写真は自分の兄の妻だった」などと答えたという。

 TBS広報部は19日、「斉藤さんや松本さんの家族をはじめ、多くの関係者に迷惑を掛けたことをおわびする」との談話を発表した。(共同)

≪思い半々で複雑な気持ち 松本さん家族が会見≫

 写真は別人と明らかになった松本京子さん=失踪(しっそう)当時(29)=の家族らは19日、鳥取県米子市内で会見し「ほっとしたのと、本当であってほしかったという思いが半分半分。複雑な気持ちだ」と心情を語った。

 松本さんの兄、孟さん(58)は「別人だと連絡を受けた時は、意味が分からず、どうしたらいいのかという感じだった」と述べた。「生きているうちに娘と会いたい」と話していた母、三江さん(82)は、ぼうぜんとしていたという。

 孟さんは「今回のことでブレーキがかからないよう、今までの成果を積み上げ、一歩でも前に進んでいきたい」と、淡々と話した。(共同)

有力情報、北朝鮮にただす 新たな「被害者」で細田長官

2005/01/17 The Sankei Shimbun

 細田博之官房長官は17日午前の記者会見で、特定失踪(しっそう)者問題調査会が「拉致された疑いが濃厚」としている斉藤裕さん=失跡当時(18)=と松本京子さん=同(29)について、北朝鮮から脱出した男性の所持していた写真と同一の可能性が高いと発表したことに関し「非常に有力な情報だ」との認識を示した。

 その上で「実際に当事者から情報が入手できるかどうか政府としても対応していきたい。日朝交渉を通じ2人について強く北朝鮮にただしていきたい」と述べ、日朝実務者協議で真相究明を求めていく考えを強調した。(共同)

脱北者所持の顔写真、「拉致濃厚」の2人と酷似

2005/01/16 読売新聞 Yomiuri On-Line

 拉致の疑いが否定できない行方不明者について調べている特定失踪(しっそう)者問題調査会(荒木和博代表)は16日、北朝鮮からの脱北者が持っていたとされる男女2人の顔写真について、同会が「拉致の疑いが濃厚」としている2人と同一人物の可能性が高いことを明らかにした。

 2人は、1968年12月に北海道稚内市で失跡した高校3年生、斉藤裕(ひろし)さん(当時18歳)と、77年10月に鳥取県米子市で失跡した家事手伝い、松本京子さん(同29歳)。

 同会によると、脱北者とされる男性が、この2人の顔写真を日本の民放テレビ局に提供。東京歯科大の橋本正次助教授が顔の特徴や骨格などを比較した結果、斉藤さんについては「同一人物とみて差し支えない」、松本さんについては「本人の可能性が高い」と判断した。写真は計5枚あり、このうち公開された2枚は、同一の場所で並んでいるところを写されたとみられるが、切り離されていた。撮影時期は不明。

 この脱北者は、埼玉県川口市で76年に失跡した大学生、藤田進さん(同19歳)ら2人の写真も所持していた。16日夜、会見した斉藤さんの姉、由美子さん(67)は「早く拉致被害者として政府に認定してもらいたい」と話した。

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