TOPIC No.2-132-5 北朝鮮による日本人拉致事件

北朝鮮「総書記の一筆で拉致被害者5人の帰国保証」

2003/12/27 読売新聞 Yomiuri On-Line
 自民党の平沢勝栄衆院議員は27日、フジテレビの報道番組で、中国で北朝鮮高官と接触した際、北朝鮮側が日本に帰国した拉致被害者5人について「家族を平壌まで迎えに行ったら帰国できなくなると疑うなら、金正日総書記の一筆で(5人の帰国を)保証することが可能だ」と述べたことを明らかにした。

拉致被害3家族に子どものビデオと写真届く

2003/12/16 読売新聞 Yomiuri On-Line
 政府の拉致被害者・家族支援室は15日、拉致被害者の蓮池薫さん夫妻、地村保志さん夫妻、曽我ひとみさんの3家族が北朝鮮に残してきた子どもたちのビデオとスナップ写真を、それぞれの家族のもとに届けた。

 このビデオと写真は、北朝鮮に支援物資を送る活動をしている民間活動団体(NGO)「レインボーブリッヂ」の事務局長が先週初めに訪朝した際に、撮影したものという。

「縁談の話していない」寺越武志さんの母が帰国

2003年12月11日 The Sankei Shimbun
 
 1963年に日本海に漁に出て行方不明となり、現在は北朝鮮の平壌で暮らす寺越武志さん(54)に会うため、今月4日から訪朝していた母親の友枝さん(72)=金沢市=が11日午後、ロシアのウラジオストク経由で空路、新潟空港に帰国した。

 空港で待ち構えていた大勢の報道陣から、訪朝の直前に表面化した武志さんの長男(29)と拉致被害者の地村保志さん(48)の長女(22)との縁談問題について問われた友枝さんは困惑した様子で、「縁談の話は一言もしていない。話すことはない」とだけ答えて足早に立ち去った。

 縁談は朝鮮労働党の幹部が持ち掛けたとされ、地村さん本人が懸念を示したほか、家族会や救う会などが反発。

 友枝さんは出発前、「武志は縁談を絶対に進めないと分かっているが、行って確認してくる」と話しており、今回の訪朝に関心が集まっていた。

寺越さん遺骨 政府、返還要求へ

2003年12月11日 The Sankei Shimbun
 
 1963年、出漁した日本海で行方不明となった寺越昭二さん=当時(36)=について、外務省は11日、北朝鮮にあるとされる遺骨の返還を「日本政府として北朝鮮に求める」と、寺越さんの家族らに説明した。

 長男の昭男さん(53)=石川県志雄町=が同日午前、外務省を訪れ、拉致問題を担当する斎木昭隆審議官と面会した。

 昭男さんによると、斎木審議官は北朝鮮に遺骨返還を要求するとした上で「返還の方法については政府内で検討する」とした。赤十字や北京の日本大使館の外交ルートを使って、北朝鮮と折衝を進めるとみられる。

 昭男さんらはこれに先立ち、民主党拉致問題対策本部長の鳩山由紀夫前党代表と都内で面会。遺骨の返還や、拉致被害者としての認定が実現するよう求める要請書を鳩山氏に手渡した。10日には自民党の安倍晋三幹事長を訪ねていた。

 昭男さんは「一歩ずつ前進している。政府が真剣に取り組んでくれていることを実感する」と話していた。

北朝鮮への送金停止など制裁を…「救う会」が活動方針

2003/11/22 読売新聞 Yomiuri On-Line
 北朝鮮による拉致被害者の支援組織「救う会」全国協議会は22日、東京都内で幹事会を開き、北朝鮮への送金停止などの経済制裁を可能とする外為法の早期改正を求めていく活動方針を確認した。

 また、外為法早期改正を求める緊急集会を来月10日、東京・九段会館で開催し、国会議員らに出席を要請することも決めた。さらに北朝鮮への経済制裁を求めて7月から行っている署名について、今年度中に100万人分を集め、政府に提出する目標も定めた。

新たに4人が「拉致濃厚」 失跡者5人を公表、調査会

2003年11月21日 The Sankei Shimbun
 北朝鮮拉致被害者の支援団体「救う会」関連の「特定失そう者問題調査会」は21日、これまで公表した失跡者のうち、1991年に不明になった埼玉県の銀行員、佐々木悦子さん=失跡当時(27)=と68年の北海道の高校生、斉藤裕さん=同(18)=ら4人について「北朝鮮による拉致の疑いが濃厚」と発表した。

 拉致が疑われる同様のケースはこれで計16人となった。また、新たに失跡者5人の実名と写真を公表した。調査会は27日、16人の家族の一部とともに政府支援室を訪れ、拉致認定を求める。

 調査会は4人について「自殺や家出の理由が見当たらず状況から判断した」と説明。佐々木さんと斉藤さんについては、北朝鮮からの脱出者が北朝鮮で2人に似た人物を目撃したとの情報もあるという。

 4人はほかに、68年に不明になった富山県の高校生、水島慎一さん=失跡当時(18)=と、69年の青森県の高校生、今井裕さん=同(18)。

 新たに公表した失跡者5人は、77年から91年にかけて不明になった男性4人と女性1人。調査会にはこれまで、5人も含め計約380人の失跡者の相談が寄せられ、うち2人の国内での消息が確認されている。

 ≪失跡者5人のリスト≫

 特定失そう者問題調査会が公表した失跡者は次の通り。(氏名・敬称略、[1]住所、[2]失跡時期、[3]失跡場所、[4]職業、[5]失跡状況=年齢、住所、職業は失跡当時)

 ▽和智博(38)か(39) [1]福岡県朝倉町[2]1977年[3]福岡市[4]建設作業員[5]入院中の姉を見舞い、その後行方不明

 ▽星野正弘(23) [1]東京都[2]79年2月[3]東京[4]無職[5]実家の新潟に帰省し「職を探す」と言って、東京に戻り不明

 ▽伊藤克(42) [1]千葉県旭市[2]85年8月29日[3]旭市[4]農業[5]地元の駅からのタクシーを自宅より数百メートル手前で下車し不明

 ▽香月正則(36) [1]米国[2]85年2月6日[3]東京都江戸川区[4]すし職人[5]ビザ書き換えに帰国中に不明。その後、女性が荷物の入ったスーツケースを宅配業者に持ち込む

 ▽保泉泰子(57) [1]愛知県日進市[2]91年11月10日[3]日進市[4]看護師[5]自宅近くのコンビニに買い物に出掛け不明

拉致解決要求で一致 川口・ケリー会談

2003年11月18日 The Sankei Shimbun
 川口順子外相は18日昼、外務省で米国のケリー国務次官補と会談し、北朝鮮の核開発問題をめぐる次回6カ国協議で、日本人拉致問題を取り上げ、北朝鮮に解決を求めていくことで一致した。

 外相が北朝鮮の核放棄などに加え「日本にとって拉致問題が重要だ」と指摘したのに対し、ケリー氏は「(日本の方針を)理解し、支持している」と述べた。

「北朝鮮に拉致」と告発 秋田美輪さん失跡で両親

2003年11月13日 The Sankei Shimbun
 兵庫県内で1985年に行方不明になった大学生、秋田美輪さん=当時(21)=の徳島市に住む両親が13日、北朝鮮に拉致された疑いが強いとして、国外移送目的略取の疑いで容疑者不明のまま兵庫県警に告発状を提出した。

 告発状によると、秋田さんは85年12月4日、兵庫県川西市の自宅から神戸市灘区の大学に向かい、授業を受けた後、校門で友人と別れた。夜になって「友人宅に泊まる」と母親に電話がかかったのを最後に行方不明となり、翌5日朝に同県竹野町の海岸でバッグと靴が見つかった。

 兵庫県警は当時、入水自殺と判断したが、両親は「動機がなく遺体も見つかっていない」などと反論。「現場付近では過去5回にわたって北朝鮮工作員関連の事件が起きており、拉致された可能性が高い」としている。

北への経済制裁法制定を 拉致家族会が各党に要請

2003年11月10日 The Sankei Shimbun
 拉致被害者家族会と支援団体「救う会」は10日、東京都内で記者会見し、北朝鮮に対する経済制裁関連法の制定を各党に強く求める声明を発表した。制裁が必要と考える国会議員に呼び掛けて早期の法律制定を訴える集会を12月中に開催するとしている。

 また、救う会の佐藤勝巳会長は、民主、公明両党に拉致問題解決に取り組む対策委員会の設置を要望する意向を表明した。自民党は既に拉致問題対策本部を設けている。

 家族会と救う会は、今回の衆院選の立候補者を対象に実施したアンケートの回答者のうち当選者分(409人)について再集計し結果を発表。

 それによると「拉致はテロ」と認識している人は90・7%に上った。また北朝鮮への送金や貿易制限を可能にする外為法改正には81・2%が賛成し、北朝鮮船舶の入港制限を可能にする新法制定には75・8%が賛成だった。

 家族会の横田滋代表(70)は「当選者は選挙期間中だけ拉致問題解決を訴えるのではなく、法律制定をぜひ実現してほしい」と話した。

 また佐藤会長は、曽我ひとみさん(44)が今月28日に鹿児島県で開かれる拉致問題解決を訴える集会に参加する予定を明らかにした。

拉致事件:被害者5人が住む3首長が家族の早期帰国を訴え

2003年11月07日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 北朝鮮による拉致被害者5人が暮らす新潟県柏崎市、真野町(佐渡島)、福井県小浜市の3首長が7日、真野町役場で「拉致被害者関係市町連絡会」を開いた。来月上旬までに3首長がそろって上京し、国に5人の家族の早期帰国を訴えることで一致した。

 出席したのは西川正純・柏崎市長、村上利夫・小浜市長、高野宏一郎・真野町長。会議終了後、3首長は「拉致されたとされる他の被害者の帰国と拉致問題の全面解決に向けて最大限の努力を傾注されるよう、強く要請します」と国に向けた声明を発表した。【磯野保】

「拉致、議題にならないこともある」外相

2003年11月04日 The Sankei Shimbun
 川口順子外相は4日午前の記者会見で、北朝鮮の核開発問題をめぐる6カ国協議で拉致事件をテーマとすることに一部参加国が難色を示していることについて「会合をどう進展させるかは日本だけで決める話ではない。日本としては取り上げたいが、具体的にどうなるかはいろいろな話し合いの中で決まることになる」と述べ、他国の意向によっては議題にならないこともあり得るとの認識を示した。

 次回協議の年内開催の可能性については「早く開催してほしいが、具体的な話が動いているということではない」と述べた。

田中氏「親北政治家」指摘に反発 拉致家族の抗議問題

2003/11/03 asahi.com
 田中真紀子前外相は3日、拉致問題についての発言をめぐり「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会」(家族会)などから抗議されたことに対する見解を、報道各社に文書で示した。

 家族会から発言の撤回と謝罪・政界からの引退を求められたことについて「私を親北(朝鮮)政治家と断定することに断固抗議します。政界を引退すべきといった攻撃は心外」と反論。横田めぐみさんら「死亡」とされた拉致被害者への政府の対応については、「生存確認ができるまで首相自身が平壌にとどまって情報の真偽を確認すべきだった」と小泉首相批判を展開した。

 拉致被害者の子供の国籍を「北朝鮮籍」と発言し、家族会に「子供は日本国籍」と批判されたことには「日本の国籍法どおりにことが運べば幸いですが、確約はあるのでしょうか」と反論した。

 これに対し蓮池透・家族会事務局長は3日、「日本人の子に日本国籍があるという常識を知らない人が外相をしていたことに、怒りを通り越してあきれる」と語った。

約93%が「拉致はテロ」 家族会、救う会が衆院選立候補者調査

2003年11月03日 The Sankei Shimbun
 拉致被害者家族会と支援団体「救う会」は衆院選立候補者を対象にアンケートを実施、3日東京都内で結果を公表した。回答した975人(回答率84・1%)の92・8%が「拉致はテロ」と答えたが、経済制裁を可能にする法整備については「賛成」が50%台で、政党によって意見が割れた。

 調査結果によると「日本人拉致をテロと認識するか」の問いに「いいえ」と答えたのは0・3%。「その他」も含め「テロの定義が明確でない」との理由が多く「国家犯罪」「宣戦布告なき戦争行為」などの認識を示した人もいた。

 経済制裁については、北朝鮮への送金や貿易制限を可能にする外為法改正に「賛成」が55・0%。北朝鮮船舶の入港制限を可能にする新法制定は「賛成」が51・7%だった。

 党派別では外為法改正に、自民党は90・0%が賛成、反対はゼロ。同法改正をマニフェストに追加した民主党は80・7%が賛成で「その他」も「対応を迫り拒否されれば実施する」など条件付き賛成が多かった。公明党は84・8%が賛成。

 共産党は「情勢によって検討する」が多く「反対」「その他」が計99・0%。社民党は「在日朝鮮人の帰還者への配慮も必要」などとして「反対」「その他」が計92・3%。

 入港制限を定める新法制定については、自民党の88・9%、民主党の74・9%が賛成。公明党は「内容を見て判断する」などが多く「賛成」と「その他」がいずれも50・0%。共産党は「国際法上難しい点がある」として「反対」が94・9%。社民党は「反対」と「その他」が計94・2%。

 保守新党は、外為法改正、入港制限の新法制定のいずれも全員が賛成だった。

 ≪各党党首が「拉致はテロ」≫

 拉致被害者家族会と救う会による衆院選立候補者アンケートに対し、小泉純一郎首相以外の各党党首が回答。「拉致はテロか」との問いに「はい」と答えた。

 救う会によると、小泉首相は「取りまとめをしなければならない立場なので回答は差し控える」と秘書を通じて連絡があった。

 民主党の菅直人代表は拉致について「国家的テロ行為と言う以外にない」と回答。北朝鮮への経済制裁を可能にする外為法改正と入港制限にも賛成した。

 経済制裁について公明党の神崎武法代表は「毅然(きぜん)たる対応で」、保守新党の熊谷弘代表は「対話だけでは北朝鮮外交は成り立たない」といずれも賛成だった。

 共産党の志位和夫委員長は外為法改正は「情勢に応じて」と「その他」を選び、入港制限は「国際法上問題がある」と反対した。

 社民党の土井たか子党首は外為法改正を「在日朝鮮人親族への送金は認めるべきだ」と条件付き賛成、入港制限は「必ずしも有効とは言えない」と「その他」を選んだ。

 ■アンケートの方法 家族会と救う会によると、アンケートは衆院選立候補者のほとんどに、公表を前提に質問用紙を送付。10月10日から質問用紙を送り始め3日までに、立候補者1159人のうち975人から回答を得た。政党別の回答数は自民279人、民主223人、公明46人、共産297、社民52、保守新が10。連絡先が分からない候補者は対象になっていない。

拉致被害者救出へ経済制裁を…決起集会で都知事が講演

2003/10/28 読売新聞 Yomiuri On-Line
 北朝鮮に対して経済制裁を実施し、一刻も早く拉致被害者を救出するよう求める「同胞を奪還するぞ!全都決起集会」(主催・救う会東京)が28日、東京・池袋の東京芸術劇場で開かれ、家族連絡会代表の横田滋さん(70)ら約1500人が参加した。

 基調講演した石原慎太郎東京都知事は「このままでは拉致問題が風化する。都が朝鮮総連(在日本朝鮮人総連合会)施設に対する固定資産税徴収に踏み切ったように、政府も経済制裁を行い、北朝鮮を動かすべきだ」と訴えた。北朝鮮船が自由に日本の港に入港できる現状も批判し、「たとえ訴訟を起こされても、東京は北朝鮮の船を一切入れない」と述べた。

 集会では、「北朝鮮が拉致した日本人とその家族を全員帰さなければ、日本政府は経済制裁に踏み切るべきだ」として、法案整備などを進めるよう求める決議を採択した。

日本語話す女性が拉致に関与 曽我さん明かす

2003年10月25日 The Sankei Shimbun
 拉致被害者の曽我ひとみさん(44)が25日、新潟県佐和田町(佐渡)での集会で、日本語を話す女が自分の拉致に関与していたことを明らかにした。北朝鮮による日本人拉致事件で、女の関与が分かったのは初めて。曽我さんは「日本人ではないようだった」としている。

 また曽我さんは集会で、1978年に一緒に拉致され、行方不明となっている母、ミヨシさん=失跡当時(46)=への思いを、涙を流しながら語り「日本中の方々の力を借りたい」と救出を求めた。

 曽我さんによると、2人は新潟県真野町の自宅近くで、買い物から帰る途中、後ろからついてきた3人組の男に拉致された。袋に入れられ、船に乗せられた際、日本語を話す女の声が聞こえた。

 曽我さんは「離れていたので内容はよく聞こえなかった。話の相手は分からなかった。(女の)顔は少し見た」と語った。女はミヨシさんに話し掛けた可能性もある。

 また曽我さんはミヨシさんについて、自分が小学生のころ、浴衣を夜なべして作ってくれたことなどを披露。「この年になって、母の気持ちが理解できるようになった。親孝行をしようと思っていたのに、今のわたしにはできない」と話した。

 北朝鮮の招待所で一時ともに暮らした横田めぐみさん=失跡当時(13)=が曽我さんを「お姉さん」と呼び「お父さんは優しくて、会社に勤めている。お母さんは香水を付け、とてもいいにおいがするんだよ」と話したことも紹介した。

 曽我さんは11月、ミヨシさんへの思いなどを記した書面を国連人権委員会に提出する。

 集会は拉致被害者家族会などの主催。家族会代表で横田さんの父、滋さん(70)や政府支援室の中山恭子内閣官房参与らが出席、会場は住民ら約1300人で埋まった。

日米連携の重要性を強調 拉致問題で首相

2003年10月18日 The Sankei Shimbun
 小泉純一郎首相は18日午後、参院埼玉補選の応援のため所沢市内などで演説し、北朝鮮対応について「日米同盟、国際協調なしに、拉致被害者家族が帰ってこれるか。武装不審船など理不尽な行動を日本だけでやめさせることができるのか」と述べ、問題解決に向けて米国や関係国との緊密な連携が重要との考えを強調した。

 イラクへの人道、復興支援に関しては「国際社会の安定のために、できることをするのが憲法の精神だ」として、イラク復興費の拠出や自衛隊派遣に積極的に取り組む考えを重ねて表明。構造改革路線に関連して「改革は安定勢力で進める。混乱の中では進められない」と支持を訴えた。

拉致問題の早期解決訴え…横田さんが大阪で署名活動

2003年10月18日 The Sankei Shimbun
 北朝鮮に拉致された横田めぐみさん=失跡当時(13)=の父、滋さん(70)と支援団体が18日、大阪市北区の百貨店前で拉致問題の早期全面解決を訴え署名活動をした。

 滋さんは「皆さんがこの問題に関心を持つことが、解決への一番の力になる」と訴え、1時間半ほどで約1300人の署名が集まった。

 署名活動後、支援団体の集会で講演した滋さんは「(拉致被害者の)5人が帰国してから1年たつが日朝間の交渉は途絶え、残された家族がいつ帰国できるかめどが立っていない。引き続きご支援をお願いします」と話した。

安倍氏後任の細田副長官が曽我さんと面会

2003年10月16日 The Sankei Shimbun
 細田博之官房副長官は16日午前、北朝鮮による拉致被害者の曽我ひとみさんを新潟県真野町(佐渡)の自宅に訪ね、面会した。拉致問題担当の副長官に就任以来、拉致被害者に会うのは初めて。

 細田氏は拉致問題解決に積極的に取り組んだ前任者の安倍晋三自民党幹事長について「影響力のある政界の中心ポストに就いた」と説明しながら「私が後任で来た。これから一生懸命頑張りたい」とあいさつ。曽我さんは「ありがとうございます」と応じた。

 細田氏は、拉致被害者5人の帰国から1年がたつのに、北朝鮮に残る家族の帰国が実現していないことに強い遺憾の意を表明。拉致問題への取り組み状況を説明するとともに要望を聞き、今後の政策に反映させたい考えだ。

「日朝の懸け橋になりたい」 寺越武志さんが訪朝の母に

2003年10月16日 The Sankei Shimbun
 1963年に日本海に漁に出たまま行方不明となり、現在、北朝鮮で暮らす寺越武志さん(54)の母親、友枝さん(72)=金沢市=が訪朝を終え16日午後、ロシアのウラジオストク経由で新潟空港に帰国、武志さんが「今は帰国が難しいが、行くなら日朝の懸け橋になりたい」と話したことを明らかにした。

 友枝さんの訪朝は20回目。友枝さんによると、武志さんは北朝鮮による拉致被害者5人が帰国して15日で1年がたったことに触れ「(5人の)子どもたちは親と離れ離れでかわいそうだ」と思いやっていた。

 また、武志さんは「(北朝鮮の核問題をめぐる)6カ国協議で日本が拉致問題を持ち出し、日朝関係は平壌宣言当時より難しくなった」との認識を示したという。

 友枝さんは9日に日本を出発し、1週間平壌に滞在。武志さんの自宅には豊富な配給があり、キムチ作りなど冬支度が始まっていたという。

 武志さんは昨年10月、北朝鮮から39年ぶりに一時帰国した。

曽我さんが政府の対応批判

2003/10/15 中国新聞ニュース
 北朝鮮による拉致被害者の曽我ひとみさん(44)が、帰国から丸一年を迎えた十五日、地元の新潟県真野町役場(佐渡)で記者会見し「何もないときは連絡もなく、見捨てられたような気持ちになったときもある」と政府の対応に不満を漏らした。

 また北朝鮮の招待所で横田めぐみさん=失跡当時(13)=と暮らした際、拉致されて北朝鮮に来たという境遇を互いに打ち明け、一緒にお菓子を買いに行き、招待所で「ほかの日本人もいるんだよ」と周囲の人から聞いたことを明らかにした。

 一九七八年に母ミヨシさん=失跡当時(46)=と拉致されたときの状況も会見の場で初めて語り「三人の男が一列に並んでついてきた。何だろうと話していたら突然、襲われた」と述べた。

 曽我さんは「大変複雑な一年だった」と振り返り「一番うれしかったのは、夢の中でだけ見ていた日本に帰ってくることができたこと」と話した。

 一方で「悲しかったのは、元気に暮らしていると思っていた母の姿がどこにも見えなかったことと(北朝鮮に残る)家族と離れて暮らすようになったこと」と述べた。

 日本政府には「早い時期に動きがあるよう考えてほしい」と要望し「わたしはあきらめない。みんなで暮らせる日のために頑張っていきたい」と決意を語った。

 また一年前に平壌空港で初めて会った横田さんの娘のキム・ヘギョンさん(16)について「めぐみさんと似ていて感動した」とし「『お母さんは死にました』と聞かされた時は衝撃を受けたが、信じていない」と述べた。

 曽我さんの北朝鮮での名前はミン・ヘギョンで「(横田さんが)わたしを忘れられなくて娘に同じ名前をつけたのではないか」とも語った。

 曽我さんは十五日から、真野町の嘱託職員として保健事業の補助などに従事。会見に先立ち、高野宏一郎町長から辞令書と職員証を受け取り「町の皆さんのためにできる限りのことをしたい」と抱負を述べた。

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 ●曽我さん会見の一問一答

 十五日に新潟県の佐渡で行われた曽我ひとみさん(44)記者会見の主なやりとりは次の通り。

 ―どんな一年だったか。

 「一番うれしかったのは夢の中だけで見ていた日本に帰ってくることができたこと。悲しかったのは母の姿が見えなかったことと、家族と離れて暮らすようになったこと」

 ―北朝鮮の家族への思いは。

 「この一年は二十三年間よりもっと長く感じ、家族に今までよりもっと深い愛を感じるようになった。帰国した家族が日本語を習うとき楽しく覚えられるように『日本昔話』のビデオを買った」

 ―政府の取り組みについて。

 「何もないときは連絡もなく、誰を信じていいのか分からない、見捨てられたような気持ちになったこともある」

 ―日本で家族を待つと決断した経緯や理由は。

 「日本人なのだから日本で暮らすのが当たり前と思うようになった。わたしはあきらめない。みんなで暮らせる日のために頑張っていく」

 ―北朝鮮は「拉致問題は解決済み」としているが。

 「問題は解決してはいない。家族も帰らず、母の消息も分からない。北の方に母のことを教えてもらいたい」

 ―横田めぐみさんとの思い出は。

 「一年前に平壌空港でめぐみさんの娘と会った時、キム・ヘギョンという名前を聞いて、現地で使っていたわたしの名前と同じで、めぐみさんがわたしのことを忘れられずにつけたと思った。娘から『お母さんは死にました』と聞かされたが信じていない。めぐみさんと会って二週間後ぐらいに、一緒に買い物に行ったことがある。めぐみさんは箱入りのチョコレートを、わたしはお菓子を買い、家に帰って二人でおいしく食べた」

 ―他の拉致被害者について思い出したことは。

 「一緒に暮らしたのはめぐみさんだけだが、周囲の人から『ほかの日本人もいるんだよ』と一度聞いたことがある」

 ―拉致された時の状況は。

 「二十五年前の八月十二日の夜、わたしと母が話をしながら歩いていると、後ろから三人の男が一列に並んでついてきた。『何だろう』と話していたら、突然襲われた。口をふさがれ、手足を縛られて袋に入れられた」

 ―拉致の目的は何だと思うか。

 「よく分からない」

 ―日本政府に訴えたいことは

 「家族の帰国と大切な母についてできる限りのことをしてほしい」

拉致被害者「送還」を再び要求 北朝鮮

2003年10月10日 The Sankei Shimbun

 朝鮮中央通信によると、北朝鮮の外務省スポークスマンは9日、談話を発表し、日本が拉致問題の早期解決を求めるなら「帰国した生存者たちを平壌に戻し、家族たちと自分の意思を自由に表明できるようにしなければならない」とし、帰国した被害者5人を北朝鮮に戻すようあらためて要求した。

 拉致被害者5人の「送還」と被害者家族との再会で、被害者の帰国問題を決定するという主張は北朝鮮が当初から繰り返している内容。今回の談話は拉致被害者帰国から15日で1年となるのを前に、あらためて被害者帰国問題に関し日本の姿勢に変化があるかどうかを探ろうとした可能性がある。

 談話は、日本が被害者の一時帰国の約束を「一方的に破り、抑留した」とした上で、拉致問題を国連総会やさまざまな外交の場で取り上げ「核問題と無理やり結び付けている」と主張。

 日本が「拉致問題解決を最優先の課題とするなら、政府間の約束通り、彼ら(被害者5人)の家族の待つ平壌に戻さねばならない」と述べた。(共同)

「拉致家族問題動く可能性も」 中山参与

2003年10月05日 The Sankei Shimbun
 中山恭子内閣官房参与は四日、福井県勝山市内で講演し、北朝鮮による拉致被害者家族の帰国について「今後の北朝鮮の動きはつかみにくいが、突如として動く可能性もある」と述べ、北朝鮮の対応を注視していく必要があるとの認識を示した。同時に「北朝鮮が正規のルートで帰すのを待ち、働き掛けをしていく」として、あくまで日朝の政府間交渉で帰国実現を求めていく考えを強調した。

 家族の帰国後の支援については「各県と連絡を取り合いながら支援プログラムを既に作り上げている」と準備態勢が整っていることを強調した。

横田めぐみさん:帰り信じて待つ両親 39回目の誕生日

2003年10月05日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 北朝鮮による拉致被害者、横田めぐみさん(行方不明時13歳)が5日、39回目の誕生日を迎える。めぐみさんが拉致されてから26年。横田滋さん(70)、早紀江さん(67)夫妻の心の中の時計の針は止まったままだ。5日は「元気で必ず帰ってくる」と願いを込めながら、川崎市の自宅で、ささやかに娘の誕生日を過ごす予定だ。

 拉致事件前、めぐみさんの誕生日は、自宅に友人を呼んで早紀江さんが作ったちらしずしを食べながら過ごした。

 今年は、めぐみさんが通っていた新潟市立新潟小学校の当時の校長、馬場吉衛さんと、めぐみさんがコーラスを教わっていた音楽の先生、斉藤邦さんらが横田さん宅を訪れる予定。

 めぐみさんと娘キム・ヘギョンさんの写真の前に千羽鶴と花を添え、ケーキを食べながら話をして過ごすという。早紀江さんは「めぐみちゃんの顔で、今も思い浮かぶのは拉致されたあの日と同じ子供の姿のまま」と話す。

 昨年10月、DNA鑑定でヘギョンさんが孫娘と確認されてから初の誕生日。滋さんは「いつの間にかめぐみが拉致された時よりヘギョンさんの方が年上になっていてね、ヘギョンさんの身長が145センチと言っていたから、めぐみの方がまだ少し背が高いかな」とまだ見ぬ孫の姿に思いをはせた。【堀智行】

「1人は嫌」 曽我ひとみさんが手記

2003/10/04 中国新聞ニュース
 北朝鮮による拉致被害者の曽我ひとみさん(44)が四日までに「もう一人は嫌です」と夫や娘二人との生活を切望する手記を共同通信に寄せた。離れ離れになったつらさをここまで率直に表現したのは初めて。十五日で帰国から丸一年。北朝鮮に残る家族の帰国実現に向け、政府の一層の努力が求められている。

 手記は、四百字詰め原稿用紙で三枚半分。新潟県真野町で一人暮らしをしている曽我さんが、鉛筆でつづった。

 「二度目の秋」と題し「日本に帰ってもう二度目の秋。でも今年の秋は嫌いです。寂しすぎます。もう一人は嫌です」と心情を吐露。

 「一年間という日々は、とても悲しく、寂しく、気持ちの重い日々でした」と続け、家族を思い出して時折、涙ぐんだことを打ち明けた。

 曽我さんは一九七八年に拉致され、八〇年に元米兵のジェンキンスさん(63)と北朝鮮で結婚、長女の美花さん(20)と二女のブリンダさん(18)の四人で暮らしていた。

 「一番幸せで楽しい時は、三人の笑顔を見ている時でした」とし、家族の誕生日にはケーキを焼き、全員でプレゼントを渡して祝っていたことも披露。今年も娘二人の誕生日前に、渡せないと分かっていながらプレゼントを買ったことを明らかにした。

 その上で「ママの作った食事と一年分の誕生日を、全部一緒にやりましょうね。それまでとにかく元気でいてください。心より愛している家族へ。心を込めて」と結んでいる。

拉致解決最優先を確認 政府の専門幹事会

2003年10月02日 The Sankei Shimbun
 政府は2日午後、内閣改造後初めての「日朝国交正常化交渉に関する関係閣僚会議」の専門幹事会を首相官邸で開き、拉致問題解決を政府の最優先課題として取り組む方針をあらためて確認した。

 幹事会座長の細田博之官房副長官はあいさつで「拉致問題の早期解決に向けて北朝鮮に粘り強く働き掛けていく基本方針にはいささかの変更もない」と強調。北朝鮮に残された拉致被害者家族の帰国実現に取り組む意向を表明し、「北朝鮮の代償要求には一切応じないことを基本とすべきだ」と述べた。

 拉致問題で北朝鮮に厳しい姿勢を示していた安倍晋三前官房副長官が自民党幹事長に就任したため、拉致被害者や家族会には「安倍氏が抜けた首相官邸の方針が後退する」との懸念があった。このため早期に幹事会を開き北朝鮮政策に変更がないことをアピールした。

拉致被害者返す選択肢ない 安倍幹事長

2003年10月01日 The Sankei Shimbun
 自民党の安倍晋三幹事長は1日午後、札幌市内のホテルで記者会見し、北朝鮮が拉致被害者5人を早期に戻すよう求めていることについて「拉致された被害者である5人の方々を、拉致をした国に返すという選択肢はない」と述べ、北朝鮮にいる5人の家族の帰国を引き続き求める考えを強調した。

 次期衆院選の自民党公約に関連し「北海道が道州制のモデル特区としてやっていく方法はないか、党としても前向きに考えたい」と述べ、道州制の導入を盛り込みたいとの意向を示した。

6人の拉致濃厚と発表 調査会、認定求める

2003年09月24日 The Sankei Shimbun
 北朝鮮拉致被害者の支援団体「救う会」関連の特定失そう者問題調査会は24日、これまで公表した失跡者のうち新潟県の県職員、大沢孝司さん=失跡当時(27)=ら6人について「北朝鮮による拉致の疑いが濃厚」と判断、政府に拉致認定を求めると発表した。

 「状況やほかに失跡の理由が見当たらないことなどから」としており、調査会が北朝鮮による拉致の疑いが濃厚だと判断したのは計12人となった。

 6人は、大沢さんのほか(1)東京都の高校生、大屋敷正行さん=失跡当時(16)(2)山口県の看護師、国広富子さん=同(24)(3)埼玉県の銀行員、新木章さん=同(29)(4)甲府市の受験生、山本美保さん=同(20)(5)兵庫県の大学生、秋田美輪さん=同(21)。

 また、新たに失跡者15人の実名を公開した。調査会によると、15人は1956年から2001年にかけて行方不明になった男性9人と女性6人。

失跡者15人のリスト

 特定失そう者問題調査会が公表した失跡者は次の通り。(氏名・敬称略、年齢1住所2失跡時期3失跡場所4職業5失跡状況=年齢、住所、職業は失跡当時)

 斉藤四郎(17)1札幌市21956年3月18日3札幌市4板金工見習い5住み込みの会社を出たまま不明

 吉田信夫(29)1北海道小樽市265年5月25日3北海道4会社員5札幌市の会社を退社後、不明

 小林栄(23)1東京都千代田区266年7月3千代田区4会社員5住み込みの会社から医者へ行くと言い残し不明

 屋木しのぶ(20)1富山県入善町269年1月18日3入善町4美容師5大雪の中、親類方から帰宅途中に不明

 木村秋男(23)1大阪府堺市272年ごろ3堺市4無職5会社を辞めた後、音信不通

 益田ひろみ(20)1島根県益田市273年3月3益田市4会社員5勤務先の裏口にお土産を置いたまま不明

 酒井秀俊(21)1京都市右京区274年1月16日3不詳4大学生5一人暮らし。就職が内定していた

 藤田進(19)1埼玉県川口市276年3月6日3川口市4大学生5自宅から東京・新宿へアルバイトに行くと言って出掛け不明

 吉田賢光(36)1川崎市277年3月12日3宮城県白石市4無職5宮城県の親類方で約3カ月過ごし、白石駅まで見送られ、その後不明

 石川千佳子(29)1東京都足立区278年8月14日3足立区4小学校教諭5勤務先の学校を出たまま不明

 尾上民公乃(20)1大阪府八尾市287年6月6日3大阪市中央区4アルバイト5大阪・ミナミで車内で友人を待ち、車ごと不明。車は翌日、福岡・博多港の海中に落ちた

 森本規容子(18)1兵庫県西宮市291年9月22日3不詳4会社員5大阪・梅田の本屋に行くと自宅を出たまま不明

 林雅俊(23)1岐阜県垂井町298年5月12日3福井県越前町4大学院生5パソコンや財布を入れた車を海岸に放置したまま不明

 松井綾子(22)1水戸市298年12月3日3水戸市4臨床検査技師5勤務先の病院を無断欠勤したまま不明。茨城県神栖町の海浜公園に放置された車発見

 松村哲史(23)1岡山市22001年2月14日3岡山市4会社員5未明に自宅を出たまま不明

拉致被害者の蓮池薫さんが会見

2003年09月16日 The Sankei Shimbun
 日朝首脳会談から1年となる17日を前に拉致被害者の蓮池薫さん(45)が16日記者会見し、首脳会談を振り返り「小泉総理が訪朝することは(事前に)知っていた。(自分たちが訪朝団の)代表と会うかもしれないと聞き、拉致問題で何かの進展があったと感じた」と語った。

 勤務先の新潟県柏崎市役所の敷地内で会見した蓮池さんは、当時の心境を「うれしい半面、複雑な気持ちがあり一言では表現できない。家族に生存を知ってもらえたのは喜びだった」と話した。

 蓮池さんは首脳会談があった日に、訪朝団の一員の梅本和義駐英公使と会い、帰宅してからテレビなどで平壌宣言の内容を知ったという。

 公使との面会に際しては、北朝鮮側から拉致された状況を話すよう指示され、幼友達の名前をあげたり、小学校時代の交通事故の傷あとを見せて本人と確認できるように説明した。

 現在の心境については「(日朝交渉に関し)政府から力強い話が出ており、この機会を逃さずに結果を出してほしい」と述べた。

拉致被害者の地村保志さんが会見

2003年09月16日 The Sankei Shimbun
 北朝鮮による拉致被害者の地村保志さん(48)は16日夕、日朝首脳会談から1周年を迎えるに当たって福井県小浜市役所で記者会見。「自民党総裁選や衆院選を控え、政治家にとって重要な時期にある。拉致問題がおろそかになるのではという懸念がある」と述べ、政局の展開が解決の支障にならないよう政府にくぎを刺した。

 地村さんは「6カ国協議後、日朝交渉の進展が全くない」と、ややいらだちの表情もみせた。

 北朝鮮が「日本政府が帰国者5人を戻さないのは約束違反」と、拉致問題の解決を拒んでいることにも言及。「拉致を認めて5人を帰国させた以上、私たちの意思や意向は尊重されるべきだ」と、北朝鮮に子供の引き渡しの決断を求めた。

 また「北朝鮮は(拉致)問題解決の裏で何を本当に望んでいるのか、対外的に正当性を明らかにすべきだ」と述べ、経済支援を要求するのであれば、それを明確に主張すべきとの考えを示した。

日本語で「拉致」と米高官 被害者家族会が帰国会見

2003年09月14日 The Sankei Shimbun
 米国を訪問し米政府高官らと会談した北朝鮮拉致被害者家族会のメンバーらが14日帰国し、成田空港で記者会見した。

 横田めぐみさん=失跡当時(13)=の弟拓也さん(35)は、6カ国協議の米政府代表団の一員だったローレス国防副次官補が、会談では日本語で「拉致」と発言したことを紹介。「米政府内でも拉致問題の理解が進んでいる」と話した。

 拓也さんはまた、国家安全保障会議(NSC)のグリーン日本・朝鮮部長が「北朝鮮が今後脅迫を強めるような手段に出れば、6カ国協議と同時に国連の安保理でも経済制裁を取り上げるべきだ」と話したことを明らかにした。

 田口八重子さん=同(22)=の兄、飯塚繁雄さん(65)は「拉致問題も核問題とともに包括的に解決しなければいけないという米政府の意識を強く感じた」と成果を報告した。

 家族会のメンバーは、ほかに米国務省のボルトン次官やケリー次官補らと面会、拉致問題の解決を訴えた。

不審物事件:「卑劣な『テロ』」と非難 拉致被害者家族会

2003年09月12日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 北朝鮮による拉致被害者家族会と支援団体の「救う会」は米同時多発テロから2年にあたる11日、「拉致はテロ」との立場からテロを非難する声明を発表した。その中で、田中均外務審議官宅や在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)施設に不審物が仕掛けられた事件について「卑劣な『テロ』。絶対あってはならず、改めて暴力には断固反対する」とした。

 また、北朝鮮の貨客船・万景峰(マンギョンボン)号の入港時に朝鮮総連側と救う会側とのトラブルが続いたことを受け、「朝鮮総連関係者と暴力的衝突をするつもりは全くない」とし、今後はふ頭での抗議活動は行わず、拉致解決のために政府に経済制裁を求めていくとした。

日本の拉致問題提起を非難 北朝鮮紙

2003年09月09日 The Sankei Shimbun
 北朝鮮の朝鮮中央通信によると、内閣などの機関紙「民主朝鮮」は8日の論評で、先の6カ国協議で日本が拉致問題を取り上げ「核問題を解決するための議論に障害をつくった」と非難、「日本の反動たちは無分別な行為により、われわれが強い対応措置を取らざるを得なくなることを肝に銘じるべきだ」と警告した。

 「強い対応措置」が具体的に何を指すかには言及しなかった。これまで繰り返してきた「拉致問題は既に解決済み」との主張は持ち出さなかった。(共同)

拉致家族会:薮中局長の交渉姿勢を評価

2003年09月01日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 北朝鮮による拉致被害者の家族会と支援団体の救う会は1日、6カ国協議から帰国した薮中三十二外務省アジア大洋州局長と面談した。家族らによると、薮中局長は「今回の会談から時間をおかず、週単位で北朝鮮に働きかけていく」と話し、積極的な交渉姿勢を表明したという。

 記者会見した家族会の横田滋代表は「薮中局長は拉致被害者と家族をすべて日本に帰さなければ経済支援はしないという原則を強く主張してくれた。拉致は解決済みとしてきた北朝鮮から『平壌宣言にのっとって解決する』という回答を引き出した」と評価した。【和泉かよ子】

拉致家族引き渡し要求へ 北朝鮮に早期協議求める

2003年09月01日 The Sankei Shimbun
 薮中三十二外務省アジア大洋州局長は1日午後、都内のホテルで北朝鮮による拉致被害者家族と面談し、北朝鮮に残された子供ら家族の引き渡しについて「時間を置かず有効な時期に働き掛けていく。はっきりパイプができた」と述べ、家族帰国に向けた北朝鮮との協議を早期に開催、引き渡し実現を要請する意向を表明した。

 その具体的な働き掛けを行う時期について、薮中局長は「そう長い期間ではない。週単位だと考えている」と述べ、近々に行う考えを示した。

 薮中局長は先月末に北京で開催された北朝鮮問題をめぐる6カ国協議の日本政府代表として出席。3回にわたり北朝鮮の金永日外務次官と会談し、拉致問題を含む両国の懸案解決に向け、政府間協議を継続することで合意した。

 特に政府は、日朝協議で「拉致問題は解決済み」としてきた北朝鮮側が「拉致問題」に言及した上で「日朝平壌宣言にのっとって一つ一つ解決していきたい」と姿勢を転換したことを重視。できるだけ早急に被害者家族引き渡しの実現を図るため直接、北朝鮮に働き掛けることになった。

安倍氏、ジェンキンスさんの来日要求

2003/08/31 中国新聞ニュース
 安倍晋三官房副長官は三十一日、NHK討論番組で、拉致被害者の曽我ひとみさんの夫で脱走米兵のジェンキンスさんも含め北朝鮮にいる被害者家族八人を日本に連れてくることが、日朝国交正常化交渉の前提であることを強調した。

 これに先立つフジテレビ番組では「拉致問題を解決しなければ、核問題が解決したところで、日本からいろいろな支援はしない」と述べ、エネルギー、食糧支援はあくまでも拉致問題の解決後となることを明言した。

 ジェンキンスさんの身柄の取り扱いについて安倍氏は「米国との間の極めて微妙な問題だ」と述べ、日米間の懸案になっていることを認めた。米軍規律の根幹に触れる問題だけに、解決には日米トップの政治的な決断が必要となる見通しだ。

 また曽我さんがジェンキンスさんを日本に連れてくる要求対象から政府が外していないか何回も問い合わせてきたのに対し「絶対そんなことはない」と回答したことを紹介した。

 中国とロシアが次回の六カ国協議が二カ月以内に開かれるとの見通しを示したことには「時期は不透明だ。しかし中国はなるだけ早い機会にやりたいと思っている。その方向で北朝鮮に働き掛けると思う」と述べ、早期開催に期待感を示した。

拉致家族の帰国拒否 日朝協議物別れ

2003/08/28 中国新聞ニュース
 【北京28日共同=小渕敏郎】北京で開かれている六カ国協議の日本代表は二十八日、北朝鮮代表と二国間協議を行い、拉致事件被害者五人の家族全員の早期帰国を要求した。北朝鮮側は拉致被害者の永住帰国を「約束違反」と従来の主張を繰り返し、家族の帰国を拒否、物別れに終わった。

 日本側は昨年九月の日朝首脳会談などで「死亡」「行方不明」と通告された横田めぐみさんなど被害者十人の真相解明も要求。核開発計画の放棄も求めた。

 公式な場での日朝の政府間交渉は昨年十月下旬にクアラルンプールで開かれた日朝国交正常化交渉以来、約十カ月ぶりだが、懸案となっていた家族帰国問題は打開できなかった。

 福田康夫官房長官は同日夕の記者会見で、北朝鮮側は「(永住帰国した)被害者五人は北朝鮮に帰すはずだったのに、帰ってこないのは約束違反だ」と繰り返したと明らかにした。

 日本政府によると、協議は藪中三十二外務省アジア大洋州局長と金永日外務次官の両首席代表が、二十八日に釣魚台迎賓館で開かれた六カ国協議全体会合の前後に二回にわたり計四十分程度行った。日本側は「日朝間の接触」と発表している。

 日本人拉致事件は昨年九月十七日の日朝首脳会談で金正日総書記が認めて謝罪。十月十五日に蓮池薫さんら被害者五人が帰国した。しかし、日本政府が五人の永住帰国方針を決めたため北朝鮮側が反発。十月末の正常化交渉でも約束違反を指摘し、家族の帰国問題は暗礁に乗り上げていた。

 日本政府は水面下で北朝鮮側と折衝を続け、今回の六カ国協議の場での協議実現を申し入れていた。

日本、拉致問題解決を要求 北朝鮮は反発せず

2003/08/27 中国新聞ニュース
 【北京27日共同=小渕敏郎、平井久志】北朝鮮の核開発問題をめぐる六カ国協議が二十七日午前(日本時間同)、北京の釣魚台迎賓館で三日間の日程で始まった。日本代表の藪中三十二外務省アジア大洋州局長は冒頭あいさつで、日本人拉致問題を解決する必要性を提起。北朝鮮側は反発しなかったという。

 基調演説で米国が約一時間、北朝鮮は約五十分にわたって発言。米国は核問題の歴史に言及しながら「検証可能で後戻りできない核放棄」を求めた。これに対して北朝鮮は従来の原則論を展開した。

 四月末の北京での米朝中協議で北朝鮮が核保有を表明して以来、初めて六カ国の枠組みで開かれた多国間協議だが、難航の見通し。「次回協議の開催確認が成果となる」との見方が関係国で出ている。

 藪中氏はあいさつで「核兵器開発は絶対に認められない。平和的解決のため、この六カ国協議が重要だ。核問題、ミサイル問題と並び拉致問題解決が必要だ」と強調した。日朝協議は二十八日午後に行う方向で詰めの調整をしている。

 冒頭、中国の王毅外務次官は「核問題の平和解決への道のりを前進させる重要な一歩だ」と強調した。

 あいさつは中国から北朝鮮、日本、韓国、ロシア、米国の順で行われ、各国は六カ国協議が成果を得られるよう積極的に協力していくことを発言。協議開催に向けた中国の努力に謝意を示した。

 その後、逆の順番で北朝鮮の核開発問題や安全保障に関して基調演説。韓国政府は「各国の基調演説は予測された内容を大きくはみ出すものはなかった」と指摘した。

 中国の王次官は二十七、二十八両日に全体会合を行い、二十九日に閉幕式を行うとの議事日程を提示した。この間に米朝など二国間協議が行われるとみられる。

 二十七日夜には中国の李肇星外相主催の夕食会が開かれる。

6カ国協議:解説 「拉致」前進、強く期待 日朝協議視野に

2003年08月23日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE

 福田康夫官房長官は22日の記者会見で、北朝鮮による拉致問題について、(1)まず6カ国協議で取り上げる(2)そこで問題解決への方向性が示されれば、日朝2カ国で具体的な解決策を協議する――という2段階方式で臨む方針を明らかにした。

 6カ国協議の中心課題は核問題だが、今回、大きな進展は期待しにくい。一方、福田氏は拉致問題で、6カ国協議を出発点としながら、日朝間でより具体的な協議が行われる可能性を終始、視野に入れているようだ。

 福田氏は「北朝鮮は核を廃棄するとしたら、不可侵(条約)やエネルギーなどの代償を求める。拉致問題を取り上げないと(協議の)先がなくなるので、当然(拉致問題の)話はしなければいけない」とも述べた。

 いずれ6カ国協議で、94年の「枠組み合意」と同様、核開発を放棄する代わりにエネルギー支援などを行う合意ができたとしても、日本は拉致問題が解決しなければ参加するのは難しいという強い姿勢だ。裏返せば、拉致問題が前進する可能性を、それだけ強く期待している表れでもある。

 福田氏は11日に訪問先の北京市で、日朝協議の必要性に言及。一部で「核は6カ国、拉致は2カ国」との誤解も生じたが、会見での発言は、2カ国協議が実現した時は、「拉致」が「核」より先行する場合で、その逆はないという見通しを示唆したものとみられる。

日本支持を確認 拉致問題取り扱いで米

2003年08月23日 The Sankei Shimbun
 米国務省高官は22日、北朝鮮の核開発問題を話し合う6カ国協議について「(初回で)何らかの合意に至るとは思っていない」と述べ、北朝鮮が「検証可能かつ後戻りしない完全な核放棄」を受諾するには時間を要するとの見方を示した。

 日本人拉致問題については「日朝間で取り上げられる重要課題」と指摘。北朝鮮は6カ国協議で拉致問題を扱うことに反発しているが、同高官は、核問題解決の「障害にはならない」と言明し、日本の立場を支持する姿勢を確認した。

 また、北朝鮮が米朝枠組み合意や核拡散防止条約(NPT)などに違反して核開発を進めていることを念頭に「事態の進展を見込んで報酬を与える考えはない」と強調。核放棄までは「安全の保証」や経済援助を与える考えがないことを明確にした上で、NPT復帰だけでは不十分との認識を示し、国際原子力機関(IAEA)の査察を上回る検証措置を講じる考えを強く示唆した。

 一方で「北朝鮮を肯定的な方向に導く要素は重要」と述べ、対話解決を促進するために他国が行う各種支援までは排除しない意向を表明。核放棄の完全履行前にも一定の支援策を検討すべきだという韓国の立場に配慮を示した。

 北朝鮮が求める米国との直接協議については「公式な2国間会談は持たない」とし、北朝鮮との国交正常化は「事態が進展した場合の可能性の1つ」とだけ述べた。(共同)

「拉致は当然取り上げる」6カ国協議で福田長官

2003年08月22日 The Sankei Shimbun
 福田康夫官房長官は22日夕の記者会見で、北朝鮮の核開発問題をめぐり27日から始まる6カ国協議について「核問題の解決が中心課題だが、そのためにはいろいろな問題を解決しないといけない。その中に拉致問題は当然入るし、協議の中で取り上げられないわけがない」と述べ、日本人拉致事件を提起する考えを重ねて強調した。

 同時に「拉致問題解決の段取り、方向性が6カ国協議で示されれば、その先は日朝間で具体的問題の解決を図っていく」と述べ、具体的協議は日朝間で行う考えを示した。

 北朝鮮が核開発問題解決の条件として不可侵条約締結などを求めていることについては「そういう問題と合わせて拉致問題を取り上げないと、その先がない。包括的にいろいろな問題を同時並行で協議しないといけない」と強調。北朝鮮への食糧、経済支援に関しても「包括的解決の方向性が示されないと、その先の具体的問題は出てこない」と述べた。

日朝、米朝協議28日で調整 拉致問題は2国間で

2003/08/22 中国新聞ニュース
 北朝鮮の核開発問題をめぐり北京で二十七日から三日間行われる六カ国協議の期間中、二十八日に日本人拉致問題をめぐる日朝二国間協議を開く方向で、ホスト国の中国を中心に最終調整が行われていることが分かった。北朝鮮が強く求めている米朝協議を含む参加国による各個別協議も二十八日に行われる方向。日本政府関係者が二十一日明らかにした。

 また、最終日の二十九日には六カ国協議を再開し、中国側が「議長総括」を取りまとめて発表することも判明。関係国は六カ国協議の継続開催が望ましいとしており、総括で核問題の平和的解決を目指す各国の立場を確認するとともに、次回以降の開催日程も確定させて協議を終えることを目指している。

 日朝協議が実現すれば、公式な政府間接触としては昨年十月末のクアラルンプールでの日朝国交正常化交渉以来十カ月ぶり。米朝協議も昨年十月のケリー米国務次官補の訪朝以来となる。

 初日の二十七日は各国がそれぞれ自国の基本的な立場を表明。場所は個別協議も含めて北京・釣魚台になる見通しだ。

 日本政府は六カ国協議の場で拉致問題解決の必要性を提起するとともに、拉致被害者家族の帰国や真相究明問題など具体的懸案については日朝協議で突っ込んだ折衝を行いたい考えだ。六カ国協議の枠内での日朝協議は時間的な制約もあり、後日にあらためて本格的な日朝高官協議を継続開催する案を打診することも検討している。

 ただ北朝鮮側は拉致問題について「既に決着した問題」などとして、日本が六カ国協議で提起した場合には「強い対応措置を取らざるを得なくなる」と警告している。北朝鮮側が拉致問題提起に強く反発すれば、日朝協議の開催が困難になる可能性もある。

6カ国協議で拉致問題の議論要望 拉致被害者家族会など

2003年08月21日 The Sankei Shimbun
 北朝鮮による拉致被害者家族会と支援団体「救う会」は21日午後、東京都港区の米国大使館を訪れ、北京で27日から開かれる6カ国協議で、核と同時に拉致問題を議論するよう要望し「北朝鮮は核をテロに使う危険がある国際社会の脅威。拉致もテロと位置付け、解決してほしい」と申し入れた。

 家族らはこの後、外務省の薮中三十二アジア大洋州局長とも面会。6カ国協議の場で北朝鮮側に「拉致家族を返さないと経済制裁を課す」という意思を示すよう求めた。

 薮中局長は、6カ国協議で拉致問題を提起し、核とともに包括的解決を目指すとの政府側の姿勢をあらためて示したという。

 家族会会長の横田滋さん(70)は「拉致は米政府の協力も大事だが、やはり日本政府が自力で解決することが大事だ」と強調した。

拉致問題提起を全面支持 6カ国協議で米

2003年08月19日 The Sankei Shimbun
 バウチャー米国務省報道官は18日の記者会見で、今月末に北京で開催される6カ国協議で日本政府が拉致問題を提起することについて、米政府は全面的に支持すると表明した。

 報道官は「北朝鮮が他の国との問題を解決しなければならないことは、北朝鮮との2国間協議で繰り返し取り上げた」と述べ、北朝鮮が国際社会に復帰するためには、周辺国との2国間問題を解決する必要性を指摘した。

 同報道官は米国は北朝鮮の核開発問題の解決を最優先課題に位置付けている点を強調しながらも「多国間交渉の場では(参加国は)取り上げたい問題を提起することができる」と述べ、拉致問題の解決に向け日本政府を支援する考えを示した。(共同)

拉致解決が正常化の前提 首相、北朝鮮に反論

2003年08月18日 The Sankei Shimbun
 小泉純一郎首相は18日昼(日本時間同日夜)、日独首脳会談後の共同記者会見で、日本が6カ国協議で拉致事件を取り上げることを北朝鮮が批判している点について「拉致は非人道的で許されざる行為だ」と反発するとともに「拉致、核問題が総合的、包括的に解決してはじめて日朝の国交正常化交渉が始まる」と強調した。

 同時に「北朝鮮がどのような挑発的な発言をしても、冷静かつ慎重に、北朝鮮が国際社会の一員となることが世界の平和にとって大事だということを粘り強く話し掛けていきたい」と述べた。

 昨年9月の訪朝にも触れ「金正日総書記が拉致について謝罪し、日朝平壌宣言を締結した」と指摘し、北朝鮮問題の包括的解決を目指す考えを重ねて表明。「北朝鮮は怒るのではなく、早く家族を帰すことの方がプラス方向に働くことを(北朝鮮には)理解してほしいと思う」と述べた。(共同)

独首相、拉致解決で支持表明 日独首脳会談

2003年08月18日 The Sankei Shimbun
 小泉純一郎首相は18日午前(日本時間同日夕)、ベルリン市内の首相府で、ドイツのシュレーダー首相と会談し、北朝鮮の核開発問題について、6カ国協議を通じて平和的、外交的解決を目指すことで一致した。シュレーダー首相は日本人拉致事件の全面的解決に向け、日本の立場を支持、協力する考えを表明した。

 イラク復興支援では、国際社会の責任ある一員として互いに協力していくことを確認した。

 首脳会談で、小泉首相は北朝鮮問題について「平和的、外交的解決を目指したい」と核、拉致問題の包括的解決を求める日本の立場を説明し、協力を要請。27日から北京で開かれる6カ国協議で「拉致問題も重要であるということを主張したい」と強調した。

 シュレーダー首相は拉致事件について「北朝鮮との協議も含め、あらゆる場で今日の発言を維持したい」と述べ、北朝鮮と国交を有する立場から働き掛けを行っていく考えを表明した。

 イラク復興支援で、小泉首相は日本の国力にふさわしい貢献策を検討していることを説明。シュレーダー首相は「ドイツはこれまで人道復興支援をしてきた。国連の要請があれば参画するつもりだ」と述べた。(共同)

拉致提起なら対応措置 北朝鮮が日本けん制

2003年08月18日 The Sankei Shimbun
 北朝鮮の朝鮮中央通信によると、朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は18日、核問題をめぐる6カ国協議で、日本が拉致問題を取り上げるなら「やむを得ず日朝平壌宣言とは関係なく、強い対応措置を取らざるを得なくなるだろう」と警告した。

 機関紙論評ではあるが、日本の拉致問題追及の姿勢について、対応措置まで言及したのは初めて。対応措置の具体的内容は不明だが、6カ国協議で拉致問題を持ち出せば、日本が打診している北朝鮮との個別協議開催の見通しが厳しくなることを示唆した可能性もある。

 一方、朝鮮中央通信は18日の論評で、6カ国協議で米国が敵対政策転換を表明しなければ「われわれも核抑止力を放棄できない」と強調した。

 労働新聞は、拉致問題について「6カ国協議で論議する性格の問題ではない」と主張、昨年の日朝平壌宣言で「既に決着した問題」で、「関連してすべきことはしており、さらに論議することはない」とあらためて強調。

 さらに「日本は6カ国協議に顔を突っ込む資格はなく、われわれは当初、日本を米朝核問題を扱う協議に受け入れる考えはなかったが、広い度量で日本の意向とメンツを考慮し、参加を許した」と指摘。「日本はこれをありがたく受け止め、われわれの気持ちを損ねるような行動をしてはならない」と述べた。(共同)

拉致解決 6カ国協議で主張 首相が専用機内で懇談

2003年08月18日 The Sankei Shimbun
 小泉純一郎首相は17日、ドイツに向かう政府専用機内で同行記者団と懇談し、北朝鮮の核開発問題をめぐり北京で開催される6カ国協議への対応について「拉致も核も包括的に解決していく。日朝平壌宣言にのっとった方針に変わりはない」と述べ、日朝間の懸案の包括的解決を図るという日本政府の立場を説明し、理解を求める考えを強調した。

 首相は核開発問題で「基本的に韓国と日本、米国に違いはない。まず平和的、外交的解決を目指す」と述べ、米韓両国と連携して対応する意向を表明。「核の問題に焦点が当たると思うが、その中でも日本としての事情ははっきり主張したい」との考えを強調した。

 同時に、首相は「米国と韓国と十分綿密に連携、協議をして、6カ国協議に臨みたい」とも述べ、3カ国の事情を踏まえ、事前に緊密な調整を行った上で協議に臨む考えを示した。

 イラクへの人道復興支援については「十分に事前調査が必要だ」と指摘。イラク復興支援特別措置法に基づく自衛隊の派遣については「どのような地域で、どのような支援ができるのか。十分現地の実情を把握した上で、何ができるかを日本として主体的に考えていきたい」と述べ、派遣地域や支援活動について現地の事情を踏まえ、慎重に判断する意向を表明。ただ、派遣時期に関しては具体的な言及はなかった。

 イラクへの人道復興支援については「十分に事前調査が必要だ」と指摘。イラク復興支援特別措置法に基づく自衛隊の派遣については「どのような地域で、どのような支援ができるのか。十分現地の実情を把握した上で、何ができるかを日本として主体的に考えていきたい」と述べ、派遣地域や支援活動について現地の事情を踏まえ、慎重に判断する意向を表明。ただ、派遣時期に関しては具体的な言及はなかった。(共同)

■懇談要旨

 小泉純一郎首相の政府専用機内での懇談要旨は次の通り。

 【6カ国協議】(北朝鮮政策で)基本的に韓国と日本、米国に違いはない。まず平和的、外交的解決を目指すということだ。韓国は同じ民族としての立場がある。日本には拉致の問題もある。米国は核開発に一番大きな懸念を持っている。そういう中で、互いの国情を考えながら、日米韓が緊密に調整する。6カ国協議までまだ時間があるので、米国、韓国と十分綿密に連携、協議をして臨みたい。

 【日本人拉致事件】6カ国協議で、拉致の問題を北朝鮮と日本が協議するというのはまだ決まってない。6カ国協議では、核の問題に焦点が当たると思うが、その中でも日本としての事情ははっきり主張したい。そこで北朝鮮がどのような対応をし、各国がどう対応するか、それを見ながら(日本の対応を)決めていけばいい。北朝鮮との間でどういう交渉、対応をするかまではまだ決まっていない。日本としては拉致も核も包括的に解決していく。日朝平壌宣言にのっとるとの方針に変わりはない。

 【イラク復興支援】イラクの人道復興支援については、十分な事前調査が必要だ。自衛隊を派遣する場合には、どのような地域で、どのような支援ができるのか。まだ時間があるので、十分現地の実情を把握した上で、日本として主体的に考えていきたい。

6カ国協議で問題討議を 横田夫妻が仙台で講演

2003年08月17日 The Sankei Shimbun
 北朝鮮による拉致被害者、横田めぐみさん=失そう当時(13)=の父、滋さん(70)と母、早紀江さん(67)の講演会が17日、仙台市内で開かれた。記者会見した滋さんは「日本の非政府組織(NGO)に被害者家族の手紙を託すなど北朝鮮が揺さぶりを掛けてきた今が(拉致問題)解決のチャンス。政府担当者は(北京での)6カ国協議で拉致問題を討議するよう強く働き掛けてほしい」と訴えた。

 講演会は15日から同市内で開催中の「拉致問題展」に合わせて開かれ、2回の講演に約400人が参加した。

 早紀江さんは「約6年間、政府に問題解決を訴えてきたが、日本の政府担当者に話す時はいつも、机と机の間を風が通りすぎるように感じる」と政府を批判。「(6カ国協議では)北朝鮮が間違っているということを各国の首脳が口をそろえて伝えるべきだ。協議の在り方を見守りたい」と話した。

米韓の支持を確認 6カ国協議での拉致問題提起

2003年08月15日 The Sankei Shimbun
 北朝鮮の核開発問題への対応で連携する日本、米国、韓国の外務省局長級の非公式協議が13、14両日、ワシントンで開かれ、日本政府が北京で27日から開催される6カ国協議で日本人拉致問題の解決の必要性を提起、米韓両政府がこれを支持することを確認した。

 交渉筋によると、日米韓は6カ国協議で北朝鮮の核開発問題やミサイル開発、北朝鮮への不可侵確約、経済支援などを含む包括解決案の共同提案を計画しているが、提示の方法や細部については継続協議する。

 この日の非公式協議では、北朝鮮が核開発を放棄すれば、何らかの方法で不可侵を確約する方針でも一致した。

 日米韓は、6カ国協議の冒頭で北朝鮮の核開発やミサイル開発への重大な懸念を口頭で表明する方式を検討、文書での共同提案は見送る公算が大きい。6カ国協議の前日に北京で再度協議し、包括解決案の内容を詰めるとみられる。

 北朝鮮に対する具体的な要求項目の履行手順を示す行程表(ロードマップ)の提示は、米政府の反対で見送る方針でほぼ一致している。不可侵確約の具体的な方法などが今後の調整の焦点となりそうだ。

 日本政府は拉致事件の具体的な内容は6カ国協議とは切り離し、日朝の2国間で協議していく。

 米国務省は14日、ケリー国務次官補が6カ国協議の米政府交渉団長を務める、と発表した。

 局長級協議には、ケリー国務次官補のほか、日本の薮中三十二外務省アジア大洋州局長、韓国の李秀赫・外交通商次官補らが出席した。(共同)

拉致の日朝協議で便宜図る 中国李外相が与党幹事長らに

2003/08/12 中国新聞ニュース
 中国の李肇星外相は十二日午前、都内で与党三党幹事長や民主党の菅直人代表と相次いで会談した。

 李外相は与党幹事長との会談で、北朝鮮の核開発問題をめぐる六カ国協議に関連し、日本人拉致問題は日朝間で個別に協議してほしいとの考えを伝えた上で「二国間での交渉は結構で、便宜は図りたい」と述べ、ホスト国として日朝協議を後押しする考えを表明した。

 自民党の山崎拓幹事長は「核開発阻止、ミサイル開発凍結、拉致問題解決の三点セットで協議に臨みたい」と説明。李外相は「一部の国が核以外の問題を提起するとなるとホスト国としてはとてもやりにくい。核問題の平和的解決がメーンと理解してほしい」と強調した。

 李外相は、協議は二十六日にも開始する方向で最終調整していることを明らかにした。

 靖国神社について、李外相は「戦争を指揮したハイレベルの指導者が合祀(ごうし)される事態が続いている。日中関係を傷つけるものではないか」と指摘。山崎幹事長は「中国の考え方はよく理解している。三幹事長で協議して対応する」と述べた。

 また李外相は菅氏に対し、中国国内で被害者が出ている旧日本軍遺棄化学兵器問題について説明。菅氏は「日本の責任だ。適切な治療法などがあれば、政府に働き掛けていきたい」と述べた。

日朝協議:10カ月ぶりに再開へ 拉致問題の先行解決探る

2003年08月11日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 北朝鮮の拉致問題は、核開発問題を話し合う6カ国協議の機会に、日朝2国間で話し合われる公算が大きくなった。水面下の折衝は続いてきたが、実現すれば、公式の日朝協議は昨年10月末に国交正常化交渉が中断して以来、約10カ月ぶりとなる。日本政府は、拉致被害者の家族を返さない北朝鮮に対し強い態度で臨んできたが、核問題が動き出せば、拉致問題は置き去りにされかねないとの懸念は従来からあった。今回、条件を付けずに協議を再開するのは、「拉致問題を核問題より先行させる」戦術に乗り出したといえる。

 福田康夫官房長官は11日、北京市内で「拉致問題での日朝協議」を明言したが、これまでも「核はともかく拉致はいつでも解決できる」(7月7日)「拉致問題は2国間の問題で、核とは切り離していつでも決断できる問題だ」(7月31日)などと述べていた。

 核問題の多国間協議の調整が進むのをにらみ、福田氏は当時から「拉致の先行解決」を視野に入れていたようだ。

 ただ、日朝協議が再開しても、政府内には「拉致交渉」と「国交交渉」をはっきり区別するか、あいまいにしておくか、でなお溝が残る。

 対北朝鮮強硬派の安倍晋三官房副長官は6日、テレビ番組の収録で「国交交渉は大切なテコだ」と述べた。国交交渉再開を北朝鮮への切り札に残しておくため、2国間協議は容認しても、家族の帰国前の国交交渉再開は認めない立場だ。一方、外務省は「フリーハンドを残しておきたい」との立場で、「家族の帰国が国交交渉再開の前提」とは明言していない。

 福田氏は5日の記者会見で「帰国がなければ、国交交渉再開は難しい」と述べて世論に配慮しながらも、「再開の前提条件」と明言はせず、外務省の「あいまい路線」に理解をにじませた。

 自民党の山崎拓幹事長も「帰国問題は国交交渉と切り離すべきだ」(6日)と発言するなど、政府・与党の大勢は柔軟路線に傾いている。【須藤孝】

川口外相、拉致問題で協力を要請 日中外相会談

2003年08月11日 The Sankei Shimbun
 川口順子外相は11日、中国の李肇星外相と外務省で会談した。

 両外相は、北朝鮮の核開発問題をめぐる6カ国協議の成功に向けて日中間で緊密に協力することで一致した。川口外相が北朝鮮による拉致問題の解決に向けて中国側の理解と支持、北朝鮮に対する働き掛けを要請したのに対し、李外相は「日本国民にとって大きな問題であることを理解している」と述べた。

 李外相は6カ国協議の日程について、8月下旬に3日間の日程で北京で開催する方向で調整が進んでいることを説明。「成功のために日本が積極的役割を果たすことを期待している」と強調した。川口外相は6カ国協議に向けて、日米韓が北朝鮮に示す準備をしている包括解決案の事前調整のため13日に協議することを正式に説明。「6カ国協議開催に向けた中国の役割を歓迎し、評価している」と述べた。

 小泉純一郎首相の靖国神社参拝で中断している首脳相互訪問に関して、李外相は「(日中首脳の)相互訪問は行いたいが、日本の指導者による靖国神社参拝により困難がもたらされている」と指摘、早期の首脳相互訪問は困難との認識を示した。

 李外相は、9月1日からの日本人観光客らへの短期渡航の査証(ビザ)免除を表明した。

 李外相は11日午後に小泉首相と会談するほか、中国の閣僚として初めて都内の共産党本部を訪れ、不破哲三議長と日中関係などについて意見交換する予定。

「拉致問題は2国間で」福田長官が北京で会見

2003年08月11日 The Sankei Shimbun
 福田康夫官房長官は11日午前、北京市内のホテルで記者会見し、北朝鮮の核開発問題をめぐり今月下旬に北京で行われる6カ国協議で、日本人拉致問題を話し合う日朝個別協議の設定を準備していることを明らかにした。

 福田氏は「6カ国協議そのものは核問題解決が最重要課題だ。拉致問題の具体的な話し合いは両国間で話し合う2国間会談の形を取らざるを得ない」と述べた。具体的な段取りについては「調整中」と述べるにとどめた。

 日中首脳の相互訪問については「両国首脳が交流しないことは不自然と認識している。できるだけ早く交流できるよう環境づくりに努めたい」と早期の実現を目指す考えを強調した。

 温家宝首相が10日の会談で小泉純一郎首相の靖国神社参拝中止を求めたことについては「小泉首相の心情から出た参拝だから、首相の気持ちも忖度(そんたく)しなければならない。首相に報告していろいろ考える」と述べ、帰国後に首相と協議する意向を示した。

 また福田氏は「それぞれの国の立場、国民の考え方がある。時間が多少かかる問題だと思うので、時間をかけてでもお互いを理解できるよう努めていく課題だ」と述べ、靖国神社参拝問題の解決にはなお時間を要するとの認識を示した。(共同)

「拉致、完全な解決以外にあり得ない」茂木副大臣

2003年08月10日 The Sankei Shimbun
 
 茂木敏充外務副大臣は10日午前のフジテレビ番組で、北朝鮮による日本人拉致事件について「(北京での)6カ国協議でも、もちろん拉致問題を持ち出す。だが基本的に2国間の問題だから、場合によっては違ったチャンネルも使い解決を図る」と述べ、6カ国協議の際に拉致事件に関する日朝協議の可能性も探りたいとの意向を示した。

 同時に「中途半端に5人とか何人(の帰国)で、ある程度の解決をするという解決策はない。全員かえしてもらう。今、分からない人も含めて全部情報を提供してもらうという完全な解決以外にあり得ない」と強調した。

「拉致」で協力要請 福田長官と胡主席会談

2003年08月09日 The Sankei Shimbun
 福田康夫官房長官は9日午後、北京市内の人民大会堂で中国の胡錦涛国家主席と会談し、北朝鮮の核開発問題、日本人拉致問題の対話を通じた平和的解決を目指すことで一致した。

 胡主席は北朝鮮の核問題について「中国は一貫して朝鮮半島の非核化を主張し、対話を通じた平和的解決を希望している」と強調。今月下旬に北京で開催される6カ国協議については「重要な一歩だが道は長い」と述べ、解決には時間を要するとの見解を表明した。

 一方で「北朝鮮の安全への関心を適切に解決することが必要だ」と、北朝鮮が求める体制保証に一定の配慮もみせた。

 福田氏は、6カ国協議開催に向けた中国の努力に謝意を表明。「拉致は頭の痛い問題だが、引き続き中国の理解と支持を期待したい」と要請。胡主席は日朝関係の改善と国交正常化を支持する立場を伝えるとともに、拉致問題についても「対話を通じた解決を支持する」と述べた。

 福田氏は、小泉純一郎首相の親書を「別途お届けしたい」とした上で「日中関係の重要性が増大する中、協力関係の強化に努めたい」と強調。胡氏も「両国関係は、双方にとって最も重要な2国間関係に成長した」と応じた。胡主席は小泉首相の靖国神社参拝問題に言及しなかったが、1972年の日中共同声明など3つの文書を挙げ、「日中平和友好条約などの原則と精神にのっとって努力すれば両国関係はさらに発展するが、そむけば曲折が生じる」と指摘した。

 この後福田氏と会談した呉邦国全国人民代表大会常務委員長(国会議長)は「中国の新指導部は日本との関係を重要視している。歴史を鑑(かがみ)に未来に向けてという精神の下で両国関係を発展させたい」と強調した。(共同)

6カ国協議で拉致解決支援 米政府が協力約束

2003年08月07日 The Sankei Shimbun
 訪米中の茂木敏充外務副大臣は6日、米国務省などの高官と会談し、北朝鮮の核開発問題をめぐる6カ国協議の場で日本人拉致問題の解決に向けた支援を要請、米側は全面協力を約束した。

 副大臣は国務省、国防総省、ホワイトハウスをそれぞれ訪問。国務省では、ケリー国務次官補(東アジア・太平洋担当)に対し「6カ国協議で拉致問題をきちんと取り上げたい」と述べ、次官補も「日本の立場を全面的に支持する。協議での提起に賛同し、支援したい」と応じた。

 同次官補らとの会談では、6カ国協議の前に、日本、米国、韓国の非公式局長級協議を早急に開くことで一致。会談後、記者会見した茂木副大臣は「(日米韓で)一致したメッセージを出せるようにしたい」と述べ、包括解決案で詰めの協議を行う考えを示した。(共同)

「手紙、写真より帰国を」福田長官、政府として強く要請

2003年08月04日 The Sankei Shimbun

 福田康夫官房長官は4日午前の記者会見で、北朝鮮が拉致被害者の子どもの手紙と写真を非政府組織(NGO)に託したことについて「手紙とか写真でなく、5人の子どもが日本に帰国するのが緊急のことであり、政府としてさらに強く要請していきたい」と述べ、拉致被害者5人の家族の帰国を北朝鮮に強く申し入れていく考えを示した。

 福田氏は「写真などによって(子どもが)元気だということが確認されたことはよかった」と表明。一方で「『両親は日本に抑留されている』と聞かされている」との手紙の記述に対し「子どもらが本当にそう思っているのか、もしくは意図的にそういうことにさせられているのか分からない。非人道的なことで、そういう問題は早急に解決したい」と強調した。

「最大限できることやる」被害家族帰国問題で川口外相

2003年08月04日 The Sankei Shimbun
 川口順子外相は4日昼、北朝鮮による拉致被害者家族の帰国問題について「政府として今以上の動きになっていないのはとても残念だ。申し訳ない。最大限できることをやって、一日も早く家族の方に帰っていただけるように努力したい」と述べ、北朝鮮への働き掛けを強めていく考えを示した。

 首相官邸で福田康夫官房長官と会談した後、記者団の質問に答えた。

「親は抑留」「帰国を」 地村さんら手紙内容を公表

2003年08月03日 The Sankei Shimbun
 北朝鮮から非政府組織(NGO)「レインボーブリッヂ」が持ち帰った子供の手紙と写真を政府支援室から受け取った拉致被害者の地村保志さん(48)夫妻=福井県小浜市、蓮池薫さん(45)夫妻=新潟県柏崎市、曽我ひとみさん(44)=新潟県真野町=が3日、それぞれの自宅前などで記者会見、手紙の内容などを明らかにした。

 地村さんの長女(21)の手紙には、両親が日本で抑留されているとの内容が書かれていた。蓮池さんの長女(21)は「北朝鮮に帰って来てほしい」と訴え、曽我さんの長女(20)も「一日も早く会いたい」と書いているという。

 地村さんは会見で、帰国の際に子供たちには「旅行に行く」と伝えたが、長期間帰ってこないことから子供たちが「抑留」との認識を持つようになったのではないか、と述べた。

 しかし、手紙には両親が日本人であることや拉致されたことは書かれていなかったという。

 蓮池さんは会見で「(長女が)北朝鮮に語らされているという印象。残念で強い憤りを感じる。親子のきずなを利用されているような気がしてたまらない」と北朝鮮当局への怒りをあらわにした。写真は計8枚で、長女と長男がおだやかな表情で笑顔を見せているものがあったという。

蓮池さん夫妻:子供の手紙「書かされている印象」

2003年08月03日[毎日新聞]Mainichi INTERACTICVE
 北朝鮮による拉致被害者で新潟県柏崎市の蓮池薫さん(45)、祐木子さん(47)夫妻は3日、自宅で会見し、2日に内閣官房拉致被害者・家族支援室から渡された子供たちの手紙と写真を見て、「『親子のきずな』を確認し、ほっとした反面、『書かされている』印象を持った」と語った。

 薫さんによると手紙の内容は、子供たちが元気で大学に通っていることや生活に不便がないこと、親子としての思い出などで、最後に「帰って来て」と書かれていたという。

 薫さんは「私たちが(日本に)帰国する前の楽しかったことなどがあって、親子のきずなを感じたが、『書かされている』という印象を強く持った」。祐木子さんも「写真を見て元気なことを確認出来てほっとしたが、『やらされている』印象を受けた」と話した。

 薫さんはその理由を、北朝鮮から手紙と写真を持ち帰った人道支援NGO(非政府組織)「レインボーブリッヂ」(本部・東京都中央区)の小坂浩彰事務局長が、「子供たちに会った際『(夫妻は)中国に仕事で出張している』と話した」と言っていた点を挙げた。薫さんは「それなら『元気で仕事を頑張って』となるのが普通で『帰って来て』とは書かない」と不信感を募らせた。さらに「親子のきづなが利用されている気がして、たまらない気持ちで一杯。子供たちが帰国するしかない、という決心を新たにした」と強く語った。

 手紙は朝鮮語で書かれており、大学生の長女(21)の直筆でB5用紙3枚、裏も含めて5ページ分あった。夫妻によると、計8枚の写真はホテルの個室で撮られたと思われ、穏やかな表情で笑っているのもあったという。

 また、北朝鮮が手紙と写真をNGOを通じて渡した点について、薫さんは「(日本政府を通すと)じゃまされるかもしれない、と思ったのではないか」と話した。【田苗学】

子供の手紙と写真届ける 地村さん「髪伸びたなあ」

2003/08/02 中国新聞ニュース

 拉致被害者の政府支援室職員は二日、新潟県柏崎市の蓮池薫さん (45)夫妻と福井県小浜市の地村保志さん(48)夫妻、新潟県真野町の曽我ひとみさん(44)方をそれぞれ訪問。非政府組織(NGO)「レインボーブリッヂ」(東京)が北朝鮮を訪れた際に面会して持ち帰った子供の手紙と写真を手渡した。地村さんらは子供の写真と確認。「髪が伸びたなあ」などと感想を漏らした。

 蓮池、地村両夫妻にとっては、昨年十月に帰国後、初めての便り。手紙はハングルで書かれ、それぞれの家族あての計三通で写真は計約二十枚。

 支援室職員によると、蓮池さん夫妻は、子供たちの手紙や写真に間違いないことを確認、熱心に見入っていたという。

 地村さん夫妻は、便せん三枚と五枚程度の写真を手渡され、その場で手紙を読んだ。妻の富貴恵さん(48)は写真を見て「髪が伸びたなあ」と笑顔を浮かべたが、保志さんは無言。二人は「長女と長男です。筆跡も長女に間違いない」と答えた。

 レインボーブリッヂの関係者が二日午前、支援室を訪れ、手紙と写真を家族に渡すよう職員に託した。支援室の中山恭子内閣官房参与は二日、報道陣から子供たちの帰国の兆候があるかと問われ「確実な情報があるまではぬか喜びはできない」と慎重な姿勢を示した。

 一日に記者会見したレインボーブリッヂの小坂浩彰事務局長によると、七月二十八日に平壌で、蓮池さんの長女と長男、地村さんの長女と長男、曽我さんの二人の娘の計六人と面会。写真を撮影し手紙を預かった。当初、手紙を直接手渡す意向を示していた。

拉致被害者の家族引き渡しと報道 日本政府は否定

2003/07/31 中国新聞ニュース
 【ソウル31日共同】韓国紙、大韓毎日は三十一日付一面トップで、北朝鮮が日本人拉致事件の被害者の家族を間もなく日本へ引き渡すことを日本国内の北朝鮮支援団体に通告したと報じた。同紙は三十一日中に日本政府に公式通告するとした。

 この報道に関連し、自民党幹部は「非公式に伝え聞いていた」と大筋で認めたが、福田康夫官房長官ら日本政府側は「連絡はない」と否定している。

 同紙は、日本国内の北朝鮮消息筋と韓国内の北朝鮮消息筋の複数が確認したとし、北朝鮮は三十日、日本国内の支援団体に対し、蓮池薫さん夫妻と地村保志さん夫妻の家族を間もなく引き渡すとの意向を伝えてきたという。曽我ひとみさんの家族と、横田めぐみさんの娘については言及していないという。

 同紙は「日本国内の北朝鮮支援団体」が具体的にどういう団体か言及していないが、日本国内で北朝鮮に対する人道的支援をしている団体としている。蓮池さん夫妻は二人の子供を、地村さん夫妻は三人の子供を北朝鮮に残したまま昨年十月に日本へ帰国した。

 同紙によると、日本の消息筋は「北朝鮮が彼らを引き渡すことで、日本政府との関係を改善しようとの意向を積極的に示すためのシグナルと受け止められる」と述べたという。

「拉致家族に重大な情報」29日夜、横田さんにNGOが連絡

2003年07月31日 The Sankei Shimbun
 
 北朝鮮拉致被害者の家族連絡会代表の横田滋さん(70)は31日、川崎市内で記者会見し、北朝鮮から帰国した非政府組織(NGO)のメンバーから29日夜に「重大な情報があるので、蓮池薫さん(45)や地村保志さん(48)、曽我ひとみさん(44)の3家族に連絡を取りたい」と電話があったことを明らかにした。

 横田さんは、蓮池さんらにNGOの電話の内容を連絡。NGOには「これまで政府を通じて拉致問題の解決を図っていたので内閣の家族支援室など政府に連絡し内容を伝えるべきだ」と話したという。

 横田さんは「拉致被害者の子供の問題だと直感した」と述べた。NGOは「重大な情報」の具体的内容は説明しなかったが、政府関係者は「NGOは北朝鮮にいる蓮池さんらの子供の手紙や写真も持ち帰った」としている。

 NGOの団体名は公表されていないが、29日夜に北朝鮮から北京経由で帰国した直後に横田さんに電話。3家族と直接連絡が取れ次第、正式に発表する意向だったという。

調査会が失跡者21人公表 3人は「拉致の疑い濃厚」

2003年07月30日 The Sankei Shimbun
 北朝鮮拉致被害者の支援団体「救う会」関連の特定失そう者問題調査会は30日、新たに失跡者21人の実名や写真を公開した。うち3人について調査会は「北朝鮮に拉致された可能性が高い」と指摘している。

 3人は、1973年に東京都目黒区で失跡した埼玉県上福岡市の高敬美ちゃん=失跡当時(6つ)=と弟の剛ちゃん=同(3つ)、79年に不明となった神戸市の元ラーメン店員、金田竜光さん=失跡当時26歳か27歳。

 調査会によると、敬美ちゃんと剛ちゃんは、73年に行方不明になった渡辺秀子さん=当時(32)=の長女と長男。都内の貿易会社に勤務し失跡した在日朝鮮人の父を母と捜し行方不明になった。

 渡辺さんの妹=北海道帯広市=が今年1月、渡辺さんは北朝鮮工作員に殺害され子供2人は北朝鮮に拉致されたとして殺人と国外移送目的略取容疑で氏名不詳の数人を警視庁に告訴した。

 金田さんは、78年に不明となった元ラーメン店員、田中実さん=同(28)=と同じ店に勤務。田中さんについて政府は日朝国交正常化交渉で安否確認を求めている。救う会兵庫県協議会も北朝鮮に拉致されたとして国外移送目的誘拐容疑で在日朝鮮人の男を兵庫県警に告発している。

 金田さんは田中さんが差出人となっている「ウィーンで一緒に働かないか」という手紙を受け取り、準備のため東京に向かい失跡。調査会は「田中さんの名前を使って誘い出された可能性が高い」としている。

 残る18人は59年から2003年にかけ不明になった。調査会は今回の21人を含め165人を公表、うち2人の国内での消息が確認されている。

「拉致事件は現在進行形」蓮池さん夫妻が記者会見

2003年07月30日 The Sankei Shimbun
 北朝鮮による拉致被害者の蓮池薫さん(45)と妻祐木子さん(47)が30日、新潟県柏崎市の海岸から拉致されて25年となる31日を前に同市で記者会見し、蓮池さんは「嫌な思い出で気が重いだけなので、拉致現場に立ったことはない。私にとって事件は現在進行形だ」と述べた。

 蓮池さんは拉致された状況について「たばこの火を貸してくれ、と言ってきた男と、ほかに3人いた。目を殴られ暗くなるのを待ってゴムボートに乗せられた。沖で大きな船に移された」と述べた。

 祐木子さんは「目と口に粘着テープを張られたがすき間があったので、柏崎が遠のいていくのが見えた」と話した。

 また祐木子さんは、北朝鮮で増元るみ子さん=失跡時(24)=と一時生活を共にしていたことを明らかにした。

 北朝鮮に残る子供について蓮池さんは「政治の駆け引きの材料や外交カードになることは許せない」、祐木子さんは「たまらない気持ちになる」と心情を述べた。

 新潟市の在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)に銃弾が撃ち込まれたことに蓮池さんは「暴力には反対。話し合いで解決できる」と話した。

曽我さんの家族支援で会議 新潟・真野町

2003年07月28日 The Sankei Shimbun
 北朝鮮による拉致被害者の曽我ひとみさん(44)が住む新潟県真野町(佐渡)は28日、北朝鮮に残る曽我さんの家族が帰国した際の支援策について話し合う「自立支援カリキュラム作成会議」の初会合を開いた。

 医師や元教諭ら会議の委員7人が出席。町側が支援策を策定する趣旨などを説明した後、委員らが意見交換した。

 同町によると、曽我さんの家族が帰国した場合について、委員からは「しばらくは親子の対話の時間を重点的にとる」「社会に早く溶け込めるよう地域行事に参加してもらう」などの意見が出た。

 同町は今後曽我さんにも会議に出席してもらう方針で、8月中には支援策をまとめる方針。

「田中さん見た」と安氏 日本語教師だったと証言

2003年07月26日 The Sankei Shimbun
 1978年に神戸市の元ラーメン店員、田中実さん=当時(28)=が消息を絶った問題で、北朝鮮の元工作員、安明進氏が26日、「金正日政治軍事大で日本語教師をしていた」と証言した。

 安氏は大阪府高槻市で開かれた「北朝鮮に拉致された日本人・家族を救出する決起集会」で講演。「拉致はテロだ」などと話した後、田中さんについて「今日、初めて23歳ぐらいの時の写真を見たが、100パーセント間違いない」と述べ「今も北朝鮮で日本語教師をしているだろう。皆さんが声を上げれば必ず帰国できる」と訴えた。

 安氏によると、田中さんとみられる男性を見たのは87年から91年1月ごろ。工作員に教えており、安氏も学生の一人だった。30代後半なのに髪もまゆ毛も真っ白で、学生の話題になったという。

 決起集会は、拉致被害者の横田めぐみさん、有本恵子さんの両親も参加した。

拉致被害者:早期救出を求めた署名を提出 家族会など

2003年07月15日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 北朝鮮による拉致被害者家族でつくる「家族会」と支援団体「救う会」のメンバーらは15日、首相官邸を訪れ、政府などに被害者の早期救出を求めるために街頭などで募った141万人の署名を安倍官房副長官に手渡した。署名は、家族会が結成された97年から始まり、これで政府に提出されたのは約315万人分になった。

 官邸を訪れたのは、家族会代表の横田滋さん(70)、妻早紀江さん(67)や事務局長の蓮池透さん(48)ら。横田滋さんは「多くの人が救出を望んでいることが分かります」などと話すと、安倍副長官は「総理に報告します」と述べた。

 家族会などは今月からは、新たに北朝鮮に経済制裁を求める趣旨の署名運動を始めている。【石原聖】

拉致解決で米国も行動決意 福井県知事に駐日大使が書簡

2003年07月09日 The Sankei Shimbun
 福井県は9日、先月フランスで開かれた主要国首脳会議(エビアン・サミット)の議長総括で、拉致問題解決を求める文言が盛り込まれたことへの感謝などを述べた西川一誠知事の書簡に対し、米国のベーカー駐日大使から返礼の書簡が届いたと発表した。

 同大使の書簡は6月24日付。大使は5月に曽我ひとみさん(44)や横田めぐみさん=失跡当時(13)=の父滋さん(70)らと面会しており、書簡は「私自身も拉致被害者と家族の苦境を直接存じ上げている」と理解を示した上で「米政府としても、家族の再会や現在も拉致状態にある被害者の救出に向け行動を起こす決意」と強調している。

 西川知事は、福井県小浜市の地村保志さん(48)夫妻ら拉致被害者が、帰国後に家族と離れ離れになっていることから、一刻も早い問題解決への支援要請も含め、小泉純一郎首相と米国や英国などサミット参加国の各駐日大使に6月6日付で書簡を送っていた。

地村さん夫妻が「七夕のつどい」に参加

2003年07月07日 The Sankei Shimbun

 福井県小浜市の地村保志さん(48)と富貴恵さん(48)夫妻は、北朝鮮に拉致されてから25年の7日、「事件現場」とされる小浜公園展望台近くの広場で開かれた「七夕のつどい」に参加。子供たちへの思いをつづった短冊と千羽鶴をササにくくり、1日も早い再会を祈った。

 夫妻が展望台付近を訪れるのは帰国後初めてだが、現場に立ち寄ることはなかった。

 拉致問題解決を願うブルーリボンがあしらわれた水色の短冊に、地村さんは「遙かなる彼方(かなた)に消える流星 愛(いと)しき子らの安堵(あんど)祈る」と、富貴恵さんは「ひたすらに早く帰れと祈りたる 願いよ届け天の星空」との親心を表現した。

 真っ青な小浜湾が一望できる「星の広場」での集いには、村上利夫市長や市民、姉妹都市の奈良市市議ら支援者計約150人が参加。夫妻は帰国への謝辞を述べた後、「子供の帰国実現という問題と試練がある。希望と勇気を持って頑張る」と支援を呼び掛けた。

 小浜小6年生50人が、願いを託した風船を一斉に放つと、夫妻は手を顔の前で合わせて空を見上げ、富貴恵さんは風船を追いながら、目を潤ませていた。

類似団体名乗り募金活動 拉致家族会が注意呼び掛け

2003年07月06日 The Sankei Shimbun

 北朝鮮による拉致被害者家族会と救う会は6日、東京都内で会見し、「救う会や家族会に似た団体名を名乗って拉致被害者の救出を訴え、街頭で募金活動をしている団体がある。われわれの活動とは違うので注意してほしい」と呼び掛けた。

 両会によると、今年1月ごろから東京都内の繁華街を中心とした首都圏で、4、5団体が募金をしている。駅前や街頭で、救う会や家族会に「集めた金を渡す」と主張しているが、実際に現金が振り込まれたことはなかったという。

子供帰国時の支援策作成へ 蓮池さん夫妻が住む柏崎市

2003年07月04日The Sankei Shimbun
 北朝鮮による拉致被害者の蓮池、薫さん(45)と妻、祐木子さん(47)が暮らす新潟県柏崎市は4日、帰国支援対策会議を開き、北朝鮮に残る蓮池さん夫妻の子供が帰国した際の支援対策を8月までに作成する方針を明らかにした。

 市支援室によると、大学教授や外国人留学生、市民ら委員8人で「自立支援カリキュラム作成会議」を7日に発足させる。会議は7、8月で計4回開き、日本語教育や食事のマナーなど、想定される支援策を討議、蓮池さん夫妻も同席する。

地村さん夫妻が会見 子供の帰国は「人道的解決を」

2003年07月03日 The Sankei Shimbun
 北朝鮮による拉致被害者、地村保志さん(48)と富貴恵さん(48)夫妻が3日、事件から25年の7日を前に福井県小浜市で記者会見し、北朝鮮で生活する3人の子供の帰国について地村さんは「日朝間の政治問題でなく、人道的に早く解決してほしい」と訴えた。

 地村さんは子供たちの現状について「政府から情報はなく分からないが、安全な状態にいると思う」と述べ、富貴恵さんも「1日も早く会いたい。子供も不安と思うが、親子のきずなは切れない。もう少し我慢してほしい」と親心をのぞかせた。

 7日に拉致現場とされる小浜公園展望台で行われる「七夕のつどい」への参加について地村さんは「現場へ行くのは戸惑いもあるが、子供の帰国を願う集いに当事者として参加すべきだと思った」と説明。富貴恵さんは現場を「嫌な思い出の場所」と表現した。

 帰国までの24年を地村さんは「今から取り戻すのは難しいブランク」と無念さをにじませたが、市役所への就職で「(拉致前の)自分を取り戻しつつある」。福井県の出先機関に勤務する富貴恵さんも「帰国できたのは今も夢のよう。就職で生きがいを感じる」と笑顔を見せた。

拉致問題:家族帰国打診の観測広がる 北の揺さぶりか

2003年06月28日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 核問題をめぐり国際的包囲網にさらされている朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が、外交的行き詰まり打開のため拉致被害者5人の家族の条件付き帰国を日本に持ちかけてくるのでは、との観測が政府内に浮上している。今月、複数の政府関係者が「拉致問題で動きがあるかもしれない」と示唆。北朝鮮との交渉経験を持つ自民党の中川秀直国対委員長も「9月までに、5人の家族の問題で北朝鮮は変わりつつあるシグナルを送ってくるのではないか」(7日)と見通しを語った。9月は小泉純一郎首相が再選を目指す自民党総裁選がある。外務省は帰国情報を否定するが、拉致問題の行方は政局動向とも無関係ではない。

 安倍晋三官房副長官は15日、盛岡市での講演で「金正日総書記が劇的な政策転換を行う可能性は十分ある」と発言、注目された。政府関係者も同じころ、家族帰国について「可能性はある。北朝鮮は食糧や援助とのバーター(取引)を考えている。もちろんこちらは応じないが」と説明。北朝鮮が家族を「返したがっている」との認識を示した。別の高官も「拉致問題が動く雰囲気がある」と認めた。

 中川氏は講演で、北朝鮮が米国議員団に「拉致問題で日本政府が満足いく答えを考えている」と述べたことなどを指摘。「9月17日の小泉訪朝1周年までに、たぶんシグナルを送ってくる」との予測を示した。

 こうした中、政府関係者は26日、家族帰国の条件として「北朝鮮が、強硬派の安倍晋三官房副長官の交代と対話派の田中均外務審議官の留任を求めているという情報がある」と明かした。経済協力などの見返りを得ようと狙う揺さぶりとの見方が強いが、家族の帰国実現は政権には大きな得点となるため政局の思惑も絡みやすく、展望を不透明にしている。

 北朝鮮が「軟化」するのでは、との観測は、主要国首脳会議(エビアン・サミット)での議長総括など国際会議の文書に「拉致問題」が盛り込まれ、北朝鮮包囲網が構築されたことも大きい。外務省幹部は「北朝鮮は核と切り離した拉致カードをもはや使えない」と指摘、拉致問題で日本と米韓との離反を図るのは困難とみている。

 いずれにせよ、5人の家族帰国の打診が北朝鮮からあったとしても、すぐ実現する可能性は低いとみられる。多国間協議で核・ミサイルや拉致問題を包括的に解決する、というのが日本の立場。政府関係者は「核が前進しそうな時に、日本は拉致があるからと反対できるか」(同省幹部)とジレンマを語る。

 一方、ブッシュ米大統領は5月の日米首脳会談で「拉致された日本国民の行方が一人残らずわかるまで日本を支持する」と表明したが、拉致問題の「解決」とは何を指すのか、定義は政府内でも定まっていない。日本にいる5人のほか、北朝鮮が死亡したと発表した8人は信ぴょう性に疑義が出ており、日本が改めて確認を求めることが必要になる。他に多くの拉致被害者がいるとされている問題もある。

 北朝鮮問題にかかわる政府関係者は「5人の家族だけ返して終わり、と言われてものめない」と語るが、その一方で「結局は、(北朝鮮が)包括的解決に応じるかどうかだ」とも語るなど線引きはあいまいだ。【及川正也、須藤孝】

黄長Y元書記らと面会 訪韓中の拉致被害者家族

2003/06/25 中国新聞ニュース
 【ソウル25日共同】韓国を訪れている拉致被害者家族連絡会の横田滋代表や拉致議連の平沢勝栄衆院議員らが二十五日、ソウル市内の金泳三・元大統領宅を訪れ、応接室で元大統領のほか北朝鮮から韓国に亡命した黄長Y・元朝鮮労働党書記と面会した。

 午前十一時すぎから二人と会った横田代表は、緊張した表情で黄元書記らと握手。金元大統領は「娘さん(めぐみさん)が死亡したというのはうそです。生きていると思います」と語り、横田代表も「私たちも生きていると信じています」と応じた。

 同席した拉致議連メンバーによると、北朝鮮が「死亡した」としている拉致被害者について、黄元書記は「全員があんな形で死んでしまうとは思えない」と述べ、懐疑的な見方をしたという。

 黄元書記は最近、訪米に向けて旅券申請の手続き中で、日本を訪れたいとの意向も示している。元大統領は「(元書記は)北から亡命した中で最高の責任者。たくさんのことを知っている」と述べ、日本や米国への訪問を積極的に推進すべきだとの考えを示した。

 面会は、金元大統領が黄元書記に、家族連絡会や拉致議連が望んでいると伝え、実現した。

 横田代表らはこの後、ソウル市内で記者会見し、韓国側の拉致被害者家族らとの交流や協力など二十三日から三日間にわたった訪韓中の成果などを語り、二十五日夕の航空機で帰国する。

日韓の国会議員、拉致問題で初協議

2003/06/24 読売新聞 Yomiuri On-Line
 【ソウル=岡部匡志】北朝鮮による拉致被害者家族に同行して、ソウルを訪問している拉致議連の一行4氏が24日、韓国の国会議員4人と懇談会を開き、拉致問題の解決に向け、今後、両国の国会議員が協力していくことを確認した。日韓の国会議員が拉致をテーマに協議するのは初めてという。

 あいさつに立った平沢勝栄衆院議員(自民)が、「一緒に戦う仲間ができてうれしく思う」と語ると、韓国の李仁済議員は「韓国政治はこれまで拉致を後回しにしてきたが、今後は日韓両国が共同で拉致被害者の人権を取り戻す活動を進めたい」と述べた。

拉致被害:日韓の家族の会が集会 横田滋さん「応援に来た」

2003年06月24日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 【ソウル石原聖】北朝鮮による拉致被害者家族でつくる家族会のメンバーは24日、訪問先の韓国・ソウル市内で、同国の拉致被害者家族と合同で集会を開いた。日韓の被害者家族が連携を強化し、両国政府や国際社会が北朝鮮に強い姿勢を取ることなどを求める声明を採択した。

 集会は朝鮮戦争(1950〜53年)が始まった25日に合わせて開かれ、プレスセンタービルの会場に約150人が集まった。韓国の拉致被害者の2家族会の代表があいさつした後、横田めぐみさん(行方不明時13歳)の父で家族会代表の横田滋さん(70)が「政府や議員の支援、世論の高まりもない韓国の被害者家族の応援に来ました。(集会が)被害者救出の機運になってほしい」と述べた。

 日本側は家族が拉致された状況や現在の救出活動などを紹介。増元るみ子さん(同22歳)の弟照明さん(47)は「拉致というテロをする国家を支援すべきではない」と述べた。田口八重子さん(同)の兄飯塚繁雄さん(65)は、妹が87年の大韓航空機爆破事件の犯人、金賢姫・元死刑囚の教育係とされたことを「妹は加害者ではなく被害者」と述べたうえで「国民の盛り上がりが国を動かす」と呼びかけた。

 韓国側の被害者家族が、北朝鮮で生存している父親にあてた手紙などを読み上げるなどした後、▽北朝鮮に拉致された被害者や、死亡した被害者の遺骨の返還▽国連などが拉致の真相調査と解決に乗り出す――などを求める4項目の声明を採択。同ビル前で、声明を読み上げながらシュプレヒコールをした。

日韓拉致被害者の連帯訴え 横田さんらがソウルで会見

2003年06月23日 The Sankei Shimbun
 北朝鮮によって拉致された日本と韓国の被害者の家族や支援者が23日、ソウル市内のホテルで共同記者会見し、拉致被害解決のため、日本と韓国の被害者団体などが連帯を強化していく必要があると訴えた。

 北朝鮮による拉致被害者家族連絡会の横田滋代表は「韓国での拉致被害は、数においても日本以上に深刻だが、今回の訪韓で日韓の拉致被害者の連帯を一層強めることを確認したい」と語った。妻早紀江さんは「このむごい人権じゅうりんに長い間耐えてきた韓国の人たちに心から同情する」と述べた。

 同会の増元照明事務局次長は「韓国政府は拉致問題に冷たいと聞いているが、この問題は政治問題ではなく人権問題だ」と強調した。

 韓国の「拉北者家族協議会」の崔祐英会長は「1999年に日本へ行って横田めぐみさんのオモニ(母)の涙を見て、韓国でも家族の会をつくる必要性を感じた」と語り、北朝鮮が拉致した人の生死を確認して送還することや韓国の盧武鉉大統領が韓国人の拉致被害について立場を明らかにすることなどを求めた。

 日韓の拉致被害者は24日ソウルで「拉致された人たちの送還を求める韓日共同大会」を開催する。(共同)

拉致事件:韓国の被害者、休戦後は486人

2003年06月23日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 韓国の拉致被害者は、朝鮮戦争中と同戦争以降に大別される。韓国の政府系シンクタンク「統一研究院」の「北朝鮮人権白書」によると、1953年の同戦争休戦以降に拉致されたのは3756人で、帰国していない486人を韓国政府は被害者と認定している。

 435人が海上で拿捕(だほ)された漁民で多数を占める。12人は海外での被害者で、69年に起きた大韓航空機ハイジャック事件で北朝鮮に残された乗客・乗員12人も認定されている。

 一方、同戦争中の被害者は、被害者家族で「韓国戦争拉致被害者家族協議会」によると、約8万3000人に上るとされるが、政府は被害者として認定していない。

 韓国では拉致への関心が日本ほど高くなく、被害者家族協議会ができたのは00年になってからだ。被害者は、北朝鮮で教育を受けて対南工作員になるとの見方が強く、当局の監視を受けることを避けたい家族が声を上げづらかったことや、韓国政府も北朝鮮を刺激することを避けるため、積極的に拉致問題を取り上げてこなかったことなどが理由とされる。

北朝鮮による拉致に抗議 ベトナム

2003年06月13日 The Sankei Shimbun
 
 ベトナム外務省のファン・トゥイ・タイン報道局長は13日、北朝鮮による日本人らの拉致事件について「ベトナムの基本的観点は、すべての拉致に抗議することにある」と論評した。  ベトナムは4月、国連人権委員会の事件解決を求める決議採択に際しては反対票を投じていた。日本はじめ各国の働き掛けを受けて方針転換した可能性がある。(共同)

寺越武志さん:叔父の遺骨持ち帰りへ 母友枝さん訪朝で

2003年06月09日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 40年前に日本海で行方不明になり、今は北朝鮮の平壌で暮らす石川県出身の寺越武志さん(53)の母友枝さん(72)=金沢市=が12日から1週間の日程で訪朝し、武志さんとともに行方不明となった叔父の昭二さん(当時36歳)と外雄さん(同24歳)の遺骨を持ち帰ることになった。昭二さんの長男、寺越昭男さん(53)は9日、「遺骨を持ち帰るなら公的な機関に受け取ってもらい、政府にDNA鑑定を依頼したい。遺骨が間違いないなら受け取りたい」と話した。

 友枝さんは今回が18回目の訪朝で新潟空港からウラジオストク経由で平壌に向かう。【曽根田和久、浜本年弘】

拉致被害者:経済制裁に重点 救う会が幹事会

2003年06月05日 [毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 北朝鮮による拉致被害者を支援する「救う会」(佐藤勝巳会長)は7日、東京都内で幹事会を開き、今年下半期の活動方針を決めた。これまで行ってきた拉致問題への理解を求める署名活動などは使命を終えたとして、「拉致はテロ」との立場から問題解決のために北朝鮮に対する経済制裁を訴える運動を中心に、署名活動や関係機関への要請などを展開する。

 エビアン・サミット(主要国首脳会議)の議長総括に拉致解決が盛り込まれ、小泉純一郎首相が「拉致はテロ」という認識を示すなど状況の進展をふまえて決めた。

 経済制裁は現行法の枠内で可能な限り北朝鮮への人、物、金の流れを制限するよう関係機関に促す。さらに新たな法整備を政府、与野党に求める。【和泉かよ子】

政府、拉致決議反対国に遺憾の意

2003年06月05日 The Sankei Shimbun
 外務省の矢野哲朗副大臣は5日午後の記者会見で、国連人権委員会が4月に採択した北朝鮮による拉致問題解決を求める決議に反対投票したマレーシアやベトナムなど計10カ国に対し、日本政府として遺憾の意を伝えたことを明らかにした。  矢野氏によると「日本政府はこの決議を極めて重視している。今後国際的な場において引き続き拉致問題を取り上げていく考えで、その際には日本の主張に積極的に対応することを希望する」などと申し入れた。

 これに対し、一部の国からは「拉致問題に反対したのではなく、各国の抱える人権問題が国際的な場で取り上げられることに反対した」などと説明があったという。

北朝鮮、拉致で何らかの対応用意 米議員団に語る

2003年06月04日 The Sankei Shimbun
 米議会代表団として北朝鮮を訪問、白南淳外相らと会談したウェルダン米下院議員(共和党)は3日、日本人拉致問題で北朝鮮側が「日本政府を満足させるため何かしなければならないことは分かっており、それをする用意がある」と語っていたことを明らかにした。

 ワシントン郊外のアンドルーズ米空軍基地で記者団と会見した同議員によると、一連の会談の中で「問題解決に向けた具体的な中身には入らなかったが(拉致問題を)課題の一つとして取り上げた」ものの、北朝鮮側は具体的対応については言及しなかったという。

 同議員らは今後、ホワイトハウスや国務省に対して訪朝結果を報告、その中で拉致問題についても触れるとの見通しを示した。

 議員団は5月30日から3日間訪朝、白外相のほか金桂寛外務次官らと会談した。(共同)

拉致問題を初めて明記 議長総括、サミット閉幕

2003/06/03中国新聞ニュース
 【エビアン(フランス)3日共同=川上高志】フランスで開かれていた主要国首脳会議(エビアン・サミット)は三日午前(日本時間同日午後)、「議長総括」を採択して閉幕した。議長総括は、北朝鮮の核開発と拉致問題の平和的、包括的解決の努力を支持することを明記、拉致問題を初めて盛り込んだ。イランの核開発に関してもG8宣言で懸念を表明したことをあらためて確認した。

 イラク復興問題では、国連安保理の対イラク経済制裁解除決議の採択を歓迎、二十四日にニューヨークの国連本部で開かれる復興支援会議での成果に期待を示した。

 経済問題では、首脳会合で世界的にデフレ懸念が強まる中、各国が国内の経済構造改革に取り組む決意を表明したのを受け、「力強い世界経済の成長の可能性を信頼する」との認識を表明した。ただブッシュ米大統領が「強いドル政策」を強調した為替問題への言及はなかった。

 新型肺炎(SARS)にも国際協調態勢で取り組むことも盛り込んだ。

 イラク戦争後初めてG8首脳が一堂に会し、開戦の是非で生じた米欧の亀裂修復が課題となった今回のサミットだが、国際協調体制の再構築に明確なメッセージは出せず、米国の「一国主義」が強まる中で存在意義を問われた。

 サミットは二日目途中でブッシュ米大統領が中東訪問のため退席。一方、シラク大統領の招待で中国の胡錦濤国家主席が初めて関連行事に参加。G8首脳と発展途上国首脳との対話を開催してサミット参加を拡大するなど、変容を印象づけた。

北朝鮮問題:家族全員の帰国が交渉再開の前提 安倍官房副長官

2003年06月01日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 安倍晋三官房副長官は1日、テレビ朝日の番組で、北朝鮮との国交正常化交渉について「拉致被害者5人の家族を全員、日本に連れてきてから再開させる。そのことは向こう(北朝鮮)側には言っている」と述べ、家族全員の帰国が交渉再開の前提条件との考えを示した。また「(交渉再開に向け)水面下ではいろいろやっている。しかし、(北朝鮮の提案に)こちらが乗るかもしれないと見られれば、つけいるすきを与える」と指摘した。【須藤孝】

拉致解決、各国に協力要請へ 小泉首相

2003年05月30日The Sankei Shimbun
 小泉純一郎首相は30日、ロシアに向かう政府専用機内で同行記者団と懇談、北朝鮮問題について「核問題に焦点が当てられがちだが、日本にとっては拉致問題も重要だ」と述べ、主要国首脳会議(エビアン・サミット)で拉致問題解決に向け、各国首脳の理解と協力を強く訴える考えを表明した。

 北朝鮮の核開発問題については「平和的、外交的解決を目指す日本の基本姿勢をサミットの場でも理解されるように説明したい」と強調。31日に会談する中国の胡錦涛国家主席に対し「北朝鮮問題で中国の協力を求めたい」と述べ、北朝鮮への中国の影響力行使に強い期待を示した。

 日中首脳会談に関しては「この会談を契機に(一層の)日中交流、日中友好を目指す」と述べ、自らの靖国神社参拝でぎくしゃくした日中関係の再構築を図りたいとの考えを強調。新型肺炎(SARS)など感染症対策で両国が連携を強化する必要性を指摘した。

 サミットについては「一番強調すべきことは、国際協調体制の重要性だ」として、イラクへの武力行使をめぐって生じた米英とフランス、ドイツ、ロシアの対立解消に向け努力したいとの意向を示した。(共同)

 小泉純一郎首相の政府専用機内での懇談要旨は次の通り

 【主要国首脳会議(エビアン・サミット)】イラク、北朝鮮、世界経済、テロ対策、中東和平の問題など幅広い議題がある。一番強調すべきことは、国際協調体制の重要性だ。イラク開戦前は国連で意見が対立したが、戦闘が終わり安全保障理事会で対イラク経済制裁解除決議が採択された。各国が国際協調の重要性を認識している。日本の立場を十分理解してもらえるよう、よく話し合いたい。

 【北朝鮮問題】拉致と核開発問題は、一緒に解決しないといけない。そうでない限り、日朝国交正常化はない。核問題に焦点が当てられがちだが、日本にとっては同じように拉致問題も重要だ。ロシア、中国との首脳会談でも日本の立場を説明する。平和的、外交的解決を目指す日本の基本姿勢にサミットの場でも理解を求めたい。

 【日中首脳会談】ことしは日中平和友好条約締結二十五周年の節目。今回の会談は大変大きな意味を持つ。この会談を契機に(一層の)日中交流、日中友好を目指す。胡錦涛国家主席との会談では、北朝鮮問題で中国の協力を求めたい。新型肺炎(SARS)問題は、中国一国の問題ではなく、世界経済に与える影響も大きい。感染症対策でも日中が協力できる分野が多くある。(共同)

田中審議官らの更迭要求 拉致家族会と「救う会」

2003年05月29日The Sankei Shimbun
 北朝鮮拉致被害者の家族連絡会と支援団体「救う会」は29日未明、外務省の田中均外務審議官と平松賢司北東アジア課長を更迭し、北朝鮮問題担当から外すよう求める声明を発表した。

 田中審議官は、小泉純一郎首相が先の日米首脳会談で北朝鮮の核開発問題に関し「対話と圧力が必要」と述べた発言をめぐり、記者への説明資料から「圧力」の文言を削除したとされる。

 声明は、田中審議官が北朝鮮要人と内通しているとして「日米首脳が経済制裁などの圧力行使で北朝鮮に立ち向かうことを妨げた」と主張。

 また、平松課長が3月の国連人権委員会作業部会に「(拉致問題で)新たな情報はない」などと短い回答を提出したことを「おざなり」と批判し「両氏の行動は拉致被害者と家族に対する敵対行為と言わざるを得ない」としている。

政府の責任、連れ戻す 拉致問題で中山内閣官房参与

2003年05月26日The Sankei Shimbun
 中山恭子内閣官房参与は26日、都内のホテルで講演し、北朝鮮に残された拉致被害者5人の家族について「日本政府が北朝鮮にしっかり要求して連れ戻さなければ戻らない」と述べ、政府が責任を持って交渉に当たる考えを強調した。同時に、被害者の関係者らが北朝鮮に行って説得して連れ戻すのは不可能との見方を示した。

 さらに中山氏は、政府の拉致問題への取り組みについて「もっと早い段階から当事者意識をしっかり持って動くべき問題ではなかっただろうか」と指摘し、政府の姿勢に問題があったとの認識を示した。

 また、拉致被害者の横田めぐみさんの娘キム・ヘギョンさんが、昨年9月に訪朝した政府調査団に「(将来は)医者になりたい」と話していたエピソードを紹介。「(朝鮮労働)党の働き手になりたい」と答えた同年10月放送のテレビ番組でのインタビューの様子が、実際に会ったときの印象と比べて「全く違ってびっくりした」と述べた。

田口さん救出求め署名活動 拉致問題で埼玉の兄ら

2003年05月25日The Sankei Shimbun
 北朝鮮による拉致被害者で「死亡」とされた田口八重子さん=失跡当時(22)=の兄、飯塚繁雄さん(64)と進さん(61)らが25日、田口さんの実家がある埼玉県川口市で、署名活動を行い救出を訴えた。

 田口さんは1978年に拉致され、大韓航空機爆破事件の実行犯、金賢姫元工作員の教育係をしたとされる。

 署名活動は「田口さんは生きている」として親族や地元住民らで作る「田口八重子を救う会」が主催。早期救出を求め3月から毎週、署名活動をしており、この日は最終日。これまでに約1万5千人が署名したという。

 午後1時すぎから繁雄さんや進さんらが協力を訴えると、約1500人の署名が集まった。進さんは「今後は市に協力を要請し、活動を広げたい」と話した。

拉致議連、北への経済制裁法案を討議

2003年05月20日The Sankei Shimbun
 超党派の拉致救出議連は20日、衆院議員会館で総会を開き、議連のメンバーらが検討中の、日本単独で北朝鮮への経済制裁ができることを新たに盛り込む外為法改正案について討議し、今国会での成立を目指すことを確認した。

 また訪米する小泉純一郎首相に、拉致問題を核開発問題と同等に扱うことなどを求める要請書を提出することを決めた。

 総会には自民党のほか保守新党や自由党、民主党の議員らが出席。

 改正案は、現行の外為法では不可能な日本単独の判断による北朝鮮への送金や貿易の停止ができる条項を盛り込んでおり、議員立法を目指しているメンバーの議員らが出席者に説明した。

曽我ひとみさんが朝日新聞に抗議 差出人住所を報道

2003年05月13日The Sankei Shimbun
 北朝鮮による拉致被害者の曽我ひとみさん=新潟県真野町=は14日午後、北朝鮮の家族から届いた手紙の差出人住所を朝日新聞社が報道したことについて「ファイルを無断で盗み見て一切了解を取らないまま掲載した」として、政府の拉致被害者・家族支援室を通じ、朝日新聞社に謝罪を求める抗議文を提出した。

 抗議文で曽我さんは「朝日新聞社の記者が真野町の拉致被害者・家族支援室長が持っていたファイルを無断で盗み見て、手紙の送り人の住所を確認し、記事として掲載した」と取材方法を問題視。「この報道と、その後に起きることなどにより今後、私からの手紙が届かなくなったり、それ以外の不利益が生じた場合、どのような責任を取るのか」と追及している。

 その上で、納得できる回答と謝罪があるまで、朝日新聞記者が曽我さんの共同記者会見に参加することを拒否する、と通告している。

 朝日新聞社広報部は「配慮が足りず、心労をおかけしたことを申し訳なく思っている」とのコメントを発表。データベースや電子メディアから住所部分などを削除する措置を取った、としている。取材方法について同広報部は「ニュース源の秘匿にかかわるので、厳正に調査した上で答える」と明言を避けた。

北朝鮮対応で意見割れる 憲法調査会の金沢公聴会

2003年05月12日The Sankei Shimbun
 衆院憲法調査会(中山太郎会長)は12日午後、金沢市で地方公聴会を開き石川、福井両県の公募で選ばれた5人が意見陳述した。今回焦点が当たった北朝鮮による拉致問題をめぐっては意見が割れた。

 「救う会」副会長の島田洋一福井県立大教授は「解決には金正日体制が倒れないとだめ。期限を決めて話し合い(前進しなければ)、経済的に締め付けて北朝鮮の内部崩壊を待つべきだ」と経済制裁の必要性を強調した。

 これに対し、弁護士の岩淵正明氏(金沢弁護士会)は「経済制裁すれば北朝鮮は宣戦布告とみなすと発言しており、軍事的緊張をもたらす」と指摘。「憲法は軍事力によらない紛争解決を求める精神を貫いている」と述べた。弁護士の松田智美さん(同)も「あくまでも話し合いで解決すべきだ」と主張した。

 鴨野幸雄金沢大名誉教授(憲法)は「北東アジアで(政府が)平和的措置をとってきたか」と政府を批判。金沢市の無職山本利男さんは、憲法前文が「(国民の)安全と生存を他国に委ねるという考え方は、国民を根無し草にしている」として、前文の一部削除を主張した。

 新潟県柏崎市の拉致被害者蓮池薫さんの母親ハツイさんも意見陳述者に決まっていたが、実母の死去で欠席。公募の際に提出した「拉致は基本的人権の侵害の極み」などとする意見を事務局が読み上げた。

「本当に苦労をお掛けした」官房長官が拉致被害者と初の面談

2003年05月08日The Sankei Shimbun
 福田康夫官房長官は8日午前、首相官邸で蓮池薫さんら拉致被害者5人や、横田滋さんら被害者の家族会メンバーらと面談した。

 福田長官は「本当に苦労をお掛けした。この苦労を本当の喜びに変えなければならない。政府を信用していただきたい」と24年間の苦労をねぎらった。

 さらに7日の国民大集会に触れ「日本国民が皆さんの思いに共鳴したと思う。こうした努力が結実するよう政府も皆さんと心を合わせてやらせていただきたい」と述べ、拉致事件の全面解決に全力を挙げる意向を伝えた。福田長官が拉致被害者と面会するのは初めてで、安倍晋三官房副長官、中山恭子内閣官房参与も同席した。

 福田長官は、日本人拉致事件をはじめとする北朝鮮問題への政府の取り組みについて説明。拉致被害者らは、事件の早期解決を要請し、北朝鮮にいる家族を一刻も早く日本に連れてくるよう求める意向。家族会側は、死亡とされた8人の安否確認を求め、北朝鮮に誠意ある対応がない場合は経済制裁を実施するよう要請する見通しだ。

 福田長官が家族会メンバーと会うのは、昨年9月17日の小泉純一郎首相の北朝鮮訪問の際、外務省飯倉公館で拉致被害者の生死を伝えて以来。

 家族会によると、今回の面談は当初、拉致問題の担当者の安倍副長官と中山参与が出席する予定だったが、福田長官が同席を希望し実現した。

「家族との再会実現を」拉致事件解決へ大集会

2003年05月07日 The Sankei Shimbun
 北朝鮮拉致被害者の家族連絡会や支援団体「救う会」は7日、東京・有楽町の国際フォーラムで5000人規模の「国民大集会」を開き、曽我ひとみさん(43)ら被害者5人が「国民の強い力で(北朝鮮に残した)家族との再会が実現することを信じています」とあいさつした。

 昨年10月に5人が帰国してから初めて開かれた大規模な集会で、石原慎太郎東京都知事や安倍晋三官房副長官、韓国の被害者家族も出席した。

 横田めぐみさん=失跡当時(13)=の父で家族会代表の滋さん(70)は「拉致問題は解決済みという北朝鮮の主張を打ち破るため、拉致の真相を理解してほしい」と訴えた。

 蓮池薫さん(45)は「意思に反して拉致された以上、日本にとどまり子供たちを待つのは当然だ」と強調。妻、祐木子さん(47)も「今度東京に来るときは必ず子供たちを出迎えられるよう祈っています」と話した。

 地村保志さん(47)は「日本政府の責任ある対応で問題が早期に解決することを信じている」。妻、富貴恵さん(47)は「子供たちへの思いは募るばかり。早く会わせてください」と訴えた。

 ほかの4人が子供たちとの再会を訴えたのとは対照的に、曽我さんはいまだに消息が分からない母、ミヨシさん=同(46)=を思いやり「母の生存を信じ、家族の一人として来ました」と述べた。

 安倍副長官は「拉致問題は安全保障上の問題。日本政府は決して日本人を見捨てない。北朝鮮の指導者の耳にも必ず(皆さんの声を)届ける」と話し、石原知事は「解決には経済制裁が必要だ」と述べた。

拉致事件:日韓の被害者家族らが懇談 連携誓い合う

2003年05月06日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 北朝鮮による拉致事件で、家族会のメンバーらと韓国の被害者家族らが6日、東京都内で懇談した。両国の家族らは「国は違っても拉致被害者の悲しみは同じ。お互いの家族が帰って来られるよう手を携えてがんばろう」と連携を誓い合った。

 日本側から、横田めぐみさん(行方不明時13歳)の父滋さん(70)ら8家族14人が出席。韓国側からは、家族会などが被害者救出のための世論を高めようと都内で7日に開く「国民大集会」に参加するため来日した6家族7人が出席した。韓国の家族からは「韓国では、日本ほど拉致問題への関心を呼ぶことが出来ていない。救出の声が高まるまで助けてください」などの意見が出た。

 懇談後、横田滋さんは「(韓国で世間の関心が低いのは、日本で)家族会を結成した当時と同じ状況。一緒に行動して助けたい」と話した。

 救う会によると、朝鮮戦争休戦後に韓国政府が拉致と認定したのは486人、戦争中に拉致されたのは8万3000人に上るという。 【石原聖】

「拉致解決」に北の反応なし 官房長官とケリー氏会談

2003年04月26日 The Sankei Shimbun
 福田康夫官房長官は26日午後、北朝鮮の核問題をめぐる米朝中3カ国協議に出席したケリー米国務次官補(東アジア・太平洋担当)と都内の米大使公邸で会談し、協議内容の説明を受けた。

 ケリー氏は北朝鮮から「寛大な解決方法」とする新提案があったことを認め「さらに研究が必要だ」と検討を表明。米側が人権問題改善の必要性に言及し「日本人拉致事件も重要な問題だ」と早期解決を求めたが、北朝鮮側から特段の反応はなかったと説明した。

 ケリー氏は福田氏に、北朝鮮の核兵器保有など一連の発言を「注意深く分析し、次回会合を開くかを含めて慎重に検討」する米政府方針を強調。双方は北朝鮮側の真意を見極めた上で5月にもソウルで日米韓政策調整会合(外務省局長級)を開催し、対応策を協議することで一致した。

 ケリー氏の説明によると、3カ国協議で米国はウラン濃縮やプルトニウム抽出による「すべての核兵器開発計画の完全かつ不可逆的な撤廃」を要求。中国も朝鮮半島の非核化支持を強調したが、北朝鮮側は米国の敵視政策転換と体制保証の必要性を強調するなど「原則的立場」を述べ合った。

 米側は「多国間協議への日韓の早期参加が重要だ」とも指摘したが、北朝鮮から明確な態度表明はなかったという。

 福田氏は対話継続を求める日本の立場を説明。双方は問題の平和的解決を目指し、日米韓が緊密に連携しながら北朝鮮に「国際社会の一員として責任ある対応」を促すことを確認。中国に北朝鮮への働き掛けを含めて協力を求めていくことでも一致した。

 会談には薮中三十二アジア大洋州局長ら外務省幹部が同席。ケリー氏は26日午後に来日、数時間の滞在で離日した。

「拉致解決の糸口を」 横田滋さんが帰国

2003年04月23日 The Sankei Shimbun
 北朝鮮拉致問題への理解を訴えるため、訪米していた横田めぐみさん=失跡当時(13)=の父、滋さん(70)らが23日帰国。成田空港で記者会見し、同日始まった米朝中協議について「今回は核問題だけで終わることも考えられるが、今後は拉致問題も話し合い、解決の糸口をつかんでほしい」と述べた。

 一行は滋さん、めぐみさんの弟哲也さん(34)と、拉致被害者の松木薫さん=失跡当時(26)、市川修一さん=同(23)=の家族。

 家族らは「(「拉致はテロ」との訴えに理解を示した)アーミテージ米国務副長官を信じている」と期待をにじませた。

拉致被害者消息調査で安倍氏が外務省の対応批判

2003年04月21日 The Sankei Shimbun
 安倍晋三官房副長官は21日昼、国連人権委員会の北朝鮮拉致被害者の消息調査に外務省が「新しい情報はない」などと短い回答しかしなかったことについて、同省の平松賢司北東アジア課長を首相官邸に呼び、外務省の対応を批判、回答の書き直しを指示した。

 平松氏は安倍氏に、対応の不備を謝罪。その後、記者団に対し「今回、新しい情報をさらに提供すべく現在作業をしている」と述べ、昨年11月、拉致被害者の松木薫さんの遺骨とされたものが別人のものだったケースなど詳細について、追加作業をしていることを明らかにした。ただ、短い回答しか出さなかったことについては、「省内ではちゃんと議論をやっていた」と述べた。

 これに関連し、福田康夫官房長官は同日午前の記者会見で外務省から、「十分に情報提供しているので、今回、重ねて言うことはない」との説明を受けたことを紹介した上で、「いい、悪いと判定を下すような立場にない」と述べ、判断を避けた。

拉致で日系人博物館長に協力要請 渡米の家族会

2003年04月19日 The Sankei Shimbun
 北朝鮮に拉致された横田めぐみさん=失跡当時(13)=の父で訪米中の横田滋さん(70)ら家族連絡会の一行は18日、ロサンゼルスの全米日系人博物館を訪ね、アイリーン・ヒラノ館長に拉致問題解決への協力を要請した。

 家族会代表の横田さんが「私の娘は25年前に北朝鮮に拉致された。お力添えをお願いします」と訴えると、ヒラノ館長は「拉致問題は世界の人々が知らなければいけない事件。博物館はさまざまな機会を利用してこの問題を取り上げたい」と支援を約束した。

 同行した松木薫さん=同(26)=の姉、斉藤文代さん(57)は「博物館に展示されている日系人の苦労の歴史を見て勇気がわいてきました」と話した。

 同博物館は日米両国の懸け橋を目指し、日系人の文化と歴史の情報を全米に発信している。

 家族会の一行は、カリフォルニア州内の日系企業でつくる経済団体の幹部らにも支援を要請した。(共同)

拉致家族:横田滋さんら米市民集会へ 拉致解決協力訴え

2003年04月16日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 北朝鮮による拉致被害者の家族会メンバーが16日、米国・ロサンゼルスで開かれる市民対話集会に参加し、米国国民に解決への協力を訴えるため日本を出発した。

 訪米したのは横田めぐみさん(行方不明時13歳)の父滋さん(70)と弟哲也さん(34)、市川修一さん(同23歳)の義姉龍子さん(57)、松木薫さん(同26歳)の姉斉藤文代さん(57)の4人。集会は日米文化会館などで3日間にわたって開かれ、家族らは拉致の状況や約25年に及ぶ苦悩を語る予定。23日に帰国する。

 成田空港での記者会見で、市川さんは「一日も早く、(修一さんを)両親の胸に抱かせてあげたい。その思いを米国の人にも理解してもらえるよう、拉致の非道さを訴えてきたい」と語った。

 また、北朝鮮の核問題を話し合う多国間協議が北朝鮮、米国、中国の3カ国で行われることについて、会見に同席した増元照明事務局次長(47)は「前回の訪米で、米国政府が『拉致問題が解決しない限り、北朝鮮をテロ支援国家のリストから外さない』と考えていることを確信した。米国は多国間協議でも必ず拉致問題を取り上げてくれると思う」と語った。 【磯崎由美】

拉致事件:北朝鮮への制裁求めて活動へ 救う会全国協議会

2003年03月30日[毎日新聞] Mainichi INTERACTIVE
 北朝鮮による拉致被害者を支援する「救う会全国協議会」は30日、幹事会を開き、4月15日までに北朝鮮との交渉が進展しない場合、16日から全国規模での街頭活動を展開し、経済制裁など制裁措置の必要性を訴えていくことを確認した。

 救う会は日本政府に対し「5人が帰国した昨年10月15日から半年がたつ4月15日までに、北朝鮮が誠意ある対応をとらなければ、制裁措置に踏み切るべきだ」と要望している。このため、4月15日に外務省を訪れて交渉が進展していないことを確認したうえで、全国行動を起こす予定。

 また、北朝鮮の元工作員の安明進(アンミョンジン)氏が「北朝鮮で目撃した」と話している加藤久美子さん(行方不明時22歳)、古川了子さん(同18歳)の2人について、救う会として拉致被害者と認定する方向で調整することを決めた。 【和泉かよ子】

地村さんの手紙、北の子供には届かず

2003年03月29日 The Sankei Shimbun
 北朝鮮による拉致被害者の地村保志さん(47)=福井県小浜市=が北朝鮮の子供に送った手紙について、地村さんの父、保さん(76)は28日、「新聞で初めて知った。保志に聞くと何も言わなかったが、手でばつをした」と語り、手紙が届かなかったことを明らかにした。

 保さんは「(手紙で)連絡がつくと子供が気にして、お互いが気になる。北朝鮮に(地村さんの)心の内を示すようなもの」と、以前から手紙を送ることに反対していた。地村さんには「もう少し辛抱して待っていろ」と励ましたという。

 一方、この日、記者会見した地村富貴恵さん(47)の兄、浜本雄幸さん(74)も、手紙について「全く知らなかった」と説明。その上で「(手紙が子供たちに)届いて返事が来ればうれしいが、それが来ないのは残念。文通ができたり、電話がかけられる環境にあってほしい。政府が仲介してくれるべきことと思う」と述べ、国に橋渡し役を求めた。

蓮池、地村両夫妻:子供にあてた手紙を受け取り拒否 北朝鮮

2003年03月27日 [毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 拉致被害者の蓮池薫さん(45)夫妻と地村保志さん(47)夫妻が、北朝鮮に残した子供たちに手紙を書き、その受け取りを北朝鮮当局が拒否していたことが分かった。

 手紙は、蓮池さんらが今月中旬、残してきたそれぞれの子供にあてて直筆で書き、内閣官房の拉致被害者・家族支援室に託されていた。27日に会見した蓮池さんは「(子供たちの)状況を知りたいと思っていたが、(拒否が)事実なら残念です」と話した。

「拉致は進行中のテロ」 横田夫妻が集会で訴え

2003年03月23日 The Sankei Shimbun
 北朝鮮による拉致事件の被害者横田めぐみさん=失跡当時(13)=の両親が23日、広島市で開かれた支援集会で講演し、父親の横田滋さん(70)は「拉致は進行中のテロ。政府はもっと当事者意識を持ってほしい」と訴えた。

 横田さん一家は、滋さんの仕事の関係で1972年から約4年間、広島市東区に住んでおり、めぐみさんは市立小に通っていた。講演で滋さんは「今考えれば、広島にいたころが一番幸せだった」と打ち明けた。

 滋さんは「訪米したとき、国防総省の高官から、拉致問題と核問題が解決しない限り北朝鮮に援助をしないと言われ、勇気づけられた」と話し、母親の早紀江さん(67)も「13年間しか育てなかったけど、めぐみを朽ち果てさせてなるものかと思って、活動しています」と涙をためて話した。

曽我ひとみさん:皆様の支えで手術ができた 佐渡で会見

2003年03月19日 [毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 北朝鮮による拉致被害者で、新潟県真野町(佐渡島)の曽我ひとみさん(43)は19日、真野町役場で肺がん手術後初めて会見。「全国の皆様の支えで、大きな手術を終えることができました。ありがとうございました」と頭を下げた。

 曽我さんによると、事前に自覚症状は全くなく、手術について「こんな悪いものを体に持っていた。全部取って頂いてスッキリした」と話した。14日の手術後は、動く時に少し痛むが、生活に支障はないという。27日、新潟市内で抜糸をする予定。

 同じ拉致被害者の蓮池祐木子さん、地村富貴恵さんから18日に「テレビで知った」と、お見舞いの電話があった。曽我さんは「大丈夫」と答えると、安心した様子だったという。 【磯野保】

曽我ひとみさん:夫ジェンキンスさんのおいが来日希望

2003年03月16日 [毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 北朝鮮による拉致被害者の曽我ひとみさん(43)=新潟県真野町=の夫チャールズ・ジェンキンスさん(63)のおいで、米ノースカロライナ州在住のジェームズ・ハイマンさん(41)が、毎日新聞のインタビューに応じ、曽我さんに会うため来日を希望していることを明らかにした。曽我さん側には既に伝えてあり、返事を待っているという。ハイマンさんは「なるべく早く実現するよう祈っている」と話した。

 曽我さんもジェンキンスさんの家族に会うため訪米する意向を示しているが、ハイマンさんはその前に一度日本で会って、「事前に家族のことなどを説明して、ヒトミが米国に来た時に心地よく過ごせるようにしてあげたい」という。

 ハイマンさんは、ジェンキンスさんが北朝鮮に拉致されたと信じ、真相解明を訴える運動を米国で続けてきた。米陸軍に入隊して在韓米軍での任務を希望し、足取りを追おうとしたが、かなわず除隊。音信不通のまま37年が経過した昨年10月、曽我さんが日本に帰国したことで、ジェンキンスさんが現在も、北朝鮮で生存していることが判明した。

 ハイマンさんは最近、ホームページを開設。情報提供を求めるとともに、北朝鮮による拉致事件への関心が米国内でも高まるよう訴えている。

 ジェンキンスさんの母パティさん(89)は今、療養所で暮らしており、「新しい娘ができた」と曽我さんに会うのを心待ちにしているという。ハイマンさんは「私たちの願いは家族の再会だ」と話した。 【前田英司】

拉致事件:北朝鮮に経済制裁を 家族会が川口外相に求める

2003年03月12日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 北朝鮮による拉致事件の被害者家族でつくる「家族会」などは12日、川口順子外相と面談した。家族らは「拉致は北朝鮮による現在進行形のテロ」と認めて経済制裁に踏み切るよう求めた。川口外相は「拉致は非人道的で普通の考えではテロではないかと思うが、法的に詰めると国際的、国内的に定義はない」と拉致をテロとすることに消極的な姿勢を示し、経済制裁も「現時点では考えていない」と回答。家族らは「解決する気があるのか」と怒り、紛糾した。

 川口外相が被害者家族と会うのは昨年2月以来で、被害者を支援する「救う会」も同席した。米国から帰国したばかりの家族らは「米国高官は拉致はテロだと理解してくれた」などと外相に経済制裁などを求めた。川口外相は「被害者が安全に帰国することが大切という観点からみると、経済制裁が現時点で効果を上げるとは思わない。北朝鮮が話し合いの場につくよう努力を続ける」との見解を示した。

 面談後、記者会見した家族会の蓮池透・事務局長は「昨年2月に会った時と何も変わっていない。生ぬるい無為無策の外務省とは信頼関係は結べない」と怒りをあらわにした。増元照明・事務局次長も「日本政府の高官が拉致をテロと言明すれば北朝鮮への強い圧力になる。被害者をどう取り返すのか姿勢が見えない」と述べた。 【和泉かよ子】

拉致家族訪米:国務副長官ら要人が異例の対応 米国

2003年03月06日 Mainichi INTERACTIVE
 北朝鮮による拉致事件の解決を訴え3日から訪米している被害者家族会の横田滋代表らに対し、米側はアーミテージ国務副長官やルーガー上院外交委員長、フリスト共和党上院院内総務ら要人が対応する異例の対応となった。拉致被害者と接点があった加藤良三駐米大使が会談のセットに尽力した。拉致問題の進展が見られない中、外務省としての取り組みをアピールする狙いがあった。

 拉致問題は97年2月、横田めぐみさん(不明当時13歳)事件の表面化をきっかけに大きく取り上げられるようになった。当時アジア局長だった加藤大使が同月、めぐみさんの両親の横田滋、早紀江さん夫妻と面会し、「事実であれば重大な主権侵害だ」とそれまでの消極姿勢を転換して解決に向けた取り組みを約束。被害者家族の信頼を得たいきさつがあった。

 また、加藤大使の強い要請に加え、家族会が訪米前に面会したベーカー米駐日大使の尽力も一連の会談が実現した背景にあった。 【高安厚至】

拉致問題で日本の対応非難 北機関紙

2003年01月11日 The Sankei Shimbun
 朝鮮通信によると、北朝鮮の朝鮮中央通信は11日、同日付の労働党機関紙「労働新聞」が「日本の右翼反動勢力は最近、米国による(北朝鮮の)『核脅威』騒動に便乗し謀略と策動に気勢を上げている」と指摘、「拉致問題で各国に協力要請したり、被害者支援法を制定し、問題を国際的にしようとしている」と非難したと伝えた。

 同紙は「民心と時代の流れに逆行する犯罪行為」とし、「同勢力は(日朝の)関係改善と朝鮮半島情勢の発展にブレーキをかける行為を直ちに止めるべきだ」とした。(共同)

失跡者40人のリストを公表 救う会

2003年01月10日 The Sankei Shimbun
 北朝鮮による拉致被害者を支援している「救う会」は10日午前、全国から寄せられた失跡者情報に対応するため「特定失踪(そう)者問題調査会」を設立。調査会は同日午後、全国から寄せられた約150人の失跡者情報のうち、家族が公表に同意した40人について名前や住所、失跡状況などを発表した。

 調査会は今回のリストについて「拉致の可能性が高いというのではなく、その可能性を完全には排除できないもの」と説明。リストの失跡者はいずれも(1)家出の理由がない(2)失跡の経緯が不自然(3)長期間情報がない−などの点でほぼ共通しており、調査会はこれらの失跡者が北朝鮮にいると仮定して情報収集する。

 名前を公表した中で最初に失跡したのは、昭和29年に東シナ海で漁船ごと行方不明になった中野政二さん=失跡当時(22)=で、最後は平成7年に北海道で失跡した松永正樹さん=同(30)。40人のうち男性は27人、女性は13人だった。

 調査会の荒木和博代表は「曽我ひとみさんのように、日本側が被害を把握していなかった例もある。公表がきっかけで行方が分かれば1つの成果だ」と話している。

 失跡者リストによると、名前を公表していないものも含め失跡場所は日本海側が多い。アベックの失跡は昭和46年から56年までに5組あり、57年から60年までに消息不明となった20代の女性が7人いた。

 荒木代表は「以前に拉致した日本人男性と結婚させる目的で若い女性を標的にした時期があったのではないか」と推測した。

 被害者家族でつくる「家族会」も調査会の活動を支援することを決めており、代表の横田滋さん(70)は「新たな情報が得られることを期待している。(拉致が)確実だと分かった方は家族会に入っていただき、一緒にやっていきたい」と話している。

自衛隊や米軍情報収集 久米さん拉致関与の在日男性

2003/01/09 中国新聞ニュース
 一九七七年の久米裕さん=当時(52)=拉致事件に関与したとされる在日朝鮮人の男(現在は韓国籍)が、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)工作員の金世鎬(キム・セホ)容疑者(74)=国外移送目的誘拐容疑で逮捕状=とは別の工作員からスパイ教育を受け、久米さん拉致以前に、在日米軍や自衛隊などの情報収集をしていたことが九日、警視庁公安部と石川県警の調べで分かった。

 この工作員は、北朝鮮に帰国した親族の話を持ち出して男を協力者に取り込んでおり、公安部などは、家族を「人質」に取り在日朝鮮人を協力者に仕立て上げる北朝鮮の工作活動の典型的な手口とみて、全容解明を進める。

 調べによると、工作員は日本名「吉岡」、朝鮮名「金」と名乗り七三年夏ごろ、東京都内在住の在日朝鮮人の男に接触。「(南北)統一事業に協力してください。そうしたら北朝鮮にいる(病気の)妹さんを助けてあげることができます」と持ち掛けた。

 同年秋ごろに都内のアパートに設けられたアジトで、男は数カ月にわたり、「吉岡」から短波放送による暗号信号の解読や特殊インクによる報告書の作成などのスパイ教育を受け、在日米軍基地や自衛隊基地関連の情報収集をした。

 また在日韓国人を協力者にするよう指示されていたという。

北朝鮮工作員に逮捕状 久米裕さん拉致事件

2003/01/08 中国新聞ニュース
 久米裕さん=当時(52)=の拉致事件で、警視庁公安部は八日、国外移送目的誘拐容疑で、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)工作員金世鎬(キム・セホ)容疑者(74)の逮捕状を取った。近く警察庁が国際刑事警察機構(ICPO)を通じて国際手配する方針。

 調べによると、金容疑者らは一九七七年九月十九日、石川県能都町の宇出津海岸から久米さんをボートに乗せて拉致した疑い。

 久米さんは当時、東京都三鷹市役所でガードマンをしていた。

 北朝鮮側は昨年九月の日朝首脳会談で日本側に「久米さんの入国の事実はない」と回答していた。

「日本で生きるのも簡単でなさそう」蓮池さん研修参加2003年01月06日 Yomiuri On-Line
 北朝鮮から帰国した新潟県柏崎市の蓮池薫さん(45)、祐木子さん(46)夫婦は6日、柏崎市民会館で行われた市職員の研修講演会に参加した。研修会は市職員対象の行事だが、薫さんが新年度から市役所で働く予定になっていることから、西川正純市長が「社会復帰の一つとして聞いてみては」と提案して実現した。

 「激動の時代、自治体職員に求められるもの」と題された講演では、日本総合研究所の井熊均・創発戦略センター所長が、民間企業の多くで実力本位の昇進制度が導入されつつあることなどを挙げて、「これからの日本社会を生き抜くには、リスクを冒してでも挑戦することが必要」などと話した。

 講演を聴いた薫さんは「日本で生きていくことも簡単ではないという印象を受けました」と語り、祐木子さんも「1人前で働くことは大変だなと思いますが、焦らず一つひとつ学んでいきたい」と笑顔を見せた。薫さんは来月からの正式な研修を経て、新年度から市職員として採用される予定。

 ◆横田さんは官房副長官らに真相解明要請◆

 拉致被害者家族連絡会代表の横田滋さん(70)ら4人が6日、安倍晋三・官房副長官、中山恭子・内閣官房参与らのもとへ新年のあいさつに訪れ、「今年が正念場。引き続き支援をお願いしたい」と訴えた。これに先立ち、一行は拉致議連メンバーの議員とも面会。こう着状態が続く中、帰国者の子供たちの早期帰国や「死亡」とされた8人らの消息確認など、真相解明に向けて協力を要請した。

 あいさつ回りを終えた横田さんは「今年に入ってからは、被害者の新しい目撃情報なども報道されている。1日も事件が早く解決して欲しい」。増元るみ子さんの弟で、同連絡会事務局次長の増元照明さん(47)も「昨年まで暗闇だった正月に今年は少し、明かりが見えた。今年こそ、飛行機のタラップから降りてくる姉を迎えたい」と思いを新たにしていた。

寺越さん拉致濃厚 母との面会で示唆2003年01月05日 The Sankei Shimbun
顔見つめ無言でうなずく 10年前訪朝時

政府、被害認定を検討

 能登半島沖で昭和三十八(一九六三)年、出漁中に行方不明になり、北朝鮮で暮らしている寺越武志さん(五三)が、石川県に住む母親の友枝さん(七一)に、北朝鮮には拉致されてきたことを示唆していたことが四日、分かった。外務省も友枝さんから直接、この内容を聴いている。寺越さん自身はこれまで拉致を否定しているが、寺越さんの拉致が濃厚になり、政府は寺越さんの北朝鮮による拉致被害者の認定に向け慎重に検討を始めた。

 寺越さんは三十八年五月、叔父二人と一緒にメバル漁に出かけ行方不明になった。二十四年後の六十二年一月、叔父の一人から、「北朝鮮で結婚して暮らしている。武志もいる」と書かれた手紙が日本の親族に届いた。友枝さんは同年八月に訪朝し、寺越さんの生存を確認。それ以降、昨年までに十五回訪朝した。

 寺越さんは現在、朝鮮労働党の党員で北朝鮮の労働組合「朝鮮職業総同盟」の幹部。昨年十月には三十九年ぶりに職業総同盟の代表団の一員として帰国。「私は金英浩(キムヨンホ)です。敬愛する金正日総書記のご配慮により訪日できた」などと話していた。

 関係者によると、友枝さんは約十年前の訪朝の際、平壌市内のホテルの一室で寺越さんと親子二人で面会。友枝さんが北朝鮮にどうやってきたのかを尋ねたところ、寺越さんは無言のままうなずき、友枝さんをじっとみつめるしぐさなどをしたという。そのしぐさを拉致と判断した友枝さんはこの内容を他言していなかった。

 だが、友枝さんは先月十八日、外務省や内閣府を訪れ、(1)寺越さんの拉致被害者認定(2)日本人としての永住帰国(3)帰国の際は政府が受け皿となること−などを要請。この過程で外務省に寺越さんが「拉致」を示唆していることを話した。外務省は「拉致認定されれば政府が受け皿となることもできる。認定の検討には多少時間がかかる」と説明した。

 友枝さんは拉致被害者家族連絡会(家族会)が結成された平成九年、一度は家族会に参加したが、北朝鮮の女性と結婚し三人の子供がいる寺越さんの立場を勘案して同会を退いた。その後、政府は十件十五人を拉致被害者と認定。その支援法もつくられた。寺越さんが拉致被害者に認定されると、面会がストップする可能性もあるが、友枝さんは「拉致被害者認定を私がお願いしたのは覚悟の上でのことです」と話している。

 寺越さんはこれまで、日本のメディアのインタビューに「遭難しているところを救助され、自分の意思で共和国にとどまることを決めた」と話している。しかし、寺越さんが失跡当時、十三歳だったことや、寺越さんらが乗っていた漁船はほかの船に追突された跡があったことなどから、本人の意思ではなく、北朝鮮による拉致の疑いが指摘されている。

拉致被害者支援が本格化へ2003年01月03日 The Sankei Shimbun
 北朝鮮による拉致被害者5人が昨年10月15日に帰国して2カ月半。5人は四半世紀ぶりにそれぞれの古里で正月を迎えた。小泉純一郎首相は1日に施行された拉致被害者支援法に基づいて、5人を含む計15人を近く「被害者」と正式に認定し、政府、地方自治体を挙げた被害者支援を本格化させる考えだ。

 認定作業が終われば、5人へ滞在援助金が毎月支給され、今後は金銭面以外のきめ細かい生活支援に本腰を入れることになる。

 ただ、国交正常化交渉は5人を日本にとどめる方針を決めた10月下旬以降、暗礁に乗り上げており、北朝鮮に残された5人の家族の帰国問題や、横田めぐみさんら「死亡」とされた被害者の安否確認が進展する見通しは立っていない。

 北朝鮮は核施設の再稼働を宣言するなど強硬路線へと傾斜を強めているが、政府は「家族の帰国が一番の支援」(関係筋)として、粘り強く交渉を続け、家族の帰国の実現に全力を挙げる方針だ。

 援助金は、単身で帰国した曽我ひとみさんに17万円、2人家族の蓮池薫さん夫妻、地村保志さん夫妻には24万円がそれぞれ支給される。今後、家族が帰国し永住を決めると、5年を限度とした拉致被害者等給付金の支給に移行する。

 支援法は被害者らの自立を促進し失われた生活基盤を再建するのが目的。政府、自治体に雇用機会の確保や生活相談などにも取り組むことを課した。昨年末には蓮池薫さんが新潟県柏崎市役所での勤務を希望し、曽我さんも家族の受け入れに備えて一軒家に引っ越しを済ませるなど新生活に向けた準備を進めている。

 5人の周囲で生活相談や移動の手配などに応じてきた旅行代理店職員が地元自治体のケースワーカーとして採用されることも決まり、中山恭子内閣官房参与は「引き続き心のケアをしてくれて心強い」と話している。

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