TOPIC No.2-132-4 2002年(10-12月)/北朝鮮による日本人拉致事件

地村さん父が訪朝の意向2002年12月31日 The Sankei Shimbun

 北朝鮮による拉致被害者、地村保志さん(47)の父、保さん(75)が31日、福井県小浜市の自宅で記者会見し、政府関係者が同行することなどを条件に「北朝鮮にいる3人の孫に会えるのならば『家族会』(の一員)として訪朝したい」との意向を表明した。

 保さんは「(横田)めぐみさんの夫や、曽我ひとみさんの夫ジェンキンスさんに会える条件を付けて、北朝鮮政府が承諾すれば、家族会として皆で訪朝しようと思っている」と説明した。

 「家族会」会長で横田めぐみさん=失跡当時(13)=の父滋さん(70)や、蓮池薫さんの父秀量さん(75)とも電話で相談。来年1月下旬に開催予定の家族会の会合で「確認したい」としている。

 保さんは「おそらく北朝鮮は(孫との対面は)納得しないだろうから、訪朝は無理だなと思っている」とも述べた。

ヘギョンさん来日要請 政府

2002年12月29日 The Sankei Shimbun
横田夫妻の意向配慮 北朝鮮から回答なし

 北朝鮮による日本人拉致事件で、被害者の横田めぐみさん=当時(一三)=の娘、キム・ヘギョンさん(一五)とめぐみさんの両親の面会を実現させるため、日本政府が北朝鮮側に対し、冬休みを利用してのヘギョンさんの来日を求めていることが二十八日、明らかになった。

 めぐみさんの両親、滋さん(七〇)と早紀江さん(六六)はヘギョンさんとの早期面会を強く希望。内閣官房の拉致被害者・家族支援室は滋さんらの意向に配慮し、外務省が北朝鮮にヘギョンさん来日を要請するよう求めた。これを受け、外務省は今月、北京の日本大使館を通じ北朝鮮側に伝えた。ただ、北朝鮮側からは応諾の回答はないという。

 ヘギョンさんは十月十五日に訪朝した中山恭子内閣官房参与に対し、「私も(めぐみさんの両親に)会いたい。でも学校の勉強があるし」と話していた。政府関係者は「冬休み中ならば、学校があるから行けないとの理由はつけられないはず」としている。

 日本政府は十月末の日朝国交正常化交渉で、ヘギョンさんを含めた拉致被害者家族全員の早期帰国実現を強く求めたが、帰国日程は決まらず物別れに終わった。その後、交渉は中断したままで、打開の見通しはたっていない。

 このため、今月二十四日に行われた安倍晋三副長官と面会した滋さんからは、強い訪朝の希望が出された。しかし、早紀江さんや家族会から「北朝鮮側がめぐみさんの安否を報告することが先だ」などとの慎重論が出たこともあり、訪朝は当面見送られた。

「拉致は犯罪」蓮池さん夫妻会見2002年12月27日 The Sankei Shimbun

 北朝鮮による拉致被害者、蓮池薫さん(45)、妻、祐木子さん(46)と家族が27日、新潟県の柏崎市役所で記者会見し、蓮池さんは拉致について「犯罪で、許し難いことだと思う」と言い切り「北朝鮮で暮らしている時は、拉致を過ぎたことと考えようとしていた」と振り返った。

 さらに「帰国して家族の悲しみの大きさや国民の関心に触れるにつれて、一個人の問題ではなく、国家的な犯罪と感じた。絶対こういうことがないことを祈る」と訴えた。

 祐木子さんも「本人もそうだけど残った家族の人生を狂わせる。犯罪行為」と口をそろえた。

 第三国で子供と会う案を政府に提案する考えはあるかとの質問に「外交カードとして使われることになり、受け入れがたい」と疑問を呈し「原則は曲げずに交渉してほしい」と政府に注文を付けた。

 1年を振り返って、蓮池さんは「激動の年。予測できないことの連続だった」。祐木子さんは「うそみたいな1年。1日も早く子供たちを返してもらって自由に生きていけたらと思う」と話した。

 蓮池さんは「子供たちは私たちを日本に住んでいた在日朝鮮人と思っていたので、年越しそばや雑煮など日本の生活風習を持っていることを不思議に思わなかった」と述べ、子供たちが帰国した場合、言葉の面などで不安を感じていると明かした。

 蓮池さんは北朝鮮での24年間について「とにかく生きてきた、子供たちを育て上げた。無駄ではなかった。バネとして生活の糧として、精いっぱい生きていきたい」と述べた。

拉致被害者支援の「ブルーリボン運動」、全国に2002年12月22日 Yomiri On-Line

 北朝鮮による拉致事件の早期解決を願って青いリボンを胸などにつける「ブルーリボン運動」が、全国的に広がっている。北朝鮮に残した家族への心配を抱えたまま年の瀬を迎えた被害者や、生存が確認されていない被害者の家族の心強い励ましになっている。

 ブルーリボンは、北朝鮮と日本を隔てる日本海と、その上に広がる青い空をイメージした。運動は、拉致被害者帰国直前の10月、支援団体「北朝鮮に拉致された日本人を救出する市民ネットワーク」(東京)が呼びかけ、全国各地の市民有志や自治体が続々、加わった。 「経営する店でリボンを配りたい」「活動に協力したい」。希望者へのリボン発送に追われる前橋市の主婦、大野トシ江さん(69)宅には、連日こんな電話がかかってくる。

 大野さんは、1977年に新潟市で拉致された横田めぐみさんの母、早紀江さん(66)の旧友。横田さん一家は88年から3年間、前橋市に住んでおり、キリスト教会の牧師に早紀江さんを紹介された。高校2年の長女を亡くした大野さんは、早紀江さんと娘のいないつらさを語り合い、心を通わせた。

 今月4日夜、早紀江さんにファクスで運動への参加を知らせると、翌朝「本当にうれしい」と電話がかかってきたという。友人10人ほどで作ったリボンは5000本を超えた。

 三重県桑名市では今月10日から、市議や職員がブルーリボンをつけ始めた。江戸時代、桑名藩の領地が、蓮池薫さん(45)、祐木子さん(46)夫妻の住む新潟県柏崎市付近(当時の越後高田藩)にあった縁が、両市を結びつけた。その柏崎市では、市民グループや市職員らが同市人口の2割以上にあたる約2万本を作った。薫さんは「皆さんに支えられて感謝しています」と話す。

 曽我ひとみさん(43)が帰郷した佐渡島では、全10市町村の約2万5000世帯すべてにリボンが配られた。地村保志さん(47)、富貴恵さん(47)夫妻の地元・福井県小浜市では、同県リボン工業協同組合から贈られたリボンを、市庁舎で希望者に渡した。神奈川県や神戸市などでも希望者に配っている。

 運動を仕掛けた同市民ネットの山本閉留巳(へるみ)会長(36)は、運動が広がった理由について「拉致事件に対する怒りの高まりが表れた。被害者の家族の思いに打たれた人も多いのでは」と話している。

北朝鮮の「拉致」を非難 国連総会

2002年12月19日 The Sankei Shimbun

 国連総会は18日、「拉致を含む強制的失そう」が世界各地で深刻化していることを憂慮し、いかなる国家も強制的失そうを実行してはならないとして、事実上北朝鮮による拉致を非難する決議案を採択した。

 「強制的失そう」非難決議はこれまでも総会で採択されているが、今回は北朝鮮の拉致問題が対象に含まれることをより明確にするため、「拉致」などの文言を挿入するよう日本が働き掛けていた。

 総会では決議に対し反対の意見がなかったため、無投票となり、事実上の全会一致で採択された。

 決議は北朝鮮を名指しこそしていないが、拉致について「人間の尊厳に対する侵害」と批判。関係国による迅速な調査や責任者の訴追の必要性を訴え、被害者が健全な状態で解放されなければいけないことを確認した。

 また、関係国政府に対し、国連人権委員会の「強制的失そうに関する作業部会」からの情報提供要請に迅速に回答するなど、緊密に協力するよう要請した。

 総会決議に拘束力はないが、日本の国連代表部は「決議採択は、北朝鮮による拉致への国際社会の一致した問題意識と関心の高さを示したものだ」としている。

 決議はフランスが主提案国で、日本や韓国など58カ国が共同提案国となった。(共同)

「北朝鮮には帰らない」決意は固く 拉致帰国の5人会見

2002年12月18日 The Sankei Shimbun

 北朝鮮から帰国して以来2カ月ぶりに再会した拉致被害者5人は19日午後、「金日成バッジ」を着けずに新潟県庁で記者会見に臨み「日本に残って最後まで家族を待つ意思を再確認した」「北朝鮮には帰らない」と述べた。

 バッジを外したことについて地村保志さん(47)は「子供のことが心配だが、自分の立場をはっきりしなければと思い、決断した」と説明。

 蓮池薫さん(45)は「日本で待つ気持ちを確認して、朝鮮公民の権利、義務を全うできなくなった。バッジを着けている意味がなくなった」とし「北朝鮮に対する敵対的、政治的意図と違うもの」と語った。

 帰国後の一連の会見とは違い、5人は事前に報道陣から知らされていた質問以外に、その場で聞かれた質問にも答えた。

 これに先立ち同日午前、5人はバッジを外し、家族連絡会や支援団体のメンバーらと懇談。安倍晋三官房副長官に面会し「日本にとどまり家族の帰国を待つという意志が5人の共通認識」「交渉がこう着状態に陥っているが、私たちの意志は今後も変わらない」とする小泉純一郎首相あての手紙を託した。

 またこの日、横田めぐみさん=失跡当時(13)=の父で家族連絡会代表の滋さん(70)は、条件が整えば孫のキム・ヘギョンさん(15)と面会するため訪朝したいとの意向を示した。安倍氏との面会では曽我ひとみさん(43)が、夫で元米兵のジェンキンスさん(62)の母親と会うため渡米したいと伝えた。

 日本にとどまると決意した経緯について、地村さんは記者会見で「当初は一時帰国の予定だったが、(決意した)きっかけは家族、親せき、同級生たちの説得と要望だったと思う。あとやはり、国民の皆さんの歓迎と支援、激励があり、やっぱり自分は日本人なんだと再認識した」と振り返った。

 ただ北朝鮮に残してきた子供たちへの思いを聞かれた時には「精神的な苦痛を受けていると思うんで頑張ってほしい、耐えてほしいと願っている」と厳しい表情で答えていた。

 蓮池さんは「古里に抱かれ、わたしが親にとって何であるか考えた。向こうに帰ったら、二度と来ることができないという不安もあった。そういう気持ちになるまでに同級生たちの声、兄との口論もあった」と発言。2人とも、10月24日に政府が5人を北朝鮮に戻さない方針を決定する前に、心を決めていたことを明らかにした。

 曽我さんは「(北朝鮮の家族が)心配だが、いままでも、これからも政府に任せている。一日も早く家族が帰るのを待っている」と述べた。

拉致被害者5人、帰国以来2カ月ぶりに再会

2002年12月18日 The Sankei Shimbun

 北朝鮮による拉致被害者の蓮池薫さん(45)と祐木子さん(46)夫妻、曽我ひとみさん(43)、地村保志さん(47)と富貴恵さん(47)夫妻の5人が18日、帰国以来約2カ月ぶりに新潟市内のホテルで再会、和やかな雰囲気で近況などを語り合った。

 5人は同日午後2時ごろまでにホテルに到着。同3時50分ごろ、ホテル4階の部屋に顔をそろえ、蓮池さんと地村さんがそれぞれ1人がけのソファに座り、祐木子さんと富貴恵さんが曽我さんを挟む形で向かいのソファに腰を下ろした。

 蓮池さんらは「引っ越しなさるんでしょ」「(北朝鮮では)畑仕事はしていたの」と盛んに曽我さんに話しかけ、北朝鮮に夫の元米兵、ジェンキンスさん(62)を残してきた曽我さんを気遣っている様子だった。

 曽我さんが22日に転居する予定の新居に話題が移ると、地村さんが「広いんでしょ。掃除大変だよね」。曽我さんは「最初は使う部屋だけ掃除しようと思ってる。今はそんなに部屋はいらないし」などと答えていた。

 地村さんが「おれの家の畑ではいっぱい(野菜を)植えていた」と北朝鮮での生活を振り返る場面もあった。

 懇談の様子は冒頭の約5分間だけが報道陣に公開され、その後は5人だけに。午後5時すぎには中山恭子内閣官房参与と小熊博支援室長が入った。

 19日には安倍晋三内閣官房副長官と面会。その後そろって記者会見した後、新潟県豊浦町の月岡温泉を訪れる。

寺越さんを拉致被害者に、母親が政府に認定要請

2002年12月18日 Yomiuri On-Line

 今年10月、北朝鮮から39年ぶりに一時帰国した寺越武志さん(53)の母、友枝さん(金沢市)が18日、内閣府を訪れ、拉致被害者・家族支援室の新田秀樹副室長と面会、日本海で出漁中に行方不明になった武志さんを拉致被害者として認定するよう要請した。

 また、友枝さんはこれに先立ち、外務省の斎木昭隆参事官とも面会。武志さんの拉致被害者認定とともに永住帰国を要請し、その際には、政府が受け皿となるよう求めた。

 武志さんの一時帰国の際には、受け皿は朝鮮総連と労働組合が務めた。外務省は空港に出迎えに行かず、武志さんに連絡もしなかったことから、友枝さんは「同じ日本人なのに、拉致被害者と扱いが違い過ぎる」と訴えた。

北朝鮮「許せない」、人権委の拉致事件再審査で非難

2002年12月16日 Yomiuri On-Line

 【ソウル16日=浅野好春】北朝鮮の朝鮮中央通信は16日、日朝関係に関する論評で、日本政府の申し入れを受けて、国連人権委員会作業部会(ジュネーブ)が拉致事件の再審査を決定したことについて、「卑劣なやり方は事態をいっそう複雑にし、日朝関係改善に重大な難関を作り出す挑発行為で、到底許せない」と非難した。

 論評はさらに、北朝鮮貨客船「万景峰92」への捜索が日本側で取りざたされていることに関し、「重油提供中断、ミサイル積載船への臨検など米国の敵視政策と無関係ではない」と指摘。「日本政府内の反共和国(北朝鮮)勢力が米国の戦略に便乗して日朝平壌宣言を白紙化し、敵対行動を露骨化している」状況下で、「我々も断固とした対応措置を取らざるを得ない」と警告した。

「日朝の緊張心配」蓮池さん帰国して2か月

2002年12月14日 Yomiuri On-Line

 北朝鮮から帰国して15日で2か月を迎える蓮池薫さん(45)、祐木子さん(46)夫婦は14日、新潟県柏崎市の自宅で会見し、北朝鮮に残した子供たちへの思いなどを語った。

 薫さんは、一番の関心事である日朝交渉について「こう着状態であることが心配で残念です。核問題を巡って緊張状態が高まることで、(逆に)我々の子供たちの帰国も含めた拉致問題への(国民の)関心が希薄化することがないように願っています」と語った。

 また、同市役所で働きたいとの意向が伝えられていることについて、「正式な就職や永住帰国という意味ではなく、社会体験として意欲を持っています。私も45歳で、思い切り何かをやる期間は限られている。1日1日がすごく大切」と意欲を見せ、最後に「子供たちを返してもらって、家族みんなでこれからの道を決めていきたい」とした。 祐木子さんは「子供たちには、日本に帰って来られるまで2人で助け合って、がんばってほしいといつも思っている。日本には本当のおじいさん、おばあさん、おじさん、おばさんがいるということを話してあげたい。子供たちもきっと心から喜ぶと思う」と気遣っていた。

 会見に先立ち、薫さんは長靴にジーパン姿で自宅周辺の除雪を行った。この日、同市は午前10時現在、26センチの積雪があり、屋根に上って雪を落としたり、庭で雪かきしたり。「子供のころは、かまくらを作って遊んだものです」と懐かしんでいた。

被害者家族連絡会に募金553万円

2002年12月11日 The Sankei Shimbun

 自民党は11日、北朝鮮による拉致事件の被害者家族連絡会に対し、街頭募金などで集めた約553万円を寄付した。

 自民党本部で竹山裕参院議員会長から受け取った横田滋代表は「ご厚意を生かして有効に使わせていただきたい」と感謝の言葉を述べた。

 自民党は4日に山崎拓幹事長らが東京・新宿駅西口で街頭募金を行ったほか、党本部で11月から募金をしていた。

拉致は最も野蛮な行為 「救う会」会長

2002年12月10日 The Sankei Shimbun

 衆院の安全保障委員会は10日午前、北朝鮮問題について参考人から意見聴取した。

 拉致被害者の支援団体「救う会」の佐藤勝巳会長は拉致問題について「独立国家間で、外国人を暴力で拉致するというのは最も野蛮な行為だ」と強調、北朝鮮の核開発や麻薬密輸問題を指摘し、金正日総書記を中心とする政治体制に関して「話し合いの対象ではなく、あらゆる方法で早く倒さなければならない」と述べた。

 北朝鮮で医療活動をした後、脱出住民を支援しているドイツ人医師のノルベルト・フォラツェン氏は食糧状況について「薬も食品も水もない。食糧援助は必要なところには行かず、平壌の軍事エリートのところに行っている」と指摘。日本政府として「食糧査察官」導入を国連に働きかけるよう求めた。北朝鮮側が拉致被害者8人の死亡を通知してきたことについては「医療記録は不正に書かれたものだ」と述べた。

横田さん夫妻が新潟県警に資料提出>

2002年12月10日 The Sankei Shimbun

 新潟県警外事課は10日、北朝鮮に拉致された横田めぐみさん=失跡当時(13)=の両親から、政府調査団がまとめた資料の任意提出を受けた。

 この日午後、捜査員が川崎市にある横田滋さん(70)夫妻宅を訪問。9月に訪朝した政府調査団が北朝鮮から持ち帰っためぐみさんの20歳ごろの写真や、娘のキム・ヘギョンさん(15)との面接記録、夫とされるキム・チョルジュ氏が夫妻にあてた手紙など10点の提出を受けた。

 滋さんは「捜査に新たな進展があった場合に備えて県警は資料を集めており、協力しました」と話している。

 県警は11月17日、新潟市で開かれた県民集会に横田さん夫妻が参加した際に、夫妻から事情を聴いていた。

嘱託で雇用、授業料も減免 福井県が支援策

2002年12月10日 The Sankei Shimbun
 福井県は10日、県庁で開いた「拉致被害者・家族支援会議」で、「北朝鮮による拉致被害者支援法」の成立を受け、同県小浜市の地村保志さん(47)と妻(旧姓浜本)富貴恵さん(47)夫妻に対する県独自の支援策20項目を公表した。

 県営住宅入居時の家賃減免や県国際交流協会で嘱託としての雇用のほか、生活面では福祉資金の貸し付けや精神的ケアの確立も検討。北朝鮮に残した3人の子供が帰国した際には同協会による日本語指導、中学、大学などへの受け入れ、入学料や授業料減免などの想定策を盛り込んだ。

 この日午前、県庁を訪れ、支援会議に出席した内閣官房拉致被害者・家族支援室の小熊博室長は「福井県は具体的な政策を考えているので(地村さん夫妻の)生活に心強い。今は子供のことで頭がいっぱいだろうから、なるべく多くのメニューを用意してほしい」と話した。

 同日午後、小熊室長は小浜市の地村夫妻の実家を訪問、今月成立した支援法の概要などを報告。室長が夫妻の子供が帰国した後、日本の生活習慣への適応を目的とした日本語指導制度の実施などを説明すると、2人はじっと聞き入っていた。

 室長はその後、小浜市の村上利夫市長を訪問。市長が地村さんへの支援金を非課税にするよう求めると、室長は「災害見舞金と同様に扱いたい」と、課税しない方針を示した。

拉致被害者家族の早期帰国、地元市長らが国に要請へ

2002年12月09日 Yomiuri On-Line

 北朝鮮による拉致被害者の地村保志さん(47)、富貴恵さん(47)夫妻の故郷、福井県小浜市の村上利夫市長は9日、市議会一般質問で、新潟県柏崎市の西川正純市長、同県真野町(佐渡島)の高野宏一郎町長とともに18日、安倍晋三官房副長官に面会し、北朝鮮に残している被害者家族の早期帰国などを要請することを明らかにした。

拉致疑惑、新たに2人公開 境港で集い

2002/12/08 中国新聞地域ニュース

 朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)に拉致された日本人を救出する鳥取の会と同島根の会は七日、境港市の夢みなとタワーで日本人拉致問題を考える県民の集いを開いた。一九七七年から行方不明になっている米子市の松本京子さん=失跡当時(29)=らのほか、新たに浮上した二人の名前、写真も公開し、早期解明を訴えた。

> 県民の集いには約五百人が参加。鳥取の会の調査で新たに拉致の可能性が指摘されたのは、米子市の古都瑞子(ふるいちみずこ)さん=当時(47)・写真(左)=と矢倉富康(やくらとみやす)さん=同(36)・同(右)。

> 古都さんは皆生温泉で飲食関係の仕事をしていたが、七七年十一月十四日夜、外出したまま不明。矢倉さんは八八年八月二日夕、一人で日本海へ漁に出て帰らず、八日後、竹島沖で衝突の跡が残る船だけ見つかったという。

> 集いでは、北朝鮮拉致被害者家族連絡会の横田滋さん、早紀江さん夫妻も出席し「あまりにも不自然なことが多く、拉致問題はこれからが本当のたたかいです」と、あいさつした。

拉致 秋田の不明女性2件も調査

2002年12月07日 The Sankei Shimbun

 「北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会」(救う会)の荒木和博事務局長は7日、講演に訪れた青森県八戸市で、秋田県で起きた2件の行方不明事件も拉致の可能性を否定できないとして調査する考えを示した。

 荒木事務局長は、昭和35年2月に行方不明になった秋田市の木村かほるさん=当時(21)=と、平成4年1月に行方不明になった秋田県合川町の松橋恵美子さん=当時(26)=の家族と面談した後「クロに近い印象」などと述べた。

 秋田県警は、この2件を含めた行方不明事案を既に再調査したが「拉致の可能性を疑う情報はない」としている。

千葉の古川さんも拉致か…平壌で元工作員が「目撃」

2002年12月06日 Yomiuri On-Line

 【ソウル6日=浅野好春】北朝鮮による日本人拉致問題に取り組む「救う会全国協議会」(荒木和博事務局長)は6日、ソウルで記者会見し、1973年に千葉県市原市で行方不明になった古川了子(のりこ)さん(当時18歳)さんとよく似た女性が、91年ごろに平壌で目撃されていたと明らかにした。韓国に亡命した元北朝鮮工作員の安明進氏が同日、荒木氏や古川さんの姉に証言したといい、同協議会では、古川さんのケースも北朝鮮による拉致事件の疑いが強まったとしている。

 同協議会によると、安氏が女性に会ったのは、平壌北部にある労働党直属といわれる「915病院」。安氏が声をかけたのに対し、女性はうなずくだけで返事をしなかった。今回、訪韓した姉が持参した古川さんの写真を見た安氏は、「絶対とは言えないが、(声をかけた女性に)極めて似ている」と語ったという。

 古川さんは73年7月7日、市原市内の自宅を出たまま失跡。生存していれば現在47歳。同協議会では、古川さんが拉致被害者だったとすると、北朝鮮による工作活動の場所や時期が、これまで考えられていた範囲を越えて広がることになると説明している。

横田さん夫婦らが米駐日大使らに「拉致」解決を要請

2002年12月06日 Yomiuri On-Line
 北朝鮮による拉致被害者家族連絡会と救う会の代表が6日、東京・赤坂の在日米国大使館を訪問し、ベーカー駐日大使や来日中の米国下院議員団と面会した。

 横田滋さん(70)、早紀江さん(66)夫婦らが出席。下院外交委員会のヘンリー・ハイド委員長に「拉致被害者と家族全員の救出のため、米国議員の協力をお願いしたい」などと要請した。また、米国政府から脱走兵との嫌疑がかけられている曽我ひとみさん(43)の夫、チャールズ・ジェンキンス氏(62)の処遇についても、善処を求めた。

 この席で、ベーカー大使は「みなさんは信じられないほど長い間、苦しい経験をした。米国全体が同情している」と励ました。

支援室長が曽我さんを訪問

2002年12月06日 The Sankei Shimbun
 
 内閣官房拉致被害者・家族支援室の小熊博室長が6日午前、北朝鮮による拉致被害者の曽我ひとみさん(43)を新潟県真野町(佐渡)の実家に訪ね、4日に成立した拉致被害者支援法の内容を報告した。

 小熊室長によると、曽我さんが北朝鮮に残した2人の子供を呼び寄せた際に、日本語や日本の社会について学習できるようなシステムを作る準備をしていることなどを説明したという。

 学習の方法については、家族との時間を優先させるため、教師を自宅などに派遣することを検討中。曽我さんは黙って説明を聞いていたが、子供の話になると、思いを募らせるような表情をしたという。

曽我さん夫の恩赦、大統領が判断と駐日大使

2002年12月02日 Yomiuri On-Line

 米国のベーカー駐日大使は2日、日本記者クラブで講演し、北朝鮮による拉致事件の被害者、曽我ひとみさんの夫で元米兵のチャールズ・ジェンキンス氏について、「脱走兵」に分類されていると指摘したうえ、「恩赦は大統領の専権事項で、大統領自身が決める。様々な影響があるので米政府は慎重に検討している。主として法律上の問題だ」と述べた。また、大使と曽我さんとの面会については、「そういう場が設けられれば会う気持ちはある」と語り、前向きな考えを示した。

 一方、小泉首相は2日の衆院予算委員会で、この問題でブッシュ大統領と折衝する可能性について、「拉致問題や核、安全保障の問題などは話すが、個人の具体的な問題は現時点で話す考えはない」と否定した。

拉致被害者5人の地元3市町が連絡会発足

2002年12月02日 Yomiuri On-Line

 北朝鮮による拉致被害者5人が帰郷している3市町の首長が2日、新潟県柏崎市に集まって「拉致被害者関係市町連絡会」(事務局・柏崎市)を発足させ、初会合を開いた。3市町は今後、月1回ほど連絡会を開き、4日に成立見込みの拉致被害者支援法で補いきれない分野について国に支援を求めることを決めた。

 参加したのは、同市の西川正純市長、同県真野町(佐渡島)の高野宏一郎町長、福井県小浜市の村上利夫市長ら。

 連絡会は、3市町が共通認識に立って被害者への支援策を国へ要望していくために設置。この日は、被害者を雇用した企業への財政支援や、公営住宅に入居した場合の費用負担などについて、3市町長が20日をめどに国に要望することを決めた。

 また、北朝鮮の家族全員の帰国に向けて一層の努力を国に求める――など6項目のアピールを宣言。曽我ひとみさん(43)の夫チャールズ・ロバート・ジェンキンスさん(62)の訴追免除についても、米国への強い働きかけを国に要請していく。

 連絡会後、事務局の西川市長は「3市町でホットラインを結び、(拉致被害者)本人たちの息づかいをそばで聞いている自治体として、より身近な支援をしていく」と語った。

北朝鮮高官発言に、被害者ら「動じることはない」

2002年11月30日 Yomiuri On-Line

 北朝鮮高官が、拉致被害者5人が日本にとどまっていることを批判したと伝えられたことについて、被害者やその家族は30日、「動じることはない」と語り、家族を日本に呼び寄せる意思を改めて明確にした。

 福井県小浜市の地村保志さん(47)はこの日、妻の富貴恵さん(47)と同市内で開かれた郷土料理を味わう催しに出席。北朝鮮高官の発言について「何とも思っていない。私たちは何も動揺していません」と語った。

 富貴恵さんも「1日も早く子供に会いたいけれど、我慢しなければいけない。心は絶対変わりません。待っています」と話した。

 一方、曽我ひとみさん(43)の夫、チャールズ・ジェンキンス氏(62)が、「逮捕されるので日本に行けない」と日本の報道機関の取材に答えたことに対し、家族連絡会事務局長の蓮池透さん(47)は同日、「ジェンキンスさんが本当のことを話せるはずもない。この期に及んでまだこういう報道がなされることにあきれて物が言えない」と批判した。

曽我さんの夫・ジェンキンス氏「過労で入院」と北朝鮮

2002年11月29日 Yomiuri On-Line

 北朝鮮は28日、北京の日本大使館に対して、曽我ひとみさんの夫で、元米兵のチャールズ・ジェンキンス氏が過労のため、北朝鮮の病院に入院したと伝えてきた。政府関係者が明らかにした。これを受け、外務省は同日、ジェンキンス氏の詳しい病状の情報提供と、治療のための早期の来日を北京の日本大使館を通じて北朝鮮に要請した。

ジェンキンス氏来日要求、安倍副長官と外務省が対立

2002年11月29日 Yomiuri On-Line

 拉致被害者の曽我ひとみさんの夫で、元米兵のチャールズ・ジェンキンス氏が過労で入院したと北朝鮮が伝えてきた問題で、安倍晋三官房副長官と外務省が、ジェンキンス氏の来日を北朝鮮側に要求するかどうかで対立したことが28日、明らかになった。

 安倍氏は当初、外務省の田中均アジア大洋州局長に「北朝鮮に対し、日本にはいい病院があるから、治療のためジェンキンス氏の来日を認めるよう、要求するように」と、秘書官を通じて指示した。これに対し、田中局長は「そのようなことは北朝鮮に言えない」と拒否。川口外相も「そのような要求はしない方がいい」と難色を示したという。

 安倍氏が電話で田中局長に「北朝鮮にしっかり(来日を)要求すべきだ。何もしないままではだめだ」と再度指示したところ、田中局長も了承し、北京大使館を通じて北朝鮮側にジェンキンス氏の来日を求めた。

 田中局長はその後、安倍氏に電話で、「要求はしたが、北朝鮮から回答はなかった」と説明したという。

新潟県議の会が拉致事件解決へ要請書

2002年11月29日 The Sankei Shimbun

 「北朝鮮に拉致された国民の救出を支援する新潟県の議員の会」の高橋正会長(新潟県議)らが29日夕、首相官邸で、北朝鮮による拉致事件の早期解決を求める要請書を安倍晋三官房副長官に手渡した。

 要請書は(1)曽我ひとみさんが北朝鮮にいる夫のジェンキンス氏と日本で暮らせるよう特段に配慮する(2)曽我さんの母ミヨシさんらの安否確認(3)北朝鮮の貨客船「万景峰号」の新潟港への出入国時の検査強化−などを求めている。

 安倍副長官は「精力的に頑張っていきたい」と述べた。要請書は中山恭子内閣官房参与にも渡した。

拉致被害者支援の法案、全会一致で衆院委可決>

2002年11月27日 Yomiuri On-Line

 衆院厚生労働委員会は27日午後、坂井隆憲委員長が提案する北朝鮮による拉致被害者を支援するための法案を全会一致で可決した。法案は28日の衆院本会議で可決、参院に送付され、来月4日に成立する見通しだ。

拉致事件:認定者含め106人に拉致の可能性 救う会

2002年11月24日 Mainichi INTERACTIVE

 拉致事件の被害者支援団体「救う会」は23日、同会に全国から寄せられた、北朝鮮に拉致された可能性のある行方不明者数が政府認定の10件15人を含めて106人になったことを明らかにした。同会は「すべてが北朝鮮の拉致とは限らないが、失跡の理由がないなど共通の特徴がある」と話している。同会は、政府認定を含め約70人が拉致された可能性があるとしてきたが、北朝鮮が拉致を認めた9月17日以降、情報提供が増えたという。

 情報は、四国を除く全国各地から寄せられ、発生時期は1948〜97年だという。 【早川健人】

北朝鮮の家族帰国を再確認

2002年11月23日 The Sankei Shimbun

 北朝鮮による拉致被害者の支援団体「救う会」が23日夜、東京都内で会合を持ち、横田めぐみさん=失跡当時(13)=の父で、家族連絡会代表の滋さん(70)と妻、早紀江さん(66)、福井県小浜市に帰郷している被害者の地村保志さん(47)の父、保さん(75)ら約40人が参加した。

 会合では、地村さんと妻(旧姓浜本)富貴恵さん(47)ら、帰国した被害者5人が北朝鮮に残してきた家族の早期呼び寄せや、横田めぐみさんら「死亡」とされた被害者8人をめぐる情報の真相究明を北朝鮮側に要請していく方針などをあらためて確認。

 新潟県柏崎市の蓮池薫さん(45)と(旧姓奥土)祐木子さん(46)夫妻に支援金を手渡し、とんぼ返りで駆け付けた横田滋さんは「帰国翌日の10月16日に話した時より、お二人とも自然でうち解けた会話ができた」と語った。

 地村保さんも「息子(保志さん)は大変落ち着いてきて、24年前の素顔に戻ってきた。ひとえに皆さんの強烈な支援のおかげで、息子たちに代わってお礼を言いたい」と述べた。

 救う会の佐藤勝巳会長は、日朝局長級会談が北京で再開される見通しが出ていることについて「非常にナンセンス。(北朝鮮への制裁など)必要な措置を取らずに協議しても、問題解決にはならない」とした。

地村保志さん、小浜市役所に就職を希望

2002年11月21日 Yomiuri On-Line

 北朝鮮による拉致被害者で、福井県小浜市に帰郷している地村保志さん(47)は21日、同市の村上利夫市長の訪問を受け、「子供が(日本に)帰ってきて、落ち着いたら市役所で働きたい」と、初めて市役所への就職を希望する意向を明らかにした。

 村上市長によると、市長が「市の嘱託職員にお世話させていただきたい」と持ちかけると、保志さんは「市長にお任せします」と答えた。さらに「子供さんが帰る前でも、市の観光案内をハングルに翻訳するアルバイトをしてみては」と勧めると、「お手伝いはいくらでもさせていただきます」と意欲を示したという。

 同席した妻の富貴恵さん(47)は「子供は日本語もできないので、帰ってしばらくは面倒をみてあげないといけない」と話していたという。

米国務次官補「ジェンキンス氏は逃走兵」

2002年11月20日 The Sankei Shimbun

 ケリー米国務次官補(東アジア・太平洋担当)は19日、ワシントンで記者会見し、北朝鮮に拉致された曽我ひとみさんの夫で元米兵のジェンキンス氏は逃走兵との見解を示し、訪日が実現した場合は事実関係を十分に調べた上で、身柄引き渡し要請について最終判断する考えを明らかにした。

 国務次官補は「ジェンキンス氏は何年も前に明らかに自らの意思で北朝鮮に渡った。法を犯した重大な嫌疑はまだ生きている」と述べた上で、米当局による逮捕、軍法会議での訴追対象となるとの考え方を指摘。米国への身柄引き渡しなどジェンキンス氏の処遇に対する判断を下すには「十分な調査」が必要との見解を示した。

 また国務次官補は、米政府が検討している米朝枠組み合意や朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)事業の見直し問題については「結論を急いではいない」と述べ、KEDOが凍結を決めた重油支援とともにKEDO事業の柱となっている軽水炉事業の凍結問題については、米政府の方針は決定していないことを明らかにした。(共同)

蓮池さん夫妻にパソコン

2002年11月18日 The Sankei Shimbun

 新潟県柏崎市の職員が18日、拉致被害者の蓮池薫さん(45)の実家を訪れ、蓮池さんと妻(旧姓奥土)祐木子さん(46)にノート型のパソコン2台を貸与し、操作方法を説明した。

 2人は真剣な表情で、職員の説明を聞きながら画面を見つめ、祐木子さんはマウスを動かしながら「英語読めないと駄目ですかね」などと職員に質問していた。

 蓮池さんの兄、透さん(47)によると、2人はパソコンを操作するのは初めてという。東京で生活している透さんは「東京からメールで交信できる日を楽しみにしている」と話している。  同市の職員1人が今後、パソコン講習担当になり、2人を教える。

拉致さらに70−80人の疑い

2002年11月17日 The Sankei Shimbun

 政府が、北朝鮮による拉致事件の被害について、北朝鮮側が日朝首脳会談の際に消息情報を伝えた13人以外に、70−80人が拉致された疑いがあるとみていることが17日、分かった。日朝関係筋が明らかにした。

 政府は先のマレーシアでの国交正常化交渉で新たに3人の拉致被害者のデータを北朝鮮側に提示し、調査を要請。さらにこうした数字を念頭に拉致事件の全容解明を求めた。今後、70−80人について情報を精査し、北朝鮮側に具体的な回答を求めていく方針だ。

 北朝鮮が拉致被害者5人の帰還にこだわり次回交渉日程が決まらない中、被害実態が100人近くに上る可能性を政府が把握したことで、こう着状態が続く日朝交渉に今後、大きな影響を与えそうだ。

 政府は金正日総書記が拉致を認め、謝罪した日朝首脳会談以降、全国の都道府県警察に寄せられた失跡届や捜索願などをもとに、拉致事件の実態をあらためて調査。その結果、当時の状況や家族の証言などから、明らかに拉致でないケースをのぞき、70−80人が拉致された疑いがあると判断した。

 政府は先月末にクアラルンプールで再開した正常化交渉の際、拉致事件を集中的に取り扱う実務レベル協議で、拉致された可能性が極めて高い3人について、捜査情報に基づく具体的な証拠を提示した上で調査を要請。さらに「ほかにも拉致されたとみられるケースが多数ある」などと指摘し、全容解明を求めた。

 日朝首脳会談で北朝鮮は蓮池薫さん(45)ら5人の生存と、横田めぐみさん=失跡当時(13)=ら8人の「死亡情報」を伝達。久米裕さん=同(52)=については「わが領域内に入ったことがない」と伝えていた。

拉致被害者に年金特例>

2002年11月16日 Yomiuri On-Line

 北朝鮮に拉致された被害者支援のため、政府・与党が今国会での成立を目指す新法の概要が15日、明らかになった。拉致被害者の自立支援を国や地方自治体の責務と定め、支援金の支給や年金の特例適用などを盛り込んでいる。

 対象は本人の意思に反して北朝鮮に連れ去られたと国が認定した人とし、新法成立後、すでに帰国した5人の被害者を認定する運びだ。政府・与党は来週中に調整を終え、野党にも賛同を呼びかけたうえで議員提出法案として国会で審議し、来月上旬の成立を目指す。

 新法は、国民年金法など拉致被害者の支援に関係する現行法をすべて明示したうえで、新法にそれぞれの特例措置を明記する方向だ。支援策の実施方法は政令で個別に定めていく見通しだ。ただ、北朝鮮に渡り、その後帰国した日本人妻は対象には含めない。

 年金の特例適用では、拉致されて日本に在住していなかった全期間を保険料免除期間と認定する。保険料を全額納めていた場合に支給される年金額のうち、3分の1を保障する方向だ。免除期間の保険料については追納を認め、保険料を全額支払えば、将来、満額の年金を受け取れるようにすることも検討している。

 支援金については「被害者とその家族が日本での生活基盤を確立し、自立を促すため支給する」としている。ただ、具体的な支給方法については、一時金を支給する支度金方式を中心に検討しているが、政府内には一時金の額を抑える一方、期間を限定して毎月の生活補助を行うべきだとの指摘もあり、調整中だ。

 公営住宅への優先的な入居や、家賃補助も行う。また、就職あっせんや優先的な職業訓練などの配慮規定を設ける。被害者の子どもが日本に適応できるような特別プログラムや、日本の大学に編入しやすいようにする教育対策も盛り込む。

「週刊金曜日」の記事は卑劣…拉致被害者家族が声明

2002年11月15日 Yomiuri On-Line

 「週刊金曜日」が、北朝鮮に残る曽我さんの家族のインタビュー記事を掲載したことについて、家族連絡会と救う会は十五日、「これは北朝鮮の情報戦・謀略戦の一環であり、被害者の家族を自らの代弁者とするという卑劣さには強い憤りを禁じ得ない」などとする声明を発表した。この日の会見では、松木薫さんの弟、信宏さん(30)が「帰国した五人が、日本に暮らす気持ちを固めつつある時に、それに水を差す報道であり、とても悲しい」と話した。

 また、横田めぐみさんの拉致から四半世紀が過ぎたことについて、早紀江さんは「本当に長い間、苦難を乗り越えてきた。政府の方々も、自分の子供だったらと考えて必要な情報を公開してほしい」と語った。

5人戻さねば安保協議を無期延期…北朝鮮が警告

2002年11月14日 Yomiuri On-Line

 【ソウル14日=浅野好春】朝鮮中央通信によると、北朝鮮外務省スポークスマンは14日、日朝両国が今月中の開催で合意していた安全保障協議について、日本に帰国した拉致被害者5人を北朝鮮に戻さない限り、協議が無期延期されると警告した。

 北朝鮮が同協議延期に公式に言及したのは初めてで、国交正常化交渉も含め日朝対話が事実上中断する可能性も出てきた。

 同スポークスマンは、被害者5人を1、2週間帰還させるとした日朝間の「政府間合意」を日本当局が一方的に覆し、「朝日関係改善に新たな障害を作っている」と非難。さらに、「合意を完全に順守しない限り、安保関連会談が無期限に延期されることを含め、重大な結果が生じることを日本側は知るべきだ」と述べた。スポークスマンはただ、「我々は、本人(拉致被害者)が希望する場合、最大限の便宜を図りながら家族とともに彼らの永住帰国まで実現させようとの立場だった」とも述べ、もともとは一家全員の永住帰国を検討していたことにも触れた。

 北朝鮮は最近、日本政府に対し、拉致被害者を戻さなければ日朝安保協議には応じられないとの立場を伝え、日本側がこれを拒否した経緯がある。日朝安保協議は10月29、30日にクアラルンプールで行われた第12回日朝国交正常化交渉の際、11月中に局長級で開催されることが決まっていた。

<3人も拉致の可能性大 政府、北に確認求める

2002年11月12日 The Sankei Shimbun

 10月末にマレーシアで行われた日本と北朝鮮との国交正常化交渉で日本側は、1977年に失跡した松本京子さん=当時(29)=と、78年に消息を絶った田中実さん=同(28)、61年ごろに不明になった33年生まれの小住健蔵さんの3人について、北朝鮮に拉致された可能性が大きいとして確認を求めていたことが12日分かった。

 日本側は確認と併せて、安否情報を出すように要求しており、警察庁は北朝鮮から回答があれば、新たに3人を拉致被害者に認定することを検討する。

 松本さんは77年10月21日夜、「編み物教室に行く」と言って鳥取県米子市の自宅を出たまま行方不明に。松本さんの失跡をめぐっては、親族の要請を受けて、片山善博鳥取県知事が、安倍晋三官房副長官に全容解明を求める要望書を提出している。

 田中さんは78年6月、勤務先だった神戸市内のラーメン店の経営者から誘われ、成田空港から出国して以来、消息を絶った。96年ごろ、北朝鮮工作員とされた在日朝鮮人の男性(故人)が「田中さんはウィーン経由で北朝鮮に連れて行かれた」と告白。兵庫県警が内偵を進めたが、確証は得られなかった。

 小住さんは北海道出身。61年ごろに消息不明になった。85年3月、「朴」と名乗る北朝鮮工作員が、小住さんに成り済ましていたのを警視庁が摘発、「朴」を旅券法違反などで国際手配したが、所在は分かっていない。

ブルーリボンで気持ちをひとつに2002年11月12日 The Sankei Shimbun

 福井県の拉致被害者・家族支援室は12日、被害者と家族の早期帰国を願って、福井市の県庁で来訪者らに「ブルーリボン」を配り始めた。地村保志さん(47)と妻(旧姓浜本)富貴恵さん(47)の地元、同県小浜市役所でも13日から配る。

 ブルーリボンは福井県リボン工業協同組合から計1万本寄付される予定。

 県内で7千本を配るほか、蓮池薫さん(45)夫妻と曽我ひとみさん(43)の故郷、新潟県柏崎市と真野町や、リボンを提唱した「北朝鮮に拉致された日本人を救出する市民ネットワーク」などに送る。

 報道を見て、申し出のあった長野県のスポーツ用品メーカーにも500本を提供。同社が17日に宮城県村田町で開くイベントで参加者らに配られる。

 福井県庁では、支援室が作った手作りのリボンの着用も始まった。支援室は「『気持ちをひとつに』というリボン組合の思いが伝われば」と話している。

「5人監視役」朝鮮赤十字は工作機関

2002年11月12日 The Sankei Shimbun

 北朝鮮から帰国した拉致被害者5人に同行(9日に北朝鮮へ帰国)した李虎林氏が副書記長を務める「朝鮮赤十字会」が、実際は朝鮮労働党の工作機関「統一戦線部」のダミー組織だったことが11日、日朝関係筋の証言で明らかになった。今回の来日目的は被害者5人の監視ではなく、「日朝交渉と拉致事件をめぐる日本の世論動向に関する情報収集と分析」だったという。

 朝鮮赤十字会は昭和34年以降、今回の拉致被害者の帰国のほか、コメ支援など人道問題の協議や拉致問題の行方不明者の捜索、北朝鮮への帰国事業などについても、北朝鮮側の窓口になっていた。だが、日朝関係筋や情報当局者によると、李副書記長は、金日成総合大学を卒業した労働党のエリートで、統一戦線部のメンバーであることが判明。今回の来日の目的も公安当局の調べで、情報収集と調査・分析だったことがわかった。

 具体的な役割について日朝関係筋は、「日朝交渉で外務省の田中均・アジア大洋州局長から、対北強硬派の安倍晋三内閣官房副長官に日本側のリーダーシップが代わり、対日交渉が難航した背景などを探っていたようだ」と指摘する。李副書記長は在日の北朝鮮関係者らに調査と分析を命じ、帰国したという。

 さらに情報当局者によると、李副書記長の上司である張在彦・赤十字会中央委員長はかつて、「朝鮮カトリック教徒協会委員長」の肩書で、「北朝鮮の核開発疑惑が問題化していた平成6、7年ごろには来日したり、訪米してクリントン大統領(当時)とも接触するなどの工作を展開していた」としている。

 元北朝鮮工作員で現在、日本に住む青山健煕氏も「朝鮮赤十字は実存しない」「統一戦線部の1つの課」と指摘。その根拠として▽北朝鮮からの亡命者に北朝鮮で赤十字を見た者がいない▽北朝鮮で発行されている電話帳にその記載がない−などをあげ、「日本赤十字社は(統一戦線部という)テロの本山と交渉してきた」と警告する。

 情報当局者も、平壌市内には、朝鮮赤十字会の建物が存在しないことを確認しているという。

 また、朝鮮総連関係者によると、北朝鮮は対外工作の一環として、外国の政財界の有力者や軍人への包摂(抱き込み)工作のほか、宗教界指導層への工作に力点を置いているとされる。朝鮮赤十字会が工作機関のダミーとなっているのはこうした点も大きい。

 「北朝鮮にとって人道とは支援を通じて経済と直結した問題であり、諸外国の宗教界や人道的機関はすべて工作の対象となっている」(公安関係者)ためだ。  平成12年11月、警視庁公安部が逮捕した日本を拠点に対韓国工作を展開していた朝鮮総連元幹部も、赤十字などが工作機関と密接に関連していることを裏付ける供述をしていたという。

松木さんの遺骨問題、北朝鮮に再調査要求へ

2002/11/12 中国新聞

 朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)に拉致され「死亡」と伝えられた元京都外国語大学生の松木薫さん=失跡当時(26)=とされている遺骨がほぼ別人であることが判明したことを受け、日本政府は十二日、北朝鮮側に再調査を要求する方針を決めた。

 鑑定の結果、日本政府調査団が提供された骨は、六十歳以上の女性の可能性が高いことも分かった。死亡者八人などとした拉致被害者に関する北朝鮮側のこれまでの説明全体について信ぴょう性が問われることになり、政府は今後の日朝国交正常化交渉などで北朝鮮に抗議するとともに、前向きな対応を強く求める。

 福田康夫官房長官は同日午前の記者会見で、調査要求に関し「誠実に回答してもらうことを期待する」と強調。ただ遺骨については北朝鮮側も「最近の調査委員会の調査で発見され、百パーセントの保証はないが遺骨の移動年代、火葬状況から測定して当人に近いと判断した」としており、こうした状況も勘案して真相究明を迫る考えを示した。

 鑑定を実施した東京歯科大の橋本正次講師(法人類学)によると、鑑定に使ったのは、左上あごの歯茎の部分の骨。歯根が埋まっている歯槽部分が浅く、一九九六年に四十三歳で死亡したと北朝鮮側が説明する松木さんより高齢の人の骨の可能性が高いという。

 歯の大きさは遺伝するため、松木さんの姉から歯型のエックス線写真の提供も受け比較した。松木さんの家族は歯が大きく、歯槽も深いという特徴があるが、北朝鮮側が提供した骨の歯槽部分は家族に比べ、小さかった。

 また、あごの骨自体も、体格がよく顔も大きかったという松木さんのものとしては小さすぎるという。骨が小さいことや、犬歯部分の歯槽が浅いという特徴から女性の骨の疑いが高いとみられる。

日本人配偶者支援を検討 福田官房長官

2002年11月11日 The Sankei Shimbun

 福田康夫官房長官は11日午前の記者会見で、1959年以降の帰還事業で北朝鮮に渡った後、脱出して日本に極秘帰国した元在日朝鮮人の日本人配偶者に対する生活支援について「いろいろ考えなくてはいけない問題だ」と述べ、検討を進めたいとの考えを示した。

 ただ「帰国された方々がどういう事情で北朝鮮に渡ったかということもある。拉致だったのか、自分の意思で行かれた方もあり、いろいろな事情がある。そういうことを含めてどう考えるか、今後の検討課題だ」と指摘、個別事情を勘案して慎重に対応したいとの意向を示した。

 政府は日本人配偶者の帰国を公表していないが、福田長官はその理由について「本人や関係者の安全に大きく影響する問題であり、プライバシーにも配慮した」と強調するとともに、「北朝鮮との関係が正常化されれば、安全の問題は解決される。その時にどういう対応をすべきか考えるべきだ」と述べた。

子供説得自信ない」赤十字会の2人帰国

2002年11月10日 The Sankei Shimbun

 北朝鮮から帰国した拉致被害者五人に同行して来日した朝鮮赤十字会の李虎林副書記長ら二人が九日、離日を前に東京都内で、日本政府の「妨害」で被害者と一度も連絡が取れなかったと不満を表明。被害者と子供たちの再会をめぐり「こういう状況で、日本に行くよう子供たちを説得する自信はない」と述べた。また「北朝鮮に戻り、子供たちに現状況を伝える義務がある」とした。

 二人は同日午後二時五十分ごろ、中国国際航空機で成田を出発した。

 李副書記長は「五人と接触ができないので、(永住に傾いているという)意向の変化があるとの報道を信じることはできない」とした上で、「日本政府が日朝間の合意を覆し、親子を離れ離れにした非人道主義的な行為の責任から逃れることはできない」と非難。

 「五人の便宜を図り話を聴こうとしたが、連絡が取れなかった。日本政府が何もできないようにした」「五人は一時訪問としては一週間で十分と言っており、長くても十日と思っていた」と話した。

 さらに「状況はファクスなどで(北朝鮮に)報告した。特別な指示はないが、自分たちがこれ以上、日本に滞在しても仕方がない」と離日の理由を説明。北朝鮮の今後の対応については「五人の希望を徹底して尊重するが、われわれは五人の意思すらも確認できない」「平壌に戻るのも、日本に永住するのも(本人と子供たちの)家族の意思だ」として、被害者らの意思確認が第一と強調した。

 北朝鮮にいる子供たちについて「政府が経済的にちゃんと面倒を見る。物質的には問題ない」とし、「心配なのは精神的な面。日本政府が親たちを帰さないようにしたので、不安感はあるだろう」と述べた。

 李副書記長は、朴英男同胞事業部員とともに被害者五人の付き添いとして十月十五日に政府チャーター機で来日、九日まで都内のホテルに滞在していた。

福井県議会もブルーリボン着用

2002年11月08日 The Sankei Shimbun

 福井県議会は8日、北朝鮮に拉致された同県小浜市の地村保志さん(47)ら被害者の子供の早期帰国を支援するため、「ブルーリボン」を胸に着ける運動を始めた。

 今月29日に始まる12月定例議会に出席する際は全議員37人が着用、それ以外の公務の時は任意で着けるという。県議会事務局では職員44人が8日から早速、リボンを胸に仕事に就いた。

 ブルーリボンの運動は、拉致被害者の生存と救出を願う意思表示として、市民団体「北朝鮮に拉致された日本人を救出する市民ネットワーク」が提唱。被害者や家族、支援者らのほか小浜市でも職員らが身に着け、広がりをみせている。

ブルーリボン運動/h3> by"NGO R−NET"(北朝鮮に拉致された日本人を救出する市民ネットワーク)

「北朝鮮による拉致被害者の生存と救出を信じて」への意思表示が簡単に出来るように、ブルーリボン運動を展開(From 2002.9.20)

拉致8人の再審査に前向き/国連人権部会

2002/11/07 中国新聞

 【ジュネーブ7日共同】朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)に拉致された横田めぐみさん=失跡当時(13)=ら八人の安否などをめぐる問題で、外務省の斎木昭隆アジア大洋州局参事官が七日、ジュネーブで開かれている国連人権委員会の「強制的失そうに関する作業部会」に再審査を要請、作業部会を通じた早期解決を求めた。

 斎木参事官によると、五人で構成する作業部会の専門員は、九月の日朝首脳会談で北朝鮮の金正日総書記が拉致を認めたことなどを踏まえ「新たな目で問題を取り上げ、真剣に検討したい」と述べ、再審査に前向きな姿勢を示した。

 作業部会は日本の申し立てを受け、再審査に着手するかどうかの最終判断を下す。北朝鮮は八人が「死亡した」と説明しているが、被害者の家族や支援団体は北朝鮮の説明に納得しておらず、日本政府は北朝鮮との二国間交渉と並行して作業部会の審査が真相解明に寄与することを期待している。

 斎木参事官によると、作業部会では日本側が政府の調査結果や家族らが指摘した疑問点などを説明、八人の所在を確認するための作業に着手するよう求めた。委員側からは事実関係について質問があった。

 日本政府は六日、参事官のジュネーブ入りを前に、八人の審査を申し立てた文書を作業部会に提出。参事官は作業部会の専門委員との会談に続き、ジュネーブに本部を置く赤十字国際委員会も訪問し、拉致問題での支援を要請した。

 家族らは昨年四月にも、作業部会に同様の審査を申し立てたが、北朝鮮側の協力が得られなかったため審査はいったん打ち切られた。

子供たちと日本で会いたい 地村さん夫妻

2002年11月07日 The Sankei Shimbun

 北朝鮮から福井県小浜市に帰郷している地村保志さん(47)と妻(旧姓浜本)富貴恵さん(47)は7日、旅行先の同県芦原町で記者会見し、地村さんは北朝鮮に残した3人の子供たちの問題について安倍晋三官房副長官らに「第三国ではなく日本で一日でも早く再会したいとお願いした」と述べ、子供らを日本に呼び寄せた上で「家族とよく相談して」永住帰国を最終判断する意向を強調した。

 地村さんが、子供らと日本での再会を希望していることを直接、表明するのは初めて。

 地村さんは子供らと再会できれば「今年4月に24年間も僕たちの帰りを待ち続けて亡くなった母親の話を子供たちにしたいし、母親の墓参りをさせたい」と話した。

 ただ今後、再会には厳しい交渉が予想されることから地村さんは「日朝両国間の政治的懸案になっていることを深く認識して、長期化も辞さない覚悟をしながら、日本政府の対応を信じて早期解決のために努力していく」と決意を示した。

 地村さんは現状について「長い間失っていた日本での生活にも日増しに慣れ、自分なりの心の整理がついてきた」と話した。

 また富貴恵さんは「行くとこ行くとこ『頑張ってください』『お帰りなさい』と言われて感謝感激です」と話し、今回の温泉旅行について「子供たちのことを考えるとこんないい風呂に入れてあげたいかなと思った」と親心をのぞかせた。

 さらに「(家族が)24年間も探しまくって待ち続けてくれたことを考えると、わたしたちが子供に会いたいというのはちっぽけなこと」と気丈さをみせた。

2002/11/06 中国新聞

 安倍晋三官房副長官と中山恭子内閣官房参与は六日午前、新潟県真野町(佐渡)を訪れ、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)による拉致被害者の曽我ひとみさん(43)と面談した。

 曽我さんは「一日も早く主人や娘と会いたい。早く日本で会えるよう努力してもらいたい」と述べ、北朝鮮に残された夫の元米兵ジェンキンス氏ら家族の早期帰国の実現を要請。「佐渡に生まれ育ったので自分としては佐渡に住みたい」と永住帰国に前向きの姿勢を示した。同時に「家族のことは家族と会って意見を聴いてから決めたい」とも述べた。一緒に拉致されたとみられる母のミヨシさんについても「大変心配しているので、よろしくお願いします」と真相究明を求めた。

 安倍氏は「ご主人やお嬢さんと離れていろいろ心配でしょう。政府として県、町とも相談しながらバックアップしていきたい。困ったことがあれば遠慮しないで言ってください」と、生活支援に全力で取り組む考えを伝えた。

 今回の訪問で福井県小浜市の地村保志さん(47)、(旧姓浜本)富貴恵さん(47)夫妻ら被害者五人全員との面談をすべて終え、家族や地元自治体を含め政府に寄せられた要望を永住帰国に向けた支援策に反映させる考えだ。

 面談で安倍氏は平行線に終わった日朝国交正常化交渉の結果を説明し、今後も北朝鮮に残された家族全員の早期帰国を粘り強く働き掛ける政府方針を伝達。ジェンキンス氏については日本に帰国した場合、米国の軍法で訴追を受ける可能性があるため、帰国への環境整備のため米政府と折衝していることを説明し、曽我さんは「よろしくお願いします」と述べた。

 面談後、安倍氏は永住帰国に関連して「国の責任としてひとみさん、家族が自由に意思表明できる環境をつくらないといけない」と記者団に強調した。

被害者家族、拉致解明を国連に申請へ

2002年11月05日 The Sankei Shimbun

 北朝鮮に拉致された被害者の家族は5日、国連人権委員会の「強制的失そうに関する作業部会」に拉致問題の審査を申し立てる書類を政府支援室に提出した。外務省の斎木昭隆アジア大洋州局参事官がジュネーブに出向き、7日に作業部会に届ける。

 審査を申請するのは、横田めぐみさん=失跡当時(13)=や有本恵子さん=同(23)=ら、北朝鮮が「死亡」とした8人のケース。政府調査団が北朝鮮側から聞き取った調査結果や、それに対する家族の疑問点も併せて作業部会に提出する。

 家族は昨年も作業部会に審査を請求したが、北朝鮮からの協力が得られず審査が打ち切られており、今回は北朝鮮が拉致を認めた8人について再申請することとした。

 被害者家族を支援している「救う会」の荒木和博事務局長は「前回と違い金正日(総書記)が拉致を認めて謝罪している。北朝鮮がどう出るか注目している」と話している。

 作業部会には5人の専門委員がおり、1年に4回の会合がある。今月4日から13日までの予定で会合が開催されている。

「日本で子どもと会いたい」 蓮池夫妻、早期帰国を要請

2002/11/05  中国新聞ニュース

 安倍晋三官房副長官と中山恭子内閣官房参与は五日午後、新潟県柏崎市を訪れ、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)による拉致事件被害者の蓮池薫さん(45)、(旧姓奥土)祐木子さん(46)夫妻と面談した。

 薫さんは「一日も早く子供たちと日本で会いたい。日本政府を信頼しています」と述べ、北朝鮮に残された家族の早期帰国を実現するよう求めた。家族との第三国での面会について兄の透さんらは「原則をしっかり守ってやっていただきたい。他の国で会うのではなく日本に連れ戻してもらいたい」と述べ、難色を示した。

 安倍氏は「私どもとしてはできる限り早く子どもたちが帰れるように先方と交渉している。最優先の課題だ」との立場を強調。「長引くかもしれないが、その辺は了解してほしい」と述べ、政府の交渉を見守ってほしいとの意向を伝えた。

 面談の冒頭、安倍氏は「いろいろと不安があるでしょうが、今日は率直な話をうかがいたい」と訪問の趣旨を説明。北朝鮮から故郷に戻った環境の変化に「大変ですね」とねぎらいの言葉を掛けた。

 今回の訪問は、三日に福井県小浜市の地村保志さん(47)、(旧姓浜本)富貴恵さん(47)夫妻を訪れ面談したのに続くもので、平行線に終わった日朝国交正常化交渉の結果を説明するとともに、今後も北朝鮮に残された家族全員の早期帰国を粘り強く働き掛ける政府方針を伝えた。

 政府は五日、内閣官房にこれまでの支援態勢を拡充して「拉致被害者・家族支援室」を正式に発足させた。被害者から直接、要望を聞くことで、今後本格化させる五人の永住支援策にも生かす考えだ。

 安倍、中山両氏は六日に新潟県真野町(佐渡島)の曽我ひとみさん(43)を訪問する予定。

地村夫妻が永住帰国の意思を初めて示す

2002年11月04日 Yomiuri On-Line

 北朝鮮から一時帰国中の福井県小浜市の地村保志さん(47)、富貴恵さん(47)夫妻が、北朝鮮に残している3人の子供について「日本に引き取って面倒を見たい」と家族らに話したことを、保志さんの父、保さん(75)が4日、明らかにした。夫妻が家族そろっての永住帰国について明確に意思表示したのは初めて。

子供の早期帰国を要請

2002年11月04日 The Sankei Shimbun

 安倍晋三官房副長官と中山恭子内閣官房参与は3日夜、福井県小浜市を訪れ、北朝鮮による拉致事件被害者の地村保志さん(47)、(旧姓浜本)富貴恵さん(47)夫妻と面談した。

 地村さん夫妻は「1日も早く子供たちの帰国を実現させてほしい」と、永住帰国も視野に家族と早く再会したい意向を伝達。安倍氏は先の日朝国交正常化交渉の結果を報告し「政府として責任を持って必ず子供たちが帰ってくるよう努力する。長引くかもしれないが我慢してほしい」と、子供たちの帰国を最優先に取り組む決意を表明した。

 安倍、中山両氏が古里に戻った拉致被害者を訪問するのは初めて。中山氏は子供の帰国について「そんなに簡単ではない。長期化する恐れがあるが覚悟してほしい」と指摘。「北朝鮮が、子供が病気とか事故に遭ったとか言ってくるかもしれないが、政府は方針転換しない」と強調した。

 第三国で被害者と子供たちが面会する案について、富貴恵さんの兄、浜本雄幸さんが「拉致の本質を変えるような話ではないか」と難色を示したのに対し、安倍氏は「そういうことは一切考えていない」と述べた。

 親族側は「どういう手段でもいいから1日でも早く子供たちの引き取りをお願いしたい」と要請。さらに「2人の生活支援をしてもらいたい」として、今後の生活支援を求めた。安倍氏らは政府内に「拉致被害者・家族支援室」を設置したことを説明し「専門幹事会で支援できる態勢を組みたい。生活面で困ったことがあれば何でも言ってほしい」と述べた。

 また安倍氏が正常化交渉で北朝鮮側が「残された家族の安全を保証する」と説明したことを伝えるとともに「長期化になって子供たちは大丈夫ですか」と気遣ったのに対し、夫妻は「大丈夫です」と応じた。

 今回、被害者から直接、さまざまな要望を聞くことで、今後本格化させる5人の永住のための支援策にも生かす考えだ。安倍、中山両氏は5日に新潟県柏崎市の蓮池薫さん(45)、(旧姓奥土)祐木子さん(46)夫妻を、6日には同県真野町(佐渡島)の曽我ひとみさん(43)を訪問する予定。

元米兵、「夫逮捕しないで」曽我さん募る不安

2002年11月03日 Yomiuri On-Line

 新潟県真野町(佐渡島)に帰郷している曽我ひとみさん(43)は、北朝鮮に残っている夫、チャールズ・ロバート・ジェンキンスさん(62)の処遇を心配している。元米兵の夫は北朝鮮に亡命したとされ、来日した場合、米政府が本当に恩赦を出すのか、まだ明確になっていないからだ。

 「夫を逮捕しないでほしい」。日本政府が永住帰国方針を示した先月末、曽我さんは知人にそう語った。

 ジェンキンスさんは1965年に北朝鮮に亡命し、80年、曽我さんと結婚したとされる。政府が米側に身柄の扱いについて配慮を要望した結果、米政府は恩赦を検討しているとも伝えられる。

 帰郷してからの曽我さんは、周囲に「たまにけんかをするが、やさしい」と幸せそうに語る一方で、北朝鮮へ戻る意向もほのめかし、夫へのおみやげのネクタイも用意していた。

 しかし、政府の永住帰国方針で曽我さんは、沈痛な表情を見せることが多くなった。曽我さんの知人らは「永住帰国」には努めて触れないようにしているが、ある夜、元同級生の上林芳子さん(43)はあえて聞いてみた。「(北朝鮮に帰ったら)父ちゃんや私たちに会えなくなる。それでもいいの?」。曽我さんは「うん」とうなずくと、押し黙ってしまった。上林さんは、「うん」の意味を「北朝鮮へ帰りたい」と受け止めたという。

新たに拉致被害者の支援室設置

2002年11月01日 The Sankei Shimbun

 政府は1日、北朝鮮による拉致被害者の永住支援強化のため、内閣官房に置いた支援室と帰国受け入れチームを統合、新たに「拉致被害者・家族支援室」を5日付で設置することを決めた。古川貞二郎官房副長官が午後の記者会見で明らかにした。

 支援室は十数人規模で構成。外務省を中心に、中国残留孤児の自立支援に携わった厚生労働省や、地方自治体との連携強化のため総務省の職員も加え「政府一体となっての支援」(政府筋)を目指す。

 支援室は、帰国している5人の支援のほか、北朝鮮に残された家族の帰国受け入れ準備や、北朝鮮側が「死亡」と伝えた被害者8人の安否確認を含めた詳細な情報について家族との窓口役となる。

第三国での面会を北朝鮮が拒否 5人と家族

2002/11/01 中国新聞

 先月末にクアラルンプールで行われた日朝国交正常化交渉で、政府が最優先課題に掲げる拉致事件について、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)に対し、被害者五人と同国に残された子供や家族を中国など第三国で面会させる案を打診し、北朝鮮側が事実上拒否していたことが一日、分かった。複数の日朝関係筋が明らかにした。

 家族の帰国をめぐって「本人の意思」が自由に表現できる環境整備を急ぐ日本側が、当面の打開策として提案したものだが、この問題をめぐる北朝鮮側の強硬姿勢があらためて鮮明となった格好だ。

 政府は公式、非公式ルートを使い引き続き家族の帰国を強く求める方針だが、こうした北朝鮮側の姿勢は次回交渉の開催にも影響を与えそうだ。

 先月二十九、三十両日に開かれた正常化交渉で日本は北朝鮮に残された被害者五人の家族の帰国スケジュールを示すよう要請。しかし、北朝鮮側は日本が五人を北朝鮮に戻さない政府方針を決めたため「約束を破った」などとして激しく反論、こう着状態となった。

 日朝関係筋によると、日本側はこうした中、北朝鮮側とのやりとりの中で「五人と家族を第三国で接触することはできないか」と打診。日本滞在が二週間をすぎ、北朝鮮に残した家族との再会を切望する被害者の心境に配慮し、北京などを念頭に北朝鮮側の反応をうかがった。

 しかし、北朝鮮は回答を示さなかった上、生存者が日本から電話して家族と接触するという提案も拒否。「五人を北朝鮮に戻すべきだ」との原則論に固執したという。

北朝鮮の子供と電話を 蓮池祐木子さんの父

2002年10月31日 The Sankei Shimbun

 北朝鮮による拉致被害者の蓮池(旧姓奥土)祐木子さん(46)の父奥土一男さん(75)は31日、新潟県柏崎市の自宅前で記者会見し「2人(祐木子さん夫妻)が子供と電話で連絡が取れるよう、政府にお願いしたい」などと話した。

 一男さんによると、祐木子さんと夫の蓮池薫さん(45)はこの日、祐木子さんの実家でテレビを見たりして過ごした。2人は物別れに終わった日朝交渉の結果や子供のことについては何も話さなかったという。

 一男さんは「2人は(北朝鮮に)連絡を取りたくてもできない状態。言葉に出さなくても、内心は子供のことを心配していると思う」とし、安倍晋三官房副長官らが柏崎市を訪れたら希望を伝えたいとしている。

 また一男さんは、新潟県妙高高原町を訪れた22日に、新潟県警から事情聴取の要請があったことも明らかにした。「蓮池さんがよければいい」と県警に答えたが聴取は行われず、その後要請はないという。

政府代表団、孫のキム・ヘギョンさん宛て手紙渡す

2002年10月29日 Yomiuri On-Line

 政府代表団はこの日、横田めぐみさんの父、滋さんと母、早紀江さん(66)が孫のキム・ヘギョンさん(15)にあてた手紙を北朝鮮側に手渡した。

 滋さんが便せん2枚、早紀江さんが便せん4枚で、政府のスタッフが朝鮮語に訳した。

 手紙の中で、滋さんは「写真や映像であなたを見て、ご両親にきちんと育てていただいたんだなと思いました。待っていますので、ぜひお父さんも一緒に今すぐ日本に来てください」と書いた。

 また、早紀江さんは、ヘギョンさんが音楽好きだということを聞き、「あなたのお母さんも音楽が大好きでした。ぜひこちらに来て、一緒に歌ったり、音楽を聴いたりしましょう。うちのマンションからは富士山も見えます。あなたが来てくれるのを心待ちにしています」とつづったという。

キム・ヘギョンさん会見放映、氏家民放連会長が批判

2002年10月28日 Yomiuri On-Line

 フジテレビなどが、横田めぐみさんの娘、キム・ヘギョンさんのインタビューを報じたことについて、日本民間放送連盟会長の氏家斉一郎・日本テレビ会長は28日の定例会見で、「北朝鮮のプロパガンダ(主義・思想の宣伝)の1つであり、未成年者にインタビューするなんて話にならない」と批判した。

 氏家会長は「北朝鮮のような国では、自由主義圏のような取材手法はなりたちにくい。ああいう立場の未成年者にインタビューを申し込むことはおかしい」などと述べた。

「へギョンさんインタビュー」に被害者家族が一斉批判

2002年10月27日 The Sankei Shimbun

 日本の複数の報道機関が、横田めぐみさんの娘、キム・ヘギョンさん(15)のインタビューを報じたことについて、蓮池薫さん(45)の兄、透さん(47)は26日夕の記者会見で、「配慮のない報道に強く抗議する」と語った。

 透さんは、ヘギョンさんが「祖父母に来てほしい」と、横田滋さん(69)、早紀江さん(66)に訪朝するよう呼びかけたことについて、「明らかに北朝鮮当局が仕組んだもので、5人の帰国者にも『帰ってこい』と強烈なメッセージを発したのだと思う」としたうえで、「10日以上にわたって我々が努力してきた説得を、水の泡にする可能性が十分にある」と話した。

 薫さんは25日夜、フジテレビから、透さんを通じて「薫さんに番組を見てほしい」という連絡を事前に受け、ヘギョンさんの映像を見たという。透さんは「深刻な影響はないが、北朝鮮に残っている子供2人にも同じようなインタビューが行われれば、取り返しのつかないことになる」と指摘した。

 フジテレビ広報部は「『拉致事件にかかわる重要な放送をする』と(透さんに)お知らせした。北朝鮮側の意に沿ったものではない」と話している。

 また、福井県小浜市の地村保志さん(47)と妻の富貴恵さん(47)も、25日夜、富貴恵さんの実家でヘギョンさんのインタビュー番組を見た。2人とも無言で涙を流していたという。富貴恵さんの兄、浜本雄幸さん(73)は26日、「国と国との折衝中に、ああいう番組を流すべきではなかった。帰ってきた人たちや家族の心情がわかっていない」と語った。

 ◆フジテレビ「インタビューは真相究明のため」◆

 横田めぐみさんの娘キム・ヘギョンさんのインタビュー番組を放映したフジテレビは26日、「北朝鮮のプロパガンダ(主義・思想の宣伝)に与したことはない。インタビューは横田めぐみさん事件の真相解明のために行った。被害者や家族の気持ちや立場を十分に理解し、取材・放送にあたっており、今後もこの姿勢は変わらない」とするコメントを発表した。

政府、永住前提に5人の滞在延長

2002年10月24日 The Sankei Shimbun

 福田康夫官房長官は24日夕、緊急記者会見し、北朝鮮から一時帰国している拉致被害者5人の永住帰国を前提に、5人の日本滞在期間の延長と北朝鮮に残っている子どもら家族全員の帰国を北朝鮮に求める政府方針を発表した。

 政府方針は(1)5人は引き続き日本に滞在し、北朝鮮にいる家族の安全を確保した上で、帰国日程を早期に確定する(2)29日再開する日朝国交正常化交渉までに帰国日程が確定できない場合は、正常化交渉で家族の帰国を最優先事項として取り上げる(3)生存が確認されていない拉致被害者の事実解明を進める−の3点。政府は外交ルートを通じて早急にこの方針を北朝鮮側に伝達する。

 福田長官は会見で「5人やその家族も含め、自由に意思決定ができる環境の設定、特に全員の帰国が不可欠と考える」と述べ、5人らの「自由意思」の担保が必要との認識を表明。その上で「日本への永住が前提だ」と強調した。

 5人の意向に関係なく政府方針を決定したことについては「被害者本人の状況、家族の事情などを総合的に勘案して方針を決定した」と述べた。

<永住要望など23日に聴取

2002年10月22日 The Sankei Shimbun

 政府は22日、北朝鮮から一時帰国している拉致被害者5人の滞在日程や永住帰国問題をめぐり、中山恭子内閣官房参与が23日午前に都内で被害者家族連絡会や拉致救出議員連盟の代表らから要望などを聴取することを決めた。安倍晋三官房副長官も同席する。

 これに関連して、外務省の斎木昭隆アジア大洋州局参事官は22日朝の民主党北朝鮮問題プロジェクトチームなどの合同会議で、5人の滞在延長を検討していることを明らかにした。政府は当初、27日か28日に北朝鮮へ戻る日程を想定していたが、本人らの言動を踏まえ29、30両日の日朝国交正常化交渉以降まで延長したい考えだ。

 安倍副長官は22日午前の記者会見で、5人の滞在延長や永住帰国について「いろいろな要望がおありのようだから、それを伺わなくてはいけない。あくまでも本人の意思だ。皆さん日本国民であり、そういうことだ」と説明。「家族と本人がよく話し合って決めてもらいたい」と述べた。

 民主党の合同会議で、斎木氏は「北朝鮮は(拉致被害者の)家族全員を(日本に)帰国させることにほぼ同意している」と指摘。「5人を北朝鮮に戻さず、残っている家族を帰国させるべきだ」との意見に対して「あらゆる可能性を探っている」と述べた。

 5人からの事情聴取について、警察庁の高石和夫外事課長は「申し入れはしているが、被害者なので慎重に対応している。本人や家族の意向を尊重したい」と語った。

北朝鮮の子ら来日実現を 日本滞在中にと家族会

2002年10月22日 The Sankei Shimbun

 北朝鮮による拉致被害者の家族でつくる「家族連絡会」は22日までに、一時帰国している新潟県柏崎市の蓮池薫さん(45)ら5人の日本滞在期間中に北朝鮮にいる子供らを来日させるよう政府に求めることを決めた。家族を支援している「救う会」や拉致救出議員連盟とともに23日、中山恭子内閣官房参与らに申し入れる。

 蓮池さんの兄透さん(47)は22日夕、旅行先の新潟県妙高高原町で記者会見し、中山氏にこの日「滞在期間中に本人の意向に関係なく、子供を(日本に)連れ戻してください。最低でも、次回いつ子供を連れて帰るのか明確にしてから(北朝鮮に)帰してほしい」と電話したことを明らかにした。

 これに対し、中山氏は「私どもも同じ思いで(北朝鮮と)交渉している」と説明。「北朝鮮側のコメントが取れなくて、いらいらしている。核開発の問題もあり、微妙になってきているのでご理解を」と話したという。

 透さんは、5人の永住帰国を実現する意向をあらためて強調。「とりあえずは5人を帰さないというのが先決だと思っている」などと語った。

 福井県小浜市の地村保志さん(47)の父、保さん(75)と浜本富貴恵さん(47)の兄、雄幸さん(73)はこの日、急きょ上京。横田めぐみさん=失跡当時(13)=の父で家族会代表の横田滋さん(69)らとともに23日午前、中山氏を訪れる。

 保さんは「子供を残して本人だけが帰ってきた処置が間違っていた。家族が本人を説得するのは、家族も本人も苦しむことになる」とし、浜本さんの兄、七郎さん(50)も「わたしたち家族は再会の喜びを悲しみの涙に変えたくない。絶対に(北朝鮮に)帰したくない」と訴えている。

 「救う会」関係者は「子供だけでなく、曽我ひとみさん(43)の夫や横田さんの娘とされる少女の来日も要求する」と語った。

 蓮池さんの兄透さんによると、蓮池さんは21日夜から22日の未明にかけて、永住帰国を促す友人らと論争。北朝鮮で日本の朝鮮半島での植民地支配などを勉強したことなどを話し「おれにはおれの24年間がある」「とにかく子供が心配だ」と言っていたという。

「北朝鮮は一家で帰れといった」地村さん

2002年10月20日 The Sankei Shimbun

 北朝鮮による拉致被害者、地村保志さん(47)の父保さん(75)は20日午後、保志さんが「(北朝鮮側に)『用はない。一家で帰れ』と言われたが、日本語が分からない子を連れて帰ったらかわいそうと思って置いてきた」と話していることを明らかにした。

 北朝鮮が永住帰国を認めていたことを意味する発言だが、保さんは「当然(子どもを含めた)5人そろって帰すべきだ。何か裏があるのでは」と信用していないという。

 保さんによると、帰郷翌日の18日、「なぜ産んだ子を置いてきたんだ」と質問すると、保志さんは、北朝鮮から永住帰国を認められたが子どものことを考えて置いてきたと答えた、という。

 また、保さんは福井県警などから拉致状況についての事情聴取を求められた場合、一時帰国中は応じるつもりがないことも明らかにした。

「2回目の帰国の際は子供も」政府

2002年10月20日 The Sankei Shimbun

 新潟県柏崎市の蓮池薫さん(45)の兄、透さん(47)は20日、日本政府が家族連絡会に対し、北朝鮮から一時帰国した5人について「次回には子供たちも含めて帰国させる約束を、北朝鮮側から取り付けている」と説明していたと述べた。

 透さんによると、5人が帰国する前の9日、内閣官房参与室に呼ばれ、中山恭子参与から本人5人だけの帰国を伝えられた。

 透さんが「家族はどうなるんですか」と尋ねたところ、中山参与は「今回は本人だけだが、次回は子供も帰国する約束はできている」と答えたという。

 しかし、次回の帰国がいつになるかの説明はなかった。

 一方、蓮池さん、奥土祐木子さん(46)と両家の家族は22−24日の日程で、赤倉温泉に旅行する予定。旅行先では、蓮池さんが子供のころ遊んだスキー場なども見に行くという。

拉致対応で被害者に謝罪 社民党

2002年10月17日 The Sankei Shimbun

 社民党は17日の常任幹事会で、北朝鮮の日本人拉致事件に関する党見解をまとめた。見解は、事件の真相解明について「(党の追及は)率直に言って十分ではなかった。被害者・被害者家族の皆さんに大変申し訳なく、力不足を心より謝罪する」と陳謝した。

 見解は拉致事件について「許すことのできない犯罪行為であり、厳しく抗議する」とし、党間交流を続けてきた朝鮮労働党に対し抗議と真相解明を求めたことを強調。政府に対し日朝国交正常化交渉の場で、拉致事件の徹底解明を求めている。

 既に土井たか子党首が7日の記者会見で「拉致は存在しない」「行方不明者として調査する」との北朝鮮側の主張をうのみにしてきたことを謝罪している。

帰国5人、24年ぶりの故郷 「山、川みんな温かく…」

2002/10/17 中国新聞

 朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)から一時帰国した福井県小浜市出身の地村保志さん(47)と浜本富貴恵さん(47)、新潟県柏崎市出身の蓮池薫さん(45)と奥土祐木子さん(46)、同県真野町(佐渡)出身の曽我ひとみさん(43)の五人が十七日、拉致事件以来二十四年ぶりに故郷の土を踏んだ。

 同日午後三時半すぎ、小浜市民体育館前に着いた地村さんは「帰ってきてみて、わたしたちの問題を、日本の国民の皆さん、小浜市民の皆さんが自分の子供のことのように考えて運動してくれていたことを実感した」とあいさつ。

 浜本さんも「わたしたちのためにぎょうさん集まってくれて夢みたい」と、出迎えた人たちに、笑顔で手を振った。

 この後、市民体育館で記者会見した地村さんは、日朝首脳会談後、父親の保さんらを北朝鮮に招こうと考えたが、日本政府や北朝鮮政府から一時帰国を勧められた経緯を説明した。

 佐渡では、曽我さんが同四時すぎ、会見に臨み、ハンカチで涙をぬぐいながら「二十四年ぶりに古里に帰ってきました。とてもうれしいです。人々の心、山、川、谷、みんな温かく美しく見えます。本当にありがとう」と、自分でつづった詩を読み上げた。

 蓮池さんは柏崎市市民会館で会見し「二十四年ぶりに古里の柏崎の土を今日踏んで、感慨無量です。親孝行することを中心に滞在期間を過ごしたいと思います」。奥土さんも「わたしたちの行く所、行く所、日本の皆さまが温かく迎えてくれました。感謝の気持ちでいっぱいです」と述べた。

 蓮池さんと奥土さんは同三時前に市役所前に到着。集まった人たちに深々と頭を下げ、市長による花束の贈呈が行われようとしたところ、出迎えの人の中に友人の姿を見つけ、駆け寄って抱き合った。

 帰国時に硬い表情だった曽我さんは、この日は新幹線のホームで手を振り、時折笑顔も。上空から佐渡の島影が見えると泣き始めたという。真野町役場前で、マイクロバスから降りると、何度も涙をぬぐい、駆け付けた友人一人一人と抱き合って号泣した。

有本さん拉致で捜索 よど号支援者宅など

2002/10/17 中国新聞

 一九八三年に欧州で行方不明になり朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)に連れ出された有本恵子さん=失跡当時(23)=拉致事件で、警視庁公安部は十七日、結婚目的誘拐容疑で逮捕状を取った安部(本名・魚本)公博容疑者(54)の容疑を裏付けるため、よど号ハイジャック事件の元メンバーや支援者の自宅など全国十一都府県の三十カ所を家宅捜索した。

 今回の捜索では、欧州などでよど号グループに誘われ北朝鮮に渡航した関係者の自宅も含まれており、国内支援組織の実態解明も視野に入れている。

 公安部は九月二十五日、同容疑でメンバーの安部容疑者の逮捕状を取得。二十七日に安部容疑者の実家など九カ所を捜索していた。

 犯行を指示したとされる故田宮高麿元赤軍派幹部と、有本さんの拉致にかかわったことを認めたメンバーの元妻、八尾恵・元スナック経営者(46)については書類送検する方針だ。

 公安部は、有本さんと結婚したとされる石岡亨さん=失跡当時 (22)=や松木薫さん=同(26)=の拉致事件についても捜査本部を設置、グループの関与を裏付けるため捜査を進めている。

「特殊機関」の集落で生活 横田さんの思い出語る

2002/10/16 中国新聞

 朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)から一時帰国した蓮池薫さん (45)ら五人が十六日、東京都内のホテルで、横田めぐみさん=失跡当時(13)=ら「死亡」とされた拉致被害者の家族と面談。「特殊機関」で働く人が住む平壌郊外の集落にいたという横田さんの暮らしぶりの一端が明らかになった。

 横田さん以外の被害者についても五人は写真を見せられたが「見覚えがない」と答え、新たな情報はなかった。

 蓮池さんの兄透さん(47)は面談の内容を公表した記者会見で、五人が面談に消極的だったのに、横田さんの両親には会いたいと口をそろえたとし「不可解な点が多くある」と述べた。他の家族も不自然なやりとりに言及、五人の「複雑な立場」をのぞかせた。

 面談はこの日午前十時すぎから約二時間行われ、横田さんをはじめ市川修一さん=同(23)、有本恵子さん=同(23)、田口八重子さん=同(22)=ら計七人の被害者の家族が参加した。

 横田さんの父滋さん(69)によると、蓮池さんと奥土祐木子さん (46)、地村保志さん(47)と浜本富貴恵さん(47)の二組の夫婦は、結婚後に特殊機関で働く人が住む平壌郊外の集落で暮らし、そこに横田さんも夫とされるキム・チョルジュさん(41)と一緒に住んでいた、と話した。

 計三十戸ほどの集落で、横田さんの家は川を挟んで地村さんや蓮池さんの家と向かい合う所にあった。地村さんの話では、子供が生まれた横田さんは母乳が出ず、ミルクで育てた。また地村さんの二男は、横田さんの長女キム・ヘギョンさん(15)と同じ幼稚園に通っていた。

 横田さんの家は平屋で四つの部屋があり、横田さんが買ったミシンの使い方が分からず、浜本さんが教えたこともあったという。地村さんは、横田さんの夫から「妻が病弱だ」などと聞かされ、入院も死亡もうわさで聞いた。

 蓮池さんは「スマートで美人だった」と話していたという。

 地村さんや蓮池さんらは横田さんと互いに朝鮮人として付き合い、日本人とは知らなかった。地村さんは、横田さんの両親に「何もしてあげられず申し訳ない」と謝罪。蓮池さんは「キム・ヘギョンさんのことを自分の娘のように面倒をみる」と話したという。

 招待所で横田さんと生活を共にした曽我ひとみさん(43)は、横田さんと一緒に登山をした思い出などを話し、今回帰国する際に初めて横田さんが死亡したことを聞かされたと語った。

「食料難でとても苦労」 一時帰国の地村さんら

2002/10/16 中国新聞

 「食料難で苦労した」「しょうゆが懐かしい」…。朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)から十五日に一時帰国した五人は、最初の夜を家族と水入らずで過ごしたり、小中学校の同級生と酒を酌み交わしたり。その様子が十六日朝、関係者の話から明らかになった。北朝鮮での暮らしぶりの一端ものぞく。

 福井県小浜市出身の地村保志さん(47)、浜本富貴恵さん(47)。十五日の夕食時には二人ともコップ一杯のビールを飲んだ。「しょうゆが懐かしい」。地元の友人から電話がひっきりなしにかかり、「とてもうれしかった」と。

 ▽「若狭の味がする」

 北朝鮮で大水害が起き、飢餓に見舞われた一九九七―九八年ごろの話も。「食料難でとても苦労した」。しかし現在、配給制度はなくなり、流通も改善され、「お金があれば、何でも自由に買えるようになってよかった」という。

 地村さんの月給は、四千二百ウォン(日本円で三千五百円)。

 「北朝鮮でも昨日と同じぐらい喜びを感じたときがあった。それは(拉致されて離れ離れにされた後)一年四カ月ぶりに再会して結婚できたときです」

 十六日朝の朝食に並んだアマダイの塩焼きに地村さんらは「若狭の味がする」と喜んでいたという。

 新潟県真野町(佐渡島)出身の曽我ひとみさん(43)は金子富美子さん(37)とともに夕食をとった。「エビとマグロが好きで、イクラが苦手」と曽我さん。「北朝鮮にはお寿司(すし)屋さんがない」とも。

 北朝鮮では米国人の夫に合わせているのか、朝食はパンとコーヒー。二人の娘はフルーツが大好きで、よく食べるという。

 新潟県柏崎市出身の蓮池薫さん(45)と奥土祐木子さん(46)は、飛行機に乗るのは十五日が初めて。「怖くなかった」。十五日夜は蓮池さんが奥土さんの父一男さん(75)に「何も言わずに祐木子を嫁にしてすいません。もう子供もいます」とと話した。

 ▽ビール追加注文

 蓮池さんは小中学校の同級生五人をホテルの部屋に呼び、親せきも一緒に酒盛りに。冷蔵庫にあったビールでは足りず、ルームサービスでビールを注文した。同級生らとは「マージャンをしたい」などと話し、レートの相談などもしていたという。

 兄の透さん(47)らには「日本ではスキーに行きたかった。ひなびた温泉に行きたい」と話した。

 奥土さんはいとこと話に花が咲いた。北朝鮮ではてんぷらをよく食べるという。月に一、二回は焼き肉。キムチやマヨネーズ、焼き肉のたれは奥土さんの自家製。

帰国5人に情報提供求める 「死亡」被害者の消息で

2002/10/16 中国新聞

 朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)から一時帰国した地村保志さん(47)や蓮池薫さん(45)、曽我ひとみさん(43)ら五人に、「家族連絡会」は十六日、横田めぐみさん=失跡当時(13)=ら「死亡」と伝えられた拉致被害者の消息について情報提供を求めた。

 地村さんらがこれに応じ、死亡とされた被害者の家族は写真などを持ち寄り、北朝鮮で会ったり見かけたりしたことがないか、地村さんら五人から話を聴いたとみられる。新たな手掛かりが得られれば、政府の支援室に連絡する。

 死亡とされたのは、横田さんのほか有本恵子さん=同(23)、市川修一さん=同(23)、増元るみ子さん=同(24)=ら。

 しかし北朝鮮側から提供された有本さんや市川さんらの「死亡確認書」の生年月日に誤りがあることなどから、家族は北朝鮮情報に疑念を募らせていた。

 政府関係者が明らかにした十五日の平壌国際空港でのやりとりから、地村さんら五人は、全員が横田さんや娘とされるキム・ヘギョンさん(15)と面識があったことが判明。曽我さんを除く四人は横田さんと朝鮮名で付き合い、日本人とは知らなかったという。

 拉致被害者らは招待所と呼ばれる施設で生活している期間が長かったとみられ、お互い日本人同士とは知らないまま何らかのかかわりを持った可能性もあるとみられる。

 地村さんらと家族会の会合には、被害者家族を支援している「救う会」のメンバーも出席。政府によって拉致認定されていない行方不明者についても情報提供を求める。

 帰国した五人は十五日夜から東京都内のホテルで静養。夫婦の地村さんと浜本富貴恵さん(47)、蓮池さんと奥土祐木子さん(46)がそれぞれ家族を交えて会食。曽我さんも妹の金子富美子さん(37)と食事をしてゆっくりと過ごした。

 十六日午後もホテルで過ごし、十七日には故郷に向かう予定。

拉致被害者・家族が記者会見

2002年10月15日 The Sankei Shimbun

 拉致被害者の家族の記者会見は15日午後6時35分、東京都内のホテルで行われた。

         ◇

 記者会見での拉致被害者本人と家族らの発言全文は次の通り。

 ▽横田さんのあいさつ

 家族会代表の横田めぐみさんの父滋さん(69) 24年間待ち続けてきた方が、元気にこのようにお帰りになったことは家族の方はもちろんのこと家族会一同大変喜んでいる。(拉致被害者と家族を紹介)

 ▽被害者のあいさつ

 曽我ひとみさん(43) とても会いたかったです。

 浜本富貴恵さん(47) 皆さんに会えてうれしいです。本当にありがとうございます。

 地村保志さん(47) 本当に長い間皆さんに心配かけました。本当にありがとうございました。

 蓮池薫さん(45) 皆さまに本当にご心配かけました。両親の元気な姿を見て本当にうれしい限りです。

 奥土祐木子さん(46) 長い間本当にご心配かけてすみませんでした。本当にありがとうございます。(ここで5人退席)

 ▽家族の発言

 曽我ひとみさんの妹金子富美子さん(37) 飛行機から降りてきたときに一言「お帰りなさい」と言いました。ホテルに着くまでの間にバスの中でいろんな話をして「子供は何人いるの」と聞いたら19歳と17歳の女の子が2人いると話してくれた。「言葉はだんなさんが米国人なので、英語と朝鮮語で話している」と言っていた。やっぱり父親のことを心配しており「父ちゃんはまだ、お酒を飲んでいるか」と聞かれた。「食べたいものはありますか」と聞いたら「いろんな物を食べたい」と言いました。

 浜本富貴恵さんの兄雄幸さん(73) (今朝は報道関係者に)「きょうだいは8人いるが、8人で明るく迎えてやりたい」と申し上げた。(会ってみて)きょうだいのきずなというか非常に心強く思った。富貴恵の笑顔が出てきたので、きょうだいのきずなが強く結ばれているなと本当にうれしく思います。良かった。帰って良かった。きょうだい8人で迎えたのが非常に良かった。車中でも話したが、にこにこと、いろいろ昔の話をした。何のわだかまりもない。私の妹、富貴恵であった。今日はふるさとの神社の秋祭りです。神様のお祭りのときに帰ってきたのは神様のご加護があったのかなと思っています。これからもきょうだいみんなでなごやかな雰囲気で迎えてやりたい。皆さんも温かく見守ってください。

 地村保志さんの父保さん(75) 一時帰国にせよ、元気な顔を見た。わたしは静かに迎えてやろうと思っていたが、わたしらより活発に笑い声を出し、かえってこちらが励まされた。これからできるだけ朗らかに、笑いを一層深めるよう、接してやりたいと思う。

 蓮池薫さんの父秀量さん(75) 一つ情報が正確になった。最初の発表の段階では長女が21歳、長男が18歳と出たかと思う。その後、長女21歳が消え、どっちが本当かと心配した。本人や写真で確認したら、最初の情報がよかった。マスコミの力、全国の支持者の力によって24年目、足掛け25年目に入ったが、25年目の再会に複雑な心境だった。本人がタラップから下り、お互い確認し合い、男同士の抱き合い。あの瞬間、あの瞬間っていうのをわたしは忘れず、これからの残った人生に生かしたい。

 また、帰っていない皆さまの救出のために力を合わせ、これからの運動、これからが正念場だと思うので頑張りたい。外務省から写真を見せていただいたとき、大変やつれていた。本人に会うのが恐ろしいと思った。写真とは違った。写真よりも表情が晴れ晴れしていた。目の辺りくぼんでいたが、本人と会ってみたらいい顔しており安心した。(覚えている友人として)丸田光四郎という名が(最初の面接時の)係官の談話に出たが、さっそく光四郎君のところに電話したり、見ているうちに10人くらいの柏崎、在郷のところへ電話して、声を張り上げてなかなか元気な様子を見せてくれましたので、よかった。皆さま方のお力だ。

 蓮池さんの母ハツイさん(70) 今日は泣かないつもりで空港に来た。ですけど、タラップから2人仲良く手を組んで来た途端に本当に涙が出た。タラップを下り、何も言わずに、あの子は高いものですから、抱きしめてくれた。「心配かけて申し訳ない。本当にごめんね」って言ってくれたので、本当に24年間の長い月日が少し縮まった感じがした。バスに乗ってからは少しずつ話するようになり「いろいろ長いこと心配かけたけど、おれは向こうに行って8人の方の(亡くなったという)それを聞いて申し訳ない」と言っていた。わたしも、あの子が帰ってきたことは良かったと思うが、これからもまだ帰って来られない方たちのために一生懸命頑張りたい。子供たちのこの2週間、短い間ですのでそっと暮らせるようにさせてほしい。拉致問題はまだ終わらない。全員が帰国することを願っている。

         ◇

 浜本雄幸さん バスの中では、幼いときからの話など「こうやったな。ああやったな」といろんな話をした。うちのが一番にぎやかだったんじゃないかと思う。恥ずかしいほど良く笑っていた。けらけらと若狭弁で笑って話をしていた。昔と何も変わりなく、うれしく思った。

 地村保さん バスの中で景色を見ることができるように窓を全開した。東京の街並みを見せようと思って窓を開けたら、珍しそうに外を見ていた。途中でカメラマンの姿が見え、保志も富貴ちゃんも手を振っていたから、だいぶ慣れてきたのかと安心していました。

 蓮池秀量さん ほとんど会話はなかった。彼は頂いた花束を抱きしめながらバスの中のテレビに映る自分の映像を直視していた。

 蓮池ハツイさん わたしと一緒に座って「あんたね、心配していたんだよ。全国の皆さまの支援団体ができて、救う活動をやってきたんだよ」と言ったら、黙って聞いていた。「本当に申し訳なかった。長い間心配かけて悪かった」と言っていた。「おふくろは蓄膿(のう)症じゃないか。おれは覚えているよ」という話もした。車中ではカーテンを閉めて外を見ることはなかった。

 蓮池透さん バスの中でCDを見せて「おまえ知らないだろう」と言ったら「ばかにするな。CDぐらい知っているよ」と言われた。「中野で2人で住んでいたアパートがまだ残っているんだぞ」と言ったら「本当かよ。見てみたい」とも言っていた。父も言っていたが、バスの中のテレビに映し出された自分たちの姿をじっと凝視している姿が印象的だった。

 奥土一男さん やはり、報道陣の多さにびっくりした感じだった。飛行機に乗ったのは初めてと言っていた。何もかも珍しく、日本は変わったという感じを受けたのでないか。

機内食は特別メニュー 拉致被害者帰国

2002年10月15日 The Sankei Shimbun

 拉致被害者帰国のため、政府チャーター機を運航した全日空は15日、平壌発羽田行きの機内で、拉致被害者らにサービスした機内食を明らかにした。

 信州そばと細めんうどん、タイの昆布締めなどのお造り、前沢牛たたきの小鉢にキンキの煮付けなど「短い飛行時間でも日本を感じてもらえるよう、ファーストクラス並みの特別メニューを提供した」(同社広報室)という。

拉致5人が一時帰国 家族と24年ぶり再会

2002/10/15 中国新聞

 朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)に一九七八年に拉致され生存が確認された五人が十五日午後、羽田空港に到着した政府チャーター機で帰国、二十四年ぶりに家族と再会した。東京都内のホテルで二泊した後、十七日にはそれぞれの故郷に向かう。日本滞在は一― 二週間程度の予定。

 五人とも北朝鮮に子供たちを残しての一時帰国で、政府はさらに子供たちも含めた永住帰国を要求、国交正常化交渉再開に向け北朝鮮側の出方を見極める構えだ。

 帰国したのは、福井県小浜市出身の地村保志さん(47)と浜本富貴恵さん(47)、新潟県柏崎市出身の蓮池薫さん(45)と奥土祐木子さん (46)、同県真野町(佐渡島)出身の曽我ひとみさん(43)。

 警察当局は、本人たちの同意が得られれば事情聴取したいとしている。五人には平壌から朝鮮赤十字会の関係者二人が同行、日本滞在中、東京にとどまる。

 羽田では五人の家族と他の拉致被害者の家族計約四十人が「お帰りなさい」の横断幕を掲げ、出迎えた。チャーター機が要人専用の「V1スポット」に入ると、地村さんと浜本さん、蓮池さんと奥土さんがそれぞれ腕を組んでタラップを下り、曽我さんが続いた。

 タラップ下で、五人は涙を流して両親やきょうだいと次々に抱き合い、言葉を交わした。

 五人は七八年七―八月に拉致され、地村さんと浜本さん、蓮池さんと奥土さんの二組は北朝鮮で結婚、それぞれ三人と二人の子供がいる。曽我さんは元米軍兵士(62)との間に二人の娘がいるが、一緒に拉致された母親のミヨシさん=当時(46)=の消息は不明。

 ▽タラップ下で涙の再会

 北朝鮮から一時帰国する拉致被害者五人を乗せた政府チャーター機は十五日午後二時十九分、秋晴れの羽田空港に到着。日本海を往復したチャーター機から姿を見せた五人は涙をこらえ切れずに顔を覆い、タラップ下で待ちかまえた父母、兄弟としっかり抱き合った。

 最初に姿を見せたのはスーツ姿の地村保志さん(47)と浜本富貴恵さん(47)夫婦。浜本さんは家族の姿を目にした途端、顔がくしゃくしゃになった。「明るく迎えたい」と言っていた長男雄幸さん(73) は笑顔で抱き締めた。

 地村さんの父保さん(75)の胸ポケットには四月になくなった母と志子さん=当時(74)=の写真が入っていた。日に焼けた保志さんの肩に手を回した。

 蓮池薫さん(45)と奥土祐木子さん(46)夫婦は腕を組んで現れた。長髪の青年だった蓮池さんの顔にはしわが刻まれ、着物が似合った奥土さんは昔と変わらないショートカットだった。

 曽我ひとみさん(43)はふっくらとしていたかつての面影はなく、妹の金子富美子さん(37)が差し出した手をぎゅっと握り締めた。

 約四十人の家族は午後一時十五分、出迎えのため宿泊先のホテルをバス三台で出発。羽田空港の貴賓室で五人の帰国を待った。

 チャーター機が到着したのは羽田空港の「V1スポット」と呼ばれる要人専用駐機場。家族らは「お帰りなさい」と書かれた横断幕を掲げたほか、五人に渡すバラの花束を抱えてタラップ下で出迎えた。

横田めぐみさんの娘と「ほぼ断定」、両親訪朝も

2002年10月15日 Yomiuri On-Line

 外務省の斎木昭隆アジア大洋州局参事官は15日の記者会見で、北朝鮮側が死亡したとしている拉致被害者、横田めぐみさんの娘とされる少女、キム・ヘギョンさんについて、「DNA鑑定の結果は出ていないが、現段階の判断としてほぼ(実の娘と)断定して間違いない」と述べた。また、今月上旬、キムさんの日本訪問を北朝鮮側に申し入れたことを明らかにした。

 一方、めぐみさんの両親がキムさんと面会するため、近く北朝鮮を訪問する可能性が15日、浮上した。安倍晋三官房副長官が同日、「(拉致被害者5人とは)ケースが違う」として、両親に訪朝を勧めたという。

 両親は「めぐみの夫とされる人が本人か分からない」と不安を漏らしており、政府はめぐみさんの夫のDNA鑑定などを北朝鮮側に求める方針だ。

平壌空港にめぐみさんの娘

2002/10/15 中国新聞

 安倍晋三官房副長官は十五日午後、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)に拉致された五人を出迎えに行った中山恭子内閣官房参与と斎木昭隆外務省アジア大洋州局参事官が、平壌国際空港で新潟市内で拉致された横田めぐみさん=失跡当時(13)=の娘とされる少女と会い、事情を聴いたことを明らかにした。首相官邸で記者団に述べた。

 少女は中山参与らに対し「おじいさん、おばあさんが一緒に(迎えに)来ると思ってここに来た」と述べたという。

 さらに安倍副長官は、中山参与らの事情聴取の結果、今回一時帰国した蓮池薫さん(45)と奥土祐木子さん(46)、地村保志さん(47)と浜本富貴恵さん(47)の両夫妻が、横田めぐみさんとその娘の少女のことを知っていると話していることを明らかにした。

 これを受け、政府は横田めぐみさんと一緒に生活したことが分かっている曽我ひとみさん(43)や蓮池さんらから横田めぐみさんに関する情報収集のため、事情を聴く方針だ。

 また安倍副長官は、めぐみさんの両親が娘とされる少女に会いたいとの意向を持っているため、「実現するか検討したい」と表明。今後の対応については「自由な意思を担保するため、家族を含めた全員の帰国を要求している」と述べ、引き続き家族全員の帰国を求める考えを示した。

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