TOPIC No.2-132-2 2002年度(-09月)北朝鮮による日本人拉致事件

拉致棚上げはしない 訪朝前に首相が強調2002年09月15日 The Sankei Shimbun

 小泉純一郎首相は15日午後、日本の首相として初の北朝鮮訪問について「拉致問題を棚上げして正常化交渉は進まないというのは一貫した考えだ。その方針で行く」と述べ、最大懸案である拉致疑惑の進展に強い決意を表明した。

 首相は金正日総書記との首脳会談に臨む日本政府の対処方針について「それはもう決まっている」と指摘。会談では「安全保障、拉致問題を包括的に議論する。いずれも会ってからの話だ」と述べた。

 首相は拉致疑惑の被害者の家族との面会を見送り、福田康夫官房長官が会うことになったことに関連し「既に(家族とは)会っている。会った上で、水面下の交渉の話をしている。私は十分理解している」と述べた。

 都内のホテルで記者団の質問に答えた。

自民党幹事長「拉致問題を優先」

2002年09月15日 The Sankei Shimbun

 自民党の山崎拓幹事長は15日、テレビ朝日の番組で、小泉純一郎首相と北朝鮮の金正日総書記との首脳会談の成功には「拉致問題で一定の前進が必要」と述べた。同じ番組で古賀誠前幹事長は政府が認定した拉致被害者11人の安否情報の確認と帰国の手順の明確化が必要と指摘。岡本行夫内閣官房参与も同日のNHK番組で、この2条件が満たされなければ「国交正常化はあり得ない」と述べた。

 今回の訪朝で11人を連れ帰るべきだとの与党内の意見については、山崎、岡本両氏とも非現実的との見解を示した。

 岡本氏は「(日朝国交正常化を)とにかく早くしなければならないのは北朝鮮側だ。日本は性急にする必要はない」とし、「拉致問題と日本の安全保障などで取るべきものは取ってからでいい」とミサイル発射実験の凍結なども前提条件となるとの考えを表明。

 古賀氏は、首脳会談で拉致疑惑のほか不審船問題、ミサイル疑惑をめぐる日本の立場を小泉首相がはっきり伝えるのが重要と強調した。

日朝首脳会談:金総書記の書面は拉致問題に触れず 家族に不安 2002年09月14日 Mainichi INTERACTIVE

 拉致問題はどうなるのか――。17日の小泉純一郎首相の朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)訪問を直前にした14日、金正日総書記が共同通信に寄せた異例の書面。日朝関係改善への期待を表明したものの、日本人拉致問題については具体的な記載はなかった。真意は何なのか。北朝鮮の変化は本物なのか。拉致の被害者家族らは、不安と怒りを募らせた。

 77年に新潟市内の中学校から下校途中に行方不明となった横田めぐみさん(当時13歳)の父滋さん(69)は、拉致問題への言及がないことに「納得できない」と憤った。小泉首相の訪朝について「戦後補償などが優先議題となるようなら、(拉致問題の)解決が遅れることになっても会談の席を立ってほしい」と話し、「少なくとも安否の確認や解決の見通しをつけるなど、拉致問題を先にしなければうやむやにされかねない」と力を込めた。

 78年に新潟県柏崎市で行方不明になった同市平井、会社員、奥土祐木子さん(当時22歳)の父一男さん(75)は、金総書記の書面が「過去の清算」を「解決すべき基本問題」としていることに対し、「拉致問題が後回しになるようなことがあってはいけない」と強く反発。小泉首相の訪朝について「拉致問題が解決しなければ、戦後補償なども応じないつもりで臨んでほしい」と話した。

 現代コリア研究所の佐藤勝巳所長は、「このメッセージで、日本の国民が金正日(総書記)に好意を持つであろうという読みが北朝鮮にある」と分析。内容については「従来からの主張と基本的に変わっていない」と指摘した上で、「大きくない問題をもって中傷」という文言に触れ、「拉致や不審船のことを指していると思うが、この時期にわざわざこういう表現を使っており、問題解決の意思があるとは思えない」と批判した。

拉致疑惑で前向き回答期待 福田官房長官2002年09月14日 The Sankei Shimbun

 福田康夫官房長官は14日、CS放送の「朝日ニュースター」番組で、日本と北朝鮮との間で最大の懸案となっている日本人拉致疑惑に関して「北朝鮮も次の展望を開きたいことがあるならそれを乗り越えてくれるのではないだろうか」と述べ、日朝首脳会談で北朝鮮側が前向きの回答をするのではないかとの見通しを示した。

 また、福田長官は「戦後処理が北朝鮮には手が付いていない。これはこれできちんとしなければいけない」と指摘。小泉純一郎首相が戦後50年の村山談話を基に「おわびの気持ち」を伝えるとの考えを示した。

 また米国がイラクを攻撃した場合の支援について「日本が国連決議に基づいた行動をするのは十分考えられる。国際社会の要望を冷静に見極めた上で相応の対応をしたい」と述べ、国連決議を踏まえて対米支援策を検討する考えを明らかにした。

 対米支援のための新規立法については「必要かどうか見極めをつけなければいけない。立法には2カ月近くかかるから、攻撃が短期間で終わるなら間に合わない」と述べ、消極的な考えを示した。

拉致議連:首相訪朝前に被害者家族と面会へ 2002年09月13日 Mainichi INTERACTIVE

 超党派の国会議員でつくる「北朝鮮に拉致された日本人を早期に救出するために行動する議員連盟」(会長・石破茂自民党衆院議員)は13日、国会内で緊急総会を開き、小泉純一郎首相に対し、17日の訪朝前に拉致問題被害者の家族との面会を求めることを決めた。

 福田康夫官房長官と首相の訪朝に同行する安倍晋三官房副長官が16日に首相官邸で家族と面会する予定で、首相の面会は予定されていない。福田長官は13日の記者会見で「首相の時間的な都合がつかないだけだ」と説明した。 【中西拓司】

拉致問題、解決求め署名活動 有本恵子さん両親ら2002年09月07日 The Sankei Shimbun

 19年前に欧州で失跡し、北朝鮮に拉致(らち)されたとされる元神戸外大生、有本恵子さん=当時(23)=の両親らが7日、大阪市内の街頭に立ち、拉致問題の解決を訴える署名活動をした。

 有本さんの父明弘(74)さんと母嘉代子(76)さん、市民団体「北朝鮮に拉致された日本人を救出する会・大阪」のメンバー約30人が参加。

 嘉代子さんは「この19年間の私たちの思いは口では言えない。(小泉純一郎首相の訪朝で)すぐに連れて帰ってくるのは無理かもしれないが、最低でも安否だけは確認してきてほしい」と声を詰まらせながら訴えた。

 両親らはほかの行方不明者家族らとも連携し、1997年から毎月2回、兵庫や大阪などで署名活動を行い、これまでに集めた署名は150万人を超える。

 署名した大阪府豊中市の男性会社員(54)は、小泉首相の訪朝について「国交樹立も大事だが、拉致問題に筋を通してきてほしい」と語った。

拉致疑惑棚上げせず 首相2002年09月03日 The Sankei Shimbun

 小泉純一郎首相は3日午後(日本時間同日夜)、ヨハネスブルク市内で記者会見し、北朝鮮の金正日総書記との会談について「拉致問題は日本国民にとって重大な問題だから棚上げして国交正常化交渉に入るわけにはいかない、と水面下の交渉でたびたび伝えていた」と述べ、日本人拉致疑惑の解決の見通しがつくことが正常化交渉再開の前提との基本姿勢をあらためて表明した。

 首相は今回の首脳会談の狙いを(1)金総書記に日本との国交正常化交渉に取り組む意思があるか(確認する)(2)北朝鮮が国際社会の一員となることが日本、北朝鮮、世界にとって良いことを伝える−と指摘。「日本と北朝鮮との正常化交渉を早期に再開できるか、可能性を見極めるために行く」と強調した。

 会談の議題については「当然、拉致問題はテーマとなるが、いろいろ包括的、総合的に話し合う」と述べた。(共同)

日本人拉致の国際手配者、板門店の集会に出席2002年09月03日 Yomiuri On-Line

 【ソウル3日=浅野好春】北朝鮮の朝鮮中央放送は3日、スパイ罪などで韓国に長く拘禁された後、北朝鮮に送り返された元「非転向長期服役囚」の帰還2周年記念集会が2日に板門店で行われ、日本人拉致(らち)事件にかかわったとされる辛光洙(シン・グァンス)・元服役囚が出席していたことを伝えた。

 先月末平壌で行われた日朝外務局長級協議で日本側は辛・元服役囚の身柄引き渡しを求めたが、北朝鮮側は拒否したとされ、集会に参加させることで送還意思がないことを改めて示す狙いがあったと見られる。

 集会では辛・元服役囚ら3人が発言し、「すべての非転向長期囚の胸は、父なる将軍(金正日総書記)の恩恵に一千万分の一でも報いる鉄石の誓いで沸き立っている」と表明した。

 辛・元服役囚は1980年6月、大阪の中華料理店店員、原敕晁(はら・たかあき)さん(当時49歳)を宮崎県の海岸に誘い出し、船で拉致したとされ、先月1日に警視庁から旅券法違反などの疑いで国際手配された人物。原さんになりすまして旅券などを取得し、韓国への工作活動を続けていたとされる。

 辛・元服役囚は85年に韓国で逮捕され、スパイ罪で死刑判決を受けたが、99年の恩赦で釈放された後、2000年6月の南北共同宣言に基づき同9月に北朝鮮に送還された。辛・元服役囚は裁判の過程で原さん拉致の事実を認め、裁判記録にも残されている。

首相と拉致家族の面会検討2002年09月03日 The Sankei Shimbun

 福田康夫官房長官は3日午後、首相官邸で超党派の「北朝鮮に拉致された日本人を早期に救出するために行動する議員連盟」の石破茂会長らと会い、小泉純一郎首相の北朝鮮の訪問前に日本人拉致疑惑の被害者家族と首相との面会を前向きに検討する考えを明らかにした。

 石破氏らが(1)拉致疑惑の解決なしに国交正常化や経済支援を行わない(2)首相は訪朝前に被害者家族と面会すべきだ−と申し入れたのに対し答えた。

 ただ、これに関連して政府筋は首相が訪米から13日に帰国し、14日から連休を使って訪朝の準備に入ることなどから日程調整は難しいとの認識を示した。

 福田長官は被害者家族との面会について「出発前に面会できるよう日程調整に努力する」と表明、拉致疑惑の解決に関しては「趣旨はよく理解する。毅然(きぜん)とした交渉を行う決意だ。変な交渉をするなら行かない」と強調した。

 石破氏らが東シナ海で沈没した不審船の船籍特定が日朝首脳会談後となったことをただしたのに対し、福田長官は「(政治的配慮は)全くない。(訪朝とは)全く別問題として引き揚げる」と述べた。

首相「拉致解決が正常化の前提」2002年09月02日 The Sankei Shimbun

 小泉純一郎首相は2日昼(日本時間同日夜)、訪問先のヨハネスブルク市内のホテルで同行記者団と懇談し、北朝鮮の金正日総書記との首脳会談について「日本人拉致問題を棚上げして国交正常化はあり得ない」と述べ、あくまで拉致疑惑の解決が正常化の前提との立場を強調した。

 首相は「国交正常化交渉が再開できればいいし、できなければできない。正常化交渉が再開できれば成果だ」と述べ、交渉再開の合意ができるかどうかが会談の成否の判断となるとの認識を示した。

 北朝鮮が日本の植民地時代の謝罪と補償を求めていることに関しては「いろいろ要求があるでしょう。いろいろな懸案を包括的に考えて、正常化交渉を早期に再開するのがいいか判断すればいい」と述べ、北朝鮮の出方も見極めた上で判断する意向を表明した。

 北朝鮮訪問期間については「正常化交渉が今後再開できるか見極める会談だから日帰りで十分だ」と述べ、当初予定通り9月17日に日帰り訪問する考えを示した。(共同)

「拉致」解決が補償の前提 外務省局長、北朝鮮に伝達2002年09月01日 Yomiuri On-Line

 外務省は31日、平壌で9月17日に行われる初めての日朝首脳会談に向けた準備を本格化させた。田中均アジア大洋州局長ら日朝関係担当者が31日に北京入りし、同市内で北朝鮮外務省の対日政策担当者らと2日間にわたる事前折衝に入った。

 協議の内容は非公開となっているが、関係者によると、北朝鮮側が求める日本の植民地時代の「過去の清算」問題について、日本側は1965年の日韓国交正常化で採用された「経済協力方式」を下敷きにした補償による解決方法を打診。日本人拉致(らち)事件解決に向けた話し合いも行われ、日本側は国交正常化の前提である拉致事件の解決なしには、補償問題は進展しないと伝えたと見られる。

拉致と補償が最大の課題【小泉首相訪朝】2002年08月30日 The Sankei Shimbun

 日本と北朝鮮の間には、日本人拉致疑惑をはじめ国交正常化に向け課題は多い。

 日本側は8件11人の拉致疑惑の被害者について消息確認を求めている。これに対して、北朝鮮側は「拉致という言葉も存在しない」(金正日総書記)という立場を変えていない。

 北朝鮮側は、植民地時代の「過去の清算」を最大の課題と指摘、謝罪と補償を要求。これに対して、日本側は補償はできないと主張。経済支援の形をとった「日韓方式」による決着を提起している。

 日本側は国際原子力機関(IAEA)による核査察受け入れやミサイルの発射実験凍結と開発・配備・輸出の停止も要求。日本近海での工作船の活動問題や麻薬密輸問題、対日貿易債務の不履行問題についても対応を求めている。「よど号」犯グループの引き渡しも課題だ。

日朝共同文書を発表2002年08月26日 The Sankei Shimbun

 平壌で行われた日本と北朝鮮の外務省局長級協議は26日午後、2日間の協議を終了し、共同文書を発表した。

 発表文は、国交正常化実現が重要との認識を示し、中断している国交正常化交渉の早期再開の可能性について検討することを確認。今後1カ月以内に結論を出すよう協議を継続し、双方が努力することで一致した。

 「過去の清算」など国交正常化に関する諸問題と人道上の諸懸案の解決には「政治的意思をもって取り組むことが重要」として、双方の政治判断で問題解決を目指す方針を打ち出した。

 日本側は人道上の諸懸案には日本人拉致疑惑が含まれると主張しており、解決に向けて北朝鮮側がどう対応するかを見極めながら、正常化交渉再開を判断することになる。

 また発表文は、日本側が8件11人の拉致被害者も含めて「行方不明者」として求めている消息調査などの人道問題について「今後とも政府が懸案の早期解決のため誠意をもって取り組むとともに、赤十字の活動に積極的に協力」することも明記した。

 朝鮮半島の緊張緩和のため、関係諸国との対話促進が重要との認識で一致。北朝鮮在住の被爆者に対する日本側の支援について、実務レベルで協議をすることも決めた。

 双方は、7月末のブルネイでの川口順子外相と白南淳外相との会談が、日朝関係発展の上で重要な契機となったとの認識を強調した。(共同)

【日朝共同発表文全文】

2002年08月26日 The Sankei Shimbun

 日本と北朝鮮の外務省局長級協議に関する共同発表文の全文は次の通り。

 日朝外務省局長級協議は8月25日および26日、平壌において行われた。会談には日本側から田中均アジア大洋州局長が、北朝鮮側から馬哲洙第四局長(アジア担当)が参加した。

 1、双方はブルネイの日朝外相会談が今後の日朝関係を進展させる上で、重要な契機となったことについて認識を共にした。

 2、双方は日朝関係を改善し、地域の平和と安定を図るために国交正常化を実現することが重要であるという認識を共にし、過去の清算に関する問題を含む国交正常化に関する諸問題ならびに人道上の問題を含む諸懸案を解決するための方途について真摯(しんし)に協議した。双方はこのような諸課題を解決していくために、政治的意思をもって取り組むことが重要であることにつき認識の一致をみた。

 3、双方は、朝鮮半島とその周辺地域の緊張緩和のために努力し、これに関して関係諸国との対話を推進させることが重要であることにつき認識を共にし、必要な努力を行っていくこととした。

 4、双方は、人道問題を解決するために双方の赤十字間で会談が行われたことを歓迎した。今後とも政府がこの懸案問題の早期解決のために誠意をもって取り組むとともに、赤十字の活動に積極的に協力していくこととした。

 5、双方は在北朝鮮被爆者問題について協議し、在外被爆者全般に対する日本側の支援方式に留意しながら今後、実務レベルで引き続き協議することとした。

 6、双方は、国交正常化に関する諸問題および日朝間の諸懸案の解決を包括的に促進するという方式の下で国交正常化交渉を早期に再開することの可能性につき検討することとし、この点につき、今後1カ月をめどに意見の一致をみるべく努力することとした。このため、双方は必要に応じ随時協議していくこととした。(共同)

日朝関係:局長級協議始まる 拉致、過去の清算で論議2002年08月25日 Mainichi INTERACTIVE

 日本と朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)との外務省局長級協議が25日午前、平壌市内の人民文化宮殿で始まった。

 日朝間の実務者レベルの政府間協議は2000年10月の第11回国交正常化交渉以来で、日本から田中均アジア大洋州局長、北朝鮮から馬哲洙第四局長(アジア担当)らが出席。

 日本側は最近の北朝鮮の対話姿勢を評価しつつも、8件11人の日本人拉致疑惑に関して「正常化には避けて通れない問題で具体的な進展が必要」と表明。北朝鮮側は日本の植民地支配に対する「過去の清算」として謝罪と補償を強く求めるとみられ、初日は双方の原則論の応酬となりそうだ。(平壌共同)

金総書記に拉致問題解決求める首相メッセージ伝達2002年08月24日 Yomiuri On-Line

 【平壌24日=相原清】日本と北朝鮮との外務省局長級協議に臨むため、田中均・同省アジア大洋州局長らが24日午後、北京経由で空路、平壌に到着した。田中局長らはこの後、平壌市内の万寿台議事堂で洪成南(ホン・ソンナム)首相と会談し、日本人拉致(らち)事件の解決を求める小泉首相から金正日総書記あてのメッセージを口頭で伝えた。

 これに対し、洪首相は、メッセージを「確かに伝える」としたうえで、「日朝間に提起されている問題を一つ一つ誠意をもって議論していけば、理解とお互いの信頼は深まるだろう。政府としてあらゆる協力を行う用意がある」と述べ、対話継続の重要性を強調した。

 小泉首相から金総書記へのメッセージは初めてで、「国交正常化の諸問題及び、両国間の諸懸案に真剣に取り組むつもりがある。貴国も誠意をもって真剣に取り組んで欲しい」としている。

 田中局長は、国交正常化を進めるにあたり、拉致事件の解決とともに、<1>北朝鮮のミサイル、核開発問題<2>日本近海に出没する工作船問題――の解決が重要と指摘。洪首相は、国交正常化について、「日本が『過去の清算』問題に誠意を持って取り組めば、我々にも用意はある」と述べ、日本による植民地支配時代の謝罪や賠償を改めて求めた。

 洪首相は政権のナンバー4とされる人物で、外国政府の局長クラスとの面会に応じるのは「極めて異例」(日朝関係筋)といい、北朝鮮側が“融和姿勢”を強調したものと言える。

 だが、北朝鮮側は、先の日朝赤十字会談で拉致事件の日本人被害者8件11人の安否について具体的な情報提供をしておらず、今回も「目に見える成果は期待できない」(日本外務省筋)との見方がもっぱらだ。このため、日本側は、今協議を「国交正常化交渉の予備会談ではなく、幅広いテーマを双方で話し合う場」と位置づけている。

 協議は25、26日の両日行われ、終了後、共同文書を発表する方向で調整している。

日朝関係:局長級協議、25日から 拉致問題など提起へ2002年08月23日 Mainichi INTERACTIVE

 日本と朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の外務省局長級協議が25、26両日、平壌で開かれる。先の赤十字会談で北朝鮮側は日本が最重視する拉致問題について「政治問題」とかわし、政府間級協議にゆだねたとも受け取れる姿勢を示した。日本側は「局長級協議は国交正常化交渉の予備会談ではない」(竹内行夫外務事務次官)と位置づけており、拉致問題で進展がなければ正常化交渉の再開に応じない方針だ。

 日朝の政府間協議は00年10月の第11回国交正常化交渉以来。日本側は外務省の田中均アジア大洋州局長、林景一条約局審議官らが出席。条約局幹部が参加することで正常化交渉に近い布陣で臨み、北朝鮮に対し拉致問題だけでなく核・ミサイル問題や不審船問題などすべての懸案を提起する構えだ。

 日本側交渉筋は「1回の協議で大きく進展するとは思っていない」と慎重だ。一方で赤十字会談を踏まえ「今までは『拉致』という言葉を使った途端に席を立ったり、撤回を要求した。明らかにいい方向だ」として、交渉環境がわずかながら整いつつあるとの認識も示している。

 これに対し北朝鮮側は「過去の清算問題は必ず解決されるべき優先的な課題」(朝鮮中央放送)と強調している。拉致問題の解決を最優先に譲歩を迫る日本側をけん制するものだ。 【三岡昭博】

行方不明者6人の身元確認 日朝赤十字が共同発表 2002/08/19 中国新聞

 【平壌19日共同=小渕敏郎】平壌で行われていた日本と朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の赤十字会談は最終日の十九日午後、合意事項を盛り込んだ「共同発表」を出して終了した。

 共同発表では、日本側が日本人拉致疑惑を含む「行方不明者」として安否確認を求めている四十九人のうち「六人の身元が確認され、日本側に通報した」とし「今後調査を加速化させ、調査結果が判明次第、日本側に迅速に通報し、適切な措置を取る」と調査継続を確認した。代表団筋によると、この六人は日本側が拉致疑惑と認定している八件十一人とは別としている。

 第四陣の日本人配偶者里帰り事業は、十月下旬ごろに実現することで合意。

 北朝鮮側が求めていた一九四五年以前の朝鮮人行方不明者の安否調査の結果として、日本側が三人の身元を確認、うち一人が日本に生存していることを北朝鮮側に報告。生存者が家族と対面できるよう「双方が措置を早期にとる」ことを盛り込んだ。

寺越さん、一時帰国を検討2002年08月19日 The Sankei Shimbun

 日朝赤十字会談のため北朝鮮を訪れている日本赤十字社の東浦洋国際部長と外務省幹部は19日午前、平壌市内のホテルで、1963年に日本海で漁船に乗っていて行方不明となり現在、平壌で暮らしている寺越武志さん(52)と面会した。寺越さんは「(北朝鮮に来て)40年になる。いつか日本に行きたいと思っている」などと述べ、一時帰国の意向を示した。

 この後、寺越さんは記者団に「今、計画を立てている」と述べた。

 また、日本側は日本人拉致疑惑に絡む「行方不明者」調査の具体的方法などを確かめるため、調査を担当する人民保安省、平壌市人民委員会の幹部各1人と初めて会談。保安省の住民票担当者らは「住民登録に基づき調査している。5月に朝鮮赤十字会からさらにしっかりやるよう話があり、調査を進めている」と説明した。日本側は安否確認をあらためて求めた。

 日本側が朝鮮赤十字会だけでなく調査の現場担当者に直接会うのは、拉致疑惑に対する日本側の強い姿勢を示す狙いがある。

 日本側は引き続き、今秋の実現で合意した第4陣の日本人配偶者の里帰り事業で、北朝鮮側が示した帰国予定者リストの中の女性3人、北朝鮮側が求める45年以前の朝鮮人消息調査で確認された生存者1人の家族2人とも個別に面会、朝鮮赤十字会本部も表敬訪問した。帰国予定の女性の1人は記者団に「できるだけ早く行きたい。早く国交正常化して互いに行き来できるといい」と述べた。

 寺越さんについては、97年11月の与党訪朝団の際に、北朝鮮側が一時帰国を保証したが実現しておらず、今年5月には母親の友枝さん(71)=金沢市=が外務省に一時帰国実現への協力を要請している。

 日朝赤十字会談は同日午後再開、合意事項をまとめた共同文書を発表する。(共同)

拉致疑惑、安否確認求める 平壌日朝赤十字会談2002年08月18日 The Sankei Shimbun

 日本人拉致疑惑など、日本と北朝鮮間の「人道上の諸問題」を協議する日朝赤十字会談が18日、平壌市内の人民文化宮殿で開かれた。

 日本側は1983年に欧州で失跡した元神戸外大生の有本恵子さんら拉致被害者8件11人を含む49人の「行方不明者」の安否の確認を強く求めた。4月の前回会談で「夏の実現」で合意しながら棚上げとなっている日本人配偶者の第4陣の里帰り事業の規模や日程について協議したとみられる。

 日本側は北朝鮮が求めている1945年以前の朝鮮人行方不明者の調査結果として、数人の生存、死亡を確認したことを初めて報告したもよう。在朝被爆者の支援問題なども議題だ。

 朝鮮赤十字会の李浩林部長は会談の冒頭「歴史的会談にするため誠意を尽くすし、あなた方も同感だと思う」と述べ、前向きな姿勢を示した。日本赤十字社の東浦洋国際部長は「会談が日朝両国の懸案である人道問題の解決への追い風となることを期待する」と強調した。日赤側は北朝鮮の洪水被害に対し、国際赤十字を通じて3万ドルを緊急援助したことも説明した。

 赤十字会談の平壌での開催は初めて。佐藤重和外務省アジア大洋州局審議官、北朝鮮の呉海星外務省副局長ら両国の外務省関係者も同席した。19日も続行し、共同発表文をまとめる予定だ。(共同)

日朝赤十字会談:拉致問題担当者と会談へ 2002年08月18日 Mainichi INTERACTIVE

 【平壌・三岡昭博】朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)との赤十字会談に出席する東浦洋・日本赤十字国際部長ら日本側代表団が17日午後、平壌に到着し、平壌空港で李浩林(リホリム)・北朝鮮赤十字副書記長らの出迎えを受けた。両代表団は18日午前9時半から会談を始め、19日午後に共同発表文を出すことが決まった。また、19日午前には日本側が希望していた日本人拉致疑惑に関連する「行方不明者」の安否を担当する北朝鮮政府幹部との会談が実現する方向となった。

 赤十字会談は今回で6回目。過去5回は北京で行っており、交渉当事国で開くのは初めて。

日朝赤十字会談:拉致問題で北朝鮮の新対応に注目 18日から 2002年08月16日 Mainichi INTERACTIVE

 日本と朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の第6回日朝赤十字会談が18、19両日、平壌で開かれる。最大の焦点である北朝鮮に拉致された8件11人の「日本人行方不明者」問題について、対話路線を鮮明にしている北朝鮮が安否調査で新たな対応を示すか、日本政府は注目している。

 日朝赤十字会談は約4カ月ぶりで、平壌開催は初めて。日本側は東浦洋・日本赤十字社国際部長、佐藤重和・外務省アジア太平洋局審議官らが出席する。

 日本は米韓両国と対北朝鮮政策での連携強化を進める一方、欧州連合(EU)やロシア、中国に拉致問題解決への協力を要請した。7月末の日朝外相会談では川口順子外相が拉致問題に言及、解決を迫った。

 これに対し、北朝鮮は白南淳(ペクナムスン)外相が「(川口)大臣の指摘を理解する」と柔軟な対応を示した。また、12日付の北朝鮮の労働党機関紙「労働新聞」は「朝日間の諸般の問題を解決して関係改善を成し遂げようとするわが方の立場に変わりはない」と論評。さらに「過去の会談は頻繁に決裂し、深刻な教訓を残した。今後の対話は内外の失望をもたらした過去の前轍(ぜんてつ)を踏んではならない」と関係改善への強い意欲を示しており、「北朝鮮も拉致問題が国交正常化を進めるうえで極めて重要と理解してきたのではないか」(日朝関係筋)との見方が出ている。

 ただ、北朝鮮は前回の赤十字会談で「今後、安否調査を深めるための方途を模索する」と明言したものの、具体的な動きは全く見えない。日本政府内には「拉致問題は北朝鮮の最大の交渉カード。今切れば、交渉のテコをなくすことになる」(外務省幹部)との分析があり、大きな進展が得られるとの楽観論は少ない。日朝間では25、26両日にも外務省局長級協議を控えているため、日本政府は赤十字会談を含めた一連の会談を通じて「北朝鮮が誠意を持って問題解決に取り組む覚悟があるのか見極めたい」(外務省筋)との姿勢だ。

 赤十字会談では戦前・戦中に徴用で日本に連行された朝鮮人行方不明者問題、日本人配偶者の第4次里帰りもテーマになる。日本人配偶者の里帰りは規模や実施時期について合意する見込み。朝鮮人行方不明者は戦後、韓国に移住したケースを想定し、調査範囲の韓国への拡大が検討課題となりそうだ。 【三岡昭博】

「拉致解決」前進が条件 政府、日朝協議で方針2002年08月15日 The Sankei Shimbun

 政府は15日、北朝鮮との間で8月中に平壌で相次いで開く赤十字会談、外務省局長級協議に向け、今後の日朝協議に関する対処方針を固めた。

 8件11人の日本人拉致疑惑は「国民の生命にかかわる重大問題」として、北朝鮮が調査の約束だけでなく「具体的成果」を示すなど解決への前進がない限り、2000年10月以来、中断している国交正常化交渉の再開やコメ支援には応じない。

 このため25日からの局長級協議は正常化交渉の「予備会談」とは位置付けず、核開発疑惑やよど号犯グループの引き渡し、不審船問題など日朝間のあらゆる懸案を議題に取り上げ、北朝鮮の対話姿勢を見極める方針だ。

 北朝鮮が「過去の清算」として求める補償問題では「日韓併合条約は合法的であり日朝間に戦争状態はなく賠償には応じられない」との考えをあらためて説明する。

 同協議後には、日米韓の局長級政策調整会合などで日朝協議の詳細を伝え、米韓両国との協調を基本にしながら日朝協議継続の在り方を慎重に判断していく。

 政府は最近の北朝鮮の外交攻勢について、ブッシュ米政権の強硬姿勢や深刻な経済情勢を背景に「米の同盟国である日韓との対話重視路線に転じた」(外務省幹部)と分析。日本としても「北東アジアの平和と安定に資する形での国交正常化」を求める立場から対話自体は積極的に進める。

 ただ、昨年12月の北朝鮮のものとみられる不審船事件や今年3月に新たに有本恵子さんが「拉致認定」されたことも踏まえ「安易な形での正常化交渉再開は世論の理解を得られない」(首相官邸筋)と判断。拉致疑惑解決の方向性が定まれば正常化交渉に入り「過去の清算」や安全保障問題などを含めた「包括的決着」を目指す方針だ。

 赤十字会談は18、19の両日、局長級協議は25、26の両日、それぞれ開催される。

拉致疑惑に強い姿勢で対応2002年08月10日 The Sankei Shimbun

 政府は18日から始まる一連の北朝鮮との日朝協議に対し「もうコメ支援などを目的とする対話のための対話はしない」(外務省幹部)として、日本人拉致疑惑などで解決のめどが示されない限り、国交正常化の本交渉再開には応じないとの強い姿勢で臨む方針だ。

 ただ、「過去の清算」や拉致疑惑などをめぐる両国間の主張の隔たりは一向に狭まっておらず、協議の難航は必至だ。

 18日からの赤十字会談と25日ごろの局長級協議を決めた7月末の川口順子、白南淳両外相の会談では、平成12年10月以来途絶えている正常化交渉の「可能な限りの早期実現」で一致。日本政府は一連の協議を「正常化交渉再開など日朝対話促進の環境整備」(福田康夫官房長官)と位置付けている。

 外務省は、北朝鮮が南北閣僚級会談開催や米特使の受け入れ表明など再び積極外交を展開し始めたことについて「食糧不足を含め深刻な経済情勢が背景にある」と分析。

 特に過去5回の日朝赤十字会談はいずれも北京で開かれたが、今回は「北朝鮮側が局長級協議とともに平壌での開催を持ち掛けた」(外務省幹部)といい、スパイ容疑で抑留した元日経記者の解放(今年2月)、よど号事件グループの帰国に関与しないとの表明(7月)に続く対話促進への「積極シグナル」と受け止めている。

 しかし、両国は北朝鮮のものとみられる不審船引き揚げや朝銀信組処理問題など「新たな関係悪化材料」も抱えており、現段階で成果が期待できるのは「日本人配偶者の里帰り事業再開ぐらい」(日朝関係筋)との見方もある。

<日朝赤十字会談>不明日本人「調査既に再開」 被爆治療を要請

2002/04/29(毎日新聞)YAHOO!ニュース北朝鮮

拉致疑惑:元北朝鮮工作員出入国繰り返す 3年で欧州など7回2002年08月01日 Mainichi INTERACTIVE

 80年6月、大阪市の中華料理店員、原敕晁(ただあき)さん(当時43歳)を朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)に拉致したとされる北朝鮮の元工作員、辛光洙(シンガンス)元服役囚(73)が、拉致後に取得した原さん名義の旅券で約3年間に欧州などとの間で7回出入国を繰り返していたことが、警視庁公安部の調べで分かった。党直轄の対韓国工作部門の工作員で、警視庁は、活動を報告したり指示を仰ぐために海外を経由して北朝鮮にむかったとみている。

 警視庁は1日、旅券法、出入国管理法違反などの容疑で辛元服役囚の逮捕状を取った。辛容疑者は、韓国でスパイ罪などで死刑判決を受けた後、恩赦で北朝鮮に送還されており、警視庁は近く国際手配する一方、警察庁を通じ、北朝鮮に引き渡しを求める。

 調べでは、辛容疑者は原さん拉致後の80年11月、原さんに成りすまして住民票を東京に移し、翌年11月に原さん名義の旅券を不正取得。この旅券で82年3月〜85年2月、成田空港とパリやスイス・チューリヒ、バンコクなどとの間で計7回出入国したなどの疑い。

 韓国での公判記録などによると、辛容疑者は静岡県生まれで終戦後に朝鮮に帰国、52年に朝鮮労働党に入党した。71年に対韓国の工作員に起用され、73年7月から旅券を不正取得する80年11月までの間、工作船で石川県や宮崎県の海岸から計5回密出入国したという。

 原さん拉致疑惑について警視庁は、国外移送拐取容疑で捜査してきたが、韓国側に拉致を認めたとされる辛容疑者の供述が得られないことなどから捜査は難航。今年3月に神戸市出身の有本恵子さん(当時23歳)が北朝鮮による拉致被害者と認定されたのを機に捜査を見直して、国内で捜査可能な旅券法違反などで立件することにした。

夏に日本人配偶者里帰り: 日朝赤十字が4項目合意

2002/04/30 中国新聞

 【北京30日共同=柿崎明二】北京での日本と朝鮮民主主義人民共 和国(北朝鮮)の赤十字会談は最終日の三十日午前、日本人拉致疑 惑に絡む「行方不明者」の調査再開などを確認して終了、今年夏の 日本人配偶者の一時帰国の実現や六月に次回会談を行うなど四項目 の合意を盛り込んだ共同発表を出した。

北朝鮮、行方不明者の調査再開表明 日朝赤十字会談

2002/04/29 中国新聞

【北京29日共同】日本人拉致疑惑に関連した「行方不明者」の消息調査など日本と朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の人道問題を協議する日朝赤十字会談が二十九日午前、北京市内のホテルで開かれた。日朝赤十字会談の公式協議は二〇〇〇年三月から約二年ぶりで、日朝間の公式会談は同年十月の国交正常化交渉本会談以来。

日朝赤十字会談:29日から北京で開会 日本人拉致疑惑が焦点

2002年04月27日 Mainichi INTERACTIVE

 日本と朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の赤十字会談が29日から2日間の日程で、北京で開かれる。日朝赤十字会談は00年3月に北京で開いて以来、約2年ぶり。日本政府は、北朝鮮に拉致された疑いがある8件・11人を含む日本人行方不明者の安否調査について、北朝鮮側の出方を注視しながら、「次につなげる会談にしたい」(外務省幹部)と対話継続に力点を置く姿勢だ。

北朝鮮の調査要求は259人

2002年04月24日 The Sankei Shimbun

 福田康夫官房長官は24日の記者会見で、北朝鮮が求めている1945年以前に行方不明となった「朝鮮人被害者」の安否調査で、「(北朝鮮側から)追加的調査依頼があったと承知している」と述べた。日赤関係者によれば追加要求は一昨年7月の151人。同年3月の108人要求に加え計259人となったが、現在のところ身元確認者はいないという。

日赤、日朝赤十字会談で49人の安否を再確認へ[2002年04月21日] Yomiuri On-Line

 日本赤十字社は21日、北京で今月末に行われる北朝鮮との日朝赤十字会談で、1990年以降に北朝鮮側に安否確認を求めた55人の日本人のうち、回答のない49人について、再び安否確認を求める方針を決めた。49人の中には、北朝鮮による拉致(らち)事件の被害者と見られる11人のほか、結婚して北朝鮮に渡ったまま行方が分からなくなった日本人妻などが含まれる。

 日赤では「無事でいる可能性の高い人の安否確認を優先的に求めたい」としている。55人のうち、6人については、既に所在や安否についての回答を北朝鮮側から受けたという。

 また、今回の赤十字会談では、中断されている日本人妻の里帰りの再開も北朝鮮側に求める方針だ。

新・拉致議連が準備会合[2002年04月12日]The Sankei Shimbun

 北朝鮮による拉致問題の解決を目指す超党派の「北朝鮮に拉致された日本人を早期に救出するために行動する議員連盟」の設立準備会合が12日、国会内で開かれた。自民、民主、自由、保守各党の約10人が出席し、共産、社民両党を除く国会議員に参加を呼び掛けた上で4月末からの大型連休前にも設立総会を開くことを決めた。会長には自民党の石破茂衆院議員が就任する。

 会合では(1)海外各国への協力要請(2)国会に「拉致特別委員会」を設置(3)在日朝鮮人の再入国禁止4北朝鮮支援の全面凍結−などに取り組むことで一致した。

 会合には国内拉致被害者の横田めぐみさんの両親も出席。父親の滋さんは「議連の発足は大変心強い」と期待感を示した。

 これまで超党派の「北朝鮮拉致疑惑日本人救援議員連盟」が活動していたが、日朝国交正常化交渉の再開を優先する中山正暉前会長の対応などをめぐって意見が対立、新議連を結成することになった。

拉致で中国に支援要請へ 小泉首相

[2002年04月11日] The Sankei Shimbun

 小泉純一郎首相は11日、中国に向かう政府専用機内で同行記者団と懇談、北朝鮮の関与が指摘されている日本人拉致疑惑について、解決に向けた側面支援を中国に要請する考えを示した。12日の朱鎔基首相との会談で北朝鮮への影響力行使などを求めるとみられる。

<日本人拉致疑惑>金総書記が全面否定 韓国特使に語る[2002年04月06日](毎日新聞)YAHOO!ニュース

 韓国の林東源・大統領外交安保統一特別補佐官は6日、日本人の拉致疑惑で、朝鮮民主主義人民共和国の金正日総書記が北朝鮮による日本人拉致はないという立場を強調したことを明らかにした。総書記は「拉致はない。完全にない。拉致という言葉は自然ではない。行方不明者であれば論議の対象になりうる」と語ったという。

有本恵子さん拉致事件

2002/03/24 YAHOO!ニュース
中山元建設相が問題発言。

 北朝鮮による日本人拉致(らち)問題で、神戸市出身の有本恵子さん(当時23歳)の両親が24日、同市内で開かれた支援者の集会で、「中山正暉・元建設相から『日本人が日本人をさらった。北朝鮮は関係ない』と言われた」と明らかにした。中山・元建設相は北朝鮮拉致疑惑日本人救援議員連盟会長。母嘉代子さん(76)は「北朝鮮を弁護しているとしか思えない。私たちの思いを無視している」と批判した。

「北」、有本さん生存を示唆

2002/03/23(共同)The Sankei Shimbun

 日朝関係筋は23日までに、日本政府が北朝鮮による拉致の疑いが強いと認定した日本人11人のうち1人が生存、2人が死亡していることを北朝鮮側がこれまでの日朝接触の中で日本側に示唆していたことを明らかにした。

 同筋によると、生存しているとされるのは日航機「よど号」乗っ取り犯の元妻が1983年に北朝鮮へ拉致したと証言した元神戸外大生の有本恵子さん=当時(23)=の可能性が強く、平壌で暮らしているという。死亡したとされるのは、77年に石川県で拉致されたとされる男性=当時(52)=と80年に宮崎市で拉致されたとされる男性=当時(43)=とみられる。

 ブッシュ米政権が北朝鮮への強硬姿勢を強める中、北朝鮮が「行方不明者」としている日本人拉致疑惑をカードに日朝関係を動かし、日本を対話に引き込む思惑があるとみられる。

 北朝鮮側がいつ示唆したかはっきりしないが、日本政府は99年12月の日朝赤十字会談や外務省局長級予備会談などで、有本さんや80年にスペインで相次いで消息を絶った北海道出身の元大学生と熊本県出身の留学生を「行方不明者」と位置付け、北朝鮮側に消息調査を要請した。こうした一連の会談以前から断続的に続いている公式、非公式の日朝接触の中で段階的に示された可能性がある。 別の日朝関係筋は、朝鮮労働党のラインで日本側に伝えられたとしている。

 北朝鮮の朝鮮赤十字会中央委員会は22日夜、有本さんの「拉致」に北朝鮮が関与していないと主張した上で、「行方不明者」の調査継続と日朝赤十字会談の用意があるとの声明を発表。日本側も応じる意向を表明したが、この協議の場で具体的な情報が明らかにされる可能性もある。

 日朝当局者が今月16、17の両日、中国遼寧省大連市でひそかに接触し、日本側が有本さんの消息確認などを北朝鮮側に要求した。

「行方不明者」調査を継続 北朝鮮赤十字が声明

2002/03/23【ソウル22日共同】中国新聞

 22日夜の朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の朝鮮中央通信によると、朝鮮赤十字会中央委員会は同日、元神戸外大生、有本恵子さん=当時(23)=拉致に関与していないと主張する一方、日本人拉致疑惑をめぐる「行方不明者」調査を継続、日本赤十字社と「相互の関心事について都合の良い時期に協議する用意がある」とのスポークスマン声明を発表した。

 日本政府が今月、北朝鮮側に拉致された疑いがあると認定した有本さん拉致疑惑に関して北朝鮮側が立場表明したのは初めて。これを受け、日本政府も日朝赤十字会談を早期に再開する方針を表明した。日本外務省筋は、会談が早ければ4月にも再開できるとの見通しを示した。

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