TOPIC No.2-125 外交機密費流用事件

01.機密費流用事件 Mainichi INTERACTIVE
02. ニュース特集 機密費流用事件 Yomiuri On-Line
03.外務省&官邸「機密費スキャンダル」の全真相 WEB現代
04.外務省幹部外交機密費私的流用事件 by弦巻ナレッジネットワーク
05.官房機密費「内部文書」の報道

高村法相が給与6カ月分を返納 機密費問題で

2001.03.02(13:02)asahi.com
 外務省の元要人外国訪問支援室長をめぐる政府の機密費(報償費)流用問題で、元室長の在任中に外務大臣を務めた高村正彦法相は2日の閣議後会見で、外相在任中の責任をとりたいとして、法務大臣としての給与6カ月分を返納する手続きをとったことを明らかにした。

 高村法相は、河野洋平外相の前任。1998年7月から99年10月まで外務大臣を務めた。

民主・中田氏が外務省答弁に怒って質問放棄 衆院予算委

2001.02.24(01:41)asahi.com
 「情けない。国会は議論がかみ合わない以前に会話が成立しない。私、質問やめます。ばかばかしい」

 23日の衆院予算委員会で質問に立った中田宏氏(民主党・無所属クラブ)が、外務省機密費(報償費)問題で「答弁は控えさせてほしい」と繰り返す河野洋平外相や外務省幹部の答弁に腹を立て、質問を途中で打ち切って引き揚げた。

 何も明らかにしない政府答弁に怒った野党議員が質問を中断して審議ストップ――かつては国会でよく見られた風景だったが、「本当に帰ってしまったのは前代未聞」(衆院事務局)だという。中田氏分の残り約40分間、予算委は休憩になった。

 機密費の中身ばかりでなく、報道された外務省内規の存在にも口をつぐむ外務省に対しては、野呂田芳成予算委員長も「事実かどうかは返事できますか」と促したほどで、中田氏の「開示された情報をもとに議論するのが民主主義の前提」との主張にうなずく議員は多い。ただ「質問放棄」は、与党から「懲罰にすべきだ」との声が出るなど物議をかもした。

新たに業者癒着疑惑 外務省元室長/個人口座に100万円

2001.02.24 The Sankei Shimbun
サミット直前 発注先選定に権限

 機密費(報償費)横領疑惑がもたれている外務省の松尾克俊・元要人外国訪問支援室長(五五)=懲戒免職=の銀行口座に、昨年七月の九州・沖縄サミット開催直前、サミット関連の発注を受けた業者から総額百万円前後の入金があったことが二十三日、関係者の話で分かった。当時、松尾元室長はサミット準備事務局次長を務め、関連業者の選定に絡む権限があった。さらに、これ以前にも外務省発注業者からの入金があったことも判明。機密費の業務上横領容疑で捜査中の警視庁捜査二課も入金の経緯や趣旨に注目、疑惑は横領から新たに拡大する可能性が出てきた。

 昨年七月八日から二十三日まで開催された九州・沖縄サミットをめぐっては、ハイヤーや弁当、ホテルなど、外務省が発注した備品・事業は多岐に及んだ。外務省によると、それぞれの発注総額はハイヤー・タクシー=約三億四千万円▽ホテル=約七億六千万円▽通訳=約五千三百万円▽文房具=集計中▽弁当=集計中−など。多くの選定・契約は随意契約で交わされていた。

 関係者によると、松尾元室長の銀行口座には、サミット開催の直前に、サミット関連で外務省の選定・発注を受け納入した業者から、数回にわたって数十万円ずつが振り込まれていたことが新たに判明した。入金された総額は百万円前後に上るとみられる。

 松尾元室長は平成十一年六月から今年一月初旬まで、同サミット準備事務局次長を務めていた。航空機や車の手配、警備員らの弁当配給、文房具の準備、通訳の確保、ホテルの割り当てなど「ロジスティックス(後方支援)」業務の全般を所管し、こうした納入業者の選定・契約に権限を有する立場にあった。

 さらにサミット関連業者からの入金とは別に、事務局次長に就任する以前の要人外国訪問支援室長在任中にも、松尾氏名義の口座に外務省発注業者から数十万円の現金が入金されていたことも分かった。

 業務上横領罪で外務省からの告発を受け、捜査に乗り出している警視庁も、松尾元室長の個人口座や知人の女性名義の借名口座などの捜査から、複雑な金の出し入れの中に複数の業者からの現金振り込みがあることを確認している。

 松尾元室長は室長在任中の五年から十一年にかけ、首相外遊に随行する外務省職員らのホテル代などを水増し請求し、官邸から受け取った官房機密費を自分名義の口座に入金。競走馬の購入費などに充てるなど、多額の機密費を着服した疑いが出ている。警視庁は元室長の横領疑惑の捜査を進めるとともに、不明朗な入金の経緯、趣旨についても解明を図るとみられ、疑惑は新たな展開を見せる可能性が出てきた。

古川官房副長官が機密費上納の内部文書の存在を否定

2001.02.22(18:14)asahi.com
 古川貞二郎官房副長官は22日の記者会見で、外務省の機密費(報償費)が内閣官房に上納されている仕組みを示す内部文書が存在していると一部で報道されたことについて「そうした事実はない。まったく承知していない」と否定した。

 テレビ朝日などの報道によると、「内部文書」は1989年に作成された手書きなどの文書。報償費について「官房長官が取り扱う報償費は予算上、内閣官房と外務省に計上されており、形式的には外務省計上分を内閣官房に交付する形をとっている」との記載があり、外務省の機密費が内閣官房に「上納」されていることを示しているという。古川氏は当時、首席内閣参事官を務めていた。

元室長からの接待の有無を調査 外務省、幹部対象に

2001.02.22(18:12)asahi.com
 外務省の官房機密費横領疑惑調査委員会(委員長・荒木清寛副大臣)は、松尾克俊・元要人外国訪問支援室長の在任中の上司ら課長補佐級以上の幹部約600人を対象に、元室長から接待などを受けたことがあるかどうか、文書でただす調査を始めた。

 調査項目は、元室長から飲食、ゴルフなどの接待を受けたことや、借金をしたことがあるか――など。在外公館に勤務している職員や、すでに退職したOBも含まれている。今月中にも回答をとりまとめる。

 ただ記名式のため、正確な回答が得られるとは限らない。荒木氏は「今回の回答だけを見て、問題なしとするつもりはない」と言うが、調査の実効性は限られたものになりそうだ。

首相外遊の随行者、延べ1万2000泊 元室長在任中

2001.02.22(09:29)asahi.com
 官房機密費の横領容疑で告発された外務省の元要人外国訪問支援室長が、在任中に担当した首相の外国訪問に随行した官僚の数や支払われた旅費補てん分の機密費などの全容が明らかになった。随行者の延べ宿泊数は1万2000泊を超え、元室長が受け取った公金は少なくとも約11億円にのぼる。しかし、使途の多くは判明しておらず、首脳外交のずさんな舞台裏が浮かび上がった。

 外務省の内部資料によると、松尾克俊・元室長の在任期間(1993年10月―99年8月)には、細川護煕氏の韓国訪問(93年11月)から小渕恵三氏の中国・モンゴル訪問(99年7月)まで46回の首相の外国訪問があった。一行が100人を上回る訪問は11回あり、最低でも36人が同行していた。

 1回の宿泊日数は最長で9泊。随行者の延べ宿泊数は1万2423泊に達した。首脳外交の活発化に伴い、随行者の規模も拡大傾向が目立ち、それが支援室設置の背景にあるとみられる。河野洋平外相は21日の外務省機能改革会議で「少しものものしいのではと思う部分もある。そこに落とし穴があった」と認めた。

 一方、外務省の調査によると、元室長が官邸で受け取っていた公金は(1)随行者全員(外務省職員を含む)の旅費法に規定された宿泊費(旅費)(2)それと実際の宿泊費との差額補てん分(官房機密費)の2種類。内訳は、機密費による差額補てん分が約9億6500万円で、規定分の宿泊費は官邸分が約2800万円、外務省分は記録が残っている95年度以降で約9300万円。総額は11億円前後にのぼった。

 首相が泊まるクラスのホテル代と規定分の旅費との差額は地域によっても異なるが、1人1泊数万円になるという。

 元室長の就任前は、訪問先を担当する局や課の会計担当者が官邸で受け取り、随行者に事前に支給したり、現地に現金で持参して支払ったりしていた。しかし、就任後は、元室長が一手に機密費などを受け取り、クレジットカードや現金で一括精算するようになった。

 訪問後に官邸に提出する精算報告書は、官邸からの随行者分は宿泊先の正規の領収書だった。しかし、外務省からの随行者分は元室長が自分で作った「支払い証明書」だった。このため元室長が受け取った公金のうち使途が明確なのは、官邸からの随行者分の宿泊費(差額補てん分を含む)約4億2000万円だけ。

 外務省は、官邸からの随行者については内閣官房内でチェックが可能なため、元室長は水増し請求などの不正はできなかったと見ている。元室長が横領した公金はほぼ全額が外務省からの随行者の差額補てん分とみられ、外務省のチェック機能の甘さが改めて浮き彫りになった。

官房機密費は検討対象外に 外務省機能改革会議が初会合

2001.02.21(17:08)asahi.com
 外務省の元要人外国訪問支援室長の官房機密費(報償費)横領疑惑をきっかけに、外務省が有識者に意見を求める「外務省機能改革会議」の初会合が21日、東京都内の同省飯倉公館で開かれた。座長に斎藤明毎日新聞社長、座長代理に田中明彦東大教授を選んだ。

 河野洋平外相は(1)外務省への信頼回復策(2)効果的な外交実施のための組織(3)人的配置(4)機密費のチェックなどについて検討するよう求めた。しかし、今回の疑惑の核心である官房機密費は検討の対象としない方針で、抜本的な改善策は打ち出せそうにない。

 終了後、記者会見した斎藤座長は検討の範囲について「官房機密費は原則的に外のことだと思う」と述べた。一方で、外交機密費の金額が適正かどうかや使途の一部公開の可能性については、議論の対象になりうるとした。同会議は週1回開き、4月中にも提言をまとめる予定。

大使赴任、国の要人に機密費で200万円超す贈呈品

2001.02.20(10:14)asahi.com
 各国に赴任する大使や総領事などの在外公館長が外交機密費(報償費)で総額数十万円から数百万円の贈呈品を買い、相手国の首脳や高官に渡していることが分かった。外務省の内規では総額200万円を超える場合の手続きも定めている。贈呈品の額は在外公館の規模によって異なるという。

 内規では(1)50万円以上(2)100万円以上(3)150万円以上(4)200万円以上の4つに分けている。100万円未満では請求書を提出すればいいが、100万円以上だとさらに見積書、150万円以上だと契約書の写し、200万円以上の場合には外務省本省でチェックしたことを示す「検査調書」と、必要な書類が増える。

 書類には赴任先の首脳や閣僚、政府高官らの名前をリストアップし、それぞれに何を贈るかを明記。赴任先の在外公館分の機密費を充てる。

 贈呈品は公館長自身が選び、一般的には絵画や陶器、漆器、時計などが多い。日本国内で買うことになっている。金額や数の上限は定めていないが、普通は1つの品で数万円、総額で数十万円程度という。200万円を超えるのは一部の主要国の場合と見られる。

 贈る相手方は個人とは限らず、公共の施設に寄贈する場合もある。在外公館は約200あり、公館長はほぼ3年をめどに交代している。外務省関係者には「情報収集の名目で使う機密費とは性格が異なる。本来は交際費を充て、使途は情報公開すべきではないか」との声もある。

高級ワイン買い外交機密費使い切れ 外務省にマニュアル

2001.02.17(14:17)asahi.com
 外務省が年間約55億7000万円を計上している外交機密費(報償費)が余りそうになったら、高級ワインなどを買って予算を使い尽くしていることが明らかになった。機密費は決算上、残額(不用額)がほぼゼロになるまで「完全消化」されている実態が分かっているが、その不透明なからくりの一端が浮かび上がった形だ。

 外務省の「機密費運用マニュアル」は、例えば海外の大使館などで年度末に10万円以上の残額が見込まれる場合、11月中旬までに「本省に報告の上、指示を求める」と定めている。

 複数の外務省関係者によると、帳じり合わせのため、高級ワインなどを購入して外務省の飯倉別館(東京)など飲食ができる施設に保存し、日本人を含む接待の際に出すことが慣例になっている。

 それぞれの大使館などで見込まれる残額の一部を日本に送り、さらにフランス大使館に転送。パリでワインを買い付けて日本に送る――という手続きをとる。1本で数十万円のものもあり、それをふるまわれた外国首脳がびっくりしたという話もある。

 機密費はそもそも「情報提供者への謝礼など機動的な費用」(河野洋平外相)で、年によって必要な額にばらつきが出るのが自然。実際、「国政選挙があったり政局が混乱したりした年には、首相や外相の外国訪問が減り、多額の機密費が余ることはよくある」(外務省関係者)という。

 残額をほぼゼロにするのは、次年度の予算が減らされないようにするためとみられる。外相、事務次官らは機密費を無制限に使え、局長級でも年間600万円を飲食などに使えることが明らかになっているが、この上、残額をも便宜的に使い尽くす実態に「税金のむだ遣い」批判が高まりそうだ。

機密費による宿泊費補てんは常態化 外相答弁

2001.02.16(22:07)asahi.com
 河野洋平外相は16日の衆院予算委員会で、政府の機密費(報償費)疑惑に関連し、首相の外国訪問に随行する職員の宿泊費差額が官房機密費から補てんされるようになった時期について「首相の外国訪問が増えるようになってパターン化した。5年、10年でなく、もっとずっと以前からだ」と述べた。松尾克俊・元外務省要人外国訪問支援室長が担当するかなり前から、宿泊費補てんが常態化していたことを示す発言だ。

 一方、外務省の飯村豊官房長は外相答弁を踏まえたうえで、元室長の上司だった歴代の官房総務課長に事情を聴いた結果として「上司は差額が官房報償費から出ているとの認識がなかった」と答弁した。10年以上続いていた慣行を上司が全く把握していなかったのは不自然で、今後の大きな論点になりそうだ。

 支援室設置以前の差額補てんについて飯村氏は「主管の地域局が官邸から受け取っていた。ただ、いつから始まったかは確認できない」と述べた。

 飯村氏はまた、元室長在任中の1995年度から99年8月までの外務省職員の首相随行による宿泊費規定額は合計9300万円だったと明らかにした。それ以前の記録は残っていないという。

元室長からの接待、借金など文書で調査 外務省調査委

2001.02.15(14:54)asahi.com
 外務省は、元要人外国訪問支援室長による官房機密費(報償費)横領疑惑に絡み、元室長の在任中に課長補佐級以上だった幹部職員を対象に、元室長からの接待、借金の有無などを文書に記入させる調査を始める。調査結果をもとに、荒木清寛外務副大臣をトップとする調査委員会が職員から改めて聞き取り調査をするとしているが、仮に職員が虚偽の記入をしても見抜く方法はなく、「お手盛り調査」との批判も出そうだ。

 外務省のこれまでの調査で、元室長から同僚が住宅資金として1500万円を借り入れていたほか、元室長が省内のゴルフやマージャンのコンペを主催したり、同僚や上司をたびたび食事に連れて行ったりするなど、省内がらみでも元室長の派手な金遣いの一端が浮かんでいる。今回の調査はこうした元室長の行動の実態を把握し、上司や同僚がどの程度、関係しているかをつかむことが目的。

 調査項目は、(1)元室長の流用を知っていたか(2)元室長に接待を受けたことがあるか(3)元室長から借金をしたことがあるか、など。在外公館勤務の職員を含め数百人を対象に近く用紙を配布する方針だ。

 外務省はすでに、元室長の部下や、課長級以上の職員約300人については元室長との関係を調査したが、口頭や電話での聞き取りにとどまり、「特に問題となる事実は見いだせなかった」としていた。今回の調査は「記録に残すことが主眼」(同省幹部)。あくまで本人の自主申告にとどまることは避けられず、どこまで真相に迫れるかは不透明だ。

機密費問題で林駐英大使ら、自民党外交会議で釈明

2001.02.14(12:07)asahi.com
 外務省元室長の機密費(報償費)横領疑惑で、元室長の在職当時の上司で訓戒処分を受けた3人が14日午前、自民党の外交関係合同会議で元室長との関係などを釈明した。

 林貞行駐英大使、池田維駐オランダ大使、西村六善・経済協力開発機構(OECD)大使の3人で、欧州大使会議に出席するため、一時、帰国していた。鈴木宗男・党総務局長が元室長から接待を受けたかをただしたのに対し、林大使は「直接そういう関係はない」と否定した。池田大使は「チェック体制が、十分でなかった」と語った。官房総務課長として、直属の上司だった西村大使は「業務は長い間の積み重ねで滞りなく行われ、(元室長に)何ら異常な気配は認めなかった」との認識を示した。

「外相の進退には及ばず」公明・神崎代表が機密費問題で

2001.02.11(19:26)asahi.com
 公明党の神崎武法代表は11日、機密費横領疑惑での河野洋平外相の責任について「河野さんが組織的にこの問題にからんだとすれば話は別だが、常識で考えてそれはない。役人の間の問題だから、監督責任は監督責任として、別の問題になる」と指摘、外相自身の進退問題には波及しないとの見通しを示した。フジテレビの番組で語った。

 また、自民党がケーエスデー中小企業経営者福祉事業団(KSD)に党費の立て替え払いをさせていたとされる問題について「有印私文書偽造の可能性が大きい。勝手に立て替えさせたのは良くないので、自民党は立て替えてもらった分をKSDに返したほうが良い」と指摘。KSDについても「事業自体は大切だが、解散的な出直しが必要だ」とした。

 そのうえで森喜朗首相について「首相指名で投票しているので支える責任はある。ただ森さんは自民党総裁であるので、党総裁である限り支える」と述べた。

「トカゲのしっぽ切りはだめ」 野中氏、機密費疑惑で

2001.02.10(19:39)asahi.com
 自民党の野中広務前幹事長は10日、京都市内の講演で、機密費横領問題について「一閣僚が辞めるとか、総理が辞めて済む話ではない。そんな中途半端な疑惑隠しをしてはいけない。トカゲのしっぽ切りのような解決では、新たなスタートはできない」と述べた。

 首相も「トカゲのしっぽ」扱いだが、懲戒免職になった外務省元職員が競走馬やゴルフ会員権を買っていたことに、「税金を使ってそんな汚いばかなことが許せるか、というのが国民感情だ。国民にわかりやすく、そしてストンと胸に落ちる解決をしないといけない」と強調した。

 連立を組む公明党から厳しい指摘が相次いでいることには、「公明党の主張がむしろ国民の目線であり、それをリトマス試験紙だと受け止め、謙虚に耳を傾けていかねばならない」と気配りを示した。

外務省機能改革会議発足へ 平岩氏ら6氏

2001.02.09(21:04)asahi.com
 河野洋平外相は9日、外務省の元要人外国訪問支援室長による官房機密費(報償費)横領疑惑を受けて、民間有識者に再発防止策を検討してもらう「外務省機能改革会議」を発足させると発表した。平岩外四経団連名誉会長ら6人に加え、作家の曽野綾子氏も不定期に議論に加わる。外務省からは衛藤征士郎外務副大臣が同席して意見を聴く。2月中に初会合を開き、3カ月をめどに外相に提言を出す予定。

 河野外相は記者会見で、外交機密費の減額や使途の一部公開についても、会議のメンバーから指摘が出れば検討対象に加えるとしたうえで、「機密費(の必要性)は国民にも理解をいただいている。ただ、機密費が適切に使われているか、という批判があると考えている」と述べた。

 一方、元室長が横領していたとされる公金が首相官邸が管理する官房機密費だった点については「外務省の職員が起こした事件であり、外務省のチェック体制をきちんとすることが何より大事」と述べ、検討対象は首相官邸には及ばないとの考えを強調した。

 平岩氏以外のメンバーは次の通り(敬称略)。

 筧栄一元検事総長▽岩男寿美子国家公安委員▽斎藤明毎日新聞社長▽品川正治日本火災海上保険相談役▽田中明彦東大教授

機密費「国政上必要、削減できぬ」 衆院予算委で政府

2001.02.09(15:27)asahi.com
 衆院予算委員会は9日、前日に引き続き、全閣僚が出席して質疑が行われた。政府の機密費(報償費)横領疑惑について民主党の佐藤観樹氏が、少なくとも外務省調査で使途不明とされた6年間の計3億円余のうち、1年分約5000万円の予算は減額すべきだと指摘したのに対し、福田康夫官房長官は「報償費は国政の運営上必要であり、廃止や削減はできない。過去のことについては、その分が有効、適切に使われなかったと解釈してほしい」と拒否した。

 森喜朗首相は最初「忠告も十分踏まえて検討していきたい。どう適正化するか検討したいので、しばらく猶予を」と含みを持たせたが、再度、詰め寄られると「減額や修正をすると言ったのではない」と述べた。

 また、機密費が省内の飲食費やゴルフ代などに使われていたとの疑惑を指摘された河野洋平外相は「ただちに調査し(事実なら)厳正に処分する」と語った。 ケーエスデー中小企業経営者福祉事業団(KSD)事件に関連し、佐藤氏が額賀福志郎・前経済財政担当相の証人喚問の必要性を主張したのに対し、首相は「額賀氏は政治倫理審査会でお伝えしたいと言っている。国会での与野党の話し合いの結果を待つのが正しい」と述べるにとどまった。

口座未入が新たに4億 機密費流用、さらに膨らむ疑い

2001.02.09(00:15)asahi.com
 政府の機密費の業務上横領疑惑で、外務省の松尾克俊・元要人外国訪問支援室長(55)=懲戒免職=による流用額が、外務省の告発事実の5400万円をさらに上回る疑いのあることが8日、分かった。同日の衆院予算委員会で、元室長が在任中に官邸から受け取った機密費は9億6500万円にのぼり、このうち4億円は機密費を管理していたとされる銀行口座に入金していないことが新たに判明したためで、警視庁は使途の解明を急いでいる。

 外務省は先月、内部調査の結果を発表し、「(元室長名義の)銀行口座に入金された機密費の累計は約5億6000万円にのぼる」と説明。うちクレジットカードで決済された経費は約2億5000万円だったとし、差し引き3億1000万円が正規の目的に使われていない可能性を示唆した。

 この日の委員会で、福田康夫官房長官は、元室長が在任中の1993年10月から99年8月までの間、官邸は計46回の首相外遊で計約9億6500万円を支払ったことを明らかにした。このため、元室長が官邸から受け取った機密費のうち、約4億円はこの銀行口座には入金されなかったことになる。一部は元室長が現地に持参し、直接支払いに充てられたとみられるが、全額の使途は分かっていないという。

 外務省調査で出ていた3億1000万円と合わせ、使途が解明できていない機密費は現時点で計7億1000万円になる。外務省は、少なくとも約5400万円が競走馬の購入に使われたとして元室長を告発しているが、流用額はさらに膨らむ可能性が出てきた。

 関係者の話によると、元室長は、機密費を管理していた口座以外にも4銀行に6口座を持ち、この一部で数千万円から100万円単位での現金の出し入れを繰り返していた。こうした出入金が機密費だった可能性があり、警視庁は口座の調べを進める。

元室長に機密費9億6500万円支出 衆院予算委で明示

2001.02.08(22:08)asahi.com
 衆院予算委員会が8日開かれ、森喜朗首相ら全閣僚が出席して質疑が始まった。政府の機密費(報償費)横領疑惑に関連し福田康夫官房長官は、松尾克俊・元外務省要人外国訪問支援室長に対して支出した内閣官房機密費は、1993年10月から約6年間で46回の首相外国出張経費計9億6500万円だったことを明らかにした。また「捜査で被害の詳細が明確になれば、返還請求も視野に入れなくてはいけない」と述べ、最終的には横領額分の弁済を松尾元室長に求める考えを示した。

 午前中は自民党の亀井静香政調会長、野田聖子副幹事長、公明党の北側一雄政調会長らが質問した。機密費9億6500万円の内訳について福田氏は「内閣官房職員と外務省の随行者の宿泊費の差額として支出された」と説明。このうち約4億2000万円は内閣官房職員分だったとした。これまでの外務省の調査では、元室長は官房機密費5億6000万円を自己名義口座に入金し、少なくとも約5400万円を横領したとしている。

 北側氏が46回の外国訪問の1件ごとについて松尾氏に支払った金額の公表を求めたが、福田氏は「捜査の認定対象であり、また具体的な使途を明らかにすることは報償費の趣旨に反する」と拒否した。北側氏は機密費の透明性の向上などを求めたが、福田氏は「使途を公開できないことをご理解いただいている。おっしゃることを重々考えたい」と述べるにとどまった。

 また、自民党の野田氏がケーエスデー中小企業経営者福祉事業団(KSD)事件などについて質問したのに対し、首相は小山孝雄前参院議員らの秘書給与をKSD側が肩代わりしていたことについて「数年前に寄付行為になるということで全議員が戒めあった。特定の支援者によってまかなわれることがまだ行われているのかと驚いた。残念だ」と述べた。

外務機密費問題、副大臣トップに政治主導で調査

2001.02.07(23:48)asahi.com
 河野洋平外相は7日、政府の機密費横領疑惑を受けた内部調査チームについて、トップをこれまでの官房長から荒木清寛副大臣(公明)に交代させることを決めた。外相は「全ぼうの解明を求める声が非常に強く、政治主導でやっていきたい」と記者団に説明した。

 松尾克俊元要人外国訪問支援室長=懲戒免職=の在任中の上司らから改めて聞き取り調査をする。国税当局にも協力を求める。

事務代理の飯村氏を正式に官房長に起用 外務省

2001.02.06(18:30)asahi.com
 河野洋平外相は6日、機密費(報償費)流用疑惑に関する調査チームのトップを務め、過労で入院した阿部知之官房長に代え、事務代理を務めている飯村豊経済協力局長を正式に官房長に起用する人事を固めた。13日にも発令する。機密費疑惑が通常国会の焦点になるなか、阿部官房長の入院が長期にわたると見られるため、早期の交代が必要と判断した。経済協力局長の後任には西田恒夫・ロサンゼルス総領事が起用される。

外務省官房長、過労で入院

2001.02.05(14:15)asahi.com
 政府の機密費(報償費)横領疑惑に関連して、外務省の内部調査チームのトップを務める阿部知之官房長が過労のため東京都内の病院に入院した。同省関係者によると、阿部氏は3日に体調不良を訴えて入院。退院の見通しは立っていないという。

 阿部官房長は年明けから、松尾克俊・元要人外国訪問支援室長(55)=懲戒免職=の機密費横領疑惑の内部調査や再発防止策の作成、国会議員らへの説明におわれていた。

「機動的」に使うと余り出ないの? 機密費、完全消化

2001.02.04(07:31)asahi.com
 外務省の元要人外国訪問支援室長による機密費(報償費)横領疑惑に絡んで、首相官邸と外務省の予算に計上された機密費(年間計約72億円)がここ10年以上、ほぼ残額なく使い尽くされていることが朝日新聞社の調べで明らかになった。政府は機密費について「情報提供者への謝礼など当面の任務と状況に応じ、機動的に使用される経費」と説明してきたが、「状況に応じて」であれば、年によってはばらつきがあってもいいはず。恒常的に会計操作をしてきたとの指摘もあり、機密費をめぐる不透明な運用をうかがわせるデータといえそうだ。

 1999年度まで15年間の補正後の機密費の予算額は、官房機密費、外交機密費ともそれぞれ数年ごとに増加してきた。

 一方、使い残した予算に当たる「不用額」では、100万円を超えたのは90年度の官房機密費だけ。外交機密費(本省分)では94年の残額は22円、95年はわずかに5円。このほかの年でも、予算と決算がほぼ同額になっている。

 例えば道路建設で用地買収が事業計画通りに進まなかった場合など、多ければ億単位の「不用額」が出るケースも少なくない。

 これに対して機密費は、事前の事業計画に応じて予算額が決まるわけではない。年度ごとに支出される金額にバラつきがある方が自然で、「不用額」も年度によって変化するはずの性格を持っている。

 外務省関係者によると、予算を使いきるための操作が恒常的に行われているという。もともと機密費は情報提供者への謝礼など一定の理由があれば、会計処理に領収証が必要ない。また、領収証が必要なケースでも、領収証そのものは本省に上げなくてもいいことになっている。このため、「他の経費を機密費で落とすなど、操作がしやすい」という。

 例えば、不足しがちな交際費を補うため、交際費として処理すべき会食を機密費として処理――といった手法がとられている、と関係者は話す。年度内に使いきらないと翌年度の予算が減額されかねないとの判断もあるという。

首相外遊時の費用、クレジットカード決済中止 外務省

2001.02.03(10:39)asahi.com
 河野洋平外相は2日午前の記者会見で、首相の外遊時の費用を担当者の個人名義のクレジットカードで支払う方式を取りやめる方針を明らかにした。政府の機密費(報償費)流用疑惑に関連した綱紀粛正策の1つで、河野外相は「公金の決済という重要なことなので取りやめる」と説明。外務省は、新たな決済方法を検討する。

 外務省によると、カードによる支払いは、機密費を流用したとして懲戒免職になった松尾克俊・元要人外国訪問支援室長が「素早く効率的に処理できる」などと発案。後任者にも引き継がれていた。他の部局ではカードで支払いをしている例はない、という。

 大使館など在外公館を訪れた閣僚や国会議員から公館側に渡される「謝礼」に機密費が使われているのではとの指摘については、河野外相は「それはないと思う」と語った。

首相官邸が被害届を提出 外務省機密費横領疑惑

2001.02.01(20:57)asahi.com
 福田康夫官房長官は1日の記者会見で、外務省の松尾克俊・元要人外国訪問支援室長の機密費(報償費)横領疑惑で、内閣官房として加藤利男内閣官房会計課長名で警視庁捜査二課に被害届を出した、と発表した。被害届は、松尾元室長が少なくとも約5400万円の公金を官房機密費から横領し、競走馬購入など私的目的に使用した疑いがあるとしている。

機密費の舞台、ひっそりと幕 要人外国訪問支援室廃止

2001.01.31(22:00)asahi.com
 政府の機密費(報償費)横領疑惑の「舞台」となった外務省の要人外国訪問支援室が31日、廃止された。庁舎8階の同室では、この日午後6時に総務課の職員がプレートを取りはずした。

 同室は首相外遊の宿泊手配などロジ(後方支援)業務を一手に担当するため、1990年4月に設立された。しかし、懲戒免職になった元室長が、多額の機密費を個人口座に入金し、競走馬購入などに使っていた疑いが浮上。外務省は再発防止策の一環として同室の廃止を打ち出した。今後、ロジ業務は外遊先の担当部局がそれぞれ対応する。

松尾元室長を喚問要求へ 野党4党

2001.01.31(21:50)asahi.com
 野党4党は31日、外務省で要人外国訪問支援室長をしていた松尾克俊氏の証人喚問を要求することを決めた。野党4党は松尾氏による機密費横領疑惑を「一官僚の横領でなく、首相官邸を巻き込んだ構造的汚職」(菅直人民主党幹事長)と見ており、首相官邸や外務省幹部の責任も追及する方針だ。

 また、KSD汚職事件では、小山孝雄前参院議員、村上正邦元労相、額賀福志郎前経済財政担当相に加え、古関忠男KSD前理事長の証人喚問要求を決定した。亀井静香自民党政調会長や、KSD側から1500万円を預かったとされる額賀氏の秘書の証人喚問要求については引き続き検討する。

機密費疑惑の報告書、再び了承せず 自民党合同会議

2001.01.31(19:57)asahi.com
 外務省の松尾克俊・元要人外国訪問支援室長(55)の機密費(報償費)横領疑惑について、31日開かれた自民党の外交関係合同会議で同省の対応に改めて批判が噴出。同省の調査報告書は今回も了承されなかった。公明党も30日の外交・安保部会拡大会議で了承を見送っており、与党内の「外務省批判」は、やむ気配がない。

 会議では、望月義夫外務政務官(自民党)が疑惑について陳謝。出席した議員からは「報告書の内容が不十分」「元室長を6年間も在籍させた責任は大きい」といった批判のほか、「調査はすべて外部の専門家らに担当させるべきだ」「機密費は国会に報告を求めるべきだ」などの声も相次いだ。

細川内閣時の機密費を調査へ 鳩山氏

2001.01.31(19:42)asahi.com
 民主党の鳩山由紀夫代表は31日の記者会見で、外務省の元要人外国訪問支援室長による政府の機密費(報償費)横領疑惑に関連し、鳩山氏が官房副長官だった細川護煕内閣当時の機密費の使われ方について「しっかり調査して国民に明らかにしていきたい」と語った。鳩山氏は「金庫の存在だけは分かっていたが、1度も扱ったことはない。官房長官が実質的に処理をしていたのだろう」とし、当時の官房長官だった武村正義氏とも連絡を取って調べる考えを示した。

外務省機密費疑惑、再発防止に検討会設置 外相が方針

2001.01.30(21:25)asahi.com
 河野洋平外相は30日、松尾克俊・元要人外国訪問支援室長(55)の機密費(報償費)横領疑惑の再発防止策に関して、有識者を含めた検討会を新たに設置する方針を決めた。衛藤征士郎外務副大臣をトップに、(1)経理のあり方(2)人事運営(3)組織体制(4)監査のあり方などをテーマに具体策の検討を急ぐとしている。

 また、阿部知之官房長を長とする省内の調査チームについても当分の間、存続させ、警視庁の捜査の進展に応じて必要な調査を行う方針だ。

 河野外相は30日の記者会見で「報償費の必要性は肯定的にとらえたい。そのためには報償費の使途は適切で効果的でなければならない」と述べたうえで、具体的な再発防止策について「出来るところから実施したい」と話した。

 ただ、元室長が横領した公金が首相官邸の扱う官房機密費だった点について、河野外相は「内閣における考え方については官房長官に聞いてほしい」と述べ、外務省の調査はあくまで外交機密費に限る考えを強調した。このため外務省の検討会や調査チームの対象範囲は限定的なものにとどまる見通しだ。

公明党に機密費減額論が浮上 外務省幹部の横領疑惑で

2001.01.30(21:24)asahi.com
 外務省の元要人外国訪問支援室長による政府の機密費(報償費)横領疑惑をめぐり、公明党内で30日、機密費の減額を検討すべきだとの意見が浮上した。首相官邸や外務省は「減額は考えていない」と火消しに懸命だが、公明党は都議選や参院選に向け、「与党であっても厳正に対処する」としている。31日開会の通常国会では野党各党が巨額の機密費の必要性を追及する構えで、公明党内の減額論は官邸や外務省の判断に影響を及ぼす可能性が出てきた。

 公明党は30日、外交・安保部会拡大会議を開いたが、出席者から「外務省全体がお金にルーズとしか聞こえない」など、外務省批判が相次いだ。阿部知之官房長が外務省の調査結果を改めて説明したが、了承されなかった。

 首相官邸と外務省の機密費は年額約72億円に上る。「元室長が横領していた分は減額できるのでは」(自民党若手議員)との声に対し、外務省は「200近い在外公館が活動している。必要な経費は確保させてほしい」(阿部官房長)と強調。政府首脳も30日、「減額の必要はない」と言い切った。

 しかし、公明党の上田勇外交・安保部会長は「外交の秘密は分かるが、透明性も必要。外務省の積算根拠に疑いがあり、外交予算そのものの見直しが必要だ」と指摘。予算審議に厳しい態度で臨む姿勢を見せている。

副大臣、有識者で再発防止チーム/外務省機密費横領

2001.01.30 The sankei Shimbun
 河野洋平外相は三十日午前の記者会見で、松尾克俊元要人外国訪問支援室長(五五)の機密費(報償費)横領問題に伴って、再発防止策を検討するため副大臣を中心に有識者も含めたチームを新たに設置する方針を明らかにした。

 新設される検討チームでは会計手続きや監査方法の見直しをはじめ、人事や組織のあり方について検討を進めていく。河野外相は「有識者の知恵も借りて、適切と思われるものがあれば、できるところから順次実施したい」と述べた。

 また、河野外相は阿部知之官房長を中心とする調査チームを存続、松尾元室長と他の外務省幹部との関係などの内部調査を続けることを表明したが、外交機密費に関する調査については「適切に使われているかどうかについて、大きな関心を持っている。どこまでチェックできるか考えたい」と述べるにとどまった。

官邸への「流れ」調査 機密費流用

2001.01.30 The sankei Shimbun
警視庁 任意提出の書類分析

 外務省の松尾克俊・元要人外国訪問支援室長(五五)による機密費(報償費)流用問題で、警視庁捜査二課は三十日までに、首相官邸から関係書類の任意提出を受け、詳細な分析を始めた。すでに、官邸に出向していた同省職員から事情を聴いており、官房機密費を渡していた官邸側への捜査も本格化している。警視庁は官邸と外務省の間の機密費の授受の実態などについて調べを進めている。

 外務省の内部調査によると、松尾元室長は首相の外遊が決まると、宿泊費などの経費について見積書を作成して官邸に提出。その額を官邸から一括して受け取り、自分名義の銀行口座に振り込んでいた。作成した見積書は上司の決裁を受けずに官邸に出されていた。

 松尾元室長は外遊の大半に随行してクレジットカードで決済し、帰国後、支払いを証明する書類を官邸に提出していた。

 官邸が警視庁に任意提出したのは、官房機密費を取り扱っていた松尾元室長ら外務省関係者が、官邸に提出した見積書や領収書などの書類。警視庁はこれらの書類の分析、見積書や領収書の数字を突き合わせ、経費水増しの実態について解明を進めている。

 警視庁は、外務省や在外公館、官邸などの関係者から事情聴取を進めるとともに、関係書類の任意提出を受け、松尾元室長の国内外にまたがる流用の裏付け捜査を急いでいる。

高村法相、歳費の一部を返納へ 外務省機密費疑惑で

2001.01.30(18:48)asahi.com
 外務省の元要人外国訪問支援室長をめぐる政府の機密費(報償費)流用疑惑について、元室長の在任中に外相を務めていた高村正彦法相は、30日の閣議後会見で「私の在任中にも言語道断のことが行われ、国民の税金が個人のために使われていたのだから、自らの姿勢を示す意味で、河野外務大臣の例にならって歳費の一部を返納したい」との考えを明らかにした。官邸側も認める方向だ。河野洋平外相は給与6カ月分を自主返納したが、高村法相も「同じ程度」の返納を検討しているという。

国会議員の「持参金」、大使館員らの飲食に 次官認める

2001.01.29(22:35)asahi.com
 外務省の川島裕事務次官は29日の記者会見で、各国の日本大使館を訪ねる国会議員らの持参した現金の扱いについて「これでメシでも食ってくれ、とか言って、3万円とか置いていく人はいる。それをまとめて『みんなで食べようよ』ということは、どこでもある」と述べ、大使館員らが飲食などにあてていることを認めた。それを「裏帳簿」に付けているとの指摘には「裏帳簿とか、そういうおどろおどろしい話とは全く違うと思う」との認識を示した。

 関係者によると、国会議員や各省庁の局長級以上が外遊する際には、官房機密費(報償費)から数十万―数百万円の現金が「せんべつ」として渡される慣行があり、この現金が現地の大使館に流れていた可能性がある。

決済事務 一人で担当 松尾元室長/外務省機密費流用 チェック機能働かず

2001.01.29 The Sankei Shimbun
 外務省の松尾克俊・元要人外国訪問支援室長(五五)による機密費(報償費)流用問題で、松尾元室長が支援室での経費の見積もりや決済などを一手に独占していたことが二十九日、分かった。会計業務が個人にゆだねられたため省内でのチェック機能が働かなくなり、私的流用の暴走に歯止めがかからなかったとみられる。警視庁捜査二課は、決済の仕組みについて詳しく調べている。

 支援室は、首相らが外遊する際に現地での必要経費を見積もったうえ、実際にかかった金額を精算するのがおもな役割。関係者によると、支援室には約十人の職員が在籍しているが、見積もりや外遊後の決済業務はすべて松尾元室長一人で切り盛りし、ほかの職員がかかわることは一切、なかった。

 外遊後に松尾元室長は、ホテルの宿泊費を大幅に水増ししたり、「相手から領収書が取れない経費がかかった」として、官邸に必要以上の経費を要求。事務官から申告通りの現金を受け取ったうえ、余剰分を自分名義の銀行口座にプールして“蓄財”に励んでいたものとみられる。

 外務省の内部調査によると、松尾元室長は室長時代に計四十六回の首相外遊を担当、水増しした経費を受け取り約五億六千万円を自分の口座に入金していた。

 松尾元室長が室長に就任した平成五年当時は、支援室の職員十人あまりのほとんどが「ロジスティックス(後方支援)」担当のベテランだった。しかし、その後は職員がほかの部署に異動し、松尾元室長の意向で気の合った職員らが支援室に集められていた。

 外務省関係者の一人は「松尾元室長は省内での発言力が絶対で、精算業務でも他人が口出しできる余地はまったくなかった。周囲をイエスマンで固めるうちに、金銭感覚がまひしてしまったのでは」と話している。

 警視庁捜査二課は松尾元室長が水増し請求していた手口を調べるとともに、ほかの職員が支援室での会計業務の実態をどこまで把握していたのかについて関係者から事情を聴いている。

外交機密費の利用実態を調査 衛藤副大臣が表明

2001.01.28(17:36)asahi.com
 外務省の松尾克俊・元要人外国訪問支援室長(55)が政府の機密費(報償費)を横領していた疑惑をめぐり、衛藤征士郎外務副大臣は28日、「外交機密費については、どう使ったかの書類は残っている。外務省の責任をもって調査する」と述べ、在外公館に回される分も含めて外交機密費全体の利用実態を調べることを明言した。これまでは官房長を調査チームの責任者にしていたが、今後は副大臣か政務官が調査を指揮することも明らかにした。テレビ朝日の番組などで語った。

 衛藤副大臣はまた、記者団に「機密費といっても機密の部分もあれば、旅費などにかかわる部分もある」と語り、機密性の低い出費については公開も検討する考えを示した。

首相随行後、「秘密口座」に預金繰り返す 元外務省室長

2001.01.27(14:32)asahi.com
 外務省から業務上横領容疑で警視庁に告発された松尾克俊・元同省要人外国訪問支援室長(55)=懲戒免職=が、国際会議などに出席する首相に随行した直後、多額の現金を都市銀行の自分名義の口座に繰り返し入金していたことが27日、関係者の話で分かった。この口座は、元室長が政府の機密費を管理していた都銀口座とは別で同僚も存在を知らず、預金の一部は知人女性のマンション購入などに充てられた可能性が高い。外務省の内部調査で、元室長は首相の外遊費用を水増し請求する方法で流用していたとみられており、「秘密口座」へは水増し請求して余った分を入金していたと見られる。

 外務省は、元室長が機密費を預けていた都銀口座から約5400万円を競走馬の購入費などに充てる形で着服したとする容疑で告発した。別の都銀口座でも多額の出入金があり、警視庁捜査二課が調べているとみられる。

 関係者の話では、元室長は室長在任中の1995年10月、都銀に定期預金口座を開設、約1年間にわたって数度に分けて計約4000万円を入金した。入金は数百万円単位で、現金を支店に持参したとみられる。

 これらの入金は96年4月の原子力安全サミット(ロシア)や6月にフランス・リヨンで開かれたサミット(主要国首脳会議)、8月の橋本龍太郎首相の中南米歴訪といった重要な国際会議の直後で、元室長はいずれにも随行した。

 この定期預金は96年11月に解約され、約4000万円が現金で引き出された。同じ日に東京都世田谷区の知人の女性名義の口座にほぼ同額の入金があり、翌年3月までに引き出された。女性は直後に中古マンションを購入しており、支払いに充てたとみられる。

 また、文京区のマンションを共同購入した別の知人女性の口座でも、同様の資金の動きがあった。元室長が在任中の98年1月から99年8月までに数百万円単位の入金が少なくとも計9回あった。これらの入金の時期も、英バーミンガム・サミットやアジア太平洋経済協力会議(マレーシア)といった重要な首相外交の直後で、やはり元室長が随行していた。

「外務省にはこれ以上無理」河野外相「甘い」批判に反論

2001.01.27(12:27)asahi.com
 河野洋平外相は26日(日本時間27日朝)、外務省の元要人外国訪問支援室長による政府の報償費(機密費)横領疑惑に関する外務省の調査結果をめぐり、自民党外交関係合同会議が「甘い」として了承しなかったことについて「外務省には捜査権がない。これ以上、やれと言われても無理が出てくる。あとは捜査権者がやる方が早く正確にできる」と述べ、今後の解明は警視庁の捜査にゆだねる考えを示した。ワシントン市内で記者団の質問に答えた。

 河野氏はまた、「外務省には在外公館だけで200以上あり、額が大きすぎると言われるが、仕事をするためには一定の報償費が必要だ。適切に使われなければならないのは当然だが、全部オープンにしていては報償費の意味がなくなる」と語り、報償費の減額や使途の明確化はできないとの考えを強調した。

外務省、外交機密費の実態調査へ 在外公館も対象

2001.01.27(09:44)asahi.com
 外務省は26日、松尾克俊・元要人外国訪問支援室長(55)が政府の機密費(報償費)を横領していた疑惑に絡んで、外交機密費全体の利用実態の調査を始める方針を固めた。外交機密費が職員同士の飲食などに使われているとの疑いが指摘されていることに加え、元室長についての調査結果に対し、閣僚や与党内からも「調査が甘い」との批判が強まっているためだ。同省では、大使館員や本省職員らから聞き取り調査を進め、調査結果の公表も検討している。

 外交機密費をめぐっては、阿部知之官房長をトップとする調査チームが、元室長の疑惑について本省職員から聞き取りをしていたが、週明けから調査対象を在外公館にも広げる方針だ。

 元室長への外務省の調査報告については、自民党外交関係合同会議が了承を見送ったが、26日の閣議後の記者会見でも批判が相次いだ。片山虎之助総務相が「しっかり調査して国民の前に公表した方がいい」と述べたほか、扇千景国土交通相も「これから明確な調査結果が出てくるだろう」として、継続調査を求める声が出た。

 ただ、元室長の疑惑については、同省は「捜査権限がない中では、再調査は難しい」(首脳)としており、警視庁の捜査に全面的に協力する形で継続調査する。しかし、31日の通常国会開会後の追加的な公表には慎重な姿勢だ。

 元室長は首相官邸が扱う官房機密費を流用していたとされるが、外交機密費の不透明な利用実態にも批判が高まるのは必至。同省では「外交機密費のシステムをチェックする必要がある」(幹部)と判断した。

機密費見直し、首相は消極的姿勢 与党内からも疑問の声

2001.01.27(01:01)asahi.com
 外務省職員の機密費(報償費)横領疑惑を機に、機密費の見直しを求める声が広がるなか、森喜朗首相が消極的な姿勢を変えないことに、与党内からも批判的な意見が出ている。

 森首相は26日の閣僚懇談会で、疑惑に触れて「首相としての責任を十分に感じている」と反省の言葉を口にしたが、機密費自体の見直しは必要ないとの考えを示した。首相は25日にも「(横領疑惑は)はっきり言えば細川内閣から小渕内閣までの話でしょ」と語っている。

 こうした発言がさすがに気になるのか、福田康夫官房長官は26日の記者会見で、首相は機密費の見直しを否定したわけではないと強調した。

 自民党内でも、7月の参院選を意識して「あれだけの問題が起きたんだから、見直さないといけない」(幹部)という声が上がっている。ある代議士は「危機感がじわじわ広がっている。領収書を取れるものはきちんとするくらいの見直しはできるはずだ」と語る。一方で、橋本派幹部のように「首相は、機密費は必要なんだということを言いたかったんじゃないか」とかばう見方もある。

外相の不信任決議案も検討 機密費横領問題で共産党

2001.01.26(19:39)asahi.com
 共産党の市田忠義書記局長は26日、京都市で記者会見し、外務省の元要人外国訪問支援室長による機密費(報償費)横領問題について「河野洋平外相の管理責任は重大だ。疑惑追及の流れの中で、辞任を求めていくことはある」と語った。外相の不信任決議案提出についても「状況をよく見て、ほかの野党とも相談して考えたい」と述べ、検討する考えを示した。

 市田氏は、自民党の亀井静香政調会長が労働省(当時)に、財団法人「ケーエスデー中小企業経営者福祉事業団」(KSD)側が提唱した「ものつくり大学」への補助金増額を働きかけていたことについて「請託の有無の解明はこれからだが、進展によっては証人喚問もありうる」と述べた。

「機密費見直しの必要ない」 首相、流用疑惑で

2001.01.26(13:54)asahi.com
 森喜朗首相は26日午前、外務省の元要人外国訪問支援室長による官房機密費(報償費)横領疑惑を受け、野党などが機密費の減額を含めた見直しを求めていることについて「そんな必要はない。それはまた別の問題だ」と記者団に否定的な考えを示した。

 今回の疑惑をめぐっては、機密費に対するチェック体制の甘さや使途の不透明さなどに対して、与党内からも「個人の犯罪として片付けようとしているが、とてももたない」などとして夏の参院選への影響を懸念する声があがっている。首相の消極的な姿勢は改めて与野党の批判を浴びることになりそうだ。

 一方、福田康夫官房長官は同日午前の記者会見で「十分な体制をもたなければいけない」とチェック体制の強化に前向きな姿勢を示したが、報償費の減額については「今、申し上げる必要はない」と事件の全容解明を待つ考えを示した。

 福田長官は「今回の調査が不十分であることは外務省も認めている」と改めて外務省の調査が不十分であると認めた。「疑惑は、疑惑として残る。もちろん森政権にとって大きな打撃だ」とも述べ、政権への影響を認めた。

機密費? 扇大臣「過去に官邸からせんべつ」

2001.01.26(13:37)asahi.com
 扇千景国土交通相は26日の記者会見で、官房機密費の問題に絡み、「何十年か前にケニアであった国連婦人10年(の会議出席)で、官邸に『援助してくれないか』とお願いして私が世話人として受け取ったことがある」と述べた。ただ、扇氏は「私は機密費なんて知りませんから」として、このせんべつが官房機密費だったかどうかの言及は避けた。

 官房機密費をめぐって、福田康夫官房長官は同日の記者会見でも「使途については性格上、申し上げないことになっている」と述べ、支出内容はいっさい明かさない考えを示した。

機密費のチェック体制見直す 福田官房長官

2001.01.25(20:48)asahi.com
 福田康夫官房長官は25日の記者会見で、政府の官房機密費(報償費)流用疑惑について「経験を生かして、今後は厳重なチェックをしなければならない」と述べ、首相官邸が扱う官房機密費のチェック体制を見直す考えを明らかにした。しかし、具体策については「とりあえず精査をより厳しくやることからスタートする」と明言を避けた。

外相・副大臣は減給/外務省疑惑 再発防止策まとまる

2001.01.24 The Sankei Shimbun
機密費取り扱い 主管課に一元化

 外務省の元要人外国訪問支援室長(五五)による機密費(報償費)流用疑惑で、外務省は二十四日までに再発防止策の概要をまとめた。請求書や領収書に基づく「計算証明書」による事後精算を徹底するほか、機密費の取り扱いを首相などの訪問先の各地域担当課に限定することなどが柱で、二十五日に内部調査報告とあわせて公表する。また、河野洋平外相は同時に、自らの減給処分を含む幹部の処分についても発表する方針だ。

 外務省では今回の疑惑について、元室長が事前の必要見込み額に基づいて受けた「仮払金」を自己名義の口座に入金、クレジットカードで決済していた点を重視。現在の制度では「提出書類だけで元室長の不正を見極めるのは困難」(幹部)との反省に立って、首相などの外遊に際して個人名義による立て替え払いを原則として排除、外務省本省や大使館あての請求書や領収書に基づく「計算証明書」の提出を義務づけ、厳格に事後精算をチェックしていくことになった。

 ただし、機密費の性格上、「情報収集の相手先などを明確にすることはできない」(同)として、会計検査院の検査などに対しては領収書などを提出せず、あくまで外務省内部でのチェック体制強化にとどめる方針だ。

 また、これまでも首相などが外遊する際の主管課は訪問先の地域担当課となっていたが、元室長が就任後は経費決済の権限がないはずの要人外国訪問支援室でも機密費を取り扱うようになっていた。

 このため、再発防止策では主管課による処理を徹底させ、同室の業務は相手先との事前折衝など金銭にかかわらないものに限定する。

 このほか、元室長の在任期間が五年以上の長期にわたったことについて、「国際会議や外国訪問が連続していたこともあって、結果的に長くなってしまった」(河野外相)としながらも、今回の疑惑の一因となったと判断。人事の適正化についても再発防止策に盛り込む方針だ。

 一方、河野外相は内部調査発表とともに元室長を懲戒免職処分とするほか、外相自身と衛藤征士郎、荒木清寛両副大臣を減給処分とする方針を固めた。さらに川島裕事務次官、阿部知之官房長をはじめ、元室長が就任した平成五年以降の歴代幹部についても何らかの処分をする方針で最終的な調整を進めている。

機密費問題「目的通り使われている」と政府 参院決算委

2001.01.24(21:06)asahi.com
 外務省の元要人外国訪問支援室長による外交機密費(外務省報償費)流用疑惑が24日の参院決算委員会で取り上げられ、この問題が初めて国会の舞台にのぼった。野党側は官房機密費に転用されているなどの事実関係を追及したが、政府側は「調査中でお答えできない」「報償費は目的通りに使われている」などの答弁に終始し、疑惑の真相や不透明な予算操作の実態は明らかにならなかった。

 桜井充(民主)、阿部幸代(共産)、福島瑞穂(社民)の3氏が流用疑惑について質問。外務省の阿部知之官房長は「調査中であり、途中経過として申し上げるのは避けたい」などとして答弁を拒んだ。

 約20億円の外務省報償費が毎年、官房機密費に転用されているとされる問題に関連して、福島氏が「官房機密費を外務省幹部が使うことは否定しないか」と質問したのに対し、加藤利男内閣参事官は「官房報償費が目的の範囲を超えて他省庁のために使われることはない」と述べ、目的の範囲内であればこうした形での支出がありうることを否定しなかった。

 また、会計検査院側は報償費の検査について、原則として支払先の領収証書などの証明書類の提示が必要だが、使途の性質上、領収証書がないものについては支払い明細書などの提出でも認めていると説明。不透明な外交機密費は減額すべきだとの指摘に対し、外務省側は「外交活動、情報収集には必要不可欠な経費で、軽々に減らすのはとるべき道ではない」と否定的な見解を示した。

他の5口座にも多額の入金 外交機密費疑惑

2001.01.22(19:30)asahi.com
 外交機密費(報償費)の流用疑惑で、外務省の元要人外国訪問支援室長(55)=官房付=が外交機密費を預金して管理していたとされる口座とは別に、大手都市銀行にある元室長名義や知人の女性名義の計5口座で、現金による入金が数千万円から数百万円単位で頻繁に行われていたことが22日、関係者の話で分かった。いずれも元室長自身が銀行の窓口に持参して入金しているとみられ、総額は1億円を超える。外交機密費を直接入金して流用した可能性があり、警視庁捜査二課が調べている。

 関係者によると、元室長は1993年に外務省近くにある都銀の支店に口座を開設。現金を持参してこの口座に預け入れ、必要に応じてクレジットカードで決済していたとされる。口座には現在でも約1億4000万円の残高があることが分かっている。

 これとは別に、元室長は95年から97年にかけて、東京都内の都銀2行に自分名義で計5口座を開設した。このうち3口座に現金が持ち込まれていた。95年10月に開設された定期預金口座では、開設時に元室長が1100万円を現金で持ち込んだ。97年にも約500万円が現金で入金された。

 この定期預金を解約して新たに開設した総合口座では97年6月、元室長が約4000万円を持ち込んで8000万円の定期預金の一部にした。この口座には約1年後にも元室長が1500万円を現金で入金していた。ほぼ同時期に北海道の牧場に約1700万円が振り込まれている。元室長は競走馬14頭を所有しており、この購入費の一部に充てられたとみられる。

 別の都市銀行で97年に開設した普通預金口座でも、月に5、6回の現金入金があった。数百万円単位のものも多く、1000万円を超えたこともあったという。

 さらに、東京都文京区のマンションを共同で購入した知人女性名義でも、2口座が開設されており、700万円から150万円まで、100万円単位の入金が少なくとも9回あった。この知人名義では別に1口座あり、元室長が競馬の馬券を購入する専用口座だった。これら3口座には約1000万円の残高があるという。

外務省元室長、マンション購入前に多額現金が口座転々

2001.01.21(07:01)asahi.com
 外交機密費(報償費)の流用疑惑が持ち上がっている外務省元要人外国訪問支援室長(55)=官房付=が、複数の大手都市銀行に持つ自分名義の口座間で多額の現金を何度も移し替えるなど複雑な資金操作をしていることが20日、関係者の話で分かった。元室長が警視庁捜査2課に提出した上申書などで「公金を預金した」と認めている口座からも、少なくとも2400万円が引き出されているうえ、他の口座には多額の現金入金があった。こうした資金の一部は、マンション購入資金にも充てられていた。警視庁捜査2課は、元室長がいったん都銀口座に入金した外交機密費を口座間操作で隠していた可能性があるとみている。

 関係者の話によると、元室長は1997年、外交機密費が入金されていたとされる大手都市銀行から約2400万円を引き出した。

 これと同時期に、別の大手都市銀行の定期預金口座に約2400万円の入金があった。この口座に元々あった預金とその後の入金で、残高は約4000万円になった。

 元室長は同年半ばごろ、この定期預金を解約し、現金で銀行窓口に持ち込んだ約4000万円を加えて、同じ銀行の総合口座で新たに約8000万円の定期預金を組んだ。

 翌98年、この総合口座の定期預金のうち約4000万円を引き出して、やはり同じ銀行の普通預金口座に預け入れた。

 大金が複雑に口座間を移動していることなどから、捜査2課は、元室長が外交機密費を含む資金の出どころを、外部からわかりにくくする意図があったのではないかとみている。

 登記簿謄本などによると、元室長は在任中の98年12月に、知人女性と共同で、東京都文京区にあるマンションを約八千数百万円で購入。昨年6月になって、この知人の持ち分を買い取り、現在は1人で所有している。

 購入にあたっては、資金操作のなかで最終的に4000万円が預金された普通預金口座から、まず分譲価格の約1割にあたる800万円が、入金当日にマンション販売会社に振り込み送金された。これはマンションの手付金とみられ、即座に知人から半分の約400万円が振り込まれた。

 さらに98年11月、元室長の持ち分に対する残金にあたる約3600万円が引き出されている。マンションは翌12月1日に購入しており、そっくり購入資金に充てられたとみられる。知人は手持ちの約1000万円と住宅金融公庫から借り入れた2500万円を支払いに充てたようだ。

 また、元室長が知人の持ち分を買い取った昨年6月には、総合口座の定期預金が解約され、うち2200万円が知人名義の口座に振り込まれた。知人は約1カ月後に住宅金融公庫に住宅ローンの借入金を一括返済しているという。

外交機密費、約20億円を官房機密費に「上納」

2001.01.21(03:06)asahi.com
 外務省の元要人外国訪問支援室長(55)=現在は官房付=の外交機密費(外務省報償費)流用疑惑に絡んで、年間55億7000万円にのぼる外交機密費の約3分の1が、現在も首相官邸の扱う官房機密費(内閣官房報償費)に「上納」されていることが20日、関係者の話で明らかになった。国会などで批判を受けてきた官房機密費の総額を表面的に抑えるため、外務省予算に計上されている外交機密費のうち約20億円を官房機密費に転用しているという。元室長の疑惑の背景に、首相官邸と外務省ぐるみの不透明な予算操作の実態が浮かびあがった。

 1992年度の当初予算以降、外交機密費は毎年、55億7000万円、官房機密費は約16億円が計上されている。

 「上納」については、89年に内閣が作成した内部文書に「官房長官が取り扱う報償費は予算上、内閣官房と外務省に計上されており、形式的には外務省計上分を内閣官房に交付する形をとる」との記載があり、そうした仕組みがあったことが判明していた。複数の内閣官房経験者の証言によると、この慣行は現在も続いており、主に外交関係の費用に充てているという。

 疑惑の元室長は、首相らの外遊の際の手続き面でのサポートを担当。その際の経費は外交機密費でなく、官房機密費から支出することになっていた。

 元官邸関係者は「官邸は外務省から『これだけ必要』と言われれば、もとは外務省のカネという意識があるので、そのまま渡す」と語っている。巨額の機密費をめぐるあいまいな位置づけが、元室長の疑惑の温床となっていたとみられる。

 官房機密費は、官房長官の裁量で自由に使える。現金の出し入れや会計処理は、首席内閣参事官(現在は内閣総務官)や官邸の事務局が担当している。

 外務省が23日にも公表する調査結果では、元室長の疑惑を「個人の犯罪」とし、外交機密費と官房機密費の不透明なかかわりには触れない見通し。

数億円のゴルフ会員権/外交機密費流用疑惑/元室長、ヨット数隻も所有

2001.01.20 The Sankei Shimbun
 外務省の元要人外国訪問支援室長(五五)=官房付に異動=による外交機密費(報償費)流用疑惑で、元室長が複数のゴルフ会員権とヨットを所有していることが二十日、分かった。会員権のなかには一億円以上のものもあり、総額は数億円になるとみられる。これとは別に、約二億円の公金を私的に流用していたことがすでに判明しており、警視庁捜査二課は外務省の告訴を待って週明けにも業務上横領などの容疑で強制捜査に乗り出す構えだ。

 関係者によると、元室長が所有していたゴルフ会員権は少なくとも三つあり、関東地方のゴルフ場のものだった。販売価格は一億数千万円から約三千万円。このほかにも十前後の会員権を持っているとの指摘もある。ヨット数隻を所有しており、これらを合わせると数億円に上るという。

 元室長は要人外国訪問支援室長に就任した平成五年以降、大手都銀三行に七口座を開設したほか、当時交際していた女性名義の複数の借名口座を利用。巨額の出入金には機密費も含まれており、競走馬や高級マンション、馬券などの購入を繰り返していたことがすでに判明している。

 外務省や警視庁の聴取に対し、元室長は「親の遺産が入った」などと話しているという。外務省は二十三日にも調査結果を公表、元室長の懲戒処分と告訴に踏み切るとみられ、警視庁はこれを受けて本格捜査に着手する方針だ。

外務省が告訴へ 外交機密流用疑惑

2001.01.20(07:27)asahi.com
 外務省は19日、外交機密費を流用した疑いがもたれている元要人外国訪問支援室長(55)=現在は官房付=を業務上横領か詐欺の疑いで警視庁に告訴する方針を固めた。同省の内部調査の結果、個人名義の銀行口座に預け入れていた公金の一部を私的に使っていた疑いが強まったためだ。外務省は23日にも調査結果を公表するとともに、元室長の懲戒処分と告訴に踏み切る方針だ。

 外務省は調査結果の中で、今回の疑惑を元室長の「個人の犯罪」と位置づけ、幕引きにしたい考え。

 一方、外交機密費の相当部分が官房機密費に転用されるなど機密費をめぐる不透明な実態も明らかになり、野党各党は通常国会で厳しく追及する構え。外務省幹部の管理責任を問う声は与党内でもあがっており、処分問題が浮上することは必至の情勢だ。

 外務省は疑惑が発覚した年明け以降、官房長を中心に調査チームを作り、元室長から事情を聴くなど独自に調査を進めてきた。

借名口座にも1500万円/外務省機密費流用疑惑

2001.01.19The Sankei Shimbun
知人女性名義で隠ぺい

 外務省幹部(五五)による機密費流用疑惑で、この幹部が自分名義の口座以外に、複数の借名口座を開設して機密費を入金していたことが十九日、分かった。借名口座への機密費入金が明らかになったのは初めて。借名口座の一つには一回につき数百万円の現金が入金されており、警視庁捜査二課は幹部が私的流用のために借名口座を設けたとみて解明を進めている。

 明らかになった借名口座には、平成十年から十一年にかけて七百数十万円、五百数十万円、二百万円と三回にわたって計約千五百万円の機密費が入金されていた。

 この口座は十年十二月、幹部が文京区の新築高級マンションを約八千万円で共同購入した知人の女性名義で、この女性名義のもう一つの口座は馬券の購入を目的に作られていたことが分かっている。

 これまでの外務省や警視庁の調べによると、幹部は要人外国訪問支援室長に就任した平成五年以降、外務省に近い東京都港区の大手都銀三行に自分の名義で計七口座を開設し、四億円前後の機密費を入金していた。

 幹部は、首相外遊の際に支出される機密費を水増し請求するなどしてこれらの口座に入金し、高級マンションや競走馬十四頭を次々と購入した疑惑が持たれている。

 捜査二課は、幹部が女性名義の口座を実質的に管理していたことを重視。機密費流用を隠ぺいするために借名口座を利用していた疑いもあるとみて、関係者から事情を聴いている。

「口座に2億円入金」外務省元室長が認める 内部調査で

2001.01.14(03:08)asahi.com
 外務省の元要人外国訪問支援室長(55)=官房付=が外交機密費(報償費)を私的に流用したとされる疑惑で、元室長が外務省の内部調査などに対し、外交機密費約2億円を自らが管理する銀行口座に入金したことを認めていたことが13日、分かった。元室長は着服の犯意については否定しているとされるが、公金を個人口座に預け入れていた事実が詐欺や業務上横領にあたる疑いがあり、警視庁捜査二課は捜査に乗りだした。また、元室長が東京都内のマンションや競走馬14頭のほかに、多数のゴルフ会員権やヨットなどを所有していたことも新たに分かった。

 関係者によると、元室長は疑惑発覚後、外務省の内部調査などに対し、「外交機密費約2億円を自分名義の銀行口座に預け入れていた」と認めたという。これを裏付ける預金通帳も提出したとみられる。しかし、着服する意思はなかったと説明しているという。

 元室長は1993年に要人外国訪問支援室長に就任。直後に、東京都内の大手都市銀行の支店に自分名義の口座を開設し、月十数回から数回のペースで数百万円から100万円を持参して預け入れていた。人事異動で、機能強化対策室長になった99年以降は、口座への入金がほとんどなくなった。ただ、現在も約1億4000万円の残高があるという。元室長は別の都銀でも複数の口座を開設しており、外務省や警視庁で調べている。

 一方、元室長は関東地方などのゴルフ場の会員権を多数所有していた。このうちの1つは、価格が約1億円のものもあるという。また、ヨットも5隻前後所有し、会員権とヨットを合わせると数億円の価値があるとみられる。

外務省 外交機密費の私的流用疑惑/幹部を懲戒処分へ

2001.01.13 The Sankei Shimbun
 外務省大臣官房の幹部(五五)が、外交機密費(報償費)を私的に流用したとされる疑惑で、外務省は十二日までに、機密費の一部を自分の銀行口座に入金していたとして、この幹部を懲戒処分にする方針を固めた。警視庁捜査二課はすでに幹部から事情聴取しており、詐欺容疑などでの立件を視野に捜査する。これまでの調べでは、幹部は平成五年から十一年までの約六年間、首相外遊の日程調整を担当する要人外国訪問支援室長を務めていたが、外遊に同行したり下見をした際、経費を水増し請求し、機密費の一部をだまし取るなどした疑惑が持たれている。

 複数の口座に一回につき数百万円が振り込まれ、現在も一億円あまりの残高があるとされる。幹部は約八千万円の高級マンションや地方競走馬十四頭を相次いで購入しており、その資金に機密費の一部が使われた可能性があるという。

 疑惑が浮上したことから、幹部は在外公館への人事異動を凍結された上、官房付に更迭された。内部調査を進めている外務省は、調査期限の今月二十六日にも幹部を懲戒処分にする方針を固める一方、違法性がなかったか調査を続ける。

 一方、警視庁は機密費に不明朗な金の流れがあるなどとして、幹部から事情聴取した。幹部は銀行口座に機密費を入金したことは認めたが、「違法性はない」などと話したという。

外交機密費流用疑惑の調査結果26日までに公表 外務省

2001.01.11(18:36)asahi.com
 衛藤征士郎外務副大臣は11日の記者会見で、同省幹部による外交機密費(報償費)流用疑惑について「26日午前までにすべての結論を出すよう指示した」と述べ、同日までに内部調査の結果を公表することを明らかにした。今月末に召集される通常国会での野党からの追及に備えるためにも、公表を急ぐことにした。湾岸諸国訪問中の河野洋平外相とも協議のうえ決めたという。河野外相は、調査に限界がある場合には捜査当局に協力を要請する考えを示している。

外務省幹部、外交機密費流用か 競走馬14頭所有

2001.01.05(23:25)asahi.com
 外務省の元要人外国訪問支援室長(55)が、首相など政府要人が外国を訪問する際に支出される外交機密費(報償費)を私的に流用した疑いのあることが、関係者の話などで分かった。この幹部名義の都市銀行の口座には最も多い時で約2億円の預金があり、在任中に東京都内の新築高級マンションの1室を購入したほか、競走馬を少なくとも14頭所有しているという。外務省は幹部に事情説明を求めるなどして資金の流れの解明に乗り出した。

 この幹部は1993年から99年まで約6年にわたり、首相の外国訪問時の宿泊手配などをする要人外国訪問支援室長を務めた。この間に扱った外交機密費の一部を、銀行口座に入金して流用したとの疑惑が持たれている。

 関係者の話などによると、幹部は同室長になった93年以後、都内の大手都銀支店に自分名義の定期預金口座を開設した。その直後から、同じ支店にある普通預金口座に月十数回から数回のペースで数百万円から100万円の入金があり、ほぼ同額が定期預金口座に振り替えられていた。

 多い時には一度に約1000万円が入金されたこともあるが、いずれも幹部は現金を自ら持参して入金していたという。

 現在も普通預金と定期預金を合わせて約1億4000万円の残高があるとされる。幹部が同室長から異動した99年以降、入金はほとんどなくなっているという。

 また、幹部が購入したマンションは文京区内にある。マンション販売会社によると、分譲価格は約8000万円だったという。登記簿謄本などによると、幹部は98年12月に、知人の女性と共有で購入したが、昨年6月に知人の持ち分も買い取っている。銀行などで住宅ローンは組んでいないとみられる。

 一方、競走馬のうち13頭は、大井競馬場(東京都品川区)や川崎競馬場(川崎市)などに所属している。1頭はオーストラリアで、残る12頭は96年4月から99年4月にかけて北海道の牧場で生まれている。このうちの多くはすでにレースに出場している。さらに昨年10月にも北海道で2歳馬を購入した。

 関係者によると、競走馬は購入費が数百万円から1000万円以上かかることもあるという。地方競馬でもエサ代や管理費用として1頭あたり月30万円ほどが必要になるという。

 <外交機密費> 正式には「報償費」。今年度は55億7000万円、来年度も同額の予算が計上されている。情報収集や外交交渉を有利に進めるために使うものとされており、情報提供者への謝礼や飲食代もこれに含まれる。会計検査院との取り決めで領収証など証拠書類の提出は義務づけられておらず、使途は事実上の「ブラックボックス」になっているが、外務省では書類を5年間保管することになっている。

外務省幹部、国費流用か/1億円以上、本人の口座に入金 内部調査開始

2001.01.04 The sankei Shimbun
 外務省大臣官房の幹部(五五)が、首相外遊の際に支出される国費を流用していた疑いがあり、外務省は四日、内部調査を始めた。流用した額は一億円以上になるとの指摘もある。警視庁捜査二課もこうした事実を把握、幹部名義の銀行口座を調べるなど捜査に乗り出した。

 国費流用の疑惑が持たれている幹部は平成五年から十一年にかけて、首相外遊の日程調整などを担当する「要人外国訪問支援室」の室長を務めていた。

 このポストは首相が外遊する際、ホテルや海外の要人への贈答品、接待準備などを手配するもの。費用には機密費など国費が充てられている。

 関係者によると、幹部は外遊に同行したり、下見をした際に、経費を水増し請求するなどして一度に数百万円を着服。総額一億円以上を自分の口座に入金した疑惑が持たれている。捜査二課はこの口座を調べ、不正な入金について解明を進める。

 一方、外務省はこの日、事実関係を把握するため、会計書類のチェックなど内部調査を始めた。疑惑の幹部からもすみやかに事情を聴くという。また、この幹部の海外赴任の内定人事を凍結した。

 外務省大臣官房総務課は「何も事実を把握していないというわけではないが、内部調査ではっきりするまでコメントできない」としている。

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