TOPIC No.2-120 JR福知山線脱線事故

01. JR福知山線脱線事故 YAHOO! NEWS
02. 尼崎列車脱線事故 毎日新聞 by Mainichi INTERACTIVE
03. 【JR快速脱線ドキュメント】 by The Sankei Shimbun

福知山線、6月13日再開へ JR西方針、国交相も了承

2005/05/29 The Sankei Shimbun

 JR西日本が、快速電車の脱線事故で不通が続く福知山線宝塚−尼崎間の運転を6月13日に再開する方針を固めたことが29日、関係者の話で分かった。

 同日午前、JR西日本を査察に訪れた北側一雄(きたがわ・かずお)国土交通相もこの方針を了承したという。予定通り運転が再開されれば、事故以来49日ぶり。

 同社は30日午前、レールや枕木が撤去されたままになっている兵庫県尼崎市の事故現場で復旧工事を開始する方針。

 また同社は、事故後策定を急いでいた「安全性向上計画」を、垣内剛(かきうち・たけし)社長が期限ぎりぎりの31日に、国土交通省に提出することを決めた。

 運転再開時期についてJR西日本は慎重に検討を続けていたが、犠牲者の遺族や電車が衝突したマンション住民の心情に配慮し、表明することを避けてきた。

 しかし、遺族やマンション住民らへの謝罪や見舞いが一段落したことや、不通が長期にわたり通勤客などから不満の声も上がっていることから、犠牲者の四十九日が終わる直後の再開を決めたとみられる。

 国交省は運転再開の条件として、不通区間に新型の列車自動停止装置(ATS−P)の設置を指導。同社は工事を進めており、6月初めに設置を終える見通し。

 30日の復旧工事は午前8時ごろから始め、午前中に枕木の搬入作業を始める。敷設するレールは計260メートル、枕木は400本に上るという。

 現場のカーブは事故前の状況に戻し、左右レールの高低差も変更しないが、運転再開後しばらくは乗客の不安や周辺住民らの感情に配慮し、徐行運転を続けるという。

 「安全性向上計画」には、安全優先の企業風土づくりや、余裕を持たせたダイヤ編成、日勤教育を含む社員教育制度の見直し、運転保安システムの整備、社内情報伝達体制の改善を盛り込む。(共同)

来春改正でダイヤ緩和 JR西が安全対策発表

2005/05/24 The Sankei Shimbun

 兵庫県尼崎市のJR福知山線脱線事故から1カ月を前に、JR西日本は24日、過密との批判があるダイヤを来春の改正で緩和することや、2010年度末までに近畿圏の全路線の95%に新型列車自動停止装置(ATS−P)を配備するなどの事故再発防止策を発表した。

 所要時間を延ばすダイヤ改正は、1987年の同社発足以来初めて。今月末までに国土交通省に提出する「安全性向上計画」に盛り込む。

 事故後不通が続く福知山線の新ダイヤ編成作業にも近く着手する。国交省は、事故現場のカーブへの新型ATS設置を運転再開の条件に挙げているが、遺族感情などを考慮して設置工事を進める必要があり、復旧のめどは立っていない。

 事故再発防止のために設置する安全諮問委員会のメンバー6人も発表。金沢工大の永瀬和彦教授(鉄道システム学)ら専門家に交じり、アテネ五輪シンクロナイズドスイミング日本代表コーチだった井村雅代さんも選ばれた。同社は「井村さんは教師経験もあり、社員教育について助言してほしい」と期待している。

 また、安全を重視する企業風土づくりを進めるため、社長直属の「特別補佐」を新設し、首席を含む数人を同社のOBや役員らから選ぶ。各職場に足を運んで安全上の問題点を把握し、改善策を社長に代わって本社や支社に指示する権限を持たせるという。

 ダイヤ改正では、朝の通勤・通学ラッシュ時に平均65秒の遅れが出ているJR東海道線三ノ宮−大阪間の新快速の所要時間を、現在より1分延長して23分にするなど、大都市圏を中心に見直す。電車の乗り継ぎ時間にも余裕を持たせる方向で検討する。

 新型ATSは、京阪神を中心とした「アーバンネットワーク」のうち未整備区間に設置。阪和線日根野−和歌山間、関西線加茂−王寺間は、当初計画を1年前倒して06年度末までに備える。

 また、08年度末までに奈良線木津−京都間と山陰線京都−園部間、10年度末までに山陽線網干−上郡間、福知山線新三田−篠山口間、湖西線山科−近江塩津間にそれぞれ導入する。

 設置費用は約100億円。アーバンネットワーク内の整備率は現在の56%から95%になるという。(共同)

JR脱線 尼崎のカーブ、高低差不足を確認 事故調、さらに調査

2005/05/24 The Sankei Shimbun 東京朝刊から

 JR福知山線の脱線事故で、事故車両の脱線地点付近のカント(レール左右の高低差)の実数値が、基準値より数ミリ不足していることが23日、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会の調べで分かった。脱線地点付近でカント不足が実際に確認されたのは初めて。不足量は許容範囲内だったが、事故調は事故車両がこの地点で「転覆限界速度」を超えたため脱線したとみており、レールの形状をさらに詳しく調べる。

 事故調は尼崎東署捜査本部と合同で、レーザースキャナーを使ってレールや敷石を三次元測定。このデータを分析した結果、車両が激突したマンションから手前約80メートルの付近で、カントが基準値より数ミリ不足していることが確認された。

 さらにこの付近は半径300メートルの曲線よりもややきつく曲がっていることも判明した。

 カントは遠心力を緩和するためにあり、カーブ進入とともに徐々に左右のレールの高低差がつけられる。現場のカーブは8年前のレール付け替え時、最大で97ミリの高低差があるように設計されていた。

 JR西日本は「速度超過の場合、97ミリの高低差では十分でない」と認識していたことが判明しているが、実際に脱線ポイント付近がカント不足だったかは分かっていなかった。

 一方、北側一雄国交相は23日の同省福知山線事故対策本部会議の中で、「近くJR西日本を訪れ直接査察を行い、再発防止に関する考え方を聞きたい」と述べ、今月中にも自ら同社を訪れて査察する意向を明らかにした。

 同省はJR西日本に対し、今月中に再発防止に向けた「安全性向上計画」の提出を求めている。国交相自ら査察を行うことで、計画の策定状況のチェックや、福知山線再開に向けた準備状況を確認するものとみられる。

 また、JR西日本は事故調の現場保全命令などが解けたため、この日、脱線事故を起こした快速電車7両のうち、現場近くの線路上に残されていた5−7両目の撤去作業を行った。

尼崎脱線事故、139人が入院中

2005年05月24日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 死者107人を出した兵庫県尼崎市のJR福知山線脱線事故は、23日までの県警捜査本部の調べで、けが人の数が男性217人、女性332人の計549人に上ることがわかった。

 うち139人は入院中で、男性2人、女性4人は今なお重体。入院者以外に410人が通院治療を続けているという。

 けが人はこれまで、JR西日本の調べで543人とされていた。

 また、全死者のうち、57人の乗客については、乗っていた車両が特定されておらず、県警は当時の乗客への事情聴取から、「全位置」の特定を急いでいる。

JR脱線、運転士の心理状況解明へ

2005/05/09 中国新聞ニュース

 <事故調委が専門家に委嘱>

 尼崎JR脱線事故で、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会は九日までに、事故を起こした列車の運転士が制限速度を上回る異常な運転をした際の心理状況を解明するため、外部の専門家に専門委員を委嘱する方針を固めた。

 航空事故では、事故調委の委員にパイロットの心理面の調査を担当する航空人間工学の専門家がいるが、鉄道事故で心理面を調査するのは異例。

 事故調委は、尼崎の事故で既に外部の車両専門家一人を専門委員に委嘱。心理学の専門家を加え、伊丹駅でのオーバーランから制限速度七十キロのカーブに三十キロ以上速度超過して進入するまでの運転士の心理状況を調査したい意向だ。

 事故調委の委員は十人で、鉄道部会には六人の委員が所属。必要に応じ専門委員を委嘱することになっており、上越新幹線脱線事故では、鉄道事故調査で初めて五人の専門委員を任命した。

事故直前に不自然な運転 心身状態が影響? JR脱線事故

2005/05/09 The Sankei Shimbun

 尼崎JR脱線事故で死亡した高見隆二郎運転士(23)が事故直前、これまでに明らかになっていた伊丹駅以外にも、手前の宝塚駅や川西池田駅でオーバーランしたり、伊丹駅などで非常ブレーキを何度もかけるなど、極めて不自然な運転を繰り返していたことが9日までに、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会の調べで分かった。

 事故調委はこれまでの調べで、制限速度を大幅に超える100キロ以上のスピードでカーブに進入したことが主要な原因とほぼ断定。伊丹駅でのオーバーランなどで生じた遅れを取り戻そうとして、高見運転士が大幅な速度超過をしたとみていたが、新たに不自然な運転ぶりが明らかになり、事故直前の高見運転士の心身の状態が影響した可能性も出てきた。

 調べでは、高見運転士は事故のあった4月25日、宝塚駅から乗務。車庫から同駅のホームに電車を入れる際、停止位置を間違えた。出発は定刻だったが、2つ目の川西池田駅でもオーバーラン。伊丹駅で大幅に停止位置を超過した際に作動させるなど、何度も非常ブレーキをかけていた。

 JR西日本は9日、兵庫県尼崎市の脱線事故後、運休が続いている福知山線伊丹−尼崎間で、新型の列車自動停止装置(ATS−P)の設置工事を再開する。事故現場のカーブは約300メートルにわたり保全命令が続いており、工事のめどは立っていない。

 ATS−Pは、赤信号を無視して進入しようとした場合に非常ブレーキがかかる旧型の機能に加え、制限速度を超えると自動的に減速する。北側一雄国交相は8日、新型を一定の区間に導入するよう、全国の鉄道会社に義務付ける考えを表明している。(共同)

制限超える時速126キロ 尼崎脱線事故

2005/05/08 中国新聞ニュース

 兵庫県尼崎市のJR福知山線脱線事故で、脱線した快速電車が現場のカーブ手前の直線で、制限速度を六キロ超える百二十六キロで走行していたことが七日、尼崎東署捜査本部などの調べで分かった。車両から回収した装置などの分析で判明した。

 捜査本部のこれまでの調べで、現場のカーブ(半径三百メートル)にも制限速度の七十キロを大幅に超える百キロ以上のスピードで進入したことが分かっており、遠心力による「転倒脱線」とほぼ断定していた。

 カーブ手前でも制限を超過する高速走行をしていたことで、カーブ進入時のブレーキが間に合わず、事故を招いた可能性が高まった。

 一方、快速電車の先頭部分が転倒する直前に車体に激しい横方向の振動が断続的に起こり、脱線につながった可能性があることが、共同通信が入手したビデオ映像や写真から判明した。

 事故二日後の四月二十七日午後、関係者が撮影した。

 専門家が注目したのは、破損した二両目の映像。車両前方にある「第一台車」がはっきりと判別できる形で映し出されており、車輪の表面や台車付近の損傷状況などを詳しく分析できた。

 新潟大の谷藤克也教授(鉄道工学)によると、第一台車の第一、第二輪軸では、ともに進行方向右側の車輪のフランジ(ツメ部分)から外縁部にかけて、金属同士が激しく摩耗することで生じる「照り」があった。左車輪はゆがむなど大きく損傷していた。

 同教授は「ところどころに帯状の照りがあり、車輪表面が不均一。通常の走行では見られない状態で、車輪の回転に異常があった」と解析。転倒直前、車体に激しい横方向の振動が起こった可能性があると指摘した。

 さらに「脱線の主な要因は(百キロを超えていた)現場カーブへの進入速度」とした上で、「車体が転倒した要因は遠心力だけだったとはいえない。車両全体の振動も要因になったのでは」との見方を示した。

 国土交通省航空・鉄道事故調査委員会は七日、先頭車両から速度や走行距離のデータが残る列車自動停止装置(ATS)の記録装置を回収したと発表。非常ブレーキ作動前後の速度を記録する「モニター制御装置」のデータと併せて分析、運行状況の解明を急ぐ。

 また、事故調委のこれまでの調べで、一―二両目に加え、三両目も強い遠心力で車体が左に傾いて片輪走行状態となり、横転する危険性があったことも分かった。

1両目ATSモニターに速度記録…直前約100キロ

2005/05/07 読売新聞 Yomiuri On-Line

 JR福知山線の脱線事故で、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会は7日、1両目に搭載されていた自動列車停止装置(ATS)のモニター機器に、事故直前の速度が残されていたことを明らかにした。

 運転台のモニター制御装置とほぼ同じ、現場カーブの制限速度の時速70キロを大きく超える時速100キロ程度が記録されていたとみられる。

 モニター機器は、ATSが正常に作動しているかどうかを確認するための装置で、レール上に設置されたATSの地上端末を通過した際に、車両の通過速度なども記録する仕組みになっている。

 事故調が、事故車両の5、7両目から回収したモニター制御装置には、時速100キロ以上の速度が記録されていた。事故調はATSモニターに記録されていた速度について明らかにしていないが、「モニター制御装置の数値と、まったく違っているというわけではない」としている。

転倒直前、激しい横振動か 入手映像から専門家解析

2005/05/07 中国新聞ニュース

 兵庫県尼崎市のJR脱線事故は、快速電車の先頭部分が転倒する直前に車体に激しい横方向の振動が断続的に起こり、脱線につながった可能性があることが七日、共同通信が入手したビデオ映像や写真から判明した。

 一両目に残された乗客の救出作業が続いていた事故二日後の四月二十七日午後、関係者が撮影した。快速電車の先頭車両がマンションの地下駐車場の奥深くまで突っ込んでいる様子や、横倒しになってマンションの壁にへばりつくように折れ曲がっている二両目内部の様子などが間近から撮影されており、衝突の激しさがうかがえる。

 専門家が注目したのは、破損した二両目の映像。車両前方にある「第一台車」がはっきりと判別できる形で映し出されており、車輪の表面や台車付近の損傷状況などを詳しく分析することができた。

 新潟大の谷藤克也教授(鉄道工学)によると、第一台車の第一、第二輪軸では、ともに進行方向右側の車輪のフランジ(ツメ部分)から外縁部にかけて、金属同士が激しく摩耗することで生じる「照り」があった。左車輪はゆがむなど大きく損傷していた。

 同教授は「ところどころに帯状の照りがあり、車輪表面が不均一。通常の走行では見られない状態で、車輪の回転に異常があった」と解析。転倒直前、車体に激しい横方向の振動が起こった可能性があると指摘した。

 さらに「脱線の主な要因は(百キロを超えていた)現場カーブへの進入速度」とした上で、「車体が転倒した要因は遠心力だけだったとはいえない。車両全体の振動も要因になったのでは」との見方を示した。非常ブレーキによるロックした痕跡は車輪には見られないという。

3両目も片輪走行か 右側車輪に傷あとなし JR脱線事故

2005/05/07 The Sankei Shimbun

 兵庫県尼崎市のJR福知山線脱線事故で、快速電車3両目の右側車輪には、脱線してレールを横切ったときなどに付く傷がないことが7日、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会の調べで分かった。

 事故調委は、これまでの調査で判明していた1−2両目の片輪走行に加え、3両目も車体が傾いていた可能性が高いとみている。速度超過でカーブに進入したために強い遠心力が働き、3両目も横転する危険性があったことが明らかになった。

 事故調委によると、レールと車輪の硬さはほぼ同じ。脱線した3両目の右車輪がレールと接触し横切った場合、その痕跡が残るが、車輪とレールどちらにも明らかな傷は見つからなかった。

 このため3両目は傾いた状態で線路から車輪が外れたが、1、2両目がマンションと衝突し、電車のスピードが緩やかになり、横転せずに止まったとみられるという。

 現場の右カーブ途中にある電柱近くに2両目のパンタグラフが落ちていたことから、事故調委は1−2両目までは左に横倒しになりながら脱線したとほぼ断定している。

 2両目のパンタグラフ2基が見つかったのは、衝突したマンション手前約56メートルの地点。電柱はパンタグラフがぶつかったとみられる衝撃で破損していた。

 事故調委はこの時点で、1−2両目が左に約45度の角度で傾いていたとみているが、3両目の傾きはそれより小さかったとみている。(共同)

脱線事故の110番せず JR脱線事故

2005/05/07 The Sankei Shimbun

 尼崎JR脱線事故で、兵庫県警がJR西日本から事故発生を伝える110番を受理していないことが7日、分かった。同社は記者会見で「尼崎駅に通報するよう指示した」と説明していたが、社内のマニュアルに反し通報を怠っていた可能性が出てきた。

 県警によると、事故の110番は4月25日午前9時19分、乗客や住民ら3人が通報したのが最初で、同日中に計25件寄せられた。

 このうち4件は乗客からの通報で「助けて下さい」と緊迫した様子で救助を求める女性や、「電車が転覆して頭から出血した。ほかにけが人が多数いる」と現場の状況を伝えた男性もいた。このほか現場周辺の住民からの通報や消防からの転送もあったが、JR西日本や尼崎駅の社員を名乗る通報はなかった。

 同社は5日の記者会見で、事故直後の110番と119番について「午前9時24分に、新大阪総合指令所から尼崎駅に通報するよう指示し、午前9時台に通報は完了した」と説明したが、社内に通報を示す記録は残っていないという。

 同社が1992年に作成した「運転取扱作業マニュアル」は「事故発生時は人命の救助を第一に考え、関係機関に速やかに手配する」と規定。警察署や消防署などに協力要請することも定めている。(共同)

車体が台車から浮き左傾 事故調委、転倒脱線裏付け

2005/05/06 The Sankei Shimbun

 尼崎JR脱線事故で、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会は6日、事故車両の台車を調べた結果、片側だけに「通常の走行ではできない激しい痕跡」が見つかったと発表した。車両が転倒脱線した際、車体が台車から浮き上がり、カーブの外側(左側)に大きく傾いた状態となったことを示しているという。

 1両目の左車輪に、脱線した後に敷石(バラスト)上を走行してできたとみられる細かい傷があったのに、右車輪にはないことも分かった。事故調委は、転倒脱線が台車、車輪の状態からも裏付けられたとみてさらに詳しく調べる。

 事故調委が、車体の上下、左右への揺れを防ぐ「ストッパー」(1、2両目)を調べたところ、車体がカーブの外側に大きく傾いた際、ストッパーのゴムに当たって付いた傷と、車体が跳ね上がった際にできた真新しい傷を確認した。カーブを高速で走行した時、遠心力で車体が激しく上と左の方向に振られたことが分かった。

 ストッパー右側にはこのような傷跡はなく、事故調委の宮本昌幸委員は「車体の異常振動があれば左右両方に傷ができるはずで、異常振動で脱線したとは考えにくい」とした。

 また車体と台車の間にあり、サスペンションに相当する「空気ばね」(1車両に4つ)のうち、2両目後部の左側が外れていたことなども公表。車体と台車が分離すると空気ばねは簡単に抜けるため、事故調委は車体が大きく傾いた際に台車から分離した可能性もあるとみている。

 このほか1−4両目の車輪を調べたところ、車輪がロックした際にレール上を滑ってできる平らな傷が見られなかったことも判明。しかし、非常ブレーキをかけても車輪がロックするようなことは通常なく、事故調委は脱線前後に非常ブレーキがかかったことは間違いないとみている。(共同)

「原因調査中、復旧未定」 JR西が運輸局に報告書

2005/05/06 The Sankei Shimbun

 兵庫県尼崎市で起きた脱線事故について、JR西日本は6日、鉄道事業法に基づく鉄道運転事故等報告書を国土交通省近畿運輸局に提出した。事故原因や損害額は「調査中」、復旧見込みは「未定」としている。

 同運輸局によると、報告書では再発防止策として(1)緊急総点検や運転士の添乗指導の強化(2)福知山線の尼崎−新三田で新型の列車自動停止装置(ATS)を整備(3)航空・鉄道事故調査委員会の調査結果を踏まえた対策の検討−を挙げた。

 この日、JR西の横山佳史大阪支社次長が運輸局を訪れ、担当者に「誠に申し訳ございませんでした」と謝罪し、報告書を手渡した。

 同法に基づく鉄道事故等報告規則は、乗客や乗務員が死亡する事故などが起きた場合、2週間以内に報告書を提出することを義務付けている。(共同)

「甘さ猛省を」国交相 ボウリング大会問題で

2005/05/06 The Sankei Shimbun

 北側一雄国土交通相は6日、兵庫県尼崎市の脱線事故当日にJR西日本の社員がボウリング大会を開いていた問題などについて、「甘さや、そういう空気があったことを猛省し、社全体の問題ととらえて見直してもらいたい」と述べた。

 相次ぐ公共交通機関の事故やトラブルを受け、南海電気鉄道(大阪市)に対して実施した査察後、記者団の質問に答えた。

 国交相は、ボウリングに参加した社員らについて「鉄道マンとしての自覚や責任をしっかり持ってもらいたい」と述べた。

 脱線事故後の北側国交相の査察は、2日に東京で実施したJR東日本や日本航空などに続き2度目。

 国交相は、大阪市住之江区にある南海電鉄の車両基地で、列車自動停止装置(ATS)の作動テストなどを視察。事故防止対策の安全総点検について、電鉄側から取り組み状況の報告を受けた。

 6日はほかに阪急電鉄(大阪市)、大阪空港にある全日空の伊丹基地(兵庫県伊丹市)を査察する。

 土佐くろしお鉄道事故や日航の運航トラブルなどが相次いだ3月、国交相は組織内の安全体制を総点検するよう鉄道、交通事業者らに通達していた。(共同)

運転士の労働環境を調査へ 厚労相意向

2005/05/06 The Sankei Shimbun

 兵庫県尼崎市のJR脱線事故で、尾辻秀久厚生労働相が6日、現場を視察、記者会見で「JR西日本に労働法規上の問題がなかったとしても、運転士の労働環境に問題があれば調査して指摘する」と調査に乗り出す意向をあらためて示した。

 また、事故当日にボウリング大会を行ったJR社員については「なにをか言わんやだ。理解を超えている」と批判した。

 厚労省として、心のケアを含めた医療の充実、労災認定の迅速化などに全力で取り組む方針を示した。

 尾辻厚労相は尼崎労働基準監督署の担当者から報告を受け、現場で献花台に花を供えた後、記者団に対し「胸の詰まる思いだ」と述べた。

 また事故当日に69人が搬送され、6日現在も18人が入院中の関西労災病院(尼崎市)を訪れ、負傷者を見舞った。(共同)

脱線に遭遇、救助せず出勤 JR西の運転士2人

2005/05/03 The Sankei Shimbun

 兵庫県尼崎市で脱線したJR福知山線の上り快速電車に、JR西日本の男性運転士2人が乗車、けががなかったのに負傷者の救助活動に加わらず現場を立ち去り、そのまま出勤していたことが3日、分かった。  JR西日本の村上恒美・安全推進部長は3日、大阪市北区の本社で開いた記者会見で事実を認め「人命救助は基本中の基本。負傷者を放置したのは誠に遺憾だ」と陳謝した。  運転士の1人は職場に連絡したが、上司が出勤を黙認した可能性があり、同社は2運転士とこの上司の処分を検討している。  JR西日本によると、2人は尼崎電車区所属の27歳と、森ノ宮電車区所属の59歳。森ノ宮電車区の運転士は4両目、尼崎電車区の運転士は6両目に乗っていた。  事故後、尼崎電車区の運転士は徒歩で尼崎駅近くの職場に向かい、森ノ宮電車区の運転士は尼崎駅まで歩いた後、電車に乗って大阪市城東区の職場に出勤。ともに午前10時すぎには到着、通常通り電車に乗務していた。  2人は、現場で救助活動に当たらなかったことについて「気が動転していた」と釈明しているという。  森ノ宮電車区の運転士は事故後、職場に電話で事故概要を伝え「これから出社する」と連絡したが、上司は現場にとどまるよう指示せず、そのまま出勤していた。  村上部長は、先頭車両にも事務職の同社男性社員が乗っていて肋骨(ろっこつ)骨折の重傷を負い、今も入院中だと明かした。(共同)

新ATS導入工事を再開 脱線事故の不通区間で

2005/05/03 中国新聞ニュース

 JR西日本は三日、兵庫県尼崎市の福知山線で起きた快速電車の脱線事故以来、中断していた新型の列車自動停止装置(ATS)導入工事を伊丹―新三田間で再開した。

 北側一雄国交相が二日、「新型ATS導入が福知山線運行再開の大前提」との見解を示し、JR西は同日夜、新型ATS導入後に運行再開すると発表していた。

 同県伊丹市の線路では、JR西関連会社の作業員六人が、新型ATSで通過車両の速度などを電波でやりとりする「地上子」と呼ばれる端末を枕木の上に取り付けた。

 一方、事故現場では三日、尼崎東署捜査本部が現場検証を続行。また国土交通省航空・鉄道事故調査委員会の要請を受け、JR西の作業員が、事故現場のレールの状態を保全するため上下線のレールを一部切断する作業を行った。

 午前八時半ごろ、メジャーやカメラの三脚を持った県警鑑識課員ら十数人が現場に到着。JR社員らはヘルメットを取り献花台に一礼して現場を取り囲む青いビニールシートをくぐった。

 献花台にお参りした神戸市長田区の男性(57)は「あまりにひどい被害が出た場所なので見ておこうと思った。これは人災。JRは収益より安全第一を徹底して」と話した。献花にきたJR東日本運転士の小暮久司さん(47)=群馬県高崎市=は「こんな惨事を繰り返さないよう安全の誓いをした」と話した。

運転士、非常ブレーキかけた JR脱線 急カーブで

2005/05/02 The Sankei Shimbun

 兵庫県尼崎市で起きたJR福知山線の脱線事故で、快速電車の運転席のブレーキレバーが非常ブレーキの位置で止まった状態だったことが二日、県警尼崎東署捜査本部の調べなどでわかった。高見隆二郎運転士(23)=死亡=が事故の際に非常ブレーキをかけたとみられ、捜査本部は大幅な速度超過に加え、カーブ内で急ブレーキをかけた、運転士による操作ミスが事故原因との見方を強めた。

  ≪「操作ミス」強める兵庫県警≫

 調べによると、ブレーキレバーは運転席の右側にあり、手前から押し込むにしたがい段階的にブレーキがかかる仕組み。強さは九段階で、一番奥に押し込むと、非常ブレーキがかかるようになっている。捜査本部が、線路沿いのマンションに激突し、大破した先頭車両の運転席を検証したところ、ブレーキレバーが非常ブレーキの位置まで押し込まれた状態だったことが判明した。

 非常ブレーキは連結部分が外れた際にも作動するが、その場合レバーの位置は動かない。事故の衝撃で先頭車両から四両目にかけて連結部分が外れており、非常ブレーキが脱線後に自動的に作動したのか、高見運転士の操作なのか、これまでわからなかった。どのタイミングで非常ブレーキがかかったかを特定することが原因究明の焦点になっていた。

 電車は制限速度三十八キロ超の百八キロの高速でカーブ進入後に、急激な遠心力が車両に加わって「転倒脱線」を起こしたとみられており、捜査本部は脱線の直接的な原因として運転士がカーブ手前で減速しなかったことに加え、高速のままカーブ内で非常ブレーキを操作したミスとの見方を強めている。

 これまでの現場検証でレール上には明確なブレーキ痕が見当たらないことから、高見運転士が脱線後に非常ブレーキをかけた可能性も否定できないため、捜査本部は速度やブレーキ操作などを記録する「モニター制御装置」のデータの分析を進め、脱線原因をさらに詳しく調べる。

 高見運転士は事故から三日後の四月二十八日、運転席の計器類の上にこぶしを握ったように右手を置き、死亡しているのが見つかった。司法解剖の結果、死因は圧死で薬物反応などは出ていない。

 ≪9時18分に黙祷≫

 兵庫県尼崎市のJR脱線事故は二日、発生から一週間を迎え、撤去作業を進めるJR西日本社員や、現場検証を続ける県警捜査員、献花に訪れた人々が事故発生時間に合わせて一斉に黙祷(もくとう)をささげた。

 午前九時前からJR西社員や県警捜査員らが現場に集まり、線路脇に設けられた献花台にも、花を持った人たちが相次いだ。

 事故発生と同じ午前九時十八分ごろ、整列した職員や捜査員らは事故現場に向かって一分間の黙祷をささげ、犠牲者の死を悼んだ。

 宮城県から訪れたというJR東日本の関連会社に勤める男性(30)は「鉄道業務にたずさわる者として、今回の事故を決して風化させてはいけない。(JR西には)遺族らに対する誠意ある対応と今後の事故防止対策を講じてほしい」と話していた。

マンション買い取り検討 JR家賃補助にも応じる

2005/05/02 The Sankei Shimbun

 JR西日本は二日、今後、遺族や負傷者らとの窓口となる「福知山線列車事故相談室」を開設した。同社は現在、死亡した乗客の遺族に対し、社員を二人一組で担当させているが、今後は同相談室が遺族らの要望にこたえるとともに、今後の補償問題などについても対応してゆく。

 同相談室は、大阪市北区の本社内に設置。管理職職員七人が専従するが、当面は職員数を順次増やして対応。遺族をはじめ負傷者や、快速電車が衝突したマンションの住民を含めた地域住民の相談も受け付ける。

 また、JR西日本は、このマンションの住民に対して、仮住まい用の賃貸住宅九棟約四十室を尼崎市内に用意したこと、さらにマンションの買い取りも検討していることを明らかにした。現段階では入居希望者は二十世帯で、この日から四世帯が入居するという。個人的に確保した住居も最大十五万円までの家賃補助などに応じる。

 JR西日本は事故が起きた四月二十五日、マンションの住民に避難を要請。ほぼ全世帯が実家やJR西日本が用意したホテルなどに移った。二十九日に避難要請は解除されたが、戻ったのは数世帯。「あれだけ多くの方々が亡くなった現場の上では暮らせない」と賃貸住宅を探す人も出始めていた。

 マンション住人の主婦(21)は「実家に一時避難していますが、この生活は精神的にもきつい。子供の学校のこともあるので、同じ校区内で物件を探しているのですが…」と話していた。

JR脱線事故で132人が依然入院中

2005/05/02 The Sankei Shimbun

 尼崎JR脱線事故の負傷者460人のうち、事故から丸1週間を迎えた2日午前の段階で、少なくとも132人が入院している。

 JR西日本によると、4月25日の事故発生後、兵庫、大阪両府県の33病院に負傷者が搬送された。

 入院患者がいるのは28病院。男女ともに66人ずつで、兵庫医大病院(兵庫県西宮市)33人、関西労災病院(同県尼崎市)18人などとなっている。(共同)

片輪で100メートル走行か 脱線事故

2005/05/02 The Sankei Shimbun

 兵庫県尼崎市のJR福知山線で起きた快速電車の脱線事故で、電車がマンションに激突するまで片輪で走行した距離は約100メートルにわたる可能性があることが2日、尼崎東署捜査本部の調べで分かった。

 現場は右カーブで、捜査本部は左側のレールに約40メートルにわたってさびが削り取られた跡があったことを確認。片輪走行した痕跡とみられ、脱線後に枕木や地面などについた約60メートルの脱線痕と合わせ、約100メートルを片輪走行した可能性が出てきた。

 右側のレールには同様の跡はなかった。

 捜査本部は回収した車両の車輪の付着物を鑑定するなどして、レールの痕跡が片輪走行によるものかどうか分析を進めている。

 捜査本部や国土交通省航空・鉄道事故調査委員会は、電車が制限速度70キロのカーブに100キロ超で進入したため、外側に強い遠心力が働き、右側の車輪が浮き上がって倒れながら脱線した「転倒脱線」とみている。

 通常、レールの外側は車輪と接触しないため、さびが付着していることが多い。車体が大きく左に傾いて片輪走行になったため車輪の角度が変わり、レールの外側と激しい摩擦を起こして、さびが削り取られたとみられる。(共同)

運転再開には新ATS必要 脱線事故の福知山線

2005/05/02 The Sankei Shimbun

 北側一雄国土交通相は2日、脱線事故が起きたJR福知山線の不通区間再開について「新型の列車自動停止装置(ATS)の導入が、運転再開の大前提だと思う」と述べ、現在の旧型ATSのままでは再開を認めない考えを表明した。

 JR西日本は同日夜の記者会見で、新型ATS導入後に運転再開すると表明。中断していた導入工事を3日から再開することを明らかにした。

 北側国交省の発言は、首相官邸で自民党の武部勤、公明党の冬柴鉄三両幹事長や細田博之官房長官と会談し述べた。北側国交相は記者団に対し「(福知山線の)新三田から尼崎まで新型ATSが整備されることが利用者の信頼を得るための一つのシンボルだと思う。しっかりやっていただかないと利用者の方も安心できない」と語った。

 さらに北側国交相は「急カーブでの速度規制、運転士の教育の在り方、間隔が短いダイヤの問題など、こうした事故が二度と起きないような対策をしっかりと検討したい」として、さまざまな角度から再発防止に取り組む意向を示した。

 ATSには赤信号の時に列車を自動的に止める機能にとどまる旧型と、決められた速度以上になった際にブレーキをかける機能も付いた新型がある。事故現場付近のATSは旧型だが、JR西日本は6月末までに新型に更新し、カーブで時速70キロを超えたスピードが出ないようにする予定だった。

 武部、冬柴両幹事長は、国と地方公共団体が緊密に連携し負傷者の治療や遺族らの心のケアを行うことや、再発防止策の早急な検討、被害者や電車に激突されたマンションの入居者への補償をJR西日本が適切に行うよう国が指導することなどを申し入れた。

 細田氏は「要請を重く受け止め、小泉純一郎首相にも伝えたい」と表明した。

 与党は尼崎列車事故対策本部を設置、冬柴氏が本部長、武部氏が本部長代理を務めている。(共同)

日本で「強制連行」損害賠償請求へ サハリン在住朝鮮人

2005/05/02 The Sankei Shimbun

 タス通信によると、第2次大戦当時に日本領だったロシアのサハリン州に住む朝鮮人の組織「正義の回復のために」は2日、同州への朝鮮人「強制連行」と「強制労働」に対する損害賠償請求訴訟を日本で起こす方針を決めた。請求額は4億ドル(約420億円)以上と試算している。

 日本は1939年から45年にかけて、朝鮮半島から約4万人の朝鮮人を「強制連行」し、炭鉱などで酷使したとされる。約6000人が生存しており、約4000人が祖国移住を希望しているという。

 当時ほとんど支払われなかった労働賃金は計2億−4億ドルと試算され、これに帰国費用などを加えて請求総額を決める。(共同)

「転倒脱線」責任追及へ 死者107人に、大半圧死

2005/04/30 中国新聞ニュース

 JR史上最悪の被害を出した兵庫県尼崎市の福知山線脱線事故から、一日で一週間。快速電車が制限時速を超えてカーブに進入したことによる「転倒脱線」との見方が強まり、尼崎東署捜査本部は業務上過失致死傷容疑での刑事責任追及に向け、JR西日本の安全管理に不備がなかったかどうか捜査を進めている。

 二十六日に救出され、入院していた同県西宮市の女性 (46)が三十日に死亡、死者は百七人となった。重軽傷は四百六十人。一両目で約三十人、二両目で約七十人が死亡、大半が圧死だったことが県警の調べで新たに分かった。

 調べによると、事故は二十五日午前九時二十分ごろ、伊丹駅から尼崎駅へ向かう途中の半径三百メートルの右カーブで起きた。七両編成のうち先頭から五両目までが脱線。一両目は線路脇のマンション一階に突っ込み、二両目はマンションの壁に激突し、ともに大破した。

 電車は死亡した高見隆二郎運転士(23)が停止位置をオーバーランするなどして、伊丹駅を定時より一分半遅れて発車。制限時速七十キロのカーブに百キロを超える速度で進入したことが五両目に設置された「モニター制御装置」で確認された。

 JR西日本が捜査本部に任意提出した松下正俊車掌(42)と同社総合指令所との通信記録で、松下車掌は脱線直前「車体が揺れている」と連絡していたことも判明。

 高見運転士は過去にオーバーランなどで三回処分を受け、松下車掌が調べに「オーバーランがなかったことにしてほしいと頼まれた」と供述したことから、捜査本部は処分を恐れた高見運転士が遅れを取り戻そうとして高速でカーブに進入したとみている。

 同社運転士らの話によると、通勤・通学時間帯の福知山線は過密ダイヤで、遅れが発生しやすい。現場のカーブまでは制限時速百二十キロで、通常は伊丹駅を出ると百二十キロぎりぎりで走行し、カーブ近くで減速する。

 また同社は年五回、日常的に定時運行できないケースが多い電車を対象に一秒単位で遅れなどを報告させ、高見運転士も四月十一日に対象電車に乗務していた。ミスをした乗務員には反省文を書かせるなど「日勤教育」を課し、高見運転士も受けたが「教育というよりペナルティー」と指摘されている。

 捜査本部は今後、過密ダイヤや運行管理、乗務員教育などに問題がなかったか調べる。

ダイヤ見直し初めて言及 脱線事故でJR西日本

2005/04/30 中国新聞ニュース

 JR西日本(大阪市)の村上恒美安全推進部長は三十日午前の記者会見で、脱線事故のあった福知山線が過密ダイヤで、電車遅れが頻繁だと指摘されていることについて、「必要があれば見直していきたい」と初めてダイヤ改正の可能性に言及した。

 松下正俊車掌(42)が脱線直前に車体の揺れをJR西日本総合指令所に報告していたのに、当初の記者会見で発表しなかったことについて「(その時点では)把握していなかった」と釈明した。

 JR西日本は事故後、松下車掌と総合指令所のやりとりに基づいて、事故前後の状況を時系列で発表。事故前、松下車掌が無線で総合指令所に報告したのは伊丹駅でのオーバーランのみだったとしていた。

車両の揺れ、指令へ報告 JR脱線事故

2005/04/30 中国新聞ニュース

 脱線直前にJR車掌

 兵庫県尼崎市のJR福知山線で起きた快速電車の脱線事故で、松下正俊車掌(42)が脱線直前「車体が揺れている」とJR西日本総合指令所に報告していたことが三十日、尼崎東署捜査本部の調べで分かった。

 事故を目撃したタクシー運転手の男性(63)=尼崎市=は「電車の通過音が小さくなり、前の車両が(現場右カーブを)左傾したまま走って(線路脇の)マンションに突っ込んだ」と証言した。

 捜査本部は制限時速(七十キロ)を大幅に上回る百キロ超でカーブに進入し、遠心力などで車体が傾いたのが脱線の主要因とみて捜査。国土交通省航空・鉄道事故調査委員会も「転倒脱線」とみており、両者の見方を裏付ける証言と言えそうだ。捜査本部などは三十日も現場検証や調査を続けた。

 調べによると、快速電車は伊丹駅から尼崎駅へ向かう途中で脱線した。その間の車掌と総合指令所の通信は記録され、捜査本部はJR西日本から提出を受けた。

 車掌は伊丹駅で停止位置をオーバーランし、約一分半遅れていることを連絡後、現場のカーブへ進入する直前に「いつもよりスピードが出ている」「車体が揺れている」などと報告した。

 このため、指令所は無線で高見隆二郎運転士(23)=死亡=を二度呼んだが、応答はなかったという。捜査本部は関係者の事情聴取や通信記録の分析を続けている。

 一方、目撃者の男性によると、事故が起きた二十五日午前九時二十分ごろ、線路と並行する西側の道路を自転車に乗って通行。後方から来た電車の通過音が「ゴー」といういつも聞いている音から急に小さくなり、何かが風を切るような「スー」という音になった。

 線路を見ると、一両目の右側がふわりと浮き上がり、どんどん左傾しながら進み、三両目が二両目につんのめるような形で衝突。無数の敷石が高く巻き上げられ、直後にごう音が響き渡った。

「数分遅れで怒る通勤客」日本の“特殊性”海外も関心

2005/04/30 The Sankei Shimbun

 主要先進国で百人前後の死者が出た鉄道事故としては、一九九八(平成十)年に起きたドイツの高速列車「ICE」の脱線事故以来となった兵庫県尼崎市のJR脱線事故。国内のみならず世界的に大きく伝えられ、アジアでの事故に関する報道としては異例の「大ニュース」となっている。他国に比べ鉄道への依存度が高く、定時運行が当然という日本の“特殊性”への関心もうかがえ、JR西日本に対する批判が高まっていることを紹介する例も多い。

 英デーリー・テレグラフ紙は、日本の鉄道会社について「定時運行、安全、従業員の質、技術すべてで、英国では想像不可能な高いレベルを保っている」と紹介。しかしその一方で、このような状態が維持されたことで「通勤客は、ほんの数分の遅れが出ただけで激しく怒ってしまう欠点がある」と、このような状態に慣れている乗客側の要求水準も極めて高いことを指摘している。

 このため、「鉄道会社側は従業員に定時運行の激しい圧力をかける」状況が生じていることを暗に批判する形にもなっている。

 また、二十八日付の米クリスチャンサイエンス・モニター紙は、「世界で最も安全な鉄道システムの一つを持っているとの評判が揺さぶられていることが、日本で起きている激しい衝撃の大きな要因になっている」と尼崎発の記事で指摘し、今回の事故が日本人の自信や鉄道輸送への信頼に極めて大きな影響を与えたとの見方を示した。

 同紙は、日本では「例えば赤信号で三十秒停止しただけでもおわびの車内放送が流される」など、他国では考えられない水準の正確さが当然になっていることを紹介。欧州の中でも鉄道が発達しているドイツに比べても、日本の鉄道の年間旅客輸送量は約十倍にのぼると伝え、「日本ほど鉄道に乗ることが日常の一部になっている国はない」ことが、事故の衝撃をより大きくしていると分析している。

 日本の鉄道に関しては、各国メディアとも「世界で最も大規模、かつ洗練されている例の一つ」(米ワシントン・ポスト紙)、「世界で最も信頼できる」(独フランクフルター・アルゲマイネ紙)など、高く評価している。それだけに、今回のような事故が起こったことが、他国の場合よりも驚きをもって受け止められている形だ。

 ただ、各メディアの報道では、「電車は福知山発」「女性専用車両が二両あった」など、細部で事実と異なるものが少なくなく、JR西日本や警察・消防当局などの外国メディアに対する態勢が十分ではないこともうかがわせている。

脱線、時速120キロ程度でも…JR試算を下回る

2005/04/29 読売新聞 Yomiuri On-Line

 兵庫県尼崎市のJR福知山線で25日朝に起きた脱線事故で、現場の右カーブで脱線が起きる恐れが生じる危険速度は、JR西日本が発表した「時速133キロ以上」よりも実際にはかなり低いことが28日、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会の調べで明らかになった。

 事故調の解析では、同社が危険速度を計算する際、乗客はゼロとし、気象条件を一切無視するという非現実的な想定をしており、同社の試算は「机上の空論」に近い。専門家は、実際には時速120キロ程度で転覆脱線が起きる危険性があり、急ブレーキなどの悪条件が加わればさらに低速でも脱線が起きていたと指摘している。

 JRが危険速度を公表したのは事故当日の会見。制限速度70キロの現場カーブについて「計算上は133キロで脱線する」と発表した。事故を起こした207系車両の最高速度は120キロとし、速度超過が脱線の原因にはならないかのような主張だった。

 しかし事故調が改めて同社の試算を解析した結果、133キロは脱線の危険速度ではなく、脱線よりも重大な転覆の恐れが発生する「限界速度」だった。さらに試算は、空車を想定したうえ、レールや車両への影響が大きい横風や湿度などの気象条件を排除していた。

 実際には、事故当時の車両は満員状態に近かった。電車は乗客が多いほど、重心が高くなって不安定さが増す。また制限速度を超える約100キロでカーブに進入したため、想定より4倍の遠心力がかかっていたうえ、急ブレーキも加わり、事故車両はJRの「理論値」よりはるかに不安定な状態だったと事故調は見ている。

 「交通安全環境研究所」の松本陽・交通システム研究領域長も、「実際の転覆の限界速度は、高くても120〜125キロ程度だったのではないか」と指摘。これに急ブレーキなどの悪条件が加われば、限界速度はさらに低くなるという。

 事故調では今後、最初に転覆脱線したとみられる先頭車両の損傷状況の調査を実施。事故発生当時の乗客数や気象条件などを前提として、「机上の空論」ではない実際の限界速度を算出する方針だ。

 JR西日本は事故後、危険速度は時速133キロとするとともに、線路上の置き石が脱線の引き金になったかのように発表していた。これについても事故調は28日、置き石があった可能性を全面的に否定した。

 事故調は、レール上にあった白い粉を鑑定した結果、外部から持ち込まれた物体ではなく、線路内のバラスト(敷石)が車輪に踏みつぶされたものと断定。また、先行電車が通過後の短時間に、石をレール上に並べることはほぼ不可能で、「テロやいたずら目的とは考えにくい」としている。

脱線現場、8年前の付け替えで急カーブに

2005/04/29 The Sankei Shimbun

 兵庫県尼崎市のJR福知山線脱線事故で、現場は8年前のJR東西線開通に伴い、比較的緩やかなカーブから急カーブに付け替えられていたことが28日、わかった。

 JR西日本によると、福知山線は1997年のJR東西線(京橋―尼崎)開通によって、尼崎駅につながる上下線の軌道が変更された。その結果、旧上り線にあった半径600メートルのカーブが、事故が起きた半径300メートルのカーブにかわった。

JR西日本の労務管理、刑事責任追及へ 兵庫県警

2005年04月29日 asahi.com

 死者106人を出した兵庫県尼崎市のJR宝塚線(福知山線)で25日朝に起きた快速電車の脱線事故で、兵庫県警捜査本部(尼崎東署)は、電車を運転していた高見隆二郎運転士(23)=死亡=に加え、列車運行や高見運転士の指導、教育に当たっていた管理部門の職員についても、業務上過失致死傷容疑で刑事責任を追及する方針を固めた。

 同容疑での立件には通常、過失と事故の発生に直接的な因果関係があることが要件となる。列車事故の場合、ミスをした運転士や列車指令員が訴追されることが多い。県警は100人を超える死者を出した今回の脱線事故が起きた背景には、JR西日本の列車運行や運転士の管理に構造的な問題があると判断。結果の重大性や再発防止の必要性も考慮し、組織内の刑事責任を広く追及する構えだ。

 これまでの調べでは、高見運転士は事故直前の25日午前9時14分ごろ、伊丹駅で約40メートルオーバーランさせたため、伊丹駅の出発が約1分30秒遅れた。高見運転士は松下正俊車掌(42)に頼み、指令所に「約8メートル行き過ぎた」と無線でうその報告をしてもらった。

 電車はその後、スピードを上げ、事故現場となった制限速度70キロの右カーブにさしかかる直前でも時速100キロを超えていた。高見運転士がダイヤの遅れを取り戻そうと、スピードを出しすぎたことが事故の主原因になったとみられている。

 同社では、運転士がオーバーランなどのミスをすると、運転士を指導する立場に当たる電車区の指導担当係長が運転士を事情聴取し、基本動作の確認や関係法規を暗記させる再教育プログラム「日勤教育」を運転士に課す。教育期間中は乗務手当が支給されないなどの不利益を受ける。

 高見運転士は04年6月、学研都市線の下狛駅(京都府精華町)で、停車位置を約100メートルオーバーランしたとして訓告処分を受け、13日間の「日勤教育」を課せられた。「反省が見られ、がんばろうとする姿勢が感じられた」として上司が復帰を許可していた。

 また、同社は02年から定時運転確保のため、日常的に遅れがちな列車を対象に1秒単位で遅れなどを報告させる取り組みを年5回実施。今月は8日から1週間あり、宝塚線や阪和線など朝のラッシュ時の計9本が対象だった。高見運転士も今月11日に乗務していた。

 その一方で同社は、ダイヤに遅れが発生した場合の対応についてマニュアルを定めず、「制限速度の範囲内」(同社)で速度を調整することは運転士の裁量に任せている。

 県警捜査本部は、厳しいペナルティーを科すなどして列車の遅れを許さない一方で、遅れの回復は会社としての指針を示さずに運転士任せにしていたことが、高見運転士の無理な速度の運転につながった可能性が高いと判断。労務や運行管理の責任者の刑事責任の追及が不可欠と判断した。

 捜査本部は、今後、同社の運行管理や再教育プログラムについても問題がなかったか調べる方針だ。松下車掌が高見運転士の高速運転を認識していたかどうかについても引き続き調べる。

JR西日本に安全向上計画を命令へ 国土交通省

2005/04/28 The Sankei Shimbun

 尼崎JR脱線事故で国土交通省は28日、JR西日本に対し、運転士教育の見直しなどを含めた安全性向上計画を策定するよう命じることを決めた。また、カーブでの新型の列車自動停止装置(ATS)の導入など再発防止策を検討するチームを設置した。

 鉄道局内チームは外部の専門家の協力も得て、事故現場のような急なカーブでの速度を制限するため、新型ATSの設置などの方策を検討する。

 事故列車の運転士が駅でのオーバーランなどを起こしていたことから、運転士の資格要件の在り方についても協議。航空・鉄道事故調査委員会の最終報告が出るまでには時間がかかることから、早期に対策をまとめることにしている。

 北側一雄国交相は閣議後の記者会見で「運転士の教育がJR西日本できっちりなされていたか、検証しないといけない。ほかの鉄道事業者も含め、運転士の養成、教育に国がもう少し積極的にかかわることが必要ではないか」との見解を示した。

 北側国交相は福島でのバス横転事故にも触れ「ゴールデンウイークを控え、航空、鉄道、バス事業者には安全が最大のサービスということを肝に銘じてほしい」と述べた。(共同)

置き石の可能性弱まる 尼崎JR脱線事故

2005/04/28 The Sankei Shimbun

 尼崎JR脱線事故で国土交通省航空・鉄道事故調査委員会は28日、レール上にあった白い粉の成分が、レール周辺の敷石(バラスト)とほぼ同じ組成、成分だったとの鑑定結果を発表した。バラストをレール上に置いた可能性は弱く、JR西日本が事故後、早々と発表した「置き石」説はほぼ否定された形となった。

 事故調委は、最後尾の7両目の下と、後方の計3カ所から採取したレール上の白い粉と、レール間のバラストの分析を外部の検査機関に依頼。

 その結果、いずれも鉱物組成は石英などから成り、成分はほぼ一致。何者かが外部から石を持ち込んだ可能性はなくなった。

 バラストを置いた可能性についても事故調委は「あちこちに白い粉があり、それぞれの地点に置いたとは考えずらい。車両が(バラストを)巻き込んだのではないか」とした。

 事故調委はこの日、事故後初めてとなる委員会を10人の委員全員で開催。初動調査の結果が報告された。今後、線路脇の複数の電柱にあった傷跡の調査や、先頭車両前面の付着物の成分を分析する方針も決定。列車がどのように脱線したかのメカニズムの解明を急ぐ。

 運転士が遺体で見つかったことについて事故調委は「原因関係そのものに結び付くので、証言が聞けないのは損失。原因究明の上でさらに困難が加わった」とした。(共同)

JR脱線事故 ニューヨーク・タイムズ紙が論評

2005/04/28 The Sankei Shimbun 大阪夕刊から

 【ニューヨーク=長戸雅子】兵庫県尼崎市のJR脱線事故は米メディアでも連日報じられているが、27日付のニューヨーク・タイムズ紙は「時間への強迫観念が原因」との見出しをつけた記事を掲載、時刻表通りに運行しなければならないとする強迫観念が事故の背景にあり、時間の正確性や効率性をあまりに重視する日本社会に警鐘を鳴らす意見が出てきていると分析した。

 記事は「世界のどの国でも90秒の遅れは時間通りとみなされるが、日本では数分間隔で運行される電車に頼る通勤客に影響がでることになる」との書き出しで、定刻に固執する日本の“特異性”を指摘した。

 運転士がこの90秒の遅延を取り戻すためスピードを上げていた可能性があるとし、列車の遅れは英国では5分、ニューヨークでは6分以上の場合を指すのに、日本では一分の遅れでも車掌がわびると紹介した。

 そのうえで「安全性と(時間の)正確性では日本の交通機関が世界で一番だが、日本人はもう少しリラックスし、2、3分の遅れは問題ではないと思うようにしたほうがいい」との交通問題専門家の話や「事故には日本人全体に責任がある。日本社会には余裕がなく、それが運転士が九十秒の遅れを埋め合わせようとした原因だ」との地元住民の意見を紹介している。

死者95人、100人超す恐れ 尼崎JR脱線事故

2005/04/27 中国新聞ニュース

 <1両目になお十数人以上>

 兵庫県尼崎市のJR福知山線で二十五日に起きた上り快速電車の脱線事故は二十七日午後六時半までに、九十五人の死亡が確認された。負傷者は増えず、四百五十六人。七両のうち二両目は救出作業がほぼ終わり、撤去が始まった。しかし、残る一両目には、まだ少なくとも十数人が閉じ込められているとされ、死者は百人を超す恐れが出てきた。県警は救出作業を急ぐとともに、現場検証も実施している。

 また県警の調べで、死亡した乗客のほとんどは即死とみられることが判明。とりわけ線路脇のマンションに衝突した一、二両目に多く、百キロ前後のスピードでぶつかった衝撃の激しさを示した。二つの車両が原形をとどめないほど大破したこともJR発足以来最悪の惨事につながった。

 調べなどによると、死亡したのは男性五十二人と女性四十三人。JR西日本には二十七日午前十一時二十分現在、家族らから安否の問い合わせがある人が四十三人いる。

 電車は先頭から五両目までが脱線。一両目はマンション一階の駐車場にめり込み、二両目は一両目に乗り上げ、車体が「く」の字に曲がってマンションの壁にへばりつくような状態だった。

 三両目は進行方向と前後が逆になり、四両目は下り線路を乗り越え、道路に飛び出したが、三両目より後部の車体は原形をとどめていた。

 事故当時、車内は座席が埋まり、立っていた乗客も多かった。

 複数の乗客の話によると、電車がマンションに衝突して止まる直前、車両が浮き上がるのを感じたという。乗客は壁にぶつかったり、折り重なるように倒れたりしたといい、圧死した人も多いとみられる。

 県警は二十六日、人命探査装置を使い、一、二両目で生存者を捜したが反応はなく、同日夜から二十七日未明にかけて、二両目の「く」の字に曲がった場所で遺体が相次いで見つかった。

 一方、脱線した電車の松下正俊車掌(42)は直前の状況について、県警の事情聴取に「速度を上げていた」と供述し、JR西日本には「乗客に対応していたので分からない」と異なる説明をしていることが分かった。

JR西日本、役員賞与ゼロに 脱線事故の責任取り

2005/04/27 The Sankei Shimbun

 JR西日本は27日の取締役会で、尼崎JR脱線事故の責任を取って今年3月期は役員賞与を支給しないことを決めた。昨年3月期は取締役9人、監査役4人の計13人に総額1億100万円を支給しており、今年3月期も同程度の金額を支払う予定だった。

 今年3月期の決算を発表した真鍋精志執行役員財務部長は「決算が増収増益だったので従来なら支給するが、重大な事故が起きてしまったことを重く受け止めて判断した」と説明した。

 この時期に不支給を決めたことについて「賞与は、通常6月に開催する株主総会での承認が必要なので、今日の決算取締役会に諮った」と話すとともに、賞与に加えて役員報酬もカットするかどうかは「まだ話し合っていない」と説明した。

 3月期の役員賞与は、株主総会の承認を受けてその年の7月ごろ支給される。経営が安定し、利益を上げている企業の場合は通常支給されるが、赤字になると支給されないケースが多い。

 役員賞与の原資となる今年3月期のJR西の未処分利益は、保有株式売却などで純利益が大幅に増えたため、前期より約107億円多い865億円となっている。(共同)

時速100キロ超で進入 石粉砕痕確認できず

2005/04/26 The Sankei Shimbun

 兵庫県尼崎市のJR福知山線で25日朝に脱線した快速電車は、現場の右カーブに時速100キロを超えるスピードで進入したことが26日、尼崎東署捜査本部の調べで分かった。現場の制限時速は70キロで、国土交通省航空・鉄道事故調査委員会は同日、現場でブレーキ痕や石の粉砕痕を確認できなかったと発表。電車は猛スピードでカーブに突っ込み、脱線して線路脇のマンションに衝突した疑いが強まった。

 また県警などは同日午後、大破した1、2両目の車内に閉じ込められた乗客の安否を人命探査装置で確認。14−15人がいるとみられるが、生存反応はなかった。

 調べやJR西日本によると、脱線時の時速は走行速度を自動的に記録する「モニター制御装置」を電車から回収し、捜査本部が分析。制限時速を大幅にオーバーしていたことが分かった。

 脱線は電車が伊丹駅のホームをオーバーランし、次の尼崎駅へ急いでいる途中で起きた。高見隆二郎運転士(23)と松下正俊車掌(42)は相談し、実際は約40メートルだったオーバーランを「8メートル」と虚偽報告したことが明らかになっている。

 遅れは「約1分半」と申告していたが、捜査本部は電車の遅れを取り戻すため焦っていたとみており「約1分半」の真偽も調べている。また同社から押収するなどした資料の分析を進めている。

 一方、脱線した電車は7両編成で、うち3−7両目は乗客の救出が終わり、26日に撤去された。1両目はマンションの1階駐車場にめり込み、2両目が乗り上げたため、救出作業が難航。県警は大阪府警広域緊急援助隊の応援を受け、人命探査装置を使用した。

 運転席で制服を着た高見運転士とみられる男性を確認したが、呼び掛けに応じないという。

 「23歳という若い方。しまったと思ったのではないか」−。26日夜、事故現場で記者会見した国土交通省の航空・鉄道事故調査委員会のメンバーは、JR史上最悪の惨事となった尼崎JR脱線事故の原因について「複合的なもの」と述べるにとどめた。しかし、オーバーランによる遅れを取り戻そうと「回復運転」をあせった快速電車の運転士(23)が、制限速度を大きく上回るスピードで現場のカーブに進入、曲がりきれずに脱線しマンションに激突したとの見方が、専門家らの間で徐々に強まってきた。

 快速電車は事故を起こす前、伊丹駅(兵庫県伊丹市)ホームからオーバーラン、定刻から1分30秒の遅れが出た。過去3回、オーバーランや居眠りで処分歴がある運転士は遅れを取り戻そうとしたのか、乗客らによると、通常では考えられないほどの速度で走った。

 現場のカーブは半径300メートルで、鉄道では急カーブの部類に入る。JR西日本のベテラン運転士も「制限速度が時速70キロなので、通るときはいつも低速を心掛けていた」。

 JR西日本は「制限最高速度で急ブレーキをかけても大丈夫なように設計しているが、その速度を超えた場合どうなるかは分からない」と説明する。実際、兵庫県警が調べたところ、現場を通過しようとした快速電車は30キロ以上の速度超過だった。

 「事故現場の先にある尼崎駅は、主要幹線の東海道線にも接続する重要な場所。尼崎駅に着く前に少しでもダイヤ通りに戻そうとしていたのではないか」とは別の鉄道専門家の見方だ。

 その一方で、専門家や関係者の間には、車両の軽量化や、安全装置の更新の遅れを指摘する声もある。

 JR西日本によると、現場のカーブ直前に設置されていた列車自動停止装置(ATS)は、信号が青なら自動的にブレーキはかからないタイプ。同社は6月末までに、ある速度を超えれば自動的に停止させることができるタイプのものに取り換える予定だった。

 さらに脱線した車両はステンレス製で、より軽量化した「ボルスタレス空気バネ台車」だった。台車と車両を固定する旧式の台車よりも乗り心地がよく、メンテナンスも容易なのが特徴。2000年に急カーブで脱線衝突事故を起こした営団地下鉄(当時)日比谷線の車両もこのタイプで、以前からカーブで脱線しやすいとの指摘があった。

 交通評論家の角本良平さんは「今の段階で先入観を持たないほうがいい。線路、速度超過、列車への置き石など、すべてを精密に調べて結論を出すべきだ」と指摘した。(共同)

死者73人、生存3人救出 脱線事故、1両目になお10人以上

2005/04/26 中国新聞ニュース

 兵庫県尼崎市のJR福知山線で二十五日朝に起きた快速電車脱線事故は二十六日午後までに、七十三人の死亡が確認された。大破した先頭車両から同県西宮市の大下裕子さん(46)ら男女三人が救出されたが、いずれも重傷。県警はなお十人以上が先頭車両に閉じ込められているとみて、人命探査装置を使って救出作業を続けている。

 尼崎東署捜査本部は松下正俊車掌(42)が調べに「普段より速度を出して走行していた」と供述したことから、現場の右カーブの制限速度(時速七十キロ)超過が事故の主要因とみて、二十六日、業務上過失致死傷容疑でJR西日本の施設から資料を押収。運行記録や勤務日報などの任意提出を受けた。線路上の石の粉砕痕を確認、要因の一つとなった可能性もあるとみて調べている。

 また国土交通省の航空・鉄道事故調査委員会は二十六日から、事故現場で調査を始めた。

 県警や市消防局によると、死亡したのは男性四十一人、女性三十二人。負傷者は四百五十六人。

 先頭車両は電車が衝突したマンション一階にめり込み、二両目が乗り上げたため、救出活動は難航。慎重に障害物を取り除く作業が続いた。運転席で制服を着た高見隆二郎運転士(23)とみられる男性が確認されたが、呼び掛けに応じない。

 JR西日本によると、現場のカーブは百三十キロ以上で通過すると脱線の危険があるが、この車両は最高速度が百二十キロしか出ないように設計されているという。

 事故直前、電車は伊丹駅のホームを約四十メートルオーバーラン。一分三十秒遅れで走行し、指令室は無線で高見運転士を二度呼んだが、返答がなかった。高見運転士と松下車掌は相談し、オーバーランは「八メートル」と虚偽を運転指令に報告していた。

自民が脱線事故連絡室 現地調査団を派遣

2005/04/25 The Sankei Shimbun

 自民党は25日午前、兵庫県尼崎市のJR福知山線脱線事故で、武部勤幹事長をトップとする「尼崎列車事故連絡室」を設置、中谷元・副幹事長を団長とする調査団を現地に派遣した。政府と連携しながら情報収集や被害者対策に当たる。

 公明党も冬柴鉄三幹事長を本部長とする対策本部を設置した。(共同)

置き石?レールに粉砕痕 JR側「関係不明」

2005/04/25 The Sankei Shimbun

、大阪市北区の本社でこの日3度目の記者会見。村上恒美安全推進部長が、事故原因との関係は不明としながらも、置き石があった可能性を示唆する発言をした。

 報道陣から「見つかった場所はどこか」「線路内は人が立ち入りできる状況か」と質問が飛ぶ。JR側は「事故との関係は不明。(国土交通省の)事故調査委員会の調査を待たなければ」と繰り返した。会見は1時間に及んだが、もどかしさだけが残った。

 冒頭では「亡くなられた方のご冥福をお祈りし、被害者、ご家族におわび申し上げる」と過去2回の会見と同様の言葉で謝罪した。

 2002年11月、事故のけが人を運ぶために出動した救急隊員2人が特急にはねられ死傷するなど、大事故が後を絶たないJR西日本。安全に対する意識や組織の体質を問う声も上がったが、村上部長は「その都度、指導している」と答えるばかりだった。

≪マンション60m手前で脱線か≫

 JR西日本によると、石が砕けたような跡の約10メートル先から、電車が衝突したマンション付近まで約60メートルにわたり、枕木に傷が付いていた。脱線はマンションの約60メートル手前とみられる。(共同)

快速脱線50人死亡、乗客300人超が重軽傷 JR福知山線

2005/04/25 中国新聞ニュース

 <オーバーランで速度超過か>

 二十五日午前九時十八分ごろ、兵庫県尼崎市久々知三丁目のJR福知山線の尼崎―塚口間の踏切付近で、宝塚発同志社前行きの快速電車(七両編成、乗客乗員約五百八十人、高見隆二郎運転士)の先頭の四両が脱線、線路脇の駐車場に突っ込んで乗用車と衝突、二両が線路から約六メートル離れたマンションに激突した。

 兵庫県警によると、五十人が死亡。三百人以上が重軽傷を負って病院に搬送された。運転士ら約二十人が電車内に閉じ込められており、尼崎市消防局などが救助に当たっている。

 日本の鉄道事故としては、四十二人が死亡した一九九一年の信楽高原鉄道事故以来の大惨事となった。政府は官邸対策室を設置した。

 JR西日本によると、電車は事故直前に手前の伊丹駅を八メートルオーバーランし、バックして停車したため一分三十秒遅れで走行。車掌と指令室が無線でオーバーランについてやりとりした直後に事故が起きたという。乗客は「遅れを取り戻すかのように普段よりかなり速度を上げていた」と証言している。

 同社によると、高見運転士は二十三歳で、運転歴は十一カ月。昨年六月にも約百メートルのオーバーランを起こしたことがあった。兵庫県警は運転や走行管理に問題がなかったか、業務上過失致死傷容疑で捜査する。

 また同県警は突発重大事案対策本部を設置、死傷者数の集約を急いでいる。

 国土交通省は近畿運輸局に対策本部を置き、航空・鉄道事故調査委員長ら五人を派遣した。陸上自衛隊も兵庫県知事の災害派遣要請を受け、約五十人を現地入りさせた。隣接する大阪市からもヘリを含む消防隊十四隊が救助活動に加わった。

 電車は女性専用車両を含む前四両が脱線、ステンレス製の車体がマンション一階部分にひしゃげてめり込むような状態で大破した。

 ■くの字、ぺしゃんこの車両 乗客血まみれ、懸命の救助

 マンションの壁にめり込むように、「く」の字形にひしゃげた先頭車両。血まみれで横たわる乗客。二十五日朝、兵庫県尼崎市のJR福知山線で発生した脱線事故。現場ではけが人のうめき声があちこちから上がり、救急隊が車内に閉じ込められた乗客の救出作業を懸命に続けた。

 先頭車両の中央付近は衝突の衝撃で左右からぺちゃんこになり、原形をとどめていない。座席はへしゃげ、床には大きな穴があいた。周辺には割れた窓ガラスが飛び散った。

 屋根にははしごが何本もかけられ、警察官や消防隊員が中をのぞき込み、取り残された乗客を捜した。屋根に上った救急隊員から、大声で作業の指示が飛んだ。

 二両目と三両目も脱線して傾き、現場の二本の線路を斜めにふさぐように止まっている。マンション近くには青いビニールシートが敷かれ、ぼうぜんとした負傷者数十人が横たわった。付近の住民もフェンスをこじあけて線路内に入り、負傷者の救助を手伝った。

 四両目に乗っていたという神戸市内の会社員女性(27)は「頭が真っ白になったが、助けを呼んでも誰も来てくれなかった」と話し、セーターに血のりを付けたまま乗客の救助に向かった。

 マンションは二年前に完成した分譲で九階建て。六階に住む主婦 (62)は「部屋でくつろいでいたら、ドーンと爆発のような音がした。衝突した北西側とは離れていたので揺れなかったが、ガス爆発かと思った」。

 廊下に出ると、一階側から土煙が上がっており、慌てて地上に降り事故を知ったという。「電車から次々とけがをした人が運び出され、顔や頭、足から血を流している人が横になり、救急車を待っていた。電車はぐちゃぐちゃ、まさかこんな事故が起こるなんて」と声を震わせた。

 ■「非常に申し訳ない」JR社長陳謝

 垣内剛・JR西日本社長の話 多くのお客さまが負傷されているようで、二百人以上が現場に入り、全力を挙げて救援に当たっている。亡くなられた方やご親族の心中を察するに余りある。鉄道事業者として非常に申し訳ない気持ちでいっぱいです。お客さまへの対応と、ダイヤ復旧に全力を尽くす。事故原因は不明だが、警察など関係機関と協議し、早急に究明に努める。何よりも被害者の方々への対応に誠意を尽くしたい。

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