TOPIC No. 2-109 外国人参政権

01.外国人参政権・帰化と国籍放棄を海外から考える byグローバル市民権ネット(GCNET)
02.外国人参政権問題
03.外国人参政権に反対する 国民運動
03.外国人参政権問題リンク(β)

外国人参政権付与 賛成決議の撤回要請/自民議連、都道府県連に

2000.12.29 The Sankei Shimbun
 永住外国人地方参政権付与法案に反対する自民党議員有志による「外国人参政権の慎重な取り扱いを要求する国会議員の会」(奥野誠亮会長)は二十八日、各都道府県議会などがこれまでに採択した参政権付与に賛成する意見書を再考、撤回するよう求める文書を自民党の各都道府県連幹事長あてに送付した。法案の問題点に無知なまま意見書採択に賛成した地方議員も多いとされることから、法案に関する参考資料も同封、法案がはらんでいる憲法上の問題点への理解を促し、地方議会から法案反対の声をあげてもらう意図がある。

 永住外国人への地方参政権付与については、在日韓国・朝鮮人との友好、親善、共生などを目的に、約千五百の都道府県・市町村議会が、意見書を採択。「これらの市町村の人口を合計すると、日本の総人口の七割以上をカバーする」といわれ、法案推進派の主張のよりどころとなっている。

 しかし、法案を詳細に検討すると、参政権を「国民固有の権利」と定めた憲法一五条に違反する疑いがあることや、参政権付与が必ずしも在日韓国・朝鮮人との友好、親善につながらないとの指摘があること、外国人が投票権を持つことは安全保障上の問題があることなどの疑問点が次々と浮上した。

 賛成決議に加わった地方議員からも「友好、親善という情緒的な理由で、中身も知らずに賛成したが、よくよく考えると問題が多い法案だった」との声が法案反対派議員のもとに多く寄せられている。

 このため、文書では、法案について「国民の中からも反対の声がわきあがっており、自民党内においても選挙制度調査会で圧倒的多数の議員が明確に反対」したと指摘。そのうえで、最高裁は、憲法が外国人参政権を保障していないと判断していることなどを紹介し、東京都議会をはじめとする都道府県議会の参政権付与賛成決議を「再考」するよう促している。また、送付した文書には、法案の憲法上の問題点などを指摘した小冊子などの資料を同封した。

 同法案は今年七月、公明、保守両党と民主党がそれぞれ同じ内容のものを国会に提出。秋の臨時国会では、衆院政治倫理確立・公職選挙法改正特別委員会で審議が行われた。臨時国会終盤で、公明党や民主党は採決を要求したが、自民党だけでなく、当初は法案に積極的だった保守党や自由党も「審議が不十分」として法案採決に慎重姿勢に転じた結果、継続審議となっている。

外国人選挙権求め、学生ら7万7000人分の署名提出

2000.11.28(16:42)asahi.com
 東大などを中心にした大学生らのグループが28日午前、首相官邸を訪れ、国会で審議中の永住外国人地方選挙権付与法案の実現を求め、7万6680人分の署名を添えた森喜朗首相あての要望書を提出した。署名は創価学会の学生部、在日韓国人団体などが協力して、10月以降、各地のキャンパスや駅頭で集めてきたという。

永住外国人選挙権法案、通常国会に先送り

2000.11.27(23:36)asahi.com
 今国会の焦点の1つだった永住外国人地方選挙権付与法案の審議が、来年の通常国会に先送りされることになった。12月1日の会期末まで残りの日数が限られていることに加え、自民党内になお反対論や慎重論が根強いためで、衆院での委員会採決を見送り、継続審議となる方向だ。早期成立を主張してきた公明党は、冬柴鉄三幹事長が「残念ながら今国会成立が困難なのは事実だ」と語り、今国会での成立を事実上断念した。

 与党3党の幹事長と国会対策委員長は27日、国会内で同法案の扱いを協議。自民党の古賀誠国対委員長が「自治体の首長を招き、参考人質疑をする必要がある」と提案したが、冬柴氏は「委員会の理事や国対委員長で打ち合わせてほしい」と語るにとどまった。

 現在の法案は、7月の特別国会に公明、保守両党が提出。公明党は「3党で成立を期す」とした昨年10月の連立政権発足時の合意をタテに、臨時国会での成立を強く求めていた。

 自民党は8月下旬、野中広務幹事長と亀井静香政調会長が「党内論議を続けても意思統一は不可能だ」として、党議拘束を外して採決に臨む方針を確認。一時は成立に向けて動き出したかに見えた。

 だが、その後、自民党内では、法案反対派が9月下旬に議員連盟を結成するなど批判を強めた。野中氏らは、対象を旧植民地出身者ら「特別永住者」に限定する案や、選挙権を認めるかどうかの判断を自治体にゆだねる案も示したが、意見集約に至らなかった。

 一方、国会審議は、公選法改正案の扱いや、森喜朗首相の問題発言などをめぐって混乱が続いた。永住外国人法案の審議は延び延びになり、委員会での審議入りは今月15日にずれ込んだ。さらに内閣不信任決議案をめぐる党内抗争を受けて、自民党執行部も、党内の亀裂をさらに拡大しかねない法案の採決は極めて困難だとの姿勢だ。

 公明党は引き続き通常国会での成立を目指すが、自民党内の意見集約は進んでおらず、成立の見通しは立っていない。冬柴氏も「(成立に向けた)担保は取っていない」と記者団に語った。

「帰化」と「国政への影響」で議論 外国人選挙権法案

2000.11.23(20:38)asahi.com
 永住外国人地方選挙権付与法案を審議している衆院政治倫理確立・公職選挙法改正特別委員会は22日、参考人3人を招いて質疑した。焦点は「参政権を得るには帰化によって国籍を取得すべきか」「外国人が地方選挙権を持つことで、安全保障などの国政問題で影響を与えないか」の2点に集中した。

 辛容祥・前在日本韓国民団団長は、原則賛成の立場から「参政権を求めるのは隣近所の人と違和感なくつき合いたいからだ。ふだん仲良くしていても選挙のときは門外漢。日本に半世紀以上も根をおろし生活の本拠があるのに、地域住民の資格を与えられていない気がする」と述べた。また、帰化論について「国籍の区別なく支え合うのが人だと思う。日韓の間で今後、国益が衝突することはあり得ないだろう」と反論した。

 法案に反対を唱える鄭大均・都立大教授は「在日韓国人の大部分は、韓国籍を持ちながら韓国への帰属意識は低い。アイデンティティーと帰属のズレ解消のために日本国籍を取ることが在日の課題のはずなのに、参政権付与はこのズレを自明化してしまう」と語った。また「本国と文化的、心理的つながりが切れている在日が外国籍のままでいるのは日本社会にとっても名誉なことではない」と、帰化手続きの簡略化を主張した。

 在日外国人問題に詳しい田中宏・龍谷大教授は、海外に住む日本人の例を挙げ、「日本の国政選挙には参加できるが、地方選挙はできない。国政レベルと地方レベルを分けて考えるのが合理的だ」と述べた。

 「地方自治にも憲法などで一定のしばりがあり、その範囲内で外国人が参加するのに問題はない。地域社会で外国人と共に暮らすシステムを作ることは国家同士の衝突を抑止する面もある。国籍と国への忠誠心を結びつけ、外国人は国の害になる存在だという意識はおかしい」と語った。

外国人の地方参政権付与法案、衆院委でやっと審議入り

2000.11.15(20:36)asahi.com
 衆院政治倫理確立・公職選挙法改正特別委員会で15日、公明・保守党提出と民主党提出の永住外国人地方選挙権付与法案についての趣旨説明がそれぞれ行われ、審議入りした。法案は、同じ市町村に3カ月以上住む永住外国人に、地方議員と首長の選挙権を認めるもので、両案は同じ内容。16日には質疑が行われる。公明党などが早期成立を強く主張しているが、12月1日の会期末が迫っているうえ、自民党内に異論が根強いことから、今国会での成立は難しい情勢だ。

 この法案は1998年から今年にかけて、民主・公明・改革クラブ案、共産案など3案が国会に提出され、同特別委で審議されたが、今年6月の衆院解散で廃案になった。公明・保守と民主の両案が7月に提出されたが、与党内調整が難航したうえ、同特別委で他の法案を優先したため審議入りが遅れていた。

 15日の特別委では、公明党の冬柴鉄三氏が「地方のことはその地域に住む住民が決定するのが望ましく、日本で生まれ育ち、骨を埋めようという在日韓国人などに対しては、望むならば限りなく日本人に近い扱いがされるべきだ」と提案理由を説明。民主党の北橋健治氏は「法案は、日本国民とともに地域でコミュニティーを形成している永住外国人の意見を地方の政治に反映できるようにするものだ」と述べた。

委員長外遊で審議足踏みも 永住外国人選挙権法案

2000.11.09(00:48)asahi.com
 衆院政治倫理確立・公職選挙法改正特別委員会の自見庄三郎委員長が、17日からオランダ・ハーグを訪問する予定であることが8日、明らかになった。同委員会では13日にも今国会の焦点の1つである永住外国人地方選挙権付与法案が審議入りする見通しだが、「委員長がいない以上、委員会審議はできない」(自民党国会対策委員会幹部)として、自見氏の外遊中は審議がストップする可能性が出てきた。このため、12月1日の会期末をにらみ、同法案の今国会での成立を求めている公明党は強く反発している。

 自見氏は自民党環境基本問題調査会会長として、17日から22日まで気候変動枠組み条約第6回締約国会議(COP6)に出席する超党派の議員団に加わる予定だ。

 同委員会では現在審議中のあっせん利得処罰法案が10日に衆院を通過、来週には外国人選挙権法案が審議入りする見通しだ。会期中に委員長が不在の場合、慣例上、委員会の筆頭理事などが代理を務めることができるとされる。しかし、法案に慎重論が根強い自民党内では「委員長が不在なら、物理的に審議は無理だ」(閣僚経験者)などと、法案審議を遅らせる理由付けに使うべきだとの意見が広がっている。

 会期末まであと20日余りだが、補正予算案の提出も控え、実質的に外国人選挙権法案の審議が可能な残り時間は限られている。このため、公明党は「法案を抱えている委員長が外遊して仕事をしないなら解任すべきだ」(幹部)と反発。自民、公明両党間に新たなきしみが生まれた形だ。

永住外国人地方選挙権法案、週明けにも審議入りへ

2000.11.08(01:04)asahi.com
 今国会の焦点の1つである永住外国人地方選挙権付与法案が週明けの13日にも衆院政治倫理確立・公選法改正特別委員会で審議入りする見通しになった。同委員会で審議中の「あっせん利得処罰法案」を10日までに衆院を通過させることで自民、民主両党が一致したため。外国人選挙権法案には自民党内に根強い慎重論があるが、法案提出者である公明党は今国会での成立を強く求めており、12月1日の会期末に向け、ぎりぎりの調整が続きそうだ。

 自民党の古賀誠、民主党の赤松広隆両国会対策委員長は7日、電話で「あっせん利得法案の衆院通過後、直ちに外国人選挙権法案の審議に入る」ことで合意。あっせん利得法案は10日までに衆院本会議で採決することも確認した。

 これにより、あっせん利得法案の委員会審議は4日間で事実上、終わる。民主党は当初、法案の修正を与党に求める構えだったが、事実上、断念。民主党が早期採決に応じたのは、与党内に賛否両論を抱える外国人選挙権法案の審議に入れば「与党内の亀裂があらわになり、支持率急落にあえぐ森喜朗政権を揺さぶることができる」(幹部)と判断したためだ。

 公明党は一時、自民党内の反発などを考慮し、早期成立を強く主張することを控えてきた。しかし、4日の党大会で地方代議員から「早期成立」を求める声が出たほか、6日の創価学会との定期協議でも学会側が成立への努力を要請。冬柴鉄三幹事長は7日の党代議士会で「粛々と審議し、堂々と質疑を通じて主張を明らかにすべきだ」と強調するなど、自民党に今国会での成立を求める姿勢を強める構えだ。

 ただ、10日には補正予算案が提出されるなど、審議日程は窮屈だ。

外国人の地方参政権「時期尚早」 静岡県知事が見解

2000.10.10(20:56)asahi.com
 日本に住む永住外国人に地方選挙の投票権を認めるべきかどうかについて、静岡県の石川嘉延知事は10日の定例記者会見で、「参政権を付与するべきではない。地方分権が進まない中では、時期尚早」と否定的な見解を示した。

 静岡県議会では1996年3月、国に定住外国人の地方参政権を求める意見書を全会一致で採択している。だが、石川知事は旅券発行や自衛隊の募集業務、災害や緊急時の物資徴集など、県レベルで実施している国の法定受託事務を例に挙げ、「県でも国政の発動にかかわる業務は多い。地方分権が進まず、国と地方が大きく結びついている現状で、独立国として真っ当な姿がどうあるべきか、よく考えるべきではないか」と話した。

 知事の発言について、在日本大韓民国民団静岡県本部は「発言内容を確認していないので何も言えないが、県のトップである知事が本当にそう発言したならば何らかの対応を考えたい」としている。また、超党派の県議で9月に結成されたばかりの静岡・コリア友好議員連盟の伊東伊佐美会長(自民)は「知事は地方参政権の詳しい背景を知らないのではないか。県議会全員で賛同しており、慎重に意見を言ってもらわないと困る」と話している。

外国人参政権 成立先送り容認も/公明幹事長が見解

2000.10.08【北京7日=村上新太郎】The Sankei Shimbun
 中国を訪問している自民党の野中広務、公明党の冬柴鉄三、保守党の野田毅の与党三幹事長は七日夜、北京市内のホテルで記者団と懇談した。

 自民党内で慎重論が強い永住外国人地方参政権付与法案の取り扱いについて野中氏は、「委員会で審議を始めることは可能だ」と審議入りに意欲を見せながらも、採決時期などについては「委員会が決めること」と直接的な言及を避けた。冬柴幹事長は「(参政権付与法案を)重要視していることは事実だが、与党として大事な法案をすべて通していくという目的にそって、国会全体を司司(つかさつかさ)で判断していく」と述べ、参政権付与法案の今国会成立に必ずしもこだわらないとの姿勢を示した。同法案成立に熱心な冬柴氏が、公式にこうした考えを示したのは初めて。

 冬柴氏は公明党内で先送りやむなしとの空気が強まっていることについて「そういう認識は全くしていない。他の法案審議と同じように粛々と質疑を行い、採決の機が熟せば採決するのが当然の国会のルールと思っている」と原則的な立場を強調。その一方で「(今国会は)少年法改正案、健康保険法改正案、参院選挙制度改革の公職選挙法改正案もある」などと重要法案が山積していることを指摘し、国会審議の都合で参政権付与法案の成立が先送りされることはやむを得ないとの認識を示した。

 一方、来夏の参院選の勝敗ラインについて、野中氏は「与党三党で過半数確保が最低の目標だ」との考えを表明。冬柴、野田両氏も同様の考えを示した。

 野中氏は十二月上旬の内閣改造の際の自身の進退について「重要な国会なので、自らの進退について申し上げるべきではない」と明言を避けた。

永住外国人1万6120人に日本国籍/11年 議員の会へ法務省資料

2000.10.06 The Sankei Shimbun
 実態が不透明で人権問題にまで発展していた外国人の日本国籍取得に関して、国籍取得申請件数や許可・不許可者数などの詳しい統計が六日、明らかになった。永住外国人地方参政権付与法案に反対する自民党議員で作る「外国人参政権の慎重な取り扱いを要求する国会議員の会」(会長・奥野誠亮元法相)の同日午前の総会で、法務省側が資料を提出したもの。

 この統計によると、平成十一年に国籍取得を申請した外国人は一万七千六十七人。このうち、一万六千百二十人が許可、二百二人が不許可になっている。また、平成元年以降の十一年間の累積では、十四万三千四百四十九人が申請し、十二万六千百九十一人が許可、千九百二十人が不許可だった。

外国人参政権「大きな疑義」石原都知事

2000.09.27The Sankei Shimbun
 東京都の石原慎太郎知事は二十六日の都議会本会議で、永住外国人への地方参政権付与問題について「本来、国のありようを決定する参政権は、その国籍を有する者が行使できる固有の権利だ。地方参政権は国の参政権とは別に扱うべきとの意見もあるが、地方自治体の扱う問題の中には、国の基本方針と密接に関連するものもあり、国と地方を単純に切り離すことにはいささか無理がある」と指摘。「私としてはいささか大きな疑義を抱かざるを得ないが、いずれにしろ、国会で十分に十分に議論が尽くされることを期待する」と述べた。

野中修正案に賛否両論 永住外国人地方選挙権付与法案

2000.09.24(18:38)asahi.com
 永住外国人地方選挙権付与法案をめぐり、対象を旧植民地出身者とその子孫に認められる資格である「特別永住者」に限定する、との野中広務自民党幹事長が提唱した修正案について、法案を提出した公明、保守両党の幹事長は24日のNHKの番組で、修正協議に柔軟に応じる意向を明らかにした。一方、野党各党はそろって法案に基本的に賛成する姿勢を示しながらも、対象の限定に反対する立場を強調した。

 公明党の冬柴鉄三幹事長は、旧植民地出身者以外の一般永住者も対象にした現在の公明、保守党案が最良だとしたうえで「国会論議の中で大勢がどうなっていくのか。(限定するのも)1つの理屈だと思う」と語り、対象の限定によって法案が成立する見通しがつけば、修正に応じる考えを示した。保守党の野田毅幹事長も「1つの考え方としてあっていい」と述べた。

 一方、民主、自由、共産、社民の野党4党は同番組で「これからのアジアの友好ということからいって、永住者を2つに分けるのは反対だ」(自由党の藤井裕久幹事長)などとして、野中氏の修正案は受け入れられないとの考えを示した。

 一方、党内に法案への慎重論が根強い自民党の尾身幸次幹事長代理は「早急に党内の意見をまとめたい」と述べるにとどめた。

外国人参政権、「特別永住者に限定」軸に与党協議へ

2000.09.23(03:21)asahi.com
 自民、公明、保守の与党3党の執行部は22日、永住外国人地方選挙権付与法案について、対象を旧植民地出身者とその子孫に認められる資格である「特別永住者」に限定する、との案を軸に修正協議に入ることで合意した。与党は3党共同で法案修正のための協議機関を設置し、臨時国会での成立をめざす。来日中の金大中韓国大統領が帰国する24日以降、具体的な協議に入る運びだ。

 この修正案は自民党の野中広務幹事長が提唱。21日夜の森喜朗首相や亀井静香政調会長との会談で同案を軸に修正協議に入ることが了承された。また、公明党の冬柴鉄三幹事長、保守党の野田毅幹事長にも個別に連絡、基本的に同意を得た。

 「特別永住者」は、1952年発効のサンフランシスコ平和条約に基づく入管特例法により、日本国籍を失った朝鮮半島や台湾の出身者と、その子孫に与えられる資格。法務省によると約52万人いる。

 現在の与党案は、旧植民地出身者以外の一般永住者も対象に含めているが、自民党内にはなお同法案への異論が根強い。自民党執行部としては、事実上、朝鮮半島出身者らに絞ることで「隣国と連立の信義」を強調し、党内の批判を抑えて成立させたい考えだ。

 公明党は当初、対象を特別永住者に限定することについて「大戦の償いの意味合いが強まり、未来志向が薄れる。特別永住者と一般永住者を差別すべきでない」(幹部)と否定的だった。しかし、冬柴幹事長は22日の党中央幹事会で協議機関の設置について「先送りなら困るが、積極的に進めていくなら賛成だ」と述べ、法案成立を優先する立場から応じる考えを明らかにした。

 「野中修正案」で決着すれば、特別永住者以外の一般永住者(約11万人)は対象外とされる。その是非も含め、内外で改めて論議になりそうだ。

「特別永住者」に地方選挙権付与を 自民幹事長提唱

2000.09.20(22:29)asahi.com
 自民党の野中広務幹事長は20日の報道各社のインタビューで、臨時国会の焦点となる永住外国人地方選挙権付与法案について、与党3党で修正を含めて再検討したうえで臨時国会での成立をめざす方針を表明した。

 野中氏は「植民地支配の時代に朝鮮半島から強制連行してきた人やその子孫が限りなく日本に滞在する意欲を持っているなら、選挙権を与えるのは日本が国際国家としてあり得る道ではないか」と述べ、旧植民地出身者とその子孫に認められる資格である「特別永住者」に限って地方選挙権を与える――との修正案を提唱した。

 法務省によると、朝鮮半島や台湾出身の「特別永住者」は52万人いる。

 野中氏は、同法案の扱いについて「自民党内の合意を得ることができない実情にある」と厳しい現状を認めたうえで「党内の意見を聞きながら、公明党や保守党に柔軟な対応を求め、成立するよう努力しなくてはならない」と述べ、与党プロジェクトチームで修正を含めて再検討し、臨時国会に再提出して成立を図るべきだとの考えを示した。

 さらに18日に金大中・韓国大統領と会談したことに触れつつ、「植民地支配の時代に創氏改名をさせられ、日本人として兵役にも従事し、困難な時代に義務を果たした人に選挙権を与えるべきだ」と訴えた。

永住外国人選挙権、「強制連行者に限定」案が与党に浮上

2000.09.20(03:06)asahi.com
 自民、公明、保守の与党3党の執行部は19日、臨時国会の焦点の一つである永住外国人地方選挙権付与法案をめぐり、3党で近くプロジェクトチームを設置し、法案の修正を含めて再検討したうえで、臨時国会で成立を図る方針を固めた。自民、公明両党内では「旧日本軍による強制連行で、終戦時までに日本に連れて来られた人やその子孫に限って選挙権を付与する」などの条件を加え、3党共同で法案を再提出する、との案が浮上している。

 同法案は、7月の特別国会に公明、保守両党が提案し、継続審議になっている。野中広務幹事長ら自民党執行部は、次期臨時国会で党議拘束を外したうえで採決に臨む方針を固めていた。

 しかし、自民党内に法案への反対論が根強く、党議拘束を外すことにも異論がある。このため、自民党執行部は「このまま臨時国会で審議入りしても、党議拘束を外す際に党内が紛糾しかねない」と判断。3党のプロジェクトチームで公明、保守両党案の修正を含め、改めて議論する方向に転換した。

永住外国人の参政権、今年中に解決を 韓国大統領が要望

2000.09.18(22:34)asahi.com
 自民党の野中広務幹事長ら与党3党の幹事長は18日、韓国の金大中大統領と青瓦台で約1時間、会談した。大統領は、21日召集の臨時国会で審議入りする予定の永住外国人地方選挙権付与法案について「自民党の中にいろんな意見があることは知っているが、ぜひ今年中に解決するようにしてほしい」と述べ、臨時国会での成立への期待を示した。

 野中氏は「自民党内には法案の内容を十分理解していないため反対する向きもある。党内でより理解が深まるよう努力し、審議が円滑にいくようにしたい」と述べ、成立に向けた努力を約束した。

 金大統領は「(日韓両国に)特殊な関係があることをよく考えてほしい。現在はすでに2世、3世の時代になっているが、彼らは社会で義務を果たし、忠実に地域づくりに貢献している。彼らに地方選挙権を与えることは、彼らの勇気を高めることだ」と強調。さらに「米国が大きく発展したのは差別なき社会を築いたためだ。地方選挙権を認めれば、道徳と人権に開かれた日本の政策的な立場として全世界から称賛されると思う」と語った。

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