TOPIC No.2-101 北朝鮮の核開発問題

No.1 2002年12月-2003年06月、No.2 2003年07月-12月、No.3 2004年度、No.4 2005年度 No.5 2006年度

01.北朝鮮核開発問題 YAHOO!ニュース
02.北朝鮮核問題 asahi.comニュース特集
03.ニュース特集北朝鮮 Yomiuri On-Line
04.北朝鮮、「核武装は当然」と表明(2002年11月)by平和利用の取り組み/新聞解説
05.北朝鮮核開発問題と日本 by経済産業研究所 (RIETI)

2005/2006/2007/2008/2009年度


対北朝鮮で緊密連携を確認…日米韓が初の防衛相会談

2009年05月31日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【シンガポール=中山詳三】浜田防衛相は30日夕(日本時間30日夜)、シンガポール市内のホテルで米国のゲーツ国防長官、韓国の李相喜(イサンヒ)国防相と会談し、北朝鮮の核実験や弾道ミサイル再発射の動きに日米韓が緊密に連携して対応することを確認した。

 核実験などを強く非難し、北朝鮮に核・弾道ミサイル計画の廃棄や核拡散防止条約(NPT)への復帰を求める内容の共同プレス発表もまとめた。

 ゲーツ長官は会談で、「北朝鮮の行動は国際社会の安全に対する脅威だ。6か国協議への復帰や非核化を求めていかなければならない」と強調した。日本と韓国への脅威に対する抑止力強化も検討する考えを示した。

 浜田防衛相は「中国、ロシアを含む国際社会と協調し、冷静かつ毅然(きぜん)とした対応を取ることが重要だ」と指摘し、李国防相も「国際社会との協力が必要だ」と同調した。

 ゲーツ長官は日韓両国によるアフガニスタン、パキスタン両国の安定化、アフリカ・ソマリア沖の海賊対策での貢献を評価し、日本の海賊対処法案の早期成立に期待感を示した。

 会談はアジア安全保障会議の合間に約45分間行われた。日米韓の防衛相会談は今回が初めて。

 一方、これに先立って行われた日米防衛相会談で、ゲーツ長官は「北朝鮮を核保有国として受け入れることはできない。北朝鮮のやり口に何度も付き合わされるのはうんざりだ。きちんとした対応を取る必要がある」と語った。浜田防衛相は「今後も北朝鮮の行動はあり得る。情報交換を始め、色々な面で協力をお願いしたい」と要請した。

北の長距離弾道ミサイル、発射基地に搬入か…韓国メディア

2009年05月30日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ソウル=竹腰雅彦】聯合ニュースは30日、北朝鮮による長距離弾道ミサイル再発射の動きに関連し、米韓情報当局が、北朝鮮北東部の咸鏡北道舞水端里(ムスダンリ)で「テポドン2」の発射準備の兆候を確認したと報じた。

 聯合電は、韓国政府消息筋の話として、長距離弾道ミサイルと推定される物体が先週、平壌の軍需工場から舞水端里のミサイル発射基地に搬入され、早ければ6月初めに発射する可能性があると伝えた。

 また、聯合電は、別の当局者の話として、平壌近くにある長距離弾道ミサイルの製造施設「山陰洞兵器研究所」で、貨物列車3両に長距離ミサイル1基が載せられたことが把握されたとも伝えた。当局者は「発射台のある場所への移動が始まったとみられる」と指摘、実際に発射される可能性が高いとの見方も示した。

 韓国紙・東亜日報によると、同研究所は長距離ミサイルの本体などの研究・開発と製造を担当。4月5日に「人工衛星」打ち上げ名目で発射した長距離弾道ミサイルも同研究所で本体と部品が作られ、列車で舞水端里の基地に運び込まれ、組み立てられたという。

 AFP通信は、米国防総省筋の話として、衛星写真により、ミサイル発射に向けた兆候が北朝鮮国内2か所で確認されたと報じた。具体的情報はないが、北朝鮮が長距離弾道ミサイルを発射できるのは舞水端里の基地だけとされるため、同研究所から運び出されたミサイルを同基地に運び入れるまでの一連の動きをとらえた可能性がある。

北核放棄「行動方針」策定へ、日中韓露と調整…米国防次官補

2009年05月30日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【シンガポール=黒瀬悦成】アジア・太平洋地域の安全保障問題を担当するウォレス・グレグソン米国防次官補は30日、読売新聞のインタビューに応じた。

 次官補は、オバマ政権が北朝鮮の核実験を受けてスタインバーグ国務副長官ら米政権高官が日中韓露の4か国に派遣されることに関し、同盟国である日韓との協議を軸に、北朝鮮の核放棄に向けた「行動方針」の策定を目指すことを明らかにした。

 グレグソン次官補は、自らも派遣団に加わることを明らかにした上で、今回の歴訪が北朝鮮に圧力を加えるための「戦術的手段」ではなく、北朝鮮を除く6か国協議参加国が朝鮮半島の非核化に向けた展望を構築するための意見調整が目的となるとの見通しを表明。米国から具体的提案は行わず、まずは各国の意見や立場を聴取すると述べた。

 また、中国とロシアに関し、「両国政府の公式声明を見る限り、北朝鮮の行動に不快感を抱いている」とし、中露が対北朝鮮圧力で日米韓と共同歩調を取ることに「希望を抱いている」と述べた。

浜田防衛相「強力な国連決議を」…アジア安全保障会議

2009年05月30日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【シンガポール=中山詳三】浜田防衛相は30日午前、シンガポールのホテルで開かれた「アジア安全保障会議」(英国際戦略研究所主催)で講演し、北朝鮮の核実験への対応について、「国連安全保障理事会が強力な新決議を近く採択し、国際社会がその履行に向けて一致した措置をとることを期待する」と述べ、決議に沿った制裁の実施を呼びかけた。

 北朝鮮には、大量破壊兵器と弾道ミサイル計画の即時放棄を求めた。

 また、アジア・太平洋地域の安全保障強化のため、閣僚級の多国間対話の枠組み構築を提案した。

北朝鮮「更なる自衛措置」と警告、安保理の制裁論議けん制

2009年05月29日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ソウル=竹腰雅彦】朝鮮中央通信によると、北朝鮮外務省報道官は29日、核実験を受けた国連安全保障理事会の制裁論議に対する談話を発表し、「安保理がこれ以上の挑発を行えば、更なる自衛措置が不可避になる」と警告した。

 「自衛措置」の中身には触れていないが、北朝鮮は4月5日の弾道ミサイル発射を非難した安保理議長声明に対し、安保理の謝罪がなければ「核実験と大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射実験」を行うと表明しており、弾道ミサイル発射を示唆した可能性もある。

 談話は「我々の要求に応じない限り、今後も安保理の決議と決定を認めない」と主張した。

北の核実験は「暴挙」、参院も全会一致で抗議決議採択

2009年05月27日 読売新聞 Yomiuri On-Line

北朝鮮の核実験に対する抗議決議案を全会一致で採択した参院本会議=田中成浩撮影

 参院は27日午前の本会議で、北朝鮮の核実験に抗議する決議を全会一致で採択した。 26日の衆院決議同様、核実験を「暴挙」と非難し、政府に「制裁を強めるなど断固たる措置」を求めた。

 参院決議では「北朝鮮との諸懸案」に掲げた拉致問題に関し、「国家主権並びに基本的人権・人道にもかかわる極めて重大な」という文言を追加。諸懸案解決のため、「国際社会と連携し、積極的な外交を推進すべきである」とした。

 衆参両院は、北朝鮮が2006年10月に核実験を行った際も全会一致で抗議決議を採択した。今年4月の長距離弾道ミサイル発射に対しても非難決議を採択したが、共産、社民両党は同調しなかった。

新決議採択で基本合意 国連、北朝鮮非難の声明

2009/05/26 中国新聞ニュース

 【ニューヨーク26日共同】北朝鮮の二回目の核実験を受け、国連安全保障理事会の五常任理事国と日本、韓国は二十五日、前回の核実験後に安保理が採択した決議の制裁措置に実効性を持たせる新決議を目指す方向で基本合意した。複数の国連外交筋が明らかにした。安保理は日本の要請で同日、緊急会合を開催。安保理のチュルキン議長(ロシア)は会合後、直ちに新決議の安保理協議に入ると表明し、北朝鮮を非難する声明を発表した。

 しかし、北朝鮮寄りの中国、ロシアが今後、決議案の文言など詳細に異論をはさむ可能性があり、「最終合意には最低数日は必要」(国連外交筋)という。

 米国が日本などとともに安保理への提示を準備している新決議案は、北朝鮮船舶への臨検強化などにより、既存の制裁措置の徹底を求める内容。核・ミサイル計画に転用可能な軍民両用品など禁輸品目の拡大も盛り込む見通し。

 二十六日午前(日本時間同日夜)に米、英、フランス、中国、ロシアの五常任理事国と日本は事務レベルの専門家会合を開催。同会合で一致できれば、同日午後にも安保理協議を開き、新決議案を提示する見通し。

 中ロは、一方的な制裁強化は核問題をめぐる六カ国協議再開に悪影響を与えるとみており、拒否権をもつ両国の出方が協議の焦点となる。

 チュルキン議長によると、今回の核実験は、二〇〇六年十月に北朝鮮が最初の核実験を実施した後、安保理が採択した決議一七一八の「明白な違反」との認識で全理事国が一致したという。

 一方、麻生太郎首相は二十六日、オバマ米大統領と電話会談し、安保理の新決議が必要との認識で一致。中ロなどへの働き掛けを強める方針を確認した。

 また、韓国政府は二十六日、これまでオブザーバー参加だった米国主導の大量破壊兵器拡散防止構想(PSI)への全面参加を発表。北朝鮮は全面参加は「宣戦布告」と警告しており、激しい反発が予想される。

悩む中国、制裁を左右 血盟関係か、国際世論か

2009/05/26 中国新聞ニュース

 北朝鮮の再核実験への対応をめぐりニューヨークで始まった国連安全保障理事会の協議。拒否権を持つ五常任理事国のうち米、英、フランスは追加制裁決議を求める方針で早々と一致。ロシアも同調する構えで、残る中国の出方が「制裁決議の行方を左右する」(国連外交筋)。「責任ある大国」として国際社会の世論に耳を傾けながら、朝鮮戦争以降の「血で固めた同盟」関係を保つ北朝鮮の離反も避けたい中国は、対応に苦悩を深めている。

 ▽薄れる影響力

 二十五日夕、安保理の緊急協議後、世界各国の報道陣約二百人であふれ返る議場前。欧米や日本の国連大使が次々にコメントする中、中国の張業遂ちょう・ぎょうすい国連大使はひと言も発さず逃げるように議場を後にした。

 中国外務省の二十六日午後の定例記者会見でも、馬朝旭ば・ちょうきょく報道局長は二十五日に発表した外務省声明を繰り返し読み上げるだけだった。

 「血盟」関係に加え、北朝鮮に食糧とエネルギーを支援する中国。北朝鮮にとっては最大の貿易相手国でもあり、北朝鮮経済の生命線を押さえているのは間違いない。

 しかし、中国は一九九二年に韓国と国交を樹立し「中朝関係一辺倒」から中韓関係や国際社会の側にも軸足を移してきたため「北朝鮮がなかなか言うことを聞いてくれない」(外交筋)との状況も出てきている。「強く出れば、北朝鮮に対する影響力はさらになくなる」(北東アジア研究者)との懸念もある。

 さらに、厳しい経済制裁を実施すれば北朝鮮が苦境に陥り、同国から難民の大量流入を招き中国内も混乱すると恐れる。

 ▽中国頼み

 一方、北朝鮮が矢継ぎ早の強硬策で二国間協議の場に引き出そうと狙う米国。これまで複数の政府高官が「(核実験を実施すれば)重大な結果を招く」と新たな制裁措置の可能性を示唆して、北朝鮮をけん制してきたものの「阻止する手だてはほとんどない」(北朝鮮担当のボズワース特別代表)と、あきらめ感も漂っていた。北朝鮮に核実験を強行された結果、六カ国協議参加国とともに「足並みをそろえた断固たる対応」(クリントン国務長官)を目指すが、切り札はない。

 米シンクタンク、ヘリテージ財団のブルース・クリンナー上級研究員は「米国と韓国は、北朝鮮への追加制裁に中国を動かすために、北朝鮮による新たな挑発行為を待っていた節がある」と、中国に協力を求める以外に有効打がないことを指摘した。

 ▽強硬論

 四月のミサイル発射の際には、新たな制裁に反対した中国だが、今回は国内で北朝鮮への反発も出ている。北朝鮮と国境を接する中国吉林省延辺朝鮮族自治州では一部の都市で、地震のような揺れがあり、驚いた生徒や市民が屋外の広場に避難する騒ぎとなった。

 「延辺市民を地震の恐怖に陥れるなんて」「放射能汚染はないのだろうか」。地元のインターネット掲示板には、核実験に対する怒りや不安を吐露する書き込みがあふれる。「エネルギーを含む一切の北朝鮮支援を即刻停止すべきだ」との強硬論も出ている。

 「(二〇〇六年の)安保理決議への明確な違反だ。新しい決議にも同調せざるを得ない。今回は(衛星打ち上げと主張したミサイル発射の際のような)言い訳がきかない」(中国外務省当局者)と、制裁決議を求める国際社会の世論の方向へ傾きつつある。

北朝鮮が核実験 06年10月以来、2回目

2009/05/25 中国新聞ニュース

 【平壌、ソウル25日共同】北朝鮮は二十五日午前、国営朝鮮中央通信の報道を通じ「地下核実験を成功裏に行った」と発表した。二〇〇六年十月九日に続く二回目の核実験。包括的核実験禁止条約(CTBT)準備委員会は監視観測所のデータ解析の結果、北東部の咸鏡北道吉州郡にある前回実験場から数キロ離れた地点で実施されたとしている。核爆弾の個数、規模などは不明だが、前回と同じくプルトニウム型原爆の可能性が高い。

 日本政府はただちに首相官邸の危機管理センターに官邸対策室を設置、国連安全保障理事会の緊急会合招集を議長国ロシアに要請した。安保理は米東部時間二十五日午後(日本時間二十六日朝)に緊急会合を開く予定。

 追加的な核実験をしないよう求めた国連安保理の制裁決議を無視した行動で、北朝鮮包囲網づくりが進むのは確実。北朝鮮は今年四月五日に「人工衛星」として長距離弾道ミサイル発射に踏み切ったばかりで、朝鮮半島情勢の緊張は必至だ。

 日本政府は新たな制裁決議採択を求める方針で、米韓両国など関係国と連携して早期採択を目指す。安保理協議をにらみながら、輸出入の全面禁止など日本独自の制裁強化も検討する。

 麻生太郎首相は二十五日夕、官邸で記者団に「核拡散防止条約(NPT)体制に対する重大な挑戦であり断じて容認できない」と非難。これに先立ち、韓国の李明博イミョンバク大統領と電話で会談し、日米韓が緊密に連携して「毅然きぜんとした対応」を取る方針で一致した。

 韓国の李相喜イサンヒ国防相は同日、北朝鮮が同日に計三発の短距離ミサイルをそれぞれ日本海に向けて発射したと国会で明らかにした。

 朝鮮中央通信は「核兵器の威力をさらに高め、核技術を絶え間なく発展させる上での科学技術的問題を円満に解決した」と表明、実験は「爆発力と操縦技術において、新たな高い段階で安全に行われた」と強調した。

 北朝鮮は国連安保理が今年四月のミサイル発射を非難する議長声明を採択したことに反発し、六カ国協議離脱と核開発再開を宣言。さらに使用済み核燃料棒の再処理着手を表明、安保理の謝罪がなければ「再核実験や大陸間弾道ミサイルの発射実験を含めた自衛的措置を講じる」と警告していた。

26日に安保理緊急会合 政府、制裁決議を要請

2009/05/25 中国新聞ニュース

 政府は二十五日、北朝鮮による再核実験を受け、国連安全保障理事会の緊急会合を開くよう議長国のロシアに要請した。安保理は米東部時間二十五日午後(日本時間二十六日朝)に緊急会合を開く予定。政府は新たな制裁決議採択を求める方針で、米韓両国などと連携して早期採択を目指す。安保理協議をにらみながら、輸出入の全面禁止など日本独自の制裁強化も検討する。

 麻生太郎首相は二十五日夕、核実験について「わが国の安全に対する重大な脅威で断じて容認できない。断固として非難する」と異例の首相声明を発表した。その後、記者団に「国際社会が一致して対応しないといけない。(制裁)決議を求めていくのは当然だ」と表明。政府は二十五日午後、北京の大使館ルートを通じて北朝鮮に「核実験は明確な国連安保理決議違反だ」と抗議した。

 首相は韓国の李明博イ・ミョンバク大統領と電話で会談し、日米韓が緊密に連携して「毅然きぜんとした対応」を取る方針で一致。オバマ米大統領とも近く電話会談する方向で調整に入った。

 今年四月の長距離弾道ミサイル発射を受けた安保理協議では中国とロシアが決議採択に難色を示したため「議長声明」で決着したことを踏まえ、両国にも決議支持を強く働き掛ける考えだ。

 政府は二十五日夕、首相と関係閣僚による安全保障会議を開き、核実験に関する情報を分析した。航空自衛隊のT4練習機を一両日中に日本海上空へ派遣し、大気中のちりを収集して放射能を調査する。

 二〇〇六年十月九日の北朝鮮による最初の核実験では、十四日に安保理が全会一致で核やミサイル、大量破壊兵器関連物資の禁輸を義務付ける制裁決議を採択した。政府筋は「できればより早く決着させたい」としている。独自制裁については、全面禁輸のほか、人的往来の制限強化などが検討課題となりそうだ。

米大統領「露骨な反逆」 北朝鮮非難の声明発表

2009/05/25 中国新聞ニュース

 【ワシントン25日共同】オバマ米大統領は二十五日未明(日本時間同日午後)北朝鮮の核実験実施は「国際法違反」であり、制裁決議を科している国連安全保障理事会に対する「露骨な反逆」だと非難する声明を発表した。

 大統領は声明で、北朝鮮の行動は「国際社会に真っ正面から、無謀な挑戦」をしていると厳しく非難。「大量破壊兵器とその運搬手段の開発を放棄しない限り、国際社会に受け入れられないだろう」とし、核兵器や弾道ミサイル開発は許容できないと述べた。

 北朝鮮のこれまでの言動を踏まえると、核実験に踏み切ったことは「驚きではない」としながらも「国際社会の平和と安全保障に脅威となる」と警戒感を示した。

 さらに脅威に対しては「国際社会の行動が正当化される」として、六カ国協議参加国や国連安全保障理事会と協調して対処していくとし、今後、国連などを通じた制裁強化の姿勢をにじませた。

 米国務省当局者も二十五日、核実験実施に「深刻な懸念を抱いている」とし、対応について「(北朝鮮以外の)六カ国協議参加国や国連安保理メンバー国と協議している」と述べた。

早期の6カ国再開は絶望的 今後も北朝鮮次第の構図

2009/05/25 中国新聞ニュース

 【ワシントン25日共同=武井徹】北朝鮮が二十五日、二度目の地下核実験を実施したことで、核問題をめぐる六カ国協議の早期再開は絶望的になった。オバマ米政権は北朝鮮との対話路線を崩さない考えとみられるが、米朝直接交渉の実現も遠のいたとの見方が支配的だ。今後の展開は引き続き「北朝鮮次第」との構図は変わっていない。

 北朝鮮には「核保有国」としての立場を主張して米国との交渉を有利に進める思惑があるとみられる。しかし「核兵器のない世界」を目指し、四月にロシアとの新たな核軍縮交渉に着手したばかりのオバマ政権にとって、核実験から時間を置かずに北朝鮮との直接交渉に臨むのは避けたいのが本音のはず。オバマ大統領は二十五日、声明で「国際社会への無謀な挑戦」と北朝鮮を激しく非難した。

 北朝鮮が拘束している米国人記者二人の解放のためゴア元副大統領が訪朝し、併せて核問題の局面打開を目指す可能性も取りざたされていたが、今回の核実験で先行きは不透明になった。

 米国務省高官は「(ミサイル発射や核実験など)北朝鮮が行動に出たからと言って、すぐに後を追いかけるようなことはしない」と話しており、米国が対応に動きだすまでには「冷却期間が必要」との認識だ。

 当面、オバマ政権は「対話の扉は開けておく」(クリントン国務長官)とする一方で、六カ国協議参加国や国連安全保障理事会と協調し、これまで以上に強い姿勢で制裁強化を訴える見通しだ。

 米国にとっては四月の長距離弾道ミサイル発射の際と同様、関係国との共同歩調を演出する機会となる。国際社会が足並みをそろえることに成功すれば、北朝鮮の「瀬戸際戦術」は空回りしかねない。

北が核再処理を再開 日本政府確認、7月末にも核実験

2009.04.29 MSN産経新聞

 北朝鮮が2度目の核実験に向けた活動を開始したことを日本政府が確認したことが28日、分かった。北朝鮮・寧辺(ニョンビヨン)の核施設について衛星写真を分析した結果、使用済み核燃料棒の再処理作業を再開したことが判明した。日本政府は、最短で3カ月後にも核実験を行うとの見方を示している。

 米軍も、大気中の塵(ちり)などを集めて核実験を把握する気象観測機「WC135C」を嘉手納基地に展開。日本海周辺などで頻繁(ひんぱん)に監視飛行を行っており、北朝鮮の核実験に向けた活動に対する警戒を強めている。

 北朝鮮は平成18年10月9日、初の核実験を実施。実験場所は、吉州郡(キルジュグン)豊渓里(プンゲリ)付近の地下核実験場とみられている。

 今年4月5日に北朝鮮は長距離弾道ミサイルを発射した。その後、ミサイル発射を非難する議長声明を国連安全保障理事会が採択したことに反発し、核開発の再開を宣言。安保理の制裁委員会が北朝鮮企業を資産凍結の対象団体に指定したことへの対抗措置として、北朝鮮外務省報道官は25日、寧辺の核施設で使用済み核燃料棒の再処理作業を開始したことも明らかにしていた。

 北朝鮮は18年7月5日にテポドン2号を含む弾道ミサイル7発を連続発射した後、10月に核実験を行った。このため、日本政府は今回も早ければ3カ月後にも核実験に踏み切る可能性があるとして警戒している。

非難の議長声明採択 安保理、6カ国協議離脱と北朝鮮

2009/04/15 中国新聞ニュース

 【ニューヨーク14日共同】国連安全保障理事会は十三日午後(日本時間十四日未明)、北朝鮮のミサイル発射を「非難」する議長声明を全会一致で採択した。声明は発射を二〇〇六年の核実験を受けて採択された安保理決議一七一八の「違反」と明記し、再発射の自制を要求。拘束力を持つ決議ではないが、安保理のヘラー議長(メキシコ)は北朝鮮に対する「国際社会の明白かつ強いメッセージだ」と強調した。

 朝鮮中央通信によると北朝鮮外務省は十四日、議長声明採択を受け「(核問題をめぐる)六カ国協議はもう必要なくなった」とし、同協議を離脱するとの声明を発表。「自衛的な核抑止力」を強化し、無能力化を進めていた核施設を原状復帰させる措置を取るとした。六カ国協議の早期再開は絶望的となり、朝鮮半島をめぐる緊張が高まるのは必至。

 八項目の議長声明は朝鮮半島と北東アジアの「平和と安定を維持する重要性」を強調し、ミサイル発射を非難。加盟国に決議一七一八の「完全な順守」を要求した。

 また六カ国協議の早期開催も要請。二十四日までに安保理の制裁委員会に核や弾道ミサイル開発に関連する団体・個人の資産凍結に向け、対象を指定するよう求めた。

 米国のスーザン・ライス国連大使は委員会に対象団体の候補リストを提示する予定だと強調、高須幸雄たかす・ゆきお国連大使も同様の考えを示した。国連外交筋によると日米が準備中のリストでは、北朝鮮の貿易会社など計十以上の企業・団体の指定が検討されており、禁輸品として核や弾道ミサイル開発に利用される可能性のある軍民両用品の指定も目指しているという。

 委員会は週内にも開催される予定。制裁強化を狙う日米と、北朝鮮の友好国である中国、ロシアとの攻防の舞台となる。

 高須大使は議長声明について「非常に強い内容だ」と評価。議長声明は一般に拘束力を持たないと解釈されているが、ライス大使は「(加盟国への制裁を定めた)国連憲章七章下で(法的な)拘束力を持つ」と強調。ロシアのチュルキン国連大使も安保理のすべての公式文書に「加盟国は従う義務がある」と述べた。

日本の重油支援を豪など肩代わり 北朝鮮向け

2008/10/21 中国新聞ニュース

 政府は拉致問題に進展がないとして拒否している北朝鮮への重油二十万トン相当のエネルギー支援について、オーストラリアやニュージーランド、欧州諸国の一部に肩代わりしてもらう方向で、米国など関係国と調整に入った。中曽根弘文外相が表明した核廃棄支援はエネルギー支援に参加しない代替措置と位置付けられ、政府の対処方針の大枠が固まった。複数の日本政府関係者が二十一日、明らかにした。

 これまでにオーストラリア、ニュージーランドが一千万ドル(約十億円)ずつ、合わせて重油三万トン余りに相当する資金提供を伝えてきた。英国などとも調整中で、それでも足りなければ米国と韓国も拠出を検討する。

 米韓が六カ国協議参加国以外にも対象を広げ、日本の肩代わりを打診してきた。六カ国協議は現在、核計画申告と核施設の無能力化を中心とする「第二段階」。政府は核廃棄の「第三段階」に向け、エネルギー支援を拒む代わりに核廃棄の資金や技術を支援することで、拉致問題の進展を促す。

 政府内では、寧辺の核施設から抜き出した核燃料棒や抽出されたプルトニウムの撤去、原子炉はじめ核施設の取り壊しなどの費用を負担する案が検討されている。

 重油二十万トンの提供に必要な資金は百二十億円(約一億二千万ドル)程度になる見通しだ。

 六カ国協議は核無能力化の見返りに合意した重油計百万トン相当のエネルギー支援実施が一つの焦点。しかし、日本が拒否方針を変えないため「第三段階」への移行を危ぶむ声が出ていた。

 北朝鮮は「どの国の負担かはこだわらない」(日朝関係筋)意向とされ、十一月上旬にも開かれる六カ国協議で合意できれば、協議は核無能力化の「第二段階」から「第三段階」に向け前進する。

米、テロ指定解除通告 北朝鮮、中国に核申告

2008/06/26 中国新聞ニュース

 【北京、ワシントン26日共同=渡辺陽介、川北省吾】北朝鮮の崔鎮洙チェ・ジンス駐中国大使は二十六日、核開発問題をめぐる六カ国協議合意に基づき、核計画申告書を議長国の中国に提出した。これを受け、ブッシュ米大統領は同日、見返り措置として北朝鮮に対するテロ支援国家指定解除を決定、「四十五日後」に解除するために二十六日中に議会通告する方針を表明。長く対立してきた米朝は関係正常化に向けて大きく前進する転機を迎えた。

 協議筋によると、核申告でプルトニウム生産量は三十八キロとされた。六カ国首席代表会合が来週にも北京で開かれる見通しで申告内容の検証と非核化プロセスの第三段階となる核施設廃棄、解体などを議論する。

 テロ指定解除に慎重な対応を求めてきた日本は拉致問題解決に向け米国との協調体制立て直しを迫られる。ブッシュ大統領は二十六日の記者会見で拉致問題を「決して忘れない」と述べ、日本への配慮をにじませた。

 核申告は昨年末の履行期限からほぼ半年遅れで実現した。

 米国は一九八七年の大韓航空機爆破事件を受けて、八八年一月二十日に北朝鮮をテロ支援国家に指定。約二十年六カ月ぶりの指定解除となる。大統領は北朝鮮に対する対敵国通商法の適用除外に向けた手続きを始める意向も示した。

 韓国政府によると申告書は核施設の目録など三項目で約六十ページ。核兵器は含まれておらず、北朝鮮が否定する高濃縮ウランによる核開発とシリアの核開発協力は付属文書のような別文書で処理された。

3施設で無能力化に着手 北朝鮮、核申告はなし

2007年11月06日 中日新聞

 【仁川(韓国北西部)6日共同】北朝鮮・寧辺の核施設の無能力化を担当する作業チームとともに訪朝した米国務省のソン・キム朝鮮部長は6日、6カ国協議で年内に無能力化を行うことで合意した3つの核施設すべてで作業に着手したことを明らかにした。核計画申告の第1次草案については、北朝鮮側から受け取っていないと述べた。

 平壌から北京を経由して韓国入りした際、記者団に語った。

 無能力化の作業に着手したのは、寧辺の5000キロワットの実験用黒鉛減速炉と核燃料加工施設、放射化学研究所(再処理施設)。

 キム部長は、少なくとも10段階ある工程のうち第1段階が週内に完了するだろうとの見通しを示した。また年内に作業完了を希望すると述べ、「時間がなく、すべて(の作業)を急ぎたい」と強調した。

 一方、無能力化作業に国際原子力機関(IAEA)がどの程度関与するかについては、協議が続いていると述べた。

北朝鮮は核放棄せず 韓国軍の前参謀議長

2007/05/03 The Sankei Shimbun WEB-site

 韓国軍の李相喜・前合同参謀議長は2日、ワシントンで講演し「北は古くなった核施設を廃棄することはあっても核(兵器)は放棄しないだろう」と述べ、北朝鮮の非核化は困難との見方を示した。聯合ニュースが伝えた。昨年11月まで参謀議長を務めた李氏は「北が核を放棄しない場合に備え、軍事的な方策について米国との間で十分に検討している」と語ったが、具体的な中身については言及しなかった。北朝鮮が核放棄に応じない理由としては(1)指導部が核を軍優先の「先軍政治」の成果として統治に利用(2)核により南北関係で優位に立ち、韓国に吸収される形での統一を防げると信じている(3)核を米国などとの交渉手段としている−を挙げた。(共同)

北朝鮮、核放棄忘れ? お祭りムード

2007/04/16 The Sankei Shimbun WEB-site

 【ソウル=久保田るり子】国際社会が北朝鮮の核廃棄に向けた「初期段階措置」実施を注視するなかで、当の北朝鮮はこのところ“お祭りムード”で沸いている。

 目下、平壌では故金日成主席生誕95周年の行事が大々的に行われている。14日夜から10万人によるマスゲーム「アリラン祝祭」が始まったのをはじめ、平壌の町は、昼は花壇で、夜はライトアップとネオンサインで彩られ、官営メディアは「革命の偉業」や先軍政治(軍事優先)の勝利を宣伝している。これは金正日体制の核実験強行で米国の譲歩を勝ち取ったとする外交成果を強調し、軍事路線と強硬姿勢への自信を示したものとみられる。

 4月15日の故金日成主席の誕生日「太陽節」を祝う行事は毎年、行われているが、5年10年と節目を重要視する習わしで、95周年を「民族の大慶事」(今年年始の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」など3紙共同社説)と位置づけている。

 行事の数々は今月上旬からで、9日に平壌市内に大型の金日成モザイク壁画が登場、各大学で金主席の「業績」討論会が開かれ、ロシア、インドネシアなど友好国の音楽団による「4月の春」芸術祭、「金日成花、金正日花展」等々が5月20日まで続いている。日本からは在日本朝鮮人総連合会の代表団や、プロレスのアントニオ猪木氏も訪朝している。

 15日付の労働新聞は「金日成同志が準備した富強祖国建設の万年基盤と金正日同志の革命領導(りようどう)により、社会主義強盛大国の建設偉業の勝利は確定的となった」などと世襲体制を自画自賛している。

 北朝鮮は昨年10月の核実験以来、国内外に軍事戦略の成果を強調し続けているが、「金正日政権は米国の出方に自信を深め6カ国協議を遅滞させる対米交渉術はさらに続くことが予想される」(北朝鮮専門家)との分析も出ている。

期限内の核施設停止困難 北朝鮮次官が米知事に表明

2007年04月09日 中国新聞ニュース

 【北京9日共同】6カ国協議の北朝鮮首席代表、金桂冠外務次官は9日、平壌訪問中のリチャードソン米ニューメキシコ州知事一行と会談、2月の6カ国協議で合意した寧辺の核施設の活動停止と封印など「初期段階措置」について、期限である14日までの履行は「非常に困難だろう」との見通しを示した。AP通信が伝えた。核放棄に向けた同措置の遅れに北朝鮮高官が言及したのは初めて。

 金次官はまた、マカオの銀行バンコ・デルタ・アジア(BDA)に凍結されている北朝鮮関連資金が同国側に移管され次第、国際原子力機関(IAEA)査察官の入国を直ちに認めると述べ、同資金の全額移管を受け合意履行に取り組む立場もあらためて表明した。

 金次官は核施設停止について、期限内に着手することは可能だが、短期間のうちに実験用黒鉛減速炉(5000キロワット)を完全に停止するのは非常に難しいだろうと語った。

 6カ国協議の米首席代表ヒル国務次官補は今週、日本、韓国、中国の3カ国を歴訪、期限内の合意履行を目指し最終調整を図る。

資金返還なら核施設停止 6カ国協議で北朝鮮代表

2007年03月19日 中国新聞ニュース

 【北京19日共同】北京で19日始まった第6回6カ国協議の基調演説で北朝鮮首席代表の金桂冠外務次官は、凍結されているマカオの銀行バンコ・デルタ・アジア(BDA)の北朝鮮関連口座について「実際に凍結資金がすべて返還されるかどうか確認せねばならない」とする一方、全額解除されれば寧辺の核施設の稼働を停止すると述べた。協議筋が明らかにした。

 米財務省は協議開会に先立ち、同口座の資金約2500万ドル(約29億3000万円)を全額返還することで北朝鮮と合意したと発表、金次官は実際に資金返還が確認できるまで評価を留保する姿勢を明確にしたものだ。

 ロシア通信によると、金次官はまた「日本が自らの義務を履行することに、われわれが疑いを持たないようにする必要がある。義務履行の意思がないなら、日本は6カ国協議の参加資格を失いかねない」と前回6カ国協議で合意した義務の履行を求めた。

 日本首席代表の佐々江賢一郎外務省アジア大洋州局長は反論。「日朝平壌宣言に従って不幸な過去を清算し、拉致問題を含む懸案事項を解決して国交正常化を図る用意がある」と述べ、北朝鮮に誠意ある対応を求めた。

1100万ドルの解除勧告か 米、北朝鮮の凍結口座

2007/03/11 中国新聞ニュース

 【ソウル11日共同】韓国の聯合ニュースは十一日、米財務省がマカオの銀行バンコ・デルタ・アジア(BDA)の北朝鮮関連口座にある約二千四百万ドル(約二十八億円)のうち、約千百万ドルに対し凍結解除を勧告したとみられると報じた。ワシントンの消息筋の話として伝えた。

 財務省は二○○五年九月にBDAを「資金洗浄の主要懸念先」に指定。このほど一年半ぶりに調査を終了し、BDAを「資金洗浄機関」として公式に指定するという。

 米財務省はBDAの北朝鮮の資金について「危険」と「危険性が低い」に分類し、「危険性が低い」と判断した千百万ドルに対し凍結解除を勧告したという。

 北朝鮮の金桂冠外務次官は、金融制裁が全面解除されなければ、六カ国協議の合意に基づく核放棄に向けた初期段階措置の履行も部分的なものにならざるを得ないと言明している。

重油5万トン支援準備に着手 韓国、6カ国協議合意で

2007/02/26 中国新聞ニュース

 【ソウル26日共同】韓国統一省高官は二十六日、先の六カ国協議で北朝鮮の核放棄へ向けた初期段階措置に対する見返りとして決まった重油五万トン相当のエネルギー提供に関して、韓国政府が支援準備に着手し、同日国会に報告したことを明らかにした。

 高官によると、支援をすべて重油で送った場合、輸送費を含め費用は約二百億ウオン(約二十六億円)に上り、南北協力基金の予備費から拠出されるという。

 六カ国協議では、見返り支援は米国、中国、韓国、ロシアの四カ国が公平分担するとの原則を定めたが、重油五万トン相当のエネルギー支援は韓国政府が先に単独で実施する考えを表明していた。

 支援の形式について韓国は、重油に限らず北朝鮮が望む別のエネルギーや食糧で送る可能性もあるとしてきたが、高官によると政府は韓国内の製油業者の選定を進める方針で、重油による提供が行われる公算が大きい。

 六カ国協議では、今月十三日の合意から六十日以内に北朝鮮が寧辺の核施設の活動停止と封印などを行い、見返りに重油五万トン相当のエネルギー支援などを実施すると決めた。さらに北朝鮮が核施設の「無能力化」などを行えば、重油九十五万トン相当が提供されることになっている。

 日本は拉致問題の進展が支援参加の前提として、当面支援に加わらない意思を表明している。

 韓国は協議で設置が決まった経済・エネルギー協力の作業部会で議長を務め、見返り支援取りまとめで主導的な役割を果たす考えを強調。合意の着実な履行で朝鮮半島の緊張緩和を進めることが盧武鉉政権の求心力の維持・回復につながるとの判断があり、重油五万トン相当の先行提供もこうした思惑が背景にある。

第1段階は重油供給せず…対北朝鮮、日本は間接的協力

2007年02月13日 読売新聞 Yomiuri On-Line

北朝鮮の核実験

 【北京=望月公一】日本政府は、13日採択の6か国協議の共同文書に盛り込まれたエネルギー支援について、第1段階では、電力需要調査などの「間接的な協力」にとどめる方針だ。

 ただ、第2段階では、日本が直接支援への参加を求められる公算が大きい。このため、30日以内に開催される「日朝国交正常化」の作業部会で、拉致問題を進展させ、「直接支援」の環境整備を図りたい考えだ。

 第1段階の対北朝鮮支援は5万トンの重油支援にとどまるため、北朝鮮を除く各国も「拉致問題があるのでエネルギー支援を行うことはできない」(安倍首相)とする日本の主張に異論は唱えていない。支援実施には「エネルギーの規模について科学的な根拠も含めて算定しなければならない」(武大偉中国外務次官)ため、日本は、北朝鮮の電力需要の実態調査への人員派遣などを検討している。

 ただ、第2段階では、最大95万トンの重油という大規模な追加支援が必要となる。韓国は既に、支援について「5か国で均等分担するのが原則だ」(千英宇首席代表)として、日本をけん制している。日本政府内にも、仮に拉致問題が進展しない場合も、支援への直接関与は避けられないとの見方が広がっている。

 このため、政府は、事実上の日朝国交正常化交渉となる作業部会で拉致問題を進展させることに期待をかけている。

 安倍首相は13日夜、「作業部会は一つの前進だが、設置だけでは駄目だ。拉致問題を前進させるべく全力を尽くしたい。北朝鮮こそ、作業部会で拉致問題を解決しなければ、彼らが望むものは得られない」と記者団に強調した。

 政府は作業部会で、拉致の真相究明や被害者の再調査、容疑者の引き渡しなどを求める構えだ。

 作業部会の日本代表については、原口幸市日朝国交正常化交渉担当大使の起用を検討している。最終的には、北朝鮮側の出方を見ながら人選する。

 一方、政府は、米国が北朝鮮を「テロ支援国家」のリストから外す手続きに入ることを約束したことに困惑している。日本側の働きかけもあり、テロ支援国家に北朝鮮を指定する理由の一つに、拉致問題が挙げられるようになった。今回の合意は、「手続きを始める」とあるだけで、北朝鮮がリストから除外されるわけではないが、今後、米国が拉致問題でどんな対応をするのかを注視する考えだ。

寧辺の核施設閉鎖 6カ国、共同文書採択

2007/02/13 中国新聞ニュース

 【北京13日共同】北朝鮮核問題をめぐる6カ国協議は6日目の13日午後、全体会合を開き、核放棄に向けた初期段階措置と見返りを明記した共同文書を採択した。60日以内に北朝鮮が寧辺の核施設閉鎖と国際原子力機関(IAEA)の査察を受け入れ、見返りに重油5万トン相当のエネルギー支援を開始、米国のテロ支援国家指定解除などの論議を始めるとしている。

 「核施設不能化」の段階で、これを含め重油100万トン相当のエネルギー支援や人道支援などを5カ国が行うことも明記された。

 北朝鮮の核放棄をうたった2005年9月の共同声明採択から約1年半ぶり。昨年10月の核実験で緊張の高まった北朝鮮の核開発に歯止めがかかることが期待されるが、北朝鮮の出方によっては今後の展開は難航も予想される。

 朝鮮半島非核化やエネルギー・経済協力、米朝・日朝の関係正常化など課題別の5つの作業部会も設置される。

寧辺の核施設閉鎖、査察受け入れも 六カ国協議閉幕

2007/02/13 中国新聞ニュース

 【北京13日共同】北朝鮮核問題をめぐる六カ国協議は六日目の十三日午後、全体会合を開き、核放棄に向けた初期段階措置と見返りを明記した共同文書を採択、閉幕した。六十日以内に北朝鮮が寧辺の核施設閉鎖と国際原子力機関(IAEA)の査察を受け入れる見返りとして、重油五万トン相当のエネルギー支援を開始。国交正常化に向けた日朝協議や米国のテロ支援国家指定を解除するための米朝協議も始めるとしている。日朝関係など五分野の作業部会設置も盛り込まれた。次回六カ国協議は三月十九日に開催するとしている。

 北朝鮮の核放棄をうたった二○○五年九月の共同声明採択から約一年半ぶりの文書による成果。昨年十月の核実験で緊張が高まった北朝鮮の核開発に歯止めがかかることが期待されるが、北朝鮮の出方次第では難航も予想される。

 文書には「核施設不能化」の段階で、五万トンを含め重油百万トン相当のエネルギー支援や人道支援などを五カ国が行うことが明記。初期段階措置が実施された後、六カ国外相会議を開催することも盛り込まれた。

 作業部会は(1)朝鮮半島非核化(2)米朝関係(3)日朝関係(4)経済とエネルギー協力(5)北東アジアの安全保障−で、三十日以内に始動するとしている。

 特に日朝関係については、○二年の日朝平壌宣言に基づき不幸な歴史を清算、懸案を妥当に処理し徐々に国交正常化を実現するとした。

 ○五年十一月に開会した第五回六カ国協議は、北朝鮮が米国の金融制裁に反発するなどで二度の休会を経て、今月八日に再開された。

日本の支援不参加を容認 米中韓ロが合意文書

2007/02/13 中国新聞ニュース

 北朝鮮への見返り支援に関して米国、中国、韓国、ロシアの四カ国が十三日、六カ国協議の共同文書とは別に、拉致問題の進展を目指す日本の立場に配慮し日本の支援不参加を当面容認する一方、「懸案が早急に手当てされ、日本が支援に参加することを期待する」とする合意文書を結んだことが分かった。当面の支援は四カ国で公平に分担すると規定している。複数の外交筋が明らかにした。

 拉致問題の進展がなければ支援に応じないとの日本の方針に米中韓ロが一定の理解を示した形だ。だが、その一方で「早急な支援参加」に期待を表明しており、核放棄のプロセスが進んだ場合は参加を求める声が一段と高まる可能性は否めない。

 外交筋によると、中国が各国に打診した当初の共同文書案にはこうした内容が盛り込まれていたが、異論が出たため、明記は見送られ、四カ国の合意文書としたという。

 これに関連し、安倍晋三首相は十三日午後の衆院予算委員会で「外交努力の結果、(日本が重油などエネルギーを)供給しなくてもまとまるスキーム(枠組み)で了解を取ることができた」と強調した。

「合意は良かった」。 首相が共同文書採択を評価

2007/02/13 中国新聞ニュース

 安倍晋三首相は十三日夜、北朝鮮核問題をめぐる六カ国協議での共同文書採択について「合意に達したのは本当によかった。北朝鮮が核の廃棄に向けて具体的な一歩を踏み出すことになった」と高く評価した。官邸で記者団の質問に答えた。

 共同文書に日朝関係正常化の作業部会設置が盛り込まれたことに関しては「六カ国協議で作った枠組みの中で、拉致の問題もしっかり枠組みに入れ込むことができた」と成果を強調した。

 麻生太郎外相は外務省で記者団に「成果としては大きなものだ。大変だったと思うが、駆け引きとしては北朝鮮相手に五カ国よくまとまってここまでいけた」と指摘。

 日朝作業部会設置については「日朝国交正常化は前提条件がいろいろあるので、一応北朝鮮と話ができるようになった」と述べ、拉致問題進展に向けた足掛かりができたとの認識を示した。

長い道のり、最初の一歩 今後の展開は予断許さず

2007/02/13 中国新聞ニュース

 【北京13日共同=有田司】十三日採択された六カ国協議の共同文書は、核放棄に向け北朝鮮が取るべき初期段階措置を明記し、非核化プロセスが実行段階に移る最初の一歩となり得る。しかし二○○五年九月の共同声明から既に一年五カ月。今回の協議も予想以上に難航し、核放棄という最終目標がいかに長い道のりであるかを各国に再認識させた。初期段階措置には米朝、日朝協議の開始も盛り込まれたが、今後どう展開するか予断を許さない部分だ。

 協議の大半を費やした北朝鮮へのエネルギー支援については、昨年十月の核実験を不問にするとの批判が根強い。北朝鮮は国連安全保障理事会決議で制裁を科されており、ボルトン前米国連大使はイランなどにも誤ったメッセージを与える「非常に悪い合意」と指摘している。

 初期段階措置は実質的な効果よりも、北朝鮮に核放棄への意思を行動で示させる象徴的な意味合いが強い。米国が「第二、第三の措置へと続かなければ失敗」(ヒル国務次官補)として核施設の「無能力化」という次の目標を入れたのもこのためだ。

 しかし初期段階措置でさえ、核施設の「活動停止および封印」の厳密な定義や査察対象、権限など「締めるべきねじを締めていない」(協議筋)まま。詳細を詰めれば、北朝鮮と五カ国の溝が再び顕在化する懸念をはらんでいる。

 共同文書には五つの作業部会設置も盛り込まれ、六カ国協議が初めて分野別に「各論」を展開していく道筋も示された。しかし、各部会をどう運営し、進ちょく状況のバランスをどう取るのかなど、未知の道のりに課題は多い。

付きまとう孤立化懸念 政府、作業部会で拉致進展狙う

2007/02/13 中国新聞ニュース

 【北京13日共同】政府は十三日、今回の六カ国協議で日朝関係正常化に関する作業部会が設置される見通しになったのを受け、米国などにも協力を求め日本人拉致事件の進展に向けた糸口を探る方針だ。ただ、作業部会が開かれても北朝鮮側が譲歩する保証はない。北朝鮮の核放棄に向けた見返り支援が本格化すれば、拉致問題の進展を支援の条件とする日本への風当たりが強まる懸念も付きまとう。

 十二日夕には日朝首席代表の会談が昨年四月以来十カ月ぶりに開かれたが、北朝鮮は日本人拉致事件について「解決済み」との従来の主張を繰り返したもようで、進展はみられなかった。

 六カ国協議では、北朝鮮の核放棄に向けたエネルギー支援が最大の焦点となり、米朝を軸に議長国・中国や支援に前向きな韓国が活発に二国間や多国間の協議を展開。日本は存在感を示せず、米国などからの「情報収集」(協議筋)に追われた。

 北朝鮮が過大な支援を要求したことで、今回は参加国間の「足並みの乱れ」は表面化しなかったが、「核問題で議論が進めば、支援できずに孤立しかねない日本は『痛しかゆし』の側面がある」(政府筋)との本音も漏れる。

 外務省幹部は「いずれ支援が本格化すれば重要な役割を果たすのは日本以外にない。北朝鮮もそれはよく分かっている」と強気の姿勢を崩さないが、今後も難しい立場が続くのは間違いない。

北朝鮮、さらに重油数十万トン要求 稼働中断の代替

2007/02/11 中国新聞ニュース

 【北京11日共同=磐村和哉】北朝鮮が核問題をめぐる六カ国協議で、核放棄に向けた初期段階措置の見返りとして重油年間二百万トンと二○○五年九月の共同声明に盛り込まれた韓国提案の電力二百万キロワットの供給、さらに初期段階措置の履行期間中にも重油数十万トンに相当するエネルギー支援を要求していることが十一日分かった。複数の協議筋が明らかにした。

 六カ国は四日目の同日、釣魚台迎賓館で議長国中国を中心に二国間協議や首席代表協議を行い、最大の争点となったエネルギー支援をめぐり大詰めの調整を続けた。米朝協議も行われた。

 北朝鮮は初期段階措置を受け入れる立場を表明する一方で見返りの内容や規模も合意文書に盛り込むよう求めているが、五カ国の立場とは大きく隔たっている。当初「三日もあれば十分」(議長の武大偉中国外務次官)とみられた協議は長引くとの見方が強まっている。

 日本首席代表の佐々江賢一郎外務省アジア大洋州局長は十一日午前「北朝鮮が過剰な期待を持っていることが問題で、それを考え直さない限りは合意は難しい」と強調した。

 二百万キロワットの電力支援については、九日の韓国との協議で北朝鮮が「(○五年の)共同声明にある韓国の電力供給二百万キロワットの提案」を確認する形で要求。「重油数十万トン相当のエネルギー」は重油五十万トンを意味するとみられ、寧辺の実験用黒鉛減速炉の稼働中断を直接穴埋めする代替エネルギーとしての位置付けという。

 韓国は○五年七月の第四回六カ国協議直前、北朝鮮の核計画放棄と引き換えに二百万キロワットの電力を供給する用意があると当時の鄭東泳(チョンドンヨン)統一相が発表、共同声明に盛り込まれた。

 合意文書で、寧辺の核施設稼働中断の表現を「凍結」(freeze)とするか「停止」または「閉鎖」(shut down)とするかでも米朝の対立が解けていないという。

年200万トン超の重油要求 核凍結見返りで北朝鮮

2007/02/10 中国新聞ニュース

 【北京10日共同=有田司】六カ国協議で北朝鮮が九日に北京で行った米国との二国間協議の席で、核施設凍結など核放棄に向けた「初期段階措置」に応じる見返りとして、重油換算で年間二百万トンを超える大量のエネルギー供給を求めたことが分かった。複数の協議筋が十日明らかにした。「荒唐無稽(むけい)な量」(同筋)に米国は当惑、協議が停滞する要因となったという。

 韓国の聯合ニュースは同日、北朝鮮が「電力二百万キロワットに相当するエネルギー」を六十日以内に提供するよう求めていると報道。専門家の試算によると、これは重油約二百七十万トン分に相当する。

 北朝鮮は具体的な支援内容を合意文書に盛り込むよう求めており、エネルギー支援問題が大きな争点に浮上、中国は十日、各国と二国間協議を重ね文書案の調整を続けたが、協議の行方に不透明感も漂っている。

 また同筋によると、金融制裁をめぐる米朝協議の米側代表グレーザー財務副次官補が一月の協議後にマカオを訪問。銀行バンコ・デルタ・アジアの北朝鮮関連口座を凍結しているマカオ当局に対し、合法的とみられる口座について解除を容認する考えを伝達、六カ国協議期間中に実施する可能性があることも伝えたという。

 しかし、北朝鮮側の要求により、金融制裁解除の行方も「それどころでなくなった」(協議筋)との見方が強まっている。

 北朝鮮は一九九四年の米朝枠組み合意後、朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)事業によって年間五十万トンの重油供給を受けた。最近訪朝した元米国務省当局者らに対しても、年間五十万トン以上の重油提供を求める考えを示した。

 二百万キロワットはKEDO事業で北朝鮮に提供される計画だった軽水炉二基の発電量で、北朝鮮は二○○四年の第三回協議でも「電力二百万キロワット相当のエネルギー支援」を要求したことがある。

6カ国協議、8日から北京で再開 見返り交渉など焦点

2007/02/06 The Sankei Shimbun WEB-site

 【北京=久保田るり子】北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議が8日から北京で再開される。北朝鮮による核実験後初の協議として注目されながら休会となった昨年12月の協議は金融制裁解除をめぐり米朝が対立、平行線をたどった。今回は米朝の事前協議を受けて、北朝鮮の核施設凍結など核放棄に向けた「初期段階の措置」で合意できるのか注目される。ただ、北朝鮮側は核凍結の見返りに年間50万トン以上の重油供与を求めるとみられ、交渉の行方は不透明だ。

 米朝の事前協議は双方の首席代表であるヒル国務次官補と金桂寛外務次官との間で1月16日から3日間、ベルリンで行われた。先の米中間選挙で民主党が上下両院で過半数を獲得したこともあり、北朝鮮との直接交渉を避けてきたブッシュ政権の姿勢に微妙な変化がみられた。

 ヒル国務次官補も再開される協議で、1994年の米朝枠組み合意に似た内容で暫定合意する可能性を指摘。核凍結の見返りに何らかの支援を行う意向を示唆している。

 6カ国協議の議長国・中国の武大偉外務次官は6カ国協議について「実質討議は9日から、会期は3日程度で十分。かなり発展することを希望する」と話している。

 各国は「初期段階の措置」として、中国が提案した5つの分野別作業部会の設置と、05年の共同声明の履行で合意することなどを目指している。

北、原子炉凍結の見返りに軽水炉提供も要求

2007/02/05 The Sankei Shimbun WEB-site

 北京発インタファクス通信は5日、北朝鮮が再開される6カ国協議で寧辺の原子炉を凍結する見返りとして軽水炉と重油の提供を求める方針だと伝えた。同協議に近い消息筋の話として報じた。

 同通信によると、北朝鮮側は自国内での軽水炉建設を条件として提示、完成するまでの間、代替エネルギーとして定期的に重油50万トンを提供するよう求める方針という。同筋は、こうした条件が受け入れられれば北朝鮮は6カ国協議で寧辺の原子炉凍結について協議し、合意が成立すれば文書化に応じる用意があると指摘。さらに「原子炉凍結で合意できれば(2005年9月の6カ国協議)共同声明の履行に向けた一歩になる」と予想した。(共同)

核凍結見返りで攻防へ 8日から6カ国協議再開

2007年02月05日 中国新聞ニュース

 【北京5日共同】北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議が8日から北京で再開される。12月下旬に休会した第5回協議の第3ラウンドとなる今回協議は、核施設凍結など北朝鮮の核放棄に向けた「初期段階の措置」をめぐり合意が図られるかどうかが焦点。北朝鮮は米国の金融制裁解除を要求しているほか、3日まで訪朝した元米国務省当局者に対し、核施設凍結の見返りとして年間50万トン以上の重油供給などを求める考えを示しており、米朝を軸に攻防が展開される見通しだ。

 米国は初期段階の措置について、1994年の米朝枠組み合意のような文書をまとめ、昨年12月の協議で議長国中国が提案した5分野別の作業部会を設置し、核凍結をうたった2005年9月の6カ国協議共同声明の履行を早期に開始させたい意向だ。

 米朝は1月中旬、ベルリンで首席代表協議を行い、北朝鮮が解除を求める金融制裁と、米国が要求する核放棄に向けた初期段階の措置を同時並行的に扱い、打開を目指すことで一致した。

条件満たせば実験炉閉鎖 北朝鮮が米に伝達、韓国紙

2006年12月13日 中国新聞ニュース

 【ソウル13日共同】韓国紙、韓国日報の14日付早版は、6カ国協議再開を前に北朝鮮が、一定の条件が満たされれば寧辺の実験用黒鉛減速炉の閉鎖が可能だと、議長国の中国を通じて米国に伝えていたと報じた。米国務省関係者の話としてワシントン発で伝えた。

 「一定の条件」について同紙は、米国による金融制裁の解除と重油などのエネルギー支援が含まれるとしており、条件を満たせば同炉への国際原子力機関(IAEA)の査察受け入れも可能としているという。

 報道が事実なら、北朝鮮が実験炉の閉鎖受け入れに言及するのは核実験の実施後は初めてとみられる。寧辺にはプルトニウム再処理施設などもあり、閉鎖対象を実験炉に限った提案を米国がどう評価するかは不透明だ。

6カ国協議、日本参加の必要ない 北朝鮮が表明

2006/11/04 The Sankei Shimbun

 北朝鮮の外務省報道官は4日、北朝鮮の核問題に関する六カ国協議の再開に関し「われわれはこれまで日本に6カ国協議に参加してくれと要請したことはない」と述べ、日本の協議参加は必要ないとの立場を、朝鮮中央通信を通じ表明した。

 北朝鮮は、これまでも6カ国協議で拉致問題を取り上げようとする日本の出方を批判。「日本は協議への参加資格はない」などと主張してきたことがあるが、日朝の関係正常化も目標の一つとして盛り込まれた昨年9月の共同声明以降、日本の参加を強く牽制(けんせい)したのは初めて。

 報道官は「日本では(新)政府が発足したばかりで国内的に忙しいだろうから、無理して6カ国協議に首を突っ込まず、家の事情(国内政治)に神経を使う方がよいだろう」と指摘した。また「日本が6カ国協議に参加しないとするならこの上なく良く、参加国が減ることは協議の効率性を高める上でも悪くはない」と述べた。(共同)

米国防総省、北核施設攻撃を立案 米紙報道

2006/11/04 The Sankei Shimbun 東京朝刊から

 【ワシントン=有元隆志】3日付の米紙ワシントン・タイムズは、米国防総省が北朝鮮の核施設に対し、巡航ミサイル・トマホークなどによる攻撃計画立案を急いでいると報じた。アジア地域での核戦力を強化しているとも指摘した。ブッシュ大統領は外交による北朝鮮の核問題の解決を強調しており、計画が直ちに攻撃を意味するものではないものの、大統領が命令を下したら、即応できる用意が軍にはあることを示すものという。

 安全保障問題で知られるビル・ガーツ記者が複数の米国防当局者らの話として伝えたもので、同省は過去数カ月にわたり、平安北道寧辺にあるプルトニウム再処理施設や核実験を実施したとみられる咸鏡北道吉州郡など、核施設や核実験場への攻撃計画をたててきたという。

 一つの選択肢は、海軍の特殊部隊などが寧辺にあるプルトニウム再処理施設を急襲し、核兵器の原料となるプルトニウムがさらに抽出されるのを防ぐというもの。

 他の選択肢としては、トマホークなど精密誘導兵器を使って、核施設を攻撃することが挙げられている。この場合、核施設から放射性物質が飛散するのを最小限に食い止めるため、さまざまな方角から同時にミサイルを撃ち込むことが必要という。計画立案者らは、トマホーク6発で再処理施設を破壊でき、施設の再建には5〜10年は必要になるとしている。

 国防当局者らは北朝鮮が核兵器を他の国やテロ組織に輸出していることが確認された場合、軍事行動に踏み切ると警告している。

 ブッシュ政権は北朝鮮の核実験を受け、ライス国務長官を同盟国である日本と韓国に派遣し、両国を防衛するため、「核の傘」による抑止を再確認した。米政府高官は「核抑止の準備は整っている」と述べたが、どのような核戦力がアジアに配置されているかは明らかにしなかった。

 政府当局者らは北朝鮮が核保有国として認知されるため、2度目の核実験を実施するだろうとみているという。また、同紙は、北朝鮮北部の地下施設で行われているウラン濃縮計画に関する新たな情報も報告されたとしている。

6カ国協議再開で合意 昨年11月以来1年ぶり

2006/10/31 中国新聞ニュース

 【北京31日共同=渡辺陽介】中国外務省は三十一日、中国、米国、北朝鮮の六カ国協議首席代表が同日北京で非公式協議を開催し、六カ国協議を近く再開することで合意したと発表した。再開されれば、昨年十一月以来、約一年ぶりとなる。

 韓国のYTNテレビは同日、六カ国協議の北朝鮮首席代表の金桂冠外務次官が、六カ国協議に復帰する意思を中国当局に伝えたと報じた。中国中央テレビによると、中国、北朝鮮、米国の代表による協議が同日北京で行われていた。北京の米大使館当局者によると、同協議の米首席代表、ヒル国務次官補が北京に滞在中。

 外務省声明は、三カ国代表が「率直かつ突っ込んだ協議を行った」と述べた。

石油輸出に「変更なし」 対北朝鮮で中国

2006/10/31 中国新聞ニュース

 【北京31日共同】中国外務省の劉建超報道局長は31日の定例会見で、中国の北朝鮮への石油輸出について「政策に変更があるとは聞いていない」と述べ、従来通りに輸出を続けていることを明らかにした。

 劉局長は中国と北朝鮮は「経済貿易面で正常な協力関係にある」と強調。中国は北朝鮮が「エネルギー、食糧面での困難」を克服できるよう輸出政策を進めていると述べた。

 局長はまた、日米両国が北朝鮮に対し「核保有国としての6カ国協議復帰は認められない」との姿勢をとっていることについて「当面の急務は6カ国協議再開だ」と答え、現時点では協議再開に全力を挙げるべきだとの考えを示した。

北向け原油、中国の9月輸出ゼロ ミサイル実験から圧力

2006/10/31 The Sankei Shimbun 東京朝刊から

 【北京=福島香織】中国から北朝鮮向けの9月の原油輸出量がゼロとなったことが30日、中国税関総署の貿易統計(9月分)でわかった。ロイター通信が伝えた。

 中国は北朝鮮の核実験前にすでに、北朝鮮の命綱ともいえる原油輸出の引き締めを開始していた。中国は食糧援助の削減について「人道的理由」から反対の立場をとっていたが、原油供給の削減については姿勢を明確にしていなかった。中国は今年1月〜9月までは、前年同期比6.8%減少しながらも累計36万9643トンの原油を輸出、北朝鮮は7月に中国側が自制を求めたにもかかわらずミサイル発射実験を実施しており、9月の原油輸出停止は、これに対応した措置とみられる。

  北朝鮮は原油の90%、食料の3分の1を中国に依存しているとみられており、原油供給の極端な削減は北朝鮮の経済活動全般に影響を与える。中国は2003年、重油パイプラインを3日間にわたり閉じて圧力をかけ、北朝鮮を6カ国協議に参加させた経緯もあり、原油供給削減による効果については、中国側の専門家の間でも以前から打撃を与えうると指摘されている。

 

再核実験は米対応次第 金総書記の発言内容判明

2006/10/22 中国新聞ニュース

 【北京22日共同=松岡誠】中国の胡錦濤国家主席の特使として訪朝した唐国務委員と北朝鮮の金正日総書記が行った会談の全容が二十二日判明した。金総書記は「現時点で(二回目の)核実験を実施する計画はない」とする一方、「米国が圧力をかけ続けるなら北朝鮮としても対応せざるを得ない」と述べ、米国の対応次第で再度の核実験実施を辞さない姿勢を強調。米国が金融制裁を解除すれば「六カ国協議への復帰は可能」とした。中国外交筋が明らかにした。

 金総書記は再核実験に含みを持たせることで、事態打開には米国の譲歩が不可欠との姿勢を鮮明にした。しかし米国が金融制裁などで譲歩する可能性は低い上、中国にも有効な打開策はなく、核問題は手詰まり状態に陥る見通しが強まった。

 同筋によると、金総書記は「米国は対北朝鮮敵視政策を取り、北朝鮮をつぶそうとしている」と強い不満を表明。米国が昨年九月に発動した金融制裁について「一年たっても解決されていない。解除の保証が得られれば六カ国協議への復帰は可能だ」と述べた。また、朝鮮半島の最終的な非核化は故金日成キムイルソン主席の「遺訓」と話した。

 唐氏は「六カ国協議を通じて現在の情勢を打破することが重要」とした胡主席の口頭メッセージを伝達。また「情勢をさらに悪化させる行為を行わない方がよい」と再度の核実験を実施しないよう自制を求めた。

 唐氏は、核保有は「北朝鮮にとってプラスでなく、東アジアの平和と安定にもマイナス」と指摘。また(1)北朝鮮の核実験は受け入れられない(2)条約上の義務に基づき日韓両国を守る―などの米国の立場を伝え、六カ国協議への早期復帰を求めた。

 唐氏は十八日に訪朝、十九日に金総書記と会談した。

 ライス米国務長官が二十一日「総書記が核実験を再び実施するつもりはないと語ったなどとは聞いていない」と話したのは、金総書記が実質的に譲歩しなかったことを指摘したものとみられる。

金総書記、唐氏と会談 胡主席メッセージ伝達

2006/10/19 中国新聞ニュース

 【北京19日共同=渡辺陽介】中国外務省の劉建超報道局長は十九日の定例記者会見で、唐家〓国務委員(前外相)が胡錦濤国家主席の特使として十八日から北朝鮮を訪問し、十九日午前に平壌で金正日総書記と会談、胡主席のメッセージを伝えたと発表した。劉局長は「朝鮮半島情勢で(核実験という)重大な変化が起きた状況下」の訪問で「極めて重要」と意義を強調。会談では核問題について突っ込んだ協議をしたもようだ。

 北朝鮮の核実験後、金総書記が外国特使に会ったのは初めて。

 ソウルでは日米韓外相が北朝鮮への圧力強化をめぐり会談。中国は北朝鮮への影響力行使を求める国際的圧力を受け、再度の核実験阻止のため特使という「切り札」を使った形だが、北朝鮮は現時点で強硬姿勢を崩しておらず、奏功するかどうかは予断を許さない。

 訪朝には戴秉国、武大偉両外務次官が同行。北朝鮮の朝鮮中央通信も金総書記と唐氏の会談を伝えた。

 劉局長によると、中朝双方は「中朝関係と朝鮮半島情勢について突っ込んで意見交換した」という。局長は胡主席のメッセージについて「具体的な内容を把握していない」と述べたが、新たな核実験の中止と六カ国協議への復帰を求めたとみられる。

 劉局長はまた、北朝鮮の核実験を「間違っている」と批判した上で、国連決議による制裁については「バランスの取れた執行を考慮すべきだ。任意に(範囲を)拡大すべきでない」と強調した。

 唐氏は北朝鮮の核実験実施後、胡主席の特使として米国やロシアを歴訪していた。

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対北朝鮮で日米韓連携 安倍−ライス会議

2006/10/19 中国新聞ニュース

 安倍晋三首相は十九日午前、ライス米国務長官と官邸で会談した。北朝鮮の核実験に対する国連安全保障理事会の制裁決議を着実に実施するため、日米韓三カ国の連携を強化し、対応していくことを確認した。北朝鮮問題の解決で、中国の役割が極めて重要との認識でも一致、あらためて中国の外交努力への期待感を示した。

 両者は、日米安全保障体制の下で両国の協力関係を一層強化することを確認。首相は「日米同盟をミサイル防衛も含め強化するよう努力する。(在日)米軍再編のスムーズな進行にも努力したい」と表明。ライス氏は「日米は強い同盟関係を持つ。それを近代化しなければならない」と指摘した。

 ライス氏は拉致問題解決についても「日本の立場をあらためて支持する」と表明した。

 国連安保理で大詰めとなっているイランの核開発に対する制裁決議案協議に関連し、ライス氏は「決議に加え、国際金融分野でも締め付けが必要だ。イランが北朝鮮の状態にまで進まないようにすることが重要だ」と強調。首相は「イランとは石油の関係があるが、核開発を止める取り組みに影響はしない。米国と協議する」と述べ、決議に賛成する意向を示した。

 北朝鮮に出入りする船舶などの貨物検査をめぐっては十八日の日米外相会談で、米軍と自衛隊の役割や任務について今後、日米の外務・防衛当局の事務レベルで協議していくことで合意。これを受け政府は、米軍が貨物検査を実施する場合は、米軍支援のため周辺事態法などあらゆる法令の適用を検討する方針だ。

 また両氏は核問題をめぐる六カ国協議に北朝鮮が即時に無条件で復帰することを求めた。

北朝鮮制裁圧力強化で連携 日米外相会談

2006/10/18 中国新聞ニュース

 麻生太郎外相は十八日、ライス米国務長官と都内の外務省飯倉公館で会談した。北朝鮮の核実験に対する国連安全保障理事会の対北朝鮮決議を踏まえ、制裁圧力を強化していく方針を確認すると同時に、北朝鮮に六カ国協議復帰を強く求めることで一致する見通しだ。

 双方は、北朝鮮が二回目の核実験を行う可能性に懸念を表明した上で、実験に踏み切れば「孤立化を深める」として、自粛を要求する。

 ライス長官は日本に向かう機中で北朝鮮の核実験に関し、同盟国の日本と韓国に「米国の防衛責任を確約することが極めて重要だ」と同行記者団に明言しており、会談では日米同盟の重要性も再確認するとみられる。

 ライス長官は会談で、北朝鮮に出入りする船舶の貨物検査など、安保理決議に明記された制裁に取り組む米国の基本的な考え方を説明。麻生外相は周辺事態法や船舶検査活動法の適用を念頭に、日本としても準備を加速させる方針を伝える方針だ。

 ライス長官はこの後、久間章生防衛庁長官、塩崎恭久官房長官とも相次いで会談する。

核実験複数回と通告 北朝鮮軍が中国側に

2006/10/18 中国新聞ニュース

 【ワシントン17日共同=沢井俊光】米NBCテレビは十七日、北朝鮮の軍が中国側に対し、地下核実験を「一度だけでなく複数回行うつもりだ」と通告したと報じた。米政府当局者の話として伝えた。通告した時期や、中国側のどのレベルに伝達したのかなど詳細は不明。

 北朝鮮は九日に核実験を行った際、中国に事前通報している。報道が事実ならば、北朝鮮が国際社会の警告を無視して実験を繰り返す意思を既に固めていることを示すとみられる。NBCによると、中国側は、実験をやめなければ強い手段も辞さないと警告を発したという。

 また、CNNテレビは十七日、米情報当局者の話として、北朝鮮の少なくとも三カ所で、再実験の準備とみられる動きを米偵察衛星がとらえていると報道。これらの場所では、上空から地上の人員や車両の動きを見えなくするよう遮へい物をつくるなど、九日の実験実施前に見られたのと同様な動きが観測されており、CNNは再実験がいつ行われてもおかしくないとの見方を伝えた。

 一方、韓国外交通商省の李揆亨次官は十八日の定例会見で、NBCテレビの報道について「中国はそういった通報は受けていないと把握している」と述べ、否定した。

 日中韓などへの歴訪に出発したライス国務長官は経由地のアラスカ州で同行記者団に対し、北朝鮮の再実験は「孤立を深めるだけだ」とあらためて警告。米国には北朝鮮を攻撃する「意思も望みもない」と繰り返し、「地域の緊張緩和がわれわれの目標だ」と強調した。

安保理が北朝鮮制裁決議採択 北朝鮮は即座に拒否

2006/10/15 中国新聞ニュース

 【ニューヨーク14日共同=川北省吾】北朝鮮の核実験実施発表をめぐり、国連安全保障理事会は十四日午後(日本時間十五日未明)、非軍事の経済・外交制裁を規定した国連憲章七章四一条に基づき、日米韓など九カ国が共同提案した北朝鮮制裁決議を全会一致で採択した。

 安保理の五常任理事国と日本は、採択に先立ち同日、大使級会合を開き、ロシアと中国の主張に配慮、最終案のうち北朝鮮船舶などへの貨物検査(臨検)と禁輸対象に関する規定を一部手直しした。

 北朝鮮が一九九一年に国連に加盟して以来、安保理が北朝鮮制裁決議を採択したのは初めて。

 九日の核実験実施発表から異例のスピードで厳しい圧力強化策を打ち出し「必要ならさらなる決定を要求する」と追加措置の可能性を盛り込んだ決議を突き付けることで、安保理は強い警告を発することになった。

 決議は「(強制措置の法的根拠となる)国連憲章七章に基づいて行動し、七章四一条の下で措置を講じる」と明記。

 その上で(1)戦車など指定された大型通常兵器、核・ミサイル・大量破壊兵器関連物資、ぜいたく品の禁輸(2)大量破壊兵器計画への関与が認定された個人や団体の海外の金融資産凍結(3)同計画への関与が認定された個人の海外渡航禁止に向けた必要措置−などを国連加盟国に義務付けた。

 さらに大量破壊兵器の移転を阻止するため、加盟国の国内法や国際法を踏まえながら、必要があれば北朝鮮を出入りする船舶などの「貨物検査(臨検)を含む協調行動」を求めた。

 また海外渡航禁止や金融資産凍結などの対象となる北朝鮮の個人や団体を指定したり、実施状況監視のため、安保理理事国で構成する制裁監視委員会の設置を求めた。

 制裁監視委は最低九十日ごとに監視結果を安保理に報告。加盟国は採択から三十日以内に実施状況を安保理に報告する。

          ◇

 【ニューヨーク14日共同】国連安全保障理事会が十四日、北朝鮮制裁決議を全会一致で採択したことに対し、北朝鮮の朴吉淵国連大使は同日、安保理で「不当決議を全面的に拒否する」と述べた。

露、北朝鮮擁護は国益にならずと判断 安保理決議

2006/10/15 中国新聞ニュース

 【モスクワ15日共同】ロシアが国連安全保障理事会の北朝鮮制裁決議に賛成した背景には、ソ連崩壊後に進んだロ朝関係の冷え込みに歯止めがかからず、北朝鮮擁護は国益にならないとのプーチン政権の判断がある。

 両国関係は一九九○年のソ連と韓国との国交樹立で冷却化。九○年代にはソ連崩壊による混乱などで北朝鮮支援は事実上ストップし、同国の経済危機の原因となった。米中枢同時テロを契機とするロシアの対米協調路線もあり、ロ朝関係の改善は進まなかった。核実験実施発表で北朝鮮の態度は明確に「国益に反する」(コサチョフ下院外交委員長)ものになった。

 ロシアにはイランの方がはるかに重要だ。ロシア紙は、北朝鮮制裁決議への支持の見返りに、近く始まる安保理のイラン制裁決議案協議でロシアが自国の権益を制裁対象から除くよう求める可能性を指摘。北朝鮮は米欧との取引材料でしかないとの見方を示した。

北朝鮮制裁決議を採択 経済で圧力、武力行使排除

2006/10/15 中国新聞ニュース

 【ニューヨーク14日共同】北朝鮮の核実験実施発表をめぐり、国連安全保障理事会は14日午後(日本時間15日未明)、非軍事の経済・外交制裁を規定した国連憲章7章41条に基づき、日米韓など9カ国が共同提案した北朝鮮制裁決議を全会一致で採択した。

 安保理の5常任理事国と日本は、採択に先立ち同日、大使級会合を開き、ロシアと中国の主張に配慮、最終案のうち北朝鮮船舶などへの貨物検査(臨検)と禁輸対象に関する規定を一部手直しした。

 北朝鮮が1991年に国連に加盟して以来、安保理が北朝鮮制裁決議を採択したのは初めて。

 9日の核実験実施発表から異例のスピードで厳しい圧力強化策を打ち出し「必要ならさらなる決定を要求する」と追加措置の可能性を盛り込んだ決議を突き付けることで、安保理は強い警告を発することになった。

 決議は「(強制措置の法的根拠となる)国連憲章7章に基づいて行動し、7章41条の下で措置を講じる」と明記。

 その上で(1)戦車など指定された大型通常兵器、核・ミサイル・大量破壊兵器関連物資、ぜいたく品の禁輸(2)大量破壊兵器計画への関与が認定された個人や団体の海外の金融資産凍結(3)同計画への関与が認定された個人の海外渡航禁止に向けた必要措置−などを国連加盟国に義務付けた。

 さらに大量破壊兵器の移転を阻止するため、加盟国の国内法や国際法を踏まえながら、必要があれば北朝鮮を出入りする船舶などの「貨物検査(臨検)を含む協調行動」を求めた。

 また海外渡航禁止や金融資産凍結などの対象となる北朝鮮の個人や団体を指定したり、実施状況監視のため、安保理理事国で構成する制裁監視委員会の設置を求めた。

 制裁監視委は最低90日ごとに監視結果を安保理に報告。加盟国は採択から30日以内に実施状況を安保理に報告する。

韓国も金融制裁に同調 対北朝鮮で方針転換

2006/10/11 中国新聞ニュース

 【ソウル11日共同】韓国の韓明淑首相は11日、北朝鮮に対する国連安全保障理事会の制裁決議案に関する国会答弁で「金融制裁に参加する」と述べ、韓国政府として決議案に基づく金融制裁に同調する姿勢を示した。一方で「軍事制裁には賛成出来ない」との立場を強調した。

 韓国政府はこれまで米韓首脳会談などでブッシュ米政権の金融制裁に苦言を呈してきたが、北朝鮮の核実験実施発表を受けて決議を尊重、参加する方針に転換した。

 また、韓国の盧武鉉大統領は同日、南北経済協力の関係者らとの昼食会で、核実験問題の対応について「どんな政策も(韓国)政府が独断で決定できるものではなく、国際社会との調整が必要だ」と関係国や国連との協調方針を表明した。

 大統領は「(核実験)問題は1、2カ月で解決するものではなく長期化するだろう」と述べ、長期的な視野で対応する姿勢を示した。

週内採択へ協議再開 北朝鮮制裁決議案

2006/10/11 中国新聞ニュース

 【ニューヨーク11日共同】北朝鮮の核実験実施発表をめぐり、国連安全保障理事会の5常任理事国と日本の6カ国は11日午前(日本時間同深夜)、米国が軍事・経済制裁の法的根拠となる国連憲章7章に基づいて提示した対北朝鮮決議案の協議を再開する。各国は週内の決議採択を目指しており、協議はヤマ場を迎えつつある。

 複数の安保理筋によると、中国の王光亜国連大使は10日の6カ国大使級協議で、武力行使に道を開く7章42条も視野に「憲章7章に基づいて行動する」とした米国案の表現ではなく、経済・外交制裁のみを規定した「7章41条に基づいて行動する」と修正するよう提案。日米はこれに反対しており、こうした点の調整が焦点。

 制裁の内容については、中国やロシアは米国案に盛り込まれた制裁措置の「多くの要素は良いものだ」(王光亜大使)として容認する構えだが、北朝鮮船舶に対する臨検や金融制裁などの受け入れには難色を示しており、せめぎ合いが続いている。

 10日の実務者会合では決議修正案が示されたが、日米と中ロの折り合いがつけば、安保理議長国の日本は新たな修正案を提示する方針。大島賢三国連大使は10日、国連本部で「11日になれば(週内採択が可能かどうかの)見通しがはっきりする」と記者団に語った。

 米決議案には臨検に加え、大量破壊兵器用の物資や軍用品、ぜいたく品などの禁輸、通貨偽造やマネーロンダリング(資金洗浄)、麻薬取引などの不法行為に関連した金融資産凍結などが盛り込まれている。

米次第で再実験も 北朝鮮の金永南委員長

2006/10/11 中国新聞ニュース

 【平壌11日共同=磐村和哉】北朝鮮の金永南(キムヨンナム)最高人民会議常任委員長は十一日、平壌で共同通信と会見、核実験を引き続き行うかどうかについて「米国のわが国への政策動向に関連する。引き続き圧力を加えるなら、物理的措置を講じざるを得ない」と述べ、今後の米国の対応次第で再実験などもあり得るとの立場を示した。国交正常化をうたった二○○二年の日朝平壌宣言については、安倍晋三政権発足後も「有効だ」と言明した。

 安倍政権発足と核実験実施発表後、北朝鮮の国家元首にあたる序列二位の最高幹部が核実験や対日関係で見解を表明したのは初めて。核実験が米国に政策転換を迫る狙いであることを明確にしたといえる。

 朝鮮中央通信によると、北朝鮮外務省も同日、米国が制裁を強化すれば「これを宣戦布告とみなし、続けて物理的対応措置を講じるだろう」との報道官談話を発表、再実験の可能性を強く示唆した。

 核実験について金委員長は「核戦争の抑止力のため」と自衛的措置との立場を強調、北朝鮮が核兵器を保有することで「北東アジアの力の均衡が維持される」と主張した。

 六カ国協議への復帰問題では「米国の態度にかかっている。ブッシュ政権は六カ国協議を通じ核問題を解決する意思がない」と批判、核実験実施発表後も金融制裁さえ解除されれば同協議に復帰する用意があるとの考えを示した。

 さらに、国内は安定しているとし、「敵対勢力の経済封鎖、制裁の強化にもかかわらず、経済は上昇軌道にある」と強調、国際社会の制裁は効果がないと自信を示した。

 また、平壌宣言履行には「それぞれの条項について尊重する基本的な姿勢と立場を堅持することが必要」とした上で、「これは宣言に言及された内容と、実際に日本で論議されている拉致問題などを念頭に置いての発言だ」とも述べた。拉致問題で何らかの打開を図る必要があるとの認識を抱いていることを示唆したとみられる。

 会見は万寿台議事堂で、共同通信の石川聡社長らとの間で行われた。

追加実験の情報、米韓否定 北朝鮮で地震感知せず

2006/10/10 中国新聞ニュース

 九日に核実験実施を発表した北朝鮮が再び核実験を行った情報があるとの日本の一部報道が十一日あり、韓国青瓦台(大統領官邸)の尹太瀛スポークスマンは「地震波は感知されていない」と否定した。ロイター通信によると、米ホワイトハウス当局者も、追加実験の情報を確認していないと述べた。

 米地質調査所(USGS)当局者も日本時間十一日午前九時すぎ、AP通信に「朝鮮半島でこの二時間に地震活動は感知されていない」と述べた。日本の気象庁は十一日午前、「午前五時から八時半までの間、北朝鮮北部周辺を震源とする地震波形は観測されていない」と発表した。

 国連安全保障理事会では北朝鮮による九日の核実験実施の発表直後から、国連憲章七章に基づく制裁論議が活発化している。これまでのところ、情報を裏付ける材料はないが、相次ぐ実験発表となれば日米を中心とした反発がさらに強まるのは必至だ。

 韓国の聯合ニュースによると、別の青瓦台当局者は十一日午前九時現在(日本時間同)「異常な動きはまったくない」と情報を否定。外交通商省高官も「現在までそれと関連して把握された情報はない」と明言した。(共同)

パキスタンの核と同程度? 筑波大が地震波解析

2006/10/10 中国新聞ニュース

 筑波大の八木勇治・助教授(地震学)は10日、世界各地で観測された地震波形データを解析した結果、北朝鮮の核実験とされる爆発の規模は、1998年にパキスタンで実施された核実験とほぼ同等であるとの見解を明らかにした。

 八木助教授は、地震波から推定した爆発力の大きさは6430兆ニュートン・メートルで、パキスタンの核実験での7100兆ニュートン・メートルとほぼ同程度だった。ニュートンは力の単位で、物体に加わった力の大きさを表す。

 誤差は大きいがこの値から計算すると、TNT火薬相当量で25・7キロトンになるという。これは広島型原爆の15−16キロトンより大きい。

 八木助教授は、「観測データが少ないため正確な値ではないが、少なくとも小規模な爆発とはいえない」と話した。

北朝鮮制裁案を本格協議へ 核実験で国連安保理

2006/10/10 中国新聞ニュース

 【ニューヨーク10日共同=川北省吾】国連安全保障理事会の五常任理事国と日本は十日、北朝鮮の核実験実施発表を受けて米国が九日に示した対北朝鮮制裁決議案をめぐる本格協議に着手する。北朝鮮と友好関係にある中国とロシアも北朝鮮の度重なる挑発行動を非難、制裁の法的根拠となる国連憲章七章に基づく制裁もやむを得ないとの認識をにじませている。厳しい対応を求める日米と、どの程度の制裁内容で折り合うかが焦点となりそうだ。

 米国の決議案は、北朝鮮に出入りする船舶の臨検に加え、大量破壊兵器用物資、軍用品、ぜいたく品などの禁輸、通貨偽造やマネーロンダリング(資金洗浄)、麻薬取引などの不法行為に関連した金融資産凍結などが盛り込まれた厳しい内容。

 安保理筋によると、米国は北朝鮮が核実験実施を発表する前の先週末に既に制裁構想を安保理各国に水面下で打診。核実験実施を見越し、安保理内の合意形成に向けた外交工作を進めていた。

 安保理議長国でもある日本は、米国と一緒に前面に立つのではなく、北朝鮮高官の海外渡航や北朝鮮船舶の入港、同航空機の乗り入れ、北朝鮮全産品の輸入のそれぞれ禁止など米決議案の追加提案として示すにとどめた。

 麻生太郎外相は十日の記者会見で、臨検については「考えていない」と否定的見解を示した。

 しかし、日米は「基本的に同じ方向を向いている」(安保理筋)。別の安保理筋によると、ボルトン米国連大使は九日の安保理非公開協議で「日本や韓国への攻撃は米本土への攻撃と見なす」と述べ、北朝鮮をけん制した。

 安保理の大半が七章決議支持に傾く中、ロシアのチュルキン国連大使は「北朝鮮は安保理の深刻な態度に直面するだろう」と指摘。中国の王光亜国連大使も外交解決の余地を残すよう求めながらも「断固とした対応が必要」としている。

衆院が核実験に抗議決議 「無謀な暴挙」と全会一致

2006/10/10 中国新聞ニュース

 衆院は十日夕の本会議で、北朝鮮の核実験について「いかなる理由に基づこうとも正当化の余地はなく、無謀な暴挙を絶対に容認できない」と抗議する決議を全会一致で採択した。参院も十一日夕の本会議で同様の決議を採択する見通し。

 決議は、北朝鮮の核開発について「国際社会全体の平和と安全に対する重大な挑戦だ」と非難。唯一の被爆国として、あらゆる国の核実験に反対する立場を明確にした上で「北朝鮮が直ちにすべての核兵器、核計画を放棄することを強く求める」と宣言した。

 自民党案では当初「国連憲章七章に基づく制裁も視野に入れたあらゆる制裁措置を講ずるべきだ」としていたが、社民党が国対委員長会談で「七章に基づく制裁は抑制的であるべきだ」と主張。

 自民、民主両党の議院運営委員会理事らが協議を重ねた結果、与党側も「国会としてまとまった姿勢を示すことが対外的に重要」(国対筋)と判断し、「七章に基づく措置も含め、国際社会が結束した外交を展開し、平和的な解決を模索すべきだ」との表現に落ち着いた。

爆発規模小さく失敗説も 高度な爆縮技術必要

2006/10/10 中国新聞ニュース

 【ワシントン10日共同】北朝鮮が成功したとする地下核実験は、地震波から推定される爆発の規模が核実験にしては小さく、失敗だった可能性を指摘する声が出ている。核分裂の連鎖反応を起こさせるには高度な「爆縮」技術が必要で、実験の実態把握にはしばらく時間がかかりそうだ。

 「探知したのは一キロトン以下の爆発で、核爆発なのかどうか確認できない」。米CNNテレビは米情報当局者の話として伝えた。フランス国防相はAP通信に対して失敗の可能性を示唆した。

 爆発の規模は、観測された地震波から、TNT火薬に換算して○・四キロトン(韓国筋)から一五キロトン(ロシア筋)までさまざま。米紙ワシントン・ポストは米政府当局者の話として、北朝鮮は中国に四キロトンと予告していたが、実際の爆発は○・二キロトン程度だった可能性があると伝えている。

 北朝鮮は長崎原爆(約二一キロトン)と同様にプルトニウムを使用したとみられる。プルトニウム球を高性能爆薬で覆い、その爆発力で一気に圧縮させ核分裂を起こさせる爆縮技術が欠かせない。

 東京工業大の沢田哲生助手(原子核工学)によると、二○キロトン前後が最も作りやすく、一○キロトン以下に小型化するには起爆装置に一層の精密さが求められる。

 爆縮が不十分だと、予定した量のプルトニウムが核分裂反応を起こす前に飛び散る「早期爆発」になる。

 ただ、一キロトン程度の小型原爆は米国が一九六○年代に開発。北朝鮮は起爆装置の実験を繰り返していたとの情報もあり、小型化に成功してもおかしくないとみる専門家もいる。

追加実験の可能性も 韓国情報機関

2006/10/10 中国新聞ニュース

 【ソウル9日共同】韓国の聯合ニュースによると、韓国国家情報院の金昇圭院長は九日、非公開の国会情報委員会で、核実験が行われたと推定される北朝鮮の咸鏡北道花台郡舞水端里から約三十キロ離れた場所で、車両や人の異常な動きがあり、北朝鮮が追加核実験を行う可能性もあり注視していると報告した。

 委員会に出席した議員によると、金院長は「(事前に)核実験が行われると推定されていた吉州郡豊渓里で、午後三時から三十―四十人の人間や車両による異常な動きがある」と報告。別の議員は、金院長が「北韓(北朝鮮)が追加核実験を行う可能性は十分と見ている」と述べた、と話した。

 CBSラジオは、金院長が、核実験とみられる爆発があった場所が実際には豊渓里だった可能性もあることを前提に、異常な動きの理由を分析する必要があると話したと伝えた。

米、制裁決議案提出へ 北東アジア戦略見直しも

2006/10/09 中国新聞ニュース

 【ワシントン8日共同】北朝鮮の核実験実施の発表を受け、ブッシュ米政権は日本と連携し、対北朝鮮制裁に道を開く国連憲章七章を盛り込んだ安全保障理事会決議案を直ちに提出するなど、徹底した強硬策で臨む方針。一方で新たな「核保有国」の出現という現実を踏まえ、中・長期的には北東アジア地域全体の安全保障戦略の見直しが不可避となりそうだ。

 ブッシュ政権はクリントン前政権下の一九九四年の枠組み合意を北朝鮮が一方的にほごにしたとして、米朝の二国間交渉を拒否。北朝鮮を「悪の枢軸」の一角に位置付け、圧力によって核開発放棄に追い込むという路線を歩んできた。

 しかし、その帰結が核実験となったことで政権の対北朝鮮政策の行き詰まりも浮き彫りになった。金正日体制を忌避するブッシュ大統領は対決姿勢をさらに強める構えだが、議会などからは政策の抜本的見直しを求める声が上がっていた。

 核実験を行った北朝鮮に対し、米国が打つ手も限られている。表向きは「すべての選択肢を排除しない」として、軍事攻撃にも含みを残しているが、実行すれば北朝鮮の反撃による日本、韓国への被害も予想され、現実的には困難だ。

 そのため当面は安保理制裁決議をもとに、金融面や核拡散防止面で北朝鮮に圧力をかける具体的な措置を各国に求める方針。特に中国に対しては食糧支援とエネルギー供給の見直しを求め、金正日体制の封じ込めを強化するとみられる。

 米国は北朝鮮の核保有を、インドやパキスタンのようには容認しない方針。一方で北東アジアの安全保障地図は塗り替えられ、現実的には「核保有国・北朝鮮」を前提にした対応を迫られる。日本に対し、北朝鮮の核を念頭に置いた抑止力増強を求める可能性もある。

譲歩迫り危険な賭け 核軍縮カードに攻勢か

2006/10/09 中国新聞ニュース

 【北京9日共同】朝鮮中央通信が、北朝鮮が九日、核実験を実施したと報じたことで、米国から敵視政策転換などの譲歩を引き出すための「瀬戸際戦術」は後戻りのできない危険な賭けの局面に入った。実際に核兵器開発能力があることを内外に誇示し、「核保有国」として、核軍縮などをカードに攻勢を強めるとみられるが、米国が応じる可能性は低く、対立は決定的な段階を迎えた。

 国連安全保障理事会で経済制裁を求める声が一気に強まるのは必至。日米だけでなく、六カ国協議で北朝鮮の立場に一定の理解を示してきた中国やロシアも、七月の弾道ミサイル発射に続く核実験強行に強い衝撃を受けたのは確実で、北朝鮮は国際的な孤立をますます深めることになった。

 昨年九月の第四回六カ国協議で共同声明が採択されたものの、核放棄は軽水炉提供後とする北朝鮮に対し、米国は完全核放棄を優先させる姿勢を崩していない。金融制裁が強化される中、危機感を極度に高め局面転換を図るしかないとの判断に達したとみられる。

北朝鮮北東部でM4.9の地震観測 気象庁

2006/10/09 The Sankei Shimbun

 気象庁は、北朝鮮が核実験を実施したと発表した同国北東部で9日午前10時35分ごろ、マグニチュード(M)4.9の地震を観測したと発表、長野市の「精密地震観測室」などで検知した地震波形を公表した。

 同庁は「遠方の地震で地震波も微弱なため、現時点では核実験が原因とは断定できない」としたが、自然界の地震で通常発生するS波(主要動)と呼ばれる地震波が確認されないと指摘した。

 同庁によると、震源は東経129.2度、北緯41.2度で、震源の深さは不明。

北朝鮮が「核実験」 北東部で地震波検知

2006/10/09 中国新聞ニュース

 ▽6カ国協議崩壊へ

 北朝鮮の国営朝鮮中央通信は九日、北朝鮮が同日、初の地下核実験に成功したと報じた。プルトニウム型原爆とみられるが、日米両政府は実験実施を確認していない。北朝鮮は昨年二月に核兵器保有を公式宣言していた。今年七月の弾道ミサイル発射を上回る強硬措置。十月三日の外務省声明通り実験を行ったと表明したことで日米など国際社会は強く反発、国連での制裁論議は必至だ。昨年十一月以降中断している六カ国協議は完全に崩壊し、朝鮮半島情勢は一九九四年の核危機以上に深刻な事態に陥り、米朝間の緊張が危機的な状況に達する恐れもある。

 朝鮮中央通信は、核実験による放射能漏れはないとしている。実験の場所や時間には言及していない。核爆弾の数や規模なども不明。

 聯合ニュースによると、韓国政府当局者は北朝鮮北東部の咸鏡北道の花台郡地域で九日午前十時三十六分に地震波が検知されたと述べた。ロイター通信によると、韓国の青瓦台(大統領官邸)は北朝鮮でマグニチュード(M)3・58から3・7の地震を感知したことを明らかにした。

 日本政府は同日午前、北朝鮮の核実験で首相官邸に「官邸対策室」を設置、関係閣僚や関係省庁の局長を緊急招集した。

 韓国政府は盧武鉉大統領が主宰する緊急の安全保障関係の閣僚会議を開き、対策を協議する。

 米CNNテレビは、米情報機関は「確認できていない」と述べたと伝えた。

 北朝鮮は金融制裁をはじめ米国主導による北朝鮮包囲網強化に危機感を強め、「核保有国」であることを誇示、米国を直接交渉に引き出す狙いとみられるが、米国が応じる可能性は低く、中国やロシアも厳しい対応を示すのは確実で、国際的孤立が一気に深まった。(共同)

6カ国協議の千英宇代表、9日に北京で中国と協議

2006/10/07 Yonhap News

【ソウル7日聯合】北朝鮮の核実験宣言について韓中の共同対応策を協議するため、6カ国協議の首席代表を務める外交通商部の千英宇(チョン・ヨンウ)朝鮮半島平和交渉本部長が9日に中国・北京を訪れ、中国首席代表の武大偉・外交部副部長ら中国高官と接触する。

 政府当局者は7日、聯合ニュースの電話インタビューに対し、状況を打開するには韓中両国の努力が重要だと述べた。武副部長が先月末に来韓し両国は北朝鮮核問題の対策を話し合ったが、北朝鮮の核実験宣言で状況が変わったため、千本部長を北京に派遣し、より密度の高い対応策を話し合う方針だと説明した。政府は今回、北朝鮮が核実験を強行する場合に引き起こされる状況などについて韓中両国が強力な警告メッセージを送り、北朝鮮が6カ国協議に復帰するよう促す外交的方策を話し合うものとみられる。

 同時に、北朝鮮を6カ国協議に復帰させ共同宣言を履行させるための「包括的アプローチ」の詰めに向けて、詳細な協議も進めているようだ。政府高官は「関係国との協議が続いている。国連安保理の議長声明とは別途に、非公開の形ながら米国や中国、ロシアなどのさまざまな経路を通じ、核実験を強行してはならないというメッセージが北朝鮮に伝えられている」と述べた。これと並行して対話と交渉による解決を目指した外交的努力も続いており、中国との協議もこの流れで行われるとした。

 一方、北朝鮮が早ければ今週末にも核実験に踏み切るという一部の外信報道について、この高官は推測による話だとコメントしている。現在24時間体制で北朝鮮の動向を観察しているが、特別な兆候はないという。

対北議長声明を採択 安保理、核実験に「深刻な憂慮」

2006/10/07 The Sankei Shimbun

 【ニューヨーク=長戸雅子】国連安全保障理事会は6日午後(日本時間7日未明)、非公式協議で、北朝鮮の核実験実施方針の表明に対し「深刻な憂慮」を示した日本の声明修正案について、安保理の政治声明である議長声明を採択した。声明では核実験が強行された場合、「安保理がさらなる行動を取る」と警告しているが、米国が要求した、制裁の法的根拠となる国連憲章7章への言及は見送られた。

 声明は、日中、日韓首脳会合前の早期決着を目指した日本と慎重姿勢を貫いた中国、ロシアの思惑が結果的に一致した形だが、拘束力はなく北朝鮮に対する歯止めとなるかどうかは未知数で引き続き関係各国の外交努力が求められる。

全船舶臨検含め制裁検討 米、中国に特使派遣要請へ

2006/10/06 The Sankei Shimbun

 5日付の米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)によると、複数の米政府高官は同日、核実験を行うとの北朝鮮外務省の声明を受け、ブッシュ政権が北朝鮮に出入りする全船舶の臨検を含めた制裁強化措置の検討に入ったことを明らかにした。

 また、ブッシュ大統領は中国の胡錦濤国家主席と数日中に電話会談を行い、北朝鮮に対し、核実験を実施すれば重大な結果を招くと警告するために特使派遣を要請することを計画。中国だけでなく周辺地域の各国首脳との電話会談も予定しているという。

 制裁措置は段階的に厳しくし、当初は経済制裁の強化からスタート。その後、北朝鮮の7月のミサイル発射を受けて国連安全保障理事会で採択された決議に沿う形で、全船舶の臨検などの制裁に拡大させる。

 米政権はまた、中国や韓国に対し、北朝鮮との通商やエネルギー供給を中断するよう再び働き掛けることも検討している。(共同)

政府「北核実験計画直ちに取り消さねば」

2006.10.04 中央日報

政府は北朝鮮の核実験宣言について「北朝鮮が核兵器を保有することを決して受け入れないという政策を確実なものとし、北朝鮮が核実験計画を直ちに取り消すことを促す」と明らかにした。チュ・ギュホ外交部スポークスマンは4日午前に開かれた安保政策調整会議の結果を盛り込んだ声明を通じてこのように明らかにした。

政府は声明で「北朝鮮が3日付外務省声明で『これから核実験をする』と発表したことは『韓半島非核化共同宣言』を完全に破棄するというもので、これに対して非常に深刻な憂慮と懸念を表明する」と明らかにした。続いて「政府が韓米首脳会談を契機として6カ国協議再開及び9.19共同宣言の履行のための案を関連国と深く協議しており、北朝鮮側が核実験を取り上げたのは対話を通じての問題の解決に逆らって行くことを明らかにしておく」と指摘した。

政府はまた「北朝鮮は国連安保理決議1695号に基づき、これ以上状況を悪化させる措置を取らずに6カ国協議に条件なしで早期復帰しなければならない」と明らかにした。これとともに政府は「対話を通じて北朝鮮核問題を解決しようとする我々の真摯な努力にもかかわらず、北朝鮮が核実験を強行した場合、北朝鮮はこれにより起こるすべての結果に対して全面的に責任を負わなければならない」と警告した。

北の核「日韓台の核開発を誘発」 米共和党報告

2006/10/04 The Sankei Shimbun

 【ワシントン=山本秀也】米下院情報特別委員会(ホークストラ委員長)は3日、北朝鮮が核実験を強行した場合、「日本、台湾、おそらく韓国も独自の核開発計画に走る可能性がある」と警告する報告書を公表した。与党共和党が作成したもので、報告書は情勢流動化を招きかねない北朝鮮の核開発動向に関して、米情報機関に質の高い分析を米政府に提供するよう求めている。

 報告書では北朝鮮による核兵器や弾道ミサイル、生物・化学兵器−などの開発問題や、拉致問題などの国家犯罪にも言及した。核兵器に関しては、「北朝鮮は保有に言及しており、米情報機関の分析では(保有は)おそらく事実だ」と指摘。2012−14年に寧辺などでの新型施設が稼働すれば、年間40−65発もの核弾頭製造能力を手にするとしている。

 北朝鮮が核実験に踏み切った場合は、「地域安保情勢に深刻な影響をもたらす」として、日本などが核開発に走ることを警告した。台湾、韓国とも、これまで限定的な核開発を試みたことが判明している。

「北朝鮮は最大限の自制を」 国連事務総長が声明

2006年10月04日 asahi.com

 北朝鮮の核実験声明について、国連のアナン事務総長は3日、北朝鮮に「最大限の自制」を求める声明を発表した。

 声明は「世界と懸念を共有する」と述べ、「もし実際に核実験が行われれば、地域の緊張をさらに悪化させ、国際社会から非難を浴びるだろう」とした。

 また、北朝鮮に核問題を話し合う6者協議に復帰するよう求め、交渉を通じて解決されることに期待を示した。

北朝鮮の核実験場周辺で人や車両の動き CNN報道

2006/10/04 The Sankei Shimbun

 【ワシントン=有元隆志】米CNNテレビは3日、米情報筋の話として、北朝鮮の核実験場周辺で最近、人や車両、装備の動きがみられると伝えた。具体的な場所やどのような動きかについては言及していないが、ペリーノ大統領副報道官は同日、北朝鮮の核実験実施方針について、「深刻な懸念を表明する」との声明を出した。

 同副報道官は「核実験はアジアと世界の平和と安全に脅威をもたらす」と指摘するとともに、実験方針の発表について、「このような挑発的な行為は北朝鮮政権の孤立を深めるだけだ」と非難した。そのうえで、米国は核問題をめぐる6カ国協議の北朝鮮を除く他の参加国とともに、平和的、外交的手段で、朝鮮半島の非核化を目指すと強調している。

 さらに、6カ国協議参加国や国連安全保障理事会に対し、核実験の実施は一層孤立を招くだけであり、北朝鮮国民の利益にもならないと、北朝鮮を説得するよう求めた。

 北朝鮮の核実験場をめぐっては、米ABCテレビが8月に北東部・咸鏡北道の豊渓里(プンゲリ)の地下核施設の外で、ケーブルの束の積み降ろしなど、核実験を準備していることを示す証拠があると伝えている。

北「核実験宣言」で安保理が非公式協議

2006/10/04 The Sankei Shimbun

 【ニューヨーク=長戸雅子】国連安全保障理事会は3日午前、北朝鮮が核実験実施の方針を公表したことを受け、非公式協議を実施した。

 今月の安保理議長を務める日本の大島賢三国連大使は「日本と周辺国にとって脅威になる」と指摘。7月に採択された北朝鮮の弾道ミサイル発射に対する非難決議に核開発への懸念が盛り込まれており「それが起こり始めている」と述べた。ボルトン米国連大使は「北朝鮮が核実験に進まないよう、戦略に基づいたものを安保理は出す必要がある」と語った。4日から本格的な協議が開始される。

「核実験実施する」 北朝鮮外務省が声明

2006/10/03 The Sankei Shimbun

 朝鮮中央通信によると、北朝鮮外務省は3日、声明を発表し「科学研究部門で今後、安全性が徹底して保証された核実験をする」と表明した。北朝鮮が核実験実施に具体的に言及したのは初めて。実験の具体的な日時などについては一切触れていない。

 米国による金融制裁に北朝鮮が反発、6カ国協議が昨年11月以降中断する中での実施宣言に、日米韓などを中心に国際社会が強く反発するのは必至だ。

 声明は、米国の北朝鮮に対する「孤立圧殺策動」が極限を越え、最悪の状況をもたらしていると激しく非難。「これ以上事態の発展をただ眺めていることはできない」として「自衛的抑止力を強化する新しい措置を取る」とした。

 一方で声明は「絶対に核兵器を先に使用せず、核兵器を通じた威嚇や核移転は決して認めない」との立場を示した。

 北朝鮮は昨年2月に核保有を公式に宣言している。関連国は北朝鮮の実施兆候を注視するとともに、思いとどまるよう説得を強めるとみられる。(共同)

北朝鮮、6カ国協議復帰を拒否 外務次官の一般演説

2006/09/27 The Sankei Shimbun

 【ニューヨーク=長戸雅子】北朝鮮の崔守憲外務次官は26日、国連総会で一般演説を行った。崔次官は「米国の根拠のない制裁が行われているなかで、自国の核兵器を放棄する協議に参加するのは不合理」と述べ、朝鮮半島の核問題を話し合う6カ国協議について、米国の金融制裁が解除されない限り復帰しないとの立場を改めて主張した。

 崔次官は北朝鮮のミサイル発射に対する国連安全保障理事会の非難決議にも言及、「軍事演習や経済封鎖など米国の軍事的な術策が許容される一方、防衛目的の通常のミサイル試射が『国際の平和と安全への脅威』として非難された」との持論を展開。

 安保理の常任理事国入りを目指す日本にも非難の矛先を向け、「アジア諸国を侵略し、罪のない市民を虐殺した戦犯で、その歴史を歪曲(わいきょく)している日本のような国は常任理事国になるべきではない」と述べた。

中国 北の非核化求めず」米議会公聴会 政府前高官が証言

2006/09/17 The Sankei Shimbun

 【ワシントン=古森義久】米国議会の14日の公聴会で北朝鮮の核兵器やミサイル開発に対する中国の態度が論じられ、ブッシュ政権の前高官2人が中国は実は北朝鮮の非核化は求めておらず、金正日政権の崩壊を防ぐことに懸命になっている、と証言した。

 米国議会の超党派の政策諮問機関「米中経済安保調査委員会」は同日、北朝鮮の核兵器や弾道ミサイルの拡散への中国の役割についての公聴会を開き、一連の専門家の証言を求めた。

 2002年から昨年までブッシュ政権で副大統領の安全保障担当補佐官を務めたアーロン・フリードバーグ氏(現プリンストン大学教授)は中国が(1)北朝鮮の核兵器の公然たる実験には反対するものの、完全破棄は望んでおらず、北朝鮮の求める「凍結」でもよいと考え、6カ国協議で協力するふりをみせ、「責任あるステークホルダー(利害保有者)」として米国の信用を得ようとしている(2)しかし金正日政権の崩壊は強く嫌い、米国や日本が対北姿勢を強固にするにつれ、逆に食料や燃料の援助を増加し、北朝鮮が大量破壊兵器技術や麻薬、偽札などを密輸する際に中国領経由を許している(3)長期的には中国に友好的で、米国の同盟相手ではない政権による朝鮮半島統一を望み、そのためには民主主義の影響が北朝鮮に及ぶことを防ぐ目的で中朝国境の封鎖を厳重にする一方、韓国に急接近して、米韓同盟を骨抜きにしようと試みている―などと証言した。

 同氏はさらに中国の東アジアでの長期目標について「当面は米国との衝突を極力、避けて、総合的国力を強め、やがては東アジアで米国にとって代わる最大パワーとなることを目指している」と述べ、中国の対日政策に関連して、「日本を米国から離反させようとして脅しをかけたが、逆に日本に反発され、米国との同盟強化へと走らせてしまった」と証言した。

 2001年からほぼ4年間、第一次ブッシュ政権で東アジア太平洋担当の国務次官補特別顧問だったデービッド・アッシャー氏(現防衛分析研究所員)も中国は6カ国協議に対し米国と正反対に、北朝鮮の核兵器破棄を目的とはせず、自国の対外的立場を有利にするための手段にしていると述べた。同氏はさらに中国は米国などからの圧力でのみ動くとして、北朝鮮の不正な外貨収入を減らすために、北朝鮮と取引する中国の銀行や企業に対し米国主導の経済制裁、金融制裁を拡大していくことを提案した。

 アッシャー氏はブッシュ政権が中国領のマカオにある銀行に課した金融制裁が効果をあげたことを強調し、日本などとも連携して、北朝鮮の偽造タバコ、偽札、麻薬などの密輸による資金洗浄ルートをつぶしていくことをも訴えた。

非同盟諸国会議 北朝鮮、反米結束を呼びかけ

2006/09/17 The Sankei Shimbun

 【ハバナ=長戸雅子】北朝鮮の金永南最高人民会議常任委員長は16日、キューバの首都ハバナで開かれている非同盟諸国会議第14回首脳会合で演説し、「米国が北朝鮮に対する敵視政策を変えない限り、(6カ国協議の)対話には復帰しない」と改めて強調した。さらに「米国は人権や核を口実に他国に干渉している」と指摘、非同盟諸国は帝国主義に対して結束して闘うべきだと呼びかけた。

北朝鮮は幼い子供ではない 「核保有国」と金外務次官

2006/07/22 The Sankei Shimbun

 韓国の聯合ニュースは22日、北朝鮮の6カ国協議首席代表の金桂寛外務次官が、北朝鮮によるミサイル発射直後の6日に「今、兄たち(国際社会)が弟(北朝鮮)に『そんなことはするな』と言っている形だが、われわれ(北朝鮮)は幼い子供ではない。われわれは核兵器を持っている」と述べたと報じた。

 4日から訪朝した米民間団体代表らに対して語った。団体によると、北朝鮮の軍縮平和研究所の幹部は5日、「ミサイル発射は正当なもので、自分たち固有の権限であり、憂慮すべきものでない」と述べた。(ソウル 共同)

「北、6カ国協議復帰の兆しなし」 ヒル米国務次官補

2006/07/12 The Sankei Shimbun

 【北京=野口東秀】北朝鮮のミサイル発射問題を協議するため、訪中しているヒル米国務次官補は12日、中国の李肇星外相らとの会談後、記者団に対し、「北朝鮮の6カ国協議復帰の兆候はない」と述べ、平壌での武大偉外務次官らによる説得に進展がないことを明らかにした。

 北朝鮮の核問題を協議する6カ国協議の米側首席代表でもある同次官補は、「北朝鮮に強く明確なメッセージを送り、6カ国協議を機能させることで一致した」と述べた上で、「北朝鮮は肯定的に反応していない」と、北朝鮮の姿勢に全く変化がないことを指摘。「北朝鮮は、深い孤立への道を選択しているようにみえる」と非難した。

 同次官補は「中国は多くの外交努力をし、責任を果たそうとしている」と高く評価したうえで、武次官が15日まで平壌に滞在する予定で、さらに北朝鮮要人との会談が残されていることから、「現時点では成功とも失敗とも言えない」との認識を表明。そのうえで、外交努力には「期限を設ける考えはない」とも述べ、中国が北朝鮮を説得することに期待感をにじませた。

中国・武大偉外務次官ら平壌到着

2006/07/10 The Sankei Shimbun

 【北京=野口東秀】中国国営新華社通信によると、回良玉副首相を代表とする中国の訪朝団が10日、平壌に到着した。北朝鮮には6日間の滞在予定で、中朝友好協力相互援助条約締結45周年記念行事などに出席する。代表団には、北朝鮮のミサイル発射問題を協議するため、武大偉外務次官も同行しており、北朝鮮指導部に6カ国協議復帰を強く訴える。

 武次官は金桂冠外務次官らと会談するとみられ、中国指導部の厳しい見方を伝え、ミサイル発射の自制などを求める。

中国・武大偉外務次官ら北朝鮮へ出発

2006/07/10 The Sankei Shimbun

 【北京=野口東秀】中国国営新華社通信によると、回良玉副首相が10日、6日間の北朝鮮訪問のため、北京を出発した。中朝友好協力相互援助条約締結45周年記念行事に出席する。代表団には、北朝鮮のミサイル発射問題を協議するため、武大偉外務次官も同行しており、北朝鮮指導部に6カ国協議復帰を強く訴えるのは確実だ。

 武次官は金桂冠外務次官らと会談するとみられ、中国指導部の厳しい見方を伝え、ミサイル発射の自制などを求める。

「ミサイル問題、声を一つに」米次官補と韓国統一相

2006/07/09 The Sankei Shimbun

 【ソウル9日共同】ヒル米国務次官補は9日午前、ソウルで李鍾●(イジョンソク、●=夾の人を百に)統一相と北朝鮮のミサイル発射や核問題について会談した。会談終了後、ヒル次官補は記者団に「米韓は北朝鮮のミサイル問題に、声を一つにして対処している」と述べ、両国の立場に違いがないことを強調した。

 李統一相は11日から釜山で開催予定の南北閣僚級会談で首席代表を務める。韓国側は同会談で、ミサイル発射に反対する強いメッセージを伝えると8日にヒル次官補に説明した。

 韓国政府当局者は最優先課題を6カ国協議非公式会合の実現だとしており、統一相はヒル次官補との会談で、閣僚級会談で北朝鮮に同会合への参加を促すとの立場を伝えたという。

 次官補は8日の潘基文外交通商相らとの会談後、非公式会合に北朝鮮が参加するなら、その枠内で金融制裁に関する米朝協議が可能との考えを表明している。

 次官補は9日午後、日本に向かう。

米次官補、6カ国協議の打開目指し25日に訪韓

2006/05/17 The Sankei Shimbun

 韓国の潘基文外交通商相は17日の定例記者会見で、北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議の米国首席代表を務めるヒル国務次官補が25日から2日間、韓国を訪問し、中断している6カ国協議の再開に向け、韓国側と協議することを明らかにした。潘外交通商相はまた、「リビアは大量破壊兵器を自ら放棄し、米国からいろいろな利益を受けることになった」と強調。

 「(北朝鮮が)核を放棄すれば明るい未来があると認識し、核問題解決のため早急に6カ国協議に復帰するよう求める」と述べ、北朝鮮に対し核開発の放棄を呼び掛けた。(共同)

北朝鮮の原子炉が活発に稼働 米シンクタンク衛星写真公開

2006/05/15 The Sankei Shimbun

 【ソウル=久保田るり子】北朝鮮が平安北道寧辺の核施設を再稼働させていることが、米シンクタンク「グローバル・セキュリティー」がホームページで公開した衛星写真で明らかになった。問題の原子炉は実験用黒鉛減速炉(5000キロ・ワット)で、今年1月撮影の写真では煙突から煙が出ている。また、以前は未舗装だった道路が舗装され、新たな施設の建設も確認された。

 写真は、米デジタルグローブ社が撮影した2000年2月から今年1月までの計8枚。2000年2月には何も出ていなかった煙突から、今年1月には煙が出ている様子がはっきり分かる。

 北朝鮮は1994年の米朝枠組み合意で核開発を凍結し、この原子炉を閉鎖したが、03年2月末に再稼働させた。その後、04年に稼働を中断したが、これはプルトニウム生産のためとみられていた。この原子炉は核兵器原料のプルトニウム製造が可能で、米専門家は年間に6キロの製造能力があるとみている。

 北朝鮮は、昨年5月にこの原子炉から約8000本の使用済み燃料棒を取り出す作業を終了したと宣言した。約8000本の燃料棒から抽出できるプルトニウムは、核爆弾4、5個分に相当する25―30キロとされる。今回の写真では、取り出し作業後の再稼働など活発な核開発活動が裏づけられた形だ。

北朝鮮、石炭から原子力に転換 次官が表明

2006/04/30 中国新聞ニュース

 【北京29日共同=磐村和哉】東京で四月前半に開かれた北東アジアの安全保障に関する国際学術会議に出席した北朝鮮の六カ国協議首席代表、金桂冠(キムゲグァン)外務次官が、同会議で北朝鮮のエネルギー政策の基本方針を、これまでの石炭や水力発電から、原子力に転換すると表明していたことが二十九日分かった。複数の会議関係者が明らかにした。金次官は「核なしには未来がない」と述べていたという。

 北朝鮮はこれまでの核問題をめぐる六カ国協議で「核の平和利用」を主張してきたが、エネルギー政策の基本を原子力にすると表明したのは初めて。「核の平和利用」や軽水炉提供の主張に対する支持を得る狙いがあるとみられる。

 北朝鮮は今後の六カ国協議で、エネルギー政策の転換をてこに核の完全放棄はあくまで拒否する立場を貫くことが予想され、協議が再開されても紛糾するのは不可避となりそうだ。

 会議関係者によると、金次官は九日の会議の基調演説で「わが国のエネルギー政策は石炭中心だったが、石炭は枯渇しつつある。水力資源も限界があり、現在は石油もない」と厳しいエネルギー事情を説明した上で、「わが政府のエネルギー政策の基本は核エネルギー(原子力)だ。これなしには(エネルギー供給の)方法がなく、未来もない」と力説した。

 さらに、核放棄の代償として「軽水炉を提供せよということだ」とあらためて軽水炉建設を要求。運営については「原料を外部から搬入し、使用済み材料(燃料)を外部に運び出すことはいくらでも可能で、必要なら米国人が運営に加わることもできる」と語った。

6カ国の非公式折衝終了 鑑定発表に中韓戸惑い

2006/04/12 中国新聞ニュース

 北朝鮮の核問題をめぐる六カ国協議の首席代表らが都内で繰り広げてきた非公式折衝は十二日、米中韓首席代表が離日し、同協議再開への突破口になると期待されていた米朝会談が「相互の根強い不信感」(外務省筋)のため実現できないまま事実上終了した。

 北朝鮮への対処姿勢の差から連携が崩れていた日米韓代表が約一年ぶりの三カ国協議で結束を固めるという「一定の成果」(同)はあった。

 ただ日本政府が十一日、拉致被害者横田めぐみさんの夫を韓国人拉致被害者とするDNA鑑定を発表したことに、中韓両国からは「もう少し時期をずらせばいいではないか」(中国の武大偉外務次官)と戸惑いの声も上がった。

 政府は、今回の折衝に積極的に参加してきた北朝鮮の金桂冠外務次官について「米国との会談を期待しているのは間違いない」(関係者)とみて、米側との仲介に当たった。しかしヒル国務次官補は、米国の金融制裁解除を求める北朝鮮側に対し「無条件の早期復帰を決めない限り会わない」(同)と強硬姿勢を最後まで変えなかった。

 北朝鮮は、今回の折衝で事態打開のきっかけをつかみ、二十日にワシントンで開かれる米中首脳会談での決着を期待していた−。こうした見方に沿って政府は「北朝鮮は、これで(自らの)状況が厳しくなったことを認識したはずだ」(外務省幹部)として今後の軟化を期待しつつ推移を注視する構えだ。

北に6カ国復帰促す 日朝、拉致含め2時間協議

2006/04/09 The Sankei Shimbun

 外務省の佐々江賢一郎アジア大洋州局長は八日夜、国際学術会議出席のため来日している六カ国協議の北朝鮮首席代表、金桂寛外務次官と東京都内のホテルで約二時間会談した。席上、佐々江氏は六カ国協議の再開に向けて北朝鮮の復帰を促したほか、拉致問題をめぐる日朝協議再開なども話し合った。

 会談後、佐々江氏は記者団に対し「両国がお互いの原則的立場について述べ合った。内容については公表しないことを申し合わせた」と説明したが、今週から本格化する折衝の段取りなどについても意見交換したとみられる。

 これに先立ち、金氏は同日、都内で記者団に「六カ国協議の今後の進展のために、二国間、多国間の接触を活性化することにした」と述べ、今後の協議に積極姿勢を示した。ただ、対日関係については「(日本は)近くて遠い国だと感じた。近くて近い国にしなければならないが、さらに遠くなっている」と述べた。

 関係筋によると、金氏は七日夜、米側関係者とも接触。北朝鮮の最大の懸案は、米国による金融制裁問題をどう打開するかにあるとみられる。米国の六カ国協議代表、ヒル国務次官補(東アジア・太平洋担当)は十日に来日する予定だが、九日に早める見通しだ。

 ただ、北朝鮮が六カ国協議復帰の条件としてきた金融制裁解除に、米側が応じる可能性は少なく、協議は難航しそうだ。

 一方、韓国の六カ国協議首席代表の千英宇外交通商省外交政策室長も八日午前に来日。その後、宿泊先のホテルで金氏と約一時間半会談し、六カ国協議の再開問題を話し合った。会談後、千氏は記者団に対し、「率直に意見交換できたが、現段階では特段の成果はない」と述べた。

6か国協議復帰表明なら、米朝会談も…国務省高官

2006年04月08日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ワシントン=坂元隆】米国務省高官は7日、東京で10〜11日に開かれる民間団体主催の国際会議に出席する6か国協議米首席代表のクリストファー・ヒル国務次官補が、同席する北朝鮮首席代表の金桂寛(キム・ケグァン)外務次官と会談する可能性について、「(6か国)協議に復帰するというメッセージを持ってくるならば、我々はもちろん耳を傾ける。それ以外に会談する予定はない」と述べ、北朝鮮が協議復帰の意思表明を行えば、米朝2国間会談に応じてもよいとの考えを示唆した。

 ヒル次官補自身も6日行われた英BBC放送などとのインタビューで、「協議を現在ボイコットしているのは北朝鮮だということに留意する必要がある。協議復帰に同意しないなら、北朝鮮は何を話すつもりなのか」と言明、北朝鮮が協議に復帰するよう促した。

 北朝鮮は、米国が北朝鮮の資金洗浄にからんで科した金融制裁の解除を求めて協議復帰を拒んでいるが、米国は「金融問題と6か国協議は別の問題」として制裁解除に応じる姿勢を見せていない。

 ただ、国務省高官は、北朝鮮が協議復帰を表明しなくても、今回の会議であいさつ程度の接触はある可能性を指摘した。

米朝次官ら来日検討 6カ国協議再開へ動き活発

2006/04/05 The Sankei Shimbun

 北朝鮮の6カ国協議首席代表の金桂寛外務次官と国連代表部の韓成烈次席大使が近く来日する方向で調整していることが5日、分かった。6カ国協議の米国首席代表・ヒル国務次官補も来日する見通しで、6カ国協議再開に向け、東京を舞台に各国の非公式折衝が繰り広げられる可能性が高まった。

 複数の政府筋によると、日本国際交流センターが9―11日に都内で開く北東アジアの安全保障に関する国際学術会議出席のため、北朝鮮の6カ国協議次席代表の鄭泰洋・外務省米州局副局長が来日を決定。合わせてヒル氏の来日も打診されたが、米国側は「鄭氏とでは協議にならない」と難色を示していた。

 このため、北朝鮮側が金氏派遣の方針を固めたとの見方が強く、ヒル氏も来日の意向を固めたという。両氏が来日すれば、米朝非公式協議が行われる公算が大きく、韓国も6カ国協議代表の千英宇外交通商省外交政策室長が来日する。

 6カ国協議は昨年11月に中断し、再開のメドは立っていない。米政府は、北朝鮮と取引のあるマカオの銀行に制裁措置を取るなど圧力を強めており、北朝鮮側が、米朝非公式協議で何らかの打開策を示す可能性もある。

 また、日本国際交流センターには、日朝首脳会談を主導した田中均前外務審議官が在籍しており、日本側も北朝鮮側と接触を図る方針だ。

6カ国高官、核問題協議へ 9日から東京で学術会議

2006/04/04 中国新聞

 【北京4日共同】東京で9日から開催される北東アジアの安全保障をテーマとした民間団体主催の国際学術会議に、北朝鮮外務省副局長やヒル米国務次官補ら6カ国協議の首席代表らを含む参加国政府高官が出席する見通しとなったことが4日分かった。複数の日本政府筋が明らかにした。

 北朝鮮は昨年9月の第4回6カ国協議で次席代表を務めた鄭泰洋・米州局副局長ら4人の代表団派遣を申請、日本政府も入国許可を出している。北朝鮮代表団は、外務省傘下のシンクタンク「軍縮平和研究所」のメンバーとして来日予定だが、鄭副局長を除く3人も外交官として海外勤務歴があり、事実上は外務省代表団。

北朝鮮の核「3―6個以上」 在韓米軍前司令官

2006/04/03 The Sankei Shimbun

 3日付の韓国紙、中央日報によると、在韓米軍のラポート前司令官は同紙のインタビューで「北朝鮮は3個から6個の核兵器を持っている」と指摘。「(これらは)1994年の米朝枠組み合意以前に製造されたもので、現在はさらに増えている」と述べ、北朝鮮の脅威は減っていないとの見方を示した。

 同紙によると、ラポート前司令官は「北朝鮮は120万の兵力と日本まで届くミサイルを保有している」とした上で「韓国内での『(北朝鮮の)脅威はなくなった』との主張には同意しない」と朝鮮半島の戦力維持の必要性を強調した。(共同)

北復帰、中韓にも圧力 6カ国協議 米、人権問題を前面

平成18(2006)年04月02日 The Sankei Shimbun

 【ワシントン=有元隆志】ブッシュ米政権が北朝鮮問題の解決に向け、脱北者の強制送還で中国に強い懸念を表明したほか、北朝鮮と韓国の経済協力の象徴ともいえる「開城工業団地」の労働条件を疑問視するなど、北朝鮮はもちろん、中国や韓国に対しても圧力をかけ始めた。中断している北朝鮮の核問題をめぐる六カ国協議に北朝鮮が復帰を表明しないなか、「圧力路線」を今後も強めるものとみられる。

 マクレラン大統領報道官は三十日の声明で、キム・チュンヒと名乗る三十代の脱北女性を中国が強制送還したことについて、「強い懸念を持っている」と批判。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の関与なしに、亡命希望者を北朝鮮に送還しないよう求めた。

 キムさんは昨年十二月、北京の韓国国際学校に駆け込もうとして中国当局に取り押さえられ、北朝鮮に送還された。

 国務省高官はブッシュ大統領が脱北者問題に「強い関心を示している」と述べ、四月二十日の中国の胡錦濤国家主席との会談で、北朝鮮の人権問題を提起する可能性を指摘した。

 北朝鮮の人権問題を担当するレフコウィッツ大統領特使も三十日の講演で、「国際的な責務を無視している」と中国を批判した。

 また、同特使は韓国の土地公社や現代グループが南北協力事業として、北朝鮮南西部の開城に建設した「開城工業団地」で働く北朝鮮の人たちの労働条件に疑問を投げかけた。同特使は「国際労働機関(ILO)のような独立した機関が(労働条件について)検査することを認めるべきだ」と述べた。

 一方、米財務省は三十日、北朝鮮による大量破壊兵器拡散に関与したとして、スイス企業と同社のスイス人社長の対米資産凍結措置をとるとともに、米企業との取引を禁止すると発表した。

 一連の措置は北朝鮮が六カ国協議に復帰しないなか、「タイミングをあわせて行った」(米政府関係者)という。ホワイトハウスは北朝鮮による偽札流通など違法金融活動に対し、財務省や司法省に追加的な措置をとる権限を与えたともいわれ、北朝鮮が六カ国協議に復帰しない限り、さまざまな角度から圧力を加えていくものとみられる。

北朝鮮の核兵器数、分析は困難 米情報長官が慎重姿勢

2006/03/01 The Sankei Shimbun

 米情報機関トップのネグロポンテ国家情報長官は2月28日、上院軍事委員会で証言し、北朝鮮が保有する核兵器数について「われわれが持つ知識で(判断は)難しい」と述べ、分析は困難との見解を表明した。

 長官の発言は、北朝鮮を対象とした人的情報が不足する中、米情報機関が具体的な数値を示すことに従来よりも慎重姿勢に転じていることを示唆している。

 長官は「北朝鮮が主張するように、恐らく核を持っているとみている」としながらも「事実関係は分からない」と言明。「数字を論じることには気乗りしない」と述べた。

 米情報機関は北朝鮮の保有核兵器数に関して、今回の核問題が発生した2002年以前は「1―2個」と分析。使用済み核燃料棒を再処理したとされる03年から04年にかけては、米高官は北朝鮮が核兵器の原料となるプルトニウムを「最大で6―8個」相当を製造したと指摘していた。

 北朝鮮は05年にも実験用黒鉛減速炉を停止して再処理を行った可能性があり、米シンクタンク科学国際安全保障研究所(ISIS)は最大13個分のプルトニウムを保有している可能性があると分析している。(共同)

中国が近く再開日程提示か 6カ国協議で米次官補

2006/02/08 The Sankei Shimbun

 北朝鮮核問題をめぐる6カ国協議の米首席代表、ヒル国務次官補は7日、休会中の第5回協議再開の見通しについて「近いうちに(議長国の)中国から何か聞けるのを楽しみにしている」と述べ、具体的な日程提示が近く行われるとの認識を示した。議会内で記者団の質問に答えた。

 次官補は、昨年9月の第4回協議で採択した共同声明に盛り込まれた北朝鮮の核放棄履行は「早ければ早いほど、全当事者の利益になる」として、可能な限り早期に協議を再開すべきだと強調。2月中の再開の可能性については「悲観的でも楽観的でもない」と話すにとどめた。

 また、北京での日朝政府間協議で、北朝鮮側が示した対応全般について、日本側の見解を聞く方針を示した。(共同)

「北朝鮮が核12個保有の可能性」 米議員、大統領に警鐘

2006/02/04 The Sankei Shimbun

 ロイター通信によると、米民主党のリード上院院内総務ら同党の有力上院議員4人は3日、北朝鮮が「12個の核兵器を保有している可能性がある」として、ブッシュ大統領に北朝鮮の核能力に関する情報を公開するよう求める書簡を送った。

 書簡は大統領が先月31日の一般教書演説で、北朝鮮の核問題に一切言及しなかったことを批判。「12個」の根拠には触れていないが、大統領が2002年の同演説で北朝鮮を「悪の枢軸」と非難した時よりも、米国への脅威は増大していると警鐘を鳴らした。

 さらに北朝鮮がミサイルに核弾頭を搭載する能力を獲得したとの専門家の見方を紹介。日本、韓国にも脅威を与えているとして、核問題の解決に真剣に取り組むよう求めている。(共同)

6カ国協議再開へ意見交換 米韓外相

2006/01/19 中国新聞ニュース

 【ワシントン19日共同】ライス米国務長官と韓国の潘基文外交通商相は十九日、戦略対話の初会合をワシントンの国務省で開き、北朝鮮の核問題や両国の同盟強化などについて意見を交わす。中断している北朝鮮の核問題をめぐる第五回六カ国協議の再開に向けて、十八日に北京で行われた米国、北朝鮮、中国の六カ国協議の首席代表三人による非公式協議などについても、米側が韓国側に説明するとみられる。

 潘外交通商相は十八日、北朝鮮の金正日総書記の十〜十八日の訪中を評価、第五回六カ国協議について「二月中の再開を目指したい」と述べた。国連本部で共同通信に語った。

 潘外交通商相は記者団に、金総書記の訪中は「六カ国協議(再開)に好ましい意味を持つ」と指摘。金総書記が十七日の胡錦濤国家主席との首脳会談で、六カ国協議を通じた核問題解決の意向を再確認したことに「勇気づけられる」と語った。

 戦略対話では、金総書記の訪中や胡錦濤国家主席との首脳会談などの一連の動きや、北朝鮮が反発する米国の金融制裁なども取り上げるとみられる。

 戦略対話は昨年十一月、ブッシュ米大統領が訪韓した際、盧武鉉大統領との首脳会談で外相級の定期協議として実施することで合意。在韓米軍基地の移転などの米軍再編や、両国間の幅広い問題について協議することになっている。

韓国提案に米は難色 朝鮮半島「平和メカニズム」

2006/01/16 The Sankei Shimbun

 昨年12月に訪米した韓国の鄭東泳(チョン・ドンヨン)統一相(当時)が、6カ国協議の閉塞(へいそく)状態を打開し、朝鮮戦争休戦協定に代わる朝鮮半島の「平和メカニズム」に関する協議開始につなげるため、米国と北朝鮮、韓国の3カ国による新たな枠組みを立ち上げるよう提案、米側が難色を示していたことが16日、分かった。複数の米韓関係筋が明らかにした。

 米財務当局の金融制裁の影響で第5回6カ国協議再開のめどが立たない中、南北交流を促進する韓国政府が新たな対話の場を提起した。最終的には中国を含めた4カ国の協議に結び付けたい意向とみられる。

 しかし、制裁措置を理由に6カ国協議再開を拒む北朝鮮に反発を強める米国が、協議を通じた「完全核放棄」実現を最優先させる原則論を堅持、米韓間の温度差が表面化した格好だ。

 米政府筋によると、韓国与党ウリ党の実力者でもある鄭氏は先月20日にゼーリック国務副長官と会談したほか、ライス国務長官とも短時間会談。こうした接触の中で、朝鮮半島和平の当事国である3カ国が参加した新たな協議開始の必要性を訴え、理解を求めた。

 しかし、米側は核放棄実現が先決との考えから早期の協議開始に難色を表明。米韓外交筋によると、鄭氏の提案については「韓国政府内でも意見が分かれている」といい、米朝対話促進による平和メカニズム構築に積極的な韓国統一省が米側の感触を得ようと「アドバルーン」を上げた可能性もある。(共同)

6カ国協議再開へ連携強化で一致 米国務次官補と佐々江局長

2006/01/11 The Sankei Shimbun【東京朝刊から】

 米国のヒル国務次官補は11日午後来日し、都内の外務省施設で佐々江賢一郎同省アジア大洋州局長と会談、北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議の早期再開に向け、日米の連携を強化することで一致した。

 佐々江、ヒル両氏はそれぞれ日米両国の6カ国協議首席代表。会談では「北朝鮮のマネーロンダリング(資金洗浄)に対する米国の金融制裁と、6カ国協議への出席問題は切り離して考えるべきだ」との基本認識を確認。その上で、具体的打開策に関しては同協議議長国の中国に対し、早期再開へ一層の役割を果たすよう求めることで一致した。

 また佐々江氏は、北朝鮮との間で国交正常化交渉と拉致、核・ミサイル問題の並行協議を開始することで合意した経緯を説明。ヒル氏は拉致問題解決をめぐる日本の立場をあらためて支持した。

 6カ国協議については、北朝鮮が金融制裁に反発し協議復帰の条件として制裁解除を求めているため、今月中の再開が困難な状況となっている。

 会談終了後、ヒル次官補は記者団に「今後も日本との強い関係を大切にしていくことが重要だ」と強調。11日中にソウルへ移動、12日には北京を訪れ、13日以降にハノイ、ホーチミンなどを歴訪する。(共同)

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