TOPIC No.2-101-4 2005年度 北朝鮮の核開発問題

北、6カ国再開を拒否 米に通告、訪米中止に反発

2005/12/04 The Sankei Shimbun【東京朝刊から】

 【ワシントン=樫山幸夫】北朝鮮は二日、次回以降の六カ国協議の再開を拒否する意向を米政府に伝えてきた。双方の認識の対立から、金桂寛外務次官の訪米が中止になったことが理由。米政府は北朝鮮への説得を開始する構えだが、再開まで再び長い空白が生じる恐れが出てきた。

 ワシントンの外交筋などによると、ニューヨークの北朝鮮国連代表部の高官が国務省朝鮮部幹部に電話、そうした意向を伝えた。電話連絡の中で北朝鮮側は、金桂寛次官が訪米し、クリストファー・ヒル国務次官補(東アジア太平洋担当)との会談が実現するまで、協議再開に応じる意思はない−という強い姿勢を表明。米国の姿勢を「信頼関係を損なう」と強く批判した。

 あわせて北朝鮮は、今月中旬に六カ国協議の非公式会合を済州島で開いてはどうかという韓国政府の提案も拒否する方針を明らかにしたという。

 六カ国協議の北朝鮮代表、金桂寛次官は今月中にニューヨークを訪問する予定だった。目的はマカオの銀行を舞台に、北朝鮮が偽造紙幣の流通、マネーロンダリングなどを行っていた問題についての話し合いだった。

 北朝鮮はこの訪米を通じて、マカオ問題に関する協議・交渉を行いたい意向をもち、ヒル国務次官補らとの話し合いを望んでいた。しかし、米国側は、財務省の担当者がマカオ問題に対する米国の立場、方針を説明するだけ−と主張して見解が対立。結局、金次官の訪米は見送られた。

 北朝鮮は、今回の訪米を通じ、以前からの願望である米国との直接対話の糸口をつかみたいという思惑をもっていたため、それが中止になったことに失望。六カ国協議再開拒否という強硬手段に出た。

 先月開かれた前回の六カ国協議の議長声明では、次回協議の日程について「できる限り早い時期」とされ、米国は可能であれば年明け早々の再開をめざしていた。今回、北朝鮮が言葉通り、強硬姿勢を貫いた場合、中断期間が再び長期に及ぶことが予想されるため、米国は議長国・中国などと連携をとりながら北朝鮮の説得にあたる。

「米が制裁解除協議を拒否している」 北朝鮮が非難

2005/12/03 The Sankei Shimbun

 韓国の聯合ニュースによると、北朝鮮の国営朝鮮中央通信は2日、同国外務省報道官が米国による北朝鮮への「金融制裁」の解除に向けた協議を、米国が拒んでいると非難したと報じた。同報道官が2日、同通信の質問に答えた。

 報道官は「制裁解除が(6カ国協議の)共同声明履行に向けた根本問題」とし「(米朝は)6カ国協議の首席代表級の協議を行い、金融制裁問題を協議し解決することで合意した」と主張。その上で「米国は約束を覆して会談を回避する信じられない行動をしている」と非難した。

 さらに「米国が制裁と圧迫に出るならば、われわれもそれに対応したすべての自衛的措置を取らざるを得なくなるだろう」と警告した。(共同)

核実験保留や移転禁止も 北朝鮮が段階的放棄提案

2005/11/14 中国新聞ニュース

 【ソウル14日共同】韓国の鄭東泳統一相は十四日、第五回六カ国協議で、北朝鮮が五段階にわたって核放棄を進める案を提示したことを明らかにした。北朝鮮が同協議で表明した軽水炉提供を条件とした段階的核放棄の提案を指すものとみられ、核実験の保留や核移転の禁止が含まれていることが新たに分かった。

 ソウルでの韓国放送記者クラブ主催の討論会で述べた。

 鄭統一相は「北が核放棄に関連した五段階からなるロードマップ(行程表)を提示した」とし、北朝鮮が核放棄の意思を明確にしたと強調。

 五段階は(1)核実験の保留(2)核移転の禁止(3)核の追加生産禁止(4)検証を通じた核活動の中断および廃棄(5)核拡散防止条約(NPT)および国際原子力機関(IAEA)への復帰−という。

6カ国協議:北朝鮮が核兵器開発計画を一時停止用意を表明

2005年11月09日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE

 【北京・西岡省二】9日始まった北朝鮮の核問題解決を目指す第5回6カ国協議の全体会合で、日本首席代表の佐々江賢一郎外務省アジア大洋州局長は、9月の第4回6カ国協議で発表した共同声明を履行するため、テーマ別の作業部会を設置することを提案し、各国も設置自体には基本合意した。また、韓国外交筋によると、北朝鮮首席代表の金桂冠(キムゲグァン)外務次官は核兵器開発計画を一時停止(モラトリアム)する用意があると表明した。

 日本代表団によると、佐々江局長は(1)核廃棄・検証(2)経済・エネルギー支援(3)2国間関係と地域安保協力−−の3分野で今後の協議を進めることを求めた。具体的には、「核廃棄」と「エネルギー支援」について、6カ国が参加する作業部会を設置する。また、拉致やミサイル問題など日朝間の懸案を念頭に置いた「2国間関係」では、当事国間で行程表を策定するよう提案した。

 中国外務省の秦剛(しんごう)報道副局長は協議後の会見で「各国の意見交換で作業部会は一つの適切な選択だという認識を得た」と基本合意に達したことを明らかにした。ただ「具体的方式については今後、協議を進めなければならない」と述べ、なお調整が必要との認識を示した。

 一方、金次官は段階的に所有する核兵器の廃棄や新たな製造の放棄に応じると表明。核拡散防止条約(NPT)と国際原子力機関(IAEA)の査察体制への復帰の用意も表明した。同時に米国が同時並行で行う義務として、(1)韓国に核兵器がないと確認する検証(2)米国が北朝鮮への核攻撃を行わない保証−−などを要求した。自らの核廃棄だけが先行するのを避け、見返りを確保する狙いがあるとみられるが、米国はあくまで「核の完全廃棄」が前提との立場で、受け入れは困難とみられる。

 今回の協議は11日までの3日間が予定され、中国が議論を「議長総括」などの形で取りまとめて休会し、韓国で今月中旬開くアジア太平洋経済協力会議(APEC)をはさみ、年内にも再開するとみられる。9日は米朝などの2国間協議も行われた。全体会合は10日も開かれる。

日中、作業部会設置を提案 第5回6カ国協議

2005/11/09 The Sankei Shimbun

≪米朝が2国間協議≫

 北朝鮮核問題をめぐる第5回6カ国協議が9日、北京の釣魚台迎賓館で始まり、全体会議の基調演説などを通じ、日本と中国が9月の前回協議で合意した共同声明履行に向け、ロードマップ(行程表)づくりと、懸案別の作業部会を設置することを提案した。核放棄への手順や査察・検証措置の具体化を図る道筋をつけるのが狙いとみられる。

 会期は3日間の見通し。開会式に続き全体会議を開き、午後には米朝の2国間協議も行われた。

 日本外務省によると、日本首席代表の佐々江賢一郎(ささえ・けんいちろう)外務省アジア大洋州局長は(1)核廃棄・検証(2)経済・エネルギー支援(3)2国間関係と地域安保協力―の3部門で今後の協議を進めることを提案。核廃棄・検証と経済・エネルギー支援で作業部会を設置、2国間関係の部門は当事国間で行程表を策定するよう求めた。

 華僑向け通信社、中国新聞社電によると、議長役である中国の武大偉外務次官は、まず首席代表協議などで大枠の案をつくり、作業部会で専門的な協議を行い、再び首席代表協議で検討するやり方で問題解決を目指す方針を示した。

 タス通信によると、北朝鮮は、核兵器計画の留保と今後の核兵器製造中止、査察を受け入れながら核兵器放棄を行う準備があると表明。その後に核拡散防止条約(NPT)や国際原子力機関(IAEA)に復帰するとした。同時に韓国への核査察も行うよう要求した。(共同)

第5回6カ国協議 北京で9日から 中国発表

2005/11/03 The Sankei Shimbun

 中国外務省の孔泉報道局長は3日、北朝鮮核問題をめぐる第5回6カ国協議を9日から北京で開くと発表した。第5回協議は、前回協議で合意した共同声明の履行に向け、北朝鮮の核放棄への手順や査察・検証措置の具体化が最大の焦点。完全核放棄実施をまず求める米国に対し、北朝鮮は軽水炉提供まで核放棄に応じない姿勢を示しており、協議は難航しそうだ。

 報道局長は、会期について「分けて実施する方式も考えており、各国に意見を聞くつもりだ」と述べ、今月中旬に韓国・釜山で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の日程を挟み、いったん休会してから続開する可能性も示唆した。

 また、前回協議で合意した内容について「言葉対言葉」「行動対行動」などの原則に基づき「さらに一歩進んだ措置」を取ることが目標だと強調。「各国の積極的かつ建設的な姿勢を希望する」と訴えた。

 協議では、査察・検証体制を重視する米国は北朝鮮に対し、保有する核兵器や核施設をリストアップして情報を積極開示することや、検証のロードマップ(行程表)を明示するよう求めるとみられる。また、北朝鮮が一貫して否定しているウラン濃縮型核開発の存在確認なども要求するとみられ、北朝鮮の対応が注目される。

 報道局長は、日本人拉致問題について「日本と北朝鮮の2国間ルートで話し合うべきで6カ国協議ではふさわしくない」と従来の見解を強調。また、APECの一連の会議に6カ国協議の各国代表も出席する可能性があるため「協議を分けて実施すれば、より高い効果が得られるかもしれない」と述べた。(共同)

次回6カ国協議の参加確認 中朝首脳会談 2005/10/28 The Sankei Shimbun

 中国の胡錦濤国家主席(共産党総書記)は28日、北朝鮮を公式訪問し、平壌の百花園迎賓館で金正日(キムジョンイル)総書記と首脳会談、金総書記は第4回6カ国協議の共同声明を評価、朝鮮半島非核化の目標を堅持し、11月上旬に予定される第5回6カ国協議に日程通り参加することを確認した。中国中央テレビが伝えた。

 胡主席が協議進展を求めたのに対し、金総書記は共同声明履行に向けた踏み込んだ姿勢は示さなかったもようだ。

 両首脳の会談は約1年半ぶり。会談で両首脳は、中朝関係発展に向けて、ハイレベル交流の強化や、経済、貿易協力の促進など4項目で合意した。両国は経済技術協力協定にも調印した。

 訪問は30日まで3日間の日程。中国最高指導者の訪朝は2001年9月の江沢民主席(当時)以来、4年ぶり。金総書記が外国首脳を空港まで出迎えたのも江主席訪朝以来。平壌国際空港では金総書記らが出迎え歓迎式典。胡主席は数十万人の平壌市民の歓迎の中、宿舎の同迎賓館まで市内をパレードした。

 同テレビによると、金総書記は会談で、対話を通じ平和的に核問題を解決する立場を堅持すると表明。胡主席は、第5回協議で「新たな進展を得るために共に努力していく」よう呼び掛けた。胡錦濤体制で2回目となる金総書記の訪中問題を取り上げた可能性もある。

 今回、共同文書がまとめられるかどうかは不明。江主席訪朝の際は、文書取りまとめは見送られている。中国は胡主席が帰国する30日に、北京で訪朝結果を会見で説明する予定。

 胡主席には王剛・党中央弁公庁主任、王家瑞・党対外連絡部長、李肇星外相らが同行した。(共同)

次回6カ国協議出席、北が表明 米と対決姿勢も

2005/10/24 The Sankei Shimbun

 北朝鮮外務省は24日、朝鮮中央通信を通じ「11月上旬の(今後)合意される日に第5回6カ国協議に臨む」と述べ、第4回協議で合意した共同声明に沿って、協議に出席する立場を初めて公式表明した。

 第5回協議については、先に訪朝した米ニューメキシコ州のリチャードソン知事も、北朝鮮が11月上旬に無条件で参加する意向を示したと明らかにしていた。

 同省はしかし、米国が9月の第4回協議終了後、「核の先行放棄の要求を再び持ち出し、人権問題や(偽ドル製造などの)不法取引など、根拠のないレッテルをわが国に張り、圧力キャンペーンを展開している」と非難。「共同声明前よりも険悪な事態となっている」と述べ「米国の責任を追及する」と対決姿勢も示した。(共同)

北朝鮮、核燃料棒の国外再処理を容認…訪朝の米知事

2005年10月22日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ソウル=中村勇一郎】北朝鮮を訪問した米ニューメキシコ州のビル・リチャードソン州知事は22日、ソウルで記者会見し、北朝鮮高官が軽水炉問題に関連して「(燃料サイクルの)最終段階で6か国協議参加国の関与を受け入れる意思がある」と述べたことを明らかにした。

 同知事は、この高官の発言について、協議参加国が軽水炉稼働に必要な核燃料を提供すれば、軽水炉から生じる使用済み燃料棒の国外での再処理を容認するとの立場を示唆したものだと説明した。

 11月に開催予定の次回の6か国協議をにらんで、兵器級プルトニウムの取り出しが可能となる使用済み燃料棒の再処理を国内で行う意思がないことを表明することで軽水炉提供への同意の取り付けを狙ったものとみられる。

北朝鮮の核放棄へ連携 日中、首席代表会合で一致

2005/10/16 The Sankei Shimbun

 日中両政府は16日、6カ国協議の日中首席代表会合を北京で開き、北朝鮮の核放棄実現に向け双方が緊密に連携していく方針で一致した。

 会合で日本の首席代表を務める佐々江賢一郎外務省アジア大洋州局長は、北朝鮮の核放棄などを盛り込んだ第4回6カ国協議の共同声明の早期実施に向け、各国の協力をさらに強化する必要があると強調した。

 これに対し、6カ国協議で議長を務める中国の武大偉外務次官は、先の呉儀副首相の訪朝結果を報告。「北朝鮮側は(協議に対し)非常に積極的だ」との見方を示した。

 佐々江局長は17日から中国外務省の崔天凱アジア局長と、23日にも予定される町村信孝外相の訪中などをめぐり意見調整を進める予定。

 一方、日中間の懸案を協議する外務次官級の第3回「総合政策対話」は16日、初日の15日に引き続き、日本の谷内正太郎(やち・しょうたろう)事務次官と中国の戴秉国次官らが出席して開催する予定だったが、再開が遅れ午後になっても行われていない。(共同)

6か国協議合意、金総書記「具体化話し合いを」

2005年10月13日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【モスクワ=五十嵐弘一】インターファクス通信によると、北朝鮮訪問から帰国したロシアのコンスタンチン・プリコフスキー極東管区大統領全権代表は12日、金正日総書記が同代表に対し、6か国協議で達成されたすべての合意を確認した上で、「これらの(合意された)義務の具体化について、全参加国が話し合うことが必要だ」と語ったことを明らかにした。

 同代表は、金総書記の健康状態について、「非常によく、元気で快活に見えた」と述べた。

常任理事国の検証参加も 北朝鮮核で米次官補

2005/10/12 The Sankei Shimbun

 北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議の米首席代表ヒル国務次官補は11日のニューヨークでの講演で、北朝鮮が核放棄に応じた場合の検証作業について、国連安全保障理事会の常任理事国5カ国が「一定の役割を果たしうる」と述べた。国際原子力機関(IAEA)に加え、核保有国である常任理事国の参加の可能性を示唆したとみられる。

 一方で、第4回6カ国協議の共同声明に盛られた合意を守らないのなら「『孤立の荒野』に足を踏み込むことになる」と強く警告した。

 第4回6カ国協議は9月、北朝鮮の完全核放棄と核拡散防止条約(NPT)復帰、IAEAの査察受け入れの確約を盛り込んだ初の共同声明を採択。しかし、北朝鮮はその後、軽水炉提供まで核放棄しないとの主張を繰り返し、米国などと対立している。

 ヒル次官補は、北朝鮮がこうした立場にこだわれば「米国だけでなくすべての隣人から離れていくことになる」と強調した。(共同)

KEDO事業は廃止の方向 軽水炉提供で町村外相

2005/10/11 The Sankei Shimbun

 町村信孝外相は11日午前の記者会見で、朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)による軽水炉事業について「どう考えても、継続してやっていくという選択肢が大きくあると思っている人はいないのではないか」と述べ、廃止の方向で検討が進むとの見通しを示した。

 先の第4回6カ国協議で、北朝鮮はKEDO事業の再開ではなく、6カ国の枠組みによる新たな軽水炉建設を要求。共同声明には軽水炉提供について「適当な時期に議論を行う」と盛り込まれた。

 9月下旬に開かれたKEDO非公式理事会後、KEDO外交筋は、11月上旬に予定されている第5回6カ国協議の動向を見ながら、事業の廃止などを議論する理事会の開催を検討する方針を示している。

 6カ国協議の米国首席代表のヒル国務次官補も6日の米下院外交委員会で、KEDO事業を年内に廃止し、これに代わる「より確かで新たな取り決め」をまとめたいとの考えを示した。(共同)

北朝鮮、軽水炉を重ねて要求 国連総会演説

2005/10/08 The Sankei Shimbun

 北朝鮮の朴吉淵(パク・キルヨン)国連大使は7日、国連総会第1委員会(軍縮)で演説、米国に対し、軽水炉を「できるだけ早く」供与するようあらためて求めた。

 大使は、米国が要求に応じることで、北朝鮮に対する「核による威嚇を取り除き、原子力平和利用の権利を認めたということが証明される」と述べた。(共同)

米朝、NYで数回接触 米首席代表「情報共有」

2005/10/05 The Sankei Shimbun

 北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議の米首席代表、ヒル国務次官補は4日、外国メディアと会見し、共同声明を採択した第4回6カ国協議終了後、ニューヨークの北朝鮮国連代表部を通じた米朝2国間の接触が既に複数回行われたことを明らかにした。

 次官補は接触の目的を「共有が必要な情報があったため」と説明。具体的な時期や回数は「知らない」とした。次官補自身は北朝鮮側と接触しておらず、デトラニ朝鮮問題担当大使と韓成烈(ハン・ソンリョル)・国連次席大使との間で行われる通常の「ニューヨーク・チャンネル」を使った接触とみられる。

 自身の訪朝計画については「次の2週間で具体的な出張日程を決める」と述べるにとどまり、確定していないとの従来の立場を繰り返した。

 また、11月上旬に予定される次回6カ国協議では、北朝鮮が「所有しているものを完全に申告するのが最初のステップだ」と、放棄に合意した核兵器と核開発計画すべてを自発的に申告することが必要と指摘。「われわれのサイドも何かする必要がある」と、北朝鮮側の行動に応じた見返りなどを米政府内で検討していると語った。(共同)

対北支援、最大1兆2000億円 韓国統一相

2005/09/22 The Sankei Shimbun

 韓国の鄭東泳(チョン・ドンヨン)統一相は22日、国会答弁で、6カ国協議の共同声明に盛られた北朝鮮に対するエネルギーなどの支援に関し、韓国の支援規模は「今後9年から13年間に最少で6兆5000億ウォン(7200億円)、最大で11兆ウォン(1兆2200億円)」と述べた。

 韓国政府が共同声明採択後に具体的な費用負担の規模を明らかにしたのは初めて。

 鄭統一相は「韓国政府は韓(朝鮮)半島問題の当事者であり、主導的な役割を果たしながら経済状況を考慮して負担規模を検討している」と述べた。

 また「合意の履行に関する協議が残っており、現時点で総費用に言及することは適切でない」としながらも「(韓国が提案している北朝鮮への)電力提供はわれわれが負担するが、代替エネルギー提供や軽水炉の費用負担は関連国と具体的な協議をする事項」と述べた。(共同)

露も北朝鮮を批判 「共同声明に反する」と外相

2005/09/21 The Sankei Shimbun

 国連総会出席のためニューヨーク訪問中のラブロフ・ロシア外相は20日の記者会見で、北朝鮮が軽水炉提供まで核放棄に応じないと主張していることについて「将来の適当な時期」に提供問題を議論するとした第4回六カ国協議の共同声明に反すると批判した。

 ラブロフ外相は「共同声明は今後取るべき措置に関し(核放棄先行という)明確な順序を設けている。われわれは共同声明に沿って進まなければならない」と強調。

 その上で「談話」という形で発表した新たな主張ではなく、北朝鮮自身が参加してまとめ上げた声明の文面に沿った対応を求めた。(共同)

北の主張「合意と違う」と米報道官

2005年09月20日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ニューヨーク=白川義和】米国務省のマコーマック報道官は19日、北朝鮮が核拡散防止条約(NPT)復帰や国際原子力機関(IAEA)との保障措置協定締結は、米国による軽水炉提供の後になると主張したことについて、「北朝鮮が署名した合意の内容でないのは明白だ」と反発を示した。

 滞在先のニューヨークでロイター通信に語った。

軽水炉提供まで核放棄せず 北朝鮮外務省が談話

2005/09/20 中国新聞ニュース

 【北京20日共同=磐村和哉】北朝鮮外務省は二十日、第四回六カ国協議の共同声明に関連し「軽水炉の提供なくして核放棄を論じることはできない」と述べ、軽水炉提供まで核放棄に応じないと主張する談話を発表した。共同声明に対する北朝鮮の公式反応は初めて。朝鮮中央通信が伝えた。

 米政府は十九日の共同声明採択後も、北朝鮮の完全核放棄が検証されない限り軽水炉提供問題を議論することはないと強調。町村信孝外相も、北朝鮮の主張は「受け入れられない」と反論した。共同声明で先送りした合意履行の手順をめぐり、一夜明けて米朝両国の対立が早くも表面化、今後さらに深刻化する可能性が高まった。

 北朝鮮の談話はまた「軽水炉提供と同時に、核拡散防止条約(NPT)への復帰と国際原子力機関(IAEA)との保障措置(査察)協定を締結、履行するだろう」と表明、軽水炉問題は「適当な時期」に議論するとした共同声明への不満を示した。

 談話は、核問題解決の基本は「核の平和利用を実質的に認めるものとなる軽水炉を一日も早く提供することだ」と早期建設を要求した。

 また、米国が核放棄の先行を主張するなら「米朝の核問題では変わるものは何もなくなる」として共同声明の意義が失われるとの認識を示した。さらに「われわれはこれまで米国の強硬派を対象に政策を立てており、今後もそうする」と述べ、軽水炉問題に反発する米強硬派をけん制した。

 北朝鮮の主要メディアは二十日朝、共同声明全文を初めて報じた。

北朝鮮、核放棄確約 6カ国協議、初合意

2005/09/19 中国新聞ニュース

 【北京19日共同】第四回六カ国協議は十九日、北朝鮮の完全核放棄と核拡散防止条約(NPT)への復帰の確約を盛り込んだ初の「共同声明」を採択した。声明は焦点となった北朝鮮の将来の軽水炉建設の可能性も明記。北朝鮮と米国が関係正常化を徐々に実現することも確認した。新華社が伝えた。北朝鮮の核問題解決に向けた初めての多国間合意となり、朝鮮半島非核化への道筋が一定の拘束力ある形で明示された。

 二○○三年八月に始まった六カ国協議はようやく実質的な進展をみせ、核問題をめぐる緊張は当面緩和されるが、核放棄の手順や検証方法は先送りされており、今後も紛糾しそうだ。

 新華社によると、米国は、核兵器や通常兵器で北朝鮮を攻撃する意思がないことを確認。中国中央テレビによると、武大偉外務次官は第五回協議を十一月上旬に開催すると発表した。

 七月二十六日に開会した第四回協議は休会を挟み計二十日間の長期交渉となった。北朝鮮の「核の平和利用」や軽水炉建設要求をめぐる米朝対立で難航、一時は休会の見通しも出ていた。

6カ国協議休会の見通し きょうにも決定

2005/09/18 中国新聞ニュース

 【北京17日共同=磐村和哉】北朝鮮核問題をめぐる第四回六カ国協議は再開五日目の十七日午後、北京の釣魚台迎賓館で首席代表協議を開き、中国が十六日に提示した共同文書第四次草案の修正案の受け入れについて協議したが合意できず、再び休会する見通しが強まった。十八日に正式決定する見込みという。複数の協議筋が明らかにした。北朝鮮の軽水炉建設要求などで米朝が対立、意見の隔たりが解消できなかったとみられる。

 各国は十七日午後までに修正案への回答を行う予定だったが、協議筋によるとロシア以外は同日夕までの段階で態度表明をしていないという。

 ある協議筋は「明日で終わると思う。根本的な部分の対立が解消されていない」としながらも、決裂の可能性については「あり得ない。誰も望んでいない」と述べ、休会の可能性が最も高いとの見方を示した。

 日本首席代表の佐々江賢一郎外務省アジア大洋州局長は首席代表協議後「現時点で妥結に至っていない。明日また会合が行われるが、見通しは明るくない」と述べた。

 修正案は、北朝鮮の完全核放棄と核拡散防止条約(NPT)復帰などを条件に、「核の平和利用」や、将来の軽水炉建設の可能性にも言及。しかし、北朝鮮にとっては建設が確約されないことで不満が残る内容。北朝鮮に核カード温存を許さないとする米国は「核の平和利用」や軽水炉建設に可能性を残すことに懸念もあり、双方とも反発している可能性がある。

6カ国協議合意の可能性 中国、新たな草案提示

2005/09/18 The Sankei Shimbun

 北朝鮮の核問題をめぐる第4回6カ国協議は再開6日目の18日、中国が前日の共同文書第5次草案に修正を加えた新たな案を提示、日本首席代表の佐々江賢一郎外務省アジア大洋州局長は「各国が検討しており合意の可能性がある」と述べた。協議筋は、各国が受け入れる方向でほぼ合意し、ブッシュ米大統領の決裁を待っている状態だとしている。6カ国協議が初の共同文書採択で合意する可能性が出てきたが、流動的な要素はなお残っている。

 協議筋は19日午前8時半(日本時間同9時半)から全体会議と閉会式が行われる予定だとしているが、日本代表団は各国の検討状況次第で全体会議が再び延期される可能性もあるとの見方を示した。佐々江局長は協議終了後、「明日になればもう少しはっきりするだろう」と述べた。

 協議は18日で休会するとの見通しもあったが、予定されていた全体会議は見送られた。首席代表協議を2回開いたほか、日米韓や2国間協議が断続的に開かれ、大詰めの調整が続けられた。中国外務省の劉建超副報道局長は「協議は終わりに近づいている」と述べた。

 中国は第5次草案での合意を目指し、17日夜から、受け入れに難色を示す米国と北朝鮮に対する集中的な説得を本格化させ、18日の2回目の首席代表協議で新たな案を出した。各国は本国と連絡を取り合い対応を検討している。

 第5次草案は、完全核放棄や核拡散防止条約(NPT)復帰、国際原子力機関(IAEA)の査察受け入れを条件に、北朝鮮の「核の平和利用」の権利に触れ、将来の軽水炉建設の可能性にも言及。米国はその順序をより明確にすべきだと主張している。(共同)

6カ国協議ほぼ合意 中国の草案に若干の修正

2005/09/18 中国新聞ニュース

 【北京18日共同】六カ国協議筋によると、各国は十八日、中国の第五次草案に若干の修正を加えた上でほぼ合意した。十九日午前八時半(日本時間午前九時半)から全体会議と閉会式を行う予定。

拉致解決の目標遠のく 政府、6カ国の枠組みは堅持

2005/09/18 中国新聞ニュース

 【北京17日共同】日本政府は十七日、北朝鮮の核問題をめぐる第四回六カ国協議が休会の方向となったことで、核、ミサイル、拉致問題の包括的解決を目指す日本の目標がまた遠のいたと厳しく受け止めている。ただ今後も六カ国協議の重要性は変わらないとして、米国や韓国と連携しながら枠組みを堅持していく方針だ。

 核問題に関し日本は、米国と歩調を合わせ「まず北朝鮮がすべての核兵器と核計画を廃棄することを具体的に決断する」(日本首席代表の佐々江賢一郎外務省アジア大洋州局長)というのが譲れない線だった。

 このため北朝鮮が求めた軽水炉など核の平和利用の問題は、「現時点で取り上げる考えはない」(同)と強く否定しつつも、北朝鮮の核廃棄の決断を促す意味で将来的な検討には今後も含みを残す構えだ。

 日本人拉致問題については、協議期間中に行った二国間会談で北朝鮮が「本国でしかるべき検討が行われている」と回答。政府は、北朝鮮がこれまでの「拉致問題は解決済み」とする強硬姿勢を変化させたと重視し、核問題とは切り離して今後の日朝政府間協議の実現につなげたい考えだ。

 ただ北朝鮮側が今回、日朝会談に積極的に応じたのは、要求している軽水炉建設のため日本の財政力、技術力を無視できないとの思惑があったとみられる。六カ国協議が休会の方向となったことで、北朝鮮の態度が再び硬化する可能性もある。

6カ国協議、軽水炉明記の修正案 中国が提示、核放棄条件

2005/09/16 The Sankei Shimbun

 北京で開催中の第4回6カ国協議は再開4日目の16日、首席代表協議を開き、議長国中国が共同文書第4次草案の修正案を各国に提示。核開発の完全放棄や核拡散防止条約(NPT)復帰などを条件に、軽水炉を将来、北朝鮮に建設する可能性に言及。各国は17日午後に修正案に回答する予定。再開協議は最大のヤマ場を迎えたが、米国は軽水炉要求を拒否しており協議の行方は流動的だ。

 一方、北朝鮮代表団は首席代表協議後に記者会見し、軽水炉建設要求について「軽水炉の運用を共同管理させ、査察を受け入れる」ことだと説明した。

 協議筋によると、修正案は休会前に提示された第4次草案と同じ6項目からなり、軽水炉に関連した部分だけが新たに加わったという。

 米首席代表のヒル国務次官補は首席代表協議に先立ち、北朝鮮首席代表の金桂冠(キム・ゲグァン)外務次官と16日、短時間の接触を行ったとし「いい議論だった」と述べ、北朝鮮側の立場に何らかの変化がある可能性を示唆。事態が「どういう方向に至るかは分からない。予測するにはあまりに時期尚早だ」とも語った。

 この日は第4回協議再開後初めてとなる日米韓3カ国の非公式協議も開かれた。軽水炉について米国は「論外」と拒否する一方、日本は「のめないこともない」(外務省幹部)とし、韓国は「将来の可能性」として柔軟姿勢を示し始めており、3カ国の調整が必要になったとみられる。

 北朝鮮は、軽水炉建設の要求が受け入れられなければ、寧辺の実験用黒鉛減速炉の稼働を継続、核兵器を増産するとの考えも示している。

≪4、5日で出方見極め 6カ国協議で米長官≫

 ライス米国務長官は15日、米紙ニューヨーク・ポストとの会見で、6カ国協議について「今後4、5日で北朝鮮が核兵器プログラムに関し戦略的選択をする用意があるかどうかが見えるだろう。それで合意が可能かどうか分かる」と述べた。

 今後4、5日間程度は協議を続けるものの、北朝鮮が核放棄の意思を明確にしない場合、協議を打ち切ることを強く示唆した発言とみられる。

 長官は「北朝鮮は軽水炉を保有すると決意して協議の席に戻ってきたようだ。米国はこれに応じない」とし「北朝鮮は1994年の米朝枠組み合意に大いなる幻想を抱いており、現在の交渉にこの要素を盛り込もうとしている。しかし、この合意は死んでいる」と強調した。

 また、北朝鮮の核の脅威への対応として六カ国協議だけに頼っているわけではない、として大量破壊兵器拡散防止構想(PSI)を挙げた。協議決裂の場合、PSIなどによって北朝鮮への圧力を強めることを示唆したものとみられる。(共同)

日朝首席代表が会談 6カ国協議、拉致問題にも言及か

2005/09/14 The Sankei Shimbun

 6カ国協議の日本首席代表を務める佐々江賢一郎・外務省アジア大洋州局長は14日午前、北京の釣魚台迎賓館で、北朝鮮首席代表の金桂冠外務次官と約1時間20分、会談した。6カ国協議の主要議題である北朝鮮の核問題の意見交換に加え、日本人拉致事件についても日本側から提起したもようだ。

 日朝の2国間会談は、再開された第4回6カ国協議が休会に入った直後の8月7日以来。北朝鮮は前回、13日間の6カ国協議期間中には会談に応じず、休会直後にようやく約20分間の会談が実現した。今回は再開後すぐに会談に応じたことから、細田博之官房長官は14日午前の記者会見で「従来は聞く耳を持たないという感じもあったが、一定の前進だ」と評価した。

 前回会談では、日本が拉致問題の真相究明などを求めたのに対し、北朝鮮側は「本国に正確に報告する」と答えており、その回答も求めたとみられる。

 ただ北朝鮮代表団には日本が要請していた日朝関係担当者が参加しておらず、拉致問題の実質的進展は困難との見方も強い。細田長官も「先方の反応を見守りたい」と慎重姿勢を示した。

 佐々江氏は13日の北京入り直後、記者団に対し「この機会に北朝鮮と(日朝)平壌宣言に沿って、拉致問題を含む諸懸案の解決について真摯(しんし)な話し合いを行いたい。そのことによって関係の進展を図りたい」と強調していた。(共同)

6カ国協議成功へ協力確認 米中首脳

2005/09/14 中国新聞ニュース

 <胡主席、米との対話強調>

 【ニューヨーク13日共同=松岡誠】中国の胡錦濤国家主席は十三日、国連総会特別首脳会合出席のため訪問したニューヨークでブッシュ米大統領と会談、同日再開した北朝鮮の核問題をめぐる第四回六カ国協議について「米側との協力と対話を強化し、成功させたい」と述べ、両首脳は協議成功への努力を確認した。大統領は中国の七月の人民元切り上げを歓迎し、一段の為替相場の弾力化を要求。両首脳は米中関係の重要性もあらためて確認し、米中の協調関係を印象付ける会談となった。

 胡主席の訪米は国家副主席だった二○○二年四月以来で、両首脳の会談は昨年十一月にチリ・サンティアゴで行われて以来。

 国家安全保障会議(NSC)のマイケル・グリーン・アジア上級部長によると、大統領は今年十一月の韓国でのアジア太平洋経済協力会議(APEC)閉幕後に訪中する意向を明らかにし、胡主席もAPEC前にあらためて訪米する方向で調整に入った。

 北朝鮮の核問題では「核兵器関連計画に反対する」との点で一致したが、米国が求める「平和利用」も含めた核の全面放棄については完全な同意は得られなかったもようだ。

 胡主席は米中関係について「全般的に非常に良好に発展している」との認識を表明。通商関係では「両国関係の非常に重要な構成部分で共栄を目指す協力が主流だ」と述べ、対米貿易黒字削減のための輸入拡大や知的財産権保護に努力する姿勢を示した。人民元問題では「元相場の改革を推進する決意に変わりはない」と述べた。

 台湾問題では米中関係の「鍵を握る」と重ねて強調、台湾独立を支持しないブッシュ政権の立場を評価した。

共同文書作成目指す 北京で6カ国協議再開

2005/09/13 中国新聞ニュース

 【北京13日共同=磐村和哉】北朝鮮核問題をめぐる第四回六カ国協議は十三日夕(日本時間同)、北京の釣魚台迎賓館で首席代表協議を開き再開した。八月七日の休会から約五週間ぶり。休会前に続き、合意をまとめた共同文書作成を目指す。しかし、北朝鮮の「核の平和利用」をめぐって米朝が対立、厳しい攻防が続きそうだ。

 一方、米首席代表のヒル国務次官補は十三日、北京到着後「(休会中に事態が)進展したとは言えない」としながらも、「北朝鮮の立場がわずかながら進化しているようだ」と言明、平和利用や軽水炉建設にこだわる北朝鮮の態度に微妙な変化があることを示唆した。

 この日は首席代表協議に続き、夕食会が開かれる予定。夜には米朝の二国間協議が行われる可能性もある。

 再開協議は会期を定めておらず、北朝鮮の核放棄をめぐり共同文書で六カ国が明確な立場を共有できるまで議論を続けるとみられる。議長国中国は、米朝などの二国間協議を通じ手詰まりの局面打開を図る構えだ。

 日本は拉致問題解決のため、今回も北朝鮮との二国間協議を行い昨年から途絶えている日朝協議再開を働きかける方針。しかし、北朝鮮代表団は、対米交渉の担当者を中心に構成されており、実質的な協議に踏み込めるかどうかは微妙だ。

 十二日に北京入りしたロシアを除く日米韓と北朝鮮の代表団は十三日午後までに相次いで北京入り。各国首席代表は北朝鮮が金桂冠外務次官、中国が武大偉外務次官、日本が佐々江賢一郎・外務省アジア大洋州局長、韓国が宋旻淳・外交通商次官補、ロシアがアレクセーエフ外務次官。

北は「核から手を引け」、米首席代表が強硬姿勢

2005年09月10日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ワシントン=貞広貴志】13日に再開される北朝鮮の核問題を巡る6か国協議の米国首席代表クリストファー・ヒル国務次官補は9日、国務省で記者会見し、協議の見通しを示した。

 争点となっている北朝鮮による核の平和利用については、「北朝鮮は核関連事業から手を引く必要がある」「核物質を保有することは容認できない」と言明し、これまでの「将来の理論的な問題」としてなら検討する方針に比べ、厳しい姿勢を打ち出した。

 ヒル次官補は、韓国による200万キロ・ワットの電力供給提案を、「2年半から3年の間に(北朝鮮の)町や村に電気を行き届かせることができる」と評価した上で、「北朝鮮には、核(エネルギー)のような困難で高価な事業で電力供給力を高める理由はない」と断じた。

 これに対し北朝鮮は、将来の平和利用の権利、さらには核廃棄の見返りとして軽水炉の早期提供を求める「より強硬な立場」(最近、訪朝した米下院議員)を打ち出しているとされ、休会をはさんで米朝の対立が一層、先鋭化する形となった。

 協議再開直前に米政府が厳しい姿勢を打ち出した背景として、当地の外交筋は、<1>ブッシュ政権内の対北朝鮮強硬派による突き上げ<2>交渉の戦術上、協議冒頭での要求水準を高めた――可能性を指摘している。

 一方、ヒル次官補は協議に先立つ12日に韓国を訪問し、鄭東泳(チョン・ドンヨン)統一相らと会談、13日午後には日本や北朝鮮を含む各国代表と2国間協議を持ち、13日夕からの協議に臨む日程を明らかにした。

直前の米朝協議希望 「6カ国」控え北朝鮮

2005/09/09 The Sankei Shimbun

 北朝鮮は9日までに、今月13日に再開される第4回6カ国協議の直前に米朝協議を開催したいとの意向を議長国の中国側に伝えた。北京の外交筋が9日、明らかにした。

 北朝鮮の核平和利用問題をめぐり協議の難航が予想される中、米国側の出方を開始前に探るのが北朝鮮側の狙いとみられるが、同筋によると、中国は再開後に米朝協議を行うのが望ましいとの認識を示しており、日程調整は進んでいない。

 また同筋は、北朝鮮による軽水炉建設再開要求に関連し、中国が北朝鮮に対し「過大な要求をすれば(6カ国協議は)まとまらなくなる」と伝えたことを明らかにした。その上で、協議見通しについて「今回失敗すると、6カ国協議プロセスは機能しなくなる。だから切羽詰まったぎりぎりの交渉になるだろう」との見方を示した。(共同)

6カ国協議、13日から再開 中国が発表

2005/09/08 The Sankei Shimbun

 中国外務省の秦剛副報道局長は8日の記者会見で、北朝鮮核問題をめぐる第4回6カ国協議を13日から北京で再開すると発表した。会期は明示しなかった。8月7日に休会が決まった協議は、当初予定より約2週間遅れで再開。休会前と同様、各代表団が一堂に会する全体会合より2国間協議などで議論を詰め、合意をまとめた初の共同文書作成を目指すとみられるが、米朝の対立で難航しそうだ。

 6カ国協議筋によると、協議は13日午後に開会し、セレモニーなどはなく、すぐに首席代表協議が行われる見通し。

 第4回協議の最大の争点となっている北朝鮮の「核の平和利用」をめぐって、休会中の米朝接触でも両国の隔たりは解消していない。

 秦副局長は「協議をいつ終了するかについては、6カ国の話し合いの状況を見極めた上で決めたい」と述べ、展開次第では協議が長引くことを示唆。また「朝鮮半島非核化への道は複雑で曲がりくねっているが、悲観していない。誠意と柔軟性、実務的な態度で討論すれば、非核化プロセスを前進させることができる」と語り、協議進展に期待感を示した。

 日本は今回も、拉致問題解決に向けて北朝鮮との2国間協議を求める方針だが、北朝鮮は同問題を「解決済み」としており、事態打開の糸口は見えていない。

 第4回協議は当初、8月29日の週に再開予定だったが、北朝鮮が8月末に9月12日からの週の再開を提案し、米も同意。議長国中国を中心に最終的な日程調整が進められていた。(共同)

日本政府、北朝鮮の核全廃を要求の方針

2005年09月08日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 政府は、13日に再開する北朝鮮の核問題をめぐる6か国協議で、米国と連携して、平和利用を含むすべての核の廃棄を北朝鮮に改めて求める方針だ。日朝の首席代表会談を呼びかけ、日本人拉致問題を解決する糸口も探りたいとしている。

 政府は「北朝鮮は、平和利用を隠れみのに核兵器開発を進めてきた」と見ている。このため、平和利用については、核拡散防止条約(NPT)への復帰などを前提とした「将来的な課題」と位置づけ、今回の協議ではあくまで、核の全廃を盛り込んだ共同文書の採択にこぎつけたい考えだ。

6か国協議、13日から…北が中国に意向伝える

2005年09月06日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ソウル=福島恭二】休会中の北朝鮮の核問題をめぐる6か国協議第4回会合に関連し、韓国政府関係者は6日、北朝鮮が13日午後から再開させたいとの意向を中国側に伝えたことを明らかにした。

 同関係者によると、中国政府が韓国政府に知らせてきた。北朝鮮は代表団を13日午前に平壌から空路、北京入りさせ、午後からの協議再開に応じる意向を示した。これを受け、中国政府は他の参加国の意見を調整し、再開日程を公式に発表する予定だという。

 第4回6か国協議は8月7日、8月最終週に再開させることで合意し、休会。だが、北朝鮮は米韓の合同軍事演習「乙支(ウルチ)フォーカスレンズ」実施などを理由に応じず、12日に始まる週に再開するよう提案。米側もこれを受け入れる姿勢を示していた。

「主権国家の合法的権利」 核平和利用で北朝鮮紙

2005/09/06 The Sankei Shimbun

 北朝鮮の朝鮮中央通信によると、朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は6日の論評で、6カ国協議で最大の争点となっている核の平和利用は「主権国家の合法的権利で、国際法的にも認められている」と述べ、北朝鮮が核の平和利用を求める原則的立場に変化がないことを明らかにした。第4回6カ国協議再開を前に、米国をあらためてけん制する狙いがあるとみられる。

 論評は「平和的核活動は、日々増大する電力需要を満たし、経済を活性化させるためであり、決して放棄できない」と主張、「われわれは今後も、経済建設と人民の生活向上のため、平和的な核活動を中断せずに続ける」と強調した。(共同)

6か国協議再開で日米連携確認…官房長官と米有力議員

2005年09月05日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 細田官房長官は5日、米議会共和党の有力者で、8月末に北朝鮮を訪問した米下院のリーチ議員と首相官邸で会談し、北朝鮮の核問題をめぐる6か国協議の再開に向け、日米間で緊密に連携していくことで一致した。

 細田氏は北朝鮮の核開発について、「断じて許容できない」と強調した。

 北朝鮮による拉致問題については、細田氏が「重大な人権問題だ」と指摘したのに対し、リーチ議員は、「日本だけでなく、国際社会全体の問題で、私は日本政府の立場を完全に支持している」と応じた。

北朝鮮は予定通り復帰、米議会訪朝団が明かす

2005/09/03 YONHAP NEWS

【北京3日聯合】12日の週から再開される6カ国協議に向け北朝鮮が準備を進めているようだ。平壌訪問を終え北京に到着した米議会代表団が3日に明らかにした。

 米下院のジム・リーチ議員は記者会見で、北朝鮮が具体的な日時は明示しなかったものの、当初予定した日程にしたがって復帰することを強く確信したと述べた。リーチ議員はまた、北朝鮮の官僚らが、平和的核計画の一部として、軽水炉を維持することを望むと主張していたと伝えた。

 リーチ議員はトム・ラントス議員とともに先月30日に平壌を訪問し、白南淳(ペク・ナムスン)外相や金桂寛(キム・ゲグァン)外務次官らと会った。

米、「9月12日の週に再開」受諾 6カ国協議

2005/08/30 The Sankei Shimbun

 米国務省のマコーマック報道官は29日の記者会見で、北朝鮮が第4回6カ国協議について、9月12日からの週の再開を提案したことに対し「米国も12日の週に協議に戻る用意がある」と言明、米政府として受け入れる意向を示した。

 国務省高官も「北朝鮮が協議復帰の確約を取り下げる兆候はない」と指摘。再開まで必要に応じて北朝鮮との2国間接触をニューヨークで行う考えを示した。

 報道官によると、具体的な再開日は議長国中国を軸に調整が図られる予定。予定より2週間遅れながらも、米国が北朝鮮の提案に沿う形で協議再開への強い意思を明確にしたことで、協議が9月12日からの週に再開される見通しが強まった。

 報道官は、北朝鮮が再開遅れの理由として、北朝鮮人権問題担当の米大統領特使の任命を挙げている点に関して「米国の法律で義務付けられており、大統領も(北朝鮮の人権状況改善の必要性を)心底信じている」と指摘。「(核問題を扱う)6カ国協議とは何の関係もない」と反論した。

 北朝鮮がもう1つの理由に掲げた米韓合同軍事訓練「乙支(ウルチ)フォーカスレンズ」についても「北朝鮮に脅威を与えていない」と語った。(共同)

6カ国協議、9月中旬以降に 米韓訓練で今週はできず

2005/08/28 The Sankei Shimbun

 北朝鮮の白南淳(ペク・ナムスン)外相は29日、第4回6カ国協議について、韓国で実施中の米韓合同軍事訓練のため、今週中の再開が不可能になったことを確認した。その上で「9月中には再開される。事態がうまくいけば中旬にも可能だ」と述べた。訪朝中のカンタティ・タイ外相の同行記者団に語った。

 白外相の発言で、協議は休会前に合意されていた今週中の再開ができず、9月中旬以降にずれ込むことが確実となった。

 一方、平壌発の新華社電によると、協議の再開日程調整などのため訪朝していた協議議長国、中国の武大偉外務次官は29日、「各国は再開に同意しており、再開時期がいつになるかは重要でない」と述べるにとどまり、日程が決まらなかったことを強く示唆した。訪朝日程を終え平壌を離れる際、新華社通信記者に語った。

 白外相は記者団に、定例の米韓合同軍事訓練「乙支(ウルチ)フォーカスレンズ」について、6カ国協議再開が遅れる原因だと非難。協議をいつ再開できるかは「米国にかかっている」と指摘、北朝鮮が核兵器を持たざるを得ないようにしているとして、敵視政策の撤回をあらためて求めた。

 新華社電によると、武次官は「重要なことは会談が続いているということだ」と強調。訪朝中、白外相や6カ国協議の北朝鮮首席代表の金桂冠外務次官、金永日外務次官らと会談した。

 武次官はこれまで、9月2日からの協議再開を検討していることを明らかにしていた。(共同)

再開は9月中旬以降 6カ国協議でタイ外相

2005/08/28 The Sankei Shimbun

 北朝鮮訪問中のタイのカンタティ外相は28日、白南淳外相との会談を受け、第4回6カ国協議の再開は9月中旬以降にずれ込むとの見通しを示した。同行記者団に語った。

 カンタティ外相によると、白外相は27日の会談で、同協議が「9月末までには開かれるだろう」と述べ、北朝鮮としては関係国の「信頼の欠如」のために、予定通り今月29日からの週に協議を再開する準備ができていないと指摘した。

 これは北朝鮮が求める「核の平和利用」をめぐる米国との対立が原因であることを示唆したものだ。

 カンタティ外相は、タイと北朝鮮が国交樹立30周年を迎えたことに伴い、代表団を率いて27日に平壌入りした。

 6カ国協議の再開時期については、中国首席代表を務める武大偉外務次官が25日に社民党の福島瑞穂党首との会談で、9月2日から再開する方向で各国と最終的な調整に入る方針を明らかにしていた。(共同)

6カ国協議再開へ調整大詰め 米朝歩み寄りなく難航か

2005/08/28 The Sankei Shimbun

 休会中の第4回6カ国協議の再開に向けた調整は、議長国中国の武大偉外務次官が27日に北朝鮮を訪問し大詰めの段階を迎えた。だが「核の平和利用」をめぐる米国と北朝鮮の隔たりは解消しておらず、合意通り29日からの週に協議再開が決まっても、先送りされた共同文書の起草作業は難航が予想される。

 複数の協議筋によると、8月7日に休会が決定して以降、米朝の実質的な接触は2回行われた。しかし、共同文書で最大の争点となっている「核の平和利用」について、権利保有を明確にするよう求める北朝鮮と、すべての核計画の廃棄を要求する米国との間で歩み寄りの兆しはみられず、「対立状況は休会前とほとんど変わっていない」という。

 北朝鮮が核を完全放棄した後に「将来の核平和利用の権利」に言及することで、妥協点を探ろうとする動きはあるものの、米朝双方とも、あいまいに解釈できる合意は、対立の構図をさらに複雑にする可能性があると警戒しており、「実質的な調整に入る段階には至っていない」(同筋)。このため中国側は、共同文書が作成できるかどうかについても流動的な要素が残っていると慎重になっているようだ。

 武外務次官が30日まで平壌に滞在する間にも、ニューヨークなどを舞台に米朝の接触が続く可能性はあるが、再開協議に明るい見通しを与えるだけの進展を望むのは難しそうだ。(共同)

米2議員が訪朝検討 週明けにも「6カ国」への北出席促す

2005/08/28 The Sankei Shimbun

 【ワシントン=樫山幸夫】北朝鮮の核開発をめぐる六カ国協議の再開前に米の有力下院議員二人が訪朝を検討していることが二十六日、明らかになった。これら議員は北朝鮮側にブッシュ大統領のメッセージを伝える見込みで、北朝鮮側はこれを受けて再開六カ国協議出席を決める方針といわれる。その場合、協議再開は、九月の第二週以降になるとの観測もなされている。

 訪朝を検討しているのは、米下院外交委員会アジア太平洋小委員会のリーチ委員長(共和党)と同委員会のラントス議員(民主党)。両氏は、北朝鮮の核問題解決を側面から支援する目的で、今年春から北朝鮮側に訪問を打診していた。

 両議員は、早ければ週明け早々にも平壌入りし、六カ国協議の北朝鮮代表の金桂寛外務次官らと会談する。再開六カ国協議への出席を促し、核問題全般に関して意見交換、先方の方針などを探る。

 両議員はあわせて、北朝鮮の人権問題なども取り上げ、改善を強く促す。

 両議員の訪朝については米政府も支持しており、両議員は六カ国協議出席と核開発断念を求めるブッシュ大統領のメッセージを口頭で伝える予定。

 ただ、双方の日程次第では、訪朝そのものに流動的な面も残されている。

 一方、北朝鮮は両議員の訪朝を基本的に歓迎する姿勢を見せている。北朝鮮は、今月二十二日から九月二日までの予定で行われている米韓合同軍事演習に強い不快感を持っている。

 これが再開六カ国協議の日程が決まらない理由のひとつといわれるが、米の大物議員が訪朝し、ブッシュ大統領のメッセージを伝えることで、北朝鮮としてはメンツが立つ形となり、六カ国協議再開を決断してくる可能性がある。

 北朝鮮が再開六カ国協議出席を決断した場合、九月五日以降に開始される可能性が強い。

 再開六カ国協議をめぐっては、先週、ワシントンで米中、米韓、日米各国間による事前折衝が個別に行われ、二十七日からは六カ国協議議長の武大偉中国外務次官が平壌を訪問。先々週から先週にかけて“ニューヨーク・チャンネル”を通じて行われた米朝間の接触も、週明けに再び、行われる見込みで、協議に向けた動きが活発化している。

中国外務次官が訪朝、6か国協議再開で調整へ

2005年08月27日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【北京=末続哲也】北朝鮮の核問題をめぐる6か国協議の中国首席代表を務める武大偉外務次官は27日、北朝鮮を訪問した。

 30日までの訪朝で、北朝鮮首席代表の金桂寛(キム・ケグアン)外務次官らと会談し、同協議の再開日程を固め、共同文書の合意に向けた道筋をつけるよう全力を挙げる。

 武次官は、9月2日の協議再開の方向で調整する考えを表明している。北朝鮮が同意するかは不透明だ。

9月2日再開で最終調整 6カ国協議、中国首席代表

2005/08/25 中国新聞ニュース

 北朝鮮の核問題をめぐる六カ国協議で中国首席代表を務める武大偉外務次官は二十五日午前、社民党の福島瑞穂党首と同党本部で会談し、休会中の同協議を九月二日から再開する方向で各国と最終的な調整に入る方針を明らかにした。

 武氏は、福島氏が再開時期の見通しについて聞いたのに対し「日本と相談して来月二日でどうかと考えている。今、スタッフが米国とも調整中だ」と答えた。武氏はこの後、自民党の武部勤幹事長らとも会談した。

 北京で開かれた第四回六カ国協議は今月七日、十三日間の協議を経て休会。二十九日からの週に再開する予定だった。再開後の協議では、北朝鮮の「核の平和利用」を認めるか否かが最大の焦点となる見通しで、最終的に各国の合意事項をまとめた共同文書採択を目指す。

 武氏は福島氏に対し、小泉純一郎首相の戦後六十年談話について「自民党の首相が初めてこういう談話を出したという意味で中国は重視している」と一定の評価を示した上で「その延長線上に何があるかを期待している。行動で示してほしい」と述べ、重ねて首相の靖国参拝をけん制した。

北の核平和利用問題で意見調整 米韓外相が会談

2005/08/24 The Sankei Shimbun

 ライス米国務長官と訪米中の韓国の潘基文外交通商相が23日、国務省で会談、米韓で意見の違いがある北朝鮮による「核の平和利用問題」を軸に6カ国協議の再開をめぐり意見交換した。

 国務省によると、会談で双方は「第4回6カ国協議が実務的に行われ、進展があった」との認識で一致したという。

 韓国政府は、核の平和利用について北朝鮮がすべての核計画を放棄し「信頼が醸成された後に協議の対象となる」との立場。米国は医療用などについては理解を示しているものの、核の平和利用の権利を認めることに難色を示している。

 ヒル国務次官補は23日、「平和利用」問題が全体の合意を妨げる対立点にはならないとの見方を示している。(共同)

韓国外相「容認を」 北朝鮮核の平和利用 米TVで強調

2005/08/22 The Sankei Shimbun

 【ワシントン=有元隆志】米国を訪問している韓国の潘基文外交通商相は二十一日、米CNNテレビに出演し、北朝鮮の核開発について「医療や工業用ならば問題はない」と述べ、核の平和利用は容認すべきだとの考えを強調した。そのうえで「北朝鮮はすべての核兵器開発計画を放棄することを決断しているように思える」と述べ、北朝鮮の核放棄に期待感を表明した。

 潘外交通商相は北朝鮮が核放棄にあたり、核拡散防止条約(NPT)体制に復帰し、国際原子力機関(IAEA)による査察を受けるべきだと指摘したうえで、「信頼が回復されたら、核の平和利用の扉は開かれるべきだ」と述べた。

 八月七日に休会した、北朝鮮の核開発をめぐる六カ国協議では、核の平和利用の権利を求める北朝鮮に対して、これを認めない米国が対立した。

 潘外交通商相は平和利用を認めない米国との食い違いについて「それほど大きな違いはない。(平和利用は)将来の問題だ」と述べた。

 潘外交通商相は米国滞在中、ライス国務長官やヒル国務次官補(東アジア・太平洋担当)らと会談し、二十九日から再開する予定の六カ国協議に向けた意見交換をする。

金総書記「核の平和利用」継続の方針…露高官

2005年08月18日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【モスクワ=五十嵐弘一】インターファクス通信によると、北朝鮮を17日まで訪問、金正日総書記と会談した、ロシアのコンスタンチン・プリコフスキー極東連邦管区大統領全権代表は18日、ハバロフスクで記者会見した。

 同代表によると、金総書記は、北朝鮮核問題の6か国協議で米国が北朝鮮に放棄を求めている、「核の平和利用」を継続する方針を示した。金総書記はまた、訪露の希望を表明した。

 同代表によると、金総書記は会談で、核の平和利用について、「現在の困難な経済状況のため、推進する必要がある」と語った。

 金総書記はさらに、「我々を『悪の枢軸』と見なさないで欲しい。我が国に脅威を与えないで欲しい。そうすれば、我々には核兵器はまったく不要だ」と述べ、米国からの「脅威」消滅を前提に、核拡散防止条約(NPT)への復帰に前向きな姿勢を見せたという。

「時期の問題」と盧大統領 北朝鮮の核平和利用で

2005/08/18 The Sankei Shimbun

 韓国の盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領は18日、6カ国協議で争点となっている北朝鮮の核の平和利用問題について「どの国でも持っている当然の権利。米国(の立場)でも、時期と条件の問題であり、『永遠に持つな』という主張ではない」と述べた。

 青瓦台(大統領官邸)で行われた韓国マスコミとの懇談で語った。

 盧大統領は「今すぐ『権利がある』というのと『今後も、永遠に権利がない』ということの間で(解決に)時間がかかり、条件が付いていくのではないか」との見通しを示した。(共同)

6か国協議継続、米の立場次第…北朝鮮の駐露大使

2005年08月13日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【モスクワ=古本朗】北朝鮮の朴義春(パク・ウィチュン)駐露大使は12日、インターファクス通信に対し、北朝鮮の核問題をめぐる第4回6か国協議が継続されるかどうかは「米国が正しい立場をとるかどうかにかかっている」と条件を付ける姿勢を示した。

 北京で7月26日から開催された第4回協議は、北朝鮮の「原子力平和利用」問題の扱いなどをめぐる米朝間の対立から「共同文書」採択に至らず、8月29日から始まる週に再開するとの申し合わせで休会に入った。

北朝鮮の核平和利用、韓国統一相が容認

2005年08月11日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ソウル=中村勇一郎】韓国の鄭東泳(チョン・ドンヨン)統一相は11日公開された韓国のウェブサイト「メディア・タウム」とのインタビューで、「核の平和利用は、北朝鮮の一般的権利として当然あるべきものというのが我々の考えだ」と述べ、すべての核廃棄を求める米国との立場の違いを強調した。

北の核問題は10月までに実質合意…米国務次官補

2005年08月11日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ワシントン=五十嵐文】北朝鮮の核問題をめぐる6か国協議で米国首席代表を務めるクリストファー・ヒル米国務次官補(東アジア・太平洋担当)は10日、ワシントンで記者会見し、遅くとも10月までに、核問題解決に向けた実質的な合意をめざす方針を表明した。

 今月7日に休会した第4回6か国協議は、29日から始まる週に再開することを目指している。ヒル氏は、再開後の協議で共同文書を作成、それを踏まえて早急に次回協議を開き、10月までに核廃棄の具体策で合意する――との手順で問題解決を図る考えを示した。

 北朝鮮が主張する、核の平和利用の権利保持については、「適切な議題とは思わない」とし、「北朝鮮はすべての核計画を廃棄しなければならない」と改めて強調した。

 これに関連して、北朝鮮が黒鉛減速炉から兵器級プルトニウムを製造した問題に言及、「イランの核開発をめぐる交渉ではこうした問題は起きていない」と述べた。

北朝鮮の軽水炉建設 再開「認められない」 米国務次官補、核廃棄が必要

2005/08/11 The Sankei Shimbun

 【ワシントン=有元隆志】北朝鮮の核問題をめぐる六カ国協議で米首席代表を務めるヒル国務次官補(東アジア太平洋担当)は十日、外国プレスセンターで会見し、七月末から北京で開かれた第四回協議で、北朝鮮が求めた軽水炉建設再開は受け入れられないとの考えを示した。

 ヒル次官補は軽水炉建設について「(第四回協議の)終わりのほうに出てきたが、問題がある」と述べ、北朝鮮がすべての核開発計画を廃棄する必要があるとの考えを改めて示した。

 一九九四年の米朝枠組み合意に基づいて、朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)が始めた軽水炉二基建設は、北朝鮮の高濃縮ウラン計画の発覚後に、中断されている。

 また、ヒル次官補は北朝鮮が求めた核の平和利用に関しては、「これまでのエネルギーの平和利用に問題があった」と述べ、認められないとの考えを強調した。

ウラン濃縮計画「北は真実語らず」 米大統領

2005/08/10 The Sankei Shimbun

 ブッシュ米大統領は9日、北朝鮮は核兵器開発につながるウラン濃縮計画について「真実」を語らず、韓国からエネルギー提供も提示されているので、イランに認めた核の平和利用を北朝鮮には容認できないとの見解を示した。テキサス州クロフォードの私邸での記者会見で語った。

 米政権が今月初め、条件付きでイランの核平和利用を容認する政策に転換したため、これを認めていない北朝鮮への対応との間で「二重基準」が生じたとの指摘が出ている。大統領の発言は、今月末に開催予定の休会後の6カ国協議で、北朝鮮がイランとの対応の違いを突き、平和利用容認を再度求めてくることに予防線を張る狙いがあるとみられる。

 大統領は「北朝鮮が核兵器開発を放棄し、十分な透明性と国際社会による検証機会が確保されれば、韓国は電力を提供すると言っている」と強調、この提案を受け入れるよう促した。

 一方、イランについては「発電施設が国際監視体制下に置かれ、ウランの供給や使用済み核燃料の回収はわれわれが認める国が行う」との前提条件を説明。イランは、これを受け入れる「意欲を示してきた」と述べた。

 ブッシュ政権はこれまで、イランの民生用核計画への態度を明示してこなかったが、今月5日にウラン濃縮など核燃料サイクルを断念する見返りに、軽水炉建設を認める方向へ政策転換した。(共同)

米の出方見守ると金次官 北朝鮮代表団が帰途

2005/08/09 The Sankei Shimbun

 北京で行われた第4回6カ国協議の北朝鮮代表団が9日午前(日本時間昼すぎ)、北京国際空港から平壌への帰途に就いた。

 首席代表の金桂冠外務次官は、米国の譲歩がなくても協議を続けるかとの記者団の問いに「(出方を)見守る」とだけ答えた。

 一方、朝鮮中央通信によると、朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は9日、「朝鮮半島での不安定な休戦状態を強固な平和体制に転換することは、(米朝間の)核問題を解決するためにも、先延ばしできない切実な問題」と主張した。今回の6カ国協議には触れていないが、協議が始まって以降、朝鮮半島の和平に関し北朝鮮メディアが本格的に論評したのは初めて。(共同)

月末再開の6か国協議、北朝鮮は「平和利用」固執か

2005年08月08日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【北京=平野真一】13日間にわたって北京で続けられてきた第4回6か国協議が7日、8月最終週まで休会となったことを受け、各国は2国間接触などを通じて、行き詰まった議論の打開策を探る。

 日米などにとっては、北朝鮮が平和利用を含めた「完全な核廃棄」に応じる以外に解決策はあり得ない。しかし、北朝鮮は、「核カード」保持のため「平和利用の権利」主張に固執すると見られる。

 北朝鮮は今協議に極めて用意周到に臨んだ。首席代表の金桂寛(キム・ケグァン)外務次官は7月26日の開幕式で、「朝鮮半島非核化のためには政治的意思と戦略的決断が求められる。我々にはその準備がある」と発言。翌27日の基調発言では、米朝国交正常化、米国による核の威嚇除去などの条件が満たされれば、「核兵器と核兵器計画を検証可能な形で廃棄することを公約する」と述べた。

 表面的には柔軟な姿勢を示したようで、実はいくつも狙いを込めている。第1は、今年2月の「核兵器保有宣言」を既成事実化し、核保有国として認知を取り付けることだ。事実、議長国・中国がとりまとめた共同文書草案には核兵器保有を前提とした表現が盛り込まれ、結果的に核保有国としての交渉力を高めた。

 第2に、核放棄の確約と引き換えに、できるだけ多くの見返りを得ようとの計算だ。「核廃棄」を取り付けるためなら米国もある程度譲歩すべきだ、という声が参加国から出ることも期待していたフシがある。

 協議で「すべての核兵器と核計画の廃棄」を求める流れが強まると、次は「平和利用の権利」や「軽水炉建設」を持ち出した。米国が「見せかけの核放棄は許されない」と反発したものの、ロシアなどが平和利用の主張に一定の理解を示した。金次官は7日の会見で、「米国が平和利用を認める決断を下さなかった」のが合意できなかった理由、とまで言ってみせた。

 ただ、北朝鮮が協議再開後も平和利用の権利を主張し続けた場合、単なる時間稼ぎと受け取られ、米国などで「6か国協議は不要」だとして国連安全保障理事会に付託すべきだとの声が強まりかねない。それを承知している北朝鮮は、平和利用の権利放棄を打ち出す一方で、新たな条件をつけてくる可能性もある。

 さらに、北朝鮮がたとえ平和利用問題で譲歩したとしても、核カードを完全に手放すとは考えにくい。「北朝鮮から核がなくなれば、単なるアジアの最貧国に過ぎなくなる」(韓国消息筋)からだ。

 韓国と「朝鮮半島の非核化に関する共同宣言」(1992年発効)に調印しながら核開発を進め、核問題解決のための「米朝枠組み合意」(94年)をも踏みにじって高濃縮ウラン計画に着手したように、新たな核カードを繰り出す可能性も指摘されている。

6カ国協議、休会を決定 29日からの週に再開へ

2005/08/07 The Sankei Shimbun

 第4回6カ国協議は13日目の7日午前、釣魚台迎賓館で首席代表協議を開き、いったん休会し、今月29日から始まる週に再開することを決めた。議長国中国の首席代表、武大偉外務次官が協議後に記者会見して正式発表した。核放棄の対象などをめぐる米国と北朝鮮の対立が解けなかったためとみられる。

 決裂という最悪の事態は回避したものの、休会後に再開される協議で米朝が「戦略的決断」をしない限り、実質的な進展が難しい状況に変化はない。

 各国は休会期間を利用し、戦術などを再検討するとみられるが、最大の争点となっている北朝鮮の「核の平和利用」に関し、米朝双方が主張を軟化させる兆しはない。

 1年1カ月ぶりに開かれた今回協議は7月26日に開会。27日に各国首席代表が基調演説をした後、米朝協議を中心に「朝鮮半島非核化」に向けた課題などを整理、共同文書採択に向け、中国を中心に草案修正を繰り返しながら調整を続けた。(共同)

6カ国協議休会へ 時間稼ぎ 北に「得点」 日米と中韓露、分断も

2005/08/07 The Sankei Shimbun

 一年一カ月ぶりに再開した六カ国協議は六日、休会の方向となり、仕切りなおしとなった。各国代表はいったん帰国し、再開・合意作りへ再調整する。再開に向けた各国の思惑を探った。

 【北京=久保田るり子】北朝鮮は今回、「核問題の本質」と主張してきた米朝協議を実現したが、「休会」は米朝協議の続行を意味しており、孤立した状況にはない。関係筋によると、米ニューヨークの韓成烈・北朝鮮国連代表部次席大使は今協議開始前、米国の朝鮮半島専門家に、「協議で米国が大幅譲歩することはないだろう」との見通しを述べていたという。また、協議復帰の目的を「米国との実質討議」と「六カ国協議の継続」に置き、米国の求める「戦略的決断」については「まだその時期ではない」ことを示唆していたともいう。

 北朝鮮の動向に詳しい別の関係者は、協議前に北朝鮮指導部は「核廃棄」の見返りに、「米朝関係正常化」の一括妥結方式への米国の同意取り付けを優先するとの方針を出し「米国との緊張をいったん緩和させることが主眼だった」と述べた

 北朝鮮首席代表の金桂寛外務次官は協議中、北朝鮮が協議に前向きであると強調したが、緊張緩和や協議継続といった狙いは達成された。協議長期化は、北朝鮮にとっては核開発を進めるための時間稼ぎとなり、枠組みの維持は、北朝鮮の求める「安全の保証」を担保することとなり、得点を重ねた形だ。

 北朝鮮は今後、日米対韓中露の分断工作を活発化させるとみられる。北朝鮮の「核の平和利用」の権利をめぐっては日米が反対しているが、韓国、中国、ロシアは支持の方向で北朝鮮包囲網は必ずしも確固としたものではない。南北交流を進める韓国と米朝対立の先鋭化を望まない中国の立場をにらみ、北朝鮮が緊張を醸成して韓国などに「脅威」をいだかせたり、中朝のパイプを活発化することもあり得る。

                  ◇

 【核利用めぐる各国の立場】

 ◆日本 余地残せば問題必ず再燃

 日本は7月27日の基調演説で、ウラン濃縮計画を含むすべての核計画の完全廃棄を求めるなど、強硬な立場を打ち出した。外務省幹部は「北朝鮮の核兵器の脅威を最も直接的に受けるのが日本であり、核兵器とそれにつながりかねない核の平和利用は認められない」としている。

 日本政府同行筋は「平和利用の余地を残せば、核開発問題は必ず再燃する。交渉の入り口であいまいさは許されない」として、エネルギー支援も軽水炉提供ではなく、火力発電所建設などによるべきだとの立場だ。(北京 笠原健)

 ◆中国 将来的には日米に同調も

 中国はこれまで、明確に北朝鮮の「非核化」の概念を示すことはなかった。ここに来て、外務省の会見で「核兵器の廃棄」との表現を使うなど、非核化とは「核兵器の廃棄」であり、「核の平和利用」までは禁じるべきではないとの考えをにじませている。

 ただ、中国政府内には、北朝鮮の核開発をめぐる過去の経緯から、北朝鮮が平和目的を隠れみのに、核兵器開発を進める可能性を指摘する向きもある。このため、将来的には、核の完全廃棄を求める日米の主張に同調する可能性も否定できない。(北京 野口東秀)

 ◆韓国 原則として平和利用容認

 原則的には北朝鮮の「核の平和利用」を容認する立場だ。南北は1992年に「朝鮮半島の非核化に関する共同宣言」を締結、双方の平和利用を明記している。ただ6カ国協議の枠組みのなかでは北朝鮮の「核廃棄」が前提として核拡散防止条約(NPT)復帰や国際原子力機関(IAEA)の査察の受け入れを北朝鮮に求めている。

 一方、朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)により建設が進み、今回、米国が終了する意向の軽水炉事業については、将来の統一政策のなかで南北による平和利用も構想している。(北京 久保田るり子)

 ◆露 北朝鮮の原発建設を推進

 北朝鮮の核の平和利用について問題はないとの姿勢だ。露政権内には、原発の輸出を「政治的、経済的な影響力拡大につながる」として、北朝鮮でのロシア製原発の建設を積極的に推進しようという意見が強い。

 ロシア原子力庁の消息筋が、同国の通信社に語ったところでは、ロシアはすでにソ連時代に調査を済ませ、原発建設に有望な場所を見つけており、同筋は「ロシアは、建設費のめどがつけば、いつでも北朝鮮に原発を建設できる」と強調した。(モスクワ 内藤泰朗)

6カ国協議「休会」へ 共同文書めど立たず

2005/08/06 The Sankei Shimbun

 第4回6カ国協議は12日目の6日、米国と北朝鮮の対立が解けず、共同文書採択のめども立たないまま、「休会」する方向で各国が最終調整に入った。複数の協議筋が明らかにした。再開時期などは明らかになっていないが、8月中の再開を視野に、6日中にも開かれる首席代表協議で論議される見通し。初の長期間交渉となった同協議は結論が出ないまま"水入り"という異例の展開となった。

 最大の争点となった「核の平和利用」の権利行使を主張する北朝鮮と、過去の国際合意違反の経緯を踏まえ当面の権利行使を認めないとする米国が、最後まで歩み寄れなかった。

 北朝鮮の核拡散防止条約(NPT)復帰と国際原子力機関(IAEA)の査察受け入れを条件に「平和利用」権利行使に含みを残す共同文書草案の文言調整が、議長国中国を中心に進められていた。しかし米朝が譲歩の構えを示さないことから、第4次草案が提示された2日以降、議論は手詰まり状態に陥り、中国が「休会」が必要との判断を固めたもようだ。

 同筋によると、北朝鮮首席代表の金桂冠(キムゲグァン)外務次官は「(草案受諾の)最終決定を行う権限を与えられていない」などと関係国に表明。北朝鮮代表団にいったん平壌に戻らせ、最高指導者の金正日(キムジョンイル)総書記の最終判断を仰ぐなどの機会を与えるのが「休会」の狙いとみられる。

 米首席代表のヒル国務次官補は6日朝、「進展がなくなったら北京に滞在することはない。その場合(協議)終結の方法を考えなくてはならない」と記者団に言明。この日の協議次第で「休会」などを含め、今回協議に区切りをつける必要があるとの認識を示していた。(共同)

中国、共同文書断念を示唆 土壇場調整、対立解けず

2005/08/04 The Sankei Shimbun

 第4回6カ国協議は10日目の4日、議長国中国がまとめた共同文書第4次草案をめぐり、2国間協議による土壇場の調整が続けられた。しかし「核の平和利用」をめぐる米朝の対立は解けなかったもようで、中国外務省の秦剛副報道局長は4日、共同文書にこだわらない考えを初めて表明、採択断念の可能性を示唆した。だが副局長は「協議決裂の兆候はない」として5日も続行すると言明、最終決着は11日目以降に持ち越された。

 北朝鮮を除く5カ国は同草案を受け入れる構えだが、10日間の協議にもかかわらず米朝が歩み寄りの糸口を見いだせなかったことから、協議は最終盤で手詰まりの様相をさらに濃くした。

 韓国首席代表の宋旻淳(ソン・ミンスン)外交通商次官補によると、同日は北朝鮮と韓国、米国による3カ国協議が開かれ、北朝鮮が同草案について立場を表明した。次官補は「協議内容をもとに本国と協議し、核心事項をどうするか、明日以降に適した方法で解決していく」と述べた。

 秦副局長は、協議は終盤に入っているとした上で「各国が相違点を減らそうと努力している最中だ」とし、共同文書については「文書の有無は会議の成功、不成功のシンボルではない」と述べた。

 さらに、各国がさらなる柔軟性を示し努力すべきだと指摘、協議は「朝鮮半島非核化」の目標に向け「一歩一歩たゆまなく前進している」と強調した。

 米首席代表のヒル国務次官補は同日朝、「北朝鮮は根本的な決断をしなくてはならない」と述べ、あいまいな妥結は認めないとの立場を強調した。(共同)

日本にも「核の脅威」 北朝鮮、米に政策見直し要求

2005/08/02 中国新聞ニュース

 【北京2日共同=斎藤真】北朝鮮が第四回六カ国協議で、北朝鮮に対する米国の「核の脅威」は在日米軍基地にも存在すると主張、日本を「核の傘」の下に置いているとして米国の核政策見直しを要求していることが二日、分かった。複数の協議筋が明らかにした。

 北朝鮮が六カ国協議で、米国の「核の脅威」が存在する地域として日本を名指ししたことが判明したのは初めて。今年二月に核保有を公式宣言した北朝鮮が自らの「核放棄」と引き換えに、日米の安全保障政策を揺さぶろうとしている姿勢があらためて鮮明になったといえる。

 同筋によると、北朝鮮首席代表の金桂冠(キムゲグァン)外務次官は米国との二国間協議などの場で、米国による「核の脅威」が朝鮮半島だけでなく「周辺国にも存在する」と言明。具体例として日本を挙げ、特に「在日米軍基地」に対する警戒感を示した。

 その上で、北朝鮮が「核放棄」した場合の見返りの一環として、米国の核政策見直しを要求しているという。しかし、日米は北朝鮮の主張に対し「六カ国協議とは何の関係もない」(同協議筋)として、取り合う姿勢を示していない。

 北朝鮮は今年四月にも、姜錫柱(カンソクチュ)第一外務次官が非公式訪中した際、米国の「核の脅威」について「南朝鮮(韓国)の米軍基地だけでなく、在日米軍も問題」と表明。日本を「核の脅威」の対象地域として問題視する考えを中国側に伝達していた。

共同文書の第2次案提示へ 中国、6カ国協議7日目

2005/08/01 中国新聞ニュース

 【北京1日共同】北朝鮮の核問題をめぐる第四回六カ国協議は七日目の一日、北京で次席代表協議を開き、共同文書の起草作業を続けた。米国首席代表のヒル国務次官補は同日朝、三十一日深夜から一日早朝にかけて共同文書の第二次草案が作成されたことを明らかにし、「プロセスは進展している」と語った。米朝協議も行われる見通し。

 中国は七月三十日に共同文書の最初の草案を提示、第二次草案は各国からの修正意見などを受けて、手直しを行ったものとみられる。

 共同文書については、各国とも「成果が出るまで協議を続ける」との姿勢でほぼ一致、どの段階で取りまとめのめどが付くかは不透明だ。

 協議筋によると、焦点となる北朝鮮の核放棄とその見返りをめぐっては、見返り措置の実施時期をできるだけ前倒しにしたい北朝鮮と、検証を伴い段階的に行おうとする米国の主張に依然、開きがある。

 ミサイルや人権問題などの諸懸案については、別の協議筋は「核以外の問題を扱う段階まで議論は進んでいない」と述べ、核問題で激しいやりとりが行われていることを示唆した。

北朝鮮が電力供給と軽水炉事業の継続を要求

2005/07/30 YONHAP News

【ラオス・ビエンチャン30日聯合】北朝鮮が韓国政府の「重大提案」に関連し、核廃棄時には200万キロワットの送電以外に、軽水炉事業も持続すべきとの立場を崩していないことがわかった。北京で開催中の第4回6カ国協議で、北朝鮮は韓国代表団に対し、送電提案が核廃棄が先という性格を帯びていると指摘しながら核凍結に入れば送電をするのかと問い合わせるとともに、平和的核利用という面で軽水炉建設事業は持続すべきではないのかとの立場を示したもよう。

 ラオスを訪問している外交通商部の潘基文(パン・ギムン)長官は同日午後、宿所での記者懇談会で、「北朝鮮が軽水炉事業を続けるべきとの強い立場を韓国代表団に伝えてきた」と明らかにした。ただ、核凍結の代価として電力供給を、核廃棄の代価として軽水炉を建設してほしいという姿勢ではなかったという。

 潘長官は韓国代表団から北朝鮮が軽水炉建設に強く望んでいるという報告を受け、これが交渉の妨げとなってはならないとの判断から、白南淳(ペク・ナムスン)外相との会談では潘長官から先に軽水炉について切り出したとしている。白外相に韓国政府による同事業終了の立場を明らかにした後、「米国など国際社会が軽水炉事業に相当否定的な立場であるからこそ、韓国が電力や重油を提供しようとするのではないのか。軽水炉問題を取り上げ続けることで交渉を妨げてはならない。交渉は現実的に行うべき」と重ねて強調したという。

 「北朝鮮が電力と軽水炉の両方とも要求しているのか」との質問には、これを肯定した。潘長官は白外相に、軽水炉事業が終了されても清算手続きなどのために当分は朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)が残ることになると話した。また、北朝鮮への送電中断の可能性については、「北朝鮮は技術的、政治的な問題を心配しているようだ」との見方を述べ、「送電する上で技術的な問題はなく、電力供給が政権交代には左右されることもない。国民と国際社会がこれを支持する上に、国会の同意を得て実行に移すので心配はいらない」と説明したという。

6カ国協議、最終文案作り着手 「非核化」来週まで詰め

2005/07/30 The Sankei Shimbun

 【北京=笠原健】北朝鮮の核開発問題をめぐる六カ国協議は三十日午前、釣魚台迎賓館で首席代表会合を開き、議長国の中国が共同文書案を示し、合意事項を盛り込んだ最終文案づくりに着手した。しかし、米朝間には「非核化」の定義に関して見解の違いがあり、協議が来週まで続くのは確実な情勢だ。

 過去三回の六カ国協議では、協議の総括は議長声明などにとどまっており、より拘束力の強い共同文書が作成できれば初めてとなる。

 日本政府代表団同行筋は、同日から全体会合や首席代表会合を開き、共同文書作成作業を本格化させる考えを示している。ただ、「立場には隔たりがあり、一定の日数はかかる」としており、文書の取りまとめ作業は時間がかかる見通しだ。日本は共同文書に、北朝鮮による核の完全放棄の明記のほか、拉致事件を念頭に「人権・人道問題」などの包括的解決を盛り込むよう主張している。

 米国のヒル国務次官補は三十日朝、北京市内のホテルをでる際、記者団に対し、「六カ国間で一定の合意が得られるかを検討するため、文書について多くの議論を行う」とした上で、「きょう、あすに終わるものではない」と述べた。

 共同文書作成では、米国が共同文書に完全な核放棄を盛り込むよう求めているのに対し、北朝鮮は「核のない朝鮮半島」との表現にとどめるよう主張、対立が続いており、三十日も米朝二国間協議が行われる見通しだ。

北朝鮮の核平和利用認めず 米の立場明確と報道官

2005/07/30 The Sankei Shimbun

 マコーマック米国務省報道官は29日の記者会見で、「北朝鮮は民生用の核開発能力も持つべきではないというわれわれの考えは非常に明確だ」と述べ、平和利用を含め北朝鮮の核開発は認めないとの米政府の立場を強調した。

 6カ国協議の米首席代表、ヒル国務次官補は29日に、北朝鮮が核拡散防止条約(NPT)に復帰した場合の核平和利用について、留保条件を付けながら一定の理解を示す発言をしたが、報道官は、NPTに復帰しても米国が北朝鮮に平和利用の権利行使を認めるつもりはないことを明確にした。

 報道官は「朝鮮半島非核化の意味は、核兵器も、核兵器開発計画も、核兵器に転用可能な核開発計画も存在しないということだ」と指摘。北朝鮮がこれまでの国際的な合意を破って核開発を進めてきたとして、「北朝鮮では、いかなる核計画も潜在的な核兵器計画だ」と述べ、強い不信感を示した。(共同)

北朝鮮、米の核脅威除去を要求 両者の溝、依然埋まらず

2005/07/27 The Sankei Shimbun

 第4回6カ国協議は27日、各国首席代表による基調演説が行われ、北朝鮮の金桂冠(キム・ゲグァン)外務次官は昨年6月の前回協議で米国が示した核問題解決の提案を拒否した上で「米朝関係が正常化され(米国の)核脅威がなくなれば、核兵器と核兵器計画を検証可能な形で廃棄する」と言明した。協議筋が明らかにした。北朝鮮にまず核放棄確約を求める米要求には応じず、あらためて核放棄の条件を明確な形で示したといえる。

 これに対し、ヒル米国務次官補は演説で、北朝鮮がすべての核兵器と核開発計画を効果的な検証を伴って廃棄する代わりに、6カ国協議参加国が北朝鮮に「安全の保証」を与え経済交流を行うと述べ、北朝鮮のミサイルや人権などの問題処理も強調した。

 「朝鮮半島非核化」をめぐる米朝の溝が依然、埋まっていないことがはっきりしたといえ、議長国中国が目指す共同文書の取りまとめ作業は難航が予想される。

 同筋によると、金次官は、米国の体制「転覆政策」の放棄や朝鮮半島の非核地帯化の明確な形での達成も要求。非核化実現のため米朝双方の義務事項をまとめた合意づくりを求め、その中に(1)在韓米軍の核兵器撤去や外部からの搬入禁止(2)米国の「核の傘」の提供中止(3)非核化に伴う損失補償―などを盛り込むよう提案した。

 さらに、今回の6カ国協議では朝鮮半島非核化の「本質」に関する共同認識を確立する必要があると強調。米国に「平和共存のための法的、制度的な措置」を要求、無条件で北朝鮮に核兵器不使用を担保することなどが必要だと述べた。

 一方、韓国の宋旻淳(ソン・ミンスン)・外交通商次官補は、北朝鮮の核放棄を条件に電力200万キロワットを提供するとの韓国提案も「共同文書の枠に含まれ得る」と表明。日本の佐々江賢一郎外務省アジア大洋州局長は核、ミサイル、拉致問題の包括的解決を求めた。(共同)

米、「北朝鮮を攻撃せず」と言明 北京で6カ国協議再開

2005/07/26 中国新聞ニュース

 【北京26日共同=磐村和哉】北朝鮮の核問題をめぐる第四回六カ国協議が二十六日午前(日本時間同)、北京の釣魚台迎賓館で開会、各国首席代表の冒頭あいさつでヒル米国務次官補は北朝鮮が主権国家であると六カ国協議の場で初めて確認し、「北朝鮮を侵略、攻撃する意図はない」と言明した。北朝鮮の金桂冠(キムゲグァン)外務次官は朝鮮半島非核化の実質的進展を訴え、日本の佐々江賢一郎外務省アジア大洋州局長は拉致問題を含めた包括的解決に言及した。昨年六月以来、一年一カ月ぶりの再開。

 ヒル次官補は「六カ国協議の枠内」で北朝鮮との二国間協議を推進する考えも表明。米国が開会前日の二十五日に北朝鮮との二国間協議に応じ、二十六日のあいさつで北朝鮮の求める主権国家認定などを明言したことで、協議進展に前向きな雰囲気が醸成される可能性がある。ただ、核放棄をめぐる米朝の基本的対立に変化はなく、激しい攻防も予想される。

 開会式で、議長国中国の李肇星外相が「六カ国協議は平和的な対話を通じた解決を目指すものだ。各国利益の最大公約数を探り、積極的に進展させることが大切だ」とあいさつ。金次官が「重要なのは朝鮮半島の非核化実現へ実質的進展を図ることだ。われわれはこのため万全の準備をしている」と述べた。続いて日本、韓国、ロシア、米国の順であいさつした後、首席代表協議で日程や運営方法を調整した。午後には二国間協議が行われる見通し。

 拉致問題でも打開を図りたい日本は北朝鮮との二国間協議を実現させたい意向だが、北朝鮮が応じるかどうかは流動的。

 各国首席代表は中国が議長役の武大偉外務次官、韓国は宋旻淳(ソンミンスン)外交通商次官補、ロシアはアレクセーエフ外務次官。

米朝が2国間協議、北朝鮮の核で大枠合意目指す

2005年07月25日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【北京=菱沼隆雄】北朝鮮の核問題をめぐる6か国協議の第4回会合が26日開幕するのを前に、米国首席代表のクリストファー・ヒル国務次官補(東アジア・太平洋担当)と北朝鮮首席代表の金桂寛(キム・ケグァン)外務次官は25日午後、北京の釣魚台国賓館で2国間協議を行った。

 米政府高官は記者団に、協議では「朝鮮半島の非核化」の定義について双方の見解に差があるため、この点を討議したことを明らかにするとともに、「今協議では大枠の合意を見いだし、今後、詳細を詰めていく協議につなげたい」と述べ、双方が合意点を見いだそうと前向きな姿勢を見せていることを強調した。

 協議では、米国側は北朝鮮によるウラン濃縮計画について触れず、北朝鮮側は6か国協議を在韓米軍なども対象にした軍縮協議に変えるべきだという従来の要求を持ち出さなかったという。

 米国務省高官は「6か国協議前の米朝接触はない」と述べていたが、北京入り後、中国や韓国の働きかけもあり、北朝鮮が強く求めていた米朝接触に応じたと見られる。ロシアのインターファクス通信がロシア外交官の話として伝えたところによると、26日も再び米朝間の協議が行われる。

 一方、25日午後6時半(日本時間同午後7時半)からは同国賓館で6か国協議の議長国・中国の李肇星外相主催による夕食会が開かれ、協議が事実上スタートした。タス通信によると、夕食会では各国の首席代表らが握手を交わし、李外相がスピーチで「協議の進展を図り、朝鮮半島の非核化という目的を実現する必要がある」と強調した。

6カ国協議で拉致問題の理解求める 日本代表団が北京入り

2005/07/25 The Sankei Shimbun

 6カ国協議の日本政府首席代表を務める佐々江賢一郎外務省アジア大洋州局長は24日夜、北京入りした。佐々江氏は同市内のホテルで記者団に「日朝平壌宣言に従って、核に加えてミサイルや拉致の問題という諸懸案の包括的な解決を図ることが重要だ」と述べ、6カ国協議の場で拉致問題を提起し、各国の理解を求めていく考えを示した。

 さらに「われわれの基本的な立場に沿って、できる限りの努力、工夫をしたい」として、北朝鮮側との2国間協議実現に努力する意向を明らかにした。

 核問題に関しては「北朝鮮の方からしっかりした対応をとってもらい、具体的な進展が図られるようにと思っている」と強調した。(共同)

「誠意ある対応なければ経済制裁」安倍氏、6者協議で

2005年07月24日 asahi.com

 自民党の安倍幹事長代理は24日、京都市内での講演で、日本政府が北朝鮮の核問題をめぐる6者協議で拉致問題を提起する方針であることについて、「全く彼ら(北朝鮮側)が誠意ある対応をしない、あるいは全く彼らが反応しないときは、今度こそ経済制裁をかけるしかないのでは、と考えている」と述べた。

 今回の協議について安倍氏は「核問題は一定の進展があるかもしれないが、拉致問題は大変厳しい状況ではないか」との見方を示した。そのうえで拉致問題について「最終的には話し合いで解決するのだが、話し合いに彼らがまじめに応じるために圧力をかける(べき)ときは、圧力をかけないといけない」と語った。

6者協議の開幕前、韓国・北朝鮮などが個別協議

2005年07月24日 asahi.com

 北朝鮮の核問題をめぐる6者協議が26日から始まるのを前に、米国代表団が24日、北京に入った。日本代表団も同日夜到着する。前日までに入った韓国と北朝鮮が2国間の会談を行うなど、個別の事前調整も始まった。

 韓国代表団筋によると24日昼、宋旻淳(ソン・ミンスン)外交通商次官補と、北朝鮮の金桂寛(キム・ゲグァン)外務次官らが約1時間40分にわたって会い、双方が「実質的な進展」に向け努力することで一致した。また、6者協議の開会後も南北間で接触を続けることにした。

 25日も午前中から、各参加国が二国間などの会合を開く予定。夜には中国の李肇星(リー・チャオシン)外相が主催する夕食会が行われる。

6カ国協議前に日米をけん制 人権や拉致問題で北朝鮮

2005/07/23 The Sankei Shimbun

 北朝鮮の国営朝鮮中央通信は23日、第4回6カ国協議で北朝鮮の人権問題や拉致問題を取り上げようとする日米の動きをけん制する論評を相次いで出した。

 北朝鮮メディアは協議復帰に合意して以降、拉致問題の議論を拒否する論評を集中的に出している。米国に対しても、拉致問題を含む人権問題で圧力を強めることを警戒しているとみられる。

 対米論評は、米下院のジム・リーチ議員(共和党)が最近、北朝鮮の核問題や人権問題への懸念を表明する声明を出したと指摘し「米国は対話相手を刺激する言動を慎み、協議に真剣に臨むべきだ」と主張した。

 対日論評では「協議に参加する資格がない日本は、朝鮮半島の非核化とは何の関係もない問題を持ち出し協議を悪用しようとしている」とあらためて非難した。(共同)

「最後の機会」と米 6カ国協議で中韓に伝達

2005/07/20 The Sankei Shimbun

 米政府が最近、第4回6カ国協議について、中韓両国など関係国に対し、多国間の枠組みを使って北朝鮮の核問題解決を話し合う「最後の機会」になる可能性があると伝達していたことが19日、分かった。複数の協議関係筋が明らかにした。

 成果が上がらなかった過去3回の協議結果を踏まえ、米政府が北朝鮮に影響力のある関係国に実質的な協議進展への協力を促す外交メッセージといえる。

 ただ、第4回協議で外交解決に望みをつなぐ成果がなければ、国連安全保障理事会に核問題の論議を移すことを模索する米政権内強硬派の動きが活発化することも想定され、米外交当局の厳しい現状認識も示している。

 関係筋によると、米政府高官が最近、中韓両国にこうした考え方を伝達した。関係筋の1人は、北朝鮮が過去1年間に核開発を続けたため「危機的な状況」を迎えており、「今回が極めて重大な協議になる」との認識を米側が抱いていると言明。成果がなければ、拉致問題を抱える日本の対北朝鮮圧力も強まらざるを得ないとみている。

 ただ別の関係筋は「北朝鮮に大きな譲歩の用意はないが、エネルギー支援などを得ようと、韓国や中国が協議継続を主張せざるを得ないような状況をつくるだろう」と指摘。北朝鮮が協議再開に応じたことや、核放棄を条件に電力供給を提案した韓国の動きなどを考えると、実際には最後の6カ国協議となる可能性は低いとの見方を示した。(共同)

6カ国協議 北「拉致論議せず」

2005/07/20 The Sankei Shimbun

 【北京=共同】北朝鮮の国営朝鮮中央通信は二十日、北京で二十六日に再開される六カ国協議で日本が拉致問題を取り上げる方針を表明していることに反発し「協議が開かれても、日本とは向き合わないというのがわれわれの立場だ」と述べ、拉致をめぐる論議には応じない姿勢を鮮明にする論評を出した。

 北朝鮮はこれまでもメディアを通じ、協議での拉致問題取り上げを拒否しているが、日本を相手にしないとの構えを打ち出したことで、日本が目指している北朝鮮との二国間協議の行方も微妙になった。

 論評は「関係国は協議再開に向けあらゆる努力をしてきたが、日本だけはそうではなく、これまでの協議も妨害してきた」と非難。「日本は今後の協議に参加しても、何もやることはない」と拉致問題取り上げを強く牽制(けんせい)した。

6カ国協議26日から 北京で、会期決めず

2005/07/19 中国新聞ニュース

 【北京19日共同=磐村和哉】中国外務省は十九日、北朝鮮の核問題をめぐる六カ国協議の第四回協議を二十六日から北京で開催すると発表した。会期は決まっていない。参加国は従来のように四日間程度の協議では具体的な進展は難しいとの認識でほぼ一致、休会をはさみ一週間以上続ける可能性もある。協議が原則論に終始、北朝鮮に時間稼ぎをさせるのを避けるため、本会談と実務者の折衝を組み合わせながら、実質的な進展を目指すためとみられる。

 北朝鮮は、米国との二国間協議を実質協議の場として駆け引きを展開する見込みだ。

 核兵器保有を宣言して交渉力強化を図り、体制保証と経済支援の枠組みを獲得しようとする北朝鮮と、完全核放棄を求める米国が、問題解決に向け具体的な道筋を構築できるかが最大の焦点。核放棄を条件に電力供給を行うとした韓国の提案も、協議進展への一つの鍵となりそうだ。

 日本は今回も拉致問題を取り上げる方針だが、各国は協議を核問題に集中させる構え。このため、日本は北朝鮮との二国間協議で前向きな対応を求めるとみられる。

 議長国中国は、李肇星外相がラオスで開催される東南アジア諸国連合(ASEAN)拡大外相会議とASEAN地域フォーラム(ARF)に出席するため二十六日午後に北京を離れることから、同日午前の開会を先週末、参加国に打診していた。各国とも議長国の立場を尊重、二十六日開始に応じたとみられる。

 北朝鮮は昨年六月の第三回六カ国協議から約一年が過ぎた今月九日、協議復帰を発表、日程の調整が続いていた。

一方的核放棄を拒否 6カ国協議で北朝鮮紙

2005/07/19 The Sankei Shimbun

 朝鮮中央通信によると、北朝鮮の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は18日、7月下旬に再開される6カ国協議について、「一方が他方を武装解除し、制度転覆を狙おうとすれは、協議の成果は期待できない」との論評を掲載、一方的な核放棄は受け入れられないとの立場をあらためて鮮明にした。

 論評は核兵器保有には言及しなかったが、「一方的な核放棄の強要では朝鮮半島の非核化は実現できず、むしろ核危機を激化させる」と米国をけん制。さらに「核問題解決の基本は、わが国と米国が共存するという基礎の上に、信頼関係を樹立すること」と主張、「わが国は協議進展のため、最善を尽くす用意を表明し着実に準備している」と強調した。(共同)

6カ国協議で拉致言及へ 政府「包括解決が必要」

2005/07/17 The Sankei Shimbun

 政府は北朝鮮の核開発問題をめぐり7月下旬に北京で開く6カ国協議で、日本人拉致問題に言及し、解決の重要性を訴える方針だ。6カ国協議中の日朝二国間協議は実現の見通しが立っていないため、拉致問題に厳しい国内世論に配慮し、6カ国協議の席で言及することが不可欠と判断した。

 ただ、北朝鮮側が不快感を示して席を立つなど協議に支障が出るのを防ぐため、刺激的な表現は避け、前例に従って「核、ミサイル、拉致問題の包括的解決が必要」などと発言する方向で調整している。

 拉致問題について6カ国協議議長国の中国は「日朝二国間の問題」(劉建超副報道局長)との立場。韓国、ロシアも「議題は朝鮮半島の非核化に限定されるべきだ」(アレクセーエフ・ロシア外務次官)などと否定的で、ライス米国務長官も先の町村信孝外相との会談で「核が最優先」との姿勢を示した。

 一方、6カ国協議期間中の日朝二国間協議に関しては「(北朝鮮が)応じないだろう」(外務省幹部)との見方が強い。協議の合間には北朝鮮首席代表の金桂冠外務次官と接触を図りたい考えだが、同氏が核問題担当のため「拉致は担当外として拒否される可能性が高い」(外務省幹部)とみている。

 こうした状況を受け、外務省は拉致の言及について「各国の許可を求める話ではない」(首脳)としながらも、日本の首席代表を務める佐々江賢一郎アジア大洋州局長が既に各国首席代表に理解を求めている。(共同)

拉致言及に中国が「理解」 6カ国協議へ日中会合

2005/07/16 The Sankei Shimbun

 日本は15日、北京で中国と6カ国協議首席代表会合を開き、暗礁に乗り上げている拉致問題について、今月下旬に開かれる次回協議の全体会議で取り上げる方針を伝え、議長国の中国に理解を求めた。

 日本側出席者の佐々江賢一郎・外務省アジア大洋州局長は会合後、記者団に「(中国側の)一定の理解を得られた」と強調。6カ国協議で拉致問題を取り上げる上での環境整備はできたとの認識を示した。

 中国は拉致問題が核問題協議に悪影響を与えることを懸念、日朝交渉の仲介を求める日本の要請を拒否した経緯があるが、日本が協議で拉致問題に言及することには反対しない姿勢を示唆したとみられる。

 佐々江局長は会合で「拉致問題は重要な問題だ。日本として6カ国協議で議題として提起する考えだ」と説明。拉致を含む日朝間の問題の包括的解決を目指す日本の立場をあらためて示した。

 一方、中国側出席者の武大偉外務次官は、先に平壌で行われた北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記と中国の唐家●(王ヘンに旋)国務委員(前外相)との会談結果を説明。金総書記が「非核化の実現が(北朝鮮の)努力目標だ」と述べたと指摘した上で、次回協議で具体的な進展を目指す考えを表明した。

 武次官は16日、韓国首席代表の宋旻淳(ソン・ミンスン)外交通商次官補との間でも意見調整する予定。(共同)

6カ国協議の会期延長検討 電力供給案を評価 日米韓

2005/07/15 The Sankei Shimbun

 今月下旬に再開される6カ国協議に向けた日米韓3カ国の首席代表会合が14日、ソウルで開かれ、北朝鮮の核放棄を条件に韓国が電力を直接供給する韓国政府の提案を評価、協議進展に向け、過去には3―4日だった会期の延長など形式変更を検討することで一致した。今後、議長国の中国などとも調整するという。

 日本政府当局者は、延長期間は今後の検討課題としたが、聯合ニュースによると韓国側は日米に対し「1カ月以上」を打診したという。

 北朝鮮が6カ国協議復帰に同意してから、日米韓の首席代表が一堂に会したのは初めて。

 同当局者によると、日米韓は今回の6カ国協議で核問題解決に向けた実質的な進展が必要との認識で一致。電力供給案について日米が「北朝鮮のエネルギー問題を解決し核問題解決を進展させる」と評価、最近の南北対話の進展も歓迎した。

 日本は6カ国協議の中で北朝鮮による拉致問題を取り上げるとの考えを示し、米韓から「理解を得た」という。

 しかし聯合ニュースによると、韓国首席代表の宋旻淳(ソン・ミンスン)外交通商次官補は会合後、記者団に「(拉致問題は協議の)議題ではない」と述べた。

 宋次官補は電力供給案をめぐる討議内容は明らかにしなかったが、6カ国協議で出す提案は「各国が相反しないものを作成中だ」とし、さらに意見調整が必要との考えを示した。

 会合には宋次官補のほか佐々江賢一郎(ささえ・けんいちろう)・外務省アジア大洋州局長、ヒル米国務次官補(東アジア・太平洋担当)が出席。佐々江局長は15日に北京で、6カ国協議で議長を務める武大偉外務次官と会談する予定。(共同)

設備に最低1680億円 北朝鮮に送電で韓国側試算

2005/07/15 The Sankei Shimbun

 韓国の産業資源省と韓国電力は15日、北朝鮮の核問題解決のために韓国政府が提案した200万キロワットの電力供給に必要な設備の設置費用が、1兆5500億ウォン(約1679億円)から1兆7200億ウォン程度かかるとの試算を明らかにした。

 試算では、現在の北朝鮮の送電システムとは別に、韓国から平壌まで送電線を敷設すれば、電線に6000億ウォン、変電所施設に9500億ウォンかかる。

 一方、北朝鮮の送電システムと連結し、現在のシステムの不安定要因を改善する方式を取った場合、送電線に6000億ウォン、変電所施設に1兆1200億ウォンが必要という。

 また、200万キロワットの電力を恒常的に提供した場合、年間供給電力は175億2000万キロワット時で、韓国電力の平均的な価格で計算すると1兆3000億ウォンに相当するとした。(共同)

韓国が日本に事前説明 支援提案、日米韓で検討

2005/07/13 The Sankei Shimbun

 町村信孝外相は13日の衆院外務委員会で、核放棄を条件に北朝鮮に電力を供給するという韓国の「重大提案」について「韓国政府から事前に説明を受けていた」と述べた。

 その上で外相は「(条件となる)北朝鮮の核廃棄の合意の中身を詰めなければならない。どういう形の合意ができるかによって電力計画も変わっていく」と指摘し、日本政府の対応は6カ国協議や日米韓3カ国協議の中で慎重に検討する考えを示した。(共同)

6か国協議、27日から北京で…政府見通し

2005年07月12日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 北朝鮮の核問題をめぐる第4回6か国協議は今月27日から北京で開かれる見通しとなった。政府関係者が12日、明らかにした。

 従来は3日間程度の日程を事前に決めていたが、今回は、協議で一定の成果を出すことを目指し、長期化することも視野に入れて、期間はあらかじめ定めない方向で調整している。

 米国と北朝鮮は9日、6か国協議を今月25日に始まる週に開催することで合意していた。

 6か国協議には、日本、米国、中国、韓国、ロシアと北朝鮮が参加する。これまで2003年8月、昨年2月と6月の計3回開催している。

韓国、北朝鮮が核廃棄すれば200万kwの電力供給

2005年07月12日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ソウル=福島恭二】韓国政府は12日、先に北朝鮮に示した「重大な提案」の内容について、北朝鮮が核廃棄に応じた場合に200万キロ・ワットの電力を北朝鮮に供給する計画であることを明らかにした。鄭東泳(チョン・ドンヨン)統一相が記者会見して発表した。

 鄭統一相によると、北朝鮮が核廃棄に応じた場合は、電力供給計画を進め、米朝枠組み合意(1994年)に基づいて、朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)が着手した軽水炉建設事業は、中止する。電力供給は、韓国による単独支援で、送電施設の建設費用も韓国が負担する。北朝鮮による核廃棄から3年以内の供給を目指す方針だ。

 200万キロ・ワットは、KEDOが建設する予定だった軽水炉2基の発電容量に相当する。

 鄭統一相は6月に訪朝した際に、北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記に提案内容を説明した。また6月末から7月初めの訪米で米政府に伝達した。

 韓国政府は、7月下旬に開催される第4回6か国協議で、この提案をテコに、北朝鮮から核廃棄に向けた譲歩を引き出したい意向だ。

 韓国政府は12日、盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領主宰の国家安全保障会議(NSC)を開き、6か国協議での対応を協議。会議後に、鄭統一相が記者会見した。

北朝鮮核問題で連携確認へ 安保理改革を調整

2005/07/12 The Sankei Shimbun

 町村信孝外相は12日午前、来日中のライス米国務長官と外務省内で会談した。北朝鮮が核問題をめぐる6カ国協議に今月下旬、約1年1カ月ぶりに復帰することに合意したのを踏まえ、日米韓で連携して核の完全放棄を迫る方針を確認するのが最大の目的だ。

 冒頭、町村氏は両国の立場が大きく食い違う国連安全保障理事会改革について、先にロンドンで改革推進派の日本、ドイツなど4カ国(G4)外相会談を開いたことを伝えた。

 ライス氏は同日午後、小泉純一郎首相、細田博之官房長官とも首相官邸で会談し、同日夕にはアジア歴訪の最後の訪問国となる韓国へ向かう。ライス氏の来日は3月に続き今年2回目。

 北朝鮮問題では、ライス氏が日本に先立って訪れた中国の指導部との協議内容について説明し、北朝鮮から柔軟姿勢を引き出すための方策について協議する。町村氏は手詰まり状態にある拉致問題の解決に向けて、米国の協力をあらためて要請する見通しだ。

 国連改革で町村氏は、米国が主張する事務局改革などにも真剣に取り組む考えを伝え、G4がまとめた安保理拡大を求める枠組み決議案への理解を求める。

 ライス氏は牛海綿状脳症(BSE)発生に伴い日本側が禁止した米国産牛肉輸入の早期再開を重ねて要求するとみられる。事務レベルの調整が続く在日米軍再編問題も議題になる見通しだ。(共同)

北朝鮮に完全核放棄要求へ 米長官、中国指導部と会談

2005/07/11 The Sankei Shimbun

 中国を訪問したライス米国務長官は10日、胡錦濤国家主席、温家宝首相、李肇星外相ら中国指導部と北京で個別に会談、北朝鮮が今月下旬の6カ国協議復帰で米国と合意したことを受け、北朝鮮に核放棄を迫る道筋について協議した。会談後に記者会見した長官は「再開は出発点で目標ではない。協議の進展が目標だ」と強調、次回協議で北朝鮮に「完全核放棄」を迫る方針を示した。

 協議は昨年6月以来、約1年ぶりで、米国は北朝鮮が核放棄の「戦略的決断」を下すよう関係国との協調を強める見通しだ。

 会見で長官は「6カ国協議再開のためにロシア、韓国、特に中国が活発な役割を果たした」と関係国の働き掛けを評価。日本は挙げなかった。

 長官は、中国の唐家●国務委員が12日から胡主席の特別代表(特使)として訪朝するのを踏まえ、北朝鮮から核問題での柔軟姿勢を引き出すため、中国側と政策調整を進めたもようだ。

 ライス長官の訪中は3月以来で、長官就任以降2回目。4カ月の間に国務長官が2回も訪中するのは異例で、北朝鮮の核問題に自ら対処しようとする意欲の表れともいえる。長官は唐国務委員とも会談した。(共同)●=王へんに旋

米中外相、北に核放棄迫る道筋協議 北京

2005/07/10 The Sankei Shimbun

 中国を訪問中のライス米国務長官は10日午前、李肇星外相と北京で会談、北朝鮮が今月下旬に6カ国協議への復帰で米国と合意したことを受け、北朝鮮に核放棄を迫る道筋について協議した。

 ライス長官は北朝鮮の6カ国協議復帰に向けた中国側の働き掛けに謝意を示し「これからが本当のスタートとなる」と述べた。李外相は「朝鮮半島の非核化という共通の目標に向けて共に努力していこう」と応じた。

 長官はこの後、胡錦涛国家主席、温家宝首相らとも相次ぎ会談。中国の唐家●国務委員が12日から胡主席の特別代表(特使)として訪朝するのを踏まえ、北朝鮮から核問題での柔軟姿勢を引き出すため、米中間で政策調整を進める。

 米政府高官によると、北朝鮮外務省の金桂冠次官は9日、6カ国協議で「朝鮮半島の非核化」を目指すことで米側と合意。しかし、北朝鮮は2月に核兵器保有を宣言、さらに核兵器増産の意向も表明しており、昨年6月以来、約1年ぶりとなる第4回6カ国協議は難航が予想される。

 ライス長官の訪中は3月以来で、長官就任以降2回目。4カ月の間に国務長官が2回も訪中するのは異例で、北朝鮮の核問題に自ら対処しようとする意欲の表れともいえる。長官は10日午後に記者会見した後、唐国務委員とも会談する。(共同) ●=王へんに旋

半島非核化「最善の努力」 6カ国協議で北朝鮮

2005/07/10 中国新聞ニュース

 【北京10日共同】北朝鮮の外務省スポークスマンは十日、六カ国協議の七月下旬再開で同国が米国と合意したのを受け、朝鮮半島の非核化を目指し「最善の努力を尽くす」と朝鮮中央通信を通じ述べた。協議再開合意をめぐる北朝鮮当局の立場表明は初めて。

 スポークスマンは「協議再開自体も重要だが、根本となるのは朝鮮半島の非核化への道筋が協議で深く論議され、実質的な進展を得ることだ」と強調し、前向きに協議に臨む構えを示した。

 また、「朝鮮半島の非核化を支持する周辺諸国も協議再開に努力した」と述べ、中国や韓国などの仲介努力を評価したが、「日本だけは協議再開に寄与したことはない」と指摘。核問題に加え拉致問題でも強硬姿勢を維持する日本に、強い不快感を表明した。協議で日本が拉致問題を取り上げるのをけん制する狙いとみられる。

 九日に北京で行われた米朝接触で協議再開が決まったことについては「(核問題の)当事者が直接向き合えば、問題が一気に解決することを明白に示した」と主張、米朝間の協議の重要性も強調した。

6カ国協議、今月25日の週に再開 米朝合意

2005/07/09 The Sankei Shimbun

 朝鮮中央通信によると、北朝鮮は9日、核問題をめぐる6カ国協議を今月25日からの週に北京で開くことで米国と合意したと発表した。北朝鮮の金桂冠(キム・ゲグァン)外務次官と米国のヒル国務次官補が9日に北京で接触した結果、決まったという。米側も再開を確認した。6カ国協議は2004年6月の第3回協議以来、約1年ぶりの再開となる。

 北朝鮮が協議復帰を決めたことで6カ国協議再開をめぐる米朝のにらみ合いはいったん解消するもようだが、核兵器保有を公式宣言した北朝鮮と核完全放棄を求める米国の基本的な対立構図を解決する道筋は見えておらず、再開されても厳しい協議となりそうだ。

 北朝鮮は同通信を通じ、米側が「(北朝鮮を)主権国家であると認め、侵攻の意思がなく、6カ国協議の枠組み内で2国間協議を行う立場を公式表明した」と明らかにし、米側の立場表明を「自身に対する『圧政国家』発言撤回と理解し、6カ国協議に出ることにした」と表明した。

 米側が「主権国家」認定など北朝鮮の条件を一定程度受け入れたことで、ライス米国務長官らの「圧政国家」発言が撤回されたと解釈、南北対話が復活したことでも協議復帰に有利な環境が整ったと判断したとみられる。

 米朝は5月13日と6月6日にニューヨークで実務接触し、米国は「主権国家」認定を直接伝達、協議復帰を強く求めた。

 さらに5月末の会見などでブッシュ大統領が金正日(キム・ジョンイル)総書記を「ミスター」と敬称付きで呼び、北朝鮮側が評価。米韓首脳会談後の6月17日には、金総書記が訪朝した鄭東泳(チョン・ドンヨン)・韓国統一相との会談で、米国が北朝鮮を交渉相手として「認め尊重すれば」7月中にも6カ国協議復帰が可能と言明していた。(共同)

 北朝鮮の朝鮮中央通信が9日伝えた報道全文は次の通り。

 6カ国協議団長である北朝鮮外務省の金桂冠次官と米国務省のヒル次官補が9日、北京で会った。

 米側は朝鮮(北朝鮮)が主権国家であるということを認め、侵攻の意思がなく、6カ国協議の枠組み内で2国間協議を行う立場を公式に表明した。

 朝鮮側は米側の立場表明を自身(朝鮮)に対する米側の「圧政国家」発言の撤回と理解し、6カ国協議に出ることにした。

 米朝双方は第4回6カ国協議を2005年7月25日に始まる週に開催することで合意した。(共同)

 <6カ国協議> 北朝鮮の核問題解決に向けた多国間協議で、米国、北朝鮮、中国、韓国、日本、ロシアの6カ国が参加。2003年8月、04年2月、同6月の計3回、北京で開催された。第3回協議では朝鮮半島非核化への意思を再確認した。北朝鮮はその後、2期目のブッシュ米政権の姿勢などに反発、今年2月、核兵器保有を公式に宣言し、協議参加の「無期限中断」を表明。協議復帰の条件として、米国による主権国家認定などを求めていた。(共同)

「圧政国家」発言の撤回要求 北朝鮮、復帰時期示さず

2005/07/03 The Sankei Shimbun

 北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議参加国の高官や専門家による非公式会合は1日、ニューヨークで3日間の日程を終え閉幕した。北朝鮮の6カ国協議次席代表を務める李根(リ・グン)・外務省米州局長は閉幕後、米国に対し「圧政国家」発言の撤回を求めたと記者団に表明。北朝鮮側は会合を通じ、協議復帰への具体的期日も示さず、注目された協議再開問題で大きな進展はなかった。

 金正日(キム・ジョンイル)総書記は米国が北朝鮮を認め尊重すれば7月中にも6カ国協議復帰が可能と表明していたが、ライス国務長官による「圧政国家」発言撤回を求める姿勢を北朝鮮側があらためて明確にしたことで、協議再開をめぐる米朝間のせめぎ合いはしばらく続きそうだ。

 日本から参加した斎木昭隆(さいき・あきたか)・外務省アジア大洋州局審議官は閉幕後、記者団に対し、協議の早期再開のめどについて「ないと思う」と述べ、悲観的な見通しを示した。

 出席者によると、会合で北朝鮮側は、米国に対し「敵対政策」を放棄し、友好的な対応をするよう重ねて要請。6カ国協議に復帰するには「名分が必要だ」とし、「圧政国家」発言の撤回要求などに言及したという。

 米国のデトラニ朝鮮半島担当大使は、会合2日目に李局長と短時間の個別接触を行ったが、6カ国協議への早期復帰に向けた具体的メッセージは得られなかった。

 会合を主催した米シンクタンク「全米外交政策会議」(NCAFP)は閉幕後、協議は「率直で建設的だった」とする声明を発表した。(共同)

 <圧政国家> ライス米国務長官が今年1月18日、上院外交委員会の指名承認公聴会で、人権を抑圧しているとして国名を挙げて批判した国家。北朝鮮、イラン、キューバ、ミャンマー、ベラルーシ、ジンバブエの計6カ国。ブッシュ大統領も同20日の就任演説で「自由の拡大」と「圧政の終結」を目標に掲げ「米国は抑圧されている人々を座視しない」と述べた。しかし、名指しされた北朝鮮などは強く反発、発言の撤回などを求めている。6月20日には、ドブリャンスキー米国務次官が「圧政国家」の具体例として北朝鮮を名指しで批判した。(共同)

米朝高官が個別接触 非公式会合の場利用

2005/07/01 The Sankei Shimbun

 北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議参加国によるニューヨークでの非公式会合に出席している米国と北朝鮮の高官が6月30日、同会合の場を利用して約10分間の個別接触を行ったことが分かった。

 6カ国協議は昨年6月の第3回協議以降は中断。米国は5月13日にニューヨークで北朝鮮と約半年ぶりに実務接触を行い、「主権国家認定」を直接伝達するなど、協議再開の働き掛けを強めていた。

 今回の非公式会合には、北朝鮮側からは6カ国協議で次席代表を務める李根(リ・グン)・外務省米州局長、米国側からはデトラニ朝鮮半島担当大使らが参加している。(共同)

「6カ国」再開不透明 米、中国に「不満」「失望」 北への影響力行使不十分

2005/06/28 The Sankei Shimbun

 【ワシントン=樫山幸夫】六カ国協議再開への展望がなお見えてこない中、米国内で、議長国の中国に対する不満が高まりをみせている。ブッシュ大統領、ライス国務長官をはじめ政府高官がいずれも、北朝鮮に対する中国の影響力行使が不十分だとの厳しい認識を表明、中国に北朝鮮に対する経済圧力強化を求める声を強めている。米中間は台湾、人権、中国通貨、人民元の改革問題などをめぐり必ずしもしっくりいっておらず、六カ国協議は数少ない両国協力の場といえる。北朝鮮があくまで協議への復帰を拒否し、協議の枠組みが崩壊する事態にでもなれば、米国内で「中国の努力不足」という批判が一気に噴き出すのは避けられそうにない。

 二十四日にワシントン市内で講演したロバート・ジョゼフ国務次官(軍備管理・国際安全保障問題担当)は「中国は北朝鮮に多くの物資を供与している。それを停止しろとはいわないが、中国はどうすれば影響力を行使できるか考慮する必要がある」と、北朝鮮説得の手段として何らかの形で経済協力を利用すべきだと中国批判を展開した。

 六月初めに上院外交委員会の公聴会で証言したクリストファー・ヒル国務次官補も、「中国は単に北朝鮮を六カ国協議に引き戻すだけでなく、核開発自体を断念させる努力を払わなければならない」と、北朝鮮の核問題全般に対する中国の姿勢に強い疑問を呈した。

 同委員会のルーガー委員長も同じ公聴会で、「中国はエネルギー、食糧支援を北朝鮮に対する圧力の手段として利用する意思はないようだ」とし、やはり中国の態度に強い失望感を示した。

 北朝鮮の核問題をめぐっては、ブッシュ政権の一部に当初から、北朝鮮に対する中国の影響力行使が不十分だったことがこうした事態を招いたと指摘する向きがあり、六カ国協議も、中国にまず積極的に影響力を発揮させて解決に導こうとの発想から、設置された。

 それだけに、米国は中国が議長国としてどのような采配(さいはい)を振るうかを注視してきており、協議が失敗に終われば米国内で中国の非を唱える声が強まるのは確実だ。

 事実、共和党の政策立案機関、共和党政策委員会が先に取りまとめた報告は「六カ国協議は中国に対する明確なテスト」と位置付け、協議枠組みが崩壊した場合、「中国は建設的ではなく影響力もないことが明らかになり、グローバル・パワーとは到底いえないと各国からみなされるだろう。米国の有力なパートナーではもはやあり得なくなる」とし、米中関係の大幅後退を予測している。

 米中間には最近、台湾問題、人権問題といった恒常的に緊張をもたらす懸案のほか、人民元の改革問題など従来みられなかった新たな懸案が生じており、そうした中、六カ国協議はテロ対策での情報交換などと並び、米中連携を保つ数少ない有効な機会となっている。

 このため、その失敗は米中の“最後の絆(きずな)”を断ち切ってしまうという結果につながりかねない。

 北朝鮮問題の専門家の間では、「六カ国協議が崩壊した場合、中国がその後の対応で国連安全保障理事会での討議に積極的に協力し、制裁にも賛成するなどの方針に転じるのなら、米中関係の冷却化は避けられる。そうした状況下でも、北朝鮮に対して消極的な対応を取るなら、米国の強い失望を招くだろう」(米マンスフィールド・センターのゴードン・フレーク主任研究員)などという予測もなされている。

北の核にG8「強い懸念」表明へ…藪中審議官が見通し

2005年06月25日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 7月上旬の主要国首脳会議(グレンイーグルズ・サミット)で小泉首相の個人代表(シェルパ)を務める外務省の藪中三十二(みとじ)外務審議官は24日、読売新聞のインタビューに対し、北朝鮮の核問題について「日本は核開発は絶対認められない。6か国協議の早期再開に向け、確固たるメッセージを出したい。主要8か国(G8)も共鳴するだろう」と述べた。

 今年2月の北朝鮮の核保有宣言を踏まえ、小泉首相がサミットで北朝鮮の核開発に対する「強い懸念」を表明し、合意文書にも盛り込まれるとの見通しを示したものだ。

 また、藪中氏は、サミットの最重要課題のアフリカ支援について、〈1〉現地の大学などと連携した人材育成〈2〉日本から専門家を派遣する農業支援〈3〉エイズなど感染症対策基金への協力拡大――に重点を置く考えを示した。その一環として、「日本が橋渡し役をして、アジアの国々がアフリカの国々の発展に協力する『南南協力』を進める」とも語った。

北朝鮮に6カ国協議への即時復帰促す G8外相会合

2005/06/24 The Sankei Shimbun

 7月の主要国首脳会議(グレンイーグルズ・サミット)に向けて、主要8カ国(G8)の外相会合が23日(日本時間同)、ロンドン市内のランカスターハウスで開かれ、議長総括を発表した。北朝鮮に(1)6カ国協議への即時復帰(2)拉致問題を含む人権問題への迅速な対応―を促す内容が盛り込まれた。

 また中東和平のパレスチナ新和平案(ロードマップ)を再び軌道に乗せることが重要との認識で一致。アフガニスタンへの支援継続を柱とするG8外相声明も発表した。

 会合に特別参加した国連などの「ガザ特使」ウォルフェンソン前世界銀行総裁は、パレスチナ自治政府の経済改革支援のため30億ドルの支援が必要と指摘し、国際社会の協力を求めた。

 北朝鮮とイランの核開発問題への取り組みでの連携も確認。町村信孝外相は北朝鮮の6カ国協議への早期復帰や核廃絶、ミサイル、拉致問題の解決へのG8各国の協力を求めた。

 9月の議会選挙で戦後復興が一段落するアフガニスタン支援も中東和平と並ぶ主要議題として取り上げ、同国のアブドラ外相を招いて、今後の支援の進め方を協議。ストロー英外相は会見で「G8と国際社会は、アフガン政府、国民との長期的な関係を今後も継続する。麻薬取引対策などやるべきことはたくさんある」と表明。アブドラ外相は「G8の関与はアフガン国民に自信を与える」と謝意を示した。

 中東和平に関しては、ウォルフェンソン氏を交えロードマップ進展につながる支援策を協議。スーダンでの国連平和維持活動(PKO)、国連改革、イラク情勢などについても意見交換した。(共同)

「米国が友好的に対応するなら核兵器持たず」

2005/06/22 The Sankei Shimbun

 ソウルで始まった第15回南北閣僚級会談は22日、最初の全体会議を開催、北朝鮮側は朝鮮半島非核化が最終目標だとし、米国が友好的に対応すれば「一つの核兵器も持たない」との立場を示した。韓国側は核問題の早期平和解決の必要性を強調、7月中にも6カ国協議に復帰するよう求めた。北朝鮮側の発言は、先に訪朝した鄭東泳・韓国統一相に金正日総書記が示した立場と同様で、協議復帰は米国の対応次第との姿勢をあらためて強調したものだ。

 韓国政府当局者によると、韓国側は軍事的緊張緩和のため7月中に将官級軍事会談を開くことも提案、南北国防相会談開催も求めた。

 南北双方は全体会議に続き、午後には実務レベルでの折衝などを行い、合意文とりまとめに向け調整を続けた。ただ、核問題では平和解決原則などを確認する程度とみられる。

 韓国側はこのほか、金総書記が鄭統一相との会談で同意した(1)ソウルで開く植民地解放60周年記念行事への北朝鮮政府代表団派遣(2)離散家族再会(3)南北水産会談−などの具体的協議を提案。北朝鮮側もほぼ同じ提案を行ったという。

 北朝鮮は今月18日には肥料15万トンの追加支援を韓国側に求めている。全体会議で北朝鮮首席代表の権浩雄・内閣責任参事は「民族共通の利益」を訴え「南北関係を全面拡大、発展させる流れができた」と表明、「民族共助」を強調しながら肥料支援や経済協力を要求する意向。韓国側は、靖国神社にある「北関大捷碑」の返還に向けた南北協力や行事開催も呼び掛けた。(共同)

米国務次官が「圧政」発言 北朝鮮を批判

2005/06/21 The Sankei Shimbun

 ドブリャンスキー米国務次官(地球規模問題担当)は20日、ワシントン市内で行った講演で、「圧政国家」の具体例として北朝鮮を名指しで批判した。

 北朝鮮の国連代表部高官が個人的な見解と断りながらも「米国が北朝鮮に『圧政国家』との言葉を1カ月間使わなければ、撤回したとみなす」と述べたと報じられた直後。

 次官は演説で世界各国の民主化の度合いに触れた中で「圧政国家」に言及。具体的な国として「北朝鮮、ミャンマー、ジンバブエ、キューバ」を挙げた。次官はこれらの国の反体制派や改革派に手を差し伸べる必要性を指摘した。(共同)

北「日本が6カ国協議妨害」 復帰決断と関連か

2005/06/21 The Sankei Shimbun

 北朝鮮の国営朝鮮中央通信は21日、核問題をめぐる6カ国協議で「日本は関係のない拉致問題を持ち出し、協議の雰囲気を乱し妨害してきた」などと非難する論評を出した。

 北朝鮮はこれまでも、協議からの日本の排除を主張、拉致問題取り上げをけん制してきたが、今回あらためて非難論評を掲げたのは、協議復帰の最終決断と関連している可能性もある。

 論評は「日本が望むのは核問題の平和的解決ではなく、問題を持続させ武力増強の名分を得ることだ」と指摘。6カ国協議について「あれこれ言う前に、協議に加わる資格があるかを考えるべきだ」と主張した。(共同)

「北は早期の日程提示を」 6カ国協議で米報道官

2005/06/21 The Sankei Shimbun

 マクレラン米大統領報道官は20日の記者会見で、北朝鮮の金正日総書記と韓国の鄭東泳統一相の17日の会談を受け「北朝鮮の6カ国協議復帰に向けた兆候が出てきた」と述べながらも「まだ日程が示されていない」と指摘、同国に早期の日程提示を重ねて求めた。

 韓国の聯合ニュースは20日、金総書記がこの会談で「米国との国交が実現すれば中長距離ミサイルのすべてを廃棄処分する用意がある」と述べたと報じたが、報道官は「最初にすべきことは、北朝鮮が核放棄への戦略的決断を行うことだ」と強調した。

 6カ国協議に参加する北朝鮮以外の5カ国は、朝鮮半島の非核化を求める明確なメッセージを示していると指摘。北朝鮮が可能な限り早期に無条件で協議に復帰するよう迫った。(共同)

「圧政」という用語、米が1カ月使わねば協議復帰 北朝鮮

2005/06/21 The Sankei Shimbun

 韓国の通信社、聯合ニュースは20日、北朝鮮の国連代表部高官が、米国が北朝鮮に「圧政国家」という言葉を約1カ月間使わなければ「(圧政国家)発言を撤回したとみなす」と述べ、7月中にも6カ国協議に復帰できるとの考えを示したと報じた。同ニュースの電話取材に「個人的意見」として応じたという。

 「圧政国家」はライス米国務長官が発言、北朝鮮が撤回を求め、6カ国協議復帰の条件としている。今回の発言は北朝鮮が一歩踏み出した対応をした形だが、金正日総書記が鄭東泳韓国統一相との17日の会談で「米国の姿勢次第で7月にも協議復帰可能」との立場を示したこととあわせ、注目される。

 ニューヨーク発の聯合ニュースによると、高官は匿名を要求し「米国が今後、1カ月だけでも『圧政』という用語を使用しなければ、6カ国協議が開けると思う」とし「協議の雰囲気づくりのため米国が(用語を)使わなければいい」と述べたという。(共同)

「国交実現ならミサイル廃棄」 対米で金総書記が表明

2005/06/20 The Sankei Shimbun

 韓国政府当局者は20日、金正日総書記が17日の鄭東泳統一相との会談で「米国との国交が実現し、友好国になれば長距離ミサイルを廃棄する用意がある」と述べたことを明らかにした。当局者は鄭統一相が20日開催された閣議でもこうした事実を報告したと指摘した。

 発言は米国本土まで到達するテポドン2号(推定射程1万5000キロ)開発などを放棄する用意があるとの姿勢を示したとみられ、米朝関係正常化へ向けた積極的な姿勢の表明として注目される。

 同当局者によると、金総書記が廃棄するミサイルの種類に具体的に言及したかどうかは明確ではないが、聯合ニュースは金総書記が「『テポドン』や『ノドン』など中長距離ミサイルなどすべてを廃棄する」と報じており、日本を射程に収めるノドンなどの中距離ミサイルも廃棄対象に含めている可能性もある。

 北朝鮮は、ミサイルの輸出に関して、外貨獲得のためで米国が補償をすれば中断する用意があることを表明していたが、生産自体は自衛手段として続ける姿勢を堅持してきた。

 金総書記は17日の会談で、米国が「(北朝鮮を交渉相手として)認め尊重すれば」7月中にも6カ国協議復帰が可能と言明している。

 北朝鮮は弾道ミサイルについて、クリントン前政権時代に米国と協議を行い、輸出停止に伴う補償などを求めていたが決着しなかった。ブッシュ政権ではミサイルをめぐる交渉は行われていない。(共同)

 <北朝鮮のミサイル> 北朝鮮は1980年代から旧ソ連が開発した短距離弾道ミサイル「スカッド」を生産、配備。90年代にかけ、日本のほぼ全域が射程に入る中距離弾道ミサイル「ノドン」を開発、93年には日本海に初めて試射した。98年には「テポドン1号」(射程2500キロ)の発射実験を実施し、米本土をにらみ長距離弾道ミサイル「テポドン2号」も開発中。北朝鮮はテポドン1号発射後、ミサイル発射の凍結を表明。2002年の日朝平壌宣言で凍結延長が明記されている。(共同)

6カ国協議への復帰求める 北朝鮮に米大統領

2005/06/01 The Sankei Shimbun

 ブッシュ米大統領は31日、ホワイトハウスで記者会見し、北朝鮮に対し「責任ある国家として扱われたいのなら、ほかの5カ国の言うことを聞く必要がある」と述べ、核問題をめぐる6カ国協議への早期復帰をあらためて求めた。

 また、北朝鮮とイランの核問題を外交的に解決するのが「米政府の立場であり、そうなることを望む」と、外交によって平和的な解決策を追求する方針を強調した。

 さらに、金正日総書記に「ミスター」と敬称を付け「核兵器計画放棄のためにわれわれとともに働こう」と呼び掛けた。

 チェイニー副大統領が前日の30日、対北朝鮮制裁など強硬な姿勢を明確にしたため、大統領は外交解決を強調することでバランスを取った格好だ。(共同)

核実験に3つのシナリオ 米共和党、対北朝鮮で

2005/05/21 The Sankei Shimbun

 米上院の共和党政策委員会(カイル委員長)は20日までに、北朝鮮が核実験に踏み切った場合に米政府などが取り得る対応策として(1)黙認(2)日本など同盟国と協力し、海上封鎖を準備して全面対決(3)中国との協力でエネルギー供給を断ち、自壊に導く−の「3つのシナリオ」があると分析した報告書をまとめた。

 報告書は「北朝鮮の説得に失敗すれば、中国は米国や隣国との関係に加え、最終的に自国の安全保障にも劇的な影響を被る」と指摘、中国が北朝鮮による核実験阻止の鍵を握っていると強調した。

 3つのシナリオのうち、北朝鮮を新たな核保有国と認定する黙認は、イランやシリアなどの「ならず者国家」だけでなく、日本、韓国、台湾などの核武装につながる恐れが高いため、報告書は「米国の安全保障に重大な結果をもたらす」と警告している。

 全面対決では、米国は日本、韓国、オーストラリアの同盟国と協力、北朝鮮周辺海域の軍事力を増強、核兵器も配備して海上封鎖の準備に取り掛かるとともに、ミサイル防衛を強化する。この過程で、台湾を加えた「民主主義同盟」が東アジアに出現する可能性があり、北朝鮮に加えて中国とも対立する構図となる。

 第3のシナリオは米国と中国が協力、エネルギー供給を断つなどして北朝鮮を完全に封鎖する。この場合、中国が金正日体制の崩壊を容認する代わりに、日本、台湾の核武装を米国が許さないなどの取引が米中間で交わされる可能性がある。(共同)

6カ国協議復帰なら「重要提案」 南北対話10カ月ぶり再開

2005/05/16 The Sankei Shimbun

 韓国と北朝鮮による次官級の実務協議が16日、北朝鮮の開城で始まった。韓国同行記者団によると、午前の全体会議で北朝鮮側は肥料支援を要請。核問題で韓国は、北朝鮮が6カ国協議に応じれば、次回同協議で「問題を実質的に進展させる重要な提案」を行うと述べ、早期復帰を求めたが、北朝鮮側から特別な反応はなかったという。

 南北当局間の対話は約10カ月ぶり。協議は17日まで。協議では、6月の南北首脳会談5周年記念行事出席のため韓国政府代表団が訪朝することでほぼ一致した。

 韓国高官は「重要な提案」について「関連国との協議後に明かす」と言及を避けた。北朝鮮を協議に引き戻す効果がある内容を今後詰めていくとみられる。

 肥料支援では、北朝鮮が1月に50万トンを要請しているが、韓国側は例年水準の20万トン程度なら可能との立場を示し、それ以上の支援は中断している閣僚級会談を6月に再開した上で協議するよう提案した。

 韓国側によると、北朝鮮側も閣僚級会談の必要性を認めたものの合意に至らず、協議最終日の17日まで、ぎりぎりの折衝が続くとみられる。

 また、北朝鮮は食料支援にも言及したほか「民族共助」を強調して米韓合同軍事訓練などを批判。朝鮮中央通信によると、北朝鮮は韓国の国家保安法撤廃など5項目を韓国側に提案した。韓国側は北朝鮮の核保有宣言などに遺憾の意を表明し「非核化が守られなければ、民族共助も和解協力も不可能だ」と訴えた。

 協議冒頭で北朝鮮代表の祖国平和統一委員会書記局の金万吉副局長は「断絶した南北関係を回復する重大な会談」と強調。韓国代表の李鳳朝統一次官は合意事項の誠実な履行を北朝鮮側に求めた。(共同)

北朝鮮、米国務長官発言に反発…協議中断の責任転嫁か

2005/05/14 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ソウル=豊浦潤一】朝鮮中央通信によると、北朝鮮の外務省報道官は14日、ライス米国務長官が米CNNテレビとのインタビューで、北朝鮮の金正日体制を「恐るべき政権だ」と批判したことについて、「ライスは、(北朝鮮を)『主権国家』として認めると言ったことが世論を欺くための術策であったことを自ら暴露した」と反発した。

 報道官は、ライス長官が、北朝鮮に対する強い抑止力を持っていると述べたことについても「我々に対する軍事的侵攻の企図をさらけ出した」と述べた。

 北朝鮮は、中国などから6か国協議再開を迫られるなか、協議中断の責任を米側に転嫁する狙いと見られる。

北の黒鉛減速炉、稼働停止は3月末 関係筋明らかに

2005/05/14 The Sankei Shimbun

 6カ国協議関係筋は14日、北朝鮮が使用済み核燃料棒取り出し完了を表明した寧辺の実験用黒鉛減速炉(5000キロワット)の稼働について、協議関係国の情報当局が3月31日ごろに停止させたと暫定的に結論づけていることを明らかにした。稼働停止は米韓両政府とも既に確認しているが、停止時期は明確になっていなかった。

 北朝鮮は3月31日に外務省スポークスマン談話を通じ、6カ国協議の「軍縮会談への移行」を主張しており、稼働停止は核兵器増産の脅威をカードに「軍縮会談」を実現させようとする戦術に直結した措置とみられる。

 同筋は、3月末の稼働停止から5月11日の使用済み核燃料棒取り出し完了表明までの約40日間は「冷却期間としては十分で、取り出し完了表明は事実である可能性が高い」としている。(共同)

6カ国協議堅持で一致 米露首脳会談

2005/05/09 The Sankei Shimbun

 ブッシュ米大統領とロシアのプーチン大統領は8日夜(日本時間9日未明)、モスクワ郊外のプーチン大統領の私邸で会談し、北朝鮮の核問題をめぐり、6カ国協議の枠組みを堅持し、引き続き問題解決を目指すことで一致した。国連改革については、両国の外相が今後、緊密に協議することで合意した。

 ハドリー大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は会談後、記者団に「(米朝)2国間協議についても議論したが、ブッシュ大統領は6カ国協議の重要性を主張した」と言明。北朝鮮は6カ国協議復帰の前提条件として、2国間協議を開催し、北朝鮮を主権国家と認定するよう求めているが、米政府としては前提条件なしの協議復帰を金正日体制に迫っていく姿勢を鮮明にした。

 両首脳は国連安全保障理事会での対北朝鮮制裁論議の開始に関しては踏み込まなかったが、補佐官は会談後「(安保理での議論は)われわれが従来、言っていることだ」と述べ、選択肢として検討していることを指摘した。

 また国連改革問題で補佐官は、日本の常任理事国入りを支援していくブッシュ政権の基本姿勢を繰り返した。

 プーチン大統領の4月下旬のイスラエル訪問を踏まえ、イスラエルのガザ地区撤退に備え、パレスチナ自治政府のテロ対策強化へ向け協力することで一致。イランの核問題では、欧州側の交渉への支援を確認した。

 昼食も含め3時間半に及んだ会談では、旧ソ連諸国の民主化問題も議論。ブッシュ大統領は「近隣に民主国家ができるのはロシアの利益になる」との持論を展開し、バルト三国やグルジアなどの民主化支援に対する協力を求めた。(共同)

「北の核実験準備」に懸念共有 米露首脳

2005/05/09 The Sankei Shimbun

 米政府高官は9日、ブッシュ米大統領とプーチン露大統領の8日夜の首脳会談で、北朝鮮が核実験の準備を進めているとされる問題について意見交換し、「懸念」を共有したことを明らかにした。大統領同行記者団に語った。

 高官によると、プーチン大統領は「核実験の動きに国際社会と同じ懸念を共有している」との趣旨の発言を行い、核問題をめぐる6カ国協議の早期再開を目指し、ロシアとしても外交努力を尽くしていく考えを明確にした。

 また高官は、国際原子力機関(IAEA)のエルバラダイ事務局長が、北朝鮮が5、6個の核兵器を保有している可能性を指摘したことについて「米政府は(長年)1、2個を所有しているとみてきた」とした上で、プルトニウム再処理完了宣言など2003年以降の北朝鮮の動きを踏まえれば、分析は「驚くべきことではない」との認識を示した。

 北朝鮮が協議拒否を続けた場合の国連安全保障理事会での議論開始については「まだ仮定の話だ」と述べ、今回の米露首脳会談で具体的に議論しなかったと語った。(共同)

6カ国協議早期復帰を要求 対北朝鮮で日中韓外相一致

2005/05/07 中国新聞ニュース

 町村信孝外相、中国の李肇星外相、韓国の潘基文外交通商相は七日午後、京都市の国立京都国際会館で会談し、北朝鮮が「最大限早期」に核開発問題をめぐる六カ国協議に復帰するべきだとの認識で一致した。

 国連改革では、町村氏が日本の安全保障理事会常任理事国入りに協力を求めたものの、中韓とも「最も現実的な解決方法を見いだすべきだ」(韓国)、「民主的、透明な議論を通じて対応していくべきだ」(中国)と消極的な姿勢を見せ擦れ違いに終わった。

 三カ国間協力に関しては、昨年十一月の首脳会談で合意した「行動戦略」に基づき、投資に関する法的枠組みを検討する政府間協議を五月中にも開催することで合意。国民レベルの相互理解促進のため、文化交流年の設定など文化事業実施を検討することで一致した。

 核問題では、町村氏が六カ国協議の早期再開を訴えたのに対し、韓国は「国際社会の忍耐も限界に近づきつつある。対話の席に速やかに戻ってくることが重要だ」、中国も「北朝鮮は直ちに交渉のテーブルに戻ってくることが重要だ」と応じた。ただ、町村氏の「北朝鮮による核関連物質の輸出を水際で止める必要がある。日中韓で協力したい」との提案には、明確な回答はなかった。

 三カ国外相は会談後に「共同プレス発表」を公表。核問題について「六カ国協議などの外交手段を通じて平和的に解決されるべきだとの見解を共有した」などと明記した。

米が北朝鮮への石油供給停止を要請、中国が拒否…米紙

2005/05/07 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ワシントン=貞広貴志】北朝鮮の核問題で、7日の米紙ワシントン・ポスト(電子版)は、米国が中国に対し北朝鮮に圧力をかけるため石油供給を止めるよう要請したのに対し、中国が「パイプラインが傷む」などとして拒否したと報じた。

 同紙によると、4月末に訪中したヒル国務次官補が、石油供給の「技術的な中断」を提案した。中国側は、「米国は、中国が北朝鮮に影響を及ぼせる手段を狭くとらえすぎている」と難色を示した上で、代わりに現行の対北朝鮮輸出制限を強化する意向を表明した。

 一方、中国側は6か国協議の再開に向けた北朝鮮の提案として、「米朝が秘密会合を持ち、米側がライス国務長官による『圧政の前線基地』発言を謝罪する」という「打開策」を米側に伝達、米政府は即座に拒否したという。

核実験阻止へ先制空爆立案 米軍、B2など動員と報道

2005/05/07 中国新聞ニュース

 【ワシントン6日共同】米NBCテレビは六日、北朝鮮が準備していると伝えられる核実験を阻止するため、米軍が実験場など核施設への「先制空爆」を行う緊急作戦計画を既に立案していると報じた。

 NBCによると、国防総省は昨年九月以来、グアムとインド洋のディエゴガルシアに駐留するレーダーに捕捉されにくいB2ステルス爆撃機と、F15戦闘機を「警戒態勢」に置き、核施設「除去」の緊急作戦計画が発動されれば、いつでも北朝鮮空爆を実施できる状態にしている。

 しかし、韓国などは軍事作戦に強く反対しており、米軍が北朝鮮との本格戦争に備えた「作戦計画5029」を、核実験が行われた直後に北朝鮮攻撃を可能にするよう更新することに激しく抵抗しているという。

北朝鮮の核に懸念相次ぐ ASEAN・日中韓会談

2005/05/06 The Sankei Shimbun

 東南アジア諸国連合(ASEAN)プラス3(日中韓)の非公式外相会議が6日、京都市の国立京都国際会館で開かれ、北朝鮮の核問題解決に進展が見られないことについて「深刻な状況だ」(李肇星・中国外相)などと懸念表明が相次いだ。

 韓国の潘基文外相も「6カ国協議は極めて危機的な状況に置かれている」と指摘。李氏は議長国として早期の協議再開に向け「米国、北朝鮮双方に働き掛けを続けている」と説明、北朝鮮を協議に復帰させるには米国の努力も必要との認識を示した。

 町村信孝外相は「いつまでも待つわけにはいかない。切迫感が必要だ」と北朝鮮をけん制。ASEAN議長国ラオスのソムサワット外相は、ASEAN地域フォーラム(ARF)への北朝鮮の参加を促すため、今月末の訪朝を検討していることを明らかにした。

 国連安全保障理事会の拡大問題に関しては、中韓両外相が「幅広いコンセンサスが必要」と強調し、常任理事国入りを目指す日本をけん制した。

 町村氏は12月にマレーシアで初めて開催する東アジアサミットの準備のため、6月半ばに東京でASEANプラス3の局長級協議を開く考えを表明した。(共同)

北朝鮮の動きに懸念表明 米中首脳

2005/05/06 The Sankei Shimbun

 米ホワイトハウスによると、ブッシュ米大統領と中国の胡錦涛国家主席は5日、電話会談を行い、核問題をめぐり、実験用黒鉛減速炉を停止させるなど事態を緊張させている北朝鮮の動きに懸念を表明。6カ国協議の早期再開へ向け、引き続き同国に対する説得を強めるなど米中両国が結束していくことで一致した。

 米政府内では、今年6月で前回の第3回6カ国協議から1年となるのを踏まえ、国連安全保障理事会での議論開始もにらんだ「別の手段」(ライス国務長官)の検討が進んでいる。「核抑止力の増強」を唱えるなど北朝鮮が「瀬戸際政策」を強める中、ブッシュ大統領は北朝鮮に影響力を持つ中国に対し、最善の外交努力を強く促したもようだ。

 マクレラン大統領報道官によると、両首脳は中台情勢をめぐっても協議。胡主席は台湾の最大野党、国民党の連戦主席との先の会談内容をブッシュ大統領に説明。大統領は野党に加えて陳水扁政権との対話も進め、情勢安定化に努めるよう求めた。

 米中首脳は経済、通商問題も協議、ブッシュ大統領が求める人民元の変動相場制移行についても意見交換した。報道官は会見で、人民元問題での詳しいやりとりを明らかにしなかったが、米中財務当局がこの問題で協議を続けていると語った。(共同)

北が地下核実験準備か 朝鮮日報報道、咸鏡北道南部で

2005/05/03 The Sankei Shimbun

 韓国紙、朝鮮日報は3日、北朝鮮が咸鏡北道南部の吉州で地下核実験の準備をしている疑いがある、と米情報当局が韓国政府へ通告していたと報じた。同紙によると、韓国政府消息筋は「米スパイ衛星が吉州でトラックの動きが煩雑になり、クレーンや資材などを持ち込む様子をつかんだ」と明らかにした。

 韓国国防省は同日、「北朝鮮が1990年代末からこの地域で大規模な掘削作業を行っていることを注視している」としながらも「吉州で核実験と関連した特異な動向はつかんでいない」とした。

 さらに、掘削作業について大規模な水路か何らかの軍事施設建設の可能性があり、核実験と関連したものとは判断していないとの認識を示した。

 朝鮮日報は、北朝鮮が核実験を準備している可能性があると米当局が判断した衛星写真と分析内容が韓国側に渡されたと報じたが、国防省はそうした資料を米国から受け取った事実はないと否定した。(共同)

北、3月から核実験準備か 米情報 日本などに伝える

2005/04/30 The Sankei Shimbun

 【ウィーン=共同】今年二月に核保有を公式宣言した北朝鮮が三月から地下核実験の準備に着手した可能性があるとの情報を米国が国際原子力機関(IAEA)や日本など関係国政府に非公式に伝達していたことが三十日、分かった。ウィーンの複数の外交筋が明らかにした。

 北朝鮮が実験を行った場合、IAEA当局者は「成功の可能性は高い」と予想しており、国際社会は新たな対応を迫られる公算が大きい。核拡散防止条約(NPT)体制にとっても大打撃となる。

 米紙ウォールストリート・ジャーナルは二十二日、北朝鮮が核実験を準備している可能性があるとし、米国が中国に実験を中止させるよう求める文書を送ったと報じたが、三月から準備していることが明らかになったのは初めて。

 外交筋によると、情報は衛星写真や、米国や韓国が北朝鮮内の情報源から入手したもの。それによると、北朝鮮が実験を計画中なのはプルトニウム型の小型原爆で、実験場も決まり、既に資材などを運び込んでいる段階。専門家の推定では実験準備に最低三カ月は必要で、実験が行えるのは早くて六月と予想されるという。

 IAEAは北朝鮮が寧辺の実験用黒鉛減速炉の使用済み核燃料から過去に原爆数個分のプルトニウムを抽出したと推定しており、情報を深刻に受け止めている。

 また、北朝鮮が実験準備を進めているとされる核爆弾について、IAEAの専門家は、一九四五年に長崎に投下されたものと同規模の二十キロトン級のプルトニウム型原爆と推定している。

6月期限に安保理付託も 対北朝鮮で政府

2005/04/29 中国新聞ニュース

 政府は二十八日、北朝鮮の核問題をめぐる六カ国協議について、中断から丸一年を迎える六月下旬までに北朝鮮が再開に応じない場合は、米国と連携し国連安全保障理事会への付託を提案する方向で調整に入った。政府筋が明らかにした。

 二十七日に来日した米国の六カ国協議首席代表のヒル国務次官補(東アジア・太平洋担当)と谷内正太郎外務事務次官、日本側首席代表を務める佐々江賢一郎外務省アジア大洋州局長らの会談で、共同歩調を取ることを確認した。

 政府筋によると、直ちに制裁を求めることは想定しておらず、局面を変えることで北朝鮮に圧力をかけ、話し合い解決を促すのが狙い。北朝鮮が対話に応じる場合は六カ国協議を再開することになるという。

 近く日米韓の首席代表協議を開催し、意見調整した上で、中国とロシアにも理解を求める考えだ。

 一連のヒル氏と外務省幹部の会談では、昨年六月二十三〜二十六日の第三回会合から「一年間、何もないというのは耐えがたい」との認識で一致した。

PSIで北朝鮮に圧力 米長官、核問題でけん制

2005/04/27 The Sankei Shimbun

 ライス米国務長官は25日、核保有を宣言した北朝鮮が6カ国協議への復帰を拒み続けている状況を受け、大量破壊兵器の拡散を防ぐ拡散防止構想(PSI)による臨検などを強化し、北朝鮮への圧力を強める方針を表明。また「脅威と協議の状態をみて必要ならば国連安全保障理事会に諮る」と安保理での経済制裁論議に言及し、北朝鮮をけん制した。

 外遊先のブラジルに向かう際に記者団に語った内容を、国務省が26日公表した。

 先月の訪中の際、協議復帰への拒否が続いた場合、「別の選択肢が必要」と明言したライス長官が、具体策としてPSIに触れたのは初めて。

 既に約60カ国が参加しているPSIを活用して国際的包囲網を狭め、安保理論議もちらつかせて北朝鮮に6カ国協議への復帰を促す米政府の当面の方針を明確にした。

 長官は、臨検を認める新たな安保理決議案を米政権が検討していると米紙ニューヨーク・タイムズが報じたことについて「われわれには拡散防止の能力があり、PSIで実践してきた」と強調。北朝鮮核問題を「安保理にかける権利を留保している」と述べる一方、「6カ国協議の枠組みで多くのことが行えると信じる」と語り、枠組みの堅持も確認した。

 長官はこれまで北朝鮮への対応で経済支援にも言及、硬軟両様の構えを示してきたが、北朝鮮が先週、寧辺の実験用黒鉛減速炉の稼働停止を認めたことを受け、態度を硬化させつつある。(共同)

米韓首席が核問題協議 6カ国協議重要と韓国

2005/04/25 The Sankei Shimbun

 北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議の米首席代表、ヒル国務次官補(東アジア・太平洋担当)と韓国首席代表、宋旻淳外交通商次官補がソウルで25日、同協議の再開などに向けて会談した。ヒル次官補は会談後、「核問題を解決するための最善の戦術について合意した」と述べたが、具体的な戦術に関する発言は避けた。

 聯合ニュースによると、両者は24日夜にも非公式の会談を行った。ヒル次官補はソウル入りした23日、北朝鮮が6カ国協議復帰を拒み続けた場合、国連安全保障理事会に付託する可能性を示唆したが、宋次官補は同ニュースに対して「ほかの解決方法を探すことはない」と述べ、6カ国協議再開の重要性を強調した。

 ヒル次官補は25日、潘基文外交通商相とも会談。26日から日中両国を訪問し、28日に再び韓国入りする。(共同)

金永南氏、バンドン会議演説で「核保有」をアピール

2005/04/23 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ジャカルタ=豊浦潤一】北朝鮮の金永南・最高人民会議常任委員長は22日、アジア・アフリカ会議50周年記念会議で演説し、「我々が自衛のため核抑止力を備えたことは当然だ」と述べた。

 各国首脳が集まる中で「核保有」をアピールし、核カードの交渉力を高める狙いと見られる。金委員長は、北朝鮮が「核抑止力」を持ったことにより、「北東アジアでの戦争を防ぎ、平和を実現できたことに大きな自負心を持つようになった」と指摘した。金委員長は、6か国協議には直接言及せず、核問題についても「米朝間の核問題」と表現した。

北朝鮮の6か国協議拒否、国連安保理で制裁議論も

2005/04/19 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ワシントン=菱沼隆雄】ブッシュ米大統領の側近として知られるカール・ローブ大統領次席補佐官は18日、CNNテレビに対して、北朝鮮が寧辺の黒鉛減速炉の稼働を停止したと伝えられたことに関連し、「6か国協議が核問題の解決に向けた最善の枠組みだとは信じるが、参加を拒むなら、独裁政権の方向性を変える別の選択肢もある」と明言し、国連安全保障理事会での制裁議論を選択肢とする姿勢を示した。

 マクレラン米大統領報道官も同日、記者団に対し、「北朝鮮が6か国協議への復帰を拒否するなら、次の措置について協議参加国と検討しなければならない」としたうえで、国連安全保障理事会での制裁論議について、「間違いなく可能性の一つ」と明言した。

 また、国務省高官はヒル国務次官補(東アジア・太平洋担当)が来週、6か国協議をめぐる政策調整のため、日本、中国、韓国を訪問する予定であることを明らかにした。

 国務省バウチャー報道官は同日の記者会見で、「寧辺の状況を詳しく見守っていく」と述べ、北朝鮮が使用済み核燃料棒を再処理し、核兵器の原料となるプルトニウム抽出に実際に踏み切るのかどうか注視していく姿勢を示した。

韓国高官、北朝鮮の原子炉停止を確認

2005/04/18 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ソウル=福島恭二】韓国外交通商省の金塾(キムスク)北米局長は18日、同国KBSラジオの番組に出演し、北朝鮮寧辺(ヨンビョン)の核関連施設にある5000キロ・ワット級の実験用原子炉について、「稼働中断は様々な経路を通じて確認されたものと承知している」と述べ、原子炉が運転を停止しているとの見解を明らかにした。

 北朝鮮は今月上旬に訪朝した米国の朝鮮半島問題研究者のセリグ・ハリソン氏に、今月から寧辺の原子炉から使用済み核燃料棒の取り出しを始めることを明らかにしたと報じられており、稼働中断はその作業のためとみられる。使用済み燃料棒からは核兵器の材料にもなるプルトニウムを抽出することができる。

 KBSのホームページによると、金局長は稼働中断について言及した後「今後、状況の分析には時間も必要だ」と述べ、核燃料棒の取りだしには触れなかった。

米、黒鉛炉停止を警戒 北朝鮮の核増強表明で

2005/04/17 The Sankei Shimbun

 複数の米政府当局者は17日までに、核関連施設が集中する北朝鮮・寧辺にある実験用黒鉛減速炉が近く停止する事態を想定し、警戒を強めていると語った。北朝鮮は2月に核兵器保有を公式宣言し「核抑止力の増強」を表明しているため、同炉が停止すれば、使用済み核燃料棒が取り出されて再処理、核兵器の原料となるプルトニウムがさらに抽出される恐れがあるためだ。

 また、米情報機関に近い関係筋は16日、同炉が停止したとの一部報道について「断定できる状況ではない」と言明。ただ、停止の兆候があると指摘しており、稼働時に冷却塔から排出される水蒸気などが偵察衛星で確認できなくなったものとみられる。

 一方、米当局者の1人は「同炉が停止すれば、事態は深刻化する」と述べ、北朝鮮が6カ国協議への復帰姿勢を見せない中、米政府として国連安全保障理事会での制裁論議も含めた「次の手段」を講じなければならないとの見解を示した。

 この問題をめぐっては、最近訪朝した米国の朝鮮半島問題研究者のセリグ・ハリソン氏が15日に韓国メディアに対し、北朝鮮が同炉の使用済み核燃料棒の取り出し作業を今月から始めるとしたと述べている。

 北朝鮮は2002年末、凍結中だった寧辺の核施設の再稼働を宣言。今回取り出すとしているのはこれ以降に生じた同燃料棒約8000本で、核兵器6−8個分のプルトニウム抽出が可能とされる。(共同)

反日デモ 6カ国協議に支障 協調ひび、北に有利 米専門家ら懸念

2005/04/17 The Sankei Shimbun

 【ワシントン=樫山幸夫】反日デモの拡大など日中関係や、日韓関係の悪化が、北朝鮮の核問題に関する六カ国協議にも悪影響をもたらすとの懸念が米国内で広がっている。米政府としては、中韓両国での反日デモと六カ国協議は別問題で、影響はないとしているものの、専門家の間では、程度の差こそあれ、何らかの支障が生じるのは避けられないとの見方が強まっている。三カ国の協調関係を危うくするだけでなく、北朝鮮を利することになるという危機感も台頭している。

 デモ参加者の“暴走”について、米国務省は、取り締まりが不十分だったとして、中国当局を批判する見解を示している。

 中韓両国による日本非難の理由の一つ、日本の教科書検定については、「当事国同士で解決すべき問題」(バウチャー報道官)などと距離を置く姿勢を表明している。

 ただ、六カ国協議への影響については、「各国の目的は完全に一致している」(同)と、楽観的な見方を貫いている。

 だが、政権外の専門家の見方は、大きく異なる。

 駐中国、駐韓国の両大使ポストを経験した、ジェームズ・リリー元国防次官補は産経新聞との会見で、「影響はないという人が少なくないが、残念ながら関連があるのは明白だ」と指摘。非難の応酬が、当面の最大の脅威である北朝鮮の核問題を、脇へ押しやってしまうことへの懸念を表明した。

 北朝鮮問題の専門家であるマイク・マンスフィールド・センターのゴードン・フレーク主任研究員も、「日中韓の関係が緊張することにより、六カ国協議参加各国の協調は当然、困難さを増すだろう」と分析。

 「現時点では、協議再開のめどがたっていないため、三カ国間のほころびは目立たないという皮肉なことになっているが、北朝鮮が再開に応じてきた場合、円滑な協調体制を取ることができるだろうか」と疑問を投げかける。

 東アジアの歴史に詳しいコロンビア大のチャールズ・アームストロング教授は、日中、日韓の緊張関係がどの程度の期間続くかにもよるとしながらも、北朝鮮がこの混乱に付け込んでくる恐れがあると指摘。「三カ国のあつれきを見て北朝鮮は“模様眺め”を決め込み、六カ国協議再開受諾をさらに引き延ばしてくるのではないか」と観測し、事態収拾が早急に実現しない限り、情勢は北朝鮮に有利に展開するとの強い懸念を示している。

6カ国協議に影響なし 日中韓関係悪化で米報道官

2005/04/14 The Sankei Shimbun

 バウチャー米国務省報道官は13日の会見で、日本と中国、韓国との関係悪化が北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議に影響を与えることは「ない」との見解を示した。

 一方で「ライス国務長官が日中韓を訪れた際、こうしたことが(核問題での関係国結束の)支障にならないようにするのが非常に重要だと各国に伝えた」とも言明。3月下旬の時点で米政府が日中韓の不協和音に懸念を表明していたことも明らかにした。

 その上で「どの国からも非常に迅速で前向きな反応が得られた。北朝鮮問題に関しては意見が一致しており、地域の安定にかかわる根源的な問題だとの回答があった」と指摘。歴史問題や領土問題が「戦略的な安全保障上の問題」に悪影響を与えないとの共通認識が日中韓で形成されていることに期待を示した。(共同)

中国主席、北朝鮮訪問を無期限延期か 韓国紙報じる

2005/04/13 The Sankei Shimbun

 13日付の韓国有力紙、中央日報は北京の外交筋の話として、中国が胡錦涛国家主席の北朝鮮訪問を無期限延期したことが分かったと報じた。北朝鮮が6カ国協議復帰の意向を示さなかったことが理由という。

 同筋によると、胡主席は当初、今月中旬にも訪朝予定で、中国は今月初めに北朝鮮の姜錫柱・第一外務次官を呼び主席訪朝前の協議復帰の約束を迫った。しかし姜次官から満足のいく回答が得られなかったという。

 同筋は「今年上半期中に胡主席の訪朝が実現する展望はない」と述べた。(共同)

北朝鮮、6者協議に「米謝罪なら復帰」 訪朝の米専門家

2005年04月10日 asahi.com

 米国の北朝鮮専門家、セリグ・ハリソン国際政策センター・アジア計画部長は5日から9日まで訪朝して北朝鮮の高官と会談し、9日、北京で朝日新聞記者らと会見した。北朝鮮側は核問題をめぐる6者協議に復帰する用意はあると表明したものの、その条件として、ライス米国務長官が北朝鮮を「圧制の拠点」と呼んだことに関して米国の謝罪が必要だとの立場を示したという。

 ハリソン氏によると、会談したのは金永南(キム・ヨンナム)・最高人民会議常任委員長や、金正日総書記の側近である姜錫柱(カン・ソクジュ)第1外務次官ら。

 北朝鮮側は、米国が北朝鮮の体制転覆を考慮していると疑念を表明。疑念をはらすために、米国側は北朝鮮を「主権国家」と呼ぶだけでなく、北朝鮮の領土や主権の尊重や北朝鮮との平和共存をも明言すべきだと求めたという。

 また、6者協議に復帰しても、米国との外交関係樹立など完全な関係正常化の前に、核兵器の廃絶を論議することはないと述べたという。

 一方、ハリソン氏は、5月9日にモスクワで行われる対独戦勝60周年式典に北朝鮮から金永南委員長が出席するとの見通しを示した。金委員長に対し、ブッシュ米大統領と接触することを勧めたという。

6か国協議を「軍縮会談に」…北朝鮮外務省が主張

2005/03/31 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ソウル=浅野好春】朝鮮中央通信によると、北朝鮮外務省報道官は31日、談話を発表し、同国核問題を巡る6か国協議について「我々が堂々たる核兵器保有国になったからには、6か国協議は当然、参加各国が平等の姿勢で問題を解決する軍縮会談とすべきだ」と主張した。

 核保有の既成事実化を図って米国と対等の交渉力があると強調しつつ、一方的な核放棄には応じない立場を改めて示す狙いと見られる。

 北朝鮮は、2月10日の外務省声明で6か国協議の無期限中断と核保有を宣言。中国などが協議に復帰するよう説得を続けているが、北朝鮮は譲歩せず、協議再開のメドは立っていない。

胡主席、5月初め訪朝か 金総書記を説得と韓国紙

2005/03/26 The Sankei Shimbun

 韓国紙、ハンギョレ新聞の26日付早版は北京の外交消息筋の話として、中国の胡錦涛国家主席が5月初めに北朝鮮を訪問し、金正日総書記と会談すると報じた。実現すれば胡主席にとって初めての訪朝になる。

 同紙によると、ライス米国務長官や北朝鮮の朴奉珠首相の北京訪問により、中国は北朝鮮の核問題解決に向けた説得の要件が整ったと判断。胡主席自らが北朝鮮の説得に当たる考えだ。

 胡主席はモスクワで5月9日開催される対ドイツ戦勝60周年記念式典に出席予定で、この消息筋は「北朝鮮の核問題に関する外交的成果を持って各国首脳の集まるロシアに行くのが有力」と言明。ロシア訪問の直前に訪朝する日程で北朝鮮側と調整中という。

 中国外務省の劉建超副報道局長は24日、訪中した朴首相が胡主席に北朝鮮への公式訪問を要請したと述べている。(共同)

北朝鮮の核「期限設けず」 米大統領、安保理付託で

2005/03/24 The Sankei Shimbun

 ブッシュ米大統領は23日、6カ国協議開催の見通しが立たず、事態がこう着化している北朝鮮の核問題に関し「期限は設けていない」と言明。朝鮮半島情勢を一気に緊迫化させる国連安全保障理事会付託などの具体的なスケジュールは設定せず、早期協議再開を通じた粘り強い外交交渉で問題解決を図る考えを強調した。

 テキサス州でのマーティン・カナダ首相、フォックス・メキシコ大統領との3カ国首脳会談後の記者会見で語った。

 ブッシュ大統領は「私は忍耐強い人間だ」とも発言。先にライス国務長官が、北朝鮮の協議拒否が続けば「別の選択肢の検討が必要になる」と言及、日本なども安保理付託を視野に入れ始める中で、当面は中国の北朝鮮説得に望みを託し、多国間協議での解決を目指す姿勢を再確認したと言える。

 同大統領はその上で「金正日(総書記)に繰り返すが(問題解決は)彼の選択にかかっている。極東の平和と安定のため、金正日は(5カ国の声に)耳を傾けなくてはならない」とし、北朝鮮に協議への早期復帰を強く促した。

 また「(中国の)胡錦涛国家主席は(訪中した)ライス長官に、核兵器のない朝鮮半島が中国の目標であることを明確にした」と述べ、米中の利害が一致している点を力説。今後の中国の外交工作に期待を示した。(共同)

6か国協議、北「条件つき復帰」崩さず…中朝首脳会談

2005/03/23 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【北京=竹腰雅彦】中国を公式訪問している北朝鮮の朴奉珠(パク・ボンジュ)首相は23日、中国の胡錦濤国家主席、賈慶林・人民政治協商会議主席と相次ぎ会談した。

 新華社電などによると、胡主席が6か国協議への早期復帰を求めたのに対し、朴首相は「適当な条件下でいつでも協議に参加できる」と語り、協議再開に前提を設ける姿勢を崩さなかった。

 胡主席は核問題について、「対話を通じた平和解決が唯一の正確な選択だ」と語り、6か国協議継続の必要性を強く訴えた。一方で、胡主席は「重大な国際、地域問題における意思疎通の強化を新世紀の中朝関係の土台にすべきだ」と強調した。中国は、北朝鮮が2月に行った「核保有宣言」を事前に知らされておらず、いらだちを強めてきた。発言には、核問題における北朝鮮の一方的行動にクギを刺す狙いがある。

 朴首相は24日以降、経済最先端地・上海のほか、中国企業の対朝経済進出拠点となっている遼寧省瀋陽、鉄鋼産業都市の同省鞍山などを訪れる。

6カ国協議の復帰説得へ 中朝首相が会談

2005/03/22 The Sankei Shimbun

 中国訪問中の北朝鮮の朴奉珠首相は22日、北京の人民大会堂で温家宝・中国首相と会談した。中国側は23日に予定される胡錦涛国家主席との会談を含めた一連の協議を通じ、北朝鮮が6カ国協議に復帰するよう説得するとみられる。

 朴首相は経済部門を統括しており、温首相との会談では中朝間の経済協力についても協議。冒頭、温首相は「(朴首相の)今回の訪問はとても重要だ。両国の共同の関心事について虚心坦懐(たんかい)に意見交換したい」と述べると、朴首相は「訪問が朝中関係の一層の発展につながる契機になると信じている」と応じた。

 朴首相は22日、北京市内の外資系携帯電話会社の施設を訪問。23日には賈慶林・中国共産党政治局常務委員(人民政治協商会議主席)とも会談予定。27日までの滞在で上海なども訪れ、中国の経済発展の実情を視察する。

 21日まで訪中したライス米国務長官は、北朝鮮が協議復帰を拒否し続けるならば「別の選択肢の検討が必要になる」と言明、国連安全保障理事会への付託も視野に入れざるを得ないとの認識を示した。

 長官はその上で、北朝鮮と「最も近い関係」にある中国が、北朝鮮の復帰に向け「特別な役割を果たせる」と強調、中国に説得強化を求めた。中国側は米側との会談内容を北朝鮮に伝達する。(共同)

中国、協議復帰を説得へ 22日から北朝鮮首相が訪問

2005/03/21 The Sankei Shimbun

 北朝鮮で経済部門を総括する朴奉珠首相が22日から27日まで中国を公式訪問する。中国側はライス米国務長官の21日までの日韓中歴訪の結果も踏まえ、6カ国協議に復帰しなければ状況は厳しくなることを伝え、早期の協議再開を迫る構え。朴首相帰国後の北朝鮮の姿勢が協議継続の行方を左右しそうだ。

 朴首相の訪問は、中国から投資や経済支援を引き出すのが主目的とみられるが、中国政府筋は「経済担当の首脳でも、6カ国協議への復帰は働き掛けざるを得ない」と指摘した。

 中朝関係筋によると、中国の温家宝首相と会談するほか、胡錦涛国家主席を表敬訪問し賈慶林・党政治局常務委員(人民政治協商会議主席)とも意見交換することで調整している。核問題以外に、胡主席の訪朝が取り上げられる可能性もある。

 朴首相は北京のほか上海や瀋陽も訪れ、経済開発や農村改革の実情などを視察する予定。訪問先では、北朝鮮が今年5月中旬に計画している第8回平壌国際商品展覧会への中国企業の参加を要請するとみられる。(共同)

6カ国協議拒否なら「別の選択肢検討」 会見で米長官

2005/03/21 The Sankei Shimbun

 訪中しているライス米国務長官は21日、北京で記者会見し、北朝鮮が核問題をめぐる6カ国協議への復帰を拒否し続けるならば「別の選択肢の検討が必要になる」と言明、国連安全保障理事会への付託などの強硬策も視野に入れざるを得ないとの認識を示し、北朝鮮に協議復帰を強く促した。

 北朝鮮は2月、6カ国協議参加の「無期限中断」と核兵器保有を宣言。次回協議のめどが立たない現状に米国や日本がいら立ちを強める中、米国が北朝鮮への圧力を強める姿勢を鮮明にしたことで、次回協議の早期開催をめぐる関係国と北朝鮮の駆け引きが激しくなりそうだ。

 ライス長官は「6カ国協議は核問題解決の上で最良の方法」とも述べ、この枠組みを今も堅持していることを確認。「複数の国がエネルギー支援をすると明言している」などと経済支援に言及、北朝鮮に対して硬軟両様の構えを示した。

 欧州連合(EU)が検討している中国向け武器禁輸解除の問題については「アジアでの軍事バランスを崩す恐れがある」と述べ、あらためて反対の姿勢を表明した。

 また中国が先の全国人民代表大会(全人代=国会)で台湾独立阻止を狙いに成立させた、対台湾武力行使に法的根拠を与える反国家分裂法について「(中台関係の)発展に有益ではない」と憂慮を示し、「現状を一方的に変える行動」の自制を呼び掛けた。

 会見に先立ち、ライス長官は中国の李肇星外相、唐家●(●=王へんに旋)国務委員(外交担当)、呉儀副首相と相次いで会談。長官は就任後初のアジア歴訪を終え、帰国の途に就いた。(共同)

北朝鮮に早期復帰呼び掛け 米長官、中国主席らと会談

2005/03/20 The Sankei Shimbun

 ライス米国務長官は20日午後、アジア歴訪で最後の訪問地となる北京に到着、中国の温家宝首相、胡錦涛国家主席と相次いで会談した。北朝鮮が核問題をめぐる6カ国協議の「無期限中断」と核兵器保有を宣言したことへの対応や、台湾独立阻止を狙った中国の反国家分裂法成立で対立が深まる中台関係などについて協議する見通しだ。

 北朝鮮問題では、6カ国協議が朝鮮半島の非核化に向けた唯一の枠組みであると確認、一致して北朝鮮の6カ国協議への早期復帰を呼び掛けるとみられる。

 長官は19日の対アジア外交に関する政策演説で「中国は特別の責任がある」として、北朝鮮の6カ国協議復帰に向けた説得活動を強化するよう要請しており、こうした立場を中国首脳に伝える可能性もある。

 中台関係では、「一つの中国」原則を堅持する一方で、台湾の防衛支援をうたった米国内法の「台湾関係法」も順守するとの原則的立場をあらためて表明、その上で「現状を一方的に変えることに反対する」として、中台双方に自制を求める見通しだ。

 長官は、欧州連合(EU)による対中国武器禁輸の解除問題をめぐり、反対をあらためて表明。中国の人権問題も議題に取り上げるとみられる。(共同)

北朝鮮首相が22日から訪中へ、6か国協議で意見交換

2005/03/15 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【北京=竹腰雅彦】中国外務省の劉建超・副報道局長は15日の定例会見で、北朝鮮の朴奉珠(パク・ボンジュ)首相が22日から27日まで訪中すると明らかにした。

 北朝鮮が無期限中断を宣言した核問題をめぐる6か国協議などについて意見交換する。

 中朝高官の相互訪問は、中国が2月に王家瑞・共産党対外連絡部長を訪朝させ、金正日(キム・ジョンイル)総書記に協議復帰を働きかけて以来。直前の20日にはライス米国務長官が訪中する予定で、中国側は胡錦濤国家主席や温家宝首相らが朴首相に、6か国協議の早期再開を強く働きかけるとともに、米中間の調整結果についても伝達すると見られる。

 朴首相は北朝鮮の経済分野の責任者で、昨年4月の金総書記訪中にも同行した。訪中では、主に中国からの投資拡大や経済支援問題なども話し合う見込み。

ライス長官、アジア歴訪に出発 18日から日中韓訪問

2005/03/15 The Sankei Shimbun

 ライス米国務長官は14日夕(日本時間15日朝)、インド、パキスタン、アフガニスタン、日本、韓国、中国のアジア6カ国歴訪のためワシントン郊外のアンドルーズ空軍基地を出発した。1月の長官就任後、アジア諸国の訪問は初めて。外遊日程は8日間。

 長官は18日、日本に到着し、19日にソウル、20日には北京にそれぞれ移動。北朝鮮が6カ国協議参加の「無期限中断」と核兵器保有を宣言したことへの対応などを中心に協議する。

 日米関係では、牛海綿状脳症(BSE)発生に伴って禁止措置が取られている米国産牛肉輸入の再開問題も主要議題となる見通し。北京では中国が台湾独立阻止を狙い制定した反国家分裂法を取り上げ、懸念を伝える意向だ。(共同)

欧州議会、6カ国協議への参加要請

2005/03/11 The Sankei Shimbun 東京朝刊から

 欧州連合(EU)の欧州議会本会議が10日、フランス東部ストラスブールで開かれ、北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議にEUが参加できるよう、EU首脳会議などに取り組みを求める決議案を採択した。

 議会関係筋は「議会が明確に6カ国協議参加を求めたのは初めて」と述べ、「北朝鮮や中国はEUの参加に反対しておらず、米国や日本が了承すれば実現の可能性はあるのではないか」と話している。

 議会決議に法的な拘束力はないが、EU首脳会議や欧州委員会は無視できない。朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)の理事会メンバーでもあるEUは、当初から協議参加を希望していた。

 決議では、首脳会議や欧州委に6カ国協議参加実現に向けた努力を求めたほか、北朝鮮に核開発を断念させるには新たな努力が必要として、重油購入のための財政支援を要請。北朝鮮に対しては核拡散防止条約(NPT)や6カ国協議への復帰を求めた。(共同)

6か国協議調整、中国の朝鮮半島核問題大使が訪米

2005/03/08 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【北京=竹腰雅彦】中国の寧賦魁・朝鮮半島核問題大使が8日、北朝鮮が無期限中断を宣言した同国の核問題をめぐる6か国協議の調整のため訪米した。

 中国外務省の劉建超・副報道局長が同日、会見で明らかにした。2月下旬に王家瑞・中国共産党対外連絡部長が訪朝し、金正日(キム・ジョンイル)総書記と会談して以来、核問題で中国高官が訪米するのは初めて。

 中国は4月までの協議再開を目指して関係国との調整を活発化させており、李肇星外相も8日、ライス米国務長官と電話会談した。劉副局長は、ライス長官の訪中が検討されていることも明らかにした。

6カ国協議再開へ連携 日露外相、拉致も協力

2005/03/05 The Sankei Shimbun

 町村信孝外相は4日夜、ロシアのラブロフ外相と電話で会談し、北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議の早期再開に向けて連携し、北朝鮮に無条件の協議復帰を働き掛けることを確認した。

 町村氏は拉致問題について「北朝鮮の対応は誠に不誠実であり、日本国内で制裁圧力が高まっている。理解と協力をお願いしたい」と要請。ラブロフ氏は「日本国民の懸念をよく理解している」と述べた。

 両外相はプーチン・ロシア大統領の日本訪問準備をさらに加速することで一致。1月の外相会談で「3月前半」としていたラブロフ氏の来日日程や大統領来日問題、東京で開く日露貿易経済政府間委員会の開催日程について、引き続き調整することを確認した。

 両外相は近く、あらためて電話会談する。(共同)

首相、北朝鮮に6カ国協議への無条件復帰促す

2005/03/04 The Sankei Shimbun

 小泉純一郎首相は4日午後の参院予算委員会で、北朝鮮の金正日総書記が6カ国協議への条件付き復帰に言及したことについて「早く無条件で協議に応じてくることが北朝鮮にとって最大の利益だということを各国と協力して働き掛けていかなくてはならない」と述べ、協議への無条件での早期復帰を求めた。

 町村信孝外相は北朝鮮の核保有の可能性について「日本のインテリジェンス(情報収集)の能力から確定的な結論を持つに至っていない」としながらも「相当程度高い可能性で保有している可能性はある」との見方を示した。

 中国での反日感情の高まりについて外相は「国民レベルの感情の行き違いがだんだんひどくなっているのではないかと危機感を持っている」と表明。「改善すべきは改善するようしっかり求めていく」と述べた。

 首相は与党で議論している教育基本法改正案について「できるだけ早く国会へ提出できるよう努力したい」と強調した。

 自民党の山谷えり子、公明党の木庭健太郎両氏への答弁。(共同)

6カ国協議への復帰要求 IAEA、北朝鮮に

2005/03/03 The Sankei Shimbun

 国際原子力機関(IAEA)定例理事会(35カ国)は最終日の3日、2月10日に北朝鮮が表明した「核保有宣言」について「深刻な懸念」を表明した上で、6カ国協議に無条件かつ早期に復帰するよう促す議長総括を全会一致で採択、閉幕した。

 核保有宣言に対し、国際社会が一致した意思を表明するのは初めて。議長総括は6カ国協議を核問題の平和解決に向けた唯一の枠組みとして支持、早期再開を後押しする内容だ。

 議長総括では、北朝鮮の核開発は「核不拡散体制と北東アジア地域の平和と安全に対する深刻な挑戦」と指摘。検証可能な方法で核開発計画を完全放棄するようあらためて求めた。

 また6カ国協議の参加国に対し、協議の早期再開に向け努力を倍加するよう強く促した。

 議長総括には決議のような拘束力はないが、取りまとめに全理事国の同意が必要なため、議長声明よりも強いメッセージとなった。

 理事国外交官によると、当初の議長総括案では、北朝鮮の核保有宣言について「強い遺憾の意」を表明していたが、中国が北朝鮮を刺激することになると難色を示し、最終的に「深刻な懸念」で決着したという。

 またイラン核問題では、イランに対しIAEAへの一層の協力とウラン濃縮活動の全面停止継続、さらに欧州3カ国の協議に支持を表明する議長要約を発表した。(共同)

米、北朝鮮の条件拒否 無条件の協議復帰求める

2005/03/03 The Sankei Shimbun

 米国務省のリビア筆頭副次官補(東アジア・太平洋担当)は2日、北朝鮮が「圧政国家」発言の謝罪、撤回などを6カ国協議復帰の条件として米側に求めたことについて、「適切ではない」と受け入れを拒否。「前提条件なしで協議に戻る」ようあらためて求めた。

 上院外交委員会の公聴会で証言した後、記者団に語った。

 副次官補は「米国と(北朝鮮以外の)他のメンバーは、6カ国協議再開が最も重要だということを明確にしてきた」と強調。北朝鮮との直接協議についても「6カ国協議が再開されれば、その枠内でいつでも会う用意がある」と述べた。

 公聴会で副次官補は、北朝鮮が昨年、食糧支援の実施状況を監視する世界食糧計画(WFP)調査団の訪問や非政府組織(NGO)への査証(ビザ)発給を拒否したことに強い懸念を表明。米政府の今年の食糧支援のレベルは、こうした状況なども勘案して決めると述べた。(共同)

「北朝鮮が復帰の意向」 6カ国協議で米報道官

2005/03/02 The Sankei Shimbun

 マクレラン米大統領報道官は1日の記者会見で、北朝鮮の核問題に関連し「北朝鮮は最近、協議に復帰したいと示唆した」と述べ、北朝鮮が6カ国協議出席に前向きな対応を取り始めているとの認識を示した。

 先月10日に北朝鮮が6カ国協議参加の「無期限中断」と核保有を宣言して以降、米当局者が公式の場で北朝鮮の態度変化に言及したのは初めて。

 報道官はどの局面で北朝鮮が柔軟姿勢を示唆したかについて詳細には言及しなかったが、先に訪朝した中国の王家瑞・共産党対外連絡部長に対し、金正日総書記が条件付きながら、6カ国協議を原則維持する考えを表明したことなどを念頭に置いた発言とみられる。

 国務省関係者も同日「開催時期は依然未定だが、王部長の訪朝に続き中国が外交工作を強めている」と述べ、6カ国協議の開催実現へ向けて楽観的な見方を示した。

 マクレラン報道官はまた「北朝鮮が早期に復帰し、核を放棄させるために米国が示した提案について協議できることを願う」と語った。(共同)

「6か国協議に北は復帰」米前国務副長官見通し

2005/02/28 読売新聞 Yomiuri On-Line

 読売国際会議2005(東京会議・読売国際経済懇話会共催)の開幕フォーラムが28日、東京・大手町の経団連会館で開かれ、年間テーマの「戦後60年を超えて――国家生き残りへの戦略」に基づき、「変わる世界と日米関係」と題した討論が行われた。

 北朝鮮が「参加の無期限中断」を表明した6か国協議について、アーミテージ前米国務副長官は「北朝鮮は冷静に生き残りを計算している。(6か国協議に)戻ってくる」との見通しを示した。自民党の安倍晋三幹事長代理も「北朝鮮は6か国協議に応じるか、拒否して国連安保理に付託され、経済制裁の議論になるかしかない」と指摘。「北朝鮮は(6か国協議に)出ていこうと本心では思っている」と述べた。

 ただ、北朝鮮に対する経済制裁については、安倍氏が「北朝鮮に対する決定打にはならないが、実効性はある」と積極的な考えを示したのに対し、アーミテージ氏は「一国で効果的に行うのは難しく、多国間の制裁であるべきだ」と日本単独の制裁には慎重な考えを示した。

 また、東アジアの経済統合などを目指す「東アジア共同体」について、アーミテージ氏は「米国のアジアでの影響力を減少させようとしているのではないか」と懸念を示した。これに対し、田中明彦東大教授は「東アジア共同体は欧米に対し、友好的で開かれたものでなければならない」と指摘。西室泰三東芝会長は「日米間で経済連携協定(EPA)の交渉に早急に入り、両国の経済的つながりを強固にすべきだ」と述べた。

韓国、6カ国協議再開を楽観視 「3月に集中的外交」

2005/02/28 The Sankei Shimbun

 6カ国協議の韓国首席代表である宋旻淳・外交通商次官補は28日、同国のKBS、CBS両ラジオに出演し「(北朝鮮の協議復帰に向けて)3月に関連国の間に集中的な外交的努力が展開される」と強調し、協議再開について「可能性は明るい」との楽観的な見通しを示した。

 次官補は再開時期に関して、日米韓3カ国が大枠で想定している期限はあると示唆。ただ、北朝鮮が6月に再開に応じる意向を韓国政府に伝えてきたとの一部日本メディアの報道は「推測にすぎない」と否定した。

 日米韓の「温度差」については「現在の状況に対する評価の部分では3カ国が必ずしも同じではない」としながらも「今後の方向では完全に一致している」と指摘。その上で、北朝鮮が協議に復帰すれば「北が憂慮するすべての関心事を論議できる」と言明した。

 また「(日本が)単独で経済制裁するというようなことを論議したことはない」と述べ、26日の日米韓首席代表会合で日本側が経済制裁に関する話をしなかったことを明らかにした。(共同)

対北朝鮮、中国の姿勢に米不満…町村外相が見解

2005/02/27 読売新聞 Yomiuri On-LIne

 町村外相は27日、NHKの報道番組で、北朝鮮の核問題に対する中国の姿勢について、「米国は中国が北朝鮮に対して厳しく当たって欲しいというのであって、裁判官みたいな顔をしているのはおかしいという考えだ。(米国は)今の中国は中途半端に(米朝)両方にいい顔をし過ぎているきらいがあるのではないか(と思っている)」と述べ、米国が不満を持っているとの見方を示した。

 北朝鮮は、核問題に関する6か国協議に参加する条件として「米国の誠意」を挙げているが、米国は無条件の参加を求めている。これに対し、中国は「(6か国協議再開の)カギは、各国が誠意を持って柔軟性を発揮できるかどうかだ」(外務省の孔泉報道局長)などとして、米国にも歩み寄りを促している。

日米韓会合の結果伝達 6カ国協議で日中調整

2005/02/27 The Sankei Shimbun

 ソウルで行われた6カ国協議の日米韓首席代表による会合に出席した佐々江賢一郎・外務省アジア大洋州局長は27日、北京の釣魚台迎賓館で同協議の議長役を務める中国の武大偉外務次官と会談、会合結果を伝達し、協議の早期再開に向け今後の対応を話し合った。

 日米韓は26日の同会合で、北朝鮮の無条件の6カ国協議復帰が重要だとし、同国が米国に求めている敵視政策放棄やエネルギー支援などの「関心事」も論議する準備ができていることなどを確認した。

 佐々江局長は日米韓のこうした立場を北朝鮮側に伝達するよう武次官に要請するとともに、中国が北朝鮮の説得に一層の役割を果たすよう期待する日米韓の認識も伝えたもよう。

 しかし、王家瑞・共産党対外連絡部長を北朝鮮に派遣して、金正日総書記を直接説得した中国は、協議再開のためには北朝鮮だけでなく、米国が前向きなシグナルを送ることも必要とみているようだ。

 中国は今後、日米韓が一致した原則的な立場以外に、米朝を歩み寄らせる具体策を日韓などと模索するとみられる。(共同)

北朝鮮のウラン濃縮計画、中国が一転「存在する」

2005/02/27 asahi.com

 北朝鮮の核問題をめぐる6者協議で、最大の焦点となっているウラン濃縮計画(EUP)について、中国が懐疑的な見方をすでに転換し、昨年後半には米国に「EUPが存在するという認識を共有する」と伝えていたことが、26日までにわかった。中国はそれ以前の段階では、存在を否定する北朝鮮の主張に理解を示し、米国に同調することは避けていた。米国は6者協議の議長国である中国のこうした姿勢の変化を歓迎し、EUPも含めた核の放棄を迫る対北朝鮮包囲網を強化する構えだ。

 米政府筋や6者協議の関係者によると、中国側は昨年6月の第3回6者協議の際に行われたワーキングディナーでの雑談や、同8月にニューヨークで開かれた民間団体主催のセミナーなど、非公式の外交ルートを通じて「ウラン濃縮計画については承知している」「心配はいらない」などと米国側に伝えていた。

 その後、同11月にサンティアゴで開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)、同12月の戴秉国・中国筆頭外務次官の訪米、さらに今年1月のグリーン国家安全保障会議(NSC)アジア上級部長の訪中など一連の公式接触の過程で、中国側は「私たちも同様の認識を共有するに至った」(6者協議関係者)との立場を伝えてきたという。

 グリーン部長は訪中した際、中国側に北朝鮮がEUPに着手していることを示す情報の一部を開示するなどして、これを見逃せば「朝鮮半島の非核化」は実現できないとの危機感を強調していた。

 北朝鮮のEUPについて中国は、昨年6月の第3回6者協議の前までは懐疑的姿勢をとっていた。協議に先立ち米紙の取材に応じた周文重・外務次官は「私たちは何も知らない。存在するかどうかも知らない。米国は確かな証拠を示していない」と発言するなど、むしろ米国への不信感をあらわにしていた。

 第3回協議でも、会食の席の雑談では存在を認める発言をしていたが、正式な協議の場ではまだ「北朝鮮がウラン濃縮計画を保有しているとしたら、破棄しなければいけない」と語るなど、踏み込むことは控えていた。その後、認識を転換したうえで米国に伝えるという明確な外交行動にまで出た理由については、米政府内でも「中国の独自の情報に基づく判断」「米国の説得が功を奏した」など諸説があって、はっきりしない。

 今月10日の北朝鮮外務省による「核兵器保有」宣言を受けて、中国は「激しい怒り」(米政府当局者)を米国側に伝えたという。このため、米政府内にはEUP問題をめぐって中国が今後、北朝鮮に厳しい出方をすることに期待が高まっている。しかし、次回の6者協議で、北朝鮮への圧力を強めるという実際の行動に出るかどうかについては、米政府内にもなお懐疑論が根強い。

北朝鮮に無条件復帰要求 6カ国協議で日米韓

2005/02/26 The Sankei Shimbun

 ソウルで開かれた6カ国協議の日米韓首席代表による会合は26日午後、終了し、北朝鮮の無条件の協議復帰が重要であり、一刻も早い協議再開を目指し日米韓が団結、中国に一層の建設的役割を求めていくことで一致。北朝鮮の「関心事」を論議する準備ができていることも確認した。関心事とは、北朝鮮が米国に求めている「安全の保証」など敵視政策放棄やエネルギー支援などを指すとみられる。

 北朝鮮が10日の外務省声明で核兵器保有を公式宣言し、協議参加の「無期限中断」を表明して以降、日米韓が一堂に会して対応を話し合ったのは初めて。

 日本外務省当局者は、拉致問題解決への理解と支持を米韓両国に要請し「理解と支持を得られた」としている。

 先に訪朝した中国共産党の王家瑞・対外連絡部長に対し金正日(キム・ジョンイル)総書記が条件付きながら協議復帰に前向き姿勢を示したことを受け、北朝鮮を協議の場に引き戻すための対応策を集中的に協議。中国政府が日米韓に説明した王部長の訪朝結果も踏まえ調整が行われた。

 会合には日本の佐々江賢一郎・外務省アジア大洋州局長、米国のヒル駐韓大使、韓国の宋旻淳(ソン・ミンスン)・外交通商次官補が出席。佐々江局長は北京へ向かい、中国政府高官らと非公式協議を行い、6カ国協議再開問題などについて話し合う予定だ。(共同)

 <日米韓会合> 日本、米国、韓国の3カ国は、対北朝鮮政策での連携を目的に不定期に、6カ国協議の首席代表による外務省局長級の非公式会合を開いている。3カ国はこれまでに、防衛担当者も出席する正式な「政策調整会合」(TCOG)でも協議を重ねてきたが、6カ国協議で緊密な対応を図るため、より実質的な協議が必要と判断し、局長級の非公式会合を通じた連携を強めている。(共同)

北朝鮮とイランの核認めず 米露首脳会談で一致

2005/02/25 中国新聞ニュース

 【ブラチスラバ25日共同=太田昌克】ブッシュ米大統領は二十四日午後(日本時間同日深夜)、ロシアのプーチン大統領とスロバキアの首都ブラチスラバで会談し、北朝鮮とイランの核兵器保有を容認せず、北朝鮮問題では六カ国協議での解決へ向け米ロ両国が引き続き協力することで一致した。ロシアの「民主化後退」の問題などで両首脳は対立を残したが、核大国として核拡散問題での協調関係を優先させた形だ。

 両首脳はテロ対策としてロシア核関連施設の管理強化で協力を加速することや、ロシアの石油や天然ガスを対米輸出するためのパイプライン建設支援などエネルギー分野での協力促進を盛り込んだ共同声明を発表した。

 ブッシュ大統領は会談後の共同記者会見で「北朝鮮が核兵器を保有すべきでないとの点で合意した」と述べ、プーチン大統領も「共通の見解を抱いている」と言明した。

 米政府高官によると、ブッシュ大統領は会談で、米朝二国間交渉は行わない立場を鮮明にした。プーチン大統領は、イランがロシアに核兵器に転用可能な使用済み核燃料を返還しなければ、ブシェール原発への技術協力を行わないと確約した。

 地方知事の事実上の大統領任命制導入などロシアの「民主化後退」問題についてブッシュ大統領はプーチン大統領に「懸念」を伝えたと説明。プーチン大統領は「(民主化は)後戻りしない」と明言する一方、独自の民主主義を確立していくと釈明した。

 エネルギー協力でプーチン大統領は「二○一○、一一年には大量の天然ガスを米国に供給できる」と言明。核拡散問題では、ロシア核関連物質の防護強化などで合意するにとどまった。

 会談では、ロシアが検討するシリアへのミサイル売却にブッシュ大統領が再考を促したが、理解は得られなかった。

北朝鮮に新包囲網検討 米、資金源封じ込め狙う

2005/02/21 中国新聞ニュース

 【ブリュッセル21日共同=太田昌克】米政府が、北朝鮮による香港やマカオなどでのマネーロンダリング(資金洗浄)を阻止するため、中国や韓国、台湾などと連携した新たな包囲網の形成を検討していることが二十一日、分かった。米政府高官や六カ国協議関係筋が明らかにした。北朝鮮の核保有公式宣言を受け、これまでの麻薬取引や通貨偽造の摘発に加え、北朝鮮の資金源を封じ込めるのが狙い。

 ブッシュ政権は当面、六カ国協議再開を最優先し、十九日から訪朝している中国の王家瑞・共産党対外連絡部長の調停の行方を注視する構えだが、中国の調停が不調に終わった場合、新包囲網により、中国も巻き込みながら圧力を強める可能性がある。

 米が「組織化された圧力(MANAGED PRESSURE)」と呼ぶ新包囲網は、日米だけでなく東アジアの関係国・地域を巻き込み、北朝鮮の核・ミサイルの大量破壊兵器開発資金を遮断することを狙っている。

 具体的には(1)麻薬取引(2)通貨偽造(3)資金洗浄(4)たばこなど偽造品の輸出(5)ミサイルなど大量破壊兵器の拡散― を摘発・阻止するのが狙い。いずれも核開発を続ける北朝鮮の資金源封じを目指しており、特に香港や台湾などでの北朝鮮の不法行為に目を光らせていくことを想定している。

 ただ、日本人拉致問題で日本政府が独自に検討している経済制裁との関連は不明。

 米高官はまた、北朝鮮の核保有宣言について、中国側が「驚いた」と米側に伝達してきたとし「中国が事態を楽観視しているとは思えない。次回六カ国協議開催を予測するのは困難」と言明。国連安全保障理事会への付託などは米政府内で具体的に検討されていないものの、北朝鮮の六カ国協議拒否が長期化すれば、日本や中国、韓国、ロシアの関係国と対応を協議する必要性を強調した。

北の核で安保理提起も、6か国進展なければ…日米外相

2005/02/20 読売新聞 Yomiuri On-Line
 【ワシントン=小川聡】町村外相とライス米国務長官は19日午前(日本時間同日深夜)、ワシントンの米国務省で会談した。

 両氏は、北朝鮮による核保有と6か国協議への参加の無期限中断の表明について、懸念を表明し、北朝鮮に6か国協議への早期参加を求める声明を発表した。

 町村外相は、北朝鮮による日本人拉致問題について、「いつまでも北朝鮮の不誠実な対応が続くなら、強い措置を取る」と強調した。

 両氏は、6か国協議の再開問題が進展しない場合は、核問題を国連安全保障理事会に提起せざるを得ないとの考えで一致した。

 また、BSE(牛海綿状脳症)問題で、ライス長官は、日本による米国産牛肉の輸入の早期再開を強く要請した。

中国高官が訪朝 金総書記と会談の可能性

2005/02/20 The Sankei Shimbun

 朝鮮中央通信によると、中国共産党の王家瑞・対外連絡部長率いる代表団が19日、北京から空路、北朝鮮の平壌に到着した。中国は王部長の訪朝を通じ、核兵器保有と6カ国協議参加の「無期限中断」を表明した北朝鮮に協議への早期復帰を促す方針。金正日総書記ら朝鮮労働党指導部と意見交換することが予想される。

 王部長は出発前、北京国際空港で中国メディアに対し「6カ国協議を含め、相互の関心事項を論議することになる」と述べ、協議再開に道筋をつける構えを示唆した。王部長は昨年1月に訪朝した際、金総書記と会談している。

 今回の訪朝は、労働党国際部の招きによる定期交流が公式目的。中国の胡錦涛総書記(国家主席)の初訪朝をはじめ、両国首脳・指導部間の今年の往来問題を調整する可能性もある。核問題では、核兵器保有の実態や表明の意図なども探る見通しだ。

 協議筋によると、22日とみられる王部長の帰国日程は「最終的には決まっていない」とされ、「北朝鮮から前向きな言質を引き出すまで、説得を続けるのではないか」との観測も出ている。

 日米は中国に対し北朝鮮への経済的な圧力強化も期待している。しかし中国は、逆効果となる恐れがあると判断しており、説得の選択肢には限界もあるようだ。中国外務省の孔泉報道局長は17日の定例会見で、北朝鮮への中国の圧力行使は「問題を複雑にするだけ」と言明した。

 日米韓やロシアは、王部長の訪朝が協議の早期再開の重要な節目になるとみて、北朝鮮への働き掛けを事前に要請。日米韓は訪朝結果を受け、非公式政策調整会合の開催を準備している。(共同)

爆弾?弾頭?5個超?…北朝鮮の核兵器、実態はナゾ

2005/02/11 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ソウル=浅野好春】北朝鮮は10日の外務省声明を通じ、「自衛のために核兵器を製造した」と表明、核保有を公式に宣言した。

 米韓の軍事当局などは5個以上の核兵器製造に必要なプルトニウムを確保し、核兵器に転用したと見ている。また、「核兵器庫を増やす」と核開発加速をにおわせたが、現状でも年間のプルトニウム生産量は、核兵器1個分に相当する。

 今月4日発刊の韓国国防白書2004年度版は、北朝鮮の核開発状況について「1992年5月の国際原子力機関(IAEA)の査察以前に抽出した約10―14キロ・グラムの兵器級プルトニウムで1、2個の核兵器を製造した可能性がある」と推定した。

 これに加え、2002年12月の寧辺(ヨンビョン)核関連施設の凍結解除、再稼働により、5000キロ・ワットの実験用原子炉から取り出した8000本の使用済み核燃料棒を再処理した結果、2003年半ばごろまでに核兵器4―6個以上分のプルトニウムを抽出したと見られている。

 IAEAのエルバラダイ事務局長も2004年12月6日付の米紙ニューヨーク・タイムズとのインタビューで同様の見方を示した。北朝鮮は合わせて5個以上の核兵器を保有している可能性が強い。北朝鮮が今回、核保有を宣言したのはプルトニウムによる開発を指していると見られる。

 さらに、2004年1月訪朝した米ロスアラモス研究所のヘッカー元所長は米上院で、北朝鮮が燃料棒再処理を続けた場合、核兵器1個分に当たる年間6キロ・グラムのプルトニウムを製造出来ると証言している。

 しかし、北朝鮮はこれまで、核実験を行っていない。核兵器が、単なる「核爆発装置」レベルなのか、核爆弾を作ったのか、極めて高度な技術水準が要求される弾道ミサイル用の核弾頭を完成させたのかは不明だ。専門家の中には、すでに弾道ミサイル「ノドン」への搭載も可能になったとの指摘もあるが、未確認だ。

 さらに、高濃縮ウランに関しては、北朝鮮は2002年10月に訪朝したケリー米国務次官補に対し、開発の事実をいったん認めたものの、その後は一転して否定を続けている。

 だが、最近の米紙報道によれば、北朝鮮はリビアに核兵器の原料となる加工ウランを輸出していたことが米政府の分析で判明、高濃縮ウランによる核開発の存在は、確実視されている。

北朝鮮の協議復帰に期待 米大統領顧問

2005/02/07 The Sankei Shimbun

 バートレット米大統領顧問(広報担当)は3日、2日のブッシュ大統領の一般教書演説を受けて会見し、北朝鮮の核問題について「優先度の高い問題だ」と強調、多国間による外交解決が「最も適切」とし、北朝鮮が6カ国協議へ復帰することに期待を示した。

 また「外交的プロセスを前に進めるなら米国は何でも行う」と述べ、次回協議が開かれた場合、一定の柔軟性を示しながら交渉に応じる考えを示唆した。

 また、マクレラン大統領報道官は協議再開の見通しについて「北朝鮮次第だ」と述べた。(共同)

6か国協議議長国の中国、北朝鮮説得工作を本格化へ

2005/02/11 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【北京=佐伯聡士】北朝鮮が10日、「無期限」の参加中断を宣言した6か国協議の議長国・中国は、春節(旧正月)明けの2月中旬以降にも、王家瑞・共産党中央対外連絡部長を北朝鮮に派遣、協議の早期再開に向けた説得工作を本格化させる考えだ。

 中国はもともと、北朝鮮が2期目のブッシュ政権の出方を見極めるには約2か月を要すると計算、3月末までに第4回協議を開催することを当面のめどとしてきた。

 中国は、今回の北朝鮮声明の本当の狙いは「核兵器製造表明という瀬戸際外交手段を使った時間稼ぎにある」(中国筋)との見方を強めている。中国は、当面は「3月末までの協議再開」という目標を捨てず、これまで以上に北朝鮮への説得に力を入れる構えだ。王部長の訪朝は、その第一歩となる。

 現段階では、食糧、エネルギー支援の一時停止などで北朝鮮に圧力を加える可能性は小さい。

 中国も、北朝鮮の「瀬戸際外交による引き延ばし」にいらだっているのは間違いない。中国には、「このまま協議に進展がなければ、ブッシュ政権の方が、年内にも協議を放棄する恐れがある」(同筋)との悲観的な見方が出ている。

 中国にとっての悪夢は、協議の崩壊により国連安保理に議論の場が移ることだ。米国など国際社会と激しく対立するわけにはいかず、かといって、対北朝鮮経済制裁が実施されれば、北朝鮮の経済改革を本格的な改革・開放につなげ、経済を軟着陸させるというシナリオが崩れるからだ。

 北朝鮮の朴奉珠(パク・ボンジュ)首相が月内に訪中するとの韓国報道もある。中国側は一連の会談で、こうした強い懸念を伝え、金正日政権に協議再開の説得を続ける。

6カ国協議参加を中断 北朝鮮声明「核兵器増やす」

2005/02/10 中国新聞ニュース

 【北京10日共同=磐村和哉】朝鮮中央通信によると、北朝鮮外務省スポークスマンは十日、第二期ブッシュ米政権の対北朝鮮政策に変化がみられないとして、六カ国協議への参加を「無期限中断」し核兵器を増やすとの声明を発表。「自衛のための核兵器を造った」と初めて核保有を公式に宣言した。声明は日本も非難して、協議参加を拒否する理由に挙げており、早期再開への期待も一部で出ていた六カ国協議開催は当面困難となった。

 声明は、第二期ブッシュ政権が一月十八日のライス国務長官の指名承認公聴会での発言や大統領の一月二十日の就任演説、二月二日の一般教書演説などを通じ「われわれとは絶対に共存しないということを政策化した」などと非難。

 その上で、六カ国協議について「結果を十分に期待できる十分な条件と雰囲気が醸成されたと認められる時まで、やむを得ず参加を無期限中断する」と表明。

 また「人民が選択した思想と制度、自由と民主主義を守るため」として「核兵器庫を増やす対策を取る」と明らかにした。

 さらに「既に核拡散防止条約(NPT)から断固として脱退し、自衛のために核兵器を製造した」と表明した。

 日本に対しては「米国に追従して敵視政策に執着している」と非難し「偽遺骨問題までねつ造しながら日朝平壌宣言を白紙に戻し、国交正常化をしないという日本と、いかにして一堂に会して会談を行えるだろうか」としている。

「対北朝鮮、日米連携を」米大統領が小泉首相に親書

2005/02/01 読売新聞 Yomiuri On-Lin

 細田官房長官は1日午前の記者会見で、米国のブッシュ大統領から小泉首相あてに、北朝鮮問題の解決に向けた連携を呼びかけるとともに、6か国協議を進展させるため「強い交渉」を進める方針を示した親書が届いたことを明らかにした。

 親書では、ブッシュ政権が2期目に入ったことを受け、「過去4年間、信頼と友情をはぐくんできた。今後とも関係をさらに強化していきたい」として日米関係の重要性を強調。その上で、テロとの戦い、イラク復興、インドネシア・スマトラ島沖地震への対応について、協力を評価している。

 さらに、日本人拉致問題を含めた北朝鮮問題の解決に向け、核問題をめぐる6か国協議の進展を目指し、強い姿勢で交渉に臨む考えを示している。

 親書は、来日していたマイケル・グリーン米国家安全保障会議(NSC)アジア上級部長が1月30日に細田長官に手渡した。

北朝鮮外交筋「2月後半に6者協議再開も」 ロシア報道

2005/01/21 asahi.com
 ロシアのインタファクス通信は21日、北京の北朝鮮外交筋が、北朝鮮の核問題をめぐる6者協議について、2月後半にも再開できる可能性があるとの見通しを示したと伝えた。この外交筋は同通信に対して「米国の姿勢にいくつかの肯定的な動きが認められる」と指摘した。

北朝鮮核の平和解決確認 ライス次期米国務長官

2005/01/19 The Sankei Shimbun

 ライス次期米国務長官は18日午後の上院外交委員会の指名承認公聴会で、「米国は北朝鮮を攻撃したり侵略する意図がない」と強調、核問題の平和的解決を目指すブッシュ政権の方針に変更がないことを確認した。

 また、北朝鮮が「検証可能で後戻りできない」核放棄に応じれば、「多国間で北朝鮮に安全の保証を付与する用意がある」と述べ、北朝鮮に核放棄を促した。

 中断状態が続いている核問題をめぐる6カ国協議について、ライス氏は「北朝鮮にも再開の意思があると思う」と述べ、早期再開に期待感を表明。「われわれは(前回協議で)提案を行ったが、北朝鮮からは何の返事ももらっていない」と、ボールは北朝鮮側にあるとの認識を示した。(共同)

「ブッシュ政権の対朝鮮政策見守る」核問題で北朝鮮

2005/01/09 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ソウル=豊浦潤一】朝鮮中央通信によると、北朝鮮外務省報道官は8日、同国の核問題に関連して、「第2期ブッシュ政権の対朝鮮政策を見守り、それに合致するよう対応する」との談話を発表した。

 20日に発足する第2期ブッシュ政権の出方をうかがう姿勢を改めて示したものだ。

 報道官は、「会談を通じて問題を解決しようとすることは我が方の一貫した立場」として、6か国協議の継続には前向きな姿勢をとりつつも、「米国が対話を通じた解決を望むなら、敵視政策を放棄し、我が方と共存する方向に進むべきだ」と改めて主張した。

6か国協議の早期再開で一致…町村・パウエル会談

2005/01/06 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ジャカルタ=川上修】町村外相は6日午後(日本時間同)、ジャカルタで米国のパウエル国務長官と会談し、北朝鮮の核開発問題をめぐる6か国協議の早期再開を目指すことで一致した。町村外相が「6か国協議の再開は重視している」と述べ、パウエル長官も「異存はない」と応じた。

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