TOPIC No.2-101-2  北朝鮮の核開発問題(2003年07月-2003年12月)


6カ国協議:「北朝鮮が原則合意」米副報道官明かす

2003年12月30日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 【ワシントン中島哲夫】米国務省のエレリ副報道官は29日、北朝鮮の核問題をめぐる次回6カ国協議開催に「北朝鮮が原則的に合意した」との連絡を先週末に中国から受けたことを明らかにした。

 中国は王毅外務次官を25〜26日に訪朝させ、来年の早い時期に次回6カ国協議を開くことで北朝鮮側と合意。エレリ副報道官は、この中朝折衝の結果が北京の米国大使館に伝えられたと述べた。

 副報道官はこれを受けて「我々は出来るだけ早く、前提条件なしに(6カ国)協議を始めたい」と語ったが、この問題への対応を「忍耐を要する複雑な外交努力」だとも述べ、日程を決めるのも簡単ではないことを示唆した。

6カ国協議:「完ぺきな共同文書より開催優先を」 外務省次官

2003年12月22日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 外務省の竹内行夫事務次官は22日の記者会見で、北朝鮮の核開発問題を巡る6カ国協議について「(事前に)厳密な、完ぺきな共同文書ができないと協議が開けないというのでは対話も進まない。前提条件なく、早期開催を望むのが基本的な姿勢だ」と述べ、次回協議の早期開催を優先すべきだとの考えを示した。北朝鮮を除く5カ国は年内開催を目指したが、ホスト国の中国が協議前の共同文書作成にこだわったことで、越年に至った経緯がある。

柔軟な対応をと中国外相 6カ国協議で米国務長官に

2003年12月15日 The Sankei Shimbun

 新華社電によると、中国の李肇星外相は14日夜、訪問先のエチオピアからパウエル米国務長官と電話協議し、北朝鮮の核開発問題について、次回6カ国協議開催実現のため米側に一層の譲歩を求めた。

 李外相は電話協議で「6カ国協議開催に向けて、より柔軟で実務的な対応を取るよう米側に希望する」と述べた。

 パウエル国務長官は「核問題の平和解決のために中国と引き続き折衝を続け、6カ国協議のプロセスを推進するよう共に努力したい」と語った。

 また、双方はイラク情勢についても意見交換、李外相は「(フセイン元大統領の拘束という)今回の事態が、イラクの再建や地域の平和と安定に有益なものとなるよう期待する」と述べた。(共同)

6カ国協議、年内開催を見送り 査察めぐり調整難航

2003年12月14日 The Sankei Shimbun
 17日からの開催で調整が進んでいた北朝鮮の核開発問題に関する次回6カ国協議開催が、来年にずれ込むことが事実上確実となった。協議関係筋が13日、明らかにした。

 中国が年内開催に向け、共同声明案を提示するなどして日米韓3カ国と北朝鮮との妥協点を探っているが、調整に時間がかかっており、来年1月中旬の開催で再調整が図られる見通し。

 共同声明をめぐっては、中国案に核廃棄の「国際的検証」が明記されていなかったため、米側が「検証措置」の必要性を盛り込むよう再修正を求めている。

 韓国の李秀赫・外交通商次官補は13日、中国との協議後、年内に開催できるかどうかが決まるまでに、さらに数日が必要との見方を示したが、依然北朝鮮から明確な回答がないことから、米政府内では「年内開催はほぼ不可能」(政府当局者)との見方が強まっていた。

 日本政府関係者も「急いでやる必要性はない」と年内開催にこだわらない考えを示していた。(共同)

6カ国協議で立場表明 北朝鮮

2003年12月09日 The Sankei Shimbun

 朝鮮中央通信によると、北朝鮮外務省スポークスマンは9日、次回6カ国協議が開かれるかどうかは、北朝鮮の核活動凍結と引き換えにしたエネルギー支援やテロ支援国指定解除などを米国が受け入れるかどうかにかかっていると述べた。(共同)

川口外相「今週中に結論」 6カ国協議の年内開催

2003年12月08日 The Sankei Shimbun
 川口順子外相は8日昼の政府与党連絡会議で、北朝鮮の核開発問題をめぐる6カ国協議の年内開催について「今週のどこかで結論が出る見込みだ。早い開催を働き掛けている」と述べた。

 自民党の安倍晋三幹事長は「次回6カ国協議でも拉致、核、ミサイルをしっかり主張してほしい」と強調した。

北朝鮮、米との国交正常化要求 6カ国協議声明案調整

2003/12/07 中国新聞ニュース
 【モスクワ7日共同】次回六カ国協議に向け、北朝鮮が核放棄の見返りとしての「安全の保証」や経済支援に加え、米国との国交正常化やテロ支援国家指定からの解除を共同声明案に盛り込むよう求めていることが七日、分かった。協議筋が明らかにした。

 これらの要求は、北朝鮮の意向を受けて中国が協議参加国に示した声明案に盛り込まれていた。

 中国案に難色を示す日米韓は、四日にワシントンで開いた外務省局長級の非公式協議で、北朝鮮側の経済支援などの要求を共同声明に盛り込まない方針で一致した。

 一方、協議参加国のロシアは年内再開を目指し、関係国の主張の「最大公約数」である@協議継続A実務グループ設置による定例化 B米朝がそれぞれ「安全の保証」と核放棄の意思を表明すること― などを柱とする妥協案を七日までに関係国に提示した。

 次回六カ国協議は共同声明案をめぐって関係国がぎりぎりの調整を続けているが、十二月中旬とされた開催は微妙な情勢となっている。ロシア政府筋は「原則的にはいつ開催しても問題はないが、協議のモメンタム(勢い)を失わないことが重要」としており、まず協議の早期再開を目指すべきだとの認識を示した。

北の核問題で米中協調確認へ…中国首相、7日訪米

2003/12/04 読売新聞 Yomiuri On-Line
 【北京=東一真】中国の温家宝首相は、7日から4日間の日程で訪米し、9日にはブッシュ大統領と首脳会談に臨む。昨年11月の胡錦濤政権発足後、中国首脳の訪米は初めて。

 両国首脳は、北朝鮮の核問題での協調強化を確認、6か国協議の枠組みを維持して平和的解決を目指す方向で一致すると見られる。温首相はまた、大統領から改めて「台湾独立不支持」の明確な言質を取りたい考えだ。

 温首相は最近、ワシントン・ポスト紙のインタビューに応じ、北朝鮮の核問題について、「最善の道は6か国協議を続けることだ」と述べた。温首相は首脳会談でも、協議継続の重要性を強調、ブッシュ大統領も同意すると見られる。

 この問題では、米朝の主張の隔たりが大きく、早急な問題解決は望めない。中国は、国際的影響力を発揮しながら危機を回避する方法は「協議継続」であると認識している。一方で、イラク問題処理に専念したい米国側も、北朝鮮に対する中国の影響力を利用して緊張を封じておきたい意向を持つ。

 同問題に限らず、温首相は、「戦略的問題で米国と協調できる中国」をアピールする。中国政府が3日、「いかなる国の大量破壊兵器、運搬手段の開発も支持しない」などとする白書を発表したのは、明らかに、温首相訪米の準備としての米国へのメッセージだ。

 イラク問題では、国際社会の支援に期待する米国に配慮しながら、国連重視の姿勢を示すと見られる。

 協調演出の一方で、中国が最も重視しているのが、台湾問題だ。周文重外務次官は3日の記者会見で、「中米関係で最も重要なのは台湾問題」と断言した。

 台湾の陳水扁総統は、来年3月の総統選に合わせて、「台湾の主権と安全を守るため」の住民投票を行う意向を表明している。中国にすれば、総統選本体に加え、「独立」につながりかねない「主権」問題での住民投票への対処という難題に直面することになる。

 中国は、「台湾独立」に向けた動きを左右する最大要因は、米国と見ている。米国務省報道官は1日、「台湾の地位変更や独立にいたる住民投票には反対」と発言したが、温首相は、台湾への強烈なメッセージとして、ブッシュ大統領自ら「台湾独立反対」を明言することを期待している。

 首脳会談ではこのほか、米国の対中赤字拡大など経済面での重要懸案についても意見交換する。

拉致問題提起に難色 6カ国協議でロシア

2003年12月04日 The Sankei Shimbun
 インタファクス通信によると、ロシア外務省のヤコベンコ情報局長は3日、北朝鮮の核開発をめぐる6カ国協議で2国間問題を持ち出すことは「目的の達成を困難にする」と述べ、日本人拉致などの問題は提起すべきでないとの考えを示した。

 局長は、6カ国協議の目的は朝鮮半島の非核化と、関係国の安全を保証することだと強調した。(共同)

日米韓、中国案を「拒否」 6カ国協議、越年も視野

2003/12/03 中国新聞ニュース
 北朝鮮の核問題に関する次回六カ国協議に向け議長国の中国が内々に提示した共同声明案をめぐり、日米韓三カ国が「北朝鮮寄りの内容」として、受け入れは困難との考えを伝えていたことが分かった。同協議筋が三日明らかにした。

 日米韓三カ国が拒否の姿勢を示したことで、中国や北朝鮮が修正案を示さない限り、歩み寄りは厳しい情勢。三カ国はワシントンで四日に開かれる局長級非公式会合で、年内開催を目指していた六カ国協議の先送りも視野に最終的な対応を話し合う。外務省幹部は三日、「遅くとも来週前半には開催できるかどうか結論が出るだろう」と述べた。

 協議筋によると、中国が日米両国に示した共同声明案は、北朝鮮が核開発の完全放棄を表明し、実現するまでの間も北朝鮮への「安全の保証」を事実上約束する内容。十一月下旬に北京で行われた中朝次官級協議で基本合意した案とされる。

 これに対し、米国は北朝鮮に「完全に検証可能で不可逆的な核放棄」を一貫して要求。「安全の保証」については核完全放棄が実現するまで供与しない立場を崩しておらず、日韓両国も米国に同調している。

 中国は、北朝鮮との協議後、日本に共同声明案の受け入れを打診したが、日本側は難色を示し平行線に終わった。これに関連し、六カ国協議筋は「日米韓は中国提案には応じがたいとの考えで一致している。一方の中国も、北朝鮮を説得してまとめた案を引き下げたくない。難しい局面だ」と指摘。また外務省幹部は「開催日時が年内から年明けにずれこんだとしても、特別に困る話ではない」と述べた。

6カ国協議:北朝鮮、核全廃も 安全保証見返りに 新提案用意

2003年11月30日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 【北京・浦松丈二】北朝鮮が次回6カ国協議(日米韓中朝露)で、米国からの「安全の保証」の見返りに核開発計画の完全廃棄を盛り込んだ新提案を示す用意があると中国側に伝えていることが分かった。複数の協議関係者が29日明らかにした。中国側は新提案を態度軟化と受け止め、北朝鮮に核廃棄の意思表示を強く求める米国など他の参加国と、12月中旬の協議開催を目指して最終調整を始めた。

 北朝鮮の新提案は、今月22〜24日に訪中した金永日外務次官と中国の王毅外務次官との事務レベル協議などで趣旨が説明されたという。「核全廃」が柱で、米国の「安全の保証」と北朝鮮の核開発計画の放棄に向けて、双方が段階ごとに同時に行動する「同時行動原則」に基づく内容とされる。米国が核開発計画の完全廃棄を先決事項として求めていることから、双方が妥協できる具体的なステップも話し合われている模様だ。

 中国外務省高官は次回協議について、「協議プロセスを進めるため議題が簡素化されるだろう」と述べ、米国による「安全の保証」文書化と北朝鮮の核廃棄の進め方が中心議題になるとの考えを示している。

 一方、北朝鮮は8月下旬に開かれた前回6カ国協議の基調演説でも、核廃絶に向けて米朝双方が段階的に同時行動する案を示していた。しかし、米朝間の不可侵条約締結と国交正常化の後に核施設を解体する内容だったため、米国側は「核廃棄の意思が感じられない」と強く反発した。

 これが米国側が、次回協議で北朝鮮が核開発計画の完全廃棄の意思を明示しなければ、決裂も辞さない強硬姿勢で臨むとの方針を固めたことにもつながったとみられる。中国側は北朝鮮側に、国交正常化など米朝2国間の長期的課題をプランから外し、核問題と安全保証を中心に絞り込むよう要請していたという。

「拉致取り上げなら日本排除」朝鮮中央通信

2003年11月29日 The Sankei Shimbun
 北朝鮮の朝鮮中央通信は29日、核問題をめぐる次回6カ国協議で「日本が(日本人)拉致問題を取り上げようとする以上、日本の参加は絶対に認めることはできない」と主張する論評を出した。

 北朝鮮は10月末の中国の国家代表団訪朝で次回協議開催に原則合意して以降、日本排除の主張を自制していた。次回協議の12月中旬開催で最終調整が進む中、あらためて日本排除の姿勢を強調したのは、中国や日米韓各国が調整している合意文書に拉致問題を盛り込ませないようけん制するためとみられる。

 27日に訪中した薮中三十二・外務省アジア大洋州局長が、6カ国協議議長国の中国に、拉致問題取り上げに理解を求めたことへの反発もあるようだ。

 論評はまた、拉致問題で日本と足並みをそろえる米国に対しても「今度の6カ国協議でも再び拉致問題を持ち出し、協議の前途に人為的な難関をつくり出そうとしている」と非難した。

 論評は、拉致問題が昨年の日朝平壌宣言で「すべて解決された」とあらためて主張。植民地支配の「過去清算」をせず、「(少人数の)個別的な拉致事件を騒ぎ立てながら、6カ国協議に鼻を突っ込むのは、日本が信頼に足る対話相手としての資格を完全に失うことにほかならない」と述べた。

 北朝鮮は10月7日の外務省スポークスマン談話で、6カ国協議で拉致問題を持ち出す日本が核問題解決の「障害」になっていると非難、協議から日本を排除する構えを初めて示した。(共同)

薮中局長が北京入り 次回協議に向け中国側と意見調整

2003年11月27日 The Sankei Shimbun
 北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議で日本の首席代表を務める外務省の薮中三十二アジア大洋州局長が27日、韓国から北京入りした。

 先に訪中した北朝鮮の首席代表、金永日外務次官との協議内容の説明を受け、12月中旬の開催で最終調整している次回協議に向けて中国側と意見調整、同協議での日本人拉致問題の取り上げについても意見交換するとみられる。

 薮中局長は空港で記者団に「日本の考え方をきちんと伝えていきたい」と述べ、拉致問題で議長国、中国の協力を求める考えを示した。(共同)

6カ国協議:来月17日に北京で開催の見通し 韓国報道

2003年11月23日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 【ソウル堀信一郎】韓国の通信社、聯合ニュースは23日、北朝鮮の核問題を解決するための次回6カ国協議が、12月17〜19日の3日間の日程で、北京で開かれる見通しになったと伝えた。

 同ニュースは、韓国政府幹部が電話取材に応じて「次回開催について関係国が最終的な日程を調整している。現段階では12月17日から3日間、北京で開かれる可能性が高い」と述べたという。

 幹部は、北朝鮮も次回開催に肯定的だという感触を語った上で「韓国、中国、日本を訪問したケリー米国務次官補が、24日、ワシントンでロシュコフ露外務次官と会談する。2人が開催時期について協議した後、最終的な結論が出るだろう」と述べ、月内に日程が確定するとの見通しを示した。

 次回6カ国協議の日程については、韓国青瓦台(大統領官邸)の羅鍾一(ラジョンイル)大統領国家安保補佐官も先日、12月17日から北京で開かれるとの見通しを韓国記者団に示している。

6か国協議再開へ、米中が協議

2003/11/19 読売新聞 Yomiuri On-Line
 【北京=竹腰雅彦】中国を訪問中のジェームズ・ケリー米国務次官補(東アジア・太平洋担当)は19日、王毅・中国外務次官と会談し、北朝鮮の核開発をめぐる6か国協議の再開に向けた協議を行った。

 焦点となっている北朝鮮の「安全の保証」の文書化で、米朝双方が受け入れ可能な形式や内容などについて詰めの調整が行われた模様だ。ケリー次官補は同日、次の訪問国の韓国に向かった。

 中国は近く再び外交使節を訪朝させ、12月中旬で調整中の協議日時を確定させたい意向だ。

中国が6カ国協議「事務局」設置を提案

2003年11月18日 The Sankei Shimbun
 北朝鮮の核問題を話し合う6カ国協議の議長役である中国が日米など参加国に対し、同協議の制度化を目指し、6カ国の実務者による「特別グループ」設置を提案していることが18日、分かった。複数の協議筋が明らかにした。

 事実上の「事務局」となる同グループ設置は「対話の勢いを維持する」(協議筋)ことを狙い、6カ国協議を北東アジアの定例安保対話として定着させたい思惑があるとみられる。

 また協議開催のたびに、実現に向けて米朝間などを奔走する「シャトル外交」を展開する中国としては「制度化」実現によって、第三回以降の議長役などかじ取りを他国に任せたい思惑もあるようだ。

 複数の協議筋によると、中国は最近、関係国に対し「6カ国協議が数カ月おきで間隔が空く」ため「特別グループ」を設置し、実務的な話し合いを続けていくことを提案した。同グループは6カ国協議の次官・局長級より低いレベルの実務者で構成、詳細は固まっていないが課長級になるとみられる。

 中国は今後の関係国の反応をみながら、12月中旬に北京で開かれる見通しの次回協議で、議長を務める王毅外務次官がこうした方針を示し「特別グループ設置による制度化」を最終合意文書に盛り込みたい考えだ。

 しかし、北朝鮮が検証措置を伴う「即時かつ完全な核放棄」の政治決断をハイレベルで下さない限り、実務協議で「具体的進展を望むことはほぼ不可能」(別の協議筋)。次回協議での北朝鮮の核問題に対する態度表明が制度化の可否を決めることになりそうだ。

 <6カ国協議>  北朝鮮の核問題をめぐり日本、米国、韓国、中国、ロシアと北朝鮮が参加して8月27−29日に北京で開かれた多国間協議。最近、米国は北朝鮮への「安全の保証」文書化の方針を示し、北朝鮮も条件付きで考慮する用意があると表明、次回協議は12月中旬に北京で開かれる見通し。中国は11月初めから高官を日米韓に派遣するなど「シャトル外交」を展開、ケリー米国務次官補も日中韓を歴訪し、次回開催に向けた調整作業も進んでいる。(共同)

北は既に核保有、実験準備も終了 黄元書記証言と韓国誌

2003年11月17日 The Sankei Shimbun
 韓国誌「月刊朝鮮」は18日発売の12月号で、北朝鮮の黄長●(●=火へんに華)元朝鮮労働党書記が先月下旬に訪米した際、米国務省に対し、北朝鮮は既に核兵器を保有し核実験の準備を終えていると明言。1994年10月の米朝枠組み合意の際にも、核保有を放棄する考えは全くなかったと証言したと報じた。

 証言によると、北朝鮮の核開発の中心的な人物である軍需工業担当の全秉浩書記が枠組み合意前の会議で「(合意すれば)5、6年後に核査察を受けなければいけないが(核開発を隠す)方策がない」と述べると、金正日総書記は「5年後に核保有の事実を宣言し(米国と)対決するしかない」と語ったという。

 枠組み合意までに姜錫柱第一外務次官なども参加して2回の核開発に関する会議を開催。全書記が会議で金総書記に「地下核実験の準備ができている」と報告したが、核実験は行わなかった。全書記は「核実験はやらなくてもよい。核爆弾は簡単に変質はしない」と述べたという。

 黄元書記は北朝鮮が保有している核兵器の数について「(96年までに)造った核兵器が何個かは分からないが、朴松鳳労働党軍需工業部第一副部長=2001年死去=が『もっと造ろう』と主張した」と指摘。この時点で既に何個かの核兵器を保有していたことを明らかにしたという。

 黄元書記は97年に北朝鮮を脱出。韓国に亡命した最も高位の北朝鮮高官。核開発計画に直接関与はしなかったが、核に関する対外問題を国際担当書記として、外相、対南担当書記の3人の委員会で担当した。(共同)

米朝の相互不可侵を主張 「安全保証」で北朝鮮

2003/11/17 中国新聞ニュース
 
【モスクワ17日共同=松島芳彦】北朝鮮の核問題に関する次回の六カ国協議で焦点となる「安全の保証」の文書化をめぐり、同盟国の日本と韓国を念頭に「周辺国」を含めた相互不可侵を求める米国に対し、北朝鮮は日本などを除外して米国と一対一の相互不可侵なら検討可能と主張、水面下の折衝で対立していることが分かった。協議筋が十七日までに明らかにした。

 関係国は次回協議の十二月開催へ向け調整中だが、北朝鮮が核放棄の大前提とする「安全の保証」の枠組みでの事前合意は微妙な情勢で、関係国が歩み寄りを図れるかどうかが鍵となりそうだ。

 また同筋によると、北朝鮮側はロシアなどに「日本は特別」と言明。核問題に絡めて拉致問題の解決を迫る日本への抵抗感が根深いことも浮き彫りになった。

 「安全の保証」の枠組みでは(1)米国から北朝鮮への一方的な保証(2)米朝間だけの相互保証(3)周辺国も対象―のいずれにするかで関係国に思惑の違いが残っている。

 核問題を朝鮮半島と周辺地域の安全保障体制と絡めて解決したいとの考えでは、北朝鮮を除く関係各国が原則的に一致。特に日米には、米国が北朝鮮に一方的に不可侵を約束すれば、北朝鮮の日本攻撃に対し、日米安全保障条約に基づく米軍の反撃ができなくなるとの懸念が強い。

 一方、北朝鮮には「多国間の枠組みでは、米国が金正日体制を保証するとの意味合いが薄れるとの心配がある」(ロシア外務省高官)という。

 北朝鮮は次回協議で、安全の保証を中心に「最小限」の合意文書をつくることには柔軟とされる。だが、米国は人権問題なども含めたい意向で、中国とロシアが仲介の動きを活発化させている。

6カ国協議、12月17日開催か 韓国補佐官が見通し

2003年11月17日 The Sankei Shimbun
 韓国・青瓦台(大統領官邸)の羅鍾一・国家安保補佐官は17日、青瓦台で韓国記者団と会い、次回6カ国協議の開催日程に関して12月17日から北京で開かれるとの見通しを示した。

 羅補佐官は「6カ国協議が12月17日から18日まで開かれるとの報道がある」との質問に「公式発表はしていないが、大枠でそういう雰囲気が熟している」と述べた。

 羅補佐官はまた、韓国のイラク追加派兵問題をめぐり、この日の米韓国防相会談で米国側が韓国の要望を受け入れるだろうと指摘。盧武鉉大統領が指示した3000人以内の派兵で双方が合意に至るとの見通しを示した。(共同)

「核計画放棄の用意」6カ国協議控え北朝鮮

2003年11月17日 The Sankei Shimbun
 朝鮮中央通信によると、北朝鮮外務省スポークスマンは16日「米国が敵視政策を根本的に撤回し、われわれに対する脅威が実際に除去される段階になれば、米国の憂慮する核計画を実際に放棄する用意がある」と述べた。

 北朝鮮は8月の北京での6カ国協議で「米国が敵視政策を転換して威嚇しないなら核兵器を放棄することは可能」との立場を表明。次回6カ国協議が12月中旬にも開催される可能性が高まる中、あらためて「核計画放棄の用意」を示すことで、北朝鮮が主張する「同時行動原則」や「一括妥結」の受け入れを米国に迫る戦術とみられる。

 スポークスマンは「今後、米朝間の核問題解決の展望は、米国が会談参加国のすべてが支持、共感する同時行動原則に基づく一括妥協案を受け入れる用意があるかどうかにかかっている」と強調した。

 また「われわれは、ブッシュ米大統領が言及した『書面による不可侵保証』を考慮する用意があり、同時行動原則に対する表現上の問題も米国の憂慮を考慮して調整できるとの建設的な立場を明らかにした」と言明。

 さらに「われわれは朝鮮半島の非核化を終着点とする一括妥結案を提起し、米朝間の核問題を対話を通じて平和的に解決し得るという立場を堅持している」と強調した。(共同)

来月第3週で最終調整 次回6カ国協議日程

2003/11/15 中国新聞ニュース
 【ワシントン14日共同】北朝鮮の核問題を話し合う六カ国協議をめぐり、次回協議の日程として米国が十二月第三週の開催を北朝鮮側に提案、最終調整に入っていることが十四日、分かった。複数の六カ国協議筋が明らかにした。協議筋の一人は「北朝鮮からの返事を待っている」と言明。北朝鮮の回答次第で来月十五日から二十日までの間に協議が開催される可能性が高まってきた。

 米政府高官は十四日、次回協議へ向け、ケリー国務次官補(東アジア・太平洋担当)が、十六日から十八日まで東京、十九日まで北京、二十一日までソウルを訪れ、協議前の政策調整を行うと指摘。二十四日には訪米するロシュコフ・ロシア外務次官とも会談する。

 ケリー氏のアジア歴訪は、北朝鮮から書面での「検証可能かつ後戻りしない完全核放棄」を取り付けるため、どのような内容と形式で「安全の保証」を行うか、擦り合わせをするのが狙い。

 北朝鮮が「同時行動の原則」に基づき、核放棄確約と同時に経済支援の開始を求めている点についても協議する見通し。米国は即座に「見返り」を与える考えがないのに対し、中韓などがエネルギー支援などの必要性を訴えるとみられる。

中国外務次官が日韓訪問へ、6か国協議再開で調整

2003/11/04 読売新聞
 【北京=佐伯聡士】中国外務省は4日、戴秉国・筆頭外務次官が9日から韓国、12日から日本を訪問すると発表した。

 10月末の呉邦国・全国人民代表大会常務委員長(国会議長)の訪朝で、北朝鮮側と核問題をめぐる6か国協議の継続で原則合意したのを受けて、日韓両国と協議の早期再開に向けた調整を行う。具体的には、北朝鮮側の意向を踏まえて、次回協議の日程や、最大の焦点となっている「安全の保証」の文書化について協議するものと見られる。

 中国政府は8月末の第1回6か国協議の前にも、戴次官の訪朝、李肇星外相の日韓両国訪問など活発な「シャトル外交」を展開している。

「目的は核問題」中国外務次官、拉致問題で抑制求める

2003/11/02 asahi.com
 中国外務省の王毅次官は2日、海南島で開かれている「博鰲アジアフォーラム」会場で日本の記者団と会見した。北朝鮮の核問題を話し合う6者協議で日本が拉致問題を提起していることについて「北朝鮮は2国間の問題を協議に持ち込むことに同意していない。協議の目的は核問題の解決にあり、日本を含む各国が解決のためになることをするよう望む」と述べ、日本政府に対し抑制するよう求めた。

 次の6者協議の時期については「できるだけ早期の開催が好ましい」と述べるにとどめた。

「不可侵条約撤回」報道は誤り 北の政策変わらずと韓国

2003年10月30日 The Sankei Shimbun
 韓国の聯合ニュースによると、韓国政府当局者は30日、北朝鮮が24日のニューヨークでの米国との接触で不可侵条約締結の要求を事実上撤回したとの一部報道について「誤ったもので、まったく知らない話」と否定した。

 同当局者は「事実であれば、大変な話だが、とんでもない話。北は今まで、安全の保証について政策を変えていない」と述べた。

 同当局者は「北がある言葉を使ったといって、政策が変わったと拡大解釈してはいけない」と指摘した。(共同)

北朝鮮、不可侵条約要求を撤回 24日の米朝接触で表明

2003年10月30日 The Sankei Shimbun
 北朝鮮の核問題をめぐり今月24日にニューヨークで行われた米朝接触で、北朝鮮がこれまでの「不可侵条約締結」という要求には「こだわらない」とし、事実上撤回する姿勢を示していたことが分かった。米朝関係筋が29日、明らかにした。

 ただ、北朝鮮が不可侵条約の代わりに、米国による「安全の保証」で、どのような形式の文書を求めてくるか判然としないところもあり、米側は慎重に対応している。

 しかし「不可侵条約」要求は、核問題をめぐる協議難航の主な要因となってきただけに、北朝鮮が取り下げれば協議進展に結びつく可能性は大きい。29日からの中国の呉邦国・全国人民代表大会常務委員長(国会議長)の訪朝と合わせ、北朝鮮の姿勢変化が確認されれば、次回6カ国協議開催の展望がより確実なものになるとみられる。

 同筋によると、北朝鮮は米朝が互いに段階的に歩み寄る方針を明らかにし、その中で不可侵条約にこだわらない姿勢を示したという。

 また、ブッシュ米大統領が提案した6カ国協議の枠組みでの「安全の保証」の文書化についても「そうした考え方を追求していきたい」と、協議に応じる姿勢を示した。

 接触後、北朝鮮は25日、外務省スポークスマン発言で米提案を「考慮する用意がある」と表明。この際に「同時行動の原則に基づく一括妥結案」を「考慮」の条件とした。米朝関係筋は、条約に「こだわらない」とする北朝鮮の姿勢は、この「同時行動」の考え方の中で示されたとしている。(共同)

 <「安全の保証」の文書化> 北朝鮮の核開発放棄を前提に、北朝鮮と米国、日本、中国、韓国、ロシアによる6カ国協議の枠組みで、北朝鮮への侵略や攻撃の意図がないことを文書で保証するとした米国案。北朝鮮は、イラクに対して先制攻撃をした米国が北朝鮮も攻撃の対象にするのではないかと強い懸念を抱いており、米国に対し不可侵条約の締結を要求していた。ブッシュ米政権は、日中韓各首脳との会談で文書化方針に合意が形成されたとして、共同声明案などを選択肢に関係国と具体案の取りまとめ作業に入っている。(共同)

呉邦国氏が北朝鮮到着 6カ国協議の早期再開促す

2003年10月29日 The Sankei Shimbun
 中国の序列第2位、呉邦国・全国人民代表大会常務委員長(国会議長)ら国家代表団が29日、特別機で北朝鮮の平壌国際空港に到着、31日まで3日間の公式親善訪問を開始した。胡錦涛指導部では初の首脳級訪朝で、金正日総書記と会談し、次回6カ国協議開催へ前向きな対応を働き掛けるとみられる。

 平壌発の新華社電によると、空港には北朝鮮ナンバー2の金永南・最高人民会議常任委員長が出迎え、歓迎式が行われた。呉委員長は声明を発表し「今回の訪問を通じて友好と協力を一層強め、共同の繁栄と発展を促し、朝鮮半島と地域の平和と安定の維持に貢献することを望んでいる」と述べた。

 中国側は米国の「安全の保証」文書化案に対する北朝鮮の考え方や、米朝が歩み寄りを図る余地がどの程度あるのかを探りながら、次回6カ国協議開催に道筋をつけたい意向。

 関係筋によると、中国は今回の訪朝を機に、エネルギー分野に重点を置いた北朝鮮への支援を計画しており、核問題解決に向けた北朝鮮の前向きな対応を引き出したい構えだ。金総書記と胡主席の相互訪問問題が取り上げられる可能性もある。

 代表団には曽培炎副首相のほか6カ国協議の議長を務めた王毅外務次官、8月に訪朝した共産党中央対外連絡部の劉洪才副部長や軍高官も同行した。(共同)

中国:次官訪日へ 6カ国協議に関して日本側と協議

2003年10月28日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 【北京・浦松丈二】中国の戴秉国外務次官が11月上旬に訪日する予定であることが分かった。日中外交筋が27日、明らかにした。中国の呉邦国・全国人民代表大会常務委員長(国会議長)が今月29日から北朝鮮訪問を予定しており、その結果を受け、北朝鮮の核問題をめぐる次回6カ国協議に関して日本側と協議するとみられる。

 戴次官は8月下旬の前回6カ国協議に先立って7月中旬に中国政府特使として平壌を訪れ、金正日総書記と会談するなど重要な役割を果たしてきた。次回協議でも実務的な調整を担当している。

米国務長官、北朝鮮の交渉応諾を確認 安全保証の文書化で

2003年10月27日 The Sankei Shimbun
 パウエル米国務長官は26日、米NBCテレビの会見番組で、北朝鮮の核開発問題をめぐりブッシュ米大統領が提案した北朝鮮の安全保証の文書化について、北朝鮮側が24日に交渉に応じる方針を直接伝えてきたことを確認し「正しい方向への一歩だ」と歓迎した。

 長官は「大統領の外交政策が実を結び始めた」としながらも「今後も、日夜長い時間をかけて交渉する」と述べ、成果を見るまでは時間がかかるとの見方を示した。

 北朝鮮の核開発放棄についてはあくまで「検証可能な合意を目指す」との従来の方針を強調した。(共同)

「北は、原爆5、6発の核物質保有」IAEA事務局長

2003年10月25日 The Sankei Shimbun
 国際原子力機関(IAEA)のエルバラダイ事務局長は24日付のオーストリア紙プレッセのインタビューで「北朝鮮は原爆5、6発を製造するのに十分なプルトニウムを保有している」と述べ、北朝鮮が核不拡散体制にとって最大の脅威だとあらためて警告した。

 事務局長はプルトニウムの保有量算出の根拠を特に説明していないが、これまでも北朝鮮が原爆製造に可能な量のプルトニウムを持っているとたびたび発言している。(共同)

北朝鮮、安全の保証文書化案に「考慮の用意」

2003年10月25日 The Sankei Shimbun
 北朝鮮外務省スポークスマンは25日、ブッシュ米大統領が表明した北朝鮮に対する「安全の保証」の文書化案について「考慮の用意がある」と述べ、初めて前向きな立場を示した。朝鮮中央通信記者の質問に答える形で述べた。

 こうした立場をニューヨークの国連代表部を通じ「米国側に伝え、米国の真意を確認中」とも言明した。スポークスマンの発言は、北朝鮮が要求している不可侵条約ではなくても、とりあえず歩み寄りは可能との柔軟姿勢を示したといえる。

 29日から訪朝する中国の呉邦国・全国人民代表大会常務委員長(国会議長)も米国の意向を説明し6カ国協議の早期再開を促すとみられ、北朝鮮の核問題は6カ国協議再開に向け、米国の文書化案を軸に調整が図られる可能性が高くなった。

 スポークスマンはしかし、文書化案評価の前提として「同時行動の原則に基づく一括妥結案を実現するのに肯定的に作用するならば」との条件を付け、米国が求める核開発先行放棄をあくまで拒否する姿勢を崩さなかった。

 「同時行動の原則」を米国が受け入れる意思が確認できなければ「6カ国協議について語るのは時期尚早」とも述べ、米国の出方を慎重にうかがう構えもみせた。

 北朝鮮への「安全の保証」の文書化案はブッシュ大統領がアジア太平洋経済協力会議(APEC)での中国や韓国との首脳会談で提示。公式メディアの一つである朝鮮中央放送は21日、6カ国協議の枠組みによる「安全の保証」の文書化を「笑止千万」と論評した。(共同)

 <「安全の保証」の文書化>  北朝鮮の核開発放棄を前提に、北朝鮮と米国、日本、中国、韓国、ロシアによる6カ国協議の枠組みで、北朝鮮への侵略や攻撃の意図がないことを文書で保証するとした米国案。ブッシュ米政権は、日中韓各首脳との会談で文書化方針に合意が形成されたとして、共同声明案などを選択肢に関係国と具体案の取りまとめ作業に入っている。(共同)

「笑止千万」北、米の「安全の保証」文書化を非難

2003年10月22日 The Sankei Shimbun
 ラヂオプレスによると、北朝鮮の朝鮮中央放送は21日夜の論評で、ブッシュ米大統領がアジア太平洋経済協力会議(APEC)での中韓両首脳などとの会談で、北朝鮮への「安全の保証」の文書化を6カ国協議の枠組みで検討すると表明したことについて「一顧の価値もない笑止千万な主張」と切り捨て、あくまで米朝不可侵条約を求める立場を鮮明にした。

 論評は、北朝鮮が米国の敵視政策の撤回と米朝不可侵条約締結を要求したが「安全の保証は要求したことはない」と主張。「(米朝の)核問題を、わが国と国際社会の問題へとすり替えている」と非難した。(共同)

北朝鮮核問題、あくまで6カ国協議で解決 米大統領

2003年10月22日 The Sankei Shimbun
 インドネシア・バリ島を訪問したブッシュ米大統領は22日、メガワティ大統領と会談後、共同記者会見し、北朝鮮の核開発問題に関して、先に提案した「安全の保証」の文書化を含め、6カ国協議を通じ、北朝鮮側に対話による問題解決のメッセージを送り続けると述べた。

 ブッシュ大統領は米朝不可侵条約にこだわる北朝鮮の要求をあらためて拒否。あくまで6カ国協議に参加する北朝鮮を除く5カ国が歩調を合わせ、北朝鮮側に「安全の保証」の文書化などを受け入れるよう働き掛けていくことを確認した。

 また、バンコクで開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で北朝鮮問題解決に向け「大きな進展があった」との認識を示した。

 核開発疑惑をめぐり、イランがウラン濃縮計画停止などの譲歩を示したことについては「前向きな進展だ」と述べ、初めて評価した。(共同)

6カ国協議の継続で一致 日露首脳会談

2003年10月20日 The Sankei Shimbun
 小泉純一郎首相は20日午前(日本時間同日昼)、タイ・バンコク市内のホテルでロシアのプーチン大統領と会談した。両首脳は北朝鮮の核開発問題の平和的解決を目指し、6カ国協議の継続で一致した。首相は日本人拉致事件の解決でも協力を要請した。

 また、平和条約交渉の環境整備のため日露間の中長期的課題について有識者が協議する「日露賢人会議」を設立することで合意。カシヤノフ首相の12月中旬の訪日も確認した。

 大統領はイラク復興支援をめぐる日本の資金拠出を評価した。

 小泉首相は北方領土問題の早期解決の重要性を訴え、大統領の理解を求めた。来年3月のロシア大統領選でプーチン氏が再選されることを前提に、再選後できるだけ早い時期の訪日を招請した。

 日本と中国で競合している東シベリアの石油パイプライン建設ルート問題についても意見交換。両国経済発展のため貿易投資促進機構の早期設立に向けた検討状況についても協議した。地球温暖化防止のための京都議定書をめぐっては、首相がロシアの早期批准を重ねて要請。首相は国際熱核融合実験炉(ITER)の日本誘致についてロシアの支持を要請した。

 両首脳の会談は今年5月のロシア・サンクトペテルブルク以来。(共同)

北朝鮮問題「議長声明」有力に APEC首脳会議

2003年10月20日 The Sankei Shimbun
共同声明から格下げ

 【バンコク=加納宏幸】アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議での合意を予定している北朝鮮の核開発問題に対する声明に関し、予定されていた参加国の「共同声明」形式を採らずに、APEC議長国タイのタクシン首相による「議長声明」の形で発表する可能性が強まっていることが20日明らかになった。小泉純一郎首相の同行筋が明らかにした。

 日米両国などは当初、昨秋にメキシコで開かれたAPEC首脳会議で「北朝鮮に関するAPEC首脳声明」が採択されたのにならい、今回も共同声明を目指し関係諸国に働きかけていた。しかし、北朝鮮核開発問題に関する第2回6カ国協議を来月にも開催したい中国が、同協議のホスト国として北朝鮮を刺激する懸念のある共同声明に反発。ロシアも同調したため、「6カ国協議継続を最優先に考える」(同行筋)として、議長声明案が浮上した。

 一方、小泉首相は20日午前(日本時間同日午後)、ロシアのプーチン大統領と会談した。首相はプーチン大統領に、来年3月の大統領選後の訪日を招請したほか、北方領土問題の解決への環境づくりとして日露民間有識者による「日露賢人会議」を発足させることで合意した。

 首相はこれに続き、中国の胡錦濤国家主席とも会談に入った。その後韓国の盧武鉉(ノムヒョン)大統領とも会談の予定。胡主席との会談では、両国首脳の相互訪問をめぐり意見交換、中国・チチハルで起きた旧日本軍による遺棄化学兵器の毒ガス漏出事故に対し、中国側に「処理事業費」名目で3億円を拠出する方針を表明する。

北の核問題、平和解決の原則を確認 米韓首脳会談

2003年10月20日 The Sankei Shimbun
 ブッシュ米大統領は20日、バンコク市内のホテルで韓国の盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領と会談、北朝鮮の核問題などについて協議、北朝鮮の核兵器保有は認めず、核問題を平和解決するとの原則を再確認した。

 会談後発表された「共同発表文」によると、両首脳は、次回の6カ国協議が早期に開催され、具体的な進展があることが望ましいとの見解で一致。北朝鮮が求めている「安全の保証」について「手段と方法を研究する」ことで合意した。

 韓国の青瓦台(大統領官邸)によると、ブッシュ大統領は会談で「安全の保証」を「文書化して北朝鮮に与えることが可能」との認識を示した。

 19日の米中首脳会談などを受け、北朝鮮に核放棄を促すための具体的な取り組みが本格化したことを意味するとみられる。両首脳はこのためにも北朝鮮に対し、6カ国協議参加国の努力に積極的に応え、これ以上事態を悪化させないよう「自制」を要求した。

 ブッシュ大統領は会談の冒頭「核問題の平和的解決の過程に進展があることを期待する」と述べた。また、韓国が決定したイラクへの追加派兵に謝意を表明した。

 これに対し盧大統領は米政府の北朝鮮問題に対する取り組みに謝意を示し、韓国が決めたイラクへの追加派兵と追加支援について説明した。

 米政府高官は米政府が検討中の「複数の」文書化案に関し、文書形態や中身について今後、日韓、ロシアと協議することを明らかにしている。

 イラク復興支援をめぐって韓国政府は、2004年から07年の4年間に2億ドル(約216億円)の追加支援を決め、追加派兵の規模などについては今後決定する方針。(共同)

北朝鮮:「核抑止力強化は時が来れば実物で証明」外務省談話

2003年10月19日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 朝鮮中央通信によると、北朝鮮の外務省スポークスマンは18日「われわれの核抑止力の強化は、時が来れば実物で証明されるだろう」とする談話を出した。

 談話は94年の米朝枠組み合意署名から21日で9周年を迎えるのに当たり発表された。

 スポークスマンは16日にも同通信記者の質問に答える形で「時が来れば、核抑止力を物理的に公開する措置が取られるだろう」と述べていたが、今回は立場表明のレベルを談話の形に引き上げ、核実験実施の用意があることをあらためて示した。(北京共同)

6カ国協議の早期再開目指す 日韓外相会談

2003年10月19日 The Sankei Shimbun
 アジア太平洋経済協力会議(APEC)閣僚会議に出席した川口順子外相と韓国の尹永寛・外交通商相は18日夕(日本時間同日夜)、バンコクで会談。北朝鮮核問題の平和的解決に向け6カ国協議の早期再開を目指す方針を再確認し、尹外交通商相は協議に日本が引き続き参加する意義は「大きい」と強調した。

 川口外相はまた、韓国政府が同日、イラクへの追加派兵と復興資金協力を決めたことについて「困難な状況の中で決定を評価する」と述べた。

 両外相はさらに、日韓自由貿易協定(FTA)締結に向け早期に交渉入りする方針を確認、6月の日韓共同声明に盛り込まれたビザなし交流と羽田空港−金浦空港間のシャトル便就航について早期実現を目指すこともあらためて確認した。(共同)

中国外相:6カ国協議の11月開催 外交努力続ける方針

2003年10月18日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 【バンコク浦松丈二】中国の李肇星外相は18日、北朝鮮の核問題をめぐる次回6カ国協議の11月開催に向けて中国が外交努力を続ける方針を明らかにした。アジア太平洋経済協力会議(APEC)閣僚会議の閉幕後、当地で報道陣に語った。中国外相が次回協議のメドについて具体的に言及するのは初めて。

 李外相はこの日、パウエル米国務長官▽イワノフ露外相▽川口順子外相▽尹永寛(ユンヨングァン)・韓国外交通商相の4カ国外相と相次いで会談し、6カ国協議プロセスの継続に努力することで一致した。19日から始まる日米中韓露など関係各国同士の首脳会談を前に最終調整を行ったとみられる。

 李外相は11月開催について「われわれはそのために引き続き努力する」「早ければ早いほどよい」と述べ、早期開催が望ましいとの認識を示した。

 一方、北朝鮮が日本の次回協議参加を拒否している問題については「日本と朝鮮(北朝鮮)に現在ある外交ルートを使って問題を適切に解決してほしい」と述べ、拉致問題などをめぐる日朝対立を6カ国協議で扱うことには難色を示した。

 北朝鮮はAPECに加盟しておらず、バンコクに代表団などは派遣していない。中国側は今後、当地での協議内容を北朝鮮側にも伝えていくものとみられる。

北朝鮮、6カ国協議排除を再度主張

2003年10月15日 The Sankei Shimbun
 北朝鮮の朝鮮中央通信によると、朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は15日の論評で、「日本は核問題の平和的解決で百害無益の存在」とし、6カ国協議からの日本排除をあらためて主張、日本人拉致問題についても「既に解決した」と繰り返した。拉致被害者の日本帰国から1年経過したことには触れなかった。

 論評は、「(日本が)拉致問題と核問題を故意に結び付けている」理由は、「日本が核問題解決を望んでいないため」と指摘、「わが国は、日本がどのような形態の協議の場にも介入することを絶対に認めない」と述べた。(共同)

6カ国協議継続求める特別声明発表へ APEC

2003年10月15日 The Sankei Shimbun
 バンコクで20、21日に開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で、北朝鮮の核開発問題に関する6カ国協議の継続を支持する特別声明を発表することが15日、明らかになった。APEC筋が述べた。

 特別声明については、同日行われたAPECの21カ国・地域の高級事務レベル協議で合意された。

 声明では、北京で行われた6カ国協議開催を支持し、今後も協議継続の必要性を強調、北朝鮮の核開発問題の平和的な解決を求める。(共同)

対北声明 日米案に中国難色 APECでの表現弱まる可能性2003年10月15日 The Sankei Shimbun
 今月20日からバンコクで行われるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で、日本や米国が採択を目指している北朝鮮の核兵器開発計画の放棄と日本人拉致事件の解決を求める声明に、中国が難色を示していることが分かった。外務省幹部は北朝鮮に関する声明は出るとの見通しを示したうえで、「(北朝鮮に関する首脳声明が出た)昨年は6カ国協議という枠組みがなかった。いま舞台まわしをしている国(中国)に気を使わないといけない」とし、表現が弱まる可能性を示唆した。

 昨年10月、メキシコで開かれたAPEC首脳会議では、直前の北朝鮮による核兵器開発継続の表明を受け、「核兵器開発計画を放棄する約束を目に見える形で守るよう求める」とする「北朝鮮に関するAPEC首脳声明」を採択した。

 これはAPEC首脳会議で出された初の特定国に対する声明で、日米両国は今回も核開発の放棄と日本人拉致事件の解決、そのための6カ国協議の継続を求める「首脳宣言」か「首脳声明」を採択し、北朝鮮への国際的圧力を強めたい考えだ。

 これに対し、6カ国協議の「ホスト国」として次回開催に向け、中国が北朝鮮と続けている折衝は、呉邦国全人代常務委員長の訪朝が延期になるなど進んでいない。APEC首脳会議には6カ国協議のメンバー国のうち、北朝鮮を除く5カ国が参加するため、声明などが採択されると北朝鮮を刺激し、今後の6カ国協議開催にも影響を及ぼす可能性があると懸念しているもようだ。

 今月7日、日中韓の3カ国による初の共同宣言でも、日本が北朝鮮問題の盛り込みを強く主張した。しかし、「対話を通じた平和的解決、朝鮮半島の非核化」の必要性を再確認するとともに、拉致問題など「各々(おのおの)のすべての懸念に対処する」との表現にとどまり、米国から「不十分」と不満の声も寄せられたという。

 日本としては米国などと連携し、北朝鮮の核放棄と拉致を何らかの形で盛り込むよう中国を説得したい考えだが、外務省幹部は「APECでも(日中韓3カ国共同宣言と)同様の内容にとどまる」との見通しを示している。

北朝鮮の「安全の保証」で複数案 米国務長官

2003年10月11日 The Sankei Shimbun
 パウエル米国務長官は10日、北朝鮮の核問題に関連し「『安全の保証』について幾つかのアイデアがある。しかるべき時点で提示する」と言明、北朝鮮の全面的な核放棄の鍵となる「安全の保証」の文書化をめぐる米政府内の議論が進展し、次回の6カ国協議で具体案を提示する姿勢を示唆した。国務省で記者団に語った。

 長官はこの後、ロイター通信との会見で「アイデアは前回の6カ国協議の時よりも進んでいる。それは文書化され、公的なもの、願わくば多国間によるものとなるだろう」と述べた。

 複数の米政府筋によると「安全の保証」をめぐり、米国は北朝鮮が求める不可侵条約を排除する一方、6カ国協議の参加国による「共同声明」や「署名議事録」、ブッシュ大統領の「書簡」や「声明」に協議参加国が支持を与えるなどの方式を検討している。

 「多国間方式」を強調した長官の発言は、こうした検討状況を踏まえたものとみられる。

 長官はまた記者団に対し、次回協議の開催時期について「何も決まっていない」とする一方で「さまざまなチャンネルを通じて北朝鮮と接触している」と述べ、協議の早期実現へ向け、水面下の外交折衝が行われていることを明らかにした。

 長官の発言について国務省当局者は「政府内の議論で『安全の保証』をめぐる結論が出たわけではない」としながらも「ブッシュ大統領のアジア歴訪で『安全の保証』をめぐる協議が行われる」と述べ、17日の小泉純一郎首相や20日の韓国の盧武鉉大統領との会談で具体的な協議が行われる可能性を示した。(共同)

北朝鮮、6カ国協議の12月開催希望か 韓国TV報道

2003年10月10日 The Sankei Shimbun
 韓国KBSテレビは10日、ワシントン発で、北朝鮮がニューヨークの国連代表部を通じ、次回6カ国協議の12月開催を希望していることを記者団に明らかにしたと報じた。

 同テレビは協議場所として北京が有力視されていると伝えているが、北朝鮮国連代表部の誰が語ったのかなど詳細に関しては触れていない。(共同)

6カ国協議開催へ努力確認 日韓が首脳会談

2003/10/08 中国新聞ニュース
 【ヌサドゥア(インドネシア・バリ島)8日共同=内海努】小泉純一郎首相は八日午前(日本時間同)、インドネシア・バリ島のホテルで韓国の盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領と首脳会談を行い、北朝鮮の核開発問題をめぐる六カ国協議の次回開催に向けて努力することを確認した。

 小泉首相は北朝鮮が核問題で日本と協議しない考えを示したことに対して、「わが国は北朝鮮の挑発には乗らない」と反論した。大統領は日本人拉致事件について「(解決を求める)日本の気持ちは理解できる」と表明した。

 両首脳は、北朝鮮の核開発計画は容認できないことをあらためて確認し、対話を通じた外交的、平和的な解決に向けて日米韓三カ国で連携して取り組む方針で一致。首相が「次回六カ国協議開催に向けて努力しよう」と強調したのに対し、大統領も「目的は一致している。引き続き六カ国協議の中で話し合いを継続すべきだ」と応じた。

 イラク復興支援では、大統領が日本の自衛隊派遣方針についてただしたのに対し、首相は「軍事的に行動するとは考えないでほしい。非戦闘地域で人道支援、復興協力に限定する考え方を誤解しないでほしい」と述べた。

 両首脳は七日に署名した日中韓の「共同宣言」を踏まえ、安全保障や経済など幅広い分野で協力を拡大することを確認した。

 核問題では、日本政府は「検証可能で後戻りできない核開発計画の完全放棄」を目指す立場から、日米韓で示す包括解決案作りを目指す立場だ。

 七日の日中韓共同宣言は「朝鮮半島の核問題の平和的解決と非核化」のための協力などを打ち出した。

北朝鮮核問題など討議 ASEANと日中韓

2003年10月04日 The Sankei Shimbun
 東南アジア諸国連合(ASEAN)と日本、中国、韓国を合わせたASEANプラス3の高級事務レベル協議などが4日、ヌサドゥアで開かれ、北朝鮮の核開発など朝鮮半島をめぐる問題やミャンマー情勢を討議した。日本からは田中均外務審議官らが出席した。

 会合では、中国の王毅外務次官が8月に北京で開かれた6カ国協議についてASEAN側に説明。会議筋によると、次官は「少なくとも交渉は始まり、協議はある程度成功した」と述べ、北朝鮮問題へのASEANの協力を求めた。

 同筋によると、会合ではこのほか、日本がミャンマー情勢に懸念を表明。ミャンマー代表は、キン・ニュン首相が提示した民主化案などを理由に「前向きな進展がある」と説明したという。

 7日のASEANプラス3首脳会議、8日の日本ASEAN首脳会議には小泉純一郎首相が出席、東アジアの地域統合やテロ対策なども話し合う。(共同)

日朝がNYで非公式接触 拉致解決へ外務省審議官

2003年10月01日 The Sankei Shimbun
 外務省の斎木昭隆アジア大洋州局審議官が29日、米朝中3カ国協議で北朝鮮の首席代表を務めた李根・外務省米州局副局長とニューヨークで非公式に接触したことが30日、分かった。日本政府筋が明らかにした。

 8月末の6カ国協議で、日朝双方が日本人拉致問題を含む両国間の懸案解決に向け政府間協議を継続することで合意したことを受けたものとみられる。6カ国協議後、今月初めに北京の大使館ルートを通じた接触が行われているが、外務省高官レベルの接触が明らかになったのは初めて。

 拉致被害者の帰国から10月15日で1年となることから、日本政府としては最優先課題と位置付ける被害者家族の早期帰国について協議に応じるよう促す狙いがあったとみられる。

 同筋によると、斎木審議官は6カ国協議の早期再開や被害者家族の早期帰国などを求めたが、突っ込んだ意見交換には至らなかった。北朝鮮側は、日本が拉致被害者を北朝鮮に戻さなかったことを「約束違反」と非難する従来の主張を繰り返したもようだ。

 李副局長は、日米韓の政府当局者が参加する外交政策に関する会議に出席するため訪米した。(共同)

次回協議「約束してない」 国連総会で北朝鮮

2003年10月01日 The Sankei Shimbun
 北朝鮮の崔守憲外務次官は30日、国連総会の一般演説で、米国が北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議を「北朝鮮の完全な武装解除を図る場」にしようとしたことが証明されたと批判、次回の協議開催に関しては「何ら約束はしていない」とする立場を強調した。

 日本に対しては特に言及しなかった。

 次官は、核問題を対話を通じて平和的に解決するためには、北朝鮮敵視政策が根本的に変更される必要があると指摘。米国の「敵視政策」放棄と北朝鮮の核計画中止を同時に実施に移していく必要があるとの考えを明らかにした。(共同)

解決案づくりで連携確認 対北朝鮮で日米韓協議

2003年09月30日 The Sankei Shimbun
 北朝鮮の核開発問題をめぐり東京都内のホテルで開かれた日本、米国、韓国の非公式な外務省局長級会合は30日、次回6カ国協議で北朝鮮側に提示する包括解決案の具体化に向けて引き続き3カ国の連携を堅持、強化することを確認し、2日間の日程を終えた。

 北朝鮮の6カ国協議への対応に関しては、ホスト国である中国の呉邦国・全国人民代表大会常務委員長の訪朝が北朝鮮側の意向で無期延期となったことを踏まえ、「不透明感が増しており、北朝鮮の動向をさらに注視していく必要がある」との認識で一致。

 焦点の朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)軽水炉事業の凍結決定のタイミングについては、韓国が「北朝鮮に事態をエスカレートさせる口実を与える」との慎重な立場を崩さずに結論を先送りした。

 次回6カ国協議が開かれれば、包括合意交渉を軌道に乗せる必要があるとの観点から、解決案の在り方を中心に論議。

 特に(1)「検証可能で後戻りできない核開発計画の放棄」の具体的手順や厳格な査察・検証メカニズムの構築(2)北朝鮮への「安全の保証」措置の方法(3)一連の核放棄プロセスに応じたエネルギー支援策−に関し協議した。

 しかし、いずれも意見交換に終始し「結論が出た項目はない」(出席者)とされ、米国も解決案の考え方をまとめた「コンセプト・ペーパー」を示さなかった。薮中三十二外務省アジア大洋州局長、ケリー米国務次官補、李秀赫・韓国外交通商次官補が出席した。

日米韓:外務省局長級非公式会合始まる

2003年09月29日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の核兵器開発をめぐる日米韓3カ国の外務省局長級非公式会合が29日夕、2日間の日程で東京都内のホテルで始まった。29日は日韓2国間協議と、3カ国出席者による夕食会が開かれた。30日に3カ国会合を開く。次回6カ国協議に向け、核廃棄の具体的な手順や、北朝鮮の求める不可侵確約などの「対価」をどう実施するかが焦点。日本政府関係者は29日夜、「初日は新たな提案は示されなかった」と述べ、30日に具体的な協議が行われるとの見通しを示した。【高安厚至】

次回協議参加の可能性示唆 露朝会談で金総書記2003年09月11日 The Sankei Shimbun
 北朝鮮の金正日総書記と10日平壌で会談したロシアのプリコフスキー極東連邦管区大統領全権代表は11日帰国し、金総書記が北朝鮮の次回6カ国協議参加の可能性を示唆する発言をしたことを明らかにした。

 会談で代表が「協議で各国が自らの立場を述べたことは大変有益だった。2回目の協議での発言がより楽になる」と話したのに対し、金総書記は「そう期待したい」と答えたという。

 金総書記はまた、「(先の)協議では各国はわが国の立場に耳を貸そうとはしなかった。協議には多くを期待していたが、結果には不満足だ」と述べたという。協議以降、金総書記がその結果などについて語ったのは初めて。(共同)

北朝鮮核開発など協議 日米次官級戦略対話

2003年09月05日 The Sankei Shimbun
 日米両政府は4日、ワシントンで竹内行夫外務事務次官とアーミテージ国務副長官によるの次官級の「日米戦略対話」を始めた。

 6カ国協議を受けた北朝鮮の核開発問題、イラク復興支援などが主要議題。5日には、オーストラリアのカルバート外務次官を加えた3カ国協議を引き続き開催する。

 北朝鮮問題では、次回6カ国協議に向け、核開発やミサイル、拉致などの問題の包括的な解決を目指す日米の方針を確認するほか、今後の協議の在り方や北朝鮮動向をめぐって意見交換する。日本側は日朝協議の早期再開を模索する考えをあらためて伝える見通し。

 イラク復興では、自衛隊派遣を含め、日本として応分の支援をすることを強調し、米側の理解を得たい考えだ。(共同)

6カ国協議継続で一致 米国務長官、韓国外相と会談

2003年09月04日 The Sankei Shimbun
 パウエル米国務長官は3日、訪米中の韓国の尹永寛・外交通商相と国務省で会談し、北朝鮮の核開発問題をめぐって6カ国協議の継続による外交的な問題解決を図っていくことで一致した。

 長官は会談後、記者団に対し「6カ国協議の必要はない」などとする北朝鮮の否定的な発言を念頭に、依然不確定要素があるものの「遠くない将来に次回会合を持つ」との見通しを表明。尹外交通商相も米韓両国が緊密に協力することで、六カ国協議を成功に導く意向を強調した。

 パウエル長官は、北朝鮮による大量破壊兵器の拡散や麻薬取引を阻止するため、公海上での取り締まりを強化していく姿勢を表明した。

 北朝鮮が6カ国協議で核実験の可能性に言及したことについては「国際社会を脅すことを狙った好戦的な言葉は(問題解決の)手助けにならない。われわれは脅迫されることもないし、脅されて利益につながらない行動を取ることもない」と強調。軍事面を含む「あらゆるオプション(選択肢)を排除しない」としながらも、引き続き平和的解決へ向けて全力を傾注していく考えを示した。

 長官はまた「国連での行動を即座に求める計画はない」と述べ、北朝鮮非難の安全保障理事会議長声明や経済制裁をにらんだ国連決議には現時点で慎重な姿勢を見せた。

 尹外交通商相はホワイトハウスでブッシュ米大統領とも会談した。(共同)

北朝鮮、従来の立場強調 韓国補佐官が明かす

2003年08月28日 The Sankei Shimbun
 韓国の羅鍾一・大統領国家安保補佐官は28日、6カ国協議での北朝鮮の提案や立場について「北はわれわれが予想した程度の案を持って出てきた」とし、「従来の立場を繰り返したと把握している」と明らかにした。韓国記者団に語った。

 補佐官はまた「米朝間の2国間協議でも特別に進展した内容があったという話は聞いていない」と述べた。(共同)

南北が27日夜に協議 米演説の意図など説明

2003年08月28日 The Sankei Shimbun
 韓国外交通商省スポークスマンは28日、北京での6カ国協議に参加した韓国と北朝鮮の代表が27日夜、約30分間、協議したと明らかにした。

 北朝鮮は27日の米国の基調演説の中で理解ができない部分の意図や背景などについて韓国に説明を求めた。韓国が説明すると、北朝鮮は謝意を表明したという。

 北朝鮮は韓国の基調演説について、北朝鮮の核問題解決に努力を傾けていることが読み取れると評価。双方は協議が有益だったと評価し、必要なら28日にも再び会うことになった。

 協議は夕食会後、協議会場とは別室で行われ、韓国は李秀赫・外交通商次官補、魏成洛・外務省北米局長、北朝鮮は金永日外務次官、李根・外務省米州局副局長のそれぞれ2人が出席した。(共同)

米次官補、北朝鮮に不可侵方針を口頭で説明 6カ国協議

2003年08月28日 The Sankei Shimbun
 米政府高官は27日、北京で同日開幕した6カ国協議の基調演説で、米首席代表のケリー国務次官補(東アジア・太平洋担当)が、北朝鮮に核開発放棄を要求するのと同時に(1)北朝鮮を攻撃する意図はない(2)政権交代は求めない−とする米政府の方針を表明したことを明らかにした。

 米ホワイトハウス当局者によると、ケリー国務次官補は基調演説で「完全で検証可能かつ後戻りできない核放棄」が米政府の最優先要求であることを説明した。

 6カ国協議開幕に先立ちアーミテージ国務副長官は26日、米メディアとのインタビューで「北朝鮮に侵攻したり攻撃したりする意図がないことや政権交代も考えていないことも話したい」と語った。

 しかし副長官は、核開発放棄の見返りとなる経済支援や米朝国交正常化に関する協議については「(交渉)プロセスの最後になる」と述べ、北朝鮮が核開発放棄を確約しなければ、経済支援などに応じられない考えを強調した。

 米政府高官は27日の6カ国協議と夕食会の会場で、米朝が2国間協議を2度実施したことを明らかにした。

 ブッシュ米大統領は休暇滞在先のテキサス州クロフォードで、初日の協議結果について国家安全保障問題の担当者から報告を受けた。(共同)

拉致、ミサイル問題解決を要求 6カ国協議

2003年08月27日 The Sankei Shimbun
 北朝鮮の核開発問題をめぐる6カ国協議は27日午後(日本時間同)、北京市内の釣魚台迎賓館で全体会合を続行、夕方、初日の協議を終えた。日本代表の薮中三十二外務省アジア大洋州局長は、拉致、ミサイル問題を解決する必要性を訴えた。北朝鮮側は反発しなかったという。  協議筋によると、全体会合の後、釣魚台で米朝が2国間協議を行った。日本も各国との個別協議を行ったが、日朝協議は行われず28日午後に行う方向で詰めの調整をしている。

 基調演説で、米国が約1時間、北朝鮮は約50分にわたって発言。米国は核問題の歴史に言及しながら「検証可能で後戻りできない核放棄」を求めた。これに対して北朝鮮は従来の原則論を展開した。

 薮中氏は冒頭あいさつで「核兵器開発は絶対に認められない。平和的解決のため、この6カ国協議が重要だ。核問題、ミサイル問題と並び拉致問題解決が必要だ」と強調した。米国も拉致問題や偽札、麻薬問題に言及した。

 冒頭あいさつは中国から北朝鮮、日本、韓国、ロシア、米国の順で行われ、各国は6カ国協議で成果を得られるよう積極的に協力していくことを発言。協議開催に向けた中国の努力に謝意を示した。その後、逆の順番で北朝鮮の核開発問題や安全保障に関して基調演説した。

 中国の王毅外務次官は27、28両日に全体会合を行い、29日に閉幕式を行うとの議事日程を提示した。27日夜には中国の李肇星外相主催の夕食会を開催。(共同)

1年間の期限付きで調整 KEDO軽水炉の建設凍結

2003年08月27日 The Sankei Shimbun
 米朝交渉筋は26日、朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)による北朝鮮での軽水炉建設について、日米韓、欧州連合(EU)の各理事国が事業を1年間凍結する方向で調整に入っていることを明らかにした。

 同筋によると、6カ国協議で北朝鮮が核開発に関し譲歩姿勢を示さなかった場合、協議終了後に日米韓が政策調整会合か外務省局長級会合を開き、軽水炉事業凍結に関する結論を出し、KEDO理事会が9月中に正式決定する見通しという。

 核開発を進める北朝鮮への軽水炉提供については米議会内でも反発が強く、米政府は凍結方針を固めているが、事業継続を強く求める韓国への配慮や、完全凍結すれば北朝鮮が反発し、継続協議となる可能性もある6カ国協議に影響が出るのを避けるため、凍結期間を設ける案が浮上した。

 KEDOの広報担当者は26日「軽水炉事業(の凍結)についてはまだ決定していない」と述べ、理事国が協議中だと指摘した。KEDOの組織自体はニューヨークの本部事務局を当面存続させる方針で調整している。(共同)

「良い一致」と日本政府 日米韓で緊密調整確認

2003年08月26日 The Sankei Shimbun
 北朝鮮の核開発問題をめぐる6カ国協議に向けて日本、米国、韓国の3カ国代表団は26日午後(日本時間同)まで北京市内の韓国大使館で協議を続けた。

 終了後、日本政府は「3国の立場について非常に良い一致が図られた」と発表した。27日から3日間の日程で行われる6カ国協議開催中も3カ国で緊密な調整を図ることも確認した。

 韓国の李秀赫・外交通商次官補は記者団に「有益な協議だった」と述べた。米代表団のメンバーは「いい協議だった」と述べたが、合意が得られたかについては明言を避けた。

 日本代表団は26日午後、中国、ロシア代表団とも個別に協議。(共同)

日朝2国間協議 最終日程は北朝鮮回答待ち

2003年08月25日 The Sankei Shimbun

 川口順子外相は25日午前、北朝鮮の核開発問題をめぐる北京での6カ国協議期間中の日朝2国間協議について「具体的にこの時間にやると決まっているわけではないが、日本としては会談したいと話している」と述べ、最終日程は北朝鮮側の回答を待っていることを明らかにした。首相官邸で記者団の質問に答えた。

 外相は「(6カ国協議で)何日間か話をする。たくさん話をする機会はあり、ボールは向こう側にある」と述べた。

 これまでの調整では協議2日目の28日に日朝個別協議を行う方向であることが明らかになっている。

中露が2国間の事前協議開始 ロシュコフ次官北京入り

2003年08月25日 The Sankei Shimbun
 北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議に出席するロシアのロシュコフ外務次官が25日北京に到着、正午(日本時間同日午後1時)すぎから、北京市内のホテルで中国の王毅外務次官と2国間の事前協議に入った。

 ロシュコフ次官は中国以外の首席代表の中で北京に一番乗り。北京空港に到着後、タス通信記者に「交渉の行方を楽観しているが、今回だけですべての問題が解決するとは思わない」と述べた。

 また「各国の立場が異なり、中には厳しい姿勢もある」と語り、米国と北朝鮮の原則的な立場の調整に時間がかかるとの認識を示す一方、米国に加えロシアと中国も北朝鮮の体制を保証するロシア提案について「北朝鮮はまだ関心を示していないが、今後の交渉で役割を果たすかもしれない」と述べた。

 次官によると、ロシアは中国を除く他の4カ国とは26日に個別に打ち合わせをする予定という。(共同)

6カ国協議順調に進めたい 野中氏に中国共産党副部長

2003年08月25日 The Sankei Shimbun

 自民党の野中広務元幹事長、古賀誠前幹事長らは25日朝、北京市内のホテルで劉洪才中国共産党中央対外連絡部副部長と会談した。

 劉氏は23日まで北朝鮮を訪問しており、6カ国協議に対する北朝鮮側の姿勢や、食糧事情に改善の兆しがみられることなど同国の情勢について説明、協議を順調に進めたいとの考えを示した。

 野中氏は、日本が拉致問題の解決も重要視していることを強調し、6カ国協議でも同問題を取り上げるよう中国側の協力を要請した。劉氏は「日本側の事情は十分承知している。昨年の日朝平壌宣言の糸が切れることがないように努力していきたい」と述べた。(共同)

北朝鮮発言:「米国が体制を保証すれば、外交関係結ぶ」

2003年08月24日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE

 【ソウル堀信一郎】韓国の通信社・聯合ニュースは24日、北朝鮮の李種革(リジョンヒョク)・朝鮮アジア太平洋平和委員会副委員長が6カ国協議に関連し、「米国が我々の体制を保証し、(朝鮮半島エネルギー開発機構=KEDO=の)軽水炉工事中断に伴うエネルギー保証を確実にすれば、米国と全面的な外交関係を結ぶ用意がある」と発言したと報じた。平壌での南北学術討論会に出席し、李副委員長と会った韓国与党・新千年民主党の金成鎬(キムソンホ)議員が明らかにした。

 李副委員長は特に「我々が核開発しているという米国の考え自体が誤解である」と主張し、「KEDOによる軽水炉建設が難しい場合、火力発電所建設で代替しても大丈夫だ」と述べたという。

 また、李副委員長は韓国が開発権を持っている、ロシア・イルクーツクの天然ガスの一部を北朝鮮に回して火力発電所を建設するとの構想を提示。「ガス管建設に30億ドル程度の費用と3、4年の時間がかかっても、エネルギーを保証さえしてくれれば、問題はない」と語ったという。

米、長期化の見通し 六カ国協議

2003年08月24日 The Sankei Shimbun
決裂なら武力行使も 国務省高官

 【ワシントン=樫山幸夫】北朝鮮の核開発をめぐる六カ国協議について米国務省高官は二十二日、協議が今回限りで終わることはなく、将来、長期間にわたるとの見通しを明らかにし、協議決裂の場合の武力行使の可能性にも言及した。

 また、日本人拉致問題での日本政府の立場を強く支持、この問題の提起が協議進展の妨げになることはないとの見方も示した。

 同高官は協議の見通しについて、「プロセスは始まったばかりであり、長期化すると思う。定まったスケジュールはない」と指摘するとともに、「外交的決着は可能だと考えているが、すべての選択肢が残されている」と述べ、北朝鮮を強く牽制(けんせい)した。

 同高官は、拉致問題について、「他の重要問題と比較しても、それが(協議の)妨げになることはない。われわれはこれまでこの問題が重要だと理解していることを明らかにしてきた。日本と北朝鮮との間で話し合われる問題であり、今回の協議でも他の問題同様、提起されるだろう」と述べ、日本側が提起した場合強く支持する考えを明らかにした。

 米国と北朝鮮とによる直接対話については、正式な二国間会談は否定しながらも、会議場での“立ち話”などの形で、北朝鮮と話し合う用意のあることを明らかにした。

 一方、北朝鮮との不可侵条約の締結は明確に否定しながらも同高官は、「将来におけるわれわれの外交関係の正常化は、(協議の)進展をみた場合の可能性のひとつだ」と述べ、北朝鮮が核開発を断念した場合、関係正常化に応じる考えに言及した。

 ただ、核開発と引き換えに、米国から何らかの支援を与えることは否定した。

日本核武装に疑念呼ぶ? 「北不可侵確約」で議論

2003年08月24日 The Sankei Shimbun
6カ国協議 外務省内慎重派は憲法抵触説

 北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議が27日から始まるのを前に、協議が進展して北朝鮮への「不可侵」を確約する展開となった場合、日本はどう対応すべきかという議論が政府内で活発化している。日米の専門家が「不可侵」の確約は日本の安全保障に重大な影響を与えるとの見解を示したことも、議論に拍車をかけている。(佐々木類)

 キッシンジャー元米国務長官は十八日付米ワシントン・ポスト紙に掲載された論文で、北朝鮮が核の完全廃棄に同意した場合、北朝鮮に時間稼ぎをさせないため、核廃棄の合意を監視する間、多国間で北朝鮮への不可侵を確約する必要性を主張。北朝鮮の核廃棄を実現しなければ日本の核武装を招く可能性があるとも指摘し、日韓両国による「非核」の確約も合わせて必要になるとの認識を示した。

 一方、西原正防衛大校長は十四日付の同紙に掲載された論文で、日米安保条約上、米朝不可侵条約は“有害”と警鐘を鳴らした。

 理由は、(1)条約の交換条件である北朝鮮の核兵器開発計画放棄の検証は難しい(2)条約は在韓、在日米軍の撤退圧力につながる−というもの。さらに、北朝鮮が生物・化学兵器で日本を攻撃した場合、不可侵条約が米国の足かせとなって日米安保条約が発動されないおそれがあるとして「日本は(北朝鮮への)報復のための核兵器開発を決定するかもしれない」とも指摘した。

 北朝鮮は米国との「不可侵条約」締結に加えて「体制の保証」も主張している。外務省は北朝鮮のいう「体制の保証」について、(1)「不可侵条約」の締結(2)経済支援の確約−の二本柱だと分析。「不可侵条約」を締結すれば米国の武力行使を制約することができ、経済支援を受けられれば自国民の暴発による体制転覆の芽を摘める。まさに一石二鳥というわけだ。

 核やミサイル開発だけでなく、拉致問題も含めた包括的な解決を目指す日本政府は、経済支援をも意味する「体制の保証」には容易に応じられないが「不可侵」の確約については前向きに検討している。川口順子外相は「米朝不可侵を条約にするのは、上院での批准を考えると不可能」と国際的な法的拘束力を持つ条約締結には至らないと判断。口頭での確約や文書化に問題はないだろうという立場だ。

 しかし、外務省内には「不可侵」が文書にとどまっても「憲法解釈上、集団的自衛権行使に抵触する恐れがある」との慎重論も根強い。国連憲章が加盟国の領土を武力で脅かすことを原則として認めていないことから「不可侵」の文書化など不要との意見もある。

 現在、同省では総合外交政策局と条約局で、米国が「不可侵」の文書化に踏み切った場合を想定した検討を進めているが、(1)不可侵の確約が直ちに金正日(総書記)体制の保証を意味するものではない(2)「圧力と対話」という対北政策を根本から変えるものではない−との見方から、日本は当事者ではなく「証人」の立場で署名するという案も浮上している。ただ、不可侵問題に踏み込めば、憲法解釈上の問題に加え、諸外国から「核武装」の疑念を持たれるという厄介な状況を招くだけに、最終判断にはなお時間を要しそうだ。

6カ国協議で連携を確認 日韓外相会談

2003年08月22日 The Sankei Shimbun
 川口順子外相は22日夕(日本時間同)、韓国の尹永寛外交通商相とソウル市内の外交通商省で会談し、北朝鮮の核開発問題をめぐり中国・北京で27日から開かれる6カ国協議へ向けて両国の連携を確認した。

 会談冒頭、川口外相は「6カ国協議の前に外相レベルで意見交換し、調整することは非常に大切だ。北朝鮮の核問題でも日韓が協調していけるよう話したい」と協力を呼び掛けた。尹外交通商相も「お互いの協力を約束するのは非常に重要だ」と応じた。

 川口外相は、6カ国協議の場で北朝鮮による日本人拉致事件解決の必要性を提起する方針をあらためて説明。韓国側の支持を得るとともに、北朝鮮との対話を通じた核問題の平和的解決を目指し韓国との連携を確認する方針。

 韓国は、これまでの日米韓の協議などで、北朝鮮に核開発計画を放棄させるための支援策について、放棄の段階に応じ、経済、エネルギー、食糧支援を同時並行で進める「行程表(ロードマップ)方式」を主張している。支援の前提として北朝鮮に一方的な核放棄を求める米国との溝が埋まっておらず、川口外相は、米韓の間の調整役を果たしたい意向だ。(共同)

6カ国協議の各国主席代表を発表 北朝鮮は金永日外務次官

2003年08月21日 The Sankei Shimbun
 中国外務省は21日、北京で27日から開く北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議に出席する各国首席代表の名簿を発表した。北朝鮮の首席代表はアジア担当の金永日・外務次官。

 中国はアジア担当の王毅外務次官、米国はケリー国務次官補、ロシアはロシュコフ外務次官、韓国は李秀赫・外交通商次官補が首席代表として出席する。日本は薮中三十二アジア大洋州局長が代表で、日本を除けば全員が次官補以上となり、事実上の次官級協議となる。

 韓国の通信社、聯合ニュースによると、北朝鮮の副代表は李根・外務省米州局副局長が務め、10人前後の代表団になる見通し。26日に高麗航空機で北京入りし、北京の北朝鮮大使館に滞在するという。

 金外務次官は今月初め、訪朝した王毅外務次官と6カ国協議をめぐり集中討議、昨年9月17日には平壌国際空港で訪朝した小泉純一郎首相を出迎えた。李副局長は4月の米朝中3カ国協議で首席代表を務め、米国に対し「核保有」を認める発言をした。(共同)

日露:6カ国協議に向け準備会合

2003年08月18日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 【モスクワ町田幸彦】北朝鮮の核開発問題をめぐる6カ国協議に向けた日本とロシアの準備会合が18日、モスクワで開かれた。日本の野村一成・駐露大使と藤井新・外務省北東アジア課長、ロシアのロシュコフ外務次官がそれぞれ出席した。日本側は6カ国協議で拉致問題を議題にするうえでロシアの協力理解を求める。一方、ロシア側は北朝鮮の体制保証に関する考えについて日本側に説明した。

 外交筋によると、約2時間に及んだ準備会合で日本側は「北朝鮮の核兵器開発は容認できないことを6カ国協議の参加国すべてが明言するべきだ」と主張し、同協議で「拉致問題の解決について提起するつもりだ」と伝えた。

 これに対し、ロシア側は「北朝鮮が抱いている安全保障上の懸念を解消することが重要だ」と述べ、体制保証の必要性を指摘した。また「6者協議が最初で最後にならないよう、建設的雰囲気を作り出すべきだ」と強調した。また、拉致問題について「日本が敏感になっていることはよく理解している。この問題の早期解決を望んでいる」と述べた。

6カ国協議:米朝不可侵条約に“警告” 防衛大校長が論文で

2003年08月15日[毎日新聞]Mainichi INTERAVTIVE
 【ワシントン佐藤千矢子】防衛大学校の西原正校長は14日付の米紙ワシントン・ポストに寄稿し、核開発問題に関連して北朝鮮が要求している米朝不可侵条約が締結される事態になれば、同条約と日米安保条約が矛盾をきたし、日本が北朝鮮による生物・化学兵器攻撃に対抗するため、「日本の核兵器開発を正当化することにさえなるかもしれない」と警告した。6カ国協議直前のこの寄稿は、日本国内で政治問題化する可能性がある。

 寄稿は、不可侵条約の危険について(1)条約の前提となる北朝鮮の核開発計画放棄の検証は困難(2)条約は在韓米軍の撤退につながる(3)沖縄でも在日米軍の削減や撤退の議論を起こす――と指摘。さらに北朝鮮が核計画を放棄しても、生物・化学兵器で日本を攻撃する可能性があり、その場合、米軍は不可侵条約のため日本を防衛できず、「日本は米国との同盟に頼れないので(北朝鮮への)報復として核兵器開発を決定するかもしれない」としている。

包括解決案先送りか 日米韓局長級協議

2003年08月15日 The Sankei Shimbun
 日本、米国、韓国の外務省局長級の非公式協議が13、14両日、ワシントンの米国務省で行われ、北朝鮮の核開発問題をめぐる6カ国協議で提案する包括解決案を中心に話し合った。米朝交渉筋などによると、同案の提示方法や協議の進め方などを調整したとみられる。14日の協議は約2時間行われた。

 協議に参加した外交筋は「6カ国協議までに、まだ約2週間の時間的余裕がある」と述べ、今回の協議で包括解決案の最終案がまとまらず、継続協議となった可能性を示唆した。

 パウエル米国務長官は13日、国務省で記者団に「北朝鮮とは(これまでと)違った関係を模索している。現段階で(北朝鮮に対し)経済支援は提示していない」と述べ、北朝鮮が核開発を放棄しない限り、経済支援を提示するのは尚早との認識を示した。

 ブッシュ大統領は同日、休暇先のテキサス州クロフォードで、北朝鮮の核問題について「平和的な方法で対処できると考える。良い方向に進展している」と記者団に述べ、8月末に北京で開催予定の6カ国協議に期待感を表明。中国やロシア、日韓両政府の取り組みを評価した。

 米朝交渉筋などによると、日米韓は6カ国協議で核開発問題や北朝鮮への不可侵確約、経済支援などを含む包括解決案の提示を計画。北朝鮮に対する具体的な要求項目の履行手順を示す行程表(ロードマップ)の提示は、米政府の反対から見送る方針でほぼ一致している。

 協議には、日本の薮中三十二外務省アジア大洋州局長、ケリー米国務次官補、韓国の李秀赫・外交通商次官補らが出席した。(共同)

包括案提示方法など調整 6カ国協議前に日米韓

2003/08/14 中国新聞ニュース
 【ワシントン13日共同=小片格也】日本、米国、韓国の外務省局長級の非公式協議が十三日午後(日本時間十四日未明)、ワシントンの米国務省で開かれ、北朝鮮の核開発問題をめぐる六カ国協議で提案する包括解決案を中心に話し合った。

 米朝交渉筋などによると、同案の提示方法や協議の進め方などを調整したとみられる。米国務省当局者は協議終了後「北朝鮮の核開発を検証可能で不可逆的にやめさせるという(日米韓の)共通目的達成に向けた緊密協議の一環」と述べた。協議は十四日に続開する。

 パウエル国務長官は十三日、国務省で記者団に「北朝鮮とは(これまでと)違った関係を模索している。現段階で(北朝鮮に対し)経済支援は提示していない」と述べ、北朝鮮が核開発を放棄しない限り、経済支援を提示するのは尚早との認識を示した。

 ブッシュ米大統領は同日、休暇先のテキサス州クロフォードで、北朝鮮の核問題について「平和的な方法で対処できると考える。良い方向に進展している」と記者団に述べ、八月末に北京で開催予定の六カ国協議に期待感を表明。中国やロシア、日韓両政府の取り組みを評価した。

 米朝交渉筋などによると、日米韓は六カ国協議で核開発問題や日本人拉致問題、北朝鮮への不可侵確約、経済支援などを含む包括解決案の提示を計画。協議は約一時間半行われ、日本の藪中三十二外務省アジア大洋州局長、ケリー米国務次官補、韓国の李秀赫・外交通商次官補らが出席した。

北朝鮮体制、米ロ中が保証 6カ国協議で提示へ

2003/08/12 中国新聞ニュース
 【モスクワ12日共同=太田清】中国の王毅外務次官がロシアのロシュコフ外務次官との十一日の北京での会談で、米国に加えロシア、中国が北朝鮮に体制保証する代わりに、核開発放棄を確約させるとのロシア案に支持を表明したことが十二日、分かった。在モスクワの外交筋が明らかにした。

 北朝鮮の核開発をめぐる六カ国協議に提示することでも一致したという。

 同案はロシアが一時、米国、北朝鮮にそれぞれ提示したが、両国は核開発と体制保証をめぐるそれぞれの原則的立場に固執し、受け入れを拒否していた。

 しかし、北朝鮮が多国間協議を受け入れたのと同時に、米国も北朝鮮の体制保証に柔軟な立場を示すなど譲歩の姿勢を見せたことから、ロシアは同提案が受け入れられる余地ができたと判断。関係国が同案を受け入れるよう再び働き掛けを強めていた。

 ロシュコフ外務次官は十三日の韓国、北朝鮮の外務次官との会談でも、ロシア案の受け入れを打診する方針。さらに来週、日本にも同案を示す方向で調整を進めている。

 しかし、米国の同案への実際の対応が不明である上、ワシントンで十三、十四両日に開かれる日米韓の会合で三カ国が共同提案をまとめる動きもある。中国の支持を得たとはいえ、ロシア案が六カ国協議でどの程度主要な役割を演じられるかは流動的だ。

 ロシア案は北朝鮮の体制保証、経済支援と核開発放棄を交渉当事者が同時に宣言するとの内容で、北朝鮮への経済支援については、パイプラインを通じたロシアの天然ガス提供を選択肢の一つとして提案している。

26日、非公式行事でスタート 6カ国協議で政府関係者

2003/08/12 中国新聞ニュース
 北朝鮮の核開発問題をめぐる六カ国協議について、二十六日に参加六カ国メンバーによる非公式行事を行う方向で調整が進んでいることが十二日、分かった。六カ国協議は事実上二十六日にスタートする。日本政府関係者が明らかにした。

 二十六日には関係者による夕食会などが行われる見通し。六カ国協議は三日間の予定で、二十六日を公式協議に含めるかどうかは未定で、同協議が二十八日までなのか二十九日までとなるのかは明確でないとしている。

 また、次官級への格上げが指摘されている協議出席者について日本政府関係者は、日米韓三カ国は外務省局長級の「政策調整会合メンバー」が出席するとの見方を示した。

 この場合、日本は藪中三十二外務省アジア大洋州局長、米国はケリー国務次官補となる。日米韓三国はこれまで連携を確認しながら交渉を続けてきたメンバーで六カ国協議に臨みたい意向が強いとみられる。

 六カ国協議の日程については、日米韓三国が二十六、二十七両日の開催を打診。中国の王毅外務次官が北朝鮮と折衝した結果、「八月二十五日から三十一日までの間の三日間」で最終調整している。

日米韓会合の開催確認 米国務省「13、14両日に」

2003年08月12日 The Sankei Shimbun

 リーカー米国務省副報道官は11日の記者会見で、北朝鮮の核開発をめぐる6カ国協議に先立ち、日本、米国、韓国の非公式局長級会合が13、14両日にワシントンで開かれることを確認した。

 副報道官は会合の目的について「6カ国協議の準備促進」と述べ、協議に臨む3カ国の政策調整を進める考えを明らかにした。6カ国協議の開催時期に関しては「恐らく今月末」と述べた。

 ワシントンの外交筋によると、初日の会合は13日午後(日本時間14日午前)に開かれる見通し。(共同)

「北朝鮮の包括解決目指す」 小泉首相、中国外相と会談

2003/08/11 中国新聞ニュース
小泉純一郎首相は十一日午後、中国の李肇星外相と会談し、北朝鮮による核、ミサイル、拉致問題の包括的解決を目指す考えを表明、外相は「日本の建設的行動を歓迎する」と述べた。

 また、日中関係について「歴史をかがみとして関係発展に努める」との認識で一致した。靖国参拝問題は取り上げられなかった。

6カ国協議に向け連携確認 日中外相会談

2003/08/11 中国新聞ニュース
 川口順子外相は十一日、中国の李肇星外相と外務省で会談した。

 両外相は、北朝鮮の核開発問題をめぐる六カ国協議の成功に向けて日中間で緊密に協力することで一致した。川口外相が北朝鮮による拉致問題の解決に向けて中国側の理解と支持、北朝鮮に対する働き掛けを要請したのに対し、李外相は「日本国民にとって大きな問題であることを理解している」と述べた。

 李外相は六カ国協議の日程について、八月下旬に三日間の日程で北京で開催する方向で調整が進んでいることを説明。「成功のために日本が積極的役割を果たすことを期待している」と強調した。川口外相は六カ国協議に向けて、日米韓が北朝鮮に示す準備をしている包括解決案の事前調整のため十三日に協議することを正式に説明。「六カ国協議開催に向けた中国の役割を歓迎し、評価している」と述べた。

 小泉純一郎首相の靖国神社参拝で中断している首脳相互訪問に関して、李外相は「(日中首脳の)相互訪問は行いたいが、日本の指導者による靖国神社参拝により困難がもたらされている」と指摘、早期の首脳相互訪問は困難との認識を示した。

 李外相は、九月一日からの日本人観光客らへの短期渡航の査証(ビザ)免除を表明した。

北京で「27日から3日間」 6カ国協議で韓国紙

2003/08/11 中国新聞ニュース
 【ソウル11日共同】韓国紙、中央日報は十一日、北朝鮮の核問題解決を目指す六カ国協議について、二十七日から北京で三日間行われると報じた。

 同紙によると、中国の消息筋は「中国の王毅外務次官の平壌訪問で、北朝鮮と中国と米国は協議の日程を今月二十七日から三日間と確定した」と述べた。

 また、協議の代表について、韓国政府当局者は「各国の事情によって、次官ないし次官補クラスとなるとみている」とし「韓国政府は李秀赫次官補を首席代表とする次官補クラスで会談の準備を行っている」と述べた。

 また、韓国政府は現在ロシアを訪問中の金在燮外交通商次官が十三日にモスクワでロシニン第一外務次官やロシュコフ外務次官と六カ国協議について話し合う予定という。

6カ国協議:第2回協議を欧州か米で 外相級にも 北京外交筋 2003年08月09日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE

 【北京・上村幸治】朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の核開発問題を話し合う6カ国協議をめぐり、北京の外交筋は8日、第1回協議で前進が得られた場合、第2回協議を3、4カ月後にも北京以外の場所で開くことになるだろうと語った。協議の進み具合によっては、第2回協議が外相級に格上げされ、最終決定が下される可能性もあるという。

 同筋によると、今月下旬にも北京で開かれる6カ国協議は、前回3者協議(米、中、北朝鮮)の局長級から次官級協議に格上げされる見通しになっている。

 今回の協議では、北朝鮮に核開発計画の放棄を約束させ、併せて同国の安全の保証、同国への経済・人道支援を認めるという包括的な提案が話し合われる。

 同筋によると、この協議で合意が得られた場合、第2回協議を北京以外の欧州か米国で開く予定にしている。具体的な地名はまだ出ていないが、欧州では国際機関が集中するジュネーブや、国際原子力機関(IAEA)のあるウィーンなどが有力候補地になりそうだ。

 協議が進んだ場合、第2回協議で包括的提案を合意文書の形にまとめ、各国代表が承認する可能性もある。この場合、協議を外相級に格上げし、事実上の最終協議とする形になりそうだ。

 ただし、北朝鮮側が協議の中でどこまで妥協するのか不透明なほか、米国の保守派が依然として北朝鮮に強い不信感を抱いている。仮に北朝鮮が核開発の放棄を約束しても、その検証方法などをめぐって議論が紛糾する可能性も残っているという。

 来春までに具体的な成果を得られない場合、米国が協議方法の変更を求めたり、しびれを切らして強硬姿勢に踏み切る懸念もある。したがって、来春までに6カ国協議を2回程度開き、具体的な成果を上げられるかどうかが、北朝鮮核問題を平和的に解決できるかどうかの重要なポイントになるという。

6カ国協議で包括的解決策を提示へ 北の核問題で米政府

2003年08月08日 The Sankei Shimbun
 米政府は北朝鮮の核開発問題を協議する6カ国協議で、北朝鮮が完全に核計画を放棄する際に実施する支援策や、非核化のための査察検証措置の必要性を盛り込んだ、核問題の包括的な解決策を提示することが8日、分かった。

 米朝関係筋や議会筋が明らかにした。核問題解決で北朝鮮が得る「最終案」として包括解決策を最初から提示し受け入れを迫ることで、協議の過程での北朝鮮の揺さぶりを封じる狙いがある。

 包括的解決策は、北朝鮮が昨年10月にウラン濃縮技術を使った核開発計画を認めるまで米国が策定していた「大胆なアプローチ」が土台となる。

 まず核開発や国際原子力機関(IAEA)の査察要員の退去、核拡散防止条約(NPT)からの脱退宣言などを「行ってはならない行為」(米政府当局者)と明確化し、現在進めている核開発の即時停止を求める。

 また核開発凍結を定めた米朝枠組み合意の内容を上回る非核化の具体的措置を取ることで、経済支援や不可侵の文書化などを講じる用意がある考えを示し「検証可能かつ後戻りしない核計画の完全放棄」の決意を表明するよう北朝鮮側に迫る方針だ。不可侵の文書化に関連してパウエル国務長官は7日、議会の承認を得る形での文書による体制保証を行う考えを示した。

 米国が実施する措置はほかに人道援助やエネルギー支援、国際機関加盟の後押し、経済制裁の解除など。経済支援は日韓、エネルギーは天然ガスを供給できるロシアなど、各国間で一定の役割分担を行うことも考えており、今後、関係国と政策のすり合わせを進める。

 北朝鮮に対しては枠組み合意やNPT、南北非核化共同宣言など過去の合意の履行を要求。核開発関連施設の解体を目指した新たな検証措置の必要性に触れる方針だ。(共同)

来週後半にも日米韓会合 6カ国協議へ包括提案取りまとめ

2003年08月06日 The Sankei Shimbun

 日米韓3カ国は6日、北朝鮮が核問題をめぐる6カ国協議を受け入れたことを踏まえ、北朝鮮側に提案する包括解決策を取りまとめるための非公式な外務省局長級会合を来週後半にも開く方向で調整に入った。外務省幹部が明らかにした。場所はワシントンが有力だ。

 同幹部は6カ国協議の開催時期について「月末か9月初めになる」との見通しも示した。

 局長級会合では朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)の軽水炉事業凍結決定のタイミングや北朝鮮核問題の国連安全保障理事会での扱い方に関しても意見交換する。 来週の10−15日には中国の李肇星外相の日韓歴訪が予定されているため、関係者の日程が合わなければその翌週にずれ込む。日米韓は6カ国協議の進め方について中国、ロシアとも個別に意見交換する方針。

 外務省幹部は6カ国協議前の日米韓会合は「一度だけ」としており、防衛当局者も含めた日米韓政策調整会合(TCOG)は6カ国協議後に東京で開かれる方向だ。

日米韓、新たな査察体制構築へ

2003年08月05日 The Sankei Shimbun

 日本、米国、韓国の3カ国は4日までに、北朝鮮の核開発問題を討議する6カ国協議開催前に、従来の国際原子力機関(IAEA)による査察体制に加え、日米韓などの専門家チームによる特別査察など、核廃棄プロセスの履行を検証する新たな体制づくりに着手した。米朝関係筋が明らかにした。

 米政府は日韓両政府に加え、6カ国協議の開催国の中国ともこの問題を話し合うため、近く政府高官を3カ国に派遣する方向で調整に入った。

 日米韓はロシアの理解も得た上で、こうした査察・検証体制の大枠を6カ国協議で提案、北朝鮮が応じた場合には、北朝鮮の求める体制保証や経済援助、エネルギー・食糧支援などについて議論する用意を表明し「検証可能かつ後戻りしない核計画放棄」の確約を迫る考えだ。

 米政府内には、1994年の米朝枠組み合意がIAEAによる核関連施設の凍結監視のみに主眼を置いた結果、昨年10月に北朝鮮が認めたウラン濃縮技術を使った新たな核開発計画を未然に防げなかったとの反省がある。

 また、IAEAは民生技術の軍事転用を防止することが主目的であるため、実際に核計画を解体、消滅させるには「核保有国の専門家の関与が必要」(米政府高官)との意見が強い。

 北朝鮮による核計画の完全放棄の表明を前提に(1)疑惑施設も含めた北朝鮮側の「申告」に基づく査察開始(2)廃棄作業の監視・検証(3)将来の核開発を防ぐための監視継続−などが具体的プロセスとして検討されている。(共同)

「米国に政策転換求める」北朝鮮、6カ国協議開催を表明

2003年08月04日 The Sankei Shimbun
 北朝鮮外務省スポークスマンは4日、核問題をめぐる6カ国協議が「近く北京で開かれる」と初めて北京開催を表明、協議の焦点は米国の対北朝鮮政策の転換にあると強調する談話を朝鮮中央通信を通じて発表した。

 談話は「米国側は『先核放棄、後対話』という主張だけに固執してきたことを放棄して、われわれの6カ国協議提案に同意し、その枠組みの中で米朝が接触して互いの立場を明らかにし、論議しようと言った」と米朝協議が同時に行われることも確認し「われわれは米国のこうした提議に留意することにした」と述べた。

 北朝鮮が求める「体制保証」と米国が要求する核開発放棄の議論は、この米朝協議で集中的に取り上げられる見通しとなり、今後、6カ国協議全体の進行方法や議題設定などについても関係国の調整が進むとみられる。

 外交筋によると、6カ国協議の開催時期は、8月下旬か9月上旬の方向で検討が続いている。

 談話は「米国が主張してきた多国間協議が開かれる」と北朝鮮が協議形式で譲歩したことを示唆しながら「今回の協議で米国が実際にわれわれに対する政策転換の意思を持っているかどうかが国際社会の前にはっきりと示されるだろう」と述べ「体制保証」の議論を先行すべきだとの構えを示した。

 北朝鮮は今月1日に「6カ国協議を開催し、そこで米朝協議を進めるという新たな提案を行った」として6カ国協議受け入れを事実上表明しており、今回の談話は最終的に受諾を確認する側面もあるとみられる。(共同)

金正日総書記:柔軟姿勢示していた 多国間協議に

2003年08月02日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 【北京・浦松丈二】北朝鮮の金正日(キムジョンイル)総書記が7月14日、中国政府特使として訪朝していた戴秉国外務次官に対し、核問題をめぐる多国間協議に応じる姿勢を示していたことが分かった。また、北朝鮮が米、朝、中、日、韓、露の6カ国協議受け入れを伝えてきたことを受け、中国側は9月上旬に北京での開催を目指し、関係国と日程調整を進めている。

 中国外交筋が1日明らかにした。金総書記本人が多国間枠組み容認を表明していたことが判明するのは初めて。米国などからの圧力をかわし、対話路線を選択する意思を明確に示し、6カ国協議受け入れにもつながったとみられる。

 中国側は金総書記本人が多国間協議容認姿勢を表明したことを受け、米国などが主張していた米朝中に日本と韓国を加えた5カ国協議から、ロシアを含む6カ国協議に方針を切り替え、調整を本格化させた。

 金総書記が戴次官との会談でロシア参加を要求したかどうかは不明だが、次官が先立って訪露していることから、ロシアの役割についても何らかの意見交換が行われたことは間違いない。

 外交筋によると、6カ国協議の前に今年4月に開いた米朝中3カ国協議を再度開くかどうかなど詳しい形式は決まっていないという。中国側は9月上旬までに多国間協議の議題を含め、関係国間の意見調整を進めていく方針だ。

 戴次官は7月12日に北京からチャーター機で平壌入り。金正日(キムジョンイル)総書記と14日に会談したほか、15日までの訪問中に金永南(キムヨンナム)・最高人民会議常任委員長や白南淳(ペクナムスン)外相、姜錫柱(カンソクチュ)第1外務次官とも会談した。

6カ国協議開催へ 北朝鮮受諾と米に伝達

2003/08/01 中国新聞ニュース
 【ワシントン31日共同=太田昌克】米政府高官は三十一日、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の核開発問題を話し合う多国間協議について、北朝鮮が中国を通じ、日韓両国にロシアを加えた六カ国協議を受諾する意向を伝えてきたことを明らかにした。

 中国の胡錦濤国家主席が三十日の電話会談でブッシュ米大統領に受諾の見通しを伝えたもので、六カ国協議の開催がほぼ決まった。開催されれば、北朝鮮をめぐる関係国が一堂に会する初の本格的な多国間協議となる。

 当初、中国が拡大協議の前段として開催を提案していた米朝中三カ国協議については「開かれないだろう」と言明。六カ国協議関係国の外交筋も、三カ国協議を経ずに六カ国協議が開催されるとの認識を示した。

 バウチャー米国務省報道官は同日の会見で、米国も協議に参加する意向を表明した。

 四月の三カ国協議で北朝鮮が「核保有」と「核再処理完了」を伝達し、対話プロセスが頓挫して以来、使用済み核燃料棒の再処理開始が確認されるなど緊張状態が高まっていた朝鮮半島情勢は、核問題の平和的解決に向け事態打開の可能性が出てきた。

 開催時期について、米政府高官は「(九月初旬の)可能性もあるが、早まることもあり得る。近い将来だ」と指摘。九月第一週で調整が進められるが、同高官は八月中の実施の可能性にも言及した。

 開催地は北京になる見通し。レベルは米朝中協議と同様、外務省局長級で準備が進められる。

 北朝鮮が金正日体制の保証を多国間協議の前提条件として求めていた点については、解決が図られたかどうか明らかでない。バウチャー報道官は「検証可能かつ後戻りできない形での核計画放棄」を実現するため、北朝鮮側の真意を問いただす意向を示すとともに「彼らの懸念についても話を聞きたい」と言及。協議を進める中で、体制保証などをめぐり話し合う用意があることを示唆した。

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