TOPIC No.2-101-1 北朝鮮の核開発問題(2002年12月-2003年06月)


「日本排除」を否定 核問題協議で中国次官

2003年07月22日 The Sankei Shimbun
 中国外務省の王毅次官は21日、日中友好議員連盟(林義郎会長)の訪中団と会談し、北朝鮮の核開発問題をめぐる多国間協議で、北朝鮮が日本を排除して米朝中韓の4カ国協議を求めているとの見方が出ていることについて「北朝鮮はそのようなことは全く言っていない」と述べ、否定した。

 会談出席者によると、一方で次官は「中国としては日韓が加わることは全然問題なく、米朝が同意するかどうかが鍵だ」とも指摘。北朝鮮が依然として米朝2国間の対話にこだわっていることを示唆した。(共同)

核問題で多国間協議支持 ASEM外相会合が声明

2003年07月24日 The Sankei Shimbun
 インドネシア・バリ島で開かれていたアジア欧州会議(ASEM)の第5回外相会合は24日、北朝鮮の核問題解決に向けた多国間協議への支持や、ミャンマー軍事政権に民主化への努力の再開を求めることなどを盛り込んだ議長声明を採択して閉幕した。

 また、北朝鮮の核開発も念頭に日本が提案し、関連の国際条約にのっとって核、化学、生物兵器などの拡散を防ぐ努力を継続することの重要性をうたった「大量破壊兵器拡散防止に関する政治宣言」も採択した。

 議長声明は北朝鮮の核問題について、今年4月の北京での米朝中3カ国協議を「包括的な問題解決への貴重なステップとして歓迎」。その上で「適切な枠組み」での対話継続を求め、日韓などが求めている5カ国協議への支持をにじませた。

 ミャンマー問題では欧州側の強い意向を反映、民主化運動指導者アウン・サン・スー・チーさんらの即時釈放や政治活動の自由の保障などを軍事政権に要求。

 このほか、北朝鮮に対し「迅速かつ検証可能な方法でいかなる核兵器開発計画も放棄」し、国際原子力機関(IAEA)との協力を再開、核拡散防止条約(NPT)に復帰することも強く求めた。

 さらに「未解決の人道問題」との表現で、日本人拉致問題解決への取り組みの重要性に言及。イラク、中東などの国際情勢やテロ対策、新型肺炎(SARS)問題にも触れた。

 ASEMの第6回外相会合は来年4月、アイルランドで開催される。(共同)

ノドン、核搭載は不可能 韓国国防省

2003年07月23日 The Sankei Shimbun
 
 韓国の゙永吉国防相は22日、非公開の国会国防委員会で、日本のほぼ全域を射程に入れるとされる北朝鮮のノドンミサイルについて「北の技術で核を搭載するのは不可能だ」との分析結果を明らかにした。通信社の聯合ニュースが伝えた。

 国防相は、米情報機関の話などとして、北朝鮮が核弾頭を小型化するには「相当な時間がかかる」と指摘。北朝鮮が「完了した」と主張している使用済み核燃料の再処理については「韓米の情報機関は、再処理を始めたものの完了はしていないとみている」と述べた。

 先に米紙ニューヨーク・タイムズが、北朝鮮が第二の再処理施設を建設した可能性があると報じたことについては「関連情報が入手されたことはない」と述べ、否定的な考えを示した。(共同)

核協議、数週間内に再開か 英首相が見通し

2003年07月22日 The Sankei Shimbun
 英BBC放送(電子版)によると、中国訪問中のブレア英首相は21日、北朝鮮の核開発問題に関する米朝中の3カ国協議が「数週間以内に再開される可能性がある」と記者団に語った。

 首相は見通しの根拠は明らかにしなかったが、米、日、韓、中の関係国を歴訪する中で何らかの示唆があったようだ。

 中国外務省の孔泉報道局長は、同日の中英首脳会談では核協議をめぐり「参加国や日程など具体的なことは話し合わなかった」としている。

 ただ仲介役を務める中国は「7月中の協議実現」を目標に北朝鮮に特使を派遣するなど外交努力を強化、米朝双方が対立していた協議の枠組みなどで歩み寄ってきた可能性もある。(共同)

「無策」と政権批判 北の核開発で米議員ら

2003年07月21日 The Sankei Shimbun
 北朝鮮が核兵器用プルトニウムの抽出が可能な第二の核燃料再処理施設を建設した可能性があるとの報道を受け、米議会の有力者らは20日、テレビ番組などで北朝鮮の脅威を強く警告。多国間協議以外は受け付けないとするブッシュ政権の「無策」ぶりを批判する声が相次いだ。

 上院情報特別委員会のロックフェラー副委員長(民主党)は「北朝鮮は核を使う用意がある。何も失うものがない」と脅威の切実さを強調。「(米朝中に日韓を加えた)5カ国が集まった後で、米朝が森を散歩しながら話すことだってできる」と述べ、多国間協議の枠組みの中で米朝両国の直接接触が不可欠だと指摘した。

 上院外交委員会の大物バイデン議員(民主党)は「この政権は無策だ。どうして事態を掌握しているなどと言えるのか」と言明。「外交が機能しないなら軍事的選択肢もあるが、とにかく今は話をすることだ」と、対話の形式にこだわり状況を悪化させている政権側を厳しく非難した。

 与党共和党のヘーゲル議員も「(イラク戦争前から)イラクより北朝鮮が脅威だと言ってきた」と言及。1994年の米朝枠組み合意をまとめたガルーチ元朝鮮半島担当大使は「ブッシュ政権の言う『外交的解決』の意味が理解できない。関与する用意がなければ、みんなが大きな代償を払うことになる」と語った。(共同)

日朝交渉再開を打診へ

2003年07月21日 The Sankei Shimbun
 政府は21日、北朝鮮の核開発問題をめぐり、米朝中に日韓が加わる5カ国協議の実現で実質的な対話が進展すれば、その場を活用して昨年10月から中断している国交正常化交渉の再開を北朝鮮側に打診する方針を固めた。

 日米韓3カ国は、核、拉致、ミサイル問題解決に向け北朝鮮への不可侵確約や経済・エネルギー支援を絡める「包括合意案」づくりを進めており、日本は経済協力実施を伴う日朝正常化への道筋も包括合意の「重要な柱」に据えることを想定。包括合意交渉が軌道に乗れば拉致、不審船、経済協力など日朝間の懸案を突っ込んで協議する正常化交渉についても「多国間協議と同時並行的に進める必要がある」(外務省幹部)と判断した。

 多国間協議を通じて北朝鮮から前向きな対応を引き出すことで、日朝交渉のこう着打開にもつなげる戦略だ。

 外務省幹部は「北朝鮮は日朝平壌宣言を重視しており、先の中朝協議などでも日本非難は控えている」として、北朝鮮が最終的には再開に応じるとの見通しを示した。

 拉致に関しては「人道上の問題であり、北朝鮮の意思一つで解決できる」(福田康夫官房長官)だけに、被害者家族の帰国や真相解明などは、正常化交渉再開の有無にかかわらず早期実現を求め続ける。

 政府内には、正常化交渉の再開問題をめぐり、被害者家族全員の帰国を最低限の条件にすべきだとの意見もあり、再開を提起するタイミングに関しては多国間協議での北朝鮮側の対応を見極めて最終判断する。

 日朝正常化交渉は昨年10月下旬にクアラルンプールで開催されたが、北朝鮮側は拉致被害者5人の永住帰国決定に反発。同年11月下旬の日朝非公式協議で日本に「交渉を行う雰囲気は整っていない」と通告、中断したままとなっている。

北朝鮮が第2の核施設建設 米当局、放射性ガス検出

2003/7/20 中国新聞ニュース
 【ニューヨーク19日共同】二十日付の米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は、北朝鮮が兵器転用が可能なプルトニウムを抽出できる二つ目の核燃料再処理施設を建設した可能性があると報じた。最新の諜報(ちょうほう)活動に基づく情報を入手した米国とアジアの複数の当局者が明らかにした。

 米当局は、北朝鮮周辺に設置されたセンサーで、プルトニウム抽出を裏付ける放射性ガス、クリプトン85を検出することで再処理作業の状況を調べている。同紙によると、コンピューターによる最近の解析の結果、ガスの発生源が寧辺の放射化学研究所ではなく、北朝鮮の山間部に極秘に建設された別の施設である可能性が浮上した。

 米当局者は新施設の存在を断定していないが、同紙は今後の米国の対北朝鮮外交や、限定的攻撃などの「軍事オプション」も視野に入れた検討作業に影響を与えると指摘。米当局から情報提供を受けたアジアの当局者も「重大な問題」との認識を示したという。

 北朝鮮当局者は今月上旬の米国との非公式協議で、約八千本の使用済み核燃料棒の再処理を完了するとともに、速やかに核兵器製造に着手する方針を表明。米中央情報局(CIA)などは、大量の再処理作業は寧辺の施設だけでは不可能との判断に傾き、別の再処理施設の存在に着目していた。

 米当局者は同紙に「北朝鮮は重要な軍事施設を複数に分散させる傾向があり、第三、第四の再処理施設がある可能性もある」と指摘している。

中国外務次官、米で相次ぎ会談

2003年07月19日 The Sankei Shimbun
 北朝鮮の核開発問題を話し合う多国間協議の早期開催を目指し、先に平壌を訪れた中国の戴秉国外務次官が18日午後(日本時間19日未明)、チェイニー米副大統領、ライス大統領補佐官(国家安全保障問題担当)、パウエル国務長官と相次いで会談した。

 北朝鮮が肯定的な米朝中の3カ国協議の早期開催を軸に、計3時間以上にわたって協議。会談内容は明らかでないが、戴次官は会談後記者団に「有益な会談だった。平和解決のプロセスを推し進めるため協力していく必要がある」と言明。4月の北京での3カ国協議後、こう着状態が続く事態の打開へ向け、引き続き関係国間の調整が必要なことを示唆した。

 3カ国協議をめぐってはブッシュ政権も柔軟姿勢を示し始めているが、日韓が加わった5カ国協議の早期開催が不可欠との基本姿勢は崩していない。中国はこの日の会談を受け、北朝鮮側に3カ国協議後の5カ国協議の早期開催を働き掛けていくとみられる。

 米朝関係筋によると、前回の3カ国協議を「5カ国協議の準備会合」と位置付けていた米側は3カ国協議を開く場合は、5カ国協議が直後に開かれなくてはならないとの立場。北朝鮮の金正日総書記は訪朝した戴次官に対し、米朝間で対話が実現するなら「協議形式にはこだわらない」と言明したとされ、一定の柔軟姿勢を示した。

 この日の会談ではこうした流れを受け、戴次官が米政府首脳に北朝鮮側の主張内容を詳しく説明。米側は日韓参加の「確約」が必要と力説し、北朝鮮を対話の場に引き出すための具体的な方策を議論したもようだ。(共同)

「日本除外は認めない」米、韓国報道に

2003年07月19日 The Sankei Shimbun
 北朝鮮の核問題解決に向けた多国間協議への日本の参加に北朝鮮が反対している−−との韓国の一部報道に関し、米政府高官は18日「(日本を除外した)4カ国協議を是認しない」と言明、米国としてはあくまで5カ国の枠組みで問題解決を図っていく意向を重ねて強調した。

 高官は「米国は4カ国協議の提案すら見たことがない」と述べ、関係国間で真剣な検討が行われていないと指摘した。(共同)

「北朝鮮は最も深刻な脅威」IAEA事務局長

2003年07月19日 The Sankei Shimbun
 国際原子力機関(IAEA)のエルバラダイ事務局長は18日、理事会の非公式協議で演説し、北朝鮮が使用済み核燃料棒の再処理を行ったとの情報について「核不拡散体制にとって最も差し迫った深刻な脅威だ」と警告した。

 事務局長は、北朝鮮の核問題をめぐり、協議再開の努力に期待を表明。関係国とともに包括的な解決を目指すとした。

 また、北朝鮮の核拡散防止条約(NPT)の脱退宣言は国際的に認められておらず、なお加盟国であるとの認識を示した。また「対話再開に向けた最近の中国の努力には勇気づけられる」とした。(共同)

北が日本の協議参加に反対

2003年07月18日 The Sankei Shimbun
 韓国の通信社、聯合ニュースは、韓国政府当局者が18日、核問題解決に向けた拡大多国間協議への日本参加に北朝鮮が強く反対し、中国もこれに同調していることを明らかにしたと伝えた。

 同ニュースは、このため米朝中の3カ国協議を一度開催した後、日韓が参加する5カ国協議でなく、当面は日本を除外した4カ国協議が開かれることになる可能性も出てきたと報じた。

 しかし、別の韓国政府当局者は共同通信に対して「日本を除外した多国間協議の可能性は低い」と言明。日本の外交筋も「4カ国での協議開催はあり得ないというのが日韓両政府の共通認識」と述べ、不快感を示した。

 同ニュースによると、北朝鮮は先に中国政府特使として訪朝した戴秉国外務次官に対し、日本の協議参加について反対を表明、中国も共感を示したという。

 こうした北朝鮮の意向は、米朝協議と位置付ける3カ国協議で米国から体制保証を引き出すなど、今後の交渉を優位に展開するため日韓の参加問題を駆け引きのカードとするとともに、協議に向けた日米韓の足並みを乱そうとの意図もあるとみられる。(共同)

北朝鮮問題で18日に会談 米長官と中国次官

2003年07月18日 The Sankei Shimbun
 バウチャー米国務省報道官は17日、北朝鮮の核開発問題をめぐり、パウエル国務長官と中国の戴秉国外務次官が18日に会談すると正式に発表した。会談は同日午後(日本時間19日早朝)の予定。戴次官はライス大統領補佐官(国家安全保障担当)とも会談する見通し。

 戴次官は15日まで北朝鮮を訪れ、金正日総書記とも会談。外交筋によると、次官は核問題のこう着状態打開のため、4月に北京で開いた米朝中の3カ国協議を再度行った上で、米国の求める日韓を含んだ5カ国協議を行うよう提案した。

 北朝鮮は3カ国協議については前向きだが、早期の5カ国協議開催については「明確な回答が得られていない」(米政府当局者)状況。戴次官が北朝鮮側との一連の会談を踏まえ、具体的にどのような北朝鮮側のメッセージを伝えるか注目が集まっている。

 バウチャー報道官は18日の会談について「(多国間協議の)方式、議題について話し合う」と説明。3カ国協議については「排除していない」と述べる一方、「5カ国協議に移る時だ」と日韓両国が参加する必要性を強調した。(共同)

北朝鮮が核爆弾1個分抽出 香港英字紙

2003年07月18日 The Sankei Shimbun
 18日付の香港英字紙エイシャン・ウォールストリート・ジャーナルは、北京の外交筋などの話として、中国の情報機関が最近数週間の間に、北朝鮮が少なくとも核爆弾1個を製造できるだけのプルトニウムを既に抽出した、と結論づけたと報じた。

 中国の内部報告書を見たり、説明を受けた外交筋などによると、同情報機関は、北朝鮮が使用済み核燃料棒の再処理で、ミサイルに装着する核弾頭を製造するのに十分な品質を備えた「兵器級」のプルトニウムを抽出していると結論。同報告書は少なくとも核爆弾1つをつくるのに十分な量と推定しているという。

 中国政府関係者は、この情報の確認を拒否したという。北朝鮮は8000本の使用済み核燃料の再処理完了を米国に通告したとされているが、同紙は「中国の報告は、北朝鮮の核兵器製造に向けた状況が、さらに進んでいることを示している」と指摘している。(共同)

多国間協議再開に期待 米国務長官

2003年07月17日 The Sankei Shimbun
 パウエル米国務長官は16日、北朝鮮の核開発問題について「外交解決のレールは生きており、極めて近い将来、進展することを期待している」と述べ、多国間協議の再開に期待感を表明した。

 国務長官は15日に行われた中国の李肇星外相と電話会談で「米国はまだ外交解決に期待を持っていると李外相に伝えた」と述べ、多国間協議再開に向け日韓両政府との密接な連携を強調した。

 また、北朝鮮に対する圧力を強化する一環として、北朝鮮からの脱出者を米国に受け入れることを検討していることも明らかにしたが、「(具体的な)提案はまだない」と述べた。

 国務長官は16日、ドイツのフィッシャー外相と北朝鮮問題やイラク情勢などについて協議後、記者団の質問に答えた。(共同)

米中外相が電話協議 北朝鮮の核問題

2003年07月16日 The Sankei Shimbun
 新華社電によると、中国の李肇星外相は16日朝、米国のパウエル国務長官と電話で北朝鮮の核問題について協議した。戴秉国外務次官が訪朝して14日に北朝鮮の金正日総書記と会談しており、関係国間の協議再開に向けた今後の対応を話し合ったとみられる。

 電話協議の具体的な中身について新華社電は、双方が「引き続き接触を保ち、中米間の建設的協力関係を発展させる」ことで一致したとしており、北朝鮮の核問題でも緊密に協力していくことを確認したとみられる。(共同)

北、5月に再処理 米韓は把握? 韓国紙報道

2003年07月16日 The Sankei Shimbun
 16日付の韓国紙、朝鮮日報は、北朝鮮が使用済み核燃料の一部を再処理した兆候を5月の段階で米韓両国が把握していたと報じた。

 韓国政府消息筋の話として伝えた。

 同筋によると、4月30日から5月1日にかけて北朝鮮・寧辺の再処理施設から煙が上がった直後、軍事境界線近くに配置された在韓米軍の測定機器が放射性ガスのクリプトン85を少量検出したという。

 米政府は最近、寧辺の関連施設からクリプトン85が検出されたことを確認したが、同筋はこれが別の方法で新たに検出したものなのか、5月に検出されたものを指すのかは確認できていないとしている。(共同)

「北は柔軟性示さず」米高官

2003年07月16日 The Sankei Shimbun
 米政府高官は15日、中国の戴秉国外務次官の北朝鮮訪問に関して「北朝鮮側は柔軟性を示さなかった」と述べ、日米韓が求める5カ国協議の開催をめぐり、大きな進展がなかったとの認識を示した。

 バウチャー国務省報道官も「新しいことは何もなかった」とした上で「彼らが本来始めるべきでなかったことを停止させるために、いかなる報酬も与えることはない」と明言。

 ロイター通信が中国側提案として伝えた「5カ国協議と並行した形での2国間協議開催」に対しても「新しいアイデアではない」と述べ、米側には妥協の余地がないとの姿勢を鮮明にした。

 またAP通信によると、ラムズフェルド国防長官の側近ディリタ氏は同日「ミサイル技術を移転してきた国だ。利益になれば核技術も移転する」と指摘。今後、北朝鮮が米側に伝えた使用済み核燃料棒の再処理完了の真偽を見極めていくと同時に、核拡散の動きに警戒を強める考えを示した。

 一方、朝鮮半島問題に影響力のあるペリー元国防長官が15日付米紙に、使用済み核燃料棒の再処理が進めば「戦争の道に向かう」と明言したことを受け、一部米メディアは「米朝衝突」(CNNテレビ)などと報道。「ペリー氏の懸念を共有する。このままでは極めて厳しい状況を迎える」(マンスフィールド太平洋問題センターのフレーク所長)と事態を深刻視する声も出始めている。(共同)

胡・中国主席の特使が金総書記に親書 核問題で意見交換か

2003年07月15日 The Sankei Shimbun

 北朝鮮の朝鮮中央通信によると、金正日総書記は14日、訪朝中の中国の戴秉国外務次官と会談、戴次官は胡錦涛国家主席(中国共産党総書記)の親書を金総書記に渡した。同通信は戴次官を「中国政府の特使」と報じた。

 報道は協議内容に一切触れていないが、戴次官は、核協議を早期に再開するよう説得、次回協議に日韓など関係国を加えるかどうかなど、枠組み問題でも意見交換したとみられる。

 核問題で中国側は、今年に入り政府高官や党幹部を北朝鮮に派遣していたが、北朝鮮が公式報道で中国政府高官の訪朝を伝えたのは初めて。金総書記と中国要人との会談は、昨年5月に訪朝した賈慶林・党政治局常務委員以来で、戴次官は、筆頭外務次官で2001年の江沢民国家主席(当時)の訪朝にも同行した実力者。

 北朝鮮が使用済み核燃料の再処理に踏み切ったとの情報が米国や韓国から相次いで伝えられ、朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)の軽水炉建設中断が論議されるなど、核問題をめぐる緊張が高まる中、今回の会談は、4月の米朝中の3カ国協議に続く核協議再開に向けた動きが大詰めを迎えていることをうかがわせる。

 会見には、北朝鮮の姜錫柱第一外務次官と中国の武東和・駐北朝鮮大使が同席、金総書記は夕食会を催した。(共同)

露原子力相:「北朝鮮の核兵器保有の証拠ない」

2003年07月15日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 【モスクワ町田幸彦】タス通信によると、ロシアのルミャンツェフ原子力相は15日、北朝鮮の核開発疑惑について「北朝鮮政府の表明を額面通り受け取って対応すべきではない。北朝鮮には現在、核兵器が存在する客観的証拠はない」と慎重な見方を示した。また、ロシアの核開発研究機関・クルチャトフ研究所のポナマレフ・ステプノイ研究員は、北朝鮮・寧辺(ニョンビョン)近くの大気中からプルトニウム抽出に伴い発生する放射性の「クリプトン85」が検出されたとの情報に関して「使用済み核燃料棒で試験的に実験しただけの可能性がある」と指摘した。

 米政府は、北朝鮮の燃料棒再処理の証拠とされる、クリプトン85の検出方法や経緯を明らかにしていない。しかし一部の西側メディアは今年に入り、ロシア側が米国の要請を受けて平壌のロシア大使館の屋上に放射線検知装置を設置したと報道。ロシア外務省はこの報道を否定したが、北朝鮮の核開発について何らかの情報提供に関与している可能性も指摘されている。

核、再処理完了と通告 北朝鮮が米にと報道

2003/07/13 中国新聞ニュース
 【ソウル13日共同】韓国の通信社、聯合ニュースは十三日、ワシントン発で、北朝鮮が八千本の使用済み核燃料の再処理を六月三十日に完了した、と米国に通告したと報じた。八日にニューヨークで行われた非公式協議で米側に伝えたという。

 同ニュースによると、米国に滞在中の韓国の張誠a前議員(民主党)が、北朝鮮問題に精通したワシントンの消息筋の話として明らかにした。

 非公式協議には、米国は国務省のプリチャード朝鮮半島和平担当特使らが、北朝鮮側は国連代表部の朴吉淵大使、韓成烈次席大使が出席した。

 北朝鮮側は、再処理した使用済み核燃料は核抑止力を確保するために使用する、と通告したという。

北朝鮮:核再処理開始情報、日本は先月下旬に情報

2003年07月12日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 北朝鮮による使用済み核燃料棒再処理開始に関する情報が米政府から日本政府に先月下旬、非公式に伝えられていたことが12日わかった。「寧辺の核関連施設で放射性物質が検出され、核燃料の再処理を開始した可能性が大きい」との内容だった。ただし米側は「最終確認ではない」とも説明していたという。

北朝鮮が核燃料再処理 米政府筋が初確認

2003/07/12 中国新聞ニュース
 【ワシントン11日共同=小片格也】米政府筋は十一日、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が使用済み核燃料の再処理を既に開始していることを確認したと明らかにした。

 北朝鮮の核関連施設から核燃料再処理が行われていることを裏付ける放射性ガスのクリプトン85が検出された。米NBCテレビによると、北朝鮮の核開発の拠点である寧辺の核関連施設から今週、検出された。これまでも再処理は既に始まっているとの見方が出ていたが、米政府が確認したのは初めて。

 ブッシュ米政権は核兵器開発に直接つながるプルトニウム抽出のための核燃料再処理を「レッドライン」(越えてはならない一線)として強く警告してきており、今後、国連安全保障理事会で協議中の北朝鮮を非難する議長声明採択や北朝鮮船舶に対する臨検実施などの圧力強化に乗り出すとみられる。北朝鮮が反発を強めれば米朝関係の緊迫化は必至だ。

 再処理を始めたのは一九九四年の米朝枠組み合意で封印、保管されていた使用済み核燃料棒約八千本の一部とみられる。

 米政府は北朝鮮の核開発を確認するため、人工衛星や偵察機などによる監視を続けていた。NBCテレビによると、放射性ガスなどの採取は通常航空機によって行われるが、今回米政府は「最高機密に属する方法」(政府高官)で寧辺の核施設周辺の空気を採取したという。

 米情報機関は十日、ホワイトハウスに北朝鮮が使用済み核燃料の再処理を開始した事実を報告した。

 核燃料再処理は核兵器製造のためのプルトニウム抽出に直結する動きで、約八千本が再処理されれば原爆五個分のプルトニウム抽出が可能と推定される。

「適切な対話」で平和解決 核問題で南北閣僚級会談

2003年07月12日 The Sankei Shimbun
 ソウルで開かれた韓国と北朝鮮の第11回閣僚級会談は12日午前、北朝鮮の核問題を「適切な対話の方法を通じ平和的に解決する」などとする6項目の合意を盛り込んだ共同報道文を発表、終了した。次回会談は10月14−17日に平壌で開かれる。

 会談で韓国側は、日韓を含む拡大多国間協議の早期受け入れを強く迫り、報道文に明記することを狙ったが、北朝鮮側は「核問題は対米協議事項」との従来姿勢を固守。多国間協議を示唆する「適切な対話」という文言を盛り込むにとどまり、大きな進展を引き出すことはできなかった。

 しかし韓国側は、核開発は絶対容認できないとの韓国や国際社会の共通認識を伝達したことは意義があったと強調しており、今後の北朝鮮の出方が注目される。

 合意はこのほか(1)9月11日の秋夕(中秋)に合わせ北朝鮮の金剛山で離散家族再会(2)金剛山地区で離散家族面会所の着工式を行うよう協力(3)第6回南北経済協力推進委員会を8月26日からソウルで開催−などが盛り込まれた。

 一方、核問題で緊張が高まる中、軍事面での緊張緩和を図るため韓国が提案した第2回南北国防相会談は北朝鮮側が前向き姿勢を示さず、合意に至らなかった。

 北朝鮮代表団は12日午前に会談場となったソウルのホテルを出発、北京経由での帰途に就いた。(共同)

多国間への方向性示さず 北の核で中韓

2003年07月09日 The Sankei Shimbun
 中国と韓国は8日、韓国の盧武鉉大統領が胡錦涛国家主席や温家宝首相ら中国指導部と行った一連の会談を受け、北朝鮮の核問題の対話による平和的解決などをうたった11項目の共同声明を発表した。盧大統領と温首相による同日夜の夕食会を兼ねた会談後に発表した。

 声明で両国は、4月の米朝中による3カ国協議で始まった「対話の流れが持続し、情勢を肯定的な方向へ発展させていくことを希望した」と述べ、対話解決の原則では一致。しかし、次回以降の協議を日韓を加えた多国間協議とするかどうかなど具体的方向性は明確にしなかった。

 米朝協議にこだわる北朝鮮を一方的に押し切ることを避け、協議の枠組みはあいまいにしたまま、北朝鮮を協議に誘導しようとする中国の慎重さが背景にあるとみられるが、韓国も北朝鮮への圧力強化を通じた事態打開には消極的。中韓とも対話重視を鮮明にすることで、北朝鮮に協議再開に応じるようメッセージを送った形だ。

 韓国は訪中結果を踏まえ、9日からソウルで予定される第11回南北閣僚級会談でも、北朝鮮に多国間協議を含む核協議再開を促すとみられる。

 声明はまた、両国の経済協力を先端技術など幅広い分野に拡大、胡主席の訪韓と、文化や人的交流の幅も広げることなどを盛り込んだ。

 盧大統領は中国経済界の指導者と同日行った会合で「北東アジアでの経済成長の潜在力を高めるため、日中韓3カ国の経済協力を強化する必要がある」と訴え、自身の掲げる北東アジア共同体構想への理解を求めた。

 9日に盧大統領は胡主席の母校、清華大学での演説などを行い上海へ移動、10日に帰国する。(共同)

北朝鮮、少量の核燃料棒を再処理か

2003年07月09日 The Sankei Shimbun
 韓国の情報機関、国家情報院の高泳●(考の中に口)院長は9日、国会の情報委員会で、北朝鮮が最近、使用済み核燃料棒約8000本のうち少量を再処理したと推定していることを明らかにした。非公開の同委に出席した議員の話として韓国メディアが伝えた。

 核兵器用プルトニウム抽出につながる使用済み核燃料再処理をめぐっては、米中央情報局(CIA)が既に開始した可能性があると分析していると米紙が報じたが、韓国政府が同様の見方を明らかにしたのは初めて。

 高院長は、再処理が行われた可能性のあるのは「寧辺の核再処理施設」と言明。これは放射化学研究所を指すとみられる。高院長はまた、寧辺の北西40キロの地点にある亀城市龍徳洞(ヨンドクトン)で核爆弾製造につながる高性能爆薬を使った起爆実験が過去70数回行われたことを把握していると述べた。

 起爆実験については、今月米紙ニューヨーク・タイムズが、軍事境界線近くにある「ヨンドクトン」実験場として挙げたが、高院長の発言はこれを否定したとみられる。

 ただ実験自体は尹永寛・外交通商相が3日、龍徳洞で1997年から数回行った事実を把握していると言明。朝鮮日報は昨年、北朝鮮が同様の起爆実験を93年までに約70回、米朝枠組み合意後の98年以降も70回以上実施していたと報じていた。(共同)

日本の暴力団資金も収入源 北朝鮮の核開発で米次官

2003/06/05 中国新聞ニュース
 【ワシントン4日共同】ボルトン米国務次官(軍備管理・国際安全保障担当)は四日、北朝鮮の核など大量破壊兵器開発について、日本の暴力団からの収入などが充てられているとの見方を示した。下院外交委員会での証言で語った。

 日本で北朝鮮への送金や密輸取り締まり強化が論議されているのを念頭に置いた発言とみられる。

 次官は、北朝鮮が大量破壊兵器を開発するための収入源として@ 大量破壊兵器やミサイルの売却A麻薬密売B国外での違法行為による送金や日本などでの暴力団犯罪からの収入―を挙げた。

 暴力団からの収入は、覚せい剤を暴力団に密売することで得た資金などを指すとみられる。

 次官は、大量破壊兵器拡散阻止のため「三つの現金収入源に焦点を合わせている」と述べ、これらの活動を取り締まるため関係国などと集中的に方策を協議していることを示唆した。

 次官は、これらの資金を断ち切っても「貧困にあえぐ北朝鮮の一般市民には影響はない」と強調、金正日体制と大量破壊兵器開発に打撃を与えることができるとの考えを示した。

 北朝鮮と暴力団をめぐっては、過去に漁船を装った工作船による覚せい剤の洋上取引が警視庁などによって摘発されている。

北の核問題で日米韓が協議へ ホノルルで12、13日

2003年06月02日The Sankei Shimbun
 政府は2日、北朝鮮の核開発問題を協議する日米韓3カ国の政策調整会合(外務省局長級)を今月12、13の両日にハワイ・ホノルルで開くと発表した。

 北朝鮮に検証可能な形での核開発放棄を確約させ、ミサイル問題などを含めた包括解決を図るための対応を協議。会合後には日米韓3カ国が連携して平和的解決を目指す方針や、北朝鮮が事態をエスカレートさせた場合には厳しい対抗措置を講じることなどを盛り込んだ共同文書を発表する。

 4月下旬に米朝中の枠組みで開かれた多国間協議をめぐり、次回の開催時期や日韓両国の参加の在り方に関しても緊密に意見交換する。

 薮中32アジア大洋州局長、ケリー米国務次官補、李秀赫・韓国外交通商次官補が出席する。

多国間協議が唯一の解決策 北の核問題で米政府

2003年05月28日The Sankei Shimbun
 北朝鮮が米国との2国間協議の実現後に、日本、韓国を含めた多国間協議に応じる用意があると表明したことに対し、米政府高官は27日、相次いで「多国間協議だけが唯一の解決策」などと慎重に論評した。

 北朝鮮の軟化とも受け取れる談話表明だが、ブッシュ政権は「核開発の検証可能かつ不可逆的な放棄」を北朝鮮が確約しない限り、体制保証や経済協力の具体的交渉に入らないとの方針を貫く構えだ。

 パウエル米国務長官は「彼らの発言を精査している」としながらも「将来、協議があるとすれば、拡大した多国間協議だ」と明言。次回協議の見通しについては日本、韓国を含めた5カ国協議の可能性を示唆した。

 バウチャー国務省報道官も会見で「2国間合意をほごにしてきた歴史からみて、懸念を抱くすべての当事者が関与した多国間プロセスのみが永続的な解決策を見いだし得る」と指摘。米朝枠組み合意や北朝鮮が最近「無効」を宣言した南北非核化共同宣言を念頭に、米朝2国間のいかなる取り決めも意味がないとの見解を示した。

 米朝関係筋はブッシュ政権の基本方針について「北朝鮮の核放棄が交渉開始の前提」と説明。「米政府はこうした方針を近く行われる中国やロシアとの首脳会談でも確認し『対北包囲網』を形成していく考えで、北朝鮮の提案に応じることはあり得ない」としている。(共同)

北朝鮮、2―3年で核爆弾数百個製造…CIAが聴取

2003/05/26 読売新聞Yomiuri On-Line
 【ニューヨーク=河野博子】26日発売の米誌タイム最新号は、米中央情報局(CIA)が、北朝鮮の核開発にかかわってきた外国人科学者を協力者として迎え、聴取したところ、「北朝鮮が2、3年以内に数百の核爆弾を製造する可能性がある」との情報を得たと伝えた。

 米当局者によると、この外国人科学者は北朝鮮の核兵器開発について「核開発施設の場所や、開発の進み具合、兵器としての能力」など、重要な情報を提供したという。科学者の国籍などは明らかでない。

 この科学者は先月、米政府に「リクルート」され、米国内に移り住んだ。CIAはこれまで、北朝鮮が保有する核爆弾は2つと見ていたが、この外国人科学者の協力によって、こうした推定が裏付けられたほか、「それとは別に、核爆弾数百個を製造する過程が進行中という可能性も出てきた」(米当局者)という。

韓国がコメ40万トン支援へ 南北経済委

2003年05月23日 The Sankei Shimbun
 平壌で開かれていた韓国と北朝鮮の第五回南北経済協力推進委員会は23日夜、韓国が借款方式で40万トンのコメを支援することなどで合意、7項目の合意文を発表した。

 このほか(1)南北を連結する京義線・東海線の連結行事を6月10日ごろ実施(2)開城工業団地の着工式を6月中旬実施(3)臨津江水害防止の共同調査を6月中旬実施(4)金剛山観光の6月中再開へ努力−などでも合意、次回委員会を8月下旬にソウルで開催することにした。

 今回の委員会は米韓首脳会談後初の南北対話として注目されたが、北朝鮮の核問題が深刻化する中、南北が交流・協力を引き続き推進することを確認したといえる。

 合意文では北朝鮮の核問題に言及しなかったが、韓国は北朝鮮の核問題が悪化する場合は食糧支援にも支障が出ることを強調したと説明した。

 また、コメ分配の透明性を高めるため、韓国が10万トンごとに分配結果の通告を受け、東西1カ所ずつ分配現場を訪問することにした。

 同委員会は北朝鮮側の「(南北が)対決方向に行けば南側は想像できない災難を被るだろう」との発言で空転、日程を1日延長するなど難航したが、北朝鮮の朴昌蓮首席代表は韓国側に発言を釈明した。

 同委員会は23日夜に全体会議を開き、合意文を採択した。(共同)

北朝鮮が再処理着手の兆候…米が分析と米紙

2003/05/07 読売新聞 Yomiuri On-Line
 【ワシントン=菱沼隆雄】7日付けの米ワシントン・ポスト紙(電子版)は、複数の消息筋の話として、北朝鮮が約8000本の使用済み燃料棒の再処理に着手した兆候が過去48時間以内に強まったと、米情報当局が分析していると伝えた。

 再処理着手は、兵器級プルトニウムの生産に直結するだけに、米政府が何らかの行動をおこす「政治的限界線」(米政府高官)とされ、報道が事実とすれば、今後、米政府が北朝鮮に対し、経済制裁なども視野に態度を一層硬化させる可能性がある。

 同紙によると、北朝鮮の寧辺(ヨンビョン)にある核施設で数日前、人の動きが活発化するなど、何かが起きていることを示すいくつかの兆候があった。ただ、再処理に踏み切ったとの確かな結論を出すには至っていないという。

 また同紙は、今後北朝鮮との協議を行う場合は、米政府は中国とともに、日本と韓国も協議に加えるよう主張していく計画である、と伝えた。

 米政府と北朝鮮との間の対話では、先月23日から3日間、中国をまじえた3か国協議が行われた。この席上で、北朝鮮が核保有とともに、燃料棒の再処理着手を表明したことを受け、米政府は対応の検討を迫られていた。またブッシュ政権は、北朝鮮代表の発言の真意を突き止めるため、米中央情報局(CIA)などに対し、核保有や燃料棒の着手が事実化どうか調査を急がせていた。

 ◆再処理=使用済み核燃料棒からプルトニウムを抽出する作業。先月下旬の米中との3か国協議で、北朝鮮代表は保有する約8000本の燃料棒からのプルトニウム抽出を終えた、と発言したとされる。事実なら、北朝鮮は核爆弾6個分のプルトニウムを新たに手にしたことになる。

さらに核製造、輸出も 北朝鮮が3カ国協議で表明 2003/5/1 中国新聞ニュース
 【ワシントン30日共同=太田昌克】パウエル米国務長官は三十日、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が北京での米朝中三カ国協議で、米国の対応次第では、今後さらに核兵器を製造し、第三国への輸出や技術供与を行う考えがあると米に対し表明していたことを明らかにした。議会上院の歳出委員会小委員会の公聴会で証言した。

 使用済み核燃料棒の再処理で抽出したプルトニウムを原料に核兵器を増産し、非保有国へ拡散する意図をほのめかすことで、北朝鮮が強く求める体制保証や重油供給再開などで米側の譲歩を引き出すのが狙いとみられる。

 ただ、こうした北朝鮮の「好戦的なやり方」(パウエル長官)に米政府内の強硬派が反発し、対話中止を一層強く求める可能性もある。

 長官は、協議の中で北朝鮮側がケリー国務次官補(東アジア・太平洋担当)に対し、核兵器保有と再処理終了を伝えた上で「もっと核をつくれるし、移転だってできる。米国の行動次第だ。時間をかけて考えてみるといい」と発言したと言明。

 しかし長官は「われわれは脅されないし、急がないし、パニックに陥ることもない」と強調し、米国は過剰反応せず、発言内容などを精査して慎重に対処していく考えをあらためて示した。

 また、三カ国協議で北朝鮮側が「新たな提案」として出した包括交渉案が、核やミサイル問題を解決する可能性があるとの認識を示した上で、「あらゆる選択肢がテーブルの上にあり、検討を行っている」と指摘した。

 アーミテージ国務副長官も同日ワシントン市内で講演し、北朝鮮の核問題は「忍耐強く落ち着いた多国間外交によって処理できる問題」と強調、外交当局として対話継続への意欲をにじませた。

3カ国協議 北、核開発放棄を提案 米の敵視撤回条件

2003年04月29日 The Sankei Shimbun
ミサイル凍結、査察も

 【北京=伊藤正】ロイター通信が二十八日、北京の西側外交筋の話として伝えたところによると、中国政府当局者は、先に北京で行われた米朝中三カ国協議の際、北朝鮮側が米側に対し、敵対的な対朝政策をやめるなら、核開発計画を放棄する用意があると表明したことを明らかにした。北朝鮮側はさらに、弾道ミサイル発射実験の凍結、ミサイル輸出の停止や核査察の受け入れについても申し出たという。

 同外交筋は先週、中国当局者からこの説明を受けたとされる。事実とすれば、北朝鮮が核兵器保有を言明する一方で、米国からの軍事的脅威を除き、西側からの援助を獲得するために、妥協の道を真剣に探っている兆候として注目されよう。

 中国外務省高官と接触した別の西側外交筋によると、中国側は三カ国協議を米朝対話への「好スタート」と評価、核保有発言とは対照的に、北側が金正日体制維持のため、かなり柔軟な姿勢を示したことを示唆したという。これを含め、中国当局者が西側筋に、三カ国協議での北の柔軟姿勢を明らかにしたことは、対話による平和的解決を主張する中国側が、米国内の強硬論を牽制(けんせい)する意図からとみられる。

 北朝鮮側の提案が事実としても、実際に核計画を放棄するかどうかには不確定要素があり、問題の解決までには長い時間を要すると二十八日付の中国共産党機関紙「人民日報」は論評している。

 【ワシントン=樫山幸夫】パウエル米国務長官は二十八日、先に北京で開かれた米国、北朝鮮、中国の三カ国協議の場で、北朝鮮が核、ミサイル問題を解決するために、いくつかの提案をしたことを認めた。

 パウエル長官は具体的な内容については明らかにしなかったが、北朝鮮は提案と引き換えに、相当な見返りを要求したという。パウエル長官によると、北朝鮮は、「核実験」という表現は用いなかったといい、「何らかの形で、核能力を示すことができる」と述べたという。

 パウエル長官はまた、北朝鮮が核再処理を開始したか、完了したかどうかについて「情報機関は確認していない」と述べ、現段階で米国として確実な情報を得ていないことを示唆した。

「北は条約義務の順守を」米が要求…NPT準備会合

2003/04/29 読売新聞 Yomiuri On-Line
 【ジュネーブ=大内佐紀】2005年開催の核拡散防止条約(NPT)運用検討会議に向けた第2回準備会合が28日、ジュネーブの国連欧州本部内で始まった。

 冒頭、ラズロ・モルナール議長(ハンガリー国連大使)は、北朝鮮のNPT脱退問題は今会合の議題としないことを宣言し、脱退が有効か否かの法的判断も下さない方針を示した。また議長は、「NPTからの脱退を阻止するような方策を見いださなければならない」と加盟国に呼びかけた。

 一般討論演説では、米国のジョン・ウルフ国務次官補(不拡散担当)が「NPT条約の基本的な義務に違反しようとする者に対し、より強力な障害を設けるべきだ」と述べ、北朝鮮を名指ししてNPTの義務順守を求めた。

 次官補は、具体的にどのような「障害」を設置しうるかについては、「あらゆる選択肢がある」としながらも、北朝鮮の核問題は「平和的・外交的手段で解決する」との立場を確認した。

条件付き核放棄など提案 韓国紙、北側提案を報道

2003/04/28 中国新聞ニュース
 【ソウル28日共同=平井久志】韓国紙の東亜日報は二十八日、北京で行われた米朝中三カ国協議で北朝鮮が提案した「新しい提案」について、条件付きの核放棄など検討に値する内容が含まれていると報じた。

 提案の中身が具体的に明らかになったのは初めて。核放棄のための条件は明確ではないが、同紙は、米国が文書などで北朝鮮の体制保証を行うことや、昨年十二月から凍結されている重油提供の再開などと推定している。

 同紙によると、提案は(1)北朝鮮が米国に求めてきた不可侵条約締結要求の緩和(2)ロードマップ(進行表)方式の各段階での解決方法提示(3)新たな経済支援要求の留保(4)条件付きの核放棄意思の表明などが骨子。

 韓国政府当局者は「米国が北の核保有発言にもかかわらず、協議の成果があったとするのは、北側の提案に検討に値する肯定的な要素があるためだ」と述べた。

 北朝鮮はこれまで米国に対し、議会の採決を経た不可侵条約締結を要求してきたが、今回は条件を付けず、単に文書による不可侵の保証を求めたという。

 さらに重油提供が再開されれば、北朝鮮が取る措置など各段階ごとの対応を詳しく提案し、その中に核放棄の内容も含まれているとしている。

 同紙によると、韓国政府当局者は「北は協議でいきなり核保有を認めたのではなく、北側が提案をした後に出たことに注目する必要がある」と説明した。

韓国、核廃棄を強く要求 平壌で南北閣僚級会談

2003年04月27日 The Sankei Shimbun
 韓国と北朝鮮の第10回南北閣僚級会談が27日午後、平壌市内のホテルで始まった。韓国首席代表の丁世鉉・統一相は基調演説で「北の核保有発言が事実なら、韓(朝鮮)半島非核化共同宣言に全面的に違反する重大な事件だ。北の核保有は絶対に容認できない」と述べ、北朝鮮に核兵器廃棄を強く要求した。

 韓国側は「核保有発言は事実か」とも問いただしたが、北朝鮮首席代表の金●(●=月ヘンに令)星・内閣責任参事は答えず「北京での協議で新しく大胆な提案をした」とだけ述べ、核問題ですれ違いを見せた。

 南北閣僚級会談は今年1月以来約3カ月ぶり、盧武鉉政権発足後は初の開催だが、難航は必至。

 韓国側スポークスマンによると、韓国側は北朝鮮に非核化共同宣言の責任と義務を果たすよう要求し、核問題の平和的解決のために関係国との対話と協力を求めた。

 北朝鮮側は米韓合同軍事訓練実施などを批判し、盧武鉉政権が2000年の南北共同宣言を誠実に履行することを求めた。さらに6月の同宣言3周年前後に南北を結ぶ鉄道・道路の着工式を行い、離散家族面会所の早期開設へ双方が支援するよう訴えた。

 韓国側は核問題の重要性を考慮、南北交流協力問題への言及を避けた。北朝鮮は相互支援をしようとだけ述べ、この日は肥料やコメの支援を具体的に求めなかった。

 韓国は北朝鮮の核問題解決と南北関係進展を並行して進める方針だが、具体的合意を生み出せるかどうかが注目される。

 会談には5人ずつの代表が出席、29日までの予定。韓国代表団四十数人は27日午前、チャーター便で平壌入りした。(共同)

「北朝鮮核問題」連携で一致…米中首脳

2003/04/27 読売新聞 Yomiuri On-Line
 【北京=竹腰雅彦】新華社電によると、中国の胡錦濤国家主席は26日夜、ブッシュ米大統領と電話会談し、北朝鮮の核開発問題などについて協議、今後も米中が連携をとり、外交手段と対話を通じて問題解決を図っていくことで一致した。

 胡主席は、米中朝3か国協議について、「問題の平和解決に向け良い端緒になった」と述べ、ブッシュ大統領は、協議で中国が果たした積極的努力に謝意を示した。

 また、新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)に関して胡主席は、「人類共通の敵であり、我々は国際社会との協力を図りたい」と述べ、ブッシュ大統領は可能な限りの協力を表明した。

対北朝鮮、外交的解決望むと米国防長官

2003/04/26 読売新聞 Yomiuri On-Line
 【ワシントン=菱沼隆雄】ラムズフェルド米国防長官は25日、記者会見を行い、北京で行われた米国、中国、北朝鮮による3か国協議について、「ボールを前に動かせなかった」と述べて否定的な見解を示す一方で、核保有を宣言した北朝鮮に対する現時点での武力行使の可能性については否定し、今後も外交努力による解決を探る方針を強調した。

 ただ、核カードで揺さぶりに出た北朝鮮に対し、米政権が今後、圧力を強めるのは間違いなく、ロイター通信は、米政府が、北朝鮮の核開発を非難する国連安全保障理事会の議長声明採択を、来週中にも目指す方針であると伝えた。

 同長官は、今後の北朝鮮の核開発問題への取り組みについて、「大統領とパウエル国務長官がこの問題に取り組んでおり、最終的には外交的手段で解決できると期待している」と述べた。

 ただ、今後の3者協議の継続の可能性については、中国は前向きの姿勢を示しているものの、米政府は「今回の協議で起きたことをすべて分析したうえで決定する」(バウチャー国務省報道官)と繰り返しており、3者協議が継続される保証は現時点ではない。

 一方、ロイター通信によると、米情報筋は、兵器級プルトニウムの量産につながる8000本の使用済み燃料棒の再処理をほぼ終了しているという北朝鮮側の発言について、疑わしいとの見方を示しており、北朝鮮の真意がどこにあるのか、検討を急ぐことにしている。

 仮に核保有や再処理着手が事実とした場合は、米政府が態度を一気に硬化させるのは確実。米政権内には外交的解決の中には、非軍事的対応策である制裁なども含まれるとの見方が強い。

 また、ロイター通信によると、米政府高官は25日、米政府が、北朝鮮の核開発を非難する国連安保理議長声明の来週中の採択を目指し、北朝鮮の包囲網を構築に乗り出す姿勢を示すとともに、決議採択を嫌ってきた中国も、今回は採択に向けての障害にならないとの見通しを示した。

IAEA:北朝鮮のNPT復帰を求める 核兵器保有問題で

2003年04月26日 [毎日新聞4月26日]
 【ウィーン福井聡】国際原子力機関(IAEA)は25日、北朝鮮の核兵器保有問題について、「事実ならば、核兵器拡散防止の国際努力にとって明らかな後退となる」と非難し、改めて北朝鮮に核拡散防止条約(NPT)への復帰を求めた。

 IAEAのエルバラダイ事務局長は「北朝鮮がNPTに復帰するための合意が得られ、IAEAの査察が再開されるよう希望している」と述べた。

「北朝鮮発言は精査必要」と米大統領報道官

2003年04月26日 The Sankei Shimbun
 フライシャー米大統領報道官は25日、記者団に対して、米朝中の3カ国協議で核保有を言明した北朝鮮について「いつも複雑で独特な方法で協議する」と述べ、核保有や使用済み核燃料棒の再処理に踏み切ったかどうかを今後、精査する必要性を指摘した。

 3カ国協議の成果については「協議は始まったばかり。初期的な協議は有益だ。中国が重要な役割を演じた」と述べ、一定の評価を与えた。

 報道官は「将来の協議に日韓両政府を加えることが重要」と指摘したが、今後の日程などについては、今回の協議内容を分析し、北朝鮮周辺国と緊密に連絡しながら、米政権内で議論して決める方針を明らかにした。

 報道官はまた、ブッシュ政権の北朝鮮政策は「検証可能で不可逆的な核開発計画の終結を外交手段で達成することだ」と述べ、政権内の強硬派から出ている北朝鮮の「政権交代論」については否定的な見解を示した。(共同)

北朝鮮が「核保有」言明 使用済み燃料再処理も

2003/04/25 中国新聞ニュース
 【ワシントン24日共同=小片格也】米政府高官は二十四日、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が北京で行われた米朝中の三カ国協議の際に、核兵器を既に保有していると米側に伝えたことを明らかにした。米国筋によると、北朝鮮は使用済み核燃料の再処理も開始したと米国に通告した。

 北朝鮮が核兵器保有や再処理着手を公式の場で述べたのは初めて。米国筋によると、北朝鮮はブッシュ米政権の今後の対北朝鮮政策次第では、核実験に踏み切る可能性も示唆した。

 北朝鮮の核保有発言は、ブッシュ政権内の対北朝鮮強硬派を勢いづかせるのは必至で、米朝関係の緊迫化が予想されるほか、東アジアの安全保障情勢にも影響を与えるとみられる。

 三カ国協議は二十五日午前に終了。米首席代表を務めたケリー国務次官補(東アジア・太平洋担当)は同日夕、ソウル入りし、韓国の尹永寛・外交通商相らと会談。「核保有」発言の詳細などについて説明する見通し。二十六日には訪日する。

 ブッシュ米大統領は二十四日、米NBCテレビのインタビューで、発言について「脅しのゲームだ。屈しない」と述べ、核拡散防止体制を強化する方針を表明した。

 米CNNテレビなどによると、三カ国協議の初日である二十三日の協議で、北朝鮮首席代表の李根・外務省米州副局長がケリー国務次官補に対し(1)北朝鮮には核兵器開発計画がある(2)核兵器を保有しており廃棄には応じられない(3)核保有の物理的な実証は米国の対応次第である―と伝えた。「物理的実証」とは核実験を指すとみられる。

 李首席代表はケリー次官補に二国間だけの協議の場でこれらを伝えた。

 バウチャー米国務省報道官は二十四日の記者会見で、北朝鮮の発言について「慎重に分析し、今後の対応を決める」と説明。米国筋は「北朝鮮の主張はどの程度事実か分からない。分析が必要だ」と述べた。

 米情報機関はこれまでも北朝鮮の核保有を推定しており、米国筋は今回の発言について「ショックではない」と述べた。

 米朝協議に詳しいワシントンの外交筋によると、北朝鮮は二十三日の協議で、不可侵の文書での確約、金正日体制の保証などの要求項目をあらためて米国に提示した。

核再処理作業への最終段階 北朝鮮、3者協議を初確認

2003年04月19日 The Sankei Shimbun
 北朝鮮の外務省スポークスマンは18日、朝鮮中央通信を通じた談話で、核問題をめぐる米国、中国との協議が「北京で近く開かれる」とし、23日の3者協議開催を初めて認めた上で、使用済み核燃料の再処理作業に至る作業が「最終段階にあり、順調に進められている」と表明した。

 米国が北朝鮮の核開発について、越えてはならない「レッド・ライン」としている再処理作業への準備が最終段階に入ったことを北朝鮮が公式に確認したのも初めて。

 スポークスマンは、使用済み核燃料の再処理について「3月初めに米国をはじめ関連国に経過を通報していた」とも述べた。(共同)

 ■使用済み核燃料の再処理 原子炉から取り出した燃料棒を化学処理し、燃え残りのウランや核分裂で生成されたプルトニウムを抽出すること。ウラン、プルトニウムとも燃料として再利用が可能だが、北朝鮮には核燃料サイクルの技術が確立されておらず、再処理目的は、核兵器に転用可能なプルトニウム生産との疑惑を招いた。再処理施設とみられる寧辺の放射化学研究所は、1994年の米朝枠組み合意で未完成のまま凍結されたが、北朝鮮は昨年12月、実験用の黒鉛減速炉とともに封印を撤去した。(共同)

米、北に強い不快感 米紙報道

2003年04月19日 The Sankei Shimbun
 19日付の米紙ワシントン・ポストは、ブッシュ米政権が北朝鮮の発表した談話に強い不快感を抱き、米朝中の3カ国協議開催が危うくなっていると報じた。

 同紙によると、米政府高官は18日、ブッシュ政権内では、北朝鮮の談話について「たちの悪い声明」「協議を開始する姿勢でない」という認識で一致しつつあると述べた。

 北朝鮮が18日に発表した英文談話の中で、使用済み核燃料の再処理に着手したと解釈できる表現があり、3カ国協議の是非をめぐりブッシュ政権内部で対立が再燃。米政府は北朝鮮が協議に強硬姿勢で臨むとの見方を強めているという。

 また、複数の米政府当局者は、偵察衛星写真を分析の結果、北朝鮮が8000本の使用済み核燃料棒の再処理に着手したことを示す兆候はないと述べている。(共同)

韓国:盧大統領、6月訪日へ 北朝鮮核問題などで意見交換

2003年04月17日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 【ソウル澤田克己】韓国政府当局者は17日、韓国の盧武鉉(ノムヒョン)大統領が6月に訪日する方向で最終調整が進められていることを明らかにした。日韓両国は、6月中の訪日では基本的に合意しており、9〜11日などの日程が検討されている。同大統領の訪日は、2月の就任後初めて。

 小泉純一郎首相との首脳会談では、北朝鮮の核問題解決へ向けた米中朝3国の協議が今月23日から始まるのを受け、多国間協議に日韓両国が加わるための方策などを協議。核問題の平和解決へ向けて、両国が緊密な協力を続けていくことを確認する見込みだ。

 両国は、天皇陛下の招待となる国賓としての訪問としたい考えだが、天皇陛下が1月に前立腺がんの摘出手術を受けたばかりで体調が万全でないことや、宮中の日程調整が難しいことから、実務訪問となることもありうるという。

 盧大統領は就任後初の外国訪問として、5月11日から訪米し、14日にブッシュ大統領との首脳会談に臨む。大統領は、核問題解決へ向けた環境作りのため、朝鮮半島情勢に深い関係を持つ日米と中国、ロシアへの早期訪問に強い意欲を見せており、訪日後に中露両国を訪問する調整も進められている。

中韓外相:北京で会談、朝鮮半島の非核化推進で一致

2003年04月10日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 【北京・浦松丈二】中国中央テレビによると、中国の李肇星外相と韓国の尹永寛(ユンヨングァン)外交通商相が10日、北京で会談し、朝鮮半島の非核化推進で一致した。尹外交通商相は11日に唐家セン国務委員(外交担当)らと会談し、12日に帰国する。

 北朝鮮の核開発問題について、李外相は「対話を通じた平和解決」を訴え、尹外交通商相は「南北朝鮮の交流と協力を続ける」と表明した。中国が3月の全国人民代表大会で新体制を発足させてから、中韓の外交担当閣僚が本格的な意見交換を行うのは初めて。

北の核、非公式協議では非難の議長声明出さず…安保理

2003/04/08 読売新聞 Yomiuri On-Line
 【ニューヨーク=河野博子】国連安全保障理事会の常任理事国5か国は7日、フランスの国連代表部で大使級会議を開き、9日に行われる北朝鮮の核問題をめぐる非公式協議では、北朝鮮を非難する議長声明を出さないことを決めた。常任理事国外交筋が明らかにした。

 同筋によると、北朝鮮と米国を含む多国間協議の実現可能性が出ていることを受けて、議長声明をすぐに出そうとせず、安保理としての一致した対応を慎重にさぐることになった。

 米国は当初、北朝鮮の国際原子力機関(IAEA)との保障措置協定の不履行を非難し、核拡散防止条約(NPT)復帰を求める議長声明を早期に出すべきだと主張していた。これに対し中国は消極的な姿勢を維持してきた。

 国連安保理の議長声明は、常任、非常任理事国計15か国の同意をとりつけて出される。決議と違って拘束力はないが、安保理の基本的立場を表明する。

核問題で北朝鮮「安保理協議は戦争の前奏曲」

2003年04月06日 (共同) The Sankei Shimbun
 朝鮮中央通信によると、北朝鮮の外務省スポークスマンは6日、国連安全保障理事会が9日に予定している北朝鮮の核問題協議について「対話努力を破たんさせる挑発行為で戦争の前奏曲」と批判する声明を発表した。

 声明はさらに「イラク戦争は米国と不可侵条約を結んでも戦争は防げないことを示した」とし「安保理が米国の(対北朝鮮)封じ込め政策に利用されるなら、潜在力を総動員し、戦争の抑止力を持たざるを得ない」と警告した。

 北朝鮮は核問題が表面化した昨年10月以降、米国に直接対話と不可侵条約締結を要求してきたが、条約を見切ったような今回の声明が対米交渉戦略の転換を意味するかどうかは不分明だ。

 声明は「抑止力」への具体的な言及はないが、核兵器や長距離弾道ミサイルの開発を示唆しているとも受け取れる。

 声明はまた、北朝鮮の核拡散防止条約(NPT)脱退について「1月10日の政府声明で指摘したように、脱退は既に発効している」と主張した。(共同)

米朝交渉:米が多国間協議の受諾要請 核問題で北朝鮮に

2003年04月05日(ワシントン共同)[毎日新聞] Mainichi INTERACTIVE
 米国のプリチャード朝鮮半島和平担当特使と北朝鮮の韓成烈・国連代表部次席大使が3月31日から今月2日にかけニューヨークで北朝鮮の核問題をめぐり協議していたことが分かった。米朝交渉筋が4日、明らかにした。

 昨年秋に北朝鮮のウラン濃縮による核開発問題が浮上して以来、米朝の本格的な直接協議は初めて。

 プリチャード特使は核問題解決のために米国、日本、韓国、中国などが参加する多国間協議構想を受諾するよう要請。大きな進展はなかったもようだが、北朝鮮は今後の協議継続に意欲を示した。

日本海にイージス艦3隻 北朝鮮「核」警戒で政府検討

2003/03/15 中国新聞ニュース
 政府は十四日、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の弾道ミサイル発射などの脅威に備え、テロ対策特別措置法に基づきインド洋に派遣している海上自衛隊のイージス艦「きりしま」を今春にも撤収、同艦を含め稼働可能なイージス艦三隻をすべて日本海に展開させるための検討を始めた。政府関係者が明らかにした。

 北朝鮮は、米朝枠組み合意で凍結されていた黒鉛減速実験炉の再稼働や、弾道ミサイル「テポドン」の噴射試験を実施するなど「瀬戸際政策」をエスカレート。このため、最新鋭の防空システムを搭載したイージス艦を展開、北朝鮮の脅威に対する「抑止力」とすることが必要と判断した。

 「きりしま」に代わり通常の護衛艦を派遣する方針。インド洋へのイージス艦派遣には、イラク攻撃に向け準備を進めている米軍への「間接支援」の意味合いがあったことから、今後、艦船の交代に関し米国側と調整する。政府としては北朝鮮をめぐる動きが急であることを踏まえ、早期の実現を目指している。

 海上自衛隊は現在、四隻のイージス艦を保有。「きりしま」は昨年十二月、日本の積極的な国際貢献の「象徴」として派遣に踏み切り、残る三隻のうち「ちょうかい」が現在定期検査中。稼働可能なのは「きりしま」「こんごう」「みょうこう」で、この三隻が日本海に集中すれば、日本としては北朝鮮に対する最大級の警戒態勢となる。

北朝鮮核問題:処理施設稼働なら日米で経済制裁働き掛け

2003年03月11日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 日米両政府は10日、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が核兵器開発に直結する使用済み核燃料棒の再処理施設稼働に踏み切った場合、北朝鮮の弾道ミサイルや核関連技術の輸出入を禁止する経済制裁措置を国連安全保障理事会に働き掛ける方針を固めた。北朝鮮の外貨獲得の手段を遮断し、核兵器開発を資金面から抑え込む狙いがある。政府は実効性を担保するため、経済制裁の安保理決議が採択されれば「周辺事態」と認定、自衛隊を船舶検査にあたらせる方針で、部分的な「封じ込め政策」導入への政策転換となる。

 国連安保理は、再処理施設稼働が確認された段階で本格協議に入る見通し。これに合わせ日米韓3カ国は北朝鮮問題に関する政策調整会合(TCOG)を開き、経済制裁を含めた対抗措置の具体化を検討する方針。ただ、対北朝鮮融和政策をとる韓国や中国、ロシアは経済制裁に慎重で、決議採択は難航も予想され、再処理中止に効力を発揮できるかは不透明だ。

 北朝鮮は1月に寧辺地区の核貯蔵庫から使用済みの燃料棒約8000本を運び出し、同地区の再処理施設も稼働準備を行っていることが判明しており、日米情報筋は3月中旬までにプルトニウム抽出作業が開始できる状況にあるとみている。

 対応策を検討してきた日米両政府は、核兵器開発に直結する使用済み核燃料棒再処理に対し「強硬姿勢を打ち出す必要がある」(外務省幹部)と判断。核兵器開発資金となっているミサイル輸出規制を最優先にすべきだとの認識で一致した。

 北朝鮮のミサイル輸出については昨年12月、イエメンに売却するスカッドミサイル15基を積んだ北朝鮮の輸送船に対し、米側の要請を受けたスペイン海軍艦艇が臨検したが、その後解放されている。弾道ミサイルの不拡散を巡っては関連部品・技術の輸出規制を目指した「ミサイル関連技術輸出規制」(MTCR)に33カ国が参加しているほか、「弾道ミサイルの拡散に立ち向かうための国際行動規範」(ICOC)には10カ国が参加している。しかし、いずれも法的拘束力を持つ国際条約などではなく、また北朝鮮はいずれも参加していない。 【高安厚至】

脱退宣言撤回を申し入れ 政府が北朝鮮に

2003年01月10日 The Sankei Shimbun
 政府は10日午後、北朝鮮の核拡散防止条約(NPT)脱退宣言を受け、北京の大使館ルートを通じて北朝鮮側に遺憾の意を伝達するとともに、宣言の撤回を強く申し入れた。

 福田康夫官房長官、川口順子外相、外務省の薮中三十二アジア大洋州局長は、首相官邸で脱退宣言への対応を協議し、核問題の平和的解決に向けて日米韓に中ロを含めた関係国の連携を強めるとともに、こう着状態にある日朝国交正常化交渉の再開を働き掛けていく方針を確認した。

 福田長官は同日夕の記者会見で「誠に遺憾で、大きな懸念を持っている」と強調。ただ北朝鮮の宣言が核兵器開発の意思を否定していることにも触れ「これ以上のことはしないとのメッセージとも受け取れる。今後の動向をみていかなくてはいけない」とも述べた。

 日朝交渉に関しては「停滞しているが交渉できないということでない。北朝鮮側に交渉しようと働き掛けをしていく」と述べた。

 一方、川口外相は12日から訪韓する森喜朗前首相と都内で会談。森氏は「盧武鉉(ノ・ムヒョン)次期大統領に太陽(包容)政策の継続を確認し、日韓連携の重要性を強調したい」との考えを示した。外相は会談後に記者団に「日米韓と中ロなど関係国が相談して対応することが重要だ」と述べた。

 政府は北朝鮮が「1993年の核危機の時と同様、まず脱退宣言をすることで米国を交渉に引っ張り込もうとしている」(外務省幹部)と分析。過剰な反応は北朝鮮側の思惑に乗ることになるとの立場から、関係国に冷静な対処の必要性を強調していく方針だ。

北朝鮮問題、冷静に対処 集中審議で首相

2003年03月03日 The Sankei Shimbun
 小泉純一郎首相は3日午前、衆院予算委員会の外交に関する集中審議で、北朝鮮が地対艦ミサイル発射をしたり黒鉛減速実験炉を再稼働させたことに関連し「日朝平壌宣言が守られていない面もあるが独特の瀬戸際外交で、あまり挑発に乗らないで、冷静に対処することが必要だ」と述べた。北朝鮮の行動の背景については「(北朝鮮は)国際社会から孤立している焦燥感がある」との見方を示した。

 川口順子外相は茂木敏充外務副大臣をイラクに特使として派遣したことについて「最後の外交圧力を加える時だ。平和的な問題解決のため、最後の翻意を促す努力をするということだ」と述べ、査察への全面協力を働き掛ける狙いを強調した。

 首相はイラク問題に関して「日本の発展の原動力は国際協調と日米同盟関係だ。この基礎を揺るがしてはならない」として、米国による武力攻撃が行われる場合でも国際協調体制を追求する考えを表明した。

 外相は、イラクが弾道ミサイル「アッサムード2」の廃棄作業を始めたことに対し「本当に全部をやっていくのか分からない」とすべてのミサイル廃棄に疑問を示した。

 自民党の池田行彦、民主党の伊藤英成、首藤信彦各氏への答弁。

政府、黒鉛減速炉再稼働問題で北朝鮮に抗議

2003年03月01日 Yomiuri On-Line
 北朝鮮が寧辺(ヨンビョン)の黒鉛減速炉を再稼働させた問題で、政府は28日までに、北朝鮮に対し「核不拡散を働きかけている国際社会の意向を無視したもので極めて遺憾だ」などと直接抗議した。北朝鮮側は再稼働について言及しなかった。抗議は外務省幹部が電話で行ったという。


さらに孤立と北朝鮮に警告 米大統領報道官

2003年02月01日 The Sankei Shimbun
 フライシャー米大統領報道官は31日、北朝鮮が使用済み核燃料棒を核施設から搬出したとみられるとの米紙報道について「情報機関の情報にはコメントしない」とした上で「(プルトニウムを抽出する)再処理につながる新たなステップをとることは、国際社会を脅し、恐喝しようとする北朝鮮の挑発行為となる」と厳しく批判した。

 報道官は、そうしたステップは「北朝鮮をさらに国際社会から孤立させる」と警告した。

 報道官は、国際社会が問題の「平和解決を目指すことで一致している」と強調。国際原子力機関(IAEA)が問題を国連安全保障理事会に付託する方向で検討を進めていることについて「米国はこれを支持する」と言明した。(共同)

北朝鮮が核燃料棒搬出か 偵察衛星が探知と米紙

2003年01月31日 The Sankei Shimbun
 米紙ニューヨーク・タイムズは31日、米偵察衛星が北朝鮮寧辺の核施設の貯蔵庫から使用済み核燃料棒を運び出しているとみられるトラックの動きを探知、北朝鮮が核兵器製造準備を始めたのではないかとの懸念が米政府内に出ていると報じた。

 米当局者が同紙に明らかにした。

 北朝鮮は昨年末、国際原子力機関(IAEA)による使用済み核燃料棒貯蔵庫の封印を撤去。核燃料棒は約8000本あり、原爆4、5個分のプルトニウムを抽出できる。

 同紙によると、米衛星は1月いっぱい寧辺の核施設で、トラックが核燃料棒の貯蔵プールがある建物に出入りするなどの活発な動きを観測した。

 衛星の写真ではトラックの積み荷を正確に判別できないが、情報専門家らは、核燃料棒を別の場所に隠すか、あるいは核兵器に転用可能なプルトニウムを製造する再処理施設に搬入するための移動と判定。寧辺での他の動きも総合して、北朝鮮は3月末までにプルトニウムの製造を開始できそうだと非公式に結論したという。

 しかし、米政府を交渉に引き込むための手の込んだ脅しとの見方も残っている。

 ある政府高官は「われわれが観測しているものが正確に何か、どの程度挑発的なものかはまだ議論している段階だ。北朝鮮はこの動きを隠そうとしていない」と同紙に述べた。

 ■使用済み核燃料棒 北朝鮮では、平安北道寧辺の実験用原子炉(電気出力5000キロワット)で使用した燃料棒約8000本が原子炉近くの貯蔵庫に保管されている。使用済み燃料棒には兵器級プルトニウムが含まれ、1994年5月に北朝鮮が原子炉から燃料棒を抜き取った際には、米朝が一触即発の危機に陥った。同年10月の米朝枠組み合意に基づき、貯蔵庫は国際原子力機関(IAEA)が封印し監視してきたが、北朝鮮は昨年末、実験用原子炉などとともに封印を撤去した。(共同)


北朝鮮が対応検討開始

2003年01月08日 The Sankei Shimbun
 核開発問題をめぐり米政府が表明した対話再開の用意について、北朝鮮の国連代表部当局者は7日(日本時間8日)、「平壌が発表する」と述べ、北朝鮮が米朝対話再開に関し、既に検討に入ったことを明らかにした。

 米側の姿勢軟化に北朝鮮がどう応じるかは、今後の核問題での外交交渉の流れをつくるだけに重要な局面になると受け止められている。

 同当局者は「平壌の発表」に関し、時期などを明らかにしていないが、共同声明がメディアで報じられた直後から北朝鮮政府が検討を開始したと指摘、強い関心を持っていることを示唆した。

 米政府が外交戦術を事実上、転換させた日米韓政策調整会合の共同声明について、米国務省は7日、同代表部に正式に伝達したが、日米韓側は対話の形態や時期などに一切触れていない。対話の議題も「国際社会の義務をどう果たすか」に絞り、あくまでも核兵器開発計画の放棄が必要との構えだ。

 米政府は北朝鮮からの回答を待つ一方で、韓国の盧武鉉(ノ・ムヒョン)次期政権との間で今月中に特使を相互に派遣、調整を本格化させる。ケリー国務次官補(東アジア・太平洋担当)は来週中に訪韓する予定だ。

 ワシントンの外交筋によると、金大中大統領の特使として訪米している任晟準・大統領外交安保首席秘書官は8日、ラムズフェルド国防長官ら複数の米政府高官と協議するもようだ。(共同)

米、北朝鮮と対話の用意

2003年01月08日 The Sankei Shimbun
 北朝鮮問題に関する日米韓政策調整会合は7日、米政府が北朝鮮と核兵器開発計画に関し「国際社会の義務をどう果たすかについて話し合う用意がある」と表明した共同声明を発表、2日間の日程を終えた。

 北朝鮮の核開発放棄を米朝対話の前提条件としてきた米政府が軟化姿勢に転換したことで、昨年10月に北朝鮮が核開発計画再開を認めて以来、高まった朝鮮半島情勢の緊張は初めて、緩和に向け事態打開の可能性が出てきた。

 米政府は北朝鮮との対話路線を継承する韓国の盧武鉉次期大統領との関係にも配慮したとみられる。

 バウチャー米国務省報道官は同日の記者会見で「北朝鮮の出方を見守る」と述べ、北朝鮮側との協議の時期などには言及しなかった。共同声明の内容は7日、ニューヨークの北朝鮮代表部を通じ既に伝達された。

 米政府はしかし、「国際的義務の履行」との表現で核開発計画放棄を要求すると同時に、国際原子力機関(IAEA)理事会決議が求めた査察官復帰など原状回復に対し「報償を与えない」と明言。あくまでも核放棄への見返りを与える交渉でないことを強調。従来通り「検証可能な形での核開発計画放棄」を北朝鮮に要求している。

 このため北朝鮮が今後も核施設再稼働など強硬姿勢を継続すれば、米朝の対立がさらに深まる危険性も残っている。

 同報道官は会合で韓国側による「(妥協案の)一括提案はなかった」と語り、米政府が北朝鮮との協議方針を日韓に示したことを明らかにした。

 共同声明ではIAEA緊急理事会の決議を支持し「北朝鮮に侵攻する意図はない」とするブッシュ大統領の基本方針を再確認。南北や日朝の交渉の意義、日米韓の結束の重要性も確認した。

 また米国務省はケリー国務次官補(東アジア・太平洋担当)を来週、日本、韓国、中国などに派遣すると明らかにした。(共同)

首相、核開発放棄求める

2003年01月07日 The Sankei Shimbun
 小泉純一郎首相は7日午後、国際原子力機関(IAEA)が北朝鮮の核開発計画放棄を求める決議を採択したことについて「全会一致ですから北朝鮮も重く受け止めるべきだと思います」と述べ、国際社会の要請に耳を傾けるよう求めた。首相官邸で記者団に述べた。

 福田康夫官房長官も記者会見で「北朝鮮が早急かつ検証が可能な形で、計画廃棄に向け、具体的な行動をとるよう強く呼び掛ける」と述べた。また、北朝鮮が計画を放棄しなかった場合の国連安保理による制裁問題に関して「北朝鮮が即座に対応することを期待している。その先のことは今、申し上げる必要ない」と述べた。

北朝鮮、少量核物質確保か

2003年01月07日 The Sankei Shimbun
 北朝鮮が、先月下旬に封印を撤去した寧辺の核施設に、過去に再処理で抽出したプルトニウムなどの少量の核物質が残っており、北朝鮮当局が管理下に置いている可能性が高いことが7日分かった。

 国際原子力機関(IAEA)が北朝鮮の核開発問題を審議した6日の緊急理事会に先立ち、理事国向けに配布した資料の中で明らかになった。

 核物質はいずれも少量で、5〜6キロ程度のプルトニウムが必要とされる核爆弾を製造することは無理だが、爆発によって放射性物質を空気中にまき散らす「汚い爆弾」への転用は可能。IAEAではこうした事実を特に注意喚起し、さらなる事態に発展しないよう北朝鮮に一刻も早く封印などの措置の回復と査察官の復帰を要求している。

 IAEAによると、封印が解かれて北朝鮮の管理下に置かれたのは、核再処理施設である放射化学研究所の廃棄タンクに保存されていた少量のプルトニウムと、その酸化粉のほか、実験用原子炉(5000キロワット)の倉庫に保管中の破損した20本の核燃料棒。核燃料棒は放射反応があり、核物質を含んでいるという。

 北朝鮮が今回確保したとみられるプルトニウムの量などは不明だが、北朝鮮は1990年代前半に放射化学研究所を稼働させ、プルトニウムを取り出した疑惑がもたれている。

 IAEAは、北朝鮮が同研究所を再稼働させ、8000本の使用済み核燃料棒からプルトニウムを抽出する事態を最も懸念している。(共同)

核問題で韓国高官が米国へ

2003年01月07日 The Sankei Shimbun
 韓国の任晟準・大統領外交安保首席秘書官は7日、北朝鮮の核問題をめぐり、金大中大統領の事実上の特使として日米両国と高官協議を行うため、ワシントンに向け出発した。

 9日までの訪米中、ライス米大統領補佐官(安全保障問題担当)やアーミテージ国務副長官、議会有力者らと会談。平和的、外交的な問題解決に向けた金大統領の解決案などを提示し、米国との間で可能な解決策の大枠を話し合う方針。その後、10日から2日間の日程で東京を訪れる。

 韓国は14日から第9回南北閣僚級会談を開くよう北朝鮮側に提案しており、日米との協議結果を踏まえ、北朝鮮に核開発放棄などを迫る方針だ。(共同)

北朝鮮核施設の再凍結要求を採択へ…IAEA

2003年01月06日 Yomiuri On-Line
 【ウィーン=佐々木良寿】北朝鮮の核問題を協議する国際原子力機関(IAEA)の緊急理事会が6日、ウィーンの本部で開かれた。国連安全保障理事会に問題を付託するかどうかが最大の焦点だったが、今理事会は付託を見送り、北朝鮮に対し、核施設再凍結の即時実施などを要求する決議を採択する見通しだ。

 核施設の再稼働へ動き出した北朝鮮に対し、国際社会が共通した立場を打ち出すのは初めて。理事会筋によれば、これまでの非公式会合で主要理事国は、「北朝鮮に最後のチャンスを与える」との方針で一致した。決議では、エルバラダイ事務局長による冒頭報告を踏まえて、<1>核関連施設の封印、監視装置の再設置とIAEA要員の受け入れ<2>すべての核兵器計画の検証可能な方法による速やかな放棄<3>すべての核物質のIAEAへの申告と検証<4>ウラン濃縮計画に関するIAEAへの説明――などの即時実施を求める一方で、「(要求が実施されない場合は)北朝鮮による保障措置協定のさらなる不履行と断定せざるを得ない」との文言が盛り込まれる見通し。

北朝鮮に1カ月猶予

2003年01月04日 The Sankei Shimbun
 米NBCテレビは3日、国際原子力機関(IAEA)が6日にウィーンで開催する緊急理事会で、北朝鮮に1カ月間の猶予期間を与え、核兵器開発計画の放棄と核拡散防止条約(NPT)の順守を促す方針を固めたと伝えた。

 それによると、IAEA理事会では、北朝鮮が核施設の再稼働を表明しIAEA査察官を追放するなど核開発をめぐる一連の動きを非難。しかし、国連安全保障理事会への付託や北朝鮮に対する強硬措置は取らず、北朝鮮に1カ月間の猶予を与えるとしている。

 同テレビは情報源には触れていない。(共同)

危険なゲームやめるよう北朝鮮に圧力…安倍官房副長官

2003年01月04日 Yomiuri On-Line
 安倍晋三官房副長官は4日、青森県弘前市内で講演し、北朝鮮が核開発再開に向けた動きを強めていることについて、「冷静に対処し、平和的な手段によって解決していくと国際社会は固く決意している。危険なゲームをやめて国際社会の中で生きる道を選ぶよう、北朝鮮にプレッシャーを与えていくと我々は決めている」と強調した。

 また、「焦っているのは日本ではなく北朝鮮だ。だからこそ北朝鮮は1993年、94年と同じように核の問題で危機をつくり出している。私たちはこの状態を決してエスカレートさせてはいけないと考えている」と述べた。

94年半島危機時、政府が「北」難民10万上陸容認

2003年01月04日 Yomiuri On-Line
 北朝鮮の核開発疑惑をめぐって、朝鮮半島情勢が現在と同様に一触即発の危機にあった1994年、日本政府が朝鮮半島から大量の避難民が押し寄せることを想定し、超法規的な特例措置の発動を極秘に検討していたことがわかった。

 読売新聞社が入手した政府の文書によると、「異常事態」が発生した場合、閣議で「発動」を決め、避難民を一時上陸させて厳格な審査を行うことにしていた。法務省では、少なくとも10万人が主に北朝鮮から避難してくると独自に想定していたが、特例措置では海上保安庁や警察で対応が困難な武装難民などの場合は、自衛隊の協力を求めることも検討していた。この対策は各省庁で引き継がれており、今後、半島有事の際はこれに近い形で対処することになりそうだ。

 読売新聞社が入手した文書は、当時の内閣安全保障室がA4判6枚にまとめた「大量避難民対策について(案)」。マル秘指定で、北朝鮮が国際原子力機関(IAEA)からの脱退を表明した94年6月13日付となっている。

 北朝鮮は前年の2月、核開発疑惑を指摘されながら、IAEAの核査察を拒否し、米国は北朝鮮に核開発を中止しなければ攻撃すると警告した。緊張が高まる中で、当時の石原信雄内閣官房副長官が94年4月から、内閣法制局や防衛庁、外務省、警察庁、法務省の局長クラスを集めて対策をまとめさせ、羽田孜首相に報告した。

 それによると、入管法で旅券を所持しない外国人の入国は禁止されているが、「朝鮮半島で起きた異常事態で、到着する避難民については、特例措置により対処する」とし、閣議了解か閣議決定で、特例措置を発動することにしていた。

 そして、避難民については、〈1〉一時的な上陸を認め、収容施設に入れたうえで、入管当局が厳格なスクリーニング(審査)を実施〈2〉避難民は半島情勢が安定すれば速やかに帰国させるが、韓国や北朝鮮に帰還していた元在日朝鮮人や日本人妻らは、日本在留を考慮する――としている。

 注目されるのは、海上保安庁、警察庁での対応が困難な場合、自衛隊が協力する場合がある、と明記している点。「協力の具体的要領について、事前に関係省庁間で検討する」という記載もあり、武装難民や工作船への臨検、交戦といった事態も想定していたことがうかがえる。また、「あらゆる段階で、北朝鮮の工作員、テロリストの抽出に努める」とも記され、北朝鮮への強い警戒感が反映されている。

 その後の北朝鮮の食糧危機で脱北者が続出。元在日朝鮮人や日本人妻ら約40人が日本に逃げ帰った際、政府が彼らを受け入れる根拠となったのが、この「大量避難民対策」だった。法務省幹部は「今後、避難民が押し寄せた場合も、これを下敷きにすることになるだろう」と話している。

北朝鮮政策、6日から日米韓協議

2003年01月03日 Yomiuri On-Line
 日米韓3か国は3日、対北朝鮮政策に関する外務省局長級の政策調整会合(TCOG)を6、7日にワシントンで開くことを決めた。北朝鮮の核関連施設の再稼働宣言などで、朝鮮半島情勢の緊張が高まってからは初めての会合となる。

 北朝鮮への強硬姿勢をとる米国と対話に力点を置く韓国の間に距離感が出る中、3国の政策を調整する重要な場となりそうだ。

 会合には、外務省の藪中三十二アジア大洋州局長、米国務省のジェームズ・ケリー次官補(東アジア・太平洋担当)、韓国外交通商省の李泰植(イテシク)次官補が出席する。

 北朝鮮をめぐっては、監視要員の追放を受け、国際原子力機関(IAEA)は国連安全保障理事会に報告することも辞さない構えで、安保理でも北朝鮮に対する経済制裁が話し合われる可能性も出ている。

 日本政府はすでに、核開発計画を進める北朝鮮との貿易・資本取引の停止などの規制策の検討を始めており、「封じ込め政策」を取る米国に足並みをそろえている。だが、韓国は金大中現政権と盧武鉉(ノムヒョン)次期大統領が共に北朝鮮の孤立化には慎重な立場で、北朝鮮の「瀬戸際外交」沈静化に向けて、日米韓の協議が難航することも予想される。

対話へ 対北朝鮮で米政府

2003年01月01日 The Sankei Shimbun
 
 【ワシントン31日=樫山幸夫】北朝鮮の核開発再開をめぐって米政府は31日、ウラン濃縮施設の建設中止を「最低条件」として、北朝鮮との対話に踏み切る方針を決めた。ワシントンの外交筋が産経新聞に明らかにした。北朝鮮の脅迫戦術には応じない姿勢を維持する米国が今回の方針を決めた背景には、北朝鮮に「核開発を継続すれば、国際社会の圧力がさらに高まり、孤立化は免れない」と強い警告を与える一方で、平和的解決についての北朝鮮の意思を確認し、事態打開の糸口を探る狙いがある。

 ワシントンの外交筋によると、米国がウラン濃縮施設の建設中止を対話再開の最低条件として打ち出したのは、10月にウラン濃縮のための遠心分離器の購入を北朝鮮が認めたことが、今回の事態の発端だったためだ。濃縮施設建設の場所や現状などはなお明らかになっていないが、同筋は、北朝鮮が最近になって再開を発表した核関連施設ではなく実態が不透明で北朝鮮側も受け入れやすいとみられる施設を挙げることにより、これが中止されれば、北朝鮮が核開発断念に動き出したという象徴的な効果が期待できるとしている。

 米朝の対話の手段としては、ニューヨークの双方の国連代表部による“ニューヨーク・チャンネル”があるが、今回の場合、問題が大きいうえに、政治的な側面が強いことから、韓国新政権に協力を要請する方針だ。

 米国の方針は、外交的包囲、“封じ込め”という強い姿勢を維持しつつも、北朝鮮が平和解決への意思を示すなら話し合いに応じるという硬軟織り交ぜた戦略の一環とみられる。国務省のリーカー副報道官も30日、経済制裁は当面控える方針を示した。

 対話が実現した場合も、米国にとって交渉ではなく、国際的な“包囲網”を背景に、寧辺の核施設の再封印など全面的な核開発放棄を迫ることが主な目的になる。

 しかし、北朝鮮があくまでも核開発継続にこだわった場合、対話はその基礎を失い、米国に残されるのは強硬方針だけとなる。北朝鮮にとっても、米国との交渉を望むなら、最後の大きなチャンスになるといっていい。

IAEA査察官2人が北朝鮮を出国

2002年12月31日 The Sankei Shimbun
 北朝鮮による追放決定により、核施設監視のため駐在していた国際原子力機関(IAEA)の査察官2人が31日、北朝鮮を退去、北京に到着した。  男女各一人で、男性査察官は北京到着時「今はコメントできない。できるだけ早くウィーンの(IAEA)本部に向かいたい」と語った。

 IAEA査察官は米朝枠組み合意により、1994年から北朝鮮の核施設のある平安北道寧辺などに交代で約8年間にわたり駐在してきたが、核施設への封印や監視カメラの除去に続く査察官退去により、IAEAは北朝鮮の核開発への監視手段を失うことになった。北朝鮮の核問題はさらに深刻な事態に発展、米朝関係もますます緊張を高めそうだ。

 査察官2人は29日に寧辺から平壌へ移っていた。

 北朝鮮は12月12日に核施設の再稼働と建設再開を決定、21日に封印や監視カメラの除去を始めた。25日には寧辺の実験用原子炉(5千キロワット)の建物に新たな核燃料棒を搬入、27日には査察官追放を決定するなど、核施設再稼働に向け早い動きを見せている。(共同)

「北」を紛争国に再指定 全米防衛評議会財団

2002年12月31日 The Sankei Shimbun
 米保守系シンクタンクの「全米防衛評議会財団」は30日発表した恒例の世界の紛争国に関する報告書で、2000年に初めて紛争国・地域リストから除外した北朝鮮を、2年ぶりに指定した。

 AP通信が伝えた報告書の内容によると、2002年の紛争国は01年より6カ国少ない53カ国。

 北朝鮮は2000年に南北首脳会談による緊張緩和で初めてリストから外されたが、今年になって秘密裏に核開発を継続していたことが表面化したことなどで、紛争発生の可能性が高まったとされた。

 イラクについては「核・生物・化学兵器が使用される可能性があり、深刻な被害が出る恐れのある最も危険な紛争国」と警告した。

 今年新たに指定されたのは北朝鮮に加え、チャベス大統領退陣を求めるゼネストが続くなど政情不安が長期化しているベネズエラなど10カ国。01年9月の米中枢同時テロで紛争国に指定された米国のほか、マレーシア、ユーゴスラビアなど16カ国が今回外された。(共同)


北朝鮮がNPT脱退を示唆

2002年12月30日 The Sankei Shimbun
 朝鮮中央通信によると、北朝鮮外務省スポークスマンは29日、談話を発表し、核拡散防止条約(NPT)からの脱退を一時停止していることについて「米国が米朝枠組み合意を破棄し始めたことにより、この特殊な地位すら危うくなっている」と述べ、NPTから正式に脱退する可能性を示唆した。

 北朝鮮は1993−94年の核疑惑危機の際、NPT脱退をいったん宣言したが、93年6月から脱退を一時停止してきた。北朝鮮が対抗措置を一段と強めてきたことにより、核開発をめぐる米朝対立はさらにエスカレートしそうだ。

 同スポークマンは「われわれは、民族の尊厳と生存権のためやむを得ず、米国の核脅威に対抗する必要な自衛手段を講じざるをえない」と説明。また、西側の一部諸国が米国に同調して「国際合意違反」「義務履行の要求」を主張しているとして「問題解決に重大な障害をつくり出している」と批判した。

 その上で「朝鮮半島情勢の安定と核問題の平和的な解決を望むなら米国の主張だけに耳を傾けるのではなく、米国が国際合意を尊重し、前提条件なしに米朝対話に応じるよう役割を果たすべきだ」と主張した。

 北朝鮮の労働党機関紙「労働新聞」も29日、「帝国主義反動勢力がわが国に対する圧力騒動を強化すれば、民族の尊厳と国の自主権を守るため自主的対抗措置をさらに強力に講じる」と指摘していた。(共同)

日本周辺でも臨検の可能性

2002年12月30日 The Sankei Shimbun
 
 パウエル米国務長官は29日、核兵器開発の動きを活発化させている北朝鮮情勢を踏まえ、イエメンへのスカッド・ミサイル輸出で米軍がスペイン軍の協力で貨物船を臨検したように、今後も不審な輸出は米軍が公海上で強制的に検査する方針を明言。「日本とも密接に連絡」した上で、日本周辺でも臨検を実施する可能性を示唆した。米FOXテレビなどの政治討論番組で述べた。

 一方で、北朝鮮の最近の動向に対して強い懸念を抱いているものの依然、「危機」的水準には達していないとの見方を示し、先制攻撃せず「平和的手段で解決」する考えをあらためて強調した。

 長官は「日本なども臨検(に協力)することに同意しているのか」との質問に、「臨検をめぐって具体的に日本、ロシア、中国と密接に連絡を取り合っている」と述べ、米軍の臨検に日本の協力を得る可能性を指摘した。

 核開発問題については「深刻な状態だが、危機ではない。次の事態まで数カ月あり、情勢を注視する。軍事行動を含めすべての選択肢を用意するが、先制攻撃は考えていない」などと語り、北朝鮮に対し核開発計画の放棄と国際原子力機関(IAEA)の査察官の復帰を迫った。

 長官発言は、北朝鮮が使用済み核燃料棒からプルトニウムを抽出するなど核兵器開発を一層、具体化させるまでは当面「危機」とは受け止めず、米政府が今後も周辺国と協調して圧力を強めると同時に、外交的手段で核開発計画の放棄を求めていく姿勢を確認した。

 ■臨検 国際法に基づき、公海を航行中の軍艦が、海賊行為などを行っている疑いのある船舶を発見した場合に取ることが認められる警察行動。国旗を掲げず無国籍船の疑いがある場合も臨検が認められる。戦時国際法では、敵船や戦時禁制品輸送などの疑いがある船に対する交戦者の権利として認められた。近年は海洋に関する国際法の発展に伴い、平時でも臨検が認められる場合が多くなっている。(共同)

米、韓国に「北」との関係断絶要請も

2002年12月29日 The Sankei Shimbun
 米政府高官は28日、北朝鮮が核開発計画を断念しない場合には、ブッシュ政権が韓国に対し北朝鮮との関係断絶を迫る可能性があると述べた。ブッシュ大統領の休暇先のテキサス州クロフォードで一部の米メディアに語った。

 高官は「(核開発をめぐる北朝鮮の)これまでの行動を国際法に照らすと、経済制裁が必要になる」と指摘。国連による経済制裁発動や、中国、ロシアを含む近隣国に北朝鮮の一層の孤立化を促すことで、核開発放棄に向けた圧力を強める方針を示した。(共同)

北朝鮮:核関連装置を“偽装搬入” パキスタンから特別機で

2002年12月29日 THE MAINICHI NEWSPAPERS 
 【イスラマバード春日孝之】パキスタンが朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)に高濃縮ウランによる核兵器開発に必要なガス遠心分離装置を提供した疑惑で、同装置は98年6月、殺害されたパキスタン在住の北朝鮮外交官夫人の棺を運ぶ特別機に隠され、北朝鮮に搬送されていたことが28日、明らかになった。装置が搬送されたのは、パキスタンがウラン型(広島型)の核実験に初めて成功(98年5月)した直後で、北朝鮮がパキスタンの開発成功を確認した上で導入を決断したとみられる。

 毎日新聞が入手した情報によると、北朝鮮に提供されたのは遠心分離装置のサンプルと装置の設計図など。遺体と一緒に棺に詰められた。北朝鮮は遺体搬送を名目に平壌―イスラマバード間に特別機を飛ばしたという。

 専門家によると、高濃縮ウラン製造には大量の遠心分離装置が必要だが、サンプルと設計図類があれば、北朝鮮自ら装置の材料を調達し、開発を進めていくことは可能だという。

 遠心分離装置の搬送には、パキスタンの核開発機関「カーン研究所」のカーン所長と複数の研究員が直接関与し、見返りとして北朝鮮当局から多額の現金が支払われたとされる。

 一方、殺害されたのは、当時の在イスラマバード北朝鮮大使館経済担当参事官の夫人(当時54歳)。英国のサンデー・テレグラフ紙などによると、この参事官は北朝鮮最大手の兵器輸出会社「チャンワン・シンヨン貿易公社」のパキスタン代表を兼ねており、事件後まもなくパキスタンから姿を消したという。同紙によると、98年6月7日、自宅に覆面をしたグループが乱入、夫人を射殺した。また同紙はパキスタン警察当局者の話として、夫人が北朝鮮の武器取り引きの情報を西側外交官に提供していたとの見方を伝えている。

 現在、北朝鮮の核兵器開発をめぐっては、国内の実験用黒鉛減速炉の封印撤去に伴うプルトニウム型(長崎型)製造への懸念が高まっている。だが、米国務省は今年10月16日、ケリー国務次官補(東アジア・太平洋担当)が同月、北朝鮮を訪問して行った米朝高官協議の際、北朝鮮側が兵器用の濃縮ウラン計画の存在を認めたとの声明を発表した。複数の米政府高官によると、ケリー次官補が協議で、北朝鮮が遠心分離装置を入手していた証拠書類を提示したところ翌日、北朝鮮側が計画を認めた。米紙は遠心分離装置はパキスタンが提供していたと報じている。

 米中央情報局(CIA)が連邦議会へ提出した報告書は「北朝鮮が年間2個以上の核兵器を製造できるウラン濃縮工場を建設しており、米朝枠組み合意が破棄された場合、早ければ05年に全面稼働する」と警告している。

 ■高濃縮ウラン 天然ウランは、核分裂して大量の熱エネルギーを出すウラン235(含有率約0.7%)と非核分裂性のウラン238(同約99.3%)で構成される。兵器級ウラン製造にはウラン235の組成を高濃度にする必要があり、大量の遠心分離装置を使って濃縮を繰り返す。装置は円筒状で、洗濯機の脱水槽の原理で高速回転させる。軽いウラン235は中央にたまり、その濃度が高くなる。これが高濃縮ウラン。重い238は「カス」として外側にたまる。この割合が多いものが劣化ウランと呼ばれる。これも硬くて重く貫通効果があることから、爆弾に利用できる。

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 ●ミサイルと核を「物々交換」

 【イスラマバード春日孝之】パキスタンから朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)への濃縮ウラン製造に向けた核技術移転疑惑をめぐり、北朝鮮外交官夫人の殺害事件を利用した偽装工作が28日明らかになった。米政府はパキスタンに「疑惑が証明されれば制裁を科す」と警告していたが、「対テロ戦争」に協力しているパキスタンへの圧力は、「過去」よりも゛再犯の防止゛に重点を置きたいというのが本音とみられる。

 パキスタンと北朝鮮の軍事的連携は70年代に始まり、90年代初めのブット政権時代に本格化。ともに外貨不足に悩む中、北朝鮮はミサイルを、パキスタンは核技術をそれぞれ提供するバーター取引(物々交換)が成立したとみられている。

 米紙ニューヨーク・タイムズ(11月24日付)によると、今年7月にパキスタンのC―130輸送機が北朝鮮の空港で弾道ミサイルの部品を積み込むところを、米国の偵察衛星がとらえていた。

 北朝鮮からパキスタンへの弾道ミサイル提供疑惑については、99年7月にも北朝鮮船籍の貨物船がインド洋でインド当局に拘束され、パキスタン向けのミサイル部品などが押収されるなど、いくつかの「証拠」が上がっている。米国は、パキスタンが「国産」と公言するガウリ・ミサイルが北朝鮮のノドン・ミサイルだと断定している。

 しかし、パキスタンから北朝鮮への核技術移転疑惑に関しては、韓国の情報機関が最近、米国に何らかの「証拠」を提供したとされるものの、具体的な事例が発覚したことはなかった。

 米国はパキスタンでアフガニスタンから逃れてきた「アルカイダ」の掃討作戦をパキスタン治安当局の協力を得て展開している。このため、仮に米国が「証拠」を入手していたとしても、パキスタンの「疑惑」を突き詰めるのは、こうした協力関係に亀裂を生じさせかねず得策ではないと判断しているフシがある。

 実際、米国のパウエル国務長官は先月、パキスタン政府に対し「北朝鮮との不適切な接触は重大な結果を招く」と警告。ムシャラフ・パキスタン大統領から「今後、接触はしない」との確約を取り付けた。

IAEA要員、31日に北朝鮮退去2002年12月29日 Yomiri On-Line
 【ウィーン28日=佐々木良寿】北朝鮮が寧辺(ヨンビョン)に常駐している国際原子力機関(IAEA)の監視要員の追放を決めた問題で、IAEAは28日、要員が29日に平壌に移動し、31日の便で国外に退去することを明らかにした。国際社会は寧辺での核開発の状況を現場監視する唯一の手がかりを失うことになる。IAEAによると、エルバラダイ事務局長は追放決定の見直しを求めたが、北朝鮮側は再考要請を無視する決定を通告してきた。

 事務局長は28日の声明で「北朝鮮は国際的義務に刃向かう国であり、核不拡散体制への危険な前例だ」と強い調子で非難した。

 IAEAは寧辺に2人の要員を常駐させ、米朝枠組み合意で凍結対象になった5000キロ・ワット黒鉛減速炉や再処理のための放射化学研究所などを監視してきた。

IAEAの安保理報告、北朝鮮が「幼稚な行動」と非難2002年12月28日 Yomiri On-Line
 【ソウル28日=浅野好春】北朝鮮の朝鮮中央通信は28日、核関連施設の再稼働準備に関連した論評を通じ、国際原子力機関(IAEA)が安保理への報告を予定していることを「米国側に立った幼稚な行動だ」と非難した。

 論評は米国に対しても、北東アジア諸国に特使を送って北朝鮮への「制裁」を論議しようとするなど、国際的圧力を強めていると強く批判。「米国とその追従勢力が声明や憂慮を表明して騒動を起こしても、ちゅうちょする我が人民ではない。一度決心したら必ず実行するのが我々の原則だ」と強調した。

 北朝鮮が非武装地帯に軽機関銃、「協定違反」と国連軍2002年12月28日 The Sankei Shimbun
 【ソウル28日=浅野好春】在韓国連軍司令部は27日、北朝鮮兵が今月中旬に6回にわたり、南北軍事境界線沿いの非武装地帯に軽機関銃を持ち込んだと発表した。同司令部は朝鮮戦争休戦協定違反事案として、板門店を通じ北朝鮮側に26日の協議開催を申し入れたが、北朝鮮側に拒否された。

 同司令部や韓国国防省によると、持ち込まれたのは今月13日と16―20日の計6日間。北朝鮮兵は、板門店近郊の軍事境界線北側100―400メートル付近で行われていた南北臨時道路の建設工事現場に「73型7・62ミリ機関銃」と呼ばれる軽機関銃を置きながら作業を進めていた。軽機関銃を設置した理由は不明だが、兵士は毎夕、作業終了とともに銃を持ち帰っていたという。

 北の核問題、国連安保理へ 米紙報道2002年12月28日 The Sankei Shimbun
 米紙ニューヨーク・タイムズは27日、米ブッシュ政権が北朝鮮の核開発問題を国連安全保障理事会に持ち込む方針を固めたと報じた。

 安保理では、北朝鮮の一連の行為が核拡散防止条約に違反していると宣言する「決議」あるいは「声明」が採択される可能性があるほか、同政権当局者は北朝鮮に対抗するため何らかの「制裁」を科すことにも言及。国連経済制裁の発動などを視野に入れて検討していることを明らかにした。

 米政権高官は同紙に「もはや米国と北朝鮮だけの問題ではなく、国際問題になっていることを明確にしたい」と言明。来年1月6日に開催される国際原子力機関(IAEA)緊急理事会での討議の後、安保理に持ち込まれるとの見通しを示した。(共同)

追放? 北朝鮮がIAEA査察官を2002年12月27日 The Sankei Shimbun
 朝鮮中央通信によると、北朝鮮は27日、米朝枠組み合意で凍結されていた核関連施設の封印を撤去したことに関連し、北朝鮮に駐在していた国際原子力機関(IAEA)査察官を退去させることを決めた。

 北朝鮮が枠組み合意で凍結された実験用原子炉の稼働再開に向けた動きを見せる中、現地で監視に当たる査察官退去を決めたことで、同国の核開発問題をめぐる緊張が一層高まるのは必至の情勢だ。

 IAEAは北朝鮮に査察官を2人駐在させて核施設の監視をしてきたが、交代要員の赴任に伴って一時的に3人の査察官が現地に駐在、同国の核施設に関する監視を強化する体制を取っていた。(共同)

「北」の非核化へ協力、日露外相が会談

2002年12月19日 Yomiuri On-Line
 川口外相は18日夜、東京・麻布台の飯倉公館で来日中のロシアのイワノフ外相と会談し、北朝鮮の核開発問題を平和的に解決するため、国際社会が働きかけていくことで一致した。川口外相は、「北朝鮮が核施設の凍結解除を発表したことは極めて遺憾だ。関係諸国はそれぞれのルートによって北朝鮮に対し、冷静に誠意ある前向きな回答を求めていくことが重要だ。ロシアの一層の働きかけをお願いしたい」と強調した。

 イワノフ外相は、「この数か月、北朝鮮において情勢悪化の兆しが見えることは残念だ。ロシアは南北対話の促進と日朝間の対話を支持している。露中首脳会談でも朝鮮半島の非核化が重要だと確認した」と述べた。

 また、川口外相が北朝鮮による日本人拉致被害者5人の家族の帰国問題などの解決に協力を要請したのに対し、イワノフ外相は「この問題は深刻だ。可能な協力を行いたい」と述べた。

 イワノフ外相はこれに先立ち、小泉首相と首相官邸で会談した。首相は、来年1月の訪露時にプーチン大統領と採択する「日露行動計画」に関連し、「日露関係は、対立分野より協力分野がはるかに多いことに着目すべきだ」と述べ、今後は北方領土問題だけでなく、経済協力やエネルギー安全保障など、具体的な進展が期待できる分野で幅広く日露関係を強化する方針を強調した。

 首相は北方領土問題については、「プーチン大統領と率直に話し合うことを楽しみにしている」と述べた。

 これに対し、イワノフ外相は「プーチン大統領と小泉首相の日露関係へのアプローチは、共通する部分が多い」と述べ、支持する考えを示した。

北朝鮮、在沖縄米軍トップを非難2002年12月17日 The Sankei Shimbun
 北朝鮮の国営朝鮮中央通信は17日、在沖縄米軍トップのグレグソン沖縄地域調整官(海兵隊中将)が13日「北朝鮮が核施設稼働再開を表明したことに伴い、同国の動向を注意深く監視しており、事態が悪化した場合、朝鮮半島沖への米空母派遣もありうる」と記者団に述べたことに対し、「これは第2の朝鮮戦争を予告したものにほかならない」と非難した。

 同通信論評は、米韓定例安保協議会で「軍事的共同対応」を決めたのに続き、こうした発言があったことに警戒心を表明。「『軍事的対応』とは、すなわち、われわれに対する宣戦布告と同じだ」としている。(共同)

日米安保委、北朝鮮に核計画の放棄要求

2002/12/17 中国新聞ニュース
 【ワシントン16日共同=米島雅孝】日米両政府は十六日昼(日本時間十七日未明)、ブッシュ米政権発足後初めての外交、防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)をワシントンの国務省で開き、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の核兵器開発計画の即時放棄などを要求する共同声明を発表した。

 声明は「北朝鮮による核兵器、生物・化学兵器という大量破壊兵器の使用があれば最も重大な結果を招く」と対抗手段としての武力行使の可能性を示唆。警告を通じ、核・ミサイル問題で前向きな対応を促した。

 イラク対応では、大量破壊兵器に対する査察を求める国連決議に違反した場合には「日米がそれぞれの行動をより緊密に調整する」と明記、米国がイラク攻撃に踏み切った際には後方支援を含め日本として支援策を検討する方針を示した。

 ミサイル防衛計画の日米共同技術研究で、日本側は「防衛の在り方についての検討の中で主体的に取り組んでいく」と表明、現在の「研究」から「開発」段階への移行を来年にも決断する考えをにじませた。

 声明は北朝鮮の安全保障問題の「平和的解決」を追求する日米の立場に言及。米国には「原則として対話の用意」があり、日朝国交正常化交渉は「安全保障と拉致の問題の重要なチャンネル」と指摘、北朝鮮に対話の継続を求めた。

 日本側は米軍普天間飛行場の代替施設の十五年使用期限問題について米側の理解を求め、地位協定の運用改善の必要性にも触れたが、進展はなかった。

 会談には日本側から川口順子外相、石破茂防衛庁長官、米国側がパウエル国務長官、体調不良のラムズフェルド国防長官に代わりウルフォウィッツ副長官が出席した。

極めて重大な結果招く 日米が北朝鮮けん制

2002/12/16 中国新聞ニュース
 【ワシントン16日共同=久江雅彦】日米両国の外交、防衛担当閣僚による十六日の日米安保協議委員会(2プラス2)が発表する共同声明の最終案に、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の核兵器開発計画などに関連して「北朝鮮の大量破壊兵器使用は極めて重大な結果を招く」と、対抗手段としての武力行使の可能性を示唆、北朝鮮を強くけん制していることが分かった。複数の日米関係筋が明らかにした。

 同案は「極めて重大な結果」が何を指すか具体的には触れていないが、大量破壊兵器を北朝鮮が使用した場合に米国の応戦は不可避だ。日本政府内にはこの文言を明記することに否定的な意見があったが、核開発断念に向け北朝鮮に強いメッセージを送りたい、との米政府の要望を踏まえ、最終案に盛り込まれた。

 同様の文言は今月五日に米国防総省で開かれた米韓国防首脳会談後の共同声明に盛り込まれている。日本もこれを追認したことになり、北朝鮮の反発は必至だ。

 日米共同声明は北朝鮮に対し「核兵器開発計画を検証可能な形で即時撤回し査察を受け入れる」よう要求。核兵器や生物・化学兵器を列挙しながら「極めて重大な結果」(GRAVEST CONSEQUENCES)との厳しい表現で、大量破壊兵器の使用をけん制している。

 同時に「日朝国交正常化交渉は、朝鮮半島の非核化を求める国際社会の要請に北朝鮮が応えるよう求めていく重要なチャンネル」と指摘、日朝交渉の重要性に触れながら、北朝鮮に対し対話再開に応じるよう促している。

 当初の声明案は、北朝鮮による核開発の動きを「地域の平和と安定に重大な事態だ」と懸念を表明。その後、十五日までの日米間の調整の結果、より強い表現を求める米国の主張を防衛庁が支持し、外務省も日朝交渉の重要性に触れることで米国と折り合った。

北朝鮮のIAEA決議拒否、正常化交渉テコに働きかけ

2002年12月05日 Yomiuri On-Line
 川口外相は5日の衆院安全保障委員会で、北朝鮮が国際原子力機関(IAEA)の核開発放棄などを求める決議の受け入れを拒否したことについて、「世界が同じ懸念を持っている。一致団結して(受け入れを)働きかけていく。日朝国交正常化交渉自体が(北朝鮮に対する)テコなので、これをテコに働きかける」との考えを示した。

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