TOPIC No.1-7 地震情報

01.地震 YAHOO!ニュース
02.地震情報 by気象庁
03.最新震源情報 byNIED防災技術科学研究所
04.中央防災会議 「東南海・南海地震等に関する専門調査会」のページ
05.南海地震 高知新聞
06.明治芸予地震(1905年)
07.自動更新地震活動(中国・四国・九州)-最近1日間-このデータは毎時0、30分過ぎに更新されます。
08.最近の地震情報 -最近30日間に近畿地方およびその周辺で発生した浅い地震(30km以浅)の震央分布図- by京都大学防災研究所地震予知研究センター
09.地震発生量の信号機
10.東京大学 地震研究所
11.九州の地震活動 by九州大学地震火山観測研究センター
12.行徳地震前兆観測プロジェクト by行徳高校自然科学部
13.東海アマ地震予知情報 by東海アマチュア無線地震予知研究会
14.地震は予知できる?! 
15.NPO法人 大気イオン地震予測研究会 e-PISCO
16.地震予知総合研究振興会
17.地震予知情報センター
18.地震予知連絡会 by国土地理院
19.地震情報リンク集by HIR NET

東南海地震と南海地震は、今世紀前半に必ず来るとされる巨大地震。

 国の地震調査委員会が27日に公表した発生確率は、今後30年間では40―50%だが、50年間では80―90%に上昇。

 東海、東南海地震の30年以内の発生確率を東南海(M8.1)が50%▽南海(M8.4)が40%と予測している。同時に発生するとM8.5となり、阪神大震災(M7.3)の64倍の日本最大規模になる。(2001年9月28日)

富士山級海山沈み込み 20年ごとにM7地震

2008年08月29日 中国新聞ニュース

 茨城県沖約100キロの海底の下で、プレート(岩板)の上にある高さ3000メートルという富士山級の海山(かいざん)が沈み込み、約20年ごとにマグニチュード(M)7級の地震が起きる原因になっているとの研究結果を、東京大地震研究所の望月公廣助教らが29日付の米科学誌サイエンスに発表した。

 望月さんによると、この海山は、陸側のプレートの下に沈み込む太平洋プレート上にあり、既に全体が陸側プレートの下に潜り込んだ状態。約70万年前から動き始め、現在も山状のまま沈み込み続けており、ふもと部分が陸側プレートに引っ掛かっている。望月さんは「海山前面のプレート同士が強く固くくっつく固着域として働き、ある時急激にずれて地震を起こしているのではないか」と話している。

 望月さんらは、この海域の地殻構造を調査、分析。海面から約10キロの深さの場所で海山が沈み込んでいると突き止めた。

ペットで地震予知 イヌやネコの異常行動の情報収集

2008/06/06 FujiSankei Business i.

 ■関西の産学官が拠点 09年にも2府6県でスタート

 ペットのイヌやネコの異常行動を市民からリアルタイムで集め地震予知につなげる試みが、早ければ2009年にも関西の最大2府6県でスタートする見通しになった。関西の経済界と大学が、専門の情報拠点を共同で設立し、市民からの携帯電話メールでペットの異常行動情報を収集。報告が時間的・地域的に集中した場合、インターネットなどを通じて告知し地震発生に対する注意を促す。地震発生直前に動物が異常行動を取る多くの例が報告されているが、広域的な情報収集で事前警報を出す大規模システムは国内初だ。

 プロジェクトの推進主体は、関西経済同友会や大学など関西の産学官で構成する科学技術振興組織「関西サイエンス・フォーラム」(会長・秋山喜久関西電力相談役)。情報収集の専門組織「地震宏観情報センター」(仮称)を設立し活動の拠点とする。情報センターの規模や組織形態などの詳細は今後詰めるが、関西電力や大阪ガスなど関西の主要企業を中心に資金を拠出。国にも09年度予算で研究支援を求める方向で検討を進めている。

 ペットの異常行動情報収集の対象地域は、大阪府、兵庫県、京都府、滋賀県、奈良県、和歌山県の2府4県だが、三重県、徳島県にも拡大する方向だ。対象地域の住民に、ペットのイヌがほえ続けたり床をかきむしるなどの異常行動を取った場合に、携帯電話のメールで動画や写真、テキストなどの報告を寄せてもらうよう呼びかける。

 集まった情報はセンターのコンピューターに蓄積して分析。短い時間の間に大量の報告が集まったり報告が一定地域に集中した場合には、インターネットなどで情報を告知する。ただ、実際に地震が発生する可能性については言及しない方針だ。

 これに続き、異常行動を監視する対象をイヌやネコから魚類に広げ、関西地域の水族館や動物園、水産関係団体などを対象にした情報ネットワークづくりを進める計画だ。情報センターでは、動物の異常行動のほか、電磁波や気象の異常についても情報を収集する。

 関西サイエンス・フォーラムは、1995年の阪神・淡路大震災を機に動物の地震予知能力に関する研究を続けており、これまで調査したイヌの約2割、ネコの約3割が同震災の直前に異常行動を取ったという。

太平洋側で大地震確率上昇 揺れの予測地図を更新

2008/04/24 中国新聞ニュース

 政府の地震調査委員会は二十四日、三十年以内に震度6弱以上の地震の揺れに見舞われる確率を全国各地で求め、色別に示した「地震動予測地図」を更新し、公表した。

 主要活断層帯の新たな長期評価などを反映し、一月一日を基準日として改訂した。発生が迫っているとされる東海地震や東南海・南海地震が起きていないため、関東南部から四国にかけての太平洋側などで、昨年に比べて確率が高くなった。

 都道府県庁所在地では、確率が最も上昇したのは高知市の2・0ポイント(確率は54・3%)。次は福岡市の1・7ポイント(同2・3%)で、市内を通る警固断層帯で起きる地震の評価反映が原因。

 確率が高いのは静岡市(86・8%)、甲府市(82・3%)、津市(62・5%)の順。

 北海道北部や山形県、富山県、長野県南部では、付近の活断層帯の新たな評価を反映した影響で確率が下がったが、地震調査委事務局の文部科学省は「予測には幅があるので、防災対策を怠らないでほしい」と話している。

震源に電気通しやすい場所 京大などが能登地震で確認

2007年09月29日 中国新聞ニュース

 大規模地震の震源域の地下には共通して電気を通しやすい領域があることを京大防災研究所などのチームが、今年3月に起きたマグニチュード(M)6・9の能登半島地震の震源域調査で確認。名古屋大で開かれた地球電磁気・地球惑星圏学会で29日発表した。

 同チームは、これが地震の起きやすさに関連している可能性があると推測している。

 断層の深部に水などの流体が存在すると、地震が発生しやすくなると考えられているが、同チームは水などに電気を通しやすい性質があることに注目。東大地震研や東京工業大など全国8大学と共同で、能登半島地震後の4月4日から1カ月間、同半島の26カ所で地表面に磁場センサーと電極を設置して観測した。

1分〜10秒前に緊急地震速報受信 病院などで活用

2007/07/24 The Sankei Shimbun

 新潟県中越沖地震で、大きな揺れの直前に予想震度を出す気象庁の「緊急地震速報」を、新潟や長野、関東地方の建設工事現場や病院などが揺れの約1分〜10秒前に受信、机の下に隠れたり、工事や電車を緊急停止したりする対策に生かしていたことが24日、同庁のまとめで分かった。

 速報は昨年8月から、一部事業者に先行提供されているが、用途は従業員の安全確保や、実証試験に参加している家庭への配信などに限定。一般への提供は当初計画の今春から10月にずれ込んでいる。

 新潟市では、2カ所が約10秒前に受信。速報を契約者に配信している「トータル・ライフサービスコミュニティー」(大阪)の端末を通じて知らされた実証試験に参加している新潟市の家庭では、屋外で遊んでいた子どもを屋内に呼び戻すなどし、けが人はなかった。

 一方、もうひとつの事業所はオフィスが無人で、速報は従業員の携帯電話にメールで送られたが、届いたのは揺れの最中だった。

地震の被害想定を10月にも公表、中部・近畿の直下型

2007/07/12 NIKKEI NeT

 政府の中央防災会議の専門調査会は12日、中部・近畿圏で起きる可能性のある直下型地震について、季節や時間帯に応じた4ケースで死傷者数や建物などの具体的な被害想定を作成すると発表した。京都や奈良に集中している文化財の被害に関しても検証し、早ければ10月ごろにも結果を公表する。

「緊急地震速報」 CATVで予測震度告知 JCOMが6月に試験

2007/03/20 FujiSankei Business i.

 ケーブルテレビ(CATV)局統括運営会社大手のジュピターテレコム(JCOM、東京都港区)は、気象庁が今秋から本格配信する「緊急地震速報」をCATV網を利用し家庭に届けるサービスの商用化を目指し、6月から実証試験に乗り出す。CATV網を使った実証試験は国内で初めて。

 JCOMは、5月から緊急地震速報を家庭に届けるシステムの構築作業を開始する。6月からは、システムの有効性を調べる実証試験を約3カ月にわたり行う。グループ内のCATV数局と連携し同試験を行う予定。

 同試験は、CATV網を利用した緊急地震速報の実用化を推進している電子情報技術産業協会(JEITA)の運用サーバーを利用して展開する。

 緊急地震速報は、気象庁が発信する地震情報。地震の発生直後に、震源に近い地震計がとらえた観測データを解析し、まず震度や地震の規模(マグニチュード)を推定。これに基づき、大きな揺れが到達する数秒〜数十秒前に予測震度などを速報するという仕組み。

 これを適切に利用して、大きな揺れの前に対策を講じることができれば、地震災害を軽減できると期待されている。

 速報の流れは、大きな揺れの前に伝達される小さな揺れを検知。そして瞬時にマグニチュードと震源の位置を算出。このデータを気象庁などが配信する。

 JCOMはこの配信データを受けて、データセンターで大きな揺れまでの時間と震度を割り出す。最終的に、「10秒後に震度5の地震が起きる」といった警報を音声やアラームなどでユーザー宅に知らせる。

 速報は、CATVの線が自宅まで届いていれば、未契約者でも受信できる。実用化されれば、専用端末をレンタルするサービスが想定される。このサービスは、JCOMの潜在顧客を含む約700万の世帯で利用可能。

 気象庁は昨年夏から、工場現場などの作業員の安全確保に向け、先行的に緊急地震速報の提供を開始。すでにNTTコミュニケーションズなど大手通信事業者が実用化に意欲を示しているが、JCOMが商用化の検討開始で先行した形となる。

 気象庁は、今秋の緊急地震速報の本格運用に向けて準備を進めている。しかし速報提供をめぐっては、高速道路で自動車運転中に情報を受け取ったドライバーが急ブレーキをかけるなどといったパニックの発生が懸念されている。

 CATVの場合は、地上波放送に比べ放送地域がより限られるため、速報の周知徹底もでき、パニックが起こる可能性が低い。さらに、既存のCATV網を使用できるため設備投資も抑えられる。このためJCOMは、CATVの特性を生かせばスムーズに商用化でき加入者増にもつながると判断した。(臼井慎太郎)

地震規模、位置の推定前進 直前予知は依然困難

2007年01月15日 中国新聞ニュース

 文部科学相の諮問機関、科学技術・学術審議会測地学分科会は15日、地震の直前予知は依然困難だが、プレート境界で起こる大地震の位置と規模の予測には「一定の見通しが得られた」とする、地震予知研究計画の現状評価をまとめた。

 予知のもう一つの重要要素である地震の発生時期については「過去のデータに基づく長期予測の段階」と指摘。内陸地震の予知は初期的な段階と分析した。「直前予知は一定の場合に可能と考えられる東海地震を除き、一般には困難だ」と認める一方、地震時に大きくずれて強い地震波を出す「アスペリティ」と呼ばれる場所についての研究などは進んだとした。

 併せて評価した火山噴火予知計画の実施状況については、04年の浅間山噴火で事前に兆候をとらえ、三宅島の火山ガス観測で島民避難解除の判断に貢献する成果があったと指摘。

群発地震の前に地殻変動 GPS観測で発見

2006/10/22 The Sankei Shimbun

 伊豆半島や海底に分布する伊豆東部火山群で最近発生した群発地震の1カ月以上前に、地表面が伸びる地殻変動が起きていたことを、国土地理院(茨城県つくば市)の村上亮総括研究官が、衛星利用測位システム(GPS)による観測で22日までに突き止めた。

 この現象が今後も続けば将来は群発地震の予知に利用できる可能性があるという。熊本県阿蘇市で23日から始まる日本火山学会で発表する。

 伊豆東部火山群では、今年1月ごろから地殻変動を伴わない程度の小さな地震が増え始め、3月下旬から4月に活発化。4月21日には、静岡県伊東市などで震度4を記録し、けが人も出た。

 村上氏は、この群発地震の前後に、静岡県と神奈川県のGPS観測点計約30カ所でとらえた地殻変動データを分析。すると、地震発生の1カ月以上前の昨年12月から、伊東市付近で地表面が伸びるような変動が始まっていたことが判明した。

 地震が本格化する前の3月下旬ごろまでに、初島−伊東八幡野間と小室山−伊東八幡野間の距離が、それぞれ約1センチずつ長くなっていた。

 村上氏の分析では、群発地震の原因は、火山群の地下のマグマだまりからマグマが海底下5キロ付近まで上昇、岩盤を破壊したため。一方、地震に先立つ地殻変動は地下のさらに深い部分から上昇したマグマが、マグマだまりを膨張させたためと推定している。村上氏は「予知に活用できるか、さらに分析したい」としている。

M7級直下地震起きたら「都内の死者4660人」

2006/02/16 The Sankei Shimbun

 東京都防災会議の地震部会(部会長・溝上恵東大名誉教授)は16日、首都直下地震発生時の被害想定をまとめた。東京湾北部を震源とするマグニチュード(M)7.3の地震が起きた場合、最悪で死者約4660人、全壊建物は約43万6000棟と予想した。被害想定は1997年以来9年ぶりの改訂で、都は地域防災計画の見直しをする。

 都によると「冬の午後6時」にM7.3の直下地震が起き、平均風速の2倍の風速6メートルだった条件で被害を想定。死者約4660人のうち、約2700人が火災、約1900人は建物倒壊が原因とした。またM6.9だった場合は、死者数は約2200人とした。

 都はターミナル駅別の帰宅困難者数などのデータを加え3月末までに最終報告をまとめる方針。

 政府の中央防災会議が昨年公表した首都直下地震の被害想定は、M7.3、風速15メートルで死者約7800人としていた。しかし都は「15メートルは台風が近いなど特殊な条件。現実的な風速で算出した」と説明している。(共同)

震度予測に計算ミス見つかる 地震調査委員会

2005年11月09日 asahi.com

 政府の地震調査委員会は、03年6月にまとめた宮城県沖地震の震度予測に計算ミスがあり、再計算して12月に新たな結果を報告すると、9日、発表した。各地の震度がどの程度変わるか、現時点では不明という。

 震度予測は、想定の震源域から、各地点に到達するまで、地下の構造によってどれだけ地震波が増幅されるかを計算して求める。地下構造は数百メートル程度の浅い地盤と、それより深い構造の二つに分けて、影響を計算する。03年6月にまとめた計算では、2種類の震源を想定したが、そのうち一つで、深い地下構造の影響が南北逆転した形で使用されていた。

 8月の宮城県沖の地震の後、東北電力が震度予測を見直した際に疑問をもち、震度予測の計算をした防災科学技術研究所に問い合わせて計算ミスが見つかった。同研究所は再計算を始めており、計算結果は12月14日の地震調査委員会で審議して発表の予定。

 「専門的な計算なので、調査委員会のチェック機能に限界があった。申し訳ない。今後はミスがないよう努力する」と津村建四朗・委員長は話した。

 同調査委員会は、マグニチュード(M)7.5前後の宮城県沖地震が今後30年以内に発生する確率は99%として、想定される地震について震度予測をまとめていた。

産総研が全国活断層地図、M6・5以上の地震確率示す

2005年10月18日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 全国の主な活断層について、今後30年間でマグニチュード6・5以上の地震が起こる確率を詳細に記した「全国主要活断層活動確率地図」を、産業技術総合研究所(茨城県つくば市)が作成し、18日に発表した。

 最も確率が高いのは、糸静線断層の一部である長野県の松本盆地から諏訪盆地にかけて走る牛伏寺断層で、25・21%だった。

 以下<2>中央構造線の一部である和歌山県北部の根来断層11・58%<3>山形盆地西縁の山辺断層10・01%<4>石川県中部の石動山断層9・86%<5>神奈川県東部の衣笠断層9・51%――の順。

 産総研では、国内の主な断層帯98か所を290の短い断層に分けて分析。今後30年間に地震が起こる確率が3%以上の活断層を赤色、0・3%以上をオレンジ色などと色分けして地図に表示した。赤とオレンジ色の断層はそれぞれ全体の15%弱で、ほとんどは0・3%未満の断層だった。

 活断層による地震予測では、国の地震調査委員会が、大きな断層帯が一度に活動したと仮定し、巨大地震の発生確率を出している。しかし、実際には、大きな断層帯を構成する短い断層が別々に動く可能性があるため、産総研では、個々の短い断層について詳細な評価を行ったという。

パキスタン地震などの地殻変動、M8級の頻発期に

2005年10月16日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 パキスタン大地震や昨年末のインドネシア・スマトラ島沖地震を引き起こした「インド・オーストラリアプレート」という巨大な岩板の地殻活動が、1997年以降、マグニチュード(M)8級の巨大地震を頻繁に起こす「活動期」に入っている可能性が高いことが、石川有三・気象庁精密地震観測室長の分析で明らかになった。

 パキスタンやインド、中国、インドネシアなどの国々は同プレートとユーラシア大陸のプレートがぶつかり合う境界に近く、地殻にひずみが蓄積してしばしば大地震が起きる。石川室長は両プレート境界付近の過去の地震活動を分析するため、米地質調査所などの観測データを活用。1850年以降の155年間にM7・5以上の大地震が頻発した活動期を調べた。

 その結果、この地域では活動期と静穏期を繰り返していることが判明。1889年から26年間と、1928年から25年間はともに、M7・5〜8・5の地震が20回近く発生する活動期だった。その後の44年間は、同規模の地震がわずか2回だけになったが、97年以降の9年間は、沈黙を破るように既に9回も起きた。

 石川室長は「スマトラ島の南西沖には長期間、地震がほとんど起きていない『空白域』があり、3度目となる巨大地震にも警戒が必要だ」と話している。

地震活動が活発化 プレート境界、専門家警告

2005/10/12 The Sankei Shimbun

 PTI通信によると、インドの主要な地震学者は、パキスタン地震を起こしたインドプレートとユーラシアプレートの境界付近での地震活動が非常に活発になっていると分析、今後も強い地震に対して警戒が必要だと警告している。

 同国で著名な地震学者のジャナルダン・ネギ氏は、昨年12月に津波を引き起こしたスマトラ沖地震が発生した約3カ月後にも同じスマトラ沖で大きな地震があり、さらに今回のパキスタン地震と、両プレートの境界付近で強い地震が相次いで起きていることを重視し「強い地震がこれほど高い頻度で起きるのは珍しい」とした。

 地球科学研究センターのC・P・ラジェンドラン氏も「プレート境界での地震活動が活発化しているのは確かだ」と述べた。

 ラジェンドラン氏は、強い地震の頻発が、偶然が重なったものなのか、一時的な活動期のためなのか、科学者は誰も分かっていないとした上で、「(プレートの)ひずみが引き金となってこの傾向は増加するだろう」と述べ、付近の断層の動きを慎重に調べる必要があると指摘した。(共同)

海底が東北東に約10センチ移動 8月宮城地震で、海保観測

2005/10/11 The Sankei Shimbun

 海上保安庁は11日、宮城県南部で最大震度6弱を記録した8月16日の地震で、震源付近の海底基準点が、地震前と比べ東北東に約10センチ移動したとの観測結果を発表した。

 宮城県沖の海底は、日本海溝より沖合の太平洋プレートの沈み込みにより、普段は西向きに押されて移動しているが、地震に伴い震源域付近の観測点が東向きに戻ったと考えられると指摘。また、震源に近ければ海底の移動が大きいことも分かったとしている。

 同庁は「断層の場所や大きさなどを知るためのデータとなるとともに、近い将来の発生が懸念されている宮城県沖地震の場所や大きさの予測に役立つことが期待される」とも話し、12日の政府の地震調査委員会、20日に札幌で開かれる地震学会に報告する。

 海上保安庁によると、震源から東に約10キロ離れた基準点「宮城沖2」は、6月の観測と比較して東北東に約10センチ移動。一方、震源から東南東に約60キロ地点にある基準点「宮城沖1」は、ほとんど動いていなかったという。

 測量船「海洋」が8月下旬から9月下旬に実施。GPS衛星と船から出す音波を使い、基準点の位置を計測した。(共同)

7・23千葉県北西部地震 関東大震災前の明治東京地震に類似

2005/08/29 The Sankei Shimbun 東京朝刊から

 東京・足立区で震度5強を観測した7月23日の「千葉県北西部の地震」は、1894(明治27)年の「明治東京地震」の弟分のような地震だったことが、東京大学地震研究所の古村孝志助教授らの研究でわかった。地震の規模は千葉県北西部がマグニチュード(M)6で、明治東京地震はM7。2つの地震は、同じプレート(岩板)境界で起きた可能性が高いという。近く起こるとされるM7級の「首都直下地震」に備えるためにも、111年前の明治東京地震を知ることは大切だ。(中本哲也)

 明治東京地震では、東京湾沿岸部などで震度6の激しい揺れになり、東京東部と横浜などで31人が死亡した。その39年前(1855年)には死者1万人以上とされる安政江戸地震(M7)、そして29年後の1923(大正12)年には10万人以上の死者を出した関東大震災(M7.9)が発生した。

 関東地方では、関東大震災や1703年の元禄地震のようなM8級巨大地震の前に、M7級の大規模地震が何回か発生する傾向がある。明治東京地震もその一つ。現在は関東大震災から80年以上が経過したことから、次のM7級地震の発生が懸念されている。「30年以内の発生確率が70%」(地震調査委員会)とされる首都直下地震だ。

 ただ、明治東京地震や安政江戸地震は、震源の深さと発生のメカニズムについて定説がなかった。関東の地下では、陸のプレートの下に南からフィリピン海プレートが沈み込み、その下に東から太平洋プレートが沈み込んでいる。3層のプレートが重なる複雑な構造のため、研究者の見解が分かれていたのだ。

 古村さんらは、東大地震研究所に保管されていた円盤型の古い地震計記録から、明治東京地震の震源の深さを求めた。地震計の感度や回転速度のぶれを補正したうえで、現在の地震計と同じ直交座標系の地震波として復元、震源の深さを40−50キロと推定した。

 「フィリピン海プレートの内部で断層が割れたケースも考えられるが、フィリピン海プレートと太平洋プレートの境界で発生した海溝型地震である可能性が高い」という。

 さらに、世界最高レベルのスーパーコンピューター「地球シミュレータ」で、東京湾北部を震源とする深さ10キロ、40キロ、80キロの3ケースの地震を再現してみた。その結果、深さ40キロの場合が図に示した明治東京地震の震度分布と、最も良く合致した。

 古い記録の解析と最新技術が、謎の多かった明治東京地震の実態を明らかにしたのだ。

 7月23日、解析を終えたばかりの明治東京地震と「そっくり」の地震が起きた。震源は千葉県北西部で深さは73キロ。震源は東寄りで深いが、太平洋・フィリピン海のプレート境界型地震だった。

 「震度5強になった足立区は、明治東京地震でも激しく揺れた場所で、2つの地震の共通点は多い」

 千葉県北西部地震は、震源の真上の千葉市付近よりも、足立区を中心とした東京東部が強く揺れた。明治東京地震でも震源の西側の南北に長いバナナ形の範囲が、激しく揺れた。東北地方に長く広がった広域震度分布もほぼ一致する。古村さんは「繰り返し強く揺れる場所は、地盤の軟弱さが反映されているためで、耐震化などの対策が特に重要です」と話す。

 7月の地震で、電車やエレベーターに閉じ込められて地震の脅威を実感した人も少なくないはず。M7級になると被害はもっと深刻で広範囲に及ぶ。中央防災会議は、東京湾北部を震源とするM7級の地震による被害を、最悪のケースで死者は1万1000人、経済被害は112兆円と想定している。

 過去の地震を知ることは、やがて来る大地震に「いかに備えるか」の手がかりにもなる。

宮城県沖地震、従来と別の見解…M7級「数回発生も」

2005年08月23日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 東北大学の長谷川昭教授は22日開かれた地震予知連絡会で、近い将来発生が確実視されている宮城県沖地震には、複数のタイプがありうるとの見解を明らかにした。

 従来考えられてきたのは「マグニチュード(M)7・5クラスが1回起きる」タイプだが、これ以外に、「規模がやや小さい地震が2〜3回に分かれて起きる」タイプが想定され、今月16日に宮城県沖で発生したM7・2の地震は、この2〜3回タイプの第1段階の可能性があるという。

 宮城県沖地震はこれまで、前回(M7・4)が78年、前々回(同)が36年と考えられ、広い範囲のプレート(岩板)境界が一度にずれ動くタイプの大地震と考えられてきた。

 これに対して長谷川教授は宮城県沖で過去、33年6月(M7・1)、36年11月、37年7月(M7・1)と約4年の間にM7級地震が連続3回起きた事例に注目。特に、余震の発生領域から推測する「震源域」をみると、東西に並ぶ36、37年の震源域を合わせれば78年の震源域とほぼ範囲が一致することから、「宮城県沖地震が36、37年の地震の2回に分かれて起きた可能性がある」との見方を示した。

 今回の地震では78年の震源域の大半が動いていないことから、長谷川教授は「今後、残りの震源域で地震が起き、36、37年のように推移する可能性もある」としている。

 政府の地震調査委員会は、16日の地震は想定されていた宮城県沖地震より規模が小さく、震源域の場所も南東にずれていることから、「想定地震とは別物」との見方を示していた。

「対策ますます加速を」 宮城県沖の地震で予知連

2005/08/22 The Sankei Shimbun

 地震予知連絡会の大竹政和会長は22日、東京都内で開いた定例会後に記者会見し、16日に発生した宮城県沖を震源とする地震について「1978年の宮城県沖地震で滑った部分はまだほぼ手付かずで残っていると言っていい。今までの地震対策を弱めるどころかますます加速するべきだ」と警告した。

 定例会では、今回の地震が余震分布などから、プレート境界で発生しているとみられることや、78年の地震の余震域と一部は重なるものの、その広がりは小さいことなどで見解が一致。「宮城県沖地震には防災上、今後も注意が必要だ」とする政府の地震調査委員会とほぼ同様の結論に達した。

 しかし、この日の会議で、委員の1人、長谷川昭東北大教授(地震学)は「余震域の分布などから、78年の地震で大きく滑って地震を引き起こした震源域は(78年以前には)33、36、37年と3回に分かれて滑ったかもしれない。今回がそうした地震の1回目である可能性があるので、古い地震のデータをもっと精査すべきだ」との新たな見解を示した。(共同)

東京、山梨、埼玉が10分超 震度情報の伝達遅れ

2005/07/29 The Sankei Shimbun

 総務省消防庁は28日、全都道府県が観測した震度情報を気象庁に速報するシステムを点検した結果、送信終了まで東京都で22分、山梨県で18分、埼玉県で10分と、3都県で10分以上かかったと発表した。3都県は必要な改善策を早急に実施するとしている。

 気象庁と気象台は、地震発生から5分以内に「震源・震度の情報」、10分以内に「各地の震度」を発表しており、9分以内に地震情報を送信するよう全都道府県に求めていた。

 時間がかかる理由としては消防庁は、(1)観測データを県のコンピューターに取り込む電話回線数が少ない(2)大きな地震がなくシステムを更新していなかった―などを挙げている。

 送信終了までの時間はこのほか、16道県が地震発生から4分以内、28府県は5分以上から9分以内だった。

 関東地方で23日発生した強い地震の際、東京都内で記録された最大震度の震度5強を含む情報が気象庁に届くまで22分かかり、国の対応が遅れたため消防庁が点検を指示していた。(共同)

6万集落孤立の可能性報告 内閣府の地震対策検討会

2005/06/29 The Sankei Shimbun

 内閣府は29日「中山間地集落散在地域の地震防災対策に関する検討会」を都内で開き、地震などによる土砂崩れで道路が通行止めとなり、孤立する可能性がある集落が全国で約6万あり、人口は1400万人を超えるとする推計結果を報告した。

 昨年10月の新潟県中越地震で相次いだ集落の孤立状況などに基づき推計した。今後、都道府県を通じて実際に孤立する恐れがある集落を絞り込み、8月までに対策をまとめる。

 検討会では、推計を受け、孤立を回避するための道路などの耐震化や復旧対策などについて意見を交換した。(共同)

震源域の海底に亀裂 インドネシア、水深2000m以上で

2005/02/23 The Sankei Shimbun

 スマトラ沖地震の震源域を調べている海洋研究開発機構(神奈川県横須賀市)の調査船なつしま(1,739トン)は22日、インドネシア・スマトラ島沖の海底で、亀裂や斜面崩壊の跡を無人探査機ハイパードルフィンを使った目視調査で確認した。

 形状などからいずれも新しく、地震で起きたものとみられる。今回の地震による海底地形の変化を目視で確認したのは世界で初めて。ただ、地震を引き起こした断層はまだ見つかっていない。

 調査海域はスマトラ島バンダアチェ南西沖のスンダ海溝の陸側斜面で、水深2000メートルより深い海底。亀裂のふちは鋭利で、砂などが堆積(たいせき)していないことなどから、比較的新しく、地震でできた可能性が高いと判断された。

 これらの変形が見つかった場所より深いところではまだ海水が濁っており、最近の斜面が崩落したことをうかがわせた。(共同)

壊してもいい家を譲って 防災科技研、耐震実験用に募集開始

2005/02/08 The Sankei Shimbun

 壊してもいい木造2階建て住宅譲ってください−。防災科学技術研究所(茨城県つくば市)は8日、そんな募集を始めた。兵庫県三木市に約500億円かけて造った世界最大級の震動台「実大三次元震動破壊実験施設」(E−ディフェンス)に移築し、耐震性を調べる実験に使う。

 同研究所はつくば市にある小型の震動台を使い、住宅メーカーの依頼で新築住宅を揺らす実験をしてきた。しかし実際に人が住んで経年変化した住宅とは耐震性が違う。より現実に近い実験をするため、古い住宅を揺らす必要があると判断し、募集に踏み切った。

 “応募条件”は(1)築25−50年(2)兵庫県内か近くにある(3)今年4−8月に明け渡せる−など。似た構造の2棟を選び、片方を耐震補強した上で同時に揺らし、壊れ方などを比べる。謝礼はなく、移築費用は同研究所が負担する。

 問い合わせは同研究所兵庫耐震工学研究センター、電話0794(85)8942。(共同)

震度計25カ所に不備 中国5県

2005/01/16 中国新聞地域ニュース

 <320カ所調査 計測値違う恐れ>

 阪神大震災を受け中国地方五県が市町村に設置した三百二十カ所の震度計のうち、広島、岡山、島根、鳥取県の二十五カ所で正確な観測ができない恐れのあることが、消防庁と気象庁の調査で分かった。震度計の設置場所や埋設状態に問題があるためで、指摘を受けた四県は改善を急ぐ。

 二十五カ所の県別の内訳は、広島県が十二カ所▽岡山県が九カ所▽島根県が三カ所▽鳥取県が一カ所。両庁はA―Eの五段階で評価し、二十五カ所はいずれも「地震の規模や震源の位置で、観測震度が1程度異なる恐れがある」のDレベルと判定した。

 理由は、震度計の基礎部分が十分埋設されていない▽揺れを増幅する恐れのある電柱などの構造物が近くにある▽震度を反映しにくいがけの近くに設置している―などが大半。気象庁はD判定の震度計について、四月以降は発生直後の震度速報に使用しない―と各県に通知している。

 ただ気象庁は、発生から二回目以降の震度発表ではデータをチェックしたうえで使用する考えも示している。消防庁も各自治体が初動対応で利用することを認めている。

 指摘を受け、四県は震度計の設置場所や埋設状況を市町村や気象庁と確認。各県は「緊急性はない」との認識だが、今後、適切な場所への移設や埋設の改善を早急に検討するとしている。

 五県の震度計はこのほか、「良い設置環境」のAレベルが百五十四カ所で最多。「問題ないが改善すべき点がある」のBレベルが九十八カ所、「震度を観測できる環境だが、改善点が多くある」のCレベルが四十三カ所だった。「観測に適さない」とする最低のEレベル判定はなかった。

 ≪震度計の設置環境がDレベルの地点≫

 【広島県】福山市新市町▽府中市上下町▽三次市君田町▽庄原市中本町▽安芸高田市美土里町▽同市甲田町▽江田島市大柿町▽府中町大通り▽大和町下徳良▽本郷町本郷▽久井町和草▽神辺町川北

 【岡山県】落合町垂水▽加茂町塔中▽富村富西谷▽阿波村原田下分▽勝田町真加部▽西粟倉村影石▽吉備中央町下加茂▽吉永町吉永中▽清音村軽部

 【島根県】江津市桜江町▽仁多町三成▽多伎町小田

 【鳥取県】鳥取市青谷町

  ≪震度計≫地震発生時に揺れの強弱を計測する機器。計測数値から震度を決める。かつて震度は体感や周囲の被害状況から推定していたが、1995年の阪神大震災を機に都道府県などが震度計を設置し、計測を始めた。気象庁の震度情報の発表や、自治体の初動対応の判断に利用されている。

地震のけが、6割は「家財で」…新潟は58%固定せず

2005/01/10 読売新聞 Yomiuri On-Line

 新潟県中越地震など一昨年から昨年にかけて国内で発生した3つの大地震で、震度6級の揺れに見舞われた地域では、8割の家庭で家具類が室内に激しく散乱し、けがの原因の約6割を占めたことが、3地震の被災地の住民500人を対象に読売新聞社が行った聞き取り調査でわかった。

 家具類の転倒防止策をしていなかった人が新潟では6割、全体でも4割を占め、家屋の耐震化も進んでおらず、被害は老朽家屋に集中した。最小限の被害にとどめる「減災」に向け、1995年に起きた阪神大震災の教訓である「家具の固定」と「耐震補強」の徹底を迫る結果となった。

 調査は、宮城県北部地震(2003年7月)、紀伊半島沖地震(2004年9月)、中越地震(同10月)で揺れが強かった宮城、和歌山、新潟3県の3市4町の被災者を対象に昨年末、記者が面接して行った。

 阪神大震災では、家具やガラス片が凶器となった事例が多く、防止策の大切さが指摘されてきた。今回の調査では、最も有効とされる「金具で壁や天井に固定する」策を地震前にしていた人は19%にとどまった。反面、全く無防備は全体で41%。新潟は58%に達し、地域差も大きかった。

 震度6弱―6強の揺れになった新潟・宮城では79%の世帯で足の踏み場もないほど散乱し、49%が「避難の障害になった」と回答。火災が発生していれば、逃げ遅れる恐れがあった。

 また、回答者の14%が負傷。原因は、タンスに直撃されて骨折するなど「家具の転倒や物品の落下」「割れたガラスや食器」が、合わせて58%を占めた。強震が心に与えたショックも深刻で、「今も恐怖心が強く残る」人が、新潟で65%いた。

首都圏で震度6強想定 「直下型」対策用の分布図 中央防災会議

2004/11/17 The Sankei Shimbun
 政府の中央防災会議の専門調査会は17日、首都圏で起こり得るマグニチュード(M)7クラスの地震を想定し、それぞれの場所での最大震度を重ね合わせた「予防対策用震度分布図」を初めてまとめた。

 震度6強の可能性がある地域は、東京都心や神奈川、埼玉、千葉、茨城各県の広範囲に及び、活断層が走る神奈川県の三浦半島などでは震度7も想定されるとした。

 同日午前に開いた専門調査会の会合で、溝上恵東大名誉教授らの作業部会が報告した。

 近い将来に首都圏で発生する可能性がある地震として(1)M7・3のプレート境界型(2)活断層が引き起こすM7以上級(3)M6・9の震源が浅い地震が起きた場合−を想定。それぞれの地震について1キロ四方(東京都千代田、中央、港、新宿区は50メートル四方)ごとに最大の想定震度分布を求め、それを重ね合わせた。

 この結果、東京都心や神奈川県南部、埼玉県東部、千葉県北西部などで震度6強と想定されるなど1都3県の大半の地域で震度6以上となった。震度7は三浦半島のほか、神奈川県西部、東京都の多摩地区などで、いずれも大地震を引き起こす可能性がある活断層に近い。

 村田吉隆防災担当相はあいさつで「首都直下地震は政治経済の中枢機能が集中する地域で想定され、全国だけでなく全世界にも多大な影響を及ぼす。国政の重要課題だ」と述べた。

 また、東京湾北部を震源とする地震や活断層による地震など、霞が関や成田空港といった首都中枢に大きな被害を与えるとみられる地震を選び、震度分布を想定し、首都機能を確保するための予防対策の検討に役立てることを決めた。

 専門調査会は12月中旬にも、死傷者や倒壊家屋数などの被害想定をまとめる。

月の引力が地震を誘発、日本の研究員ら米科学誌に発表

2004/10/22 読売新聞 Yomiuri On-Line
 将来発生が予想される東海地震や南海地震など沿岸の比較的浅いところで起こる地震は、月の引力の向きに合わせて増減する可能性が高いことが、防災科学技術研究所の田中佐千子特別研究員らと米カリフォルニア大ロサンゼルス校の研究でわかった。22日の米科学誌サイエンス電子版で発表される。月の引力は約12時間周期でピークを迎えるが、ピーク前後に地震が集中。地震を引き起こす断層に強い力が働けば働くほど、引力が引き金となり、誘発される地震の割合も増えていた。

 田中研究員らは、1977年から2000年までに起こったマグニチュード5・5以上の地震のうち、深さ40キロ・メートル以内で起こった、断層の上の面がずり上がる「逆断層」型の2027地震を解析。地震を引き起こす断層にかかった月の引力、海の満ち干による圧力などと、地震の起こりやすさを調べた。

 その結果、月の引力によって40ヘクト・パスカル(大気圧の約25分の1)以上の力が断層にかかっていた時に起きた255地震では、引力のピークの前後6時間に地震の7割が集中。かかる力が大きくなるほど、地震を誘発する割合が高くなっていることもわかった。

 月の引力によってかかる力は、地震を引き起こす力の1000分の1ほどだが、地形のひずみが十分にたまって地震が起こりやすくなっているときに、最後の引き金を引いて地震発生に至っている可能性が高いという。

 田中研究員は「大型地震の前には、ひずみがたまっている周辺の地域でも、月の引力によって地震が頻繁に誘発される可能性がある。そうした傾向などを詳細に分析して、予知などに役立てたい」と話している。

地震で重力変化、東大グループが観測に初成功

2004/10/15 読売新聞 Yomiuri On-Line
 地震によって生じた地球重力のわずかな変化を観測することに、東京大学などの研究グループが世界で初めて成功した。地震予知を見据え、断層などの地下構造の解明に応用できる可能性もある。15日発行の米科学誌「サイエンス」で発表する。

 地震が起きる際に断層などがずれると、その近くでは、物の重さの源となる「重力」が変化することが、理論的には予測されていた。グループは、岩手県江刺市、長野市、京都市の3か所に設置されている高精度重力計のデータを分析。昨年9月の十勝沖地震で、地球重力の10億分の1以下に相当するわずかな重力の増加を確認した。

遠くのFM放送、地震の前に受信…北大チームも観測

2004/10/11 読売新聞 Yomiuri On-Line
 地震の前には、本来聞こえないはずの遠くのFM放送が受信できることが、北海道大学大学院の研究チームの観測でわかり、福岡市で開会中の日本地震学会で10日、報告された。

 昨年9月、山梨県の民間研究者が、このFM電波の観測をもとに「南関東で大地震が起きる」と“予言”し、話題になった。

 この時は予言は当たらず空騒ぎに終わった。「科学的根拠が不十分」と懐疑派も多く、地震予知に役立つのか現時点では不明だが、学会発表を機に、議論が再燃するかもしれない。

 研究チームは2002年12月から、札幌市南区、弟子屈(てしかが)町など道内5か所にアンテナやラジオを設置、識別できる周波数のFM放送を選んで観測。この間、57の地震で「受信」が確認されたという。

 森谷武男助教授(地球物理学)は「原因は未解明だが、地震に先立つ岩盤破壊で生じた電磁波が地表から放射され、上空でFM電波を散乱させているのではないか」と推測している。

200年前にも同規模地震 紀伊半島南東沖でM7級

2004/10/03 The Sankei Shimbun
 9月5日に起きた紀伊半島南東沖の地震の震源近くで、約200年前の1808年にもマグニチュード(M)7・6程度の地震が起きていたことが、東大地震研究所の都司嘉宣助教授らのグループによる3日までの研究で分かった。

 今回の地震はM7・4で最大震度5弱、高さ0・9メートルの津波を観測。約100年おきに起きるM8級の東南海地震で想定される震源域の近くだったが、この付近では過去にM7級の地震が起きた記録はほとんどないとされていた。

 小さな津波を伴った点も今回の地震と似ているが、この時の地震の後、東南海地震が起きたのは、約50年後の安政地震だった。このため、都司助教授は「今回の地震も直ちに東南海地震の引き金にはならないのでは」と話している。

 グループは古文書の調査から1808(文化5)年12月4日に、現在の大阪府、鳥取市、徳島県阿南市、高知県赤岡町など6地点で地震の記録があることを発見。記述内容などから、鳥取市や和歌山県田辺市などで震度4、大阪府、阿南市、赤岡町で震度3と推定した。

 津波の記録は8地点で確認し、同様に三重県熊野市で約2メートル、田辺市、高知県東洋町などで約1メートルとはじき出した。

 震度や津波の高さから算定したところ、震源は今回の地震の震源から約120キロ南西に離れた和歌山県潮岬沖で、規模はM7・6と推定した。

 この成果は、9日から福岡市で始まる日本地震学会で報告される。

 <東南海地震>  南海トラフ沿いで起きる海溝型地震で、和歌山県潮岬沖から静岡県浜名湖沖が震源域。陸側のプレートの下にフィリピン海プレートが沈み込むのに伴いプレートの境界が破壊、約100年周期でマグニチュード(M)8級の地震が起こる。沿岸では津波の被害が大きく、前回1944年の地震では1200人以上が死亡した。西隣の南海地震と同時か連続して起きる可能性が高く、1854年の安政地震は東南海(東海も含む)の32時間後に南海地震が発生した。

紀伊半島沖地震、「東南海」抑え「東海」促した?

2004/09/09 The Sankei Shimbun
 今月5日に発生した紀伊半島沖の地震は、近い将来に起こると言われている東南海地震を起こりにくくする一方、東海地震をわずかに起こりやすくした可能性が高いことが、独立行政法人・産業技術総合研究所(茨城県つくば市)の遠田晋次・活断層研究センター研究員の調べで分かった。

 東海地震への影響はごくわずかと見られているが、今後の地震傾向などを慎重に観測していく必要があると指摘している。

 地震は、断層面などに少しずつ「ひずみ」がたまり、ある時、一気にひずみを解消する方向に地盤が動くことで起こる。地震が起これば、震源付近のひずみは解消される一方で、近隣地域にはひずみや力が加わることになる。遠田研究員は、この近隣地域に新たに加わったひずみの大きさなどを、地震の規模や震源の位置、地層などを基に解析した。

 今回の地震が与える影響では、紀伊半島周辺で起こると言われている東南海地震については、平均するとひずみを解消し、発生を抑える方向に力が加わっていた。一方、東海地震が起こると言われている地域には新たに、地震活動に影響が及ぶとされる最少レベルである0・1気圧ほどの圧力が加わっており、地震を引き起こす方向に働いた可能性が高いことが分かったという。

 しかし、紀伊半島付近でも一部に、地震を起こりやすくするような力が働いた地域もあるため、遠田研究員は「今回の震源の正確な位置など不確定要素も多く、まったく楽観視して良いものではない」と分析。東海地震についても、「大地震につながる可能性があるような中規模地震が起き始めるかどうかなど、注意深く観測を続けることが必要だ」と話している。

想定外と専門家も戸惑い 東南海震源域近くでM7級

2004/09/06 The Sankei Shimbun
 紀伊半島沖と東海道沖で5日夜、相次いだマグニチュード(M)7前後の地震は、M8級の東南海地震の想定震源域に近かった。この付近でM7前後の地震は想定外で専門家も戸惑っている。

 東海から和歌山県潮岬沖を震源域とする東南海地震は、南海トラフで沈み込むフィリピン海プレートに押された陸側のプレートが、約100年周期で跳ね返って起きる。

 政府の地震調査委員会が2001年にまとめた長期評価では、30年以内に起きる確率を東南海が約50%、その西側の南海地震は約40%で、規模は南海がM8.4、東南海がM8.1前後、同時だとM8.5と推定している。

 こうしたプレート境界の地震に対し、今回はフィリピン海プレート内の逆断層型の地震で、発生メカニズムが違う。震源も東南海の想定震源域の沖で「東南海地震を起こす引き金にはならない」(阿部勝征東大地震研究所教授)との見方だ。

 しかし、5日夜の地震は「われわれが経験していない状況」(気象庁)、「正直戸惑っている」(阿部教授)と想定外で、今後の地震活動を注意深く監視する必要があるとしている。

南関東のM7級地震、発生確率は「70%程度」

2004/08/23 The Sankei Shimbun
 政府の地震調査委員会は23日、相模湾から房総半島沖にかけた相模トラフ(海溝)で今後30年以内に、マグニチュード(M)8級の関東大震災型地震が起こる確率は「0−0.8%」で切迫していないとする評価結果を発表した。一方、ひとまわり小さいM7級が南関東で発生する確率は「70%程度」で、近い将来起こり得ると考えた対策が必要とした。

 相模トラフに関連する地震の確率評価は初。

 同トラフでは、陸のプレート(岩板)の下にフィリピン海プレートが沈み込んでおり、プレート境界の破壊によって1923年の関東大震災(M7.9)や1703年の元禄地震(M8.1)など巨大地震が繰り返し発生している。

 調査委は津波の跡などから、関東大震災型の地震は200−400年間隔で起こると判断。その中で元禄地震のように特に大きな地震は、2300年間隔と推定した。

 いずれも前回の発生から再来期間が経過していないため、今後30年の発生確率は関東大震災級で「ほぼ0−0.8%」、元禄地震級では「ほぼ0%」とした。

 また、南関東では沈み込むプレート内など地下30キロより深い部分が震源となるM7級の地震が歴史的に多く発生。死者31人を出した1894年の明治東京地震(M7.0)などがある。調査委は、こうした地震が今後30年以内に起こる確率を、過去の発生頻度から70%程度とした。場所により最大で震度6の揺れになるという。

 同じM7級でも、浅い部分で起こる直下型は評価が難しく、今回の対象からは外した

中央防災会議:東海、東南海、南海地震の同時発生の被害想定

2003年09月17日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 中央防災会議の「東南海、南海地震等に関する専門調査会」(座長=土岐憲三・立命館大教授)は17日、東海、東南海、南海地震が同時に発生した場合、死者は最悪で約2万8300人に達し、経済的被害は81兆円に上るとの被害想定を公表した。また、東南海・南海地震防災対策推進特別措置法に基づく対策推進地域の指定基準も公表。東海から四国にかけての太平洋沿岸を中心に1都2府18県の497市町村が該当しており、各都府県の意見を聞いて年内にも地域指定を行う。

 調査会は3地震同時や東南海、南海地震同時など、発生が考えられる5ケースについて、午前5時、正午、午後6時の三つの発生時刻で被害を想定した。

 このうち、3地震同時発生は、マグニチュード8.7を想定した。広い範囲で激しい揺れとなり、高さ3メートル以上の大津波が伊豆半島(静岡県)から大隅半島(鹿児島県)までを襲い、房総半島や瀬戸内海の一部にも達する。

 死者数が最大になるのは午前5時の発生で、▽建物倒壊で約1万2200人▽津波で約3500〜9100人▽斜面崩壊で約2600人▽火災で約300〜900人――と予測。水門が閉鎖不能で住民の避難意識が低い場合には、津波でさらに約3600人が死亡する。

 建物被害は午後6時発生が最大。全壊棟数は▽揺れで約30万8500棟▽液状化で約8万9700棟▽津波で約4万2300棟▽斜面災害で約2万7200棟▽火災で約19万6500〜47万2500棟――の計約66万4200〜94万200棟と予測した。水門が閉鎖不能の場合、さらに約1万9700棟が全壊する。

 経済的被害は住宅や企業、ライフラインなどの直接的被害が約40兆〜60兆円、生産停止や交通寸断などの間接的被害が約13兆〜21兆円で、計約53兆〜81兆円に達する。

 東南海、南海地震が同時に発生するケースは、今年4月に発表した被害想定を上方修正し、最悪の場合、死者約2万1000人、全壊約64万5000棟とした。

 一方、東南海・南海地震の防災対策推進地域の指定基準は、(1)震度6弱以上となる(2)3メートル以上の大津波か、満潮時に2メートル以上の浸水がある津波が予想される地域のうち、これらの水位よりも高い海岸堤防がない(3)過去の東南海、南海地震で地形条件などによって大きな被害を受けた――などとした。東京都(離島)から宮崎県までの497市町村が該当し、人口は約3250万人。うち95市町村は東海地震の地震防災対策強化地域にも指定されている。【鯨岡秀紀、中尾卓英】

気象庁、マグニチュードの算出改定

2003年09月17日 The Sankei Shimbun
 気象庁は17日、地震の規模を表すマグニチュード(M)の算出方法を25日から改定することを決めた。地震計を置く地盤の違いなどからMが小さめに出る傾向があったためで、5月26日の宮城県沖での地震が7・0から7・1に、7月26日に震度6強を記録した宮城県連続地震の本震は6・2から6・4に修正された。

 気象庁は、M5・5以上の地震では、地面の動きの最大値から計算する「気象庁マグニチュード」を地震の規模の標準として用いている。

 しかしこの方式では、小規模地震の場合に地震波がノイズにかき消されて計算できなくなってしまう上、1994年に「津波地震早期検知網」が整備された際に地震計の設置環境が一新され、Mが小さめに出るようになった。

 このため、地震計の設置環境変更の影響などを踏まえた気象庁マグニチュードの計算式を新たに作成。25日以降の地震から適用する。

 気象庁地震火山部は「新たな計算式を使うと、大規模な地震では深い地震を除いてこれまでよりMが0・2程度大きくなり、M2クラスの小規模地震では逆に0・5程度数値が小さくなる」と説明している。

M7・3の地震30年で2% 立川断層帯で地震調査委

2003年08月07日 The Sankei Shimbun
 政府の地震調査委員会は7日、埼玉県から東京都にまたがる立川断層帯で、最大でマグニチュード(M)7・3程度の地震が発生する可能性があり、今後30年以内の発生確率は最大2%とする長期評価を発表した。

 同断層帯は、埼玉県名栗村から東京都府中市までの約33キロ。ほぼ直線上にある名栗断層と立川断層の2つの断層からなり、一体となって活動するとみられる。地震が起きると、断層帯の北東側が南西側より2−3メートル高くなる段差ができる可能性があるという。

 調査委は、立川断層帯は過去の活動歴について資料が少ないことから、算出された発生確率の信頼性がやや低いとし、さらに調査をする必要があるとした。

気象庁:東海地震に「注意情報」新設

2003年07月28日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 気象庁は28日、東海地震の警戒宣言より前の段階でも、前兆の可能性が高い場合に「東海地震注意情報」を出すことを決めた。これにより東海地震の情報は▽単なるデータ異常を示す観測情報▽注意情報▽予知情報・警戒宣言――の3段階で出されることになる。政府の中央防災会議は同日、注意情報の段階で準備行動に入ることなどを盛り込んだ東海地震の防災基本計画の見直しを決定した。警戒宣言後だった従来に比べ、早い段階から対策が始まることになった。

 従来は、地殻変動を測るひずみ計のデータ異常などが発生した場合、単なるデータ異常のレベルなら解説情報、東海地震の前兆なのかすぐに判定できない時は観測情報を出すことにしていた。しかし、観測情報の範囲が広く、必要な対応も不明確なことから見直しを進めていた。

 気象庁によると、今後はひずみ計のうち1カ所に異常があった場合に観測情報、2カ所で注意情報、3カ所以上では判定会が招集されて予知情報が出される。遅くとも来年1月5日までに新しい情報体制に移行する。

 中央防災会議は注意情報の段階で官邸対策室の設置など準備行動に入り、救助部隊などの派遣準備や児童・生徒の帰宅、住民への呼びかけなどの措置をとる。さらに具体的な対応は、年内に決める東海地震応急対策活動要領や、地方自治体の防災計画で決められる。

 一方、同会議は28日、太平洋の北海道・東北沖にある日本海溝周辺の地震に関する専門調査会の設置を決めた。同地域では大地震が繰り返し発生していることから、予想される地震の震源や揺れの強さ、津波の高さを推計し、被害想定を行う。【鯨岡秀紀】

 ■ひずみ計 地下100〜300メートルに埋設し、地殻に加わる力の変化を調べる装置。東海地震は、陸側のプレート(岩板)がフィリピン海プレート上を滑り出す(前兆すべり)ことで発生すると考えられ、この前兆すべりによる地殻内の圧力変化をひずみ計で検出できるとされる。気象庁は、静岡と愛知両県に設置された計19カ所のひずみ計のデータをもとに、注意情報などを出すことにしている。

震源近くの震度計、壊れ観測不能に 宮城・鹿島台町

2003年07月28日 The Sankei Shimbun
 
 宮城県連続地震で、震源近くの同県鹿島台町の震度計が壊れ、26日午前6時45分以降、同町の震度が全く観測されていないことが28日、分かった。

 周辺の町ではその後、震度5弱以上の地震が3回にわたり計測されたが、県は放置していた。

 県災害対策本部は「28日未明の地震で、鹿島台町から震度の問い合わせがあり、調べたところ壊れていたことが判明した」と説明。「震度7まで耐えられるはずなのに。早急に直したい」としている。

 県などによると、鹿島台町の震度計は1995年の阪神大震災以後に県が設置。県の災対本部の電光掲示板に直結しており、震度1以上の地震が起きると数字が点灯する仕組み。

 震度計がこわれた26日午前6時45分以降、宮城県北部では震度1以上の地震は300回以上発生。その間、鹿島台町のランプは消えたままだったが、災対本部にいる約50人の職員は誰も気付かなかったという。

 また仙台管区気象台は26日午前に「故障ではないか」と県に問い合わせたが、特に回答はなかったという。

宮城県北部、未明に震度5弱 約35時間ぶり大きな余震

2003年07月28日 The Sankei Shimbun
 
 28日午前4時8分ごろ、宮城県北部で震度5弱の地震があった。26日の震度6強の地震の余震とみられる。震度5以上の余震は26日午後4時56分の震度6弱以来。その後、震度4の余震は相次いだが、約35時間ぶりの大きな余震となった。

 気象庁は、27日午前9時から24時間以内に震度5弱以上の余震が起きる確率は50%以上としていた。

 気象庁によると、震源地は宮城県北部で、震源の深さは約10キロ。マグニチュード(M)は5・0と推定される。

 JR各線は28日始発から全線で復旧する予定だったが、東北線、石巻線などで部分運休を含め、5線で運転を見合わせた。

 宮城県に入った連絡によると、同県涌谷町で電柱が傾いたり、同県南郷町の県道の橋が約5センチ陥没するなどの被害の通報があり、宮城県は防災ヘリコプターを飛ばして被害確認に当たった。石巻市内でも道路が約20センチ陥没する被害があった。

 東北電力によると、女川原発(宮城県女川町、牡鹿町)に異常はない。

 また宮城県警高速隊によると、三陸自動車道鳴瀬奥松島−石巻河南で一時通行止めとなった。

宮城県北部で連続地震 震度6強1回、6弱2回

2003/07/26 中国新聞ニュース
 
 宮城県北部で二十六日、震度6を観測する強い地震が三回あった。県警によると、四百二十一人が病院などで手当てを受け、二十七人が骨折などの重傷。県のまとめでは、住宅や公共施設四百八十棟が損壊した。雨が降り続き、土砂災害の恐れもあるため、一部地域で避難勧告が出るなど、約一千人が小学校などに避難した。

 宮城県は南郷、矢本、鳴瀬、河南、鹿島台の五町に災害救助法の適用を決めた。仙台市などを含め最大約一万三千戸が断水し、給水作業が行われている。

 本震とみられる午前七時十三分ごろの地震は、南郷、矢本、鳴瀬の各町で震度6強を観測した。マグニチュード(M)は6・2と推定される。

 午前零時十三分ごろには前震の地震があり、矢本、鳴瀬町で震度6弱を観測、M5・5と推定される。午後四時五十六分ごろには河南町で震度6弱の余震があった。M5・3と推定される。

 気象庁によると、震度6強を観測したのは二〇〇〇年十月の鳥取県西部地震以来。統計が残っている一九二七年以降、同じ日に震度6が三回続いたのは初めて。

 気象庁などによると、震源は宮城県北部の地下の断層によってできた地表のたわみの「旭山撓曲(とうきょく)」付近とみられ、深さはいずれも一二キロ。

 午前十時二十二分に最大震度5弱の余震を観測したのをはじめ、最大震度4の地震も相次ぎ、午後八時までに体に感じる地震は約二百二十回に達した。

 政府は首相官邸の危機管理センターに「官邸対策室」を設置、午後に臨時の地震調査委員会を開いた。宮城県は陸上自衛隊に災害派遣を要請、隊員約三百人が現地入りし、復旧作業をしている。

 東京、東北両電力によると、福島第一、第二原発と女川原発に異常はないという。東北電力によると、約十万戸が一時停電した。

 朝の地震で河南町のJR石巻線で四両編成の列車が脱線したが、けが人はなかった。JR東日本は新幹線や在来線などの運転を一時見合わせた。

今回も「宮城県沖」と別 内陸震源、仕組み異なる

2003年07月26日 The Sankei Shimbun
 

 宮城県北部で26日相次いだ最大震度6強の地震について、気象庁は近い将来に懸念されている大地震「宮城県沖地震」とは違うメカニズムの地震と断定した。

 宮城県や岩手県などでは5月26日にも最大震度6弱の東北地震に見舞われたばかりだが、この地震も「宮城県沖」とは別と分析された。

 政府の地震調査委員会が今年6月「今後30年以内に99%の確率で発生する」と予想した宮城県沖地震が近く起きる可能性は依然残っている。

 気象庁は、今回の地震の震源が内陸部で、宮城県沖地震の想定震源域と距離が離れていることなどから関連を否定した。

 宮城県沖では、東から進む太平洋プレート(岩板)が日本列島を載せたプレートの下に沈み込むことを原因とする「プレート境界型」地震が30−40年周期で繰り返し発生。

 最近では1978年にマグニチュード(M)7・4の地震で死者28人を出している。この地震から既に25年が経過しており、ひずみがかなり蓄積しているとして近い将来の発生が警告されてきた。

 三陸南地震は太平洋プレートの内部で起き、宮城県沖地震の想定震源域よりも北西で、やや深い位置が震源だった。

 気象庁は、今回の地震について「規模が小さく宮城県沖地震への直接の影響は無視してよい」と指摘。ただ、専門家の多くは「宮城県沖地震に向けて周辺の地震活動が活発化しており、今回の地震もその流れにある」と警戒を呼び掛けている。

市南西部で震度6強/ 東海、東南海地震同時発生 名古屋市予測

2003年7月10日 中日新聞
 東海地震などの巨大地震対策を進める名古屋市は、発生時に予測される地域ごとの震度分布や液状化の危険度を示す被害予測図をまとめた。駿河湾を震源域とする東海地震と浜名湖沖から和歌山県潮岬沖が震源の東南海地震の同時発生では、市南西部の港区や中川区などで震度6強の強い揺れになり、市内の面積の三分の一の地域で液状化の危険度が極めて高いとしている。

 震度分布や液状化の危険度は、愛知県防災会議地震部会が今年五月に発表した県内の被害予測を基に作成。東海地震と東南海地震が単独で発生した場合と、両地震が連動して同時発生した場合を想定した。

 最も被害が大きいと予想される東海と東南海の同時発生では、港区と中川区、中村区、南区などの一部で、立っていることができないレベルの震度6強を予測。守山区などを除く約七割の地域で、家具の転倒の危険がある6弱を予測している。

 また、液状化の危険度が「極めて高い」とされた地域は市南西部を中心に広がり、東海地震が単独で起きた場合に比べ、約十倍の広さになる。

 東海地震と東南海地震は慶長地震(一六〇五年)、宝永地震(一七〇七年)で同時発生し、安政南海地震(一八五四年)以後、百四十九年間の空白期間が続いている。

 名古屋市は十一日から、単独発生を含めた地域危険度情報を消防局のホームページで公表する。

仙台市が「実戦型」訓練 宮城県沖地震から25年

2003年06月12日 The Sankei Shimbun
 1978年に28人の犠牲者を出した宮城県沖地震から丸25年となる12日、仙台市は「実戦型」の防災訓練を市内各地で実施した。

 先月26日に最大震度6弱の地震が起きたばかりとあって、住民や陸上自衛隊、市内の企業などから約1万2000人が参加。今回の特徴は、住民らに事前に台本を用意しなかったことで、刻々と変わる被災状況に応じて、臨機応変な判断を求める形を取った。

 訓練は、午前7時に宮城県内陸部を震源にマグニチュード(M)7・5の直下型地震が起き、市内でビル倒壊や火災が発生したと想定。青葉区役所に災害対策本部が設けられ、市内6カ所の会場で消火活動や負傷者の搬送訓練が行われた。

 メーン会場の一つ、市立桜丘小学校(青葉区)の校庭には倒壊した住宅を再現。地元住民らは真剣な表情で、がれきの下敷きになった人の救出訓練などに取り組んだ。

 英国人で外国語指導助手、リチャード・ミュラーさん(23)は「故郷では地震を体験したことがなく、先月の地震は怖かった。前もって訓練することはとてもいいことだ」と話していた。

名古屋港で防災訓練 震度6でコンビナート炎上

2003年06月11日 The Sankei Shimbun
 名古屋市は11日、名古屋港の石油コンビナートでの地震被害に備え、消防局などを中心とした防災訓練を行った。

 駿河湾を震源とする地震が発生。東海地震の防災強化地域内の同市で震度6弱を観測し、タンクなどから漏れた石油化学製品が炎上したとの想定。

 地元石油コンビナートの共同防災組織や名古屋海上保安部も加わった140人が参加。防災船が海上にオイルフェンスを張って油の拡散を防ぐ一方、負傷者の救助や消防車によるタンクの消火を行った。

 午後1時半から約1時間半の訓練は、指揮官の大声のなか、上空にはヘリコプターが待機するという緊張感のある雰囲気。参加した消防小隊長は「危険物の多い地域。対応を間違いなくやるよう気を付けた」と語った。

東南海・南海地震:死者最悪で2万人超 最大規模の被害と予測

2003年04月17日 [毎日新聞4月17日]
 中央防災会議の「東南海・南海地震に関する専門調査会」(座長・土岐憲三立命館大教授)は17日、初めて津波や火災、斜面崩壊の死者を含む被害想定結果をまとめた。両地震が同時に発生した場合の死者は最悪で約2万500人に上り、建物の全壊は約62万棟、経済的被害は約56兆円に達すると算定した。被害は関東から九州までの36都府県におよぶ。建物が倒壊した直後に10メートルを超える巨大津波が来襲する複合災害になることから、先月公表した東海地震の死者想定1万人を大きく上回り、関東大震災以来最大の被害規模になると予測した。 

 調査会は、避難意識が高かったり、水門が破壊されないなどの場合は、被害が大きく減少すると予想。防潮堤整備や建物耐震化、広域防災情報システムの整備、防災意識の啓発などソフト・ハード両面で対策を急ぐよう提言している。

 マグニチュード8.6、最大震度6強以上と想定し、強い揺れに見舞われる埼玉県以西の県別被害を予測した。人的被害が最悪になるのは在宅率の高い冬の午前5時の発生で、死者は▽建物倒壊で約6500人▽津波で約3300〜1万1700人▽がけ崩れ約1900人▽火災約100〜400人――と予測。

 建物被害が最大になるのは夕食の準備時間帯の午後6時で、風速15メートルのケース。▽建物倒壊で約16万6500棟▽液状化約8万8300棟▽津波約3万8800棟▽がけ崩れ約2万600棟▽火災約30万1800棟――の計約61万5900棟に上ると予測した。

 また、ライフラインの被害は、断水により発生直後で約1400万人、1週間後でも約690万人が影響を受けるほか、停電は直後で約1000万人、都市ガスの停止は1週間後でも約310万人。避難生活者は発生翌日が約380万人、1カ月後でも約110万人と推定した。

 経済的な被害としては東京―名古屋―大阪を結ぶ大動脈が深刻な打撃を受けることから、生産停止などの直接被害は約30兆〜42兆円、東西の幹線交通網寸断などによる間接被害が約10兆〜14兆円で計約40兆〜56兆円と算定。東海地震の約37兆円(想定)、阪神大震災の約13兆円を大きく上回った。

 同会議は6月までに最終報告書をまとめ7月下旬、小泉純一郎首相に報告。9月中に両地震防災対策推進特別措置法に基づき、一部を防災対策推進地域に指定する。【斎藤正利】

大地震の確率は最大5% 岐阜の高山・大原断層帯

2003年04月09日 asahi.com
 政府の地震調査委員会は9日、岐阜県高山市と周辺13町村にまたがる高山・大原断層帯が今後30年間に大地震を起こす確率は最大で5%とする調査結果を発表した。発生確率が高いグループに属するとしている。

 今回は、国府(長さ約27キロ)、高山(同48キロ)、猪之鼻(同24キロ)の各断層帯を調べた。

 国府断層帯は、マグニチュード(M)7.2程度の地震が30年以内に起こる確率が最大5%と見積もった。高山断層帯は、M7.7程度の地震の30年以内の発生確率を0.7%とした。猪之鼻断層帯ではM7.2程度の地震を想定したが、過去の断層活動歴が明らかではないため、確率は算出していない。

 岐阜県の地域防災計画では、高山・大原断層帯による地震は想定していない。岐阜県危機管理室は「地域防災計画の次期見直しでは盛り込みたい」と話している。

三ケ日で異常データ観測 東海地震予知

2003年04月09日 The Sankei Shimbun
 気象庁が東海地震予知のために設置した体積ひずみ計のうち、三ケ日(静岡県)の観測データが8日夜から異常な変化を示し、同庁は9日、「変化は継続中だが、周辺の観測データに異状はなく、東海地震の前兆的すべりではない」とする解説情報を出した。

 同庁によると、8日午後7時すぎから三ケ日の地殻ひずみが通常のレベルを超えた変化を示し、9日未明には異常報知レベルでは最高の「3」を超えた。9日午後も変化は続いているが、やや鈍化の兆しがあるという。

 しかし、周辺の浜北(静岡県)、蒲郡(愛知県)など他地点のデータには連動した変化が見られず、「比較的早期に東海地震に直結しないと判断できた」という。

 三ケ日のひずみ計は、地下水の影響とみられる異常な変化を年に数回観測しており、同庁地震予知情報課は「断言はできないが、今回も同様の背景があると考えられる」としている。

 気象庁は昨年11月、東海地方で地震や目立つ地殻変化があった場合、観測データの推移を引き続き見守る必要がある「観測情報」か、東海地震と関係ないとする「解説情報」を発表する。

 解説情報の発表は今回で4回目。最近は2001年4月に、静岡県中部で発生した地震に関する解説情報が発表された。

三方断層帯:今後30年以内、大地震の確率0%

2003年03月12日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 地震の恐れがある全国98活断層を調査している国の地震調査委員会は12日、福井県から京都府へ連なる三方・花折断層帯の評価結果を公表した。三方断層帯で今後30年以内に大地震が起きる確率は0%と低く、花折断層帯の北部部分も可能性は「低い」という評価だった。花折断層帯の中南部は、マグニチュード(M)7.3の大地震が今後30年以内に起きる確率が最大で0.6%だった。

 三方は福井県美浜町の沖合から同県上中町までの長さ約26キロ、花折は滋賀県今津町から京都市を経て京都府宇治市へ至る約58キロで、花折はさらに今津町〜花折峠付近までを北部、同峠付近〜宇治市までを中南部に分けて評価した。

 三方は1662(寛文2)年に大地震を起こし、近畿地方に広く被害が出たという記録があり、花折北部も同時に活動した可能性が高い。このため、平均活動間隔が4000〜6000年と考えられる三方が近く活動する可能性は低く、花折北部も平均活動間隔が不明で確率は出せないものの、「活動の可能性は低い」と評価した。次に活動する場合の地震の規模は三方、花折北部ともにM7.2と推定している。

 三方の近くは核燃料サイクル開発機構の高速増殖炉もんじゅ、関西電力の美浜原子力発電所など6原発15基が集中し、「原発銀座」とも呼ばれている。花折中南部の確率は、これまでに評価を終えた計33断層帯の中では、上位25〜50%の「やや高い」グループに入った。 【永山悦子】

地震危険度:宮城県北部は要注意 調査委が北日本マップ試作版

2003年03月24日 [毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 国の地震調査委員会の部会は25日、強い地震の揺れに見舞われる確率を地域ごとに色分けして示す「地震危険度マップ(地震動予測地図)」の北日本の試作版を公表した。対象地域は北海道と東北地方。千島海溝に近い北海道東部の太平洋側と、三陸沖のプレート(岩板)境界に近い宮城県北部が、「今後30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率が非常に高い(確率25%以上)」と判定された。

 調査委は04年度、全国の地震危険度マップを完成させる予定で、試作版は昨年5月の山梨県周辺版に次いで二つ目。

 対象地域を1キロ四方の区画に分け、想定される80以上の地震による震度と確率を、区画ごとに算出した。

 その結果、今後30年以内に震度6弱以上の強い地震の起きる確率が、プレート境界に近い北海道東部と宮城県北部で高くなり、一部で100年に1度という非常に高率(同25%以上)だったほか、周辺の広い地域も500年に1度の高率(同6%以上)で発生すると予測された。一方、日本海側は同3%以下の低い確率の地域が多かった。

 マップは防災対策や重要施設の立地の検討などに活用される。 【永山悦子】

大地震:北海道・十勝沖、30年以内に発生の可能性

2003年03月24日 [毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 国の地震調査委員会は24日、北海道の東側の千島海溝沿いを震源とする地震発生確率を発表した。対象海域を4カ所に分けて評価したところ、十勝沖でマグニチュード(M)8.1前後の大地震が今後30年以内に起きる確率が60%程度と最も高かった。根室沖でも、M7.7程度の大地震が起きる確率が20〜30%に達した。

 千島海溝沿いでは、海側の太平洋プレート(岩板)が陸側の北米プレートの下にもぐりこみ、ひずみがたまった陸側のプレートが跳ね返って、周期的に大きな地震が起きる。十勝沖は1952年に十勝沖地震(M8.2)が発生、死者・行方不明者が33人出た。根室沖では73年に根室半島沖地震(M7.4)が起きている。また太平洋プレート内部にたまったひずみが解消されることによって起きる地震もあり、やや浅い部分では94年の北海道東方沖地震(M8.2)、やや深い部分では93年の釧路沖地震(M7.8)があった。

 今回の評価で、十勝沖、根室沖の大地震は平均77.4年間隔で発生すると分析され、発生確率が高くなった。また、北海道太平洋沿岸の堆積(たいせき)物調査で、十勝沖と根室沖の地震が連動して起き、10メートルを超す大津波を起こしていることも確認された。連動型地震の規模はM8.3程度で、400〜500年に1度起きると推定している。 【永山悦子】

南海地震:地下水の変化で予知 京大など研究開始

2003年01月04日 THE MAINICHI NEWSPAPERS
 地下水の水位変化から南海地震発生の前兆をつかむことを目指した研究を、京都大などのグループが今春、高知県西部の海岸沿いで始める。南海地震は震源が海底で予知が難しいとされるが、南海地震の直前に、紀伊半島や四国で地下水の水位が下がる可能性があるという研究成果が得られたことから、詳しいデータを集め、巨大地震を予知するのが目標だ。

 南海地震は、紀伊半島から四国沖の海底で、海側のプレート(岩板)が陸側のプレートの下に沈み込んでいるところが震源となる。引きずられた陸側プレートにたまったひずみが解消される時に地震が発生する。

 南海地震の前に井戸水が減ったという記録や言い伝えが各地にあり、特に1946年の昭和の南海地震の数日前には、紀伊半島から四国の太平洋沿岸の広い範囲で井戸水の水位が下がったり、わき出す温泉の量が減ったという記録が多数残っている。

 海底で二つのプレートがせめぎあって起きる地震の場合、地震が起きる直前に、プレートの境界面の一部分が先行してずれる現象が起きる。このためグループは、南海地震の直前には震源域近くの地盤の一部が伸び、それに引っ張られて、水が入った容器の底面が広がるように、地下水の水位が下がるとの仮説を立てた。昭和の南海地震の直前の地表の変動の状況を計算したところ、井戸水の水位が減るなどした地域と、地表が伸びた地域がほぼ一致し、地下水の水位変化は南海地震の前兆と関連している可能性が高いと判断した。

 研究は、井戸水の水位の変化を観測するのに加え、深さ数メートルから数十メートルの穴を3本掘り、地下水の水位変化に、地震とは別に雨や潮の満ち引きがどのように影響するのかを調査する。

 研究のリーダーを務める京都大防災研究所地震予知研究センター長の梅田康弘教授は「地下水と地震の関係はまだ科学的に不明確なことが多く、基本的なデータを集め、地道に予知につなげられるよう取り組む」と話している。 【今西拓人】

東南海・南海地震:死者1万2000人想定 防災会議・調査会

2002年12月22日THE MAINICHI INTERACTIVE
 中央防災会議の「東南海・南海地震に関する専門調査会」(座長・土岐憲三立命館大教授)は21日までに初の被害想定をまとめた。東南海地震と南海地震が同時発生した場合、建物倒壊による死者が、最大1万2000人に達すると予想している。東海地震の想定死者数8100人を大幅に上回っており、津波被害を加えると、最終的な想定死者数は大幅に増える可能性がある。

 愛知―三重県沖を震源とする東南海地震と、紀伊半島―四国沖を震源とする南海地震は、過去のパターンから、同時発生か、短い間隔で連続発生することが知られる。

 調査会は、二つの地震が同時に発生したと想定。約6400人の死者が出た阪神大震災(1995年)のほか、300人以上の死者が報告される鳥取地震(43年)▽東南海地震(44年)▽南海地震(46年)▽福井地震(48年)の被害事例を分析し、被害規模を予測した。

 国の地震調査委員会によると、二つの地震による揺れは関東から東海、近畿、四国、九州など38都府県に及び、震度6を超える強い揺れが起きるとされる。この揺れに伴う被害者数を、早朝、正午、夕方の3パターンで検討。その結果、屋内にいる人口が最も多い早朝に発生した場合、建物の倒壊による圧死などで最大1万2000人が死亡すると想定した。

 24日に開かれる調査会後に、建物倒壊に伴う死者数のほか、各地の震度予測、津波の波高予測について公表する予定だ。過去の地震では、10メートルを超す大津波が太平洋岸に押し寄せ、多数の死者、家屋流失の被害が出たことがある。調査会は今後、津波による想定被害者数の検討を進め、今年度末の最終報告前に公表する方針だ。

 44年の東南海地震(マグニチュード=M=7.9)では1223人、46年の南海地震(M8.0)では1330人の死者が報告されている。国の地震調査委は、二つの地震の30年以内の発生確率を東南海(M8.1)が50%▽南海(M8.4)が40%と予測している。同時に発生するとM8.5となり、阪神大震災(M7.3)の64倍の日本最大規模になる。

東海地震:被害想定初めて公表 死者8100人を予想

2002年08月29日 Mainichi INTERACTIVE
 国の中央防災会議(会長・小泉純一郎首相)の東海地震対策専門調査会(座長、岡田恒男・芝浦工大教授)は29日、東海地震が発生した場合の建物倒壊とそれによる死者数の被害想定を初めて発表した。建物の全壊は最大で約23万1400棟。予知なしで起きた場合の死者は、阪神大震災を上回る8100人と予想している。また、警戒宣言が発令された場合、1日当たり実質的に1700億円の経済的な影響が見込まれると発表した。

 被害は他に火災や津波、斜面崩壊なども考えられ、年末までに全体予測を公表する予定。

 同調査会はまず、地震防災対策強化地域の震度分布を検討。これまでは震度6弱以上として公表していたが、初めて震度6強と震度7についても予想した。震源の場所など4パターンに分けて分析したところ、いずれも震度7は静岡県に集中し、震度6強は静岡県と山梨県の南部に偏った。

 建物の全壊数は、揺れによって16万4500〜20万5300棟、液状化で2万1400〜2万6000棟と予想した。

 予知がない場合の建物被害による死者は、多くの人が在宅している午前5時発生で7100〜8100人▽正午で3600〜4100人▽午後6時で3600〜4000人――と予想。予知があった場合は、7割が避難できるとして、最大でも死者は2100人にとどまるとしている。 【若狭毅】

紀伊沖に分岐断層、東南海地震の原因か

2002年08月16日 Yomiuri On-Line
 近い将来発生が予想される東南海地震の震源域を調査していた海洋科学技術センターは、紀伊半島沖のプレート(板状の岩盤)境界から枝分かれしている断層の存在を突き止めた。16日発行の米科学誌サイエンスに発表する。

 分岐断層を見つけたのは、同センターの金田義行・プレート挙動解析研究領域長ら。断層は、紀伊半島の南東沖約50キロの地点、半島と南海トラフ(陸のプレートに海のプレートが沈み込む境界線)の中間で分岐し、南海トラフの手前約25キロで海底に達している。分岐断層は、プレート境界よりも断層の角度が垂直に近いため、大きくずれると津波が発生しやすい。金田領域長は「前回の東南海地震は、この分岐断層がすべって地震や津波が起きた可能性が高い」とみており、今後、深海掘削などさらに詳しく調べることにしている。

揺れ来る前に緊急地震情報発信システム構築へ

2002年05月20日Yomiuri On-Line
 文部科学省は、地震の揺れが都市部に到達する前に、緊急地震情報を発信する「リアルタイム(即時)地震情報活用システム」を構築することを決めた。気象庁と連携して地震予知に代わる新たな震災対策として、5年以内の実用化を目指す。全国に約600点ある地震計を使い、震源付近で大地震の地震波を捕捉、防災科学技術研究所(茨城県つくば市)のコンピューターで地震の規模や位置などを瞬時に計算する。

 直下型地震ではあまり時間の余裕がないが、東海地震のように震源から離れた地域に大被害をもたらすおそれのある大地震には有効な防災対策となりそう。もし東海地震が発生した場合、東京・新宿では、地面が大きく揺れ出す55秒前に、テレビのテロップなどで緊急情報を流せるという。この間に火の始末や机の下に隠れるなど、不意打ちの地震と比べ、被害の大幅な軽減が期待される。

30年以内に確率40% 政府調査委が初予測

2001年09月28日 高知新聞
 政府の地震調査研究推進本部地震調査委員会は27日、静岡県の浜名湖沖から四国沖にかけた南海トラフで発生する次の南海地震と東南海地震について、今後30年以内に起きる確率は南海地震が約40%、東南海地震が約50%とする長期評価を公表した。両地震は同時か、東南海―南海の順に発生する可能性が高く、地震の規模は個別に発生した場合で南海がマグニチュード(M)8・4前後、東南海がM8・1前後、同時だとM8・5の最大級規模になると推定している。発生時期や規模についてはこれまでも研究者らが予測してきたが、政府が公式見解を示したのは初めて。関係機関には一層の震災対策の推進が求められそうだ。

 同委員会は、南海トラフ沿いで周期的に発生している南海地震(震源域は足摺岬沖―和歌山県潮岬沖)と東南海地震(潮岬沖―静岡県浜名湖沖=いずれも別図参照)について「切迫性はないが、発生の可能性は確実に高まっている」として四月から長期評価を開始。過去の発生状況、地殻変動の現状などを総合的に判断した。

 それによると、十分な検討データがある1605年以降の4回の南海地震の平均発生間隔は114年。しかし、前回1946年はエネルギーの解放量が過去の平均より小さかったことなどから、次回までの間隔は約90年になるという。

 このデータに基づき、次回の発生確率を計算すると、10年以内は10%未満だが、20年以内は約20%、30年以内は約40%、40年以内は約60%となり、2050年までには約80%の確率で発生するという予測結果が出た。

 地震の規模は個別に起きた場合はM8・4前後、東南海地震と同時に起きた場合はM8・5前後となる可能性が高く、「前回の南海地震は規模が小さかったことを注意する必要がある」と指摘している。

 また、同委員会は「南海トラフ沿いで大地震が発生する前後には、西日本で地震活動が活発になる」と警告。阪神・淡路大震災や今年3月の芸予地震などを予兆と考えることもできるという。

 政府は今回の評価などを受け、近く内閣府の中央防災会議に「東南海・南海地震等に関する専門調査会」を設置し、震災対策の検討に入る方針。

 文部科学省地震調査研究課は、「現在の科学技術の水準では、一般的に地震の予知は東海地震を除き困難といわれており、南海地震の場合は予知よりも対策が重要だ。特に高知県は前回を教訓に津波対策などに力を入れてほしい」と話している。

 東南海地震と南海地震 東海から四国にかけた太平洋沿岸で100年から150年間隔で大被害をもたらすマグニチュード(M)8クラスの巨大地震。震源域が潮岬沖より東の場合を東南海地震、西を南海地震と呼ぶ。南海トラフで沈み込むフィリピン海プレートに押された陸側プレートがはねかえって起きる。古くは白鳳時代の684年に起きた記録もある。両方が同時に起きた1707年の宝永地震(推定M8・6)の死者は2万人以上とされる。前回の南海地震(M8・0)は1946年12月21日に発生。本県では死者679人、負傷者1836人などの被害が出た。

 地震調査委員会 1995年1月の阪神・淡路大震災発生を受けて、地震に関する調査研究を推進する目的で同年7月に設置された地震調査研究推進本部内にある委員会。委員は学識経験者、関係省庁の担当者ら14人で、委員長は津村建四朗・日本気象協会相談役。これまで12地域の14活断層帯の評価を終えて公表。プレート間大地震では、昨年11月に宮城県沖地震を評価しており、今回が2カ所目。

 【解説】東海に比べ対策に遅れ

 東南海地震と南海地震は、今世紀前半に必ず来るとされる巨大地震だが、20年以上前から予知、防災体制の整備が進んできた東海地震と比べ国レベルの対策は遅れていた。

 地震調査委員会が27日に公表した発生確率は、今後30年間では40―50%だが、50年間では80―90%に上昇し、時間とともに切迫してくることをあらためて示しており、防災体制の整備を国や関係自治体に強く促すものだ。

 東海、東南海、南海の地震は、いずれも陸側プレートと、その下へ沈み込むフィリピン海プレートの境界で発生する海溝型の巨大地震で、同時か短い間隔で発生することが多い。

 このうち1940年代の東南海地震と南海地震では起きなかった東海地震について政府は「切迫度が高く直前予知の可能性がある」として78年に周辺地域を地震防災対策強化地域に指定。

 予知・防災体制の整備を最優先で行ってきたが、東海地震の切迫性や対策の「東海一極集中」を疑問視する声もあった。東南海、南海の防災対策が東海地震と異なるのは、今のところ直前予知の可能性がない点。「不意打ち」を前提に古い木造住宅の補強や都市の火災対策、津波の速報体制の充実を地道に進めるしかないが、それは同時にどこでも起きうる阪神大震災のような内陸地震の対策にもなる。

 地震調査委の今回の評価を、こうしたより普遍性をもつ地震対策への第一歩にする必要があるだろう。

 震度や被害の予測必要

 島崎邦彦・東大地震研究所教授の話 今回の評価結果は、これまでの研究成果をまとめたもので、現時点での地震学者の共通見解といえる。今後は震度や被害の予測を進めることが必要だ。両地震は発生の度に地震動や津波の性質が異なっているのが特徴で、次の地震は前回の昭和の発生より大規模になるとみられる。前回被害が小さかった地域でも油断は禁物だ。

気象庁、マグニチュードの計算方式を改良へ (2001.01.24) asahi.com
 昨年10月の鳥取県西部地震のM7.3が阪神大震災のM7.2と比べて大きすぎるという指摘を受けて気象庁が検討を始めた。

 マグニチュードについては、気象庁の地震観測網が一新された1994年を境に一貫性が失われたという指摘もある。新しい計算方式は、こうした点を改善するため、地震計データの処理方法などを変えるという。

気象庁マグニチュード決定法の検討について 平成12年11月22日 気 象 庁
 気象庁では、地震観測網の近代化に伴い、新しい観測網に適した震源決定法やマグニチュードの決定法の改善につき検討を行ってきた。

 このうち、気象庁マグニチュードについては、速報性において優れたものであるとともに、同じ定義式を用いて長期間ほぼ同じ基準で発表してきたという一貫性から、地震学や地震工学の分野で幅広く活用されてきている。そのため、改善にあたっては、過去のカタログとの整合性、一貫性が最大限求められている。

 平成12年(2000年)鳥取県西部地震(気象庁マグニチュード7.3(暫定値))の発生(10月6日)に際して、異なる定義のマグニチュード(モーメントマグニチュード等)との値の違いについて指摘があったこと等から、気象庁マグニチュードの決定方法について検証が求められた。

 今後、マグニチュードの決定方法について地震学会等の協力も得て手法の改善を行うとともに、幅広く専門家の意見を求めながら、今年度中を目途として総合的な検討を行う予定である。

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