第6章,第8項, インシデントリポーティング。 1, 事故とインシデント。 事故の定義、事故か事故でないかの境界は、時に曖昧です。日本ボート協会での定義があるので,ウェブサイトで確認しておきましょう。 ロウイングにおける事故とは、例えば以下のようなケースです。 ・第三者や公的機関の出動または救助活動の発生。 ・第三者の施設、装備に損害を与えた場合。 ・医療機関への送致を伴う負傷・疾病の発生。 ・乗艇中の、自力で漕げなくなるようなボートの損傷。 これらよりも軽微なできごと、つまり「事故にはならなかったが,危うく事故になるところだった」というできごとを、前事故事象」、「インシデント」と呼びます。 2, インシデントリポート。 インシデントの報告を、インシデントリポートといいます。 いわゆる事故報告と本質的に異なるのは、扱う範囲を、事故だけでなく、広く、インシデントに拡大していること、懲罰・戒めが目的ではないこと、多数のデータを蓄積し公開することで、リスクの分析と低減、具体的な事故予防に役立てようとしていること、などです。 事故報告が、その事故だけの原因と責任所在に重点を置くのに対し、インシデントは、むしろ,「将来の事故の未然防止、リスクの低減」を目的としているのです。 3, 日本ボート協会のインシデントリポートシステム。 日本ボート協会は、2005年から、事故報告、インシデントリポートのシステムを構築し、協会に事象を報告する体制を整えました。 また、各都道府県にセーフティアドバイザが配置されました。まだ、認知と重要性の認識が低いのですが、これからセーフティアドバイザの活動を含め、地方協会、クラブの理解を深め、多くのリポートが寄せられ、プライバシーへの配慮など、適切な処理の上、公開され、事故の未然防止・被害の軽減に役立てられることが期待されています。 その成否は、現場のクルーの理解と協力にかかっているといっても過言ではありません。 インシデントや事故が発生したら、積極的にレポートをお願いします。 以上で,「インシデントリポートシステム」の説明を終わります。