TOPIC No.8-7 世界遺産

Index
No.8-7-1 世界遺産リンク集、No.8-7-2 日本の世界遺産、No.8-7-3 世界遺産TOPIC
No.8-7-1 世界遺産リンク集

01.
 世界遺産 WORLD HERITAGE by 日本ユネスコ
02.
 The World Heritage On The Net by TBS
03.
 私が訪れた世界遺産
04.
 Gallery Sakuda 世界遺産館
05.
 世界遺産資料館
06.
 日本の世界遺産 byフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

No.8-7-2 日本の世界遺産


1. 白神山地(1993年12月)自然遺産


1-1. 世界遺産白神山地by 青森県HP
1-2. 世界遺産白神山地 by Web 東奥日報社
1-3. 白神山地を守る会

7県知事らが白神でシンポ

2000年5月7日 15時28分共同
 「人と自然との共生」をテーマに、高知県の橋本大二郎知事ら地方自治改革に積極的な7県知事と、デザイナーの山本寛斎さんらによる、シンポジウムが13日、世界遺産・白神山地のふもとの秋田県鷹巣町で開かれる。手付かずで残る広大なブナ林の元で、環境保護と地域活性化の両立など地方自治体が抱える問題を考えるのが狙い。高知、青森、秋田、岩手、宮城、岐阜、三重の各県知事が参加する。


2. 屋久島(1993年12月)自然遺産


2-1. Zero Emissions by Yakushima Home Page
2-2. 屋久島
2-3. 世界遺産・屋久島の会
2-4. 屋久島写真日記 byいちばん星みーつけた

皇太子ご夫妻が鹿児島入り 世界自然遺産会議に出席へ

6:46p.m. JST May 16, 2000 asahi.com
 皇太子ご夫妻は16日午後、鹿児島空港を経由して屋久島入りした。夕方には同島の上屋久町にある屋久島環境文化村センターを視察。18日に屋久町で開かれる世界自然遺産会議の開会式に出席するなどし、同日夜には帰京する予定。

皇太子夫妻が屋久島訪問へ

2000年4月27日18時22分
 宮内庁は27日、世界自然遺産会議の開会式出席などのため、皇太子ご夫妻が5月16日から18日の日程で鹿児島県・屋久島を訪問されると発表した。宮内庁によると、ご夫妻は16日午後、鹿児島空港経由で屋久島入り。18日午後、屋久島町総合体育館で開催される開会式に出席して同日夕、羽田着の日航機で帰京する。滞在中、屋久杉の原生林が残る屋久島自然休養林を散策したりする予定。


3. 知床(2005年07月)自然遺産


知床世界遺産拡大へNPO 羅臼で設立 ウルップ島まで

2008/03/25 北海道新聞

 【羅臼】知床の世界自然遺産の区域を、生態系が共通する北方四島と千島列島のウルップ島(得撫島)まで拡大することを目指し、根室、網走両管内の住民ら十八人がNPO法人「日露平和公園協会」(事務局・根室管内羅臼町、理事長・午来昌前網走管内斜里町長)を設立、二十四日までに登記を終えた。

 七月に開かれる北海道洞爺湖サミットで日ロ間の議題として取り上げるよう、早ければ月内にも環境省やロシア大使館などに要請する。

 知床からウルップ島にかけての海域は、トドが回遊するなどしており、海域全体の自然環境を保護していこうと、元島民や漁業者らが結集した。

 午来理事長は「国後、択捉、ウルップ島は知床と同じような生態系を持つ。自然を守るためにも幅を広げて考えることはいいこと。実現は楽ではないが、夢を持って活動したい」と話している。

ロシアとの協議に否定的 環境相 知床遺産の北方四島への拡大

2008/03/25 北海道新聞

 根室、網走両管内の住民らがNPO法人を設立し、知床の世界自然遺産の区域を北方四島と千島列島のウルップ島(得撫島)まで拡大を目指している動きについて、鴨下一郎環境相は二十五日の閣議後会見で「北方四島は日本固有の領土。協議には大いに疑問がある」と述べ、ロシアとの政府間協議に否定的な考えを示した。

 協議開始が北方四島の実効支配の追認につながりかねないとの懸念とみられる。

 知床からウルップ島までの海域はトドが回遊するなど一体の生態系を有している。日ロ両政府は昨年、北方四島を含むオホーツク海の生態系保全に協力することで合意しており、政府は近く開く専門家会合などを通じ、共同研究などの体制を構築していく考えだ。

世界遺産登録記念の看板除幕 北海道・知床

2005/08/07 The Sankei Shimbun

 北海道・知床が先月、世界自然遺産に登録されたことを記念して北海道森林管理局が羅臼、斜里両町にそれぞれ設置した看板の除幕式が7日、行われた。

 看板は知床半島を横切る知床横断道路の両町内の道路脇に1カ所ずつ設置。「知床世界自然遺産」と大きく書かれ、自然遺産に登録された陸地部分の大半を約4万6000ヘクタールに及ぶ国有林が占めることなどが記されている。

 羅臼町での除幕式には、一般から募集した約20人の参加者や同管理局関係者らが出席。参加者は除幕式の後バスで移動し、羅臼湖までの散策を楽しんだ。

 羅臼町の脇紀美夫(わき・きみお)町長は「この看板が観光客の記念撮影ポイントになるでしょう」と話した。(共同)

知床が世界自然遺産に決定

2005/07/14 中国新聞ニュース

 【ダーバン(南アフリカ)14日共同】南アフリカのダーバンで開かれている国連教育科学文化機関(ユネスコ)の第二十九回世界遺産委員会は十四日、北海道・知床を世界自然遺産に登録することを決めた。

北海道・知床がユネスコ世界自然遺産に

2005/07/14 The Sankei Shimbun

 南アフリカのダーバンで開かれている国連教育科学文化機関(ユネスコ)の第29回世界遺産委員会は14日、北海道の知床を世界遺産(自然遺産)に登録することを決めた。日本の自然遺産の登録は1993年に決まった白神山地(青森、秋田県)と屋久島(鹿児島県)に次いで3件目。海域を含む自然遺産としては初めて。

 登録は、知床が世界遺産条約に基づき「顕著な普遍的価値」を持つ生態系として国際的に認知されたことを意味する。具体的な保護計画の策定や実行が登録条件となっており、日本政府や地元自治体は今後、知床の環境保護に責務を負うことになる。

 知床はオホーツク海に突き出た半島で、流氷が漂着する北半球の南限。斜里町と羅臼町にまたがり、沖合3キロまでの海域を含めた地域が登録対象となる。

 世界的に権威がある自然保護団体で、世界遺産委の諮問機関である国際自然保護連合(IUCN)は5月、知床について、シマフクロウなど絶滅危惧(きぐ)種を含む豊かな生物多様性を高く評価。流氷を介して海と陸の生態系が作用し合う「素晴らしい例」として、登録は妥当と勧告していた。

 その上でIUCNは、漁業と自然保護を両立させる「海域管理計画」の策定を急ぎ、登録後2年以内に外部から調査団を招くよう要請。ダムがサケ科魚類に及ぼす影響とその対策に関する計画も作るよう促していた。

 正式な決定、登録手続きは最終日の17日に行われる予定。今回の世界遺産委では知床などの新規登録審査のほか、アフガニスタンのバーミヤン遺跡など「危機遺産」の保護策も議題になっている。

 14日に決まった北海道・知床の世界自然遺産への登録は、漁業や観光振興と折り合いをつけながら自然保護を実現するという難題の克服に向けた「始まりの一歩」(午来昌(ごらい・さかえ)斜里町長)にすぎない。日本政府や地元自治体は登録に伴い、世界遺産に値する環境の維持という責務を背負った。

 世界遺産委員会の委託で現地調査を実施した国際自然保護連合(IUCN)の勧告は登録を決定的に左右。拘束力はないものの、環境や生態に関する専門家集団の意見は極めて重い意味を持つ。

 そのIUCNは知床について評価書作成の過程で、登録対象海域を拡張し漁業と自然保護を両立させる海域管理の強化を要請、日本側が受け入れた経緯がある。地元の漁業関係者は新たな漁業規制を行わないことを拡張の条件としたが、IUCNはさらなる対象海域拡張の可能性を示すよう求めており、調整は難航しそうだ。

 また、評価書はダムがサケの遡上(そじょう)に与える影響への対策を明確にすることも求めた。日本政府は「ダムの撤去は困難」として、魚道を整備する方針だが、有効性を疑問視する声が出ている。

 増加が見込まれる観光客への対策も急務だ。

 IUCNは観光期間の規制や、環境に配慮した「エコ・ツーリズム」が既に導入されている点を評価した。登録に伴う知名度アップで観光客が増えれば、豊かな自然に人間が足を踏み入れる際のルールをめぐり、さらに厳格な措置が求められそうだ。

 「待ちに待った決定だった。年がいもなく涙が出てきちゃったよ」。南アフリカ・ダーバンでの国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界遺産委員会の会議場で14日、北海道・知床の世界自然遺産への登録決定に、地元斜里町の午来昌(ごらい・さかえ)町長(68)はあふれる涙をハンカチで何度もぬぐった。

 町長は知床の登録を10年以上訴え続けてきた。普段いかめしい表情の町長の「男泣き」に、同行した道議会議長や道庁職員らは「胸が熱くなった」。高橋(たかはし)はるみ北海道知事も「良かったね」と話し、大きな笑顔がはじけた。

 14日午前11時半(日本時間午後6時半)すぎ、非公開の会議場から道庁職員が飛び出した。少し興奮気味に両手で小さなまる作り、議場外で決定を待つ人々に報告。約10分後、謝辞のスピーチを終えて議場外に出てきた高橋知事らを日本の報道陣が取り囲んだ。

 知床の登録決定は当初、13日とみられていたが、審議が遅れて14日に。高橋知事ら一行は会議進行の遅れにやきもきし、午来町長は「もし決定できなかったら、国には帰れない」と冗談交じりに漏らしていた。

 14日の決定に一行は一様に安堵(あんど)の表情を見せた。同行の道職員の1人は「これで明日、北海道に帰れます」と笑顔で語った。

 北海道の高橋(たかはし)はるみ知事は14日、知床の世界自然遺産への登録が決まった南アフリカのダーバンで、環境保護と観光の調和を図るため、入域人数規制などを含めた「知床ルール」を2年以内に策定し、世界のモデルにしたいと話した。

 さらに知事は「日本政府や地元の皆さんに心からお礼を申し上げる」と述べた。

 世界自然遺産に14日、登録された知床は多くの歌や映画の舞台にもなってきた。厳しくも美しい自然が人々の心をひきつける。

 動物作家・故戸川幸夫(とがわ・ゆきお)さん原作の「オホーツク老人」を、1960年に映画化した「地の涯(はて)に生きるもの」。冬の知床で猫と暮らす主人公を演じた森繁久弥(もりしげ・ひさや)さんは、ロケの最後に羅臼住民との別れを惜しみ、即興で歌を披露した。こうして生まれた「知床旅情」は歌手の加藤登紀子(かとう・ときこ)さんが70年にカバーして大ヒット。空前の知床ブームを呼んだ。

 寅さんもふらりと訪れた。87年のシリーズ第38作「男はつらいよ 知床慕情」では、獣医師役の故三船敏郎(みふね・としろう)さんとスナックのママの恋を仲介し、地元漁師らと酒を酌み交わした。マドンナは竹下景子(たけした・けいこ)さんだった。

 人気ドラマ「北の国から」の最後の作品となった「2002遺言」では、主人公の黒板純(くろいた・じゅん)(吉岡秀隆(よしおか・ひでたか)さん)が羅臼の番屋で生活。流氷の海で生きるトド撃ち漁師の姿も描かれた。(共同)

“秘境”知床に光 国内3カ所目「世界自然遺産」登録へ

2005/07/12 The Sankei Shimbun東京朝刊から

 ヒグマやエゾシカが住み、冬には流氷が押し寄せる北海道・知床。オホーツク海に突き出たこの地の世界自然遺産登録が、10日から南アフリカで開催されている世界遺産委員会で正式に決定する。国内では平成5年の白神山地(青森、秋田県)、屋久島(鹿児島県)に次いで3カ所目。海から陸に続く豊かな自然と生態系が評価された。漁業への影響や観光客対策など課題も残るが、地元自治体の期待は高まっている。(小川記代子)

自然の宝庫

 海から山がそのまま始まるように急峻(きゅうしゅん)ながけがそそり立ち、断崖(だんがい)にはオオセグロカモメなどの海鳥がコロニーを作る。海から眺めると、断崖の向こうには新緑に包まれた山々が連なる。

 アイヌの言葉で「地の果て」を意味する「シリエトク」。知床はその豊かな自然ゆえに“秘境”“自然の宝庫”と呼ばれてきた。

 北半球で最も緯度が低い流氷地でもある。冬の流氷が運んだプランクトンをエサにしようと魚が集まり、その魚を鳥やトドなどの海獣、さらにヒグマなどが食べる。秋には、サケやマスが河川を遡上(そじょう)し、朽ち果てた身体は土に戻り、陸の動物の胃に収まる。海から陸への食物連鎖が続き、独特の生態系を築いてきた。

 候補地は斜里町と羅臼町にまたがる陸域と沖合3キロの海域合わせて7万1100ヘクタール。うち、海域が2万2400ヘクタールと三分の一近くを占める。

 知床について「登録が適当」と評価した理由について、国際自然保護連合(IUCN)は「海洋生態系と陸上生態系の相互関係の顕著な見本」としたうえで、「シマフクロウ、シレトコスミレなど希少種やサケ科魚類、トド、また海鳥や渡り鳥にとって重要な地域」と、野生生物の多様性を挙げた。

 環境省は「流氷から始まる、海から陸までバランスのとれた生態系がコンパクトな地に顕著に残っている」と評価する。

海はどうなる

 周囲を海で囲まれた日本列島だが、海域を含む世界自然遺産候補地は国内で初めて。漁業との折り合いが課題のひとつだ。

 昨年9月、知床を調査したIUCNから国に寄せられた報告書の内容を知って、羅臼町の羅臼漁協は揺れた。トドの餌になるスケトウダラを沿岸1キロで禁漁にすべきだと書かれていたからだ。

 スケトウダラは羅臼の主要海産物で、それまで国からは「登録で漁業規制はない」といわれてきた。報告書の後も国は「新たな規制はしない」との姿勢を崩していないが、「不信感が生まれた」と羅臼漁協の田中勝博組合長は今後、何らかの規制が生じるのを懸念する。

 確かに、スケトウダラの漁獲量は平成3年ごろの10万トンから現在、1万トンにまで落ち込んでいる。しかし田中組合長は「われわれは自主規制も行ってきた。ロシアのトロール船が根こそぎ取ってしまう影響が大きい」と主張する。

 海水温の上昇が一因とする意見もある。

 IUCNは、20年までに海域管理計画を作成するように勧告している。漁業の町は計画の行方を注視している。

 さらに、IUCNは河川に設置されたダムが、サケなどに及ぼす影響を調査することも求めた。

 ダムについては、河川を荒らし、サケの遡上を妨げる要因と指摘されてきた。このため関係機関はサケの遡上調査を行うとともに、専門家を集めてダムの必要性について話し合っている。

問題解決の契機に

 世界自然遺産の先輩、白神山地と屋久島は、登録後に増えた観光客に苦慮した。屋久島では観光客が貴重なスギの根を踏み、スギが弱ってしまったため、展望デッキを設置したほどだ。

 前例を踏まえ、知床では4年前から適正利用のための検討会を設置し、議論を重ねてきた。

 ただ、知床では観光客の増加を心配する声は多くない。関係者は「すでに年間230万人が訪れる人気の観光地。来るべき人は来てしまった」という。増加への対策より、登録を既存の課題を解決する契機にしてほしいとの期待が強い。

 そのひとつとして、知床財団の岡田秀明・事務局次長は、ヒグマと人との不幸な遭遇を回避するシステム作りを切望している。

 斜里町内のヒグマの目撃件数は、“人を気にしないクマ”の出現もあって、10年前の年間50−60件から現在は500−600件と激増。しかし、多くの観光客は何の知識もなく、知床5湖などヒグマの生息地に足を踏み入れる。岡田さんは「不特定多数の方が来るのであれば、人の交通整理をしないといけない。登録が、関係機関が連携する原動力になってほしい」と期待する。

 知床アウトドアガイドセンター代表で、知床ガイド協議会の代表も務める関口均さんは「問題点が表面化するのも登録のひとつのメリット。対応していくことで、知床をより素晴らしい地にしていきたい」と話している。

≪「後世に残すべき地…」 午来昌(ごらい・さかえ)・斜里町長≫

 平成5年に白神山地と屋久島が世界自然遺産に決まったとき、「知床も後世に残すべき地だ」と登録に向けて運動を始めた。羅臼町と一緒に活動したが、当初は「知床はスケールが小さい」「何の価値があるのか」と相手にされなかった。ただ私たちの熱意が通じて、平成13年ごろから前向きに検討されるようになった。この自然を長年守ってきた住民の力も大きいと感謝している。

 登録されれば最初は混乱もあるだろう。しかし、世界から注目されれば、住民1人ひとりが「この地を大事にして未来につなげよう」という強い気持ちを持つし、それは将来の宝になる。知床の自然の利用には一定のマナーが必要。けじめをつけないと誰でもどこでも行ってしまう。

 山も川も海も自然。関係機関の担当は違うかもしれないが、自然に違いはない。遺産登録を機に一体となって地域を守り、育てていってほしい。

  <世界遺産> 人類全体にとって価値のある遺跡や自然地域を保護、保存し国際的な協力、援助体制を確立することを目的とする。1972年に採択された「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」に基づく。日本は92年に締結した。今年6月現在、文化遺産611、自然遺産154、複合遺産23が登録。うち国内の登録は文化遺産10、自然遺産2。

知床を世界遺産に推薦へ 環境省

2003年10月16日 The Sankei Shimbun
 環境省は16日、世界遺産条約に基づく世界自然遺産の候補地に選定した知床(北海道)、小笠原諸島(東京)、琉球諸島(鹿児島、沖縄)の3地域のうち、第一弾として知床を世界遺産委員会(事務局パリ)に推薦することを決めた。

 政府は2004年1月中に推薦書を同事務局に提出。現地調査を含む審査を経て、05年6月の世界遺産委員会年次会合で世界自然遺産に登録される見通し。

 登録された場合、国内の世界自然遺産は1993年に初めて登録された白神山地(青森、秋田)と屋久島(鹿児島)に次いで3カ所目となる。

 世界遺産への推薦は、世界文化遺産の国内候補と合わせた中から年に1カ所ずつとする方針が2000年に決められた。小笠原諸島と琉球諸島の2カ所は、絶滅危ぐ種の生息地に保護区が設定されるなど登録の条件が整った段階で、順次推薦していく。

 知床は、流氷が接岸する最南端に位置し、流氷が生み出す独特の食物連鎖が特徴的な生態系をつくり上げ、シマフクロウやオオワシなど国際的な希少種の重要な生息地になっていることなどが評価され、世界自然遺産の候補地に選ばれた。

 3候補地の中では、ほぼ全域が国立公園の特別保護地区に指定されるなど野生生物の保護体制が最も整備されているほか、自治体や漁協など地元関係者との調整も進んでいることから、最初に推薦することになった。

 <世界遺産> 建造物や自然環境などで貴重な人類の遺産を守るため、1972年の国連教育科学文化機関(ユネスコ)総会で採択した世界遺産条約に基づき登録される。自然遺産149件、文化遺産582件、両方に該当する複合遺産23件の計754件が登録済み。日本では2件の自然遺産のほか、姫路城(兵庫)や原爆ドーム(広島)など9件の文化遺産が登録されている。


4. 姫路城(1993年12月)文化遺産


3-1. 国宝姫路城


5. 法隆寺地域の仏教建造物(1993年12月)文化遺産


4-1. 法隆寺


6. 古都京都の文化財(京都市、宇治市、大津市)(1994年12月)文化遺産


5-1. おこしやす京都 by 京都府
5-2. 大津 by (財)大津市観光協会 
5-3. 比叡山延暦寺/滋賀県大津市坂本 

・賀茂別雷神社(上賀茂神社)/・賀茂御祖神社(下鴨神社)/・教王護国寺(東寺)/・清水寺/・醍醐寺/・仁和寺/・平等院[宇治市]/・宇治上神社[宇治市]/・高山寺/・西芳寺(苔寺)/・天竜寺/・鹿苑寺(金閣寺)/・慈照寺(銀閣寺)/・竜安寺/・本願寺(西本願寺)/・二条城
 ※無印は京都市

京都かやぶきの里で火事

2000年5月20日9時46分共同
 20日午前3時ごろ、京都府美山町北中牧、美山民俗資料館から出火、かやぶきの母屋や納屋など約140平方メートルを全焼した。

 現場一帯の同町北地区は“かやぶきの里”として有名で、国の重要伝統的建造物群保存地区の指定を受けている。同町には日本最多といわれる200〜300戸のかやぶき民家が残り、焼けた民俗資料館は築約200年という。


重文の地蔵の修復検討へ 2000年5月10日 20時40分共同

 京都・寂光院の放火事件で、京都府教委は10日、焼けた重要文化財の本尊「木造地蔵菩薩立像」を12日に美術院国宝修理所(京都市東山区)に搬送、損傷状況を詳しく調べて修復方法を検討すると発表した。

京都・寂光院本堂が全焼

2000年5月9日 19時28分共同
 9日午前2時35分ごろ、平家物語ゆかりの尼寺、観光名所の京都大原の寂光院本堂から出火、木造こけらぶきの本堂82平方メートルを全焼した。堂内の国の重要文化財の本尊「木造地蔵菩薩立像」(6万体地蔵菩薩)が焼け、建礼門院や阿波内侍の座像も焼損。

 本堂西側の地面で油が検出されたため京都府警は放火事件と断定、下鴨署に20人の特捜班を設置、捜査を始めた。

重文本尊内の小像は無事

2000年5月9日 19時30分共同
 焼けた本尊は高さ約2.6メートルで1229年作。内外に約6600の小さな地蔵菩薩立像があり、像外の像はほぼ焼失したが内部に納められた小立像約3400体などは無事だった。


7. 白川郷・五箇山の合掌造り集落

(岐阜県白川村荻町、富山県平村相倉、富山 県上平村菅沼)(1995年12月)文化遺産

6-1. 越中五箇山 合掌集落 ”相 の 倉 ”by Ainokaze
6-2. 越中五箇山・平村 by平村役場
6-3. 世界遺産白川郷 by白川村役場
6-4. 世界遺産白川郷 by 白川村ハイパー風土記推進委員会

世界遺産と水のアーチ共演 菅沼合掌造り集落で一斉放水訓練

2004/11/06 The Sankei Shimbun

 富山県南礪市にある世界遺産の菅沼合掌造り集落で6日、防火訓練が行われ、地元消防団員ら約50人が一斉放水すると、赤や黄に色づいた紅葉を背景に高さ約20メートルの水のアーチが描かれた。

 同集落は岐阜県の白川郷などとともに1995年に世界遺産に登録。貴重な文化遺産を火災から守ろうと始まった一斉放水訓練は今年で4度目。消防団員らは4台の消防車と24基の放水銃を使い、約20分で約200トンの水をまき切った。

 秋の日差しの中、かやぶき屋根にかかった水しぶきからは虹も姿を現し、詰め掛けた観光客らは「素晴らしい」などと声を上げ、一斉に写真を撮っていた。

世界遺産の合掌集落で春告げる獅子舞 富山・五箇山

April 20, 2000
五箇山(ごかやま)の合掌造り集落として世界遺産に登録されている富山県平村相倉(あいのくら)で20日、春を告げる獅子(しし)が舞った。
大人7人が担ぐ獅子と子どもがふんする獅子とりが各家を回った。豪雪地帯の相倉には合掌造りの家が20軒ある。
この日は都会に出ている親類も戻り、春が訪れた山間に笛や太鼓の音がいつまでも響いていた。

岐阜・白川郷で合掌家屋をライトアップ

00:28a.m. JST January 09, 2000
岐阜県白川村荻町の世界遺産、白川郷の合掌集落で8日夜、ライトアップが始まった。今年は暖冬で雪が少なく、合掌家屋のかやぶき屋根がそのまま見える。訪れた約3500人の観光客は、やみ夜の中に浮かびあがった幻想的な光景に見入っていた。
日没とともに、国指定重要文化財「和田家」などの周りに置かれた27基のライトが点灯すると、かやぶき屋根や、合掌家屋を囲む木々が照らし出された。この日の白川郷の最低気温は零下1.4度で平年より4度ほど高く、積雪も13センチと昨年より40センチ少なかった。
ライトアップは今年で14回目。2月26日まで、土曜日を中心に毎週、場所を変えて続けられる。


8. 原爆ドーム(1996年12月) 文化遺産


8-1. 世界文化遺産 広島平和記念碑(原爆ドーム)
8-2. 世界遺産『原爆ドーム』を24時間ライブ中継!!



9. 厳島神社(1996年12月) 文化遺産


9-1. ようこそ宮島へ by宮島町
9-2. 古い歴史と美しいロマンの島 宮島 by社団法人宮島観光協会

宮島五重塔、朱色鮮やかに

2005/10/14 中国新聞地域ニュース

 ▽14日にも全面塗り替え終了

 広島県宮島町の国重要文化財、厳島神社五重塔で進んでいた戦後三回目の全面塗り替えが十四日にも終わる。鮮やかによみがえった五層の朱色。十五日午後五時から同神社で菊花祭があり、伝統の舞楽十曲が塔をバックに演じられる。

 社殿を見下ろす丘にある塔は高さ約二十七メートル。一四〇七年の建立とされる。昨年の台風18号ではがれた最上層の檜皮(ひわだ)などの修復工事に合わせ、五月から二十三年ぶりの塗り替えを専門の職人たちが続けていた。鮮やかな朱の塔は、島へ渡るフェリーからも目立つ。

 神社の社殿では舞楽を演じる高舞台や左右楽房の補修もすべて終わり、菊花祭を迎える準備が整った。宮島は秋の観光シーズン本番を迎えた。

世界遺産で自然学ぼう 宮島の新ツアー好評

2003/09/17中国新聞地域ニュース
 8月から200人参加

 宮島ロープウェーを運営する広島観光開発(宮島町)が、弥山原始林の貴重な動植物が学べる教育観光ツアーを始めた。宮島のサルの生態などを研究する社員が、参加者の要望に応じてコースを考え、案内する。同社は「世界遺産の島の新たな魅力づくりにつなげたい」と意気込んでいる。

 営業係長で市民団体「広島フィールドミュージアム」副会長の菊間馨さん(46)が、約二十年間の弥山原始林のフィールドワークの蓄積を生かそうと発案した。ロープウエーの獅子岩駅で下車し、山頂周辺などを説明付きで探索してもらう。

 八月から試験的に受け付け、これまで教員や子どもたち約二百人が参加。今月三日には広島市安佐南区の川内小六年生たちが体験学習で訪れ、原始林を歩いた。サルが食べた松ぼっくりのかすを手に、菊間さんが動物の生態や獣道について話すと、子どもたちは目を輝かせた。

 コースは、児童・生徒向けの「弥山原始林を学ぶツアー」(一時間)や一般向けの「弥山原始林けものみちウォーク」(二時間)など。一般向けはロープウエーの往復乗車券とガイド料を合わせ一人二千八百円となる。

 紅葉谷から山頂近くの獅子岩を結ぶロープウエーの利用者は一九九六年度の四十七万九千人がピーク。昨年度は三十六万八千人だった。菊間さんは「自然保護とバランスを取り、近くの人にもリピーターで訪れてもらいたい」と話す。人数や年齢層によってコースの相談に応じる。要予約。TEL0829(44)0316。


10. 古都奈良の文化財(奈良県、1998年12月)文化遺産

・東大寺/・興福寺/・春日大社/・春日山原始林/・元興寺/・薬師寺/・唐招提寺/・平城宮跡

10-1. 世界遺産 古都奈良の文化財(WORLD HERITAGE Historic Monuments of Ancient Nara) by Tadahiro Iwata 
10-2. 世界遺産「古都奈良の文化財」 by奈良市観光課

奈良に世界遺産認定書

1999年9月29日 18時11分 共同通信社
 世界遺産に登録された「古都奈良の文化財」(奈良市)の認定書(複製)が29日、外務省で奈良県、奈良市にそれぞれ交付された。認定書は、世界遺産委員会が発行したものを日本政府が保管、日本ユネスコ協会連盟の協力で複製した。
 古都奈良の文化財は、昨年12月に、国内では原爆ドーム(広島市)や厳島神社(広島県宮島町)などに次いで9件目の世界遺産登録が決定した。


11. 日光の社寺(1999年11月29日) 文化遺産


11-1. 世界遺産 日光の社寺 by日光国立公園 観光とレジャー
11-2. 世界遺産 日光の社寺
11-3. 特集 日光の四季 (世界遺産 「日光の社寺」の全て)

世界遺産・東照宮の切手シートを2月に発売

2001.01.26(21:05)asahi.com
 世界遺産に登録された日光・東照宮の社寺などを取り上げた切手シートが2月23日、全国の郵便局で発売される。東照宮の東回廊にある眠り猫や輪王寺の本殿、「風神」「雷神」などを80円切手10枚にまとめ、シートの背景には、東照宮の陽明門が描かれている。1シート800円。

 旧郵政省(現総務省)は、1994年から95年にかけて、姫路城など日本最初の世界遺産の切手シートを4回発行した。しかしその後7回にわたって、琉球王国の関連遺産群などが追加として世界遺産となったため、第2弾の切手シートを発行することになり、今回は日光・東照宮関係になった。残りは3月以降の発行になるが、どの遺産から扱うべきか、まだ決まらない状態という。



12.「琉球王国のグスク(城)及び関連遺産群」(沖縄県)(2000年12月02日)文化遺産


12-1. 祝「琉球王国のグスク及び関連遺産群」by沖縄県庁
12-2. 沖縄の世界遺産
12-3. 琉球王国のグスク(城)及び関連遺産群 by美ら島
12-4. 沖縄 世界遺産 琉球王国のグスク及び関連遺産群 by新土建

 

首里城跡など指定/世界遺産 国内11件目

2000.11.30 The Sankei Shimbun
 文化庁に三十日入った連絡によると、オーストラリアのケアンズで開かれている世界遺産委員会は、日本政府が推薦していた「琉球王国のグスク(城)及び関連遺産群」(沖縄県)を世界遺産(文化遺産)に登録することを決めた。国内で十一件目。

 登録されたのは、沖縄県国頭郡今帰仁村の今帰仁城跡(なきじんじょうあと)や、中頭郡読谷村の座喜味城跡(ざきみじょうあと)、那覇市の首里城跡など、九つの遺跡や記念工作物。重要文化財二棟を含み、合計面積は約六百十四ヘクタール。

 政府は、これらの遺産群を「琉球が琉球王国への統一に動き始める十四世紀後半から、王国が確立した後の十八世紀末にかけて生み出された、琉球地方独自の特徴を表す文化遺産群」として、昨年五月に世界遺産に推薦していた。

 世界遺産は、後世に伝えるべき文化・自然遺産を保護する目的で、一九七二年(昭和四十七年)、国連教育科学文化機関(ユネスコ)が採択した世界遺産条約に基づく。

 日本は一九九二年に批准、これまでに「法隆寺地域の仏教建造物」(奈良)、「姫路城」(兵庫)、「屋久島」(鹿児島)、「白神山地」(青森・秋田)、「古都京都の文化財」(京都、滋賀)、「白川郷・五箇山の合掌造り集落」(岐阜、富山)、「原爆ドーム」(広島)、「厳島神社」(同)、「古都奈良の文化財」(奈良)、「日光の社寺」(栃木)が登録されている。

認められた「精神性の継承」 首里城跡など世界遺産に認定

2000.11.30 The Sankei Shimbun
観光か信仰か…地元には複雑な思いも

 世界遺産に登録された沖縄県の「琉球王国のグスクおよび関連遺産群」。今回は城を意味するグスクに加え、神に祈りをささげる拝所、「御嶽(ウタキ)」がセットとなり、物心両面の要素が認められた点が大きな特徴。だが、精神性を評価されただけに、地元では観光誘致に傾くのか、ウタキに代表される生きた固有信仰を守るべきか意見は分かれ、住民の思いは複雑だ。(比護義則)

 平成八年には三百四十六万人だった沖縄県の観光客は、十一年には四百五十万人を突破。特に那覇市にある首里城公園の来園者は年々増え続け、観光客の二人に一人は同園にある守礼門をくぐっている。

 太平洋戦争末期の沖縄戦で、首里城のほとんどの建物が焼失し、戦後、城壁の遺構が残るのみとなってしまったが、六年の歳月と三十億円の巨費を投じ、平成四年に正殿や守礼門などを復活させ、沖縄観光の中心的役割を担ってきた。

 この首里城跡が世界遺産登録されたことで、当然ながら観光客増加にも期待がかかる。誘客プロモーションをしている財団法人・沖縄観光コンベンションビューローは、経済効果を数十億円と試算している。ビューローが昨年、観光客に行ったアンケートによると、高齢者のほとんどが歴史や伝統芸能に興味を持ち、今後は観光コースの設定や統一した案内板の設置を積極的に行う。「これまで首里城を中心とした二泊三日の旅行が、世界遺産に登録された周辺のグスクを回ることで三泊四日になる。各地に金を落としてくれるはず」と意気込む。

 近畿日本ツーリスト(本社・東京)では昨年から首里城観光に「世界遺産申請中」と書き添え新聞広告に載せてきた。十二月には近辺のグスクを含めたツアー実施が決定済みだ。

 しかし、実際は色鮮やかな首里城や琉球王朝の別邸だった識名園を除くと、ほとんどが遺構で灰色の石の城壁が顔をのぞかせているだけ。JTB(本社・東京)は「歴史に興味がある観光客の対象にはなるが、単調なグスクが一般受けするとは思えない」とツアー実施には否定的。

 首里城で解説委員をしている萩g清さん(六二)も「上ものの城が世界遺産に登録されていると勘違いしている人が多い。実際は残った城壁が登録されたのに…」と複雑な表情をみせる。

 比較的、遺構の保存状態がいい中城(ナカグスク)城跡近辺でバスは日に二度しか通らないし、首里城や遺跡などの観光施設とのアクセスも悪く、宿は一軒もない。中城村では「三十数年前には、城近辺に観覧車や県内唯一の動物園があって、人がたくさん集まったが、今はとても無理だろう」とあきらめ顔。

 「斎場御嶽(セイファウタキ)」が世界遺産に登録された知念村では「昨年五月に行われた登録推薦以降、訪れる人が二倍になった。やはり県外からが多数」と話す。四百五十メートルの石畳の参道があり、大きな二枚の巨岩が互いに寄りかかって、三角形の洞門になっている。

 知念村教育委員会の大城秀子さんは「斎場御嶽は首里城と違って、見るものではなく感じる場所。拝所が六カ所もあり、村民がお参りにくる場所。人が大勢きたら困るし、保護も難しい」と話す。知念村の仲宗根正昭・企画財政課長は「夜にイベントをやりたいという話もあり、たいまつにみたてたライトぐらいは設置したいが、ごみ問題も心配。観光か遺跡保護かで意見は割れている」と顔を曇らせる。

 一族でウタキ拝礼をしている県教育庁文化課の高嶺朝誠さんは「世界遺産に登録され、エジプトのピラミッドや中国の万里の長城のように、形を残していくという気概が必要となっている。同時に精神文化も受け継ぐ義務もある」と話している。

首里城跡など世界遺産に?

1999年5月21日 19時55分 共同通信社
 文化庁は21日、沖縄県内にある琉球国王の居城だった、首里城跡(那覇市)や中城(なかぐすく)城跡(北中城村、中城村)などの各城跡などを『琉球王国のグスクおよび関連遺産群』として世界遺産に推薦することを決めた。同日開かれた文化財保護審議会で了承された。来月にも国連教育科学文化機関(ユネスコ)に推薦書を提出する。2000年12月ごろ開催の世界遺産委員会で、登録される見通し。国内の世界遺産は文化遺産7件と自然遺産2件が既に登録。


13. 紀伊山地の霊場と参詣道(2004年07月07日)文化遺産

和歌山県・奈良県・三重県にまたがる、寺院や参詣道(熊野古道、大峯奥駈道、高野山町石道)などの総称。

和歌山県世界遺産センター

熊野古道のセラピーツアー人気 世界遺産で元気 メタボ対策にも有効!?

2008/04/06 FujiSankei Business i.

 「熊野セラピー」が静かなブームになっている。

 熊野とは、和歌山、三重両県にわたる紀伊半島南部一帯。本宮(ほんぐう)・新宮(しんぐう)・那智(なち)という熊野三山が鎮座し、その参詣道である「熊野古道」が2004年にユネスコ世界遺産に登録されてから、“聖地・熊野”の名は世界に知られるようになった。

 ≪県が研究・開発≫

 熊野古道は平安時代から、貴賤を問わず老若男女が自らの“蘇り(心身再生)”を祈りながら歩いたとされる。深い森の中、起伏に富んだ地形をマイナスイオンを浴びながら歩くのは、現代風にいえば癒やしの健康ウオーキングだ。

 そこで和歌山県は、熊野旅行を通じてストレス過多な現代人の健康増進を図るプログラムを開発した。それが「熊野セラピー」。古道ウオークをメーンに、熊野にまつわるレクチャーや温泉、田舎料理などを組み合わせたこのセラピーは、リピート率が非常に高いという。

 現地集合でさまざまなコースを数時間かけてウオーキングする基本プランは月3回ほど開催。古道のメーンルートの一つ中辺路(なかへち)約38キロを、4日間かけて踏破する企画もある。きょう6日に開催される、七越峯の桜と趣向を凝らした花見弁当を楽しむ「熊野桜ウォーク」は、定員25人がすぐにいっぱいになった。

 世界遺産・健康村推進班の日根かがり班長は、「東京や九州から泊まりで参加する人も増え、最近は人気コースはキャンセル待ち」と話している。

 県は、熊野を健康増進を目的とした観光、ヘルスツーリズムの観点からブランド化するため、セラピーの健康効果について調査と研究を進めてきた。すでに、古道ウオーク後にはストレスホルモンが減ることや、免疫力を示す物質が増えること、そして精神的な安定が得られることなどが次々と実証されているという。

 「メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)対策や予防医学の一環としての価値が認められてきました」と、日根さんは胸を張る。社員の健康対策として取り入れる企業も現れた。

 ≪フルに五感刺激≫

 先月、NPO法人(特定非営利活動法人)の日本ヘルスツーリズム振興機構によるセラピー体験ツアーに参加してみた。

 この日のコースは、中辺路の一部、発心門(ほっしんもん)王子から熊野本宮大社までの約6・9キロ。インストラクターを務める、和歌山健康センター「熊野で健康ラボ」の木下藤寿(ふじひさ)所長の指導のもとストレッチを念入りに行い、熊野に詳しい“語り部”も同行して出発する。

 あいにくの悪天候だったが、雨のにおいが立ちこめる静かな山中はまさに聖域の風情だ。

 歩きながら、「熊野は“地形療法”に最適」と木下所長。でこぼこ道を歩くことで、ダイエットに有効なハムストリングス(太もも裏側)などの筋肉が鍛えられる。また、熊野山中は太陽光線と木陰のバランスが絶妙で、自律神経にいい作用を及ぼすほか、脳が活性化するというデータもあるそうだ。

 熊野本宮大社を拝み、宿へ。夜は熊野の食と文化を学ぶ。3月解禁のアマゴや春の山菜など、地産地消の郷土料理や地酒をいただき、もちつきや奥熊野太鼓実演など、地元の人々との交流が楽しい。

 2日目は日本最古の温泉とされる湯の峰温泉で、一日に何度も色を変える不思議な「つぼ湯」に入った後、かつて本宮があった大斎原(おおゆのはら)を訪問。その後、野中の一方杉と呼ばれる巨大なご神木の木肌に触れたり、檜皮(ひわだ)葺(ぶき)の茶屋で郷土名物のメハリずしも入った「熊野古道弁当」に舌鼓を打ったり。

 わずか2日間だったが、おいしい空気の中で体を動かし、五感をフルに刺激されて、心身ともリラックスしたよう。「熊野の森は気持ちいい。人は温かい」と実感することができた。

 「科学・非科学織り交ぜて、楽しみながらさまざまなことに“気付く”。自分の健康に対する意識が高まり、少しずつ行動を変えていけることが、熊野セラピーの効果」と、日根さんはほほえむ。(小坂真里栄)

4年連続15万人超 熊野古道来訪者 団体は減る

2008年04月04日 中日新聞

 昨年1年間に県内の熊野古道を訪れた人は推計15万387人で、前年より2・3%減ったことが東紀州観光まちづくり公社のまとめで分かった。2年連続の減少だが、2004年7月の世界遺産登録以来、4年連続で15万人を超えた。

 来訪者が多い時期は、春から初夏にかけての3−6月。特に、黄金週間のある5月は2万4280人に上り、前年より29%も増えた。一方、真夏や冬場は落ち込んだ。

 17の峠別で見ると、最も多かったのは馬越峠(紀北町、尾鷲市)で4万1342人。ツヅラト峠(大紀町、紀北町)2万3449人、松本峠(熊野市)1万5290人、浜街道花の窟(いわや)(同)1万5083人が続いた。

 同公社は「旅行会社によるツアーなどの大幅な増加が落ち着き、少人数のグループや個人客が増えてきた」と分析。昨年は紀南地域の山間部の峠が地滑りのため、7月から11月まで全面通行止めとなっていたことから「実質的には増加傾向にある」とみている。

 一方、尾鷲市に昨年2月開館した県立熊野古道センターは同年末までに13万1171人が来館。花の窟神社を参拝する人のために、地元住民らが土日祝日などに開く茶屋には約2万人が訪れた。

 同公社は「熊野古道を訪れた人が、町中の散策や地域住民との触れ合いも楽しめるような受け皿づくりを進めていきたい」としている。 (平井一敏)

世界遺産が朝の散歩道 熊野古道コース、中高年に人気

2008年03月06日 中日新聞

 健康志向が高まる中、尾鷲市と紀北町を結ぶ熊野古道・馬越峠を通って登る天狗倉山(標高522メートル)が、朝の散歩コースとして住民の人気を集めている。「毎朝歩く」という人も、高齢者を中心に30人ほどいる。

 熊野古道・伊勢路で最多の年間約4万4000人が足を運ぶ同峠は端正な石畳が人気。峠からは、尾鷲の市街地と尾鷲湾が眼下に広がる天狗倉山山頂に20分ほどで到着できる。

 「熊野古道語り部友の会」の会員で、古道の保全活動にも力を注ぐ同市小川西町の川口洋司さん(70)も、「月に20回は登る」という常連。健康維持を目的に7年前から続けている日課で、先日朝もふもとの「馬越公園」に車を置き、1人で往復1時間半のコースを歩いた。道中、毎朝出会う顔なじみ約10人と擦れ違った。その中には、仲間から「最高齢」と一目置かれる76歳の男性の姿もあった。

 散歩を始めて体重が20キロも減ったという川口さんは、健康への効果と同時に古道沿いの緑や絶景が与えてくれる癒やしの効果も実感している。

 「世界遺産の散歩道が地元にあるなんてぜいたくなことです」と笑い、山頂から尾鷲湾に向かって「ヤッホー」と大声を響かせていた。 (鈴木龍司)


14. 石見銀山遺跡とその文化的景観(2007年06月28日)文化遺産


石見銀山遺跡
石見銀山関連ニュース  by山陰中央新報

【速報】島根の観光客が過去最高 07年、石見銀山遺跡人気

2008/05/09 中国新聞ニュ−ス

 二〇〇七年に島根県内の観光施設や観光地を訪れた観光客は延べ約二千八百万人に上り、三年連続で過去最高を更新する見通しとなった。

 同年七月に世界遺産登録された石見銀山遺跡(大田市)、口で泡の輪を作るシロイルカが人気を集めた、しまね海洋館アクアス(浜田、江津市)などの影響が大きい。これまでの最高は前年の〇六年の二千六百五十八万人だった。

西村京太郎氏が石見銀山を取材

2008/04/06 山陰中央新報

 世界遺産に登録された大田市大森町の石見銀山遺跡を四、五の両日、推理小説作家の西村京太郎氏(77)=神奈川県在住=が取材で訪れた。石見銀山を舞台の一つにした十津川警部シリーズの作品を執筆中で、遺跡の奥深い歴史や、文化を守ってきた地元住民の取り組みなどを知り、創作意欲を高めた。

 西村氏は、講談社の月刊誌「現代」三月号から、十津川警部シリーズの推理小説「トリアージ−生死を分けた石見銀山」の連載をスタート。九月号まで七回掲載する。

 作品は、十津川警部が逮捕した死刑囚が獄中で、世界遺産になった石見銀山遺跡の爆破計画を聞き、警部に警戒を促し、警部が銀山を訪れるストーリー。

 西村氏は、同遺跡を現地取材するのは初めてで、四日は熊谷家住宅など町並み保存地区を視察。石見銀山資料館で仲野義文館長(42)から、石見の銀が東アジアの歴史に重要な役割を果たした史実について説明を受けた。

 西村氏はとりわけ、地元住民が市の旧邇摩郡役所解体にストップをかけ、展示品を持ち寄り民間で資料館を運営してきたことを「皆さんが昔の資料をよく残してきたことがすごい」と高く評価。今後の作品づくりに向け「大森の町並みを書きたい。面白くなりそうだ」と笑顔で話した。

中村ブレイスが石見銀山文化賞を創設

2008/04/03 山陰中央新報

 大田市大森町の義肢・装具メーカー、中村ブレイス(中村俊郎社長)が二日、石見銀山遺跡の世界遺産登録一周年と創業三十五周年を記念して、石見銀山文化賞を創設したと発表した。銀山の調査研究や文化財保護などに尽力した個人や団体を表彰。第一回は本賞を京都国立博物館の村上隆保存修理指導室長、特別賞を同町の銀峰山・清水寺に贈る。

 創設の狙いについて、中村社長(60)は「遺産登録でお世話になった人々への感謝と感激を忘れずに、末永く続けて銀山ファンを増やしたい」と強調した。

 世界遺産にふさわしい新たな発見を目指す研究者や、文化面で貢献した個人などを地元と全国、海外から独自に選考。毎年、表彰を行う。文化庁の「市民から文化力プロジェクト」にも参加し、文化庁が同社の取り組みを情報発信する。

 村上氏は、島根県の石見銀山遺跡調査活用委員会委員を務め、著書の「金銀銅の日本史」(岩波新書)で同遺跡の価値を紹介。石見銀山で最古の歴史を誇る清水寺は、鉱山師の安原伝兵衛が徳川家康から授けられた国指定重要文化財の「辻ケ花染丁字文道服」などを保護し、来訪者に銀山の歴史を紹介してきた。

 表彰式は昨年、遺産登録が決まった日に合わせ六月二十八日、同町のなかむら館で行い、それぞれ賞金五十万円と盾を贈る。

寄付金を銀山保全などに活用

2008/03/29  中国新聞地域ニュース

 島根県は28日、国のふるさと納税制度導入を見越し、4月1日から受け付ける寄付金の活用事業を公表した。世界遺産に登録された石見銀山遺跡(大田市)の保全や日韓両国が領土権を主張する竹島(韓国名・独島(トクト))問題の啓発など7事業・計21項目。都市部からの寄付や、他自治体との違いを意識した事業を盛り込んだ。

 県は、寄付金の受け皿として「ふるさと島根寄付条例」を4月1日から施行する。条例は、寄付金の使い道として産業振興▽自然環境の保全▽医療・福祉の充実▽教育・文化の振興―の4事業と「知事が別に定める事業」と規定。

 石見銀山遺跡の保全は教育・文化の振興として扱い、周辺の草刈りや竹林の伐採、放置された寺社の修理に活用する。竹島問題ではパンフレットの配布や子ども向け教材を作製する。宍道湖・中海の水質保全、医師確保のための医学生奨学金などにも充てる。

石見銀山に電気バス導入へ

2008/03/28  中国新聞地域ニュース

 環境維持のため、世界遺産の石見銀山遺跡(大田市大森町)を巡る路線バスの一部廃止を決めた大田市は、高齢者など向けの代替交通として電気バスを導入する方針を固めた。4月17、18の両日、1台を試験走行して導入に向けた課題を探る。

 リチウムイオン電池を動力にモーターだけで走る28人乗り小型バスを北陸電力(富山市)から借り、住民や関係者が試乗する。10月までに路線バスを廃止して「歩くゾーン」にする遺跡内の龍源寺間歩(まぶ)―銀山公園間(2.3キロ)にも乗り入れ、騒音計測やアンケートを実施する。電気バスの価格は約7000万円と同型バスに比べ約10倍と高価だが、市は地元の理解などが得られ次第、補助事業などを活用して購入する方針。

大田で「石見銀山学」公開フォーラム

2008/03/23 山陰中央新報

 世界遺産に登録された石見銀山遺跡の価値と魅力を学ぶ石見銀山学講座の公開フォーラムが二十二日、大田市のあすてらすであった。対外交渉史を研究する東京大大学院の村井章介教授が、欧州製の日本の古地図などから、石見銀山の開発を契機に欧州での日本に対する理解が飛躍的に進んだ歴史を解説。市民ら百二十人が耳を傾けた。

 村井教授は「世界をかける石見銀」と題し講演。日本銀のさきがけをなした石見銀が日本と朝鮮、中国との境界で活動する倭人ネットワークによってダイナミックに流通し、銀山に銀製錬のハイテク・灰吹法がもたらされた構図を紹介した。

 さらに、銀が中国貿易で唯一の代価交換物となったため、一五四二年ごろ、南シナ海で中国人商人とポルトガル、イスラムの海賊が石見産の可能性がある大量の日本銀を奪い合った海戦を報告。古地図などから「倭寇が中国周辺で活動した十六世紀後半の日本は、欧州人に銀と海賊の島と認識された」と述べた。

 続く「石見銀山学がめざすもの」をテーマにしたパネルディスカッションでは研究者ら五人が意見交換した。

 広島大大学院の本多博之准教授は、石見銀が広島の厳島神社で祭礼費用に使われたとし「市民が二つの世界遺産を連携させ、歴史と文化を掘り起こすことが地域の活性化につながる」と助言。

 村井教授は遺跡を学び巡ることで「仙ノ山に巨大都市が存在したことが見えてくるのがとてもスリリングで、石見銀山が好きになった」と強調。十月にフルオープンする世界遺産センターで過酷な鉱山労働を体験できる工夫や、アジア諸国に情報発信する大切さを説いた。

大田市が石見銀山パークアンドライド見直しへ

2008/03/19 山陰中央新報

 世界遺産に登録された石見銀山遺跡の観光客受け入れ態勢で、大田市は18日、3月定例市議会の全員協議会でパークアンドライド方式を見直す方針を明らかにした。地元住民の要望に伴い、10月から龍源寺間歩と銀山公園の区間は路線バスを廃止。黄金週間期間から交通実験を行い、観光客の利便性を図る別の移動手段を検討する。

 観光客の人気スポットの同間歩がある銀山地区では、登録で急増した来訪者を運ぶ路線バスの排ガス、騒音問題が発生。昨年12月に大森町自治会協議会が、同地区での路線バス廃止などを要望していた。

 大田市は「遺跡と自然、人々の調和」を重視した7項目の見直し案を示し16日に同協議会の了承を得たと説明。

 同案では、大森の町並み保存地区と銀山地区を歩くゾーンに設定。路線バスを廃止し、2.3キロの区間で別の移動手段や、障害者と高齢者向けの福祉車両を考える。環境に対応した北陸電力開発の電気バス導入を検討し、4月中旬に地元住民を対象に実験走行を行う。

 さらに、新たに遺跡と環境を保全する費用を来訪者に負担してもらう目的で、世界遺産センターの駐車場と銀山公園など3カ所で、保全協力費として駐車料金を徴収する。路線バスの見直しに伴う交通実験は4月26日から5月31日まで実施し、合わせて保全協力費を実験的に求める。

 一方、昨年末の落石で市が要害山すそ野を調査し、36カ所で市道銀山線に落石の危険性があり、23カ所で対策が必要と判明。2008年度に本格的な落石防止工事を行う。

広域観光モデル地域に石見銀山と出雲大社選定

2008/03/14 山陰中央新報

 島根県内の優れた観光資源をつなぎ、広域観光を促進するため、アクセス道の整備や活用、情報発信などの在り方を考える検討委員会が十三日、松江市内であり、施策を検討するモデル地域に、世界遺産登録された石見銀山遺跡を核とした大田地域と、県内最多の入り込み客数を誇る出雲大社のある出雲地域を選んだ。今後、具体的な整備の手法や方向性を協議する。

 国土交通省と島根県が合同で昨年末に設置し、今回が二回目となる検討委では、松江、浜田、益田を加えた五地域の観光の実態や課題、官民の取り組みを分析。

 広域観光の促進には、実施期間を短期と中長期の二段階に分け、観光地間の移動時間の短縮や到着後に、より経済効果をもたらす動線の構築などに向け、看板や地図を使った情報発信の充実、高速道路の整備などが必要との認識に立った。

 その上で、具体的な施策提言の場として、入り込み客数が、世界遺産効果で冬場の一月も前年同月比で四倍近くの石見銀山遺跡(大田市)と、年間二百万人を超える出雲大社(出雲市)に着目。

 それぞれの観光地としての魅力アップを図るとともに、大田、出雲両地域の連携を進め、他の三地域への波及効果も確かめることにした。

 次回は、交通アクセス▽情報提供▽魅力−の三分野で、アクセス道の整備や送迎バスの運行、徒歩での観光の誘導など、大田、出雲両地域の整備手法をまとめる。

記念硬貨:地方自治法60周年「御取納丁銀」の1000円銀貨、デザイン決定 /島根

2008年03月12日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE

 ◇500円は加茂岩倉遺跡の銅鐸に

 地方自治法施行60周年に伴い、島根をモチーフに作られる記念硬貨のデザインを検討する会議が11日、県庁であった。1000円銀貨は丁銀とボタン、500円硬貨は銅鐸を描いたデザインが選ばれた。

 フルカラーの1000円銀貨は、石見銀から鋳造され1枚しか現存しない県所有の「御取納(おとりおさめ)丁銀」の左に、県の花であるボタンがあでやかなピンク色の大輪を3輪咲かせ、石見銀山遺跡の世界遺産登録を祝うデザイン。500円硬貨は、1カ所としては全国最多の39個が出土した加茂岩倉遺跡(雲南市)の銅鐸を描き、古代出雲の歴史をアピールした。硬貨のへりには、銅鐸に特徴的なのこぎり状の紋様「鋸歯紋(きょしもん)」が刻まれている。

 造幣局は県の提案を元に、1000円銀貨はボタン・トビウオ・龍源寺間歩とそれぞれ丁銀を組み合わせた計5種類、500円硬貨は松江城天守閣、銅鐸、出雲大社の3種類をデザインした。委員からは「カラフルで華やか。間歩は分かりにくいのでは」などとボタンを推す意見で一致。500円硬貨は、松江開府400年祭を理由に松江城を推す声があったものの「古代(銅鐸)、中世(丁銀)、現代(ボタン)のモチーフでバランスがよい」などの理由で、銅鐸に決まった。結果は同日中に造幣局に報告した。

 政府は08年度から47都道府県の記念硬貨を順次発行する計画。初年度は、石見銀山の世界遺産登録を記念した島根など3道府県分が発行される。【酒造唯】

石見銀山遺跡を核に「ジオパーク」計画

2008/03/11 山陰中央新報

 石見銀山遺跡を核に、山陰地域の地質遺産を国連教育科学文化機関(ユネスコ)が認定する「ジオパーク(地質公園)」に登録しようと研究を進める島根大(松江市西川津町)のプロジェクトチームが各地の地質遺産を選んで五月、「山陰・島根ジオサイト100選」を公開する。ジオパークは国内で認定例がなく、初登録に向けて広く山陰の地質遺産の豊かさをアピールする。

 十日に開かれた同大の研究成果報告会で、ジオパーク構想のリーダーを務める赤坂正秀・総合理工学部教授が計画を明らかにした。

 計画では島根県などと連携し、五月十日の「地質の日」に合わせて「ジオサイト100選」を選定、公表する。石見銀山遺跡のほか、隠岐国賀海岸(西ノ島町)、石見畳ケ浦(浜田市)、大根島の溶岩トンネル(松江市)などが候補。

 ジオパークは、科学的に貴重な地質遺産を複数含む地域で、教育や観光に生かす取り組みで、一般の自然公園とは異なり、公共団体や民間が主体となった行動計画を持つことが条件の一つ。島根大では、ジオサイトをもとにパンフレットやガイドブックを製作し、五年以内の認定を目標に、準備委員会の早期設立につなげたい考え。

 国内では洞爺湖(北海道)や糸魚川(新潟県)など十以上の地域がジオパークに名乗りを上げているが、遺産を選定し公表する取り組みは、まだないという。赤坂教授は「学術的な価値の裏付けもあり、登録の実現性は高い。世界遺産があるアドバンテージを生かしたい」と意気込む。

石見銀山、世界遺産推薦に決定

2005/09/16 中国新聞地域ニュース

 政府は十五日、世界遺産条約関係省庁連絡会議を開き、石見銀山遺跡(大田市、島根県温泉津町、仁摩町)の世界遺産推薦を決めた。二〇〇七年七月ごろに開かれる世界遺産委員会で登録が認められれば、国内十四件目、文化遺産としては十一件目となる。

 七月に文化庁が推薦の方針を決めた後、県などは同月中、推薦書と保存管理計画の二つの原案を国に提出していた。推薦書原案は、遺跡が銀の生産から搬出までの鉱山開発のすべてを網羅し、当時の土地利用も現在に伝えているなどと価値を説明する。保存管理の原案は住民生活との調和などを基本方針に、生産や信仰、流通など遺跡の種類ごとに方法を定めている。

 世界遺産登録の手続きでは従来、登録前年の一月ごろに関係省庁会議を開き、推薦書などの正式版を国連教育科学文化機関(ユネスコ)に提出していた。詳細な事前審査を実施するため今回から、関係省庁会議を約四カ月早め、推薦書などを原案の状態で提出し、修正していく。正式提出の締め切りは〇六年二月一日。

 石見銀山遺跡は銀の採掘、精錬がされた「銀鉱山跡と鉱山町」、銀鉱山と港を結んだ「街道」、銀鉱石や物資が行き来した「港と港町」からなり、面積は四四二・五ヘクタール。登録部分は国指定の史跡や重要伝統的建造物群保存地区に指定されている。歴史的景観を保全するため、緩衝地帯(バッファーゾーン)を計三二二〇・五ヘクタール設けている。

No.8-7-3 世界遺産TOPIC



【明解要解】来春、「世界遺産」博士の第1号誕生

2008.3.31 MSN産経新聞

筑波大大学院、「保護」の人材育成

 世界遺産がブームとなるなか、観光開発などが先走り、本来の目的である遺産の保護が忘れられがちとなっている。こうした現状を危惧(きぐ)して、世界遺産について研究する博士課程を設置し、専門家の育成を始めた日本の大学院がある。世界に通用する人材が育つか注目されている。(特集部 押田雅治)

            ◇

 「世界遺産学」のコースを開設したのは筑波大大学院。平成16年度の修士課程に続いて、18年度から博士課程(世界文化遺産学)を世界に先駆けて設置した。両課程に約55人が在籍し、大学教授のほか、さまざまな経歴の社会人経験者も学んでいる。

 食品会社のワインの買い付けで世界各地をめぐった経験をもつ博士課程の稲葉伊都子さん(33)もその1人。

 国連教育科学文化機関(ユネスコ)による世界遺産の登録件数は現在、851件。次の登録を狙って各国が熱い競争を繰り広げているが、稲葉さんは「世界遺産リストへ登録されること自体が目的化しているように感じる。この傾向は日本でも顕著」と異議を唱える。

 日本の世界遺産は昨年話題となった「石見銀山遺跡」(島根県)など14件。原則1年に1国1件の推薦に対し、「暫定リスト」に「鎌倉の寺院・寺社」(神奈川)▽「平泉の文化遺跡」(岩手)など8件が挙げられ、地元では事前運動が活発に繰り広げられている。

 稲葉さんは「温暖化など、地球規模の脅威から世界遺産を守るには、1国のみの対応では不可能で、国際社会が連帯する必要に迫られている。登録本来の趣旨は遺産の保護にあるのに、何か、別の目的になっている」と話す。

 レコード会社などを経て修士課程で学ぶ北雅子さん(34)は世界遺産に登録された後の人的被害を懸念する。

 「砂漠化や海面上昇による問題でも、遺産の劣化はこうした気候変動のみの影響とは言い切れない側面もある。都市開発や観光被害といった人為的な要因がからんでいる場合もある」と指摘する。稲葉さんや北さんら院生はこうした問題意識をもって、遺産の保護につながる研究を進めたいと意欲をみせている。

               ◇

 同コースでは、ユネスコ世界遺産センター(本部・パリ)や関係省庁などで幅広い「理論」も学べるのが大きな特徴だ。

 そのかたわら、院生たちは遺産保護への情熱を「世界遺産カルタ」という形で結実させた。たとえば「そ」は、「空へ向け稲穂豊かに続く棚」と「比・コルディエーラの棚田群」について「後継者不足で棚田を維持することが困難」と記し、遊びながら遺産の危機的な現状も理解できるよう工夫されている。

 指導する斎藤英俊教授(61)は「遺産の保護と国際協力で、世界に通用するプロを送り出したい」という。来春、「世界遺産」博士の第1号が誕生する見通しだ。

縄文遺跡群を世界遺産に 北海道と北東北が共同提案

2007年12月12日 中国新聞ニュース

 北海道は12日、世界文化遺産登録の国内候補入りを目指し、青森、秋田、岩手の東北3県および関係する7市5町と共同で国に提案する「北海道・北東北の縄文遺跡群」の概要を発表した。19日に文化庁へ提出する。

 同遺跡群は三内丸山遺跡(青森市)や大湯環状列石(秋田県鹿角市)、御所野遺跡(岩手県一戸町)、北黄金貝塚(北海道伊達市)など計15の遺跡や貝塚で構成。約1万3000年前から約2000年前に分布している。

 出土品の中には土偶など精神性を示すものも多く「人類史における狩猟採集社会の成熟した様相を顕著に物語るもので、世界遺産にふさわしい」とアピールしている。

 文化庁は、来年夏ごろまでに国内候補の暫定リストに載せるかどうかを決める方針。

石見銀山など22件登録 世界遺産委閉幕、初抹消も

2007/07/02 中国新聞ニュース

 【シドニー2日共同】ニュージーランドのクライストチャーチで開かれていた国連教育科学文化機関(ユネスコ)の第三十一回世界遺産委員会は二日、日本政府が推薦した「石見銀山遺跡とその文化的景観」(島根県大田市)など計二十二件を新たに世界遺産に正式登録する決議を採択して閉幕した。

 決議は一方で、オマーンの「アラビアオリックスの保護区」を世界遺産リストから初めて抹消。世界遺産は日本の十四件を含め、計八百五十一件となった。

 今回は、世界遺産候補三十五件と境界拡大候補一件を審査。文化遺産は石見銀山遺跡やオーストラリアの「シドニー・オペラハウス」など十六件、自然遺産は韓国の「済州の火山島と溶岩洞」など五件、両方に該当する複合遺産はガボンの「ロペ・オカンダの生態系と残存文化的景観」の一件が新規登録された。

 石見銀山遺跡の登録は、ユネスコの諮問機関の「登録延期」勧告を覆しての決定。次回の委員会は来年七月二日〜十日にカナダのケベックで開かれ、日本政府が推薦している「平泉の文化遺産」(岩手県)も審査される予定。

石見銀山遺跡、てんやわんや 世界遺産「逆転登録」で

2007/06/30 中国新聞ニュース

 「逆転登録」でてんやわんや―。国際的な学術機関の延期勧告を覆して世界遺産登録を決めた大田市の石見銀山遺跡は二十九日、反動が一気に押し寄せた。地元の観光団体に、様子見していた旅行会社などからの問い合わせが殺到。市や経済団体は一度は棚上げした祝賀ムードの演出に向け、慌ただしく動きだした。

 同市大森町の市観光協会の事務所。日ごろは一日十件程度の観光バスの駐車場の予約が、約四百件に跳ね上がった。三人態勢で来訪者や電話の応対にも追われた田原博事務局長(56)は、「天国と思ったら、地獄のような業務が待っていた」。

 同じ屋根の下に事務所を構える石見銀山ガイドの会でも、ファクスや電話が絶えず鳴っていた。一日五、六件の予約は約三百件に。スペイン語のガイドを求められたケースもあった。役員の伊藤静稔さん(61)は「英語すらおぼつかないグループ。何とかせんとなあ」と苦笑いを浮かべた。

 銀の積み出し港があった温泉津町や三瓶山周辺の温泉街も問い合わせや予約が増加傾向という。

 過疎・高齢化の進んだ小さな町は、駐車場も人材も限られ、予約を断るケースは少なくない。うれしい悲鳴を上げる関係者は同時に、「自然に囲まれた遺跡の保護と住民の暮らしが最優先」と口々に理解を求めた。

 延期勧告を受けて巻き返しに専念してきた市は石見銀山課など関係する課の幹部らで緊急会議。今度はアピール面での挽回に躍起だ。慌てて業者に発注した懸垂幕や横断幕を一日に庁舎や大森町に掲げるほか、正式登録となる二日にはくす玉を用意することを決めた。

 二日夜に大森町で三百人規模の提灯行列などの祝賀イベントを計画する大田商工会議所は、登録への「黄信号」で緩めた準備やPRを本格化。商店街に掲げる「祝・世界遺産登録」のビラ二千五百枚も刷り上がった。(松本大典)

世界遺産に再チャレンジ 仁徳、応神陵など新規も

2007年05月09日 中国新聞ニュース

 世界文化遺産の「暫定リスト」入りを目指し、継続審査扱いとなった自治体が戦略の練り直しを急いでいる。これまで別々に活動していた青森、秋田両県は、隣県を巻き込んで「縄文文化圏」を共同でアピールする方針に転換。大阪府では仁徳、応神陵と伝えられる国内最大規模の古墳群の新規提案を目指す動きもあり、今年2回目となる公募審査も激戦となりそうだ。

 世界遺産への登録は、まず政府が国連教育科学文化機関(ユネスコ)に提出する暫定リストに掲載するのが前提。昨年文化庁が初めて行った公募では、24件中20件が継続審査となった。

 縄文時代の遺跡群を共同提案するのは、青森、秋田に北海道、岩手を加えた4道県。この地域には全国の4分の1にあたる約1万1000カ所の縄文遺跡があることから、文化庁が青森と秋田に「県内だけでなく、より広域的な範囲での遺跡検討が必要」と指摘していた。

 4道県は共同の登録推進会議を4月下旬に発足させており、今後、基本的な考え方や遺産の範囲などを整理する。

縄文遺跡群を世界遺産に 4道県が初協議

2007年04月24日 中国新聞ニュース

 縄文遺跡群の点在する北海道、青森、秋田、岩手の4道県は24日、共同で国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産登録を目指すため、青森市内で初協議を開き、今年末にも遺跡群を候補として文化庁に推薦することを決めた。

 次回協議を6月上旬に開き、名称や構成する遺跡のリストを決める予定。この日の協議では「北の縄文遺跡群」などいくつかの名称の候補が挙がった。

 4道県は日本列島で比較的早くから定住化が進んだ地域で、保存状態の良好な縄文遺跡が多数残っている。主なものとしては大船遺跡(北海道函館市)、三内丸山遺跡(青森市)、是川遺跡(青森県八戸市)、大湯環状列石(秋田県鹿角市)、御所野遺跡(岩手県一戸町)がある。小規模なものまで入れると1万カ所を超えるという。

 青森県は昨年、単独で「青森県の縄文遺跡群」を世界遺産候補として推薦したが継続審査となった。

世界遺産候補5件を決定 政府、富士山や小笠原など

2007年01月29日 中国新聞ニュース

 政府は29日、世界遺産条約関係省庁連絡会議を開き、国連教育科学文化機関(ユネスコ)に提出する世界遺産の登録候補を載せた「暫定リスト」に、文化遺産では「富士山」(山梨、静岡県)など4件、自然遺産は「小笠原諸島」(東京都)1件の計5件を追加掲載することを正式決定した。

 政府は2月1日までにユネスコにリストを提出。6月のユネスコ世界遺産委員会で掲載が認められる見通し。今後、政府は保全管理の徹底など登録条件が整ったものからユネスコに本登録を推薦する。

 富士山以外の文化遺産は、「富岡製糸場と絹産業遺産群」(群馬県)、「飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群」(奈良県)、「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」(長崎県)の3件。

 自然遺産の候補地は、登録推薦の1年前までに暫定リストに追加すれば十分だが、東京都や小笠原村など地元の要望が強いことから、前倒しして追加することにした

岩手独自の通訳ガイド育成 「平泉」の世界遺産登録で

2007年01月28日 中国新聞ニュース

 中尊寺などからなる「平泉」の世界遺産登録を目指す岩手県は、外国人観光客の増加を見込んで県内を外国語で観光案内できる「地域限定通訳案内士」の育成に2007年度から乗り出す。

 08年に「平泉−浄土思想を基調とする文化的景観」(同県平泉町、奥州市、一関市)の世界遺産登録を視野に、県内の歴史や文化に詳しいガイドを確保するのが狙い。英、中、韓の3カ国語で人材育成する考えだ。

 地域限定通訳案内士は、国家資格の通訳案内士の都道府県版。国の外客来訪促進法の改正で、都道府県内に活動範囲を限った資格の設置が認められた。岩手県によると、ほかに静岡や長崎、沖縄の3県でも07年度からの育成を目指しているという。

世界遺産に18候補が名乗り 錦帯橋や佐渡金銀山も

2006/11/20 中国新聞ニュース

 世界文化遺産の登録を目指し、全国の十九県が錦帯橋と岩国の町割(山口県)や佐渡金銀山遺跡(新潟県)など計十八件を候補として月内に文化庁に推薦することが二十日、共同通信社のまとめで分かった。

 十八件のうち、官営八幡製鉄所を含めた「九州近代化産業遺産」については福岡など九州五県と山口県が共同提案に向けた協議を進めている。「富士山」は山梨、静岡の二県が共同で十日に推薦手続きを終えている。

 世界遺産は、政府の申請で国連教育科学文化機関(ユネスコ)の暫定リストに候補として掲載され、審査を経て本登録が決まる。暫定リストには現在日本から石見銀山遺跡(島根県)など四件が掲載されているが、文化庁は文化遺産の追加候補を十一月末までに推薦するよう求めていた。

 文化庁は各県から推薦された候補を詳しく検討し、来年一月中旬までに暫定リストへの掲載をユネスコに申請するかどうか決定する見通し。

 推薦が決まった遺産の多くは地域を代表する観光地で、長野県は善光寺(長野市)、松本城(松本市)など三件の提案を準備。山形県は「出羽三山」、石川県は「城下町金沢の文化的都市景観」を推す。

 富士山は自然遺産としての登録条件が厳しいことから、信仰の対象として親しまれてきた文化遺産として登録を目指す。

 十八件以外にも、白山の登録を目指す石川県が地域がまたがる岐阜、福井両県に期限内での推薦ができるよう働き掛けている。「四国霊場八十八カ所と四国遍路」についても香川県を中心に推薦を検討する動きがある。旧足尾銅山(栃木県日光市)や埼玉県行田市のさきたま古墳群をめぐっては来年以降の提案が検討されている。

〈文化庁へ推薦予定の18遺産〉

 文化庁へ月内に推薦予定の文化遺産は次の通り。かっこ内は所在地。

 青森県の縄文遺跡群(青森市など) ▽縄文時代のストーンサークル(秋田県鹿角市など) ▽出羽三山(山形県鶴岡市など) ▽旧富岡製糸場を中心とした絹業文化遺産(群馬県富岡市など) ▽佐渡金銀山遺跡(新潟県佐渡市) ▽城下町金沢の文化的都市景観(金沢市) ▽小浜の社寺建造物群と文化的景観(福井県小浜市) ▽富士山(山梨・静岡県、十日に推薦済み) ▽善光寺(長野市)▽松本城(長野県松本市) ▽妻籠宿(同県南木曽町) ▽飛鳥地域(奈良県明日香村など) ▽三徳山(鳥取県三朝町) ▽錦帯橋と岩国の町割(山口県岩国市) ▽九州近代化産業遺産(山口、福岡、佐賀、長崎、熊本、鹿児島の六県) ▽沖ノ島と関連遺産群(福岡県宗像市など) ▽長崎の教会群とキリスト教関連遺産(長崎市など) ▽宇佐国東八幡文化遺産(大分県宇佐市など)

【東北工程】北による高句麗遺跡の世界遺産登録、中国が妨害

2006/09/17 朝鮮日報 ユ・ソクジェ記者

 2003年7月、北朝鮮の高句麗遺跡を中国より先に単独でユネスコ世界文化遺産に登録しようとした試みはいったん失敗に終わった。しかし、これに先立ち、ユネスコの中国人職員が規定に反して中国人調査者を北朝鮮に派遣していたことが明らかになった。また、当時ユネスコ本部にいたある職員がこのような事実を韓国に公文で送付したが、その公文は韓国の当局者の手に渡らなかったことも明らかになった。

 最近、MBC「!感嘆符」制作チームとともにフランス・パリのユネスコ本部を訪れた韓国文化遺産政策研究所の黄平雨(ファン・ピョンウ)所長(文化財専門家)は15日、これに関する事実を公開した。この内容は16日夜10時40分からMBCで放送される予定だ。

 黄所長は「2002年ユネスコICOMOS(国際記念物遺跡協議会)が北朝鮮に現地調査団を派遣した際、調査団に中国・清華大の呂舟教授が含まれていたのはユネスコの規定に反することだったという事実を今回確認した」と語った。微妙な歴史紛争に関係する国の専門家を調査団に入れてはならないという規定があるというのだ。

 その上、もともと他のアジアの専門家が調査者に内定していたのが呂教授に変更され、この変更を推進した人物がユネスコ本部世界文化遺産センター(WHC)職員の中国人ジン・フェンであることが明らかになったと黄所長は述べた。呂教授は北朝鮮内の高句麗古墳群に対する第1次報告書を否定的な内容で作成し、これが翌年の登録失敗につながった。

 また、黄所長は「当時、こうした事実を知ったあるユネスコ関係者がこの件について韓国ユネスコに公文を送付したが、何ら回答がなかったという。韓国ユネスコ関係者は“そのような公文は受け取っておらず、万が一公文が送付されていたとしても外交通商部に送られたはずだ”と主張している」と語った。

 黄所長は「ユネスコ関係者は“第1次報告書が提出された後にも、こうした過ちを指摘しなかった韓国側は実にバカだ”と言った」と語った。北朝鮮は2002年に単独で高句麗遺跡の世界遺産登録を申請したが、2003年は登録に失敗し、2003年に申請した中国とともに2004年7月に登録に成功した。

破壊進む万里の長城

2006/04/25 The Sankei Shimbun

 【北京=野口東秀】24日の中国国営新華社通信などによると、世界遺産、万里の長城の破壊が進み、6000キロを超える全長のうち城壁が良好に保存されている部分は「20%もない」と伝えた。長い期間の風化や商業利用、人為的な持ち去りが原因のようだ。

 現存する長城の大半は明代(1368−1644年)に築かれたものだが、中国長城学会が2002年に実施した調査結果を伝えた新華社電によると、長城の遺跡と明確に分かる部分も全体の30%に満たないという。長城の石を自宅の装飾品にしたり売買する行為も目立ち、保護法制定を求める声も出ている。

白神山地宣言を採択 世界自然遺産会議

2005/10/17 The Sankei Shimbun

 日米両国を含むアジアや太平洋地域の16カ国が参加し、青森県で開かれていた第2回世界自然遺産会議は最終日の17日、各国の自治体首長らが「白神山地サミット」を開き、地域社会や住民との連携による自然遺産の保護・保全の推進を盛り込んだ「白神山地宣言」を採択した。

 3日間の会議には延べ約4000人が参加。「世界自然遺産の保護保全」「地域づくり」「次世代への継承」をテーマに議論。「もともと生息していた固有種の動植物が外来種によって駆逐され、多くが失われた」などと、自然遺産を抱える各国の切実な現状が報告された。

 また東北の伝統的猟師マタギの講演や白神山地のブナ林を散策するエコツアーも行われた。

 青森、秋田県にまたがる白神山地は1993年の世界自然遺産登録後、知名度が上がり観光客が急増したことに伴って、生態系の変化が指摘されている。(共同)

富士山登録へ推進本部発足 世界遺産目指し静岡県

2005/10/17 The Sankei Shimbun

 富士山の世界遺産(文化遺産)登録を実現しようと、静岡県は17日、石川嘉延(いしかわ・よしのぶ)知事を本部長とする「県世界遺産登録推進本部」を発足させた。

 庁内の連絡調整や資料収集、PR活動など、登録手続きを効果的に進め、機運を盛り上げるのが狙い。11月には富士市など地元4市1町と、12月には山梨県との協議会をそれぞれ発足させる予定。

 初会合後、石川知事は「登録には5年はかかると聞いているが、できるだけ早く実現したい」と意欲を語った。

 富士山の登録をめぐっては、4月に中曽根康弘(なかそね・やすひろ)元首相を会長とする「富士山を世界遺産にする国民会議」が発足している。(共同)

三内丸山遺跡の世界遺産登録を 青森県知事

2005/10/11 The Sankei Shimbun

 青森県の三村申吾知事は11日の定例会見で、同県内の三内丸山遺跡などの縄文遺跡群について「世界文化遺産登録を目指す」と表明した。

 三村知事は「わが国の基層文化である縄文文化の重要性が認識されていない。まずは暫定リストへの記載を目指す」と話した。

 三内丸山遺跡は青森市郊外にある約4000―5500年前の最大級の縄文集落跡。1994年、野球場建設工事に伴う発掘調査で巨大な掘っ立て柱建物跡が見つかり、従来の縄文観を覆す大規模集落の遺構の発見も相次いだ。2000年11月に国特別史跡に指定された。(共同)

仁徳天皇陵を世界遺産に 2011年登録目指す堺市

2005/10/03 The Sankei Shimbun

 世界最大の前方後円墳「仁徳天皇陵」古墳を含む百舌鳥(もず)古墳群(大阪府堺市、5世紀ごろ)を世界文化遺産に登録しようとする動きが進んでいる。堺市は最短で2011年の登録を目指す。

 百舌鳥古墳群は、天皇陵や陵墓参考地を含む大小47基の前方後円墳や方墳、円墳が現存。中でも仁徳陵は全長486メートルで、クフ王のピラミッド(エジプト)や秦始皇帝の墓(中国)とともに世界三大墳墓とされる。

 堺市は、4年後に文化庁の推薦候補「暫定リスト」入り、6年後の世界遺産登録を目標に活動。国際文化部の小山和正主幹は「世界を代表する陵墓を生かして都市整備を進めたい」と意気込む。

 ただし課題は多い。仁徳陵や履中天皇陵は皇室財産で文化財としては未指定だが、世界遺産登録は国内最高ランクの指定が必要とされる。

 皇室財産の正倉院(奈良市)が、国宝指定の翌年に「古都奈良の文化財」として世界遺産登録された例もあり、古墳群も特別史跡指定の了解を得られるよう宮内庁に呼び掛けるという。

 また世界遺産条約は遺産周辺の利用を制限し、景観を保存するため「緩衝地域(バッファゾーン)」の設定が必要。百舌鳥古墳群の周辺は住宅が密集しており、同市は整備方法の検討も続けている。(共同)

中国の世界遺産で交流祭 五輪の輪掲げる参加者

2005/09/29 The Sankei Shimbun

 28日、世界遺産の中国山西省晋中市の平遥古城の中で、「国際旅行文化交流祭」が開催された。地元中国の京劇や米国など4カ国の団体が歌や踊りを披露した。平遙古城は紀元前に建設され、現存しているのは14世紀、明時代のもの。四方を城壁で囲まれた2.25平方キロメートルの城内には約4万人が生活している。舞台では五輪を掲げるなど2008年の北京五輪をアピールしていた(共同)

世界遺産へ建造物調査 尾道市

2005/09/26 中国新聞地域ニュース

 世界遺産登録を目指したまちづくりを進める尾道市は二十五日までに、歴史的建造物の保存に向け、中心市街地を対象とする建物調査に乗り出す方針を固めた。対象エリアは一・五平方キロ前後が見込まれ、来年度にも着手。域内の歴史的建造物の現状を把握してデータベース化し、瀬戸内海と一体となったまち並みを世界遺産登録へと近づけるステップとする。

 市世界遺産推進課によると、予定している家屋調査の範囲は、JR尾道駅東側から尾道大橋までを東西とし、千光寺山など尾道三山南側の市中心部。市が所有する家屋台帳に記載されている建物の面積や建築年、構造といった情報を、パソコンの電子地図に入力。市職員らの現地調査の結果も合わせて記録し、データベース化する。

 尾道市で、これほど広域的な建物の調査は初のケースとなる。データベース化によって、建物を建築年代や様式別に地図上に色分けして表示。これを基に、周辺の再開発も歴史的建造物の価値を損なわないように進めるなど、まち並み保存策を講じていく上での基礎資料とする。

 市世界遺産推進課は現在、家屋台帳のデータを整えるなどの準備作業を進めている。同課は「まず、どのエリアにどんな建物があるかを把握したい。将来は、世界遺産のエリア指定の基礎資料にもしたい」としている。

 亀田良一市長は、二〇〇二年一月に「世界遺産登録を目指したまちづくりを推進する」と宣言。〇四年四月には庁内に世界遺産推進課(現在六人体制)を設置し、文化財や歴史的建造物、景観の保存を施策の中軸に位置付けた。

 商都・尾道の繁栄の象徴である旧尾道商業会議所、旧尾道銀行本店(おのみち歴史博物館として四月に開館)を大正時代の建造物としては初めて市重要文化財に指定。民間の歴史的な建物を残すため、二百万円を上限に外観改修費の四分の三を助成する「まちなみ形成事業」も実施している。

 <尾道市の歴史的建造物> 尾道は、対明貿易船や北前船の寄港地として中世、近世を通じて栄えた。尾道3山のふもとには、本堂と多宝塔が国宝の浄土寺など25カ寺、約15の神社が点在する。中心部には大正、昭和初期の洋館風建物が現存し、大正期のかっぽう旅館などが国の登録有形文化財となっている。

泰緬鉄道クワイ川鉄橋、世界遺産登録へ奔走

2005年09月04日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 太平洋戦争中、旧日本陸軍がタイ―ビルマ(現ミャンマー)間に敷設した「泰緬(たいめん)鉄道」。捕虜らに過酷な強制労働を課し、多くの犠牲者を出した悲劇を今に伝えるクワイ川鉄橋を世界遺産に登録しようと、元陸軍通訳の日本人男性が活動を始めた。

 「死の鉄路」建設にかかわった反省から、慰霊と贖罪(しょくざい)に半生を費やしてきた男性は、戦後60年の節目に、鉄橋の世界遺産登録を、歴史を語り継ぐ活動の集大成と位置付けている。

 男性は、岡山県倉敷市で英語塾を経営する永瀬隆さん(87)。大学で英語を専攻した永瀬さんは、1943年、タイのカンチャナブリ憲兵分隊に配属された。泰緬鉄道の建設拠点だった。

 硬い岩盤とジャングルに阻まれ、工事は難航した。暑さ、飢え、劣悪な衛生状態で、マラリアや赤痢などがまん延。犠牲者の多さから、「枕木1本に死者1人」とも言われた。

 永瀬さんは通訳として、捕虜の拷問に何度も立ち会った。終戦直後の3週間は、連合国軍の捕虜墓地捜索隊に加わり、1万3000人の遺体の掘り起こしに携わった。拷問には直接加わらなかったが、鉄道建設の一端を担った罪の意識はぬぐいようがなかった。「真実を語るために自分は生き残った」と思うようになったという。

 著書や講演で自らの体験を「告発」し、塾の収入や印税は、鉄橋近くの平和寺院の建立や、現地の子どもたちのための教育基金の創設に投じた。慰霊のための訪タイは、120回以上。かつての捕虜や労働者に和解の握手を求められれば、どこへでも出かけて行った。

 世界遺産登録は、そんな中で、永瀬さんが温めてきた数年来の計画だ。先月、「英連邦戦死者墓地」(横浜市)の追悼式で思いを語ると、各国の大使館関係者は好意を示してくれたという。

 ただ、87年、日本の援助で廃線区間の復旧計画が持ち上がった時、旧連合国側から「アウシュビッツを遊園地にするようなもの」と批判されて、立ち消えになるなど、泰緬鉄道を巡っては、まだ複雑な感情が残っているのも事実だ。

 今年11月、市民団体「マレー半島ピースサイクル(MPPC)」が旧日本軍の「銀輪部隊」にちなんで沿線を走ると聞き、永瀬さんは同行を決めた。その際、旧知のタイ政府関係者らに世界遺産登録を訴えるという。

 広島原爆ドームの世界遺産登録に尽力した東京芸術大の平山郁夫学長は、「歴史的教訓として後世に伝える意味があり、日本人として勇気ある行動だ」と話している。

          ◇

 MPPCは、参加者を募集している。11月19日出発で5泊6日。詳細は、倉知博さん(電話045・333・3708)へ。

ユネスコ世界遺産委閉幕 知床など24件を新規登録

2005/07/18 The Sankei Shimbun

 南アフリカのダーバンで開かれていた国連教育科学文化機関(ユネスコ)の第29回世界遺産委員会は17日、閉幕した。北海道・知床など自然遺産7件、中国・マカオの歴史的建築群など文化遺産17件の計24件を新たに正式登録し、これで世界遺産は合計812件に上った。

 また、1986年に自然遺産として登録された英国セント・キルダ島について文化的な価値も認めて、複合遺産に分類を登録変更した。

 知床やマカオなどと並んで遺産登録されたのは(1)南アフリカにある地球最古で最大の隕石(いんせき)衝突跡フレデフォートドーム(自然遺産)(2)中央アジア・トルクメニスタンにある古代ホレズム王国の都クフナ・ウルゲンチ(文化遺産)(3)ボスニア・ヘルツェゴビナ内戦で破壊後、再建・復元されたモスタル旧市街の石橋地区(同)など。(共同)

石見銀山遺跡の推薦決定 世界遺産登録で文化庁

2005/07/15 中国新聞ニュース

 文化庁は十五日、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産として、十六〜十七世紀に世界的な銀産地だった石見銀山遺跡(島根県)を推薦することを決めた。同日の文化審議会文化財分科会で了承された。

 推薦は八月ごろに開かれる関係省庁連絡会議で政府として正式決定し、ユネスコの世界遺産センターに推薦書を提出。登録されるかどうかは二○○七年六月ごろの世界遺産委員会で決まる。

 推薦は、十六〜二十世紀にかけて採掘が行われた銀鉱山跡だけではなく(1)銀鉱山ふもとに居を構えた有力商家の生活を伝える重要文化財「熊谷家住宅」(2)銀鉱山を守るための山城跡(3)銀鉱山につながる街道や港町−などを含めた計約四百四十三ヘクタールが対象。

 推薦理由として文化庁は、伝統的な「灰吹法(はいふきほう)」で銀の精錬をしていたことなどが分かる遺跡の価値のほか、銀鉱山を中心とした土地利用の全体像がつかめる文化的な景観を挙げている。

マカオが世界遺産に

2005/07/15 The Sankei Shimbun

 南アフリカのダーバンで開かれている国連教育科学文化機関(ユネスコ)の第29回世界遺産委員会は15日、ポルトガル植民地だった中国・マカオの歴史的建築群が立ち並ぶ一帯を世界遺産(文化遺産)に登録することを決めた。

 市内には聖母教会の焼け残った建物正面やモンテの砦(とりで)、ギア要塞(ようさい)など歴史的な建築物が多数残っており、西洋と東洋の文化の共存などが高く評価された。

 マカオは16世紀、明王朝の倭寇(わこう)討伐に協力したポルトガルが居住権を獲得し、19世紀後半に植民地化。1999年12月、中国に返還された。

世界遺産、大雨で倒壊危機 ベトナム中部の古都ホイアン

2004/11/29 The Sankei Shimbun
 ベトナム政府は29日、先週末に降った大雨のため、世界遺産に指定されている中部クアンナム省の古都ホイアンの街並みが水浸しとなり、築数百年の家屋約600棟が倒壊の危機にさらされていると発表した。

 ホイアンは海上交易の拠点として栄え、16−17世紀には日本の朱印船が立ち寄り、日本人町もあったという。日本人が造ったとされる歴史的建造物「日本橋」(ライビエン橋)もある。

 大雨により同省など5省で土砂崩れや洪水が発生、これまでに41人が死亡、7人が行方不明になった。中部では25日ごろから、台風の影響で大雨が降り、洪水や土砂崩れで道路が寸断されるなど被害が相次いだ。雨がやんだ現在も水は完全に引かず、山間部の一部は孤立したままの状態が続いている。(共同)

「軍艦島」保存、活用を 世界遺産目指しシンポ

2004/10/31 The Sankei Shimbun
 かつて炭鉱の島として栄え、軍艦島の異名を持つ「端島」(長崎県高島町)の保存を考え、世界遺産の登録を目指す「軍艦島シンポジウム」が31日、同県高島町で開かれた。

 軍艦島では1890−1974年に三菱鉱業(現三菱マテリアル)が炭鉱を経営。明治時代の軍艦に似た外観から「軍艦島」と呼ばれ、日本初の鉄筋高層アパートが建てられたことでも知られる。島は30年前に閉山してから廃虚となっているが、産業遺産として見直されつつある。

 長崎大大学院の後藤恵之輔教授(土木工学)は10月中旬に行った調査結果を報告。「度重なる台風で地盤が流出し、一部の建物はいつ壊れてもおかしくない危険な状態。行政に保存を働き掛けなくてはならない」と述べた。

中国:世界遺産で観光や開発優先で問題が多発

毎日新聞 2004年07月06日 Mainichi INTERACTIVE
 【北京・大谷麻由美】世界遺産の宝庫・中国で、観光優先の乱開発や遺跡の破壊など保護・管理を巡る問題が起きている。世界遺産委員会は「世界文化遺産は終身制ではない」と登録リストからの除外の可能性まで示唆し、中国に警告している。

 中国の世界遺産登録数はスペイン、イタリアに次いで世界第3位。江蘇省蘇州市で7日まで開かれている第28回世界遺産委では、吉林省の高句麗遺跡が中国30番目の世界遺産に選ばれた。

 しかし、98年に登録された北京市郊外の皇室庭園「頤和園」近くに高圧線用の鉄塔や商業施設が建てられ、景観破壊との批判が出ているのを始め、「黄山」(安徽省)や「泰山」(山東省)のロープーウエー建設による景観破壊▽「九寨溝渓谷」(四川省)の観光客急増による環境汚染−−などの環境破壊が報じられている。

 さらに▽「北京原人化石出土の周口店遺跡」(北京市)の洞穴が一部崩落▽「万里の長城」(北京市など)の破壊▽「敦煌莫高窟」(甘粛省)の壁画崩落−−など管理上の問題も表面化。中国メディアも保護徹底の必要性を強調している。

高句麗古墳群、世界遺産登録なら取材認める…北朝鮮

2004/06/21 読売新聞 Yomiuri On-Line
 【上海=伊藤彰浩】北朝鮮は、平壌周辺にある高句麗古墳群について、国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)の世界遺産委員会(28日から中国江蘇省・蘇州市で開催)で「世界文化遺産」に登録された場合、海外報道機関の団体視察を認める方針を決めた。

 北朝鮮観光総局が、日本の民間団体「日朝観光交流協会」(会長=広瀬秀吉・元衆院議員)を通じて先週、伝えてきた。

 高句麗古墳群は、平壌周辺に3世紀中期から7世紀の古墳約80基が点在するもの。ユネスコ親善大使の平山郁夫氏は、今春の訪朝後、今年の委員会での登録は確実との見方を示している。

精錬用鍋から鉛と銀の合金 石見銀山遺跡

2004/05/16 中国新聞地域ニュース
 「世界遺産」へ住民説明会

 三年後の世界遺産登録を目指す石見銀山遺跡の住民説明会が十五日、大田市民会館であり、昨年度までの調査の成果や今後の取り組みなどを学んだ。参加した約百人の市民は、十四日に島根県教委などが発表した鉛と銀の合金の残る鉄鍋の説明も受け、銀山の重要性をあらためて認識した。

 同市石見銀山課の大国晴雄課長がエジプトのピラミッドや法隆寺など各国にある世界遺産の意義を説明。「銀山は、国際的にも大きな役割を果たした貴重な遺跡。身近にあるので実感されていない方もいる」と訴えた。

 多くの市民が関心を寄せている遺跡保護のための緩衝地域(バッファゾーン)についても触れた。世界遺産登録が本年度に実現する予定の「紀伊山地の霊場と参詣道(熊野古道)」がある和歌山県新宮市の実例で認識を深め、大田市でも六月から区域指定のための条例作りに着手する計画も公表された。

 説明会の後、参加した銀山ファンは昨年秋に発見された銀と鉛の合金の「貴鉛(きえん)」や、実際に灰吹(はいぶき)法の銀精製で使っていたと思われる鉄鍋などの展示コーナーに詰め掛けた。同課の遠藤浩巳係長から発掘された状況や使われた時代などの説明を受け、「ほかにも似たものは出土していないのか」などと真剣な表情で質問していた。

 灰吹法の有力証拠 県教委見解

 鉛と銀の合金が検出された銀精錬用の鉄鍋の遺物は、大田市大森町の石見銀山・石銀藤田地区で一九九七年に出土した。県教委と同市は、獣骨の灰を敷き、鉛と混ぜて銀を取り出す灰吹法を、この鉄鍋を使って実施した有力な物的証拠になる、とみている。

 世界遺産登録の準備を進めている石見銀山遺跡調査整備委員会で、科学調査を担当する村上隆委員(奈良文化財研究所主任研究官)が二月、保存処理するため鉄鍋をエックス線で撮影。こびりついていた灰状の部分の中に、小さい金属が複数混じっているのを発見した。一粒ずつ取り出して分析した結果、鉛と銀を多く含む「貴鉛」とほぼ同じ成分だった。灰状の部分からは銀の成分は検出されなかった。

 鉄鍋は片口が付き、口径約二十四センチ、高さ約二十センチの鋳鉄製。一緒に出土した磁器などから十六世紀後半の戦国末期ごろ、一般の家庭で使用されていたものとみられている。

平山郁夫氏、古墳群の保存支援で北朝鮮と調印 2004/04/18 asahi.com
 北朝鮮を訪問した国連教育科学文化機関(ユネスコ)親善大使の平山郁夫・東京芸術大学長は17日、北京で記者会見し、北朝鮮が高句麗古墳群保存のために計画している研究所建設に日本側も民間レベルで30万ドル(約3200万円)の支援を行うことで合意、14日に北朝鮮側と調印したことを明らかにした。建設には80万ドルの資金が必要で、残る50万ドルは北朝鮮側が準備する。6月15日に起工式を行い、来年12月に完成する予定という。

 平山氏は「よほどの問題がない限り、今年6月末から中国・蘇州で行われるユネスコの世界遺産委員会で、高句麗古墳群の世界遺産登録が決まるのは間違いない」との見通しを述べた。平山氏は13日から平壌入りしていた。

平山郁夫氏、高句麗古墳群は「世界遺産に登録」と明言2004/04/17 読売新聞 Yomiuri On-Line
 【北京=竹腰雅彦】国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)代表団として北朝鮮を訪問していた平山郁夫・ユネスコ親善大使は17日、北京で記者会見し、北朝鮮が世界文化遺産への登録を申請している平壌周辺の高句麗(紀元前1世紀後半―668年)古墳群について、6月末から中国・蘇州市で開かれる世界遺産委員会で、「間違いなく登録が決定される」と言明した。

 平山氏は13日から17日まで訪朝し、同古墳群などを視察。北朝鮮側は登録に必要な遺跡の保護計画として、古墳群の保存研究施設を来年中に建設する意向を示し、建設費80万ドルのうち、ユネスコを通じた30万ドルの資金援助を求めたという。

 ユネスコ関係者によると、同古墳群は、昨年の世界遺産委員会では、高句麗の歴史的な帰属問題で北朝鮮と論争がある中国の反対などで登録が見送られた。今年の委員会では、北朝鮮国境近くの吉林省・集安にある中国側の高句麗遺跡も世界遺産に同時登録される見通し。

能楽を無形文化遺産リストに登録へ ユネスコ、条約採択し閉幕

2003年10月18日 The Sankei Shimbun
 パリで開かれていた国連教育科学文化機関(ユネスコ)総会は17日、消え去る恐れのある口承芸能や舞踊などを保護するための「無形文化遺産保護条約」と、映画などの芸術、文化表現の多様性の保護を目的とした「文化多様性条約」策定に取り組む決議を採択して閉幕した。

 無形文化遺産保護条約は30カ国の批准を得て発効する。2001年に「口承及び無形遺産の傑作」に宣言された日本の能楽は、条約が発効した段階で同条約の「無形文化遺産代表リスト」に登録されることになる。

 無形文化遺産保護条約は、先進国に「世界遺産」が偏重していると批判するアフリカ諸国が積極的に支持。先進国の一部は反対したが、日本などが理解を示し、採択された。

 文化多様性条約は、映画市場が米国に独占されていることに危機感を強めたフランスやカナダが自国の映画産業を保護するため、各国固有の文化保護の権利を主張して提案。米国は反対したが、最終的には策定の方針で一致した。

 今回の総会では、脱退していた米国が19年ぶりに復帰、執行委員国入りして積極的に討議に加わった。(共同)

台湾、委員名義で世界遺産推薦へ 登録に“裏技”日台スクラム

2003年08月02日 The Sankei Shimbun
 【台北=河崎真澄】中国の万里の長城、日本の屋久島など世界で730カ所あまりが登録されている「世界遺産」だが、台湾からは1カ所も登録されていない。中国の反対で世界遺産条約の“締結国”になれないからだ。しかし、世界的に有名な「タロコ峡谷」や1945年に日本人研究者が発掘した「卑南(ひなん)文化遺跡」など12カ所が基準を満たす可能性が高いとして、台湾は5年後の「世界遺産」登録をめざし静かに動き出している。

 台湾・行政院(内閣に相当)の文化建設委員会が世界遺産の候補地としてあげているのは「自然遺産」と「文化遺産」が5カ所ずつ。日本統治時代に建設された登山鉄道のある阿里山など自然と文化を兼ね備えた「複合遺産」が2カ所。女性閣僚の陳郁秀主任委員は候補地の中から、「タロコ」と「卑南遺跡」、「棲蘭(せいらん)山のヒノキ林」の3カ所で、優先的に登録準備を進める方針を明らかにした。

 世界遺産の登録には条約締結国が候補地を推薦し、国連教育科学文化機関(ユネスコ、松浦晃一郎事務局長)の諮問機関である国際記念物遺跡会議(ICOMOS)などが審査。さらに1年に1回の世界遺産委員会の決定を経て登録が決まる。

 現状では、台湾は条約締結国ではないため候補地推薦はできないが、陳主任委員は、「遺跡会議の委員が個人名義で推薦する形式で、台湾の遺産を審議することは可能」とみている。すでにこの会議には台湾の研究者も名を連ねている。

 さらに陳主任委員は6月に日本を訪問。遺跡会議執行委員の西村幸夫東大教授ら関係者と会談して、日台の研究者が台湾の世界遺産登録に向けた協力作業を進めることを確認した。

 台湾では10人の専門家からなる世界遺産諮問委員会も発足させ、遺産候補地の地元自治体や住民との折衝、啓発教育、資料作成など作業を始めた。しかし条約締結国以外の遺産登録は例がなく中国の反発が予想される。

 台湾遺跡研究の権威である中原大学建築学部の薛琴(せつきん)助教授は、「世界遺産は人類共通の遺産で、政治を持ち込むべきではない」として、中国の姿勢を批判する。一方で陳主任委員は、「国民党政権時代の台湾は中国文化がすべてで、台湾の遺産を守る文化政策に欠けていた」ともいう。

 世界遺産登録に向け準備が始まったのは2000年5月に民進党の陳水扁政権が発足してから。「台湾アイデンティティー(帰属意識)が出発点」(陳主任委員)になっている。

 さらに陳主任委員は「ユネスコや国連自身も変革期を迎えており、将来的に台湾がユネスコにオブザーバー参加を申請する可能性もある」と指摘した。新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS、サーズ)問題で国際世論が台湾の世界保健機関(WHO)オブザーバー参加に理解を示したのと同じように、人類全体の文化遺産の保護の面からみて、「中国の政治的意図は道理にかなわないという考え方が主流になるだろう」とみている。

世界遺産に24カ所追加登録

2003年07月04日 The Sankei Shimbun
 パリで開かれている国連教育科学文化機関(ユネスコ)の第27回世界遺産委員会は3日、2日に発表したアフガニスタンのバーミヤン遺跡とイラクのアシュール遺跡を含め、計24カ所を新たに世界遺産に登録することを決めた。  これで世界遺産は計754カ所となり、内訳は文化遺産582、自然遺産149、自然・文化遺産23。

 新たな登録の24カ所のうちモンゴル、カザフスタン、スーダン、ガンビアは初の登録。北朝鮮が推薦した高句麗古墳群は登録から漏れた。(共同)

バーミヤン遺跡:保存・修復に日本が約180万ドル 署名式

2003年06月02日[毎日新聞] Mainichi INTERACTIVE
 アフガニスタンの旧政権タリバンによって破壊された大仏立像で有名な同国中部バーミヤン遺跡の保存・修復に、日本が約180万ドル(約2億1000万円)を拠出することが決まり、2日バーミヤンで署名式が行われた。

 大仏については再建するか、破壊されたまま「負の遺産」として保存するかをめぐり、国際的な議論が続いている。日本が支援する事業では大仏立像には手をつけず、傷みが激しい石窟(せっくつ)内の壁画や、大仏が入っていた大きな石窟の保存、修復が中心。

 日本は資金援助のほか、壁画と石窟の修復の専門家らも派遣し、アフガン政府や国連教育科学文化機関(ユネスコ)とともに3年間の事業を進める。

 署名式で駒野欽一・駐アフガン日本大使は「日本の文化や仏教は、アフガニスタンを通じシルクロードを経てもたらされた。日本人はバーミヤン遺跡への思い入れが深く、保存、修復に携われることは幸いだ」と話した。

 バーミヤン遺跡は東西約1.3キロのがけに2体の大仏立像と、壁画を残す多数の石窟が点在。01年3月、タリバンが大仏を破壊した。ユネスコなどによると、壁画の損傷も進んでいる。

 ユネスコは今月、バーミヤンの世界遺産登録を審議する予定。(アフガニスタン共同)

バーミヤン仏教遺跡、日独が保存・修復へ

2003/05/31 読売新聞 Yomiuri On-Line
 【ニューデリー=佐藤浅伸】イスラム原理主義勢力タリバンによって破壊されたアフガニスタン中部バーミヤンの仏教遺跡群の保存・修復作業が、日本とドイツの専門家チームによって本格的に始まることになった。

 「10年がかり」(日本人研究者)の大事業は、存在がうわさされる巨大涅槃(ねはん)仏を含む新たな遺跡発見の夢も秘めている。

 バーミヤンには、7世紀に書かれた玄奘三蔵の「大唐西域記」にも登場する世界最大級の2体の大仏立像(高さ55メートルと38メートル)があったが、タリバンが2001年3月、2体とも爆破した。同時に仏教壁画の約8割も完全に破壊された。

 作業はユネスコ(国連教育・科学・文化機関)が事業主体となり、第1期分として日本政府が約181万6000ドル(約2億1430万円)を拠出、6月2日にアフガン政府との間で調印式が行われる。7月から日独の専門家がバーミヤン入りし、調査を始める。

 第1期は、盗掘にもさらされている仏教壁画の保存と調査、亀裂が入り崩落の危機がある高さ38メートルの大仏立像が入っていた石窟の保存などが3年にわたり進められる。法隆寺壁画の源流と言われる壁画については、将来の復元模写が可能かどうか探る。大仏立像自体の復元の是非は、各国政府、専門家の間で意見が分かれているため、当面、鉄パイプなどにより石窟を固定させる作業を行う。

 バーミヤンには、大仏立像のほかに横たわった巨大な涅槃仏があったと言われ、日本やフランスの考古学チームが調査を行ったが、存在は突き止められていない。専門家チームの一員としてバーミヤンに赴く前田耕作・和光大名誉教授(アジア文化史)は「第3の仏像や隠れた壁画の発見の可能性もある」と期待している。

古代ローマ遺跡売ります

2002年08月24日The Sankei Shimbun
 イタリア政府はこのほど、同国中部にある紀元前約300年のローマ時代の遺跡アルバフーチェンスを4万ユーロ(約465万円)で売りに出したが、内外から批判の声が相次いでいる。

 ベルルスコーニ政権の財政赤字削減策の一環で、野党の反対の中、文化遺産を管理する会社を設立する法案を成立させて売却が可能になった。

 8月6日付の官報で「売却可能な国家財産」の第1号として売り出されたアルバフーチェンスは、ローマの東百数十キロの山中にあり、公共浴場や広場、道路が残っている。ほかにフィレンツェの文化遺産も売りに出された。

 23日付の南ドイツ新聞は「イタリア売ります」との見出しで「アルバフーチェンスの価格があまりに安く(保存が行き届くかどうか)心配。ドイツ人観光客を当惑させる」と報道。貴重な過去を切り売りするものだと批判した。(共同)

アマゾンに世界最大級の国立公園設立

2002年08月23日The Sankei Shimbun
 ブラジル政府は22日、アマゾン地域のアマパ州北部にツムクマケ国立公園を設立すると発表した。広さは約3万8900平方キロ。アマゾンの熱帯雨林地域の約1%を占め、世界最大級の国立公園となる。

 世界自然保護基金(WWF)ブラジル支部が今後数年間で計100万ドル(約1億2000万円)を支援するほか、ブラジル政府や世界銀行なども拠出する。8月26日から南アフリカで開かれる持続可能な開発に関する世界首脳会議(環境・開発サミット)で表明する。(共同)

三徳山を世界遺産に

2002年08月10日The Sankei Shimbun
 鳥取県三朝町の断がい絶壁に建てられた国宝「投入堂(なげいれどう)」がある三徳山(みとくさん)を世界遺産に登録する機運を盛り上げようと、県主催のシンポジウム「三徳山世界遺産登録に向けて考える集い」が10日、鳥取市の県立博物館で開かれ、約250人が参加した。

 パネルディスカッションで、奈良女子大の近藤公夫名誉教授(造園学)は「三徳山は宗教と自然が見事に融和している。自然環境についても詳細に調査する必要がある」と指摘。

 「住民の間では登録を目指す意識が高まっている」(吉田秀光・三朝町長)や「三徳山全体の考古学調査を進め、世界遺産に値することを論理的に証明する作業も必要だ」(坂本敬司・県立博物館人文係長)などの発言が相次いだ。

 また、ユネスコ・アジア文化センター文化遺産保護協力事務所(奈良市)の金関恕所長が世界遺産の登録手続きなどについて講演した。

 三徳山は標高899メートルで、投入堂は中腹の三仏寺(さんぶつじ)にある。三朝町は三徳山が開山1300年を迎える2006年をめどに、世界遺産登録を目指している。

アフガンから初の世界遺産

2002年06月28日 The Sankei Shimbun
 国連教育科学文化機関(ユネスコ)はブダペストで開いた第26回世界遺産委員会で27日、アフガニスタン中西部ゴール州のミナレット(イスラム教寺院の塔)を中心とするジャム遺跡や「ローレライ岩の伝説」で知られるドイツのライン川中上流、インドのブッダガヤの寺院地区など計9カ所を新たに世界遺産に登録することを決めた。

 アフガンからの世界遺産登録は初めて。同国政府と国際調査団などが、戦乱で破壊された文化遺産などの復旧を促すため、早期登録を求めていた。

 12世紀に建設されたジャム遺跡のミナレット(高さ65メートル)は、ニューデリーにあるクトゥブ・ミナールに次ぐ世界2位の高さ。青地に白いタイルの飾りが映える美しさに加え、周辺でユダヤ教墓地跡も確認された複合遺跡としても価値が高い。

 標高約1900メートルの高地にあり、数世紀にわたり忘れ去られていたが、1957年にアフガンとフランスの国際調査隊が「発見」し、「こつぜんと姿を現した巨大な塔はまさに魔術を思わせた」と記した。

 ローレライはライン川にそびえる巨岩の上の魔女が歌声で舟を沈めた言い伝えがあり、ハイネの詩でも知られる。ブッダガヤは仏陀(ぶっだ)が修行の末、悟りを開いた聖地とされる。(共同)

【新たに登録が決まった世界遺産】

 世界遺産委員会が27日、新たに登録を決めた世界遺産は次の通り。

 ジャム遺跡(アフガニスタン)▽ライン川中上流渓谷(ドイツ)▽ハンザ同盟の港湾都市(同)▽シナイの聖カタリナ修道院(エジプト)▽トカイ・ワイン生産地(ハンガリー)▽ブッダガヤの寺院地区(インド)▽シチリア島の後期バロック都市(イタリア)▽カラクムルの古代マヤ文明都市遺跡(メキシコ)▽パラマリボの旧市街(スリナム)(共同)

アフガン文化財の展示会 バーミヤン石仏の写真も

(2001年06月07日)人民網日本語版
アフガニスタンを実効支配するタリバンによって破壊されたバーミヤン仏教遺跡の写真や同国の美術品などの展示会「人類の遺産―破壊を超えて」が5日、パリの国連教育科学文化機関(ユネスコ)本部で開幕した。写真およそ30点以上が展示され、1千年以上の歴史を持つバーミヤンの大仏の魅力や破壊後の状況などが示されている。世界的な文化遺産であるバーミヤン大仏などの破壊を批判するとともに、人類の文化遺産を保護するよう呼びかける内容となっている。(全文)

人類究極の文化遺産は?

(24 APR. 2001)by JICA客員国際協力専門員 杉下恒夫(ODAジャーナリストのつぶやき vol.24

バーミヤン大仏、無残な破壊

トピックニュースグラフ3月30日号 asahi.com

特報・バーミヤン:本紙記者が報道機関で初入域 銃殺宣告も

(2001年3月18日)Mainichi INTERACTIVE
 
 アフガニスタンを実効支配するイスラム原理主義勢力タリバン政権が、破壊終了を宣言した世界的な仏教遺跡、大石仏があるバーミヤンに入った。2月26日の「破壊令」の布告以来、外国人の立ち入りが厳禁されているバーミヤン近郊に入域したのは、毎日新聞記者が世界のメディアで初めて。「国家機密に対するスパイ活動」容疑で一時拘束された現地から報告する。 【バーミヤン近郊(アフガニスタン東部)春日孝之】(全文)

バーミヤンの大仏破壊確認 ユネスコが声明で発表

(2000年3月13日)【パリ12日共同】信濃毎日新聞
 アフガニスタンの大半を支配するイスラム原理主義組織タリバン政権による彫像破壊問題で、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の松浦晃一郎事務局長は十二日、「アフガニスタンに派遣したラフランス特使によってバーミヤン石窟(せっくつ)群の大仏立像などが破壊されたことを確認した」とする声明を発表した。フランス公共ラジオは、大仏がダイナマイトでほぼ完全に破壊されたと伝えた。

 公的機関である国連機関がバーミヤン大仏の破壊を確認したのは初めて。

タリバン外相、バーミヤンの石仏は「跡形もない」

(2001.03.12) by CNN.co.jp
 イスラマバード(CNN) アフガニスタンのイスラム原理主義勢力タリバンのムタワキル外相は11日会見し、「バーミヤンの巨大石仏はほとんど跡形もない」と、これまでの予告どおりに仏像破壊を敢行したと明らかにした。仏像破壊の中止を求める国連のアナン事務総長との会談後に発表された。 (全文)

アフガンの遺跡破壊 平山郁夫さん 保護を訴え

2001年3月5日 山陰中央新報
 アフガニスタンのタリバン政権が、イスラム原理主義の立場から貴重な仏教遺跡バーミヤン石窟(せっくつ)などを破壊し始めたとされる問題で、国連教育科学文化機関(ユネスコ)親善大使を務める画家平山郁夫さん(70)らが4日、東京都内で記者会見し、世界的文化遺産の保護を求め、緊急アピールを発表した。

 また日本ユネスコ協会連盟が、遺跡破壊の即時停止を求める署名活動と、遺産修復のための募金を始めたことを明らかにし、協力を訴えた。

平山さんは「異文化を破壊することは近代国家として認めがたい。文化財保護の面で日本がイニシアチブを取りたい」と語った。

 署名は各地のユネスコ協会を通じて集め、タリバンの最高指導者ムハマド・オマル師に送る。

 募金の送り先は、第一勧業銀行恵比寿支店、普通預金1540286「バーミンヤン遺跡救済基金」です。

タリバーンに彫像破壊の中止訴え 国連特使

2001.03.02(16:46)asahi.com(時事)
 アフガニスタン担当のベンドレル国連事務総長特使は1日、アフガンを実効支配するイスラム原理主義勢力タリバーンのムタワキル外相とカブールで会談し、同国内の彫像・仏像の破壊を命じた布告を実行に移さないよう求めた。 

世界遺産目指し禁煙条例制定へ/高野山などを含む熊野古道

2000.12.25 The Sankei Shimbun
 歴史の道、熊野古道が現代でもユニークな「禁煙の道」になろうとしている。ユネスコの世界遺産に高野山や熊野地域の文化財の登録を目指している和歌山県の音頭で関係五町は二十五日までに、熊野古道などの史跡周辺を対象範囲に、禁煙条例を制定する方針を固めた。世界遺産に正式登録されれば増加が見込まれる観光客らのマナー向上と、山林火災の防止が目的。禁煙条例は市町村単位で施行されている例はあるが、複数の自治体にまたがる総延長約百七十キロの文化財を対象に制定するのは異例という。

 文化庁は今年十一月、世界遺産の国内候補地の暫定リストに、高野山の町石道(ちょういしみち)や熊野古道など「紀伊山地の霊場と参詣(けい)道」を追加することを決定。これを受け、県は平成十六年十二月の世界遺産登録を目指して、現地の学術調査や、条件整備などを進めている。

 正式登録までには、(1)高野山や熊野本宮大社、熊野那智大社とそれぞれを結ぶ熊野古道など計約百七十キロを中心ゾーンとする、文化財保護法に基づく史跡の指定(2)古道をはさむ山林などの景観を保護する条例の制定−が必要になっている。

 しかし、古道の周辺地域は、ほとんどが林業者らの私有山林。遺産に正式登録された後、大幅な増加が予想される観光客らの喫煙による山林火災で景観が破壊されたり、スギやヒノキなど私有林が焼失することを心配する声が、今から上がっている。

 このため、熊野古道や高野山などの史跡を抱える八市町のうち、自然公園法などの適用されていない五町が今後、それぞれ制定する景観保護条例に、禁煙を定めた条文を盛り込む方針を決めた。自然公園法などが適用されている三市町では禁煙の呼びかけなどがなされ、これで熊野古道や高野山の参詣道が全面的に禁煙となる。

 県では、罰則などは設けず、史跡から離れた休憩所などに愛煙家のための喫煙コーナーを設けることにしているが、条例が制定されれば、和歌山県内だけで延長約百七十キロに及ぶ「禁煙の道」ができる。

 禁煙条例は現在、市町村単位で制定が進んでいるが、文化庁の担当職員は「文化財保護のために関係市町村が一斉に禁煙の条例を制定するのは聞いたことがない。防災上は良いことだ」と話している。

ユネスコ、無形文化財を保護へ

2000年7月26日「人民日報網絡版」
国連教育科学文化機関(ユネスコ)の松浦晃一郎事務局長は、少数民族の言語や民間で伝承されている音楽、民族舞踊などを、保護が必要な無形文化財として認定する計画があることを明らかにした。

同事務局長は記者団との会見において「ユネスコは加盟188カ国から無形文化財を推薦してもらい、その中から40〜50件を決定する。最終的なリストは来年春に確定する予定だ」と述べた。

申請しないとロ政府 北方領土の「世界遺産」

2000.06.19【モスクワ19日共同】
 ロシア・サハリン州当局が北方領土のうち国後、色丹、歯舞の三島を「世界遺産」として国連教育科学文化機関(ユネスコ)に登録するための申請書類をモスクワの外務省などに送った問題で、ロシア政府筋は十九日、政府としては書類を受け付けず、ユネスコにも申請しない方針であることを明らかにした。                

             

 在モスクワ日本大使館も、この問題でロシア側から説明を受けていないとしている。

                     

 申請の動きは、北方領土返還反対の強硬派で知られるファルフトジノフ州知事ら州当局や、地元の環境保護団体が独自に進めていたとみられる。         

北方3島を世界遺産申請か ロシア・サハリン州当局

2000/06/18【ウラジオストク18日共同】
 ロシア・サハリン州当局者が十八日明らかにしたところによると、ファルフトジノフ同州知事は北方四島のうち、貴重な自然が残っている国後、色丹、歯舞の三島を「世界遺産」として登録するよう国連教育科学文化機関(ユネスコ)に申請する書類をモスクワのロシア外務省などに送付した。   

 申請書類が外務省経由でユネスコに提出されたかどうかは不明。外務省段階にとどまって、まだ正式に申請されていないとの情報もある。             

              

 日本がロシアに返還を求めている北方領土のうち三島について、ロシア政府が一方的に「世界遺産」として認定申請を出せば、日本政府は主権を侵害するものとして反発するとみられる。 

平山画伯が23日訪朝

2000年5月22日 18時10分【北京・共同】
 北京の在中国日本大使館が22日明らかにしたところによると、国連教育科学文化機関(ユネスコ)親善大使を務める画家の平山郁夫氏が23日から27日まで朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)を訪問する。

 平山氏はこれまでも同大使として訪朝、北朝鮮の高句麗壁画古墳群をユネスコの世界遺産に申請することに協力してきた。

「731部隊」の跡、世界遺産登録めざす

2000.05.30(23:26)asahi.com
 中国政府は、黒竜江省ハルビン市にある旧日本軍731部隊の施設跡地の全面修復に乗り出した。ユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界遺産に登録を目指す。同部隊は細菌戦に備えて人体実験をしたとされ、「中国侵略の動かぬ証拠」と言われる。登録申請には周辺住民や工場の立ち退きと、傷みがひどい施設の修復が必要。日本の市民団体も30日、現場を訪ね、日本での募金協力を申し出た。

 戦争関係の世界遺産には、広島の原爆ドームとアウシェビッツ収容所が登録されている。

 修復作業は5月初めから、ハルビン市郊外の平房区で始まり、「侵華日軍第731部隊罪証陳列館」が管理する23の施設跡などが対象。市政府が昨年つくった遺跡保護利用企画書に基づき、中学校として使われている本部ビルの復元や、跡形もない細菌実験室と特設監獄跡地の発掘、荒れ放題の地下室通路の保全などに乗り出した。

 約2年かけて、8万―10万平方メートルを整備。住民160世帯、6工場に立ち退いてもらう。次に、保存地区を17万―24万平方メートルに拡大する。

 ハルビン市の王永貴・文化副局長は「資金は1億元(約13億円)以上かかるが、国、省政府も支援を明言した。世界遺産申請まで早くて4、5年はかかる」という。申請に必要な国家級文化財への格上げは、国家文物局が作業中だ。

 陳列館の韓暁・元館長や金成民・副館長は「施設の保全は中日両国民の共通の責任」と意義を語る。

 この日、元高知県議の栗原透さんを団長とする「731部隊遺跡世界遺産登録を目指す国民連絡会」のメンバーら13人が現場を訪れ、平房区政府の柳昌黎区長に資金などの協力を約束した。

 世界遺産登録は、栗原さんが96年に提案した。中国側は98年末に申請準備を決定したという。栗原さんは「日本が真に反省しているのなら、浄財を出すべきだ」として、近く日本政府にも援助するよう申し入れる。

文化遺産の檜皮供給の森を国有林に

3:26p.m. JST April 22, 2000
 世界文化遺産に指定されている京都、奈良の社寺や、広島の厳島神社など、文化的価値の高い建築物が管内に数多くある農水省近畿中国森林管理局は、社寺の屋根の檜皮(ひわだ)や木柱などの修復用資材を供給する「世界文化遺産貢献の森林」(仮称)を管内の国有林に設けることを決めた。長年の伐採による大木の減少で、こうした資材を入手することは難しくなっているため、同局は「木の文化を見直し、国産材の需要を高めるきっかけにもしたい」としている。

 檜皮は直径50センチ以上ある樹齢100年前後のヒノキの表皮を1センチ未満に薄くはいでつくる。同局などによると、大木の減少とともに「木が傷む」と嫌がる山林主が増え、採取できる檜皮は減少の一途をたどっているという。大きな木造建築の柱などに使われる樹齢数100年の樹木も国内にほとんどないともいわれる。

 奈良・室生寺の五重塔など、1998年9月の台風7号で被害を受けた近畿の文化財の修復では、資材不足が深刻な問題になった。

 「貢献の森林」は、社寺が集中する京都市周辺を中心に、樹齢80年前後の樹木がある複数の国有林に設ける。数十年間育てたうえで、文化財の修復に限って販売する。

ベトナムの旧日本人町ホイアンが世界文化遺産に指定

7:42p.m. JST April 22, 2000
 ベトナム通信が伝えたところによれば、ユネスコ(国連教育科学文化機関)は21日、江戸時代に日本人町があった同国クアンナム省ホイアンの町と、同省ミーソンにあるチャンパ遺跡の2つを世界文化遺産として公式に指定した。

 ホイアンは16世紀から17世紀ごろ最も栄えた交易港だった。最初に中国人たちが住みつき、交易などをしていたが、のちに日本人も渡来するようになり、大きな日本人町ができたという。

 江戸時代の日本人の墓や、「日本橋」と呼ばれる石橋や古い町並みが残る歴史的な町として知られる。

 チャンパ遺跡は海洋民族のチャム人が築き、インド系ヒンドゥー文化の寺院建物などが特色。

 ベトナムでは、古都フエと、北部のハロン湾がすでに世界文化遺産に指定されており、今回で計4つになった。

北朝鮮:画家の平山氏、高句麗壁画古墳群の世界遺産申請で訪朝

2000年1月29日Mainichi INTERACTIVE
 在中国日本大使館筋によると、画家の平山郁夫氏は、ユネスコ親善大使として、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の高句麗壁画古墳群の世界遺産への申請など、文化財保護について北朝鮮当局と協議のため、2月1日から5日まで訪朝することが28日、明らかになった。

 平山氏は昨年4月にも訪朝。高句麗壁画古墳群周辺に温度や湿度を測定する機材を設置するなどした。今回の訪朝は、北朝鮮の世界遺産申請作業に必要なコピー機、ビデオカメラ、カメラなどの機材を提供するとともに、北朝鮮が世界遺産申請を希望している6カ所のうちの一つの開城市の歴史地区などを視察する予定という。

ベトナムへ文化財技師派遣 滋賀県教委

1999.03.08京都新聞
 ベトナムの古い交易港、ホイアン市の歴史的な町並みを守る文化庁の事業に、滋賀県教委は七日から二十日間、文化財保護課の技師一人を派遣する。同市は、十九世紀のたたずまいを大規模に残す、東南アジアで数少ない都市の一つ。国の重要文化財などに指定された多くの建造物を持つ湖国の文化財修復技術が、海外で生かされる。

 文化庁が行っている「アジア諸国文化財の保存修復等協力事業」の一環で、ホイアン市を史跡保存地区に指定したベトナム政府の要請を受け、一九九三年から技術協力を続けている。

 京滋など近畿一府三県から交代で技師を派遣し、調査、修復活動や現地の技師への技術指導などを行っている。今年は滋賀、和歌山両県から各一人派遣される。滋賀県からの派遣は三回目。

 ホイアン市はベトナム中部にあり、十六〜十八世紀にかけて日本や中国などとの交易港として栄えた。中心部には、寺院など十九世紀の家屋約三百五十棟が立ち並んでいるが、白アリの被害で倒壊の恐れのある建物もある、という。

 派遣される技師の菅原和之さん(36)は、県指定文化財の本願寺八幡別院(近江八幡市)の修復を担当したベテランで、現地の技師らとともに、十九世紀初めに造られたホイアン市中心部の橋などの保存修復に当たる予定。菅原さんは「面白い建物がたくさん残っていそうだ。技術を伝える側にも新しい発見があると思う」と話している。

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