TOPIC No.6-31 国際熱核融合実験炉(ITER)計画

01. 国際核融合実験炉ITERサイト(イーター)へようこそ
02. ITER byフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
03. ITER計画について(2005年7月) 外務省
04. 国際熱核融合炉「ITER」日本への誘致"失敗"の舞台裏(2005年7月4日)立花 隆
04. 核融合関連のニュース byプラズマ物理工学

国際熱核融合実験炉―夢の水素発電 研究拠点―

中国新聞

 太陽がギラギラと熱く光っているのは、核融合(かくゆうごう) という現象を起こして、ぼう大な熱エネルギーを放出しているのが原因です。

 もし地上で太陽と同じ核融合を起こせれば、その熱を使って電気を起こす発電所をつくることが可能。おまけに、核融合の燃料は地球にもたっぷりある水素なので、燃料切れの心配がない発電所にできる―。

 世界中のたくさんの研究者がこんな夢を持って、核融合発電の開発を進めています。その第一歩となるのが国際熱核融合実験炉(じっけんろ)=ITER(イーター)の建設です。

 太陽の中で起きている核融合は、二つの水素が合体してヘリウムになる現象。この時に重さが少し減ってエネルギーに変わります。

 地上で核融合を起こす時に難しいのは、二つの水素を合体させようと近づけても反発して離れてしまうことです。磁石のN極とN極、S極とS極が反発するのと似た原理です。

 計画中のイーターは巨大な磁石の力で水素を圧縮する方法を使います。建設には五千億円以上かかり、完成すると十三階建てのビルと同じくらいの高さになります。これでなんとか核融合は起こせそうですが、発電能力はありません。発電のためには核融合を長時間持続する技術など将来も多くの研究が必要なのです。


核融合研究施設が運転停止 性能向上させ14年度に再開

2008年08月29日 中国新聞ニュース

 日本原子力研究開発機構の那珂核融合研究所(茨城県那珂市)の大型臨界プラズマ試験装置「JT60」が29日、大規模改修のために運転を停止した。新エネルギー開発に役立てようと、日本の核融合研究の中核施設として約23年間、実験を続けてきた。

 中心装置を入れ替えて性能を向上させ、2014年度に国際熱核融合実験炉(ITER)の関連施設として実験を再開する予定。

 燃料の重水素を超高温に熱して、核融合が起きるプラズマ状態にする研究施設。太陽で起きているような核融合を地上で再現し、未来のエネルギー研究として注目されていた。

 1996年にはセ氏5億2000万度を記録し、当時「世界最高温度」としてギネスブックに登録された。

 同機構の牛草健吉研究主席は「JT60は核融合の分野で世界的に評価される日本独自の研究を支えてきた。改修後もITERに必要な人材と技術を育てる施設として活用していきたい」と話した。

中国が核融合開発へ一歩前進、実験装置を公開

2007年05月19日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【合肥(中国・安徽省)=佐藤俊和】中国の核融合実験装置(EAST)が、外国記者団に公開された。

 中国科学院プラズマ物理研究所(合肥)が開発した超電導トカマク型実験装置で、最長1000秒間・1億度以上の条件で、原子核と電子がばらばらになったプラズマを生成することができるという。

 装置は、超電導コイルが作り出す強力な磁場でプラズマを封じ込める仕組みで、将来の核融合発電につながる一歩となる。ほとんどの部分が国産といい、核融合分野での技術が一定の水準に達していることをうかがわせた。

 ドーナツ状の装置は高さ10メートル、直径8メートルの金属製真空容器に覆われており、外観はまるで巨大な飯釜をひっくり返したようでもある。

 日・米・欧などが進めるITER(国際熱核融合実験炉)計画に、中国も参加する。同装置での研究成果をITERの研究開発に役立てたいとしている。日本原子力研究開発機構も今年1月に同研究所と協力協定を結んでいる。

ITER関連施設、あすから土地造成

2007年05月16日 東奥日報

 新むつ小川原株式会社は十七日、六ケ所村弥栄平で、国際熱核融合実験炉(ITER)の関連施設となる「国際核融合エネルギー研究センター」などの建設に向けた土地造成工事に着手する。八月にも土地造成を終え、関連事業を実施する日本原子力研究開発機構に貸与する。関係者が十五日、明らかにした。ITER本体をフランスに譲った“見返り”として日本が獲得した関連事業がいよいよ動きだす。

 建設予定地は、日本原燃・六ケ所再処理工場の南側に位置する約十三ヘクタール。以前は、ITER本体の建設候補地だった。

 「幅広いアプローチ」と呼ばれるITER関連事業は、日本と欧州連合(EU)の国際共同プロジェクト。六ケ所村には今後十年間にわたり、事業費約五百億円が投下される。日本原子力研究開発機構は本年度、研究センター整備の一環として、まず事務管理棟を建設する予定だ。

 六ケ所村で実施される関連事業は、国際核融合エネルギー研究センターの整備と、国際核融合材料照射施設に関する工学実証・工学設計活動が二本柱。

 研究センターでは(1)ITER遠隔実験(2)核融合計算機シミュレーション(3)国際協力チームによる次世代炉(原型炉)の設計・研究開発活動−を行う。日本原子力研究開発機構は、これらの活動を通じて“核融合発電”実現のための技術開発を加速させたい考えだ。

県が「新むつ小川原計画」策定

2007年05月15日 東奥日報

 県は十四日、六ケ所村を中心とするむつ小川原地域の二〇二〇年代までの開発の基本指針となる「新むつ小川原開発基本計画」を策定した。青森市で同日開かれた県むつ小川原開発審議会(井畑明男会長)の了承を受け、正式決定した。十五日に国に提出する予定。一九九五年の計画見直し着手から十二年を経て、ようやく新たな方向が定まった。

 新計画は、〇四年に発表した素案を、現状に合わせて修正した内容。(1)環境、エネルギー、科学技術分野における研究開発機能の展開(2)液晶産業など成長産業の立地展開(3)森と湖に囲まれた新たな生活環境の整備−を進めた上で、世界に貢献する「科学技術創造圏」の形成を目指すとしている。

 素案段階は、国際熱核融合実験炉(ITER)の誘致を前提とした内容だったが、誘致に失敗したことから「次世代核融合炉の実現に向けた、核融合研究開発を行う国際研究拠点の整備」などの文言に改めた。

ITER研究者住環境整備へ庁内組織

2007年05月15日 東奥日報

 国際熱核融合実験炉(ITER)関連事業が今後十年間にわたって進められるのに伴い、六ケ所村は庁内の情報共有化のため、連絡調整会議を設置した。国内外の研究者がピーク時で約二百人滞在することから、外国人研究者と家族らが村内で快適に生活できるよう、全庁を挙げて受け入れ態勢づくりに取り組む。

 ITER関連事業では、研究に携わる日本と欧州の研究者のほか、アジアなどからも多くの研究者が視察や研究のため来村する。研究者の同村入りは今夏にも始まる予定だ。

 外国人の村内居住には、住宅や子供たちの教育現場の確保、道路案内板の英語表記、役場窓口や診療所、商店での英語対応など住環境の整備が不可欠。また、村での生活を楽しんでもらうため、観光情報の提供や国際交流イベント、日本文化を紹介する講座なども必要となる。

 村は五年ほど前から、役場内の各課の案内表示を日本語と英語の両方で表記している。しかし、村の外国人登録者数はわずか三十人前後で、外国人が訪れることはまれ。住民課の窓口には英会話に優れた職員がいないという。同課は「将来的には英語が得意な職員の窓口配置や、外国人向けの届け出用紙作製などが必要になると思う。準備を進めたい」と話す。

 九日に設置された連絡調整会議は、小泉靖博企画・防災部門理事を議長とし、国際交流課など十五の課と核融合エネルギー推進室、消防署、尾駮診療所で構成。各部門がそれぞれの取り組みを連絡し合い、きめ細かな受け入れ態勢の整備を図る。

核融合炉実現へ協定署名 パリで日本、EUなど

2006年11月21日 中国新聞ニュース

 【パリ21日共同】日本など6カ国と欧州連合(EU)は21日、パリで国際熱核融合実験炉(ITER)の計画実現に向けた協定に署名した。核融合による発電実用化を探る総事業費1兆円を超える大型プロジェクト。関係各国・機関は来年中の協定発効を目指しており、日本は次期通常国会に協定承認案を提出する方針だ。

 ITERに参加するのは日本、EUのほか米国、ロシア、中国、韓国、インド。フランス大統領府での署名式にはシラク大統領の立ち会いの下、日本の岩屋毅(いわや・たけし)外務副大臣らが出席。

 協定案によると、実験炉を運営する「ITER機構」(本部・フランス)は協定発効後30日以内に発足し、機構のトップには科学技術庁科学審議官を務めた池田要(いけだ・かなめ)氏が就任する予定。

 日本とEUの誘致合戦の結果、実験炉本体が南フランスのカダラッシュに、関連施設が青森県六ケ所村に建設されることになっている。

 実験炉建設には協定発効後、約10年を要する見込み。

核融合炉で21日に協定署名 日本、EUなどが合意

2006年11月10日 中国新聞ニュース

 日本を含む6カ国と欧州連合(EU)は10日までに、核融合による発電実用化の可能性を探る国際熱核融合実験炉(ITER)計画実施に関する国際協定の署名をパリで21日に行うことで合意した。政府は署名後、協定の承認案を来年1月からの次期通常国会に提出する方針だ。

 各国とEUは来年中の協定発効を目指している。総事業費1兆3000億円に上る国際超大型プロジェクトのITER計画が順調に進めば2017年前後に実験炉の建設が終わり、稼働する見通しとなった。

 協定案は、実験炉の運営主体となる新たな国際機関「ITER機構」の設立などが柱。同機構は協定発効後30日以内に発足し、本部をフランスに置く。トップの機構長には池田要元科学技術庁科学審議官が就任する予定だ。

 ITER計画には日本とEUのほか、米国、ロシア、中国、韓国、インドが参加。5月にブリュッセルで協定案の仮署名を終えており、本署名の時期を調整していた。日本とEUは青森県六ケ所村などにITER関連施設を建設する別の協定も結んでおり、この承認案も通常国会に提出する。

 ITER計画をめぐっては、日本とEUが激しい誘致合戦を展開したが、昨年6月に実験炉本体を南フランスのカダラッシュに、関連施設を青森県六ケ所村にそれぞれ建設することで決着した。

六ヶ所村の施設など、ITER計画に77億円概算要求

2006年08月27日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 国際熱核融合実験炉(ITER)計画の運営組織が早ければ2007年に設立されるのを受け、文部科学省はフランス・カダラッシュに置く実験炉の主要部品を構成する巨大超電導磁石の製造経費や、青森県六ヶ所村の関連研究施設の建設費など総額77億円を07年度予算の概算要求に盛り込むことを決めた。

 ITERは、日米露中韓印の6か国と欧州連合(EU)が共同で運営する実験炉計画で、組織運営のためのITER機構は早ければ、2007年に設立され、2016年には、実験炉の運用開始を目指す。

プラズマ持続記録2倍近くに、熱核融合炉実験に弾み

2006年05月10日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 日本原子力研究開発機構は9日、臨界プラズマ試験装置「JT―60」で、核融合実現への指標となるプラズマの持続時間を28・6秒に延ばし、世界記録を更新したと発表した。

 従来の記録は、同装置が2年前に達成した16・5秒だった。

 日米欧などが2015年までにフランスに建設する国際熱核融合実験炉(ITER)は、プラズマの核融合反応を400秒以上継続させ、加熱に使ったエネルギーの10倍のエネルギーを発生させることを目標にしている。

 日本の装置が従来の2倍近くに記録を延ばしたことで、基本構造が同じITERでも目標達成への期待が高まるという。

 同機構は今回、新素材の部品を導入してJT―60を改良し、強力な磁場の中にプラズマを閉じ込める性能を向上させた。

日本原研:プラズマ試験、世界最長の28秒維持 核融合長時間持続を裏付け /茨城

2006年05月10日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE

 東海村の日本原子力研究開発機構は9日、核融合エネルギーを取り出すための研究をする臨界プラズマ試験装置(JT−60)で、燃料となるプラズマを高圧力状態で世界最長の28秒間維持することに成功した、と発表した。

 これにより、国際熱核融合実験炉(ITER)で核融合を長時間連続的にできることを世界で初めて裏付けたという。

 ITERは太陽で起きている核融合反応を実際に発生させ、エネルギー源に使えるかを試す実験炉をつくる国際プロジェクトで、将来の核融合発電を目指している。

 同機構は耐熱鋼であるフェライト鋼の改良により燃費を良くし、ITERの標準運転に必要なプラズマを少ない加熱力で高圧力を維持することに成功。ITERの長時間燃焼の実現性をより確実にした。この成果を6月からイタリアで開催されるヨーロッパ物理学会で発表する。【長野宏美】

グローバル・エネルギー国際賞

2006/04/24 FujiSankei Business i.

 エネルギー分野の研究・開発で功績をあげた研究者らをたたえるロシアのグローバル・エネルギー国際賞に、日本の核融合の専門家、吉川允二(まさじ)・元日本原子力研究所理事長の受賞が決まりました。

 同賞の英語表記はGlobal Energy International Prizeで、ノーベル賞受賞者のアルフョーロフ博士らロシア人科学者が提唱。プーチン大統領が2002年のロシア・EUサミットで賞の創設を表明しました。03年以来、毎年2、3人に与えられています。

 4回目となる今年は、南フランスに建設が昨年決まった国際熱核融合実験炉(ITER)の計画を長年推進し、実現に尽力した研究者3人に決定。吉川氏のほかに、ロシア国立クルチャトフ核エネルギー研究所総裁のエブゲーニー・ベリホフ氏、フランスの核物理学者のロベル・エマール氏が受賞します。日本人の受賞は初めてです。授賞式は6月13日、サンクトペテルブルクで行われます。(堀口葉子)

日本は建設費520億拠出 核融合炉計画で各国合意

2006/04/01 中国新聞

 国際熱核融合実験炉(ITER)計画を進める日本など6カ国と欧州連合(EU)は1日、都内で開いた次官級協議で、建設と運営に必要な経費の分担割合で合意した。日本は本体建設に計約520億円、運営費に年約40億円を20年間拠出する。

 協議では計画を実施するための協定案でも実質合意。5月にブリュッセルで閣僚級会合を開いて署名し、運営機構の早期発足を目指す。

 実験炉本体の建設費約5700億円は、本体を誘致したEUが11分の5の約45・5%、6カ国が残りを等分して負担する。年間300億円とされる運営費はEUが34%、日米が各13%、残り4カ国が各10%を負担する。

中国の新しい核融合実験装置、7月に運転開始の見通し

2006/03/08(北京3月1日発新華社)中華人民共和国駐日本国大使館

 中国科学院プラズマ物理研究所はこのほど、同研究所が設計、製造した新しい世代の核融合実験装置で今年7―8月に最初の放電実験が行われることを明らかにした。成功すれば、実際に運転されている世界初の核融合実験装置となる。

 プラズマ物理研究所の李建剛所長(研究員)は新華社記者のインタビューで、「この装置―全超電導非円形〈ノン・サーキュラー〉トカマク実験装置(EAST)の建設と試験は、中国の核融合エネルギー開発の重要な一歩である」と語った。

 装置の総組み立て作業はほぼ完了しており、2月20日に真空の提供および温度低下、通電実験の段階に入っており、3月に完成する見込み。7―8月に最初のプラズマ放電実験に成功した後、国の確認検査を申請する。EASTでは5000万から1億度の高温、存在時間1000秒のプラズマが得られるという。

 李所長は「最初の放電実験に成功すれば、EASTは世界で初めて完成し、実際に運転されている全超電導非円形核融合実験装置となる。今後10年間、世界の先進水準を維持するだろう」と語った。

 米国、ソ連などは1980年代中期に、100億ユーロを投じる国際熱核融合実験炉(ITER)計画をスタートさせた。世界で最初の制御熱核融合実験炉を建造することをめざしており、中国は2003年に同計画に加わった。プラズマ物理研究所はこの国際科学技術協力計画の国内の主要な推進団体である。

 李所長によると、ITERの核心部分も全超電導非円形トカマクであり、したがって、EASTはITERに工学および物理学上の予備研究を提供できるという。

 李所長は、核融合エネルギーの開発・研究はすでにトカマク型の磁気閉じ込め核融合実験装置で大きな進展を収め、トカマク型の熱核融合炉建設の科学実行可能性(FS)が実証されているが、さらに大量の工学技術と物理問題を研究、開発、解決する必要があり、EAST建設の目的もここにあると語った。

 1994年末、プラズマ物理研究所に中国初の超電導トカマク装置HT7が完成し、中国はロシア、フランス、日本に続いて同種の実験装置を保有する4番目の国になった。これを基礎に、専門家らが第9次5カ年計画(1996-2000年)重大科学施設の一つ―EASTの研究、製作に着手した。2003年からEASTは総組み立てに入った。この施設の事業決定の際、国は1億5600万元(1元=約14円)を投資している。

東大・吉田教授ら 高温プラズマ 謎に挑む 目指せ 『木星型』核融合

2006/03/07 東京新聞

 「地上に太陽を」は核融合研究の合言葉だ。太陽のような核融合エネルギーを、地球上で生み出すことが目標だからだ。ところが、効率よく核融合を起こすヒントが実は木星にあることがわかってきた。東京大学新領域創成科学研究科の吉田善章教授らは実験室に「地上の木星」を作って新しい核融合の可能性を探る研究を進めている。 (永井理)

 核融合反応を起こすには、燃料の水素を、一億度を超す高温のプラズマにして閉じ込めることが必要だ。温度の高いプラズマをいかに効率よく閉じ込めるかがポイントだ。

 一九七九年に米国のボイジャー探査機が木星を調べて以来、木星の磁気圏には、非常に効率よくプラズマが閉じ込められていることが分かってきた。

 いま最も研究の進んでいるトカマク式と呼ばれる装置の場合、磁場エネルギーの十分の一の圧力のプラズマを閉じ込められる。フランスに建設が決まった国際熱核融合実験炉(ITER)もこのタイプだ。ところが、木星では磁場と同じ圧力のプラズマが閉じ込められていた。最先端の核融合実験炉の十倍の効率だ。

 なぜ木星の磁気圏には効率よくプラズマが閉じ込められるのか。

 木星の周囲のプラズマは、木星の自転に引きずられて非常に速い流れをつくっていると考えられている。吉田教授は「高温のプラズマの周囲を、温度の低いプラズマが高速で流れているため、高温のプラズマが外に出られないのでは」と考えた。

 ビルの入り口などで、風の壁をつくり、暖房した空気が外に漏れないようにする「エアカーテン」と同じ原理だ。

 吉田教授らは、この考えを実証するため、木星の磁気圏をつくりだすプラズマ実験装置「RT−1」をつくり上げた。この装置は、直径約二メートルの真空容器の中に、直径五十センチのリング状の超電導磁石を浮かべ、ミニチュアの木星磁気圏をつくりだす。今年一月には磁気圏にプラズマを閉じ込めることに成功。今後は、プラズマに電圧をかけて秒速千キロの流れをつくり、高い効率で閉じ込められるかどうか確かめる。

 「トカマク方式ではプラズマ温度は一億度が限界。木星型の方式なら十倍の十億度まで上げられる。まだ基礎実験だが、将来は重水素だけを使った核融合が実現できるかもしれない」と吉田教授は話す。

 惑星研究の分野からも期待が寄せられる。同大学院理学系研究科の寺沢敏夫教授(惑星科学)は「木星や地球の磁気圏に、プラズマや放射線粒子が捕まる仕組みの解明に役立つのではないか。地球を回る人工衛星が放射線で劣化するのを防ぐのにも役立つかもしれない」と期待する。

 ◆メモ <核融合反応>

 太陽の内部では4つの水素がくっついてへリウムになる核融合反応が起きている。これには非常に高い圧力が必要なので、トカマク方式の核融合炉では反応しやすい重水素(D)と三重水素(T)を約1億度のプラズマにして核融合させる計画だ。

 Dは海水から採取でき扱いも簡単。Tは人工的につくる。放射性物質のため扱いも難しい。D同士で核融合を起こすには6億度以上が必要で、現在のトカマク方式では不可能とされる。

 <磁気圏とプラズマ>

 地球や木星などの惑星は、棒磁石のような磁気を持っており、周囲の宇宙空間にドーナツ状の磁場をつくっている。この磁場の届く範囲が磁気圏と呼ばれる。磁気圏に太陽から放出された水素イオンなどのプラズマが捕らえられる。

日本、国際熱核融合実験炉20%を韓国に発注

2006.02.27 中央日報

日本政府は国際熱核融合実験炉(ITER)建設時、自国企業に発注する予定だった物品のうち110億円相当の物量を韓国企業に発注することにしたと毎日新聞が27日、報道した。この金額は日本企業に発注しようとしていた物量の20%にあたる。

ITER建設プロジェクトは核融合反応を通じたエネルギー生成可能性を立証するための事業だ。この事業に参加する韓国と米国、EU、ロシア、中国、日本、インドは計50億ドルを投入し、今年、実験炉建設に着工することになる。

毎日新聞は「日本はEUに建設敷地を譲る代わりに発注拡大など優待措置を受けたが、日本の誘致を支持してきた韓国が反発すると、日本で見本となる部品を作り、それをもとに韓国企業に同じ部品を大量発注する計画を立てた」と伝えた。

核融合技術の最先端 土岐で国際会議が開幕

2005年12月07日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 核融合技術に関する最新の研究成果を発表し、議論する「国際土岐コンファレンス―核融合と応用技術―」が6日、土岐市土岐津町のセラトピア土岐で開幕した。

 世界で最大級の超電導装置を使ってプラズマ実験をしている核融合科学研究所が土岐市にある縁で、毎年、同研究所などが国内外の研究者に呼びかけて会議を開いている。

 今回が15回目で、初日は約150人が参加。最初に同研究所の本島修所長と、科学技術振興機構の北沢宏一理事が基調講演をし、本島所長は同研究所の大型ヘリカル装置を使って行っているプラズマ実験と超電導工学の進展について述べた。

 午後からは、ドイツ、中国、韓国、インドの研究者が、それぞれの国での超電導プラズマ実験の現状などについて研究発表をした。

 会議は9日までの4日間で、計約120人の研究者が発表する。

 また、8日午後6時からセラトピア土岐で、市民を対象にした学術講演会が開かれる。講師は、放射線医学総合研究所の平尾泰男顧問とJR東海の中島洋リニア開発本部副本部長で、重粒子線を使ったがん治療の現状と超電導リニア開発の現状について、それぞれ講演をする。学術講演会は入場無料で、希望者は当日会場へ。

新設のITER機構長に池田・駐クロアチア大使

2005年11月08日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ウィーン=石黒穣】国際熱核融合実験炉(ITER)計画に参加する日米露中韓5か国と欧州連合(EU)の代表者協議が7日、ウィーンで開かれ、新設されるITER機構長に日本が推薦した池田要・駐クロアチア大使(59)を任命する人事を決定した。

 ITER計画は、本体施設を南仏に建設する見返りに、計画を統括する機構長を日本が得ることが決まっていた。実際のポスト設置は、5か国とEUが2007年3月以前を目標とする機構設立協定締結を待ってからとなる。

 池田氏は、科学技術庁科学審議官、宇宙開発事業団理事を経て、2003年から駐クロアチア大使。日本は推薦に当たり、池田氏の科学技術全般にわたる豊富な知識と国際協力分野の経験を挙げた。

国際熱核融合実験炉の関連施設、六ケ所村で2007年にも着工

2005/10/01 NIKKEI NeT

 国際熱核融合実験炉(ITER)誘致を断念した見返りとして日本に建設される5つの研究施設のうち、4施設を青森県六ケ所村に建設する方針が文部科学省の検討会で決まり、森口泰孝同省研究開発局長が30日、三村申吾知事を訪ねて青森県の意向を聞いた。

 三村知事は「大変ありがたいこと。県議会などの意見を聞き早期に回答する」と答えるにとどめたが、ITER誘致を推進してきた県が了承するのは確実。ITER関連4施設は2007年にも同村で着工することになった。

 同村に建設されるのは、ITER遠隔実験センター、核融合計算機シミュレーションセンター、原型炉設計・R&D調整センター、国際核融合材料照射施設。同村のむつ小川原地域に約2ヘクタールの土地を購入して建設する。費用は460億円から500億円の見通し。

 森口局長は海外から訪れる研究者の住宅や子弟の教育施設については、地元で整備するよう求めた。また研究施設からは、研究が終了し施設を撤去する際に、極低レベルの放射性廃棄物が200リットル入りドラム缶換算で30本程度出ると説明。県内での処理を求めた。

日本、国際熱核融合実験炉(ITER)建設地をフランスに譲る

2005年07月05日 Foreign Press Center Japan

 国際熱核融合実験炉(ITER)計画参加の6カ国・地域は、ITERの建設地を日本との激しい誘致競争を繰り広げていたフランスにすることを決めたが、日本は、この計画において準ホストともいうべき地位を確保できたことにより、それほどの苦々しさなしにこの決定を受け入れている。機材の供給、機構長を含むITER機構の職員枠の確保、資金面の条件などで有利な見返りを得たことがこの背景にある。日本は巨額の経費がかかるこの実験炉を青森県六ヶ所村に誘致しようと懸命な活動をしていた。日本政府のスポークスマンは、日本は今回の決定に拘わらず、人類にとり究極のエネルギーとされている核融合の実現に向け、他の参加国とともに国際協力によりITER計画を推進していくと表明している。

 中国、欧州連合(EU)、日本、ロシア、韓国、米国は6月28日、モスクワでの閣僚級会議で、実験炉を南仏マルセイユに近いカダラッシュに建設することで合意した。総額5700億円(52億ドル)のこの実験炉の誘致をめぐっては、日本とEU(すなわちフランス)が競争で譲らず、18カ月間も行き詰まり状態にあったが、ようやくこの合意に達したものである。日本はモスクワでの会合に先立ち、誘致を断念した。

 ITERは、重水素と三重水素の核融合による発電を目指す実験炉を建設する計画。物理学的に、また巨大なエネルギーを作り出すことから、太陽のエネルギー創造を地球上で再現することにたとえられる。現在使われている諸エネルギー源に替わる究極の代替エネルギーになる可能性があるといわれるが、核融合技術の実用化は今世紀半ば以降になると予想されている。実験炉は建設費だけで5700億円、30年間にわたるITER経費全体は1兆3000億円(118億ドル)と見込まれている。建設費の半分は誘致が決ったEUが負担する。

 このプロジェクトは最初、1985年11月の米ソ首脳会談で提案されたもので、1988年には日本とEUが、2003年に中国と韓国も参加した。2002年5月、日本は中核施設を六ヶ所村に誘致することを決定した。六ヶ所村にはすでに核関連施設が集中している。しかし実際のところ、日本内部の立場は一枚岩だったわけではなく、財務省は巨額の必要資金を疑問視していたし、文部科学省内部にさえも他の分野の科学研究費にしわ寄せが来るのではないかという懸念もあったと言われる。これに較べて、フランス政府の誘致運動はもっと強力で、建設費を58%まで負担してもよいという提案をしたり、最後には独自で建設するという強硬な態度さえ示した。日本の誘致は米国と韓国が、フランスはロシアと中国が支持した。

 ◆メディアの論調は誘致断念を非難せず

 ある文部科学省高官によれば、日本は行き詰まりが続けば国際協力プロジェクトとしてITER自体が崩れてしまうことを避けるために誘致を断念した。しかし日本はその見返りに、EUが負担する建設費50%の中で10%相当分の機材の供給、ITER機構の職員枠200人の20%と機構長の選任の確保、関連研究施設の日本への設置(その費用の半分はEU負担)などの条件を獲得した。

 日本のメディアは、日本政府が最後になって誘致を断念したことについて、概ねそれを承認する論調だった。大手新聞で強い失望や政府に対する批判を示したものはなかった。例えば毎日新聞は6月29日の社説で、「ITER誘致については国内の慎重論も根強かった。それを思うとEUに譲ったこと自体は『大失態』とはいえない」とし、むしろ問題は日本の統一的な政策や戦略が明確でなかったことであると論じた。同じ日の産経新聞の社説は核融合実験炉の「誘致失敗は失敗ではない」と題し、「建設地をEU側に譲ったことで、日本は軽い経済負担で核融合の国際研究に取り組める」と指摘した。読売新聞は「建設地をEUに譲ったとはいえ、日本は、ITERで得られた成果を十分に確保できる約束を取り付けた」事実を重視した。

 日本経済新聞は6月29日の社説で、ITERの趣旨は「巨費が必要な核融合炉を国際協力で効率的に開発する」ことであることを想起し、「日本が分裂を避け欧州に譲ったのは自然の流れで、妥当な判断だった」と論じた。同紙は、核融合は代替エネルギーの本命であり、その実現は「人類の悲願である」と指摘し、参加国が目の前の国益や打算にとらわれずに目的に向けて協力することを呼びかけた。

核融合実験炉、中国が独自に建設計画

2005/07/01 The Sankei Shimbun

 1日の新華社電によると、中国が独自に熱核融合実験炉の建設を計画していることが分かった。中国はフランスに実験炉の建設地が決まった国際熱核融合実験炉(ITER)計画にも参加しているが、将来のエネルギー不足をにらんで独自に研究を進めている。

 新華社電によると、中国では40年以上前から熱核融合の研究を開始。中国科学院のプラズマ物理研究所を中心にした研究チームが約2億元(約27億円)を投入して建設中の超電導トカマク実験装置が年末までに完成の予定。世界最高の技術水準に達しており、炉内温度1億度、放電時間1000秒を実現する見通しという。(共同)

熱核融合炉 積極的な国際協調で研究を

2005/07/01熊本日日新聞

 青森県六ケ所村を候補地とする日本と、フランス南部のカダラッシュを推す欧州連合(EU)が誘致を競ってきた国際熱核融合実験炉は日本側が譲歩し、フランスに建設されることになった。旗振り役の文部科学省や青森県などの推進派にとっては残念だろうが、実験を役割分担しながら、協調路線を歩んでほしい。

 誘致断念についてはもちろん、今後の活動を進めるためにも、日本政府はいくつかの検証作業を怠ってはならない。

 まず核融合の安全性を含めて国民世論がきちんと形成されていたかどうかだ。この実験炉は英語の頭文字をとって「ITER」と略され、通常「イーター」と呼ばれるが、国民の間にどれほど浸透し、理解されていたのか疑問が残る。

 核融合は太陽で起きている現象と同じように、水素の仲間である重水素と三重水素(トリチウム)の原子核を融合させるものだ。ITERでは核融合させ、生じたエネルギーを取り出すための基礎技術を探る。つまり、小さな太陽を地上でつくりだそうという試みである。

 燃料の重水素は地球上にたくさん存在するし、ウランの核分裂反応を利用する原子力発電よりも安全で、二酸化炭素の排出量も少ないとされる。しかし、ノーベル賞受賞者の小柴昌俊東京大特別栄誉教授は「装置に蓄えられるトリチウムは大変毒性が強く、危険だ」と安全面から計画中止を求める書面を国に提出している。このほか、低レベルとされるものの放射性廃棄物の処理などの安全性確保についての論議と説明の不足は否めず、これからも最大のテーマとなろう。

 また、誘致に対する政府の姿勢が必ずしも一枚岩ではなかったことも課題だ。ITERは十年間で建設し、二十年間をかけて実験する。実用化までの期間も含めると、気の遠くなるような計画だ。本体建設費は約五千七百億円で、総事業費は約一兆三千億円に上る。熾烈(しれつ)な誘致合戦の駆け引きの中で、実験に参加する日本、EU、米国、ロシア、中国、韓国のうち、誘致国が本体建設費の半分を負担することになった。巨額の負担に財務省は二の足を踏み、推進役の文科省内部でさえもまとまりを欠いた。

 EUは原発や核燃料再処理の推進を鮮明にするフランスのシラク大統領を先頭に強硬姿勢で交渉に臨み、逆に日本は外交力の弱さも露呈する格好となった。

 ただ、本体建設断念の見返りとして、日本にはITERと光ファイバーで結んでデータをやり取りする遠隔実験センターをはじめとする関連施設が造られる予定だ。フランスで研究に携わる職員の増員や日本企業による受注工事の増加などの優遇措置も受けられる。少ない費用で研究の果実を求めるという、名より実を取ったと言えなくもない。中国や韓国からは、同じ一割の費用負担での日本優遇策に不満の声も出ているが、政府は日本の立場を理解してもらうよう努めるべきだ。もちろん、国民への説明責任を果たすことは言うまでもない。

 化石燃料の枯渇問題や環境面からも世界的規模による新しいエネルギー開発の研究は欠かせない。先行きには不透明感も漂うが、六カ国・地域は研究の枠組みを堅持、連携しながら、安全性を最優先課題として実験に取り組んでほしい。

熱核融合実験炉/究極の目標に国際協力を

2005/06/30 山陰中央新報

 日本と欧州連合(EU)が激しい誘致合戦をしていた「国際熱核融合実験炉」(ITER)の建設地が、モスクワで開かれた閣僚級会合で最終的に欧州(フランス・カダラッシュ)に決まった。日本は青森県六ケ所村への誘致を目指したが、ITER建設をEU統合の象徴として強気の誘致外交を展開した欧州側に譲る形になった。

 日本の誘致断念は、莫大(ばくだい)な建設費負担に財務省などが難色を示したことが背景にあるが、誘致を断念した場合でも、その見返りとして関連研究施設の獲得など優遇策を得られるとの判断も働いた。

 核融合研究はまだ初期段階で、先は長い。実際に人類が地上で核融合を利用できるか見通しはついていない。次世代炉の開発や誘致を見据え、現段階ではEUに譲る判断も悪くない。今回は見返りの優遇策をしっかり確保することで実を取り、これまで日本が築き上げてきた成果を今後の研究発展につなげていくことが大事だ。

 核融合は太陽や星(恒星)の中心部で起き、その輝きや熱の基になっている反応として知られる。エネルギーはとてつもなく大きい。それが地上で実現できれば環境への汚染が少ない上、人類のエネルギー問題の究極的な解決になると期待され、日本をはじめ先進各国で研究が続けられてきた。

 誘致交渉では、ITER参加の六カ国・地域のうち、六ケ所村を支持したのは日本と米国、韓国。カダラッシュを推すのはEUとロシア、中国と真っ二つに割れた。

 交渉は双方が名乗りを上げたまま難航、最後の閣僚級会合までもつれ込んだ。日本側の妥協で、全体の協力の枠組みを崩すことなく、計画を開始させることができる点は評価されるべきだろう。

 核融合を起こすには、数億度という高温のプラズマを閉じ込める必要がある。ここが非常に難しいところで、それができる”容器”がないため、プラズマを磁場の力で閉じ込めたり、強力なレーザー光線を周囲から当てたりする方式など、いろいろ工夫されてきた。しかし、まだ実現可能かどうかは分からない。

 ITERは磁場で閉じ込める方式を採用し、そこからエネルギーを取り出して発電に使えるかどうかを探る。

 建設期間は約十年、運転期間は約二十年を予定。本体建設費約五千七百億円を含め全体で約一兆三千億円かかると見込まれている。

 今回の合意では、ITERを誘致したEUが実験炉建設費の半額を負担、残りを日本など五カ国で拠出する。次世代炉である原型炉誘致に日本が名乗りを上げればEUが支持することも確認された。

 日本は見返りとして、関連施設のうち、遠隔実験施設や材料照射施設、核融合科学のための計算機シミュレーションセンターなどから複数の施設を選んで誘致できるほか、一割の運営費負担で研究職員の二割を確保できるなどの優遇策が得られる。

 最先端科学の発展には競争と同時に協力が不可欠だ。核融合実現という人類の究極の目標に向け、今後も研究者同士が切磋琢磨(せっさたくま)するとともに、国際協力を維持しながら進めていってほしい。

核融合実験炉、南仏に建設へ

2005/06/28 The Sankei Shimbun

 国際熱核融合実験炉(ITER)計画に参加する日本や米国など5カ国と欧州連合(EU)は28日、モスクワで閣僚級会合を開き、実験炉をEUが誘致し、南フランスのカダラッシュに建設することで合意した。日本は譲歩し、青森県六ケ所村への誘致はならなかった。

 見返りとして日本は優遇措置を獲得。関連施設を最大約920億円の枠内で建設、EU側が費用の約半額を支払う。また、日本は1割の費用負担で研究職員の2割を確保し、機器・装置の2割を供給する。

 見返りの関連施設は、材料照射施設や核融合科学のための計算機シミュレーションセンター、遠隔実験センターなどの中から日本が複数、選択する。会合後、中山成彬文部科学相は国内建設地について「これまでの経緯もあり、まず青森県の考え方を聞く」と話した。

 また、ITERの次世代炉である原型炉誘致に日本が名乗りを上げればEUが支持することが確認され、ロシアのルミャンツェフ原子力庁長官も「将来、原型炉が実現するなら日本に建設されるだろう」と発言した。

 ITER誘致を巡る交渉では、米国と韓国が日本を、ロシアと中国がEUをそれぞれ支持して一時行き詰まり、7月までに政治決着することで日欧が合意していた。

 日本は誘致した場合の巨額の財政負担に財務省が難色を示し、交渉を担当した文部科学省内でも他の研究予算を圧迫することを懸念する声が上がるなど、交渉過程で足並みが乱れたが、EUは最後まで強硬な姿勢を貫き、押し切った。

 ITERは、太陽の核融合現象を地上で再現してエネルギーを取り出す技術を探る実験炉。本体の建設費約5700億円を含め、総事業費は1兆3000億円と見積もられる。

 <国際熱核融合実験炉(ITER)計画> 太陽で起きている核融合現象を地上で再現し、エネルギーを取り出す基礎技術を探る計画。1985年の米ソ首脳会談で計画が浮上し日本と米国、ロシア、中国、韓国の5カ国と欧州連合(EU)が参加。(1)燃料の重水素の資源量が豊富(2)原発より安全性が高い(3)二酸化炭素の排出が少ない―などが利点とされるが、実用化までには核融合に伴うプラズマの制御や、高熱や中性子に耐える材料開発など課題が山積している。10年で建設し、その後20年実験。建設費約5700億円を含め総事業費は約1兆3000億円と見積もられる。

 フランス大統領府によると、シラク大統領は28日、国際熱核融合実験炉(ITER)の建設地が南フランス・カダラッシュに決まったのを受け、小泉純一郎首相に書簡を送り「欧州はITER計画の参加国全体の利益と同様、日本の利益を全面的に考慮する」と約束した。

 大統領は「日本のアイデアに基づき、均衡のとれた合意に達することができた」とし「穏やかな対話で解決するという精神と、討論全体を通して相互の信頼を維持できたことをうれしく思う」と述べた。

 誘致決定について大統領は「フランスにとって、欧州にとって、ITER参加国すべてにとって大きな成功だ」と歓迎。「カダラッシュへの誘致のために(参加国間の)交渉で最初から一貫して支援してくれた欧州連合(EU)欧州委員会、ロシア、中国に感謝する」とした。(共同)

核融合炉誘致/断念でも第三の道がある

2005/06/27 神戸新聞

 太陽の燃焼原理を応用してエネルギー開発を目指す国際熱核融合実験炉(ITER)の建設誘致を、日本政府が断念した。欧州連合(EU)との激しい誘致合戦も形勢がほぼEU側に傾いたためで、二十八日の関係国による閣僚級会議で、EUの推すフランスに決まる見通しだ。

 しかし、断念を「日本の敗北」などと受け止める必要はない。これは決して開発競争ではなく、参加国が協力する国際プロジェクトである。むしろ、日本が今後果たす役割は小さくないのだ。

 ITER計画は、一九八〇年代半ばに米国とソ連の共同構想として浮上し、近年になって日本、EU、米国、ロシア、中国、韓国が参加する形となった。二〇一五年の実験炉完成を目標にしており、総事業費は一兆三千億円にのぼる。建設候補地は日本が青森県六ケ所村に、EUは南フランスにして競ってきた。

 核融合といえば、二十世紀の中ごろから「究極のエネルギー」「地上の太陽」などと、ばら色の夢が振りまかれてきた。二十一世紀になれば実現するといわれながら、いまだに目途が立っていない。あくまで「実験炉」を目指す段階であり、まだ入り口をさまよっているのが現状だ。

 日本では一九八〇年代に核融合研究者の中から、技術的にも実現を疑問視する声や研究費の無駄を指摘する声が上がった。ITERにも、十分な国民の合意がなく、膨大な予算をあてのない事業に投じることへの根強い批判がある。

 一昨年、ノーベル物理学賞の小柴昌俊氏と、元米国物理学会プラズマ部会長の長谷川晃氏が、小泉首相あてに誘致断念を促す「嘆願書」を連名で提出した。「たとえ実験に成功しても極めて危険な放射性廃棄物を多量に生む」と反対を表明し、原子力問題との類似性も示唆した。

 だが、文部科学省、青森県や自民党関係議員は誘致にこだわってきた。巨額の公共事業への期待がある。一方、財務省は、実験炉の建設費五千七百億円を誘致国が半額負担することもあり、消極姿勢だった。確かに、日本の財政状況から見て、拠出の是非を真剣に問うべきだったろう。

 ITERは成否の見通しが立っているプロジェクトでないことを忘れてはならない。まして巨費と安全性への疑問もある。

 EUに決まったなら、日本は切り替えて付随する関連施設や事業に関与する方針だ。また、日本の高い技術力でフランスでの建設に協力する方法もある。誘致の是非を超えて「第三の道」を探るのも悪くない。

“日本優遇”に中韓が難色 核融合炉誘致撤退の見返りで

2005/06/25 The Sankei Shimbun

 国際熱核融合実験炉(ITER)計画で、日本が欧州連合(EU)と争っていた実験炉の誘致から撤退する見返りとして関連の研究施設誘致など優遇措置を得ることに、参加国の中国、韓国が「同じ費用負担割合で、なぜ日本だけ優遇されるのか」と難色を示したことが25日までに、政府関係者の話で分かった。

 EU側も財政的裏付けを含めて日本が求める見返りのすべてを確約するかどうか微妙な情勢といい、交渉次第では、実験炉を失いながら十分な見返りを得られない可能性も浮上。このため政府は、実験炉の建設地を最終的に決める閣僚級会合が8日にモスクワで開かれるのを前に、関係各国の理解を求めて働き掛けを強めている。

 文部科学省はこれまで、欧州との交渉で、どちらかが誘致を断念した場合の見返りとして(1)誘致国が費用を出して、相手方に遠隔実験施設や関連の材料研究施設を建設する(2)譲った側は1割の運営費負担で研究職員200人のうち40人を確保する(3)運営組織のトップのポストは譲った側から出す−などでほぼ合意したとしていた。

 合意では、誘致国が実験炉建設費と運営費の5割を負担、残りを5極で拠出する。

 しかし、この優遇措置について幹部を派遣するなどして他の参加国に打診したところ、韓国と中国が施設の建設と職員枠の項目について難色を示したという。

 遠隔実験施設は実験炉のデータを光ファイバーで受信、解析する施設。研究者によると、実験中は炉に近づくことはできず、どこでも同レベルの解析が可能。また、材料研究施設では、炉の高温、高エネルギーの中性子照射に耐える炉の材料開発を目指す。(共同)

 <国際熱核融合実験炉> 太陽の中心と同じ核融合反応を利用して発電する技術を開発する実験炉。重水素と三重水素(トリチウム)の原子核を核融合させる。数億度という超高温プラズマを強力な磁場の中に長時間、安定的に維持する技術の開発を目指す。プラズマから発生する熱や高エネルギーの中性子にさらされても耐える材料の開発が不可欠。中性子照射で炉内は強い放射能を帯びて近づけないため、点検や機器交換のための高度な遠隔操作技術も求められる。(共同)

熱核融合の実験炉誘致めぐり仏で不安の声も 失敗の可能性も

2005年05月08日日刊ベリタ

 【トゥールーズ(南フランス)7日=宮下洋一】欧州連合(EU)をはじめ、米国やロシアなど6カ国・地域で協議されてきた「将来のエネルギー源」といわれる国際熱核融合実験炉(ITER)の立地点選定が、候補地に挙がっていた南フランスのカダラッシュに決まろうとしている。青森県六ケ所村と競い合ってきたカダラッシュだが、日本側が譲歩する形になりつつある。フランスでは、シラク大統領の喜びの声とともに各メディアが大きく取り扱っている。しかし、建設そのものを反対する声も日本同様、持ち上がっている。

ITER計画、南仏に建設でも全面支援…米政府高官

2005/05/07 読売新聞 Yomiuri On-Line

 【ワシントン=笹沢教一】日本政府が誘致断念を視野に入れて欧州連合(EU)と協議している国際熱核融合実験炉(ITER)の建設地について、日本を支持してきた米政府の高官は6日、欧州が推す南仏カダラッシュに決まった場合でも、米国の計画参加に変わりはなく、全面支援する方針であることを明らかにした。

 政府高官は、ライス国務長官が今年1月の同省職員とのタウンホールミーティングで「日本支持の姿勢は変わらないが、日欧間で調整が付けば、わが国はその結果に必要なことすべてを行う」と述べたことを明かした。

 ライス長官は「計画の重要性から、まず行き詰まりを打開し、動き出す必要がある」と、建設地にこだわるより計画の前進を重視する考えを示したという。

 また、別の政府当局者は、青森県六ヶ所村の建設候補地としての優位性を認めるものの、カダラッシュに炉が建設された場合でも「計画推進の大きな妨げにはならない」と述べた。

高速増殖炉の実用化、2050年めど…経産省予測

2005/03/16 読売新聞 Yomiuri On-Line

 経済産業省は16日、現在研究開発中の新型原子炉「高速増殖炉」の実用化時期のめどを2050年と発表した。

 同省資源エネルギー庁が電気事業連合会と協議のうえ、今後100年間の原子力発電の動向の見通しを予測。

 その中で、2030年ごろには既存の原子力発電所(軽水炉)が寿命を迎え始め、まず大型の新設軽水炉と交代した後、高速増殖炉の導入が始まるとした。高速増殖炉の実用化時期を電力会社が明言するのは初めて。

 この日開かれた原子力委員会の新長期計画策定会議に、同庁が報告した。

 電力会社はこれまで、コストのかかる高速増殖炉の導入には及び腰だった。しかし、最近の石油価格の上昇や、中国やインドなどのエネルギー需要急増が予測されていることを受け、半永久的に資源確保が可能な高速増殖炉が必要と判断した。ただし、建設費など経済性を含めた諸条件が整うことが前提で、電事連は「現段階ではあくまでシナリオのひとつ」(広報部)としている。

高速増殖炉の研究開発を継続、原子力委の策定会議

2005/02/10 読売新聞 Yomiuri On-Line

 高速増殖炉開発について議論していた内閣府原子力委員会の新長期計画策定会議(議長=近藤駿介・原子力委員長)は10日、「ウラン資源の利用効率を格段に高められる」として、研究開発の継続を決めた。

 年末に策定する次期原子力長期計画に取り込む。

 原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)については、改めて「研究開発の中核」と位置付け、早期に運転を再開し、発電技術の実証などを急ぐよう求めた。

 発電炉としての実用化は「2015年ごろから国が検討する」とし、実用化の時期は示さなかった。

 原子力長期計画はおおむね5年に1度改訂され、今回の策定は10回目。1994年策定の計画までは高速増殖炉の実用化時期を「2030年ごろ」などと明示していたが、2000年策定の現行計画は「幅広い選択肢を検討し柔軟性を持たせる」などの理由から実用化時期を示していない。

2極分裂の危機に立つ国際核融合炉計画

2004/12/20 NIKKEI NeT

 日米欧ロなど六カ国・地域が共同で建設を計画している国際熱核融合実験炉(ITER)の立地点選定が最終局面に入るなかで、日欧の対立が深まっている。日本は青森県六ケ所村、欧州連合(EU)はフランスのカダラッシュを候補地に挙げ、誘致しているが、勝ち負けしかない構図の中でお互いが譲れなくなり、両陣営がそれぞれ独自に計画を進めるという2極分裂の危機に直面している。 総額1兆3000億円のプロジェクト

 ITERは太陽で起きている核融合反応を炉の中で実現し、将来のエネルギー源としての可能性を探る施設だ。人為的な核融合は核実験で起こしたことはあるが、核融合反応を持続させ、エネルギーを取り出すには技術的な壁が多く、実用化するにしても21世紀半ばとも言われる。ITERはその実用化の見通しをつけるための装置で、建設に10年、運転に20年を見込み、30年間の総事業費は1兆3000億円。立地国はそのうち半分の約6000億円を負担、残りをほかの国が分担することになっている。

 日仏の候補地に対しては米国、韓国が日本支持、ロシア、中国がEU支持と真っ二つに割れている。フランスはシラク大統領が自らロシアや中国の首脳に働きかけ、支持を取り付けたが、日本は首脳外交による働きかけも乏しく、初動で出遅れてロシア・中国の抱き込みに失敗。一時は劣勢に立たされ、韓国の支持をなんとか取り付けて対等にしたというのが実情だ。

 交渉では加盟国に有利な条件を示して支持国拡大を目指した動きが初期に見られたが、勢力図に変化がなくなってからは相手側に譲歩させるための優遇条件提示と、いわば「バナナの叩き売り」に近い応酬が続いている。それでも局面が動かず、譲歩も限界にきつつある。こうした状況のなかで、EUは次第に強硬姿勢に転じつつあり、場合によって分裂建設もやむなしとの姿勢を強めている。年内に決着がつかなければ、独自で建設を決定すべしとの意見もあると言われる。

負ければ政治的にマイナスイメージ

 打開の糸口が見つからないのは、ITER立地を譲った側にそれなりの見返りが見つからないためだ。政治的な取引材料があれば、政治決着もあり得ないではないが、科学技術や経済の分野で日欧、あるいは日仏が絡む大きなプロジェクトや懸案もなく、お互いが勝ちを演出できる政治解決がおぼつかない。負ければ政治的にマイナスイメージだけが残るため、譲れない状況が続いているともいえる。

 ITERはそもそも、核融合炉の建設費がかさみ各国が費用分担しないと建設がおぼつかないとして始まった計画だ。六カ国・地域の協力の枠組みを壊さずに、亀裂を残さずに立地点を決めるとなると、負けても政治的に国内を説得できる条件を見つける必要がある。最終局面に入った交渉では、その条件探しが始まっているが、EUは負けることを想定していないので、あまり譲歩するつもりもなく、妥協を難しくしている。

 日本国内ではITERに対する関心が低い。誘致を叫んでいるのは、候補地の自治体の青森県や国会議員らだが、科学界は誘致すれば研究費が圧迫されると冷やかだ。誘致している議員らも将来のエネルギー源への熱意というよりも、公共事業の延長としてとらえ、その意義を重視している。国内世論が誘致に冷淡でも、政治家や研究者が誘致の意義、重要性を訴えることはほとんどなく、内閣が誘致を決めたのだからと、官僚任せの交渉が続いている。

対立の構図に影落とすイラク問題

 交渉は政治主導のフランスと官僚主導の日本という構図で進んでいるが、フランスの方が政治主導だけに強腰で臨んでいる。科学技術に絡む国際交渉ではこれまで、米国が主導権を握ることが多かったが、米国はITER計画から一時離脱していて、主導権がとれる状況ではない。ただ、フランスとドイツはイラク戦争をめぐって米国と対立した経緯があり、フランスに立地点が決まるようだと米国が離反する可能性もある。対立の構図にはイラク問題も微妙に影を落としている。

 日本では最近、EUの交渉姿勢に誠意が見られないと反発が強まっており、推進派の国会議員には日米韓で独自に計画を進めるべきとの意見も出始めている。ただ、1兆3000億円ものプロジェクトを三カ国で分担して進められるほど財政状況がよいわけではない。

貸しをつくる格好の材料に

 日本での関心の低さから言えば、建設工事や施設完成後の運営で日本に有利な条件が示されるのであれば、立地点をフランスに譲ってもよいだろう。ただ、フランスに貸しをつくる格好の材料でもあるわけだから、目一杯、政治取引をすべきだろう。例えば、立地点を譲る見返りとしてイラクの復興・治安維持でフランスがもっと関与することを要求し、米国も納得させるといったような取引があってもよい。もしITERがフランスにとって政治的に意味のあることなら、これぐらいの取引を持ち出してもおかしくはない。

 立地点問題は最終的には、負けた側のダメージを打ち消す政治的な演出ができるかどうかがカギを握る。国際的に関心の高いイラク問題で取引ができるのなら、日本国内の説得もやりやすい。核融合の研究は科学的に意味のあることではあるが、実用化は21世紀半ば。ここで譲ったとしても取り返しがつかないことではない。官僚の発想を超えて巧みな政治取引のシナリオを描く知恵者がそろそろ必要だ。

日本誘致なら建設費の1割をEUに 国際熱核融合炉

2004/12/07 asahi.com
 日本と欧州連合(EU)が誘致競争している国際熱核融合実験炉(ITER)建設について、日本政府が、誘致実現の場合の見返りとして、日本の負担額のうちEU企業へ発注する工事分を、実験炉本体建設費(5700億円)の1割(日本の負担額の5分の1)とする案を用意していることが分かった。また、事務局長ポストをEU側へ譲る案を提案している。しかし、EU側も同様の譲歩提案をしており、年内決着を目指す6カ国・地域の閣僚級会合は開催の見通しが立っていない。

 ITERの本体建設費は、誘致国が5割、他の参加5カ国・地域がそれぞれ1割を負担することが決まっている。本体が日本に誘致できた場合、実験炉の材料開発やシミュレーションなどの関連施設をEUに譲るが、日本は、その費用約900億円のうち、半額程度を負担することも検討している。

ITER単独建設を勧告 EU委が閣僚理事会に

2004/11/17 The Sankei Shimbun
 フランス・ストラスブールからの報道によると、日本と欧州連合(EU)が誘致を競っている国際熱核融合実験炉(ITER)をめぐり、EUの欧州委員会は16日、日本と合意できない場合、EUは単独でITERを建設するべきだと閣僚理事会に勧告した。

 25、26日に開かれるEU閣僚理事会が勧告を承認すれば、EUは独自の実験炉建設に向け動きを本格化させることになる。その場合、日本の対応が焦点で、誘致をめぐる日欧の競り合いは大詰めを迎える。

 計画には日本、EU、米国、ロシア、中国、韓国が参加。日本は建設候補地として青森県六ケ所村を推し、米国と韓国が支持。ロシアと中国はEUを支持している。

 政府間交渉は2001年11月に始まった。6カ国・地域は今月9日、ウィーンで次官級会合を開いたが決着できず、今後は日本とEU間の協議で方向性が出た段階で、早ければ12月にモスクワで閣僚級会合を開催、最終決定することを確認した。

 ITERは太陽で起きているのと同じ核融合反応を利用した究極のエネルギー開発を目指す計画。実験炉本体の建設費5700億円を含め、総事業費は1兆3000億円。(共同)

EU、世界初の核融合炉建設をフランスで独自推進か

2004年11月09日 Hot Wired News

 欧州連合(EU)は、フランスに世界初の核融合炉を建設したいと強く望んでいる。

 ウィーンで開かれている国際熱核融合実験炉(ITER)の建設地をめぐる会合で、EU研究部門の広報官は、ITERを日本の青森県六ヶ所村ではなく、マルセイユ近郊のカダラッシュに建設することで合意がまとまることをEUは望んでいると述べた。

 EUは、各国間の合意が成立しなかった場合、協力できる国とともに、フランスでの建設計画を推進する意向を持っているようだ。

 核融合は、世界のエネルギー問題の長期的な解決策として、その利点が大きく取り上げられている。汚染が少なく、無尽蔵の海水を燃料に使うからだ。基本的な原理は、太陽がエネルギーを発生する方法を人為的に作り出すというもの。[日本語版:湯田賢司/岩坂 彰]

中国は仏の候補地を支持 国際熱核融合実験炉

2004年01月30日「人民網日本語版」

外交部の章啓月報道官は29日の記者会見で、日本とフランスが誘致を争う国際熱核融合実験炉(ITER)の建設地について質問に答え、中国の立場を次のように語った。

真剣に検討を行い、両国の提出した全条件を比較した結果、中国はフランスの候補地が地質条件の面で日本よりふさわしいと考え、すでにフランスへの支持を表明している。もちろん、各者が協議により迅速かつ適切にこの問題を解決するよう望む。(編集NA)

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