TOPIC No.6-30 M-V(5)/ S310ロケット

a. M5ロケット,  b.観測ロケットS310ロケット

01. M-Vロケット(ミューファイブロケット) byフリ−百科事典 Wikipedia
02. 第8章 究極の個体ロケットをめざして by日本の宇宙開発の歴史
03. イプシロン・ロケット、初打ち上げから2年 - そして「強化型」へ 
 第1回 M-Vからイプシロンへ 2015/09/14 マイナビニュ−ス
04. イプシロンロケット(Εロケット、Epsilon Launch Vehicle)
 byフリ−百科事典 Wikipedia
05. 日本の小型ロケット「イプシロン」3号機、打ち上げ成功。その実力と未来、そして
 欠点とは? 2018年01月24日 HARBOR BUSINESS Online
06. 日本のロケット開発の過去と未来 ペンシルからイプシロン、N-IからH-Xへ 
 2013.04.22 TELESCOPE Magazine

TOPIC No.6-30a  M5(ミューファイブロケット)/「イプシロン」ロケット


イプシロン3号機の打ち上げ成功 JAXA、商業衛星を初投入

2018.1.22 産経ニュ−ス

 小型ロケット「イプシロン」3号機が18日午前6時6分11秒、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の内之浦宇宙空間観測所(鹿児島県肝付町)で打ち上げられた。約50分後、NECの地球観測衛星「アスナロ2」を予定の軌道に投入し、打ち上げは成功した。

 イプシロンは固体燃料を使う3段式ロケットで、3回連続の成功。政府の衛星などを打ち上げてきたJAXAが民間の商業衛星を打ち上げたのは初めて。

 打ち上げ費用は45億円で、大型機H2Aの半額以下。イプシロンは小型衛星を低コストで効率的に運べる利点があり、将来は民間に移管し商業打ち上げ市場への参入を目指す。

 アスナロ2は小型のレーダー衛星で、電波を使って夜間や悪天候でも地上を観測できる。識別できる物体の大きさは約1メートルと大型衛星並みの性能があり、災害状況の把握や森林管理などへの活用が期待される。

 宇宙産業の育成を目指す経済産業省が開発費のうち164億円を補助した。6月をめどに本格運用を開始する。

 衛星の製造を手掛けてきたNECはアスナロ2の投入を機に宇宙事業を拡大。観測データの販売や衛星の運用により3年間で計50億円の売上高を目指す。

               ◇

 ■地球観測衛星「アスナロ2」 NECの小型レーダー衛星。重さ約570キロで、地球を南北に回る高度約500キロの軌道を周回する。防災用途などで衛星の需要が高まるアジアなどの新興国向けに、観測データの販売や共通仕様の衛星の輸出を目指す。アスナロ1はカメラを搭載した光学衛星で、平成26年にロシアで打ち上げられ経済産業省が運用している。

【主張】イプシロン 宇宙産業を軌道に乗せよ

2018.1.22 産経ニュ−ス

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)の小型ロケット「イプシロン」3号機が、鹿児島県肝付町の内之浦宇宙空間観測所を飛び立ち、搭載したNECの地球観測衛星を予定の軌道に投入した。

 2013年9月の初号機、16年12月の2号機に続く3機連続の成功で、JAXAが民間の商業衛星を打ち上げたのは今回が初めてである。

 衛星打ち上げの国際市場への参入、日本の宇宙産業振興に向けた確かな一歩としたい。

 イプシロンは、小惑星探査機「はやぶさ」(初代)などを打ち上げたM5ロケットの後継機にあたる。通信や地球観測などの分野で小型衛星の打ち上げ需要の増加が見込まれるとして、M5の廃止(06年)で一度は途絶えた固体燃料を使う小型ロケットを復活させたのだ。

 打ち上げ市場への参入をにらんで低コスト、効率化を追求し、人工知能(AI)による機体点検の自動化やパソコンを使って少人数で打ち上げ作業を管理できる「モバイル管制」を実現した。

 開発陣が「ロケットの世界に革命を起こす」と意気込んだ革新的な打ち上げシステムは、3機連続の成功で技術的にはほぼ実証されたといえる。3号機の打ち上げ費用は約45億円で主力の大型機「H2A」の半額以下。将来的には30億円までコストを低減し、国際競争力の強化を目指す。

 課題は打ち上げの実績である。味が良くても客の少ない食堂には新規の客が入りづらいように、技術は高くても成功回数が少ないと顧客をつかむのは難しい。

 今後は年に1機程度の打ち上げとなる見通しだが、官需で打ち上げ回数を増やすのは財政的に困難である。衛星打ち上げをビジネスとして軌道に乗せるには、民需と外需をイプシロン運用の柱とする必要がある。

 3号機が軌道投入したNECの衛星は経済産業省が開発費のうち164億円を補助した。国内企業に限らず新興国の衛星開発に協力するなど、需要をつかむためには一定の初期投資も必要だろう。

 宇宙ビジネスの拡大を目指して制定された「宇宙活動法」が昨年11月に一部施行され、今秋には完全施行される予定だ。官民の両輪で宇宙産業の振興を図る。イプシロンはその牽引(けんいん)役を担うべきロケットなのである。

「また日本に先を越された」「日本が滅びることはなさそう」=日本の“イプシロン打ち上げ成功”に韓国ネットも大注目!

2016年12月22日(木) Record china

 2016年12月21日、韓国・中央日報によると、日本が小型ロケット「イプシロン2号機」の打ち上げに成功した。

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は20日午後8時、鹿児島県の内之浦宇宙空間観測所から「イプシロンロケット2号機」を打ち上げた。約13分後に搭載されていた科学衛星が予定の軌道に投入され、打ち上げは成功した。

 「イプシロンロケット2号機」はJAXAが開発し、IHI(石川島播磨重工業)が製作した。米国やロシア、欧州メーカーがし烈な争いを繰り広げている小型衛星打ち上げ市場に挑戦するため、液体燃料ではなく、日本が独自製作した固体燃料を推進剤に使用し、「低コスト、高性能」を実現した。打ち上げ費用は約50億円で、日本の代表的な液体燃料ロケット「H2A」のほぼ半分だという。

 今回打ち上げられた科学衛星は「あらせ」と命名された。重量は約350キログラムで、高度約300?3万キロの楕円軌道を回り、地球周辺の宇宙空間に広がる電磁波などを観測する。

 このニュースは韓国のネット上でも話題となり、ネットユーザーは以下のようなコメントを寄せた。

 「すごい。称賛に値する快挙だ」

 「うらやましい。韓国には泥棒が多過ぎるから無理…」

 「日本とはさまざまな分野で差が大きいと感じる」

 「無能な政府のせいでまた日本に先を越された」

 「日本は生命工学分野も米国と同レベル。ロボット工学分野も世界最高レベルを誇っている。日本が滅びることはなさそうだ」

 「日本の研究員には純粋に研究を楽しんでいる人が多いから」

 「核を搭載したら核ミサイルになるのでは?危険な武器を持つ北朝鮮と日本に囲まれているというのに、韓国政府は一体何をしているのか…」(翻訳・編集/堂本)

22日に初打ち上げ 新型ロケット「イプシロン」「固体燃料」伝統と革新が融合

2013.8.5 産経ニュ−ス

 鹿児島県肝付町の内之浦宇宙空間観測所で22日に打ち上げられる新型ロケット「イプシロン」。全長24メートルの小さな機体ながら、固体燃料ロケットの伝統と革新が融合し、宇宙開発の新時代を予感させる“大物”に仕上がった。(草下健夫)

 「ロケットが身近なものになるには、プラモデルのように簡単に作れるようにならなければ」

 イプシロンの開発チームを率いる宇宙航空研究開発機構(JAXA)の森田泰弘教授は、ロケットの未来像をこう思い描く。

 先代のM5ロケットが割高な打ち上げ費用を理由に廃止された反省から、イプシロンは開発・製造コストの削減を徹底した。開発費はM5と比べ4割減の205億円、打ち上げ費用は半減の38億円(定常運用時)に圧縮。打ち上げ能力(低軌道)は約7割の1・2トンにとどまるが、増加が見込まれる小型衛星の需要の取り込みを狙う。

 ■既存技術を活用

 開発コスト削減の要は既存技術の活用だ。3段式の機体のうち、1段のモーター(エンジン)は大型主力機であるH2Aの固体ロケットブースターを転用。2、3段にはM5の3、4段モーターの性能を向上させて搭載した。

 製造工程の簡素化も大きなポイント。上段モーターの燃料ケースは従来、熱と圧力を加えて成形していたが、素材を変えて加圧を不要にした。「圧力釜が要らなくなり、まるで家庭のオーブンでピザを焼くように作業が簡単になった」(森田教授)

 先端の衛星カバーはこれまで、円錐(えんすい)形の上部と円筒形の下部を別々に作った上で、約50本のボルトを締めて結合していた。これを一体成形することで、部品点数と作業工程を削減した。

 ■機体を自動点検

 新技術も大胆に導入している。多くの人手をかけていた打ち上げ前の点検は、ロケットで世界初の人工知能を搭載することで自動化を実現。各段に積んだ装置「ROSE(ローズ)」が機体の状態を自分で調べ、地上の管制員にデータを送信する。

 固体燃料ロケットは一般に液体燃料ロケットと比べて姿勢制御が難しく、衛星を目的の軌道に投入する精度が低いとされる。そこでイプシロンは、M5の姿勢制御で使われた液体燃料エンジンを3段に搭載可能な設計とし、液体並みの精度を実現できるようにした。

 機体には惑星探査を表現した星印のほか、日本の固体燃料ロケットの伝統色である赤で帯状の線を描いた。担当した羽生(はぶ)宏人助教は「赤い帯を下だけに描き、上には描かないことで“打ち止め”にしない決意を込めた」と明かす。

 能力主義から、新技術を取り入れ効率重視へ。ロケット開発は新局面を迎える。

太陽観測衛星「ひので」打ち上げ成功

2006/09/23 The Sankei Shimbun

 宇宙航空研究開発機構は23日午前6時36分、太陽観測衛星を搭載したM5ロケット7号機を、鹿児島県肝付町の内之浦宇宙空間観測所から打ち上げた。ロケットは太平洋上で衛星を予定の軌道に投入、打ち上げは成功した。

 宇宙機構は、太陽物理学の新しい時代の幕を開けるとの期待から「ひので」と命名した。日本として3基目の太陽観測衛星で、約3週間かけて高度約630キロまで上昇し、11月ごろから本格的な観測を始める。

 M5ロケットはコスト高から廃止が決まっており、今回が最後の打ち上げだった。2000年にノズルが破損し打ち上げに失敗した4号機を除き、7機中6機が成功したことになる。同機構は今後、M5より小型で費用が安い後継のロケットの開発を進める方針。

 打ち上げ後、宇宙機構の間宮馨副理事長は「最後の打ち上げで有終の美を飾れた。今後はいかに低コストで国際競争力を持つロケットをつくるかが重要だ」と話した。

 ひのでは、英米両国と共同開発した可視光とエックス線、紫外線をそれぞれとらえる最新鋭の三望遠鏡を装備。太陽の磁場などを詳しく観測し、最も外側の大気層であるコロナが数百万度にも達する仕組みの解明などに挑む。

 衛星は細長い形で全長約4メートル、太陽電池パネルの幅は約10メートル、総重量は約900キロ。1年のうち約8カ月間は連続して太陽をとらえることが可能で、最低3年間は観測を続ける予定だ。

太陽観測衛星をロケットに搭載「M5」

2006/09/10 東京新聞

 宇宙航空研究開発機構は九日、鹿児島県肝付町の内之浦宇宙空間観測所で、太陽観測衛星「ソーラーB」をM5ロケット7号機に搭載、作業を報道関係者に公開した。二十三日に同観測所から打ち上げられる予定。

 組み立て室にあるクリーンルームでは、ロケットの先端部に据え付けられたソーラーBの周囲に、大気との摩擦から衛星を守るカバー「ノーズフェアリング」がクレーンで装着された。

 M5は国産の固体燃料ロケットで、全長約三十メートル。高額な打ち上げ費用などを理由に宇宙機構は廃止を決めており、M5による人工衛星打ち上げは今回が最後となる。

衛星「あかり」のセンサーに不具合 観測への影響軽微

2006年02月22日 asahi.com

 宇宙航空研究開発機構は22日夕、同日早朝に打ち上げられた赤外線天文衛星「あかり」で、太陽の方向を感知するセンサーに不具合が見つかったと発表した。このセンサーは「あかり」の姿勢制御などに使われるが、宇宙機構の中川貴雄教授は「姿勢制御機能は、精度の高い別の太陽センサーなどを組み合わせることで、代替できる。今後の観測にも影響はないだろう」としている。

 「あかり」は予定通りの姿勢で地球を周回しており、他の機器に異常は見つかっていない。

赤外線天文衛星の打ち上げ成功・「あかり」と命名

2006/02/22 NIKKEI NET

 宇宙航空研究開発機構は22日午前6時28分、赤外線天文衛星「アストロF」を鹿児島県肝付町の内之浦宇宙空間観測所からM5ロケット8号機で打ち上げた。衛星を予定の軌道に投入。衛星は「あかり」と命名された。宇宙機構はこの1カ月間に主力ロケットH2Aも含め計3機の打ち上げに成功。同機構の立川敬二理事長は「国産ロケットの信頼性は国際的レベルに達した」と語った。

 あかりは、宇宙から降り注ぐ赤外線から天体の温度をとらえ、星の誕生から終末までを観測する。宇宙には雲のようにちりがあり、遠くの天体からの可視光は遮られるが、赤外線は透過しやすく観測に役立つ。

 全長約3.7メートル、胴体幅約1.9メートルで、直径約70センチメートルの赤外線望遠鏡を持つ。欧米の衛星に比べ感度や解像度が数―10倍優れており、約300万個の小惑星や銀河などを観測するのが目標。未知の天体の発見や銀河の成長過程の解明が期待されている。

 M5ロケットは打ち上げ約9分後に高度約330キロメートルであかりを分離、あかりからの信号も確認。今後は高度約750キロの円軌道に移る。 (10:45)

赤外線天文衛星を打ち上げ 宇宙機構、M5ロケットで

2006年02月22日 中国新聞

 宇宙航空研究開発機構は22日午前6時28分、赤外線天文衛星「アストロF」を搭載したM5ロケット8号機を、鹿児島県肝付町の宇宙機構内之浦宇宙空間観測所から打ち上げた。

 8号機は、約9分後に高度約330キロで衛星を分離、予定の軌道に投入し、打ち上げは成功した。M5の打ち上げは昨年7月の6号機に続き2年連続、通算6回目。今年は1、2月にH2Aロケットも相次ぎ打ち上げられており、日本のロケットでは初の、約1カ月で3機連続の打ち上げ成功となった。

 アストロFは、赤外線を放つ低温の星や生まれたての銀河の姿をとらえ、新たに数百万個もの未知の天体を検出できると期待されている。宇宙全天を観測して天体のデータベース作成を目指すほか、銀河や惑星系の成り立ちなどの謎に迫る。

M5ロケット、降雨のため打ち上げ延期 22日再挑戦

2006/02/21 The Sankei Shimbun

 宇宙航空研究開発機構は21日、鹿児島県肝付町の内之浦宇宙空間観測所で同日早朝に予定していたM5ロケット8号機の打ち上げを、降雨のため22日午前6時28分に延期すると発表した。

 8号機は日本初の本格的な赤外線天文衛星「アストロF」を搭載。また、東京工大の学生らが製作した超小型人工衛星と、太陽光を受けて進む太陽帆船開発に向けた宇宙機構の実験機器も積んでいる。

 アストロFは、赤外線を放つ低温の星や生まれたての銀河の姿をとらえ、未知の天体を検出する天文衛星。宇宙全天を観測して天体のデータベース作成を目指すほか、銀河や惑星系の成り立ちなどの謎に迫る。(共同)

M5ロケット8号機、打ち上げリハーサルは順調

2006/02/12 The Sankei Shimbun

 宇宙航空研究開発機構は12日午前、赤外線天文衛星アストロFを積んで今月21日に予定されているM5ロケット8号機の打ち上げリハーサルを、鹿児島県肝付町の内之浦宇宙空間観測所で実施した。

 宇宙機構の的川泰宣(まとがわ・やすのり)教授は「計画は順調に進んでおりリハーサルにも問題はなかった。打ち上げはぜひ成功させたい」と話している。

 8号機は既に組み立てが完了、電気系統などのチェックも終えており、この日は約300人態勢で当日と同じ午前6時半ごろの打ち上げに向けた工程を確認。発射管制室や、打ち上げ後の姿勢制御などを行うコントロールルームでは、担当者がタイムスケジュールや衛星との通信を確認する姿が見られた。

 M5ロケットの打ち上げは昨年7月に続いて2年連続。アストロFは単体の赤外線天文衛星としては国内初で、誕生間もない銀河などを観測して宇宙の歴史の解明につながる成果が期待されている。(共同)

M5ロケット8号機を公開 衛星搭載、21日打ち上げへ

2006/02/10 中国新聞ニュース

 宇宙航空研究開発機構は10日、鹿児島県肝付町の内之浦宇宙空間観測所で、21日に打ち上げ予定のM5ロケット8号機を報道陣に公開した。

 この日は、組み立てが完了し、先端に赤外線天文衛星アストロFを搭載したロケットの最終動作確認が整備塔内で行われた。

 その後、ロケットは整備塔から初めて外に出され、発射台上で打ち上げ時と同じ角度にセット。発射台とロケットが同じ角度の数値を示すかなどが確認された。M5ロケットは大型ロケットには珍しく発射台から斜めに打ち上げられる。

赤外線衛星『アストロF』

2006/02/07 東京新聞(共同通信)YAHOO!ニュース

宇宙地図塗り替える

 赤外線望遠鏡を積んだ宇宙航空研究開発機構(宇宙機構)の天文観測衛星「アストロF」が今月中旬にM5ロケットで打ち上げられる。赤外線観測専用の衛星は日本初だ。数百万個の未知の天体を発見して宇宙地図を書き換えたり、謎の多い星や銀河の形成過程を解明したり、多彩な成果が期待できる。 (永井理)

 赤外線は波長千分の一−一ミリの目に見えない光。普通は見えない星の周囲のちりなども、赤外線なら見える。しかし大気で吸収されやすい性質があるため、詳しい観測には衛星が必要になる。

 アストロFは直径七十センチの赤外線反射望遠鏡を持つ。液体ヘリウムを使ってマイナス二六七度に冷やし弱い赤外線もとらえる。高さ七百五十キロの軌道を回りながら宇宙の全方向を観測する。観測は三年以上続く予定だ。

 ◆円盤状のちり観測

 太陽や地球などの惑星系は、円盤状に渦巻くちりが寄り集まって生まれたと考えられている。宇宙のあちこちで誕生しつつある惑星系の円盤状のちりを観測するのが狙いの一つだ。

 ちりの円盤が出す赤外線は、最初は強いが、星ができ始めると弱くなる。光の強さから、円盤の中で惑星ができているかどうか推定できる。

 アストロFチームの村上浩プロジェクトマネージャーは「ぎりぎり見える程度の薄暗い円盤は、今の太陽系のような状態と考えられる。新しい方法で太陽系外の惑星を見つけられるかも」と大きな期待を寄せる。

 ◆未知の天体発見へ

 新しい宇宙地図づくりもアストロFの大きな仕事だ。一九八三年に米国などが打ち上げた赤外線天文衛星IRASは、宇宙の全方向を赤外線で観測し、約三十万個の天体を新たに発見して宇宙の地図を作った。

 地図は銀河や惑星の形成の研究など広い分野で活用されてきたが、二十年がたち、高精度の地図が求められるようになってきた。

 アストロFの望遠鏡はIRASの十倍の精度と数倍の感度を持つ。松本名誉教授は「新たに数百万個の天体が発見できると考える」とする。二十数年ぶりに宇宙地図が大幅に塗り替えられそうだ。

衛星搭載後の整備を公開 M5ロケット8号機

2006/02/02(共同通信)YAHOO!ニュース

 M5ロケット8号機の整備作業が最終段階に入り、ロケット最上部に搭載された赤外線天文衛星アストロF=2日午後、鹿児島県肝付町の内之浦宇宙空間観測所

 宇宙航空研究開発機構は2日、鹿児島県肝付町の内之浦宇宙空間観測所で、赤外線天文衛星アストロFを積んで21日に打ち上げるM5ロケット8号機の、最終段階の整備作業を報道陣に公開した。

 単体の赤外線天文衛星としては日本初となるアストロFは、ロケット最上部の3段目に搭載され、この日は電気系統のチェックなどが行われた。

 宇宙機構によると、3日には衛星を熱や衝撃から保護する「ノーズフェアリング」と呼ばれるカバーを先端部に装着、7日ごろまでに組み立て作業を終える。

 M5ロケットの打ち上げは昨年7月の6号機に続き2年連続。アストロFは誕生間もない銀河などを観測し、宇宙の歴史の解明につながる成果が期待されている。

天文衛星「アストロF」

2006/01/12 YOMIURI ON-Line

 宇宙航空研究開発機構は11日、内之浦宇宙空間観測所(鹿児島県肝付町)から2月18日に打ち上げる、国内初の本格的な赤外線天文衛星「アストロF」を公開した。

 可視光では見えにくい星の誕生の瞬間をとらえたり、銀河の形成過程を解明したりできると期待されている。

 高さ3.7メートル、直径2メートル、重さ952キロでほぼ円筒形。

 「M5ロケット」の8号機で、高度750キロの軌道上に投入する。


「すざく」超新星残骸撮影に成功 X線望遠鏡、名大グループが開発

2005年08月18日 読売新聞 Yomiuri On-Line中部発

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は17日、先月10日に打ち上げたエックス線天文衛星「すざく」が、搭載した4台のエックス線CCDカメラで小マゼラン星雲の超新星残骸(ざんがい)の撮影に成功したと発表した。高温ガスの成分の元素が高精度で分析できるなど、性能が確認できたとしており、今後の本格運用に期待が高まっている。

 カメラが取り付けられたエックス線望遠鏡は、名古屋大大学院理学研究科のエックス線天文学グループが、JAXAなどと協力して開発した。同グループの国枝秀世教授は「超新星爆発によって、宇宙にはさまざまな元素がまき散らされている。すざくの運用で、宇宙の成り立ちについての研究が大きく進展すると期待している」と話している。

X線衛星「すざく」主力観測が不能

2005/08/10 南日本新聞

 宇宙航空研究開発機構は9日、M5ロケットで7月打ち上げたエックス線天文衛星「すざく」に搭載した主力の観測機器「エックス線マイクロカロリーメーター(XRS)」が故障し、予定していた観測の一部ができなくなったと発表した。

 同機構によると、8日、XRSに充てんした液体ヘリウムがすべて気化する不具合が発生し、内部を冷却できなくなった。復旧はできないという。原因は調査中。

 他の2種類の観測機器は順調に作動しているが、XRSが使えないと、すざくの観測能力は、全体で当初見込みの60%程度に落ち込むという。

 XRSは、米航空宇宙局(NASA)と共同開発した世界初の機器。内部を絶対零度(氷点下273度)近くに冷却した状態で、わずかな温度上昇を感知。従来型機器の10倍以上の精度でエックス線の波長を識別でき、銀河団などの活動の解明につながると期待されていた。

 すざくは7月10日、内之浦宇宙空間観測所(肝付町)からM5ロケット6号機で打ち上げた日本で5基目のエックス線衛星。21日に円軌道に乗り27日にはXRSの冷却に成功、性能が確認されていた。8月半ばに観測開始予定だった。

X線天文衛星打ち上げ成功 「すざく」と命名

2005/07/10 中国新聞ニュース

 宇宙航空研究開発機構(宇宙機構)は十日午後零時半、エックス線天文衛星(アストロE2)を搭載したM5ロケット6号機を、鹿児島県肝付町の内之浦宇宙空間観測所から打ち上げた。

 約二十二分後に予定の軌道に投入して打ち上げは成功。宇宙機構は衛星を古代中国でつくられた星座図の「星宿」に由来する四方の守護神の一つ「朱雀(すざく)」から「すざく」と命名した。

 南太平洋の上空約四百キロでロケットから分離された衛星は楕円(だえん)軌道に投入され、打ち上げ三日目までに高度約五百七十キロのほぼ円軌道に入る。宇宙機構は機器の展開、軌道の調整の後、一カ月程度で運用を始める予定。

 すざくは二○○○年二月に宇宙科学研究所(その後宇宙機構に統合)が打ち上げに失敗したM5ロケット4号機が搭載していたアストロEの代替衛星。失敗によって日本のエックス線天文衛星にはその後空白期間が生じ、宇宙機構は統合後初めてのM5打ち上げを再挑戦と位置付けていた。

 日本は一九七九年打ち上げの「はくちょう」以来四基の衛星でエックス線天文学をリード。宇宙空間で天体からのエックス線を観測し、活動的な銀河やブラックホール周辺の様子を探ってきた。すざくに搭載した観測機器は、広い波長域のエックス線で、エネルギーを細かく分解してキャッチする能力に優れている。

 既に宇宙にある米国の「チャンドラ」、欧州の「ニュートン」の両エックス線天文衛星と共同で一つの天体、現象を観測し、それぞれの特長を生かしたデータを補い合って成果を出す国際貢献が期待されている。

M5ロケット10日打ち上げ 内之浦宇宙空間観測所から

2005/07/10 The Sankei Shimbun

 宇宙航空研究開発機構は9日、天候不良で延期していたM5ロケット6号機の打ち上げを、10日午後零時半から鹿児島県肝付町の内之浦宇宙空間観測所で実施すると発表した。

 ロケットは全長約31メートルの3段式で、エックス線天文衛星アストロE2を搭載。アストロE2は地球周回軌道に乗り、宇宙空間を飛んでくるエックス線を観測、ブラックホール周辺の様子などを探る。

 打ち上げは当初、6日に予定されていた。

衛星打ち上げ8日以降に M5ロケット、天候不順で

2005/07/06 The Sankei Shimbun

 宇宙航空研究開発機構は6日朝、同日正午すぎに鹿児島県肝付町の内之浦宇宙空間観測所で予定していたM5ロケット6号機の打ち上げを、天候不良のため8日以降に延期すると発表した。

 気象庁によると、発達した梅雨前線が九州南部付近にあり、観測所のある鹿児島県・大隅地方では1時間に50ミリ以上の非常に激しい雨の降る恐れがあるという。

 M5ロケットは、地球周回軌道からブラックホール周辺の様子などを探るエックス線天文衛星アストロE2を搭載している。

 アストロE2は2000年2月に失敗したM5ロケット4号機に搭載されていたアストロEの代替衛星で、宇宙空間を飛んでくるエックス線を観測する。(共同)

エックス線天文衛星「アストロE2」、6日打ち上げ

2005年07月05日 読売新聞Yomiuri On-Line

 宇宙の構造やブラックホールの謎を調べるエックス線天文衛星「アストロE2」が6日午後零時30分、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の内之浦宇宙空間観測所(鹿児島県肝付町)から大型固体燃料ロケット「M5」6号機で打ち上げられる。

 2000年、打ち上げに失敗した「アストロE」の再挑戦で、日本のエックス線天文衛星としては5基目となる。

 アストロE2は全長6・9メートル、重さ1・7トン。エックス線を高精度で検出できる装置や電荷結合素子(CCD)カメラ、望遠鏡などを搭載する。銀河団内部を満たす1億度の高温ガスの運動や、ブラックホール周辺の空間構造などの解明につながる観測成果が期待される。

 天体から放射されるエックス線は高いエネルギーを持ち、透過力も強い。このため、遠い宇宙の果てからも地球近くへ到達し、これを観測することでブラックホール周辺などで起きる活発な天体現象の情報が得られる。ただ波長が非常に短く、大気に邪魔され地上に届かないので、観測は宇宙空間でないとできない。

 M5はアストロEを載せた4号機の失敗後、改良され、小惑星探査機「はやぶさ」の5号機が2003年5月に成功した。今後も科学観測衛星の打ち上げが計画されており、関係者は打ち上げ直前まで慎重に準備作業を続けている。

打ち上げに向けリハーサル M5ロケット6号機

2005/07/04 The Sankei Shimbun

 宇宙航空研究開発機構は3日、鹿児島県肝付町の内之浦宇宙空間観測所で、M5ロケット6号機の打ち上げリハーサルを実施した。6号機はエックス線天文衛星アストロE2を搭載し、6日に打ち上げの予定。準備は順調に進んでいるという。

 リハーサルは3日午前0時半に始まり、打ち上げ当日とほぼ同じ手順で点火直前までの一連の作業が進められた。

 同観測所の中島俊所長は「(リハーサルの)流れとしては問題なかった。打ち上げが近づくと緊張してくるが、粛々とやるしかない」と語った。

 天候不良のため、リハーサル終了後にロケット本体は整備塔に戻され、報道陣への屋外でのロケット公開は中止となったが、発射管制室などが公開された。

 M5の打ち上げは2003年5月以来2年ぶり。アストロE2は、2000年2月にM5ロケット4号機の打ち上げ失敗で軌道投入できなかったアストロEの代替衛星。(共同)

M5ロケット 発射台に/内之浦観測所

2005/07/02 南日本新聞

 宇宙航空研究開発機構は1日、内之浦宇宙空間観測所(肝付町)から6日に打ち上げるエックス線天文衛星「アストロE2」を搭載したM5ロケット6号機を報道陣に公開した。6号機は、完全に組み上がった状態で初めて屋外に姿を現した。

 同日午後3時前、白い機体が、ランチャー(発射台)にセットされた状態で整備棟から出てきた。6月27日に衛星を格納した3段目まで組み立てを終えた6号機は、全長約30メートル、直径2.5メートル、重さ140トン。

 発射地点まで移動させた後、ランチャーを真東に向けた。上下角を変えながら、ロケット側の角度を測る装置が正しく作動するかを点検。最終的に本番と同じ82.8度にセットし、打ち上げ直前までカウントダウンして手順を確認した。

 1日は、衛星を冷却する発射台のエアコンの不具合が見つかったため、作業が2時間遅れた。

 6号機は、3日に最終リハーサルを実施。6日午後0時半−午後1時に打ち上げされる。

日本飛行機、ロケット部品製造も1億8千万水増し請求

2004/07/30 読売新聞 Yomiuri On-Line
 文部科学省は30日、大手航空機メーカー「日本飛行機」(横浜市金沢区)が旧宇宙科学研究所(現宇宙航空研究開発機構)に対し、ロケットの部品製造費を約1億8000万円水増しして請求していたと発表した。

 同社は「見積もりに過失があった」として、同日、法定利息を加えた約2億1000万円を文科省に返納した。文科省は「労働時間の上乗せではなく、意図的ではないとみられる」として、刑事告訴などはしない方針だ。

 日本飛行機が過大請求していたのは、宇宙研の主力ロケット「M5」の部品製造費。同社は1998―2001年に、M5ロケット4―6号機の本体最後部に取り付ける筒形の部品などの製造費として、宇宙研から計約6億1000万円を受け取った。しかし、1号機の部品製造時の原価などと比較すると、見積もりが高すぎることがわかった。

 同社は昨年、防衛庁に対し、作業員の労働時間を上乗せして計約86億円を水増し請求していたことが発覚。宇宙研はこれを受け、昨年8月から同社との契約書類などを調べ直していた。

 日本飛行機は、「見積もりの過失により、結果的に高い利益が生じていた。皆様にご迷惑をおかけしたことをおわびします」とのコメントを発表した。

 ◆日本飛行機=国内の大手航空機メーカー5社のひとつで、1934年創業。民間航空機や軍用機、ロケットなどの部品を製造しており、2003年3月期の売り上げは約270億円。昨年4月に川崎重工業の子会社になった。


X線衛星「あすか」が落下、「お家芸」に4年の空白 (2001.03.02)asahi.com

X線天文衛星「あすか」、3月2日ごろ大気圏再突入へ

【2001年03月01日 アストロアーツ】
 太陽活動の影響で2000年夏から観測不能になっていた文部科学省宇宙科学研究所 (宇宙研/ISAS) とNASAの共同によるX線天文衛星「あすか (ASTRO-D/ASCA)」が3月2日にも大気圏に再突入し、その生涯を終える見込みだ。「あすか」は2001年2月20日に打ち上げから満8年を迎えたばかり。

 「あすか」の推定再突入日時は、LATの予報 (2.27発表) によると、3月02日午後00時26分 (日本時間)。また、Alan Pickup氏の予報 (2.28発表) によると、3月02日午前9時29分±9時間 (日本時間)。

 「あすか」は1993年2月20日に宇宙科学研究所のM-3SIIロケット・7号機によって打ち上げられ、2000年7月に観測不能に陥るまでの7年半 (設計寿命のほぼ倍) にわたり世界の天文学者たちから利用され観測を続けてきた。得られた科学的成果は、ブラックホール近傍での物質の流れや宇宙のX線背景放射の解明、中質量ブラックホールの発見など多数。

 X線天文衛星は、いわば日本のお家芸。1979年に日本初のX線天文衛星「はくちょう」(1985年大気圏再突入) が打ち上げられ、以後「てんま」(1983年〜1989年)、「ぎんが」(1987年〜1991年)、そして「あすか」(1993年〜) と続き、いずれもX線天文学の最前線で活躍してきた。だが、5番目のX線天文衛星となるはずだった「アストロE」は2000年2月に打ち上げ失敗、大気圏に再突入して失われてしまった。

 宇宙研では、「アストロE」を再製作し、2004年ごろ改めて打ち上げることを目指している。日本のX線天文学者たちは、それまでの空白期間については、「あすか」により得られたデータを徹底分析したり、NASAの「チャンドラ」やヨーロッパ宇宙機間 (ESA) の「XMM-ニュートン」などの外国のX線天文衛星を用いた観測を行なうことになる。

破片飛散の写真を提出

2000年02月21日

 文部省宇宙科学研究所(宇宙研)のM5ロケットの打ち上げ失敗で、打ち上げ直後にロケット機体の周辺で、熱せられた多数の小物体が写った写真が撮影されていたことが分かり、21日開かれた宇宙開発委員会技術評価部会に宇宙研が提出した。写真は打ち上げ1.7秒後のもので、機体周辺に写っている小物体は、打ち上げ直後に破損したグラファイトの破片とみられる。

M5ロケット失敗で陳謝

2000年02月14日 共同通信社
 中曽根弘文科技庁長官(文相)は14日午前の衆院予算委員会で、M5ロケットの打ち上げ失敗について「国民の期待に沿えず、関係者にも迷惑を掛けて申し訳ない」と陳謝した。文部省宇宙科学研究所に早急な原因究明を指示したことも明らかにした。

 民主党の菅直人氏に対する答弁。

1段目のノズルが破壊か

2000年02月10日 共同通信社
 文部省宇宙科学研究所は10日午後、M5ロケット打ち上げ失敗の原因について記者会見し、1段目ロケットの下部で燃焼ガスを噴き出すノズルの一部が壊れた可能性が高い、と発表した。

 また搭載していたエックス線天文衛星「アストロE」は、打ち上げ後しばらくして落下、大気圏に突入して燃え尽きたとの見方を示した。

官房長官、M5打ち上げ失敗で「抜本的見直しも検討」

February 10, 2000

 青木幹雄官房長官は10日の記者会見で、昨年11月の宇宙開発事業団のH2ロケットに続き、文部省宇宙科学研究所のM5ロケットが打ち上げに失敗したことについて「これだけ失敗が続けば、抜本的見直しについても当然検討しなければいけない」と述べた。宇宙研と事業団との2本立てで進めてきた日本の宇宙開発政策を全面的に見直すことを含め、善後策の検討を急ぐ方針を示したものだ。

 青木長官は今回の失敗について「非常に大きなショックを受けている。原因がどこにあるのか、究明に全力をあげたうえで、いろんな立場から検討していかねばならない」と指摘した。

 中曽根弘文文相(科学技術庁長官兼務)は10日、「国民の期待に沿うことができず、大変申し訳ない。H2ロケットの事故原因の究明を注視しながら万全を期していたところで、誠に残念だ」という談話を発表した。

アストロE、打ち上げ失敗 【2000年2月10日】 アストロアーツ

 本日2月10日、宇宙科学研究所鹿児島宇宙空間観測所からM-V-4号ロケットによるX線天文衛星「アストロE」の打ち上げが行われたが、第1段ロケットの燃焼中にトラブルがあり姿勢が乱れた。このミスをカバーするため、第2段および第3段ロケットによる姿勢制御が行われたが、予定の軌道への投入に失敗した。現在衛星の位置は見失われてしまっており、宇宙科学研究所ではNORAD(北米防空司令部)にアストロEのキャッチを緊急依頼している。今の時点で、この新しいX線天文衛星の誕生は悲観的。

「アストロE」打ち上げに失敗、宇宙開発計画の見直しも

February 10, 2000

文部省宇宙科学研究所は10日午前10時30分、鹿児島県内之浦町の鹿児島宇宙空間観測所から、固体燃料ロケットとしては世界最大級で国産のM5の4号機を打ち上げた。だが、第1段エンジンにトラブルが生じてロケットの姿勢が変わり、搭載していた宇宙研のX線天文衛星「アストロE」を、予定通りの軌道に乗せることはできなかった。同日正午現在、衛星の位置は確認できないでいる。昨年11月には、宇宙開発事業団がやはり国産の主力ロケットH2の8号機の打ち上げに失敗したばかり。日本の宇宙開発にとって大きな打撃となりそうだ。

 衛星を含む打ち上げ総費用は約184億円。4号機は全長約30.7メートル、直径約2.5メートルで総重量約140トン。宇宙研によると、打ち上げの約42秒後に第1段のエンジンの内圧が下がった。ロケットの姿勢が予定より上向きになり、軌道を外れた。第2段、第3段の燃焼で軌道修正を図ったが、予定していた軌道をはるかに下回る高度約100キロにしか衛星を投入できなかった。

 M5は3段式で、大型の科学衛星を打ち上げるため、宇宙研が6年がかりで開発した。1997年2月に初めて打ち上げに成功。今回は一昨年7月の3号機に続き3回目の打ち上げで、アストロEを高さ約550キロの円軌道に運ぶ計画だった。

 宇宙研のロケット打ち上げ失敗は95年1月のM3S2以来。この時は、第2段ロケットの姿勢制御装置が不調になったことなどが原因だった。4号機は当初、8日に打ち上げ予定だったが、悪天候のため9日に延期。さらに、9日、打ち上げ直前になって飛行状況などの情報を受信する宮崎追跡局(宮崎市)のコンピューターのケーブルに単純な接続ミスが見つかり、10日に再延期されていた。

アストロE8日に打ち上げ

2000年02月06日 共同通信社

 文部省宇宙科学研究所のエックス線天文衛星「アストロE」が、順調にいけば8日午前、鹿児島県内之浦町の鹿児島宇宙空間観測所からM5ロケット4号機で打ち上げられる。アストロEは1993年打ち上げの「あすか」に次ぐ日本で5番目のエックス線天文衛星。数百個の銀河が集まった銀河団にある高温(1億度)のガスの運動、組成を観測、宇宙の歴史解明の手掛かりを得ることなどを目指す。


TOPIC No.6-30b 観測ロケットS310

01. S310ロケットについて
02. S-310 byJAXA(宇宙航空研究開発機構)
03. S-310-36号機実験

宇宙でアンテナ展開に成功 小型ロケット打ち上げ実験

2006/01/22 The Sankei Shimbun

 宇宙航空研究開発機構と東大、神戸大は22日午後1時、内之浦宇宙空間観測所(鹿児島県肝付町)から小型ロケットS310の36号機を打ち上げ、搭載したアンテナを宇宙空間で展開、地上と通信する実験に成功した。

 ロケットの搭載能力から衛星自体の大型化に限界がある中、打ち上げ時に小さく畳んだアンテナや装置を宇宙で展開する技術は、大容量の衛星データ通信や、大型太陽電池を積んだ宇宙太陽発電衛星など、さまざまな応用が期待されている。

 宇宙機構は「重要なデータが回収できた。大型装置への第一歩になったと思う」としている。

 宇宙機構などによると、全長7・8メートルのロケットにはアンテナの親機のほか、親機と合成繊維の網でつながった子機3台が搭載され、打ち上げの約1分20秒後、高度86キロ付近でロケットから切り離された。

 その後、親機を中心に網を広げながら展開した子機が、子機を頂点とする三角形を構成したことが確認され、地上との通信実験にも成功。予定していたデータは十分に取得できたという。

 計画では三角形は一辺17メートルとなる予定で、宇宙機構などは今後、データを詳しく解析して子機の広がり方などを調べる。(共同)

内之浦からの観測ロケット打ち上げ、雨で延期…鹿児島

2006/01/18 Yomiuri On-Line九州発

 宇宙航空研究開発機構が鹿児島県肝付町の内之浦宇宙空間観測所で18日午後に予定していた観測ロケット「S310」36号機(全長7.8メートル、重さ800キロ)の打ち上げは、雨のため19日午後に延期された。

宇宙でアンテナ展開実験 小型ロケットを18日打ち上げ

2006/01/17 The Sankei Shimbun

 小型ロケットで打ち上げたアンテナを宇宙空間で展開し、大型の太陽電池やアンテナなどの構築につなげるための基礎実験を18日、宇宙航空研究開発機構が実施する。同機構は17日、打ち上げ場となる内之浦宇宙空間観測所(鹿児島県肝付町)で、実験用のS310ロケット36号機を公開した。

 ロケットは全長7.8メートルで、大型アンテナを構成するための親機と3つの子機を搭載している。打ち上げ後に宇宙空間で切り離した後、親機を中心に子機が一辺17メートルの三角形になるように展開、全体で1つのアンテナとなる計画。

 打ち上げは18日午後に行われ、アンテナの展開方法や地上との通信状態などを確認する予定。(共同)

宇宙研のS301ロケット、大気光観測などに成功

8:52p.m. JST January 10, 2000

 文部省宇宙科学研究所は10日、「星明かり」と呼ばれる、大気光に現れるしま模様の解明などを目指す観測ロケット「S301」29号機を鹿児島宇宙空間観測所(鹿児島県内之浦町)から打ち上げ、観測に成功したと発表した。

 打ち上げは、同日午前6時前。ロケットは星明かりの中を突き抜けながら酸素原子密度や大気光の発光層構造を測定し、しま模様出現のなぞを探るためのアルミ微粉末を放出した。

 星明かりは、地上約90キロの大気上層部の酸素原子が、昼間蓄えた太陽光の紫外線エネルギーを夜間に解放することで夜空を光らせる現象で、しばしば全天を覆うしま模様を浮き上がらせる。

観測ロケット打ち上げ

2000年01月10日 共同通信社

 文部省宇宙科学研究所は10日午前5時50分、大気光と呼ばれる夜空の発光現象を観測する小型ロケットS310の29号機を、鹿児島宇宙空間観測所から打ち上げた。同機は大気光を総合的に観測する国内初のロケット。搭載機器で酸素の分布を調査するとともにロケットから放出したアルミはくで地上からの電波が反射する状況から大気の流れを解析、大気光発生のメカニズムなどを調べる。

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