TOPIC No.6-16 ミレニアム プロジェクト

ミレニアム プロジェクト リンク

01. ミレニアム・プロジェクト(新しい千年紀プロジェクト)について
 (首相官邸ホームページ)
02. スーパー電子政府 実現に向けて
03. 教育の情報化プロジェクト
04. 子どもたちの未来をひらく情報教育
05. ミレニアムプロジェクト「がん・ゲノム・脳」合同シンポ
(2001年02月05日)
06. 平成14年度「新事業創出研究開発事業(地域型)」
 研究課題募集のご案内

ミレニアム プロジェクト

アトム計画

2003年9月29日 Web東奥
 30年間にわたり、国が毎年500億円を投資して、5歳児の能力がある人間型ロボットを開発する構想。脳科学が専門で、人間型ロボットを使った研究を進める国際電気通信基礎技術研究所の川人光男ATR脳情報研究所長らが提唱した。月探査の実現だけでなく、技術開発推進の原動力になった米国のアポロ計画のように、鉄腕アトムのようなロボット開発という目標を掲げることで、日本の科学技術を発展させるのが狙い。

 日本のロボット技術は、歩くという運動機能までは実現したが、運動能力を含めて5歳児には到底及ばない。ただ、実現には脳の仕組みを理解する必要があるなどの難しさがあるほか、財政的にも早期実現は難しそう。

アトム計画で日本に活力 5歳児ロボット開発提唱

2003年08月18日 The Sankei Shimbun
 30年間にわたり、国が毎年500億円を投資して、5歳児の能力がある人間型ロボット開発を−。ロボット研究に携わる日本の研究者らがこんな計画を提唱した。

 名付けて「アトム計画」。月探査の実現だけではなく、技術開発推進の原動力になった米国のアポロ計画のように、鉄腕アトムのようなロボット開発という目標を掲げることで、日本の科学技術を発展させるのが狙い。

 国の財政事情もあり、早期実現は難しそう。しかし研究者らは「元気のない日本に活力を与えるプロジェクト」と、賛同を呼び掛けている。

 ▽脳の解明が先決

 提唱したのは、脳科学が専門で、人間型ロボットを使った研究を進める国際電気通信基礎技術研究所の川人光男ATR脳情報研究所長ら。

 アトム計画が目標とするのは、運動、知能、感情など、すべての面で人間の5歳児に相当するレベルの能力がある人間型ロボット。9歳をイメージして創作された鉄腕アトムより少々幼いが、自らの力で考え、動くロボットの開発を目指す。

 ホンダのアシモなど、世界をリードする日本のロボット技術は、歩くという運動機能までは実現した。しかし、そうした運動能力を含めても、5歳児には到底及ばない。

 川人所長も学習や記憶に小脳が大きな役割を果たしていることを解明、見まねで動く人間型ロボット「DB」を開発したが、3年間で覚えた芸はようやく24種類。

 「今のロボットの大半は人がプログラムを書いている。5歳児のように動くには、脳の仕組みを知るのが先決。人間そのものを理解する、ということと等しい」と開発の難しさを認める。

 ▽日本の「アポロ」に

 だが、こうした開発に向けての課題があるからこそ、開発過程で生まれる技術、知識に期待が膨らむ。米国はアポロ計画に200億ドル以上を注ぎ込んだ。その額は当時の1ドル=360円で計算すると実に7兆2000億円。

 1969年のアポロ11号の月面着陸のみがクローズアップされるが、実際にはコンピューター技術の進展、エックス線CTの基礎技術やコードレスに対応できる省電力型機器の開発、鍋などに使われるフッ素樹脂加工など多くの遺産を残した。

 川人所長は「得られるものは予想もつかないが、肝心なのは真剣に取り組む目標があること。経済的な即効策ではなく、将来の発展につながる計画が必要」と話す。

 高さ38センチの小型二足歩行ロボット「morph3」を開発した千葉工大の古田貴之未来ロボット技術研究センター所長は「日本を元気づけるよう、大学、企業を巻き込んで未来の産業をつくりたい」と話している。

ナノテク機器実用化を推進 文科省、来年度から

2003/08/04 中国新聞ニュース
 文部科学省は四日までに、最先端技術のナノテクノロジー(超微細技術)を推進するため、分子レベルで物質を計測したり分析、加工ができる機器を産学連携で開発、実用化する事業を来年度から始めることを決めた。

 昨年のノーベル賞で、田中耕一さんが開発にかかわったタンパク質の質量分析装置や、小柴昌俊さんがニュートリノを検出した光電子増倍管が注目を集め、最先端の研究を支える機器の重要性が再認識された。

 しかし実際は、先端分野の研究費の六〜七割が外国製機器の購入に充てられているのが現状。こうした状況を打破するため、同省は世界市場での普及もにらんだ機器の三〜五年間での実用化を目標に、来年度の概算要求に開発費を計上する。

 アイデア自体を公募する事業と、既に大学などでできている試作品を民間と共同で実用化することを支援する事業からなり、それぞれ十億〜二十億円を盛り込む。双方の事業ごとに、有識者による評価委員会で五件程度を選ぶ方針。

 開発や実用化の候補として、物質の表面にまとわりつく近接場光と呼ばれる特殊な光を利用し、可視光線の波長以下の微細な構造を観測したり加工したりできる機器や、生きた細胞内を観察できる顕微鏡、材料を損なわずに分子構造を立体的に可視化できる装置などが挙がっている。

 文科省は「生命科学やナノテクなどの分野では、先端機器の実用化が研究の進展に直結する」と話している。

 <ナノテクノロジー> 原子や分子のレベルのナノメートル(10億分の1メートル)サイズの物質を操作する技術。新素材のほか、医療分野では体内に入れる極小治療機械も考えられている。政府は第二期科学技術基本計画で環境、情報通信、生命科学と並び研究開発の重点分野と位置付けている。試料の内部構造を見る透過型電子顕微鏡を国内企業が実用化したため、材料分野の研究で日本は世界をリードしている。

病気の遺伝情報解明へ 政府「ミレニアムプロジェクト」

2001.01.04 The Sankei Shimbun
来年3月めど 関連15万カ所 がん予防も可能に

 人間の全遺伝情報「ヒトゲノム」のうち、個人個人で配列が異なる遺伝データ「一塩基多型」(SNP)の病気発症に深くかかわっている部分、約十五万カ所を見つけだす作業が、政府主導の先端科学研究計画「ミレニアムプロジェクト」によって来年三月までに終了する見通しとなっていることが四日までに分かった。プロジェクトで研究を進める東京大医科学研究所ヒトゲノム解析センター長の中村祐輔教授が明らかにした。

 解析の成果は、平成十七年ごろまでに臨床医学に応用できるようになり、がんなどの効果的な予防や副作用の少ない治療薬の選定などが可能になるという。

 世界各国で読み取りが進められているSNPは、四種類の塩基の配列で構成されるヒトゲノム内に約三百万−一千万カ所あり、病気の発症など遺伝子の働きを知る手がかりとされる。中村教授は、このうち十五万カ所のSNPが特に遺伝子の働きとの関係性が高いとみている。

 昨年五月に始まった「ミレニアムプロジェクト」で、中村教授らの研究グループはこの十五万カ所のSNPの発見作業に着手し、すでに一部を発見した。現代社会の五大疾病である痴ほう、がん、高血圧、アレルギー、糖尿病の効果的な治療法確立を目指してデータ作りを進めている。

 中村教授によると、十五万カ所の発見が終了すると、ある疾病にかかった患者と健常者との遺伝子を比較して、患者の遺伝子のなかにあるSNPの配列が、健常者の配列とどのように異なっているかを確認することで、遺伝子の変化と疾病の発現との因果関係を調べることが可能となり、SNPの機能解明につながる。

 SNPの全容が解明されれば、どのような遺伝暗号をもっている人が病気になりやすいかが分かるだけでなく、抗がん剤やアレルギー治療薬などを使用する場合の有効性や副作用の度合いなどを事前に把握することも可能。病気の発症前に病気因子を発見できるため、効果的な予防措置も取りやすくなる。

生命科学など4分野を重点化 科学技術基本計画案 (2000.11.21) asahi.com

ミレニアム・プロジェクト(新しい千年紀プロジェクト)について by首相官邸
T 教育の情報化

U 電子政府の実現

V IT21(情報通信21世紀計画)

W ヒトゲノム・イネゲノム研究

X 高齢者の雇用・就労を可能とする経済社会実現のための調査研究

Y 地球温暖化防止のための次世代技術開発

  燃料電池の導入 /テクノスーパーライナーの運航 /成層圏プラットフォーム/高度海洋監視システム(ARGO計画)の構築

Z ダイオキシン類、環境ホルモンの適性管理、無害化の促進及びリサイクル技術の開発

  ダイオキシン類・環境ホルモン/リサイクル・リユース等

[ 循環型経済社会構築のための調査研究

政府、「ミレニアムプロジェクト」で技術開発の提案公募

9:21p.m. JST December 03, 1999
 政府は3日、西暦2000年に合わせた「ミレニアム(千年紀)プロジェクト」の一環として研究者から技術開発の提案を公募する内容を発表した。実用化を前提に国民生活や産業への波及効果が想定されるもので、来年度から3年以内を開発期間とする。1プロジェクトあたり年間1000万―5000万円程度を助成。募集期間は6日から来年3月31日までで、来年6月をめどに最大100件のプロジェクトを採用する。インターネットのホームページから提案書式を入手できる。

ミレニアムプロジェクトに意見募集

9:20p.m. JST October 29, 1999
 青木幹雄官房長官は29日の記者会見で、西暦2000年を迎えるのにあわせ、小渕恵三首相が技術開発促進のため提唱している「ミレニアム(1000年紀)プロジェクト」について、広く国民から意見を募集すると発表した。

 「21世紀の科学技術――夢と希望を語ろう」をテーマに、題は自由。小学生は1600字、中学・高校生は2400字、一般は4000字以内。優秀作品には内閣総理大臣表彰が授与される。応募期限は2000年1月末まで。問い合わせは科学技術庁の意見募集係(電話03―3581―4411)まで。

ミレニアム事業推進で新法

1999年9月29日 17時10分 共同通信社
 政府は29日、小渕恵三首相が提唱しているミレニアム(1000年紀)プロジェクトを円滑に推進するため、事業の進ちょく状況に応じて複数年度にわたる予算も採用できるよう、新法を今秋の臨時国会に提出する方向で検討に入った。新法には、各事業ごとに産官学合同の推進母体を設立し、母体に参加する企業には優遇税制措置を適用することも盛り込みたい考えだ。

ヒト遺伝子機能を解析、三菱化学などベンチャー設立

9:12p.m. JST September 03, 1999
 三菱化学と吉富製薬、協和発酵工業は3日、ヒトの遺伝子の機能を解析する研究開発型のベンチャー企業「ジェンコム」(本社・東京)を設立したと発表した。ヒトの細胞の中に含まれている遺伝情報(ヒトゲノム)を解読する競争は世界で激化しており、21世紀初めには全容が解明されるといわれる。ジェンコムは、解明された遺伝情報をさらに解析する「ポスト・ゲノム」事業を主要なビジネスとするベンチャー企業で、日本では初めて。

 ヒトゲノムの解明、解析は、将来のバイオ産業発展のカギを握る研究とされ、政府も支援態勢を整えつつある。3社は今月中旬、通産省と郵政省が民間の基盤技術を高めるために設立した基盤技術研究促進センターに対しても、新会社への出資を今月中旬に申請する。

 新会社は特に、病気を起こす遺伝子の機能を分析に力を入れる。実験動物を使って解析したヒト遺伝子の機能のデータや、ヒト遺伝子を組み込んだ「ヒト型モデルマウス」を医薬品メーカーや研究機関に提供し、新薬開発や新たな診断・治療の確立に結びつける戦略だ。2005年度の売上高は30億円と見込む。

 ヒトゲノムは米国を中心に15%程度まで解読されたといわれるが、三菱化学は「ヒト遺伝子の配列からさらに踏み込み、遺伝子の機能そのものを明らかにすることで、初めて産業界への波及効果が出る」とみており、新会社の研究開発を強く支援する方針だ。

 通産、文部など五省庁は、小渕恵三首相が提唱するミレニアム(1000年紀)プロジェクトの枠内で、米国に差をつけられたヒトゲノムの解析に約980億円の予算を要求している。

運輸省、自動車部品リサイクル情報検索システム構築へ

8:39p.m. JST August 31, 1999
 運輸省は、自動車部品のリサイクル率を高めるために、解体業者らが提供する「売りたい部品情報」をデータベース化して、整備業者などがネットワーク上で検索できるシステムづくりに乗り出す。来年度予算の概算要求に「ミレニアム(1000年紀)プロジェクト」としてシステム構築費3億円を盛り込み、3年間で完成させる計画だ。

 国内では年間に約500万台の使用済み自動車が発生する。鉄くずやタイヤなど約75%は鉄鋼原料やゴム製品などとして再利用されているが、残りは廃棄されている。運輸省によれば、廃車から取り出した部品の取引額は年間約500億円と、整備・補修用部品市場の1.7%にとどまり、自動車部品のリサイクル率は欧米の10分の1程度という。

 価格が安い使用済み部品を求める業者は多いにもかかわらず、リサイクルが進まないことについて、運輸省は「どこに行けば欲しい部品が手にはいるか分からないため」(自動車交通局整備課)と分析。オンライン上で部品の出し手と整備業者を結ぶシステムを構築することで、使用済み部品のリサイクル市場を年間5000億円に拡大できると予測している。

千年紀事業、2次補正に

1999年8月23日 20時41分 共同通信社
 政府は23日、2000年度予算の目玉として打ち出した、小渕恵三首相提唱の「ミレニアム(1000年紀)プロジェクト」を前倒しして1999年度第2次補正予算に数千億円を組み込み、来年1月から実施する方針を固めた。

 バイオテクノロジー (生物工学)や情報通信分野の振興を目指す同事業は成長型産業の育成が目的。

ITS対応の「スマートカー」開発予算を要求へ 運輸省

03:05a.m. JST August 21, 1999
 運輸省は20日、次世代の交通システムである高度道路交通システム(ITS)用の自動車「スマートカー(知能自動車)」の開発費を、来年度予算で要求することを明らかにした。スマートカーの開発はこれまで民間主導で進められ、研究施設内での実験や、一部の新装置を既存の車両に載せる改良にとどまっていたが、実際の路上で活用できる体制づくりを急ぐ。

 来年度予算では、目玉である非公共事業の経済新生特別枠、いわゆる「ミレニアムプロジェクト」として6億5000万円を要求。急カーブの手前で自動的に減速するシステムや、ドライバーが見落としていても一時停止の地点に着いたら強制的に停車する事故回避システムなどを研究する。

 運輸省は、3カ年計画でスマートカーの開発を進める考え。2001年度からは、建設省が研究しているITS対応の道路「スマートウェイ」での試験や、一般の路上での走行試験を手がける計画だ。

燃料電池:2004〜05年には実用化 通産、予算要求

1999年08月15日 00:51 Mainichi INTERACTIVE
 通産省は14日、官民共同の科学技術振興などを推進する「ミレニアムプロジェクト」の柱として、官民一体で燃料電池開発を促進するため、2000年度予算で概算要求することを明らかにした。環境にやさしい燃料電池は、代替エネルギーとして世界的に有望視されている。通産省は数十億円を予算化、実用化をめざす。

人工臓器開発へ、通産省が本腰

03:05a.m. JST August 12, 1999
 埋め込み型の人工臓器や人工骨の開発に通産省が来年度から本格的に乗り出す。高齢化社会に対応するため2005年までに技術を確立し、早期の実用化を目指す。難病対策には臓器移植も始まっているが、件数は極めて少なく「移植待ちの人にも人工臓器が必要」と判断した。小渕恵三首相が提唱する「ミレニアム(千年紀)プロジェクト」の一環で、厚生省と共同で進める予定だ。

 開発の対象は心臓、すい臓の2臓器と骨。概算要求の「情報通信、科学技術、環境等経済新生特別枠」の中で約10億円を求める。人工臓器の分野で最先端を行く米国ではベンチャー企業が技術開発に大きく貢献しており、国内の中小企業育成にも力を入れる。

 本体を体の外に出す形の人工心臓は実用化されているが、今後は「体内に埋め込み、日常生活が可能な製品」の開発に取り組む。

 人工すい臓は糖尿病対策が狙い。すい臓はインシュリンを出して血糖を調整する役割があるが、血糖濃度を常時、自動測定し、必要に応じた量を出す機器になる。完成すれば、通院や自分で注射を打つというわずらわしさがなくなる。

 心臓とすい臓を選んだのは「他の器官に比べて機能が単純で、実用化の可能性が高い」(通産省の担当者)からという。

 高齢者の骨折や骨粗しょう症対策のため人工骨も研究する。現在の製品は耐用年数が5年ほどで再手術の必要がある。これを半永久的に使える製品にする。

最長5年で成果目指す 政府、新特別枠予算で

1999年08月06日金曜日 河北新報
 政府は五日、来年度予算で創設する五千億円の「経済新生特別枠」に、三―五年後には一定の成果が見込める施策を盛り込む方針を決めた。経団連などが特定の戦略的な分野に複数年度にわたって予算を重点的に配分するよう求めているのを受けた措置で、国内産業の国際競争力を短期間で強化することを目指す。特別枠には、小渕恵三首相が提唱している官民合同の「ミレニアム(千年紀)プロジェクト」が盛り込まれる。

 通産省などは、バイオテクノロジー分野で大型コンピューターを使って遺伝子情報を解析することで老人性疾患の発病メカニズムを解明する事業などを柱に今月末にまとめる概算要求に盛り込む方針だ。

 特別枠は、非公共事業関連では「環境」「情報」「高齢化・科学技術」の三分野が対象。 具体的施策は、経団連が産業競争力会議で提案した官民共同プロジェクトを念頭に置いている。経団連の提言では、二○○三年までに高度な情報通信社会の実現などを求めている。

 環境分野では(1)廃棄物の削減(2)地球温暖化への対策(3)ダイオキシンなど環境ホルモンの除去―が柱。代替フロンのさらなる代替物質の研究などを想定している。また、植物を使った二酸化炭素の吸収、固定化などの研究も視野に入れている。

 情報通信では、政府への申請、申告などの手続きを原則として完全電子化する「電子政府」の実現や教育現場で全教室へのインターネット導入などを検討している。

 さらに、高齢化・科学技術では、欧米に比べ遅れているとされる遺伝子情報の解明作業を加速することで、がんなどの病気やアレルギーの発症、高血圧症、肥満の原因の遺伝子レベルでの究明を行う。バイオ技術を使った廃棄物の削減など産業利用も目指す。

最長5年で成果目指す 政府、新特別枠予算で

1999年(平成11年)8月5日(木)by 熊本日日新聞
 政府は五日、来年度予算で創設する五千億円の「経済新生特別枠」に、三〜五年後には一定の成果が見込める施策を盛り込む方針を決めた。経団連などが特定の戦略的な分野に複数年度にわたって予算を重点的に配分するよう求めているのを受けた措置で、国内産業の国際競争力を短期間で強化することを目指す。特別枠には、小渕恵三首相が提唱している官民合同の「ミレニアム(千年紀)プロジェクト」が盛り込まれる。

 通産省などは、バイオテクノロジー分野で大型コンピューターを使って遺伝子情報を解析することで老人性疾患の発病メカニズムを解明する事業などを柱に今月末にまとめる概算要求に盛り込む方針だ。

 特別枠は、非公共事業関連では「環境」「情報」「高齢化・科学技術」の三分野が対象。具体的施策は、経団連が産業競争力会議で提案した官民共同プロジェクトを念頭に置いている。経団連の提言では、二○○三年までに高度な情報通信社会の実現などを求めている。

 環境分野では(1)廃棄物の削減(2)地球温暖化への対策(3)ダイオキシンなど環境ホルモンの除去―が柱。代替フロンのさらなる代替物質の研究などを想定している。また、植物を使った二酸化炭素の吸収、固定化などの研究も視野に入れている。

 情報通信では、政府への申請、申告などの手続きを原則として完全電子化する「電子政府」の実現や教育現場で全教室へのインターネット導入などを検討している。

TR>

 さらに、高齢化・科学技術では、欧米に比べ遅れているとされる遺伝子情報の解明作業を加速することで、がんなどの病気やアレルギーの発症、高血圧症、肥満の原因の遺伝子レベルでの究明を行う。バイオ技術を使った廃棄物の削減など産業利用も目指す。

「千年紀特別枠」を新設へ 政府、概算要求基準で

1999年07月23日金曜日by 河北新報
 政府筋は二十二日、七月末に決定する二○○○年度予算の概算要求基準で「ミレニアム(千年紀)プロジェクト特別枠」を新設する方向で検討していることを明らかにした。「スーパー電子政府」の推進などの情報化、二酸化炭素(CO2)削減技術を中心とする環境、病気発生メカニズムの解明など高齢化への対応という三分野が柱で、来年を二十一世紀への新たな出発点と位置付け、未来志向型の産業を育成するのが狙いだ。

 ミレニアムは、キリスト生誕に絡んで二○○○年を新たな千年の始まりととらえ重視することで、欧米各国では各種施策が検討されている。小渕恵三首相が七月上旬の産業競争力会議で同プロジェクトの推進を指示。これを受け、産官学共同プロジェクトとして各省庁横断型で二○○○年度に着手、二○○三年までの実現を目指すことになった。

 具体的には、情報化への対応では政府への申請などの電子化や政府内の文書を一○○%電子化する「スーパー電子政府」を推進。高度情報化社会を担う人材育成のため、小・中・高校の全教室へのインターネット導入などを進める。

 環境対応では、大量廃棄社会から循環型社会への転換を目指し、廃棄物の再資源化を推進。温暖化防止国際会議(京都会議)合意達成へ向け省エネや代替エネルギーの開発やCO2吸収・固定化技術の開発に取り組む。

 高齢化対応では、遺伝子暗号を解明して病気メカニズムを解き明かしたり、高性能医療機器などを開発。高齢者が積極的に社会に参画できるよう高齢者活用ネットワークを構築。高齢者が安心して暮らせるよう駅や公共機関、住居などの改善を図る。

ミレニアム計画が始動

by 金田 哲郎・共同通信社経営企画室委員(不況時代の読解法 第16回)
     首相と財界で科学振興計画
21世紀社会の要となる情報通信や遺伝子科学の分野で日本は米国に圧倒的な差をつけられ、これも日本を覆ってきた「敗北感」の原因となってき た。ところが、その劣勢を跳ね返そうと、小渕首相と今井経団連会長の政財がタッグマッチを組んで、来年度から官邸と財界主導による超大型プロジェクトが始まる見通しとなってきた。日本の将来を左右しかねない計画といっても過言ではないようだ。

      危機感が背景に
財界首脳は「各省庁がそれぞれ縦割りで使う従来型の(非効率な)科学技術振興予算ではなくて、官邸が仕切る本格的なものだ。小渕首相は西暦2000年を目前にしたミレニアム(1000年)計画として推進しようと意欲 的だ。とりあえず来年度予算に官邸枠として5000億円程度確保したい」と語り、首相と財界主導による、21世紀をにらむ超大型プロジェクトが進行するとの見通しを明らかにした。

 経団連は、すでに首相の主催する産業競争力会議に情報技術、環境、バイオの3つの大型計画を官民共同プロジェクトの柱として提案している。新たな産業を起こし、雇用の場も増やそうというものだ。どの分野も米国と比べて日本が相当遅れてしまっている、との政財の危機感が背景にある。

     米国大統領府に見習う
 先進国の米国では大統領府が直接大型プロジェクトの優先順位を決定、中でも世界を完全にリードしてしまったゴア副大統領提唱の情報ハイウェイ構築やインターネット普及が画期的なものとして有名である。

 特に、財界首脳によると、「米国は今、遺伝子治療を含む高度医療を優先順位のナンバー1に位置づけている。高齢化社会を迎えてどの国も医療費の増大に悩んでおり、医学の画期的進歩が不可欠だからだ」と指摘している。

 情報通信の世界ばかりでなく、日本の医学は、「へそから上の心肺、脳などの肝心な分野では米国と比べて10年は遅れている」と医学関係者の間でよくいわれている。どんな技術水準の医師でも保険制度の下で高い収入が保証されている現状では、なかなか先進的な医療は出てこないのである。日本医師会の相変わらずの権益優先の姿勢をみれば一目瞭然だ。

 また、「ヒトや稲など植物の遺伝子解読作業も前倒しで進めないと、日本は取り返しのつかない事態に陥ってしまう」と、バイオへの本格的テコ入れの重要性を指摘している。すでに遺伝子組み換えの植物では、トウモロコシ、トマトなど大半は米国のバイオ企業に特許を押さえられてしまった。わずかにブロッコリーは、サカタのタネが特許を押さえている程度だという。

お寒い限りの状況に陥っているのである。(7月12日掲載)

2千年から官民事業推進 産業競争力会議で首相指示

1999年(平成11年)7月5日(月)熊日ニュース
 産業の再生を目指す小渕恵三首相の私的懇談会「産業競争力会議」の第五回会合が五日午前、官邸で開かれた。経団連側が先にまとめた情報化対策などの「官民共同プロジェクト」が主な議題となり、小渕首相は「千年紀(ミレニアム)プロジェクトと呼べるよう、実現に向けて検討を進める」と 発言。産官学による共同プロジェクトを省庁横断的に二○○○年から推進するよう関係省庁に指示した。

 経団連が提言した共同プロジェクトは(1)行政サービスの電子化など情報化対策(2)病気のメカニズムの解明など高齢化対策(3)地球温暖化対策など環境対策―の三項目で、いずれも二十一世紀に向けて成長が期待できる分野。このほか、中小企業、ベンチャー企業の創業支援なども議論。 委員からは、中小企業の範囲の見直しなどを求める声が出た。

 政府は中小企業政策を、創業、経営革新に重点を置いて抜本的に見直すため、今秋の臨時国会に中小企業基本法の改正案を提出する予定だ。

 また政府が今月下旬に国会に提出する産業再生法案(仮称)には、中小企業の設備近代化に無利子融資を行う「中小企業設備近代化資金貸付制度」の対象枠を拡大して、これから事業を起こす起業家も対象とするなどの対策を盛り込む。

産業競争力会議:官民共同の科学技術振興を提唱−小渕首相

1999年7月5日by毎日新聞
 小渕恵三首相は5日午前、首相官邸で開いた首相の私的懇談会「産業競争力会議」で、21世紀の新産業・新事業育成に向け官民共同で科学技術振興などに取り組む「ミレニアム(千年紀)・プロジェクト」の推進を提唱し、内閣官房と通産省を中心に具体化を図るよう指示した。

 会合では、今井敬経団連会長が、首相が前回会合で具体化を要請した産学官共同プロジェクトについて、情報化や高齢化、環境問題への対応を柱とした構想を提示。数カ年程度の省庁横断的な取り組みを政府側に求めた。

 これを受けて首相は、欧米諸国が新たな千年紀の始まりを祝う記念事業を計画していることに触れたうえで、「(経団連の)提言を基本として、官民挙げて求心力をもって取り組めるようなプロジェクトとしたい」と発言した。また、中小企業対策の基礎となっている中小企業基本法が制定から36年を経過したことを指摘し、「中小企業政策全体を創業・経営革新に重点を置いて抜本的に見直したい」と述べた。

 このほか、会合では新たに委員に加わった鈴木敏文イトーヨーカ堂社長、福武総一郎ベネッセコーポレーション社長、孫正義ソフトバンク社長の3人に中小企業側代表を交え、ベンチャー企業や中小企業の振興について議論した。ベンチャー企業に資金を供給するためのベンチャーキャピタル育成や、資本市場の整備、中小企業範囲の見直しなどを求める声が相次いだ。【行友 弥】

官民共同のミレニアムプロジェクト推進へ 首相が決意

11:20a.m. JST July 05, 1999
 小渕恵三首相が主宰する産業競争力会議は5日、5回目の会合を開き、経団連が「情報化」「環境」「高齢化」の3分野について、官民共同プロジェクトの素案を説明した。これを受けて小渕首相は「ミレニアム(1000年紀)プロジェクト」と銘打ち、事業を具体化していく方針を明らかにした。

 経団連は、情報分野では「スーパー電子政府」、環境分野ではリサイクルが容易な材料開発などを具体例として挙げ、予算の優先的な配分を求めた。この提案をもとに、小渕首相は省庁横断的な検討を重ね、早急に事業化を図ることを表明した。

 また、小渕首相は、研究開発型の新しいベンチャー企業が日本経済を活性化する重要なカギを握っているとして、ベンチャー育成に向け、中小企業政策を創業・経営革新に重点を置いて、抜本的に見直していく考えを表明した。

HOME宇宙・科学