TOPIC No.6-10 リニアモーターカー

01. 時速430キロのリニアモーターカーから携帯?(2004/05/06) byITmedia Mobile
02. 上海にリニアモーターカー、実用化に加速 by中国情報局
03. 超電導磁気浮上式リニアモーターカーとは?
04. 中央新幹線 byフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
05. リニア中央新幹線ホームページ
06. プロジェクト中央新幹線 by JR東海
07. リニア中央新幹線 byリニア中央エクスプレス建設促進期成同盟会
08. LINEAR EXPRESS byJR
09. 浮上式鉄道開発本部MAGLEV -超電導磁気浮上式鉄道(超電導リニア)について-
10. 山梨リニア実験線とごみ焼却施設建設
 by丸田自治会のホームページ
11. リニア新幹線関連銘柄特集 -2025年先行開業に向けて着々と準備進む


リニア営業仕様の新車両、最高速度550キロ!

2010年10月26日21時26分 読売新聞

JR東海が開発する超電導リニア新型車両の模型(26日、名古屋市)=高橋はるか撮影

 JR東海は26日、2027年の開業を目指すリニア中央新幹線計画で、新たに開発・製造する営業仕様の超電導リニア車両「L0(エル・ゼロ)系」の概要を発表した。

 設計上の最高速度は時速550キロとなる。

 先頭形状の長さは15メートルで、現在の試験車両をベースにより滑らかな形にした。車体の断面は、東海道・山陽新幹線の最新車両「N700系」と同様に角形にして車内空間を広げ、乗車時の圧迫感を減らす。座席シートは1列4人がけとなり、1両あたり最大68席となる。

 JR東海は現在、山梨リニア実験線を18・4キロから42・8キロに延伸する工事を行っている。

リニア、南アルプス貫通の「直線ルート」確定へ

2010年10月14日 読売新聞

東京―名古屋間「経済効果、最も高い」

 2027年の開通を目指すJR東海のリニア中央新幹線計画のルートが、南アルプス直下を貫通する「直線ルート」で確定する見通しとなった。

 20日に開かれる国土交通省の交通政策審議会中央新幹線小委員会で、東京(品川)―名古屋間の直線ルートが最も経済効果が高いとする試算が公表される予定となったためで、リニア計画は大きく前進することになる。

 審議会では、試算公表後、環境への影響を検討した上で、年内にも直線ルート案を軸にした中間報告をまとめ、来年春には整備計画に格上げするかどうかを、国土交通相に答申する。

 ルート選定を巡っては、JR東海は所要時間が最短で、建設費も長野県が主張してきた南アルプスを迂回するルートよりも5000億円以上削減できることなどを理由に、直線ルートを強く希望していた。

リニア、直線ルート有力に…迂回案の長野おりる?

2010年06月07日12時41分 読売新聞

 JR東海が建設を目指している「リニア中央新幹線」計画を審議している国土交通省の交通政策審議会中央新幹線小委員会は4日、神奈川、山梨、長野、岐阜の沿線4県の各知事から意見を聞いた。

 焦点となっていた東京―名古屋間のルート選定について、山梨県の横内正明知事が南アルプス直下を貫通する「直線ルート」が望ましいと初めて表明した。南アルプスを迂回(うかい)するルートを求めてきた長野県の村井仁知事は、特定ルートの要望をしなかった。長野県が直線ルートに明確に反対しなかったことで、JR東海が希望している直線ルートで決着する公算が大きくなった。

 神奈川県の松沢成文知事は、リニア開業で東海道新幹線の運行に余裕ができることを受けて、県中央部の寒川町倉見地区に東海道新幹線の新駅設置を要望した。

リニア中央新幹線:ルート選定、長野「直線」も許容 従来姿勢から転換

2010年06月05日 毎日新聞 東京朝刊

 長野県の村井仁知事は4日、リニア中央新幹線(東京−大阪)の県内ルート選定について、「交通政策審議会で議論し、専門的な立場で見解が得られれば、関係者への理解も進む」と話し、南アルプスを北に迂回(うかい)するルートにこだわらない姿勢を示した。国土交通省内で同日開かれた同審議会中央新幹線小委員会に出席した後、記者団に語った。

 県は80年代以前から迂回ルートを一貫して主張。県内の自治体の首長らが参加するリニア中央新幹線建設促進県協議会(会長・村井知事)でも、迂回ルートによる建設推進を決議してきた。

 一方、JR東海が07年12月に全額自己負担で事業化を目指すと発表。建設費や所要時間を減らすため、南アルプスをトンネルで貫く直線ルートで、途中駅は県内1駅にとどめる方針を示したことから、各自治体の思惑が変化。JR側の意向が優先されると判断した県内自治体の中には、地元への駅誘致を実現するため、直線ルートを求める声が高まっていた。

 県協議会は今年5月に初めて、迂回ルートに加え、直線ルートでの整備を望む両論併記の決議文を全会一致で決議。ルートにこだわらなくなった理由について、村井知事は記者団に「今はいろんな意見が出てきたため、両論併記に近くなった」と明かし、県内のさまざまな意見を審議会に伝えることができたと成果を強調した。【寺田剛】

クローズアップ2010:新幹線・リニア、米に売り込み 官民一体で積極策

2010年5月12日 毎日新聞 東京朝刊

 日本の官民が一体で新幹線とリニアモーターカーの米国への売り込みに躍起となっている。前原誠司国土交通相やJR東海の葛西敬之会長は4月下旬、相次いでオバマ政権が総延長1万4000キロの高速鉄道建設計画を推進する米国を訪問したほか、11日には来日中のラフード米運輸長官を山梨県のリニア実験線の試乗に招き、日本の技術力の高さをアピールした。高速鉄道分野は海外のインフラ整備を日本の成長戦略に取り込むための試金石だが、仏独も激しい売り込み攻勢をかけており、日本の思惑通り進むかは分からない。【太田圭介、寺田剛、浜中慎哉】

 ◇仏、独に遅れ

 「とても速かった。来日の目的であるリニアの詳しい話も聞けた」−−。11日午後、山梨県都留市のリニア実験線(18・4キロ)を約30分試乗したラフード長官は、最高時速502キロを体感後、満足げな表情を浮かべた。10日には新幹線にも乗車、「発着時間が正確」と話し、日本の技術力の高さを認めた。

 一方で、米高速鉄道へのリニアや新幹線の採用では「私が決定権を持っているわけではない」と強調。「(受注企業は)米国の施設と労働者を使ってほしい」と、現地雇用への貢献を求めた。

 オバマ米大統領は環境対策と景気対策の両立を図る「グリーン・ニューディール政策」の目玉として、全米13地域で高速鉄道を整備する計画を決定。国が総額80億ドル(7400億円)の補助金を投じる巨大プロジェクトに世界の鉄道関連メーカーが熱い視線を注ぐ。

 日本勢は、JR東海がフロリダ州のタンパ−マイアミ間(570キロ)を新幹線方式で、首都ワシントン−ボルティモア間(65キロ)をリニア方式で、それぞれ応札する方針。JR東日本や、住友商事・川崎重工業などの企業連合も、カリフォルニア州の高速鉄道計画(1300キロ)などの受注を狙う。

 各企業は「成長には米国やアジアで勝負するしかない」(川崎重工)と強調。米国経済への貢献策では、JR東海が、新幹線などの車両製造の現地拠点新設を検討するほか、すでに地下鉄車両などの米製造拠点を持つ川崎重工は雇用拡大を掲げる。日本企業を後押しする前原国交相は11日夜、ラフード長官と会談。6月に同長官の地元シカゴで開く日本の官民による高速鉄道セミナーに「ぜひ、出席を」と呼びかけるなど懸命なトップセールスを展開した。

 しかし、ライバルの仏独などは早々にラフード長官ら米関係者を招いた高速鉄道試乗会を開催するなど、受注活動で日本に大きく先行する。JR東海は巻き返しに向け、新幹線・リニアが仏の高速鉄道TGVや独ICEなどに比べ「環境性能が高く、運用コストも安上がり」とPRするが、仏独は「専用線が必要なJR東海方式は在来線と乗り入れができず、導入コストが高い」などと反論。受注合戦はエスカレートするばかりだ。大統領による売り込みさえ辞さない仏や韓国勢を相手に、日本の官民一体戦略がどこまで通じるか、予断を許さない。

 ◇内需限界、海外に活路

 欧米や新興国での高速鉄道や原子力発電など大型インフラ事業で、鳩山政権が日本の鉄道会社やメーカーの受注を強力に後押しし出したのは、デフレや人口減少で内需拡大の余地が乏しい中、経済成長を図るには海外インフラ事業の取り込みが欠かせないためだ。

 政府は3月、国際協力銀行(JBIC)による先進国のインフラ事業向けの融資の対象を原発などから高速鉄道にも広げることを決定。「金融面も含め、日本勢の海外でのインフラ市場攻略の支援体制を整えた」(大手メーカー幹部)。高速鉄道以外でも、4月にインドを訪問した直嶋正行経済産業相が原発の技術協力を進めることを提案し、東芝や日立製作所などが目指す同国での原発受注への布石を打つなど、閣僚がこぞって積極的なセールスを展開している。

 これまでも日本の産業界は韓国やロシアなどで高速鉄道などインフラ事業の受注を探ってきた。しかし、事業規模が数千億円以上になるだけに、発注国から資金協力を求められることもあり、官民一体で売り込むフランスやドイツ勢に比べ「日本勢が不利になるケースも少なくなかった」(大手メーカー幹部)。

 三菱商事や日揮は11日、政府が設立した官民ファンド「産業革新機構」と共同で豪州2位の水道事業会社「ユナイテッド・ユーティリティーズ・オーストラリア」を190億円で買収することを決定。東京都水道局が運営面で協力するなどオールジャパン体制への機運が高まっている。

 官民一体戦略の「旗振り役」の前原国交相は、郵貯マネーを原資に新興国のインフラ整備に投融資して、日本企業の受注拡大を進める構想もぶち上げる。ただ、インフラ事業にはリスクも伴い、景気悪化などで計画が狂えば、多額の資金が焦げ付く恐れもある。それだけに市場などには、官民一体の“イケイケ路線”の先行きを不安視する声も出ている。

リニア開業「できる限り早期に」 交通政策審でJR東海

2010年05月10日 中国新聞ニュ−ス

 リニア中央新幹線(東京―大阪)の整備計画を審議する国土交通省の交通政策審議会小委員会が10日開かれ、事業者のJR東海は東京―名古屋の開業時期について「収支予測の試算結果から2027年としたが、開業目標ではない。できる限り早期開業したい」と述べ、27年より前倒しを目指す考えを明らかにした。

 また委員からは工事のスピードアップの可能性を問う意見も出た。これに対しJR東海の山田佳臣社長は会合後、「工事を継続的にするなどして努力したい」と述べた。

 焦点のルートについてJR東海は「経営として行うので、(直線で最短の)南アルプスルートで進めさせてもらうしか道はない」と強調した。

 リニア開業に伴う収入では(1)航空や高速道路から旅客が移る(2)運賃や料金を東海道新幹線より高く設定する―などを考慮して予測。27年の名古屋開業でそれ以前に比べ収入は10%増え、45年の大阪開業でさらに15%増えると説明した。

リニア中央新幹線:開業2年延期、27年目標 収益悪化で

2010年04月28日 毎日新聞

リニア開業の延期について説明するJR東海の山田佳臣社長=名古屋市中区の名古屋証券取引所で2010年4月28日午後3時31分、鈴木泰広撮影

 JR東海は28日、リニア中央新幹線(東京−名古屋間)の開業目標時期を、当初想定していた2025年から2年延期し、27年とすると発表した。景気低迷や高速道路の料金割引制度の影響などで東海道新幹線の収入が落ち込み、資金計画を見直さざるを得なくなったことを理由に挙げている。

 また、東京−大阪間の開業目標を45年とし、名古屋−大阪間の建設費用を3兆3400億円とすることも同日の取締役会で正式に決めた。東京−名古屋間の建設費として見込む5兆1000億円と合わせ、計約8兆5000億円を自己資金と金融機関からの借り入れで調達する計画だ。同社は、5月10日に開かれる国土交通省の交通政策審議会で新たな計画について説明する。

 山田佳臣社長は28日の会見で「経営環境が悪化する中で、財務の健全性を維持しながら計画を進めたい」と開業延期の理由を述べた。

 同社が東京−名古屋間のリニア建設計画を最初に発表したのは07年12月。過去最高益を記録した07年度の鉄道収入を前提に25年の開業目標を掲げ、5兆1000億円の事業費を全額自己負担で行うと説明していた。

 しかし、08年秋のリーマン・ショック後の旅客需要の低迷や、09年3月に始まった高速道路料金の「休日上限1000円」の割引制度導入などで、09年度の運輸収入は07年度から約1割落ち込んだ。【工藤昭久】

JR東海、1000人新規採用…「リニア」備え最高に

2009年02月20日 読売新聞 Yomiuri On-Line

大揺れ雇用

 2025年にリニア中央新幹線の開業を目指しているJR東海は20日、2010年度に過去最高の約1030人を新規採用すると発表した。

 JR東海は、リニア中央新幹線の工事を13年度にも始める考えで、着工に備えて技術職を中心に採用を増やす。

 全体の採用人数は09年度の計画比で70人増える。10年度の採用計画1030人のうち、運転士や工事要員など鉄道の現場作業にかかわる技術職は880人と85%を占める。このうち、大卒技術職の採用数は09年度比で45人増えて315人、高専、短大、専門学校、高校卒は合計で15人増えて565人を採用する。

 このほか、総合職が09年度比で20人増の100人、地域限定職員を10人減の50人採用する。

 世界的な景気低迷で、採用を絞り込む企業が増えているが、JR東海は、リニア中央新幹線の開業のほか、団塊世代職員の大量退職がピークを迎えていることにも対応して、採用を増やすことにした。

 JR東海の人事担当者は、「リニア新幹線の着工が近づき、学生の関心が高まっている。説明会への登録や問い合わせも多い」と話している。

2010年代前半に着工 リニア建設でJR東海社長

2008/11/20 中国新聞ニュース

 JR東海の松本正之まつもと・まさゆき社長は十九日、名古屋市で記者会見し、首都圏―中京圏間で二〇二五年の開業を目指すリニア中央新幹線について一〇年代の前半に着工したいという考えを示した。

 松本社長は「工事は少なくとも十年はかかる。(着工は)早ければ早いほど良い」と述べた。

 リニアをめぐっては、JR東海が南アルプスを貫く直線ルートでの建設を目指す一方、長野県が南アルプスを迂回うかいするルートを要望するなどしており今後は関係自治体との調整が焦点となる。松本社長は、地元との調整は「できる限り丁寧にやっていきたい」と強調した。

 同社は十月、リニア建設は可能とする地形地質調査の報告書を国土交通省に提出した。国交省が年内にも指示を出す、輸送力や建設費など着工の前提となる残りの調査については「指示が出れば、できる限り早期に実施したい」と話した。

浙江省、10年にリニア着工 上海―杭州間、住民反発も

2008/08/18 中国新聞ニュース

 【北京17日共同】十七日の新華社電によると、中国浙江省政府はこのほど、同省杭州と上海を結ぶリニアモーターカー新線について、上海万博が開かれる二〇一〇年に同省側の建設を開始するとした重点プロジェクト建設行動計画を発表した。

 リニアをめぐっては、新線の支線に当たる上海市側の延長線計画に対し、電磁波や騒音による健康被害を懸念する予定ルート沿線住民が今年一月、大規模な抗議デモを実施、韓正かん・せい市長は慎重姿勢に転じていた。着工計画が示されたことで住民側があらためて反発する可能性がありそうだ。

 新華社によると、新線は総延長約百九十九キロで、うち上海―杭州間は約百六十四キロ。住民が反対している浦東国際空港と虹橋国際空港を結ぶ延長線「上海空港連絡線」は新線の支線に当たり、計画では約三十五キロになるという。

 浙江省側の着工は一〇年で、四年後の一四年に完工予定。総投資額は二百二十億元(約三千五百億円)。新華社は延長線を含め上海側の着工時期などには触れていない。

 上海では〇二年末に浦東国際空港と市内を結ぶ世界初のリニア実用線が開通、営業運転が行われている。

磁気浮上式列車、また線路上で停止 /大田

2008/07/14 朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 大田=ウ・ジョンシク記者

40分間閉じ込められ、レスキュー隊に救助

 13日午後2時10分ごろ、大田市儒城区道竜洞の国立中央科学館とエキスポ科学公園を結ぶ磁気浮上式鉄道(総延長1キロ)の、中央科学館から300メートルほどの地点で、列車が地上5メートルの線路上で突然停止した。

 この事故で、中央科学館の見学を終えて列車に乗っていたキム某さん(40)=大田市西区屯山洞=など30人の乗客が、約40分間列車内に閉じ込められ、119番通報で駆けつけたレスキュー隊に救助された。

 事故を起こした列車は先月14日にも、電気系統の異常で、地上5‐6メートルの線路上で突然停止し、乗客45人が40分間閉じ込められた末に救助されている。

リニア新幹線“出発難航” ルート・駅位置など課題山積

2008/07/12 FujiSankei Business i.

 東京と大阪を時速500キロで結ぶリニア中央新幹線構想。JR東海が首都圏−中京圏の全額自己負担での建設を表明し、ようやく動きだしたかに見える。しかしリニア新幹線のルートや駅の位置など沿線自治体との調整はこれから。残る課題は多い。

 JR東海は昨年4月、「25年の営業運転」という目標を発表。だが事業費の調達方法は示さず、国の支援も期待できないため一時は棚上げに。それが昨年12月、建設費約5兆1000億円を自己負担すると発表、一転して注目を浴びた。

 ≪建設費計算できず≫

 松本正之社長は6月、記者団に「地震対策のため、東海道新幹線を強化してきたが、(リニアで)二重化を進める必要がある」と防災面からも必要性を強調。冬柴鉄三国土交通相も「(JR東海などが進める地質)調査の結果が出てくれば、速やかに次の調査を指示したい」と表明した。

 次の調査は建設費や輸送人員などが対象。JR東海側はこれらの調査も年内に終わらせたいとする。建設には用地買収などで10年以上は必要だからだ。

 しかし、課題は山積している。例えば建設費。始発駅と終着駅の場所やどういうルートで結ぶか、途中駅はどこに置くかなどを決めないと、詳細な計算はできない。松本社長は「始発駅は品川が有力」「ルートはほぼ直線が理想」との意向を示すが、地元自治体との話し合いは「地質調査を終えてから」とし、調整はこれからとなる。

 ≪自治体と調整の壁≫

 沿線で動向が注目されるのが長野県だ。南アルプスをトンネルで抜ける直線ルートとは違い、北側に迂回(うかい)し諏訪地方を抜けるルートを主張。村井仁知事は6月の記者会見で、「経営判断だから黙っとれというような話に、ああそうですか、どうぞとはいかない」と述べた。

 さらに沿線の神奈川、山梨、長野、岐阜の各県とも「観光客や企業の誘致につながり、地域が元気になる」などと駅の設置を求めるが、建設費についてJR東海側は「始発と終着の駅は自前で造るが、残りは地元負担でお願いしたい」とする。財政難に悩む沿線自治体には受け入れにくく、協議は難航しそうだ。

 国交省は「着工に向けた手続きを進めるには国の審議会に諮る必要がある。自治体との調整などで、はっきりした見通しが立たないままでは理解は得られない」と指摘している。

動きだすかリニア建設計画 残るは自治体との調整

2008.07.11 MSN産経新聞

 東京と大阪を時速500キロで結ぶリニア中央新幹線構想。JR東海が首都圏−中京圏の全額自己負担での建設を表明し、平成37年の営業開始の目標に向けて動きだしたかに見える。しかし課題は多い。

 同社は昨年12月、建設費約5兆1000億円を自己負担すると発表した。建設費や輸送人員などの調査を年内に終わらせたいとするが、始発駅と終着駅の場所やどういうルートで結ぶか、途中の駅はどこに置くかなどを決めないと詳細な計算はできない。松本正之社長は「始発駅は品川が有力」「ルートはほぼ直線が理想」との意向を示すが、地元自治体との話し合いは「地質調査を終えてから」と調整はこれからとなる。

 一駅当たり数百億円とされる建設費についてJR側は「始発と終着の駅は自前で造るが、残りは地元負担でお願いしたい」。財政難に悩む沿線自治体には受け入れにくく、協議は難航しそうだ。

リニア始発は品川駅が有力 中央新幹線でJR東海社長

2008年07月03日 中国新聞ニュース

 JR東海の松本正之社長は3日、大阪市内で記者会見し、2025年開業を目指す首都圏−中京圏のリニア中央新幹線の始発駅について「東海道新幹線に接する東京駅か品川駅に絞られる。消去法では東京駅は難しいかもしれない」と述べ、品川駅が有力との見方を示した。新幹線や在来線との連絡状況、周辺の建物や地下の構造物の状況などの調査をさらに進め、最終的に判断する。

 記者の質問に「まだ決まっていない」とした上で答えた。松本社長は、東海道新幹線の東京、品川、新横浜の3駅から選定を進めているとし「新横浜は首都圏から遠く、ビルの立ち方や地下に何があるかなどを考えると、東京駅も難しいかもしれない」と発言。「地質調査やコストなどさまざまな要素を検討し、東京都など関係先との意見交換もして最終決定したい」と話した。

 中京圏の駅については「名古屋駅とどういう形で接するかだが、まだ決めていない」と答えるにとどまった。

【知の先端】東京工業大学教授・細野秀雄さん 新たな高温超伝導物質を発見

2008.06.23 MSN産経新聞

 ■“門外漢”が常識破る さらに広がる探求心

 1980年代後半の“フィーバー”以降、長らく停滞気味だった超電導研究が、にわかに活気づいている。東京工業大学の細野秀雄教授(54)らの研究チームが、まったく新しい鉄系化合物の高温超電導物質を発見したのだ。磁石の性質を持つ鉄は超電導との相性が悪いといわれていたが、専門外からのアプローチで常識を打ち破った。2月に発表されると、すぐに世界規模の競争に火がついた。超電導物質の“新鉱脈”は、実用化と物性研究の両面で、大きな可能性を秘めている。(伊藤壽一郎)

 ≪専門外≫

 無機材料科学が専攻の細野さん。電子デバイス関連の材料研究が主戦場で、超電導の専門家ではない。

 「セメント原料から電気を通す透明な金属を作ったり、紙のように薄くて曲がるディスプレーを実現する透明アモルファス酸化物半導体を開発したり、現代の錬金術師を目指して研究してきた」

 鉄系超電導物質の発見に結びついたのは、1995年に着手した透明なアモルファス半導体の研究。薄くて柔軟な未来のディスプレーの材料を目指し、2004年に酸化ランタンと硫化銅が層状になった化合物を使い、薄くて曲がる透明P型半導体を開発した。これだけでも、世界的に注目された成果だが、細野さんの探求心はさらに飛躍する。

 「銅を鉄に変えたらどうなるだろう」。05年に鉄、リン、ランタン、酸素の4元素が層になった「鉄系オキシプニクタイド」という化合物を作り出した。その構造は、銅酸化物系の超電導物質とよく似ている。

 銅酸化物系の高温超電導物質は86年に発見され、世界中の物質材料研究者を巻き込んで“高温超電導フィーバー”を起こした。細野さんは「物質材料の研究者にとって大事件でした。でも、人まねをしたくなくて、手をつけなかった」と当時を振り返る。

 ≪新鉱脈を発掘≫

 20年近くの歳月を経て、専門外の超電導に踏み込んだのは、「鉄の磁性は超電導状態になるのを阻害するため、鉄が超電導物質になると思う人はいなかった。人のやらないことを独自の方法でやってみたかった」からだ。

 鉄系オキシプニクタイドの酸素の一部をフッ素に置き換えてみた。鉄の磁性がヒ素と結びついたことで消え、絶対温度(K)32度(セ氏マイナス241度)という比較的高い温度で超電導現象が起こった。新鉱脈を掘り当てたのだ。

 その後、この鉄系化合物に4万気圧の超高圧をかけると、超電導になる転移温度は43Kまで上昇することが確認された。銅酸化物系以外では最高の超電導転移温度だ。

 ≪高まる期待≫

 元素の組み合わせを変えれば、さらに高い温度で超電導になる可能性もある。80年代のような世界的な研究競争が始まり、「中国ではランタンをほかの希土類金属に置き換え57Kまでの高温化に成功している」(細野さん)という。

 まずは、液体窒素温度の77Kを超えるかどうかが焦点となる。銅酸化物系の高温記録は常圧で約130Kだが、セラミック(磁器)なので、加工が難しい短所がある。金属系では、01年に青山学院大の秋光純教授らが見つけた2ホウ化マグネシウムの41Kが最高だ。加工しやすい鉄系化合物で安価な液体窒素を使って超電導にできれば、実用化は一気に加速する。

 損失のない送電線や電力貯蔵装置、リニアモーターカー、人体の断面を撮影する磁気共鳴画像装置(MRI)など、高温超電導物質の応用分野は幅広い。新系統の鉄系超電導物質は、エネルギー、環境問題への貢献を見据えた研究開発に結びつくことが期待される。

 「高温超電導以外にもおもしろい性質が隠れていそうだ。それが今、見えかけてきている。この物質は、これだけでは終わりませんよ」。細野さんの探求心には、まだ先がある。

 ≪history≫

 ■「発明は世の中を変える!?」

 科学する心の原体験は、小学校入学前のことだった。砂糖と塩を混ぜたら、辛さと甘さが打ち消し合って味がなくなると思っていたが、やってみたら砂糖と塩の味が両方した。「変だな。でも、おもしろい」と思った。

 小学校に入ってからは遊んでばかり。理科の宿題だったアサガオの観察は、スケッチばかりで劇的な変化がなく、つまらなかった。「人工的なものの方がおもしろいや」と子供心に感じた。

 中学時代、理科の授業で世の中にあるものはすべて、周期表に載っている限られた元素でできていることを知り、「ええっ!」と驚いた。クラブ活動は科学部を選び、水の電気分解に「画期的だ」と感動。火を消すものと思っていた水が、電気分解すると、燃える水素と燃焼を助ける酸素になる−ますます化学のおもしろさに魅せられた。

 高校3年のとき、世界初の合成繊維を発明した米国のウォーレス・カロザースの伝記「ナイロンの発見」と出会った。石炭と水と空気から作られるナイロンが、ストッキングなどの女性ファッションを変えただけでなく、世界の産業構造も激変させ、日本では“女工哀史”が解消されたことに感銘を受けた。「新しいものの発明は、世の中を変えられるんだ!!」。少年はこのとき、化学の道に進もうと、はっきり決心した。

                   ◇

【プロフィル】細野秀雄

 ほその・ひでお 昭和28年9月生まれ。埼玉県川越市出身。52年東京都立大学工学部工業化学科卒業、57年同大学院博士課程修了、名古屋工業大学工学部助手、同大助教授、東京工業大学助教授などを経て平成11年同大応用セラミックス研究所教授、16年同大フロンティア研究センター教授。独オットショット研究賞(平成2年)、井上学術賞(14年)、文部科学大臣表彰(16年)、服部報公賞(18年)などを受賞。

 ▽趣味 猫が大好きだが、娘と妻が文鳥を飼っているので飼えない。研究室のパソコンに猫のバッジを張ってがまんしている。ほかに落語も好き

 ▽ストレス 若い人と議論する中で解消できる。それが仕事になっているので、ストレスはたまらない

 ▽座右の銘 「オール・オア・サムシング」。一生懸命やれば何か得るものがある。「トゥモロー・イズ・アナザー・デイ」。明日は明日の風が吹く

 ▽スポーツ 自宅から大学まで約1時間の散歩をよくしている

 ▽アルコール 昔は相当飲んだが、今は飲む時間があったら寝るか、家族と過ごす時間に充てたい

 ▽家族 妻、娘、文鳥1羽と、神奈川県大和市の自宅で3人&1羽暮らし

リニアBルート、諏訪の駅誘致で新組織立ち上げへ

2008年06月20日 信濃毎日新聞

 諏訪地方6市町村の商工団体は近く「諏訪地区商工団体リニア駅建設促進同盟会」(仮称)を立ち上げる。リニア中央新幹線計画をめぐりJR東海が、首都圏と中京圏をほぼ直線で結ぶルートを検討していることを受け、諏訪や伊那谷を通る「Bルート」実現と、諏訪への新駅誘致の運動を強める狙い。今後、中信地方の商工団体などとの連携も視野に入れている。

 19日、茅野市、諏訪郡富士見町、原村の各商工団体と自治体でつくる「八ケ岳山麓(さんろく)リニア中央エクスプレス駅建設促進同盟会」が原村商工会館で開いた総会で、新組織の設立方針を了承した。現同盟会は本年度末で発展的に解散する。

 現同盟会は1997年発足。中央道諏訪南インター周辺をにらんだ新駅誘致の運動をしてきた。しかし昨年12月、JR東海は直線ルートを前提に、自己負担でのリニア建設方針を表明し、南アルプスを貫くトンネル建設に向けた調査などに入っている。

 総会で同盟会長の五味光亮・原村商工会長は「(駅誘致が)何とか実現できるように大きな運動につなげていきたい」と述べた。20日に6市町村の商工会議所・商工会の代表が集まって新組織設立を確認し、7月中に設立総会を開く見通しだ。

諏訪地区商工団体リニア駅建設促進同盟会設立へ協議

2008-06-19 長野日報(Nagano Nippo Web)

 諏訪地方6市町村の商工会議所、商工会でつくる諏訪地区商工団体連絡協議会(当番会頭・宮坂勝彦岡谷商議所会頭)が、中央リニア新幹線Bルート(諏訪・伊那谷経由)の実現に向けて「諏訪地区商工団体リニア駅建設促進同盟会(仮称)」を発足させる。20日午前11時から岡谷商工会館で臨時会を開き、設立について協議する。

 茅野、富士見、原の3市町村でつくる「八ケ岳山麓(ろく)リニア中央エクスプレス駅建設促進同盟会」(会長・五味光亮原村商工会長)が「諏訪・上伊那ルートが採用されなかった場合、諏訪地方の経済圏としての魅力や、観光地としての魅力が損なわれる」とし、6市町村の商工団体に新たな同盟会の結成を提案していた。

 各商工団体の承認が得られたため、3市町村の既存同盟会を発展的に解散し、6市町村統一の誘致活動に切り替える。上伊那地方との協調も視野に入れ、広域的な運動を繰り広げる構えだ。

 臨時会には、商議所正副会頭と商工会正副会長、専務理事など約20人が出席。五味会長による経過説明の後、新組織の規約や役員、負担金、決議文について話し合い、設立総会の日程を調整する。

 中央リニア新幹線をめぐっては昨年末、JR東海が全額自己資金による整備構想を発表。東京―名古屋の2025年度開業を目指し、南アルプスで地形地質調査を実施している。想定建設距離の「約290`」は東京―名古屋の直線距離に近く、諏訪・上伊那を経由する可能性は低いとみられ、県や関係自治体がBルートでの建設を要望している。

超電導モーター車開発・・・住友電工

2008年06月12日 読売新聞 Yomiuri On-Line

走行距離10%延長

 超低温下で電気抵抗がゼロになる「超電導」の技術を取り入れた電気自動車用のモーターを、住友電気工業が開発し、12日、モーターを搭載した試作車を大阪市内で公開した。

 超電導はリニアモーターカーや医療機器向けなどに開発が進んでいるが、自動車に応用し試作車までこぎつけたのは世界初という。

 電気自動車は、環境に配慮したエコカーとして普及が見込まれている。しかし1回の充電での走行距離が限られ、電池とモーターの性能アップが課題となっている。今回の技術では、バッテリー容量が同じなら、市販されている電気自動車のモーターより走行距離を約10%のばせるという。さらに改良を重ねて実用化を急ぎたいとしている。

 現在の電気自動車のモーターはコイル部分に銅線などが使われる。通常、送電するさいに電気抵抗で電力の一部が失われるが、コイルに超電導技術を使った電線を採用し、送電ロスがほとんどないという。

リニアのルート選定 長野県知事が関与の意向

2008.06.07 MSN産経新聞

 リニア中央新幹線計画の首都圏−中京を結ぶルートをめぐり、村井仁知事は6日の会見で、「(JR東海の)経営判断だから黙っておれというような話に、あぁ、そうですか、どうぞとはならない」と述べ、ルート選定への関与に意欲を示した。

 JR東海は自己負担で建設する方針を表明。リニアの高速性を生かしやすいほぼ直線のルート案が浮上する中、長野県では県南部の諏訪地域を通過するか否かに関心が集まる。知事は「リニア誘致にこれまで一生懸命運動してきた。その間、諏訪あたりを通る『Bルート』で県内がなんとかまとまった経緯がある」と説明。「(リニアは)メリットだけでなく、騒音もあるし、負担もありえる。県知事として関心を持ってきちんと主張するのはあたりまえだ」とJR側を牽制した。

リニア中央新幹線:整備計画、早期策定を要望−−国交相に知事ら /山梨

2008年06月05日 毎日新聞 地方版

 リニア中央新幹線の沿線9都府県の関係者らでつくる「リニア中央エクスプレス建設促進期成同盟会」の会長を務める神田真秋愛知県知事と副会長の横内正明知事は4日、国土交通省を訪れ、冬柴鉄三国土交通相に整備計画の早期策定を要望した。横内知事は自民党の谷垣禎一政調会長にも要望を行った。

 整備計画を策定するためには、全国新幹線鉄道整備法で定められた、地質・地形調査や需要に対する供給力の調査など5項目の調査を国の指示で行う必要があるが、地質・地形調査以外の指示が出されていないため、要望では、早急にほかの調査の指示も出すよう要求した。【沢田勇】

リニア4項目調査 国交相、建設費など秋にも指示

2008年06月05日 中日新聞 朝刊

 JR東海が進めるリニア中央新幹線について、冬柴鉄三国土交通相は4日、今秋にも車両の技術開発や建設費などに関する4項目の調査を指示する考えを示した。全国新幹線鉄道整備法に基づく調査指示が出れば、東京−名古屋を40分で結ぶリニア新幹線の開通に向け大きく前進する。

 冬柴氏は、沿線自治体などでつくるリニア中央エクスプレス建設促進期成同盟会会長の神田真秋愛知県知事らに「秋ごろにJR東海から地形・地質調査の報告書が出れば残り4項目の調査指示を出したい」と語った。

 JR東海は昨年、2025年に自己資金を投入し、リニア中央新幹線を開業する方針を発表した。同法に基づく基本計画は1973年に決定。90年に指示された地形・地質調査は現在、最終段階に入っている。次段階の整備計画移行には4項目の調査が必要で、国交相が指示する時期が注目されていた。

第127回 わたしがリニア新幹線を支持する理由 経営コンサルタント 大前 研一氏

2008年05月07日 SAFETY JAPAN

 当連載の125回、『新福岡空港にみる財界人の駄目さ加減』で、わたしは福岡空港の移転を目論む勢力を批判した。皆さんもご存じのことと思うが、わたしはおよそ日本の公共事業を褒めることはない。公共事業、わけても土木と名のつくものはほぼ例外なく、財界と一部政治家・官僚を潤して終わりだからである。

 念のため書いておくが、わたしは必ずしも財界が(あるいは政治家・官僚が)潤おうことをとがめるのではない。地元の人々に、ひいては国民に利益が還元されないまま、財界「だけ」が潤うことを批判するのだ。しかも新福岡空港に関しては東アジアのハブとなる千載一遇のチャンスを逃すことにつながる。相応の妥当性があり、それなりの経済効果が見込める公共工事ならば積極的に応援することだってやぶさかではない。

 超特急構想『リニア新幹線』は、わたしも支持する数少ない“公共事業”の一つだ。日本でのリニア新幹線の開発研究は、1960年代から連綿と続いている。リニア新幹線は、子ども向けの学習雑誌でもしばしば特集に取り上げられてきたから、宮崎や山梨の実験線を走るテスト車両のグラビアを見た記憶のある人も少なくないはずである。

 現在、このリニア新幹線の実現に向けた動きが活発になってきている。JR東海の発表によると、17年後の2025年には第一段階として東京−名古屋を結ぶという。最終的には大阪まで延長する計画だ。報道では、リニア新幹線は東京と大阪を約1時間で結ぶという。

 わたしがリニア新幹線を支持する理由は簡単だ。一つには、現状の東海道新幹線の輸送需要が高まる一方で、「供給」は限界に近づいていること。JR東海も、より高速で走行することが可能な新型車両を導入したり、ダイヤ改正をしたりして頑張ってはいる。だがそれは、しょせん(といっては失礼だが)対処療法であって根本治療ではない。本当に輸送需要を賄うのなら、それこそリニア新幹線を新設するくらいの思い切った処置が必要だ。

 そしてもう一つの理由は、いまの日本には夢がないからである。

発展に欠くべからざるファクター「高揚感」

 わたしと同世代か、あるいは団塊の世代の人なら、日本がある種の高揚感を持った瞬間を何度か体験しているはずだ。例えば1964年の東京オリンピック。これを契機に東海道新幹線が開通し、首都高速も出来た。新幹線は後年フランスのTGVにスピード記録で抜かれるまで、長らく世界一速い鉄道として君臨した。

 あるいは1970年の万国博覧会もしかり。あたかも手塚治虫氏が描く近未来世界が具現化されていくようで、日本全体がある理想的なビジョンに向かって大きく飛躍していく気がしたものだ。

 なるほど、確かに高揚感「だけ」では飯は食えまい。しかし、ある分野が発展していくためには、高揚感は欠くべからざるファクターなのである。例えば日本のロボット工学は世界の最先端をいく。この世界をリードするさまざまな発明や創意工夫が日本から生まれている。その原動力は何であったかを考えるに、根底にはやはり鉄腕アトムや70年万博を契機とする高揚感があったと思うのである。

 ところが最近は、そういう日本全体が高揚感に沸くようなイベントがない。石原都知事はオリンピックを招請しようと考えているようだが、昨今はオリンピックにまつわる黒いニュースもさかんに報道されるようになっている。とても1964年東京オリンピック当時の高揚感は無理だろう。また北京、ロンドンと続いた後に東京、というのは今の「世界地図」を見渡せば考えにくい。

 1988年に青函トンネルが出来たときは日本中が沸いた。わたしもかなり期待した。53.85kmの海底トンネルは、現在でも世界最長である。ところが青函トンネルは実に愚かな使い方をしたために、人々から忘れされつつあるのが残念だ。こともあろうに青函トンネルでは自動車を走らせることができない。またここを通って青森から函館に行くにはぐるっと回り道をしなくてはならないので、特急で2時間近くかかるのだ。今では青森港と函館港の間に双胴型の高速フェリーが就航したことで、海上を進んでも2時間で行けるようになっている、というのに。

 そこで東京−大阪はリニア新幹線、というわけだ。なにしろリニア新幹線は、前述のように時速500kmで走行できる。大阪まで開通したら東京から1時間程度の乗車時間だ。速度が世界一であるだけではない。リニア方式としては極めてコースの長い新幹線だ。ドイツのシーメンス社が上海に作った実験的なものに比べれば、はるかに本格的なものといえる。その点で日本は世界を一歩リードできるわけだ。

地元とどう折り合いをつけるのか

 もっともリニア新幹線にも懸念がないではない。走行ルートについてJR東海と地元がもめているのだ。

 JR東海のプランでは、赤石山脈(南アルプス)にトンネルを開けて、直線ルートを敷設することになっている。日本地図をご確認いただければ分かるのだが、このルートを採用すると、東京と名古屋は確かに直線的に結ばれるのだ(逆に言えば現在の東海道新幹線はかなり南を迂回したルートをたどっていることになる)。

 それに対して地元の人々が異議を唱えた。彼らは新しい新幹線の駅を誘致することを期待していたのだ。当然の反応というべきであろう。諏訪湖周辺は世界にも名高い日本の精密工業が集積しており、ここを東京と名古屋の中間地点とすることの産業振興上の意義は大きい。名古屋までの停車駅も甲府と諏訪、というあたりが妥当であろう。地元が主張するルートは現在のJR中央線とだいたい同じだ(諏訪湖のあたりで進路を南西に変えて名古屋に至る)。しかしJR東海は到着時間を優先し、直線ルートを前提にプランを立てているわけである。全線の80%以上がトンネルということで、想定される停車駅はない。既に南アルプスの麓、山梨県早川町と長野県大鹿村では、水平掘削による地質調査が進んでいる。

 わたし自身は、地元の人の主張を支持する。時間は10分くらい余計かかってもいいから、諏訪湖を経て天竜川伝いに降りるという、地元主張のプランに沿って進めてくれたほうがいい。

 理由は二つある。一つは、赤石山脈の下にトンネルをぶち抜いていくのは、そう簡単なことではないからだ。あのあたりは糸魚川静岡構造線という大断層線が南北に貫通している上に、それ以外の所も岩盤が固いため、ぶち抜くのは難工事が予想される。当然、コストも膨大にかかる。

 もう一つの理由は、直線ルートでは経済波及効果が見込めなくなるからだ。

 再び日本地図を見ていただきたい。直線ルートとした場合、沿線には大きな都市はほとんどない。これではストロー効果(起点と終点だけが発展し、中継点は衰退する)を時速500kmで加速させるだけだろう。ついでに言えば、直線ルートの行程はトンネルまたトンネルとなり、旅情もなにもあったものではなくなるのも問題だ(スピードが命のリニア新幹線に旅情を求める乗客がいるのか、という疑問はさておき)。

ユニークなファンドを作って集金でも高揚感を

 もう一つの課題は資金だ。建設に要する費用はおよそ5兆円。JR東海はそのすべてを自社で調達してリニア新幹線を作り上げる考えを持っている。その意気やよし、と言いたいところだが、わたしの目からすると「正直、難しい」と思う。JR東海は日本有数の大企業だが、それでも5兆円のすべてを負担したら、経営状態がガタガタになる可能性がある。

 ではどうやって必要な5兆円を捻出するか。わたしは、日本の高揚感を高めるためにも、「世界一のものを作るファンド」を提案したい。例えば、高齢者が自分の死後に財産を寄付するファンドだ。死んだ後になら、自分の財産を日本のために使ってほしいという高齢者は、少なくないはずだ。いま日本には1550兆円の個人金融資産があるが、その大半が使われないまま残されている。その一部を、死後には「日本が再び世界一になるためのファンドに寄付する」と約束してくれた人の財産を足し算すれば、ファンドにたまる予定額が分かる。

 まだ寄付はされていなくても、いずれは入ってくるお金だ。それを基に銀行と交渉すれば、超低金利で融資を受けることができるだろう。当人の死後に寄付が確定したものを次々に事業資金として取り込んでいけばよい。そういうおもしろいファンドを作ったら、5兆円を確保できるのではなかろうか。

 中央政府の役割はこれを無税にしてあげることだ。どのみちJR東海の事業収益はその分向上し、そちらには課税するわけだからあまり大きな違いはない。JR東海の事業運営上のリスクがその分軽くなる、というメリットが大きい。

 またはユニークな債権を出してもいい。収入の10%を債券の数で割って、少なくとも開業後20年間は毎年配当する、というものだ。完成するのが今から17年後ということは高齢者がこの債券を買ったら、おそらく子孫が配当を受け取ることになろう。ここでもその分は相続の対象から外す、などの工夫が望まれる。

 この債券ではJR東海の収益ではなくリニアの総収入の10%を分配する、という仕掛けである。これはJRの経理操作やその時の損益状況に影響を受けないので、安定した配当を受けることができる。つまり、年金感覚で購入してくれるだろう。ここで断わっておきたいのは、利益の10%ではなく、収入の10%ということだ。利益が出るまでは当分かかるだろうから、収入でなければ債権を買った人にメリットがない。

 JR東海は、そういった少し面白みのある資金集めを考えてみてはどうだろうか。そういうことをすれば国民的にも関心が高まるはずだ。

 幸い日本には世界のどこにもないほどの個人金融資産がたまっている。このカネは今の政府を信用していないから、市場には出てこない。「イザと言う時のために」ひたすらムダにたまっていっている。高揚感をもたらすプロジェクトに税制的なメリットが講じられ、あるいは一定の収入をもたらす仕掛けの債券となったら、それに協力してくれる人はおそらく非常に多いだろうと思われる。

 日本初の、そして規模的には世界でも初めての本格的なリニア新幹線がもたらす高揚感は、将来の日本にとっても陰に陽に好影響を与え続けてくれるとわたしは思う。要はJR東海の一見無謀な事業計画を、高みの見物で眺めるのではなく、政府も含めて、その無謀さに乗っかる、ということがここでは肝心なのではないかと思われる。

独、リニア路線計画を断念 建設コスト上昇で

2008年03月27日 中国新聞ニュース

 【ベルリン27日共同】ドイツのティーフェンゼー運輸・建設相は27日、南部ミュンヘンで計画していたリニアモーターカー路線の建設を断念したと発表した。建設コスト上昇が理由。ベルリンでの緊急協議後に記者会見した。

 ドイツのリニア「トランスラピッド」は中国・上海だけで運行されており、ミュンヘンは世界2番目の営業路線になる予定だった。ドイツは日本に先んじて実績を重ね官民一体で輸出を図ろうとしたが、シナリオは大きく狂うことになった。

 ドイツ連邦政府とバイエルン州などはミュンヘン空港と中央駅の約40キロを約10分で結ぶリニア路線を計画、今年夏に着工する予定だった。当初は総額18億5000万ユーロ(約3000億円)の事業予算を計上したが、最新の見積もりが32億−34億ユーロに膨れ上がったため実現困難と判断した。

リニア中央新幹線は南アルプスを貫通できるか

2008/02/04 ケンプラッツ

 東海道新幹線のバイパスとして位置づけられているリニア中央新幹線。このビッグプロジェクトを全額自己負担で推進・実現する方針を、JR東海が2007年12月25日に発表した。建設関連で注目すべきなのは、困難が予想される南アルプス(赤石山脈)の貫通を前提とした建設ルートを、同社が想定していることだ。果たして、リニア中央新幹線は南アルプスを貫通できるのか、問題点を整理してみる。

 まず、南アルプスの山脈が高いことが挙げられる。標高3193mの北岳を初めとして3000m級、2000m級の山々が南北方向に立ちはだかっている。この“壁”を東西に貫通する幹線道路や鉄道は存在しない。

 一帯は地層が複雑だ。東側には糸魚川静岡構造線、西側には中央構造線と、有数の断層がある。南アルプスは海が隆起してできた山脈であり、隆起は現在も続いている。所々に亀裂が走り、崩壊も起こるなど、地質が不安定な面もある。トンネルを掘削するとなれば、大量の湧水、崩落・変形など不測の事態も予想される。

 掘削時のリスクを減らすために、トンネルをなるべく短くする方策が考えられる。そのためには、なるべく標高の高い地点まで地上部を走らせる必要がある。カーブの半径は、山梨リニア実験線と同じく8000m以上にすることが予想され、山すそに沿ってくねくねはい上がっていくような路線が敷かれることはありえない。ほぼ直線になるのであれば、トンネルの前後に大規模な高架橋が造られる可能性がある。

 リニアモーターカーは幸い、軌道との摩擦に頼らず加速するので、従来の鉄道に比べて勾配に強い。現行の新幹線で勾配が最もきついのは、長野新幹線の高崎−軽井沢間で、30パーミル(3.0%)だ。これに対し、山梨リニア実験線には40パーミル(4.0%)の勾配がある。現行の技術でも高低差はいくらか克服できる。

 自治体の思惑も問題を複雑にする。沿線の9都府県で構成するリニア中央エクスプレス建設推進期成同盟会は、南アルプス貫通ルートではなく、北側に迂回(うかい)して諏訪湖付近を経由するルートを求めている。民間企業が発注する工事とはいえ、様々な面で自治体の協力が不可欠になる。ルート決定の際には、政治を巻き込んだ駆け引きが繰り広げられると予想される。

 環境への配慮も重要になる。手付かずの自然が残る南アルプスにトンネルを掘ること自体が自然破壊だという意見が、少なからず出てくると思われる。

 紆余曲折が予想されるものの、南アルプスの貫通という大きな夢には興味が尽きない。JR東海は既に、山梨県早川町と長野県大鹿村で地形・地質調査を開始している。同社の目標は、首都圏から中京圏までの約290kmを、2025年までに完成させることだ。老朽化が進む東海道新幹線を大規模修繕するための代替路線として必要だと位置づけている。プロジェクトのゆくえを見守りたい。 高槻 長尚 [ケンプラッツ]

リニア反対で異例のデモ 中国・上海、住民数千人

2008年01月12日 中国新聞ニュース

 【上海12日共同】中国の上海−杭州(浙江省)間のリニアモーターカー新線(総延長175キロ)は電磁波や騒音を発生させ、健康に悪影響を及ぼすとして建設に反対している住民ら数千人が12日午後、上海市中心部の目抜き通りで抗議デモを行った。

 上海中心部での大規模デモは2005年の反日デモ以来で、極めて異例。

 デモに参加したのは、閔行区などの予定ルート沿線住民ら。目撃者によると、市中心部にある広場に集合したが、公安当局に追い払われ、観光名所でもある南京東路をデモ行進した。数十人が拘束されたとの情報もある。

 参加者は「リニア反対」などのスローガンを叫び、こぶしを突き上げながら行進。最後は多数の警官がデモ隊を包囲し、解散させた。

首都圏−中京圏リニア新幹線、JR東海が自己負担建設

2007/12/26 FujiSankei Business i.

 JR東海は25日、首都圏−中京圏で2025年度の先行開業を目指すリニア中央新幹線について、国からの負担を受けず、自己負担で建設する方針を決めた。山梨リニア実験線を東西方向に延伸、約290キロの路線建設費と車両費で約5兆1000億円と試算した。中間駅は地域負担が前提とし、建設費には含めていない。現在、東京−名古屋間は1時間36分(「のぞみ」の場合)かかるが、時速500キロで走行するリニアが開通すれば約40分と大幅に短縮される。

 同日、名古屋市内で記者会見した松本正之社長は、「東海道新幹線の輸送力が限界に達しており、想定される東海地震への備えから、一刻も早く建設する必要がある」と述べた。建設費を抑えるため、ほぼ直線上のルートにし、中間駅を最小限にとどめる。東海道新幹線の“バイパス”との位置づけから、リニア中央新幹線の始発駅は、既存の新幹線の駅に併設する方向で検討する。

 同社は、自己負担による建設でも、旧国鉄から引き継いだ長期債務の返済が順調に進むと判断した。07年3月末の長期債務は連結ベースで約3兆5000億円にのぼり、25年度には4兆9000億円に達するが、その後は毎年4000億円前後の営業キャッシュフローで債務を減らし、リニア開業8年目には、現在の水準に戻るとしている。

JR東海、自己負担でリニア新幹線整備へ 東京−名古屋

2007.12.25 MSN産経新聞

 JR東海は25日、東京圏と名古屋圏を現行新幹線の約半分の時間で結ぶ超伝導リニアによる新たな「中央新幹線」の建設費約5兆1000億円を全額自己負担することを決めたと発表した。これを受け、財源問題からめどが見えなかった「夢のリニア新幹線」の商用化が実現に向けて、大きく動き出す見込みとなった。

 全国新幹線鉄道整備法(全幹法)に基づき、国の予算措置で推進している整備新幹線の事業費を民間が自己負担するのは初めて。JR東海は今後、平成37年の開業を目指し全幹法の適用や具体的な路線区間などに関し国土交通省と調整する。

 JR東海は、収益の大黒柱である現在の東海道新幹線の輸送力増強が限界に近いことや、大規模地震による交通遮断などの災害リスクを考慮し、東海道新幹線の代替となる中央新幹線の建設推進に強い意欲を持っている。

 ただ、国の予算措置による従来の整備方式では中央新幹線の建設着工、事業化のめどが立たないため、財源の自己責任による整備方法を検討。路線建設と車両費を合わせた建設費を総額約5兆1000億円と試算したうえで、これを全額負担しても経営の健全性と株主への安定配当を維持できると判断、正式に建設費を自己負担を決めた。

リニアモーターカー

 JR東海などが開発しているのは、電気抵抗がゼロになる超電導現象を利用した次世代の超高速輸送システム。車体が浮上しながら走行するのが特徴。東京−大阪間を1時間で結ぶことを目指し1962年に研究が始まり、2003年に有人走行で時速581キロの最高速度を記録している。建設には、新しい専用軌道の建設や用地の買収で巨額の資金が必要となる。

中国独自のリニアモーターカー開発、目標最高時速は500キロ?

2007/09/22 narinari.com

 高速・低騒音の鉄道として実用化が期待されているリニアモーターカー。30年以上の研究を経てもなかなか実用化されず、「夢の鉄道」は「夢」のままで終わってしまうのではないかと落胆していた。ところが今年4月、JR東海が2025年をめどに首都圏と中京圏を結ぶ営業運転を開始すると発表。18年とまだまだ先の話だけど、具体的な目標が設けられたことで、一気に現実的になってきたのだ。

 日本は世界でも有数のリニアモーターカー(磁気浮上式鉄道、海外ではマグレブ)開発国なのだけど、万博などを除いて営業運転しているのは、2005年に開業した愛知高速交通東部丘陵線(リニモ)のみ。これは「HSST」というJR東海のものとは違う方式で、最高速度は時速100キロとなっているのだ。

 一方、海外では日本より先に3カ国で営業運転が開始された。まず、84年に世界で最初にリニアの営業運転を開始したのは英国の「バーミンガムピープルムーバ」。バーミンガムの空港と駅を結ぶもので、距離は約620メートルで最高時速54キロと日本人が想像するようなものではなかったのだけれど、英国では小型低速リニアの開発に注力していたので、その成果ともいえる路線だったのだ。ただ、残念ながら95年に運行を停止している。現在は、「UK Ultraspeed」という高速リニアの開発に着手しているとのこと。

 一方、日本と双璧をなすリニア開発国のドイツは、西ドイツ時代の89年に「M-Bahn」という車両で約1.6キロの営業を開始。最高速度は時速100キロだったのだけど、こちらも92年に運行停止となっているのだ。現在は「トランスラピッド」という車両に開発を一本化し、ミュンヘン国際空港とミュンヘン中央駅を結ぶ37.4キロを工事中。09年から営業が始まる予定なのだとか。

 このほか、米国でも「インダクトラック」という車両の実験を行い、韓国でも8年後を目標に高速リニアの開発に乗り出しているのだけど、その米国や韓国はおろか、日本よりも先に営業運転を開始したのは、リニア開発国ではない中国だった。03年に開業した「上海トランスラピッド」(営業距離約30キロ)がそれで、その名が示すとおりドイツの技術で作られた車両なのだ。最高速度は営業運転としては史上最速の時速430キロ。高速リニアの最初の営業国が中国だなんて、多くの人が想像できなかったのではないだろうか。

 こうしてドイツの助力で世界で唯一の高速リニア営業運転国となった中国だけど、広い国土を持つだけにこうした路線を至るところに配備したいところ。しかし、ドイツ側に技術提供を断られたため、やむなく自国で開発することとなった。その独自リニア「中華一号」の開発を公表したのが04年。それから3年後の今年、ようやく来年に完成することが発表され、その模型(10分の1)が遼寧省瀋陽市で開かれた「東北アジアハイテク新技術博覧会」で展示されたのだ。

 「中華一号」の電気浮上方式は日本のものともドイツのものとも違う「第3の方式」を採用しているそうで、建設コストは従来の半分で済むのだとか。そして、04年の発表時は時速100キロだった最高速度は時速500キロに修正されている。たった3年で、日本やドイツと同じ最高速度まで出せる技術を身につけたのかと驚いたのだ。ドイツでは、技術が流出したと大問題になっているのだそう。

 ところが、その模型の写真をレコードチャイナで見た瞬間。脱力してしまった。新幹線もそうだけど、高速リニアの基本は流線型の車体。ところがこの「中華一号」は、まるで路面電車やケーブルカーのように真四角だったのだ。これで本当に時速500キロが出るのだろうか。うーむ、どうやら技術流出はドイツの杞憂だったようなのだ。

 また、レコードチャイナでは内部の写真も掲載しているのだけど、ベニヤ板を張り合わせるという、いかに模型といえども「博覧会」で披露するものにしては粗末なもので、よく見るとところどころ外れていたりする。これは、来年の完成披露がいろんな意味で楽しみになってきたのだ。

都市型リニア、仁川がテスト事業の優先交渉対象に

2007/06/26 YONHAP News

 【ソウル26日聯合】都市型リニアモーターカーの実用化事業で、テスト路線の優先交渉対象に仁川市が選ばれた。韓国建設交通技術評価院が26日に明らかにした。テスト路線は大邱市、仁川市、光州市、大田市が誘致申請を行っており、選定委員会がこの4都市を対象に評価作業を行っていた。

 評価院は、誘致申請機関の提案路線について事前適格性評価と本評価を経て、事業目的達成の適合性、自治体の意志、財源調達計画、投資効率性などから仁川市を選定したと説明した。

 仁川市が仁川国際空港公社と共同で提案した路線は、仁川国際空港交通センターから竜遊駅までを結ぶ6.1キロメートル区間。

 リニアモーターカー事業には4500億ウォンが投入され、テスト路線での運行を経て商業運転を開始する。2008年に設計を、2011年までに建設を完了する。試運転開始は2012年を予定しており、試運転完了後に自治体に移管して新たな交通手段として活用する。

上海−杭州リニアプロジェクト、電磁波放射問題で一時中止

2007/05/29 IB Times

 上海市閔行区政府弁公室はこのほど、上海−杭州リニアプロジェクトを一時的に中止したことを明らかにした。世間の関心を集めた電磁波放射の問題に関して、現在は政府関連部門が研究を進めているが、これがリニアプロジェクト一時中止の原因のひとつとなった。

 閔行区政府関係者によると、上海−杭州リニア構想が発表されてから、区政府は確かに大きな壁にぶつかったという。多くの人々が連日陳情に詰めかけ、今年3月にはその数は5000人を上回った日もあった。

 国家発展改革委員会(発改委)交通運輸司の王慶雲・司長は、「上海−杭州リニアは現在、工事に関しては研究段階にあり、国務院から認可を受けたのは立案プロジェクトのみ。今後は工事の審査許可と初期設計という2つの段階に進むが、建設が実現するかについては何とも言い難い。たとえ実現しても、2010年までに竣工することはないだろう」と語っている。(日中経済通信)

リニア新幹線 夢は大切に育てたい

2007年04月28日東京新聞

 次世代の超特急、リニア新幹線計画が再浮上した。日本の大動脈の輸送力強化、大災害時のバイパス機能など期待は大きいが、克服すべき課題も少なくない。夢と切り捨てず可能性を探りたい。

 JR東海の松本正之社長が二〇二五年までに首都圏と中京圏間で中央リニア新幹線の営業運転を実現する目標を明らかにした。

 リニア新幹線計画の歴史は古い。東海道新幹線の開業を二年後に控えた一九六二年、旧国鉄の研究所で基礎研究が産声を上げた。七七年、宮崎県で実験走行を開始、九七年から山梨県で走行距離を延ばし、実験が積み重ねられている。

 リニアは日本の鉄道技術者がはぐくんできた夢だ。実現すれば、名古屋経由で東京−大阪間を時速五百キロ、一時間で結ぶことができる。

 〇五年には国土交通省の技術評価委員会が「実用化の基盤技術が確立した」とお墨付きを出している。

 だが、積み残された課題はあまりにも多い。まず最大十兆円という巨額の建設費をどう確保するかだ。

 九〇年当時、故金丸信元副総理の後押しで一時期待が高まった。その後、長期不況に突入し現在は巨額の財政赤字削減が日本の重要課題だ。

 東海地震など災害に備えるためならば、北陸新幹線の方が優先順位が高いという判断もあろう。

 技術面でのつめも必要だ。全ルート約五百キロのうち約60%はトンネルで、うち約百キロは四十メートル超の大深度地下になる。

 予定ルートには、中央地溝帯(フォッサマグナ)に代表される複雑な地形が待ち構えている。大深度トンネル内での事故や火災発生に対する備えも在来新幹線以上の研究が必要だろう。

 車体浮上に必要な超電導磁石から出る強力な磁力線の影響も、乗客にほぼ問題ないレベルというが、不安が解消されたわけではない。

 ルートや駅の予定地では自治体による誘致合戦も予想される。有力政治家による“我田引鉄”的な地域エゴを排し、国民が納得する透明度の高いルート選定を望みたい。

 実現に向けての課題は山ほどもある。だが、東海道新幹線、東名・名神高速道の建設でも建設前には根強い懐疑論があった。

 リニアは世界に誇れる最先端技術だ。実現すれば医療など他分野にも計り知れぬ波及効果が期待できる。

 少子高齢化という流れの中で、若者に夢を与え、日本の再活性化につながる計画があっても良いのではないか。一歩ずつ課題を克服し計画の実現可能性を探ってほしい。

リニア計画も国産化へ 中国、高速鉄道に続き

2007年02月10日 中国新聞ニュース

 【北京10日共同】新華社電によると、中国政府は9日、2010年までの第11次5カ年計画期間中に、時速500キロのリニアモーターカーの国産化に向けた研究開発を進めることを明らかにした。

 中国は、北京−上海などの高速鉄道計画でも、海外技術の導入は一定程度にとどめ、国産技術を基に進める方針を明確にしているが、ドイツの技術に依存していたリニア線計画でも国産化を推進する方針を固めたとみられる。

 科学技術省と財政省が同日開催した国産科学技術大会の席上で計画を示した。車両開発のほか、全長30キロの試験線を建設して運行制御などの技術を確立する。実用化時期は明示していない。

リニア新計画、事故で暗雲 鉄鋼・電機大手に影響 ドイツ・バイエルン州

2006/10/14 FujiSankei Business i.

 【ベルリン=黒沢潤】ドイツ北西部ラーテンで先月下旬に発生したリニアモーターカーの衝突事故を受け、世界で2番目の営業路線になると期待されている独南部バイエルン州のリニア導入計画に暗雲が立ち込めている。ドイツが誇る最先端技術の海外輸出を実現したい独政府は技術の安全性を繰り返し強調しているものの、同州内で導入に反対する声が相次いで上がっているためだ。

 バイエルン州のリニア導入計画はミュンヘンと空港間の約36キロを結ぶもの。工事費は約18億ユーロ(約2700億円)と見込まれている。

 独政府は1970年代から、巨額の補助金を投入してリニアの研究・開発を進め、一時、ベルリン−ハンブルク間(全長約300キロ)を最高時速約500キロで結ぶ計画など計5つの事業計画があった。だが、ミュンヘン計画以外は採算問題や環境問題などから中止された経緯があるだけに、同計画に対する期待は高い。

 独ニーダーザクセン州のクリチアン・ブフ州首相は今回の事故を受けて、「人的ミスによるものであり、リニア技術に疑問を差し挟むのはナンセンスだ」と主張。メルケル独首相も技術の安全性を繰り返し強調し、ドイツが誇る最先端技術へのダメージを極力食い止めようと躍起になっている。

 しかし、リニアを導入しようと検討しているバイエルン州に与えた衝撃は少なくない。

 クリスチアン・ウーデ・ミュンヘン市長は「トンネル内の走行は非常に危険だ」と強調。導入推進派のエドウィン・フーバー同州運輸相も「(リニア導入は)心理的、政治的に重大な問題をはらんでいる」と語った。国政野党の90年連合・緑の党も、同州への導入に反対姿勢を示している。

 仮にこの事業が中止された場合には、リニアを推進する独機械・鉄鋼大手ティッセン・クルップや、ミュンヘンに本社を置く電機大手シーメンスに大きな打撃を与えかねない。

 粗鋼生産量10位のティッセンは、鉄鋼最大手ミタル・スチールが同2位のアルセロール買収を決めたことで苦境に立たされている。リニア導入は新たな収益源として期待が高い。

 シーメンスも交通システム部門が不調で、リニア計画の白紙撤回は多大な影響を受けることになる。

管制センターの人為ミスか 独リニア事故で検察

2006/09/24 中国新聞ニュース

 【ベルリン24日共同】二十三人の死者を出したドイツ北西部ラーテンのリニアモーターカー衝突事故で、地元ニーダーザクセン州検察のレーテマイヤー報道官は二十三日、事故当時、実験線上に点検用車両がいたことを示す運行管制センターの記録があると述べ、同センターが適切な指示を怠った人為的ミスが原因との見方を示唆した。ドイツ公共ラジオなどが伝えた。

 報道官は、こうした記録がありながら、なぜリニアの発車を許可したのかといった点を中心に運行記録などを調べていると説明。また、管制センターから点検用車両が肉眼で見えた可能性があるとも指摘、人為ミスの可能性を示した。

 報道官は「管制センター職員は、点検用車両が軌道から離れたことを確認した上でリニアの発車許可を出すことになっている。なぜ発車させたのかという疑問への説明が必要だ」と述べ、リニア実験線運営会社の安全対策に問題があったとの認識を示唆した。

 ロイター通信によると、管制センター職員はショックで話を聴ける状態ではなく、しばらくしてから聴取が行われる見通しだという。

ドイツのリニアモーターカー事故、15人死亡

2006/09/22 The Sankei Shimbun

 【ベルリン=黒沢潤】ドイツ北西部ラーテンで22日、リニアモーターカー(超電動磁気浮上式鉄道)が実験走行中に、点検・整備用車両に衝突、ドイツ当局者によると少なくとも乗客ら15人が死亡した。リニアの事故で死者が出たのは初めてとみられる。

 ベルリンの日本大使館によると、日本人が乗っていたとの情報はない。

 同リニアは自動(無人)運転による走行中で、時速200キロで軌道上に停止していた車両に激突した。乗客29人のほとんどが開発企業の従業員やその友人・親戚(しんせき)など関係者で、先頭車両に乗っていた。高さ約5メートルの高架上にいた作業員2人も行方不明になっている。

 同リニアは独電機大手シーメンスと独鉄鋼大手ティッセン・クルップの合弁によるトランスラピッド社が開発。ラーテンの走行施設は全長31.5キロで、最高時速450キロを記録している。

 中国・上海では、同社製のリニアが世界で唯一、上海浦東国際空港と市内を結ぶ空港線で営業運転を行っている。

 事故を受け、リニアの商談のため中国訪問中のティーフェンゼー運輸・建設相は、急遽帰国の途に着いた。

独首相、上海でリニアモーターカー試乗

2006/05/23 The Sankei Shimbun

 初訪中したドイツのメルケル首相は上海で23日、ドイツの技術を導入して建設、運行しているリニアモーターカー(全長約30キロ)に試乗するなどした。その後同日午後、浦東国際空港から帰国の途に就いた。

 同リニアの路線を延伸して建設される計画のリニア新線(上海―浙江省杭州)についてもドイツ側は技術協力する意向を表明している。(共同)

上海リニアが運行時間延長 利用者少なく乗客増加は困難

2005/12/01 The Sankei Shimbun

 中国・上海の浦東国際空港と市内を結ぶ世界唯一の高速リニアモーターカー実用線(全長30キロ)が1日から、運行時間を延長し、午前7時から午後9時までの14時間となった。

 これまでの運行時間は午前8時半から午後5時半までで、空港発着便の時間帯の4割程度しか対応できなかったが、延長により7割以上が対応可能になるという。

 しかし終着駅が市内のはずれにあることなどから利用客は少なく、観光路線となっているのが実情。運行時間延長でも乗客数の大幅増加は難しいとみられる。(共同)

高温超電導線材:世界記録の2.5倍 名古屋の研究所成功

2005年09月05日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE

 次世代の電線として期待される「高温超電導線材」で、これまでの世界記録を大幅に上回る性能を持った線材の開発に、超電導工学研究所(東京都、田中昭二所長)が成功したと5日、発表した。日米欧が実用化を競う分野で、「技術的には実用化研究を始める段階に入った」としている。

 超電導は、ある物質を極低温に冷やすと電気抵抗がゼロになる物理現象。電気抵抗がなければ、エネルギーを失わず電気を運ぶことができる。実験中のリニアモーターカーには超電導磁石が使われているが、ケーブルや、小型で省電力のモーターなどへの活用も期待されている。超電導になる物質は多く見つかっているが、それを細長い線材に加工することが現状では難しい。

 記録を達成したのは、同研究所名古屋高温超電導線材開発センター(名古屋市熱田区)。イットリウムなどを使った超電導物質を利用し、長さ212メートル、幅約1センチ、厚さ約0.1ミリの線材を作った。液体窒素で冷やしたマイナス196度の環境下で、245アンペアの電流を運ぶ能力がある。線材の長さと電流量を掛け合わせた指標は、米企業が先月達成した世界記録の2.5倍に上り、世界一となった。

 経済産業省は「300アンペア、500メートル」を07年度末までの目標に掲げている。責任者の塩原融・同研究所線材研究開発部長は「目標達成にめどが立った。この線材を使ったMRI(磁気共鳴画像化装置)などの機器開発を同時に進めて、実用化にはずみをつけたい」と話している。【元村有希子】

リニア実験さらに5年 コスト低減必要と評価委

2005/03/11 The Sankei Shimbun

 山梨県で走行試験中の超電導磁気浮上式リニアモーターカーについて、国土交通省の実用技術評価委員会(委員長・正田英介東京理科大教授)は11日、コストを低減するための技術開発がさらに必要だとする評価書をまとめた。

 2000年度からの5年間の実験で実用化への技術基盤は確立したとしているが、05年度以降も5年程度の走行試験を求めており、1999年に続き実用化はさらに5年以上先送りされることになった。

 評価委は、今後の課題として(1)リニアの動力源となる超電導磁石のメンテナンスを含めた一層のコスト低減のための技術開発(2)さらなる長期耐久性(3)営業線適用に向けた走行試験−が必要と指摘している。

 山梨リニア実験線(山梨県都留市−大月市、18・4キロ)では、97年4月から本格的な走行試験を実施。03年12月、3両編成による最高時速581キロの試験走行に成功、04年11月には相対速度1026キロの高速擦れ違い実験などを行ってきた。

 リニア開発を進めるJR東海は「実用化に向けた技術的条件が整ったと評価を得た。今後は、より一層のレベルアップに取り組み、超電導リニアの完成度を高めたい」とのコメントを発表した。(共同)

愛知万博「リニモ」が開業 磁気浮上式で国内初

2005/03/06 The Sankei Shimbun

 25日開幕の2005年日本国際博覧会(愛知万博)への主要交通手段となる東部丘陵線「リニモ」が6日、開業した。国内で初めての磁気浮上式リニアモーターカーの営業運転。万博会場駅を経由して藤が丘駅(名古屋市)と万博八草駅(愛知県豊田市)の間約8・9キロを結ぶ。

 始発を待つ万博八草駅には、一番乗りしようと5日午後10時半から徹夜で並んだという三重県鈴鹿市の会社員男性(19)を先頭に約60人の列ができた。

 一番列車は6日午前5時半に出発。大分県日田市から駆け付けた会社員男性(45)は「車内の見た目は地下鉄と変わらないけど、加速がいいですね。ぐぐっときますよ」と満足。愛知県大治町の中1男子生徒(13)は乗車後、「かなり速かった。揺れが少ないから乗り心地も良かった」と興奮気味に話した。

 万博八草駅から2つ目の万博会場駅に近づくと乗客は「あっ、見えた」などと歓声を上げ、開幕まで待ち切れない様子で車窓からパビリオンを眺めていた。(共同)

高温超電導モーターを開発 福井大など共同チーム

2005/01/21 The Sankei Shimbun

 高温超電導体を使ったモーターを杉本英彦福井大教授と石川島播磨重工業など7社の共同チームが開発し、このモーターで試作した直径約80センチ、長さ約2メートルの船舶用推進装置を20日、横浜市内で公開した。

 モーターはビスマス系高温超電導体のコイルを使用、液体窒素で冷やせるセ氏零下約200度で動く。出力は約40馬力だが、チームは「6800馬力まで出せる技術にめどがついた」としている。

 6800馬力のモーターが完成すれば、銅線コイルを使う既存のモーターに比べ大きさは10分の1、重さは5分の1で、エネルギー効率も約30%程度の改善が期待できる。

 超電導モーターは大電流で強い磁場が発生し、電流が流れにくくなるという問題があった。チームは磁場の発生場所とコイルを分離することでこの問題を解決した。(共同)

すれ違いの相対速度1015km、リニアが新記録

2004/11/15 読売新聞 Yomiuri On-Line
 JR東海と鉄道総合技術研究所は15日、山梨リニア実験線(山梨県都留市―大月市、18・4キロ)で、すれ違う車両同士のスピードを合わせた相対速度が時速1015キロに達し、1999年11月に記録した最速記録の時速1003キロを更新したと発表した。

上海リニア:地盤沈下発生も料金引き下げで好調

2004/05/13(木) 中国情報局
 上海リニアモーターカーの軌道がわずかに沈下している問題が以前より指摘されていたが、上海市政府の焦揚・報道官は、12日の記者会見でこの事実を認めた。しかし、同市政府は上海リニアの通常運行に支障はないとしている。中国新聞社が伝えた。

 焦・報道官は、上海リニアは比較的柔らかい地盤の上に建設されているため、今回の地盤沈下が発生したのではないかと説明。また、地盤沈下の発生はあらかじめ予測されていたことであり、すでに必要な措置を講じているとし、その上で上海リニアの安全運行に支障をきたすことはないとアピールした。

 その一方で、上海リニアの客足が伸び悩んでいる現状に関し、打開策として4月15日より料金システムを刷新。これが奏効したことに加え、大型連休などの相乗効果も大きく、上海リニアの乗客数は大幅に増加していると述べた。

 統計によると、4月15日から5月9日までの期間における上海リニアの延べ乗客数は20万人を突破。1日当たりの平均乗客数は延べ8000人に上り、その数は料金システム刷新前の2倍に相当する。最も多い日では1日当たりの平均乗客数は延べ1万2000人、大型連休中の乗車料金収入は300万元に達した。

 上海リニアは、世界初の商業リニアモーターカーで、04年1月から正式運行を始めている。開業当時は片道料金が75元と設定されていたが、15日より50元まで値下げされている。現在では、この料金刷新による効果が出ており、上海万博に向けた観光客誘導の交通手段としても注目を集めている。(編集担当:田村まどか)

上海:万博会場の「上海世博園」にリニアを開通

2004/04/17(土) 中国情報局
 上海万博事務局の黄健之・副局長は16日、「2010年上海万博計画設計国際フォーラム」の会場で、上海万博の会場となる「上海世博園」にリニアモーターカーを開通させる計画を明らかにした。中国新聞社が伝えた。

 上海リニアは、世界初の商業リニアモーターカーで、02年12月に試運転を開始、04年1月から正式運行を始めている。現在、1日当たりの平均乗客数は4000人を超え、多いときは8000人を上回る。

 今回の国際フォーラムでは、建築設計士らが上海リニアと万博との関係に言及、上海同済大学でも同園へのリニア開通が、浦東空港からの観光客を効率的に誘導できるとして討論された。また、現代建築設計(集団)公司も、公共交通のリニアへの乗り入れなどを提案している。

 上海万博の開催期間中、集客数はおよそ7500万人を超え、1日あたりの平均乗客数は40万人、多いときでは80万人の客足が予測されている。同市は、リニア以外にも水上交通などを利用することで交通渋滞の緩和を図る方針。(編集担当:田村まどか)

上海リニア:04年客運量がすでに20万人突破

2004/02/16(月) 中国情報局
  『中新網』14日付報道によると、上海リニアモーターカーが2004年に入り、40余日で客運量が延べ20万人に達したことが明らかになった。これは、すでに03年における客運量の総数を超えている。

  上海磁懸浮(リニア)公司の発表によれば、リニアの利用状況は、観光用と浦東国際空港の交通アクセスとで半々を占め、「春節(旧正月)」期間の1日当たりの乗客数は1万人を超えた。龍陽路駅から浦東空港までの所要時間は7分。交通渋滞に巻き込まれることなく時間を節約できる点が乗客にうけているほか、国内外の観光ツアーとしても人気が高いという。

  また、今年に入り事故は一度も発生しておらず、上海磁懸浮公司は、点検作業を強化して安全運転に努めていくと語っている。現在のところ、いまだ正式運行には入っていないが、開始は間もなくとみられている。

上海リニア:来年1月1日より正式運行開始へ

2003/12/23(火) 中国情報局

  『中新網』22日付報道によれば、世界初の商業リニアモーターカーのモデル運営ラインである上海リニアモーターカーが2004年1月1日から正式運行を始めることが明らかになった。

  地下鉄2号線との接続駅である龍陽路駅から浦東空港までを結ぶこの路線は、走行距離30キロメートルを複線で往復運転し、最高時速は430キロメートルに達する。ドイツの技術採用による建設で投資総額は100億元。

  上海リニアの試運転は2002年12月31日に開始され、試運転期間中は往復乗車券のみ発行の観光サービス運行で、浦東国際空港駅はオープンしていなかった。

  試運転開始直後は乗車券が入手困難な状態で、高額料金での裏取引などが出現したが、新型肺炎SARSの終息後は、乗車券を専門に扱う業者が続々と誕生。今年9月に運行を再開して以来、すでに国内外の観光客延べ50万人余りを輸送している。そのうち旅行会社によるツアー客は3−4割を占めた。

  上海ではすでに、磁浮票務センターと磁浮華友票務センターのチケット代理販売専門会社2社が設立している。磁浮票務センターは主に個人利用者の乗車券を取り扱い、片道75元、往復150元で販売。一方、磁浮華友中心は主に団体利用者の乗車券を取り扱い、片道66元で販売しており、100人以上の大型団体客については価格を相談できることになっている。

上海リニアがギネスの「最速商業列車」に登録

2003/12/04(木) 中国情報局
  『中新網』3日付報道によると、上海のリニアモーターカーが「世界最速の商業列車」としてギネスブックに登録されたことが、英ギネス社の中国における代理機関である遼寧教育出版社・ギネス申請センターにより明らかになった。

  同センターの唐日松・主任は、今月10日に「第2回ギネス中国受賞項目表彰式典」を同センターが主催すると発表。その際、英ギネス社の総裁も出席し、2003年のギネスブックに登録される世界記録の内、中国が10項目を表彰されると説明した。なお、表彰される10項目中、上海がリニアモーターカーと、世界最小の茶壷の2項目で表彰されると述べた。この茶壷は直径が6ミリ程度しかないという。

  上海のリニアモーターカーは路線の全長が29.863キロメートル、最高設計時速505キロ、実際の走行速度は平均時速430キロを記録。フランスのTGVが1995年に実験最高時速515キロを記録しているが、営業時の走行速度では平均時速360キロとなっており、上海リニアはこの記録を抜いたことになる。

  なお、2003年12月2日には、日本の鉄道総合研究所が開発を進めているリニアモーターが、山梨の実験線で時速581キロという、世界最高速度を実現している。このリニアは、上海のものとは別の方式によるもの。

最高速度579キロに更新 山梨リニア実験線

2003年11月19日 The Sankei Shimbun
 JR東海と鉄道総合技術研究所は19日、リニアモーターカーの走行試験を山梨リニア実験線(山梨県都留市、大月市)で行い、無人走行で時速579キロ、有人走行で時速570キロと、ともに山梨リニア自身が持つ鉄道の世界最速記録を更新した。

 試験は、リニアモーターカーの営業線実現に向け、安全性や耐久性などを検証するのが目的。段階的に速度を上げており、12月上旬には有人走行で時速580キロを目指す。

 これまでの無人走行での最高速度は、17日に記録した時速560キロ。有人走行は1999年4月に記録した時速552キロで、約4年半ぶりに更新した。

 JR東海は「信頼性と耐久性、安全性をより高度に確認できており、試験は順調に進んでいる」としている。

リニアモーターカーが時速560キロ記録 無人走行で過去最高

2003年11月17日 The Sankei Shimbun
 JR東海などは17日、リニアモーターカーの走行実験を山梨リニア実験線(山梨県都留市、大月市)で行い、無人走行で過去最高の時速560キロを記録した。

 実験は午前10時から午後4時半ごろまで実施。無人の3両編成の車両を係員が指令室からコンピューターで制御。午後4時10分ごろ時速560キロに到達し、1999年4月に記録した有人走行での時速552キロを更新した。

 JR東海は「今月19日と12月上旬にも速度向上試験を行い、最高で時速580キロを目指す。より高度な信頼性と耐久性を確認していきたい」としている。

上海にリニアモーターカー、実用化に加速

2003年10月08日 中国情報局
 上海空港と上海の都心を結ぶリニアモーターカーがいよいよ来春にも開通する。この中国のリニア導入に際しては、日本と技術開発競争にもなったドイツのトランスラピッドが受注し、建設している。日本のリニアモーターカーが実用化に向けた試験段階で足踏みしている間に、中国はドイツの技術を買って世界初のリニアモーターカー実用国を目指し着々と進んできたのだ。

 巨額の設備投資、決定から実行までのスピードなどダイナミックな中国であるが、このリニアモーターカーのように日本が中国に追い越される日は近いのかもしれない・・・。

上海:リニア一般開放、観光客らに大人気

2003/10/01(水) 中国情報局

 『中新網』1日付報道によると、国慶節(建国記念日)による大型連休の初日となった同日、上海ではリニアモーターカーが一般開放され大勢の乗客を迎えた。乗客の多くは、大型連休を利用して上海にやってきた市外の人々で、カメラを手に熱心に写真を撮る人の姿も。

 リニアモーターカーの一般商用化は世界初ということもあってか、9月1日から発売された予約チケットは大人気である。(編集担当:石井一三)

リニア走行距離30万キロ突破 試乗者は5万人に

2003年07月26日 The Sankei Shimbun
 JR東海と鉄道総合技術研究所が山梨県都留、大月両市の「山梨リニア実験線」で行っているリニアモーターカーの走行実験の累積走行距離が26日、30万キロを突破、試乗者も5万人に達した。

 30万キロを突破したのはこの日2回目の試乗便で、午前11時23分に山梨リニア実験センターを出発。公募で選ばれた県内の親子50組、100人が乗り込み5万人も超えた。

 車内では「30万キロを突破しました」とのアナウンスが流れると、大きな拍手が起こった。試乗後には親子の名前が入った記念の盾が全員にプレゼントされた。

 山梨での走行実験は1997年4月に開始。98年5月から一般の試乗会が始まった。

超電導:液体酸素を用い新材料開発 従来より13度高温

2003年06月26日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 国際超電導産業技術研究センター超電導工学研究所(東京都江東区)と岩手県工業技術センター(盛岡市)は26日、液体酸素を使った氷点下183度の高温状態で発生する超電導材料の開発に、世界で初めて成功したと発表した。氷点下196度の液体窒素温度で発生した従来の超電導材料より13度高温となり、今後の超電導応用の可能性が広がった。将来はロケットのジェット噴射装置や医療機器などで活用が期待できるという。

 新しい超電導体はバリウム、銅、ネオジウム、ユーロピウム、ガドリニウム、ジルコニウムの元素を混合し酸化させた。超電導体に流れる電流の限界値が、氷点下183度の液体酸素温度で、1平方センチあたり4万アンペアを記録し、超電導浮上に成功した。1平方センチ4万アンペアのエネルギーは、約2キロの物体を動かす磁力になる。

 開発を担当した同研究所特別研究員の村上雅人博士は「将来的にこの超電導体を大量生産できれば、超電導の用途が広がる」と話した。【橋本勝利】

上海:リニアの一般開放乗客数は4万6000人

2003/02/20(木)中国情報局
 

 『中新網』19日付報道によれば、上海磁懸浮交通発展有限公司では、上海のリニアモーターカーが一定の試験運転後、10月より正式な運行に突入すると発表、運行本数も当初より多めに設定、社会的ニーズに対応していくとしている。

 上海リニアは今年元旦より一般に開放され、2月16日までにすでに203回運行、その間の乗客数は延べ4万6000人程度となった。現在のところ上海リニアはテスト運行や観光目的の段階であって、平日5日間はテスト、毎週末だけ開放されている。上海リニアは全3両、そのうち1両は高級車両、2両が普通車両となっている。

 上海リニアは現在1本のレールのみを使用しており、状況を確認中。正式運行時には敷設されている2本のレールが使用されることになるが、それ以前にすれ違う時などに生じる状態などのテストを重ねることになっている。

 上海磁懸浮交通発展有限公司の経営部経理の許巨川氏は、現在のようなリニアの運行は3月9日までで、その後、週末の一般開放は継続されるものの、テストや調整の影響で、開放されなくなる可能性を指摘、ただし同社では極力週末の一般開放を続けていきたい考えを示している。(有田直矢)

中国、世界初の磁気浮上式リニアモーターカー実用化で世界にアピール

2003年1月20日 WIRED NEWS by Dermot McGrath
 中国最大の都市である上海が、世界初となる磁気浮上式リニアモーターカーの営業運転開始に向けて加速している。リニアモーターカーの最高時速は430キロに達するという。

 全長30キロの区間を走るこのリニアモーターカーは、ドイツのトランスラピッド・インターナショナル社の技術を採用し、12億ドル以上の費用をかけて建設されたもので、今年の夏にも運転を開始する。営業が始まれば乗客たちは、上海の金融街から国際空港までを約8分間で移動できる。

 ちなみにこの区間を車で移動すると、通常は45分から1時間かかる。

 リニアモーターカーでは、レールと車輪の間の摩擦が生じないことから高速走行が可能になる。車両は、ガイドウェイと呼ばれる1本の軌道から約10ミリメートル浮上して滑走する。浮力と推進力は強力な磁石によって得られる。

 リニアモーターカーはまた、驚くべきスピードで加速する。トランスラピッド社のリニアモーターカーはわずか2分間――距離にすると5キロ――で時速300キロのスピードに達する。これに対し、フランスのTGVや日本の新幹線などの既存の高速鉄道では、時速300キロに達するのに30キロの距離が必要になる。

 リニアモーターカーを推進しようとする人々によると、この技術は、従来型の高速鉄道と比べ、多くの利点があるという――保守管理作業が少なくてすみ、振動や騒音も低減されるほか、エネルギー効率がよく、排気ガスも出ない。

 ワシントンにあるトランスラピッド社の米国法人のクリストファー・ブラディー社長は「まさに機が熟した技術だ」と語る。

 一方で建設コストがかかりすぎるとして、リニアモーターカーに批判的な人もいる。さらに、商業的に運営可能な鉄道システムになり得るのかどうかの検証も行なわれていないという。

 批判的な人々は、ドイツや日本が過去何年にもわたってリニアモーターカーに資金を投じているが、どちらの国も、実際の商用路線におけるテストにこぎつけていない事実を指摘する。

 ドイツのゲアハルト・シュレーダー首相と中国の朱鎔基首相が昨年の大晦日、上海の路線を時速430キロで走行した。話題を集めたこの初走行により、リニアモーターカーの推進者たちは大いに勇気づけられた。

 両首脳とも「上海におけるテクノロジーの奇跡」について語り、中国が近い将来の構想として抱いている、より大規模なリニアモーターカーのプロジェクトでも協力し合うことを強調した。そのうちの1つは、上海〜北京間の約1300キロをリニアモーターカーで結ぶプロジェクトだ。建設コストは220億ドルに達するとみられている。

 中国はまた、ハイテク先進国に向かって邁進する自国をアピールする手段としてリニアモーターカーを重要視している。上海におけるリニアモーターカーのプロジェクトでチーフ・エンジニアを務めるウー・シャミン氏は、次のように述べる。「リニアモーターカー技術の輸入は、中国が競争力を最大限に活用し、一連の高速鉄道の建設を進めていく推進力となる。これにより新しいハイテク・セクターにおける成長が促される」

 リニアモーターカーの推進派は、上海のプロジェクトに刺激され、世界中の高速鉄道プロジェクトが動き出すことを期待している。

 米国政府は今年3月、ピッツバーグかボルティモア〜ワシントン地域のいずれかのリニアモーターカー・プロジェクトに9億5000万ドルの予算を投じる予定だ。

 ピッツバーグにおける路線は、全長76キロで、空港と市内および東部近郊を結ぶ。ボルティモア〜ワシントンの路線は、全長60キロで、両都市および、その間に位置するボルティモア・ワシントン国際空港を結ぶことになる。

 さらに全長150キロで、ロサンゼルス周辺の3つの空港を結ぶプロジェクトもある。ゆくゆくはこの路線は、440キロにわたって張り巡らされる鉄道網の中心になるという。

 カリフォルニア・マグレブ・プロジェクトのプロジェクト・マネージャーであるアルバート・パードン氏は、中国のプロジェクトは米国の政治家、政策立案者、鉄道関係者の注意を喚起するものだとして、こうした関係者には、米国の「割高で非効率」な交通システムへの対応が求められていると語る。

 「非効率で割高な交通システムのために、毎年膨大な額の金を浪費する余裕がわれわれにあるのか、自問しなければならない。たとえば、カリフォルニア州南部のドライバーたちは、年にすると1週間半もの時間を、渋滞の中で座席に座って過ごしている計算になる。そしてカリフォルニア州内や州間高速道路における貨物は、1日のうち何時間も、這うようなスピードでしか動かない」

 パードン氏は、わずか2年間で建設された上海のシステムにより、これまで否定的だった人も、リニアモーターカーが実社会において十分に実用的な技術であることを理解すると考えている。

 「一部の少数派は、リニアモーターカーを営業実績のない、未検証のSF的技術と批判するが、上海のシステムは、こうした批判を排除するのに役立つだろう」とパードン氏は話す。

 とはいえ、リニアモーターカーによって米国の交通問題が解消されるとは考えない人もいる。

 ペンシルベニア大学のバカン・バチック教授(工学)は、短距離および中距離の移動には、費用対効果のより優れた方法があると考えている。バチック教授は、昨年の『トランスポーテーション・クォータリー』誌に掲載された記事の中で「高速鉄道については、リニアモーターカーのメリットはほんのわずかしかない。それも非常に些細なものだ」と述べている。[日本語版:多々良和臣/岩坂 彰]

上海で世界初の実用リニア開通

2002年12月31日 The Sankei Shimbun
 
 世界初の実用リニアモーターカー線の開通式典が中国上海市で31日開かれ、技術を提供したドイツのシュレーダー首相と中国の朱鎔基首相らがテープカットの後に試乗し、リニアの実用性をアピールした。

 今後数カ月にわたり試運転した後、営業運転を始める見通し。試運転の結果をみて、中国が計画中の北京−上海間(約1300キロ)高速鉄道に、ドイツのリニア方式を採用するか、日本やフランスが推す新幹線方式にするか決まる見通し。

 上海リニアは同市の浦東国際空港と竜陽路間の約30キロを約8分間で結ぶもので、最高時速は430キロ。独の鉄鋼大手ティッセンクルップや電機大手シーメンスなどが上海リニア交通発展公司と契約し2001年3月に着工、総工費は約100億元(1500億円)。

 竜陽路駅のホームにはリニアの進行状況を示すモニター画面が置かれ、時速が430キロを超えると、見守る市民から「やった、やった」と歓声が上がった。

 北京−上海間高速鉄道は、2008年北京オリンピックに向け、第10期5カ年計画(01−05年)中の建設が定められているが、朱首相をはじめとするリニア派と鉄道省などの新幹線派で論争が続いている。(共同)

李鵬氏が新幹線方式を支持 北京−上海高速鉄道建設で

2002年09月24日 The Sankei Shimbun
 中国のナンバー2、李鵬・全国人民代表大会常務委員長(国会議長)は24日、人民大会堂で扇千景国土交通相らと会談、日本の新幹線方式とドイツのリニアモーターカー方式が受注競争を展開している北京−上海高速鉄道建設(約1300キロ)について「個人的にはレール方式がいいのではないかと思っている」と日本への支持を表明した。

 最近、中国側から新幹線を評価する声が相次いでいたが、中国首脳が支持を明確にしたのは初めて。新幹線の導入が極めて有力になってきた。

 李鵬氏は高速鉄道について「レールかリニアか今は技術的に検討中で、結論は出ていない」とした上で支持を表明。「(中国の)鉄道はレール方式が進んでいる」とも指摘した。

 日中国交正常化30周年の記念行事のため訪中した扇国交相が「(日本で開催された)サッカーのワールドカップでも新幹線を活用した。北京−上海線にぜひ日本の技術協力をしたい」とアピールしたのに対して応えた。

 中日友好協会の宋健会長は8月、与党有力政治家との会談で「朱鎔基首相の了解を取っている」とした上で日中合弁による新幹線技術導入を示唆。また北京の外交筋によると、江沢民国家主席に強い影響力を持つといわれる海峡両岸関係協会の汪道涵会長も今月18日に久間章生・元防衛庁長官と会談した際に新幹線への支持を表明している。(共同)

北京―天津リニアで20分の構想浮上

2002年08月17日 Yomiuri On-Line
 【北京16日=佐伯聡士】2008年北京五輪に向け、北京と天津をリニアモーターカーで結ぶ構想が浮上している。背景には、旅客の急増が見込まれる北京空港の補完的機能を天津空港に持たせる計画があり、実現すれば、“北京首都圏”の様相を一新しそうだ。

 中国筋によると、リニア構想は北京―天津の両空港間約130キロを20分程度でつなぐ。天津市共産党委員会書記を務め、同市に影響力を持つ李瑞環・人民政治協商会議主席が構想を後押ししているほか、朱鎔基首相も前向きだという。
 1999年に完成した現在の北京空港は、昨年の利用者が2400万人に上り、2008年には4000万人を突破する見込みとされる。

 政府は、天津空港の利用以外の選択肢としては、第3滑走路建設や新空港建設などの案も検討している。

 中国では現在、上海市で世界初のリニアモーターカーの営業路線が建設されており、早ければ年内にも試運転を行う方向で準備が進んでいる。

 政府は、北京―上海間でも高速鉄道計画を検討しているが、日本側が採用を働きかけている新幹線方式と、ドイツが売り込むリニア方式のいずれを採用するか決まっていない。

超電導体:世界最強を開発 リニアや環境浄化に効果

2002年07月17日 Mainichi INTERACTIVE
 国際超電導産業技術研究センター超電導工学研究所(東京都港区)と岩手県工業技術センターは17日、液体窒素温度(氷点下196度)の高温状態で世界で最も強力な超電導体を開発したと発表した。3、4年後の実用化を目指しており、リニアモーターカーや環境浄化システムへの利用が期待できるという。

 新しい超電導体は、ネオジウム、ユーロピウム、ガドリニウムの3元素を不均等な比率で混合し、開発した。この混合物質を氷点下196度に冷却して電流を流したところ、15テスラ(1平方センチあたり900キログラム)という強い磁力が生じた。この温度での従来の記録は、同じチームが開発した7テスラだった。

 電気抵抗がない超電導体は、液体ヘリウム温度(同269度)の低温では実用化が難しく、実用化しやすい高温状態で強力な磁力を作ることが課題だった。

 同研究所の村上雅人第3研究部長(47)は「磁力を利用し開発が進んでいるリニアモーターカーや、赤潮除去装置、流失原油の回収装置などで大きな効果が期待できる」と話している。 【工藤哲】

中部エイチ・エス・エス・ティ開発(株)と仏アルストーム社ならびに伊藤忠商事(株)が都市交通型磁気浮上式リニアモーターカーに関する共同研究開発で基本合意−HSSTシステムの世界展開に向けた取り組み− (2002/02/12)
 中部エイチ・エス・エス・ティ開発(株)(資本金30億円、名古屋市中村区名駅南1丁目、社長 関谷崇夫、以下/中部HSST開発(株))とフランスの大手鉄道システムメーカーであるアルストーム社(ALSTOM Transport S.A.アルストーム トランスポート エス・エイ本社)ならびに伊藤忠商事(株)の3社は、中部HSST開発(株)が開発したHSSTシステム(都市交通型磁気浮上式リニアモーターカー)について、このほど世界展開に向けた共同研究開発に関する基本合意に至り、2月12日(火)に覚書を締結しました。

 これは、2005年に開催される愛知万博会場へのアクセスとして、東部丘陵線に採用が決定しているHSSTシステムが、環境性や経済性に優れた新たな都市交通機関として着目されるなか、同システムの技術を保有する中部HSST開発(株)と、同システムの市場拡大の可能性を探るアルストーム社、ならびにかねてより中部HSST(株)の海外窓口業務を全面的に受託している伊藤忠商事(株)の3社間で、同システムの世界展開への取り組みの準備段階として、その可能性を検討するための基本合意に至ったものです。

 締結後は、1年間にわたり、HSSTシステム技術の改良の可能性や世界市場における競争力の可能性を確認するシステムスタディーのほか、販売対象の特定や世界市場における需要見通し、販売戦略を検討するマーケットスタディーを実施します。その後、各社の協力形態や担当業務に関する協定書の締結を経て、世界展開に乗り出すことになります。

 中部HSST開発(株)は、名古屋鉄道(株)が中心となって設立した会社で、HSSTシステムの実用化を目指してこれまで開発を進めてきました。HSSTシステムは、常電導マグネットで車体を浮上させ、リニアモーターで走行する鉄道輸送システムで、これまで実験線(名古屋市南区)によるさまざまなテストを繰り返し、走行試験に伴う結果分析など、すべての作業が完了しており、従来の交通システムに比較し、優れた性能(安全性・経済性・環境配慮)をあわせ持つ有力な都市交通機関であることが立証されています。 また、アルストーム社は、鉄道車両・信号・通信・変電・運行管理等サブシステムの供給のみならず、これらを取りまとめた鉄道システムを供給できる世界有数の鉄道システムメーカーであり、世界シェアの約20%を占めています。

愛知万博で建設のリニア普及、伊藤忠と名鉄が研究開始

2002年2月12日YOMIURI ON-LINE ODN News
 伊藤忠商事と名古屋鉄道は12日、フランス最大の鉄道システムメーカー「アルストーム社」(本社・パリ)と共同で、2005年の愛知万博会場への交通機関として建設される磁気浮上式リニアモーターカー(HSST)を、世界各国に販売するための研究を始めると発表した。今秋をめどに正式に提携する方針だ。

中国:国産リニアモーターカーが完成 国内では初めて

2001年8月15日 「人民網日本語版」
 中国初の国産リニアモーターカーが14日、長春客車工場で完成した。中国が、ドイツと日本に続き、リニア技術の応用に成功した3番目の国となった。

 リニアモーターカーは超電導磁気で車両を浮上させて走行する。線路と車両の間は8〜10ミリ離れており、直線電機駆動システムが採用されている。運行時速は60キロ、試験での最高時速は100キロに達している。車両は長さ11.2メートル、幅2.6メートル、重さ2トン、28座席。線路と車両の間の摩擦による抵抗力がないため、揺れが少なく乗りごこちがよいほか、騒音も小さく、環境に優しいなどのメリットがある。

 成都市青城山で各性能テストを受け、合格後、営業運転が開始される予定。

中国初のリニアモーターカー主線路建設

2001/06/13中国情報局
 中国鉄道16局と上海建工グループによるリニアモーターカーの主線工程が今月11日、上海の浦東新区で正式に竣工した。これは国内初の商業運営リニアモーターカー導入の主線路建設となる。

 上海リニアモーターカー交通規定建設項目によると、今回のリニアモーターカーは時速430キロメートル設計で、総投資額は89億元、主線工程の全長は29.863キロメートルとなっており、2003年3月には完成し、商業運行が開始される見通しである。

世界初の実用リニア、上海で起工 2003年完成目指す (2001.03.01) asahi.com

リニアモーターカーの建設を開始 上海

2001年01月28日「人民網」
旧正月を迎えたこの時期、上海リニアモーターカープロジェクトの設備およびサービスに関する調印式が上海で行われた。これにより上海でのリニアモーターカープロジェクトが正式にスタートした。

上海リニアモーターカープロジェクトは、西の起点である地下鉄二号線の龍陽路駅から東の国際空港までの全長33キロメートルで行われる。設計最大時速は430キロ、片道の運行時間はわずか8分間。近く工事が開始され、2003年初めには試験走行がスタートする。リニアモーターカーの導入により、市内から東浦国際航空までの所要時間が大幅に短縮される。

リニアモーターカー来年施工スタート

Magazine11月号by WALKER ONLINE
 浦東龍陽路から浦東国際空港を結ぶ全長35キロのリニアモーターカーの施工工事が、 来年初頭にも始められる。完成は2003年初の予定。開通後は龍陽路から空港までわずか 7、8分で行けるようになる。切符は1人50元前後。

中国の朱鎔基首相、山梨でリニアを視察 (2000.10.16) asahi.com
 中国の朱鎔基首相は16日午前、山梨県都留市を訪れ、JR東海のリニアモーターカー実験線を視察した。中国は北京―上海間に高速鉄道の建設を計画しており、車種の選定の参考にするのが狙い。

リニア、北京での実験線は無理 運輸相会見 (2000.10.10) asahi.com

山梨リニア実験線視察試乗会開催


ドイツ訪問の中国首相、リニアモーターカー実験線に試乗 (2000.07.03) asahi.com

運輸省がリニア鉄道の実用技術を評価−2000年度から開発第2段階に

sat, 11 Mar 2000, 3:34pm JST by Bloomberg.com
 東京 3月9日(ブルームバーグ):運輸省は9日、「超電導磁気浮上式鉄道実用技術評価委員会」を開き、JR東海鉄道総合研究所が主体となって進めているリニア高速鉄道の技術開発に関する報告書をまとめた。報告書は、97年度から99年度の間に行われた走行試験のデータをもとに、リニアの走行性能、輸送能力、経済性などの点で「実用性がある」と評価。これにより、開発の第1段階は終了、2000年度からは第2段階に入ることになる。

運輸省は、技術開発と走行実験の継続を承認し、JR東海は新型車両の開発に着手する方針。

 リニアの開発が本格化したのは、旧国鉄が民営化された直後の87年。 東海道新幹線を引き継いだJR東海が、将来の大幅な需要増を前提に、新幹線の輸送力増強計画を立案した中で具体化した。90年には、運輸大臣の通達でJR東海と鉄道総合研究所がリニアの研究開発・実験を共同で行うことになり、山梨県に実験線を建設することが決まった。

 現在、山梨リニア実験線の延長距離は18.4キロメートルで、車両数は5両編成。94年の実験では、人を乗せた状態で時速431キロの走行に成功した。その後は走行試験を繰り返し、98年には、すれ違いの走行試験も実施。

 99年には、人を乗せた走行実験で、時速552キロという最高時速を記録した。

 3月7日現在の累積走行距離は7万1058キロメートル、累積試乗人数は7579人。

 こうしたことを受けて、報告書は、時速500キロ前後で安定走行ができる技術のほか、運行管理システム、送電設備、耐久性などを含めた基本性能が、実用可能な水準に達したことを確認。さらに、輸送能力目標として掲げている「14両程度の車両編成で、1時間当たりの片道輸送能力がピーク時で1万人」についても、十分に実用性を認めている。

 今回、承認された2000年度から2005年度までの第2段階の開発では、リニアの走行テストを継続し、1)長期的な耐久性、2)車両の空気抵抗を減らすためのさまざまな技術開発と、そのコスト低減効果――などを検証する。

 報告書では技術開発の評価にとどまっているが、技術的な性能がクリアされたとしても、設備維持費、電力費などの運営費や建設費をどれだけ抑えられるか、という課題が残る。リニアの総工費は5兆円とも10兆円ともみられているが、JR東海では「建設費は東海道新幹線の1.2倍程度で済む見通し」(江尻良・東京広報室長)と試算している程度。

 運営費についても「運転手を置かないので、運転業務費などの運営コストは東海道新幹線より大幅に減る。消費電力も、東海道新幹線の3.4倍かかると当初は見込まれたが、推進コイルの単層化、車体改良による空気抵抗の削減などで、東海道新幹線の3倍程度に収まる」と、コストの軽減が進められていると説明した。

リニア試験さらに5年

2000年3月9日 16時52分
 山梨リニア実験線(山梨県都留市〜大月市、先行区間18.4キロ)で走行試験中の超電導磁気浮上式リニアモーターカーについて、運輸省の実用技術評価委員会(委員長・正田英介東京理科大教授)は9日、「2000年度以降も5年程度、走行試験を継続すべきだ」とする最終報告をまとめた。

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