TOPIC No.5-9 エイズ/薬害エイズ

01. エイズ フォーラム
02.  薬害エイズ事件 Pol-Words Net
03. HIV Web Dictionary by 厚生省・エイズ治療薬研究班
04. 中四国エイズセンター
05. ライフ・エイズ・プロジェクト(LAP) - HIV感染者・エイズ患者への社会的支援活動を行っている非営利団体LAPのホームページ -
06. 財団法人 エイズ予防財団
(Japanese Foundation for AIDS Prevention)
07. エイズ予防情報ネット(AIDS Prevention Information Network)


エイズ訴訟で原告1人が暫定和解 国が請求の一部仮払い

2010年05月31日 中国新聞ニュ−ス

 大阪地裁で係争中の薬害エイズ訴訟の原告3人のうち、発症により健康状態が悪化している1人について、国が請求金額の一部を仮払いすることで和解が成立したことが31日、分かった。国は金額について「公表は差し控える」としている。

 原告側弁護団によると、今回の和解は暫定的な救済措置で、国がこのような対応を取るのは異例。訴訟自体は継続するが、弁護団は「原告の状況を理解し、和解に応じてもらったことを率直に感謝したい」と評価している。

 訴訟では、大阪地裁が3月、国と製薬会社5社が1人当たり2800万円を支払うことなどを条件に和解するよう勧告。一方、弁護団によると、5社のうち1社が受け入れに難色を示している。

 原告側は、和解勧告を受け入れられないとの回答を受け、4月、4500万円を仮払いするよう仮処分を申し立てた。和解は20日、国が「(原告の)固有の事情を踏まえて」一部を支払うとの内容で成立した。

エイズ感染・患者が最多32人

2010/05/28 中国新聞ニュ−ス

 2009年に新たに報告された広島県内のエイズウイルス(HIV)感染者とエイズ患者の数は、計32人と過去最多に上ったことが県の調べで分かった。一方、保健所などでHIV検査を受けた人の数は7年ぶりに前年を下回った。県や広島市は、HIV検査普及週間(6月1〜7日)に合わせ、臨時検査や講演会を開く。

 HIV感染者は24人で前年から9人増えた。エイズ患者は8人で1人増。年代別の感染者と患者の割合は、30代37・5%、40代25・0%、20代18・8%と続いた。すべて性行為による感染だった。検査数は3256件。前年を419件(11・4%)下回った。県は、新型インフルエンザの影響で、検査に訪れる機会が減ったのが原因とみる。

 とうかさん中日の5日には、広島市中心部で感染防止に向けたイベントが相次ぐ。県臨床検査技師会などは午後2〜8時、中区の並木通り周辺でパンフレットやコンドームを配布。中区新天地のユノ川クリニックに、予約なしで無料検査できる臨時会場を設ける。

 県は午後2時から、中区堀川町の広島丸善ビルで、エイズ予防法を伝える若者向けの無料講演会も開催。会場内に県立広島大(三原市)の学生が、同世代とエイズについて語り合う場「エイズカフェ」(無料)も開く。

 1〜9日は、県の保健所や広島市各区の福祉センターが無料検査の時間を伸ばす。県健康対策課=電話082(513)3175。市保健医療課=電話082(504)2622。

ニュースBOX:エイズ検査で期限切れ採血管使用判明 /茨城

2010年05月28日 毎日新聞 地方版

 県保健予防課は27日、古河保健所と常陸大宮保健所で実施したエイズ検査で使った採血管の使用期限が切れていたと発表した。検査結果が正常に出ていることなどから、結果への影響はないというが、心配な人は古河保健所(電話0280・32・3021)及び常陸大宮保健所(電話0295・52・1157)で相談を受け付ける。

 同課によると、使用期限切れの採血管が使われたのは▽古河保健所で09年11月10日〜今月18日までに検査を受けた53人▽常陸大宮保健所で今年4月5日〜5月17日までに受けた6人。古河保健所が検査後の18日、期限切れに気づき、県に報告。県が他の保健所を調査したところ、常陸大宮保健所でも期限切れ採血管の使用が判明したという。今後は、期限切れ採血管は、すべて業者が回収するなど再発防止に努める。

アフリカ:HIV/エイズへの支援減額で広がる治療格差

2010年05月27日 国境なき医師団(MSF)

 国境なき医師団(MSF)は27日、HIV/エイズ対策への国際的な資金援助の後退が及ぼす影響をまとめた調査報告書、「立ち止まれない:HIV/エイズ治療格差が広がるアフリカ」を発表した。この報告書では、金融危機などを経て各国の支援金が減るなか、これまでに順調だったエイズ関連の病気への取り組みが弱体化し、多くの人びとが命を落とす危険性を指摘している。 MSFは、HIV/エイズ治療への壊滅的な打撃を回避するため、各国政府と支援金拠出機関に対し、対策を見直すよう呼びかけている。

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 この報告書は、アフリカのサハラ砂漠以南に位置する8つの国の状況を分析対象とし、米国大統領エイズ救済緊急計画(PEPFAR)、世界銀行、国際医薬品購入ファシリティ(UNITAID)などの国際的な資金拠出機関や、世界エイズ・結核・マラリア対策基金(世界基金)に資金援助をする各国政府が、この1年半の間、抗エイズ薬(ARV)治療を含むHIV/エイズ対策支援金の削減や凍結、上限額の設定などを決めたことを踏まえ、これらの動きが治療の現場に与える致命的な影響について警告している。

 医薬品の在庫不足と供給の中断はすでに発生しており、早期に支援金が注入されない場合、この状況はますます悪化するとみられる。最近、MSFはマラウイ、ジンバブエ、コンゴ民主共和国(DRC)、ケニア、ウガンダの各国政府ならびに他の援助団体から、医薬品の緊急援助を要請された。

 援助減額の影響を受け、南アフリカ、ウガンダ、DRCでは、新規にARV治療を開始できる患者の数が従来の6分の1にまで減少している。早期治療が実現できずに重症化し、より集中的な治療が必要な患者の来院数が増えている。現場では、もともと脆弱だった医療体制が限界に達しているうえ、服薬の中断により、治療の失敗や薬剤耐性のリスクも懸念されている。

 調査報告書を執筆したMSFの医療対策アナリスト、ミット・フィリップス医師はこう語る。

 「HIV/エイズ対策を途中で投げ出し、まるで危機が去ったかのように偽ることなどできるのでしょうか?世界中でARV治療を至急に必要としている900万人のうち、3分の2はサハラ砂漠以南のアフリカ諸国に住む人びとです。ARV治療の導入以降、めざましく発展してきたHIV/エイズ対策を、根底から脅かすことになります」。

 PEPFARは2009-10年、ARV購入にあてる予算を減額し、HIV/エイズ対策の予算凍結を決定した。UNITAIDと世界銀行も今後、マラウイ、ジンバブエ、モザンビーク、ウガンダ、DRCを対象としたARV購入の資金援助を減額する方針を打ち出した。

 世界基金はHIV/エイズ対策に最も多くの資金を提供しているが、米国やオランダ、アイルランドなどが同基金への支援金を減らす方針を打ち出し、深刻な資金不足に直面している。現在までに支援金の承認を受けている国々では、2009-10年の充填額が8-12%も減少した。

 ケニアで治療を受けているHIV陽性患者、キャサリン・マンゴーは語る。

 「支援金の削減は多くの人びとの死を意味し、大勢の子どもたちが孤児になるということでもあります。HIV陽性患者の多数は、自分の子どもなど、家族をサポートする役目も担っているからです。人びとは希望を失い、命を落とします。これが終焉なのです。薬がなければ未来もありません」。

「HIV検査を受けに行こう!」蒼井そらさん厚労省で訴え

2010.05.24 MSN産経新聞

HIV検査普及週間のキャンペーン活動のため、厚生労働省で会見したタレントの蒼井そらさん=24日午後、東京・霞が関の厚労省(豊吉広英撮影

 6月1〜7日に行われるHIV検査普及週間に先立ち、同週間のキャンペーン活動に参加するラジオDJの山本シュウさん(46)とタレントの蒼井そらさん(26)が24日、厚生労働省で会見し、「HIV検査を受けに行こう」などと訴えた。

 2人は30日午後7時からインターネット動画配信サービス「ニコニコ動画」で生放送される番組「RED RIBBON SUMMIT2010〜HIV検査数向上大作戦〜」に出演。番組では若者を中心に、HIVやエイズの正しい知識を伝えるとともに、HIV検査の重要性などを訴えていくという。

 山本さんは「大昔から、命を守るためには人を思いやる優しさが大事だと伝えられてきた。自分たちの身内が今、HIVに感染しているという感覚で参加してくれればうれしい」。蒼井さんは「動画でみなさんとつながって、(HIV検査について)話し合っていけたらな、と思っています」と話し、キャンペーンの参加を訴えた。

 国内のHIV感染者やエイズ患者の新規報告数が増加傾向にある。同週間は厚労省とエイズ予防財団が主唱しているもので、6月1日には街頭キャンペーンを行うほか、同月6日にはJR渋谷駅近くの特設検査所で、NGOと協力し、HIVの無料検査を実施するという。

著名エイズ活動家、中国脱出

2010.05.11 MSN産経新聞

 AP通信によると、中国の著名なエイズ患者救済事業活動家、万延海氏が11日までに、妻と4歳の娘とともに米国に逃れた。エイズ患者の政府への賠償請求活動などを支援してきた万氏は「政府の攻撃が深刻になり身の危険を感じた」と述べ、政府の監視下にあった自らを「かごの鳥」と表現した。中国当局は今年に入り、政権の脅威となりうる活動家に対する締め付けを強化している。(北京 川越一)

感染者の入国禁止を撤廃 中国、エイズやハンセン病

2010.04.28 MSN産経新聞

 中国政府は27日、エイズウイルス(HIV)感染者やハンセン病患者の入国禁止措置を撤廃したと発表した。上海万博開幕を前に、国外から差別的との批判があった措置を廃止することで、開かれた姿勢をアピールする狙いがあるとみられる。

 中国政府は、入国管理法実施細則でHIV感染者やハンセン病患者の入国を禁止していたが、細則を改定した。これまで、短期滞在者は入国時にHIV感染の有無を申告し、長期滞在者は入国前に血液検査による証明が必要とされていた。

 国連合同エイズ計画(UNAIDS)は27日、「中国政府の決定を歓迎する」との声明を発表。UNAIDSによると、約50の国と地域で、HIV感染者の入国、居住の制限があるといい、米国も今年1月に制限を撤廃したばかり。(共同)

中国のエイズ禍、“亡命”の医師が米議会で告発

2009.12.06 MSN産経新聞

3日、米下院で中国のエイズ問題について発言する高耀潔医師(山本秀也撮影)

 【ワシントン=山本秀也】中国で売血による深刻なエイズ禍を世界に告発してきた著名な女医、高耀潔さん(82)=写真=が、中国当局の監視を逃れ米国に事実上亡命した。1日の世界エイズデーをはさみ、ワシントンで渡米後初めて公式の場に姿を現した高さんは、米議会などで「中国のエイズ禍の根源は、政府が真相を隠す血液ビジネスの利権に他ならない」と訴えた。

 高さんは、1990年代から地元の河南省で、売血を介したエイズウイルス(HIV)感染が急速に広がっている実態を独自に調べ、内外に告発を続けてきた。活動は国際的に高く評価された半面、国内では実態隠しを図る中国当局により、行動監視や外部との接触制限などを受けてきた。

 高さんによると、河南省内の自宅の電話が今年5月に切断されたことで危険を察知し、四川、広東各省に逃亡。さらに、四川大地震の被害実態を告発した活動家の訴追を知って最終的に出国を決意し、8月に米国へ渡った。米国では、中国民主化組織「チャイナ・エイド」(ボブ・フー会長)の助けを受け、テキサス州内で情勢を静観していた。

 米国への渡航は、人権賞受賞のためワシントンを訪れた2007年以来だ。高さんは、前回の訪米期間中、中国の監視要員に毎晩、当日の活動状況をひそかに報告させられていたことを告白。今年2月に訪中したクリントン米国務長官の招きで北京に上京したときには、警察に面会を阻止されたことも明らかにした。

 米議会で3日発言した高さんは、エイズ禍に関する司法への告訴が事実上受理されない中国の現状を指摘し、金品供与や昇進などの「アメ」と、脅しや投獄の「ムチ」で、告発者がコントロールされている実態を報告した。

 さらに、エイズ禍を広げた血液ビジネスには、衛生当局の官僚らによる構造的な汚職が深くかかわっていることも詳述。「エイズ問題は中国の経済発展にもやがて影響する。ごまかしは通じない」と訴えた。

エイズ禍告発の女医亡命 中国、8月ひそかに出国

2009.12.02 MSN産経新聞

 中国で当局が隠ぺいしていた売血や輸血によるエイズ禍を告白し「アジアのノーベル賞」といわれるマグサイサイ賞など多数の賞を受賞した女医、高耀潔さん(82)が8月にひそかに出国し、米国に事実上亡命していたことが2日、分かった。

 高さんが人権団体を通じて発表した声明などによると、高さんは今年5月に鄭州市を出発、北京市、四川省成都市などを経由し、米国の人権団体などの協力を得て米国へ出国。高さんは中国内で発表できなかったエイズ禍の実態を明らかにする著作に専念するという。

 高さんは長く軟禁状態にあっても出国する考えはなかったが、四川大地震で多数の子どもたちが犠牲になった校舎倒壊の真相究明をしていた環境保護活動家、譚作人氏が今年3月、国家政権転覆扇動容疑で捕まったのを知り、自分も危ないと出国を決意したという。(共同)

HIV陽性の全乳児にエイズ治療 南ア大統領が表明

2009.12.02 MSN産経新聞

 南アフリカのズマ大統領は「世界エイズデー」の1日、エイズウイルス(HIV)検査で陽性と判明した1歳未満のすべての乳児に治療を提供すると発表した。

 同国のHIV感染者は推定約570万人で世界最多。1999〜2008年のムベキ政権の「無策」が感染を拡大させたとの批判が根強く、ズマ政権はエイズ対策への積極姿勢を明確にした形。

 これまではエイズが進行した患者にのみ治療を提供していた。ズマ氏は演説で「この政策で乳児死亡率が劇的に下がるだろう」と述べた。

 英BBC放送(電子版)によると、南アでは毎年5万9千人の乳児がエイズに感染した状態で誕生するという。(共同)


エイズ治療の見返りに性行為強要=感染女性が告発―インド

2007/12/22 時事ドットコム

【ニューデリー22日AFP=時事】22日付のインド紙タイムズ・オブ・インディアによると、北部のパンジャブ州に住むエイズウイルス(HIV)感染者の女性がエイズの治療や検査の見返りに性行為を強要されたとして、医療関係者を告発した。

 同紙によれば、問題が起きたのは州都チャンディガルにある医療施設。被害女性の大半は、スラム街に住む若い女性という。

 2005年にHIVに感染していると診断された27歳の女性は同紙に対し、「この施設の医療関係者から医療行為や検査を受けた。しかし、彼の目的は性的欲求を満たすことだった」と証言した。この女性は、医療施設のエイズ研究機関の職員に他の女性を紹介するよう求められたという。

 国連の統計によると、インドには推定で250万人のHIV感染者がいる。05年の時点では570万人と推定されており、感染者は急速に減っている。 〔AFP=時事〕

HIV新規感染者が最多 4−6月、270人

2007年08月07日 中国新聞ニュース

 厚生労働省のエイズ動向委員会(委員長・岩本愛吉東京大教授)は7日、今年4月からの3カ月間に国内で新たに報告されたエイズウイルス(HIV)感染者数は270人で、四半期ベースで過去最多だったと発表した。新規エイズ患者数は110人で過去2位。

 これまでの新規感染者数の最多は昨年4−6月の248人だった。

 今年4−6月の全国でのHIV検査件数は、3万7143件と前年同期に比べ大幅に増加。岩本委員長は「検査件数の伸びが感染者数を押し上げた面はあるが、検査が減少した時期も感染者は増え続けており、感染そのものが増えていると考えざるを得ない」と述べた。

 感染者270人の内訳をみると、性別では男性が251人と圧倒的に多く、感染経路別では日本国籍男性の同性間性的接触が175人と最多。年齢別では20−30代が76%と大半を占めた。

京大に国連エイズセンター アジア感染抑制へ予防研究

2006/09/29 The Sankei Shimbun

 HIV/エイズの研究拠点として京都大に「国連合同エイズ計画共同センター」が設置され、センター長に就任した木原雅子京都大助教授(社会疫学)が29日、今後の取り組みを発表した。

 アジアで急増する感染を抑制するため、予防研究を最重点に活動。各国の文化を考慮した教育プログラムを開発し、対策に取り組む人材を育成する。予防に成功した事例を集め、研究結果は政策支援に向けて各国政府に提供する。

76%の施設が感染者受け入れず エイズに厚い壁

2006/09/14 中国新聞ニュース

 エイズウイルス(HIV)に感染した人が障害や慢性症状を抱え、療養病床や介護施設などで長期療養を希望しても、そうした施設の76%が「受け入れを考えていない」と門を閉ざしていることが十四日、国立病院機構東京病院の永井英明・呼吸器科医長らの全国調査で分かった。

 エイズへの知識不足などが主な理由。国内で報告されたHIV感染者(エイズ患者を含む)の累計は一万二千人を突破、エイズの発症や進行を抑える治療法の進歩でHIVと「共に生きる」ことは可能になったが、感染者が安心して医療や介護を受けられる社会とは程遠い現状が浮かんだ。

 調査は昨年九月から今年一月、療養病床のある病院と介護老人保健施設、特別養護老人ホーム、重度障害者や難病患者らが入る「障害者施設等入院基本料」の基準取得病院(障害者病棟)を対象に実施。全国すべての対象施設に質問票を送り、全体の32%の約三千七百施設が回答した。

 それによると、HIV感染者の受け入れ基準を決めている施設は全体の2%と少なく、特別養護老人ホームと障害者病床の68%、介護老人保健施設の77%、療養病床の84%が「受け入れを考えていない」とした。

 受け入れない理由は「診療できる医師がいない」(68%)が最も多く「受け入れ経験がない」「エイズ知識が乏しい」「職員への感染リスク」などが続いた。医療保険を使う療養病床などでは、診療報酬上、検査料や治療費が定額となっており、高額なHIVの治療薬を使うと施設側の負担となるため「経営上受け入れ困難」との声もあった。

 実際に感染者から問い合わせを受けた施設は六十五カ所(2%)で、そのうち半数は「受け入れ経験がない」などの理由で断った。

 HIV脳症などを発症した患者の中には、治療で免疫機能が安定しても脳障害などが残り、長期療養の必要な人が増えているという。

 永井医長は「感染者が高齢化すれば受け皿はもっと必要になる。施設職員の研修や治療費の支援、エイズ専門医との連携など、受け入れ体制を全国的に整える必要がある」と話している。

エイズによる中国の経済損失、今後5年間で4兆円超に

2006/06/12 The Sankei Shimbun

 【北京=福島香織】HIV感染が深刻化する中国で、エイズによる国内の経済損失が今後5年間で3000億元(約4.2兆円、1元=約14円)を超えるとの見通しが明らかになった。中国性病エイズ予防センター首席科学者の曽毅氏の報告を国営新華社通信が伝えたもので、マクロ経済への直接的影響が懸念されはじめている。

 報告によると、2006〜10年の間に、HIV感染で喪失する労働力は元に換算すると2855.7億元、農業生産に与える損失は164.5億元という。

 中国では昨年だけでエイズによる死者が2万5000人。国連の推計によると、今後20年でエイズによる中国人の死者は1800万人に上るとされ、労働力喪失による社会生産の低下や高齢化を加速させるとみられている。さらにエイズ医療費の増加が今後5年で3108億元と推計され、財政を圧迫することも懸念されている。

エイズ・ワクチン・デー「日本の援助わずか1%」

2006/05/18 The Sankei Shimbun

≪国際NPO、開発資金の協力呼びかけ≫

 世界で年間300万人もの命を奪っているエイズ。18日は安全で有効なエイズワクチン開発への支援を呼びかける「世界エイズ・ワクチン・デー」だった。ワクチン開発を促進する国際NPO(民間非営利団体)などは「日本はワクチン開発にほとんど資金援助していない」と積極的な協力を呼びかけている。

 国連合同エイズ計画(UNAIDS)によると、昨年の世界のエイズウイルス(HIV)感染者数は4000万人以上にのぼる。アフリカ諸国で拡大に歯止めがかかる兆候がみられるが、東アジアや東欧、中央アジアで急増。日本でも感染者は増え続けている。

 1997年、当時のクリントン米大統領が「エイズの流行を終焉(しゅうえん)させるためにはワクチン開発が不可欠」と世界に向けて訴えたことを機にワクチン・デーが創設された。しかし、ワクチンの開発にはいたっておらず、約30種類の臨床試験が行われている段階だ。

 NPO「国際エイズ・ワクチン推進構想(IAVI)」(本部・米ニューヨーク)と「エイズワクチン開発協会(AVDA)」(東京)によると、ワクチン開発のための2004年の投資総額は約6億8200万ドル(約750億2000万円)で2年前の約2倍。その約90%は公的資金でまかなわれており、米国は全投資額の76%を占める5億2600万ドル(578億6000万円)を拠出したが、日本の投資額は1%前後だった。

 AVDAの川初美穂理事は「民間企業が積極的にワクチン開発に取り組めるよう、政府として、税制優遇措置を図るなど枠組みをつくる必要がある」と訴えている。

エイズ感染・発症、1199人…2年連続で千人突破

2006年04月28日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 昨年1年間にエイズウイルス(HIV)に感染した人と、エイズを発症した人の国内での報告数は、過去最高の1199人で、2年連続1000人を突破したことが、厚生労働省エイズ動向委員会の調査でわかった。

 先月末までの感染者数と患者数の累計は1万1326人になった。

 同委員会によると、昨年、日本人の新たな感染者・患者の合計は1043人で、男性が1000人と大半を占めた。99年以降、日本人の男性間の性的接触による感染が急増しているが、昨年も日本人の643人が男性間の感染だった。

 委員長の岩本愛吉・東大医科学研究所付属病院長は「特に10代後半から30歳代にかけての若い男性の性感染が増えており、学校現場などでの教育や啓発が大事だ」と話している。

 同省は感染者の増加について、「感染者を早期に発見する体制を整備していることも一因。今後は感染の危険が高い若い男性に対し、重点的に対策をとる必要がある」としている。

河南省のエイズ感染者、中国当局が自宅軟禁に

2006/03/11 The Sankei Shimbun

 国際人権監視団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(本部ニューヨーク)は11日、北京で開催中の中国全国人民代表大会(全人代)へ陳情に訪れようとした河南省のエイズウイルス(HIV)感染者らが当局から自宅軟禁にされていると発表した。

 河南省は売血によるHIV感染が深刻で、感染者らは国による賠償を要求。軟禁下に置かれたことで、治療などにも支障が出ているという。

 同団体関係者は「救済を求める発言すらできなくなっている」と中国当局を非難した。

 中国衛生省によると、昨年時点で中国全土の感染者数は約65万人。エイズで親を失った孤児も多数いると推定されている。(共同)

エイズ予防へ「管理売春」提案 中国、全人代で議論

2006/03/11 The Sankei Shimbun 【東京朝刊から】

 【北京=福島香織】北京で開催中の全国人民代表大会(全人代=国会に相当)で、エイズ予防の観点から管理売春の必要性が提案され、議論の行方に注目が集まっている。今のところ売春が合法化されることはないとみられるが、中国ではエイズ患者がすさまじい勢いで増えており、提案はエイズ問題が全人代で管理売春まで議論せざるを得ないほど、大きな問題となっていることを浮き彫りにしている。

 提案したのは遅夙生・黒龍江省代表。30人の代表の支持を集めた上で「性産業従事者は健康検査を義務付け、性病およびHIV感染拡大防止を講じなければならない。この意見は伝統的倫理や道徳とは衝突するだろう」と述べた。さらに「HIV感染したまま売春を行う女性が多く、社会の脅威となっている」などと強調した。

 この提案は、中国メディアでも報道され「売春婦自身が公にレッテルをはられたくない」「ニセの証明書が出回るから意味がない」「税収増につながる」「西洋でも合法化しているところは多い」と、賛否両論がネット上に寄せられている。最近のネット・アンケートでは売春の合法化賛成が64%、反対が28%という。

 中国では、売春婦は政府系シンクタンクの推計によると、600万人とも1200万人ともいわれ、組織的な斡旋(あっせん)売春は最高で死刑となるが、農村女性にとっては貴重な現金収入を得る手段だ。ただ、今年1月の衛生省の発表によると、雲南、四川省などのエイズ蔓延(まんえん)地域では、売春婦の100人に1人以上が感染者とされる

HIVが熟年女性に拡大の懸念

2005年12月12日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 50歳以降に初めてエイズウイルス(HIV)感染がわかる女性のうち、体調不良などで偶然見つかる場合が4割強に上ることが、エイズ治療の基幹的病院である東京都立駒込病院感染症科の調査でわかった。

 エイズは性行動の活発な若者の病気というイメージが強いが、調査を担当した看護師の堀成美さんは「中高年にも新たな出会いが広がり、リスクが低いとされた熟年以降に感染が広がる懸念もある」と警告している。日本エイズ学会で発表した。

 1986〜2004年に、同病院でHIV感染が初めて確認された50歳以上の女性は14人で、50歳代が8人、60歳代が6人だった。このうち「夫などのエイズ発症、感染」をきっかけに感染がわかったのは57%。「自分の体調不良」「他の疾患の治療」がそれぞれ21%と、自ら進んで検査を受けた例はなかった。

 閉経前後の女性は、寝汗、微熱などのエイズ関連症状を加齢に伴うものと医師も本人も判断しがちで、見落とされる可能性があるという。

 50歳を過ぎた女性のHIV感染は、日本ではまだ少ないが、欧米では増加傾向にある。感染予防に有効なコンドームも閉経後は「妊娠しないから」と使用継続が難しいのが実情だ。

WTO、エイズ薬の特許保護緩和へ 途上国への供給拡大に道

2005/12/07 The Sankei Shimbun

 世界貿易機関(WTO)は6日、一般理事会を開き、アフリカなどの発展途上国がエイズなどの治療で安価な「コピー薬」を調達しやすくするため、医薬品の特許権保護の在り方を定めた知的財産権に関するWTO協定の修正を決めた。

 2007年12月1日までにWTO加盟国の3分の2以上が修正を批准すれば、正式発効する。発展途上国の求めに応じコピー薬の製造会社が、安価な治療薬供給を拡大することが期待される。

 WTOは03年8月末に特許権保護の緩和を暫定措置として決めた。一般理のモハメド議長(ケニア)は6日、「暫定措置だけでも、ケニアで入手できるエイズ薬の価格は大幅に下落した」と述べて修正決定を歓迎、一層の医薬品の価格下落に期待を示した。

 医薬品の特許権保護は有力な医薬品業界を抱える米国が緩和に反対していた。暫定措置決定以来、WTO加盟国は(1)緩和措置は公衆衛生目的に限定(2)第三国への転売を禁じる―などの条件を受け入れている。(共同)

中国、HIV防止予算8倍に

2005/11/30 The Sankei Shimbun

 中国の高強・衛生相は30日、世界エイズデーの12月1日を前に記者会見し、2010年時点でエイズウイルス(HIV)感染者数を150万人以下に抑えるとの政府目標実現に向け、感染防止のための予算を大幅に増やしていることを強調した。

 衛生相によると、今年の中国政府のHIV感染防止関連予算は、02年当時の8倍の8億元(約112億円)。今年は売血経験者など感染の可能性が高い約200万人を検査し、4万人以上の感染が分かったとしている。

 中国のHIV感染者は昨年時点で約84万人とされる。衛生相は、そのうち輸血や売血による感染者が約7万人であることを明らかにした。(共同)

HIV感染4000万人に 東欧など33%増

2005/07/22 The Sankei Shimbun

 国連合同エイズ計画(UNAIDS)と世界保健機関(WHO)は21日、世界のエイズウイルス(HIV)感染者が推計で約4000万人に上り、東欧・中央アジアと東アジアで感染者が急増していることを警告した2005年版のエイズ報告書を公表した。

 報告書は、今年の新たなHIV感染者が推定490万人、エイズによる死者310万人、全体の感染者数は03年比280万人増の4030万人と推定。エイズ対策は世界規模で行われているものの「感染の広がりに対して規模、スピードともに対応し切れていない」と指摘している。

 カリブ海諸国がこの2年間で感染者数の増加を抑えた一方、東欧・中央アジアで約33%増(感染者数160万人)、東アジアでは約26%増(同87万人)と、それぞれ高い伸びを示した。

 報告書は、アジアでは特に中国、ベトナムの感染増が著しいと指摘。パキスタン、インドネシアなどでも今後まん延の可能性があるとし、アジア各国は売春、薬物対策に真剣に取り組むべきだと警告した。

 HIV感染が最も深刻なサハラ砂漠以南のアフリカでは、感染者はさらに増えて2580万人に。南アフリカ、ジンバブエなど6カ国で妊婦の感染率が20%を超えているほか、新たにモザンビークで感染者が急増している。(共同)

HIV:夜間など抗体3検査、自治体の3割が未実施

2005年10月16日 毎日新聞Mainichi INTERACTIVE 東京朝刊

 都道府県や政令市、中核市など、保健所を設置している自治体の3割が8月31日現在、エイズウイルス(HIV)抗体検査のうち、利便性の高い夜間、休日、迅速の3検査をいずれも導入していないことが、厚生労働省の調査で分かった。昨年10月20日時点では4割強が未実施で、やや改善はされたが、厚労省はHIV感染者の早期発見、早期治療のため、各自治体に3検査の実施を促していく方針だ。

 夜間検査は時間外も行う検査で、休日検査は土日に実施し、迅速検査は即日で結果を出すもの。同省によると、3検査とも未実施なのは127自治体中38自治体。昨年10月は56自治体だった。一方、3検査とも導入しているのは昨年の5自治体から11自治体に増えた。【玉木達也】

エイズ薬を80円で支給 タイ政府、全患者対象に

2005/07/14 The Sankei Shimbun

 タイ政府は14日までに、国内のエイズ患者が、30バーツ(約80円)で抗ウイルス薬を入手できるようにする新施策を明らかにした。政府は「タイは、すべてのエイズ患者が抗ウイルス薬を入手できる世界初の国となるだろう」としている。

 タイ政府高官が13日に明らかにしたところによると、同国が全国民を対象に実施している、1回30バーツで病院での治療が受けられる制度に、10月から抗ウイルス薬の支給を組み込む。支給されるのはエイズの進行を遅らせるタイ製の薬。

 タイでは1980年代に初のエイズ患者が見つかり、80年代後半から爆発的に流行した。政府は90年代はじめからコンドームの使用促進などエイズ撲滅運動を促進。2002年から安価なエイズ薬製造を開始した。現在、同国の新規患者数は減少傾向にある。(共同)

HIVに感染しない人、染色体に共通の特徴

2005/07/04 The Sankei Shimbun

≪近大教授ら発見≫     

 エイズウイルス(HIV)感染者と性交渉があっても感染しない人には、DNAの特定領域に共通の特徴があることを宮沢正顕・近畿大教授(免疫学)とイタリアのミラノ大の研究グループが4日までに見つけた。予防や治療につながる可能性があるのではないかという。

 宮沢教授らは、イタリアで感染者のパートナーと4年以上性交渉があり感染していない42人のDNAを解析。22番染色体に、特徴的な並び方の塩基配列の部分があるのを見つけた。イタリアでは十数%の人にこの特徴があることが分かった。

 この領域には免疫細胞の働きを調節する遺伝子が複数あり、感染しない人では免疫を活発化させるタンパク質が普通の人より多く出ているのを確認した。宮沢教授らは、ウイルスが侵入するとこれらの遺伝子に“スイッチ”を入れる遺伝子があるとみて探している。

 宮沢教授は「遺伝子が見つかれば、効果的なワクチンや抗ウイルス薬の開発につながる」と話している。

 研究結果は、英専門誌エイズに発表した。(共同)

中国のエイズ感染経路、麻薬密売ルートと一致

2005年07月03日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 急速に感染者が増える傾向にある中国のエイズは、インドシナ各国と中国国内を結ぶ交易拠点・雲南省を“拠点”とした薬物密売ルートと重なる形で感染を広げている可能性の高いことが、日本の国立感染症研究所チームによるエイズウイルス(HIV)の遺伝子分析でわかった。

 神戸市で開催中のアジア・太平洋地域エイズ国際会議で4日発表される。

 中国で最初のHIV感染の流行が明らかになったのは1989年。雲南省西部で、注射針を使い回す薬物乱用者の間で広まったとされる。その後、中国北西部の新疆ウイグル自治区や、東南部の広西チワン族自治区でも流行が確認され、感染地域が短期間で拡大した。

 感染研エイズ研究センターの武部豊室長らは、流行ルート解明のため、雲南省の感染者のHIVの遺伝子型を調べ、中国各地やタイ、インドなど周辺の国々で流行したHIVとの関係を推定した。

 その結果、雲南省西部のHIVには、88年からタイで流行した「タイ型」と、インドとタイで流行したHIVが遺伝子組み換えを起こして生まれた「混合型」があることがわかった。

 この混合型から新たに生まれたタイプが新疆ウイグル自治区に感染を広げ、やはりこの混合型から生まれた別の新タイプが広西チワン族自治区に感染を広げたことも判明した。

 この経路は、タイ、ラオス、ミャンマーの3国にまたがる世界最大級の麻薬生産地「ゴールデン・トライアングル(黄金の三角地帯)」で製造されるヘロインが中国国内に運ばれる密輸ルートと重なる。

 国連合同エイズ計画(UNAIDS)によると、中国国内のエイズ感染者の数は84万人に上り、このまま放置すると2010年には、1000万人に膨れあがると見られている。

 武部室長は「雲南省とミャンマーは、様々なHIVが存在する『HIVのるつぼ』。新たな流行株が出現し、治療薬が効かない恐れもあり、十分な警戒が必要」と指摘している。

エイズ遺児、アジア・太平洋地域で150万人

2005年07月03日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 エイズによって親を亡くした子供がアジア・太平洋地域で約150万人に達する、と国連児童基金(ユニセフ)が3日、神戸市で開催中の第7回アジア・太平洋地域エイズ国際会議で発表した。

 さらに、子供自身がHIV(エイズウイルス)に感染しているケースが12万1000人、親が感染している子供が350万人いると推計され、ユニセフは「今後、この地域でエイズに起因する子供たちの問題は一層深刻さを増すだろう」としている。

 ユニセフによると、インドでどちらかの親を亡くした子供3500万人のうち、約35人に1人(100万人程度)はエイズが親の死亡原因。タイやカンボジア、ミャンマーにも目立つ。中国でも感染者の急増に伴い、エイズ遺児が増えつつある。

 香港の支援団体「智行基金会」によると、中国中部の貧困な農村部では90年代、不衛生な血液売買による感染が相次いだ。人口の半数が感染した村もあり、近年、両親ともエイズで死亡した孤児が増加。放置すると教育を受けられず、都会に出て犯罪グループに加わる恐れもあるため、奨学金支給事業を進めている。

エイズ感染患者1万超す、04年の新規感染も最悪

2005/04/25 読売新聞 Yomiuri On-Line

 厚生労働省のエイズ動向委員会は25日、国内のエイズウイルス感染者とエイズを発症した患者の数が、統計を取り始めた1984年からの累積で1万人を突破し、1万70人に達したと発表した。

 また昨年1年間の新規感染者・患者(確定値)は、前年比189人増の1165人となり、初めて1000人を超え、過去最悪を記録した。厚労省は「国内でエイズ感染が広がっている。普及啓発と検査・相談事業の推進が必要」と話している。

エイズ発生届に居住地記入

2005/04/25 The Sankei Shimbun 東京朝刊から

 各地の実情に合ったエイズ予防体制を自治体ごとに構築するため、厚生労働省の検討会(座長・木村哲国立国際医療センターエイズ治療・研究開発センター長)は、国への発生届に、感染者や患者の居住地の都道府県名を記入するよう項目を追加する方針を固めた。現在は正確なデータがない都道府県別の罹患(りかん)状況が分かるようになれば、各自治体が全国平均などを基に数値目標を盛り込んだきめ細かな対策計画を立てられる。厚労省は「事態悪化を防ぐ切り札に」と期待、決定すれば省令を改正する方針。ただ、プライバシーの問題が絡むため、検討会は5月までのあと2回の会合で引き続き議論する。

松村被告の弁護人が上告 薬害エイズ公判、最高裁へ

2005/04/06 中国新聞ニュース

 薬害エイズ事件で、業務上過失致死罪に問われた元厚生省生物製剤課長松村明仁被告(63)の弁護人は六日、一審東京地裁に続き一部を無罪とした上で禁固一年、執行猶予二年とした、三月二十五日の東京高裁判決を不服として、最高裁に上告した。

 一、二審判決とも、エイズウイルス(HIV)に汚染された輸入非加熱血液製剤の投与を医師に控えさせなかったとして、旧厚生省に行政の不作為(するべきことを怠ること)があったと認めている。最高裁では、官僚個人の刑事責任が問われる範囲など、法律論を中心に争われる。

 松村被告は、一九八五年五―六月の血友病患者への投与と、八六年四月の肝臓病患者への投与の二件で起訴された。

 東京高裁は「八五年末には非加熱製剤の危険性を認識できた」とする一審の認定を踏襲。八六年の投与について「医師に非加熱製剤の使用を控えさせることが重要不可欠だった」と述べて一審同様に有罪と認め、八五年の投与は無罪とした部分も一審判決を支持した。

薬害エイズの元厚生省課長、2審も有罪判決

2005/03/25 読売新聞 Yomiuri On-Line

 薬害エイズ事件で、エイズウイルス(HIV)に汚染された非加熱血液製剤を投与され、感染、死亡した血友病患者ら2人について、業務上過失致死罪に問われ、1審・東京地裁が禁固1年、執行猶予2年とした厚生省(現厚生労働省)の元生物製剤課長・松村明仁被告(63)の控訴審判決が25日、東京高裁であった。

 河辺義正裁判長は「非加熱製剤に高度な危険性があることを把握した以上、その使用を控えさせる義務があった」と述べ、安全な加熱製剤承認後に感染した1人についてのみ有罪とした1審判決を支持、検察・弁護側双方の控訴を棄却した。

 被告側は上告するとみられる。

 判決はまず、松村被告が危険性を認識した時期について、1審同様、「(加熱製剤が承認された)1985年12月下旬ころには、(外国製)非加熱製剤の投与によりエイズ発症、死亡という高度の危険性を認識した」と認定。

 それ以前の同年5〜6月に帝京大病院で非加熱製剤を投与された血友病患者(帝京大ルート)については、回避措置をとらなかった過失がなく、無罪とした。

 「安全な国産のクリオ製剤に切り替えるべきだった」との検察側主張については、「松村被告は当時、専門家委員会の意見を踏まえ、加熱製剤への移行を図っており、クリオ製剤への転換による非加熱製剤の使用中止が求められる状況にはなかった」と退けた。

 一方、86年4月に大阪府内の病院で旧ミドリ十字(現三菱ウェルファーマ)の非加熱製剤を投与された肝臓病患者(ミドリ十字ルート)については、「安全性の高い加熱製剤の輸入が承認された以上、医師らに非加熱製剤の使用を控えさせる措置を講じることが可能だった」と指摘。「医師に危険性情報を提供することが結果回避の最後の手段で、不可欠の措置だった」と、改めて「不作為の過失」を認定した。

 「松村被告に非加熱製剤の使用を控えさせる権限はなかった」との弁護側主張に対しては、「生物製剤課長として、製剤の安全性を確保する立場にあったことを考慮すると、投与を控えさせる義務があった」と判断した。

 厚労省の阿曽沼慎司・医薬食品局長は「血液製剤によるHIV感染の問題を真摯(しんし)に受け止め、医薬品の安全確保のため全力を尽くしてきたところであり、今後とも万全を期したい」とのコメントを発表した。

全妊婦にエイズ検査義務化 シンガポールが検討

2005/03/10 The Sankei Shimbun

 シンガポール政府は9日、エイズ感染者数の急増に対応するため、すべての妊婦に対し、エイズウイルス(HIV)感染の有無を調べる検査を義務づける方向で検討に入ったことを明らかにした。実現すれば、極めて異例のケースになるとみられる。同国保健省のサダシバン副大臣が議会で述べた。

 プライバシーを国家が強制的に握ることになりかねず、国内から人権侵害との反発が浮上する可能性もある。

 同国は2004年に、すべての妊婦を対象とした同検査制度を導入したものの、希望者にだけ実施していた。

 04年の感染者数が03年比28・5%増の311人に上り、年間ベースで過去最悪を記録。このため、胎児の段階から感染を防ぐことが重要だとして、制度強化を検討することにした。

 副大臣は「妊婦への検査を100パーセント確実にする案を検討している」と語った。

 HIVに感染した妊婦が自然出産すると約33%が母子感染するが、妊娠中期からの抗HIV薬投与や帝王切開で感染率は2−3%にすることが可能とされる。(共同)

20年で8900万人感染も アフリカのエイズで国連

2005/03/05 The Sankei Shimbun

 国連合同エイズ計画(UNAIDS)は4日、適切な措置をとらない場合、アフリカのエイズウイルス(HIV)感染者が2025年までに新たに最大8900万人増加する恐れがあるとの報告書を発表した。

 報告書はエイズ対策の進展を基に3つのシナリオを想定。国際社会の支援やアフリカ各国の取り組みが順調に進んで1950億ドル(20兆4000億円)相当の費用が投入されれば、新たな感染者は4600万人に抑制されるとした。

 これらのシナリオの中間に位置する第3のケースでは、感染者の増加は6500万人となる。

 UNAIDSが04年7月に発表した2年に1度の世界エイズ報告によると、03年末時点での世界のHIV感染者数(推計)は約3780万人。南部アフリカでは約2500万人がHIVに感染しているとされる。(共同)

中国が売血使用中止へ エイズ感染を予防

2005/02/07 The Sankei Shimbun

 新華社電によると、中国衛生省当局者は6日、売血によるエイズウイルス(HIV)への感染などを防ぐため、2008年までに全国の病院で献血以外の血液の使用を中止する方針を明らかにした。

 中国のエイズウイルス感染者は昨年、84万人に上り、非合法の売血が主要感染源の一つとされる。衛生当局は1998年から献血運動に力を入れ、昨年までに医療用血液の約7割が献血となったが、北京、上海などでは売血の割合が依然として高いという。(共同)

「HIV2型」2例目、国内在住の外国人から検出

2004/12/03 読売新聞 Yomiuri On-Line
 世界で広がるエイズウイルス(HIV)とは遺伝子タイプの違う「2型」と呼ばれるウイルスを、大阪府立公衆衛生研究所などが、国内に住む外国人男性から検出していたことが2日わかった。

 国内で2型感染者として確認されたのは、2002年の韓国人男性に続き2例目だが、感染が拡大しているのか実態は不明。

 同研究所などによると、2型ウイルスの感染者は、国内に住むアフリカ系外国人の30代男性。2型ウイルスは、西アフリカ地域に限局的に流行しているとされるタイプ。1型に比べ感染から発症までの潜伏期間が長く、感染力も弱い。

世界エイズデー前に飯島愛さんらが呼びかけ

2004/11/28 読売新聞 Yomiuri On-Line
 来月1日の世界エイズデーを前に、エイズ予防を呼びかける「レッドリボンキャンペーン2004」が28日、東京の六本木ヒルズで行われた。

 知人をエイズで亡くしたタレントの飯島愛さんも参加し、国内でエイズウイルス(HIV)感染者やエイズ患者が増加している現状を示し、「エイズは身近で切実な問題」と訴えた。

 会場では、その場でHIV感染の有無が分かる迅速検査も無料で行われ、受検した俳優の照英さんは「自分自身を確かめ、恋人を守るために勇気を出して検査を受けよう」と語りかけた。

世界のエイズ感染者、昨年は500万人…中・印で拡大

2004/07/06 読売新聞 Yomiuri On-Line
 【ジュネーブ支局】国連合同エイズ計画(UNAIDS)が6日に発表した報告書によると、2003年にエイズウイルスに新たに感染した人は約500万人で、過去最悪だったことが分かった。

 中でもアジアと東欧での感染者増が顕著で、アジアでは約110万人が感染した。報告書は特に、人口の多い中国とインドでの感染拡大に懸念を示しており、「中国で適切な対策がとられないと2010年までに感染者が1000万人となる」と予測している。その上で、「危険信号を見逃す時間はもうない。アジアはエイズの壊滅的な打撃を防ぐかどうかの瀬戸際にある」と警告している。

 報告書ではまた、全世界でのエイズ患者数は約3800万人と推定。1981年にエイズが初めて確認されてから約2000万人がエイズで死亡したと分析している。

G8、エイズワクチン共同開発の国際組織設立へ

2004/06/05 読売新聞 Yomiuri On-Line
 米ジョージア州で8日から開く主要国首脳会議(シーアイランド・サミット)で、主要8か国(G8)がエイズワクチンの開発に共同で取り組む国際組織の設立で合意する見通しになった。

 政府筋が5日、明らかにした。エイズワクチンは、開発を目指して各国がしのぎを削っているが、エイズによる死者の累計が2000万人を超え、緊急課題となっていることから、早期開発に向けて、G8が連携する。

 国際組織の設立は、エイズ対策に力を入れている議長国の米国が提案する予定だ。各国の政府や研究機関、製薬企業が、エイズワクチンの開発に関する情報やノウハウを共有できる体制を作り、安全で有効なワクチンの開発を促す。今年夏にも具体策を話し合う「戦略会議」を設け、毎年1回、定期会合を開く。

 各国とも賛意を示しており、議長総括とは別に、保健分野の特別宣言として発表する。

 世界保健機関(WHO)によると、エイズの感染者は世界で3400万―4600万人と推計される。アフリカなど開発途上国では、治療を受けられる患者は1割にも満たないとの指摘もあり、貧困問題の解決とともに最大の課題となっている。

広島市内でエイズ急増 今年16人

2004/11/26 中国新聞地域ニュース

 市保健所など 早急な検査呼び掛け

 広島市内でエイズ患者やエイズウイルス(HIV)感染者が急増している。今年に入り十六人の発症、感染が判明し、昨年まで四年間の累計をすでに上回った。エイズ治療法は年々進歩、効果的な新薬も次々に開発され、死に至る危険性は低下している。市保健所などは、予防とともに、適切な治療を受けるために早急な検査を呼び掛けている。

 ▽「同性で性交渉」12人

 二〇〇〇〜〇三年の市内の患者・感染者は年二〜五人で推移し、四年間で計十四人だった。それが今年は女性一人、男性十五人の計十六人に急増している。年齢別では二十代四人、三十代八人、四十代三人、五十代一人となっている。血液製剤による感染が問題となっていた一九九〇年代とは様相が異なり、原因はすべて性交渉。うち十二人は男性同士のセックスで感染している。

 こうした傾向は医療機関での診療データでも裏付けられる。エイズ治療の中国四国地方ブロック拠点病院の広島大病院(南区)は〇三年までに、市内外からの患者・感染者八十八人を治療し、うち十九人が男性同士の性交渉が原因だった。今年は新たに来院した十七人のうち十五人が男性間の感染。厚生労働省などによると、コンドームを使用しない場合の危険度が特に高いという。

 広島大病院輸血部長の高田昇・助教授は「エイズに対する市民の関心が薄まっているのも問題」と指摘する。予防や治療について正しい知識を普及するための啓発や検査の取り組み、医療従事者の力量アップを課題に挙げる。

 かつては発症後二、三年で死に至るとされていたエイズも、発病のメカニズムが判明し、ウイルス増殖を抑制できるようになった。患者・感染者の状態に合わせ複数の薬を使う治療法も確立し、致死率はダウン。糖尿病と同じ慢性疾患との位置付けもされる。広島大病院でも九六年から〇三年までの死者は三人で、感染しても発病しない人や発病後も生存している人が計三十九人いる。

 十二月一日は世界エイズデー。市は街頭キャンペーンを実施し、エイズへの正しい対処法や偏見の解消を訴える。

世界のHIV感染者3940万人に 国連報告書

2004/11/23 The Sankei Shimbun
 国連合同エイズ計画(UNAIDS)と世界保健機関(WHO)は23日、世界のエイズウイルス(HIV)感染者が過去最多の推定3940万人に上り、成人感染者の半数近くを占める女性の緊急対策が重要だとする2004年版エイズ報告書を公表した。

 報告書によると、今年のエイズによる死者は推定310万人。感染者では、サハラ砂漠以南のアフリカが2540万人と、全体の3分の2近くを占めた。WHOなどは「まん延防止のためには、予防と治療の緊密な連携が必要だ」と指摘した。

 3720万人の成人感染者の半数近くが女性で、サハラ砂漠以南のアフリカでは15−24歳の感染者の約75%が女子であるなど、女性感染者の世界的な増加が深刻化している問題を重点的に検討。「セックスを、金や生活必需品などを得るための売り物にせざるを得ない現実がある」と分析し、女性差別の解消や予防教育を感染拡大防止の鍵とした。

 予防と治療を受けられる環境には地域格差が大きく、抗ウイルス薬治療を受けられた発展途上国の人は44万人で、必要な人の10%未満に過ぎなかった。

 過去2年間で感染者の増加が著しかったのは、50%増の東アジアで、中国やインドネシアでのまん延が主因。東欧・中央アジアの40%増がこれに次ぎ、ウクライナとロシアでの増加が目立った。

 02年版報告書は感染者を4200万人、03年版は4000万人としていたが、その後、調査精度を高めたとして、それぞれ3660万人と3810万人に下方修正している。

中国5県で「エイズ」広がる

2004/07/29 中国新聞地域ニュース
<昨年の患者・感染者 最多19人>

 エイズ患者やエイズウイルス(HIV)感染者の報告数が全国的に増える中で、中国地方五県の昨年の患者と感染者は計十九人で過去最多になったことが二十八日、分かった。広島市中区であった中四国のエイズ拠点病院や行政担当者の連絡会議で明らかになった。

 厚生労働省のまとめでは昨年、報告されたエイズ患者は、五県で岡山が三人と最も多く、広島と鳥取が各一人。HIV感染者は、広島が九人で前年の三倍に急増し、岡山は三人、山口、島根が各一人だった。患者、感染者の合計は、二〇〇〇年から増加傾向が強まっている。

 全国では昨年、患者数は三百三十六人、感染者数は六百四十人が報告され、ともに過去最高となった。中四国九県と広島市の担当者、五十二の拠点病院の医師ら約百二十人が参加した連絡会議では、「男性の同性間の性的接触が増加の主な要因」との報告があった。

 また会議では、増加への対応策として、山口、鳥取県が簡易キットによるHIV抗体の迅速検査のモデル事業を紹介。山口県健康増進課の野村洋一主任は「これまで二週間かかっていた検査が数十分で済み、検査の促進につながる」とメリットを説明した。

 大阪医療センターのHIV/AIDS看護専門官の織田幸子氏は講演で、患者が増える中で、医師や薬剤師、カウンセラーをつなぐHIVコーディネーター設置の必要性を強調した。

 患者数や感染者数が急増している広島県の笠松淳也保健対策室長は「エイズへの関心が、かつてに比べて薄らいでいることも増加の要因ではないか」と分析。「迅速検査や若年層への効果的な啓発について検討を進めたい」としている。

エイズ新治療薬、患者の26%からウイルス未検出

2004/07/13 読売新聞 Yomiuri On-Line
 【バンコク=長谷川聖治】スイスの製薬会社ロッシュの研究チームは12日、バンコク北方のノンタブリで開会中の第15回国際エイズ会議で、エイズウイルス(HIV)の免疫細胞への侵入を防ぐ、新タイプの治療薬が、臨床試験の結果、従来の薬よりもかなり高い効果をもたらしたと発表した。

 新治療薬は、細胞侵入阻害剤「エンフューヴィルタイド」(T20)。この薬と従来の抗ウイルス薬2種類を組み合わせ、エイズ患者約1000人に対し投与したところ、約26%が2年間、HIVが検出できないままで維持されていた。従来の抗ウイルス薬の3剤併用療法では、検出限界以下でウイルス量が維持される患者はT20の半分程度。

 また、免疫機能を示す指標(CD4値)も従来の抗ウイルス薬に比べ、増加が顕著だった。1日2回注射するのが患者には負担で、皮膚が炎症を起こしやすい、下痢などの副作用もあるが、米国では最近、エイズ治療薬の標準薬のリストに、この新治療薬を追加している。

 現在使用されている抗HIV薬は、ウイルスが免疫細胞内に侵入後、ウイルスが増殖する際に必要な「逆転写酵素」と「タンパク質分解酵素」を阻害するものだったが、T20は、HIVが細胞に侵入する際に活動する特殊なたんぱく質を働かなくする作用がある。

エイズ孤児1500万人に ユニセフが報告書

2004/07/13 The Sankei Shimbun
 国連児童基金(ユニセフ)などは13日、エイズにより親を失った子どもが過去2年間で350万人増え、2003年末までに1500万人に上ったとする「世界の孤児の現状に関する報告書」をバンコクで開催中の第15回国際エイズ会議で発表した。

 報告書によると、03年末時点の世界の孤児の総数は、1990年より500万人多い約1億4300万人。全世界の子どものうち孤児が占める割合は8・4%で、最も高い国はアフリカのボツワナで20%だった。

 エイズに起因する孤児も特にアフリカで急増しており、90年の55万人から2003年には1230万人となり同地域の全孤児の28・3%を占めた。

 アフリカのエイズによる孤児は10年には1840万人に達すると見込まれ、同地域のすべての孤児の約36・8%を占めると予想されるという。またエイズ孤児の増加により、10年にはボツワナのほかレソト、スワジランド、ジンバブエで子どものうち孤児が占める割合が20%を上回ると見込まれている。(共同)

国際エイズ会議がバンコクで開幕

2004/07/12 The Sankei Shimbun
 国連合同エイズ計画(UNAIDS)など主催の第15回国際エイズ会議が11日夜(日本時間同)、約160カ国の政府関係者や専門家ら約1万5000人が参加して、バンコクで開幕した。東南アジアでは初めての開催。

 16日までの6日間の日程で、「アクセス・フォー・オール(すべての人が入手できるように)」を統一テーマに、地域や性別、貧富の差に関係なく、すべての人々が適切な医薬品、感染防止のための知識などを得られるようにする方策を話し合う。

 国連のアナン事務総長や、南アフリカのマンデラ前大統領も出席。アジアでの開催は1994年の横浜に続き2回目。

 会議に先立ち、日本を含むアジア・太平洋地域約40カ国によるエイズ問題閣僚級会合も同日午前、バンコクで開かれた。同会合で各国は「(エイズ予防、制圧に向けた)断固とした行動がとられなければ、アジア・太平洋地域は新たな流行の中心となる」として、予防や治療に多くの財源、社会資本を投入することを確認する閣僚声明を採択した。

 日本から出席した藤崎一郎外務審議官は「エイズ制圧には資源と戦略に加え、問題の認識が必要だ」と述べるとともに、国際的な感染症制圧に向けた資金援助など、これまでの日本の貢献を強調した。

 UNAIDSによると、2003年末時点での世界のエイズウイルス(HIV)感染者は約3780万人。昨年1年間で290万人が死亡している。(共同)

アフガンで初のエイズ死者確認

2004/06/02 The Sankei Shimbun
 アフガニスタン保健省は1日までに、同国で初めてエイズウイルス(HIV)による死者を確認したと明らかにした。死亡したのは45歳の男性ら3人で、感染者はこの3人を含め計24人。

 アフガニスタンではこれまで、HIVの実態調査がほとんど行われてこなかった上、国内に広く流通する麻薬の注射針からの感染も深刻で、保健省の担当者は「感染者は少なくとも200−300人に上る」と話している。(共同)

エイズ死者、2000万人超す 04年WHO報告

2004/05/12 The Sankei Shimbun
 世界保健機関(WHO)は11日、2004年版の「世界保健報告」を発表し、25年前には未知の病だったエイズウイルス(HIV)による死者が累計で2000万人を超えたことを明らかにした。

 報告は、エイズウイルスによる死者や感染者がかつてない増加を示し、「現在は危機的な瞬間」にあると指摘。

 報告によると、現在の感染者は3400万人から4600万人と推計され、03年には300万人が死亡、500万人が新たに感染者となった。途上国には治療を受けなければ近い将来、死亡するとみられる感染者が600万人いるが、03年末までに治療を受けたのは40万人にすぎないという。

 国連のアナン事務総長が昨年9月に発表した報告書は、エイズ感染防止のための十分な資金投入が世界的に行われていないと批判、先進国以外の国のエイズ対策費を05年に倍増、07年には3倍にする必要性を訴え、先進国に協力を求めた。(共同)

エイズ拠点病院、6割が「患者増に対応困難」 本社調査

2003/12/29 asahi.com
HIV感染者とエイズ発症者の新規報告数

 エイズウイルス(HIV)に感染、または発症する患者が国内で増え続けている。その治療の中軸である拠点病院の6割が「増加傾向が続けば、対応は困難になる」と考えていることが、朝日新聞社の調査でわかった。診ている患者が10人未満の病院では、その3割が、患者の状態に応じて薬を選ぶといった最適治療が難しいと答えた。背景に専門医や診療経験の不足などがあり、人材難と病院間格差が大きな問題になりつつある。

 潜在的な感染者数を含めた厚生労働省研究班の予測では、06年にはHIV感染者が2万2000人と現在の推定人数のほぼ倍、エイズ発症者も増え続けて約5000人になる。朝日新聞社は治療体制に関する課題を探るため、全国368のエイズ拠点病院(4月現在)にアンケート用紙を送った。28日までに213病院(58%)から回答があった。

 今後確実視されている受診者の増加に対応できるかどうかについては、17%が「現状でも厳しい」と回答。「今のペースで増えれば難しい」を合わせると58%にのぼる。50人以上の患者を診ている病院では8割がそう答えた。

 理由は「50人以上の患者がいるが、専門医が2人しかいない」(関東の総合病院)、「日常診療が忙しく、新しい専門知識が必要なHIVの診療についていけない」(西日本の国立病院)など。

 一方、4分の1の病院が現在は患者を診ていなかった。「10人未満」を含めると73%になる。これまで患者を一人も診たことのない病院も9%あり、患者が都市部の大規模病院に集中する傾向を示した。

 治療の中心は飲み薬で、10種類以上の中から複数選んで組み合わせる。感染しても適切な薬を飲み続ければ、エイズの発症を抑えられる。ただし、飲み忘れたり中断したりすると、薬の効かない耐性ウイルスを生む可能性がある。

 服薬指導やウイルス検査に基づく処方変更など適切な治療が必要だが、患者が50人を超える病院はすべて「可能」と答えた。しかし、10人未満の病院の3〜4割は「不可能」「積極的には行えない」といった状態だった。

 関東の総合病院は「新たな薬が続々と開発され、どう選択したらいいか分からない。専門医の助言を仰ぎたい」。九州の総合病院は「最小限の薬剤しか常備しておらず、適正な抗HIV治療ができない」という。

 途中で治療をやめてしまった患者がいた病院は45%。「患者の2〜3割」という病院も少なくない。理由は、吐き気や下痢といった副作用、服用が面倒、経済的理由など。半数近くの病院が「薬を正しく飲んでいない患者がいる」と答えた。

 「適正な服薬の指導にはカウンセリングが不可欠だが、日本ではその必要性が理解されていない」(関東の総合病院)という意見も多かった。

 これらの結果は、耐性ウイルスの増加につながりかねない実態を示している。

    ◇

 《エイズ拠点病院》診療経験がないなどの理由で病院がエイズ患者の診療を拒否したケースが表面化したことから、93年、旧厚生省が設置を決め、各都道府県に2カ所以上の選定を求めた。病院名も公表されている。日本のエイズ診療の中核となる国立国際医療センター(東京都)には「エイズ治療・研究開発センター」が設けられている。

薬害エイズ患者遺族、8割が「今も偏見恐れる」

2003/11/30 読売新聞 Yomiuri On-Line
 血液製剤のHIV(エイズウイルス)に感染して死亡した薬害エイズ患者の遺族の80%以上が病名を知られるのを恐れて今も隠し続け、90%以上の遺族が自責の念に苦しんでいるという実態が、東京大学などの調査で明らかになり、日本エイズ学会(神戸市)で29日発表された。

 差別を恐れ、深い孤立感を感じている遺族の実態が詳しくわかったのは初めてで、専門家は「遺族の60%は心的外傷後ストレス障害(PTSD)が疑われる。心のケア、生活支援事業の拡大が必要だ」と指摘している。

 3年がかりで調査を行ったのは東大大学院医学系研究科の山崎喜比古・助教授らのグループ。全国には約540家族の薬害エイズの遺族がいるが、このうちHIV訴訟に加わった遺族など392家族に協力を呼びかけ、回答のあった225家族、307人のデータを分析した。

 「HIV感染での死亡を気づかれないよう苦労しているか」との質問に「よくある」と答えた遺族は58%。「ときどき」の23%を加えると、81%が差別や偏見を恐れて暮らしていることが明らかになった。60%以上は「支えてくれる人がおらず、つらい」と回答、孤立状態にあることが浮き彫りになった。

 国や製薬企業に対する遺族の気持ちは鎮まっておらず、今も「憎しみを感じる」との回答が96%にのぼった。その一方、90%以上の遺族は「血友病患者として生を授けて申し訳ない」「血液製剤の危険に注意すべきだった」と自分を責めていることもわかった。

外国人HIV感染者:保険未加入の治療患者わずか13%

2003年11月29日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 外国人のHIV(エイズウイルス)感染者について、厚生労働省の研究班が関東・中部地方の病院来院者を対象に調査したところ約半数が健康保険を持っておらず、その多くが重症になってから来院していたことが分かった。神戸市で29日まで開かれた日本エイズ学会で発表した。

 エイズ治療拠点病院の15の医療機関にアンケートを送付。99年7月〜昨年6月に11病院で初診を受けたHIV感染者137人について回答があった。

 それによると約半数の68人が健康保険に未加入だった。また、数値が低いほど病状が進行していることを示す「CD4細胞数」は、保険加入している外国人の「254」に対し、未加入者は「99」と顕著に悪化していた。また加入者は、84%が受診を継続。一方、未加入者の受診継続は13%にとどまり、59%が帰国、不明・中断が合わせて24%あった。

 研究班メンバーの神奈川県勤労者医療生活協同組合港町診療所の医師、沢田貴志さんは「治療を受けたくても保険がなく治療が受けられない外国人が多い。著しい人権侵害だ。在留資格の有無にかかわらず安心して病院にかかれる仕組みを望みたい」と話している。【熊谷豪】

国際エイズ学会:神戸で05年7月に開催

2003年11月19日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 新型肺炎「重症急性呼吸器症候群」(SARS)の影響で今月の開催が延期されていた「第7回アジア・太平洋地域エイズ国際会議」が、05年7月1日から5日間の日程で神戸市内で開催されることが19日、決まった。同会議の組織委員会(委員長、岸本忠三・前大阪大学長)が発表。43カ国約3500人が参加する世界最大規模のエイズの国際学会となる。【熊谷豪】

中国のHIV感染者84万人

2003年11月07日 The Sankei Shimbun
 
 新華社電によると、中国の高強衛生次官は6日、北京で開かれたフォーラムで、中国のエイズウイルス(HIV)感染者は9月末現在で84万人と公表した。このうち発症者は8万人という。中国政府と世界保健機関(WHO)などの共同調査の結果としている。

 同省はこれまで、感染者の報告に基づく独自統計として1985年から今年6月末までのHIV感染者は計4万5092人(うち発症者は3532人)とする一方、推定感染者数は約85万人とも指摘し、複数のデータが混在していた。今後、公式統計を修正する可能性がある。(共同)

国連でエイズ高級会合 130カ国以上が現状報告

2003年09月23日 The Sankei Shimbun
 エイズ克服への各国の取り組みや成果を話し合う国連総会エイズ高級レベル会合が22日午前、シラク・フランス大統領やオバサンジョ・ナイジェリア大統領ら130カ国以上からの代表を集め、国連本部で開かれた。

 会合では、2015年までに感染拡大に歯止めをかけるとうたった国連エイズ特別総会政治宣言(01年6月)の履行状況について各国が状況を説明。

 エイズ禍が深刻なサハラ砂漠以南のアフリカ諸国は、エイズ拡大の現状と資金不足による対策の困難さについて報告する。同日午後にはパウエル米国務長官も演説する予定。

 本会議と並行して、午後にはアナン国連事務総長を議長にした非公式のパネル討論が開かれるほか、「メディアとエイズ」「エイズと食糧安全保障」など個別テーマで報告会が行われる。(共同)

アフリカのエイズ、感染拡大の歯止め困難に

2003年09月22日 The Sankei Shimbun
 国連エイズ計画は21日、アフリカのエイズ対策に関する最新の報告を公表、ウガンダなど一部の国で取り組みに前進が見られるものの、全体としてはエイズ対策費が大幅に不足しており、2015年までに感染拡大に歯止めをかけるとの目標達成が困難になりつつあると警告した。

 報告によると、サハラ砂漠以南のアフリカ諸国で昨年1年間に使われたエイズ対策費は合計で9億5000万ドル(約1080億円)で、2000年と比べると4億ドルも増加。しかし、感染拡大の防止と感染者に基本的な治療を行き渡らせるためには20億ドルが必要だったと推計されており、使われた対策費は半分にも満たなかったことになる。

 国連エイズ計画は05年には同地域で合計60億ドルのエイズ対策費が必要となると予測、現時点で既に30億ドルの資金不足を見込んでいる。

 国連エイズ計画によると、世界のエイズ感染者は昨年末で約4200万人。そのうちサハラ砂漠以南のアフリカ諸国に約3000万人の感染者が集中している。(共同)

エイズ発生、監視強化へ 厚労省、爆発的拡大を懸念

2003/09/18 中国新聞ニュース
 性感染症が急増していることなどで、エイズの爆発的感染拡大を懸念する声が高まっていることを受け、厚生労働省は十八日までに、感染者数を過小評価しているとされる現行の患者発生動向調査を見直し、監視を強化する方針を決めた。

 一万人近くに上るとの見方もある未報告感染者数を推計する方法を確立し、感染の広がりを明らかにした上で対策を進めるのが狙い。疫学の専門家らで構成する作業部会で具体策を検討する。

 厚労省はエイズの流行を把握するため、診察した医師に対し、年齢や性別を国に届けるように求めている。調査を始めた一九八五年以降、報告数の増加傾向は続いており、血液製剤による感染を除いて二〇〇二年末までの累計で感染者は約五千百人、患者は約二千六百人に達した。

 しかし、エイズは発症するまでの潜伏期間が平均八年と長いため、感染に気付いていない未報告感染者は多い。性感染症の増加に加え、日本と交流が活発な中国で約百万人のHIV感染者がいるとの推計があることから「爆発的感染が起きてもおかしくない」との指摘が出ている。

 ただ、今の調査方法では感染原因などのデータが不足しており、正確な推計は難しいという。〇二年の新規感染の約半数を占める同性間の性的接触による感染者についても、実際に増えているのか、検査に行く人が増えただけなのか分からず「対策に生かせない」と不満の声が上がっていた。

 これらの問題を解決するため、作業部会では、感染者が発病した場合の病変報告の義務化や、保健所などの検査機関と協力した報告体制の整備を検討していく方針。

WTO、エイズ治療薬特許緩和合意

2003年08月30日 The Sankei Shimbun
 世界貿易機関(WTO)一般理事会は30日、アフリカなどの発展途上国がエイズなど感染症の安価な治療薬を調達しやすくする枠組みに関する合意案を正式承認した。人道的見地から、商業目的に転用しない条件で、特定の医薬品の特許権保護を緩和し「コピー薬」としての製造と供給を認める。

 途上国が早期成立を強く求めていた治療薬調達合意の成立で、WTOは9月10日からのカンクン閣僚会議(メキシコ)を目前に、大きな懸案を1つ解決したことになる。

 スパチャイWTO事務局長は「歴史的合意。WTOが難題に対処し、結果を出せることを示した」と評価。農業自由化などをめぐる先進国と途上国の対立により難航も予想されている閣僚会議の行方にも、合意が好ましい影響を与えることに期待を示した。

 薬調達の交渉は、有力な製薬業界を抱える米国が、特許適用を緩和する医薬品の範囲を狭めるよう主張して昨年12月いったん決裂。今回は1途上国向けコピー薬は公衆衛生目的に限定2転売防止策の強化−などの条件を再確認、疑義が生じた場合はWTO貿易関連知的所有権理事会に通報、対策を協議することなどを盛り込み、合意に達した。

 この日の合意案承認をケニアのモハメド大使は「アフリカ諸国にとって朗報」と歓迎した。(共同)

米大統領、エイズ対策への支援を強調

2003年07月11日 The Sankei Shimbun
 ボツワナからの報道によると、アフリカ歴訪中のブッシュ米大統領は10日、3番目の訪問国ボツワナの首都ガボローネで「(エイズは)アフリカがこれまで出会った中で最も恐ろしい敵だ。この敵と闘うあなた方を放ってはおかない」と述べ、エイズ対策への支援を約束した。

 ボツワナではエイズウイルス(HIV)の成人感染率が2001年末時点で世界最悪の38・8%に達している。

 ブッシュ大統領は5月、エイズ対策への支援額を大幅に増やし、アフリカを中心とする14カ国を対象に、5年間で150億ドル(約1兆7000億円)を拠出する法案に署名。今回のアフリカ歴訪でも、エイズ問題への米国の関心の深さを強調している。(共同)

エイズ対策に1兆7550億円 米大統領、G8に働き掛け

2003年05月28日 The Sankei Shimbun
 ブッシュ米大統領は27日、世界のエイズ対策のため5年間で150億ドル(約1兆7550億円)を拠出する法案に署名した。6月1日からフランスで開催の主要国首脳会議(エビアン・サミット)を前に、エイズ克服に向けた米国の指導力を示すのが狙い。

 大統領はこれに先立つ演説で、サミットの場で日本や欧州の首脳に対し、同様の措置を取るよう働き掛けていく考えを強調。大統領が新法成立を受け、エイズ対策への強い姿勢を表明したことで、G8を中心とした今後の取り組みがエビアン・サミットでも協議される見通しだ。

 新法はこれまでの米政府のエイズ対策費を約3倍に増やし「200万人のエイズ患者に治療を施し、700万人のエイズ感染を予防、エイズとともに暮らす1000万人を支援する」(国務省)ことを目的としている。

 大統領は演説の中で「今週末、欧州に旅立つが、より多くの命を救うため、米国に続いて、パートナーや友人たちに同様の取り組みを行うよう強く促す」と強調。日本の国名も挙げ、G8各国に「偉大なる救済ミッション」に参加するよう訴えた。(共同)

薬害エイズ:和解7周年で集会 坂口厚労相も出席 東京

2003年03月29日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 96年3月に和解が成立した薬害エイズ訴訟の「和解7周年記念集会」(東京、大阪HIV訴訟原告団・弁護団主催)が29日、東京都千代田区内のホテルで開かれた。今年は坂口力厚生労働相が歴代担当相として初めて出席。「改めて悲惨な事態を招いた過去を反省し、これからも原告団と協議を行いつつ可能な限りの対応をしたい」などとあいさつした。

 記念集会には被害遺族ら約140人が参加。これまでに亡くなった被害者の原告番号や死亡年が映し出されたスクリーンに向かって、全員が献花を行った。主催者を代表してあいさつした東京HIV訴訟原告団の佐々木秀人代表は「薬害エイズの被害は和解後も続いている。今後も全国の被害者が力を合わせて活動を進めていきたい」と述べた。 【須山勉】

HIV:薬害エイズの被害遺族7割がうつ傾向 関係団体の調査

2002年10月17日 Mainichi INTERACTIVE
 薬害エイズで亡くなった被害者の遺族の約7割にうつ、約3割にPTSD(心的外傷後ストレス障害)の傾向があることが17日、東京・大阪のHIV(エイズウイルス)訴訟原告団などで作る「被害者生活実態調査委員会」が発表した報告書で分かった。調査委は「被害はまだ終わっていない」として、厚生労働省に遺族に対する救済策を講ずるよう要請した。

 調査委は薬害エイズ被害者の遺族のうち、聞き取りに応じた全国の遺族33人の事例を報告書にまとめた。遺族に対する全国調査は初めて。

 報告書によると、33人のうち、うつ傾向が認められたのは24人。子を亡くした後、仕事が休みの日には仏壇の前で1日過ごしていたり、「もう生きることの目標はない」と訴える母親もいた。

 PTSDとみられる症状がみられたのは11人で、亡くなった長男が通っていた病院や高校の近くに行けないという母親や、88年に長男を亡くしてから不眠症になり、現在も2時間しか眠れない父親もいた。家族のHIV感染を知られないよう、周囲と付き合わないようにしている遺族も多かった。

 調査委は来月初めにも、薬害エイズ被害者の全遺族(約530組)に調査票を送り、さらに詳しい調査をする方針。聞き取りに応じた遺族男性は「調査をきっかけに、孤立感を深めていた遺族の思いが少しでも伝わるようになれば」と話している。 【須山勉】

血液製剤:製造体制に関する検討会が発足 厚労省

2002年08月21日 Mainichi INTERACTIVE
 薬害エイズの反省を踏まえ、厚生労働省の血液製剤製造体制のあり方に関する検討会が21日、発足した。来年1〜3月ごろに考え方をとりまとめ、その後、報告書をまとめる。

 7月に成立した血液新法が付則で、安全性確保のため、原料血液の国内自給をめざした体制確立を盛り込んだのを受けて発足した。

 製造過程における国、日本赤十字社、民間製造業者の役割、責任の範囲、新たな供給体制の可能性などについて検討する。患者側委員もおり、献血から血液の利用先まで、国が一貫して責任を持つことを求めている。 【渋川智明】

厚生省元課長側、改めて無罪主張 薬害エイズ裁判結審 2001.03.02(17:57)asahi.com
 薬害エイズ事件「厚生省ルート」で、エイズウイルス(HIV)が混入した非加熱濃縮血液製剤の回収を製薬会社に命じるなどの措置を怠ったために患者2人を死亡させたとして、業務上過失致死罪に問われた元厚生省生物製剤課長・松村明仁被告(59)の公判が2日、東京地裁で結審した。弁護側は最終弁論で、行政の担当者としてなすべきことをしなかった「不作為」の責任を追及して禁固3年を求刑した検察側に対し、「上司や同僚は正しく行動していたのに被告だけが無為無策だったということはあり得ない」などと反論し、改めて無罪を主張した。判決は9月28日に言い渡される。

東大助手に200万円支払い命令 薬害エイズ立て看訴訟 2000.11.13(19:40)asahi.com
 薬害エイズ問題にからみ、元厚生省生物製剤課長の郡司篤晃・元東京大学医学部教授が、「血友病患者1800人の『殺人政策』の責任をとれ!」などと書かれた立て看板を東大構内に出されて名誉を傷つけられたとして、東大分子細胞生物学研究所の温品惇一助手を相手に3000万円の損害賠償などを求めた訴訟で、東京地裁は13日、200万円の支払いと謝罪文の交付を温品氏に命じる判決を言い渡した。難波孝一裁判長は「殺人政策の執行という表現は行き過ぎと言わざるを得ず、正当化する理由はない」と述べた。

松村元厚生省課長に禁固3年を求刑 薬害エイズ裁判 2000.12.27(19:55)asahi.com

監視策、国の責任示さず 血液事業で中央薬事審議会 2000.12.16(00:49))asahi.com

血液製剤感染被害に公的救済制度を 厚生省審議会が提言 2000.10.23(21:17)asahi.com

製薬会社社長側猶予判決求める/薬害エイズ控訴審

2000.10.20 The Sankei Shimbun
 薬害エイズ事件で、エイズウイルス(HIV)の危険性を認識しながら非加熱血液製剤を出荷、投与された患者を死亡させたとして業務上過失致死罪に問われた大阪市の製薬会社、旧「ミドリ十字」(旧吉富製薬と合併、現ウェルファイド)の歴代三社長に対する控訴審初公判が二十日午前、大阪高裁(森真樹裁判長)で開かれた。

 被告・弁護側は、非加熱製剤の危険性認識の時期などについて、改めて一審判決の不当性を主張し、執行猶予の判決を求めた。

薬害エイズ、安部帝京大元副学長の公判が結審 2000.09.13(22:39)asahi.com

行き場失う在日外国人エイズ患者、治療・帰国ままならず 2000.08.19(14:44)asahi.com

薬害エイズ裁判 安部元副学長に禁固3年を求刑 2000.07.26(19:18)asahi.com

薬害エイズ・ミドリ十字歴代3社長に実刑判決 大阪地裁

7:01p.m. JST February 24, 2000

 薬害エイズ事件・ミドリ十字ルートで業務上過失致死罪に問われた製薬会社・旧ミドリ十字(大阪市、合併して吉富製薬)の歴代3社長に対する判決公判が24日午前、大阪地裁で開かれ、松下廉蔵被告(79)に禁固2年(求刑禁固3年)、須山忠和被告(72)に禁固1年6月(求刑同2年6月)、川野武彦被告(69)に禁固1年4月(求刑同2年6月)の実刑判決が言い渡された。三好幹夫裁判長は「医薬品については、製造販売業者が安全性の確保に第一次的かつ最終的な責任を負う。加熱製剤の発売時点で非加熱製剤の有用性は完全に否定された」などと指摘。「営業上の利益を優先して危険性を軽視し、非加熱製剤の販売中止や回収の措置をとらなかった過失は極めて重い」と述べた。判決言い渡し後に収監された3被告は、控訴するとともに保釈を申請し、同日中に保釈された。保釈保証金は松下元社長が3000万円、須山元社長が2800万円、川野元社長が2600万円。

 東京地裁で審理が続く厚生省ルート、帝京大ルートに先駆けた判決で、薬害事件にからみ、製薬会社トップに刑事責任があるとされたのは初めて。今後は、他ルートの審理に官、医、業がからむ「複合薬害」の構造解明への期待がかかる。

 3人の元社長が初公判で起訴事実を認めたため、裁判では、情状面で3人の責任の重さをどう判断するかが焦点となった。

 主な争点は、厚生省の責任と製薬会社の注意義務▽感染・発症の危険性をいつから認識したか(予見可能性)▽非加熱製剤の出荷停止・自主回収は可能だったか(結果回避可能性)――の3点だった。

 3人の過失について、判決は、加熱製剤が販売された1986年1月10日の時点で、エイズウイルス(HIV)の性質は、非加熱製剤による感染の危険性を認識できる程度には明確になっているとして、「非加熱製剤を投与された患者がHIVに感染してエイズを発症する危険性を認識することは可能だった」と指摘。「社内の地位や職責から見て、3人が常務会などで提案すれば、販売中止を実現した可能性は極めて高く、被害を未然に防止できた」と断じた。

 そのうえで、被告・弁護側が主張した情状を検討した。まず、「厚生省がエイズに関する情報を製薬会社に十分提供せず、非加熱製剤の承認取り消しや回収命令などの措置をとらなかった」との被告・弁護側の主張について、判決は「厚生省からの情報を待つまでもなく、HIV感染の危険性を覚知しえた。厚生省の指導がないことが回収を特に困難にしたとも言えない」とした。

 非加熱製剤の販売継続については、「当時、加熱製剤の在庫は十分にあり、販売継続はシェア拡大のためだった。HIV感染を回避するために緊急に加熱製剤に置き換えるという基本的な視点を欠落させていた」とした。

 公判の焦点の一つだった厚生省の責任をめぐっては、「同省の係官に過失のあるものが存在するとしても、被告人の罪を大幅に軽減することはない」と述べるにとどまった。

 判決によると、歴代3社長が、安全な加熱製剤の発売後もHIVに汚染された非加熱の血液製剤の販売中止、回収などの措置を怠ったため、肝臓病で凝固因子をつくる力が低下した大阪府内の男性が86年4月に府内の病院で手術を受けた際、止血用に投与された非加熱製剤でHIVに感染し、95年12月に死亡した。

歴代3社長に24日判決

2000年2月22日 16時20分
 薬害エイズ事件で、エイズウイルス(HIV)が混入した非加熱血液製剤を販売、男性患者を感染させ死なせたとして、業務上過失致死罪に問われた製薬会社ミドリ十字(大阪市、吉富製薬に合併)の松下廉蔵被告(79)ら歴代3社長の判決が、24日に大阪地裁(三好幹夫裁判長)で言い渡される。

 製薬企業トップのほか、元厚生省課長、血友病専門医の刑事責任が問われた一連の事件で初の判決。

輸血でHIVに感染

1999年10月7日 19時49分 共同通信社
 日赤は、7日、エイズウイルス(HIV)の混入した献血から造られた輸血製剤が原因で、患者1人がHIVに感染し、別の患者1人も感染した疑いが強い、と発表した。ウイルス感染してから体内に抗体ができるまでの期間(ウインドーピリオド、平均22日)に献血したため抗体検査をすり抜けたとみられる。

厚労省:薬害エイズ問題受け、血液監視組織を発足

2003年08月11日 [毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE

 薬害エイズなどの問題を受け、厚生労働省は11日、血液事業の新しい監視組織を発足させた。委員5人のうち2人が薬害エイズ被害者で、日本赤十字社が行っている血液製剤の安全対策などを話し合う。初会合の後、委員長代理に選ばれた被害者の大平勝美・はばたき福祉事業団理事長は「患者の立場から、血液事業は安全でなければいけないという姿勢を通したい」と抱負を述べた。

 発足したのは、薬事・食品衛生審議会(厚生労働相の諮問機関)の下部組織の血液事業部会運営委員会(委員長、清水勝・杏林大学客員教授)。現在行われている血液事業を定期的にチェックし、緊急事態が発生した場合は対応を話し合う危機管理的な役割も担う。

 薬害エイズ被害者らは以前から、坂口力厚労相に血液事業の監視組織を作るよう要望してきた。昨年2月、厚労相から委員会設置の提案があり、大平氏と花井十伍・大阪HIV薬害訴訟原告団代表が委員に選ばれた。花井氏は「エイズウイルスが登場した83年にこういう組織があったらと思うと、感慨を覚える。血液製剤を安心して使えるようになれば、薬害エイズで亡くなった530人の患者にも顔向けができる」と話した。【須山勉】


エイズ感染の献血者82人…増える一方

2003年01月31日 Yomiuri On-Line
http://www.yomiuri.co.jp/04/20030131it14.htm 昨年1年間に献血した延べ約578万4000人のうち、エイズウイルス(HIV)に感染していたケースは延べ82人(男性78人、女性4人)に上り、14年続けて前年を上回り過去最多を更新したことが31日、厚生労働省のまとめで分かった。

 厚労省は「検査目的で献血している人が増えている可能性が高い」と推定。HIVについては、献血の検査で感染が判明しても本人には通知しておらず、同省は、検査目的での献血をしないよう改めて呼びかけている。

 献血の検査でHIV感染が判明した件数は、1987年が延べ約817万人のうち同11人、88年が同797万人中、9人。ところが、89年以降増え続け、献血10万人当たりの感染数は、88年の0・113人から、昨年は1・418人と10倍以上になった。

偏見や無知の克服誓う 世界エイズデー

2002年12月01日 The Sankei Shimbun
 世界エイズデーの1日、国民の9人に1人がエイズウイルス(HIV)感染者とされる南アフリカで、エイズをめぐる偏見や無知を克服し、世界が直面する最大の脅威に打ち勝つことを誓う催しが行われた。

 最大都市ヨハネスブルクの墓地では、母子感染によるエイズで死亡した子供たちの遺骨埋葬式があった。埋葬されたのは、養護施設「コットランズ」の子供ホスピスで過去1年間に息を引き取った生後数カ月から3歳の子供17人。参列者は「子供たちは人生が本当に始まる前に亡くなった」と早すぎる死を惜しみ、エイズの深刻さを訴えた。

 埋葬会場近くの同市中心部では、ゴスペル音楽のコンサート。主催者のハウテン州は11月中旬から1万人以上を動員してエイズ教育のための戸別訪問を実施、市民に感染者への支援を呼び掛けた。

 国連エイズ合同計画(UNAIDS)などが11月に発表したエイズ年次報告によると、南アフリカでは、20歳未満の妊婦についてHIV感染率の減少が確認された。巨額の金銭負担を伴う感染者治療やエイズ予防に企業単位で取り組む動きも加速している。

 こうした明るい材料を国全体で大きなうねりにするのが今後の課題だ。南アフリカ政府は国民に対し、エイズに倒れた市民のため、1日夜にろうそくに「希望の灯」をともすよう呼び掛けた。(共同)

ベトナムでは1096人がエイズで死亡

2002年11月22日 The Sankei Shimbun
 22日付の英字紙ベトナム・ニューズが国家エイズ対策局の統計として報じたところによると、ベトナムでは今年1−10月期にエイズで1096人が死亡、10月末までの累計死者数は4649人になった。

 10月末現在、約5万6千人がエイズウイルス(HIV)に感染しており、うち約8450人が発症。HIV感染者の累計は2005年には少なくとも20万人に増大する見通しだという。(共同)

HIVの感染者最高に

2002年10月30日 The Sankei Shimbun
 今年7月から9月までの3カ月間に、新たに報告されたエイズウイルス(HIV)の感染者は184人で、1カ月当たりの平均で見た場合、1985年に国の報告制度がスタートして以来、最高に達したと、厚生労働省エイズ動向委員会が30日、発表した。

 この3カ月間の新たなエイズ患者は100人、確認された死者は8人で、累積死亡者は1278人となった。
 感染経路として、感染者、患者とも男性同士の性的接触によると報告されたものが多く、特に患者では、同性間の接触が異性間の性的接触を初めて上回った。動向委は、この傾向が一時的なものか注視したいとしている。

 動向委のまとめでは、感染者、患者ともに男性は8割以上を占めた。男性感染者165人中、同性間の性的接触が感染経路だったのは92人だった。

 男性患者のうち同性間の性的接触が感染経路だったのは、4月から6月の前回調査では17人と、異性間の26人よりも少なかったが、今回は男性同士が32人で、異性間25人より7人多かった。

 動向委委員長の吉倉広・国立感染症研究所長は「感染の認識がないまま、発病して初めて報告されるケースが特に増えている。非常に大きな問題だ」と話している。

中国のエイズ感染100万人

2002年09月06日 Yomiuri On-Line
 【北京6日=佐伯聡士】中国の衛生省は6日、国内のエイズ感染者が今年上半期までに推計約100万人に達したと発表した。

 政府は行動計画を策定し、感染拡大防止に乗り出したが、昨年末の推計では85万人だっただけに、感染が急速に広がっていることを示している。

 有効な対策が講じられなければ、2010年までに感染者は1000万人に達するとの見方も出ている。

 1985年から昨年末までに同省に報告されたエイズの感染者数は3万736人で、このうち1594人が発症、684人が死亡した。感染原因の68%が麻薬の注射で、9・7%が採血、7・2%が性交渉によるものという。

猫エイズ、ツシマヤマネコの雌でも確認

2002年09月02日 The Sankei Shimbun
 長崎県の環境省対馬野生生物保護センターは2日、同県上県町で捕獲した国の天然記念物ツシマヤマネコの雌が、「猫のエイズ」と呼ばれる猫免疫不全ウイルス(FIV)に感染していた、と発表した。ツシマヤマネコのFIV感染が確認されたのは3匹目だが、雌は初めて。

 FIVはツシマヤマネコの雄が、感染したネコとのけんかによるかみ傷などから感染するとみられていた。センターの担当者は「雌の感染はヤマネコ同士による感染の可能性が高く、FIVがヤマネコ社会にまん延していることも考えられる」と指摘、早急な対策が必要としている。

 このヤマネコは8月23日、発信機を取り付けた生態調査のため捕獲され、血液検査でFIVに感染していることが判明した。同センターは、いったん放したが、近く再捕獲して隔離飼育する。

 FIVは発症すると人間のエイズ同様に免疫不全状態に陥る。有効な治療法はなく、人には感染しない。

HIV:新規感染は149件 厚生労働省

2002年07月24日 Mainichi INTERACTIVE
 厚生労働省が24日に発表した今年4〜6月の新規HIV(エイズウイルス)感染者の報告数は149件で、前期に比べ26件増えた。また新規のエイズ患者の報告数は77件で14件の増加だった。このうち、10代のHIV感染者が5件確認され、1〜6月計で6件と、昨年1年間(7件)に迫る勢いを見せており、同省エイズ動向委員会は「若年層への感染の広がりがあるのか、注意が必要だ」と指摘している。

エイズ感染深刻な南ア、日本人神父がホスピスで活動

2002年07月14日 Yomiuri On-Line
 世界最多のエイズ感染者を抱える南アフリカのホスピス(末期医療患者の看護施設)で、日本人神父の根本昭雄さん(70)がエイズ患者の介護にあたっている。貧しくて治療を受けられないために、次々に運び込まれては亡くなっていく患者たち。この2年半で子供を含めて約400人もの患者の死をみとった根本さんは、あまりにも凄惨(せいさん)な死を前に、生命の不条理を感じている。(ヨハネスブルク 森 太)

 ヨハネスブルク郊外でカトリックのフランシスコ会が無料で運営している「聖フランシス・ケアセンター」は、エイズの末期患者だけを対象にしている。現在、21歳から58歳の27人と、生後2か月から7歳までの孤児30人の計57人の患者を、専属の医師1人と看護師ら計35人が介護する。孤児の大半は授乳によって母親から感染し、親をエイズで亡くした子供たちだ。

 入所者の多くは黒人だが、平均月収が3000ランド(約3万6000円)しかない彼らにとって、発症を遅らせる治療に必要な毎月平均6万円の支出はかなわない。死の差し迫った状態で周辺の病院や自宅から運び込まれ、多くは1週間以内に、苦しみながら死亡する。

 ◆手をとり抱擁◆

 「ファーザー・ニコラス」と呼ばれる根本さんは、施設内で暮らす。1日3回、患者を巡回し、毎週1回、教会でミサを行う。スキンシップを心がけ、患者の手を握り、抱擁する。日本で覚えたマッサージを施すこともある。神父としての教えは説かない。患者たちはやがて心を開く。家族や恋人のことを話し始める。「その場その場で心が和む会話をしています。温かい雰囲気の中で息を引き取ることにホスピスの意義がある」と話す。

 宇都宮市出身。2人の兄は特攻隊に志願して戦死し、終戦の1か月前に家が焼けた。戦後、父と焼け野原でクギやトタンを拾い集め、家を建てた。17歳で教会に通い始め、39歳で神父になった。

 今も忘れられないのが、群馬県草津のハンセン病病院で、6年間勤めた後のお別れ会での出来事だ。「神父さんは私たちと一緒に1回もお風呂に入らなかった」。この患者の一言が胸に突き刺さった。「自分だけが打ち解けたつもりだった」と振り返る。この経験を機に、ベトナム難民や日雇い労働者の支援など、「社会派」神父として活動するようになった。

 91年に南アに渡航。アパルトヘイト(人種隔離政策)解体から新国家建設へと歩み出した南アを、自分の目で見たかった。旧黒人居住区を中心に宣教活動をする中で、ケアセンターを創設した神父と出会い、2000年1月からここで神父を務めている。

 今年、ケアセンターでは今月9日までの約半年間で、子供7人を含む118人が死亡した。97年の40人、98年の81人から、死者は増える一方だ。

 ◆政府の対策後手◆

 南アでは、金鉱などで働く出稼ぎ労働者が、売春婦らを通じて感染し、故郷で妻に感染させることが多い。政府のエイズ対策も、公立病院で母子感染予防の治療薬を認めていないなど、後手に回っている。

 根本さんは「貧困が病気を呼び込んでいる。治療も受けられない。すべての原因は貧困にある」という。しかし毎日のように死と向き合うと、「なぜこれほど多くの人が」と思わざるを得ない。心から患者と打ち解けたとしても、根本さんの苦悩が解けることはない。

          ◇

 国連エイズ計画(UNAIDS)が今月2日発表した最新のエイズ報告によると、世界のエイズウイルス(HIV)感染者は昨年末現在で推定4000万人。アフリカ南部は特に深刻で、南アフリカは世界最多の500万人の感染者を抱え、成人感染率は20%に達する。

“エイズ遺児”が急増 ユニセフなど予測

2002年07月11日 The Sankei Shimbun
 スペイン・バルセロナで開催中の国際エイズ会議で、国連エイズ合同計画(UNAIDS)と国連児童基金(ユニセフ)などは10日、両親または一方の親をエイズで失う子どもが激増し、現在の世界合計1340万人から2010年には2500万人を超えるとの予測を発表した。

 エイズは夫婦、母子間の感染も多いため、UNAIDSは「危険で脆弱(ぜいじゃく)な環境にある子どもたちを救うことが急務」としている。

 大半は患者の多いアフリカに集中し、現状で両親または一方の親のいない子ども約3400万人のうち、約1000万人がエイズが原因。8年後には親を失った子ども4200万人のうち、エイズによるケースは2000万人に達するとの予測だ。

 しかしUNAIDSなどは「総人口の多いアジアの感染拡大は未知数」と指摘。現状で6500万人の親を失った子どものうちエイズが原因のケースは200万人にすぎないが、激増の可能性を否定できないとしている。(共同)

エイズによる死者、7000万人に達する可能性=国連

2002年07月03日
 [国連 2日 ロイター] 国連エイズ合同計画(UNAIDS)は、富裕国がエイズ予防のための努力を強化しないかぎり、今後20年間でのエイズによる死亡者がおよそ7000万人に上るとの見方を明らかにした。

 UNAIDSがこの日発表したレポートによると、エイズ発病者、およびエイズウイルス(HIV)感染者の総数は、2年前の3400万人から、4000万人強に増加している。

 UNAIDSのピオット事務局長は、ロイター通信に対し、「エイズ感染のピークにはまだ達していない。エイズは人類史上、前例のない伝染病だ」と述べた。

 また、報告書は、エイズ問題と取り組むために、富裕国によるさらなる資金提供を求めている。昨年開かれた国連エイズ特別総会が設定した目標を達成するためには、2005年までに70億から100億ドルの資金が必要だという。(ロイター)

中国でエイズまん延の恐れ、1000万人に拡大も=国連

2002年06月27日(ロイター)YAHOO!ニュース
[北京 27日 ロイター] 国連エイズ計画(UNAIDS)は、中国当局のエイズ対策を厳しく批判し、同国が破滅的で想像を絶する人的被害に直面している、と指摘した。

 UNAIDSの報告書によると、中国のHIV感染者は2001年末に推定80万―150万人と、1999年末の50万人から急増した。

 万が一当局が有効な対策を取らなかった場合、感染者は2010年に1000万人に達する恐れがあるという。

 中国では昨年、国営メディアの報道により、河南省の農民の間で売血によるHIV感染が広がっている実態が判明。これを受けて同国政府は、エイズ対策への取り組みを公表した。

 ただ、UNAIDSは、中国政府の取り組みはまだ不十分であり、エイズ問題に対する国民の意識は低いと指摘。

 対策が遅れている原因として、中国の官僚主義、当局者らの取り組みや指導力不足、資金不足、保健制度の崩壊が挙げられている。

エイズ非常事態を宣言 ジンバブエ

2002年05月28日The Sankei Shimbun
 27日のロイター通信によると、ジンバブエのチナマサ法務・議会担当相は、このほど発行された官報で「エイズウイルス(HIV)の急速な感染拡大を受け、6カ月間の非常事態を宣言する」と発表した。

 特許で保護されているエイズ治療薬は高価なため、非常事態を宣言することで安価なコピー薬を調達するのが狙いだ。

 国連エイズ合同計画(UNAIDS)の推計によると、ジンバブエでは、1999年末時点で成人(15−49歳)のHIV感染率が25%に達している。(共同)

安いエイズ薬「違法でも輸入」 ナイロビの治療孤児院 2001.02.23(23:37)asahi.com
 ナイロビにあるエイズ孤児院「ニュンバニ」が、インドの製薬会社CIPLAから、エイズ治療薬を本来の10分の1の安価で入手する方針を21日、発表した。これらの治療薬は特許で守られていて、本来は安く手に入らない。法を無視する形で輸入に踏み切る背景には、治療薬が高すぎて、エイズに苦しむアフリカの人たちには届かないという事情がある。

 ニュンバニが輸入する薬は、3種のエイズ治療薬を組み合わせて投与するもので、CIPLAがインドで製造元の特許を無視する例外的な措置として、本来の登録名と異なった名前で製造している。いくつかの薬を組み合わせることで、エイズウイルスの増殖を防ぎ、発病を抑える効果が上がっているという。国際的な非政府組織(NGO)の「国境なき医師団(MSF)」が輸入を支援し、CIPLAは1人あたり年350ドルで薬を提供すると申し出ている。

 ケニアでは、同種の治療薬は特許によって保護され、ケニアで同じ治療を正規の値段で受けようとすると、約10倍かかる。地元で勝手に生産したり、外国から輸入したりすると、違法行為になってしまう。

 ニュンバニのダゴスチノ院長は「院では月に3人も死んでいる。安い薬を輸入すれば、今の5人に加え、20人が治療を受けられる。もうこれ以上待てない」と話す。

 ケニアには約210万人のエイズウイルス感染者がいる。MSFによると、私費で効果的な治療を受けているのは約1000人にとどまっている。

 ナイロビにある大手製薬会社の事務所は今回の輸入計画に対し「コメントできない」としている。しかし、製薬会社側は、特許を無視して製造された薬が、他の国に安価に輸出されることに、警戒と反発を強めている。元の薬の値崩れを招き、新たな薬の開発にも影響を与えるというのが、製薬会社側の言い分だ。

 製造元の特許を無視する形でのエイズ治療薬の製造はブラジル、タイでも実施され、国内感染者の治療に効果を上げている。

 しかし、そのような仕組みがないアフリカでは、貧困層にとって薬はとても手が出ない。サハラ砂漠以南のアフリカで昨年240万人がエイズのため死亡している。世界のエイズウイルス感染者の7割以上が、この地域に集中する。

 アフリカで猛威を振るうエイズ対策として、製薬会社側も薬の値段を下げる動きはみせている。昨年5月、世界の大手製薬会社5社は、エイズ治療薬の値段を、最大85%減額すると発表した。しかし、MSFによると、これまでの減額は20―50%にとどまっているという。

エイズの死者は2180万人 国連事務総長報告書で発表2001.02.21(22:22)asahi.com
 特にサハラ以南のアフリカで深刻化しており、成人感染者の7割、子どもの8割を占めている。2000年だけで380万人が新たに感染し240万人が死亡した。

 感染率は東南アジアでも高まり、昨年だけで78万人の成人が感染した。先進国では治療が進んで死者は減少傾向にあるが、東欧や旧ソ連地域でもこの1年間で28万人が感染するなど、貧しい地域での被害が急増している。

露のHIV感染 前年比2.8倍/昨年5万人超す

2001.01.29 【モスクワ28日=共同】The Sankei Shimbun
 二十八日のインタファクス通信によると、ロシアの新たなエイズウイルス(HIV)感染者は、昨年一年間だけでこれまでの感染者総数をはるかに上回る五万一千百六十一人に達した。調査を開始した一九八七年以来の感染者総数はこれで八万七千二百人。

 ロシア保健省報道部の発表として伝えたもので、それによると、昨年の感染者数は前年の二・八倍に跳ね上がっており、ロシアでのHIV感染の急速な拡大があらためて浮き彫りになった。

エイズ阻止に1億ドル提供 ビル・ゲイツ会長

2001.01.28【ダボス(スイス)28日=共同】
 マイクロソフトのビル・ゲイツ会長は二十七日、スイスのダボスで開催中の世界経済フォーラムで、エイズの拡大阻止のために一億ドル(約百十七億円)を提供すると発表した。

 ゲイツ氏の運営する財団によると、エイズワクチンの開発を支援する国際団体に資金を供出。特に、エイズの感染が広がっている発展途上国で、安価で入手できるワクチン開発に貢献するようにする。

 一方、米ネット接続大手ヤフーも同日、同団体に五百万ドルの提供を約束した。同資金は世界中のヤフーサイトを通じたエイズ啓発活動に使うという。

iモードでhttp://www.cai.presen.to/i/>仮想HIV抗体検査を受けよう 2000.12.02(17:50)asahi.com
 携帯電話のiモードで「仮想HIV抗体検査」を受けましょう――。エイズ啓発活動に取り組む東京都内の団体「Campus AIDS Interface(CAI)」が今月から、こんなサービスを始めた。特に若い人に利用を呼びかけている。

 7つの質問にイエスかノーで正直に答えると、エイズに感染している可能性の有無がわかる。2年前からはインターネットのHP上で展開、すでに6万人以上がアクセスした。

あす世界エイズデー 宗教指導者一堂に/米大統領も参加、役割協議

2000.11.30【ワシントン29日=西田令一】The Sankei Shimbun
 エイズ対策担当のサンドラ・サーマン米大統領特使は二十八日、記者会見し、世界エイズデー(十二月一日)に当たり、三十日から二日間にわたりホワイトハウスに世界の宗教指導者たちを招いて、エイズとの戦いで宗教界が果たすべき役割について話し合うことを明らかにした。エイズデー当日は、クリントン大統領も協議に参加する。サーマン特使はまた、HIV/エイズのまん延は「米国にとって国家安全保障上の問題」と強調した。

 サーマン特使は宗教指導者たちが集う意味合いを、(1)HIV/エイズに関する沈黙を破る必要があり、それには宗教界が発言することが重要(2)エイズでらく印を押されることがないようにするためにも宗教界の役割は重要(3)HIV感染者やエイズ患者、エイズで両親を失った子供たちのケアでも、宗教界の役割は重要−と説明。「(こうした点を)世界中から集まる宗教指導者たちと話す」と述べた。

 サーマン特使は、国連エイズ合同計画(UNAIDS)が二十八日に公表したエイズ報告書に関し、サハラ以南のアフリカでの新たなHIV感染者は今年は三百八十万人と推定され、昨年の四百万人を下回ることを「朗報」と指摘する一方、旧ソ連・東欧圏のHIV感染者数が今年は昨年の四十二万人から七十万人に急増したことなどに懸念を示した。

HIV除去し体外受精 新潟で計画/感染者から正常精子だけ分離

2000.11.28 The Sankei Shimbun
 新潟大医学部は二十八日までに、エイズウイルス(HIV)感染者の夫の精液からウイルスを除去し、妻の卵子と受精させる体外受精を実施することを決めた。関係者によると国内初の試みという。妻や子供への二次感染を防ぐのが目的で、新潟大は、十二月にも実施する方針。

 新潟大医学部の田中憲一教授によると、ウイルス除去法は荻窪病院(東京都杉並区)と慶応大医学部が共同で開発した。

 試験管内に「パーコール」という粉末の溶液と一緒に精液を入れて遠心分離機にかけ、精子と不純物、リンパ球、ウイルスを分離する。

 さらに、取り出した精子を別の容器の培養液に入れ「スイムアップ法」という手法で、活発な精子だけを採取してウイルスの有無を再確認する。

 荻窪病院で採取した精子を冷凍して新潟大に運び、妻の卵子と体外受精させてから、また妻の子宮に戻す。

 エイズウイルスを除去した精子を使った人工授精は、イタリアでかなりの例があるが、今回の体外受精の方法はさらに安全性を高めた、という。

 田中教授によると、体外受精は厚生省エイズ研究班の取り組みで、今年七月に新潟大医学部の倫理委員会に申請、十月に承認を得た。新潟大関係者によると、慶応大などでも倫理委員会の承認を得ているという。

 田中教授は「数十万分の一の確率でエイズウイルスが混入している可能性もあるが、精子とウイルスを分離する技術は飛躍的にアップしており、安全性があるといえる。今回の治療は子供をあきらめていた夫婦の朗報になるだろう」と話している。

今年のHIV感染者530万人 国連報告 2000.11.28(21:57)asahi.com
 世界保健機関(WHO)と国連エイズ合同計画は28日、2000年のエイズ報告を発表した。それによると、今年1年でエイズウイルス(HIV)に新たに感染した人は530万人で、年末時点で3610万人にのぼると推計される。エイズによる死者は、過去最高だった前年の約260万人を上回る約300万人で累計2180万人に達した。報告は、感染者の3分の2以上を占めるサハラ以南のアフリカ諸国を対象に「感染者の治療と感染防止対策に毎年30億ドル(約3270億円)の支援が必要だ」と国際社会の支援を求めた。

エイズ感染3610万人に WHO推計

2000.11.25【ジュネーブ24日=共同】The sankei Shimbun
200万人増 死者300万人超す勢い WHO推計

 世界保健機関(WHO)は二十四日、世界のエイズ感染者は今年末の時点で前年比約二百万人増の約三千六百十万人に達するとの推計(速報)を発表した。エイズによる死者は、過去最高だった前年の約二百六十万人をさらに四十万人上回り、約三百万人に上る見通し。

 発表はアジア地域について、インドなど「南アジアや東南アジアの人口が多い国に(感染者が)集中している」と指摘。アフリカなどに比べて深刻度は低いものの「性産業や麻薬、さらに(移民などの)人口移動が増えている」として、対策を誤れば感染が一気に広がる恐れを警告している。

 地域別に見ると、感染者が最も多いのはサハラ砂漠以南のアフリカで、全体の約七割を占める約二千五百三十万人。次いで南アジアの約五百八十万人、中南米の約百四十万人と続いた。日本を含む東アジア太平洋地域は六十四万人だった。

 アフリカに関しては、新規感染者こそ「安定化の傾向」にあるものの、依然として深刻な状態だとしている。

 WHOは毎年、各国政府が公表するエイズ感染者総数などの統計を基に、各国の個別事情を考慮して推計をまとめている。

21世紀 エイズと対決/国連、来年6月に特別総会

2000.11.4【ニューヨーク3日=青木伸行】The Sankei Shimbun
 地球規模で広がるエイズウイルス(HIV)感染に国際社会が一致して立ち向かうため、HIV/エイズ問題に関する国連特別総会が来年六月二十五日から二十七日まで、ニューヨークの国連本部で開かれることになった。国連ミレニアム総会が三日、全会一致で開催決議案を採択した。エイズの流行について国連はすでに、単なる医療の分野の問題にとどまらず、途上国の社会開発や世界の安全保障をも脅かしかねない重大な脅威のレベルに達しているととらえてお閨A二十一世紀は人類対HIVの闘いで幕が開けられることになる。

国際協力で具体策
 国連のエイズ対策推進機関である国連合同エイズ計画(UNAIDS)によると、世界のHIV感染者の数は昨年末現在、三千四百三十万人に達し、その七割を超える二千四百五十万人がサハラ砂漠以南のアフリカ諸国に集中している。

 しかも、HIVの感染は拡大を続けており、サハラ砂漠以南のアフリカ諸国に限定しても現在、平均すると毎日五千五百人がエイズで死亡しているだけでなく、二〇一〇年にはその数が毎日一万三千人にまで増加する見通しだ。

 このためアフリカ南部では九〇年代に五九歳だった平均寿命が二〇〇五年から二〇一〇年の間に四五歳まで低下するとみられており、個人の生活や家庭が破壊されるだけでなく、働き盛りの年齢層を失うことで国や社会が崩壊の危機にさらされ、国際安全保障上も重大な事態を招きかねないと懸念されている。

 一方、アフリカよりはるかに人口の多いアジアでもHIV感染は急速に拡大しており、いま有効な対策を取らなければ、二十一世紀にはアジアの感染がアフリカを大幅に上回ることになるのは避けられないとみられている。

 こうした危機的状況に対する認識は二十世紀最後の年である今年に入って急速に高まっており、一月には国連安保理で地球規模のエイズの流行を安全保障上の重要課題と位置づけて集中討議が行われた。

 また、七月の沖縄サミットでは、G8首脳宣言の中で、若者のHIV感染を二〇一〇年までに二五%減らすなど、数値目標を掲げてエイズを中心にした感染症対策に本腰を入れて取り組むことを各国首脳が約束している。さらに九月の国連ミレニアム・サミットでも各国首脳の多くが演説でとくにエイズの流行に言及しており、国際社会の関心の高さを裏付けた。

 国連特別総会はこうした動きを国際間の協力で具体的な対策に結びつけることを目指すもので、各国政府、国際機関の代表だけでなく、エイズ対策の現場で感染者のケアや予防啓発などの活動を続けるNGOやエイズとの闘いを最前線で担ってきたHIV感染者の代表、研究者らも発言の機会を求めて続々とニューヨークに集まり、過去に例のない総会になりそうだ。

 日本政府は沖縄サミットの議長国として、向こう五年間でエイズを含む感染症分野で三十億ドルに相当する協力を行うことを約束しており、特別総会についても開催を支持し、積極的に参加していくことを明らかにしている。

エイズ対策で来年6月に国連特別総会開催 2000.11.04(16:12)asahi.com
 国連総会は3日、「国連エイズ特別総会」を来年6月25日から3日間、国連本部で開催することを全会一致で決議した。日本を含め97カ国が共同提案した決議案で、エイズ問題で特別総会が開かれるのは初めて。

 エイズウイルス(HIV)感染者はこれまでに3400万人に達し、1600万人以上の死者が出ている。エイズは、先の沖縄サミットでも優先課題として取り上げられ、国連ミレニアム・サミットでも「2015年までにエイズの拡大を食い止める」との宣言が出された。

「エイズ治療薬を途上国へ」と訴え 国境なき医師団 2000.10.24(21:40)asahi.com
 エイズ問題に取り組んでいる昨年度のノーベル平和賞受賞団体「国境なき医師団」のティド・フォン・シェンアンゲラー医師は24日、東京都内で記者会見し、「タイでは3つの薬が国内で生産され、はるかに安い費用で治療が可能になった。だが、これは最初の一歩にすぎない」と地球規模で安い治療薬が入手できるようにすることの重要性を訴えた。

 100万人のエイズ感染者がいるタイで活動する同医師は「全世界で3400万人の感染者がいて、うち2400万人がアフリカに集中している」と強調。「この5月、国際的な製薬企業5社が安い薬を途上国で提供すると声明したが、その後、何も具体的な動きがない」と述べ、沖縄サミットでも議題になったこの問題に、国際社会が関心を高めてほしいと呼びかけた。

 同医師は、途上国の人たちがエイズ、熱帯病などの治療に必要な医薬品を利用できるようにする「国境なき医師団」キャンペーン(日本事務局=電話03―3366―8571)の講演のために来日した。

献血のHIV抗体陽性件数が増加 厚生省エイズ動向委 2000.07.26(00:49)asahi.com
 厚生省のエイズ動向委員会が25日開かれ、今年1―6月の献血に関する速報値をまとめた。半年間で献血があった延べ293万2165人のうち、エイズウイルス(HIV)抗体陽性だったのは31人(うち女性3人)。献血者10万人に対する抗体陽性人数は1.057人で昨年をわずかに上回り、過去13年間で最も高かった。委員長の柳川洋・埼玉県立大副学長は「年々増加傾向にあり、重要視すべき課題。HIV感染者が増えているのが原因か、検査目的の献血が増えたのかは不明だ」としている。

「PKO兵士にエイズ教育を」 国連安保理が決議 2000.07.18(19:50)asahi.com

国際エイズ会議開会式であいさつ、ジョンソン君11歳 2000.07.12(12:30)asahi.com
 「ぼくは11歳です。ぼくはHIV陽性です」。=ヌコシ・ジョンソン君=(11)は9日、南アフリカのダーバンで開幕した国際エイズ会議の開会式であいさつした。会場の運動競技場に集まった1万人を超える人たちに話しかけた。マイクを通してさえ、か細い声。会場を埋めた人たちは次々立ち上がり、ステージ上の小さな声の主を探した。

「エイズが途上国の子どもの最大脅威」ユニセフ年次報告 2000.07.12(20:54)asahi.com

国際エイズ会議が南アフリカで開幕 2000.07.10(16:24)asahi.com
 第13回国際エイズ会議が9日、南アフリカのダーバンで開幕した。新薬や治療法の開発・研究が進む中で、その恩恵を途上国の感染者や患者が受けられないという、治療の「南北格差」問題がここ数回の会議で浮上していた。その途上国で初めて会議が開かれた。

 世界中のエイズウイルス感染者は国連エイズ合同計画(UNAIDS)によると3430万人に達し、このうちサハラ砂漠以南のアフリカの感染者は2450万人を占める。開催国の南アフリカは世界で最多の430万人を抱える。

米サンフランシスコでHIV感染者急増 2000.07.01(15:29)(時事)asahi.com
 サンフランシスコ市公衆衛生局によると、同市でエイズ検査を受けて陽性だった人の割合は1997年が全体の1.3%だったのに対し、98年は2.6%、99年が3.7%に急増。2000年の年間感染者数は800−900人に上ると予想され、このうち580人近くを同性愛者の男性が占めると推定されている。

NIAID、エイズワクチンの臨床開発で新たな官民協力

2000/06/29 日経バイオテク
 米国国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)は、6月27日、エイズワクチンの開発促進を目的とした、新たな官民協力4件の概要を公表した。

 HIVワクチン設計開発チーム(HVDDT)と名付けられた新たな協力体制は、世界的規模で効果が期待できる有力なエイズワクチン候補の、臨床開発の推進をめざす。

 NIAIDは、今後5年間に、4件のHVDDT契約に約7000万ドルを投入する計画だ。

HIV感染、アフリカは2450万人 -南アの15歳 半数死亡と予測(国連合同エイズ計画が報告)-

2000.06.28 The Sankei Shimbun
 深刻なエイズ危機のため、アフリカの十三カ国で現在十五歳の少年少女の少なくとも三分の一は若くしてエイズで死ぬことになる。世界保健機関(WHO)やユニセフなど国連七機関でつくる国連合同エイズ計画(UNAIDS)は二十七日、最新のエイズ報告書でこんな衝撃的な予測を明らかにした。南アフリカ共和国では、すでに四百二十万人がエイズウイルス(HIV)に感染しており、いまから国をあげて予防キャンペーンに取り組んでも十五歳の男女の半分はいずれエイズで死亡するという。

 ジュネーブで発表された報告書によると、世界のHIV感染者数は九九年末現在、推定三千四百三十万人、これまでのエイズによる死者が推定千八百八十万人。合計すると、HIVに感染した人の数は死者も含め合計五千三百十万人となる。また昨年一年間の推計では、年間五百四十万人が新たにHIVに感染し、二百八十万人がエイズで亡くなったという。

 地域別では、図のようにサハラ砂漠以南のアフリカが最も深刻で感染者二千四百五十万人。タイやカンボジア、インドなどを含む南アジア・東南アジアは五百六十万人となっている。

 アフリカの流行はこれまで各国の詳細なデータが得られなかったことから過小に評価されていたが、ここ二、三年で多くの国が対策に力を入れ、予想以上に深刻なことが分かった。すでに成人(十五−四十九歳)人口の一〇%以上がHIVに感染している国が十六カ国もあり、ボツワナでは三五・八%に達している。

 南アフリカ共和国は成人人口に占める感染者の割合が二年前には一二・九%だったのに、昨年末には一九・九%に上昇。子供も含めると、三千九百八十万人の国民の実に四百二十万人がHIVに感染しており、世界最大の感染者人口を抱える国となっている。

 しかし、こうした数字はエイズの流行がもたらす衝撃の大きさからすると現時点での「スナップ・ショット」に過ぎないと報告書は指摘している。

 各国の報告や統計をもとに疫学や人口学の専門家が行った分析によると、成人人口の一五%以上がHIVに感染している十三カ国では、現在十五歳の男女の少なくとも三分の一がいまは感染していなくてもいずれHIVに感染し、若いうちにエイズで死ぬという。

 南アフリカの場合、成人のほぼ二〇%がすでに感染している状態なので、いま十五歳の男女は、このまま政府が予防対策を取らない悲観的シナリオの場合七〇%、本格的に予防キャンペーンを行い感染率を下げることに成功する楽観的シナリオでも、半数近くがHIVに感染して死亡すると予想されている。

世界のエイズ患者3430万人 99年末 2000.06.28(01:21)asahi.com
 国連は27日、社会開発サミットにあわせて、エイズ患者の世界分布状況を発表した。1999年末段階でエイズ患者は3430万人にのぼり、90年の1500万人に比べ2倍以上に増えた。サハラ以南のアフリカ諸国が2450万人で全体の7割を超え、深刻なエイズ禍がこの地域の貧困を加速化している状況が浮き彫りになっている。

HIV感染者は過去最多 99年エイズ発生動向 2000.06.27(19:45)asahi.com
 厚生省エイズ動向委員会は27日、昨年1年間に報告があったエイズウイルス(HIV)感染者、エイズ患者の発生動向をまとめた。それぞれ過去最高の530人と300人で、前年に比べて2、3割の増加。日本人男性の増加が目立っていた。国内での感染が8割近くを占めている。

 1年間のHIV感染者は日本人男性が379人、女性が45人。外国人では男性39人、女性67人だった。外国人は男女とも横ばいか減少に転じているのに比べて、日本人はいずれも増加。中でも日本人男性は前年の1.4倍になった。

 感染経路は、性的接触によるものが77%。国内での感染も79%だった。また全国の報告数のうち東京都内が4割だった。

中国でもエイズワクチンの臨床試験を来年から開始 2000.06.19(21:28)asahi.com
 中国の華僑向け通信社、中国新聞社の19日の報道によると、中国衛生省エイズ予防センターの担当者はこのほど、中国がエイズワクチンの臨床試験を来年から始める予定であると述べた。臨床試験が成功すれば、今後3年から5年でエイズ予防のワクチン接種が実用化される見通しという。担当者は中国のHIV(エイズウイルス)感染者は50万人を超える深刻な状況としている。

コンドーム史上初の大発明?「目に見えないコンドーム」実用化に向けて開発中

2000 June 13トロント(カナダ)by Daily News
  先日お伝えした、エイズの新予防薬となる可能性のある「microbicide(ミクロビサイド)」という物質を含んだ性交時の潤滑剤。これが、2〜3年後には一般販売されるようになるかもしれないと、カナダの新聞各紙が報じた。

  この潤滑剤は、性交時に使用するとジェルがバリアを作り、妊娠や性病の感染をかなりの確率で防ぐというもの。そのため、通称「Invisible Condom(目に見えないコンドーム)」と呼ばれ、実用化されればコンドーム史上100年来の大発明だと言われている。

  先月末から今月はじめにかけてトロントで行われていた国際エイズ予防会議で、このジェルの有効性が認められた。それに伴ない、エイズ研究の進んでいるラバル大学に、政府から研究費用として35万ドル(約3,700万円)が支給されることになった。

  ラバル大学医学部の感染症研究者マイケル・バージェロン氏は、この研究を91年からすすめており、今後はモニターの女性を募集して臨床実験を実施する。その後2〜3年以内には商品化される可能性もあるという。

  このジェルが実用化されれば、男性だけでなく女性も自分の意志で手軽に使える避妊用具となり、多くの女性がエイズの恐怖から救われるのではないかと期待されている。もしかしたら、今の時代、男性側もそれは同様なのかもしれないが……。

潤滑材がエイズ感染を防止!?ジェルでセーフ・セックス

2000 June 5 トロント(カナダ)by Daily News
 先日、カナダのエイズ研究の第一人者で、マギル大学エイズセンターのディレクター兼インターナショナル・エイズ・ソサエティの会長、マーク・ウェインバーグ氏が「性交時に潤滑材として使用するジェルの中の成分“microbicides”は、エイズを引き起こすウィルスを殺す、もしくは中和することができる可能性がある」と発表し、話題になっている。

 『トロントスター』紙によると、ウェインバーグ氏はさらに、「世界中の薬品会社と政府は、この研究を進めていくことの重要性を認識していない」と指摘しているという。そのため研究費用がどこの国でも不足しており、カナダの厚生省でもやっと検討に入った段階らしい。

  もしこの成分がHIVウィルスへの感染を予防することが実証されれば、ジェルを性交直前に使用することで感染の可能性を減らすことができ、増え続ける感染者を減らしていくことができるはず……とウェインバーグ氏。

  カナダでは、近い将来22歳から44歳までの女性の主な死亡原因はエイズ感染になると予想されている。そのため、今月トロントで行われる「女性とHIV-AIDS会議」で、このジェルがいちばんの議題として話し合われる予定だ。

  エイズの感染予防には、コンドームの使用がいちばんとされているが、男性の協力がなければ使用するのが難しい。女性のためのエイズ対策をもっと充実させるためにも、この研究はぜひ早急に進めてもらいたいものだ。

飲むエイズワクチン開発

2000年5月20日 9時40分【ワシントン共同】
 エイズウイルスの発見者として知られる米メリーランド大のロバート・ギャロ博士らは19日、飲むタイプのエイズ予防ワクチンの開発を進めていると発表した。1年半以内に、エイズまん延に苦しむアフリカ・ウガンダで臨床試験を開始する計画。

 同博士らによると、このワクチンは毒素を弱めたサルモネラ菌にエイズウイルスのDNAの1部を組み込んで作る。

製薬5社、アフリカへのエイズ治療薬を大幅値下げ

2000.05.12 Web posted at: 6:44 AM JST (2144 GMT) ジュネーブ(CNN)by CNN.co.jp
 大手国際製薬会社5社は11日、国連の要請に従い、エイズに苦しむアフリカ地域に向け販売されているエイズ治療薬の価格を、大幅に値下げすると発表した。最大で約70%の値下げになると見られている。

今回値下げを発表をしたのは、ニューヨークのブリストル・マイヤーズ・スクイブ社、スイスのロシュ社、ドイツのベーリンガー・インゲルハイム社などの大手5社。独占禁止法で、値下げ幅を合同で決定するのは禁止されているため、各社は国連と別々に討議し、価格を決定する。

エイズが比較的新しい病気であることから、新開発の治療薬はすべて製薬会社の特許の下で販売されており、新薬の価格高騰の原因となっている。高価なエイズ治療薬は、エイズ被害が最も多いサハラ砂漠以南のアフリカ地域で、患者救済の壁になっていると長い間批判されてきた。

国連エイズ計画のピーター・ピオ氏は、今回の5社の発表をエイズ治療に向けての新たなステップと賞賛する一方、より大きな努力が求められているとし、「今日、エイズは人類、社会、経済にとっての脅威。立ち向かうためにも、新たな資金が必要」と訴えた。

クリントン米大統領は10日、発展途上国におけるエイズ危機を訴える声明を出した。この声明は、エイズ治療薬の知的所有権を保護するためにWTO(世界貿易機関)で合意されている輸出入制限を取り除き、消費者が廉価の治療薬を購入する機会を広げようというもの。

しかし、輸出入制限を取り除くことで、地元の製薬会社にエイズ治療薬の販売を許可することにつながり、知的所有権や特許が侵害され、新薬開発費が損失に変わると懸念する製薬会社も少なくない。PRMA(米薬品研究販売社)のアラン・ホーマー社長は、クリントン大統領の声明に対し、「エイズは国際的に重要問題だが、知的所有権の侵害が解決方法ではない」と批判的だ。

エイズは安全保障の脅威 米政府報告

2000.05. 1 Web posted at: 7:45 PM JST (1045 GMT)ワシントン(CNN)by CNN.co.jp
 米政府はこのほど、エイズの世界的な蔓延は、国家を崩壊させる恐れのある、安全保障上の脅威であると位置付けた。米国家安全保障会議(NSC)は、エイズは国際社会の不安定要因だとして、米政府のエイズ対策を根本的に見直すことになった。

ホワイトハウスのケネディ副報道官は、クリントン政権はエイズを「健康上の脅威というだけでなく、アフリカやアジアで政情不安を引き起こす恐れさえある不安定要因だと位置付けた」と説明。「エイズは国際的な安全保障上の問題だ」と指摘した。

ワシントン・ポスト紙の報道によると、NSCが伝染病対策に取り組むのは今回が初めてだという。

ホワイトハウスの今回の動きによって、米政府のエイズ対策・研究には、NSCだけでなく国防総省も参加することになる。

被害の6割がアフリカ

エイズは現在、アフリカ大陸南部で最も深刻な状況になっている。1980年代以降、エイズで死亡した1600万人のうち、被害の6割がサハラ砂漠以南のアフリカ地域に集中している。NSCは、エイズの世界的蔓延に対するこれまでの米国の措置を、緊急に再検討する必要があるとしている。

ワシントンポスト紙によると、NSCの呼びかけによって、米国以外でのエイズ対策に上程される予算は約2億5400万ドルと、これまでの倍にはねあがったという。

今年1月に、ゴア副大統領は国連で演説し、「安全保障問題の根幹は、生命を守ることだ。今のままでは、21世紀最初の10年でエイズの犠牲になる人数は、20世紀中におきたすべての戦争のすべての犠牲者の人数に匹敵するものになってしまう」と警告した。

米政府はエイズ対策重視の一環として今年2月、「国際的なエイズ対策を推進する先駆的な政策を策定するため」、複数省庁関係者からなるワーキング・グループをホワイトハウス内に設置。議会に、アフリカ・アジア地域のエイズ対策費用として予算1億ドルを要求した。

エイズ問題は、今月ポルトガルで開かれる米欧首脳会議や、7月の主要国首脳会議(九州・沖縄サミット)でも議題になる予定。クリントン大統領はその席で、主要各国がエイズを地球規模の安全保障問題と位置付け、研究開発や物資援助に協力するよう求める方針だという。

1.ジンバブエ:25.9%, 2.ボツワナ:25.1%, 3.ナミビア:19.4%, 4.ザンビア:19.1%, 5.南アフリカ:12.9%, 6.インド:0.82%

旧ソ連でも年末までには100万人

米政府が国際エイズ対策に新たに乗り出した背景には、アフリカなどにおけるエイズの蔓延がある、と同紙は説明。米情報関係筋は今年1月、アフリカ南部の人口の約4分の1がエイズの儀背になる可能性が強いとして、エイズ被害はアフリカの国家・社会構造に重大な危機をもたらすとした情勢分析報告を提出したという。アフリカでは主に、中流・富裕層の男女カップルにエイズ被害が広がっている。

情報関係筋によるとこの報告書は、エイズの広がりと「一部の民主国家が破綻する可能性」を関連付けており、エイズ蔓延が引き起こす社会不安によって、「内戦や民族紛争、民族虐殺や政府の転覆」などが起きる可能性を指摘しているという。

また、エイズ被害はアフリカ南部だけでなく、旧ソ連地域でも拡大していると指摘。2000年末には、ロシア国内のHIV感染者が100万人に達する可能性が強いとして、警戒を呼びかけている。

大鵬薬品工業が国内初の女性用コンドーム発売

11:24p.m. JST April 24, 2000
 大鵬薬品工業は24日、国内初の女性用コンドーム「マイフェミィ」を25日から発売すると発表した。英フィーメールが製造したものを輸入して販売する。同社製品は1984年に開発され、すでに世界24カ国で年間1000万個売れており、大鵬は「女性が自らの意思で避妊したり、性感染症から身を守ったりできる」としている。
 強度に優れたポリウレタン製で、男性用コンドームと同様の形になっている。指で女性器内に装着し、精子の進入を防ぐ仕組みだ。メーカー希望小売価格は3個入り800円。薬局・薬店で販売する。

エイズ撲滅に向け討議

2000年4月17日 16時47分【ワシントン共同】
世界銀行と国際通貨基金(IMF)はワシントンで17日午前、合同開発委員会を開く。アフリカや東南アジアなどを対象としたエイズ撲滅のための資金支援問題を中心に討議するのが主な目的。エイズによる死者は年間300万人にも達するとされており、エイズ対策は今年7月の沖縄サミット(主要国首脳会議)のテーマにもなっている。

<HIV>感染者の総数は4251人

(2000.3.28) Medical Topics(医療情報) by ユニコン
 昨年12月27日から今年2月27日までに厚生省のエイズ動向委員会に報告されたHIV(エイズウイルス)感染者は44人、エイズ患者は43人であることが28日分かった。

 非加熱製剤でHIV感染した血友病患者ら「薬害エイズ」の被害者は、研究班の調査では98年10月時点で1434人に上り、全感染者・患者数の2割以上を占める。今回の報告で、これまでの国内の感染者の総数は4251人、患者の総数は2250人に達した。  

 今回届け出があった感染者数は、前回の報告(昨年11月1日〜12月26日)の91人から大幅に減少し、98年以降では最も少ない数となったが、動向委員会は「ここ数年の増加傾向を見ると、感染者が急に減少したとは考えられない。感染者が検査を受けていない可能性がある」と指摘している。

男性間HIV感染、10年で10倍に 厚生省研究班試算

9:24p.m. JST March 03, 2000
 男性間の性交渉でHIV(エイズウイルス)に感染する人は2010年には今の10倍の4万2000人になる――。こんな試算が3日、厚生省のHIV感染症疫学研究班の研究発表会で報告された。研究班の将来予測グループ(グループ長=橋本修二・東大助教授)がまとめた。一方で、コンドームの使用率が5%上がれば感染する人が2割減るとも予測され、大切さが繰り返し指摘されながら、なかなか浸透しないHIV感染予防の動きに、警鐘を鳴らすものになりそうだ。

 試算はまず、男性間で性交渉を持つ人の数を全国で約50万人と想定。HIVに感染していながら自覚していない人から感染が広がるとして、(1)コンドームの使用割合(2)性行為の頻度(3)感染者が発見される割合(4)感染が起きる割合――などの要素を勘案して、感染の進み具合を計算した。

 その結果、検査を受けずに統計に表れない潜在的な感染者を含めた感染者総数は、2000年で4000人前後だが、その後上昇カーブを描いて増加し、2010年には約4万2000人にまで増える計算になった。ただ、コンドームの使用率が5%上がれば、感染者予測数が2割減るなど、エイズ予防運動の効果によって、1万人程度の幅で変動することも予測している。

 橋本・グループ長は「試算はHIV予防の効果が今以上に向上しないなど、ほぼ最悪のシナリオに沿ったもの。むしろ外れればうれしい」と語った。今後は異性間の性交渉でのHIV感染の試算もし、予測の精度を高めていく方針だ。

 厚生省に報告されているHIV感染者は全体で約5000人。そのうち、同性間の性的接触が原因とみられる感染者は約900人いる。

エイズウイルスに汚染か

2000年2月11日 20時10分【ワシントン共同】
 11日付の米紙ワシントン・ポストは、米国の2カ所の病院で20人以上の若いがん患者が受けていた遺伝子治療の臨床試験で、遺伝子の運び役となるウイルスなどが、エイズウイルスなどで汚染されていた可能性があると報じた。問題の病院はテキサス州ヒューストンの大学病院とテネシー州メンフィスの小児病院。昨年12月に明らかになったが先週まで関係当局に報告しなかった。

エイズ治療薬の開発、予防への意識低下を招く恐れ=米研究

00年1月31日 13時51分[サンフランシスコ 30日 ロイター]
 
 エイズの進行を遅らせる薬の開発により、エイズ感染の危険性が高まる恐れがあることを、米研究者が指摘した。 これは、同性愛者や麻薬常用者らがエイズを甘く見るようになり、適切な予防措置を取らなくなる可能性があるため。 ある研究では、エイズの治療法があることを理由に調査対象の31%が「以前に比べ、感染をあまり心配していない」とし、17%が「以前に比べ、あまり予防していない」と答えたという。研究者は、特に麻薬常用者の意識が低いことに懸念を示している。

患者、感染者とも過去最高

2000年1月25日 19時04分 共同通信社
 昨年1年間に全国の医師から新たに報告されたエイズ患者は289人、エイズウイルス(HIV)感染者は491人で、計780人に上ったことが25日、厚生省のエイズ動向委員会の集計(速報値)で分かった。前年に比べて、患者は58人(25%)、感染者は69人(16%)の増加で、患者数、感染者数とも過去最高となった。同委員会は「国内の感染拡大が本格化している」と、感染予防の徹底を呼び掛けている。

昨年のエイズ患者、感染者最高

(2000.1.28) Medical Topics(医療情報) by ユニコン
 1999年1年間のエイズウイルス(HIV)感染者は491人(前年比69人増)、エイズを発症した患者が289人(同58人増)に上り、いずれも過去最高となったことが25日、厚生省のエイズ動向委員会の調査で分かった。国内のエイズ患者・感染者はこれで6414人となった。このうち、すでに1155人が死亡した。

 これに対し、年間の保健所でのHIV抗体検査数は4万8218件、相談数は10万3206件と、前年に比べそれぞれ5000件、7840件も減少。事態を重視した同省は今年6月にも、血液採取から約15分で結果が分かる新しい検査法を都内の保健所などで試験的に導入する。従来の方法では結果判明までに1−2週間かかり、再び足を運ぶ必要があった。

 昨年11月1日から12月26日までの感染者数は91人、エイズ患者は42人で、感染者では20−30代が65人と若い世代の感染がめだった。10代の女性患者も1人報告された。 感染原因は「異性間の性的接触」が61人と半数近くを占めたが、「同性間の性的接触」(44人)の件数も過去2番目に多い。

エイズウイルス、男女で感染に違い=米研究

99年12月28日 16時8分[ワシントン 27日 ロイター]
エイズウイルス(HIV)の感染のしかたが男女で異なり、 女性の治療に効くワクチンの開発は、より困難なものとなる恐れがあるとする研究が発表された。 ネイチャー・メディシン誌に掲載された研究によると、研究対象の女性の大半がHIVの多数の変異体で感染するのに対し、男性はすべて単体のHIVで感染した。 男性を主な対象とした従来の欧米での研究では、感染時には単体のHIVが作用すると考えられてきた。

今回の研究では、感染に関する従来の認識は女性には当てはまらず、男性のみに通用する可能性があるとしている。 今回の研究を担当した米シアトルのフレッド・ハッチンソンがん研究センターの ジュリー・オーバーボー博士は、「ワクチンは、女性より男性の方に効き目がありそうだ」と述べた。 今回の研究は、ワクチン開発の効果的な方策を探るためウイルスの作用を理解することが目的という。

エイズ検査目的の献血ダメ

1999年12月24日 18時33分 共同通信社
 エイズウイルス(HIV)に感染した献血が見つかる例が増加、検査目的での献血が一因とされることから、中央薬事審議会(厚相の諮問機関)の特別部会は24日、締め出し策として献血時の問診票に「エイズ検査を受けるための献血ですか」といった直接的な設問を盛り込むことを決めた。日赤が問診票を改訂し、来年3月から実施される見通し。

エイズで親を亡くす子、来年末には1300万人に

8:49p.m. JST December 05, 1999
 国連が1日の世界エイズデーを記念して発表した報告書によると、エイズで片方または両方の親を亡くす子どもは来年末までに1300万人にのぼり、その95%がアフリカに集中すると予測されている。

 国連児童基金(ユニセフ)と国連エイズ合同計画(UNAIDS)の報告書によると、世界人口の4.8%しかないアフリカの東部と南部の諸国だけで、世界のエイズウイルス感染者(約3300万人)の約50%、エイズによる死者(約1600万人)の約60%をそれぞれ占める。

27日から36時間エイズ相談

1999年11月22日 17時26分 共同通信社
 エイズ患者・感染者や家族らを支援する、民間ボランティア団体「HIVと人権・情報センター」などは27日午前10時から28日午後10時まで、全国で36時間連続のエイズ電話相談を実施する。

 12月1日の世界エイズデーに合わせた企画で、1990年以来ことしで10回目。電話相談がより身近な存在になるよう、今回初めて47都道府県すべてに電話回線を開設し相談を受け付ける。

来年HIV感染者が世界で4000万人超す見通し

Medical Topics(医療情報) by ユニコン
 ワシントンで9月29日に発表された情報によると、世界のエイズウイルス(HIV)感染者は来年には4000万人を超すという見通しを、エイズ研究の権威であるアンソニー・ファウチ・米国立アレルギー感染症研究所所長が30日発売の米医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に発表した。アフリカに限らず、インド、東南アジアなどでの流行が拡大しており、「予防法が確立しなければ、21世紀には最悪の流行が世界に広がる」と警告した。

7、8月のHIV感染者やや増加 エイズ動向委員会発表

8:05p.m. JST September 28, 1999
 今年の6月末から8月末までに感染症新法に基づいて報告されたHIV(エイズウイルス)感染者は86人、エイズ患者は49人にのぼることが28日、厚生省エイズ動向委員会(委員長・柳川洋埼玉県立大副学長)のまとめでわかった。

 HIV感染者の8割近くは性的接触が感染の原因とみられ、異性間が38人、同性間が28人。また、日本人の感染者も全体の8割近くを占め、増加傾向だった。エイズ患者についても、感染原因は、性的接触が多く、7割以上を占めた。

錠剤を包む成分がHIV感染を防止=研究

99年7月19日 15時55分[ワシントン 19日 ロイター]
 消化器官で長持ちするために錠剤をコーティングする成分が、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の感染を防ぐ新たな手段となる可能性がある。

 米ニューヨーク血液センター、生化学ウイルス研究所の研究グループが明らかにした。

 同研究グループによると、この成分は、エイズを引き起こすHIVだけでなく、各種の性病の原因となるウイルスや細菌も殺す。 同研究所のロバート・ニューラート博士によると、この成分をクリーム状にしたものをネズミで実験したところ、副作用なしに性病の感染を防いだ。

エイズに効く化合物を合成

1999年7月17日 20時43分 共同通信社
 新しい核酸系化合物がエイズウイルス(HIV)の増殖を抑えるのに効果のあることを東北大農学部の大類洋教授と福島県立医大の茂田士郎教授らの研究グループが確かめた。大類教授が合成したのは、代表的エイズ治療薬のアジドチミジン(AZT)などと同じ核酸系化合物。

西表島で猫エイズ初確認

1999年6月28日 11時32分 共同通信社
 国の特別天然記念物イリオモテヤマネコが生息する沖縄県竹富町の西表島で、野良猫が猫エイズと呼ばれる重篤な症状を引き起こす猫免疫不全ウイルス(FIV)に感染していることが28日までに、環境庁などの調査で初めて確認された。

FIVは長崎県・対馬に生息する国の天然記念物ツシマヤマネコへの感染が確認されており、環境庁はイリオモテヤマネコにも感染する恐れがあるとして、県や竹富町と近く対策について協議する方針だ。

ビル・ゲイツ氏、エイズ研究に30億円寄付

10:45a.m. JST May 04, 1999
 エイズワクチンの開発を目的とした米国の非営利団体インターナショナル・エイズ・ワクチン・イニシアチブ(IAVI)は3日、パソコンソフト最大手マイクロソフトのビル・ゲイツ会長から総額2500万ドル(約30億円)の寄付を受けることになったと発表した。エイズ関連の寄付では過去最高という。

 ゲイツ会長夫妻が運営するウイリアム・H・ゲイツ財団からの寄付で、毎年500万ドルの寄付が5年間続く。

途上国の死亡率上昇で人口増が鈍化 エイズ、水不足で

11:32a.m. JST April 12, 1999
 環境問題を専門とする米国の民間研究機関、ワールドウオッチ研究所は10日、途上国での人口急増が死亡率の上昇を招き、世界の人口増加にブレーキをかけつつあるとするリポート「マルサスを超えて」を発表した。死亡率上昇の原因として、エイズ、食糧生産の低下をもたらす水不足と耕地の減少、の3つをあげている。軽視されてきた人口対策に真剣に取り組むことが急務としている。

 国連は昨年10月に発表した世界人口推計で、2050年の人口を89億人と、2年前の94億人から下方修正した。減った5億人のうち、3分の2が出生率の低下、残りが死亡率の上昇によるとみられる。

 とりわけ深刻なのがエイズによる影響で、アフリカの多くの国では今後20年で成人人口は現在の8割以下になる。伸びてきた平均寿命も、たとえばボツワナでは90年の62歳から98年には44歳に下がった。エイズの新しい治療法も、貧しい途上国には届かない。

 一方、地球の資源も人口増をもはや支えきれないところまできている。世界の食糧の4割は、かんがいされた農地で生産されているが、過剰使用で地下水位が急激に低下している。中国に続いて人口が今年10億人を突破する見通しのインドなど、多くの途上国が、来世紀初めには深刻な水不足に見舞われそうだ。

新たに140万人エイズに

1999年4月2日 15時50分共同通信社
 世界保健機関(WHO)など6つの国連機関で構成する国連エイズ合同計画は1日、経済危機に見舞われたアジアで昨年、新たに約 140万人がエイズに感染するなど感染者の急増が続いていると発表した。  

 エイズ合同計画はタイ、インドネシア、マレーシアなどの都市で職を失った若者が出身地に戻り、農村地帯にまで感染が広がる危険性が増大していると警告した。アジアの感染者は現在、約 720万人と推定される。

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