TOPIC No.5-55 FGM(Female Genital Mutilation)

01. 2月6日は、「世界FGM(女性性器切除)根絶の日」【2007年02月06日】by UNICEF
02. FGM(女性性器切除) 廃絶運動の現状と課題 上 byセクシャル サイエンス
03. FGM(女性性器切除) 廃絶運動の現状と課題 下 byセクシャル サイエンス
04. 道のり半ば、FGM(女性性器切除)廃絶運動 2005年12月(セクシャル サイエンス)
05. 女性性器切除 Female Genital Mutilation, FGM by医療人類学用語辞典
06. 女性器切除 byフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
07. 女性の割礼 From Kenya
08. 女性性器切除と捨て子の多い国 〜黒柳徹子のソマリア報告〜
09. Female Genital Mutilation (FMG) in Somalia and Other Arab Countries
10. FGM廃絶を支援する女たちの会 〜Women's Action Against FGM , Japan

女性器切除に刑罰を

2007/03/15 swissinfo

 女性割礼とも呼ばれる女性器切除 ( Female Genital Mutilation、FGM ) を行う習慣はアフリカ諸国にとどまらない。多くの移民を受け入れているスイスでも医師が性器を切除された女児に直面するケースが増えている。

 スイスユニセフでもスイスで行われる全ての女性器切除を法律で包括的に罰するように呼びかけており、抑止的な法案が提案されている。

 ユニセフの推計によると世界で1億3000万人の女性が性器切除の被害に会っている。世界では毎年、300万人の4〜12歳の女児が性器を切除されているという。

女性器切除とは?

 女性器切除では古くからある宗教的、儀式的習慣としておもにアフリカ諸国とアラブ諸国、アジアの一部で行われている。一般に女性の性欲をなくし、貞節や処女性を守るために行われるといわれている。

 施術時の炎症、大量出血や激痛、エイズ感染のリスクだけではなく、長期的な後遺症も大きい。性交時の苦痛や恐怖の他に妊娠時の合併症、泌尿器生殖器感染症、母子の出産時の死亡率も高い。また、女性が受ける心理的な打撃は計り知れない。

スイスでも存在する

 ユニセフの推計ではスイスだけでも約7000人の性器切除を受けた女性がおり、スイスの法律はこれらの女児を十分に守っていないという。

 「これら性器切除はスイス人の医者によって行われているわけではなく、秘密に行われている」とスイスユニセフの事務局長、エリザベス・ミューラー氏はいう。多くの場合は女児が出身国に帰国した際に行われるか、あるいは施術者がスイスに出向いて行われるという。

 現行のスイス刑法ではWHOで定義されている女性器切除の2つの方式、クリトリス切除と性器縫合が重い傷害罪に該当する。その他の2つの方式はこれに該当しない。このため、性器切除という行為全体 ( スイスに住む子供を外国に連れて行って施術することも含め ) を包括的に禁止する法案が昨年12月の連邦議会に提案された。

 ミューラー氏は女性器切除をはっきりとスイス刑法で禁止することはこれが明確に犯罪行為であるということを示す意味があるという。「女性器切除は健康な体に行う人権侵害です。許されるべきではありません」

 アフリカ諸国の移民が増えている欧州ではこの問題に直面し、既にオーストリア、ベルギー、フランス、イギリス、ノルウェー、スペインとスウェーデンでは法律で禁止されている。

伝統では済まされない

 女性器切除に反対することは外国の文化への侵害だという批判に対してミューラー氏は「全ての文化は人体をどこまで傷つけていいかといったことに独自見解があります。しかし、女性器切除は何世紀にもわたって健康問題を脅かすことになりました。女児の死亡や女性の出産時の死亡につながっているのです」 swissinfo、スーザン・シャンダ、 屋山明乃 ( ややま あけの ) 意訳

エジプト:ファトワで女性性器切除は減るか?

2006/12/15 JANJAN

【カイロIPS=エマド・ミーケイ、11月29日】

 4人の子供の母親であるオム・サマールさんは、イスラム法学者が女性性器切除(FGM)を禁止するファトワ(イスラム教の裁断)を出したと聞いて、信じられなかった。彼女自身も、5才になる娘が8才か9才になったら性器切除を受けさせようと考えていたからだ。

 ドイツ政府が支援し、最高の地位にあるイスラム法学者が多数出席して行われた会議「女性の身体への侵害を防ぐ」で、FGMはイスラム教とは関係がない、との結論が下された。

 スンニ派で最も権威ある大学と考えられているアル・アズハール大学のモハメッド・サイード・タンワウィ師は、会議の中で、FGMは「文化的な伝統」であって、イスラムの教えとは関係がないと述べた。

 実際、イスラムがFGMを要求しているとの議論には根拠が薄い。この説を採る限り、エジプトにおいてはキリスト教徒の間でもFGMの慣行が存在している理由を説明できない。また、サウジアラビアやペルシャ湾岸においては、FGMはほぼ行われていない。

 世界保健機構(WHO)の調べでは、FGMを受けた女性は世界に1億〜1.4億人いると見られている。毎年200万人の女性がFGMの危険にさらされているという。また、米国際援助庁(USAID)が2004年に出した報告書によると、エジプトでは97%、コートジボワールでは45%、エリトリアでは89%、ケニアでは34%の女性がそれぞれFGMを受けていた。

 FGMは女性の身体に与える影響が極めて大きい。性器切除の際にはきわめて多量の出血を伴うし、感染症、不妊、出産時の合併症などの危険性も高まる。

 しかし、イスラム法学者がファトワを出しても、それにどれだけ効果があるのかはわからない。エジプトでは、公的には1996年以来FGMは禁止されているが、その慣行はいまだ社会に広く見られるのである。

 イスラム教徒の関係を否定された女性性器切除の問題について報告する。翻訳/サマリー=山口響/IPS Japan浅霧勝浩

やっと、女性器切除を規制する法律

2006/07/07 JANJAN

【ヤウンデIPS=シルベストル・テチアダ、6月29日】

 最近、カメルーンの女性国会議員が女性器切除(FGM)の犠牲者から話を聞いた。17歳で生後5ヶ月の子供を持つ母親は、出産後すぐに義理の親に夫を裏切らないようにと切除を強要された。大量の出血とひどい痛みに泣き叫んだ犠牲者に、割礼師はたいしたことはないと我慢を強いた。

 FGMは陰核切除ともいわれ、女性器の一部あるいは全部を切除する。傷は排尿と月経の通り道を残して縫合される。目的は女性の性欲をなくすため、女性の不貞をなくすためなどといわれている。この犠牲者は割礼師に夫以外の男と関わらなければ性病にもかからないといわれた。

 「死にたいと思ったし、こんな苦しみは今後繰り返されてはならない」と話す犠牲者は、FGMの危険性について女性国会議員の関心を高めるためにヤウンデでカメルーン青年法学者情報センターというNGOが主導するキャンペーンに参加している。

 FGMは西アフリカのカメルーンの一部地域で一般的であり、アフリカの30カ国で行なわれている。カメルーンの南西部では過去3年だけで600人の女性が切除を受けた。カナダ移民難民委員会によると、イスラム教の少女すべて、キリスト教の少女の3分の2がこの習慣に従っている。FGMは宗教的な意味も持ち、大人になるための儀式と見られることもある。

 国連はカメルーンの女性の20%が犠牲者と見ている。FGMは性交時の苦痛、妊娠時の合併症、泌尿器生殖器感染症を招き、時には死亡することもある。さらに消毒していない器具の使用はHIV感染の恐れもある。にもかかわらず、憲法と刑法には健康の権利が保障されているものの、カメルーンにはFGMに関する法規制がない。

 だが今回のキャンペーンで状況が変わる可能性がある。カメルーンの180人の国会議員のうち女性議員20人が来月FGMの行なわれている地域を視察し、犠牲者や市民活動組織を訪ねる予定であり、年内にも法案提出に至るかもしれない。カメルーンのFGMを法規制しようとする活動について報告する。

ケニア、対話を通じて伝統を変革

2006/06/04 JANJAN

【ケニア南西部カジアドIPS=ジョイス・ムラマ、5月29日】

 マサイ族が多く暮らすカジアドでは、ケニア国内でも女性性器切除(FGM)が依然広く行なわれており(国内普及率32%に対し、93.9%)、法律で禁じられたにもかかわらず、この文化を変えることには大きな抵抗がある。しかし今、若者と高齢者の対話がFGM廃絶の道を開きつつある。

 対話は、ケニア保健省とドイツ技術協力公社(GTZ)の協賛、「世代間対話」(IGD)の主催で実施されている。IGDの地区コーディネーターPhoebe Mollel氏によれば、FGDに関する会合と呼びかけても、参加する者はいないので、性感染症やHIV/AIDS、リプロダクティブ・ヘルスの一般的な議論の中でFGMの話を持ち出すという。老人のFGMの実体験を聞き、出産時の苦痛など、FGMの弊害について少女や若い女性が学ぶという形態をとっている。

 6月の第2回性の健康と権利に関するアフリカ会議を前に、保健省、GTZおよびNGOのPlanned Parenthood Federation of AmericaがFGM根絶の取り組み状況を調査した。

 カジアド県の3地区で昨年から開始されたFGMは、成果を上げつつあるようである。Mollel氏は、「以前は公然と行なわれていたFGMが少なくとも内密に行なわれている。FGMの弊害を知り、仕事を辞めたFGMの施術者も出てきている」と述べている。

 1人につき14ドル稼いでいた75歳のMary Kilusoもそうしたひとりだ。国民の56%が1ドル未満の生活を余儀なくされている中、この収入は決して少なくない。「生活の糧にはなるが、IGDを通じてFGMにはさまざまな悪影響があるのを知ってやめる決意をした。出産が困難である上、合併症の危険性もある。さらにはFGMを通じて若すぎる結婚やセックスを少女に強要する手助けをしていたことを悟った」と助産婦でもある彼女は述べている。

 IGDには、女性とは同席しないが、少年や男性も参加し、FGM根絶に対する啓蒙効果が上がっている。とは言え、マサイの女性割礼の文化は依然根強い。娘3人のFGMを自身の母親に強要されたMoses Mokomiは、FGMの違法性の教育が必要と訴える。

 未消毒の器具によるHIV感染も危惧される中、成人の儀式として残るFGM根絶の取り組みについて報告する。翻訳/サマリー=坪沼悦子(Diplomatt)/IPS Japan浅霧勝浩

女性器切除、出産時の母子に高い危険性 WHO調査

2006年06月03日 asahi.com

 アフリカや中東の一部で伝統的に続いている女性器切除(FGM)は出産時の大量出血や死産といった母子の命の危険につながっている、との調査報告を世界保健機関(WHO)が2日まとめた。「文化や伝統に深く浸透した慣習とはいえ、すぐにやめるべきだ」と警告している。

 性器切除の慣習が広く残るブルキナファソ、ガーナ、ケニア、ナイジェリア、セネガル、スーダンの28カ所の産院で01〜03年、約2万8000人の女性を調査。その結果、性器切除を受けていない女性に比べ帝王切開による出産が3割多く、分娩(ぶんべん)後のひどい出血は7割多かった。生まれてきた赤ちゃんでは、仮死状態で蘇生しなければならないケースが66%多く、死産率が55%多かった。

 報告書は、性器切除によって外性器の伸縮性がなくなり、会陰切開や帝王切開をしなければならない難産が増えると分析。分娩の時間が長くなり、赤ちゃんにも大きな負担がかかって危険が高まるとみている。

 性器切除を受けた女性は世界に約1億人以上いると推定される。性感を減じて婚前の性交渉をさせない意図や、女性器をけがれたものとする偏見が背景にある、といわれる。

女性が安全に子どもを産める環境を

2006.04.13 ODA新聞

−有森裕子UNFPA親善大使 エチオピア帰国報告記者会見−

 国連人口基金(UNFPA)の有森裕子親善大使のエチオピア帰国報告会が3月10日行われました。

 有森さんはUNFPA親善大使として、2月18日〜27日の10日間、エチオピアに滞在。UNFPAが実施しているリプロダクティブ・ヘルスの向上や人口・貧困・エイズ問題に関するプロジェクトを視察しました。親善大使としては今回で5回目の公式訪問です。

 エチオピアでは、国内に産婦人科医が104名しかおらず、出産に助産技能者が立ち会うのは全体のわずか6%。ほとんどの女性が、病院以外の場所で、医師(助産師)もしくは助産技能者の立会いなしで出産しているといいます。このため、不衛生な場所で適切な処置なしに出産することが多く、妊婦や乳児の死亡率が高く、また、危険な出産が原因で後遺症が残ることも少なくありません。

 今回の訪問で、有森さんは、エチオピア北部の町アクスムで、「母子保健病院」に増設された産科病棟の開所式に参加。ここは、産院であると同時に、助産師育成のための教育施設でもあります。産婦人科医の不足する状況下で、医師に代わって子どもを取り上げ、帝王切開まで行う技術をもつ助産師を育てるための教育に力を入れています。

 また、首都アディスアベバでは、フィスチュラ(産科ろうこう)治療に取り組むキャサリン・ハムリン医師と会談。ハムリン氏が設立した病院を訪問しました。フィスチュラとは、若年出産や栄養不良などで、妊婦の骨盤が極度に小さいため正常に分娩できず、長時間胎児に圧迫される結果、産婦の膣、直腸、膀胱などの細胞が壊死して穴が空いてしまう病気です。エチオピアでは毎年約8000人の女性たちが新たにフィスチュラを患うと推計されています。

 フィスチュラの患者は、便や尿を抑えられず排泄物にまみれた生活を強いられるため、これまで社会から隔離されてきました。しかし専門病院がつくられ、今までに24,000人以上の女性が治療を受けて健康な体を取り戻したといいます。

 有森さんはカンバータ州を訪れ、FGM(女性性器切除)廃絶に取り組むボーゲ・ゲブレ氏を訪問。ボーゲ氏が設立した「カンバータ女性自立センター」では、性器切除の風習から開放された少女たちと交流しました。

 エチオピアでは、15歳以下の強制結婚、若年出産、女性性器切除、水汲みなど少女の重労働をはじめ、地域に学校がないなど、若い女性に関する問題が山積しています。有森さんは今回の視察を通して、出産に関しては「まず必要最低限の環境を整えることが必要」とし、女性性器切除や若年結婚などについては、「宗教や伝統文化、慣習に由来することが多いので、頭ごなしに否定したり、誰かを責める形にならないように配慮し、これらの慣習が健康にはよくないこと、精神衛生にもよくないという事実を伝えることが一番大切ではないか」と語りました。

 このほか、マラソンランナーである有森さんは、現地のマラソン大会やスポーツ施設を訪れ、アトランタ・オリンピックで共に闘った元マラソン選手のファツマ・ロバさんとも再会しました。ロバさんも少女のころは、エチオピアのほとんどの少女と同じく、毎日何キロも歩いて水汲みにいっていたといいます。

 有森さんは、今後もUNFPAの広報活動に積極的に従事する予定で、「アフリカの女性が、健康な身体で元気な子どもを産みたいという、女性としてあたりまえの夢を叶えられる環境をつくるために、私たちがしっかり見極め、力を合わせていかなければいけないと思います」と結びました。

 有森裕子

 1966年岡山県生まれ。1992年バルセロナ・オリンピック女子マラソン銀メダル、96年アトランタ・オリンピックで銅メダル。 現在は、(株)ライツ取締役、日本陸連女性委員会特別委員、国際陸上競技連盟(IAAF)女性委員。スポーツNPO法人「ハート・オブ・ゴールド」代表。 2002年UNFPA親善大使就任以来、カンボジア、タイ、インド、タンザニア、ケニア、エチオピアを訪問。

エチオピア・女性性器切除廃絶運動の現場から

2006/03/05 東京新聞

 アフリカを中心に現在も年間約200万人の少女たちが命懸けの儀式におびえている。女性性器切除(FGC)の慣習だ。1990年代に世界的な非難が高まったが、廃絶への道は険しい。先月、国連人口基金(UNFPA)の有森裕子親善大使に同行し、廃絶運動の現場を見た。援助のアメと警察力のムチを駆使していたが「因習」の壁は厚い。 (エチオピア・南部諸民族州で、田原拓治、写真も)

■南部諸民族州 電気通らぬ村

 その男は大切そうに編み込みの袋から、少しさび付いた刃渡り十五センチほどのナイフを三本取り出した。

 「これを使ったんだ。作業はそう、二、三分だ。男児の割礼もやった。とにかく、たくさんしたよ。年間数百人かな。一晩に七、八人はやったからね」

 エチオピア・南部諸民族州、ドラミ市近郊のアチャビラ村。ぼろぼろのジャンパーにはだしの小柄な男が丁寧に迎え入れてくれた。イーフォー・ブクロ氏。村の元切除師だ。自称六十歳でこの国では老人になる。

 「ゴジュ」と呼ばれる家畜の柵と炊事場、居間が一つの家に十数人の家族と住む。壁は竹、屋根はわら葺(ぶ)きだ。すべて土間で、炊事場は女性、居間は男性の空間と分かれている。電気は通っていない。

 FGCはエチオピアの公用語、アムハラ語で「グルザー」と呼ぶ。二十歳のころ、兄から技術を伝授されて、切除師になった。といっても、農業と兼業だ。

 切除の季節は収穫期の十二月から一月。十二歳から十五歳の対象の少女を抱える家は当日の夜、宴会を催す。ブクロ氏の仕事は午後九時から深夜にかけて。招かれた家に赴き、宴会の途中、屋外に少女を呼んで足をくいで固定する。男性の親族数人に体を押さえつけさせ、目や口を手で覆う。

 もちろん、麻酔など使わない。切除の傷口には止血のために灯油を塗るだけ。「私は腕がいいから、相手が痛がらない。死亡事故もなかった。宴会に残れと言われても、すぐ次の家へ。忙しかった」。ブクロ氏はちょっと胸を張った。

 エチオピアでは宗教に関係なく、73%の女性がFGCを受けている。特に南部では九割以上に上る。方法は苛烈(かれつ)で、性器に傷を刻むだけでなく、外性器すべてを切り取ってしまう。

■一昨年に罰則できたばかり

 「女性の汚い部分を取り除く」という通過儀礼の意味があり、結婚の条件とされる。ちなみに農村部では処女性を汚される前に、と早婚で、約三分の一が十五歳以下で結婚する。女性性器切除は憲法で禁じられてきたが、罰則規定が設けられたのは一昨年のことだ。

 ただ、エチオピアでも数年前から、女性を肉体的、精神的に悩ませてきたこの慣習に公然と「ノー」を突きつける運動が始まった。ドラミ市出身のボーガテチ・ゲブレ氏(50)率いる「ケンバッタ地区女性自立センター」の活動がそれだ。

 通称「ボーゲ」と呼ばれる彼女自身、FGCの経験者だ。高校卒業後、イスラエル、米国で教育を受け、九〇年にニューヨーク市民マラソンで「反FGC」をアピール。九七年に帰国し同センターを設立した。

 「目覚めた女性」を自任する彼女はボランティアを集め、FGCのビデオを作り、周辺の村に持ち込んで上映会運動を展開。村人との対話集会では、キリスト教徒として「神は人間を不完全な肉体としてつくらなかった」と説いて回った。

■「勇気ある結婚」各国が援助約束

 二〇〇二年、FGCを拒んだ女性と婚約者の男性をかくまって「勇気ある結婚」を演出した。〇四年、ドラミ市のサッカー場で反FGCの十万人集会を開いた。彼女の訴えに国連やロックフェラー財団など欧米の団体、欧州連合(EU)、各国大使館は援助を約束した。

 ボーゲ氏には、外国人から称賛が送られた。活動の結果、二万五千人の少女がFGCを拒んだという。だが、彼女のやり方をつぶさにみると、それが「劇薬」と分かる。そこには民衆内部からの変革への絶望が横たわる。冷徹にアメとムチを使い分ける計算がある。

 「勇気ある結婚」の主役、アディセ・アボセ氏(22)とガンナット・ゲルマさん(20)夫妻を訪ねた。傍らには長女のウィーマちゃん(3つ)が甘えていた。FGCを拒んだ女性との公然たる結婚に踏み切った英雄、アボセ氏は「母がFGCのために出産に苦しんでいた」と再三、理由を説明した。

 実はゲルマさんがセンターに駆け込んだとき、彼女は妊娠していた。それがFGC拒否の理由だったが、経緯は隠された。政治集会のような結婚式が催された後、身重のゲルマさんらはボーゲ氏に率いられ、援助集めの米国旅行に出た。

 無職のアボセ氏夫妻はいまもセンターから補助を受ける。ボランティアも有償だ。「アメ」がセンターと支援者をつないでいる。

 一方、センターは切除師らに廃業の条件として、この地域では財産に当たる牛を与えている。一頭安くても二千五百ブル(約三万五千円)はする。一人当たりの国民総所得の半年分だ。

 こうした財源はすべて外国援助だ。それを集めるため、センターに訪問団を招く。国連の一行を前に、別の元切除師はセンター職員らが見守る中、ボーゲ氏の質問に「いまは後悔している」と小声で答えた。さながら、人民裁判だった。

■民衆意識改革 政治では無理

 この国では、事件に匹敵するボーゲ氏の十万人集会は報じられなかった。「私たちは野党扱い。政府は女性解放に理解がない」とボーゲ氏は憤るが、与党の本拠、北部アクスムでは与党系の女性協会が親の決める強制婚廃止に懸命だった。

 むしろ、国内政治を通じた民衆の意識変革という回り道に背を向けたのはボーゲ氏だった。結果が、欧米論理に基づいた欧米のカネによる変革だった。とはいえ、それもやむを得ぬ選択だったのかもしれない。

 この国では一九七四年の軍による王制打倒後、九一年まで社会主義政権が続いた。「そのころはいくつもの女性解放のスローガンが並んで、数多くの委員会が草の根単位でできた。でも何一つ変わらなかった」(UNFPAの現地職員)

 因習は重い。アフリカ一ともいわれる夫から妻への暴力、ヤミ中絶の横行、誘拐しての結婚など、この国での女性への抑圧はあまりに厳しい。その中で、ボーゲ氏はイスラム団体の「聖戦宣言」にも耐え続ける。

 しかし、壁は厚い。前出のブクロ氏は昨年三月、切除師を廃業した。センターの通報で警察に逮捕され、四十五日間服役したからだった。彼はFGC一回につき、五ブルの報酬を受けていたと話した。非合法化により、相場はいま三十ブルに急騰しているという。

 ブクロ氏は草をナイフで切って切除の技法を披露した後、無邪気にこう自慢した。「皆、感謝していた。私は尊敬されていた」。傍らで、かつて性器切除を受けた実娘がうなずいた。

<メモ>エチオピア

 アフリカ最貧国の一つ。80以上の異民族で構成され、人口7700万人のうち、15歳未満が半数を占める。農村人口が84%と圧倒的。社会主義政権が91年の内戦で崩壊し、現在は親米政権。宗教的には、キリスト教(エチオピア正教)とイスラム教に二分される。平均寿命は48歳。成人識字率は男性49%、女性34%と低い。

 女性性器切除 起源は明らかでなく、紀元前にエジプトから広がったという説がある。国連によると、手法にはほぼ4種あり、アフリカだけで1億3000万人の女性が受けている。激痛や出血性のショック、感染症で死亡したり、エイズウイルスの感染、失禁、貧血、性交時の激痛など、深刻な後遺症に悩まされるケースが多い。「割礼」という見方や宗教的背景は否定されつつある。一般に結婚の条件とされ、これが廃絶への最大の壁になっている。

悪しき風習を断つ:女性器切除(FGM)

2005/12/19 アビジャンIPS Japan

【アビジャンIPS=フルジャンス・ザンブレ、11月29日】

 西アフリカの象牙海岸共和国では、実質的首都アビジャンで女性の割礼を行う30人の割礼師が、ナイフやはさみなどの割礼の道具を捨てると廃業を宣言した。この廃業は象牙海岸共和国で行われている女性割礼をなくそうとするキャンペーンの成果である。ユニセフ(国連児童基金)によると同国の40%の女性が未だにこの風習を守っていると推定される。

 10年前に始まったキャンペーンはNGOの「全国子供・女性・家族機構(ONEF)」が主導している。今月初めの30人の割礼師の廃業宣言は、1998年に違法とされながらもアビジャンで開業していた75人の割礼師に対してONEFが説得を行ってきた初めての成果となる。

 「1995年からの長期戦だが、2004年に資金援助を受けられたおかげで、啓蒙活動を続けられている」とONEFのRachel Gogoua代表はIPSの取材に応じて語った。Gogoua代表は女性割礼の廃絶のために長年戦ってきた自ら率いる組織の成果を目の当たりにして感激していた。

 女性の割礼は女性器切除(FGM)とも呼ばれ、反政府勢力が支配する北部と政府が掌握する南部とに分断されたこの国でも、各地で行われている。(関連記事)

 ONEFと世界保健機構(WHO)の合同調査によると割礼は象牙海岸共和国の西部で増加している。この地域ではFGMを受けた女性・女児は1995年に70%だったのが、現在は80%に増えた。

 かつては地方の村や辺境の集落での風習だったのが、都市部でも行われるようになっている。男性も女性の割礼に関与するようになり、さまざまな切除技術も開発された。

 「最近は割礼師が携帯電話を持っているので、携帯電話で往診の日時を依頼できる」とGogoua代表はいう。Gogoua代表は割礼を「女性の権利と健康を損なう」ものと見なされるべきであると考えている。

 女性器切除は女性外性器の一部あるいは全部を切除するものである。FGMの中でももっとも苛酷な陰門封鎖になると、陰核の一部あるいは全部の切除、尿道と膣の開口部周辺の包皮の切除をともなう。切除跡は縫合されて尿と月経血が排出されるだけの狭い開口部のみ残される。

 女性の割礼は女性の性欲を失わせて不貞をなくすと主張するものが多い。また大人への通過儀礼や衛生的な手段と考える地域社会もある。イスラム教徒の中には宗教的に必要なことであると信じるものもいる。Gogoua代表自身はこうした考え方を誤った信念であるとし、誤りを正すために活動を行っている。

 ユニセフによると象牙海岸共和国ではFGMが結婚前の10代の少女に行われることが多い。5歳という幼い女児までが割礼を受けることもある。さらにユニセフは毎年1万3,000人が新たに施術されていると推測している。WHOアビジャン事務所のGenevieve Saki-Nekouressi氏によると、アフリカでは1億3000万人の女性・女児が何らかの女性器切除を受けている。

 割礼は空き缶の蓋などの粗末で不衛生な道具で行われることもあり、エイズに感染する可能性がある。さらに性行為や出産を困難にし、合併症や感染症を併発するリスクもある。(また性器切除は、フィステューラ〈fistula:ろうこう〈尿ろう・糞ろう〉女性器と膀胱または直腸の間が繋がり漏尿や漏糞となり、社会から差別の対象となることが多い〉等の原因ともなっている:IPSJ)

 「合併症、苦痛、ショック、急性出血、尿閉、月経困難症、性機能障害などの症状を引き起こすリスクがある」とSaki-NekouressiはIPSの取材に応じて語った。

 さらに施術によって死に至る場合もある。Gogoua代表は実例として、政府勢力と反乱勢力を隔てる緩衝地帯にほど近い、象牙海岸共和国の中西部にあるZralio村とKoyinfla村で起きた事例を挙げた。

 この2つの村では10人の割礼師が確認されており、8歳の女児がFGMによる出血のために死亡した。また別の事例では、妊娠中の25歳の女性が割礼を受けたあとで死亡した。割礼は風習で女性が出産する前に行われるべきだと定められていた。

 廃業した30人の割礼師は自分たちにとっても周囲の人々にとっても誤ったことを行ってきたことに気づいたという。「割礼は意味のないことだった」と最年長の80歳前後の元割礼師はいい、「風習として行ってきたが、昨今は男が割礼を受けた妻を捨てて割礼を受けていない若い女性に走るのだから」と続けた。

 ONEFは割礼の仕事を廃業した人が生活費を稼ぐため別の仕事を始められるように、元割礼師に向けた資金の貸し出しを行っている。元割礼師は柔軟な返済条件でそれぞれおよそ130ドルを受け取っている。

ケニアで女性性器切除の廃絶に取り組む リリアン・プラパンさん

2005/11/12 東京新聞

 ケニアで女性の通過儀礼として女性性器を切除(FGM)する慣習の廃絶に取り組む団体の創設者、リリアン・プラパンさん(55)が来日した。設立十周年になる日本の「FGM廃絶を支援する女たちの会」(WAAF、東京都目黒区)の支援もあり、実績を上げている。プラパンさんに現状や取り組みを聞いた。 (国保 良江)

 「女性性器切除とは、外性器の一部を切除したり、全部を切除して縫い合わせたりするアフリカなどに残る土着の慣習です」。プラパンさんは、目を背けたくなるような写真を示しながら話し始めた。

 切除を行う年齢は国や地域によって違うが、アフリカ東部のケニアでは九歳から十五歳。男は立ち入らず、女たちが麻酔もかけられていない少女の体を押さえつけ、「伝統的切除者」らが、クギをたたいて作ったナイフやとがった石、カミソリで処置するため被害は深刻だ。

 大量の出血で死亡したり、同じ道具を何回も使うためにエイズウイルス(HIV)に感染する可能性も高い。直腸と膣(ちつ)などの間に間違って穴を開け、便が垂れ流しになることもある。心身を痛めつけ、子どもを産む機能も著しく損なうという。

 そのような危険を冒してまでなぜ、行うのか。プラパンさんは「通過儀礼とか処女の証しであり、嫁に出すときに価値を上げるため。男たちの都合です。それをしていないと一人前の女として見られず、男の食事を作ることもできません」と語る。

 ケニアでは一部地域を除いてこの慣習があり、実施率は50%から98%と地域差がある。教育が行き届いているところは減ってきているという。

 近年、HIV感染が深刻なことや健康被害から、ケニア政府は二〇〇一年の児童保護法で女性性器切除を禁止した。違反した者には高額の罰金か六月の懲役が科せられる。

 しかしプラパンさんによれは「ザル法」だ。「十八歳以上は児童ではないので、結婚する予定の男が、察知されないように切除させています」

 プラパンさんは一九九八年、ポコット族の仲間六人と廃絶を訴える団体「セタット(SETAT)女性組織」を設立し、現在二十七カ所で千人近い人が活動している。

 運動を始めた当初、親たちが子どもを強制結婚させるために、性器切除をさせることを知った。そこでセタットでは、子どもを救うための避難所を設けたり、便が垂れ流しの子を治療したりするほか、少女が外で働けるよう訓練している。

 廃絶するには地域住民の意識改革が重要という。切除者は一人の切除をすると、一般の労働者の年収に相当する高額謝礼を受け取ることも、廃絶を妨げる一因。そのため切除者十四人に代替の仕事として、一人につき二頭の牛を与えた。牛がいれば仕事はできるし、ミルクを売ることもできるからだ。

 老若男女が集まる各村の「雄牛を殺す祭り」に出向いたり、若者には学校や教会で機会あるごとに切除の危険を教えている。「特にHIV感染の話は効果的です。彼らはHIVの怖さを、よく知っていますから」

 プラパンさんは今年、自治体職員を定年退職した。「娘も孫も切除をしていませんが、生活に不自由はありません。日本の人にとって遠い国の出来事のように思えるかもしれないが、人類共通の問題として考えていただけたら幸いです」と話している。

■女性への暴力 無視できない

 「WAAF」創設者で翻訳家のヤンソン柳沢由実子さんの話 なぜほかの国の慣習に口を出すのか、と疑問を持つ人もいるようですが、少女に対する悪い慣習を廃絶するために活動する人たちがいたら国際連帯しよう、という立場です。女性への暴力や健康破壊であり、無視できません。アフリカの女性たちが明るい村をつくろうという運動をこれからも支援していきたい。

    ◇

 「反FGM基金」への募金は郵便振替00190−2−355679。WAAFへの問い合わせは、Fax(03・3760・6643)で。

欧州連合、女性性器切除問題に関して真剣な対応を求められる

2005/06/03 JASNJAN

 女性割礼(性器切除:FGM/C)に反対する国際機関(世界保健機構、世界銀行、ユニセフ)及び欧州議会議員は、「女性性器切除問題:欧州のアクションを求めて」と題したセミナーを開催し、この問題に対する国際機関の強いコミットメントを再確認すると共に、(従来積極的な支援をしてこなかった)欧州委員会(EUの行政執行機関)に対してFGM/C廃止に向けた真剣な対応を行うよう強く求めた。FMG/Cの形態は幼い少女の膣の縫合からクリトリスの切除まで、コミュニティーにより様々である。

 ユニセフによると、FMG/C手術を施された女性はFGM/Cが慣習として行われているセネガル、マリなどアフリカ諸国を中心に、中東のイエメン、オマーン等28カ国の1億2,000万人〜1億3,000万人にのぼり、犠牲者の数は依然として東南アジア、欧州、北米、豪州でも増加傾向にある。女性に一生にわたって苦痛と深刻な心の傷をもたらすFGM/Cの問題を巡る国際社会の現状と問題解決に向けた試みを報告する。翻訳:IPSJapan 浅霧勝浩

100ドル支援事業:女性性器切除根絶までの道程は遠い

2005/04/29 ニジェール/IPS Japan

 「両親から受継ぎ長年従事してきた職業を放棄することは容易なことではない。しかし、一旦、その仕事が他の人々に深刻な苦痛を与えているということが理解できたら、辞めなければいけません。」と、2003年まで女性の性器切除を家業としてきたサルモウ・ヒマドウは語った。

 彼女はニジェールのNGO“Niger Committee on Deadly Traditional Practices”による働きかけ(性器切除の引き起こす深刻な問題や事例を説き、他の職業での再出発を支援するために100ドル相当の貸付を行うもの)に応じて新たなスタートをきった一人である。

 ニジェールでは2003年に性器切除が法的に廃止されたが、長年の慣習に根ざした習慣のため他のアフリカ諸国と同様(UNICEFによるとアフリカ全体で屋約1億3000万人の女性が性器切除を受けている)、依然として広範囲で行われているのが現状である。

 性器切除は、少女達に苦痛と精神的トラウマを強いるのみならず、多くの場合非衛生な環境のもとで実施されるため感染症、フィステューラ(fistula:ろうこう〈尿ろう・糞ろう〉――女性器と膀胱または直腸の間が繋がり漏尿や漏糞となり、社会から差別の対象となることが多い)、HIV/AIDS感染(切除に使用される鋭利な刃物を複数の女性に使用するため)等の原因ともなっている。

 一方で、性器切除は女性の貞操保護、宗教的理由、成人になる儀式など厚い慣習のベールで守られており、根絶に向けた道程はなお遠い。

「女性性器切除」やめよう ユニセフなどよびかけ

2004年2月13日(金)「しんぶん赤旗」

 アフリカなど世界で一億三千万人が犠牲になっているといわれる女性の性器切除に対し国連児童基金(ユニセフ)は廃止の呼びかけを強めています。今月ベラミー事務局長が声明を発表し、この風習をやめさせようと訴えました。国際人権擁護団体アムネスティ・インターナショナルも、風習の非合法化を求めました。

 外性器を切除したり縫合する風習は、尿路・骨盤感染、感染症を引き起こし、不妊、性交時の痛み、妊娠・出産時の障害につながります。

 アフリカ二十八カ国、インドネシア、イエメンのほか、これらの国々から欧州諸国やオーストラリア、北米などに移民した人たちの間でも行われています。二〇〇二年の国連子ども特別総会では二〇一〇年までの廃絶の目標が設定されています。エチオピアの首都アディスアベバで昨年二月六日、三十カ国代表が参加して開かれた「女性と子どもの健康に影響をもたらす風習にかんするアフリカ諸国委員会」では、二月六日を「国際女性性器切除(FGM)不容認デー」とすることを決議しました。

 ベラミー事務局長は、西アフリカのセネガルではユニセフと国内非政府組織トスタンの活動によって、六十万人が生活する千三百近い村々でこの風習に終止符が打たれるなどの成功例があることを指摘しながらも、まだ世界で年間二百万人の女性がFGMを受けていると指摘。「この風習は健康に重大な危険となっているばかりでなく、重大な人権侵害である」と廃止を訴えました。

 アムネスティ・インターナショナルの声明は、「諸国政府には女性と少女の身体的、精神的に完全な状態を保護する責任がある」と訴えています。また、「FGMに反対する行動は女性を暴力から守り、社会で平等な地位を保障するための包括的なアプローチの一環でなければならない」とし、昨年七月に採択されたアフリカ女性の権利付属議定書の批准を訴えました。同議定書はFGM禁止を含め、女性の性と生殖のための健康権を保護することを決めています。

「女性性器切除」でスーダン政府とシンポ共催 外務省

2003年08月25日 人民日報社「asahi.com」

アフリカなどで現在も幅広くはびこっている女性性器切除(FGM)の因習について、日本外務省が26日から3日間、スーダン政府とともに同国首都のハルツームで国際シンポジウムを開催する。途上国のこうした人権問題への取り組みを政府レベルで支援しようという画期的な試みだ。

国連によると、FGMはアフリカ、中東、アジアの一部に古くから行われている慣習。年間に成人前の女性を中心に200万人が対象者となり、体験者は1億人にのぼるといわれている。女性の身体や健康に深刻な悪影響を及ぼしていて国際社会で廃絶を唱える声が高まっている。

外務省がスーダン側と人権についての対話を繰り返すうち、この問題が浮上した。伝統や文化などが複雑に絡むため、「人々の幅広い意識改革が必要」という共通認識から、その第一歩として宗教者、政治家、学者、女性問題関係者らによるシンポ開催が決まった。

スーダンは最近まで米国がテロ支援などを理由に「ならずもの国家」としてきた途上国。奴隷を容認しているなどと国際社会から糾弾されてきた。日本も人道面を除いた援助を停止中だが、外務省はそうした国が人権への取り組みを自発的に始めることに注目して支援に踏み切った。

シンポは、ケニア、エチオピア、エジプトなど地域の国々や国連機関から関係者が参加してFGM問題への取り組み方法を検討する。日本からは佐藤啓太郎アフリカ紛争・難民問題大使やこの問題に取り組んでいる民間人らが参加を予定している。

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