TOPIC No.5-5-4 こどもの虐待/児童虐待

01
 児童虐待の防止等に関する法律
02
 児童相談所虐待対応ダイヤル「189」(広島県)
03
 子どもの人権110番 (法務省)0120-007-110(全国共通・無料)
04
 社会福祉法人 子どもの虐待防止センター(CCAP) 

 相談電話03−6909−0999 月〜金曜日10:00〜17:00 土曜日10:00〜15:00(日曜日・祝日はお休み)

05
 子どもの虐待ホットライン(APCA)大阪06-6646-0088 月曜日〜金曜日 午前11時〜午後4時 (土曜日・日曜日・祝日はお休み)
06
 認定NPO法人 児童虐待防止協会(APCA)


児童虐待の相談、最多更新 09年度厚労省まとめ

2010/07/28 中国新聞ニュ−ス

 全国の児童相談所が2009年度に相談を受けた児童虐待の件数は4万4210件(速報値)で、08年度を1546件上回り過去最多を更新したことが28日、厚生労働省の集計で分かった。1990年度(1101件)の集計開始から19年連続の増加。

 改正児童虐待防止法の施行で08年度から始まった、虐待の恐れがある家庭への強制立ち入りは1件にとどまり、08年度の2件から減った。

 担当者は「虐待に対する社会の意識が年々厳しくなってきていることが増加の背景にある」と分析。大阪市など一部の自治体で、相談体制を拡充したことも影響したとみている。強制立ち入り権については「必要な場合はちゅうちょなく行使してほしい」と呼び掛けている。

 集計対象は、通報や相談を受け、児童相談所が虐待と判断し一時保護や家庭訪問などの対応をした事例。都道府県と、独自に相談所を持つ政令指定都市、横須賀市と金沢市の計20市をまとめた。

 08年度より増えたのは24都道府県と11市。増加率が大きいのは都道府県では三重県(37%増、541件)、茨城県(34%増、718件)、宮崎県(27%増、365件)。20市では大阪市(84%増、1606件)が最大で、静岡市(279件)と金沢市(226件)がいずれも52%増。

 減った23県9市のうち、減少率が最大だったのは都道府県では長崎県(31%減、197件)、20市では新潟市(17%減、266件)だった。

 強制立ち入りの1件は、児童が学校に通わず、保護者が出頭要求や任意の立ち入り調査も拒否したケース。強制立ち入りで身体的虐待やネグレクト(養育放棄)は認められなかったが、児童福祉司が指導を続けているという。

虐待死の6割が0歳児 加害59%は母親

2010.07.28 MSN産経新聞

 児童虐待の死亡事例を検証する厚生労働省の専門委員会は28日、平成20年度に虐待によって死亡したのは107件128人と発表した。心中を除く64件67人のうち、0歳児が約6割(39人)を占め、16人は生まれたその日に死亡していた。

 心中以外の事例の加害者は実母が59・0%、実父が16・4%だった。

 生まれた当日に殺害した動機は「家庭(夫や両親)、職場、学校に知られたくなかった」「育児をする気がなかった」「出産、育児の費用がなかった」など。一方、生まれて1日以上、1カ月未満で死亡したケースでは「泣きやませようとした」「育児不安」などだった。

 委員会は(1)望まない妊娠を予防するための方策(2)妊娠について相談しやすい体制づくりの整備−などの必要性を指摘した。

 心中以外の事例で児童相談所がかかわっていたのは7件(10・9%)。「市町村などの関係機関が虐待や疑いを認識していたが、児童相談所に通告しなかった」が6件(9・4%)、「関係機関との接点はあったが、家庭への支援の必要はないと判断」が22件(34・4%)、「いずれとも接点なし」は14件(21・9%)だった。

児童虐待死 6人増え67人に

2010年07月28日 NHKニュ−ス

 児童虐待の増加に伴って、昨年度、虐待を受けて死亡した子どもは64件で67人に上り、前の年度より6人多くなりました。

 厚生労働省の専門委員会が詳しく調べたところ、このうち、0歳の子どもは39人で、全体のおよそ58%を占めています。

 中でも、生まれたその日に死亡した子どもは16人に上っていました。

 1歳から6歳までは33%に当たる22人、7歳から12歳までが6%に当たる4人、13歳以上が1人などとなっています。

 また、母親から虐待を受けた子どもが全体の半数以上の36人と最も多く、次いで父親からの虐待が10人などとなっています。

 虐待の形態では、暴力を振るわれるなど身体的虐待を受けていた子どもが最も多い44人で、親が育児を放棄するネグレクトだったのが12人でした。

 子どもが死亡する前に児童相談所や自治体などとまったく接点がなかったケースは、64件のうち14件でした。

 一方、児童相談所との接点はなかったものの、事前に自治体や医療機関などと接点があったケースは、全体のおよそ44%に当たる28件に上りました。

 これについて、厚生労働省は「接点があっても虐待を認識できなかったケースが多いので、虐待の兆候をいち早く把握できるよう指導するとともに、児童相談所との連携を強化するよう求めていきたい」と話しています。

【なぜ虐待死は防げないのか】「通報めぐり葛藤」「『児童相談署』へ格上げを」…読者の反響

2010.07.27 MSN産経新聞

 児童虐待の問題を考える連載の第3部「なぜ虐待死は防げないのか」へ読者からたくさんのメールやファクスをいただいた。

 大学生の子供を持つという45歳の女性は《「注意して見ていきましょう」という学校の言葉に思わず涙があふれました。命がかかっていることに何のためらいが必要なのでしょうか》。

 連載では、関係機関や地域がさまざまな理由により、通告(通報)をためらう現状が浮かび上がった。

 神奈川県の42歳の女性は最近、隣家から小学生の男児の「誰か、助けて」という泣き声が聞こえ、学校へ電話した。両親とも不在で、母親は近くの店で話し込んでいたようだった。

 《打撲の跡など明らかな虐待なら別ですが、お隣のような場合はどうなのでしょうか。「助けて」と耳にすると胸がどきどきするが母親に改まって聞くほど親しいわけでもなく、そのままにしている。大げさにしないほうがいいのかとも考える。通報といっても難しく、勇気がいると思う》

 カナダ在住の38歳の3児の母は《短期滞在した日本人の一家が4歳の息子をしかってマンションのベランダへ出し、子供は「入れて」と泣いた。とても温厚なお母さんで「しつけのため」とのことだったが、隣室の住民が通報し、警察から「次は子供を連れて行く」と警告されビックリしていた。でも今の日本でもこういうことが必要なのではないか》。

 社会的介入にもっと強制力を付与すべきだとの意見は目立ち、東京都の30代の男性は《児童相談所を警察の一組織にしてしまい、もっと強力な権限と人材を配置してはどうか。子供との面会を拒否したら公務執行妨害で即、逮捕》。一方、熊本県の55歳の男性は《状況証拠だけでも強制力のある捜査を行えるよう、児童相談所に司法権限を与え「児童相談署」へ格上げしてはどうか》と提案した。

 2児の母という33歳の主婦は《通報すれば確実にその(親と)子が救われると日本中の人が信じられるシステムが確立されれば、誰だって通報できると思う》とし、《虐待の専門教育や海外留学に奨学金を出すなど専門家を育ててほしい。過去に虐待を受けた子供が大人になり、自分のつらい経験を乗り越えて人の役に立ちたいと思っているかもしれない。今、虐待を受けている子供の目標にもなるかもしれない》と訴えた。

 厚生労働省は児童相談所の全国共通ダイヤルを設けている。電話番号は、0570・064・000。

第3部 なぜ虐待死は防げないのか(全5回)

(1)そのとき学校は 海渡君事件で起きた「ボタンのかけ違い」

2010.07.20 MSN産経新聞

岡本海渡君の自宅アパートには友人らから多くの花が供えられていた=10年2月、東京都江戸川区(中村昌史撮影)

 自宅近くを歩くと、この道を孫と連れだって買い物へ出かけた午後を思いだす。バスに乗れば並んで腰かけた場所を探し、涙がこみ上げてくる。東京都江戸川区で今年1月、虐待後に死亡した区立小1年、岡本海渡(かいと)君=当時(7)=の母方の祖母(52)は事件から半年になる今も、孫の面影を追う日々を過ごしている。

 「小学校へ上がるまで私の家で預かっていたので、海渡が使ったおもちゃやミットとボールが家にある。思い出がたくさん詰まっている。今も毎日、事件のことばかり考えている」

 海渡君は1月23日夜、継父の健二被告(31)=強盗傷害容疑で再逮捕=と実母(23)による暴行後に転倒、意識を失って吐いたものをのどに詰まらせ、肺炎により翌朝死亡した。両親は傷害致死罪に問われ、裁判員裁判が9月28日から開かれる。

 事件直前の正月休み。祖母は海渡君と入浴中、背中や尻のかさぶたを見つけた。孫は理由を答えようとせず、祖母が涙を流すと「ばあちゃん、泣かないで」といたわった。昨年11月にはひざが腫れていて、継父に「たたくのはやめて」と伝えたこともあったが、それ以上強くは言えなかった。

 事件を検証した東京都の報告書によると、「外部の目」が初めて虐待に気づいたのは昨年9月初旬。28歳の男性担任が顔のあざを見つけ副校長らへ報告した。学校の結論はこうだった。

 「注意して見ていきましょう」

 文部科学省は平成16年、虐待の確証がなくても児童相談所などへ通告(通報)するよう通知しているが、学校は通告しなかった。虐待はその後、エスカレートした。専門家は指摘する。

 「これがボタンのかけ違いだった」

>通告者が対応者に逆転

 担任が顔のあざに気づいた同じころ、通院先の歯科医も左ほおのあざを見つけた。海渡君は歯科医に「パパにぶたれた。僕は悪いことはしてない。ママは黙ってみていた」と話した。歯科医は区の虐待通告先である「子ども家庭支援センター」へ通告した。

 センターの業務は通告への対応だが、児童虐待防止法で安全確認は学校などに協力を得られることになっており、学校へ任せた。学校は校長らが家庭訪問し、海渡君の顔が1・5倍に腫れ上がっているのを見ていたが、継父の「しつけだった。二度と殴らない。男の約束だ」との言葉をうのみにした。

 児童相談所に32年間勤めた経験を持つ「子どもの虹情報研修センター」研究部長、川崎二三彦さん(58)は「本来、学校は児童相談所やセンターへ通告する立場であるのに、通告しなかったため結果的にセンターから対応を任された。専門家でない通告者が、高い専門性を求められる対応者になってしまった。もし学校が抱え込むのでなく専門の児童相談所が対応していれば、『二度とやらない』という言葉で終わらせることはなかっただろう」と指摘し、こう続けた。

 「虐待死には突き詰めていくと共通項がある。よく『関係機関の連携が足りない』『もっと専門性を高めよ』などと叫ばれるが、こうした問題点を丁寧に見ていかない限り、虐待死は繰り返される恐れがある」

関係機関の「関与あり」7割

 厚生労働省によると、年間4万件を超える児童虐待の児童相談所への通告元はここ数年、警察や近隣知人などが増えているのに対し、学校は減り続けている。

 神奈川県にある中学校の30代の女性教諭は「不潔な服装で給食をがつがつ食べたり、殴られたと訴えたりする子供がいても、周囲に相談すると『虐待かどうかは分からない』『通告するほどの確証がない』と言われる。そもそも、多くの教員は通告が一個人でできることを知らず、管理職の許可だけを気にしている」。

 虐待死を検証する厚労省の専門委員会が平成20年3月までの4年9カ月間に死亡した248件270人を分析したところ、児童相談所や市町村の保健センター、福祉事務所、保育所、病院、学校など、関係機関が関与しながら死亡した例が168件と67%に上った。

 全国の虐待死は心中を除いても年間50〜60人。週に1人のペースで新たな「海渡君」が生まれている。自治体には近年、海渡君事件のような虐待死を検証する責務が課されており、報告書はすでに100通以上になる。そのどれもが似た文句で始まっていた。

 《虐待を受け死亡するという痛ましい事件が…》

 われわれは何度、同じ言葉を繰り返せばいいのか。

     ◇

 児童虐待の問題を考える連載の第3部は、児童相談所など「社会的介入」をめぐる課題を考えてみたい。

(2)そのとき児相は 20年間で虐待38倍、職員は2倍…「最後の砦」対応に限界

2010.07.21 MSN産経新聞

 私を助けてくれる最後の場所だ。そう信じて受話器を握りしめていた。神奈川県に住むパート社員、永野美穂さん(24)=仮名=は小学6年のとき、友達の家から児童相談所へ電話で自ら通告(通報)した。実父からの虐待に耐えかねてのSOSだった。

 実母がDV(配偶者間暴力)を受けた末に家出し、酒乱の父に毎日殴られた。「お前は弟のお姉ちゃんであり、お母さんであり、おれの奥さんでもある」と夜中も家事をさせられた。電話口で「保護してもらえませんか」と訴えると、男性の声はこう言った。

 「お父さんからも話を聞かないと…。もう一度話し合うことはできませんか」

 中学3年から家出を繰り返し、卒業直前、警察に保護され児童相談所へ連れて来られた。その2年前の平成12年に児童虐待防止法が施行されていたが、女性職員の対応は次のようなものだった。

 「施設に空きがないので入れません。家出を繰り返していて、施設で過ごせるの」「18歳まであと2〜3年、がまんできないの」

 がまんしろ。「そう聞いて、もう何も話せなくなった」。面接室のドアを開けると、呼び出された父の姿が見えた。ぞっとして、ヒールを脱ぎ裸足(はだし)で駅の方角へ駆けた。

「二層構造」の谷間に

 児童相談所は都道府県の施設で全国に204カ所ある。対応に当たる児童福祉司は全国で2428人。20年前から2・2倍に増えたが、同じ期間に児童虐待は38倍になった。東京都の元児童相談所長は「対応は限界を超えている」と話す。

 児童相談所に併設する一時保護所は全国に124カ所あるが、都市部では満員状態。受け皿である児童養護施設も足りず、原則2カ月までの一時保護が半年、1年と延びる子供も少なくない。その間、学校へも通えず施設内で勉強する。

 関東地方の一時保護所に勤める30代の女性児童指導員は「学校へ行きたいと訴える児童や、布団を頭からかぶって眠る幼児もいる。みんな不安なのです」。

 児童相談所の負担軽減のため、法改正により17年から虐待の通告先に市区町村が加わり、市区町村が最初に対応した上で、難しいケースは児童相談所へ送る二層構造へ切り替わった。だが5年が過ぎ、自治体間に能力差が出てきている。

 東京都江戸川区の岡本海渡(かいと)君事件では、通告を受けた区の「子ども家庭支援センター」が小学校へ対応を任せきりにしたが、センターで海渡君ら小学生を担当していた非常勤職員は専門性のない小学校の元校長。いわば校長の再雇用の職場だった。

 事件を検証した都の検証部会の副部会長、平湯真人弁護士(67)は「二層構造にしたことで、かえって両者の谷間に落ちるケースも出ている。未熟な市区町村は児童相談所がもっと下支えすべきだ」と話す。

「明るい場所へ出られた」

 宮城県の主婦、大川麻衣さん(25)=同=は7歳のとき両親が離婚し、引き取られた実父に身体的、心理的、性的、ネグレクト(育児放棄)とすべての虐待を受けた経験を持つ。高校卒業の間際、近くに住む父方の叔母が実母に連絡し児童相談所へ通告が行った。職員2人が間に入り母の再婚家庭へ迎えられた。父とは裁判で縁を切った。

 「職員から『よく頑張ったね、大変だったね』と言われたとき、ようやく明るい場所へ出られたと思った。あのとき職員が行動してくれなかったら、今ごろ私は死んでいたと思う」

 現在、3女の母という彼女はこう続けた。

 「虐待された子供を見たらすぐに通報してほしい。児童相談所は、私を助けてくれた最後の場所でした」

(3)そのとき病院は 判断、通告…2つの「ためらい」

2010.07.22 MSN産経新聞

 心肺が停止した男児(2)を乗せた救急車がサイレンを鳴らし滑り込んできた。2カ月ほど前の夕方、関東地方にある総合病院の救命救急センター。男性救急医(35)は男児の状態と継母の様子がどこかおかしいことに気づいた。

 救急隊員に母は「食事をさせた後、目を離したすきにぐったりし唇が青くなった」と話し、当初は窒息が疑われた。医師が診察すると肺に損傷があり腹部に内出血を起こしているようだった。母は取り乱した様子で「6歳のお兄ちゃんとプロレスごっこをしたのかもしれない」と話したが、医師は「このお母さん、混乱を装っている」と感じた。

 男児は心肺蘇生(そせい)により息を吹き返したものの、病院にPICU(小児集中治療室)がなかったため専門病院へ送られ、結局そこで亡くなった。虐待を強く疑わせる所見が残された。警察には救急隊が通報しており現在、捜査が進められているという。

 医師は「虐待が強く疑われる例は年に数件だが、多くの軽症例の中にも重大な虐待に結びつく“芽”は潜在している」と話す。

親の説明「疑えぬ」

 全国の児童相談所が対応する年間4万件超の児童虐待のうち、医療機関からの通告は平成20年度で1772件。全体の4%にすぎないが、その通告は子供たちの生死に直結している。

 東京都江戸川区の岡本海渡(かいと)君事件では虐待通告後、海渡君が頭の外傷で2つの病院を受診し、硬膜下血腫(けっしゅ)と診断されて8日間入院していた。硬膜下血腫は、心中の「絞殺」を除けば虐待死の死因で最も多いが、両病院は実母の「継父と遊んでいて抱きかかえられ、頭から畳に落ちた」との説明に矛盾がないとして、虐待を疑わなかったという。

 東京都監察医務院の福永龍繁院長(54)=法医学=は「医師は患者の言葉を疑う教育は受けておらず、子供が自ら訴えられないので、親の説明を信じてしまう」と指摘する。

 神奈川県の総合病院に勤める男性小児科医(32)は「多くの場合、虐待を疑えたとしても完全な断定はできず難しい判断を迫られる。判断はすべて医師の裁量に任され、どうしてもためらいが残る。それに疑ったことが伝わると親は『ばれた』と思い、再受診しなくなる恐れもある」。

 海渡君の入院初日、継父は看護師にこう質問した。

 「遊んでいてよく落とすが、それくらいでこうなるのか」

 どのくらいまでなら、ばれないのか、探りを入れていたと専門家はみている。

うわさを気にして

 児童虐待防止法は、虐待通告が公務員や医師らの守秘義務違反に当たらないことを明記し、通告者保護のため誰であるかを漏らしてはならないと定めている。

 海渡君事件では通告元が漏れてしまった。事件を検証した都の検証部会の委員で明星大学の高塚雄介教授(64)=精神保健学=は「通告者が守られなければ誰も通告しなくなる」と懸念する。

 東京都三鷹市の杏林大学付属病院は院内に虐待防止委員会がある。医師のためらいを和らげるため、児童相談所への通告は医師個人でなく委員会が検討の上で行う。21年度に新たに対応した虐待は62件。病院の医療ソーシャルワーカー、加藤雅江さん(42)は「大学病院の医師でさえ躊躇(ちゅうちょ)する。まして地域の開業医はうわさを気にするし、個人での対応には限界がある」と話す。

 堺市で5月、1歳の長女に熱湯をかけ逮捕された23歳の実母は、大病院だと虐待を疑われると思い開業医を受診していたという。

 杏林大病院は地域の開業医にも委員会を通じて通告するよう呼びかけている。

(4)そのとき警察は 「家庭に入らず」は昔話 福祉と刑事“呉越同舟”

2010.07.23 MSN産経新聞

大阪・西淀川の小学4年、松本聖香さんの遺体が見つかった墓地を検証する捜査員。虐待死は繰り返されている=09年4月、奈良市

 ドアのチェーンをつかんで離さない母親の素手を見て、児童相談所の職員たちはためらった。東北地方の農村部にある公営住宅で平成20年12月、児童虐待防止法に基づく全国初の強制立ち入り調査「臨検・捜索」が行われていた。

 臨検・捜索は、児童相談所の介入を拒否する家庭へ鍵を壊して立ち入り、子供を保護する手続き。法改正により20年4月から導入された。公営住宅の両親は小学2年の女児を学校へ行かせず、ごみの山に閉じ込めた。重大なネグレクト(育児放棄)が疑われ、児童相談所は保護を決めた。大会議室に間取り図を再現し、警察の助言を得ながら予行演習した。当日は職員9人、警察官4人で臨んだ。

 「裁判所の許可を受けていますので、入らせていただきます」

 合鍵で解錠したもののチェーンに阻まれ、切断する練習も積んでいたが母親の抵抗に遭った。1時間後、説得に応じた父親がチェーンを外した。警察官が両親の対応に当たる中、職員が捜索し、ごみの山の中にいた女児を発見、保護した。

通告数、最多の6千件

 児童相談所の男性担当課長(55)は「説得に時間をかけすぎるなど『突入』の判断が不得手なことを切実に感じた。警察との綿密な予行演習が大切だし、警察と人事交流するといった体制強化も必要だ」と振り返り、こう続けた。

 「われわれはこれまで家族の支援のため親との関係を大事にしてきた。たとえ何時間かかっても説得したいとやってきた。だが介入に手間をかけすぎ、子供が亡くなっては元も子もない」

 かつて警察は「法は家庭に入らず」という民事不介入が原則だった。警察幹部は「現在では誤った認識だ。虐待対応への社会的要請が高まる中、警察も力を入れている」と話す。全国の児童相談所が対応した虐待のうち、警察からの通告は増え続け20年度は6133件。全体の14%を占め、近隣知人を上回り初めて最多となった。

 東京都江戸川区の岡本海渡(かいと)君事件の翌月にあたる今年2月には、警察庁が運用する「匿名通報ダイヤル」の対象に児童虐待が加わった。有力情報に最高10万円の情報料が支払われる。警察庁は「5カ月で216件の通報があり、数件について親を摘発した」という。

難しい「保護」との線引き

 警察と児童相談所の双方に課題を残した事件がある。埼玉県三郷(みさと)市で20年3月、2歳の男児が29歳の実母に十分な食事を与えられず餓死した事件。

 警察は近隣住民から「子供の泣き声がする」との複数の通報を受けた。当初は子供を特定できず「心当たりはありませんか」とちらしで呼びかけた。特定した家を警察官が訪れると、曾祖母は「夜泣きをしているだけ。虐待はしていない」と繰り返した。児童相談所も前年から把握していたが結局、互いに連絡し合わなかった。

 警察官の一人は「子供を児童相談所で保護してもらい、その間に親を諭したり任意で捜査することもある。私服姿で家庭を訪れ話を聞くこともある。最終手段として逮捕もあるが線引きは難しい」。一方、児童相談所の元児童福祉司は「子供を保護し親を支援したいと考えても、警察が逮捕すると支援は止まってしまう。残念ながら『呉越同舟』の面はある」と話す。

 駿河台大学の吉田恒雄教授(60)=児童福祉法=は「児童相談所は長年、虐待へ福祉的に対応してきたが、社会や親の変化もあり、子供の命を守れていない。児童虐待防止法も福祉的な法律であり、警察には児童相談所を援助する行政警察の役割を求めているが、刑事警察でもある警察がどう福祉へ関与すべきか今後、考えていく必要がある」と指摘する。(匿名通報ダイヤルは、0120・924・839)

(5)そのとき地域は 通報への「迷い」を乗り越えて

2010.07.24 MSN産経新聞

 5月最後の土曜日の夜、千葉県内の国道を車で帰宅していたパート、石原恵さん(28)=仮名=はライトに照らし出された子供の姿を見つけた。小学2年の男児だった。「お父さんとけんかした。8時くらいから外にいる」。時計を見ると午後11時だった。

 男児は「家を出されることはたまにある」と言ったかと思えば、「僕のことを捜していた」と親をかばうような言葉を口にした。

 ひょっとして、虐待?

 車で送ったが家へ入らない。ドアをたたいて「すみませーん」と呼びかけても反応はなかった。午前0時を回っていた。時間が時間だったため警察以外思いつかず、最寄りの警察署へ向かった。「無理に自宅へ戻さず、『そういうこと』が考えられたら児童相談所へ通告します」との警察官の言葉に、男児を託した。

 石原さんは「あの道を通るたびに思いだす。あのまま『気をつけて帰ってね』と別れていれば、すんなり家へ帰れていたのではないか。私が通報したことで親からひどい仕打ちを受けたのではないか。そもそも本当に虐待だったのか」と自問し、こう続けた。

 「よく、『虐待を見つけたら通報を』と簡単にいうが、実際は難しい。私の通報が、その子供の人生を決めてしまいかねない」

8割が相談せず

 《児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、速やかに通告しなければならない》

 児童虐待防止法はこう定めている。通告(通報)は国民の義務である。専門家は「法律上の通告先は児童相談所や市区町村だが、110番などまず思いついたところへ連絡してほしい」と呼びかける。

 愛知県豊橋市が平成19年、市内の成人約2千人に調査したところ14%が「周りの子供が虐待を受けているのではないかと心配したことがある」と答えた。にもかかわらず、そのうち81%の人はどこへも相談していなかった。理由は「虐待かどうか分からなかった」「しばらくしたら落ち着いた」「大ごとにしたくなかった」−の順だった。

 なぜ、虐待死は繰り返されてしまうのか。連載を通じて浮かび上がったのは、教師が、行政の職員が、医師が、そして地域のわれわれが、さまざまな場面で、それぞれの理由で、ためらい、躊躇(ちゅうちょ)している現実だった。「確証がない」「もし間違っていたら」「できればかかわりたくない」…。

 それでは虐待死は防げない。

「周囲で支えよう」

 わが国の児童虐待対応の先駆者の一人で「子どもの虐待防止センター」前理事長の故・坂井聖二医師は「子供を地域で支えよう」と口癖のように話し、理由をこう語ったという。

 「地域の人のほうが人数が多いから。行政の職員やケースワーカーは1人の子供に1人しかいない」

 東京都江戸川区の岡本海渡(かいと)君=当時(7)=が暮らしたアパートの向かいのアパートに住む30代の男性は、海渡君の笑顔を覚えている。自転車の乗り方を教えたこともあったという。

 昨秋、海渡君の顔のあざに気づいた。母親は「飼い猫に引っかかれた」と話し、海渡君は「大丈夫、大丈夫」と答えた。

 男性は自身に言い聞かせるように話した。

 「事件後、区や学校が通告した、していないともめていたが、海渡が死んだ、これが現実だ。いろいろなサインがあったのかもしれない。自分も気づいてやれなかった。周りがもっとできることがあったんじゃないか」(終わり)

(子どもの虐待防止センターの相談電話は、03・5300・2990)


児童虐待相談件数3万4451件 厚労省まとめ

2005/06/29 The Sankei Shimbun

 平成17年度中に全国の児童相談所で対応した児童虐待相談件数が3万4451件あり、過去最高だったことが29日、厚生労働省の集計(速報値)で分かった。昨年度は改正児童福祉法の施行により、市町村でも相談対応を実施しており、児童虐待について全国で対応した件数は前年度に比べてさらに大幅に増える見込みだ。

 集計によると、昨年度全国187カ所の児童相談所で受け付けた児童虐待相談件数は3万4297件で、前年度から355件(1.0%)減少。相談対応件数は、前年度からの繰り越し分も含め3万4451件で、前年より1043件(3.1%)増えた。

 受け付けが減った都道府県・政令市は29自治体。改正児童福祉法により、虐待が軽微なケースでは市町村で対応できるようになり、児童相談所から市町村の窓口に相談が分散したためとみられる。逆に、受け付け、対応件数ともに増えた都道府県・政令市は31自治体だった。

 一方、市町村が相談を受け付け、対応しているケースについては現在集計中。児童相談所で対応したケースと重複している部分もあるとみられるが、「相当数に上る見込み」(厚労省)だ。

 厚労省虐待防止対策室は「虐待の通告に対する住民の理解が進み、軽微なケースでも通告を受け、対応できるようになってきた。虐待の掘り起こし効果が出ている」とみている。

「保育ママ」乳児虐待 揺さぶる危険熟知も「泣きやまず…」

平成17(2005)年9月25日 The Sankei Shimbun

他にも眼底出血、追及へ

 預かっていた乳児に強く揺さぶる虐待を加え重傷を負わせたとして、警視庁捜査一課と成城署は傷害の疑いで、東京都世田谷区南烏山、同区認定「保育ママ」、岡文代容疑者(42)を逮捕した。乳児は頭を強く揺さぶられることで脳に障害が起こる「揺さぶられっ子症候群」とみられる。岡容疑者は「危険であることは知っていた。泣きやまなかったのでやってしまった」と容疑を認めている。

 調べでは、岡容疑者は六月三十日と七月十二日、自宅で預かっていた同区内の医師(41)の生後五カ月の女児をベビーカーに乗せたまま何度も強く揺さぶり、硬膜下血腫や眼底出血で三カ月の重傷を負わせた疑い。

 女児の様子がおかしくなったため、岡容疑者が一一九番通報。症状から揺さぶられっ子症候群と判断した両親が同署に相談し発覚。岡容疑者は当初「寝返りした際、おもちゃに目をぶつけた」などと説明していた。

 岡容疑者はこれまで十二人の乳児を預かっていたが、ほかにも保育中に眼底出血の症状があった乳児もおり、捜査一課で関連を調べている。

 保育ママ制度は、保育士や看護師などの資格を持ち自治体の認定を受けた者が低年齢児を自宅で保育する制度。保育園不足を補うため全国約百三十の自治体が取り組んでいる。

 世田谷区の場合、生後三十六日から三歳未満までの乳幼児を対象にしており、保育ママの自宅で二−五人の小人数で保育する。基本保育料は月額二万五千円。同区内には約五十人の保育ママが在籍しており、岡容疑者も約百四十時間の研修を経て、平成十四年十月に認定を受けた。

 保育ママ制度の充実を目指す「全国家庭的保育ネットワーク」(横浜市)の鈴木道子代表は「きめ細かく子供に目が行き届く利点があるが、保育ママの負担も大きく自治体には補助員などを派遣して心にゆとりをもたせるケアを心がけてほしい」と話している。

               ◇

 揺さぶられっ子症候群 脳が未発達の乳幼児を激しく揺さぶったりしたときに頭蓋内に損傷が生じ出血する外傷性脳障害を指す。知能・学習障害や視力障害を起こし最悪の場合死亡する。「高い高い」などあやすつもりの揺さぶりでも脳内出血を起こすこともある。

虐待相談、初の3万件超 04年度、厚労省集計

2005/06/20 The Sankei Shimbun

 全国の児童相談所が2004年度に処理した児童虐待の相談件数は3万2979件となり、前年度より約6400件増え、初めて年間3万件を突破したことが20日、厚生労働省の集計(速報値)で分かった。未処理分を含めると相談受付件数は3万4368件だった。

 昨年1月に発覚した大阪府岸和田市の虐待事件などで関心が高まり、10月には虐待されたと疑われる子供を発見した場合まで国民の通告義務を拡大した改正児童虐待防止法が施行された効果とみられ、幼い命を脅かす潜在的な虐待被害の広がりをあらためて示した。

 全国の相談所で働く児童福祉司は、今年4月の配置基準引き上げを受け、5月1日現在で前年度より190人多い2003人となり、初めて2000人を超えた。

 虐待相談の処理件数は集計を始めた1990年度の1101件から年々増加。04年度までの14年間で約30倍に膨らんだ計算になる。

 03年度は中学3年の男子生徒が餓死寸前で保護された岸和田市の事件など深刻なケースが相次ぎ、前年度に比べて約2800件の増加となったが、04年度の増加幅はそれを大きく上回った。

 都道府県、政令指定都市別の処理件数では、前年度より1567件増えた大阪府など都市部に集中。前年度と比べた増加率は高知県2.07倍、千葉市1.97倍、愛媛県1.76倍などとなっている。

 また全国の主要な児童相談所で児童福祉司1人が1週間に対応する児童虐待や非行などの相談ケースは全国平均で約32件に上り、都市部では100件を超える相談所もあることも分かった。

 相談所は急増する相談でパンク状態にあり、厚労省は今年4月施行の改正児童福祉法で、子供に関する相談窓口を全市町村に設置して受け皿を広げ、相談所は深刻なケースに対応する専門機関とする新体制を始めた。(共同)

幼児虐待:3歳女児が暴行され意識不明 母親の同居人逮捕

2004年12月12日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE
 福岡県警小倉北署は12日、同居する女性の二女(3)を虐待したとして北九州市小倉北区白銀1、職業不詳、中山崇容疑者(34)を傷害容疑で緊急逮捕した。中山容疑者は「(二女が)言うことをきかなかったり、食べこぼしたりするのでやった」などと容疑を認めているという。

 調べでは、中山容疑者は10日までに、二女を殴ったり、エアガンで撃つなどの暴行を加えた疑い。中山容疑者と二女の母親は11日夜、二女を含む3人の子を自宅に置いて外出。帰宅した12日未明、二女の意識がないことに気づき、自宅近くの救急病院に連れて行ったという。

 二女は、頭がい内出血の疑いや腕の骨折、顔面打撲など無数のけがを負っていることから、転送先の病院が「虐待の疑いがある」と児童相談所に通報し、警察に連絡が入った。

 長男(4)も顔や体に殴られたような痕があり、児童相談所は長女(9)と長男の2人を保護した。中山容疑者は母子4人と今年7月から同居しており、母親は11月ごろから子供の体にあざがあることに気付いていたという。同署は中山容疑者が虐待を繰り返していたとみて調べている。

児童虐待防止へ 呉・三次でモデル事業

2004/09/24 中国新聞地域ニュース
 広島県が地域ネット支援

 広島県は、児童虐待対策に取り組む地域ネットワークの本格支援に乗り出した。全国に先駆けてプロジェクトチームを編成し、モデル地域に選んだ呉、三次市に派遣。虐待予防から事後ケアまで関係機関の連携強化を促す。両市の試みを踏まえてマニュアルを策定し、全市町村にネットワークを広げたい考えだ。

 ネットワークは、育児に不安を抱える保護者への訪問支援▽虐待発生時の緊急対応▽事後ケア―の各段階で、行政や学校、医療機関、警察などが連携を図り対処する。

 県のモデル事業は、虐待問題などを研究する「日本こども家庭総合研究所」(東京都)の才村純部長や児童相談所、保健所などの担当者ら計十一人でプロジェクトチームを編成。呉、三次市のネットワークを支援するため、メンバーが両市を訪れて連携策を練り、アドバイスをする。

 県のまとめでは、昨年度、児童相談所が受けた虐待の相談は九百四十件と五年前の六・三倍に急増。全国では、主な相談窓口となってきた児童相談所で十分な対応ができないまま、悲惨な事件につながったケースが相次いでいる。こうした状況を受けて県は、各機関の連携を軸としたモデル事業に乗り出した。

 国も市町村ごとのネットワークづくりを促し、六月時点で、広島県は16・9%▽山口県は35・8%▽岡山県は15・4%▽島根県は8・5%▽鳥取県は35・9%―の市町村が枠組みをつくっている。しかし、市町村側には「個人情報の保護などのガイドラインが必要」「専門家の助言がいる」などの戸惑いがある。

 県はモデル事業を通じて、市町村側の戸惑いの解消と実効性のある取り組みを探る。本年度中にネットワークのつくり方や運営に関するマニュアルを策定。全県でのネットワークづくりに生かしてもらう方針でいる。

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 <児童虐待に関する市町村の役割> 先の通常国会で継続審議となった改正児童福祉法案は、児童相談所に集中している相談窓口の市町村への移行を柱とする。虐待を受けた児童らを支援するネットワーク整備も市町村に求める。4月に成立した改正児童虐待防止法は、虐待の通告先を市町村に拡大する項目を追加したが、施行は改正児福法と同時になる。

虐待児童診察、通告は半数 医師アンケート

2004/05/25 中国新聞地域ニュース
 虐待児童を診た事例すべてに通告義務がある医師が、診察事例の約半数しか通告していない実態が、広島県医師会や広島大などでつくる県地域保健対策協議会(碓井静照会長)の広島県内アンケートで分かった。診療経験のない医師では77%が「診療後、関係機関に通告する」と答えている。理想とは異なり、見分けが難しく、保護者への配慮も必要な虐待に戸惑う現場の様子が浮かび上がっている。

 アンケートは昨年十月、約六千三百人の県医師会員全員に郵送。虐待児童を診た経験の有無や診察後の対応などについて聞き、37%の約二千三百人が回答した。

 答えた医師の13%が虐待児童を診た経験があった。診察経験の比率を診療科別にみると、@小児科A脳神経外科B精神科―の順に多かった。

 二〇〇〇年十一月施行の児童虐待防止法に基づき、診察後に児童相談所や福祉事務所などに通告した事例は47%だった。診た医師の68%が保護者の逆恨みを気にするなど「保護者への対応が難しい」とし、50%は情報不足などによる「虐待の判断がしにくい」悩みを挙げていた。

 虐待を発見した際、義務付けられている通告を「知っている」は67%で、33%は「知らない」だった。身体的虐待、心理的虐待、性的虐待、放置―という児童虐待の四分類を「よく知っている」は全体の15%で、「あまり知らない」「知らない」が合計で85%に達した。

 協議会児童虐待対策特別委の委員長、田中義人・広島大教授は「医師の通告が十分機能していない」と指摘。今後、虐待の判断をしやすくするマニュアルづくりなどを検討する。


医師向けに児童虐待の早期発見マニュアル

2002年07月02日Yomiuri On-Line
 日本医師会は、医師が児童虐待を素早く見抜くためのノウハウをまとめた小冊子「児童虐待の早期発見と防止マニュアル―医師のために」を作成、約16万人の会員に配った。

 虐待が疑われるケースがきめ細かく解説されており、「医師の目」強化に役立ちそうだ。

 小冊子は、同会が調査した1999年度の児童虐待558事例を踏まえて、作成した。

 まず、診察時の注意点として、<1>医師に見せたがらない<2>原因の説明があいまいでつじつまが合わない<3>親の様子がおかしい<4>子どもが親になつかない――の4項目を例示。

 虐待による打撲やあざの特徴として、<1>全身に多発<2>新旧の傷が混在<3>首やほおなど通常では考えられない部位の傷――などを挙げた。また、外傷はほとんどないのに意識障害やけいれんなどがある場合は、眼底検査などで頭がい内出血の有無を確認することを呼び掛けている。

 同会の雪下国雄常任理事は、「医師にはあらゆる子どもに虐待の可能性があると認識し、この小冊子を役立ててほしい」と話している。

 市販は1部800円。問い合わせは明石書店(03・5818・1171)へ。

母親、息があるのに放置/愛知の女児遺体放置

2001.03.03 The Sankei Shimbun
 愛知県小牧市の運送会社社員寮で、同社社員(45)の六女=当時(2つ)=の遺体が、クーラーボックスに入れられ放置されていた事件で、死体遺棄容疑で逮捕された母親(37)が、六女にまだ息があることに気付きながら死亡するまで放置していたことが三日までの小牧署の調べで分かった。同署は保護責任者遺棄致死の疑いでも母親を追及している。

 これまでの調べで、母親と六女の兄が、六女を殴るけるなどして日常的に虐待していた疑いが浮上している。同署は兄や姉から事情を聴くとともに、遺体を司法解剖して詳しい死因を調べている。

 調べによると、母親は昨年六月、六女が布団の上でぐったりしているのを見つけたが、「兄らが暴力を振るって死なせたと思い、警察や消防には連絡しなかった。間もなく六女は死んだ」と供述している。

 母親は深夜までパチンコをしたり、一時は家出するなど、十一人の子供を十分に養育していなかったとみられている。六女がやせ細っているところも目撃されており、小牧署は母親が十分に食事を与えていなかった疑いもあるとみている。

死因は兄姉の暴行か? 愛知の六女遺体放置事件

2001.03.03(16:00)asahi.com
 愛知県小牧市の主婦(37)が昨年6月から、六女(当時2つ)の遺体を放置していたとされる事件で、死体遺棄容疑で逮捕された主婦が同県警小牧署の調べに対し、「何もしないまま、ひん死の六女を見ていたら、そのうち息をしなくなった」と供述していることが3日、分かった。主婦は「手遅れだと思った」とも話しているが、発見時に適切な処置をしていれば、六女が助かった可能性もあり、同署は保護責任者遺棄致死の疑いでも主婦から事情を聴いている。六女はふだんから兄姉のいじめを受けていたとされ、兄姉の暴行が六女の死につながった疑いがあるとみている。

 調べによると、主婦は昨年6月中旬、六女の遺体を押し入れに入れ、8月からはクーラーボックスに入れて自宅ベランダに放置したとされる。主婦は六女の死臭が広がるのを恐れて、遺体を毛布や布団でくるんでスポーツバッグに入れ、クーラーボックスに収めた上からさらにポリ袋などで2重にくるんでいた。

 供述などによると、主婦が深夜に帰宅した時点では、頭にけがをして台所に敷いた布団に横たわっていた六女は、ひん死の状態ながら、まだ生きていた。

 ところが、容体を見て手遅れと判断したうえ、「ふだんから、(六女が)よく泣くため、兄姉がいじめたり、殴ったりしていた」ことから、主婦はとっさに「子供のだれかが殺してしまったのだろう」と思い、「身内から犯人を出すわけにはいかない」と救急隊や警察には連絡しなかったという。主婦はそのまま何もせず、六女が死ぬまでずっと見ていたという。

 同署は、この間に医師に診せるなど必要な措置を講じていれば助かった可能性もあるとみて、発見時から死亡するまでの経過について主婦から詳しく事情を聴いている。

 六女は生後8カ月の時から約1年間、同県小牧市内の養護施設に入所し、家庭に戻ってからは兄や姉になじめず、いじめや暴行を受けていたという。同署の事情聴取に対し、兄姉は「(六女が)よく泣いてうるさいので、いつも頭や顔をたたいていた」「(死亡する前に)、六女を突き飛ばした兄姉がいる」などと話していることから同署はこうした暴行が、六女の死に結びついた疑いがあるとみて、兄姉から事情を聴いている。

六女の遺体を放置した疑い 11人の子を持つ母を逮捕

2001.03.02(21:27)asahi.com
 2日午前10時ごろ、愛知県小牧市の主婦(37)が母親に伴われて同県警小牧署に出頭し、「昨年夏に死んだ2歳の六女の遺体を、クーラーボックスに入れてベランダに放置している」と供述した。署員が自宅を調べたところ、粘着テープで目張りしたクーラーボックスから女児の遺体が見つかり、同署は主婦を死体遺棄容疑で逮捕した。主婦には11人の子供がいた。

 調べに対し、主婦は「昨年6月ごろ、死亡した六女の遺体を子供用布団にくるんだうえ、クーラーボックスに入れてベランダに放置した」と供述した。遺体を放置した経緯については、「買い物から帰宅すると、六女が死んでいた。頭に暴行を受けたような傷があり、子供たちがけんかをしたと思った。遺体を押し入れの中にしばらく入れていたが、においがしてきたのでベランダに置いた」などと話しているという。

 主婦は、トラック運転手の夫(45)との間に、20歳から0歳児までの四男七女があり、社宅で暮らしている。夫は「六女は福祉施設に預けている、という妻の説明を信じていた」と話しているという。

 同署は、愛知県中央児童相談所から「六女の姿を最近みかけないと近所の人が話している」との連絡を受け、同相談所の職員とともに1日、主婦宅を訪れたが、主婦は不在だった。主婦はこの日、同県春日井市の実家に行き、実母の説得を受けて2日、出頭したらしい。

女児遺体放置の母を逮捕へ 愛知県警

2001.03.02 The Sankei Shimbun
 二日午後五時十五分ごろ、愛知県小牧市新小木一ノ九二、運送会社社員、寮二棟二○三号室の柴田祐治さん(45)方で、ベランダに置かれたクーラーボックスの中に柴田さんの六女、優理香ちゃん(3つ)とみられる遺体が入っているのを愛知県警小牧署員が発見した。

 同県中央児童相談所の立ち入り検査で優理香ちゃんが所在不明になっていることが判明、優理香ちゃんの母親(37)が同日午前、小牧署に出頭、「六女が去年夏ごろ、死亡した。遺体をベランダのクーラーボックスに入れて放置している」と供述したため、同署が自宅を現場検証していた。

 母親は柴田さんと子供十一人の十三人家族。パチンコが好きで育児を放棄しがちだったといい、同署は死体遺棄容疑で母親の逮捕状を取った。容疑が固まり次第逮捕する。

 調べによると、優理香ちゃんの顔にはあざがあるなど虐待された疑いがあるが、母親は「上の子どもが殴ったのではないか」と供述。「遺体を布団に包み押し入れに入れていたが、近所から『悪臭がする』と苦情があり、クーラーボックスに入れてベランダに置いた。自分は殺してない」と話しているという。

 クーラーボックスは縦三十センチ、横五十センチで、高さ三十センチ。数カ所に白いテープが巻いてあった。

 夫婦の間には二十歳の長女から生後一カ月の女児まで男四人、女七人の計十一人の子供があり、長女を除く十人と一緒に暮らしていた。一○三号室と二○三号室の二室を借り、柴田さんは一階で寝ることが多かったという。

 二月二十七日、近所の人から「顔が傷だらけの優理香ちゃんを昨年夏に見たが、最近、見かけない」との情報が小牧市保健センターに寄せられ、同センターが県中央児童相談所に報告。同相談所が三月一日朝、立ち入り検査した。優理香ちゃんが見つからず、母親も戻らないため、相談所は小牧署に連絡した。

 現場は名鉄小牧駅の西約四キロ。

出産直後の女児を殺害、容疑の主婦を逮捕 群馬・太田市

2001.02.21(22:53)asahi.com
 出産直後の女児を殺して遺棄したとして群馬県警太田署は21日、同県太田市緑町、主婦石川智恵容疑者(43)を殺人と死体遺棄の疑いで逮捕した。

 調べでは、石川容疑者は昨年8月下旬の深夜、自宅近くの農家の物置で女児を出産、直後に口を手で押さえて殺し、遺体をそのまま遺棄した疑い。石川容疑者は「育てる金がなかったから殺してしまった」と供述しているという。石川容疑者は夫や4人の子どもらの8人暮らし。

 同年12月30日正午ごろ、物置の掃除をしていた女性が、バスタオルなどに包まれた遺体を発見した。

ハンガーで長男殴る/大阪、傷害容疑で父親逮捕

2001.02.15 The sankei Shimbun
 五歳の長男を部屋に閉じ込め、ハンガーで殴るなど虐待を繰り返してけがを負わせたとして、大阪府警住吉署は十五日までに、傷害の疑いで大阪市住吉区杉本一のフリーター、安田博尚容疑者(三〇)を逮捕した。安田容疑者は「しつけだった」と犯意を否認しているが、長男は古傷も含め全身に傷を負っていた。

 調べでは、安田容疑者は一月十七日から十九日にかけ、自宅マンションで長男の頭などをハンガーで殴り、顔などに約一週間のけがを負わせた疑い。

 長男には古傷も含め全身がはれ上がるほどの傷のほか、肝機能障害もあった。虐待はかなり以前から繰り返され、満足な食事も与えられていなかったらしい。

 安田容疑者は離婚協議中だった福岡市の妻(三三)=現在は離婚=から、約二年前に長男を「一晩だけ」と言って連れ去り、一緒に暮らしていたとみられる。

内縁女性の3歳の男児を虐待、死なせた男を逮捕 福井

2001.02.11(22:12)asahi.com
 内縁の妻の男児に暴行を加えて死なせたとして、福井南署は11日、福井市春日1丁目、アルバイト従業員古家哲広容疑者(24)を傷害致死容疑で逮捕した。

 調べによると、古家容疑者は同日午前3時ごろ、同居していた菅広也ちゃん(3つ)が目を覚まし、泣くなどしたことに腹を立て、腹部を数回殴るなどし、死なせた疑い。

 広也ちゃんの様子がおかしいため、約7時間後、古家容疑者と広也ちゃんの母親が同市内の病院に運んだが、すでに死亡していたという。広也ちゃんの腹部や頭部に殴られたようなあとがあったため、病院が同署に通報した。

娘に性的虐待の義父逮捕、強要の実母も 愛知県警

2001.02.10(10:49)asahi.com
 娘に性的虐待をしたとして、愛知県警少年課と常滑署は10日までに、愛知県安城市の無職男(55)と妻(37)を、児童福祉法違反(児童にいん行させる行為)の疑いで逮捕した。

 調べでは、男は昨年12月10日ごろ、妻の前夫の子どもの女子高校生(17)に自宅でわいせつな行為をした疑い。妻は、娘に、夫のわいせつ行為に応じるよう強要した疑い。

 2人は「娘も好きでやったこと」などと容疑を全面的に否認しているという。県警は、男が約2年前から義理の娘に対し、性的な虐待を繰り返していたとみて調べている。

 女子高生は昨年暮れに家出をし、友人たちの勧めで同署に被害届けを出した。現在は、県内の養護施設で保護されている。

女児虐待で義理の父逮捕 福島・相馬市

2001.02.08 The Sankei Shimbun
高く持ち上げ床に落とす

 福島県警相馬署は八日、小学六年の女児(12)に約二カ月のけがをさせたとして、傷害の疑いで、義理の父親の同県相馬市柏崎の遺跡発掘作業員の男(39)を逮捕した。

 調べによると、男は一月初旬ごろ、自宅で女児のえり元をつかんで体を高く持ち上げたまま床に落とし、左の鎖骨を折る大けがをさせた疑い。男は容疑を認めている。

 同署によると、男は一九九八年、女児と小学五年の男児(11)の二人の母親の女性(34)と結婚した。男児には、けがはないという。女児は、けがをしてから母親の実家に身を寄せている。

 同署は、男が以前から女児に暴行を加えていた疑いもあるとみて、動機などを詳しく調べている。

埼玉・狭山市の乳児虐待の主婦、処分保留で釈放

2001.02.05(21:22)asahi.com
 埼玉県狭山市の母親が乳児に熱湯をかけてけがを負わせたとされる事件で、浦和地検川越支部は5日、狭山署が傷害容疑で逮捕、送検していた狭山市の主婦(27)を処分保留で釈放した。浦和地検の石井政治次席検事は「関係証拠の収集が間に合わなかった。捜査は継続する」と説明している。主婦は「過ってかかってしまった」と過失を主張しているという。

 主婦は1月10日、自宅で生後4カ月の三男の顔に熱湯をかけて約2、3週間のやけどをさせた疑いで同16日に逮捕された。

 三男にはやけどのほか、左手首とろっ骨を折った跡があり、病院から通報を受けた所沢児童相談所が同署に届け出ていた。

娘2人を刺す 母親無理心中 4歳長女死亡

2001.01.31 The Sankei Shimbun
 三十一日午前六時ごろ、東京都葛飾区立石の運転手、青木正一さん(三一)方から一一〇番通報があり、警視庁本田署員が現場に駆けつけたところ、三階寝室の布団の上に青木さんの長女の百合ちゃん(四つ)と一歳の二女が腹など数カ所を刺されて倒れているのが見つかった。百合ちゃんは病院に運ばれたが間もなく死亡、二女も重傷を負った。

 血だらけで包丁を持って立っていた青木さんの妻が犯行を認めたため、同署は殺人未遂の現行犯で逮捕した。捕まったのは主婦、青木彩子容疑者(二八)。自らも腹を刺して重傷を負っており、回復を待って動機などを追及する。

 青木容疑者は最近、近所の人とトラブルがあり、不安定な精神状態だったという。一一〇番通報したのは青木容疑者で、「どうやって生きていったらいいか分からない」などと電話口で一方的に話していた。

 青木容疑者は夫と子供二人の四人暮らしで、夫がこの日朝五時に仕事のため外出したあと、通報するまでの約一時間の間に犯行に及んだとみて、同署で詳しく調べている。百合ちゃんが通っていた同区内の幼稚園の園長によると、百合ちゃんは二十九日には元気に登園してきたが、三十日は青木容疑者から「私用のため休む」と連絡があった。先月行われた親子面談では特に悩みを抱えている様子はなかったという。

男1人を逮捕/兵庫の女子中生監禁

2001.02.01 The Sankei Shimbun
 兵庫県姫路市の中学二年の少女(一四)が約一カ月間、監禁されていた事件で、県警飾磨署は三十一日、監禁の疑いで住所不定、職業不詳、佐藤隆史容疑者(三一)を逮捕した。佐藤容疑者は知人の警察官に説得され、同署に出頭した。同署は既に同容疑で逮捕状を取っている、もう一人の男(二二)の行方を追っている。

 調べによると、佐藤容疑者はもう一人の男と共謀、一月四日ごろから十二日午後七時半ごろまで、少女を車のトランクに監禁し、同市内を連れ回した疑い。

 同署は、佐藤容疑者が昨年十二月中旬から、少女を同市飾磨区細江のアパートに監禁していた疑いがあるとみて、追及している。

 少女はトランクから自力で脱出し、同市広畑区内の民家に助けを求め、保護された。少女はガスバーナーで焼かれたようなやけどを負うなど、ひどく衰弱しており、現在も同市内の病院に入院している。

中2女生徒を9日間連れ回す、男2人に逮捕状 兵庫

2001.01.30(17:24)asahi.com
 兵庫県姫路市内の中学2年の女子生徒(14)を車のトランクに9日間閉じこめて連れ回したとして、県警捜査1課と飾磨署は30日までに、いずれも住所不定の31歳と22歳の男2人について監禁容疑で逮捕状を取った。女子生徒は昨年12月5日に家出し、家族から捜索願が出ていた。家出後しばらく男2人のマンションにいたが、車のトランクに入れられて連れ回された。1月12日夜に姫路市広畑区で逃げ出し、近くの民家で保護された。背中にやけどのような跡があり、約2カ月のけが。女子生徒は「たばこやバーナーの火を押しつけられた」と話しているといい、傷害の疑いもあるとみて調べる。

 調べによると、男2人は1月4日から12日まで、女子生徒を車のトランクに押し込め、姫路市などを連れ回した疑い。捜査一課などは、男が当時住んでいた姫路市内のマンションを捜索したが、すでに転居していたという。

 女子生徒は「逃げ出す前の数日間は、ほとんど食事をさせてもらえなかった。『逃げたら追い込みをかけるぞ』と脅され、逃げられなかった」などと話している。保護された時には衰弱が激しく、姫路市内の病院に入院して治療を受けているという。

 女子生徒を保護した広畑区の女性の話などによると、12日午後7時半ごろ、インターホンが鳴り、「助けてください。救急車を呼んでください」と女性の声がした。ドアを開けると女子生徒が汚れた格好で座り込んでおり、衰弱が激しくて1人では立ち上がれない状態だったという。

 捜査1課などによると、女子生徒は知人の紹介で昨年夏ごろ、2人と知り合い、31歳の男と交際していたとみられる。


幼児を熱湯ぶろに せっかんの疑いで母親の内縁の夫逮捕

2001.01.26(18:43)asahi.com
 内縁の妻の幼児2人を熱い湯が入った湯船に入れてせっかんし、やけどを負わせたとして、愛知県警半田署は26日早朝、同県武豊町里中、溶接会社員西野保容疑者(35)を傷害の疑いで逮捕した。2人は下半身全体にやけどを負い、入院した。顔などにあざもあることから、同署は西野容疑者がこれまでも幼児に対して虐待行為を繰り返していた疑いがあるとみて調べを進める。

 調べでは、西野容疑者は25日午後2時ごろ、同居している内縁の妻(25)の長女(3つ)と長男(2つ)が、西野容疑者が飼っていたハムスターに触ったため、「触るとペットが病気になる」などと注意した。その後も、長女たちがハムスターを触り続けたため、西野容疑者は腹を立て、2人を約2分間、熱い湯の入ったふろに入れてやけどを負わせた疑い。

 西野容疑者はペットとしてハムスターを11匹飼っていた。調べに対し「以前から子どもにはハムスターに触るなと注意していたが、言うことを聞かないので、せっかんしてやろうと思っていた」と供述しているという。

 当時、内縁の妻は町内のパチンコ店に出勤していて不在で、自宅には西野容疑者ら3人だけだった。ちょうどふろを沸かしていたため、西野容疑者は長女らを熱い湯に入れてせっかんしようと思いついたという。

 熱い湯に入れられた長女らが泣き叫んだため、西野容疑者は勤務先の内縁の妻に連絡。2人で、長女たちを町内の病院へ連れて行き、長女たちはその後、同県半田市の病院に搬送された。

 病院から連絡を受けた半田署で調べたところ、西野容疑者がせっかんしたことを認めたという。西野容疑者は昨年11月下旬、内縁の妻と知り合い、直後から西野容疑者の自宅に子供2人を連れてきて、一緒に暮らしていた。

3歳児が虐待死、容疑の父親逮捕 埼玉・志木

2001.01.25(20:50)asahi.com
 25日午前6時40分ごろ、埼玉県志木市内の救急病院から幼児が呼吸停止状態で運ばれた、と埼玉県警に連絡があった。幼児は同県三芳町藤久保、ブロック工山崎信彦容疑者(29)の次男飛鳥ちゃん(3つ)で、東入間署が死亡を確認した。山崎容疑者が「(飛鳥ちゃんが)なつかないので昨年夏ごろから虐待していた。昨日も殴るなどした」と供述したことから、同署は同日夜、傷害致死容疑で逮捕した。

 調べでは、山崎容疑者は23日夜と24日夜の2回、自宅で飛鳥ちゃんの頭や胸などを殴るけるなどして死亡させた疑い。25日朝、飛鳥ちゃんがぐったりしているのに山崎容疑者が気づき、妻(28)とともに車で救急病院に運んだ。死因は外傷性脳浮腫だった。

赤ちゃん置き去りの母親を逮捕 千葉県警

2001.01.23(21:45)asahi.com
 生後間もない自分の赤ちゃんを置き去りにしたとして、千葉県警千葉中央署は23日、千葉市美浜区磯辺7丁目、無職鶴岡さおり容疑者(29)を保護責任者遺棄の疑いで逮捕した。同容疑者は「夫以外の男性との間にできた子どもだから」と動機を供述しているという。

 調べでは、鶴岡容疑者は15日午前10時ごろ、同市中央区中央3丁目の「夢の子保育園」(山本文保園長)が入っているビルの階段に、生後約1カ月の次男を置き去りにした疑い。

 会社員の夫(30)が19日、「妻がうちに連れてきた子どもではないか」と同保育園を訪れ、園長から届け出を受けた同署員が、鶴岡容疑者に事情を聴いたところ、容疑を認めたという。同容疑者の供述によると、昨年12月8日に自宅で1人で次男を出産した。妊娠中は夫に対し「太っただけ」と説明し出産後は「友人から預かっている」と偽るなどしていた、という。

 鶴岡容疑者は「赤ちゃんがいると離婚するとき不利になる。離婚が決まったら(赤ちゃんを)迎えに行くつもりだった」と話しているという。

生後4カ月の長男の首絞める 川崎市の31歳母親逮捕

2001.01.17(22:35)asahi.com
 神奈川県警宮前署は17日、生後4カ月の長男を殺そうとしたとして、川崎市中原区の主婦(31)を殺人未遂の疑いで緊急逮捕した。

 調べでは、主婦は同日朝、同市宮前区の自分の実家で、長男の首を左手で絞めて殺そうとした疑い。長男は病院に運ばれたが意識不明の重体。実家の家族がぐったりした長男に気付き、救急車で病院に搬送、病院からの通報でわかった。

 同署によると、主婦は「育児に悩んでいた」と話しているという。

 主婦は会社員の夫(36)と長女(4つ)、長男との4人暮らし。昨年暮れから子どもと実家で暮らしていたという。

子供への虐待 9割が「犯罪」/京都市民意識調査

2001.01.15 The Sankei Shimbun
 子供に対する親の虐待を市民の約九割が「犯罪なので処罰すべきだ」とし、厳しい目を向けていることが十五日、京都市のまとめた意識調査で分かった。

 しかし「言って分からなければ、体罰も仕方ない」と、しつけとしての体罰を肯定する意見も六割近くあった。市児童福祉センターは「体罰肯定は、虐待を許す土壌となっている。虐待としつけの違いを理解してもらわなければならない」と話している。

 同センターによると、児童虐待に関する大規模な意識調査は例がないという。調査は昨年八月、虐待防止の啓発を目的に実施。(1)小学校高学年(2)中学生から十八歳未満(3)十八歳以上−の計六千人のうち約二千人が回答した。

 回答者の大半が虐待行為として挙げたのは「たばこの火を押しつける」など。「兄弟と比べて『おまえはだめだ』と言う」「話しかけを無視する」などは、虐待とするかどうか、判断が分かれた。虐待が疑われる家庭への対応について、中学生以上の約九割が「児童相談所や警察の介入が必要」と回答。虐待防止のため「親への子育て支援や心理的ケアが必要」などとする意見も九割を超えた。

母親が子供2人に灯油かけ火 河内長野

2001.01.09The Sankei Shimbun
 九日午後七時五分ごろ、大阪府河内長野市の府営住宅の一室から女性の声で「子供をふろの中で殺した」と一一○番があった。河内長野署員が駆け付け、手や背中などにやけどをした同室の母子三人を発見、病院に運んだ。地元消防によると、三人とも命に別条はないもよう。

 同署は、男児(6つ)と女児(5つ)に灯油をかけて火をつけたことを認めた母親(38)を殺人未遂の現行犯で逮捕した。動機について調べている。

被告、依然「わからない」繰り返す 文京区女児殺害公判

2000.12.25(20:49)asahi.com
 東京都文京区で若山春奈ちゃん(当時2つ)を殺害したとして殺人と死体遺棄の罪に問われた主婦山田みつ子被告(36)の第7回公判が25日、東京地裁(木村烈裁判長)であり、前回に引き続き弁護側の被告人質問が行われた。お互いの長男が同じ幼稚園に通う母親同士。母親に対して抱いた殺意は、いつのまにか春奈ちゃんに向けられていた。弁護側が理由を尋ねても「わからない」「説明できない」と繰り返す山田被告に、検察側は「考えることを放棄しているのではないか」と詰め寄った。

 弁護側の質問はこの日、犯行日となった昨年11月22日の行動に及んだ。山田被告は、年長だった長男を幼稚園に迎えに行ったとき、教室のわきに1人でいた春奈ちゃんに気づいて、とっさに「どこかに連れて行って殺害しようと思った」と話した。

 弁護側「思いとどまる気はなかったのか」

 山田被告「申し訳ないのだけれど、そのときにはならなかった」

 泣きながら答える被告に、弁護側は殺害の瞬間やその前後の様子を詳しく尋ねることはしなかった。

 山田被告は、犯行の3日後に警視庁丸の内署に自首する直前、夫から「結婚は後悔していない。子どもがいたから夢を見られた。それは春奈ちゃんのお母さんも同じだよ」と言われたことを明かした。

 「胸をえぐられる思いだった。春奈ちゃんのお母さんがリビングにへたり込んで泣いている姿が頭の中に浮かんでいっぱいになった」。自首までの夫との会話はそれしか記憶に残っていないと言った後、山田被告は「私も子どもを持つ母親でありながら身勝手な気持ちから2歳8カ月の春奈ちゃんの長い人生を奪ってしまった」と謝罪した。

 しかし、この日の公判でも前回と同様、母親との間の具体的なやりとりから感じた「心の葛藤(かっとう)」を説明し始めると止まらなくなった。長男同士が仲がいいために、母親とつきあい続けた。長男が年少のころに「一緒にいて疲れるようになった」気持ちは、年中になると、大きなきっかけもないのに、それまでの出来事の積み重ねで「母親がいなくなってしまえばいい、殺してしまいたい」と考えるようになった。

 弁護側「振り返ってみて、そうした1つひとつの出来事は殺す理由になるのか」

 山田被告「いまはそう思いません」

 弁護側「思い込みだと考えたことは」

 山田被告「そのときの私にはそう考えることができなかった。もっとしなやかに受け止められる人間だったら良かった」

 その思い込みは、いつごろからかはっきりしないが「同じ年ごろの子どもがいるとどうしても顔を合わせてしまう」という考えから、春奈ちゃんへの殺意に移っていった。

 「春奈ちゃんと母親が同じような存在に思えてきた」。弁護側が「春奈ちゃんを殺して母親を苦しめようとしたのではないか」とただすと、山田被告は強く否定した。「ただいなくなればいいということなのか」との問いには、うなずいた。

 弁護側の質問が終わると、検察側が短い時間、質問に立った。「あなた自身が殺意を持つようなものではないという出来事で、なぜ殺す気持ちになったのかを説明する必要がある。次回公判までにちゃんと考えてほしい」とただされると、山田被告は「努力する」と答えた。来年1月24日の次回公判では検察側の被告人質問が続く予定だ。

イブの朝、母子が無理心中 静岡

2000.12.24 The Sankei Shimbun
 二十四日午前九時五十五分ごろ、静岡県由比町由比の国道1号バイパスの由比川橋で、女性が鉄製の送水管にひもをくくり首をつって死亡しているのを釣り人が見つけ一一○番した。

 蒲原署の調べによると、女性は静岡県富士市宮島の主婦迫口和代さん(30)。現場近くにあった迫口さんの乗用車の後部座席で、一人息子の航希ちゃん(十カ月)も死亡しているのが見つかった。航希ちゃんの死因は窒息死とみられる。

 迫口さんは夫の浮気で悩んでいたとみられ、蒲原署は、迫口さんが二十三日夜から二十四日未明の間、航希ちゃんを殺害した後、自殺した無理心中とみている。

 迫口さんの夫は二十三日夜「二人が二十二日夕方、家を出たまま帰ってこない」と富士署に捜索願を出していた。

父親、母親ともに実刑判決 千葉の長男絞殺事件

2000.12.15(20:34)asahi.com
 家庭内暴力に悩み、高校1年の長男を絞殺したとして、両親が殺人の罪に問われた千葉県富里町の事件の判決公判が15日、千葉地裁であった。下山保男裁判長は、父親の無職熊谷勇三被告(57)=同町七栄=に対し、「犯行を提案し主導的役割を果たした」として懲役5年(求刑同7年)の実刑判決を下した。母親の弓子被告(42)には、「夫の提案を拒否すべきだった」と責任を認めながら、「実行行為では従属的だった」として、同3年6カ月(同)の実刑とした。弁護側は、弓子被告については控訴する方針。勇三被告については、今後本人の意向を確認するという。

 判決によると、両被告は6月5日午前4時ごろ、自室で寝ていた長男の友樹君(当時15)の首を縄跳びのひもで絞めて殺した。

 下山裁判長は、両被告の当時の境遇に同情の余地はあるとしながらも、「わずか15歳の少年の問題解決に尽くすのが両親の至上の務めで、粘り強い多種多様な努力をすべきだった。殺害という最悪の方法を選択した犯行は余りにも拙速で短絡的」と断じた。

歩道に乳児の変死体 兵庫・姫路

2000.12.12 The Sankei Shimbun
 十二日午前八時十分ごろ、兵庫県姫路市南畝町一丁目の歩道で、衣類にくるまれた乳児が放置されているのを出勤途中の男性会社員(25)が見つけ、一一○番した。姫路署員が現場に駆け付けたが、既に死亡していた。

 調べでは、乳児は男の子でへその緒が付いたままの状態。遺体の近くには、衣類などが入った紙袋が落ちていた。目立った外傷はなかったが、姫路署の司法解剖で、死因は窒息死の疑いがあることが分かった。

 同署はさらに詳しい死因を調べるとともに、保護責任者遺棄致死の疑いで捜査している。

 現場は、JR姫路駅西側の山陽新幹線の高架近く。


愛知の女児餓死事件、両親を殺人罪で起訴

2000.12.28(20:32)asahi.com
 愛知県武豊町のアパートで谷川依織ちゃん(3つ)が今月10日に餓死した事件で、名古屋地検は28日、父親の千秋(21)と母親の万里子(21)の両容疑者を殺人の罪で名古屋地裁に起訴した。夫婦は当初、保護責任者遺棄致死の疑いで逮捕されたが、捜査当局は殺意を認定し、殺人に罪名を切り替えた。

 名古屋地検や愛知県警の調べでは、谷川夫婦は依織ちゃんが死亡する前の約1週間、ほとんど食事を与えず、医師の治療を受けさせずに放置したことが分かった。また「かわいくないから死んでもかまわないと思った」などと供述した。

 同地検は、夫婦が依織ちゃんの死ぬ危険性を十分認識していた可能性もあるとみて、「確定的殺意」での起訴も検討したが、最終的には「未必の故意」による殺人に当たると判断した。谷川夫婦は起訴事実を認めているという。

 起訴状によると、谷川夫婦は以前から、せっかんのため長女依織ちゃんを自宅3畳間で段ボール箱に閉じこめて満足な食事を与えずに放置していた。11月中旬ごろからは、依織ちゃんが極度にやせ細り、医師の治療などが必要になったのを知りつつ、適切な処置をせず、段ボールに入れたままにして今月10日、餓死させたとされる。

長男出産を機に長女を放置 愛知・武豊町の幼児餓死事件

2000.12.12(14:44)asahi.com
 愛知県武豊町のアパートで、谷川依織ちゃん(3つ)が餓死していた事件で、保護責任者遺棄致死の疑いで逮捕された母親の万里子容疑者(21)が、長男(1つ)を出産した昨年6月ごろから、依織ちゃんの面倒をみずに放置するようになったことが、同県警半田署の調べで分かった。万里子容疑者は当時、保健センターの職員に「長女にまで手が回らない」などと訴えていたという。同署は、育児に慣れていない万里子容疑者が2人の乳児を抱えたことで余裕がなくなり、依織ちゃんの育児を放棄したことが事件につながった可能性が高いとみて調べている。また同署は12日午前、万里子容疑者と父親の会社員千秋容疑者(21)=同容疑で逮捕=の身柄を名古屋地検に送検した。

 これまでの調べによると、昨年7月、万里子容疑者が1歳6カ月健診のため、依織ちゃんを武豊町保健センターに連れていったことで、依織ちゃんの異状に周囲も気づいた。この時点ですでに、依織ちゃんは極端にやせているうえ、歩くことや座ることも全くできなかった。

 職員が不審に思って、普段の状態を質問したが、万里子容疑者は「いつも3食食べている」「普段はちゃんと歩く」などと言い張っていたという。

 この健診直前の昨年6月、万里子容疑者は長男を出産していた。同容疑者は保健センターの職員らに、2人の乳児を抱え、育児に手いっぱいであることを漏らしていたという。職員の1人も「この長男の出産を機に、依織ちゃんにまで手が回らず、放置したようだ」と話している。

 その後、武豊町議から「谷川容疑者夫婦が子供を虐待しているらしい」という通報が保健センターにあったり、千秋容疑者の母親が「息子夫婦は依織の面倒を全然みない」とセンターに相談に来たりした。半田署は、千秋容疑者は育児に関心がなく、この時期から夫婦で依織ちゃんの面倒をほとんどみなくなったとみている。

 さらに、夫婦は「11月中旬からはいたずらがひどくなったので、(依織ちゃんを)物置に閉じこめたり、段ボール箱に入れたりした」と供述している。このため、半田署は1カ月前からは、放置だけでなく、虐待も加えるなどエスカレートして、依織ちゃんを餓死させたとの見方を強めている。


生後5カ月の長男を虐待死させた母親逮捕 広島県警

2000.12.02(20:21)asahi.com
 広島県警福山東署は2日、育児疲れから生後5カ月の長男を虐待して死なせたとして、同県福山市東深津町6丁目、主婦合木春美容疑者(22)を傷害致死の疑いで逮捕した。調べに対し、合木容疑者は「泣いてばかりいるので、いらいらして暴力を振るってしまった。かわいそうなことをした」と涙を見せているという。

 調べでは、合木容疑者は6月に長男の龍太ちゃんを出産。龍太ちゃんが泣いてばかりいることに腹を立て、自宅で体をたたいたり床に落としたりして虐待を繰り返し、今月1日、硬膜下血腫などによる水頭症で死亡させた疑い。

 合木容疑者は10月上旬ごろから虐待するようになり、まもなく龍太ちゃんの容体が悪くなって入院。11月初めに退院した後も、同様の虐待を続けていたという。1日夜、龍太ちゃんの様子がおかしいのに気付いた合木容疑者が119番通報した。

 合木容疑者は土木作業員の夫(22)と3人暮らし。夫は一連の虐待に気付いていなかったという。

児童相談所関与しても虐待による死亡5件 厚生省調査

2000.11.24(23:40)asahi.com
 児童相談所がかかわりながら、親による虐待から子どもの命を救えなかった事例が昨年度5件あったことが24日、厚生省の調査でわかった。親子の転居などで相談所の対応が中断した事例が目立つ。一方、虐待死の約9割は児童相談所に通告されていなかった。20日施行された児童虐待防止法では虐待の早期発見・通告が教師や医師らに義務づけられた。厚生省は「救えなかったことを重く受けとめている。児童相談所が早く把握し、関係機関と連携して関与し続けなくてはならない」としている。

 警察庁のまとめでは昨年の子どもの虐待死は45人だった。児童相談所が関与しながら死亡した主な事例は次の通り。

 【事例1】3歳の男児。保育所の通告で分かり、保育所職員を通して指導していたが、実家に帰省し、通園が途絶えた。その後、内縁の夫の暴行で死亡。

 【事例2】2歳の男児。病院からの通報で保健婦が指導したが、母親が子どもを連れて家出。「ミルクを飲まない、食べない」と腹部をけり、死なせた。

 【事例3】5歳の男児。「以前虐待を受けていた子どもが最近いなくなった」と福祉事務所から通告。その後、ほかの児童相談所からも連絡のあった子どもと分かり、家庭訪問の直前に父親の暴行で死亡。

 厚生省によると、虐待が深刻で親の協力が得られず、児童相談所が立ち入り調査したのは前年度の約3倍の42件に、一時保護は約2倍の4319件に増えた。

母子3人が飛び降り心中か

2000.11.23(02:00)asahi.com
 二十三日午前十時ごろ、東京都大田区山王のマンション敷地で、三十歳ぐらいの女性と男児二人が倒れているのを通り掛かりの人が見つけ一一○番した。三人は病院に運ばれたが全身を強く打っており、間もなく死亡した。

 警視庁大森署は、母親が子供二人を道連れにマンションから飛び降り心中を図った可能性があるとみて、身元の確認を急ぐとともに、目撃者がいないか調べている。

 男児は一人が六歳ぐらい、もう一人が三歳ぐらい。建物わきの通路付近に倒れていたという。

 現場のマンションは十四階建て。一、二階と三階までの一部は病院になっており、他は分譲住宅になっている。

 マンション関係者は「住民の所在は全員確認できた。外部の人だと思う。午前十時ごろに来たところ、子供が救急車に運び込まれるところだった。上の階の廊下の突き当たりから飛び降りたのではないか」と話していた。

2カ月の次女殴って放置し重体に 埼玉の夫婦を逮捕

2000.11.19(01:34)asahi.com
 千葉県警柏署は18日、埼玉県庄和町中野、無職阿部久美子容疑者(21)を傷害と保護責任者遺棄の疑いで、また、夫で無職直樹容疑者(24)を保護責任者遺棄の疑いでそれぞれ逮捕した。

 調べでは、久美子容疑者は今月上旬から自宅で、生後2カ月の次女の頭や顔を殴って、頭の骨が折れるなど重傷を負わせた疑い。また、2人は14日、自宅で次女の容体が悪化したにもかかわらず入院させるなどの保護をせずに放置した疑い。次女は重体という。

 久美子容疑者は、17日午後10時半ごろ、「ミルクを飲まず、ぐったりしている。抱いていたら誤って落とした」と、千葉県柏市内の病院に次女を連れてきたが、診察した医師が次女の異状に気づき、110番通報した。

 久美子容疑者は容疑を認め、「夫にしかられた腹いせで殴った」と供述しているという。

仙台高裁も無期懲役判決支持 岩手の小2女児殺害

2000.11.14(20:46)asahi.com
 岩手県葛巻町で1998年4月、小学2年の女児(当時7つ)を下校途中に自宅に連れ込んで殺害したなどとして、殺人、死体遺棄などの罪に問われた同町葛巻、運転手坂上久幸被告(47)の控訴審判決が14日、仙台高裁であった。一審・盛岡地裁の無期懲役判決に対し、検察側が死刑を求めて控訴していたが、泉山禎治裁判長は控訴を棄却。判決理由の中で「仮釈放の検討の際は遺族の意見を聴取し、十分尊重するなど、被害者感情に配慮することを特に希望したい」と異例の指摘をした。

 泉山裁判長は控訴棄却の理由を「計画的犯行ではなく、被告人に矯正の可能性がないともいえない」などと述べた。その一方、無期懲役刑が確定しても実際は服役後20年前後で仮釈放される例がある点に触れ、「本件はそのような短期間での仮釈放は妥当でない」とも述べた。

母親に包丁で刺され重体の2歳長女が死亡

2000.11.08 The Sankei Shimbun
 千葉県船橋市の会社員(39)のアパートで妻(35)が六日、二歳の長女を包丁で刺し、殺人未遂の現行犯で逮捕された事件で、意識不明の重体だった長女が八日午前、同市内の病院で死亡した。

 船橋東署の調べでは、妻は六日夕、長女の首を刺した。妻は事件前に精神科を退院しており、一一○番で同署員が駆け付けた時には、ひどく取り乱していたという。

児童虐待防止法、20日から施行

2000.11.06(20:41)asahi.com
 政府は6日、事務次官会議で児童虐待防止法を今月20日から施行することを了承した。7日の閣議で正式に決める。

 同法は、子どもへの虐待を禁止し、虐待を受けた子どもを保護する目的で5月に成立した。子どもへの虐待を、(1)外傷を負わせるような暴行(2)わいせつ行為(3)長時間の放置など保護の怠慢(4)著しい心理的外傷を与える言動、と定義。教職員や医師らが早期発見に努め、発見した者は通告することを義務付けた。また、虐待の恐れがある場合の児童相談所などによる立ち入り調査なども盛り込んでいる。

小5せっかん死の母を起訴 名古屋地検

2000.11.06 The Sankei Shimbun
 愛知県藤岡町の小学校五年梅村拓哉君=当時(10)=が両親から二日間にわたり全裸で自宅のベランダに縛り付けられるなどのせっかんを受け死亡した事件で、名古屋地検岡崎支部は六日、傷害致死の罪で母親の粧子容疑者(31)を起訴した。

 傷害致死容疑で逮捕されていた父親の会社員(40)については事件への関与の程度が低く、残された二人の子供の養育を考慮し、同日、処分保留で釈放した。同支部は、子育てについて父親としての責任を考えるよう求めたという。

 粧子被告は事件前、家族のお金を盗んだとして拓哉君を追及したが、認めなかったため、せっかんにエスカレートした。調べに「裸にしたのは反省させるお仕置きの一つだった。やりすぎだった」と反省しているという。

 起訴状によると、粧子被告は十月十四日午後四時ごろ、自宅二階のベランダで拓哉君を全裸にし、荷造り用のひもで手足を縛り、ベランダの雨どいに縛り付けて放置。同十五日午前五時ごろ、自分でひもを解いて自室に戻った拓哉君を見つけ再びベランダで手足を縛ったうえ、口を粘着テープでふさいで放置した。

 その後、父親が同日午前九時半ごろ、ひもを解いたが、約一時間半後に粧子被告が父親に拓哉君を縛らせ、水や食事を与えず放置し十六日午前十一時ごろ、敗血症によるショックで死亡させた。

 粧子被告はこれまでにも「うそをついた」などとして拓哉君を正座させたり、ベランダに出したりしたが、裸にして縛り付けたのは初めてだったという。

青森・七戸で母親と子3人が死亡、心中か 父親は存命

2000.11.04(21:48)asahi.com
 4日午前11時半ごろ、青森県七戸町左組の町道で、「男が車のそばで倒れていて、車内で人が死んでいるようだ」と、車で通りかかった人から110番通報があった。七戸署員が調べると、停車中のトラックの運転席側の路上に、同町上ノ山、看板業町屋年男さん(51)が腹に刺し傷を負って倒れていた。車内では妻の恵子さん(47)と中学2年の長女佳那子さん(14)、小学6年の長男匠君(12)が胸などを刺され死亡していた。同署では一家心中を図ったものとみて、年男さんの回復を待って事情を聴く。

 調べでは、助手席に匠君、その後ろの席に恵子さん、運転席の後ろに佳那子さんが倒れていた。3人とも服を着たまま左胸付近を数カ所刺されていた。年男さんは腹部の刺し傷のほか、左手首に切り傷もあった。運転席には血の付いた刺し身包丁(刃渡り約25センチ)が落ちていた。

 また、助手席側ドアの窓枠にテープで目張りがされているなど、排ガスで心中を図ろうとした形跡もあったという。車内に争ったような跡はなかった。

 4人は、3日午後3時ごろ、4人と同居していた祖母に「出かけてくる」と言い残し、家を出ていたという。

4歳の女児殺され、母親が不明 札幌

2000.11.03(01:47)asahi.com
 2日午後7時10分ごろ、札幌市厚別区の市営住宅に住む会社員の男性(43)から「娘がぐったりして様子がおかしい」と119番通報があった。男性の娘(4つ)が救急車で病院に運ばれたがすでに死亡していた。札幌白石署は、現場の状況などから殺人事件とみて捜査する一方、行方が分からなくなっている男性の妻(34)を捜している。

 調べでは、男性が同日午後7時過ぎに帰宅したところ、娘がぐったりしていた。死因は水の入った洗面台に顔をつけられたことによる水死とみられている。

捨てられて死んだ嬰児の父、59歳貸金業者を逮捕 横浜

2000.11.03(20:27)asahi.com
 生後間もない男児を横浜市内の山林に捨てて死なせたとして今年4月、川崎市内の無職少年(17)と、男児を産んだ横浜市内の当時高校1年生の少女(15)が逮捕された殺人事件で、神奈川県警鶴見署は3日までに、男児の父親を東京都江東区南砂6丁目、貸金業菊池秀夫容疑者(59)と特定し、県青少年保護育成条例違反の疑いで逮捕した。

 当初は、少年が男児の父親とみられていたが、交際時期と妊娠の時期が食い違っていたため、同署はDNA鑑定などで父親の確認を進めていた。

 少女は、自宅で1人で男児を出産し、少年に相談したところ、自分の子どもと思い込んだ少年が、山林に捨てて凍死させたとされる。

 調べでは、菊池容疑者は昨年7月22日、横浜市港北区内のホテルで、当時中学3年生だった少女とみだらな行為をした疑い。

 菊池容疑者は一昨年夏、テレクラを通じて少女と知り合い、月に3回ほど会っていた。少女が少年と交際を始める直前には、交際は終わっていたという。

 菊池容疑者は容疑を認めているが、男児の父親であることは知らなかったという。

子ども虐待、相談急増し初めて1万件超す 厚生省まとめ

2000.11.02(00:19)asahi.com
 親が子どもを殴るなどの虐待について、全国の児童相談所に寄せられた相談件数が昨年度は前年度より7割も増え、初めて1万件を超えたことが、厚生省のまとめでわかった。特に乳幼児が被害を受けている割合が増加している。近隣・知人からの訴えが増えていることから、厚生省は「周囲の関心が高まったため」とみている。核家族化を背景に母親の孤立、不安から虐待自体も増えているとの見方も多い。

 全国に174カ所ある児童相談所が受けた昨年度の子ども虐待の相談件数は1万1631件で、前年度より4699件増えた。調査を始めた1990年度から増え続け、10倍になった。岩手、静岡県以外のすべての都道府県で前年度より増えている。

 虐待を受けた子どもの年齢をみると、自分で訴えにくい0歳から就学前が約5割を占め、前年度より数でも、割合でも増えている。小学生は34.5%、中学生は10.9%。主に虐待しているのは母親で6割に上る。

 相談したのは、家族が23%で最も多く、近隣・知人15%、福祉事務所13%、学校など12%。家族が占める割合が減り、近隣・知人が増えた。虐待内容は殴る、けるなど身体的虐待が過半数だが、表に出にくい言葉や態度による心理的虐待の割合が9.4%から14.0%に増えた。

 相談後の対応は、面接指導が7割で、子どもの施設入所は17.9%、里親等委託が0.4%。虐待が深刻で親子の分離が必要な場合、児童相談所が家庭裁判所に申し立てて、親の意向にかかわらず、子どもを児童福祉施設に入所させるが、この申立件数も前年度の39件から、88件に倍増した。

 発見者の通告義務などが盛られた児童虐待防止法が11月下旬に施行されるのに伴い、相談は今後さらに増えそうだ。

生後8カ月の男児を死なす 父親を殺人容疑で逮捕 東京

2000.10.22(21:27)asahi.com
 22日午前0時15分ごろ、東京都多摩市諏訪5丁目の都営諏訪団地に住む無職南雲明彦容疑者(33)の妻(27)から、「子どもがぐったりしている」と119番通報があった。生後8カ月の三男、龍季ちゃんが意識不明に陥っており、病院に運ばれたが、死亡した。

 司法解剖の結果、死因は口や鼻をふさいだことによる窒息だった。南雲容疑者が布団の間に龍季ちゃんを押し込んで放置したといい、警視庁多摩中央署は同容疑者を殺人の疑いで逮捕した。南雲容疑者は「子どもがうるさいので、静かにさせようと思った」と話しているという。

 調べでは、南雲容疑者は21日午後10時半ごろ、寝室で泣きやまない龍季ちゃんに腹を立て、折り畳んで重ねてあった6枚の布団の中央部分に龍季ちゃんを押し込んで放置した疑い。妻が就寝の準備のために布団を敷いたところ、龍季ちゃんが中でぐったりしていたという。

 龍季ちゃんの右足の太もも付近には、小豆大のあざが十数カ所あった。日ごろから、南雲容疑者がつねったり、たたいたりしていたという。

 一家は、夫婦と7歳の長女ら子ども4人の6人家族で、龍季ちゃんは末っ子。南雲容疑者は7月にトラック運転手を辞めていた。

「病院の指示で縛った」「指示してない」/愛知せっかん死事件で証言食い違う

2000.10.18 The Sankei Shimbun
 愛知県藤岡町の小学校五年、梅村拓哉君(10)が両親からせっかんを受け死亡した事件で、傷害致死容疑で逮捕された母親の粧子容疑者(31)が十六日昼、一一九番で自宅に駆け付けた救急隊員に「子供を縛ったのは病院の指示だった」などと釈明していたことが十八日、関係者の話で分かった。

 粧子容疑者が六日に拓哉君を連れて相談に訪れた専門機関、豊田市こども発達センターは「そのような指示はしていない。縛るよう指示するなど常識的には考えられない」と否定。

 同センターが拓哉君の入院先として紹介した名古屋大病院(名古屋市昭和区)は「患者のプライバシーにかかわるので診察に来たかどうかも含め、取材には応じられない」としている。

 豊田市消防本部によると、救急隊は十六日午後零時半ごろ、粧子容疑者宅に到着。拓哉君は二階のベランダであおむけに寝かされていたが、既に呼吸停止の状態で、腹や足などには縛られて赤くなったあとがみられた。近くには拓哉君を縛っていたひもなどが散乱し、足首の一カ所がまだ縛られたままだった。

 救急隊員が「どういう状況でこうなったんですか」と尋ねると、粧子容疑者は「子供がお金を盗んだり暴れたりする。病院の先生が言ったので縛った」などと話したという。

 ベランダに隣接する子供部屋には、白い壁に赤い文字で「みんな死ね」と書かれていた。学習机近くの青いバケツには水が入っており、粧子容疑者は「子供が暑いと言うので水を掛けた」と説明したという。

死亡した長男は「行為障害」の診断 愛知のせっかん死

2000.10.17(17:51)asahi.com
 愛知県藤岡町で小学5年生の長男を自宅ベランダに縛り付けるなどしたうえ死亡させたとして、両親が傷害致死容疑で逮捕された事件で、長男が事件直前に児童向けの医療施設で『行為障害』と診断され、家族と本人が入院治療を希望していたことが17日、わかった。一方、同県警豊田署はこの日朝から、亡くなった梅村拓哉君(10)の司法解剖や同町飯野坂口の自宅の現場検証を始めた。逮捕直後は興奮していた梅村友行容疑者(40)と妻粧子容疑者(31)は落ち着きを取り戻し、容疑事実を素直に認めているという。

 拓哉君に反社会的行動を繰り返す『行為障害』があると診断していたのは、「豊田市子ども発達センター」。同センターは発達に心配がある子どもの通所型リハビリセンターで、豊田市福祉事業団が管理運営している。

 児童精神科医の高橋脩センター長は17日午前、センター内で会見し、相談や経緯などを説明した。

 高橋氏によると、粧子容疑者と拓哉君、同居している祖母の3人が今月6日と11日に相談に訪れた。6日は約4時間にわたって話をしたという。

 粧子容疑者から症状を聞き、拓哉君とのかかわり方を助言。『行為障害』があるとして、投薬をし、さらに専門的な治療ができる病院を紹介した。「障害の程度が激しく外来だけでは無理だと判断した。入院して落ち着いて対応することが必要だと感じた。家族も本人も入院を希望していた」という。

 拓哉君らは12日にその病院で受診したが、入院はしなかった。センターは13日に粧子容疑者に電話を入れ、別の病院を紹介すると伝えた。事件が起きたのは、めどがついた病院を紹介しようとした矢先だったという。

 高橋氏は「適切に対応したと思うが、悔いは残る。家族が孤立して問題を抱えることはない。しかし、日本には相談に応じられる専門家が少ない。社会的に整備して、再発を防止してほしい」と訴えた。

 拓哉君が通っていた藤岡町立飯野小学校の酒向淳治校長によると、拓哉君は9月30日の土曜日、親から「家庭の事情で欠席する」と連絡があり、休んだ。週明けに2日間登校したが、今月4日以降は欠席が続いていた。心配した担任が電話をすると、親に「自宅には来て欲しくない」と言われたという。

 同校は6日に梅村容疑者を、10日に粧子容疑者を呼び、酒向校長が面談した。2人は、拓哉君が2、3年前から自宅の金を持ち出したり、「死ね」「殺す」などと紙に書いたりすることに悩んでいる、と打ち明けたという。

 酒向校長は専門機関での相談が必要だと判断し、施設を紹介したという。

愛知で小5、ベランダにしばられ死亡 両親を逮捕

2000.10.16(23:00)asahi.com
 愛知県警豊田署は16日、小学5年の長男が言うことを聞かないと自宅のベランダにしばり付け、死亡させたとして、愛知県藤岡町飯野坂口、会社員梅村友行容疑者(40)と、妻粧子容疑者(31)を傷害致死の疑いで逮捕した。

 調べによると、2人は14日午後6時ごろから、16日午前11時まで、約41時間にわたり、長男拓哉君(10)に食事を与えないまま、自宅2階の南側ベランダのといに、荷造り用ビニールひもなどでしばり付けて死亡させた疑い。

 2人は14日、言うことを聞かない拓哉君を、全裸で立ったまま、しばり付けた。15日午前9時ごろ、ひもを解いて2時間ほど拓也君を諭したが、言うことを聞き入れなかったため、再度しばり付けたという。

 16日午前10時半ごろには、拓哉君が「暑い、暑い」などと騒いだため、粧子容疑者が水をかけた。約2時間後、拓哉君がぐったりとして動かないため、同容疑者が119番通報した。

 拓哉君には目立った外傷はなく、同署では17日、遺体を司法解剖して詳しい死因を調べる。


病院前に赤ちゃん遺棄 北海道

2000.10.15 The Sankei Shimbun
 十五日午前七時二十分ごろ、北海道釧路町睦二丁目の医療法人釧優会道東病院の職員通用口前で、紙袋の中に男の赤ちゃんがタオルにくるまれ放置されているのを、出勤した女子職員(47)が見つけ釧路署に届けた。

 赤ちゃんは生後間もないとみられるが元気で、釧路市内の病院に保護された。

 同署は保護責任者遺棄の疑いで、置いた人を捜している。

子どもの虐待死、全国調査へ 法医学会

2000.10.08(03:05)asahi.com
 日本法医学会(理事長=塩野寛・旭川医科大学教授)は7日、東京都内で開いた理事会で、過去10年間の虐待による子どもの死亡例について、20年ぶりに全国調査をすることを決めた。殺人事件や傷害致死事件などの司法解剖をしている70余りの大学の法医学教室を対象にアンケートを行い、来春までに報告書をまとめる。

 調査するのは、1990年から99年までに扱われた虐待による子どもの死亡例。15歳以下について、年齢、性別、死因、加害者や虐待の内容などを調べる。事前に医療機関や児童相談所などの介入があったかどうかも尋ねる。暴力による積極的な虐待以外に、食事を与えなかったり、車の中に放置したり、など消極的な虐待もとりあげる。

 同学会が68年からの10年間について同様の調査をした際、報告された死亡例は185件だった。子どもの虐待は近年、深刻化が指摘され、各大学への報告も増加傾向にあるという。

 同学会企画調査委員会の井尻巌・香川医科大学教授は、「子どもの虐待は家庭という密室に阻まれて表面化しにくい。司法解剖される例は、そのごく一部と考えられるが、最近の虐待の実態を明らかにするための材料にしたい」としている。

幼児虐待の父親を逮捕 調布署

2000.10.06 The Sankei Shimbun
 生後四カ月の自分の娘を殴り、意識不明の重体にさせたとして警視庁調布署は六日までに、傷害の現行犯で韓国籍の東京都狛江市岩戸北四ノ二ノ三六−三○二、アルバイト店員、安容鎬(アン・ヨンホ)容疑者(30)を逮捕した。

 調べによると、安容疑者は酒に酔った上で四日午前四時から約一時間、自宅で娘の左顔面などを殴った疑い。娘は顔面をはらして布団に横たわっており、ぐったりした状態で病院に運ばれたという。妻(25)が近所の交番に助けを求め、駆け付けた警察官が安容疑者を逮捕しス。

 安容疑者は日本人の妻と娘の三人暮らし。今年三月に川崎市から転居してきた。これまでにも酔って妻や娘を殴ることがあったという。

 近くの人は「一日中泣き声がする」「夜中まで物音がうるさい」などの異常に気付き、八月には「アパートから聞こえる子供の泣き方が変だ」と一一○番した人もいた。しかし、近所付き合いがほとんどなかったらしく、妻が隣人らに助けを求めることはなく、近所の人が詳しく事情を尋ねることもなかった。

 安容疑者は、調べに対し「酔っぱらっていたので詳しいことは覚えていない」と供述しているという。

養護学校の13歳女子生徒、京都市バスに一晩置き去り

2000.10.03(16:16)asahi.com
 京都市交通局の市バス烏丸営業所(同市北区)の車庫で9月、乗客の知的障害の女子生徒(13)がバスに一晩閉じこめられていたことが3日わかった。運転手(35)が車庫入れの際、十分に車内を確認せず施錠したのが原因。翌朝、別の運転手が発見したが、家族が府警に捜索願を出していた。生徒にけがなどはなかったが、同交通局は運転手の処分を検討している。

 同営業所によると、このバスは9月6日午後8時40分ごろ、営業を終えて同営業所の地下車庫に入庫した。運転手は乗降口を施錠、運行管理者に「異常なし」と報告した。この際、点検が不十分で、生徒がいるのに気づかなかったらしい。

 翌日の午前6時10分ごろ、始発バス担当の別の運転手が出庫する時、車内後部の座席に座っていた生徒を発見した。生徒は1人で歩け、営業所で出したお茶やパンを食べたことから、健康状態に問題がないと判断し、職員が自宅に送ったという。

 この生徒は市立養護学校に通っており、6日午後2時半ごろスクールバスで下校。迎えに来たボランティアと自宅近くで別れた後、行方がわからなくなっていた。通学に市バスは使っておらず、この日なぜ乗ったかはわからないという。

 家族が京都府警に捜索願を出し、ボランティアと一緒に生徒を捜していた。烏丸営業所にも午後9時15分ごろにボランティアが訪ねたが、同営業所は、バスの車内を再点検することはしなかったという。

 同交通局は「2度とこのようなことのないよう、全職員に徹底した」と話している。

運動会で園児投げられ重傷、容疑の男を逮捕 滋賀

2000.10.01(01:03)asahi.com
 30日午後2時20分ごろ、滋賀県八日市市内の病院から「運動会で頭にけがをした男の子が運ばれてきた」と八日市署に通報があった。

 同署員が転送先の病院に駆け付け、付き添っていた八日市市東沖野2丁目、トラック運転手図司章容疑者(24)から事情を聴いたところ、同市御園町、会社員松本勉さん(37)の長男で市立つつじ保育園児光平ちゃん(5つ)を投げてけがをさせたことを認めたため、午後4時5分、傷害の疑いで緊急逮捕した。光平ちゃんは頭の骨が折れて重傷。

 調べによると、図司容疑者は30日午後0時50分ごろ、同市建部上中町の市勤労者総合福祉センターのホールで、つつじ保育園の運動会に参加していた光平ちゃんを抱きかかえて床に投げた疑い。

 図司容疑者は遊戯の間に同保育園に通うおいたちと遊んでいたとき、光平ちゃんに足をけられるなどしたため、かっとなって投げたという。

首を絞められ窒息死/京都の路上で乳児遺体

2000.09.22 The Sankei Shimbun
 京都市左京区の路上で二十一日早朝、紙袋に包まれ遺体で見つかった乳児の死因は、司法解剖の結果、首を絞められた窒息死であることが二十二日、下鴨署の調べで分かった。

 同署は二十二日午前、十人の専従捜査班を設置し、殺人・死体遺棄事件として捜査している。

 調べでは、乳児は女の子で、死後約二日たっていた。へその緒が付いていたことなどから、生まれて間もなく首を絞めるなどして殺されたとみられる。

 遺体が放置されていたのは、京都市営地下鉄国際会館駅近くのバス乗り場に上がる階段の下。二十一日午前六時半ごろ、遺体の入った紙袋を通行人が見つけ、同駅に通報した。

 二十日午後九時ごろにも付近の住民が紙袋に気づいていたが、中は確認しなかったという。同署はほかに目撃者がいないか、周辺の聞き込み捜査を進めている。

2階から2歳長男投げる 静岡・清水/殺人未遂容疑で父親逮捕 泣きやまず腹を立て

2000.09.18TheSankei Shimbun
 静岡県警清水署は十八日、長男(二つ)が泣きやまないことに腹を立て、二階のベランダから投げ捨て、殺害しようとしたとして殺人未遂の疑いで清水市宮下町三ノ八ノ一−二〇八、無職、池田浩之容疑者(二六)を逮捕した。

 調べによると、池田容疑者は十七日午後八時半ごろ、長男の隆之ちゃんを自宅のベランダの手すり(高さ一・三メートル)の上から、四・八メートル下の地面に投げ捨て、殺害しようとした疑い。隆之ちゃんは頭を打ち軽傷。

 地面に雑草がカえていたため、軽傷だったと清水署はみている。隆之ちゃんは十八日、詳しい検査を受ける予定。

 池田容疑者は「子供が泣きやまないので頭がカーッとなった。殺そうと思ったわけではない」と供述しているという。

 「ドスン」という大きな音を聞いた同じ県営団地(四階建て)の住民が清水署に届けた。隆之ちゃんは口の周りが血だらけになって泣いていたという。

 池田容疑者は父親と隆之ちゃんの三人暮らし。一瞬の出来事で父親が気付いたときには既に投げ捨てた後だったとみられる。

 近所の人の話によると、池田容疑者の部屋からは「ばか野郎」「何をするんだ」といった大声がよく聞こえていたという。

 池田容疑者は三月に離婚。前妻との間の子供は隆之ちゃんだけで池田容疑者が引き取っていた。

9歳次女を絞め殺した母親を殺人容疑で逮捕 埼玉

2000.09.09(20:03)asahi.com
 9日午後1時45分ごろ、埼玉県上尾市上、東京消防庁の消防署員五十嵐勝広さん(43)の長男(20)から、「母親が妹の首を絞めて殺した」と110番通報があった。埼玉県警上尾署員が駆けつけたところ、勝広さんの次女で同市上平小学校3年の麻沙美ちゃん(9つ)が自宅2階の洋間で死んでいるのが見つかった。同署は、現場にいた勝広さんの妻で、主婦のミエ子容疑者(43)を殺人の疑いで緊急逮捕した。

 調べによると、ミエ子容疑者は同日午後1時ごろ、2階の洋間で麻沙美ちゃんの首に電気コードを巻き付け、絞め殺した疑い。勝広さんは出勤中で家にはいなかった。同署がミエ子容疑者から事情を聴いて、動機などを調べている。

知人の6カ月乳児を殺人未遂の疑い 浦和で主婦

2000.09.05(23:38)asahi.com
 知人の長女(6カ月)を殺害しようとしたとして、埼玉県警浦和署は5日、浦和市三室、主婦佐々木恵子容疑者(34)を殺人未遂の疑いで逮捕した。

 調べでは、佐々木容疑者は8月19日午前11時15分ごろ、近所に住む知人の男性会社員(38)方で、母親の見ていないすきに長女の頭を居間の窓枠に打ち付けた。さらに約4時間後、自宅に母親と一緒に遊びにきた長女を、母親がミルクをつくっている間に、抱きかかえた状態から手を離して床に落とし、殺そうとした疑い。長女は頭を強く打ち、意識不明の重体。

 佐々木容疑者は「会社員の家庭が円満だったので、長女を殺そうと思った」と供述しているという。夫同士が会社の同僚だった。同容疑者には2人の男児がいる。

双子の幼児を虐待 実母と内縁の夫を傷害容疑で逮捕

2000.09.02(13:58)asahi.com

内縁の妻の子虐待した容疑で男を逮捕 茨城・潮来

2000.08.19(11:40)asahi.com
 内縁の妻の子を虐待してけがをさせたとして、茨城県警麻生署は19日、同県潮来町日の出5丁目、無職横山正宏容疑者(26)を傷害の疑いで逮捕した。

 調べによると、横山容疑者は16日午前2時ごろ、同居している内縁の妻(27)の次男(3つ)の両目に薬のかゆみ止め液を入れて結膜炎を起こさせるなど、2週間のけがをさせた疑い。次男が自分になつかないのに腹を立てたらしい。当時、妻は別の部屋で寝ていたが、妻の長男(5つ)が目撃していたという。横山容疑者は「そんなことはしていない」と否認しているという。

 17日午後、内縁の妻が同署に、「同せいしている内縁の夫が、なつかない次男に暴力を振るうので困っている」と相談したことで発覚した。横山容疑者らは今年5月ごろから同居していたという。


山形の幼児衰弱死事件で両親を殺人罪で起訴

2000.08.31(21:40) asahi.com
 山形県米沢市で、3歳の男の子が十分な食事を与えられず衰弱死したとされる事件で、山形地検は31日、父親の同市窪田町窪田、会社員太田雅英(25)と母親の宏美(23)の両容疑者を、殺人罪で山形地裁に起訴した。食事を十分に与えられず、体格がひどく貧弱になっていた男の子を「死んでも構わない」と考えて放置したとして、未必の故意による殺人罪が成立する、と判断した。

 起訴状によると、両容疑者は長男優ちゃんに対し、長期間にわたって十分な食事を与えず慢性的な栄養失調に陥らせた。今年6月初めには極度にやせ細っていた優ちゃんを医師にみせることなく放置し、8月6日午前3時ころに栄養失調による臓器不全で死亡させたとされる。優ちゃんの死亡時の体重は、3歳男児の標準の半分に満たない4500グラムだったという。

 両容疑者は8月11日、山形県警に殺人容疑で逮捕されていた。同県警によると、3人が暮らしていた自宅には、優ちゃんに食べさせるのに十分な食材があったという。

山形で3歳児が栄養失調死、両親を逮捕 頭や足に骨折歴

2000.08.14(22:23)asahi.com
 3歳の長男を栄養失調に陥らせて死亡させたとして、山形県警捜査一課と米沢署は14日までに、同県米沢市の両親を殺人容疑で逮捕、山形地検に身柄を送った。男の子は以前にも頭や足を骨折していたことも判明。「虐待ではないか」との通報が米沢市と県にも入っていたが、実態をつかめずに具体的な対応ができなかったことも分かった。

 逮捕・送検されたのは、米沢市窪田町窪田の会社員太田雅英(25)、パート従業員宏美(23)の両容疑者。

 調べでは、太田容疑者らは長男の優ちゃん(3つ)に長期にわたって食事を十分に与えず、衰弱しているのが分かっていながら看護せずに放置し、今月6日、栄養失調で死亡させた疑い。

 優ちゃんは生後1カ月で頭を、同6カ月で右足太ももをそれぞれ骨折し、病院で治療を受けていたこともその後分かった。

 両容疑者は調べに対し、「優ちゃんのけがは(自分たちの)過失によるものだった」などと供述し、虐待を否定しているという。

 米沢市によると、1997年4月、優ちゃんが頭を骨折して治療を受けた病院から「不自然なけががあり、幼児虐待の疑いがある」などと通報があった。

 市の保健婦が発育状態などを確認するため、自宅訪問や電話で宏美容疑者らと計7回接触したが、その時点では「発育に特段の異常は認められない」と判断したという。

 一方、県中央児童相談所も今年5月、「虐待の可能性がある」との情報を得て市と連絡を取り合ったが、「太田夫婦に接触できないため、情報はつかめない」との返事だったという。

3歳の長男を放置し栄養失調死させた疑い 両親を逮捕

2000.08.11(22:18)asahi.com
 長男を栄養失調に陥らせて死亡させたとして、山形県警捜査一課と米沢署は11日夜、会社員太田雅英(25)=山形県米沢市窪田町窪田=と妻宏美(23)=同=の2容疑者を殺人容疑で逮捕した。

 調べによると、太田容疑者らは長男の優ちゃん(3つ)に食事を十分に与えず、衰弱しているのが分かっていながら看護せずに放置し、今月6日ごろ、栄養失調で死亡させた疑い。2人は「子供の様子がおかしい」と119番通報、優ちゃんは市内の病院に運ばれたが、すでに死亡していた。ひどくやせ細っていたため、病院から県警に通報があったという。


幼児が駐車中の車内で死亡、暑さが原因か

2000.07.23(22:08)asahi.com
 23日午前11時10分ごろ、埼玉県小川町小川の電気配線工(29)の長女(2つ)が迷子になった、と配線工の妻(29)から埼玉県警小川署に届け出があった。同署が付近を捜索したところ、午後5時ごろ、団地のそばの駐車場に止めてあった、一緒に遊んでいた子供の家の軽乗用車内で死亡しているのが見つかった。外傷などはなかった。熊谷地方気象台によると、この日の熊谷市の最高気温は37.6度と今夏一番の暑さを記録。同署は、密閉された車内の気温が上がり、暑さのため死亡した可能性が高いとみている。

 調べでは、長女は同日午前9時半ごろから、団地の1階階段付近で電気配線工の長男の小学1年生(7つ)と近所の小学3年生(8つ)の3人で遊んでいたという。約1時間後に長男は帰宅したが、長女が戻ってこなかったという。長女は車の助手席付近でうつぶせの状態で見つかった。車の中に入った経緯などを調べている。

17歳、長女殺し埋める/夜泣きに腹立て(栃木)

2000.07.18 The Sankei Shimbun
 殺人と遺棄容疑で逮捕 31歳妻も遺棄容疑で

 栃木県警佐野署は十八日、生後一カ月の長女を殺し遺体を河原に埋めたとして、殺人と死体遺棄の疑いで同県佐野市関川町の無職少年(一七)を、また、死体遺棄の疑いで少年の妻(三一)をそれぞれ逮捕した。

 調べによると、少年は十五日午前三時ごろ、長女が夜泣きして、あやしても泣きやまないことに腹を立て、自宅寝室で長女の顔に布団を押しつけて殺害。妻は「そんなことをしちゃだめ」と止めようとしたというが、殺害後は夫婦で相談し、同日午後四時ごろ、長女の遺体を車に乗せて自宅から約十キロ離れた藤岡町藤岡の渡良瀬川遊水地まで運び、遺体を埋めた疑い。

 妻は、六月七日に長女を出産。その後二人は、少年の母親(五二)の承諾を得て六月十三日に婚姻届を佐野市役所へ出し、母親と同居していた。事件当時、母親は別室で寝ていて犯行に気付かなかったという。

 十七日夕、少年の母親の友人が佐野市内で夫婦に会った際、長女を連れておらず「親せきに預けた」などと答えたため少年の母親に話し、不審に思った母親が警察に相談。同署が二人から事情を聴いたところ、「殺して埋めた」と供述。埋めたとした場所から遺体を発見した。夫婦とも「子供に申し訳ないことをした」と供述している。

 夫婦が住んでいるのは市営住宅の団地。近所の人などによると二人は一緒に働いていた職場で知り合ったが、最近は妻も仕事がなく少年の母親に生活の面倒をみてもらっていたという。妻が長女を連れて外出することは少なく、知らない隣人も多かった。

38歳母親を殺人未遂で逮捕 山口・玖珂町

2000.07.02 The Sankei Shimbun
 山口県警玖珂西署は二日、二男(10)の首を絞めて殺害しようとしたとして、殺人未遂の疑いで山口県玖珂町、無職、兼年豊美容疑者(38)を逮捕した。

 同容疑者は「生活が苦しく将来を悲観した。子供を殺して、自分も死ぬつもりだった」と供述しているという。

 調べでは、兼年容疑者は二日未明、自宅で二男の首をひもで絞めて殺害しようとした疑い。

 同日午前五時十分ごろ、玖珂西署に「子供を殺した」と兼年容疑者が自首。同署が自宅を調べたところ、居間に二男が倒れており、首にひもで絞められたあとがあった。二男は意識はあり、命に別条はないという。

 同署は、兼年容疑者の家族構成や動機などについて、さらに詳しく調べている。

父親が5歳の娘殺す 静岡・富士市

2000.07.02(20:19)asahi.com
 静岡県警富士署は2日、次女を殺害したとして、同県富士市伝法、造園業手伝い相澤直樹容疑者(24)を殺人の疑いで緊急逮捕した。相澤容疑者は同日未明、「子どもを殺した。(自分は)覚せい剤を打っている」と署に出頭。署員が自宅に駆けつけたところ、1階居間の座布団の上で次女みず希ちゃん(5つ)が死亡し、2階では双子の姉さつ希ちゃん(5つ)が布団の中でぐったりしているのが見つかった。さつ希ちゃんは右腕の骨が折れていたが、命に別条はないという。

 調べでは、相澤容疑者は6月29日ごろ、自宅でみず希ちゃんの胸などをけったり殴ったりして、殺害した疑い。さつ希ちゃんにけがを負わせたことも認め、「子育てに疲れた」と話しているという。昨年9月、覚せい剤取締法違反(使用)の疑いで逮捕されており(懲役1年6カ月執行猶予3年の判決)、今度も尿検査で覚せい剤の反応があった。

 市児童福祉課によると、相沢容疑者は昨年7月ごろから子どもたちに虐待を繰り返し、子どもの祖父母から相談が寄せられていた。そのころ、妻(23)と離婚。県東部児童相談所と市児童福祉課が間に入って話し合い、4人の子どもは妻が引き取って育てていたが、今年3月ごろに「責任を持って育てる」と双子の姉妹だけを相澤容疑者が引き取った。

 ところが、この6月から姉妹が通い始めた市立保育園の園長らが、2人のほおや額にあざやたんこぶがあるの気づき、「虐待があるのではないか」と市児童福祉課に報告。ケースワーカーが2度、様子を見に自宅に行っていた。


虐待容疑の託児所経営者、職員に現金渡し嘘の証言依頼

2000.08.12(04:39)asahi.com
 神奈川県大和市の無認可託児所「スマイルマム」での幼児虐待死容疑事件で、2人目の傷害致死の疑いで再逮捕された経営者の出雲順子容疑者(29)が、女性職員の1人に1万円を渡して「(事件当日は)託児所に私と一緒にいたことにしてほしい」とうその証言を依頼していたことが11日、神奈川県警捜査一課と大和署の調べでわかった。

 県警によると、偽装工作したと見られるのは、今年2月4日に脳の損傷で男児(当時1歳9カ月)が死亡した事件。この事件で出雲容疑者は8日に再逮捕されている。偽証を頼まれたのは保育士の資格を持つ職員で、出雲容疑者が6月末に逮捕される前の県警の事情聴取に対して、事件が起きた日は、出雲容疑者と2人で託児所にいたと説明していた。しかしその後の聴取に対して、うそだったことを打ち明けたという。この事件では託児所にいた大人が出雲容疑者しかいなかったことが、再逮捕の決め手の1つとなっていた。

託児所経営者を傷害致死罪で起訴 傷害容疑で再逮捕

2000.07.18(21:28)asahi.com
 神奈川県大和市の民間託児所「スマイルマム大和ルーム」で、預かった男児(当時2歳2カ月)が頭がい骨骨折で死亡した事件で、横浜地検は18日、経営者の出雲順子容疑者(29)=横浜市瀬谷区下瀬谷3丁目=を傷害致死罪で横浜地裁に起訴した。県警捜査1課と大和署は同日、別の女児に対する傷害の疑いで出雲容疑者を再逮捕した。出雲容疑者は傷害致死については大筋で認めているが、動機については供述していないという。

 起訴状によると、出雲容疑者は2月18日午前7時半ごろ、同託児所の脱衣所付近で、預かった男児に腹をたて、両肩を両手で強く突いてあお向けに転倒させ、頭を床に打ちつけるなどして頭の骨を折って死亡させた、とされる。

 床はコンクリートの上に厚さ約2ミリの塩化ビニル製のシートが敷かれ、さらにその上に厚さ2.3ミリのゴム製クッションが敷かれていた。

 また、再逮捕の容疑は、昨年9月11日、託児所で大和市内の女児(同2歳5カ月)の右腕をひっぱったり、ねじったりして骨折させ、約5カ月のけがを負わせた疑い。

幼児にけがさせ死なせた疑いで託児所の経営者を逮捕

2000.06.28(01:54)asahi.com
 託児所で預かった幼児にけがを負わせて死なせたとして、神奈川県警大和署は27日夜、同県大和市大和東1丁目の無認可託児所「スマイルマム大和ルーム」の経営者出雲順子容疑者(29)=横浜市瀬谷区下瀬谷3丁目=を傷害致死の疑いで逮捕した。出雲容疑者は「わからない」などとあいまいな供述をしているという。

 調べによると、出雲容疑者は今年2月18日午前7時35分ごろ、託児所で預かっていた大和市の自動車運転手(30)の長男(当時2歳2カ月)の後頭部の骨を折るけがを負わせ、死亡させた疑い。

 母親が長男を預けた直後に、出雲容疑者から「子どもの目がうつろになって様子がおかしい」と携帯電話に連絡があった。母親が託児所に駆けつけたときには、長男はすでにぐったりしていたという。

 母親はすぐに救急車を呼び、長男は同県相模原市内の病院に運ばれたが、約12時間後に死亡した。

 死因に不審な点があるとして病院が同署に届け出た。司法解剖の結果、頭がい骨骨折が死因とわかった。解剖結果を受けて同署が詳しく調べたところ、事件当時、託児所には出雲容疑者しかいなかったことや、打撲の状態が不自然なことなどから逮捕に踏みきった、という。

 出雲容疑者は昨年2月に託児所を開設した。出雲容疑者は保母の資格は持っていない。

 母親がこの託児所に長男を預け始めたのは今年初め。多いときで数人の幼児が預けられていたという。

 神奈川県児童福祉課によると、昨年以降、この託児所に子どもを預けていた保護者から「子どもがけがをした」などの苦情が5件寄せられ、県は計4回立ち入り調査をしていた。


児童虐待相談1万2000件超す 相談所長会まとめ

2000.06.17(16:16)asahi.com
 18歳未満の子どもを親が殴ったり、養育を放棄したりする虐待について、全国の児童相談所で受け付けた相談が昨年度は1万2000件を超え、前年度の1.6倍に増えたことが、全国児童相談所長会の集計でわかった。今年度に入っても前年同期の1.5―2倍の件数という相談所もある。児童虐待防止法が11月にも施行されることから、相談件数はさらに増えるとみられる。同所長会は16日、児童福祉司の増員などを厚生省に要望することにした。

 同所長会の集計によると、1999年4月から2000年3月までに、全国174カ所の相談所で受け付けたのは1万2374件。通常は相談の9割程度が年度内に処理され、処理件数としてはこの10年で10倍になりそうだ。

 地域別にみると、山形県が前年度の3.7倍になっているほか、宮城県、京都市、茨城県などが2.5倍以上に急増している。今年度も埼玉県の場合は4月だけで84件にのぼり、昨年度の691件を大幅に上回るペースになっている。東京都も4、5月は昨年の2倍のペースという。

 親が指導に従わないなど対応が難しい事例も目立つ。児童虐待防止法の制定もあって、今後は親と分離して、施設に子どもを入所させるケースも増えるとみられる。

 しかし、児童相談所や児童養護施設の態勢はなかなか整備が進まない。そのため、同所長会は16日に東京都渋谷区で開いた全国会議で、(1)児童福祉司の増員(2)児童養護施設の職員数や部屋の大きさなど最低基準の見直し(3)児童養護施設への常勤の心理判定員の配置――などを求める要望書をまとめた。

長男殺害容疑の母「犯罪起こすと思った」と供述

2000.06.10(12:45)asahi.com
 千葉県富里町七栄で家庭内暴力に悩んだ末、両親が長男の高校1年生熊谷友樹君(15)を絞殺した事件で、殺人容疑で逮捕された母親の弓子容疑者(42)が、「バスジャック事件のような世間を騒がす犯罪を引き起こすかもしれないと不安に思った」と供述していることが、10日までの県警成田署の調べで分かった。

 同署によると、友樹君の家庭内暴力は昨年夏ごろから始まり、自宅内で金属バットを振り回し、窓ガラスを割るなどしていたという。弓子容疑者は、友樹君の荒れる様子を見て「いずれ家族が、金属バットで殴られるかもしれない」と心配し、「家の外でも事件を起こすのではないかと思った」と話しているという。

 調べによると、弓子容疑者は夫で会社員の勇三容疑者(56)とともに今月5日午前4時ごろ、自宅2階の子供部屋のベッドで寝ていた友樹君の首をなわ跳びのロープで絞めて殺した疑い。

両親を本格的に取り調べ -千葉の長男殺害-

2000.06.06 The Sankei Shimbun
 千葉県富里町で家庭内暴力に悩んだ両親が高校一年の長男(15)を殺害した事件で、成田署は六日、家庭内暴力がエスカレートし殺害に至るまでの詳しい経緯について両親の熊谷勇三(56)、弓子(42)の二容疑者から本格的な調べを始めた。

 これまでの調べで、長男の友樹君が家庭内暴力を振るうようになった昨年夏は、所属していた中学のバスケットボール部で信頼していた顧問の教師が代わり、部活動を休みがちになった時期と一致していることが分かった。

 同級生は「友樹君は新しい顧問と合わず、次第に部活動から足が遠のいていった」と話しており、同署は人間関係がうまくいかなかったことなどが友樹君の家庭内暴力の原因の一つになった可能性もあるとみて、当時の状況を詳しく調べている。

 友樹君がその後、暴力を次第にエスカレートさせると、弓子容疑者は担任教師が家庭訪問に来た際などに対応策について相談していたが、学校側には深刻な認識がなかったいう。

高校1年の長男殺害容疑で両親を逮捕 千葉・富里町

2000.06.05(22:27)asahi.com
 寝ていた長男を絞殺したとして、千葉県警成田署は5日、同県富里町七栄、会社員熊谷勇三(56)と妻弓子(42)の両容疑者を殺人容疑で緊急逮捕した。両容疑者は5日午前10時ごろから、同署に長男の家庭内暴力の相談に来ていたが「息子を殺した」と打ち明けた。同署員が自宅を調べたところ、死んでいる長男を発見した。両容疑者は「息子の家庭内暴力に悩んで殺した」と話しているという。

 調べによると、両容疑者は5日午前4時ごろ、自宅2階の子供部屋で、ベッドに寝ていた県立富里高校1年、友樹君(15)の首を縄跳びで絞め、殺害した疑い。両容疑者は同日午前3時半ごろ、夫婦で「このままだと将来、何が起こるかわからない」と相談して殺害を計画したという。

 両容疑者の供述によると、友樹君の家庭内暴力は昨年夏ごろから始まったという。家の中で金属バットを振り回して、窓ガラスなどを割り、両容疑者に対しても「殺すぞ」と怒鳴るなどしていたらしい。高校は休みがちだったという。


「生き返る」と遺体損壊 自称超能力者

2000.05.27共同
 熊本東署は二十七日、病死した幼児を生き返らせようと遺体をはさみで傷つけたとして、死体損壊の疑いで「超能力師」を名乗る、自称食品販売業XXXXX(59)、幼児の両親の、会社員YYYY(34)、YYZZ(34)の三容疑者を逮捕した。いずれも容疑を認めているという。

 調べでは、三人は今年四月上旬、ぜんそく性気管支炎で死亡したYY容疑者の三男OOOちゃん(当時一歳八カ月)を生き返らせようと相談。XX容疑者の「この子は表面は死んでいるが、皮をはげば生き返る」などとの指示を受け、YY容疑者の自宅で、三人でOOOちゃんの頭や腹など数カ所をはさみで切るなどした疑い。

 YY容疑者の親せきが、OOOちゃんの姿を見かけなくなったため不審に思い、二十三日同署に届けた。

 同署員が二十六日、親せきとともにYY容疑者宅を訪ね、家の中を調べたところ、居間に敷かれた布団の上でミイラ化したOOOちゃんの遺体が見つかった。

依頼により、2022.07.05、記事に記載されていた、各容疑者の名称・住所等を削除しました。


幼児の遺体ハサミで切った疑い 両親と自称超能力師逮捕

2000.05.27(23:28) asahi.com 
 熊本県警熊本東署は27日、病死した幼児の遺体をはさみで切ったとして、自称健康食品販売業XXXXX容疑者(59)と、幼児の両親で、会社員YYYY容疑者(34)、妻のZZ容疑者(34)を死体損壊の疑いで逮捕した。3人は大筋で容疑を認めており、調べに対し両親は「(XX容疑者から)皮をはげば回復できるといわれた」と話しているという。

 同署の調べでは、4月上旬ごろ、YY容疑者の三男で、1歳8カ月のOOOちゃんがぜんそく性気管支炎などで病死した後、XX容疑者が「回復」を指示し、OOOちゃんを生き返らせるためとして、YY容疑者夫婦が自宅で遺体の頭や腹をはさみで切った疑い。XX容疑者は「普通の人は死んでいると思うだろうが、中身は生きている」と供述しているという。同容疑者は同市内で化粧品販売店などを経営。一方で、自ら「超能力師」と名乗り、祈とう行為などをしていたとみられる。

 遺体は、YY容疑者の自宅マンションの8畳の洋間に敷かれた布団の上に、仰向けに置かれていたという。腐乱した状態で、司法解剖の結果、死後1カ月半ほどたっていた。

 OOOちゃんは小児ぜんそくの持病があり、昨年は熊本市内の病院に入退院を繰り返していたという。

 XX容疑者は1月ごろ、知人を介してYY容疑者夫婦と知り合い、「超能力で治します」と言ってOOOちゃんの「治療」を目的に「気」を入れたり、体に液体を塗ったりしていたらしい。

 YY容疑者夫婦の親類が今月23日、同市内の交番に「OOOちゃんの姿が見えない」と届け出たことから、26日に親類と同署の捜査員がYY容疑者宅を訪ね、遺体を発見した。

 YY容疑者のほかの2人の子どもは、遺体がある部屋には入らないよう言われていたという。

       ◇

 XXXXX容疑者は5年前、熊本市内の分譲マンションに転居し、夫と長男の3人暮らし。同じマンションの住人によると、自らを「チャネラー」「エスパーおばちゃん」などと名乗り、「治療」と称して知人らを自宅に呼んでいたという。

 1998年11月から1年間、マンションの住民組織の役員を務めた。理事会では「前世が見える」などと話したこともあったという。マンションの子供に対しても「いい目をしている」と話しかけ、「気を送る」と言って、両足で独特のステップを踏みながら、奇妙な手つきで「シュッ、シュッシュ」と声を出していたという。

 YY容疑者夫婦には、3人の男児がいる。自宅マンションの住人らは「2人とも子煩悩で、夫婦仲はいいようだった」と話す。OOOちゃんが通っていた保育園の関係者によると、3月下旬、ZZ容疑者から「ぜんそくが悪化したので、しばらく休ませる」という連絡があり、5月10日にOOOちゃんの退園届が出された。

 この関係者は「ZZ容疑者は、子供思いのいい人だった。それが高じて生き返らせたいと思い詰めてしまったのでは」と話した。

依頼により、2022.07.05、記事に記載されていた、各容疑者の名称・住所等を削除しました。



2歳の長男をせっかん、4日後に死なす 大阪で母親逮捕

2:09p.m. JST May 14, 2000 asahi.com
 2歳の長男をせっかんして死亡させたとして、大阪府警高石警察署は14日、大阪府茨木市西田中町、主婦花浦由香容疑者(28)を傷害致死の疑いで逮捕した。花浦容疑者は調べに対し「言うことを聞かないので腹を立ててやった」と供述しているという。

 調べによると、花浦容疑者は9日午後3時ごろ、自宅の階段の角に長男の拓舞ちゃん(2つ)の腹を強く押しつけ、腹の内出血などで死亡させた疑い。拓舞ちゃんは12日夜になって食事をしなくなり、顔色が悪くなったため、13日未明、花浦容疑者が高石市内の実家に連れていき救急車で病院に運ばれたが、すでに死亡していた。拓舞ちゃんは予防接種を受けるため、預けられていた花浦容疑者の実家から9日昼ごろ、自宅に戻ったばかりだった。

児童虐待防止法が衆院通過

2000年5月12日 13時55分共同
 親らによる子供への虐待を早期発見し、被害を防止することを目的とした「児童虐待防止法」が12日の衆院本会議で全会一で可決された。虐待を受け施設に保護された子供について、親が「親権」を根拠に引き取りを迫り、押し切られるケースが少なくないことから、法案には子供と親の面会、通信を一時制限できる措置が盛り込まれ、事実上の親権の一時停止が実現した。

児童虐待防止法案を与党が決定 立ち入り調査権を強化

11:31p.m. JST May 09, 2000 asahi.com
 自民、公明、保守の与党3党は9日、「児童虐待防止法案」を正式決定した。児童相談所の職員らが子どもの家に強制的に立ち入り調査する権限を認めることなどが柱。子どもを一時保護した場合は、親による面会や通信を制限し、事実上の親権の一時停止を定めた。与野党共同による議員立法として11日にも国会に提出、今月中旬に成立する見通しだ。

 現行の児童福祉法に基づく立ち入り調査は、一時保護に親が応じない場合などに限られるが、法案では虐待の確認のための強制的な立ち入りも認め、親が拒否した場合の罰則(20万円以下の罰金)も盛り込んだ。警察官が同行し、警察官の職務権限でかぎを壊して立ち入ることもできる。

 また、子どもを一時保護した場合には、親の面会や通信を制限できることとした。現行では親が民法上の「親権」を理由に引き取りを求め、応ぜざるを得ないケースが少なくない。こうした要求を拒否できるよう、事実上親権を一時停止できる規定も盛り込んだ。

 成立を受けて年内にも施行され、施行から3年後には状況に応じて見直す。

児童相談所、少女保護せず

2000年4月20日 17時57分
父親から虐待を受けていた宮城県北部の当時17歳の少女が1997年12月、同県古川児童相談所に助けを求めたが、保護しなかったため父親に暴行を受け重いやけどを負ったことが20日、分かった。
少女は保護を求めた翌日、父親に自宅に連れ戻され、着衣に火を付けられるなどの虐待を受け入院。一時、意識不明の重体となった。

虐待の訴えはなし

2000年3月30日 15時19分
退会者らから児童虐待の疑いを指摘されていた幸福会ヤマギシ会(本部・三重県伊賀町)で暮らす子供の実態調査をした三重県は30日、「暴力からの救済の訴えなど緊急に対処すべき事例はなかった」との調査結果を明らかにした。児童福祉法に基づき任意で昨年8月から10月にかけ、同会の全寮制の私塾「ヤマギシズム学園」で暮らす、三重県内の5―17歳の725人を対象に聞き取りを実施した。

長男虐待の父親を逮捕

2000年2月15日 12時57分
埼玉県警浦和署は15日、小学1年の長男をせっかんし、足を骨折させたとして、傷害の疑いで浦和市領家、運転手柏邦明容疑者(31)を逮捕した。柏容疑者は、せっかんを繰り返し、頭に負った傷の傷口をふさぐためとして、ホチキスの針で皮膚をとめたこともあったという。長男の全身にはたばこによるとみられるやけどのあとなどが数十カ所もあり、同署で調べている。

せっかんで1歳7カ月の女児死亡 母親の同居男性を逮捕

00:29a.m. JST January 22, 2000
同居していた女性の娘をせっかんして死なせたとして、青森県警捜査一課と七戸署は21日、同県七戸町宇道坂、雑穀商早川道晴容疑者(48)を、傷害致死の疑いで逮捕した。
調べによると、早川容疑者は20日夕から夜にかけ、同居していた女性(22)の1歳7カ月になる娘をせっかんし、死なせた疑い。死因は急性硬膜下血腫だった。
同日夕、早川容疑者がテレビのチャンネルを天気予報に変えたところ、見ていた女児が泣き出し、母親が押し入れに入れた。泣きやまなかったため、早川容疑者が押し入れから玄関まで連れていき、「ここで寝ていろ」とコンクリートのたたきに座らせた後、押し倒す形になったという。
早川容疑者はいったん居間に戻ったが、子どもが帰ってこなかったため様子を見に行き、寝かせた。しかし、21日午前3時ごろ、息づかいが荒くなったため、十和田市内の病院に連れていったという。傷やあざが多いことに気づいた医師が110番通報した。
早川容疑者は昨年11月中旬から女性と同居していたが、女児がなつかないとして日常的に暴力を繰り返していたらしい。県警は母親からも事情を聴いているが、4日前に容疑者が女児をリモコンで殴ったのをみて、母親は「やめて」などと容疑者に注意していたという。

赤ちゃんを駅のコインロッカーに捨てた容疑で母親逮捕

01:17a.m. JST January 08, 2000
 警視庁上野署は7日、住所不定、無職和田博美容疑者(35)を殺人と死体遺棄の疑いで逮捕した。

 調べでは、和田容疑者は昨年12月11日、自分で産んだ男児をその日のうちにタオルにくるんで紙袋に入れ、東京都台東区のJR上野駅構内のコインロッカーに捨てて殺した疑い。

 6日午前、コインロッカーの管理業者が使用期限の過ぎたロッカーを開けて男児の遺体を見つけた。使用料金を継ぎ足して発見を遅らせていた形跡があったため、上野署員が張り込んでいたところ、7日午後6時ごろ、和田容疑者がかぎを持って現れた。

 調べに対し、和田容疑者は「都内のホテルで産んだが、経済的にも育てられず処置に困ってやった」と話しているという。

虐待防止大会が閉幕

1999年11月20日 19時07分 共同通信社
 児童虐待の対応策などをテーマに宇都宮市で開かれていた「日本子どもの虐待防止研究会」の第5回全国大会が20日、2日間の日程を終えて閉幕した。大会実行委員長の桃井真理子自治医大教授は、「ひどい虐待が増加している印象がある。大会で問題を明らかにできた」と話した。

子ども虐待で死亡、1998年度は41人 厚生省調査

9:04p.m. JST November 17, 1999
 1998年度に親などからの虐待によって死亡した子どもが41人いたことが17日、厚生省の調査でわかった。このうち、8人は児童相談所が相談や通報を受けていたにもかかわらず、その後、虐待を受けて死亡していた。深刻化する子ども虐待に対応するため、厚生省は同日、法務、警察、文部などの関係省庁と民間団体の代表者を集め、「児童虐待対策協議会」を発足させた。

 厚生省によると、全国174カ所の児童相談所が把握した昨年度の子ども虐待による死亡は41人。うち、33人は児童相談所は全く関与しておらず、死亡後に警察からの連絡や報道などからわかった。

 児童相談所が関与しながら8人が死んだ事例では、男児(2つ)をかわいいと思えないと実母が児童相談所に来たのに、その後、暴力をふるって死亡させたケースや、女児(3つ)にたばこのやけど跡があると通報があり調査を始めていたが、1カ月後に実父に腹をけられて女児が死亡したケースもあった。

 いずれも、親と引き離す必要がある子どもを、児童相談所長の権限で親の同意がなくても保護できる「一時保護」の措置はとられていなかった。

 「一時保護」の措置は全体としては、昨年度2053件あり、前年度より406件増えた。

子ども虐待さらに増加 昨年度の相談件数約7000件

9:58p.m. JST November 01, 1999
 親が子どもを殴ったり、養育を放棄したりする子ども虐待について、1998年度に全国の児童相談所に寄せられた相談が6932件にのぼり、前年度の1.3倍に増えていることが1日、厚生省の調査でわかった。調査を始めた90年度の6倍を超え、増加の一途をたどっている。虐待者は6割近くが母親で、子どもに接する時間が長く、育児の多くを背負わされているストレスなどが虐待につながっているとみられる。厚生省は児童福祉法に国民の義務として定められている、子ども虐待を児童相談所などに知らせる「通告義務」が広くいきわたってきた結果としている。

 厚生省の調査によると、98年度に全国174カ所の児童相談所に寄せられた子ども虐待についての相談件数は、6932件。95年度から前年度比3―5割の割合で増え続けている。

 これは、あくまでも相談件数で、虐待の実数ではない。厚生省は子ども虐待について、社会的な認識が高まり、児童相談所や警察、保育所などとの連携が強化され、通告が増えたとみている。

 また、虐待の内容は、身体的な暴力が半分以上を占め、養育を放棄したり、不潔な状態で放置したりする保護の怠慢や拒否が3割。心理的な虐待も約1割、性的暴行も6%ほどあった。

 虐待者としては母親が半数以上を占めるが、厚生省は「母親が育児の負担を感じ、核家族化で育児に自信をもてないことなどが、虐待につながっているのではないか」とみる。

 厚生省は、今年度の調査からは、虐待行為の範囲を広げることを決めている。傷跡が残らない暴行、車やベビーカーなどへの放置も虐待にあたるとして対応するように指示しており、相談件数は今後さらに増加することが予想される。

児童虐待への対応など盛る

1999年10月19日 19時05分 共同通信社
厚生省は19日、保育所での子どもへの対応などを示した保育指針を九年ぶりに改定した。新たな指針では、児童虐待への対応を「重要な保育活動」としたほか、元気だった乳幼児が突然死亡する乳幼児突然死症候群(SIDS)の予防やアトピー性皮膚炎への対応を初めて盛り込んだ。

養護施設の子ども、強制引き取り後に虐待など状況悪化も

3:33p.m. JST October 18, 1999
 児童養護施設に入所した子どもが親に強引に引き取られると、約3割は再度、問題が生じ、施設に入所していることが、社会福祉法人母子愛育会の研究施設日本子ども家庭総合研究所(平山宗宏所長)の調査でわかった。しかも、施設や児童相談所は、強引な引き取りが予想できたにもかかわらず、実際に対策をとっていなかったケースが半分以上で、引き取られた後に、心中未遂や性的虐待にあうなど悲惨な状況になった例も珍しくなかった。厚生省は「施設への入所、退所は児童相談所長の判断で行われるべきだ」として、親の強引な引き取りに対してはきぜんとした態度をとるよう児童相談所を指導した。

 母子保健や子ども家庭福祉について研究している日本子ども家庭総合研究所が厚生省の委託を受けて調査した。1995年4月から98年3月末までの3年間に、65カ所の児童養護施設に対して聞いた。39施設から、68件の報告があった。

 それによると、親による強引な引き取りの後、約3割は再び施設に入所していた。

 一方、施設側は、全体の3分の2にあたる45ケースについて、親が強引な引き取りをしかねないと予想していた。しかし、その半数の21ケースは強引な引き取りに対する対策をとっていなかった。

 強制的な引き取りの具体的な状況は、保護者が施設に来て子どもを強引に連れて行ったのが30ケース、一時帰宅のときに保護者が子どもを施設に帰さなかったのが19ケースなど、7割以上が保護者が強硬に動いて引き取っていた。

 保護者に強引に引き取られた子どもの8割は入所前に身体的虐待や不適切な養育(ネグレクト)、性的虐待などを受けていたが、引き取りの後の状況は、「わからない」の4割を除くと、半数以上は状況は変わらないか、逆に悪化していた。中には、栄養失調で入院したり、無理心中未遂に巻き込まれたりしたほか、父親が娘に性的虐待をし、息子を刃物で刺すという事件を起こしたケースもあった。

 施設側が帰宅後の子どもたちの様子を何らかの方法で追跡していないケースも3割以上あった。

長女虐待の父親を逮捕

1999年9月27日 15時38分 共同通信社
 栃木県警大田原署は27日、長女(1っ)を殴るなどして、けがをさせたとして傷害の疑いで、父親の大田原市の会社員、丸亀紀行容疑者(20)を逮捕した。丸亀容疑者は6月上旬、妻と長女を連れて車で外出した際に、夜中に長女が車内で騒ぐなどしたため腹を立て、顔を殴ったり、車のかぎで背中をひっかくなどして3週間のけがを負わせた疑い。

虐待を法律扶助の対象に

1999年9月8日 20時41分 共同通信社
 弁護士などで結成している財団法人法律扶助協会埼玉県支部は8日までに、裁判費用を援助する法律扶助制度の中に、全国に先駆けて児童らに対する虐待を扱う「子どもへの虐待救済援助制度」を新設し、運用を始めた。

 対象は20歳未満の虐待されている子供。本人や親族が救済申し立てのため家庭裁判所に親権変更や親権喪失宣言の請求などを行う際、必要な弁護士費用を援助する。

伝統的家族観が解決の壁に

1999年8月15日 18時16分【ニューヨーク共同通信社】
 15日付の米紙ニューヨーク・タイムズは、日本の家庭での児童虐待が増加傾向にあり、これまで家庭に任せられていた問題に警察など当局がいつ、どのように介入すべきかを見いだそうと努力していると報じた。

 また、日本では警察が親による子供の虐待などを捜査することは伝統的にまれだとし、被虐待児を救うのがいかに難しいかを指摘している。

幼女窒息死させた母に有罪

1999年8月3日 12時31分 共同通信社
 昨年10月、生後4カ月の長女を泣きやませようと顔に布団をかぶせて窒息死させたとして、傷害致死の罪に問われた長野県臼田町下越、主婦伴野セツ子被告(24)の判決公判で、長野地裁上田支部は3日、懲役2年6月、執行猶予4年(求刑懲役4年)を言い渡した。

5年間で328人の子どもが虐待死 厚生省研究班調べ

2:13p.m. JST July 28, 1999
 1992年から96年までの5年間に、虐待で死亡したとみられる子どもが全国で328人にのぼり、うち245人は虐待死が確実視されることが、厚生省の研究班の調べでわかった。8割は殴るけるなどの身体的な虐待が原因とみられ、食事を与えなかったり、放置したりするなどのネグレクト(無視)は1割だった。屋外に駐車した車内に乳幼児を放置して死亡したケースも1割弱あった。虐待した人の4分の1を実母が占めた。

 熊本大の恒成茂行教授を中心とする研究班が、全国の法医学研究室が担当した法医解剖例から、虐待死とみられる18歳未満の子どもについて実態調査をした。この種の調査としては初めて。

 虐待死とみられる328件のうち、解剖所見などから判断して虐待が確実とされる死亡例は245件。そのうち、身体的虐待が195件で79.6%を占めた。ネグレクトは28件(11.4%)、車内放置は22件(9%)だった。

 平均すると1年間に約40人が身体的虐待で、約10人がネグレクトと車内放置で、それぞれ死亡していることになる。

 死因をみると、頭部外傷が46.1%と最も多く、 窒息死(17.6%)、熱中症(8.2%)、全身衰弱(6.9%)、腹部外傷(6.5%)、外傷性ショック(5.7%)と続いている。

 年齢的には、身体的虐待の場合は、4人に1人が零歳児で、3歳以下が4分の3を占めた。ネグレクトは半分を、車内放置による死亡は7割弱を、それぞれ零歳児が占めた。

 各法医学教室のデータを総合すると、虐待をした人は実母が最も多く、25.7%。続いて実父(12.7%)、義父(7.8%)、実父母(4.9%)の順に多かった。ほかは継母や親類などだ。祖父母による身体的虐待で死亡した子どもも5人いた。

子ども虐待の定義を広げる 愛のむちの論理排除 厚生省

2:34p.m. JST July 05, 1999
 急増している子どもへの虐待について、厚生省は虐待行為の定義を広げることを決めた。これまでは児童相談所でも虐待としてあまり扱われてこなかった「外傷が残らない暴行」や「車やベビーカーなどへの放置」なども、子ども虐待に当たるとして対応するよう、全国の児童相談所長に指示した。子ども虐待の相談や通報を受ける児童相談所の対応次第では、子どもの命が失われることもある。しつけや愛のむちといった親側の論理でなく、子どもが苦痛を感じるかどうかを基準とする見解を行政が初めて打ち出した。

 これまで厚生省は、18歳未満の子どもへの虐待として、身体的暴行▽衣食住や清潔さについて健康状態を損なう保護の怠慢や拒否(ネグレクト)▽性的暴行▽心理的虐待▽登校禁止などを挙げていた。しかし、身体的暴行については、原則としてあざや骨折など外傷があるものとしていたほか、ネグレクトも栄養不良や極端な不潔の状態などを想定するなど、明確に判断できるものだけを「虐待」としていた。

 今回の定義の見直しでは、親の愛情があっても、子ども自身が苦痛を感じていたり悪影響があったりする場合を問題視した。

母親の10人に1人が虐待

1999年4月21日 19時58分共同通信社
 子育て真っ盛りの母親のほぼ10人に1人が、『たたく』『泣いても放っておく』など子供への虐待を繰り返していることが21日、社会福祉法人『子どもの虐待防止センター』の実態調査で分かった。一般の母親を対象に実施したのは初めて。

回答したのは 500人で、母親の5人に1人は『子育てに協力してもらえる人がいない』とも感じており、家事・育児の面で夫に不満を感じている母親は、不満のない母親に比べ『虐待あり』が3倍になっている。

子どもの虐待ホットライン大阪

虐待死、2割増の131人

1999年3月13日 8時51分共同通信社
 親などの虐待が原因で死亡した子供が、昨年は全国で少なくとも 131人に上り、1997年に比べ2割増えていることが13日、名古屋市の『子どもの虐待防止ネットワーク・あいち』(CAPNA、祖父江文宏代表、約 470人)の調べで分かった。

          

 CAPNAが虐待の一種とみている無理心中による死亡者数が97年より約 1.5倍の72人に増えたのが大きな要因で、不況を反映したとみられる。せっかんで死亡した子供の数も微増。

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