TOPIC No.5-5-2 不登校10万人時代−学歴社会の落とし子−


 不登校の児童生徒は2001年度で約14万人と過去最多を更新している。

 ここ20年来増え続けた登校拒否・不登校・高校中退・・・ どうしてなの?
 どうしたらいいの?

01 不登校 by YAHOOHニュース
02 不登校新聞
03 不登校 byフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
04 いだかつのりのページ 不登校経験の考察と教育心理学私論
05 湖水 -不登校連関ウェッブサイト紹介- by Kiri & Yumi
06 日本フリースクール協会
07 新しい学びの場 フリースクール オルタナティブスクール by田口教育研究所=不登校・中退・ひきこもり・いじめ・発達障害(LH・ADHD他)のための相談機関=
08 東京シューレ(NPO法人) - 子どもの居場所・フリースクール -
09 鎌倉・風の学園 高等部 -通信制高校-
10 KAZE ARCHIVE
11 アットマーク・インターハイスクール(Atmark Inter-highschool)
12 EIKO Web International School

不登校が5年ぶり増加 小中で12万6千人

2007/08/09 中国新聞ニュース

 二〇〇六年度に病気や経済的な理由以外で学校を年間三十日以上欠席した「不登校」の小中学生は五年ぶりに増加に転じ、十二万六千七百六十四人(前年度比3・7%増)だったことが九日、文部科学省の学校基本調査速報で分かった。中学生は前年度から約三千人増え十万二千九百四十人で、全生徒の三十五人に一人に当たる2・9%(前年度2・8%)と過去最高の割合になった。

 不登校の小学生も前年度比約千人増の二万三千八百二十四人となり、全児童に対する割合は0・3%だった。

 文科省は「いじめ問題などで、無理に学校に行かなくてもいいという考えが広まっているのかもしれない。家庭を中心に、登校を促す働き掛けを続けたい」としている。

 調査は全国の国公私立校を対象に五月一日現在で実施した。

 昨年までのいじめ調査が、実態を把握していないとの批判があったため、不登校のきっかけについて、今回の調査から「いじめ」を複数回答の選択肢に設けた結果、四千六百八十八人(3・2%)が該当した。最も多かったのは「非行など本人にかかわる問題」31・2%、次いで「いじめを除く友人関係の問題」15・6%だった。

 不登校が続いている理由では「不安など情緒的混乱」が31・7%で最多。次いで「無気力」24・8%、「いじめ」は1・0%だった。

 千人当たりの不登校の児童生徒数を都道府県別にみると、島根が十六人で最も多く、和歌山と高知が十五人。最も少なかったのは八人の愛媛、宮崎で、北海道と秋田の九人が続いた。

 全国の小学校の児童数は、二十六年連続減少の約七百十三万三千人(前年度比約五万五千人減)、小学校数も二十三年連続減少の二万二千六百九十三校(同百八十五校減)で、いずれも過去最低を更新した。

 一方、中学生数は二十一年ぶりに増加し約三百六十一万五千人(同約一万三千人増)。中学校数は三十七校減り一万九百五十五校だった。


メール学習も出席扱いに 不登校対策で文科省

2005/06/29 The Sankei Shimbun

 文部科学省は28日、不登校の児童生徒が電子メールやファクス、郵便などを使って学習活動をすれば、校長が「出席扱い」にできることを決めた。現在は構造改革特区として全国の1県6市で実施されているが、同省は7月にも全国の都道府県教育委員会に通知を出し、全国で適用する。

 2003年度に小中学校を30日以上欠席した不登校の児童生徒数は約12万6000人。うち約8万人は適応指導教室などに通っておらず、適切な指導を受けていない状態となっている。

 文科省は不登校による学習の遅れなどが、学校への復帰や中学卒業後の進路選択の妨げになっていると判断。(1)保護者と学校との協力がある(2)訪問などで対面指導ができる(3)校長が対面指導や学習活動の状況を把握している―などの要件を満たせば出席として認める。

 文科省は03年5月、適応指導教室など学校外の施設で相談、指導を受けている不登校の児童生徒について、一定の条件下で出席として認める通知を出しており、今回は出席扱いの範囲をさらに広げた格好だ。

 また、文科省が指定した特定の学校では、学習指導要領に基づかなくても、不登校の児童生徒の実態に合わせて教育課程を編成できるよう省令を改正することも決めた。(共同)

福山の開業医が不登校対象に私塾

2005/06/01 中国新聞地域ニュース

 ▽「考える授業」用意 塾生募集中

 福山市春日町の開業医藤田仁志さん(48)が、不登校の中高校生を対象にした私塾を開設する。自分で物事を考える授業などを工夫し、子どもたちの積極性を引き出して「生きる力」を養う。開業医による不登校塾の開設は広島県内初で、全国的にも珍しいという。現在、塾生を募集している。

 藤田さんは、公立学校共済組合・中国中央病院(福山市)の元小児科部長で、心身症の子どもを診察してきた。二〇〇二年に退職するまで約十年間、院内学級のサポート役を務め、学校との連携にもあたった。

 退職後に「藤田小児科内科医院」を開業した、藤田さんは「教育の重要性を痛感した。心身症の専門医の立場でかかわりたい」と塾の開設を準備してきた。

 引きこもりに近い子から、もう一歩で通学できる子まで不登校の状態はさまざま。授業も、中国人留学生を講師に招いた太極拳から、新聞などからビジネスチャンスを探る起業まで十二科目用意。スムーズに学校復帰できるよう、小学校から高校レベルまでの基礎教科も学力に応じて指導する。

 月〜金曜日の午前十時から午後五時までで、二時間の授業を午前一コマ、午後二コマ設ける。一コマから受講できる。授業料は一コマ千円。通信費などで年間五千円が必要になる。定員は各科目五人程度で、一人から授業を行う。

 藤田さんを塾長に、看護師や事務職員ら約十人が携わる。医院の相談室や院長室、近くのマンション一室を拠点とする。

 藤田さんは「不登校児の多くは、純粋で潜在能力が高い。それぞれの個性を尊重したい」と意気込む。医療保険が適用されるデイケア施設への移行も検討している。

 希望者は、未成年を対象に火、水、金曜日に同医院で開いている予約制のカウンセリングを受ける。同医院Tel084(948)6500。

ネット通信制高校で入学式 石川・美川町

2004/10/02 The Sankei Shimbun
 株式会社による、インターネットを活用した全国初の通信制高校「美川特区アットマーク国際高校」の入学式が2日、石川県美川町の同町文化会館で行われた。

 学校側によると、この日までに入学した生徒32人のうち8人が参加。日野公三校長が学生証を一人一人に手渡し、「皆さんの夢を実現するため、できるだけのことをしたい」と話した。

 同校は9月30日に開校し、10月1日からネット上で履修科目の手続きをし、15日から授業をスタートさせる。

 同校は株式会社が運営するが、美川町が3月、政府の構造改革特区に認定されたため、株式会社による学校設立が同町で可能になった。

不登校、2年連続の減少 5年ぶり13万人割り込む

2004/08/10 The Sankei Shimbun
 2003年度に年間30日以上欠席して「不登校」とされた小中学生の総数は、前年度から約5000人減って12万6212人となり、2年連続減少したことが10日、文部科学省の学校基本調査速報で分かった。13万人台を割り込んだのは5年ぶり。児童生徒全体に占める割合も、0・03ポイント減の1・15%と2年続けて減った。

 大学・短大の進学率は過去最高の49・9%。男子は51・1%で初めて50%の大台に乗せた。

 不登校は、調査方式が異なる時期も含め1975年度から01年度まで増え続けていた。同省は「スクールカウンセラーの配置など取り組みの成果が出ているが、依然相当な数。引き続き対策を進める」としている。

 年間30日以上の欠席者のうち病気や経済的理由を除いた不登校は、小学生が6・9%減の2万4086人、中学生が3・1%減の10万2126人。小中合計では3・8%の減。

 不登校生の割合は、中学は37人に1人と1クラスに1人いる計算で、小学校は300人に1人だった。

 不登校の数は、42都道府県で前年から減少したが、富山、三重、香川、徳島、宮崎の5県は増えた。1000人当たりの数が最も多いのは高知県の15・5人、最も低いのは長崎県の7・7人。

 学校基本調査と併せて実施した調査では、学校側の指導で03年度以内に再登校するようになった公立小・中の児童生徒は約3万3000人で、全体の27%だった。

 学校が「特に効果があった」とした対応は「家庭訪問」が最も多く12%。「電話などで登校を促した」11%、「家族関係や家庭生活の改善を図った」9%−の順。学校での指導上の項目などよりも、家庭への働き掛けが上位を占めた。

 <不登校> 文部科学省は調査で、病気や経済上などの理由以外で年間30日以上欠席した児童生徒を不登校と定義。1966年度から始めた調査では当初「学校嫌い」としていたが後に「不登校」に変更、基準の欠席日数も50日から30日にした。74年度までは減少する年が多かったが、75年度から一貫して増加。2001年度は91年度の倍以上の約13万9000人に。02年度に減少に転じた。

不登校:原因は「自分」42% 教員は「学校」と回答 大阪府

2003年04月29日 [毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 不登校の中学生が全国で最も多い(01年度で9909人)大阪府で、不登校生420人に府教委が聞き取り調査したところ、約42%が原因として、「本人(自分)の問題」を挙げ1位だった。一方、教員に聞いた別の調査では、いじめや教員とのトラブルなど「学校生活」が最多の約42%。不登校生と教員で、原因の認識が大きく異なっていることが浮かび上がった。府教委によると、不登校生本人への調査では、全国でも異例の大規模調査という。

 生徒指導主事の教員や適応指導教室の担当者が、生徒に面接して聞き取った。不登校のタイプを、「非行」「無気力」「情緒的混乱」――にあらかじめ分け、調査対象の生徒がほぼ同じ割合になるようにした。そして、学校報告を記録した文部科学省の「学校基本調査」(02年度版)における教員の調査と比較した。

 「不登校のきっかけ」では、生活習慣の乱れや、学業への意欲など「本人に起因(原因)」が最多。学校生活28%、家庭の問題21%と続いた。

 こうした自分を原因と考える生徒は「無気力タイプ」で52%、「非行タイプ」が48%あり、いずれもトップ。悩みや不安などを抱えた「情緒的混乱タイプ」だけが26%と低く、「学校生活が原因」を下回った。

 一方、教員の調査では、不登校の原因は「学校生活」(42%)▽「本人」32%▽「家庭」17%――の順だった。 【宇城昇】

 臨床心理士の野田正人・立命館大教授の話 調査は対象者が多く、不登校対策を考える上で貴重な資料だ。思春期には、責任を過度に自分に負わせがちなため、こうした結果になったのだと思う。子どもが今後、自分を追い詰めないような働きかけが必要だ。一方、多くの教員が、不登校を学校が原因と認識しているのだから、不登校は担任など一部の教員に任せず、学校全体で対応に当たる意識が必要だろう。

不登校に対応:「子供に応じた働きかけを」 文科省最終報告

2003年04月11日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 不登校の子供たちへの対応を検討してきた文部科学省の専門家会議は11日、「ただ待つだけでなく子供の状況に応じた働きかけが重要」と提言した最終報告をまとめた。「登校を促すと状況を悪化させる」という見解が誤解されているとして、学校に対応の見直しを求めた。学校や教育委員会がフリースクールなど民間施設と協力する必要性も強調している。

 同省は、3月の中間報告を公表した後に一般から意見を求めた。不登校の子を持つ親や不登校経験者らから約170通が寄せられ、「対応には親や本人の声を聞いてほしい」「子や親を追い詰めないようにしてほしい」などの要望が多かった。

 これを受け、最終報告では、学校に来ない子に働きかけたり、かかわりを持つことが重要としたうえで、「機械的な働きかけで児童生徒や親を追い詰めてはならない」「不登校の当事者の声に耳を傾けることも大切」などの文章を追加し、配慮を求めた。

 不登校の子のために自治体が設置した「適応指導教室」については、実績のある民間施設に運営を委託する「公設民営型」の検討を求めた。「適応」という言葉に違和感があるとする意見があったことなどから、「教育支援センター」という名称を併用することも提案した。

 同教室は全国に991カ所(01年度)設置されているが、市町村の中で設置しているのは3割程度にとどまるため、さらに拡充が必要とし、子供10人当たり2人の指導員を置くなど、整備指針も示した。

 このほか、学校で不登校に対応する教員を明確にすることや、中学卒業後も自宅に閉じこもって「ひきこもり」になっている若者への支援も求めている。

 同省は報告をもとに教師向けの指導資料を作成し、現場に徹底を求める。【澤圭一郎】

不登校:保護者の4割が「教師に見捨てられている」

2003年04月11日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 不登校の小中学生を持つ保護者の4割が、担任教師の家庭訪問や連絡が少なく「見捨てられている」と感じるなど、学校の対応に不満を持っていることが、文部科学省のアンケート結果で分かった。

 調査は、お茶の水女子大の伊藤美奈子助教授に委託し、今年1〜3月に実施。調査票を4000人に配布し3400人から回答を得た(回収率85%)。回答者の9割は母親で、回答者の子供は8割が中学生だった。6割の子供はまったく登校していなかった。

 学校の対応に不満を抱いている親は、全体の42%。▽担任の家庭訪問や連絡が少なく、見捨てられ感を抱いている(25%)▽いじめや暴力への対応が少ない(14%)▽性急に登校を求める(10%)などが理由だった。

 担任の家庭訪問を希望するかどうか尋ねると、75%の親が「来てほしい」と答え、「来てほしくない」は18%。これに対し、子供は「来てほしい」は48%、「来てほしくない」が39%で、子供より親のほうが訪問を望んでいることがうかがえる。

 適応指導教室や教育センターなどの専門機関への期待では、「学校復帰を目標にした支援」を1位に挙げる親が21%と最多。このほか「自信を持たせる」「居場所の提供」などが続いた。 【澤圭一郎】

文科省が不登校の実態を調査

2003年03月27日 The Sankei Shimbun
 不登校になった小中学生の継続期間が平均1年半から2年余に上ることが27日、不登校生の保護者を対象にした文部科学省の初の大規模調査で分かった。年齢が上になるほど長期化の傾向があった。

 担任教諭の家庭訪問や連絡の少なさから「見捨てられ感」を抱いている保護者が25%を占め、いじめや暴力をめぐり学校が対応しないことへの不満が14%、性急に学校が登校を求めることに対する不満も10%あった。

 旧文部省が4年に保護者約300人から聞き取り調査したことはあるが、大規模な調査は初めて。

 調査は伊藤美奈子・お茶の水女子大助教授に委託し、4000人を対象にアンケートを郵送、約3400人(回収率85%)の回答があった。91%は母親で、中学生の保護者が全体の約80%を占めた。

 約3400人のうち、学校に全く通っていない子どもは60%で、週に3日以上登校している子どもは21%だった。

 担任の家庭訪問は、77%の家庭が経験。「もっと来てほしい」「(頻度は)現状がいい」など、75%に当たる約2500人が担任の訪問を望み、担任と何らかのつながりを求める人が多いことが分かった。

 逆に「訪問されたが、来てほしくない」「今後も来てほしくない」など訪問に否定的な保護者は18%だった。

 自由記述欄では、子どもの進路・将来に対する不安や、不登校をめぐる周囲の誤解や偏見でつらい思いをしていることを訴える意見が目立った。

 文科省はさらに結果の分析を進め、今後の施策に反映させる考えだ。

引きこもり?と思ったら、このパンフを…厚労省作成

(2003/03/11)読売新聞 Yomiuri On-Line
 引きこもりは心と体の休息時間です――厚生労働省の研究班は、統合失調症などの精神疾患以外が原因の「社会的引きこもり」に、本人や家族がどのように向き合えばいいかをまとめたパンフレット「『ひきこもりかな?』と思ったら」を作成し、関係機関への配布を始めた。

 引きこもりは、周囲から「怠けているだけ」などと誤解されがちだが、パンフレットは「ストレスが大き過ぎて自分の力ではどうにもできなくなった」状態とし、「罪悪感を持つことはない」と説明。引きこもり経験者の話を紹介しながら、回復のためのヒントを易しい言葉で説いている。

 パンフレットの内容は厚労省のホームページ( http://www.mhlw.go.jp/houdou/2003/03/h0303-2.html )に全文掲載されている。

NPOの学校設立を容認 不登校児など対象に限定−−改革特区で文科省方針

2003年02月26日毎日新聞朝刊から Mainichi INTERACTIVE
 構造改革特区構想の焦点のひとつだったNPO(非営利組織)法人による学校設立問題で、文部科学省は25日、設立を容認する方針を固め、内閣官房の構造改革特区推進室に報告した。同省はNPO法人の学校設立を拒否してきたが、26日の小泉純一郎首相による裁定を前に方針を転換した。

 学校設立が認められるのは、フリースクールなどの運営実績のあるNPOで、不登校児や学習障害のある児童を対象とした施設に限定する。

 文科省はこれまで「財産の保有要件がなく安定した学校運営ができない」などを理由に、NPOの学校設立を認めない方針だった。しかし、小泉首相が「特区は全部やる」と強い意欲を示していることから、首相裁定に持ちこまれれば押し切られる可能性が高いと判断。25日夜になって、対応を軟化させた。

 一方、同省は学校設立の適格性を判断するための都道府県知事の下に設置されている現行の私学審議会の存続を主張した。特区推進室は、NPO法人による学校設立を認めても、学校関係者が多数を占める同審議会が存続すれば「足かせ」になりかねないとして撤廃を求めている。【高山祐】

不登校:適応指導教室運営を民間委託 専門会議が中間報告

2003年02月25日 [毎日新聞] Mainichi INTERACTIVE
 増え続ける不登校の児童生徒への対応を検討している文部科学省の専門家会議は25日、中間報告の素案をまとめた。子供たちの学校復帰を目指して自治体が設置している「適応指導教室」の運営を、フリースクールやNPO(非営利組織)など民間に委託する案を示し、子供のケースに応じて教師らが「学校復帰」の働きかけをすることが重要だと指摘している。同会議は3月末にも最終報告をまとめる予定。

 不登校の児童・生徒は01年度で約13万9000人に上り、過去最多を更新している。このため同省は不登校への対応を検討するため昨年、10年ぶりに専門家会議を設けた。

 92年にまとめられた報告では、「不登校はどの子にもおこりうる」「登校を促すと状況を悪化させることもある」という考え方を打ち出した。今回の素案では、この考え方は妥当としながらも、教師が誤解して登校を促すことを一切しなかったり、子供とのかかわりを控えてしまうことがあると指摘。ケースや時期によっては登校を促すことも重要だとした。

 また、都道府県や市町村が設けている「適応指導教室」の充実を提言。01年度には全国で991カ所の教室があるが、全自治体の27%しか設けられておらず、不登校の子の1割しか通っていないと指摘し、さらなる設置を求めた。不登校の子供の指導に実績のあるフリースクールなど民間施設に運営を委託する「公設民営型」の適応指導教室についても検討すべきだとしている。 【澤圭一郎】

「不登校新聞」100号に 「悩む人いなくなるまで」−−東京・品川であす記念集会

2002年06月14日 (毎日新聞東京朝刊から)
 ◇学校は行かねばならぬところじゃないよ

 不登校にかかわる人たちが自らのメディアとして始めた「不登校新聞」が、15日で100号を迎える。子ども、親の側から発信し、学校に行かないという生き方を広める役割を果たしてきた。15日には東京都品川区中延1の区立荏原文化センターで「創刊100号記念集会」を開く。【本橋由紀】

 同新聞は「全国不登校新聞社」(現在はNPO法人)が98年5月1日に創刊した。同新聞社は、NPO法人のフリースクール「東京シューレ」理事長、奥地圭子さん▽弁護士の多田元さん▽「学校に行かない子と親の会」世話人の山田潤さんという東京、名古屋、大阪の3人の理事を中心にした市民グループだ。

 97年9月、夏休み明けに中学生の焼身自殺や体育館の放火などが続いたことがきっかけで、動き始めた。創刊号のコラム「かゞり火」には「学校は行かねばならぬところじゃないよ、不登校しても将来への道はあるよ、親に言えなかったら相談先もあるよ、と何とか伝えたかった」とある。

 ブランケット判6ページ。毎月2回発行している。作家の椎名誠さんやミュージシャンの大槻ケンヂさん、数学者の森毅さん、映画作家の羽仁未央さんらへのインタビュー、親たちが自分の言葉でつづる「わが家の場合」、投稿、市民グループの紹介、親の会の例会や講演会などの催し物案内などが掲載されている。約5000人の購読者への発送は、多数の親、子どもや若者、フリースクールのスタッフが手伝っている。編集局員の石井志〓さん(20)は「不登校で悩む人がいなくなるまで、発行しつづける」と話す。

 記念集会は午後1時から。不登校経験のある作家、安住磨奈さんの講演「親としての私 私としての私」▽3人の理事による「不登校新聞の歩み」▽11歳から40歳までの4人の「当事者が語る不登校・ひきこもり」▽岡本太郎記念館の岡本敏子館長の「この人の一言」▽日本社会臨床学会運営委員の小沢牧子さんの「『心の専門家』はいらない」。集会の参加費は無料だが、1200円程度のカンパを呼びかけている。

 新聞の購読料は6カ月4800円。申し込みや問い合わせは同新聞社(電話03・5360・1231)へ。

「放送倫理の点で問題」 日本テレビ番組にBRC見解

2002年01月17日 Mainichi INTERACTIVE
 放送と人権等権利に関する委員会=BRC、清水英夫委員長(青山学院大学名誉教授)=は17日、日本テレビが2000年10月20日に放送したニュース番組「NNNきょうの出来事」中の特集企画「インターネットの落とし穴」(9分)について、「放送倫理の点で問題があった」とする見解をまとめ、公表した。BRC決定に対して、日テレは該当番組の中でBRCの決定を紹介するとともに、「決定を真摯に受け止める」とのコメントを発表した。

 BRCによると、日テレはネットを活用して教育活動をしている民間教育機関「鎌倉・風の学園高等部」の生徒らが、「授業料を払ったのに何の指導もない」として結成した「風の学園・被害者の会」の結成を受け、同学園を批判的な立場から取材・放送した。

 これに対して、同学園の事務局長が昨年7月、「事実に反し、名誉を傷つけられた」などとして苦情を申し立てた。実際の取材、番組製作は外部の製作プロダクション「ポイントブレイク」が担当した。

 BRCは、事務局長の申し立てを受け、両者の意見聴取など審理を開始。その結果、BRCは「放送メディアとして学園関係者(教師、生徒、保護者ら)や、他の同様の施設、識者への取材努力が足りない。匿名、モザイク使用の理解や効果も十分とは言えない」として、「放送倫理の点で問題があった」と判断した。しかし、申立人が訴えた名誉棄損については「主要な部分において真実と信じるに足りる相当の理由があった」として認めなかった。

 BRCは、NHKと民放各社が設置した放送と人権等権利に関する委員会機構(BRO)が運営する、放送番組を対象にした自主的な苦情処理機関。日テレは1999年3月にも「帝京大学ラグビー部員暴行容疑事件報道」で、「放送倫理上問題あり」との指摘を受けている。

■「真摯に受け止める」 日本テレビ

 日本テレビ(広報)のコメント 放送は、真実相当性があり、名誉棄損は成立しないが、放送倫理上、問題があるとの委員会決定の趣旨を真摯に受け止め、今後も人権と放送倫理に十分配慮した取材・放送に努めたい。 (臺 宏士)

不登校の少年少女、続々海外へ 年間500人以上が留学

2001.02.25(10:18)asahi.com
 不登校の少年少女が海外留学するケースが相次ぎ、朝日新聞社が全国の主な仲介団体に聞き取り調査したところ、昨年1年間で500人以上が海を渡っていることが分かった。受験競争の重圧やいじめなどで傷ついて学校を中退したり、進学・進級できなかったりし、「環境の違う外国でやり直したい」と踏み切る場合がほとんど。1度つまずくと再起しにくい日本の社会や教育システムが背景にあるといえそうだ。しかし、留学先でも不登校になる場合も少なくない。

 文部科学省によると、1999年度の不登校の中学生は約10万4200人。高校生については統計がないが、中退者は約10万6600人いる。いったん高校をやめると「普通の学校生活を送りたい」と思っても、全日制高校への再入学は難しい。生徒自身が授業を選択できる単位制高校や民間のフリースクール、大検予備校などがあるが受け皿として十分とはいえない。

 聞き取り調査は、留学あっせん業者やフリースクールなど、留学雑誌に載っている主な42団体を対象にした。不登校という事情が把握できた数を尋ねたところ、昨年1年間にあっせんした計約2000人の留学生のうち計509人にのぼった。

 早くから手がけている団体によると、不登校生徒の留学は10年ほど前から増えだしたという。仲介団体は現在、全国に100前後あるとされ、実際の数はもっと増えそうだ。

 ほとんどが高校中退者だが、中学生もいた。現地の子が通う高校や中学を卒業することを目的にした私費留学が大半で、行き先は米国や英国、オーストラリア、ニュージーランドと英語圏が多い。少数だが、イタリアやノルウェーなどもある。

 いったん現地の語学学校に入って現地語を学んでから入学するか、現地語集中コースと一般の教科を並行して受ける。7割前後は卒業しているという。

 学費や渡航費、仲介団体への手数料支払いなどで年間200万―500万円ほどかかる。

 卒業する割合が比較的高い理由について、仲介団体は、家族や同級生から離れることで不登校や中退への自責の気持ちが和らぐ▽日本に比べ個性を重視する教育が受けられる▽言葉や生活習慣の壁を少しずつ乗り越えるうちに自信がつく――などをあげている。

 一方、ホームステイ先と折り合いが悪いとか、外国語での授業についていけないなどの理由で、途中帰国する例も少なくない。仲介団体の多くは、現地に日本人を駐在させ、相談に乗っているが、現地で自殺を図ったり、部屋に引きこもったりする事態も起きているという。短期間で帰国して前払いした留学費の返還をめぐり業者とトラブルになることもあるという。

 年間約80人を送り出している不登校生専門の留学仲介会社「W・S・O・センター」(東京都)の平井啓一代表は「文化も言葉も違う所での学生生活には強いストレスがかかる。強い意志がないと、まず失敗する。『世間体が悪い』などと親が無理に留学させようとするケースは断っている」と話している。

大検受検と留学 中3から準備/不登校生にも選択肢

2000.11.05 The Sankei Shimbun
新通信教育プログラム人気 関西の塾など企画

 中学三年の段階から大検(大学入学資格検定)受検と海外留学準備を始め、大検が取れ次第、留学する全く新しい留学プログラムを今冬から、学習塾と留学あっせん業者がスタートさせることになり、日本の教育システムになじめない中退者や不登校児童・生徒などから、問い合わせが相次いでいる。文部省は「大検の本来の趣旨に反してはいるが、(不登校児童らには)一つの選択肢となるのではないか」と話している。

 「SSA(スーパー・スタディー・アブロード)大検留学プログラム」で、学習塾・予備校経営の学育舎(大阪市)と留学あっせん大手のアルク(東京都杉並区)が企画した。

 希望者は、高校進学のための受験勉強をせず、中三の十二月から大検の受検準備と留学用英語力のアップをねらった集中コースに参加。最低受検年限が十六歳で、八月に試験がある大検を取った後は、新学期が九月から始まる英語圏の学校への留学をめざし海外へ出る仕組みだ。

 海外の高校留学後に帰国しても日本の大学が受けられる大検受検を「保険」として盛り込んだことが“ミソ”。留学は、現地の高校へ進学したり、語学学校に短期留学するケースを想定。現地の高校を卒業後は、現地の大学へ行くか、帰国して日本の大学をめざすことも可能だ。

 こうした「大検取得」を含むプログラムを開発した背景には、留学希望者のなかに最近増加が目立つ不登校児童・生徒対策がある。

 アルク留学クラブマネジャーの清水恵子さんは、「中途半端な海外滞在ではなく、本人の将来のためになる選択肢の拡大という意味でも、意思確認(進路指導)、留学生活のサバイバルツール(英語力)、保証(大検)の三つがそろったプログラムを考える必要があった」と強調する。

 原則的に通信教育で、受講者は教材をもとに自宅で学習し、二週間に一回、スクーリングに出る。費用は大検取得までで約七十万円。それ以降は、短期留学なら六カ月で約九十万円、現地高留学なら一年で約二百五十万円、と進路によって異なるという。

 プログラムについて、文部省生涯学習振興課の樋口修資課長は、「義務教育段階である中学三年生の子供に、高校卒業者と同等の学力検定である大検の準備をさせるのは、本来の大検の趣旨に反し、考えものだ」と話す。

 そのうえで、「文部省も正規の学校教育制度から外れた人にセーフティーネットを広げる意味で本年度から一連の大検受検の資格条件の弾力化を行っている。今後は、国内外を問わずいろいろな学習歴の人が出てくる時代になってくる」と指摘している。

「引きこもり」など思春期の心の問題に、厚生省が本腰

2000.08.20(04:02)asahi.com
 少年による重大な犯罪が全国で相次いでいることを受け、厚生省は思春期特有の心の問題を抱える少年とその家族を支えるネットワークづくりに取り組む方針を固めた。保健所、児童相談所、児童精神科医、警察など関係機関の実務者が協力して問題解決に当たっている北海道の取り組みを手本に、来年度から全国5カ所程度でモデル事業を始める。同時に「引きこもり」や家庭内暴力などの相談に当たる一線の人材を育てるため、児童心理、思春期精神医療の専門家を講師に、精神科医、保健婦、補導員らを対象とした研修制度も創設する考えだ。

 厚生省は、今年5月に起きた西鉄バスジャック事件で、容疑者の少年が事件直前まで入院していた国立療養所の治療内容や外泊を許可した経緯など、一連の対応に問題があったのではないかとの指摘を受けたことをきっかけに、思春期の心の問題への対応を検討してきた。

 その結果、(1)少年の問題行動の背景には狭い意味での精神疾患だけではなく、精神医療では十分に対応できない様々な心の葛藤(かっとう)がある(2)問題行動を起こす少年を強制的な手段で精神病院に入院させることが、かえって問題解決を遅らせる場合がある(3)問題を抱える家族が保健所や児童相談所などに相談しても、関係機関を「たらい回し」にされるケースが多い――と判断。検討の過程で北海道の「少年サポートチーム」の実践に注目が集まり、こうした取り組みを全国に普及させる方針を決めた。

 北海道では1996年から、道警が事務局となった「少年サポートチーム」を道内6地域で作っている。このうち札幌地区では、道警本部少年課を中心に精神保健福祉センター、保健所、児童相談所、教育委員会などの担当者に、市立札幌病院の児童精神科医も加わり、一機関では対応できない問題解決に共同で当たっている。

 扱う事件は薬物乱用や恐喝、万引きなどが中心だが、昨年は、14歳の少女による家庭内暴力の相談が持ち込まれた。引きこもりがちな少女が自宅で包丁を持って暴れ、精神的に追い込まれた母親が入院するという事態に、少女の担任教諭、児童相談員、カウンセラー、精神科医が連絡を密にしながら面接や家庭訪問を繰り返した。最終的には少女を児童福祉施設に保護し、一時的に親子に距離を置かせることで、家庭内暴力は沈静化したという。

不登校の子ども、13万人超える 文部省学校基本調査

2000.08.04(01:31)asahi.com
 1999年度に不登校で30日以上学校を休んだ小中学生が過去最多を更新し、初めて13万人を超えたことが、文部省が4日付で発表した学校基本調査の速報でわかった。前年度比では2.0%増にとどまっているものの、現在の形で調査を始めた91年度に比べて2倍近くになっている。一方、今春大学を卒業して就職も大学院への進学もしなかった人は約12万1000人と、全体の22.5%に及んだ。

 調査によると、心理的原因などで登校できない「不登校」で99年度に30日以上欠席した子どもは、小学校2万6044人(前年度比0.1%増)、中学校10万4164人(同2.4%増)で計13万208人(同2.0%増)だった。小学校で288人に1人、中学校では41人に1人が不登校になった計算になる。

 前回の98年度調査では、不登校の子どもの前年度比増加率は21.1%と高く、それに比べると今回は鈍化している。文部省は前回調査で調査項目名を「学校嫌い」から「不登校」に改めているが、省内には「子どもの側に立った名称に変更をしたためカウントする現場の抵抗感が薄れて前回は一気に数値が伸びたが、今回は落ち着いた」という見方がある。

 ただし、現場の教員には「学校の評価を落とさないため、子どもの気持ちが整っていないのに登校を指導する校長や教員が増えている」という指摘も出ている。

 高校生の進学意欲は高まっており、大学への入学を希望する人は45.1%(前年度比2.0ポイント増)で過去最高になった。ただし、短大への進学を希望する人は10.4%(2.0ポイント減)にとどまり、短大に在学する学生数も32万7682人と前年度より約5万人も減った。大学院の在学者は20万5318人と前年度より約1万4000人増えて過去最多に。そのうち、社会人学生が12.1%を占めていた。

 一方、長引く不況で、今春の大卒者の就職率は55.8%(前年度比4.3ポイント減)で過去最低になった。進学も就職もしなかった学生も約1万5000人増えて最多の12万1083人に達した。そうした人たちの動向を各大学にたずねたところ、37.0%が専修学校や各種学校、外国の学校に就学したり、各種国家試験の準備を進めていたりした。文部省は「実社会で実力を発揮できるよう、能力を伸ばそうと模索している姿がうかがえる」としている。

文部省の不登校追跡調査に5府県教委が協力拒否

03:11a.m. JST March 12, 2000
 急増する不登校生の「その後」を探るため、文部省が昨年度から委託調査研究として始めた元不登校生の追跡調査について、大阪府教育委員会をはじめ和歌山、広島、滋賀、奈良の計5府県教委が協力を拒否、神奈川、沖縄県教委などが限定的な協力にとどめていることがわかった。1993年当時に中学3年生で不登校だった2万5000人余り全員を対象にした大規模な調査だが、教委側は「指導要録のデータを本来の目的外に使用するため、個人情報保護に抵触する恐れがある」などと疑問を抱く。文部省は「すべての自治体がそろわなくても、データの回収率が統計学的に有意なものになれば問題ない」としている。

 この調査は、98年5月現在の学校基本調査で、年間30日以上の不登校生が10万人を上回ったことから、深刻に受け止めた文部省が実態を探るための委託調査研究として始めた。大阪市立大の森田洋司教授を中心とするグループが取り組んでいる。
これに対し、大阪府教委は(1)指導要録のデータの目的外使用にあたる(2)個人が特定できる恐れがある(3)生の個人データが外部(民間の研究チーム)に漏れる――ことなどから「個人情報にもっと配慮した形でないと協力できない」と判断。府内の市町村に調査要請することを見合わせたという。

 政令指定市の大阪市も調査に協力していないため、大阪府内での調査は手つかずの状態だ。このほか、「調査の意義は認めるが、電話調査は元不登校生の心にズカズカ踏み込むことになる」(滋賀、和歌山)、「保護者の協力が得られない」(広島)、「本人が触れられたくない部分を聞くことになるのでトラブルに結びつく可能性がある」(奈良)と、5府県が調査協力を拒んだ。

 一方、神奈川、沖縄県教委は、調査用紙の学校名などの欄は記入できないようにし、個人の特定をより難しくしたうえで市町村に協力依頼した。京都府教委は府内7地域で各1校のみの協力にとどめた。

 個人情報保護の審議会に諮った上で実施した兵庫県教委は「マニュアルでは家族の了解だけでも調査を進めていいことになっていたが、審議会からそれはまずいという答申を受けた」といい、本人が直接承諾した場合に限って実施したという。

 調査に協力した教委でも、「疑問の声があったが、文部省の委託調査なので信用して出した」(茨城)、「市町村によっては難色を示すところもあったが、文部省の要請でもあり、無理のない範囲でお願いした」(埼玉)など、対応に苦慮した様子がうかがえる。北海道教委は「文部省の依頼なのでやらざるを得ない。内部で検討したが、生徒に不利益はないだろうと判断した」という。

不登校の子らに相談会

1999年11月24日 16時40分 共同通信社
 不登校(登校拒否)や高校中退の子供とその家族を対象に、進路や心の悩みの相談を受け付けようと、日本青少年育成協会広島支部が主催する「もうひとつの進路相談会」が27日から島根、山口、高知、香川の4県で相次いで開かれる。開催地周辺の高校教員や、フリースクールの関係者が進路相談に、カウンセラーが不登校や引きこもりなどの悩みにそれぞれ個別に対応する。

パソコンで不登校“治療”

−−三鷹市が20日から運用 [1999/9/10]by Mainichi Interactive
 「家から教室の間のどこまでなら行ける?」「平気で会える人はだれ?」。パソコンの問いかけに不登校の子供たちがキーボードで答え、「対話」をする。こんなパソコンソフトが開発され、20日から東京都三鷹(みたか)市で実験的に運用が始まる。

 地域の教育関連情報の共有・活用システム作りを進める文部省と郵政省の「先進的教育用ネットワークモデル地域事業」(学校ネット)の一環(いっかん)。郵政省の外郭(がいかく)団体「通信・放送機構」が教育学者や教材メーカーなどの意見やアイデアを基(もと)に開発した。「不登校のあなたに(カウンセリング・シミュレーション)」と名付け、三鷹市教育委員会が配信のセンターになる。

 不登校の子供が家庭でパソコン画面に出る質問に回答し、自分自身の心理状態を整理・把握(はあく)する。やり取りは例えばこんな具合だ。
 「久しぶりに学校へ行きたいと思ったら」「教室に入ろうと思ったら」「友達から言われること」など、話題や状況(じょうきょう)ごとに分けた項目(こうもく)がイラストとともに現れる。子供が自分の関心に応じて項目を選ぶと、パソコンが次々に質問を出す。
 ただ「こうしなさい」という結論は用意されていない。問答を重ねていく過程で子供が自分を見詰(みつ)め直し、自ら考えることが最も重要だという。
 まず三鷹市内の不登校の中学生6人がこのシステムを利用する。同市教委は成果などを見て、今後の利用方法などを検討する。

 文部省によると、1998年度の小・中学校の不登校の子供は約12万人に達し、年々増えているという。

「学校イヤだ」12万人超す−−理由も多様化、大人はオロオロ[1999/8/19]by Mainichi Interactive

 文部省の学校基本調査で不登校の小中学生が全国で12万人を超(こ)えた。児童・生徒の数は減り続けているが、不登校は増え続けている。「先生を信用できない」「クラスに溶け込(とこ)めない」など、学校を離(はな)れていく子供たちの理由は多様化している。深刻(しんこく)さを増している不登校に対し根本的な解決策を持てない「大人の焦(あせ)り」が続いている。

     ◇    ◇    ◇

 不登校生らを受け入れるフリースクールは1970年代から設立(せつりつ)され始め、現在全国で約150校に上るといわれる。

 その一つ、東京都渋谷(しぶや)区のビル3階にある「渋谷高崎(たかさき)学園」には、小学生から20歳(さい)前後の若者まで約50人が通う。居場所を求める子や個別指導で大学入学資格検定(大検)準備の勉強をする若者など、目的はさまざまだ。

 高崎甬史(みちふみ)代表(55)は「不登校生は学校の受け入れ体制がしっかりしてないと戻(もど)れない。戻ってこいというだけではなく、クラスの子供たちも含(ふく)め、全体がその子を再び受け入れる共通した気持ちがないと難しい」と話す。これまでのケースでは、元の学校に「週2、3回」「午前中だけ」という形で再び通い始める子は3〜4割いたが、完全に復帰する割合は1割にも満たないという。

 都内の公立小学校教諭(きょうゆ)(49)は「学校は不登校の数字を出したがらない。実態はもっと多いはずだ」と語る。この教諭は自分が担任していたクラスから不登校の子が出た時「なぜだ」と思うばかりで「その子が何を望んでいるのかつかみきれなかった」と明かす。

 「嫌(いや)なら、無理して学校に行かなくてもいい」という対応も一般化(いっぱんか)、う三している。全国50団体(校)が加盟する日本フリースクール協会は「多くの場合、子も親も学校に戻りたい、戻ってほしいと考えている。こまめに話しかけ、聞くことが大事。勉強でも運動でも自信を持たせるようにすると戻るケースも多い」と話す。

 長野県で不登校生徒らを対象にした「浪合こころの塾(じゅく)」を開く元中学教諭の諏訪耕一(すわこういち)さん(62)は、5年前に塾を開いたころから、不登校経験者の「出社拒否(きょひ)」や会社に行くことができない社会人の相談を受けるようになり、その数が年々増加しているという。

 中学時代に不登校だった男性は、公立高校に進学。3年で中退後、カメラ部品製造会社に就職したものの「後輩(こうはい)の面倒(めんどう)も見てくれ」との上司の一言で会社に行けなくなり、退職した。

 別の男性は小学校時代から不登校で、中学卒業後に精密機械の企業(きぎょう)に就職。係長になった途端(とたん)、「部下からの仕事の相談が重荷になった」と言って辞めた。

 今では相談者の5人に1人が大人。「不登校が増えれば、将来企業社会でも同じケースが増えるだろう」と諏訪さんは指摘(してき)する。

      ◇    ◇    ◇

 不登校になった子供たちに、その理由や学校に対する思いを聞いた。

 (注=(1)いつから(2)きっかけ(3)学校に行きたいか)

◆北九州市門司(もじ)区 小1女子 (1)入学式の1週間後(2)クラスにたくさん の子がいて緊張(きんちょう)した(3)友達が行っているので行きたい

◆東京都大田(おおた)区 小3男子 (1)1年の1学期(2)いじめられた時、先生が 何もしてくれなかった(3)先生にムカつくので行きたくない

◆名古屋市 小3男子 (1)1年の最初(2)学校が騒(さわ)がしいのが何となく嫌(いや) だった(3)行きたい気持ちは7%ぐらいしかない

◆大阪府高槻(たかつき)市 小3女子 (1)1年の3学期(2)友達にきつくとがめられ た(3)毎日行くのは嫌。たまにならいい

◆京都市 小6女子 (1)5年の1学期(2)同級生に無視されたり、道具を 隠(かく)されたりした(3)勉強は嫌いではないので戻(もど)りたい

◆大阪府高槻市 中2男子 (1)中1の2学期(2)ギタリストになりたいの で勉強は関係ないと思った(3)中学は戻らないが、高校は行きたい

◆千葉県浦安(うらやす)市 中3男子 (1)小4の時と中1から(2)緊張(きんちょう)してクラス に入っていけなくなった(3)あまり緊張しなくなったので、行ってもい い

◆広島県福山(ふくやま)市 中3男子 (1)中2の1学期(2)県外から転校していじめ られた(3)いじめっ子に会うのも嫌。戻らない

◆熊本県荒尾(あらお)市 中3男子 (1)中1の1学期(2)担任に殴(なぐ)られ恐怖(きょうふ)と不 信感から(3)先生が信じられず、行きたくない

◆東京都港(みなと)区 中3女子 (1)中3の6月(2)学校は人間関係がわずらわ しい(3)担任も親も戻れと言うが、嫌だ

◆札幌(さっぽろ)市 中3女子 (1)中1の3学期(2)自然の毛髪(もうはつ)を染(そ)めたと誤解さ  れ、先生にとがめられた(3)先生を人間として認められず、嫌だ

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