TOPIC No.5-4 健康

01. 健康 byフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
02. 健康ネット
03. 目指せピンピン100歳 スポニチ健康道場
04. いきいき健康 Nikkei NeT
05. 健康日本21 2000年〜2012年
06. サプリメント一覧 (探せる見つかる専門家が評価するサプリメントとクチコミ情報) 
07. ウォーキングと健康 by Walking-style.com
08. 健康プラス 読売新聞


肉食少ないと骨折危険3倍 東北大、高齢者調査で

2010年06月21日 中国新聞ニュ-ス

 食生活が野菜などに偏って肉類をあまり食べない高齢者が、寝たきりにつながる転倒骨折をする危険は、そうでない人に比べて3倍近く高くなるとの調査結果を、東北大の研究チームが21日までにまとめた。

 調査は2002〜06年、仙台市に住む70歳以上の男女877人を対象に実施。それぞれ「野菜食」「肉食」などの食事パターンを把握した上で、骨折の有無などを継続調査した。

 調査に当たった岩崎鋼准教授(漢方内科)によると、4年間に交通事故などを除く転倒骨折をしたのは877人中28人。食生活と骨折の関連性を解析したところ、野菜を毎日のように頻繁に食べるが肉類はほとんど食べない「野菜食」の人の骨折リスクは、そうでない人に比べ2・7倍高かった。

 同様に、2日に1回程度は肉類を食べる「肉食」に当てはまる人の骨折リスクは、肉をあまり食べない人よりも2・8倍低かった。

 欧米では肉食中心の食生活は骨密度を下げるとする調査が多いといい、岩崎准教授は「意外な結論だが、欧米に比べて日本の高齢者は肉類の摂取量が少ないためかもしれない。野菜に偏りがちな人は、意識的に肉類を食べるようにしたほうが望ましい」としている。

職場健診でうつ病チェック 自殺防止、法改正へ

2010/05/29 中国新聞ニュ-ス

 厚生労働省の「自殺・うつ病等対策プロジェクトチーム」は28日、企業が実施する職場の定期健康診断でうつ病などの精神疾患に関する検査項目を盛り込んだり、失業者へのメール相談事業を強化したりすることを柱とした自殺防止対策をまとめた。

 職場でのストレスなどに起因する精神疾患や失業による生活苦から自殺するケースも多く、早期発見で症状の悪化や自殺を減らすのが狙い。

 厚労省は対策の実現に順次取り組み、健康診断の検査項目追加については、労働安全衛生法を改正、2011年度中の実施を目指す。

 健康診断での検査方法は厚労省が既に作成している56の質問項目からなる「簡易調査票」などを使い、メンタルヘルス不調者を把握。不調者への対応が適切に行われるよう、都道府県の「メンタルヘルス対策支援センター」などの臨床心理士や精神科の医師が、産業医や中小企業の管理職を対象とした研修を実施する。

 ただ、不調者の把握はプライバシーの問題などで労働者が不利益を被る可能性もあるため、そうした問題に配慮しつつ効果的な方法を慎重に検討するとしている。

 メール相談事業の強化ついては、近く周知徹底のためハローワークでリーフレットを20万部配布。ハローワークに来所した求職者を対象に心の健康状態を尋ね、深刻なストレスがあった場合は専門家とメールで相談できる仕組み。

 厚労省の07年の調査によると、職場で強い不安や悩み、ストレスがあると回答した労働者は58・0%。警察庁調べでは、昨年の自殺者3万2845人のうち、「失業」が原因は前年度比65・3%増の1071人。

油脂との賢い付き合い方 ? 管理栄養士に聞く

2010/04/09 マイコミジャーナル 時田慎也

 油脂はからだに悪いものと思われがちだが、必須栄養素。実は、現在、日本人に足りていない栄養素のひとつが必須脂肪酸だという。油脂の上手な摂り方を管理栄養士の大柳珠美氏に聞いた。

1.脂質=悪!?

 高カロリー=太るというイメージからか、脂はとにかく減らせばいいという風潮がある。だが、ヒトにとって、生命維持のため食品から摂らなければならない必須栄養素のひとつが必須脂肪酸。脂質は生命の根幹をなす細胞膜の構成成分となり、ホルモン合成や脂溶性ビタミンの吸収を助けるなど大事な役割を担っている。最近では、脂肪酸のバランスが脳機能の低下やうつ病発症にも関与していることも言われている。脂質といってもいろいろな種類があり、現在の日本人に足りない傾向にあるもの、多すぎる傾向にあるものなどを正しく把握しておくことが肝腎だ。

2.摂り過ぎに注意したいリノール酸

 リノール酸はn-6系列の多価不飽和脂肪酸で、食品から摂らなければならない必須脂肪酸である。しかし、現在の日本人は過剰摂取の傾向にあり、リノール酸を摂りすぎることによる害(心臓・脳血管系疾患、欧米型癌、アレルギー性疾患、その他炎症性疾患)が明らかにされている。リノール酸を多く含む食品は、主に植物性オイル。その他、米、スナック菓子、市販の揚げ物総菜、ドーナッツなどの揚げ菓子からも容易に摂れてしまう。毎食ごはんをどんぶりで食べ、おかずにとんかつやメンチカツなどの揚げ物を選び、サラダにたっぷりドレッシングをかけ、間食にはスナック菓子をつまみ……、という食生活は要注意だ。

3.積極的に摂りたいα-リノレン酸

 α-リノレン酸はn-3系列の多価不飽和脂肪酸で、こちらも食品から摂らなければならない必須脂肪酸。α-リノレン酸はn-6系列のリノール酸と作用を抑制しあう関係にあり、バランスが大事となる。つまり、リノール酸を摂るなら、α-リノレン酸もしっかり摂っていくことが必要。現代人は、摂り過ぎの傾向にあるリノール酸を減らし、α-リノレン酸の摂取を増やすことが大事なのだ。α-リノレン酸はしそやえごまなど緑の濃い野菜に含まれる。しそ油やえごま油は液体のオイルとしても販売されている。n-3系列の多価不飽和脂肪酸にはα-リノレン酸の他、EPA、DHAもあり、魚油をしっかり摂ることも必要となる。

4.食べる>液体

 例えばリノール酸はごはんを食べることで、αーリノレン酸は魚を食べて摂ることができる。油脂は、肉や魚、卵や大豆、ナッツや乳製品を食べることからも摂取できるという認識を持っておきたい。液体の油は「酸化」の心配があるし、また摂り過ぎてしまうことにもなる。米を食べるなら魚介類をしっかり食べること。サラダには液体オイルのかわりにくるみやアーモンどを散らすのもおすすめだ。おやつにはスナック菓子ではなく、食べる煮干しやチーズを1ピースつまむといい。

5.シチュエーションで使い分ける

 外食で揚げ物を食べる機会の多い人はn-6系列の多価不飽和脂肪酸であるリノール酸を比較的、過剰摂取しやすいため、自宅での食事では極力、液体の「植物性オイル」の摂取と揚げ物、揚げ菓子などを控えたい。ごはんのどか食いも御法度。液体の油を使いたいときは、n-6系列の一価不飽和脂肪酸であるオレイン酸を含む「オリーブオイル」を少量使うのが良いだろう。また、魚が苦手で小食であり、痩せぎみの人が、液体の油で手軽にエネルギーを補給したいときには、n-3系列の多価不飽和脂肪酸であるα-リノレン酸が豊富な「しそ油」や「えごま油」をサラダにかけたり、お味噌汁やスープなどに落とすのもいい。なお、「しそ油」や「えごま油」は引火しやすいので生食がおすすめ。また酸化しやすいので開封後は冷暗所に保存し、早めに使い切りたい。

PROFILE : 大柳珠美(おおやなぎたまみ)

 管理栄養士。NPO法人糖質制限食ネット・リボーン理事。明星大学人文学部卒業。二葉栄養専門学校卒業。都内の3つのクリニックで、糖尿病、機能性低血糖症、脂質代謝異常、肥満等、生活習慣病の治療、予防のための食事指導を担当。講演会、レシピ提案、監修等を通し、広く情報を発信。著書に『糖尿病のための糖質オフごちそうごはん』(アスペクト社)をはじめ、『糖質オフのおいしいお菓子とパン』(アスペクト社)、『満腹ダイエット』(プレジデント社)の監修等がある。

CT診断を格安・中国へ下請け…国内医師ら懸念

2010年04月06日 読売新聞OMIURI On-LINE

 医師不足などの影響で、患者の検査画像の診断をインターネットを利用して外部に依頼する医療機関が増えるなか、一部では格安サービスをうたい中国の医師への委託も始まっている。

 これに対し、放射線科医らで作る日本医学放射線学会などは、診断は日本の医師免許を持つ者が行わねばならないとの指針を作成。8日から横浜市で開かれる学会でも議論になりそうだ。

 こういった仕組みは遠隔画像診断と呼ばれ、病院や診療所で撮ったCT(コンピューター断層撮影法)やMRI(磁気共鳴画像)の画像を、放射線科医のいる施設などに送り、報告書を返信してもらう。

 中国人医師による画像診断サービスを行っているのは「日本読影センター」(大阪府)。日本人医師によるサービスの傍ら、2008年に中国への依頼を始めた。CTなどの診断を外部に依頼した場合、日本国内では1件当たり3000円前後が相場なのに対し、700〜900円で請け負う。結果は日本語に翻訳された報告書で依頼した医療機関に返送される。

 現在は総合病院や診療所など8施設と契約して、月約800件を中国側に依頼。吉村英明社長は「契約している中国人放射線科医は約15人おり、診断力はあらかじめテストしている。ただし、日本の医師免許はないため、『参考所見』という位置づけ」と話す。

 厚生労働省医事課は「最終的な診断は依頼した日本の医師が下すとすれば、医師法に触れるとは言えない」との見解だ。

 しかし、日本医学放射線学会などは、診断の質や個人情報の安全が保証されない可能性を強く懸念。「画像診断は医療行為であり、医師でない者(外国の医師免許のみ有する者も含む)が行うことは日本の法規に違反する」などとする指針を昨年11月に作成した。江原茂・岩手医大教授は「実態は、業務として日常的に日本の医療の一部を請け負っている。知識や技量も不明で、診断の質が保証できない」と話す。

 これに対し、吉村社長は「個人名は消すなど情報の取り扱いにも注意を払っている」などと学会の指針に異議を唱えており、同学会で議論になりそうだ。

 国内のCT、MRIの合計数は約1万7000台と、人口当たり先進国中で最も多い。一方、専門医は5000人程度にすぎない。民間調査会社矢野経済研究所によると、遠隔画像診断を利用する医療機関は昨年、1944施設と、10年で8・2倍に増えた。業者も50前後に上るとみられる。

「腹八分目」長寿遺伝子を活性化 金沢医科大・古家教授ら腎臓病改善の仕組み解明

2010年04月01日 北国新聞

カロリー制限が慢性腎臓病の改善につながる仕組みを解明した古家教授=内灘町の金沢医科大

 「腹八分目に医者いらず」。ことわざ通りのカロリー制限が長寿遺伝子の酵素タンパクを活性化し、慢性腎臓病を改善する仕組みを、金沢医科大の古(こ)家(や)大祐教授(糖尿病・内分泌内科学)と、滋賀医科大内科の久米真司日本学術振興会特別研究員がマウス実験で解明した。高齢化や肥満の増加に伴い増え続ける慢性腎臓病の新治療法につながることが期待され、国内28万人を超える透析患者に朗報となりそうだ。

 研究成果は31日までに米医学誌「ジャーナル・オブ・クリニカル・インベスティゲーション」で発表された。

 古家教授らは、腎臓の腎機能異常や繊維化などがみられる生後12カ月の加齢マウスに1年間、通常の餌とカロリーを40%削減した餌を与えて比較し、カロリー制限による異常の改善を確認した。

 研究ではカロリー制限が長寿遺伝子「SIRT1」を活性化し、細胞内のタンパク質を分解する機構「オートファジー」を増強することを突き止めた。

 老化による腎障害にはエネルギーを生み出す細胞内の小器官「ミトコンドリア」の異常蓄積が関係しているとみられ、カロリー制限が浄化作用を生み出し、腎臓の保護効果を発揮する仕組みを解明した。

 日本透析医学会によると、2008年末現在の国内の透析患者は28万2622人で、男女ともに55歳以降で患者数が急増する傾向にある。古家教授らの研究成果により、慢性腎臓病の新たな治療法が確立されれば、透析療法の抑止や遅延が可能となり、高齢化などによる医療費の抑制にもつながる。

 古家教授は「SIRT1によるミトコンドリアの制御は、老化によって生じる臓器障害の治療手段の開発も期待できる」と話している。

脂肪燃やすホルモン 東大が仕組みを解明

2010/04/01 日本経済新聞

 東京大学の門脇孝教授と山内敏正特任准教授の研究チームは、ホルモンの一種「アディポネクチン」が糖や脂肪の燃焼を促す仕組みを突き止めた。糖尿病患者はこのホルモンの働きが落ちて血糖値を下げるインスリンが効かなくなることが知られており、新しい糖尿病治療薬開発につながると期待される。研究成果は1日付の英科学誌「ネイチャー」に発表した。

 脂肪細胞が出すアディポネクチンは、筋肉細胞内の働きを調整する物質に働き掛け、細胞内でエネルギー代謝を担うミトコンドリアという小器官を活性化し、糖などの燃焼を促していた。この物質は運動やカロリー制限をするときも活性化し、糖や脂肪を燃焼する。

 糖尿病患者はこの物質がうまく働かないことが病気を起こす原因の一つとされる。研究チームはアディポネクチンがうまく遺伝子を働かせるような物質が見つかれば、経口投与できる新しい糖尿病治療薬になるとしている。

ヘルシーなフルコースを考案 山形のホテル

2010年03月27日 山形新聞

 山形グランドホテルが提供する低カロリーの本格フルコース。総カロリーを通常の半分以下に抑えた  山形グランドホテル(山形市)は低カロリーの本格フルコースを考案し、4月1日から提供を始める。生クリームやバターなどを極力抑えて調理。通常のフルコースの半分ほどにカロリーを抑え、より多くの人が親しめるフレンチに仕上げた。「KARADAスマイル」と銘打ち、季節感あふれるヘルシーメニューを提案していく。

  同ホテル内にあるレストランアルカスの宮林伸次調理長によると、通常のフルコースは1600キロ〜2千キロカロリーほどという。しっかりとした味わいやボリュームのままカロリーを抑えることで、「食事制限のある人や、カロリーが気になる人でも楽しんでもらえるはず」と同ホテル。管理栄養士で矢吹病院(同市)の清野由美子臨床栄養室長の協力を得て、メニュー開発に取り組んだ。

  3カ月ごとにメニューを見直し、季節に合わせたフルコースを提供していく考え。今回提供する春バージョンは7品。「スモークサーモンと小海老のカクテル 彩り野菜のピクルスを添えたサラダ仕立て」は、ドレッシング代わりに野菜をピクルスにして酸味を加え、「チキンとタピオカのコンソメドゥーヴル」は塩を使わずにコンソメのうま味を凝縮。各品とも工夫を凝らし、総カロリーを約800キロカロリー、塩分も2.5グラム以下に抑えた。

  また、魚料理の「姫鯛と帆立貝の白ワイン蒸し ほんのりカレー風味の蕪(カブ)のピュレソース」と肉料理の「牛フィレといろいろ野菜のハーブグリル レンズ豆のラグーを詰めたトマトのオーブン焼きと共に」もメニューに組み込んだ。「低カロリーだが、おなかを満たすには十分な量。女性にもカロリーを気にせずに楽しんでもらえるのでは」と話している。

  要予約で、料金は1人5900円。魚料理を抜いた場合は4700円で、肉料理を外すと3900円。レストランアルカスで提供する。問い合わせは同ホテル023(641)2611。

肝機能値「正常」で病気兆候も、個人差大きく

2010年02月08日 読売新聞YOMIURI On-LINE

 理化学研究所と東京大の研究チームが約1万5000人分の遺伝子データをコンピューター解析したところ、血液検査の結果に影響を及ぼす遺伝子が46種類も見つかった。

 肝機能を示すγ(ガンマ)GTPやGOT、腎機能をみるBUNなど7項目は、遺伝子の型によって数値が高くても健康だったり、低くても病気の兆候があるなど、数値と健康状態の間に個人差が大きく「正常値」の基準を見直す必要があることも判明。8日付の科学誌ネイチャー・ジェネティクス電子版に発表した。

 遺伝子の個人差と、血液検査20項目のデータ、実際の体の状態との関連性を計算した。心筋梗塞(こうそく)などの兆候を調べるCKという検査項目の場合、正常値の上限は195(女性)だが、無関係と考えられていた免疫系の遺伝子の型によって、191でも高すぎる人や、204でも正常といえる人がいることが判明。一人ひとりの遺伝子型に合った正常値の設定が必要なことがわかった。

大豆などイソフラボンの摂取で「肺がんリスク」軽減‐たばこをすったことのない男性

2010年02月06日 財経新聞

 厚生労働省研究班の大規模な追跡調査でたばこを吸った経験が無く、豆腐や納豆など大豆製品に含まれる「イソフラボン」を多く摂取する男性は肺がんを発症する危険性が低いことが明らかになった。

 研究班の島津太一・国立がんセンター研究員は全国9地域で45‐74歳の約7万6,000人を対象に平均11年間追跡した。この間に男性約3万6,000人中481人、女性約4万人中178人が肺がんになった。

 みそ汁や豆腐を食べる頻度をもとにイソフラボンの一種「ゲニステイン」摂取量を推定し、多い順に4グループに分類して摂取量と肺がんリスクの関連を調べた。男性のうち、非喫煙者にかぎり、イソフラボン摂取量が最も多いグループ(豆腐換算で1日約203グラム)の発症率は、最も少ないグループ(同約37グラム)の43%だった。

 たばこを吸う人は、たばこの影響が大きく差が見られず、女性は大豆製品を食べる人の方が肺がんリスクは低い傾向にあるが統計的に有意な差は出なかった。

 女性ホルモンと構造が似ているイソフラボンの摂取が肺がん発症に影響するか注目されているが厚生労働省・食品安全委員会は「現在までに入手可能なヒト試験に基づく知見では、大豆イソフラボンの摂取が女性における乳がん発症の増加に直接関連しているとの報告はない」と語っている。

粗食は長寿、がん・心疾患・糖尿抑制…サルで実証

2009年07月10日 読売新聞 YOMIURI On-Line

 カロリー摂取量を大幅に減らすと、がんや心疾患、糖尿病など加齢に伴う病気の発症を抑えられることが、アカゲザルを使った20年間の追跡調査で明らかになった。

 霊長類で、こうした効果が実証されたのは初めて。米ウィスコンシン大などのチームが、10日付の米科学誌サイエンスに発表した。

 チームは、7歳から14歳の大人のアカゲザル(飼育下の平均寿命27歳)を30匹使って、1989年に研究を開始。94年には46匹を追加した。二つのグループに分け、片方のカロリー摂取量を30%減らし、血圧や心電図、ホルモン量などを測定。死んだ場合は、解剖で死因を詳しく調べた。

 カロリー制限しないグループでは、5匹が糖尿病を発症、11匹が予備軍と診断されたが、制限したグループでは兆候は見られなかった。がんと心疾患の発症も50%減少した。また、脳は加齢とともに、萎縮(いしゅく)することが知られているが、制限したグループでは、運動や記憶などをつかさどる部分の萎縮が少なかった。

 白沢卓二・順天堂大教授(加齢制御医学)の話「カロリー制限が、長寿や高齢者の認知機能維持にも役立つ可能性を示すもので、大変興味深い」

カロリー制限で寿命延びる 米国、サルで20年間実験

2009/07/10 47News【共同通信】

 食物から摂取するカロリーを制限すると、そうでない場合より寿命が長く、かつ健康的に過ごせるとする研究結果を米ウィスコンシン大などのチームがまとめた。アカゲザルを使って20年間にわたり実験を続けた成果で、10日付の米科学誌サイエンスに発表した。

 チームは「栄養不良にならない程度のカロリー制限が、老化を遅くすることを霊長類で示せた。人間にも同様のことが起こりうる」としている。

 実験は、米ウィスコンシン国立霊長類研究センターで1989年にスタート。7〜14歳のおとなのアカゲザル計76匹を半分ずつ二つのグループに分け、片方には好きなだけ餌を与え続けた。もう一方は、最初の3カ月で餌のカロリーを約30%減らし、その後も、このカロリー制限を維持しながら飼育した。

 自由に餌を食べたグループは、38匹中14匹(37%)が糖尿病やがん、心疾患、脳萎縮など加齢に関連する病気で死んだ。一方、カロリーを制限したグループで加齢に関連する病気で死んだのは5匹(13%)。制限なしのグループの3分の1にとどまり、チームは寿命が延びたと判断した。

 アカゲザルの平均寿命は27歳前後で、40歳近くまで生きることもあるという。


フルマラソンを走る(1)完走者 約半数が中高年

2009年06月02日 読売新聞 YOMIURI On-Line

 42・195キロを走るフルマラソンの愛好者が増えている。今年3月の東京マラソン(定員3万人)には22万6000人が参加を申し込み、7倍を超える狭き門になった。

 中でも目立つのが中高年ランナーの増加だ。雑誌「ランナーズ」が、2008年度の国内大会(52レース)と一部海外レースの結果をまとめた記録集によると、男性完走者の半数、女性完走者の4割が40代以上だった。

 高齢ランナーの活躍も目立つ。70歳の最高記録は男性3時間10分、女性3時間52分と、若者も真っ青の記録だ。最高齢完走者は91歳だった。中高年ランナーの中には元マラソン選手もいるが、多くは特別な運動歴はなく、健康維持のために走り始めた人たちだ。

 福岡大学スポーツ科学部教授の田中宏暁(ひろあき)さんは「心臓などに持病がある人や、太り過ぎの人は医師に相談することが欠かせないが、高血圧や高脂血症などは走ると改善していく」と話す。

 米国のスタンフォード大学が、ランニングクラブの50歳以上の会員284人を約20年追跡した調査では、この間の会員の死亡率は15%で、走る習慣がないグループの34%を大幅に下回った。ランニングが、心疾患やがん、認知症を予防するという研究もある。

 マラソンの消費カロリーは、ランナーが食事でとる1日分の必要摂取カロリーに匹敵する=イラスト=。だから、「忍耐」や「根性」のスポーツと思われがちだが、田中さんは「マラソンは、楽に走らなければ完走できない。楽なペースで長く走る練習を続ければ、だれでも完走できるようになる」という。

 制限時間がなく、初心者でも走りやすい12月のホノルルマラソンまで半年。日本最大規模の東京マラソンまでは、8か月ある。次回は、夢の完走を達成できるという、その練習法を紹介しよう。

フルマラソンを走る(2)笑顔作れるペースで完走

2009年06月03日 読売新聞 YOMIURI On-Line

 フルマラソンの練習というと、きついイメージを抱きがちだが、福岡大学スポーツ科学部教授の田中宏暁さんは「笑顔で会話ができるペースのランニングを1日30分〜1時間続けるだけで、完走できる体力がつく」という。

 激しい疲労や息切れが起こるのは、実力以上のペースで走り、疲労度の指標になる乳酸値や心拍数が急上昇するためだ。急上昇直前の「きつ過ぎず楽過ぎない速度」(ニコニコペース)を保てば、楽に走り続けられるようになる。

 ニコニコペースでも、心肺や筋肉への適度な刺激となり、体力が向上する(上の表)。続けると、乳酸値や心拍数が上がりにくくなり、より速く、長く走れるようになる。

 田中さんは、この方法で約400人を指導し、8割を完走させた。運動習慣のない40歳代の男性は、まず1日30分のウオーキングから始め、次第に走る距離を伸ばして、5か月後にはフルマラソンを4時間51分で完走した。

 体力があっても、エネルギー源として筋肉などに蓄えられたグリコーゲン(糖質の一種)が枯渇し、途中で失速するランナーは珍しくない。ニコニコペースで走れば、「脂肪からもエネルギーが効率よく供給されてグリコーゲンの消費が抑えられ、ガス欠を起こさずに走り切れる」と田中さん。

 このような持久力は「人間が生き残るために、進化の過程で身につけた能力。42キロを走る潜在力は誰にでもある」という。

 ニコニコペースは、走った時のきつさを自己評価し、主観的運動強度(下の表)に当てはめて確認できる。心拍数も目安になり、138から年齢の半分を引いた値(初心者)が基準となる。前後10拍以上の個人差があるため、最適な値を見つけ出し、腕時計型の心拍計などで確認しながら走るとペースを保てる。

フルマラソンを走る(3)楽しくゆっくり 1日30分

2009年06月04日 読売新聞 YOMIURI On-Line

大会で数々の表彰を受けている古川さん 前回紹介したニコニコペースを実践してみよう。

 運動に自信がない人は、30分〜1時間のウオーキングが最初のニコニコペースになる。そして「途中の数分だけでも、ウオーキング並みか、それより遅い速度で試しに走ってみる。楽なのに、消費エネルギーはウオーキングの倍になる」と、福岡大学スポーツ科学部教授の田中宏暁さんは語る。

 ランニングが楽しくなったら、ニコニコペースかそれよりも遅いペースで1日30分走る。急な仕事で朝走れなかった日は「駅から会社まで、急いでいるふりをして軽く走るなど、細切れのランニングで合計30分にすればいい」。

 10キロをニコニコペースで走れるようになると、21キロのハーフマラソン、その先にフルマラソンの完走が見えてくる。10キロのタイム(分)を5・48倍して28分を引くと、フルマラソンの予想タイムが出る。10キロが60分であれば5時間1分。大会の制限時間は5、6時間が多く、6時間の大会は完走が十分視野に入る。

 ニコニコペースを知って、走り方を改めたランナーも多い。定年退職を機に64歳から走り始めた福岡市の古川三郎さん(77)は5年前、田中さんの指導を受けた。

 それまでは自己流の走りで「前半飛ばし過ぎ、後半バテてしまうことの繰り返し」だったが、心拍計を見ながら安定したペースを保って走るようになった。すると「記録を狙ってラストスパートする余裕ができました」。

 73歳で3時間50分の自己最高記録を更新。75歳まで4時間を切る記録を出し続け、年代別の表彰台の常連になった。

 「マラソンを完走した時の達成感は格別。体力に応じたニコニコペースのランニングを続け、80歳になっても楽しく走っていたい」という。

フルマラソンの予想タイムの出し方

・10キロの記録(分)×5.48−28分

・ハーフマラソンの記録(分)×2.11

(南アフリカの運動生理学者  ノックス博士の計算式)

フルマラソンを走る(4)まっすぐ着地 推進力発揮

2009年06月06日 読売新聞 YOMIURI On-Line

 同じ動作が長時間続くマラソンは、走り方の小さな癖が体の負担となって蓄積し、ケガやトラブルにつながる。そこで、正しく安全に走るための基本を、NPO法人ニッポンランナーズ理事長の金哲彦さんに聞いた。

 まずは正しい姿勢から。金さんは「腕を力任せに振って走るのではなく、肩甲骨を動かしてひじを後ろに引きながら走る」ことを勧める。

 「肩甲骨が動くと骨盤が動き、脚が無理なく前に出る。さらに背筋が伸びて、胴体(体幹)の大きな筋肉を有効に使った走りができる」

 また「着地した足に体重をしっかり乗せること」もポイントだ。初心者が陥りがちなのが、腰が引けた走り。これだと体重が後ろに残り、前に進む力が妨げられる。

 脚だけでバタバタと進む姿勢になり、ひざなどを痛めやすい。

 理想的な姿勢は、着地した足の上に上半身がまっすぐのる形=イラスト参照=。「まっすぐ着地すると地面から受ける反発力が増し、それが推進力となって楽に走れる」

 ランニングの前後には、脚の関節や筋肉のストレッチをしっかり行うことが、ケガの防止につながる。夏場は、水分補給も大切だ。

 「走る前に、100〜200ccの水分補給を行い、30分以上走る時は、途中でも必ず水分をとってほしい」

 マラソンは、中高年から始めても、若い時より長い距離を走れるようになる。大会出場を重ねるうちに、記録へのこだわりが増していく。

 だが、無理は禁物だ。福岡大学スポーツ科学部教授の田中宏暁さんは「月300キロを超える過剰なランニングはケガのもと。記録へのこだわりはほどほどにして、楽しく走ってほしい」と話す。

 無理なく、気楽に。記者も早速、始めてみよう。(佐藤光展)


イシカワ、広島大と共同開発 「カルシウム黒豆」本格販売

2009/03/16 FujiSankei business i

 豆菓子の製造販売会社であるイシカワ(広島市南区)は、広島大学と共同開発した栄養機能食品の豆菓子「カルシウム黒豆」にカカオ味を加えてラインアップを拡充し、4月から本格販売を開始する。

 「カルシウム黒豆」は、カルシウムの体内吸収効率を高める栄養成分の配合比などに工夫を凝らしており、1袋(14グラム)を食べると、成人1日分のカルシウム必要量(700ミリグラム)の72%を補給できるという。

 昨年7月発売の抹茶味に続いて、カカオ味を投入し、全国のドラッグストアなどの小売店や通信販売を中心に販路の開拓を目指す。価格は31袋入りの1箱が3600円(税込み)。5年後に年間1億円の販売を目指す。

 イシカワは、「カルシウム黒豆」の開発にあたり、2007年度に広島県の助成事業「ひろしま産業創生補助金」の採択を受け、広島大学大学院医歯薬学総合研究科の丹根一夫教授らの研究グループと共同開発を進めてきた。

 研究テーマは「骨密度改善のための豆菓子」。カルシウムは、健康な骨や歯を維持するために必要な栄養素だが、体内にやみくもに摂取するのではなく、効果的に吸収させる必要がある。

 イシカワ・広島大の研究グループは、カルシウムとマグネシウムを重量比で2対1で摂取すると効率良く体内に吸収できることなどの知見を得て、製品に応用した。

 豆菓子に投入するカルシウムは、カキ殻をリサイクルして粉末化した「カキ殻カルシウム」という天然素材を活用し、環境問題にも配慮している。

 また「カルシウム黒豆」による骨密度改善の有効性を検証するため、広島大学で動物実験などを行った。その結果、骨粗鬆(こつそしょう)症モデルマウスに対する骨形成促進効果を確認。昨年5月には「骨強化補助食品」として、イシカワと広島大学の連名で特許出願をした。

 イシカワは1927年創業。豆菓子などの取扱品目は約1000アイテムにのぼる。長年愛好されている各種豆菓子に加え栄養機能食品の開発などで商品の高付加価値化を図っている。年商は約10億円。従業員は55人。商品の問い合わせはフリーダイヤル0120・176008。ウェブサイトはhttp://www.ishikawa-net.co.jp

               ◇

【用語解説】栄養機能食品

 特定の栄養成分を含むものとして厚生労働大臣が定める基準に従って栄養成分の機能の表示をする食品。具体的には健全な成長、健康の維持に必要な栄養成分の補給を目的とした食品で、高齢化、食生活の乱れなどにより、通常の食生活が難しく、1日に必要な栄養成分を摂取できない場合に、その補給のために利用する。2001年に厚生労働省が創設した制度により定めた。

心臓をいたわる(1)攻撃的な性格は要注意

2009年03月11日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 心臓は1日10万回、休むことなく拍動し、全身に血液を送っている。まさに命の源だ。

 最大の敵が「虚血性心疾患」。心臓の筋肉に酸素などを届ける「冠動脈」が詰まって心筋の一部が壊死(えし)する「心筋梗塞(こうそく)」と、狭まって胸痛を繰り返す「狭心症」など、心臓病が原因で亡くなる人の4割以上を占める怖い病気だ。

 「虚血性心疾患になりやすい性格があります」。そう話すのは榊原記念クリニック分院(東京・新宿)副院長の伊東春樹さん(循環器内科)。

 米国の複数の研究が根拠だ。性格や行動が攻撃的、挑戦的な人を「タイプA」、これと反対に内向的で、のんびりして目立たない人を「タイプB」と分類。虚血性心疾患の発症率を比べると、タイプAはタイプBの約2倍にもなることが分かった。「A」は英語のアグレッシブ(攻撃的)の頭文字で、「B」には特別な意味はない。

 伊東さんは「タイプAの人は、慢性的にストレスを受けている状況にあり、ストレスホルモンが多く放出されて血管が収縮し、狭心症などを起こすのではないか」と説明。「最近は、とりわけ攻撃性や怒りの感情が関係していることが分かってきた。趣味などを持ってリラックスすることが大切」と助言する。

 怒りや不安、うつ症状などの特徴がある「タイプD(ディプレッション=憂うつのD)」と、虚血性心疾患の発症率の関係も調べられている。ただし、今のところ、証明には至っていない。

 ちなみに、感情を抑えて周囲に同調する傾向がある人はストレスのため、がんになりやすいのではないか、と「タイプC(キャンサー=がんのC)」の研究も行われているが、未解明という。

心臓をいたわる(2)不整脈も様々 見極め必要

2009年03月12日 読売新聞 YOMIURI On-Line

 突然、胸がドキドキして「心臓病ではないか」と不安になった経験がある人も多いのでは。健康な心臓は、右上部の「洞結節(どうけっせつ)」から出る電気信号に合わせて1分間に60〜100回、規則正しく拍動する。このリズムが崩れるのが「不整脈」だ。

 不整脈は、脈が速くなる頻脈性不整脈(1分間の心拍数が100回超)、脈が遅くなる徐脈性不整脈(同60回未満)に大別される。怖い不整脈と、怖くない不整脈は、どう見分ければよいのだろうか。

 済生会中央病院(東京・三田)副院長の三田村秀雄さん(循環器内科)によると、たまに脈が飛んだり、乱れたりする程度なら、治療が不要なケースが多い。また、運動や緊張で徐々に鼓動が強く速くなるような動悸(どうき)は健康的な反応であり、問題はない。

 症状が強い場合は要注意だ。急に血圧が下がり、めまいや失神などが起きた場合は危険な不整脈の可能性があり、きちんとした治療が必要となる。しかし、それは不整脈全体の1割にも満たず、三田村さんは「気になったら病院で検査を受けてほしい」と助言する。

 心拍を起こす電気信号をとらえて不整脈の有無を調べる「心電図」、携帯式の検査装置を24時間装着して記録する「ホルター心電図」の検査で、たいていの危険な不整脈は見つけることができる。

 しかし、心臓下部の心室が不規則に震え、血液を送り出せなくなる「心室細動」は突然、発生するので、事前の検査での察知が難しい。

 体外から電気ショックを与えて心室細動を止める「自動体外式除細動器(AED)」が学校、駅、コンビニなどに置かれ、一般人でも使うことができる。消防署などがAED講習会を開いているので、一度、参加してみよう。

心臓をいたわる(3)心拍数減ると 寿命延びる

2009年03月13日 読売新聞 YOMIURI On-Line

 一生の間に打つ心拍の合計は、どんな哺乳(ほにゅう)類でもほぼ15億拍(回)で同じ――。様々な生物学者らがこんな調査結果を発表してきた。東邦ガス診療所(名古屋市熱田区)所長の林博史さん(循環器内科)は「心拍が速いとエネルギー消費量が多くなるので寿命が短くなる」と説明する。

 林さんは1997年、この理論の人間への応用方法を提唱した。人間は、高度に脳が発達し、多くのエネルギーを必要とする。ほかの哺乳類のエネルギー消費量との比較などから、人間の総心拍数は「24億拍」ほどになると割り出した。

 そこから導かれる心拍数と寿命の公式は――。

 「寿命(分)=24億拍÷1分当たりの心拍数」

 すると1分間の心拍数が70回なら寿命は約65年。心拍数60回なら約76年……(1年を52万5600分として計算)。「近年の医療の進歩を勘案すると、現代人の寿命は、この公式プラス5歳くらいが妥当だろう」と林さんは言う。

 心拍数と寿命の関係を示す研究結果がある。

 フランスの研究では、65〜70歳の健康な男性約1400人が85歳まで生存できた割合を調査。心拍数が60回未満の人の生存率を1とすると、60〜80回の人が0・86、80回超の人が0・58だった=グラフ=。

 東北大の研究によると、心臓病が原因の死亡率は、心拍数が1分間に70回未満の人に比べて、70回以上の人は約2倍の高さだった。

 心拍数を減らすことができれば、寿命が延びる可能性がある。林さんは「手軽で効果的なのはウオーキング。腕を振って、大またでの速歩きを毎日15〜20分、一生続けてほしい」と話す。ただし、極端に心拍数が少ない「スポーツ心臓」は、逆に短命になるとも言われる。何ごとも、ほどほどが大切だ。

心臓をいたわる(4)歯周病菌でも心疾患に

2009年03月14日 読売新聞 YOMIURI On-Line

 中高年が歯を失う一番の原因は歯周病だ。歯と歯茎の間にたまった歯周病菌が毒素を出し、歯茎の腫れ、歯を支える骨の破壊を引き起こし、最後は歯が抜けてしまう。

 この歯周病菌が実は心臓病まで引き起こす可能性がある。米国の研究では、歯周病がある人は、ない人に比べ、心筋梗塞(こうそく)や狭心症などの「虚血性心疾患」を発症する危険性が1・2〜1・5倍になることが分かった。

 東京医科歯科大外科・血管外科講師の井上芳徳さんによると、次のような仕組みだ。

 歯周病菌は血液の流れに乗って、心筋に酸素などを送る冠動脈に届く。菌は血管壁に潜り込んで、炎症を引き起こす。硬く変化した血管壁が破れると、たまっていた脂肪分が血管内に流出し、血液の塊ができて心筋梗塞などを引き起こす。

 歯の病気が心臓にまで及ぶとは何とも怖い話だが、歯周病を防げば、心臓病になる危険度は低下する。井上さんは「歯肉が赤くなったり、腫れたりしていないか、毎日、鏡を見て、チェックを」と注意を促す。

 怖い話にはまだ続きがある。心臓に悪さをするのは歯周病菌だけではないのだ。

 米国の研究者が、〈1〉肺炎の原因となるサイトメガロウイルス〈2〉同じく肺炎を起こすクラミジア〈3〉胃炎などを起こすピロリ菌〈4〉口唇ヘルペスなどを起こす単純ヘルペスウイルス1型〈5〉A型肝炎ウイルス――の5病原体の感染と、虚血性心疾患の発症率の関係を調べた。

 すると、感染が0〜1種類の場合の発症率を1とすると、2〜3種類なら約2倍、4〜5種類なら約4倍という結果が出た。

 心臓はこのように様々な脅威にさらされながら働き続ける。そんな心臓に感謝し、いたわってあげましょう。(坂上博)


緑茶カテキンでポリープ再発予防 がん予防に可能性

2008年10月11日 中国新聞ニュ−ス

 緑茶成分のカテキンを含む錠剤を飲み続けると大腸ポリープの再発が抑えられることを、岐阜大医学部の清水雅仁助教や森脇久隆教授らが臨床試験で確かめた。名古屋市で28日から開かれる日本癌学会で発表する。

 大腸がんのもとになるポリープの再発予防が緑茶錠剤の臨床試験で実証されたのは初めてという。手軽な緑茶錠剤によるがん予防の可能性をうかがわせる成果といえる。

 臨床試験には、岐阜大病院など岐阜県内の4病院が参加した。大腸ポリープを内視鏡で切除した125人のうち60人に緑茶錠剤3錠(計1・5グラム、6杯分)を毎日飲んでもらい、飲まない65人と、1年後に大腸を内視鏡で検査して、ポリープ再発率を比べた。

 再発率は、緑茶錠剤を飲まなかった人では31%だったのに対し、錠剤を飲み続けた人たちでは15%と明らかに低かった。再発したポリープのサイズも、錠剤を飲んだ人で小さい傾向があった。

 緑茶錠剤を飲んでも、1日に緑茶を飲む量が3杯以下と少ない人の再発率は60%と高かった。毎日飲む緑茶が多いほど、ポリープの再発が抑制されることも裏付けた。

野菜・果物で食道がんリスク減少 飲酒・喫煙者では顕著

2008年08月16日 asahi.com

 たばこを吸い、お酒をたくさん飲む人は食道がんにかかるリスクが大幅に高くなる。だが野菜・果物を多く食べると、そのリスクは大きく低下することが、厚生労働省研究班の調査でわかった。

 全国各地に住む45〜74歳の男性約3万9千人にアンケートし、食事や喫煙、飲酒など生活習慣を聞き、平均約8年間追跡した。期間中に116人が食道がんにかかった。

 野菜・果物を食べる量も計算。1日540グラム前後の「たくさん食べる」群と、320グラム前後〜170グラム前後の「それほど食べない」群に分類して解析した。

 それほど食べない群でたばこを吸わず、酒は1日に2合未満の人が食道がんにかかるリスクを1とすると、それほど食べない群でたばこを吸い酒を2合以上飲む人のリスクは7.67倍。だが、たくさん食べる人は、たばこを吸い酒を2合以上飲んでもリスクは2.86倍に抑えられた。

 全体に野菜・果物を食べる量が増えるとリスクは低下する傾向にあり、摂取量が1日100グラム増えるとリスクは約10%下がった。

 ただ、喫煙や飲酒でリスクが高まることに変わりはない。解析を担当した国立がんセンター予防研究部の山地太樹(やまじ・たいき)研究員は「食道がんを防ぐには、まず禁煙と節酒。そのうえで、野菜や果物をたくさんとることが大切」という。

イソフラボンで乳がん減少 2万5000人の疫学調査

2008年03月07日 中国新聞ニュース

 大豆などに含まれるイソフラボンの一種「ゲニステイン」の血中濃度が高い女性は、低い女性に比べ乳がんになる危険性が約3分の1となるとの疫学調査を、厚生労働省研究班(主任研究者・津金昌一郎国立がんセンター予防研究部長)が7日発表した。血中濃度は食事として摂取する量に比例して高くなるという。

 調査は岩手、秋田、大阪など9府県の40−69歳の女性約2万5000人を平均で10年半追跡。この間に乳がんになった144人と、ならなかった288人について、保存してあった血液の成分を比較した。

 血中のゲニステインの濃度で対象を4グループに分けた結果、中央値が血液1ミリリットル中に約354ナノグラム(ナノは10億分の1)と最も多いグループは、約32ナノグラムと最小のグループより乳がんの危険性が3分の1と低かった。もう一つのイソフラボン「ダイゼイン」では同様の関連はみられなかった。

「ポンカン善哉」

2008年02月14日 AGRA紀伊民報
 

 このごろ地元産品を売る店へ行くのが楽しい。ストレス解消にもなる。外は寒風が吹いていても、いろいろな顔をしたミカンが、買って買ってと客を呼んでいる。

 ▽こんなミカンたちを眺めていると、さすがに紀州はミカン王国だと実感する。私事だが、実をいうと、ミカンは酸っぱいという先入観があって苦手なのである。

 ▽ところが先日、山積みされたポンカンがあまりにも色つやがよく、ふくよかでおいしそうだったので、大きめのものを選んで7個入りの袋を買って帰った。そのおいしかったこと。全く酸っぱ味がなく、甘い。それにまた香りが良い。単純だがその日からポンカンにはまってしまった。

 ▽誰かの川柳に《ポンカンの香り豊かに孫の指》というのがあったのを思い出した。ポンカンをむいた幼い手がいつまでも香るのであろう。店にはポンカンのほかに、デコポン、葉付温州、ハッサク、といったミカンが並んで、ミカン好きにとってはこたえられない情景だ。

 ▽ミカンなど、果物を毎日たっぷり食べる人は、脳卒中や心筋梗塞(こうそく)といった、循環器の病気にかかりにくいという疫学調査結果がある。良いのは分かっているから、食べるミカンの範囲を広げていこうかと思っている。

 ▽ミカン嫌いの人はポンカンから入るといい。南紀のポンカンは甘くて、ミカン嫌いを転向させる力があるようだ。(香)

「しわ」改善を確認…筋肉内成分の効果、資生堂が商品化へ /「カルノシン」欧米では疲労回復サプリメント

2007/10/24 FujiSankei Business i.

 資生堂は23日、筋肉組織に存在する生体成分「カルノシン」に、しわを改善する効果があることを突き止めたと発表した。カルノシンは筋肉疲労を起こす乳酸の影響を抑制する効果があるとされ、欧米では疲労回復のサプリメントなどに用いられている。高齢化の進展で、アンチエイジング(抗加齢)化粧品へのニーズが拡大すると予想されることから、同成分を活用した化粧品の商品化に取り組む方針だ。

 資生堂の調べによると、女性が抱える肌悩みのうち、中高年ではしわに関するものがもっとも多い。しわの原因は、加齢に加え乾燥や紫外線など環境ストレスの影響が指摘されている。加齢でできたしわは、環境ストレスによって皮膚の下の真皮や基底膜がダメージを受け、さらに悪化する仕組みだ。

 一方、強い抗酸化効果をもつカルノシンは、老化につながるタンパク質の変性を抑制するため、しわを抑える効果が期待されていた。このことを資生堂が初めて科学的に実証。細胞試験によってカルノシンが、真皮をつくるコラーゲンや基底膜の中心的成分である「ラミニン5」の生成を促進することを確認できたという。

 同社は実際にカルノシン配合のクリームと無配合のクリームをそれぞれ2カ月間、被験者の目元に塗布する実験も行った。目元のしわを専用の解析装置で分析するとともに、皮膚科医による写真評価の結果、カルノシン配合のクリームを使った場合、「掘りが浅くなる」「視覚的に改善する」など、しわを改善することが分かった。

 資生堂では「皮膚の下の真皮にまで働きかける成分は珍しい。現在、肌の悩みを解決する商品の開発を進めている」と話している。

“血液サラサラ”効果のタマネギ 「ゴクリ」が新しい

2007/09/23 The Sankei Shimbun WEB-site

 “血液サラサラ”効果で知られる食物といえばタマネギ。オニオンスライスにしたり、すりおろしてドレッシングに使ったり…。工夫しながら毎日せっせととっている人も多い一方、手間なく栄養成分をとることができる“たまねぎ飲料”が注目を集めている。(榊聡美)

 ■中高年に人気

 その名もずばり「飲む玉葱(たまねぎ)」は、200ミリリットル入りのペット飲料。韓国で開発・製造されたものを日本人向けに改良し、発売したところ、50代以上の健康志向の中高年によく売れ、30%以上がリピーターというヒット商品になっている。

 輸入元であるコピス(福岡市)の立川皓第専務はこう説明する。

 「血圧が高い人は医者に『タマネギを煎(せん)じて飲みなさい』といわれるようですが、現実的には難しいし、タマネギの健康成分を得るためには半分程度食べればいいのですが、毎日となると大変。ジュースだと手軽に続けられると好評です」

 まとめ買いする人が多いのも特徴だという。

 タマネギ特有の辛みやにおいを想像し、恐る恐る飲んでみたら、リンゴ果汁やはちみつを加えてあるので甘くて飲みやすい。口にわずかに残る風味や香りがタマネギを感じさせるのみだ。

 焼酎を割ってヘルシーチューハイにしたり、リンゴジュースで割って飲んだりする人もいるという。

 ■注目の抗酸化性

 タマネギが注目されている理由の一つは「ケルセチン」という抗酸化成分にある。ケルセチンを含む代表的な食物がタマネギなのだ。

 「ケルセチンは植物が生産する黄色色素で、フラボノイドの仲間です」と説明するのは、食品総合研究所、食品機能研究領域長の津志田藤二郎さん。

 「ケルセチンの強い抗酸化性が、動脈硬化の原因となるLDL(悪玉コレステロール)の酸化抑制や、老化の抑制、あるいは遺伝子の酸化傷害を抑えることによるがんの予防などにも関与すると推定され、研究が進められています」

 では、効率的に摂取するには、どうしたらいいのか。

 「ケルセチンの多くは、糖と結合した配糖体として野菜などに含まれます。タマネギの組織からケルセチン配糖体がよく溶け出るのは煮物です。また固形の状態よりジュースの方が溶け出る量が多くなります」

 ■無理なく習慣化

 このケルセチンに着目したのが先月、キッコーマンが発売した「デルモンテ たまねぎ習慣」(内容量920グラム)。

 ニンジンやトマトなどの緑黄色野菜をベースにしたタマネギ飲料で、本州で主に栽培されている「ターザン種」と比べ、約2倍のケルセチンを含む北海道産タマネギ「スーパー北もみじ」を使用している。

 タマネギをピューレ状にする際、瞬間的に加熱破砕する特許製法で、タマネギ特有の辛みや苦み、くさみを減らし、甘みを引き出しているという。

 特有のクセをカバーし、飲みやすくしてあるタマネギ飲料。「タマネギは苦手」という人も試してみる価値はありそうだ。

ゾーンダイエット 比率「4・3・3」で脂肪燃やす

2007/09/05 The Sankei Shimbun WEB-site

 栄養素を適切な割合で取ることで、ホルモンのバランスを整え、体脂肪が燃えやすい体を作ろうという「ゾーンダイエット」が注目されている。単にカロリー摂取量を減らしたり、特定の食品を食べ続けたりする従来の方法とは一線を画す、体に優しいこのダイエット法。医療機関や外食チェーンでも取り入れる動きが出てきている。(田辺裕晶)

米国生まれ

 日本国内での商標権を持つ「ゾーンジャパン」(東京)の粕谷紀彰広報部長によると、ゾーンダイエットは米国の生化学者、バリー・シアーズ博士が提唱したダイエット法。毎日の食事で炭水化物、タンパク質、脂肪のカロリー比率を4・3・3の割合で取ることで、急激なインシュリンの増加を抑えるなど体内のホルモンバランスを整える。その結果、体脂肪が燃焼しやすくなるほか、血糖値が安定して脳が効果的に働くようになるという。

 「ゾーン」とはホルモンのバランスがとれた状態を意味する。指定の割合で栄養素をとれば4〜6時間はゾーンを維持でき、この間は空腹を感じにくくなるという。

 同社では昨年11月、東京・白金にゾーンダイエットに基づいた料理を提供するレストランをオープン。ヘルシー志向の若者や家族連れでにぎわっている。また今月中には理念を生かしたスイーツのシリーズもデパ地下などで発売する予定だ。

糖分抑える

 「MRCビルクリニック」(東京)の佐々木淳院長は、2年半前からメタボリック症候群の患者の食事指導などにゾーンダイエットの理念を取り入れている。

 佐々木院長は「脂肪分を減らして総カロリー数を制限する従来のダイエット法では、相対的に炭水化物など糖分の割合が高くなる。糖分は消化が早いため、すぐ腹が減るほか、中性脂肪は糖分から作られるため摂生している割には体重が減りにくかった」と話す。

 これに対し、ゾーンダイエットはタンパク質を多く取り、炭水化物の摂取量を少なくするのが特徴だ。この結果、「従来のダイエットでは一緒に減らしてしまった筋肉を維持しながら、脂肪を減らすことができる。さらにタンパク質は消化が遅いため空腹を感じにくく、継続しやすい」と解説する。

 平成18年3〜6月に行った臨床試験では、被験者34人にゾーンダイエットの食事を4週間与えた結果、平均で体重が4.2キロ、体脂肪率が3.4%減少したという。

焼き肉でも

 米国では冷凍食品や菓子などにも活用されているゾーンダイエットだが、国内では入ってきたばかり。そんななか、「レインズインターナショナル」(東京)は12日から、経営する焼き肉チェーン「牛角」の首都圏や甲信越、四国など447店舗で、この理念を取り入れたメニューを導入する。

 高カロリーから焼き肉を敬遠する女性客の声に配慮し、「焼き肉だけれど太らない、ヘルシーなメニュー」を模索するなかで、ゾーンダイエットに行き着いたという。

 野菜で包んだカルビや野菜のホイル焼き、食物繊維が豊富な玄米などを組み合わせた2種類のセットは、いずれも野菜をふんだんに盛り込んでいるため1000キロカロリー以下。だが、焼き肉屋に期待される満腹感は損なわないよう工夫した。8月1日から都内などの5店舗で先行販売しているが、「これだけ食べてこのカロリーとは」と、客の反応は上々だという。

 一般の家庭でゾーンダイエットを試すにはどうしたらいいだろうか。栄養割合を計算した食事を3食取り続けるのは大変だ。しかし、佐々木院長によると「普段の食事で、主食のみを半分にすれば、だいたい4・3・3の割合にできます」という。厳密に実践するには食材ごとの成分を調べる必要があるが、佐々木院長は「ダイエットは継続することが大事。難しいことは考えずに、大ざっぱにやってみては」とアドバイスしている。

腸内環境悪化の今こそ…ヨーグルト新商品続々

2007/07/09 FujiSankei Business i.

 健康にいい食品の代名詞ともいえるヨーグルト。参入メーカーも多く、スーパーへ行くと、どれを手に取っていいのか迷ってしまうほど。どれも乳酸菌を使って発酵させるため、整腸作用があるのは事実だが、免疫力向上など新たな働きをアピールするメーカーも出始めた。

 ■野菜とコラボ

 ヨーグルトは定義上、1ミリリットルあたり1000万個以上の乳酸菌の使用が義務づけられている。乳酸菌は、主に大腸を刺激して、腸の動きを活発化。便秘や下痢を改善・予防してくれる。体内にもともと存在し、大腸菌など、腐敗物を作り出す「悪玉菌」の力を弱める作用を持つことから、「善玉菌」とも呼ばれているが、年をとるのに従って乳酸菌は減少する。

 アサヒビールの子会社エルビー(埼玉県蓮田市)が着目したのは健康イメージの高い野菜との相性。31日に発売する「朝の1食・野菜ヨーグルト」は、野菜の臭みを抑える効果を持つ乳酸菌を組み合わせた「LbPI−4」を使用し、「1日の摂取目安といわれる40グラムの緑黄色野菜汁が、手軽に摂取できる」(営業本部マーケティング部の増田英俊氏)という。

 ■ビフィズス菌

 ヨーグルト業界2位の森永乳業が発売以来29年間こだわり続けているのが、乳酸菌の一種であるビフィズス菌のBB536。酸や酸素に強く、生きたまま腸に届きやすいのが特徴で、「体内免疫バランスの改善や、花粉症の症状の軽減、アレルギー抑制に効果が見込める」(竹立宏志デザート・ヨーグルトマーケティング部長)という。同社は、プレーンタイプのヨーグルト「ビヒダス」にこのビフィズス菌を使っている。

 このほか、最大手の明治乳業は1973年、整腸作用が強いとされる定番のブルガリア菌とサーモフィラス菌を組み合わせたLB81を採用した「明治ブルガリアヨーグルト」を発売。今年9月にはすっきり味の新タイプも投入する。

 ■植物性乳酸菌

 野菜飲料最大手のカゴメもヨーグルト関連商品を市場投入する。大豆発酵食品のため、ヨーグルトではなく生菓子に分類されるが、野菜飲料で使用した植物性の乳酸菌「ラブレ菌」を使用。ヨーグルトタイプとして今月10日から発売する。同社によると、ヨーグルトに使われる動物性乳酸菌よりも「植物性のほうが腸内で10倍長く生きるため、採用を決めた」(広報部)という。既存メーカーには実質的なカゴメのヨーグルト市場参入と映っており、気になる存在だ。

 現在、薬事法により、効能はうたえないため、訴求しづらいのが実情。市場規模の横ばいが続く要因ともいわれている。ただ、「高脂肪のファストフードや繊維質の少ない食品ばかり食べる若者が増え、腸内環境が悪化してきている」(森永乳業)現状には最適な“健康支援”食品ともいえ、メーカー各社は潜在的な需要開拓に向け新商品開発にしのぎを削る。

大腸がんインスリンも関係 分泌多いと高リスク

2007年03月01日 中国新聞ニュース

 血液中の糖分を筋肉などが取り込むのを促すホルモン、インスリンの値が高い男性は、低い男性に比べ最大で3倍程度、大腸がんになりやすいとの疫学調査結果を、厚労省研究班が1日発表した。

 こうした人は肥満や高インスリン血症、糖尿病に陥っている恐れがあり、ホルモンバランスが崩れることも加わって発がんを促している可能性があるという。

 インスリンは健康診断などで一般的に測定されてはいないが、研究班の大谷・群馬大助手によると、生活習慣を改善し肥満を解消すれば、低下させるのに役立つ。同助手は「将来は、大腸がんのリスクを評価する指標にインスリン値を使えるかも」としている。

 研究班は、全国9地域で40−69歳の男女約4万人を、1990年から2003年まで追跡。体内でインスリンがつくられる際にできる副産物でインスリン測定の代用になる「Cペプタイド」の血中濃度と大腸がん発症との関係を調べた。

運動する男性 大腸がんリスク3割減

2007/02/20 The Sankei Shimbun WEB-site

 仕事やスポーツで体を動かす習慣のある男性は、あまり運動しない男性に比べ大腸がんになる危険度が約3割低いことが、厚生労働省研究班(主任研究者・津金昌一郎国立がんセンター予防研究部長)が20日発表した疫学調査で分かった。運動によるがん予防効果が改めて裏付けられた形だ。

 研究班は平成7年から14年まで、全国9府県で40〜69歳の男女約6万5000人を調査。1日の運動量に応じて参加者をグループ分けし大腸がん発症との関係を調べた。

 その結果、男性のうち運動量が多いグループほど大腸がんリスクが低くなることを確認。肉体労働や激しいスポーツを日常的にしている人は、ほとんど運動しない人に比べ、発症の危険度が約30%低下していた。うち結腸がんは40%以上少なかった。

 女性では今回、同様の傾向が確認できなかった。研究班は「家事に対する質問が不十分で、女性の身体活動量をうまく評価できなかった可能性がある」としている。

若い女性に腹巻き人気 健康効果、医者も注目

2007/01/22 FujiSankei Business i.

 いま若い女性に「腹巻き」が人気だ。大手下着ブランドからおしゃれな腹巻きが相次いで登場、愛用者が増えている。主に寒さ対策として使われる腹巻きだが、実は防寒以外にも、新陳代謝を正常に保ったり免疫力を上げるなどのさまざまな健康効果があり、医者も注目している。

 「腹巻きの人気はとても良い傾向」とは、東京女子医科大学付属青山自然医療研究所クリニックの川嶋朗所長。おなかの冷えは全身の冷えにつながるため、健康面で大きな危険をはらむからだ。冷えは万病のもとだと川嶋所長は強調する。最大の問題は、冷えによる血流低下。酸素や栄養を運ぶ役割の血流が悪くなると細胞の働きが鈍り、新陳代謝も悪化、老廃物排出も滞るため血栓のリスクも出てくる。

 第二の問題は、低体温では酵素がうまく働かないこと。酵素は体内のさまざまな化学反応にかかわるため、酵素反応の悪化が脂肪代謝に影響すれば生活習慣病につながる可能性もある。また“心の健康”にも冷えが関係すると説く。「鬱病(うつびょう)の人のおなかを触ると必ず冷たい」。冷えて血流が低下すると脳内のセロトニン分泌が鈍るためだという。

 冷えの解消には、局部的でなく全身の血流を良くするのがポイント。その意味で腹巻きは有効だ。川嶋所長は昨年、太ももを温めると白血球が増加し免疫力が上がることを実証した。太ももには多くの筋肉が集まり、温めれば全身の血流アップに直結するからだ。「手足など末端を温めるより、おなかや太ももなど体幹を温めるほうが効果的」。さらに、おなか(小腸)には全身のリンパ球の7割が存在するため、温めれば免疫力が向上。女性の場合は子宮も温まるので、生理痛対策としても役立つ。

 女性にとって冷えは、大きな悩み。昨年花王が行った冷えについての意識調査(女性約1000人対象)でも、冬の寒さと夏の冷房で一年中冷えを訴える人が3割強もいた。今季、ワコールホールディングス(京都市南区)の若い女性向け下着ブランド、ウンナナクールが発売した薄手の腹巻き「ちくわ」や、女性下着通販大手ピーチ・ジョン(東京都渋谷区)の「HARAマキ」シリーズのような、ファッション性の高い商品が相次ぎ登場し、クチコミで人気が広がった。

 特に「ちくわ」は、50センチのロングタイプと、好きな長さにカットできる切り売りタイプがあり、腹巻きでありながら首に巻いたり胸元からチラリと見せるなど、自分なりの使い方ができる点が受けている。おしゃれに防寒しながら健康に。腹巻きは、女性の強い味方といえそうだ。(小坂真里栄)

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【用語解説】セロトニン

 脳内ホルモンと呼ばれる神経伝達物質のひとつで、必須アミノ酸のトリプトファンから合成される。不安やイライラを抑える鎮静作用をもち、鬱病(うつびょう)やパニック障害などとも深くかかわることが分かっている。

青柿がコレステロール抑制 高脂血症改善に効果期待

2006年11月29日 中国新聞ニュース

 岐阜県生物工学研究所などの研究グループが29日までに、成熟する前の青柿に血中コレステロールを抑制する効果があることを動物実験で発見した。高脂血症などの改善への活用が期待できるほか、成熟する前に間引くため捨てるしかなかった青柿の実の有効利用が可能になるという。

 研究グループが、高カロリーの餌に未成熟の柿の粉末を10%混ぜたものをマウスに与え、14週間後に柿の粉末を混ぜない高カロリー餌を与えたマウスと血液を比較したところ、血中のコレステロールが約23%少なかった。

 同グループは、青柿を与えたマウスの肝臓でコレステロールが分解されてできる「胆汁酸」の合成が活発化していることから、血中のコレステロールが取り込まれ、血中量が低下したと分析している。

 青柿は実の状態だと渋くて食べられないため、粉末化した。甘柿と渋柿の2種類で試したところ、どちらも同様の効果が得られたという。県は「特定保健用食品や薬品への実用化を目指したい」と話している。

アルツハイマーの防止に1日1杯の赤ワイン?

2006/10/26 IZA

 1日1杯の赤ワインがアルツハイマー病の予防に効果があることが、複数の調査で明らかになった。ただし、飲みすぎは他の疾病の要因になり、ワインさえ飲んでいれば非健康食品を食べても良いというわけではない、と専門家はクギをさしている。

 サウスカロライナ医科大のナラヤン・ブハトさんらは実験用ネズミを使って飽和脂肪やコレステロールの多い食品の影響を調べた。

 その結果、これらの食品を2カ月にわたって与えられたネズミは迷路の中で正しい道を探す能力が著しく劣ることが分かった。

 同時にアルツハイマー病の原因といわれる脳内の有害タンパク質ベータアミロ

イドの量が多かった。

 一方、神経学会誌の10月号は動物性飽和脂肪食品をあまり食べず、果物や野菜、全粒粉食品と適量の赤ワインを飲む地中海周辺の住民には米国風の食事を日常的にしているものよりアルツハイマー病の危険が少ないとの記事が紹介された。

 ニューヨークのマウントサイナイ医科大のジウリオ・パスチネッチさんらが11カ月間、ネズミに少量の赤ワインを与え続けた後、知能テストを行ったところ、迷路での判断の速さ、記憶の鮮明さが他のネズミより優れていた。

 だが、デューク大のアルツハイマー病専門医ミュラーリ・ドレイスワミーさんは「ワインなど単一の食品が他の非健康食品の害を相殺してくれると思わないこと。ダブルチーズバーガーを一杯の赤ワインが洗い流し、脳によい効果を与えるなんてことはできないのだから」と忠告している。

高濃度酸素で記憶力アップ 松下、代ゼミなど効果確認

2006年10月11日 中国新聞ニュース

 松下電器産業は11日、代々木ゼミナールや名古屋工業大学との共同実験で、高濃度の酸素を吸えば記憶力がアップすることを確認した、と発表した。

 松下は高濃度酸素の吸引機器を市販しており、今回の結果について「受験生から中高年まで幅広い学習分野で応用が期待できる」と話している。

 代ゼミの生徒約80人を2つのグループに分けて英単語の試験を行った後、学習時間を取らせて再試験をし、新たに覚えられた単語数を比較した。空気中の酸素濃度約21%を上回る約30%の高濃度酸素を吸いながら学習したグループは、吸わずに学習したグループと比べ、新たに覚えられた単語数が約15%増えた。

 また名古屋工大との共同研究で、高濃度酸素を1日1時間、計21日間吸引させたラットの脳の遺伝子を解析したところ、それまで休止していた、学習や記憶に関連する遺伝子26個の機能が働き始めていた、という。

 名古屋工大大学院の藤墳規明教授(物質工学)は「高濃度酸素を吸引すれば、脳内で学習や記憶に関与する海馬体の神経細胞が活性化すると考えられる」と話している。

気になる商品 “プラチナ微粒子” 老化のモト除去へ決定版 2006/09/10 The Sankei Shimbun

 プラチナ(白金)がアンチエイジング(老化防止)分野で注目されている。10億分の1D/Kのナノサイズにまで細かくしたプラチナの微粒子、プラチナナノコロイドには、しわ、しみなど肌の老化のモトといわれる活性酸素を除去する働きがあるとされ、ミネラルウオーター、サプリメント、ガムなど関連商品が続々登場。これが特に女性にモテモテで、ロート製薬が7月に発売した化粧水とマスクは、9月中に年間販売目標を達成しそうな勢い。松下電器産業もプラチナを活用した美顔器を10月に発売する。今年のヒット商品ランキングでも上位にくいこみそうだ。(村山繁)

 プラチナは美しい輝きを放つ宝飾品でもあるが、活性酸素を除去するもうひとつの顔を持つ。この作用は野口英世が着目していたとされるが、肌に浸透させたり、摂取できたりするナノサイズの微粒子を安定的に生み出す方法が最近になって開発され、食品、化粧品などに応用され注目度が上がってきた。

 活性酸素除去を特徴とする素材には、ビタミンCや水素関連商品などほかにもあるが、プラチナナノコロイドは、体内にあるHO(ヒドロキシルラジカル)、H 2O 2(過酸化水素)など主要な4大活性酸素すべてを除去すること、触媒として働くため除去後も効き目が残り、体内に残る間は効果が持続するなどが特徴。この分野の研究の第一人者、東大大学院・宮本有正教授は「抗酸化素材の決定版」と太鼓判を押す。

 宮本教授は平均2ナノメートルのプラチナナノコロイドを安定的に生み出すなど、商品に応用する技術を開発。関連商品を企画する産学連携ベンチャー企業「アプト」(岡山峰伸社長、本社・東京都渋谷区。9月1日に社名を「シーテック」から変更)の創設にかかわり、現在も顧問をつとめる。

 この素材を使った商品は続々と登場している。

 ロート製薬は7月10日に、スキンケア「Obagi(オバジ)」から、アプトのプラチナナノコロイドを配合した「オバジプラチナイズドローション」と「オバジプラチナイズドマスク」を発売。当初「初年度の販売目標は5億から8億円」としてきたが、売れ行きは好調で、3カ月で目標をクリアする勢いだ。

 有力ドラッグストアでは、7月の化粧水の売上金額では、他社の有力メーカーをおさえ1位。世田谷区祖師谷の「セイジョーヘルスケアストア セイジョー薬局」では独自の手作りポップ広告を張り出すなどして販売に力を入れていて、塚本健太郎店長も「化粧水では売れ行きが群を抜く。テスターで試し、翌日再び来店し買っていく方も多い。アンチエイジング関連は順調だが、中でもプラチナ関連は今後も期待できる」という。

 アプトの素材はこのほか、ミネラルウオーター、サプリメントにも使われ、今月中にはヨーグルト関連商品も発売予定という。

 松下電器産業も世界初となるプラチナナノコロイド配合のスチームを出す美顔器「イオンスチーマー ナノケア プラチナ」を10月1日に発売する。プラチナ電極から1ナノメートルから5ナノメートルのプラチナナノコロイドを発生させる技術を開発し、アーム式ノズルで目元から胸元までをケアできるという。

 しみやあざの治療にプラチナナノコロイドを注入する美容医療を展開するクリニックも登場しており、松下では「プラチナ関連は今後さらに拡大する見込み。市場の活性化に役立ちたい」(広報)と意気込んでいる。

ヘルシーリポート:注目!ラクトフェリン 腸内細菌バランス、免疫力を調節

2006年07月02日毎日新聞 東京朝刊 Mainichi INTERACTIVE

 ◇がんや感染症を予防/C型肝炎治療に効果

 人の母乳や牛乳などに含まれるラクトフェリンというたんぱく質に腸内細菌のバランスを改善させたり、免疫力を上げるなどさまざまな働きがあることが分かってきた。科学的な検証はこれからだが、C型慢性肝炎の症状の改善にも効果があると期待されている。ラクトフェリンの最新の研究成果を紹介する。【小島正美】

 ◆乳児に不可欠

 ラクト(乳)フェリン(鉄たんぱく質)は文字通り、ミルクに含まれる鉄たんぱく質。昔から、鉄と結合しやすい赤いたんぱく質として知られていた。母乳だと1リットルあたり約1〜3グラムのラクトフェリンが含まれ、なかでも初乳は約5〜7グラムと多い。

 生まれたばかりの赤ちゃんは、母乳に含まれるラクトフェリンや免疫物質などのおかげで細菌に負けない体になる。

 乳児の腸でも、母乳に含まれるオリゴ糖やラクトフェリンなどの働きで善玉のビフィズス菌が増え、腸内細菌が健康に保たれるようになる。ラクトフェリンは授乳期の赤ちゃんにとって必須の成分だ。

 ラクトフェリンなど牛乳に含まれる生理活性物質を30年近く研究してきた島崎敬一・北海道大学大学院教授によると、ここ10年近くでがんや感染症の予防、免疫力の調節など、ラクトフェリンのいろいろな働きが分かってきたという。

 島崎さんは「研究事例の中には動物実験レベルのものもあり、成果が直ちに実際の治療に結びつくわけではないが、大腸がんの予防やC型慢性肝炎などでは注目度は高い」と話す。

 ◆がん予防

 ラクトフェリンは、がん細胞を攻撃する免疫細胞のNK(ナチュラルキラー)細胞などを元気にする働きももっている。

 この方面から、国立がんセンター研究所などはラクトフェリンが大腸がんの予防に役立つかどうか研究を進めている。すでにラットの実験では大腸やぼうこうなどのがんを防ぐ働きが分かった。 現在、国立がんセンター中央病院(東京)では大腸に5ミリ以下のポリープをもった患者にラクトフェリンのサプリメントを飲んでもらう臨床試験を行っている。結果は今秋にも分かるが、「期待できそうだ」(津田洋幸・名古屋市立大学医学部教授)という。

 昨年、ハワイで開かれた第7回ラクトフェリン国際会議では、非小細胞肺がん患者を対象にした米国の臨床試験が報告された。既存の抗がん剤(シスプラチン)にラクトフェリンを併用した場合、治癒率が高いという中間報告だった。今後、最終段階の臨床試験でどういう結果が出るか注目されるが、医薬品としての開発にも期待がかかる。

 ◆C型肝炎

 もうひとつ注目を集めているのがC型慢性肝炎だ。現在、日本国内にはC型肝炎ウイルスの感染患者が約200万人いるといわれる。インターフェロンと抗ウイルス薬による治療が行われているが、有効率は4割前後と高くない。

 そこで注目されているのがラクトフェリンを使う併用補助療法だ。横浜市立大学市民総合医療センターや三重大学などの試験報告では、ラクトフェリンの錠剤を3〜6カ月服用すると血液中のウイルスが減ったなどの結果も出ている。

 京都市の京都桂病院でも、患者82人を対象に1年間、臨床試験をした。血清GPTなどの指標で改善は見られたが、統計学的な検証はこれからだ。同試験にかかわった三浦賢佑医師は「効果を確かめる大規模な二重盲検臨床試験が必要だ」とさらに充実した研究の必要性を訴えている。

 ◆痛みの軽減

 ユニークなのはモルヒネの鎮痛効果を高める働きだ。がん末期の患者の場合、痛みを抑えるためにモルヒネを使うケースが多いが、段々と効かなくなる場合が出てくる。また、使い過ぎると吐き気など副作用も心配だ。

 鳥取大学の原田悦守名誉教授と竹内崇助教授(獣医臨床検査学)らは、マウスを使った実験でラクトフェリンに鎮痛作用があるのを発見した。マウスにラクトフェリンを与えると、モルヒネの投与量を50分の1〜100分の1に減らしても、同じような鎮痛効果が得られたというのだ。

 竹内さんは「少量のモルヒネで鎮痛効果が出るのであれば、モルヒネをより長く使うことができる。実際に末期のがん患者が口から摂取して有効かどうかを確かめることが今後の課題だ」と話す。

 ◆骨粗しょう症

 一方、ラットを使った日本やニュージーランドの実験報告によると、ラクトフェリンは骨を作る骨芽細胞を増やし、骨を溶かす破骨細胞を減らして骨の成長を促す働きがあることが分かった。この研究が今後、高齢者に多い骨粗しょう症の予防に結びつくかどうかが注目される。

 魚のタイやアユの養殖でえさにラクトフェリンを混ぜると病気やストレスが減るという報告もある。産業的な利用でも期待が集まる。

 ラクトフェリンは、ごく少量ながら、涙や唾液(だえき)にも含まれる。島崎さんは「最近は、歯周病、目が乾くドライアイ、水虫や足の白(はく)癬(せん)にも効果的という研究が出てきた。何にでも効くという話には警戒が必要だが、さらに科学的な研究を続けていく価値はある」とラクトフェリンの将来性に期待を寄せている。

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 ◇国際会議で研究成果発表

 昨年10月、ハワイで第7回ラクトフェリン国際会議が開かれた。同会議は2年ごとに開かれ、今回は約120人が参加、ポスター掲示も含め、78の演題が発表された。

 免疫調節、抗炎症、抗菌・抗ウイルス、抗がんなど数多くの研究結果が発表された。人と動物実験でコレステロールの低下など血清脂質を改善させる働きも発表され、注目された。

 ラクトフェリンに関する学術論文はすでに全世界で4000件を超える。こうした研究の中からアンチエイジング(抗加齢)にふさわしいサプリメントや医薬品の登場が期待されている。

大豆イソフラボン:「サプリの表示」ご注意 厚労省、指針つくり業界指導へ

2006年07月02日毎日新聞 東京朝刊 Mainichi INTERACTIVE

 ◇最大摂取目安量バラバラ、国と異なる含有量換算法

 骨粗しょう症や乳がんなどの予防効果があるとされる「大豆イソフラボン」。納豆、豆腐などの大豆食品を食べる場合は問題ないが、「健康食品」としてサプリメントを口にする際は注意したほうがいい。パッケージに表示されている摂取目安量では、過剰摂取となる商品があるためで、健康を害する可能性もあるという。厚生労働省も大豆イソフラボンを含む健康食品の製造メーカーに対する指導に乗り出す方針で、食生活に応じて適度な摂取を心掛けることが大切だ。【板垣博之】

 ◆基準の倍も

 国民生活センターが3〜5月、「大豆イソフラボンを多く含む」とPRする健康食品24商品を調査。表示された1日の最大摂取目安量が、食品安全委員会が定めた上限値(イソフラボンのうち吸収されやすいアグリコン量で換算、30ミリグラム)を超すものが14商品もあった。

 いずれもドラッグストアやインターネットなどで市販されている錠剤やカプセル状の健康食品で、14商品のうち2商品がそれぞれ67・2ミリグラム、70・7ミリグラムと、上限値の倍以上となった。このほか、30ミリグラム台が8商品、40ミリグラム台が3商品、50ミリグラムが1商品あった。また2商品は、記されている最小摂取目安量でさえも上限値を超えていた。

 ◆トクホに限らず

 食品安全委が今年5月に定めた大豆イソフラボンの摂取上限値は、健康効果が認められた特定保健用食品(トクホ)が対象で、日常の食事以外に摂取した場合の数値。健康食品のパッケージに記されている摂取量は、大半が食品安全委が使用したアグリコン換算含有量ではないため、消費者は商品表示を見ただけでは適切な量が分からない。

 上限値を設けた背景には、大豆イソフラボンには効果だけでなく乳がんの発症や再発などのリスクの可能性があるためで、食品安全委は、特に妊婦や子どもについては「摂取は推奨できない」としている。こうしたことから、厚生労働省は業界を指導するための指針案をまとめ、トクホのほか、一般の健康食品も対象に加えた。

 指針案は(1)1日の摂取目安量を30ミリグラム以内にする(2)アグリコン換算の含有量の表示(3)過剰摂取しないなどの注意事項の表示−−などを業界に求めている。現在、パブリックコメントを求めており、今秋までに正式に指針を策定する予定だ。

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 ◇大豆食品自体は有益

 すでに、国民生活センターの調査で上限値を超えた14商品のうち、1商品以外について、各メーカーは「販売中止」「変更の予定」などと回答している。

 ただ、大豆イソフラボンを過剰摂取したからといってすぐに健康被害につながるわけではないため、国民生活センターは「長期的な過剰摂取は避け、1日の摂取量をコントロールしたほうが良い」とアドバイスする。

 厚生労働省は「食品安全委員会は、大豆や大豆食品を問題とするのではなく、大豆イソフラボンのみをサプリメントとして、通常の食生活に上乗せして摂取する場合の安全性について検討した」とし、たんぱく質やカルシウムが豊富な大豆や大豆食品を食べることは推奨している。

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 ■ことば

 ◇大豆イソフラボン

 大豆、特に大豆はい芽に多く含まれる成分で、女性ホルモン(エストロゲン)と分子構造が似ている。納豆や豆腐、みそなどの大豆食品のほとんどに含まれている。厚生労働省の国民栄養調査(02年)から推計される日本人の1日の平均摂取量は16〜22ミリグラム。

ソバ茶に血管拡張作用 伊藤園と九州大、血圧上昇抑制を確認

2006/05/13 FujiSankei Business i.

 ソバ茶に含まれる成分に血管を拡張させる作用があることが、伊藤園中央研究所と九州大学農学部の松本清教授らとの共同研究で初めて確認された。研究グループは今後、ソバ茶が血管や血流が関係する生活習慣病の予防や、肩こり、冷え性といった血行障害症状の緩和にどんな効果があるかなどを調べていく。研究成果は二十、二十一の両日に静岡県立大学で開かれる「第六十回日本・栄養食糧学会」で発表する。

 ソバについては以前から、高血圧症や動脈硬化症など循環器系疾患への効果があるとされてきた。特に、ソバに含まれるポリフェノールの「ルチン」が、血流をスムーズにする作用があるとされ、研究が進められている。伊藤園でもルチンを含んだ健康茶「韃靼(だったん)純そば茶」を発売している。

 一方でソバの血圧上昇抑制メカニズムについては解明されておらず、伊藤園では九大との共同研究で、ルチンを取り除いたソバ茶エキスを使って試験を実施。ラットを使った長期飼育試験で、ダッタンソバ熱水抽出物を投与したラットの群れは、未投与の群れに比べ、血圧の上昇値が抑制される結果が現れた。

 伊藤園と九大農学部では、今回の成果を受けてソバに含まれるどの成分が、血管拡張作用を持っているかと特定していく考え。伊藤園では研究成果を元にした商品開発へとつなげていく。

大豆イソフラボン、1日摂取量上限を食品安全委が通知

2006年05月11日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 内閣府食品安全委員会(寺田雅昭委員長)は11日、大豆に含まれる栄養成分として人気の「大豆イソフラボン」を含む特定保健用食品(トクホ)について、安全性評価をまとめ、厚生労働省に通知した。

 大豆イソフラボンの1日摂取量の上限を「70〜75ミリ・グラム」、食事以外に追加摂取する量の上限を1日「30ミリ・グラム」とした。

 安全性は、日本人の大豆摂取量や、国内外の臨床試験などを基に評価した。トクホの場合、上限値は、消費者が毎日、長期間にわたり摂取することを想定し、妊婦や子供には推奨しないとした。通常の食品からの摂取の場合、上限値が短期的に超えても、「直ちに健康被害に結びつくものではない」とした。

 その上で、トクホ認定の申請がされ、同省から安全性評価を依頼されたイソフラボン入りみそ、健康補助食品など3商品中、みそについては、追加摂取量が1日の上限を超えることから、トクホとしては「十分な安全性が確保されるとは言い難い」とした。

 上限値は、大豆発酵食品に多い「大豆イソフラボンアグリコン」という状態での量。同委員会の調査では食品100グラム中、納豆は65〜81ミリ・グラム、みそは14〜81ミリ・グラム含まれていた。

大豆イソフラボン配合食品、妊婦、子どもに「推奨できない」

2006年05月10日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 大豆に含まれる栄養成分「大豆イソフラボン」を配合した特定保健用食品について、内閣府食品安全委員会の専門調査会は9日、妊婦や子どもの摂取は「推奨できない」とする安全性評価をまとめた。

 男性や妊婦以外の女性は、ふだんの食事以外に追加して摂取する上限量の目安を「1日30ミリ・グラム」とした。ただし、大豆食品自体は「たんぱく質源として健康的」とし、安全性に問題はないとしている。

 海外での研究によると、大豆イソフラボンの錠剤を5年間、毎日150ミリ・グラム摂取した女性に、健康上の問題はないものの、子宮内膜が増える影響が見られた。さらに、妊娠した実験動物に大量投与した場合、子宮や胎児の生殖機能に異常がみられたことなども報告された。

 このため、同調査会で検討を始め、妊婦や子どもが毎日摂取した場合、安全性や健康上の利益が科学的に証明できないと結論付けた。

米小中学校、肥満増加 校内でのコーラ販売、全面停止へ

2006/05/05 The Sankei Shimbun

 米国飲料協会(ABA)は4日までに、小中学校でのコカ・コーラなど糖分の多い清涼飲料の販売を3年後に全面的に停止すると発表した。

 2008年の新学期から全米の75%の学校で販売をやめ、09年の夏休み後の新学期から全面停止する。

 米国では子供の肥満が増えており、学校の自動販売機や食堂で簡単に手に入る清涼飲料に批判が集まっていた。

 コカ・コーラなど伝統的な清涼飲料は姿を消し、販売できるのは、水のほか、加糖していない果汁100%のジュース、脂肪分の少ない牛乳だけとなる。

 米国では成人の約3人に1人が肥満とされ、この傾向が子供にも広がり深刻な社会問題となっている。

 協会にはコカ・コーラ、ペプシコなど清涼飲料大手が加盟。昨年夏には学校で販売できる清涼飲料の種類を制限する自主規制を始めていた。(共同)

肥満の人に朗報?食欲抑制する物質、動物実験で解明

2006年04月16日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 食欲をコントロールする際に重要な働きをする脳内のたんぱく質を、米コロンビア大糖尿病センターの北村忠弘・助教授、ドミニコ・アッシリ教授(ともに内分泌学)らのチームがラットを使った実験で突き止めた。

 人でも同様の仕組みがあるとみられ、糖尿病や肥満などの生活習慣病の治療につながる成果。専門誌「ネイチャー・メディシン」電子版に発表した。

 脳の視床下部には、食欲を促進する物質(Agrp)と抑制する物質(Pomc)がある。レプチンというホルモンが、Agrpを減らしPomcを増やすことで食欲を抑えることがこれまでに知られているが、北村助教授らは、「FoxO1」というたんぱく質に注目。このたんぱく質が働いているときは、レプチンを投与しても食欲は衰えなかった。

 一方、ラットに半日間絶食させても、「FoxO1」の働きを止めておくと、食事量は増加しなかった。つまり、「FoxO1」が食欲促進物質を増やしていることになる。

 北村助教授は「FoxO1の働きを調節することで食欲をコントロールできる可能性がある。動物で効果が出れば、人の治療への応用を考えていきたい」と話している。

ビタミンCが老化を抑制 マウスの実験で確認

2006/04/04 中国新聞

 ビタミンCに、生物の老化の進行を抑える可能性があることを、東京医科歯科大や東京都老人総合研究所などのチームがマウスによる動物実験で確認し、米科学アカデミー紀要(電子版)に4日発表した。ビタミンCによる抗老化作用はこれまでも指摘されていたが、同チームは「ビタミンCが加齢に関係することを科学的に証明したのは初めてだ」としている。

 チームは、老化が進むと減少することが知られているSMP30と呼ばれるタンパク質に注目。このタンパク質が、多くの哺乳(ほにゅう)類が体内でビタミンC合成に使っている酵素と同一であることを突き止めた。SMP30を作ることができないマウスをビタミンCを含まない餌で育てると、発育が止まり、壊血病の症状となったことなどから、SMP30がビタミンC合成に欠かせない物質であることが確認された。

 このマウスは、正常のマウスに比べて約4倍早く老化が進むことも判明、ビタミンCが老化の進行に関連していることが分かった。

 人間はマウスと違って体内でビタミンC合成ができないため、この結果を直接当てはめることはできないが、老人総合研の石神昭人(いしがみ・あきひと)主任研究員は「人間でもビタミンCが老化に影響しているだろう」としている。

キムチが世界の5大健康食品に選ばれる

2006/03/27 朝鮮日報

 キムチが世界の5大健康食品として選ばれた。

 米健康専門月刊誌「ヘルス」(www.health.com)は24日、韓国のキムチと日本の大豆、スペインのオリーブ油、ギリシャのヨーグルト、インドのレンズ豆を世界の5大健康食品に定めた。

 同誌は「毎年、韓国人はさまざまな食品とともに1人あたり平均で40パウンド(18キロ)ずつキムチを食べている」としながら、「そのキムチの中には、ビタミンA、B、Cなどが豊富に含まれている上、ヨーグルトなどの醗酵食品から出る乳酸菌もある」と紹介した。

 また、「キムチには健康に良いバクテリアが多く含まれており、消化を助けるだけではなく、一部の研究結果によると、発酵した白菜にはがん細胞を抑制する働きがある」と報じた。

 続いて、「キムチは繊維質を豊富に含む、低脂肪ダイエット食品」としながら、「キムチを家庭で漬けるよりはアジア系の食品店で買って食べる」ことを勧めている。キムチのおかげで、韓国には太った人がいないというのだ。

 最後に「朝食には、タマゴやトマト、シイタケなどとともにキムチを交ぜ合わせ、スクランブルエッグを作るのも1つの手」と紹介した。

アンデス産でヘルシー アンチエイジング、抗肥満…「新食材」人気

2006/03/12 The Sankei Shimbun 【東京朝刊から】

 マカ、カムカム、キヌア…。近ごろよく耳にするこれらのユニークな名前は、すべて南米・アンデス原産のヘルシー食材だ。飲料や食品に商品化され、日本でも身近になりつつある。(榊聡美)

 ≪高い機能性に注目≫

 ジャガイモ、トマト、トウモロコシなど、日本でもなじみの深い野菜もアンデスが原産。しかし、「新食材」に日本人の目が向いたのはマカがきっかけだった。

 滋養強壮、精力増強剤として知られるマカは、日本ではサプリメントや、サントリーからマカを使ったリキュール「マカディア」が発売され、その名が広まった。

 「最近の研究では、持久力増強と抗肥満の作用があることがわかりました」と説明するのは、東京海洋大学ヘルスフード科学寄附講座客員助教授の山口宏二さん。山口さんは生活習慣病予防の観点からさまざまなアンデス産の植物を研究している。

 「果物の中で一番」といわれる豊富なビタミンCを含むカムカムは、アンチエイジングの効果が期待できる食材として、女性からの熱い視線を浴びている。

 山口さんによると、カムカムもマカも世界中で日本が一番売れており、需要は拡大の一途。現地では麻薬の原料・コカの代わりにカムカムの栽培を奨励する動きもある。そのほかにも、アンデス原産のヘルシーな食材が日本の食卓に続々とお目見えしている。

 これらの機能性に優れた食材の秘密は、アンデスの自然にあるようだ。

 アンデスは南米の西岸・北岸沿いに連なる延長約9000キロの大山脈。6000メートル級の高峰が20以上連なっていて、懐にアマゾン熱帯林を抱き太平洋側には砂漠が広がる。

 「気候が変化に富んでいて、植生が非常に多彩。生薬類が豊富で、まだまだ日本に知られていないおもしろい素材がある」と、山口さんは力を込める。

 ≪和食に合うものも≫

 今月14日から17日まで、千葉・幕張メッセで開かれるアジア最大の食品専門展示会「FOODEX JAPAN2006」でも、新食材が注目を集めそうだ。

 日本貿易振興機構(JETRO)がベネズエラ、コロンビア、エクアドル、ペルー、ボリビアで収穫される10種のアンデス食材のプロモーションを実施。その中で、これらの食材が和食に姿を変えて紹介される。

 レシピの作成にあたったエフシージー総合研究所食品料理研究室の山内寿子さんは、和食との相性についてこう話す。

 「意外と日本の食生活に取り入れやすいものもあります。キヌアはハンバーグなど普段作っている料理に混ぜるのがお勧め。カムカムの果汁はレモン汁のように揚げ物にひと振りしてみては」

 機能性だけでなく、その味の魅力にも注目を−。

大豆イソフラボン配合食品、妊婦・子ども「推奨せず」

2006年03月09日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 大豆に含まれる栄養成分「大豆イソフラボン」を配合した特定保健用食品について、内閣府食品安全委員会の専門調査会は9日、妊婦や子どもの摂取は「推奨できない」とする安全性評価をまとめた。

 男性や妊婦以外の女性は、ふだんの食事以外に追加して摂取する上限量の目安を「1日30ミリ・グラム」とした。ただし、大豆食品自体は「たんぱく質源として健康的」とし、安全性に問題はないとしている。

 大豆イソフラボンは女性ホルモンと似た働きがあり、骨粗しょう症や乳がん、更年期障害などの予防に役立つとされ、特定保健用食品のほか、錠剤などサプリメント(栄養補助食品)としても市販されている。

 しかし、海外での研究によると、大豆イソフラボンの錠剤を5年間にわたって毎日150ミリ・グラム摂取した女性に、健康上の問題はないものの、子宮内膜が増える影響が見られた。さらに、妊娠した実験動物に大量投与した場合、子宮や胎児の生殖機能に異常がみられたことなども報告された。

 このため、同調査会で検討を始め、妊婦や子どもが健康食品として毎日摂取した場合、安全性や健康上の利益が科学的に証明できないと結論付けた。

「トクホ」市場規模6299億円 “脂肪”対策の伸び顕著

2006/03/07 The Sankei Shimbun

 健康食品の中で一定の科学的根拠があると国が認めた「特定保健用食品(トクホ)」の2005年の市場規模は、6299億円に上ったことが6日、日本健康・栄養食品協会の推計で分かった。調査を始めた1997年から8年間で4.8倍と急成長した。

 03年の前回調査時と比べ11.1%の増加。中でも脂肪がつきにくい食用油や、コレステロールの吸収を抑えるドレッシングやお茶などが大きく伸びた。

 同協会は「健康志向が進んで生活習慣病対策への関心が高まっている。血圧、脂肪、コレステロールといった分野で市場はさらに拡大していく」と分析している。

 1993年に第一号が許可されたトクホ商品は05年末時点で569。04−05年の2年間で、171品が新たに表示許可を得た。

 市場規模は1997年は1315億円、99年は2269億円だったが、01年に4000億円を突破。03年に5669億円になっていた。

 6000億円を超えた05年は、最も多いのが全体の58.8%を占める乳酸菌など整腸関連で3706億円だが、伸び率は03年比で2.1%にとどまった。代わりに、食用油に加え茶飲料も好調な中性脂肪・体脂肪関連が264億円増え880億円に。コレステロール関連も114億円増の228億円と大きく伸びた。

野菜100%ジュース “自然の味”食生活の強い味方

2006/01/15 The Sankei Shimbun【東京朝刊から】

 健康志向の高まりを受け、野菜100%ジュースが注目を集めている。ブームの牽引(けんいん)役は、「1日分」をキーワードとした商品群。厚生労働省が推奨する1日350グラムの野菜摂取が、ジュース1本で手軽にできるのが特徴だ。日々の食生活で野菜不足に陥りがちな、忙しい現代人の強い味方として、着実に支持を広げている。(深沢真貴)

 コンビニエンスストア大手のローソンでは、野菜飲料の売り上げが伸び続けている。飲料・酒部の担当者によると「売れるのは圧倒的に平日朝の時間帯」とか。通勤途中におにぎりとセットで買い求める客が増え、最近では女性だけでなく男性の姿も目立つという。

 販売拡大のきっかけとなったのが、伊藤園とカゴメが一昨年に発売した新商品だ。

 野菜100%の飲料分野が弱かった伊藤園は、平成16年5月に「1日分の野菜」を発売。厚労省が推奨する「1日の野菜摂取量350グラム」に着目した商品で、16種類(昨年10月に20種類に増加)の野菜350グラム分を使用している。

 従来の野菜100%飲料に特有の「青臭さ」を解消するため参考にしたのが、「火を通すことで野菜が持つ自然な甘みを引き出すという、煮物に代表される日本料理の技法」(内山修二商品企画2部第1課長)だ。

 例えば、同商品で使用しているニンジンについては、青臭さの原因となる皮やヘタを取り除き、さらにゆでることであくを除去。砂糖や食塩を使わず自然な甘さを実現することに成功した。

 飲みやすさと、「1日分の野菜を使用する」という商品の考え方が受け入れられ、初年度45億円の売り上げを記録。「男女を問わず、単身者で外食が多くなりがちな会社員を中心に支持されている」(内山課長)とホクホク顔。今年度は100億円を見込む。

 伊藤園に負けじと、カゴメも一昨年8月に「野菜1日これ1本」を発売。「1日に必要な野菜350グラムを1本のジュースに」という考え方は同じで、伊藤園より1種類多い17種類の野菜を使用している。

 今年度の売り上げは、当初予想を上回る100億円まで成長する見込みだ。昨年10月には果物版で姉妹商品「朝のフルーツこれ1本」を発売するなど商品群を拡充。こちらも絶好調が続いている。

 不足しがちな野菜を手軽に摂取できるという利点もさることながら、安定した価格も野菜飲料の魅力の一つだ。

 相次ぐ台風上陸で野菜価格が高騰した一昨年秋には、経済性を求める主婦などの購買が増加。また、今冬も寒波の影響で野菜高騰が続き、コンビニなど小売店から売り場拡大を求める声が出始めるなど、野菜飲料に追い風が吹いている。

 両社のヒットで、ここ数年は低迷気味だった野菜飲料市場(果汁ミックスタイプ含む)も活性化してきた。

 サプリメントや機能性飲料の台頭、中国産野菜の残留農薬問題などの影響を受けた15年度に、1228億円まで縮小した市場も、今年度は1530億円規模に拡大する勢いだ(伊藤園調べ)。

 野菜飲料市場については、「緑茶やミネラルウオーターのように、自然素材を生かした飲料に消費者が戻ってくる」(カゴメ)との見方もあるほか、高齢化社会の到来で一段の需要増も期待される。伊藤園では、将来的に現在の市場から倍増の3000億円規模になると試算。競合他社の参入も予想され、成長市場をめぐるメーカー間の競争も過熱しそうだ。

予防策充実で医療費抑制…厚労省が改革試案

2005年10月14日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 厚生労働省は14日、医療サービスの効率化や患者負担の見直しなどを柱とする医療制度改革案の試案をまとめた。

 焦点の医療費抑制策については、診療報酬の引き下げ、高所得の高齢者の窓口負担引き上げなど短期的に効果が見込める施策に加え、医療需要そのものの伸びを抑制する政策が必要だと強調しているのが特徴だ。近く正式に発表する。

 具体的には、生活習慣病対策などの予防策充実、都道府県別の医療費適正化計画策定など中長期的施策を組み合わせて医療費抑制を実現するとしている。こうした施策の導入で、国民所得に対する医療給付費の比率を現在の7%程度から2025年度で9%前後に抑えられると分析している。

 経済財政諮問会議の民間議員が主張しているような、経済規模に応じた数値目標を用いた総額抑制は盛り込んでいない。

 医療費抑制策に関しては、財務省が、〈1〉一定額までの医療費に公的医療保険を適用しない免責制度を創設し、公的医療保険の給付を見直す〈2〉高所得の高齢者の自己負担引き上げなど高齢者負担を見直す〈3〉診療報酬改定は本体部分を含めマイナスとする――などを求めている。今回の試案は、いずれも選択肢として盛り込んでいる。

グレープフルーツの香りで脂肪燃焼 阪大研発表

2005/10/13 The Sankei Shimbun

 グレープフルーツの香りをかぐことで脂肪が燃焼されることが、大阪大蛋白質研究所の永井克也(ながい・かつや)教授(神経科学・生化学)らの研究で裏付けられ、13日、札幌市で開催されている日本肥満学会で発表された。

 これまでもグレープフルーツの香りにダイエット効果があるといわれてきたが、科学的な証拠はなかった。一方、ラベンダーの香りは正反対の作用を及ぼし、脂肪を蓄積させることも、同じ研究で明らかになった。

 永井教授らは、グレープフルーツから抽出した精油を10分間、実験用ラットにかがせた。その結果、脂肪が分解され血中のグリセロール濃度が2倍以上になった。また、体温が上昇し脂肪が燃焼されていることが分かった。

 同時に、交感神経の活動が弱まり食欲を低下させ、においをかいだラットはかいでないラットと比べ、体重が約5%減った。

 永井教授は「体温が上がることなどは人間でも分かっている。ただ、体内時計が乱れると効果がなくなるので、規則正しい生活を送ることが大切。またかぐ量にも注意する必要がある」と話している。(共同)

医薬品超す「使用量」も

2005年10月13日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 イライラやほてり、のぼせ――ホルモンの減少による更年期の症状を緩和するためサプリメント(栄養補助食品)に関心を寄せる人は少なくない。

 更年期女性の健康を考えるNPO法人「メノポーズを考える会」(三羽(みわ)良枝代表)の昨年調査では、症状を持つ女性の4割強が使っていた。

 会のメンバーでも、使う品目はそれぞれだ。電話相談を担当する川人(かわひと)和子さん(58)は疲労感や皮膚の乾き、関節の痛みが不快で、「大豆イソフラボン」を取っている。

 女性ホルモンと似た化学構造で、大豆イソフラボンを主成分にした商品の中には、国が特定保健用食品として「骨のカルシウムの維持に役立つ」との表示を認めたものもある。更年期症状を和らげるとも報告されている。

 川人さんは「効果が実感できるとまでは言えない」と話すが、期待を込めて続ける。会の活動やテニス、古典の勉強会と充実した毎日を過ごす。

 ベテランスタッフの岡安伊津子さん(61)は「コエンザイムQ10」。老化や病気を招く細胞の酸化をくい止める抗酸化物質として数年前から、関心を集めている。美容効果を期待して使う女性も増えているが、有効性を示すデータは乏しい。もとは心筋の収縮力を改善する効能で、うっ血性心不全の処方薬として30年前から使われてきた成分だ。

 医薬品としては、製薬会社の調査で1・5%に食欲減退や吐き気、下痢などの副作用が起き、国は服用量の上限を1日30ミリ・グラムに定め、承認している。一方、サプリメントのコエンザイムQ10は食品なので、公的な摂取基準はない。各メーカーが推奨する使用量の8割強が医薬品の基準を超えるという奇妙な状態になっている。

 「コエンザイムQ10を含む食品で、おう吐や下痢を催した」という報告もあり、厚生労働省は今年8月、内閣府の食品安全委員会に、安全性の評価を諮問した。

 効果について、使っている岡安さんも「お守りのようなもの」と語る。食事のバランスも心がけており、いつまでも若々しくいたいとの願いがサプリメントにつながっているようだ。

 陳瑞東クリニック(東京・中野坂上)院長の婦人科医陳瑞東さんは、「多くのサプリメントは、適切な摂取量や、悪影響の危険がある上限量がわからないことを念頭に置いて使ってほしい」と話す。

 効率よく栄養バランスの改善ができるが、安全性や有効性にはわからない点も多い。サプリメントを使うならまず、可能性と限界をよく理解することが重要だ。(中島久美子)

 特定保健用食品 厚生労働省が、人での試験結果をもとに有効性・安全性を審査し、「おなかの調子を良好に保つ」「血圧が高めの方に適している」など体の作用に関する表示を許可した商品。現在543ある。

40歳以上は全員健診 健保・自治体に義務化へ

2005年10月10日 asahi.com

 糖尿病や脳卒中などの生活習慣病対策として、厚生労働省は40歳以上の全国民が健康診断を受けられる態勢づくりに乗り出す。企業の健康保険組合など公的医療保険に対し、健診と保健指導の実施を義務づける方針。サラリーマンの妻ら専業主婦や自営業者など、現在受診率が低い人たちも受けやすい仕組みにすることで、生活習慣病の「予備軍」を見つけて、将来の医療費の伸びを抑える狙いだ。

 健診義務化による予防の充実は中長期的な医療費抑制策の柱。厚労省は、患者負担増や診療報酬引き下げなどの短期的な施策とともに、今月中旬に公表する医療制度改革試案に盛り込む。来年の通常国会での健康保険法など関連法の改正案提出をめざしている。

 厚労省は、がんを除く生活習慣病の予備軍を確実に見つけるため、健診を簡易な「健康チェック」と「詳細健診」の2段階に分けて実施したい考え。血液検査や問診などの健康チェックは40歳以上のすべての人が対象。血糖値などに異常がみられた人に限り、画像診断などを加えた詳細健診を行う。

 さらに予備軍と診断された人には保健指導を受けてもらい、食事や運動などの生活改善を促す。簡易チェックでふるいにかけることで費用も抑えられるとしている。

 受診率の低い健保組合や自治体には罰則的な措置を設けて徹底を図ることも検討。75歳以上を対象に政府が導入を目指している新たな「高齢者医療保険制度」への拠出金を増やす案などがあがっている。受診率ではなく、生活習慣病発症率など「結果」で決めるべきだとの意見もある。

 現在、健診は年齢や職種で制度が異なり、健保組合や市町村が別々に実施している。会社員本人については労働安全衛生法などで事業主に年1回以上の健診が義務づけられているが、配偶者や国民健康保険に加入する自営業者らは市町村が行う住民健診を自主的に受けている場合が多い。このため受診率は職種などによる差が大きく、04年の国民生活基礎調査では会社員の75.3%に対し、自営業者50.7%、専業主婦47.9%だった。

 厚労省は健診強化などの生活習慣病対策で、25年度の国民医療費を約2.8兆円削減できると試算。受診率を上げるため、市町村や健保組合代表らによる「保険者協議会」を都道府県ごとに設けて連携を強めるなど対策を進めている。

 ただ、健診の費用対効果を疑問視する声もある。詳しい検査を広く義務づければ費用が膨らむほか、健診で病気が見つかる人が増えてかえって医療費がかさむとの指摘で、今後、具体的な健診項目なども焦点になる。

 また、健診の財源確保のために保険料の値上げが必要となる可能性もあり、自治体や経済界などからは反発も予想される。

中高年世代、敏しょうに 青少年は体力低下傾向

2005/10/09 The Sankei Shimbun

 青少年の体力は落ちているのに対し、中高年層は反復横跳び(20秒間にラインをまたいだ回数)が一部で過去最高を記録するなど敏しょう性が向上していることが9日、文部科学省の2004年度体力・運動能力調査で分かった。

 文科省は「最近の中高年層は、運動の重要性を理解し、日ごろから体を動かしているためではないか」とみている。

 調査は6歳から79歳の約7万3000人を対象に実施。今回は中高年と青少年の運動能力について1985年度と比較するなどして中長期的な変化を追った。

 成人については、35―39歳、45―49歳、55―59歳の3世代を男女別に、反復横跳び、握力、急歩の3種目で比べた。その結果、反復横跳びの平均回数は、いずれも85年度より上昇した。

 中でも45−49歳の男性(45.91回)と女性(40.72回)、55−59歳の男性(39.94回)は過去最高となった。

 握力も35−39歳と45−49歳の男性、55−59歳の男女が85年度を上回ったが、急歩は3世代とも低下気味だった。

 一方、青少年は7、9、11、13、16、19歳の年齢ごとに6種目のデータを抽出。走る力や投げる力は男女とも85年度よりほぼすべての年代や種目で低かった。

 95年度と比べても、9歳男子の50メートル走が0.12秒遅くなり9秒69。9歳女子の立ち幅跳びも142.62センチから137.57センチに下がり、下降傾向に歯止めがかかっていない。16歳女子の50メートル走と16歳男子の持久走などは過去最低となった。

 調査を分析した順天堂大の青木純一郎(あおき・じゅんいちろう)副学長は「子どもは生まれたときから車に乗る生活で体力が落ちており、欧州のような(総合型)地域スポーツクラブ育成などが重要だ」と指摘している。(共同)

お年よりの転倒予防、歩きより自転車こぎが有効

2005年09月25日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 お年寄りが寝たきりになる大きな原因が転倒による骨折だ。大腿(だいたい)部や腰周辺の筋肉の鍛錬が転倒予防につながると言われているが、それにはウオーキングよりも自転車こぎの方が有効なことが東北大の研究でわかった。

 岡山県倉敷市で開会中の日本体力医学会で発表された。

 年を重ねると、ひざを高く持ち上げる腸腰(ちょうよう)筋や小臀(しょうでん)筋と呼ばれる筋肉が衰え、転倒しやすくなる。同大の伊藤正敏教授、藤本敏彦講師らは、これらの筋肉を鍛えるには、どんなトレーニングが効果的かを調べた。

 筋肉は疲労回復のために、盛んに糖分を摂取する特性がある。研究チームは20代の学生5〜7人に、30分〜1時間の様々なトレーニングをしてもらい、身体の糖の取り込み分布を画像化できる陽電子放射断層撮影(PET)装置で分析した。

 その結果、階段上りでは、ひざ上げに最も重要な腸腰筋、次いで重要な小臀筋が使われた様子が確認されたが、ウオーキングやジョギングでは、腸腰筋の活発な動きは見られなかった。

 腸腰筋の活動が盛んだったのは自転車こぎで、ペダルを踏み込む際は、大腿部に力がかかるものの、もう一方の脚は、股(こ)関節を曲げてひざを上げるため、腸腰筋を使っていると考えられる。

 藤本講師は「自転車こぎで鍛えられる筋肉は、お年寄りでも同じ。階段上りは疲労感が残るうえ、無理すると心臓や肺に負担をかけ逆効果」と話している。

世界で10億人以上が太り過ぎ WHO推計発表

2005/09/24 The Sankei Shimbun

 世界保健機関(WHO)は24日までに、世界中で10億人以上が太り過ぎの状態とする推計を発表した。世界の人口は約63億人(2003年)で、約6人に1人が太っている計算になる。

 推計によると、31歳以上の75%以上が太り過ぎとされる国は、女性では米国やメキシコ、エジプト、トルコ、南アフリカなど。男性ではドイツやアルゼンチン、英国、ニュージーランドなども挙げている。

 これまで太り過ぎは高所得の国で問題となっていたが、現在は低・中所得の国で急増。脂肪や糖分が多い高カロリーの食生活が世界的に広まったことや、労働形態の変化、交通の発達で運動不足になっていることが急増の原因としている。

 WHOは現在のペースで太り過ぎの人が増えれば、2015年には15億人に達すると警告。太り過ぎが要因の一つとされる心臓病や脳卒中が増える可能性も指摘している。(共同)

:量・密度が最も増えるのは 男子が中学3年間、女子は小学校高学年−−近大調査

2005年09月19日 毎日新聞 東京朝刊 Mainichi INTERACTIVE

 ◇近大の調査で判明

 骨の量が減り折れやすくなる骨粗鬆(こつそしょう)症の患者は、1000万人と言われる。高齢者の病気と思われがちだが、近畿大の追跡調査で、骨の量が最も増えるのは、男子が中学の3年間、女子が小学校高学年であることが分かった。骨粗鬆症予防には、子供のうちから、丈夫な骨作りを心がけることが肝心という。

 骨の量は20〜30代が最も多く、年を重ねるごとに低下する。骨からカルシウムなどが溶け出すのを抑えるホルモン分泌の低下が、原因の一つだ。特に女性は閉経後、女性ホルモンが減るため、骨の量が急激に低下する。これを元に戻すのは難しいため、子供のころから骨の量を増やしておけば、老化により減っても、骨粗鬆症にならなくてすむという。

 近畿大の伊木雅之教授(公衆衛生学)は01年、福島県塩川町の小学4年〜中学3年の600人を対象に骨密度(単位容積内の骨の量)測定や生活習慣を調査、3年後に再調査した。

 児童・生徒を体重別3グループに分けると、体重が重いグループほど骨密度が高かった。また、小学校で運動部に所属していた中学生は、腰と太ももの骨密度が高く、運動部での活動が長いほど、骨密度も高いことが分かった。「体重が重い方が骨に力が加わる。同様に、地面をけったり跳んだりすると筋肉が収縮し、骨に負荷がかかり、骨が強くなる」と伊木さんは説明する。

 また、骨密度の伸び率が最も高かったのは、男子が中学の3年間、女子は小学校高学年であることも判明。伊木さんは「ダイエットをする子供が増えているが、カルシウムをよく取り、しっかりとした体を作ることが骨づくりにも大切」と指摘している。【下桐実雅子】

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 ●子供の骨粗鬆症予防対策(伊木さんによる)

・標準体重を維持する

・朝食を必ずとる(規則正しい食生活)

・ダイエットをしない

・牛乳など食品からカルシウムをしっかりとる

・部活などでよく運動する

・たばこを吸わない

・しっかり眠る

「家庭血圧」低い認知度 東北大調査 上135で高血圧

2005年09月18日 asahi.com

 家庭用血圧計が3世帯に1世帯ほど普及する中で、家庭で測るときの高血圧の正しい基準を知っている人はほとんどいない――。そんな実態が東北大とオムロンヘルスケア(本社・京都市)の調査でわかった。

 高血圧治療ガイドラインが昨年、改められ、家庭での基準が新たに設けられたのに伴い、今年4〜8月、全国の薬局138カ所で20〜90代の約1万人にアンケートした。

 病院で測る場合の高血圧の基準値は上が140以上、下が90以上(単位はミリHg)。病院では一時的に血圧が上がる人もいるため、家庭でリラックスして毎日測れる家庭血圧では135/85以上という新基準ができた。

 ところが、調査では正しい基準を知っている人は約1%だった。上の血圧を高めに答えた人が全体の約72%に上った。

 東北大の今井潤教授は「医師は高血圧診断の手段として家庭血圧を高く評価している。基準値を広く知ってもらうことが重要」と話している。

「きれいに」健康志向後押し 音波・超音波歯ブラシ人気

2005/09/18 The Sankei Shimbun東京朝刊から

 歯をきれいに磨きたいという消費者の願いを満たすため、音波・超音波歯ブラシが相次いで売り出されている。音波・超音波を出して口内の水の分子を激しく動かし、水流が歯垢(しこう)を落とす歯ブラシで、最近の健康志向を背景に売り上げを伸ばしている。普通の歯ブラシに比べると値段はかなり高く、使い方にも注意が必要だが、市場は今後も着実に拡大しそうだ。(花岡文也)

 超音波歯ブラシは平成11年、米国から導入されて日本での販売が始まった。日本で初めて売り出した東レグループの東レアイリーブでは「米国ではかなりヒットしており、日本でも売れると考えた」という。

 当時は米国向けに医療器具製造の朝日医理科が委託製造していたが、それを知った東レアイリーブが商品企画に乗り出し、日本人向けに仕様を変更して売り出した。東レアイリーブ・ライフグッズ事業部の猪俣拓也さんは「米国人向けに大きかった歯ブラシの長さを半分にし、稼働時の大きな音も解消するなどの工夫を凝らした」と説明する。

 通信販売で宣伝・販売を始め、その後、大型量販店でも取り扱われるようになると、数カ月後から売り上げが急増。海外ブランドの輸入なども増え、現在では5年前に比べて音波・超音波歯ブラシの市場規模は1.5倍に拡大。男女を問わず、幅広い年齢層が購入しているという。

 「超音波」というと、「音波」以上に激しくブラシ部分が動くものと考えがち。しかし、超音波は人の耳には聞こえない高い音の領域で、その振動は肉眼ではみえないほど細かい。これに対し、音波は電動歯ブラシ以上に激しく動き、歯垢をそぎ落とす仕組みだ。

 猪俣さんは、これらの使い方について「超音波歯ブラシは普通の歯ブラシ同様に手で磨く必要がある。押し当てるだけの音波歯ブラシとは違うので、磨くことがめんどくさい人には向かない」と説明する。超音波、音波歯ブラシはともに手動、電動歯ブラシに比べて多くの歯垢を除去するが、超音波は虫歯菌が作る粘着性の高い成分「不溶性グルカン」も落とすという。

 音波・超音波歯ブラシは大型家電店などでも注目されるようになり、ビックカメラ有楽町店(東京都千代田区)では「1年前まで奥の方に陳列していたが、今年になって目立つ場所に変えた」(家電コーナー担当の矢沢久義さん)としている。

 矢沢さんによると、家電コーナーの商品の中で、音波・超音波歯ブラシは購入者層の性別や年齢層がまちまち。ただ、「『これぞ音波歯ブラシ』という磨く力が強い製品を希望される人はブラウン製、歯科医に薦められた人はフィリップス製のソフトモードも付いたタイプを選ぶ。普通の歯ブラシ感覚で磨きたいという人には超音波歯ブラシの朝日医理科製の製品を買う人が多い」という。

 一方、歯科医関係者は「音波・超音波歯ブラシは手動歯ブラシに比べて磨く力が強いため、磨き方を誤ると歯や歯肉を痛める危険がある」と指摘する。また、価格が高いほか、取り換えのブラシの価格は各メーカーでまちまちで、維持費が高くつく場合もある。

 各メーカーが次々と新商品を投入し、市場規模も拡大している音波・超音波歯ブラシ。ただ、その購入にあたっては、歯科医と相談したり店員に違いを聞いたりして、自らに適した商品を選ぶ必要がありそうだ。

健診「異常あり」の人、10年後は医療費「通常」の3倍

2005年09月17日 asahi.com

 健康診断を受けた時に「血圧」や「血糖値」などの項目で「異常あり」と診断された人は、「異常なし」だった人よりも10年後の医療費が最大3倍超かかっていることが、政府管掌健康保険を運営する社会保険庁の調べでわかった。健診の結果がその後の医療費にどう影響しているのかを詳細に分析した調査は同庁で初めて。「生活習慣病予備軍」に対して集中的に健康指導すれば、医療費抑制に効果があることを裏付けるデータだとしている。

 調査は、中小企業の会社員らが加入する政府管掌健康保険の加入者(本人)のうち、健診とその後の指導に熱心な三重県に住む約2200人の中高年を追跡調査。肥満度、血圧、コレステロール、血糖値という4項目に関する93年度の健診結果と、03年度の診療報酬明細書(レセプト)2万枚超をもとにした医療費をつき合わせた。

 その結果、例えば血糖値で異常なしだった人は10年後の医療費が1人当たり約16万2000円だったのに対し、異常ありの人は平均で約27万2000円だった。

 さらに、4項目とも異常なしの人の医療費は約14万3000円だったのに対し、すべてに異常ありだった人は約45万1000円で3倍超になっていた。

 今回の調査は、93年度から03年度まで継続して働いていた人を対象にしているため、糖尿病を発症して人工透析を受けるなど、治療のために会社を辞めた患者らは含まれていない。

 同庁では「透析では1人当たり年間約550万円の医療費がかかるとされ、こうした重度の糖尿病患者らを含めて調べれば、さらに差が開く」とみている。

夜食べると太る、本当だった…脂肪蓄積に体内時計関与

2005年09月09日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 生活リズムを刻む体内時計に関与するたんぱく質が、脂質の蓄積に深くかかわっていることを日本大学薬学部の榛葉繁紀専任講師らが突き止めた。

 このたんぱく質は、日中に減少し、夜間に増加するリズムを刻んでいた。俗に「夜に食べると太る」と言われるが、研究成果はこの仕組みを説明する証拠のひとつになるとみられる。

 「BMAL1」と呼ばれるたんぱく質で、榛葉講師らは、BMAL1が脳以外では、脂肪組織に大量に存在し、肥満によって量が増えることに着目した。

 遺伝子操作でBMAL1が作られなくなったマウスにエサをたくさん与えても、脂質が蓄積することはなかった。逆に、BMAL1が増えると、脂肪細胞のほか、通常、脂質を取り込まない細胞でも脂質を蓄積することがわかった。

 また研究グループは、BMAL1が人間にもあることを確認した。

 榛葉講師は「BMAL1は、夜間、増加して、エネルギーの補充にかかわっているとみられる。BMAL1のリズムに合わせて食事したり、BMAL1の産生を抑えることで肥満予防につながる」と話している。

 研究成果は、米科学アカデミー紀要電子版に発表された。

老化予防・若返りを事業化 SBIが東西に拠点

2005/05/07 The Sankei Shimbun

 総合金融サービスのソフトバンク・インベストメント(SBI)は7日、顧客対象を富裕層に絞り込んだ若返り・老化予防の保健医療サービス事業に乗り出す方針を明らかにした。東京と大阪に「アンチ・エイジング・センター」を開設し、がんの早期発見など本格的な予防医学の拠点とする考えだ。

 国内の銀行・証券業界では、欧米流に富裕層向けの資産管理業務を強化する動きが出ているが、医療の世界でも富裕層向けビジネスが本格化することになりそうだ。

 アンチ・エイジング(抗加齢)と呼ばれる予防医学は、米国で新医療ビジネスとして脚光を浴び、日本でも2003年に学会が発足した。SBIは、ベンチャー事業でバイオ関連企業を育成する中で新たな起業分野として着目し、事業化を検討してきた。米国の運営会社の中から近く提携先を絞り合弁会社を設立。中国の漢方薬会社などとの提携も検討している。

 同センターでは、ミリ単位のがん細胞が発見でき全身の状態が一度の検査で調べられる陽電子放射断層撮影法(PET)など、保険が適用できない最新の診療技術も病気の早期発見のために、自由診療で活用する。

 血管の老化防止策や血液などの活性化、毛髪検査による水銀など重金属の蓄積解析と食事療法、美容やサプリメント(栄養補助食品)摂取の助言など、保健予防策を幅広く提案していく。

 世界の富裕層を顧客とするスイスのプライベートバンクでは、金融にとどまらず医療や子女の教育などの相談まで手掛けている。北尾吉孝SBI最高経営責任者(CEO)は「メガバンクの発想の先を行き、最先端サービスで富裕層を取り込みたい」と話している。

  <アンチ・エイジング(抗加齢)> 健康な人を、さらに健康増進させる前向きな予防医学のこと。米国で1990年ごろ、新しい学問として位置付けられた。積極的に予防治療することによって、健康で長生きすることを目指す21世紀型の医療で、最新の医薬・診療を総動員。医療費削減という少子高齢化社会の要請にも合致している。米国抗加齢医学会には、65カ国の1万1500人が会員となっている。日本抗加齢医学会も03年に発足した。(共同)

サマータイムで睡眠不足に 体内時計とずれ、学会報告

2005/05/02 The Sankei Shimbun

 日本睡眠学会サマータイム制度特別委員会(委員長・本間研一北海道大大学院教授)は2日、夏期に時計の針を1時間進めるサマータイム制度について、生理機能の面から多くの人に睡眠不足をもたらす可能性があるとする中間報告をまとめた。近く学会のホームページに掲載する。

 サマータイムは昨年、札幌市が試験的に実施。さらに、超党派の国会議員が、全国で導入する法案を5月中にも議員立法で国会に提出する予定。ただ、導入に批判的な議員も多く、健康への影響が指摘されたことで、反対派の声が強まることも予想される。

 サマータイムが1948年に日本で導入され、4年で廃止された際も、余暇時間が増える代わりに睡眠不足になると言われた。中間報告は加えて、人が行動する時間帯と、睡眠や血圧など生理機能のリズムをつくり出す体内時計との間にずれが生じ、体に負担をかけるとしている。

 日本人の現在の平均睡眠時間は約7時間で、他国と比べてやや少なめ。さらに、体にかかった負担で熟睡できずに睡眠不足になる可能性があり、人によっては睡眠障害に陥ると指摘している。

 サマータイムは、明るい時間帯の活用による省エネ効果や、余暇時間の増加がメリットとされるが、過去に導入した韓国やコロンビアでも、弊害が大きいとして数年で中止。昨年実施した札幌市でのアンケートでは、参加した企業従業員らの27%が「睡眠不足になった」と回答した。(共同)

国民健康調査:40代男性の3割超が「上半身肥満の疑い」

2005年04月22日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE

 40代男性の3人に1人が「上半身肥満の疑い」で、20代女性の2割がやせていることが21日、厚生労働省の「03年国民健康・栄養調査」で分かった。習慣的に喫煙している人は男性がほぼ5割で、女性は1割。そのうち、「やめたい」と答えた人は男性が4人に1人、女性は3人に1人。実際に禁煙を試みたのは男性が5割、女性は6割だった。

 03年11月、全国の4160世帯を対象に、たばこや肥満、運動習慣などを調査。体重(キロ)を身長(メートル)の2乗で割った体格指数(BMI)が25以上で、男性はウエスト85センチ以上、女性は90センチ以上を「上半身肥満の疑い」とした。男性は40代に続いて、30代が29%で多かった。「上半身肥満」だと糖尿病や高血圧などの生活習慣病になる率が高いという。

 運動習慣のある人は男女とも60代が最も高く、男性は40.7%、女性は36.5%。総数では過去2回の調査(93年と98年)に比べ、男女とも割合が増え、男性30.3%、女性25.5%だった。

 一方、たばこが健康に与える影響について「とても気になる」は男性が35.2%、女性は56.5%。たばこを吸うとかかりやすくなる病気としての回答(複数回答)は、全体で「肺がん」と「妊娠への影響」が8割を超えた。【玉木達也】

オリゴ糖:便秘解消や免疫力向上にひと役 「善玉」のビフィズス菌増やす

2005年04月19日 毎日新聞 東京朝刊 Mainichi INTERACTIVE

 ◇消化・吸収されずに大腸に到達

 「オリゴ糖」が健康によいとよく聞く。でも、「オリゴ糖」っていったい何? なぜ、体にいいのだろう。【石塚淳子】

 日本で初めて「フラクトオリゴ糖」というオリゴ糖を開発し、83年に商品化した明治製菓(東京都中央区)。研究開発に携わってきた同社ヘルスケア企画管理部課長の田代靖人さんは「当初は砂糖を原料に、砂糖に代わる甘味料として開発が始まりました」と明かす。

 その後の研究で、フラクトオリゴ糖が胃や小腸では消化・吸収されずに大腸まで届き、ビフィズス菌がこれを食べて増殖していることが分かった。人間の大腸の中にはさまざまな細菌がいる。体に良い働きをするのが「善玉菌」、悪い影響を与えるのが「悪玉菌」。善玉菌の代表的なものがビフィズス菌だ。以来、食品会社や製薬会社によって、大豆や牛乳、てんさいなどを原料とするさまざまなオリゴ糖が開発されてきた。

 ビフィズス菌は(1)腸の運動を活発にして便秘や下痢を防ぐ(2)病原菌の増殖を抑え、感染を防ぐ(3)腸内の腐敗を抑える(4)ビタミンを作りだす(5)体の免疫力を高める(6)発がん物質を分解する−−などの働きがある。

 誰でも持っている菌で、乳児の腸内細菌は大半がビフィズス菌。ところが、離乳食を始めるころから減り始め、成人になると約10%。40代、50代ごろから急激に減り始め、高齢者になるとますます占有率は低下する。

 ◇食事からだけでは不十分

 オリゴ糖はタマネギ、ゴボウ、ニンニク、アスパラガス、バナナ、大豆などに含まれているが、量が少ない。加工食品やファストフードが多く入り込んでいる現代人の食生活では、普段の食事だけで十分なオリゴ糖を取るのは難しい。そこでサプリメントなどの需要が生まれた。

 今はシロップタイプや顆粒(かりゅう)状などで、コーヒーや紅茶に入れたり、煮物などにも使える甘味料をはじめ、菓子類やドリンク類など、さまざまなオリゴ糖入り食品が市販されている。

 「ビフィズス菌を増やすヨーグルト(発酵乳)などと一緒に取ると、より効果的」と田代さん。ただ「一時的にはガスが出ます。また一度にたくさん取ると、おなかがゆるくなることがあるのでご注意」とアドバイスする。

 ◇オリゴ糖

 ブドウ糖、果糖などの単糖類が3〜10個程度結びついた少糖類の総称。オリゴはギリシャ語で「少数の」の意。市販品の多くは、砂糖などの原料に酵素を作用させるなどして作られている。

「アガリクス」特集で違法広告 警視庁、出版社捜索

2005/04/19 The Sankei Shimbun
 

 キノコの一種アガリクスを成分とする健康食品を書籍で「がんに効く」と紹介したのは、未承認医薬品の広告に当たるなどとして、警視庁生活環境課は19日までに、薬事法違反(未承認医薬品の広告、販売)の疑いで出版社「史輝出版」=東京都港区南青山=や健康食品販売「ミサワ化学」=新宿区四谷=など約10カ所を家宅捜索した。

 警視庁によると、出版物の内容が薬事法の定める広告に当たるとして捜査対象となるのは、全国でも初めて。

 調べでは、史輝出版はミサワ化学と共謀。薬事法で未承認医薬品の広告が禁じられていることを知りながら、昨年1月から12月にかけて出版した「即効性アガリクスで末期がん消滅」などの書籍2冊の中で、健康食品の特集を載せ、宣伝した疑い。

 さらに書籍巻末に、本当はミサワ化学につながる電話番号を「問い合わせ先・アガリクス研究センター」と偽って掲載。ミサワ化学の健康食品を売り付けていた疑いも持たれている。

 アガリクスは健康食品で医薬品ではないが、病気に対する効能を示して販売すれば、薬事法では医薬品とみなされる。

 史輝出版の書籍をめぐっては、厚生労働省が昨年5月、健康増進法で禁じられている虚偽広告に当たるとして是正指導していた。

 史輝出版は「現在、社長が長期出張中につき、取材に答えられる者がいない」としている。(共同)

ダイエット食品の宣伝に根拠なし 公取、通販業者に排除命令

2005/04/18 The Sankei Shimbun

 雑誌に掲載したダイエット食品の宣伝内容について合理的根拠を示さなかったとして、公正取引委員会は18日、景品表示法違反(優良誤認)で通販業者、日商ストックマネージメント(東京)=清算手続き中=に新聞に訂正広告を出すよう命じる排除命令を出した。

 公取委によると、日商ストックマネージメントは婦人向けファッション雑誌「アール」2004年1月号の広告で、同社が通信販売するスティック状の食品「パーフェクトダイエット」について「毎日朝食代わりに食べるだけの簡単なダイエット。朝食以外は今までどおりでOK」と宣伝した。当時の社名はメディカルバランスフーズで同年2月、商号変更した。

 公取委が同社に宣伝内容に関する根拠を示すよう求めたが、回答がなかった。新聞の折り込みチラシ約1億6000万枚や、ほかの雑誌約130誌の広告でも同様の宣伝をしていたという。

 同社は03年2月から04年5月の間、この商品で約18億6000万円を売り上げたとみられる。

 広告では、マウスを使った実験結果や複数の女性による体験談で、ダイエット効果があったと紹介。体重が減っていくデータも示したが、公取委が専門家に調べてもらったところ、いずれも合理性がないとされた。(共同)

 19時07分

見た目なんか悪くても…熟したバナナは免疫力UP

2005/04/02 読売新聞 Yomiuri On-Line

 見た目は多少悪くても、よく熟したバナナの方が免疫力を高める効果が大きいことが、帝京大薬学部の山崎正利教授らの実験でわかった。

 山崎教授らはこれまで、バナナが果物の中でも特に免疫力を高める効果が高いことを明らかにしているが、今回は熟成の度合いと免疫力の関係を調べた。

 青いバナナを、店で売る場合と同様にエチレンガスで熟成処理し、皮全体が黒っぽくなる10日目まで、成分抽出液をマウスの腹部に入れ、免疫をになう白血球の数や、免疫を強める生理活性物質の量を調べた。

 その結果、日数がたったバナナほど白血球を増やす効果があり、10日目のバナナは、初日のバナナより白血球を5倍多くしていた。この日数は、お店で買ったバナナの「購入後8〜9日目」に相当するという。生理活性物質は、5〜7日目(店頭購入後4〜6日目)のバナナで最も増えていた。

「食べてやせる」根拠なし サッポロ製薬に業務停止命令

2005/04/01 The Sankei Shimbun

 食事制限なしにダイエットできるなどの宣伝内容に合理的な根拠がないとして経済産業省は1日、特定商取引法違反(虚偽・誇大広告など)で通信販売業者、サッポロ製薬(札幌市)に3カ月の業務停止命令を出した。

 経産省によると、サッポロ製薬は昨年11月末、全国の新聞に自社が扱う黒酢を使った健康食品「奥様美容で酢BT」の折り込みチラシ約500万枚を入れ、有名女優らを使って「毎日きちんと食べてももう太らない」「キレイにやせて、カラダ元気」などと宣伝した。

 経産省が、同社に宣伝内容の根拠や裏付け資料を示すよう求めたところ、十分な回答がなかったため、特定商取引法違反に当たると判断した。

 チラシではダイエットに成功したとする一般女性4人も登場させたが、同社の元従業員や関係者だった上、名前などを偽っていたという。

 この商品は昨年11月までの1年間に延べ20万人が利用。同期間の売り上げは約13億円に上った。

 サッポロ製薬は「関係資料をすべて提出しており、業務停止は納得できない。異議申し立てなどをする方針だ」とコメントしている。(共同)

重い気管支炎、女性に集中 アマメシバ健康被害

2005/03/27 The Sankei Shimbun

 東南アジア原産の野菜「アマメシバ」を粉末などにした健康食品が原因で気管支炎が相次いだ問題で、国内で気管支炎となった9人のうち、症状が軽い1人以外は全員女性だったことが、厚生労働省研究班(納光弘・鹿児島大教授ら)の調査で27日までに分かった。

 死亡者が出た台湾で報告された23の症例もすべて女性だった。研究班は「体重コントロールを目的に服用しているため女性の発症が多いと思われるが、性別による差も否定できない」とし、動物実験などでさらに解明を進める方針。

 調査は昨年7月から今年にかけて、全国の医療機関1823施設に調査票を送付。アマメシバとの関連が疑われる健康障害の症例を集め、分析した。

 発症した女性8人は20−70代。全員が呼吸困難を訴え、気管支の先端が詰まる「閉塞(へいそく)性細気管支炎」と診断された。粉末アマメシバの総摂取量は一番少ない人の300グラムから最高4380グラムまで幅があり、発症までの摂取期間は平均で4カ月半程度だった。

 喫煙歴がない人がほとんどで、台湾の症例とアマメシバの摂取状況が一致することから、研究班は「アマメシバが気管支炎の原因と考えている」と結論づけた。

 アマメシバは、国内では沖縄県を中心に生産され、粉末や錠剤が「高栄養野菜」「ダイエット食品」として販売されていた。しかし健康被害を訴える例が相次いだことから、厚労省は2003年9月、アマメシバを粉末や錠剤に加工した健康食品の販売を禁止した。(共同)

希少な「冬虫夏草」大量生産へ 九大が栽培方法開発

2005/03/19 The Sankei Shimbun

 中国で古くから、不老長寿の精力剤などとして珍重されてきたキノコ「冬虫夏草」の一種で、希少な「ツクツクボウシタケ」の大量生産方法を、九州大の大賀祥治助教授(キノコ学)らの研究グループが発見した。

 今後、農家などに委託して大量に栽培、これを原料に健康食品などを開発し、今夏にも同大が支援するベンチャー企業で商品化したい考えだ。

 キノコの菌糸が虫の体に寄生して生長する冬虫夏草は、宿主である虫の違いなどにより300−400種類あるという。その成分は、心肺機能の向上や抗ストレスなど、さまざまな効果があることが知られているが、生育環境が特殊なため、これまで大量生産はあまり成功していない。

 研究グループは、製材所などで大量に出るスギの樹皮を粉末状に砕き、薬品を加えて液化。これを発泡させ、スポンジ状にした培地を考案した。

 この培地にツクツクボウシタケの菌を植え、温度や湿度を一定に保った室内で約30日間育てると、極めて順調に生育することを確認した。

 ツクツクボウシタケは、菌糸が土中にいるツクツクボウシの幼虫の体内に寄生。秋になると幼虫の頭部を突き破ってキノコが生え、地表に現れる。動物実験などで、成分に炎症を抑える働きがあることが確認され、滋養強壮効果も期待できるという。

 大賀助教授は「健康維持のためのサプリメントを作りたい。薬効についてもさらに詳しく調べていく」と話している。

 <冬虫夏草>もともとはコウモリガの幼虫に寄生する特定のキノコの名称だったが、現在はハチ、セミ、クモなどに寄生するキノコの総称。虫生菌とも呼ばれる。虫から養分を得て寄生生活を営み、やがて虫の体を突き破ってキノコとして地表に生えてくる。「冬は虫の姿で過ごし、夏は草になる」と考えられたことが名前の由来。世界で300−400種あるとされ、国内では約250種が確認されている。(共同)

自然療法施設 島根・多伎に来春完成

2005/01/19 中国新聞地域ニュース

 日本海の資源を健康増進に

 海水や海藻など海の資源を健康増進に生かす中国地方初の本格的な「タラソテラピー」施設の建設が、日本海に面する島根県多伎町で進んでいる。町が約十八億円かけて、二〇〇六年春のオープンを目指す。

 タラソテラピーは、ギリシャ語の「タラサ(海)」とフランス語の「セラピー(治療)」を組み合わせた造語。アレルギー疾患の改善や生活習慣病予防、美容などの効果が期待される「自然療法」として欧州などで親しまれているという。

 同町の計画では海沿いに鉄筋三階建て、延べ床面積約三千六百平方メートルの施設を整備。三十メートル沖から海水を引き込むプールや浴槽付きの個室を備え、宿泊用の十六部屋も設ける。広場や遊歩道、ハーブなどからなる約四千平方メートルの公園も造る。

 開業後は数人のセラピストが常駐し、利用者のニーズや体調に応じて、プール歩行や海藻パックなどを個別指導。島根大医学部と連携して効果を検証し、医学的活用の道も探るという。運営は町、漁協、専門業者で二月に設立する第三セクター会社が担い、コストはすべて料金収入で賄う計画。

 建設地周辺には日本海を望む道の駅や風力発電施設などもある。海辺の環境を生かした町づくりを進めてきた町は「景観を楽しめ、健康づくりもできるエリアにしたい」としている。

肥満でも数キロやせれば肝機能改善も…順天堂大が解明

2005/01/09 読売新聞 Yomiuri On-Line

 肥満している人は、体重を数キロ減らすだけでも低下した肝機能などが短期間で改善する可能性の高いことが、順天堂大学医学部の河盛隆造教授らの研究でわかった。

 厳密な食事制限や激しい運動をしなくても、小さな目標達成が体調改善のカギ、という結果で、意志の弱いお父さんには朗報と言えそうだ。

 研究では体重100キロ前後の30―40代の男性15人に、医師の指導のもと食事制限や運動を3か月行った。スタート時点では、全員が、体重(キロ・グラム)を身長(メートル)の2乗で割った体格指数(BMI)30以上という肥満体だった。

 結局、3か月かけて体重は平均6・5%、6・7キロ減ったが、一般的に25以上が肥満とされるBMIは、指導終了後も全員28以上のままだった。

 ところが、検査数値は肝臓内の脂肪が平均で38%も減少。中性脂肪や肝機能の指標となるガンマGTPの数値も正常値に近づいた。

胎盤エキスの美容注射で肝障害…メーカーが副作用報告

2005/01/07 読売新聞 Yomiuri On-Line

 美容に良いとして人の胎盤エキスを注射した東京都内の40代の会社員女性が、急性肝障害の副作用症状を起こし、約1か月間入院していたことが7日わかった。

 胎盤エキスは肝臓病などの医薬品として承認済みだが、最近は「プラセンタ(胎盤)注射」の名称で美容目的での使用が広がっている。重い副作用症状の報告は初めてで「予期しない病気や感染症を起こしかねない」と指摘する専門医もおり、胎盤エキスのメーカーは薬事法に基づき副作用報告を厚生労働省に提出した。

 この胎盤エキスは、日本生物製剤(本社=東京・渋谷)が製造し、医薬品としての承認を受けている注射剤「ラエンネック」。胎盤エキスには細胞の増殖を促すさまざまな物質が含まれており美肌効果が高いとされる。女性は、都内の美容クリニックで「きれいな肌を維持するためにはプラセンタを注射した方がいい」と勧められ、2004年6月ごろから月2回、ラエンネックの注射を受けた。

 7月下旬になって、だるさや黄疸(おうだん)などの症状が出て、国立国際医療センター(東京・新宿)に緊急入院。肝臓の細胞が壊れる急性肝障害と診断された。治療チームが調べたところ、女性の白血球は胎盤エキスに触れるとアレルギー反応を起こし、異常な形態になることがわかった。他にアレルギーを起こす要因がないことから、胎盤エキスによって異常になった白血球が肝細胞を壊したとみられる。

 厚労省は12月中旬に、「未知の副作用の報告で重症例」とみて、日本生物製剤に対し、詳細な症例データを報告するよう、薬事法に基づき指示していた。

 これまで、胎盤エキスの副作用としては、注射した場所が赤くはれたり、めまいなど軽い症状しか知られていなかった。

 治療チームの正木尚彦・第2消化器科医長は「生体組織を原料にする以上、予期しない感染症が潜む可能性もあり、関係者はそうした点をもっと周知すべきだ」と指摘している。

 日本生物製剤は「初めての重い副作用例で驚いている。医師への関連情報の提供を積極的に行う必要性を痛感する」と話している。

はり・灸のツボ、日中韓でズレ 92カ所を統一へ

2005/01/10 The Sankei Shimbun

 ツボの位置は、日中韓で微妙にずれていた――。マッサージやはりなどの治療で使われる361のツボのうち、約4分の1が食い違っており、今夏までに国際的に統一されることになった。約2000年前に中国で生まれ、各国で独自に試行錯誤を重ねたためのずれ。欧米で東洋医学が普及し始めたため混乱を防ごうと、専門家たちが統一案をまとめ、06年に世界保健機関(WHO)の認定を目指す。しかし、「これまでの治療はツボを得ていなかったのか」との反発も予想され、関係者は気をもんでいる。

 欧米にも普及、混乱防止

 90年代後半から鍼灸(しんきゅう)治療などの東洋医学が欧米でも効能を認める報告が増え普及する兆しが出てきたため、WHOの働きかけで、昨年3月から日中韓の専門家らによる作業部会が、361あるツボの位置を調べた。うち92カ所が3カ国でずれていることがわかった。

 中国を中心に残っている最も古い文献に沿ってすりあわせが進み、10月の3カ国による会議で77カ所の位置の統一は合意された。まだすりあわせができていないツボが15カ所残っている。手のひらにありしびれに効く労宮、うなじにあり首のこりに効く天柱などだ。

 違いが大きいのは、動悸(どうき)などに効くというゲキ門(げきもん)(ゲキは左がメのしたにナム、右はおおざと)と、首が回りにくい時に効くという四トク(しとく)(トクはさんずい、士のしたに買)。

 日本と韓国はひじから手首まで(前腕部)を10等分し、その長さを1寸と決め、位置の基準にしている。ゲキ門は、手のひら側の手首から5寸のところ、四トクを手の甲側のひじから5寸のところにしていた。

 しかし中国では、ゲキ門は手首から5寸、四トクはひじから5寸と位置の設定は同じだが、1寸をひじから手首までを12等分した長さにしていたため、ずれが生じた。これらは中国流に統一される。

 肝機能を高めるとされる期門もずれが大きい。日本では第9肋軟骨(ろくなんこつ)の下側とされているが、中国と韓国は第6と第7肋軟骨の間となっており、これも中国流で合意された。

 ツボは現在では1000近くに増え、名称や位置にも諸説ができていた。そのため、89年の専門家による協議をへてWHOが古典的な365カ所のうち361カ所の名称を統一、認定した。しかし位置のずれについては各国の合意を得られなかった。

 関係者が心配しているのは、「いままでの治療は、正しかったのか」という患者側の反応だ。

 作業部会メンバーで群馬県立盲学校の教員、香取俊光さんは「もともと日本には多くの流派があり、同じツボでもわずかにずれていた」と釈明。同部会のメンバーで埼玉県鍼灸師会副会長の河原保裕さんは「今回の統一が絶対というものではなく、今後この基準をもとにより効果のある位置を研究していく」と話す。当面は、今までの位置で治療を続けるという。

 同部会代表の形井秀一・筑波技術短大鍼灸学科教授も「基準ができれば、それを共通言語に世界中で鍼灸の有効性が議論できる」と前向きだ。

     ◇            ◇

〈ツボ〉

 鍼灸医学では、体表と内臓とを結ぶエネルギーの流れ道の上にあるとされる。そこを刺激することで、内臓などの異常が分かり治療効果もあるという。約2000年前、中国で生まれ、何度も変更されてきた。

健康食品、体質で効果に差 大豆イソフラボンで実験

2005/01/04 The Sankei Shimbun

 更年期障害や骨粗しょう症予防に効果があるとして人気の健康食品、大豆イソフラボンは、同じように摂取しても、個人の体質の違いによって骨粗しょう症予防の効果に大きな差があることが4日までに、国立健康・栄養研究所の石見佳子食品成分機能表示研究室長らの研究で分かった。

 石見室長らは、女性ホルモンが低下して骨粗しょう症になりやすい年代の女性(平均年齢52歳)約30人に、毎日75ミリグラムのイソフラボンを摂取してもらった。

 半年後に骨粗しょう症のバロメーターである骨密度を測ると、骨密度が大幅に低下した人と低下がある程度抑えられた人がほぼ半々だった。

 低下が抑えられた人の特徴を見ると、女性ホルモンの代わりの働きをする「エクオール」を、体内でイソフラボンから変換してつくり出せる体質が共通していた。変換するのは腸内の細菌の働きとされている。

 骨粗しょう症は、患者数が推定約1000万人といわれ、閉経後の女性が多い。若いうちにカルシウム摂取や運動で丈夫な骨を作ることが、効果的な予防法になる。

 石見室長は「大豆イソフラボンだけでなく、健康食品の有効性や安全性は人によって異なる可能性がある。健康食品は将来、個人の体質に合った製品が求められるようになるのではないか」と話している。(共同)


睡眠不足は肥満のもと? 米研究チームが論文

2004/12/08 The Sankei Shimbun
 
 睡眠時間が短いと食欲を刺激するホルモンの量が増えるとする論文を米国の2つの研究チームが7日までに発表した。睡眠不足が肥満の一因になっている可能性があるという。

 スタンフォード大のチームは30−60歳の約1000人を対象に普段の睡眠時間と血液中のホルモン量を調べた。5時間睡眠の人は8時間睡眠の人に比べ、食欲を刺激するグレリンが15%多く、食欲を抑えるレプチンの量は16%少なかった。

 対象者全体の約7割を占める睡眠時間が8時間未満の人に限ると、睡眠時間が短いほど肥満度は高かった。

 シカゴ大のチームは20代の男性12人について2晩連続で4時間寝た場合と10時間寝た場合のホルモン量を比較。4時間睡眠の後はグレリンが増えてレプチンが減り、空腹感が強まっていた。

 スタンフォード大のチームは「先進国では慢性的睡眠不足が増えており、食べ物は簡単に手に入る。肥満が増えてもおかしくない」としている。((共同)

「長寿型」遺伝子を発見 インスリン受容体で比較調査

2004/12/07 asahi.com

 105歳以上の長寿者と一般の人で、遺伝子の個人差を比べると、インスリン受容体遺伝子のうち特定の型のものを長寿者が持っている傾向が強いことが分かった。共同研究した慶応大と理化学研究所、東京都老人総合研究所のグループは、「長寿型」遺伝子と見ている。動物ではこうした遺伝子は各種知られてきているが、ヒトでの報告は珍しい。

 理研の小島俊男チームリーダーらが、105歳以上の長寿者122人と、19〜63歳(平均33歳)の一般人122人で比較した。

 動物実験で長寿との関連が指摘されていた6種の遺伝子で調べた結果、インスリン受容体遺伝子だけで統計的に意味のある差が出た。長寿者の57%が同遺伝子のうちの特定の型をもっていたが、一般人では47%だった。

 インスリン受容体は、膵臓(すいぞう)から分泌されたインスリンと結びつき、細胞がブドウ糖を正常に利用できるようにする。今回の「長寿型」の受容体が、他の型の受容体とどう働きが違うかは未解明。

 研究グループの慶応大の広瀬信義講師(老年内科)は「インスリン系は動脈硬化などにも関連しており、詳しく調べたい」と話している。

唾液が疲れの目安、休養でウイルス減 大学教授ら確認

2004/11/20 asahi.com
 長めの休暇を取ると唾液(だえき)に含まれるヘルペスウイルスが減ることを、東京慈恵会医科大の近藤一博教授(微生物学)らが確認した。仕事による疲労がウイルス量に反映している可能性があるといい、見えない疲労度を評価する目安に応用できそうだ。横浜市で21日から始まる日本ウイルス学会で発表する。

 着目したのは、1歳までにすべての人に感染し、体内にいる「ヒトヘルペスウイルス6」。幼児期には熱性けいれんを起こすことがあるが、大人は病気にならない。

 20〜40代の男女の研究者や会社員計20人に、今年の黄金週間に1週間の休暇をとってもらい、仕事や旅行を控え、なるべく室内で静養してもらった。連休の前後に2回ずつ唾液を採取。同じ日に全員を検査できた3回分を比較すると、休暇前には18人と17人からウイルスが検出されたのに、休暇直後では4人しか検出されなかった。

 近藤教授は「休養を取ることで、仕事の疲れで増えていたウイルスが減ったようだ」とみる。

ビタミンE大量摂取は「有害の恐れ、米研究結果

2004/11/11 The Sankei Shimbun
 老化の原因になる体内の活性酸素を消す働きがあるビタミンEをサプリメントなどで大量に摂取すると、健康に有害な恐れがあるとする研究を米ジョンズホプキンズ大などがまとめ、10日、米心臓学会で発表した。

 欧米と中国で主に高齢者を対象に行われた、計19の臨床試験(患者総数約13万6000人)を分析した。1日に267ミリグラム(400国際単位)以上を摂取すると、最長約7年の追跡期間中の死亡率が、偽薬をのんだ人に比べ約10%高かった。摂取量がその半分以下だと、逆にプラスの効果も推定された。

 死亡率が高くなる原因は不明。試験参加者の大半は持病があったため、研究者らはさらに研究が必要と認めているが「無害と分かるまで大量摂取は控えた方がいい」としている。

 日本人の1日のビタミンE所要量は成人男性10ミリグラム、同女性8ミリグラムで、摂取上限は600ミリグラム。専門家によると食事から取れるのは10ミリグラム程度だが、サプリメントは1錠で267ミリグラム以上を含む製品もあるという。(共同)

米国の肥満問題深刻、「個人の問題では済まず」

2004/11/06 読売新聞 Yomiuri On-Line
 【ワシントン=笹沢教一】米国の20歳以上の平均体重が過去10年ほどで約4・5キロ増えたため、旅客機のジェット燃料のコストが年約2億7500万ドル(約300億円)も増え、燃焼に伴う二酸化炭素が380万トンも余分に排出されるなど、経済や地球環境に深刻な負担を与えていることが疾病対策センター(CDC)の研究で明らかになった。

 CDCでは「肥満は個人の問題では済まなくなった」とし、連邦政府レベルで対策を強化する方針。米予防医学雑誌の最新号に発表された。

 研究によると、米国の大人の体重は1988年―94年の平均値に比べ、99年―2000年の平均値が男性で約3・9キロ、女性で5・2キロ増えた。国内線で使用される平均的なジェット機の燃費をもとに計算すると、この増加分の体重は、2000年のジェット燃料消費量のうちの2・4%、3億5000万ガロン(約13億リットル)の余計な消費を生み出したことになるという。

細胞内細菌殺す新たな免疫機構、国立遺伝学研など確認

2004/11/05 読売新聞 Yomiuri On-Line

 細胞の中に入り込んだ病原菌を殺す新たな免疫機構を国立遺伝学研究所などの研究チームが確認した。5日付の米科学誌サイエンス電子版で発表する。

 細菌は体内に入った後、抗体などの免疫物質や抗菌薬などによる攻撃を避けるため、細胞内に隠れようとする。細胞は、外側の細菌を取り込んで膜で包み分解する働きを持っているが、一部の細菌は毒素を出してこの膜を破り、細胞質に出てしまう。これまで、いったん細胞内部に入った細菌を殺す手段はないと考えられていた。同研究所と大阪大のチームは、自食作用(オートファジー)と呼ばれる細胞内での既知の代謝機能が、細胞内に侵入した細菌を分解し、増殖を抑えていることを突き止めた。

生活習慣病予防など柱 厚労省、医療費抑制案策定へ

2004/10/23 The Sankei Shimbun
 厚生労働省は二十二日、社会保障審議会(厚生労働相の諮問機関)の医療保険部会に対して医療費抑制対策のための基本的な考え方を示した。都道府県ごとに生活習慣病の予防や在宅医療の充実に取り組むための「医療費適正化計画」を策定させる。平成十八年に予定されている医療保険制度改革に反映させる方針。

 対策案は高齢者医療費の増大への対応を念頭に置いた。都道府県の医療水準が病気の発生状況や医療提供体制と関連しているため、適正化計画は都道府県が医療機関や市町村などとの協議機関を設置し、地域特性を分析した上でまとめる。

 検討項目の柱は(1)生活習慣病の予防(2)直ちに治療が必要な患者に対する医療の質と効率性の向上(3)介護サービスと連携した在宅医療の充実−の三点で、目標数値も設定する。

リンゴのポリフェノール、筋力増強や脂肪減少の効果

2004/10/04 読売新聞 Yomiuri On-Line
 アサヒビールと日本体育大学大学院の中島寛之教授らの共同研究で、リンゴから抽出されるリンゴポリフェノールに、筋力を増し、内臓の脂肪を減らす働きがあることが明らかになった。

 赤ワインや黒豆などに含まれるポリフェノールは老化やがんの要因とされる活性酸素を除去する働きが知られているが、筋力増強や脂肪減少などの効果が明らかになったのは初めてという。

 アサヒは、年内にも人を対象とした実験で効果を確かめ、早ければ2005年にもサプリメントや飲料などでの商品化を目指す。

 リンゴのポリフェノールは果肉にもあるが、特に皮の部分に多く含まれているという。アサヒと中島教授らは、リンゴポリフェノールを5%混ぜた固形エサを3週間与えたマウスと、普通の固形エサを与えたマウスを比較した。その結果、ポリフェノール入りを食べたマウスは、普通のエサのマウスより筋力が16%高く、内臓脂肪は27%少なかったという。

 アサヒは、ポリフェノールに内臓脂肪の分解を助ける働きがあるとしているが、筋力アップのメカニズムは、よく分かっておらず、今後の研究課題という。

 アサヒは「筋力アップや体脂肪率抑制が必要な運動選手に効果が期待できる」としている。

生活習慣病:予防を40歳未満にも拡大 厚労省検討会

2004年09月27日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE
 厚生労働省は27日、同省老健局長の私的諮問機関「老人保健事業の見直しに関する検討会」に、生活習慣病予防を40歳未満の若年者にも広げることなどを盛り込んだ中間報告書骨子案を示した。

 老人保健事業は介護保険制度改正と合わせて見直しが行われている。骨子案ではこのほか、介護保険と連携して生活習慣病予防だけでなく生活機能の低下予防にも取り組むことや、健康を保つ目標年齢を65歳から85歳に引き上げることを掲げている。

働く女性:健康に関する実態調査 万病のもと…ストレスで増す身体症状

2004年09月27日 毎日新聞 東京朝刊 Mainichi INTERACTIVE
 ◇職場の理解、もっと

 「働く女性の健康に関する実態調査」の結果がこのほどまとまった。財団法人・女性労働協会が厚生労働省の委託で行ったもので、「働く女性と産業医らを対象に、女性特有の疾患に絞った大規模な実態調査は初めて」という。さまざまなストレスや疾患と闘いながら働く女性の姿や、相談を受ける企業の産業医らの戸惑いも浮き彫りになっている。【清水優子】

 ◇若いほど増加「下腹部痛」

 調査は昨年6〜7月、10〜60代の働く女性8150人(回収率27%)と、保健師や産業医、看護師など職場の産業保健スタッフ1470人(同24%)に郵送で聞いた。

 <ストレス>

 年代別で見ると、「ストレスをとても感じる」と答えたのは25歳未満が20%で一番多く、▽25〜30歳未満18%▽35〜40歳未満17%▽30〜35歳未満16・8%−−と続き、若い世代ほど高かった。

 女性特有のさまざまな症状とストレスの関係を調べたところ、月経不順は1・51倍、月経痛は1・46倍、子宮内膜症は2・32倍、月経前に頭痛や吐き気など何らかの症状を感じる月経前症状は2・07倍、それぞれ「ストレスを感じている」と答えた人の回答率が高かった。調査に携わった東京女子医大の公衆衛生学教室助手、野原理子さん(35)は「ストレスが直接の発症原因と断定できないが、症状の程度を強くする要因になっているようだ」と話す。

 <子宮内膜症>

 痛みや不妊にもつながりかねない子宮内膜症。同症の可能性がある人は7%で、いずれも「月経時の強い痛み」を感じており、さらに▽月経時以外の下腹部痛4%▽セックス時などの下腹部痛1%▽月経時以外の下腹部痛とセックス時などの下腹部痛の両方0・6%−−などを訴えた。こうした痛みは若い世代ほど多く、25歳未満が10%で最多だった。  対策(複数回答)は▽産婦人科を受診49%▽市販薬を服用40%−−などで、▽先輩や同僚に相談10%▽上司に相談3%▽産業医など健康管理部門に相談2%−−など、社内で相談するケースは少なかった。  同協会は「子宮内膜症は激痛を伴い、女性のQOL(生活の質)を著しく損なううえ、放置すると症状が悪化する。積極的に産婦人科を受診したり、受診を勧める職場の健康管理体制を整えて」と指摘する。

 <月経痛>

 月経痛は「我慢できる程度」が最多だったが、このうち43%は「市販薬を服用」と回答。「ひどい」の82%、「かなりひどい(会社を休む)」の56%も薬を飲んでおり、「産婦人科を受診」したのは、「かなりひどい」が65%、「ひどい」は23%、「我慢できる」は4%で、各自何らかの対策を講じて痛みを乗り越えている。

 年齢別では「かなりひどい」「ひどい」は25歳未満で43%、25〜30歳未満が38%で、若いほど痛みを感じている。

 ◇「聞きづらい」「知識不足」

 <更年期症状>

 50歳前後から症状が表れるとされる更年期症状。45歳以上に過去3年間に感じた症状を答えてもらったところ、更年期障害の疑いが強いとみられる人は34%。▽「顔がほてったり、汗をかきやすい+腰痛、関節痛」4%▽「顔がほてったり、汗をかきやすい+寝つきが悪く、怒りやすくイライラする+くよくよしたり憂うつになる+頭痛、めまい、吐き気があったり、疲れやすい+腰痛、関節痛」3・6%−−だった。これらの人たちは約6割が産婦人科を受診するなどしており、ホルモン補充療法や漢方療法などの治療を受けた人も多かった。

 東京医科歯科大大学院の久保田俊郎助教授(53)は「産業医などのアドバイスを上手に受けている。ストレスが多い職場や、くよくよ後ろ向きな性格の人ほど更年期障害になりやすく、職場でのストレス解消、配置換え、適切な食事・運動、カウンセリング受診を心がけて」と話す。

 <産業保健スタッフ>

 産業保健スタッフ351人のうち、女性から月経痛などの相談を受けたことが「ある」は44%。「対応に困難を感じた」は51%で、「婦人科の知識が少なく、うまくアドバイスできなかった」(産業医)や「男性のため、性的内容を聞きづらかった」(同)、「個々のケースに合った指導をしたいが知識不足」(看護師)などの悩みが寄せられた。同協会は年度内にスタッフ向けのマニュアルを作る予定だ。

 松下電工健康管理室長の長井聡里(さとり)さん(40)は「女性自身が知識不足で、我慢したり、男性並みに働こうと頑張る傾向がある。女性の体の仕組みを女性も職場も理解し、上手なストレスコントロールをしてほしい」とアドバイスしている。

脳内ペプチド:食欲抑制に強い作用、肥満薬へ道 久留米大

2004年9月27日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE
 ほ乳類の脳に多く存在し、複数のアミノ酸の集合体であるペプチド「ニューロメジンU」(NMU)に、食欲を抑制する強い作用のあることが、久留米大の児島将康教授(生化学)らの研究で分かった。このペプチドがなくなると、肥満や過食症を招く可能性があり、肥満を改善する薬の開発につながる研究成果だという。27日付の米医学誌「ネイチャー・メディシン」電子版で発表された。

 児島教授らは通常のマウスと、NMUを持たないマウスを飼育し、体重の変化などを調べた。その結果、NMUがないマウスは通常のマウスに比べ、約7カ月(32週)後に体重が約1.5倍に増加した。しかも高血糖、高脂血症、高インスリン血症など糖尿病の症状を示し、体脂肪の組成が50%を超え、脂肪肝となっていた。また、運動や酸素消費などのエネルギー代謝活動が低下。食事を取るリズムも乱れた。

 NMUのないマウスが成人型肥満症とよく似た特徴を示したことで児島教授は「後天的にNMUが異常となったり、体内で濃度が減少すると、肥満になる可能性がある」とみている。さらに、「今回の成果を肥満や過食症、食欲不振などの改善に応用したい」と話している。【江口一】

「髪の毛1本健診」へ一歩 微量元素の濃度測定法を開発

2004/09/19 asahi.com
 世界最大級の放射光施設「スプリング8」(兵庫県三日月町)を利用して、髪の毛1本に含まれる微量の元素の濃度を測定する方法を、兵庫県立大と食品メーカーの研究グループが開発した。毛髪中のカルシウムや鉄、亜鉛などの元素は、体調や病気とかかわりが深いとされ、髪の毛1本で健康診断ができるシステムへの応用をめざす。

 食品メーカーは同県赤穂市の「赤穂化成」(池上良成社長)。スプリング8を使った研究に実績のある県立大に協力を依頼した。

 スプリング8はX線など様々な波長の放射光を生み出せる。X線を物質に当てると、それぞれの物質特有の「蛍光X線」が放射される現象を利用して微量の元素の種類や量が判定できる仕組みを、毛髪中の元素の濃度分析に応用した。

 1本の毛髪を厚さ40マイクロメートル(1マイクロメートルは1ミリの1000分の1)の輪切りにしてX線を当て、健康状態に関係が深い15の元素の濃度を測定。10人以上の毛髪で測定に成功した。毛根から先端まで部分ごとに測ることができ、毛髪が伸びるのに合わせた体調の変化も追跡することが可能だ。不足すると、高血圧を招くクロムやアトピー性皮膚炎、味覚障害につながる亜鉛などの分析には毛髪検査がとりわけ有効という。

 毛髪中の微量元素を測る健康診断は現在、プラズマを使った分析法で実用化されている。ただ、1回の分析に150本程度の毛髪が必要で、肉体的、精神的負担が大きいとされる。赤穂化成の安川岳志主任は「将来的には自社の放射光設備で検査が可能になれば」と話す。

香りに心機能の改善効果 千葉大研究グループが確認

2004/09/11 The Sankei Shimbun
 ラベンダーオイルの香りをかいで心身の健康を図るアロマセラピー(芳香療法)に、心機能を改善する効果があることが、千葉大の小室一成教授らの研究で分かった。薬に頼らず、狭心症患者らの症状緩和が期待できるという。13日から京都市で始まる日本心臓病学会で発表する。

 運動をした場合、心臓に酸素や栄養を送る「冠動脈」の血流量を増やす必要がある。健康な人は4倍前後に増やせるが、狭心症患者は2倍以下にとどまり、激しい運動をすると心筋梗塞(こうそく)で死に至る恐れもある。

 研究では、健康な男性11人(平均34・4歳)を対象に(1)30分間の安静後(2)ラベンダーの花から抽出したオイルを温め香りを拡散させた部屋で30分間安静にするアロマセラピー後−にそれぞれ冠動脈を拡張する薬剤を投与し、運動をした後と同じ状態にして血流量が何倍になるかを比較した。

 その結果、安静にしただけでは平均4・5倍前後だった血流量が、アロマセラピーの後は平均5・3倍に上昇。ストレスの指標となる「コルチゾール」という血中ホルモンも3割程度減少していた。

 小室教授は「アロマセラピーによるリラクセーションは体に良いというイメージはあったが、心臓にも良いことがデータで裏付けられた」と話している。

免疫作用、たんぱく質が初期から関与解明…京大チーム

2004/09/08 読売新聞 Yomiuri On-Line

 体内に侵入したウイルスなどの異物をリンパ球が撃退する免疫作用に欠かせない、たんぱく質の一種「RAPL」が、免疫作用の初期段階でも深くかかわっていることを、京都大大学院医学研究科の木梨達雄教授(分子免疫学)らのグループが突き止め、8日、米科学誌「ネイチャーイムノロジー」オンライン版に発表する。

 木梨教授らは昨年7月、リンパ球が異物に結合するのに必要な接着分子を集めるRAPLを発見。今回、RAPLを除いたマウスで異物侵入への対応を実験したところ、侵入をリンパ球に知らせる「樹状細胞」が体内で移動せず、リンパ球も、異物に関する情報を得るリンパ節に移動しないまま血管内を流れ続けることがわかった。

 RAPLが免疫作用の初期段階から深く関与していることがわかったことで、木梨教授は「免疫力の強化や免疫疾患の治療に役立つ薬の開発に大きく役立つ」としている。

家庭で「動脈硬化」を測定可能な電子血圧計発売

2004/09/04 読売新聞 Yomiuri On-Line
 双日は、「動脈硬化」の進み具合を測定できる家庭用の電子血圧計「バイタルビジョン」を全国で初めて発売した。

 従来は医療機関の専用装置でしか測定できなかったものが、家庭で手軽に測れるという。

 医療器具メーカーのオサチ(長野県岡谷市)が開発・製造した。価格は3万1290円で、双日の子会社「双日ジーエムシー」(東京都港区)が大手通信販売会社などを通じて全国に販売。年間販売目標は1万台。申し込みは(0120・164・164)へ。

「異常あり」最悪の47% サラリーマンの健康診断

2004/08/28 The Sankei Shimbun
 企業に義務付けられている定期健康診断で、血中脂質や肝機能などの数値が「正常値に入っていない(異常あり)」とされたサラリーマンらの割合(有所見率)が昨年47.3%で過去最高だったことが28日、厚生労働省のまとめで分かった。

 有所見率は毎年少しずつ上昇し続け、1993年に比べ10年間で13.7ポイント上がった。特に血圧や血中脂質など生活習慣病のバロメーターとなる数値が悪くなっており「デスクワークが多く運動不足。お酒を飲む機会も多い」というサラリーマン像が浮かぶ。

 調査は、各企業の定期健康診断の結果を厚労省がまとめた。最も「異常あり」が多かったのは血中脂質で29.1%。次いで肝機能15.4%、血圧11.9%だった。

 生活習慣病の指標となる項目では、血圧が前年より0.4ポイント増、血中脂質0.7ポイント増、尿検査(糖)は1.9ポイント上昇した。これらの数値が悪化し過酷な労働環境が重なれば、動脈硬化から脳梗塞(こうそく)や心筋梗塞を招きかねない。

 有所見率が下がらない背景について厚労省は、長時間労働に歯止めがかからず、サラリーマンらが運動する時間もなかなか取れないと分析。「長時間労働を減らす企業側の努力と、個人の自覚が大切。国が健康増進を側面から支え、有所見率を下げたい」としている。

アマメシバ健康食品で呼吸器障害と製薬会社など提訴

2004/08/23 読売新聞 Yomiuri On-Line
 東南アジア原産の植物「アマメシバ」を粉末にした健康食品を服用し、重度の気管支炎になったとして、名古屋市内の70歳代の母親と50歳代の娘が23日、製薬会社「アダプトゲン製薬」(岐阜県山岡町)と、商品紹介記事を雑誌に掲載した「主婦の友社」(東京都千代田区)などを相手取り、計約1億800万円の損害賠償を求める訴えを名古屋地裁に起こした。

 訴えによると、母娘は2001年8月、主婦の友社発行の雑誌「健康」で、アマメシバの効用を紹介する記事を読み、同年12月までに300―400グラムを摂取。翌年、気管支炎にかかり、呼吸器機能障害に陥った。2人は身体障害者3級の認定を受け、娘は寝たきり状態になった。

 アダプトゲン製薬は「アマメシバは栄養価が高く、評判だった。訴えられ困惑している」、主婦の友社は「訴状を見ておらずコメントできない」としている。

人間ドックに客観評価制度 結果はホームページで公表

2004/08/20 The Sankei Shimbun

 日本人間ドック学会と日本病院会は20日、人間ドック実施施設に対する専門家による機能評価を9月から開始すると発表した。結果は施設の同意を得た上でホームページで公表する方針。

 同学会の奈良昌治理事長は「今の人間ドック施設は玉石混交。機能評価によりレベルアップを図りたい」と話している。

 国内で人間ドックを行っている病院や専門施設は年々増加。日本病院会の指定を受けた施設が全国に約900あるほか、指定を受けずに行う病院も増えている。

 しかし、これらの中には、患者減などの理由で、病院事業の片手間にドックを始める例もあり、健診の精度や質の低下が懸念されていた。

 このため、学会は「統括管理者の存在」「受診者のプライバシー確保」「倫理規定の整備」など約290の評価項目を定め、希望する施設を評価することにした。評価は書面審査と訪問審査で行い、合格すれば認定書が発行される。

 第1弾として、学会は26日から名古屋市で始まる総会で、先行評価を行った6施設を認定する。

運動選手、体脂肪率低いほど月経異常

2004/08/15 読売新聞 Yomiuri On-Line

 五輪クラスの女子スポーツ選手は、体脂肪率が低いほど月経異常の割合が高くなることが、筑波大の目崎登教授(スポーツ医学)の研究で明らかになった。

 厳しい練習を重ねる女子選手は月経異常が起きやすいことはよく知られている。目崎教授は、アトランタ、シドニー五輪主要競技の女子強化選手(1772人)と普通の女子大生(1786人)を対象に、体脂肪率や月経異常の有無などを調査、比較した。

 その結果、女子大生の約3割が月経異常を経験しているのに対し、選手は4割とやはり高かった。

 一流選手で体脂肪率と月経異常との関係を見ると、体脂肪率が10%を切ると全員に異常があった。12・5%に増えると半分に減少。体脂肪率が15%を超えると、月経異常になる割合はふつうの女子大生と同じ約30%まで下がった。

 競技別では、体脂肪率が低い競技の新体操、体操、陸上中長距離選手に、月経異常が多く、体脂肪率が比較的高いバレーボール選手は一般女子大生とあまり差がなかった。

 一流選手の多くは、こうした異常を理解し、練習を調整しながら競技に臨んでいるが、メダリストの卵たちを育てている中学・高校の現場では、選手、指導者とも知識が不足している。

 目崎教授は「体脂肪率の減少を放っておくと、骨粗しょう症や不妊になる恐れがある」と指摘している。

 ◆月経異常=周期や日数、出血量の異常など10以上の分類がある。このうち月経が3か月以上止まることを続発性無月経と呼ぶ。妊娠がまず考えられるが、無理なダイエットによる卵巣機能不全やホルモンの分泌異常など様々な原因がある。

長寿保証するたんぱく質を発見…日本とチェコ共同で

2004/08/12 読売新聞 Yomiuri On-Line

 長寿に重要な役割を果たす新しいたんぱく質を、国立遺伝学研究所(静岡県三島市)とチェコのサウスボヘミア大学の研究チームが明らかにした。

 このたんぱく質がうまく働かないと生活習慣病などを発症する恐れもあり、寿命を延ばす治療法開発にもつながると期待される。

 12日付の英科学雑誌EMBOジャーナル電子版で発表された。

 生体内では、栄養をエネルギーに変える過程や喫煙などで常に活性酸素が発生している。活性酸素は動脈硬化やがんなどさまざまな病気につながるが、通常は防御する仕組みが働き正常に保っている。

 この防御には「AP―1」というたんぱく質が指令を出しているが、それを構成するアミノ酸の1つが酸化するとうまく働かなくなる。研究チームはたんぱく質「MBF1」が、AP―1の酸化を防いでいることを発見した。

 実際、MBF1遺伝子がないショウジョウバエは、ストレスを与えると寿命が約4分の3に短くなったという。

 研究チームの広瀬進・国立遺伝学研究所教授(分子遺伝学)は「MBF1はAP―1の活性をうまく制御し、寿命をまっとうできるようにしている」と話している。

やせた男性、がんに注意 厚労省研究班調査

2004/08/11 The Sankei Shimbun

 日本人男性は、やせているほどがんになりやすく、標準かやや太めに比べ、がん発生率は14−29%高いことが、厚生労働省研究班(主任研究者・津金昌一郎国立がんセンター予防研究部長)の大規模疫学調査で分かった。米国のがん専門誌に11日までに発表した。

 研究班は、40−60代の男女約9万人を1990年から約10年にわたって追跡し、がんの発生率や死亡率と体格指数(BMI)との関係を調べた。

 BMIは、体重(キロ)を身長(メートル)の2乗で割った値。標準は22で、25以上が肥満とされる。

 BMIが21−29・9の男性ではがんの発生率はほとんど変わらなかったが、やせとされる21未満で増加傾向が顕著だった。23−24・9の人の発生率と比較すると、19−20・9の人は14%、14−18・9の人は29%、それぞれ発生率が高かった。女性では、こうした傾向はみられなかった。

 研究開始から数年でがんになった人を除いて分析しても同様の結果となり、がんが原因でやせたとは考えにくいという。

 研究班の井上真奈美・同センター室長は「発生率でなく死亡率でみた場合、やせの影響はさらに顕著になる。やせすぎの人は、がんになった後の回復力も弱いのでは」と、やせすぎに注意するよう呼び掛けている。

肝障害生じるおそれ コンフリーの販売禁止

2004/06/18 The Sankei Shimbun

 健康食品として普及している「コンフリー」(別名ヒレハリソウ)を食べた人が肝障害を起こすケースが海外で相次いだ問題で、厚生労働省は18日、「健康被害が生じるおそれがある」との食品安全委員会の意見を受け、販売禁止を決めた。

 コンフリーはビタミンやミネラルを多く含み、スタミナ増強や貧血改善に効果がある健康食品として、お茶や錠剤などの形で広く普及。葉や根は食用とされてきた。

 しかしコンフリーを食べた結果、肝硬変や肝不全になる事例が海外で報告され、食品安全委員会が安全性を検討。厚労省は14日、業者に販売自粛や自主回収を求め、消費者には飲食を控えるよう呼び掛けていた。

親子で学ぼう虫歯の予防法 広島大病院で4日

2004/05/31中国新聞地域ニュース

 虫歯予防デーの六月四日、広島大病院小児歯科は南区霞一丁目の同病院で、「親子の虫歯予防教室」を開く。歯磨き指導などを通し、歯の健康づくりを呼び掛ける。

 「親子でつくろう 歯〜とふるライフ」をテーマに歯磨きの個別指導や検診のほか、唾液(だえき)を使って口内の汚れを調べるコーナーなどがある。アニメキャラクターの着ぐるみも登場し、劇で虫歯の防ぎ方を教える。

 参加無料。教室は午後二時半からで、歯ブラシを持参。小児歯科TEL082(257)5775。

喫煙の害、ほぼ全臓器に 米政府が報告書

2004/05/30 The Sankei Shimbun

 米政府は31日の世界禁煙デーを前に、喫煙の健康影響に関する報告書を発表。報告の責任者のカルモナ米医務総監は「喫煙の害は、ほぼすべての臓器に及ぶ」と明快に結論付けた。

 報告書は、世界の主要論文の検討を基にまとめられた。肺がん以外にも腎臓がんや白内障など多くの疾患について、喫煙が原因であることが新たに分かってきたと指摘。また「65歳以上で禁煙しても、喫煙に関連した病気で死亡する危険を大幅に減らせる」として、年齢にかかわらず禁煙するよう訴えた。

 報告書によると、喫煙との因果関係が最近判明したのは、腎臓がんと白内障に加え胃がん、膵臓(すいぞう)がん、子宮頸(けい)がん、急性骨髄性白血病、肺炎、腹部大動脈瘤(りゅう)、歯周炎の計9疾患。これまで関連が知られていたものと合わせ、喫煙が計36の疾患や異常の原因になっているとした。

 一方、前立腺がんや勃起(ぼっき)不全などについては「喫煙との関連を指摘する研究があるが、現段階では因果関係があるとまでは言えない」としている。(共同)

ビール酵母エキス、疲労予防に効果…アサヒビール研究

2004/05/16 読売新聞 Yomiuri On-Line

 アサヒビールは15日、ビールの製造に使ったビール酵母から抽出した液体エキスに、肉体疲労を予防する働きがあるとする研究結果を明らかにした。

 ビール酵母に、栄養補給や整腸の働きがあることは判明しているが、疲労予防にも効果があることは初めて分かったとしている。同社は年内にも人を対象とした実験を始め、医薬品や特定保健用食品として早期に商品化することを目指す。

 疲労予防の効果は、東北薬科大(仙台市)と共同で実施したマウス実験で判明した。22日に仙台市内で開かれる日本栄養・食糧学会総会で発表する。

 実験では、液体エキスを溶かした水を与えたマウスと、ただの水を与えたマウスとを、自動的に回転するかごで運動させ、運動後の疲労を比較した。エキスを与えたマウスは、運動後も活発に動いたが、ただの水を与えたマウスは疲労がたまり、エキスを与えたマウスの8分の1程度しか動かなかったとしている。

 エキスには、筋肉を疲労しにくくする働きか、筋肉の疲労回復を早める働きがある可能性が高いとみられている。

健康診断:受診する主婦は半数 触診などに抵抗感

2004年05月06日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE

 大半の主婦が健康診断を受けたいと思っているが、受診するのは半数にとどまっていることが6日、スイス製薬大手ロシュの日本法人が行った調査で分かった。

 それによると、健康診断を定期的に受けたいと回答した主婦は全体の86.5%に上ったが、実際の受診率は50.7%にとどまった。正社員で働く主婦の9割が勤務先で受診するのに対し、専業主婦や非正社員の受診率は極端に低かった。

 一方、受診敬遠の理由として、「(触診など)デリケートな診察に抵抗がある」(43.9%)、「診察する医師が男性」(28.4%)との声が多く寄せられた。

 調査は母の日を前に、インターネットを通じて30代から50代までの600人から回答を得た。

ぽっくり病:食物の脂肪「燃えかす」が関与 九大など研究

2004年05月06日 Mainichi INTERACTIVE

 働き盛りの人が就寝中に突然、心不全で死亡する「ぽっくり病」の発症に、食物中の脂肪の「燃えかす」が関与していることが九州大と東海大などの共同研究で明らかになった。血液中にたまった燃えかすに、心臓の冠状動脈を激しくけいれんさせ血流を妨げる作用があることを、動物実験で確かめた。ぽっくり病の予防につながる成果で、論文は米心臓病学会誌に掲載された。

 ぽっくり病は動脈硬化などの兆候のない20〜40代の人が、睡眠中に突然苦しみ出して死亡する病気で、アジア人の男性に多い。原因不明の奇病とされ、心臓が原因の突然死の1割前後を占めるといわれる。

 東海大医学部の武市早苗教授(法医学)は、ぽっくり病の疑いのある約300人の解剖例を分析し、心臓の冠状動脈が激しく収縮したため心筋に血液が流れなくなったことが原因と推測した。死者は血中の「レムナントリポたんぱく(RLP)」値が高い傾向があった。RLPは脂肪やたんぱく質の固まりで、食物中の脂肪が分解される過程で生じる。

 続いて、九州大の下川宏明助教授(循環器内科学)らは、ぽっくり病の死者の血液から抽出したRLPを含む成分と含まない成分をガーゼにしみこませ、ブタ6頭の心臓の冠状動脈の別々の部位に巻きつけた。1週間後、冠状動脈に軽い収縮刺激を与えたところ、6頭すべてでRLPを含む成分を作用させた部位だけが激しくけいれんして収縮し、心筋への血流が妨げられた。RLPの働きが生体内で確認されたのは世界で初めて。

 また、培養したヒトの血管細胞にRLPを加えたところ、筋肉を収縮させる働きのある酵素が増加することも確認した。

 研究グループは「血中の中性脂肪値の高い人は、この燃えかすが多い傾向があり、ぽっくり病予備軍と言えそうだ。暴飲暴食は控えた方がいい」と注意を促している。【西川拓】

注目集める「在宅検診」 キット使い自宅で健康チェック 

2003年10月27日 The Sankei Shimbun

 コンビニエンスストアやインターネットを通じて購入した検診キットを自宅で使い、健康をチェックする「在宅検診」が注目されている。

 病院に行く手間が省ける上、性感染症など病院に行くこと自体に抵抗感がある場合でも誰にも知られず検査できることが魅力になっている。

 キットの価格は業者や病気の内容によって異なるが、3000−6000円程度。血液や便などをキットを使って採り、問診票と一緒に返送すると、検査機関が判定して結果を知らせる仕組み。

 病気が陽性と出た場合、電話相談の受け付けや医療機関の紹介をする。郵送で、延べ約190万人の大腸がん検診の実績を持つ愛知診断技術振興財団(名古屋市)は「手軽に検査できるため、健康な人の病気への意識を高めることもできる」とアピールする。

 がんや生活習慣病のほか、肝炎や骨粗しょう症など診断可能な病気の種類も増えている。医療ベンチャーのアルバコーポレーション(大阪市)は、体内のミネラルや活性酸素の状態をキットで調べ、日々の健康管理のアドバイスをする商品を発売する予定だ。

 一方で在宅検査に対して「治るまで責任を持って診断するという医療の本質から外れている」(医療関係者)と批判の声もある。愛知診断技術振興財団も「あくまで予防手段。自覚症状が出る段階であれば病院でしっかり調べてほしい」と強調している。

週1時間の速歩きで血圧降下…健康・栄養研などが調査

2003/10/04 読売新聞Yomiuri On-LIne

 「1週間に合計1時間以上速歩きすれば、血圧が下がる」ことが、国立健康・栄養研究所と国立療養所中部病院の研究で分かった。

 血圧低下には速歩きのような有酸素運動が有効とされていたが、今回の調査で最小必要運動量が初めて明らかになった。週1回まとめて歩いても、回数を分けても良く、血圧が高い人ほど効果があるという。

 国立健康・栄養研究所の高田和子主任研究員らは、高血圧の男女207人を5つのグループに分け、毎週の運動時間をそれぞれ「ゼロ」から「2時間以上」に決めて、8週間続けてもらった。

 その結果、最高血圧の降下は、週に1時間から1時間半運動を行ったグループで顕著に現れ、それ以上運動量を増やしても、大きな変化はなかった。運動の回数が週1回でも、5回以上の細切れでも、効果は同じだった。

 また、最高血圧の変化は、最初に160以上だった人たちは平均15も下がったのに対し、150から140だった人たちは平均5程度の降下にとどまり、血圧が高い人ほど運動の効果が大きかった。

 国立療養所中部病院の太田寿城院長は「運動の回数より総量が重要だと分かった。速歩きなど、心拍数が毎分110―120回になる程度の軽い運動が有効」と話している。

 ◆有酸素運動=血中の酸素を消費して動く「遅筋」を使った運動。遅筋は持久力に優れ、体に過度の負担をかけずに長時間続けられるため、脂肪燃焼や心肺機能の向上に効果があるとされる。英語では「エアロビクス」。

キノコ:幻の「ハナビラタケ」大量生産に成功 ユニチカ

2003年09月17日 [毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE

 ユニチカは17日、抗がん作用があるとされるβグルカン成分を含む「幻のキノコ」、ハナビラタケを愛知県の栽培プラントで大量生産することに成功し、百貨店やレストランへの出荷を始めたと発表した。ハナビラタケの大量生産は世界初という。

 ハナビラタケは、標高1000メートル以上の高山でカラマツなど針葉樹の根元に生える。生長条件が厳しく、雑菌にも弱いため、栽培は困難だった。ユニチカは、外気を遮断した専用室を設置、特殊な栄養分をしみ込ませたおがくずを詰めた容器で育てることに成功した。

 阪神百貨店、名古屋三越栄本店などの百貨店やレストランで販売する。店頭価格は100グラム1000円程度。【尾村洋介】

ブラックチョコが動脈硬化を「防止」 伊英の共同研究グループ

2003年08月31日 The Sankei Shimbun

 チョコレートに含まれる動脈硬化を防ぐ成分は、ミルクチョコに加工されている場合や、牛乳と一緒に食べた場合は、人体に十分吸収されないことが、イタリア国立食品栄養研究所と英グラスゴー大の共同研究で明らかになった。動脈硬化の予防効果を期待する場合は、ブラックチョコを適量食べるのが良さそうだ。

 チョコレートには、緑茶にもあるエピカテキンなどのフラボノイド(ポリフェノール)が含まれ、悪玉コレステロールの酸化を防ぐ効果が知られる。共同研究グループは、25−35歳の健康な男女12人に、(1)ブラックチョコ100グラム(2)ブラックチョコ100グラムと脂肪分の多い牛乳200ミリリットル(3)ミルクチョコ200グラム−を別々の日に食べてもらった。

 それぞれ4時間後の血液中のエピカテキン量を調べたところ、ブラックチョコだけを食べた場合に比べ、牛乳と一緒の場合は46%、ミルクチョコの場合は69%も少なかった。これは、チョコのフラボノイドが牛乳のタンパク質と結び付き、体内に吸収されにくくなったと考えられるという。

2健康食品から薬成分検出 富山、関係道府県に通報

2003年08月13日 The Sankei Shimbun

 健康食品「糖滋源」から糖尿病薬の成分「グリベンクラミド」が検出された問題で、富山県厚生部は13日、製造元の「バイホロン」(富山市)が製造する他の健康食品「清糖元」「楽糖心」の2製品と、原料からもグリベンクラミドを検出した。

 バイホロンは表示上、3製品の製造元だが、実態は提供された原料を使って製剤、包装をしていたことも判明した。

 同県は薬事法違反に当たるとして、原料の提供業者を管轄する愛知県や、清糖元、楽糖心の販売業者を管轄する北海道、大阪府、広島県に事実関係を通報し、販売中止の措置を依頼した。

 今月8日、糖滋源を飲んだ石川県内の2人が入院し、健康食品からグリベンクラミドが検出されたことを受け、調査を進めていた。

 また、富山県は、昨年5月まで糖滋源などを製造していた「ジャパンテクノフーズ」(同県立山町)に製造、販売の中止を指示した。

ビール:苦味に肥満抑制効果 キリン研究グループ

2003年07月19日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE

 ビールの苦味成分に脂肪の蓄積を抑える効果があることが、キリンビールなどの研究グループによるマウスの実験で明らかになった。高脂肪食に苦味成分を混ぜてマウスに食べさせると最大2割強まで体重が抑えられた。日本栄養食糧学会で発表された。

 研究グループは、脂肪分60%の高脂肪食にビールに含まれる苦味成分のイソフムロン類を0.18%混ぜたエサをマウスに食べさせ、6週間後の体重を調べた。その結果、イソフムロン類を混ぜていないエサを食べたマウスに比べ、体重が22%抑えられた。通常のエサにイソフムロン類を混ぜた場合でも、5週間後の体重が13%抑えられた。

 脂肪の分解を促進する脂肪分解酵素と脂肪酸酸化酵素の量を調べたところ、高脂肪食にイソフムロン類を混ぜたエサを食べたマウスは、いずれの値も2倍以上に増えていた。研究グループは、イソフムロン類が脂肪分解酵素などを活性化することで、摂取した脂肪が体内に蓄積されないと分析している。

 ただ、人への効果について、研究グループ代表の近藤恵二・キリンビール研究開発部長代理は「ビールだけたくさん飲んでも効果は期待できない。かえって肝臓への負担が大きいので、飲み過ぎない方がいい」と話している。【河内敏康】

スポーツ疲労、汗で判定 岡大大学院

2003/06/28 中国新聞地域ニュース

 ■分析・数値化を研究 練習・指導に活用も

 岡山大大学院医歯学総合研究科の橋詰博行助教授(整形外科)らのグループが、人間の汗の成分を分析し、痛みや疲れの度合いを測る研究に取り組んでいる。これまでの顔の表情や体全体の動きなどで判断するのに比べ、数値で客観的な指標が得られるため、スポーツ選手の練習や指導などに生かせると期待されている。

 橋詰助教授らは、汗の中に激しい筋肉運動などで生じる乳酸や、筋肉に痛みを与える複数の物質が含まれていることに着目。健康な人と疲れや痛みを訴える人合わせて約二百人に運動をさせ、シールなどで微量の汗を取り、クロマトグラフィー(物質分離機)で含有物質の量を計測する実験を続けている。

 これまでは体内の乳酸などは血液を採取して調べていた。ほかに疲れや痛みの程度をキャッチする指標としては、主として表情から判断する「フェイススケール」もあるが、同程度の痛みでも我慢強い人とそうでない人とでは表情に差があるなどの難点があった。

 より簡便で、正確な指標となるのが汗の成分の数値化。橋詰助教授は「実証されれば、スポーツ選手の疲労状態が客観的に分かるほか、湿布や鎮痛剤などの効き具合を確かめることもできる」と説明する。来年春を目標に中間報告をまとめる。

 ■現場で使える指標

 稲水惇広島大大学院教育学研究科教授(スポーツ医学)の話 血液と違い、汗はいつでもどこでも採取でき、スポーツ指導の現場で使える指標として有用。研究成果によって疲れや痛みを和らげ、選手寿命を延ばすことも期待できる。

痴ほう・パーキンソン病予防にカルシウムと運動が有効

2003/06/24 読売新聞 Yomiuri On-Line

 海藻や牛乳などカルシウムが豊富な食事や日々の運動が、パーキンソン病や痴ほう症の治療や予防に役立つことを筑波大医学系の須藤伝悦(でんえつ)博士らが動物実験で初めて明らかにした。生活習慣の大切さが改めて注目されそうだ。

 手足のふるえや筋肉硬直などが特徴のパーキンソン病や、痴ほう症のうちでパーキンソン病に似たDLB型、高血圧症、てんかん症などは、脳内の情報伝達に使われる物質の一種ドーパミンが減ってしまうことがその一因になっている。

 須藤博士らはネズミを使った実験で、餌として摂取したカルシウムが、脳内のドーパミン合成を実際に促進する仕組みを突き止めた。また、毎日の運動で、体内のカルシウム代謝が活発化し、骨の中のカルシウムが血流を通じて脳に供給され、ドーパミンが増えることも分かった。

 海外では近年、山歩きや散歩、ストレッチなどの運動を1か月程度続けると、パーキンソン病や痴ほう症が改善したとする報告が増えている。また約4300人を追跡調査した海外の研究では、運動習慣がある人は、ない人に比べて痴ほう症になる割合が半分程度だった。

キンメダイなど妊婦に食事制限 水銀濃度で厚労省

2003年06月03日 The Sankei Shimbun

 厚生労働省は3日、魚のメカジキやキンメダイに含まれる微量の水銀が胎児に悪影響を及ぼす可能性があるとして、妊婦は食べるのを週2回以下にするよう注意を呼び掛けた。マッコウクジラ、サメなど5種についても、食事制限を求めた。

 魚などについては、旧厚生省がメチル水銀の暫定規制値(1キログラムあたり0・3ミリグラム以下)を設けているが、具体的な種名を挙げて、注意を呼び掛けるのは初めて。一方で、妊婦以外はどの魚を食べても健康に影響はないとして、呼び掛けを正しく理解するよう訴えた。

 厚労省によると、いずれも1回の食事量を60グラムから80グラムとした上で、メカジキとキンメダイは、週2回以下にすることが望ましいとした。

 また、バンドウイルカは人間が食べた際に取り込まれる量(暴露量)がメカジキ以上に多かったとして、2カ月に1回以下、ツチクジラ、コビレゴンドウ、マッコウクジラ、サメ(筋肉)の4種は、週に1回以下とするのが望ましいとした。

 自然界に存在する水銀は有毒なメチル水銀に変化し、食物連鎖の上位に位置するカジキやクジラに蓄積。メチル水銀は人の体内に取り込まれると水俣病を起こすほか、成人には影響を及ぼさないわずかの量でも胎児の神経発達に悪影響を与えることが分かっている。

 厚労省の薬事・食品衛生審議会は、厚労省や水産庁などが実施した水銀含有量調査を元に、日本人になじみの深い魚約300種を検討。人間への暴露量が多い7種の食事制限が必要と判断した。

 また、欧米の一部で同様の勧告が出ているマグロについても注意を呼び掛けるかどうか議論の対象になったが、消費量が少なく、1人当たりの平均の暴露量がメカジキなどと比べ少なかったため見送られた。

 キンメダイとメカジキ キンメダイは真っ赤な体色に金色の大きな目が名前の由来。日本近海だけでなく、大西洋やインド洋などに広く分布。普段は水深200メートル以下に住む。白身の肉は煮付けや刺し身などで食べられる。メカジキは鋭くとがった上あごが特徴。熱帯から寒帯まで広く分布、性格が荒く欧米では釣り魚としても人気がある。大きなものは体長3メートルを超える。肉質は硬めで脂肪が多く、加工製品の原料としても使われる。

ヨーグルト・納豆の支出が増加 都が調査

2003年05月12日 The Sankei Shimbun

 東京都が12日発表した2002年の生計分析調査で、この10年で弁当・おにぎりなどの調理食品や外食への支出が増えるとともに、ヨーグルトや納豆などへの支出が伸び、健康志向もうかがえることが分かった。

 都は毎月実施している同調査のうち食料支出に着目し、1993年と02年の数値を比較した。02年の調査世帯数は984世帯。

 一世帯当たりの月平均の食料支出は、02年は8万6893円で、93年に比べて約1万2500円減少した。

 食料支出のうち外食と調理食品は計31%を占めており、93年に比べて3・9ポイント増加。一方で肉類、魚介類、穀類、野菜などの割合は低下、都統計部は「家庭で料理する手間の一部を調理食品や外食に振り替えていることを示す」とみている。

 食品別の支出額をみると、93年より額が減少した食品が多い中、ヨーグルトとサラダが約1・4倍、納豆が約1・2倍にそれぞれ増加、酢や梅干しも伸びていた。

犬型の健康管理ロボット発売へ 三洋電機

2003年04月08日 The Sankei Shimbun

 三洋電機は8日までに、耳の垂れた犬型の健康管理ロボット「Hopis(ホピス)」を17年に発売する方針を明らかにした。遠隔医療が狙いで、糖尿病などの生活習慣病の患者に販売するか貸し出す考え。

 ホピスは、使う人の体温や血圧、体重や食事メニューの画像などのデータを医師と栄養士に送信。医師が各種データを管理し、栄養士は画像からカロリー計算するとともに、双方がアドバイスをする。

 糖尿病の60歳代の10人が試作ロボットを使い、うち7人が「楽しく健康管理ができた」と答えたという。同社は「医師の助言を即時に受けられるし、ペット型なので癒やしにもつながる」と宣伝している。

コレステロールは180―240が適正 臨床試験で判明

2000.12.27 asahi.com

 動脈硬化の原因となる総コレステロールの値は、血液100ミリリットルあたり180―240ミリグラムが適正で、それより高くても低くても死亡の危険性が高まる――。こんな結果が、総コレステロール値を下げる薬の大規模な臨床試験でわかったと27日、万有製薬が発表した。日本動脈硬化学会は高コレステロール血症の診断や治療のガイドラインを見直し中で、その有力データになりそうだ。

 対象は、高コレステロール血症と診断された35―70歳の約5万人。1992―99年の間に、シンバスタチンという治療薬を6年続けて飲んでもらい、心筋こうそくなどの発生率や死亡率を分析した。

 全体の死亡率は、180―280ミリグラムの間ではほとんど変わらなかった。しかし、180ミリグラム未満と280ミリグラム以上では、その間の2倍以上になっていた。また、心筋こうそくなどの危険は240ミリグラム以上で高かった。

 コレステロールを血管の壁に運んで動脈硬化を起こすLDL(悪玉)値は、80―160ミリグラムで死亡率が低く、値がそれ以上でも以下でも高まった。

 動脈硬化学会のいまのガイドラインによると、高コレステロール血症と診断されるのは、総コレステロール値でみた場合に220ミリグラム以上、LDL値では140ミリグラム以上などとされている。肥満などの危険因子がある場合の治療目標は、それらよりさらに低く設定されている。

「カベルネ・ソービニョン」の赤ワイン、健康な心臓の維持に効果

1999年04月27日 ロイター

  [ロンドン 27日 ロイター] ワイン愛好家の間で人気の仏ボルドー地方産の赤ワインの材料であるブドウの品種「カベルネ・ソービニョン」が、健康な心臓を維持するのに効果があることが分かった。仏南部ぺサックの病院の医師ジャンポール・ブルースト氏が英医療・健康誌「ハート」で発表した。 同医師によると、「カベルネ・ソービニョン」は、体内の善玉コレステロールを増やすとともに、動脈硬化を起こす悪玉コレステロールを抑制する効能がある。 過去にも英グラスゴー大学の研究グループが、「カベルネ・ソービニョン」で作ったチリ産の赤ワインが、健康促進の効用があるという研究結果を発表した例がある。

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