TOPIC No.5-48 ノロウィルス(Noro Viruses)

01.感染性胃腸炎が急増しています! 三重県感染症情報センター
02. ノロウイルス by YAHOO!ニュース
03. ノロウイルスに関するQ&A by厚生労働省
04. ノロウィルス byフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
05. ノロウイルス感染予防ガイド by東京都台東区
06. ノロウイルス感染予防ガイド2 by東京都台東区
07. ノロウイルス対策マニュアル by< A HREF="http://citaikyo.jp/">広島県地域保健対策協議会

ノロ集団感染、患者死亡 NTT東日本長野病院

2007/12/31 中国新聞ニュース

 NTT東日本長野病院(長野市三輪)は三十一日、入院患者や看護師など計二十五人が下痢や嘔吐(おうと)などの症状を訴え、うち八十代の女性入院患者が三十日に死亡したと発表した。女性を含め六人からノロウイルスが検出された。感染性胃腸炎の集団発生とみられる。

 同病院によると、内訳は七十三歳から九十七歳の患者十七人と、二十八歳から六十歳の看護師と薬剤師八人。二十四日から症状を訴え始めたという。

ノロウイルスか2人死亡 大分の障害者福祉施設

2007年12月25日 中国新聞ニュース

 大分県佐伯市の障害者福祉施設で、入所者の50代女性と60代男性が感染性胃腸炎とみられる症状で嘔吐(おうと)を繰り返し、死亡したことが25日、分かった。ほかの入所者2人からノロウイルスが検出されており、県はウイルスによる集団感染とみている。

 県によると、死者を含む入所者と職員計27人が14日から下痢や嘔吐、発熱を訴え、6人が入院。23日に2人が死亡した。直接の死因はいずれも肺炎。25日現在、2人が依然入院中という。

 厚生労働省によると、この冬は昨冬に続いてノロウイルスなどが原因の感染性胃腸炎が全国的に流行しており、とりわけ九州の患者報告数が目立っている。12月3日から1週間の定点調査による患者報告数は、大分県が43・6人で全国で最も多かった。

 12月に入って北海道や山形、茨城、石川の各県などで高齢者が死亡。大分県では22日にも、国東市の介護施設で80代の女性が死亡した。

ノロウイルスの胃腸炎急増 国立感染研が注意呼び掛け

2007/12/16 中国新聞ニュース

 嘔吐おうとや下痢を繰り返す感染性胃腸炎の患者報告数が急増していることが、国立感染症研究所の十六日までの集計で明らかになった。大半はノロウイルスが原因とみられ、九州地方で特に多い。

 感染研によると、報告数は今後さらに増える可能性が高い。予防には流水とせっけんによる手洗いが有効で、患者の嘔吐物や便を適切に処理することも重要だという。

 全国約三千の小児科定点医療機関からの報告は、今月二日までの一週間で四万千三人(定点当たり一三・六人)で、前週の約一・五倍に増加した。

 都道府県別の定点当たり報告数は、長崎の三四・七人が最多。大分三二・一人、佐賀二九・〇人、福岡二六・七人、熊本二六・二人と続き、九州が目立つ。

 ノロウイルスは感染力が強く、口から入って腸で増殖、嘔吐や下痢、腹痛などを引き起こす。健康な人は軽症で済むが、子どもや高齢者らは重症化する恐れもある。対症療法しかなく、水分補給で脱水を防ぐことが大事だ。

 食品に付着したウイルスによる食中毒に加え、患者の嘔吐物や便に大量に含まれるウイルスが飛沫ひまつとなったり、人の手を介したりして感染することもある。消毒には塩素系の漂白剤が効果的。

 ノロウイルスは昨年、大規模な流行があり、十一、十二月の二カ月の患者報告数は過去十年間で最大規模となった。

胃腸炎集団感染、1人死亡

2007年12月15日 読売新聞 Yomiuri On-Line

村山の特養

 県は14日、村山市の特別養護老人ホーム「ひがしざわ」で、ノロウイルスが原因とみられる感染性胃腸炎が集団発生したと発表した。このうち、80歳代の男性入所者1人が嘔吐(おうと)物を誤飲したのが原因で肺炎を発症し、死亡した。今冬の県内での感染性胃腸炎の集団発生は初めてという。

 県保健薬務課によると、今月10〜14日に、ひがしざわの入所者21人と職員13人の計34人が下痢や嘔吐の病状を訴え、12日に東根市内の医療機関に入院した男性が肺炎で同日死亡した。発症者のうち5人からはノロウイルスが検出されたという。14日現在、いずれの発症者も命に別条はないが、14人になお症状があり、このうち2人が入院しているという。

 男性1人が死亡したことを受けて、県長寿社会課は同ホームの施設運営や、感染性胃腸炎が発生した後の対応に問題がなかったかなどについて、ホーム側から聞き取り調査を行う方針を固めた。

感染性胃腸炎警報

2007年12月14日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 ノロウイルスなどが原因の感染性胃腸炎が流行する兆しがあるとして、県は13日、徳島保健所管内で今冬初めての警報を発令した。また、阿南保健所管内では、百日ぜき警報が発令された。

 感染性胃腸炎の警報は、定点観測している管内の13医療機関からの3〜9日の感染者数が269人となり、発令の基準となる1機関あたり20人を超えた。百日ぜき警報は3〜9日の感染者数が2機関3人で、1機関あたり1人の基準を超えた。

 感染性胃腸炎については警報を受け、県は連絡会議を開催。関係部署や保健所の担当者ら約20人が、ホームページなどで情報提供を通じて、感染の拡大防止を訴え、関係機関の連携強化を確認した。県教委も13日付で、各市町村教委に対し、小中高校などに注意を呼び掛けるよう求める通知を出した。

 県健康増進課は「今後流行のピークを迎える可能性もある。手洗いを徹底するなど、予防対策を」と注意を呼び掛けている。

県内で感染性胃腸炎猛威 警報 前年より2週間早く ノロウイルス患者も増加

2007年12月08日 西日本新聞朝刊

 激しい嘔吐(おうと)や下痢を伴う感染性胃腸炎が県内で猛威を振るっている。ノロウイルスが原因とみられる集団感染や食中毒も増加中。県は7日、前年より2週間早く流行発生警報を発令して注意を呼び掛けたが、この日も県内各地で患者の発生が報告された。

 7日午後、県は前原市の高齢者施設入所者と職員を合わせた24人(入院者3人含む)が嘔吐や下痢を訴えたと発表。さらに春日市の高齢者施設でも計37人、筑後地区の医療機関では患者と職員計21人が同様の症状を訴えた。施設職員を除けば、患者は70歳以上の高齢者に多くみられたという。

 県健康対策課によると、定点医療機関での患者発生数は、全国で1カ所平均8.97人(11月19‐25日)だが、県内120カ所の平均は26.71人(11月26‐12月2日)で約3倍。県内ブロック別では筑後が34.04人、北九州26.38人、福岡26.06人、筑豊17.71人だった。

 福岡市内7区の保健所に寄せられた報告によると、今年10‐11月の感染性胃腸炎患者は386人で昨年同期の約8.5倍。うちノロウイルスを検出したのは45人で同4倍だった。

 流行のペースも昨年より早まっている。福岡市では11月19‐25日の1週間で患者数613人、1カ所平均21.89人に達した。平均患者数が20人を超えたのは昨年より3週間早い。北九州市では11月5‐11日に初めて1カ所平均が10人台を突破。それが次週には21.29人とほぼ倍増した。

 感染力が強いノロウイルスは、乾燥して床にこびりついた患者の吐瀉(としゃ)物が空気中に漂い、口から感染する。そのため、高齢者施設や病院で集団感染を引き起こしやすい。吐き気や下痢、腹痛や発熱の症状は1‐2日で治るが、寝たきりの高齢者が嘔吐して窒息や肺炎を起こす例があり、県内でも昨冬は2人の死亡が報告された。

 県健康対策課は「今年も流行が続く可能性はある」として、トイレ使用後や調理前の手洗いのほか、室内で嘔吐した場合の換気や吐瀉物の十分なふき取りなどを呼びかけている。

■ノロウイルス

 感染性胃腸炎や食中毒を引き起こす小型の球形ウイルス。1年を通して発生するが、集団感染は特に冬場に多い。感染経路はほとんどが経口感染で、汚染されたカキなどの二枚貝や感染した人が調理をした飲食物の摂取、患者の便や嘔吐(おうと)物からの2次感染などによって広がる。感染すると1、2日後に激しい吐き気や下痢、腹痛などが生じるが、通常は3日程度で治まる。ただし、免疫力の弱い乳幼児や高齢者は重くなる場合もある。

大流行原因は同一ウイルス 昨冬の感染性胃腸炎

2007年10月20日 中国新聞ニュース

 昨冬、全国で感染性胃腸炎の大流行を引き起こしたノロウイルスは、大半が同一のタイプだったことが、国立感染症研究所と全国の地方衛生研究所による大規模な遺伝子解析で20日までに分かった。

 欧州で報告された「EU2006b」と呼ばれるウイルス。感染研の松野重夫・感染症情報センター主任研究官は「このタイプのウイルスに免疫を持っていない人が多かったため全国的に流行したのではないか」と分析。ノロウイルスは通常、冬に流行するため「これからの時期に嘔吐や下痢の症状があったら、感染を疑って対策を取るべきだ」と話している。

 全国の63衛生研究所が昨年10月から今年1月にかけて分離したノロウイルスのうち、遺伝子の同じ領域を分析できた約860検体の4分の3が「EU2006b」だった。

 松野研究官によると、EU2006bは日本と同時期に欧州で流行、香港でも昨年5月に流行した。

豪華客船Q・エリザベス2世号で304人ノロウイルス

2007/01/26 The Sankei Shimbun WEB-site

 【ロサンゼルス=松尾理也】世界一周クルーズ中の豪華客船クイーン・エリザベス2世号で、ノロウイルスによる感染性胃腸炎が大量発生していたことがわかった。米疾病対策センター(CDC)によると、乗客276人、乗員28人が発症していたという。

 同号は今月8日にニューヨークを出航し、108日間の世界一周クルーズ中。感染が報告されたため、CDCの係官がメキシコ・アカプルコで同号に乗り込み、検査を行ったところ、乗客の約17%が感染していたことが分かった。

 ただし、同号がサンフランシスコに入港した24日の時点では、症状を訴えている乗客は4人にまで減少している。AP通信によると、今回の感染騒ぎによる乗客のキャンセルはないという。同号は24日夜、予定通り次の寄港地ホノルルに向けて出航した。

 CDCは、客船での感染症の発生について、乗客の3%以上が感染した場合を「大量発生」と位置づけている。

電解水がノロウイルスに抑制効果 三洋電機 自社製品で効果確認

2007/01/18 FujiSankei Business i.

 三洋電機は17日、同社が空気清浄機や加湿器に使っている電解水がノロウイルスを抑制する効果のあることを群馬県衛生環境研究所との共同実験で確認したと発表した。同社の電解水技術は、水道水を電気分解して除菌作用を持たせたもので、同社はこれまでに、鳥インフルエンザやアレルギー物質などの抑制効果も確認している。

 実験は、人間に感染するノロウイルスは試験管で培養できないため、ウイルス学的に性質が似ており、ネコに下痢を伴う胃腸炎を発症させる「ネコカリシウイルス」を代用して行った。

 ネコカリシの浮遊物に、通常の水道水の約10倍となる1リットル当たり2ミリグラムの塩素濃度を持つ電解水を放出したところ、感染力を示す「感染価」が99%以上低減できた。

 三洋は電解水の除菌作用に注目し、1987年から洗濯機や自販機などに活用してきた。昨年8月には空気清浄機など5製品を発表。環境関連製品の強化を図っている。

 同社の井関正博環境システム研究部長は、製品に使われている霧状の電解水の効果も「かなり期待がもてる」と述べた。

ノロウイルス対策 消毒液の作り方

2007/01/17 中国新聞ニュース

 ▽福山市、HPで紹介

 ノロウイルス(小型球形ウイルス)の対策強化宣言をした福山市は、感染予防に有効な「家庭でできるペットボトルを使った消毒液の作り方」をホームページ(HP)で公開し始めた。活用を呼び掛けている。

 HPでは、ノロウイルスの感染力を失わせるには、強い酸化力を持つ次亜塩素酸ナトリウムが有効だと指摘。それを成分にする家庭用塩素系漂白剤(原液に含む濃度5%)を使った消毒液の作り方を紹介している。

 調理器具やおもちゃなど手で触れる部分を消毒する場合は、濃度0・02%の消毒液を作るよう指導。作り方は、二リットルのペットボトルに水を半分入れ、次にペットボトルのキャップ二杯分の漂白剤を混ぜ、最後に水を加えて完成させる。安全面の注意点も交えてイラスト入りで解説している。

 市保健所は「ノロウイルスは大半の場合、口から体内に入って感染する。予防の基本は手洗いだが、家庭内の有効な消毒法は意外に知られていない」としている。

 羽田皓市長は昨年十二月、死者七人を出した約二年前の集団感染を教訓に対策強化を宣言。福祉施設への訪問指導や街頭啓発、市民講座を展開している。(木原慎二)

電解水がノロウイルス抑制 三洋電機、効果を確認

2007年01月17日 中国新聞ニュース

 三洋電機は17日、この冬に大流行した感染性胃腸炎の原因となるノロウイルスの抑制に、同社の電解水技術が高い効果があることを群馬県衛生環境研究所との共同研究で確認した、と発表した。

 ノロウイルスは、食べ物や手、指を通じて経口感染するが、空気中に飛散したウイルスを吸って感染するリスクも指摘されている。三洋は今後、既に実用化している自社の空気清浄技術でも効果を検証し、この技術を組み込んだ製品の販売につなげたい考え。

 三洋によると、水道水を電気分解してつくった電解水を、学術的にノロウイルスと性質が同等とみなせる「ネコカリシウイルス」に10分間、接触させたところ、ウイルスの感染力を99%以上抑えられたという。

 ノロウイルスはアルコールをはじめとする通常の方法では消毒が難しい。高齢者が入所する施設などでの集団感染が多発し、死亡者も相次いだ。

ノロウイルス猛威峠越え? 感染性胃腸炎の報告減少

2007年01月15日 中国新聞ニュース

 ノロウイルスなどによる感染性胃腸炎について、全国約3000の小児科定点からの患者報告数が、昨年12月18日からの1週間は1定点当たり16・4人で、前週の22・8人から減少したことが国立感染症研究所のまとめで15日分かった。

 同研究所感染症情報センターの安井良則主任研究官は「流行のピークが過ぎた可能性がある。しかし例年、3月までは、ほかのウイルスも含めて感染性胃腸炎の流行期間なので、今後も手洗いの励行など注意が必要だ」と話している。

 12月18日から1週間の患者報告数は4万9396人で、1定点当たりは16・4人。都道府県別では福井が31・6人と最も多く、次いで宮城(28・7人)、長野(25・1人)、福島(24・0人)の順だった。

 この時期の感染性胃腸炎の報告の大半は、ノロウイルスが原因とみられる。

ノロウイルス新検査法 米専門誌に発表

2006/12/29 中国新聞ニュース

 感染性胃腸炎の原因となるノロウイルス(小型球形ウイルス)を短時間で検出できる検査法を、広島県保健環境センター(広島市南区)の福田伸治主任研究員(50)らのグループが開発し、米国の専門誌「ジャーナル・オブ・クリニカル・マイクロバイオロジー」に発表した。現行の遺伝子増幅法(RT―PCR法)に比べ、三分の一の二―三時間で結果が判明。感染拡大の防止に威力を発揮しそうだ。

 現在、ノロウイルスの検査に広く使われているRT―PCR法は、遺伝子を増やすのに温度の上げ下げを三十五―四十回も繰り返すなど、複雑な操作が必要。このため全体で六、七時間かかっていた。

 研究グループは、多くの型があるノロウイルスに共通する二十二個の塩基配列の目印(プライマー)を設計。一定温度で遺伝子を増幅する「LAMP法」で大量に増やし、副産物の濁りや色でウイルスの有無を一目で判定する方法を考案した。検出までの時間短縮のほか、コストもRT―PCR法の半分以下の三千円程度で済むという。

 ウイルス粒子の検出限界は百―千個程度で、RT―PCR法よりやや劣る。ただ、感染者のふん便中には一グラム当たり十万個以上のウイルスが出るため、十分検出できる。

 ノロウイルスは二つの遺伝子グループに大別され、これまでは別々に測定するしかなかったが、同時に測定できる方法も開発中。福田主任研究員は「今回の検査法は高価な装置は不要なので、スクリーニングとして多くの検査機関で実施できる。将来は、食品中など少ないウイルスも検出できるように感度を高めたい」と話している。(編集委員・山内雅弥)

ノロウイルス感染防止へマニュアル

2006/12/27 中国新聞ニュース

 ▽広島県地域保健対策協が公開・配布

 広島県と広島市、県医師会、広島大でつくる県地域保健対策協議会がノロウイルスの対策マニュアルをつくり、県が二十六日開いた庁内の対策担当者連絡会議で示した。マニュアルは協議会のホームページ(HP)で既に公開し、県が八市で開く対策講習会でも配る。

 マニュアルは、ノロウイルスの特性や症状、感染経路、消毒方法、感染予防、集団感染を疑う指標と対応―の六項目で構成。県地域保健所など県内の相談窓口一覧を掲載している。

 連絡会議には、福祉保健部、農林水産部、県教委などから約三十人が出席。福祉保健部の担当者がマニュアルの内容を説明し、県内の感染状況などを報告した。

 今秋以降、県内の医療機関や福祉施設でノロウイルスによる感染性胃腸炎を発症したのは二十二日現在で千九百二十三人、集団食中毒も年間で三百人に上る。県保健対策室は「全国的に集団感染が急増しており、マニュアルの配布などを通じ周知を進めたい」としている。

 対策講習会は医療機関や福祉施設、食品関係業者らが対象で、二十六日の江田島、三次、三原市での開催をスタートに二十八日まで開く。

 県地域保健対策協議会のHPアドレスはhttp://citaikyo.jp/ (高木潤)

ノロウイルス:なぜ今年?正体は?どう予防?…解明半ば

2006年12月27日 毎日新聞 東京朝刊 Mainichi INTERACTIVE

 ◇人から人で拡大−−腸で増殖、培養できず

 ノロウイルスによる感染性胃腸炎の大流行が止まらない。国立感染症研究所が定点調査を始めた81年以来最悪のペースで増え続け、安倍晋三首相が対策を指示する事態になっている。ウイルスの正体や、発病の仕組み、流行の背景を探った。【西川拓】

 ◇海外も流行

 国内では9月末ごろから例年を上回るペースで患者が増え始めた。国立感染症研究所が全国約3000カ所の小児科で調べている感染症発生動向調査によると、12月4〜10日の1週間で新たに6万6871人が感染性胃腸炎を発症。ほとんどノロウイルスが原因とみられる。都道府県別では福井、愛媛、埼玉、富山、宮城、山口などが多く、西日本から東日本に流行が移りつつあるという。

 一方、欧州でも南欧の一部を除き、ドイツ、英国、スウェーデン、フィンランド、デンマークなど広範囲で例年を上回る流行が報告されている。カリブ海や大西洋を航行中の米客船でも大規模な集団感染があった。

 同研究所感染症情報センターの松野重夫主任研究官は「今年、これほど流行している理由は分からない。ウイルスの遺伝子が変化して感染しやすくなったのではないかという説もあるが、世界中のノロウイルスが一斉に変化したとは考えにくい」と首をひねる。

 ◇強い感染力

 ノロウイルスは68年に米オハイオ州で起きた集団胃腸炎の患者から見つかった。直径30ナノメートル(ナノは10億分の1)ほどの球形をしている。ヒトの空腸(小腸の一部)の上皮に感染し、腸の表面の繊毛をはがしてしまうため下痢を起こすと考えられている。

 便や吐物を介しヒトからヒトへ感染する。潜伏期間は1〜2日。感染力や増殖力が強く、10〜100個ほどの少量が体内に入っても症状を引き起こすことがある。乾いた吐物からウイルスが飛散することによる“空気感染”が疑われる集団感染例も出ている。

 患者の便から1グラム当たり100万個程度のウイルスが検出され、すべてが排出されるのに健康な成人で1週間、幼児では3カ月かかる場合があるという。松野さんは「症状が治まっても便の中にウイルスを排出し続けるので、2次感染の予防が重要だ」と話す。抗体ができにくく、1シーズンに何度も発症する人もいる。

 ノロウイルスはヒトの腸でしか増殖せず、実験用の動物や細胞に人工的に感染させることにはまだ成功していない。松野さんは「腸から分泌される消化酵素などをうまく利用して増殖すると思われる。生きたヒトでは実験が限られるため、ノロウイルスの性質には分からない部分が多い」と指摘する。

 このため、症状が出てからの治療は対症療法しかなく、感染予防が肝心となる。ただ、酸や熱には比較的強く、アルコールでも死なない。動物に感染する類似のウイルスは、71・3度で1分間加熱すると死ぬことから、食品や調理器具について、厚生労働省は85度以上で1分間以上加熱するか、ウイルス全般に有効な塩素系漂白剤で消毒することを勧めている。

 ◇カキは無実

 ノロウイルスは二枚貝に含まれることがあり、毎年冬場には生ガキなどによる食中毒が散発的に起こっている。しかし、カキは今年の大流行の“犯人”ではない。厚労省によれば、11月以降、ノロウイルスによる食中毒で、カキが原因となったのは1件だけだ。

 出荷量全国6位の三重県は、県内4カ所で養殖している浄化前のカキを定期的に抜き取り調査し、ノロウイルスの遺伝子の有無をホームページ「みえのカキ安心情報」で公表している。ノロウイルス遺伝子が検出され始めたのは10月末ごろで、ヒトの感染性胃腸炎の流行が先行している。ノロウイルスを含んだ下水が海に流れ込み、食物連鎖を通じてカキに取り込まれたと考えられる。

 県伊勢保健福祉事務所食の安全・安心監視課の高村康課長は「ヒトでの大流行の後なので今後は注意が必要だが、中心部までしっかり火を通せば問題ない」と話している。

ノロウイルス 大阪、京都で計3人死亡

2006/12/23 日テレnews24

 大阪市の病院でノロウイルスの院内感染が起き、男性患者が死亡した。また、京都府でも2人が死亡した。

 集団感染が明らかになったのは、大阪市大正区の大阪府済生会泉尾病院で、患者や職員、計136人が下痢やおう吐などの症状を訴え、51歳の男性患者が死亡した。

 先月から徐々に発症者が増えたことや、患者からノロウイルスを検出したことから、大阪市は、ノロウイルスが病院内で集団感染したと断定した。病院側は、保健所による立ち入り調査があるまで感染の事実を報告しておらず、「危機意識が甘かった」と話している。

 このほか、京都府でも介護老人保健施設などでノロウイルスによる集団感染が発生し、2人が死亡している。

カキ受難、怒る漁民 ノロウイルス風評で価格暴落

2006年12月23日asahi.com

 ノロウイルス流行による風評被害がカキ産地を直撃している。カキが原因とみられる集団感染は1件にとどまるのに、買い控えによる価格暴落で、宮城県では21日、丸一日出荷が止まった。広島、三重、北海道、岩手など7道県の漁連幹部らは22日、急きょ上京し、厚生労働省や水産庁に窮状を訴えた。ただ、悪評を食い止める即効薬はなく、「もう正月さ迎いられねぇ……」(宮城県石巻市の生産者)と浜の表情は暗い。

 東京・霞が関の厚労省。全国漁業協同組合連合会の植村正治会長は「役所からメッセージを発していただくことが消費者の安心につながる」と訴えた。厚労省ホームページの「ノロウイルスQ&A」にある生カキの写真や、「食中毒の原因食品として生カキ等の二枚貝」とある説明文から「生カキ」を削るよう求めた。

 広島に次ぐ出荷量で、生食用を中心とする宮城県では、価格の下落が特に深刻だ。例年なら1キロ2000円を超す時もある単価が、今週は600円台に。出荷量も例年の半分に近い。

 「テレビが食中毒の番組のたび、カキの映像を流すんだもの……」

 石巻市の表浜漁協に所属する阿部泰正さん(50)は顔をしかめる。12月には1年の4割程度を稼ぐが、今年は利益が出そうにない。「出荷を控えても、正月を越せば海が荒れ、カキが海底に落ちる。仲間も口数さ減ったな」

 北海道東部の厚岸町では、人気ブランド「カキえもん」の競りが21日からなくなった。漁業者の一人は「市場に出せば大赤字。直接注文がある顧客を持っていない人は大幅な減収は避けられないだろう」。

 紫外線を使った画期的な滅菌装置「カキ浄化システム」の発祥地で、ブランド「的矢かき」を抱える三重県でも、価格下落が止まらない。

 「安心シール」を張ったり、ノロウイルス検査の結果をネットで公表したりと、県や漁協、消費者が作る協議会が衛生管理を実施。03年の協議会発足以降、健康被害は1件だけという実績を誇る。

 にもかかわらず、「受け入れられない」と東京や大阪の市場から出荷自粛要請が相次ぐ。県伊勢農林水産商工環境事務所の松本兼一・水産室長は「一丸となって手だてを尽くしてきた。新たにどんな対応もできない」と、半ばお手上げだ。

 苦しいのは生産者ばかりではない。

 広島県尾道市の加工食品会社は今月上旬から、商品を断る取引先からの電話に悩まされている。とはいえ、原料は生産者から直接購入しているため、仕入れを簡単には減らせない。「私たちのような中間業者にしわ寄せがきている」と嘆く。

 厚労省が行った緊急調査では、11月以降、ノロウイルスが原因の食中毒は213件で、患者は9650人。発生件数は昨年同期の4倍、患者数は5倍以上となっている。カキが犯人とみられるのは、19日の東京都の例だけ。国立感染症研究所の松野重夫主任研究官は「今年の流行の原因はカキではあり得ない。生産地の安全管理は進んでおり、消費者が過敏になる必要はない」と語る。

 こうした状況に救済の動きも出始めた。

 広島銀行は22日、「カキ関連業者特別融資」を開始。低利で5000万円を限度に融資する。生産者のほか卸業者、飲食店なども対象だ。農林漁業金融公庫も21日、融資の相談窓口を設けた。北海道漁連は21日、生食用をむき身で100トン程度買い取り、加熱用として販売することを決めた。

ノロウイルス風評被害 カキむき身100トン購入 道漁連、価格急落で救済

2006/12/22 北海道新聞 The Hokkaidou Shimbun Press

 ノロウイルスの風評被害で道内産生カキの価格が急落している問題で、道漁連は二十一日、道内カキ生産者の救済を目的に、年末年始の時期に需要が高まるむき身を全道から約百トン買い取ることを決めた。道漁連が緊急対策で魚介類を買い取るのは初めて。百トンは道内の年間出荷量の五分の一に当たる。

 同日、札幌で開かれた道かき生産漁協連絡協議会(二十二漁協加盟、会長・川崎一好厚岸漁協組合長)の緊急会議で報告された。

 道漁連によると、買い取ったむき身は生食用としてではなく、フライなど加熱用に加工して販売する。買い取り価格は現在の道内価格を勘案し、「底支えする狙い」(道漁連)で一キロ当たり五百円とする。来年一月から集荷を始めるという。

 道内のカキの年間出荷量は殻付き約千トン、むき身約五百トン。

 また、道かき生産漁協連絡協議会はノロウイルス対策として、《1》各漁協が週一回ノロウイルス検査をし、結果が判明するまで出荷しない《2》出荷前四十八時間は滅菌水に入れる−などを徹底していくことも申し合わせた。

 道内の今年のノロウイルスによる食中毒患者数は、二十一日現在で八百八十一人だが、カキが原因で感染した例はない。ところが、十二月十日ごろからカキの消費が落ち始め、主要産地の厚岸漁協では例年この時期、一キロ当たり二千五百−三千円で取引されるむき身の価格が、約千円にまで下落している。出荷量も例年の三分の一に落ち込んでいるという。

 会議後の記者会見で、道漁連の西英司専務は「事態の沈静化を待つとカキが成長しすぎ、死滅する恐れがある」と買い取りを決めた理由を説明した。川崎会長は「むき身が一キロ当たり二百円に暴落した産地もある」と生産者の窮状を訴える一方、「道産カキは衛生管理を徹底している。安心して食べてほしい」と消費者に呼び掛けた。

ノロウイルスの猛威続く 食中毒は昨年の5倍超

2006/12/22 中国新聞ニュース

 ノロウイルスが猛威を振るう中、このウイルスによる食中毒事件と特定された件数は、十一月からの約一カ月半で二百十三件、九千六百五十人と、人数で昨年同期の約五・五倍に上ることが二十二日、厚生労働省の調査で分かった。

 これは都道府県などが把握している十一月一日−十二月十八日の間に発生したノロウイルスによる食中毒を集計したもの。同ウイルスによる被害の一部しか反映していないが、それでも昨年同期は五十四件、千七百三十七人。過去五年で最悪だった○四年でも五十三件、二千九百六十六人で、今年の被害の大きさが浮き彫りになった。

 集計では死者の発生はなく、地域的な偏りもないという。原因食材は飲食店の料理や仕出しが多く、カキが原因とされた例はなかった。

 一方、ノロウイルスなどが原因となる感染性胃腸炎の国立感染症研究所による定点調査では、十二月四日からの一週間の患者報告数は六万六千八百七十一人に上り、定点当たり二二・二人と、一九八一年の調査開始以来の過去最悪を三週連続で更新した。

 ただ前週が前々週の一九・八人から二一・八人に増えたのに対し、今回は微増にとどまり、感染研は「増加の速度は緩やかになっている。これまでの発生動向をみると、流行のピークに差しかかっていると予想される」としている。とはいえ「今後も発生動向には注意が必要だ」と、手洗いなどの予防策の継続を呼び掛けた。

 都道府県別の定点当たりの報告数は、福井の四一・四人を筆頭に、愛媛、埼玉、富山、宮城、山口、鳥取、千葉、神奈川の順で多く、感染研は、関東地方を中心とした東日本の流行が大きくなりつつあるとしている。

ノロ猛威、学校でも…69校が学級・学校閉鎖

2006年12月22日 読売新聞 Yomiuri On-Line

児童72人突然欠席 給食パンで感染

 ノロウイルスなどによる感染性胃腸炎は学校でも猛威をふるい、各地で授業の休止を余儀なくされるケースが相次いでいる。

 読売新聞が全国の都道府県教委を対象に調査したところ、流行が本格化した今年11月以降に学校閉鎖や学級閉鎖をした小中学校や高校は、少なくとも17都道府県の69校に上っている。感染力が強く急激に患者が増えるのがノロウイルスの特徴だけに、学校現場では「冬休みで流行が一段落してくれれば」と祈るような表情だ。

 学校閉鎖に追い込まれたのは、北海道、秋田、福島、茨城、新潟、長野の6道県で計17校。内訳は小学12校、中学2校、高校2校、養護学校1校だった。学年閉鎖は5道府県で小学6校と高校1校。学級閉鎖は、12都道府県の小中45校に及んだ。

 ただ、閉鎖の権限を持つ市町村教委から都道府県教委への報告義務はないため、都道府県教委が把握しているのは市町村が自発的に報告したケースなどで、実際の影響は、さらに大きいとみられる。

 5校で学校、学年閉鎖があった新潟県で、最も発症者が多かった長岡市内の小学校(児童410人)の場合、11月30日に突然、児童72人が腹痛などで欠席。登校した児童も61人が腹痛を訴え、全体の3割に当たる児童に感染性胃腸炎の症状が出た。一部の児童からノロウイルスが検出されたが、同じ給食を使っている中学校では集団発生はなかったため、食中毒ではなく、何らかの形で児童から児童へ次々に感染が広まった可能性が高いという。

 この小学校では翌1日から学校閉鎖し、5日から通常授業に戻ったが、18日まで新たな発症が続いた。同市教委の担当者は「11月29日までは、具合の悪そうな子はいなかっただけに、感染力に驚いた」と話す。

 一方、秋田県大館市では学校給食による食中毒が発生。12月14日から市内の小中学校で欠席する児童・生徒が急増し、15日午後には8校が学校閉鎖した。同市教委によると、21日までに、児童・生徒と教職員443人が発症している。

 大館保健所の調査で浮かび上がった原因はパン。各校共通のメニューで、パン製造業者の従業員からノロウイルスが検出された。子供がウイルスを持ち帰り、自宅で保護者や兄弟にうつす二次感染もあるという。

 埼玉県では、11月中旬に、川越、上尾、本庄市の小学校3校で、相次いで学級閉鎖があった。同県教委は、児童の保健指導などを徹底するよう市町村教委に通知したが、その後も各地で感染が続いている。

 文部科学省も今月15日、全国の都道府県教委などに、児童の手洗い励行など学校内の衛生管理を徹底するよう通知した。

家族がノロウイルス!

2006年12月21日 読売新聞 Yomiuri On-Line

洗濯物分け、熱湯消毒

 ノロウイルスによる感染性胃腸炎が流行している。感染者の吐いた物や排せつ物に触れた手を介し、ウイルスが食べ物や食器などに付着して間接的に感染するケースが目立つ。

 家庭でできる予防法や、吐しゃ物の処理法などを厚生労働省の専門家に聞いた。

原因

 ノロウイルスは、生ガキやハマグリなどの二枚貝を食べた時に起こる食中毒として知られる。しかし、二枚貝を原因とする発生は昨年で約15%に過ぎない。多くは、ウイルスを多量に含んだ感染者の吐物や排せつ物に触れた手を十分洗わなかったり、掃除が行き届かなかったりしたことが原因。残留したウイルスが食べ物などを介して経口感染すると見られる。

手洗い

 感染予防で最も大事なのは丁寧な手洗いだ。

 市販されている消毒殺菌液やエタノール、せっけんなどを使ってもウイルスは死滅しないが、手の汚れをしっかり洗い流すことで、ウイルスが手指からはがれやすくなる効果が期待できる。

 食事や調理の前、トイレの後などは、せっけんで手をよく洗うことが肝心だ。

殺菌

 寝る前に吐き気を感じたら、枕元に吐物用のバケツなどを用意したい。だが寝具に吐しゃ物が付着してしまった場合は、飛び散らないようふき取り、汚れたシーツや寝間着などは他の洗濯物と別にもみ洗いする。この際、しぶきを吸い込まないよう注意して洗う。

 ノロウイルスを死滅させるには、次亜塩素酸ナトリウムが含まれた塩素系漂白剤や、「85度以上で1分以上」の加熱処理が有効だ。一般的な洗濯用洗剤や水洗いでは、繊維に付着したウイルスは十分取り除けない。

 塩素系漂白剤は、説明書などに従って水で薄めて使う。ただ素材によっては色落ちしたり、変質したりする可能性があるので注意したい。

 洗濯物は熱湯に浸したり、高温の乾燥機を使ったり、アイロンをあてたりすると安心だ。

 布団は洗いにくいので、よく乾燥させた後、汚れた部分にスチームアイロンの高温の蒸気をあてるとよい。

掃除

 床やじゅうたんに吐しゃ物が付いた場合は、ペーパータオルなどできれいにふき取った後、ぞうきんやモップで何度もふき洗いする。

 なお、使い終わったぞうきんは必ずノロウイルスを死滅させる必要がある。これが不十分だと、ぞうきんが乾燥した後にウイルスが空中を舞い、吸い込んだ人が感染してしまう恐れがある。ノロウイルスを死滅させる次亜塩素酸ナトリウムは、台所やトイレ用の漂白剤、浴室カビ取り剤などにも含まれている。

 ただし、塩素系漂白剤を含ませたぞうきんで床をふくと変質・変色する可能性がある。

調理

 年末年始は会食の機会が増える。二枚貝を食べる場合は必ず中心まで火を通そう。調理器具や食器類などは熱湯に浸したり、キッチン用漂白剤を使ったりしておけば安心だ。

 厚労省監視安全課の宮川昭二・課長補佐は「被害拡大を防ぐために、一人一人がウイルスを減らす努力をすることが大事」と話している。

 ノロウイルスに関する情報は、国立感染症研究所厚生労働省のホームページが参考になる。

ノロウイルス猛威 感染は人から人

2006年12月20日 東京新聞

 ノロウイルスが原因で下痢や嘔吐(おうと)などを引き起こす感染性胃腸炎の流行に歯止めがかからない。国立感染症研究所が発表している最新の定点調査結果では、患者報告数が一地点当たり二一・八人を記録し、過去最多。一流ホテルや豪華客船でも油断できない感染実態とともに、深刻化する風評被害の影響は。

 「ノロウイルスがここまで広がったのは、人から人への感染でしょ。貝を食べた人が発症しているわけじゃないのに、カキが一番の悪者扱いになるなんて、おかしいよ」。築地の仲卸「一力」の酒井和夫社長は、風評被害に怒っている。

 ノロウイルスの説明で、「カキなどの二枚貝にウイルスが蓄積され…」という表現が使われるため、実際にはカキを食べてノロウイルスの食中毒になった人は今回の流行では確認されていないにもかかわらず、「ノロウイルス=カキ」との“早とちり”が増えているようだ。

■怒る業者『犯人はカキじゃない』

 日本一のカキ産地の広島県漁連は十八日、生食用も加熱用として出荷することを決めた。しかし、同県のカキは海域によって「生」と「加熱」が分けられている。「カキは犯人ではない。生食しても問題ないが、消費者が買い控えのような状況で、産地の仲買人も仕入れても荷が動かないと言う。贈答用のカキのキャンセルも出ているし、金にならないから、生食用として出荷しても立ちゆかない」と漁連の担当者は嘆く。

 同漁連によると、今年十二月十日時点の一斗缶(約20キロ)の浜値(産地での卸値)は一万九千円で、昨年より三千円高かったが、十九日には一万五千円までに下がってしまった。

 一方、東日本の産地・宮城県漁連は、加熱用のカキの出荷の自粛を決めた。これまでノロウイルスが陽性だった産地のカキを加熱用として出荷していたが、同漁連の担当者は「加熱すれば問題はないが、状況を考慮して出荷を控えることにした」と話す。ただし、今年カキからノロウイルスが検出された件数は、昨年同時期の四分の一と少ない。

 問題なのは、食中毒としてのノロウイルスではなく、ウイルスが、ほかの人の手などについて広まる感染症としてのノロウイルスだ。

 今月初旬、豊島区のホテルで宿泊客、従業員ら三百四十七人が発症した。当初は食中毒が疑われたが、区の調査では、患者全員に共通した食事はなく、厨房(ちゅうぼう)の調理員に症状はなかった。原因と考えられているのは、宿泊者のおう吐物の処理だ。消毒が不十分だったため、カーペットに付着したウイルスが乾燥して、空気中に浮遊した可能性がある。おう吐した客を介助した従業員からもウイルスが検出された。

 同ホテル側は「(その時点では)ノロウイルスのおう吐物処理のマニュアルはなく、通常のおう吐物処理として中性洗剤を使った。現在は、保健所の指導通り、次亜塩素酸ナトリウムでの消毒、使い捨ての手袋の使用を実施している。今後はできる限りの対処をしたい」と話している。

 山口県では、同じホテルに宿泊していた全国中学駅伝の出場選手らが発症し、七チームが棄権したが、やはり食中毒よりも感染症が疑われている。同県の担当者は「患者の学校はバラバラで、ホテル以外では同じものを食べていない。では、ホテルの食事が原因かというと、一般の宿泊客は発症していない。ホテルの従業員への聞き取り調査でも、具合が悪い人はいなかったし、調理器具などからウイルスも出ていない」と説明する。

 カリブ海などを航海する世界最大の客船「フリーダム・オブ・ザ・シーズ」でも、集団感染が発生、消毒作業後の出航でも、さらに計五百人が集団感染している。

 このように、ノロウイルスは感染力が強い。職員五十二人が仕出し弁当で食中毒になった秋田県庁では、県庁が二次感染の場にならないよう、本庁含め四施設の全トイレや手すり、ドアノブなどを一斉消毒した。

 国立感染症研究所が全国三千の医療機関を通じてまとめたノロウイルスなど感染性胃腸炎の発生状況によると、今シーズンは例年に比べて明らかに大量発生する時期が早く、患者数も多い。貝類を食べての食中毒のイメージが強いが、実際には汚物などを通じた「ヒト−ヒト」の感染ルートがほとんどだ。

 最新の十一月二十七日−十二月三日分の集計では、一施設当たりの患者数は全国平均で二一・八人。一九八一年に調査を始めて以来最悪の数字で、四五・二人の福井、四三・二人の富山をはじめ二十六都府県で二十人を超えており、地域的偏りはあまりない。

 ノロウイルスは感染しても数日以内に治るケースが多く、症状は他のウイルスに比べれば軽い。三割くらいの人は症状が出ないともいわれる。それでも幼児や高齢者への打撃は大きい。

 安倍晋三首相も十八日の政府与党連絡会議で予防・拡大防止の対策を徹底するよう厚生労働省など関係省庁に指示した。

 欧州でも今年は感染者が急増しており、ウイルスが変異して感染力を増すなど危険な兆候はないのか。

■適切な汚物処理・手洗い

 厚労省の滝本浩司感染症情報管理室長は「大きなウイルス変異や、人間の抵抗力が弱くなったというデータはなく、『なぜ』への答えはまだつかめていない。適切な汚物処理や手洗いの徹底などで拡大を防ぐしかない」と、地道な対策の重要性を訴える。

 生物資源利用研究所の根(ね)路銘(ろめ)国昭所長は「ウイルスは流行、大流行、収束といったパターンをたどることが多く、たまたまノロウイルスが昨年あたりから大流行期に入って主役になった。来年あたりは収まるのではないか。むしろ、次なる大流行を狙っているウイルスを突き止める方が重要」と話す。

 流行パターン説の通りであれば、この冬さえ乗り切れば、ノロウイルスの恐怖からは解放される可能性もある。ただし、なかなかしつこく、気の抜けない相手であることも事実のようだ。

 国立感染症研究所の元室長で「ノロウイルス現場対策」(幸書房)の著書がある西尾治さんは、都内のホテルで起きた集団感染を例に挙げながらこう指摘する。

 「おう吐物を普通に処分したのではだめ。酒酔いに見えても、この時期はとにかくノロウイルスを疑うべきだ。汚物が落ちた周辺を塩素か熱湯で消毒する必要がある。たとえ〇・一グラムの汚物でも軽く千人分のウイルスがいる。このウイルスは二週間くらいは生きているので、発生後は徹底的に撃退しておかないと再発してしまう」

 消毒後に再び集団感染を引き起こした豪華客船の事例は、まさにウイルスのしつこさを物語っているのだという。

■発症しない人被害を拡大? 

 前出の根路銘氏は「手を一回アルコール消毒したくらいでは、ウイルスの数は十分の一くらいに減るだけ。しかも“発症しない感染者”が知らず知らずのうちに感染を拡大させている可能性も高い」と指摘。その上で、こう戒める。

 「特に、この時期、不特定多数の人が出入りするホテルのほか、飲食店や仕出し業者など多人数の食品を扱う所では、慎重すぎるくらいの対応でちょうどいい」

<メモ>ノロウイルス 人だけに感染し、感染性胃腸炎を引き起こす小型球形ウイルス。カキなどの貝類のほか、感染した人の便やおう吐物、あるいはそれらが乾燥したものから出る塵埃(じんあい)を介して経口感染。24−48時間の潜伏期間後、突如発症する。主な症状はおう吐と下痢。吐しゃ物をのどにつまらせて死亡することもあるが、効果的な抗ウイルス剤はなく、水分や栄養の補給、点滴などの対症療法しかない。

<デスクメモ>忘年会シーズンの最中、一流ホテルや旅館も例外ではないらしい。この時期の生ガキは一番旬だが、風評被害にあえぐ産地の関係者は何とも気の毒だ。加熱すれば問題はない。むしろ、脅威なのは「談合」ウイルスだ。こちらは福島から和歌山、宮崎と南下中で、感染力も強烈。特効薬も見当たらない。 (吉)

ノロウイルス過去最大の流行、専門家もなぜ?

2006年12月20日 スポーツ報知

 ノロウイルスなどによる感染性胃腸炎の流行が止まらない。全国約3000の小児科の定点調査で11月下旬、1施設当たり過去最多の患者数を記録して以降も全国の学校や老人施設、旅館などで患者の集団発生が続発。過去最大の流行になることはほぼ確実だ。冬の流行は毎年のことだが、今シーズンはなぜここまで多いのか。ウイルスの遺伝子変異が一因に挙げられているものの、決定的理由については専門家も首をかしげる。

 ノロウイルスは、カキなど2枚貝の生食が感染原因の1つとされる。2枚貝は、大量の海水とともにえさのプランクトンを体内に取り込む際、水中にあるノロウイルスも体内に取り入れて濃縮する性質があるためだ。

 だがノロウイルスに詳しい国立感染症研究所の松野重夫主任研究官は「患者の多さはカキの生食が原因ではない」ときっぱり。松野さんによると養殖カキの汚染状況に昨年と大きな変化はない。「人から人への感染がほとんどだろう」という。

 「人から人」とは、患者の排せつ物や吐いたものに含まれるウイルスが、何らかのルートで別の人の口に入ったり、人同士が接触する機会の多い場所でうつったりするなどのケースだ。感染力は非常に強く、数個―100個程度のウイルスが口に入るだけで感染する。

 ただ、人から人への感染も、ウイルスの感染力の強さも今シーズンだけの特徴ではない。松野さんはこの点について、ウイルスの遺伝子に変異が起きるなど、昨年とは違うウイルスが出てきた可能性を指摘している。「多くの人がウイルスに免疫を持っていなかったため、急に感染が広がったとするのが考えやすい」と松野さんは話す。

 ノロウイルスは培養して増やすことができないため、研究に制約が多く、大流行の原因究明も簡単ではなさそうだ。

風評被害、カキの出荷激減 ノロウイルス流行

2006/12/20 神戸新聞

 ノロウイルス流行の影響で需要が急落し、カキの出荷が伸び悩んでいる。兵庫県はカキ出荷量全国四位で、赤穂や相生など西播磨が中心だが、漁業関係者は「今年はカキが原因とされる例は聞いたことがない。出荷最盛期だけに頭が痛い」と困惑している。

 ノロウイルス感染が大きく報道された十二月以降、贈答品や小売店の発注が激減。相生漁協では出荷量が例年の二-四割のマイナス、赤穂市漁協の直売所でも売り上げが五割近く減ったという。相生市内のスーパーでも、売り上げは前年同時期の約七割と不振で、関係者は「カキ以外に力を入れるしかない」と嘆く。

 一方、カキ生産量全国一の広島県でも、生食用カキの出荷を当面自粛する方針を決めた。

 生産者や水産加工業者らは「加熱調理すれば全く問題なく、消費者に理解してもらうしかない」としている。

ノロウイルスの食中毒、仕出し弁当で70人発症…東京

2006年12月20日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 東京都は19日、練馬区の仕出し弁当店「ペテル」で調理された弁当を食べた70人がノロウイルスによる食中毒を発症したと発表した。

 練馬区は同店を同日から4日間の営業停止処分にした。

 都によると、下痢や嘔吐(おうと)などの症状を訴えたのは、練馬、板橋など4区市の建設工事現場などで働く24〜80歳の男女。全員が今月13日に同店から配達された弁当を食べ、14日早朝から15日夕までに発症、6人の便からノロウイルスが検出された。24人が病院で診察を受けたが、全員が軽症という。

 同店では、従業員の男性が13日から胃腸炎の症状を訴えながら調理に携わっていたといい、都などでは男性が感染源になった可能性が高いとみている。

ノロウイルス集団感染 原因は生ガキか

2006/12/20 日テレNews24

 東京都の食肉衛生検査所の職員が集団でノロウイルスに感染した原因は、忘年会で食べた生ガキが原因である可能性が高いことがわかった。

 これは、東京都の芝浦食肉衛生検査所の職員27人が下痢などの症状を訴え、一部の職員からノロウイルスが検出されていたもの。東京・港区が調査を進めた結果、職員らが今月8日に忘年会を行った港区の「ホテル東京」での食事が原因の食中毒と断定した。

 体調を崩した職員全員が忘年会で出された生ガキを食べていた上、このホテルで生ガキを食べたほかの複数の客も体調不良を訴えていたことから、港区は、生ガキがノロウイルスに汚染されていた可能性が高いとみている。

ノロウイルス集団感染か北海道で学校閉鎖

2006年12月19日 日刊スポーツ

 北海道北見市の市立光西中学校(生徒416人)で、生徒58人と教員1人が吐き気や腹痛などの症状を訴え、同校は19日、学校閉鎖とした。いずれも軽症だが、ノロウイルスの集団感染の疑いがあるとして教室内を消毒した。

 北見市教育委員会によると、光西中では18日、生徒35人と教員1人が欠席、23人が早退した。週末の16日から症状が出始めており、給食による食中毒の可能性は低いとしている。道は便検査を実施して原因を調べる。

忘年会の13人食中毒、5人からノロウイルス 大阪

2006年12月19日 asahi.com

 大阪市は19日、同市中央区道頓堀1丁目の「づぼらや道頓堀店」で、11日にふぐのコース料理を食べた大阪府摂津市の自動車販売会社の社員ら2グループ計20人中13人が、嘔吐(おうと)や下痢などの症状を訴え、うち5人からノロウイルスが検出されたと発表した。市はコース料理が原因の食中毒と断定。同店に19日から2日間の営業停止を命じた。

 市健康福祉局によると、2グループはいずれも忘年会で同店を利用。発症者はいずれも快方に向かっているという。

全国中学駅伝参加者からノロウイルス検出 発症95人に

2006年12月19日 asahi.com

 山口市で16日にあった全国中学校駅伝大会の参加者らが発症した感染性胃腸炎について、山口県は19日、発症した選手5人からノロウイルスが検出されたと発表した。同日午前11時までに受診した人は選手84人、教員11人の計95人。うち選手16人が入院した。

 県によると内訳は、北海道20人▽福岡13人▽青森、長野各11人▽福島10人▽山形9人▽愛知、沖縄各6人▽高知5人▽東京4人。うち長野の8人、福岡の6人、北海道と福島の1人ずつが入院した。発症者らは隣接する2施設に宿泊。同じ夕食を取った後の14日夜から下痢や発熱などの症状を訴えていた。

    ◇

 ノロウイルスの集団感染が広がる中、厚生労働省は19日、都道府県などに発生防止対策の徹底を求める通知を出した。

厚労省、ノロウイルス対策徹底を・都道府県などに通知

2006/12/19 Nikkei Net10

 厚生労働省は19日、ノロウイルスによる感染性胃腸炎が全国で流行している問題で飲食店や旅館・ホテルなどが感染対策を徹底するよう都道府県などに通知した。年末年始の繁忙期を前に、従業員らにウイルスに関する知識や対応策を指導、発生防止につなげるよう求めている。

 ノロウイルスに感染した患者の便や嘔吐(おうと)物を適切に処理するよう指示、具体的にはセ氏85度以上で1分以上加熱、次亜塩素酸ナトリウムを含んだ塩素系の漂白剤を使うなどしてウイルスを死滅させることなどが重要だとしている。

ノロウイルス対策強化を指示 安倍首相、厚労相に

200606/12/18 中国新聞ニュース

 安倍晋三首相は十八日昼の政府与党連絡会議で、各地で感染被害が広がっているノロウイルス対策に強力に取り組むよう、柳沢伯夫厚生労働相に指示した。

 首相は「感染者数が過去最大となっている」と憂慮を示した上で、関係省庁が連携して、医療機関、社会福祉施設、食品事業、教育施設への予防対策の周知、指導を徹底するよう指示した。

 国立感染症研究所の集計によると、全国約三千の医療機関から十一月二十七日−十二月三日に報告された患者数は六万五千六百三十八人に上り、過去最高となった。

ノロウイルス 「うつさない」心がけを

200606/12/18 中国新聞社説

 ノロウイルス(小型球形ウイルス)が猛威を振るっている。調査を始めて二十五年間で最悪の流行という。感染力が非常に強いため、一気に広がってしまう。予防はもちろん、人にうつさないよう細心の注意を払いたい。

 発症すると吐き気、嘔吐(おうと)、下痢などを起こす。東京や北海道のホテル、秋田県庁など、各地から集団感染のニュースが連日届く。病院や老人介護施設では死者も出ている。山口市であった全国中学校駅伝大会では感染性胃腸炎で計九チームが欠場、途中棄権した。ノロウイルスの可能性がある。

 感染源として、今の時季に生がおいしいカキを思い浮かべる人が多いだろう。しかし実際は、人から人への感染が圧倒的に多いことを知る必要がある。

 ノロウイルスは感染者の便や吐いた物一グラム中に百万個単位で含まれる。それでいてわずか十個程度で感染する。ドアのノブやカーテンからもウイルスは見つかる。

 東京・池袋のホテルで三百人以上が発症したケースは、結婚式の客一人が二カ所で吐いたのが始まり。じゅうたんに残ったほんのわずかな汚物が乾燥して空気中に広がったとみられている。厚生労働省によると、十二日以上前に汚染されたカーペットを通じて感染した例もあるという。

 厄介なのは、感染しても発症しない場合や軽い風邪のような症状で済む人が多いことだ。また発症しても一―二日で治まるが、ウイルスは一週間から一カ月程度排せつされ続ける。つまり感染者の自覚がないまま、排便後の手洗いが不十分だとウイルスをまき散らす可能性があるのだ。

 だから調理に携わる人はとりわけ注意が必要だ。嘔吐や下痢の症状がある場合は食べ物を直接扱うのを避ける。治ってもしばらくは調理に当たらない方がいい。

 二次感染を防ぐには、感染者の便や汚物の処理方法も重要になる。使い捨てのマスクと手袋で完全防備、消毒は塩素系漂白剤―といった細かな留意点が、厚労省のホームページに載っている。それだけ手ごわいウイルスといえる。面倒くさがらずに徹底しよう。

 日常の予防策は食品の加熱処理と、調理や食事の前、トイレ使用後の念入りな手洗い以外ない。当たり前の生活習慣だが、ついおろそかにしがちである。受験シーズンも近い。調理する人や多くの子どもやお年寄りに接する機会がある人は、特に油断は禁物である。

ノロウイルス流行ピーク 26都府県、警報水準超す

200606/12/17 The Sankei Simbun Web site

 ノロウイルスを原因とする感染性胃腸炎の流行が全国へ広がり、過去最大の規模に達した。食中毒で職員がノロウイルスに感染した秋田県庁では、16日から4つの庁舎のすべてのトイレの消毒を行う異例の対応に乗り出した。厚生労働省が警報値とする1医療機関あたり週20人の患者報告数を超えた都道府県は26都府県。感染拡大を防ぐ鍵は人から人への二次感染防止だ。

 秋田県庁では16日朝から、マスクや手袋で防備した清掃員が、庁舎のトイレの蛇口や壁、ドアなどを塩素系殺菌消毒剤で丁寧にふく作業に取りかかった。

 発端は秋田市内の仕出屋が11〜13日に作った弁当で発生した食中毒。弁当を食べた県庁職員ら52人が、12日以降、嘔吐(おうと)や下痢などに襲われた。14日夜にノロウイルスが検出され、にわかに県庁舎からの二次感染の恐れが浮上した。

 県は「県庁発の感染拡大を阻止する」(県健康推進課)と、患者が使用し、二次感染源となりかねない場所の一斉消毒を決めた。

 またこの日、同県大館市の小中学校8校で児童、生徒約340人のほか、北海道上川町の観光ホテルで宿泊客167人について、ノロウイルスが原因とみられる集団食中毒が発生していたことが新たに判明。金沢市内では特別養護老人ホームに入所していた96歳の女性が、ノロウイルスによるとみられる感染性胃腸炎を発症し死亡した。福井県内の身体障害者施設でも、感染していた可能性がある50代男性が死亡したことがわかった。

 ノロウイルスは感染力が強く、せっけんやアルコールを使った清掃でも死滅しない。吐瀉(としゃ)物を掃除するときに手についたウイルスが、蛇口やドアノブなどに付着し、次々トイレを使う人に感染するのが感染拡大のパターンだ。

 厚労省は、今月上旬、「ノロウイルスに関するQ&A」を改定しホームページに掲載。二次感染防止に焦点を置き、患者の便や吐瀉物に直接触れずに処理し、汚れた場所を塩素系殺菌消毒剤で消毒することや、徹底的な手洗い、調理器具の洗浄・殺菌、食品の加熱など感染防止策を示した。

 国立感染症研究所によると、11月27日〜今月3日までの1週間に、全国約3000カ所の医療機関から報告された感染性胃腸炎の患者数は6万5638人。1施設あたり21.77人で、昭和56年の調査開始以来最多。県別では福井(45.18人)、富山(43.17人)、群馬(32.81人)の順に多いが、東西格差はない。

 厚労省は「おそらく今が感染のピーク。国民一人一人の徹底した予防で拡大を封じ込めたい。協力を」と話している。

【用語解説】ノロウイルス

 人だけに感染し、腸管で増殖、下痢や嘔吐(おうと)を引き起こす小型球形ウイルス。手や食品などを介して経口感染する。24〜48時間の潜伏期間後、突如発症する。健康な人は1〜2日で治癒し軽症ですむが、子供やお年寄りでは重症化したり、吐瀉(としゃ)物を誤ってのどにつまらせ死亡することも。効果のある抗ウイルス剤はなく、治療は水分と栄養の補給といった対症療法しかない。

全国中学駅伝選手ら50人、胃腸炎 ノロウイルスか?

2006年12月15日 asahi.com

 山口県は15日、山口市で16日開かれる第14回全国中学校駅伝大会に参加するため市内のホテルに滞在中の選手と引率の教員のうち、6道県の計50人が感染性胃腸炎を発症した疑いがあると発表した。ノロウイルスが原因の可能性があるという。大会は予定通り開く。

 山口県のまとめによると、50人の内訳は北海道18人(うち教員2人)、青森県11人(同1人)、福島県7人(同1人)、長野県11人(うち6人入院)、愛知県1人、高知県2人。いずれも同じホテルに泊まっていた。14日にホテルで夕食を取った後で下痢や吐き気、発熱の症状を訴え、市内の病院で治療を受けた。

 ホテルには8都道県9校12チームの選手ら141人が宿泊。ほかの宿泊客らには発症者は出ておらず、発症が特定の階に集中していることなどから、山口県はホテルの食事そのものが原因だった疑いは小さいとみている。

 大会には47都道府県から男女96チームが出場する予定。大会本部には15日夕までに出場辞退などの届けは出ていない。本部は選手登録の期限を15日午後1時から16日午前9時半に延期し、対応する。

ノロウイルス警報、45都道府県に拡大

2006年12月15日 読売新聞 Yomiuri On-Line

患者1000万人の予想も
 ノロウイルスなどによる感染性胃腸炎の流行が拡大している。

 厚生労働省が「警報」を発した都道府県は45に上り、この冬は1981年の調査開始以来、最大の流行だ。15日には、松山市内の病院で今月に入り、感染性胃腸炎が原因とみられる症状を訴えていた、72〜100歳の入院患者4人が相次ぎ死亡していたことも判明。国立感染症研究所では、「今がピーク」としているが、なお警戒が必要だ。

 同研究所は、全国約3000か所の小児科医療機関から、感染性胃腸炎の発生状況の報告を毎週受けている。全国の570保健所の管轄区域ごとに、1医療機関当たり1週間で、平均20人以上の患者が出ると、厚労省は保健所に注意喚起のための警報を発している。この患者数の全国平均が先月下旬、19・83人となり、過去最高となった。

 今シーズンは、10月初めに九州で警報が出された後、東へ向かって急速に広まった。今月初めには、青森、沖縄を除く45都道府県にある293保健所に警報が出されている。

 ノロウイルスは、カキなどの二枚貝を生食した場合の食中毒が知られるが、むしろ多いのは、患者の吐しゃ物などを通じて感染するケースだ。

 東京・池袋のホテルで今月初め、宿泊客ら347人が感染した事例では、客の吐しゃ物の処理が不十分だったことが原因だったとみられている。吐しゃ物を、紙でふき取ってから、中性洗剤でふいていたが、ノロウイルスは塩素系の漂白剤でなければ死滅しない。さらに、乾燥して空気中に舞い上がっても、10日間程度は感染力が残り、ウイルス数個でも感染するという。

 松山市のケースは、同市高井町の松山リハビリテーション病院(友岡康雄院長)で発生。死因は、急性心不全や多臓器不全などだった。市や病院によると、隣接の介護老人保健施設で11月末、感染性胃腸炎とみられる集団感染が発生。うち2人が別の病気の治療で同病院に移った後、院内で感染が拡大した。

 学校や高齢者施設などでは、患者1人いれば、ドアノブや手すりについたウイルスを通じて、感染がどんどん広がってしまう。

 同研究所感染症情報センターの松野重夫主任研究官は、「このままだと、患者数は1000万人くらいになるのでは」との見方も示している。同センターでは、食事前とトイレの後の手洗いの徹底を呼びかけている。

ノロウイルス猛威で関連医薬品の需要急増

2006年12月15日 NIKKEI Net10

 ノロウイルスによる感染性胃腸炎の大流行で、殺菌消毒液やウイルス検査薬など関連医薬品の販売が急増している。明治製菓は12月の手洗い用消毒液の売上高が前年同月の10倍以上になりそうだ。検査薬大手ではデンカ生研の11―12月のノロウイルス検査キットの販売数が前年同期の10倍以上に拡大。栄研化学では検査キットが品切れ状態で、各社とも増産を急ぐ。

 ノロウイルスには治療薬がないため、手洗いやうがいなどの予防が重要で、殺菌消毒薬の需要が増えている。明治製菓の手洗い用殺菌消毒液「イソジンウォッシュ」は12月の売上高が前年同月の10倍以上になる見通し。従来は250ミリリットルの家庭用が中心だったが、今冬は外食産業向けなどに2リットルの業務用が売れている。増産に向け、同社は調達に時間のかかる製品容器の確保を急ぐ。

都が初のノロウイルス警報 例年にないペースで患者増加

2006/12/14 The Sakei Shimbun Web site

 東京都は13日、ノロウイルスが原因とみられる感染性胃腸炎の患者が例年にないペースで増加していることから、都として初めての「ノロウイルス警報」を発令。対策関係課長連絡会議を開催するとともに、食品営業関係団体に注意喚起の周知を行った。

 都内の約140の医療機関は毎週、都に治療患者に関する内容を報告。今月4日から10日までの1週間にノロウイルスが原因とみられる感染性胃腸炎の患者数は3896人で、前年同期の2252人と比較し約73%増になっていることから「警報」発令に踏み切った。

 今年の特徴は集団発生が多いこと。豊島区のホテルの宴会場利用者らが集団感染したのに続き、13日には東大和市の特別養護老人ホームの入居者らも感染していたことが判明した。都は(1)手洗いの徹底(2)加熱や洗浄など食品の取り扱いへの注意(3)吐物の処理には手袋などをつける−が予防のポイントとしている。

ノロウイルス347人発症

2006年12月14日 読売新聞 Yomiuri On-Line

池袋のホテル床に吐物残留、感染か

 東京・池袋のホテルメトロポリタンで今月上旬、利用客と従業員計347人が下痢や嘔吐(おうと)などを訴える被害があり、池袋保健所で原因を調べたところ、ホテル内のじゅうたんに付着した客の微量の吐物から、人が歩くたびにノロウイルスが空気中に拡散、感染性胃腸炎を集団発症した疑いの強いことがわかった。

 同保健所や同ホテルによると、2日昼、ホテルでの結婚式に出席した女性客1人が、3階ロビーと宴会場のある25階通路で2度にわたり嘔吐。ホテル側が中性洗剤を使ってふき取った。

 しかし5日昼になって、不調を訴える利用客が出始め、ホテル側は保健所に報告。患者が3階と25階の利用客に集中しているため、感染源は、じゅうたんに残った微量の吐物だった可能性が高いと判断。同ホテルは、保健所の指導で消毒などの対策を取った。国立感染症研究所によると、今冬のノロウイルスなどによる感染性胃腸炎の流行は、過去25年で最大規模という。

弁当食べ200人が発症-ノロウイルス

2006.12.14 奈良新聞

 県食品・生活安全課は13日、天理市中町の仕出屋「山下食品」(通称・かしば給食、山下真弘社長)が作った弁当を食べた奈良と三重両県の14事業所の従業員約200人が、下痢や嘔吐(おうと)、発熱などを発症したと発表した。

 県は調査の結果、患者及び調理者の検便でノロウイルスを検出。また患者の共通食が当該弁当以外にないことなどから、同仕出屋を原因施設とする食中毒と断定。郡山保健所は、山下食品に対し、13日から7日間の営業停止を命じた…

ノロウイルスを迅速に検出

2006年12月14日 Kyoto Shimbun

島津製作所が試薬開発

 今冬猛威を振るうノロウイルスを簡単な作業で早く検出できる試薬を計測機器大手の島津製作所(京都市中京区)が開発し、18日発売する。遺伝子を抽出する前処理時間を従来の10分の1程度に短縮し、集団食中毒などに伴う大量検査の迅速化を実現する。

 食中毒の原因トップのノロウイルスは、感染力が強いうえに治療法がなく、感染拡大を防ぐために状況を把握するには、大量の検体を短時間で調べる必要がある。

 ノロウイルスはDNA(デオキシリボ核酸)を持たないため、RNA(リボ核酸)から作ったDNAを1000億倍程度に増幅して調べなければならない。従来の方法では、検体からRNAを取り出す手作業を伴うが、同社の試薬は検体中でRNAを自動的に抽出・精製すると同時にDNAも増やすことができる。

 この結果、従来7工程の前処理が試薬を混ぜる作業だけになり、100検体の前処理時間は従来の3時間以上から20分前後に縮まる。DNA増幅には従来通り3時間ほどかかるため、100検体を一度に検出装置で調べる場合、結果判明までの時間は従来の6−7時間から4時間ほどに短縮される。

 食中毒患者の便検査用で、保健所や研究機関での需要を見込んでいる。

 国立感染症研究所によると、今冬のサンプリング調査では、ノロウイルスによる感染性胃腸炎患者は前年の2・5倍で、1981年の調査開始以来最多。重症化することも多く、京都府内でも12月に入って死者が出ている。

最強のノロウイルス検出

2006/12/13 中国新聞地域ニュース

 広島市衛生研究所が本年度実施した感染性胃腸炎の患者調査で、検出されたノロウイルス(小型球形ウイルス)がすべて「G〓/4」という遺伝子型であることが12日、分かった。

最も感染力が強い一方で、症状が出にくいのが特徴とされる。

米国の研究論文では、同型は血液型A、B、0型(AB型はデータ無し)いずれの人にも感染し、少なくとも32種類ある人へ感染するノロウイルスの中で最も強力という。

【お断り】〓はローマ数字の2ですが、JISコードにないため表示できません。

呉のノロウイルス新たに6人

2006/12/13 中国新聞地域ニュース

 呉市福祉保健部に入った連絡によると、呉市郷原町の介護老人保健施設あすらや荘で11日から12日にかけ、新たに入所者6人がノロウイルス(小型球形ウイルス)によるとみられる下痢や嘔吐(おうと)の症状を訴えた。

6人は63―100歳の男女で、症状は比較的軽く、入院はしていない。同部は、あらためて施設内の消毒などを徹底するよう指示した。

これで同施設の発症者は、死者1人を含め計38人となった。

高知大病院で12人感染 ノロウイルス

2006年12月13日 高知新聞

 高知大医学部(南国市岡豊町)は13日、付属病院内で入院患者と医師、看護師の合計12人がノロウイルスに集団感染したとみられると発表した。原因、感染経路は調査中で、重症者は出ていない。

 県中央東福祉保健所に検査を依頼したところ、12日にノロウイルスの感染を確認した。7人が感染、5人が感染の疑いがあるという。12人は20代から80代までの男女で、患者7人、医師1人、看護師4人となっている。

ノロウイルス管内の医療機関で入院患者ら40人が発症

2006年12月13日 北海民友新聞社

 紋別保健所は12日、管内の医療機関で感染性胃腸炎の集団発生があったと発表した。おう吐や下痢などの症状を訴えたのは、入院患者ら40人。

 2日に通報があったもの。入院患者らは11月28日から12月6日にかけて症状が現れ、治療を受けた。11日現在、症状は回復または快方に向かっているという。  道立衛生研究所で6人の便を調べたところ、4人から小型球形ウイルスの1種であるノロウイルスを確認した。今シーズン、ノロウイルスは全国的に猛威をふるっている。

 同保健所ではこの医療機関に対して、入院患者や職員などの健康状況の把握や、手洗い・うがいの励行、施設内の清潔保持など感染防止対策について指導した。

韓国産生ガキで食中毒 ノロウイルスを検出

2006年12月13日 U.S. FrontLine

 食品医薬品局(FDA)は12日、オレゴン州で韓国産の生ガキを食べた8人が食中毒になり、生ガキからノロウイルスが検出されたと発表した。輸入元のカリフォルニア州の水産会社は冷凍生ガキ1100箱の回収を始めた。

 カキは韓国の水産会社から輸入されたもので、FDAは流通先のテキサス州など5州で10月中旬以降、生ガキを食べて食中毒の症状が出た人は医療当局に連絡するよう呼び掛けている。(共同)

世界最大の米豪華客船でノロウイルス感染、今月2度目

2006.12.12 - CNN/AP

 フロリダ州マイアミ──世界最大の米豪華客船「フリーダム・オブ・ザ・シーズ」で11日、ノロウイルスの集団感染が発生し、乗員乗客108人が、激しい下痢などの症状を訴えていることが明らかになった。同船は11月26日から12月3日までのクルーズ中にも、ノロウイルスの集団感染を起こして380人以上が手当てを受けており、ノロウイルスの集団感染は2週間で2度目となる。

 同船は11日に、カリブ海のクルーズから帰港。乗客3900人以上を乗せていた。また、今月初旬の感染発生時をうけ、船内を消毒したが、感染が再発した。

 米疾病対策センター(CDC)は同船を保有し、クルーズを企画・運営するロイヤル・カリビアンに対し、船内の徹底消毒を指示。特に、目が届きにくいエレベーターのボタンやドアノブなども、注意を払って消毒するよう求めている。

 カリブ海を就航するクルーズでは、別会社が運営する客船「サン・プリンセス」(定員1950人)がノロウイルスの感染者97人を出し、10日に消毒作業を受けている。

 このほか、今年11月には、大西洋横断クルーズ中の米客船「カーニバル・リバティー」でも、700人以上が集団感染している。

ノロウイルス感染で1人死亡

2006/12/11 中国新聞地域ニュース

 呉市郷原町の介護老人保健施設あすらや荘(酒井慈玄理事長)で11月下旬から10日にかけ、入所者と職員計32人が嘔吐(おうと)や吐き気などの症状を訴え、うち女性入所者(81)が肺炎で死亡した。

呉市はノロウイルス(小型球形ウイルス)による集団感染と断定した。入所者60―93歳の計25人、職員23―64歳の計7人が発症した。

女性入所者は5日午後6時ごろから吐き気を訴え、10日午前6時すぎ死亡した。

ノロウイルス猛威の兆し 感染者は昨年の3倍超

2006年12月11日 中日新聞

 ノロウイルスを原因とする感染性胃腸炎や食中毒が、県内で大流行の兆しを見せている。県衛生部の調べによると、昨年の同時期と比べて3倍を超える感染者が出ており、例年以上の注意が必要だ。

 ◇調理器具は熱湯消毒を

 ノロウイルスは、感染すると嘔吐(おうと)や下痢、発熱などの症状を引き起こす。毎年冬場に猛威を振るい、昨年は12月末までに10施設で218人が感染。今年はすでに、38施設912人(食中毒を除く)に症状が確認されている。

 ノロウイルスは感染力が非常に強く、学校や職場で集団感染する可能性がある。予防は手洗いが基本だが、せっけんはウイルスを殺す力が弱いため、調理器具の熱湯消毒を合わせると効果的。牡蛎(かき)やアサリなど二枚貝はウイルスを持っている場合があり、85度以上で1分間加熱調理することで安全に食べられるという。

 症状は通常1、2日で快方に向かうが、高齢者や病人など、抵抗力が弱まっている人は重症になる恐れもある。県は「今年は全国的にも感染が増えているが、原因は特定できない。例年2月ごろまで発生が続くので、各家庭や職場で二次感染を起こさないよう注意してほしい」と呼び掛けている。  (遠藤康訓)

 ◇野沢温泉旅館でノロウイルス原因の食中毒

 県は10日、野沢温泉村の旅館「池元」で、ノロウイルスを原因とする食中毒が起きたと発表した。男女49人が症状を訴え、うち女性1人が入院しているが、いずれも快方に向かっている。

 北信保健所によると、5日午後3時ごろ、同旅館で食事をした男女が、嘔吐(おうと)や下痢などの症状を訴えた。県は同旅館に対し、10日から4日間の営業停止を命じた。

変異型?ノロウイルス猛威 この25年で患者数最多

2006/12/10 The Sankei Shimbun Web site

 しつこい下痢や嘔吐(おうと)を引き起こす、主にノロウイルスが原因とみられる感染性胃腸炎が全国で急増し、11月下旬の1医療機関当たりの患者報告数が昭和56年の調査開始以来最多を記録したことが、国立感染症研究所の集計で明らかになった。

 患者数は過去最も速いペースで増加中で、感染研は、せっけんによる手洗いの徹底など予防を呼び掛けている。

 11月20〜26日の1週間に全国約3000の医療機関から報告された感染性胃腸炎の患者数は計約6万人。1カ所当たり19.83人で、昨年同時期(同7.87人)の約2.5倍で過去最多となった。

 同じ週の都道府県別では、1カ所当たりの数が多い順に富山、群馬、三重、福井、宮崎、山口、大分、埼玉など。全国平均を上回るのは西日本に多いが、中部、関東地方も報告が増えてきた。

 今年の患者数は、10月下旬に前年の2倍近い1カ所当たり5・85人が報告され、増加の立ち上がりも早かった。患者発生のピークは12月中旬以降になる年が多く、患者は今後も増加する可能性が高いという。

 感染研の松野重夫主任研究官によると、今冬検出されているノロウイルスは「GII4」と呼ばれる遺伝子型が大部分。昨年と一昨年も流行し、多くの人が免疫を獲得したと考えられていた。今年はウイルスの遺伝子の一部が変異して、免疫が十分に働かなくなった可能性が考えられるという。

ノロウイルス猛威 過去25年で最大の流行

2006年12月09日 読売新聞 Yomiuri On-Line

しっかり手洗い 厚労省呼びかけ

 ノロウイルスを主な原因とする感染性胃腸炎が、過去25年で最大の流行となったことが8日、国立感染症研究所感染症情報センターの調査でわかった。例年、12月末に流行のピークを迎えることから、重症化しやすいお年寄りや子供は一層の注意が必要だ。

 同センターが全国約3000の小児科医療機関を対象に行っている定点調査によると、11月20〜26日の週の1病院当たりの患者報告数は19・8人で、1981年7月の調査開始以来、最多だった昨年12月12〜18日の17・4人を上回った。地域別では西日本が多い。

 ノロウイルスによる感染性胃腸炎の症状は下痢や嘔吐(おうと)、発熱など。通常は1〜2日で治るが、お年寄りは重症化しやすい。感染経路としてはカキの生食によるケースが知られているが、最近目立つ老人施設や病院での集団感染は、感染した調理従事者が食品を扱ったり、患者の排せつ物などから人の手などを介して感染が広がった例が大半だ。このため厚生労働省では、食前やトイレ後の手洗い、汚物の適切な処理などを呼びかけている。

ノロウイルス 70代男性死亡京都の病院

 京都府は8日、久御山町内の医療法人八仁会久御山南病院で、57〜92歳の入院患者男女29人と、25〜63歳の職員男女3人の計32人が下痢や嘔吐(おうと)などを訴え、うち70歳代の男性患者が感染性胃腸炎で死亡したと発表した。患者6人からノロウイルスが検出された。

ノロウイルス猛威 流行、昨年より3週間早く

2006年12月08日 中日新聞

 冬季に発生しやすいノロウイルスによる食中毒や感染性胃腸炎が、県内で多発している。流行が昨年より三週間ほど早く、県は「ノロウイルスの感染源となる二枚貝類は十分に加熱して調理し、手洗いを徹底してほしい」と注意を呼び掛けている。 (西尾玄司)

■県『手洗いや加熱調理徹底を』

 県内のノロウイルスによる食中毒の発生件数と患者数は八日現在、十一月が六件で二百十一人、十二月が一件で二十一人。昨年は十一月が四件で百二十一人、十二月が六件で二百六十一人で、今年は流行が早く始まった。今年の患者数は調査中の人もいるため、さらに増える見込み。二枚貝類を食べなくても、ノロウイルスに感染した調理従事者が作った料理を食べて発症するケースが目立つ。

 感染性胃腸炎は「おなかのかぜ」と呼ばれるもので、ノロウイルスやロタウイルスなどが原因となる。食中毒のように食品を介さず、ウイルスを持った人の嘔吐(おうと)物やふん便などを処理した時や、感染者の汚染された手などから二次感染する。

 十一月二十七日から十二月三日までの週で、県内に百九十七カ所ある指定小児医療機関からの感染性胃腸炎の報告件数は、一機関当たり平均二三・七三件。昨年同期より二・二倍多い。注意喚起を住民へ促す基準として国が定めた値(二〇・〇件)を超えた。

 県生活衛生課は「十一月にこれだけ多いのは珍しい。なぜ早まったかはよく分からないが、今後も注意が必要」と話す。県内の患者はこれまで、全員が快方に向かっているが、抵抗力の弱い乳幼児や高齢者が死に至るケースもあるという。

 ノロウイルスに有効なワクチンはない。県は予防法として、▽二枚貝類の調理では、中まで八五度以上で一分以上加熱する▽手洗いの徹底▽感染者の嘔吐物や排せつ物などに直接触れない▽調理従事者のマスクや手袋の着用▽消毒には次亜塩素酸ナトリウムを使用する−などを挙げている。

<メモ>ノロウイルス 秋から冬にかけて、感染性胃腸炎や食中毒を引き起こすことが多いウイルス。カキやホタテ、アサリ、シジミなどの二枚貝類に蓄積されやすい。直径は30−38ナノメートル(ナノは10億分の1)で、人間の生きた細胞の中で増殖する。発症までの潜伏期間は1−2日間。嘔吐(おうと)や下痢、発熱などの症状が、通常は1−2日間続く。

感染性胃腸炎が過去最多 ノロウイルス猛威

2006/12/08 中国新聞ニュース

 しつこい下痢や嘔吐(おうと)を引き起こす、主にノロウイルスが原因とみられる感染性胃腸炎が全国で急増し、十一月下旬の一医療機関当たりの患者報告数が一九八一年の調査開始以来最多を記録したことが、国立感染症研究所の集計で八日明らかになった。

 患者数は過去最も速いペースで増加中で、感染研は「このまま増加が続けば、これまでで最大の流行になる可能性もある」と警戒、せっけんによる手洗いの徹底など予防努力を呼び掛けている。

 十一月二十−二十六日の一週間に全国約三千の医療機関から報告された感染性胃腸炎の患者数は計約六万人。一カ所当たり一九・八三人で、昨年同時期(同七・八七人)の約二・五倍で、過去最多となった。

 同じ週の都道府県別では、一カ所当たりの数が多い順に富山、群馬、三重、福井、宮崎、山口、大分、埼玉、愛知、鳥取など。全国平均を上回るのは西日本に多いが、中部、関東地方も報告が増えてきた。

 今年の患者数は、十月下旬に前年の二倍近い一カ所当たり五・八五人が報告され、増加の立ち上がりも早かった。患者発生のピークは十二月中旬以降になる年が多く、患者は今後も増加する可能性が高いという。

 感染研の松野重夫主任研究官によると、今冬検出されているノロウイルスは「GII4」と呼ばれる遺伝子型が大部分。この型は昨年と一昨年も流行していて、多くの人が免疫を獲得したと考えられていた。今年の患者数が多い理由については、ウイルスの遺伝子の一部が変異して、免疫が十分に働かなくなった可能性が考えられるという。

ノロウイルスQ&A改訂 厚労省が集団感染予防強化

2006年12月08日 asahi.com

 厚生労働省は8日、全国で流行中の感染性胃腸炎の原因とみられるノロウイルスについて、対処法などをまとめたQ&Aを改訂し、集団感染を防ぐための注意事項を追加した。病院や福祉施設、学校での流行を防ぐのが目的。Q&Aは厚労省のホームページで見ることができる。

 改訂版には▽吐物や便は乾燥しないうちに処理し十分に換気▽汚物がついたシーツや枕カバーはもみ洗いの後、85度の湯で1分以上洗濯▽感染者が使った食器類のほかドアノブやカーテンも消毒――など、集団生活をする施設で発生した際に気を付ける点を追加した。

ノロウイルス猛威 感染性胃腸炎、過去10年で最速増

2006年12月07日 asahi.com

 「おなかのかぜ」と呼ばれる感染性胃腸炎が全国で猛威をふるっている。国立感染症研究所がまとめる全国約3千の小児科医療機関の定点調査では、過去10年間で最も速いペースで患者が増加。大半はノロウイルスが原因とみられ、抵抗力が低い乳幼児や高齢者は特に注意が必要だ。

 ノロウイルスによる感染性胃腸炎の症状は、下痢や嘔吐(おうと)、腹痛など。同研究所の感染症情報センターによると、11月13日からの1週間で定点1施設あたりの患者数は16.4人となり、昨年同時期の約2.7倍に達した。例年より1カ月ほど速いペースで、今後さらに増える可能性があるという。

 東京都の速報値(11月27日からの1週間)でも、1施設あたりの患者数が21.9人に。過去5年間で最多だった昨年の19.3人を突破した。

 都道府県別では、富山(1施設あたり37.5人)、宮崎(同29.9人)、大分(同27.8人)、群馬(同27.6人)、三重(同26.9人)が多く、計12府県で警報を出す基準の20人を上回った。患者は10月下旬から西日本を中心に増え、中部や関東へ拡大。大阪や奈良では、高齢者施設の入所者が感染し、死亡する例も出ている。

 ノロウイルスは、生カキなど加熱が不十分な二枚貝を食べるなどして感染するほか、患者の便や吐物などを介して二次感染する。保育園や高齢者施設などで集団感染を起こすこともある。治療法は対症療法しかなく、各自治体などは手洗いなどによる予防を呼びかけている。

ノロウイルス、県内で感染急増−11月末平年の4倍

2006/12/06 SHIKOKU NEWS

 香川県内でノロウイルスが原因とみられる感染性胃腸炎が急増していることが、五日分かった。香川県の感染症発生動向調査によると、定点医療機関における今年第四十七週(十一月二十―二十六日)の平均患者数は二〇・四人で、平年値(五・〇人)の四倍、過去十年間で最高値を記録した。全国的に今年は流行が早く、香川県薬務感染症対策課は「今後も気温の低下に伴い感染者の増加が予想される。予防を徹底してほしい」としている。

 同課によると、香川県内五十一定点医療機関で、第四十七週の感染性胃腸炎の平均患者数は二〇・四人(平年五・〇人)。地域別では高松市一九・五人、小豆二一・五人、東讃五・三人、中讃二三・四人、西讃二八・〇人。東讃を除き、「流行警報地区」に当たる二十人を突破している。

 例年は年明けごろに二十人を超す場合が多く、今年はかなり早いペース。大半がノロウイルスによる症状とみられるという。香川県は四日に香川県内の高齢者福祉施設や保育所、幼稚園などに流行を知らせる通知を出し、注意を呼びかけている。

 同課は、▽排便後や調理前の手洗いやうがいの徹底▽食品は中心温度八五度以上で一分間以上加熱▽患者とタオルを共用しない▽吐物はビニール手袋を使用して処理―などを挙げ、予防と二次感染の抑止を訴えている。

 ノロウイルス 小型球形ウイルスの一種で、生の貝などを食べて感染することが多い。ノロウイルスによる感染性胃腸炎にかかるとおう吐、下痢、発熱などの症状が出る。二、三日程度で回復するケースが多いが、抵抗力の弱いお年寄りや子供が感染すると脱水症を起こし、重症化する場合がある。

奈良県の3施設で集団感染173人 ノロウイルスの疑い

2006年12月06日 asahi.com

 奈良市は6日、同市杣ノ川町の知的障害者福祉施設で95人、同市古市町の養護老人ホームで60人が下痢や吐き気などの症状を訴え、いずれもノロウイルスによる感染性胃腸炎とみられると発表した。奈良県も同日、同県葛城市の特別養護老人ホームで18人が集団感染したと発表した。全員が快方に向かっているという。

 市によると、知的障害者福祉施設では先月28日から18〜53歳の入・通所者と職員が、養護老人ホームでは今月1日以降、22〜97歳の入所者と職員が発症した。

猛威ふるうノロウイルス 西日本中心に過去最悪ペース

2006年12月04日 asahi.com

 ノロウイルスによる感染性胃腸炎が今シーズンに入り、全国で急増している。特に、抵抗力が弱い子どもや高齢者の患者が目立つという。

 小児科医療機関約3千カ所を定点調査する国立感染症研究所の感染症情報センターによると、11月13日からの1週間で1機関あたりの患者数は平均16・4人で、昨年同時期の約2.7倍に達した。過去10年間で最も速いペースで増えており、富山、京都、兵庫など12府県で警報を出す指標の同20人を突破。西日本を中心に流行が始まり、中部や関東に拡大したという。

 大阪府でも、11月の集団感染(10人以上)が4千人を超え、昨年同月(400人)の10倍に達した。感染で体力が落ちた10人以上の高齢者が肺炎などで死亡している。府によると、今年検出されたウイルスの大半は「GII4」と呼ばれる遺伝子型のもの。細胞に吸着する効率がよく、感染性が強いという。

 同感染症情報センターによると、ノロウイルスは生ガキのような二枚貝などに含まれる。汚染された貝を食べたり、調理したりする際に感染するほか、感染者の汚物が原因となって医療機関や福祉施設で集団感染を起こす場合もある。

 同センターは予防策として、(1)十分な手洗いや加熱調理(2)医療機関などで汚物を処理する際はマスクや手袋の使用や消毒を徹底――などを呼びかけている。

ノロウイルス感染? 特養ホームで高齢者死亡 大阪

2006年12月03日 asahi.com

 大阪府は3日、同府豊中市の特別養護老人ホームで11月25日〜12月3日、入所者と職員計61人が下痢や吐き気を訴え、入所者2人が入院し、うち79歳の女性1人が肺炎で死亡したと発表した。検査した入所者8人のうち2人の便からノロウイルスが検出された。

 府によると、症状を訴えたのは、65〜100歳の入所者48人と23〜31歳の職員13人。死亡した女性のほかの感染者は快方に向かっているという。

 大阪府によると、府内の医療機関や社会福祉施設で発生した、ノロウイルスを主な原因とする感染性胃腸炎の集団感染(10人以上)は、11月は121件4080人。昨年11月の11件400人の10倍以上に上っているという。

大阪市、ノロウイルス猛威──9月以降1400人発症、昨シーズンの2倍

2006年12月02日 NIKKEI Net

 大阪市保健所は1日、市内の医療機関や老人ホームなど計10施設で11月中旬以降に入所者や職員ら計413人がノロウイルスによる感染性胃腸炎を発症し、淀川区の施設で男性(100)が死亡したと発表した。大阪府松原市の病院も同日、患者や職員計14人からノロウイルスを検出したと発表した。

 大阪市によると、昨シーズン(昨年12月―今年6月)に市内で確認された発症者は約690人。今シーズン(9月以降)は既に1399人に達し、11月だけで1300人を超す。10人以上の集団感染が50件近く発生するなど、ノロウイルスが猛威を振るっており、医療機関や老人ホームに対し、手洗いや消毒の徹底を指示している。

特養ホームでノロウイルス、35人が感染

2006年12月02日 日刊スポーツ

 広島県は2日、同県安芸高田市の特別養護老人ホーム「レークサイド土師」でノロウイルスの集団感染が発生し、入所者と職員計35人が感染したと発表した。

 このうち入所者の女性(79)が1日に脳梗塞(こうそく)で死亡したが、県は「感染との因果関係は不明」としている。

 県によると、先月21日から吐き気や下痢の症状を示す入所者が現れ、2日までに入所者26人と職員九人が感染。現在も7人に症状があり、うち90代の女性2人が入院しているが、命に別条はないという。

ノロウイルス食中毒29人 淡路の飲食店

2006/11/28 神戸新聞

 兵庫県洲本健康福祉事務所は二十七日、淡路市富島の飲食店で二十三日に食事をした二十九人が嘔吐(おうと)や下痢の食中毒症状を訴え、食事客五人と従業員二人からノロウイルスを検出したと発表した。

 同事務所は、同店に二十七日から三日間の営業停止処分を命じた。

 同事務所によると、症状を訴えたのは二十三日の昼食時にすしなどを食べた淡路、加古川、神戸、明石市の十一-八十九歳の男女。入院患者はなく、いずれも快方に向かっているという。

ノロウイルス原因、患者増え177人に 松江の食中毒

2006/11/25 山陰中央新報

 松江市内の会合で弁当を食べた出席者が下痢や嘔吐(おうと)の症状を訴えた食中毒で、島根県薬事衛生課は二十四日、病因物質をノロウイルスと断定した。患者は新たに九十七人増え、百七十七人となった。

 同課によると、十七日に同県東出雲町の仕出店が調理した弁当を昼食で食べ発症した患者のうち、八人の便からノロウイルスが検出された。松江保健所が原因食品の特定を進めている。

ノロウイルス 感染性胃腸炎 県内流行『警戒域』 お年寄りらに 注意呼び掛け

2006/11/22 中日新聞

 ノロウイルスなどによる感染性胃腸炎が県内で急速に広がっている問題で、県は二十二日、県内の定点医療機関における十三〜十九日の週の感染者数が大きな流行を示す「警戒域」に達し、過去十年で最多を記録したと発表した。県では感染拡大の防止に向け、衛生管理の徹底を呼び掛けている。 (竹内章)

 県健康課によると、感染性胃腸炎は例年、十二月から一月にかけて感染のピークを迎える。しかし今シーズンは、県が継続して報告を受ける二十九の定点医療機関で、六〜十二日の週に一医療機関あたりの感染者数が警戒域の二〇人以上に迫る一八・二一人を記録。十三〜十九日の週には、さらに三七・五二人にまで急拡大した。

 二十二日には、富山市の養護老人ホーム「慈光園」で入所者ら二十人の集団感染も確認された。

 ノロウイルスは感染力が高く、人と人との接触や、だえきの飛沫(ひまつ)などを通じ感染が広がる。免疫力が弱いお年寄りや幼児が集まる施設では集団感染することも多いため、一層の注意が必要となる。

予防・対策のポイント

 ▽トイレやおむつ交換後、調理前などでの十分な手洗い▽汚物の適切な処理▽下痢や嘔吐(おうと)の症状がある場合の早めの受診▽免疫力の弱いお年寄り、幼児は症状が軽い時でも水分補給を十分に

39人からノロウイルス 名古屋の介護老人施設入所者ら

2006年11月17日 asahi.com

 名古屋市緑区横吹町の介護老人保健施設「みどり」で、今月4日から17日までに、入所している高齢者や職員計39人がノロウイルスによる感染性胃腸炎にかかっていたことがわかった。下痢や嘔吐(おうと)の症状を訴えた人もいたが、全員が快方に向かっているという。

 市健康福祉局によると、ノロウイルスが検出されたのは入所者192人中31人と、職員8人。入所者の感染者の大半は施設2階に集中しており、集団感染したものとみている。最初に症状が出たのは今月4日で、その後の緑保健所の調査で感染が判明した。同保健所は施設に消毒などを指導したという。

医療機関で集団感染/北部 ノロウイルスに34人

2006年09月29日 沖縄タイムス

 県健康増進課は二十八日、本島北部の民間医療機関でノロウイルスの集団感染が発生し、六十歳以上の高齢者病棟の患者二十九人と職員五人の三十四人が下痢や嘔吐、発熱など、感染性胃腸炎を発症したと発表した。現在、北部保健所が感染経路などを調査している。命に別状のある人はいない。

 同課は「接触感染と考えられる。施設は患者の健康管理に気を付け、職員の手洗いや消毒を徹底してほしい」と呼び掛けた。

 同課によると、入院患者五十人の高齢者病棟で今月二十四日に九人が下痢や嘔吐などを発症。同じ症状の患者が二十五日に三人、二十六日に九人、二十七日十三人と広がった。二十八日、連絡を受け県環境衛生研究所が患者の検便からノロウイルスを検出した。

 重症者はなく、発熱は三十八度台。四人が点滴を受けたという。

 同課は「入院患者の半数以上と患者数は多く、感染がおさまったという報告はまだない。引き続き調査するとともに、施設側も衛生管理を気を付けてもらいたい」とした。

病院で14人が胃腸炎、ノロウィルス検出 大阪・四条畷

2005/03/06 asahi.com

 大阪府四條畷市内の病院で入院患者ら14人が感染性胃腸炎を発症し、80代の女性患者の便からノロウイルスが検出されたと、大阪府が5日発表した。府はノロウイルスによる集団感染の疑いが強いとみているが、病院名は公表していない。14人の症状は軽く、快方に向かっているという。

 府によると、4日に病院から「入院患者6人に下痢や嘔吐(おうと)の症状が出ている」と連絡を受けた。調べると、1〜5日に60〜90代の入院患者12人(男3人、女9人)と20代の男女職員2人が下痢や嘔吐などの症状を訴えていることが分かったという。担当者は感染経路について「症状の発症に時間差があることや、職員も感染していることから、食中毒の可能性は低い」と話している。

カキの取扱量が25%減 ノロウイルスの影響で敬遠

2005/03/05 The Sankei Shimbun

 東京都中央卸売市場で1月に扱ったカキが量、額ともに前年に比べ約25%減っていることが5日、分かった。市場関係者は「カキが昨年末から流行したノロウイルスによる食中毒の原因の一つと指摘され、消費者が過敏に反応したため」と話している。

 同卸売市場によると、昨年1月には約400トンのカキが扱われたが、ことしは約300トン。金額も約1億7000万円から約1億3000万円と、それぞれ25%前後減った。

 昨年12月に広島県福山市の高齢者施設でノロウイルスの集団感染が発生し、7人が死亡した。ほかにも年末から全国でノロウイルスが原因とみられる集団感染や食中毒が相次いだ。

 厚生労働省によると、人の便などが原因で人から人に感染する集団感染に比べ、食中毒のケースは少ない。その上、食中毒でもカキなど二枚貝が原因とみられる例は食中毒全体の約1割にすぎないという。広島の例もカキは無関係だった。

 同省食品安全部は「消費者は不安を感じたのだろうが、生産者がウイルスの検査結果など十分な情報を提供していくことで不安は解消できるだろう」と話している。(共同)

ノロウイルス対策で独自に手引 福山市

2005/02/23 中国新聞地域ニュース

 <衛生管理重視 手洗いや連絡体制5項目>

 福山市赤坂町の特別養護老人ホーム「福山福寿園」で年末年始に発生したノロウイルス(小型球形ウイルス)の集団感染を受け、福山市保健所がノロウイルス対応マニュアルの整備を進めている。近く開かれる疫学専門家らによる第三回調査委員会に報告し、市内の特養ホームなどに提示する。二十二日の市議会民生福祉委員会で明らかにした。

 対応マニュアルは五項目。施設に対し、日ごろから入所者や職員の健康状況の把握を徹底し、何らかの異常があった際に速やかに保健所などに相談、連絡することなどを求めている。おむつ交換時に手洗いを徹底し、食材を通じたノロウイルスの集団食中毒も防ぐため、調理場などの施設の消毒を徹底することも明記している。

 福寿園問題では、入所者らが次々と発症する中でも市への連絡はなく、衛生管理の不徹底が感染拡大につながった点を重視した内容になっている。

 市保健所が対応マニュアルの作成に取りかかったのは一月下旬。第三回調査委員会で専門家らの意見を聞き、最終案を作る。二〇〇四年度内にも市内の高齢者施設のほか、学校などへも配布し、再発防止を促す。

 ノロウイルスなどの感染症対策マニュアルは、国も作成方針を打ち出している。市保健所の田中知徳所長は「福山福寿園への立ち入り調査などを踏まえた独自マニュアルであり、ノロウイルスだけでなくほかの感染症対策にも弾力的に活用できる内容にしたい」と説明。国のマニュアルができた段階で、必要な要素を追加し、充実させる考えだ。

 福山福寿園の集団感染では下痢などの症状を訴えた入所者七人が死亡し、入所者と職員の計五十五人からノロウイルスが検出された。

ノロウイルスの検出用機器増産 周南

2005/02/04 中国新聞地域ニュース

 ノロウイルス(小型球形ウイルス)の迅速な検出が可能な遺伝子診断機器を生産する、総合化学メーカーの東ソーの完全子会社、東ソー・ハイテック(周南市)に、注文が全国から相次いでいる。一月に発覚した、福山市内の老人福祉施設での集団感染がきっかけ。二月生産分の十台は出荷先が決定済み。三月からは生産台数を二十台に引き上げる。

 機器はハイテックが生産し昨年一月、東ソーが販売を始めていた。サルモネラ用などに加え、ノロウイルス用の試薬を東ソーが昨年十二月下旬に発売。直後に福山市で七人が死亡する集団感染が発覚し、保健所や検査会社からの問い合わせなどが増えた。

 検出方法は、ノロウイルスのリボ核酸(RNA)を増殖し、RNAと結合すると蛍光性質をもつ専用試薬を使用。便などにウイルスが含まれているかを調べる。検出時間は二時間以内という。

 これまでの手法で使っている、RNAを変換したデオキシリボ核酸(DNA)は、増やすのに時間がかかるため検出まで十四時間程度が必要で、検査機関の個別ノウハウに頼っていたという。

 受注増を受け、ハイテックは月産十台のペースから急きょ、増産を決定。三月から当面二十台を想定するが、最大五十台まで増やせるという。

 松崎充常務工場長は「早く正確に特定でき、被害拡大を防げる。今後の需要は読めないが、注文に対応できる態勢を整えたい」と話す。機器は、専用パソコンなどがセットで三百六十万円。

ノロウイルス防げ 広島市で医師・看護師ら研究会

2005/01/23 中国新聞地域ニュース

 早期発見と隔離/手洗いの励行

 病院の医師や看護師らでつくる広島院内感染対策研究会が二十二日、広島市南区の区民文化センターであった。各地で相次ぐノロウイルス感染症について、広島県医師会感染症委員会のメンバーでもある県立広島病院の桑原正雄・総合診療科部長が緊急報告した。

 桑原部長は、福山市の特別養護老人ホームで下痢などを訴えた七人が死亡した問題の経過を説明。「ノロウイルス感染症は、ありふれたものと理解されていたのが、今回のような重大な事態になった」と指摘した。

 感染防止対策のポイントとして、感染者の早期発見と隔離▽集団発生時には新規の入院・入所を控える▽「一処置一手洗い」を励行し、手袋は患者ごとに使い捨てる▽感染対策の実践をスタッフ間で確認し合う―などをあらためて強調した。

ノロウイルス、止まらぬ被害 加熱、消毒…調理に注意

2005/01/19 The Sankei Shimbun 東京朝刊

 この冬、全国の老人福祉施設などでノロウイルスが原因とみられる感染性胃腸炎が集団発生している。厚生労働省によれば、死者は12人にのぼり、発症者は7800人以上にも及ぶ(12日現在)。大阪府立公衆衛生研究所の奥野良信・感染症部長によると、このウイルスの威力は小さく、症状も嘔吐(おうと)や下痢、軽い発熱などが1−2日続く程度という。しかし、なぜここまで被害が広がったのだろうか。また日ごろの生活の中で何に注意すれば予防できるのだろうか。(篠田丈晴)

 ≪大半が経口感染≫

 ノロウイルスはごく小さなウイルスで、インフルエンザウイルスなどに比べ感染力は弱い。奥野部長は「われわれの間では冬の食中毒の要因の一つという認識です。ただ、最近では保育所や老人福祉施設などで集団発生がしばしば見られ、注意が必要と考えています」と話す。

 感染経路はほとんどが経口感染といわれる。ウイルスで汚染されたカキなどの二枚貝を十分に加熱しないで食べたことで感染する例が最も多い。また、ウイルスをもった人が調理した料理を食べた場合や、患者の嘔吐物やふん便から二次感染するケースもある。

 年間を通じて発生するが、11月ごろから目立ち始め、1−2月にピークを迎える。ただ、発症しても症状は比較的軽く、嘔吐や下痢、腹痛に加え、38度以下の発熱が1−2日続く程度という。重症になると脱水症状を起こす場合もある半面、感染しても発症しない場合もある。

 ところが、昨年末からこの年始にかけて、老人福祉施設で死者が出るなど被害が広がっている。奥野部長は「ノロウイルスで死者が出るのはまれなこと。高齢者や体力のない人、別の疾患のある人が、感染をきっかけに急に衰弱し、命取りになったのでは」と分析する。

 ≪衛生環境考えて≫

 感染対策では、食べ物の取り扱いが最も重要だという。

 老人などのいる家庭ではカキなどの二枚貝は十分に加熱するほか、「まな板などの調理器具が汚染されることもあるので、熱湯消毒や塩素を含んだ漂白剤で洗うなどの工夫をしてほしい。また、調理をする人は手指もよく洗い、消毒すべきです」と奥野部長。

 さらに、患者の嘔吐物やふん便には大量のウイルスが含まれており、集団感染を防ぐためには、老人福祉施設などでは特に注意が必要だ。「ふん便が乾燥すると、ウイルスが空気中に飛び散り、経口感染してしまう危険性が大きい。床などに付着した場合は、マスクや手袋を着用し、塩素を含む漂白剤に浸すなどしたタオルなどでていねいにふき取ってください」と呼びかける。

 また、冬場のこの時期は、乳幼児のふん便にもノロウイルスが含まれていることが考えられるため、家庭や保育所などでは、オムツの取り扱いにも気をつけたいところだ。

 ノロウイルスによる胃腸炎は昨年4−5月、大阪市内の保育所や幼稚園、小学校などで集団発生が相次いでおり、奥山部長は「汚染された貝を食べ、その排泄物が下水を通じて海に戻り、再び二枚貝が汚染されるというサイクルが進んでいるのではないでしょうか」と懸念する。

 ただし、ノロウイルス自体は強いウイルスでない。奥野部長は「健康ならば発症しても軽い。お年寄りや小さな子供の衛生環境を十分に考慮しておけば、大きな被害になる可能性は低いはずです」と話している。

92歳女性患者が死亡 ノロウイルス集団感染か

2005/01/19 The Sankei Shimbun

 大阪府豊中市の総合坂本病院(坂本知三郎院長)は18日、入院患者6人と病院職員7人が下痢と嘔吐(おうと)の症状を訴え、うち女性患者(92)が16日に誤嚥(ごえん)性肺炎による心不全で死亡していたと発表した。

 病院はノロウイルスが原因の集団感染症の疑いがあるとみて検体を豊中保健所に提出、詳しい原因を調べている。

 病院によると、女性職員が13日に発症し、その後、患者らも異常を訴えた。発症した患者全員が分院3階に寝たきりの状態で入院していた。ほかの患者らは快方に向かっているという。

 坂本院長は感染経路について「最初に発症した職員の家族にも同様の症状が見られたため、職員が外部から持ち込んだ可能性は否定できない」と説明。患者には栄養剤を注入するチューブを経由して感染した可能性が高いとみている。(共同)

感染性胃腸炎、昨年末の発生数は過去10年で最多に

2005/01/17 asahi.com

 昨年12月20日からの1週間に全国3000カ所の小児科から報告されたノロウイルスなどによる感染性胃腸炎が、過去10年間で最も多かったことが、国立感染症研究所のまとめでわかった。

 同研究所は定点となる医療機関からの感染症報告数を週ごとにまとめて発表している。その感染症週報の最新号によると、昨年12月20〜26日の感染性胃腸炎の報告数は全国で4万8150件で、1定点あたり15.83件だった。都道府県別にみると、最多は大分県の32.42人。報告数のほとんどはノロウイルスが原因とみられる。

ノロウイルス感染、厚労省が全国特養を緊急調査へ

2005/01/16 読売新聞 Yomiuri On-Line

 全国の高齢者施設でノロウイルスが原因とみられる感染性胃腸炎の集団発生が相次いでいる現状を受け、厚生労働省は、国内約5200か所の特別養護老人ホームすべてを対象に緊急アンケートを行い、実態調査に乗り出すことを決めた。

 調査結果を基に、3月をめどに感染症対策のマニュアルを作成。日常の対策、早期発見の手法、発症後の対策などをまとめる。

 これまで、高齢者施設に対する感染症対策の統一的な手引はなく、各施設の判断に任されていた。

茨城・下館の老人ホームで19人が下痢など訴え

2005/01/10 読売新聞 Yomiuri On-LINE

 茨城県保健福祉部に10日入った連絡によると、同県下館市中館の市立養護老人ホーム「ことぶき荘」(市村進施設長、入所者49人、職員14人)で、8日以降、入所者の男女18人(67―90歳)と40代の女性職員1人がおう吐や下痢の症状を訴えた。

 このうち、入所者の女性(85)が入院したが、いずれも症状は軽く、快方に向かっている。

 下館保健所で、食中毒とノロウイルスなどによる感染症の両面から原因を調べている

北海道などの老人施設でも症状…ノロウイルス検出

2005/01/10 読売新聞 Yomiuri On-LINE

 秋田県は9日、同県鹿角市と由利郡の2か所の老人福祉施設で入所者や職員、職員の家族計54人が3日から8日にかけ、下痢などの症状を訴えたと発表した。

 保健所の検査で24人からノロウイルスが検出され、感染性胃腸炎の集団発生とみられる。

 また、北海道千歳保健所は、管内の介護保険施設の入所者、職員51人が症状を訴え、5人からノロウイルスを検出したと発表。和歌山市も、市内の特別養護老人ホームの入所者、職員35人が5日以降、症状を訴え、患者らからノロウイルスを検出したと発表した。

 大阪府岸和田、吹田両市の施設でも計47人が下痢などの症状を訴え、岸和田、吹田両保健所は6人からノロウイルスを検出したことを明らかにした。

 このほか昨年末から9日までに、大阪市港区の特養ホーム入所者と職員計46人、福山福寿園以外の広島県福山市と三原市などの4施設の入所者ら106人、山口県内の特養ホーム3施設の入所者ら75人、北九州市小倉南区の特養ホーム入所者ら21人、宮崎市内の特養ホーム入所者ら37人、宮崎県東郷町の養護老人ホーム入所者ら15人が同様の症状を訴えていることが分かった。

老人施設での感染症、500人超…福山はノロウイルス

2005/01/10 読売新聞 Yomiuri On-LINE

 広島県福山市の特別養護老人ホーム「福山福寿園」で入所者7人が死亡した問題で、市保健所は9日、発症者の検体からノロウイルスが検出されたと発表、昨年末から続いた同園での集団発症は、ウイルス感染が原因と断定された。

 専門家によると、ノロウイルスによる集団感染で多数の死者が一度に出たのが確認されたのは国内では初めてといい、福山西署は、患者の1人を司法解剖し感染拡大の経緯について捜査を始めた。また、9日に明らかになった分だけでも、全国9道府県の老人施設で、同様の感染症とみられる患者576人が確認され、各施設では対応に追われている。

 福山市保健所によると、福山福寿園で発症した入所者11人と職員1人を対象に今月8日に行ったウイルス検査で、入所者の9検体からノロウイルスが検出された。

 福山西署は9日、死者が多いことや届け出の経緯に不明な点があるため、7人目の死亡者となった男性入所者(83)について司法解剖を行った。その結果、男性の死因は「吐しゃ物を気道に詰まらせた窒息死」と確認された。流動食を摂取中、おう吐したといい、感染によるおう吐とみられる。

 一方、同園では9日、新たに入所者1人が下痢などを発症していたことがわかり、死者を含む発症者は総計43人になった。

集団感染で調査委発足 福山市保健所

2005/01/10 The Sankei Shimbun

 広島県福山市の特別養護老人ホーム「福山福寿園」で、年末年始に入所者計42人が下痢や発熱などの症状を訴え、うち7人が死亡した問題で、同市保健所は10日、入所者9人からノロウイルス(小型球形ウイルス)を検出したのを受け、国立感染症研究所の岡部信彦・感染症情報センター長ら専門家10人による調査委員会を発足させた。

 一方、同園は7人の死亡場所を公表。7人のうち4人が同園2階の「静養室対応部屋」と呼ばれる一室で死亡していたことが分かった。

 市保健所は、入所者がノロウイルスに集団感染、急性胃腸炎を引き起こしたとみており、ほかの発症者を検査するなどして感染経路の解明を急ぐ。

 また、8日に死亡した入所者の男性(83)の遺体からも検体を採取、ノロウイルス感染の有無を調べている。

 調査委の初会合で、田中知徳・市保健所長は「多くの方々が亡くなった。医療の専門的な立場から指導を仰ぎたい」とあいさつ。岡部氏(学会のため欠席)を委員長に選んだ。

 一方、市保健所は10日午前、福山福寿園職員の健康調査を実施。現在発症者はいないが、昨年末に2人が下痢の症状を示したとの情報もあり、事実関係を調べている。(共同)

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