TOPIC No.5-46-1 新型インフルエンザ(H1N1)

01. 2009年新型インフルエンザの世界的流行[H1N1亜型に属する新型インフルエンザ(A/H1N1)](北米インフルエンザ)について byフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
02. 新型インフルエンザに関するQ&A by厚生労働省
03. 新型インフルエンザ対策関連情報 by厚生労働省
04. 新型インフルエンザ(H1N1) by YAHOO!ニュ−ス
05. 日本の新型インフルエンザ(H1N1)対策 by YAHOO!ニュ−ス
06. 新型インフルエンザ(H1N1)の国内感染 by YAHOO!ニュ−ス
07. 新型インフルエンザに関する情報 by神戸市
08. 新型インフルエンザ アーカイブ by毎日jp
098. 新型インフル 特集 by読売新聞
10. 新型インフルエンザ byMSN産経新聞
11. 広島県の発熱相談センター
12. 広島県内の流行状況 


  「医療機関の受診」発熱等の症状で医療機関を受診されるときは,あらかじめ,医療機関に電話連絡し,確認のうえ,受診してください。なお,受診の際には,マスクの着用をしてください。


米で新型の豚インフルエンザ 乳幼児2人感染

2011年09月03日23時17分 asahi.com

 米疾病対策センター(CDC)は2日、米国内で乳幼児2人が新種の豚インフルエンザウイルス(H3N2型)に感染したと発表した。豚インフルエンザの感染は2005年〜10年で21例報告があるが、今回のウイルスは、遺伝子の一部が09年に世界的に流行した新型インフルエンザ(H1N1型)のものに置き換わっていた。

 2人はすでに回復しており、感染の広がりはないが、CDCでは監視の強化を呼びかけている。

 1人は中西部インディアナ州の男児で、7月に発熱やせきなどで病院を訪れた。豚との接触はなかったが、世話をしていた乳母に豚との接触が確認された。もう1人は東部ペンシルベニア州の女児で、8月に発熱などの症状で病院で検査を受けた。数日前に農業祭で、豚と接触したとみられる。2人の感染に関連はないが、遺伝子の一部が置き換わっていた点では共通していた。(ワシントン=行方史郎)

フジッコ、カスピ海ヨーグルトのインフルエンザ感染後のウイルス増殖抑制作用を確認

マイライフ手帳@ニュース 2011年09月02日

 フジッコは、家森幸男先生(武庫川女子大学国際健康開発研究所所長)の協力のもと、優良株であるLactococcus lactis subsp. cremoris FC株(ラクトコッカス ラクティス サブスピーシズ クレモリス エフシー株、以下クレモリスFC株)を分離し、家庭で安全に植え継ぐことの出来るカスピ海ヨーグルトの種菌やそれを用いた製品開発を行ってきた。そして、今回インフルエンザ感染後のウイルス増殖抑制作用を確認した。

 強い粘りと酸味がおだやかで食べやすい「カスピ海ヨーグルト」は広く日本で親しまれている。同社は昨年、カスピ海ヨーグルトを食べていると風邪が重症化しにくく、食べる頻度が高いほどその効果も大きいという疫学調査結果を報告している。

 また、マウスを用いた感染実験でも、クレモリスFC株の牛乳発酵物にインフルエンザウイルス感染後の重症化を抑制する作用があることを明らかにした。今回、同様のインフルエンザウイルスの感染実験において、肺のウイルス力価を測定したところ、クレモリスFC株の牛乳発酵物を投与したマウスでは有意に低い値を示すことが確認された。このことから、クレモリスFC株の牛乳発酵物の摂取によってインフルエンザの重症化が抑えられるメカニズムのひとつは、肺中ウイルスの増殖抑制作用であるものと考えられる。

 さらに、発酵させていない牛乳では、ウイルス感染後の生存率の改善効果は認められなかったことから、FC株の菌体自体や粘り成分(菌体外多糖 EPS=Exopolysaccharide)などの発酵生成物が作用していることが明らかになった。

 以上の研究成果は、日本食品科学工学会 第58回大会(会期:9月9日から11日、会場:東北大学 川内北キャンパス)で発表する。

A型インフルウイルスの抗体発見…新薬に期待も

読売新聞 2011年08月25日15時22分

 どんなタイプのA型インフルエンザウイルスにも反応して、働きを抑える抗体を、藤田保健衛生大学(愛知県豊明市)の黒澤良和学長ら研究グループが発見した。

 同大は「万能ワクチンの開発につながるもので、パンデミック(世界的大流行)が心配される新型ウイルスにも防御力を発揮する可能性がある」とみている。研究成果は、24日公開の米ウイルス学専門誌(電子版)に掲載された。

 A型ウイルスは、人の体内に感染すると頻繁に変異しやすいため、単一の抗体では発病を抑えられないと考えられてきた。ワクチンなどが効きにくいのもそのためだ。

 研究グループは、1944、60、74年生まれの男性小児科医3人の血中から、68年に流行した香港かぜのA型ウイルスに反応する様々な抗体を抽出。その働きを解析した結果、74年生まれの医師が持つ抗体の一つが、変異せずに共通して存在するウイルス部位に結合し、発病を抑え込んでいることが分かった。香港かぜ以外の別のタイプにも効果のあることも確認した。

 黒澤学長は「抗体が特定の部位を認識するメカニズムなどを解明できれば、新薬の開発につながる」としている。

輸入ワクチン行き場なく 新型インフル流行一段落

2010/03/13 中国新聞ニュ−ス

 国内での新型インフルエンザ流行が一段落する中、政府がスイスのノバルティス社と英国のグラクソ・スミスクライン(GSK)社から計1126億円で買い付けた輸入ワクチン9900万回分が行き場を失っている。

 昨年10月の売買契約締結の発表時には2回必要とされていた接種は、その後、大半の人は1回で効果ありとして回数が変更された。この時点で国産の5400万回分と合わせると全国民分を超える量が確保され、ワクチンが余ることが確実になった。厚生労働省は現在も、メーカーと余剰分の解約に向けた交渉を続けている。

 有効期間が製造から6カ月とされるノバルティス社製のうち、2月3日に出荷予定だった234万回分は、引き合いのないまま今月末に使用期限を迎える。これまでに出荷されたのは、山形など4都県から発注のあった136回分のみだ。

 GSK社のワクチンは有効期間が18カ月と長いが、販売単位が1箱50回分と大きいため「一度に使い切れない」と医療機関から敬遠され、今シーズン中の出荷のめどは立っていない。

 厚労省のまとめでは、1月末までに国産ワクチン接種を受けた人は約1800万人。国産の需要も急減しており、今月15日に予定されている最終回の出荷は流れる可能性があるという。

 厚労省の担当者は「危機管理は最悪の事態を想定するのが基本。今もそれは変わらない」。流行当初にワクチン確保に奔走した舛添要一前厚労相も先月の講演で「準備して使わないに越したことはない。足りないとパニックになる」と話した。

 一方、感染症の専門家は「新型の(それほど重くない)症状が明らかになってきた時点で、輸入の必要性を議論するべきだった」と振り返った。

新型インフルエンザ:ワクチン接種は2278万人

2010年03月13日 毎日新聞 東京朝刊

 新型インフルエンザワクチン接種が可能になった昨年10月から今月9日までに推定2278万6533人が受けたと、厚生労働省が12日、発表した。医療機関に納入された出荷量から分析した。

 接種後の死者は131人で、うち3人が医療機関から「接種との関連あり」と報告された。

新型インフル:帰国者対策重視で対応遅れ 厚労省まとめ

2010年02月26日 毎日新聞

 新型インフルエンザの発生初期段階で、全国の保健所職員が平均で1人当たり計33人の帰国者の健康監視と、計180件の発熱相談に対応していたとの調査結果を、厚生労働省の研究班がまとめた。渡航歴のある人への厳格な対策が人員不足を招き、結果として国内集団発生への対応が遅れたと総括している。

 昨年8月、全国510保健所に送ったアンケートの回答(回収率65%)から推計した。

 国は発生初期、発生国からの帰国者全員に最大10日の健康監視を続け、インフルエンザ症状が出た場合は保健所の発熱相談センターに電話するよう呼び掛けた。研究班によると、この結果、3000人の保健所職員が10万人の健康監視に当たり、5000人が10万件の発熱相談を受けた。93%の保健所は土日出勤で連日対応、6割以上が「医師や保健師の人数が不足していた」と回答した。【清水健二】

新型インフル:余るワクチン 欧米でWHO非難も

2010年02月24日 毎日新聞

 世界保健機関(WHO)は23日、新型インフルエンザの世界的大流行(パンデミック)が最悪期を過ぎたかどうかを検討するため、専門家による緊急委員会を開いた。多くの国・地域で感染ペースが鈍化する中、「最悪期を越えた(ポスト・ピーク)」と認定するか議論されている。結論は24日に公表される。一方、大量発注で余ったワクチンの始末に追われる欧米では、パンデミックとしたWHOの判断の妥当性をめぐり議論が浮上。今後の対策に微妙な影を投げかけている。

 「(昨年6月に出した)パンデミック宣言や各国に推奨した対策は、製薬会社の不当な影響を受けて行われたものではない」

 WHO事務局長特別顧問で新型インフルエンザ対策責任者のフクダ博士は先月26日、欧州会議(本部・仏ストラスブール、加盟47カ国)のヒアリングで真っ向から反論した。

 言わずもがなの釈明を迫られたのは、同会議保健委員長でドイツ人医師のボーダルク博士が「偽りの宣言を発した経緯を明らかにすべきだ」との動議を出したため。同博士は英仏メディアで「WHOのある人々は製薬会社とつながっており、(各国にワクチンを過剰注文させるため)恐怖心を拡大させた。こんな厳戒態勢を敷く理由はなかった」などと非難していた。

 焦点の一つはパンデミックの定義。WHOは数年前まで「多数の人々が感染または死亡する」事態としていたが、今回の宣言に当たり「人々が免疫を持っていないウイルスが大陸を超えて広がる」事態にハードルを下げた、という指摘だ。フクダ博士は「症状の重さは流行の過程で変わり得る。我々の仕事は予防で、被害を減らすことだ」と説いたが、欧州会議は一連の経緯を検証することを決めた。

 欧米でWHOが批判されるのは、金融経済危機に伴う財政難で予算の“無駄遣い”に世論が過敏になっている事情もある。推計では、欧州全体で薬とワクチンの準備に充てられた予算は総額120億ユーロ(約1兆4850億円)。WHOが当初2回接種を推奨したことから、人口を上回る量を確保した国も多く、製薬会社は収益を大きく伸ばした。

 ところが、実際に使用されたワクチンは想定を大幅に下回った。各国はワクチンの余剰を減らすため製薬会社と交渉。先月、ドイツが注文した5000万接種分の3割削減で合意。仏も約半分を削減した。両国は十数億〜数百億円を支払わずに済んだが、残りを使い切れるか不明だ。一方、AP通信によると、ポーランドはワクチンを一切輸入していないが死亡率は他の欧州諸国と大差なかった。

 だが、欧米のWHO批判は「富める国のエゴ」の側面も否定できない。WHOは余剰ワクチンを途上国などに振り分けることを推進しているが、先進諸国は「予算の無駄」批判を恐れて余剰分を解約・売却しようとするため、なかなか進まない。

 WHO担当者は警告する。「自国優先の論理と地球全体の要請の間には、ずれがある。はるかに毒性の強い鳥インフルエンザが大流行したら、世界がバランスよく迅速に対応できるだろうか」【ジュネーブ伊藤智永】

 ◇国内患者も減少傾向

 国内では既に「昨年11月末に新型インフルエンザ流行のピークを越えた」(厚生労働省)とみられている。また、日本の新型インフルエンザ対策は国内の流行状況を基準とするため、WHOのパンデミック宣言や「最悪期は過ぎた」という判断の影響は受けない。

 国立感染症研究所によると、インフルエンザの定点医療機関(全国約5000カ所)調査では2月14日までの週で、3週連続で患者数は減少し、全都道府県で注意報レベルを下回った。全国で医療機関を受診した推計患者数は計約2043万人。入院報告数は計1万7360人で、死者数は193人だ。

 ワクチン接種も下火になっている。国産ワクチンが約5400万回分生産されたほか、国は輸入ワクチン9900万回分の購入契約を結んだ。だが、国産ワクチンは1月末時点で全体の約14%に当たる約737万回分が余り、輸入ワクチンの初回出荷(2月8日)は4都県でわずか136回分にとどまっている。

 政府は昨年9月、ワクチン調達が困難な途上国を支援するため、約11億円の緊急無償資金協力を行うと発表した。しかし、需要が伸びないため今後大量に余るとみられるワクチンについては、途上国への売却や贈与はせず、一部を解約できるよう海外メーカーと交渉を続けている。

 厚労省は「輸入ワクチンの有効期限は1年間で、年内に再び流行する可能性もある。国民のワクチン接種への意識は低くなったが、何かのきっかけで接種への意識が高まることも考えられ、備蓄は必要だ」(結核感染症課)と説明している。【関東晋慈】

インフル:受診者数、注意報レベルを下回る 全都道府県で

2010年02月19日 毎日新聞

 厚生労働省は19日、インフルエンザの定点医療機関(全国約5000カ所)調査で、8〜14日の受診者数が1施設当たり2.81(前週4.26)だったと発表した。3週連続の減少で、注意報レベルとされる「1施設当たり10」を昨夏の流行開始以来初めて全都道府県で下回った。

 患者は、佐賀を除く46都道府県で前週より減少し、保健所管内別でも注意報レベルを超えているのは7カ所だけ。ただし1週間に新たに受診した患者は推計で15万人いることから、厚労省は「流行が終わったわけではない」と話している。大半が新型インフルエンザ患者で、例年この時期に流行している季節性のウイルスはほとんど検出されていない。

新型インフルエンザ:北九州市、患者数が減少傾向 成人に広がる恐れも /福岡

2010年02月07日 毎日新聞〔北九州版〕

 北九州市内の医療機関を受診した新型インフルエンザの患者数が昨年11月以降、減少傾向にある。児童の間で急速に感染拡大した後、ピークを越えたとみられる。ただ、今後は成人の間で感染が広がる可能性を指摘する声もある。市は「1月から県内で一般向けのワクチン接種が始まった。一時期より市民の関心が薄らいでいる。重症化を防ぐためにも接種してほしい」と呼びかけている。

 市保健衛生課によると、市内の定点医療機関での平均患者数は昨年11月23〜29日の102・54人をピークに減少し、今年1月18〜24日は3・69人だった。また、市の発熱電話相談への問い合わせも昨年11月の4584件から12月は1828件、1月は755件(同月27日現在)に激減している。

 しかし、定点の全国平均でみると、1月11〜17日の8・13人が、同18〜24日には9・03人と増加に転じた。また、国内の入院患者1万6570人(1月27日現在)の約84%は19歳以下だが、厚生労働省が昨年11月に発表した発生動向によると、オーストラリアでは入院患者の65%が20歳以上となり、他の年齢層にも感染が拡大しているという。

 市は「まだ事態が収束したとは考えていない。季節性とは異なり、新型インフルエンザは流行予測ができないので油断は禁物だ」と話している。【松田栄二郎】

新型インフルエンザ:治療薬タミフル耐性ウイルス、県北の70代男性から検出 /福島

2010年02月07日 毎日新聞 地方版

 県は5日夜、新型インフルエンザに感染した県北地方の70代男性から、県内で初めて、治療薬「タミフル」に耐性を持つウイルスを検出したと発表した。

 県医療看護課によると、男性は昨年11月22日に発熱し、同24日にせきの症状が出るなど呼吸状態が悪化して肺炎で入院。簡易検査でインフルエンザA型陽性を示したため、タミフルを処方された。その後、遺伝子検査で新型感染が確認されたが回復し、12月12日に退院した。

 1月28日に県衛生研究所でウイルスの遺伝子解析を行ったところ、遺伝子変異が見つかった。今月5日に国立感染症研究所で検査した結果、タミフルへの耐性を持つことが分かった。別の治療薬「リレンザ」の耐性はなかった。タミフル耐性のウイルスは、全国では4日までに46例確認されている。【関雄輔】

歯磨きでインフル減少? 洗面台増設の小学校で

2010年01月02月06日 中国新聞ニュ−ス

 東京都杉並区が児童に歯磨きの習慣を付けるため、昨年夏に区立小2校で洗面台を増設したところ、この2校の2学期中の新型インフルエンザによる学級閉鎖率が平均45%と、ほかの区立小41校の平均79・6%に比べ大幅に小さかったことが6日、分かった。

 歯磨きで口の中を清潔に保つとインフルエンザの予防になるとする指摘があるが、区は当初は念頭に置いておらず、思いがけず効果が“実証”された格好。これを受けて区は2010年度にさらに区立小5校で洗面台を増設する。

 杉並区教育委員会によると、同区の歯科医師会から「小学校で歯磨きができる環境を整備してほしい」との要望があり、夏休み期間中にモデル校として2校で計49個の蛇口が付いた洗面台を増設。2学期開始の9月から洗面台に近い教室の児童らに給食後、歯磨きをさせていたという。

 区教委は「科学的な因果関係は証明できないが、歯磨きをすれば、うがいや手洗いも並行してやることになる。児童の予防意識の向上にもつながったのではないか」と分析している。

新型インフル死者1万5千人突破 WHO発表

2010年01月02月06日 中国新聞ニュ−ス

 【ジュネーブ共同】世界保健機関(WHO)が5日発表した新型インフルエンザの感染状況によると、世界で確認された1月31日時点の死者数は少なくとも1万5174人と1万5千人の大台を突破した。1週間前に比べて463人の増加。

 WHOは北半球でのウイルスの活動は、日本を含め多くの地域で弱まりつつあるとしている。

 死者数の内訳は米州地域が少なくとも7261人、欧州が同3605人、日本が属する西太平洋地域が1653人などの順。ただ、検査で確認されていないケースも多く、確認数は実際の死者数を大幅に下回っているとみられている。

健康被害救済に15人申請 新型インフルワクチン

2010年01月02月05日 中国新聞ニュ−ス

 厚生労働省は5日、新型インフルエンザワクチンの副作用で健康被害が生じた場合に国が補償する救済制度に対し、1月末までに15人が申請したことを明らかにした。医師らで構成する審査会が接種と被害の因果関係を認めれば、医療費や障害年金、遺族一時金などが支給される。

 健康な成人へのワクチン接種は、最後に残っていた島根県が5日に開始し、全都道府県での実施となった。

 また同省は、新型インフルエンザの流行状況について、すべての年代で患者数が減少か横ばいの状態にあることを明らかにした。1月31日までの1週間に新たに医療機関を受診した患者数は推計約35万人。このうち前週に増加した5〜9歳は10万人から8万人に、10〜14歳も7万人から6万人に減ったという。

子どもの手荒れ増加 新型インフル予防の手洗いで '10/2/5

 ▽乾燥が原因、保湿を呼び掛け

 新型インフルエンザの予防のために手を頻繁に洗い、かゆみを伴う手荒れを訴える患者が、広島市で子どもを中心に増えている。皮膚科の医師たちは、洗浄液で皮脂を洗い流しすぎるために乾燥するのが原因とみている。

 岡野皮ふ科クリニック(安佐北区)では、新型インフルエンザによる学級閉鎖が広島県内で増え始めた昨年9月ごろから、月10人程度が訪れる。幼児と小学生が大半を占めるが、水仕事の多い女性も目立つ。手のかゆみを訴え、かきむしって傷ができるケースもある。

 岡野伸二院長は「学校の指導もあり、頻繁に手を洗う子どもに症状が現れている」と指摘。「速乾性の高いアルコール消毒液の多用も肌を乾燥させる」と注意を促す。

 木下皮膚科医院(南区)でも昨年11月ごろから、手荒れの相談が増えた。木下三枝子院長は「皮膚の弱い子どもに症状が出やすい。洗浄剤の流し残しでも手が荒れるので、十分にすすいで、水分をふき取ってほしい」と助言している。

 症状が軽い場合や予防には、保湿クリームなどの塗布を勧める。改善しにくければ、ステロイド剤を使う場合もある。

 適度な手洗いとうがいは感染症予防に欠かせない。市衛生研究所(西区)の磯野裕之専門員は「インフルエンザは下火だが、1月ごろから感染性胃腸炎が増えている。手洗いと手のケアを両立させてほしい」と呼び掛けている。(衣川圭)

新型インフル、再び減少 患者累計は2千万人突破

2010年01月02月05日 中国新聞ニュ−ス

 国立感染症研究所は5日、1月31日までの1週間に全国約5千の定点医療機関から報告されたインフルエンザ患者は3万1049人、1機関当たり6・46人で、微増となった前週(4万3436人、9・03人)から再び減少に転じたと発表した。大半の患者は新型インフルエンザとみられる。

 この1週間に新たに医療機関を受診したインフルエンザ患者は推計約35万人(前週約48万人)。昨年7月上旬以降の累計は約2006万人となった。

 都道府県別で報告数が最も多いのは沖縄で、1機関当たり18・88人。次いで山梨(14・05人)、福井(13・41人)、静岡(12・15人)、埼玉(9・97人)、愛知(9・58人)、福島(9・35人)、栃木(8・45人)、三重(8・33人)、鹿児島(8・28人)の順。45都道府県で前週より減少し、1機関当たり10人を超えた自治体も前週の19県から4県に減った。

タミフル売り上げ9倍増、中外製薬が最高益

2010年02月03日 読売新聞

 中外製薬が3日発表した2009年12月期連結決算は、売上高が前期比31・2%増の4289億円、税引き後利益が44・2%増の566億円とそれぞれ過去最高を更新した。

 新型インフルエンザの治療薬タミフルの売り上げが前期の9倍の762億円に急増したためだ。

 これに伴い、1株当たりの年間配当も、当初予想の34円から40円(前期は34円)に増配する。

インフル治療薬の国内製造、第一三共が承認申請

2010年02月01日 読売新聞

 第一三共は1日、インフルエンザ治療薬「CS―8958」の国内での製造販売承認を、1月29日に厚生労働省に申請したと発表した。

 既存のタミフルは1日2回、5日間の投与が必要だが、今回の新薬は口から吸入するタイプで1回の使用で、タミフルを5日間使用したのと同じ治療効果があるという。2010年度中に販売できる見通しだ。

 これまでインフルエンザ治療薬はタミフルとリレンザの2種類のみで輸入に頼っていたが、国内で生産を手がけるのは1月に販売を開始した塩野義製薬に続き2社目となる。

 富山化学工業も10年中に厚労省に新薬を承認申請する方針で、国内での供給体制が整ってきた。

新型インフルで重症肺炎400人…小児科学会

2010年01月31日 読売新聞

 新型インフルエンザに感染した子どものうち、重い肺炎を併発したのは全国で400人に、インフルエンザ脳症は104人に上ったことが31日、日本小児科学会のまとめで分かった。

 流行は収束傾向にあるが、同学会は「第2波が起きるかもしれず、引き続き警戒が必要」と、ワクチン接種などの対策を勧めている。

 同学会は、全国の小児科医から寄せられた新型インフルエンザの症例を集計しており、1月29日現在の結果を公表した。それによると、1週間以上入院し、酸素の投与を必要とした重症肺炎400人のうち5人が死亡。インフルエンザ脳症も104人中8人が亡くなった。

 肺炎の多くは、感染初期に重症化しやすいウイルス性肺炎とみられている。年齢別にみると、最も多いのが6歳(63人)で、次に5歳(50人)、7歳と8歳(いずれも45人)が続いた。同学会は、重症を含めた肺炎による入院例は最大1万人に上ると推計している。

 小児科領域では昨秋以降、発症した子どもが自宅や外来診療を受けた時点で亡くなるなどの急死例も目立ったという。

新型インフル:ワクチン接種後に死亡…「因果関係あり」初

2010年1月29日 毎日新聞

 厚生労働省は29日、新型インフルエンザのワクチン接種を受けた新潟県内の80代女性が急死し、主治医から「接種との因果関係あり」との報告があったと発表した。ワクチン接種後の死亡は27日までに117件確認されているが、他はすべて「因果関係なし」か「評価不能」で、「関係あり」の報告は初めて。厚労省は専門家に検証を依頼している。

 厚労省によると、女性は26日ワクチン接種を受け、副作用が出ないことを確認して30分後に医療機関を出発。約10分後、路上で倒れているのが見つかり、搬送先の病院で死亡が確認された。死因は不明。女性には高血圧や心臓の弁の働きが弱い持病があった。

 主治医は報告の中で、注射で血圧低下などの過敏反応を起こす「アナフィラキシー・ショック」と、突然の不整脈や肺塞栓(そくせん)などの可能性が同程度考えられると説明している。厚労省は「接種から数時間で急死したケースはこれまでもあり、因果関係は即断できない」としている。【清水健二】

新型インフル接種は原則自己負担…接種法改正案

2010年1月27日 読売新聞

 厚生労働省の予防接種部会(部会長=加藤達夫・国立成育医療センター総長)が27日開かれ、通常国会に提案する予定の予防接種法改正案の原案が示された。

 流行中の新型インフルエンザと同様の事態が起きた場合について、厚労省は当初、接種費用の公費負担を検討していたが、そこまで緊急性が高くないと判断、「実費徴収が適当」としている。

 今回の新型インフルエンザは、季節性インフルエンザ並みの弱毒性タイプだったため、国民に接種の努力義務を課す「臨時接種」とすることは見送られた。接種費用も低所得者以外は全額自己負担(1回3600円)となった。

 原案では、弱毒性の新型インフルエンザも新分類の「臨時接種」に位置づけるものの、接種の努力義務は課さず、接種費用も原則自己負担とする。

塩野義製薬:初の国産インフル治療薬を発売 点滴型

2010年1月26日 毎日新聞

 塩野義製薬は26日、点滴のインフルエンザ治療薬「ラピアクタ」を27日に発売すると発表した。国内開発のインフルエンザ治療薬は初めてで、3月末までに約70万人分を供給する。飲み薬のタミフル、吸入薬のリレンザに次ぐ第3の治療薬で、新型を含むA、B型インフルエンザが対象。5日間投与するタミフル、リレンザと異なり、通常は点滴で1回(約15分間)の投与で済む。人工呼吸器を装着する重症患者にも使いやすく、治療薬選択の幅が広がる。

 世界初の販売となるため、塩野義はすべての患者に副作用調査を行う。小児用も年度内に厚生労働省に製造販売承認の追加申請する準備を進めている。

 塩野義が米国のバイオベンチャーのバイオクリスト社から日本での開発・販売権を取得し、07年から開発を進めてきた。09年10月に厚生労働省に製造販売の承認申請をし、今月13日に承認を取得した。申請から承認まで通常は1年程度かかるが、新型インフルエンザの流行を受けて同省が優先審査品目に指定し、短期間で承認した。

 国内では第一三共、富山化学工業もインフルエンザ治療薬の開発を進めている。【久木田照子】

 ◇タミフルより効果が顕著…メーカー臨床試験

 90年代に登場したタミフルは近年、耐性ウイルスの出現が問題となっている。今回の新薬はタミフルと同じく、ウイルス表面にある酵素の働きを邪魔することで、感染が広がらないようにする。長崎大病院の河野茂病院長(呼吸器感染症)は「タミフルの作用する酵素が1カ所なのに対し、新薬は3カ所で作用するため、より効果がある」と話す。

 新薬について塩野義が行った臨床試験では、発熱患者への24時間の効果はタミフルよりも顕著だったという。また、飲まずに点滴で静脈に直接投与するため、河野院長は「消化器系の副作用も少ない」と説明する。【高野聡】

新型インフルの輸入ワクチン 大量在庫へ

2010年01月23日 読売新聞 Yomiuri On-Line

初回配布希望200回分のみ

 2月から出荷が始まる新型インフルエンザの輸入ワクチンについて、第1回出荷分(474万回分)の配分を希望した都道府県は山梨県だけで、配分希望も200回分だけだったことが22日、厚生労働省の調査で分かった。

 当面はほとんどの輸入ワクチンが国の在庫となる見通し。厚労省は「どの程度余るかも含め、対応を検討する」としている。

 輸入ワクチンは、国が欧州の2社から計約1126億円で計約9900万回分を購入する契約を結んでおり、2月3日にノバルティス社(スイス)製の234万回分、同5日にグラクソ・スミスクライン社(英国)製の240万回分がそれぞれ各自治体へ初出荷される予定だった。山梨県では4医療機関がグラクソ社製200回分を希望。同県は「具体的に接種希望者がいるのかは分からない。医療機関が念のために発注したのではないか」としている。

 国産ワクチンも今月29日に9回目の出荷が行われるが、649万回分の出荷予定に対し、配分希望は全国で計520万回分。2月以降も約1466万回分の出荷が予定されている。

 一方、国内の患者数は7週連続で減少。最新の1週間(11〜17日)の新規患者数は1医療機関当たり8・13人で、40都道府県で前週を下回った。

新型インフル輸入ワクチン、条件付きで承認了承 厚労省部会

2009年12月26日 NIKKEI NeT
 

 厚生労働省は26日、薬事・食品衛生審議会の部会を開き、輸入を予定している海外2社の新型インフルエンザワクチンについて、十分な安全性確保策などの条件付きで承認することを了承した。28日から来年1月11日までパブリックコメント(国民への意見聴取)を実施した上で、来年1月にも上部組織である薬事分科会で再度議論し承認の可否を最終判断する。

 同日の部会では、塩野義製薬が承認を申請していたインフルエンザ治療用の点滴薬「ペラミビル(商品名ラピアクタ)」についても承認することを了承。早ければ来年1月にも正式に承認される見込みだ。

 政府が輸入を予定している外国製ワクチンは英グラクソ・スミスクライン(GSK)製が7400万回分、スイスのノバルティス製が2500万回分。それぞれ国内で小規模な臨床試験を実施しており、中間的な試験データや動物実験データなどをもとに議論した結果、「承認して差し支えない」との結論に達した。

タミフル:予防投与 12歳以下にも承認

2009年12月18日 毎日新聞
 

インフルエンザ治療薬のタミフル=兵藤公治撮影

 インフルエンザ治療薬タミフルを輸入販売する中外製薬(東京都中央区)は18日、発症していない1〜12歳への予防投与について、厚生労働省の承認を得たと発表した。

 タミフルの予防投与は、厚労省が新型インフルエンザに関する運用指針で「特段の理由がない限り推奨しないが、基礎疾患があり、感染が強く疑われる場合は、医師の判断で可能」と定めている。【清水健二】

北朝鮮で新型インフルエンザ発生か

2009年12月08日 日テレNews24
 

 北朝鮮で新型インフルエンザが発生し、死者が出ているもよう。韓国・李明博大統領は、事実関係を確認した上で緊急支援を検討するよう指示した。

 北朝鮮はこれまで、「国内で新型インフルエンザは発生していない」と主張している。しかし、韓国の北朝鮮支援団体によると、北部・新義州などで新型インフルエンザが発生し、先月一か月の間に感染したと疑われる患者40人以上が死亡した。

 これについて、李大統領は8日朝の閣議で「北朝鮮の医療条件が悪く、急速に広がる恐れもある。事実関係を確認した上で、人道的な見地から治療薬などの緊急支援を検討するように」と指示した。

新型インフル:タミフル耐性のウイルス確認 国内19例目

2009年12月07日 毎日新聞/毎日jp
 

 大阪府は7日、同府豊中市の会社員男性(37)が治療薬タミフルに耐性のある新型インフルエンザに感染していたと発表した。国内19例目。治療薬リレンザは効果が確認された。府によると、男性は8月下旬に発症。軽症のまま数日で回復し、周囲への感染も確認されていないという。

 11月27日に府立公衆衛生研究所が男性から検出したウイルスにタミフル耐性遺伝子があるのを確認。国立感染症研究所が耐性の有無を検査していた。【稲垣淳】

新型インフル:患者からタミフル耐性ウイルス 新潟の病院

2009年11月27日 毎日新聞/毎日jp
 

 新潟県は27日、県内の病院の同じ病室に入院中で、新型インフルエンザに感染した患者2人から、インフルエンザ治療薬「タミフル」に耐性のあるウイルスが検出されたと発表した。人から人へ感染した疑いがあり、同室にいた複数の患者から同ウイルスが検出されたのは全国初という。

 県健康対策課によると、この患者2人は、いずれも基礎疾患のため長期入院していた就学前の女児と小学生の男児。女児は10月9日に39度の発熱があり、同10日からタミフルを投与。男児も同日、感染予防のためタミフルを投与し、同13日に39度の発熱があった。2人は同15日に新型インフルエンザと診断され、現在は完治しているという。

 県保健環境科学研究所による遺伝子検査で26日に判明し、今後、国立感染症研究所に薬剤感受性試験を依頼して、最終確認する。【川畑さおり】

新型インフル:ワクチン接種後死亡10人に 新たに2件

2009年11月19日 毎日新聞/毎日jp
 

 厚生労働省は19日、新型インフルエンザのワクチン接種後の死亡報告が、新たに2件あったと発表した。死亡例はこれで計10人。2人とも基礎疾患があった入院中の高齢者で、主治医は接種と死亡の因果関係が強く疑われるケースではないと判断しているという。

 死亡したのは、慢性腎不全、心不全などを患っていた熊本県の80代男性と、慢性閉塞(へいそく)性肺疾患などがあった大分県の70代女性。接種直後に副作用症状が出ていないことなどから、主治医は、ともに持病の悪化による死亡の可能性が高いとしている。

電話診察でタミフル処方OK 厚労省、現場に周知徹底へ

2009年09月20日 中国新聞ニュ−ス

 新型インフルエンザ感染者の急増による医療機関の混乱を防ごうと、厚生労働省は「再診に限り、電話による診察のみで抗ウイルス薬の処方を認める」との新対策を、先月まで2度にわたって都道府県に伝えた。しかし、現場に行き届いていないことが20日までの同省の調査で判明、あらためて周知徹底を図る。

 対象となる患者は、慢性疾患があり定期的にかかりつけ医の診断を受けている人と、過去に発熱などの症状があり、同じ医師の診察を受けたことがある人。いずれも医師が薬の投与に問題がないと判断することが条件。

 処方せんは患者が希望する薬局に医師からファクスなどで送られる。患者には外出自粛を求め、家族らがタミフルなどの薬を受け取る。患者本人は医療機関に足を運ぶ必要がなくなる。

 医師法20条は、医師が薬剤を処方する際、原則として患者に直接会って診察しなければならないと定めているが、厚労省は「過去に直接診察を受けた患者に限っての措置なので、この規定には該当しない」と判断。5月と8月にそれぞれ、この方式を認める通知を都道府県に出した。

新型インフルエンザ:簡易・陰性でもタミフル投与を 厚労省が連絡

2009年09月19日 毎日新聞 東京朝刊

 新型インフルエンザに感染した横浜市の小6男児(12)が死亡したのを受け、厚生労働省は18日、簡易検査で陰性でも、インフルエンザのような症状がある場合はタミフルやリレンザの投与などの治療ができるとする事務連絡を、都道府県を通じて医療機関に出した。男児は、2度の簡易検査でいずれも陰性の結果が出ており、治療薬は使われなかった。簡易検査は発症初期段階では陽性と判定されないことも多い。【清水健二】

新型インフル対策急げ

2009年09月19日 読売新聞 YOMIURI On-LINE

入院先確保に必死 休校判断 悩む現場 院内感染を懸念

 新型インフルエンザの死者が全国各地で報告され、県内でも小中高校で休校や学級閉鎖が相次ぐ。定点調査している県内40医療機関で7〜13日までに127人の感染が確認され、前週より倍増。厚生労働省の試算によると県内では10月中旬から下旬に流行のピークになり、1日あたりの感染者は5320人、入院患者は320人に上る。人の移動の多い連休後に感染が一気に拡大する懸念もある。備えは十分か。関係機関の取り組みを検証した。(越村格、前田遼太郎、山田佳代)

 県は新型インフルエンザの重症患者が入院するベッドの確保に必死だ。

 中でも苦慮しているのが感染すると重症化するリスクが高い妊婦や、腎臓病で人工透析を受けている患者だ。妊婦が入院できる病院は県内の感染症指定医療機関と入院協力医療機関の計24病院のうち5病院。透析患者も透析の設備がある病院は限られているため、妊婦と透析患者を受け入れる病院のベッドは満杯だという。重症患者を受け入れるには、現在入院している一般の患者を別の医療機関に移さなければならない。

 「新型インフルエンザの重症患者と、一般の重症患者のどちらを優先するか。厳しい選択を迫られる可能性がある」とある県職員は漏らす。感染者が大量に重症化した場合、妊婦や透析患者は行き場を失うことになりかねない。

 厚生労働省の試算によると、県内では、感染のピークとなる10月、入院が必要な重症患者には1日320床が必要になる。しかし、8月21日の調査時点で確保できた病床は1日150床。

 新型インフルエンザが流行し始めた今年5月時点では、360床を確保できた。だが、県健康増進課の担当者は、「新型が弱毒性と判明したいま、どれだけ病院の協力を得られるか。空きベッドは採算が悪く、病院の協力を得にくい。協力をお願いし続けるしかない」と頭を抱えている。

 新型インフルエンザとみられる集団感染に見舞われた笛吹市立御坂中(生徒数400人)は17日から2日間、休校措置をとった。19日からの連休中も養護教諭が毎日学校に詰め、家庭との連絡などに追われる。

 新型に感染した生徒1人が欠席したのは今月9日。直後に教職員が総出で教室の机からドアの取っ手、電灯のスイッチまで消毒。生徒にマスクを配布し、アルコール消毒を義務づけた。だが、11、12日に行った学園祭の代休明けの16日、欠席やインフルエンザの症状を訴えた生徒は全学年で計84人に上った。「感染は驚くほど早く強かった」と早川公仁校長は振り返る。

 休校などの決定は、教育委員会の裁量となるが、現場責任者の校長との連携が不可欠だ。笛吹市教委は、各校長間で休校措置は「新型インフルエンザの欠席者が全校生徒の1割」を大まかな目安とする申し合わせをしている。一方、県教委は「2人以上の欠席者で学級閉鎖を検討。学級閉鎖が複数みられたら休校を検討」とする指針を定めており、基準にはばらつきがある。

 早川校長は「またいつ発症するか分からない。集団感染を最小限にとどめるため、どの段階で休校に踏み切ればいいのか。手探りの状態だ」と不安を募らせる。

 甲府市朝日の井上内科小児科医院には、2週間ほど前から患者が急増した。新型インフルエンザの罹患(りかん)者は連日1〜3人確認されている。

 感染者は1歳4か月から60歳代までと幅広く、児童生徒が目立つ。持病の有無は関係なく、濃厚接触者として診察した人の中には発熱がないのに陽性反応が出たケースもあった。井上利男院長は「40年以上診察しているが、この感染力の強さには未知の怖さを感じる。いつ、どこでかかってもおかしくなく、連休明けの急増も心配だ」と話す。

 発熱外来は8月中旬に終了し、原則すべての医療機関で診療が可能になった。だが、厚労省の方針で他の患者に感染しないよう間仕切りを設けたり、時間を分けたりして診察することが求められている。

 同医院でも診察室から離れた所に専用の部屋を設け、簡易検査や診療を行っている。しかし、井上院長は「一番恐ろしいのは院内感染だ。建物の構造で別室を作れない診療所もある。時間で区切っても、突然訪れた患者を受け入れず帰ってもらうことなど実際は難しいのではないか」と指摘している。

妊婦にワクチン90%の効果 インフル免疫、新型も期待

2009年09月18日 中国新聞ニュ−ス

 米国で行われた新型インフルエンザワクチンの治験(ロイター=共同)

 妊娠中に季節性インフルエンザワクチンを接種した女性には、感染や重症化予防に必要な抗体が90%の確率で生成され、胎児にも十分な免疫力が備わることが19日、国立成育医療センター(東京)の研究で分かった。

 一般の人に比べ、安全面に慎重な配慮が必要で研究対象になりにくい妊婦や胎児について、インフルエンザワクチンの有効性を免疫学的に立証した報告は海外にも例がないといい、研究を主導した同センター母性内科の山口晃史医師は「副作用も認められなかった。新型インフルエンザ用ワクチンも製造法は基本的に同じなので、同様の効果が期待できる」としている。

 研究は一昨年から昨年にかけ、同センターに来院した妊娠15〜39週の女性125人(25〜41歳)を対象に実施。病原性を除去したA型2種、B型1種のウイルス株を含む不活化ワクチンを使い、接種前と接種1カ月後の血中の抗体価(免疫力を示す指標)を調べた。

 その結果、45人は接種以前に3種すべてのウイルスに免疫があり反応は鈍かったが、残り80人の90%に当たる72人は、ワクチンに明確に反応。免疫のないウイルスに対する抗体が急増し、十分な免疫力の目安とされる「抗体価40倍」を超えた。8人は反応したものの程度が不十分だった。

 研究論文は近く米ウイルス学専門誌「ジャーナル・オブ・メディカル・バイロロジー」に掲載される。

85カ国が調達できず 新型インフルワクチン

2009年09月18日 中国新聞ニュ−ス

 【ジュネーブ共同】世界保健機関(WHO)のハートル報道官は18日、発展途上国を中心とする世界の85カ国が新型インフルエンザのワクチンを調達できない状態にあることを明らかにした。最近実施した全加盟国に対する調査で明らかになったもので、中には自国にワクチン生産能力がなく、外国メーカーに発注できていない先進国も複数含まれるという。

 WHOは今後、これらの国々に対してWHOのストックから一定の条件でワクチンを配分する方針。

 オバマ米大統領は17日、米国が調達するワクチンの10%をWHOを通じて途上国に贈与する計画を表明。この計画には英国、オーストラリア、ブラジル、フランス、スイス、イタリアなど8カ国も参加しており、チャン事務局長はこうした動きを歓迎する声明を出した。

 報道官によると、世界の新型ワクチンの製造能力は当初見込んでいた水準を「相当下回っている」のが実態。当面は極端な供給不足が避けられない見通しで、WHOは医療従事者や、妊婦など感染した場合に重症化しやすい「高リスク層」への接種を優先するよう呼び掛けている。

ワクチン優先接種の持病は9種類 新型インフルで厚労省

2009年09月18日 中国新聞ニュ−ス

 厚生労働省は18日、新型インフルエンザ用ワクチンを優先接種する基礎疾患(持病)を、慢性呼吸器疾患など9種類とすることを明らかにした。同日開かれた政府の対策本部諮問委員会メンバーらとの意見交換会で示した。

 対象となるのは「慢性呼吸器疾患」「慢性心疾患」「慢性腎疾患」「肝硬変」「神経疾患・神経筋疾患」「血液疾患」「糖尿病」「疾患や治療に伴う免疫抑制状態」「小児の疾患」。

 それぞれについて「ぜんそく患者、肺気腫などで継続して治療を受けている者」(慢性呼吸器疾患)、「透析患者、透析導入間近の慢性腎不全患者、腎移植患者など」(慢性腎疾患)、「先天性心疾患、脳性まひなど」(小児の疾患)―と、特に優先すべき患者を具体的に示した。

 同省はまた、主に妊婦や小児への使用を想定し、より安全面での不安が少ない、防腐剤を含まない国産ワクチンを製造する方針を明らかにした。製造段階でワクチンが注射器に詰められているタイプで、1回で使い切るため防腐剤を加える必要がない。年内に70万〜100万本を用意する。供給開始は11月中旬以降の見込みだが、可能な限り早めたいとしている。

インフルエンザ:集団感染1.4倍 入院8割が未成年

2009年09月17日 毎日新聞 東京朝刊

 厚生労働省は16日、インフルエンザによる集団感染の報告が7〜13日の1週間で3284件に上り、前週(8月31日〜9月6日、2308件)の1・4倍に増えたと発表した。大半が新型インフルエンザ感染とみられ、厚労省は「同じ期間に休校や学級閉鎖が増えており、主に学校で感染が広がっている」とみている。最多は東京の615件で、前週の364件から1・7倍に増加した。

 9〜15日に新型インフルエンザで入院した患者は102人(前週156人)で、8割以上が未成年。全体の3分の2の69人には、ぜんそくなど重症化しやすいとされる基礎疾患はなかった。集中治療室には15日時点で4人が入院している。【清水健二】

新型インフルエンザ:ウイルス完全除去、ダイキンが初成功

2009年09月16日 毎日新聞 東京朝刊

 ダイキン工業は15日、ベトナム国立衛生疫学研究所との共同研究で、「ストリーマ放電」と呼ばれる同社の空気清浄技術が、新型インフルエンザウイルス(H1N1)を100%分解、除去することを実証したと発表した。100%分解の実証は世界初という。新型インフルエンザをめぐっては、三洋電機も8月、空気清浄機などに用いる同社の電解水の技術が同ウイルスを99%以上減少させることを実証したと発表している。

 ストリーマ放電技術は04年に開発し、同社の空気清浄機やエアコンなどに搭載済み。新型インフルエンザウイルスを100%分解する技術は、従来よりも放電量が1・5倍で、9月11日に発売した加湿空気清浄機など3機種に搭載している。【横山三加子】

新型インフルエンザ:中外製薬がタミフルを昨季の3倍供給へ−−1200万人分

2009年09月08日 毎日新聞 東京朝刊

 中外製薬は7日、新型インフルエンザの大流行に備え、年度内の治療薬「タミフル」の医療機関向け供給量を昨シーズンの約3倍の1200万人分に引き上げると発表した。過去に最も出荷が多かった03年シーズンとほぼ同量という。厚生労働省によると、タミフルは今のところ医療機関にある在庫で必要な量をまかなえている。医療機関の流通分が不足した場合、国と都道府県で備蓄している4095万人分(8月末現在)を順次放出する。【清水健二】

休校、学級閉鎖278施設 3・6倍に急増、インフル

2009/09/01 中国新聞ニュ−ス

 一部の地域で学校の新学期が始まった8月23日から29日までの1週間に、インフルエンザを原因とする休校や学級閉鎖、学年閉鎖などの措置を取った小中学校や高校、保育所、幼稚園が全国32都道府県の278施設に上ったことが1日、厚生労働省の調査で分かった。ほとんどが新型インフルエンザとみられる。

 全国8県で77施設だった1週間前に比べ3・6倍に急増した。1日からは全国の多くの施設が夏休み明けを迎えており、厚労省は今後、感染が爆発的に広がる可能性もあるとみて一層の警戒を呼び掛けている。

 厚労省によると、29日までの1週間に休校したのは21道県の109施設。沖縄が50施設でもっとも多く、ほかには北海道(13施設)、山形(6施設)などで目立った。

 一方、学年閉鎖は17都道府県の53施設。北海道が10施設、東京7施設、岩手、長野、大阪でいずれも5施設となっている。学級閉鎖は25都道府県の116施設で、最多は北海道の24施設だった。

 北海道で休校や学級閉鎖などの措置が多かったことについて、厚労省は「他の地域に比べ、学校再開が早かったことが影響した」としている。

 厚労省は、インフルエンザの流行状況を把握するため、年間を通じて週ごとに、全国の保健所から休校の有無など各施設の対応について報告を受けている。

新型インフル死者7人に…兵庫30代と鹿児島60代

2009年08月30日 読売新聞YOMIURI On-LINE

 厚生労働省などは29日、新型インフルエンザに感染した兵庫県と鹿児島県の女性計2人が同日未明に死亡したと発表した。新型インフルエンザに感染した死亡者は疑い例も含め、国内で7人となった。

 兵庫県姫路市によると、死亡したのは同県たつの市の女性(38)。てんかんの既往歴があったといい、死因を調べている。女性は今月27日から39度台の発熱などの症状が出た。治療薬タミフルを処方され、自宅で静養していたが、29日未明に容体が急変。搬送先の姫路市内の病院で死亡が確認され、その後の検査で、新型インフルエンザの感染が分かったという。

 一方、鹿児島県によると、急性呼吸器不全で死亡した同県枕崎市の60歳代の女性は、数年前に消化器がんの摘出手術を受けたが、今年に入って肺への転移が見つかっていた。27日に発熱などの症状を訴え、28日に呼吸困難の症状が出たため、同市内の病院に入院。その後、感染が確認された。

6000万〜7000万人分ワクチン確保へ…厚労相

 新型インフルエンザのワクチンについて、舛添厚生労働相は29日、遊説先の愛知県豊橋市で、「6000万人から7000万人分のワクチンは確保できると思う。安心してほしい」と述べ、海外からワクチンを輸入することで、国民のほぼ半数に接種できる見通しであることを明らかにした。

 厚生労働省は、国内で必要なワクチンの量を5300万人分と試算。国内のワクチンメーカーは、年内に1300万〜1700万人分しか生産する能力がないため、不足分を輸入でまかなう方針を示していた。

【新型インフル】国内で死者2人 滋賀ではタミフル耐性確認

2009.08.29 MSN産経新聞

 新型インフルエンザが全国的に拡大する中、鹿児島県と兵庫県で29日、感染患者2人が死亡した。新型感染の疑い例を含めた死者は、国内で7人目となった。また滋賀県は同日、県内の新型インフルエンザの感染が確認された男児(5)から、抗ウイルス薬「タミフル」が効かない耐性ウイルスが見つかったと発表した。国内での確認は5例目だが、耐性ウイルスが各地で発生している可能性もでてきた。

 鹿児島県によると、死亡したのは枕崎市内の60代の女性で、数年前に消化器のがんで手術を受けていた。その後、肺にも転移が確認され、治療を検討中だった。27日に38度の発熱があり、28日早朝に症状が悪化したため、医療機関を受診、入院した。

 詳細(PCR)検査で、新型への感染が確認された。タミフル投与を受け、人工呼吸器を着けて治療中だったが、29日未明に死亡した。

 また、兵庫県姫路市によると、たつの市内の社会福祉施設に通う30代の女性も同日、姫路市内の病院で死亡した。この施設では、女性のほかに7人の利用者らに新型インフル感染の疑いがあるという。

 女性は27日に39度の発熱があり、28日に医療機関を受診。簡易検査で陽性と診断され、タミフル投与の後、帰宅。自宅で療養を続けていたが29日未明に容体が急変した。その後の詳細(PCR)検査の結果、新型への感染が確認された。

 一方、タミフル耐性ウイルスについて、滋賀県は「ウイルスが体内で突然変異した可能性が高い」とし、感染力が弱く広がる恐れはないとしている。男児はタミフルの投与を受けていたが、高熱がなかなか下がらないなどの症状が続いたため、入院した。現在は回復しているという。

新型インフル、日本の感染拡大は流行水準=WHO

2009年08月29日 REUTERS

 [ワシントン 28日 ロイター] 世界保健機関(WHO)は28日、新型インフルエンザ(H1N1型)について、ウイルスが直接肺に達し健康な若い人が深刻な呼吸器不全に陥る重症例が医師から報告されていると発表した。また、日本での感染拡大が流行の水準に達したとの見方を示した。

 WHOはインフルエンザの世界的大流行(パンデミック)に関する最新報告で、一部の国ではウイルスに感染した患者の15%が病院での治療を必要としているとし、すでに過度の負担を抱えている医療システムをさらに追い詰めていると述べた。

 日本での感染拡大については、インフルエンザシーズンの通常よりも早い開始を示唆しているとの見方を示した。熱帯地域でも状況が悪化していると述べた。

 「おそらく最も重要なのは、世界中の臨床医が健康な若年層にもインフルエンザ重症例がみられると報告していることだ。これは季節性インフルエンザにはあまり当てはまらない」と指摘したほか、「重症患者数の急増に集中治療施設が対応できない恐れがあり、需要増を見越した対策が必要」との見解を示した。

新型インフル死者、世界で2千人超す WHO集計

2009年08月29日 asahi.com

 【パリ=国末憲人】世界保健機関(WHO)は28日、新型インフルエンザによる死者が世界で少なくとも2185人に達した、と発表した。流行は今が冬の南半球など一部の地域でピークを越えたとみられている。

 WHOの23日現在の集計によると、最も死者が多いのは米州管内で1876人。以下、東南アジア管内で139人、欧州管内での少なくとも85人、と続いた。感染者の報告は世界で21万例近くとなっているが、実際にはこれより大幅に多いとみられている。

 地域別ではチリ、アルゼンチン、ニュージーランド、豪州でピークを越えた一方、中米やアジアの熱帯地方での広がりが目立つという。また、日本で流行期に入ったことも報告された。北米や欧州、中央アジアの温暖な地域では広がりが弱いという。

1300万人超に接種計画 新型インフルで韓国

2009.08.29 MSN産経新聞

 韓国保健福祉家族省は28日、新型インフルエンザの大流行を防ぐため、全人口の27%に相当する1366万人にワクチンの予防接種を行う計画を発表した。

 同省によると、予防接種は11月中旬ごろから開始し、来年2月の完了を目指す。医療関係者や妊婦、学生、軍人が主な対象。抗ウイルス薬タミフルについては531万人分を確保しているが、年内に500万人分を追加確保し、来年からは全人口の20%分を常時備蓄する。

 統一省によると、北朝鮮の開城工業団地に感染が広がるのを防ぐため、軍事境界線に近い「南北出入事務所」に通過者の発熱の有無を感知する装置の設置を始めている。

 韓国では感染者が既に3000人を突破。最近は1日200人前後のペースで感染が確認され、3人が死亡している。(共同)

【新型インフル】メキシコ100万人感染も 今冬見通し

2009.08.29 MSN産経新聞

 新型インフルエンザ感染拡大の中心になったメキシコのコルドバ保健相は28日、今冬の国内の感染者が100万人に達するとの見通しを示した。同国の人口は2007年の推定値で約1億650万人。

 現在は1日平均80〜100人の感染が確認されており、これまでの感染者は2万1264人、うち死者は184人という。(共同)

【新型インフル】10月に流行ピークか 1日76万人に発症 厚労省試算

2009.08.28 MSN産経新聞

 厚生労働省は28日、国内の新型インフルエンザ流行時の入院者数や重症者数などを予測した「流行シナリオ」を発表した。患者は流行入りから8〜9週間でピークを迎え、国民の20%が罹患した場合、最高で1日に約76万人が発症し、4万6400人が入院する状態になると推計している。

 国立感染症研究所の調べでは、23日までの1週間で、1日約2万人が感染しているとみられる。この状況をシナリオに当てはめると、まだ流行入りしたばかりという。10月上旬にピークが訪れ、12月上旬には終息することになる。

 厚労省は同日、各都道府県に対し、シナリオを基に地域の人口や年齢構成を加味した試算を行った上で、医療機関のベッド数や人工呼吸器の保有数など、医療体制の調査を行うよう要請。9月中旬までの報告を求めた。また、外来診療や入院施設の確保、医療機関への情報提供などを新たな対策の検討課題に挙げた。

 厚労省は「シナリオに示した流行を少しでも小さくするため、各自治体や個人レベルでも感染拡大防止に取り組んでほしい」と呼びかけている。

 季節性の2倍にあたる国民の20%がかかり、1・5%が入院、0・15%が重症化すると想定し、国内外の新型インフルに関する知見から導き出した年代別の感染力や入院率などを用いて試算した。ワクチン接種による予防や夏場の流行といった条件は入っておらず、季節性インフルエンザの流行も考慮されていない。

【竹内薫の科学・時事放談】新型インフルエンザ再訪

2009.08.28 MSN産経新聞

 一時、鳴りを潜めていた新型インフルエンザのニュースが増えてきた。国内感染者数は6万人を超え、夏であるにもかかわらず流行が始まり、重症患者や死亡者も増えている。私は冬になってから再来すると予測していたのだが、あまりの早さに正直いって驚かされた。

 世界保健機関(WHO)は新型インフルエンザを「フェーズ6」としており、すでに世界的な大流行になっていることが分かる。ちなみにフェーズ6は警戒レベルとしては最高だが、この後、大流行が収まるとフェーズ5に戻るかというと、そうではなく、「ピークを過ぎた」「世界的大流行が終わった」という段階が続くことになる。

 「ピークを過ぎた」レベルでは、まだ大流行に逆戻りする可能性があるが、「世界的大流行が終わった」レベルは、ほぼ警戒態勢を解いてよい、という意味だ。WHOが「世界的大流行が終わった」と宣言しないかぎり、安心はできない。

 気になる新型インフルエンザの致死率だが、0.5%程度で、季節性インフルエンザの5倍ほど。恐れられている強毒性H5N1型の数十%には遠く及ばないものの、決して侮れる数字ではない。

 春の段階では、ウイルス用のマスクを注文しようと思っても、品切れ続出で手に入らなかったが、梅雨のあたりから新型インフルエンザのニュースが激減したこともあり、私は家族が一冬を越すのに必要な分だけ、マスクを購入しておいた。

 実は、わが家では、来るべき強毒性H5N1型インフルエンザ対策として、N95マスクも備蓄しているのだが、今回の新型インフルエンザでは一切使用していない。

 なぜなら、N95マスクは0.3ミクロン(1ミクロンは1ミリの1000分の1)の粒子を95%通さない性能を誇るものの、ずっと装着していると息苦しくなるため、基本的には「命にかかわる」ような状況で装着すべきものだからだ。(ちなみにN95マスクは、もともと製造現場などの防じん対策用につくられたが、今では感染予防に広く使われている。)

 致死率が0.5%の新型インフルエンザの場合、通常の「ウイルス対策用」のマスクで十分だと私は思う。

 意外な落とし穴は、せっかくマスクをつけていても、大きさや形状が顔にフィットせず、すき間があきやすいこと。いくらマスクの性能がよくても、大きなすき間があいているのでは意味がない。わが家でもマスクは大中小を取りそろえている(おかげで書斎の物入れがマスクでいっぱいになってしまった!)。

 また、「もったいない」と考えて、同じマスクを何度も使うのはご法度だ。感染を防ぐためには、サイズの合ったマスクを使い捨てにする思い切りのよさが必要なのだ。

 冬に向けて、新型インフルエンザの流行は拡大するに違いない。しかし、日本は十分な数のワクチンを確保できるめどがたっていない。私は毎年、季節性インフルエンザのワクチンを接種しているが、新型インフルエンザのワクチンは(優先順位からいって)回って来ないだろうとあきらめている。

 この冬、国民のほとんどは、マスクと手洗い、うがいという、昔ながらの予防法で対処するしかないようである。 (たけうちかおる=サイエンスライター)

インフルピーク時、1日76万人発症…厚労省

2009年08月28日 読売新聞YOMIURI On-LINE

 厚生労働省は28日、新型インフルエンザの今後の流行に関する試算を発表した。10月の流行ピーク時には1日当たり約76万人の患者が新たに出て、全国の入院患者は最大時で4万6400人に上る可能性があるとした。

 厚労省は同日、流行に備えた医療体制を早急に整備するよう各都道府県に要請した。

 試算は海外の流行状況や感染率などから、季節性インフルエンザ感染者の約2倍にあたる国民の平均2割、都市部などでは同3割が発症すると想定。今シーズンの入院率を全患者の1・5〜2・5%(38万人〜64万人)、インフルエンザ脳症や肺炎など重症者の発生率を同0・15〜0・5%(3万8000人〜12万8000人)として算出した。

 患者数のピークは流行開始8週間後になるとし、国内での流行開始(今月10〜16日)に当てはめると、10月上旬ごろに来る。入院患者のピークは患者数のピークから約1週間遅れ、全国の入院患者は4万6400人に達する。国民の3割が感染すると、入院患者は6万9800人に上るという。死者数の試算はしていないが、米国の想定では入院患者の約30人に1人が死亡するとしている。

 都道府県には、診療所での夜間診療延長なども準備するよう指導。ぜんそくや糖尿病など持病がある人は医療機関で感染する恐れがあるため、医療機関に対して電話による診療、持病の薬を長期間使えるよう一度に処方することも求めている。

新型インフル感染率、子供は高齢者の14倍

2009年08月28日 読売新聞YOMIURI On-LINE

 【ワシントン=山田哲朗】米疾病対策センター(CDC)は27日、5〜14歳の子供は60歳以上の高齢者に比べ14倍も新型インフルエンザにかかる可能性が高いとする報告を発表した。

 報告によると、7月25日までにシカゴ市の保健当局が確認した新型インフルエンザ感染者1557人のうち、最も多いのが5〜14歳の624人で、この年代の人口の0.14%に上ったのに対し、60歳以上は41人でこの世代の0.01%にすぎなかった。

 入院する割合も子供で高く、報告は「子供を重点に予防や治療にあたる必要があることが裏づけられた」としている。

【新型インフル】 人工透析患者も苦悩

2009.08.28 MSN産経新聞

 予想外の「真夏の流行」となった新型インフルエンザで、最初に死亡した2人が人工透析の腎臓病患者だったことを受け、関連する医療機関では院内感染防止のため患者へのマスク配布など対策を急いでいる。高齢者が多い透析患者は、免疫力低下で重症化が懸念されており、患者からは「ワクチンが早くほしい」「感染すれば他の患者にも迷惑をかけてしまう」など不安の声が上がっている。

 腎臓病患者の死亡は、8月15日に沖縄県宜野湾(ぎのわん)市、18日に神戸市で確認され、厚生労働省は21日に全国的な流行入りを宣言。その後も感染者は増加し、腎臓病患者も入院しているという。

 国立感染症研究所の調査で1医療機関あたりのインフルエンザ患者数が沖縄県(29・60人)に次いで全国2位となった奈良県(2・96人)では、県内の透析医療機関などが感染防止対策を進めている。

 奈良県中部にある透析施設では、患者にマスクやうがい薬を配布。通常は透析室に複数のベッドを並べて人工透析を行っているが、発熱のある患者がいれば、個室の透析室に隔離して透析を行う方針だ。

 この施設の院長(67)は「患者も医師も神経質にならざるを得ない」と話す。予防に最も有効とされるワクチン供給は10月下旬とされるが、「ワクチンは副作用も考えられ、患者に無理に勧めることもできない」と困惑気味だ。

 患者は1週間に3日程度、透析を受ける必要があり、新型インフルエンザに感染しても透析は必要で、患者の不安は大きい。

 奈良県高取町の男性患者(50)は「腎臓病患者が新型インフルエンザで亡くなったと聞いて、急に不安になった。手洗いやうがいをしているが、それ以外にどうしたらいいのか…」と話す。

 季節性インフルエンザワクチンを定期的に接種しているという同県大和高田市の男性患者(67)も「新型のワクチンを早く作ってほしい」とする一方、「感染しないように、たくさん食べて体力をつけないといけないかもしれないが、腎臓に負担がかかってしまう」と苦悩を打ち明けた。

 全国の透析患者は約28万人とされ、患者らで組織する全国腎臓病協議会は20日、舛添要一厚労相あてに、腎臓病など基礎疾患のある患者へのワクチンの優先接種のほか、患者や医師、行政による協議機関設置などを求める要望書を提出。同会は「患者の不安を少しでも解消してほしい」と訴えている。

妊婦らにワクチン優先接種、厚労省方針に合意

2009年08月28日 読売新聞YOMIURI On-LINE

 新型インフルエンザワクチンについて、厚生労働省の有識者意見交換会が27日、都内で開かれ、感染すると重症化しやすい乳幼児と妊婦、持病がある患者と、医療従事者に優先的に接種する厚労省の方針に合意した。

 中でも妊婦については、政府の諮問委員会委員長の尾身茂・自治医大教授が「海外の報告で、死亡率が高い」として、最優先で接種したいとの意向を明らかにした。

 一方、同じく重症化しやすい高齢者や、感染者の多い小、中、高校生、冬に本番を迎える受験生に対しても優先接種するよう求める声も出たが、ワクチンの量に限りがあるため、結論を持ち越した。

 また、輸入ワクチンに関しては、国内で未使用の添加物が含まれることから安全性への懸念が噴出。「小、中、高校生に接種対象を広げるなら、輸入せざるを得ない」という厚労省に対して、田代真人・国立感染症研究所インフルエンザウイルス研究センター長は「安全性に問題がある場合は、輸入しても使わない選択肢を残すべきだ」と主張した。

新型インフル:死者でブラジルが世界最多に 1割超が妊婦

2009年08月27日 毎日新聞 毎日JP

 南米ブラジル保健省は26日、同国の新型インフルエンザ感染死者が計557人となり、米国(522人)を抜いて世界最多となったと発表した。感染確認も5206人に上り、冬季にある南半球での急激な感染拡大をあらためて裏付けた。

 22日時点の調査で、感染が確認された患者のうち480人が妊婦で、うち死者は死者全体の1割を超える58人。妊婦は、慢性疾患のある患者と並んで重症化リスクが高いことが示されており、日本国内で高まっているワクチン接種の優先順位をめぐる議論にも影響を与えそうだ。

 同省は「調査中のケースがあり(増加の)傾向が終わったとは結論付けられない」と述べ、なお感染流行に警戒を呼び掛けている。

 地域別では、サンパウロ州が223人、南部パラナ州151人、感染が広がるアルゼンチンと国境を接する最南端のリオグランデドスル州98人、リオデジャネイロ州が55人など。(共同)

新型インフル:輸入ワクチン 最低100例臨床試験実施へ

2009年08月27日 毎日新聞 毎日JP

 舛添要一厚生労働相は27日、新型インフルエンザ対策について会見し、海外からワクチンを輸入する場合に、小児らを対象に国内で最低100例程度の臨床試験を実施する考えを示した。

 海外メーカーが作るワクチンには、国産品には入っていない補助剤が使われている場合があり、副作用の危険が高いとの指摘もある。舛添厚労相は、迅速に輸入するため、国内試験を省略できる薬事法の「特例承認」の初適用を検討している。一方で、専門家や薬害被害者から安全確保を求める声が出ていることを踏まえ、「何もやらないのではなく、最低限の安全性の確認はしていきたい」と述べた。【清水健二】

厚労省:概算要求を発表 新型インフル対策に207億円

2009年08月27日 毎日新聞 毎日JP

 厚生労働省は27日午前、一般会計総額で09年度当初比5.0%(1兆2565億円)増の26兆4133億円とする10年度予算の概算要求を発表した。新型インフルエンザの大流行に備えワクチン買い上げなど体制を強化するほか、厳しい雇用情勢に対応した企業支援策などが柱。景気悪化による失業手当や生活保護の増大、社会保障費の伸びを抑制する政府方針の撤廃により、05年度以来の5%台の伸びとなった。

 具体的な要求項目は▽新型インフルエンザ対策に09年度当初(144億円)比1.4倍の207億円▽従業員の雇用維持に取り組む企業への助成に3058億円(09年度当初581億円)▽国民健康保険の財政支援のための国庫負担9兆3573億円(同8兆9906億円)などとなっている。

 年金や医療など社会保障費は24兆8624億円。小泉政権末期に打ち出した社会保障費の伸びを毎年2200億円抑制する政府方針を撤廃したため、1兆776億円増(4.5%増)の増額要求となった。

 概算要求とは別に、新たな年金記録管理体制に向けた経費(09年度当初284億円)や子育て応援特別手当(09年度補正1254億円)などは年末の予算編成の段階で検討される。【鈴木直】

ワクチン副作用、国が救済…新型インフルで厚労相

2009年08月26日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 舛添厚生労働相は26日、新型インフルエンザ用のワクチン接種によって、副作用(副反応)が出た場合に、被害者を救済する補償体制構築をめざす特別措置法を、衆院選後の国会に提出する意向を明らかにした。

 政府は国内生産で不足するワクチンを輸入する方針だが、海外メーカーは副作用が出た場合も免責するよう求めているため、輸入の前提として補償体制の構築を急ぐべきだと判断した。

 国内で必要とされるワクチンは5300万人分。国内メーカーが年末までに製造可能なのは1300万〜1700万人分にとどまり、厚生労働省は、不足分を欧米などの大手ワクチンメーカーから輸入する方針だ。しかし、海外製ワクチンにはワクチンの効果を増強するため、国内製にはない添加物が含まれており、予期できない重い副作用が起こる可能性が懸念されている。

 現在の予防接種法では、新型用ワクチンは接種するかどうかを個人に任せる「任意接種」の扱いとなり、副作用の補償を国が肩代わりすることは難しい。舛添厚労相は「予防接種法を体系的に変える必要があるが、それまでの間、目の前の危機に対応する特別立法で対応可能」と述べ、新型インフルエンザ用ワクチンに限って、補償や免責を認める特別措置法を検討する方針を示した。

 海外製ワクチンの輸入は、緊急時に国内での臨床試験(治験)を省略して承認できる薬事法上の「特例承認」を初適用する方針だ。舛添厚労相は、国内で簡略化した臨床試験を実施し、安全性を確認してから承認する意向も示した。

新型インフル拡大  集団感染、今月35件

2009年08月15日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 新型インフルエンザが夏になっても収まる気配にない。今月に入り、県内で発生した集団感染は35件。7月以前の19件を大幅に上回り、大流行の兆しにある。

 県は14日、東松山市にある大学のラグビー部員寮で7人が発熱などの症状を訴え、うち4人の感染が確認されたと発表した。さいたま市見沼区の病院内でも、発症した入院患者ら3人のうち1人が感染していることがわかった。

 県などによると、10人以上の集団の中で、1週間以内に2人以上の患者が出た場合に「集団感染」と呼ぶ。夏は、スポーツの各種大会や合宿練習が盛んに行われる季節。このため中学、高校、大学の部活動に関係する集団感染が目立つ。さいたま市健康増進課は「県外への活発な遠征が感染リスクを拡大し、団体生活が周囲に患者の輪を広げているのではないか」と分析する。

 県疾病対策課は「冷夏も一因」とみる。新型インフルエンザは当初、ウイルスが高温に弱い性質を持つことから、夏場には流行が一段落するとみられていた。しかし、「今夏は雨が多く、例年ほど暑さも厳しくない。その結果、ウイルスが生き延びている」という。

 各自治体は「団体生活では体調維持に気を配り、練習や外出後の手洗いうがいも徹底してほしい」と注意を呼びかけている。

【新型インフル】 国内感染者5000人突破 夏本番でも流行収まらず

2009.07.26 MSN産経新聞

 新型インフルエンザの国内感染者は26日までに5000人を突破、今月になって280人以上の感染が確認される日もあるなど、夏本番を迎えても終息に向かう気配はない。

 厚生労働省は「より多くの人に感染が広がっている可能性はある」と分析。秋以降の“第2波”が予想される中、同省は「もはや個別に事例を把握しても感染対策としての意味がない」として24日から感染者の全数把握を中止、集団発生の早期把握に重点を置く対応に切り替えた。

 厚労省によると、首都圏に感染が拡大した5月20日前後は、日に70人以上の感染事例が報告されたこともあったが、同月下旬から6月上旬にかけては1週間に50人前後となるなど一時、収まる気配もみられた。

 だが、6月の2週目以降は再び増加。同月25日には感染者数が全国で1000人を突破した。

【新型インフル】英イングランドの感染者、1週間で10万人に

2009.07.24 MSN産経新聞

 英保健当局は23日、最近1週間で英イングランドで、新たに約10万人が新型インフルエンザに感染したと推定されると発表した。

 感染者の多くは14歳以下の子どもという。1週間前の16日の時点では、過去1週間の新たな感染者は約5万5千人と推定されており、感染拡大のペースが上がっている。

 英BBC放送などによると、英国で新型インフルエンザに感染し、死亡した人は計31人という。(共同)

【新型インフル】感染の小学生に幻覚症状 急性脳炎を発症

2009.07.22 MSN産経新聞

 厚生労働省は22日、新型インフルエンザに感染した神奈川県の小学生の男児が、急性脳炎を発症したと発表した。男児は幻覚症状などがみられたが、感染症指定医療機関に入院しており、快方に向かっているという。新型患者の急性脳炎の報告は初めて。

 季節性インフルエンザでは、急性脳炎に似たインフルエンザ脳症を毎年数百人が発症。死亡するケースもあり厚労省は「新型でも季節性と同様に注意する必要がある」と呼びかけている。

 厚労省によると男児は19日から39度の熱があり、20日に幻覚症状がみられた。現在は熱も36度台に下がり、意識も正常という。

 また、厚労省は同日、各自治体に全数を求めている感染者の報告について、24日から集団感染事例のみに切り替えると発表した。大規模流行につながる集団感染を重点的に把握するための措置。10人以上の集団で2人以上の感染が確認された場合が報告対象となる。

【新型インフル】修学旅行中止や延期3255校 公立小中高

2009.07.21 MSN産経新聞

 新型インフルエンザの影響で5、6月に修学旅行を予定していた全国の公立小中高校など1万4801校のうち、延期したのは3250校、中止は5校になったことが21日、文部科学省の調査で分かった。5月下旬の段階で延期や中止を決めたのは2594校だった。

 6月末時点の集計によると、延期は小学校1472校、中学校1571校、高校49校、中等教育校1校、特別支援学校157校。中止は高校1校、特別支援学校4校。

 キャンセル料が発生したのは365校で、負担の内訳は保護者が60校、自治体が178校、127校は調整中だった。

【新型インフル】南米全域で感染拡大 生後11カ月の乳児も死亡

2009.07.20 MSN産経新聞

 ベネズエラ政府は18日、新型インフルエンザに感染した生後11カ月の乳児が死亡したことを明らかにした。同国では初の感染死者。これにより、南米主要10カ国全域で感染死が確認された。地元紙ナシオナル(電子版)などが報じた。

 乳児は今月9日、首都近郊のミランダ州の病院に入院し、17日に死亡した。肺炎や肝機能障害なども患っていたという。ベネズエラでは5月28日に初めて感染者が確認され、現在の感染者は計281人。

 冬季にある南米主要国では感染が拡大しており、各国保健省のまとめによると、アルゼンチンでは137人、チリでも40人の感染死者が出ている。(共同)

【新型インフル】2例目のタミフル耐性 山口、予防投与で変異か

2009.07.17 MSN産経新聞

 山口県は17日、同県の新型インフルエンザ患者から採取したウイルスに、治療薬タミフルへの耐性を示す遺伝子変異が見つかったと発表した。大阪府での耐性確認に続き国内で2例目。患者はすでに回復し、周囲への感染は起きていない。

 山口県によると、患者は別の感染者の濃厚接触者で、タミフルの予防投与を受けていた時に発症した。体内で遺伝子の一部が変異したとみられ、県健康増進課は「治療の過程で生じた一過性のもので、感染が広がる恐れはない」としている。

 解析の結果、タミフル耐性を持つ季節性ウイルスと遺伝子が混ざった形跡はなく、同課は大規模な流行につながる可能性は低いとみている。

 山口県は「すでに患者が回復しており、感染予防の上で必要ない」として、患者の居住地や年齢、性別、発症日などを明らかにしなかった。

国内初のタミフル耐性確認 新型インフル、大阪の女性

2009年07月03日 中国新聞ニュ−ス

 タミフルに耐性を示す新型インフルエンザウイルスが確認され、記者会見する大阪府の担当者ら=3日午前0時、大阪府庁

 厚生労働省は2日、大阪府の新型インフルエンザ患者から検出されたウイルスで、治療薬タミフルに耐性を示す遺伝子変異が確認されたと発表した。新型インフルエンザのタミフル耐性ウイルスは、海外ではデンマークの患者から初めて見つかったと先月末に報告されたが、国内で見つかったのは初めて。患者は別の治療薬リレンザを服用して既に回復している。

 厚労省は「周囲への感染が確認されておらず、公衆衛生上の危険はないと考えられる」としている。

 大阪府は、6月18日に遺伝子変異を確認したにもかかわらず、2週間公表していなかった。府は「7月1日に厚生労働省に報告したところ、すぐ発表するように言われた」と説明している。

 府によると、耐性ウイルスが検出されたのは、大阪府豊中市に住む40代の女性教諭。

 厚労省などによると、女性教諭は5月17日に新型インフルエンザと確認された患者の濃厚接触者で、翌18日からタミフルを予防的に投与されていた。ところが5月24日に微熱を訴え、28日に新型インフルエンザと診断された。リレンザによる治療を受けて回復した。

 大阪府立公衆衛生研究所で女性教諭から検出されたウイルスを解析したところ、6月18日にタミフル耐性を示す遺伝子変異が見つかった。

国内患者、600人超える=24都道府県、新型インフル

2009/06/14 時事ドットコム

 東京都は14日、ハワイから帰国した豊島区の男性(25)が、新型インフルエンザに感染していることを確認したと発表した。また、千葉県、京都府、大阪府、広島県、福岡市でも同日、新たな感染者が確認され、国内感染者は24都道府県で計604人となった。

新型インフル:韓国人は感染に気付かない!?(上)

2009/06/14 朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 オ・ジョンチャン記者

政府「予防が成功」「風邪と思い込んでいる人も多い」

専門家の間では拡散論も…夏休みシーズンが最大のヤマ

 韓国は新型インフルエンザ(H1N1型)の安全地帯なのか、それとも人々が気付かない間に広まっているのか。

 世界保健機関(WHO)が新型インフルエンザの警戒レベルを最高の「フェーズ6」に引き上げるなど、新型インフルエンザは全世界で猛威を振るっているが、韓国内では感染者が56人(うち47人は完治)にとどまっている。ところが、専門家の間では「統計上に現れていないだけで、すでに韓国内に広まっている可能性がある」との見方もある。

◆「予防成功」VS「気付いていない可能性」

 韓国内での感染者数が少ない理由について、疾病管理本部は「予防に成功しているため」と話している。同本部伝染病対応センターの全柄律(チョン・ビョンユル)センター長は、「新型インフルエンザの流行地域から入国する旅行客一人一人に対し、入国5日目に当たる日にモニタリング担当者が電話をかけ、健康状態を確認している。感染者と同じ飛行機に搭乗していた乗客に対する追跡調査も徹底的に実施している」と述べた。

 しかし、専門家は、新型インフルエンザは免疫力が強ければ自然に治癒することや、普通の風邪と症状が似ているため、届け出ない可能性もあるとの点を挙げ、「気付かない間に拡大している」という説を展開している。

 韓国における新型インフルエンザの最高権威であり、政府の新型インフルエンザ対策委員会顧問委員長も務めるサムスン・ソウル病院のパク・スンチョル顧問(感染内科)は、「すでに韓国社会には新型インフルエンザ・ウイルスが広まっていると考えるべき」と話す。

 メキシコで新型インフルエンザによる初の死亡例が4月中旬に確認されたことを考えれば、新型インフルエンザ・ウイルスは3月末ごろから広まっていたと推定される。世界が1日で移動できる生活圏になった以上、いかなる経路であれ、韓国内にも蔓延していると見るべきだということだ。パク顧問は「風邪の患者全員を調査すれば、韓国でも新型インフルエンザ感染者がさらに多く見つかる可能性がある」という。

新型インフル:韓国人は感染に気付かない!?(下)

2009/06/14 朝鮮日報/朝鮮日報日本語版 呉允煕(オ・ユンヒ)記者/キム・ギョンファ記者

 12日午後、仁川国際空港入国ゲートで、日本から到着した乗客を対象に、体温測定する同空港検疫所の検疫官たち。オ・ジョンチャン記者

 ソウル大病院のオ・ミョンドン教授(感染内科)は、「政府の監視網の外で、ウイルスが勢いよく広まっているとは思えないが、すべての新型インフルエンザ感染者を一人一人検査することはできないため、感染者数を正確に把握するのは困難」と説明する。

 疾病管理本部も「症状が出ない潜伏期の感染者もいる。また、感染したとしても、自然治癒し、気付かないまま普通に生活している人も当然いるだろう」と認めている。

 延世大学のキム・チャンオ教授(感染内科)は「旅行歴がない患者には、保健所や病院もあえて新型インフルエンザの検査をしていない。また、新型インフルエンザの診断機器や、監視装置も医療機関の現場まで普及していない」と指摘した。

◆「夏休みがヤマ」

 「今後の方が心配される」という声もある。海外にいる韓国人留学生たちが、夏休みシーズンに次々と帰国するため、新型インフルエンザが急速に拡散する恐れがあるとみられている。実際、先月24日までの韓国内感染者数は4人に過ぎなかったが、夏休みが近づくにつれ、この約20日間で感染者数は52人も増えた。

 高麗大学九老病院感染内科のキム・ウジュ教授は「米国などがヤマ場を越えたとすれば、韓国はこれからヤマ場へ向かっている段階」と話す。また、新型インフルエンザは個人の健康状態により、風邪のように軽い症状で済む場合もあるが、慢性疾患者や高齢者は命を落とす危険性もあるため、軽く見てはならない。

 だが、ハンナラ党の孫淑美(ソン・スクミ)議員室によると、抗ウイルス剤であるタミフルの韓国内保有量は人口比11%の540万人分(保有目標値は20%に当たる1000万人分)に過ぎないという。一方、イギリス・フランス・日本などは人口比20%相当の分量をすでに確保しており、オーストラリアは62%相当を備蓄している。

新型インフルエンザ 独・デュッセルドルフの日本人学校で集団感染 これまでに51人感染

2009/06/14 FNN(Fuji News Network)

 ドイツ西部デュッセルドルフの日本人学校で、新型インフルエンザの集団感染が広がり、現地の日本人社会にも影響が及んでいる。

 在住の日本人は、「ちょっとあんまりドイツでは、インフルエンザの話は出てなかったので、びっくりしましたけれども」と話した。

 ドイツのデュッセルドルフ日本人学校では、これまでに児童・生徒とその家族、あわせて51人が新型インフルエンザに感染し、19日までの休校を決めている。

 この集団感染を受けて、ドイツ最大の日本人コミュニティーがあるこの市では、13日に日本文化を紹介する「日本デー」が開かれたが、日本人学校が参加するイベントを中止にするなど、感染による影響が広がっている。

新型インフルエンザの感染者数、3万人台へ近付く WHO

2009.06.13 - CNN

ロンドン(CNN) 世界保健機関(WHO)は12日、新型インフルエンザ(H1N1型)の感染者数が世界で3万人の大台に近付きつつあると報告した。同日時点での数字は、74カ国で2万9669人。死亡者は145人。

 各国独自の報告者数をまとめれば3万人を超えたとの情報がある。

 WHOは11日、新型インフルエンザの警戒水準を、世界的大流行(パンデミック)を意味する「フェーズ6」に引き上げている。前回のパンデミックは1968年の香港風邪だった。

 感染者数の最多は米国の1万3217人。次いでメキシコの6241人。カナダ2987人、チリ1694人、オーストラリア1307人などと続いている。

新型インフルエンザ:「フェーズ6」宣言 冬本番、南半球に警戒感

2009年06月13日 毎日新聞 東京朝刊

 世界保健機関(WHO)が新型インフルエンザの警戒度を最高の「フェーズ6」に引き上げたことを受け、これから本格的な冬を迎える南半球の国々ではパンデミック(世界的大流行)への警戒感が広がっている。

 ◇2週間で患者1000人増−−オーストラリア

 感染者が急増し、警戒度引き上げの判断材料の一つとされたオーストラリア。ラッド首相は12日、「態勢はすでに整っている」と述べ、国民に冷静な対応を呼び掛けた。

 豪州では感染者が最近2週間だけで約1000人増えた。計1300人以上の感染者のうち、1000人超が集中している南東部ビクトリア州では、地元紙が「人口比でメキシコの倍以上の高率感染」と報じるなど、感染拡大に歯止めがかからない状況だ。

 州都メルボルンで開催予定だった水泳大会が中止されたほか、他の州では、ビクトリア州を訪れた生徒児童に対して7日間登校を控えるよう求めるなど、社会への影響が広がっている。メルボルンでは17日、サッカーW杯アジア最終予選の日本対豪州戦が行われるが今のところ試合に影響はない。【ジャカルタ井田純】

 ◇寒い地域で死者発生−−チリ

 南米チリでは5月17日に最初の患者が確認されてから、感染者は1カ月足らずで約1700人に達した。死者も2人出ている。首都サンティアゴの最低気温は現在、4度程度。南に行くとさらに寒くなり、死者はいずれも首都南方約800キロの患者だった。

 チリの保健省は11日、警戒度引き上げを受け、「ウイルスが強毒になったとか、致死率が高くなったというわけではない」と強調する一方、流行は数カ月続くとの見通しを示した。米疾病対策センター(CDC)や米州保健機関(PAHO)などの専門家チームが現在チリを訪れ、冬季の感染状況などを調査している。

 このほか南米ではアルゼンチンが感染者343人と徐々に増えている。ウルグアイやブラジル南部も冬場の気温が下がり、感染者は増える可能性がある。【メキシコ市・庭田学】

新型インフルエンザ:「発生時に適切対応」 「フェーズ6」で対策本部 /三重

2009年06月13日 毎日新聞〔三重版〕

 世界保健機関(WHO)が11日、新型インフルエンザの警戒度を世界的大流行(パンデミック)を示す「フェーズ6」に引き上げたため、県は12日、対策本部幹事会を開き、各部局で情報を共有して県内発生時に備えることを確認した。

 課長など17人が出席。健康危機管理室の永田克行室長が国内外や県の状況を説明し、「県内の発熱相談センターへの相談件数は5月21日の1029件がピークで、現在は200件前後に落ち着いた。だが、県内でもいつ発生するか分からない状況に変わりはない」と話した。また、「学校での感染は特に気をつける必要がある。患者を早く見つけ、拡大を防止するのが大事だ」とした。

 その後、宮崎敏危機管理監が「すでに22都道府県で新型インフルエンザが発生している。引き続き気を引き締め、発生時に適切な対応ができるよう心がけてほしい」と呼びかけた。【岡大介】

米製薬大手、7月にもワクチンを出荷へ 新型インフル

2009年06月13日 asahi.com

 【タイタスビル(米フロリダ州)=勝田敏彦】米製薬大手バクスター・インターナショナルは12日、新型の豚インフルエンザのワクチンを、早ければ7月にも出荷する方針を発表した。新型インフルエンザのワクチンが利用可能になるのは、秋以降になると考えられていたが、早まる可能性が出てきた。

 発表によると、同社は米疾病対策センター(CDC)から5月に「種」ウイルスの提供を受けてワクチンを開発。すでに大量生産に入っており、各国政府当局の承認を待っている状態という。

 CDCのシュキャット博士は11日の会見で、「実際にワクチンの接種を行うかどうかを決めるのはこれからだ」と述べている。

 AFP通信などによると、新型インフルのワクチンについては、スイスの医薬品大手ノバルティスもすでに製造段階に入っており、7月に人を対象にした治験を実施する予定のほか、英仏の製薬大手もワクチン製造を加速させている。

新型インフル 今秋には第2波も

2009/06/13 Fuji Sankei Business-i

□三菱総合研究所科学・安全政策研究本部 主任研究員・石井和

 ■「最悪」前提 複数の対策レベル準備を

 メキシコで新型インフルエンザA(H1N1)の発生が報じられてからおよそ1カ月半が経過した。12日未明(現地11日)、WHO(世界保健機関)の感染警告レベルがフェーズ6に引き上げられた。11日現在の感染者は世界74カ国で2万8000人を超え、国内でも19都府県で500人を超えた。冬を迎えた南半球を中心に今後も流行が拡大するとみられている。北半球では、いったんは流行が収束するとみられているが、日本でも今秋には第2波による流行の可能性が高いといわれている。

 インフルエンザAは、基礎疾患(糖尿病やぜん息など)を有する人が重篤化するケースを除き、多くの感染者は軽症のまま回復している。また、抗インフルエンザウイルス薬が有効であることなど、季節性インフルエンザと類似している。これまでのところ、幸いわが国の社会や経済に深刻なダメージを及ぼす事態には至っていないが、当初より強毒性の鳥インフルエンザ(H5N1)というシビアケースを想定した準備を進めていたため、実際に今回直面している状況とのギャップに戸惑いながらの対応となった。

 企業は次のような対策を講じた。メキシコに支社や事業所を持つ海外進出企業は事業所の閉鎖や従業員とその帯同家族の帰国判断など、関係者の安全確保と事業継続のはざまでの厳しい判断を求められた。事業停止に至らずとも、従業員の自宅待機や在宅勤務、勤務時間短縮などの措置を実施したところも多い。

 一方、国内企業が講じた措置は、従業員の行動抑制(海外出張者の早期帰国、赴任延期、帰国者の自宅待機、感染国への出張自粛、営業活動自粛など)、勤務ルールの変更(感染の疑い者や発熱者の出社禁止ルール化、時差通勤の推奨、会議や集会自粛など)、感染予防措置の実施(マスク配布・着用の推奨、手洗い・消毒の徹底、消毒薬の設置、体温測定、サーモグラフィー設置、館内の清掃・消毒強化など)などがある。この点、国内企業にとっては、今回のインフルエンザAは感染予防措置の手順を確認するよい機会となったが、事業停止という厳しい判断を迫られる状況にはなく、BCP(事業継続計画)を本格的に発動するという事態ではなかった。

 ◆危機管理の再認識

 今回の事態の展開をみていると、感染症の危機管理に共通する特徴がみられた。これらの特徴は、今後の対応に向けて再認識しておく必要があるだろう。まず、不確実な状況下で判断が求められるということ。当初、致死率や感染力などのウイルス特性は不明だった。そのような状況の中、企業は従業員の帰国の要否などを判断しなければならなかった。

 次に、判断にもスピードが求められるということ。表に示すように、おそらくほとんどの企業が報道などによって新型インフルエンザの疑い事案を覚知したのが4月25日。その3日後にはWHOの感染警告レベルがフェーズ4となり、その2日後にはフェーズ5に引き上げられた。また、後述するように5月5日時点で国内に感染者が存在していたとすれば、メキシコでの発生覚知から約10日でウイルスが日本に上陸したことになる。交通網が高度に発達した現代社会においては感染拡大は驚くほど速い。

 さらに、流行の状況は完全にとらえきれるものではないということ。5月16日に国内初の感染者が確認されたが、後の疫学調査では、厚生労働省が第2段階(国内発生早期)を宣言した時点で、関西地区では多くの感染者(厳密には発症者)が潜在的に存在していたことが判明している。流行の状況がとらえきれないという前提に立てば、強毒性ウイルスへの対応を念頭に置いた場合、あるいは不確実な状況下での判断を行う場合は、最悪を想定した対策を先行的に講じることの必要性が理解できよう。今回の政府など各機関の対策や市民の行動については一部に「過剰反応」との見方もあるが、少なくとも弱毒性と認識できない段階においては、このような危機管理の原則に基づく対応の考え方は否定されるものではない。

 今後の展開についてはいくつかの可能性が考えられる。まずは今秋の第2波への備えが必要だ。季節性インフルエンザと混合して流行するシナリオもあり得る。また、インフルエンザAがタミフル耐性を得るなど特性が変化、最悪の場合には強毒化するシナリオもあり得る。鳥インフルエンザ(H5N1)などの新たなウイルスによる新型インフルエンザの発生も可能性がないわけではない。

 では、企業はどのような考え方で対策を進めていくべきであろうか。冒頭に述べたように、シビアケースを前提とした計画と現実とのギャップによる混乱もあって、各方面からウイルスの毒性や致死率などのシビアリティ(重大度)に応じた計画の必要性が指摘されている。ただ、初期段階ではシビアリティが判明しない状況が多いことを踏まえると、まずは最悪のシナリオとなるシビアケースを前提に対策レベルを考えておき、そのレベルに至るまでの複数段階の対策オプションを準備しておく考え方が有効と筆者は考えている。

 ◆状況に応じて選択

 弱毒性と判明した場合には、どの対策を緩めればよいか、どのレベルまで緩めればよいかなど、その時々の状況に応じて対策オプションの中から実際に適用する対策を選択する。新型インフルエンザのシナリオは不確定性が高いため、柔軟に運用できるような計画を目指すべきである。そのためにも、事前に複数の対策オプションとその判断基準となるトリガー(要件)を可能な限り具体的に整理しておくとよいだろう。

 21世紀はウイルスとの闘いの世紀といわれている。今後、感染症対策を企業の危機管理の重要課題として位置付ける必要がある。インフルエンザAから何を学び、次の流行にどう備えるか、企業の危機管理能力が試されるのはこれからである。

新型インフルエンザ:企業の損失は2011億円 休校に伴う欠勤で−−東レ経営研試算

2009年06月13日 毎日新聞 東京朝刊

 東レ経営研究所は12日、新型インフルエンザが全国規模で発生して幼稚園や小学校の休園・休校が増えた場合、親が子供の面倒を見るために欠勤することで企業の経済的損失が2011億円に上るとの試算を発表した。

 自宅待機の子供を世話するため、共働き夫婦はどちらか一人が欠勤を余儀なくされ、企業側は業務の中断や代替要員の確保などの負担が生じる。

 同研究所によると、新型インフルエンザが集中した兵庫県と大阪府の場合、兵庫で93%、大阪で46%の園児や児童が1週間前後休み、企業の損失は兵庫が126億円、大阪が82億円に上った。同様の事態が首都圏で起きれば、企業の損失は570億円、全国では2000億円超に達するという。

 さらにウイルスが強毒性になった場合、子供の自宅待機が長引くため、損失は10〜100倍に膨らむという。同研究所は「突発的な事態に備えて、企業側は在宅勤務制度の導入拡大などを進める必要がある」と指摘している。【小倉祥徳】

「パンデミック、あと3年は続く」 WHO進藤医務官

2009年06月12日 asahi.com

写真:記者会見するWHOの進藤奈邦子医務官=11日、ジュネーブ、飯竹写す記者会見するWHOの進藤奈邦子医務官=11日、ジュネーブ、飯竹写す

 【ジュネーブ=飯竹恒一】世界保健機関(WHO)が11日に宣言した新型の豚インフルエンザの世界的大流行(パンデミック)の今後の見通しについて、WHOの新型インフル対策担当、進藤奈邦子医務官は同日、「3年程度は続く」と語った。

 進藤氏によると、世界的大流行を意味する今回の「フェーズ6」が終息したと判断するためには、感染による免疫やワクチン使用の効果により、「季節性インフルエンザと同じレベルにまで患者数が減少する必要がある」という。

 しかし新型の感染力は強く、今後、夏に向かう北半球で沈静化する保証はないうえ、大都市で沈静化が見られたとしても、そこから離れた地域に感染が広がる可能性も懸念されるという。

 さらに季節性インフルエンザと新型が同じ時期に流行する複雑な事態もありうるという。それぞれに対応したワクチンをどのように生産していくべきかの判断のためには、これから冬に向かってインフルエンザのシーズンが本格化する「南半球の状況を注視する必要がある」と話した。

ドイツの日本人学校、新型インフル感染者 46人に

2009年06月12日 AFP BB News 発信地:デュッセルドルフ/ドイツ

新型インフルエンザの集団感染が確認されたドイツ西部デュッセルドルフ(Duesseldorf)の日本人学校で、マスクをつけて正門を出る生徒(2009年6月12日撮影)。(c)AFP/DDP/HENNING KAISER

【6月12日 AFP】ドイツ西部デュッセルドルフ(Duesseldorf)の日本人学校で発生した新型インフルエンザA型(H1N1)の生徒への集団感染で、市当局は12日、これまでに検査で陽性反応を示した生徒は46人に上ったと発表した。このほか、保護者3人についても感染が確認された。

 同校で最初の感染者が確認されたのは8日で、これをうけ、学校は翌9日から臨時休校となっている。また、新型インフルエンザに感染した生徒については、自宅での隔離措置がとられている。新たに感染が確認された25人は、前週の遠足で感染したものとみられる。

 同校の在籍生徒数は560人。(c)AFP

新型インフルエンザ:ワクチン2500万人分 厚労省「年内に確保可能」

2009年06月10日 毎日新聞 東京朝刊

 厚生労働省は9日、新型インフルエンザのワクチンについて、年内に最大約2500万人分を確保できるとの試算を明らかにした。製造ラインを新型に振り向けるため、季節性インフルエンザのワクチンは、08年の約8割にあたる約4000万人分確保した段階で製造を打ち切ることになるという。

 新型インフルエンザ与党プロジェクトチーム座長の川崎二郎元厚労相は同省の報告を受け、国内で感染者が多い中高生ら10代と、医療関係者、妊婦や基礎疾患のある患者にワクチンを優先接種すべきだとの考えを示した。

 同省によると、季節性のワクチンは例年約5000万人分製造し、大半がシーズン中に消費される。次のシーズンは新型流行の恐れがあるため、既に始まっている季節性のワクチン製造を、どの時点で新型に切り替えるかが焦点になっている。

 試算によると、新型のワクチンを最優先にし、製造が可能になる7月中旬に切り替えた場合、12月末までに約2500万人分製造できる。季節性は約4000万人分となる。【清水健二、内橋寿明】

新型インフル:企業の損失437億円 休校時に親も休むと

2009年06月02日 毎日新聞

 新型インフルエンザの感染拡大を防ぐため、小学校や幼稚園、保育園が1週間休校すると、共働きの親のどちらかが仕事を休むことで企業が被る経済的損失は首都圏で437億円に上るとの試算を、富士通総研経済研究所(東京都港区)がまとめた。親が休まなくてもすむような国の保育・教育体制づくりが急務と指摘している。

 同研究所の渥美由喜(なおき)主任研究員は「家族看護」を理由に従業員が欠勤した場合、業務の中断や同僚による代替などにかかる費用を職場が被る損失コストとして試算。さらに、1人で家庭に居させることが不安な0歳から小学生までの子どもを持つ共働きの親の割合、子どもの数など厚生労働省のデータと組み合わせた。

 実際には、父母のどちらかが1週間すべて休めるケースは少ないとみて、平日5日のうち母が2日、父が1日、残り2日は祖父母などに預けたと仮定。その結果、経済的損失は東京都158億円、神奈川県113億円、千葉県87億円、埼玉県79億円とはじき出した。

 一方、今回の新型インフルエンザで休校休園が実施された兵庫県、大阪府では実際の休校休園数から児童、園児の数を割り出し共働き世帯の割合をもとに分析。兵庫県は109億3000万円、大阪府は70億6000万円の損失と試算した。

 渥美主任研究員は「共働き世帯を支える国や職場の体制は先進国の中で最も遅れている。強毒性の新型インフルエンザが流行すると、このままでは損失額は10〜100倍以上になるとみている」と話している。【石塚孝志】

新型インフルエンザ:影響で修学旅行中止・延期は2割−−文科省調査

2009年06月01日 毎日新聞 東京夕刊

 新型インフルエンザの影響で、5〜6月に国内への修学旅行を予定していた学校の約2割が中止・延期したことが文部科学省の調査で分かった。

 同省によると、5〜6月に修学旅行に出発予定だった公立の小中学校、高校は計1万3744校。うち1万2746校について先月22日現在の状況が判明した。中止・延期したのは2594校(20・4%)で、1089校(8・5%)が検討中と回答した。「中止・延期」とした学校の内訳は▽小学校1251校▽中学校1298校▽高校44校など。近畿地方が691校と最多で、関東地方652校、東海地方456校−−が続いた。

滋賀でも1人感染確認 新型インフル、国内計238人に

2009/05/20 中国新聞ニュース

 滋賀県は二十日、大津市に住む大学生の男性(23)が新型インフルエンザに感染していることを確認した。患者が出たのは大阪府と兵庫県以外では初めてで、地域はさらに広がった。このほか大阪、兵庫両府県でも同日、新たに四十四人が確認され、国内の感染者は計二百三十八人となった。

 新たな感染者には神戸市の感染症指定医療機関の市立医療センター中央市民病院に勤務する女性事務職員(25)も含まれていた。病院は「患者から感染した可能性は低い」としている。

 滋賀県によると、男性は立命館大びわこ・くさつキャンパス(同県草津市)に通う学生で、十五〜十七日に神戸市の親せき宅に宿泊。十七日夜、せきや三八度以上の発熱を発症した。十八日午前の講義に出席。十九日夕に発熱外来の診察や詳細(PCR)検査を受けた。

 治療薬タミフルを投与され、体温は三六度程度まで下がった。現在は入院している。

 大阪府や兵庫県では、多数の生徒が感染した関西大倉高校(大阪府茨木市)に通っている男子生徒(17)=高槻市=らが新たに感染した。

国内感染135人 新型インフル、学校から企業などに拡大

2009/05/18 中国新聞ニュース

 新型インフルエンザの国内発生は十八日、大阪府や兵庫県で新たに三十九人の感染者が確認され、成田空港の検疫段階で見つかった四人と合わせ、国内の感染者は計百三十五人となった。厚生労働省などが発表した。

 新たに感染者が見つかる学校や職場、地域が次々と表面化し、五歳男児や六十代男性が感染するなど年齢層も拡大。休校やイベント中止など市民生活への影響も広がった。二府県ではインフルエンザ症状を訴える人が相次ぎ、本格的な流行が始まった可能性がある。

 大阪府の橋下徹知事は十八日未明、新型インフルエンザの「流行警戒宣言」を出した。厚労省は両府県に休校を要請。大阪府内では私立も含めて休校となる小中高校や大学、幼稚園が全域で拡大した。兵庫県内も全域で休校が始まった。

 新たに確認された感染者は、三菱東京UFJ銀行三宮支店(神戸市中央区)の二十代の女性行員や、JR三ノ宮駅(同)の売店に勤める五十代の女性店員ら。三菱UFJは三宮支店の行員など約六十人を自宅待機にし、JRの複数の売店が休業した。

 国土交通省・豊岡河川国道事務所(兵庫県豊岡市)で働く委託会社の三十代男性社員の感染も明らかになった。

 このほか大阪府立柴島くにじま高校(大阪市)と同春日丘高校(茨木市)で生徒の感染が初めて確認された。多数の感染者が確認された私立関西大倉高校(茨木市)では、生徒や家族らに感染者が広がった。大阪府八尾市で、ほかの感染者との接触歴が判明していない小学六年女児が感染するなど特異なケースも出ている。

 週明けを迎えた駅ではマスク姿の通勤客が目立ち、各地で野球やボランティアイベントなどが中止された。

33都府県で中止や変更 関西への修学旅行、418校に拡大

2009/05/18 中国新聞ニュース

 新型インフルエンザの感染が広がる関西地方への修学旅行を中止、延期したり行き先の変更を決める小中高校が全国で相次ぎ、国内での発生が初めて確認された十六日以降、少なくとも三十三都府県の四百十八校に上ることが十八日、共同通信のまとめで分かった。

 「検討中」とする自治体や学校も多く、今後さらに旅行を見合わせる学校は増えるとみられる。

 神戸に約二時間滞在したことなどを理由に旅行後の生徒を出席停止にした学校もあり、過剰反応との指摘も出そうだ。

 調査は十八日、各都道府県教委を通じて把握している小学校、中学校、高校の校数を集計、各校には理由などについて個別に取材した。

 見合わせた学校は大多数が中止ではなく出発延期を選んでいた。予定した行き先は大阪や神戸とともに京都や奈良方面が多く、行き先を変更して旅行は実施するとしたところもあった。大阪へ旅行予定の学校は、多くがユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)を旅程に組み込んでいた。

 福井県で延期した五十二校もほとんどがUSJ行きを計画。十九日に出発予定だった福井市立鶉小学校の松村良行まつむら・よしゆき教頭は「出発が迫っており行程変更の時間がなかった。子供たちが楽しみにしていたので残念」と話す。

 福岡市の海星女子学院付属小学校は、神戸市などから戻った児童ら三十九人を出席停止にした。神戸では、姉妹校との交流で約二時間過ごしただけ。同校では「姉妹校が休校となったので大事を取った」としている。

感染2府県40人に拡大 新型インフルエンザ

2009/05/17 中国新聞ニュース

 厚生労働省は十七日、大阪府の高校生九人と兵庫県の高校生や教諭ら二十三人の新型インフルエンザ感染を、国立感染症研究所の確定検査などで新たに確認したと発表した。成田空港での水際の検疫で見つかった四人を除く国内感染者は、二府県で計四十人となった。

 二府県で公立の小中高や保育所・幼稚園など少なくとも五百七十校・園の臨時休校が決まるなど、週明けを控え市民生活にも影響が広がりそうだ。

 同じ学校の生徒や教諭が複数感染しており、学校単位で集団感染が起きた可能性が高まった。兵庫県内では感染地域も神戸市以外に広がった。

 大阪府によると、感染が確認された九人は私立関西大倉高校(大阪府茨木市)の一―三年の男子六人、女子三人。茨木市に四人、吹田市に三人、豊中市と大阪市に一人ずつ居住。十三日から十五日にかけて熱やのどの痛みを訴え、医療機関で受診し入院中。いずれも海外渡航歴はない。

 関西大倉高校によると、今月に入り発熱などで生徒百四十三人が欠席。体調不良を訴える教職員も相次いでいた。同校は十八日から二十三日まで学校閉鎖する。

 府内で初の感染確認を受け、大阪府の橋下徹知事は十七日午前、対策本部会議を開催し、一部地域で学校の臨時休校や映画館の休業を要請することを確認した。

 兵庫県で新たに確認された感染者のうち四人は、県立神戸高校二―三年の男子三人と女子一人。うち男子二人は、前日感染が確認された三年の男子生徒と同じバレーボール部員。このほか、七人は高校生の男女四人と十代の高専生、大学生、四十代の男性教諭。

 水際の検疫では、カナダから成田空港に帰国した大阪府寝屋川市の高校生ら四人の感染が確認され、十七日までに三人が退院した。

新型インフル:大阪の高校も動揺 100人症状訴え

2009年05月17日 毎日新聞

 大阪府でも16日、私立高校の生徒ら9人の新型インフルエンザ感染が濃厚になった。大阪府などによると、症状を訴えるなどしている生徒は系列の中学を含めて約100人に上る。感染が大勢に拡大している可能性があり、関係者に緊張感が走った。高校の校長は同日夜、感染濃厚の生徒に「頑張ってほしい。学校として最大限守ってあげたい」と呼びかけた。

 生徒が通う茨木市の私立高校では午後8時10分から、校長らが記者会見。校長は「予想していないことが現実になり、とても残念だ。これからの危機管理を含めたチェックを徹底したい」と苦渋の表情を見せた。同校では、インフルエンザと診断された生徒が2年生に多かったため、13日、3日間の2年の学年閉鎖を決めた。その学年閉鎖は16日に解除。今回の事態は、2年生が登校を再開したばかりの判明だった。

 最初に感染濃厚となった女子生徒(16)は午後8時半ごろ、大阪府豊中市の市立豊中病院に搬送され、感染症病棟(14床)の個室に入院した。病院の説明では、女子生徒は搬送された時、38.4度の熱があったが、話ができて元気という。

 女子生徒が住む豊中市は市立小中学校の休校や市主催行事の中止などを決定。浅利敬一郎市長は市民に冷静な対応を呼びかけた。17日、市内の診療施設に発熱外来を開設する。また、私立高校のある茨木市は16日、17日に出発予定だった市立中学1校の修学旅行の延期を決めた。

 大阪府では午後8時から、笹井康典・健康医療部長らが記者会見。笹井部長は「準備はしていたが……」と疲れ切った表情で話した。豊中市に隣接する大阪市の平松邦夫市長は「大阪市内で発生したのと同じ認識で対応を」と職員に指示した。学校の休校やイベントの自粛要請などは、17日以降に判断する。

神戸で初の国内発生、新型インフル 高校生8人、感染拡大

2009/05/17 中国新聞ニュース

 厚生労働省は十六日、神戸市の十代後半の男性が、国立感染症研究所の確定検査で新型インフルエンザに感染していることを確認したと発表した。空港などの水際ではなく、国内での初の発生。同日夜には同省や神戸市が、七人が新たに新型インフルエンザに感染していることが確認されたと発表した。

 厚労省当局者などによると、感染が確認された計八人のうち三人は兵庫県立神戸高校(神戸市灘区)の三年男子(17)、二年男子(16)、二年女子(16)。残る五人は、スポーツの交流試合をしていた県立兵庫高校(同市長田区)の女子。いずれも最近の海外渡航歴はなかった。「人から人」への感染拡大の恐れが高まった。

 十六日はこのほかにも兵庫県や大阪府などで疑い例が相次いだ。

 政府の行動計画は十六日、第一段階(海外発生期)から第二段階(国内発生早期)に移行した。

 厚労省や神戸市によると、最初に感染が確定した三年の男子生徒は、十二日に三七・四度の熱が出て医療機関で受診、簡易検査でA型陽性になった。市が十五日に詳細(PCR)検査し、新型陽性の結果が出た。十六日未明、市内の感染症指定医療機関に入院した。

 この生徒はバレーボール部に所属し、最近周囲でインフルエンザが流行していたという。

 大阪府も十六日、同府茨木市内の高校二年の女子生徒=同府豊中市=が短時間で調べられるリアルタイム詳細検査で新型陽性となったと発表。国立感染症研究所で確定検査する。

 神戸市は、神戸高校で生徒十七人が体調不良を訴え、うち九人の詳細検査を実施すると発表。九人中五人は簡易検査でA型インフルエンザ陽性が出ていた。

 兵庫県と神戸市は十六日、市内の一部地域で、公立学校の七日間休校やイベントの中止、市民への外出自粛要請などを決めた。神戸高校は全生徒に自宅待機を求めた。

感染防止に時差通勤、通学 新型インフル、第2段階に

2009/05/17 中国新聞ニュース

 政府は十六日、新型インフルエンザが日本国内で初めて発生したのを受け、対策本部の幹事会を首相官邸で開き、患者や患者と濃厚に接触した人が活動した地域の企業や学校に対し、時差通勤や通学を容認するよう求めるなどの感染拡大防止策を決定した。

 政府の行動計画に基づく新型インフルエンザの状態が、第一段階(海外発生期)から第二段階(国内発生早期)に移行したことに伴う措置。ウイルスが「弱毒性」であることを踏まえ、外出自粛やイベント中止、企業活動縮小要請などの強力な対応は見送った。

 河村建夫官房長官は幹事会で「新しい局面を迎えた。患者の行動や濃厚接触者に対する調査を徹底し、感染拡大防止に万全を期してほしい」と指示。会合後、記者団に「国民には人込みではマスクを着け、手洗い、うがいを徹底していただきたい」と呼び掛けた。

 政府は十八日午前、麻生太郎首相と各閣僚が出席して官邸で新型インフルエンザ対策本部の会合を開き、防止策の徹底を確認する。

 幹事会では、治療薬の円滑な流通確保など、国内発生に対応した医療態勢整備を急ぐ方針を確認。患者らの活動地域について(1)集会、スポーツ大会などの主催者に対し、開催の必要性を再検討するよう要請(2)患者が小中高校の児童、生徒である場合、地域の一部、または全域、場合によっては都道府県全域で休校を要請―などの措置を取る方針も併せて決めた。

国内拡大、防げるか 「本番」迎えた官民対策

2009/05/17 中国新聞ニュース

 国内で初めて発生が確認された新型インフルエンザ。最初に感染が疑われ、十六日確認された神戸市の高校生三人はいずれも海外渡航歴がなく感染源は不明だ。三人が通う学校などでは数十人が体調を崩し集団感染の可能性もあるが範囲も判然とせず、準備を重ねてきたはずの行政からは「想定外」との言葉が漏れる。感染拡大は防げるのか。官民の対策は本番を迎えた。

 ▽混乱

 「神戸市の発表内容しか分からない」。同市の男子高校生に感染の疑いがあると伝えられて一夜明けた十六日朝、厚生労働省の担当者は報道陣の質問の多くに答えられず、実態を把握できていない姿を露呈した。

 「時間の問題」(舛添要一ますぞえ・よういち厚労相)と構えていた国内発生第一号。新型感染を疑う条件の一つに、発熱などの症状に加え「海外渡航経験」があり、三人がこの条件に当てはまらなかった。さらに、うち一人の検体は季節性インフルエンザのタイプ特定のため、遺伝子の詳細(PCR)検査に回され、偶然新型の「陽性」が発覚したことが混乱を招いた。

 厚労省は今後渡航の有無にかかわらず集団で感染が疑われるケースなどの発生情報を寄せてほしいと呼び掛ける構えだ。だが担当者からは「(報告の)基準を緩めると、『季節性』もすべて疑わねばならず加減が難しい」との声も。実際、十六日のうちに大阪府では約百人が症状を訴える事態となっている。

 ▽不足

 最初の男子高校生の検体は十二日夕に神戸市環境保健研究所に届いた。だが研究所にはPCR検査機器が一台だけ。同市で起きた食中毒の原因特定などが優先されて検査は後回しにされ結果判明は十五日夜になった。

 神戸市によれば、昨年国のガイドラインでこの機器を使ったインフルエンザのPCR検査が認められたことから検査回数が増加。担当者は「約四時間半かかる検査を昨年は一日平均二、三回行ったが、最近は二十四時間フル稼働で、もう一台購入しようとしたところだった」と話す。

 神戸市を含む近畿と周辺の二府七県八市は衛生研究所間で相互協力協定を結んでおり、神戸市の担当者は「今後ほかの研究所に応援を頼むかもしれない」と話すが、今後感染が拡大すれば、よその検体を調べる余裕もなくなる可能性がある。

 鈴木宏すずき・ひろし新潟大教授(公衆衛生学)は「感染症検査には機器も人材も足りない。今回の件を機に国は充実を図るべきだ」と指摘する。

 ▽兼ね合い

 ウイルスの「上陸」が現実になった今、対策の焦点はいかに感染拡大を抑えながら社会機能を維持するかに移る。

 JR各社や航空会社は当面通常通りの運行を続ける。東海道新幹線を運行するJR東海は、乗務員ら約八千人の四十日分のマスク、計三十二万枚を備蓄。JR東日本も接客用の防護メガネやマスクを準備し、京成電鉄は車内を消毒する準備も整えた。日航や全日空は、国際線の一部の便で、客室乗務員のマスク着用を義務化している。

 国の行動計画では強毒性のウイルス感染を前提に、学校の生徒が感染した場合は当該都道府県内のすべての学校の休校を想定したが、今回はウイルスが弱毒性であることを理由に当面、神戸市の一部と隣接する兵庫県芦屋市の教育施設などに休校対象は限定された。

 「命と健康を守ることが一番大切だが、経済活動や個人の自由の尊重との一番いい兼ね合いを判断しなければ」。未曾有の不況の中、舛添厚労相は経済面への配慮をにじませる。だがその線引きには踏み込まず、手探りの対応は始まったばかりだ。

従業員がマスク着用へ 感染地域の流通、鉄道業

2009/05/17 中国新聞ニュース

 神戸市で十六日、国内初の新型インフルエンザ発生が確認されたことから、多数の人が出入りする流通、鉄道関連の企業を中心に情報収集や対応策の検討に追われた。

 流通各社は消費者の利便性確保のため営業を続けたまま、店員がマスクをして感染拡大を防ぐ対応策で乗り切る構え。

 大手コンビニチェーンのセブン―イレブン・ジャパンは、神戸市内の九十五ある全店で店員が十七日からマスクを着用することを義務付け。本社から十六日に約二万枚のマスクを現地に発送した。ファミリーマートも感染が確認された地域周辺の約百四十店舗で、従業員にマスク着用を義務付ける方向で調整中。大手スーパーのイトーヨーカ堂も近畿地方の全十一店で食品売り場の店員が十七日からマスクを着用する。イオン傘下のスーパーなどでは、神戸市内のダイエー十店、光洋三店、ビブレ一店でも店員がマスクを着用し、顧客にもマスク着用を勧め、店頭に除菌スプレーなども用意する。

 このほか、神戸市中央区の百貨店、大丸神戸店は、十六日予定していた屋外ファッションショーを中止する影響も出た。

 生活に密着したインフラ関係の企業では、関西電力が、感染の拡大で多数の欠勤者が出る事態を想定して電力供給を維持するための人員配置を研究中。

 阪神電気鉄道は全線で、阪急電鉄も神戸線で乗務員のマスク着用を決めた。二社は神戸方面の各駅の係員や売店の店員にも着用を指示。阪急は駅のポスターなどを通じて乗客にも着用を呼び掛けた。日本郵政傘下の郵便局会社でも、感染者が出た近くの郵便局では窓口対応時に職員のマスク着用義務付けを週明けにも決める方針だ。

 製造業では、東芝が本社や工場など全国の事業拠点で来客に対し、インフルエンザの症状があるかどうかという調査票に記入を求めることにした。社内では、不急の会議を自粛し、電話や電子メールで連絡をとるよう徹底させる。

 多くの社員が神戸市周辺に居住しているパナソニックや、兵庫県内に多数の工場を持つ三菱電機が対応策を協議。三菱は海外渡航歴がある社員で三七・五度以上の熱がある場合は自宅待機としていたが、渡航歴がない社員にも対象を拡大するかどうかを検討している。

新型インフル8470人感染、73人死亡 40カ国・地域

2009/05/17 中国新聞ニュース

 新型インフルエンザの感染者数は日本時間十六日午後十時半現在、四十カ国・地域で計八千四百七十人となった。死者は四カ国で計七十三人。

 トルコとインドで初の感染者が確認された。

 米国で死者が一人増え、感染者はカナダで四十七人、日本で八人、パナマで四人、スペインで三人、マレーシアで一人増えた。(共同)

新型インフル「国内発生早期」、政府が対策レベル引き上げへ

2009年05月16日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 神戸市内の高校生から採取したウイルスが、新型インフルエンザと確認されたのを受け、政府は16日午後に対策本部幹事会を開き、行動計画の対策レベルを「海外発生期」から「国内発生早期」へと引き上げる見通しだ。

 今後の調査で、同高校以外でも複数の患者が見つかり始めた場合、対策はもう1段階引き上げられ、「感染拡大期」へと進む。

 「国内発生早期」の対策は、国内での感染拡大を出来る限り抑えることが狙いだ。現行の行動計画によれば、患者に接触した人の追跡調査や水際対策の継続に加え、〈1〉医療機関での発熱外来整備〈2〉学校などの休校要請〈3〉不要不急の外出自粛要請〈4〉集会などの自粛要請〈5〉企業への業務縮小要請――などの厳しい対策が実行に移される。

 しかし、今回の新型ウイルスの病原性は、通常の季節性インフルエンザ並みと見られている。強毒性の鳥インフルエンザを想定した行動計画を実施すれば、経済・社会への影響が必要以上に大きくなる恐れがあるため、政府の対策本部は、新型ウイルスの特徴に合わせた弾力的な対処方針を決める見通しだ。

発熱外来設置に300万補助 府補正予算案

2009年05月16日 大阪日日新聞

 大阪府は十五日、二〇〇九年度五月補正予算案を発表した。政府の経済危機対策による臨時交付金を活用した公共事業の前倒し実施や新型インフルエンザ対策の強化などにより、一般会計で百二十億三千七百万円を増額補正した。

 建設事業費は歳出の約98%で、百十七億六千八百万円。次年度以降に予定していた道路と鉄道の立体交差などの交通対策の推進(五十億六千七百万円)や治水対策の推進(三十二億三千百万円)などに取り組む。国による「公共投資臨時交付金」を活用し、地方負担を二割程度に抑えることが可能と見ている。

 橋下徹知事が廃止を訴えている国直轄事業でも負担金として大和川スーパー堤防や第二阪和道路の整備など三項目で二十七億七千四百万円を計上。担当者は今回の事業の必要性を認めた上で、「十分な情報開示がないと払わないというスタンスは変わっていない」としている。

 新型インフルエンザ対策は二億一千万円を計上し、発熱外来の設置時に補助金(一カ所最大三百万円)を支給するほか、個人防護服三万五千セットも購入。発熱外来の設置のための補助金制度は都道府県では初めてという。同案は五月議会に提出される。

神戸で新型インフル、部活禁止で1000人外出自粛

2009年05月16日 読売新聞 Yomiuri On-Line

高校長「まさか」市長は冷静対応呼びかけ

 新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)の感染が水際の検疫以外で初めて確認された16日、関係者は未明から対応に追われた。

 感染が確認された高校生の通う神戸市内の県立高校では体調不良を訴える同級生がほかにも出ており、市内では学校の休校やイベントの中止も決まった。市幹部は「想定外の事態」と表情を曇らせるが、厚生労働省幹部は「海外で感染者が増え続ける中、日本だけ水際で止められるわけはない。大事なのは感染を拡大させないこと」と冷静に受け止めた。

 「(通常の)季節性インフルエンザに近い症状。タミフルなどの治療薬も有効なので、冷静に対応してください」

 神戸市の矢田立郎市長は16日午前8時50分からの記者会見で緊急メッセージを読み上げた。市民の不安をあおらないよう注意を払いながら、手洗いやうがいの励行、マスク着用、不要不急の外出自粛などを求めた。

 渡航歴のない市内の高校生に感染の疑いが浮上したと神戸市が発表したのは同日午前1時10分頃。市幹部は「(海外渡航者の診察窓口となる)発熱外来から患者が出るのが通常と考えており、予想外」と話した。

 市では、この高校生の通う県立高校に近い同市東灘、灘、中央区にある学校の休校や、16、17日に開催予定だった神戸まつりのメーンパレードなどを中止することを決定した。一方、市の「発熱相談センター」には、16日朝から「自分も渡航歴はないが熱がある」「医療機関で診てもらえるのか」などの相談が殺到。市では、電話回線を3回線から9回線に増やして対応した。

 厚労省の担当者も「初の感染者は発生国から帰国して健康観察の対象になっている人から見つかると思っていた」と驚く。だが、「濃厚接触者の中に健康観察の対象者がいる可能性もある。今は、全力で調査に集中したい」と話した。

同級生ら、8日以降に発熱・せき

 感染が確定した生徒らが通う県立高校は16日未明から校長ら幹部が集まり、対応を検討。16、17日の部活動の禁止を決め、全校生徒約1000人には外出を自粛するよう連絡を始めた。

 同校によると、感染の確認された生徒が所属するバレーボール部の部員を中心に今月8日以降、発熱やせきなどの症状が出始め、インフルエンザの症状を訴える生徒も17人いるという。大型連休中、海外旅行をした生徒は数人いたが、その中には体調不良を訴える者はいなかった。

 校長は「今週初めから欠席者が多かったが、まさか新型の可能性があるとは」と驚いた様子で話した。

 一方、「神戸まつり」のイベントが中止となった神戸市中央区の東遊園地では、前日までに設営していた飲食店など約70の出店を業者が次々と撤去。たこ焼き店を片づけていた店主の鹿野辰也さん(45)は「新型インフルエンザの影響の大きさを身をもって感じた。予報が雨だったので食材をあまり仕入れていなかったのが唯一の救い」と言い聞かせるように話した。

週末急転 街に動揺も 新型インフル感染 『神戸まつり』中止

2009年05月16日 東京新聞 夕刊

神戸まつりが中止となりメーンのフラワーロードに面する東遊園地では屋台の撤去作業が始まった=16日午前9時44分、神戸市中央区で

 「新型は既に広がっているのか」−。神戸市東部の公立高校生が新型インフルエンザに感染していることが確認された十六日、生徒が通う学校は教職員らが慌ただしく出入りし、自宅待機となった生徒らは「まさか」と驚きと不安を口にした。十五日開幕した「神戸まつり」も一部の区まつりやメーン行事が中止になるなど市民らに衝撃と動揺が広がった。東京都なども推移を見守っている。 

 神戸まつりの区まつりのうち中央区など三区は中止に。中央区の「ふれあい中央カーニバル」の会場となる三宮・東遊園地では午前九時前、中止を知らせる張り紙が掲示された。

 出店者への連絡に追われた神戸フリーマーケット協会の堂園光啓さん(56)は「信じられない」と絶句。屋台の撤収も始まり、露天商の黒田慈行さん(21)は「二十万円の仕入れが無駄になった」と肩を落とした。

 十七日のおまつりパレードなども中止となり、市民提案型イベントに参加予定だった男性(59)は「準備をしていたのに残念」と話していた。

◆『手打ったが…』校長沈痛

 新型インフルエンザに感染した生徒が通う神戸市東部の公立高校では、校長が報道陣の取材に「打つべき手は打ってきたが…」と、沈痛な面持ちで答えた。

 校長によると、五月に入り生徒の欠席が増え、十三日から健康観察を始めた。同日からの三日間で計十二人が季節性のインフルエンザと診断され、十五日には発熱で数人が早退したという。五月に海外渡航した生徒はいないというが、家族の渡航までは把握しきれていない。この日、週末の部活動を取りやめ、生徒の自宅待機を決定。生徒約千人に伝える作業に追われた。同校には報道陣が集まる中、教職員らが次々に出勤。自宅待機を知らずに登校する生徒もいた。

 一年の女子生徒(15)宅には十六日午前六時四十分ごろ、自宅待機の電話連絡があった。「欠席が増えていたがみんな一般のインフルエンザだと思っていた。まさか自分の高校で新型感染の疑いなんて」と驚いていた。

◆『渡航歴なし』検査後回し 神戸市 生徒の検体3日放置

 新型インフルエンザに感染した神戸市内の高校三年男子生徒の検体は、診察した医師が十二日に提出していたが、実際に詳細(PCR)検査が行われたのは三日後の十五日だった。神戸市医師会は、対応の遅れを指摘している。

 同市によると、生徒を診察した医師は、生徒に海外渡航歴がなかったことから、季節性インフルエンザのソ連型か香港型か−の検査を要請したという。市は「発熱外来の検査を優先するのでいいか」と医師に確認した上で、検査を後回しにしたとしている。

 市医師会は十二日、新型インフルエンザ対策会議で、複数の学校でA型の季節性インフルエンザが流行しているとの報告を注視。「おかしいと思えば検体を提出し検査を」と医師らに促していた。市医師会は「発熱外来の受診者の検査やノロウイルスの検査もあったのでやむを得ない面はあったが、結果的にタイムラグができてしまった」と対応に課題を残したとしている。

新型インフルエンザ:季節性ワクチン重視の姿勢示す−−WHO事務局長

2009年05月16日 毎日新聞

 【ジュネーブ澤田克己】世界保健機関(WHO)のマーガレット・チャン事務局長は15日、「警戒度がフェーズ6になっても、自動的に(季節性インフルエンザワクチンの生産をやめて)新型用ワクチン生産を始めることにはならない」と述べた。当面は、季節性用ワクチンの生産を重視する姿勢を示したものといえる。新型インフルエンザウイルスの検体提供に関する政府間会合で語った。

新型インフルエンザ:米国内「10万人超感染」 軽症で未受診多く−−CDC推計

2009年05月16日 毎日新聞

 【ワシントン小松健一】米疾病対策センター(CDC)のジャーニガン・インフルエンザ部副部長は15日の記者会見で、米国内の感染者が公式集計よりはるかに多く、現在の実際の感染者は「全米の症状の広がりからみて、10万人以上と言ってもいいだろう」との見解を明らかにした。

 CDCが感染実態の推計を示したのは初めて。これまでも、(1)感染しても軽症のため医師の診察を受けない人も多い(2)地方によっては感染の検査をしていない−−などの理由から、CDCの集計は「氷山の一角」との認識を示していた。

 ジャーニガン副部長は全米で例年、季節性インフルエンザに感染する人が、人口の7〜10%にあたる2100万〜3000万人に上ると指摘。新型インフルエンザについては、4月からの感染の拡大状況などから「10万人以上」と推計できるという。「米国のいくつかの地域では数千人が感染したと疑われる報告もある」とも語り、全米の実態調査を続けているという。

新型インフル:別のウイルスも流行か メキシコの専門家

2009年05月16日 毎日新聞

 【メキシコ市・庭田学】メキシコ国立自治大学・生命工学研究所のカルロス・アリアス所長(ウイルス学)は14日、メキシコでは新型インフルエンザ流行と並行して、別の病原による流行が発生している可能性を指摘した。毎日新聞のインタビューに答えた。同国政府も15日、「二つのインフルエンザウイルスに同時感染し、重症になっている可能性がある」と発表。メキシコでの新型インフルエンザの死者が他国より多い原因の一つではないかとみて調べている。

 15日会見した政府系医療機関のポンセ医師によると、国内専門家が「一般的ではない症例」などについて協議。新型インフルエンザと同時に、H3N2型(A香港型)やB型のインフルエンザなど別のウイルスに感染している可能性があるとの見方が強まったという。ポンセ医師は、「いくつかの重症ケースはこれで説明がつくかもしれない。複数のウイルスが存在し、非常に複雑な流行だ」と語った。

 アリアス所長も「メキシコの状況は複数の病原が全体的な流行を引き起こしていると考えられる」と指摘。新型インフルエンザや季節性インフルエンザが変異した可能性のほか、「まだ知られていない異なるインフルエンザウイルスが原因で死亡者が増えている可能性もある」と述べた。新型インフルエンザ以外の肺炎による死亡者が例年より多くなっているが、原因が分かっていないという。

【新型インフル】マレーシアでも感染確認

2009.05.15 MSN産経新聞

 マレーシア政府は15日、米国から帰国した男性の学生(21)が新型インフルエンザに感染していることが確認されたと発表した。マレーシアでの確認は初めて。

 東南アジアではこれまでにタイで感染者が確認されており、これで2カ国目となる。(共同)

【新型インフル】コピー薬売買で基本合意 インド製薬会社とメキシコ

2009.05.14 MSN産経新聞
2009.5.14 23:15

 インドの製薬会社シプラ社が、新型インフルエンザの治療に効果がある抗ウイルス薬タミフルのコピー薬をメキシコに売ることで同国政府と基本合意したと、14日付の英紙フィナンシャル・タイムズが伝えた。

 コピー薬の販売は、知的所有権を持つ製薬会社から訴訟などを起こされる可能性があり、同社幹部は訴訟を起こされた場合の補償を取引先国の政府が約束した場合にのみ、コピー薬を売るとしている。

 タミフルなど抗ウイルス薬をめぐっては、途上国などが人道的観点から、製薬会社の知的所有権保護を緩和するよう求める声が高まっている。シプラ社は、メキシコのほかに、南米や中東、アフリカの国ともコピー薬の販売交渉を進めているという。(共同)

【新型インフル】「3分の1が発熱せず」 検診の米国医師

2009.05.14 MSN産経新聞

 メキシコ市の病院で新型インフルエンザの感染者を調べた米国の医師が「患者のうち約3分の1に発熱がなかった」との報告をまとめた。米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)が13日、報じた。

 発熱はインフルエンザの感染を見分ける重要な指標とされる。報告が事実なら、感染の早期発見と拡大防止が、これまで考えられていた以上に困難になる可能性がありそうだ。

 同医師はメキシコ市の2つの病院で5月上旬、4日間にわたって検診に当たった。報告によると、重症者の多くは高熱を出したが、症状が軽い患者の半数ほどは発熱がなかった。せきや倦怠(けんたい)感は、ほぼすべての患者が訴えた。

 また、患者の約12%が激しい下痢を起こしたという。同医師は、患者の便に新型インフルエンザウイルスが含まれているかどうか調べるようメキシコ側に促したと説明。「ウイルスが便を介して伝染すれば、特に発展途上国での感染拡大の抑止は難しくなるだろう」と話した。(共同)

【新型インフル】すでに変異の可能性 ワクチン製造に影響か

2009.05.14 MSN産経新聞

 メキシコのコルドバ保健相は13日、同国で感染が拡大した新型インフルエンザのウイルスがすでに変異した可能性があるとの見方を示した。また、このウイルスがエイズウイルスよりも変異しやすいとも指摘し、ワクチン製造が困難になり得るとの懸念を示した。変異が事実とすれば、各国のワクチン製造にも影響を与えそうだ。

 保健相は、変異により、今回のウイルスに2つのタイプがある可能性があるとも指摘したが、一方で「(変異したという)科学的な完全な証拠はない」とも述べた。

 また、変異についての研究が進めば「なぜウイルスがある患者に対しては攻撃的で、別の患者では穏やかなのかを説明するのに役立つ」とした。(共同)

新型インフルエンザ:日本メキシコ友好に冷や水 交流400年イベント、中止相次ぐ

2009年05月14日 毎日新聞 東京夕刊

 【メキシコ市・庭田学】メキシコで発生した新型インフルエンザの影響で、今年の日本メキシコ交流400周年のイベントが中止されるケースが出ている。2年間で約100件のイベントが実施される見込みで、在メキシコ日本大使館は新型インフルエンザの沈静化に期待している。

 日本とメキシコが初めて接触したのは1609年。フィリピン総督代理だったメキシコ人ビベロが、台風で千葉県御宿町に漂着し、住民から手厚い保護を受けた。翌1610年、ビベロは徳川幕府から船を与えられ、メキシコに帰還。これが両国交流の始まりとして、400周年に当たる09〜10年、2年間にわたる各種イベントが両国で計画されている。

 メキシコでは今年2月に正式スタート。しかし、2カ月後に新型インフルエンザが発生した。メキシコ在住のバイオリニスト、黒沼ユリ子さんは、5月5日からビベロゆかりの御宿町や東京都内で、主宰する音楽院の教え子らとともにコンサートを開催する予定だった。

 しかし、日本に出発する直前、「メキシコに帰って来られなくなるかもしれない」と訪日を断念。交流400周年のコンサートは無期延期となった。

 一方、今月6日からメキシコ中部ハリスコ州で1カ月間にわたる恒例の「5月文化祭」が始まり、今年は日本をテーマにしていたが、日本からのゲストが次々に訪問をキャンセル。邦楽コンサートなど多くのイベントが中止になった。小野正昭・駐メキシコ大使も開会式出席を見送った。

 黒沼さんは「不可抗力の自然災害だと思うしかない。友好のためのイベントが逆効果になっていたかもしれず、コンサート中止は正しい判断だったと思う」と話している。

発熱外来、全国で793カ所に 厚労省が集計

2009/05/12 47News【共同通信】

 厚生労働省は12日、新型インフルエンザ感染の疑いのある人が受診する「発熱外来」について、11日現在で47都道府県に計793カ所設置されたとする集計結果を発表した。

 設置数は東京都が最多の64。次いで長野県56、茨城県50、北海道43など。最も少ないのは奈良県の3で、富山県4、石川、佐賀、沖縄3県の5などが続く。

 発熱外来は、新型インフルエンザ患者とほかの患者との接触を少なくして感染拡大を防ぎ、新型に特化した診療を行うことを目的に整備される。国の対策ガイドラインでは、交通や地理的条件で分けられた「2次医療圏」ごとに設けるよう自治体に求めている。

過去に類似ウイルス感染? 新型インフル 高齢者に免疫の可能性

2009/05/09 Fuji Sankei Business i

メキシコ市内の料理店で、客の注文を確認するマスク姿のシェフ。新型インフルエンザは地域経済にも影響が広がっており、一日も早い構造解明が待たれる(ブルームバーグ)

 新型インフルエンザ・ウイルスは、10年以上前に人から豚に感染したウイルスが豚の体内で変異した−。米国で発表されたこの研究結果に基づけば、新型ウイルスがなぜ高齢者より30〜40代の人に感染しやすいのかが説明できるかもしれない。

 米セントルイス大学のインフルエンザ専門家、ロバート・ベルシェ氏は、70年前に新型インフルエンザ・ウイルスの原型に感染した経験がある高齢者は、新型インフルエンザに何らかの免疫を持っている可能性があると説明する。

 米疾病対策センター(CDC)によると、インフルエンザで入院した人のうち30〜44歳の年齢層が占める割合は、通常の季節性インフルエンザより新型インフルエンザの方が高かった。ベルシェ氏は、このことが若年成人は高齢者より新型インフルエンザ・ウイルスに対する抵抗力が小さいことを示唆していると指摘する。

 「高齢者はおそらく1930〜40年代、類似のウイルスに感染したのではないか」。ベルシェ氏は7日の電話インタビューでこう話し、「高齢者は季節性インフルエンザへの感染で免疫ができた可能性がある」と指摘した。

 一方、ファティマ・ダウッド氏率いるCDCの研究グループが7日に発表した研究結果では、米国で新型インフルエンザへの感染が確認された人のうち、51歳以上の患者の割合は5%で、およそ6割が18歳以下だった。

 CDCは現在、10代の感染者が多い理由を調査しているが、ダウッド氏は公衆衛生当局が学校で感染状況を調査したため、若年層での症例が多く報告されて、高齢者の感染は見逃された可能性があると説明する。

 ジョージ・ワシントン大学の研究者、ローン・シモンセン氏は、通常の季節性インフルエンザは、主に幼児や高齢者に深刻な症状をもたらす傾向があるが、過去の世界的大流行では状況が異なると話す。

 例えば1918年に流行したスペイン風邪は推計5000万人の犠牲者を出したが、デンマークのコペンハーゲンに残る記録では、20〜40歳の若年成人がこのウイルスに脆弱(ぜいじゃく)だった。

 シモンセン氏は、公衆衛生当局は幼年・高齢者といった通常のリスク層より、第一感染者の多い年齢層への優先的なワクチン接種を検討すべきだということが示唆されると語る。(John Lauerman)

新型インフル 日本初の感染者確認、大阪の高校生ら3人

2009/05/09 中国新聞ニュース

 厚生労働省は九日、成田空港で日本初の新型インフルエンザ感染者が確認されたと発表した。大阪府在住の男子高校生二人と四十代の男性教諭の計三人で、四月末からカナダのオークビルに短期留学で滞在し、八日に米デトロイトから成田に到着した。

 三人は到着後の機内検疫で感染の疑いが判明、感染症指定医療機関の成田赤十字病院(千葉県成田市)に搬送、隔離された。国立感染症研究所の検査の結果、新型ウイルスに陽性反応を示し、感染が確定した。入国前の検疫の段階ながら、日本で感染者が確認されたのは初めて。

 厚労省は「水際で発見、隔離したため入国扱いにならず、国内での発生とは見なさない」としているが、新型インフルエンザが日本でも広がる事態が迫っていることが浮き彫りになった形だ。

 厚労省によると、男子高校生ら三人は、八日午後四時半ごろ、デトロイト発のノースウエスト便で成田空港に到着。発熱やせきなどの症状があるという。簡易検査でA型インフルエンザの陽性反応が出たため、感染研などで詳しく調べていた。

 短期留学には、感染が確認された高校生や教諭を含め計三十六人が参加していた。同機には乗客乗員計四百十人が搭乗。うち同行の高校関係者を含む四十九人が待機している。

 日本人の新型感染は、八日に明らかになった米国イリノイ州シカゴ在住の男児(6)が初。今回の三人が確認されたことで計四人となった。

感染者千人超、死者27人 新型インフル、ウイルス4種混合

2009/05/05 中国新聞ニュース

 新型インフルエンザの感染は四日も各国で拡大、感染者は二十一カ国・地域で計千人を超え、死者はメキシコで二十六人に増加、米国の一人を含め計二十七人となった。ウイルスの解析も本格化、米国チームの解析で新型ウイルスは豚の二種類など少なくとも四種類のウイルスが混合して発生したことが判明。病原性については過去に大被害を出したスペイン風邪ほど強くないとの見方が出ている。

 一方、厚生労働省は国内での患者発生に備え、患者との接触者に自宅待機や薬の予防内服を求めるなどの早期対応策をまとめた。

 世界の感染者は四日までに、中米エルサルバドルとポルトガルで初めて確認されたほか、カナダの感染者が計百一人となり、感染者百人以上の国がメキシコ、米国に加え計三カ国になった。

 感染者最多のメキシコのカルデロン大統領は、事態が落ち着きつつあるとの見解を表明。ただ感染者・地域とも依然広がりを見せており、世界保健機関(WHO)は警戒を続けている。

 ウイルスを解析した米コロンビア大などは、計八本あるインフルエンザウイルスの遺伝子のうち、六本は北米の豚ウイルスのもので、二本はアジアと欧州の豚ウイルス由来と突き止めた。

 北米豚のウイルスには、鳥と人に由来するウイルスの遺伝子も混じっていた。チームは過去の検出状況から、一九九八年ごろまでに北米豚の体内で、豚、鳥、人のウイルスが混合したのではないかとみている。

 一方米疾病対策センター(CDC)の解析で、新型ウイルスは、一八年に世界的大流行を起こしたスペイン風邪ウイルスが保有していた、病原性に関する遺伝子は持っていないことが明らかになった。スペイン風邪より病原性が弱い可能性を示している。

【新型インフル】予想より脅威低い? 米専門家ら見解浮上

2009.05.02 MSN産経新聞

 【ニューヨーク=松尾理也】感染拡大の阻止に向け各国が懸命の努力を続けている新型インフルエンザをめぐり、「当初予想されたほどの深刻な脅威ではないのではないか」との見方が1日、相次いで浮上した。結論を下すのは時期尚早だが、未知の部分が残るウイルスについて分析が進んでいるのは明るい知らせといえそうだ。

 AP通信によると、米疾病対策センター(CDC)インフルエンザ予防局長、ナンシー・コックス氏は今回のウイルスについて、限定的な分析結果と前置きしつつ、「1918年に大流行し、多くの死者を出したスペインかぜのウイルスのような強い毒性につながる遺伝子的特性を欠いている」と述べた。

 また、別のインフルエンザ研究者も「新型ウイルスは通常のインフルエンザ・ウイルスと似通っている」と指摘。「特別深刻な脅威であると信じる理由は見あたらない」と述べた。

 対策にあたっている行政側も同様の見方を示し始めている。ニューヨークのブルームバーグ市長は、1日の段階でも同市で発生している感染が、当初の私立高校など数校にとどまっていることを挙げ、「現在のところ、新型インフルエンザはさほど心配する必要はない」と述べた。

 オバマ大統領も同日、「通常のインフルエンザと同様だった、という結果となる可能性も出てきた」と述べた。

 とはいえ、米国は対策の手を緩めてはいない。オバマ大統領は、たとえ毒性が弱いとしても、その後変異する可能性があるとして、「われわれは真剣に対策に取り組んでいる」と強調。コックス局長も「スペインかぜの原因となったウイルスについても未知の部分が多い。毒性については、今後も解明作業が続く」として、安心を戒めた。

韓国で感染初確認 新型インフル、隣国に

2009/05/02  中国新聞ニュース

 【ソウル2日共同=井上智太郎】韓国の保健福祉家族省は二日、メキシコ旅行から帰国し新型インフルエンザの感染の疑いが濃い「推定患者」と診断されていた韓国人女性(51)の感染が最終的に確認されたと明らかにした。韓国で新型インフルエンザが確認されたのは初めて。

 アジアでの感染確認は香港に続き二カ所目。感染確認はこれで十六カ国・地域となった。新型インフルエンザはついに、年間四百万人以上が往来する日本の隣国まで迫り、日本としては感染流入阻止に向けた水際対策の重要性がますます高まった。

 感染が確認された女性は四月中旬にメキシコを旅行し、同二十六日に米ロサンゼルス経由で仁川国際空港に帰国。飛行機内でせきや悪寒、発熱などの症状があり、同二十八日から隔離病棟に収容されている。同省によると、退院が可能な状態まで回復しているという。

 韓国政府は五月一日、女性と同じ修道院で暮らす別の女性も「推定患者」と診断されたと発表。メキシコなどへの渡航歴がなく、二次感染の可能性があり、詳しい検査を続けている。

 韓国政府は現在、四段階のうち下から二番目の「注意」の警戒態勢を「警戒」に格上げするかどうか検討する。保健当局は、メキシコからの入国者について、症状の有無にかかわらず、自宅などで一週間の隔離状態に置く措置を取っている。

香港でアジア初の感染 確認14カ国・地域に

2009/05/02  中国新聞ニュース

 【香港1日共同=渡辺靖仁】香港政府は一日、香港を訪れたメキシコ人男性(25)が新型インフルエンザに感染しているのを確認したと発表した。アジアで感染者が確認されたのは初めて。男性は前日にメキシコから中国・上海経由で香港に到着、その後、発熱の症状が出て検査を受けた。アジアの「中継地」に感染が及んだことになり、日本を含むアジア各地への感染拡大の恐れが強まってきた。

 ロイター通信によると、デンマークでも一日、感染者一人が初確認された。感染確認は中南米、北米から欧州、さらにアジアにまたがる十四カ国・地域に拡大、感染者は五百七十人を超えた。そのうち死者はメキシコ十五人と米国一人の計十六人。

 日本国内では、国内初の感染疑い例となった横浜市の男子高校生について、遺伝子を調べるPCR検査で新型インフルエンザへの感染が否定された。しかし政府は「いつウイルスが上陸してもおかしくない状態」(厚生労働省)と危機感を強め徹底した水際対策を継続、各省庁との連携を強化する方針。

 一方、米疾病対策センター(CDC)が世界の大手製薬企業に対し、ワクチンの開発・製造に必要なウイルス株を今月十日前後に提供できると連絡していたことが一日、明らかになった。

 感染が拡大する中で、製薬各社にとってはワクチン量産の技術的な条件がほぼ整うことになる。

 香港当局は一日、患者が宿泊していた香港島の中心部にあるホテルを封鎖。マスクをした多くの警察官らが門前を警備し、周囲は物々しい雰囲気となった。

 香港は空港だけでも一日約十三万人が行き交う。二〇〇三年の新型肺炎(SARS)の流行で約三百人の死者を出した反省から、香港政府は空港などでの入境者に対する体温検査を強化していた。

 香港政府は四月二十八日には、新型インフルエンザに感染した可能性のある患者四人が検査を受けたと発表していた。

新型インフルで「海外」自粛46校 修学旅行や研修

2009/05/02  中国新聞ニュース

 新型インフルエンザの世界的な流行を受け、海外への修学旅行や語学研修の中止や延期、行き先の国内への変更を決定、または検討している中学や高校などが、少なくとも二十三都府県の四十六校に上ることが一日、共同通信のまとめで分かった。

 海外への渡航を控えるよう求めた教育委員会も複数あり、ウイルスの猛威が生徒たちの思い出の旅行に暗い影を落としている現状が浮かんだ。

 調査は一日、各都道府県教委を通じて把握している学校数を集計。各校に個別に理由も尋ねた。

 生徒の感染予防のために中止や延期、国内変更を決めたのは福島、茨城、岡山、徳島など十四都府県の二十一校。同様の対応を検討中というのも二十五校あった。予定していた行き先はカナダ、米国など患者が確認された国が目立った。

 今月、オーストラリアへの修学旅行を計画していた東京都立橘高校(墨田区)は一日に中止を決定、対象の三年生約百八十人に伝えた。福岡県立福岡農業高校(太宰府市)の専攻科は米ハワイへの修学旅行を延期。待鳥順二まちどり・じゅんじ教頭は「ハワイは多国籍の不特定多数が訪れる世界的リゾート。感染は報告されていないが、万が一のケースを考慮した」と説明した。

 大分県立大分東高校(大分市)と同別府羽室台高校(別府市)は六月以降、英国とニュージーランドに語学研修を予定していたが中止に。和歌山市の私立開智高校もオーストラリアへの語学研修を取りやめた。

 岐阜県本巣市立根尾中学校はカナダの語学研修を延期。大阪府富田林市の私立初芝富田林中学校も三年生が予定していた米ロサンゼルスの修学旅行を中止した。

 文部科学省が通知したメキシコへの渡航自粛だけでなく、ほかの流行国や海外への渡航を控えるよう各校に要請したのは山形、静岡、広島各県教委など。「今後、自粛を含めて検討をお願いする」(兵庫)という声もあり、渡航自粛の動きはさらに広がりそうだ。

 文科省の発表によると、一日現在、高校四、中学一の計五校が米国、カナダに渡航している。

【新型インフル】日系企業にも影響 メキシコで工場休止拡大

2009.05.01 MSN産経新聞

 新型インフルエンザの拡大を防ぐため、メキシコ政府が5月1〜5日まで政府機関と民間企業の業務を停止すると発表したのを受けて、日本企業の現地法人でも操業停止を拡大する動きが相次いでいる。インフルエンザの感染被害拡大に伴い、日系企業の活動にも影響が出はじめた。

 ブリヂストンは1日、メキシコ国内4カ所の工場について1〜5日までの操業停止を決めた。ブリヂストンの工場は自動車用タイヤとタイヤ原料などを製造している。メキシコ政府が企業に活動停止を求めたことに対応し、操業を停止する。日本人駐在員23人のうち14人は一時帰国するが、9人は現地に残る見込み。

 ソニーは世界保健機関(WHO)が新型インフルエンザの警戒レベルを「フェーズ4」に上げたのを機に翌28日から販売子会社「ソニーメキシコ」(メキシコ市)を休業したが、政府方針に沿って5日まで延長する。ただ、ティフアナの液晶テレビ工場などメキシコ市以外の3カ所の製造拠点は通常の操業を続ける。メキシコ国内には、トヨタ自動車や日産自動車なども生産拠点があるが、自動車の需要減による生産調整のため既に操業を停止しており、直接的な影響はないとしている。

日本人女性がインフル陽性反応 米から到着、簡易検査で

2009/04/30  中国新聞ニュース

 米ロサンゼルスから成田空港に三十日午後到着した米ノースウエスト航空1便で、乗客女性一人がインフルエンザ簡易検査に陽性反応を示した。厚生労働省によると、女性は二十五歳の日本人で、成田赤十字病院に搬送された。

 厚労省によると、女性についての第二段階の検査は同日午後七時ごろから始まり、新型インフルエンザ感染の疑いが濃厚かどうかの結論が出るのは八時間ほど後の五月一日未明になる見通し。

 機内で女性の周囲に座っていた約二十人については、空港近くの宿泊施設に移し、健康観察を実施する。

 女性は三十日午後八時半すぎ、救急車で成田赤十字病院に到着。防護服姿の検疫官に付き添われ、自力で歩いて病院内に入った。

警戒水準「6」引き上げも 新型インフル感染13カ国に

2009/04/30  中国新聞ニュース

 【ジュネーブ30日共同=新井琢也】世界保健機関(WHO)は新型インフルエンザ感染拡大の警戒水準(フェーズ)を「4」から「5」に引き上げたが、三十日にはスイスとオランダでも感染が確認され、感染確認は少なくとも十三カ国に増加。世界的大流行(パンデミック)の正式認定を意味する「6」への引き上げも現実味を帯びてきた。

 WHOは米国などの保健当局や製薬業界と連携し、新型インフルに有効なワクチン開発に欠かせない、ウイルスの遺伝子構造の全容解明などに全力を挙げる。大流行に対し「歴史上最も備えができている」(チャンWHO事務局長)とされる世界の対応力が試される。

 感染が確認されたのは、死者が多数出ているメキシコをはじめ、北米、中南米、欧州、中東、オセアニアにまたがる。感染の疑い例はアジア、アフリカも含め二十カ国で見つかった。

 WHOの警戒水準の定義では、「5」と「6」の間には感染の地理的な拡大以外にほとんど違いはない。「5」への引き上げの理由は、メキシコの隣国である米国で、人から人への感染拡大と一部感染者の症状が比較的重かったことが確認されたことだ。米国では二十九日、首都圏で初めて疑い例が報告された。

 同じようなケースが、既に感染確認が出ている欧州諸国などで近く発生する公算は大きく、それが現実になれば大流行認定は避けられないとみられる。

10代のタミフル使用問題なし 厚労省、新型インフルで

2009/04/30  中国新聞ニュース

 新型インフルエンザ対策の柱として国家備蓄が進められる一方で、通常のインフルエンザでは十代の患者への使用が原則中止されている治療薬タミフルについて、厚生労働省は三十日、「新型感染の危険性を慎重に考慮した上で、十代でも治療や予防に使用できる」との見解をまとめた。

 同日午前に開かれた衆院厚生労働委員会でも、上田博三うえだ・ひろぞう健康局長が予防投与について「可能だ」との見解を表明。従来も、合併症などで「ハイリスク」と判断された十代の患者には使用されてきた。

 ただ、今回の新型インフルエンザについては、鳥インフルエンザ(H5N1型)とは違う「弱毒性」とされ、重症度が必ずしも明確になっていない。このため同省内には「患者の症状の重さと薬の副作用のリスクを、現場で慎重に見極め判断してほしい」(安全対策課)との声が出ている。

 同省の新型インフルエンザ専門家会議議長の岡部信彦おかべ・のぶひこ国立感染症研究所感染症情報センター長は「海外の患者の症状の情報を得ながらの判断になるが、分からない場合はタミフルを使った方が有利だと個人的には考える」と話す。岡部さんによると、米国ではタミフルなどのノイラミニダーゼ阻害剤の早期投与により、症状が早く改善するとの報告が出始めているという。

 タミフルは一歳未満の乳児への安全性、有効性は確立していないとされるが、患者が急増している米国では、食品医薬品局(FDA)が同日までに「感染による死亡の危険性が高い」として、一歳未満に対しても緊急使用許可を出した。

 厚労省によるとタミフル備蓄量は、国と都道府県で三千三百八十万人分を確保済み。近く八百三十万人分を上積みするとしている。

2週間分の食料備蓄を 新型インフル対策で手引書

2009/04/30  中国新聞ニュース

 農林水産省は三十日までに、新型インフルエンザ対策として、各家庭に最低二週間分の食料備蓄などを求める手引書を作った。今回の新型インフルエンザ問題で日本国内の感染者は確認されていないが、同省は事前の食料備蓄を呼び掛けている。

 保存性に優れた米は、四人家族の場合、二週間に必要なエネルギーの三分の一を賄える十キロの備蓄を提案。ほかに備蓄に適した食品として、めん類やジャガイモ、タマネギなど日持ちする野菜、魚介類の缶詰などを挙げた。チェックリストや献立も載せている。

 新型インフルエンザの流行期間は二カ月程度とされるが、地震災害などと違って食料品を購入する機会はあると考えられ、二週間を備蓄の目安とした。

 流行時には、公共サービス従事者の感染により一時的な停電や断水も想定されるため、自然災害の際にも役立つカセットこんろや飲料水の備えも求めた。

 手引書は今回の新型インフルエンザ発生前の四月上旬に作成した。約一万部を印刷し、自治体などに配布。農水省のホームページでも閲覧できる。

新型インフルに備え万全 大阪の病院に「高度安全病室」

2009/04/30  中国新聞ニュース

 新型インフルエンザの感染拡大を受け、関西空港近くの市立泉佐野病院(大阪府泉佐野市)は三十日、感染の疑いがある患者を隔離治療する「高度安全病室」を報道関係者に公開した。

 同病院は全国に三カ所しかない特定感染症指定医療機関の一つ。重症患者を扱う高度安全病室二床と、それに準じた感染症病室八床を備える。

 病室は内側ほど気圧が低い三段階の仕切り構造を持ち、特殊なフィルターを用いてウイルスを含む空気が外部に漏れない仕組み。

 高度安全病室は、医療スタッフがテレビ画面を通じて患者とコミュニケーションできる。隣にある専用の検査室で感染の有無を迅速に調べる。

 関空に到着した人が発熱やせきなどの症状を訴えた場合、空港検疫所の要請に応じて受け入れる方針。同病院は「新型インフルエンザが弱毒性との情報もあるので、症状に応じて二種類の病室を使い分けたい」としている。

「発熱外来」準備済み26都府県 4県は対策遅れる

2009年04月30日 asahi.com

 新型の豚インフルエンザ感染が疑われる患者を最初に診断、治療する「発熱外来」の開設準備を終えた自治体が、26都府県にとどまっていることが分かった。世界保健機関(WHO)の警戒レベル引き上げを受け、舛添厚生労働相は30日の衆院厚労委で、「世界的大流行になる確実性が高まった」と訴え、同省は都道府県などに発熱外来の開設準備を急ぐよう指示した。

 朝日新聞社が29日に電話で47都道府県に聞いた。その結果、発熱外来を置く医療機関を決めて、国内で患者が発生すれば順次開設できるように準備していると答えたのは、東京、愛知、京都、岡山など26都府県。このうち大分県はすでに、28日の国の「新型インフルエンザ発生宣言」を受けて前倒しして開設した。

 北海道、宮城、大阪、福岡など17道府県は「設置医療機関の候補はリストアップしたが、先方と交渉中だ」などとして「調整を急ぐ」と答えた。福島、群馬、富山、三重の4県は、どの医療機関に発熱外来を設置するかも「検討中」とし、遅れが目立った。

 政府が2月に改定した医療体制に関する指針(行動計画)では、都道府県に対して、発熱外来を置く医療機関を事前にリストアップしたうえで医療機関側と調整しておき、国内での患者発生と同時に外来を開設するよう求めている。

 準備が遅れている地域の保健所長の一人は「今はいつ国内で患者が発生してもおかしくない状況だ。身近な場所で患者が出れば、感染を心配する人が一般の病院やかかりつけ医に駆け込みパニックになりかねない」と懸念する。

豚インフルを新型と認定 WHO警戒水準、初の4

2009/04/28 中国新聞ニュース

 【ジュネーブ28日共同=新井琢也】メキシコや米国で発生した豚インフルエンザの人への大量感染を受け、世界保健機関(WHO)は二十七日、警戒水準(フェーズ)を現行の「3」から、豚インフルエンザウイルスが人から人への感染力を十分に得た段階を示す「4」に初めて引き上げた。新型インフルエンザ発生を認定したことになる。日本を含む各国に感染が広がり、世界的大流行となる恐れがある。

 舛添要一厚生労働相は「新型インフルエンザが発生したことを宣言する」との声明を発表。国内侵入阻止に向け、感染の疑いがある入国者に対する隔離の強制措置や、健康監視などの水際対策を徹底する考えを示した。

 日本政府は、麻生太郎首相を本部長とする対策本部を設置した。麻生首相は閣僚懇談会で「国家の危機管理上の重要な課題だ」と述べた。

 米国やメキシコを中心に、国際的な人の移動が制限されるとみられ、景気低迷にあえぐ世界経済への影響が懸念される。

 聯合ニュースによると、韓国政府当局者はメキシコから帰国した一人に感染の疑いがあると明らかにした。感染が確認されればアジアでは初めて。

 WHOは二十八日に開く予定だった緊急委員会を前倒しし、二十七日に開催、警戒水準引き上げを決めた。水準引き上げは二十五日の緊急委員会でも検討したが「さらに情報が必要」と見送っていた。

 人への感染はメキシコ以外に米国、カナダ、さらにスペイン、英国でも確認され、欧州に広がった。メキシコでは二十七日までに感染が確認されたか、感染の疑いがある死者は百四十九人となった。ワクチン開発には半年程度かかるとされる。

 二十世紀には三回のインフルエンザの世界的流行があり、一九一八年発生の「スペイン風邪」では世界で約四千万人が死亡した。

新型感染の疑い、世界に拡大 韓国女性は濃厚と診断

2009/04/28 中国新聞ニュース

【メキシコ市28日共同】メキシコや米国で発生し、世界保健機関(WHO)が27日に警戒水準を一段階引き上げた新型インフルエンザは感染疑い例が全世界に広がり、日本を含む各国は28日も空港などで感染流入を防ぐ水際作戦に力を入れた。感染の疑いが持たれていた韓国人女性(51)は同日、感染の疑いの濃い「推定患者」であると診断された。感染が確認されればアジアでは初めて。

 人への感染は28日、ニュージーランドとイスラエルでも確認され、メキシコや米国などと合わせ、計7カ国に広がった。

 スペイン通信によると、感染によるとみられるメキシコの死者は152人に達した。コルドバ保健相は27日夜、地元テレビに対し「死者発生のペースは落ちている」との認識を示したが、感染拡大を防げなかった政府の対応に市民の視線は厳しさを増している。

 韓国政府によると、感染の疑いが濃いとされた女性は今月中旬にメキシコを旅行していた。

 スペイン通信によると、南米チリで当局が、感染が疑われる8人を検査中。中米コスタリカでも5人の疑わしい患者がいるとされる。

 AP通信によると、シンガポールやタイ、インドネシア、フィリピンなど東南アジア諸国は2003年の新型肺炎(SARS)騒動で活躍した体温を測定するサーモグラフィーを空港に設置、北米からの到着便の乗客が発熱していないかをチェックした。

【新型インフル】企業も相次ぎ出張取りやめ、駐在員家族の帰国…

2009.04.28 MSN産経新聞

 企業も新型インフルエンザの対策に本格的に乗り出した。ホンダが29日から5月6日まで世界の従業員に対し、米国、メキシコのみならず全世界への海外出張を中止することを決めたほか、キリンビールや東芝、東京海上ホールディングスなども不要不急の海外出張を自粛するよう指示した。

 駐在員の家族に帰国を促す動きも広がっている。三菱重工業やシャープ、スズキ、丸紅、双日などはメキシコ駐在員の家族などを帰国させるよう指示。三井住友海上火災保険は、現地駐在員の家族が希望すれば社費で帰国を認める。

 一方、日立製作所は28日、メキシコとアメリカについて現地社員の外出を当面禁止したほか、空港での感染を警戒して出国しないよう通達した。メキシコにはテレビの工場があるが、世界同時不況による影響で稼働を停止しており、生産への直接的な影響はないという。

 また、パナソニックは4月20日以降にメキシコ、および北米に出張した社員を対象に10日間の検温など健康チェックを義務づける通達を出したほか、現地社員で発熱などの異常が認められた場合、10日間の出勤停止とした。

 現時点で経済活動に大きな影響は出ていないが、物流などが滞れば原材料の調達にも支障をきたす事態になりかねず、企業は安全対策とともに情報収集に全力を挙げている。

豚インフル、国際的緊急事態と認定 NZでも感染疑い10人

2009/04/26 中国新聞ニュース

 【ジュネーブ26日共同=新井琢也】世界保健機関(WHO)は二十五日夜、メキシコ、米両国で発生した豚インフルエンザの人への大量感染を受けて同日開いた初の緊急委員会の結果、「国際的に懸念される公衆保健上の緊急事態」と認定したとするチャン事務局長の声明を発表した。メキシコ政府は二十五日、感染が疑われる死者が八十一人になったと明らかにした。米国でも新たな感染者が確認されたほか、メキシコから帰国したニュージーランドの高校生十人に感染の疑いがあることが判明。メキシコ、米両国に加え、世界の他地域への感染拡大の懸念が強まった。

 一方、WHOは人から人への感染を認めたものの、新型インフルエンザ認定につながる警戒水準の引き上げの是非については「さらに情報が必要だ」とし、決定を先送りした。

 麻生太郎首相は二十六日、伊藤哲朗内閣危機管理監に、水際対策を徹底するよう指示。国際機関との緊密な連携や国民への的確な情報提供を求めた。全閣僚出席による対策会議を二十七日開く。

 WHO報道官は緊急事態との認定について「状況が深刻であるとの強いメッセージだ」と指摘。引き続き各国に国内外での監視の続行を求めた。

 二十六日は緊急委員会の開催は予定されていないが、「数日後にあらためて開催する」とし、二十七日以降に警戒水準の引き上げに踏み切る可能性に含みを残した。

 「緊急事態」は、発生した問題について(1)保健上の影響が深刻か(2)異常で予期しない事態か(3)国際的に拡大するリスクがあるか(4)交通や貿易の制限に至るリスクがあるか―の四点を点検した上で認定される。

 WHOのチャン事務局長は緊急委員会直前の電話による記者会見で、今回の豚インフルエンザ問題が「新型インフルエンザの大流行につながる可能性を秘めている」との見方を示していた。

 一方、米ニューヨーク市の保健当局者は二十五日、同市の私立高校で生徒百人以上がインフルエンザに似た症状を発症、うち八人から豚インフルエンザの疑いが強いA型インフルエンザウイルスを検出したと発表した。全員症状は軽いという。

 メキシコで感染が疑われる患者は千三百二十四人で、死者のうち二十人の感染が確認された。米国での感染者は十一人。

メキシコ、米で豚インフル 死者68人、1000人超に疑い

2009/04/25 中国新聞ニュース

 【ジュネーブ25日共同】世界保健機関(WHO)報道官は二十四日、メキシコでインフルエンザのような症例の患者がこの時期としては異常な増加を示していると発表。メキシコ政府は同日、豚インフルエンザに感染した疑いがある死者が六十八人、患者が千四人に達したことを明らかにした。米疾病対策センター(CDC)も二十四日までにカリフォルニア、テキサス両州で計八人の豚インフルエンザ感染者が出たと発表した。

 CDCは感染者に豚との接触がないことから、人から人への感染と断定。WHOによると、メキシコと米国の感染事例に同型の遺伝子構造が確認されており、両国の国境を越えて感染が広がった可能性がある。世界的大流行を懸念するWHOは、感染状況の深刻度を評価するため、世界の専門家約十五人でつくる初の緊急委員会を二十五日に開催し、新型インフルエンザ発生に当たるかどうかを検討する。

 日本政府も感染の拡大を懸念し、警戒を強めている。首相官邸の危機管理センターに情報連絡室を設置し、関係省庁が今後の対応を協議。成田空港などではメキシコからの帰国者について監視態勢を強化した。

 WHOは鳥インフルエンザなどの変異で発生するとみられている新型インフルエンザの大流行に備え、六段階の警戒水準を設定。これを現行の「3」から「4」へ引き上げるかどうかを協議する見込みだ。

 「4」への引き上げは新型インフルエンザ発生を認定する意味を持ち、引き上げなら日本政府は首相をトップとする対策本部を直ちに設置し、発生地への渡航自粛勧告を検討する。

 メキシコでは感染の中心はメキシコ市だが、このほか北部、中部、南部でも発生、全国に拡散している。メキシコ政府は首都の学校の休校措置に加え、図書館や博物館、劇場などの閉鎖を決定。市民生活への影響が拡大した。

 WHOによると、米国で確認された豚インフルエンザのウイルスは従来、豚では見つかったことのない型。

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