TOPIC No.5-44 献血/血液

01. 献血したい by日本赤十字社
02. 献血 byフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 
03. 献血倶楽部〜わたしにもできること〜
04. けんけつ・どっと・こむ
05. 日本さい帯血バンクネットワーク
06. 


厚労省、臍帯血バンクの実態調査 産科650施設対象に

2010/02/06 47News【共同通信】

 赤ちゃんのへその緒から採取され白血病治療などに使う臍帯血を、個人から有料で預かる民間バンクの数や業務内容を把握するため、厚生労働省は6日までに、全国約650の産科施設を対象に異例の実態調査に乗り出した。

 昨年10月に茨城県の民間バンクが全国で初めて経営破綻し、約1500人分の臍帯血が一時行き場を失う事態となったことを受けた対応。

 年間の分娩が500件を超える全国の産科施設に質問票を配布。10日までに回答するよう求めている。

 破綻したのは「つくばブレーンズ」(茨城県つくば市)。民間バンクの事業実績のない埼玉県内の企業が同社の臍帯血の管理を引き受けることになり、利用者から不安の声が出ている。

 国内の民間バンクで厚労省が存在を把握しているのは、業界団体「民間さい帯血バンク連絡協議会」(東京)の加盟社である「ステムセル研究所」(東京)、「シービーシー」(横浜市)、「アイル」(東京)と同協会を退会扱いになったつくば社の計4社のみ。長妻昭厚労相が昨年末、全国調査を指示した。

松江西高生が卒業献血 体験呼び掛けに25人協力

2010/02/03 山陰中央新報

看護師の説明を聞きながら、初めて献血する生徒ら

 卒業を控えた3年生を対象にした「卒業献血」が2日、松江市上乃木3丁目の松江西高校であり、3年生を送る会を終えた生徒らがそろって献血に協力した。

 10〜20代の若者の献血離れが目立つ中、献血体験を通して意識を高めてほしいと、県赤十字血液センターが呼び掛けた。

 この日、協力した生徒25人は全員が献血は初めて。血液センターの職員に教わって申込書に記入し、問診や血液検査を受けた後、待機していた献血車に乗り込んだ。

 看護師に「針は太いですか?」と尋ねる生徒もいたが、藤原紀允さん(18)は「思ったほど痛くなかった。困っている人の役に立てるなら、また献血したい」と話した。(無断転載禁止)

川澄化学 野津町に新工場

2010年01月29日 大分合同新聞

 人工腎臓や血液バッグなど医療器生産・販売の川澄化学工業(本社・東京)は28日、臼杵市野津町に成形加工部門を集約させた新工場を建設すると発表した。同社の100%出資で設立する子会社「川澄プラスチック」が運営する。同社は国内工場のすべてを県内で展開しており、4工場目。

 新工場は自社所有の遊休地を活用し、延べ床面積約5800平方メートルの建物を新築する。2011年2月に完成し、5月から操業を始める予定。他工場の製品組み立てラインを一部移設し、生産効率化も目指す。投資額は約15億円を見込む。

 新工場では、医療器用の射出成形部品を製造するほか、そのための金型を設計、試作、製造する。新会社が運営する同部門の従業員数は約80人で、このうち半数以上を地元で採用する。現在は分散している成形加工部門を集約し、精密加工の技術向上を目指す。他工場からの生産ライン移設と併せ、競争力強化を図る。

 同社経営企画室は「新会社の設立で、医療器生産拠点としてさらに充実する。技術と品質の向上により、国内市場でのシェアを拡大したい。タイで展開する生産拠点のマザー工場としての役割も担う」としている。

献血:県内の献血者数、500万人を突破 /熊本

2010年01月28日 毎日新聞地方版 毎日JP

 県内の献血者数が1964年の制度開始以来、27日で500万人を突破し、熊本市長嶺南の日赤プラザ献血ルームで記念セレモニーがあった。

 500万人目となったのは、熊本市打越の宗由紀子さん(46)。通算109回目の献血をした宗さんは「姉2人と一緒に年2回は献血します。10年前に父が病気をしてお役に立ちたいと思った」と話し、花束や県産品のデコポンが贈られた。早野俊一所長は「多くの県民に感謝します。必要とする患者に早く正確に提供したい」とあいさつした。

 県内の献血率は全国4位の4・5%だが、10代の献血者数が08年度までの4年間で半減するなど若年者の献血離れが課題となっている。27日は、500万人突破を記念し、県内の企業や大学などを6月まで巡回して献血を呼び掛ける特製バスが披露された。

血小板成分採血見直し案 男性54歳を69歳に

2010年01月27日 IBTimes

 厚生労働省の薬事食品衛生審議会血液事業部会では献血協力者の確保を図る一環として、献血基準の見直しを検討している。近く、見直し案を公表し、一般国民から意見を募り、公募意見を踏まえて、3月上旬には最終報告を取りまとめる。

 見直し案によると、採血基準の年齢については、現在、男女ともに18歳になっているが、男性に限り「17歳」に年齢を引き下げる。また、血小板成分採血の上限年齢についても、現行では男女とも54歳までとなっているが、男性に限り「69歳」まで認めることとする意向。

 一方で、年間総採血量については、1回400ミリリットルで年間3回を「年間4回」にとの見直し案が検討されてきたが、厚生労働省の調査の結果、「4回目の採血ではヘモグロビン値が落ちることが確認されたため、見直しは見送りとなった」。

 また、こうした見直しの実施については「受け入れ態勢など、日本赤十字社など関係機関で準備を要するため、準備期間を設ける必要がある」としており、これらを含めた審議は3月に行われる予定。

 少子高齢化とインフルエンザの集団感染などの影響から、献血協力者の確保が年々難しくなってきているだけに、見直しによる対象者増に期待するところも大きい。 (編集担当:福角忠夫)

石川遼:「ありがとう!」と絶叫 CM曲歌うMetisと「はたちの献血キャンペーン」会見

2010年01月25日 毎日新聞 毎日JP

日赤会見での石川遼選手(写真左)とMetisさん プロゴルファーの石川遼選手(18)が25日、日本赤十字社の「はたちの献血キャンペーン」の会見に登場した。会場ではレゲエ歌手のMetisさん(25)がCM曲「キミに出会えてよかった」を初披露。石川選手はライブを聴いて、「歌詞に深い意味があって、感動しました。着うたもダウンロードしました」と話した。

 Metisさんは、CMで何度も「ありがとう」と叫ぶ石川選手の姿に「感謝の気持ちがすごく伝わってくる」と絶賛すると、石川選手はマイクを使わず、生声で「ありがとう!」と叫び、献血を呼びかけた。

 キャンペーンは、献血者が減少する冬期の輸血用血液の確保と、医療機関へ安定的に血液製剤を供給することを目的に、2月28日まで全国で展開されている。【西村綾乃】

【福井】学生ら献血協力訴え 協力者に「献血バス型チョロQ」

2010年01月24日 中日新聞

臨時会場で血液を提供する参加者(手前)=福井市大和田町で

 新成人ら若い世代に広く献血を呼び掛ける運動「はたちの献血」に合わせて、日赤県支部などが23日、福井市のショッピングセンター「エルパ」に臨時の採血所を開設。多くの買い物客が協力した。

 運動は、風邪の流行や外出が減ることで冬場に血液が不足しがちになるため、1974(昭和49)年から1、2月に全国で展開。県内でも日赤と県、県赤十字血液センターが実施している。

 今回は400ミリリットルの献血を実施。会場では医師による問診、血液検査の後、買い物客が次々とベッドに寝て採血を受けた。

 日赤によると、献血者の8割が30〜40代で、20代以下の若年層は少なかった。

 この日は県赤十字奉仕団や県学生献血推進連盟などの人たちが協力を呼び掛けた。同連盟副委員長を務める県立大1年、鈴木清香さん(18)は「病院には血液を求めている人がたくさんいる。同世代の人たちへの参加を訴えていきたい」と話していた。

 エルパでは24、26、29、30、31日もそれぞれ午前10時〜正午、午後2〜5時に開設する。採血に必要な時間は30分程度。協力者には特製の「献血バス型チョロQ」を贈る。

【福井】あすから「はたちの献血」 福井の大型店に臨時ルーム

2010年01月22日 中日新聞

 献血者にプレゼントされる献血バス型チョロQ=福井市の県赤十字血液センターで

  「はたちの献血」キャンペーンの一環として、臨時献血ルームが福井市のショッピングセンター「エルパ」に23日から設置される。期間中、献血者には県内で稼働中の献血車「いぶき5号」をデザインしたチョロQをプレゼントする。

  設置は23、24、26の各日と、29〜31の3日間。午前10時から正午、午後2時から同5時まで。400ミリリットルを採血する。医師の問診や血圧測定などもあり、所要時間は30分余り。献血後3週間ほどでコレステロール値などの検査結果を郵送する。

  県赤十字血液センターは「自分の健康状態を知る意味でも、まず一度、献血に協力してほしい」と呼び掛けている。

  キャンペーンは献血者が減少する冬場に、若者を中心に献血の必要性を訴えようと、1974(昭和49)年にスタート。臨時献血ルームは県赤十字血液センターが毎年設け、今年で7回目。昨年は6日間で1094人が訪れ、885人が献血した。

日赤:英滞在者からの献血、制限緩和

2010年01月22日 毎日新聞 東京朝刊

 日本赤十字社は21日、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)感染の危険を理由に禁止していた英国滞在者からの献血について、27日から制限を緩和すると発表した。80〜96年の間、英国に1日でも滞在した人は献血できなかったが、感染リスクが減ったため、今後は通算1カ月以上の滞在者に限定する。

献血制限を27日から緩和 CJD感染対策

2010/01/21 47News【共同通信】

 日本赤十字社は21日、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)の感染対策として実施していた「1980〜96年に英国に1日以上滞在した人」の献血禁止措置を27日から「通算1カ月以上」に緩和すると発表した。

 日赤は、2008年度に献血を申し込んだ約620万人のうち、1カ月以下の英国滞在期間があった人は約3%いたと推計、今回の緩和で年間約20万人の献血者増を見込んでいる。

 厚生労働省は新型インフルエンザ流行による献血者減少に備えて昨年12月、「英国への渡航に由来する感染者がいる可能性は小さい」などとして緩和を決めていた。

占い、マッサージ… 献血PRへ多彩なサービス

2010.01.21 MSN産経新聞

この日は四柱推命の占いが行われた。献血をしに来た女性は占い師の声に熱心に耳を傾けていた(提供写真)

 1月〜3月は献血者数が減少する季節といわれる。輸血用血液の安定供給を目指そうと、千葉県内の献血ルームでは、占いやマッサージといったサービスを始め、献血者の人気を集めている。

 「毎年冬になると、風邪やインフルエンザによる体調不良が原因で、献血ルームを訪れる人が減る」と話すのは、県赤十字血液センター(船橋市)の担当者。平成18年度の月別献血者数で見ると、9月は1万8930人だったのに対し、3月は1万7021人と、2千人近い開きがある。

 月別の格差を少しでも減らし輸血用血液を安定確保することが重要だとして、同センターでは、各地の献血ルームで積極的なサービスを講じている。

 柏市の「柏献血ルーム」では2月3日までの火、水曜日に、献血者を対象に占いサービスを展開。占いを行うのは、そごう柏店で営業するプロの占い師だ。献血者は四柱推命や手相、タロット占い、姓名判断などを体験できる。今月12日からサービスを始めたところ、「献血後に占いを待つ人が後を絶たない」(担当者)という。午前中に訪れた献血者30人のうち、12人が占いサービスを受けるなど人気は上々だ。

 同ルームでは2月の平日に先着30人に、近くの老舗パン店の焼きたてクリームパンなどをプレゼントする新企画も予定している。

 また、松戸市の「献血ルームPure」ではネイルアートのサービスを1月の第1、3水曜日に実施したほか、船橋市の「献血ルームフェイス」でも昨年マッサージサービスを行うなど、ユニークな企画で若者の関心を集めている。

 同センターによると、ここ数年は献血者数が増加傾向にあるとしながらも、「県内の輸血用血液の要請は伸びている」という。このため、同センターでは献血ルームでの多彩なサービスを周知し、たいとしている。

献血啓発に学生が活躍 受け付け目標上回る

2010年01月20日 AGARA 紀伊民報

 血液不足が叫ばれる中、和歌山県内の学生でつくる県学生献血推進協議会が実績を残した。昨年12月から始めたキャンペーンが17日に終了、目標を大きく上回った。県赤十字血液センターは「協議会のキャンペーンは非常にありがたい存在」と話している。

 協議会が展開していたのは、県内7カ所で献血への協力を呼び掛ける「ラッキー777キャンペーン」。血液が不足する冬場にインフルエンザの流行が重なり、協議会が対策として企画した。

 昨年12月5日〜今年1月17日に、和歌山(2カ所)、岩出、橋本、御坊、田辺、新宮の各市を回った。目標は、7カ所で受付者数777人を上回ることだった。

 橋本市をスタートして以降、各地で100人前後が受け付けをし、およそ半数以上が献血した。血液センター田辺出張所によると、普段の受付者は60人ほどで、平均を大きく上回った。7カ所の受付者数は831人に上った。

 協議会によると、学生が協力を呼び掛けることで、同年代の人たちが献血してくれることも多かった。「貧血になる」「痛い」といったマイナスイメージも、なぜ献血が必要なのかを説明し、理解してもらったという。

 協議会の橋本健治会長(20)=和歌山大学2年=は「目標達成は厳しいと思っていたので、すごくうれしい。会長の任期が切れる2月までに、また紀南地方で活動できれば」と話した。

ネイルアート体験も 

 16日には、田辺市稲成町のオークワパビリオンシティ田辺店前に協議会の会員になっている学生約30人が集まり、献血への協力を呼び掛けた。

 この日のキャンペーンには、IBW美容専門学校(和歌山市)の学生が協力。献血者を対象にネイルアートの体験会を開いた。特設テントには、献血を終えた女性が次々と入った。

 同専門学校1年の坂本友紀さん(28)=みなべ町=は「キャンペーンでは、いろんな世代の人と接することができて勉強になる。自分の技術で喜んでもらえるのでうれしい」と話した。

 この日は128人が受け付けをし、67人が献血に協力した。最終日の17日には、新宮市で啓発。120人が受け付けをし、88人が献血した。

 県学生献血推進協議会 毎年、血液不足になる夏と冬に啓発活動をしている。県内にある大学や専門学校の学生約50人が加盟。全国組織の和歌山支部にあたり、日本赤十字社が活動を支援している。

【献血をした人にネイルアートをする学生(右)。若者らしい「サービス」で希望者も多かった=和歌山県田辺市稲成町で】

若者の献血者減少 「針を刺すこと恐い」 理解不足も一因 群馬2010.01.16 MSN産経新聞

 若者の献血者数が減少し、将来の血液供給源の確保問題が深刻化している。群馬県薬務課によると、平成20年度に県内で献血した16〜19歳の若者は6970人で、16年度(1万1051人)の約6割まで下落した。若者の献血離れの背景には、針を刺すことへの単なる恐怖感や理解不足があるとみられる。同課は、献血への理解を深めてもらうため、街頭キャンペーンを強化する。(森本充)

               ◇

 同課によると、若者の献血離れは年々加速。20年度の全献血者8万4219人に占める19歳以下の割合はわずか8%だった。献血を支えているのは、30〜40代(計54%)といい、同課は「いまの若者が、このまま30〜40代を迎えたと仮定すると、血液の確保が非常に厳しくなる」と危惧(きぐ)する。

 加速する若者の献血離れは、献血に対する理解不足も一因とされる。厚生労働省が18年3月にまとめた「若年層献血意識に関する調査」の結果報告書によると、献血未経験と答えた高校生398人が示した理由のうち、最も多かったのは「針を刺すのが痛くて嫌だから」「何となく不安」で、ともに28・1%だった。

 また、「血を採られる感じが嫌」(17・1%)や、「病気がうつると思った」(3%)という回答もあったという。

 同課は「血が薄いなどの場合は体調を考慮し、献血を中止する。感染症の危険もなく、調査結果の通り、正しく理解されていないのが若者の献血離れの最大の問題」とする。

 こうした現状を打開するため、県は街頭キャンペーンを強化する方針。16日には、イメージアップをねらい、太田市のイオンモール太田で、三洋電機ラグビー部の選手らが応援隊を結成。「はたちの献血キャンペーン」として、新成人をはじめとした若者への献血を呼びかける。

 同課は「風邪などで体調を崩すことが多いこの時期は、特に献血者が少ない。若者の協力は必至」としている。

「はたちの献血」に協力を=若者離れが課題−日赤

2010/01/11 時事ドットコム

 「社会へ第一歩を踏み出すこの機会に、ぜひ皆さんのご協力を」。成人の日の11日、東京都内では、移動採血用のバスが出たり、「はたちの献血」のポスターが掲示されるなどして、成人式や参拝帰りの若者たちに、献血への参加を呼び掛ける光景が見られた。

 日本赤十字社によると、献血者数はピーク時の1985年には約869万人だったが、その後は減少傾向が続き、2008年は約507万人にとどまった。特に16−19歳と20−29歳の年齢層の落ち込みが顕著という。

 一方、総務省がまとめた1月1日現在の人口推計では、新成人は127万人と過去最低を更新。若者の献血離れをいかに食い止めるかが、救命医療を支える上でも課題になっている。

 渋谷区の明治神宮前では、採血バスとテントの「出張所」が設けられた。これまで20年間、同じ場所で実施してきたという東京麹町ライオンズクラブの幹事、橘薫さん(69)は「若い人たちに場所やきっかけをつくってあげることが重要」と話した。

 400ミリリットルの献血を済ませた20代女性は、「近くで友達と会う約束があったので立ち寄りました」。22歳の男性は「初詣での帰り。簡単にできる社会貢献と思っています」と語った。

 日赤によると、着物での献血は、体の締め付けがきついことなどから、「お断りしている」という。


英国渡航者の献血制限を緩和=滞在1カ月未満は可能に−厚労省

2009/12/10 時事ドットコム

 厚生労働省の薬事・食品衛生審議会は10日、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病対策として英国滞在歴のある人の献血を制限していた措置を緩和し、滞在期間が1カ月未満であれば献血を可能にすることを決めた。日本赤十字社は来年1月にも実施する。

 同省は2005年、1980〜96年に1日以上英国に滞在したことがある人の献血は受け付けないと決めた。制限緩和により、献血者は年間約20万人増加する見通しという。

「大鵬号」、70台で結び=献血運搬車贈って40年−大相撲

2009/09/07 時事ドットコム

 元横綱大鵬の納谷幸喜さん(69)が続けてきた献血運搬車の寄贈が70台に達し、節目として今年でピリオドを打つことになった。7日、東京都港区の日本赤十字社で贈呈式に臨んだ元大鵬さんは「現役を引退した時以上に感無量」と話した。

 第1号は現役時代の1969年。「巡業などで全国の人にお世話になっている。恩返しを」と考え、献血された血液を医療機関などに届ける緊急車両が不足していると聞いて始めた。以来、病気をした2年を除いて年1、2台を寄贈。「大鵬号」の名で全都道府県に行き渡り、今も12台が現役で走っているという。

 総額約1億2000万円の資金には、しこ名入りゆかたなどの売り上げを充てた。「ファンあってのこと。ありがたい。相撲社会に入ったおかげでこういうこともできた」と元大鵬さん。40年を振り返って感激の面持ちだった。

【静岡】お盆期間の輸血用血液不足解消へ JR浜松駅前で大学生ら献血を呼び掛け

2009年08月09日 中日新聞

「献血お願いします」とティッシュを配る大学生ら=浜松市中区のJR浜松駅北口広場で

 県西部の大学や専門学校の学生でつくる「浜松学生献血推進委員会」が8日、浜松市中区のJR浜松駅北口広場で、買い物客らに献血を呼び掛けた。

 中部ブロック統一学生サマー献血キャンペーンの一環。お盆期間の輸血用血液不足の解消や若者への献血PRを目的に、毎年行っている。この日は聖隷クリストファー大と浜松医科大、静岡大浜松キャンパスから40人が参加した。

 推進委員会リーダーの河合直美さん(20)=聖隷クリストファー大看護学部3年=は「輸血を必要とする患者の力になっていると思うと、頑張りがいもあります」とPRに励んでいた。浜松赤十字血液センターの辻村博さん(34)は「学生の呼び掛けで、普段より多くの方が献血してくれて助かっています」と話した。(赤野嘉春)

献血について親子で学ぶ

2009年08月08日 読売新聞 Yomiuri On-LINE

 夏休み親子献血教室が7日、宮崎市の県赤十字血液センターなどで開かれ、児童と保護者約110人が血液の働きや献血の仕組みなどを学んだ。

 献血への知識を深め、重要性を知ってもらうのが目的。子どもたちは赤血球や白血球の役割をメモしたり、「保存期間を過ぎたらどうなるの」「珍しい血液型を教えて」などと質問したりした。

 さらに、製剤や、保存する保冷庫の見学、献血車内での手順の確認などを教わった。赤江小4年の井川雄喜君(9)は「献血の大切さを感じた。大きくなったらやってみたい」と話していた。

 県内で集めた血液は、同センターが日本赤十字社九州血液センター(福岡県久留米市)に運んだ後、完成した製剤を県内の医療機関に供給している。県内では昨年度、約4万6000人が献血に協力して約1万8700リットル集まったが、若い世代の献血が少ないことが課題としている。

英滞在者の献血緩和…新型インフルに備え

2009年07月29日 読売新聞 Yomiuri On-LINE

 新型インフルエンザの大流行に備え、日本赤十字社は28日、牛海綿状脳症(BSE)関連対策として実施している英国滞在者の献血制限を一部緩和する方針を固めた。

 同社では現在、欧州などでの長期滞在者に加え、1980〜96年に英国に1泊以上した人からの献血を取りやめている。

 しかし、新型が流行すれば、外出を控える人が増え、血液が不足する事態が予想される。このため、感染の可能性が非常に低い短期滞在者への制限を見直す。

 緩和する範囲は、厚生労働省と協議して決めるが、1週間〜1か月以内などの短期滞在者に限定する見通し。試算では、2週間以内の滞在を認めると、献血者が18万人増えると見込まれる。

歯止めかからぬ献血離れ

2009年03月16日 読売新聞 Yomiuri On-LINE

若者呼び込め対策模索

 若者の「献血離れ」に歯止めがかからない。手術の際の輸血や、血液製剤の製造などを支える献血の重要性は増すばかりだが、それは人々の善意なしには成り立たず、高齢化社会が進む中、若年層の協力がますます必要となる。より多くの血液確保を目指し、対策を模索する現場の動きを追った。(浜畑知之)

 「A型、O型の血液が不足しています。ご協力を」。JR京都駅前の「献血ルーム京都駅前」(下京区)が入居するビルの前で、府赤十字血液センターの職員らが、通行人に向け、声をからしていた。だが、立ち止まる人は少ない。職員らの表情に疲れがにじむ。

 同ルームは2005年6月に設置。同様の施設は府内にほかに2か所あり、別に献血バス4台が連日、官公庁や駅前、大型ショッピングセンターなどで協力を呼びかけているが、「一日に必要な約300人分の血液が補える時もあれば、そうでない時もある」(府赤十字血液センター職員)といい、慢性的に血液は不足しているという。

 同センターによると、01年度に約12万4000人だった府内の献血者数は、07年度には約10万4000人に減少。特に20歳代の献血者数は07年度で約2万7000人と、01年度より8000人も減り、落ち込みが目立つ。全国的にも傾向は同じで、1986年に始まった400ミリ・リットル献血で、献血者数の減少を補っているのが実情だ。

 これに対し、同センターは、有効な対策を打ち出せないでいる。

 06年から、400ミリ・リットル献血が可能となる18歳の献血者獲得を狙い、府内の高校3年生に「18歳からの献血」と題したパンフレットを配布。府内の大学生でつくる「府学生献血推進協議会」(本郷聡明会長)の協力で、定期的に街頭キャンペーンも展開しているが、同センター企画課の白石宏美主事は、「若年層への積極的な働きかけは、これといってできていない」と打ち明ける。

 そんな中、献血現場の最前線では、若者の献血を増やすための独自の試みが始まっている。

 献血ルーム京都駅前は、昨年6月から「サポーター制度」を導入。登録した献血者は知人らへの献血呼びかけのほか、特技を生かしてミニコンサートや占い、ネイルケアなどのイベントをルーム内で開き、若者に魅力的な環境づくりを進める。サポーターは現在、約50人。大橋一雄所長は「献血を身近に感じ、考えてもらう機会が増え、未経験者の掘り起こしにもつながっている」と手応えを語る。

 今後の課題について、同課の夜久雅文課長は「献血は身近なボランティアと、若い人たちに認識してもらうのが大事だ」と言う。献血との距離感を縮め、潜在的に持つ高いボランティア意識を刺激することができた時、血液を提供する若者も、おのずと増えていくはずだ。

献血時のグリコアルブミン検査がスタート

2009年03月10日 糖尿病ネットワ−ク

 日本赤十字社は3月15日から、献血時の生化学検査の項目にグリコアルブミン値を追加する。献血時に行う検査としては、血液の安全性を確保するために行う検査(細菌やウイルスのチェックなど)に加えて、献血協力者に対するサービスとして、肝機能検査やコレステロール値の検査を行い結果を協力者に提供している。グリコアルブミン検査は後者の検査の一環として無料で協力者全員に実施する。

 近年、糖尿病を巡っては、その患者数の増加と発症の低年齢化だけでなく、糖尿病であるにもかかわらずそれに気付かず放置している患者さんが少なくないことから、将来的に合併症が急増することが危惧され、社会的な問題となっている。現在の公的な健診制度は対象が40歳以上に限定されることが多く、若い人の糖尿病や糖尿病予備群が見逃されているが、献血には比較的若い人も協力するため、そういった人たちの中から糖尿病や糖尿病予備群が早期発見されことが期待される。

グリコアルブミン検査導入の背景

 献血協力者へのサービスとしての生化学検査では、これまで ALT(GPT)、AST(GOT)、γ-GTP、総蛋白、アルブミン、アルブミン/グロブリン比、コレステロールの各検査値が協力者に提供されてきた。肝機能を評価する検査が3つ含まれている一方で、糖尿病関連の検査は含まれていなかった。これは、従来、国内では肝炎の発病が多くその早期発見が重要であり、糖尿病は現在ほど多くはなかったため。

 しかし今回、このうちの AST が廃止されて、新たに糖尿病の検査としてグリコアルブミンが追加される。この変更の背景には、国内で肝炎の新規発症が減ってきた一方で、糖尿病が急増していることがあげられる。

なぜ、血糖値や HbA1Cではなく、グリコアルブミンなのか

 糖尿病関連の血液検査としては、血糖値のほかに HbA1C、グリコアルブミンなどの検査がある。

 血糖値は糖尿病の診断に必須の検査だが、食事の影響を受けて大きく変化するため、献血に協力するタイミングによっては、糖尿病の心配が少ない人に対してまで注意を促す結果になったり、反対に糖尿病が見逃されたりする可能性を伴う。仮に空腹時に限定し採血するとした場合、協力者が限定されるだけでなく、わずかながら採血後の副作用の頻度が上昇する危険もある。

 HbA1Cは採血時点の血糖値に左右されずに過去2カ月間の血糖値の平均値と相関する検査値なので、このような心配はない。しかし、検査のために検体を1本追加せねばならず、測定に専用機器が必要となりコストが高くなる。

 グリコアルブミン検査は、採血時から過去1カ月(とくに直近の2週間)の血糖値の平均と相関する検査値であり、血糖値のような偽陽性・偽陰性の問題が生じにくいというメリットは HbA1C検査と同様。また、他の生化学検査と同じ一つの検体で済み、測定コストも安価なため、献血のような膨大な対象に行うスクリーニングとして優れている。さらに近年では、糖尿病予備群やメタボリックシンドロームに特徴的な検査値異常である、食後のみの短時間の高血糖もグリコアルブミン検査では比較的よくとらえられることがわかってきており、そういった方に対して糖尿病発症予防のための注意を喚起するのにも有用性が高いと考えられる。

グリコアルブミン値による糖尿病の有無の評価

 グリコアルブミン検査は現状では糖尿病の診断には用いられていないが、多くの研究により、血糖値や HbA1C値など他の糖尿病関連検査とよく相関することが明らかになっている。日本赤十字社では下表のように、グリコアルブミン値が15.6%以上16.5%未満を「正常高値」として協力者へ注意を促し、16.5%以上18.3%未満は「境界域」、18.3%以上は「糖尿病域」と判定し、受診を勧める。

グリコアルブミン値による糖代謝の判定

妊娠の可能性がある若い女性のメリットが特に高い

 献血時にグリコアルブミン検査が実施されることにより、これまで見逃されていた糖尿病やその予備群が早期発見されると予測されるが、そのメリットが最も生かされるのが、これから妊娠・出産する可能性のある若い女性といえる。

 糖尿病が見逃されたまま妊娠すると、胎児の奇形や母体のトラブルが生じやすく、出産できなくなることもある。そのため妊娠前からの厳格な血糖コントロールが必要。近年の晩婚化により高齢出産となるケースが増えており、妊娠前に糖尿病を見出しておくことがより重要になってきている。

 職場健診などを受ける機会のない女性も少なくない。そのような女性が献血へ協力する場合、その行為が他者の命を救うばかりでなく、本人の健康を守り元気な子どもを授かることにつながることもあるだろう。

採血ミスで患者側逆転敗訴

2009/02/27 中国新聞ニュ−ス

 呉市国保安浦診療所で、看護師が採血時に左腕の動脈を損傷し慢性的な痛みが生じたとして、同市の男性が、市に約1億2500万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が26日、広島高裁であった。広田聡裁判長は、一審広島地裁呉支部の判決のうち看護師の過失を認めて市に約5200万円の支払いを命じた部分を取り消し、男性の請求を棄却した。

 広田裁判長は「採血を契機に反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)を発症した」としたが、看護師の過失は認めず、「RSDの発症原因はまだ解明されていない。仮に動脈を損傷させたとしても発症との因果関係を認めることはできない」と判断した。

「献血17歳から」提言 4百ミリリットル、厚労省検討会

2009年02月17日 中国新聞ニュ−ス

 厚生労働省の「献血推進のあり方に関する検討会」(座長・清水勝西城病院理事)が17日開かれ、男性の400ミリリットル献血の下限年齢を現行の18歳から17歳に引き下げるとする同省への提言をまとめた。

 少子高齢化が進み、将来的に輸血用血液が不足する恐れがあるためで、厚労省は近く薬事・食品衛生審議会に諮り、早ければ来年度にも引き下げが決まる見通し。大幅な献血基準の見直しは1986年以来となる。

 献血には200ミリリットル献血、400ミリリットル献血、血漿や血小板だけを採取する成分献血の3種類があり、400ミリリットルと血漿の成分献血は18−69歳、200ミリリットルは16−69歳、血小板の成分献血は18−54歳がそれぞれ可能。厚労省は、需要が大きい400ミリリットルの下限年齢を引き下げ、将来の安定供給を目指す方針。

 男性の血小板の成分献血についても、上限年齢を69歳に引き上げることを提言に盛り込んだ。

 献血者数は1985年の約870万人をピークに2008年には約508万人まで減少。特に10代は94年の約96万人から08年には約31万人に大きく落ち込んだ。

チョコ代わりに☆バレンタイン献血

2009年02月15日 読売新聞 Yomiuri On-LINE 中部

名古屋で200人が提供

 バレンタインデーの14日、「バレンタイン献血」と銘打ったキャンペーンが名古屋市中区の大須万松寺献血ルームと栄献血ルームの2か所で行われた。

 「あいち骨髄バンクを支援する会」(水谷久美事務局長)が、輸血用血液が不足しがちなこの時期を乗り切ろうと実施。1日で約200人の血液が集まった。

 また、骨髄バンクのドナー登録への呼びかけも行われた。同会によると、登録者は全国目標の30万人に達したが、移植を希望する待機患者の数は約2300人いる。移植で問題となる白血球の型も数万通りあり、移植に結びつかない例も多く、登録者の数は不足している。

 大須万松寺献血ルーム前では、同会の会員ら約10人が、休日で行き交う多くの買い物客らに協力を呼び掛けていた。

 カップルで同ルームを訪れた稲沢市の会社員夏田久信さん(32)と西野由衣さん(26)は、仲むつまじく並んで座り、ともに400ミリ・リットルを献血した。西野さんは「チョコレートの代わりに『愛のプレゼント』を受け取ってください」と笑顔で話していた。

年始用の輸血確保、神社で献血呼びかけ…鹿児島

2009年01月04日 読売新聞 Yomiuri On-Line

「初詣での後は献血を」と呼びかける血液センター職員

 多くの医療機関が休診となる年始期間に輸血用血液を確保しようと、県赤十字血液センターは2、3の両日、鹿児島市の照国神社で初詣での参拝客らに献血を呼びかけた。

 同センターは、バス2台を境内に設置、職員がのぼりを手に協力を求めた。献血した鹿屋市の製造業白坂和哉さん(47)は、「友人が病気になった際、ありがたみを知った。少しでも役に立てればうれしい」と話した。

 同センターは、「献血ルーム・天文館」(鹿児島市東千石町)でも献血を受け付けている。

献血で糖尿病もチェック 日赤、来年3月から

2008/12/17  中国新聞ニュ−ス

 日赤は十七日、街頭などで献血した人に無料で実施している血液検査に、糖尿病の疑いがあるかどうかを調べる項目を新たに加えると発表した。来年三月から始める。

 食生活の欧米化などで患者数が増え、国民的にも関心が高くなっている糖尿病を検査対象とすることで、深刻化する献血者の減少に歯止めをかけるのが狙い。

 日赤は「糖尿病の検査は、これまで献血者からも要望があった。予防には定期的な検査が有用で、健康管理に役立ててほしい」(血液事業本部)としている。

 糖尿病の血液検査は、空腹時の血糖値を測定する方法が一般的だが、空腹で献血はできない。このため、飲食後でも数値に影響がない血液中のグリコアルブミンを測定することで、間接的に血糖値を調べる方法を導入する。検査結果は、約二週間後に本人に通知する。

 日赤によると、糖尿病患者は予備軍を含めると千八百万人以上いるといわれている。自覚症状がない場合が多いが、長期間放置すると悪化し、手足の壊死えしや失明など深刻な合併症を引き起こすケースもある。

 日赤は健康増進を目的とした献血時の無料検査を一九八二年から実施。肝機能障害の指標となるガンマGTPやコレステロールなどの値を約二週間後に献血者に知らせている。

ES細胞から大量の赤血球を生成、輸血用血液の無限供給も可能か

2008年08月21日 AFP BB News 発信地:ワシントンD.C./米国

【8月21日 AFP】米マサチューセッツ(Massachusetts)州ウスター(Worcester)を拠点とする米企業、Advanced Cell Technology(ACT)の研究員らが専門誌「Blood」(電子版)で、ヒトの胚(はい)性幹細胞(ES細胞)から大量の赤血球を生成することに成功したと発表した。今回の成功で、輸血用の血液を無限に供給できる可能性が出てきた。

 ACTのRobert Lanza氏は「血液の供給に制限があることは、大量の失血をしている患者にとって生命を落としてしまうことにつながりかねない」とした上で、「ES細胞は、治療に必要な赤血球を供給する細胞を無限に増殖させることができる新たな細胞源の役割を果たす」と語った。

 同氏は「われわれは現在、6ウェルプレートの培地1つで培養したES細胞から、10-1000億の赤血球を生成することができる」と述べるとともに、「幹細胞株を『Oマイナス』の血液型に合わせれば、どの血液型にも合致する『万能供血者』の血液を生成することができるだろう」と強調した。O型の血液は、どの血液型の人にも輸血することが可能な唯一の万能血液型だとされている。(c)AFP

女性の経血から心筋細胞…骨髄細胞より100倍効率良く

2008年04月19日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 心臓病治療などに使える可能性がある心筋細胞を、女性の経血から効率良く作ることに、慶応大と国立成育医療センターなどのグループが成功した。

 骨髄細胞より約100倍も効率が高く、採取に痛みと危険を伴わない利点がある。

 慶大の三好俊一郎講師らは、女性9人から経血の提供を受け、約1か月培養して、再生能力を持つ幹細胞だけを分離。これらを心筋梗塞(こうそく)にしたラットの心臓に移植すると、移植した細胞が心筋に変化し症状が改善した。

 また、シャーレの中でラットの心筋細胞と一緒に2週間培養すると、20%の細胞がシート状の心筋細胞に変化して拍動を始めた。人の骨髄細胞だと、0・2〜0・3%にとどまった。

 経血には子宮内膜の組織が混ざっていて、この中に幹細胞が多数含まれているらしい。三好講師は「特に心臓の組織になりやすい性質があるようだ。心臓病の治療や、心臓の治療薬の副作用を調べるのに使える可能性がある」と話している。

献血すれば糖尿病検査 日赤、無料で今夏にも追加

2008/02/10 FujiSankei Business i.

 日赤は9日までに、献血者の健康増進を図るため献血の際に無料で実施している血液検査に、糖尿病の疑いがあるかどうかが分かる項目を新たに加える方針を決めた。早ければ今夏から実施する。

 糖尿病が予備軍も含めると約1600万人に上るとされ、今や国民病となったことを受けた対応。関心の高い検査項目の追加で、深刻化する献血者の減少傾向に歯止めをかける狙いだ。

 学生やフリーター、専業主婦など、勤め先の定期健診などを受けられない層にとっても早期発見、治療のチャンスとなりそうで、日赤幹部は「結果的に健康な献血者の確保にも役立つ」としている。

 日赤によると、献血時の無料検査は1982年から実施。コレステロールや、肝機能障害の指標となるGPTなど7項目の値をチェックし、約2週間後に結果を本人に通知している。今回は、糖尿病の判定に使う検査項目を追加するとともに、既存の項目も見直す。費用は日赤が負担する。

 糖尿病の血液検査は空腹時の血糖値を測定する方法が一般的だが、空腹での献血は体調に悪影響が出る恐れがある。このため日赤は、飲食した後の測定でも問題ない検査方法を導入する方針。

 厚生労働省生活習慣病対策室によると、糖尿病は食生活の変化で若い世代にも広がっているが、自覚症状が少ないため治療が遅れ、合併症や後遺症が出るケースが増えている。

               ◇

【用語解説】献血時の検査

 国内の献血事業は日赤のみが実施主体で、提供された血液について(1)安全性確保(2)献血者拡大−の2つの目的でさまざまな検査をしている。(1)についてはB、C型肝炎やエイズウイルス(HIV)などの感染症の検査を実施。肝炎などは希望者に結果を通知するが、HIVは検査目的の献血を防止するため通知しない。(2)はコレステロールや肝機能障害の指標となるGPTなど健康増進に役立つ項目を調べ、結果を通知している。

献血離れ深刻 ハンドマッサージや和菓子で食い止め作戦

2008年01月19日 asahi.com

 安全な輸血用血液や血液製剤の原料の確保に欠かせない献血の減少が止まらない。少子化で献血に協力してくれる若者が少なくなっているうえ、感染症対策で海外渡航者の献血条件が厳しくなったことなどが影響し、06年は献血者がピーク時の半分近くに激減した。各地の血液センターでは献血者に無料でネイルケアをしたり、和菓子と抹茶を振る舞ったりするなど、献血者減少を食い止める新サービスを展開している。

      ◇

 「冬はピンチです」。11日、大阪・難波の高島屋大阪店前の歩道で、日本赤十字社・大阪府赤十字血液センター(大阪市城東区)の職員が通行人に献血への協力を呼びかけた。これまでは約50メートル離れたロータリー内の広場が会場。人通りの多い歩道で献血を募るのは19年ぶりだった。

 外出を控えがちな冬は献血者が減り、毎年のように血液不足が深刻になる。同センターの昨年12月時点の予測では、大阪府内で今月下旬に血液製剤の在庫が適正ラインの約7割まで落ち込むおそれがあった。

 会場変更で1日平均34人だった献血者は同59人に増加。担当者は「高島屋前での献血者が増えたおかげで、なんとか在庫量を適正に戻せた。綱渡りです」と話す。

 厚生労働省などによると、06年の献血者は、ピークだった85年の約869万人の半分近い約498万人。大阪府は02年度から06年度までに15%減り、兵庫県も06年度は約19万3千人と初めて20万人を割り込んだ。

 献血の「主力」を担ってきた若者が少子化で減っていることが大きな要因とみられるが、「変異型クロイツフェルト・ヤコブ病」などの感染症対策で海外渡航者の献血条件を厳しくしたことも影響している。

 以前は帰国直後であっても健康であれば献血できたが、03年、献血前の問診で帰国から3週間たっていないことが判明した人からは採血しないようになった。この結果、同年度の献血者数は前年度より約16万人減った。04年には4週間に延長され、05年からはヤコブ病の発生経緯を踏まえ、英国に80〜96年に渡航した人も対象となった。

 それでも検査をすり抜け、輸血で肝炎などに感染したと疑われる例は後を絶たない。「献血は安全確保が最優先」。厚労省血液対策課は厳しい基準に理解を求める。

      ◇

 年々深刻になる献血離れを食い止めようと、現場は知恵を絞る。

 「献血でこんなサービスを受けられるなんて驚きです」。今月10日、JR三ノ宮駅前(神戸市中央区)の「ミント神戸15献血ルーム」で成分献血をした主婦大原淳子さん(36)は、両腕をさすりながら喜んだ。

 大原さんが受けたのはハンドマッサージ。隣に座った別の女性はつめの表面や先端をヤスリなどで整え、乾燥を防ぐオイルを塗るネイルケアを受けていた。献血ルーム近くにあるメーク技術の専門学校の生徒が昨年5月から実習を兼ねて協力している。

 このサービスは毎週火曜と木曜の各2時間で、それぞれ平均10人ほどが利用。両日は他の曜日より献血者が2〜3人多いという。同ルームでは、無理なダイエットで鉄分不足になって献血できない女性らのため、管理栄養士による食生活相談コーナーも週1回設ける。

 同ルーム管理課の村木明文さんは「怖い、痛いというイメージをなくし、若者や女性が献血したくなるような雰囲気作りを目指した」と話す。

 大阪府赤十字血液センターは昨年から月1回、従来のジュースなどに加えて和菓子と抹茶を提供。高級感が女性を中心に好評だが、「献血者を増やす、これといった決め手は見つからない」(担当者)のが現状だ。厚労省は「若い世代の献血が増えなければ、血液不足は慢性化する恐れがある」として、08年度に若者の献血増加策を考える検討会を発足させる方針だ。

榮倉奈々:「怖かったけど…」成人式前に献血初体験 「はたちの献血」広報キャラクターに

2008年01月12日 毎日新聞 毎日JP

はたちの献血キャンペーンの広報キャラクターに就任した榮倉奈々さん

 女優の榮倉奈々さん(19)が12日、「はたちの献血キャンペーン」の広報キャラクターに就任し、記者発表会に登場した。榮倉さんは「たくさんの人に献血の大切さを伝えたい」と協力を呼びかけた。

 「はたちの献血キャンペーン」は、献血者が減少しがちな冬季に血液製剤を安定的に確保するため、成人式を迎える若者を中心に献血への理解と協力を求めるため、1月1日〜2月29日の2カ月間、全国の赤十字血液センターや献血会場などで展開される。2月に20歳になり、成人式を控えた榮倉さんは、若者の代表としてテレビ、ラジオCMやポスターなどに登場。CMは「大人になるってどんなこと?」と考えた榮倉さんが献血に行くという設定で、「みんなが、自ら考え、行動し、献血に参加しよう!」と呼び掛ける。

 榮倉さんは、キャラクター就任が決まり、初めて献血に行ったが、「ちょっと怖いイメージだったけど、献血ルームがすごくきれいで、びっくり。スタッフの方もたくさんいて安心できました。今度は友達と一緒に行きたい」と笑顔でアピール。今春スタートのNHK連続テレビ小説「瞳」に主演する榮倉さんは、8月まで撮影がぎっしりといい、「西田敏行さんや飯島直子さん、大先輩の俳優さんがいっぱいで……」と大役に張り切っていた。【栗原拓郎】

榮倉奈々が献血を初体験

2008/01/17 時事ドットコム

 「はたちの献血キャンペーン」の記者発表会が行われ、広報キャラクターを務める榮倉奈々が出席した。先日初めて献血を体験したという榮倉は献血手帳を持って登場し、「初めての人にも丁寧なので安心しました。今度は友達と一緒に行きたいです」とコメント。「血がなくならないように、たくさんの方に協力してもらいたいです」と呼び掛けた。

血液が不足する冬場に大きな力 陸自福知山が献血100リットル運動

008年01月17日 両丹日日新聞

 冬場の血液不足の解消に一役買おうと、陸上自衛隊福知山駐屯地で16日、「献血100リットル運動」が実施された。血液量は目標には届かず91・6リットルだったが、普段の会場で集まる血液量の3、4倍にあたる。

 寒いこの時期は、年間を通じて血液の在庫が最も不足するという。そこで福知山駐屯地では2006年から献血100リットル運動を始めた。

 駐屯地には府赤十字血液センター(京都市東山区)と府福知山赤十字血液センター(長田野町)のバス計3台、医師2人、看護師9人が訪れた。献血は午前9 時から開始。岸良和典司令が第一号となり、訓練や業務の合間などに屈強な隊員たち229人が次々と400ミリリットル献血に協力した。

■大震災体験の隊員も

 高校3年のとき、神戸市で阪神大震災に遭い、避難所生活の経験がある安藤・二曹(31)は「困っている人を一人でも多く助けられたらうれしい」と話していた。

 福知山センターによると、在庫が不足するこの時期の血液確保が課題だったが、100リットル運動のおかげでしばらくは安定するという。

祝成人献血よろしく 高知でPR

2008年01月15日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 成人の日に合わせ、若者らに献血に協力するよう呼びかける第32回「はたちの献血」キャンペーンが14日、高知市秦南町のイオンモール高知で行われた。

 尾ア知事が「県内では少子高齢化の影響で、献血者数がますます減少している。若者の助けが必要」とあいさつ。

 県赤十字血液センターの1日所長を任命された県立高知女子大文化学科2年、山崎理央さん(20)やボランティアら約30人が「協力よろしくお願いします」と呼びかけ、買い物客に啓発のティッシュペーパーを配布した。

 献血車での献血に応じる人も多く、同市南万々の会社員浅野壮一郎さん(33)は「痛くないし、時間もかからない。少しでも役立ちたい」と話していた。

 県内の献血者数は、1998年度の4万4700人をピークに減少し、昨年度は過去10年で最少の3万5734人。県内だけでは必要な血液量の87・5%しか供給できていない。

 同市本町の献血ルーム「やまもも」では毎日午前9時30分〜午後6時(受け付けは5時まで)、献血できる。問い合わせは、やまもも(088・822・5454)へ。

県内の献血者数、9年ぶり増加へ

2008年01月14日 読売新聞 Yomiuri On-Line
献血者増に向けたキャンペーンを行っている「マリエとやま」の献血ルーム

 今年度の県内での献血者数が、9年ぶりに増加に転じる見込みであることが、県赤十字血液センター(富山市飯野)のまとめで分かった。増加のための取り組みが奏功した結果とみられるが、年度末までの今後3か月間は例年、献血する人が減るため、若者を中心に献血を呼びかけるイベントやキャンペーンを幅広く行っていく予定だ。

 同センターによると、過去10年の献血者数は、1998年度の6万3556人をピークに年々減り、2006年度は3万9982人と、4万人を割り込んだ。

 ただ、今年度は、月別の献血者数がすべて前年同月を上回っており、昨年末現在で計3万1374人。同センターは「再び4万人を超える可能性が高い」と予想し、9年ぶりの増加が見込まれる。

 同センターは06〜07年、JR富山駅前の「マリエとやま」献血ルームで、献血する際にマニキュアを塗ったり、自分に合った洋服の色や化粧を診断したりする、若者向けのサービスを開始。

 同センターの藤井充郎業務課長は、「サービス開始後、若いカップルが多く訪れるようになった」と、増加要因に挙げる。

 また、企業で献血を実施する際、貧血や高血圧が原因で献血できない人を対象にした保健師による健康相談も、07年に約20か所で実施。健康相談により食生活などを改善してもらい、次回へとつなげるなど、掘り起こしにも努めている。

 ただ、今後の課題は、1〜3月の献血者数。記録的な少雪だった昨年度を例外として、冬になると、インフルエンザや降雪などで、人数が減る傾向にある。

 同センターは1、2月、「はたちの献血」キャンペーンとして、若者に呼びかけるほか、きょう14日は、富山市婦中町のショッピングセンターで、ミニライブや抽選会を行い、献血を呼びかける予定だ。

 藤井課長は、「今後もっと多くの人に献血してもらえるよう、努力したい」と話していた。

はたちの献血…「協力を」

2008年01月14日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 成人の日(14日)を前に、県や県赤十字血液センターなどは13日、宮崎市のイオンモール宮崎で「はたちの献血キャンペーン」を行った。県内ではA型とO型が不足しているうえ、1、2月は風邪などで献血する人が減ることから、若者らに呼びかけることにした。

 東国原知事と一緒に献血を呼びかけるテレビのCMに出演している延岡市出身の女性ボーカルユニット「Spirit(スピリット)」の高津智美さん(22)と高本佳那江さん(21)が、持ち歌を披露し、「ご協力をお願いします」と呼びかけた。近くに止めた献血車では早速、若者らが献血していた。

 センターによると、県内では13日現在、適正に供給できる量をA型が約20%、O型が10%前後下回っている。センター業務課長の重永佳宣さん(58)は「20歳代の献血が減っており、多くの若者が関心を持ってくれれば」と話していた。問い合わせは、センター(0985・50・1800)へ。

「ハタチ」機に始めませんか 献血に協力呼び掛け

2008/01/07 新日本海新聞社

 鳥取県赤十字血液センターは、新成人の「二十歳」の若者を中心に広く献血を呼び掛ける「はたちの献血キャンペーン」を展開している。二月二十九日まで。 期間中、新成人と街頭献血者ににプレゼントされるメモとクリアファイル

 若者の献血離れが目立つ中、献血者が減少しがちな冬期に安全な血液製剤を安定的に確保するため、特に成分献血、四百ミリリットル献血を継続的に推進する。

 期間中、献血に協力した新成人(一九八七年四月二日−八八年四月一日生まれ)に「張ってはがせるメモとペンセット」と、街頭献血会場での献血協力者にはCMなどで活躍中の榮倉奈々さんのクリアファイルをプレゼントする。

 街頭献血の日程は次の通り。

 十一日=午前十時半−午後五時、鳥取環境大学(鳥取市若葉台北)▽十三日=午前十一時−午後四時半、ジャスコ日吉津店(日吉津村日吉津)▽十四日=午前十一時−午後五時、ジャスコ鳥取北店(鳥取市晩稲)▽十七日=午前十一時−午後五時、鳥取大学(同市湖山町南)▽十九日=午前十時半−午後三時半、ジャスコ鳥取店(同市天神)▽二十七日=午前九時半−午後三時、倉吉未来中心(倉吉市駄経寺町)−。

 問い合わせは電話0857(24)8101、同血液センターへ。

HIV感染、検査目的の献血やめて・日赤が呼びかけ

2007/12/28 NIKKEI NeT

 献血した10万人あたりのHIV(エイズウイルス)陽性者数が2007年は初めて2.0人を超える見通しとなったことが27日、日本赤十字社の調べで分かった。厳格な検査ですり抜けを食い止めた危ういケースも例年の数倍に。背景にはHIV検査を目的とした献血者の増加があるとみられ、日赤は「検査目的」をやめるよう訴えるキャンペーンに乗り出す。

 同日開かれた厚生労働省の薬事・食品衛生審議会の血液事業部会で報告された。献血した10万人あたりのHIV陽性者は1月から12月中旬までの集計で 2.06人。年間を通じて2.0を超える可能性が高い。1.0人を初めて超えたのは1999年で1.042人。その後右肩上がりで増え続け、06年は 1.744人だった。

(長野)県内の輸血用血液大ピンチ、献血を

2007/12/27 信濃毎日新聞社

 県内で輸血用血液の在庫が不足し、県赤十字血液センター(長野市)が献血への協力を訴えている。

 病院などへの供給量が増えたことが大きな要因で、製剤によっては年末にも適正在庫数の半分を下回る、近年にない危機的な状況になる恐れもあるという。

 同センターは、企業などが休みになる年末年始に向けて危機感を強め、移動採血車の増車などで対応を急いでいる。

献血キャンペーン開始 不足の冬場 協力を

2007年12月24日 福井新聞社

 血液不足となる冬場に協力を呼び掛ける「冬から春まで献血キャンペーン」が23日、福井県福井市の県赤十字血液センターで始まった。クリスマスにちなんだ記念品が用意され、多くの市民が訪れた。

 冬から春先は、風邪などで体調を崩す人が多いことや異動などで忙しくなることなどから、血液の確保が年間で最も難しい時期となる。現在は特にAB型とB型が不足傾向にあるという。

 初日は午前中だけで約30人が訪れ、約1時間ベッドに横になって血小板成分などを提供した。25日まではクリスマス企画が展開中で、終了後に記念品のキャンドルなどを受け取っていた。

 大野市から訪れた会社員長瀬佳奈子さん(42)は「クリスマスに社会貢献でき、プレゼントももらえ、いい記念となりました」と話していた。

 同キャンペーンは5月30日まで。同センターでは、成人の日やバレンタインデーなどに合わせた特典を例年以上に充実させ、協力を呼び掛けたいとしている。問い合わせは同センター=電話0776(36)0221。

学生が献血の協力呼び掛け JR秋田駅前買い物広場

2007/12/23 秋田魁新報社

 県学生献血推進協議会主催の「全国学生クリスマス献血キャンペーン」が23日、秋田市のJR秋田駅前買い物広場で行われ、県内の学生50人が献血の協力を呼び掛けた。

 同協議会はノースアジア大、日赤短大、中通高等看護学院、県立衛生看護学院、聖霊短大、県立大の学生で組織。冬は輸血用の血液が不足するほか、献血の協力者も減ることから、毎年この時季に行っており、今年で20回目。

 学生たちは買い物客らに「献血にご協力お願いします」と元気に呼び掛けた。協力者にはご当地献血マスコット「けんけつちゃん」が書かれたマグカップをプレゼントした。

 キャンペーンは24日、秋田市御所野のイオンモール秋田でも行われる。

献血者が5百万人割れ 29年ぶり、若者の減少深刻

2007/10/02 中国新聞ニュース

 二〇〇六年の国内の延べ献血者数が二十九年ぶりに五百万人を割り込み、約四百九十八万八千人となったことが二日、厚生労働省と日赤のまとめで分かった。若年層の減少が目立ち、九六年には全体の45%(約二百七十二万人)を占めていた十―二十代の献血者が、〇六年は31%(約百五十七万人)にまで激減している。

 厚労省は「少子化が一因とみられるが、それだけが理由とは考えにくい」として、来年度の概算要求に若年層の献血推進策を議論する専門家の検討会設置を盛り込むなど、献血離れに歯止めをかける本格的な対策に乗り出した。

 厚労省によると、献血者数は、一九八五年の約八百七十万人をピークにその後は減少傾向。〇六年の献血者は〇五年よりも約三十三万三千人も減少し、過去十年間で最大の落ち込みとなった。五百万人を下回ったのは七七年以来。今のところ必要量は確保できているが「このまま減少が続けば危機的状況になる」(厚労省血液対策課)という。

 九六年以降の推移を年代別にみると、三十代以上は増加か微減だが、十代(十六歳以上)と二十代は大幅に減少。厚労省は十―二十代の割合を、〇四年の35%から五年間で40%に引き上げる目標を掲げているが、逆に30%を下回る恐れも出ている。

 厚労省の担当者は「若者気質の変化なのか、啓発不足なのか、はっきりしたことが分からず、決め手となる対策もない状態」と困惑。若い世代の関心を呼び込もうと、本年度中に高校生向けのDVDを制作したり、漫画誌やファッション誌に初めてPR広告を掲載したりする予定だ。

 さらに来年度は、献血についての若年層の意識調査を実施し、結果を踏まえて専門家の検討会で原因や効果的な対策を模索する。

中国で違法な組織売血 HIV感染拡大の危険も

2007年04月07日 中国新聞ニュース

 【北京7日共同】中国広東省掲陽市で違法な有償献血(売血)が組織的に行われていることが判明、警察当局がこのほど、「血頭」と称されるリーダー格のブローカーを含む6人を拘束した。売血組織は多数あるとみられ、不適切な採血方法によってエイズウイルス(HIV)感染が広まる危険があるという。中国紙が7日までに伝えた。

 ブローカーは出稼ぎ者や貧しい農民らを自宅に住まわせ、採血を月10回以上も強制。栄養代として売血者に渡される200元(約3000円)から80元を抜き取り、月に4000−3万元の利益を得ているという。

 売血を繰り返している男性は、同市で売血で生計を立てている人が少なくとも500人いるとし、中国メディアに「血を抜かれすぎて力が入らない」と語った。

 中国では売血は事実上認められているが、組織的な売血は法律で禁止され、間隔も6カ月以上置くことなどを定めている。

献血者少なく血液不足 年明けは危機的状況

2006/12/21 AGARA 紀伊民報

 年末年始にかけて、県内で血液不足が心配されている。先月から猛威を振るっているノロウイルスや風邪の流行で、例年に比べて県赤十字血液センター(和歌山市)への献血者が少なくなっている。同センターは、年明けには血液の在庫が必要量の半分程度に減少し、危機的な状況になると予測。急きょ「街頭献血1000人キャンペーン」を23日から実施し、献血者の確保に努める。

 血液センターによると、年末年始はまとまった献血者を確保できる事業所が休みであることや、寒さによる出控えなどから、毎年献血者が少ない。さらに、今年は11月から、急に寒くなった影響で風邪をひいた人が増えたことと、ノロウイルスの大流行などによって、寒さが増すにつれて、とりわけ献血者が減少している。

 センターの年末年始の予測では、25日から徐々に在庫が減少し、28日には適正在庫(3日分の使用量)の70%の「注意報水準」に達する。来年1月5日には適正在庫の50%まで減少して「警報水準」となり、医療機関からの緊急な要望に応じられなくなる恐れがあるという。

 県田辺赤十字センター管内(日高郡以南)の献血者数は、10月が996人で前年同月より16人増えたが、11月は817人で前年同月に比べ112人も減少した。献血バスが稼働した日の献血者は、11月で平均35・5人と今年4月以降では初めて、40人を下回った。

 このため、普段は献血バスを出さない日曜にも出して配車数を増やしたり、過去に献血をした人にハガキを出して呼び掛けたりしているが、12月に入っても減少傾向に歯止めがかからないという。

 ほかにも、血液不足にはさまざまな要因がある。

 献血者から採血する量は200ミリリットルと400ミリリットルがあるが、200ミリリットルでは輸血の際に多くの人の血液が必要になることがある。同センターでは、輸血者への副作用を軽減するため400ミリリットルの献血を推進しているが、血液の比重不足や血圧など採血基準に満たないなどの理由で、採血できない人が昨年より増えているという。若者の献血者も年々減っている。

23日からキャンペーン

 「街頭献血1000人キャンペーン」では、23日から来年1月8日にかけて田辺、和歌山、岩出、御坊の4市とみなべ町のスーパーマーケットなど計18カ所で街頭献血をする。1カ所55人の献血を目標に呼び掛けを強化し、先着50人に卵1パックを贈る。みなべ町では1月3日、南部ライオンズクラブが協力し、献血者にぜんざいを振る舞う。

 田辺赤十字センターの竹内勝敏管理課長は「初めての人でも、献血車を見掛けたら勇気を出して入ってきてほしい」と話している。

メードにマッサージ… 献血不足に多彩な呼び込み作戦

2006/12/14 The Sankei Shimbun

 「献血の場」が変貌(へんぼう)しつつある。メード服姿の女性が登場したほか、占いやマッサージなどのサービスを用意したり、高級ホテルが会場になったりと、参加しやすさを追求し、あの手この手を繰り出している。背景にあるのは、歯止めのかからない献血離れ。特に若い世代の落ち込みが大きく、“呼び込み作戦”は待ったなしの様相だ。(森浩)

あの手この手

 東京・新宿の繁華街にある「新宿東口献血ルーム」。献血者数が全国で最も多く、平日でもにぎわいを見せるが、来訪者のお目当ては「献血だけ」ではない。

 いまや献血ルームはちょっとした“イベントスペース”と化している。新宿東口献血ルームでは、マッサージ、メンタルセラピー、ネールサロン、毛髪健康度チェック、手相占いまで、ほぼ毎日何かしらのイベントが展開されている。

 この日、実施されたのは、カラーコーディネート講座だ。カラフルな布を次々と胸に当て、自身に似合う色を探る。講座を受けた男性(30)は「献血2回目ですが、イベントがあると再度訪れるきっかけになる」と笑顔で話した。

 献血離れを食い止めるべく、10年ほど前から個性的なイベントを展開する献血ルームは増え始めた。東京・秋葉原の「アキバ献血ルーム」では今年3月、“土地柄”を生かして、メード服姿の女性が献血者の手をもみほぐしてリラックスさせる「メードリラクゼーションサービス」を実施した。管轄する東京都赤十字血液センターは「(献血の)ドナーさんに喜んでいただけることならば、今後も展開していきたい」と意欲的だ。

高級ホテルで

 イベント攻勢の背景にあるのは、深刻な献血離れだ。平成3年には800万人を超えていた献血者数は低落をたどり、昨年は532万人。特に若い世代の減少が目立つ。

 そんななか、高級ホテルのザ・リッツ・カールトン大阪(大阪市)では今年から、宴会場を献血会場として提供し、献血をしてもらう取り組みを開始した。

 通常の献血の際には、血を採取した後、水分補給のためにジュースやお茶を配布するが、ホテルでの献血ならではのサービスを展開する。ラウンジなどと同じコーヒーやクッキー、チョコレートを用意し、“給仕”するのもホテルマンだ。

 ホテルが献血の場所を提供するのは全国でも珍しいという。「献血者が減っているという現状を聞き、ご協力できないかと考えた」と同ホテルでは意図を語る。

「不安」払拭

 厚生労働省が3月、献血をしたことがない若者(16〜29歳)5000人に献血をしない理由を尋ねたところ、1位となったのは、ずばり「針を刺すのが痛くて嫌だから」(29%)。以下、「なんとなく不安」(28%)、「恐怖心」(23%)といった回答が上位を占めた。また、関係者に特に衝撃を与えたのは、未経験者の4人に1人以上(26%)が献血の種類(採血量など)や方法を「知らない」と回答したことだった。

 厚労省では、10月から献血後にめまいを起こして転倒するなどして健康被害を受けた人に対して、医療費を支援する制度を開始した。献血後に何らかの症状が現れるケースは年間5万6000件(16年)を超えることから、“安心できる”態勢づくりに躍起だ。

 厚労省血液対策課では「痛みは個人の感じ方もあるし、解消はなかなか難しい。今後は何とか献血の意義を広く分かってもらえる方法を考えていきたい」と祈るように話している。

「できない人」も増加

 献血離れが進む一方で、最近増えているのが「献血できない人」だ。

 日本赤十字社によると、赤血球の数が少ないか、赤血球中のヘモグロビンの濃度が低いと、「血液の比重不足」と判断され、献血することができない。献血者の体調悪化が懸念されるほか、輸血の際、思ったような効果が得られないことにもつながるからだ。

 昨年、この「比重不足」と判断されて、献血ができなかった人の数は54万人。10年前と比べると約10万人も増加している。日本赤十字社では「はっきりしたことは解明されていない」としながらも、「ダイエットや朝食抜きなど食事バランスの偏りや運動不足などが影響しているのではないか」とライフスタイルの変化を指摘している。

献血の健康被害で救済制度 死亡時900万円補償

2006/09/29 The Sankei Shimbun

 献血をした人に健康被害が生じた場合、日赤が本人や遺族に対し一定額を補償するための指針を厚生労働省が29日までに策定した。死亡時は約900万円を支払うなどの内容で、日赤は10月1日から、これに基づく「献血者健康被害救済制度」を実施する。

 日赤によると、これまで献血でめまいや気分不良、意識障害など健康被害が出た場合の治療費などは、日赤が加入する保険の規定に基づいて支給し、保険が認められないケースについては内規に沿って見舞金を支払っていた。しかし支払い方法が不透明だとの指摘もあり、厚労省が統一基準の策定を進めていた。

 新制度では、被害の程度に応じ5つの給付項目を設定。医療機関で受診した場合は、医療費と1日4480円を支給する。障害が残った場合は最高で約1179万円、死亡時は死亡給付880万円と葬祭料19万9000円を支払う。

 厚労省によると、平成16年度の献血者は約560万人。このうち約5万6500人に何らかの健康被害があり、医療費などを支給されたのは802人。死者はなかった。

「針痛いから」 若者が献血避ける理由

2006/05/10 The Sankei Shimbun大阪夕刊から

 若者が献血をしたことがない理由で最も多かったのは「針を刺すのが痛くて嫌だから」−。厚生労働省が10−20代を対象に初めて実施した献血の意識調査で10日、こんな結果が明らかになった。厚労省の担当者は「現状では針の痛みをなくすのは難しいが、若者に献血に足を運んでもらえるような具体策を考えたい」と話している。

 調査は、若者の献血離れを食い止める方策の参考にするため、1−2月にインターネットを通じて実施。全国の16−29歳の未経験者5000人らから回答を得た。

 未経験者に献血しない理由(複数回答)を尋ねたところ「針を刺すのが痛くて嫌だから」が29%で最も多く、次いで「なんとなく不安だから」が28%、「健康上できないと思ったから」と「恐怖心」が23%だった。

 献血ルームに対する未経験者のイメージは「暗い」が21%で、「明るい」の18%を上回った。

 厚労省によると、献血者は昨年までの10年間で約15%減少。このうち10代(16−19歳)の減少幅は約45%、20代も約35%となっている。

英国渡航の人から献血 輸血受けた患者は死亡

2006/02/07 The Sankei Shimbun

 日赤は6日、献血が禁じられている「英国への渡航歴がある人」から誤って採血し、輸血を受けた患者が胸部大動脈瘤(りゅう)破裂で死亡したと発表した。日赤は「死因と献血は関係ないが、本来断るべき人から採血した。再発防止に全力を尽くす」としている。

 献血した人は1月23日、京都市の京都府赤十字血液センターで、献血直前の問診に「1980−96年の間に英国に1泊以上滞在した」の項目に「はい」と答えたが、担当職員が見落とし、採血した。

 日赤は昨年6月、牛海綿状脳症(BSE)が人に感染して起こるとされる「変異型クロイツフェルト・ヤコブ病」の国内初の患者が英国に一時滞在していたため、同国に一定期間滞在歴がある人の献血制限を始めた。

 この血液は1月30日に京都府内の医療機関に運ばれ、31日に患者に使用されたが、その日に死亡した。献血者の血液を検査したが異常は見つからなかった。(共同)

さい帯血を金属探知機に、JAL職員が誤作業

2005年10月07日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 中国地方の公立病院の医師が先月20日、へその緒に含まれ、白血病治療などに使われるさい帯血を東京から搬送する際、羽田空港で日本航空(JAL)の地上職員が誤って金属探知機に通していたことが明らかになった。

 東京都赤十字血液センター臍帯血(さいたいけつ)バンクなどによると、同バンクから数十ミリ・リットルのさい帯血を受け取った医師が羽田空港で搭乗手続きをした際に起きた。JAL職員に対し、さい帯血を運んでいることを告げたが、容器を預かったこの職員は本来避けなければならない金属探知機のゲートをくぐったという。

 金属探知機から出る磁力線は携帯電話使用時よりも弱いとされるが、さい帯血に含まれる細胞への影響が懸念されるため、国土交通省は航空各社に対し、X線検査とともに金属探知機による検査を免除するよう通知していた。しかし、同病院は「さい帯血への影響は少ない」と判断し、患者の同意を受けて移植。これまでのところ特に副作用などは起きていないという。

 JAL広報部は「職員は免除するのはX線検査だけだと勘違いしていた」と謝罪し、地上職員に対し改めて周知徹底を図った。

献血で死亡:直後に倒れ頭部強打 日赤が対応策検討

2005年10月07日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE

 日本赤十字社は7日、30代の男性が献血直後に倒れて頭部を強打したことが原因で死亡したと発表した。献血でめまいや気分が悪くなる血管迷走神経反応(VVR)を起こした可能性があり、日赤は再発防止のため、各血液センターに注意を促す一方、発生原因や対応策を探る検討会を今月中にも設置する。

 日赤によると、男性は先月26日、東京都内の献血ルームで成分献血をした。採血後、ビル内のトイレに行ったが、数分後、倒れているのを通行人が見つけ、救急搬送されて緊急手術を受けたが、今月6日に死亡した。

 日赤の調べでは、採血による副作用被害は献血者全体の約1%で、昨年度は約540万人の献血者のうち、0.8%の人にVVR被害があった。97年度以降では、少なくとも01年度に同じように転倒して死亡したケースが1件ある。

 日赤血液事業本部は「男性の遺族には誠意を持って対応したい。全国の血液センターに再発防止を徹底させる」と話している。【玉木達也】

偽名献血問題、厚労省が滋賀赤十字センターを行政処分

2005年08月12日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 滋賀県赤十字血液センター(滋賀県草津市)の元課長(51)(7月末に退職)が偽名で献血を繰り返すなどしていた問題で、厚生労働省は12日、同センターと同センター長浜出張所(同県長浜市)に対し、血液新法に基づく業務改善命令を出した。

 2003年の同法施行以来、行政処分は初めて。

 厚労省によると、同センター長浜出張所では1月、前回の献血との間隔が基準に満たない女性から採血。ミスを把握した後、データを削除し、血液を廃棄して隠ぺいしていた。

 B型肝炎ウイルス感染を示す抗体が検出されたセンター元課長は計6回、偽名で献血していた。

 厚労省は7月、センターと出張所に立ち入り検査を実施。「業務の運営全般に法令違反が多数確認された」として処分を決めた。

 同センターの青島敏行所長は「厳粛に受け止め、今後は法令、法規を守って業務にあたりたい」とコメントした。

 日本赤十字社(東京)と同センターは7月、元課長を60日間の出勤停止とするなど7人を懲戒処分にした。

保管血液傷み手術に影響 広島

2005/07/14 中国新聞地域ニュース

 <県立広島病院 空調働かず>

 広島県立広島病院(広島市南区、大浜紘三院長)で九日、電気工事の際の確認ミスのため、輸血用血液保管庫に設置した冷蔵庫の温度が上がり、患者七人の手術用血液が使えなくなり、手術が延期されるなどの影響が出ていることが十三日、分かった。昨年十一月にも同様のミスが起きていた。

 病院の説明によると、使えなくなったのは、整形外科や婦人科などで手術を受ける患者自身から事前に八百〜四百ミリリットルずつ採った自己血計四千四百ミリリットル。県赤十字血液センターから買って、保管庫で保存していた血液製剤も傷み廃棄した。

 七人の患者には、主治医などが手術の延期か、血液製剤による輸血への切り替えを提案。来院した四人には大浜院長ら病院幹部が謝罪。うち一人が血液製剤による手術を受けた、という。

 事故は九日午後三時十五分ごろ、別室での電気工事に伴い、一時的に血液保管庫のエアコンの電源を切った際に発生した。ビル管理の作業員が電源を入れ直す作業をしたが、実際には冷風は出ず、確認もしなかった。

 患者の自己血を保存した冷蔵庫の電源は入っていたが、エアコンが働かず、通常は二〇度前後の室内が、冷蔵庫の排熱などで三〇度近くまで上昇。二〜六度に保つ必要がある冷蔵庫内は、九・八度まで上がった。

 温度上昇を知らせる冷蔵庫の警報スイッチは切られていた。同日午後十時四十分ごろ、別の冷蔵庫の警報が作動し異常が分かった。

 同病院では昨年十一月にも、同じ業者が点検の際、血液を保存する冷蔵庫の電源を入れ忘れ、患者一人分の自己血が使えなくなる事故があった。

 確認作業を徹底

<同病院の木本厚事務局長の話>
 血液の管理は全診療科に影響する大事な部門で、あってはならないミス。患者にも迷惑をかけ、大変申し訳ない。二人以上による確認を徹底するなど、早急にマニュアルを作り直す。

B型肝炎感染の課長、偽名で献血 滋賀県赤十字血液センター

2005/07/02 The Sankei Shimbun

 滋賀県赤十字血液センター(同県草津市)の女性課長(51)が、B型肝炎ウイルス(HBV)感染を示す抗体(HBc抗体)が検出されたのに、2001年8月から04年12月にかけて計6回、偽りの名前や住所を使って献血していたことが2日、分かった。

 血液製剤などとして滋賀県内の4カ所の医療機関に送られたが、検査で安全が確認されており、これまでに感染の報告はない。課長は「血液が不足していたので、協力するつもりだった」と話しているという。

 日赤は内部基準で、HBc抗体が検出された場合、それ以降の献血を禁じている。厚生労働省は「日赤は安全な血液を供給するのが責務。国民の信頼を失いかねない行為で、事実関係を調査し指導する」と話している。

 同センターによると、課長は1994年4月から献血を始めた。97年4月の献血時には正常だったが、同年6月にHBc抗体が検出され、2000年にワクチンを接種。HBVに対する免疫ができたことを示す抗体(HBs抗体)が確認されたため、課長は献血を再開しても問題ないと判断したという。

 日赤の基準ではHBs抗体が確認されても献血を受け付けないため、課長は名前や住所、年齢を変えて同センターなどで献血していた。採血した同センターの看護師らは、課長が内部基準に違反していることを知っていたが「上司なので言えなかった」と話し、黙認していた。

 日赤は、昨年10月から献血者の本人確認を厳格化。今年5月、同センターの別の職員が、ミスを隠すため献血データをコンピューターから削除する不祥事が発覚。課長が「自分にも問題があった」と申し出ていた。

 同センターの西沢不二夫(にしざわ・ふじお)事務部長は「信頼に応えられず申し訳ない。職員を再教育して再発防止に努めたい」としている。(共同)

≪「なぜこんなことを」 困惑する血液センター≫

 B型肝炎ウイルスに感染した滋賀県赤十字血液センターの女性課長(51)が偽名で献血を繰り返していた事態を受け、同センターの青島敏行(あおしま・としゆき)所長は2日午前、記者会見し「本当に申し訳ない」と謝罪。「結果的には安全だったが、どうしてこんなことを…」と困惑しきった様子だった。

 センター側は、会見で2次感染の可能性や、検査方法を繰り返し説明。「安全」を強調した。しかし、報道陣から課長が安全性や内部基準をどこまで認識していたかを問われると、「分からない」と答えるだけ。

 課長はセンター側の調査に対し「献血に協力したかった」と説明しているという。青島所長は「なぜわざわざ日赤の内部基準に違反してまで、こんなことをしたのか」と話した。(共同)

 <B型肝炎> 主に血液を介して感染するウイルス性肝炎の一種。50日から180日の潜伏期を経て、疲労感や吐き気などの症状が出ることがある。大人の感染は一過性が多いが、母子感染や幼少期の感染では無症状のまま持続感染(キャリアー状態)となり、慢性肝炎などに移行。放置すると肝硬変や肝臓がんに進行する危険がある。国内のB型肝炎ウイルスキャリアーは100万人以上いるとされている。(共同)

臍帯血治療の実績、ウェブサイトで公開

2005年06月25日 asahi.com

 白血病などの治療で97年から始まった臍帯血(さいたいけつ)移植の治療成績について、「日本さい帯血バンクネットワーク」が、ウェブサイトで公開を始めた。内容は定期的に更新する予定だ。

 同ネットワークによると、非血縁者間の臍帯血移植は97年2月〜05年3月に2345件実施。うち昨年12月までに報告があった1304件の治療成績について、病気の種類や患者の年齢ごとに分析、再発のない割合などをグラフで示した。グラフの見方も解説している。

 主に分析した東海大の加藤俊一教授は「これまで、臍帯血移植について科学的な評価が十分にされてこなかった。正しい情報を患者さんらと共有したい」という。

献血禁止は6月1日から 80−96年の英国滞在者対象

2005/05/30 The Sankei Shimbun

 厚生労働省の血液事業部会運営委員会は30日、変異型のクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)対策として、1980−96年に英国に1日以上滞在した人の献血禁止措置を6月1日から始めることを決めた。

 日赤は、献血前の問診票に英国滞在歴を尋ねる項目を追加し、該当者の献血を断る。この措置により献血量が全国平均で2.6%程度減る見通しだが、厚労省は全国の日赤血液センターでの在庫融通や国民への呼び掛けで輸血用血液の供給は維持できるとみている。

 厚労省は、牛海綿状脳症(BSE)が人間にうつったとされる変異型CJDの患者が国内で確認されたことを受け、英国滞在歴のある人の献血制限強化を決定。在庫の推移をみながら、開始時期を検討してきた。

 厚労省血液対策課によると、30日現在の赤血球の在庫量は適正量の203%と安定している。海外渡航者が多い東京都は今回の措置により献血量が5.7%程度減る見通しで、同課は地域ごとの在庫の推移を監視し、不足時は警報を出すなど危機管理体制を敷く。(共同)

大規模病院の30%「輸血後検査せず」 国通知後にも

2005/05/29 The Sankei Shimbun

 輸血によるウイルス感染を早期に発見し、治療やほかの患者への感染拡大防止につなげるため、厚生労働省が輸血前後の患者への感染症検査を昨年9月に通知で促した後も、全国の大規模病院の30%は輸血後検査をほとんどしていないことが29日、同省研究班の実態調査で分かった。

 昨年4月にスタートした感染被害者の救済制度も17%の病院は理解しておらず、研究班主任の比留間潔(ひるま・きよし)東京都立駒込病院輸血・細胞治療科部長は「これでは被害者を確実に発見、救済できない」と指摘。制度の周知と、診療報酬に輸血管理料を創設するなどの強化策を提案している。

 厚労省は昨年9月、輸血によるエイズや肝炎のウイルス感染の有無を確かめるには輸血前後の検査が重要だとして、検査手順の指針をまとめて全国に通知。調査は同年11−12月、東京都以外の500床以上の病院を対象に実施し、272病院(回収率74%)から回答があった。

 それによると、輸血後に原則すべての患者に感染症検査をしている病院は15%だけで、30%は「ほとんどしていない」と回答し、「主治医次第」は46%だった。輸血前検査をほとんどしない病院も13%あった。

 輸血管理体制については、責任者の医師がいない病院が25%、輸血担当の臨床検査技師のいない病院も10%あり、こうした専門スタッフによる独立した輸血部門のない病院が31%を占めた。

 薬害エイズを教訓に、血液など生物由来の医薬品で感染被害に遭った人に医療費などを支給する救済制度について「よく知っている」のは40%だけで、「内容は分からない」「知らない」は合わせて17%に上った。(共同)

手術中の大量出血、45%外科医に問題…麻酔学会調査

2005年05月26日 読売新聞 Yomiuri On-LINE

 手術中に起きた生命を脅かすような大量出血の半数近くについて、手術室で患者の全身管理を担当する麻酔科医が「外科医の判断・技術の問題で起きた」と見ていることが、日本麻酔科学会が実施した全国調査でわかった。

 血液搬送の遅れや麻酔科医不足も事態を深刻化させる要因として挙げている。

 これを受けて、同学会は、日本輸血学会と共同で大量出血防止の指針作りに着手するとともに、外科系の学会にも指針作成への協力を求める方針だ。

 調査は、2003年暮れから04年初めにかけて、設備やスタッフが充実し、安全な麻酔措置ができると、日本麻酔科学会が認定した782病院の麻酔科医に書面を送付する形で実施。一時心停止するなど、手術による危機的な大量出血の発生事例と、その原因を尋ねた。回答は739病院から得た。

 それによると、03年1月から12月までの1年間で、回答を寄せた病院で起きた危機的な大量出血例は541件で、166人(31%)が出血が原因で手術中か、その直後に死亡した。

 さらに、複数回答も可という形で原因を探ったところ、「外科医の判断や技術」について尋ねた項目については、476件に有効回答があり、うち216件(45%)が「判断や技術に問題があった」とされた。

 これは、病巣の組織が癒着するなど「大量出血が起きやすい状態で、不可抗力だった」という見方をされた事例(有効回答の45%)と同じ比率で、人為ミスが疑われるケースが少なくないことをうかがわせる結果となった。

 このほか、「麻酔科医の不足」(同29%)や、出血に対応するための「血液の追加請求の遅れ」(同25%)「血液搬送の遅れ」(同26%)などを危機的な事態を招く要因として挙げていた。

 今回の結果をまとめた同学会調査専門部会長の入田和男・九州大助教授は、「致死的な大量出血に遭遇するケースはそう多くない。それだけに、適切な処置がなされない危険が常にある。原因をさらに分析し、対策を早急に検討する必要がある」と話している。

 これに対して、日本外科学会長の幕内雅敏・東大教授は、「手術の難易度や血液供給のシステムの不備など複数の要因が考えられる。より詳細な検証に取り組む必要がある。対策作りへの協力依頼があれば検討したい」としている。

採血ミス隠しデータ削除 滋賀の血液センター

2005/05/22 The Sankei Shimbun

 滋賀県赤十字血液センターの長浜出張所(滋賀県長浜市)が1月、献血の間隔基準を満たしていない同県の30代女性から誤って採血、ミスを知った所長(52)がデータを削除し、血液を廃棄物として処分していたことが22日、分かった。

 同センターは2日後、女性のデータを入力し直し、所長を口頭で注意。所長は「パニックになり、深く考えずやってしまった」と話したという。 センターの西沢不二夫事務部長は「手順を守らずミスが重なった。献血者の善意に対し申し訳ない」としている。

 センターによると、女性は同出張所で400ミリリットルの献血を希望。昨年10月にも400ミリリットルの献血をして16週間の間隔が必要だったが、確認しないまま事前検査の結果から200ミリリットルを採血していた。

 受付の担当者が希望を聞く前に「成分献血」と入力。コンピューターの「警告機能」も作動しなかったという。

 報告を受けた所長は、上司の指示を待たずデータを削除し血液を処分。女性に「コンピューターのトラブルで、検査データが送付できない」とうその説明をしていた。(共同)

輸血肺障害8年で126件 日赤、国際診断基準で初集計

2005/05/21 The Sankei Shimbun

 輸血が原因で呼吸困難などを引き起こす副作用「輸血関連急性肺障害」(TRALI)が国内で、疑い例も含めて2004年までの8年間に少なくとも126件起こり、04年を除く7年間で12人が死亡したことが21日、日赤の調査で分かった。

 未解明な部分が多いTRALIについて、国際的な診断基準に基づき検討した初のデータ。輸血が原因と分からず見落とされているケースも多いとされ、日赤中央血液研究所の岡崎仁研究開発部副部長は「関連学会を通じて診断基準を紹介するなど注意喚起し、実態把握と対策を考えたい」としている。

 岡崎副部長によると、TRALIの発症はまれだが予防は難しく、米国では輸血関連の死因トップ。昨年12月に提唱された国際基準を基に、医療機関から日赤に報告された1997年以降の副作用事例を検討した。

 その結果、97−04年には、肺炎などほかの原因の可能性がない「確実例」が99例、可能性がある「疑い例」が27例あった。

 確実例の発症者の平均年齢は61.6歳で、輸血後1時間以内に発症した人がほぼ半数。確実例の85%は重症と診断され、うち45例は激しい呼吸困難などで人工呼吸器が必要だった。

 04年の発生は確実例、疑い例を合わせ過去最多の40例。医療現場の認識が高まり、報告数が増えたためとみられ、死亡例は現在調査中。

 03年までの7年間の死者は12人で、死亡率は14%だった。

 新基準やデータの一部は26日、千葉県浦安市で開かれる日本輸血学会で報告される。(共同)

 <輸血関連急性肺障害(TRALI)> 輸血によって引き起こされる最も重篤な副作用の一つ。激しい呼吸困難のほか、血圧低下、発熱などを伴う。1980年代から知られるようになったが、発症原因はよく分かっていない。

 新たに提唱された診断基準は、輸血中か輸血後6時間以内に現れる急性肺障害を「確実例」と「疑い例」に分けて規定。日赤はTRALIが起きた輸血用血液のうち、特定の抗体が検出された献血者の血液は次回から輸血に使わない対策を始めている。(共同)

血液で発電する電池を開発、体内埋め込み医療具に利用

2005/05/13 読売新聞 Yomiuri On-Line

 東北大大学院工学研究科の西沢松彦教授らの研究グループは12日、血液に含まれる糖分で発電する燃料電池を開発したと発表した。

 実験では、血液を模した牛の血清(血液の成分)を使っての発電に成功。1円玉サイズの電極なら0・2ミリ・ワットに相当する。糖尿病患者が体内に埋め込んだまま血糖値を測定できる装置を作動させるには十分な発電量といい、医療機器メーカーなどと装置開発にも取り組むとしている。

 心臓ペースメーカーなど体内に埋め込む医療用具は、電池の寿命が近づくとその交換のために手術が必要なものもある。研究グループでは、「第一化学薬品」(本社・東京)との共同開発で、体内に埋め込んで半永久的に発電する燃料電池の開発を進めてきた。

 開発された燃料電池は、血液中の糖分であるグルコースを分解する酵素が塗られた炭素(電極)などを使用。酵素がグルコースを分解すると、電子が生じて電流が流れる仕組みだ。同研究グループは「発電量を増やし、体内埋め込み型の医療用具の電源などへの利用を目指したい」としている。

血液在庫、ほぼ適正量に 4県ではまだ70%未満

2005/04/15 The Sankei Shimbun

 日本赤十字社の血液センターが供給する輸血用血液の在庫が全国的に不足している問題で、厚生労働省は15日、赤血球の在庫が同日現在、全国平均で適正量(3日分の使用量)の99%に回復したと発表した。

 しかし、長崎(39%)、福島(54%)、三重(55%)、山形(64%)の4県では依然として災害時などに需要に応じられない恐れがある70%を下回っており、同省血液対策課は「地域差や季節による変動もあり、まだ気を引き締めて献血を推進する必要がある」としている。

 赤血球の在庫は手術が少ない週末に増えて、金曜日に最も落ち込むのが通常。1週間前の8日は適正在庫の74%だったが、9日に尾辻秀久厚労相が東京・新宿で献血を呼び掛けるなどし、週明けの11日には100%に回復。その後も90%台を保った。

 長崎県は離島の備蓄分を血液センターの在庫に含めないため低い数値となっており、厚労省は今後、実態に合った全国統一の在庫の計算方法を検討する。(共同)

ヤコブ病献血制限で血液不足も、厚労省が緊急要請

2005/04/11 読売新聞 Yomiuri On-Line

 全国の輸血用血液の在庫量が今月に入って適正値を下回り、近く予定されている国内初の変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(VCJD)患者発生に伴う献血制限で、血液不足に陥る可能性が出てきている。

 厚生労働省は11日、全国の自治体担当者を緊急に集め、献血推進を要請した。

 厚労省によると、輸血用血液の在庫量は、今月以降、適正値(3日分の供給量)の70〜90%を推移。11日にはほぼ100%に回復したが、秋田や岐阜など4県で、安定供給が心配される70%以下にとどまった。

 献血者数が年々減少しているうえ、VCJD対策で、早ければ来月から、1980〜96年に英国に1日以上滞在した人の献血が禁止される。このため献血者がさらに4%ほど減るとみられ、厚労省は「血液不足に陥る可能性がある」としている。

 厚労省は、各自治体に<1>献血者数の減少が顕著な若者層へのPR<2>企業や学校などでの集団献血の推進――などを求めた。

「血液不足は危機的状況」 厚労相が緊急アピール

2005/04/08 The Sankei Shimbun

 変異型のクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)の患者確認で献血制限が強化され、血液不足の恐れが出ているため、尾辻秀久厚生労働相は8日、「このままでは国民の命を救うことができない危機的状況になることが予想される。一人でも多くの方々が献血に参加するようお願いします」と呼び掛ける緊急アピールを出した。

 尾辻厚労相は同日の閣議後の記者会見で「とにかく多くの人に呼び掛ける以外に対策はない。ひたすらお願いするしかない」と必死に訴えた。

 厚労省は、尾辻厚労相を本部長とする緊急の献血推進本部を既に設置。9日には厚労相が東京・新宿の街頭に立ち、献血を呼び掛ける。

 厚労省によると、献血血液は例年、年度末に不足しがちで、今年も3月末時点の赤血球の在庫が全国で適正量の74%まで落ち込んだ。今後、変異型CJD対策として1980−96年に英国滞在歴のある人の制限を始めれば、さらに低下が懸念される。(共同)

ヤコブ病対策で献血ピンチ 厚労省が献血推進本部を設置

2005/04/01 The Sankei Shimbun

 国内初の変異型のクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)患者確認を受けた献血制限の強化により、輸血用血液が不足する恐れが出てきたため、厚生労働省は1日、緊急の献血推進本部を設置。本部長の尾辻秀久厚労相は冒頭のあいさつで「血液の供給が滞ることは絶対あってはならない。全力を挙げて献血確保を」とハッパを掛けた。

 厚労省によると、献血血液は例年、年度末に不足しがちで、今年も3月末時点の赤血球の在庫が全国で適正量の74%まで落ち込んでいる。少子化で減少傾向にある上、今後、変異型CJD対策として1980−96年に英国滞在歴のある人の制限を始めればさらに低下が懸念されるという。

 推進本部は大臣や事務次官、関係部局の局長らで構成。高校生など若年層の献血や、企業や官公庁での集団献血を要請していくほか、医療機関には血液の適正使用を指導する。

 9日には尾辻厚労相が自ら東京・新宿の街頭に立ち、献血を呼び掛ける予定。(共同)

仏滞在者は先送り 献血禁止、まず英国から

2005/03/31 中国新聞ニュース

 厚生労働省は三十一日、国内初の変異型のクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)患者発生を受けた献血制限の強化について、当面は英国に一九八○〜九六年に一日以上滞在歴のある人の禁止措置だけを先行して実施することを決めた。早ければ五月にスタートする。

 同省はこの期間中の英国、フランス両国への滞在者を対象に、献血制限の方針を決めたが、日赤の緊急調査で輸血用血液が在庫切れに陥る恐れがあることが分かり、発症リスクの低いフランスは在庫量の推移を見ながら慎重に実施することにした。

 厚労省は同日、血液事業部会運営委員会・安全技術調査会の合同委員会で制限強化の妥当性を議論、二段階実施の暫定措置を決めた。

 日赤の報告によると、調査は十六〜二十二日の一週間、北海道、宮城、東京、神奈川、愛知、大阪、岡山、福岡の八都道府県の血液センターで計約三万四千人余の献血者にアンケートした。

 この期間に一日以上の滞在歴があるとした人の割合は全国平均で5・5%。東京の9・8%が最も高く、最も低い宮城の2・7%まで地域差があった。このデータから推計した結果、東京で一カ月半後、全国でも半年後に血液の在庫量がゼロになる見通しとなった。

 英国だけなら平均3・6%で、全国で調整すれば在庫を維持できるレベルという。

 合同委は、両国を対象にすると「在庫切れによる失血死へのリスクが生じる」と判断。英国滞在者が献血を続けた場合の最悪に見積もった発症リスクが年間○・○一〜一人、フランスなら○・○○○ 五〜○・○五人程度との推計を基に、当面は英国だけを対象とし、若年層を中心とした献血の呼び掛けや医療機関への適正使用の指導強化などの対策を決めた。

生体用の強力接着剤開発 九州大、心臓血管手術で効果

2005/02/27 The Sankei Shimbun

 確実で素早い止血が求められる胸部大動脈瘤(りゅう)などの心臓血管手術で、切断した血管を人工血管などと強力に接合して出血を止められる生体用の接着剤を、九州大の松田武久教授(医用工学)らの研究グループが27日までに開発した。今後、臨床試験を経て、3、4年後の製品化を目指す。

 接着剤の主成分は、吸水性に富み、保湿剤や紙おむつにも使われる化合物「ポリオール」。血管と人工血管などをつなぐ際に接合部に塗ると、体内の水分を吸収して数分でゴム状に固まり、凹凸の多い血管表面にぴったりと密着する。柔軟性にも優れ、心臓の拍動に伴う動脈の動きにもはがれにくい。

 従来の接着剤は、血液凝固を防ぐ薬剤が患者に投与されていると接着力が低下する欠点があったが、この接着剤は効果が変わらない。また、直径3、4ミリ程度の細い血管でも接合できるという。

 グループのメンバーで、心臓外科の森田茂樹助教授は「糸で縫う個所を減らしたり、早く止血したりすることで手術時間が短くなり、手術の安全性も高まる。いずれ世界中の外科医がこの接着剤を使うようになるかもしれない」と話している。(共同)

輸血で感染、60代男性に国の救済制度初適用

2005/02/25 読売新聞 Yomiuri On-Line

 輸血が原因でE型肝炎ウイルスに感染した北海道の60代男性に対し、国の健康被害救済制度が初めて適用される見通しとなった。

 24日に開かれた厚生労働省の薬事・食品衛生審議会副作用・感染等被害判定部会が、給付条件に該当すると判断した。給付額は、男性が肝炎治療のために負担した医療費全額となる。

 この制度は、昨年4月に新設された生物由来製品感染等被害救済制度で、血液や生物の細胞や組織から作る医薬品、医療用具などの「生物由来製品」を使って感染が起きた被害者が対象。適用者には医療費や障害年金などが給付される。

 男性は昨年9月、リンパ腫(しゅ)治療のため輸血を受けた。1か月後、重い急性肝炎症状を発症、血液検査でE型肝炎ウイルスが検出された。日本赤十字社が、献血者を調査した結果、遺伝子構造が同じE型肝炎ウイルスが見つかった。献血者は道内の焼き肉店で豚レバーを食べ、ウイルスに感染したと疑われている。

輸血後にB型肝炎で死亡 日赤、検査手順書を改善

2005/01/21 The Sankei Shimbun
 昨年1−5月に輸血を受けた60代の男性患者が今月8日、B型肝炎ウイルス(HBV)感染による劇症肝炎で死亡、輸血感染が疑われていることが21日、厚生労働省の血液事業部会運営委員会で報告された。

 厚労省血液対策課によると、この患者に輸血した16人分の献血血液について、日赤が保管検体を調べた結果、2人分からHBVが検出された。

 しかし患者自身と、この2検体のHBV遺伝子が全く一致しており、2検体には患者のウイルスが検査中に混入してしまった可能性があるという。患者がウイルスに感染した経緯は不明。

 日赤は輸血感染かを調べる一方、正確な検査が行えない恐れがあるとして検査時に複数の検体を一緒に置かないよう手順書を改善した。

 またわずかなHBVを持ち続ける「低濃度キャリアー」の男性が献血した血液が何度も検査をすり抜け、輸血された3人が相次いでHBV感染していた問題で、日赤のその後の調査でさらに輸血された1人が感染していたと確認された。(共同)

大人への臍帯血移植、3年間再発なしは22%

2004/12/26 asahi.com
 白血病など血液の病気の治療で急速に普及している、大人への臍帯(さいたい)血移植で、再発なしに3年間過ごせた人は22%であることが「日本さい帯血バンクネットワーク」のまとめで明らかになった。移植前に薬や放射線でがん細胞を徹底的にたたくのを省く「ミニ移植」の場合、2年間再発なしに過ごせたのは4%だった。

 生まれたての赤ちゃんのへその緒からとれる臍帯血は、白血球などのもとになる「幹細胞」が豊富で、血液の病気の移植治療に役立つ。データは03年までに国内で移植を受けた大人706人分を分析した。小児の白血病の一部では骨髄移植と並ぶ治療成績を収めていると報告されてきたが、大人のデータが大規模にまとめられるのは初めて。

 ただ、小児を対象に始まった臍帯血移植が大人に本格的に使われるようになったのはここ2〜3年。まだ、標準的な治療法は確立しておらず、重症者に使われる場合が多かった。骨髄移植などほかの治療法と比較するには、「あと数年の観察が必要だ」と専門家は指摘している。

 分析を担当した加藤俊一・東海大教授は、「まだ高い数字とはいえないが、従来は治療方法がなかった成人が臍帯血でこれだけ助かるようになった、と見ることもできる。高い生存率を報告している施設の手法を学んでいけば、成績を上げられるはず」と話す。

日赤検査、10回以上すり抜ける B型肝炎に3人感染

2004/12/17 The Sankei Shimbun
 わずかなB型肝炎ウイルス(HBV)を持ち続ける「低濃度キャリアー」の男性が献血した血液が、日赤の検査を少なくとも10回もすり抜け、輸血された3人が相次いでHBV感染していたことが17日、厚生労働省の血液事業部会安全技術調査会で報告された。

 日赤の高感度検査でも検出できない低濃度キャリアーから、これだけの感染拡大を確認したのは異例。この男性はそれ以前にも60回以上の献血をしており、日赤は輸血された人の健康状態をさかのぼって調べる。

 報告によると、この男性は50代で月1−2回ペースで献血。1月に献血した分を輸血された患者がB型肝炎にかかり、医療機関から10月、日赤に報告があった。

 日赤がこの時の保管血液を調べ直し、HBVを検出した。男性はこれを含め昨年9月−今年4月に10回献血し、輸血された3人がHBV感染していた。3人と男性のHBVタイプは一致し、輸血感染と確認された。

 HBV感染歴を示す抗体のある輸血患者がほかに3人いたが、輸血が原因かは不明という。この男性の血液では過去にもHBV感染報告があり、日赤で追跡調査を進めている。

 男性のウイルス量は個別検査でも検出限界ぎりぎりで、50人分をプールして調べる献血時検査はすり抜けてしまったとみられる。(共同)

さい帯血移植が急増、2000例突破

2004/11/12 読売新聞 Yomiuri On-Line
 白血病などの治療法として普及している「さい帯血移植」が国内で2000例を超えた。さい帯血を保存、仲介する日本さい帯血バンクネットワークが11日、発表した。

 移植1例目は1997年2月で、1000例まで約6年4か月を要したが、それ以降、2000例まではわずか約1年5か月というハイペースだった。同ネットワークは、さい帯血移植を受けられる患者の選定基準が緩和されたことなどが急増の原因とみている。

RNA注射でコレステロール減少、米独がマウス実験

2004/11/11 読売新聞 Yomiuri On-Line
 RNA(リボ核酸)を静脈注射することで、血中のコレステロールを減らすことにドイツと米国の研究チームが成功した。

 RNAを利用して病気を治療する試みは世界中で研究が進められているが、この方法を使えば、今後様々な病気の治療に生かすことができそうだ。

 11日付の英科学誌ネイチャーに掲載される。

 研究チームは、血中の悪玉コレステロールが作られる際に必要な「アポリポたんぱくB(apoB)」というたんぱく質を作る遺伝子の働きを抑えるように小さなRNAを設計。このRNAをマウスの静脈に投与したところ、肝臓などでapoBの生成が妨げられ、血中コレステロール値が低下することを確認した。

 小さなRNAを細胞内に入れ、特定の遺伝子の働きをストップさせる方法は「RNA干渉(RNAi)」と呼ばれ、新しい治療法に結びつくと注目を集めている。研究チームは今回、小さなRNAにコレステロールを結合させることで、RNAの安定性を高めることに成功した。

血液不足が依然深刻 広島県赤十字センター

2004/10/16 中国新聞地域ニュース
 

 17日、広島市内3カ所に献血車

 台風による献血会の中止で生じた、輸血用の血液が不足する「緊急事態」が依然続いている。広島県赤十字血液センター(広島市中区)は十七日、市内三カ所に移動献血車を臨時で出し、協力を呼び掛ける。

 中区本通の献血ルーム「もみじ」には十五日、張り紙や新聞などで血液不足を知った市民約百五十人が、昼休みや会社の休日を使って訪れた。会社員大谷太郎さん(37)=中区江波東=は「八年ぶりの献血。二年前に父が輸血を受けたので、恩返しのつもりです」と話していた。

 同センターは十三〜十五日、広島市中区と福山市の献血ルームなど三カ所の受付時間を延長するなどしてPR。三日間で普段の二・五倍に当たる計三百十一人が献血し、二十三日ごろに在庫が底を突く危機は免れた。しかし、在庫は一日分しかなく、適正量としている三日分の確保にはほど遠い。血液型別では、O型が特に不足している。

 十七日の献血会場は、西区のJR西広島駅前と東区戸坂山崎町のザ・ビッグ戸坂店、安佐北区亀崎のフジグラン高陽の三カ所。いずれも、午前十時―十一時四十五分と午後一時―四時半に受け付けている。問い合わせは、献血ルーム「もみじ」TEL082(248)6034。

血液疾患:通院治療「カードでアピール」−NPO「血液情報広場・つばさ」−

2004年10月02日 毎日新聞 東京夕刊 Mainichi INTERACTIVE
 血液疾患の患者や家族を支援するNPO(非営利組織)「血液情報広場・つばさ」(橋本明子代表)は、通院治療の患者が、電車やバスで席を譲ってもらうなど周りの理解を得やすいように“通院中”を伝える「通院治療中カード」を病院から貸与するシステムを提唱、制度化を求める運動を始めた。

 同NPOによると、近年は、外来で投薬治療を受ける血液がん患者が増えたが、見た目には疾患が分からないため、車内で貧血などを起こしても「席を譲ってほしいと言い出しづらい」と悩みを打ち明ける患者が多いという。

 橋本代表は、86年に長男が白血病を発症。骨髄バンク運動に立ち上がり、バンク設立を実現させたが、長男は92年に15歳で亡くなった。橋本さんは当時、電車で「立っているのもつらいけど、座って周りの視線に耐えるよりもましだ」と脂汗を浮かべながらつり革を握る長男の体を支え、治療に通った経験がある。

 「血液疾患に限らず、通院治療のすべての患者が、シルバーシートにも気兼ねなく座れる環境が必要」と語る。

 全科共通で利用でき、一目で通院中と分かる方法としてカード、さらに悪用を避けるため病院からの貸与制を考案した。おなかの目立たない妊娠初期の女性が、バッジなどで配慮を求める動きにもヒントを得た。

 今後、患者団体や医学会などを通じて広く理解を求め、厚生労働相あてに要望書を提出したい考えだ。【川久保美紀】

献血後にめまい・しびれ、5年で28万件…要治療例も

2004/09/22 読売新聞 Yomiuri On-Line
 献血した後に、めまいや腕のしびれといった健康被害が、1999年から2003年までの5年間で計28万3600件あり、うち医療機関で治療を受けた重いケースが3757件含まれていたことが22日、厚生労働省の検討会で日本赤十字社から報告された。

 内訳は、献血後にめまいや意識がはっきりしない、けいれんなどの症状が出る血管迷走神経反応が71・8%と最も多く、ついで皮下出血(22・7%)だった。

 この間の献血者数はのべ2910万8000人で、治療が必要だった健康被害は全体の0・01%程度。

ウイルス汚染輸血用血液の検査すり抜け、新たに17本

2004/09/17 読売新聞 Yomiuri On-Line
 ウイルスに汚染された輸血用血液が検査をすり抜けていた問題で、日本赤十字社は17日、すり抜けが判明した血液の追跡調査について、最新の集計結果を厚生労働省に報告した。

 再検査が終わった保管血液は1万8437本でうち227本でウイルス汚染が確認され、うちB型肝炎が224本で6月の報告より17本増えた。6月の調査時点で2本だったC型肝炎と、1本だったエイズウイルスについては新たな検出はなかった。

台風余波、成分献血ピンチ 山口県赤十字センター

2004/09/16 中国新聞地域ニュース
 <復旧で団体の協力困難>

 山口県赤十字血液センター(山口市)は、台風18号の被害処理に忙しい団体や事業所から成分献血の協力が得られず、術後の輸血に使う血小板や血しょうの確保に懸命だ。「患者さんのために、一人でも多くの方にお願いしたい」と呼び掛けている。

 センターによると、血小板は有効期限が七十二時間と短く、長期保存ができない。成分献血は採血が一時間かかるため、通常の献血と比べ量の確保が難しい。事業所や団体などの採血が全体の約六割を占める。

 病院から一日三百五十―三百単位の要請があるが、台風後は二百単位前後しか集まらず、不足分は中四国、九州の血液センターに協力を求め、やりくりしている状態だ。

 受け付けは血液センターが土曜を除く、午前九―十一時と午後一―四時。下関市竹崎町の献血ルーム「For You」が水曜日を除く午前十―十一時半と、午後二―五時。血液センターのフリーダイヤル(0120)456122。

輸血で肺障害、5年間で患者21人…3人は死亡

2004/09/15 読売新聞 Yomiuri On-Line
 輸血の副作用で起きる重い肺障害(輸血関連急性肺障害・TRALI)が原因で、過去5年間に3人が死亡していることが、全国44の旧国立大病院の調べでわかった。

 TRALIの国内の診断基準はなく、見過ごされているケースが多い。調査チームは「実際にはこの20倍程度に上るのではないか。より詳細な実態調査が必要」としている。

 TRALIは、輸血後数時間以内に肺水腫(すいしゅ)などを起こして呼吸困難になり、発熱などを起こす副作用。多くは数日でおさまるが、約5%は死亡するとされる。輸血用血液に含まれる献血者の白血球などが、輸血を受けた人に異常な免疫反応を起こすことが原因と考えられている。

 調査は1998―2002年に、44病院で報告され、1日以内に肺水腫を起こすなどTRALIを強く疑われた患者を21人確認。うち3人が死亡していることがわかった。厚生労働省と日本赤十字社は来月から段階的にTRALIの一因となる輸血用血液中の白血球除去を導入する。

白血病治療のさい帯血移植、がん化4件 提供者に告げず

2004/08/28 asahi.com
 白血病などの治療で、さい帯血移植を受けた患者4人が、提供者の細胞が、がん化して新たに発病したことが28日、日本さい帯血バンクネットワークの委員会に報告された。提供者の細胞のがん化は骨髄移植では知られ、さい帯血でもその可能性は予測されていたが、明らかになるのは初めて。ただ、バンクは提供者自身が発病するとは限らないため提供者に知らせない方針を決めた。

 4人は30〜50代で、01〜03年に白血病などの治療のために、さい帯血移植を受けた。4人とも移植は成功したが、8カ月から1年4カ月で発病。うち3人は死亡している。

 がん細胞の染色体などを調べたところ、提供された細胞ががんになっていたことがわかった。

 さい帯血は赤ちゃんのへその緒からとる。白血球や赤血球を作る造血幹細胞が豊富で、現在は骨髄とともに白血病をはじめ血液の病気の治療に用いられている。さい帯血移植を受けた人は7月末現在、1826人いる。

 提供された細胞のがん化は骨髄移植では70年代から知られていた。しかし、さい帯血を提供してもらう段階ではこうした可能性は提供者側に説明されておらず、どこまで伝えるか、専門家の間でも意見が分かれている。

 今回の方針の背景には(1)移植患者の体内で提供者の細胞ががん化したからといって、提供者自身が必ずしも白血病になるわけではない(2)仮に発病するとしても、早期診断や予防は難しい――などがある。

 バンクでは、提供者側の「知る権利」と「知らないでいる権利」を比較し、「現時点では伝えることで生じる不安や混乱が大きい」と判断した。

 今後、提供を受ける際に発病などの可能性をどこまで知りたいかを家族に確認するという。

輸血が原因?肝炎など感染、4か月で80人

2004/08/11 読売新聞 Yomiuri On-Line

 輸血が原因で肝炎ウイルスなどに感染した疑いがある患者が、最近4か月間で約80人に上ることが医療機関から厚生労働省への報告で10日わかった。

 従来は年間120人前後の報告数で、それを大幅に上回るペースだ。

 厚労省の薬事・食品衛生審議会で明らかにされた。それによると、医療機関からの感染症被害報告は、今年4月から8月初めまでで、B型肝炎41人、C型肝炎27人、その他の細菌感染など11人。肝炎報告例の8割にあたる57人は、輸血前の検査では感染がなかったにもかかわらず、輸血後に感染がわかった。輸血に使われた献血血液の再検査で実際にウイルスが見つかったのは、B型肝炎の4人だった。

 細菌感染では、今年4月末に輸血を受けた20歳代の男性が、血圧低下などのショック状態に陥り、輸血の5日後に敗血症で死亡した。男性の血液からは、院内感染の原因にもなる緑のう菌が検出された。

 緑のう菌は献血時の検査の対象になっておらず、日赤は保管血液を調べたが、菌は見つからなかった。

 一方、1999年度以降、日赤などによる全国の輸血用血液の緊急配送で、34件の遅配が発生していたことも公表された。このうちの4件では、遅配との因果関係は不明だが、患者が死亡していた。

輸血で?2歳児が劇症肝炎発症し死亡、厚労省に報告

2004/08/10 読売新聞 Yomiuri On-Line
 首都圏の医療機関で、白血病の治療で輸血を受けた2歳の男児が先月上旬、B型の劇症肝炎を発症し死亡した疑いのあることが9日わかった。

 医療機関は、輸血前の検査で感染がなかったことから、輸血が原因となった可能性があるとして、日本赤十字社を通じて厚生労働省に報告した。

 男児は昨年9月以降、献血者19人分の輸血を受けた。今年6月下旬ごろから、肝機能の異常が現れ、先月上旬の病院の検査でB型肝炎ウイルスの感染が判明した。その直後に男児は死亡、医療機関は、劇症肝炎による急性肝不全と診断した。

 日赤は、19人分の献血血液を再検査したが、ウイルスは見つからなかった。ただ、B型肝炎では、極めて微量のウイルスでも感染源になることがある。

 6月下旬に採血した男児の血液が医療機関に保管されており、日赤の検査ではウイルスは検出されなかった。幼児の劇症肝炎は原因が突き止められないことも多く、B型肝炎ウイルス以外の原因で劇症肝炎になった可能性も考えられる。

 一方、今年2月に消化器のがんで、献血者4人分の血液を輸血された50代の男性についても輸血後、B型肝炎に感染したとの報告があった。日赤で献血血液を再検査したところ、このうちの1人の血液からB型肝炎ウイルスが見つかり、献血者と患者から検出されたウイルスの遺伝子配列もほぼ一致した。

 

B型肝炎:検査すり抜け感染?、輸血後に女性死亡 日赤、調査始める

2004年08月07日 毎日新聞 東京夕刊 Mainichi INTERACTIVE
 埼玉県内の病院で白血病の治療のため入院していた70代の女性が、輸血が原因でB型肝炎ウイルス(HBV)に感染し、死亡した疑いがあることが分かった。病院側が「輸血が原因で感染した可能性がある」と日本赤十字社に連絡してきたため、日赤は献血者の保管検体を調べたが、ウイルスは発見されず、検査をすり抜けた可能性がある。同じ献血者の輸血用の血液5本は既に出荷・使用されており、日赤は同様のケースがないか追跡調査を始めた。

 女性は昨年10月から今年1月まで輸血を受け、3月の検査でHBV感染が判明した。病院側は日赤に輸血による感染の疑いを連絡。日赤は保管検体を調べたが、ウイルスは見つからなかった。このため、同じ献血で作られた5本の血液製剤は調査しなかった。8月になってから、女性が4月に死亡したとの連絡を受け、この5本について調べ始めた。

 日赤は今月15日からウイルスが混じった可能性がある輸血用血液すべてを対象に、追跡調査を実施することにしている。今回のケースに当てはめると、3月に病院側から連絡を受けた時点で、残り5本を回収することになる。【玉木達也】

献血血液のHIV検出数、昨年同期の2倍に

2004/07/26 読売新聞 Yomiuri On-Line
 献血血液からエイズウイルス(HIV)が検出された例が、今年1月から6月末までの半年間で45件と、昨年同期(22件)の2倍に達したことが、厚生労働省のエイズ動向委員会(吉倉広委員長)のまとめで26日分かった。

 感染者の増加に加え、感染検査の目的で献血する人が絶えないためと見られる。日本赤十字社は検査結果を本人に知らせないことにしており、委員会は「別の検査機会を増やすなどの対策が急務」と話している。

 献血血液からHIVが見つかる例は年々増えており、昨年は1年間で87件と、10年前の約2・5倍。例年、陽性件数は下半期に増加する傾向があり、今年は昨年を大幅に上回る可能性もある。

 HIVの血中濃度が低い場合、献血の安全検査をすり抜ける恐れがある。現在の安全検査は高精度だが、それでも昨年、輸血によるHIV感染例が発生した。日本赤十字社は、エイズ検査目的での献血を防ぐため、HIVを検出しても、原則として献血者には通知していない。

 一方、この3か月間で新たにエイズウイルス(HIV)に感染した人は199人と、4半期の数字では過去最高を記録した。186人が男性で、うち125人が同性間の性的接触が原因だった。年齢は、20―30代が144人と、全体の72%を占めた。医療関係者の針刺し事故による感染も1件あった。

検査目的の献血を防止…厚労省、輸血で安全策

2004/07/07 読売新聞 Yomiuri On-Line
 献血の病原体検査をすり抜けた血液を輸血された患者がエイズウイルス(HIV)に感染した問題で厚生労働省は7日、検査を目的とした献血の防止策など5項目からなる輸血の総合安全対策をまとめ、薬事・食品衛生審議会血液事業部会で了承された。

 対策の柱は、〈1〉健康な献血者の積極的な確保〈2〉検査目的献血の防止〈3〉血液製剤の検査・製造体制の充実〈4〉医療現場での適正輸血の推進〈5〉輸血による感染症被害の早期発見・治療――の5項目。同省は献血制度に対する信頼回復の切り札として来年度をめどに、これらの対策の完全実施を急ぐ。

 具体的には、検査目的の献血者に対し日本赤十字社が、無料検査を行う医療機関を紹介するモデル事業などを盛り込んだ。献血者手帳を磁気カード化し、すでに試行中の身元確認も全国に広げる。また健康で、輸血の安全性に理解のある献血者に協力を呼びかけ、定期的に献血してくれるよう依頼していく。

 さらに、献血者が希望すれば肝機能やコレステロール値など献血時に判明する健康情報を自治体や医療機関に送付し、定期的な健康診断として役立ててもらう制度も導入する。

輸血遅れ入院患者死亡、献血供給事業団が内規違反輸送

2004/06/14 読売新聞 Yomiuri On-Line
 都内の病院への輸血用血液の搬送を請け負っている財団法人「献血供給事業団」(東京都渋谷区)が、昨年5月、東邦大大森病院(同大田区)から緊急手術のため注文を受けた際、内規に違反して2度の注文分を1度にまとめて送り届け、到着が約10分遅れていたことが14日、分かった。

 輸血を待っていた患者は死亡しており、厚労省では同事業団から事情を聞いたうえで指導する方針。

 同事業団や大森病院によると、昨年5月29日、出血多量の患者の緊急手術のため、午後4時22分と同28分に続けて血液の緊急搬送要請が行われた。同事業団では2台の献血供給車を出動させたが、担当者の判断で途中で合流させ、計3・6リットルの血液は午後5時に到着。患者はその17分後に死亡した。

 同事業団から大森病院までの搬送時間は通常約30分で、同事業団は「約10分遅れてしまった」として病院側に謝罪。業務手順では緊急の注文は1件ずつ迅速に処理しなければならず、担当者も厳重注意処分にした。

 大森病院は「因果関係は分からないが、一刻を争う事態で手順が守られず、到着が遅れたことは非常に残念だ」としている。

ウイルス混入210本 6人が感染 日赤の献血血液調査

2004/06/01 The Sankei Shimbun
 日赤は、過去にさかのぼって進めていた献血血液の追跡調査をほぼ終了し、1日開かれた厚生労働省血液事業部会安全技術調査会で結果を報告した。調査した約1万7000本のうちエイズウイルス(HIV)やB、C型肝炎ウイルス混入が確認されたのは計210本で、多くが輸血に使われ6人が感染していた。

 日赤は併せて、献血血液の追跡調査を確実に行うためのガイドライン案も調査会に報告した。近く全国の血液センターに周知する方針。

 日赤の報告によると、追跡調査は1999年4月以降の出荷分のうち、献血時にウイルス感染が判明した人の過去の献血血液を対象に実施。保管検体を詳しく再検査した結果、B型肝炎ウイルス(HBV)が207本、C型肝炎(HCV)が2本、HIVは1本に混入していた。

 献血血液は通常、50人分をまとめて検査するため、感染直後でウイルスが微量だと、検査をすり抜けることがある。210本は適合血液とされ、輸血された患者のうち5人がHBVに、1人がHIVに感染した。

 追跡調査は昨年6月、日赤の対策が不十分と分かり厚労省が指示した。

感染の危険ない人工血液 二年後実用化目指す

2004/01/25 読売新聞 朝刊

 アルブミン使い早・慶大などが開発

 血液中に含まれるたんぱく質の一つ、アルブミンに酸素を運ぶ能力を持たせた「人工血液」を早稲田大、慶応大、熊本大などのグループが開発した。大量生産と長期保存が可能で、ウイルス感染や血液型不適合の心配のない安全な輸血に道を開くと期待されている。グループは動物実験で効果を確認しており、2年後の実用化を目指している。

 酸素は、赤血球に含まれるヘモグロビンというたんぱく質に結合し体内組織へ運ばれる。米国ではヘモグロビンを加工した人工血液が作られたが、血圧上昇などの副作用があり、人への使用は認可されていない。

 土田英俊・早大名誉教授らのグループは、血圧を維持し、様々な物質を体内に運ぶ役割を持つアルブミンに着目。ヘモグロビンと同様に、鉄を中心に持つヘムという分子を組み入れた「アルブミンヘム」を作り、肺で酸素を吸収し、体内の組織で放出する機能を持たせることに成功した。

 ラットでは血液と人工血液の交換や、出血ショック時の輸血など様々な実験で血液と同じ効果が得られ、毒性は見られなかった。

 赤血球よりはるかに小さいので、血栓のできた部分にも酸素を供給でき、脳梗塞や心筋梗塞などの治療に使える可能性もある。原料のアルブミンは、血液から抽出されているが、遺伝子組み換え法で製造する手法を日本の医薬品会社が開発し、臨床試験を終えている。アルブミンヘムの量産技術もめどが立っているという。

 人工血液が実用化すれば、どの血液型の人にも安全に輸血でき、ウイルスなどに感染する恐れもないなど大きな利点がある。研究グループの小林紘一・慶応大呼吸器外科教授は「室温で長く保存でき、いつでも使える。献血不足を解消できるだろう」と話している

汚染血輸血でHIV感染 日赤の高感度検査すり抜け

2003年12月29日 The Sankei Shimbun
 エイズウイルス(HIV)に汚染された献血血液が日赤の高感度検査で「陰性(感染なし)」として出荷され、輸血を受けた患者がHIVに感染していたことが29日までに、日赤の追跡調査で分かった。

 日赤が1999年に高感度検査を導入して以来、HIV汚染血液がすり抜けて出荷されたのは初めて。厚生労働省と日赤は感染者が確認されたことに衝撃を受けており、厚労省は同日午後、血液事業部会運営委員会を緊急に開いて対応を検討した。

 関係者によると、この献血者は最近献血に訪れた時、検査でHIV感染が判明。日赤が過去にさかのぼって保管検体を調べた結果、以前の献血時の血液からHIV遺伝子が検出された。日赤が出荷先を調べた結果、この血液は既に患者に輸血されていた。

 日赤が導入しているのは、HIVなどのウイルスの一部を増幅して検出する核酸増幅検査(NAT)。しかし、献血時検査は50人分をまとめて調べるため、感染直後でウイルス量が少ないと検出できないことがある。

 日赤では昨年、HIV感染者の血液がNATをすり抜けた例が一例確認されたが、保管中に回収し、出荷されなかった。

 日赤は現在、NATの検査対象を50人分より少なくする精度向上策を検討している。

C型肝炎ウイルス、献血血液の検査すり抜け

2003/12/14 読売新聞 Yomiuri On-Line
 献血時に日本赤十字社が行う高精度の病原体検査で、C型肝炎ウイルスに感染した献血者の血液が陰性(感染なし)と判定され、輸血に使用されていたことが13日、同社の追跡調査で分かった。1999年の高精度検査導入後、C型肝炎ウイルスのすり抜けが確認されたのは初めて。

 肝臓がんの約8割はC型肝炎がもともとの原因とされており、かつて輸血や注射針の使い回しなどでウイルスが広がった歴史があるが、99年以降は輸血による感染の危険は事実上、なくなったとの見方が強かった。

 追跡調査は、すり抜けが疑われる献血血液に対する日赤の調査・回収などの措置が不十分として、今年6月から厚生労働省の指示で始まった。調査の過程で、2000年11月に関西地方で献血され、高精度検査で陰性だった血液の保管分を、さらに詳しく再検査したところ、C型肝炎ウイルスの遺伝子が検出された。

 高精度検査は核酸増幅検査と呼ばれ、化学反応を利用し、ウイルス遺伝子を大幅に増やして検出する。献血時には、血液の有効期限などの時間的制約から、50人分の血液をまとめて調べるのに対し、再検査では1人分ずつ個別に調べるため、精度が、より高くなる。

 日赤によると、すり抜けた血液は、2000年12月、関西地方の医療機関で胃がんの患者に輸血された。患者は輸血の約8か月後に胃がんで死亡し、輸血感染が起きたかどうか確認できなかったという。

 C型肝炎ウイルスのすり抜けが判明したことで、B型肝炎、エイズと合わせ、高精度検査が対象とするウイルスすべてで、すり抜けが確認されたことになり、日赤の誇る高精度検査も限界が改めて示された。

 日赤は既に安全性向上に向けた改善策として、献血検査で一度に処理する人数を現行の50人より減らす方針を示している。

 ◆C型肝炎=感染後30年以上かけて慢性肝炎、肝硬変、肝臓がんと進行する。自然治癒は期待できず、インターフェロンなどで治療するが、国内の感染者約150万人のうち7割は難治性。ウイルスが1989年に発見されるまでは、輸血が主な感染経路とされた。

輸血でHIVに感染

1999年10月7日 19時49分 共同通信社
 日赤は、7日、エイズウイルス(HIV)の混入した献血から造られた輸血製剤が原因で、患者1人がHIVに感染し、別の患者1人も感染した疑いが強い、と発表した。ウイルス感染してから体内に抗体ができるまでの期間(ウインドーピリオド、平均22日)に献血したため抗体検査をすり抜けたとみられる。

輸血患者がHIV感染 厚労省が因果関係を調査

2003年10月01日 The Sankei Shimbun
 東日本の病院で今年3−7月、8人分の献血血液の輸血を受けた男性患者がエイズウイルス(HIV)に感染していたとして、主治医が厚生労働省に報告していたことが1日、分かった。

 日赤が8人分の血液の保管検体を再検査したが、HIVは検出されなかった。ウイルス量が微量で高感度検査をすり抜けた可能性も否定できないため、厚労省は日赤に輸血と感染との因果関係を詳しく調べるよう指示した。

 日赤が1999年、高感度検査を導入して以来、輸血によるHIV感染は確認されていない。

 厚労省血液対策課などによると、男性は人工透析による貧血で計8人分の赤血球輸血を受けた。その後の検査でHIV感染が分かり、主治医が9月初め、日赤を通じて厚労省に報告した。

 男性が輸血前にHIVに感染していたかは不明だが、主治医は性感染などの可能性を否定し、輸血による感染が疑われると報告しているという。

 この男性に輸血した献血血液からは血しょう製剤もつくられており、日赤は使用した患者の追跡調査を進めている。

 日赤の高感度検査でも感染直後だとウイルスを検出できない「空白期間」がある。

B型肝炎汚染血液を輸血 神奈川赤十字、情報入力もれ

2003年09月24日 The Sankei Shimbun

 神奈川県赤十字血液センター(横浜市)が、B型肝炎ウイルス(HBV)への感染が判明した献血者の情報をコンピューターに入力し忘れ、この献血者の汚染血液が患者1人に輸血されていたことが24日、分かった。

 輸血された患者はウイルス検査の結果、現在までHBVは検出されていないという。

 同血液センターによると、この患者は8月1日、消化器疾患のため神奈川県内の病院で輸血を受けた。

 使用された輸血用製剤は献血血液が原料だが、日赤は同じ献血者が昨年9月に献血した血液でHBV感染を確認していた。しかし、同センターは献血者情報を管理するコンピューターに入力するのを忘れ、献血者にも連絡しなかった。

 感染を知らない献血者は今年7月、再び献血に訪れ、今回の患者に輸血された。この献血者はウイルス量が検出限度ぎりぎりで、7月の献血時検査では陰性だった。HBV感染がコンピューターに入力されていれば、この献血血液は廃棄され、使用されなかった。

 日赤が6月から全国的に実施している輸血用製剤の追跡調査で入力漏れが判明したという。

感染判明者の血液製剤、日赤が回収拒否

2003/06/14 読売新聞 Yomiuri On-Line

 厚生労働省が日本赤十字社に対し、献血時の検査でエイズウイルスや肝炎ウイルスなどの感染が判明した人について、過去の献血歴を調査し、未使用の輸血用血液製剤があれば回収するよう指示したところ、日赤側は問題はないとして、回収を拒否していることが分かった。

 現在の検査技術では、感染直後の「ウインドー期間」にウイルスを検出することは不可能で、同省の指示は、検査をすり抜けた汚染製剤でB型肝炎に感染したとみられる事故があったことを受けた措置。日赤側の反応について、同省は「輸血の安全性向上に逆行する」と不快感を示しており、指示の順守を求めていく方針だ。

 同省によると、日赤から今月10日、輸血が原因とみられるB型肝炎の感染事故が報告された。患者は一昨年4月、献血から作られた輸血用製剤を献血の2日後に使用したという。このときの血液はウイルス検査で陰性だったが、同じ献血者が同年6月に再び献血した際、今度はB型肝炎ウイルスが検出された。6月の血液は廃棄されたが、日赤は4月に献血した血液の使用状況を調べていなかった。

 この事故の報告を受けて、同省は今月12日、肝炎やエイズなどの感染が判明した人の献血歴を調べ、未使用分の輸血用製剤を回収するように指示。すでに使用された場合は、患者に対し、感染の可能性について十分説明するように求めた。

 調査の対象は、輸血用製剤の有効期限が最大1年であるため、最近1年間に感染が判明した人となる。

 しかし、日赤は指示を受けたその日に、同省に意見書を提出。「世界最高水準の検査を実施しており、指示は非科学的。血液の安定供給にも支障が出る」として、指示の撤回を求めた。意見書を出した理由について、日赤血液事業部は「指示の根拠となった事故が、本当に輸血が原因か分からない。調査・回収するにしても、対象が多すぎる」と話している。

 一方、同省血液対策課は「輸血の安全性を考えれば、リスクは可能な限り排除すべきだ」と日赤の姿勢を強く批判している。

さい帯血バンク、移植病院は登録制に ネットで情報公開

January 16, 2000

 白血病などの治療法の一つであるさい帯血移植をめぐり、8つのさい帯血バンクでつくる日本さい帯血バンクネットワーク(斎藤英彦会長)は15日、事業運営委員会を開き、移植を実施する病院を登録制にすることを決めた。治療成績を一定レベル以上に保つのが目的。患者が病院を選ぶ参考になるよう、医療スタッフや設備などの情報をインターネットで公開することも求めている。

 さい帯血は赤ちゃんのへその緒などに含まれている血液で、血をつくる造血幹細胞を含んでいる。出産時に提供を受け、バンクが凍結保存して提供している。移植には白血球の型を一致させる必要がある。

 各バンクがどの型のさい帯血を保存しているかを調べられるようにするため、ネットワークがつくられ、新年度から本格的に動き出すのを前に体制整備を進めている。

 事業運営委が決めた条件は、さい帯血移植の経験が5回以上、または、最近3年で骨髄移植などの経験が年5回以上▽移植の実施を施設内の倫理委員会が承認▽さい帯血の凍結保存設備があることなど。

 また、登録を申請する病院に対し、過去のすべての症例について、患者のプライバシー保護を前提に病名や治療結果などの実績の添付を求める。登録をした病院には移植後の患者の容体の追跡調査とネットワークへの報告も義務づける。

 今後、治療成績についてもインターネットで公開するかどうか、実績が少なくてもさい帯血移植に取り組みたいという病院をどう扱うかなどについて、さらに検討を続ける。

200CC献血、2割近くが期限切れで処分

August 07, 1999

 年間約600万人が協力している献血で、200CCの献血によってつくられる全血製剤と赤血球製剤の2割近くが期限切れで処分されていることが6日、日本赤十字社の調べでわかった。現在、全血献血には200CCと400CCがあるが、同じ量の献血を使う場合、献血者の数が少ない方が副作用やウイルス感染の危険性を減らせる。このため、400CC献血から製造される全血製剤などが優先的に使われているからだ。厚生省は、善意の献血を無駄にしないためにも400CC献血を推進していく、としている。

 全血製剤と赤血球製剤の有効期間は献血後21日とされている。

 日赤の調べでは、昨年度、200CC献血から製造された全血製剤10万7910本のうち、34.5%にあたる3万7227本が、赤血球製剤は156万3877本の16.3%に当たる25万4641本が、それぞれ期限切れになった。合わせると期限切れ率は17.5%。これに対し、400CC献血からつくられた全血製剤と赤血球製剤の期限切れ率は6.3%だった。

 中には福岡県赤十字血液センターのように、200CC献血による全血・赤血球製剤の8割近くが期限切れになっている例もあった。

 期限切れになった全血製剤は、一部ほかの用途に再利用されるため、すべてがむだにはならない。

 200CCの場合、16歳以上で、かつ体重が男性は45キロ以上、女性は40キロ以上であれば献血できる。400CCは、18歳以上で、男女とも体重50キロ以上などとなっている。

 昨年の全献血者約614万人のうち、200CC献血者は31%に当たる約191万人。400CCは44%の約271万人で、残りが成分献血者だった。

さい帯血移植の評価システム確立へ厚生省が研究班

August 08, 1999

 白血病など血液の難病に有効な治療法で子どもを主に対象にした、さい帯(へその緒)血移植について、厚生省が研究班(班長、斎藤英彦名古屋大学病院長)を初めて設置、全国で実施される移植の成績を統一的に集計・評価するデータバンクシステムづくりに乗り出した。さい帯血移植は提供時に全身麻酔などが必要な骨髄移植とは違って提供者の負担はないため、近年急速に広がっているが、成績を左右する拒絶反応や感染症などと患者の状態との関係を明らかにすることが迫られていた。欧米を中心とした海外の移植組織と情報交換する体制づくりや難しい大人への移植技術の開発も目指す。

 さい帯血は、へその緒と胎盤に含まれる血液。赤血球や白血球などの血液をつくる細胞が大人の骨髄より豊富。提供者は妊婦が対象で、産後に採取して冷凍保存しておく。6種類ある白血球の型(HLA)のうち、5種類以上一致する患者がいれば、輸血と同じ方法ですぐに移植できる。

 日本のさい帯血移植は1994年に東海大で第1例があった。年々増加する一方ですでに100例を超えている。これまでは各地の病院によるバンクが提供者と患者との仲介をしてきたが、全国一律にさい帯血の情報を共同管理し、適合患者を探す組織が今月中旬に立ち上がるめどが立った。この組織は5年で2万個のさい帯血を確保する予定。

 これに合わせて、厚生省は今年度、「さい帯血移植に関する基礎的・臨床的研究班」を設置。さい帯血移植に長く取り組む加藤俊一・東海大助教授や免疫学で知られる奥村康・順天堂大教授ら9人がメンバーになった。

 先月13日に名古屋大で1回目の会合を開き検討を始め、今後の方針を固めた。各地で実施された移植を追跡調査し、患者に拒絶反応や感染症が起こる条件が何かを確かめる。HLAが今の条件より合わなくても移植が可能な場合や、白血病以外の病気で有効な治療かを確かめ、移植の機会を拡大させる方針。

また、さい帯血は量が少ないため大人には難しいとされているが、保存してあるさい帯血を人工的に増殖させて、大人への移植にも利用できる手法を確立するという。

斎藤班長は「データの管理は愛知県がんセンターなどを検討している。700例以上の移植実績がある海外でも国際的な組織が近く設立される予定で、こうした組織と情報交換することができる体制にもしたい」と話している。

さい帯血移植の女児退院

1998年12月26日(土)by NBS長野放送

 松本市の 信州大学付属病院で 県内で初めての さい帯血移植を 受けた女の子が きょう退院しました。

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