TOPIC No.5-42 SARS/重症急性呼吸器症候群

(Severe Acute Respiratory Syndrome:SARS)

1. 2003年3月、2. 4月、3. 5月- 
01. 重症急性呼吸器症候群(SARS) by YAHOO! News
02. 新型肺炎SARS by Mainichi INTERACTIVE
03. 新型肺炎/SARS by Sankei Web/Special産経新聞
04. 重症急性呼吸器症候群(SARS)関連情報 by日本医師会ホームページ
05. 症急性呼吸器症候群(Severe Acute Respiratory Syndrome:SARS)について by保健福祉部保健予防課
06. 重症急性呼吸器症候群(SARS) by感染症情報センター
07. 東南アジア等で流行している「重症急性呼吸器症候群」関連情報 by厚生労働省
08. 海外渡航者の為の感染症情報 by厚生労働省検疫所
09. SARS(重症急性呼吸器症候群)の情報源 by Mariko

中国のSARS研究者ら10人が収賄 総額3億2000万円

2006/07/29 The Sankei Shimbun

 【北京=野口東秀】2003年春に中国など世界各地で大流行した新型肺炎(SARS)の免疫研究者として知られる広東省疫病抑制センターの羅耀星・前所長ら10人が総額約2240万元(約3億2000万円)のわいろを受け取っていたことが分かった。中国紙「新京報」がこのほど、同省規律検査委員会の発表などで伝えた。

 同センターは当時、SARS抑止の「模範組織」として、免疫研究として高く評価されていた。羅前所長は1120万元を受け取っていたという。

SARSの主感染源、ハクビシンでなくコウモリ

2005年09月10日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 中国などで猛威をふるった新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)ウイルスの主な感染源は、食肉用のハクビシンではなく、野生のキクガシラコウモリである可能性が高いとする研究結果を、香港大学のグループが10日までにまとめ、米科学アカデミー紀要の電子版に近く発表する。

 同グループによると、野生のキクガシラコウモリの約4割から、新型肺炎ウイルスに似たウイルスが見つかったという。このコウモリがどのようにしてウイルスに感染したのか、また、ハクビシンを含む他の動物への感染にかかわっているかどうかは不明だが、アジアの一部地域で珍味として食用にされていることから、研究グループは取り扱いに注意を呼びかけている。

米もSARSワクチン試験 アレルギー感染症研究所

2004/12/14 The Sankei Shimbun
 米国立アレルギー感染症研究所は13日、同研究所が開発した新型肺炎SARSを予防するワクチンの臨床試験を始めると発表した。安全性確認が目的で、対象は健康なボランティア10人。SARSワクチンの臨床試験は中国に次ぎ2カ国目。

 ワクチンはDNAでできており、接種すると、SARSウイルスが感染する際に働くタンパク質とよく似たタンパク質を細胞が作るようになり、免疫ができるという。

 中国のワクチンは毒性を弱めたSARSウイルスで、今年5月から健康な36人に臨床試験を実施。新華社通信によると、中国政府は今月初め、安全で効果もあったと発表した。

 SARSは2002年11月に中国で発生が確認され、世界保健機関(WHO)によると03年7月までに8096人が発病し、774人が死亡した。(共同)

SARS隠ぺいで実刑判決 台湾で前病院長らに

2004/09/23 The Sankei Shimbun
 23日付台湾各紙によると、台北地方法院(地裁)は22日、新型肺炎(SARS)の院内感染を隠ぺいし結果的に患者3人を死亡させたとして、業務上過失致死罪で台北市の仁済病院前院長に懲役3年、内科主任に懲役2年6月の実刑判決をそれぞれ言い渡した。

 台湾では昨年、複数の病院でSARSの院内感染が発生、計37人が死亡したが、医療関係者が感染隠ぺいで実刑判決を受けたのは初めて。

 判決によると、前院長と内科主任は昨年4月、患者や看護師がSARSの症状を示したにもかかわらず、隔離措置を取らなかった上、職員には単なる流行性感冒と説明。この結果、感染が拡大し、患者3人の死亡につながった。(共同)

SARS病床を整備 山口県立病院、改修へ

2004/09/09 中国新聞地域ニュース
 <県 議会に条例改正案>

 昨年冬、アジアを中心に猛威を振るった新型肺炎(SARS)の発生に備え、山口県は十二月上旬をめどに、SARSを含めた、感染症法で定めている最も危険な「一類感染症」患者の受け入れが可能な二つの病床を、県内で初めて県立中央病院(防府市)に整備する。

 それぞれが個室で、ウイルスや菌が外部に出ないよう気密性が高く、前室を備えた陰圧病室。発生する恐れが強くなる冬期に間に合うよう県立中央病院の一部を改修し、十一月下旬から十二月上旬ごろには完成させる見込み。

 県は、完成を待ってすぐにも、第一種感染症指定医療機関として指定する。本年度の当初予算で整備費四千二百万円を計上している。

 県健康増進課によると、中国五県では今のところ、広島大学病院と岡山大医学部・歯学部付属病院に二病床ずつあるだけという。

 県は、中央病院の病床数を増やす内容の県病院事業の設置等に関する条例改正案を、八日開会の県議会定例会に提案した。

新型肺炎の治療薬に有望、化合物を発見…理研など

2004/09/09 読売新聞 Yomiuri On-Line
 理化学研究所と東京医科歯科大学などの研究チームは8日、新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)の治療薬として有望な化合物を発見したと発表した。

 理研が100万種類の化合物のデータベースから、SARSウイルスのたんぱく質分解酵素とうまく結合しそうな化合物をコンピューターで割り出し、候補を130種類に絞り込んだ。さらに同大などが、サルの細胞を使った実験で効き目を確認し1つの化合物を選定した。

 この化合物は、SARSウイルスが増殖するのに必須なたんぱく質分解酵素の働きを阻害し、ウイルスの増殖を抑える。サルの細胞実験では効果が高く、毒性も低かったという。特許をまだ取得していないため、化合物の構造など詳細は明らかにしていない。

 SARSの治療は現在、対症療法が中心で有効な治療薬は無い。研究チームは「マウスの効果を確かめた上で、早ければ今冬にも実際に患者に投与する臨床試験を実施し、早期の商品化につなげたい」としている。

 コンピューターのシミュレーションで薬効を予測する手法は、新しい抗ウイルス剤などを素早く発見できる利点がある。すでにインフルエンザ治療薬「タミフル」など数種類の新薬がこの手法で開発されている。

中国、SARS教訓に予防法改正…情報隠しに処罰規定

2004/08/29 読売新聞 Yomiuri On-Line
 【北京=佐伯聡士】新華社電によると、中国の全国人民代表大会(全人代=国会)常務委員会は28日、昨年感染が拡大した新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)の教訓を踏まえ、情報隠しや虚偽の報告に対する処罰規定などを盛り込んだ「伝染病予防法」改正案を採択した。12月1日から施行する。

 改正予防法では、SARSや、今年初め流行した鳥インフルエンザを新たに伝染病に指定し、感染情報の即時報告、公表の義務を強調した。当局者の情報隠しや虚偽報告が流行を招いた場合には行政処分とし、犯罪要件を満たせば刑事責任も追及するとしている。

 同法はまた、今春、研究機関の実験室がSARSの感染源となったことを受けて、医療機関の実験室の安全対策強化を定めた。さらに、伝染病患者を「差別」する行為を禁じている。

感染症防止へテント配備 患者搬送用の車いすも

2004/08/24 中国新聞地域ニュース
 新型肺炎などの感染症対策として、広島県は二十三日、感染防止機能がある簡易型テントと患者搬送用の車いすを公開した。昨年度に配備した感染症用の搬送車と併せ、初期診療から入院までの搬送態勢が整った。

 テントはかまぼこ型で、高さは二・七五メートル。ポンプで九畳分の内部の空気圧を下げ、ウイルスが外に漏れないようにできる。折り畳み式で一分間程度で設営でき、感染症の発生時や災害時などに臨時の診察室として利用する。英国製で二張りを千二十万円で購入した。

 車いすは、座席部分をビニールで覆い、内部の空気圧を下げるためのポンプを備える。介護者や医師への感染を防ぎながら、患者の搬送ができる。今年三月、財団法人結核予防会から県が国際協力功労賞を受賞した際、一台を贈呈された。

 中四国地方の自治体で同じ機能があるテントの導入は初めて。車いすは岡山市に続く。いずれも県庁で保管し、感染症の発生時などに県内各地で活用する。

新型肺炎隠しの告発者を拘束、洗脳も?…香港紙報道

2004/07/22 読売新聞 Yomiuri On-Line
 【香港=関泰晴】22日付の香港英字紙「サウスチャイナ・モーニングポスト」は、消息筋の話として、昨年、中国当局による新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)患者隠しを告発した元軍医・蒋彦永氏が、先月初旬から今月中旬まで当局に拘束され、思想改造を行う「洗脳工作」を受けたと報じた。

 蒋氏は、患者隠し告発のほか、今年3月には、1989年の天安門事件の再評価を求める意見書を公開。事件15周年の6月4日を前に行方不明となり、その後、当局に拘束されていたことが判明した。同紙によると、蒋氏は今月中旬に解放されるまで、毎日9時間にわたって、「思想改造」を受けた。

SARSワクチン 世界初の臨床実験

2004/05/24 The Sankei Shimbun
中国が開始

 【北京=福島香織】国営新華社通信は二十三日、中国が世界で初めて新型肺炎(SARS)ワクチンの臨床実験に入ったと伝えた。

 最初の被験者は四人の大学生で、男性三人、女性一人。二十二日午後に中日友好病院で北京科興生物製品有限公司が開発した不活化ワクチンを接種した。いまのところ副作用はみられていないという。接種後七カ月間の観察期間を経て、四人についての実験は終了する。

SARS感染、事実上の制圧宣言 北京市と安徽省

2004/05/11 The Sankei Shimbun
 北京市の梁万年副衛生局長は10日、記者会見し、今年4月以降の同市での新型肺炎(SARS)感染について、入院中の6人(別の1人は退院)や接触者から拡大する可能性は「遮断した」として、事実上の制圧宣言をした。

 新華社電によると、2人の感染(うち1人死亡)が確認された安徽省も同日、入院していた女性大学院生が退院したのを受けてSARS感染を制圧したと発表した。

 梁副局長は、最終的な終息宣言にはすべての入院患者が退院し、発生源とみられる中国疾病予防対策センターの関係者も、14日間の経過観察期間後にSARSの症状が出ていないことを確認する必要があると指摘した。

 梁副局長は、安徽省の女性と北京市内の患者1人は同センターで感染したとみられるが、具体的な感染源は不明とした。この安徽省の女性は当初北京市内の病院に入院し、女性から女性看護師に感染、さらに看護師の近親者ら5人に感染が広がったと述べた。

 4月下旬に北京市で今年初のSARS感染者が報告されてから、同市当局者が会見するのは初めて。(共同)

汗や尿でもSARS感染か 中国・広州の軍医大チーム発表

2004/05/10 The Sankei Shimbun
 9日の新華社電によると、中国広州市にある第一軍医大学の病理学専門の医師がこのほど、新型肺炎(SARS)を引き起こすコロナウイルスは汗、尿などを通じて人から人へ感染する可能性があるとの研究結果を英国誌で発表した。

 同医師のチームはSARSで死亡した4人の細胞を調べたところ、肺、胃腸、肝臓、汗腺、大脳など計12器官からコロナウイルスを検出。食物やキスのほかにも、軽い接触を通じて感染したと推定している。

 医師は、これらの感染経路が確認された場合、新たな感染予防策が必要と警告している。(共同)

SARS:今年最初の患者が退院 北京

毎日新聞 2004年5月6日 Mainichi INTERACTIVE
 北京市は5日、4月に同市で今年初めての新型肺炎(SARS)感染が確認された女性看護師(20)が隔離治療を終え、4日夜に退院したと発表した。北京では4月以降、7人の感染が確認されたが、退院は初めて。

 看護師は、北京の中国疾病予防対策センターで感染したとみられている安徽省の女子大学院生(26)が当初入院した病院でこの院生の看護を担当、院内感染した可能性が強い。

 中国では4月以降、北京の7人と安徽省の2人(1人は死亡)の計9人の感染が確認されており、このうち看護師が隔離治療を受ける前に入院していた病院で同室だった女性(49)は依然病状が重いという。(北京・共同)

SARS感染、新たに1人確認 中国衛生省発表 2004/05/01 The Sankei Shimbun
 中国衛生省は1日、新型肺炎(SARS)の疑い例として北京市の病院で隔離治療を受けている男性の感染が確認されたと発表した。中国の感染例は6人(うち1人死亡)、疑い例3人となった。

 衛生省によると、男性は感染源の可能性が高い北京の中国疾病予防対策センターに勤務。4月23日に疑い例と確認された。(共同)

新たに4人感染疑い 北京でSARS拡大 2004/04/25 The Sankei Shimbun
 中国衛生省は25日、北京で新たに4人の新型肺炎(SARS)感染の疑い例が報告されたと発表した。4人は23日に感染が確認された北京の女性看護師と同じ病室にいた入院患者と看護師家族ら。これで中国疾病予防センターに端を発したとみられる今回の中国の感染者は2人、感染疑い例は計6人となった。

 同省はまた、SARSに感染した安徽省の大学院生が3月から4月にかけて4回乗った鉄道の列車番号を公表、同じ車内に乗り合わせた乗客に対して自主的に医療機関と連絡を取るよう呼び掛けた。発症後に鉄道を利用した可能性があり、乗客を通じて感染が広がっている恐れがあるためだ。

 北京で確認された感染疑い例の4人は、看護師と同室だった入院患者のほか看護師の父親、母親、叔母の3人。いずれも体温が37度以上あり、特に母親はエックス線検査で胸部に炎症が確認され病状が重い。

 家族は看護師が感染して以来、病院などで密接に接触していた。

 衛生省はまた、経過観察の人数を大幅に増やし、北京では感染者らに接触した337人を、安徽省でも133人の体調を観察することにした。(共同)

中国で新型肺炎疑い例1人死亡…感染研究生看病した母2004/04/24 読売新聞 Yomiuri On-Line
 【北京=佐伯聡士】中国衛生省は23日、北京でウイルス病予防の研究を行っていた安徽医科大学の女性研究生(26)と、北京市内の病院で研究生を看護した女性看護師(20)の2人が、新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)に感染していたことが確認されたと発表した。また、2人の周辺で疑い例も2人見つかり、うち1人は死亡した。

 この女性研究生は3月7日から22日まで、北京にある中国疾病予防センターのウイルス病予防所実験室で研究活動を行っていた。23日に列車で安徽省合肥市に戻った後、25日に発熱などの症状が出たため、29日北京に行って入院。4月2日には再び安徽に戻り、4日から安徽医科大学付属第1病院で治療を続けている。

 感染疑い例の1人は、研究生に付き添って看病した母親(53)。4月上旬に発熱などの症状が出て同病院に入院したが、原因不明のウイルス性肺炎により、19日に死亡した。もう1人は、研究生と同じ実験室で働いていた北京市内の男性(31)。

 衛生省は北京の実験室が感染源と判断し、実験室を封鎖した上、患者らと接触した計300人以上の経過観察を行っている。このうち6人に発熱などの症状が出ているという。

 中国では今年1月、広東省で4人のSARS患者が確認されている。

中国でSARS死者か 感染2人、疑い例2人 2004/04/23 中国新聞ニュース
 【北京23日共同=中川潔】中国衛生省は二十三日、北京市と安徽省でそれぞれ一人ずつ、新型肺炎(SARS)の感染が確認され、さらに両地でそれぞれ一人ずつ感染の疑い例が確認されたと発表した。安徽省の疑い例の女性は既に十九日、死亡していた。

 今後、死亡した女性の感染が確認されれば、昨年七月以来中国で初めてのSARSによる死者となる。

 世界保健機関(WHO)が制圧宣言を出して以来、中国では広東省広州市で四人の感染が確認されたが、北京市と安徽省は初めて。疑い例を含めて四人の感染が明らかになり、感染拡大の危険が高まった。

 感染源は北京市にある中国疾病予防センターのウイルス予防所の可能性が高く、衛生省は予防所を封鎖した。

北京でSARS疑い例 20歳看護婦、隔離治療 2004/04/22 The Sankei Shimbun
 新華社電によると、中国衛生省は22日、北京で新型肺炎(SARS)に感染した疑い例1人を確認したと発表した。感染が確認されれば、世界保健機関(WHO)が昨年7月に世界規模の制圧宣言を出して以降、北京で初のケースとなる。

 中央テレビによると、疑い例とされたのは20歳の看護婦。患者は北京市内の病院に隔離されて治療を受けている。

 制圧宣言以降、中国ではこれまで広東省広州市で4人の感染者を確認。しかし1月末の4人目の感染確認後は新たな感染などの報告がなかったため、衛生省が今月2日、発生状況に関する毎日の発表を停止した。(共同)

 <新型肺炎(SARS)> 38度以上の急な発熱や呼吸困難を伴う新型の肺炎。正式名称は重症急性呼吸器症候群。新種のコロナウイルスが原因。昨年初めに香港で患者発生が相次いで報告されて以後、中国などアジアを中心に感染が急拡大。世界保健機関(WHO)が昨年7月に制圧宣言を出すまでの間、8千人以上が感染、750人以上が死亡した。致死率は9・6%。発熱やせき、エックス線検査の結果などに基づいて疑い例とされ、詳しい血液検査で感染が確認される。(共同)

SARS:中国進出の日本企業の対策は

2004年01月10日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 中国でこの冬2人目の新型肺炎「重症急性呼吸器症候群」(SARS)の感染の疑いがある患者が出たことに対して、進出企業は、対策に着手した。感染経路が特定されていないことに加え、決め手になる予防策がないことから不安があるものの、大半の企業は、大流行した昨春の教訓を踏まえて、できる限りの対策をとって、今後の推移を冷静に見守る構えだ。

 昨年5月にSARS患者を出し、工場の一時操業停止に追い込まれた松下電器産業は、この冬の最初の擬似患者が出た昨年12月27日、中国全土の統括会社の松下電器中国(北京)に早くも現地対策本部を設置。SARS患者の早期発見を目指して、SARS以外の発熱患者をできるだけ出さないようにするため、インフルエンザの予防接種を実施した。そのうえで、従業員には毎日1回体温を計るよう指導し、38度以上の熱がある場合は出社停止にする措置を中国全土でとっている。

 パイオニアは、DVD(デジタル多用途ディスク)関連機器を生産している広東省の拠点で警戒を強化しつつある。中国で住民の大移動が起こる旧正月後に流行の可能性があるためで、帰省先から従業員が帰ってくる今月下旬には、正門で全員検温し、集団感染を防ぐ考えだ。

 昨春、出張自粛のため技術者の派遣ができず、新車発売が1カ月半遅れたホンダは、昨夏以降、広州工場にレントゲン設備を導入するなど、従業員の健康管理を強化してきた。昨年11月以降は、インフルエンザの予防接種も従業員全員に実施したほか、石けんを配って手洗いを奨励したり、定期的な工場の消毒・清掃を徹底するなど、感染予防にも力を入れている。

 感染が広がった昨春は、日本からの出張規制や帰国が相次いだが、今冬は、大半の企業が「まだ、流行しているわけではない」(NEC)「状況を見て判断する」(トヨタ自動車)などと静観しており、出張にも特に制限を加えていない。【小平百恵、坂井隆之】

残る1人も非感染 新型肺炎取材の記者ら

2004年01月09日 The Sankei Shimbun
 香港の医療当局は9日、新型肺炎(SARS)取材で中国広東省広州市を訪問後に発熱などの症状を訴えて入院した香港のテレビ記者ら3人のうち、検査を続けていた1人について、SARSに感染していないとの結果が出たと明らかにした。残る2人も8日に同様の結果が出ている。

 3人は他の6人とともに広州市を訪れ、SARSに感染した男性が入院していた病院などを取材。香港に戻り相次いで発熱やのどの痛みを訴え、7日から入院している。(共同)

北京でも高熱患者

2004年01月08日 The Sankei Shimbun
 8日付の中国紙、新京報によると、春節(旧正月)の帰省ラッシュが始まった7日、北京西駅で、河南省に帰る男性の出稼ぎ労働者に39・2度の発熱が確認され、衛生当局が近くの鉄道病院に搬送した。

 中国の鉄道各駅では、新型肺炎(SARS)の感染拡大を防ぐため、帰省ラッシュに合わせて検査体制を強化。男性が感染しているかどうかは不明。

 中国は22日の旧正月を挟み、7日から2月15日まで鉄道や空の輸送力を強化。北京駅では7日だけで18万5000人が帰省列車に乗った。(共同)

中国・広州取材の香港記者ら発熱 経過観察のため数日間入院

2004年01月08日 The Sankei Shimbun
 香港の衛生当局は8日、新型肺炎(SARS)取材のため、中国広東省広州市を訪れた香港のテレビTVBの記者ら3人が発熱などの症状を訴え、7日から香港の病院に入院していると発表した。

 肺炎症状は出ていないが、経過観察のため、数日間入院する。

 3人は他の6人とともに、昨年末に広州市を訪れ、男性が入院中の病院や市内の野生動物市場を取材。先月30日に香港に戻り、相次いで発熱やのどの痛みを訴えたという。

 香港メディアによると、同テレビは局内を消毒し、職員約400人の健康状態をチェックしているという。(共同)

あらたに新型肺炎の疑い 広州の女性従業員

2004/01/08 中国新聞ニュース
 【北京8日共同】中国衛生当局は八日、広東省広州市内の飲食店の女性従業員があらたに新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)に感染した疑いがあると発表した。新華社などが同日伝えた。

 女性は先月二十六日に発熱、隔離治療を受けているが、現在病状は安定しているという。女性と接触した四十八人にも隔離措置が取られている。

 広州市ではフリーのテレビ番組制作関係者の男性(32)が新型肺炎に感染。感染者はこの冬に入り台湾の研究者に続き二例のみが確認されている。

中国・広州市男性のSARS感染確認 今冬2例目

2004年01月05日 The Sankei Shimbun
 中国衛生省は5日、新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)の疑いで入院している広東省広州市のフリーのテレビ番組制作関係の男性(32)について感染を確認したと発表した。

 感染者はこの冬に入り台湾の研究者に続いて2例目で、医学関係者以外では初めて。

 衛生省はこの男性以外に感染が疑われる症例はないとしているが、感染が確定したことで観光業など経済面に影響が出るのは確実だ。中国に進出している日系企業なども感染防止対策の強化が迫られる。

 感染ルートは分かっていないが、広東省疾病予防対策センターの5日の発表によると、男性から検出されたコロナウイルスと野生動物ハクビシンの同ウイルス遺伝子の塩基配列がほとんど同じという。

 フィリピン保健省は5日、香港から昨年末に帰国したフィリピン人女性を新型肺炎の疑いがあるとして隔離、検査中であることを明らかにした。

 5日付香港各紙は、広州市で新型肺炎に感染した疑いのある20歳代の女性が新たに見つかったと報じたが、地元衛生当局は「報告はない」と否定した。(共同)

新型肺炎疑いの患者発見でWHO専門家が北京入り

2003/12/29 読売新聞 Yomiuri On-Line
 【北京=浜本良一】中国広東省広州市で新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)の疑いのある男性患者(32)が見つかったのを受け、世界保健機関(WHO)の専門家1人が29日、オーストラリアから北京に到着、中国衛生省など関係機関との協議を始めた。今後、広州入りして現地調査も行う予定。

 広東省衛生庁によると、患者の体温は連続して5日間、平温を保っており、セキや頭痛などの異常も見られないという。検体の検査は、北京と広州で続いているが、SARSかどうかの最終的な判断は「5―7日後になる」(広州市の医師の話)見通し。

 中国では正月から来年1月22日の春節(旧正月)にかけて、帰省など大移動のシーズンを控えており、主要都市の空港や駅では、乗降客の体温チェックを行うなど厳戒体制が敷かれている。

SARS:「疑い例」患者の容体安定、感染経路は不明 中国

2003年12月28日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 【北京・浦松丈二】中国衛生省は28日、広東省広州市で新型肺炎「重症急性呼吸器症候群」(SARS)の「疑い例」と診断された男性(32)の容体が安定しており、国内では疑い例を含め他の感染例は報告されていないと発表した。

 男性の体温は正常に下がっており、男性と密接に接触した人からも発熱など感染を示す症状は見つかっていない。ただし、男性の最終的な診断結果は出ておらず、感染経路も分かっていない。

 一方、北京市衛生局は27日、疑い例の確認を受けて、北京空港や鉄道駅など各交通機関に通報、各機関は検疫強化措置を取った。

中国・広州の男性が新型肺炎か 今冬2例目の疑い

2003年12月27日 The Sankei Shimbun
 香港メディアは27日、中国広州市の病院に入院中の男性が新型肺炎(SARS)に感染した疑いが強まり、政府の衛生当局の専門家に最終確認を要請したと報じた。27日付の広州地元紙の報道として伝えた。

 報道によると、男性は20日に入院。複数の検査の結果、感染の疑いが強いことを地元衛生当局が明らかにしたという。新型肺炎と確認されれば、今年の冬に入って台湾に続き世界で2番目の感染例となる。

 病院の関係者は26日、地元紙の取材に「病院内の緊急会議で新型肺炎感染の診断が報告され、院内で感染拡大防止措置を取るよう要請を受けた」と述べ、院内の一般入院患者もマスク着用を求められていることを明らかにした。

 中国の国家規定は、新型肺炎感染の最終診断は政府の衛生当局が行うとしているため、26日夜、政府に報告し、最終確認を要請したという。

 台湾の衛生署(衛生省)は12月17日、国防部(国防省)の国防医学院予防医学研究所の男性研究員が新型肺炎に感染したと発表していた。(共同)

2年前に新型肺炎ウイルス 香港大グループが発表

2003年12月26日 The Sankei Shimbun
 昨年11月、中国で初めて人間への感染が確認された新型肺炎(SARS)の原因ウイルスが、2年以上前に香港で一部の人に感染していたことが分かった。香港大のグループが26日までに、米疾病対策センター発行の専門誌に発表した。

 同グループは、ウイルスはもともとは動物から感染したと推定。当時は人間の体に十分適応していなかったため感染力が小さかったが、人間への感染を繰り返すうちにウイルスが進化し、今年春の爆発的流行につながったとみている。

 同グループは、2001年5月に、B型肝炎の調査の一環で採血して冷凍保存してあった香港に住む中国人938人の血清を分析。約2%にあたる17人の血清から、SARSコロナウイルスの抗体を検出した。17人には採血当時、肺炎などの症状はなかったという。

 同グループはこの結果から、SARSウイルスは昨年11月に突然、動物から人間に感染したのではないと指摘。「過去15年間に拡大してきた中国広東省の食用野生動物市場が、同ウイルスが動物から人間に感染を繰り返す理想的な場となり、ウイルスの進化を速めた」としている。

消毒作業中に感染か 台湾の男性研究員

2003年12月20日 The Sankei Shimbun
 中央通信によると、台湾の衛生当局は19日、台湾の国防医学院予防医学研究所の男性研究員は6日に新型肺炎(SARS)ウイルスのサンプルをアルコール消毒した際に感染した可能性があるとの第1次報告書を発表した。

 報告書によると、男性は実験室で、使用済みの廃棄物が入ったビニール袋が破れて少量の液体が漏れ出しているのを発見、スプレーを使ってアルコール消毒した。

 衛生当局の調査チームが18日、実験室内でウイルスの採取をしたところ、スプレーのレバーにウイルスが付着していたことが判明。このため、調査チームはスプレー噴霧時に感染した可能性があるとみている。

 関係者は、男性が消毒作業中に手袋を着用していたかどうかはっきりしていないため、さらに調査を進めるとしている。(共同)

新型肺炎の疑いで7人を検査 香港

2003年12月19日 The Sankei Shimbun
 香港の衛生当局は19日、香港内の病院で女性患者7人が相次いで発熱したため、新型肺炎(SARS)の疑いがあるとして隔離し血液検査を行ったが、全員感染していないことが分かったと発表した。

 地元報道によると、発熱したのは同病院の内科病棟に入院していた62−85歳の心臓病や糖尿病などの女性患者。同一の病室に入院中で、発熱後も病状は安定しており、体温もほとんどは新型肺炎感染の目安とされる38度を超えていなかった。(共同)

台湾の研究者、実験基準守らず感染 「拡大の恐れない」とWHO

2003年12月17日 The Sankei Shimbun
 台湾の研究者が新型肺炎(SARS)に感染したことについて、マニラの世界保健機関(WHO)西太平洋地域事務局は17日「研究者が実験の際、WHOの出している厳しいガイドラインに従わなかったのが原因と考えられ、拡大の恐れはないとみられる」との見方を示した。

 記者会見した尾身茂事務局長は「この研究者は白衣や手袋をせずに新型肺炎ウイルスのサンプルを処理しており、試験管外に出た飛沫(ひまつ)から感染したとみられる」と述べた。

 この研究者は国際会議出席のため、今月7−10日にシンガポールを訪問しているが、これまでのところ接触した人に発病者は出ておらず、拡大の恐れはあまりないとの見解を示した。

 また、WHOは専門家チームを早急に台湾に派遣することを決め、台湾当局に申し入れた。(共同)

シンガポールで70人隔離 感染者は確認されず

2003年12月17日 The Sankei Shimbun
 シンガポール保健省は17日、新型肺炎(SARS)に感染した台湾の研究者がシンガポール滞在中に接触した可能性のある70人に自宅隔離を命じたと発表した。同省によると、これまでのところ、同国で感染者は確認されておらず、隔離はあくまでも予防措置。

 研究者は医学関係のセミナー出席のため、今月7日から10日までシンガポールに滞在。同省の調査によると、研究者はシンガポール滞在中は発熱しておらず、10日夕、台湾に戻ってから発熱した。

 同省は新型肺炎の潜伏期間が約10日間とみて、8日に研究者と接触した人たちに検温を求める一方、9、10の両日に接触した可能性のある70人に19日までの自宅隔離を命じた。(共同)

台湾が感染拡大防止策を強化 今冬初の新型肺炎で

2003年12月17日 The Sankei Shimbun

 台湾の衛生署(衛生省)は、世界で今冬初めての新型肺炎(SARS)患者が17日に台湾で確認されたことを重視、感染経路や接触した関係者の調査を始め、空港での旅行客の健康チェック徹底を呼び掛けるなど感染拡大の防止策を強化した。

 衛生署によると、感染した台北県の男性(44)は国防医学院予防医学研究所研究員(中佐)で、新型肺炎治療薬の研究に従事。今月5日に実験室で、新型肺炎ウイルスのサンプルを廃棄処理した際に、誤ってサンプルに触り感染した可能性があるという。

 男性は新型肺炎関連の会議出席のため、同7日に同僚6人と中華航空機でシンガポール入り。翌8日に、けん怠感を覚えたが、38度を超す高熱が出たのは台湾に戻った10日夜だった。

 その後、出勤せずに自宅で静養。下痢の症状が出たことから16日夜に台北市内の病院に入院。17日午前に新型肺炎の陽性反応を示した。現在、容体は安定している。

 游錫●行政院長(首相)は17日、患者と接触した関係者について追跡調査の強化を指示。

 衛生署は実験室内での「限定的感染」として感染拡大の恐れが低いことを指摘しながら、18日から31日まで1自宅隔離対象者の海外への渡航禁止2空港での旅客に対する検温態勢強化−などの措置を講じることを決めた。(共同)

(●=方を横に2つ並べてその下に土)

台湾で新型肺炎を確認 44歳の男性ウイルス研究者

2003/12/17 中国新聞ニュース
 【台北17日共同=渡辺和昭】台湾の衛生署(衛生省)は十七日、国防部(国防省)の国防医学院予防医学研究所の男性研究員(44)が新型肺炎(SARS)に感染したと発表した。

 今年の冬に入り、新型肺炎患者が確認されたのは世界で初めて。新型肺炎の再流行が懸念される中で、世界保健機関(WHO)や各国政府はより厳格な感染防止対策を迫られることになりそうだ。WHOが七月に制圧宣言を出して以降では、シンガポールで九月に感染者が確認されたのに次いで二例目。

 男性は新型肺炎の陽性反応を示し、十二月十七日午前、台北市内の三軍総合病院から台北市立和平病院に移送され、隔離治療を受けている。予防医学研究所で新型肺炎ウイルスの研究をしており、実験室で感染した可能性が高い。

 男性は今月七日、シンガポールでのシンポジウムに参加。十日に台湾に戻った後、十六日まで三八・五度の高熱などの症状を示し、三軍総合病院で検査。十七日午前に陽性反応を示した。

 衛生署は家族や同僚についても、感染の有無など調査している。男性が台湾に戻った際に搭乗した中華航空機の乗客への隔離措置は取らないという。

 WHOによると、台湾では今年、新型肺炎で三十七人が死亡した。

 シンガポールでも今年九月、西ナイル熱のウイルスなどを研究していた国立シンガポール大学の男子大学院生が新型肺炎に感染したことが確認されている。

新型肺炎患者に骨壊死多発 中国、治療薬の副作用か

2003年11月17日 The Sankei Shimbun
 中国で新型肺炎(SARS)感染者に骨壊死(こつえし)の症状が相次いでいることが17日までに分かった。治療に大量使用した副腎皮質ホルモンの副作用とみられ、一部の病院では退院した患者の半数以上に歩行困難などの症状が出ているという。中国紙、新京報が報じた。

 中国筋によると、共産党宣伝部は同紙報道について「市民の不安心理をあおる」と批判、他の国内メディアに対しても新型肺炎に関する医療問題の報道を控えるよう圧力をかけているという。

 新京報によると、北京市内のある病院では死亡した患者を除く9人の患者のうち7人、別の病院では4人のうち3人が大たい骨などに骨壊死の症状が出た。医療関係者らが多数感染した北京大学付属病院でも、医師の話として93人のうち40人が骨壊死になったと伝えている。

 北京市内の医師は同紙の取材に対し、感染が急拡大した今年3、4月ごろは1日に200−300ミリグラム、時には400ミリグラムを超す副腎皮質ホルモンが使われ、衛生省も1日320ミリグラムと高い基準を提示していた。その後、カナダの医学雑誌で1日40ミリグラムが適当とする論文が紹介され、5月から使用量が控えられるようになったという。

 骨壊死は、骨の細胞が死滅することにより関節に障害などが起きる。党宣伝部による同紙批判を受け、他の国内メディア関係者からは「報道が宣伝ばかりになって医療上の問題点などを市民に伝えられない」との不満が出ている。

 <骨壊死(こつえし)>
 骨の血行が何らかの原因で途絶えた結果、骨細胞が血液から栄養を受けられずに死滅し、骨の代謝が停止すること。関節機能が障害を受けるなどの症状が出る。股(こ)関節脱臼などによる外傷性のもの、放射線照射で生じるもの、減圧症に合併するものなどがあるが、大量の副腎皮質ホルモン投与との関連も重視されている。一方で、原因不明な特発性骨壊死もあり、特発性大腿(たい)骨頭壊死は飲酒、肝臓障害との関連が指摘されている。(共同)

新型肺炎:再流行に備え、インフルエンザの無料予防接種 香港

2003年11月10日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 【香港・成沢健一】香港特別行政区政府は10日、循環器系の慢性疾患や生活保護受給といった一定条件を満たす高齢者約5万人を対象に、インフルエンザの無料予防接種を始めた。インフルエンザと新型肺炎「重症急性呼吸器症候群」(SARS)は発熱や激しいせきなどの初期症状が似ており、予防接種は、SARSが再流行した場合に、医療現場の負担や混乱を最小限に食い止める狙いがある。

新型肺炎、ネコも媒介に ウイルス感染を確認

2003年10月30日 The Sankei Shimbun
 新型肺炎(SARS)の原因のSARSコロナウイルスは、飼いネコやイタチの一種、フェレットにも感染して広がることをオランダのエラスムス医療センターなどが確認、30日付の英科学誌ネイチャーに発表した。

 SARSウイルスは、もともと何らかの野生生物の体内に潜んでいたのが、中国の動物市場のハクビシンなどを介して人にうつった可能性が指摘されている。ネコやフェレットといったペット動物にも容易に感染することが分かり、ペットから人への感染にも注意する必要が出てきた。

 同センターなどは、新型肺炎患者から分離したウイルスを、ネコ6匹とフェレット6匹に接種した。ネコでは症状が現れなかったが、フェレットは3匹が接種後2−4日で無気力になり、1匹は4日目に死亡した。接種したネコやフェレットの肺や気管からウイルスが分離され、感染が確認された。

 ウイルスを接種したネコ、フェレットから、同じ場所で飼育しているネコなどに2日ほどで感染が広がることも、実験で分かった。

新型肺炎再流行に備え訓練 松山空港、県や市が合同で

2003年10月28日 The Sankei Shimbun
 今冬に再流行が懸念されている新型肺炎(SARS)の患者が機内にいた場合に備え、愛媛県や松山空港事務所などの関係機関が28日、松山空港から患者を搬送する合同訓練を行った。

 ほぼ同時に到着した国際便と国内便の両方の機内で新型肺炎の疑いのある患者がそれぞれいたと想定。通報を受けた県と松山市の保健所の職員がウイルスを防ぐ防護服に身を包み、マスクやゴーグルを着けた患者をカプセル型の移送用陰圧装置(アイソレーター)に収容して搬送した。

 訓練には、県や市のほか厚生労働省、航空会社など20機関の約70人が参加。市保健所は「関係機関の連携など訓練自体はうまくいった。実際に起こった場合に乗客の協力がどれだけ得られるかなどを検討していきたい」としている。

SARS:たった数十分で検出OK 診断キットを開発

2003年10月20日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 検査薬メーカーの栄研化学(本社・東京)は20日、新型肺炎「重症急性呼吸器症候群」(SARS)の患者から、原因のSARSウイルスを約20分で検出できる新しい迅速診断キットの基礎開発に成功したと発表した。理論上は、SARS患者のウイルスを100%に近い精度で検出できるという。国立感染症研究所などと共同で臨床試験中で、早ければ医薬品の製造承認申請を11月中にも国に申請する。

 同社の診断キットは、血液やのどの粘液などを試薬に混ぜて約65度で保管すると、15〜30分後に試薬がにごるかどうか目視で判定できる。

 従来の診断キットはウイルスを検出する精度が7、8割が限界で、しかも判定まで約半日かかっていた。温度管理も難しかった。【江口一】

新型肺炎検査キットを開発 30分以内で判定可能

2003年09月29日 The Sankei Shimbun
 新型肺炎(SARS)の感染を30分以内に8割以上の精度で判定できる検査キットの開発に、厚生労働省などの研究班(班長・吉倉広国立感染症研究所長)が、香港やベトナム、フランスとの共同研究で28日までに成功した。

 新型肺炎は治療法がなく、患者を隔離して感染拡大を防ぐことが重要。そのために速やかに感染の有無を確認することが不可欠だが、インフルエンザと初期症状が似ているため見分けが難しい。これまでのウイルス遺伝子検査(PCR法)では最低でも半日かかる上、感染しているのに陰性と出る例も多かった。

 国内の検査薬メーカーとも協力して開発した検査キットは、従来のPCRと同様、ウイルスの遺伝子を増殖して調べるが、特定方法や増殖効率を改良。患者数十人の検体を使ったテストで精度を確認した。判定までの時間も大幅に短縮できた。

 検査では、血液やのどの粘膜を試薬にまぜ、約65度で保温。感染していると白く濁る。検査1回当たりの費用は数百円以内で、大掛かりな機器は必要ない。研究班は、感染の見極めが特に重要になる冬までに実用化できるよう、最終的な試験を進めている。

インフルエンザのワクチン接種、1カ月繰り上げ 北京

2003/09/16 asahi.com
 北京市は15日、例年より1カ月繰り上げて市民へのインフルエンザのワクチン接種を始めた。インフルエンザは秋から冬にかけて再流行の可能性が指摘されている新型肺炎SARSと症状が似ており、相互の誤診が懸念されるためだ。インフルエンザの予防を徹底する作戦だ。

 SARSが再流行すると、インフルエンザの患者を誤診してSARS専門病院におくりこんだり、逆にSARS患者をインフルエンザと誤診して一般の外来で対応したりして、感染を広げたりする可能性もある。このため、今春に大きな被害を出した北京市はかねて対策を練ってきた。

 北京市の衛生機関は例年40万人分用意するワクチンを、今年は100万人分に増やし、さらに予備として50万人分も準備した。接種できる病院も例年の市内300カ所から427カ所に増やした。特に、60歳以上の高齢者、病弱者、医療関係者、小学生、幼稚園児を重点対象者として、接種を呼びかけている。希望者に対し、有料で行われる。

新型肺炎か 女性が入院 香港

2003年09月16日 The Sankei Shimbun
 香港の衛生当局などは16日、34歳の女性がぜんそくのような症状を示して香港内の病院に入院しており、新型肺炎(SARS)に感染している恐れもあると発表した。同日中にも検査結果が出る見通し。

 発表によると、女性は今月8日ごろ、ぜんそくのような症状を示し、エックス線検査でも肺に陰影が認められたため、10日に近くの病院に入院した。15日夜、詳しい検査のため転院し、政府機関で検査を実施した。

 病状は落ち着いている。女性は香港外に旅行に行っておらず、同居の娘とかつて訪ねた両親はいずれも健康で、新型肺炎の症状は示していないという。(共同)

新型肺炎感染と確認 WHO「拡大の懸念ない」

2003年09月10日 The Sankei Shimbun
 世界保健機関(WHO)西太平洋地域事務局(マニラ)は10日、シンガポール保健省が9日、新型肺炎(SARS)の「可能性例」と診断していた大学研究員の男性(27)について「最終的な検査結果を待っている」としながらも、実験室で培養した新型肺炎ウイルスに感染した感染者であることを事実上、確認した。

 尾身茂事務局長が10日の記者会見で明らかにした。事務局長は「人からではなく、研究室という限られた場所で感染したとみている」と述べ「隔離措置も早かったため、感染拡大の可能性は低い」と強調した。

 発表によると、男性がいたシンガポールの微生物研究施設には実験室が2つあり、男性はその一つで西ナイルウイルスを研究。男性はたずさわっていなかったが、もう一つの実験室で新型肺炎ウイルスを培養。8月17日に培養を中止した。

 男性は培養中止から6日後の8月23日に新型肺炎実験室を訪れ、26日に微熱が出て、9月3日に入院した。

 男性は中国や香港などへの渡航歴はない。初期段階で肺に異常がないなど臨床的にはWHOの新型肺炎診断基準と食い違っているが、遺伝子レベルの検査ではWHOの基準と合致している。

 現在、世界では日本、シンガポール、中国など9カ国・地域の13の研究施設が安全基準の下に新型肺炎ウイルスを保持、研究している。(共同)

シンガポールで新型肺炎の「可能性例」を確認

2003年09月09日 The Sankei Shimbun
 シンガポール保健省は9日、同国の大学研究員の男性(27)が新型肺炎(SARS)のうち世界保健機関(WHO)の基準で、より感染の疑いが強い「可能性例」と確認されたと発表した。

 WHOが7月上旬に新型肺炎の「制圧」を宣言後、可能性例が確認されたのは世界で初めて。シンガポールで最後の患者が出てから約4カ月ぶり。男性は既に隔離され、当局は接触した家族や関係者ら25人に自宅隔離の措置を取った。

 同省は「独立した症例とみられる。隔離措置も早かったため、前回のような感染拡大の可能性は低い」としている。マニラにあるWHO西太平洋地域事務局も同日、拡大の危険性は少ないとの見方を示した。

 男性は、国立シンガポール大の微生物研究施設など2カ所で西ナイルウイルスなどを研究。同省によると、これらの施設では8月中旬まで新型肺炎ウイルスを扱っていたが、男性は直接扱っていない上、管理も厳しかったとしている。男性は中国や香港などへの渡航歴もなく、感染経路は今のところ不明。

 男性は先月26日発熱し、今月3日に入院。せきや筋肉痛を訴え、ウイルス遺伝子検査の結果、新型肺炎の可能性例とされた。

 同省によると、肺のエックス線所見が正常で、WHOの基準では新型肺炎とはみなされない。だが、ウイルス遺伝子検査や血清検査の結果から可能性例と判断したとしている。

 シンガポールでは3月、香港旅行から帰国した人から次々に感染が広がり、5月末に制圧宣言をするまで患者は計238人、死者は33人に達した。(共同)

新型肺炎を最高危険度に 新興感染症に備え法改正

2003/08/15 中国新聞ニュース
 感染症法、検疫法の改正を検討してきた厚生労働省の厚生科学審議会感染症分科会は十四日、輸入ペットなど動物からうつる感染症の対策を充実することや国の権限強化を柱とした提言をまとめた。同省は提言に基づき、両法の改正案を国会に提出する。

 新型肺炎(SARS)などの新興感染症やバイオテロに備えるのが狙い。新型肺炎やテロに使われる恐れが指摘される天然痘を、最も危険な感染症に当たる一類感染症に位置付け、地域封鎖など感染拡大防止の強力な措置を取れるようにする。

 提言によると、危険度に応じて一類から四類までに分けてきた疾患を五分類に見直す。新たに設けられた新四類には、西ナイル熱などこれまで強制措置が取れなかった動物由来感染症を中心とする感染症を当てはめ、輸入禁止や駆除の措置を取れるようにする。

 危険な病原体を媒介する野生動物がペットとして大量に輸入されている実態も問題視。輸入業者に、衛生証明書の添付や輸入数量などの届け出を義務付ける制度を創設するほか、ペットショップや輸入業者の衛生管理責任を明確化する。

 現行の感染症法では、流行の予防や強制入院などの措置には、都道府県が中心となって当たることになっている。だが、ことし五月、新型肺炎に感染した台湾の医師が関西・四国を旅行した際に国と自治体の連携がうまくいかなかった。

24時間体制の連絡網要請 新型肺炎教訓にWHO

2003年05月25日 The Sankei Shimbun
 世界保健機関(WHO)事務局は25日までに、新型肺炎(SARS)の感染拡大を教訓に、192加盟国・地域が24時間体制の連絡網を構築することを求めたWHO総会決議案を提出した。

 WHOが進めている国際保健規則の改正作業に伴う決議案で、新型肺炎に関する統一決議案とは別の内容。世界規模での迅速な対応を求めた国際保健規則は現在、黄熱病とコレラ、ペストに限定されており、WHOは今後、新型肺炎も適用対象とする方針だ。

 国際保健規則に関する決議案は、24時間体制の連絡網のほか(1)政府以外の情報でもWHOの感染症対策に活用する(2)必要であれば感染症発生国に連絡の上、WHOによる現地調査を実施する−との内容。

 新型肺炎問題で中国政府が当初、WHOに十分な情報を提供せず感染が拡大したことを教訓に、政府以外からの情報でもWHOの「初動調査」の根拠にすることができるよう配慮した。

 WHOはこれまで国際保健規則の改正をめぐる議論を続けてきたが、30以上の国・地域で感染者が出た新型肺炎を受け、より迅速に対応できる改正案を検討する必要に迫られた。(共同)

邦人4人が自宅隔離 新型肺炎

2003年05月19日 The Sankei Shimbun
 関西、四国を旅行した台湾の医師(26)が新型肺炎と確認された問題で、厚生労働省は19日、医師が台湾に帰る際に使った日本アジア航空217便に乗り合わせた日本人乗客のうち4人が台湾で自宅隔離を命じられていると発表した。隔離により1人は日本への帰国を延期した。

 全員が健康に問題はないが、3人は現地の自宅で、1人はホテルで23日まで外出などの行動を制限されているという。同便には、ほかに日本人客5人が乗っていたが、座席が遠かったため隔離措置は受けておらず、1人は既に帰国した。

 また、医師と同じ京都府のホテルに宿泊した後、発熱し入院した兵庫県の男性について、神戸市は19日、ウイルス遺伝子検査(PCR検査)で陰性だったと発表した。

 厚労省は、医師と同じ大阪市のホテルに泊まった後に熱を出した茨城県の男性も念のため、同検査を行う方針。

 同省は、19日から医師の宿泊ホテル名や立ち寄り先をホームページで公開。医師と接触した可能性がある人で、発熱のある人は自主的に最寄りの保健所に相談するよう呼び掛けている。


カナダの新型肺炎死者41人に

2003年07月20日 The Sankei Shimbun
 カナダのトロントからの報道によると、新型肺炎(SARS)に感染していた58歳の女性看護師が19日、同市内の病院で死亡した。カナダでの新型肺炎の死者は41人になった。この女性の感染は以前から確認されていた。

 世界保健機関(WHO)は7月初旬にトロントに対する新型肺炎の流行指定を解除。カナダ国内で感染の疑いがある人の数も減っているが、保健省の集計ではなお6人が危険な状態にあるという。(共同)

新型肺炎 5日に世界規模で制圧宣言へ

2003年07月04日 The Sankei Shimbun
 台湾の衛生署(衛生省)疾病管理局幹部は4日、台湾では6月15日に新型肺炎(SARS)の感染者が確認されたのを最後に19日連続で新規感染者は出ておらず、5日に世界保健機関(WHO)の「流行地域」指定が解除されるとの見通しを示した。

 中央通信によると、WHOのブルントラント事務局長は5日午前9時(日本時間同日午後4時)に記者会見を開き、台湾の指定解除を発表する予定。

 2日にカナダのトロントが除外され、最後の「流行地域」となった台湾が指定解除されれば、世界規模の「制圧宣言」となる。新型肺炎は昨年11月に中国広東省で流行が始まって以来、8カ月ぶりに一応の終息をみることになった。

 台湾の観光当局は近く、新型肺炎で激減した海外からの旅行客呼び戻しに向けた対策を具体化する方針。500億台湾元(約1717億円)の新型肺炎対策特別予算も承認されており、今後、航空、観光業界などへの支援が本格化するとみられる。

 4日午前現在の台湾の感染者は674人、死者は84人。

 台湾当局は同日、香港やマカオなどを経由し台湾入りした中国居住者を原則的に10日間隔離する措置を解除した。

 4日付の台湾紙、中国時報によると、陳建仁衛生署長(衛生相)は3日、新型肺炎再発防止などのため、WHOの専門家を台湾に常駐させるようWHO側に提案したことを明らかにした。(共同)

トロントの流行指定解除 新型肺炎でWHO

2003年07月02日 The Sankei Shimbun
 世界保健機関(WHO)は2日、カナダのトロントに対する新型肺炎(SARS)の「流行地域」指定を解除した。

 6月12日に最新の感染例が報告されてから20日間が経過し、感染拡大の恐れがなくなったと判断する解除要件を満たしたため。

 これにより流行地域の指定が残っているのは台湾だけとなったが、WHOは今後新たな感染例の報告がなければ、5日に台湾の流行地域指定を解除する方針。

 WHOによると、1日現在の新型肺炎による死者は世界で812人、感染者は8445人。死者は前日発表からトロントで1人増加したが、感染者は2人減少した。(共同)

カナダの新型肺炎死者39人に

2003年06月30日 The Sankei Shimbun

 AP通信によると、カナダ・オンタリオ州保健省は29日、トロント市内の病院の看護担当者(51)が新型肺炎(SARS)で死亡したことを明らかにした。これでカナダでの新型肺炎による死者は計39人となった。

 死亡した看護担当者が勤めていた病院は、同州の新型肺炎治療で中心的役割を果たし、多数の感染者の治療に当たっていた。この担当者の性別は不明。(共同)

新型肺炎研究で連携強化 厚労相と台湾衛生相

2003年06月29日 The Sankei Shimbun
 バンコク訪問中の坂口力厚生労働相は29日、台湾の陳建仁衛生署長(衛生相)と会談し、新型肺炎(SARS)の治療、診断法確立に向け、医療研究情報の交換など連携強化で一致した。

 厚労相は「新型肺炎などの病気に国境はない。すべての地域が情報を共有することが大事だ」と強調した。

 陳氏は、新型肺炎に感染していた台湾人医師が関西方面を旅行した問題に触れ「ご迷惑をかけた。おわびしたい」と謝罪。世界保健機関(WHO)への台湾のオブザーバー参加を認めるよう厚労相が各国に呼び掛けたことに対し謝意を伝えた。(共同)

新型肺炎で1人死亡 香港

2003年06月29日 The Sankei Shimbun
 香港の衛生当局は28日、新型肺炎(SARS)による死者が1人増えて298人になったと発表した。死亡したのは42歳の男性で、慢性の持病などはなかったという。

 新たな感染者はなく、感染者数は1755人のまま。なお29人が入院しており、5人が集中治療を受けている。(共同)

新型肺炎の有効物質発見 米ファイザーが発表

2003年06月27日 The Sankei Shimbun
 医薬品世界最大手の米ファイザーは26日、新型肺炎(SARS)を抑えるのに有効な化学物質を少なくとも10種類発見したと発表した。医薬品として開発できる保証はないが、今後、人体実験も視野に入れて研究を進める。

 特に有望な1−2種類について動物実験で安全性を確認、その後、人体実験に踏み切る計画。

 ファイザーの研究チームは新型肺炎ウイルスの増殖の鍵を握るタンパク質を原子レベルまで解析。鼻風邪の原因となるウイルスに含まれるタンパク質と似ていることが分かった。(共同)

中国で14日ぶり新規感染者 SARS

2003年06月25日 The Sankei Shimbun
 中国衛生省は25日、広東省で新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)の感染者が新たに1人報告されたと発表した。中国国内で新規感染者の報告があったのは11日以来14日ぶり。北京市でも新たに1人が死亡した。

 中国では世界保健機関(WHO)が24日、最後まで残っていた北京に対する渡航延期勧告と新型肺炎流行地域の指定を解除し、衛生省も「重要な勝利を収めた」(高強次官)と制圧宣言したばかり。

 同省によると、新たに報告された感染者は今月6日に発病し「疑わしい患者」として入院していた。入院治療中の感染者は国内全体で44人にまで減っている。

 一方、25日付の中国各紙は一面で、WHOによる指定解除などを「重大な勝利」と大々的に報道。北京では同日、4月下旬から営業停止になっていたディスコやインターネットカフェ、カラオケバーなどの各種娯楽施設が一斉に営業を再開した。

 北京市当局の通知は、営業再開時には入り口に体温測定器を置き、体温が37度5分を超す客は入場させないことや、毎日営業終了後に室内を消毒することなどを求めている。

 このほか北京の観光業界も25日、近郊の観光ツアーやタイへのツアーを再開した。(共同)

ギリシャで新型肺炎疑い

2003年06月25日 The Sankei Shimbun
 ギリシャのステファニス保健福祉相は24日の記者会見で、同国を訪れた中国人男性が新型肺炎(SARS)の疑いで入院していることを明らかにした。

 最終的な診断にはさらに約2週間かかるが、感染が確認されれば、ギリシャ初のケースとなる。

 同相によると、男性は大理石の販売に携わっており、今月14日に上海を出発。フランクフルト、ミラノを経由して21日にギリシャ・アテネに到着し、同国北部のドラマに移動した22日に発症し入院、一次検査の結果、24日に陽性と確認された。現在はテッサロニキで治療を受けているという。(共同)

北京の渡航延期解除 WHO、新型肺炎流行地域の指定も

2003/06/24中国新聞ニュース
 【北京24日共同=塩沢英一】世界保健機関(WHO)は二十四日、新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)の感染拡大が沈静化したとして、北京を対象とした渡航延期勧告と「流行地域」の指定を同日付でともに解除したと発表した。

 新型肺炎の流行に伴うWHOの措置で最も重い渡航延期勧告の対象地域は一時、中国を中心に七地域に達したが、最後まで残っていた北京が解除されたことで、二月以降、アジアを中心に世界で猛威を振るった新型肺炎は終息目前に迫った。

 中国衛生省の高強次官は同日、北京でWHOと共同記者会見を行い「中国の新型肺炎封じ込めの闘いは重要な勝利を収めた」と事実上の制圧宣言をした。

 中国が流行地域から除外されたことで、日系企業の中国での経済活動も本格的に回復へ向かう見通し。

 北京への渡航延期勧告の解除は四月二十三日に出されて以来六十二日ぶり。流行地域の解除は四月十一日の指定以来七十四日ぶり。流行地域は台湾、カナダ・トロントの二地域だけとなった。

 尾身茂WHO西太平洋地域事務局長は「(解除は)中国にとってだけでなく、世界の新型肺炎の封じ込めの闘いにとり画期的だ」と高く評価。渡航延期勧告と流行地域指定をともに解除した理由について、患者数の減少や連鎖的な感染が五月二十九日以来発生していないことを挙げた。

 ただ再発を防ぐため「少なくとも一年間の観察が必要だ」と強調、中国政府に防止策の継続を求めた。

 中国衛生省は二十四日、新たな感染者の報告はなく、全国の感染者は累計で五千三百二十六人、死者は三百四十七人と発表した。

香港も「封じ込め」宣言 新型肺炎沈静化とWHO

2003年06月22日 The Sankei Shimbun
 世界保健機関(WHO)は23日、香港での新型肺炎(SARS)の感染拡大が沈静化したとして、香港を新型肺炎の「流行地域」の指定リストから同日付で解除したと発表した。流行地域の解除は、香港が新型肺炎の封じ込めに成功したことを意味する。

 これにより、病院以外の域内で新型肺炎の感染が確認されている流行地域は、中国・北京、台湾、カナダ・トロントの3地域だけとなった。北京には最も重い措置の渡航延期勧告が出ているが、WHOは勧告解除の要件を満たしているかどうかについて今週から来週にかけて検討する予定。

 新型肺炎は中国広東省で発生し、香港からアジアを中心とする世界各地に拡大した。感染拡大の「中継地」となった香港の「封じ込め宣言」は、新型肺炎が世界規模で制圧に向かっていることを象徴的に示している。

 WHOの発表によると、香港では、最後の可能性例とされる患者が今月2日に隔離されてから20日間が経過。20日間は新型肺炎の最大潜伏期間の2倍に当たり、WHOは渡航者と域内の住民への感染の恐れがほぼなくなったと判断した。

 香港では、ホテルに宿泊した中国広東省の医師から他の宿泊客に感染、各地に拡大した。マンションでは300人以上が大量感染するなど、新型肺炎の被害が最も深刻な地域の一つだった。

 WHOは4月2日に香港に渡航延期勧告を出したが、5月23日に解除した。(共同)

香港、22日にも指定解除へ SARS

2003年06月21日 The Sankei Shimbun
 世界保健機関(WHO)は20日、香港で新型肺炎(SARS)の感染拡大が沈静化したとして、早ければ22日にも香港に対する流行地域の指定を解除し「封じ込め宣言」を出す可能性があると発表した。

 中国・広東省で発生した新型肺炎は、香港を経由してシンガポールなど世界各地に拡大した。WHOは香港の封じ込め宣言が実現すれば「新型肺炎の制圧を目指した『歴史』の中で、極めて重要な到達点となる」としている。

 発表によると、香港で院内感染や入境者以外の可能性例が最後に確認されたのは今月2日。最大潜伏期間の2倍に当たる22日になっても新たな可能性例がなければ、域内感染は断ち切れたと判断できるという。

 香港が解除されれば、流行地域は北京と台湾、カナダ・トロントの3地域だけとなる。

 20日午後4時(日本時間同11時)現在の世界まとめによると、新型肺炎の死者は前日と同じ804人、可能性例を含む感染者は他の病気と判明した例などもあり、同1人減の8461人となった。(共同)

新型肺炎拡大を抑制 WHOが「制圧宣言」

2003/06/19 中国新聞ニュース
 【ジュネーブ18日共同=藤井靖】世界保健機関(WHO)は十八日、世界各地に感染が拡大した新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)について「現在はまだ初期段階にすぎないが、世界規模の感染拡大は明確な抑制方向に向かいつつある」と発表、事実上の「制圧宣言」を出した。

 WHOが新型肺炎で初の警報を出した三月十二日からちょうど百日目に当たる十九日を前に発表した。一方で、新型肺炎が再発したり特定地域の「風土病」として定着するかどうかを見極めるためには「少なくとも、あと一年は監視態勢の継続が必要だ」と警告した。

 新型肺炎の死者は十八日午後五時(日本時間十九日午前零時)現在の世界まとめで八百一人、可能性例を含む感染者は中国を中心に八千四百六十五人に達した。死者、感染者ともに五月下旬以降は増加のペースが急速に落ちている。

 発表によると、新型肺炎はワクチンや有効な治療法がない中で、各国が患者の早期発見や隔離といった「数世紀前から伝わる(古典的な)手法」を通じて封じ込めに協力した。

 ベトナムは四月末に、フィリピンは五月二十日に感染経路を断ち切って「封じ込め宣言」にこぎ着けたほか、「新型肺炎の震源地」とされた中国も大半の地域で流行地域の指定や渡航延期勧告が今月に入り解除された。

 WHOは十八日現在、中国の北京に加え香港、台湾、カナダ・トロントの計四地域を流行地域に指定。最も重い措置である渡航延期勧告の対象は北京だけとしている。

「甘草」主成分、新型肺炎に効果…独の大学が発見

2003/06/15 読売新聞 Yomiuri On-Line
 甘味料や生薬として使われる「甘草」の主成分「グリチルリチン」が、新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)の治療薬として有望なことを、独フランクフルト大が発見した。SARSウイルスに効果のある薬剤が確認されたのは初めて。

 グリチルリチンは抗ウイルス薬としてエイズやC型肝炎の治療に使われており、研究者らは「副作用が少ない薬で、効果的な治療につながる」と期待している。この成果は14日付の英医学誌「ランセット」に発表された。

 同大は、SARSウイルスをサルの細胞に感染させ、5種類の抗ウイルス薬を加えて効果を調べた。その結果、グリチルリチンは、副作用のほとんど出ない量でも、ウイルス増殖を抑制でき、安全な治療薬として有望なことがわかった。

 ほかの2剤は細胞を殺す濃度とウイルスを抑える濃度の差が少なく、副作用の危険が大きかった。また香港でSARS治療に多用されたリバビリンなど2剤は、治療効果が全く見られなかった。

新型肺炎:中国・天津など9地域の「流行地域」解除 WHO

2003年06月14日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 世界保健機関(WHO)は13日、中国の天津や山西省など計9地域を新型肺炎(SARS)の「流行地域」指定リストから同日付で解除したと発表した。流行地域からの指定解除は、新型肺炎の封じ込めに成功したことを意味する。

 このうち、天津と河北省、内モンゴル自治区、山西省の4地域にはWHOとして最も重い措置である渡航延期勧告が出されていたが、同時に解除した。

 これにより、新型肺炎の流行地域は12日時点の計13地域から北京、香港、台湾、カナダ・トロントの4地域へと大幅に減った。残る流行地域のうち、渡航延期勧告の対象は北京と台湾の2地域だけとなり、世界レベルでの沈静化が明確になった。

 WHOは一方で、トロントの流行地域区分を「中度」から「重度」に引き上げた。経路が特定できない感染拡大が発生したための措置だが、渡航延期勧告は見送った。(ジュネーブ共同)

最高気温26度以下が危険 新型肺炎で専門家分析

2003年06月12日 The Sankei Shimbun
 12日付の中国紙、人民日報によると、中国気象局の専門家は新型肺炎(SARS)は、最高気温26度以下で1日の気温差が少なく、湿度も高い時に感染が拡大しやすいとする調査結果をまとめた。

 感染統計を毎日公表するようになった4月20日からの北京の感染者数と気象条件を調べた結果、感染が急増する前の約10日間、最高気温が26度以下で湿度が高い日が続いたという。

 感染者が多く出た香港や広東省は未調査で、北京の分析も初期段階だが、専門家は「感染と気象条件は密接な関係がある」と結論付けた。

 また、分析結果から夏季の注意点として、雨や曇りの日にはできるだけ人が密集する場所は避け、クーラー使用時も室内を26度以下に冷やさないよう呼び掛けている。(共同)

新感染者3日連続なし 中国

2003年06月10日 The Sankei Shimbun
 中国衛生省は10日、新型肺炎(SARS)による中国の新たな感染者の報告は、前々日、前日に続いてなく、累計の感染者数は5328人のままだと発表した。

 3日連続で新規感染者ゼロとなったのは感染統計を毎日公表するようになった4月20日以来初めて。流行の沈静化傾向が顕著となってきた。

 衛生省は7日に発表した新規感染者1人について、感染者ではないと判明したとして後で統計から除外しており、これを含めると新規感染者は4日連続で出ていない。

 ただ世界保健機関(WHO)は中国の感染統計のとり方に疑念を示している。

 感染による死者は3人増えて343人となった。一方、香港では感染者が1人増の1754人、死者は2人増の290人となった。(共同)

台湾で3人が新たに新型肺炎感染

2003年06月08日 The Sankei Shimbun
 台湾の衛生署(衛生省)は7日から8日午前にかけて新型肺炎(SARS)の新たな感染者が3人報告され、感染者数が676人になったと発表した。死者は81人で変わらなかった。

 過去の病例を精査した結果、4例が非感染と判定され取り消され、感染者数は差し引きで前日比1人減となった。

 新規感染者のうち2人は院内感染が起きた台北市立陽明病院の患者付添人。(共同)

台北で11人が院内感染か 新型肺炎

2003年06月07日 The Sankei Shimbun
 中央通信によると、台北市立陽明病院は7日午後、院内で11人が新型肺炎(SARS)に似た症状を示し、隔離されたことを明らかにした。うち付添人ら少なくとも5人が「可能性例」と判定されたという。

 感染ペースが鈍化しているとして6日、世界保健機関(WHO)に台湾への渡航延期勧告解除を求める電子メールを送った衛生署(衛生省)は、陽明病院の院内感染で、延期勧告の早期解除要請方針が変わることはないとしている。

 衛生署によると、7日午前現在の感染者は677人で死者は81人。新規感染者が2人出たが、過去の病例を精査した結果、感染例が1件減り、感染者数は差し引きで前日比1人増となった。(共同)

中国の新規感染者と死者、増加ゼロ

2003年06月04日 The Sankei Shimbun
 中国衛生省は4日、国内での新型肺炎(SARS)の新たな感染者と死者がいずれもいなかったと発表した。感染者数を毎日公表するようになった4月20日以降、新規の感染者がゼロだったのは2日に続き2回目。新たな感染者と死者が共になかったのは初めて。

 感染者の増加数は5月26日から10日間連続で1けた台かゼロで、数字の上では沈静化の傾向は一段と強まっている。感染者数、死者数の累計は前日と同じで、それぞれ5329人、334人。

 世界保健機関(WHO)が信用性に疑問を呈しているが、新華社電によると、中国の新型肺炎研究の第一人者である広州市呼吸病研究所(広東省)の鍾南山所長は「中国の診断能力は高い。誤診はあり得ない」と反論している。

 香港は、感染者が1人増の1748人、死者はゼロで前日と同じ283人。(共同)

台湾の新規感染者ゼロに 新型肺炎

2003年06月04日 The Sankei Shimbun
 台湾の衛生署(衛生省)は4日、同日午前現在の台湾の新型肺炎(SARS)感染者は678人と発表した。新規感染者はゼロ。過去の症例を精査した結果、3例が非感染と判定され取り消される一方、新たに2例が感染例と認定され、感染者数は差し引きで前日比1人減となった。

 4月下旬に台北市立和平病院で集団院内感染が起き、感染者が増え始めて以降、新規感染者が報告されなかったのは初めてで、台湾の感染ペースが鈍化している。

 新たな死者も7日連続ゼロで、81人のままとなっている。1日当たりの感染者増加数は3日まで5日連続で1けた台だった。(共同)

中国の封じ込め主張に警戒 肺炎「震源地」とWHO

2003/06/04 中国新聞ニュース
 【ジュネーブ3日共同】世界保健機関(WHO)は三日、中国で新型肺炎(SARS)の新規感染者が激減したことについて「中国はなお、新型肺炎の震源地だ」として、中国当局の指摘通り感染拡大から「封じ込め」に向かっているかどうかについては警戒が必要だと発表した。

 WHOスポークスマンはこれに先立ち、新規感染者に関する中国政府の報告に「懸念を抱いている」として、報告の正確さに疑問を呈する発言をしている。発表は、WHOが中国の報告内容を額面通り受け止めていないことを裏付けた格好だ。

 発表によると、中国の新規感染者数は五月の第一週には一日平均百六十六人だったのが第二週には同九十人、第三週は同二十七人、第四週は同十六人と下がり、過去六日間は同二・五人となった。

 WHOは、中国が新型肺炎の監視体制や国民への情報提供などを強化した点は認めつつも(1)一部の省で新型肺炎の診断が十分でない可能性がある(2)医療インフラが不十分(3)約半数の患者について感染源を特定できていない―ことなどを挙げ、強い警戒感を示した。

香港の医師ら7人が日本入国 新型肺炎の病院に勤務

2003年06月03日 The Sankei Shimbun
 新型肺炎(SARS)の患者が入院する病院に勤務している香港や台湾の医師、病院職員ら7人が、先月から今月にかけて日本に入国していたことが3日、厚生労働省の調査で分かった。

 7人は、患者との接触歴はないと検疫所に報告、健康状態にも異常はない、という。厚労省は、新型肺炎患者と接触した可能性のある人が来日しないよう、あらためて在外公館を通じて流行国・地域に申し入れる方針。

 厚労省によると、香港からが5人で、台湾からは2人。入国時に検疫所に提出した問診票に「10日以内に新型肺炎の疑いのある患者を治療している医療機関で働いたことがある」と申告していた。入国目的は学会や商談、旅行などだった。

 2人はすでに出国、5人が国内にとどまっている。厚労省は1日2回、健康状態を報告するように求めている。台湾の2人は、患者と接触していないとする病院発行の証明書を持っていた。

中国、新型肺炎の新規感染初のゼロ

2003年06月02日 The Sankei Shimbun
 中国衛生省は2日、同日の新型肺炎(SARS)感染統計で新たな感染者はいなかったと発表した。感染者数を毎日公表するようになった4月20日以来、新規感染者がゼロになったのは初めて。

 感染者の増加数は5月26日から今月1日まで一けた台が続いており、沈静化傾向が一段と強まった。しかし、この日も感染の疑いがある患者は9人出ており、完全な封じ込めにはまだ時間がかかりそうだ。

 感染者数は前日と同じ5328人、死者は内モンゴル自治区と浙江省でそれぞれ1人増えて334人となった。

 新華社電によると、感染拡大が激しかった北京市の梁万年副衛生局長は「北京市では基本的に沈静段階に入った」と述べた。

 香港は、感染者が4人増の1746人、死者は1人増の282人。(共同)

新型肺炎、香港への感染経路判明? 香港紙報じる

2003年06月02日 The Sankei Shimbun
 2日付の中国系香港紙、大公報は、香港に新型肺炎(SARS)のウイルスを持ち込んだ中国広東省の大学教授に感染させたのは、同省で130人以上を感染させた中国最初のスーパースプレッダー(感染力が非常に強い感染者)の男性海鮮卸商だったと報じた。

 広州市内に住む男性は1月28日、高熱などの症状を出し市内の中山大学第二病院に入院。同31日に転院するまでに、病院職員30人に感染を広げたとされ、そのうちの1人が同病院に勤務し、香港での感染源となった大学教授だったという。

 教授は直接、男性の診察に当たり、2月15日に発熱などの症状が出た。その後、親族の結婚披露宴に出席するため香港を訪れ、同21日にメトロポールホテルに宿泊、香港のほかシンガポール、トロント、ハノイの感染源になった。(共同)

新型肺炎、冬に再燃も 新華社電

2003年06月01日 The Sankei Shimbun
 新華社電によると、中国の新型肺炎(SARS)の感染状況を分析している専門家は31日、全国の新規感染者が5日間連続で10人を下回っており「流行は散発的な状態」になったとする一方、「冬から来春にかけて流行が再燃する可能性がある」との見方を示した。

 専門家は再燃の可能性がある理由として「呼吸器系の感染症は冬季に多発する傾向がある」と指摘した。

 中国広東省で新型肺炎の初期感染者を確認した昨年11−12月、同省は例年にない寒波に見舞われていたことが知られている。(共同)

カナダと中国、新型肺炎対策で協力

2003年05月31日 The Sankei Shimbun
 ロシアのサンクトペテルブルクを訪問している中国の胡錦涛国家主席とカナダのクレティエン首相は30日会談し、新型肺炎(SARS)封じ込めに向け、両国が協力を強化することで合意した。

 新華社電によると、会談では双方が新型肺炎の自国の状況について説明。胡主席は「新型肺炎は予防や封じ込めが可能なことをわれわれの実践が証明している」と強調。クレティエン首相は中国の対策が成果を収めていることを高く評価したという。

 新型肺炎については、中国は流行沈静化の傾向が続く一方で、カナダではいったん収まった流行が再燃、封じ込めが緊急課題となっている。(共同)

100人以上に感染の兆候 カナダの新型肺炎被害

2003/05/30 中国新聞ニュース
 【ニューヨーク30日共同】カナダ・トロントと周辺の新型肺炎(SARS)被害で、カナダの衛生当局者は三十日までに、患者六十二人以外に感染した兆候を示している人が計百七人に上ったことを明らかにした。カナダ紙トロント・スター(電子版)などが報じた。

 感染症専門家はこの百七人の多くが今後「可能性例」または「疑い例」に認定されるとの見通しを示しており、被害の拡大が懸念されている。

 カナダ・オンタリオ州の衛生当局は二十九日、感染拡大防止策の徹底を図るため、患者の判断基準を見直すことを決定。この結果「可能性例」三十三人、「疑い例」二十九人の計六十二人を患者として認定した。

 これ以外の百七人について、新型肺炎対策で中心的役割を担っているマウントサイナイ病院(トロント)のドナルド・ロー博士は二十九日、「その多くが『可能性例』か『疑い例』とされると思う」と述べ、患者数が最大で三倍近くまで膨れ上がる可能性を強く示唆した。

 「可能性例」とされた三十三人の詳しい内訳は公表されていないが、同紙によると多くが十八―六十四歳。六十五歳以上は十四人で、十六歳未満も一人いるという。

露で初の新型肺炎感染者 25歳男性

2003年05月28日 The Sankei Shimbun
 タス通信によると、ロシア保健省のオニシチェンコ第一次官は28日、中国国境に近い極東アムール州ブラゴベシチェンスクの病院に入院していた25歳の男性が、ロシアで初めての新型肺炎(SARS)感染者と確認されたと語った。

 男性は今月初めに入院し、新型肺炎の疑いがあるとして保健当局が血液検査などを進めていた。一時は重体だったが、現在は自力で歩ける程度にまで回復しているという。

 ブラゴベシチェンスクは中ロ国境貿易の中心都市。男性は中国人が多く宿泊するホテルに1年間居住しており、宿泊客から感染した可能性が高い。

 ロシア保健当局にはこれまで、国内で新型肺炎の疑い例が30件以上報告されたが、この男性以外は感染していないことが確認されたという。

 ロシアは約4000キロにわたる国境で中国と接しており、既に中国人の入国を制限するなどの予防対策を取っている。27日にはモスクワで会談した中ロ両国首脳が、新型肺炎対策の協力強化で一致した。(共同)

新型肺炎の台湾支援で対立 WHO総会

2003年05月28日 The Sankei Shimbun
 世界保健機関(WHO)総会は27日、下部委員会で新型肺炎(SARS)の統一決議案を承認した直後の各国演説で、日本や米国などがWHO非加盟の台湾への支援に支持を表明したのに対し、中国などが「関係国の承認が必要」と反発、見解が真っ二つに分かれた。

 WHO総会は28日の本会合で統一決議案を採択する予定だが、新型肺炎対策の国際協調体制を推進するに当たり、今後も「台湾問題」が尾を引くのは確実だ。

 日本政府代表は「地球上のいかなる地域も(新型肺炎対策で)WHOの恩恵を受けないようなことがあってはならない」と主張、国際協調体制の中に台湾を取り込む必要性を強調した。米国代表も、WHOは「すべての支援要請に応じることが重要だ」と述べた。

 これに対し、中国代表は「WHOは支援実施の際、関係国の了承を得る必要がある」と述べ、WHOが台湾を支援する場合、中国の同意が必要だとくぎを刺した。

 統一決議案は台湾支援について「台湾」の地名は使わないまま「WHO憲章に従い、新型肺炎対策で支援を求めるすべての要請に対し、適切に対応する」とし、あいまいな表現にとどめている。(共同)

ハクビシン犯人説に異議も SARS感染源

2003年05月28日 The Sankei Shimbun
 28日の中国系香港紙、文匯報などによると、香港大などの研究チームが新型肺炎(SARS)の感染源はハクビシンとみられると発表したことについて、中国科学院上海生命科学研究院国家遺伝子研究センターの韓斌主任が異議を唱えている。

 韓主任は(1)ハクビシンの飼育農家でこれまで新型肺炎が発生しなかった(2)長年、販売し、食用にしてきたのに無事だった(3)新型肺炎は広東省で最初に発生しており、広東省のハクビシンだけにウイルスが存在するのか疑問−などとして「ハクビシン犯人説」に疑いを挟んでいる。

 また、香港大などの調べではハクビシンから検出した新型肺炎ウイルスと人間のウイルスの99%が同じ核酸配列だったとされることについても、「遺伝子配列の1%の違いは大きい」と主張しているという。(共同)

トロント周辺で3500人隔離

2003/05/28 中国新聞ニュース
 【ニューヨーク27日共同】カナダ衛生当局は二十七日、新型肺炎(SARS)の被害拡大に伴って、同国最大の都市トロント周辺で約三千五百人に対し自宅待機など事実上の隔離措置を取ったことを明らかにした。カナダ紙トロント・スター(電子版)などが報じた。

 二十六日時点の隔離者数は約二千二百人だったことから、一日で千人以上増加した。

 オンタリオ州のクレメント保健相は同日の記者会見で、新型肺炎被害のこれ以上の拡大を防止するため、トロント市内の四つの病院に感染者らをまとめる方針を発表した。医療関係者への感染を食い止め、それ以外の病院を通常の態勢で運営させることが目的だという。

 トロント周辺での新型肺炎被害は先週末から再拡大、二十五日には三人の死亡が新たに確認された。

 二十七日現在の可能性例は計十二人、疑い例は計二十一人となった。死者の累計は二十七人。

1400人以上を隔離 トロント、発端は院内感染

2003年05月27日 The Sankei Shimbun
 カナダ・トロントでの新型肺炎(SARS)の感染再拡大は、海外から新たに持ち込まれたものではなく、当初通常の肺炎と診断され、一般患者と同様に治療を受けていた男性患者(96)が発端の院内感染と判明した。

 地元保健当局は26日、男性患者と接触した可能性がある1400人以上に、自宅待機など事実上の隔離措置を取った。ロイター通信が伝えた。

 当局は、関係先の病院の新たな患者の受け入れを停止。トロント市内の病院には、訪問客の体温測定や病室への出入り制限を命じるなど厳しい感染防止策も再開した。

 6月1日からの主要国首脳会議(エビアン・サミット)を前に、威信をかけて新型肺炎の再制圧に乗り出した。

 27日付の米紙ニューヨーク・タイムズによると、5月1日に「肺炎」で死亡したとされた男性患者の治療に当たった複数の医療関係者や別の患者が、その後新型肺炎の症状を示し、男性患者が新型肺炎に感染していたことが分かった。

 オンタリオ州幹部によると、当時は警戒態勢が一部緩和されマスクを着用していなかった医療スタッフもおり、危険性の認識がないまま感染が広がったという。

 男性患者の診断が遅れたことについてトロントの医療関係者は「肺炎との区別は難しく、肺炎患者をすべて新型肺炎の患者のように扱えば、医療はまひしてしまう」と釈明している。(共同)

野生動物の食用禁止へ 中国紙報道

2003年05月26日 The Sankei Shimbun
 26日の中国紙、中国商報によると、野生動物が新型肺炎(SARS)の感染源とみられていることから、中国国家林業局は「野生動物保護法」に食用の禁止条項を盛り込む法改正の準備を始めた。

 同保護法は1988年に制定されたが、動物保護と資源利用に重点が置かれ、食用に関する規定はなかった。

 広東省など中国南部では「野味」として野生動物が珍重され、これが新型肺炎を引き起こした可能性が強い。国家林業局は4月29日に狩猟、売買、養殖などを禁じる通達を出したが、その後も野生動物を食べさせる食堂が営業を続けているため、法律で規制を強化することにした。(共同)

新型肺炎:感染源はハクビシン? 遺伝子配列が酷似

2003年05月24日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 【香港・成沢健一】香港大学の研究チームは23日、新型肺炎「重症急性呼吸器症候群」(SARS)の感染源について、ジャコウネコ科のほ乳類であるハクビシンの可能性が強いと発表した。SARS感染が最初に確認された中国広東省では、野生動物を好んで食べる習慣があり、SARSとの関連も指摘されていた。ハクビシンから検出したコロナウイルスの遺伝子配列がSARSウイルス(新種のコロナウイルス)と酷似しており、感染予防策を確立するうえで注目されそうだ。

 感染者から検出したSARSウイルスは、ネズミや牛から検出されたコロナウイルスと遺伝子の塩基配列が似ていることが分かっていた。研究チームは、中国広東省の深セン疾病予防対策センターと合同で、同省で食用にされているハクビシン、シカ、ウサギなどについて調査を進めた。

 その結果、シカやウサギからはコロナウイルスが発見されなかったが、ハクビシンはサンプルとした4匹の便から、SARSウイルスと遺伝子の塩基配列がほぼ同じコロナウイルスを検出した。

 ハクビシンは中国南部や台湾などに生息しており、広東省の野生動物を扱うレストランでは定番メニューとなっている。以前から食用とされてきたが、研究チームはハクビシンの体内でウイルスが変異し、新たな感染症としてヒトにうつったものとみている。

 研究チームの袁国勇教授は「ハクビシンの肉を加熱した後では感染する危険性は低いが、便や分泌物に触れて感染したのではないか。野生動物を食べる習慣を改めることは難しいが、販売や調理に対する管理を強化する必要がある」と指摘した。

 広東省で昨年11月に感染が確認された仏山市の男性は、発症前に野生動物を食べていたと地元紙などが報じている。また、昨年12月に発症した調理師は、深セン市のレストランで野生動物を扱っていたとされている。

新型肺炎、感染力衰えず冬に大流行も…専門家分析

2003/05/23 読売新聞 Yomiuri On-Line
 新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)の原因ウイルスは、流行が始まってからの過去5か月間で感染力がほとんど衰えていないことが、世界保健機関(WHO)の専門家の調べでわかった。

 日本では、SARS感染の台湾人医師をめぐる騒動が“終息”したばかりだが、米国の専門家からは早くも「今冬には大流行する可能性もある」と長期戦を予測する声も出ている。

 AP通信の報道によるとWHOは、1人のSARS患者から5か月間で、少なくとも15人が連鎖的に感染した例を確認しているという。ウイルスの中には、人間に感染すると次第に感染力が弱まるものがあるが、ヘイマン感染症対策部長は「SARSウイルスは、感染を繰り返しても感染力が弱まっていない」と見ている。

 また今後のSARS動向について、米疾病対策センターのガーバディング所長は22日の記者会見で「(SARSのような)呼吸器障害を伴う病気は、冬に悪化する」と述べ、「冬に流行しないよう祈っているが、秋口からのSARS拡大を見越した準備をしておくべきだ」と警告した。

日本人7人の隔離を解除 台湾医師と同乗

2003年05月23日 The Sankei Shimbun
 日本の対台湾交流機関、交流協会台北事務所によると、日本への旅行後、新型肺炎(SARS)に感染していることが分かった台湾の男性医師(26)と同じ飛行機で台北入りし、ホテルや自宅などで隔離された日本人8人のうち7人が23日、隔離を解かれた。残る1人も異常がなければ24日から自由になる。

 隔離を解かれた7人のうち1人は23日帰国、もう1人も24日に帰国する予定。

 同じ飛行機に乗り合わせた日本人は9人だが、1人は隔離通知を受け取る前に帰国していた。

 一方、医師が隔離されている台北市の馬偕記念病院によると、医師の容体は安定、徐々に快方に向かっている。(共同)

広東、香港の渡航延期解除 WHO

2003年05月23日 The Sankei Shimbun
 世界保健機関(WHO)のヘイマン感染症対策部長は23日、ジュネーブで記者会見し、新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)の拡大が深刻だとして中国・広東省と香港に出していた渡航延期勧告を同日付で解除すると発表した。

 広東省と香港を含む中国の計7地域と台湾が渡航延期勧告の対象となっていたが、解除は初めて。新型肺炎は広東省で発生し香港に拡大、さらに各地に広がったとされており、今回の解除は「発生源」の両地域で封じ込めが進んでいることを示している。

 4月20日に感染者の「過少申告」を認めて以来、早期発見と患者の隔離を中心とする新型肺炎対策に取り組んできた中国政府と香港政府にとっても朗報となった。

 ヘイマン部長は解除の理由について、両地域の現状を検討した結果(1)域内感染の規模が縮小(2)新規感染者が減少(3)域外への「感染輸出」がなくなった−などを確認できたためと語った。また、WHOが勧告解除の目安としている「現時点の患者数が60人以下」の条件も満たしたと説明した。

 ただし、両地域は依然として新規感染者が発生しているため、体温を測るなど「出国時の検査」を求めた勧告は維持すると説明した。

 また、両地域に対するWHOの流行地域指定も継続する。現在の「重度」は「中度」に引き下げられる可能性があるが、ベトナムやフィリピンと同様の「封じ込め宣言」には、まだ時間がかかりそうだ。

 WHOは4月2日、感染拡大が深刻だとして、両地域に新型肺炎で初の渡航延期勧告を出した。(共同)

子を持つ性同一性障害者が全国的活動組織

2003/05/23 読売新聞 Yomiuri On-Line
 子供を持つ性同一性障害(GID)の人たちが、子供がいても戸籍の性別を変更できるよう求める全国的な活動組織「家族と共に生きるGIDの会」(事務局・名古屋市)を設立した。

 性別の変更問題では、与党3党のプロジェクトチームが「性同一性障害者性別特例法案」の骨子をまとめたが、子供がいないことが戸籍変更の条件の1つとなっている。これに対しメンバーらは、子供が20歳以上の場合や、子供の同意がある時は、子供がいても性別変更を認めるよう求めている。

 発足時の会員は27人。今後、印鑑証明などの公文書について、性別記入欄の廃止を、自治体に要望していく方針。会の連絡先は、電子メール(contact@tfn.cc)。

新型肺炎 中国の死者300人に

2003年05月22日 The Sankei Shimbun
 中国衛生省の22日の発表によると、新型肺炎(SARS)による中国の死者は4人増えて300人となった。感染者は26人増えて5271人。

 新たな感染者は18日以降4日間連続で10人台を推移、21日は12人まで減っていたが、やや増加した。

 中国で当初最も感染が深刻だった広東省は、5日連続で新たな感染者が出ておらず、沈静化している。

 新たな死者は北京市2人、天津市、広東省がそれぞれ1人。

 北京市の感染者は15人増の2456人。このほか河北省が6人増などとなっている。

 香港は死者が3人増の258人、感染者が3人増の1722人となった。(共同)

新型肺炎:台湾全域を渡航延期勧告 WHO

2003年05月21日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 【ジュネーブ福原直樹】世界保健機関(WHO)は21日、新型肺炎「重症急性呼吸器症候群」(SARS)の被害が拡大している台湾について、全土への渡航延期を勧告した。WHOは今月8日、首都・台北への渡航延期を勧告したが、感染が台北以外にも急速に拡大しているために取られた措置と見られる。 

 台湾では南部での感染拡大が指摘されており、21日、新たに35人の患者を確認した。WHO幹部は台湾を「現在、世界で最も感染拡大の速度が速い地域だ」と語っており、勧告理由については「台湾で報告された新たな症例や、台湾全土での被害の規模に基づいた」と指摘している。勧告では、台湾から海外への感染拡大も懸念しており、「必要不可欠な旅行でない限り、渡航すべきではない」と求めている。

 台湾ではこれまで、418人がSARSの感染が疑われ、うち52人が死亡している。

新型肺炎対策で協力強化 WHO総会決議を共同提案

2003/05/21 中国新聞ニュース
 【ジュネーブ21日共同=藤井靖】日本や中国、東南アジア諸国連合(ASEAN)などアジア二十三カ国は二十日、新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)の封じ込めに向けて「多分野の協力強化」を求めた世界保健機関(WHO)総会決議案を共同提案した。

 決議案は、新型肺炎が「世界規模の感染症となる恐れがある」と認識、加盟国に対策資金の提供や情報交換の促進を要請した。新型肺炎の影響を最も受けたアジアが一体となり、封じ込めへの国際協調を主導する決意を示したといえる。

 新型肺炎をめぐっては既にWHO事務局が総会決議案を提出しており、二十三カ国決議案を主導したASEANは今後、一本化も視野に入れながらWHO事務局と調整を進める。

 決議案は、WHOの百九十二加盟国・地域に対して資金提供や情報交換の促進などに加え、新感染症に対する監視態勢を強化するため、WHOが新型肺炎で初めて本格発動した「グローバル感染症警報・対応ネットワーク」への協力を求めた。

 また、新型肺炎や同様の大規模感染症への効果的な対応を目的に、現在は黄熱病など三感染症に限定されている国際保健規則の改正作業を加速するようWHO事務局長に要求した。

 一方で、新型肺炎の「流行地域」に指定されたアジア各国で旅行客の減少など経済への影響が出たことを教訓に、今後は「社会・経済的な影響を最小限にとどめるような」指定方法を検討するよう求めた。

 決議の履行状況は、WHO事務局長が来年の総会に報告すると明記、少なくとも一年間は国際的な監視態勢を維持する姿勢を示した。

 ▼新型肺炎決議案の要旨

 一、新たな感染症、特に新型肺炎は世界規模の感染症となる可能性を認識。

 一、WHO加盟国に対し、以下を要請。

 (1)新型肺炎を含む感染症に対し、適切な資金提供や多分野の協力強化、情報の提供、政治的な指導力を発揮して、封じ込めに向けた努力に全力を尽くす。

 (2)WHOとの協力、とりわけ「グローバル感染症警報・対応ネットワーク」への協力強化。

 (3)感染症に関する経験や感染症の予防・管理に関する情報を加盟国間で交換。

 一、WHO事務局長に対して以下を要請。

 (1)新型肺炎の封じ込めを目指した世界規模の対策を維持、強化。

 (2)社会・経済的な影響を最小限にとどめるような方向で「流行地域」の指定に関する方法を見直し。

 (3)この決議の履行状況について(来年の)第五十七回WHO総会で報告。

早期発見と報告を強調 WHOが新型肺炎で総括

2003年05月20日 The Sankei Shimbun
 世界保健機関(WHO)は19日、新型肺炎(SARS)への対応を総括した初の報告をWHO総会に提出した。患者の早期発見と報告に失敗すれば「封じ込めに向けた世界規模の努力を危機に陥れかねない」と指摘、中国をはじめ各国に対応強化を促した。

 報告の末尾には総会決議案を添付。新型肺炎で得た教訓や知識を「次の新たな感染症やインフルエンザ、細菌の意図的な使用」に役立てるとし、新型肺炎対策のノウハウを生物兵器テロにも応用する方針を示した。

 報告は、新型肺炎が問題化してから現在までの経緯を詳述した上で、今後の「教訓」として取り組むべき項目を列挙。早期の封じ込めには「即時かつ透明性の高い患者の報告が死活的に重要だ」と強調した。(共同)

台湾の感染者増が最多に

2003/05/20 中国新聞ニュース
 【ジュネーブ19日共同】世界保健機関(WHO)は十九日、新型肺炎(SARS)で十九日午後四時(日本時間同十一時)現在の世界まとめを発表、死者は六百四十三人、可能性例を含む感染者は七千八百六十四人だった。

 特に台湾の状況が深刻で、前回十七日のまとめからの感染者増は七十人と、中国の同二十七人を上回り最多となった。WHOは感染拡大を阻止するため、台湾で支援に当たる専門家を増派する方針を明らかにした。

 WHOは発表の中で、台湾の感染者が急増しているのは「従来は新型肺炎とされていなかった感染者が、ここにきて報告されるようになった可能性がある」と指摘。病院の救急治療室における感染症対策が不十分だったため、院内感染の拡大を招いたとの見方を示した。

 一方、シンガポールは十九日のまとめで新規感染者一人を報告。新規感染者が二十日間連続で発生しないことが条件である流行地域の指定解除は見送られた。ただ、シンガポールの対策について「極めて有効」としている。

ゼロ歳児3人の感染初確認 香港

2003年05月19日 The Sankei Shimbun
 香港の衛生当局は19日、新型肺炎(SARS)の感染が広がり始めて以来、これまでにゼロ歳児3人が感染していたことを明らかにした。うち2人は4月に感染、入院したが、既に回復し退院した。残る1人は19日に感染が確認され入院中。

 発表によると、入院中のゼロ歳児は生後4カ月の女児。一緒に暮らしている家族5人も全員感染し入院しており、女児は家庭内で感染したとみられる。現在、病状は安定している。

 また、感染中の母親から帝王切開で早産した乳児2人が呼吸困難など新型肺炎の疑いのある症状を示し、経過観察中だが、これまでに体内感染例は確認されていない。

 このほか、19日付の香港紙は、プリンセス・マーガレット病院で、ゼロ歳児が感染したと報じたが、検査の結果、感染していないことが分かったという。

 新型肺炎に感染し発症するのは、これまで成人が多く、子供や乳児は感染しにくいといわれていたが、ゼロ歳児の感染が確認されたことで“神話”にすぎないことが分かった。(共同)

従業員は全員異常なし 京都の医師立ち寄り施設など

2003年05月19日 The Sankei Shimbun
 京都府は19日、新型肺炎感染が確認された台湾医師が立ち寄った同府内のホテルや観光施設の全従業員約880人の健康調査を完了し、全員に異常がないことを確認したと発表した。

 また、宮津ロイヤルホテル(同府宮津市)の利用客についても同日昼までに、医師と同じ10日に宿泊した317人のうち281人と、医師が利用した部屋に11日以降宿泊した10人の健康に問題がないことを確認。連絡が付いていない人の調査を続けている。

新型肺炎 台湾医師の全行程公表

2003/05/18 中国新聞ニュース
 新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)と確認された台湾の医師(26)が関西、四国を旅行していた問題で、厚生労働省は十八日、医師の宿泊先や立ち寄り場所など全行程を公表、発熱など健康状態に異常が出た場合、保健所などに相談するよう呼び掛けた。

 同省は当初、風評被害に配慮して宿泊先の公表を控え、関係府県と宿泊記録などから宿泊者の健康状態を行政レベルで追跡調査していた。だが、宿泊者が多く調査が難航している上、公表を求める電話が殺到していることから、方針転換した。

 これだけ詳細な情報の公開は極めて異例。今後の感染症対策の前例となりそうだ。同日中にもホームページで医師らの旅行の全行程を公開する。

 大阪市では関係自治体との緊急合同会議が開かれ、国と自治体が情報の共有を徹底化することを申し合わせた。また、同省は発熱が確認された観光ツアーのバス運転手の感染の有無を確認する遺伝子検査に十八日夜から着手。十九日にも結果が判明する見通し。

 宿泊先は八、九日が都ホテル大阪(大阪市)、十日が宮津ロイヤルホテル(京都府宮津市)、十一日は小豆島グランドホテル水明(香川県土庄町)、十二日は淡路島の南淡路ロイヤルホテル(兵庫県南淡町)。交通機関、飲食店や観光先などを詳細に公表した。

 厚労省は今後も必要な場合はこの方針を取るが、一方で「医師発症前の九日夜以前の接触者や、すれ違っただけの人はほとんど問題ない」と冷静な対応を呼び掛けた。

 また、これまでの調査で新たに医師と同じホテルに宿泊した兵庫県と茨城県の男性が発熱していたことも判明。同省はいずれも感染の可能性は低いとみているが、経過を観察している。

 厚労省によると、兵庫県の男性は十日、宮津ロイヤルホテルに宿泊後、十七日から三八度の発熱があり、十七日から入院。十八日に感染症指定医療機関に転院した。茨城県の男性は九日に都ホテル大阪に宿泊した後に発熱した。二人とも、現在は平熱に戻った。

茨城の宿泊男性発熱を確認 台湾医師滞在のホテル

2003/05/18 中国新聞ニュース
 関西、四国を旅行して台湾に戻った医師が新型肺炎(SARS)と確認された問題で、大阪市は十八日、医師が八―十日に滞在した市内のホテルの宿泊客一人が一時発熱していたと発表した。宿泊客は茨城県の男性で、症状はほぼ治まっているという。

 また大阪市は医師の滞在先を「都ホテル大阪」(同市天王寺区)と公表した。宿泊客が多く、調査が難航しているためで、宿泊した人で健康に異常がある場合、最寄りの保健所などに相談するように呼び掛けた。

 大阪市保健所感染症対策課によると、男性は九日に一人で一泊し、十三日夜から発熱。十五日からはせきも出始めた。医師とは別の階に泊まり、接触していないことなどから、同課は感染の可能性は低いとみている。

 茨城県は男性に対し、十九日まで外出を自粛するように求めている。

 医師が滞在した時期に都ホテルに宿泊したのは四百二十九人。大阪市は十八日午前九時までに、うち百二十四人を調査し、この男性を除く百二十三人の健康に異常がないことを確認した。

新型肺炎:感染力 発病10日後がピーク 香港大など

2003年05月18日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 新型肺炎「重症急性呼吸器症候群」(SARS)患者で、たんなどへのウイルス排出は、最初の発熱など発病してから10日後にピークに達することを香港大などの研究チームが突き止め、英医学誌ランセット電子版に18日までに発表した。

 周囲への感染力は、この時期が最も強いと考えられる。不明な点が多い新型肺炎の病状解明に役立つ成果だ。

 感染が確認された台湾の医師は潜伏期間中の8日に来日、翌9日に発熱し、発病はこの時期とみられているが、関西空港から台湾に戻ったのは、その4日後の13日。今回の結果によれば、日本には、感染力が比較的弱い時期に滞在していたことになる。

 研究チームは、香港のマンションで3月に集団感染し、同じ病院に入院した新型肺炎患者75人の病状を追跡した。(北京・共同)

 病状はほぼ1週間ごとに3段階で進行。最初の1週間は発熱や筋肉痛などの症状が出るが、治療により数日で治まる。

 しかし2週間目には熱がぶり返し、下痢が始まるなど症状が悪化。たんへのウイルス排出は発病10日後がピークだった。全体の2割が3週間目に、人工呼吸器が必要なほど病気が進行した。

台湾の新型肺炎死者40人に

2003年05月18日 The Sankei Shimbun
 中央通信によると、台湾の衛生署(衛生省)は18日、台湾の新型肺炎(SARS)による死者が前日比5人増の40人、死者を含む感染者数は1日の増加数としては最多の36人で、計344人となった、と発表した。

 新たな感染者の大半は、院内感染が起きた台北市の台湾大医学部付属病院と南部の高雄長庚記念病院関係者。新たな死者の中には院内感染で閉鎖された台北市立和平病院関係者が含まれており、病院が主要感染ルートとなっている実態が浮き彫りになった。

 同通信によると、関西旅行から台湾に戻り、17日に感染が確認された馬偕記念病院(台北市)の医師(26)は依然肺炎の症状を示しているものの、発熱やせきはなく、容体が安定しているという。

 台北市立関渡病院でも同日までに清掃作業員、救急診療部の医師、女性看護師ら6人が新型肺炎に似た症状を示し、隔離措置が取られた。(共同)

北京の病院、初動態勢の不備で連鎖感染

2003年05月18日 The Sankei Shimbun
 北京市で3月、新型肺炎(SARS)の患者を診察した2つの病院を出発点にウイルスが多くの病院に拡散、多数の医療従事者が連鎖的に感染していた事実を中国紙、二十一世紀経済報道が18日までに報じた。

 北京の感染者2420人(17日現在)のうち医療従事者は職業別比率でトップの約16%。連鎖感染の実態は、情報伝達や危機意識の欠如など、医療現場の初動態勢の不備をあらためて浮き彫りにしている。

 同紙によると、中国山西省から3人の感染者を受け入れた人民解放軍301病院で3月上旬、応急処置をした医師や看護師がまず感染。患者の転送先の人民解放軍302病院では、無防備で気管手術や心臓マッサージを施した医者らが計30人も感染した。

 北京大学付属人民病院では香港からの感染者を診察し80人が感染。患者は中医薬大学付属東直門病院に転送され、そこでも11人が感染した。

 この2つの病院で感染した医療従事者は治療のため地壇病院に移され同院でも5人が感染。同様の感染がほかの病院でも繰り返され、患者転送の度に医師や看護師らの感染者が膨れ上がった。

 連鎖感染の理由について病院関係者は「情報がなく科学的知識が不足していた。当初は何の防護措置も取っていなかった」と同紙に証言。

 もともと呼吸器系の治療は収益が少ないため専門医も少ない。中国衛生省衛生経済研究所の蔡元華所長は「予防を軽視していたことも要因だ」と明かし、医療体制の不備を率直に認めた。(共同)

観光バス運転手が入院 新型肺炎の医師乗せ発熱

2003/05/17 中国新聞ニュース
 観光で関西を訪れた台湾人医師(26)が台北に戻った後、新型肺炎(SARS)と分かった問題で、この医師ら二十一人のツアー客を乗せて観光地を回った貸し切りバスの日本人運転手が一時発熱し、入院していることが十七日分かった。

 同日未明、運転手の住む自治体から厚生労働省に報告があった。

 運転手は既に平熱に戻り、慢性呼吸器疾患の持病があるため、診察した医師は持病による発熱との見方をしている。しかし台湾人医師が新型肺炎患者と確定したため、同省は運転手を新型肺炎の「疑い例」とし、SARSコロナウイルスの感染を調べる検査を開始。家族や運転手を診察した医師の健康チェックも始めた。

 同省は、現時点では新型肺炎患者に該当しないとして、居住地や病院名などは公表していない。

 同省によると、運転手は八日に来日した医師らツアー客が利用した貸し切りバスの運転手として勤務。一行が関西空港から日本を離れた十三日まで、行動を共にした。医師は運転手の斜め後ろ二〜三メートルの場所に座っていたという。

 運転手は十三日に発熱し、十四日と十五日に別々の医療機関で受診。十六日に院内感染防止策など新型肺炎患者の受け入れ態勢が整った感染症指定医療機関に入院した。

 運転手の熱は「疑い例」の基準である三八度を超えたこともあったが、現在は三六度台で落ち着いているという。十三日以降、バスに乗務していたかどうかは不明。

 厚労省は当初、運転手の健康状態について「問題ない」と発表したが、「その段階で台湾人医師の新型肺炎感染が確定しておらず、運転手を『疑い例』に分類できなかったため」と釈明。「結果的に判断ミスだった」とした。

台湾人医師、新型肺炎の判定検査で陽性

2003年05月17日 The Sankei Shimbun
 台湾の衛生署(衛生省)広報官は17日、日本観光から台湾に戻った後、隔離されている馬偕記念病院(台北市)の台湾人医師(26)が、新型肺炎(SARS)感染を判定するPCR検査の結果、陽性反応を示したと明らかにした。

 同病院関係者は「(同検査で)陽性ということは新型肺炎ウイルスに感染したとみてよい」と述べた。

 医師は17日も発熱などの症状を示しているが、重体ではなく安定しているという。

 同病院などによると、医師は訪日前の4日夜から5日午前まで、救急診療部で当直勤務したが、新型肺炎患者との直接接触はなかったという。

 日本到着翌日の9日夜に発熱したが、風邪と思い自分で薬を服用。熱は計4日間続いたが、せきはなかった。関西空港から13日、台北に戻り、14日に同病院で検査を受けた結果、感染が疑われ隔離された。(共同)

台湾帰国後に肺炎発症の医師、関西や四国を観光

2003年05月16日 The Sankei Shimbun
 日本旅行後、13日に台北に戻った医師が、新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)の症状を示し、隔離治療を受けていることが、16日分かった。この医師は5泊6日で大阪府、京都府、兵庫県、香川県・小豆島と徳島県を観光。医師が日本滞在中に発熱していたことから、日本国内で感染を広げた恐れも捨てきれず、厚生労働省や外務省は日本で接触した可能性のある人を割り出し、健康調査をする作業に乗り出すことを決めた。

 厚労省や台湾の衛生署(衛生省)などによると、医師は観光ツアーに参加し、8日に日本に到着。滞在中に発熱したが、薬をのみ、収まった。13日に関西空港発の日本アジア航空217便で、台湾に戻った際、体温は正常だったが、2日後の15日に新型肺炎に似た症状を示した。衛生署はこの医師が新型肺炎に感染したと認定、勤務する台北市の馬偕記念病院に隔離した。

 厚労省は、滞在したホテル名などは明らかにしてないが、接触した可能性がある人に個別に連絡を取り、健康状態を調べるとしている。

 一方、同航空台湾支社によると、同機の乗員は19人でうち日本人は12人。乗客は67人で日本人は9人。衛生署は現在、乗客乗員に感染者がいないかどうか追跡調査を進めている。

 馬偕記念病院では16日までに、この医師を含むスタッフら計7人が新型肺炎に似た症状を示し、感染拡大防止のため、今月上旬に院内で診察を受けた患者90人以上が自宅隔離されることになった。

《台湾医師の観光、宿泊先》

2003年05月16日 The Sankei Shimbun
 厚生労働省が発表した新型肺炎を発症した台湾の医師の観光先と宿泊地(カッコ内は宿泊地。ホテル名は未発表。)

 8日 大阪市内(大阪市)

 9日 大阪市内、ユニバーサルスタジオジャパンなど(大阪市)

 10日 京都市内の嵐山、渡月橋など、天橋立(天橋立の温泉)

 11日 兵庫県出石町、姫路市内(香川県小豆島)

 12日 高松市、鳴門大橋、兵庫県淡路島(淡路島)

 13日 明石海峡大橋、大阪市内で関西空港へ

中国・香港で死者500人超える SARS

2003年05月15日 The Sankei Shimbun
 中国衛生省の15日の発表によると、新型肺炎(SARS)による中国の死者は4人増えて271人となった。香港の死者は7人増の234人となり、中国と香港を合わせた死者は505人に上り、500人の大台を超えた。

 中国の感染者は52人増の5163人。このうち感染が最も深刻な北京市は27人増の2388人。全国、北京市ともに、中国政府が過少申告を認めた4月20日以来、増加数は最低で、感染拡大の鈍化傾向が続いている。

 北京市以外では、山西省が7人増、河北省が6人増、内モンゴル自治区が4人増となっており、農村部での漸増傾向がうかがえる。

 香港の感染者は5人増の1703人で、新規感染者は12日連続で1けた台となった。

 中国衛生省が14日発表した感染者統計のうち感染者でないと判明した人が13人おり、この分は除外されている。(共同)

中国5省を流行地域に追加 新型肺炎

2003年05月15日 The Sankei Shimbun
 世界保健機関(WHO)は14日までに、新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)の域内感染拡大が発生している「流行地域」として、新たに中国の河北省など計5省を追加指定した。カナダのトロントは指定を除外された。

これにより計14の流行地域のうち、13地域が中国の10地域、香港、台北、シンガポールの「中華圏」が占める結果となり、新型肺炎の感染拡大が中華圏に集中している実態が一層、鮮明となった。残る1地域はマニラ。

 世界の死者は14日午後5時(日本時間15日午前零時)の時点で、前日比14人増の587人に達し、可能性例を含む感染者は同80人増の7628人だった。特に台湾は死者が6人増の30人、感染者が31人増の238人と、状況が深刻化している。

 WHOによると、流行地域に追加指定されたのは河北省に加え、湖北省、吉林省、江蘇省、陜西省。このうち河北と吉林の2省は域内感染の程度が「中度」で、検温など出国時の検査を勧告した。残る3省は「軽度」と判定した。

 一方、トロントについては20日間以上、域内感染が起こっていないとして流行指定のリストから除外した。トロントは先月23日、WHOの指定の中で最も重い渡航延期勧告が出されたが、短期間で「封じ込め宣言」にこぎ着けた。

 渡航延期勧告の対象地域は北京、天津など中国の5地域に香港、台北を加えた計7地域のまま変わっていない。

 シンガポールでは11日から12日にかけ、患者と看護師の計27人が発熱など新型肺炎の症状を起こし、集団感染が懸念されている。しかしWHOは「別の病気の可能性もある」として、新規感染者のリストには追加していない。(共同)

新型肺炎:台湾死者31人に 院内感染も確認、感染拡大続く

2003年05月14日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 【台北・飯田和郎】台湾衛生当局の14日午前現在のまとめによると、台湾での新型肺炎「重症急性呼吸器症候群」(SARS)の感染者数は、238人で、前日発表した228人に比べ10人増加した。累計の死者数は前日比6人増えて31人になった。

 一方、衛生当局は14日、台湾第2の都市、高雄にある総合病院「高雄長庚医院」で院内感染が発生していることを確認した。台湾南部での院内感染は初めてで、これまで感染者が集中していた北部以外にも感染が広がっている。

 衛生当局者によると、やはり院内感染が発生した台北市の別の病院を訪れた女性が4月末、この事実を告げず、長庚医院に入院したことから、同院でも院内感染が広がったという。院側は医療スタッフを含めて約110人を隔離する措置を取った。

 また、台湾で最も権威のある台湾大学付属病院も14日、院内感染の可能性があるとして、26日まで急患の受け付けを中止することを決めた。

新型肺炎、感染者7500人突破

2003年05月14日 The Sankei Shimbun
 世界保健機関(WHO)は13日、新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)の同日午後5時(日本時間14日午前零時)現在の世界まとめを発表、死者は前日より21人増え、573人に上った。可能性例を含む感染者は前日より101人増の7548人に達した。

 WHOの新型肺炎担当官は、感染拡大の防止には感染経路の特定が重要だと指摘。感染者の特定作業は香港で90%以上が終わるなど各地で進展がみられるが、中国については「困難だ」と語り、全容解明にはなお時間がかかるとの見通しを示した。

 発表によると、中国は死者が262人、感染者が5086人と、ともに最多。中国と香港、台湾以外で新たな死者は発生しておらず、可能性例を含む新たな感染者の報告も、3カ国・地域を除けばインドの2人だけだった。

 世界全体の死亡率は、13日の時点では7・6%だが、死者、感染者ともに前日からの増加分だけでみると、死亡率は20・8%に上っており、新規感染者の発生が抑え込まれる一方で、重症患者の死亡が増えていることを示している。(共同)

新型肺炎でないと判明 上海の日本人駐在員

2003年05月14日 The Sankei Shimbun
 上海の日本総領事館によると、新型肺炎(SARS)の疑いで隔離検査を受けていた上海市の日本人駐在員は14日、新型肺炎ではないことが判明した。(共同)

出張者は10日間自宅待機 SARS感染地で外務省

2003年05月12日 The Sankei Shimbun
 外務省は12日、新型肺炎(SARS)対策として、感染地域への出張を抑制し、やむを得ず出張した場合は帰国後10日間をめどに自宅待機させる措置を9日から実施したと発表した。

 出張を控えるのは、感染地域のうち渡航情報で「渡航の是非を検討」とされている北京、香港、台湾など。こうした地域にある在外公館から人事異動で帰国した職員も10日間自宅待機させる。

新型肺炎:感染者の調理師が姿消す ルート解明に障害 中国

2003年05月12日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 【香港・成沢健一】12日付の香港紙「明報」などは、中国広東省で最初に新型肺炎「重症急性呼吸器症候群」(SARS)の感染を広げたとみられる調理師(35)が退院後から行方不明になっていると報じた。初期の感染ルートを解明するうえで重要な人物だけに、衛生当局が所在確認を急いでいる。

 この調理師は、同省深セン市のレストランに勤務していたが、昨年12月10日に発熱などの症状を示した。実家のある同省河源市の病院で治療を受け、さらに広州市にある軍の病院に転院した。河源と広州の病院では、医療スタッフら十数人がSARSに感染した。

 河源市の衛生当局は「広州の病院を退院した後の行方が分からず、我々も探している」としている。感染者に対する社会の目の厳しさで孤立したとの見方も出ている。

 広東省では昨年11月に仏山市で最初の感染者が出た際は感染拡大はなく、調理師からの感染拡大を機に同省の衛生当局が本格対応に動き出した。

誤診や情報隠ぺいの疑い 台北市衛生当局が院長解任

2003年05月12日 The Sankei Shimbun
 台北市衛生当局は12日、新型肺炎(SARS)の集団院内感染を引き起こし、4月に閉鎖された市立和平病院の呉康文院長を解任したと発表した。12日付の台湾紙、聯合報によると、同病院は誤診や感染情報隠ぺいの疑いが持たれており、院長は感染拡大の責任を問われたとみられる。

 和平病院は4月24日から2週間閉鎖、今後は新型肺炎の専門病院になる予定。

 これまでに婦長や女性看護師らが死亡し、台湾での新型肺炎の死者24人のうち和平病院関係は16人。感染者207人のうち103人が和平病院絡みという。

 陳水扁総統は12日「情報が隠されれば、医療スタッフの生命が脅かされる」と批判した。

 聯合報は、和平病院では(1)新型肺炎患者を肺水腫と誤診し、隔離措置を取らなかった(2)閉鎖決定直前の内部会議で院長は「女性看護師の発熱は過労のため」と述べ、院内感染についてあえて触れなかった−などと指摘した。

 陳総統は「22日に院内感染について衛生当局に聞いたところ『和平病院の報告では問題ない』との返事だったが、安心できず再度、調査を求めた。結果として24日に閉鎖が決まった」と述べ、情報隠ぺいがあったことを示唆した。(共同)

台湾で死者6人増加 新型肺炎

2003年05月12日 The Sankei Shimbun
 台湾の衛生当局は12日、同日午前までに新型肺炎(SARS)による死者が前日比6人増の24人になったと発表した。感染者数は23人増の207人で、200人の大台を突破した。

 世界保健機関(WHO)から新型肺炎流行「重度」地域に指定された台北市では12日、陸軍化学部隊が感染拡大防止のため大規模な消毒作業を開始した。

 消毒車両約50台、大型消毒車両10台が出動し、兵士1210人、憲兵500人らが作業に当たり、集団感染の恐れがあるとして強制封鎖された賃貸アパートがある南西部の万華区などの消毒を実施した。

 迷彩服の上に青い防護服を着用し、背中にボンベを担いだ兵士があちこちで消毒液を散布、多くの商店が臨時休業し、街角は異様な雰囲気に包まれた。

 軍による消毒作業は19日まで1週間続けられる。(共同)

エイズ薬が効果的? 新型肺炎で香港大

2003年05月11日 The Sankei Shimbun
 香港大学の新型肺炎(SARS)研究グループなどは11日、エイズの進行を抑えるために使われるアミノ酸の一種を利用して、新型肺炎の原因であるコロナウイルスが人体の細胞内に侵入するのを阻止する医薬品を研究していると発表した。

 同グループは、コロナウイルスとエイズウイルスが人体細胞を攻撃する様式が似ていることに着目。エイズの進行を抑えるために使われる複数のアミノ酸の結合物を投与したところ、ウイルスが細胞に侵入するのをかなり阻止できたという。

 近く動物実験を行う予定。同大生物学科の主任は「まだ新たな医薬品を開発できていないが、研究は既に正しい方向に向けて進められている」としている。(共同)

WHO、中国の新型肺炎感染者減に疑問符

2003/05/11 読売新聞
 【ジュネーブ=大内佐紀】世界保健機関(WHO)は10日夜(日本時間11日未明)現在の新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)の世界での感染状況を発表した。それによると、死者は中国と香港を中心に526人、感染者(感染した可能性があるものも含む)は7296人となった。死者は前日と比べて12人増えた。その内訳は中国8人、香港と台湾がそれぞれ2人だった。

 WHOはまた、中国当局が北京での新たな感染者が減少傾向にあるとしていることについて、「性急な結論は出せない」と警告した。その理由として、感染者の多くは感染ルートが判明していないことを挙げた。

中国、新型肺炎の感染者増加数が最低に

2003年05月11日 The Sankei Shimbun
 中国衛生省は11日、新型肺炎(SARS)の中国の感染者は前日より69人増えて4948人、死者は5人増の240人と発表した。感染者の増加数は、政府が過少報告を認めた4月20日以来最低だった。

 新規感染者は前日の85人から2日連続で100人を切っている。

 最も深刻な感染が続く北京市で、新規感染者は42人と3日連続で50人前後にとどまり、感染拡大に歯止めがかかってきたことがうかがわれる。死者は4人増の120人。

 感染者は山西省では6人増の416人。このほか天津市が8人増、河北省が9人増など北京周辺地域での感染が続いている。

 新型肺炎の発生地とみられる広東省は、2日連続で新規感染者が2人にとどまり、沈静化傾向が顕著となっている。

 一方、香港は新たな感染者が4人増えて1678人、死者が3人増の215人となった。香港の新規感染者数も3月中旬以来最低で、1けた台の増加は8日連続。(共同)

隔離の邦人は上海駐在員 熱やせきなく病状は安定

2003年05月11日 The Sankei Shimbun
 中国・上海市で新型肺炎(SARS)に感染した疑いで「肺科病院」に隔離された日本人男性は、日系企業の30代の上海駐在員で、11日現在、熱やせきなどの症状がなく病状は安定、食欲もあるという。上海の日本総領事館や関係者が同日、明らかにした。

 総領事館は、男性が実際には感染していない可能性が高いとみている。上海の衛生当局に対し、同じ病棟の患者からの院内感染がないよう万全の措置を要請している。

 この男性が勤務する会社事務所は9日、上海の衛生当局が消毒し、男性の同僚も自宅での経過観察を指示されたという。

 男性は、世界保健機関(WHO)が指定した北京など新型肺炎の流行地域を訪れていないことが判明。総領事館側は、上海の衛生当局がWHO基準よりも厳密な基準によって「感染の疑い」と診断したとの見方を示し、男性の診断データの確認を急いでいる。

 「感染の疑い」との診断には、発熱やせきのほか1新型肺炎の流行地域を訪れた2感染者や感染の疑いがある患者と密接に接触した−のいずれかを満たすことがWHOの基準となっている。総領事館側は「上海市衛生当局の考えている流行地域はより広い範囲と思われる」としている。

 上海市の11日正午(日本時間午後1時)の発表では、同市の感染者は7人で、うち1人が死亡、感染の疑いがあるのはこの日本人男性を含め計13人。この男性は数日前に高熱とせきの症状を訴え、9日から隔離された。(共同)

肺炎死者の増加ペース加速

2003年05月09日 The Sankei Shimbun
 世界保健機関(WHO)は8日、新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)についての同日午後6時(日本時間9日午前1時)現在の世界まとめで、死者が中国と香港を中心に前日比11人増の506人に上ったと発表した。可能性例を含む感染者は150人増の7053人になった。

 WHOが新型肺炎の最初の世界まとめを発表した3月17日時点では、死者は4人にすぎなかった。100人に達するまでは22日間を要したが、中国が「感染者隠し」を認めた4月20日以降、急速に増え、最近は5−7日で100人ずつ増えるペースが続いている。

 発表によると、中国は死者が前日比5人増の224人、可能性例を含む感染者は138人増の4698人に上り、いずれも世界最多。香港は死者が4人増の208人、感染者が7人増の1661人だった。

 中国に香港、台湾を加えた中華圏以外では新たな死者は発生しておらず、新規感染者も中華圏以外では、フィンランドの1人だけだった。

 北東アジアでは、日本は感染者ゼロ、韓国は可能性例が1人にとどまっており、感染拡大が続く中国との差が際立っている。

 WHOは8日、台北に加え、中国の天津、内モンゴル自治区への渡航延期を勧告。これにより渡航延期の対象は7地域となり、すべてが中華圏に集中する結果となった。(共同)

新型肺炎死亡率は14―15% WHOが大幅に上方修正

2003/05/08 中国新聞ニュース
 【ジュネーブ8日共同=藤井靖】世界保健機関(WHO)は七日、新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)の死亡率は14〜 15%に達するとした推計を発表、新型肺炎が問題化した三―四月ごろは4%前後とみられていた当初の推計値を大幅に上方修正した。香港など五カ国・地域における発症者の推移を追跡調査した結果で、六十五歳以上の死亡率は50%超としている。

 同日午後五時(日本時間八日午前零時)現在の世界まとめによると、死者は中国と香港を中心に前日比十七人増の四百九十五人となり、五百人に迫った。可能性例も含む感染者は六千九百三人になった。

 新たな推計は、感染者が現状のまま頭打ちとなっても死者は倍増の一千人前後に達することを意味しており、感染者数が世界最大の中国だけでなく日本など各国も対策強化を求められることになりそうだ。

 七日時点のWHOまとめを基に、死亡者数を感染者数で割った単純死亡率は約7・2%。

 WHOはカナダ、中国、香港、シンガポール、ベトナムの計五カ国・地域で特定の患者グループが発症してから死亡または回復するまでの経過を調べ、死亡率の推計を出した。この方法だと、感染が拡大する過程で死亡率の誤差が生じる可能性を低減できる。

 その結果、二十四歳以下の死亡率は1%未満だが、二十五〜四十四歳では約6%、四十五―六十四歳では約15%と、年齢が増えるにつれて死亡率が高くなることが確認できた。

 年齢に加え(1)呼吸器疾患などの既往症があるかどうか(2)感染時にSARSウイルスを体内吸収した量(3)早い段階で適切な治療を受けたかどうか―などの要因が死亡率に影響することも分かった。

 国・地域別では、シンガポールの死亡率が約14%、香港で約15%となった。

新型肺炎 死者500人超える

2003年05月08日 The Sankei Shimbun
 中国衛生省の8日の発表によると、新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)による死者が、中国で5人増えて224人となった。香港での死者は4人増えて208人となり、世界保健機関(WHO)の発表と合わせると、全世界で死者504人となり500人を突破した。上海で初めて死者1人が確認された。

 感染者は、中国で146人増えて4698人、香港で7人増の1661人となった。WHOの集計を合わせると、可能性例を含めた感染者数は全世界の累計が7048人となる計算で、初めて7000人を超えた。

 中国の感染者のうち北京市は94人増の2136人。依然100人規模での増加が続いており、中国の中で突出している。河北省では感染者が13人増の147人。同日、WHOと中国衛生省の合同調査チームが現地入りし、13日までの6日間の日程で農村地域を中心に医療施設などを訪問、感染状況などを調べる。

 山西省で感染者391人(13人増)、天津市で132人(5人増)と、北京市周辺地域への感染拡大に歯止めがかからない実態も浮き彫りになった。

 衛生省が7日発表した感染者のうち、感染者でないと判明した人が8人おり、8日の累計はこの分を除外している。(共同)

新型肺炎死者500人に迫る…中国での感染、依然拡大

2003/05/07 読売新聞 Yomiuri On-Line
 【北京=竹腰雅彦】中国衛生省は7日、新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)による死者が前日より5人増え219人になったと発表した。

 香港では11人、台湾でも3人の死亡が新たに発表されており、AP通信によると、SARSによる死者は同日現在、世界全体で497人となった。中国や台湾ではさらに感染の拡大が続いており、SARSによる死者500人突破は時間の問題となった。

 中国衛生省の発表によると、中国の新たな死者の地域別内訳は北京が3人、内モンゴル自治区が2人。SARS感染者は、北京で前日より97人増えて2049人となり2000人を突破。中国本土全体では、前日比で159人増の4560人となり、感染の拡大は依然として止まっていない。また香港で8人、台湾でも27人の新たな感染者が確認された。

新型肺炎:台湾、中国・天津など渡航延期を勧告 WHO

2003年05月08日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 【ジュネーブ支局】SARSの感染が広がっていることから、世界保健機関(WHO)は8日、台湾と中国の天津、内モンゴル自治区の3地域への渡航延期勧告を出した。渡航延期の対象地域は、すでに出ている北京、香港、広東省、山西省と合わせて計7地域になった。

 渡航延期勧告は、「不要不急の渡航は延期が望ましい」という内容。

 WHOは、流行地域を、域内感染の程度などから「重度」「中度」「軽度」に分類している。7日までの渡航延期勧告対象4地域はすべて「重度」にランキングされていた。7日現在、台湾は「中度」、天津と内モンゴル自治区は「不明」だった。

 また、WHOは7日付で、フィリピンを新たに流行地域の「中度」に指定した。

新型肺炎:感染者は21〜30歳が最多 中国共産党北京市委

2003年05月06日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 【北京・浦松丈二】中国共産党北京市委員会の蔡赴朝宣伝部長は6日記者会見し、同市のSARS感染者の年齢構成を初めて発表した。5日現在の感染者1897人のうち、21〜30歳が677人(35.7%)と最多だった。香港など他地域では中高年が多いが、北京では若者の感染が際立っている。

 また、31〜40歳が382人(20.1%)と21〜30歳の次に多かった。11〜20歳は145人▽41〜50歳が332人▽51歳以上は337人だった。10歳以下の子供は24人と全体の1.3%で、特に就学前の幼児は8人(0.4%)と少数だった。

 また、蔡部長は同市の感染者のうち、外国人や香港、台湾籍が累計で8人に上り、うち6人がすでに退院したことを明らかにした。

 退院した6人はカナダ、キルギス、オーストラリア、米国、香港、台湾から北京を訪問していた。他の2人は死亡したフィンランド人の国際労働機関(ILO)局長と現在入院中の1人で、国籍を公表しなかった。また感染の疑いがある患者にインド人1人も含まれている。

台湾と香港で配列異なる SARSウイルス遺伝子

2003/05/06 The Sankei Shimbun
 台湾大学医学院の研究グループは6日、新型肺炎(SARS)の原因となるSARSウイルスのゲノム(全遺伝情報)を解読した結果、台湾のウイルスと香港のウイルスで塩基配列が異なっていることが分かったと発表した。

 発表によると、台湾と香港のウイルスのゲノムでは、約2万9000の塩基の配列のうち、11カ所が異なっていたほか、ベトナムのウイルスとは6カ所が異なっていた。北京のウイルスとも大きな違いがあった。

 カナダ・トロントのウイルスとは3カ所が違っていただけで、構造が最も似ていたという。

 研究グループはまた、ウイルスが体内で血球を破壊することを突き止めたほか、患者の血清などを利用して感染の有無を調べる独自の検査法を開発した、と発表した。(共同)

新型肺炎:北京市の大型デパートが出入り禁止

2003年05月06日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 【北京・浦松丈二】北京市中心部の繁華街・王府井の大型デパート「三和百貨商場」が5日、新型肺炎「重症急性呼吸器症候群」(SARS)の感染防止のため、出入り禁止となった。施錠された入り口に、営業できなくなったテナント関係者が詰め掛け、パトカーが出動する騒ぎになった。

 集まった約50人が「テナント料を返金しろ」などと口々に叫ぶ。大声を上げるために感染防止用のマスクを外す商店主の姿も。デパート責任者とみられる男性は「私も閉めたくはないが、法律で決められているので……」とマスク越しに歯切れの悪い説明を繰り返すだけだ。

 同市政府は感染拡大を防ぐため、4月下旬から、SARS患者が複数見つかった施設全体への出入りを禁じる事実上の封鎖に踏み切っている。SARSの伝染病指定に伴う強制措置だ。

 デパート1階で茶葉を売っているという女性は「観光客が激減して売り上げも減っているのに……」と悲痛な表情だ。「店を閉めるのはSARSに感染するのと同じだ」と涙ぐむ人もいた。

 市内の百貨店や高級専門店の売り上げはSARSの影響で4月20日以降、昨年同期比6割減という。王府井の大通りには人影がほとんどない。

 同市は5日までに、アパートなどの住宅区域6カ所、建設現場4カ所と感染者を収容する病院を隔離区域に指定し、患者ら1万6436人を隔離した。しかし、感染防止のため出入りを禁止した商業施設の数は公表されておらず、相当数に上るとみられている。

北京の日系企業、肺炎で休日延長や交代勤務

2003年05月06日 The Sankei Shimbun
 中国で5日間のメーデー休暇明けとなった6日、北京市内の日系企業の現地法人や駐在員事務所の多くは新型肺炎(SARS)のため休日延長や交代制勤務などの措置を取った。北京の感染者数が増え続ける中、本社からの出張禁止が続く企業もあり、業務の全面再開はさらに時間がかかりそうだ。

 日系企業の現地法人では東芝が7日まで休業するほか、松下電器産業が今週いっぱい自宅勤務、ソニーが当面は交代制勤務などとしている。トヨタ自動車も応対に出た中国人スタッフが「日本人社員はまだ戻っていない」と語り、今後の見通しも分からないと述べた。

 中国は2000年から昨年までメーデー休暇を7連休としており、日本の航空業界関係者によると、例年なら連休明け直前の6、7日は成田発の北京便が中国に戻る日本人ビジネスマンらでほぼ満席状態。今年の利用客は中国行きの観光客の大幅減で連休期間中が十数人程度だった上、5日も30人足らずしかいない状態だったという。

 外資系企業の業務再開の遅れには北京市当局も懸念を強めている。同市共産党委員会の蔡赴朝宣伝部長は6日の記者会見で、外資企業の工場が集中する市内の経済技術開発区の873社は操業を続けていると強調すると同時に、「北京駐在外国人の予防・治療は市の新型肺炎対策の中で大変重要な活動」と特別な配慮を示した。

 北京日本人学校は9日まで臨時休校で、土日を挟んだ12日以降に再開するかは8日に決定する予定。休校が延長となれば駐在員家族が北京に戻るのも一段と先延ばしになるのは確実だ。(共同)

新型肺炎で、中国客船「臨船検疫」へ

2003年05月06日 The Sankei Shimbun
 新型肺炎(SARS)対策として、神戸検疫所は6日、中国と神戸を結ぶ定期貨客船に係官が乗り込み、乗客らの健康状態をチェックする「臨船検疫」を実施すると発表した。7日に神戸港に入る天津−神戸の定期貨客船「燕京」から始める。

 神戸検疫所はこれまでSARSの項目を加えた質問票に基づき、船長に無線で尋ねる「無線検疫」を実施してきたが、感染の拡大を踏まえて検疫態勢を強化する。

 臨船検疫では、医師1人を含む係官3人が乗船し、乗客ら全員に質問票を提出してもらう。疑わしい症状があれば、医師の係官が問診を行い、必要に応じて神戸市保健所に連絡するという。

 対象はほかに、上海−神戸・大阪を結ぶ定期貨客船「新鑑真」。

SARS治療に快復者の血清療法が好成績 香港紙

2003年05月05日 asahi.com
 SARSの治療に、快復者の血清を使った血清療法が好成績を上げていると4日、香港紙太陽報などが伝えた。

 香港中文大学の沈祖尭・内科・薬物治療学部主任らのチームの臨床研究では、ステロイド剤で効果が表れなかった重い感染者二十数人に快復者の抗体を含む血清を投与。1カ月余りの間、1人の死者も出ず、熱が下がるのが早く、肺の快復が順調だったという。

 血清療法は、快復者の血中で生成されたウイルスの抗体を感染者の血液に入れ、毒素を防御する方法。

 香港政府は4日、前日午後からの新たなSARS感染者は8人、死者は5人と発表した。感染者が10人未満となったのは3月16日以来。感染者の累計は1629人、死者は計184人となった。

新型肺炎、昨年7月に第1例か

2003年05月05日 The Sankei Shimbun
 新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)の発生地とみられる中国広東省の広州市呼吸病研究所の鍾南山所長はこのほど北京で開かれた新型肺炎に関する会議で「最も早期(の患者)は昨年7月までさかのぼる」と述べ、これまで第1例とされていた病例より約4カ月前に新型肺炎とみられる患者が見つかっていたことを初めて示唆した。

 中国のニュースサイト「千竜ネット」などが5日までに伝えた。

 この患者がどこで確認されたかなど詳細は明らかにしていない。

 これまで第一例は、広東省河源市で昨年11−12月に確認されたと伝えられていた。

 ただ所長は、強い感染力があると感じたのは「河源市で患者が出た後」と述べ、強い感染性を明確に断定したのは今年1月下旬だったと言明。昨年7月時点では感染力の強い疾病とは認識していなかったことを明らかにした。

 また所長は感染力が今後、「次第に弱まっていく」との見解を示した。1人の患者から最多で約180人に感染した例があるが、二次、三次の感染では感染力が低下するという。

 鍾所長は、中国政府が感染実態を伏せていた今年3月から対策の重要性を訴え、現在では中国国内で新型肺炎研究の第一人者となっている。(共同)

体外でも1日以上生存 SARSウイルス

2003年05月05日 The Sankei Shimbun
 新型肺炎を起こすSARSウイルスは、人間の体内から出ても1日以上生き続け、従来のコロナウイルスより生命力が強いことが、世界保健機関(WHO)などの5日までの研究で分かった。

 患者、感染者のせきやくしゃみのしぶきに含まれるウイルスが本人の手やテーブル、ドアノブなど身近な物に付着、それに触れて感染が広がった可能性を示し、手洗いの重要性を再認識させる結果といえる。

 WHOのホームページや英科学誌ニューサイエンティスト(電子版)などによると、常温でプラスチック板にウイルスを含む液体を乗せ、乾燥した24時間後に調べたところ、約1割のウイルスが生き残っていた。

 また、尿や便の中では1−2日間、下痢の便の中では4日間、生存していた。

 一方、殺菌剤、消毒液などにさらされると、ウイルスは短時間で感染力を失うことも確認された。国立感染症研究所(東京)は、家庭や職場でドアノブやテーブルなどを消毒する場合は、水で50−100倍に薄めた塩素系漂白剤を使えばよいとしている。

新型肺炎の死亡率上昇、ほぼ7%に

2003年05月04日 The Sankei Shimbun
 世界保健機関(WHO)は3日、新型肺炎(SARS)で同日午後6時(日本時間4日午前1時)現在の世界まとめを発表、死者は中国と香港を中心に435人に達した。可能性例を含む感染者は6234人だった。

 4月初頭の時点で4%前後だった死亡率は、重症患者の死亡に伴い、じわじわと上昇し、3日のまとめでは6・98%と、7%に迫った。WHOの新型肺炎担当官は先に、死亡率は今後も上昇する恐れがあると指摘している。

 発表によると、中国は死者が前日比9人増の190人、感染者は同172人増の3971人だった。香港は死者が同9人増の179人、感染者は同10人増の1621人。

 前日からの感染者増は、中国が9割以上を占めており、他の国・地域で感染拡大が止まる兆しを見せる中、中国の増加が際だっている。(共同)

生体肝提供の女性が死亡

2003年05月04日 The Sankei Shimbun
 娘に肝臓の一部を提供する摘出手術後に肝不全などで重体となり、京都大病院(京都市、田中紘一院長)で肝臓移植手術を受けた40代後半の女性が、4日午後4時50分、多臓器不全のため同病院で死亡した。

 1989年に始まった生体肝移植は昨年、国内2000例を超えたが、臓器提供による死亡は初めて。健康な体にメスを入れる生体移植で最も懸念された事態となった。

 女性は昨年8月、肝臓の一部を摘出。胆道閉鎖症の10代後半の娘に提供したが、肝不全や肺炎を併発しこん睡に陥り、今年1月に名古屋大病院で、患者から摘出した肝臓をさらに移植に提供するドミノ移植を受けた。

 女性は娘に肝臓を提供する際、安全とされる35%以上残す計画だったが、実際に残ったのは約26%で、手術前の診断と異なり非アルコール性脂肪性肝炎だったことも判明した。

新型肺炎:4種類のウイルス確認 感染源は複数か 香港中文大

2003年05月03日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 【香港・成沢健一】香港中文大学の研究チームは、新型肺炎「重症急性呼吸器症候群」(SARS)の感染者11人のウイルスを調べた結果、遺伝子の塩基配列が異なる4種類のSARSウイルスが確認されたと発表した。ウイルスの変異が速いほか、香港では複数の感染源が存在する可能性が強いとみられる。3日付の香港各紙が伝えた。

 香港では、中国広州市から来た大学教授(64)が感染源とされる。教授から感染した男性(26)が3月初旬に入院した病院で、院内感染が広がった。

 同大の調査は、この男性の母親(後に死亡)から検出したSARSウイルスを基準に他の患者と比較した。その結果、親類や同病院スタッフら6人が、この母親と同じ配列だったが、感染時期が遅い医療スタッフ1人の配列は全く異なっていた。

 また、3月初旬ごろ発症した別の患者3人からは、さらに遺伝子の配列が異なる2種類のウイルスが確認された。

 研究グループは「(感染時期などから)香港では複数の感染源があるとみられるが、ウイルスの変異の速さも考慮し、ワクチンを開発しなければならない」と指摘している。

中国・香港の新型肺炎死者、369人に

2003年05月03日 The Sankei Shimbun
 中国衛生省は3日、新型肺炎(SARS)感染による国内の死者が新たに9人増え190人となり、感染者数も累計で181人増の3971人に上ったと発表した。香港も死者が9人増の179人、感染者が10人増の1621人になった。

 中国と香港を合計すると、死者は計369人に上る。

 現在の感染拡大の勢いが続けば、中国だけでも感染者数は4日中に4000人を突破、死者数も一両日中に200人に達するのは確実だ。

 新たな感染者のうち、首都北京が香港を除く国内の6割以上の114人と依然圧倒的な比率を占め、累計の感染者数も1741人と4割以上。死者も計96人と100人に迫っている。

 また、天津市と山西省でそれぞれ18人、内モンゴル自治区で10人、河北省で9人増えるなど、北京周辺地域でも新たな感染者数の増加が目立つ。南部の広東省と西部の寧夏回族自治区の計12人を除けば、新規増加はすべて北京市と周辺4地区に集中している。

 香港の感染者の増加は落ち着いてきているが、死亡率は11%を超えた。

 中国衛生省によると、前日発表した統計のうち北京の9人が新型肺炎に感染していないことが判明。この分を除いて、3日の新規増加や累計数を公表した。(共同)

「可能性例」でも入院勧告を 新型肺炎で厚労省分科会

2003年05月02日 The Sankei Shimbun
 厚生労働省は2日、新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)の国内感染防止策として、患者と確定する前の「可能性例」の段階でも、感染症法に基づく入院勧告を出せるよう、厚生科学審議会感染症分科会に承認を求めた。

 国内での患者発生はまだ無いが、発生後の感染拡大防止を図るのが目的。

 認められれば、流行地からの帰国後などに38度以上の発熱と肺炎症状がみられた人は、回復するか無関係と判明するまでは、実質的に患者として扱われることになる。

 同時に、患者が発生した場合、都道府県が患者に10日間の入院を、家族や同僚に健康診断の受診をそれぞれ勧告することの事前承認も求めた。

 新型肺炎は感染症法に基づく新感染症に位置付けられ、患者発生時、都道府県知事は感染拡大防止のため、患者の強制入院や建物封鎖、交通の遮断などの強制措置を取れる。

 ただ、対策の行き過ぎによる人権侵害を防ぐため、国の審議会の承認が必要になるが、これを待っていると、対策が後手に回りかねないため、一連の承認を求めた。

 勧告による入院や健康診断の費用は公費負担とするほか、症状が消え、第三者に感染させる恐れが無くなった場合は、10日を待たずに退院も可能としている。

 このほか、患者がいた場所の消毒の市町村への命令や、患者やその接触者に対する法に基づく積極的疫学調査の実施の承認も求めた。

SARS対策本部設置へ 政府、関係閣僚が協議

2003年05月01日 The Sankei Shimbun
 政府は1日夕、坂口力厚生労働相ら関係閣僚が首相官邸で新型肺炎(SARS)対策を協議する。上野公成官房副長官が午前の記者会見で明らかにした。国内では発症者が出ていないが、新型肺炎の脅威が高まる中、政府は感染を水際で防止するため対策本部を設置し、対策を強化する方針。

 政府は既に、渡航に関する危険情報を出す一方、航空機内での問診票配布、空港・港湾での検疫体制強化を実施しているが、中国から帰国する留学生らに対する検査が甘いとの指摘があり、対策を見直すことになった。

 会議には、坂口厚労相のほか福田康夫官房長官、扇千景国土交通相、遠山敦子文部科学相、茂木敏充外務副大臣が出席する予定。

 坂口厚労相は、新型肺炎対策を協議するためクアラルンプールで開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)と日中韓3カ国による保健相会合の内容を報告、政府一体の取り組みをあらためて要請する。

 上野副長官は記者会見で「早く手を打って、(対策を)万全にした方が良い。政府全体で早く(取り組む)ということだ」と強調した。

中国帰国者、10日間は人に会わないで、と厚労省

2003年05月01日 The Sankei Shimbun
 厚生労働省は1日、新型肺炎(SARS)の感染が拡大する中国からの帰国者に対し、帰国後10日間、人に会うのをできるだけ避けるように求めるなどとした健康チェックカードを作成、全国の空港検疫所などで配布を始めた。

 日本の外務省が中国の北京について帰国検討勧告を出したのを受けた措置。ゴールデンウイーク中に帰国者が急増することが予想されることから、厚労省は帰国者からの感染拡大を未然に防ぐためカードを作成した。

 同省は3月中旬から帰国者に対し、せきや発熱など新型肺炎が疑われる症状が出たら、予約を取って医師の診察を受けることを勧めるカードを配布している。

 新しいカードはこれに加え、家族や友人を含め人に会うことを最小限にとどめることや、外出時はマスクをできるだけ着用するよう求めている。

 もし、本人や家族に症状が出た場合は、感染しているおそれがあるので最寄りの保健所に電話するよう指示している。

新型肺炎 中国の死者170人に

2003年05月01日 The Sankei Shimbun
 中国衛生省は1日、新型肺炎(SARS)感染による国内の死者が新たに11人増え170人となり、感染者数は累計で187人増の3638人に上ったと発表した。

 北京では死者が7人増え82人、感染者も122人増の計1553人と突出、感染拡大の勢いが衰えていない。医療関係者の感染も新たに20人が報告された。

 感染者の新たな増加は内モンゴル自治区27人、天津市12人、河北省と山西省がそれぞれ8人などと、北京周辺地区で目立っている。(共同)

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