TOPIC No.5-42-2  2000年04月(新型肺炎/SARS)

新型肺炎:30日からトロントで国際会議 感染防止など協議

2003年04月29日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 カナダ政府は28日、新型肺炎(SARS)に関する国際会議を今月30日から2日間、カナダ・トロントで開くと発表した。

 カナダ保健省によると、会議には世界保健機関(WHO)担当者や各国の専門家らが出席。新型肺炎とその感染防止対策やカナダの状況などが話し合われる。

 ロイター通信によると、カナダでの新型肺炎による死者は21人。うち大半がWHOが渡航延期勧告を出したトロント周辺に集中している。(ニューヨーク共同)

新型肺炎:香港などピーク越す 中国は深刻かも WHO部長

2003年04月29日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 【バンコク小松健一】世界保健機関(WHO)のデビッド・ヘイマン感染症対策部長は28日、訪問先のバンコクで毎日新聞と会見し、新型肺炎「重症急性呼吸器症候群」(SARS)のアジアでの状況について「香港や東南アジア諸国は感染のピークを越えたが、中国はなおも全体像が分からず、状況は深刻かもしれない」と述べ、感染が予想以上に広がっている可能性を示唆した。

 ヘイマン部長は、バンコクで29日に開催される東南アジア諸国連合(ASEAN)と中国、香港特別行政区の首脳会議にWHO代表として出席する。一問一答は次の通り。

 ――中国では感染者が急激に増えていますが、今後の見通しは?

 ◆WHOのチームが北京、上海など各地で実態調査に入ったばかりだ。地方政府の対策を含めて何が起き、どうしているのか、全体像が明確でない。(過少申告問題は)当局が故意に隠蔽(いんぺい)したというより、報告書を集めて状況を把握することが出来なかったのが実情で、実はそれは今も続いている。報告されている感染者数以上に被害が拡大している可能性がある。中国の実態を知るためには2週間ほど必要だ。

 ――制圧宣言を出したベトナムと、中国など他の国との違いは?

 ◆ベトナムの場合、1人の感染者から広がったのが特徴で、封じ込めが比較的容易なケースだった。だが政府が危険性をいち早く認識し、情報を公開し、国際社会と協力したことが早期制圧につながった。中国は昨年11月に発生した広東省の症例を見過ごし、感染ルートを広げた。東南アジアと香港は、感染者や死者がなお出ているが、封じ込め策は有効でピークはすでに過ぎており、収束に向かうと見ている。

 ――ASEAN首脳会議に何を期待しますか。

 ◆中国が抑制に成功するかどうかが重要だ。中国の対策が遅れれば、ベトナムも再び感染者を出すかもしれない。中国と周辺諸国が中国の感染拡大を地球規模の危機と認識し、協力関係を築くことが求められる。

SARS影響、北京外食業界の売上高が半減

2003年04月28日 The Sankei Shimbun
 28日付の中国紙、北京現代商報によると、中国での新型肺炎(SARS)の感染拡大を受け、北京の4月の外食業界の売上高が前年同月比で5割近く落ち込んでいることが業界のまとめで分かった。上海と広東省広州でも約3割減という。

 中国の外食業界は昨年の売上高が5090億元と過去最高を記録。今年は6000億元に達する可能性もあるとの見方が出ていたが、業界関係者は「目標達成は難しい」と認めている。

 北京では1−3月期の売上高が前年同期比10%増だったが、衛生省が感染者数の正確な統計を公表し始めた直後の22日から外食店の閉店が相次いでいるという。(共同)

北京の死者が広東抜く 56人、感染者も1000人超える

2003年04月27日 The Sankei Shimbun
 中国衛生省が27日に発表した同国の新型肺炎(SARS)感染状況によると、北京市の死者が8人増えて56人となり、初めて広東省(51人)を上回って中国大陸で最多となった。北京の感染者も1000人を超えて1114人に達した。

 香港でも死者が12人増えて133人になり、感染者は16人増の1543人となった。12人の死亡は今月19日と同じく1日の死亡者数としては過去最多。

 中国大陸全体では感染者が161人増えて2914人、死者は9人増えて131人に達した。

 北京以外で増加が目立つのは、感染者が19人増の214人に達した山西省。死者も1人増えた。

 中国政府は北京の予防と治療に全力を挙げる一方、感染拡大を防ぐため地方出身の学生や出稼ぎ労働者を帰省させないよう対策を強化。

 北京駅や空港での体温測定など交通ターミナルでのチェック態勢を強め、北京国際空港では27日から航空券を所持していない人を出発ターミナルに入れない措置を取るなど管理を強化した。(共同)

新型肺炎の拡大防止…北京は結婚、葬式も禁止

2003年04月27日 The Sankei Shimbun
 27日付の中国各紙によると、北京市は新型肺炎(SARS)の感染拡大を抑えるため婚姻届の受理を中止した。人が集まる結婚式での感染を防ぐのが狙いで、事実上の結婚禁止措置。

 中国衛生省はまた、北京市などで新型肺炎に感染して死亡した人の葬式を禁止する通達を出した。参列者への感染の可能性があるためで、遺体についても死亡した都市で火葬するよう義務付けた。外国人も例外ではないという。(共同)

不良品マスク約40万個 公立病院で発見と香港紙

2003年04月27日 The Sankei Shimbun
 27日付の香港紙、明報は香港の病院管理局の話として、公立病院で使用予定のマスクのうち、医療基準に達していない不良品約40万個が見つかったと伝えた。中国で生産され香港に入ってきたとみられ、地元警察が購入経路などを調べている。

 見つかったマスクには、病院内で使われる3層ではなく1層や2層のものや、鼻の部分を固定するための鉄線が入っていないものがあった。中には鼻水が付いたマスクもあったという。

 同局は毎週約400万個のマスクを購入。香港では3月末にマスクが大量購入されるようになってから、中国で製造された不良品が出回っている。(共同)

広東省が悪質な報道管制 香港誌報道

2003年04月27日 The Sankei Shimbun
 香港誌、亜洲週刊の最新号は、新型肺炎(SARS)の発生源とみられている中国広東省の幹部が、同肺炎について「独自報道してはならない」などとする悪質な報道管制を敷いていたと伝えた。

 同省内では昨年11月に新型肺炎患者が初めて発生。同省は1月に現地を調査し、2月初めに自治体に対し、重い伝染病が発生しているとして予防策を採るよう通達。同時に報道機関に「肺炎についての報道を厳禁する」との通知を出した。

 同省共産党委員会は、新型肺炎についての記者会見が開かれた2月11日と14日、17日に、肺炎について独自報道をしてはならず、すべて公式報道の原稿を使うよう報道各社に指示。新型肺炎に関するデータは国家機密で「漏えいした場合、どういう結果になるか想像できるはず」と警告したという。

 さらに、2月の春節(旧正月)明けに「新型肺炎に関し民衆の知る権利に欠陥」と題した記事を掲載した広東省紙「21世紀環球報道」の編集幹部と、その企業グループのトップが一斉に異動させられた。(共同)

日本人男性が韓国で入院

2003年04月27日 The Sankei Shimbun
 韓国の通信社、聯合ニュースによると、韓国の国立保健院は27日、中国・北京を4、5日間旅行して26日に韓国に入国した40代の日本人男性が、新型肺炎(SARS)の疑いで入院したと明らかにした。

 国立保健院によると、男性は入国の際にせきの症状があると申告。空港で体温などを測った上で、エックス線検査や肺炎症状の有無などを確認するために入院措置を取ったという。

 韓国ではこれまで新型肺炎の感染者は出ていないが、感染の疑いのある患者はこの日本人男性を含めて12人で、検査を行っている。(共同)

北京、カラオケも営業停止 新型肺炎

2003年04月26日 The Sankei Shimbun
 新華社電によると、北京市政府は26日、新型肺炎(SARS)の感染拡大を阻止するため市内のディスコやカラオケバー、劇場、映画館などの娯楽施設の営業を同日から停止することを決めた。

 娯楽施設内の換気や消毒措置などが徹底していないためで「住民の生命の安全を保障するため」としている。営業再開の見通しについては新型肺炎の感染の動向を見て決める。(共同)

感染力強くない、ただし死亡率8−15% 英の大学教授分析

2003年04月26日 The Sankei Shimbun
 26日の英BBC放送によると、ロンドン大学のロイ・アンダーソン教授が香港での新型肺炎の感染状況を分析した結果、感染者の死亡率はこれまでの推定5−6%から大きく上昇し、8−15%に達する恐れがあることがわかった。

 感染症の世界的権威とされる同教授の研究では、新型肺炎のウイルスは他のウイルスと比べて感染力を長期間保持することも判明したという。

 同教授は「感染力はそれほど強くないので、監視体制が整った先進国では感染拡大を防止できているようだ」と述べ、パニックにならないよう注意した。

 しかし教授は、中国、インド、インドネシアなど感染症の通報体制が未整備の人口大国の状況については、なお懸念があると指摘した。(共同)

ASEANと日中韓 新型肺炎、拡大防止で協力

2003年04月26日 The Sankei Shimbun
 東南アジア諸国連合(ASEAN)と日中韓3カ国は26日、マレーシアのクアラルンプール郊外で新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)対策を協議する保健担当相会合を開き、患者の隔離や出国前の検査強化などで、感染拡大防止に取り組むことを盛り込んだ共同声明を採択した。

 新型肺炎対策で最大の焦点となっている中国は「専門家チームを各地に派遣するなど、新たな対策を始めた」と対策強化を明言、各国との協調姿勢をアピールした。

 会合は感染者、死者の9割が集中するアジア各国の連携強化を世界に向け確約した形だが、効果的な結果が得られるかどうかは今後の各国の行動力にかかっている。

 共同声明は、新型肺炎が地域社会と経済に大きな打撃を与えていることに懸念を表明。感染の拡大防止に向け、国境を超える包括的なアプローチが要求されるとした。

 その上で(1)患者の隔離徹底(2)情報交換の強化(3)感染の疑いのある者の旅行規制(4)流行国からの出国前に厳格な検査実施−などの対策を早急に取ることで合意した。

 各国によって感染状況や法、医療制度が違うため、運用などには柔軟性を持たせている。国籍や社会的地位に関係なく、感染地域からの人々や症状を示す人々を差別しないことも呼び掛けた。

 閉幕後の記者会見でマレーシアのチュア保健相は「新型肺炎の脅威とたたかうには国際的協力が極めて重要」と述べた。

 声明はまた、世界保健機関(WHO)に「感染国」の指定基準見直しを要請。ASEAN疾病対策センター設置を検討することでも一致した。患者の隔離徹底や感染防止策の実施への理解の重要性も確認した。

 保健担当相会合には日本から坂口力厚生労働相が出席。29日には、SARS対策を話し合うASEAN首脳会議がバンコクで開かれる。(共同)

新型肺炎、最初の死亡例は広東省で1月23日

2003年04月26日 The Sankei Shimbun
 26日付の中国系香港紙、文匯報は中国広東省の黄慶道・前衛生庁長の話として、新型肺炎(SARS)の感染源とみられる同省で今年1月23日に最初の死亡例が出ていたことが明らかになったと報じた。

 それによると、最初の感染者は昨年11月16日に仏山市で発病した農村委員会の幹部で、1月19日に中山市で病院職員13人を含む1歳−53歳の28人が感染、23日に初めての死者が出たという。

 広東省衛生庁は高熱の持続、痰(たん)が絡まない咳(せき)といった症状、治療法、感染予防策などを示した文書をこの日と2月3日、全省の衛生関係機関に配布したほか、広州市内の病院長会議を開いて感染拡大防止策を検討した。

 感染者は2月6日に77人、7日に62人、8日に65人、9日に59人、10日に38人と増加、その後少しずつ減り始めたという。

 広東省は2月11日に初めて記者会見を開き、原因不明の肺炎で死者が出たことを明らかにした。(共同)

肺炎感染、4600人突破

2003年04月26日 The Sankei Shimbun
 世界保健機関(WHO)は25日、新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)について同日午後5時(日本時間26日午前零時)現在の世界まとめを発表、可能性例も含む感染者は中国と香港を中心に210人増えて4649人に達した。死者も274人になった。

 前日から増加した死者はすべて中国と香港で発生し、感染者数の増加も2地域が大半を占めた。特に中国はここ数日間、連日100人以上のペースで感染者が増加しており、実際の感染規模を把握できるまで相当の時間がかかることを示している。

 発表によると、中国は感染者が2601人、死者が115人だった。香港は感染者が1510人、死者が中国と同じ115人で、両地域は感染者、死者ともに世界全体の85%前後を占めた。

 その他の国・地域では、シンガポールの感染者が前日より3人増の195人、台湾が同4人増の41人だった。日本は可能性例の2人が依然として集計に入っている。

 WHOは中国と香港を最重点地域として対策に取り組んでいるが、感染国・地域が徐々に拡大していることから「医療体制が整っていないアフリカへの感染拡大は阻止したい」(ヘイマン感染症対策部長)として、警戒を強めている。(共同)

中国の死者110人に増加 新型肺炎

2003年04月24日 The Sankei Shimbun
 中国衛生省は24日、中国の新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)感染による死者が4人増えて計110人となり、感染者数は計2422人となったと発表した。香港の衛生当局も同日、死者が前日から4人増えて計109人に、感染者が30人増えて1488人になったと明らかにした。

 特に北京市では感染の勢いが衰えを見せておらず、関係者は頭を悩ませている。

 中国衛生省の発表によると、北京市の感染者数は89人増の774人で、累計の感染者数は最初に患者の報告があった広東省の1359人に次いで2番目。しかし、大半の患者が退院した同省と違い、北京市ではいまだに671人が入院中だ。

 新たに報告があった4人の死者もすべて北京で、感染が疑わしい患者も中国1278人のうち北京が863人に上る。

 日本航空などの北京−成田便はこれまで1便当たりの乗客数は30−50人に落ち込んでいたが、北京の日本人学校が23日に臨時休校を決め帰国者が急増したのを受け、24日は逆にほぼ倍の100人近くとなった。

 同省は23日、感染者数は2305人と発表したが、24日にはこのうち北京の8人を感染者リストから外し、実質で125人増えたと説明した。

 一方、香港で死亡した4人はすべて慢性疾患のあった30−80代の男性。24日までに567人の患者が退院したという。(共同)

封鎖の噂で買いだめ騒ぎも 北京

2003年04月24日 The Sankei Shimbun
 新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)の感染が拡大する北京で「都市が封鎖され、商店が閉まる」とのうわさが広まり、不安に陥った市民が食料品の買いだめに走る騒ぎとなっている。

 各スーパーには23日昼ごろから客が殺到し、一部の店舗では夕方までに肉や野菜、米、小麦粉などが売り切れた。24日も買い物かごに大量の食料品を詰め込む客の姿が目立った。

 小さなスーパーでは仕入れが追いつかず、卵、肉、即席めんなどが店頭から姿を消すところも出始めた。ここ数日で野菜の値段は軒並み2、3倍に急上昇、市民の懐を直撃している。

 買いだめの背景には、うわさに加え、感染予防のため外出を最小限に減らしたいという心理も働いているようだ。

 北京市はパニックを避けるため「日常生活品の供給は保証する」と発表したが、スーパーで買い物中の主婦は「市はそう言うけど、店に来てみたら商品がないので心配になった」と話していた。(共同)

感染拡大阻止へ北京で病院閉鎖

2003年04月24日 The Sankei Shimbun
 北京市当局は24日、新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)の感染拡大を断ち切るため、1000床以上を持つ北京大学人民病院など市内の複数の病院を閉鎖した。

 同市が23日、感染者や感染の疑いのある人と「SARSに汚染された」病院や住宅などを広範囲に隔離するとの通達を出したことに基づく措置。人民病院を含む市内6病院で出た新型肺炎の疑いがある患者は全員、1つの病院に集中して収容され、隔離されたという。

 日本人の受診者が多い中日友好病院も一部病棟を閉鎖した。AP通信によると、人民病院の職員約2200人は診察を受けるため移送、隔離された。

 通達によると、隔離の対象には「感染者と密接に接触した人」のほか、ホテル、学校、オフィスビルなど感染者の立ち入り先も含まれる。対象となった病院は外来の診察を中止し、市内の地壇病院では患者と接触した医師や看護師の外出も禁じたという。

 北京市内では既に感染者と疑似感染者が合計で1473人出ており、すべて隔離すれば肺炎の感染源を徹底的に封じ込める大掛かりな強硬措置となる。

 通達は中国の「伝染病予防法」と関連法規に基づいて定めたと説明。隔離対象となる人と場所については、市の行政部門が「感染を断ち切る必要性に基づいて」確定すると定め、実際の運用には幅を持たせた。

 隔離された場合、勝手にその場を離れてはならず、治療のほかに生活に必要な物資や費用は政府が負担すると規定。通達に違反した場合は公安当局が強制措置を取るとの条項も盛り込んだ。(共同)

中国、香港の死者2百人超 新型肺炎

2003年04月23日 The Sankei Shimbun
 新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)の感染が拡大している中国と香港で23日、死者が計200人を超え、在留邦人の帰国ラッシュの動きが加速、日本人学校が休校を決めるなど、現地の日本人社会にも動揺が広がっている。

 中国衛生省は23日、新型肺炎による死者が106人に達し、感染者も2305人になったと発表。香港の衛生当局は同日、新型肺炎の死者が105人に、感染者が1458人になったと発表した。

 北京日本人学校(高橋宏校長、小中学生計460人)は23日に理事会を開き、24日から来月9日まで臨時休校とすることを決定。香港の日本人学校も同日、今月29日と30日に予定されていた始業式と入学式を、それぞれ来月13、14日に延期することを決めた。

 香港に続き北京でも駐在員を一時帰国させる日系企業も出始め、日本人の一時帰国に拍車がかかるのは確実だ。

 中国では計31の直轄市、省、自治区のうち、感染地域は22日までの19地区に河北省が加わり20地区となった。感染が疑われる患者も新たに237人の報告があり合計で1000人を突破した。

 最初に患者が見つかった広東省は、感染者数が計1344人と国内全体の58%を占める。しかし、治癒して退院した人も1146人となり、49人の死者を除けば治療中の患者は149人に減少した。

 これに比べ、北京の感染者693人のうち、治癒した人は55人にとどまり、35人の死者を除いてもなお600人以上が治療中。感染が疑われる人も782人と全体の70%以上を占め、被害の拡大が依然、懸念される。

 医療水準の遅れた内陸部でも感染の急激な拡大の恐れが指摘されており、感染拡大をいかに食い止めるかも中国にとって重要な課題として浮上している。(共同)

新型肺炎で抗ウイルス薬の使用勧めず 厚労省

2003年04月23日 The Sankei Shimbun
 厚生労働省は22日、香港で新型肺炎(SARS)の治療に使われている抗ウイルス薬リバビリンについて、国内で患者が発生しても使用を勧めないとの見解を患者の管理指針に盛り込むことを決めた。

 脳や心臓などへの副作用が強いことに加え、世界保健機関(WHO)や米国が、新型肺炎への治療効果に否定的な見解を示していることが理由。

 リバビリンについては、香港の医療チームが発症早期にステロイド剤と併用して使えば重症化を抑えられるとの研究成果を発表、現地では治療に多用されている。

 しかし、米疾病対策センター(CDC)の実験では、SARSウイルスの増殖を抑える効果がないことが判明するなど、現時点では有効性は確立されていない。

 効果があったとしても、すべての人に何らかの副作用が出るため、9割以上が自然治癒するとされる新型肺炎患者に使用した場合、害の方が大きいと判断した。

 リバビリンは国内でも飲み薬がC型肺炎の治療に使われているが、新型肺炎に使われるのは、より副作用が強い注射薬。国内には、危険性の高い一類感染症であるラッサ熱の治療薬として少量が国家備蓄されている程度だという。

新型肺炎で外務省が北京への“渡航延期勧告”

2003/04/22 読売新聞 Yomiuri On-Line
 外務省は22日、新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)の北京市での感染者数が20日になって約9倍にあたる346人に訂正されたことを受け、北京市に関する危険情報を「渡航の是非を検討」に引き上げた。「不要不急の渡航については延期を勧める」としており、事実上の渡航延期勧告にあたる。

 政府は23日から、北京の日本大使館と在広州総領事館で査証を申請する人に対し、SARSに関する問診票の記入を義務づけ、感染者の入国を防止することにしている。また、医療用マスクの入手が困難になっていることから、北京市及び周辺の在留邦人に配布するマスク3000枚を今週中にも北京の日本大使館に送ることにしている。

新型肺炎、中国では全土に感染拡大か

2003/04/22 読売新聞 Yomiuri On-Line
 【北京=竹腰雅彦】中国衛生省は21日深夜、中国本土の新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)感染者の最新統計を発表し、これまで感染者が報告されていなかった吉林省、遼寧省など中国東北部、甘粛省や陝西省など西部地域にも感染者がいることが初めて確認された。

 感染は全土に拡大している可能性がある。

 世界保健機関(WHO)専門家チームは22日、上海の医療機関などで感染実態の調査を開始した。上海ではこれまでに感染者2人、感染疑い例も8人だが、北京ではWHO調査で当局の「患者隠し」が発覚、感染者数が大幅に上方修正された経緯があり、調査結果が注目される。また、WHOが19日にSARSの流行地域に指定した内モンゴル自治区は19―21日に新たに3人の死者が出た。区都フフホトでは全小中学校を5月20日まで休校にする措置を取った。

 中国本土のSARS感染者は21日現在で2001人、死者は92人。

中国の死者13人増え92人に 新型肺炎

2003年04月22日 The Sankei Shimbun
 アジアを中心に流行している新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)について中国衛生省は21日、香港を除く中国で死者が前日より13人増え、計92人になったと発表した。感染者数も187人増え、2001人となった。フィリピンでは成田経由でカナダから帰国した女性が死亡、新型肺炎による初の死者とみられる。世界全体では死者が約225人になったとみられ、被害はさらに深刻化している。

 香港でもさらに死者が6人増え、死者は世界で最も多い計94人となり、治療に当たる医師は新型肺炎のウイルスが流行当初から変異し、凶暴化した可能性があると指摘した。

 感染を恐れ、日本から中国へ向かう旅行客やビジネスマンは大幅に減少している。ゴールデンウイークを前に、観光業への影響は必至で、中国にある日本の現地工場などの操業にも深刻な影響が出かねないとの懸念が強まっている。

 中国衛生省の発表によると、北京では21日、新たに7人が死亡。広東省や内モンゴル自治区でも死者が増えた。北京では同日、感染者が新たに136人も増え、感染拡大が急速に進んでいることを裏付けた。感染が疑わしい患者も全国で750人以上になった。

 フィリピン保健省の調べによると、死亡したフィリピン人の女性介護労働者(46)はカナダのトロントにある老人ホームで働いていた。これまでに機内感染の報告はなく、新型肺炎にかかったルームメートの母親から感染したとみられる。

 香港の衛生当局は21日、感染者が計1402人になったと発表。新たな死者の内訳は40代から70代の男性4人、女性2人で全員慢性の疾患があったという。

 また、香港公共ラジオなどによると、これまで感染者が報告されていなかったマカオで感染の可能性がある女性(38)が見つかった。マカオの衛生当局は20日夜から女性を隔離、詳しい検査をするため分泌物などを香港に送った。(共同)

新型肺炎ウイルス、変異し凶暴化か

2003年04月22日 The Sankei Shimbun
 新型肺炎(SARS)が流行している香港では「慢性の持病があった高齢者」に加え、「健康だった中年層」の死者の割合が増えつつある。症状の悪化が早くなるなどの変化が報告されており、新型肺炎の原因となる新種のコロナウイルス(SARSウイルス)が流行当初から変異して凶暴化したとの見方も出始めた。

 治療に当たっているプリンセス・マーガレット病院の医師は「最近の患者は病状の悪化が早く、薬も効きにくくなっている」と指摘。世界保健機関(WHO)の報告でもウイルスの変異の可能性に言及した。

 香港では21日までに94人が死亡。1日当たりの死亡者が初めて5人を超えた13日ごろから、30−50代の死亡が目立ち始めた。13日以降の死亡者計59人のうち、感染前に健康だった同年代は19人で32%を占めている。

 また、WHOの報告によると、集団感染が起きたマンション地区「アモイガーデン」では感染者の66%が下痢の症状を訴え、「38度以上の熱、たんが絡まないせき」とされてきた症状と異なっていた。集中治療を必要とする同地区の感染者は約2割と従来の倍で、病状も悪化している。

 こうした変化について岡部信彦・国立感染症研究所感染症情報センター長は「コロナウイルスのようなタイプのウイルスは変異しやすい。変異が事実とすれば、今までは知られていない性質のウイルスだと言える。多くの感染症は子どもに広がることが多いのに、新型肺炎はそれが少ないなど、従来のものと違い、さらに詳しい調査が必要だ」と話している。(共同)

北京の日本人患者は通常の肺炎

2003年04月21日 The Sankei Shimbun
 北京の日本大使館は21日、中国衛生省が新型肺炎(SARS)の疑いがあるとした日本人患者について北京市に問い合わせた結果、新型肺炎ではなく、気管支炎と肺炎を併発したものと既に診断されていたことが分かったと発表した。

 発表によると、3月27日に日本人の乳幼児が病気のため市内の医療機関で診察を受けたところ、新型肺炎の疑いがあると診断された。しかし、さらに詳しく診察した結果、最終的に新型肺炎ではないことが確認されたという。(共同)

新型肺炎、マカオで初の感染者?

2003年04月21日 The Sankei Shimbun
 
 香港公共ラジオなどによると、これまで新型肺炎(SARS)の感染者が報告されていなかったマカオで感染の可能性がある女性(38)が見つかり、マカオの衛生当局は20日夜から女性を隔離、分泌物などを検査するため香港に送った。

 女性は16日に発熱、同日の診察では新型肺炎の症状は見つからなかったが、20日に再診察を受けた際、エックス線撮影などで新型肺炎に似た症状がみられたという。女性は最近、マカオ外部へ旅行しておらず、感染者とも接触していない。現在女性の病状は良好という。(共同)

新型肺炎、死者200人超 WHO専門家が上海入り

2003年04月21日 The Sankei Shimbun
 
 新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)の感染状況を調査している世界保健機関(WHO)の専門家チーム6人が21日、北京から中国最大の経済都市、上海に入った。

 上海市で発表された感染者は2人にとどまってるが、北京市の感染者はWHOの指摘を受けて20日、346人に大幅に上方修正されたばかり。北京に比べ、発生源とみられる広東省に近い上海で感染者が少ないことに疑問も出ており、調査の行方が注目される。

 世界全体の死者は、WHOが19日に公表した182人と、20日に発表した中国14人、香港7人の各増加分を合わせ200人を超えた。

 WHOは、中国で感染の拡大が進む西部地域にも専門家を派遣する予定。西部の内陸地域では医療水準の遅れから感染者が急激に広がる恐れがあり、中国政府もWHOと協力して感染拡大に全力を挙げる方針だ。

 専門家チームは、上海で23日まで疾病予防コントロールセンターや病院、大学などを視察、24日に記者会見する予定。

 世界全体の死者のうち、最大は香港の88人、次いで中国79人、シンガポール16人の順。ロイター通信によると感染者は約3900人となった。20日のAP通信によるとカナダで18日に14人目の死者が出た。(共同)

新型肺炎で職員ら2400人自宅待機 シンガポール

2003年04月21日 The Sankei Shimbun
 
 シンガポール政府は21日、同国最大の生鮮食品卸売市場で3人の新型肺炎(SARS)感染者が判明したことを受け、市場の職員ら約2400人に自宅待機を命じるとともに、市場の閉鎖期間を10日間に延長すると発表した。

 この市場は同国の輸入野菜の70%を扱っており、供給に支障が出ることになるが、政府は「感染が地域社会へ広がるのを食い止めるためのやむを得ない措置」と説明。同市場を経由せず野菜を輸入している店舗での供給を増やすなど代替措置に全力を挙げるという。(共同)

5月の大型連休取りやめ 新型肺炎抑制で中国

2003年04月20日 The Sankei Shimbun
 中国衛生省の高強次官は20日の記者会見で、新型肺炎(SARS)の流行拡大を防ぐため、政府が5月1日のメーデーから1週間の大型連休を今年は取りやめる方針を決めたと発表した。旅行などを通じて感染者が広がるのを防ぐための措置。

 次官は「新型肺炎の拡散を抑制するための措置」と説明。「全国的な移動はしないよう呼び掛け地元での旅行を勧める」と語った。中国は1999年、個人消費の拡大を狙ってメーデーの時期に法定休日数を増やし、2000年からは7連休としてきた。

 次官はまた、肺炎の報告態勢を強化し、これまで5日置きだった正式な統計の発表を21日から毎日とすることを明らかにした。(共同)

北京の感染者339人に修正 新型肺炎

2003年04月20日 The Sankei Shimbun
 中国衛生省は20日、北京市の新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)感染者数をこれまでの40人から339人に、死者数も4人から18人へと大幅修正する感染統計を発表した。

 このほか、感染が疑われる患者が402人いると発表。合計すると741人に達し、広東省に続いて首都北京で深刻な感染拡大が進んでいることが分かった。

 中国筋によると、新型肺炎の患者隠し問題で、張文康衛生相が20日までに更迭された。

 中国全国では18日時点で、感染者数がこれまでの1482人から1807人に増え、死者数も65人から79人に増えた。世界保健機関(WHO)の統計を基に計算すると、27カ国・地域に広がった世界の感染者の9割を香港を含む中国が占める。

 WHOや地元医師らから出ていた中国政府の統計数字への疑念を当局が認めた格好で、衛生省の高強次官は記者会見で「情報収集システムと政府の指導が不十分で統計に大きな漏れがあった」と語った。

 政府ぐるみの患者隠しの実態が明らかになったことで、発足から1カ月余りの中国新指導部の国際的信用が大きく傷つくのは避けられない情勢となった。

 北京市内では人民解放軍所属の複数の病院に収容されていた感染者が政府統計に含まれていなかったとみられ、軍の情報秘匿体制が今後問題視される可能性もある。(共同)

台北で初のSARS国際会議 日米など参加、中国不参加

2003年04月20日 asahi.com
 新型肺炎SARSの感染状況や治療法など医学的側面と経済的影響などを検討する初の国際会議が、20日から2日間の日程で台北で始まった。会議には日米、香港など12カ国・地域の専門家を含む約300人が参加した。ただ、感染源とされる中国は参加しなかった。

 香港の専門家はSARSウイルスは全く新しいコロナウイルスで伝染力と毒性が強く、ヒトの肺の他に骨髄、脾臓(ひぞう)、筋肉、神経系統などを侵すと報告した。

 台湾の20日までの感染者は28人、死者はゼロ。台湾当局は今のところ「三つのゼロ」(死者、地域の集団発生、域外への感染流出)を達成し、SARSの拡大抑制に効果を上げてきたとしている。会議では台湾の経験を紹介し、感染状況を隠して国際社会の非難を浴びている中国との違いを強調し、中国の反対で加盟できない世界保健機関(WHO)への参加をアピールする狙いもある。

香港の新型肺炎死者88人に

2003年04月20日 The Sankei Shimbun
 香港政府は20日、新型肺炎(SARS)による死者が、前日から7人増えて計88人に、感染者は22人増えて1380人に達したと発表した。死者のうち30代の2人、40代の2人には慢性の持病がなく、肺炎感染以前に健康だった中年層の死亡が目立ち始めている。

 死亡したのは35−88歳までの男性2人、女性5人。同日退院したのは46人で、3日連続で退院者数が感染、入院者数を上回った。これまでに回復、退院した人数は計409人。集中治療中の感染者は102人で減少傾向にある。隔離を命じられた家庭は計237戸、620人に上ったという。

 一方、同日付の香港紙、星島日報によると、香港の李国章教育局長は、27日までの予定だった小学4年生以下の休校措置を5月上旬まで延長することを検討していると述べた。5年生以上は28日から、中学校3年生以上は22日から授業を再開する予定。

 教育局長はまた、3月末の休校開始当時12人だった児童の感染が60人を超え、休校が感染拡大予防につながらなかったことを認めた。

 現時点での学校再開に反対するインターネット上の署名は1万2000を超えたが、李局長は「感染がゼロになるまでにどれだけかかるか分からない。危ないのは承知しているが、予防措置で危険を減らせるはず」と話している。(共同)

中国 あの手この手で患者隠し 米誌報道

2003年04月19日 The Sankei Shimbun
 米誌タイム(電子版)は18日、新型肺炎(SARS)に関する世界保健機関(WHO)の現地調査の際、中国・北京の各病院があの手この手で多数の患者を隠していたとの関係者らの証言を報じた。

 それによると、調査団が中日友好三一病院を視察すると発表した直後の15日朝、新型肺炎患者56人のうち、3月に入院した台湾人患者から感染した医師や看護師ら計31人が車に乗せられ、「数時間にわたって市内をドライブさせられた」。調査団が見たのは、外部から来た患者25人だけだった。

 人民解放軍三〇二病院では、2病棟を埋めていた新型肺炎患者の大半がどこかへ移され、快方に向かっている少数が残されているだけ。数人の重症患者は呼吸器感染症と無関係の病棟にいた。

 共産党高級幹部らを治療したこともある元医師は17日「衛生省の内部報告は北京の新型肺炎患者を200−300人としており、別の内部文書によると、過去10日間に新たに100人以上が発病した」と暴露した。衛生省は公式には、北京の患者数を40人としている。(共同)

肺炎対策で緊急首脳会議 29日にASEAN諸国

2003/04/18 中国新聞ニュース
 【バンコク17日共同=大熊慶洋】アジアなどで流行している新型肺炎(SARS)対策などについて緊急に協議するため、東南アジア諸国連合(ASEAN)は今月二十九日、バンコクで首脳会議を開催する。首脳会議では、SARS感染防止など対策面での協力や、経済的損失への対応などについて話し合う予定。

 感染はアジアを中心に拡大が止まらず、インドでは十七日、初の感染者が出たことが判明。ロイター通信によると、十七日までの世界全体の感染者は計三千五百人を超え、死者は計百六十四人という。

 タイ外務省当局者によると緊急首脳会議は、シンガポールのゴー・チョクトン首相が十七日、タイのタクシン首相に開催を提案した。

 タイのスダラット保健相は同日、首脳会談に先立ち、マレーシアとフィリピンで、加盟国による事務レベル協議が行われると語った。

 感染者は、最も多い中国が千四百五十七人、次いで香港の千二百九十七人。死者は中国、香港とも各六十五人となった。

 しかし感染者数を過少報告していると世界保健機関(WHO)から批判された中国は十七日、軍の病院に入院している未公表分を含めて感染者数を二十日に修正発表することを示唆しており、感染者数はさらに増えそうだ。

 三百人以上が感染したマンションでの感染経路について、香港政府は十七日、ウイルスを含んだ飛沫(ひまつ)が排水管から浴室内に逆流、拡散した可能性を挙げた。

北京の日本大使館が留学生に注意報 新型肺炎

2003年04月18日 The Sankei Shimbun
 中国の北京大学で新型肺炎(SARS)の感染者が発生したことが分かり、北京の日本大使館は18日、市内にある20の大学内に日本人留学生向けに注意を促す日本語の「お知らせ」を掲示した。  北京大学では経済学院の職員が母親(同肺炎で死亡)から感染。同学院は休講となった。

 北京市の感染者数は衛生省の公式統計では15日時点で40人だが、世界保健機関(WHO)の調査で軍の病院に未公表の感染者が多数入院していることが発覚。感染拡大への懸念が強まっている。

 「お知らせ」は手洗いやうがいの励行、外出時は人込みを避けるよう指導している。北京市には約7000人の在留邦人がいるが、うち約3000人は留学生。特に北京大学には留学生が多い。(共同)

国内の可能性例4人に 新型肺炎

2003年04月18日 The Sankei Shimbun
 厚生労働省は18日、新型肺炎(SARS)の患者発生地域から帰国後10日以内に38度以上の発熱を起こした「疑い例」が1人、発熱に加え肺炎も発症した「可能性例」が1人、新たに報告されたと発表した。

 「疑い例」の患者は経過観察中。「可能性例」は入院しているが、全身状態は比較的良好だという。これで、国内の「疑い例」は5人、「可能性例」4人となった。

団地のSARS集団感染、排水管の水蒸気が原因 香港

2003年04月17日 Asahi.com
 香港・九竜湾の民間団地アモイガーデン(淘大花園)で発生した新型肺炎の重症急性呼吸器症候群(SARS)の集団感染で、香港政府は17日、SARSウイルスを含んだ水蒸気が排水管を通じて下水管から浴室に流れ込んだのが原因とみられる、と発表した。

 同衛生署によると、排水管にはU字に曲がった部分があり、水がたまって害虫や臭気を遮断する仕組みになっている。しかし、水がない状態で浴室を密閉し、換気扇を回すと、気圧の変化によって下水管内の空気が浴室に入ることを確認した。

 感染者の排泄(はいせつ)物にもウイルスが確認されていることから、下水管から水しぶきや水蒸気に混じって各戸の浴室にウイルスが拡散したらしい。

 これを防ぐには、あまり使わない排水口にも薄めた消毒液を流すなど、U字部分に水を切らさないことが重要という。

 発生源となったのは郊外の病院に通院していた深セン在住の男性とみられる。男性はアモイガーデンE棟の中層階に住む弟をしばしば訪れていた。

 同じ下水管を使っているE棟7、8号室に多くの感染者が出ている。

 香港政府は17日、新たな感染者が29人報告され、累積感染者数が1297人となったと発表した。4人が死亡し、死者は65人になった。

新型肺炎でWHOが中国批判

2003年04月16日 The Sankei Shimbun
 中国での新型肺炎(SARS)の感染状況などを調査している世界保健機関(WHO)の専門家チームは16日、北京市内で記者会見し、軍の病院などに対する調査結果を踏まえ「北京には報告されているよりもっと多くの感染者がいる」と発表した。

 同チームによると、軍の病院は衛生部門に報告する制度になっておらず、調査で得た情報も外部への公表を禁じられたという。ただ、チームの1人は、中国が北京での感染者を15日現在で37人(死亡者数4人)としているのに対し「100−200人」との推計を明らかにした。

 中国政府は記者会見などで感染者数について「報告は正確」(衛生省)と主張してきたが、今回のWHOの調査で報告の正確性に対する疑問が一段と強まった。今回の調査対象には、同市で最も権威があり、医師が「感染者が過少報告されている」と告発した軍病院「301医院」などが含まれている。(共同)

新型肺炎:コロナウイルス変異した可能性 香港大チーム示唆

2003年04月16日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 【香港・成沢健一】香港大学の研究チームは16日、新型肺炎「重症急性呼吸器症候群」(SARS)の集団感染が起きた高層マンション群「淘大花園(アモイガーデン)」の原因ウイルスについて、新種のコロナウイルスがさらに変異している可能性を示唆した。

 淘大花園ではこれまで約320人の感染が確認され、7人が死亡している。研究チームによると、淘大花園の感染者のうち2割が今も集中治療を受けており、香港全体の1割弱と比べて重症化する割合が高い。特に、高齢者や慢性疾患患者以外には有効とされた抗ウイルス薬「リバビリン」が効かないケースが目立ち、何らかの原因でウイルスが変異した可能性があるという。

 一方、香港の衛生当局は16日、SARSの香港での感染者が36人増え、計1268人になったと発表した。死者も5人増え、計61人となった。

 また、香港政府は同日、休校していた中学校の3年生以上を予定通り22日から再開する一方、小学校〜中学2年生は休校期間を27日まで延長すると発表した。

原因ウイルスのゲノム解読 新型肺炎で米CDC

2003年04月14日 The Sankei Shimbun
 中国・広東省、香港を中心に流行している新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)の原因ウイルスとされる新種のコロナウイルスのゲノム(全遺伝情報)を、米疾病対策センター(CDC)などが14日までに解読した。

 同日中にも公開される見通しで、信頼性の高い診断キットの開発や、どこから出現してきたかなどの解明につながる成果として注目されそうだ。

 CDCによると、新種のウイルスのゲノムは、約1万7500塩基対で構成。これまで知られているコロナウイルスが3万塩基対前後だったのに比べ、塩基数が大幅に少なかった。

 このウイルスがもともと、人間に感染するタイプだったのかや、ほかの動物を宿主としていたかなどは、特定できていないという。

 国立感染症研究所の田代真人ウイルス第3部長は「治療薬やワクチン開発には時間がかかるのではないか」としている。

新型肺炎:患者数2960人、死亡119人 WHO発表

2003年04月13日 [毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 世界保健機関(WHO)によると、SARSの患者数(可能性例を含む)は12日現在、21カ国・地域で前日比70人増の2960人。うち前日より3人多い119人が死亡した。

 可能性例とは、発症前10日以内にSARS発生国に旅行し、肺炎などの所見がある患者。日本は同日現在4人の可能性例がWHOのリストに掲載されており、21カ国・地域に含まれている。 【江口一】

新型肺炎:新種コロナウイルスが原因の可能性 WHO

2003年04月13日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 新型肺炎「重症急性呼吸器症候群」(SARS)の原因を調べている世界保健機関(WHO)の共同研究ネットワークは、患者から分離された新種のコロナウイルスをサルに投与すると、肺炎などSARSの症状を起こすことを確認した。この新種コロナウイルスがSARSの原因の可能性が極めて高くなった。

 実験をしたのはオランダのエラスムス大の研究チーム。ウイルスを投与したサルの血液からは、感染したことを示す抗体も見つかったという。国立感染症研究所の田代真人・ウイルス第3部長は「他のウイルスとの二重感染などを調べる必要はあるが、ほぼ間違いなくこのウイルスが原因であることを示す実験結果だと思う」と話している。

中国、新型肺炎対策で積極努力を強調

2003年04月13日 The Sankei Shimbun
 中国政府が新型肺炎(SARS)の予防や治療に積極的に努力していることを一段とアピールし始めた。13日付の中国各紙によると、温家宝首相は12日、北京市内の病院を視察し医師や看護師を激励。市内の地下鉄でも全車両を毎日消毒する方針などと国内メディアが相次いで伝えている。

 外国から中国の対応の遅れに対する批判が続く中、イメージ回復を狙った苦心の策ともいえるが、情報公開は依然十分でなく、信頼回復の道のりは険しそうだ。

 温首相は視察先の病院で、医師らの「無私奉公の革命精神と救済・扶助の人道主義精神」を称賛。医療従事者への感染も多い中、マスクを着けずに首相が院内を歩く様子がテレビでも放映され、政府指導者による親密な激励ぶりを印象付けた。

 地下鉄には肺炎の予防知識についてのポスターが多数張られ、車両消毒の状況も新聞やテレビで報じられた。ここ数日は国営通信の新華社の記事だけでなく、各紙が独自に予防法などを取材した記事も多くなったが、大手紙編集者は「すべて共産党宣伝部の指示による取材」と打ち明ける。

 半面、肺炎感染者の数字については、軍の病院の医師が信ぴょう性に疑問があることを告発するなど不透明なまま。「肺炎患者が入院していることが分かれば、ほかの患者が来なくなって経営に響くため、病院が隠しているケースも多いはず」(同編集者)などと国内でも政府の発表に対する疑問は根強いのが実情だ。(共同)

新型肺炎:感染者1108人、死者35人に 香港

2003年04月12日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 【香港・成沢健一】香港の衛生当局は12日、新型肺炎「重症急性呼吸器症候群」(SARS)の香港での感染者が前日より49人増えて1108人となり、死者も3人増えて35人になったと発表した。死亡したのは39歳の男性と35歳の女性、慢性疾患にかかっていた67歳の男性。新たに退院したのは46人で、累計で215人となった。

 また、現在も120人が集中治療を受けており、今のペースで感染者が増えると、設備や医療スタッフが不足するとの懸念も広がっている。医療当局によると、入院患者のうち10〜15%は集中治療が必要。「公立病院の集中治療室は計371人まで対応可能で、それでも足りない場合は手術室などを転用する」と説明する。

 一方、中国広東省の広州医学院と香港大学が12日、同省でのSARS感染者19人の血清から、コロナウイルスの抗体を確認したと発表し、同省と香港の病原体は同一との見解を明らかにした。

新型肺炎:WHO、各国の報告基準を統一 日本のリスト入りも

2003年04月11日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 SARSが世界で拡大している問題で、世界保健機関(WHO)は10日(日本時間11日)、否定された症例を除いたSARSの「可能性例」を報告するよう各国に通知した。これまで各国の判断に任されていた報告基準がほぼ統一されることになる。厚生労働省も同日、4例を報告し、日本が「可能性例」の出た国としてWHOのリストに入る見通し。

 可能性例は発症前10日以内にSARSの発生地に旅行し、肺炎などの所見が見られる患者。10日現在で19カ国から2781人が可能性例として報告され、111人が死亡している。しかし、報告基準があいまいで、各国から批判が上がっていた。

 日本でも可能性例がこれまでに10例(取り下げ例は除く)報告されたが、厚労省は「いずれも可能性は低い」と見ているため、リスト入りしていなかった。10例のうち6例は同省のSARS対策専門委員会で否定されており、WHOの新基準では、4例が報告対象となるが、専門委員会が否定すれば、リストから外れることになる。 【須山勉】

インドネシアでも患者か 新型肺炎

2003年04月11日 (共同) The Sankei Shimbun
 インドネシア政府は11日、ほぼ確実に新型肺炎(SARS)に感染したとみられる患者1人が国内で見つかり、世界保健機関(WHO)に報告したことを明らかにした。同政府は「最終確認ではない」としているが、確認されれば同国内で初のケースとなる。

 政府当局者によると、患者は英国籍の男性(47)で、香港からシンガポール経由でインドネシアに最近入国。2日前からジャカルタ市内の病院に入院しているという。

 インドネシアではこれまで新型肺炎とみられる症例24件が当局に報告されたが、15件については新型肺炎でないことが判明。今回のケースも含め9件について調査中という。

不妊治療:第三者の受精卵の使用認める 厚労省部会

2003年04月10日 [毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 不妊治療のあり方を検討してきた厚生労働省の厚生科学審議会生殖補助医療部会は10日、最終報告書をまとめ、他の夫婦が不妊治療でつくった受精卵のうち余剰分を、第三者の不妊夫婦に提供することを認めた。これで、夫婦以外の精子、卵子、受精卵による不妊治療はいずれも正式に認められることになった。学会の規則だけに基づいて行われてきた不妊治療は、法制化に向けて大きく前進した。 

 受精卵をめぐっては、夫婦間の体外受精の際に受精卵が余るケースがあり、通常は凍結保存したり廃棄しているため、これを第三者に提供することについて議論が起きていた。

 この日の部会で、日本医師会や日本産科婦人科学会の代表者が、全く血のつながりのない子供が生まれ、親子関係が複雑になる恐れがあると反発した。このため、受精卵の利用が認められるのは、精子と卵子の双方に問題がある場合に限定することで合意した。

 同省は関係省庁と、生まれた子供に「遺伝上の親」を知る権利を認めることや、営利目的のあっせん禁止などを盛り込んだ法案作成を進め、来年の通常国会への提出を目指す。 【田中泰義】

中華航空の客室乗務員 成田便勤務後感染の可能性

2003年04月10日 [毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 【香港・成沢健一】台湾の中央通信などは10日、台湾の衛生当局者の話として、中華航空の客室乗務員が東京(成田)発着便での勤務を終えて台湾に戻った後、新型肺炎「重症急性呼吸器症候群」(SARS)の感染の可能性が強いと診断されていると報じた。

 この客室乗務員は31歳の台湾人女性で、先月29日に018便で台北から成田に到着した。風邪のような症状が出ていたが、31日発の018便でホノルルまで乗務し、1日発の017便で成田まで戻った。

 成田到着後にせきや発熱の症状が出たことから、2日に医師の診察を受けたが、SARSではないとの診断を受けた。3日の017便で台北に戻ったが、この時は空席だったファーストクラスに隔離し、乗客とは接していないと中華航空側は説明しているという。

新型肺炎:「N95マスク」十分な供給と確保を 厚労省依頼

2003年04月10日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 新型肺炎「重症急性呼吸器症候群」(SARS)の広がりで在庫不足が懸念される高機能マスク「N95マスク」について、厚生労働省は9日、医療機器業界と都道府県に対し、十分な供給と確保をするよう依頼した。

 N95マスクは微粒子の侵入を防ぐフィルターを備え、同省は医療従事者がSARS患者と接する場合に着用するよう呼びかけている。感染症の専門家で作る同省SARS対策専門委員会は、一般の人が着用する必要はないとの見解を示している。【須山勉】

香港の新型肺炎感染者、1000人に迫る

2003年04月09日(共同) The Sankei Shimbun
 香港の衛生当局は9日、新型肺炎(SARS)の感染者が8日から42人増えて970人になり、死者も2人増の27人になったと発表した。

 香港では、280人以上が感染したマンション「アモイガーデン」付近の別のマンションでも、8日までに30人の感染が確認されるなど拡大が続いている。

 新型肺炎が香港の経済に深刻な打撃を与えているため、梁錦松財政官は同日、今年の域内総生産の成長率は3%に届かないと予測していることを明らかにした。

新型肺炎、新種ウイルス可能性強まる データで裏付け

2003年04月09日 The Sankei Shimbun
 新型肺炎(SARS)の原因とみられているコロナウイルスの遺伝子分析結果を香港大などのチームが9日までに、英医学誌ランセットに発表。香港の患者から分離されたウイルスは、従来知られていたコロナウイルスの3グループのどれにも属さず、新種コロナウイルスの可能性が強いことをデータで裏付けた。

 分析したウイルスは、53歳の男性患者の肺組織と42歳の女性患者ののどから分離。同ウイルスの遺伝子であるRNAのうち数%の塩基配列を調べ、ほかのコロナウイルスと比較した。

 その結果、マウスや牛のコロナウイルスが含まれるグループに最も近かったが、香港大などは、3グループのいずれにも属さないと結論を出した。このウイルスのRNAは、当初の患者50人のうち22人から検出されたという。

 国内で分析に当たっている国立感染症研究所の田代真人ウイルス第3部長は「遺伝子の数%しか読み取れていないので最終的な結論は出せないが、新種というのは確からしい」と話している。

新型肺炎ウイルス、新種「コロナ」と確認して命名

2003/04/08 読売新聞 Yomiuri On-Line
 新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)の主因とみられるウイルスが新種のコロナウイルスであることを、日本など9か国の11機関が参加している世界保健機関(WHO)の研究協力ネットワークが確認し「SARSウイルス」と命名した。

 サルの培養細胞にこのウイルスを感染させると、ウイルスが増殖して細胞が変形するが、SARSから回復して体内に免疫のできた患者の血清が、この変形を抑制することなども確認した。この血清が治療に使える可能性も出ている。

 SARSウイルスの増殖を様々なコロナウイルスに対する強力な免疫物質が抑制したことや、遺伝子の部分的な解析から、コロナウイルス属の一種であることが確かめられた。

 ただ遺伝子の配列は、3グループに大別される既知のコロナウイルスとは異なるため、新種と判明した。

 ネットワークは、SARSウイルスを検出するための検査方法を、すでに3種類開発したが、それぞれ長短があって、実用水準には達していない。今後、3種類の検査を実際の患者に適用しながら、精度を高めていくという。

新型肺炎:中国広東省で初の外国人感染 香港は患者928人に

2003年04月08日 [毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 【香港・成沢健一】中国広東省の衛生当局は8日、新型肺炎「重症急性呼吸器症候群」(SARS)の感染者数が今月1日から7日までに省内で新たに53人確認され、3人が死亡したと発表した。また、省内で中国系カナダ人2人と米国人1人の感染が確認されたことも明らかにした。広東省はこれまで、外国人の感染は確認されていないと説明していた。

 それによると、カナダ人は夫婦で、2月に感染して入院していたが、3月に回復して帰国した。深セン市で教師をしている米国人は、最近米国から香港経由で深センに戻った後に感染が分かり、今も入院しているという。

 一方、香港の衛生当局は8日、SARSの感染者が新たに45人確認され、928人になったと発表した。81歳と74歳の男性2人が7日夜に死亡し、死者は計25人となった。

新型肺炎:O157以来の対策本部を設置 厚労省

2003年04月08日 [毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 新型肺炎「重症急性呼吸器症候群」(SARS)の感染が海外で広まっていることを受け、厚生労働省は8日、省全体の対応が必要として対策本部(本部長・坂口力厚労相)を設置した。96年、旧厚生省が病原性大腸菌O157の対策本部を設置して以来の措置。

 8日夕に開かれた初会合では、多くのSARS患者が確認されている中国・広東省や香港から便が出ている6空港(千歳・仙台・成田・名古屋・関西・福岡)で旅行者の相談が急増しているため、各空港の検疫所に最寄りの国立病院の医師を応援に派遣することが決まった。

 また、感染症指定医療機関でウイルスの侵入を防止する高機能マスク「N95マスク」の不足が懸念されていることから、保有状況を調査し、確保に努めることにした。

 同省には8日午後5時現在、発症前10日以内にSARSの発生地に旅行し、発熱やせきなどの症状があるSARSの「疑い例」が3例、疑い例で肺炎などの所見を示す「可能性例」が1例、新たに報告された。いずれも症状は安定し、SARSの可能性は低いという。これまでの報告は「疑い例」24例、「可能性例」9例の計33例となった。 【須山勉】

南アでも新型肺炎感染か

2003年04月08日 The Sankei Shimbun
 南アフリカからの報道によると、同国の首都プレトリアの病院当局者は8日、新型肺炎(SARS)に感染した疑いのある患者が入院していることを明らかにした。

 患者は最近香港を訪れており、新型肺炎感染者と同様の症状が出ていることから隔離された。検査で新型肺炎と確認されれば、南アで初の感染者になる。(共同)

中国で新型肺炎の死者53人、感染1268人に

2003/04/07 読売新聞 Yomiuri On-Line
 【北京=浜本良一】中国衛生省は7日、新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)による中国内の死者が53人で、感染患者数は1268人(6日現在)に増えた、と発表した。死者の内訳は広東省43人、北京市4人、広西チワン族自治区3人、山西、四川、湖南の3省が各1人となっている。感染者は広東省1203人、山西省24人、北京市19人、広西チワン族自治区11人、湖南省6人、四川省4人、上海市1人。

 中国の張文康・衛生相はさる3日の記者会見で、死者46人、感染者1190人(3月末現在)と公表、「国内での死者は減っており、感染の拡大は抑え込んだ」と強気の発言を繰り返した。しかし、実態はそうでないことが判明、今後、中国政府への批判が一段と強まるものと見られる。

広東の新型肺炎感染者、大半が食品産業関係者と判明

2003/04/07 読売新聞 Yomiuri On-Line
 
 【香港=関泰晴】7日付の中国英字紙「チャイナ・デーリー」は、中国広東省に入っている世界保健機関(WHO)の専門家チームの現地調査で、同省で確認されている新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)の感染者は、医療関係者を除き、大部分が飲食店や食品産業の関係者であることが判明した、と報じた。

 感染者が多く分布する業種が特定されたことに関して、WHOの専門家チームは「感染経路の研究に役立ち、意義がある」と話しているという。

 また、同紙によると、中国広東省・中山大学でウイルス学を研究する専門家は、SARSの原因と見られるウイルスが動物から人間に感染した可能性がある、として、「感染による死者の体内で見つかっているウイルスは、過去に動物の体内で採取したものと類似性がある」と指摘した。

 広東省で現地調査中のWHOの専門家チームも同様の見方を示しているといい、原因究明に向けて、さらに多くのサンプルを集めていることを明らかにした。

香港、最悪で3千人の感染想定か 英字紙報道

2003年04月07日 (共同)The Sankei Shimbun
 7日付の香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストによると、香港の衛生当局は新型肺炎(SARS)に関し、感染者が今月末までに最悪で3千人に達すると想定していることを明らかにした。

 衛生当局はこの想定の下で、救急患者以外の診察を、公立病院以外の私営クリニックなどで引き受けてもらえるよう交渉しているという。

 同当局は7日、感染者が前日から41人増えて883人に、死者は1人増えて23人に達したと発表した。(共同)

現状ではマスク必要なし 厚労省対策専門委が呼び掛け

2003年04月07日 (共同)The Sankei Shimbun
 厚生労働省の新型肺炎(SARS)対策専門委員会は7日、3月26日から今月6日までに報告された国内の「疑い例」と「可能性例」計19人について、新型肺炎ではないと判定した。

 前回の委員会で8人が無関係と判定されたほか、1人が取り下げられており、これで6日までに報告された28人全員で新型肺炎発症が否定されたことになる。

 新型肺炎は発熱後、呼吸器症状が急速に悪化するが、報告事例はいずれも治療で回復するか、快方に向かっているため、無関係と判定した。

 委員会は世界保健機関(WHO)の指針を基に、厚労省が日本の状況を加味して作成した患者の管理指針を了承。患者発生に即応するため、同省は患者の搬送方法や入院設備を定めた行動計画を、指針を基に作成するよう、都道府県に指示する。

 またウイルス感染防御に効果があるとされる高機能マスクが不足しており、同委員会は「患者が発生していない現状では、一般の人にマスクは必要ない」とした上で「患者発生の場合に、医師らが治療に当たれない恐れがある」と一般の人に購入を控えるよう呼び掛けた。

ILO局長が新型肺炎で死去 中国・北京

2003年04月06日 (共同) The Sankei Shimbun
 中国衛生省は6日、北京を訪問していた国際労働機関(ILO)技能開発局のペッカ・アロー局長(53)が新型肺炎(SARS)のため同日未明、北京の病院で死去したと発表した。中国で外国人がSARSの犠牲になったのは初めて。

 アロー局長はフィンランド人。3月17日にジュネーブを出発、18日からタイのバンコクに滞在、23日にタイ航空で国際フォーラム準備のため北京入り。30日に体調不良を訴え、4月2日に北京市内の病院に入院してSARSと診断され、5日午後に病状が急変した。

 衛生省は感染経路について、アロー局長本人が「飛行機内で感染したようだ」と言っていたことを明らかにしたが、同じ飛行機に搭乗した乗客から感染者は見つからなかったという。

 アロー局長が北京で接触した人の中からも今のところ感染者は発見されていない。

 ILOの国際フォーラムは中国の雇用問題をテーマに7日から3日間北京で開かれる予定だったが、新型肺炎の影響で延期されていた。

 衛生省によると、中国国内の感染者数は5日までに1日より57人増えて1247人となり、死者は5人増えて51人となった。北京市内の感染者は19人で、うち4人が死亡。外国人はアロー局長のほかにもカナダ人1人が感染している。

新型肺炎:検体から新型コロナウイルス検出 国立感染研も確認

2003年04月06日 [毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 国立感染症研究所(東京都新宿区)は6日までに、香港などから送られてきた新型肺炎「重症急性呼吸器症候群」(SARS)の患者の検体から新型のコロナウイルスを検出した。米疾病対策センター(CDC)や香港大などがSARSの患者から検出していたコロナウイルスと構造がほぼ同じだった。今回の結果は、世界保健機関(WHO)が示していた「コロナウイルス主因説」を補強することになりそうだ。感染研は、WHOが9カ国の11研究所で組織したSARSの対策ネットワークに参加している。

 香港やベトナムなどから送られてきたSARS患者の血液やのどの粘膜などを調べたところ、新種のコロナウイルスが見つかった。遺伝子などを詳しく調べたところ、香港や米国で見つかった新種のコロナウイルスと構造がほぼ一致した。

 香港やドイツではパラミクソウイルス、中国・広東省の患者からはクラミジアが確認され、「二重感染」で重症化したのではとの指摘もある。

 しかし、日本国内の専門家の間では(1)パラミクソウイルスが検出されずに、重症化した患者がいる(2)クラミジア感染による肺炎の大規模な流行は過去にない――などの理由から「コロナウイルス以外の原因は考えにくい」との意見が強い。

 仮に新種のコロナウイルスが原因と特定された場合、ウイルスの遺伝子を増殖するPCR法を使えば、24時間以内に感染の有無が判定できるようになるという。

 しかし、長崎大医学部の片峰茂教授(感染分子解析学)によると、予防のためのワクチン開発などには少なくとも2、3年かかる。

 ワクチンを作るには(1)ウイルスの構造を解明した上で、大量に増やす(2)ウイルスの毒性を弱めたワクチンを試作する(3)動物実験や臨床試験で効果や安全性を確認する――などの手順が必要で、現状ではまだ(1)の段階も終えていないためだ。

 このため、片峰教授は「まずは、SARSを引き起こす病原体を特定し、それを踏まえた検査法の確立を急ぐ必要がある。その上で患者を特定し、2次感染の予防に全力をあげるべきだ。ワクチンの作製は、その後の問題になる」と話している。【江口一】

香港で肺炎の死者22人に

2003年04月06日 (共同) The Sankei Shimbun
 香港政府は6日、同日までの新型肺炎(SARS)の感染者数が842人に上り、うち22人が死亡したと発表した。感染者のうち116人は既に退院したが、108人が集中治療を受けている。

 新たな感染者数は3月31日に80人、今月1日に75人と大幅に増加。2−4日はいったん20人台に落ちたが、5日に39人、6日42人と再び増える兆しを見せている。

新型肺炎:冷静な対処が必要 医学総会で緊急報告

2003年04月06日 [毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 国立感染症研究所(東京)の岡部信彦・感染症情報センター長が6日、福岡市であった日本医学会総会で、新型肺炎「重症急性呼吸器症候群」(SARS)の現状について緊急報告した。「今のところ、国内にSARSが強く疑われる患者はいない」とし、「約90%は治癒する。“死のウイルス”がやって来るというのではなく、冷静な対処が必要」と訴えた。

 岡部氏によると、SARSの特徴は(1)患者は25〜70歳の健常成人が中心で、15歳未満はごく少数(2)潜伏期間は2〜7日(3)致死率は4%前後で、約90%は6〜7日で回復。焦点の病原体については「コロナウイルスの可能性が高く、これを中心に病原診断が試みられている」と話した。

 また、感染経路については、報告後の会見で「空気感染があればもっと広がっている」と、空気感染には否定的な見解を示したが「確実ではないので、空気感染も念頭においた予防措置が必要」と述べた。予防には「(くしゃみ、せきなどによる)飛まつ感染にはマスクは効果があるが、紙1枚のものではなく、ある程度の規格のマスクが必要」と指摘した。

 さらに、治療について「治癒した例は、自然治癒なのか何らかの治療の効果なのか、比較できる状況ではない。香港のグループは抗ウイルス剤とステロイド剤を使っているが、医学的に効くという証拠は得られていない。仮にコロナウイルスが原因としても、コロナウイルスに効く薬はない」とし、「病原体が不明で死亡する場合があるということで、決して軽視はできないが、これにかかるとみんな危ないという訳ではない」と強調した。 【西川拓】

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 日本では、4日現在で、発症前10日以内に危険地域へ渡航歴があり、38度以上の高熱やせきなどの症状を訴えた「疑い例」が19人、さらに肺炎などの症状を伴った「可能性例」が3人となっている。

新型肺炎:全国の保健所に相談相次ぐ 休日出勤で対応

2003年04月06日 [毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 アジアを中心に感染が拡大している新型肺炎「重症急性呼吸器症候群」(SARS)に対応して、全国の保健所や医療機関の多くは、休日だった5、6日とも職員が出勤し、臨時の相談窓口や専用電話を開設した。「帰国後も微熱が続いている」「香港から友達が来るが、感染の恐れはないか」など不安を訴える相談が相次いだ。休日診療機関でも、当番医が患者の渡航歴を確かめながら診察した。

 東京都板橋区の板橋保健所には、シンガポールから帰国した男性から「37度台の熱があるので不安だ」と相談電話があった。SARSの症状に該当しなかったが、念のため休日当番医を紹介した。このほか、23区内の保健所には「近く帰国する身内が感染していた場合はどうすればいいのか」「予防マスクはどこで入手できるのか」などの相談があった。

 八王子、町田市など多摩地区の保健所には、2日間で13件の相談が来た。世界保健機関(WHO)のマニュアルに従ってアドバイスし、専門病院での検査が必要なケースはなかった。

 神戸市保健所の専用電話には「海外から戻って微熱が続いている」など、6日午後2時までに23件の相談があったが、疑わしいケースはなく、「帰国から2週間以上たっていればSARSではない」と答えた。「香港製の食品は大丈夫か」「これから香港に行くが予防策は」との問い合わせに「物を介して感染しないのでマスク着用と手洗い励行を」と説明した。

 福岡市中央区の中央保健所への電話は2日間で計10件。「香港から友人が来るが感染の危険は」「香港便のスチュワーデスをしている娘が日本の友人の家を訪問するがいいか」などのほか、体調についての相談もあったが、SARSの症状には該当しなかった。

 金沢市保健所は「数カ月前にアジアを旅行した知人がいるが、大丈夫か」との問い合わせに「SARSとは発生時期がずれている」と答えた。

 名古屋市天白区の休日診療所では、当番医が風邪の症状を訴える患者に渡航歴を尋ね、SARSには抗生物質が数日間効かないことなどを説明した。この医師は「国内での2次感染は渡航歴とは無関係。インフルエンザと見分けがつきにくいため、注意深い診療が必要」と話していた。

新型肺炎:手洗いやマスク着用せず、医師ら感染 香港の病院

2003年04月06日 [毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 【香港・成沢健一】新型肺炎「重症急性呼吸器症候群」(SARS)で100人以上が院内感染した香港の病院で、感染した医療関係者の多くが手洗いやマスクの着用を徹底していなかったことが、香港中文大学と世界保健機関(WHO)の共同調査で分かった。

 この病院は、新界地区にある「プリンス・オブ・ウェールズ病院」。先月20日以降に発症した医師や看護師ら26人を対象に聞き取り調査をした。

 調査結果によると、入院患者と職員の計10人以上に症状が表れた先月12日に院内で感染拡大防止措置が取られていたが、26人のうち15人が忙しさの余り患者と接触した前後に手洗いや消毒をしなかった。マスクの位置がずれるなどしたために一時外したり、手を洗わないままマスクを触った人も15人いた。

 また、ゴーグルをしていなかったために、患者のせきによってウイルスが目に入ったと思う人が7人いたほか、感染防止の訓練を受けていない人も10人おり、病院や衛生当局の対策が不十分だったことをうかがわせた。

 同病院の30歳代の医師は毎日新聞の取材に対し、「中国広東省で原因不明の肺炎が流行しているとの情報があったのだから、香港の衛生当局はもっと早く病院や第一線の医療従事者に必要な指導をすべきだった」と話している。

新型肺炎:香港行き旅客機がらがら 成田、関西空港

2003年04月05日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 新型肺炎「重症急性呼吸器症候群」(SARS)の影響で、成田、関西両空港では5日、香港行きの旅客機ががらがらのまま出発した。外務省が渡航延期を勧告する危険情報を出したこともあり、春休みの週末にもかかわらず、搭乗率が1割を切る便も。航空各社は「このまま続けばまた航空不況に陥る」と不安を募らせている。

 成田空港では例年この時期、香港便は搭乗率が平均8割に上っているが、5日に出発した便は軒並み3〜5割程度に落ち込んだ。空港第1旅客ターミナルの搭乗ロビーは、香港便が集中する午後4〜6時台になっても搭乗口に現れる人はまばら。同5時過ぎに出発した便は定員約300人に対し、乗客は約1割の30人程度で、いずれも医療用のマスクをつけて乗り込んだ。しかも多くは香港に帰る人や香港経由でイギリスへ向かう外国人旅行客などで、日本人は数人。香港経由でインドへ観光へ向かう神奈川県の無職の男性(24)は「香港にいるのは1時間程度だが、不安はある。こんな時期にのこのこ観光に行くのも申し訳なくて。感染したら治るまで帰国しないつもりです」。

 また同日夕に出発した便は定員250人に対し乗客は約80人。日本に一時帰国していた香港在住の会社員、下谷明彦さん(31)は「身近に感染者はいないし、それほど不安はない」と話していた。

 関西国際空港でも、5日の日本航空の香港行きは搭乗率が10分の1以下、全日空は4分の1程度だった。

 香港の会社へ戻る航空会社の日本人女性(35)はマスクを約30枚、使い捨ての手袋を約50枚買い込んだという。「香港から先月27日に帰国したが、騒ぎはなく落ち着いていた。しかし、香港の友達に電話で聞くと、今は10人中9人ぐらいがマスクをしているらしい」と話した。

 また、香港で寝具製造販売会社を営む中国人の男性(47)は「3日前に来日したが、現地は落ち着いてきたようだ。感染が怖いというより仕事への影響が心配だ」と話した。 【取違剛、服部正法】

新型肺炎:死亡患者臓器から新種の病原体検出 中国系香港紙

2003年04月05日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 【香港・成沢健一】4日付の中国系香港紙「文匯報」は、北京の研究者の話として、新型肺炎「重症急性呼吸器症候群」(SARS)で亡くなった患者の臓器から呼吸器疾患などの病原体であるクラミジアの新種が検出されたと報じた。世界保健機関(WHO)などが原因ウイルスとして指摘しているコロナウイルスの新種と同時に作用した可能性を指摘している。

 報道によると、中国疾病予防対策センターの専門家が、SARSの死者5人の肺や肝臓などの臓器を調べた結果、多くのサンプルからクラミジアを検出した。回復期にある患者を調べたところ、この新種のクラミジアの抗体反応があり、発症後の経過が長い患者ほど反応が強かったという。

 クラミジアは球菌状の微生物で、大きさは細菌とウイルスの中間に位置する。鳥を介して感染するオウム病や性感染症、呼吸器感染症などの病原体とされる。

 SARSの病原体をめぐっては、WHOや香港大学の研究グループがコロナウイルスと断定している。一方、香港中文大学の研究グループが、麻しんなどを引き起こすパラミクソウイルスの一種を検出したほか、ドイツや台湾でも同様のウイルスが確認されており、複数の病原体が作用する可能性も指摘されている。

入院先は広島大病院 広島県が肺炎対策会議

2003/04/05 中国新聞地域ニュース
 広島県は四日、新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)の対策連絡会議を県庁で開き、県、保健所、広島空港検疫所、病院などの関係者約五十人が対応を協議した。

 SARSの症状が表れ、レントゲン検査で肺炎が確認された患者が県内で発生した場合の入院医療機関を、広島大医学部付属病院(広島市南区)とすることを決めた。強い感染症に対応できる第一種感染症指定医療機関と同じ入院施設を二床、県内で唯一備えているため。

 県内で患者が増えた場合は、広島市立舟入病院(広島市中区)、国立福山病院(福山市)への入院も検討する。両病院は、コレラや赤痢などの感染症に対応できる、第二種感染症指定医療機関となっている。

 県は同日、SARSの緊急情報を提供するホームページを開いた。http://www.pref.hiroshima.jp/fukushi/hoken/sars/index.html

新型肺炎でマレーシア初の死者

2003年04月05日 The Sankei Shimbun
 マレーシア保健省は5日、新型肺炎(SARS)で64歳の男性が3月30日、クアラルンプール市内の病院で死亡したことを確認した。SARSによる死者は同国で初めて。

 地元紙が既に報じていたが、保健省は当初感染を否定。遺体解剖でSARSが確認されたため発表した。

 男性は3月中旬、中国・上海とシンガポールへの旅行から帰国して発症した。保健省によると5日現在、感染が疑われ病院に収容されている人は10人いる。(共同)

厚生省、SARS「疑い例」5人を発表

2003/04/04 Asahi.com
 厚生労働省は4日、重症急性呼吸器症候群(SARS)の「疑い例」が新たに5人、都道府県から報告された、と発表した。入院が不要で症状も安定しているとし、「SARSの可能性は低い」とみている。これで報告された「疑い例」と、肺炎まで確認された「可能性例」は計22人となる。

 「疑い例」は香港などの流行地から帰国後10日以内に、38度以上の発熱、せきや息切れなどが出た患者で、「可能性例」は、「疑い例」の中でもさらに胸部X線写真で肺炎が確認された患者。世界保健機関が定義している。

上海で初の新型肺炎患者、広東省に出張の女性

2003/04/04 読売新聞 Yomiuri On-Line
 【上海=伊藤彰浩】中国・上海市衛生局は4日夕(日本時間同)、広東省や香港で流行している新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)の患者が上海でも見つかったと発表した。

 SARSの流行が始まって以来、上海での患者発見は初めて。40歳の女性で3月下旬に広東省に出張した後、発熱などの症状が出たため、隔離され検査を受けていた。

北京の米大使館員の出国認める、SARSの感染拡大で

2003/04/04 読売新聞 Yomiuri On-Line
 【ワシントン=笹沢教一】アーミテージ米国務副長官は3日、新型肺炎「重症急性呼吸器症候群」(SARS)の感染拡大を理由に、北京の米国大使館員と家族に国外への退避を認める考えを明らかにした。米政府では、北京以外の領事館にも同様の許可を出す方針。

新型肺炎:マンション避難の住民追跡へ 専従チーム結成 香港

2003年04月04日 [毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 【香港・成沢健一】香港警察は4日、SARSの集団感染で隔離されたマンション「淘大花園」E棟の住民のうち、隔離前に避難した58世帯を追跡するための専従チーム(30人)を結成した。衛生当局は、ウイルスに感染しても無症状のままの住民を介して、ウイルスが他者に感染する可能性もあるとみて、強制力を行使してでも感染拡大を食い止める構えだ。

 E棟の住民約240人は既に郊外の宿泊施設に隔離されているが、隔離措置が取られる前に113世帯が親類の家などに避難していた。これまでに55世帯が衛生当局に連絡をしてきたが、残りは連絡がつかないという。

 また、感染者と密接に接し、10日間の経過観察の対象となった人のうち、5人が診察を受けていないことを明らかにし、最低限の強制力を行使してでも診察を受けさせる方針を示した。

新型肺炎:香港・九竜の飼い猫からウイルス 人への感染調べる

2003年04月04日 [毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 【香港・成沢健一】4日付の香港各紙によると、重症急性呼吸器症候群(SARS)の集団感染が確認された九竜地区の高層マンション群「淘大花園(アモイガーデン)」で、飼い猫がSARSに感染していた可能性があることが分かった。SARSの主因とされるコロナウイルスは動物とのかかわりが指摘されており、香港の衛生当局は検出したウイルスを詳しく調べている。

 この猫は、隔離されたE棟で飼われており、飼い主の家族がSARSに感染していた。猫の便を調べた結果、コロナウイルスが検出されたという。衛生当局は、飼い主と猫のウイルスが同一かどうかの確認はできておらず、ヒトと動物の感染の可能性について慎重に調べている。

 一方、発生源とされる広東省の初期の患者については、野生動物からの感染との見方が強まっている。香港紙の報道によると、広東省の衛生当局者は、野生の鳥やアヒル、ハト、フクロウなどを調理した住民がSARSに感染したことを明らかにした。別の当局者は、昨年11月に省内の調理師がアリクイの一種のセンザンコウを処理した際に負傷し、入院後に肺炎に似た症状を示したと指摘している。

危険情報、新たに6地域 新型肺炎で外務省

2003年04月04日 The Sankei Shimbun
 外務省は4日、新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)への対策として、感染者が出ている台湾、シンガポール、中国・山西省、マカオ、ベトナム・ハノイ、カナダ・トロントの6地域の在留邦人や渡航者を対象に「十分注意してください」と注意を促す危険情報を出した。

 また、既に危険情報を出している流行の中心地、中国・広東省と香港の邦人に対応するため医療専門家を派遣し、感染予防用のマスク1万枚を送ることも決めた。

 外務省によると、6地域のうちマカオ以外は地域内で人から人への感染が起きており、世界保健機関(WHO)が「感染地域」に指定している。マカオは感染者が1人しか確認されていないが、香港経由で出入国する旅行者が多いという。

 外務省は、タイ政府が流行地域からの旅行者の健康状態を厳しくチェックし、入国拒否もあり得ることを知らせるスポット情報も流した。「今後もWHOの情報を参考にし、新たな感染地域が分かれば危険情報を出すなど適切に対処したい」としている。

 危険情報は4段階あり「十分注意」は最も低いレベル。広東省、香港には3日、一段階上の「渡航の是非検討」とする危険情報が出ており、不要不急の渡航延期を勧告している。

土ぼこりで感染拡大? 香港紙報道

2003年04月04日 The Sankei Shimbun
 4日付の香港紙、明報などは香港政府衛生当局者の話として、新型肺炎(SARS)の感染が爆発的に拡大した香港のマンション地区「アモイ・ガーデン」の感染経路について、近くの建設現場で感染した作業員が立ち小便し、ウイルスを含んだ土ぼこりが風で運ばれた可能性があると伝えた。

 アモイ・ガーデンでは計242人が感染。100人以上の感染者が見つかったE棟から約15メートル離れた場所にビルの建設現場があり、工事の請け負い業者は、作業員の1人がSARSと診断されたことを明らかにしたという。

 ただし現場にいたほかの作業員約200人は感染しておらず、衛生当局は排せつ物のサンプルを採取して分析するなど調査を進めている。(共同)

SARS、生活環境が感染源の可能性

2003年04月02日 (共同) The Sankei Shimbun
 世界保健機関(WHO)のヘイマン感染症対策部長は2日の記者会見で、アジアを中心に流行している新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)について、香港では上水や下水システムなどの生活環境が感染源となっている可能性があると語った。空気感染の可能性は否定した。

 中国・広東省と香港に対する渡航延期勧告を出した理由については、広東省では3月に新規感染者が361人発生し、うち9人が死亡したことや3月15日以降に香港から戻ってきたシンガポールのビジネスマンら計9人がSARSに感染していたことなどを挙げた。

 ヘイマン部長は、渡航延期勧告について「(内容を)変更する必要があるかどうかを毎日検討する」と述べ、感染拡大の封じ込め確認など情勢に変化があれば、勧告の取り消しはいつでもあり得るとの認識を示した。

 部長は、中国が2日までに、SARS対策でWHOに全面協力を確約したと語った。WHOの専門家チームが現地入りして中国当局と調査に当たるほか、中国政府は2日中にSARSに関する「すべての情報」をWHOに提出する予定という。

 重症急性呼吸器症候群(Severe Acute Respiratory Syndrome=SARS) 38度以上の高熱が急に出たり、せき、呼吸困難など重い肺炎と同様の症状を起こす感染症。今年2月下旬、香港やベトナムで患者が確認され始め、ホテルやマンションなどでの集団感染も次々に報告された。世界保健機関(WHO)のまとめでは4月1日現在、17の国、地域で1800人以上が感染し、うち62人が死亡している。WHOは、昨年11月から中国南部で発生していた肺炎もこの病気だとしており、流行はここから広がったとみられている。原因は、風邪などを引き起こすコロナウイルスの一種とみられている。

広東、香港へ渡航延期勧告 原因不明の肺炎でWHO

2003/04/02 中国新聞ニュース
 【ジュネーブ2日共同=藤井靖】アジアを中心に広がっている肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)について、世界保健機関(WHO)は二日、患者が多く報告されている中国・広東省と香港への渡航を延期するよう求める勧告を出した。ヘイマン感染症対策部長が同日、ジュネーブで緊急会見し、明らかにした。

 SARSが今年二月に問題化して以来、WHOは航空機の利用者らに対し、呼吸困難や高熱などの症状に注意するよう呼び掛けてきたが、渡航延期を求めたのは初めて。

 国連機関が感染症対策として、これだけ広い地域を対象に渡航延期を求めるのは極めて異例。広東省と香港は、中国南部の経済の中心地だけに、今後、観光をはじめ中国経済や日本の進出企業にも大きな影響が出そうだ。

 SARSは一日の時点で、アジアを中心に計千八百四人が感染、うち六十二人が死亡した。このうち香港は感染者が六百八十五人(うち十六人死亡)、広東省は八百六人(同三十四人)。感染の封じ込めもできていないことから、WHOは感染拡大の防止措置として渡航延期勧告を決めた。

 WHOは渡航延期勧告が、観光、ビジネス客の激減など、経済的、社会的にも大きな影響があるとして、慎重に検討を進めてきた。

 ヘイマン部長は勧告発表に当たり、国際航空運送協会(IATA)やWHOの地域事務所と事前協議―などの手続きを踏んだ上で、香港と広東の両当局には一日、勧告を事前通告したと説明した。

中国政府が肺炎対策強化

2003年04月02日 The Sankei Shimbun
 中国中央テレビによると、中国の温家宝首相は2日、国務院(政府)の会議を開き広東省や香港などで流行している新型肺炎(SARS)対策を検討、張文康衛生相をトップとする肺炎予防・治療指導グループを組織し感染者の拡大防止に全力を挙げる方針を確認した。

 世界保健機関(WHO)との協力を強化するとともに、記者会見などを通じて情報公開に努める方針を決めた。

 中国政府はこれまでSARSに関する情報公開に消極的で、対応策も不明確だったが、国内外からの批判を受け重い腰を上げた格好だ。(共同)

中国内の死者は46人に SARS

2003年04月02日 The Sankei Shimbun
 アジアで猛威を振るう新型肺炎(SARS)の調査のため中国入りしている世界保健機関(WHO)の専門家チームは2日、北京で記者会見し、中国衛生当局から得た最新の統計で、中国内の死者は46人、患者は1190人に達したと発表した。

 これまで発生が確認されていた広東省、山西省以外に、広西チワン族自治区、湖南省、四川省でも患者が見つかった。

 2日現在の患者数の内訳では、広東省1153人(うち死者40人)と大半を占めている。

 チームは患者が集中する広東省の調査を中国側から許可され、3日から4、5日間現地入りし、入院患者や衛生当局者から事情を聴く方針。(共同)

香港紙、中国政府を批判 SARS情報非公開で

2003年04月02日 The Sankei Shimbun
 中国・広東省で大流行した新型肺炎(SARS)とみられる疾病情報を迅速に公開しなかったとして、香港紙の一部が、中国政府への批判を強めている。

 香港でも猛威を振るうSARSの感染源が同省とみられているため、大きな被害に遭った市民の怒りを代弁した形だ。

 2日付の香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは社説で、中国政府の情報提供の遅れで「流行が世界的に広まった」と批判。「国際社会が求める中国の重要性を理解すべきで、国家イメージを損なうといった時代遅れの考えを捨てるべきだ」と訴えた。

 日刊紙、信報の論評記事も「北京政府は肺炎の警告を出さなかったばかりか、感染状況についてもぐずぐずして発表しなかった」と指摘。「報喜不報憂(不愉快なことを伏せて、良いことだけを知らせる)はもともと一党支配政治の特色で、情報の抱え込みが常態化している」と断じた。(共同)

上海でも1人感染の疑い SARS

2003年04月02日 The Sankei Shimbun
 上海市衛生局は2日、重症急性呼吸器症候群(SARS)とみられる肺炎に感染した疑いのある患者1人が見つかったと発表した。

 患者は上海市内の企業に勤める30代の女性。3、4日前に広東省に出張し、上海に戻った後、発熱やせきなどの症状が出たため、病院で検査した結果、感染の疑いがあることが分かった。

 衛生局の劉俊局長は「上海は海外から人の出入りが多く、感染(拡大)の情勢はとても厳しい。(感染者が今後増加する)可能性は排除できない」としている。(共同)

なぞの肺炎 感染拡大は止まらず 中国

2003年04月02日 The Sankei Shimbun
 中国広東省政府は2日、これまで感染拡大は止まったとしていた重症急性呼吸器症候群(SARS)とみられている肺炎の感染がなお続いていることを認めた。同省政府によると、感染者は3月だけで361人に上り、9人が死亡した。

 発表によると、感染者数は3月上旬に145人、中旬に128人、下旬に88人。同政府は発熱や頭痛、せきなど疑わしい症状がある場合は、すぐ診察、治療を受けるよう呼び掛けている。

 アジアを中心に感染が広がっているSARSの感染は広東省内で始まったとみられており、世界保健機関(WHO)などは同省への調査チーム派遣を計画、最新のデータを公開するよう求めたが、同省はこれに応じていなかった。(共同)

謎の肺炎:感染経路は不明 香港の高層マンション

2003年04月01日 [毎日新聞] Mainichi INTERACTIVE
 【香港・成沢健一】香港の高層マンションで重症急性呼吸器症候群(SARS)の集団感染が深刻化している問題で、感染経路をめぐる謎が深まっている。SARSはせきやくしゃみによる飛まつ感染が主な経路とみられ、他の地区では集団感染が起きていない。衛生当局は、このマンションは特異なケースとみており、空気感染や汚水管を通じた感染の可能性も含めて調査している。

 これまでに237人の感染が確認された高層マンション群「淘大花園(アモイガーデン)」=19棟=では、感染者のほぼ半数を占めるE棟(33階)に住む親族を訪ねてきた男性が感染源とみられている。男性は直前まで新界地区の病院に入院しており、この病院では100人以上のSARS感染者を出していた。

 31日に隔離措置が取られたE棟で感染者を出した世帯の多くは、13階以上の高層階と東向きの部屋という二つの共通項がある。注目されるのが、高層階の住民が比較的長く利用するエレベーターだ。原因ウイルスとされるコロナウイルスは、乾燥した場所でも3時間は生存すると専門家は指摘する。エレベーター内の換気設備に衛生上の問題があれば、ウイルスが高層階の住民を直撃する可能性が高い。

 一方、衛生当局は、マンションの外壁に敷設され、地下に伝わる汚水管も調査の重点対象としている。ウイルスが便に含まれていた場合、何らかの原因で汚水管からウイルスが漏れれば、通気口などを通じてウイルスが飛散する可能性がある。特に、最近は東風の強い日が多かったことから、東向きの部屋に感染者が多いこととの関連を指摘する専門家もいる。

香港で食料品買いだめ騒ぎ

2003年04月01日 The Sankei Shimbun
 重症急性呼吸器症候群(SARS)が猛威を振るう香港で1日、「香港政府が伝染病汚染地域宣言を出し、空港や港が閉鎖される」とのうわさが広まり、食料の在庫不足を恐れた市民が一時、スーパーマーケットにコメなどを買いだめに走る騒ぎになった。

 政府はただちにうわさを否定したが、香港でのSARS拡大の勢いは衰えておらず、政府が感染者隔離センターを設立する案を打ち出すなど、市民の間では日増しに不安が広がっている。

 また、31日までに200人以上の爆発的感染が確認されたマンション地区の「アモイ・ガーデン」の感染は、トイレ用下水道から広がった可能性が高いとみられている。

 香港の同日までのSARS感染者は前日から75人増えて685人、死者数は16人に達した。(共同)

豪でも初のSARS患者…シンガポールから帰国

2003/04/01 読売新聞 Yomiuri On-Line
 【シドニー=平井道子】オーストラリア保健省は1日、豪州でSARS(重症急性呼吸器症候群)の患者が発生していたことを確認し、世界保健機関(WHO)に通報したと発表した。この患者は2月中旬に2日間シンガポールに滞在した男性で、豪州に帰国後、せきや熱、呼吸困難などの症状が出たため、シドニーの病院に入院した。男性はすでに回復している。

 豪保健省は、これまでに豪国内でSARSと疑われる30人以上の患者を調査したが、WHOの基準に照らしてSARSと診断されたのは初めてだという。

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