TOPIC No.5-29 歯科医師国家試験漏えい事件/奥羽大学

奥羽大理事長から事情聴取 歯科医師国家試験漏えい事件

2001.02.23(23:13)asahi.com
 歯科医師国家試験の漏えい事件で、警視庁薬物対策課は23日までに、奥羽大学の影山英之理事長から参考人として事情聴取した。歯科医師法違反罪で起訴された元教授楠憲治被告(54)が試験問題を学生に漏えいした背景には、大学側の過剰な「合格至上主義」があったとされており、警視庁は、大学側の国家試験対策について説明を求めたとみられる。

 同課の調べに対し、影山理事長は漏えい事件について、大学側の関与を否定したという。

 関係者によると、合格率が低かった昨春の国家試験後、同大学は科目ごとの学生の正答率を出した。正答率が5割を切った3科目の担当教授に対して、最高幹部は「来年も低かったら給料を減らす」と話したという。

 実際にほとんどの教授、助教授が給料の調整手当をカットされたという。

 同課の調べに対し、楠被告は学校側から合格率を高めるための圧力を感じた、という趣旨の供述をしたという。同課は、楠被告が自分の受け持つ口腔(こうくう)衛生学分野の成績を上げなければならない、と追い込まれていったのではないかとみている。

東京医科歯科大、教授らを停職など処分 不正経理問題で

2001.01.31(21:11)asahi.com
 東京医科歯科大学(東京都文京区、鈴木章夫学長)は1月31日、歯学部の研究室でカラ出張などの不正経理が行われていたとして、同学部の西村文夫教授(65)ら3人の教授、助教授を停職などの懲戒処分にした。学内の調査委員会の調べで、不正は3つの研究室にまたがっていたことが明らかになり、不正に受給された公金は388万4080円に上った。

 懲戒処分を受けたのは、歯学部歯科理工学第1講座の西村教授(停職1カ月)▽同講座の高橋英和助教授(45)(減給6カ月)▽同学部顎(がく)顔面機構制御学講座分子神経生物学分野の野崎修一教授(55)(戒告)の3人。江藤一洋・歯学部長も管理責任を問われて訓告処分になった。

 同大学の調査委の調べによると、西村教授の研究室では、1995年度から99年度までの5年間で計37件、約217万円のカラ出張が行われていた。研究補助員の「カラ雇用」も約29万円あった。

 また、同学部付属の衛生士学校と技工士学校で西村教授が非常勤講師を引き受けながら、実際には助手に講義させ、計約113万円の手当を研究室で自由に使えるようにしていた。

 野崎教授の研究室と、別のもう1つの講座でも、計約30万円分のカラ出張などが見つかった。

 ねん出された金の使途について、同大学は「私的な流用はなかった」としている。江藤学部長は「公金を使うことの自覚が足りなかった」と話している。

奥羽大元教授と北海道医療大教授起訴 漏えいは18問

2001.01.26(20:41)asahi.com
 歯科医師国家試験問題の漏えい事件で、東京地検は26日、奥羽大学歯学部元教授の楠憲治(54)と、当時の国家試験委員で北海道医療大学教授の上田五男(59)の両容疑者を歯科医師法(試験委員の不正行為の禁止)違反の罪で東京地裁に起訴した。漏えいした試験問題は当初3問とされたが、その後の調べで18問だったことが分かった。

 起訴状などによると、上田容疑者は昨年3月に実施された第93回歯科医師国家試験の試験委員として、口腔(こうくう)衛生学分野の問題作成を担当していた1999年11月ごろ、同じく試験委員だった日本歯科大教授の丹羽源男容疑者(56)とともに、出題予定だった問題計25問のうち18問をファクスなどで、楠容疑者に漏らしたとされる。

 楠容疑者は昨年2月に実施された奥羽大の卒業試験にこの18問の内容を盛り込んだうえ、卒業試験後の講義の場で11問の内容と解き方を説明し、学生に漏らしたとされる。

 楠容疑者は上田容疑者に対し、「学生の合格率が悪いと学内での立場が危なくなる。何としても頼む」などと依頼していたという。 上田容疑者は調べに対し、「後輩の楠容疑者の学内での評価を上げてやりたかった」と話しているという。一方、丹羽容疑者は容疑を否認しているという。

日本歯科大教授も逮捕 奥羽大の歯科医師国試漏えい事件

2001.01.10(21:28)asahi.com
 奥羽大学を舞台にした歯科医師国家試験の漏えい事件で、警視庁薬物対策課などの捜査本部は21日、新たに当時の国家試験委員で、日本歯科大学(東京都千代田区)の教授丹羽源男容疑者(56)=東京都豊島区南長崎2丁目=を歯科医師法(試験委員の不正行為の禁止)違反容疑で逮捕した。同様に試験委員だった北海道医療大学の教授上田五男容疑者(59)とともに、国家試験に出題予定の問題を奥羽大元教授楠憲治容疑者(54)に漏らした疑いが持たれている。3人はファクスで情報をやりとりしていたという。

 調べでは、丹羽容疑者は昨年3月に実施された第93回歯科医師国家試験に先立つ1999年11月ごろ、試験に出題予定だった口腔(こうくう)衛生分野の問題計25問のうちの3問を、上田容疑者とともに楠容疑者に漏らした疑い。楠容疑者は昨年2月に実施された奥羽大の卒業試験にこの3問を盛り込んだうえ、その後の特別講義の場で問題の解き方を説明したとされる。

 楠容疑者は試験委員の2人に問題の漏えいを依頼していたという。これにこたえるために、丹羽容疑者は逮捕容疑となった3問を含めた複数の問題について、キーワードなどをファクスで上田容疑者に送った。上田容疑者はこれに自らの情報を加えてまとめ、楠容疑者にファクス送信したという。捜査本部は、ファクスに記された詳しい内容の把握を進めている。

 調べに対し、丹羽容疑者は「上田教授と国家試験情報のやりとりはあった」と容疑の一部を認めているが、逮捕容疑の3問を流したことについては「分からない」としているという。

 丹羽容疑者は、学会などで楠容疑者と面識があり、上田容疑者とは専門分野を通じて親しい間柄だったという。

問題教わったのは間違いない 奥羽大元教授容疑認める

2001.01.10(17:29)asahi.com
 歯科医師国家試験問題の漏えい事件で、歯科医師法違反容疑で逮捕された奥羽大学の元教授楠憲治容疑者(54)が警視庁薬物対策課などの捜査本部の調べに対し「国家試験の出題内容を教わり、卒業試験に出題したのは間違いない」などと容疑を大筋で認める供述を始めたことが15日、分かった。一方、当時国家試験委員だった北海道医療大学の教授上田五男容疑者(59)も漏えいを認める供述を始めているという。捜査本部は、具体的な漏えいの中身や経緯を調べている。

 調べでは、楠容疑者が大筋で漏えいを認めているのは、口腔(こうくう)衛生分野計25問のうち逮捕容疑となった3問を含め10数問。昨年9月以降、上田容疑者から、電話や学会で会った時などに出題内容の一部を聞き出したという。また、「上田先生が歯科医師法違反に問われることは分かっていた」「結果的に上田先生に迷惑をかけた」とも話しているという。

 一方、上田容疑者も容疑の3問を含めた複数の出題内容について漏えいを大筋で認め、「よくないことをしていることは分かっていた」と話しているという。

大手歯科医師予備校を、歯科医師法違反容疑で家宅捜索

2001.01.10(21:55)asahi.com
 歯科医師国家試験問題の漏えい事件で、警視庁薬物対策課などの捜査本部は10日、奥羽大学を舞台に漏れたとされる試験問題の情報が、大手予備校を通じても一般学生に流れていた疑いがあるとして、歯科医師法違反容疑の関連先として東京都新宿区の歯科医師国家試験予備校「DES歯学教育スクール」の家宅捜索をした。

 調べでは、同校は東京、大阪、北海道に校舎があり、歯科医師国家試験の受験生を対象に模擬試験や講習会を開いている。昨年3月の国家試験の直前には、奥羽大の「国家試験対策委員会」などの学生グループと共催で、福島県内の公共施設で講習会を開いたほか、奥羽大や北海道医療大の教員らがアルバイトで講師を務めるなど両大学との関係が深かったとみられる。

 捜査本部の事情聴取に対して講習会に参加していた受験生の一部は、この講習会の場でも、逮捕された奥羽大学の元教授楠憲治容疑者(54)が漏らしたとされる国家試験問題について、言及があったという趣旨の供述をしているという。

 捜査本部は、漏えいした情報が、奥羽大以外の受験生にも流れた可能性があるとみている。

 DES歯学教育スクールの青木敏常務は、朝日新聞社の取材に対し「楠元教授には1回しか会ったことがない。国家試験に関する情報をもらったなんてことは絶対にない。別の人を介して情報をもらったこともない」と話している。

奥羽大・荘司格一学長が進退伺提出 漏えい事件で引責

2001.01.09(23:11)asahi.com
 奥羽大学の荘司格一学長は、歯科医師国家試験漏えい事件の責任をとって、9日、影山英之理事長に辞意を伝え、進退伺を提出した。進退伺は理事会にはかられるが、理事会がいつ開かれるかは、決まっていない。

北海道医療大学などを家宅捜索 歯科医師法違反容疑で

2001.01.09(22:17)asahi.com
 歯科医師国家試験問題の漏えい事件で、警視庁薬物対策課などの捜査本部は9日午後、歯科医師法違反容疑で逮捕された奥羽大学元教授の楠憲治(54)=福島市鎌田一本松=、北海道医療大学教授の上田五男(59)=札幌市北区あいの里2条7丁目=の両容疑者宅と、北海道石狩支庁にある北海道医療大学など計4カ所を同法違反容疑で家宅捜索した。

 調べによると、昨年の国家試験の試験委員だった上田容疑者は1999年9月ごろ、出題が予定されていた口腔(こうくう)衛生学の問題25問のうち3問を楠容疑者に漏らし、2000年2月末に同大学で実施された卒業試験に盛り込み、試験後に解説するなどして学生に漏らした疑い。

逮捕の上田教授を懲戒処分 漏えい事件で北海道医療大

2001.01.09(21:19)asahi.com
 北海道医療大学歯学部(北海道石狩支庁当別町)は9日、臨時教授会を開き、歯科医師国家試験の問題の漏えいに関与したとして逮捕された上田五男教授(59)を同日付で口腔(こうくう)衛生学講座から外すとともに、同大歯学部付属歯科衛生士専門学校副校長の職を解く懲戒処分を決めた。松田浩一歯学部長が同日午後の会見で明らかにした。松田学部長は大学内で国家試験の問題が漏えいした可能性については、「ないと思う」と改めて否定した。

 松田学部長は「国家試験を本学の教授が傷つけることとなったことをおわびします」と謝罪し、上田教授の処分について「事実関係がすべて固まったわけでないが、逮捕という事態を重大に受けとめた」と説明した。また、上田容疑者が起訴された場合には「さらに重い処分を検討する」と答えた。

 松田学部長は、同大の国家試験受験生の過去の正答率が急激に上がった事実がないことや、合格率に大きな変動がないことなどをあげ、「現時点では学内で試験問題の漏えいがなかったと信じている」と話した。

複数の奥羽大教授が関与か/国家試験漏えい事件

2001.01.08 The Sankei Shimbun
 奥羽大(福島県郡山市)元教授らによる歯科医師国家試験漏えい事件で、警視庁が奥羽大の卒業生から任意提出を受けたパソコンのハードディスクの中に、既に判明している試験情報以外に国家試験委員を務めていた複数の同大学教授が作成したとみられる試験データが蓄積されていたことが八日、分かった。

 警視庁薬物対策課は大学側が組織的に国家試験に関する情報を集め「講義」などとして学生に教える形で漏らしていたとの見方を強め、卒業生や元試験委員の教授らから詳しく事情を聴いている。

 パソコンに奥羽大元教授楠憲治容疑者(54)が、元国家試験委員で北海道医療大教授の上田五男容疑者(59)から入手したとされる出題予定問題の情報が入っていたことは分かっている。

 調べでは、データは口腔(こうくう)衛生分野とは別の複数の分野にわたっていた。元試験委員の複数の教授が作成に携わった問題のキーワードや解答方法などが含まれていたという。

 このデータは、奥羽大卒業生で六年生当時、国家試験対策の学生委員の中心人物で、現在は国立大大学院生が使っていたノート型パソコンに入力してあった。

 薬物対策課が昨年九月、任意提出を受けて分析したところ、データはパソコン上の「ごみ箱」に移され消去されていたが、ハードディスクを詳しく調べた結果、国家試験に関する情報が入力されていることが分かった。

 卒業生は薬物対策課の聴取に対し「それぞれの先生から個別に教えてもらったり、講義で聞いたりした」と説明した。

 これに対し元試験委員の教授は、共同通信の取材に「まったく心当たりがない」と関与を否定。大学側も楠容疑者の個人的な事件とした上で「組織的なものではない」としている。

奥羽大学長が辞意 歯科医師国家試験漏えい事件で

2001.01.08(03:05)asahi.com
 奥羽大学の荘司格一学長は7日、仙台市の自宅で朝日新聞記者の取材に応じ、歯科医師国家試験漏えい事件の責任をとって辞任する意向を明らかにした。

 荘司氏は同大の元教授が逮捕されたことについて「国家試験の威信を傷つけ申し訳ない。監督する立場にあった私にも責任はある。公の立場なので理事会に一任するが、私としては辞任するつもりだ」と語った。

 また、国家試験の合格率を上げるため、大学が教授たちに過度の圧力を与えていたことが事件の背景としてあげられているが、「歯学部は歯科医師国家試験に合格させるためにある。先生はプレッシャーを感じて当然。問題は個人の資質に帰するべきだ。今後も合格率を上げる教育を推進し、名誉回復につとめる」と話した。

組織的関与を否定 奥羽大歯学部長が会見

2001.01.07(20:52)asahi.com
 歯科医師国家試験の漏えい事件で、奥羽大学の新田敏正歯学部長が7日、郡山市内で記者会見し、楠憲治・元教授が歯科医師法違反容疑で逮捕されたことについて「社会的な問題として国家試験を汚したことを心からおわびしたいと思います」と謝罪する一方、「楠元教授が勝手にやったことと判断している」として、大学の組織的な関与を否定した。今後の対応は「(卒業試験の)問題作成の際、情報をもらわないように口頭で言うしかない」とするにとどまった。

 事件の発端となった厚生省(当時)への匿名電話は同大学の学生からだったことを大学が知ったのは昨年11月だったことを明かし、「通報者が最初から分かっていれば、調査委員会の結論も違ったものになった」などと述べた。同大学は昨年8月に疑惑が浮上した後、新田氏を委員長とする学内調査委を設置、「漏えいの証拠は見つからなかったが、疑惑は残る」との結論を出していた。

北海道医療大が謝罪会見 歯科医師国家試験漏えい事件

2001.01.07(19:37)asahi.com
 歯科医師国家試験の漏えい事件で、歯学部教授の上田五男容疑者(59)が歯科医師法違反容疑で逮捕された北海道医療大学(石狩支庁当別町)の松田浩一歯学部長が7日、同大学内で記者会見し、「社会に対しご迷惑をおかけし大変申し訳ありません」と謝罪した。上田教授の処分は「捜査の進展をみて厳正に対応する」と述べた。

 松田歯学部長は「国家試験委員は、試験の厳正さを保つために、6年生の講義や卒業試験に関与させないようにしていた。今回のことは誠に遺憾だ」と述べた上で、「今後は教授が委員になったときの注意事項を厳守するように徹底する」と話した。

 事件の背景について同学部長は、上田容疑者と奥羽大元教授の楠憲治容疑者(54)が大阪歯大の先輩後輩であることを指摘し、「実際に漏らしたとすれば、仲間同士で油断があったのではないか。心構えに欠けていたのでは」と推測した。

 同歯学部長は厚生省の調査や、報道の度に同教授に話を聞いたが、同容疑者は「私はかかわっていません」と答え続けたという。

奥羽大元教授と国家試験委員、歯科医師法違反容疑で逮捕

2001.01.07(01:25)asahi.com
 歯科医師国家試験の出題内容の一部が事前に奥羽大学(福島県郡山市)に漏れていたとされる疑惑で、警視庁薬物対策課は6日、歯学部元教授の楠憲治(54)と、当時の国家試験委員で北海道医療大学(石狩支庁当別町)歯学部教授の上田五男(59)の両容疑者を歯科医師法(試験委員の不正行為の禁止)違反容疑で逮捕した。厚生省(現厚生労働省)が同容疑で告発していた。歯科医師国家試験をめぐっては、1991年に、当時の試験委員だった鶴見大歯学部教授が、同大学の学生に問題を漏らしたとして、翌年に同法違反容疑で逮捕されている。

 調べに対し、楠容疑者は「上田先生からは教育上の重要な内容は聞いたが、国家試験問題は聞いていない」と否認。上田容疑者は「大学の後輩である楠教授に国家試験に出題予定の問題の一部を教えた」としながらも、漏らしたのは部分的な事で漏えいには当たらない、という趣旨の主張をしているという。

 調べでは、上田容疑者は2000年3月15、16の両日に実施された第93回歯科医師国家試験の試験委員として、口腔(こうくう)衛生学の分野の問題の作成を担当していた99年9月ごろ、同試験に出題される予定だった口腔衛生学の問題計25問のうちの3問を、奥羽大で口腔衛生学を担当していた楠容疑者に漏らした。

 さらに両容疑者は共謀して同年2月17、18の両日に実施された奥羽大の卒業試験にこの3問を盛り込んだうえ、卒業試験後の講義の場でこの問題の解き方を説明し、故意に学生に漏らしていた疑い。

 疑惑は国家試験直前の昨年3月、厚生省に「試験問題が漏えいしている」との匿名の情報が寄せられたことから発覚。同省は、漏えいを指摘された口腔衛生分野の計25問を差し替えて国家試験を実施するとともに、警視庁と連携して漏えいの実態解明を進めてきた。  歯科医師法では、国家試験委員の不正行為を禁じており、試験問題を事前に漏らす行為はこの不正行為に該当する。試験委員でなくても、委員の不正行為に加担した場合にはその共犯として同法違反に問われる。罰則として1年以下の懲役か1万円以下の罰金を定めている。

奥羽大元教授と国家試験委員、歯科医師法違反容疑で逮捕

2001.01.06(20:55)asahi.com
 歯科医師国家試験の出題内容の一部が事前に奥羽大学(福島県郡山市)に漏れていたとされる疑惑で、警視庁薬物対策課は6日、歯学部元教授の楠憲治(54)と、当時の国家試験委員で北海道医療大学(札幌市)歯学部教授の上田五男(59)の両容疑者を歯科医師法(試験委員の不正行為の禁止)違反容疑で逮捕した。調べに対し、楠容疑者は容疑について否認し、上田容疑者は認めているという。歯科医師国家試験をめぐっては、1991年に、当時の試験委員だった鶴見大歯学部教授が、同大学の学生に問題を漏らしたとして、翌年に同法違反容疑で逮捕されている。

 調べでは、楠容疑者は99年10月ごろ、当時国家試験委員を務めていた上田容疑者から、電話などで2000年3月15、16の両日に実施された第93回歯科医師国家試験に出題される予定だった口腔(こうくう)衛生学の分野の出題内容を聞き出した。そのうえで、楠容疑者は2000年2月17、18の両日に実施された奥羽大の卒業試験に、国家試験に出題予定の口腔衛生分野の問題3問と酷似した問題を盛り込むとともに、卒業試験後の講義の場でも解説するなどして学生に漏らしていた疑い。

 疑惑は国家試験直前の昨年3月、厚生省(現厚生労働省)に「試験問題が漏えいしている」との匿名の情報が寄せられたことから発覚。同省は、漏えいを指摘された口腔衛生分野の計25問を差し替えて国家試験を実施するとともに、警視庁と連携して漏えいの実態解明を進めてきた。

 これまでの厚生労働省や奥羽大などの調べに対し、楠容疑者は上田容疑者ら2人の試験委員の名前をあげ、電話などで国家試験の出題内容について聞き出したことを認めているという。「会話の中でヒントとなるキーワードを聞き出した」などとしており、この責任を取る形で昨年9月末、同大を辞職した。また、上田容疑者は朝日新聞の取材に対し、楠容疑者と会話した事実は認めたが、漏えいについては否定していた。

 警視庁は、奥羽大を昨春卒業し、国家試験を受験した卒業生から一斉に事情聴取を進めた結果、一部の卒業生が、卒業試験前後に開かれた楠容疑者の講義で国家試験の出題内容に触れる説明があったという趣旨の話をしたという。

 歯科医師法では、国家試験委員の不正行為を禁じており、試験問題を事前に漏らす行為はこの不正行為に該当する。試験委員でなくても、委員の不正行為に加担した場合にはその共犯として同法違反に問われる。

奥羽大元教授から事情聴取 歯科医師国家試験漏えい容疑

2001.01.06(11:41)asahi.com
 昨年3月にあった歯科医師国家試験の出題内容が、事前に奥羽大学(福島県郡山市)に漏れたとされる疑惑で、警視庁薬物対策課は6日午前、国家試験の出題内容を盛り込んだとされる卒業試験の作成経緯などを調べるため、同大学の口腔(こうくう)衛生学担当の元教授(54)から事情聴取を始めた。同課はこれまでに、同大学を昨春卒業した卒業生や大学関係者から事情聴取を進めてきたが、元教授が卒業試験やその後の講義の場などで学生側に漏らしていた疑いが強まったとみられる。元教授には歯科医師法違反(試験委員の不正行為の禁止)の疑いが持たれており、警視庁は漏えい疑惑の全容解明を目指す。

 厚生省や警視庁の調べでは、元教授は一昨年10月ごろ、私立歯科大学の教授ら国家試験委員と電話で話をした際、口腔衛生学に関連した出題のテーマやキーワード、問題形式などの情報を入手した疑惑が持たれている。元教授はこれをもとに、環境汚染物質に関する問題、歯周病と喫煙の相関関係を問う問題、だ液の性質の問題の計3問を昨年2月末に実施された卒業試験に盛り込んだとされる。

 元教授は卒業試験の前後、大学で開かれた特別講義や自らの講義の場で、これらの問題を解説したとされる。警視庁は卒業試験を受験し、この講義に出席した卒業生から事情聴取を進めてきた。その結果、一部の卒業生が、元教授の講義で国家試験の出題内容に触れる説明があったという内容の話を供述しており、出題内容が漏れていた疑いが強まったとして、元教授から事情を聴く必要があると判断した。

奥羽大、昨春国家試験も漏えいか 正解率が突出

2000.11.04(14:06)asahi.com
 歯科医師国家試験の出題内容が、事前に奥羽大学(福島県郡山市)に漏れたとされる疑惑で、昨年実施の第92回歯科医師国家試験でも同大側に内容の一部が漏れていた疑いのあることが4日、警視庁薬物対策課と厚生省の調べで分かった。今春の場合と同様に口腔(こうくう)衛生学の分野で、同大の卒業試験の問題と国家試験の一部が酷似していたという。国家試験では、同大出身者の正解率がほかの大学出身者の平均と比べて倍以上も高かった。警視庁は、前年にも国家試験情報が奥羽大側に漏れ、同大の学生の好成績につながった疑いがあるとみて調べている。

 調べでは、昨年の国家試験で漏えいしていた疑いがあるのは、歯垢(しこう)の形成要因について誤った選択肢を答えさせる問題。直前にあった奥羽大の卒業試験に酷似した問題があり、「静電的相互作用」「共有結合」「レクチン」など5つの選択肢の用語がほぼ同じで、正解肢「共有結合」も同じだったという。

 歯垢の形成要因についてを問う問題は、過去20年の国家試験で1度しか出題されたことがなく、昨春のほかの大学の卒業試験や予備校の実施する模擬試験、代表的な参考書にも記載がなかったという。

 厚生省によると、この問題の正解率は、奥羽大を昨春卒業した受験生が約91%。ほかの大学を卒業した受験生の平均正解率約35%に比べて格段に高かった。さらに計29校の出身大学別で正解率をみると、奥羽大に次ぐ正解率の大学でも60%台にとどまっており、40%台に8校が集中していた。

 また昨春の国家試験の成績では、歯垢についての問題以外にも奥羽大出身者の成績がトップを占めた問題が、口腔衛生学の分野で5問あるという。

 口腔衛生学の分野24問の合計の成績でも、奥羽大出身者は全国29大学中トップだった。一方、漏えい疑惑が発覚して試験直前に問題が差し替えられた今春は最下位に落ちた。

 口腔衛生学の成績が100点満点換算で60点未満だった受験者の占める割合を分析したところ、奥羽大の場合、昨年はわずか約13%だったが、今年は約65%に激増した。昨年と今年の成績を比べた成績下降の幅は、奥羽大が全国29大学中最大。前年を下回ったのは奥羽大を含めてわずか2大学で、もう1つの大学の成績下降幅も8.57ポイントにすぎず、奥羽大の今春の成績悪化は突出している。

 昨年の卒業試験も今春と同様に口腔衛生学担当の元教授(54)が一部を作成していたとされる。警視庁は、昨年も国家試験と酷似した出題内容が卒業試験に採用されていた疑いがあるとみて、卒業試験を作成した経緯についても調べている。

奥羽大の卒業試験、「ありえない」ほど国家試験と一致

2000.11.04(03:14)asahi.com
 歯科医師国家試験の出題内容が奥羽大学(福島県郡山市)に漏れたとされる疑惑で、同大の卒業試験問題で使われたキーワードや出題テーマの多くが、国家試験に出題予定だった問題と一致していたことが3日、警視庁薬物対策課や厚生省の調べで分かった。

 一致していたのは口腔(こうくう)衛生学の分野で、国家試験の中で使われたキーワード計215個のうち約3割に当たる71個が卒業試験問題と一致していた。警視庁は、同大の口腔衛生学担当の元教授(54)が歯科医師国家試験委員から相当数のキーワードなどの出題内容を聞き出していた疑いがあるとみて調べている。

 調べでは、国家試験、卒業試験ともに口腔衛生学分野の問題は25問あり、国家試験の25問の中で使われたキーワードは計215個だった。このうち「トータル・ヘルス・プロモーション(THP)」「揮発性硫化物」「スタテリン」など71個のキーワードが、今年2月にあった奥羽大の卒業試験と合致していた。一致率は33%に及んだ。

 厚生省が同大を除く16私立大学の卒業試験を点検したところ、キーワード一致率の平均は約15%にすぎなかった。さらに、奥羽大ほどの一致が偶然に起こりうる確率の計算を統計学者に依頼したところ、限りなくゼロに近い数字が出たという。

 一方、出題テーマも、計25問のうち「CPITN(歯周治療必要度指数)」「歯科疾患実態調査」「フッ化物配合歯磨剤」「ベーチェット病」「リーベルとクラーク(人名)の疾病予防概念」など17問が一致していた。他の大学では、卒業試験と国家試験とで一致するテーマは平均すると数問にすぎず、奥羽大の一致率が極めて高かったという。これについても統計学者は、極めて低い確率を算出したという。

 元教授は、2人の国家試験委員と電話などで話した際に出題内容を入手した疑いを持たれており、厚生省の調べに対し、一度は漏えい疑惑を認める証言をしたとされる。しかしその後、同大の調査委員会に対し、「会話の中でキーワードを聞き出したが、漏えいとの認識はなかった」としているという。聞き出したキーワードは「CPITN」「実調(実態調査)」など数個だったという。

 警視庁は、元教授が、漏えい疑惑の焦点になっている3問以外にも出題内容にかかわる情報を得たうえで、卒業試験や講義の場で学生側に漏らしていた可能性もあるとみて、講義に出席していた卒業生らから一斉に事情聴取を進めている。

歯科医師国家試験漏えい事件/奥羽大学 -奥羽大、昨春国家試験も漏えいか 正解率が突出(11/04)-

奥羽大元教授を聴取へ 歯科医師試験漏えい疑惑で警視庁

2000.11.03(03:04)asahi.com
 今年3月にあった歯科医師国家試験の出題内容が、事前に奥羽大学(福島県郡山市)に漏れたとされる疑惑で、警視庁薬物対策課は2日までに、同大学を今春卒業し、国家試験を受験した卒業生から一斉に事情聴取を始めた。同大学の口腔(こうくう)衛生学担当の元教授(54)は、国家試験委員から出題内容を聞き出し、これを卒業試験やその解説をした講義の場で学生側に漏らした疑いが持たれており、一斉聴取は元教授の講義内容の把握が目的とみられる。一部の卒業生は、元教授の講義で国家試験の出題内容に触れる説明があったという趣旨の話をしている、という。警視庁は近く、元教授からも歯科医師法違反の疑いで事情を聴き、疑惑の解明を目指す。

 警視庁と厚生省のこれまでの調べでは、元教授は今年3月15、16の両日に実施された第93回歯科医師国家試験に出題される予定だった問題の一部を、複数の国家試験委員から電話などで聞き出したとされる。

 漏えいが確認されたのは、口腔衛生分野の25問のうち環境汚染物質に関する問題、歯周病と喫煙の相関関係を問う問題、だ液の性質の問題の計3問。元教授はこの3問と酷似した問題を卒業試験に出題したとされる。

 さらに試験直後に、大学で開かれた特別講義や自らの講義の場で、これらの問題について解説をしたという。

 一部の卒業生は警視庁の聴取に対し、卒業試験後に元教授の講義の場などで卒業試験の解説があったことを認めたうえで、国家試験についても言及があった、という内容の話をしているという。

 また、警視庁は大学側から、今春や過去の卒業試験問題のほか、漏えい疑惑発覚後にこの問題を話し合ったとみられる教授会の議事録などについて、任意で提出を受けている。

 これまでの厚生省や奥羽大学の調査に対し、元教授は私立歯科大学教授の試験委員2人の名をあげ、電話などで試験問題について話したことを認めている。元教授は「会話のなかでヒントとなるキーワードを聞きだした」などとしており、責任を取る形で今年9月末、同大学を辞職している。

 試験委員の2人は会話の事実は認めているものの、漏えいについては否定しているという。2人は、朝日新聞の取材に対しても漏えいを否定している。

漏えい防止に試験問題プール制導入へ 歯科医師国家試験

2000.09.26(21:40)asahi.com
 今春の歯科医師国家試験の出題内容が事前に漏れたとされる問題で、厚生省は26日、2002年春から国家試験問題を会場で回収して持ち帰らせないようにするなど、問題を1万題ほど集めた中から選定して出題する「プール制」導入に向けた具体策に取りかかる方針を決めた。同省は、問題を毎年作成する現行方式に比べて出題可能性の範囲が広がることから、漏えいの危険性が下がると見ている。

 出題数も、現在の280問から330問に増やし、うち約30問を医療倫理や社会問題を問う分野とする。出題された試験問題を一部修正しながらプールするのと並行し、全国の大学歯学部などから公募する方法も検討する。問題数などが整い次第、2006年にも導入したい考えだ。

 来春の国家試験問題の作成はすでに始まっており、厚生省は当面の漏えい対策として、73人いる国家試験委員のうち、問題選定にかかわる委員を大幅に減らす対策をとっている。

奥羽大教授が辞職 歯科医師国家試験漏えい疑惑

2000.09.09(03:10)asahi.com
 今春の歯科医師国家試験問題が事前に奥羽大学(福島県郡山市、荘司格一学長)の歯学部卒業試験に漏れたとされる疑惑で、奥羽大歯学部は8日、臨時教授会を開き、疑惑が指摘されている歯学部の口腔(こうくう)衛生学の担当教授(53)の辞職願と、山本茂久歯学部長の学部長職辞職願を承認した。

 担当教授は、厚生省が漏えい疑惑解明のために各大学に卒業試験の問題を提出するよう求めた際、口腔衛生学分野25問のうち6問を差し替えて提出した。国家試験委員の他大学教授と電話で意見交換をし、キーワード10個ほどを教えられたことは認めているが、「漏えいではない」と否定している。

 山本学部長は先月12日、教授会に諮らないまま漏えいの事実を認める報告書を厚生省へ提出。6日後に学内調査委員会に事実関係に誤りがあると批判されて「漏えいと判断できない」と訂正報告するなど混乱を招いた責任を認めて辞職願を出していた。

 山本学部長は、「担当教授が漏えいを認めた」と厚生省に報告したことが「勝手な判断で、混乱を招いた」として、責任論が浮上していた。

奥羽大歯学部長が辞職願を提出 国家試験漏えい疑惑

2000.09.02(03:04)asahi.com
 歯科医師国家試験の内容が事前に奥羽大学(福島県郡山市)の卒業試験に漏れたとされる疑惑で、山本茂久歯学部長が学部長の辞職願を出していたことが1日までにわかった。疑惑発覚後、山本学部長が「担当教授が漏えいを認めた」などと厚生省に報告したことが「勝手な判断だった」とされ、責任論が急浮上したことに対応したとみられる。しかし、担当教授の疑惑解明が棚上げされ、調査した側の学部長の進退に発展する異常な事態に、教授会の中にも「辞職は必要ない」と冷めた意見もある。

 複数の大学関係者によると、辞職願が出されたことは、8月28日の教授会で荘司格一学長が報告したという。

 学内調査によると、厚生省から疑惑の指摘を受けた山本学部長は担当教授に事情を聴き、漏えいの事実を認めたとする報告書を、教授会に諮らずに8月12日、厚生省に提出した。

 18日に発足した学内調査委員会は「担当教授は一貫して漏えいを否定している」などとして学部長の行動を批判。学部長は同日、訂正報告書を厚生省に送った。

 調査委の最終報告書では、「漏えいの疑惑は残る」としながらも「本学の落ち度」として、「歯学部長の事実誤認(思い込み)による書類の提出と撤回」を挙げ、厳しく批判した。

 先月28日の教授会では、「混乱を招いた」として山本学部長の責任を追及する声がほとんどだったという。

 一方で、「山本学部長の報告が明らかに虚偽であったのか、真相はまだ解明されていない」として、辞職する必要はないとの声も一部にはあるという。

 辞職願は荘司学長が預かっており、今後、理事会や教授会で検討される。

奥羽大調査委「灰色」の結論 歯科医師国家試験漏えい

2000.08.25(19:41)asahi.com(時事)
 今年3月の歯科医師国家試験問題の一部が、2月の奥羽大学(福島県郡山市、荘司格一学長)歯学部の卒業試験で漏れていたとされる問題で、内部調査を進めてきた同大調査委員会(委員長・新田敏正教授)は25日、「漏えいの疑惑は残るが、証拠は見つからなかった」などとする報告書を発表した。同大は16日の記者会見で、荘司学長らが漏えいを認め陳謝したが、18日には、調査委が一転して疑惑を否定していた。

奥羽大の学内調査委、一転して灰色疑惑の報告会見

2000.08.26(00:37)asahi.com
 歯科医師国家試験の出題内容が事前に奥羽大学(福島県郡山市)の卒業試験に漏れていたとされる問題で、漏えいを認めた大学側に反発する形で設置された学内の「疑惑調査委員会」が25日、記者会見した。「漏えいとは認められない」と強気の記者会見から1週間。担当教授の証言があいまいであることを認めたうえで、「漏えいの疑惑は残る」と「灰色」であることを認めた。担当教授からの聴取内容も公開されたが、追及も中途半端であるなど、学内調査の難しさを露呈した。

 厚生省に漏えいの事実を認めた歯学部長らに一部の教授が反発して18日、調査委員会が設置され、「担当教授は漏えいとの認識はなく、証拠はない」と激しく学部長を批判した。

 だが、この日の会見では、(1)担当教授の証言があいまいで、相手、時間の経過によって異なる(2)漏えいしたとされる問題が卒業試験と一致するとはいえない(3)国家試験作成者からの漏えいの過程が証明できない――などを挙げ、漏えいの証拠を見つけることができなかったと結論づけ、「漏えいの疑惑は残る」とした。

 5人の委員の見方にずれがあり、意思決定ができなかったため、「疑惑は残る」という表現を加えたという。とくに、厚生省から提出を求められた卒業試験の問題のうち6問を差し替えて提出した経緯について、担当教授から納得のいく説明はなかったという。

 会見では、担当教授から聴取した内容が配られた。「漏えい」にかかわった関係者として、これまで明らかになっていた国家試験委員の別の大学の教授のほかにも、大学関係者の関与をにおわせている。

 担当教授は漏えいしたとされる「環境汚染物質」の問題の用語「ダイオキシン」が、「昨年10月の学会で、学会関係の多くの人は知っていた」などと話している。漏えい疑惑の関係者が増える可能性がある。

奥羽大が疑惑否定へ

2000.08.24The sankei Shimbun
歯科医師国家試験問題漏えい

卒業試験の公表検討

 歯科医師国家試験の漏えい疑惑で、真相究明に向けた調査を進めてきた福島県郡山市の奥羽大(荘司格一学長)歯学部の調査委員会(委員長・新田敏正教授)は二十四日、漏えいがあったと判断する決め手はなかったとして、疑惑を否定する結論を公表する方針を固めた。調査委筋は同日午前、「(捜査権のない)調査委が状況証拠から判断した結果、漏えいがあったとはいえない」と語った。二十五日にも記者会見を開き、漏えいを否定する調査結果にくわえ、疑惑を持たれた卒業試験問題の公表も検討している。

 今月十八日に設置された学長直属の調査委は、電話で試験委員から得た情報をもとに卒業試験を作成した疑惑を持たれている口腔衛生学の教授らから連日聴取した。同教授の話には「不透明な矛盾点も多い」(同筋)が、(1)同教授が漏えいを受けた認識はない(2)問題を漏らしたとされる試験委員も疑惑を否定している(3)卒業試験の原本などを詳しく調べた結果、漏えいの事実があったかどうかの明確な確認はできなかった−などを挙げている。

 奥羽大では十六日に荘司学長らが漏えいの疑惑を認める会見を行ったが、その二日後、調査委が疑惑を否定する会見を行っていた。

さらに1題漏えいか 奥羽大試験疑惑で厚生省指摘

2000.08.21(14:36)asahi.com
 今春の歯科医師国家試験の出題内容が事前に奥羽大(福島県郡山市)の卒業試験に漏れたとされる疑惑で、厚生省は21日、これまでの調査で判明した2問以外の1問も漏えいした疑いがあるなどとして、奥羽大に説明を求める方針を決めた。同日にも要請書を送る。また、厚生省は同日、奥羽大から選ばれていた国家試験委員らから事情を聴いた。

 厚生省などによると、これまで判明したのは環境汚染物質に関する問題と、歯周病と喫煙の相関度を問う問題。これに加えて、だ液の性質を尋ねた問題が新たに浮上した。同大で18日に設置された調査委員会が、国家試験に類似した卒業試験の問題として取り上げた。厚生省は「卒業試験に含まれていたとは大学から聞いていない。提出資料から抜かれていた疑いがある」としている。ただ、大学側は漏えいを否定している。

昨年もよく似た問題 奥羽大学の国家試験漏えい

2000.08.16(00:25)asahi.com
 今春の歯科医師国家試験の出題内容が、事前にあった福島県郡山市の奥羽大学歯学部の卒業試験に漏れていたとされる問題で、その1年前にあった昨春の同大卒業試験でも、直後の国家試験と類似した問題が含まれていたことが15日、厚生省の調査で分かった。同省は、昨春の国家試験でも内容が漏れていた疑いがあるとみて、慎重に調べを進めている。

 類似が判明したのは、今春の国家試験で漏えいが指摘されたのと同じで口腔(こうくう)衛生分野。25問のうち1問が、実際に出題された問題と似ていたという。今春の国家試験をめぐって同大の内部調査に対し、試験内容をほかの大学の教授2人から聞いたと認めている同大教授に問いただしたが、この問題については関与を否定した、という。

別の2大学の教授が関与か、奥羽大の歯科医師試験漏えい

2000.08.15(13:15)asahi.com
 今春の歯科医師国家試験問題が福島県郡山市の奥羽大学の教授に漏れ、卒業試験に使用された問題で、同大教授が大学側の調査に対し、試験問題の入手先として別の2大学の教授の名前を挙げていることが分かった。2人とも国家試験の問題を出題する試験委員を務めている。厚生省は、問題を漏らしたとされるこの2人にも事情を聴く方針。委員は同大教授と同窓関係などの交友があったという。

 また、今年6月から7月にかけて、厚生省は各大学から卒業試験の問題を提出させていたが、奥羽大学から提出された問題は、改ざんされていたことがわかった。国家試験に出題された問題は削除されており、漏えいがわからないようになっていた。

 しかし、厚生省が問題を精査したところ、漏えいが疑われる「灰色」問題と類似した設問を発見。同大学側を問いただした。再度、提出された問題には、国家試験に出題される予定だった問題が1問、含まれていた。

 大学側は「(漏えいを認めた同大教授が)削除して大学側に提出していたため、気付かずに、そのまま厚生省に提出してしまった」と説明したという。

 津島雄二厚相は15日、閣議後の記者会見で、歯科医師国家試験の漏えい問題に触れ「刑事告発も視野に入れ、捜査当局と相談する」と厳しい姿勢を示した。

奥羽大で歯科医師試験の問題漏えい

2000.08.14The Sankei Shimbun
 今年三月に行われた歯科医師国家試験の問題が、福島県郡山市の奥羽大(荘司格一学長)の学生に漏れた上、同大が今年六月、国家試験前に行った卒業試験の問題用紙を提出するよう厚生省から求められた際、漏えいした問題が載っていることを隠すため問題用紙を改ざんしていた疑いの強いことが十四日、同省の調査で分かった。

 大学側は、内部調査で歯学部の卒業試験の担当教授が漏えいの事実を認め、厚生省には「この教授が、漏えい問題を削除した問題用紙を厚生省に提出したことを認めた」と説明したという。

 また大学側は同日までに、この教授が問題の入手先として別の二大学の教授二人の名前を挙げていると報告。厚生省は警視庁に歯科医師法違反容疑などでの告発を検討している。

 厚生省によると、奥羽大歯学部の卒業試験は国家試験前の一月から二月にかけ実施。この中に漏えいしたとされる「口腔(こうくう)衛生」分野の問題二問のうち一問と同一の問題があったという。

 卒業試験の作成にかかわったこの教授は、調査に対し「学外の人から国家試験の問題を入手した」などと、漏えいを認めたという。

 今年三月の国家試験では事前に、予備校生と名乗る男性二人から厚生省に「大学関係者から予備校に問題が流れている」と電話があった。このため同省は、大学の卒業試験に漏えいされた問題が入っていた疑いが強いと判断。今年六月以降、全国の歯科大から過去二年分の卒業試験問題を入手して調べており、同大にも問題用紙の提出を要請した。

 当初、奥羽大から提出された用紙には漏えいされた問題は入っていなかった。しかし、予備校生と名乗る男性から「漏れている」と指摘された十一問のうち、漏えいと認められた二問以外の「灰色問題」に酷似した問題が一問、含まれていた。

 このため厚生省が担当教授を追及。その後この教授は大学側の内部調査の中で、改ざんを認めたという。

 この教授が問題の入手先としている二人はいずれも今春の国家試験の委員で、試験問題を知りうる立場にあったとみられる。

歯科医師試験漏えいか

2000年3月14日 13時52分
 厚生省は14日、歯科医師国家試験の問題の一部が漏えいした疑いが強いとして、問題を差し替えて15日からの試験を実施すると発表した。試験担当者らの不正行為を禁じた歯科医師法に違反する疑いがあり、同省は警視庁と相談し告訴・告発も検討している。

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