TOPIC No.5-28 不妊治療

01.米国カリフォルニア州における卵子提供、代理出産の治療コーディネート- byインターナショナル・ファーティリティ・センター(IFC)
02.不妊治療のニュース by Mainichi INTERACTIVE カモミール
03.不妊治療 (不妊相談施設の活用法/全国の不妊の名医を探せ!)by all about japan
04.不妊治療の問題点(多胎・OHSS・流産)by all about japan
05.不妊治療メモ byかかわ健康福祉情報ネットワーク
06.不妊治療 by医療法人 金井産婦人科
07.倉敷中央病院不妊治療ホームページ
08.男性不妊治療について by医療法人 越田クリニック
09.女性の健康by FINE-club リンク集
10.不妊症・治療について、ちょっとだけ by こまめ日記
11.赤ちゃんが欲しい栄養素のお話
12.日本不妊学会 総会情報
13.不妊治療はいま(2002/02)by神戸新聞

卵子提供、26%が前向き 厚労省研究班が初調査

2007年04月21日 中国新聞ニュース

 不妊に悩む夫婦が別の女性から卵子提供を受け、妊娠を目指す治療について、厚生労働省研究班(主任研究者・吉村泰典慶応大教授)が初のアンケートを実施し、回答した女性の26%が卵子提供に前向きな姿勢を示したことが21日分かった。

 卵子提供は日本産科婦人科学会が倫理規定で禁じているが、同省の厚生科学審議会生殖補助医療部会は2003年、報酬禁止などの条件付きで容認する見解を出した。

 調査した扇町レディースクリニック(大阪市)の朝倉寛之院長は「前向きな女性は意外に多い。提供システムは十分成り立つ可能性がある」と分析。一方で提供に報酬を求める声も目立ち、部会の見解と差があることも明らかになった。

 調査は昨年12月、35歳未満の全国の成人女性を対象にインターネットを使って実施、517人が回答した。

孫は自分の子ども? 娘のために卵子を凍結保存

2007年04月21日 中国新聞ニュース

 【ワシントン19日共同】卵巣が発育不全の7歳の娘が将来、子どもを産めるようにと、カナダ人女性(36)が自分の卵子を凍結保存したことが分かった。19日付のカナダ有力紙グローブ・アンド・メール(電子版)が報じた。

 自分の娘に提供するため卵子を凍結保存するのは少なくとも北米では初めてという。娘がこの卵子を使って出産すれば、生まれた子は女性の孫であると同時に遺伝的には女性の子ということになる。また、生まれた子と娘とは異父きょうだいにもなり、倫理面で議論を呼びそうだ。

 同紙によると、娘は染色体異常で卵巣の発育不全を伴うターナー症候群。女性は娘のために、カナダ・マクギル大生殖センターで21個の卵子を凍結保存した。同大の倫理委員会の承認を得ているという。


不妊治療の助成5年に…「通院2年以上」の実態を考慮

2005年09月03日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 保険適用されていない体外受精などの不妊治療を受ける夫婦の経済的負担を軽減するため、厚生労働省は、来年度から、現在通算2年間に限定している助成期間を5年に延長する方針を決めた。

 所得650万円以下の夫婦が対象で、年間上限10万円の助成金額は変わらない。

 対象は、精子と卵子を体外で受精させ子宮へ戻す「体外受精」と、顕微鏡下で精子を卵子の中へ注入して受精させる「顕微授精」。

 排卵誘発剤の投与や卵管・精管の手術など一般的な不妊治療には医療保険が適用されるが、特殊な生殖補助医療には保険がきかず、体外受精は1回約30万円、顕微授精は約40万円の費用がかかる。1回あたりの妊娠成功率は2〜3割程度とされ、何度も治療を繰り返す必要があり、妊娠を望む夫婦に負担になっている。

 同省は、高額の不妊治療を受ける夫婦を対象に上限10万円の給付を2年間に限り行う事業を昨年度スタートさせた。しかし、2年以上治療を続ける夫婦が多いことから、助成期間を延ばす。実施主体は都道府県・政令指定都市・中核市で、国は半額を補助する。

 厚労省研究班の推計(2002年度)によると、年間約46万7000人が国内の医療機関で不妊治療を受けている。このうち、体外受精か顕微授精の治療を受けた人は約6万人。

代理出産に韓国ルート、国内業者が2組と契約

2005年09月02日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 不妊のカップルなどに対し、韓国での代理出産を仲介する国内業者の存在が、2日、明らかになった。すでに日本人2組が契約したという。

 生殖補助医療をめぐる法律の整備が滞っている中、これまで知られていた米国での代理出産に加え、費用の安い「韓国ルート」も新たに表面化したことで、法規制の是非についての議論が再燃しそうだ。

 韓国での代理出産の仲介に乗り出したのは、東京・西麻布に事務所を構える「エクセレンス」(佐々木祐司代表)。今年初めから、韓国で医療施設や代理母への手配を行う業者と連携、代理出産を希望する日本人を、この韓国の業者に紹介する業務を始めた。ホームページでも募集している。

 エクセレンスは1996年から、不妊夫婦や独身女性らを対象に、有償で精子を提供する精子バンクを営んでいる。その顧客だった40歳代の独身女性が、自分で韓国の仲介業者を探し、代理出産してもらったのを機に、韓国での代理出産の仲介を始めたという。

 今年初め、別の独身女性が契約第1号になり、8月には2組目が契約した。2組目は20歳代の同性愛女性カップルで、一方の女性の卵子と知人の精子を体外受精させ、もう一方の女性の子宮に入れる計画。そのための体外受精や子宮への移植を、規制がない韓国の医療施設で今秋にも行う。

受精卵の着床促すたんぱく質、東大チームが発見

2005/05/05 読売新聞 Yomiuri On-Line

 哺乳(ほにゅう)類の受精卵の着床に高率で問題が起きるメカニズムを、東大薬学部の新井洋由(ひろゆき)教授(衛生化学)らのチームが、マウスで初めて解明した。

 人間の不妊治療にも将来、応用が可能な研究成果として注目される。4日付の英科学誌ネイチャー電子版に掲載された。新井教授らは、マウスの子宮内膜に「LPA3」というたんぱく質があることを見つけた。これを持たないマウス約200匹を遺伝子操作で作り、働きを調べたところ、排卵して受精卵ができるまでは正常だったものの、受精卵が正常な場所に着床せず、すべてのメスで、子宮頸部(けいぶ)に固まって着床したり、一つの胎盤を複数の受精卵が共有するといった異常が見られた。

 妊娠期間は通常より1〜2日延び、平均8匹生まれる胎児が約3匹しか生まれず、死産も多かった。

 不妊治療では体外受精が広く普及しているが、着床の仕組みはほとんど解明されておらず、着床率の低さが障害になっている。

低体重の出生、不妊の恐れ 藤田保健衛生大が調査

2005/04/02 The Sankei Shimbun

 不妊原因の一つである女性の排卵障害に、生まれたときの低体重が関連しているとする調査結果を、藤田保健衛生大・坂文種(ばんぶんたね)報徳会病院(名古屋市)の中沢和美教授らが2日までにまとめた。

 排卵障害のない女性が平均約3200グラムだったのに対し、排卵障害の女性は同2490グラムで「低出生体重児」(2500グラム以下)に相当。胎児期に低栄養状態にさらされ低体重で生まれると、大人になって糖尿病や高血圧など生活習慣病のリスクが高くなるという「成人病胎児期発症説」が注目されているが、女性不妊との関連を具体的に示したのは初めてという。

 厚生労働省は母親のダイエットが影響したとみられる低体重の新生児が増えているとして、妊産婦の食生活指針を作成する作業を始めている。

 中沢教授らは2003−04年に、卵巣の外側の膜が厚くなり排卵が起きにくくなる多嚢胞(のうほう)性卵巣症候群を中心とした排卵障害で同病院を受診した女性に、出生時の体重を聞き取り調査し、健康な女性と比較した。

 運動や食事、ストレスなどの後天的な要因で障害が起きたケースを除き、初潮のころから排卵障害だった女性の36人(平均年齢25・5歳)の出生時の平均体重は約2490グラム。健康な20人(同28・5歳)は約3200グラムで、統計的にも差があった。いずれも早産ではなかった。

 中沢教授は「原因不明の排卵障害の多くが、胎児期の環境に関係して起きていることを示している」と説明。排卵障害がある女性は将来、生活習慣病になる可能性が高いという報告も多く「予防法も考える必要がある」と話している。

 京都市で始まった日本産科婦人科学会で、4日発表する。(共同)

胚盤胞移植で体外受精、胎児障害の危険高まる

2005/03/25 読売新聞 Yomiuri On-Line

 妊娠率が高まるとして不妊治療の現場で普及した「胚盤胞(はいばんほう)移植」という体外受精の手法では、胎盤を共有する特殊な形態の双子を妊娠する危険度が、自然妊娠に比べ11倍以上に増えることが静岡県浜松市の聖隷浜松病院の調査でわかった。

 共有胎盤の双子では、それぞれの胎児の栄養状態などが悪くなり、死産や脳障害につながる恐れがある。こうした妊娠形態がどれくらい起きるのか実態は不明で、専門家は全国的な調査が必要と指摘している。

 共有胎盤の多胎妊娠は、胎児を包む2層の膜のうち外側の絨毛(じゅうもう)膜のみ共有する例が多い。自然妊娠でも0・3〜0・4%の率で見られる。双子間をつなぐ血管のバランスが崩れると、片方は羊水が多すぎ、片方が血液不足になる双胎間輸血症候群が1〜2割で発症。うち約20〜60%は死産し、10〜25%は脳障害が残る。

 同病院で1989年10月〜2003年12月に体外受精で妊娠した701例を調べた結果、共有胎盤の多胎妊娠は9例で、自然妊娠に比べ危険度は4・32倍。特に精子と卵子を体外受精させ通常より長い約5日間培養してから子宮に移植する「胚盤胞移植」は、このうち6例で、11・3倍になった。

 同病院産婦人科の松本美奈子医長は「共有胎盤になる原因は不明だが、子宮に戻す際には、受精卵に異常は認められない。治療を受ける夫婦には、こうした可能性を事前に十分説明する必要がある」と話している。調査結果は京都市で開かれる日本産科婦人科学会で4月5日、発表する。

睡眠促進剤で生殖障害も 広島大教授ら発表

2005/02/08 中国新聞地域ニュース

 広島大総合科学部の筒井和義教授(脳科学)たちが、睡眠促進剤として米国などで販売されているホルモン「メラトニン」を大量摂取すると、精子や卵子の形成障害につながる可能性があることを突き止めた。八日の米科学アカデミー紀要オンライン版に発表した。

 筒井教授たちは五年前、ウズラ五百羽を使った実験で、新しい脳ホルモンの存在を確認。その後筒井教授がセンター長を務める広島大統合脳科学プロジェクト研究センターで、運動や呼吸などの基本的な生命活動をつかさどる脳幹の「視床下部」で作られることや、脳下垂体からの生殖腺刺激ホルモンの放出を抑えることを解明し、「GnIH」と命名した。

 一方、大学院博士課程三年、産賀崇由さん(40)たちが米国ワシントン大との共同研究により、メラトニンがGnIHの合成を促進して生殖腺刺激ホルモンの放出を抑えることを実証した。

 ウズラ以外の動物でも、類似の脳ホルモンを確認しており、人体内でも存在が実証される可能性もある。日本国内でもインターネットなどを通じてメラトニンが購入できるため「過度な使用は生殖機能に障害を起こす可能性があり、注意が必要」と警鐘を鳴らしている。また、人体内での存在が確認されれば、生殖腺を刺激するホルモンに起因する機能障害の治療に結び付くと説明している。

 生殖機能を促進する脳ホルモンについては、約三十年前に米国の研究者二人が発見していたが、抑制する脳ホルモンの存在は示唆されながらも確認されていなかった。

 ▽大量摂取に警鐘

 日本医科大の佐久間康夫教授(生殖生理学)の話 これまで不可能だった性腺機能の抑制現象が説明ができた。またメラトニンの関与は、このサプリメントの大量摂取に警鐘をならす発見で、興味深い。

「卵子提供が必要」な不妊女性、45%の治療施設に

2005/01/22 読売新聞 Yomiuri On-Line

 第三者から卵子の提供を受けないと妊娠できない女性患者を抱える不妊治療施設数が、全体の45%あることが日本産科婦人科学会による全国調査で初めて明らかになった。

 第三者の精子提供による人工授精は50年以上前から実施されているが、卵子や受精卵の提供は同学会が禁止している。調査は、不妊治療を行う医療機関のうち治療成績を同学会に申告している229施設が対象。このうち173施設が、2002年の1年間に卵子や精子、受精卵の提供が必要とみられた患者数を回答した。

 その結果、回答した施設のうち45%にあたる78施設で、卵子提供が必要な女性患者が1人以上いた。このうち、患者が「1―5人いる」と答えたのは57施設。また、「6―10人」「11―20人」は各8施設、「21―50人」が5施設あった。一方、精子提供が必要な患者は「1―5人」が52施設、「6―10人」が15施設、「101人以上」が1施設あった。

 不妊原因の違いで対応が分かれることは以前から問題視されており、1998年には、長野県の医師が近親者の卵子提供で体外受精を行ったと発表し、波紋を広げた。これに対し、厚生労働省の審議会は2003年、第三者からの卵子提供を条件付きで認めたが、法的裏付けとなる新法制定の見通しはいまも不透明だ。


凍結保存卵巣で妊娠したベルギー女性が女児出産

2004/09/24 読売新聞 Yomiuri On-Line
 がん治療前に、凍結保存した自分の卵巣を使って、妊娠していたベルギー人女性(32)が23日、女児を無事出産した。

 凍結保存した卵巣組織の移植による出産は世界で初めて。ロイター通信などが伝えた。母子とも健康で、妊娠を望む女性のがん患者が、抗がん剤投与、放射線照射など治療の選択を広げる意味で注目される。24日発売の英医学誌「ランセット」に詳細が発表される。

不妊治療に道、凍結の卵母細胞使いマウス出産に成功

2004/09/06 読売新聞 Yomiuri On-Line
 凍結保存した成体のマウスの卵巣組織から、卵子のもとになる「卵母細胞」を採取し、培養・受精させて子どもを出産させることに、京都大学と不妊治療専門病院「加藤レディスクリニック」(東京都新宿区、加藤修院長)の研究グループが成功した。

 凍結保存した成体の卵母細胞を使って出産させたのは世界初で、がん治療で卵巣機能を失う女性や初潮前の小児がんの少女でも、将来の妊娠が期待できるという。

 研究グループはまず、卵母細胞を含む成体の雌マウスの卵巣組織を取り出し、いったん凍結保存。その後、この組織を別のマウスの腎臓に移植し、約10日間かけて未成熟卵の段階まで発育させた。

 その上で、この未受精卵を体外で培養して成熟卵子にし、精子と受精させて別のマウスの子宮に移植した。その結果、これまでに10匹の子マウスが生まれたという。

 がん治療で卵巣機能が失われることが分かっている女性は現在、排卵誘発剤で採取した卵子を精子と受精させた上で、凍結保存している。しかし、1度に採取できる卵子は2、3個で、出産まで至る確率は極めて低かった。

 今回の手法は、成人女性の卵巣に数千個ある卵母細胞のすべてを原理的には採取できるといい、研究チームは「高い確率で出産できる」としている。さらに、卵母細胞は女性が胎児段階から卵巣にあるので、がん治療を受ける初潮前の少女でも、卵母細胞を冷凍保存できるという。

 ◆卵母細胞=卵子のもとになる細胞で、胎児期に作られ、出生後は増えない。新生児の卵巣には100万―200万個あるが、成長にしたがって減少し、思春期までに約4万個ほどになる。初潮を迎えた後、通常毎月1個ずつ成熟した卵子になり、更年期までに400―500個が排卵される。

不妊相談センター開設 来月から広島県

2004/05/27 中国新聞地域ニュース
 広島県は六月から、「不妊専門相談センター」を広島市南区の広島大学病院内に開設する。県、広島、福山市による不妊治療の助成も併せてスタートし、子どもを産みたい人への支援が県内で本格化する。

 センターは、広島大学病院周産母子センターの産婦人科医や助産師で運営。不妊治療に関する情報提供に加え、さまざまな悩みの相談・指導を無料で実施する。

 相談は電話=082(256)5610=で受け付け、内容に応じて助産師や産婦人科医との面接相談も予約できる。電話の受付時間は、水曜日午後五時半から七時半、木曜日午後四時から七時までとなる。

 一方、不妊治療の助成の対象となるのは、「体外受精」と「顕微授精」。日本産科婦人科学会に登録した指定医療機関で治療する年間所得が六百五十万円未満の夫婦が対象。単年度十万円を上限とし、通算二年間まで助成する。

 県と二市は本年度、計約九百組の夫婦への助成を見込む。申し込みは各地の保健所で行う。

 厚生労働省によると、不妊に悩む夫婦は十組に一組とされる。一方で「体外受精」「顕微授精」は医療保険が適用されず、平均で三十〜四十万円が必要となる。県福祉保健部は「子育て支援の一環として、『産みたい』気持ちを支えていきたい」としている。


代理出産:産科婦人科学会が禁止を決定 実施なら除名処分も

2003年04月12日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 日本産科婦人科学会(中野仁雄会長)は12日、福岡市内で理事会を開き、不妊に悩む夫婦が第三者の女性に子どもを産んでもらう代理出産の禁止を決めた。同日の学会総会で承認され、学会規則(会告)となった。会告として正式に禁止したことで、今後、代理出産を実施した学会員は除名処分もありうるという。

 産科婦人科学会は、禁止の理由として、▽生まれてくる子の福祉を最優先すべき▽代理出産する女性に身体的危険性、精神的負担を与える▽家族関係を複雑にし、社会秩序に無用の混乱をもたらす▽代理出産契約を社会全体が許容しているとは認められない――の4点を挙げた。

 代理出産をめぐっては、01年に「諏訪マタニティークリニック」(長野県下諏訪町)の根津八紘院長が、夫婦の受精卵を妻の妹の子宮に移植して出産してもらう、国内初の代理出産を実施したと公表した。今年3月には、国内2例目の代理出産を実施したことを明らかにしている。

 産科婦人科学会は、国内初の代理出産実施を受け、昨年2月、同学会倫理委員会が代理出産を認めないとする見解を発表していた。 【河内敏康】

◇不妊治療を担う専門家が従うべき初のルール 

 現状では、代理出産を禁止する法律は国内になく、今回の日本産科婦人科学会の「会告」は、不妊治療を担う専門家が従うべき初のルールとなる。

 代理出産については、多くの専門家が禁止の方向で一致している。厚生労働省の生殖補助医療部会は10日、罰則付きで代理出産の禁止を盛り込んだ最終報告書をまとめた。この報告書を受け、禁止を盛り込んだ新しい法律制定の準備が始まる。

 今回の禁止会告に対し、国内初の代理出産を実施した「諏訪マタニティークリニック」の根津八紘院長は「とうてい納得できない」とあくまで闘う姿勢だ。「学会の議論はきちんとしたデータに基づいておらず、禁止の根拠があいまいだ。子宮をなくし、産むことができずに苦しむ患者を本当に救おうという姿勢が見られない」と批判する。根津院長は、別の不妊治療の会告違反で、現在、産科婦人科学会を除名されている。

 今後の議論は、新法での罰則の是非に移る。「数多くある医療行為の中で、代理出産だけ法律で罰則するのは法的に不適切だ」との指摘もあり、調整が難航しそうだ。 【河内敏康、田中泰義】

【代理出産】
 不妊夫婦が、夫婦の受精卵や夫の精子を使って第三者の女性に妊娠・出産してもらうこと。代理出産の方法には、根津院長が実施した不妊夫婦の精子と卵子を体外受精させてできた受精卵を第三者の子宮に移して出産してもらう「借り腹」(ホストマザー)と、不妊夫婦が夫の精子を第三者の女性に人工授精して出産してもらう「代理母」(サロゲートマザー)がある。

不妊治療:第三者からの受精卵提供めぐり紛糾 厚労省部会

2003年03月26日 [毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 不妊治療のあり方を検討してきた厚生労働省は、26日の厚生科学審議会生殖補助医療部会に最終報告書案を提示した。しかし、最終案に盛り込まれた第三者からの受精卵提供の是非をめぐって紛糾し、再度、部会で議論することになった。

 最終案は、提供精子による人工授精に限定されてきた不妊治療について、夫婦以外の精子、卵子、受精卵の提供による不妊治療を広く認めた。

 しかし部会では、「受精卵を使うと、不妊治療を受ける夫婦と遺伝上のつながりがない子供が生まれる。4人の親が存在することになり、子供の心理的負担が大きい」との意見が相次いだ。一方で、「制限すればするほど、闇で不妊治療が実施される」「家族関係の構築は、血のつながりだけを重視すればいいのか」との見解も出た。

 また、最終案は営利目的の精子などのあっせんを禁止したが、部会で「罰則に関する議論が不十分」との指摘があり、次回に検討することになった。 【田中泰義】

男性不妊の原因か 溶剤のトリクロロエチレン

2003年03月07日 (共同通信) YAHOO! News
 【ワシントン7日共同】溶剤や洗浄剤として広く使われ、地下水や大気の汚染が問題になっている塩素化合物、トリクロロエチレン(トリクレン)は、男性の生殖細胞に対する毒性が強く、男性不妊や精子減少の原因になっている可能性があるとの結果を米、英、カナダの国際研究グループが7日までにまとめた。

 トリクレンは、これまで腎臓毒性や神経毒性などが指摘されてきたが、生殖毒性はないとされてきたという。日本でも大量に使われ、汚染も深刻な物質なだけに今後詳しい調査が求められそうだ。

 グループは、トリクレンにさらされていた人間や、実験的にトリクレンを吸入させた猿の精巣の一部で、トリクレンによって細胞が傷害を受けた時に特徴的な酵素が生産されていることを突き止めた。

不妊治療アンケート 夫婦以外の精子や卵子の提供 容認増える

2003年02月07日 (ロンドン共同) (毎日新聞朝刊から) Mainichi INTERACTIVE
(毎
 夫婦以外の精子や卵子の提供による不妊治療を容認する人が、4年前の前回調査に比べて約9%増えていることが6日、厚生労働省研究班(主任研究者、山縣然太朗・山梨大教授)の調査で分かった。一方、生まれた子供に提供者を特定する権利が認められた場合には、精子や卵子を「提供しない」と答えた人は、認められない場合に比べ約20ポイント多かった。不妊治療のルールづくりを進めている厚生労働省生殖補助医療部会の審議にも、影響を与えそうだ。

 調査は1月、全国から20〜69歳の8000人を無作為に抽出。5846人にアンケートが配布でき、3623人(62%)が回答した。

 それによると、第三者の精子提供による体外受精について、「利用する」「配偶者が認めれば利用する」と回答したのは前回より8.4ポイント増の34%、卵子は8.9ポイント増の38.8%と“容認派”が増加していることが分かった。ただ、第3者の精子と卵子でできた受精卵の利用を容認したのは前回より5.5%増の22.7%で、親子の遺伝的なつながりを重視していることが浮き彫りになった。

 また、子供が出自を知る権利に関する質問では、もし自分が提供者と特定されるのならば「提供したくない」と答えたのは男60.6%、女66.7%。特定されない場合の男38.9%、女49.4%を大きく上回った。 【田中泰義】

不妊治療、意見集約できず−−兄弟姉妹の精子・卵子提供/子供への情報開示条件

2003年01月10日(毎日新聞東京朝刊から) Mainichi INTERACTIVE
 ◇国民から見解募る−−生殖医療部会・中間報告案

 夫婦以外の精子や卵子、受精卵の提供による不妊治療のルールづくりを進めている厚生労働省の厚生科学審議会生殖補助医療部会は9日、中間報告案をまとめた。原則として第三者からの提供を認めたが、重要な論点となった兄弟姉妹からの提供の是非や、生まれた子供に対する提供者の個人情報の開示方法は一本化できなかった。同部会は意見を国民から募り、3月中に最終報告書を作る。同省はその報告書をもとに、代理母や営利目的での精子などのあっせんを禁止する新法の制定や民法など関連法の改正を関係省庁と進める。

 同部会は00年12月に専門委員会がまとめた報告書を下敷きに議論を進めてきた。
 生殖補助医療で生まれた子供が遺伝上の親を知ることについて、専門委は提供者の身長や体重など「個人を特定できない情報で、提供者が開示を承認した範囲」とした。これに対し同部会は「子供の出自を知る権利」が世界的に保障され始めている状況を踏まえ、個人を特定できる情報を開示する方針を打ち出した。ただ、「提供者のプライバシーも保護されるべきだ」との意見もあり、個人を特定できる情報の開示を前提として提供者から同意を得るかどうかという具体的な開示条件については判断を持ち越した。兄弟姉妹などからの提供も合意に至らなかった。

 一方、生殖補助医療の実施施設に倫理委員会を設置することや、未熟児出産に対応できる設備を備えることを求め、新設する公的機関が提供者の個人情報などを80年間保存する点で合意した。

 中間報告案はホームページ(http://www.mhlw.go.jp)に掲載。意見は〒100―8916厚生労働省母子保健課(seishokuiken@mhlw.go.jp)へ。【田中泰義】

[解説]不妊治療、重要部分で見解対立−−厚労省部会・中間報告案

2003年01月10日(毎日新聞東京朝刊から) Mainichi INTERACTIVE
 ◇背景に生殖医療の矛盾

 厚生労働省の厚生科学審議会生殖補助医療部会は9日、不妊治療のルールについて中間報告案をまとめたが、重要部分では部会の見解を統一できなかった。その背景には、生殖医療をめぐるさまざまな矛盾や立場の違いがある。

 日本では夫以外の精子提供による人工授精は50年以上の歴史があり、1万人以上の子供が生まれている。海外で代理母や卵子の提供を受けて子供をもうけるケースも出てきた。だが、本格的な議論が始まったのは98年6月、長野県の根津八紘医師が日本産科婦人科学会の会告に反して、不妊に悩んでいた夫婦に、妻の妹からの卵子を用いた体外受精を実施したことが明らかになったのがきっかけだった。

 厚生省(当時)はその4カ月後、専門委員会を設置。00年12月の報告書では、精子に限定されていた第三者からの提供を、卵子や受精卵に拡大する方針を盛り込んだ。また、提供は匿名で無償の第三者が原則だが、提供者がいない場合は例外的に兄弟姉妹や友人からの提供を、公的機関の審査を経た上で認めた。

 同部会は、この専門委の報告書を基に議論。メンバーは産婦人科医や小児科医、不妊カウンセラー、弁護士、児童福祉や家族法、生命倫理の専門家など20人。昨年11月に最終報告をまとめる予定だったが、核となる部分でさまざまに見解が分かれた。

 例えば、根津医師が実施した兄弟姉妹からの提供について――。子供の身近な人が遺伝上の親だと、親子関係を複雑にしかねない。提供を強いる恐れも出てくる。だが、血のつながりを重視する考えもある。卵子は肉体的な負担が大きく、精子のように第三者からの提供が期待できないという意見も強い。

 子供が出自を知る権利に関しては、スウェーデンやオーストラリアの一部の州が人工授精児について認めており、同部会でも子供には遺伝上の親を知る権利があるという意見が出た。一方、提供者にはプライバシーを確保した上で提供する権利もある。遺伝上の親が判明すると遺産相続の問題も起こりうる。

 さらに、日本産科婦人科学会は近親者からの卵子や精子の提供を認めず、第三者の受精卵を使うことを否定している。実際の不妊治療を行う医師グループとの調整が難航することも予想される。【田中泰義】

不妊治療、受精卵の利用を容認 第三者からの提供分−−厚生科学審・専門委合意

2002年11月13日(毎日新聞) Mainichi INTERACTIVE
 不妊治療のあり方を検討している厚生科学審議会(厚相の諮問機関)の「生殖補助医療技術に関する専門委員会」(委員長、中谷瑾子(きんこ)・慶応大名誉教授)は12日、第三者から提供された卵子と精子を体外受精させて作られた受精卵(胚(はい))の利用を認めることで一致した。医師が実施内容や理由を事前に厚生省に申請し、審査を受ける条件付きながら、兄弟、姉妹など近親者からの精子、卵子、受精卵の提供も新たに認め、不妊治療の範囲を拡大した。年内にもまとめる最終的な報告書に盛り込まれる。

 同専門委は、これまでの論議で、体外受精における精子、卵子の第三者からの提供、提供された受精卵の子宮への移植を原則として認めている。ただ、受精卵は、別の夫婦が自らの不妊治療のために体外受精させ、余った受精卵に限定していた。12日の会合では、夫婦ともに不妊の原因があり受精卵の提供なしには妊娠できないケースに限り、提供された精子と卵子を体外受精させ新たに作られた受精卵の利用も認めることで合意した。

 また、提供を受けて生まれた子供が遺伝上の親を知る権利に関しては、提供者が承認すれば、子供は成人後に、遺伝上の親の身長や学歴など個人が特定されない範囲の情報を得ることができるとした。こうした規定は、3年以内に法制度などを整備したうえで実施され、それ以前には普及している提供精子による人工授精以外は「実施すべきではない」との見解を示している。【松村由利子】

[解説]不妊治療、広く認める 現状追認の色濃く−−厚生科学審・専門委合意

2002年11月13日(毎日新聞) Mainichi INTERACTIVE
 厚生省の生殖補助医療技術に関する専門委員会が、提供された卵子と精子によって新たに作成された受精卵(胚=はい)の移植を認めたり、条件付きながら近親者からの精子、卵子、受精卵の提供を容認するなどで一致した。同委員会は医療現場で生殖補助医療の新たな治療が広がる中で、これに歯止めをかけるべく約2年間にわたり論議してきた。最終報告書の大筋はまとまったが、医療現場からまだ要望のない技術も盛り込まれ、幅広い不妊治療を認める踏み込んだ内容になりそうだ。

 日本産科婦人科学会は、提供精子による人工授精以外の不妊治療は認めていない。しかし、長野県の産婦人科医が妻の妹の卵子を使って体外受精を行ったのが明らかになったのをきっかけに1998年10月、同委員会で公的な制度作りの論議が始まった。

 今年6月、委員会の基本的考えとして精子提供による体外受精については容認する方針が打ち出されたが、卵子提供には排卵誘発剤の投与など提供者の身体的負担が伴うこと、受精卵提供については遺伝的に両親と異なることが問題視され、意見は割れていた。

 しかし、提供者の匿名性を守る原則を打ち出したことを背景に、血縁関係へのこだわりが委員会の中で薄れてきた。不妊治療を終えて子供をもうけた夫婦から提供された受精卵であれば、提供者の新たな身体的な負担は伴わないという考えから、別の夫婦の余った受精卵の利用を認める意見が強くなった。その流れで、新たに受精卵を作ることや、近親者からの提供を条件付きで認めることが合意された。

 ただ、委員会が医療現場の現状を追いかける形で始まったためか、親子とは何かといった基本的な問題の論議や位置付けが十分とはいえない。最終報告書では、日本の家族関係や社会環境に基づく考え方を、よりはっきり示すべきだろう。【松村由利子】

不妊治療 新宿の医院、新治療法を考案

2002年11月10日(毎日新聞) Mainichi INTERACTIVE
 女性の卵子が正常に子宮に到達しないことが原因の不妊症について、不妊症治療専門の「加藤レディスクリニック」(東京都新宿区)が、卵巣から人工的に取り出した卵子を子宮へ移して受精させるという新たな治療法を考案、妊娠に成功していたことが9日、分かった。神戸市内で開かれている体外受精などに関する研究会「第5回IVF研究会」で10日、発表される。

 女性が妊娠する過程で、卵子は卵巣内で育ち、排卵後、イソギンチャクのような形をした「卵管采(さい)」にキャッチされて卵管へ入る。そこで受精し、卵管を通って子宮内で着床する。同クリニックの加藤修院長は、不妊女性のほとんどが卵管采の機能不全であると想定。卵管采を経由しなくても卵管に卵子を送り込めばうまく受精するのではないかと考えた。

 新治療法は、排卵直前の女性の卵巣から、卵子を採卵針を用いて採取、カテーテルで子宮内に送り込む。その後卵子は卵管を移動し、受精後、子宮に着床するという方法。男性の精子が卵管内で生きているうちに実施することが条件。

 今年8月以降、28〜42歳の女性64人に実施し、うち37歳までの8人が妊娠に成功した。2人は着床後約1週間で流産したが6人は順調という。38歳以上の16人は全員失敗した。

 加藤院長は「始めて2カ月なので、どれほどの確率で成功するか分からないが、体外受精などが中心の不妊治療を劇的に変える可能性がある」と話している。

 入谷明・近畿大先端技術総合研究所長の話 女性の体内で自然に近いやり方なので、体への負担も少ないと考えられる。原因不明の不妊を解明するきっかけにもなるだろう。 【野田武】

不妊治療 厚労相が医療保険適用の考えを強調

2002年11月05日(毎日新聞夕刊から) Mainichi INTERACTIVE
 坂口力厚生労働相は5日午前の閣議後の記者会見で、医療保険が適用されない人工授精などの不妊治療について「不妊は病気ではないが、(医師から見れば)正常ではない状態であり、(保険適用が)可能と考えられる」と述べ、医療保険の適用対象とすべきだとの考えを改めて強調した。

 坂口氏は「不妊治療は成功率が低く、治療方法によって成功率にばらつきがある」とも指摘。今後、治療方法の見極めを進めながら、保険適用の範囲などを検討していく考えを示した。

 不妊治療は広く医療行為として行われているが、医療保険が利かないため(1)1回数万〜数十万円と多額の費用がかかる(2)医療機関で費用が異なる――などの問題点が指摘されている。

 坂口氏は、今年7月に少子化対策の観点から、保険適用を含めた患者らの負担軽減策を講じる方針を表明していた。

不妊治療の公的支援−−厚労相発言をめぐって

2002年08月24日(毎日新聞朝刊から) Mainichi INTERACTIVE
◇歓迎−−「悔いが残らぬよう治療できる」

 ◇懸念−−「周囲の圧力ますます強まる」

 坂口力厚生労働相は先月、不妊治療に対して「保険適用など公的支援を講じるべきだ」と記者会見で発言した。「経済的に苦しい不妊カップルに朗報」と歓迎する声がある一方、「不妊への偏見に悩む当事者の相談システムなどが不十分な現状では、公的支援でかえって不妊治療へ追い詰められることになるのではないか」と懸念の声も聞かれる。支援を巡るさまざまな思いを追った。【松村由利子】

 昨年発足したばかりの「不妊治療の保険適用を実現する会」は今年4月、保険適用を求める7000人の署名を集め、坂口力厚労相に手渡した。

 同会の代表で、埼玉県熊谷市在住の山口歩さん(29)は、最初の体外受精の費用約30万円を工面するために定期預金を崩した。その後も1回受けては、次回のためにバイトでお金をためるという生活で、これまでに5回体外受精を受けたという。

 山口さんは「悔いが残らないように、できるだけ治療を受けたいとだれしも思う。でも現実には治療費がかさみ、経済的に厳しい若い人たちが、最も妊娠の可能性の高い時期に治療を受けられない状況です」と訴える。

 ◇一部は既に適用

 不妊治療の一部は既に保険の適用が認められている。卵巣機能不全による無排卵などの排卵障害や、排卵を抑えるホルモンの血中濃度が高くなる高プロラクチン血症などは「病気」として、卵胞刺激ホルモンの注射や腹腔鏡による子宮や卵管、卵巣を観察する検査は保険対象の「治療」になっている。

 この治療を受けて妊娠するケースも少なくない。ところが、これだけでは妊娠せず、人工授精や体外受精を受ければ「治療」とは見なされず、保険の適用外。原因が不明だったり、男性不妊が原因の人工授精や体外受精も同様で、1回数万〜40万円前後の費用は全額自己負担だ。不妊患者の間で不公平感も生じている。

 体外受精を3年間続ける埼玉県在住の女性(28)は「妊娠を目指すのに、保険が認められる人と認められない人がいることに理不尽さを感じる。風邪をひいたり骨折したりしたら病院に行くのと同じ感覚で病院へ行くのに……」と話す。

 一方、不妊に悩む人たちの自助グループ「フィンレージの会」のメンバー、仙波由加里さんは「保険適用がされれば、不妊当事者が周囲の人から今以上に、治療を受けるよう圧力を受けるのではないか」と懸念する。「経済的な負担」を表向きの理由に治療を中断する女性もいるからだ

 日本家族計画協会が「不妊ホットライン」の過去5年にわたる相談事例をまとめたところ、不妊女性が「女は子どもを産まないと一人前ではない」と婚家から言われるなど、周囲からプレッシャーを与えられている実態がいまだにあることが明らかになっている。

 相談内容は「周囲との人間関係」に加え、「治療への迷い」「病院に対する不満」に関するものも多く、同協会は「十分な医学的説明や周囲からの理解がないまま、強迫的に不妊治療を続けている当事者が少なくない」と指摘している。

 ◇「まず理解深めて」

 仙波さんは「不妊治療への何らかのサポートは必要だが、少子化対策と絡められるのはおかしい。まず、社会全体の不妊への理解が深まり、当事者が不妊であることを隠したり、周囲から圧力を受けたりせずにすむような認識づくりをしてほしい」と話している。

クローン人間「好ましくない」 不妊治療なら「容認」半数‐‐国内医療系大学生

2002年08月18日(毎日新聞東京朝刊) Mainichi INTERACTIVE
 国内の医療系学生の7割以上がクローン人間づくりを「好ましくない」とする一方、不妊治療目的に限れば半数が「認めてもよい」と考えていることが、学生グループがまとめたアンケートで分かった。ただし、クローン技術の応用について周囲と話したことがない学生も7割を超えており、同グループは「クローン技術を安易に考えず、議論を深める必要がある」と話している。

 アンケートは、イタリア人医師が「クローン人間の妊娠に成功した」と今年4月に発表したことをきっかけに、全国の医療系学生らで作る「メディカル・スチューデント・カンファレンス」(約30人)が実施した。

 慶応大、京都大、長崎大など全国30大学の医学系、薬学系、獣医学系の学生を対象に今年6月、調査用紙を配布し、1006人が回答した。

 クローン人間づくりについては74.6%が「好ましくない」と回答。「好ましくないと思わない」の13.2%を上回った。

 しかし、不妊治療目的で、夫か妻のクローンをつくることについては、「無制約で認める」「一定の条件下で認める」を合わせ50.5%が「認める」と回答した。

 クローン人間づくりが「好ましくない」理由としては「優生思想につながる」「人間の尊厳上問題がある」などが挙げられた。肯定する理由としては「科学技術の発展の結果で、やむを得ない」などが多かった。

 クローン問題について友達・家族と話すかどうかについては「あまりない」「ほとんどない」を合わせ71.2%に上った。「かなり」話すは2.5%しかいなかった。

 日本は、クローン規制法でクローン人間づくりを禁止している。グループ代表の東京医科歯科大大学院博士課程3年、藤原武男さん(27)は「大学ではクローン技術の倫理的な問題について議論する機会が少ない。よく考えないまま不妊治療への応用を容認する学生が多いようだ。今回の調査をもとに、大学祭などで議論の場を作りたい」と話している。 【永山悦子】

「不妊治療に限りクローンを認めて」実験参加予定夫婦訴え

2002年07月23日 (ロンドン共同) (毎日新聞東京朝刊から) Mainichi INTERACTIVE
 21日付の英紙サンデー・ヘラルド(電子版)は、不妊治療のためのクローン人間づくりを公言しているザボス米ケンタッキー大元教授の治療に参加する予定の夫婦とのインタビューを掲載。夫婦は「不妊治療に限りクローンを認めてほしい」と語った。

 同紙は、元教授が年内にこの夫婦を含む6組の男女についてクローン実験を行う、と伝えた。

 北米大陸東部に住む夫婦は夫が50代半ばの高校教師、妻が40代半ばの販売員。2人は子供を授かろうと体外受精などを試みたが万策尽き、ザボス元教授のクローン不妊治療への参加を決断した。治療のため、元教授からクローンを禁止していない「秘密の国」に行くよう指示されるのを待っているという。

 夫は「クローン技術は無原則に使われてはならない」としながらも、「クローンで生まれるのは、わたしたち2人の子供。クローンは私たちにとって進歩した体外受精技術だ」と述べ、理解を求めた。

少子化対策で不妊治療患者の負担軽減策盛り込む考え 厚労相

2002年07月14日 (毎日新聞東京朝刊から) Mainichi INTERACTIVE
 坂口力厚生労働相は13日、タウンミーティングのため訪れた長野県松本市で記者会見し、医療保険が適用されていない不妊治療について、少子化対策の観点から公的支援の対象とし、9月にまとめる政府の少子化対策に患者の負担軽減策などを盛り込む考えを明らかにした。同対策は保育所の整備など施設面に重点が置かれていたが、不妊治療を加えることで、厚生行政の転換になる。

 坂口氏は、少子化対策が今後の社会保障政策で最重要との認識を示したうえで「不妊治療を受ける夫婦が増えている。(この問題は)少子化対策の一環に位置づけるべきだ」と述べた。

 人口授精や体外受精などの不妊治療は医療保険の対象ではないため、(1)1回数万〜数十万円と多額の費用がかかる(2)医療機関で費用が異なる――などの問題点が指摘されている。不妊に悩む夫婦は全国に100万組以上いると推定され、不妊症の患者グループらが保険適用を求めてきたが、厚生労働省は、不妊症は疾病ではないとして難色を示してきた。

 坂口氏は支援策の財源について「保険の中でみるのか、一般財源でみるのかは別にして、何らかの支援をぜひ講じなければならない」と、具対策の取りまとめに強い意欲を示した。

不妊治療 回数に初めて基準、厚労省研究班が指針

2002年07月12日 (毎日新聞東京朝刊から) Mainichi INTERACTIVE
 男性に原因がある不妊の治療で、妊娠が期待できるのは人工授精が7回、体外受精が4回、顕微授精が5回までであることなどを示した指針を、厚生労働省の研究班(主任研究者、矢内原巧・昭和大名誉教授)がまとめた。治療回数の基準が示されたのは初めて。指針に強制力はないが、体外受精や顕微授精を安易に実施したり、無制限に繰り返すことに一定の歯止めをかけることを目指している。

 研究班メンバーの吉村泰典・慶応大教授(産婦人科)らの調査によると、夫の精子を妻に人工授精して妊娠したケースの81%が7回以内に妊娠、体外受精では88%が4回以内に妊娠していた。精子を卵子に直接注入する顕微授精では、88%が5回以内に妊娠しており、いずれもこの回数を超えると、妊娠率が頭打ちとなっていた。

 これを受け、指針は、それぞれの治療法を妊娠が期待できる回数を限度に繰り返し、その後次の治療法に進んだり、治療の終了を検討するといった手順を示した。精子の数が一定以下の場合は、人工授精による妊娠の可能性が低いため、当初から体外受精などを行うことを助言している。

 一方、女性の卵管に原因のある不妊の場合は、卵管鏡を使って卵管のつまりを治す治療を受けてから1年経過しても妊娠しない場合に、体外受精を検討するという基準も示した。 【青野由利】

事実婚の人工授精「認めぬ」 産婦人科学会倫理審

2001.02.25(07:02)asahi.com
 婚姻届を出していない「事実婚」のカップルへの人工授精について、日本産科婦人科学会の倫理審議会が「容認すれば代理母につながる恐れもある」などの考えを示していたことがわかった。これを受けた学会の理事会は24日、事実婚カップルへの生殖補助医療を認めないことを決めた。

 学会のガイドライン(会告)は体外受精の対象を法的な夫婦に限定するなど、現在の生殖補助医療は事実上、法的な夫婦だけに実施されている。しかし、事実婚カップルが増えてきていることから、事実婚の人たちにも認めるべきかどうか、学会が倫理審議会に諮問していた。

 公表された審議会の答申は、現行の民法では事実婚で生まれた子どもが相続などで不利に扱われることや、カップルが事実上の夫婦だと判断する態勢が整っていないことを問題点として挙げ、認めなかった。

 さらに関係者によると、こうした現状では、夫の精子を妻以外の女性の子宮に注入する方法による代理母(サロゲート・マザー)を防ぎきれないという指摘が論議のなかであった。

 人工授精は本来、夫の精子を妻の子宮に入れる技術として使われる。しかし、女性が代理母なのに「事実上の妻だ」と偽った場合、治療側が見過ごしてしまう恐れがある。

 サロゲート・マザーでは産んだ女性が遺伝上も「母」となる。代理母について昨年末、厚生科学審議会(厚相=当時=の諮問機関)の専門委員会は「女性が生殖の手段になる」といった理由で罰則つきの法律で禁じるべきだとする報告書をまとめている。

 理事会はこの日、「近親者からの卵子提供による体外受精は認めない」などとした審議会の答申の内容を了承した。今後、一般から意見を募るなどして、学会の最終方針を決める。

体外受精めぐる親子規定、民法改正を諮問へ

2001.02.06(14:20)asahi.com
 体外受精をめぐる親子関係を法で規定するため、法務省は6日、今月16日に開かれる法制審議会(法相の諮問機関)に民法改正を諮問することを明らかにした。旧厚生省の専門委員会が昨年末、夫婦以外の第三者の精子や卵子の利用を広く認める報告書をまとめ、生まれた子の「法的な地位」をはっきりさせる必要性が高まったためだ。高村正彦法相は6日の閣議後会見で「なるべく早く法整備を進めたい」と話した。

 法務省によると、(1)第三者提供の卵子を使った体外受精で生まれた子の母親は、卵子提供者か、その子を出産した女性なのか(2)第三者提供の精子で生まれた子の父親は、精子提供者なのか、その子を出産した女性の夫なのか――などは現行の民法に明示されていないため、生まれた子の法的地位は不安定なものとなっている。

 子供のできない夫婦への医療のあり方を検討していた厚生科学審議会専門委員会がまとめた最終報告書は、生殖医療を使って子供を産んだ女性を母、同意した夫を父とすることを法律に明記するよう求めている。3年後をめどに法制度などの条件を整え、第三者の精子や卵子を使った体外受精と、受精卵(胚(はい))の移植を認めるとしている。

 精子や卵子の提供は、匿名で無償の第三者からが原則で、提供者がいない場合は、特例として条件付きで近親者からの提供も認める内容となっている。

「世界最高齢」の代理母 54歳/英紙報道 孫を出産

2001.02.04 【ロンドン4日=共同】The Sankei Shimbun
 五十四歳の英国女性ビビアン・モーリスさんがこのほど、がんで子宮を失った自分の娘の代理として、孫に当たる女児を出産した。四日付の英紙サンデー・ピープルが「世界最高齢の代理母」として報じた。

 ビビアンさんの娘ローラさんは五年前にがんの宣告を受け、子宮の摘出手術を受けた。その際、ローラさんは「体外受精の可能性を信じて」転移の危険を承知で医師に卵巣を残してくれるように頼んだ。

 健康を回復したローラさんは夫と相談し、体外受精を希望。しかし、受精卵を移す子宮を提供してくれる代理母が見つからず、一時は断念しかけたことも。

 このため、母親のビビアンさんが代理母となることを決意し、適合性などあらゆる角度からの検査に合格した後、ローラさんと夫の受精卵の移植を受けた。

 無事に出産を終えたビビアンさんは「(赤ちゃんは)わたしの子供ではなく、孫よ。でも、わたしの一部であることは確かだわ」と語っているという。

精液からHIVウィルス除去し人工授精 鳥取大病院

2001.01.08(20:55)asahi.com
 血友病治療の非加熱血液製剤でエイズウイルス(HIV)に感染した男性の精液からウイルスを取り除き、妻の体内に直接注入する人工授精を昨年、鳥取大学医学部付属病院(鳥取県米子市)が実施していたことが8日、分かった。HIVに感染した男性の精液にウイルスが含まれると、妻や生まれてくる子どもに2次感染する危険性があり、慶応大産婦人科が開発した測定法などで感染の可能性がほとんどないことを確認し、臨床応用に踏み切った。今のところ妊娠は確認されていないという。鳥取大医学部によると、HIVに感染した男性の精液による人工授精の臨床応用が公表されたのは初めて。

 鳥取大医学部産婦人科の原田省講師らのグループが1999年11月、同大倫理委員会に申請した。同委が7回にわたる討議や学外の専門家への聞き取りなどを実施。2次感染の危険性がゼロでないことを夫婦に納得してもらい、妊娠希望を文書で夫婦別々に確認する、などを条件に昨年5月に承認。4回実施した。

 人工授精では、取り出した精液をパーコールという溶液とともに遠心分離器にかけ、重さの違いで精子とウイルスなどを分離して精液中のウイルス量を減らした。さらに活発な精子を選ぶとウイルス量が4000分の1になり、慶応大が開発した精液中に残るウイルス数を調べる測定法でウイルスの有無を再確認したところ、存在が感知されなかったという。

 鳥取大医学部によると、この人工授精は100パーセント安全とは言い切れないが、イタリアでは513組で実施し、うち228組から子どもが生まれ、これまで母子への感染の報告例はないという。能勢隆之医学部長は「患者の福音になるだろうと思い、承認した」と話した。

 国内では、新潟大医学部が同じ方法で体外受精に取り組む計画を進めている。

生殖医療の新法検討 厚生省専門委が最終報告書

2000.12.27(01:26)asahi.com
 子どもを産むことのできない夫婦への医療のあり方を検討してきた厚生省は、夫婦以外の第三者の精子や卵子、受精卵(胚〈はい〉)の利用について、医療機関が守るべきルールなどを定めた新法の制定を視野に、具体的な検討に入る方針を明らかにした。厚相の諮問機関である厚生科学審議会の「生殖補助医療技術に関する専門委員会」(委員長・中谷瑾子慶応大名誉教授)が26日、近親者からの精子や卵子の提供を条件付きで認める最終報告書をまとめた。これを受けて法務省などとの協議に入る。報告書は今後3年間で法制度などの条件整備を求めているが、生殖医療のルールづくりには国民的な論議が必要だとする意見もある。

報告書によると、提供精子などを使う生殖医療は、国が指定した医療施設に限定。不妊のため子どもを持てない法律上の夫婦に限り、第三者から提供された精子や卵子を使った体外受精や受精卵の移植ができる。

 精子や卵子の提供は、匿名で無償の第三者が原則。提供者がいない場合は、特例として兄弟姉妹などの近親者でも、公的機関の事前審査のうえで認める。生まれた子どもが、遺伝上の親を知る権利(出自を知る権利)は制限され、個人が特定できない範囲で、提供者が認めた部分しか知ることができない、とされた。

 また、生殖医療を使って産んだ女性を母、同意した夫を父とする内容を法律に明記するほか、他人に子どもを産んでもらう代理母や、営利目的のあっせんを禁止し、刑事罰を伴う法規制の導入も求めている。提供者の情報を管理する公的管理運営機関、倫理や法律、技術の面から指針をつくる公的審議機関、カウンセリングの体制などを3年以内に整え、それまでは、現在行われている提供精子による人工授精だけを認めることにしている。

第三者の精子や卵子の利用認めた報告書を承認

2000.12.22(22:08)asahi.com
 不妊治療として、夫婦以外の第三者の精子や卵子などの利用を認めた厚生科学審議会(厚相の諮問機関)の専門委員会の報告書案が22日、親部会である同審議会の先端医療技術評価部会で了承された。

 同案は、親子関係の法律的な整備や夫婦への十分なカウンセリング、国による治療施設の指定といった条件をつけ、精子や卵子をつくれない夫婦が他人から提供を受けることを認めている。

 この日、専門委の中谷瑾子委員長は部会メンバーに「精子も卵子もつくれる夫婦で妻に子宮がない場合、第三者に産んでもらうことが認められないのかどうか、みなさんに考えてほしい」と発言。代理母について報告書案は「罰則付きの法律で禁止」としている。

安易な体外受精防止 厚生省が不妊治療マニュアル作りへ

2000.12.16(21:20)asahi.com
 不妊治療全般について、厚生省は医療機関向けにマニュアル(手引)をつくる作業に着手した。子どもができない原因を突きとめ、それに見合った治療から始めるべきなのに、そうした手順を省いて体外受精を選ぶ傾向が一部に見受けられるからだとしている。

 「生殖補助医療の適応及びそのあり方に関する研究班」(班長・矢内原巧昭和大名誉教授)が現状を調査し、来年度中にマニュアルの原案をつくる。「まだ子どもがないの」といった周囲の視線にどう対処するかといったカウンセリングや、患者へのインフォームド・コンセント(十分な説明に基づく同意)の標準化もめざす。

 体外受精は国内では1980年代に始まり、急速に広がった。98年には400近い病院や診療所で行われ、1万1000人余りの赤ちゃんが誕生。累計では5万人近くにのぼる。

 しかし、排卵誘発剤の副作用など母体への負担は大きい。3つ子以上の多胎妊娠になりやすく、一部の胎児を死亡させる減数手術が選ばれるケースも少なくない。早産にともなう未熟児も多い。

 体外受精は保険が適用されず、費用は1回あたり数十万円かかる。

 こうしたことから日本産科婦人科学会は、ほかの医療行為では妊娠の見込みがないと判断されたケースだけを体外受精の対象とするよう見解を出しており、いわば最後の手段と位置づけている。

 しかし、厚生省母子保健課によると、医療現場での取り組みはまちまちで、患者から「早く妊娠したい」と強く求められると、本来なら試すべき治療法にほとんど手をつけないまま、体外受精を施す医療機関もある。

 「体外受精で出産した女性の2割が、その後3年ほどの間に次の子を自然妊娠した」とする大学の調査もあり、不妊原因の診断が甘くなっている可能性があるという。

 今回のマニュアル作りの目的を「性急な判断を防ぎ、診断から体外受精に至る不妊治療の道筋を明確にすること」と母子保健課は説明している。

第三者の卵子提供、親類、知人にも道 生殖医療報告書案

2000.12.12(21:20)asahi.com
 子どもを産むことができない夫婦への医療のあり方を検討している厚生科学審議会(厚相の諮問機関)の生殖補助医療技術に関する専門委員会(中谷瑾子委員長)は12日、焦点となっていた夫婦以外の第三者の精子や卵子、受精卵=胚(はい)=の利用の問題について、提供者のいない場合は兄弟姉妹のほか、親類や知人まで対象に認めることで合意し、それらを盛り込んだ最終的な報告書案を固めた。年内に報告書をまとめ、今後3年間で生殖医療の公的な管理運営機関や関係の法令など制度を整えたうえで実施する予定。それまでは夫以外の精子による人工授精以外は禁止するように求めている。約2年間にわたる生殖医療の拡大論議が決着し、実施に向けて動き出すことになった。

 不妊治療などの生殖補助医療については、日本産科婦人科学会が第三者の精子を使った人工授精だけを認めるガイドラインをつくっていたが、それに反対する医師が体外受精をするなど混乱もあり、同専門委で2年前から新たな規制のあり方を検討してきた。専門委では第三者の精子、卵子、受精卵の利用を認めることでは合意していた。

 提供は匿名で無償の第三者が原則だが、第三者に提供者がいない場合は、例外的に兄弟姉妹などでも、公的機関の事前審査のうえで認めるとした。兄弟姉妹の場合、匿名性が保てず親子関係が複雑になるおそれがあり、提供を強いる心理的圧迫が生じるため異論が出ていたが、こうした面について問題がないかどうかを事前の審査で確認することにした。「血のつながり」を重視する考え方が残っているなどの意見が出たためだ。

 また、「兄弟姉妹等」の示す範囲は特に限らず、親や親類、親友、知人などの場合も、個別に判断することにした。「子を持ちたい」という親の幸福追求権を重く見た結果だ。

義父の精子で人工授精、北九州の医師に学会が厳重注意

2000.12.09(19:43)asahi.com
 夫が精子をつくれない夫婦に対し、北九州市のセントマザー産婦人科医院(田中温院長)が夫の父親の精子を使って人工授精したことについて、日本産科婦人科学会は9日、田中院長に文書で厳重に注意することを決めた。

 学会によると、同院長は1990年から98年までの間に、9例の夫婦にこの手法で人工授精をし、5回の出産があった。

 学会のガイドライン(会告)は、夫以外の精子を使って人工授精をする場合、「プライバシー保護のため、精子の提供者は匿名とする」としている。

 田中院長は当初、「提供者の匿名性は保たれている」と主張していたが、最終的にガイドラインに違反していたことを認めたという。さらに、同院長は人工授精の実施施設登録申請を学会に出していなかった。

人工授精で3つ子望まず 病院に養育費支払い命令 英国

2000.11.17【ロンドン17日=共同】The Sankei Shimbun
 人工授精で三つ子を出産した英国人夫妻が「希望したのは双子まで」として病院を訴えていた訴訟で、英シェフィールドの高等法院は十六日、被告のシェフィールドの病院に対し、三人目の子供の養育費として十万ポンド(約千五百五十万円)を支払うよう命じた。

 判決によると、この夫妻は受精卵二つを子宮に戻すことで同意。しかし病院が三つの受精卵を戻したため、一九九七年三月に女の子一人と男の子二人の三つ子が誕生した。

 夫妻ヘ「一人か二人を望んだ。二人でも十分以上。三人を世話するのはくたくたに疲れた」と訴えていた。

 病院側は、着床がうまくいかなかった時のことを考え三つの受精卵を戻したが、この訴訟の後は、妊娠の可能性が極めて低い時だけ三つの受精卵を戻す手順に変更したという。

「夫婦以外」を容認 体外受精/厚生省専門委合意 3年以内に法整備条件

2000.11.13 The Sankei Shimbun
 国内では禁止されている第三者からの精子や卵子提供による体外受精などについて、厚生省の「生殖補助医療技術に関する専門委員会」(委員長・中谷瑛子慶応大名誉教授)は十二日、この方法でしか妊娠できない不妊症の夫婦に限ることや三年以内の法律整備などを条件に、これらの体外受精や受精卵移植を容認することでほぼ合意した。

 精子や卵子などの営利目的のあっせんや、いわゆる代理母出産の実施、あっせんは刑事罰を科して規制することとした。

 専門委は年内に最終報告書をまとめる予定で、生殖医療に関して国が作成する初の指針となる。日本産科婦人科学会が進めている同様の議論にも影響を与えそうだ。

 専門委は、提供精子による体外受精は、人工授精が既に広く行われていることなどを考慮して当初から容認の方向だった。

 卵子提供については、排卵誘発剤の投与や採卵針による卵子の採取などで提供者に負担のかかることが大きな議論になったが「提供者がこうした危険性を許容している場合まで一律に禁止するのは適当ではない」との意見が大勢を占めた。

 受精卵の移植は、別の夫婦が不妊治療のために凍結保存し、不要になった受精卵を使えるほか、受精卵の提供が受けられない場合、精子と卵子両方の提供を受け、体外受精させた受精卵を使うことも認めた。

 提供者は匿名の第三者を原則とするが、提供者が近親者以外におらず、十分な説明やカウンセリングが行われている場合は、公的管理機関の事前審査を受ける条件で近親者からの提供も認めた。しかし、近親者の具体的な範囲は結論が得られなかった。

 生まれた子供が、自分の出生に関する情報を知る権利については、精子、卵子提供者がだれかなど、個人を特定できるものは認めないとした。

 これ以外の情報については、提供者側が事前に承認した範囲内で、成人後に開示を認めることで大筋合意した。

厚生審、精子や卵子の近親者提供を認める方向

2000.11.02(01:16)asahi.com
 不妊治療のあり方などを検討している厚生科学審議会(厚相の諮問機関)の「生殖補助医療技術に関する専門委員会」は1日、近親者が精子や卵子、受精卵=胚(はい)=を提供することを、条件付きで認める方向で一致した。近親者の提供は、匿名性が保てず、家族関係が複雑になりかねないことなどから異論が出ていたが、ほかに提供者がいない場合に限り、事前に公的機関が審査したうえで認める、との方向で意見がまとまった。近親者の範囲については意見が分かれている。

 また、子どもが自分の「出自を知る権利」については、個人が特定できない情報に限定し、「提供者が認めた範囲で知ることができる」とする事務局案が提出された。

第45回総会 日本不妊学会

Japan Society of Fertility and Sterility -平成12年11月22日(水)〜24日(金) -

不妊治療、第3者の卵子や胚も認める方向で報告書案提示

2000.10.17(22:13)asahi.com
 不妊治療のあり方を検討している厚生科学審議会(厚相の諮問機関)の生殖補助医療技術に関する専門委員会の事務局は17日、第3者の卵子を使ったり、第3者の卵子と精子を受精させた受精卵=胚(はい)を移植したりすることを認める方向で議論をまとめた素案を専門委に提出した。

 約2年前に始まった専門委の討議で焦点になってきた第3者の卵子と受精卵の利用について、1つの方向が打ち出されたのは初めて。

 素案は事務局の厚生省母子保健課が年内にもまとめる報告書に向けて、これまでの論議を整理した。第3者の卵子と受精卵は、その提供を受けなければ妊娠できない夫婦に限って認めるとの条件をつけた。

 受精卵については別の夫婦が自らのために体外受精させ、余ったものに限るとしている。卵子や受精卵の提供をビジネスにするのを排除する狙いもある。

未成熟卵の凍結技術で2人が妊娠成功 大阪のクリニック

2000.08.12(00:50)asahi.com
 卵巣から取り出した未成熟な卵子を体外培養して受精、凍結保存する技術を使い、2人が妊娠に成功した、とIVF大阪クリニック(大阪府東大阪市)が発表した。国内では初めてで、海外でも韓国で2人が妊娠し、うち1人が出産した例があるだけだ。

 未成熟卵子を体外培養する方法は、排卵誘発剤を使わないため、この薬に過剰反応をする「卵巣過剰刺激症候群」が起きる危険性が少ない利点がある一方で、体内で卵子を成熟させる方法に比べて着床しにくい欠点がある。不妊症の人の多くは子宮内膜が薄く、ただでさえ着床する条件が悪いため、妊娠率を上げるには、子宮内膜の状態をよくする必要があった。

 同クリニックによると、今回の凍結法は、受精卵を冷凍保存するため、子宮内膜の治療をし、内膜のコンディションを整えてから子宮に戻せるという。森本義晴院長は「不妊治療の新たな選択肢を示せた」と話している。

提供卵子は54万円以下に、米有力団体が相場を提言

2000.08.05(11:42)asahi.com
 体外受精などに提供される女性の卵子の値段は5000ドル(約54万円)を目安にすべきだとする提言を、不妊治療に影響力のある米医療団体が発表した。米国では、学力優秀な女性の卵子や美人の卵子を売り買いする人々が現れ、卵子の高騰が社会問題になっている。

 4日付のワシントン・ポスト紙によると、卵子の「標準料金」を提唱したのは、アラバマ州に本部がある米生殖医学協会(ASRM)の倫理委員会。提供した女性に対する謝礼は5000ドル程度に抑えるべきで、どんな事情があっても1万ドル(約108万円)は高すぎると指摘した。

 容姿が優れているとか、学校時代の成績がよいなどという特別な理由で、一般よりもはるかに高い謝礼を払うのは、倫理的にも誤っており、慎むべきだと提言した。

 討議の過程では「価格を付けること自体が間違ってはいないか」という疑問も出された。だが、卵子提供のための検査や準備には最低1カ月かかり、採取手術には苦痛や危険も伴う。無償と決めてしまうと提供に応じる女性は絶えてしまうかもしれず、やはり労力や不快感に見合った一定の謝礼は必要だと意見がまとまったという。

 米国では、ファッションモデルの卵子に最高15万ドル(約1620万円)の値を付けて競売に付したり、「背が高く運動も勉強もできる白人女性」の卵子を5万ドル(約540万円)で買うという広告が出されたりしている。

 男性の精子提供については、そうした苦痛がないこともあって、25ドル(約2700円)という相場が形成され、対照的に市場は安定しているという。

生殖医療研究での受精卵利用、「文書同意」を検討

2000.06.24(14:04)asahi.com
 不妊治療での体外受精で余った受精卵(胚=はい)や、精子、卵子を生殖医療の研究のために使うことについて、使用する施設側が患者夫婦から文書で同意を得るよう求めることを、日本産科婦人科学会が検討している。学会は現在、ガイドライン(会告)で「提供者の承諾を得る」と明記しているだけだ。治療の現場では、患者に十分な説明がされていないとの批判が出ている。

 不妊治療で余った受精卵、精子、卵子は、生殖医療の研究や不妊治療の進歩といった目的に利用することは、学会も認めている。

 ただ、この目的で受精卵などの提供を受けるときには口頭のみの了解でもよく、首相の諮問機関である科学技術会議のヒト胚研究小委員会で、「学会の規定は甘い」との批判が出た。不妊治療を受けた患者の中には、「受精卵提供時に承諾を求められたという話を聞いたことがない」との指摘もある。

 学会が文書同意を検討している背景には、生殖医療の研究ではなく、あらゆる組織に育つ可能性がある胚性幹細胞(ES細胞)の研究に受精卵を使うときの規定もある。

 同小委員会は今春、不妊治療で余った受精卵をES細胞の研究に使うことを認める方針を決めた。提供を受けるときに研究目的を十分に説明し、文書で同意を得ることが、国の指針で義務づけられる見通しだ。

夫以外の精子で体外受精、厚生省の専門委が容認の見解案

2000.06.06(23:05)asahi.com
 不妊治療のあり方を検討している厚生科学審議会(厚相の諮問機関)の専門委員会(委員長・中谷瑾子慶応大名誉教授)は6日、夫以外の男性の精子を使った体外受精について、法整備などの条件つきで認める見解案をまとめた。提供精子による体外受精は日本産科婦人科学会が認めていない。一方、妻以外の卵子を使った体外受精は賛否がわかれ、両論を併記した。

 見解案によると、夫以外から精子の提供を受けて体外受精を行うのは、卵管の閉鎖など女性に体外受精を受ける原因があり、男性も無精子症など精子の提供を受けないと妊娠できない夫婦。親子関係をめぐる民法上の法整備のほか、精子の提供者の記録を永久保存することなどの条件を付けている。

 専門委では、夫以外の精子を使う体外受精を認めることに、委員から異論は出なかったという。

 厚生省はこれまで、夫以外の男性からの精子提供について、人工授精も体外受精も、見解を出していなかった。これに対して学会は、人工授精は認めていたが、体外受精については認めていなかった。

 精子の提供を受けて人工受精で生まれた子どもは国内で1万人ほどいるという背景に加えて、精子の提供は、卵子とくらべて提供者に負担をかけない。こうしたことが、夫以外の精子提供による体外受精を認める理由になったとみられる。

 見解案は基本的な方向性を示すもので、専門委は生殖医療の管理・運営を行う公的機関を設置するなど、さらに条件を詰めたうえで、10月に最終的な見解としてまとめる。

 第三者から精子提供を受けた体外受精について、厚生省の研究班が昨年、日本産科婦人科学会の登録産婦人科医を対象にした調査では、243施設のうち2つの施設で、非夫婦間での体外受精を行っていると答えている。

生殖・遺伝カウンセリング制度発足へ 産科婦人科学会

11:06a.m. JST April 02, 2000
  日本産科婦人科学会(会長=青野敏博・徳島大学教授)は一日、不妊に悩む夫婦に遺伝的な観点から相談に応じる「生殖・遺伝カウンセリング制度」を発足させることを決めた。生殖医療の発達で子どもを望めなかったような夫婦も妊娠の期待が持てるようになっている。しかし、不妊の夫婦には遺伝子の異常があるケースがあり、異常が子どもに引き継がれる可能性もあることなどを考慮した。

  当面、日本人類遺伝学会などの認定医資格を持つ産婦人科医に最新の生殖医療技術を学んでもらい、産科婦人科学会が認定する。

妊娠12週未満の「中絶」は女性本人の意思だけで

9:55p.m. JST March 26, 2000
  産婦人科医でつくる「日本母性保護産婦人科医会」(略称・日母、坂元正一会長)は26日、東京都内で総会を開き、妊娠12週未満の中絶を女性本人の意思だけでできるようにする、などとした母体保護法の改正に向けた提言を正式に決めた。多くの胎児が母体内にいる場合に一部を消滅させる「減数手術」を条件付きで認めることも盛り込んだ。昨年7月の理事会案に大筋で沿っているが、妊娠12週以降に中絶を認める条件として「社会的な理由」も認めていたのを削除した。

  衆院の解散、総選挙後にも、提言に沿った同保護法の改正案提出を自民党に求める方針という。

  現在の母体保護法で認めている中絶は、妊娠22週未満の時期で、身体的・経済的理由で母体の健康を著しく損なう恐れがある場合や、暴行などを受けて無理やり妊娠させられたケースに限っている。減数手術は認めていない。

  提言で日母は、「産む、産まないを決めるのは女性の権利」という観点から、妊娠12週未満であれば理由を問わず、女性の意思だけで中絶を認めるとした。12週以降については「妊娠を続けることで健康を損なう恐れがある場合」とした。ただし、提言に付く解説の中で「健康」を広くとらえ、「完全な肉体的、精神的、社会的福祉の状態」としている。「経済的理由」の多くは、この解釈で「健康的理由」に含まれることになるとみられる。

  理事会案では「社会的理由で健康を著しく害する恐れがあるもの」も認めていたが、「拡大解釈される可能性がある」といった理由で除かれた。

  また、不妊治療などで3つ子や4つ子といった多胎妊娠をした場合、母体や胎児が危険にさらされることを考慮し、減数手術を中絶の定義に加えることにした。認める手術は妊娠12週未満の時期で、3つ子以上を双子まで減らすことにとどめるべきだとしている。

  提言は、胎児の障害や病気を理由とした中絶は認めていない。しかし、妊娠12週未満の時期に障害などを判断する技術の開発が進んでおり、障害を理由とした中絶もできるような状況になりつつある。

性転換手術の実施を承認

2000年3月24日 16時29分
  岡山大医学部倫理委員会は24日、精神神経科の黒田重利教授らのチ−ムが申請していた、肉体的な性別に強い違和感を持つ「性同一性障害」の患者に対する、性転換手術を含んだ包括的治療の実施を承認した。

  正当な医療行為としての性転換手術の承認は、埼玉医大に次いで国内で2施設目となる。

産科婦人科学会を提訴

2000年3月24日 17時57分
 夫婦間以外の体外受精実施を公表し、日本産科婦人科学会を除名された根津八紘・諏訪マタニティ−クリニック(長野県下諏訪町)院長が24日、不当な処分で名誉を傷つけられたとして、同学会を相手に、処分の無効と全国紙への謝罪広告掲載などを求める訴えを東京地裁に起こした。

琉球新報 2/28(月)4面

主催した日本生殖医療研究協会は、不妊専門医や看護婦、カウンセラーなどで作る非営利団体。3年前の発足以来、患者の側に積極的に働きかける活動を続け、医療界に新しい流れを作ろうとしている。

荒木重雄(自治医科大学生殖内分泌不妊センター)、佐藤孝道(虎の門病院産婦人科)、高宮城直子(糸数ウイメンズクリニック)の3氏が出席。司会の佐久本哲郎医師(豊見城中央病院不妊内分泌センター)も加わり、不妊治療の現状を解説した。

荒木医師によると、結婚したカップルの9割が2年以内に妊娠し、1割が不妊とされる。このうち半数は、タイミングの指導や排卵誘発剤などの一般不妊治療で妊娠するが、それでも妊娠しない場合は、体外受精や顕微鏡受精などの高度生殖医療に移る。どの治療法も1回の妊娠率は20%という。正しい情報を得て、自分の意思で決定することが大切とアドバイスした。

高宮城医師は、不妊となる五つの因子を説明した上で、治療成績を左右するのは女性の年齢だと指摘、40歳を過ぎると妊娠率が下がるので、できるだけ速く治療をと呼びかけた。

佐藤医師は「不妊治療を受けることで自分らしさを失わないために」と、不妊の夫婦を心理的にサポートする「不妊カウンセラー」の必要性を訴えた。

質疑応答では、排卵誘発剤の副作用や高齢妊娠のリスク、男性不妊の治療法、体外受精で生まれた子への悪影響など、30余りの質問が寄せられた。いずれも、身体的・精神的・経済的な負担が大きく"三重苦"とまでいわれる不妊治療者の悩みを反映した内容。 中でも、治療費の高負担については改善を望む声が相次いだ。不妊治療は保険が適用されず、前額自己負担。少子化の深刻なオーストラリアやイギリスでは公費負担が認められており、荒木医師は「きちっとした基準の下で公費負担にするべきだ。まずは排卵誘発剤などの薬剤から適用して欲しい」と要望した。 どの医師も強調したのが、子供だけが最終目標ではないという点。最終的に子供に恵まれない夫婦も4%いるのが現実。「夫婦の愛情や生きがいが第一であり、不妊治療はプラスアルファ」高宮城医師、「不妊治療は道具であって、子供をつくらないのも選択肢の一つ。大切なのは自分たちらしさを持って生きること」佐藤医師、「子供がいなくても幸せに生きられることを夫婦で確認して欲しい。社会の認識を帰るのも私たちの重要な使命だ」荒木医師と語り、夫婦で人生観や価値観を確認してから治療に望むよう求めた。   

今回、この公開討論会の企画にあたっては、なるべく参加者の皆様の立場での討論を中心におこなうことを目標としました。従来は講師からの発表を聞くことが多いのですが、それでは十分な理解が得られないと思い、皆様からの質問、疑問に答えることを主にしました。それぞれの解決点を見出すべく、多くの方々に最後まで参加していただき心より感謝いたします。討論会の内容は5月末をめどに現在まとめております。事務局談

討論会での質問から

Q:排卵誘発剤の副作用は? A:長期的に卵巣がんや卵子がなくなるといった心配はない。

Q:高齢妊娠・出産のリスクは? A:ダウン症は40歳以上で1%の確率。過剰に心配しなくていい。ただ治療成績は年齢に大きく左右される。

Q:こどもへの排卵誘発剤の影響は? A:排卵誘発剤を使って生まれた300人を幼稚園まで追跡調査したが、身長、体重、知能、言語能力などはすべて自然妊娠と同じ。

Q:治療をあきらめる目安は? A:治療を始める時にどの段階でやめるかを夫婦で相談して決めてほしい。特に高齢の人は、同一の治療は4回まででだめなら、次のステップに進むか、あきらめる。

Q:第3者からの体外受精は沖縄でも可能か? A:まだ日本産婦人科学会で検討している段階。ただ、不妊治療に第3者が関わるのはどうかと思う。生まれた子が幸せになれるか、子供の福祉の観点で考えるべきだ。

体外受精の子どもが年間1万人超える

4:46p.m. JST March 16, 2000
  卵子と精子を体外で合体させ、受精卵(胚<はい>)を母体に戻して妊娠をめざす「体外受精」による子どもの数が、1998年の1年間に初めて1万人を超えていたことが、日本産科婦人科学会の調べで分かった。83年の東北大学での初の出産以来、累積では5万人近くにのぼる。かつて「試験管ベビー」とも呼ばれた技術が、不妊治療として定着したことをうかがわせる。少子化の中、現在は認められていない体外受精への保険適用を求める声も高まりそうだ。

  学会は、体外受精を実施した全国の不妊治療施設などに、生まれた子どもの数を毎年報告するよう求めている。これまでの集計で、98年に治療を受けて生まれた子どもは一万数百人になった。約3分の1は、細い管で精子を直接卵子に送り込む「顕微授精」だった。集計は最終的に確定しておらず、さらに若干増えそうだという。

  厚生省の統計によると、98年の出生数は約120万3000人。学会とは集計の方法が異なるものの、ざっと120人に1人は体外受精で生まれた計算になる。

  体外受精で生まれた子どもは97年までの累積で3万6472人。今回の集計で4万7000人ほどに達したとみられる。

  体外受精は、女性の卵管がつまっていたり、男性の精子が少なかったりする夫婦に実施される。費用は1回に十数万円から60万円ほど。保険は適用されない。妊娠の確率は平均2割強なので繰り返し治療を受ける夫婦が多く、経済的負担が問題になっている。

助産婦国家試験の試験問題紛失、厚生省が被害届提出

2:06p.m. JST February 28, 2000
  助産婦国家試験の大阪会場で、試験問題が看護婦の試験問題と取り違えられていた問題で、厚生省は28日、助産婦国家試験の試験問題が紛失していたことがわかった、と発表した。近畿地方医務局が大阪府警東署に被害届を提出した。

  厚生省によると、助産婦の国家試験はまとめて1箱に入れられ、同医務局の試験問題の保管庫に保管されていた。25日の試験当日朝、箱を東大阪市の試験会場に運んで開けたところ、27日に実施される予定だった看護婦試験の問題が入っていた。

  その後の調査で、試験問題が到着してから試験日までの間に助産婦の試験問題が抜き取られ、別の箱に入れて保管されていた看護婦試験の試験問題にすり替えられていたことがわかった。保管庫のカギが破られた形跡はなかったという。

卵子バンク、米で設立へ

2000年1月16日 16時03分【ワシントン共同】
 人の卵子を凍結保存する「卵子バンク」を米ジョージア州アトランタに設立する計画を、米アラバマ大のマイケル・タッカー准教授が15日、明らかにした。

 提供者の卵子を保存して、必要な時に解凍して不妊治療に用いることができる。健康な女性が若い時に卵子を凍結、高齢になってから用いる妊娠、出産の先延ばしも可能。

性感染症患者は推計60万人 女性、男性の1.4倍

03:08a.m. JST September 12, 1999
 性行為でうつる性感染症(STD)にかかっている患者は、全国で約60万人と推計され、女性は男性に比べ1.4倍だったことが、厚生省研究班(班長=熊本悦明・札幌医大名誉教授)の調査で分かった。性感染症の全体像に関する報告はこれが初めて。研究班は「予想以上に多い。国民病ともいえる状況だ」と警告している。

 STDは、性行為でうつる病気約20種類の総称。今回、研究班は梅毒・淋(りん)病・クラミジア・性器ヘルペスなど7種を対象にした。北海道、岩手、茨城、愛知、兵庫、広島、福岡の7道県にある産婦人科・泌尿器科・皮膚科・性病科の約4000施設に、昨年6月と11月に訪れた患者の症例報告を依頼。約8割の医療機関が調査に協力した。対象地区の総人口は、全国の約4分の1にあたる。

 調査の結果、報告された症例数は、男性7706人、女性1万1394人の計1万9100人だった。これを全国人口に当てはめて推計すると、1年間でSTDと診断される人は全国で男性約25万人、女性約35万人、計約60万人と予測されるという。これは、胃と腸のがん患者の合計数とほぼ同じ。

 古くから知られている梅毒や淋病は男性が多く、新しいSTDである性器ヘルペスやクラミジアは女性が男性の2.5倍近くにも達する。研究班は、ヘルペスやクラミジアは、男性に比べ、女性の自覚症状があまり出ないため治療が遅れ、結果的に患者の増加につながりやすいのではないかと見ている。

 熊本名誉教授は「STDの中には将来、肝炎やがん、エイズなど全身の重大な病気をおこすものもある。医学界と行政が連携し対策を急ぐべきだ」と話している。

精子の異常、染色体から診断 栃木の不妊クリニック

2:22p.m. JST August 03, 1999
  不妊治療を受けている男性の精子の染色体診断を栃木県内の医療施設が実施していたことが3日、わかった。これは精子の染色体異常の頻度を調べる検査で、数年前から研究目的では試みられてきたが、国内で臨床応用が明らかになったのは初めてで、日本不妊学会も想定外のケース。出産にかかわる遺伝情報を調べる対象が、出生前の胎児や受精卵だけでなく、精子にまで及んできたことになる。

  実施していたのは栃木県南河内町の不妊治療専門施設「高度医療技術研究所・中央クリニック」(本山光博院長)。

  1996年11月から翌年5月にかけて、20―30代の3人の男性不妊患者の精子を診断した。3人は、精液中に含まれる精子の数が少ない乏精子症で、子どもをもつためには精子を直接卵子に入れる顕微授精を受ける必要があった。

  また、3人とも、血液中の細胞の検査で、性別にかかわる性染色体が余分にあることがわかった。

  この異常は一部の精子にも出ると考えられており、その場合は、顕微授精で染色体異常が受精卵に引き継がれる恐れがあった。こうしたことから、異常のある精子が実際にどれだけ含まれているか、それぞれ患者の同意を得て調べることにした。

  その結果、3人のいずれについても余分な性染色体がある精子は見つからず、本山院長がカウンセリングで結果を伝えた。

  「異常な精子がある確率は低い」と聞いた3人は顕微授精を受け、うち1人の妻は出産。この子の染色体に異常はなかった。クリニック側は「染色体異常に不安感をもつ患者へのカウンセリングの一環。情報提供として実施した」と説明している。

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