TOPIC No.5-27 ポリオ


ポリオ制圧へ一斉接種開始 インドネシアの子供たち

2005/08/30 The Sankei Shimbun

 世界保健機関(WHO)が2000年の京都会議でアジア太平洋地域での根絶を宣言したポリオ(小児まひ)が、インドネシアで再流行したことを受け、制圧を目指し全国で子供2400万人を対象にした一斉予防接種が30日始まった。

 これまで一部で実施した接種では、安全性への疑問や宗教上の理由から子供に受けさせない親が多く、政府とWHOはイスラム指導者や人気俳優、歌手に協力を求め、テレビ広告などでキャンペーンを展開している。

 ワクチン製造にサルの腎臓が使われることからイスラム教で禁止されると考える人も多く、政府は「インドネシア・ウラマ(イスラム学者)評議会」に協力を要請。同評議会は26日「予防接種はイスラム教に反しない。受けるべきだ」と表明した。

 WHOは2000年にアジア太平洋の37カ国・地域でポリオ根絶を宣言。インドネシアではこの10年は患者がいなかったが、今年5月にアフリカ方面からの輸入感染らしい患者が見つかった後、首都ジャカルタなどで計200人以上の患者が確認された。(共同)

伊丹の乳児死亡、ポリオ接種禍の疑い認定…厚労省

2004/06/03 読売新聞 Yomiuri On-Line
 兵庫県伊丹市は2日、ポリオ(小児マヒ)ワクチンの予防接種を受けて約2週間後に死亡した同市内の0歳の女児について、厚生労働省から「死因と予防接種との因果関係を完全には否定できない」とする認定を受けた、と発表した。

 ポリオの予防接種によって死亡した疑いがあることを国が認めたもので、全国で7件目。同市は予防接種法の救済措置に基づき、死亡一時金など約4300万円を女児の両親に支給することを決めた。同省は「極めてまれなケースで、ポリオの予防接種そのものには問題はない」としている。

 市や同省によると、女児は2002年5月下旬、市立保健センターでポリオの予防接種を受けた。2日後、下痢や発熱などの症状で入院し、6月初旬に多臓器不全で死亡した。

 女児の両親は翌7月、死亡一時金などの給付を市に申請。同省の予防接種健康被害認定部会は「ポリオ特有の手足のマヒがみられず、髄液検査でポリオウイルスが検出されなかった」などとして、接種が原因ではないと判断。2003年5月、不支給が通知された。

 これに対し、両親は同7月、再審査請求を申し立て、同省の再審査部会では「他の感染症を示すウイルスが発見されず、接種による死亡を100%否定はできない」とする意見書がまとまり、今年3月、同省が支給すべきだと認定した。

 ポリオ接種後の健康被害を巡っては、2000年5月、福岡県で3歳の女児が死亡、1歳の男児が入院していたことが明らかになった。厚生省(当時)は都道府県に福岡で使用された製造番号のワクチンの使用を見合わせるよう指示し、ポリオの予防接種自体を中止する市町村が相次いだ。同省は同6月にワクチン自体に問題がなかったことを公表、8月末に「対応マニュアル」をまとめ、ポリオ接種が再開された。

 厚生労働省結核感染症課は「接種と死亡との因果関係をはっきりとは認められないが、被害者救済に重点をおいて判断した。450万人に1人の割合で副作用が起きるが、きわめて少ない。今後とも予防接種の必要性を訴えていきたい」としている。

ポリオ予防接種で乳幼児らに期限切れワクチンを投与

2000.12.10(10:07)asahi.com
 奈良県広陵町の町保健センターが今月1日に実施したポリオの予防接種で乳幼児ら139人に経口投与したワクチンの中に、保存期限を20日間ほど過ぎたものが混入していたことが9日、分かった。同センターは「健康に影響はない」としているが、同センターの所長らが各家庭を回って謝罪した。

 同センターによると、予防接種を受けたのは、町内に住む0―2歳の乳幼児126人と成人13人。奈良県衛生研究所から取り寄せたワクチンの瓶を冷蔵保管した際、10月中旬の前回の予防接種で余り、そのまま保管されていた古いワクチンの瓶と交ざり、保健婦が気づかないまま投与したという。瓶には取り寄せた期日の記載がなかった。最多で80人前後に投与されたおそれがあるという。

 製造元の日本ポリオ研究所は、ワクチンを冷蔵保管する場合、保存期間を30日と定め、それを超えると健康に影響はないものの、効き目が低下するおそれがあるとしている。

 同町の野村完治・福祉部長は「大変申し訳ない。今後は薬品管理を徹底したい」と話している。

小児まひワクチン接種のため停戦 アフガニスタン

2000.11.12(02:20)asahi.com
 イスラマバードからの報道によると、アフガニスタンのイスラム原理主義勢力タリバーンと反対勢力各派は、13日から始まる小児まひワクチン接種のための停戦に合意した。世界保健機関(WHO)と国連児童基金(ユニセフ)が11日、発表した。

 今年の内戦の主戦場になっている北部タカール州などで、540万人の子どもに接種をめざす。同ワクチン接種のための停戦は今年3回目で、これまで約1000万人に接種しているが、内戦で難民となって移動する家族が多く、さらに接種が必要だという。

西太平洋地域のポリオ根絶を宣言 WHO

2000.10.29(12:29)asahi.com
 世界保健機関(WHO)の委託を受けたポリオ(小児まひ)根絶認定委員会は28日、京都市で開催中の会議で、日本を含む西太平洋地域(加盟36カ国・地域、準加盟1地域)でポリオが根絶された、と認定した。WHOが29日、委員会から根絶認定書を受け取り、宣言した。この地域での自然感染による患者は、1997年にカンボジアで8人、ベトナムで1人を最後に見つかっていない。ポリオ根絶は、世界6地域のうち、94年のアメリカ地域に次ぐ。日本は根絶作戦にかかった経費計73億6000万円の約3分の1を負担するなど大きな貢献をした。

 根絶認定委員会は、根絶計画とは直接かかわっていない専門家8人からなる。27、28日の2日間、加盟国の担当者による各国の実態報告を受け、審査した。その結果、野生のポリオウイルスによる患者が3年以上でていない▽サーベイランス(調査・監視)システムが機能▽ワクチン接種率が8割以上、の3条件を十分満たしたとして、地域根絶を認めた。

 日本は実態報告として、今年5月に宮崎県でワクチンを飲んだ子どもの父親が感染・発病した事例を挙げ、生ワクチンに使っている毒性を弱めたウイルスが突然変異して病原性を取り戻したことを遺伝子で確認したと発表した。委員会はポリオ根絶後のワクチンのあり方に大きな示唆となる、と評価した。

 認定委員の1人、山崎修道・前国立感染症研究所長は委員会の席上で「難しい作業を達成した。おめでとう。しかし、流行地域からの移入ポリオへの対策など、今後も引き続き努力が必要です」と話した。

   ◇

 <ポリオとは>

 ウイルスは腸内にすみ、便経由でうつる。症状は脚のまひが多いが、呼吸筋が侵されると、息ができなくなって死ぬ。日本では1960年代初めに年間発病者5000人を超す流行を起こし、ワクチンの緊急輸入を求める陳情団が厚生省に来るなど、社会問題になった。生ワクチンの定期接種を始めてから患者は激減した。

成人のポリオ患者が5年ぶりに発生 宮崎県

2000.06.03(22:53)asahi.com
 宮崎県保健薬務課は3日、宮崎市内の病院に入院中の同県都城市の男性(37)からポリオ(急性灰白髄炎)のウイルスを検出したと発表した。国内では1995年に長崎県の男性が確認されて以来、成人では5年ぶり。男性は快方に向かっている。次女(乳児)が4月にポリオワクチンの接種を受けていた。いまのところ家族を含め、周囲に発症は認められていない。県は子どもから二次感染した疑いもあるとみて、国立感染症研究所(東京)にウイルスの遺伝子の解析を依頼、ワクチン由来か、感染力の強い野生株か調べている。

 県によると、男性は5月18日、手足のまひ、発熱の症状を訴え、20日に宮崎市内の病院に入院した。のどをぬぐった液と便から2日、ポリオウイルス3型が検出され、主治医が宮崎市保健所に届けた。感染症病床で治療を受け、左足を除き、まひは回復してきたという。

 感染症予防法によると、ポリオはコレラ、ジフテリア、パラチフスと同じ2類感染症に分類される。

 男性に海外渡航歴はなく、本人のワクチン接種歴はわかっていない。家族は発症していないが、検便をして感染の有無の確認を急いでいる。

 県は(1)子どもが予防接種を受けた(2)ポリオは国内ではほぼ根絶された――などの理由から、野生株ウイルスに感染した可能性は低く、男性からの新たな感染の恐れは小さいとみている。

 ポリオをめぐっては今年、ポリオワクチンを予防接種した福岡県内の幼児2人に急性脳症などの症状が出て、1人が4月に死亡した。厚生省は安全性を確認するため、ポリオワクチンの使用を当面見合わせるよう都道府県などに指示した。

 ポリオワクチンには、感染力のある生ワクチンと感染力をなくした不活化ワクチンがあるが、日本では今のところ、生ワクチンしか接種できない。

 ◇ポリオ 

 腸内で増えたポリオウイルスが脳せき髄の神経細胞に感染し、腕や足がまひする病気。ウイルスは患者の便から排せつされ、経口感染する。野生株のウイルスは感染性が高く、子どもに感染しやすい。生ワクチンの開発で、国内ではこの約20年間、根絶状態だが、南アジアやアフリカの一部では今も患者が出ている。

ポリオ根絶に向け日本がユニセフに2860万ドル拠出

2000.06.03(10:14)asahi.com
 「ポリオ根絶」に向け、日本政府は2860万ドルを国連児童基金(ユニセフ)に拠出した。日本は最大拠出国の一つ。1日のユニセフ発表によると、今回の拠出で2005年までにポリオ根絶宣言が出せるとしている。

 ユニセフによると、1988年に推定35万人だったポリオの患者が99年には約7000人に減少した。今回の拠出は、犠牲者の多いバングラデシュ、ガーナ、インドなど6カ国での根絶事業に使われる。

ポリオ予防接種後、熊本の男児が入院

9:13p.m. JST May 17, 2000 asahi.com
 熊本市保健所は17日、同市でポリオワクチンの予防接種を受けた生後5カ月の男児が、けいれんの発作を起こして入院していたことを明らかにした。一般的な副作用の症状とは異なるものの、因果関係を完全には否定できないという。

 保健所によると、男児は4月10日に接種を受けたが、翌日になってけいれんや息が荒くなる症状が出たため入院。「群発性乳児てんかん」と診断された。すでに回復して退院したが、福岡県での事例を知った主治医が保健所に連絡。市が詳しく調査している。

ポリオワクチン接種の見合わせを厚生省が指示

8:09p.m. JST May 16, 2000 asahi.com
 ポリオワクチンを予防接種した幼児2人に急性脳症などの症状がでて、1人が死亡したと福岡県から報告があったのを受けて厚生省は16日、安全性を確認するため当面、同ワクチンの使用を見合わせるよう都道府県などに指示した。同省が因果関係を調査する。

 幼児2人に接種されたワクチンは昨年2月に製造された計400万人分の一部。昨春の国家検定に合格後、すでに156万人分が出荷された。今年3月からこれまでに100万人分がすでに使用されたとみられる。ほかに健康被害が疑われる例の報告はないという。

 ポリオワクチンの接種は生後3カ月から7歳半が対象。2週間以上をあけて2回接種することになっており、年間延べ240万人が受けている。

 同省が1977年以降、ポリオワクチンによる健康被害を認定したのは120件。うち4件が死亡例だった。下肢まひなどの被害は440万人に1人あるという。今回福岡県から報告があった急性脳症や無菌性髄膜炎の被害例は、世界でも過去に例がないという。

予防接種後に3歳女児が死亡 福岡

4:54p.m. JST May 16, 2000 asahi.com
 福岡県保健福祉部は16日午前、同県田川郡など2自治体で、予防接種(ポリオワクチン)による健康被害の疑いが2件発生し、3歳の女児が死亡、1歳の男児が右下半身まひで入院したと発表した。県は厚生省に報告し、対応の指示を求める一方で、接種の未実施市町村に対し、実施の延期を指示した。

 同部によると、死亡した女児は田川郡に住み、4月4日に予防接種をうけた。その後、吐き気などの体調悪化を訴え、同18日に近くの病院に入院。数日後にはけいれんや呼吸障害を併発し、同26日に大学病院に転院したが、翌27日に劇症型脳症などで死亡した、という。

 病院側は予防接種との因果関係には否定的だが、検査を続けている。

 一方、入院中の男児は久留米保健所管内の市に住み、4月11日に予防接種を受けた。男児は5月3日になって発熱。同8日に無菌性髄膜炎の疑いで自宅近くの医院に入院。右下半身がまひしたため、15日、大学病院へと移った。大学病院は、予防接種による健康被害の疑いがある、と診断したという。まひは軽度だという。

 同県では、すでに、53市町村が接種を実施し、44市町村で近く、実施する予定だったという。

 隈本英臣・保健福祉部長は「ワクチンとの因果関係が否定できない重篤な事例が報告されたので、因果関係が判明し、厚生省の判断が下されるまで、県内の接種を見合わせるよう指示した」と述べた。

 ポリオワクチンは、日本ポリオ研究所(東京都)で製造されている。

 厚生省などによると、ポリオワクチンの予防接種は生後3カ月から90カ月の間に2回受けることになっている。450万人のうち1人の確率で、まひなどの症状が現れる。そのため、接種の場合には、健康被害が発生する可能性を説明した同意書になつ印してもらっているという。現在と同種のポリオワクチンの予防接種が始まった1961年7月以降、接種後に亡くなって、国が死亡一時金を払ったのは4例ある。因果関係ははっきりしないが、否定もできなかった例だという。

日本・中国などポリオ根絶宣言へ WHO、来秋にも

03:22a.m. JST September 11, 1999
 日本や中国、ベトナム、オーストラリアなどを含む西太平洋地域で来年秋にもポリオ(小児まひ)の根絶を宣言できる見通しとなった。13日からマカオで開かれる世界保健機関(WHO)西太平洋地域委員会に提出されるポリオ根絶に関する報告書に明記された。WHOは全世界でポリオ根絶に取り組んでいるが、この地域では1997年3月のカンボジアの患者を最後に、自然界のポリオウイルスに新たに感染した患者は出ていない。

 WHOは世界を6地域に分けて事務局を設置、ポリオ患者の発生状況を調べている。アメリカ地域(南北米大陸)が94年に根絶宣言をしており、西太平洋地域で実現すれば2番目となる。

 報告書によると、西太平洋地域(加盟27カ国)の90年の患者は約6000人だったが、97年にカンボジアで8人、ベトナムで1人の患者が確認されたのを最後に、98年以降は地域全体でゼロになった。
 日本では80年を最後に新たな患者はいない。

 WHOは96年、根絶宣言をめざして専門家からなる地域認定委員会を発足させた。

 今回提出される報告書は、今後もワクチン接種など十分な対策を続けることを求めた上で、3年間続けて自然界にあるウイルスによるポリオ患者が出ない場合、地域認定委員会が地域でのポリオ根絶を宣言するとしている。

 80年の天然痘根絶宣言に続き、WHOは2000年を目標に全世界でポリオ根絶をめざしてきた。しかし、インドなど南西アジア地域などでは患者発生が止まっておらず、全世界の根絶宣言にはまだ数年かかりそうだ。

 ポリオウイルスは人の腸で増殖し、経口感染する。患者の主な症状は発熱と筋肉のまひで、悪化すれば死亡する。

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