TOPIC No.5-26 薬害ヤコブ病/狂牛病

01.変異型クロイツフェルト・ヤコブ病 一粒の種
02.狂牛病 知ることから始まる自己防衛 第3回 by Dr.赤ひげ.com
03.狂牛病の正しい知識 Version 5.1 by国立犀潟病院 臨床研究部 池田正行
04.牛海綿状脳症(BSE)関連情報 by農林水産省生産局畜産部
05.牛海綿状脳症(BSE、狂牛病)に関するホームページ by東京都衛生局
06.「牛海綿状脳症(BSE)関係」ホームページ(Q&Aなど)by厚生労働局
07.牛海綿状脳症(BSE)について−いわゆる狂牛病− by北海道BSE対策本部
08.薬害資料館(ネット版) byMIネット薬害部会世話人栗岡幹英
09.薬害ヤコブ病のホームページby「薬害ヤコブ病東京弁護団」
10.クロイツフェルト・ヤコブ病 by難病情報センター
11.BPRO Today's News 海外編 by 財団法人血液製剤調査機構(Blood Products Research Organaization)

国内32頭目のBSE確定診断 北海道帯広市の牧場

2007/02/05 The Sankei Shimbun

 厚生労働省は5日、北海道帯広市の牧場で飼育されていた5歳5カ月の牛について、牛海綿状脳症(BSE)の2次検査の結果、BSEと確定診断したと発表した。国内での感染牛は32頭目。

 肉や内臓は焼却処分されるため、市場には流通しない。

 牛は雌のホルスタインで、肉骨粉の使用が禁止される以前の平成13年8月に生まれた。食肉処理場に持ち込まれ、2日に実施した1次検査で疑陽性と診断され、北海道大と帯広畜産大で確定検査をした。

香港が牛肉輸入再停止 米食肉大手製品に骨混入

2006/03/13 The Sankei Shimbun

 香港政府は13日までに、世界第2位の米食肉加工大手スイフト社の本社のあるコロラド州の食肉処理工場から輸入した牛肉に、牛海綿状脳症(BSE)の感染防止のため輸入を禁止している骨が混入していたとして、同社の製品の輸入を再び停止した。

 香港政府は輸入経路などを調査する方針で、停止期間は「当面の間」としている。出荷したのはスイフトの主力の牛肉部門であるスイフト・ビーフ社の工場で、米政府が対日輸出向けに認定した施設であり、日本政府も昨年末に現地を査察し安全性を確認していた。

 今回の混入発覚で、米食肉業者の管理のずさんさが浮き彫りになると同時に、日本政府の査察の実効性に疑問が広がりそうだ。事前査察を前提に米国産牛肉の輸入再開を模索する日米両政府のシナリオに大きな狂いが出ることになる。

 日本の農水省の石原葵事務次官は13日の記者会見で「残念」と述べた上で「米大使館などを通じて事実関係を含めて調査中」とした。

 香港の食物環境衛生署によると、香港国際空港の食物検疫所が10日夜、米国産牛肉に骨が付いているのを発見した。香港に輸入される牛肉は2003年の実績で米国産が約3割を占め、最近は米国産のうち約1割がスイフトの製品という。

 香港では日本同様、2003年末に米国産牛肉の輸入を全面的に停止したが、昨年12月に、月齢30カ月以下で、BSE病原体のたまりやすい脳などの特定危険部位を除去した骨なし肉に限り、輸入を再開した。

 駐香港の米総領事館は今回の問題について「(骨が見つかったのは)品質の問題であり安全性が問われるわけではない」とのコメントを出した。

 香港では、この問題をめぐるメディアの扱いは地味で、市民の関心も高くない。パークンショップなど2大スーパーは「スイフトの輸入肉は扱っておらず影響はない」としている。(共同)

カナダで4例目のBSE感染牛 日本、昨年12月に輸入再開

2006/01/24 The Sankei Shimbun

 カナダ食品検査局は23日、西部アルバータ州の農場で牛海綿状脳症(BSE)に感染した牛が見つかったと発表した。カナダでの感染牛確認は4例目。

 カナダ産牛肉は、2003年5月のBSE発生で日本への輸入が停止されたが、日本政府は昨年12月、米国産とともに輸入を再開したばかり。今月20日に米国産牛肉に特定危険部位の混入が見つかり同国産牛肉が再度輸入停止された後も、日本のカナダ産の輸入は続いている。

 感染していたのは6歳の牛。人間の食用や動物の飼料用として流通はしていない。

 2003年12月に米国で初めて確認されたBSE感染牛も、カナダから輸入されていた。

 米政府は03年5月、BSE発生を理由にカナダ産の牛の輸入を停止したが、昨年7月、生後30カ月以下の牛に限って輸入を再開した。

 ジョハンズ米農務長官は23日、カナダ側との協議後、今回のBSE感染牛確認で、カナダからの牛や牛肉の輸入を停止する考えがないことを表明した。(共同)

全都道府県が全頭検査自主継続

2005/05/09 中国新聞ニュース

 牛海綿状脳症(BSE)対策の全頭検査について、国が生後二十カ月以下の牛を検査対象から除外する緩和策を実施した後も、すべての都道府県が自主的に全頭検査を継続する意向であることが九日までに、厚生労働省の調査で分かった。

 同省は六日の内閣府食品安全委員会の答申を受け、検査対象の月齢を「二十一カ月以上」とするBSE対策特別措置法施行規則の改正案を九日にホームページで公表。国民の意見を求めた上で八月上旬に施行し、国の制度としての全頭検査は終了する予定で、若い牛に限定した北米産牛肉の輸入再開に向けた手続きも進める方針。

 しかし、全頭検査が全国で続けられることが確実になったことで、事実上の国内外格差が生じる見通しとなった。

 厚労省監視安全課によると、四月下旬に都道府県の意向を調査した結果、すべての自治体が国の制度見直し後も全頭検査を続けたいと回答したという。

 厚労省は「消費者や畜産現場の混乱を避けるため」(同課)として、都道府県が自主的に行う全頭検査費用を今後三年間は全額補助する方針を既に決めている。

 食品安全委員会は六日の答申で、生後二十カ月以下の牛を検査対象から除外しても、脳などの特定危険部位を除去すれば食肉のリスクは「非常に低いレベルの増加にとどまる」とした。

 厚労、農林水産両省はこれを受け、約三年半続いた国内の全頭検査を八月に終えることを決めた。

全頭検査緩和容認を答申 BSE対策で食品安全委

2005/05/06 中国新聞ニュース

 内閣府の食品安全委員会は六日、牛海綿状脳症(BSE)対策の見直しについて審議し、全頭検査の緩和容認を正式に決めた。同日中に厚生労働省と農水省に答申する。

 生後二十カ月以下の牛をBSE検査の対象から除外しても、食肉への影響は「非常に低いレベルの増加にとどまる」というプリオン専門調査会の答申案を認めた。

 同委員会には、一般から約千二百五十件の意見が寄せられ、そのうち約七割が全頭検査の継続を求める内容だったが、科学的な検討を要するような指摘は無く「再審議の必要は無い」(吉川泰弘座長)と判断した。

 ただ、安全性について国民の理解を深める必要があるとし、委員会では、リスクコミュニケーションと呼ばれる意見交換会を充実させるべきだという指摘が出た。

 食品安全委は、こうした指摘を踏まえ同日中に最終答申を作成し、事務局を通じて厚生労働省と農水省に伝える。これを受けて両省は、全頭検査の緩和に向けた省令改正に着手する。自治体などへの周知が必要なため施行日は決まっていないが、八月ごろの見通しだ。

 また両省は、北米産牛肉の輸入条件について、月内にも食品安全委員会に対し、あらためて安全性の評価を諮問する。

BSE:感染疑いの擬似患畜、4頭増え計11頭に 北海道

2005年04月29日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE

 北海道音更町の農場で死んだ乳牛が国内17頭目のBSE(牛海綿状脳症)と確認された問題で、道BSE対策本部は28日、感染の疑いがある擬似患畜が4頭増え計11頭になったと発表した。4頭は佐賀、茨城、鹿児島の3県に出荷されたが、鑑定の結果、すべてが陰性と判明した。【仲田力行】

スクレイピー:羊1頭がBSEと似た伝染病 神奈川・秦野

2005年04月28日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE

 神奈川県は28日、同県秦野市の農場で飼育されていた雌の羊1頭がBSE(牛海綿状脳症)とよく似た伝染病「スクレイピー」(伝達性海綿状脳症)に感染していたと発表した。国内でのスクレイピーの発生は03年10月以来で、84年以降63頭目という。

 感染した羊はサフォーク種で、年齢や産地は不明。繁殖用に飼育していたという。11日に立てなくなり、14日に死んでいるのが見つかった。同農場では26日、立てなくなっていた別の雌1頭も死んでおり、現在検査中。

 県は、同じ農場で飼われていた8頭を隔離、伝染の可能性がある親や子羊を追跡調査する。

 スクレイピーはBSEの原因でもあるたんぱく質の異常プリオンが引き起こす伝染病。食べても人には感染しないとされる。感染した羊はすでに焼却処分された。【安高晋、渡辺創】

BSE:17頭目確認問題で擬似患畜7頭を指定 北海道

2005年04月23日 毎日新聞 Mainichi INTERACTIVE

 北海道音更町の酪農家の農場で死んだ乳牛が国内17頭目のBSE(牛海綿状脳症)と確認された問題で、北海道は22日、感染の疑いがある擬似患畜7頭を指定した。家畜伝染病予防法に基づき、病性鑑定した後、焼却処分する。

 擬似患畜は生産農場で飼われた乳牛のうち、BSEと確認された乳牛との同居歴や与えられた飼料などの調査から分かった。BSEと確認された乳牛から生まれ、道外に出荷された乳牛1頭については農林水産省を通じて各都府県に調査を依頼している。【仲田力行】

宮城で2頭がBSE疑陽性 確認されれば19頭に

2005/04/19 The Sankei Shimbun

 宮城県内で飼育されていた牛2頭が、牛海綿状脳症(BSE)の1次検査で疑陽性となった。県は2頭の検体を国立感染症研究所(東京)に送り、確定検査を行う。確認されれば国内で18、19頭目となる。

 同県によると、2頭は1987年生まれの雌の黒毛和牛と、95年生まれの雌のホルスタイン。いずれも同県内で飼育されていたという。(共同)

全頭検査緩和を容認 BSE対策

2005/03/28 中国新聞ニュース

 国内の牛海綿状脳症(BSE)対策の見直しを審議している食品安全委員会プリオン専門調査会は二十八日、全頭検査の緩和を容認する答申案をまとめた。

批判的意見を付記

 食品安全委員会プリオン専門調査会は、二十八日にまとめた答申案に「BSE対策の見直しは時期尚早」とする批判的意見を付記した。

国内16頭目のBSE感染、北海道の乳廃牛で確認

2005/03/27 読売新聞 Yomiuri On-Line

 厚生労働省は27日、北海道内の食肉処理場に持ち込まれた乳廃牛(9歳)がBSE(牛海綿状脳症)に感染していたと発表した。国内では16頭目の感染牛。

 同省によると、この牛はホルスタインの雌で、1996年3月に出生し、北海道天塩町で飼育されていた。

 今月23日に旭川市内の食肉処理場に運び込まれ、1次検査で陽性反応が出たため、国立感染症研究所などで詳しい検査を行っていた。この牛の肉は焼却処分され、市場には流通しない。

全頭検査緩和の新基準 BSE対策、月内にも諮問案了承へ

2005/03/11 The Sankei Shimbun

 全頭検査から生後20カ月以下の牛を除外することなど牛海綿状脳症(BSE)対策の見直しを討議する食品安全委員会プリオン専門調査会(座長・吉川泰弘東京大教授)が11日開かれ、検査を緩和しても食肉の汚染度はほとんど変化しないとした新たなリスク評価案についてほぼ合意した。

 終了後、吉川座長は「対策見直しを了承する方向で意見がまとまってきている。個人的には次回会合でまとまると思う」との見通しを示した。

 厚生労働省や農林水産省から出された対策見直しの諮問内容を事実上認めた形。次回会合は月内に開く方向で調整を進めている。

 米国が早期解禁に向け圧力を強めている米国産牛肉の輸入再開問題では、同委員会が全頭検査の緩和を了承することが、解禁手続きを進める大前提となっている。

 ただ、今回の結論が出ても、米国産牛肉の輸入解禁には、さらに、米国産牛肉のリスク評価をする必要が残されている。

 この日の議論では、検査が緩和されたとしても、対象から外れる2003年7月以降に生まれた牛の汚染度は非常に低いため、危険性は無視できると評価することで、大筋、意見がまとまった。

 ただ、文章の表現や構成について改善を求める声が上がったため、結論は次回に持ち越された。(共同)

英仏1日以上滞在者の献血禁止 ヤコブ病感染確認

2005/03/07 The Sankei Shimbun

 厚生労働省は7日、国内初の変異型クロイツフェルト・ヤコブ病患者の英国、フランス滞在が短期間だったことを受け、献血禁止の対象を1980年から1996年まで英国、フランスに1日以上滞在経験のある人に拡大することを決めた。(共同)

英国滞在中の感染有力に 変異型ヤコブ病で専門委

2005/03/07 The Sankei Shimbun

 2月に確認された国内初の変異型のクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)患者について、厚生労働省の厚生科学審議会CJD等委員会は7日、会合を開き、牛海綿状脳症(BSE)発生国の英国に滞在していた1990年に感染した可能性が有力と判断した。

 厚労省によると、患者の男性は90年前半に24日間、英国に滞在していたことがパスポートで確認された。滞在中に変異型CJDの原因となり得る種類の牛肉を食べていたことも分かった。

 変異型CJDが英国で猛威を振るい、食用牛から脳などの特定危険部位除去を始めた89年11月よりも後の時期だったが、厚労省は「90年当時はまだ対策が不完全だった」としている。

 同じ時期にフランスにも3日間立ち寄っていたが、英国と比べ可能性は低いと判断された。手術歴や輸血歴はなかった。

 患者は50代の男性で2001年に発病、昨年12月に亡くなり、今年2月に変異型CJDと確認された。(共同)

 <変異型クロイツフェルト・ヤコブ病>  牛海綿状脳症(BSE)の牛の肉を食べて感染すると考えられている人間の病気。BSEが発生した英国で1996年に初めて確認された。脳に異常プリオン(タンパク質)が蓄積するのが原因とされ、脳にスポンジ状の穴があく致死的な症状がある。ヤコブ病には変異型(vCJD)のほかに原因不明の「孤発性」、遺伝子異常で起きる「家族性」、脳の硬膜移植などによる「医原性」があり、孤発性は100万人に1人の割合で発生する。変異型かどうかの確定診断は、死後に脳の病理検査をしないと難しいとされる。(共同)

15頭目のBSE確定診断 農水省、死んだ牛で3例目

2005/02/26 The Sankei Shimbun

 農水省は26日、死んだ牛に対する牛海綿状脳症(BSE)検査で陽性となった北海道の乳牛について、国内15頭目の感染牛と確定診断した、と発表した。死んだ牛としては国内3例目。

 同省によると、この牛は1996年8月に生まれた8歳6カ月の雌のホルスタイン。北海道本別町で飼育されていたが、両前脚が腫れ、関節炎と診断されて殺処分された。23日に十勝家畜保健衛生所(帯広市)の検査で疑陽性となり、動物衛生研究所(茨城県つくば市)の確認検査でも陽性だった。

 北海道は26日、同牧場で飼育されているホルスタイン22頭の移動を制限。今後、農協などを通じて飼料の購入歴などを調べる。

 死んだ牛の検査は病気や事故で死んだ2歳以上の牛を対象に2003年4月から全国で始まり、これまで北海道で2頭の感染が確認されている。(共同)

英滞在1か月以上、臓器などの提供を当面中止

2005/02/08 読売新聞 Yomiuri On-Line

 BSE(牛海綿状脳症)感染牛を食べて発症するとされる「変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)」の、英国に約1か月滞在していた男性への感染が確認されたことを受け、厚生労働省は7日、献血と同様、英国に1980年以降、通算1か月以上滞在した人からの臓器や骨髄、角膜の提供を当面中止することを決めた。

 vCJD感染者の臓器から2次感染したケースは世界的にも報告はないが、厚労省は現在、英国やフランスなどBSEが発生した欧州10か国に、80年以降に通算6か月以上、その他の欧州各国に通算5年以上滞在した人からの臓器提供は受け付けていない。

 厚労省は、男性の感染確認を受けて、英国だけはさらに滞在期間を短縮する必要があると判断。日本臓器移植ネットワークや骨髄移植推進財団、全国の医療機関に、臓器提供者に対する英国滞在歴などの確認を徹底するよう通知した。

患者発生速やかに届け出を ヤコブ病で厚労省通知

2005/02/08 The Sankei Shimbun

 国内初の変異型クロイツフェルト・ヤコブ病患者が確認されたことを受け、厚生労働省は7日、都道府県に患者発生の早期届け出や、医療機関での二次感染防止を徹底するよう通知した。

 通知は(1)変異型に限らず、クロイツフェルト・ヤコブ病の疑いがあると診断された場合は速やかに報告する(2)保健所などに相談窓口を設置する(3)医療現場での診断基準の再確認や、手術器具などを通じた二次感染の防止−を再徹底するよう求めている。

 同省が4日に設置した電話相談窓口への相談は7日までに696件に上った。(共同)

国内初の変異型ヤコブ病 男性死亡、英国感染が有力

2005/02/04 中国新聞ニュース

 厚生労働省は四日、牛海綿状脳症(BSE)がヒトに感染して起きるとされる変異型のクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)の患者が、国内で初めて確認されたと発表した。昨年十二月に死亡した五十代の男性で、主治医の報告によると、牛のBSEが大流行していた一九八九年に英国に一カ月間滞在したという。

 確定診断した同省疾病対策部会CJD等委員会委員長の北本哲之・東北大医学部教授は記者会見で「ヨーロッパ以外の変異型の患者は全員、英国滞在歴があり、この患者も英国で感染した可能性が有力」と話した。

 厚労省は今後、家族らから英国での暮らしぶりを聞き取るなどして感染原因を調べる一方、この患者の献血歴や手術歴など二次感染の危険も調査する。また不安を感じる国民の相談を受け付ける窓口を全国の都道府県に設ける方針。

 発表によると、男性は二○○一年十二月、イライラなどの精神症状が現れ、その後痴呆が進行。死亡前の数カ月間は寝たきりになった。厚労省のサーベイランス委員会で昨年九月、いったんBSEと無関係の孤発型CJDと判断された。

 しかし、過去の診断データから変異型の可能性が捨てきれず、死亡後の今月三日、脳に蓄積した異常プリオン(タンパク質)を調べるウエスタンブロット法の検査と病理検査で変異型CJDの特徴と完全に一致した。

 CJDの感染源の一つとなる脳硬膜の移植や輸血歴はなく、感染を広げる恐れのある献血歴もコンピューターに記録がある一九九五年四月以降はなかった。  変異型CJDはBSEにかかった牛の特定危険部位などを食べて感染するとされる。発症者は英国が百五十三人と圧倒的に多く、カナダなどでも英国居住歴のある人の報告がある。わずか一カ月の英国滞在で発症した例は過去にないという。

カナダでまたBSE感染牛

2005/01/12 The Sankei Shimbun
 カナダ食品検査局は11日、牛海綿状脳症(BSE)に感染したアルバータ州産肉牛を発見したと発表した。感染牛の肉は、食肉や家畜の飼料として流通していないという。

 カナダでは今月2日に同州産乳牛1頭のBSE感染が確認されたばかりで、今年に入っての確認は2頭目。2003年5月の最初の感染牛確認からは3頭目となる。

 検査局によると、感染牛は7歳未満だが、1997年にカナダで肉骨粉の使用が禁止される前に作られた飼料で育てられ、BSEに感染した可能性が高いという。検査局は感染牛がどんな飼料で飼育されたかなどについて調査を始めた。(共同)

ヤコブ病病原体となる異常プリオン、高率で人に感染か

2004/05/22 読売新聞 Yomiuri On-Line
 【ロンドン=飯塚恵子】BSE(牛海綿状脳症=狂牛病)が人に感染した変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の病原体となる「異常プリオン」が、これまで考えられていた以上にはるかに多くの人に感染している疑いがあることが、英政府が出資した病理学調査で明らかになった。

 調査を掲載した21日発行の「病理学ジャーナル」最新号によると、英国人約1万2700人から摘出した盲腸やへんとう腺を検査した結果、異常プリオンが3人から発見された。試算では、英国全体で約3800人が異常プリオンに感染している可能性があるという。

 異常プリオンは感染が発見されても、ヤコブ病の発症に直結するとは限らないが、輸血や臓器移植などで知らずに感染が拡大する恐れもあり、専門家たちは「深刻な結果だ」と分析している。今月発表の英政府の最新統計では、英国ではヤコブ病が原因とみられる死者が毎年20人前後、累計で計141人に上っている。

 国立精神・神経センター神経研究所の金子清俊・疾病研究第7部長は「これまでの疫学調査などから推計して、英国の感染者は、多く見積もっても数百人程度と考えられてきた。今回はそれを大きく上回る結果で、無視できない重要な報告だ。日本の場合、感染牛が少ない上に、BSEが発生してから(全頭検査など)十分な対策が取られているために、英国のような高い感染率は考えられない」と話している。

チェコで初の死者か 新変異型ヤコブ病

2003年07月11日 The Sankei Shimbun
 チェコ通信によると、同国東ボヘミア地方の病院当局者は10日、新変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)に感染していたとみられる46歳のチェコ人女性が6月中旬、死亡したことを明らかにした。

 新変異型CJDは、牛海綿状脳症(BSE)の牛の肉を食べることなどで人間に感染するとされるが、チェコでの感染例はなく、確認されれば初めて。チェコでは一昨年から牛のBSE感染例が報告されている。

 病院当局者によると、女性は4月に発症し、症状などから新変異型CJDにかかった可能性が濃厚だが、最終的な検査結果は来週以降に判明する見通しだという。新変異型CJDによる死者は英国やフランスなどで100人以上に上っている。(共同)

BSE:「疑似患畜」処分牛の範囲を縮小 農水省方針

2003年05月26日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 農水省は26日、BSE(牛海綿状脳症)発生時に「疑似患畜」として処分される牛の範囲を縮小する方針を決めた。感染牛と同じ牧場で飼われている「同居牛」は従来、約8割が処分されていたが、新基準で処分するのは2割前後だという。国際獣疫事務局(OIE)の国際動物衛生規約の改正に基づくもので、6月に開くBSE技術検討会(座長・小野寺節東大教授)に諮る。

 同省は従来、感染牛が1歳以下の時期に食べたものと同じ銘柄の餌を食べた同居牛すべてを疑似患畜として処分してきた。OIEが23日(現地時間)にパリで開いた総会で同規約を改正し、同じ銘柄でも製造時期の違う餌を食べた牛と、1歳を過ぎて同じ餌を食べた牛を疑似患畜から除外したことから、同様の対応を取ることにした。

 国内でのBSEは00年9月以降7頭見つかっており、同居牛360頭が処分された。【早川健人】

カナダでBSE感染牛確認 北米産初、日米が輸入停止

2003/05/21 中国新聞ニュース
 【ニューヨーク20日共同】カナダ政府は二十日、同国西部アルバータ州の農場で、牛海綿状脳症(BSE)に感染した牛一頭が確認されたと発表した。国際獣疫事務局(パリ)などによると、北米地域での自国産牛のBSE感染は初めて。

 米国のベネマン農務長官は同日、拡大の恐れはないとの見方を示したが、米農務省はカナダからの牛や牛肉など関連製品の輸入を禁止、カナダへの専門家派遣を決めた。日本政府も二十一日、カナダ産の牛や牛肉、牛肉加工品などの輸入を停止した。

 日本農水省によると、二〇〇二年の日本の牛肉輸入総量は約四十八万七千二百トンでほとんどが米国、オーストラリア産。カナダ産は約一万九千トンで全体の約3・9%(数量ベース)。

 カナダ政府によると、食肉用に解体した八歳の雌牛一頭にBSE感染の疑いが浮上、英国での検査で二十日、最終的に感染が確認された。農場の家畜に対する検疫処置を強化、感染経路などを調べている。

 問題の牛の肉は食品店には一切出ていない。人体への危険は低く、他の家畜に伝染する可能性も小さいが、感染が判明した家畜は処分する方針。

 BSEの発生は英国を中心にした欧州諸国に集中、日本でも二〇〇一年に確認された。

琵琶湖岸に薬害根絶の碑

2003年03月23日 The Sankei Shimbun
 昨年3月25日の薬害ヤコブ病訴訟和解から1年を迎えるのを前に、原告団らでつくる「薬害ヤコブ病全国患者家族の会」が大津市の琵琶湖岸に薬害の根絶を願って石碑を建立し、23日除幕式を行った。

 式には原告団や国会議員、別の薬害被害者の家族ら約200人が出席。1分間の黙とう後、谷三一・大津訴訟原告団長(54)が「(提訴したことが)昨日のことのように思い出される」と振り返り、「いまだ多くの被害者や家族が未解決。1日も早く全家族の解決を」と呼び掛けた後、除幕した。

 石碑は高さ約2メートル、幅約1・2メートルで、坂口力厚生労働相が筆書きした「薬害根絶の碑」の文字が刻まれている。

血液法案可決、成立へ 製剤自給を義務付け

2002年07月24日 The Sankei Shimbun
 薬害エイズを教訓に、血液製剤の国内自給を国に義務付けた血液法案が24日、衆院厚生労働委員会で可決された。参院の審議は終えており25日の衆院本会議で可決、成立する。

 これまで血液事業には基本法がなく、過去の閣議決定や国会決議に基づき進められてきたが、国の責務の明確化が薬害エイズ患者らの悲願だった。

 旧厚生省の有識者懇談会が1997年末に法整備の必要性を指摘する報告書をまとめてから約4年半、国の責任が法的に明記されることで、自給達成に向けた国の具体的取り組みが急務となる。

 血友病や肝硬変、感染症などの治療に使われる血液製剤の多くは、輸入に頼っているのが現状。法案は、基本理念に国内献血による血液製剤の自給を掲げ、自給達成のため「国は基本的、総合的施策を実施しなければならない」と規定した。

 厚労相が自給達成に向けた中期の基本方針や毎年度の需給計画を決定。計画に則して、血液製剤業者の事業実績が不適正と判断すれば勧告を出し、従わなければ薬事法に基づき業務停止命令を出すことができる。

 薬害エイズ患者らが求めていた安全監視組織創設は法案には盛り込まれなかったが、厚労省は薬事・食品衛生審議会に患者側も参加する委員会を新設する。

 また、輸入製剤の原料血しょうの採血地や、献血か売血かを区別する表記を省令で義務付ける方針。

 法案は「採血および供血あっせん業取締法・薬事法改正法案」で、現行の採血および供血あっせん業取締法を「安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律」と名称変更。

 薬事法改正部分では、血液製剤を含め人や動物の細胞からつくられる医薬品に対する規制を強化。未知のウイルスによる感染症被害防止のため製造業者らに原料記録の保管や、最新の知見に基づく安全性評価結果を定期的に国に報告することを義務付けた。

薬害ヤコブ病患者新たに6人

2002年07月05日Yomiuri On-Line
 厚生労働省の厚生科学審議会クロイツフェルト・ヤコブ病等委員会(委員長=北本哲之・東北大教授)が5日開かれ、脳の硬膜移植を受けてヤコブ病に感染した薬害ヤコブ病とみられる患者が新たに6人報告された。患者の総数は過去の報告例と合わせ、計82人となった。一方、硬膜移植歴が患者や家族に十分説明されず、薬害ヤコブ病の被害者である事実に気付いていないケースもありうると指摘された。同委員会では関係した医療機関に対して、十分な説明を行ったかどうか確認することを決めた。

狂牛病:廃用牛を国が買い上げる方針固める 政府・自民党

(2002/01/25)Mainichi INTERACTIVE
 政府・自民党は25日、狂牛病(牛海綿状脳症)問題で農家に滞留している廃用牛を国が買い上げる方針を固めた。買い上げ価格は乳牛が1頭4万円、肉牛は同5万円の方向で、農水省が財務省と調整している。実際に買い上げるのは畜産・酪農関係の業界団体で、その費用を国が負担する仕組みを考えている。

 買い上げ後の処理方法は固まっていない。狂牛病検査については、食肉処理場で行うか、農場で行うかなどを検討中だ。

 廃用牛には、狂牛病の感染源とされる異常プリオンが見つかる可能性が高く、これまで確認された3頭の感染牛も乳牛の廃用牛だった。このため、廃用牛の出荷は急減し、昨年12月時点で全国の農家に4万4000頭が滞留しているという。

 埼玉県や熊本市などでは、困った農家が路上に放置した「捨て牛」まで出現している。買い上げ価格は、1頭5000円程度に暴落した市場価格よりかなり高額を想定している。

 廃用牛には、高齢で乳を搾れなくなった乳牛と、子牛を産めなくなった肉牛がある。狂牛病発生前の00年は、食肉用に出荷された130万頭のうち、4分の1が廃用牛と見られている。

 廃用牛対策として農水省は11億円の予算で、農協などの一時管理施設へ廃用牛を集めて飼料代を補助する事業を11日に決めたばかり。しかし、自民党農林系議員は、農家救済のために、買い上げを強く主張していた。

狂牛病で売り上げ38%減少 焼き肉レストラン

(2002/01/24 17:06)河北新報center>
 日本フードサービス協会が24日発表した外食産業市場動向調査によると、昨年12月の新規出店を除いた既存店ベースの焼き肉ファミリーレストランの売上高は前年同月比38・9%減と落ち込んだ。昨年1年間の売上高も前年を15・1%下回った。

 昨年9月に発生した狂牛病の影響で、客足の減少に歯止めがかかっていないためで、焼き肉業界の業績不振があらためて浮き彫りになった。

 その他のファミリーレストランやハンバーガー、ファストフード店、居酒屋などを含めた外食全体でも、昨年の売上高は前年比3・3%減となり、統計をとり始めた1994年以来8年連続で減少した。

2頭目狂牛病の飼育農家が離農…北海道

[読売新聞]2002年01月23日BIGLOBEニュース
 国内2頭目の狂牛病感染牛を飼育していた北海道猿払村の酪農家(44)が、地元の東宗谷農協に、離農の意思を伝えていたことが23日、わかった。これまでに3頭の感染牛が確認されているが、生産農家が離農するケースは初めて。同農協によると、18日に離農の意思が伝えられた。


英仏など6カ月以上滞在者は「献血お断り」 狂牛病対策

2001.03.01(20:34)asahi.com
 人に感染する恐れがある狂牛病(ウシ海綿状脳症)について、専門家でつくる厚生労働省の調査会は1日、感染者の血液が入り込むのを防ぐために、従来の英国に加えフランス、ドイツなど計7カ国に1980年以降、半年以上滞在した人からの献血は断る、とする案を提言した。米食品医薬品局(FDA)の専門委員会が1月にまとめた提言より厳しい規制案。大臣の承認を経て実施される。これまで医薬行政で追随してきたFDAの先を行くという、過去に例のない措置となる。

 提言は、血液の安全性について検討する薬事・食品衛生審議会の安全技術調査会(小室勝利座長)がまとめた。規制されるのは、ほかにアイルランド、スイス、ポルトガル、スペインに半年以上滞在した人。

 狂牛病になったウシの脳や骨髄などの危険な部位を食べると、脳がスポンジ状になって死に至る難病、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病になる恐れがある。狂牛病が多数、発生している国に滞在した人を対象に制限を強めるよう求めた。

 FDA委員会が提言した規制案では、英国のほかにフランス、アイルランド、ポルトガルの3カ国を追加。滞在期間は「10年以上」とした。日本の提言案は、対象国も滞在期間も米国側より厳しいことになる。

 日本赤十字社の推計では、実施後は献血数が0.3%ほど減少するとみている。年間600万人のうち1万8000人にあたる。「献血を断ることは、その人に感染可能性を宣言するようなもので、アフターケアも課題だ」(血液事業部)としている。

農水省が狂牛病の検査を迅速化、都道府県に手引書

2001年2月22日木曜日 ODN News(YOMIURI ON-LINE)
 狂牛病の国内監視体制を強化するため、農水省は二十二日、各都道府県の家畜保健衛生所に対し、狂牛病が疑われる牛が発生した時の検査の具体的な手順や注意点をまとめた手引書を配布することを決めた。国内では発生していないが、世界で被害や不安が拡大、日本も体制を強化する必要があると判断した。検査を従来よりスピードアップするとともに、検査担当の職員の感染防止策を強化する。

 狂牛病は、牛の脳組織が壊れる病気。この病気にかかった牛の脳やせき髄を食べると、人にも、致死性痴ほう症の変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)を引き起こす疑いがある。欧州では狂牛病の被害が拡大し、アジアでも不安が広がっている。

 国内でも一九九七年から法定伝染病の対象となっており、発生時には、都道府県への届け出や感染拡大を防ぐ措置を取る義務がある。全国の家畜保健衛生所でも、神経系の異常を示した牛について解剖して検査してきた。ただ、狂牛病かどうかの確定診断は、各地の衛生所の一次診断のあと、同省家畜衛生試験場(茨城県つくば市)で行うため、確定まで約三日が必要だった。

 新たな手引書は、これを迅速化。発生の可能性が濃厚な場合、同試験場が直接検査を行い、確定診断までの時間を最短で一日に短縮する。欧州で広く使用されている簡易検査キットも導入して役立てる。

深刻な狂牛病の影 仏農業見本市

2001.02.20【パリ20日=山口昌子】The Sankei Shimbun
 農業大国フランスの重要行事、第三十八回農業国際見本市が十八日から二十五日までパリ市内の展示会場で開かれているが、欧州を吹き荒れた狂牛病の深刻な打撃が影を落とす中での開催となり、例年になく注目を集めている。今回は昨年十月から再度高まった狂牛病不安に加え、仏安全保健局(AFSSA)がこのほど新たに羊、山羊などへの感染の可能性を指摘したため、見本市に出品された牛、豚、羊など四千頭にマスコミの報道が集中するなど異例の盛り上がりを見せている。

 シラク大統領は見本市初日の十八日、AFSSAに対し「無責任な指摘」と批判。これに対しクシュネル保健担当相が「大統領の荒っぽい発言」と反論した場外論戦も見本市の盛り上がりに貢献した形となっている。

「Tボーン」ステーキ消える?EU委、狂牛病予防で提案

2001.02.08(16:09)asahi.com
 欧州連合(EU)の欧州委員会は7日、狂牛病予防策として、生後1年以上の牛肉は3月末から背骨を除いて販売する、などの追加措置を提案した。各国協議で承認されれば、背骨を含む「Tボーン」ステーキなどが店頭から消える。EU15カ国のうち、自国産の発症例がないスウェーデン、フィンランド、オーストリアと、独自に厳しい措置を講じている英国、ポルトガルには適用しない。

 欧州委によると、せき髄の神経が走る背骨には、わずかながら狂牛病の感染因子が潜む危険性がある。これまでに確認された発症例の99.95%は生後30カ月以上の牛だが、安全を見込んで12カ月以上を対象とした。

 背骨は処理場で除くべきだとの意見もあったが、支えとなる背骨がなくては運びづらいため、スーパーなど最終販売者の責任で取り除くことが認められた。

米とカナダ、狂牛病対策でブラジル産牛肉製品の輸入停止

2001.02.03(18:24)asahi.com
 カナダと米国は2日、狂牛病対策としてブラジル産牛肉製品の輸入停止を決めた。ブラジルが1999年まで、狂牛病が広がっていた欧州から牛などの家畜を輸入していたためだ。

 米農務省は「ブラジルで狂牛病が発生した確証はないが、米国への移入を防ぐために必要ならば追加措置もとる」としている。ブラジル農務省は「禁輸は科学的に不当だ」と反発した。

米国、欧州滞在者からの献血制限強化へ 狂牛病予防で

2001.01.19(10:45)asahi.com
 米食品医薬品局(FDA)の専門委員会は18日、フランス、ポルトガル、アイルランドに1980年以降、10年以上にわたって住んだことのある人からの献血を禁止すべきだとする見解をまとめた。フランスを中心に発生が相次ぎ欧州各国で社会問題になっている狂牛病の水際対策で、血液による感染も考えられるための措置。米国はすでに、80年から96年までに英国で通算半年以上過ごした人からの献血を禁止している。

 狂牛病は牛の脳がスポンジ状になる病気で、人の痴ほう症クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)との関連が疑われている。90年代半ばに、病気の牛の肉を食べたことが原因とみられるCJD患者が英国で続発した。昨年になって、フランスやドイツなどでも病気の牛の肉が市場に出回っていたことがわかった。日本の農水省も今年元日から欧州産牛肉の輸入を禁止するなど波紋が広がっている。

独、肉牛40万頭処分へ

2001.01.13【フランクフルト12日=共同】The Sankei Shimbun
 狂牛病騒動による牛肉価格の暴落などに対応するため、ドイツ政府は十二日、約四十万頭に上る肉牛を畜産農家から買い上げ、処分する方針を明らかにした。DPA通信などが伝えた。処分牛は、最終的に焼却する見込みだ。

 国内各地で農家や動物保護団体などが反対行動を起こしているが、政府は感染予防のためにも二月初旬から買い上げを開始する。

 ロイター通信によると、買い上げ費用は計約三億六千万マルク(約二百億円)で、七○%を欧州連合(EU)が負担する。ドイツでは九日、農相と保健相が対策の遅れの責任を取って辞任を表明したばかり。

 買い上げ対象は生後三十カ月以上の成牛で、感染していない牛も含む。ドイツではこれまで十二頭の感染が確認され、国内の牛肉消費量は昨年十一月以来急減、食牛市場では価格が約二五%下落した。

 DPA通信は、EU十五カ国全体で同様に処理される肉牛は二百万頭に上ると報じたが、EU委員会は最終的な処理数は未確定としている。

狂牛病問題でドイツの2閣僚が引責辞任

2001.01.10(13:30)asahi.com
 ドイツのアンドレア・フィッシャー保健相(40)=90年連合・緑の党=とカールハインツ・フンケ農相(54)=社会民主党=は9日、狂牛病対策に適切な措置をとらなかった責任をとって辞任した。昨年11月に国産の肉牛2頭が狂牛病と診断されて以来、国内各地に感染牛が見つかり、それまで「ドイツは狂牛病とは無関係」として対応が遅れた両大臣に批判が集まっていた。

 1998年秋に両党の連立でシュレーダー内閣が発足してから辞任した閣僚は、これで7人になった。

 90年代に英国で猛威をふるった狂牛病が昨年、フランスなどで確認された後も、フンケ農相は狂牛病の感染の要因とみられている動物性飼料は「安全」と話していた。肉牛の感染検査が始まったのは昨年秋、国産牛の感染が確認されて初めて動物性飼料の全面禁止を打ち出した。フィッシャー保健相は、感染の危険があるソーセージの販売禁止措置などが遅れた。

 閣僚が政権半ばで辞任するのはドイツでは異例のことで、保健相、農相の後任人事をめぐって政権幹部の協議は9日深夜に及んだ。

豪州、NZが欧州の牛肉類輸入を禁止、狂牛病対策で

2001.01.06(18:38)asahi.com
 オーストラリア政府は8日から、欧州で広がっている狂牛病(ウシ海綿状脳症)への対策として、欧州からの牛肉または牛肉類を含む食品の輸入を禁止する。ニュージーランド政府も協調行動をとる。両国はすでに英国からの牛肉類の輸入を禁止しているが、これを欧州のほぼ全域に拡大する。

 オーストラリア保健省によると、今回の禁輸対象となる食品の輸入量は年間1000トン程度で、牛肉類総消費量の約0.2%にあたる。同省では、すでに国内に流通している分についても自主的に撤収・廃棄するよう関連業者や消費者に呼びかけている。

狂牛病侵入防止へEUの牛肉輸入禁止 農水省

2000.12.22The Sankei Shimbun
 農水省は二十二日までに、狂牛病(牛海面状脳症)の侵入防止のため、EU(欧州連合)各国やスイスなどから牛肉や牛の臓器を輸入することを全面的に禁止することを決めた。早ければ来年一月から実施する。狂牛病は脳がスポンジのようになって運動神経などに異常を起こし、死亡する牛の病気。数年前からイギリスなどで発生している。

 すでに来年一月から牛の肉骨粉の輸入禁止を決めているが、侵入防止を徹底するため今回、牛肉、臓器、精液や卵子、受精卵なども禁止対象にした。

 農水省によると、日本の牛肉の輸入先は米国、豪州が中心で、EU各国からの輸入量は全体の〇・一%強。「輸入禁止で牛肉の輸入量が急激に落ち込むことはない」(同省)という。

欧州からの牛肉類などを輸入禁止 狂牛病対策で

2000.12.21(20:06)asahi.com
 欧州で広がっている狂牛病(ウシ海綿状脳症)対策で農水省は21日、専門家による検討会を開き、牛肉類やこれらの加工食品と、牛精液、受精卵などについて、欧州連合(EU)とスイス、リヒテンシュタインからの輸入を全面的に禁止する方針を決めた。実施期日は未定。肉骨粉は、来年1月1日からの輸入禁止をすでに決めている。

 狂牛病は、牛の脳がスポンジ状になって死ぬ病気で、欧州で今秋以降、スーパーに出回ったり発生が増えたりして不安が広がっている。日本で発生はない。検討会は「現時点での防止策で十分だが一層の万全を期すため」としている。

 人の病気で、脳がスポンジ状になり痴ほう症状が出るクロイツフェルト・ヤコブ病は、狂牛病の牛から感染して発生する可能性が指摘されている。

 農水省によると、欧州からの牛肉の輸入量は全輸入量の0.1%程度で、価格や供給量への影響は少ないという。

ドイツ産からも発症 狂牛病/動物性飼料、全面禁止へ

2000.11.28【ベルリン27日=関厚夫】 The Sankei Shimbun
 これまで「国内産のウシから狂牛病が発生することはありえない」との政府見解を示してきたドイツで、発症例が確認された。事態を重視した独政府は二十七日、今週末にもブタやニワトリに対しても狂牛病の原因とされる動物性飼料の使用を全面的に禁止することを決めた。その一方で欧州連合(EU)と独政府の間で責任の押し付け合いが始まっている。

 狂牛病の感染が確認されたのは独北部シュレスウィヒ・ホルシュタイン州で生まれた食肉用のウシ(生後四年)。隣国のフランスで狂牛病汚染が深刻化したために食肉店が自発的に検査を求めたところ、売買される寸前で判明した。すでに同じ飼育場のウシ約百六十頭すべてが処分されることが決まっている。

 問題が深刻なのは、このウシがEU各国がウシやヤギなどの反すう動物に対する動物性飼料の使用を禁止した一九九四年以降に生まれていることだ。

 このため感染源が特定できず、ドイツ産のウシがどれだけ感染しているかは不明だ。さらにドイツ特産といえるソーセージの一部には感染力が強いウシの脳が使われていることから、消費者に不安が広がっている。

 フンケ独農相は同日、ベルリンで記者会見し、来月二日から反すう動物以外の家畜にも動物性飼料を与えることを禁じる国内法が施行される、との見通しを示した。報道陣からは対策の遅れを指摘する声が出たが、同農相は「現政権は国際基準をもとに対応してきた」として突っぱねた。

 独国内ではすでに、英国産やフランス産の牛肉の輸入を禁止する声があがっているほか、「EUが適切な対策を取らなかったのが、ドイツをはじめとした欧州大陸に感染が広がった原因だ」との批判が出ている。

 これに対し、欧州委員会側は独メディアの取材に答えるかたちで「狂牛病の検査を怠り、ウシ以外への動物性飼料の禁止に最も反対していたのは、ドイツではないのか」と反論している。

狂牛病、ドイツでも初めて確認

2000.11.25(10:34)asahi.com
 ドイツ政府は24日、国内産の牛2頭が狂牛病と診断されたことを明らかにした。ドイツで国産牛から狂牛病が見つかったのは初めて。シュレーダー首相は、狂牛病が欧州各地に広がった要因とみられている、肉を使った飼料の使用禁止を欧州連合(EU)に呼びかける。

 狂牛病の牛は北部のシュレスウィヒホルシュタイン州などで見つかった。政府はその牛肉が市場に出ない措置をとるとともに、感染が広がらないための対策を早急に検討する。

 英国で4年前に起きた狂牛病騒ぎは、今年に入ってフランスに移り、スペインでも狂牛病が確認された。イタリアやポルトガルが独自に仏産牛肉の輸入禁止に乗り出すなど、欧州全体に問題が広がっている。

ドイツで狂牛病が発生すれば動物性家畜飼料の禁止を考慮=首相

2000 年 11 月 23 日 [ブリュッセル 22日 ロイター]
 ドイツのシュレーダー首相は、牛海綿状脳症(狂牛病)に対処するにあたり、消費者の健康が最優先される、としたうえで、国内で狂牛病が発生した場合、家畜飼料に牛肉と骨粉を使用する習慣を再考する必要がある、と述べた。  同相は、2001年に開始する狂牛病の新検査計画により、国内での狂牛病の発生が明らかになった場合、当局は適切に行動する必要がある、とした。  当地を訪問中の同相は記者会見で、「この分野の専門家ではないが、通常は植物を主食とする家畜に対して動物性飼料を与えることが明らかに問題になるということは、専門家以外の者にでも容易に理解できる」と述べた。  そのうえで、「それ故、この習慣の禁止は良い考えかもしれない」と付け加えた。

スペインで初の狂牛病発見

2000.11.23(01:09)asahi.com
 スペインのアリアス農水相は22日、国内で初めて狂牛病とみられる肉牛2頭が北西部のガリシア県で確認されたと発表した。いずれも、輸入された海外産の牛から5年前に国内で生まれたもので、すでに処分された。農水相は「孤立した事例で、感染が広がる恐れはない」と述べた。

 4年前に英国で起きた狂牛病騒ぎは現在、フランスに飛び火し、イタリアやポルトガルが独自に仏産牛肉の輸入禁止に乗り出すなど、欧州全体を巻き込んだ問題となっている。

公的機関の責任、法廷で追求へ 仏の狂牛病の被害者

2000.11.18(00:02)asahi.com
 フランスで、狂牛病についてエイズ問題と同様に公的機関の刑事責任を追及する動きが始まった。この病気との関連が疑われているタイプのクロイツフェルト・ヤコブ病の患者の家族が17日、司法当局に毒殺、過失致死、人の生命を危機に陥れた罪にあたる犯罪だとして告訴した。家族側は、市民の健康を守るための対策を何も講じなかったとして、英国、フランス、欧州連合(EU)当局の対応を問題にする構えだ。

 告訴したのは、2月に36歳で死亡した女性と、重体に陥っている19歳の男性の家族。1986年に英国で狂牛病の存在が明らかになったにもかかわらず、96年に英国牛肉の輸入を全面禁止するまで10年間、公的機関が問題を放置していたと指摘。家族側の弁護士は、英国が自国での狂牛病対策として動物性の飼料を禁止しながら、それを欧州大陸側に輸出していた点などを挙げ、10年間の放置は、市民の健康より各国が経済的利害調整や政治判断を優先した結果だと批判している。

 フランスでは、危険な血液製剤の投与で血友病患者らがエイズウイルス(HIV)に感染し多くの犠牲者が出た事件で、安全な血液製剤への切り替えの遅れについて官僚や閣僚が刑事責任を問われ、一部が有罪判決を受けた。

 狂牛病の場合は、感染した肉を食べたことと発病の因果関係を明らかにするのが難しいため、捜査から公訴に至るまで、より困難が予想される。

フランスでも狂牛病騒ぎ、国民の不安高まる

2000.11.05(18:44)asahi.com
 4年前に英国でパニックを引き起こした狂牛病騒ぎが、海を渡り、今度はフランスに飛び火している。英国産の牛肉の輸入規制をしたにもかかわらず、フランス産牛肉への感染が最近相次いで発覚。政府が近く骨付きばら肉の販売を禁止するという報道で、大手ステーキハウスでは骨付きばら肉の販売を中止、給食で牛肉を出さない措置を取る学校も現れるなど、牛肉の安全性に対する国民の不安が高まっている。

 仏国内では今年に入り、狂牛病に感染した疑いのある肉牛が計86頭見つかった。10月下旬には、感染した可能性のある牛肉が大手スーパーに出回り、直ちに回収されるという事件も起きた。

 骨付きばら肉のステーキは仏で人気の代表的な料理。政府は「様々な検討をしている段階で何も決めていない」と反論したが、大手ステーキハウスや、パリの20区のうち、9区の小中学校の給食で、メニューから骨付きばら肉が早々と排除された。

狂牛病被害拡大は前政府の責任 英国で報告書

2000.10.27 Web posted at: 12:49 PM JST (0349 GMT)by CNN.co.jp
人への影響を隠した前政府に責任/ 不明な点多い狂牛病

ロンドン――イギリスで1996年に猛威をふるい、今も欧州で発生が続いている狂牛病について、英国政府がこのほど報告書をまとめた。当時の保守党政権が、人間への影響を隠して適切な対応をとらなかったために被害が拡大したと、前政府を強く批判している。これを受けて英農漁業食糧省は狂牛病の発生を「国家的悲劇」と位置付け、被害者や家族のための補償基金を設立することを決めた。

狂牛病は牛の脳がスポンジ状になって狂ったように死ぬ奇病で、1996年に英国で多発した。人間が感染すると、痴ほう症「ヤコブ病」を発症し死に至ることが指摘されており、英国ではこれまでに80人が死亡、4人が治療を受けている。

人への影響を隠した前政府に責任

英政府が2年半をかけてまとめた報告書は、前の保守党政権が、消費者のパニックと牛肉輸出への打撃を心配し、「安心キャンペーン」にこだわり続けたのが間違いだったと指摘している。その上で、生産者や消費者を守る計画性がまったく欠けていたとして、当時の政府内の連携の悪さも批判。

人への影響が取り沙汰されるたびに躍起になって「証拠はない」と説明していた政府が、1996年にようやく人間への影響を認めると、国民から非難が噴出したことも報告されている。

これを受けて当時の責任者、ジョン・メージャー前首相は、「対応が至らなかった」と、責任を認めた。また保守党・現「影の内閣」の農漁業食糧相も、「患者や家族に大変申し訳ないことをした」と謝罪した。

英政府は患者や家族に対する補償基金の設置を決めるとともに、報告書で批判された当時の政府関係者が、懲戒処分などに相当するかを公務員査問会で検討する。

不明な点多い狂牛病

狂牛病に関しては、どのように牛に感染したかや、なぜイギリスで猛威をふるったかなど、解明されていない点がまだ多いという。狂牛病の人間への影響が報告された1996年、欧州連合(EU)は即座に英国産牛肉の全面輸出禁止措置をとった。輸出禁止は1998年に解除されたが、フランスは今も英国産牛肉を輸入していない。これまでに英国では約18万頭が狂牛病を発病。英国以外でも、ポルトガルで約200件の発症例が報告されているほか、アイルランド、ベルギー、ルクセンブルク、オランダ、フランス、デンマーク、スイスでも発病が確認されている。

ヤコブ病被害で英政府が報告書

2000.10.27(17:04)asahi.com
 英国に狂牛病パニックを引き起こした新型クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)をめぐる英国政府の調査報告書が26日公表され、「政策責任者が危険を軽視し、国民を誤った方向に導いたことが被害をより深刻にした」として当時の保守党政権の担当閣僚を厳しく批判した。

 CJDは脳がスポンジ状になり、痴ほうやマヒが進んで死ぬ難病。このうち英国内で84人が発病し、73人の死亡が確認された新型CJDは、狂牛病の牛肉を食べたのが原因とみられている。

 報告書によると、1990年5月に狂牛病によく似た症状がネコに現れ、この病気が人間にも感染する可能性が学者から指摘された。だが、英国政府は96年3月まで「CJDと狂牛病は無関係」として国民に牛肉の安全性を主張し続けた。

 報告書は「消費者パニックや畜産業へのダメージを回避したい気持ち、政府内の連絡不徹底、科学的見地に基づく警告に対する対応の遅れが被害を拡大した」と結論づけた。

仏スーパーで狂牛病騒動

2000.10.23 【パリ23日=共同】The Sankei Shimbun
 日本に進出する小売業世界二位のフランス大手スーパー、カルフールが販売した牛肉に狂牛病に汚染した疑いのある肉が混入していたことが二十三日までに分かった。出荷から二週間余りたって回収されており、消費者に不安が広がっている。

 汚染の可能性が指摘されたのは、仲買い業者(65)が四日に納入した肉牛十一頭分の牛肉。数日後の農水省検査で、同じ牛舎の肉牛一頭が狂牛病に感染していることが判明した。

 検察当局は二十二日夜、業者とその息子(35)が牛舎の狂牛病被害を隠したと供述したため、「公衆健康被害に関する詐欺未遂」の容疑で逮捕に踏み切ったが、回収など対応の遅れが目立っており、消費者の不満や恐怖感は消えそうにない。

 販路調査で同牛舎の牛肉がカルフールで販売されていたことが分かり、同社は国内三十九店から計約一トンの「汚染疑惑牛肉」を回収。グラバニ農水相は「問題の十一頭は狂牛病に感染していなかった」として、回収が予防的措置にすぎないことを強調した。

 牛の狂牛病感染や、牛肉を介して人に致死性痴ほう症を引き起こすとされる新変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)の詳しいメカニズムは未解明で、消費者から「もう新鮮な牛肉を食べられない」との声も上がっている。

遺族らに「巨額賠償」か=ヤコブ病で英政府

2000-10-22 10:49 【ロンドン22日共同】
 狂牛病にかかった牛の肉を食べて感染するとされる脳障害、新変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)による犠牲者の遺族らに対し、英政府が損害賠償を支払う見通しとなった。22日付の英日曜紙オブザーバーが伝えた。同紙によると、遺族は訴訟などで政府と法的に争わない代わりに、自らの過失の有無を問われず賠償金を受け取る。金額は明らかにされていないが、遺族が受け取る額は「巨額になる」とされる。政府は今月26日、CJDに関する報告書を発表するとともに、賠償計画を公表する予定という。

薬害ヤコブ病新たに3人判明 厚生省専門委

2000.10.13(21:24)asahi.com
 脳外科手術でヒト乾燥硬膜の移植を受けた後、難病クロイツフェルト・ヤコブ病を発症した患者が昨年度1年間で新たに3人判明し、計70人にのぼったことが13日、厚生省公衆衛生審議会の専門委員会のまとめで分かった。また同委員会は1983年と84年に、2病院で硬膜移植を受けた後に発症している患者がそれぞれ複数判明したとして、2病院で同時期に手術を受けたほかの患者80人余についても、追跡調査することを決めた。

日本フィル団員が10日、ヤコブ病訴訟支援コンサート

2000.10.09(14:21)asahi.com
 難病のクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)に感染し、国などを相手取って大津地裁に損害賠償請求訴訟を起こした患者や家族らを励まそうと、日本を代表する楽団「日本フィルハーモニー」の団員2人が10日、滋賀県栗東町でチャリティーコンサートを開く。家族らのリクエストにこたえて患者の思い出の曲「琵琶湖周航の歌」なども演奏する予定で、「CJD薬害訴訟を支える会」(事務局・滋賀県甲西町、谷口正和代表)は「訴訟の早期解決に力を注いでいる原告が少しでも勇気を持つことができたら」と話している。

 演奏するのは、日本フィルハーモニーのバイオリン奏者松本克己さんとビオラ奏者後藤悠仁さん。2人は、「薬害ヤコブ病東京支える会」(事務局・東京、高橋昌平事務局長)の事務局に知人がいたことから、汚染された硬膜を移植されて発症したとみられるCJD患者の被害の実態を知った。

 「音楽で患者や家族を励ましたい」と2人は「支える会」と連絡を取り合って日程を調整。5月には千葉県で、7月には東京でコンサートを開いた。このことを聞いた滋賀の「支える会」が「うちでも演奏してほしい」と依頼、2人の快諾を得たという。

 曲は「パッサカリア」(ヘンデル)、「バイオリンとビオラのための二重奏曲」(モーツァルト)など約10曲。原告の家族がリクエストした曲も演奏する計画で、滋賀県甲西町の谷三一さん(51)は、自宅で闘病生活を送る妻たか子さん(46)がかつて好んで歌った「琵琶湖周航の歌」をリクエストした。「家族旅行の際、妻がバスや電車の中でよく口ずさんでいた思い出の曲」という。

 大津市内の病院で闘病中の林琢己さん(31)の母志津代さん(60)は「手のひらを太陽に」を選曲。「琢己が車いすの生活になった時、養護学校でよく歌っていた。どんな体になっても生きる権利はあるんだという思いを込めて選んだ」と話す。

 コンサートは10日午後7時から、栗東町手原8丁目のブラームスホールで。入場料1500円。収益金は家族らを支える資金に充てるという。問い合わせは滋賀の支える会(0748・72・1478)へ。

ヤコブ病、米廃棄勧告の乾燥硬膜 日本に2万枚以上輸入

2000.09.21(01:07)asahi.com
 脳外科手術でヒト乾燥硬膜の移植を受けた患者が難病のクロイツフェルト・ヤコブ病に感染したとされる問題で20日、米食品医薬品局(FDA)が「安全性が確認できない」などとして1987年4月、米国内で廃棄を勧告した製品と同時期に製造された乾燥硬膜が、日本に2万枚以上輸入されていたことが分かった。

 同日開かれた衆院厚生委員会で、瀬古由起子委員(共産)、中川智子委員(社民)の質問に答えて厚生省が明らかにした。

 ヤコブ病への感染危険性が指摘されているのはヒトの死体から採ったドイツ製の乾燥硬膜だ。米国では87年2月、硬膜移植を受けた女性がヤコブ病を発症し、FDAはこの女性が、硬膜移植以外に感染した可能性はないと判断した。さらに、感染経路をたどることができないなど製造管理に疑問が残ったため、FDAは、同年4月、女性患者に用いられたのと同じ82年製の製品を廃棄するよう米国内の病院に連絡した。

 厚生省資料では82―93年にかけ、毎年2万枚以上ずつ輸入されており、「世界で同製品の3割以上を使っていた日本にも当然、輸入された」としている。

 厚生省はこれまで、米国の女性患者に使用されていたのと同じ製造番号の製品については「輸入されていない」としていたが、米国が廃棄勧告した82年製の製品の輸入実績については触れていなかった。

ヤコブ病:回収命令前に危険性把握できた可能性も 調査報告書

2000年8月12日 Mainichi Interactive
 衆院調査局から硬膜移植が原因のクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)をめぐる調査を求められていた厚生省は11日、調査報告書を提出した。1988年2月に同省研究班の部会で配られた資料に米国での硬膜移植後の発症例が記載されていたなど、同省が回収を命令した97年3月より早い時点で、危険性を把握できた可能性があったことが分かった。また、新たに原因因子の不活化処理をしていない硬膜が国内で20万〜25万枚使われたことも判明。患者がさらに広がる可能性も出てきた。

 ヤコブ病は痴ほうと歩行障害が急速に進み運動・思考能力を失う難病で、発症から1〜2年で死に至る。プリオンたんぱくが脳の組織を破壊して起きるが、詳しい仕組みはわかっていない。硬膜移植による発症者は国内で72人にのぼる。

 報告書は、1976年以降に同省研究班が作成した文書など。関係職員274人と研究班員63人にも調査票を送って調べた。

 その中で注目されるのは88年2月9、10日の「特定疾患対策懇談会評価調整部会」資料。研究成果の要旨に硬膜移植による感染の危険性が書かれていた。当時、研究班長だった立石潤・九州大名誉教授によると、記述の根拠は87年2月の米国疾病対策予防センター週報にあった硬膜移植経験のあるCJD患者の症例報告に基づいていた。また、立石名誉教授は同省の調査に対し、補足説明として「CJD患者臓器の危険性は78年度報告書から研究班員の間では常識的なことで、最初の症例も当然起こりうる悲劇として我々は受け取った」とした。

 これについて厚生省は「唯一の症例でただちに硬膜の危険性を認識できるものではなかった」などとしている。依田晶男・医薬品副作用被害対策室長は「一般論としては当時の情報収集能力は十分ではなかったと言える」と語った。

 また、厚生省は報告書とは別に、調査で判明した事実関係も文書にまとめて衆院調査局に提出した。この中で、ヤコブ病発症の原因となった独「Bブラウン社」製造のヒト乾燥硬膜は、日本では73年に輸入承認されてから97年に使用停止となるまでに推定40万〜50万枚が輸入され、このうち半数の20万〜25万枚がヤコブ病の原因因子を不活化するためのアルカリ処理がされていないものであることが分かった。 【須藤 晃】

ヤコブ病問題で厚生省が情報収集不十分認める調査結果

2000.08.11(22:31)asahi.com
 脳外科手術でヒト乾燥硬膜の移植を受けた患者が、痴ほう症状が進み、やがて死亡する難病クロイツフェルト・ヤコブ病に感染したとされる問題で厚生省は11日、同省研究班の関係資料や、研究班員・同省職員に対する調査結果を公表した。厚生省の研究班が、硬膜移植からの発症例が米国で報告された1年後に感染経路の1つである可能性を指摘していたことも、新たにわかった。厚生省は、情報収集が不十分だったことは認めているが、感染メカニズムが不明な段階での使用禁止はできなかったとしている。研究者と行政の連携不足や厚生省の情報分析能力の低さなど、薬害エイズ問題との共通点も浮かび上がった。

 調査は、衆議院が今年4月に国政調査権に基づく「予備的調査」を決定したことを受けて行われた。省内の保存文書を捜し、研究班員や担当職員337人に当時の対応を尋ねた。

 調査報告によると、ドイツ社製ヒト乾燥硬膜の移植歴がある患者のヤコブ病発症例は、米疾病対策センター(CDC)が1987年2月の週報(MMWR)で初めて報告した。米食品医薬品局(FDA)は4月、第一症例に使われた製品と同一バッチに属する硬膜の廃棄を医療機関に勧告し、6月には新たな輸入を禁止した。

 症例は米国医師会雑誌の日本語版(87年8月号)や日本臨床ウイルス学会誌(同年10月号)でも紹介された。厚生省は当時から米国の週報を取り寄せていたが、生かされなかった。

 調査の過程で、ヤコブ病を研究対象にしていた「遅発性ウイルス感染調査研究班」(76年度発足)などの研究を評価するための評価調整部会に提出された資料が新たに見つかった。

 第一症例が報告された翌年の88年2月に開かれた評価部会に提出された資料の中に、脳硬膜の使用でも発症例が報告されたことに触れ、「感染因子が体内に入れば発病に結びつくことを示している」と指摘するものが見つかった。

 当時研究班長だった立石潤・九州大名誉教授(神経病理学)は、今回の厚生省の調査に対し、「班員の間では常識的なことで、米国での第一例は当然起こりうる悲劇として受け取った」と回答。さらに、「多量輸入された硬膜を使った手術が年間1万―2万件行われていたとわかっていれば、厚生省や脳外科学会などに輸入使用禁止を提言したと思う」と回答した。

 研究班を担当していた同省結核難病感染症課の当時の補佐は「感染防止対策を取るようにとの意見は研究班員のだれからもなかった」と答えている。

 厚生省は(1)日本にはFDAから連絡がなかった(2)当時の薬事法では他国で受けた規制などについて厚生省への報告義務がなかった――と、情報収集体制が不十分であったことは認めながら、米国以外の国も使用を禁止しなかったことなどを理由に、輸入禁止をするような状況にはなかった、としている。

 しかし、一部の国は第二症例(89年)以降、製品の許可取り消しなどの措置を施している。

クロイツフェルト・ヤコブ病 

発病すると脳がスポンジ状になり、急速に痴ほう症状が進んで一、二年で死亡することが多い難病。通常は百万人に一人程度のまれな病気で、患者はほとんどが六十歳以上。しかし、脳外科手術の際に脳を覆う硬膜を移植した場合など、組織移植やホルモン製剤投与などで感染することもあります。この場合の潜伏期は五―二〇年。病原体は感染性のたんぱく粒子「プリオン」で、発見者の米カリフォルニア大のプルシナー教授はノーベル生理学賞を受賞しました。治療法は見つかっていません。

薬害ヤコブ病 危険指摘の78年度報告書あった/厚生省の対応、調査を衆院議長に野党4党66人が要請

2000年8月2日 (水)「しんぶん赤旗」
 脳硬膜の移植によるクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)の感染の危険性が一九七〇年後半から八〇年前半に厚生省が設置した研究班の報告書で指摘されているとして、野党の国会議員六十六人が連名で一日、厚生省の対応に問題がなかったか調べる「予備的調査」を衆議院規則(五六条二―三)に基づいて行うよう衆院議長に要請書を提出しました。

 今年二月に提出した要請書は、先の衆院解散で効力がなくなっているため新たに要請したもの。中川智子(社民)、金田誠一(民主)、瀬古由起子(共産)、武山百合子(自由)の野党衆院議員が国会内で記者会見し、薬害ヤコブ病問題の真相究明で国会で全力つくす決意をのべました。

 要請書によると、米国のCDC(疾病対策センター)が脳硬膜の移植によるヤコブ病の感染症例を一九八七年に世界に報告していることを指摘。日本では対応がそれより十年も遅れ、被害を拡大した原因を明らかにするために、一九七〇年後半から八〇年前半で厚生省がとった対応について調査を求めています。

 調査項目は四項目(別項)で、七六年から設置したヤコブ病などについての研究班の設置目的、出席者や議事録、資料、研究班の七八年度報告書から指摘されている感染危険性にたいする厚生省の対応はどうだったのか明らかにすることを求めています。

 要請書には日本共産党十八人、民主党二十三人、社民党十九人、自由党六人の計六十六人が提出者になっています。

被害者救済一刻も早く

 記者会見した日本共産党の瀬古由起子衆院議員の話 薬害ヤコブ病被害者は一刻も早く救済されなければなりません。国会の役割は大きい。厚生省は国民の命と健康を守る責任があるのに薬害エイズ事件に続いて次から次と被害者を出しています。薬害ヤコブ病でも早くから危険性が分かっていたもので、国会で事実を調査する必要があります。

 四項目の調査内容=(1)CJD病など「スローウイルス感染と難病発症機序に関する研究班」「遅発性ウイルス感染調査研究班」の設置目的(2)各年度の研究班の報告書作成前後の厚生省担当課との会議の出席者と議事録、配付資料を明らかにすること(3)七八年度の報告書で「CJD病では患者脳組織に直接接触することによってのみ伝達が可能なので、脳病理、脳外科関係者に厳重注意を呼びかける」との記載があり、厚生省はどのような方法で厳重注意を行ったのか(4)八四年度の報告書で「患者の臓器、脳脊髄(せきずい)液、血液などが直接体内に入ることを防止しなければならない」と記載があるが、これらの危険性の指摘を受け、どのような検討、対応を行ったのか明らかにすること。

ヤコブ病:汚染硬膜の危険性を厚生省がいつ知ったか

2000年8月2日 Mainichi Interactive
 効果的な治療法がないクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)をめぐる厚生省の調査報告が近く公表されるのを前に、原因とみられる汚染硬膜の危険性を同省がどの時点で認識していたかが焦点に浮上している。調査報告書は「1997年に硬膜の回収命令を出すまで危険性の認識はなかった」という内容になる見通しだ。しかし、被害が日本に集中していることなどから、各地で国とメーカーを相手に訴訟中の患者家族や「薬害ヤコブ病弁護団」は「責任回避だ」と反発を強めている。衆院でも1日、野党4党の有志議員が国政調査権に基づく調査を要請した。

 東京都中野区の吉村ヨヨミさん(当時57歳)が目のかすみや、足元のふらつく症状を訴えたのは98年秋。外出を禁じられ、趣味のコーラスや陶芸にも通えなくなった。間もなく車いす生活になり、トイレも着替えも介助が必要になった。

 夫の和正さん(61)は「とにかく進行の早い病気。愛犬を抱いて『かわいい』と言っていたのに、次の日には名前も思い出せない。胸のうちも言えず意識をなくしたのが悔しい」と振り返る。最後に妻の言葉を耳にしたのは、発症3カ月後だった。ベッドから身を起こし、「あのね」と夫に呼びかけた。しかし、後が続かない。考える能力も奪いながら、病状は進んだ。大好きなクラシック音楽を聞かせても、意識は戻らず、99年6月、発症から9カ月後に亡くなった。

 ヨヨミさんは12年ほど前、髄膜症の手術で脳に硬膜を埋め込んでいた。硬膜汚染の可能性を知って訴訟に加わった和正さんは「厚生省は研究班の報告を受けていながら、なぜ情報を発信してくれなかったのか。きちんと報告を読んだのだろうか」といぶかる。「調査の結果は漏れなく発表してほしい。隠しだてされたら、言いたいことも言えずに亡くなった妻がかわいそうです」と話した。

 大津地裁の神吉正則裁判長らは1日、意識不明の原告患者、林琢己さん(31)=大津市=の入院先の病院を訪れ、病状確認のための検証をした。林さんの父勲男さん(64)は「裁判官に見ていただいたことを、本人が分からないのが残念です」と唇をかんだ。

 同地裁の検証は、一昨年3月の谷たか子さん(45)=滋賀県甲西町=以来。谷さんは4年前に発症し、今も意識不明の状態が続く。夫の三一さん(50)は7月31日に初めて証人として出廷し、「たか子を元通りの体にしてほしい。奇跡が起こるかもしれないと思い、娘3人と介護を続けている」と声を詰まらせ、国への怒りをあらわにした。調査結果については「単なる厚生省の言い訳では意味がない。会議の議事録など事実を明らかにしてほしい。それを一歩に、真実を追究したい」と語る。 【山本紀子、井沢真、日野行介】

1968年   独ビーブラウン社がヒト乾燥硬膜ライオデュラの販売を開始

 73年7月 厚生省がライオデュラの輸入承認

 87年2月 米国で初の発症者が報告される

    6月 米食品医薬品局がライオデュラに輸入警告

89年   ニュージーランドで世界2人目の発症者。ビーブラウン社が滅菌法を変え、旧製品を世界的に回収

96年5月 英国の狂牛病との関連で厚生省がヤコブ病の研究班を発足

   6月 ビーブラウン社がライオデュラの製造を中止、自主回収

    11月 滋賀県の患者が大津地裁に提訴

97年3月 厚生省がライオデュラの販売中止と使用禁止の緊急命令を出す

   4月 厚生省の研究班調査で硬膜移植歴のある患者が43人見つかる

    9月 東京地裁で第1次提訴

 98年3月 東京・大津地裁で第2次提訴

 99年6月 東京地裁で第3次提訴

   7月 大津地裁で第4次提訴

2000年1月 東京地裁で第5次提訴(15患者、原告33人に達する)

    2月 衆院厚生委員会が衆院調査局に予備的調査を要請

    6月 予備的調査が解散で失効

    8月 再度、予備的調査をするよう要請書提出

 衆院の中川智子議員(社民)ら66人は1日、綿貫民輔議長にあててヤコブ病に関する「予備的調査」の要請書を提出した。国会議員の国政調査権を強化するために98年に出来た制度に基づく申し立てで、76年に厚生省がヤコブ病の研究班を設置した目的や、その後の経緯などを調査するよう求めている。これを受け、厚生委員会は今月4日にも理事会で調査命令を出す見通しだ。

 厚生省は既に今年4月の衆院の命令で、元職員や研究者ら3百数十人を対象に調査に着手していたが、衆院の解散で命令はいったん失効した。同日の調査要請に、同省は「衆院から再度の命令がなくても、国民に向けて調査結果を公表する」(保健医療局)としているが、内容がどこまで踏み込むかは明確ではない。

 ヤコブ病と硬膜移植の因果関係は87年2月、米国で独・ビーブラウン社の「ライオデュラ」という輸入硬膜を移植した20代の女性が発症して浮上した。

 硬膜は大脳を覆う膜の一つで、脳外科手術で膜が欠損したり縮んだりした時に使う。同社は独国内の法医学教室や東欧、スイスの病院から死体をもらい受け、膜の原料としていた。米食品医薬品局(FDA)は同年6月、硬膜廃棄を勧告するとともにライオデュラの輸入警告を出し、米疾病対策予防センター(CDC)の週報に掲載した。しかし、この週報を購読している厚生省はこの時点で何の対応も取らなかった。

 日本でもライオデュラは73年に輸入が承認された。ヒトの生体組織を用いているのに、審査の厳しい医薬品ではなく、医療用具扱いの承認で、多い時は年2万枚以上が使われた。ヤコブ病についての研究班も76年に設置されていたが、厚生省がライオデュラの販売中止と使用禁止の緊急命令を出したのは、滋賀県の患者が大津地裁に提訴(96年11月)した後の97年3月になってからだった。

 これまでに東京、大津両地裁で5次にわたり患者15人(原告数33人)が国とメーカーなどを相手に計17億円の賠償を求める訴訟を起こしている。同省医薬品副作用対策室は87年当時の危険性の認識について「医学雑誌は山ほどあり、どれをだれが読むか決まっていなかった。当時、感染は予想できなかった」としており、調査報告書でも、危険性の認識はなかったとするとみられる。

 クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)

 痴ほうと歩行障害が急速に進み、運動・思考能力を失う。発症から1〜2年で死に至る。1920年代にクロイツフェルトとヤコブが報告、いまだ治療法のない難病。プリオンたんぱくが脳の組織を破壊して起きるが、詳しい仕組みはまだ分からない。硬膜移植による発症者は国内で72人に上る。多くが亡くなったとみられるが、厚生省は死者の数を調べていない。感染から発症までの潜伏期間は3〜13年。

ヤコブ病訴訟:初の原告本人の証人尋問 大津地裁

2000年7月31日 Mainichi Interactive
 汚染硬膜を移植されたためクロイツフェルト・ヤコブ病に感染したとして、患者や遺族らが、承認した国やメーカーなどを相手に損害賠償を求めているヤコブ病訴訟の口頭弁論が31日、大津地裁(神吉正則裁判長)であり、初めて原告本人の証人尋問が行われた。4年前に発症し意識不明の状態が続く患者、谷たか子さん(45)=滋賀県甲西町=の夫三一(さいち)さん(51)が出廷し、国などに対する憤りを訴えた。

 原告側は、たか子さんの容体を撮影したビデオを法廷で上映。三一さんは、娘3人とつづったノート6冊に及ぶ「闘病日記」を挙げ、1996年4月、たか子さんが「郵便局に行こうとして、どこへ行こうとしているのか分からなくなった」と訴えて以来、幻覚に苦しみ、話が出来なくなっていく様子を説明。「危機管理も出来ないメーカーに承認を出した厚生省は悪い。国は硬膜移植による症例が1例だけでは危険性が分からなかったというが、1例を見過ごしたことで妻は悲惨な病気になった。元通りにしてほしい思いでいっぱい」と語気を強めた。

 来年1月には原告全員の陳述が終わる見込みで、来春にも結審の見通し。 【井沢真、小川信】

輸入羊376頭を焼却 米国でも狂牛病に似た感染症

2000.07.18(17:48)asahi.com
 米農務省は17日、狂牛病に似た感染性のスポンジ脳症の疑いのある羊4頭が見つかったとして、欧州からバーモント州に輸入されていた羊376頭を焼却処分することを明らかにした。

 同省の担当者は、現時点では病気の種類を断定できないが、念のため処分することにしたという。羊はミルクの販売用に飼われていたもので、ミルクを加工してつくったチーズなども市場に出ていた。

 脳がスポンジ状になる病気には、羊のスクレイピー病、牛の狂牛病、人のクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)などがある。英国では最近、新型のCJDによる死者が相次いでおり、米国の羊処分もこれに対応した動きとみられる。

 英国で10年ほど前にCJD患者が相次いだのは、スクレイピーにかかった羊の脳や内臓を牛の飼料に混ぜたことが原因ではないかと疑われている。米国は1997年から、ほ乳類のたんぱく質を牛、羊、ヤギなど反すう動物の飼料に混ぜることを禁じている。

Nobel財団、ノーベル生理学・医学賞をPrusiner氏に

2000.07.16
 スウェーデンNobel財団は、10月6日午後6時30分に、ノーベル生理学・医学賞を発表した。97年度の受賞者は、米国California大学San Fracisco校医学部神経学部教授のStanley B. Prusiner氏(55歳)が選出された。

 受賞理由は、動物ではスクレイピーや狂牛病、そしてヒトでは痴呆や運動障害を引き起こすクルーやクロイツフェルト・ヤコブ病などの病原体であるプリオンを発見したこと。核酸を持たない蛋白が感染性を持つことを証明したことが、当時の学会の常識を破る画期的な発見と評価されたもの。

 最近はマウスのプリオン遺伝子をノックアウトし、ヒト・プリオン遺伝子を導入したヒトのプリオン病のモデル・マウス開発にバイオ技術を駆使した。このマウスを利用して、先週、英国で発生した新型クロイツフェルト・ヤコブ病のプリオンと狂牛病のプリオンが同じプリオン型であることを証明、狂牛病がヒトに伝播した可能性を裏付けた。

 生理学・医学賞は、スウェーデンKarolinska研究所の50人の教授で構成されるThe Nobel Assemblyが選考した。(宮田 満)

新型ヤコブ病で相次ぎ3人死ぬ イングランド中部の村で

2000.07.15(18:23)asahi.com
 英国の人口約3000人の村で、住民ら3人が狂牛病に由来するとみられる新型クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)で死亡したことがわかり、英国政府が14日、実態調査に乗り出した。

 英保健省によると、この村はイングランド中部のケニボロー。1998年8月―10月に相次いで亡くなった村の住民と元住民、隣の町の住民で同村を頻繁に訪れていた計3人が、新型CJD患者だったことがわかった。また、今年5月には近くのレスター市で1人が死亡。亡くなった4人は19―35歳と若かった。

 CJDは痴ほうやマヒが進んで死ぬ難病。新型CJDは狂牛病の牛肉の食用が感染経路といわれ、英国全体で75人の死亡が確認されている。

6月末までに衆院へ回答

2000年5月24日 16時59分共同
 輸入された脳硬膜の移植を受けた患者が、中枢神経が侵され死に至る難病のクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)に相次いで感染した問題で丹羽雄哉厚相は24日衆院の「予備的調査」を受けて厚生省が進めている行政責任をめぐる内部調査について、6月末までに結果をまとめ、衆院に報告する意向を示した。

 衆院厚生委員会で中川智子議員(社民)の質問に答えた。

ヤコブ病の調査を命令、感染拡大の原因究明 衆院厚生委

00:04a.m. JST April 22, 2000
 衆院厚生委員会は21日の理事会で、「第2の薬害エイズ」ともいわれる難病のクロイツフェルト・ヤコブ病について、患者が増えていった原因を突き止めるための「予備的調査」を行うことで合意し、江口一雄委員長が近藤誠治衆院調査局長に調査を命令した。1976年にウイルス感染の研究班を設置した厚生省が、どんな検討や対応をしたのか、脳外科医らの関係者にどんな注意をしたのかなどを明らかにするよう求めている。

 ヤコブ病は、特殊な感染性のたんぱく質が脳の組織を壊す病気で、痴ほうやけいれん、まひなどの症状が進み、死亡率が高い。

 国内では、開頭手術の際に移植した硬膜が汚染されていたため感染者が拡大したと疑われている。厚生省が問題の硬膜を使用禁止にしたのは97年。

 患者15人(うち12人が死亡)の家族らが大津地裁と東京地裁に、「国の対応が遅すぎる」などとして国などに損害賠償を求める裁判を起こしている。

東京のヤコブ病患者ら3人が国などを提訴

1:27p.m. JST January 17, 2000
 汚染された硬膜を脳の外科手術で移植されてクロイツフェルト・ヤコブ病に感染したとして、東京都内の患者や遺族の3人が17日、国と製造元のB・ブラウン社(ドイツ)、国内の輸入販売会社などに総額2億円余の損害賠償を求める訴えを東京地裁に新たに起こした。同地裁では第4次提訴となる。ヤコブ病をめぐっては、大津地裁でも係争中で、原告の患者数はこれで計15人(うち11人が死亡)になった。

厚生省が狂牛病問題で英国滞在者からの献血を制限

11:05a.m. JST December 26, 1999
 厚生省の中央薬事審議会の特別部会はこのほど、狂牛病に由来するとみられる新型のクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)の感染を防ぐため、1980年から96年までに通算6カ月以上英国に滞在した人からの献血を受け付けないことを決めた。献血から作られる血液製剤の安全性を第一に考えての措置という。厚生省は、該当者に過度の不安を与えないために、採血にあたる日本赤十字社の職員研修を行い、献血者の制限は来年2月から実施したいとしている。

 CJDは、特殊な感染性のたんぱく質・プリオンによって脳の組織が壊され、痴ほうやまひの症状が進んで寝たきりの状態になってしまう難病。厚生省によると、新型CJDは、英国で発生した狂牛病の牛の肉が感染経路といわれており、これまでに英国を中心に40人強の患者が確認された。英国では、99年1月までに約17万3000頭の狂牛病の発生が報告されている。

 血液を介した新型CJDの感染は一例も確認されていないが、これまでの研究で、プリオンは白血球に含まれるリンパ球の中に入る可能性があるとされている。

 米国、カナダでは今年8月に英国に6カ月以上滞在経験のある人からの献血をやめる方針を決めたこともある。厚生省も「過度の防衛的な措置かもしれない」としながらも、万が一の場合は影響が大きいため、今回の措置に踏み切ることにした。

ヤコブ病患者に法的救済を

1999年12月8日 18時02分 共同通信社
 脳の手術で使われる輸入乾燥硬膜の移植で、致死性痴ほう症のクロイツフェルト・ヤコブ病に感染した患者の家族や訴訟の弁護団が8日、人の組織を利用することによる感染被害も法律で救済すべきだとして、医薬品の副作用被害に対する救済制度を定めた「医薬品副作用被害救済・調査研究機構法」の改正試案を作り厚生省に提出、検討を要求した。

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