TOPIC No.5-19a '99/04-2000/04健康保険


脳卒中の初期治療施設開設

2000年4月10日16時46分
 手足に一時的なまひなどが出る軽度の脳卒中患者を緊急入院させ、後遺症をできるだけ抑える初期治療専門の診療施設が首都圏で初めて11日、千葉県印旛村に開設される。

 日本医科大付属千葉北総病院の「ストローク・ケア・ユニット」(SCU)で、症状の軽重を問わず脳卒中と診断されたり、その疑いがある患者を緊急入院させ、障害の進展などを防ぐのが狙い。

診療報酬6億余を不正受給

2000年3月29日 21時28分
 厚生省東北地方医務局、(仙台市)は29日、岩手県一関市の国立療養所岩手病院が、非常勤医師を常勤扱いにして約3年間に診療報酬約6億8000万円を不正に受給していたとして、伊藤久雄院長ら病院職員7人を減給や戒告処分にした、と発表した。同医務局によると、医療法で入院患者数に応じて必要な医師の標準人員が定められており、一定割合を下回ると診療報酬を減額請求しなければならない。

丹羽厚相が診療報酬改定案を中医協に諮問

2:00p.m. JST March 01, 2000
 丹羽雄哉厚相は1日、医療保険から病院などに支払う医療費の単価となる診療報酬点数表について、2000年度改定案を中央社会保険医療協議会(工藤敦夫会長)に諮問した。4月に始まる介護保険で必要な介護用の病床が全国的に不足しているため、長期入院用の病床を介護保険対象に転換させる誘導策を盛り込んだ。医療機関が介護保険か医療保険か有利なほうを選べる介護中心の「療養型病床群」について、症状の重い高齢者の入院基本料が6カ月たつと介護報酬よりも低くなるようにする。また、患者が集中しがちな大病院の外来に適用されていた紹介制を拡充し、診療所などとの役割分担をはっきりさせようとした。

 改定案では、一般の入院について従来の「入院環境料」「看護料」「入院時医学管理料」などを統合・簡素化し、「入院基本料」として一本化した。3カ月たつと診療報酬が減ることから「3カ月で病院を追い出される」と指摘されていた逓減制について、1カ月までの初期加算分を除いては、6カ月たつまで報酬を減らさないようにした。

 ただ、原則として70歳以上の高齢者については療養病棟、老人病棟に入院した場合、1万円前後の入院基本料に対し、入院後30日間は2600円―3100円程度を加算し、逆に6カ月以降は1日あたり370円を減らすようにした。3カ月以上入院する場合、これまで選択できた検査、投薬などの出来高払いは廃止し、包括払いに限定する。

 厚生省は、6カ月経過後を比べると、症状の重い要介護4、5の高齢者の場合、介護報酬のほうが診療報酬より高くなるとして、医療機関が都道府県に介護保険の適用申請をするのを促すと期待している。

 厚生省によると、介護保険の療養型病床群は全国で20万床余り必要とされるのに対して、実際の適用申請は1月末現在で半分の約10万4000にとどまる。要介護1以上の高齢者が入所する施設はほかに、特別養護老人ホームが30万床余、老人保健施設が20万床余と見込まれ、ほぼ近い水準まで整備されているのに比べ、療養型病床群の少なさが際立っている。これは医療機関が介護報酬に魅力を感じないためとされていた。

 また、病院や診療所の役割分担を明確にするため、紹介患者の割合が30%以上の病院の入院医療には最初の2週間、1000円を加算するなどの措置を導入する。診療所を「かかりつけ医」として位置づけていく一環として、ベッド数200床以上の大病院が診療所に患者を紹介した場合の「逆紹介加算」を新設するなどしている。

 小児医療は入院、外来とも診療報酬を高くし、15歳未満の患者が入院する場合に小児入院医療管理料(1日2万1000円)を新設するほか、6歳未満の乳幼児が夜間や休日に診療を受ける場合に1500円加算するなど、救急医療の充実も図っている。。

 このほか、患者に診療録(カルテ)を開示している医療機関に対し、診療録管理体制加算(入院初日300円)を新設▽薬剤使用の適正化策として、外用薬の投与期間を7日から14日に延長するなど、長期投薬の見直し▽一定要件に該当するC型慢性肝炎の患者へのインターフェロン再投与に保険を適用する――などを盛り込んだ。

医療審議会が丹羽厚相に医療法の改正案などを答申

1:45p.m. JST February 21, 2000
 医療審議会(厚相の諮問機関、会長=浅田敏雄東邦大名誉学長)は21日、医療提供体制の改革を目指して看護職員の配置基準の引き上げや病院の広告規制の緩和などを盛り込んだ医療法などの改正法案要綱について、厚生省の諮問案を了承し、丹羽雄哉厚相に答申した。ただ、日本医師会が、半世紀ぶりの見直しとなる看護職員の配置基準については「現行のままにすべきだ」との主張を曲げず、答申に一部反対意見があったことを付記する極めて異例の形をとった。医師会の意向を受けた与党・自民党内にはまだ、反対意見もあり、不確定な要素を残しているものの、改正法案は今国会に提出される見通しだ。

 改正法案要綱の主な内容は、(1)病院の病床を、発症から間がなく主に集中的な治療が必要な患者を入院させる「一般病床」と、長期に療養が必要な患者が入る「療養病床」に区分し、一般病床の看護職員の配置基準を現行の「入院患者4人に1人」から「3人に1人」に引き上げる(2)これまで原則禁止だった病院の広告規制を緩和し、カルテ開示の有無や医師の略歴・年齢、共同利用できる医療機器、医療機能評価の結果などの広告を出せるようにする(3)これまで努力義務とされていた医師・歯科医師の臨床研修を必修とする――など。

 看護職員の配置基準の適用については、へき地や離島、200床未満の病院を対象に5年間の経過期間を設ける。また、医師や看護職員の配置が基準の2分の1以下の状態が2年以上続いた場合は、都道府県知事が改善命令や業務停止命令を出すことができる項目も盛り込まれている。

 看護職員の配置基準見直しについては、日本看護協会や患者側の委員からは「3対1」では不十分との声もあったが、医師会が「3対1」でも強硬に反対していることから、1948年の医療法制定後初めて引き上げることを優先した。実現すれば病室の面積や廊下幅の改善などと合わせ、病院の療養環境面で1歩前進することになる。10年来の懸案だった臨床研修も必修化の方向がはっきり打ち出された。

 また、答申書には審議会としての要望も盛り込まれた。療養病床の入院患者の容体が急変したときの病床の取り扱いは医師の判断で行う▽「3対1」の基準を満たさない中小病院に対する支援策などについて検討し、措置をとる▽配置基準違反などで改善命令や業務停止命令を出すときは、慎重な配慮をする――などで、主に医師会に配慮した内容となった。

医院と薬局の指定取り消す

2000年2月7日 16時58分 共同通信社
 大分県保健課は7日、不正に診療報酬を受け取ったとして、同県宇佐市の秋吉医院=秋吉年久院長(72)=の保険医療機関指定と秋吉院長の保険医登録を15日付で取り消す、と発表した。また、不正に薬剤報酬を受け取ったとして同市の有永薬局=有永美津子薬剤師(73)=の保険薬局指定と有永薬剤師の登録を同日付で取り消す。

保険医指定取り消しへ

2000年2月4日 20時05分 共同通信社
 埼玉県は4日、同県菖蒲町の宮島整形外科(宮島昭博院長)が診療報酬約320万円を不正請求していたとして、同医院の保険医療機関指定を18日付で取り消すことを決めた。同県は、不正請求は総額約4900万円に上るとみている。同医院は、1994年9月から昨年2月までの間に、病床数(19)を3〜11人超過して入院させ、定数超過にもかかわらず、必要な入院環境料減額の手続きをせずに請求していた。

診療報酬4億円を不当受給

2000年2月3日 13時12分 共同通信社
 熊本県下益城郡の民間総合病院で、正看護婦数が老人保健法の基準を満たしていなかったため、診療報酬のうち約4億1000万円が不当受給に当たることが3日、会計検査院の検査などで分かった。

 県は「病院側の勘違いが原因」としており、病院側も全額返還する方針。

日医の反対で審議足踏み

2000年2月2日 16時29分 共同通信社
 医療サービスの質の向上を図るため、医療法の改正を検討している医療審議会の議論が最終段階になって足踏みを続け、2日の総会でも法案要綱の諮問、答申が見送られた。入院患者数に対する看護職員数の配置基準を現行の「4対1」から「3対1」に引き上げる原案に、日本医師会が強硬に反対しているため。医療広告の規制緩和などを含め、制度改正が見送られる可能性もあるという。

「研修医2年」を義務化の方針 厚生省

03:08a.m. JST January 30, 2000
 厚生省は、医師免許を取ったばかりの医師全員に、患者を直接治療しながら学ぶ臨床研修を2年間義務づける方針を固めた。外科、内科など自分の専門診療科だけではなく、複数の診療科で研修を積ませ、基礎的な診療を総合的にできる医師を育てるのが狙いだ。現在でも新人医師の8割以上は研修を受けているが、生活費かせぎのために当直医などのアルバイトをするケースが多く、研修に専念できるよう、報酬も見直す意向だ。約10年来の懸案で、同省は医師法などの改正案を今国会に提出、2004年度からの実施を目指す。

 現在の医師法では、免許を取得した医師が、2年以上の臨床研修を受けることは努力義務とされている。医師免許取得者は年間約8000人で、臨床研修を受けている人はここ数年は85%前後にとどまり、約1200人は研修を受けていない。

 臨床研修の義務化は、実施率を100%にするとともに、自分の専門の診療科だけで臨床研修を受けている人が3割もいる現状を見直し、専門外の診療科も経験させ、幅を広げさせるのが大きなテーマだ。これは、臓器別の病気だけではなく、複雑化する病気に対応でき、小児科や救急を含めた基礎的な診療をきちんとできる医師を育てるのが狙いだ。

 また、これまで多くの研修医が、研修先の収入だけでは生活が苦しいとして、ほかの病院で当直医や夜間診療などのアルバイトをしており、十分研修に専念しているとはいえない面もあり、収入の仕組みも改める。

 厚生省の研究班の調べでは、研修医の1人当たりの平均月収は約35万円で、うち15万円をアルバイトから得ている。中には研修病院から月額数万円しか給与を支給されていないケースもあり、研修医が研修に専念できるような生活保障を検討すべきだという声があがっていた。

労災病院、利用減で統廃合

2000年1月25日 18時54分 共同通信社
 労働省は25日、全国に39カ所ある労災病院を統廃合するほか、全国に8カ所ある休養施設を全廃する方針を決めた。同日の労災保険審議会(労相の諮問機関)の報告を受けた措置で、夏までに具体的な計画を作る。早ければ2001年度から順次、実施する。労災保険で運営されている労災病院は、労災患者の減少などにより、ほとんどの病院が毎年損失を計上。最近10年間の累積損失は約1370億円にも。

「院外処方」4分の1超す

1999年12月27日 17時16分 共同通信社
 医療機関が外来に薬を出す場合、窓口で直接渡さずに独立した薬局に処方せんを出す「院外処方」の割合が、1998年の推計で4分の1を超えたことが、厚生省が27日発表した調査で明らかになった。医療費に占める薬剤費の比率も前年比3.3ポイント減の21.6%、と最低を更新、医療機関の薬離れが浮き彫りになった。

健保連が医療保険制度の抜本改革先送りを批判

7:44p.m. JST December 22, 1999
 健康保険組合連合会は22日、2000年度予算案編成に関連し、医療保険制度の改正について「抜本改革の来年度実施を強く求めてきたが、先送りが決定されたことは誠に遺憾だ」と批判する声明を発表した。また、医療保険から医療機関に支払う診療報酬が実質0.2%アップで決着したことについても「自民党に引き上げを強いた日本医師会などは厳しく非難されるべきだ」と反発している。

労災病院 累積損失1370億円

1999年12月21日 8時59分 共同通信社
 総務庁は21日、労働福祉事業として労働災害保険で運営されている全国の労災病院が、労災患者らの利用率の著しい低下のため10年間で約1370億円の累積損失を生じたとの行政監察結果をまとめた。

 これを受け続訓弘総務庁長官は21日午前、牧野隆守労相に、労災病院の統廃合や民営化を進め、早急に再編整備計画を策定するよう勧告した。

実質0.2%増で決着 診療報酬改定

1999.12.19 by産経新聞
 平成十二年度予算編成で最後まで調整が難航した診療報酬改定は十九日未明、実質的な収入増分として○・二%、医療費ベースで約五百六十億円引き上げることで決着した。

 また医療制度改革として、原則七十歳以上の老人の薬剤費一部負担を来年七月から廃止する一方、(1)老人医療の一部負担を定額制から上限付きの定率一割負担に変更(2)高額療養費の自己負担上限を引き上げ−など負担増が決まった。

 これらは日本医師会などとの折衝を経て与党三党で合意、宮沢喜一蔵相と丹羽雄哉厚相による予算事前折衝で確定した。

 今回の診療報酬改定で日本医師会は物価・人件費上昇分三・六%、公定薬価差益の解消分四・五%の計八・一%アップを要求。これに対し健康保険組合連合会など支払い側は健保財政の悪化や厳しい経済情勢を理由に「マイナス改定」を主張して折り合いがつかず、中央社会保険医療協議会が意見書取りまとめを断念する異例の展開となった。

 調整に乗り出した自民党は、○・八%以上の実質増を強く求める医師会に対し「賃金は上昇しておらずデフレ傾向にある。我慢してほしい」と説得。診療報酬を一・九%引き上げるとともに薬価を一・七%引き下げ、差し引きで○・二%増とする最終案を提示、政治決着が図られた。

 医療制度改革では、政府、自民党は当初、薬剤費一部負担を全廃する方針だったが、最終的に四千九百億円の財源が確保できなかったため、今回は七十歳以上の層にとどめ、現役世代の廃止は平成十四年度に先送りされた。

診療報酬、政治決着へ本格調整 自民、医師会などと協議

0:04p.m. JST December 18, 1999
 中央社会保険医療協議会(中医協、厚相の諮問機関)での話し合いが決裂し暗礁に乗り上げた診療報酬改定問題を巡り、自民党は18日午前、政治決着に向けた本格調整に乗り出した。同党の亀井静香政調会長、藤本孝雄医療基本問題調査会長らが都内のホテルで、日本医師会、健康保健組合連合会(健保連)など、関係団体の幹部から順次、意見聴取を開始。その後、亀井氏と丹羽雄哉厚相が協議して、同日中の決着を目指すが、引き上げを求める医師会など診療側と、反対する健保連など支払い側の対立は厳しく、20日に予定している来年度予算案の大蔵原案内示ぎりぎりまで、最終決着がもつれこむ可能性もある。

 診療報酬は2年に1度、物価や人件費の動向を踏まえて改定されることになっており、来年4月が次の改定期。引き上げは医療保険料や国庫負担の増加につながるため、来年度予算編成の焦点のひとつとなっている。1998年4月の前回改定は実質1.3%の引き下げ。今回は医師会が3.6%の引き上げを強く要求。景気低迷による財政難から引き下げを求める健保連、日経連などとの対立が解けず、中医協は17日夜、意見集約を断念し、政府・与党の政治判断にゆだねることになった。

診療報酬改定で医師会と健保連が対立 中医協総会

9:47p.m. JST December 15, 1999
 厚相の諮問機関の中央社会保険医療協議会(中医協)は15日の総会で、来年4月の診療報酬改定に関する議論に入った。しかし、引き上げを求める日本医師会と、引き下げを求める健康保険組合連合会(健保連)など支払い側との溝は埋まらず、17日の総会で改めて協議することになった。20日ごろに予定されている来年度予算の大蔵原案内示までに決着をめざすが、中医協の場で合意に達するかどうかは微妙だ。

 医療保険から医療機関に支払われる診療報酬は、物価や人件費などの動向を受けて、原則として2年に1度改定される。今回、日本医師会は3.6%の引き上げを要求している。

 15日の総会では、日医の委員が「3.6%が認められないなら、何%ならいいのか言ってくれないと議論が進まない」などと主張。健保連の委員は、今年6月の開業医の平均月収は約235万円という厚生省の調査データを引き合いに出して「サラリーマンとは単純に比較できないにしても、それでもまだ3.6%引き上げろと言うのか」などと反論し、主張は平行線のままだった。

診療報酬不正受給の疑いで歯科医師から事情聴取

2:25p.m. JST December 02, 1999
 東京都世田谷区の歯科医師(47)が、実際には診察していない患者のカルテを偽造して診療報酬を不正に受け取っていた疑いが強まったとして、警視庁捜査二課と世田谷署は2日午前、詐欺容疑でこの歯科医師から事情聴取を始め、逮捕状を請求した。カルテを偽造された患者の多くは警視庁の警察官やその家族で、診察を受けた覚えがないのに還付金があったことを不審に思い、不正請求が発覚した。

 調べでは、この歯科医は世田谷区内で歯科医院を経営。1998年1月から今年4月ごろにかけ、実際には診察していないにもかかわらず延べ数十人の患者を診察したようにカルテを偽造して診療報酬明細書(レセプト)を作成。警察共済組合にレセプトを提出して診療報酬を請求し、計約百数十万円をだまし取った疑いが持たれている。

 これまでの調べでは、少なくともここ数年間で、100人近くの警察官やその家族の名前を勝手に使って、数百万円の診療報酬を不正に受け取っていたとみられる。

 この歯科医院の近くに警視庁職員の家族寮がある。すでに転居している人が診察を受けていたことになっているなどずさんな請求だったという。

 捜査二課は、この歯科医師は、患者が減り経営難に陥っていたことから不正請求したとみて調べている。

開業医の月収235万円

1999年12月1日 13時50分 共同通信社
 中央社会保険医療協議会(厚相の諮問機関)は1日、病院や開業医の経営状況を今年6月現在で調べた「医療経済実態調査」の結果を発表した。開業医の平均月収は235万5000円で、前回調査より約36万円増加。前回赤字だった一般病院の月平均の収入は、363万1000円で、約463万円増えた。

領収証運動で医師会に攻勢

1999年11月21日 15時41分 共同通信社
 「お医者さんにかかったら、領収証をもらおう」―医療費削減のための抜本制度改革を求めている連合(鷲尾悦也会長)は今月から、こんなキャッチフレーズで改革に抵抗する日本医師会を「攻撃」するキャンペーンを始めた。明細付きの領収証請求運動で医療費不正請求に歯止めをかけ、少しでも兵糧攻めにしようとの狙いだが、背景には自民党への影響力を強めている日医へのいら立ちもある。

国保財政、98年度は1020億円の赤字

7:29p.m. JST November 22, 1999
 自営業者らが加入して市町村が運営する国民健康保険の1998年度の財政状況は、前年度より赤字額が728億円増えて1020億円に達したことが22日、厚生省のまとめた速報値でわかった。保険料収入の伸び悩みや、お年寄りの医療費をまかなう拠出金の増大など構造的な要因が響いている。

 98年度の収入は前年度に比べて3.6%増え、8兆1170億円。支出は4.7%増の7兆8994億円だった。前年度からの繰越金などを除く単年度経常収支は1020億円の赤字となった。

 厚生省によると、赤字が拡大したのは、景気低迷で保険料収入が前年度比1.3%の伸びにとどまった半面、老人医療費のための拠出金が9.8%、給付費が2.9%、それぞれ増えたため。

 国保財政は、97年秋に外来患者の負担を増やすなどの制度改正が行われたことで、97年度の赤字が約290億円に圧縮されるなど好転したが、わずか1年で赤字額が改正前の水準に戻った。

「海外でも国保の適用を」 総務庁が厚生省に要請へ

6:38p.m. JST November 16, 1999
 海外で医者にかかった場合、国民健康保険だけが保険適用を認められないのは不公平だとして、総務庁行政監察局は17日、厚生省に改善を求める。厚生省は国民健康保険でも認める方向で法改正の検討に着手する方針だ。

 人工透析治療を受けている愛知県の男性(64)が「貿易会社に勤務していた時は海外出張中でも健康保険が適用されたが、退職後に加入した国民健康保険では全額自己負担になった」と、総務庁に行政相談を持ちかけたことがきっかけ。厚生省はこれまで「自営業者や農業従事者ら国民健康保険の被保険者は海外勤務が想定しにくい」としていた。海外での保険適用は、健康保険だけでなく、船員保険や老人保健、各種共済でも認めている。

97年度国保医療費、10年連続で北海道がトップ

6:30p.m. JST November 13, 1999
 厚生省は、自営業者らが加入する国民健康保険の医療費について、都道府県・市町村別に比較した1997年度の「医療費マップ」を発表した。加入者1人あたりの年間医療費は北海道が10年連続で最も高く、46万6000円。初めて最低となった千葉県の25万9000円とは1.8倍の格差があった。北海道を除くと、高齢化の進む中国・四国地方の県が上位に多く、医療費の使われ方は「西高東低」が続いている。

 都道府県の1人あたりの医療費は、全国平均で34万4000円と前年度より9000円(2.7%)増え、過去最高となった。

 北海道に続いて高いのは、山口県(46万2000円)▽高知県(45万1000円)▽広島県(44万9000円)など。一方、千葉県に次いで低いのは、前年度まで11年連続で最低だった沖縄県(26万円)で、埼玉県(26万7000円)、茨城県(27万5000円)と続いている。

 厚生省は、北海道の医療費が高い理由を「都市部に医療機関が集中しており、冬は天候が厳しいため、通院より入院を選ぶケースが多い」としている。千葉県が最も低い要因には、人口あたりの病床数が少ないことなどを挙げている。入院医療費が高いと医療費全体も高くなる傾向があり、人口あたりの病床数が多い中国、四国、九州地方の医療費を押し上げている。

 市町村別の最高は、長崎県伊王島町の75万2000円。最低は東京都小笠原村の15万4000円で、約4.9倍の格差があった。

健保連などが医療保険制度改革の促進を厚相に要請

10:30p.m. JST October 21, 1999
 2000年度を目標としている医療保険制度改革をめぐり、保険料を支払う側の健康保険組合連合会(健保連)と日経連、連合は21日、丹羽雄哉厚相に対し、「抜本改革が行われないままでは、これ以上の負担増を受け入れることはできない」として、遅れている取り組みを進めるよう申し入れた。丹羽厚相は「年末にかけて取り組みたい」と述べ、3団体側の協力を求めるにとどまった。

 保険財政は、高齢者の医療費をまかなうための拠出金負担が年々増え、1999年度には全健保組合の85%が赤字の見通しとなるなど悪化している。3団体は「保険財政は破局的状況にある」として、(1)給付費に対する国庫負担を増やす(2)2000年度の診療報酬改定はマイナス改定とする(3)薬価を下げる――など医療費を圧縮する具体策を要求している。

 また、40―64歳の介護保険料は医療保険料に上乗せして徴収されることから、法律で定めている保険料率の上限の引き上げを厚生省が検討していることに対しても、急激な負担増を避けるため、上限は引き上げないよう求めている。

政管健保、2003年度に5500億円赤字 厚生省試算

10:50p.m. JST October 19, 1999

 厚生省は19日、中小企業の従業員らが加入する政府管掌健康保険について、現在の保険料率(月収の8.5%を労使折半)のまま運営すれば赤字額が年々膨らみ、2003年度に5500億円に達するという試算を医療保険福祉審議会の部会に示した。2002年度に収支をほぼ均衡させるには、保険料率を9.1―9.2%、本人負担分で1人あたり月910―1060円ほど引き上げる必要があるとしている。政府が来年度を目標とする医療保険制度改革への取り組みは遅れているが、改革が遅れれば保険料率引き上げは避けられないとの見通しを厚生省が示したことで、改革論議にも影響を与えそうだ。

 政管健保の被保険者は約2000万人。試算によると、保険料率を変えない場合、保険料や国の補助金などによる収入は、来年度から2003年度にかけて6100億円増えて7兆6800億円になる。しかし、支出も老人医療費をまかなう拠出金の伸びが大きいために増大し、財政は悪化。単年度の赤字額は2100億円から5500億円に膨らむ。

 同省は、支出の伸びに見合う収入を確保するには、保険料率をどの程度引き上げればよいかを試算した。2002年度に保険料率を9.1―9.2%に引き上げると、保険料収入は料率を据え置いた場合に比べて4500億―5200億円の増収となり、黒字に転換する。2003年度も同じ保険料率だと再び赤字に転落するが、その額は100億―400億円にとどまる。

自民が医療改革案決定へ

1999年10月12日 18時44分 共同通信社
 自民党は13日午前、医療基本問題調査会・社会部会合同会議を開き、医療保険制度について「来年度から薬の種類に応じて外来患者から徴収している薬代の一部負担を全面廃止する」、「原則70歳以上の老人患者の自己負担の1割定率制への移行」、「高額医療制度の自己負担限度額などを見直す」ことなどを柱とした改革案を正式決定する。

国保被保険者が急増 過去最高の水準、目立つ若年層加入

03:12a.m. JST October 11, 1999
 無職の人や自営業者、農家の人たちが加入している公的な医療保険制度、国民健康保険(国保)の被保険者が急増し、6月末に4590万人に達したことが国民健康保険中央会のまとめで分かった。全国民が医療保険に入る「国民皆保険」の体制が整い、被保険者が多くなっていた1961年を除いて、過去最高の水準だ。国保の被保険者数は景気や雇用情勢、制度改正に伴って増減しており、最近は退職して勤め先の健康保険から移る人、倒産やリストラで失業した若い層の加入が目立つ。

 国保中央会が9月末に出した速報によると、6月末の国保の被保険者は、昨年6月に比べて118万人、2.7%増えた。前年同月比でみると、昨年後半に2%台に乗り、伸び率が徐々に大きくなっていた。

 企業や役所を退職し、厚生年金や共済年金の受給資格を持って国保に移ってきた「退職被保険者」は昨年以降、前年同月比で4―5%台の増え方が続き、今年6月には480万人に達した。国保の被保険者の10%に当たる。

 現役世代が中心の「一般被保険者」は昨年7月、減少から増加に転じた。勤め先の倒産やリストラで失業した若い世代が移ってきている。今年6月までの1年間で36万人増え、3052万人になった。

差額ベッド代を不当請求

1999年10月3日 13時39分 共同通信社
 神戸市中央区の医療法人神鋼会「神鋼病院」が8月、感染症の疑いから医師の指示で個室に入院した女児の家族に、本来負担する必要がない差額ベッド代を不当に請求していたことが2日、明らかになった。厚生省通知で、差額徴収は、患者が個室を希望した場合に限定。今回のケースのように治療上の必要や病院側の都合の場合は支払う必要はなく、兵庫県は通知を徹底するよう同病院を指導した。

病院減少、中小は診療所に

1999年9月21日 17時12分 共同通信社
 病院が減少を続ける一方で、診療所に移行する中小病院が目立ち、診療所は毎年増加している―。厚生省が21日まとめた1998年医療施設調査・病院報告は経営難などを背景に合理化が進む実情を示した。

 昨年10月1日時点の病院は総数が9333施設、病床が165万6415床。施設数は6年連続の減少、病床数も8年連続の減少となったのに対し、診療所は前年より1264施設増えて9万556施設だった。

高度治療が大きな成果、3分の1が2年後も生存

6:59p.m. JST July 28, 1999
 国民健康保険中央会は28日、1カ月間に450万円以上の高額の治療費がかかった重篤な患者のうち、治療後2年以上生存している人が約3分の1に上り、高度な医療が大きな効果を発揮したとする初の調査結果をまとめた。

 調査は1996年10月の1カ月間に同会に送られてきた月450万円以上の診療報酬明細書(レセプト)348人分を対象に、その前後13カ月間にかかった医療費と、半年後、2年後の生存率などを調べた。

 対象患者は、悪性新生物、白血病、循環器系疾患などが中心。治療をしなければ数カ月後には死亡する重篤な人がほとんどだが、高額治療の結果、半年後に42.2%、2年後でも32.2%が生存していた。

 また、13カ月間にかかった医療費は生存者で平均1491万円、死亡者は同1364万円だった。人工心肺など使い捨ての高額医療機材の使用や、単価が高い治療薬の長期投与が高医療費の理由という。(時事)

秋田の病院が5億円超す診療報酬不正受給の疑い

03:08a.m. JST July 24, 1999
 秋田県大曲市の医療法人「福住会」が経営する大曲佐藤病院(佐藤善政院長、122床)が医師の数を水増しし、診療報酬を不正に受け取っていたことが23日、分かった。関係者によると、水増しは5年以上にわたって行われ、不正受給額は五億円を超えるという。県の諮問機関は27日に、不正受給分の返還などの検討に入る。病院側は「不正と判断され、残念だ」と話している。

 大曲佐藤病院は八科を持つ総合病院で、常勤医師4人。通院患者は1日平均約190人。

 医療法では患者数に合わせて医師数の充足率が定められており、診療報酬の請求額を規定している。充足率が50%未満の病院は、診療報酬を減額請求しなければならない。関係者によると、同病院は医師の充足率が50%を超えていないにもかかわらず、70―80%充足していると報告。30%減額して請求しなければならない診療報酬を満額請求していたという。

 不正が「悪質」と判断された場合、病院は保険医療機関の指定を取り消されるため、県保険課は現在、入院患者50人の転院先の確保を急いでいるという。

三菱電機が健保をリストラ、診察結果をデータベース管理

03:21a.m. JST May 16, 1999
 三菱電機と同健康保険組合は、静岡県熱海市など5つの保養所を閉鎖し、保養所を半減させると明らかにした。また、グループ100社の従業員約10万人の成人病検診結果を、同じ仕様でデータベース化する全社健康管理システムも取り入れる。医療費負担や老人保健拠出金が増大し、健保財政が悪化しつつあるのを受けた健保のリストラと言える。保養所の運営費を浮かせるとともに、病気の予防態勢を充実させる。

 三菱電機健保は9月末までに、運営する6つの保養所のうち利用率が30―50%しかない熱海、阿蘇、赤城、白馬の4つの保養所を閉鎖する。三菱電機本体や厚生年金基金、共済会が運営する6保養所も、本体直営の1カ所を閉鎖する。閉鎖後は売却する方針。

 一方、健康管理システムを全グループに適用する。今までは各地の工場やグループ会社によって検診の仕様やデータ管理がまちまちだったため、人事異動後の継続的な管理ができていなかった。仕様を統一したうえで、約10人の保健婦が巡回して健康管理を指導、予防に努める。先行して実施した伊丹工場(約6000人)の場合、病気による欠勤率が0.5%から0.3%に低下するなどした。

 2000年度には本社約5万人分が入力され、2003年度までにグループ企業に拡大する。これだけ大規模な健康管理システムは珍しく、外販も検討中。

看護婦らの請求を棄却

1999年4月15日 20時01分共同通信社
 国立の病院や療養所の看護婦や職員で組織する全日本国立医療労働組合(全医労)のストライキで懲戒戒告処分を受けた組合員12人が、勤務先の病院長らに処分取り消しを求めた訴訟で、東京地裁は15日、請求を棄却する判決を言い渡した。原告側は控訴する方針。

 判決理由で高世三郎裁判長は、ストライキについて『看護婦の夜勤条件は当時改善されていて当局の怠慢が著しいとは言えず、違法な争議行為に当たる』と指摘。

医師の説明、看護を評価

1999年4月9日 13時23分共同通信社
 診療報酬体系の見直しに関する『医療保険福祉審議会』制度企画部会(厚相の諮問機関)の意見書原案が9日、明らかになった。

 診療報酬体系見直しに当たって(1)医師の患者への説明(2)病態が不安定な急性期患者への看護サービス−を高く評価することを、求めている。同日午後の会合で提示され、同部会は4月中を目標に意見書の取りまとめに入る。

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