TOPIC No.5−15 ピル解禁

01. ピル解禁は女性にとって朗報か?by 女 の 情 報 花 壇
02. ピルってなあに?by Pill Center Japan
03. 経口避妊薬(ピル)の情報について(厚生省報道発表資料)by旅からす 二上次郎 の世界
04. アメリカの経口避妊薬使用の現状-アメリカ在住日本人医師が語る!-by 痴呆症・医療情報のホームページ
05. インターネット講座「低用量ピル」by よしみつ婦人科クリニック
06. 低用量経口避妊薬(ピル)解禁 ...ニュースにはてな!
07. プリベン 性交後に服用する緊急避妊薬キット

低用量ピル浸透せず 服用率は1%未満

2000.08.26(17:23)asahi.com
 昨年9月から国内で発売されている女性用の低用量経口避妊薬(低用量ピル)を服用している人は、中用量ピルからの「切り替え派」が多く、新たな避妊法としてまだ浸透してはいない現状が、産婦人科医を対象とした調査などで浮かんできた。製薬会社は服用率について「1%に満たない」と見ており、調査した医師らは「イメージが先行し、低用量ピルについての確かな知識が得られていないせいではないか」と話している。

 さまざまな論議を経て、承認申請から9年後の昨年に承認、販売が始まった低用量ピルの売れ行きははかばかしくない。

 低・中用量ピルの最大手の製薬会社の一つ「日本ワイスレダリー」は、同社の販売状況、市場シェアから、国内で低用量ピルを服用している女性は現在、約10万人程度とみる。16歳―45歳までの女性人口は約2000万人で「服用率は1%に満たない」という分析だ。この見方はピルを製造、販売する企業でつくる「OC情報センター」(事務局・東京都港区)でも共通する。

 日本ワイスレダリーは「他の先進国での定着ぶりから、初年度でも2、3%程度の服用率になるのではと予想されていたが、意外と伸びていない」。

 東京女子医大の安達知子助教授は、低用量ピルをめぐる状況について、105の医療機関を対象に調査し、61施設から回答を得た。

 昨年9月以降の低用量ピルの服用者数は月平均10.5人。「1―5人」の施設が34カ所と大半を占めた。一方で、よりホルモン量が多い中用量ピルの服用者数は、低用量ピルの発売前は月平均8.4人だったが発売後は3.8人に減っていた。

 安達助教授は「低用量ピルの承認を機に新しく避妊法として採り入れるというより、もともと中用量ピルを避妊目的で飲んでいた人が副作用が少ない低用量に切り替えたケースが多いようだ」と分析している。実際、製薬会社によっては、中用量ピルの売り上げが低用量ピルの発売以降、前年比で3割程度落ちている。

 東京歯科大市川総合病院の田辺清男産婦人科部長は「低用量ピルが出たから服用したい、といって病院に来る人はまだ少ない。薬の副作用に対する漠然とした不安やピルを飲むこと自体への偏見が先行しているのではないか」と話している。

低用量ピルの処方ガイドラインの不適切な表示の見直しを

2000.07.04(19:29)asahi.com
 昨夏承認された低用量の経口避妊薬(ピル)の処方をめぐる日本産科婦人科学会など6団体のガイドラインについて、女性医師や薬剤師らでつくる「性と健康を考える女性専門家の会」(堀口雅子会長)は4日、使用を実質的に抑えるような不適切な禁忌事項や検査項目があるなどとして、見直しを求める要望書を厚生省に提出した。

 例えば、禁忌とされる子宮内膜症への処方は、世界保健機関(WHO)基準だと禁忌対象でなく、日本の医療機関でも治療に中用量ピルが使われている。同会は「WHO基準の趣旨に反するような検査項目もあり、科学的根拠に基づき見直してほしい」としている。

低用量ピル服用の6割が避妊以外の効果に期待

10:01p.m. JST March 04, 2000
 低用量ピルを服用している人の6割が、月経トラブルの改善など、避妊以外の目的に期待していることがわかった。東京都職員共済組合青山病院産婦人科の早乙女智子医師らが調査した。4日、都内で開かれた東京産婦人科医会と日本産科婦人科学会東京地方部会の合同研修会で発表した。

 調査は、昨年9月の低用量ピル発売から2月1日までの5カ月間に、同病院で処方した17歳から51歳の女性217人を対象にした。避妊目的は全体の78%だが、避妊以外に、月経困難症や月経不順の改善などの副効用にも期待した人が38%いた。副効用だけが目的の人は22%、避妊だけは40%だった。

 低用量ピルは副作用が軽く長期間使えるので、欧米では治療用にも処方する医師が多いとされる。日本では避妊薬として認可されたため、治療目的で認可されている中用量ピルと違って医療保険がきかず、「体への負担が軽いのに費用が高く、普及の妨げになっている」と指摘されている。

低用量ピル販売開始 「定着には時間がかかる」製薬会社

10:33p.m. JST September 02, 1999
 低用量の経口避妊薬(ピル)が2日、製薬会社から一斉に発売された。診療所などでは、さっそく女性やカップルが医者から説明を受ける姿が見られたが、まだ少数に限られた。「解禁」といっても医者の処方が必要で、医療保険も適用されない。メーカーも「定着するには時間がかかる」と冷静な反応だ。避妊の選択肢が増える期待と、性感染症の広がりへの懸念が同居する「ピル解禁の時代」はじわり、訪れた。

 東京都新宿区市谷田町の日本家族計画協会クリニックでは、これまで中・高用量ピルを処方していた人たちに、発売解禁されたばかりの低用量ピルと中・高用量ピルをこの日に限って無料で交換した。

 午前9時半、9社11品目の低用量ピルが到着した。「どれでも好きなピルを」と並べてみたが、大半の女性は「どれがいいんですか」と戸惑って、医師のアドバイスを受けていた。

 中用量ピルを服用してきた都内の大学生(20)はボーイフレンドと一緒に訪れた。「効果があれば体に優しい方がいい。値段も安くなってうれしい」と話した。

 正午までに14人の女性が訪れた。

「薬代や処方代は医療機関任せなので、混乱や価格競争が起きるかも」と同クリニックの北村邦夫所長は話す。高校生や大学生など若い世代の外来患者を対象としている同クリニックは、1周期(21―28日)分の薬を1500円と設定したが、相談料は2500円から5000円。「よく説明して、納得して使ってもらうことが一番大切だと考えています」

 診療所や薬局を訪れる人はまだ少ない。

 医者の指導のもとで服用するよう呼びかけたポスターが待合室に張り出された東京・池袋の産婦人科医院。20歳代の女性1人が「避妊のために使わせてほしい」と処方を受けた。都内のある病院も2人が処方を受けただけ。

 ある調剤薬局も「解禁日といっても処方せんを持参するお客さんはまだいません」と話す。

 低用量ピルのメーカーは9社。各社が購入対象者とみているのは、おおむね18―40歳の女性で、現在国内に約2000万人いるという。このうちすでに中・高用量ピルを使用している女性は約1%にあたる15万―20万人と言われている。

発売開始で、明治製菓は「初年度で使用者が2―3%に増えるのではないか」と推測するが、「避妊の手段として定着するには時間がかかるだろう」としている。

   ◇

ピルの製造、販売にかかわる製薬会社は一般の人に知識を普及するため、共同広報機関の「OC(経口避妊薬)情報センター」を発足させた。問い合わせは03・3814・1809(東京)と06・6266・2488(大阪)。

医薬品各社、「ピル解禁」で知恵絞る=今秋にも相次ぎ発売

99年6月26日 20時46分 時事通信社
 山之内製薬や三共など医薬品メーカー9社は今秋にも低用量の経口避妊薬(ピル)を相次いで発売する。申請から製造・輸入承認まで約10年を経て、ようやく解禁されるだけに、電話による相談窓口の共同開設や独自の容器を採用するなど消費者の利用を促すための方策に知恵を絞っている。

 医薬各社は、ピルの販売増には服用する女性の理解が不可欠と判断、電話相談窓口を8月中にも共同で設置するほか、服用方法や効果、副作用などを明記した資料を作成して、医療機関などに配布する予定。

 また、売り込みにも工夫を凝らす。業界中堅のヤンセン協和(本社東京)は、曜日を刻んだ独自の容器を使用し、飲み忘れを防ぐ工夫をする。帝国臓器製薬(同)も、現在約300人の医療情報担当者(MR)を総動員し、医療機関を通じた情報提供を行う。外資系の日本モンサント(同)は産婦人科領域に強いツムラと提携した。 

「ピル解禁」で相談窓口を開設へ=製薬会社が知識の普及目指す

99年6月18日 21時39分 時事通信社
 国内で販売が認められた低用量の経口避妊薬(ピル)について、山之内製薬、明治製菓など医薬品9社は18日、消費者に正しい知識を持ってもらうため、ピルの発売が予定されている今夏をめどに、共同で相談窓口を開設することを明らかにした。 

経口避妊薬ピル解禁

1999年6月2日 19時52分 共同通信社
 厚相の諮問機関、中央薬事審議会(中薬審)の常任部会は2日、経口避妊薬低用量ピルの承認を答申した。7月中に厚相が正式に承認し、今秋には医師の処方が必要な『要指示薬』として販売が始まる見通しだ。     

 1990年の承認申請から9年、欧米に遅れること約40年で、先進国で唯一、未承認だった日本でもピル解禁が実現する。女性にとって自らの意思で避妊できる選択肢が新たに加わる。        
 承認の対象は、9社16品目。

日本のピル行政へのシニカルな視線

Tue, Mar 9, 1999 by KDD COMMUNICATIONS 海外トピック
 女性が海外で暮らし始めると、途端に身近になるのが経口避妊薬、ピルの話題だ。例えば子育て中の筆者の場合、出産直後の検診で当たり前のごとく母乳に影響のないピルというものを無料で処方され、何の支障もなく服用している。日本でも医師の処方で入手可能とはいうものの、「何となく危ないもの」「自分とは関係のないもの」という意識の女性が多いのではないだろうか。

 BBCで最近報道されたニュースにこの日本のピル行政に関する話題があった。「日本の女性にピルはおあずけ」といったタイトルで、「国連参加国で唯一、ピルが避妊法として利用できない日本で、ピル販売の法制化がまたしても先送りされた」と伝えられている。

 なぜ日本でピルが承認されないのか? 日本での報道が「避妊をピルに頼るとエイズの危険性が高まる」「ピルの副作用への憂慮」といった「女性の健康を守るために長期間論議してきた」という形であるのに対して、徹底的に冷めた視点のイギリスでの報道には改めて考えさせられるものがある。BBCのニュースには、日本ではおそらく話題になりにくいであろう観点のコメントが二つあった。

 まずは「バイアグラの販売承認にはたった6ケ月しかかからなかったのに、ピルに関しては30年以上かけてまだ承認されない」という「政府の男女差別的政策」という視点。

 そしてもう一つ、議論を呼びそうなのは「医師の中絶ビジネスの利益を守るために、ロビイストがピル=非常に有効な避妊方法の承認を妨げている」という推測だ。

 先進国でありながら女性の地位が低い国というこの日本の印象が名実ともになくなるように、ピルの承認への道のりを見守りたい。

 ミヤコ・オロウfrom London

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