TOPIC No.5-13d 2001-2002年度 医療ミス

腹部に手術器材36年?も放置、神戸大病院ミス

2002年12月28日 Yomiri On-Line
 神戸大医学部付属病院(横山光宏病院長)は27日、近畿地方の50歳代の女性の腹部に、手術器材のドレーン(シリコン製チューブ)を取り残していたと発表した。病院側は、今月上旬、摘出して謝罪した。

 女性は、今年11月、同病院でコンピューター断層撮影法検査を受け、右下腹部の異物を確認、摘出したところ、直径1センチ、長さ約10センチのドレーンだった。

 女性は、同病院で1966年ごろに虫垂炎、75年ごろに尿管狭窄(きょうさく)症の手術を受けていた。当時のカルテは残っていないが、同病院は虫垂炎手術の際のミスではないかと見ていて、女性の体内に36年ほど残っていた可能性がある。

 ドレーンが体内に残ると、激しい腹痛が起きる場合もあるが、女性は、違和感こそあったものの、はっきりした症状はなかったという。病院では現在、ドレーンなど器材の数量をカルテに記載、手術前後に数を確認し、事故防止に努めているとしている。

 横山病院長は、この日の会見で「長年にわたり、患者やご家族に与えた迷惑やご心痛に対し、深くおわび申し上げる」と陳謝した。

術後にチューブ抜き忘れ、検査でも見落とす…広島大

2002年12月21日 Yomiri On-Line
 広島市の広島大医学部付属病院(弓削孟文院長)が1999年2月、結腸手術をした60歳代の男性患者の下腹部に取り付けた「ドレーン」と呼ばれるシリコン製チューブ(直径1・2センチ、長さ23センチ)を抜き忘れたうえ、カルテに「抜いた」と記し、その後の検査画像でも見落とすトリプルミスをしていたことが、27日わかった。今年11月下旬のCT検査で担当医が体内に潜ったチューブに気付き、病院側は男性と家族に謝罪。12月上旬に摘出手術をし、男性は既に退院したという。

 病院側の説明によると、ドレーンは術後の体内の出血を抜くために、外へ数センチ出た状態で下腹部に取り付け、1週間以内に外す予定だった。しかし、ドレーンの固定が不十分で、5日目の診察までに体内に入り込んでしまい、外科医は確かめずに「すでに抜き出した」とカルテに記入。男性はドレーンを抜かないまま2週間後に退院した。

 男性は2000年と2001年にも同病院で定期のCT検査を受け、画像には写っていたのに、外科医が見逃していた。

 ドレーンは体内に放置しておくと腹膜を痛めるなどの恐れがあるという。

 記者会見した弓削院長は「患者や家族に苦痛を与え、深くおわびする。今後はカルテの記載や医療チーム内での確認を徹底する」と話した。

「目に注射針」事故、業務上過失致傷で捜査開始

2002年12月21日 Yomiri On-Line
 愛知県常滑市の同市民病院(外畑巌院長)で一昨年8月、女性看護師(28)の落とした注射器の針が男児(9)の右目に刺さり、大けがを負わせた事故で、常滑署は20日、業務上過失致傷の疑いで捜査を始めた。

医療ミス:民事裁判で認定の医師も処分へ 厚労省方針

2002年12月13日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 厚生労働省は医師免許の取り消しなど行政処分の要件に、医療事故紛争の大半を占める民事裁判で、過失やカルテ改ざんが認定されたケースを加えることを決め、13日の医道審議会に諮る。都道府県で患者側からの処分の申し立てを受け付ける方式を採用する。審議会は刑事罰を受けた医師だけを処分していたが、医療事故が多発し、刑事事件にならなくてもミスを繰り返す「リピーター」医師などの問題が深刻化する中で、国が医療行為の制限対象を大幅に広げる政策転換に踏み切る。 

 医道審議会は、刑事事件で罰金刑以上の刑が確定したり、診療報酬の不正請求があった医師について年に2回、免許取り消しや医業停止の行政処分を厚労相に答申し、これを受けて厚労相が処分する。処分内容の公表を始めた71年から今年6月までの間、免許を取り消されたのは60人。医療ミスによる取り消しは一例もない。

 不必要な手術を繰り返した旧富士見産婦人科病院事件では元院長が無資格診療をさせたとして有罪判決を受け、99年には民事裁判の判決で「犯罪的な乱診乱療」と認定された。審議会は無資格診療させたとの理由で元院長を医業停止6カ月の処分にし、不必要な手術では処分しなかった。

 しかしその後、日本医師会の会員で、患者側から100万円を超える損害賠償を請求された医療事故を2回以上起こした医師が、95年までの20年余の間で511人に上ることが判明。死亡事故を含む7件の事故を重ねた横浜市の産婦人科医などリピーターでも医療行為が制限されない問題や、ミス隠しのカルテ改ざんへの批判が高まり、対策が求められていた。

 厚労省は審議会に対し、処分対象とする過失の程度をどこで線引きするかや、判決以外の和解・示談にどう対応するのかを来年夏までに決めるよう求める。そのうえで、都道府県や厚労省の出先機関・地方厚生局で、患者側から医師の処分の申し立てや裁判資料の提出を受ける。 【医療問題取材班】

 厚生労働省が医療事故をめぐる民事裁判でミスが認定された場合も、処分要件とする方針を決めたのは、これまでの医療安全対策とは大きく異なり、「聖域」とされてきた医師の資格に初めて踏み込む画期的な判断と言える。

 最近、東京女子医大病院事件のように医療ミスを刑事事件として立件するケースが増えている。医療分野については医師の裁量の大きさから、刑事責任の追及を控える傾向があったが、国民の医療不信が捜査当局を動かす結果になった。

 しかし、人員の限られた警察・検察がすべての事案の捜査はできない。ミスを繰り返す「リピーター」医師でも保険で賠償すれば医療行為を全く制限されない状態が放置されてきた。法務省刑事局幹部は「われわれが事件にしたものしか処分しない厚労省は、医師免許を与える官庁として責任を放棄してきた」と批判する。

 健康な子宮などを摘出された旧富士見産婦人科病院事件の小西熱子・被害者同盟代表は「ひどい医者は民事、刑事にかかわらず処分すべきだ」と20年以上、訴え続けてきた。篠崎英夫・厚労省医政局長は「今や民事を対象にしない時代ではない」と語るが、小西代表は「医療被害に歯止めをかけてこなかった過去の国の責任は重い」と指摘する。

 現行ではミスを起こして刑事罰を受けた医師への処分は医業停止1〜6カ月程度と軽く、ミスを再び起こさないための研修制度もない。米国の多くの州では、徹底した研修を積まなければ医師免許をはく奪される。

 日本でも免許の更新制度の導入を含め、問題医師の淘汰を進めることが医療への信頼を取り戻すうえで欠かせない。 【医療問題取材班】

東京医科大で輸血事故 O型患者にB型血液

2002年12月13日 The Sankei Shimbun
 東京医科大八王子医療センター(東京都八王子市)は13日、血液型がO型の男性患者(68)=同市=に、30代の主治医が誤ってB型の血液を輸血する事故があったことを明らかにした。血液バッグの複数による確認を怠ったことなどが原因とみられている。

 男性は赤血球が壊れる溶血がみられたが、溶血の症状は回復しているという。

 記者会見した工藤龍彦センター長らによると、誤った血液が輸血され始めたのは、2日午後2時45分ごろ。主治医はO型の男性患者と、別のB型の患者の輸血を予定していた。ナースセンターから血液バッグを持ち出す際には、複数人で確認すべきところ、主治医は1人で別の患者に輸血するB型のバッグを持ち出し、思い込みからO型の患者に輸血した。

 マニュアルでは輸血時には、患者のリストバンドで血液型を確認することになっているが、この確認も怠ったという。男性は肺炎の兆候がみられ、呼吸機能が悪化しているが、病院側は本来の病気によるものだと説明している。

 2日午後、看護士が誤りに気付き、改善療法を開始。事故発覚から25分後に家族に連絡し、その後集中治療室(ICU)で治療を行った。センターは4日、八王子保健所に事故を報告し、9日には東京都健康局と同保健所の立ち入り指導を受けたという。

 工藤センター長は「患者やご家族に申し訳ない。主治医の処分を検討しており、今後は再発防止に努めたい」と話している。

医療ミス:福島の病院に賠償命じる判決 診療記録改ざん指摘

2002年12月12日 Mainichi INTERACTIVE
 
 出産時の敗血症で脳障害が残った仙台市太白区の女児(3)と両親が、福島県原町市の産婦人科医院長に約1億1064万円の損害賠償を求めた訴訟で、仙台地裁(市川正巳裁判長)は12日、医院側の診療記録改ざんを指摘し、院長に約9272万円の支払いを命じる判決を言い渡した。

 判決によると母親は99年7月に同医院で女児を出産。2日後に転院したが、細菌感染による敗血症で、女児に脳機能障害などの後遺症が残った。市川裁判長は「処置簿の抗生剤の投与時間などが、提訴後に看護師によって書き加えられた」と診療記録の改ざんを指摘し、女児側が主張した診断と転院措置の遅れをともに認めた。

 判決後、母親は「当然のことが認められてほっとしている」と話し、医院側は「院として改ざんはしていない。今後は弁護士と相談して決める」と話した。 【石川貴教】

東京女子医大:人工心肺装置の調査要望 遺族ら

2002年12月12日 Mainichi INTERACTIVE
 
 東京女子医大病院で心臓手術を受けた後、死亡や重度障害を負った4人の子供の親が12日、同病院で使われた人工心肺装置の導入過程などについて調査を求める要望書を厚生労働省と東京都に出した。この人工心肺装置をめぐっては、危険回避策が医師らに伝えられていなかったことなどが分かっているが、親たちは「装置自体に重大な欠陥があり、他に被害者が出ている可能性がある」と訴えている。

 要望書を提出したのは、昨年3月、同病院で心臓手術を受けて死亡した群馬県高崎市の平柳明香さん(当時12歳)の両親ら。要望書提出後、厚労省で会見した首都圏の会社員の女児は99年、左右の心室を隔てる壁の穴をふさぐ手術を受けた。「手術時間は短く、安全性は高い」と説明を受けたが、重い脳障害を負い寝たきりの状態になった。医師は「原因は不明」としか説明しなかったという。当時、心臓手術の後に重症となりICU(集中治療室)を出られない子供が他にも2人いたという。

 平柳明香さんの手術では、圧力差を作り出して血液を循環させる方式の人工心肺装置が使用された。会社員は「自分たちのケースでもこの方式が使われた可能性が高い。命に直結する装置だけに、導入過程をよく調べてほしい」と話した。 【医療問題取材班】

東京女子医また医療事故

2002年12月09日 The Sankei Shimbun
 東京女子医大病院(東京都新宿区)で今月6日、急性リンパ性白血病(フィラデルフィア染色体陽性)治療のため入院していた女性(42)が、栄養注入用の管を静脈に挿入する際のミスで、胸の中に血液がたまる血胸を起こして死亡していたことが9日分かった。

 同病院は事故当日、警察に異状死の届けを出し、警視庁は業務上過失致死の疑いもあるとして遺体を司法解剖して捜査している。

 同病院や警視庁牛込署によると、この女性は急性リンパ性白血病で骨髄移植を受けたあと再発した患者。栄養を体内に直接入れるためのカテーテルを鎖骨下の静脈に挿入しようとしたが失敗。血胸のため意識不明となり、自発呼吸と心拍が停止した。蘇生(そせい)術で一時心拍は戻ったが、結局死亡したという。

 同病院は群馬県高崎市の平柳明香さん=当時(12)=が死亡した心臓手術ミス事件で、手術の担当医らが業務上過失致死や証拠隠滅罪に問われたばかり。「亡くなった患者のめい福をお祈りする。今後も大学病院としての使命を自覚し、適切な情報開示をしたい」との病院長談話を出した。

腹腔鏡使う手術で過誤死?阪大病院を訴え

2002年12月02日 Yomiuri On-Line
 大阪大病院(大阪府吹田市)で内視鏡の一種の腹腔(ふっくう)鏡を使った腹部大動脈瘤(りゅう)手術を受けた後に死亡した同府八尾市の男性(当時72歳)の遺族が、「実績のない手術なのに危険性の説明がなかった」などとして国を相手に約5000万円の損害賠償を求める訴訟を2日、大阪地裁に起こした。

 訴えによると、男性は2000年6月、腹部大動脈瘤と診断され、同9月に入院。主治医から「簡単な手術だ」と言われて腹腔鏡による手術に同意、患部を人工血管に交換する手術を受けた。ところが手術中、足に血栓ができ、血流が止まった結果、壊れた組織から毒素が出て多臓器不全を起こし、4日後に死亡した。

 腹部動脈瘤の手術は開腹が一般的とされ、腹腔鏡の使用はほとんど例がないという。

 遺族側は「カルテには、回復が早いなど腹腔鏡を使用する理由や、一般的な手術ではないことを説明したような記載があるが、事実ではない。インフォームドコンセントが尽くされず、自己決定権を侵害された」と主張している。

 上村茂敏・大阪大病院総務課長の話「訴状を見ていないので、コメントできない」

医師が疾患見逃し重度後遺症、1億4千万円賠償命令

2002年11月21日 Yomiuri On-Line
 医師が合併症の原因となる感染性心内膜炎を見逃したため、くも膜下出血となり、重度の後遺症が残ったなどとして、東京都目黒区の男性(27)と家族が東京共済病院(目黒区)の医師3人と病院を運営する国家公務員共済組合連合会を相手取り、総額約1億8000万円の損害賠償を求めた医療訴訟の判決が21日、東京地裁であった。

 福田剛久裁判長は「感染性心内膜炎は医師国家試験にも出題される疾患であり、医師側には診断や治療を怠った過失がある」と述べ、担当医師2人と同連合会に約1億4000万円の支払いを命じた。検査担当の医師1人については、過失を認めなかった。

「主治医、誤って心臓に針」防衛医大医療事故で鑑定

2002年11月15日 Yomiuri On-Line
 埼玉県所沢市の防衛医大病院で昨年10月、心臓付近にたまった水を針で抜く治療を受けていた男性が急死した医療事故で、県警の依頼を受けた鑑定医は、主治医が誤って針を心臓に刺したことが死因とする鑑定書を出したことが15日、わかった。県警捜査1課と所沢署は業務上過失致死容疑で捜査する。

 調べによると、死亡した同県川島町の男性(当時48歳)は、同病院で昨年10月23日午前10時30分ごろから、体外から心のう(心臓を包む薄い膜)に細い針を刺し、心臓と心のうの間にたまった水を抜く治療を受けた。治療開始から約30分後、男性は、気分が悪いと訴え、直後に手足がけいれんするなどして、午後2時30分ごろ死亡した。鑑定書は、男性がけいれんしたことによって心臓に針が刺さったのではなく、主治医が誤って心臓に針を刺したために出血し、死亡したとしている。

 男性は昨年2月、慢性骨髄性白血病で入院し、骨髄移植を受けて6月に退院した。その後、心臓付近に水がたまり、10月に再入院していた。男性の死亡診断書の「死因の種類」の項には、「病死及び自然死」に丸印がつけられていた。男性の妻(47)は「事故原因について病院側の説明はほとんどない」と話している。一方、同病院は「コメントできない」としている。

患者ら1万人検査ミス 医療検査業界大手

2002年11月07日 The Sankei Shimbun
 医療検査業界大手のエスアールエル(東京都立川市)が、業務委託を受けている東京都江戸川区の東京臨海病院で、検査機器の設定ミスから患者ら約1万人分の検査データを誤って測定していたことが7日分かった。ミスは半年に及び、一部の人は正常値なのに「異常」と判定されていた。

 同社はミスを認め、誤ったデータを伝えた患者ら全員に、病院と連名で謝罪文を郵送することを決定。東京都医療安全課も、同社が委託を受けているほかの病院で同じようなミスがないか調査に乗り出した。

 設定ミスがあったのは、同病院の検体検査室にある血液検査機器。同病院はことし4月の開院と同時に、検査室の運営も含めた「ブランチラボ」と呼ばれる形態で、検査業務を全面的に同社に委託した。

 同社の説明では、その際同社が機器の検査精度を設定したが、テスト段階で使った試薬を冷蔵庫で保存した後、再度使用したため試薬が劣化。機械の設定との間にずれが生じたという。

 このためGOTなど主に肝機能に関する7つの検査項目で、正常な検査値より8%から38%も高い数値が出る状態になった。

 ミスは同社が6月分の定期検査を分析して9月に発覚。ミスの対象者は入通院患者約7900人と、同病院の健康医学センターで健康診断などを受けた約2400人の計約1万300人に上ることが分かった。うち約100人は本来「正常」と伝えるべき検査結果を「異常」と判断されたという。

 同病院は「より厳しい検査結果を出したということなので、その後の診療に深刻な影響を与えたケースは少ないと思う。しかし二次検査やほかの病院での診察を受けるなどの迷惑を掛けた可能性があり、病院として責任を感じる。院内に相談室を設けて対応する」としている。

阪大病院の女性患者が医療ミスで植物状態に、国を提訴

2002年10月05日 Yomiuri On-Line
 大阪大病院救急救命センター(大阪府吹田市)に入院した大阪市住之江区の元会社員高木かほるさん(47)が、心臓カテーテルの先端部が心筋に突き刺さり大量に出血、一時心停止に陥った後、植物状態になったとして、設置者の国を相手取り約1億4000万円の損害賠償を求める訴訟を、4日までに大阪地裁に起こした。高木さんは今も意識がなく、姉の山中ひとみさん(51)が代理で提訴した。

 訴状などによると、高木さんは2000年1月25日、大阪市内の病院で劇症肝炎と診断され、同センターに転院。血漿(けっしょう)交換のため同31日夜、カテーテルを挿入されたが、2月1日未明に容体が急変。主治医は「10分間の心停止後に蘇生(そせい)したが、心臓からの出血が止まらない」と家族に説明、緊急手術を行った。

 手術後、主治医は「カテーテルの先端部が心筋に刺さって穴が開き、出血で心臓が圧迫され、心停止した。人為的な事故だ」といったんミスを認めたという。

 松田暉・阪大病院院長の話「訴状を見ていないのでコメントできない」

医療過誤だけ警察へ報告 外科学会が指針

2002年09月24日 The Sankei Shimbun
 日本外科学会(会員約4万人、会長・加藤紘之北海道大教授)は、医療事故で患者が死亡したり重大な傷害を受けた場合の、警察への報告に関する指針をまとめ24日公表した。外科関連9学会の賛同を既に得ており、学会誌を通じ会員に通知した。

 「警察への速やかな報告」が必要とされるのは、医療過誤が明らかまたは強く疑われる死亡例と、明らかな医療過誤によって患者が治療不能な傷害を受けた場合に限定。医療過誤の有無については、個々の医療機関の安全管理委員会などの判断に委ねるとしている。

 現行の医師法は、患者が「異状死」した場合に医師の警察への届け出を義務付けているが、医療事故死が異状死に当たるかどうかの明文規定はない。

 しかし日本法医学会は1994年「診療行為に関連した予期しない死亡、およびその疑いがあるもの」を異状死に含め、医療側の過誤や過失の有無を問わず、警察に届け出るべきだとする指針を作成。99年以降、医療過誤事件が相次いだこともあり、警察への届け出は増加している。

 外科学会の指針は、診療行為に関連した患者死亡の届け出を「医師法の規定で解決するのは無理がある」とし、倫理的な基準により、医療過誤が明らかな場合には死亡、重大な傷害とも警察に報告する−との見解を示した。

 報告する医療事故は1初歩的なミスがある2因果関係が明確3死亡を含む重大な傷害が発生している−のすべてを満たした場合で、かなり限定される。

 同学会は昨年、医師法が規定する「異状死」には、手術で予期される合併症は含まれないとの声明を発表するとともに、医療事故の調査を行う第三者機関の設置が必要だと提言した。

<医療事故>民事判決根拠に医師処分も 厚労省

2002年09月17日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE -A HREF="http://www.med-apple.com/news/">Medical News Clip-
 厚労相の諮問機関「医道審議会」は17日、医療事故の民事訴訟で医師の過失が認定された場合でも、行政処分の対象にする方向で検討を始めた。刑事罰には問われなくても医療ミスを繰り返す「リピーター」医師の問題が深刻化する中で、国がようやく対策に乗り出した。

 医師らの処分は医道審が検討し、厚労相に答申するが、処分対象は罰金以上の刑事罰が確定するか、診療報酬の不正請求が判明した場合に限られている。民事訴訟で院長らの診療行為が「犯罪的な乱診乱療」と認定された富士見産婦人科病院事件(埼玉県)について、医道審は処分を検討したが「民事判決を処分の根拠にできない」と00年に見送っていた。

 この日の医道審では、医療事故の多発を受けて、民事訴訟で敗訴した医師を処分対象にすべきとの意見が出された。民事訴訟は和解をすれば、把握するのが困難なうえ、事実認定が厳格な刑事裁判に比べて証明の度合いが低いなどとする指摘もあった。しかし、医道審は「重要なテーマで、何もしないわけにはいかない」と、検討を続ける姿勢を示した。

 また、厚労省はこれまで免許取り消しや業務停止について刑事罰の軽重で判断していたが、悪質な医療ミスや、医師の立場や専門知識を悪用した犯罪には、刑事罰の軽重に関係なく重い処分にできるよう基準を年内にまとめる。

診断ミスで女性が死亡 北海道

2002年09月04日 The Sankei Shimbun
 北海道別海町の町立別海病院に腸閉塞(へいそく)のため入院した女性患者(25)が、転院先の病院で死亡したことが分かり、別海病院は4日、記者会見し「診断上の判断ミスがあった」として、女性の遺族と補償協議を進める方針を明らかにした。

 別海病院によると、女性は5月27日に入院。症状はいったん回復したが、6月6日、腸に開いたせん孔から腸液などが漏れたための腹膜炎が原因とみられるショック症状で、釧路市内の病院に転院した。

 女性の症状は再び回復したが、8月中旬に意識を失い、9月2日に肺炎で死亡したという。

 女性の担当医だった別海病院の今村洋院長は「腸のせん孔は、腸閉塞の症状が回復したとの判断で夕食を取らせたのが原因と思う。腸を切除せず、患者の体力を弱らせたことに道義的責任を感じている」と話している。

患者の口に紙など詰め窒息死させる、院長を在宅起訴

2002年09月03日 Yomiuri On-Line
 東京都内の精神科クリニックの院長が昨年1月、女性患者(当時31歳)を千葉県東金市の病院に搬送する際、口にティッシュペーパーを詰めるなどして窒息死させ、千葉地検から業務上過失致死罪で在宅起訴されていたことが3日、分かった。

 起訴されたのは、東京都杉並区井草の「宝喜(ほうき)クリニック」院長宝喜正身被告(41)(練馬区石神井町)。

 起訴状などによると、宝喜被告は昨年1月13日朝、患者が舌をかむのを防ぐため、口にティッシュペーパーやタオル片を詰めて粘着テープでふさぎ、両手足をひもなどで縛って職員2人に車で搬送させた。この結果、患者は窒息死した。

 搬送先の病院の通報で東金署が捜査し、同年2月に業務上過失致死容疑で書類送検。同地検は「医師が同行して事故発生を防ぐ注意義務を怠った」として、宝喜被告の過失を認定した。

 同クリニックは「患者のプライバシーがあるため、一切コメントできない」としている。

誤診で乳房切除 広島大付属病院

2002/09/03 中国新聞
 広島市南区の広島大医学部付属病院(弓削孟文病院長)で今春、乳腺内にできた良性の腫瘍(しゅよう)を乳がんと誤診し、女性の片方の乳房を全切除するミスがあったことが二日、分かった。病院は女性や家族に謝罪し、院内に調査委員会を設けて事故原因や再発防止策を検討している。

 女性は、同病院のCT検査で腫瘍が見つかった。細胞の診断で悪性の可能性が大きいとされ、外科の担当医が腫瘍の摘出手術をした。手術の途中で、切り取った組織の一部を病理医に送って検査したところ、乳がんと診断された。このため、担当医は、手術前の女性の同意をもとに、そのまま乳房全体を切り取り、リンパ節も切除した。

 ところが、手術から一週間余りたって、摘出した乳房を詳しく調べると、腫瘍が良性で、乳房全体を切除する必要がなかったことが判明。担当医と病院長らが女性と家族に誤診を伝え、謝罪した。

 病院側は、文部科学省に事故を報告したものの、警察への届け出や公表はしておらず、「ミスがあったのは事実だが、患者の意向で詳しい事情は話せない」としている。

医療過誤:点滴ミスで患者2人死亡の可能性 前橋赤十字病院

2002年08月21日 Mainichi INTERACTIVE
 前橋市朝日町の前橋赤十字病院(宮崎瑞穂院長)で7月、点滴ミスが2件あり、ともに入院患者が死亡していたことが21日分かった。病院側はミスの事実を認め「ミスで死亡した可能性がある」と既に遺族側に謝罪した。前橋東署は業務上過失致死の疑いもあるとみて調べている。

 死亡したのはともに前橋市内の男性(79)と女性(81)。病院側によると、男性は7月5日、肺炎の疑いで入院し、9日午前2時半ごろ、看護師が点滴針を右腕から左腕につなぎ替えた際、点滴の血管拡張剤と輸液の量を取り違え、規定の約7倍の血管拡張剤を約2時間注入した。看護師がミスに気付いた時にはこん睡に近い状態で、一時回復したが、同日午後7時過ぎに死亡した。

 一方、7月25日午後7時半ごろ、強心剤など3種類を混ぜた点滴針を女性が抜いていたのを看護師が発見。ポンプを止めて針を刺し直した際、強心剤の量を間違え規定の約160倍に設定した。2分後、ミスに気付いたが、間もなく死亡した。

 宮崎院長は「非常に申し訳なく、再発防止に努めたい」としている。 【吉田勝】

大動脈傷つけ死亡 名古屋大病院で手術ミス

2002/08/20 中国新聞
 名古屋大病院は二十日、三十代男性患者の手術中に誤って腹部大動脈を傷つけ、大量出血させる事故が今月十六日に起き、二日後に男性が死亡していたことを明らかにした。病院側の通報に基づいて愛知県警昭和署は業務上過失致死の疑いで捜査を始めた。

 病院によると、男性はかいよう性大腸炎の治療のため、大腸を摘出する手術を受けていた。手術器具を体内に到達させるためのトロッカーと呼ばれる筒状の装置を挿入する際、誤ってトロッカーの先端で腹部大動脈を傷付けたという。男性は多臓器不全で死亡した。

 病院側は責任を認め、男性の家族に謝罪するとともに、事故調査委員会を発足させ、詳しい原因を調べている。

医療過誤:筋肉の盛り上がりを子宮筋腫と誤診 熊本大病院

2002年08月16日 Mainichi INTERACTIVE
 熊本大病院(生塩之敬院長)は16日、熊本県内の未婚女性(21)の子宮けい部の筋肉の盛り上がりを子宮筋腫と誤診、子宮全体を摘出したことを明らかにした。同院は調査委員会を設けてさらに調べている。

 会見した安全管理部長の三池輝久副院長と執刀医の田中信幸・産婦人科副科長(46)によると、女性は民間の病院で子宮けい部の粘膜下筋腫と診断され、7月24日に同病院の産婦人科を受診。超音波検査の結果、筋腫と診断された。

 女性は8月2日、開腹しない約束で患部の摘出手術を受けた。田中医師が筋腫とみられた部位を切除、その後の触診で、さらに筋腫ようのものが認められるとして、切除を進めた結果、子宮全体を摘出したという。女性は出血が止まらず、家族の承諾を得て、開腹による止血手術を受けた。

 田中医師は「筋腫ではないのに、これほどの増生(組織の盛り上がり)は見たことがなかった」と説明している。 【米岡紘子】

血管に空気注入、女性死亡 仙台市立病院

2002年08月08日 The Sankei Shimbun
 仙台市立病院で今年3月、急性心筋梗塞(こうそく)で搬送された同市若林区の50代の女性が、カテーテルから血管に誤って空気を送り込まれ、死亡していたことが8日、分かった。

 病院側は「血管に入った空気が脳に達し、脳梗塞を起こした可能性が高い」とミスを認め、遺族に6300万円の損害賠償を支払うことで和解したという。

 病院側は、処置をした男性医師の処分を検討している。

 記者会見した中川洋院長によると、女性は今年3月23日午後11時ごろ、胸の痛みを訴え救急車で同病院に運ばれ、急性心筋梗塞と診断された。

 循環器科の40代の男性医師はバルーン(医療用の細い風船)を血管に入れたが、血液循環を補助するために挿入したカテーテルに誤ってバルーンを膨らませるための空気を注入した。直後に女性は意識不明になり、24日午前9時ごろ死亡した。

 中川院長は「単純ミスで責任を感じている」と謝罪した。

女子医大が心臓移植を自粛

2002年08月08日 The Sankei Shimbun
 心臓手術に絡む医療ミスで、医師2人が業務上過失致死罪などで起訴された東京女子医大病院は8日までに、移植関係学会合同委員会(世話人、森亘・元東大学長)に心臓移植自粛を申し出、合同委は同日、これを承認した。

 合同委は今後、日本循環器学会など6学会でつくる審議会が、心臓移植の施設拡大の候補として推薦していた5施設のうち、関東地方にある埼玉医大、東京大のいずれかを代替施設として緊急に承認する方針。

 日本有数の医療施設を揺るがした刑事事件は、移植を待つ患者にも影響を及ぼす事態となった。

 女子医大側は今後、新規患者は受け入れず、代替施設が決まるまでの間に、15人の待機患者に臓器提供者が現れた場合は、他施設で移植を行うか、他施設の医師で編成する医療チームの参加を仰ぐとしている。

 森世話人らによると、女子医大は医師2人の逮捕後、心臓移植自粛の方針を表明していたが、今月2日、合同委に文書で「当分の間、移植を自粛したい」と申し出たという。

 合同委はこの日、新たな心臓移植施設として推薦された5大学について議論したが、代替施設1カ所を緊急に追加することで一致。現地調査などで絞り込むこととした。残り4施設についても、11月ごろをめどに追加の是非を判断する。

 東京女子医大は大阪大、国立循環器病センターとともに、初の心肺同時移植の候補施設にも推薦されていたが、合同委は適当でないと判断、選定を見送った。残る2施設は認められた。

 森世話人は「代替施設は早急に決めたい。待機患者の中には、どうしても女子医大で移植を受けたいという人などさまざまなケースがあると思うが、大学には患者本位の対応をお願いしたい」と話している。

 臓器移植法に基づく心臓移植はこれまで13件実施され、東京女子医大はこのうち、昨年7月に1件を実施している。

点滴ミス死亡:主治医ら3人を書類送検 滋賀県警

2002年08月01日 Mainichi INTERACTIVE
 滋賀県長浜市の長浜赤十字病院(原慶文院長)で今年6月、入院中の無職男性(当時69歳)=同市三ツ矢町=が点滴ミスで死亡した事故で、県警捜査1課などは1日、実際に点滴をした新人の女性看護師(21)と、点滴を指示した男性の主治医(33)、先輩の女性看護師(23)の計3人を、業務上過失致死容疑で大津地検に書類送検した。

 調べでは、新人看護師は6月1日午前11時40分ごろ、点滴で体に入れるべき栄養剤の一種「塩化カリウム」約9ミリリットルを誤って点滴の管の途中から注入し、翌日、急性心不全で死亡させた疑い。内科医が点滴を先輩看護師に指示したが、先輩看護師が多忙だったことなどから新人看護師に代行を依頼。新人看護師は今年4月採用で、指示をよく理解できず、誤って投与したという。

 県警は「点滴などは医師の直接の指示を受けた者が実施する」とした同病院の内規に違反しているうえ、主治医には看護師らの監督責任があるとして、主治医と先輩看護師も同容疑で送検した。

 調べに対し3人は過失を認めているが、主治医は「医師の絶対数が少ないく、すべてはできない」などと供述しているという。 【平野光芳】

医療事故:造影剤で死亡 解剖の3年後に院長書類送検 佐賀

2002年07月28日 Mainichi INTERACTIVE
 98年11月、佐賀県の男性(当時69歳)が被爆者手帳更新のための健康診断を受けた同県の民間病院で、胸のコンピューター断層撮影(CT)のため造影剤を投与され、副作用でショック死していたことがわかった。家族の申し出で佐賀県警が男性を解剖したが、院長を書類送検したのは3年以上たってからだった。

 男性は長崎原爆の被爆者で98年11月21日、被爆者手帳更新に必要な健康診断を受けるため、以前通院していた同県塩田町の病院を訪れた。気管支ぜん息の持病があり、病院は呼吸機能障害などの診断書を作成するため造影剤「イオメロン」を投与。男性はその直後、呼吸困難となり死亡した。

 男性の妻(70)によると、死亡診断書には当初「自然死」とあり、疑問に思って佐賀県警鹿島署に相談。司法解剖を依頼した。病院側からはその後、「不詳の死」という死亡診断書が出たという。解剖の結果、「薬剤による急性循環不全」と判明。造影剤によるショック死とわかった。

 この造影剤のメーカーの添付書は、副作用の危険があるため気管支ぜん息の患者には原則投与しないよう注意している。呼吸器系の疾患に詳しい医師らによると、投与された場合はけいれんや発しんなどの副作用を起こす危険があるという。

 病院からカルテなどの証拠物の提出を受けた鹿島署は昨年8月、妻に「(送検の)書類はできたが、まだ(佐賀地検に)出していない」と知らせた。その後は何も連絡がなく、妻は今年3月、佐賀地検からの呼び出しで、死亡から3年以上もたった昨年11月30日に院長が業務上過失致死容疑で書類送検されていたことを知った。

 夫の死亡した状況が知りたいとして妻は再三、同署に解剖の内容やレントゲン写真などを見せてほしいと頼んだが「捜査中」として内容は知らされなかった。送検された現在も開示されないままだという。情報を少しでも知りたいと、妻は昨年5月、病院を相手どって約3600万円の損害賠償を求める民事訴訟を佐賀地裁に起こした。

 鹿島署は「3年というのは長すぎて批判されても仕方がない。しかし放っておいたわけでなく、捜査は適正に続けてきた」と説明する。また、病院側は「死亡診断書は薬剤による死として一度しか作っていない。男性は肺に異常があるなどいろいろな病状があったため造影剤を入れて検査しようとした。医療ミスや過失が問われるケースではない」としている。 【反田昌平】

医療事故情報、収集システムの構築検討

2002年07月28日 Yomiuri On-Line
 重大な医療事故が後を絶たないことから、厚生労働省は、医療関係者や弁護士、市民団体代表などからなる「医療に係る事故事例情報の取り扱いに関する検討部会」を設置し、医療機関からの事故情報の収集システムの構築を目指す。医療事故に関しては、自治体や国に対する報告制度はなく、国内で年間どのくらい発生しているかも把握できていないのが現状。検討部会は29日に初会合を開き、報告書を年度内にまとめる。

 検討部会では〈1〉国内でどのくらいの医療事故が起きているかの実態把握〈2〉事故予防への活用〈3〉個別の事故原因究明と、家族らへの情報開示〈4〉重大事故を起こした医療機関、医師に対する処分――の4つの観点から、どのような事故情報の収集の仕組みが必要で、可能かを検討する。あわせて、集めた事故情報を分析したり、個別の事故原因究明にあたるための第三者機関の必要性も論じる。

 現在、医療事故の発生については、国立大学病院が文部科学省に、国立病院・療養所が厚労省への報告を義務づけられているのを除いては、国に対する報告制度はない。

 今年4月に「医療安全推進総合対策」をまとめた同省の「医療安全対策検討会議」でも、医療事故の報告について「法的に義務づけるべきだ」とする意見があった一方で、「(医療機関や医師側に)法的責任の面で不利益を生じさせ、かえって事故の隠ぺいにつながりかねない」などの意見が出て、検討を継続することになっていた。

劇薬が気管に入り死亡 東海大病院で医療ミス

2002年07月27日 The Sankei Shimbun
 神奈川県伊勢原市の東海大医学部付属病院(幕内博康病院長)で5月中旬、交通事故で入院した男性患者(19)を治療中に劇薬の硝酸銀が気管内に入り、約2週間後に死亡していたことが26日、分かった。

 同病院は医療ミスと認め、男性の遺族に謝罪した。病院側から届け出を受けた伊勢原署は司法解剖して詳しい死因を調べるとともに、業務上過失致死の疑いもあるとみて医師らから事情を聴いている。

病院側によると、男性は神奈川県内に住んでいたが3月中旬、路上を歩いていて車にはねられ、重傷を負って入院した。

 気管内がはれ、炎症を起こしていたため、5月中旬、医師が硝酸銀を棒状に固めた市販薬を炎症部分に当てて消毒、殺菌しようとした際、先端が折れて気管内に入り、取り出せなくなった。

 このため気管内を洗浄し集中治療室(ICU)で治療したが、約2週間後に死亡した。

 硝酸銀は、銀メッキの原料などに使われる劇薬。消毒、殺菌作用があり、のど、尿道などの細菌性疾患の治療に使われるという。

女子医大2医師を起訴

2002年07月19日 The Sankei Shimbun
 東京女子医大病院で昨年3月、心臓手術を受けた群馬県高崎市の小学6年平柳明香さん=当時(12)=が死亡した事故で、東京地検は19日、業務上過失致死罪で人工心肺装置を担当した医師佐藤一樹容疑者(38)=千葉市=を、証拠隠滅罪で執刀医リーダーの瀬尾和宏容疑者(46)=西東京市=をそれぞれ起訴した。

 女子医大病院は昨年3月2日、明香さんの手術を実施。佐藤被告が手術部位の出血を吸引するポンプの回転数を通常の2倍以上にしたため、人工心肺装置内の圧力が高まり血液が逆流、明香さんは脳障害に陥って3日後に死亡した。

 警視庁は6月28日、人工心肺装置を漫然と操作し適切な処置を怠ったとして、佐藤被告を逮捕。瀬尾被告もこのミスを隠ぺいするため、看護師長らに指示し看護記録などを改ざんしたとして逮捕した。

 東京女子医大病院に対しては、厚生労働省の社会保障審議会医療分科会が12日、全国の病院で初めて高度な医療を提供する「特定機能病院」の承認を取り消す方針を決めている。

17倍の鎮静剤を誤投与 男性重体

2002年07月16日 The Sankei Shimbun
 佐賀県嬉野町の国立嬉野病院(進藤和彦院長)は16日、入院中の同県内の60代の男性患者に対し、誤って大量の鎮静剤を投与し、男性が意識不明の重体になったと発表した。投与されたのは医師が指定した約17倍の量で、同病院は「看護師が装置を誤操作した可能性が高い」として患者の家族に謝罪、15日に嬉野署に届けた。

 嬉野署は業務上過失傷害の疑いもあるとみて、関係者から事情を聴いている。

 病院によると、男性は低酸素脳症で12日に入院し、薬液量を調節するシリンジポンプという医療機器で鎮静剤を投与されていた。

 14日正午からは1時間当たり6ミリリットルの量だったが、担当の女性の看護師(21)が薬液を更新した同日午後7時25分から同8時に残量が少ないことを示すアラームが鳴って気付くまでの35分間、流量を示す値が同106ミリリットルになっていたという。

 男性は呼吸停止、心停止状態になり心臓マッサージなどを受けた。現在、人工呼吸器を装着し意識レベルは低下したままだという。

 シリンジポンプは、1の位、10の位、100の位のボタンをそれぞれ押して流量を設定する。流量は数字で表示される。

 看護師は病院に対し「設定ボタンに触れたか覚えていない」と話しているという。病院側は事故対策委員会を設け原因を調べている。看護師は、今年3月に学校を卒業し、4月に採用されたばかりだった。

 進藤院長は「取り返しのつかないことになり、患者、家族の方に深くおわびしたい」としている。

「質の改善」迫られる病院   急増する医療機能評価機構の審査件数

2002-07-12 Mainichi INTERACTIVE
 東京女子医大の心臓手術ミス・隠ぺい事件は、組織的な診療記録の改ざんを含め、医療機関への信頼を大きく傷つけている。医療事故などに端を発する安全性を求める声や患者側の意識の変化を反映して、「医療機関の質」への関心が急速に高まっている。口コミや評判、雑誌などの「××疾患△△病院選び」などに頼る従来型病院選択の一方で、質の向上を目指し第三者の専門家が中立的な立場で病院機能を評価し、改善点を指摘する動きが注目され始めている。(鈴木 隆)

初歩的なミスが原因と謝罪 新潟の医療事故

2002年07月09日 The Sankei Shimbun
 新潟県新津市の下越病院で女性患者(71)が死亡した医療事故で、五十嵐修院長らが9日夕記者会見し、長時間かけて投与すべき薬液を担当の准看護師(54)が数分間で投与したことによる初歩的なミスが原因だったと説明、五十嵐院長は「大きなミスを犯してしまい申し訳ない」と謝罪した。

 院長らによると、女性は4月から肝機能の低下で入院。8日午後4時15分ごろ、血液中のカリウム濃度が著しく低下していたため、医師が塩化カリウムを点滴の袋の中に追加混入するよう指示した。

 しかし、准看護師が誤って点滴の管に注入したため、短時間で体内に入り、女性の容体が悪化、約2時間後に高カリウム血症による心停止で死亡した。

 この准看護師は「なぜそうしたのか分からない。気づいた時には管に注入していた」と話しているという。

 同病院では患者に対して行う処置を声に出して説明することがマニュアルで定められているが、この准看護師は「注射しますよ」とだけ伝え、投与の方法は告げなかった。

 新津署は業務上過失致死の疑いもあるとみて捜査している。

処方薬すり替え?で子供3人入院…三重・伊勢の2薬局

2002年07月01日Yomiuri On-Line
 三重県伊勢市の薬局2店で、抗アレルギー剤として処方された薬を服用した子供3人が、けいれんや首の筋肉の硬直などを起こし、入院していたことが1日わかった。同県が残っていた薬を調べたところ、処方されたのとは別の抗精神病剤「ハロペリドール」が渡されていた。2店では、処方された同じ時期にハロペリドールが紛失しており、県警伊勢署では、薬剤が故意にすり替えられた疑いが強いとみて捜査している。

 処方したのは、同市船江に本社がある「マイニチ薬局」(神農淳一社長)の曽祢店(同市曽祢)と小木店(同市小木町萩原)。5月21日から6月26日までの間に抗アレルギー剤を40人に出した。

 このうち、曽祢店で6月11日に処方を受けた同市内の女児(2)と、同13日に処方を受けた同県小俣町の小学2年の男児(7)、小木店で同25日に処方を受けた同県玉城町の小学4年の女児(9)の3人が、薬を服用した後にけいれんなどの症状が出て入院したが、1日までに全員が退院している。

 一方、この2店では、ハロペリドールが、5月21日から6月25日の間に、計52グラムがなくなっていた。両店とも抗アレルギー剤とハロペリドールは別々に保管しており、抗アレルギー剤は顆粒(かりゅう)。それより粒の細かいハロペリドールとは「簡単に見分けられる」(県)ことから、作業ミスなどで調剤されることはないという。

 県の調べで、これとは別に両店にあった抗アレルギー剤が入れられていた瓶には、ハロペリドールが12―43%の割合で混入していることがわかった。

 小木店では今年1―2月、大量の睡眠薬が紛失する事件も起きており、同署では関連を調べている。

帝王切開麻酔で女性死亡 那覇の病院

2002年06月29日 The Sankei Shimbun
 那覇市の産婦人科医院で今年1月、帝王切開による出産で麻酔を打たれた女性が心肺停止状態になり、胎児とともに死亡していたことが29日、分かった。司法解剖の結果、死因は下半身の麻酔が上半身にまで及んだ呼吸不全と判明しており、沖縄県警が担当医師らから事情を聴いている。

 関係者によると、女性は1月10日に入院し、翌11日に帝王切開で出産するため麻酔を注射。その15分後、医師が執刀しようとしたところ、女性は「息が苦しい」と訴えた。間もなく体内の酸素濃度が下がり呼吸が停止。心臓も停止したため、医師は人工呼吸と心臓マッサージを施した。

 女性は同日中に別の病院に搬送され、意識は回復しないものの一時は自発的に心臓が動き始めた。しかし、再び心肺停止状態になり同日夕、死亡した。

 担当した医師は麻酔注射の際、針が正しい位置に届かず、何回か針を刺しなおしたが、刺した回数や麻酔の量に問題はなかったとしている。

 医師や看護婦は県警から任意で聴取を受けており、カルテなどの資料も提出している。

看護師に改ざんを強要

2002年06月29日Yomiuri On-Line
 東京女子医大病院(東京都新宿区)で昨年3月、心臓手術を受けた小学6年生の平柳明香(あきか)さん(当時12歳)が死亡した医療過誤事件で、証拠隠滅容疑で逮捕された同病院講師の医師瀬尾和宏容疑者(46)は、看護記録の改ざんに抵抗した看護師長(54)の訴えを無視して隠滅を命じていたことが、警視庁捜査一課と牛込署の調べでわかった。

 また、瀬尾容疑者が手術直後、上司にあたる主任教授(当時)に手術中のトラブルを報告していたことも関係者の証言で判明。同課は、組織的な隠ぺい工作の可能性もあるとみて特捜本部を設置した。

 調べによると、昨年3月2日の明香さんの心臓手術で、同病院助手の医師佐藤一樹容疑者(38)(業務上過失致死容疑で逮捕)が人工心肺装置の操作を誤り、血がうまく抜き取れない「脱血不良」が起きた。しかし、佐藤容疑者は必要な措置を取らず、同5日、明香さんを脳循環不全で死亡させた疑い。また、手術を統括する立場の瀬尾容疑者は同日、看護師長に対し、集中治療室での看護記録の一部を書き換えるよう指示し、証拠を隠滅した疑い。

 この際、看護師長は「そんなことしたら大変なことになります」と抵抗したが、瀬尾容疑者は「おれが言っているんだから気にするな」などと改ざんを強要、自らも書き換えに加わったという。

「特定機能病院」返上へ 女子医大

2002年06月28日 The Sankei Shimbun
 心臓病の手術ミスで少女(12)を死亡させ、医師2人が逮捕された東京女子医大病院(東京都新宿区)の林直諒院長は28日午後、同病院で記者会見し「(高度医療を行う)特定機能病院の資格を厚生労働省に返上する」と発表した。

 同病院は、移植関係学会合同委員会が指定した心臓移植を実施できる国内3施設の1つだが、林院長は私見と断った上で、心臓移植手術を当面の間、自粛する意向も明らかにした。重い心臓病で移植手術を待つ患者らに大きな影響が出そうだ。

 林院長は会見で「医療不信の声が高まる中で、このような事態を引き起こしてしまったことはおわびのしようがない」と謝罪。「(執刀医らの)書類送検はあると思ったが、逮捕されるとは…」と肩を落とした。

 東京女子医大病院は、心臓手術では日本有数の技術水準で、大阪大病院(大阪府吹田市)、国立循環器病センター(同)とともに心臓移植実施施設に指定されている。

 ■特定機能病院 医療法に基づき、高度医療を提供する病院。全国の大学病院の本院と、国立がんセンター(東京)、国立循環器病センター(大阪)の計82施設が承認を受けている。安全管理委員会の設置や院内事故報告制度などの体制整備が要件とされ、承認されると診療報酬上の優遇措置を受けられる。厚労省の集計では、2000年4月以降の約2年間で、82施設の安全管理委員会に報告された医療事故は、患者が死亡するなどの重大ケースを含め計約1万5000件に上る。

東京女子医大の医師2人逮捕 心臓手術の女児死亡で

2002/06/28 中国新聞
 東京女子医大病院(東京都新宿区)で昨年三月、心臓手術を受けた群馬県高崎市の歯科医平柳利明さんの二女明香さん=当時(12)= が脳障害に陥り死亡した事故で、警視庁捜査一課は二十八日、業務 上過失致死の疑いで、人工心肺装置を担当した医師佐藤一樹容疑者 (38)=千葉市緑区=を、証拠隠滅の疑いで執刀医リーダーの医師瀬尾和宏容疑者(46)=東京都西東京市=をそれぞれ逮捕した。

 瀬尾容疑者の指示で、ミスを隠ぺいするため脳障害に伴う瞳孔数値を改ざんしたとされる臨床工学技士の男性(31)と看護師長の女性 (54)も、証拠隠滅の疑いで近く書類送検する。

 医療ミスで医師が逮捕されるのは極めて異例。

 明香さんは生後間もなく心臓の左右の心房を隔てる壁に穴があく「心房中隔欠損症」と診断され、昨年二月に女子医大病院に入院。 三月二日の手術で、手術部位からの出血を吸引する人工心肺装置の ポンプの回転数を通常の二倍以上に上げて使用したため装置内の圧 力が異常に高まり、停止した。

 明香さんは脳に血液がたまったことによる脳障害で意識不明になり三日後に死亡した。

 調べでは、佐藤容疑者は明香さんの手術で人工心肺装置を漫然と操作し、心臓から十分に血を抜くことができなくなる脱血不良を回 避する措置をせず、手術中に脳障害を合併させ死亡させた疑い。

 瀬尾容疑者はミスを隠ぺいするため、臨床工学技士と看護師長に看護記録の改ざんを指示するなどした疑い。

 二人とも容疑を否認しており、佐藤容疑者は「事実について今は話せない」と供述。瀬尾容疑者は「手術の失敗を知られたくないの で、ほかの医師が記録を改ざんした」などと述べているという。

 捜査一課は二人が容疑を否認していることなどから逮捕に踏み切った。

 瀬尾容疑者らは装置が停止した事実を両親に告げなかったが、病院側が昨年十二月にミスを認め両親に謝罪。平柳さんが今年一月 に、業務上過失致死容疑などで瀬尾容疑者らを警視庁に告訴してい た。

腹部にチューブ7年残す 新潟の県立病院

2002年06月20日 The Sankei Shimbun
 新潟県は20日、県立加茂病院(高橋芳右院長)で1995年、同県南蒲原郡の70代の女性患者の腹部を手術した際、シリコーン製チューブ1本を体内に残したまま退院させ、約7年後の今年6月に再手術で取り出す医療ミスがあったことを明らかにした。

 女性はすでに退院しており、経過は良好という。

 記者会見した高橋院長によると、チューブは長さ約20センチ、直径約5ミリ。95年10月の手術で、患部からにじみ出る血や体液を開腹部から体外に出すために2本使った。

 手術5日後に医師がチューブを抜き取ったが、使ったのは1本だけと思いこみ、1本を抜き忘れたまま3日後に退院させた。

 今年3月、女性が別の開業医の診察を受けた際にエックス線検査で見つかり、加茂病院が再手術してチューブを取り出した。

 高橋院長は「(一部が体外に出ている)チューブが皮膚に十分固定されていなかったためか、体内に入り込んでしまった。今後は使ったチューブの本数を十分確認するなど再発防止に努めたい」としている。

わいせつ医師:向精神薬注射し体触る 医療事故の病院で 滋賀

2002年06月17日Mainichi INTERACTIVE
 滋賀県警捜査1課などは17日、入院中の女子短大生(19)に向精神薬を注射し、抵抗できないようにして体を触るなどしたとして、同県長浜市宮前町、長浜赤十字病院(原慶文院長)の麻酔科医師、中筋勲容疑者(26)=同市八幡東町=を準強制わいせつ致傷容疑で逮捕した。同病院では今月1日、看護師が男性入院患者に塩化カリウムを点滴液で薄めずに体内に直接注入し、死亡させる医療ミスがあったばかり。

誤った説明し死亡させる

2002年06月17日 The Sankei Shimbun
 川崎協同病院(川崎市)で10年、男性患者=当時(58)=が筋弛緩(しかん)剤を投与され死亡した事件で、病院側の内部調査委員会は17日までに、主治医だった女性医師(47)が「脳死状態」と家族に誤った説明をした上、患者を死に至らしめた、とする中間報告をまとめた。病院側は17日午後、川崎市に提出する。

 関係者によると、中間報告は患者の容体について、発熱など感染症の疑いはあったが、全身状態は安定し、死が差し迫った状態ではなかったと判断。

 入院7日目に医師は「九分九厘、脳死状態」と家族に説明したが、自発呼吸があり「脳死とは言えない」とし、誤った説明に家族が引きずられた可能性を示唆している。

 また医師が患者の気管内に挿入したチューブを抜いた後、同僚の医師に相談。同僚はチューブの「再挿管」を前提に、筋弛緩剤の使用を勧めたとしている。

 家族へのインフォームドコンセント(十分な説明と同意)については「患者本人の自発的意思は確認できない」とした上で、家族への説明の文言や具体的な状況を明らかにする診療記録が残っていないなどの「不備」を指摘した。

 さらに中間報告は、筋弛緩剤の使用をチェックするシステムがないなど、同病院の薬剤管理のずさんさも認めているという。

女性2人の体内にガーゼ 大阪・泉大津市の病院

2002年06月17日 The Sankei Shimbun
 大阪府泉大津市の泉大津市立病院産婦人科で手術を受けた40代の女性2人の体内に、それぞれガーゼが残っていたことが分かり、同市は女性2人に補償金計500万円を支払うことで17日までに和解した。

 市立病院によると、大阪府高石市の女性が1999年3月に手術を受けたが、同年11月、下腹部の違和感を訴え、エコー検査でミスが発覚した。また、99年8月に手術を受けた大阪府忠岡町の女性は、同病院で昨年7月に別の病気の手術を受け、体内からガーゼが見つかった。

 泉大津市は慰謝料などとして、高石市の女性に230万円、忠岡町の女性に270万円を支払って和解する議案を、18日開会の定例市議会に提出する。

 同病院は「二度も初歩的なミスを起こして申し訳ない。ガーゼの数を確認するなど、再発防止に努めている」としている。

麻酔ミスで道に1億円 札幌地裁

2002年06月14日 The Sankei Shimbun
 道立紋別病院(北海道紋別市)で腸閉塞(へいそく)の手術を受けた際の麻酔がもとで植物状態になったとして、同市の男性(59)と家族が道に約1億7000万円の損害賠償を求めた訴訟で、札幌地裁は14日、道に対し約1億1000万円の支払いを命じる判決を言い渡した。

 佐藤陽一裁判長は「麻酔薬を慎重に注入するべき注意義務を怠った」と理由を述べた。

 判決によると、男性は3年4月に手術を受けた。麻酔薬を注入された際に心停止を起こし、脳に血液が行きわたらなくなったことが原因で意識が戻らず、現在も植物状態が続いている。

医療ミス:東京高裁が病院側に約2900万円の支払い命令

2002年04月24日 Yomiuri On-Line
 国立病院東京医療センター(東京都目黒区)で94年1月、腫瘍(しゅよう)の摘出手術を受けた男性(当時20歳)が死亡した事故をめぐり、東京高裁(雛形要松裁判長)は24日、訴えを退けた東京地裁判決を変更し、病院側に約2900万円を支払うよう命じた。

注射直後に患者死亡、医療過誤認め賠償命令

2002年03月26日asahi.com
 満田明彦裁判長は「重大な過失があった」として、院長と担当医に計2100万円の支払いを命じた。高原院長は「判決の詳しい内容を見て対応を考えたい」としている。


リピーター医師

2001年11月23日(毎日新聞2001年11月23日東京朝刊から)
 英語のrepeaterは繰り返す人という意味の名詞である。ホテルやレストランのリピーターといえば常連客、釣りのリピーター、旅行のリピーターもある。

 ネットで検索すると、百花繚乱(りょうらん)、さまざまなリピーターのホームページがあってびっくりする。同好の士の集まり、昔の同好会の電子版といったところか。どれも楽しく、いいリピーターばかりだが、なかには歓迎できないリピーターもある。黒一点といえばいいか。

 日本医師会は73年に医師賠償責任保険制度を設けた。患者側から100万円を超える請求を受けた事故は年間300件前後あるという。このうち、73〜95年に5回以上事故を起こした医師は16人、4回が22人、3回が82人、2回が391人の計511人。

 医療ミスを繰り返す医師もリピーターと呼ばれる。100万円以下の請求を含めればリピーター医師は大幅に増えるだろう。医師の免許はいったん取得すれば、刑事事件で刑事罰が確定したり、診療報酬の不正請求で摘発されない限り、取り消しや一時停止の処分を受けることはない。

 死亡事故を含む4件の事故を繰り返した群馬県の産婦人科医院の院長は、本紙記者に「ミスというよりニアミスだと思う。(「医師の適性は」という質問に)ないとは思っていない。一生懸命やっている」と答えている。医師会からの指導やペナルティーは「全然ない」そうだ。

 医道審議会の堀田力氏は、リピーター医師について「ミスをしたら徹底した研修をやればいい。リピーターが出たら、研修指導の責任も問うような厳格な仕組みが必要だ」と本紙に指摘している。仲よしクラブは許されない。医療ミスを重ねるリピーターのことを日本語で「懲りない面々」と名づけようか。

医療事故:「2回以上」医師が511人 免許に影響なし

2001年11月13日[毎日新聞日]Mainichi INTERACTIVE
 日本医師会の会員で、患者側から100万円を超える損害賠償を請求された医療事故を2回以上起こした医師が、95年までの20年余の間で511人に上ることが12日、分かった。5回以上繰り返した医師も16人含まれていたが、日本医師会は96年以降、「リピーター」と呼ばれるこうした医師に関する資料を明らかにしていない。ミスを重ねても刑事罰を受けない限り処分もなく、情報公開とともに医師免許制度の見直しや再教育などの対策が求められる。 

 日本医師会は、医療事故による賠償金の支払いに備えて73年、開業医らを対象に医師賠償責任保険制度を設け、約11万2000人の会員から年間5万5000円の保険料を徴収している。患者側から裁判以外も含めて100万円を超える高額な請求を受けると、医師会が事故の内容を検討し、医師側に責任があると判断するか裁判で敗訴・和解すれば、1億円を上限に保険金が支払われる。

 関係者によると、100万円を超える額が請求される事故は年間300件前後で推移し、産婦人科、内科、外科が多い。このうち73〜95年の間に複数回、事故を起こした医師は、2回が391人▽3回82人▽4回22人▽5回以上16人――の計511人に上った。請求された中で実際に100万円を超える保険金が支払われるのは6割程度という。100万円以下の請求を含めればリピーターは大幅に増えるとみられる。

 日本医師会の村瀬敏郎会長(故人)は95年、医師会内部でリピーターの人数を明らかにし、「こういう方にはご注意いただくと同時に会員同士で切磋琢磨(せっさたくま)して、なくす努力をしていただかなければならない」と指摘していた。

 医師の免許はいったん取得すれば、刑事事件で刑事罰が確定したり、診療報酬の不正請求で摘発されない限り、取り消しや一時停止の行政処分を受けることはない。民事訴訟でミスが認定されても処分対象にならない。

 医療に詳しい関係者からは、事故の増加を踏まえ▽医師免許の更新制度の導入や免許の一時停止など行政処分の強化▽研修を受けさせるシステム▽事故の再発防止に役立てるための事故情報の公開――などを求める声が高まっている。

 日本医師会の山田統正常任理事は、96年以降の資料の公開について「毎年、事故を繰り返したケースも含め、保険の支払いの実態は把握しているが、諸般の事情により現時点では公表できない」と説明している。 【医療問題取材班】

       ◇

 医療ミスを繰り返す「リピーター」医師への「処方箋(せん)」はないのか。4件の事故を重ねた群馬県の産婦人科医院の院長(52)は毎日新聞の取材に「基本的な知識不足もあったが、一生懸命にやってきた」と釈明した。しかし、行政処分だけでなく、医師会からの注意さえなく、被害者の家族は「ミスの反省が全くない」と憤る。医師の資格を厳しく問う声が高まっている。

 【医療問題取材班】

 群馬県の院長は勤務医時代の87〜88年、点滴にビタミン剤を入れず、妊婦(48)に「ウェルニッケ脳症」による重い脳障害を負わせた。「妻の意識が遠のいていくのに、医者は『大丈夫』と言うだけで何もしてくれなかった」。会社員の夫(51)は、転院先の大学病院の医師に「こうなるまで、どうして放っておいたのか」と怒鳴られた。

 妻は身体障害者2級の認定を受けた。わずかな回復の望みにかけ、県内外のリハビリ施設を転々とした。しかし、今も言葉が不自由で、車いすの生活は変らない。「どうしても医者に謝まらせたかった」。夫は91年、院長らを相手取り、訴訟を起こした。約9000万円の損害賠償が認められた。しかし、最後まで謝罪の言葉はなかった。

 夫は「あの事故を境に、家庭がばらばらになった」という。日々の介護と約5年に及んだ裁判に疲れ、仕事に打ち込むことで気を紛らわせた。中学生の娘は母のいない家庭に耐えきれず、帰宅が遅くなることも多かった。夫は「前の生活を返してほしい」と思い続けた。

 医師はその後も事故を繰り返した。夫は怒りを込めて言う。「ミスから何も学ばなかったのでしょうか」

 院長の起こした事故は、この点滴ミスのほか▽開業後の90年、帝王切開で出産した母親が退院後に心不全で死亡(見舞金100万円)▽92年、産後に母親への輸血が遅れ、死亡(裁判で約7000万円の賠償命令判決)▽99年、妊婦に適量を大きく超えた陣痛促進剤を投与するなどして男児が低酸素脳症の後遺症(係争中)――の3件に上る。

 院長との主な一問一答は次の通り。

 ――最初のミスは。

 院長 基本的な知識が足りなかった。ビタミンB不足でウェルニッケ脳症になる問題は(ミスの)2年前に静岡で初めて裁判になった。

 ――その裁判の知識を勉強していれば。

 院長 その点は認めざるを得ない。

 ――退院後に母親が死亡した90年のケースは。

 院長 ミスは認めていない。だが、関与がゼロとは言えないので(見舞金を)払った。

 ――輸血が遅れて母親が死亡した92年のミスは。

 院長 判決ではそうだが、別の病気が原因だと裁判で主張した。

 ――99年の事故は裁判で争っているが。

 院長 全面的に非はないと思っている。

 ――ミスが多いが。

 院長 ミスというよりニアミスだと思う。僕はありのままの事実をオープンにしているので。

 ――だから訴えられると言うのか。

 院長 いろんな要因が重なっているとは思う。(2冊のファイルを取り出し)自分で反省材料を書いている。

 ――医師の適性は。

 院長 ないとは思っていない。一生懸命やっている。

 ――医師会からの指導やペナルティーは。

 院長 全然ない。

 ――ほかの医師と比べても事故が多くないか。

 院長 みんなと同じ頻度だと思う。

       ◇

 医療問題取材班へご意見や情報を手紙(〒100−8051毎日新聞社会部)、ファクス(03・3212・0635)、メール(shakaibu@mainichi.co.jp)でお寄せ下さい。

手術ミスで植物状態に/福岡で女性と両親が提訴

2001.03.02The Sankei Shimbun
 福岡市立こども病院(福岡市中央区)での心臓手術の際、執刀医のミスで植物状態になったとして、手術を受けた鹿児島県の女性(24)とその両親が、福岡市に計約一億三千万円の損害賠償を求める訴えを二日までに、福岡地裁に起こした。

 訴えによると、女性は小学校入学後、鹿児島大病院で生まれつき心室が左右に分かれていない単心室と診断された。このため、紹介されたこども病院で、上半身から心臓に戻ってくる血液を直接肺に流す手術を受け、さらに根本的治療として下半身から戻ってくる血液を肺に流す手術を勧められた。

 日常生活に支障がなかった女性はこの手術に消極的だったが、最終的に手術に同意。一九九五年四月に手術を受けたが、執刀医が胸骨を切断中に心臓を傷つけたため、手術が一時ストップ。別の医師が心臓を停止させて、予定外の方法で処置したが、女性は意識障害が続き植物状態となった。

 原告は「手術ミスのために予定外の方法をとったことで後遺症が出た。手術の危険性の説明も適切ではなかった」と主張している。

 同病院の福重淳一郎院長は「主張は法廷で明らかにしたい」としている。

医療ミスに病死診断書 前院長ら書類送検

2001.03.01 The Sankei Shimbun
 東京都杉並区の東京衛生病院(本郷和彦院長)で、平成十年六月、埼玉県所沢市内の男性=当時(七二)=が死亡した際、医療ミスがあったにもかかわらず、病死などと診断書に虚偽の記載などをしたとして、警視庁荻窪署は一日、業務上過失致死などの疑いで同院の内科医(四三)を、医師法違反の疑いで前院長(六二)をそれぞれ書類送検した。

 同署の調べでは、男性は通院中の十年六月、肺がんの疑いがあることから、気管支鏡による検体検査を受けたが、内科医が操作を誤り、動脈を切って大量出撃オて死亡。医療ミスであるにもかかわらず、病死とする虚偽の診断書を作成。さらに、前院長は大量出血した事実を知っていながら、同署に届けなかった。

麻酔注射後、30代女性が意識不明に 横浜市と和解へ

2001.02.24(11:39)asahi.com
 横浜市が運営していた産科専門病院の市愛児センター(横浜市南区)で、出産のために入院した市内の30歳代女性が麻酔注射後に一時呼吸が停止し、2年近く意識不明の状態が続いていることが24日、わかった。市は「麻酔後の処置が十分でなかった」として、慰謝料など数千万円を支払うことで、近く女性の家族と和解する見込みだ。

 市衛生局によると、この患者は1999年3月中旬に入院。陣痛がひどいため、医師が出産に向けて休養をさせる必要があると判断し、局部麻酔をしたところ、一時呼吸が停止した。

 医師は、患者に人工呼吸器を取りつける一方、帝王切開して子どもは無事に生まれた。しかし、人工呼吸器だけでは呼吸できない患者を、数分間そのままの状態にした。医師は異変に気づき、体内に管を通して肺に酸素を送り込んだが、意識は戻らなかったという。

 市の調べに対して医師は、心音が低下している子どもの出産に気を取られ、患者への対応が遅れた、と話しているという。

 局部麻酔で一時呼吸が停止した理由について、市は、全身に麻酔が効いてしまった状態になったためと説明。「麻酔が全身に回るのはまれにあるが、意識不明になったのは、麻酔が原因ではなく、その後の処置が不十分だった」としている。

 愛児センターは昨年1月、市大医学部付属市民総合医療センターに統合されている。

「ワイヤ刺さっていない」 医師の告発、日本医大が否定

2001.02.19(22:35)asahi.com
 日本医科大学付属病院(東京都文京区)で3年前、あごの骨折をワイヤで固定する修復手術を受けた20代女性が2日後に急死した問題で、同大の隈崎達夫院長らが19日会見し、「手術中のワイヤは頭がい内に達していない」などとする大学の調査委員会の中間まとめを明らかにした。手術で助手を務めた医師(42)は、手術を執刀した主治医の同大講師(38)に対して「手術中から、ワイヤが脳に達した可能性を指摘した」と告発したが、これらの会話もなかったと否定した。

 同大は、今月下旬にも外部評価委員会に再検証を依頼するという。

 中間まとめは、小川龍・副院長を委員長とする同大内部調査委員会が報告。X線写真やコンピューター断層撮影(CT)からは、ワイヤの先端は、「脳には達していない」と説明した。

 また女性患者の死因について大学側はこれまで、敗血症のための多臓器不全としていたが、この日の会見では、「(薬を中止したことで起こる副作用の)悪性症候群の可能性が高い」と修正。手術当時、薬の服用を聞いておらず、副作用の可能性が把握できていなかった、などとした。

 さらに、手術に参加した看護婦ら16人に聞き取りした結果「助手がワイヤ事故の可能性を伝えたことはなかった」などと、助手の告発内容を否定した。

 一連の経過を告発したこの助手が、2月上旬の会見で「上司の教授に居酒屋に呼び出され、長年医者をやっていれば、こんなミスの1つや2つはあると、説き伏せられた」とした点についても、「教授は、助手を含めて2、3人で飲みに行ったことはない。そういう会話もなかった」とした。

 一方、告発した助手の代理人を務める弁護士は、「X線写真などの画像の分析を依頼した専門医5人ほどがワイヤが脳に達していると証言した。助手が手術中から事故の可能性を指摘していたことは、間違いはないと確信している」と真っ向から反論した。

 また、急死した女性の父親(58)も、病院側が死因として挙げた悪性症候群について、「複数の医師により、服用量、及びその時期から考えて起こすことはまずあり得ない、との意見をもらっている。法廷の場で真実を追求したい」と話した。

信州大病院、別の患者の薬を注射 2日後に男性死亡

2001.02.15(21:39)asahi.com
 長野県松本市の信州大医学部付属病院(清沢研道病院長)で今月2日、重度の膠原(こうげん)病で入院治療を受けていた50代の男性患者に対して、看護婦が鎮静剤と間違えて他の患者に用意していた強心剤を誤って注射し、その患者が2日後に亡くなっていたことが15日、明らかになった。病院側はミスを認め、死亡した患者の家族らに謝罪している。しかし、過去にこの患者に対して治療の際に同じ強心剤を注射していたことや症状が重かったことを挙げ「(医療ミスと)死因とは直接関係ない」と話している。

 病院によると、今月2日の午前8時ごろ、夜勤明けの看護婦が男性用の鎮静剤と別の患者の強心剤の注射器を取り違えて、シリンジポンプと呼ばれる少しずつ注射される機械にセットした。午前11時ごろ、男性の血圧が低下したために中断。その後、午後3時ごろに家族が注射器のラベルに別の患者の氏名が書かれているのを見つけて看護婦に連絡、医療ミスが分かったという。2つの注射器は別の看護婦が用意し、同じ処置台の上にあったという。

 患者はその後も血圧の低下と脈拍が高い状態が続き、2日後の4日午前0時45分ごろ、多臓器不全のため死亡した。病院側はミスを認め、病院長補佐や担当医師らが自宅に出向くなどして家族に謝罪したという。

医療ミス:公表基準を作成、4月から運用開始 横浜市大

2001年02月29日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 横浜市大は、医学部付属病院での医療事故を速やかに公表するための基準を作成し、19日発表した。こうした基準作成は大学病院では初めてで、4月から運用を始める。同大医学部付属病院では、一昨年1月、手術患者を取り違えたほか、患者の体内にガーゼなどを置き忘れたり、消毒液に誤ったラベルを張るなど、ミスが続発している。

 基準では、医療事故を「患者が本来持っていた疾病や体質などによるものでなく医療において目的に反し生じた有害な事象」と定義。そのうえで、医療の「過失」による事故と、手術時の災害など「過失のない」事故に分類、原則として過失がある場合は公表するという。過失の有無の判断は病院長が行う。

 さらに、「速やかに公表すべきもの」として▽命を失ったり生命の危機をもたらすなど「患者に相当の有害結果が生じた」▽有害な事象が軽微でも、病院の安全管理上重大と判断される▽患者に相当な結果を生じた医療事故で、過失によるかどうか不明だが公表すべきだと判断されるもの――の三つのケースを挙げた。これ以外の過失事故は年1回まとめて公表する。

 病院長は原則として公表前、有識者など約10人からなる「医療事故判定委員会」に公表の時期や範囲を諮り、答申を得る。公表は患者本人と家族の同意が前提だが、南陸彦同医学部長は「同意がなくても社会的影響の大きさや重要性で公開することもある」と述べた。 【栗原 俊雄】

医療ミスで病院長辞職へ

2001.02.15The sankei Shimbun
 肺がんではない患者の肺の一部を切除するなど、昨年医療ミスが相次いで発覚した筑波大病院(茨城県つくば市)の深尾立病院長(62)が十五日までに北原保雄学長に辞表を提出、学長は受理した。

 学長によると、深尾病院長は事故発覚後に進めていた病院の改善策に一定のめどが立ったことから「けじめをつける」と辞表を提出したという。辞職は四月一日付で教授職は続ける。

 深尾病院長は九八年四月に病院長に就任し、現在二期目。

ドナー慰謝料認めず/東京高裁逆転判決 父が臓器提供、二男死亡

2001.02.06 The Sankei Shimbun
 腎臓(じんぞう)の生体移植手術後に二男が死亡したのは担当医の術後管理の過失が原因として、東京都小金井市に住む両親が東京医科大に約九千万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が六日、東京高裁であった。

 腎臓提供をした父親が主張した「ドナーとしての慰謝料」が控訴審でも認められるかどうかが注目されたが、浅生重機裁判長は「成人の患者については、親でも医療機関と診療契約を結ぶことはできない。ドナーである親に対して契約義務違反は生じない」とし、父親の主張を退けた。そのうえで、病院側に約六千九百万円の支払いを命じた一審判決を変更、約三千万円の支払いを命じた。

 判決理由で浅生裁判長は大学側の術後管理に過失があったと認定したうえで、「診療契約は患者と医療機関の間で結ばれるもので、移植手術が開始された後は手術を適切に行うことは二男と大学間の契約で、親であってもドナーには及ばない」と述べた。

 そのうえで、ドナーとしての固有の慰謝料請求が認められるかどうかについて、「患者の親として子に臓器提供したドナーは、治療上の過失で子を失ったときは、親として精神的損害の慰謝料を受けられるが、それ以外にドナーとして賠償を受けることはできない」とした。

 賠償額については、一審判決が認めた二千万円の慰謝料のなかに父親の固有の慰謝料分が含まれているとした。

 判決によると、慢性腎(じん)不全を患っていた二男は平成六年六月、東京医科大八王子医療センターで父親からの提供による生体腎移植の手術を受けたが、術後に肺水腫を起こして呼吸不全に陥り、死亡した。

 一審・東京地裁では、「ドナーの期待も法的保護に値する」として、「ドナーとしての慰謝料」約八百二十万円を認定。大学側はドナーの慰謝料を不服として控訴していた。

点滴ミス直後、患者が死亡/三重・松阪市民病院

2001.02.04 The Sankei Shimbun
 三重県警松阪署は四日までに、同県松阪市の松阪市民病院(水本竜二院長)で昨年十月、看護婦がカリウム剤を薄めずに直接注入した直後、女性患者(95)が死亡したとして、業務上過失致死の疑いで主任看護婦(55)と看護婦(31)を書類送検した。

 調べによると、昨年十月十日、肺炎で入院していた女性患者に、担当医が心機能を維持するためカリウム剤三十ccを点滴するよう主任看護婦に指示。主任看護婦は忙しかったため、部下の看護婦に任せた。看護婦は同日午後五時ごろ、カリウム剤を点滴パックの栄養液に溶かし注入すべきところ、誤って直接注入したため、直後から脈拍が低下するなど容体が悪化、心肺マッサージをしたが約五時間後に死亡させた疑い。死因は肺炎だった。

 病院はその日のうちに松阪署に届け、同署が捜査していた。同署は「患者が高齢ではあるが因果関係がないとは言えない」として書類送検した。

 松阪市民病院は「医師の指示通りの点滴でなかったため、警察に届けた」としている。

福島県側の控訴棄却 県立総合病院医療過誤訴訟

2001.01.30(22:13)asahi.com
 福島県立会津総合病院で1990年に急性すい炎のため死亡した女性(当時60)の夫(72)らが、「死亡したのは医師の過失のためだ」などとして、県に約4300万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が30日、仙台高裁であった。武藤冬士己裁判長(佐々木寅男裁判長代読)は、県に4236万円の支払いを命じた一審の福島地裁判決を支持し、県側の控訴を棄却した。

 訴状によると、女性は90年10月、食欲不振などのため同病院に入院。内視鏡的逆行性すい胆管造影法(ERCP)の検査を受けた後、急性すい炎、急性出血性すい炎を併発。手術したが12月、多臓器不全で死亡した。96年12月の福島地裁判決は「検査が長引いた上、造影剤の量が多過ぎ、検査後の注意も怠った」と医師の過失を認めたが、県は控訴し、「検査や検査後の処置と死亡との因果関係はない」と主張していた。

 控訴審判決は、検査時間や造影剤量についての過失は認めなかったが、「内視鏡の挿入にもたついたことがすい炎を引き起こし、検査後の患者への注意が不十分だった」と認定した。

患者取り違え胃を切除 福島の病院

2001.01.30 The sankei Shimbun
 福島市の福島県立医大付属病院(鈴木仁病院長)で、胃炎の患者と末期の胃がん患者を取り違え、誤って胃の一部を切除する手術をしていたことが三十日までに分かった。

 同病院によると、昨年一月、胃炎で入院していた同県内に住む四十歳代の女性患者を、一昨年十二月に死亡した六十歳代の末期がん患者と間違えて胃の三分の二を切除する手術を行った。検査の際に二人の患者の検体を取り違えたのが原因という。

 手術後に間違いに気付いたが、胃を切除された女性の患者はその後、回復して退院した。

「医療事故と認識してない」日本医大側、疑惑を否定

2001.01.22(19:30)asahi.com
 22日午前11時から東京都文京区の日本医科大付属病院の本部棟3階の会議室で行われた病院側の会見で、手術問題について隈崎達夫院長はまず、「大変お騒がせして、心より遺憾に思っている」と話し、病院としては現在、詳しい調査を続けていることを明らかにした。

 続いて病院内の調査責任者になっている小川龍副院長が、担当部から1月15日に提出された報告書をもとに、これまでの事実経過を説明した。それによると、「医療事故やそれを隠すという事実はない、という報告だった」として、疑惑を否定した。

 執刀した形成外科の講師が、手術時に入れたワイヤと頭がい骨の位置関係を正面と側面から写したX線写真を示しながら説明した。

 ワイヤは脳に刺さってはいないのかという質問に対し、この講師は「刺さっていなかった。(ワイヤは)頭がい骨の外側にいっていて、内側には入っていない。複数の角度からの写真でみると、考えられない」とミスの可能性を否定した。

 病院側は、手術2日後に撮影したCT画像も公開した。脳神経外科の寺本明教授は、画像を示しながら「小さな血腫があるのは確かだが、命に別条はなく、当面は経過観察でよいと当時診断されている」と話した。

 病院側は一貫して事故ではないとの主張で、最後まで謝罪の言葉はなかった。

日本医大病院で手術中、脳にワイヤ刺す? 遺族提訴へ

2001.01.22(21:38)asahi.com
 日本医科大学付属病院(東京都文京区)で3年前、あごの骨折を修復する手術を受けた20歳の女性が、2日後に急死したのは、手術中に骨を固定するワイヤが脳に突き刺さったため、として、女性の両親が病院を提訴することを検討していることがわかった。病院側は「ワイヤが突き刺さった事実はない」と全面否定しているが、遺族側は「複数の医師にX線写真などを鑑定してもらった。2年間も事実を隠匿していたのは許せない」として、22日午後、記者会見を開いた。

 この女性は、埼玉県に住んでいた1997年12月、自転車による自損事故により、あごを骨折するなどのけがをした。地元の病院を通じて3日後に日本医科大に転院した。15日にあごの骨をワイヤなどでつないで固定する整復固定手術を受けた。

 遺族側によると、その手術中に、ワイヤが脳を突き刺し、感染症を起こし、多臓器不全で死亡したという。すでに証拠保全の手続きをしてコンピューター断層撮影(CT)やX線写真の画像などを手に入れているという。

 これに対して病院側は、記者会見で執刀した医師(37)本人らがX線写真などを示して説明。「いろんな角度からのX線写真をみると、ワイヤは頭がい内に達していない」と反論した。しかし、死亡した原因については、元の自損事故による外傷か、手術による感染症かはわからない、としている。

 病院がワイヤが突き刺さった事実を否定していることについて、遺族側は「こちらはCTやX線写真を複数の専門家に見せた。頭がい内に貫通していることは間違いない、との証言を得た」と対立している。

 病院側によると、死亡した女性の遺族に対しては、死亡後にカルテなどをもとに十分説明して納得してもらった、という。その後、手術に立ち会っていた医師の1人が、昨年、遺族の元を訪れてワイヤが脳に突き刺さった、などと述べたという。

 また、一部報道では、手術を執刀した医師の所属する形成外科の医局の教授が、弁護士による証拠保全の後、外部にはしゃべらないよう、この医師に手紙を書いた、とされる。この点について、この教授は「裁判の可能性があるので、マスコミからの接触があってもご注意ください、と手紙を出しただけ」と説明した。

 同病院は2月中旬をめどに内部調査を終えた後、外部にも評価を依頼し、情報公開したいとしている。

 隈崎達夫病院長は、「弁護士から連絡があり、初めて知った。病院のリスクマネジメント委員会が、執刀医から聞き取りをするなど調査をしており、包み隠さず調査するよう指示した。もし医療ミスなら、誠意をもって対処したい」と話している。

医療事故につながるニアミスをデータベース化 阪大病院

2001.01.21(10:24)asahi.com
 医療事故が相次いでいる中、医療現場で医師や看護婦がひやりとして、重大事故につながりかねなかった「ニアミス」体験をデータベースに入力してもらって原因を分析・解明し、事故防止に役立てる制度を大阪大学医学部付属病院(大阪府吹田市)が始めた。24時間、いつでも報告できる。事例が次々と寄せられ、改善策も素早く現場に示される。事故につながる要因を事前に摘みとろうとする取り組みだ。

 病院内の医師と看護婦、薬剤師、事務担当者の計16人でつくるリスクマネジメント委員会が運用にあたる。同委は1999年10月に発足。当初はニアミス報告を書類に記入してもらっていたが、手作業だと事務処理量が膨大になるため、2000年7月からデータベース方式を導入した。

 入力用のシステム開発に約250万円を投入。報告者は、病院内に850ある端末のいずれかからニアミス事例をいつでも入力できる。

 発生日時や報告者の職種、所属部署、経験年数、ニアミスが起きた場所、状況、どう対処したかなどの質問項目があり、選択肢からクリックしたり、自由に記述したりする。報告者は名前を書く必要はない。

 同病院の医療スタッフは約2000人おり、昨年7月から12月までに約200件の報告があった。約6割が医師からの報告で、特に薬剤の処方や輸血の場面での事例が多いという。

 委員会メンバーが、当番で新たに事例が入力されていないかをチェック。新事例について委員同士のメーリングリストを使って原因分析や対策を議論し、関連部署に注意喚起したり、改善策を示したりする。

 委員会がこれまでに院内各部署向けに出した「リスクマネジメントニュース」は50回を超えた。

 従来、医療の世界ではミスへの対処として「確認につぐ確認を」と注意喚起するだけが多かったが、同委の中島和江医師(公衆衛生学)は「確認に頼る医療はだめ。間違いが起こり得ないようにすることを考えることが必要だ」という。

 厚生省は去年4月から、大学病院など高度な医療を提供する全国81の特定機能病院に医療事故とニアミスの院内報告制度を義務化。これに基づいて7月までに全病院で報告制度ができたが、事例の収集は手作業が多く、分析までなかなか進まないのが現状だ。

手術ミスで女性が死亡 福島県立大野病院

2001.01.20(22:05)asahi.com
 福島県大熊町の県立大野病院(三瓶光由院長)で、股関節の手術を受けた町内の女性(76)が手術後に出血多量で19日朝、死亡した。病院から届け出を受けた県警富岡署が20日、司法解剖して死因を調べた結果、静脈に穴があいたことなどによる出血性ショック死だったことが分かり、業務上過失致死の疑いで関係者から事情を聴いている。

 病院側は解剖結果を受けて同夜、三瓶院長らが記者会見し、「医療ミスとの認識を持っている。遺族には誠意をもって対応したい」と語った。

 病院や富岡署によると、女性は歩行困難になったため18日午後、股関節に人工骨をはめ込む手術を受けた。縫合後、医師が血圧の低下に気づき調べたところ、体内に出血していたという。輸血するなどの救命措置をとったが回復しなかった。

英で心臓移植、術後管理ミスで大阪の病院に賠償命令

2001.01.20(14:25)asahi.com
 英国で心臓移植手術を受けた奈良県天理市の主婦川崎滋子さん(当時44)が術後4年で死亡したのは、医師が免疫抑制剤の投与量を誤ったためだとして、長男の同県立高校2年生(16)が担当医師と大阪市北区の北野病院を経営する医療法人田附興風会を相手に、慰謝料など総額約6600万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が19日、大阪地裁であった。佐藤嘉彦裁判長は「投与量の誤りは、弁解の余地のない過誤。ミスが拒絶反応を発生させた可能性が高い」として、3300万円の支払いを命じた。

 原告代理人の弁護士によると、心臓移植の術後管理のミスをめぐる判決は初めてという。厚生労働省や患者団体によると、心臓移植手術を海外で受けた日本人は約70人、国内で受けた人は7人いる。

 判決などによると、川崎さんは1986年に余命数年と診断され、90年11月、当時45歳の英国人女性から提供された心臓の移植手術を受けた。術後管理を担当していた北野病院の主治医が94年5月、免疫抑制剤を液状の薬からカプセル剤にかえた際にミスで投与量が10分の1に減り、本来必要とされる量を大幅に下回った。その後、同年11月に心臓に拒絶反応が発生し、川崎さんは冠状動脈症を起こして翌年1月に死亡した。

 判決は「医師は勘違いから投与量を減らしたうえに、その確認を怠った」と認定。さらに「投与量の急減で免疫抑制剤の血中濃度が低下した後に、拒絶反応が発生している」と指摘し、医師のミスと拒絶反応との因果関係も認めた。

 ◆医療法人田附興風会の話

 判決文を見たうえで今後の対応を考えたい。

国立国際医療センターも体内に器具置き忘れ

2001.01.20(14:21)asahi.com
 国立国際医療センター(東京都新宿区)の小堀鴎一郎・病院長は20日、記者会見し、産婦人科の医師が手術の際に器具を体内に置き忘れるミスを起こしていたことを明らかにした。センターはこの医師を処分する方針。

 同センターによると、この医師は昨年12月28日、女性患者(33)に卵巣のう腫の切除手術をした際、腹部を閉じるときに使う金属製の器具「腸べら」(長さ約26センチ、重さ約140グラム)を体内に残したまま、縫合した。患者が術後に腹痛を訴えたため、レントゲン撮影をしたところ、置き忘れがわかり、1月2日夜に再手術をし、器具を取り出した。患者はすでに退院している。

 同センターは、腸を押さえる必要がなくなった段階で器具を取り除かなかったなど基本動作を怠ったうえ、術後に器具の数を点検する看護婦にもミスがあった、とみている。

 また、この医師は昨年11月17日にも、別の患者に対して腹腔(ふくくう)鏡を使って卵巣のう腫を切除する手術をした際、「把持鉗子(はじかんし)」と呼ばれる器具の先端のねじ(長さ約5ミリ)がはずれ、体内に残ったままにした。すぐに看護婦が気づき、腹腔鏡を使った再手術で取り除いた。

 小堀院長は「2回の事故は患者の方に一生のトラウマになるような精神的な苦痛を与え、申しわけない。11月の事故は医師個人の処分の対象とは考えていない。病院としては、手術後の器具の点検を看護婦2人でするなど再発防止策をとっている」と述べた。

京大の医師ら8人書類送検/エタノール注入

2001.01.16The Sankei Shimbun
 京都大学病院で昨年三月、入院中の女性患者=当時(一七)=が人工呼吸器に誤ってエタノールを補充され死亡した事件で、京都府警捜査一課と川端署は十六日、業務上過失致死の疑いで誤注入にかかわった看護婦や看護婦長ら計七人を、また死亡診断書に故意に「病死」と記載したとして虚偽有印公文書作成、同行使の疑いで医師(四六)を京都地検に書類送検した。

 調べによると、看護婦らは昨年二月二十八日、女性患者の人工呼吸器の加湿器に精製水を補充する際、精製水用タンクとエタノール入りフタンクを誤って交換。約二十回にわたって加湿器にエタノール約千百ccを注入し、同三月二日、女性患者を死亡させた疑い。

 また、医師は、女性患者の主治医(二八)=当時研修医=に代わって作成した死亡診断書に「心不全と敗血症などによる病死」と虚偽の記入をした疑い。

医師、染色体異常の説明翻す 埼玉医大抗ガン剤ミス

2001.01.13(09:21)asahi.com
 埼玉県川越市の埼玉医大総合医療センターで女子高校生古館友理さん(当時16)が死亡した医療過誤で、古館さんの両親に「染色体に異常がある」と告げ、病気はがんだという趣旨の説明をしていた主治医(30)が12日、「実は異常はなかった」と説明を180度転換した。しかし実際に病気はがんだったとみられ、専門家によると、この再説明もがん治療の診断・検査方法を主治医が誤解していることによる誤りの可能性が高いという。

 古館さんは昨年8月、下あごの腫ようを摘出するため入院。主治医は悪性だと判断して手術をし、家族にも説明した。その後、主治医は投薬の手引本を読み違え、再入院した古館さんに抗がん剤を過剰に投与したとされる。古館さんは10月に多臓器不全で死亡した。

 主治医はこの日、当初は明確には血液で染色体を調べずに「病理検査で悪性腫ようと確認されたので、染色体に異常がある」と判断したが、死亡後に血液検査で「異常なし」という結果が出たと説明した。

 しかし国立がんセンターの別府保男・整形外科医長によると、そもそも血液を調べても腫よう細胞の染色体に異常があるかどうかは分からず、細胞の薬品反応を調べれば分かるという。主治医の言動について「診断や検査の方法を誤解していたのではないか」と話している。

 主治医の代理人の弁護士は「被害者への最大の償いは真実を解明することだ。今後も誠意を持って対応していく」と話している。

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 埼玉医大総合医療センターをめぐる医療過誤で、死亡した女子高校生古館友理さん(当時16)の主治医を同大が懲戒解雇し、上司にあたる耳鼻いんこう科教授を減給処分とするなど治療チームの医師計3人を懲戒処分にしたことが12日わかった。埼玉医大は管理態勢を刷新するため、同センターの所長ら幹部5人をすでに更迭している。

 関係者によると、処分は昨年12月31日付で行われ、減給処分を受けた教授は依願退職した。

 古館さんに対する医療過誤が明らかになった後、埼玉医大は主治医と教授を自宅謹慎とし、学内に事故調査委員会を設置。事実関係や医療過誤の背景を明らかにするため、治療スタッフら病院関係者から事情を聴いていた。

漢方アレルギー試験で死亡 名古屋地裁が医師の過失認定

2001.01.12(00:28)asahi.com
 国立名古屋病院(名古屋市)で漢方薬の内服テストを受けた主婦(当時48)が薬のアレルギーによる劇症肝炎で死亡したのは、主治医の過失によるものだとして、愛知県尾張旭市の夫と娘ら遺族3人が同病院を管理する国を相手取り、計約6300万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が12日、名古屋地裁であった。高橋勝男裁判長は「必要のない危険なテストを実施したうえ、肝機能に異常が認められた後もテストを続けた主治医の過失は明らかだ」と述べ、国に約6000万円の支払いを命ずる判決を言い渡した。

 判決理由で高橋裁判長は、主治医が主婦から「薬剤アレルギーかもしれない」との申告を受けながら、より安全なテストではなく、危険性の高い内服テストを実施したと指摘した。さらに、テスト後の肝機能数値に全く注意を払わずに、薬の量を増やしてテストを続けたため、主婦が死亡したと認定。「医師として基本的な注意義務を怠っており、軽率のそしりを免れない」と主治医を厳しく批判した。

 判決によると、主婦は1996年3月、近くの病院から風邪薬として処方された漢方薬を飲み、手足に発しんが出たほか、肝機能障害も現れた。その後も、発熱や発しんが治まらないため、同年4月、国立名古屋病院に入院した。

 主治医の皮膚科医長(62)=現職=の指示で、漢方薬によるアレルギーかどうかを確かめるため、内服(再投与)テストを実施。初日から肝機能障害が現れたのにテストは続けられた。3日目には発しんが出るなど容体が急変。4日目に中止されたが、翌5月上旬に劇症肝炎により死亡した。

 主治医側は「劇症肝炎は主婦の個人的な体質によるもので、医師に責任はない」と反論していた。

1歳児に10倍の濃度の薬剤を点滴 焼津市立総合病院

2001.01.11(23:04)asahi.com
 静岡県の焼津市立総合病院(河辺香月院長)で昨年12月、高熱のため緊急入院した市内の会社員の次男(1歳9カ月)に、看護婦が誤って通常の10倍の濃度の気管支拡張剤を点滴していたことが11日、分かった。男の子は現在、回復しているという。

 病院側の説明によると、男の子は昨年12月4日夕に入院。以前から同病院で気管支炎などの治療を受けていたため、医師が気管支拡張剤「ネオフィリン」0.8ミリリットルを点滴するように指示書に書き込んだ。しかし、準備をした看護婦が勘違いし、薬剤のびんに10倍の量にあたる「0.8アンプル」と書いたため、別の看護婦が8ミリリットルを点滴したという。

 ネオフィリンは血中濃度が1ミリリットルあたり20マイクログラムを超えると中毒を起こす危険があるとされる。点滴から2時間後、看護婦が指示書との違いに気づいた時には、男児の薬品の血中濃度は26.3マイクログラムだった。医師が血中濃度を下げる薬剤を投与し、翌朝までに血中濃度もほぼ平常に戻ったという。

 河辺院長は「今後このようなミスがないよう、院内のシステムを見直したい」と話している。

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