TOPIC No.5-12 院内感染/病院内感染/多剤耐性菌

No.
内     容
01.セラチア菌(Serratia marcescens)の電子顕微鏡写真 by東京都感染情報センター
02.多剤耐性緑膿菌
03.院内感染 by治るのがうれしい by丸美屋和漢薬研究所
04.院内感染とは?(01/09/27) byYouhei Ohkawa
05.院内感染対策サーベイランス  by国立感染症研究所「感染症情報センター」
06.多剤耐性緑膿菌(MDRP)感染症by国立感染症研究所「感染症情報センター」
07.特集:多剤耐性緑膿菌(MDRP)の感染対策
08.牧丘病院院内感染対策マニュアル


【外信コラム】イタリア便り 徹底的な手の洗浄から

2010.09.19 MSN産経新聞

 今週はイタリアに関係のない話で恐縮だが、日本で流行する院内感染に関し、150年も前にイグナーツ・フィリップ・ゼンメルワイス博士が発見した「手の洗浄」の大切さをお伝えしたい。

 医療関係者以外にはあまり知られていない人物だが、ゼンメルワイス博士は1818年にハンガリーで生まれた。若くしてウィーンの総合病院の産科病棟に勤務する医師となった博士は、死亡率の高いことで有名だった産褥(さんじょく)熱患者の死因が、死体解剖を終えたばかりの医師・研究者の手に付着した病菌が媒介したものである可能性に気付いた。

 47年、博士が同病棟に立ち入る医師全員にクロール石灰液で手を洗浄することを実行させた結果、前年に同病棟に入院した産婦約4千人の産褥熱による死亡率が11%であったものが、驚くなかれ5%に減少し、さらに翌年には1%に低下したのである。

 博士のこの世紀の大発見は、医師仲間のねたみを買ったうえ、「それまでの医師の責任」問題にも触れるため、学会で受けいれられることなく、結局、精神的に弱り果てた博士は65年、不遇のうちに死去した。

 多剤耐性菌の蔓延(まんえん)が懸念される今、医療関係者は原点に戻り、徹底的な「手の洗浄」から始めるべきではないか。(坂本鉄男)

「警察介入に断固反対」 院内感染で病院団体協議会

2010.09.17 MSN産経新聞

 11の病院団体でつくる日本病院団体協議会(議長・辺見公雄赤穂市民病院名誉院長)は17日、帝京大病院での院内感染に絡み、警視庁が病院関係者に任意で事情聴取したことについて「医療の不確実性を否定する警察権力の介入に断固反対する」との声明を発表した。

 声明は、多剤耐性菌による院内感染について「医療の高度化の副産物的な要素が極めて強く、完全に防止することは不可能だ」と指摘。

 その上で「行政の調査を待つことなく警察が介入するようになれば、原因究明が阻害され、医療の萎縮(いしゆく)を招くのは必至だ」とした。マスコミに対しても冷静な報道を呼び掛けた。

【インド社会】国内販売のハチミツの多くに抗生物質―NGO調査

2010-09-17 Indo CHANNEL

 非政府組織(NGO)のインド科学・環境センター(CSE。本部デリー)は9月15日、ハチミツの有名ブランド数社の製品が健康を害する高濃度の抗生物質に汚染されていると発表した。PTI通信が同日付で報じている。

 CSEの調査によれば、今回、国内市場に出回っている12ブランドを対象に6種類の抗生物質について試験を行った結果、11ブランドから抗生物質が検出された。国内の大手ハチミツメーカーであるダブール、バイディヤナート(Baidyanath)、パタンジャリ・アーユルヴェーダ、カディ、ヒマラヤ各社については、全製品から規定量を大きく上回る2−4種の抗生物質が検出され、オーストラリアとスイスの海外2ブランドにも高濃度の抗生物質が含まれていた。

 CSEのスニタ・ナライン所長は記者会見で次のように語った。「輸出向けハチミツについては抗生物質の含有量が規定されており、政府が健康・安全上の基準を満たしているかをチェックしている。しかし、国内向けのハチミツについては何ら基準がない。これは受け入れがたい事実だ」。

 CSEはリポートで、ハチミツに含まれる抗生物質を摂取することにより、人体に多剤耐性(多くの抗生物質が効かない体質)が引き起こされる可能性があり、投薬治療が無効になる、大規模な院内感染を引き起こすといった健康管理上の深刻な脅威が生れかねないと警告している。

 一方、今回名指しされたメーカーの関係者は「コメントするには時期尚早」だとし、「CSEの調査結果を詳細に検討してからコメントする」(ヒマラヤ・ヘルスケア)としている。

[夕刊企画] 新型多剤耐性菌… 菌種超えて拡大の恐れ

2010年09月16日 読売新聞Yomiuri On-Line

 海外で広がっている、ほとんどの抗菌薬(抗生物質)が効かない新型の多剤耐性菌が今月、日本でも見つかっていたことが分かった。どんな菌なのだろうか? (館林牧子)

              ◇

 この細菌に抗菌薬が効かないのは、菌が作るNDM1という酵素が原因。名前の由来は、インドの首都ニュー(N)デリー(D)で見つかったメタロ(M)βラクタマーゼという酵素、の頭文字だ。

 2008年、スウェーデン在住のインド人男性から初めて発見され、欧米やオーストラリアなどでも見つかった。国内では今月、独協医大(栃木県)の入院患者から検出されていたことが分かった。日本人の例も含め、感染者の多くはインドやパキスタンからの帰国者だ。

 帝京大などで院内感染が起きた多剤耐性のアシネトバクター菌は、重い病気などで免疫力の落ちた人にしか感染しない。これに対してNDM1を作る細菌は、健康な人にも感染する大腸菌などで、世界的にはこの耐性菌の方が問題視されている。

 さらに、このメタロβラクタマーゼという酵素がやっかいなのは、最も広く使われている「βラクタム系」と呼ばれる抗菌薬を効かなくさせることだ。ペニシリンや、現時点で最強の抗菌薬「カルバペネム」もこの系列の薬だ。

 NDM1を作る遺伝子は、細菌の中にあるプラスミドというDNAの中にある。プラスミドを持つ細菌は、線毛という細い管を出して別の細菌にくっつき、プラスミドを移す性質がある。このやりとりは細菌の種類を超えて行われるので、様々な種類の細菌に耐性が広がる恐れがある。

 今のところ、NDM1を作るのは、大腸菌や肺炎桿菌など健康な人の腸内にいる細菌で、通常は何の症状も出ない。尿道に入ると尿路感染症を起こすことがあるが、健康な人なら多くは自然に治る。肺炎桿菌は肺に入ると肺炎を起こすこともあるが、健康な人ならそれもまれだ。

 ただ、尿路感染や肺炎が重症化したり、まれに血液中に入って全身を巡って敗血症を起こしたりすると、薬が効かないため治療が難しくなる。

 これまで報告された感染者のうち、死亡したのはパキスタンで交通事故に遭ったベルギー人男性1人。他の患者は回復した。東邦大微生物・感染症学助教の石井良和さんは「耐性菌の監視は注意深く続けなければならないが、細菌自体の病原性が強くなったわけではなく、現時点で一般の人が過敏になる必要はない」と話す。

 とはいえ、油断は禁物だ。同じような仕組みでメタロβラクタマーゼを他の菌に広げる耐性菌は、NDM1以外にもすでに6種類見つかっており、最初は日本で見つかった。緑膿菌など健康な人には感染しない細菌だったため、注目を集めなかったに過ぎない。

 昭和大臨床感染症学教授の二木芳人さんは「新たな耐性菌は世界中どこでも生まれる可能性がある。菌の検査をして必要な時だけ抗菌薬を使うなど、耐性菌を作りにくい使い方を徹底させなければならない」と警鐘を鳴らしている。

 【プラスミド】 細菌や酵母の細胞内にあるDNA。自分自身の細胞を複製するのに必要な遺伝情報がある染色体とは、別に存在する。

帝京大病院:多剤耐性菌院内感染 1人死亡、34人に

2010年09月15日 毎日新聞 東京朝刊

 多剤耐性菌アシネトバクターによる院内感染で、帝京大病院(東京都板橋区)は14日、入院していた70代の女性患者が同日午後に死亡したと発表した。感染との因果関係などについては、第三者機関「日本医療安全調査機構」で調査するという。感染者58人のうち、死亡したのは34人(感染と因果関係が否定できないのは9人)となった。

 また、10日に死亡した60代の男性は、死亡と感染に因果関係はなかったと、同病院が14日、明らかにした。

多剤耐性菌(1)院内だけじゃない!!市中感染型も★安易な抗生剤投与から

2010.09.14 ZakZak

 既存の抗生物質では歯が立たない「多剤耐性菌」の脅威が進行している。帝京大学医学部附属病院で58人の感染者を出した「多剤耐性アシネトバクター(MRAB)」に、独協医大で国内で初めて確認されたNDM1遺伝子を持つ新型「多剤耐性菌」。いずれも聞き慣れないものだが、一体どんな問題点があるのか。専門医に聞いた。

 現在、多剤耐性菌で問題になっているのは3つ。帝京大などで見つかっている「多剤耐性アシネトバクター」と、今月、独協医科大学病院が公表した「NDM1」遺伝子を持つ「多剤耐性大腸菌」。そして、昨年、九州大学病院が見つけたKPCという抗生物質分解酵素を持つ「多剤耐性肺炎桿菌」だ。

 順天堂大学医学部附属順天堂医院感染対策室長の堀賢准教授は、「感染症には、病院内で感染が広がる“院内感染”と、健康な人が感染する“市中感染”がある。現在、問題となっている『多剤耐性アシネトバクター』は院内感染に限られますが、NDM1遺伝子を持つ『新型の多剤耐性菌』は市中感染する可能性がある」という。

 NDM1遺伝子をもつ耐性菌はこれまでも人体にある大腸菌などから見つかっている。この遺伝子はサルモネラ菌や赤痢菌など毒性の強い細菌に運ばれ健康な人にも広がる可能性がある。つまり、食中毒などで、抗生物質が効かずに重症化しやすくなる恐れがあるのだ。

 東京慈恵会医科大学分子疫学研究室の浦島充佳室長は、「安易に抗生剤を処方する社会においては、急にではありませんが、徐々に(何年もかかって)広がる可能性があります。O157などの大腸菌やサルモネラ菌に移行すると治療が困難になるかもしれません」と指摘する。

 一方、九州大で見つかったKPCは、「多剤耐性アシネトバクター」同様、院内感染に関わる多剤耐性菌。群馬大学大学院医学系研究科の池康嘉教授は、「米ニューヨークで10年以上前に見つかり、世界中に広がる懸念のある多剤耐性肺炎桿(かん)菌です」と説明。KPCが発見された九大の女性患者は、ニューヨークの病院から転院しており、“輸入”された可能性がある。

 ちなみに独協医大でNDM1が発見された男性患者もインドの渡航歴があった。池教授は、「抗生物質の使用と多剤耐性菌の出現は相関関係がある。インドでは日常的に一般の人が処方箋なしで抗生物質を購入使用できるため、いろいろな多剤耐性菌が出現しやすい。NDM1菌は、インドで健康な人が腸管に保菌し、病院内に広まっていることがわかっています」と話す。

 いま健康な人でも不意の事故やケガで入院することもある。院内、市中感染にかかわらずこうした“スーパー耐性菌”から身を守るにはどうすればよいのか。前出の浦島室長は、「新型インフルエンザでは、極端な肥満者に重症化傾向があった。バランスのとれた食事、運動、睡眠により適切な体形を保つことが、感染症の重症化予防にもつながると思います」と話している。

新しい作用のMRSA感染症治療薬を承認申請――万有製薬

2010-9-14 Care management On-Line 業界ニュース 投稿者:cmo_higuchi

 万有製薬株式会社は8月27日、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)感染症の治療薬、「ダプトマイシン」の製造販売承認申請を行ったと発表した。

 MRSAは、メチシリンを始めとして、ペニシリン、アモキシシリン、セファロスポリンなどの多くの抗生物質に対して薬剤耐性を獲得した黄色ブドウ球菌。主に接触感染で呼吸器感染症や敗血症、感染性心内膜炎、皮膚軟部組織感染症などを引き起こし、国内でのMRSA感染患者は、年間約20万人にのぼるといわれている。

 病院内で分離される黄色ブドウ球菌に占めるMRSAの分離頻度はすでに全体の約半数を超え、院内感染の起炎菌の一つとしても大きな問題となっている。抵抗力や免疫力の低下した高齢者が暮らす施設でもMRSA感染は日常的に起きており、命をも奪う強い毒性があるため、日常的な感染予防が不可避となっている。

 「ダプトマイシン」はリポペプチド系抗生物質で、MRSAに有効性を示す新しい作用機序の抗生物質。グラム陽性細菌の細胞質膜に作用し、細胞機能不全を引き起こして、細菌を死に至らしめるというもの。

 海外では米国、欧州をはじめ、現在世界68カ国で承認されており、同社では、すでに国内でMRSA感染症患者に対する有効性と安全性を評価したフェーズIII試験が終了した。日本のMRSA治療における新たな治療選択肢となるものと期待されている。

【耐性菌感染 どう防ぐ県内医療機関】(上)新型 発見導いた学内メール 拡大防止へ患者個室管理

2010年09月14日 下野新聞

 多剤耐性アシネトバクター菌による帝京大病院の院内感染が問題となる中、獨協医大病院の入院患者から抗生剤がほとんど効かない新たな菌が国内で初めて確認された。増え続ける多剤耐性菌を県内の医療機関はどう受け止め、拡大防止に取り組んでいるのか。院内感染対策をめぐる県内医療機関の現状と課題を追った。

 ■■ □

 きっかけは、学内の同僚から届いた一通の電子メールだった。

 8月21日、獨協医大臨床検査医学研究室。同病院の院内感染対策に当たる菱沼昭准教授(53)は、同医大の増田道明教授(52)=微生物学=が院内感染担当者のパソコンへ一斉送信した「警告文」に目を止めた。

 「1週間ほど前、『スーパー耐性菌』といわれるNDM1遺伝子を持つ多剤耐性菌がインドなどを発生源に広がりつつあるという論文が英医学誌に出ました。日本ではまだ見つかっていない菌のようです…」

 ■  ■

 インド、現地で受診、大腸菌…。メールを機に文献を読み進めた菱沼准教授は、インドから帰国後の2009年4月から入院した50代日本人男性患者がとっさに頭に浮かんだ。

 「昨年5月の発熱時に患者から検出した多剤耐性の大腸菌が非常にまれで、それがずっと気になっていた」

 今年8月30日、菱沼准教授は冷凍保存していた患者の菌を遺伝子解析。すると、予想通りNDM1遺伝子の塩基配列と100%一致した。新たな耐性菌の国内初確認となった。

 ■  ■

 「獨協では5年前から、感染症を疑い血液培養した菌はすべて冷凍保存している。その体制が今回の初検出に結び付いた」

 同病院感染防止対策課の臨床検査技師奥住捷子さん(68)は、他医大でも少ない研究保存体制の成果を強調する。

 新たな耐性菌をめぐる学内の情報共有、09年5月に検出していた菌の長期冷凍保存。国内初確認に至った大きな要因だ。

 が、なぜ院内感染を防ぐことができたのだろう。

 同病院は男性患者の新型菌検出前に、検査で別の耐性大腸菌を確認したため感染防止対策を強化。入院時から09年10月に退院するまで個室で管理し、患者もトイレのある個室を一歩も出なかった。医療スタッフは使い捨ての手袋やガウンを着用し、聴診器や体温計も患者専用にした。

 「NDM1は世界中に広まっており、日本でもはやる可能性が高い」。菱沼准教授は「特にインドからの帰国者で発熱など感染症の疑いがある患者が受診した際は、検査体制を強化してほしい」と訴えている。

 ■ズーム■【NDM1】ほとんどの抗菌薬を分解する酵素。ニューデリー・メタロ・β・ラクタマーゼ1の略称で、インド・ニューデリーが発生源とされ名付けられた。大腸菌や肺炎桿菌(かんきん)などの腸内細菌がNDM1遺伝子を持つと、大抵の場合で、ほとんどの抗菌薬の有効性がなくなる多剤耐性菌となる。感染すると、免疫力が落ちている人は最悪の場合、多臓器不全などで死に至る可能性もあり、健康な人でも尿路感染症などが起きる危険性がある。

【耐性菌感染 どう防ぐ県内医療機関】(中)限界 抗生剤の適正使用強化 万全策なく対応苦慮

2010年09月15日 下野新聞

 「ついに出たか」

 ほとんどの抗生剤が効かないNDM1遺伝子を持つ菌。獨協医大病院が国内で初めて確認したことを公表した6日、芳賀赤十字病院でインフェクションコントロールドクター(感染制御医)を務める近藤義政医師(57)は衝撃を受けた。

 インドや欧米に広がりつつあるNDM1の情報は知っていたが、どこか遠い話だった。が、それは「いつ院内で出てもおかしくない身近な耐性菌」に代わった。

  ■    ■

 「今まで以上に抗生剤を適正に使用してほしい」

 同病院は9日、注意を呼び掛ける文書を医師全員に配布した。感染予防の基本は「手洗いの徹底」。同時に抗生剤の適正な使用も大きくかかわる。細菌感染治療などに欠かせない抗生剤だが、「使いすぎや中途半端な使用が耐性菌の進化や増殖につながる」(近藤医師)ためだ。

 同病院では院内感染予防対策委員会を月1回開き耐性菌の出現頻度を把握する一方、病棟の衛生管理状態を定期的にチェックしている。「重要なのは現場の問題意識」と近藤医師は説明する。

  ■    ■

 「熱が下がらないのはおかしい」

 「抗生剤は何を使っているのか」

 10日、大田原赤十字病院外科病棟。院内の感染予防対策を担う「ICT(インフェクションコントロールチーム)」の医師や看護師が矢継ぎ早に意見を交わす。感染症の陽性反応が出た患者らの状態をカルテなどで確認後、病棟を巡回する。

 同病院の特徴は、ICTが抗生剤投与の中止や他剤への切り替えを主治医に進言できる権限を持つこと。阿久津郁夫副院長(51)は「多くの病院で対策の壁となるのは各診療科間の垣根や主治医への遠慮。それを取り除き迅速に対応しなければうまくいかない」と訴える。

 限られた人員と予算で院内感染対策に取り組む各医療機関。万全な防止策はなく、対応に苦慮しているのが現状だ。

 電子カルテに抗生剤の使用方法などを盛り込む計画を進める佐野市民病院の福光正行院長(72)は、耐性菌のたちの悪さを強調する。

 「抗生剤が開発されると細菌が耐性を身につける。それに効く抗生剤がつくられても、再び新たな耐性菌が生まれる。まるでいたちごっこだ」

 ■ズーム■【医療機関の感染防止体制】国は2004年、大学病院などの特定機能病院に、感染対策の専門知識を持つ専任の担当者を配置するよう省令で義務化。07年施行の改正医療法では、すべての医療機関に指針策定や委員会開催を義務づけた。感染防止策を指導できる医師として、日本感染症学会などが認定する「インフェクションコントロールドクター」、日本看護協会が認定する「感染管理認定看護師」がある。

【耐性菌感染 どう防ぐ県内医療機関】(下)基本 問題意識高め情報共有 患者側の協力不可欠

2010年09月16日 下野新聞

 「病棟を閉鎖するかどうか、一時は真剣に悩んだ」

 2006年11月から08年7月まで多剤耐性アシネトバクターの院内感染が続いた自治医大付属病院。同病院感染制御部の森澤雄司部長(44)は当時の心境を率直に打ち明け、患者の受け入れを休止した場合に近隣の医療機関へ与える影響を真っ先に考えた。

「幸い集団感染はない、汚染源も特定し08年8月以降の感染例はほとんどない」

 細菌学の医師を含めた院内環境調査チームの立ち上げや、菌の遺伝子解析もできる研究体制。院内感染の原因究明と対策に独自に取り組める医大病院ならでは強みだ。

 こうした現場の実務的なノウハウなどを県内各地の病院と共有し、感染対策をめぐる地域のレベルアップを目指す−。森澤部長を代表世話人に07年4月に設立されたのが、「栃木地域感染制御コンソーティアム」(TRICK=トリック)だ。

  ■    ■

 「感染対策に関する病院や地域間のつながりが、それまで県内にほとんどなかった」

 トリックの設立準備段階から携わる上都賀総合病院看護部の斎藤由利子部長(52)は、森澤部長の呼び掛けに応じた1人だ。

 トリックの最大の特徴は、感染対策に独自のチェックシートを使い、メンバーが所属する病院の管理状況を別のメンバーが第三者の目で調査する取り組みだ。「施設ラウンド」と呼ばれ、約50のチェック項目を点数化し改善点も明確になる。

 「施設間の横の連携だけでなく、地域の感染対策を向上させることができると思う」と斎藤部長。10病院の医師や看護師ら22人でスタートしたトリックも、現在は22病院の計42人へと倍増した。

  ■    ■

 「新型インフルエンザにしろ、多剤耐性菌にしろ、感染の拡大防止という点では基本は一緒だと思う」。森澤部長は標準的な予防策の徹底を訴えつつ、「施設ごとの実情に合わせた対策を考えるべき」と強調する。

 医療の現場では、院内感染が減れば術後の合併症も減り患者の早期退院につながり、最終的に病院の利益になるという考え方が定着しつつある。

 森澤部長は訴える。「医療従事者だけでなく、患者や家族も正しく手指消毒し、発熱やせきが出る場合などは面会を控える。そうした協力も不可欠だ」

繰り返す菌の“進化”衛生管理で予防を 多剤耐性菌Q&A

2010.09.11 MSN産経新聞

 帝京大病院(東京都板橋区)での院内感染の発覚を契機に、アシネトバクターや緑(りょく)膿(のう)菌、新型の大腸菌や肺炎桿(かん)菌など、ほとんどの抗菌薬が効かない多剤耐性菌の広がりが問題になっている。耐性菌はなぜ出現し、どう予防したらいいのか。

 Q 耐性菌はなぜ出現するのか

 A やみくもに抗菌薬を使ったりするなかで、抗菌薬に耐性を持った菌が生き残って広がっていったと考えられている。ある細菌が耐性をつけると、その性質に効く薬が開発されてきた。しかし、細菌がさらに耐性をつけるという、イタチごっこが続いている。

 Q 多剤耐性アシネトバクター(MRAB)は、いつごろから広がったのか

 A 2000年ごろから欧米で広がり始め、国内では一昨年から今年にかけて福岡大病院や愛知医科大病院などで確認された。韓国や米国など海外から持ち込まれたケースがほとんどだが、帝京大病院のケースは海外との関係が不明だ。

 Q 多剤耐性緑膿菌によるとみられる死亡例も出た

 A 緑膿菌は土や水中にいる一般的な菌。それが抗菌薬に対する耐性を持った。医療器具や水回りを介して感染する。健康な人には無害だが、免疫力が低下した人が感染すると重症化することもあり、院内感染の原因になってきた。

 Q 独協医科大病院では新型の耐性菌が見つかったというが?

 A 抗菌薬を分解するNDM1という遺伝子を持った、新型の耐性大腸菌だ。2009年に初めて確認された。インドやパキスタンの医療機関から欧米に広がり、ベルギーでは死者も確認されている。

 Q 新型の大腸菌は危険なのか

 A MRABや多剤耐性緑膿菌と異なり、これらの菌は健康な人でも膀(ぼう)胱(こう)炎を起こしたり、まれに血液に入って菌が全身の血液をめぐる敗血症を起こすことがある。大腸菌と同じように人間の腸内にいて、毒性が強い赤痢菌などがNDM1遺伝子を獲得した場合には深刻な被害が懸念される。

 Q 九州大病院ではKPCという遺伝子を持った耐性肺炎桿菌が見つかった

 A KPCはNDM1と同じように抗菌薬を分解する遺伝子。欧米で広がっており、国際的に動向が注目されている。

Q 耐性菌の予防方法は?

 細菌は主に接触することで感染する。院内感染を防ぐには、手洗いの励行や湿った場所の衛生管理、トイレや汚物室の消毒、さらに人工呼吸器や点滴の消毒などの対策が極めて重要だ。

多剤耐性菌、新たに5人判明 2人死亡、因果関係調査

2010年09月11日 中国新聞ニュ−ス

 多剤耐性アシネトバクター菌による院内感染問題で、帝京大病院(東京都板橋区)は11日、記録を調べた結果、新たに5人の感染が判明したと発表した。70代の女性が6月に、入院中の60代男性が今月10日、死亡していることも明らかにし、「感染との因果関係は調査中」としている。

 感染者は58人、死者は33人となった。感染と死亡の因果関係が強く疑われるのは9人。

 また同病院は11日、国立感染症研究所や東京都保健福祉局の担当者らと打ち合わせ会を開き、外部の専門家による調査委員会の設置と、国立感染症研究所のチームによる疫学調査を早急に始めることを決めた。

 調査委では、事実関係の解明や責任の所在の明確化、再発防止策を議論し、1カ月後をめどに結論を公表するとしている。

帝京大病院:昨年、東京都が院内感染防止研修参加を指導

2010年9月11日 毎日新聞

 多剤耐性菌アシネトバクターによる院内感染が発覚した帝京大病院(東京都板橋区)に対し、都が昨年8月の定例の立ち入り検査で、院内感染防止のための職員研修への参加率を上げるよう指導していたことが分かった。年2回の研修の参加率が6割程度と低かったためで、院内感染への認識が病院全体で薄かったことが改めて露呈された。

 検査は国と都が年1回、合同で実施し、院内感染の防止体制もチェックしている。昨年8月5日の検査で、08年11月と昨年7月の研修について調べたところ、同病院の参加率はいずれも6割程度だった。研修内容は新型インフルエンザや多剤耐性菌の感染防止対策などを学ぶ内容だった。

 都は「高度な医療を提供する特定機能病院にしては参加率が低かった。感染防止に関する共通の知識がなければ、感染は拡大してしまう」とみている。【石川隆宣】

12%の病院で検出 多剤耐性アシネトバクター

2010年09月10日 中国新聞ニュ−ス

 帝京大病院などでの院内感染が問題となっている多剤耐性アシネトバクター菌について、厚生労働省研究班が今春実施した全国主要病院へのアンケートで、回答した771施設の12%に当たる92施設で検出例があることが分かった。10日の厚労省意見交換会で、研究班の国立国際医療センター研究所の切替照雄・感染症制御研究部長らが報告した。

 多剤耐性ではないものも含むアシネトバクター全体の検出例のうち、耐性菌だった人の割合は微増傾向にあり、厚労省は「院内感染対策の重要性が増している」とみている。

 切替部長らは今年3〜4月、全国の200床以上の病院に2007〜09年度のアシネトバクター検出状況をアンケートし、28%に当たる771施設からの回答を分析した。

 3年間に多剤耐性アシネトバクターを検出したことがある病院は、12%に当たる92施設だった。07年度は39施設、08年度に37施設、09年度に49施設と増加傾向にあった。

 アシネトバクターが検出された患者のうち、多剤耐性だった人の割合は07年度は0・25%(51人)、08年度は0・40%(81人)、09年度には0・49%(97人)と微増していた。検出はたんなど呼吸器系からが67%と最も多く、次いで尿、血液だった。

新潟の病院で院内感染か 21人が下痢など発症

2010/09/11 中国新聞ニュ−ス

 新潟県は10日、同県柏崎市の刈羽郡総合病院で7〜9月、入院患者21人が下痢などを発症、腸炎を起こす細菌の院内感染の疑いがあると発表した。80代の男性が死亡し、「死因との因果関係が完全には否定できない」としている。

 細菌はクロストリジウム・ディフィシル(CD)。県や病院によると、発症したのは呼吸器科病棟に入院していた50〜90代の男女21人。ほかに2人からも同じ細菌の毒素を検出したが、発症はなかった。3日以降、新たな発症者はない。

 発症者のうち80代の男性以外に2人が死亡したが、感染と無関係だった。ほかに重症者はいない。

 CDは高齢者や、抗生物質を長く投与された患者が感染すると、腸炎を発症する。患者の便などに触れた手を介してうつるとされる。

 病院が7日に柏崎保健所に報告。9日、院内感染の疑いがあるとして保健所が立ち入り検査をした。

VRE:患者8人から検出 院内感染?入院や面会制限−−若松病院 /福岡

2010年9月11日 毎日新聞〔北九州版〕

 市立若松病院は10日、60〜90代の入院患者8人からバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)が検出されたと発表した。外科の入院患者から同型の菌が検出されており、院内感染の可能性が高いという。

 同病院によると、8月31日に女性患者の細菌検査でVREを確認。その後、7人から検出された。うち80代のがん患者の男性が死亡したがVREとは無関係で、発症者はいない。10日から全病棟で新規入院患者の受け入れや面会の制限を始めた。【高橋克哉】

多剤耐性菌の発生報告義務化へ 厚労省、アシネトバクター

2010年09月09日 中国新聞ニュ−ス

 帝京大病院での院内感染の原因となった多剤耐性アシネトバクター菌について、厚生労働省は9日、月内に厚生科学審議会感染症部会を開き、この耐性菌による症例を感染症法に基づく報告義務の対象とする方向で検討を始めることを決めた。

 長妻昭厚労相が「全国の多剤耐性菌の把握強化に努めたい」との意向を示したことを受けた措置。

 メチシリン耐性黄色ブドウ球菌などの耐性菌による感染症は、感染症法で定められた「5類感染症」に5種類含まれ、報告義務が課されている。

 5類に含めた場合、すべての医師から報告を受ける「全数把握」か、指定した医療機関から報告を受ける「定点把握」が考えられる。部会ではアシネトバクターをどちらに位置付けるかなども議論。一般からの意見募集などを経て、省令の改正を行う見通しだ。

 また厚労省は9日、帝京大病院が院内感染への対応策として実施している救急患者の受け入れ制限の期間は、1週間程度になるとの見方を示した。事前に決めていたわけではないが、感染防止体制を整えるまでの目安として病院側が国に示したという。

帝京大、救急制限は1週間程度 院内感染で厚労相

2010年09月09日 中国新聞ニュ−ス

 帝京大病院が院内感染への対応として実施している救急患者の受け入れ制限について、長妻昭厚生労働相は9日、同省の対策チームの会議に出席し、制限の期間は1週間程度になるとの見方を示した。厚労省によると、制限期間は事前に決めていたわけではないが、感染防止体制を整えるまでの目安として病院側が示したという。

 帝京大は11日に、国立感染症研究所の研究者ら外部の有識者による調査委員会の初会合を開催。厚労省はこの会合の議論も参考に、同省の院内感染対策中央会議で既存の対策見直しに着手する。

 対策チーム会議では、院内感染の原因菌である多剤耐性アシネトバクターを、感染症予防法に基づく報告対象に含めるか話し合う厚生科学審議会感染症部会を月内に開くことも決定。これに先立ち、専門家との意見交換を10日、非公開で行う。

帝京大病院:感染を担当部に伝えず 半年間の15人分

2010年09月09日 毎日新聞

会見を終え、頭を下げる帝京大病院の森田茂穂病院長(右)と江口研二感染制御委員会委員長=東京都板橋区で2010年9月8日午後0時54分、尾籠章裕撮影

 帝京大病院(東京都板橋区)で発生した多剤耐性菌アシネトバクター・バウマニによる院内感染で、検査部門が09年8月〜10年2月に計15人から同菌を検出したのに、院内感染対策を担う感染制御部に伝えていなかったことが、同病院が設置した調査委員会の報告書で分かった。感染制御部に専従スタッフを初めて配属したのは、感染拡大後の今年5月だったことも判明。同病院の体制の不十分さが改めて裏付けられた。

 報告書や病院の説明によると、検査を担当する細菌検査室では09年8月、男性患者(当時72歳)=同年11月死亡=から初めて同菌を検出。その後の約半年間に検出した14人分も含め、感染制御部には伝えなかった。感染制御部がこの情報を知ったのは10年2月で、臨床医からの連絡だった。

 報告書はこの点について、「感染拡大につながった可能性がある」と指摘。さらに「検出された時の対応方法を、感染制御部を含め病院として明確にしていなかった」「構造的に横の連携・情報共有に欠陥があったと思われる」とした。

 また、感染制御部の体制にも言及。初の専従者は今年5月に配置された看護師だったとし、「感染が拡大した10年4月の時点で感染制御部に専従職員を全く配置していなかったことに対する病院の責務は極めて大きい」と批判した。

 調査委員会には外部の医師2人も参加。報告書は今年8月にまとめられた。【佐々木洋】

病原菌の毒素生成を抑制 府立大准教授ら薬剤開発印刷用画面を開く

2010年09月09日 京都新聞

 病原菌が食中毒などを引き起こす毒素を作ることを抑える阻害剤を、京都府立大生命環境科学研究科の宮崎孔志准教授(病原細菌学)たちのグループが開発した。治療が難しく、院内感染で大きな問題となっている「多剤耐性菌」に毒素をほとんど作らせなくする薬剤としても期待できるという。

 緑膿(りょくのう)菌や黄色ブドウ球菌などの病原菌は、それぞれ特異的なフェロモン様の物質を出して情報交換し、菌が十分に増えたことを互いに確認してから一斉に毒素を出して宿主を攻撃する。フェロモンの働きを阻害する物質は研究されているが、病原菌の種類だけ阻害剤も必要で、実用化には課題が多い。

 宮崎准教授は、多くの病原菌でフェロモンを作るスイッチとなる化学物質が共通していることに注目し、この化学物質を菌体内で合成する酵素の阻害剤を開発した。緑膿菌などの培養液に入れると、毒素の産生を約20分の1に減らすことができた。虫歯菌(ミュータンス菌)でも、歯垢(しこう)の原因物質の産生が約4分の1になった。

 宮崎准教授は「(開発した阻害剤には)殺菌作用がないので、有用な常在菌を殺さない新しいタイプの消毒・除菌剤としても期待できる。動物実験で効果を確かめたい」と話している。

耐性菌でインド在留邦人に注意 日本大使館

2010年09月08日 中国新聞ニュ−ス

 【ニューデリー共同】在インド日本大使館は8日、ほとんどの抗菌薬が効かない多剤耐性菌による院内感染が日本で問題化していることを受け「今後、この耐性菌が世界的に広がることが懸念される」として、在留邦人に注意を呼び掛けた。

 大使館による在留邦人への通知文書では、英医学誌を引用し、調査した感染者29人のうち17人がインドかパキスタンへの渡航歴があり、そのうち14人がインドやパキスタンの病院への入院歴があったと指摘した。

 だが「現時点ではインドで医療行為を受けることのリスクや感染予防法は不明」とし、大使館として引き続き情報収集に努めるとしている。

多剤耐性緑膿菌で4人死亡 都医療センター、20人が感染

2010年09月08日 中国新聞ニュ−ス

 多剤耐性緑膿菌の院内感染について記者会見する、東京都健康長寿医療センターの井藤英喜センター長(左)=8日午後、東京都庁

 多剤耐性菌による院内感染が疑われる東京都健康長寿医療センター(板橋区)の井藤英喜センター長らが8日、都庁で記者会見し、昨年5月以降にセンターの患者20人から多剤耐性緑膿菌を検出し、うち4人が死亡したと発表した。感染と死亡との因果関係は否定できないという。

 センターによると、20人のうち18人は院内感染の可能性がある。感染対策のため医師、看護師らによる対策チームを設置して、抗生物質の使用状況を把握して、使用薬剤などの見直しを進める。

 センターは今年2〜8月までに患者3人から多剤耐性アシネトバクター菌を検出。うち近くの帝京大病院から転院した男性患者(76)が肺炎で死亡した。都は8日夕、医療法に基づいてセンターに立ち入り検査。

院内感染:対策、過半数「専任者1人」 83特定機能病院で−−毎日新聞集計

2010年09月08日 毎日新聞 東京朝刊

 高度な医療を行う施設として国が承認した全国83の「特定機能病院」のうち44病院は、院内感染対策の専任者が1人しかいないことが、毎日新聞の集計で分かった。厚生労働省の08年調査によると、全病院では約7割に専任者がいない。院内感染が問題となった帝京大病院(東京都板橋区)の専任者は2人で、都は専任者の少なさを指摘したが、全国の多くの病院で院内感染対策の体制が十分とは言い難い状況にあることが明らかになった。【福永方人、佐々木洋】

 特定機能病院が厚労省に提出した業務報告書(09年10月時点)を集計すると、専任者数は群馬大病院と順天堂大付属順天堂医院の6人が最多で▽5人=5病院▽4人=4病院▽3人=5病院▽2人=21病院▽1人=44病院▽不明=2病院。厚労省は特定機能病院の要件として院内感染対策の専任者を1人以上置くことを義務づけているが、複数の専門家は「そもそも1人では少なすぎる」と指摘する。しかも「専任者」なのに、他の業務もこなす医師らも少なくないという。

 また、厚労省の医療施設調査(08年)によると、全国8794病院のうち、院内感染対策の専任者がいるのは2787病院(31・7%)にとどまる。900床以上の大規模病院でも4割に満たない。

 院内感染対策スタッフの仕事は▽対策マニュアルなどの作成や実施状況の監査▽院内感染発生状況の監視▽抗菌薬の使用状況のチェック▽院内の講習会での指導▽感染疑い事例があった場合に感染経路の特定作業や感染拡大防止策を進める−−など多岐にわたる。

 日本感染症学会理事の賀来満夫・東北大教授(感染制御学)は「人手不足の病院が多く、帝京大と同様の問題は他の病院でも起こりうる。人員不足の解消策をもっと議論し、院内感染対策の支援や人材育成を早急に進める必要がある」と指摘する。

 そもそも日本は感染症の専門医が少ない。同学会などによると国内の専門医は1019人で、欧米の6分の1〜7分の1程度。同学会は適切な院内感染対策のためには専門医3000〜4000人が必要と試算している。

 こうした状況について、順天堂大大学院の堀賢准教授(感染制御科学)は「現場で行う院内感染対策自体には診療報酬がつかず、投資をする余裕がない病院が多い。だが、院内感染を減らせば患者の早期退院や手術数増加につながる。結果的に病院の収益は向上すると発想を転換し、体制を強化すべきだ」と訴える。

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 ■院内感染対策専任者の配置率

病床数      病院数  専任者配置率
   〜 99床 3339 27.8%
100〜299床 3876 31.9%
300〜499床 1111 37.8%
500〜699床  315 43.2%
700〜899床   90 47.8%
900床以上     63 39.7%
合計       8794 31.7%

 ※08年、厚労省調査

ゴキブリも役立つ:脳から新しい抗生物質、O−157にも効果−研究

2010年09月07日 Broomberg.co.jp

9月7日(ブルームバーグ): : ゴキブリの脳は薬物耐性菌に対しても効果のある新種の抗生物質の原料になる可能性がある。ばい菌を広げる害虫と思われているゴキブリも役に立つらしいことが、英国での研究で分かった。

 英ノッティンガム大学の研究によると、不衛生な環境に生息するゴキブリなどの昆虫は「論理にかなった」進化を遂げて、細菌に対する防護システムを発達させている。ゴキブリやイナゴの脳と神経システムからの組織はMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)やO−157などの大腸菌の90%以上を、人体に悪影響を与えずに殺せるという。

 ゴキブリは住宅内でアレルギーやぜんそくを引き起こすとみられる細菌を、病院では薬物耐性菌を広げることが研究で知られている。米疾病対策センター(CDC)によれば、侵襲性MRSAによる院内感染の患者は毎年、米国で約9万人に上り1万5000人程度が死亡している。

 研究を率いたサイモン・リー氏は6日の発表資料で、「昆虫はしばしば不衛生な環境に生息しさまざまな細菌と接触する。従って、微生物から身を守る仕組みを発達させたのは、論理にかなったことだ」と解説した。研究者らは殺菌作用のある分子9個を発見したという。

 研究結果はソサイエティ・フォー・ジェネラル・マイクロバイオロジーの会合で発表された。

週内にも「NDM1」全国調査 厚労相、対策強化の方針

2010/09/07 中国新聞ニュ−ス

 長妻昭厚生労働相は7日の閣議後記者会見で、「全国の多剤耐性菌の把握強化に努めたい」と強調、「NDM1」という酵素をつくる遺伝子を持つ新たな耐性菌の全国調査を週内にも始める考えを示した。また多剤耐性アシネトバクター菌を国への報告対象にするよう、早期に制度を見直す方針を明らかにした。

 独協医大病院で初めてNDM1をつくる菌が確認されたことや、帝京大病院でアシネトバクター菌が原因の院内感染が発生したことを受けた。

 帝京大病院には、今週中に国立感染症研究所の専門家チームと東京都が入り、院内感染対策を調査する見通しも示した。その結果を受けて、全国の院内感染に関する新しい対応策を検討したいとしている。

 NDM1の調査方法は今後決めるが、関係者によると、疑いのある患者の検体を同研究所で高精度に解析。第2、第3の確認例が出た場合、独協医大での検出例との関連なども明らかにしていくとみられる。

 医療機関では、感染症の患者から採取したたんなどの検体で抗生物質が効くかどうか試験をしている。この試験で複数の抗生物質に耐性を示す大腸菌や肺炎桿菌かんきんなどが見つかった場合、同研究所に送ってもらい、NDM1をつくる遺伝子を持つかどうかを調べる方法が有力という。解析には1週間程度かかる見通し。

 現在は感染症予防法に基づく耐性菌の報告は5種類に限られ、アシネトバクター菌は入っていないが、長妻厚労相は「報告の範囲、種類の見直しの必要があるという問題意識を持っている」と強調。感染症の専門家による部会を早期に開催し、報告対象の菌や、報告を求める病院をどうするかなどを検討してもらう方針。

独協医大で新耐性菌、国内初 ほとんどの抗生物質効かず

2010/09/06 中国新聞ニュ−ス

 独協医大病院(栃木県)は6日、ほとんどの抗生物質が効かない新たな菌が、インドから帰国後の50代の日本人男性から見つかったと発表した。国内での確認は初。患者は既に回復し、ほかの患者への感染もなかったという。

 新たな菌は多くの抗生物質に耐性を示す「NDM1」という遺伝子を持つ。インドやパキスタンが発生源とされ、欧州などで患者が増加。世界保健機関(WHO)などが各国に監視を呼び掛けていた。

 同病院によると、男性は昨年4月に入院、翌5月の血液検査で多剤耐性の大腸菌が1度、検出されたが、当時日本で多かった耐性遺伝子はなく原因不明とされていた。個室管理などの感染対策を取り、感染の拡大はなかったという。

 厚生労働省の注意喚起などを受け、今年8月に保存していた菌を培養して検査。NDM1と確認した。感染経路は不明だが、男性はインドで病院を受診したことがあり、同病院は「インドから持ち込まれたと考えている」としている。

 NDM1は大腸菌や肺炎桿菌かんきんなどの腸内細菌から見つかっており、細菌から細菌へ遺伝子を受け渡し広まる恐れがある。

 これまで多剤耐性が問題になった緑膿りょくのう菌やアシネトバクター菌は、院内感染防止が重要だったが、病院の外にはほとんど広がらなかった。一方、大腸菌や肺炎桿菌は健康な人にもかかわる可能性があり、今回の菌は市中への広がりが警戒と専門家は指摘する。

 英医学誌ランセットや欧州メディアによると、NDM1遺伝子を持つ細菌に感染した人の多くは、医療費の安いインドやパキスタンで美容整形手術などを受けていた。ベルギーでは死者も出た。

国が立ち入り検査 帝京大病院の感染死、警視庁は医師聴取

2010/09/06 中国新聞ニュ−ス

 帝京大病院(東京都板橋区)で入院患者が多剤耐性菌に感染し死亡した問題で、厚生労働省は6日午後から、医療法に基づいた同病院への立ち入り検査を行った。発覚後、国による立ち入り検査は初めて。2日に立ち入り検査している東京都の担当者も加わる。

 また警視庁捜査1課は6日までに、業務上過失致死の疑いもあるとみて医師ら病院関係者への任意の事情聴取を始めた。

 今回の多剤耐性アシネトバクターへの集団院内感染をめぐっては、帝京大病院の連絡態勢のずさんさや、国や都への報告が大幅に遅れたことが感染拡大につながったとの指摘が専門家らから出ている。

 厚労省も病院の対応に不備があった可能性があるとみており、院内感染の防止策の状況や、都や国への報告までの経緯について病院関係者から聞き取りを行う。

 長妻昭厚労相は6日、記者団に「病院には一定程度の管理責任があり、報告するルールがある。ルールがきちんと機能しているか不断の検証が必要だ」と述べ、今後、報告制度の在り方について検討する有識者会議を立ち上げる方針を明らかにした。

 さらに、都道府県を通じて全国の医療機関に対策徹底を求める通知を出すほか、帝京大病院に国立感染症研究所の専門家を派遣し、院内の体制や対応に不備がなかったか、助言を求める。

 一方、捜査1課は既に関連資料の任意提出を受けており、今後は医療専門家からも参考意見を聴き慎重に捜査を進める。

 帝京大病院によると、ほとんどの抗菌薬が効かない多剤耐性アシネトバクターに昨年以降、患者46人が院内感染し、うち27人が死亡。9人は院内感染が死亡の原因となった可能性があるという。

 また、多剤耐性緑膿りょくのう菌の感染により死者が出ていたことも発覚。東京都などによると、院内感染が死因となった可能性が否定できないことも判明した。

 同病院では4月ごろからアシネトバクターへの感染者が相次ぎ、7月に内部調査委員会を設置したが、8月の国と都による合同の定例の立ち入り検査の際も報告していなかった。病院側は「もう少し早く公的機関に報告し、公表すべきだったと反省している」と対応の不備を認めている。

別の院内感染でも1人死亡 帝京大病院、公表せず

2010/09/05 中国新聞ニュ−ス

 多剤耐性アシネトバクターの院内感染が起きた帝京大病院(東京都板橋区)で、入院患者3人が「多剤耐性緑膿りょくのう菌」に院内感染し、うち1人が死亡していたことが4日、東京都への取材で分かった。

 病院は2日に都に報告したが、病院も都も3日の記者会見では公表していなかった。院内感染が起きながら関係機関への報告が後手に回った病院の対応が問題視される中、「感染隠し」とも受け取られかねない今回の非公表に批判も出そうだ。

 一方、都は8月の同病院への定期検査で院内感染を見抜けなかったことを重視し、病院側から自発的な報告がなくても、院内感染の有無や状況を厳しくチェックできるよう検査の在り方の見直しを始めた。

 非公表とした理由を都は「アシネトバクターとは違い、緑膿菌の感染事例は都内でもほかにある。感染規模も小さい」と説明。病院は「(死因は)調査中で、院内感染によるものと断定することは難しい」としている。

 緑膿菌は6月初めから8月初めにかけて、同じ病棟に入院する患者3人から検出。うち心臓の病気だった1人が8月24日に死亡。死因は細菌による敗血症だったが、感染が原因となった可能性も否定できないという。

 帝京大病院では4月ごろからアシネトバクターへの感染者が相次いで出始め、7月に内部調査委員会を設置。調査で昨年10月に1人目の死者が出ていたことが判明したが、病院は今月になって厚生労働省などに連絡。8月4日に都と厚労省が医療法に基づいて行った定期検査の際にも報告していなかった。

藤田保健衛生大も24人感染 多剤耐性菌、2月に確認

2010/09/04 中国新聞ニュ−ス

 多剤耐性アシネトバクター菌の集団院内感染問題で、藤田保健衛生大病院(愛知県豊明市)でも2月以降、入院患者24人が感染していたことが4日、分かった。瀬戸保健所(同県瀬戸市)によると、うち6人が死亡したが、感染が直接の死因となった患者はいないとみられるという。

 同病院の柘植宏憲つげ・ひろのり総務課長は「保健所への届け出や再発防止など適切な対応を取っている」と話した。

 病院によると、2月10日に最初の患者の感染を確認後、別の5人の感染も確認されたため同16日に瀬戸保健所に報告。遺伝子検査の結果、菌株はすべて同一だった。院内で感染が広がった可能性が否定できないとして、検査や感染拡大防止策を強化したという。

院内感染、9人死亡か 帝京大病院、多剤耐性菌に計46人

2010/09/04 中国新聞ニュ−ス

 帝京大病院(東京都板橋区)は3日、ほとんどの抗菌薬が効かない多剤耐性アシネトバクターという細菌に昨年以降、患者46人が院内感染し、27人が死亡、そのうち9人は院内感染が死亡の原因になった可能性があると発表した。

 8月に国と都が合同で立ち入り検査した際に病院側は報告せず、9月2日に厚生労働省と都、板橋区に連絡した。森田茂穂もりた・しげほ院長は「患者の治療を念頭に対応していた。もう少し早く公的機関に報告し、公表すべきだったと反省している」と話している。

 同病院や都によると、4月ごろから、血液病の病棟と腎臓病の病棟を中心に複数の病棟で感染者が出始めた。さかのぼって調べたところ、昨年8月に検出されたのが最初の例だったと推定され、昨年10月に最初の死者が出ていたことが判明。感染者の合計は9月1日までに計46人になった。

 院内感染による死亡の可能性がある9人は53〜89歳の男女。白血病や腎不全などで免疫が低下していたという。27人のうち、ほかの6人は関連が不明、12人は関連はないとみられるという。

 感染者は現在9人で、特定の病棟で病状を管理している。感染が広まった細菌の型はほぼ同一で、セフェム系の一部の抗菌剤は有効という。感染ルートは不明。

 同病院は、7月に内部の調査委員会を設置しており、都は「遅くともその時点で報告すべきだった」としている。

 厚労省は昨年1月、この菌による院内感染が福岡大で判明したことを受け、都道府県などを通じ、全国の医療機関に感染防止体制の徹底を求めていた。今後、感染症関連の学会に現場への注意喚起を求める方針。

WHO、加盟国に呼び掛け、新種細菌の感染監視を

2010/08/21(土) Searchina

 【ジュネーブ共同】インド、パキスタンが発生源とみられ、ほとんどの抗生物質が効かない新種の細菌に感染した患者が欧州などで増えている問題で、世界保健機関(WHO)は20日、加盟各国に院内感染の予防と感染状況の監視を呼び掛けた。WHOは処方せんなしでの使用など、抗生物質の乱用が感染拡大につながるとみており、「世界的な医療問題になっている」と警告している。(情報提供:共同通信社)

耐性菌で自治体に注意喚起 厚労省、欧州での報告受け

2010年08月20日 中国新聞ニュース

 多くの抗生物質に耐性を示す新種の細菌に感染した患者が欧州を中心に報告された問題を受け、厚生労働省は20日までに、都道府県などに対し、国内での発生に備えて医療機関に情報を提供しておくよう注意喚起した。

 同省によると、いまのところ国内で感染例は確認されていない。

 この耐性菌はNDM1という酵素を作る遺伝子が腸内細菌に入ったもので、遺伝子が別の菌に広がって新たな耐性菌ができる可能性も懸念されている。ただ、健康な人の体内にあるだけなら基本的に無害だとしている。

 医療機関で患者が見つかった場合は他の患者にうつらないよう対処し、症状のない場合は消失するのを待ち、症状がある場合は有効な抗菌薬を使用するなど積極的な治療を求めている。また、海外渡航歴などを聞き、国立感染症研究所へ情報提供するよう要請した。

新種の細菌感染で初の死者 ベルギー

2010年08月16日 中国新聞ニュース

 【ブリュッセル共同】インド、パキスタンが発生源とみられ、ほとんどの抗生物質が効かない新種の細菌に感染した患者が欧州などで増えており、ベルギーで16日までに最初とみられる死者が確認された。欧米メディアによると、英国、フランス、ベルギー、オランダ、ドイツ、米国、カナダ、オーストラリアで感染が確認され、今後さらに拡大する恐れがあるという。

 英医学誌ランセット最新号によると、何種類かの細菌が「NDM1」と名付けられた遺伝子を持ち、ほとんどすべての抗生物質に対して耐性を持つようになった。こうした細菌に感染すると死亡率が非常に高くなるため、感染への監視強化と新薬の開発が必要だとしている。

 同誌によると、英国では約50件の感染が確認されている。感染者の多くは、医療費の安いインドやパキスタンで美容整形手術などを受けており、同誌は感染源は両国との見方を示している。

薬剤耐性菌の感染で初の死亡確認、ベルギー人男性

2010年08月15日 AFP BBNews 発信地:ブリュッセル/ベルギー

ベルギー・アントワープ(Antwerp)の病院で、細菌を培養したシャーレを持つ研究者(2010年8月13日撮影)。(c)AFP/BELGA/JORGE DIRKX

【8月15日 AFP】パキスタンを旅行していたベルギー人男性が、南アジア起源の薬剤耐性菌に感染し、帰国後に死亡していたことが明らかになった。ブリュッセル(Brussels)でこの男性を治療していた医師が13日、同国のメディアに明らかにした。この細菌による死者が明らかになったのは初めて。

 これよると、男性は旅行中に交通事故で脚に大けがを負い、現地で入院して治療を受けた後、ベルギーに帰国していた。帰国時にはすでに感染していたという。コリスチンという強力な抗生物質を投与したが効果がなく、6月に死亡した。

 ベルギーでは、この男性とは別に故国のモンテネグロを旅行中に事故に遭い、モンテネグロで入院した後に感染していることが分かった男性も確認されている。この男性は帰国後にベルギーで治療を受け、7月に回復した。

 ルーヴェン大学(University of Leuven)の細菌学者、Youri Glupczynski氏はAFPに対し、「この細菌の発生の中心はインドとパキスタンだとみられるが、接触と旅行によって広い地域に広がっているようだ」と語った。

 この細菌は、NDM-1(New Delhi metallo-beta-lactamase-1)という酵素遺伝子を持ち、多剤耐性菌による症状の救急治療の現場で「最後の手段」とされているカルバペネム系抗生物質にさえ耐性を示すことから、世界的な感染拡大が懸念されている。(c)AFP

インド、「NDM-1」とインドとの関連に反対

2010-08-13 cri online [A A A]

 インド衛生省は12日に声明を発表し、一部の西側メディアが最近、新しく現われたNDM-1(New Delhi Metallo-1)と呼ばれるメタロβラクタマーゼタイプウィルスをインドと関連付けたことに強く反対し、「インドでは、いま、いかなる病気の脅威も全くなく、インドへの医療観光は非常に安全だ」と強調しました。

 声明はまた、「一部の西側メディアは不完全な症例報告書によって、原因不明の病気をインドと結びつけた。これは誤まったやり方で、非常に不公平だ。インドの首都ニューデリーの名前をこの病気に使用したことに強く反対する。インドの医療機関はインドで医療観光する外国人患者に、優れた医療や保健のサービスを提供し、このような病気の脅威はまったくなく、インドで観光したり治療を受けたりすることは非常に安全だ」としました。

 同じ日、インド衛生省医薬研究局のカトシ局長はニューデリーで記者のインタビューに対し、「このような症例はいくつかの国に現われているもので、西側諸国からの観光客がウィルスをインドに持ち込んだ可能性もある。いま、インドの医療機関はウィルスの感染ルートの研究に取り組んでいる」と語りました。

 11日に発行されたイギリスの医学雑誌「ランセット」によりますと、いま、新しい病気が一部の国で広がっています。西側諸国の医学専門家は、この病気を誘発する細菌の中に特別なたんぱく質が存在しており、それを「メタロβラクタマーゼタイプ」と言い、NDM-1と略称で表しています。多くの感染者はインドやパキスタンで観光したり、治療を受けた経験があるため、研究者は「NDM-1」ウィルス源はインドにあると見ています。報道によりますと、この新しいウィルスは飲用水を通して体内に入り、腸の感染症を誘発します。ほとんどすべての抗生物質に耐性を持ち、死亡率が非常に高いということです。(08/13 翻訳者:Lin チェッカー:吉野)

去年、香港で多剤耐性菌を発見

2010-08-13 cri online [A A A]

 このほど、各国のメディアが多剤耐性菌(NDM-1)の関連ニュースを相次いで発表しています。そして香港のメディアは「このばい菌は去年香港で発見されていた」と報道しています。

 ある国際研究チームは11日「特殊な遺伝子を持ったこの異なる種のばい菌には多剤耐性があることを発見した。このばい菌による感染例が南アジアとイギリスで見つかった」という報告を出しています。

 香港の新聞『経済日報』は13日、「去年の10月、66歳のインド国籍を持つ男性の尿液からNDM-1が含まれた大腸桿菌が検出された」という文章を掲載しました。

 香港衛生防護センターはこのことについて「このばい菌には常用の泌尿器感染を治療する抗菌剤が効果を発し、患者は全快した。当センターはWHO・世界保健機関や関連組織と感染例をフォローする」としています。(08/13 翻訳:yin)

薬剤耐性示す細菌の遺伝子、南アジアから世界に拡散の恐れ

2010年08月11日 AFP BBNews 発信地:パリ/フランス

【8月11日 AFP】インドを中心とする南アジアで、形成外科手術や美容整形術を受けた人が薬剤耐性の高い細菌に感染する例が増えており、専門家は注意を呼びかけている。

 英カーディフ大学(Cardiff University)のティモシー・ウォルシュ(Timothy Walsh)氏は2009年、2種類の細菌、すなわち肺炎桿菌(クレブシエラ菌)と大腸菌の中に、異なる種の細菌を行き来できるNDM-1(New Delhi metallo-beta-lactamase-1)という遺伝子を初めて特定した。保菌者はインドの病院で手術を受けたスウェーデン人だった。

 NDM-1をもつ細菌は、多剤耐性菌による症状の救急治療の現場で「最後の手段」とされているカルバペネム系抗生物質にさえ耐性を示すため強く懸念されている。

 11日の英医学専門誌「ランセット(The Lancet)」に掲載されたカーディフ大学とインド・マドラス大学(Madras University)による研究でNDM-1の感染例が報告された。

 インドで疑わしい症状を示した入院患者を調査したところ、同国南部のチェンナイ(Chennai)で44人(検査した患者の1.5%)、北部のハリヤナ(Haryana)で26人(同8%)の感染者が見つかった。さらにバングラデシュとパキスタンに加え、英国でも37人が感染していることが分かった。英国の感染者の一部は最近、インドあるいはパキスタンで美容整形手術を受けていた。

 論文で研究チームは「英国人以外にもインドで整形手術を受ける欧米人は多いため、NDM-1は世界中に広がる恐れがある。航空機による移動が増えた今では、遺伝子は簡単に国境を越える」と警鐘を鳴らしている。

 専門家は、インドで医療処置を受けた人は、自国で治療を受ける際に多剤耐性菌に感染していないか検査を受けるべきだと忠告している。(c)AFP

強力な多剤耐性菌、米から帰国・入院の男性から

2010年04月07日 読売新聞Yomiuri On-Line

 千葉県の公立病院に昨年7月に骨盤骨折で入院した20代の男性から、国内で標準的に使われる約30種類の抗菌薬が効かないアシネトバクター菌が検出されていたことが7日分かった。

 同病院の二次感染は起きていない。男性は、別の菌の増殖を抑える薬で治療を受け、退院した。

 国立感染症研究所によると、福岡県や愛知県でも多剤耐性菌は見つかっているが、今回の菌は海外でも数例しか報告されていない強いタイプ。男性は留学先の米国で交通事故にあい、現地で初期治療を受けた後、同病院に入院していた。

 アシネトバクター菌は、土や水回りに存在する細菌。健康な人は触れても問題ないが、免疫力の落ちた人が感染すると、肺炎や敗血症などを併発する。

多剤耐性菌に23人院内感染 4人死亡、福岡大病院救命センター

2009/01/23 中国新聞ニュ−ス

 昨年十月から今年一月にかけて、福岡市の福岡大病院救命救急センターの集中治療室(ICU)に運ばれた患者ら二十三人が、ほとんどの抗菌薬が効かない多剤耐性のアシネトバクター菌に院内感染、うち二十―六十代の男女四人が死亡していたことが二十三日、分かった。

 病院側は「二人は感染と無関係の死亡だが、残る二人は因果関係がないと断定できない」としている。同病院は救命救急センターへの患者の受け入れを二十三日から中止。福岡市や国立感染症研究所と連携し、死因の特定や感染経路など詳しい調査を進める。アシネトバクター菌による院内感染は国内では極めて珍しいという。

 福岡市によると、アシネトバクター菌は土壌など自然界に広く存在しているが、免疫力が低下した状態で感染すると、重い肺炎や敗血症を発症し死亡することもある。


院内感染の可能性を指摘 東京医大病院の外部調査委

2007/06/08 The Sankei Shimbun WEB-site

 東京医大病院(東京都新宿区)で昨年8−9月に、がんで入院中に死亡した女性4人を含む5人から、複数の抗生物質が効かない多剤耐性緑膿(りょくのう)菌が検出された問題で、同大は8日までに「院内感染の疑いが強く、1人については感染が死因となった可能性が高い」とする外部調査委員会の調査結果を公表した。

 死亡した残る3人のうちの2人についても、感染による敗血症などが死因の可能性が否定できないとしており、同病院は「今後さらに感染症対策を徹底させたい」としている。

 報告書によると、5人が入院していた同じ階にある汚物処理室の流しから多剤耐性緑膿菌が検出された。遺伝子解析の結果、5人の血液などから検出された菌と同一もしくは近縁であることが判明したため「院内感染が強く疑われる」と指摘した。感染経路は特定できなかったが、医療器具や職員の手を通じて感染が広がった可能性を否定できないとした。

国立病院機構に2100万円賠償命令 院内感染過失認定

2007年06月01日 asahi.com

 神戸市須磨区の神戸医療センター(旧国立神戸病院)で93年7月、出生直後にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に感染し、左足に障害が生じたのは、院内感染予防や治療が不十分だったのが原因として、兵庫県内の中学生が、独立行政法人国立病院機構を相手取って約3400万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が1日、神戸地裁であった。亀田広美裁判長は「医師は適切な治療を行うべき注意義務を怠った」と述べ、同機構に慰謝料など約2100万円の支払いを命じた。

 判決では、病院側の感染予防対策について「標準的な対策が講じられていた」としたが、医師の治療について「有効な薬を投与しないなど注意義務違反があった」として過失を認めた。

 中学生は旧国立神戸病院で生後9日目に発熱。転院先の病院でMRSA感染による髄膜炎と敗血症と診断された。その後、MRSAで両ひざが炎症を起こし、手術を受けたが、関節の変形で左足が短くなる障害が残った。

 神戸医療センターの長井義美・事務部長は「判決内容を十分検討し、関係機関と相談のうえ、今後の方針を決めたい」とのコメントを発表した。

日水製薬、院内感染菌の検出キットを販売

2007年05月24日 The Chemical Daily News

 日水製薬は23日、偏性嫌気性有芽胞グラム陽性棹菌であるクロストリジウム・ディフィシルが産出する毒素を検出する簡易迅速キットを6月1日から販売開始すると発表した。同細菌は院内感染の原因菌の1つで、偽膜性大腸炎や下痢症などを引き起こす。国内での関連下痢症の検査は現在約17万検体と推定されているが、厚労省が同細菌にかかわる院内感染対策の徹底を今年4月2日に打ち出し、検査ニーズの高まりが予想されている。新製品は、米TECH LAB社が開発した対外診断用医薬品「TOX A/B QUICK CHEK」。クロストリジウム・ディフィシルが産出する腸管毒素のToxinAと細胞毒性であるToxinBの2種類の毒素を、糞便検体から短時間(約30分)で直接検出できる。日水製薬は同製品の製造販売承認を今月2日付で取得した。

(上)院内感染を防ぐ司令塔

2007年04月24日 読売新聞Yomiuri On-Line

高い専門知識で現場指導

 高度な技術や判断が求められる医療の現場で、専門的な知識を習得した認定看護師が活躍している。病院の安全に欠かせない感染管理の取り組みを追った。(内田健司)

 「外泊から戻った患者が下痢や、嘔吐(おうと)をしている」。東京慈恵医大付属病院(東京都港区)の菅野みゆき・看護師長(39)は、病棟主任からの連絡を受け、病棟に急行した。患者を直ちに個室に移した後、食事の内容を確認したところ、刺し身を食べていたことが判明。ノロウイルスによる感染性胃腸炎が疑われたため、職員にマスクの着用を指示した。さらに、患者の吐物や便を処理する際に手袋とガウンを装着するよう指示した。

 このときはノロウイルスも検出されず、二次感染もなかったが、院内ではヒヤリとする事例が尽きない。

 菅野さんは、看護学校を卒業し、同病院に勤めて19年目。病院の国内留学制度を利用して、2002年に感染管理認定看護師の資格を取得した。現在、院長直属の医療安全推進室の一員として、医師らとともに感染管理に目を光らせる。

 当初は、指導内容に反発する職員らも少なくなかったというが、「院内感染は、誰か一人でも守れないとそこから広がってしまう」と、ねばり強く訴え続けた。最近では医師側の問いあわせも増えるなど、信頼関係を築き上げてきた。

職場の橋渡し役

 菅野さんにはこんな役割もある。夜勤明けの看護師が帰宅後に発熱し、インフルエンザと診断された場合、その看護師がかかわった患者をリストアップする。主治医を通じて事情を説明するとともに症状を観察し、場合によっては、予防薬の投与を検討し、患者の同意を得た上で実施するといった手順を主治医に伝える。同僚の看護師らには勤務中、マスクを装着するよう指示した。

 菅野さんの発案で実施した調査もある。患者の治療に欠かせない血管内カテーテルは、感染を引き起こす元凶ともなる。昨年、外科病棟の看護師に、けい部や手の甲などカテーテルを刺した部位の皮膚の状態などを毎日記録してもらい、感染状況をきめ細かくチェックした。

 最も重要な仕事は、週1回の巡回指導。一般病棟や集中治療室の患者から検出された菌の検査結果を踏まえ、感染制御部長の小野寺昭一教授ら医師や薬剤師、検査技師と実地指導にあたる。

 小野寺教授は「診療に追われる医師とは別に、経験だけでなくエビデンス(根拠)に基づく指導が出来る認定看護師は絶対必要な存在だ」と強調。院内で、様々な職種との橋渡し役を務める菅野さんの仕事ぶりを評価する。

17分野2486人取得

 看護職員の専門性を高めるため、日本看護協会が認定看護師の資格を独自に創設したのは1995年。救急、ホスピスなど17分野が対象で、これまでに計2486人が取得している。中でも、感染管理は、合格者の数が390人と2番目に多い人気分野だ。

 厚生労働省も院内感染対策に力を入れており、04年1月から、大学病院などの特定機能病院で、専門知識を持った看護師などを、専任の院内感染対策者として配置することを義務づけている。ほとんどが認定看護師で、慈恵医大でも、05年から専従の看護師2人体制を組んでいる。

 小路美喜子看護部長は「感染管理は、他に比べても権限が与えられ、看護師の役割もはっきりしている。必要な知識の集積を怠らず、現場の底上げに力を入れてほしい」と期待を寄せる。

認定看護師の合格者総数(多い順)

▽WOC(創傷・オストミー・失禁)看護(442)▽感染管理(390)▽重症集中ケア(330)▽ホスピスケア(303)▽救急看護(235)▽がん性疼痛(とうつう)看護(224)▽がん化学療法看護(148)▽糖尿病看護(114)▽手術看護(62)▽新生児集中ケア(56)▽不妊看護(52)▽透析看護(37)▽摂食・嚥下(えんげ)障害看護(31)▽乳がん看護(20)▽訪問看護(17)▽小児救急看護(15)▽認知症高齢者看護(10)

VRE院内感染 患者3人が死亡

2007年05月11日 読売新聞Yomiuri On-Line

東海大大磯病院「死因別」

 東海大学付属大磯病院(神奈川県大磯町、岡義範院長)で入院患者15人からバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)が検出されたことが10日、分かった。院内で感染したとみられる。うち3人が死亡しているが、病院側は「直接の死因ではない」としている。

 病院によると、4月17日、発熱した女性患者(83)からVREを検出。同じ病棟の患者の検査を進めた結果、今月7日までに34人のうち14人の感染が判明した。今月に入って亡くなった3人の死亡時の培養検査ではVREは検出されず、病院はいずれも持病が死因と説明している。

 病院は感染者を個室に移し、病棟と病室を消毒。8日からほかの病棟の患者も検査している。

犠牲者相次ぐ院内感染

2006年11月24日 読売新聞 Yomiuri On-Line

新たな耐性菌や経路続々 専門家の養成が急務

 院内感染が各地の大学病院などで相次ぎ、犠牲者が後を絶たない。これまで問題となっていたMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)以外の細菌や、従来になかった新たな感染ルートが次々と判明し、事態は深刻化している。だが、感染の拡大防止やルートの調査などの専門家が不足し、対策が追いついていない。(医療情報部 鈴木敦秋)

セレウス菌

 今年9月、自治医大病院(栃木県下野市)は、数か月前に死亡した患者2人と、片方の目を失明した1人がセレウス菌に集団感染していたと発表した。自然界に広く存在する菌で、健康な人には危険はないが、病気などで抵抗力が落ちた人には、強力な病原体になる。重症患者が集まる大病院ほど危険は大きい。

 1か月前の8月、同大感染制御部長の森澤雄司助教授(40)は、コンピューター画面を見て首をひねった。

 「多いな……」

 毎日800件以上の検体データを点検するが、血液培養で何らかの菌が出た十数件のうち3、4件にセレウス菌がある。従来はこれほど頻繁ではなかった。

 森澤助教授や検査技師、看護師ら4人の感染制御チームが調べた結果、患者8人が感染した疑いが浮上した。点滴チューブを毎回交換するルールが守られず、感染要因になった可能性があった。感染源として、患者の体をふくおしぼりやタオルに焦点が当たった。

 森澤助教授らが、病院から洗濯を委託されていた工場で、タンクローリーのような洗濯機を検査したところ、内部から通常の100倍程度のセレウス菌が検出された。工場は80度で10分間滅菌する規定通りの処理をしていたが、セレウス菌はこの温度では死なない。盲点をつかれた形だった。

多剤耐性緑膿菌

 高知大病院(高知県南国市)は今年5月、多剤耐性緑膿(りょくのう)菌(MDRP)に60歳以上の5人が感染したと発表した。抗生物質が効かないやっかいな細菌だ。死亡した患者から採取したものと同じ遺伝子型の菌が、発熱した別の患者から見つかり、集団感染が判明した。

 「あっ、まさか。これかもしれない!」

 感染源を調べていた感染管理認定看護師の有瀬和美さん(45)は、汚物処理室で、プラスチック容器に入った、ぬれたスポンジブラシを見つけ、息をのんだ。

 看護師が患者の簡易トイレをブラシで洗い、そのまま戻していた。ブラシを通じて他の簡易トイレや患者に感染が広がっていた。だが、国立大学病院で作る協議会の対策指針にも、掃除器具の扱いに関する項目はない。高知大病院はブラシを廃棄し、簡易トイレを小型のものに替えて自動洗浄機で洗うようにした。

 この菌を巡っては、東京医大病院(東京都新宿区)でも先月、がん患者5人が感染、4人が死亡していたことが分かった。感染経路は特定できていない。

 感染制御の専門家は「今後も様々な感染ルートや新しい耐性菌が出現することは間違いない。ルートの特定や感染拡大の防止を行う専門家の養成が必要」と口をそろえる。

対策

 自治医大や高知大では、感染対策の専門スタッフによって原因が突き止められた。だが、そうした職員がいない病院も多く、検査体制が不十分で、複数の患者が死亡しても集団感染に気づかない例さえある。感染原因の調査に不可欠な疫学の専門家も、国立感染症研究所の専門コースを修了した医師は20人程度だ。

 MRSAやMDRPは、約500の医療機関で定点観測され、検出件数はそれぞれ年間約1万8000件と約700件。しかし、うち何件が院内感染だったか調査はなく、実態は不明だ。

 「感染の情報を報告、共有する仕組みが必要」。そう指摘する賀来満夫・東北大教授(53)らは、東北地方の医療機関や高齢者施設、保健所など約200施設で感染対策ネットワークを作った。大学の専門スタッフが施設に出向き、感染の拡大防止や原因究明の支援、人材育成に取り組む。

 厚生労働省は一昨年、大学病院など特定機能病院に専任の院内感染担当者の配置を義務づけ、中小病院からの相談にも応じるモデル事業を始めた。

 賀来教授は「病院、診療科の壁を超えて感染は広がる。感染症は社会の共通リスクと認識してほしい」と医療従事者、患者双方の意識改革の必要性を訴える。

◇ ◇

抗生物質乱用が助長

 日本は、医療機関で検出される黄色ブドウ球菌のうち、抗生物質の効かないMRSAの割合が約65%と、世界一高い国の一つだ。

 薬の過剰使用が大きな要因だ。多くの細菌に効く「万能薬」とされるカルバペネム系の抗生物質は、日本が世界の使用量の2分の1を占める。他の抗生物質も、軽い風邪や切り傷などで安易に使われている。

 こうした薬の乱用が耐性菌を出現させる危険性は以前から指摘されてきたが、薬剤を処方するだけ医療機関の報酬が増える「出来高払い」の医療体制のため、改善は進まなかった。

 オランダでは、MRSAが検出されると、感染者を個室に隔離し、専門チームが感染ルートを素早く遮断するシステムが普及、MRSAの比率を1%未満に抑えている。病床の稼働率が65%程度であることがこの対策を可能にしているが、病床が常に満床に近い日本では、保菌者がいても、個室に移すこともなく、他の患者に知らせずに治療することが少なくない。

 米国でも感染予防策や専門家の研修システムを確立し、院内感染の専門看護師を病床250床当たり1人置くよう勧告している。

 感染管理認定看護師 感染防止のため日本看護協会が2000年に始めた制度。半年間約600時間の講義と現場経験により、約400人が認定された。感染対策を行う医師の認定制度もあるが、学会推薦で、4780人いる。

◇ ◇

院内感染が疑われる今年の主な事例 2月 長野 JA長野厚生連篠ノ井総合病院 患者13人と看護師8人がノロウイルスに感染、患者1人が死亡 5月 高知 高知大病院 患者5人が多剤耐性緑膿菌に感染、1人死亡 6月 埼玉 埼玉医大病院 2004〜05年に多剤耐性緑膿菌に集団感染、6人死亡 6月 東京 都老人医療センター 昨年、患者5人が多剤耐性緑膿菌に感染、1人死亡 9月 栃木 自治医大病院 患者8人がセレウス菌に感染、2人死亡、1人失明 9月 長崎 長崎大病院 患者、医師計23人がノロウイルス感染で胃腸炎発症 10月 東京 東京医大病院 患者5人が多剤耐性緑膿菌に感染、4人死亡 11月 大阪 坂本病院分院 患者、職員計20人がノロウイルスに感染、患者1人死亡、1人重体

緑膿菌、月平均4人感染…埼玉医大

2006年10月14日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 埼玉医大病院(埼玉県毛呂山町)で、2005年12月までの2年間に入院患者約100人から抗生物質の効かない多剤耐性緑膿(りょくのう)菌(MDRP)が検出され、6人が死亡した問題で、埼玉県は16日、現在も新たな感染者が発生しているとして、同病院に立ち入り調査した。

 この問題で県が同病院を調査するのは今年7月に次いで2回目。調査では、緑膿菌が検出された白血病患者1人が9月に死亡し、7〜9月の3か月間で月平均4人が感染していたことがわかったという。

 県医療整備課の三田一夫副課長は「前回調査時と比べ、かなり感染を防ぐ取り組みが行われるようになったが、MDRPの検出数が減っていない」と指摘。同病院に対し、感染防止対策の徹底と、毎月のMDRP保菌者数を坂戸保健所(埼玉県坂戸市)に報告するよう求めた。

 同病院の横手祐二病院長は「病院としては、感染対策に真摯(しんし)に対応してきた。今回の県の意見を踏まえ、さらに改善をはかる」とコメントした。

東京医大病院、緑膿菌感染4人死亡

2006年10月17日 読売新聞 Yomiuri On-Line

院内感染か同じ病棟の患者

 東京医科大病院(東京・新宿区)は16日、今年8月から9月にかけて、同じ病棟に入院していたがん患者5人が、抗生物質の効かない多剤耐性緑膿(りょくのう)菌(MDRP)に感染し、うち4人が死亡したと発表した。院内感染の疑いがあり、同病院では院外の有識者を加えた調査委員会を設置し、感染経路や死亡との因果関係などを調査する。

 同病院によると、8月に40歳代の女性患者が抗がん剤による治療を受けた後、肺炎にかかって死亡し、たんからMDRPが検出された。9月にも、50歳代の女性患者2人が抗がん剤の治療後に肺炎になって死亡。血液からMDRPが検出された。3人とも、抗がん剤治療により、免疫力が落ちた状態だったという。

 この時点で、院内感染による集団発生が疑われたため、同じ病棟に入院していた35人について検査したところ、別の50歳代女性患者と60歳代の男性患者からもMDRPを検出。その後、女性患者は多臓器の障害や肺炎により死亡。男性患者は回復し、退院した。

 5人は同一病棟の同じ階に入院しており、うち3人は同じ病室だった。同病院全体では、MDRPの保菌者や発症者は年間15人程度見つかっているが、同一時期に複数事例が発生したことはなかったという。患者から検出された菌については、DNA分析を行い、同一の菌による感染かどうか確認する。

 厚生労働省内で記者会見した同病院の岩本俊彦院長は、「MDRPにより死亡したという疑いは否定できないが、特定は難しい。(病院の責任については)外部の調査に判断していただくしかない」と述べた。

入院患者5人死亡 院内感染の疑い

2006年09月28日 読売新聞 Yomiuri On-Line
長崎大付属病院

 長崎市の長崎大医学部・歯学部付属病院(江口勝美病院長)は27日、入院患者5人が2月から8月にかけて死亡し、いずれも体内から抗生物質の効かない多剤耐性緑膿菌(りょくのうきん)(MDRP)を検出したと発表した。

 病院によると、5人は50〜70歳代の男性。入院の経過は、患者のプライバシーを理由に明らかにしていない。

 このうち4人は同じ病棟で、うち1人が2月、別の1人が6月に死亡。さらに2人が8月に相次いで死亡し、いずれもMDRPに感染していたことから、内部で調査してきた。また、別の入院患者1人も保菌しているが、発症していない。

 MDRPは、健康な人は感染しても発症しないが、抵抗力が弱い患者は重症に陥る場合があるという。

セレウス菌に院内感染か、2人死亡・1人失明

2006年09月14日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 栃木県下野市の自治医大付属病院(島田和幸院長)は13日、今年4月以降、入院患者8人が食中毒を起こすセレウス菌に院内感染したとみられると発表した。

 うち2人は死亡、1人は片方の目を失明しており、病院は感染との因果関係を調べる。

 8月中旬、発熱などの症状を示した患者がおり、病院が調べたところ、計24人からセレウス菌を検出。うち8人が血液中に細菌が侵入する菌血症とみられた。外部委託業者が洗った洗濯物を調べると、通常は1平方センチあたり数個のセレウス菌が、タオルから1万個以上、シーツから数百個検出されており、病院は、点滴時に患者の血液に入ったとみている。

 同様の事例は、1992年に英国で起きているが、国内では初めてとみられるという。ただ、死亡した2人は、重病で入院していたため、セレウス菌感染との因果関係は不明としている。

 セレウス菌 土壌、水中などの自然界に広く存在し、食中毒を引き起こす。毒性は弱いが、100度での加熱やエタノール消毒では死滅しない。

24人院内感染し2人死亡/自治医科大病院

2006/09/13 さきがけ on the web

 自治医科大病院(栃木県下野市)は13日、4−8月に入院患者24人が食中毒を引き起こすことで知られるセレウス菌に集団感染し、8人が発熱など菌血症とみられる症状を発症したと発表した。うち2人が死亡、1人が片方の目を失明した。

 今後、外部の専門家が感染と死亡の因果関係を調査する。2人はもともと重い病気で免疫力が低下していたとみられる。病院は「セレウス菌は弱毒性なため、通常では菌血症だけが原因で死亡することはない」としている。

 病院によると、一般には1平方センチで数個しかないセレウス菌が、栃木県内の業者に洗濯を委託した患者用タオルから約1万個、シーツから数百個が検出された。この大量の菌が点滴などの際に血液に入り、感染したとみられる。

都老人医療センター、院内感染で1人死亡

2006年06月24日 読売新聞 Yomiuri On-Line
多剤耐性緑膿菌検出

 東京都は23日、都老人医療センター(板橋区)で昨年7月から12月にかけて、抗生物質の効かない多剤耐性緑膿(りょくのう)菌が入院患者5人に院内感染し、うち1人が死亡した疑いがあると発表した。

 同センターによると、死亡したのは77歳の男性肺炎患者。5人から検出された緑膿菌はいずれも遺伝子型が同じで、診療などを通して感染した可能性があるという。同センターの稲松孝思感染症科・研究検査科部長は「死亡した患者は抵抗力が落ちていた。緑膿菌は最近、多発傾向にあり、これからも警戒が必要だ」と話している。

埼玉医大で院内感染? 患者から多剤耐性緑膿菌

2006年06月23日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 埼玉医科大病院(埼玉県毛呂山町)で、2004年1月から2005年12月までの2年間に、抗生物質の効かない多剤耐性緑膿(りょくのう)菌(MDRP)が100人以上の入院患者から検出されたことが22日、わかった。

 このうち、がん患者ら6人が死亡していた。感染源と感染経路は特定できておらず、厚生労働省は院内感染した疑いもあるとみて、同病院から事情を聞いている。

 同病院感染症科・感染制御科の前崎繁文医師によると、死亡した6人は、がんや高齢のため抵抗力が弱まっていたが「死因に感染がどこまで影響したのかは分からない」と話している。

 厚生労働省医政局は、「院内感染が長期間にわたって続いたという話も間接的に伝わっており、院内感染対策が十分行われていたのか、確認しなければならない」としている。

 多剤耐性緑膿菌 緑膿菌は通常、土や水にいる細菌。手術などで抵抗力の落ちた人に感染すると、敗血症や肺炎で死亡することも。抗生物質が効きにくい性質があるが、その中でも治療に使われる3系統の抗生物質を効きにくくする遺伝子を備えた菌をMDRPと呼ぶ。感染症法に基づき全国約500か所の医療機関で定点調査が行われ、2005年は692件検出が報告されている。

MRSAに効く新抗生物質を発見

2006年05月18日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 院内感染の原因となる細菌の中でも最も恐れられているメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)やバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)などを殺す強力な抗生物質を発見したと、米製薬大手メルクの研究チームが、18日付の英科学誌ネイチャーに発表した。

米製薬会社が発見 院内感染阻止を期待

 研究チームは、25万種に及ぶ天然物質の抽出物の殺菌力を調べ、南アフリカの土壌から採取した放線菌が作る低分子化合物が強い殺菌力を持つことを突き止め、プラテシマイシンと名づけた。

 MRSAに感染したマウスで試したところ、効果が確認でき、副作用もなかったほか、VRE、肺炎球菌などに対しても強い殺菌作用を示した。

 さらに、この物質が働く仕組みを調べたところ、細胞の脂質合成にかかわる酵素を阻害することが判明。既存の抗生物質と仕組みが似ていると、耐性菌が出現しやすいが、この物質のように、脂質合成を阻害する抗生物質は例がないという。

 薬剤耐性菌に詳しい国立感染症研究所細菌第2部の荒川宜親部長は「MRSAなどに有効な抗菌薬は少なく、治療は手詰まり状態で新薬が期待されていた。この抗生物質は、全く新しい仕組みらしく画期的だ。毒性も低く、臨床的にも期待できる」と話している。

感染症専門の薬剤師を認定へ…15日に初の試験

2006年01月07日 読売新聞 Yomiuri On-Line

 薬剤耐性菌の発生など、医療現場で切実な問題となっている感染症に対応するため、医療機関に勤務する薬剤師でつくる日本病院薬剤師会(全田浩会長、会員約3万4000人)が、「感染制御専門薬剤師」の認定を始める。

 耐性菌を発生させにくい抗菌薬の使い方などを熟知し、医師に助言できる人材を育てる狙い。15日に初の認定試験を行い、年度内には専門薬剤師が誕生する。

 入院患者は病気や手術などで体力が低下しているため、耐性菌などが広がると重症化して死亡する恐れも高い。また、3年前に世界で流行した新型肺炎(重症急性呼吸器症候群=SARS)は、病院内から感染が広がった。新型インフルエンザの発生が世界で警戒される中、院内感染対策は国内の病院にとっても最重要課題の一つとなってきた。

 感染制御専門薬剤師には、抗菌薬の適正使用や医療器具の消毒など、院内感染を防ぐための知識や技術が求められる。高い水準を維持するため、認定の有効期間は5年とし、同会などが開く講習会で所定の単位を履修しないと、更新が認められない。

 15日の初試験には193人が挑む予定。同会では「毎年100〜200人を認定し、10年後には、必要な病院には一人ずつ配置できるようにしたい」(尾家重治・山口大病院助教授)としている。

 同会は今後、がんやHIV(エイズウイルス)などの専門薬剤師の認定も開始する予定。高度化・細分化を続ける医療現場で、高い専門性を持った薬剤師の育成を目指す。


長崎大病院で5人死亡 多剤耐性緑膿菌に感染

2005/09/27 The Sankei Shimbun

 長崎大病院(長崎市)は27日、同病院に入院して死亡した5人の体内で多剤耐性緑膿菌(MDRP)の感染が確認されたと発表した。院内感染の可能性があるという。感染源は不明だが、同病院は「何らかの医療行為を介して多剤耐性緑膿菌が広がった可能性がある」として調査を進めている。

 5人は2月から8月までの間に病院で死亡した。ほかにも病院内で感染者が確認されている。

 長崎大病院は臨時の拡大院内感染対策委員会を設置。既に長崎市の保健所や長崎県警、文部科学省に報告した。

 多剤耐性緑膿菌は複数の抗生物質に耐性を持った緑膿菌。抵抗力が弱まっている高齢者が感染すると肺炎などを起こして死に至ることもある。

 長崎大病院は「現時点では感染源と感染経路の特定に至っていない」としている。経路などの特定については今後外部調査委員会に調査を依頼する方針。

 5人のうち1人の患者については多剤耐性緑膿菌の合併症による肺炎で呼吸不全となり死亡。他の4人は元の病気が悪化し、死亡原因になったことが考えられるという。9月1日以降は感染症は発生していない。

 多剤耐性緑膿菌が原因の院内感染とみられる例としては、今年8月、島根県益田市の益田赤十字病院で死亡した男性患者2人から同菌を検出。

 昨年夏には、大阪大病院(大阪府吹田市)で心臓手術後の患者1人、京都大病院(京都市左京区)でも同菌に感染した男性患者2人が肺炎などで死亡している。(共同)

2人死亡、院内感染か 島根、4人から多剤耐性緑膿菌

2005/08/26 The Sankei Shimbun

 島根県益田市の益田赤十字病院(河野龍之助(こうの・りゅうのすけ)院長)で、今月死亡した50代と70代の男性患者2人から、抗生物質に耐性を持つ多剤耐性緑膿(りょくのう)菌が検出されていたことが26日、分かった。

 病院は「院内感染の疑いがある」として同日までに益田保健所に届け、保健所などが死因との関係などを調べている。

 同病院によると、ほかに80代の男性患者2人からも緑膿菌が検出された。死亡した患者2人は血液悪性腫瘍(しゅよう)で、4人は同じ病棟に入院。菌が発見されたときは4人いずれも個室だったという。同病院は患者から検出した菌を国立感染症研究所に送った。

 同病院は病棟などを消毒し、抗生物質の使用を制限するなどの対策を実施している。

 緑膿菌は土壌や水中に普通に存在する細菌で、健康な人の病気の原因となることはまれ。しかし、病気などで免疫が低下した人が感染すると敗血症や肺炎、多臓器不全などで死亡することもある。また、抗生物質の耐性を獲得しやすいといわれている。(共同)

院患者23人からVRE検出 京都、院内感染か

2005/02/23 The Sankei Shimbun

 京都市山科区の洛和会音羽病院は23日、入院患者23人から抗生物質がほとんど効かないバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)を検出したと発表した。発症者はいないという。うち4人が死亡したが、同病院は「死因はVREではなく、もともとの疾患か合併症によるもの」としている。

 同病院は院内感染の可能性もあるとして、京都市や国立感染症研究所(東京)とともに感染経路を調査している。

 同病院によると、1月4日に糖尿病の男性患者(65)のかかとを細菌検査してVREを検出。同室の患者の保菌も判明したため、計150人を検査し、男性10人、女性13人の計23人(30代1人と60−90代22人)から陽性反応が出た。うち2人は病気が治って既に退院した。保菌者は寝たきり状態でおむつを着けた人が多かったという。

 約40人の検査結果はまだ出ておらず、保菌者が増える可能性がある。

 同病院は感染防止のため、保菌者の同意を得た上で隔離し、看護師も手袋の交換を徹底するなどの対策を取った。

 記者会見した松村理司院長は「感染経路は分からない。公衆衛生の観点から公表した」と話した。

 感染症法では、VREは発症しない限り保健所への報告義務はないが、同病院は2月7日、保健所に通報した。(共同)

 <VRE> 抗生物質バンコマイシンに抵抗力を持った腸球菌。腸球菌自体は健康な人や動物の腸内に存在し、普段は害がないが、重い病気の患者や大手術の後などで抵抗力が落ちた人には腎(じん)炎や敗血症を引き起こす可能性がある。院内感染をめぐってはメチシリン耐性黄色ぶどう球菌(MRSA)などが問題となっているが、VREはMRSAに効果があるバンコマイシンが効かず、院内感染が広まると対策や治療が難しい。欧米ではVREの院内感染が深刻な問題となっている。

[院内感染]「細菌の怖さを甘く見ていないか」

2004/09/07 読売社説(2) Yomiuri On-Line
 高度医療の最先端の病院も感染事故の例外ではなかった。

 大阪大、京都大の両病院で、抗生物質の効かない緑膿(りょくのう)菌による院内感染が、相次いで発覚した。阪大では、入院患者九人が感染して一人が死亡し、京大では感染者十一人のうち二人が死亡している。

 一般の病院より、対策が進んでいるとされる大学病院にどんな問題があったのか。厚生労働省も加わって徹底的に解明し、再発防止の教訓にすべきだ。

 緑膿菌は、土中や水中などに広くいる細菌だ。元々の毒性は弱く、医療現場では重大視されていなかった。だが、近年抗生物質の使い過ぎで、薬剤への耐性がついた菌が増えた。抵抗力が落ちた患者らが感染すると、重症に陥る。

 専門家の間では、今後の院内感染の脅威になる、と懸念する声が強い。

 院内感染は後を絶たない。厚労省が把握した事例だけでも、セラチア菌や黄色ブドウ球菌などにより、一昨年春までの三年間に三十二件が発生し、二十人以上の死者が出ている。このまとめから漏れた老人病院での結核の集団感染などを含めると、相当数に上る。

 各医療機関が他人事とせず、早急に感染防止体制を点検することが肝心だ。

 阪大での感染原因は、患者の食道に入れる超音波診断装置の表面にできた傷に菌が入り込んだことだった。複数の医師が傷に気づいていたのに、そのまま使用していた。京大でも、一部の患者については、内視鏡からの感染の疑いが持たれている。

 患者の体内に入る医療器具や輸液からの感染例は、以前から多い。厳重な衛生管理が医療の基本だが、現場の認識が薄く、おろそかにされている。

 抗生物質の使用のあり方にも、目を向けなければならない。

 厚労省の研究班が全国三千の病院を対象に実施した調査では、乱用を防ぐために、医師が抗生物質を使用する際、届け出を義務づけている病院は、15%に過ぎなかった。使用を個々の医師任せにしている病院が目立つ。

 日本の病院の感染対策は、欧米より極端に遅れていると言われる。対策委員会やマニュアルは、九割以上の病院に整備されたが、実質が伴っていない。

 欧米では、四十年前から、感染防止のために専任の看護職を置いている。医療器具の消毒や手洗いの励行などを指示し日々の点検を欠かさない、という。

 日本看護協会は三年前から、予防や監視の技術をもつ「感染管理看護師」の認定を始めたが、認定者は全国でまだ百四十六人だ。専門医育成も課題である。

施設内感染?4人死亡 広島の介護老健施設

2004/05/27 中国新聞地域ニュース
 広島市西区田方二丁目、介護老人保健施設「西広島幸楽苑」(小熊信夫施設長、約百三十人)に入所するお年寄りのうち二十二人が、五月初旬から相次いで発熱やせきなどの症状を訴え、うち男女四人が肺炎で死亡していたことが二十七日、分かった。うち死亡した一人と治療中の一人の計二人から、肺炎や髄膜炎を引き起こす恐れのある肺炎球菌が検出され、広島市保健所は施設内感染の疑いもあるとみて調査している。

 市保健所によると、施設は医療法人「和同会」(高橋啓治理事長)が経営し、病院と併設。患者が発生したのは三十人が暮らしている二階療養棟で、五月二日に発熱などを訴える最初の患者が出て、その後、相次いで患者が増えた。

 九日に八十二歳の女性が死亡、十日には九十三歳の男性、十一日には七十九歳の女性がともに施設内で死亡した。十六日には九十一歳の女性が転院先の市内の病院で亡くなった。

 ほかの十八人のうち、五人は同様に肺炎を患い、現在、転院先で入院治療中。七人は院内で経過をみている。残る六人は回復した。

 施設は十日、内部の対策委員会を設け対応に当たったが、保健所に報告したのは三人が亡くなった後の十三日だった。その後、保健所からの指導で、施設の消毒、洗浄や入所者との面会の制限などを実施している。

 小熊施設長は「発症者が急に広がったこともあり、現場の対応に追われたが、万全は尽くしている。保健所への報告時期が適切だったかは分からない」と話している。

 <肺炎球菌> 健康な人でも鼻やのどで検出される常在菌。病気や手術で体の免疫力が落ちたり高齢で体力が落ちると肺炎や中耳炎、髄膜炎を起こすため、入院患者や高齢者は特に注意が必要とされる。抗生物質が効かない耐性菌が増えていることも報告されている。予防にはワクチン接種が有効とされるが、米国などと比べて日本では接種率が低い。


院内感染:冷蔵庫に薬品と食品 半数の病院で予防不十分 東京

2003年05月19日[毎日新聞]Mainichi INTERACTIVE
 東京都内の全病院(20床以上)671カ所のうち、半数を超える病院が、院内感染予防のための薬の保管や職員教育が「不十分」と都から指摘されていたことが、19日分かった。数十病院が冷蔵庫に薬品と缶ジュースなどの食品を混在させていたという。既に、ほとんどの病院が改善しているが、都はさらに安全対策を徹底させる方針。

 都は、世田谷区内の病院で昨年1月、セラチア菌による院内感染で入院患者7人が死亡する事故があったことから、同3月から約1年間をかけ、診療所の手洗いまで確認する異例の立ち入り検査を実施した。感染予防策の具体的手法、感染経路別の予防策、安全管理体制、構造設備など185項目にわたって適切に対策がとられているかチェックした。

 この結果、「日付を記入し冷暗所に保管する」などとなっている液体薬の保管が、340カ所(50.7%)の病院で不十分だった。冷蔵庫内に、薬品と輸血用血液を一緒に置いたり、缶やペットボトルのジュース、患者から預かった菓子類などを置いていた病院も少なくなかった。

 また、教育面では、感染予防の基本である手洗いの指導や定期的な研修などが、368カ所(54.9%)で「充実していない」状態。28カ所(4.2%)では一つのタオルを共用で繰り返し使っており、直ちに中止するよう指導した。

 都医療安全課は「SARS対策が懸念されている時期でもあり、さらに安全指導を徹底したい」と話している。【奥村隆】

院内感染で池田市長ら43人処分へ…大阪

2002年12月02日 Yomiuri On-Line
 大阪府池田市立池田病院で、5月から7月に生まれた新生児86人がメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に集団院内感染した問題で、同市は2日、倉田薫市長ら43人の処分を発表した。処分は来年1月1日付で、倉田市長と米沢毅院長を3か月間の減給(100分の10)、医師や看護師らが戒告や厳重注意など。

新生児68人がMRSA感染

2002年08月16日 The Sankei Shimbun
 大阪府池田市の市立池田病院(米沢毅院長)は16日、今年5月から7月までに同病院産婦人科病棟で生まれた新生児121人のうち、半数以上の計68人からメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)を検出したことを明らかにした。

 これまでに10人の感染が判明していたが、16日までの検査で、新たに58人の感染が分かった。24人は未検査で、病院では検査を急ぐとともに、院内感染とみて感染源を調べている。

 同病院によると、感染した68人のうち発熱や発疹(ほっしん)などの症状が出たのは6人。うち2人がMRSAの発症と確認された。いずれも治療を受け、回復しているという。

 同病院では、6月下旬に新生児1人のMRSA感染が判明。今月1日に新生児室や分娩(ぶんべん)室などを閉鎖して消毒し、医師や看護師らを検査するとともに5月にさかのぼって、産婦人科病棟で生まれた新生児について検査していた。

新生児10人が院内感染、大阪の病院で

2002年08月03日 Yomiuri On-Line
 大阪府池田市の市立池田病院(米沢毅院長)の産婦人科病棟で6月下旬ごろから7月30日までに生まれた新生児17人のうち10人が、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に感染していたことが2日、わかった。1人が発熱したが軽症で、10人はすでに退院した。院内感染とみられ、同病院は感染源の特定を急ぐとともに、6月以降に生まれた新生児の検査を実施する。

 福井英治・同病院事務局長の話「感染した新生児に健康上の大きな問題はない。検査結果をみて、今後の対応を考える」

院内感染:3人の死亡患者の原因を再調査へ 札幌医大附属病院

2002年07月08日 Mainichi INTEARACTIVE
 札幌市の札幌医科大附属病院形成外科病棟で97年、入院時の検査でB型肝炎にかかっていないとされた入院患者3人が同肝炎の劇症化で相次ぎ死亡していたことが、8日分かった。同病院は院内感染の可能性もあるとみて内部調査したが、発症原因も特定しないまま院内感染はないと結論し、調査を打ち切っていた。並木昭義院長は「当時は原因究明に努めたが、不十分だと言われればそうかもしれない」と語り、死亡患者の家族に協力を求め、再調査することを明らかにした。

 同日会見した並木院長などによると、3人の患者は10代の男性と女性、20代の男性で、悪性腫瘍(しゅよう)で入院していたが、96年末前後に相次いでB型肝炎にかかり、97年、劇症化して死亡した。入院時の抗体検査で陰性だったため、同病院内の「感染防止委員会」が96年末、発症原因を特定するために3人の肝炎ウイルスの遺伝子解析などの調査に乗り出した。

 その結果、死亡した3人のうち1人のウイルスが他の2人と異なり、手術や輸血日、治療チームなどの点で共通点がなかったことなどから、同委員会は「院内感染と考える証左は得られなかった」という結論を出して調査を終了した。だが、3人が入院中に接した家族にB型肝炎の保菌者がいるかどうか、ウイルスに違いが認められなかった2人の間の感染の有無、他の患者のB型肝炎ウイルスの遺伝子解析ーーなどの詳しい原因調査はしていなかった。

 並木院長は記者会見で「(同委員会が調査を終了する)判断について適切だと考える。だが、他の患者のウイルスも遺伝子解析した方がよいという意見もあるので、協力がいただければそうしたい」とコメントした。

バンコマイシン耐性菌、米で確認

2002年07月05日Yomiuri On-Line
 多くの抗生物質が効かないメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が変化し、その唯一の特効薬といわれてきたバンコマイシンさえ効かない強力な耐性を持った菌(VRSA)による感染例が米国で確認された。米疾病対策センター(CDC)が5日、週報で警戒を呼びかけた。新たな抗生物質ができても、その使用により次々に耐性菌が出現しており、VRSAについても出現が以前から懸念されていた。感染確認は世界初。日本でも出現の恐れがあるという。

 VRSA感染が確認されたのは、糖尿病に慢性じん不全を併発し人工透析を受けている米ミシガン州の患者(40)。4月に足先の切断手術を受けた後、MRSAに院内感染した。さらに先月、すでに感染が世界各地に広まっているバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)とともにVRSAが見つかった。

3年間に患者20人からVRE検出 北九州市の病院

2002年06月15日 フレッシュアイ ニュース
 北九州市の小倉到津病院で起きたVRE感染問題で、市の調査委員会は14日、今年4月までの約4年間に患者20人からVREが検出されていたと発表した。委員長の松本哲朗・産業医科大教授は「院内感染が長期間繰り返されていた疑いが強い。病院側の院内感染への認識が甘く、対応も不十分だったと思う」と指摘した。

北九州でVRE院内感染、1人死亡

2002年05月09日 The Sankei Shimbun
 北九州市は9日、抗生物質バンコマイシンに耐性を持ち、欧米で院内感染源として問題になっている「バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)」が、市内の総合病院で3人の患者から検出され、うち1人が死亡したと発表した。死亡した1人について同市は「院内感染で死亡した可能性も否定できない」としている。

 VREが検出されたのは同市小倉北区の小倉到津病院(朔進病院長)で、平成12年9月から同年12月までの間に男性患者3人からVREが検出された。

 同市は同年12月に病院を立ち入り検査したが、7日になって「同病院でVREの感染者がほかにも出ている」との情報提供があった。

 このため、あらためて聞き取り調査をしたところ、3人の患者のうち、76歳の男性が12年10月20日に死亡していたことが判明。男性は死亡の数日前の血液検査でVREが検出された

 同病院は死因について「メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)による肺炎での死亡」と説明しているが、同市では「VRE検出と死亡との時期が近接していることなどから、院内感染である可能性も否定できない」として、10日以降、他の感染者がいないかどうかも含め、同病院に立ち入り検査する方針。

 バンコマイシン耐性腸球菌(VRE) 細菌感染症の特効薬である抗生物質バンコマイシンが効かず、院内感染が問題となっている菌。外科手術後の患者や、がん、白血病など重症患者に感染すると、敗血症や腹膜炎などの感染症を起こして死亡することもある。

セラチア菌で院内感染の疑い、入院患者2人死亡

2002年04月22日 Yomiuri On-Line
 群馬県太田市八幡町の富士重工業健康保険組合「総合太田病院」(新原博之院長)で、今月15日から16日にかけ、入院患者2人がセラチア菌とみられる感染症状で死亡していたことが、22日わかった。セラチア菌の院内感染による死亡と確認されれば、今年1月に7人が死亡した東京・世田谷区の「伊藤脳神経外科病院」に次ぐ国内4例目となる。

全患者の転院始まる 感染の疑い14人に 都指導

2002.01.22 by Mainichi INTERACTIVE
 

院内感染と断定 セラチア菌検出は11人に

2002年01月22日(共同通信)中国新聞
 東京都世田谷区の伊藤脳神経外科病院(伊藤誠康院長)でセラチア菌の院内感染の疑いで入院患者7人が死亡した事故で、都衛生研究所が分析した結果、患者7人のDNAのパターンが一致し、都などは22日、院内感染と断定した。

 新たに5人から菌が検出され、検出患者は計11人となった。

 病院内のナースステーションで使われていた手洗い用タオルなど3点からも菌を検出、同研究所は患者の菌と同一かどうか調べている。

 セラチア菌の院内感染は1999年と2000年に東京都墨田区と大阪府堺市で起きたのに続いて3件目。院内感染の確認を受けて都は23日、全医療機関に院内感染防止対策の徹底を通知する。また伊藤脳神経外科病院に残っている入院患者の転院を急ぐ。

院内感染:「異常認識は8日」 都、立ち入り検査の結果受け

2002年01月20日Mainichi INTERACTIVE
東京都世田谷区の伊藤脳神経外科病院でセラチア菌の院内感染の疑いで入院患者7人が死亡した事故で、都は立ち入り検査の結果「病院側は既に8日に異常事態の認識を持った」と把握していることが19日、分かった。(詳細)

院内感染:病院側の保健所通報は15日 被害拡大の可能性

2002年01月19日 Mainichi INTERACTIVE
東京都世田谷区の伊藤脳神経外科病院(伊藤誠康院長)の入院患者7人がセラチア菌による院内感染の疑いで死亡した事故で、病院側は死亡者が相次いだため12日には院内感染を疑いながら、保健所に通報したのは15日だったことが分かった。(詳細

院内感染 細菌を甘く見ていないか

2002年01月19日毎日の視点Mainichi INTERACTIVE
セラチア菌。生活環境菌と呼ばれているように、土壌、水など自然界に広く存在し、人の腸内でもしばしば見つかる。

 毒性は弱い。健康な人には怖い細菌ではない。

 しかし、抵抗力の弱くなった高齢者、手術後の患者や乳幼児にとっては大敵だ。院内感染の原因の一つであり、尿道の炎症や敗血症を引き起こすことがある。

 院内感染は医療器具を通じてのことが多い。病院は、よく知っているはずだ。ところが、セラチア菌の院内感染によって、患者に死亡者が出るケースが繰り返し起きている。なぜ、防げないのか。(詳細)

院内感染:1週間で次々と 院長、異変伝えず風邪強調

2002年01月19日Mainichi INTERACTIVE
 弱毒性のセラチア菌が、抵抗力のない患者の命を次々に奪っていった。院内感染の疑いで10日から16日の間に患者計7人が死亡した東京都世田谷区の伊藤脳神経外科病院。保健所への報告が遅く、都に指導された院内感染対策マニュアルもなかった。病院の対応が後手に回り、被害が拡大した可能性が指摘される。伊藤誠康院長は18日、苦渋の表情で「社会的責任を感じている」と語った。患者を救うはずの病院でなぜ、菌が猛威を振るったのか。医療への信頼は大きく揺らいだ。

 「病棟内、風邪等が流行しております。お見舞いはお断りしております。緊急の場合のみ、マスクを着用していただきます」。患者4人が既に死亡していた12日付で、院長名の「おしらせ」が病院のエレベーターの扉に張られていた。(詳細)

院内感染:点滴からの感染 推定「年間6万人」

2002年01月19日Mainichi INTERACTIVE
 院内感染の過去の事例では、その原因として患者への点滴が注目されてきた。今回、原因の一つとなりうる可能性がある「中心静脈栄養」という点滴については、点滴の際に用いる管(カテーテル)が原因で細菌に感染する患者が少なくとも1割以上に上ると危険性を指摘する専門家もいる。

 中心静脈栄養の点滴は、鎖骨付近の静脈に針を刺して行われる。腕などへの点滴に比べ、長時間あるいは長期間にわたって実施されることが多く、細菌に感染する可能性が高いという。(詳細)

院内感染:患者7人が死亡 東京・世田谷の病院で

2002年01月18日Mainichi INTERACTIVE
 東京都世田谷区の伊藤脳神経外科病院(伊藤誠康院長)で10日から16日の間に、20歳代の女性を含む患者計7人が死亡していたことが18日分かった。セラチア菌による院内感染の疑いが持たれている。同病院から世田谷区保健所を通じて報告を受けた都は、同日までに医療法に基づく立ち入り検査を実施し、死亡原因を含め病院の対応に問題がなかったか、調査に乗り出した。

 都や区によると、入院患者二十数人のうち、約半数に当たる12人が7日から12日にかけて発熱など風邪のような症状を示していた。このうち7人が死亡した。病院は15日に報告し、16日に都が立ち入り検査を実施した。発熱した患者の血痰からセラチア菌が検出されており、都などは患者の管理などに不備がなかったか調べている。

 同病院は都指定の2次救急医療機関で、病床数33床。

 セラチア菌は、自然界に広く分布し、人の腸内などでも見つかる弱毒性の細菌。健康な人では発症しないが、手術後の患者や子ども、老人など抵抗力の弱い人が感染すると、尿道の炎症や敗血症を起こす。病院内で感染する院内感染を引き起こし、抗生物質が効かない耐性菌もある。

 99年7月には東京都墨田区の墨田中央病院で高齢者5人が死亡、00年6月には大阪府堺市同仁会耳原総合病院でも入院患者15人が感染し、7人が敗血症で死亡した。

 旧厚生省は00年10月、セラチア菌による院内感染防止対策の徹底のため、尿道や静脈のカテーテルなど医療器具の消毒や、管理に注意するよう、都道府県に指示している

都内の病院で7人死亡、セラチア菌院内感染か

2002年01月18日(読売新聞)BIGLOBEニュース
 東京都世田谷区の「伊藤脳神経外科病院」(伊藤誠康院長)で今月7日から16日までの間に、入院患者12人に院内感染の疑いがある症状が発生し、患者7人が死亡していたことが分かった。発症者のうち6人の血液からセラチア菌が検出された。

 厚生労働省によると、セラチア菌による院内感染と確認されれば、国内3例目の死亡例。(詳細)

◆セラチア菌 土壌、水、植物など自然界に広く存在する細菌で、多くの抗生物質や消毒剤に耐性がある。感染しても健康な状態では発症しないが、抵抗力の弱い高齢者や、がんの化学療法を受けている患者、免疫抑制剤を使用している患者では発症の危険がある。


アルコールで死なない細菌で院内感染 東海地方の病院 (2001.01.28) asahi.com
 東海地方の総合病院で昨年、バシラスという細菌による院内感染が起き、19人が発病していたことが27日、分かった。点滴の管から菌が体内に入り、敗血症を起こしたとみられる。この菌による院内感染の報告は国内で初めて。バシラスはアルコール消毒でも死なないことがあり、医療スタッフが手を消毒するアルコール容器から汚染が広がった。専門家は「院内感染対策の落とし穴だ」と指摘している。

 関係者によると、この病院では昨年4月から8月にかけ、19人の患者が発熱など敗血症の症状を起こし、血液からバシラスが検出された。死者はいなかった。同病院の院内感染対策委員会が調べた結果、発病者は3つの病棟に集中し、うち18人が使っていた静脈に輸液する管が感染元と分かった。

 輸液の管には三方活栓というバルブがあり、キャップをはずして別の薬剤を注入できる。三方活栓は汚染されやすいとされ、ほかの病棟ではキャップを使い捨てていたが、問題の病棟では繰り返し使用していた。また、これらの病棟では、手指の消毒用にアルコール剤を噴霧する容器の、手で押すポンプ部分からバシラスが検出された。

 院内対策委員会は、医師や看護婦らが手指を消毒しようとしてボトルのポンプに触れるたびに菌が付着し、三方活栓を経由して輸液の管に菌が入り、患者の体内で増殖した、とみている。その際、バシラスはアルコール消毒で死なず、除菌の効果はなかった。

 専門家によると、バシラスは芽胞(がほう)と呼ばれる「冬眠状態」になると、アルコールによる消毒では死ななくなるという。

 同病院では、キャップの再利用を禁止し、滅菌手袋を使うなどの対策を取ってから、菌が検出されなくなったという。

病院給食でお年寄り38人が食中毒 横浜  (2000.11.13) asahi.com<

人工透析の通院患者8人がC型肝炎感染 千葉の病院 (2000.10.23) asahi.com
 千葉市花見川区花見川の平山病院(平山登志夫院長、99床)で、人工透析を受けていた56歳から66歳までの男女8人の通院患者がC型肝炎に感染していた、と千葉市が23日に発表した。市によると、感染の時期は昨年7、8月ごろと推定されるが、感染源と感染経路は特定できなかったという。8人のうち6人は肝機能の低下が見られたが、5人は正常値に戻り、残る1人も安定した状態だという。

C型肝炎に5人が院内感染 福岡の民間病院

2000.10.02The Sankei Shimbun
 福岡市保健予防課は二日、同市早良区の人工透析専門の民間病院、重松クリニック(重松勝院長)で、五十−六十歳代の患者五人(男性四人、女性一人)がC型肝炎ウイルスに院内感染したと発表した。いずれも自覚症状はなく、肝機能も回復に向かっているという。

 同市は院内感染対策検討委員会を設置。貧血になった患者に投与する薬剤を扱った際、ウイルスが混入した可能性があるとみて、感染経路などを調べている。

 同課によると、五人は八月十四日の定期検査では異常なかっスが、九月十一日の検査で肝機能の低下を確認。その後のウイルス検査などで、早期の急性C型肝炎と判明した。

 いずれも週二、三回の定期的な透析を、同じ透析室で、同じ曜日の同じ時間帯に受けている。同委員会はウイルスの潜伏期間に当たる過去一−二カ月間のうち、ある一日に全員が感染したとみている。

 同病院は注射針などの再利用をしておらず、施設面にも問題はなかった。また、独自に院内感染防止マニュアルを作り、定期的に研修会を開いている。

 同病院には約百八十人の患者がおり、五人と一緒に透析を受けている患者がほかにも十五人いるが、異常はないという。

 同課によると、透析によるC型肝炎の院内感染が疑われたのは、五月に静岡県浜松市で十一人の感染が分かったケースなどがある。

医師が結核になり、22人院内感染の疑い 埼玉

2000.09.04(23:56)asahi.com
 埼玉県川島町の川島病院(松本和夫院長、238床)で男性内科医(64)が結核になり、ほかの医師や看護婦、外来患者ら22人が院内感染した疑いがあることが4日わかった。東松山保健所などによると、感染した疑いのある医師らは結核の発病を予防する薬を飲み、男性内科医は東京都内の病院を退院して自宅療養している。

 川島病院によると、内科医は4月中旬に体のだるさや微熱を感じ、同17日に検査を受けた。翌日夜になって結核の発病がわかったという。感染ルートはわかっていない。

 病院から連絡を受けた東松山保健所が病院の職員や患者を対象にツベルクリンやレントゲンの検査をしたところ、医師2人、看護婦10人、事務職員9人、外来患者1人の計22人が陽性反応を示した。

国立甲府病院で未熟児5人が髄膜炎 院内感染の疑い

2000.08.17(17:24)asahi.com(時事)
 厚生省に17日までに入った連絡によると、国立甲府病院(甲府市)で7月10日から25日にかけ、未熟児集中治療室(NICU)に入院していた未熟児5人が髄膜炎を発症した。抗生物質の投与などの治療で、5人は既に回復し、後遺症もないというが、同病院は院内感染の疑いがあるとみて、感染ルートなどを調査している。

 同省によると、5人はいずれも生後三十数週の未熟児。38度以上の熱を出すなどの症状がみられたため、血液検査や髄液検査などをした結果、髄膜炎と診断された。これまでに病原体は判明しておらず、感染ルートも分かっていないが、発症の状況などから同病院は院内感染の疑いがあると判断。NICUへの未熟児の新規受け入れを中断した。同月26日以降、発症した未熟児はないという。 

院内感染対策、MRSA以外は手薄 緊急全国病院調査

2000.08.06(04:39)asahi.com
 院内感染の原因となる主要な病原菌のうち、患者の多いメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)以外は、多くの病院で監視対象外となっていることが5日、科学技術庁の緊急全国病院調査で明らかになった。バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)の健康保菌者が初めて見つかり、東京都や大阪府ではセラチア菌による死者が出るなど、多様な院内感染菌が広がっているにもかかわらず、医療施設が対応できていない実態が浮き彫りになった。

 科技庁が昨年夏、VREやセラチア菌による院内感染で死者が続発したことを受け、「院内感染の防止に関する緊急研究」を専門家チームに委託。研究の中で、病床が200床以上ある全国258の医療施設へ院内の臨床検査体制を尋ねる質問票を送り、調査した。76%にあたる195施設が回答した。

 その結果、「院内感染対策の監視対象になっている菌は」(複数回答)という質問に、97%の医療施設が、最も患者数の多いMRSAを挙げた。しかし、MRSAに匹敵する患者数を出している緑膿菌(りょくのうきん)や、国内での汚染拡大が立証されたVREを挙げたのは、いずれも6割に満たなかった。東京で昨年、大阪で今年6月に複数の死者を出したセラチア菌など、「その他の菌」を監視対象として挙げた施設は8%しかなかった。

 また、緑膿菌はどんな薬が効かない場合に届け出が義務づけられているかを知らない施設が16%あるなど、検査体制の問題点も見えている。

 調査にあたった国立感染症研究所細菌・血液製剤部の荒川宜親部長は「MRSA対策は重要だが、他の菌を軽視していいことにはならない。特にVREと、薬剤耐性の緑膿菌やセラチア菌の仲間は、今後国内で大きな問題となる懸念があるので、十分な監視が必要だ」と話している。

健康人の便からも院内感染の原因菌のVREを検出

2000.08.05(09:11)asahi.com
 ほとんどの抗生物質が効かず発病すれば治療が困難なバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)が、日本の健康な人の便から検出されたことが分かった。群馬大学医学部の池康嘉教授(微生物学)らが大規模検便調査をした。健康人の便からこの菌が見つかったのは国内で初めて。遺伝子の特徴がタイ産の輸入鶏肉から検出されたものと一致し、輸入鶏肉による汚染の広がりが裏づけられた形だ。

 この菌は、健康人が感染しても発病しないが、入院患者や老人ら抵抗力が落ちた人が感染すると敗血症を起こす恐れがある。院内感染の原因菌として欧米では死者も続出している。

 池教授らは、この菌の広がりを調べるため、科学技術庁の委託研究で22都道府県の健康な成人6977人の便を検査。うち1人から抗生物質のバンコマイシンに高度耐性のVREが見つかった。

 遺伝子を分析すると、1998年の厚生省調査でタイ産の鶏肉から見つかったものと同じ特徴があり、輸入鶏肉が汚染源と推定されるという。

 VREは入院患者から検出されているが、健康人では確認されていなかった。池教授は「この頻度で見つかったことは、VREが日本にかなり広がっているということだ」と指摘する。

 健康保菌者が増えると、あちこちに菌が広がる恐れが強い。汚染が広がっている欧米では院内感染が多発し、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)を超える死者を出している。

院内感染の専門家育てよう 医師や看護婦の団体が制度

2000.07.29(14:06)asahi.com
 病院内で病原菌に感染して、死者が出るなど院内感染が深刻な問題になっていることから、医師や看護婦らの団体が感染予防策などを熟知した専門家の育成に乗り出した。日本看護協会(本部・東京)が、専門知識をもつ看護婦(士)の養成講座を開設したほか、日本感染症学会など十二の関連学会が連携して専門医を認定し、相互に情報交換、助言できるネットワーク作りを始めた。

 専門医の育成を始めたのは、日本感染症学会や日本環境感染学会、日本細菌学会など十二の学会、研究会。院内感染対策の知識や実績のある医師や歯科医師、研究者らを「感染制御ドクター」と認定する登録作業を進めている。今年6月までの審査で、1100人を超える専門医を認定した。

 今年度からはインターネットを通じて、専門医らが互いに情報交換や助言できる体制を整える。専門医らは所属する医療機関で、感染症・保菌患者の発生状況の監視、把握のほか、手洗いや滅菌、消毒などの感染予防計画の立案、抗生剤の適切な使い方の助言などができるようにする。

 将来的には、全国に約1600ある大手病院(ベッド数300床以上)ごとに認定専門医を配置することを目指す。

 一方、社団法人日本看護協会(会員数約50万人)は6月から、院内感染に対応できる看護婦(士)の育成講座を開設した。810時間をかけて、専門知識を学ぶほか、病院や大学の研究室で実際に予防技術を身につけたり、病原菌を研究したりする実習研修も行う。8月には東京都の協力を得て、医療廃棄物の焼却、埋め立て処理施設を見学して、感染性の廃棄物がどのように処理されているか学ぶ予定だ。

 今年度は全国の大学病院などから長期派遣された21人の看護婦(士)が対象で来年1月の試験をパスすれば、「感染制御看護婦(士)」として認定する。認定者は病院に戻り、院内感染対策などを担う。

“セラチア菌感染”患者・家族への誠意ある対応安全対策の徹底など全力で

民医連新聞 2000年07月21日 1216号
大阪・耳原綜合病院

 【大阪発】大阪民医連耳原総合病院で6月末に3人の重篤な患者さんからセラチア菌が連続して検出され、内2人が亡くなりました(7月13日現在)。同病院では「セラチア菌感染緊急対策本部」(大野穣一本部長)を設置、新入院をストップしたうえで、治療と新たな院内感染を絶つこと、感染予防の徹底・日常診療の改善、患者さんへの治療に全力をあげること、患者さん・家族への謝罪と誠意ある対応、地域と職員への情報公開、保健所の指導のもとに原因究明に全力をあげてとりくんでいます(詳細)

発覚は「氷山の一角」 セラチア菌の感染

2000.07.05信濃毎日新聞
 昨年の東京・墨田中央病院に続く国内では二例目の院内感染とされる、大阪府堺市の耳原総合病院のセラチア菌感染の発覚を受け、共同通信社が五日までに大阪を除く近畿、中国、四国の十四府県に同菌による感染や死亡例を取材したところ、いずれも「報告はない」と回答した。

 しかし専門家からは「二つの例は氷山の一角。ほかの病院でも院内感染が起きている可能性がある」との指摘も出ている。(詳細)

大阪府の病院で7人死亡 セラチア菌の院内感染の疑い

2000.07.03(18:58)asahi.com
 大阪府堺市の「同仁会耳原総合病院」(池田信明院長)で、腸内細菌のセラチア菌が原因とみられる集団院内感染が発生し、15人の感染が確認され、今年5月初旬から今月にかけて7人が亡くなり、1人が重体になっていることが3日、明らかになった。堺市と病院が同日午前、市役所で発表した。亡くなった7人は60代から90代で、堺市保健所は医療器具などが感染源となっている可能性があるとみて経路の特定を進めている。また、堺北署は同日、堺市保健所などに署員を派遣し、病院に過失がなかったかどうか関係者から事情を聴いている。

 堺市役所で記者会見した池田院長らによると、感染した15人は胸部外科や内科の入院患者で、40―90代の男性11人、女性4人。感染患者は同病院の9病棟のうち5病棟にまたがっている。亡くなった7人は60代の男女が3人、80代の男女が3人、90代の男性が1人。4人はセラチア菌による死亡の疑いが強いとみられるが、3人についてはセラチア菌感染との因果関係について調査中という。

 病院が院内感染に気づいたのは6月下旬。肺炎で入院していた80代の女性が突然、高熱と急激な血圧低下に襲われ、同28日に死亡したのがきっかけ。女性と同じ病棟の入院患者2人に同様の症状があったため、院内感染の疑いを強め、3人の血液について培養検査を実施。翌29日にセラチア菌が検出された。それまでに亡くなった入院患者(転院者も含む)らの検査データを調べ直したところ、新たに12人の感染がわかった。

 病院は30日に堺市役所に報告し、保健所がすでに病院の立ち入り調査をしている。しかし、公表は3日後になり、記者会見した堺市保健所の岡沢昭子所長は「連絡調整やデータ収集などに時間がかかった」としている。病院は患者と職員計約850人の細菌検査を実施しているが、現在のところ被害拡大の兆候はないという。陽性反応を示している患者を個室に移し、新規入院の受け付けをやめている。

 耳原総合病院のホームページなどによると、同病院の前身は1950年、地域住民が3万円を集めて設立した耳原実費診療所で、65年に総合病院になった。1日の外来患者数は1200―1400人で、医師数は約70人、職員総数は約530人。厚生省から臨床研修病院の指定を受けている。

 セラチア菌による集団院内感染は、昨年7月から8月にかけて東京都墨田区の墨田中央病院で5人が死亡している。

セラチア感染に対策 -学会 講習会で注意喚起へ-

2000.07.05 The Sankei shimbun
 大阪府堺市の耳原総合病院(池田信明院長)でセラチア菌が原因とみられる院内感染で七人の入院患者が死亡した問題で、院内感染対策への組織的な取り組みを進める「日本感染症学会」(事務局・東京)が五日までに、医師や看護婦らを対象にした院内感染の講習会にセラチア菌による集団感染を盛り込む方針を決めた。セラチア菌の危険性に対する認識度は低く、学会ではこれまで以上の注意を喚起している。

 院内感染対策には医療機関によって温度差があるのが実情。学会などが昨年十二月に院内感染対策の責任者となる「インフェクションコントロールドクター」(ICD)に認定する制度をスタートさせたばかり。

 この制度を担うのは院内感染の専門知識を持つ医師や看護婦、薬剤師、検査技師ら。当面の目標人数を一千五百人とし、これまでに約千百人が資格を取得しているが、感染症対策はいまなお多くの病院で不十分のままになっている。

 特にセラチア菌は感染症の主要な原因の一つとされながらも、院内感染で猛威をふるってきたメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)などに比べ、危険性への認識度は低い。昨年四月に施行された感染症予防法でもセラチア菌は予防すべき感染症として対象になっていない。耳原総合病院も「菌は病原性が弱いため院内感染を起こすという意識がなかった」と認めるように、日本の病院は一般的にセラチア菌への警戒感が薄いと指摘されている。

 しかし、東京都墨田区の墨田中央病院で昨年七月、同菌による感染症で入院患者が計五人死亡。専門家の間で、セラチア菌に対する対策を早急に講ずるべきとの声が高まっていた。

 こうした実態を踏まえ、学会では、ICD認定の条件となる講習会の場で、堺市のケースをセラチア菌による感染の危険性を示す事例として取り上げ、注意を呼びかけることにしている。

 学会理事の砂川慶介・北里大教授(感染症学)は「かつて毒性の心配をしなかったセラチア菌は、病院内に抵抗力のない患者や未熟児が増えていることに加え、菌自身に抗生物質への耐性がでてきているために有害菌になっている。

セラチア菌の院内感染、厚生省が全国に事例報告求める

2000.07.05(19:23)asahi.com
 厚生省は5日、大阪府堺市の総合病院でセラチア菌が原因とみられる院内感染によって少なくとも7人が死亡したことを受けて、都道府県に対して注意喚起を促すとともに、最近発生したセラチア菌による院内感染の事例を同省に報告するよう求める通知を出した。セラチア菌以外による院内感染でも、患者が重症に陥った事例なども報告するよう求めた。

全患者と職員を調査 大阪の院内感染

2000.07.04 The SankeiShimbun
 大阪府堺市の耳原総合病院で、五月から入院患者十五人が腸内細菌のセラチア菌に感染し七人が死亡した問題で、同病院は堺市保健所の指導に基づき、入院患者と職員計約六百人全員について感染の有無を確認するため、尿やたんなどの採取を進めており、四日にも採取を終える。

 一方、堺市保健所の専門調査班(班長・本田武司大阪大微生物病研究所教授)は三日までの三回の立ち入り調査で、医師や看護婦の手や、吸入チューブなどのふき取りで採取した計百十一検体からセラチア菌の分離を試みるなどして、感染経路の特定を急いでいる。

 分離結果は来週初めにも出るという。

 これまでの病院の調べで、六月末に発熱などを訴え集団感染の可能性が高いとされる死亡者二人を含む患者三人は、いずれも新館五階に入院していたことが分かっているが、部屋は別々で、死亡したうち一人は点滴も手術も受けておらず、感染経路の特定が難しい状況になっている。

 同病院の資料で、過去一年間に延べ七十人がセラチア菌に感染したことが既に判明。中にはメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に重複感染していたケースもあり、同病院の院内感染対策の不備を指摘する声も出ている。

セラチア菌、昨年死亡の2人からも -大阪・堺の病院 感染経路の特定急ぐ-

2000.07.04 The Sankei Shimbun
 大阪府堺市の耳原総合病院(池田信明病院長)で、入院患者十五人が腸内細菌のセラチア菌に感染し七人が死亡した問題で、新たに昨年八月と十二月に肺炎で死亡した八十代の男性患者二人の血液からも、セラチア菌を検出していたことが四日、明らかになった。同病院は死因との因果関係は不明としている。

 一方、堺市保健所の専門調査班(班長・本田武司大阪大微生物病研究所教授)は三日午後、同病院に立ち入り調査をし、院内のふき取りなどで三十七検体を採取、感染を拡大させないための指導もした。

 大阪府警も病院関係者の事情聴取を進めている。

 これまでの病院などの調べによると、感染者十五人は本館二、四階と、新館四、五階の内科、胸部外科などに分かれて入院していた。このため、専門調査班は感染につながる共通項がないかどうか調べ、感染経路の特定を急ぐ。

「セラチア菌」で集団院内感染か? 〜大阪・堺市〜

MBS Internet ナウ 2000.7.3
大阪・堺市の総合病院で入院患者7人が相次いで死亡、院内感染の疑いが強まっている。「セラチア菌」という耳慣れない細菌が、原因と見られている。死亡した7人の患者は、いずれも高齢な人たちだった。詳細


神戸大病院で院内感染か 流行性角結膜炎の発症相次ぐ

2000.07.01(15:26)(時事)asahi.com
 神戸大医学部付属病院(神戸市中央区)の眼科病棟で、6月上旬から入院患者ら30人が流行性角結膜炎にかかっていたことが分かり、同病院は1日、「院内感染の疑いもある」として眼科病棟を一時閉鎖すると発表した。

 同病院によると、入院患者の1人が6月5日、涙が出たり目が充血するなどの症状が出たため、検査したところアデノウイルスによる流行性角結膜炎と診断された。

 その後同様の発症者が相次ぎ、30日までに入院患者22人や外来患者5人ら計30人が発症した。2週間ほどで完治するため、現在も症状があるのは、このうち半数程度だという。

耐性菌に効く新タイプの抗生物質、米で認可

1:57 p.m. JST April 19, 2000
 米食品医薬品局(FDA)は18日、従来の抗生物質が効かなくなった耐性菌に効く新しい抗生物質「ザイボックス」を認可したと発表した。細菌のたんぱく質合成を抑える新タイプの抗生物質で、重い院内感染症に対する有効な手段として期待されている。

 米国内でまもなく発売されるザイボックスはファルマシア社の製品で、最強の抗生物質とされるバンコマイシンに耐性のできた腸球菌などによる肺炎や皮膚感染の治療薬として使われる。FDAによれば、病院での腸球菌感染の4分の1がすでに耐性菌といわれるほど急増している。臨床試験では、ザイボックスはこのバンコマイシン耐性菌の感染患者の67%に効果があった。

 バンコマイシン耐性菌の治療薬としては、昨秋初めて承認された静脈注射薬シナシッドに次ぐ。シナシッドが天然物でできた従来型の抗生物質なのに対し、ザイボックスは、細菌が増殖する際のたんぱく合成を抑えるように設計された初の人工物質。注射薬だけでなく、飲み薬もあるのが利点だ。

 天然の抗生物質に比べて耐性はできにくい。しかし、臨床試験で耐性菌ができた例もあり、FDAは安易な使用を強く戒めている。また、頭痛、吐き気、下痢などの副作用があり、風邪薬や抗うつ剤と併用すると血圧を上げる危険もあるという。

院内感染防止策をチェック

2000年3月23日 8時52分
 結核やメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)などの院内感染防止の指導を強化するため、福岡県は23日までに、病院を対象に毎年行う医療監視の調査項目に、院内感染防止策の整備状況を加えることを決めた。同県医療指導課は「全国でも珍しい試み」と話している。

 医療監視は、病院の診療態勢が適切かどうかなどを調べる目的で行われている。

注射針による医療従事者のけが、年間40万件に近づく=米政府機関

00年3月8日 16時52分[アトランタ 7日 ロイター]
 米国で医療に従事する人々の注射針によるけがは年間40万件に近づいており、こうした人々は肝炎やエイズといった、血液を媒介して感染するウイルスの脅威にさらされている。

 院内感染に関する国際会議で、米政府機関である疾病予防センター(CDC)の研究者が明らかにした。

 CDCは、国内60の大病院を対象とする調査の結果、注射針によるけがの件数を年間38万4000件と計算した。1995年の推定値(60万−80万件)を下回ったものの、その重大性は依然として懸念され、予防策の実施が急務であると強調している。

内科医も結核に感染か?

2000年2月23日 16時21分
 入院患者8人が結核に集団感染し、うち5人が死亡した新潟県立がんセンター新潟病院(新潟市)で、患者を担当していた内科医が結核に感染している疑いがあるとして別の病院に入院していることが23日までに分かった。この内科医は今月15日のエックス線検査で結核に感染している疑いが強まり、翌日、結核病棟のある市内の別の国立病院に入院。ツベルクリン反応で陽性と診断されたという。

大阪市に賠償命令

2000年1月24日 20時40分 共同通信社
 大阪市の市立住吉市民病院で、1996年7月に発生したサルモネラの集団食中毒で、女性患者=当時(45)=が死亡したのは病院の責任として、遺族が大阪市に約3100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、大阪地裁の林圭介裁判長は24日、300万円の慰謝料支払いを命じた。林裁判長は「病院は菌に感染させ、発症後も治療が適切ではなかった」と指摘。しかし、遺失利益については認めなかった。

新生児などMRSA感染

1999年12月28日 17時14分 共同通信社
 長野県中野市の厚生連北信総合病院(西村博行院長)で昨年秋から今春にかけて、新生児や入院患者らが相次いでメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に感染し、多くの患者が発症していたことが28日、病院関係者らの話で分かった。同病院は今夏にも、入院患者8人がバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)に感染、うち1人が死亡するなど院内で感染が相次いでいる。

集団赤痢で院内感染

1999年10月28日 20時50分 共同通信社
 群馬県倉渕村にある神奈川県横須賀市の保養施設「はまゆう山荘」の宿泊客の集団赤痢で、横須賀市は28日、患者1人が入院した同市内の病院で、相部屋だった無職女性(72)が赤痢に2次感染したとみられる、と発表した。

 同市が26日に集団赤痢を発表するまで、病院側は食中毒とみていたといい、同市は「病院に落ち度があったとはいえない」などとしている。

宿泊客が集団赤痢

1999年10月26日 12時36分 共同通信社
 神奈川県横須賀市に26日までに入った連絡によると、群馬県倉渕村にある同市の保養施設「はまゆう山荘」に21日から22日にかけて宿泊していた同市の女性28人が下痢などの食中毒症状を訴え、うち4人が入院した。患者6人の便から赤痢菌が検出されたため、同市は集団感染とみて対策本部を設置、感染原因などの調査を始めた。

新生児の感染さらに31人

1999年10月19日 18時49分 共同通信社

新生児59人が感染 国立神戸病院のMRSA感染問題

00:56a.m. JST October 20, 1999
 神戸市須磨区の国立神戸病院(水谷哲郎院長)で新生児がメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に院内感染した問題で、同病院は19日、6月から9月にかけて生まれた96人のうち、6割を超える59人がMRSAに感染していたとする調査結果を発表した。同病院は院内感染の専門家ら病院外の委員4人で構成する「国立神戸病院母子医療センターMRSA感染対策委員会」を近く発足させ、再発防止策や感染経路の究明を進める。

 同病院によると、7月上旬、母子医療センターの新生児のMRSA感染が初めてわかった。9月に入って新たな感染が相次いで判明したため、7月から9月にかけて生まれた新生児を中心に検査を進めてきた。感染した新生児は発しんや耳だれが出たりしているが、いずれも軽症で、59人のうち23人はすでに陰性になったという。母子医療センターは10月12日に閉鎖され、職員の感染防止マニュアルを見直すなどして感染対策委員会の承認を得た後、再開させるという。

 水谷院長は「感染率が6割という結果が高いか低いかについては、感染対策委員会の判断に任せたい。感染経路など最終的な調査結果がわかり、厚生省からの処分が出るまで、病院側の責任については申し上げられない」と話している。

 国立神戸病院(神戸市須磨区、水谷哲郎院長)で、新生児がメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に感染した問題で、同病院は19日、新たに31人の新生児が感染していた、と発表した。感染が確認された新生児は計59人となった。臓器障害などの重症患者はいないという。

三重県の南勢町立病院で高齢者11人がMRSA感染

1999年10月16日 13時21分 共同通信社
 三重県の南勢町立病院で、高齢の入院患者11人が抗生物質が効きにくいメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に感染、このうち3人が死亡していたことが16日までの三重県の調べで分かった。

 県医務福祉課と同病院によると、集団感染は9月中旬に病院が認知。9月27日から10月13日にかけ86歳から92歳の男女3人が肺炎や多臓器不全などで死亡した。3人とも長期入院で衰弱していたという。

新生児9人がMRSA感染

1999年9月30日 13時39分 共同通信社
 神戸市須磨区の国立神戸病院で7月から9月にかけて、同病院の母子医療センターで生まれた新生児九人がMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)に感染していたことが、30日までに分かった。

 症状はいずれも軽く、六人は既に退院、3人も数日中に退院できる見込みという。

調査委が院内感染と断定

1999年9月3日 20時45分 共同通信社
 兵庫県加古川市の福原泌尿器科(福原公院長)の透析患者6人が死亡したウイルス性肝炎の集団発生問題で、県の院内感染調査委員会(委員長・佐藤茂秋神戸大教授)は3日、「透析患者1人を感染源とする院内感染」との中間報告を明らかにした。


セラチア菌は同一 東京・墨田中央病院の集団感染

10:18p.m. JST September 02, 1999
 東京都墨田区の墨田中央病院(小嶋邦昭院長)で7月下旬、入院中のお年寄りが腸内細菌のセラチアに集団感染し、5人が死亡した問題で、都の調査班(班長・増田剛太都立駒込病院感染症科部長)は2日、感染した10人から遺伝子の型などが同じ菌を検出したことから、同一感染源から集団感染したとの検討結果をまとめた。感染原因は、患者に投与する点滴をつくる際に菌が液内に入った疑いがあるとしている。感染経路の調査も進めたが、病院の空調施設や床などからは同型の菌は見つからなかった。

 調査班は、病院内の入院患者や施設などから採取した255サンプルを調べた結果、9種類のセラチアを検出した。このうち、遺伝子の配列などから10人の感染者の菌はすべて同一だったが、他の入院患者や環境中の菌と感染者の菌は違う型であることが分かった。感染者から検出された菌は、いくつかの抗生剤で殺すことができ、特別に強い毒性や薬剤耐性をもつものではなかった。

 感染原因については、5人の死因がいずれもセラチアによる敗血症だったことから空気からの感染ではなく、菌が直接血液中に入って発病したと判断。すべての感染者に共通する原液や薬剤がないことから、点滴を調合する段階で菌が混入した疑いがあるとした。

耐性菌の広がりを警告 米疾病対策センター

1:15p.m. JST August 21, 1999
 米疾病対策センター(CDC)は20日、この2年間で、抗生物質の効かないメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に病院外で感染して病気になった人が200人以上にのぼり、子供4人が死亡していると発表した。耐性菌が一般社会にとっても大きな脅威になりつつあることを示すものとして警戒を強めている。

 感染例はミネソタ州とノースダコタ州のもので、病院以外での感染による死者は米国では初めてという。死亡した子供は1歳から13歳で、病院などで感染した形跡はなかった。高熱などの症状で病院で手当てを受けたが、抗生物質が効かずに亡くなった。

長野のVRE感染者8人に

6:36p.m. JST August 10, 1999
 長野県中野市の「北信総合病院」(西村博行院長)の入院患者が、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)に感染していた問題で、西村院長らは10日、記者会見し、新たに4人の患者がVREに感染していたことを明らかにした。これで感染が確認されたのは計8人になった。今回の4人はいずれも発症していないという。

 入院患者や家族、職員などを対象にした検査の結果、分かった。感染経路については、同県松本市の信州大学医学部付属病院に、検出された菌の遺伝子解析を依頼している。これまで4人分の菌がvanB型であることが分かったほかは、まだ詳しい結果が出ていない。

 西村院長は「感染者はいずれも発症者の出た病棟から出ており、院内感染の可能性は否定できない」と話した。また、感染予防策をとっていることなどから「他病棟やほかの患者への感染拡大は防げた」としている。

 同病院は、10日までに病院全体の消毒を済ませたほか、感染症予防マニュアルの見直しなどを行い、新たな感染防止策をとっている。

院内感染の実態把握へ

1999年8月8日 16時41分 共同通信社
 抗生物質の効かないバンコマイシン耐性腸球菌などの院内感染が相次ぐ中、厚生省は来年4月から、院内感染の実態を把握するため全国約50カ所の病院で定点調査をスタートさせる。

 感染者数に加え、患者の症状や治療経過など臨床的なデータを収集、分析し、効果的な院内感染対策の確立に役立てるのが狙い。


セラチア感染、墨田中央病院で5人目の死者

5:23p.m. JST August 08, 1999
 東京都墨田区の墨田中央病院(小嶋邦昭院長)で起きたセラチアの院内感染で、重体が続いていた81歳の男性が8日午前、多臓器不全のため死亡した。セラチアによる一連の死者は5人になった。

 男性は6月上旬に右足骨折の手術のために入院。手術後の治療中だった7月27日に発熱し、感染したと診断されていた。

   ◇

 この問題では、東京都衛生局の調査班が立ち入り調査を行って感染源や経路などを調べている。セラチア菌はありふれた細菌で健康な人が感染しても病気になる可能性は低いが、高齢者や抵抗力が落ちている入院患者などは感染症を起こす場合がある。

 同病院の小嶋院長は「亡くなった患者さんおよびご家族に心より深くおわび申し上げます。今後も都の調査班に全面的な協力をし、再発防止に全力を尽くす所存です」とのコメントを発表した。(この項時事)

都がセラチア菌調査班を設置

11:03p.m. JST August 03, 1999
 東京都墨田区にある民間病院の墨田中央病院(小嶋邦昭院長)で、セラチア菌に感染したとみられるお年寄り3人が死亡した問題で、都衛生局は感染の原因や感染経路を特定するため、3日付で同病院や都立衛生研究所、感染症の専門家らによる調査班を設けた。

 同日午後、記者会見した小嶋院長によると、これまでの調査で発熱などの症状を訴えた入院患者は13人にのぼり、このうち死亡した3人を含む7人からセラチア菌が検出された。また、現在も2人の患者が重体だという。小嶋院長は「26日に院内のクーラーやスプリンクラー、給水タンクなどを一斉に掃除した。その水回り環境からの感染か、別の原因による院内感染の二つの可能性が考えられるが、きちんと原因究明して再発防止に力を入れたい」と話している。

 都は2日に同病院の立ち入り検査をしたが、一つの病院で一度に多くの患者が出たことや、これまでのセラチア菌の症例に比べて症状の進行が極めて早いことなどを重視している。感染源としては注射器などの医療器具も考えられるほか、何らかの理由で菌の毒性が強まった可能性もあるとして、今後、原因菌を遺伝子レベルで調べるなどして、病院内のどこにあった菌から感染したのかなどを明らかにしていく方針だ。

セラチア菌で都が調査班

1999年8月3日 18時13分 共同通信社
 東京都墨田区の墨田中央病院でセラチア菌に感染した患者3人が死亡した問題で、東京都は3日、国立感染症研究所などの専門家を含めた調査班を設置、感染原因などを調べることにした。


別の患者3人も感染の疑い

1999年8月2日 18時14分共同通信社
 長野県中野市の厚生連北信総合病院で患者3人からバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)が検出され、うち1人が死亡した問題で、西村博行病院長は2日午後、同病院で記者会見し「3人のほかに別の患者3人も感染している疑いがある」ことを明らかにした。

3人目の死亡発覚、加古川市の診療所で肝炎の集団感染

01:18a.m. JST May 30, 1999
 兵庫県加古川市の診療所・福原泌尿器科(福原公院長)で、人工透析患者がB型肝炎を相次いで発症し、劇症肝炎で2人が死亡していた問題で、兵庫県は29日、同診療所で人工透析を受けていた患者のうち、新たに1人が慢性C型肝炎で死亡し、1人が急性C型肝炎を発症していた、と発表した。これを受けて福原院長は人工透析を中止するとのコメントを出した。

 同県疾病対策室によると、新たに死亡がわかったのは40代の男性。3月末に発症し、転院後の4月8日に慢性C型肝炎で死亡した。急性C型肝炎を発症したのは30代の女性で、病状は安定しているという。女性の感染については29日、県に届け出があったが、死亡した男性の届け出はなかった。

 同県は、同診療所のカルテをもとに死亡した男性の転院先の調査を行うとともに、県内で透析を実施している医療機関についてウイルス性肝炎の患者数を把握し、感染対策の実施を徹底するよう立ち入り調査を行う方針。

 今回の院内感染をめぐって、同県は28日、院内感染調査委員会を設け、10月をめどに調査報告をまとめる方針を決めている。

結核に院内感染?2人死亡、福島県喜多方市の病院で

7:24p.m. JST May 29, 1999
 福島県喜多方市の佐原病院(佐原元院長)で、結核と診断された80歳代の男性患者を看護していた看護婦ら7人と、この患者と同じ病室に入院していた70歳代の男性、孫2人の計10人が結核に感染し、うち男性患者2人が死亡していたことが29日、明らかになった。菌の鑑定を研究所に依頼中で、死因はいまのところ分かっていない。県は、院内感染の可能性が大きいことや結核予防法で定められた報告義務を病院側が怠った疑いが強いことから、週明けにも、医療法に基づく指導に乗り出す。

 県健康増進課などによると、死亡した80歳代の男性は昨年9月、肺炎の疑いで佐原病院に入院。11月に結核と診断され、結核患者用の病床がある県立病院に移されたものの、12月23日に死亡した。しかし、佐原病院は、発症の事実を当該保健所に届け出ていなかったという。

 また、70歳代の男性は、9月から11月までは80歳の男性と同じ病室にいた。結核に感染したことが分かったため県立病院に転院したが、今年4月27日に死亡した。

 一方、感染した看護婦2人は発症して入院しているほか、別の看護婦4人は抗結核剤を内服している。さらに、死亡した70歳代の男性の孫で小学生の女児2人と、男性の看護実習生1人も結核に感染したが、発症はしていないという。

 県立病院から結核患者発生の報告を受けた保健所は、報告があった翌々日の昨年12月4日から調査に入った。が、接触者に検査の承諾を得ることなどに日数がかかり、80歳代の男性の家族の検診は今年1月中旬、男性の1次接触者の検診は3月中旬までかかった。発症者が確認された今月、2次接触者の検診をしていた。

 佐原院長は「県には、確定診断をした転院先から連絡されるものと認識していた。結果的に迷惑をかけ、反省している」と釈明している。

MRSAのワクチン開発

1999年5月28日 15時56分 共同通信社
 抗生物質が効かず、院内感染による死亡や重症例が問題になっている、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)のワクチンを米ハーバード大のジェラルド・ピアー博士らが開発、動物実験で高い効果を確かめ、28日付の米科学誌サイエンスに発表した。

 ワクチンは、治療の切り札とされる抗生物質バンコマイシンが効きにくい新種MRSAにも効果があり、院内感染防止の決め手になると期待される。

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