TOPIC No.4-6G 電力線通信(PLC:Power Line Communications)

No.
内            容
01. 電力線搬送通信 byフリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
02. PLC高速電力線通信って何だ?
03.高速PLCの「簡単、速い、すぐ使える」は本当か (2007年02月01日)ITmedia
04.ノイズをやっつけてPLCアダプタを高速化!(2007年1月12日)RBB TODAY
05.電力線通信試用記【基本速度調査編】(2006年11月21日) All About
06.オフィスでの利用を想定した高速電力線搬送通信(高速PLC)の実証試験の開始について(2006年02月07日) 東京電力
07. どう使う? 高速電力線通信 (2005/01/17) ITmedia
08.HF-PLC Watching Site
09.PLC-J 高速電力線通信推進協議会
10. PLC(高速電力線搬送通信)問題を考える byラジオNIKKEI
11.電力線搬送通信に関する公開実験報告書(2001.12.18) by(社)日本アマチュア無線連盟 関西地方本部

松下、第2世代「HD-PLC」通信LSIを開発 実効速度が向上

2008年03月28日 ITmedia News

高速電力線通信(PLC)規格「HD-PLC」用の第2世代通信LSIを松下が開発。実効速度が向上したPLCアダプターの新製品を発売する。

 松下電器産業は3月27日、高速電力線通信(PLC)規格「HD-PLC」用の第2世代通信LSIを開発したと発表した。3月末から量産し、新LSIを組み込んだPLCアダプターの新製品を4月18日に発売する。 photo BL-PA300KT

 第1世代に比べ伝送品質を18%向上させたほか、動作時の消費電力を40%削減して0.6ワット以下に抑えた。待機モード時には0.1ワット以下と、業界最高レベルの低消費電力化を実現したという。FBGAパッケージの場合は実装面積を78%削減でき、機器の小型化も可能だとしている。

 PLCアダプターの新製品は、従来機種比で容積を約48%に小型化したほか、最大実効速度はUDPで90Mbps、TCPで65Mbpsに向上しているという。2台セットの「BL-PA300KT」と増設用の「BL-PA300」で、オープン価格。

松下が物理速度210Mビット/秒のPLCモデム,名刺サイズでコンセント直結型

2008/03/27 IT Pro

 松下電器産業は2008年3月27日,物理速度210Mビット/秒の高速電力線通信(PLC)モデム「BL-PA300」を発表した(写真)。 4月18日に発売する。同社として第2世代の新チップを搭載。従来機と比べて実効速度を約10Mビット/秒向上させたほか,容積を約半分に小型化した。価格はオープンだが,実売価格は2台セットの「BL-PA300KT」が1万6000円前後,増設用の「BL-PA300」が1万円前後の見込み。

 BL-PA300は,松下電器が開発したPLC仕様「HD-PLC」仕様に準拠。2M〜30MHzの短波帯のうち,利用する帯域を従来の 4M〜28MHzから2M〜28MHzに拡大することで,物理速度を従来の190Mビット/秒から210Mビット/秒に高めた。ただ従来の 4M〜28MHz仕様のHD-PLCモデムと混在させた場合は,物理速度190Mビット/秒で動作する。

 実効速度は従来のUDP時80Mビット/秒,TCP時55Mビット/秒から,同90Mビット/秒,同65Mビット/秒にそれぞれ約10Mビット/秒の高速化。また信号が減衰しにくい低い周波数を利用することで,条件の悪いコンセントでの実効速度を改善したという。

消費電力1Wの省電力モードを追加

 搭載する第2世代のチップ「MN1A94100」は,実装面積を約4分の1に削減。これによりBL-PA300では,幅55×高さ90×奥行き 33mmと名刺大の小型化を実現した。同時に消費電力を従来の4Wから3Wに削減。省電力機構も追加し,無通信の状態が20分続くと消費電力1Wの省電力モードに移行する。

 物理速度,省電力機構以外の仕様は従来機と同じ。暗号化方式は鍵長128ビットのAES。最大接続数は16台程度で,100BASE- TX/10BASE-Tを1ポート搭載。親機/子機の切り替えスイッチを備え,1台を親機として設定し,そのほかを子機として使用して通信する。(高橋 秀和=日経コミュニケーション)

被害に遭いやすいネット機器を落雷から守れ−−日経NETWORK記者

2008/03/10 IT Pro

 「コンピュータ/ネットワーク機器の落雷対策は,非常に大切なわりには正しく理解されていない。被害が発生するメカニズムを理解して正しい守り方を知っておくべきだ」。ITpro EXPO 2008のメインシアターで2008年1月30日,日経NETWORKの阿蘇 和人記者(写真)は「BCPに欠かせないネットワークの落雷対策」と題して講演し,正しい知識で落雷から機器を守ることの大切さを語った。

 阿蘇記者はまず,落雷被害に対する4つの誤解を列挙した。「被害はめったにない」「ビルに避雷針がある+ケーブルを地下引き込みしているので大丈夫」「サージ・プロテクタをつけておけばよい」「対策は機器ごとに必要」は,いずれも誤解だという。被害については,日経NETWORKが毎年行っているネットワーク・トラブルの調査結果を例に挙げた。同調査によると,毎年,約500件のトラブル中,10〜20件は落雷被害によるものだという。「雷被害は決して珍しいものではない」(阿蘇記者)。

 また,雷の電流は間接的にやってくることもあるため,避雷針があるから,ケーブルを外に引いていないから大丈夫とは言えないと阿蘇記者は指摘する。さらに,電気回路に瞬間的に大量に流れるサージ電流を防ぐサージ・プロテクタも,「使い方を間違えると有効に機能しない」(阿蘇記者)。ただ,必ずしも機器ごとに対策が必要というわけではないという。フロアやビルを丸ごと守る対策もあるのだとした。 アースから逆流してくることもある雷の電流

 続いて阿蘇記者は,雷サージによる被害を3つに分けて解説した。(1)ケーブルに直接落ちた雷の電流が流れる「直撃雷サージ」,(2)近くのサージ電流の誘導で電流が流れる「誘導雷サージ」,(3)接地(アース)を通して電流が逆流する「逆流雷サージ」---である。このうち注意が必要なのは,(2)の誘導雷サージと(3)の逆流雷サージだという。

 「実は誘導雷サージの被害は多い。例えば避雷針からのケーブルが壁づたいに張ってある場合,壁の向こう側のLANケーブルに誘導電流が流れることがある」(阿蘇記者)。誘導といえども1万ボルト単位の電圧が発生するため,その被害は甚大だ。また逆流雷サージもよく発生するという。電位は雷が落ちたポイントで非常に高くなり遠くでは低い。「例えば電力線の電柱の近くに雷が落ちると,そこに引いてあったアースから変圧器に上って,電力線を通じて家の中に電流が流れるといったことが起こる。電気は電位差が低い(電気が流れやすい)電線を通って流れるからだ」(同)。日本では,電力線,通信ケーブルなどは,それぞれ外でアースを取るケースが多いため,逆流雷サージが起こりやすいのだという。

 このような種類に分類できる雷サージ電流は,特にネットワーク機器やそれにつながるパソコンに流れやすいのだという。「雷サージは入口と出口がそろっているところに流れ込みやすい。電源とLANなど,ケーブルが2本以上つながっているネットワーク機器などがそれに該当する」(阿蘇記者)。

 ネットワーク機器で特に注意しなければならないのは,「電源ケーブルからネットワーク・ケーブルなど,片方向に流れるコモン・モードの雷サージ電流」(同)。家電量販店で販売されているサージ・プロテクト機能付きのOA用電源タップなどでは,このコモン・モード雷サージは防げないことがあるのだという。

 ではどうすれば良いのか。阿蘇記者は,「ネットワーク機器にはネットワーク対応のサージ・プロテクタをきちんと使うこと」と述べる。ネットワーク対応のサージ・プロテクタとは,電源コンセントのアダプタやテーブル・タップに,通信ケーブル用の接続ポートが付いている製品のこと。阿蘇記者は実際の製品の分解写真をプロジェクタに写しだし,雷サージ電流を通信ケーブルと電力線の間でバイパスさせる仕組みなどを解説した(図)。

徐々に進み始めた「ビル丸ごと」の落雷対策

 最後に阿蘇記者は,NTTの局舎を例にしてビル全体における落雷対策に言及した。「NTTの局舎も,昔はビル全体の雷対策はなされておらず,結構,雷の被害を受けていた」(阿蘇記者)。そのときは,通信用,電源用,避雷用とアースがバラバラで,逆流雷サージ電流がビル内に侵入していたのだという。それが 1996年以降,NTTはビルのフロアごと,さらにはビル全体でアースの一本化に取り組んでおり,「雷被害がゼロになったわけではないが,ビル内の通信機器などが雷被害によって壊れることはほとんどなくなった」(同)。

 アースを一本化するのは,ビル内を等電位化するためである。アースを一本化し,そのアース端子に機器をつなげば,ほかの機器のアースとの間で電圧が食い違うことがなくなり,機器に雷サージ電流が流れることがなくなるのだ。ただ,新築のビルでも等電位化は非常に少ないのが現状だと阿蘇記者は指摘する。「歴史的に電源,通信,建物のアースは別で,アースの連結も最近まで一般には認められていなかったからだ」(阿蘇記者)。規格自体でビルの等電位化が認められたのは,JIS規格で2003年,建築基準法では2005年だという。

 「皆さんもネットワーク機器が入っているビルがどのような雷対策を行っているかを,一度きちんと確認してほしい」。阿蘇記者は聴衆にこう呼びかけて,講演を締めくくった。(安井 晴海=ITpro)

要約: 電力線通信技術世界標準に向けて前進=米ホームプラグ・パワーライン・アライアンス

February 28, 2008 Gusiness Wire Home Plug

電力線利用の高速ネットワーク構築を推進する米業界団体ホームプラグ・パワーライン・アライアンスは、3月5−6日、福岡で開催される米電気電子学会IEEEの会議で、同学会が取り組んでいる家庭内および電力線通信技術の国際規格作成に向け、ホームプラグとパナソニック(大阪府門真市)による合同提議書が承認を得られる見通しであると発表した。 IEEEの「P1901」作業部会は昨年10月、複数の組織から提出された提議書の中から、ホームプラグ・パナソニック共同の標準案を採択した。詳細を詰めた最終案の完成は、今回のIEEE会議後となる予定。 また、ホームプラグ、パナソニック、メンバー企業らは3月4日、グランドハイアット福岡で同提議書の説明会を開催する。参加費無料。事前登録が必要。詳細はwww.homeplug.orgへ。

電力線ブロードバンドはホームネットワーキングで好調

2007/12/26 CNET Japan

 米国の調査会社インスタット(In-Stat)社は、調査レポート「高速電力線通信市場 2007年:規格情報、主要プレーヤー、機器市場予測を中心に - Powerline Home Networking 2007 Update: Gaining Power in the Global Market」のプレスリリースにおいて、電力線ブロードバンド(BPL)は、最近数年間、ホームネットワーキング、接続、公益企業向けアプリケーション、技術などの面で着実に成長しているという調査結果を発表した。

 電力線ブロードバンド(BPL)は、最近数年間、ホームネットワーキング、接続、公益企業向けアプリケーション、技術などの面で着実に成長していると、米国調査会社インスタット社は報告する。配線が全く不要であるため、世界のマルチメディアホームネットワーキングにおいて、電力線ブロードバンドは新たな勝者となった。

 「エネルギー管理と保全においては、ブロードバンドや低速電力線通信が活躍する、スマートグリッドやユーティリティアプリケーションが支配的な促進要因となっていた。その結果、電力線通信や低速無線技術などの多くのソリューションの組合せをインスタット社は想定しているが、 "HomePlug Command & Control(HPCC)"ソリューションが大きく展開するだろう」とインスタット社のアナリストJoyce Putscher氏は語る。

 インスタット社は、下記についても調査した。

 ■ 2006年の転換点を経て、世界のHomePlug、CEPCA、UPA電力線などの電力線ブロードバンド機器は540万に達した

 ■ 世界の電力線ブロードバンドネットワーク機器の成長率は、2007年に100%に達した

 ■  ブロードバンドは依然注目されており、HomePlug Command & Control(HPCC)の低速仕様が最近承認され、2008年には出荷数が大きく伸びるだろう。各国・地域でエネルギー管理や節約のマンデートが発令されるため、世界市場での受入れは今後5年間は力強いだろう

 インスタット社の調査レポート「高速電力線通信市場 2007年:規格情報、主要プレーヤー、機器市場予測を中心に - Powerline Home Networking 2007 Update: Gaining Power in the Global Market」は、電力線による世界のホームネットワーキング市場を調査している。サービスプロバイダ、機器ベンダ、半導体ベンダに、市場傾向、市場成長、ビジネスチャンス、セグメンテーション、市場規模などについての有益な情報を提供する。製品カテゴリ、技術、帯域幅、PHY/MACチップセットの平均価格(ASP)、小売対サービスプロバイダチャンネル、家庭内ネットワーキング対アクセス、ユーティリティ利用などに区分して、世界の地域毎に出荷数を予測している。また、インスタット社が毎年行っている消費者のホームネットワーキング調査の2007年上半期に実施したデータも掲載している。

シャープ、電力線通信機器に参入

2007/06/25 NIKKEI NeT

 シャープは25日、家庭のコンセントから高速インターネットに接続できる電力線通信(PLC)機器事業に参入すると発表した。8月24日から家電量販店経由などでアダプターを発売する。米インテルなどが提唱する国際規格に対応しており、先行する松下電器産業などに対抗する。

 最大で毎秒85メガ(メガは100万)ビットの通信速度がある「ホームプラグAV1.1」規格に対応したアダプターのセットを販売する。パソコンやゲーム機などのネット接続機器を4台接続できるセット(想定価格は2万4000円前後)のほか、増設用アダプターなども販売する。

 PLCは配線工事が不要で動画配信などに適している。総務省が導入を解禁したことを受け、松下が昨年12月から独自規格を採用した機器の販売を始めるなど参入企業が増えている。シャープは海外での販売実績が豊富な「ホームプラグ」陣営に参画し、将来は海外での販売も検討する。

電力線通信、滑り出し好調 各地で品切れ続出

2007/02/08 The Sankei Shimbun Web-Site

 電源コンセントにつなぐだけでインターネットに接続できる電力線通信(PLC)専用アダプターの販売が好調だ。松下電器産業など数社が昨年末から発売したが、各地の家電量販店やインターネットショップでも売り切れが続出。今後も「しばらくは順調な売れ行きを記録しそう」(家電量販店)という。

 PLCは家庭内の電気配線に、電気信号に変えた文字や画像のデータを乗せて送る技術で、利用者は光ファイバーやADSL(非対称デジタル加入者線)に加入することが前提だ。モデム(信号変換機)とアダプターの親機、パソコンとアダプターの子機をそれぞれつなぐと、家庭内のどの部屋でも気軽に電源コンセント経由でネット接続が可能になる。

 無線LAN(構内情報通信網)は1階にモデム、2階にパソコンといったケースで通信状態が不安定になることが多く、初期設定も難しい。こうした事情もあってPLCに対する期待が高まっていたが、電波の漏洩(ろうえい)対策などを講じることで、総務省が昨年になってようやく屋内限定で利用を解禁した。

 松下電器が昨年12月に売り出した国内初のPLC専用アダプターセット(親機と子機1台ずつ)の実売価格は1万9800円。当初月産3000セットを予定していたが、発売後1カ月で約1万セットの出荷を記録したため、月産1万5000セットの増産体制に切り替えた。平成19年度上期中には月産5万セットまで増産する予定だ。「分かりやすさが人気になっている」と松下。

 NTT東日本も昨年12月からアダプターセットの注文受け付けを開始した。価格は2万2000円で、発売初日に先着500セットを1万円の特別価格で販売したところ、当日午前中に完売。その後も「好調な注文が続いている」(NTT東)という。

 12月だけで200セットを完売したという家電量販店ラオックスのザ・コンピュータ館(東京都千代田区)では「秋葉原の電気店街全体で品切れになった。当店は思い切って在庫を確保していたが、それでもあっという間に品薄になった。無線LANより設定が簡単なことなどもあって、年明けも好調だ」(加藤信吉店長)という。

 アダプターをまだ発売していない電機メーカー各社も「いろいろなメディアに取り上げられて注目されており、事業化の方向を見極めたい」(電機大手首脳)などと意欲をみせる。今後はパソコンや薄型テレビなどの家電製品にもアダプター機能の搭載が進む可能性もありそうだ。

 ただ、PLCは医療機器によっては誤作動が生じる恐れがあるとの指摘のほか、妨害電波が出て無線通信ができなくなるという声も一部で上がっており、安全性の確保が課題となりそうだ。

電力線通信、手探りのスタート 専用アダプターを販売

2006/12/09 The Sankei Shimbun Web-Site

 家庭の電気コンセントにつなぐことで高速インターネットに接続できる電力線通信(PLC)の専用アダプターの販売が9日、始まった。既存の屋内電線を使うため新たな配線工事は不要で、無線LAN(構内情報通信網)に代わる便利な通信システムと注目を集めているが、10月の利用解禁から発売まで日が浅いうえ、性能に関する情報不足もあってか、西日本最大の電気街、日本橋などの店頭でもまだ地味な扱い。ヒット商品となるかどうか模様眺めといった様子だ。

 PLCは電気を運ぶ電線に、文字や画像などを乗せて送る技術のことで、発売されたのは松下電器製のPLC用アダプター。KDDIもサービスの提供を予定している。

 PLCを利用するには、インターネット接続業者と契約し、ADSLや光ファイバーに加入する。PLCのアダプターの親機をADSLのモデム(光ファイバーはルーター)に、子機を電力コンセントに接続。パソコンは子機とつなぐ。

 この日、さっそくPLC用アダプターを店頭に並べた大阪・日本橋の家電量販店。男性店員は「鉄筋コンクリート造りの建物で部屋を隔てたり、階が違ったりした場合、無線LANがつながりにくくなる場合がある。ADSLモデムなどからLANケーブルを何メートルも引き回す必要もない」と利便性を強調する。

 ただ、無線LANに比べると、費用は高くつく。この量販店では、親機と子機のセットを1万9800円、子機は1万2800円で発売。たとえば4LDKの一戸建てで各部屋で使用する場合、親機と子機のセットと子機4台を購入すると合計7万1000円もかかる。また、通信速度は最大毎秒55メガビットとADSLよりも高速を売りにしているが、実測値はこれを下回り、電力線の状況によっても変わるという。すでにADSLや光ファイバーなどのブロードバンドが普及しているため、ニーズを予測するのは難しいという。

 男性店員は「総務省による10月の利用解禁から、実際にアダプターが発売されるまでの期間が短く、情報が少ない。電力線の状態にもよるので、古い建物の場合、どれだけの通信速度になるのかわかりません。説明が難しい」と困惑気味に話していた。

              ◇

 ≪医療機器への影響懸念 厚労省が注意文書≫

 PLCアダプターについて厚生労働省は先月、「医療機器への影響が完全に否定できない」などとして、注意を呼びかける文書を都道府県や日本医師会などに出した。

 通知では「医療機器によっては誤作動を生じさせるおそれがある」「PLC機器と医療機器を併用する場合には安全対策上の措置を講ずるべきだ」などとし、誤作動があった場合には同省に速やかに報告するよう求めている。

 同省安全対策課は「基本的には大丈夫と思われるが、データがないので百パーセント安全とはいいきれない。PLC機器と医療機器を併用するときには十分な注意が必要」と指摘。ただ、3年前から同様のシステムを導入している欧米では、これまで医療機器に問題があったというケースは報告されていないという。

 一方、PLCの影響をめぐっては、アマチュア無線などの電波障害を引き起こす可能性があるとして、全国33都道府県のアマチュア無線愛好家115人が今月7日、国に対して、PLC関連機器の販売認可の取り消しなどを求める訴訟を東京地裁に起こしている。

コンセント利用で即ネット 松下が接続装置を12月発売

2006/11/13 中国新聞ニュース

 松下電器産業は十三日、家庭のコンセントにつなぐだけで手軽にインターネット接続ができる電力線通信(PLC)アダプターを十二月九日に発売する、と発表した。二台セットで、店頭の実勢販売価格は二万円前後の見込み。

 国内の電機メーカーで、PLCアダプターを発売するのは初めて。欧米では既に発売されており、他の国内メーカーも今後、相次ぎ売り出す見込みだ。

 松下のPLSは、アダプターの電源プラグを住宅のコンセントに差し込めば、既存の電力線をそのまま利用して最大毎秒190メガビットの高速データ通信ができる。専用工事は不要で、最大十五台までアダプターの増設が可能で、月三千台の販売を見込んでいる。

 松下は、次世代DVD規格「ブルーレイディスク(BD)」やデジタル家電へのネットワーク接続での利用を期待している。

コンセントで高速ネット接続 電力線通信が今秋にも登場

2006/07/03 The Sankei Shimbun

≪通信速度は光ファイバー並み≫

 家庭の電源コンセントにモデムとパソコンをつなぐだけで高速インターネットに接続できる電力線通信(PLC)が今秋にも登場する。技術要件などを審査してきた情報通信審議会(総務相の諮問機関)は先月29日に最終答申をまとめており、これを受けて総務省が今秋にも省令改正を行い、PLC商用化にゴーサインが出される見通しだ。すでに、電力や電機各社は、製品開発のテスト段階に入っており、ブロードバンドの選択肢がまた一つ増えることになる。

 PLCは、電気を運ぶ電線に、電気信号に変えた文字や画像データを乗せて送る技術のこと。利用者は、コンセントがある場所ならば、家のどこでもネット接続が可能となる。ネットパソコンのみならず、違う部屋にあるエアコンやテレビなどの家電の遠隔操作も簡単にできる見通しだ。

 通信速度は数十メガビット−100メガビットと光ファイバー並みの高速大容量。すでに張り巡らされている配電線を利用するため、新たな屋内配線工事が不要で、無線LAN(構内情報通信網)のように壁などが通信の障害になることもない。

 電線の地中化が進んでいるスペインなどでは、光ファイバーやADSL(非対称デジタル加入者線)に代わる高速ネットとして実用化済みだが、PLCは電波の漏洩(ろうえい)対策が課題となっており、混信する可能性が高いアマチュア無線やラジオ短波放送からの反発が強い。そのため、総務省では、当面のPLCの利用を屋内に限定。建物までは電力線ではなく、既存の電話線や光ファイバーを利用することになる。

 さらに、審議会では、当初の予定よりもPLCのデータを送る電流の許容値を厳しくした。

 一部の電機メーカーからは「満足できる製品が作れない」など反発も出ているが、東京電力では「技術的な問題はクリアできる。関係業界で歩調を合わせて今秋には商用化したい」(東電の小川理電子通信部通信インフラ技術グループマネージャー)と意気込む。自社で展開している光ファイバー事業と併せて情報家電と連携したホームネットワーク環境を提供したい考えだ。パソコンメーカーでも、PLCに準拠した製品化で需要喚起を狙う方針で、市場環境は着々と整備されつつある。

 次の課題は、屋外利用だ。関係者は、「将来的には光ファイバーの代用としての可能性が出てくる」と期待を示しており、実現すれば、日本のブロードバンド環境の充実に一段と拍車がかることになる。

松下電器産業、最大190Mbpsの電力線通信技術を一般公開

2006年4月21日日経PC onlini

 松下電器産業は2006年4月19日〜21日、家庭内の電灯線を使って通信する高速電力線通信(PLC)技術「HD-PLC」のデモ環境を一般公開した。千葉県幕張で開催した展示会「TECHNO-FRONTIER 2006」の会場内に、宅内を模した環境として7個のコンセントをつなぐ電灯線を用意。コンセントに挿したPLC機器同士が、正常に通信できることを紹介した。PLCは、1本の電源ケーブルに電力供給と通信の2つの役目を担わせる技術。無線LANと並ぶもう一つの家庭内ネットワーク技術として注目を集めている。メーカーは自社製品をPLCに対応させれば、電源ケーブルをコンセントに挿すだけで宅内の別の機器やインターネットと通信できる家電やパソコンを開発できる。

 デモ環境では2種類の通信を同時に実行した。1つは、パソコンで再生したハイビジョン映像を大画面テレビに向けて送信する通信。もう1つは、2台のビデオカメラが録画中の映像をパソコンに向けてリアルタイムに送信するものである。パソコンと大画面テレビには、3月末に米国で出荷したPLCアダプターを接続。ビデオカメラには、4月6日に出荷したばかりの組み込み機器向けのPLCモジュールを内蔵させた。HD-PLCは、最大190Mbpsの通信能力があることから、ハイビジョン映像はコマ落ちすることなく滑らかに再生できた。

 国内では年内にもPLCが“解禁”になる見込み。これをにらんで今後同社は、社内の家電部隊やパソコン部隊、さらに国内外の家電/パソコンメーカーにPLCモジュールを売り込む。現在、各社のPLC技術は相互接続性が保たれていないが、業界団体「CEPCA」などの活動を通じ、他社の製品とも通信できる仕組み作りに取り組んでいく。 (高田 学也=日経パソコン)

大苦戦中の電力線インターネット接続!

2006-03-21 Weblog/世界のメディア・ニュース

 USAToday は2006年3月20日にAP(Associated Press)のPeter Svenssonによるコラム「Net over power lines irks amateur radio lovers(アマチュア無線ファンは電力線でのネットに落胆)」、米国のどの家庭にも引かれている電力線を利用したブロードバンド・インターネット接続「BPL(Broadband over Power Line)」は、電話線、CATVに続く第3番目のインターネット接続手段として多くに期待を持たれ、魅力的な技術として報道されていたが、いくつかの技術的な問題を解決しても失格になる危険性があると報告した。

 「BPL」は、無線通信が届かないところでも既存の電力線を使うことで、新たに光ファイバーを引かなくても良いということから、広い地域に点在する農村などでのブロードバンド・インターネット接続技術として期待されてきたが、ユーティリティの大部分は後退し、主に経済の活力に関する競争に直面し、技術的に懐疑まで出てきている。さらに、電力線は大きいラジオのアンテナとして作用することができるが、米国のハムラジオ協会ARRL(American Radio Relay League)によると、不適切に設計されたシステムからの電磁波は1/4マイル以内のアマチュア無線を聞こえなくし、また、電力線のアンテナは周囲の環境から電波雑音を拾い、数マイル後に信号が消えてしまうため、途中にアンプを必要とし、その設備投資だけでも巨額になってしまうと報告している。

 新しいことを始めようとすると、とんでもない新たな問題が登場し、それを解決しようとすると、巨額の投資が必要になり、資金的に空中分解すると言うことは良く聴きますが、電線を使ったインターネット接続技術と聴いたときは、凄いと思ったのですが空中分解する可能性まで出てきていますね〜

 無責任に驚いて、無責任に落胆し、無責任に逃げ出すことができるユーザーには、重厚長大会社も苦労しますね〜

第28回 電力線通信(PLC)は普及するのか?使う理由はどこにある?

2005年8月23日 IDG (NETWORKWORLD 2005年9月号掲載)

インターネットへの高速アクセス技術として、これまではADSLやCATV、無線LAN、FTTHが採用されてきたが、新たな技術が登場してきた。それは、「電力線通信(PLC:Power Line Communication)」である。PLC は、電力線という電力会社の資産を利用する点で、これまでのADSLやFTTHと大きく異なる。そのため、これまでNTTの後塵を拝してきた電力系通信会社は、NTTと肩を並べるためのインフラとして、PLCに並々ならぬ期待を寄せているようである。だが、普及までの道のりはかなり険しそうだ。

電気コンセントが ネットワークの入り口になる

 PLCとは、電力を供給する線に高周波の電気信号を流し、デジタル情報を伝送する技術である。これを応用すれば、電気コンセントを使ってネットワークに接続することが可能となる。

 通常、電力は交流で供給されるが、周波数はわずか50〜60Hzである。そのような低周波数ではとても高速デジタル通信に適用できないが、数十MHz以上の高周波の上にデジタル信号を流すことで、数百Mbpsの通信を実現することが可能だ。すでに最大200Mbpsのスループットを実現するPLCモデムの試作機が開発されており、電力会社や機器ベンダーなどの間で実証実験が行われている。

 現在、家庭やビルの室内には、至る所に電気コンセントがあるはずだ。携帯電話やノートブックPCなどユーザーが持ち運ぶ通信機器は必ずバッテリーを搭載しているが、その他の通信機器はすべてコンセントに差し込まなければならない。もし、PLCが実用化されれば、コンセントに差し込むだけでネットワークに接続できるので、LAN配線もEthernetのネットワークインタフェースも不要となる。家庭においては、すべての部屋にLAN配線を行うことは難しいため、PLCは非常に魅力的だ。

 ところが、PLCには大きな問題がある。もともと電力線は低周波を流すことを目的としており、高周波が流れることはまったく考慮されていない。また、被服されてはいるが、高周波が流れると、まさにケーブルがアンテナのような状態となり、漏えい電波を発生してしまう。数十MHzの電波は短波と呼ばれ、アマチュア無線や船舶無線、警察無線、NHKのテレビ放送などに使用されている。そのため、これらに影響を与えることが懸念されているわけだ。

 国内では、電波法の規制により現状ではPLCの利用が認められていない。電力会社とベンダー各社は、できるだけ電波を漏らさないようにするべく技術開発を進めているが、漏えい電波をなくすことは難しいようだ。すでに敷設されている電力線そのものを高周波対応に交換できればよいのだが、それは現実的ではない。

 日本では、電力線はほとんど電柱によって架空配線されているため、漏えい電波の影響は強くなる。それに対して欧州では、地中に敷設されていることが多いので、地中配線の区間のみで認可されている場合もあるようだ。

 したがって、日本では電力会社と家庭間でのPLCの利用はあきらめ、家のすぐ近くにある電柱から家庭までをPLCで接続する計画が進められている。とはいえ、その区間で電波が漏れることに変わりはないので、その課題を克服するために技術開発が進められているわけだ。

200Mbpsとはいえ半二重通信 しかもシェアードメディア

 では、PLCが実用化された場合、どのような点に注意すべきか、どんな使い方ができるのかを考えてみよう。

 まず、PLCでは全二重通信ではなく、半二重通信になることを覚えておいてほしい。先ほど、試作機のPLCモデムの通信速度が最大200Mbpsであると説明したが、これは200Mbpsの半二重通信という意味である。FastEthernetは100Mbpsの全二重通信なので、上りと下りで同時に100Mbpsの通信ができる。しかし、半二重通信では上りと下りが同時に通信できないので、交互に通信することになる。そのため、通信速度が200Mbpsであるとはいえ、実際には100Mbpsの全二重通信と変わらなくなってしまう。

 また、PLCはスイッチドメディアではなく、シェアードメディアであるという点も認識しておく必要がある。家庭内の通信機器がすべてシェアードメディアに接続されると、200Mbpsの帯域をすべての機器で共有することになる。例えば、10Mbpsのシェアードメディアである10BASE-5や10BASE-2の場合、最大6Mbps程度しか帯域が利用できなかった。また無線LANでは、IEEE 802.11bは11Mbpsの帯域があるが、実際の通信速度は3Mbps程度になると言われている。

 このため、PLCに複数台の機器を接続する場合には注意が必要となる。もし、1台が故障してデータを送出し続けた場合には、それがブロードキャストでなくても、すべての機器の通信が影響を受けるだろう。この問題を回避するために、どのような方式で帯域を共有するべきかが議論されているが、まだ標準化には至っていない。

 家庭で使用されるアプリケーションのうち、数十Mbpsの帯域を必要とするのは、今のところ動画配信ぐらいだろう。ところが、動画配信はネットワークが混雑したり、エラーが発生したりすると、通常のデータ通信では特に問題は起きなくても、すぐ画質が悪くなってしまう。サービスプロバイダーから家庭までの光ファイバで問題がなくても、家庭内で複数台の機器が通信している最中に動画像のデータが流れ込むと、影響を受けることが予想される。

ADSLより安価でFTTH並みに 高速なら導入が進むはずだが…

 最近のハードディスク搭載DVDレコーダーの中には、複数台をつなげることにより互いのハードディスクを共有できるものがある。もし、これをPLCを介して行い、そこにPCが参加すると、家庭内LANに大量のトラフィックが発生することが予想される。

 現在はインターネット上で音楽配信が行われているが、ハイビジョン(HD映像)による動画配信の実証実験も開始されている。インターネットから提供されるHD映像は帯域が20Mbps以下だが、次世代DVDやハイビジョンカメラで撮影したような動画像は、より広い帯域を必要とする。そのような大容量データがPLCによる家庭内LANで各機器間を転送されると、すぐに帯域不足に陥るのではないかという不安がある。

 PLCが家庭に普及するためには、デジタル家電がPLCモデムを内蔵しなければならない。いちいちコンセントにPLCモデムを付けなければならないのでは、わずらわしくて普及しないだろう。

 あるいは、ADSLの置き換えとして家庭内の1か所にPLCモデムを設置し、その配下でLANや無線LANを構築するという接続形態を目指すのであれば、相当安価で提供されないと移行は促進できないだろう。また、FTTHに対抗するためには、すでに提供が開始された1Gbps並みの高速通信を実現できなければならない。

 したがって、家庭内にはLAN配線も無線LAN機器も必要なく、PCはもちろん、その他のデジタル家電もコンセントにつなぐだけで広帯域なネットワークに接続できるというぐらい革新的でなければ、PLCはユーザーの目には魅力的と映らないだろう。

 「家庭内のほとんどの家電がネットワークインタフェースを搭載し、それらが相互に接続することで新しい価値を生み出す。それを実現するには、集中管理するための家庭内サーバが必要である」ということでセットトップボックスという概念が生まれたが、テクノロジーの進歩は、その概念を変えてしまっている。現在では、「サーバレス」ですべてのノードが連係して機能することが実現可能となっているのだ。

 例えば、テレビ番組を録画しても、1台のハードディスク搭載DVDレコーダーにデータが保存されるのではなく、ハードディスクやフラッシュメモリを搭載した家庭内(場合によっては家庭外も可能)のさまざまなネットワーク機器にデータが分散して保存される。そしてユーザーは、自分が録画した動画データがどこに格納されているかを意識する必要がない。

 このような世界を作り出すには、このサーバレスのコンセプトを実現するプロトコルの標準化が必要となる。現状ではそのような議論は行われていないが、これが現実となった場合には、当然、IPv6が利用され、各機器どうしはIPv6が備える認証と暗号技術によって通信を行うだろう。そして、各機器にはファイアウォールやIPS(侵入防止システム)の機能が標準で実装され、たとえぜい弱性が発見されても自動的にアップデートされるような機能が付加されるはずだ。

 2010年までにこのような世界が訪れるだろうか。そのような時代が来るとすれば、PLCが普及する可能性はある。現状では問題は山積みだが、電力会社と機器メーカーが共同で実証実験を進めているので、進展を期待したい。

“コンセントでインターネット”は2年後から?

2005/06/01

電話線代わりではなく、宅内LANとしてPLC(電力線搬送通信)を推進する東京電力。2年後の2007年4月以降を目標に実用化したいというが……。

 アジア全域における光ファイバの促進を図るNPO団体「FTTH Council Asia-Pacific(アジア太平洋FTTHカウンシル)」は5月31日、パシフィコ横浜にて「FTTH Council-Asia Pacific General Meeting」を開催した。

 行われたセッションにて、「TEPCOひかり」を提供する東京電力の清水俊彦氏(情報通信事業部長)はFTTHのキラーアプリケーションのひとつとしてPLC(電力線搬送通信)を挙げ、同社 光ネットワーク・カンパニーの田代哲彦氏(ゼネラルマネージャー)は「電力自由化をにらんで準備を進めたい」と家庭用電力の自由化が検討開始される2007年4月以降を目標に、PLCを実用化したいという意向を示した。

 PLC(Power Line Communication)とは、オフィスや家庭に引き込まれている100ボルト電線に乗っている信号を変調して、ネットワークラインとして利用する技術。数Mbps〜数百Mbpsという高速なデータ通信が可能になると言われているほか、既存の電力線をインフラに使用できることから、家電メーカーと電力会社が早期実用化を期待している。しかし、高周波を変調するために漏洩電磁波の発生が避けられないという問題もある。

 技術としてはあまり新しいものではなく、政府のIT戦略本部が発表した「IT政策パッケージ−2005」にも、「実用上の問題の有無を2005年中に明らかにできるよう、関係者を交えた技術的な検討を進める」と記載され、実験が行われているほか、2005年1月には松下電器産業、三菱電機、ソニーの3社がPLCの相互接続仕様確立を目指すアライアンスを設立すると発表している。

 「(PLCの)規格策定が始まれば実用化は促進されると思うが、漏洩電磁波を含めて課題は多い。電話線がわりのアクセスラインとして使うとすれば、実用化にはかなりの時間がかかるだろう。ただし、宅内ソリューションとして考えるならば、“向こう1年”というのは無理だとしても、意外に早期の実用化は可能かもしれない」(田代氏)

 PLCを宅内ソリューション、いわば無線LANのかわりに据えることで早期の実用化を目指すが、ここまで積極的な姿勢を示す背景には、2005年4月に利用者が電力供給業者を選べる電力自由化の対象が拡大されたほか、2007年4月には家庭を含む全面自由化の是非を問う議論が始まるという事情がある。

 「家庭用電力が完全に自由化されても、安全で経済的な“オール電化”や“エコ給湯”といった電力サービスに、TEPCOひかりやPLCといったネットワークサービスを組み合わせれば、高付加価値商品としてPRできる。自由化されても選ばれる電力会社でなければならない」

 「PLCの実用化については、Bフレッツを提供しているNTTとの共同推進でもかまわないと思っている。ただ、“アクセスラインにTEPCOひかりを組み合わせると安くなる”などの施策はもちろん考えますが(笑)」(田代氏)

EU、電力線ネット推進目指し規制撤廃を勧告

2005/04/09 IT media

EUは電力線通信(PLC)普及に向けて規制撤廃を勧告した。懸念される電波干渉は技術向上により克服できるとしている。(IDG)

 欧州連合(EU)の通信規制当局である欧州委員会は4月8日、電力製経由のブロードバンドインターネット普及促進に向けイニシアチブを執った。

 欧州委員会は各国の通信/公益事業規制当局に対し、電灯線ブロードバンド通信市場公開を目指し、「正当な理由のない規制による障壁」、特に公益企業による障壁をすべて取り除くよう勧告を行った。

 これにより、新規のブロードバンド接続提供企業が、一般の家庭と通信ネットワークを結ぶ電話加入回線の保有企業との間で競争できるようになると同委員会は指摘。これによってEU加盟25カ国のブロードバンド普及率は5〜10%伸び、消費者のための投資と低価格化が促進されると広報官は説明する。家庭、学校、企業に直接つながっている電力線はEU域内で2億に上り、この事業が秘める可能性は膨大だと広報官。

 欧州委員会では各国の当局に障壁撤廃に取り組んでもらいたい意向だが、ラジオ電波の干渉を懸念する声もある。

 電力線通信(PLC)技術に対しては、システムが干渉を引き起こすという反対意見もある。しかし8日に開かれた各国の規制当局者の会合では、干渉にまつわる不安について、公益企業が自社の伝送ネットワークをブロードバンドサービス提供企業に解放するのを拒む十分な理由とは言えないとの意見で一致した。この技術は初期の頃に比べて問題がはるかに少なくなっており、残る問題も比較的容易に克服できると欧州委員会は論じている。

本多エレク、電力線通信で漏えいを50分の1に低減

2004/09/22 IT media

高速広帯域電力線モデムの実証実験で、電波漏えいを従来比約50分の1に低減。アマ無線などへの干渉を抑えることができ、電力線通信の本格化へ前進。

 本多エレクトロンはこのほど、高速広帯域電力線モデムの実証実験で、電波漏えいを従来比約50分の1に低減できたと発表した。

 電力線通信は、家庭用電源コンセントを使ってデータ通信が行える技術。手軽にブロードバンド通信可能な技術として有望視されているが、電力ケーブルを通じて電波が漏えいするため、既存無線局の電波を妨害するとして、規制緩和には強い反対の声が上がっている。

 同社は漏えい電力を低減するため、トランスや送受信アナログ部などを電力線モデム専用に開発。同社花巻工場(岩手県花巻市)で8月から行っている実証実験(関連記事参照)で漏えい低減効果を実証した。

 来年3月末まで実験を続けて取得サンプル数を増やすほか、実験結果は電源部など他部品の開発に反映するとしている。

電気コンセントを通信回線に NTTも実験開始

2004/08/21 asahi.com
 電気コンセントにつなぐだけで高速通信ができる仕組み(電力線搬送通信=PLC)の実証実験を、NTTグループが20日から始めた。短波放送や航空・船舶無線と混信する恐れがあるとして、総務省が実用化を認めていない技術だが、屋内の電話回線が要らなくなるなど利便性が高いため、NTTも将来の参入に備える構えだ。

 NTTの研究開発子会社、NTTアドバンステクノロジが茨城県つくば市の事業所で始めた実験は、屋外の光ファイバー経由で伝わってきた通信信号を、屋内の電力線に送るというもので、05年3月まで続ける。

 PLCの実験はすでに、電力会社や情報家電の浸透をめざす電機メーカーなどが積極的に進めている。

東京電力、高速PLC設備の設置許可を総務省関東総合通信局より取得

2004/03/21 Internet Watch

 東京電力は22日、電力線を利用した通信技術「電力線搬送通信(PLC)」について、総務省関東総合通信局より実験を目的とした設備設置の許可を取得したと発表した。

 今回の設備設置許可は、2月9日に東京電力が総務省に対して行なった、2MHz〜30MHzの高周波帯域を使用した高速PLC実験設備の設置申請を受けたもの。高速PLCでは最大200Mbpsの通信が可能で、日本国内で現在利用可能な10kHz〜450kHzの周波数帯域を使用した従来のPLC(数100kbps程度)と比較して、より高速な通信が実現できるという。

 同社では、3月22日から2005年3月31日までの期間で、神奈川県横浜市にある東京電力技術開発センターと東京都練馬区にある同社社宅内の配電線に高速PLCモデムを接続。電力線にPLCの通信信号を注入した際に、既存の放送や通信と干渉する原因となる電界・電波の漏洩電界強度の測定や、低減技術の実証実験を行なわれる。( 村松健至 )

電力線通信(PLC)インターネット機器を中国で受注〜巨大マーケット参入への足がかりに〜

2004年02月09日 関西電力株式会社

 きんでんの子会社である株式会社プレミネットは、この度、中国国家電網公司(*1)傘下の通信会社「中電飛華(ちゅうでんひか)通信有限公司」より、2,000世帯分の電力線通信(PLC)インターネット機器を受注しました。

(*1) かつて中国全土の電気事業を統括していた中国国家電力公司が、2003年3月の再編により分離・分割されて設立した企業体。中国北部、東北部の送配電事業を担当する。

 プレミネットと関西電力子会社のラインコムは、平成15年3月から、北京市内の集合住宅150世帯を対象としたPLC実証実験に共同で参画しています。この度、そのシステムの安定性と高速性が、実験主催者である中国国家電網公司から高く評価された結果、プレミネット・ラインコムグループ(*2)の機器を用いた実験対象が2,000世帯に拡大されることになりました。これに伴い、これまで実験に使用してきた150世帯分を含め、この拡大実験で必要になる合計2,000世帯分の機器について、販売契約を締結したものです。実験には他社グループも参加していますが、他社がPLCのみのネットワークを構築できず、同軸ケーブルやLANケーブルとPLCを組み合わせたネットワークとしているところを、プレミネット・ラインコムグループ(*2)だけが、完全なPLCのみのネットワークを構築して伝送に成功しました。さらに、イスラエルのITRAN(イトラン)社が開発した高度変調技術(*3)の採用による感度の良さや動作の安定性、さらにはコストの低さなどが、中国国家電網公司から非常に高い評価を受けました。   

(*2) プレミネット・ラインコムグループの構成メンバー     技術協力 … ITRAN Communications社(イスラエル)、株式会社マクニカ     機器製造 … アルプス電気株式会社ほか

(*3) デジタル信号を、元の信号より広い帯域に拡散させて送信し、受信側で元のデジタル信号を復元する変調技術で、高度スペクトラム拡散変調技術という。ノイズに強く、機密性を確保できる。

 契約内容は下記のとおりで、PLC機器の販売後も、販売先での実証実験が継続されることから、両社は引き続き、技術サポートを実施してまいります。また引き続き、日本国内でのPLC技術の利用に向けて、漏洩電波の測定といった検証も行ってまいります。

【PLCインターネット機器販売契約の内容】 ●契 約 先 : 中電飛華(ちゅうでんひか)通信有限公司 ●販売機器 : プレミネット社のPLAM2500シリーズ(最大伝送速度:2.5Mbps)用モデムおよび中継機器(モデム2,000機、中継機器200機 他) ●販売対象 : 大規模集合住宅、高層住宅、ホテルなど約100カ所2,000世帯 ●技術サポート : 機器設置工事を行う中電飛華通信の技術者への現地教育、追加機能の共同開発等  

 中国では今後、本格的に電力線通信システムの導入が進み、ADSL等を含むブロードバンド市場で、PLCが30%程度のシェアを獲得する可能性があります。PLCは数年後には、世帯数で数千万世帯(*4)、市場規模で数百億円の巨大マーケットになることが期待できます。  

 この実証実験の後、中国側の本格的な機器調達入札が始まると予想されることから、プレミネットとラインコムは、今回の契約受注を巨大マーケット参入への足がかりとするため、親会社のきんでん、関西電力と共に、更なる高速システムの投入を目指し、開発を進めてまいります。

(*4) 2003年上半期で、中国のインターネットユーザー数は6,800万加入、ブロードバンドユーザー数は980万加入。そのうち光ファイバに屋内LANを組み合わせている方式が32%あり、今後これらの屋内LAN部分がPLCに置き換わると推定される。ブロードバンド市場の成長率は現在、年間約200%。 以 上

総務省、電力線通信の漏えい電波の低減技術開発に実験制度導入

2004/01/21 Internet watch

 総務省は21日、「実験用高速電力線搬送通信設備の設置許可に係る方針」を発表した。国内では規制されている2MHz〜30MHzを使った電力線搬送通信(PLC)の実験制度導入にあたり、実験設備の設置を許可する際の条件を示している。総務省ではこの方針にもとづいて、近日中に関連する法令を公布・施行する。

 2MHz〜30MHzを使うPLCは、国内で現在認められている10kHz〜450kHzを使ったシステムよりも高速化が期待できる反面、電力線から漏れる電波が同じ周波数を使っている他の無線システムに干渉を与えることが確認されており、総務省では規制緩和を見送っていた。今回の制度は、漏えい電波を低減するための技術開発を目的とした実験に限って、許可制で高速PLCシステムの運用を認めるものだ。

 総務省ではすでに2003年8月、方針案を公開してパブリックコメントを募っていたが、今回、最終決定した方針でも特に大きな変更はない。漏えい電波が既存の無線システムに重大な障害を与えないことの技術的根拠や漏えい電波の強度などを申請時に示すことが求められているほか、周辺の無線局への事前説明義務、何か障害が起こった場合の停止措置などについて述べられている。

 ただし、制度の趣旨を明確にするために若干の変更を加えたとしており、「実験設備の設置者は、漏えい電界強度の低減技術を開発したものであること」などの項目が追加された。あくまでも漏えい電波の低減技術開発が目的の実験制度であり、単に海外などで製品化されている既存システムを持ち込むだけの実験は認められない。このほか、「実験期間中は、電磁障害があった場合に速やかに対応できるよう、連絡窓口を設置すること」という項目も追加されている。

【WPC EXPO】電力線インターネットは最大200Mbps

2003/09/18 Internet watch

 9月17日から開催されているアジア最大級のデジタル展示会「WPC EXPO 2003」。電力線によるインターネット接続を研究する社団法人、高速電力線通信推進協議会(PLC-J)のブースでは、最大45Mbpsのインターネット接続デモが行なわれている。

 PLC-Jは関西電力や日立製作所、富士通、松下電器、三菱電機などが参加する社団法人。PLC-Jが実用化を目指す電力線インターネットは、2〜30MHz帯を使用して最大200Mbps程度のスループットを実現する。だが、現行の法規制では帯域が制限されて高速な通信が不可能。実用化に向けては、まず既存の同じ帯域を使っている無線局に対して影響がないよう、技術的な問題をクリアし、さらに法改正が必要となる。

 電力線インターネットは、電力が戸外から入ってくる電力引込線を分電盤経由でPLCモデムと接続、そこから家庭内のコンセントに分配する仕組みになる。各コンセントからパソコンに接続する際も、おのおのPLCモデムが必要になるという。

 デモでは、電力線が直に接続された住友電工製のPLCモデムを使用。モデムに接続されたパソコンからWeb閲覧ができる状態になっていた。

 このほかブースでは、三菱電器製やデモに使われた住友電工製のPLCモデムが参考出品されていた。これらはいずれもOFDM方式を利用した最大45Mbpsの通信に対応している。また、米国で今秋出荷予定の機器として、ACアダプタの形状をしたモデムに無線LANカードを組み合わせた製品も展示されていた。これはコンセントに差すだけで無線LAN環境を構築できるという。

 スタッフに実用化時期を聞いたところ、「現行の法律では実現が難しく、実用化は法整備が進んだ後になる。政治的な部分を含むので、なかなか目途が立たない状態だが、技術的には十分実用レベル」とのこと。また、「現在の開発状況では、最大200Mbps程度のスループットが得られるが、商用化の折りには50Mbps程度になるのではないか」「光ファイバーが有望なのは事実だが、ラストワンマイルの問題はずっとつきまとうだろう。その面では電力線インターネットは有利」とも話していた。

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